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特表2024-519193ネイキッドコレーション包装体フィルム
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  • 特表-ネイキッドコレーション包装体フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-09
(54)【発明の名称】ネイキッドコレーション包装体フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20240430BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023562599
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2022060090
(87)【国際公開番号】W WO2022219143
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】2105310.3
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2111513.4
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505300508
【氏名又は名称】イノヴィア フィルムズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン、シャレンドラ
(72)【発明者】
【氏名】レウチャ、セザリー
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AB02
3E086AC07
3E086AC22
3E086AD13
3E086BA04
3E086BA15
3E086BA24
3E086BB01
3E086BB02
3E086BB05
3E086BB22
3E086BB23
3E086BB51
3E086BB52
3E086BB55
3E086BB58
3E086BB62
3E086BB63
3E086CA40
3E086DA08
4F100AK01C
4F100AK03A
4F100AK03B
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK07A
4F100AK07B
4F100AK09A
4F100AK09B
4F100AK64A
4F100AK64B
4F100AK65A
4F100AK65B
4F100AK67A
4F100AK67B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100GB15
4F100JA04B
4F100JK06
4F100JK16
4F100JL12A
4F100JL12B
4F100JN21
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
ネイキッドコレーションフィルムは、コア層(C)と、ポリオレフィン材料の内側シーリング層(I)と、ポリオレフィン材料の外側シーリング層(O)とを含み、各シーリング層は、C4から選択される少なくとも2つ、好ましくは3つのポリオレフィンと、C2及びC3ポリオレフィンの少なくとも一方とを含む。内層及び外層の少なくとも一方は、i.約10mol%より多いC4含有量、ii.少なくとも約1.2のC4/C2モル比、及び/又はiii.少なくとも約0.15のC4/C3モル比の少なくとも1つを有する。コレーションフィルムは、好ましくは非ブロッキングであり、ネイキッドコレーション包装体の個別に包まれた包装体(P)との大きな不適合性ウィンドウを有し、強い光学性能を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネイキッドコレーションフィルムであって、前記フィルムの一方の表面上のポリオレフィン内側シーリング層と、前記フィルムの反対側の表面上のポリオレフィン外側シーリング層とを含むものであり、前記外側シーリング層が、それ自体に及び前記内側シーリング層にシール可能であり、並びに前記内側シーリング層及び前記外側シーリング層の両方が、C4ポリオレフィンと、C2及びC3ポリオレフィンの少なくとも1つとを含み、前記シーリング層の少なくとも一方が、そのシーリング層の全ポリオレフィン含有量に対して10mol%より多いC4ポリオレフィン含有量を有する、ネイキッドコレーションフィルム。
【請求項2】
前記内側シーリング層及び前記外側シーリング層の一方又は両方が、C2、C3及びC4のポリオレフィンを含む、請求項1に記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項3】
前記内側シーリング層及び前記外側シーリング層の一方又は両方が、C2/C3、C2/C4及び/若しくはC3/C4コポリマー、並びに/又は少なくとも1つのC2/C3/C4ターポリマーのブレンドを含む、請求項1又は請求項2に記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項4】
前記シーリング層の少なくとも1つが、そのシーリング層の全ポリオレフィン含有量に対して10.5mol%より多い、11.0mol%より多い、11.5mol%より多い、又は12.0mol%より多いC4ポリオレフィン含有量を有する、請求項1~3のいずれかに記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項5】
前記ポリオレフィン外側シーリング層が、前記外側シーリング層の全ポリオレフィン含有量に対して10mol%より多い、10.5mol%より多い、11.0mol%より多い、11.5mol%より多い、又は12.0mol%より多いC4ポリオレフィン含有量を有する、請求項1~4のいずれかに記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項6】
前記内側シーリング層及び前記外側シーリング層の各々が、そのシーリング層の全ポリオレフィン含有量に対して10mol%より多い、10.5mol%より多い、11.0mol%より多い、11.5mol%より多い、又は12.0mol%より多いC4ポリオレフィン含有量を有する、請求項5に記載のネイキッドコレーションフィルム
【請求項7】
前記内側シーリング層及び前記外側シーリング層における平均C4ポリオレフィン含有量が、それらのシーリング層の全ポリオレフィン含有量に対して10mol%より多い、10.5mol%より多い、11.0mol%より多い、11.5mol%より多い、又は12.0mol%より多い、請求項1~6のいずれかに記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項8】
ネイキッドコレーションフィルムであって、前記フィルムの一方の表面上のポリオレフィン内側シーリング層と、前記フィルムの反対側の表面上のポリオレフィン外側シーリング層とを含み、前記外側シーリング層がそれ自体に及び前記内側シーリング層に対してシール可能であり、前記内側シーリング層及び外側シーリング層の両方が、C2及びC4ポリオレフィンと、任意にC3ポリオレフィンとを含み、前記シーリング層の少なくとも一方が、少なくとも1.2のC4:C2モル比を有する、ネイキッドコレーションフィルム。
【請求項9】
前記内側シーリング層及び前記外側シーリング層の一方又は両方が、C2、C3及びC4のポリオレフィンを含む、請求項8に記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項10】
前記シーリング層の少なくとも1つが、少なくとも1.5、少なくとも1.6、又は少なくとも1.7のC4:C2モル比を有する、請求項8又は請求項9に記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項11】
前記ポリオレフィン外側シーリング層が、少なくとも1.2、少なくとも1.5、少なくとも1.6、又は少なくとも1.7のC4:C2モル比を有する、請求項8又は請求項9に記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項12】
前記内側シーリング層及び前記外側シーリング層の各々が、少なくとも1.2、少なくとも1.5、少なくとも1.6、又は少なくとも1.7のC4:C2モル比を有する、請求項8に記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項13】
前記内側シーリング層及び前記外側シーリング層の平均C4:C2モル比が、少なくとも1.2、少なくとも1.5、少なくとも1.6、又は少なくとも1.7である、請求項8に記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項14】
