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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-09
(54)【発明の名称】光センサデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20240430BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G01N21/27 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565313
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2022072051
(87)【国際公開番号】W WO2022241374
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/201,808
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/661,179
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ディー フック
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059EE12
2G059FF01
2G059GG02
2G059JJ02
2G059JJ30
2G059KK04
2G059MM01
(57)【要約】
光センサデバイスが、光センサと、光学フィルタと、被検体に関連する複数の光ビームを符号化されたパターンで分布させるように構成された位相マスクと、位相マスクを移動させるように構成された移動構成要素と、1つ以上のプロセッサとを含み、1つ以上のプロセッサは、位相マスクが第1位置に配置されている際に被検体を出て位相マスクを通過した第1の光に関する情報を示す第1組のセンサデータを光センサから取得し、位相マスクが第2位置に配置されている際に被検体を出て位相マスクを通過した第2の光に関する情報を示す第2組のセンサデータを光センサから取得し、第1組のセンサデータ及び第2組のセンサデータに基づいて、被検体に関連する情報を決定して提供するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一組のセンサ素子を含む光センサと、
1つ以上のチャネルを含む光学フィルタと、
被検体に関連する複数の光ビームを、符号化されたパターンで前記光学フィルタの入力面上に分布させるように構成された位相マスクと、
複数の位置間で前記位相マスクを移動させるように構成された移動構成要素と、
1つ以上のプロセッサとを具えた光センサデバイスであって、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記光センサから、前記被検体に関連する第1組のセンサデータを取得し、該第1組のセンサデータは、前記位相マスクが前記複数の位置のうちの第1位置に配置されている際に、前記被検体を出て前記位相マスクを通過した第1の光に関する情報を示し、
前記光センサから、前記被検体に関連する第2組のセンサデータを取得し、該第2組のセンサデータは、前記位相マスクが前記複数の位置のうちの前記第1位置とは異なる第2位置に配置されている際に、前記被検体を出て前記位相マスクを通過した第2の光に関する情報を示し、
前記第1組のセンサデータ及び前記第2組のセンサデータに基づいて、前記被検体に関連する情報を決定し、
前記被検体に関連する情報に基づいて、1つ以上の動作を実行する
ように構成されている光センサデバイス。
【請求項2】
前記被検体に関連する情報が、
前記被検体に関連する画像情報、
前記被検体に関連するスペクトル情報、
前記被検体に関連する空間情報、または
前記被検体に関連する距離情報
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の光センサデバイス。
【請求項3】
前記移動構成要素が、前記位相マスクを前記第1位置に配置し、
前記移動構成要素が、前記位相マスクを前記第2位置に配置する、
請求項1に記載の光センサデバイス。
【請求項4】
前記第1組のセンサデータが、前記位相マスクが前記第1位置に配置されている際の、前記位相マスクによる、符号化された第1光パターンの前記第1の光の前記光学フィルタの前記入力面上の分布に関する情報を示し、
前記第2組のセンサデータが、前記位相マスクが前記第2位置に配置されている際の、前記位相マスクによる、符号化された第2光パターンの前記第2の光の前記光学フィルタの前記入力面上の分布に関する情報を示す、
請求項1に記載の光センサデバイス。
【請求項5】
前記1つ以上のプロセッサが、前記被検体に関連する情報を決定するために、
前記符号化された第1光パターン及び前記符号化された第2光パターンを復号化することに関連する少なくとも1つのアルゴリズムを用いて、前記第1組のセンサデータ及び前記第2組のセンサデータを処理して、前記被検体に関連する情報を決定するように構成されている、請求項4に記載の光センサデバイス。
【請求項6】
前記被検体に関連する情報が、前記被検体に関連する画像情報を含み、
前記1つ以上のプロセッサが、前記被検体に関連する情報を決定するために、
前記符号化された第1光パターン及び前記符号化された第2光パターンから少なくとも1つの画像を再構成するための1つ以上のアルゴリズムを識別し、
前記1つ以上のアルゴリズムを用いて、前記第1組のセンサデータ及び前記第2組のセンサデータを処理して、前記被検体に関連する画像情報を決定するように構成されている、請求項4に記載の光センサデバイス。
【請求項7】
前記被検体に関連する情報が、前記被検体に関連する空間情報及び距離情報を含み、
前記1つ以上のプロセッサが、前記被検体に関連する情報を決定するために、
前記符号化された第1光情報及び前記符号化された第2光情報から空間情報を再構成するための1つ以上のアルゴリズムを識別し、
前記1つ以上のアルゴリズムを用いて、前記第1組のセンサデータ及び前記第2組のセンサデータを処理して、前記光学フィルタに入射する前記第1の光及び前記第2の光の光ビームの、それぞれの入射位置及び入射角を測定し、
前記第1の光及び前記第2の光の光ビームの、それぞれの入射位置及び入射角に基づいて、前記被検体までの距離を測定する
ように構成されている、請求項4に記載の光センサデバイス。
【請求項8】
前記被検体に関連する情報が、前記被検体に関連するスペクトル情報を含み、
前記1つ以上のプロセッサが、前記被検体に関連する情報を決定するために、
前記第1組のセンサデータ及び前記第2組のセンサデータに基づいて、前記光センサの前記一組のセンサ素子のうち、前記第1の光及び前記第2の光のそれぞれの1つ以上の光ビームを受光した特定のセンサ素子を識別し、
前記第1位置及び前記第2位置に配置された前記位相マスクに関連する設定情報に基づいて、前記特定のセンサ素子が、前記光学フィルタの前記1つ以上のチャネルのうちの少なくとも1つの特定の光チャネルに関連するものと判定し、
前記光学フィルタ及び前記光センサに関連する他の設定情報に基づいて、前記少なくとも1つの特定の光チャネルが、特定の波長範囲内の少なくとも1つの特定の部分的範囲に関連する光ビームを通過させるように構成されているものと判定し、
前記少なくとも1つの特定の光チャネルが、前記特定の波長範囲内の前記少なくとも1つの特定の部分的範囲に関連する光ビームを通過させるように構成されているものと判定したことに基づいて、前記第1の光及び前記第2の光のそれぞれの光ビームが、前記特定の波長範囲内の前記少なくとも1つの特定の部分的範囲に関連するものと判定する
ように構成されている、請求項1に記載の光センサデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記1つ以上の動作を実行するために、
前記被検体に関連する情報を表示させる、請求項1に記載の光センサデバイス。
【請求項10】
被検体に関連する複数の光ビームを符号化されたパターンで分布させるように構成された位相マスクと、
複数の位置間で前記位相マスクを移動させるように構成された移動構成要素と、
1つ以上のプロセッサとを具えた光センサデバイスであって、
前記1つ以上のプロセッサが、
前記光センサデバイスの光センサから、前記被検体に関連する第1組のセンサデータを取得し、該第1組のセンサデータは、前記位相マスクが前記複数の位置のうちの第1位置に配置されている際に、前記被検体を出て前記位相マスクを通過した第1の光に関する情報を示し、
前記光センサから、前記被検体に関連する第2組のセンサデータを取得し、該第2組のセンサデータは、前記位相マスクが前記複数の位置のうちの前記第1位置とは異なる第2位置に配置されている際に、前記被検体を出て前記位相マスクを通過した第2の光に関する情報を示し、
前記第1組のセンサデータ及び前記第2組のセンサデータに基づいて、前記被検体に関連する情報を決定し、
前記被検体に関連する情報に基づいて、1つ以上の動作を実行する
ように構成されている光センサデバイス。
【請求項11】
前記移動構成要素が、前記位相マスクを前記第1位置に配置し、
前記移動構成要素が、前記位相マスクを前記第2位置に配置する、
請求項10に記載の光センサデバイス。
【請求項12】
前記第1組のセンサデータが、前記位相マスクが前記第1位置に配置されている際の、前記位相マスクによる、符号化された第1光パターンの前記第1の光の分布に関する情報を示し、
前記第2組のセンサデータが、前記位相マスクが前記第2位置に配置されている際の、前記位相マスクによる、符号化された第2光パターンの前記第2の光の分布に関する情報を示す、
請求項10に記載の光センサデバイス。
【請求項13】
前記1つ以上のプロセッサが、前記被検体に関連する情報を決定するために、
前記符号化された第1光パターン及び前記符号化された第2光パターンを復号化することに関連する少なくとも1つのアルゴリズムを用いて、前記第1組のセンサデータ及び前記第2組のセンサデータを処理して、前記被検体に関連する情報を決定するように構成されている、請求項12に記載の光センサデバイス。
【請求項14】
前記移動構成要素が、前記位相マスクを、前記被検体から前記位相マスクへの光の伝搬方向に平行な方向に移動させるように構成されている、請求項10に記載の光センサデバイス。
【請求項15】
前記移動構成要素が、前記位相マスクを、前記被検体から前記位相マスクへの光の伝搬方向に直交する方向に移動させるように構成されている、請求項10に記載の光センサデバイス。
【請求項16】
前記移動構成要素が、前記位相マスクを、前記位相マスクの枢着点の周りに移動させるように構成されている、請求項10に記載の光センサデバイス。
【請求項17】
光センサデバイスによって、該光センサデバイスの光センサから、被検体に関連する第1組のセンサデータを取得するステップであって、該第1組のセンサデータは、前記光センサデバイスの位相マスクが第1位置に配置されている際に、前記被検体を出て前記位相マスクを通過した第1の光に関する情報を示すステップと、
前記光センサデバイスによって、前記光センサから、前記被検体に関連する第2組のセンサデータを取得するステップであって、該第2組のセンサデータは、前記位相マスクが前記第1位置とは異なる第2位置に配置されている際に、前記被検体を出て前記位相マスクを通過した第2の光に関する情報を示すステップと、
前記光センサデバイスによって、前記第1組のセンサデータ及び前記第2組のセンサデータに基づいて、前記被検体に関連する情報を決定するステップと、
前記光センサデバイスによって、前記被検体に関連する情報を提供するステップと
を含む方法。
【請求項18】
前記第1組のセンサデータが、前記位相マスクが前記第1位置に配置されている際の、前記位相マスクによる、符号化された第1光パターンの前記第1の光の分布に関する情報を示し、
前記第2組のセンサデータが、前記位相マスクが前記第2位置に配置されている際の、前記位相マスクによる、符号化された第2光パターンの前記第2の光の分布に関する情報を示す、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記被検体に関連する情報を決定するステップが、
前記符号化された第1光パターン及び前記符号化された第2光パターンの復号化に関連する少なくとも1つのアルゴリズムを用いて、前記第1組のセンサデータ及び前記第2組のセンサデータを処理して、前記被検体に関連する情報を決定するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記被検体に関連する情報を提供するステップが、
前記被検体に関連する情報を他の装置に送信して、前記被検体に関連する情報を表示させるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、米国特許仮出願第63/201808号、発明の名称”OPTICAL SENSOR DEVICE”、2021年5月13日出願により優先権を主張し、その全内容を参照することによって本明細書中に含める。
【背景技術】
【0002】
背景
光センサデバイスは、光に関する情報を獲得するために利用することができる。例えば、光センサデバイスは、光に関連する一組の波長に関する情報を獲得することができる。光センサデバイスは、こうした情報を獲得する一組のセンサ素子(例えば、光センサ、スペクトルセンサ、及び/またはイメージ(画像)センサ)を含むことができる。例えば、センサ素子のアレイを利用して、複数の波長に関する情報を獲得することができる。センサ素子アレイは光学フィルタに関連することができる。光学フィルタは1つ以上のチャネルを含むことができ、それぞれのチャネルは、特定の波長を、センサ素子アレイのセンサ素子に送ることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一部の実現では、光センサデバイスが、一組のセンサ素子を含む光センサと;1つ以上のチャネルを含む光学フィルタと、被検体に関連する複数の光ビームを符号化されたパターンで光学フィルタの入力面上に分布させるように構成された位相マスクと;複数の位置間で位相マスクを移動させるように構成された移動構成要素と;1つ以上のプロセッサとを含み、1つ以上のプロセッサは:被検体に関連する第1組のセンサデータを光センサから取得し:被検体に関連する第2組のセンサデータを光センサから取得し;第1組のセンサデータ及び第2組のセンサデータに基づいて、被検体に関連する情報を決定し;被検体に関連する情報に基づいて、1つ以上の動作を実行するように構成され、第1組のセンサデータは、位相マスクが上記複数の位置のうちの第1位置に配置されている際に、被検体を出て位相マスクを通過する第1の光に関する情報を示し、第2組のセンサデータは、位相マスクが第1位置とは異なる第2位置に配置されている際に、被検体を出て位相マスクを通過する第2の光に関する情報を示す。
【0004】
一部の実現では、光センサデバイスが、被検体に関連する複数の光ビームを符号化されたパターンで分布させるように構成された位相マスクと;複数の位置間で位相マスクを移動させるように構成された移動構成要素と;1つ以上のプロセッサとを含み、1つ以上のプロセッサは:光センサデバイスの光センサから、被検体に関連する第1組のセンサデータを取得し;この光センサから、被検体に関連する第2組のセンサデータを取得し;第1組のセンサデータ及び第2組のセンサデータに基づいて、被検体に関連する情報を決定し;被検体に関連する情報に基づいて、1つ以上の動作を実行するように構成され、第1組のセンサデータは、位相マスクが上記複数の位置のうちの第1位置に配置されている際に、被検体を出て位相マスクを通過する第1の光に関する情報を示し、第2組のセンサデータは、位相マスクが上記複数の位置のうちの第1位置とは異なる第2位置に配置されている際に、被検体を出て位相マスクを通過する第2の光に関する情報を示す。
【0005】