ネイキッドコレーションフィルムであって、前記フィルムの一方の表面上のポリオレフィン内側シーリング層と、前記フィルムの反対側の表面上のポリオレフィン外側シーリング層とを含み、前記外側シーリング層がそれ自体に及び前記内側シーリング層に対してシール可能であり、前記内側シーリング層及び外側シーリング層の両方が、C3及びC4ポリオレフィンと、任意にC2ポリオレフィンとを含み、前記シーリング層の少なくとも一方が、少なくとも0.15のC4:C3モル比を有する、ネイキッドコレーションフィルム。
【請求項15】
前記内側シーリング層及び前記外側シーリング層の一方又は両方が、C2、C3及びC4のポリオレフィンを含む、請求項14に記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項16】
前記シーリング層の少なくとも1つが、少なくとも0.16、少なくとも0.17、又は少なくとも0.20のC4:C3モル比を有する、請求項14又は請求項15に記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項17】
前記ポリオレフィン外側シーリング層が、少なくとも0.15、少なくとも0.16、少なくとも0.17、又は少なくとも0.20のC4:C3モル比を有する、請求項14又は請求項15に記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項18】
前記内側シーリング層及び前記外側シーリング層の各々が、少なくとも0.15、少なくとも0.16、少なくとも0.17、又は少なくとも0.20のC4:C3モル比を有する、請求項14に記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項19】
前記内側シーリング層及び前記外側シーリング層における平均C4:C3モル比が、少なくとも0.15、少なくとも0.16、少なくとも0.17、又は少なくとも0.20である、請求項14に記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項20】
前記シーリング層の少なくとも一方、好ましくは両方が、少なくとも1.2、少なくとも1.5、少なくとも1.6、又は少なくとも1.7のC4:C2モル比を有する、請求項1~7のいずれかに記載のネイキッドコレーションシーリングフィルム。
【請求項21】
前記シーリング層の少なくとも一方、好ましくは両方が、少なくとも0.15、少なくとも0.16、少なくとも0.17、又は少なくとも0.20のC4:C3モル比を有する、請求項1~7又は20のいずれかに記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項22】
ポリオレフィンコア層を更に含む、請求項1~21のいずれかに記載のネイキッドコレーションフィルムであって、前記ポリオレフィンコア層上に前記内側シーリング層及び前記外側シーリング層が形成される、ネイキッドコレーションフィルム。
【請求項23】
請求項1~22のいずれかに記載の、非ブロッキングネイキッドコレーションフィルム。
【請求項24】
少なくとも前記外側シーリング層が、75℃を超える融点を有する少なくとも1つのコポリマー又はターポリマーを含む、請求項1~23のいずれかに記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項25】
少なくとも前記外側シーリング層が、80℃を超える融点を有する少なくとも1つのコポリマー又はターポリマーを含む、請求項24に記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項26】
前記シーリング層の一方又は両方が、エチレンとプロピレン、エチレンとブチレン、プロピレンとブチレンの2つ以上のコポリマー、及び/又はエチレンと、プロピレンとブチレンとのターポリマーのブレンドを含む、請求項1~25のいずれかに記載のネイキッドコレーションフィルム。
【請求項27】
請求項1~26のいずれかに記載のシールされたネイキッドコレーションフィルム内に包装された複数の個別に包まれた包装体を含む、ネイキッドコレーション包装体。
【請求項28】
個別に包まれた各包装体が、前記内側シーリング層と接触する更なるポリオレフィンフィルムを含む、請求項27に記載のネイキッドコレーション包装体。
【請求項29】
ネイキッドコレーション包装体を形成するための方法であって、
a)個別に包まれた包装体の配置を提供することと、
b)請求項1~26のいずれかに記載のネイキッドコレーションフィルムを提供することと、
c)前記個別に包まれた包装体を注文された構成に配置することと、
d)前記ネイキッドコレーションフィルムを、個別に包まれた包装体の前記注文された構成を少なくとも部分的に取り囲むように配置することと、
e)前記ネイキッドコレーションフィルムを前記包装体にシールすることなく、前記ネイキッドコレーションフィルムをそれ自体にシールすることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネイキッドコレーションフィルム、ネイキッドコレーション包装体、及び当該ネイキッドコレーションフィルムを含むネイキッドコレーション包装体を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネイキッドコレーションは、包装コスト及び材料を削減する効果的な方法である。いくつかの個別に包装された物品、例えばシガレットパックが一緒にグループ化され、流通又はバルク小売のためのより大きなバンドルとして包装される場合、個々の包装体は、その後に包まれる前に、より大きな箱又はカートンに入れられるのが通常である。ネイキッドコレーションは、箱又はカートンの必要性を排除し、それによって包装材料を減らす。
【0003】
ネイキッドコレーションフィルムの本質的な特徴は、個々のパケットを包むために使用されるフィルムに対して(選択されたシーリング条件下で)シールするのではなく、それ自体に対してシーリングできなければならないことである。したがって、ネイキッドコレーションフィルムは、(選択されたシーリング条件下で)個々のパケットフィルム(ユニットラップフィルムとしても知られる)にではなく、互いにシール可能な内面及び外面を備えなければならないことは明らかである。
【0004】
ネイキッドコレーションフィルムの別の本質的な特徴は、それが非ブロッキングでなければならないことである。すなわち、例えば、複数の包装体が互いに積み重ねられる可能性が高い輸送コンテナ若しくは倉庫、又はパックが製造後にまだいくらか温かい可能性がある製造直後のコンパイルにおいて優勢であり得る温度及び圧力のやや厳しい条件下であっても、それ自体に粘着する傾向を有してはならない。そのような状況下での「パック間(pack-to-pack)ブロッキング」は非常に望ましくない。
【0005】
国際公開第2009024810号は、ネイキッドコレーションフィルム内の当該ネイキッドコレーション包装体内に一緒に包装されたポリオレフィンフィルム材料内に個別に包装された個々の包装体の配置を含むネイキッドコレーション包装体であって、ネイキッドコレーションフィルムは、ポリオレフィンコア層Cと、ポリオレフィン内側シーリング層Aと、ポリオレフィン外側シーリング層Bとを有するシール可能なポリオレフィンフィルムを含み、内側シーリング層Aのポリオレフィン材料が、特定のシーリング条件下で個々の包装体のフィルム状ポリオレフィン材料とのシーリング不適合性のために選択され、外側シーリング層Bのポリオレフィン材料が、選択されたシーリング条件下でBとのシーリング適合性及びAとのシーリング適合性のために選択され、個々の包装体は、包装体の内部に注文された構成で配置され、ネイキッドコレーションフィルムは、個々の包装体の注文された構成の周りに巻き付けられ、周囲のシールでそれ自体にシールされ(AとB)、包装体の各端部のエンベロープシールでそれ自体にシールされ(BとB、及び任意にAとB)、ネイキッドコレーションフィルムと個々の包装体のフィルム材料との間にシールが存在しない、ネイキッドコレーション包装体に関する。
【0006】