一部の実現では、方法が、光センサデバイスによって、光センサデバイスの光センサから、被検体に関連する第1組のセンサデータを取得するステップと;光センサデバイスによって、光センサデバイスの光センサから、被検体に関連する第2組のセンサデータを取得するステップと;光センサデバイスによって、第1組のセンサデータ及び第2組のセンサデータに基づいて、被検体に関連する情報を決定するステップと;光センサデバイスによって、被検体に関連する情報を提供するステップとを含み、第1組のセンサデータは、位相マスクが第1位置に配置されている際に、被検体を出て位相マスクを通過する第1の光に関する情報を示し、第2組のセンサデータは、位相マスクが第1位置とは異なる第2位置に配置されている際に、被検体を出て位相マスクを通過する第2の光に関する情報を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1A~1Dは、本明細書中に記載する一実現例を示す図である。
図2図2A~2Cは、本明細書中に記載する一実現例を示す図である。
図3図3A~3Bは、本明細書中に記載する一実現例を示す図である。
図4】本明細書中に記載するシステム及び/または方法を実現することができる環境の一例を示す図である。
図5図2の1つ以上の装置の構成要素の例を示す図である。
図6】光センサデバイスに関係するプロセスの例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
以下の実現例の詳細な説明は、添付した図面を参照する。異なる図面中の同じ参照番号は、同一または同様の要素を示すことがある。以下の説明は、スペクトロメーター(分光計、分光器)を一例として用いる。しかし、本明細書中に記載する技術、原理、手順、及び方法は、あらゆるセンサと共に用いることができ、これらのセンサは、他の光センサ及びスペクトルセンサを含み、但しこれらに限定されない。
【0008】
コンピュータ撮像デバイスは、レンズなしの装置であり、当該コンピュータ撮像デバイスによって捕捉した光に関連する被検体の画像を生成するために用いることができる。例えば、コンピュータ撮像デバイスは、被検体に関連する光を(例えば、一組のスペクトルフィルタを通して)光センサ全体にわたって分布させる位相マスク(例えば、ディフューザー(拡散板)素子)を含むことができ、そして光センサによって捕捉した光に関連するパターン情報を処理して、被検体の画像を生成することができる。しかし、コンピュータ撮像デバイスは、それぞれの固定位置にある位相マスク、一組のスペクトルフィルタ、及び光センサを有する構成向けに較正され最適化されている。このことは一組のデータを生じさせ、このデータから、被検体に関連する情報(例えば、画像情報、スペクトル情報、または深さ情報)を決定することができ、従って、一部の場合には、被検体に関連する情報が貧弱な解像度を有する。その結果、被検体に関連する増強された情報を得るために更に処理することができる、被検体に関連する複数組の情報を取得するために、追加的なコンピュータ撮像デバイス及び追加的な計算リソース(例えば、数ある例の中で特に、処理リソース、メモリリソース、通信リソース、及び/または電力リソース)が必要になることが多い。
【0009】
本明細書中に説明する一部の実現は、光センサデバイスを提供し、この光センサデバイスは、光センサと、光学フィルタと、被検体に関連する複数の光ビームを符号化されたパターンで光学フィルタの入力面上に分布させるように構成された位相マスクと、複数の位置間で位相マスクを移動させるように構成された移動構成要素と、1つ以上のプロセッサとを具えている。位相マスクは、複数の物理的位置間を(例えば、移動構成要素によって、第1位置、第2位置、第3位置、等の相互間を)移動するように構成することができる。1つ以上のプロセッサは、位相マスクが上記複数の物理的位置の各々にある際に、被検体に関連するそれぞれのセンサデータを光センサから取得するように構成することができる。例えば、1つ以上のプロセッサは、位相マスクの第1位置に関連する第1組のセンサデータ、位相マスクの第2位置に関連する第2組のセンサデータ、位相マスクの第3位置に関連する第3組のセンサデータ、等を取得することができる。
【0010】
各組のセンサデータは、光センサデバイスに関連し、かつ、数ある例の中で特に、異なる画像情報、異なるスペクトル情報、異なる空間情報、及び/または異なる距離に関連する異なる視野に対応することができる。従って、1つ以上のプロセッサは、位相マスクが異なる位置にある際に光センサから取得した複数組のセンサデータに基づいて、数ある例の中で特に、増強された解像度、増強されたスペクトル分解能、増強された空間分解能、増強された距離分解能のような、被検体に関連する(例えば、一般にコンピュータ撮像デバイスを用いて決定される情報に比べて)増強された情報を(例えば、シャッタセンサについては増強されたフレームレートで)決定することができる。このことは、レンズなし光センサデバイスの機能を改善し、このことは、光センサデバイスを、小さい形状因子及び被検体に関連する増強された情報を要求する携帯電話機のようなユーザ装置に内蔵することを可能にする。単一のデバイスとしての光センサデバイスが、増強された情報を決定することができるので、増強された情報を決定するために、追加的なコンピュータ撮像デバイス及微追加的な計算リソース(例えば、数ある例の中で特に、処理リソース、メモリリソース、通信リソース、及び/または電力リソース)を利用する必要性は存在しない。
【0011】
図1A~1Dは、本明細書中に記載する実現例100の概観の図である。図1Aに示すように、実現例100は、位相マスク102、光学フィルタ104、光センサ106、及び/または光源108を含む。位相マスク102、光学フィルタ104、光センサ106、及び/または光源108は光センサデバイスに関連することができ、光センサデバイスは本明細書中の他所でより詳細に説明する。
【0012】
図1Aに更に示すように、位相マスク102は、1つ以上のマスク素子110を含むことができる。1つ以上のマスク素子110の各々は、透明または不透明(例えば、反射性、吸光性、等)にすることができ、あるパターン(例えば、不均一なパターン)に配列することができる。例えば、図1Aに示すように、透明なマスク素子110は白色の正方形として示し、不透明なマスク素子110は黒色の正方形として示し、透明なマスク素子110及び不透明なマスク素子110がグリッド(格子)パターンに配列されている。一部の実現では、透明なマスク素子110のそれぞれが、1つ以上の拡散素子を具えて、透明なマスク素子110を経由して位相マスク102を通過する光を拡散させる。位相マスク102は、位相マスク102を通過する複数の光ビームを、符号化されたパターンで、例えば光学フィルタ104の入力面上に分布させるように構成することができる。一部の実現では、位相マスク102を、数ある例の中で特に、フレネル(Fresnel)ゾーンプレート、最適化されたランダムパターンアレイ、一様冗長アレイ、六角一様冗長アレイ、または改良一様冗長アレイのような、光ビームの符号化パターンを生成する符号化された開口部または他の素子とすることができる。
【0013】
上記符号化パターンは、位相マスク102を通過する複数の光ビームの(例えば、本明細書中に記載する被検体116に関連する)原点面に関連する角度方向情報を示すことができる。一部の実現では、1つ以上のマスク素子110を(例えば、コンピュータ符号化アルゴリズムのような)アルゴリズムに関連するパターンに配列して、複数の光ビームを位相マスクに通して、これら複数の光ビームを符号化されたパターンで(例えば、光学フィルタ104の入力面上に)分布させることができる。
【0014】
一部の実現では、位相マスク102を、複数の位置(例えば、複数の物理的位置)間を(例えば、図1B~1Dにおいて本明細書中に更に説明するように)第1位置から第2位置へ、第3位置へ、等のように移動するように構成することができる。位相マスク102は移動構成要素(例えば、移動構成要素120)に装着することができ、移動構成要素は、位相マスク102が複数の位置間を移動することを可能にする。
【0015】
図1Aに更に示すように、光学フィルタ104は1つ以上のチャネル112を含むことができ、1つ以上のチャネル112は、それぞれが異なる波長範囲の光を、光センサ106のセンサ素子114へ送る。例えば、図1Aに示すように、(例えば、陰影及びパターンなしで示す)第1光チャネル112は、第1波長範囲に関連する光を、光センサ106の(例えば、1つ以上のセンサ素子114から成る)第1組のセンサ素子114へ送ることができ、(例えば、グレーの陰影で示す)第2光チャネル112は、第2波長範囲に関連する光を、光センサ106の第2組のセンサ素子へ送ることができ、(例えば、ダイヤモンドパターンで示す)第3光チャネル112は、第3波長範囲に関連する光を、光センサ106の第3組のセンサ素子へ送ることができる、等である。一部の実現では、光学フィルタ104が角度依存性の波長特性を有することができる。例えば、チャネル112を「角度シフト」を有するように構成することができ、これにより、チャネル112は、第1波長範囲の光が第1の入射角範囲内でチャネル112上に降り注いで入射する際に、この光を通過させることができ、第2波長範囲の光が第2の入射角範囲内でチャネル112上に降り注いで入射する際に、この光を通過させることができ、第3波長範囲の光が第3の入射角範囲内でチャネル112上に降り注いで入射する際に、この光を通過させることができ、等である。チャネル112は、より短い波長に関連する光がより大きな入射角でチャネル112上に降り注ぐ際に、こうした光を通過させるように構成することができる。
【0016】
一部の実現では、光学フィルタ104が光干渉フィルタを含むことができる。この光干渉フィルタは角度依存性の波長特性を有することができ、角度依存性の波長特性は、次の形の式で表すことができる:
【数1】
ここに、λθは入射角θにおけるピーク波長を表し、λ0は入射角0におけるピーク波長を表し、n0は入射側媒体の屈折率を表し、neは光干渉フィルタの実効屈折率を表し、θは光ビームの入射角である。それに加えて、あるいはその代わりに、光学フィルタ104は、例えば、スペクトルフィルタ、マルチ(多重)スペクトルフィルタ、バンドパス(帯域通過)フィルタ、ブロッキング(阻止)フィルタ、長波長通過フィルタ、短波長通過フィルタ、ダイクロイック(二色性)フィルタ、リニアバリアブル(線形可変)フィルタ(LVF:linear variable filter)、サーキュラーバリアブル(回転式分光)フィルタ(CVF:circular variable filter)、ファブリペロー(Fabry-Perot)フィルタ(例えば、ファブリペロー・キャビティフィルタ)、ベイヤー(Bayer)フィルタ、プラズマフィルタ、フォトニック結晶型フィルタ、微小構造及び/またはメタマテリアル(metamaterial)フィルタ、(例えば、数ある例の中で特に、有機染料、ポリマー、及び/またはガラスを含む)吸収(アブソーベント)フィルタ、等を含むことができる。
【0017】
図1Aに更に示すように、光センサ106は、各々が情報を取得するように構成された1つ以上のセンサ素子114(例えば、センサ素子のアレイ、本明細書中ではセンサアレイとも称する)を含むことができる。例えば、センサ素子114は、センサ素子114に入射する光の強度の指標(例えば、能動的/非能動的な、あるいはよりきめ細かい強度の指標)を提供することができる。光センサ106は、1つ以上のセンサ素子114によって取得した情報を収集するように構成することができる。
【0018】
光源108は、光を発生することができる(例えば、本明細書中に説明する被検体116を照明するための)デバイスを含むことができる。例えば、光源108は、蛍光体LEDのような発光ダイオード(LED:light emitting diode)を含むことができる。一部の実現では、光源108が複数のLEDを含むことができる。こうした場合には、複数のLEDのうちの第1LEDが、複数のLEDのうちの第2LEDとは異なるスペクトル範囲に関連することができる。このことは、単一のLEDを用いて広いスペクトル範囲に対応するのではなく、複数のLEDを用いて狭いスペクトル範囲に対応することを可能にすることができる。一部の実現では、光源108が単一の変調LEDまたは複数の変調LEDを含むことができる。光源108が1つ以上の変調LEDを含む際に、光センサデバイスは、光源108の電源を変調することができる。変調LEDを用いることは、連続波LEDよりも高い電力までLEDを駆動することを可能にすることができる。更に、変調は、変調LEDからの光を用いて実行されるセンシングの信号対雑音特性を改善することができる。
【0019】
図1B~1Dに示すように、位相マスク102に関連する光センサデバイス、光学フィルタ104、光センサ106、及び/または光源108は、被検体116に関する情報を獲得するように構成することができる。図1B~1Dに更に示すように、位相マスク102は移動構成要素120に取り付けることができ、移動構成要素120は、例えば、トラック(走行路)及び係合構成要素(例えば、モータ、または他の構成要素、図示せず)を含むことができる。移動構成要素120は、複数の位置(例えば、物理的位置)間で、例えば図1Bに示す第1位置118、図1Cに示す第2位置122、及び図1Dに示す第3位置124の相互間で、位相マスク102を移動させるように構成することができる。図1B~1Dに更に示すように、移動構成要素120は、位相マスク102を、被検体116から位相マスク102、光学フィルタ104、及び/または光センサ106への光の伝搬方向に平行な方向に移動させるように構成する(例えば、位相マスク102を水平方向に移動させるように構成する)ことができる。移動構成要素120は、位相マスク102を、特定位置に特定時間だけ留まらせ(て、例えば、本明細書中に説明するように、光センサ106が受光した光に基づいてセンサデータを生成することを促進する)ように構成することができる。例えば、特定時間は、特定のミリ秒数、秒数、分数、または時間数とすることができる。移動構成要素120は、位相マスク102を、複数の位置に、同じ時間または異なる時間だけ留まらせるように構成することができる。
【0020】
図1Bに示すように、(例えば、移動構成要素120が位相マスク102を第1位置118に配置したので)位相マスク102が第1位置に配置されている際に、第1の光126が、被検体116から出ることができ(例えば、被検体116の1つ以上の点から発光または反射することができ)、そして光センサデバイスによって受光されることができる。第1の光126は、(例えば、位相マスク102が第1位置118に配置されている際に)位相マスク102及び光学フィルタ104を通過することができ、光センサ106によって受光されることができる。位相マスク102は、第1の光126を、符号化された第1光パターン128で(例えば、光学フィルタ104の入力面上に)分布させることができる。
【0021】
図1Bに更に示すように、光センサデバイスは、1つ以上のプロセッサ130に関連することができ、参照番号132で示すように、第1組のセンサデータを1つ以上のプロセッサ130に提供することができる。第1組のセンサデータは、被検体116を出る第1の光126に関する情報、例えば、符号化された第1光パターン128の第1の光126の(例えば、位相マスク102が第1位置118に配置されている際の、位相マスク102による、例えば光学フィルタ104の入力面上の)分布に関する情報を示すことができる。例えば、第1組のセンサデータは、(例えば、第1位置118にある位相マスク102により)符号化された第1光パターン128で分布して、光センサ106の1つ以上のセンサ素子114によって受光される第1の光126の強度を示すことができる。
【0022】