国際公開第2012164308号は、ネイキッドコレーション包装体を形成するための方法であって、a)フィルム状材料に個別に包まれた包装体の配置を提供することと、b)当該個別に包まれた包装体を裸でラッピングするためのネイキッドコレーションフィルムを提供することであって、ネイキッドコレーションフィルムは、ポリオレフィンコア層Cと、ネイキッドコレーションフィルムの内面上の内側シーリング層Aと、ネイキッドコレーションフィルムの外面上のポリオレフィン外側シーリング層Bとを含み、内側シーリング層Aの材料は、特定のシーリング条件及び熱収縮条件の下で個別に包まれた包装体のフィルム状材料とのシーリング不適合性のために選択され、外側シーリング層Bのポリオレフィン材料が、指定されたシーリング条件下でBとのシーリング適合性及びAとのシーリング適合性のために選択され、層A及び層Bは、異なる材料から形成され、層Bは、少なくとも1つのポリオレフィンポリマーと、シリコーンの層の少なくとも0.2重量%を含むアンチブロック成分とを含む、当該個別に包まれた包装体を裸で包むためのネイキッドコレーションフィルムを提供することと、c)個別に包まれた包装体を注文された構成に配置することと、d)ネイキッドコレーションフィルムが、必ずしも接触しているとは限らないが、個別に包まれた包装体の注文された構成を少なくとも部分的に取り囲むように、ネイキッドコレーションフィルムを配置することと、e)ネイキッドコレーションフィルムを熱収縮条件にさらすことによってネイキッドコレーションフィルムを熱収縮させ、ネイキッドコレーションフィルムを収縮させ、包装体にシールすることなく、包装体の配置を密接に取り囲むことと、を含む、ネイキッドコレーション包装体を形成するための方法を記載する。
【0007】
国際公開第2018096480号は、個別に包装された物品(ネイキッドコレーションパッケージング)の外側被覆としての使用に特に適した二軸配向多層フィルムを記載し、当該二軸配向多層フィルムは、100℃以下の融点を有する少なくとも1つのエチレンポリマーを含む少なくとも1つの外層(A)と、140℃以上の融点を有する少なくとも1つのプロピレンポリマーを含む1つの中心層(B)と、融点105℃~115℃及び密度0.910~0.940g/cm3を有する少なくとも1つのエチレンポリマーを含む1つの内層(C)とを含む。
【0008】
米国特許第6358579号は、プロピレンを主成分とするエチレンとのコポリマーのエチレンホモポリマー、好ましくは、(コポリマーに基づいて)10重量%以下の量の主成分としてのプロピレンと、1-ブテンとのコポリマー、好ましくは、(コポリマーに基づいて)10~15重量%の量の、プロピレン、エチレン及び4~10個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンから作製されるターポリマー、好ましくは、93.2~99.0重量%のプロピレン、0.5~1.9重量%のエチレン、及び0.5~4.9重量%の4~10個の炭素原子を有するアルファ-オレフィン、又はこれらのポリマーの混合物で構成される個々の包装フィルムのシール可能な層を開示する。
【0009】
米国特許第6777067号は、少なくとも1つのヒートシール可能な層を含むポリプロピレンフィルムを開示しており、コポリマー及びターポリマーを含む適切なヒートシール可能なオレフィンポリマーの広範なリストを含む。
【0010】
米国特許第5900294号は、ポリプロピレンを含有するベース層と、少なくとも1つの外層とを含むポリオレフィン多層フィルムを開示している。外層は、結晶化度が低いC3/C4-オレフィン樹脂組成物を含み、84度未満の最低ヒートシーリング温度を有する。多層フィルムの製造方法及びその使用も記載されるとも言われる。
【0011】
欧州特許第0645417号は、n-ヘプタン不溶性含有量が、<13>C-NMR分光法によって測定される少なくとも95%の鎖アイソタクティシティーインデックスを有する二軸配向ポリプロピレンフィルムを開示している。ベース層は、70~170度の軟化点を有する1~15重量%の天然又は合成樹脂を含有する。本開示はまた、ポリプロピレンフィルムの製造方法及びその使用に関するとも言われる。
【0012】
ドイツ国特許第3635928号は、個々のパックが、変性ポリオレフィンヒートシーリング層を有する二軸延伸配向ポリプロピレンフィルム中で行われる、個々の包装体の配置を含むマルチパックシステムを開示している。マルチパックシステムを特徴づける特徴は、外側ラップフィルムが、外層が付加された低分子量炭化水素樹脂を含み、コロナ処理されている対称構造との共押出によって製造されたヒートシール可能な二軸延伸配向多層ポリプロピレンフィルムを含むことであると言われている。本開示によるマルチパックシステムは、外側ラッピングフィルムがそれ自体にヒートシール可能であるが、個々のパックの二軸配向ポリプロピレンフィルムをヒートシールしないという事実によって区別されると言われている。
【0013】
米国特許第5302427号は、印刷可能な二軸配向ポリオレフィン多層包装フィルムを開示し、両面が低温シールであり、ベース層と、ベース層の両側に少なくとも1つのシーリング層とを含み、ベース層が過酸化物分解プロピレンホモポリマーを含有し、各シーリング層がエチレン/プロピレン/ブチレンターポリマー及びプロピレン/ブチレンコポリマーを含有し、1つの外側シーリング層がポリジオルガノシロキサン及び二酸化ケイ素粒子を含有し、コロナ処理されておらず、ポリジオルガノシロキサンがフィルム製造中にマスターバッチの形態で添加される。
【0014】
米国特許第5436041号は、ベース層Bと、ABCの層の蓄積に従ってその両側に配置された異なる上層A及びCとを有する、両側でシールすることができる透明で印刷可能な二軸配向ポリオレフィン多層包装フィルムを開示する。ベース層Bは、約3~約10の範囲の分解因子を有する過酸化分解ポリプロピレンポリマーを含有する。最上層Aは、以下のコポリマー及び/又はターポリマー:エチレンとプロピレン又はエチレンとブチレン又はプロピレンとブチレン又はエチレンと5~10個の炭素原子を有する別のα-オレフィンとのコポリマー、又はプロピレンと5~10個の炭素原子を有する別のα-オレフィンとのコポリマー、又はエチレンとプロピレンとブチレン又はエチレンとプロピレンと5~10個の炭素原子を有する別のα-オレフィンとのターポリマーの2つ以上のポリマー混合物を含む。最上層Aのこのポリマー混合物は、高粘度ポリジオルガノシロキサン及び二酸化ケイ素と、任意に他の添加された添加剤とを更に含有する。最上層Cは、エチレンとプロピレン又はエチレンとブチレン又はプロピレンとブチレン又はエチレンと5~10個の炭素原子を有する別のα-オレフィン又はプロピレンと5~10個の炭素原子を有する別のα-オレフィンとのコポリマー、又はエチレンとプロピレンとブチレン又はエチレンとプロピレンと5~10個の炭素原子を有する別のα-オレフィンとのターポリマー、及び任意に他の添加剤を含む。上層Cは、その外面にポリジアルキルシロキサンの非凝集性被覆を有する。
【0015】
米国特許出願公開第2013011669号は、i)ポリオレフィンコア層と、(ii)10.0重量%~50.0重量%のプロピレン系エラストマーと50.0重量%~90.0重量%のプロピレン系ポリマーとのブレンドとを含む、ヒートシール可能配向多層フィルムを開示し、ヒートシール可能な層は、1.0重量%未満のエチレンホモポリマー又はエチレン系コポリマーを含み、ヒートシール可能な層は、82℃(180°F)で5.0以下のヘイズ及び2.00×102g/2.54cm以上のシール強度を有する 特定のフィルムでは、ヒートシール可能層は、5.0以下のヘイズ及び90℃(194°F)で3.00×102g/2.54cm以上のシール強度を有する。そのような多層構造体及びそれから作製された物品を作製する方法も開示されると言われる。
【0016】
欧州特許第3034300号は、少なくともコア層と、内層と、1つ以上のオレフィン(コ)ポリマーからなる外層とを含む6つ以上の充填片のパックを形成するための包装製品のネイキッドコレーション用の多層フィルムを開示し、外層(コ)ポリマーは65℃~85℃の範囲の溶融温度を有し、内層(コ)ポリマーは65℃~105℃の範囲の溶融温度を有し、コア層プロピレン及び/又はブテン(コ)ポリマーは140℃を超える溶融温度を有し、単一の包装単位を包むフィルムは、120℃より高い溶融温度を有する1つ以上のオレフィン(コ)ポリマーで形成され、多層フィルムの内層は、包装体を形成する単一の包装単位(フィルムO)を包むフィルムと接触しており、多層フィルムの外層は、0.35から0.5μm未満の間に含まれる厚さを有する。
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、例えば、パック間ブロッキングの問題を回避しながら、高い不適合性ウィンドウ、低いシーリング温度での良好なシーリング条件、及び強い光学性能を提供することに関して、性能が改善されたネイキッドコレーションフィルムを提供することである。
【0018】
驚くべきことに、ネイキッドコレーションフィルムのシーリング層のシーリング特性は、その中のC4ポリオレフィン含有量を高めることによって改善することができることが分かった。
【0019】
したがって、一態様では、本発明は、フィルムの一方の表面上のポリオレフィン内側シーリング層と、フィルムの反対側の表面上のポリオレフィン外側シーリング層とを含むネイキッドコレーションフィルムを提供し、外側シーリング層は、それ自体に及び内側シーリング層にシール可能であり、内側シーリング層及び外側シーリング層の両方が、C4ポリオレフィンと、C2及びC3ポリオレフィンの少なくとも1つを含み、好ましくはC2とC3とC4のポリオレフィンを含み、シーリング層の少なくとも1つは、そのシーリング層の全ポリオレフィン含有量に対して10mol%より多いC4ポリオレフィン含有量を有し、好ましくは10.5mol%より多い、より好ましくは11.0mol%より多い、更により好ましくは11.5mol%より多い、最も好ましくは12.0mol%より多いC4ポリオレフィン含有量を有する。
【0020】
関連する態様では、本発明は、フィルムの一方の表面上のポリオレフィン内側シーリング層と、フィルムの反対側の表面上のポリオレフィン外側シーリング層とを含むネイキッドコレーションフィルムを提供し、外側シーリング層は、それ自体に及び内側シーリング層にシール可能であり、内側及び外側シーリング層の両方が、C2及びC4ポリオレフィンと、任意にC3ポリオレフィンも含み、好ましくはC2、C3及びC4ポリオレフィンを含み、シーリング層の少なくとも1つは、少なくとも1.2、好ましくは少なくとも1.5、より好ましくは少なくとも1.6、最も好ましくは少なくとも1.7のC4:C2モル比を有する。
【0021】
関連する態様では、本発明は、フィルムの一方の表面上のポリオレフィン内側シーリング層と、フィルムの反対側の表面上のポリオレフィン外側シーリング層とを含むネイキッドコレーションフィルムを提供し、外側シーリング層は、それ自体に及び内側シーリング層にシール可能であり、内側及び外側シーリング層の両方が、C3及びC4ポリオレフィンと、任意にC2ポリオレフィンも含み、好ましくはC2、C3及びC4ポリオレフィンを含み、シーリング層の少なくとも1つは、少なくとも0.15、好ましくは少なくとも0.16、より好ましくは少なくとも0.17、最も好ましくは少なくとも0.20のC4:C3モル比を有する。
【0022】
上記態様のネイキッドコレーションフィルムは、非ブロッキングである。「非ブロッキング」とは、フィルムが本明細書に詳述するパック間ブロッキング試験に合格することを意味する。
【0023】
本発明はまた、上で定義したシールされたネイキッドコレーションフィルム内に包装された複数の個別に包まれた包装体を含むネイキッドコレーション包装体を提供する。
【0024】
好ましくは、個別に包まれた各包装体は、当該内側シーリング層と接触する別のポリオレフィンフィルムを含む。
【0025】
更なるポリオレフィンフィルムは、C4を含んでも含まなくてもよく、典型的には、C2、C3及びC4のうちの少なくとも2つ、又はC2、C3及びC4のうちの少なくとも1つを、C6及び/又はC8を含むコポリマー等の他のポリマー又はコポリマー又はそれらのブレンドと組み合わせて含む。更なるポリオレフィンフィルムは、多層フィルムであってもよく、この場合、外層(本発明の使用時には、一般に、ネイキッドコレーションフィルムの内側シーリング層と接触する)は、C4を含んでも含まなくてもよく、典型的には、C2、C3及びC4のうちの少なくとも2つを含む。
【0026】
「内」、「内側」、「外」及び「外側」という用語は、ネイキッドコレーションフィルムの内面又は外面、ネイキッドコレーションフィルム、ユニットラップフィルム及び/又は使用中のフィルムを意味すると解釈されるべきである。層の表面を指定するためのそのような用語の使用は、限定として解釈されるべきではなく、「内」及び「内側」又は「外」及び「外側」は交換可能であることが当業者によって理解されよう。例えば、当業者は、「内/内」が「内側/内側」と同じであると解釈されることを理解するであろう。
【0027】
本発明はまた、ネイキッドコレーション包装体を形成するための方法であって、
a)個別に包まれた包装体の配置を提供することと、
b)上で規定されるネイキッドコレーションフィルムを提供することと、
c)個別に包まれた包装体を注文された構成に配置することと、
d)ネイキッドコレーションフィルムが、必ずしも接触しているとは限らないが、個別に包まれた包装体の注文された構成を少なくとも部分的に取り囲むように、ネイキッドコレーションフィルムを配置することと、
e)ネイキッドコレーションフィルムをシーリング条件にさらすことによってネイキッドコレーションフィルムをシールし、ネイキッドコレーションフィルムを、包装体にシールすることなく、それ自体にシールさせ、包装体の配置を密接に取り囲ませることと、を含む方法を提供する。
【0028】
場合によっては、ネイキッドコレーションフィルムを熱収縮状態にさらすことによってネイキッドコレーションフィルムを熱収縮させ、ネイキッドコレーションフィルムを収縮させ、包装体に対してシールすることなく包装体の配置を密接に取り囲む工程を含む、追加の工程が存在してもよい。
【0029】
上記方法は、適切な場合、好ましくは、工程a)~d)のいずれかの前又は後に実施することができる以下の1つ以上の工程を更に含む:a-1)重なり合う縁部を有するフィルムチューブを形成する工程;a-2)フィルムチューブの重なり合う縁部を一緒にシールすることによって周囲シールを形成する工程;a-3)フィルムチューブ内で折り畳み、折り畳まれた端部をシールすることによって、包装体の各端部にエンベロープシールを形成する工程。
【0030】
このような方法の更なる詳細は、異なるネイキッドコレーションフィルムによるが、本出願人名義の国際公開第2012/164308号に開示されている。
【0031】
更に好ましい特徴は、従属請求項に規定される。
【0032】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、本明細書で提供されるモノマー比含有量を有するネイキッドコレーションフィルムが多くの理由で有利であることを見出した。例えば、本発明によるネイキッドコレーションフィルムラップは、性能不適合性ウィンドウの増加(すなわち、ネイキッドコレーションフィルムとネイキッドコレーションフィルム内の個別に包まれた包装体のフィルムとの間で(望ましくない)シーリングが生じる温度よりも低い、ネイキッドコレーションフィルムのシーリング温度の範囲の増加)を示す。本発明のネイキッドコレーションフィルムは、有利には低いシール開始温度及び強い光学特性を示す。
【0033】
比較的大きな不適合性ウィンドウを有するが、それでもなお、ブロッキングする傾向があるためにネイキッドコレーション包装での使用には適さないフィルムを製造することが可能である。例えば、単一の低融点C3/C4コポリマーをそのシーリング層に含有するように製造されたフィルム(以下に記載される比較例C1)は、そのブロッキング傾向のためにその意図された用途には全く適していないように思われる。
【0034】
ブロッキングを回避し、したがってフィルムを「非ブロッキング」にするために、ネイキッドコレーションフィルムの少なくとも外側シーリング層が、75℃を超える、好ましくは80℃を超える融点を有する少なくとも1つのコポリマー又はターポリマーを含むことが好ましい。
【0035】
「多層フィルム」という用語は、少なくとも2つの層を含むフィルムに関するという用語の通常の使用に従って解釈されるべきである。多層フィルムは、例えば、少なくとも2つの層、少なくとも3つの層、少なくとも4つの層、又はそれ以上を含んでもよい。
【0036】
したがって、いくつかの実施形態では、フィルムは、内層、外層、及び少なくとも1つのコア層を含み得る。
【0037】
誤解を避けるために、本発明の「多層フィルム」に従って説明される任意の特性等は、多層フィルム自体の特性(すなわち、多層フィルム中に存在する全ての層を含む)を指す、及び/又は当該多層フィルムの1つ以上の個々の層を指すと解釈され得る。そのような開示は当業者には明らかであろう。
【0038】
文脈が特に指示しない限り、ポリマーフィルムのモノマー比、例えばC4/C3のモノマー比は、文脈において言及される多層フィルムの特定の層におけるポリマーの平均モノマーモル比として解釈されるべきである。したがって、モノマー含有量は、典型的には、当該多層フィルムの個々の層のうちの1つ以上のモノマー比と関連して言及される。
【0039】
多層ポリマーフィルムは、任意に、ポリオレフィンコポリマーのブレンドを含んでもよい。各ポリオレフィンコポリマーは、任意に、プロピレンとエチレン又はブチレンとの少なくとも1つのコポリマーを含んでもよい。ポリオレフィンコポリマーは、任意に、少なくとも1つのターポリマーを含んでいてもよく、任意に、このターポリマーは、エチレン、プロピレン及びブテンのものであってもよい。
【0040】
この意味における「コポリマー」とは、任意の数の構成ポリマー部分、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、又は10個までの炭素原子を有する任意のオレフィンを意味する。4つ以上の構成ポリマー部分のバイポリマー、ターポリマー及びコポリマーは、例えば、「コポリマー」という用語に分類される。さらに、ランダムコポリマーとブロックコポリマーの両方がこの定義に含まれ、当該多層ポリマーフィルム及び/又は当該フィルムの個々の層は、追加的又は代替的に、1つ以上のホモポリマー、コポリマー又はそれらの混合物のブレンドを含んでもよい。多層フィルムの内層及び/又は外層は、同じであっても異なっていてもよい。