図1Cに示すように、(例えば、移動構成要素120が、例えば、1つ以上のプロセッサ130が第1組のセンサデータを取得したことを示す通知を1つ以上のプロセッサ130から受信したことに基づいて、位相マスク102を第2位置122に配置したので)位相マスク102が第2位置に配置されている際に、第2の光134が、被検体から出ることができ(例えば、被検体116の1つ以上の点から発光または反射することができ)、そして光センサデバイスによって受光されることができる。第2の光134は、(例えば、位相マスク102が第2位置122に配置されている際に)位相マスク102及び光学フィルタ104を通過することができ、そして光センサ106によって受光されることができる。位相マスク102は、第2の光134を、符号化された第2光パターン136で(例えば、光学フィルタ104の入力面上に)分布させることができる。
【0023】
図1Cに更に示すように、光センサデバイスは、参照番号138で示すように、第2組のセンサデータを1つ以上のプロセッサ130に提供することができる。第2組のセンサデータは、被検体116を出る第2の光に関する情報、例えば、符号化された第2光パターン136の第2の光134の(例えば、位相マスク102が第2位置122に配置されている際の位相マスク102による、例えば、光学フィルタ104の入力面上の)分布に関する情報を示すことができる。例えば、第2組のセンサデータは、(例えば、第2位置122にある位相マスク102により)符号化された第2光パターン136で分布し、光センサ106の1つ以上のセンサ素子114によって受光される第2の光134の強度を示すことができる。
【0024】
図1Dに示すように、(例えば、移動構成要素120が、例えば、
1つ以上のプロセッサ130が第2組のセンサデータを取得したことを示す通知を1つ以上のプロセッサ130から受信したことに基づいて、位相マスク102を第3位置に配置したので)位相マスク102が第3位置に配置されている際に、第3の光140が、被検体116から出ることができ(例えば、被検体116の1つ以上の点から発光または反射することができ)、そして光センサデバイスによって受光されることができる。第3の光140は、(例えば、位相マスク102が第3位置124に配置されている際に)位相マスク102及び光学フィルタ104を通過することができ、そして光センサ106によって受光されることができる。位相マスク102は、第3の光140を、符号化された第3光パターン142で(例えば、光学フィルタ104の入力面上に)分布させることができる。
【0025】
図1Dに更に示すように、光センサデバイスは、参照番号144で示すように、第3組のセンサデータを1つ以上のプロセッサ130に提供することができる。第3組のセンサデータは、被検体116を出る第3の光に関する情報、例えば、符号化された第3光パターン142の第3の光140の(例えば、位相マスク102が第3位置124に配置されている際の位相マスク102による、例えば、光学フィルタ104の入力面上の)分布に関する情報を示すことができる。例えば、第3組のセンサデータは、(例えば、第3位置124にある位相マスク122により)符号化された第3光パターン142で分布し、光センサ106の1つ以上のセンサ素子114によって受光される第3の光140の強度を示すことができる。
【0026】
図1Dに更に、参照番号146で示すように、1つ以上のプロセッサ130は、第1組のセンサデータ、第2組のセンサデータ、及び/または第3組のセンサデータを処理して、被検体116に関連する情報を決定することができる。例えば、被検体116に関連する情報を決定するために、1つ以上のプロセッサ130は、第1組のセンサデータ、第2組のセンサデータ、及び/または第3組のセンサデータを、符号化された第1光パターン128、符号化された第2光パターン136、及び/または符号化された第3光パターン142に関連する少なくとも1つのアルゴリズムを用いて処理する。このようにして、1つ以上のプロセッサ130は、数ある例の中で特に、被検体116に関連する画像情報、スペクトル情報、空間情報、及び/または距離情報を決定することができる。
【0027】
例えば、1つ以上のプロセッサ130は、(例えば、1つ以上のプロセッサ130に記憶されているデータ構造、及び/または1つ以上のプロセッサ130にとってアクセス可能であるデータ構造を検索することによって)、符号化された第1光パターン128、符号化された第2光パターン136、及び/または符号化された第3光パターン142から少なくとも1つの画像を再構成するための1つ以上のアルゴリズムを識別することができ、そして、これら1つ以上のアルゴリズムを用いて、第1組のセンサデータ、第2組のセンサデータ、及び/または第3組のセンサデータを処理して、被検体116に関連する画像情報を決定する(例えば、被検体116の1つ以上の画像を決定する)ことができる。
【0028】
他の一例として、1つ以上のプロセッサ130は、第1組のセンサデータ、第2組のセンサデータ、及び/または第3組のセンサデータに基づいて、光センサ106のセンサ素子114のうち、第1の光126、第2の光134、及び/または第3の光140のそれぞれの1つ以上の光ビームを受光した特定のセンサ素子114を識別することができる。1つ以上のプロセッサ130は、第1位置118、第2位置122、及び/または第3位置124に配置されている位相マスク102に関連する(例えば、1つ以上のプロセッサ130にとってアクセス可能なデータ構造に含まれる)設定情報に基づいて、上記特定のセンサ素子114が、光学フィルタ104の少なくとも1つの特定の光チャネル112に関連する(例えば、上記特定のセンサ素子114が、少なくとも1つの特定の光チャネル112によって送られた光ビームを受光するように構成されている)ものと判定することができ、そして、少なくとも1つの特定の光チャネル112を、第1の光126、第2の光134、及び/または第3の光140のそれぞれの1つ以上の光ビームを上記特定のセンサ素子114へ送ったものとして識別することができる。更に、1つ以上のプロセッサ130は、光学フィルタ104及び光センサ106に関連する(例えば、1つ以上のプロセッサ130にとってアクセス可能な同じまたは異なるデータ構造に含まれる)他の設定情報に基づいて、少なくとも1つの特定の光チャネル112が、特定の波長範囲内の少なくとも1つの特定の部分的範囲に関連するものと判定することができ、従って、第1の光126、第2の光134、及び/または第3の光140のそれぞれの1つ以上の光ビームが、上記特定の波長範囲内の少なくとも1つの特定の部分的範囲に関連するものと判定することができる。このようにして、1つ以上のプロセッサ130は、(例えば、位相マスク102が第1位置118、第2位置122、及び/または第3位置124に配置されている際に)複数の光チャネル112によって受光されて複数のセンサ素子へ送られた、異なる波長範囲内の異なる部分的範囲に関連する光の量を示すスペクトル値を決定することができる。
【0029】
追加的な例では、1つ以上のプロセッサ130が、(例えば、1つ以上のプロセッサ130に記憶されているデータ構造、及び/または1つ以上のプロセッサ130にとってアクセス可能なデータ構造を検索することによって)符号化された第1光パターン128、符号化された第2光パターン136、及び/または符号化された第3光パターン142から空間情報を再構成するための1つ以上のアルゴリズムを識別することができ、そして、これら1つ以上のアルゴリズムを用いて、第1組のセンサデータ、第2組のセンサデータ、及び/または第3組のセンサデータを処理して、被検体116に関連する空間情報を決定することができる。例えば、1つ以上のプロセッサ130は、上記1つ以上のアルゴリズムを用いて、第1組のセンサデータ、第2組のセンサデータ、及び/または第3組のセンサデータを処理して、第1の光126、第2の光134、及び/または第3の光140のそれぞれの光ビームが光学フィルタ104上に当たった際の、それぞれの光ビームの入射位置及びそれぞれの光ビームの入射角を測定することができる。従って、1つ以上のプロセッサ130は、被検体116に関連する距離情報(例えば、光学フィルタ104及び/または光センサ106からの被検体116の距離)を測定することができる。例えば、1つ以上のプロセッサ130は、コンピュータビジョン技術(例えば、三角測量計算技術、ステレオビジョン(立体視)技術、等)を用いて、光学フィルタ104上へのそれぞれの光ビームの入射位置及び光学フィルタ104上へのそれぞれの光ビームの入射角に基づいて、被検体116までの距離を測定することができる。
【0030】
一部の実現では、1つ以上のプロセッサ130が、被検体116に関連する情報(例えば、画像情報、スペクトル情報、空間情報、及び/または距離情報)を、ユーザ装置のような他の装置に提供することができる。例えば、1つ以上のプロセッサ130は、被検体116に関連する情報をユーザ装置に送信して、被検体116に関連する情報をユーザ装置のディスプレイ上に表示させることができる。他の例として、1つ以上のプロセッサ130は、被検体116に関連する情報をユーザ装置に送信して、数ある例の中で特に、被検体116の材料組成、被検体116の温度、(例えば、物体識別及び/または顔認識技術を用いた)被検体116の識別情報、被検体116の健康関係の測定値、被検体116の位置、及び/または被検体116の軌跡、のような被検体116の1つ以上の特性をユーザ装置に決定させることができる。一部の実現では、1つ以上のプロセッサ130が、上記の測定値に基づいて、実行すべき動作(例えば、技術者を派遣して被検体116を観察及び/または検査すること、被検体116に薬剤を投与すること、被検体116に関連する動作をユーザが実行すべきことの通知を与えること、等)をトリガすることができる。
【0031】
以上に示したように、図1A~1Dは1つ以上の例として提供する。他の例は、図1A~1Dに関して説明するものとは異なることができる。
【0032】
図2A~2Cは、本明細書中に記載する一実現例200の概観の図である。図2A~2Cに示すように、実現例200は、位相マスク102、光学フィルタ104、光センサ106、光源108、移動構成要素、及び/または(例えば、本明細書中に記載する光センサデバイスに関連することができる)1つ以上のプロセッサ130を含む。図2A~2Cに更に示すように、位相マスク102は(例えば、複数の位置間で位相マスク102を移動させるように構成された)移動構成要素120に取り付けることができ、移動構成要素120は、被検体116から位相マスク102、光学フィルタ104、及び/または光センサ106への光の伝搬方向に直交する方向に位相マスク102を移動させるように構成する(例えば、位相マスク102を垂直方向に移動させるように構成する)ことができる。
【0033】
図2Aに示すように、(例えば、移動構成要素120が位相マスク102を第1位置202に配置したので)位相マスク102が第1位置202に配置されている際に、第1の光204が、被検体116から出ることができ(例えば、被検体116の1つ以上の点から発光または反射することができ)、そして光センサデバイスによって受光されることができる。第1の光204は、(例えば、位相マスク102が第1位置202に配置されている際に)位相マスク102及び光学フィルタ104を通過することができ、そして光センサ106によって受光されることができる。位相マスク102は、第1の光204を、符号化された第1光パターン206で(例えば、光学フィルタ104の入力面上に)分布させることができる。
【0034】
図2Aに更に示すように、光センサデバイスは、参照番号208で示すように、第1組のセンサデータを1つ以上のプロセッサ130に提供することができる。第1組のセンサデータは、被検体116を出た第1の光204に関する情報、例えば、符号化された第1光パターン206の第1の光204の(例えば、位相マスク102が第1位置202に配置されている際の位相マスク102による、例えば光学フィルタ104の入力面上の)分布に関する情報を示すことができる。例えば、第1組のセンサデータは、(例えば、第1位置202にある位相マスク102により)符号化された第1光パターン206で分布して、光センサ106の1つ以上のセンサ素子によって受光される第1の光204の強度を示すことができる。
【0035】
図2Bに示すように、(例えば、移動構成要素120が位相マスク102を第2位置210に配置したので)位相マスク102が第2位置210に配置されている際に、第2の光212が被検体116から出ることができ(例えば、被検体116の1つ以上の点から発光または反射することができ)、そして光センサデバイスによって受光されることができる。第2の光212は、(例えば、位相マスク102が第2位置210に配置されている際に)位相マスク102及び光学フィルタ104を通過することができ、そして光センサ106によって受光されることができる。位相マスク102は、第2の光212を、符号化された第2光パターン214で(例えば、光学フィルタ104の入力面上に)分布させることができる。
【0036】
図2Bに更に示すように、光センサデバイスは、参照番号216で示すように、第2組のセンサデータを1つ以上のプロセッサ130に提供することができる。第2組のセンサデータは、被検体116を出る第2の光212に関する情報、例えば、符号化された第2光パターン214の第2の光212の(例えば、位相マスク102が第2位置210に配置されている際の位相マスク102による、例えば、光学フィルタ104の入力面上の)分布に関する情報を示すことができる。例えば、第2組のセンサデータは、(例えば、第2位置210にある位相マスク102により)符号化された第2光パターン214で分布し、光センサ106の1つ以上のセンサ素子114によって受光される第2の光212の強度を示すことができる。
【0037】
図2Cに示すように、(例えば、移動構成要素120が位相マスク102を第3位置218に配置したので)位相マスク102が第3位置218に配置されている際に、第3の光220が、被検体116から出ることができ(例えば、被検体116の1つ以上の点から発光または反射することができ)、そして光センサデバイスによって受光されることができる。第3の光220は、(例えば、位相マスク102が第3位置218に配置されている際に)位相マスク102を通過することができ、そして光センサ106によって受光されることができる。位相マスク102は、第3の光220を、符号化された第3光パターン222で(例えば、光学フィルタ104の入力面上に)分布させることができる。
【0038】
図2Cに更に示すように、光センサデバイスは、参照番号224で示すように、第3組のセンサデータを1つ以上のプロセッサ130に提供することができる。第3組のセンサデータは、被検体116を出る第3の光220に関する情報、例えば、符号化された第3光パターン222の第3の光220の(例えば、位相マスク102が第3位置218に配置されている際の位相マスク102による、例えば光学フィルタ104の入力面上の)分布に関する情報を示すことができる。例えば、第3組のセンサデータは、(例えば、第3位置218にある位相マスク102により)符号化された第3光パターン222で分布して、光センサ106の1つ以上のセンサ素子114によって受光される第3の光220の強度を示すことができる。
【0039】
図2Cに更に、参照番号226で示すように、1つ以上のプロセッサ130は、第1組のセンサデータ、第2組のセンサデータ、及び/または第3組のセンサデータを処理して、被検体116に関連する情報を(例えば、図1D及び参照番号144に関して本明細書中に説明するのと同様の方法で)決定することができる。例えば、被検体116に関連する情報を決定するために、1つ以上のプロセッサ130は、符号化された第1光パターン206、符号化された第2光パターン214、及び/または符号化された第3光パターン222を復号化することに関連する少なくとも1つのアルゴリズムを用いて、第1組のセンサデータ、第2組のセンサデータ、及び/または第3組のセンサデータを処理することができる。このようにして、1つ以上のプロセッサ130は、数ある例の中で特に、被検体116に関連する画像情報、スペクトル情報、空間情報、及び/または距離情報を決定することができる。
【0040】
以上に示したように、図2A~2Cは1つ以上の例として提供する。他の例は、図2A~2Cに関して説明するものとは異なることができる。
【0041】