【0041】
多層ポリマーフィルムがエチレン、プロピレン及びブテンの少なくとも1つのターポリマーを含む場合、プロピレンは好ましくは主成分として存在する。
【0042】
ネイキッドコレーションフィルムの内側及び外側シーリング層の組成は、同じであっても異なっていてもよい。
【0043】
フィルムの内層及び/又は外側シーリング層は、任意に、約0~約20mol%、例えば約1~約15mol%、又は約2~約12mol%の量のC2オレフィンポリマーを含んでもよい。
【0044】
フィルムの内層及び/又は外側シーリング層は、任意に、約55mol%~約95mol%、約60mol%~約90mol%、約65mol%~約85mol%、約70mol%~約85mol%の量のC3オレフィンポリマーを含んでもよい。
【0045】
フィルムの内側シーリング層及び/又は外側シーリング層は、約10mol%~約40mol%、例えば約10mol%~約35mol%、例えば約10mol%~約30mol%、例えば約10mol%~約25mol%、例えば約10mol%~約20mol%の量のC4オレフィンポリマーを含んでもよい。
【0046】
内側及び外側シーリング層の一方又は両方は、C2、C3及びC4ポリオレフィンを含んでもよい。
【0047】
内側シーリング層及び外側シーリング層の一方又は両方は、少なくとも2つのコポリマー及び/又は1つのターポリマーを含んでもよい。
【0048】
多層ポリマーフィルムの内層及び/又は外層は、シーリング層として解釈されるべきである。ネイキッドコレーション多層フィルムは、例えば、シーリング条件でそれ自体(AとB、AとA及び/又はBとB)とのシーリング適合性を有し得るが、個別に包まれた包装体のフィルム状ポリオレフィン材料との(シーリング条件での)シーリング不適合性を有する。そのようなシーリング不適合性を提供することができる1つの方法は、本明細書に記載のフィルムを提供することである。
【0049】
「シーリング適合性」又は「適合性」という用語は、シーリング条件でのシール強度が少なくとも200g/25mmであることを意味すると解釈されるべきである。したがって、シーリング適合性は、多層ポリマーフィルムのそれぞれのシーリング層(内側であろうと外側であろうと)の間の選択されたシーリング条件での実質的な機能的シーリングを指す。
【0050】
「シーリング不適合性」又は「不適合性」という用語は、シーリング条件でのシール強度が50g/25mm未満であることを意味すると解釈されるべきである。したがって、シーリング不適合性とは、個別に包まれた包装体のフィルム状ポリオレフィン材料の内側シーリング層と外側外面との間の選択されたシーリング状態でのシーリングが実質的に存在しないことを指す。
【0051】
ネイキッドコレーションフィルムは、フィルムがシーリング開始温度より高い温度に加熱されたときに、ネイキッドコレーションフィルムの内層とネイキッドコレーションフィルム及び/又はユニットラップの外層との間に粘着を示すと解釈されてもよい。「粘着」という用語は、50g/25mmより大きいが、実質的に200g/25mm未満のシーリング条件でのシール強度を意味すると解釈されるべきであり、これは望ましくない。
【0052】
本発明の方法で使用されるフィルムは、好ましくは非ブロッキングであり、したがって良好な(すなわち低い)熱ブロッキング特性を示す。
【0053】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明の発明者らは、C4と、C2及びC3の少なくとも一方とを含むシーリング層により、本発明によるフィルムで良好な熱ブロッキング特性が達成されることを有利に見出した。
【0054】
本発明によるネイキッドコレーションフィルムは、任意に、追加の層、並びにこれまでに特定された内層及び外層を含んでもよいことが理解されよう。そのような追加の層は、例えば、積層、印刷可能な層、UVバリア層、酸素透過性又はバリア層、水蒸気透過性又はバリア層等を含み得る。存在する場合、そのような追加の層は、例えば、共押出、共押出後コーティング、共押出コーティング、又はそれらの2つ以上の組み合わせによって提供されてもよい。
【0055】
ポリマーフィルムは、キャストシート、キャストフィルム、又はインフレートフィルムを含むがこれらに限定されない当技術分野における任意のプロセスによって作製されてもよい。
【0056】
本発明のネイキッドコレーションフィルムは、用途の要件に応じて様々な厚さとすることができる。例えば、それらは、約10~約240μmの厚さ、好ましくは約12~50μmの厚さ、最も好ましくは約15~約30μmの厚さであり得る。
【0057】
各シーリング層は、例えば、独立して、約0.05μm~約2μm、好ましくは約0.075μm~約1.5μm、より好ましくは約0.1μm~約1.0μm、最も好ましくは約0.15μm~約0.5μmの厚さを有してもよい。
【0058】
ネイキッドコレーションフィルムは、例えば、フィルムの機能的又は審美的特性に関する他の目的のために、例えば少なくとも1つの層に機能性材料を任意に含んでもよい。
【0059】
適切な機能性材料は、1つ以上の以下の混合物から選択され得る、これらに限定されない:UV吸収剤、染料、及び/又はそれらの組み合わせ;顔料、着色剤、金属化及び/又は擬似金属化コーティング;潤滑剤、帯電防止剤(カチオン性、アニオン性及び/又は非イオン性、例えば、ポリ-(オキシエチレン)ソルビタンモノオレエート)、酸化防止剤(例えば、リン酸、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)エステル)、界面活性剤、硬化助剤、スリップ助剤(例えば、ほぼ室温で表面を横切って十分に摺動するフィルムの能力を改善するホットスリップ助剤又はコールドスリップ助剤、例えば、マイクロクリスタリンワックス;フィルムのガス及び/又は透湿性を変えるための光沢向上剤、分解促進剤、バリアコーティング(例えば、ポリビニリデンハライド、例えばPVdC);ブロッキング防止助剤(例えば、例えば、約0.1~約0.6μmの平均粒径を有するマイクロクリスタリンワックス);粘着低減添加剤(例えば、ヒュームドシリカ、シリカ、シリコーンガム);粒状材料(例えば、タルク);COFを増加させる添加剤(例えば炭化ケイ素);インク接着性及び/又は印刷性を改善するための添加剤、剛性を増加させる及び/又は収縮を増加させるための添加剤(例えば、炭化水素樹脂及び/又は水素化炭化水素樹脂)。具体的かつ非限定的な例として、剛性を増加させる及び/又は収縮を増加させるために使用され得る炭化水素樹脂及び/又は水素化炭化水素樹脂は、1つ以上のC5樹脂及び/又はC9樹脂を含み得る。例えば、適切なC5樹脂及び/又はC9樹脂は、Constab(商標)MA 00956 PP、Oppera(商標)PR 120、Regalite(商標)R 1125、Arkon(商標)P-125及び/又はそれらの2つ以上の混合物を含み得る。
【0060】
本発明によるネイキッドコレーションフィルムは、フィルム状材料で個別に包まれた物品、例えばシガレットパケットの構成の周りのオーバーパッキング又はラップとして使用され得る。フィルム状材料は、例えば、ポリオレフィン材料であってもよい。
【0061】
これに関連して、フィルム状材料は「ユニットラップ」として解釈され得る。
【0062】
ユニットラップは、例えば、少なくとも1つの層、少なくとも2つの層、又は少なくとも3つの層を含み得る。したがって、ユニットラップは、少なくとも内面及び外面を備え得る。
【0063】
ユニットラップのフィルム状材料の外面は、好ましくは、少なくとも1つのポリオレフィン成分を含む。典型的には、これらは、1つ以上のC2、C3及び/又はC4、並びに時にはC8オレフィン性ポリマーを含み得る。好ましい実施形態では、C3オレフィン性ポリマーが主な材料である。
【0064】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、そのような配置が本明細書に記載の大きな不適合性ウィンドウを提供することを見出した。
【0065】
ネイキッドコレーションフィルムのC4mol%含有量は、ユニットラップのフィルム状材料よりもネイキッドコレーションフィルムの方が多いことが好ましい。
【0066】
ネイキッドコレーションフィルムの内層のC4mol%含有量は、ユニットラップのフィルム材の外層よりもネイキッドコレーションフィルム状内層の方が多いことが好ましい。
【0067】
個々のパケットを包むフィルム材料、例えばポリオレフィン材料は、適切にはポリプロピレン系(C3)オレフィンポリマーを含み、C2及び/又はC4オレフィンポリマーを更に含み得る。
【0068】
誤解を避けるために、ネイキッドコレーションフィルムに関する全ての特徴は、適切な場合には、ネイキッドコレーションフィルムの使用及びネイキッドコレーション包装体を形成するための方法にも関連し、その逆も同様である。
【0069】