図3A~3Bは、本明細書中に記載する一実現例300の概観の図である。図3A~3Bに示すように、実現例300は、位相マスク102、光学フィルタ104、光センサ106、光源108、移動構成要素、及び/または(本明細書中に説明する光センサデバイスに関連することができる)1つ以上のプロセッサ130を含む。図3A~3Bに更に示すように、位相マスク102は(例えば、複数の位置間で位相マスク102を移動させるように構成された)移動構成要素120に取り付けることができ、移動構成要素120は、位相マスク102を、当該位相マスク102の枢着点の周りに移動させるように構成(例えば、位相マスク102を、当該位相マスク102の枢着点の周りに転回または回転させるように構成)することができる。
【0042】
図3Aに示すように、(例えば、移動構成要素102が位相マスク102を第1位置302に配置したので)位相マスク102が第1位置302に配置されている際に、第1の光304が、被検体116から出ることができ(例えば、被検体116の1つ以上の点から発光または反射することができ)、そして光センサデバイスによって受光されることができる。第1の光304は、(例えば、位相マスク102が第1位置302に配置されている際に)位相マスク102及び光学フィルタ104を通過することができ、そして光センサ106によって受光されることができる。位相マスク102は、第1の光304を、符号化された第1光パターン306で(例えば、光学フィルタ104の入力面上に)分布させることができる。
【0043】
図3Aに更に示すように、光センサデバイスは、参照番号308で示すように、第1組のセンサデータを1つ以上のプロセッサ130に提供することができる。第1組のセンサデータは、被検体116を出る第1の光304に関する情報、例えば、符号化された第1光パターン306の第1の光304の(例えば、位相マスク102が第1位置302に配置されている際の位相マスク102による、例えば光学フィルタ104の入力面上の)分布に関する情報を示すことができる。例えば、第1組のセンサデータは、(例えば、第1位置302にある位相マスク102により)符号化された第1光パターン306で分布して、光センサ106の1つ以上のセンサ素子114によって受光される第1の光304の強度を示すことができる。
【0044】
図3Bに示すように、(例えば、移動構成要素120が位相マスク102を第2位置310に配置したので)位相マスク102が第2位置310に配置されている際に、第2の光312が、被検体116から出ることができ(例えば、被検体116の1つ以上の点から発光または反射することができ)、そして光センサデバイスによって受光されることができる。第2の光312は、(例えば、位相マスク102が第2位置310に配置されている際に)位相マスク102及び光学フィルタ104を通過することができ、そして光センサ106によって受光されることができる。位相マスク102は、第2の光312を、符号化された第2光パターン314で(例えば、光学フィルタ104の入力面上に)分布させることができる。
【0045】
図3Bに更に示すように、光センサデバイスは、参照番号316で示すように、第2組のセンサデータを1つ以上のプロセッサ130に提供することができる。第2組のセンサデータは、被検体116を出る第2の光312に関する情報、例えば、符号化された第2光パターン314の第2の光312の(例えば、位相マスク102が第2位置310に配置されている際の位相マスク102による、例えば光学フィルタ104の入力面上の)分布に関する情報を示すことができる。例えば、第2組のセンサデータは、(例えば、第2位置310にある位相マスク102により)符号化された第2光パターン314で分布して、光センサ106の1つ以上のセンサ素子114によって受光される第2の光312の強度を示すことができる。
【0046】
図3Bに更に、参照番号318で示すように、1つ以上のプロセッサ130は、第1組のセンサデータ及び/または第2組のセンサデータを処理して、被検体116に関連する情報を(例えば、図1D及び参照番号144に関して本明細書中に説明するのと同様の方法で)決定することができる。例えば、被検体116に関連する情報を決定するために、1つ以上のプロセッサ130は、符号化された第1光パターン306及び/または符号化された第2光パターン314を復号化することに関連する少なくとも1つのアルゴリズムを用いて、第1組のセンサデータ及び/または第2組のセンサデータを処理することができる。このようにして、1つ以上のプロセッサ130は、数ある例の中で特に、被検体116に関連する画像情報、スペクトル情報、空間情報、及び/または距離情報を決定することができる。
【0047】
以上に示すように、図3A~3Bは1つ以上の例として提供する。他の例は、図3A~3Bに関して説明したものと異なることができる。
【0048】
図4は、本明細書中に記載するシステム及び/または方法を実現することができる環境の一例の図である。図4に示すように、環境400は光センサデバイス410を含むことができ、光センサデバイス410は、(例えば、本明細書中に記載する1つ以上のプロセッサ130に相当する)1つ以上のプロセッサ420及び(例えば、本明細書中に記載する光センサ106に相当する)光センサ430を含むことができる。環境400は、ユーザ装置440及びネットワーク450を含むこともできる。環境400の装置は、有線接続、無線接続、または有線接続と無線接続の組合せにより相互接続することができる。
【0049】
光センサデバイス410は、数ある例の中で特に、被検体に関連する画像情報、スペクトル情報、空間情報、及び/または距離情報を、記憶、処理、及び/または経路設定することができる光学装置を含むことができる。例えば、光センサデバイス410は、(例えば、コンピュータ符号化アルゴリズムを用いて)被検体の画像を捕捉するコンピュータカメラ装置を含むことができる。他の例として、光センサデバイス410は、スペクトル光センサデバイス(例えば、近赤外(NIR:near infrared)スペクトロメーター、中赤外(mid-IR)分光、ラマン(Raman)分光、等のような、振動分光を実行するバイナリ多重分光光センサデバイス)のような分光法を実行するスペクトロメーター装置を含むことができる。一部の実現では、光センサデバイス410を、ウエアラブル(着用型)スペクトロメーター等のようなユーザ装置440に内蔵することができる。一部の実現では、光センサデバイス410が、環境400内のユーザ装置440のような他の装置から情報を受信し、他の装置へ情報を送信することができる。
【0050】
一部の実現では、光センサデバイス410が、スペクトル撮像カメラを具えることができる。スペクトル撮像カメラは、シーンの画像を捕捉することができる装置である。スペクトル撮像カメラ(または、スペクトル撮像カメラに関連するプロセッサ420)は、あるシーンの画像中の任意の点のような、あるシーンの画像中の異なる点におけるスペクトル成分またはスペクトル成分の変化を測定可能にすることができる。一部の実現では、光センサデバイス410が、ハイパースペクトル撮像を実行することができるスペクトル撮像カメラを具えることができる。例えば、スペクトルセンサデバイス410は、光学フィルタ(例えば、本明細書中に記載する光学フィルタ104)を含むことができる。一部の実現では、光学フィルタを光センサ430上に配置することができる。
【0051】
一部の実現では、光センサデバイス410が位相マスク(例えば、本明細書中に記載する位相マスク102)を具えることができる。例えば、位相マスクは、光が光センサ430への途上である際に、光を、符号化されたパターンで、光学フィルタの入力面全体にわたって分布させるように構成することができる。光センサデバイス410が捕捉した画像中の各点は、位相マスクによる空間スペクトル情報で符号化することができる。一部の実現では、光センサデバイス410が、複数の位置間で位相マスクを移動させるように構成された移動構成要素(例えば、本明細書中に記載する移動構成要素120)を具えることができる。
【0052】