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面の図1図4を参照して単なる例として以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1図1は、ネイキッドコレーション包装体を形成するために包装体と接触している本発明によるネイキッドコレーションフィルムの概略断面図である。
図2図2は、本発明のネイキッドコレーションフィルムの例のC4mol%含有量の不適合性ウィンドウのプロットである。
図3図3は、本発明のネイキッドコレーションフィルムの例の不適合性ウィンドウ:C4:C3モル比のプロットである。
図4図4は、本発明のネイキッドコレーションフィルムの例の不適合性ウィンドウ:C4:C2モル比のプロットである。
【0071】

フィルムの調製
13種のランダムコポリマーを調製し、A~Mのポリマー参照で命名した。これらのコポリマーは、例えば、チーグラー・ナッタ触媒及びメタロセン触媒等の触媒の存在下、気相法、バルク法及びスラリー法等の公知の重合法によってモノマーを重合することによって得てもよい。そのような方法の更なる詳細は、欧州特許第0483675号、米国特許第2017037161号及び国際公開第18211107号に見出すことができる。
【0072】
二軸配向フィルムの16個のサンプルを、ポリマー層をコア押出機及びシーリング層押出機から押し出して三層ポリマーチューブを作製する標準的なバブルプロセスを使用して調製した。このポリマーチューブは、冷却システムを通過し、続いて再加熱され、ポリマーチューブの内部に空気を流すことによって気泡を形成する。次いで、この気泡は、収束ローラーによって圧潰される前に冷却され、スリットされて2つのポリマーフィルムシートを形成し、ローラー上で処理され、ロールに回収される前にコロナ処理によって表面処理される。気泡プロセスの更なる詳細は、例えば、欧州特許第0410792号及び英国特許第2000175.6号並びにBiaxial Stretching of Film,Principles and Applications,2011,Ed.Mark T.DeMeuse,ISBN 978-1-84569-675-7に記載されている。
【0073】
押出の前に、標準的なアンチブロック/スリップ包装体をシーリング層(複数可)のポリマー混合物に添加して、下流処理を支援した。外層に添加されたアンチブロック/スリップ包装体は、1.2%のPDMS(シリコーンガム)及び0.1%のシリカABを含んでいた。内層に添加されたアンチブロック/スリップ包装体は、0.5%のPDMS(シリカガム)及び0.1%のシリカABを含んでいた。
【0074】
以下で試験した本発明によるフィルムサンプルは全て、上記と同じアンチブロック/スリップ包装体を含んでいた。
【0075】
全ての場合において、フィルムのコア層はポリプロピレンホモポリマーから構成されていた。
【0076】
16個のフィルムサンプル及びそれらのシーリング層ポリマー含有量(内及び外(「内」は、使用時にネイキッドコレーション包装体内のネイキッドコレーションフィルムの内面を形成するフィルムの側面を示し、「外」は、使用中のフィルムの外面を示す)の詳細を以下の表1及び表2に示す。
【0077】
サンプル3は、そのシーリング層に最大8.4mol%のC4、最大0.84のC4/C2モル比、及び最大0.1のC4/C3モル比を備え、したがって比較例である。
【0078】
溶融温度(T/℃)
ポリマーの以下の例において融点(T)を決定するために使用される方法は、ASTM D3418に従って使用される方法と同様である。しかしながら、表1のポリマーのTを決定するために使用される方法は、ASTM D3418よりも速い加熱速度を使用するため、観察される融点は、ASTM D3418によって測定された場合に見られる融点よりもおよそ2%高い。
【0079】
ポリマーサンプルの融解温度を、以下の方法によって決定した:
20℃/分を超える速度で加熱又は冷却することができる示差走査熱量計(Perkin Elmer Diamond(商標)DSC)を使用した。
【0080】
まず、サンプルに対して使用される速度と同じ加熱速度(20℃/分)でDSCを校正した。既知の重量のインジウム(約10mg)をアルミニウムパンに圧着し、未較正の温度スケールを使用して0℃から170℃まで20℃/分で加熱した。装置の温度スケールを、標準の観察された融点に対して確認した。これらの材料について観察された融点は、溶融の開始とみなされるべきである。
【0081】
ポリマー顆粒を切断して、およそ8.5mgの質量を得た。このサイズは、アルミニウムサンプルパンに適切に適合する。パンの基部に面するサンプルの側面は、平坦で滑らかでなければならない。
【0082】
フィルムは、サンプルパンの寸法にほぼ等しいサイズに打ち抜かれ、例えば、紙穴パンチを使用して必要なサイズを作成してもよく、サンプルパンの基部との良好な接触が確実に行われるようにしっかりと圧着してもよい。サンプルパンの基部は、熱源との良好な接触を確実にするために損傷又は変形されるべきではない。
【0083】
およそ8.5mgのサンプルを0.01mgの精度まで秤量し、アルミニウムサンプルパンにしっかりと圧着した。サンプルが分解ガスを放出して圧力上昇をもたらす可能性があると考えられる場合、蓋の中心でパンに穴を開けた。
【0084】
サンプルをセルの中心に置き、試験全体を通して窒素のパージを30ml/分に維持して不活性雰囲気を提供した。
【0085】
初期加熱工程を、0℃から210℃まで20℃/分で行った。サンプルを210℃で3分間保持して、確実に完全に溶融し、熱履歴を排除した。次いで、サンプルを20℃/分で0℃まで冷却し、得られた冷却曲線を記録した。この曲線を、任意の結晶化遷移の決定に使用することができる。
【0086】
サンプルを直ちに20℃/分で210℃に再加熱し、得られた加熱曲線を記録した。この曲線を任意の融解転移の決定に使用した。観察された融点を融解開始点とした。
【0087】
重量平均分子量(M/g/mol)、数平均分子量(M/g/mol)、固有粘度(IV/dL/g)、水和半径(Rh/nm)、及び回転半径(Rg/nm)
ポリマーペレットの13個のサンプルを、高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT-GPC)によって分析して、重量平均分子量(M)及び数平均分子量(M)を決定した。固有粘度、水和半径及び回転半径のデータも、各ポリマーについて得た。
【0088】
サンプルを160℃で1,2,4-トリクロロベンゼンに溶解し、55分間撹拌した後、115℃に移し、サンプルが分析されるまで更に撹拌した。アリコートを、160℃で操作するゲル浸透クロマトグラフに注入した。屈折率、粘度及び光散乱による三重検出を分子特性評価に使用した。二重アリコートを分析し、平均結果を報告した。
【表1】

【表2】
【0089】
図1を参照すると、各サンプルは、ホモポリマー(ポリプロピレン)のコア層Cと、コア層のそれぞれの表面、すなわち1つの外層O(「外側」と呼ばれる)及び1つの内層I(「内側」と呼ばれる)上に、表2に示される配合量のエチレン-プロピレン、又はプロピレン-ブチレンコポリマー又はエチレン-プロピレン-ブチレンターポリマーの2つの共押出シーリング層とを含む。各サンプルは、そのシーリング層に、詳細に記載されているようにポリマー材料のブレンドを含む。
【0090】
小見出し「C2」、「C3」及び「C4」を含む「含有量」の欄は、所与のサンプル中のコポリマー及び/又はターポリマーブレンド中の各ポリマーのモル百分率を与え、以下の2つの欄は、「サンプル」という見出し並びに小見出し「内」及び「外」を含み、それぞれ内層及び外層を構成するコポリマー及び/又はターポリマー中の各ポリマーのモル百分率を与える。
【0091】
したがって、例えば、サンプル1は、そのシーリング層に3つの異なる成分:
ポリマーA、
ポリマーB、
ポリマーC、を含み、
そのうちの内側シーリング層は、50mol%のポリマーB及び50mol%のポリマーCを含み、外側シーリング層は、30mol%のポリマーA及び70mol%のポリマーCを含む。したがって、内側シーリング層のC2含有量は、ポリマーCが8mol%のC2含有量を有し、ポリマーBが0mol%のC2含有量を有することから、4mol%であり、サンプル1の外側シーリング層のC2含有量は、ポリマーCが8mol%のC2含有量を有し、ポリマーAが0mol%のC2含有量を有することから、5.6mol%であるが、ポリマーCコポリマーは外側シーリング層の全体の70%に寄与する。
【0092】
サンプルの各々の内側シーリング層及び外側シーリング層をシールするために必要なシール開始温度を、以下の方法によって決定した。
【0093】
シール開始温度(SIT)は、フィルムの2つの表面間に設定圧力及び滞留時間でシールが形成される最低温度であると考えられ、その強度は少なくとも200g/25mmである。以下の例では、ネイキッドコレーションフィルムの内/外シールのシール開始温度を、少なくとも200g/25mmのシール強度が達成される最低温度とした。
【0094】
これらの例のシールを、ASTM F2029に従って、圧力を5psiに設定し、滞留時間を0.5秒に設定したRDMヒートシーラーを使用して調製した。シール強度を、ASTM F88に従って、冷却後にRDMシールプーラー(seal puller)を使用して決定した。シール強度は、引張速度(又はジョー分離速度)300mm/分のRDMプーラーを用いて測定した。ピーク強度をシール強度として記録した。
【0095】
RDMヒートシーラージョー構成は、金属対ゴムであった。フィルムがジョーに付着するのを防止するために、上部ジョーは、表面にテフロン(登録商標)コーティングが施された金属製であった。下部ジョーは、ゴム製の上部を有する金属ベースで作られた。試験中、上部ジョーを加熱し、下部ジョーを周囲温度(大気圧(101.325kPa)及び25℃の温度)に維持した。これにより、上部ジョーのみを加熱した。
【0096】
サンプルを縦方向に25mm幅のストリップに切断した。サンプルのSITを決定するため、上部ジョーの温度は低温、例えば65℃(開始温度は、フィルム表面構成、例えば内/内、外/外、内/外に依存する)で開始した。異なる温度設定ごとに、3枚のシール(縦方向にカットしたフィルム)を作製し、平均シール強度を算出した。平均シール強度を記録した後、シーリング温度を2℃上げ、シール強度が少なくとも200g/25mmに達するまで手順を繰り返した。これらの例では、少なくとも200g/25mmに達するシール強度が生じる最低温度をシール開始温度と呼ぶ。
【0097】
GLT、GLS及びZXAと呼ばれる3つの20μm厚の市販のユニットラップフィルムに関して、ネイキッドコレーション包装体内で個々の物品(図1に包装体Pとして示される)を包装するために一般的に使用されるユニットラップ包装フィルムに内側シーリング層を粘着させるために必要な粘着開始温度も決定した。GLT及びGLSは、Innovia Films Limited(CA7 9XX、イギリス国カンブリア、ウィグトン、ウェストロード、Lowther R&D Centre)から市販され、ZXAは、Innovia Films Mexico S.A.de C.V.(C.P.58600メキシコ国ミチョアカン州サカプ、コルセントロ、AV.コロリネス255)から市販されている。これらの例の目的のため、厚さ20μmのユニットラップフィルムが選択され、その結果、GLT、GLS及びZXAフィルムは、本明細書ではそれぞれGLT20、GLS20及びZXA20と呼ばれる。各ユニットラップ包装フィルムは、ホモポリマー性ポリプロピレンコア層、並びに内側及び外側コポリマー性スキン層を含む3層構造を有する。本発明の使用においてネイキッドコレーションフィルムに隣接する層である外側スキン層は、GLTの場合、15.3mol%のC4含有量を有するポリエチレンとポリプロピレンとポリブチレンとのターポリマーを含み、GLSの場合、0mol%のC4含有量を有する、ポリエチレンとポリヘキシレンとのコポリマー及びポリエチレンとポリオクチレンとのコポリマーのブレンドを含み、ZXAの場合、0mol%のC4含有量を有する、ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマーを含む。GLS及びGLTフィルムをバブルプロセスによって製造しテンタープロセスによりZXAフィルムを製造した。
【0098】
ネイキッドコレーションフィルムの内層とユニットラップ包装フィルムの外層との間の粘着(少なくとも50g/25mmのシール強度)が達成される最低温度を測定し、ネイキッドコレーションフィルムサンプルのそれ自体に対するシール強度(内/外)について少なくとも200g/25mmのシール強度(SIT)が達成される最低温度及び「不適合性ウィンドウ」として示される差と比較した。正の不適合性ウィンドウは有効性のために必要であり、一般に、不適合性ウィンドウが大きいほど良好である。
【0099】
不適合性ウィンドウ、すなわちネイキッドコレーションフィルムの内層をユニットラップ包装フィルムの外層に粘着させるのに必要な粘着開始温度から、ネイキッドコレーションフィルムサンプルをそれ自体にシールする(内/外)のに必要なシーリング温度を引いたものを、以下に記載される3層ハイブリッド試験を使用して決定した。
【0100】
不適合性ウィンドウを、その方法が上述したネイキッドコレーションフィルムの内/外シールのシール開始温度(SIT)(少なくとも200g/25mm)と、ネイキッドコレーションフィルムの内層とユニットラップフィルムの外層との間で粘着が発生する温度(>50g/25mm)との間の温度範囲を用いて決定した。
【0101】
ASTM F2029に準拠した実験室用ヒートシーラー及びシール強度試験機(ASTM F88に準拠して冷却した後)を使用して、不適合性ウィンドウを決定した。
【0102】
機械方向に切断した、ネイキッドコレーションフィルム及びユニットラップの幅25mmの3つのストリップを、実験室用ヒートシーラー(RDM)を使用して、5psiに設定した圧力及び0.5秒の滞留時間で試験した。シール強度は、引張速度(又はジョー部分離速度)を300mm/分に設定したRDMシールプーラーを使用して測定した。
【0103】
この試験で使用したRDMヒートシーラージョー構成は、金属対ゴムであった。フィルムがジョーに付着するのを防止するために、上部ジョーは、表面にテフロン(登録商標)コーティングが施された金属製であった。下部ジョーは、ゴム製の上部を有する金属ベースで作られた。試験中、上部ジョーを加熱し、下部ジョーを周囲温度(大気圧(101.325kPa)及び25℃の温度)に維持した。サンプルのSITを決定するために、上部ジョーの温度は低温、例えば65℃で開始した。
【0104】
フィルムストリップは、(上)ネイキッドコレーション/ネイキッドコレーション/ユニットラップ(下)の構成で配置された。各ストリップの内面は下向きであった。
【0105】
試験の第1の部分は、ネイキッドコレーション内面/外面構成のシール開始温度(SIT)を決定する。シール強度が少なくとも200g/25mmに達するまで、上部ジョーの温度を2℃上げた。以下の例では、この温度をSITと呼ぶ。この点に達すると、ユニットラップの底部ストリップは、上部のネイキッドコレーション/ネイキッドコレーションシールから剥がれる。
【0106】
試験を、ネイキッドコレーションフィルムの内層とユニットラップフィルムの外層との間の「粘着(tack)」が生じる温度まで継続する。以下の例では、「粘着」は、シール強度が少なくとも50g/25mmであるときに生じると言われる。
【0107】
結果を、サンプル1~16の内側シーリング層及び外側シーリング層のC4含有量のモルパーセンテージと共に、以下の表3に示す。
【表3】
【0108】
表3から、各サンプルは、3つのシーリング不適合性ウィンドウ値の範囲と、より低いC4mol%値及びより高いC4mol%値とを含むデータセットを生成したことが分かる。これらのデータセットの各々は、最高及び最低のシーリング不適合性ウィンドウ値(℃)並びに上限及び下限のmol%値によって定義されるmol%-温度空間での長方形としてグラフに要約することができる。これらの長方形は、図2にプロットされている。例えば、図2に長方形S1として示されているサンプル1は、16%及び17.6%のmol%値並びに12℃の上側不適合値及び8℃の下側不適合値を特徴とする。サンプル17(S17)は、例外的に、その3つのシーリング不適合性温度値が同一、すなわち2℃であるため、水平線として現れる。サンプルS2及びS13は、ほぼ完全に重なり合う。
【0109】
一般に、C4含有量と正のシーリング不適合性値との間には正の相関があり、これは破線L1で示されている。通常、少なくとも+2℃の値は、包装体フィルムに対するネイキッドコレーションフィルムの望ましくないシーリングのリスクを最小限に抑えるために望ましい。これは、典型的には、10mol%以上のC4含有量を確保することによって達成できることが分かるであろう。本発明による最も好ましいフィルムサンプルは、内側及び外側シーリング層中の平均C4ポリオレフィン含有量が、これらのシーリング層の全ポリオレフィン含有量に対して10mol%を超える。
【0110】
不適合性(incompatibilty)ウィンドウのサイズは、選択されたユニットラップの特性によってある程度決定されることは明らかであろう。そのため、例示されたユニットラップ材料に関連して良好な不適合性ウィンドウを送達することをわずかに逃しただけのサンプルは、必ずしも、全てではないが一部のサンプルについて正の不適合性(incompatibilty)ウィンドウ示す特定のサンプルに関連して実際に明らかであるように、全てのユニットラップに不適切であるとして却下することはできない。それにもかかわらず、これらの調査は、本明細書の特許請求の範囲に詳述されているように、適切なネイキッドコレーションフィルムの組成要件の一般的な傾向を明確に実証している。
【0111】
16個のサンプルのモル比を以下の表4に示す。
【表4】
【0112】
シーリング不適合性ウィンドウデータセットを、図2のプロットと同様の方法で、図3のC4/C2モル比に対してプロットする。シーリング不適合性ウィンドウ値とC4/C2モル比との強い正の相関を線L2によって示す。典型的には、C2とx軸との切片によって示されるように、少なくとも1.2のC4/C2モル比に対して(望ましい)正のシーリング不適合性が得られる。
【0113】
シーリング不適合性ウィンドウデータセットを、図2のプロットと同様の方法で、図4のC4/C3モル比に対してプロットする。シーリング不適合性ウィンドウ値とC4/C3モル比との強い正の相関を線L3によって示す。典型的には、C3とx軸との切片によって示されるように、少なくとも0.15のC4/C3モル比に対して(望ましい)正のシーリング不適合性が得られる。
【0114】
シール開始温度(SIT)
サンプルを試験に供して、2つのストリップの内面と内面、外面と外面、及び内面と外面を5psiで0.5秒間の滞留時間でヒートシールしたときに得られたシール強度を決定した。観察された平均シール強度を以下の表5に示す。
【表5】
【0115】
これらのデータは、フィルムサンプルが示すシール開始温度が許容できるほど低いことを確認する。
【0116】
結果から分かるように、表7に開示された結果と組み合わせて、サンプルフィルムのSITが低いほど、不適合性ウィンドウは大きくなる。
【0117】
摩擦係数
サンプルを、ASTM D1894に従って、Messmer Slip and Friction Tester装置で試験し、記録された平均摩擦係数を、静的及び動的の両方について表6に示す。
【表6】
【0118】
摩擦係数は、フィルムの表面特性並びにポリマーのシーリング特性に大きく依存することが知られている。
【0119】
当業者によって認識されるように、摩擦係数は比較的低いままであり、したがって、本発明によるフィルムは良好なホットスリップ特性を示す。
【0120】
不適合性
ネイキッドコレーションフィルムラップサンプルとユニットラップ上で使用されるフィルムとの間の不適合性の程度を調査するため、3層ハイブリッド試験(上で概説される)を使用してヒートシール閾値を実施した。
【0121】
ネイキッドコレーションフィルムサンプルの内側シールは、底部ジョー(bottom jaw)を外した状態でユニットラップの外側に対して試験される。この試験のために選択されたユニットラップフィルムは、いずれもポリオレフィンユニットラップフィルムである、GLS20、GLT20、及びZXA20であった。GLS20及びGLT20は、Innovia Films Ltd(ウィグトン、カンブリア)から市販され、ZXA20は、Innovia Films Mexico SA de CV(サカプ、メキシコ)から市販されている。
【0122】
シールが形成された温度を決定するためにサンプルを試験した。試験を、5psiの圧力で0.5秒の滞留時間で動作するヒートシール装置を使用して行った。
【0123】
ネイキッドコレーションフィルムとポリオレフィンフィルムラップとの間にシールが形成される温度を決定することにより、ネイキッドコレーションフィルムとフィルムラップとの間にシールが形成されるリスクを最小限に抑えてヒートシーリングを行うことができる不適合性ウィンドウを決定することができる。
【表7】
【0124】
不適合性ウィンドウが正の値を有することが重要である。正の不適合性ウィンドウが大きいほど、動作上より有利であることが理解されよう。不適合性範囲又は「不適合性ウィンドウ」は、熱シール温度を変動させることなくシーリングを行うことができるように十分に広い必要があり、その結果、ネイキッドコレーションフィルムがバンドル内の個々の包装体のフィルムラップに対してシールされる。
【0125】
さらに、結果から分かるように、本発明によるネイキッドコレーションフィルムは、ユニットラップの組成とは無関係に実質的に同じ性能を発揮するという利点がある。したがって、ネイキッドコレーションフィルムの性能を犠牲にすることなく、本発明によるネイキッドコレーションフィルムに従って異なるユニットラップ材料を使用することができる。
【0126】
光学特性
フィルムの外層及び内層の光学特性を決定した。具体的には、ASTM D2457試験法を使用してサンプルの光沢度を記録した。光沢を、45°の角度を使用して、Rhopoint光沢計を使用して測定した。結果を以下に示す。
【表8】
【0127】
当業者に明らかなように、光学特性は、フィルムをネイキッドコレーションフィルムとしての使用に適したものにする。
【0128】
比較例
上記「フィルムの調製」と同様の方法を使用して、ブロッキング二軸配向フィルムの比較例を調製した。
【0129】
C1は、ブロッキングフィルムである欧州特許出願公開第3034300号の例1による比較例である。C1のシーリング層は単一のC4-C3ポリオレフィンコポリマーを含み、外層に6%スライドマスターバッチABVT3 NSC(登録商標)(Schulmanによって商品化)及び2μmの直径を有するSiO粒子に基づく1%アンチブロックマスターバッチ(Constabによって商品化)の標準的なアンチブロック/スリップ包装体、並びに内層に6%のアンチブロックマスターバッチABVT30N(登録商標)(Schulmanによって商品化)、2μmの直径を有するシリカ粒子に基づく1%のアンチブロックマスターバッチ(Constabによって商品化)の標準的なアンチブロック/スリップ包装体を有する。
【0130】
詳細を以下の表9に示す。
【0131】
C1の不適合性ウィンドウを、本発明のフィルムに関して上に詳述したのと同じ手順に従って決定した。
【表9】
【0132】
パック間ブロッキング試験
フィルムのシートを、切断テンプレート(93×68mmの剛性プレート)を使用して切り出し、試験側を外側に向けて木製ブロック(チーク又は同様の硬材)の周りに巻き付け、2つの巻き付けられたブロックの試験面が互いに接触するように配置した。木製ブロックは、試験側に自己接着性フェルトカバーを備え、72×42×10mmで重量約30gであった。
【0133】
2つの包まれたブロックを、フィルムの試験面を互いに接触させた状態で金属プレート上に直角に置き、200g(±2g)の重りをブロックの上に置いた。サンプルをサーモスタット制御されたオーブンに60℃で72時間入れ、その後、サンプルをオーブンから取り出し、少なくとも30分間冷却した後、以下に記載するように更に測定した。
【0134】
冷却後、上部ブロックを保持し、重りを取り除いた。サンプルを、Sauter(商標)ゲージ(モデルFK50)を取り付けた電気水平試験スタンドのクレードルに置いた。ゲージ速度を800mm/分に設定した。試験装置は、装置のクレードル内の所定の位置に保持された下部ブロックの表面に沿って上部ブロックを押し、ピーク読み取り値は、ブロック間の相対的な横方向移動を開始するために必要な力(N単位)として記録され、シートの横方向分離(非ブロッキング)を必要とする。
【0135】
以下の表10では、ブロックの相対的な横運動を開始するのに必要な力が5N未満である場合、パック間ブロッキング試験は「合格」である。必要な力が5Nを超える場合、試験は「不合格」である。
【表10】
【0136】
実験的な確実性のため、本発明によるC1、並びにサンプル11及び15を5回繰り返し試験し、結果を表11に示した。
【表11】
【0137】
様々な条件下でのブロッキング試験の有効性を確実にするため、本発明によるC1、並びにサンプル11及び15を用いて上記の手順を繰り返したが、サンプルを72時間ではなく3時間、60℃ではなく75℃の温度でオーブンに入れたという違いがあり、結果を表12に示す。
【表12】
【0138】
明らかなように、本発明のプロセスで使用されるネイキッドコレーションフィルムが長期間にわたって高圧及び高温で一緒にプレスされても、本発明によらないフィルムと比較して、それらの間に有意な程度のブロッキングは形成されない。これは、本発明によるフィルムから形成された包まれたバンドルは、包まれた包装体が互いに付着してブロッキングを引き起こすリスクを伴わずに、ラッピング手順に従ってまだ温かい又は熱いうちに(又は輸送中若しくは保管中に幾分厳しい条件にさらされて)包装及び出荷され得ることを意味する。
【0139】
一方、比較例C1は、広い不適合性ウィンドウを示すが、そのブロッキング傾向のためにネイキッドコレーション包装での使用には適さない。
【0140】
フィルムが本発明に従って「非ブロッキング」であるためには、フィルムが一貫して、又は少なくとも平均して5回の繰り返し試験で、60°で72時間の条件下でブロッキング試験に合格することが必要であり、好ましくは、フィルムがまた、一貫して、又は少なくとも平均して5回の繰り返し試験で、75℃で3時間のブロッキング試験に合格することが必要である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】