光センサデバイス410は1つ以上のプロセッサ420を含むことができ、これについては図3に関連して詳細に説明する。
【0053】
光センサデバイス410は光センサ430を含むことができる。光センサ430は、光を検出することができるデバイスを含む。例えば、光センサ430は、イメージセンサ、マルチスペクトルセンサ、スペクトルセンサ、等を含むことができる。一部の実現では、光センサ430が、シリコン(Si)系センサ、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs:インジウムガリウムヒ素)系センサ、硫化鉛(PbS)系センサ、またはゲルマニウム(Ge)系センサを含むことができ、数ある例の中で特に、相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complementary metal-oxide-semiconductor)技術、または電荷結合素子(CCD:charge-coupled device)技術のような1つ以上のセンサ技術を利用することができる。一部の実現では、光センサ430が、全面照射型(FSI:front-side illumination)センサ、裏面(背面)照射型(BSI:back-side illumination)センサ、等を含むことができる。一部の実現では、光センサ430を、光センサデバイス410のカメラ及び/またはユーザ装置440に含めることができる。
【0054】
ユーザ装置440は、数ある例の中で特に、被検体に関連する画像情報、スペクトル情報、空間情報、及び/または距離情報を、受信、生成、記憶、処理、及び/または提供することができる1つ以上の装置を含む。例えば、ユーザ装置440は、携帯電話機(例えば、スマートホン、無線電話機、等)、コンピュータ(例えば、ラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、ハンドヘルド(手持ち型)コンピュータ、等)、ゲーム機、ウエアラブル通信装置(例えば、スマートウォッチ、一対のスマートグラス、等)、または同様な種類の装置のような、通信及び/またはコンピュータ装置を含むことができる。一部の実現では、ユーザ装置440が、環境400内の光センサデバイス410のような他の装置から情報を受信し、他の装置に情報を送信することができる。
【0055】
ネットワーク450は1つ以上の有線及び/または無線ネットワークを含む。例えば、ネットワーク450は、セルラ・ネットワーク(例えば、ロングターム・エボリューション(LTE:long-term evolution)ネットワーク、符号分割多元接続(CDMA:code division multiple access)ネットワーク、4G(fourth generation:第4世代通信)ネットワーク、5G(fifth generation:第5世代通信)ネットワーク、他の種類の次世代ネットワーク、等)、公共陸上移動通信ネットワーク(PLMN:public land mobile network)、ローカルエリア・ネットワーク(LAN:local area network)、ワイドエリア・ネットワーク(WAN:wide area network)、メトロポリタンエリア・ネットワーク(MAN:metropolitan area network)、電話網(例えば、公衆交換電話網(PSTN:public switched telephone network))、私設電話網、アドホック・ネットワーク、イントラネット、インターネット、光ファイバー系ネットワーク、クラウドコンピューティング・ネットワーク、等、及び/または、これらの種類または他の種類のネットワークを含むことができる。
【0056】
図4に示す装置及びネットワークの数及び配置は、一例として提供するものである。実際には、図4に示すものに対して、追加的な装置及び/またはネットワーク、より少数の装置及び/またはネットワーク、あるいは異なるように配置された装置及び/またはネットワークが存在し得る。更に、図4に示す2つ以上の装置を単一の装置内に実現することができ、あるいは図4に示す単一の装置を複数の分散した装置として実現することができる。例えば、光センサデバイス410とユーザ装置440とは別個の装置として記載しているが、光センサデバイス410とユーザ装置440は単一の装置として実現することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、環境400の一組の装置(例えば、1つ以上の装置)が、環境400の他の一組の装置によって実行されるものとして記載した1つ以上の機能を実行することができる。
【0057】
図5は、装置500の構成要素の例の図であり、装置500は光センサデバイス410及び/またはユーザ装置440に相当することができる。一部の実現では、光センサデバイス410及び/またはユーザ装置440が、1つ以上の装置500及び/または装置500の1つ以上の構成要素を含む。図5に示すように、装置500は、バス510、プロセッサ520、メモリ530、入力構成要素540、出力構成要素550、及び通信構成要素560を含むことができる。
【0058】
バス510は、装置500の構成要素のうち有線及び/または無線通信を可能にする1つ以上の構成要素を含む。バス510は、図5の2つ以上の構成要素どうしを、例えば動作的結合、通信結合、電子的結合、及び/または電気結合により結合することができる。プロセッサ520は、中央演算処理装置、グラフィックス処理装置、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ、特定用途向け集積回路、及び/または他の種類の処理構成要素を含む。プロセッサ520は、ハードウェア、ファームウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組合せで実現される。一部の実現では、プロセッサ520が、本明細書中の他所に説明する1つ以上の動作またはプロセスを実行するようにプログラムすることができる1つ以上のプロセッサを含む。
【0059】
メモリ530は、揮発性及び/または不揮発性メモリを含む。例えば、メモリ530は、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、読出し専用メモリ(ROM:read only memory)、ハードディスク・ドライブ(ハードディスク駆動装置)、及び/または他の種類のメモリ(例えば、フラッシュメモリ、磁気メモリ、及び/または光メモリ)を含むことができる。メモリ530は、内部メモリ(例えば、RAM、ROM、またはハードディスク・ドライブ)及び/またはリムーバブル(着脱式)メモリ(例えば、ユニバーサル・シリアルバス接続により着脱可能)を含むことができる。メモリ530は、非一時的コンピュータ可読媒体とすることができる。メモリ530は、装置500の動作に関係する情報、命令、及び/またはソフトウェア(例えば、1つ以上のソフトウェア・アプリケーション)を記憶する。一部の実現では、メモリ530が、例えばバス510経由で1つ以上のプロセッサ(例えば、プロセッサ520)に結合された1つ以上のメモリを含む。
【0060】
入力構成要素540は、装置500が、ユーザ入力及び/または検出入力のような入力を受信することを可能にする。例えば、入力構成要素540は、タッチスクリーン、キーボード、キーパッド、マウス、ボタン、マイクロホン、スイッチ、センサ、全地球測位システム・センサ、加速度計、ジャイロスコープ、及び/またはアクチュエータを含むことができる。出力構成要素550は、装置500が、例えばディスプレイ、スピーカ、及び/または発光ダイオードにより出力を提供することを可能にする。通信構成要素560は、装置500が、有線接続及び/または無線接続により他の装置と通信することを可能にする。例えば、通信構成要素560は、受信機、送信機、トランシーバ、モデム、ネットワーク・インタフェースカード、及び/またはアンテナを含むことができる。
【0061】
装置500は、本明細書中に説明する1つ以上の動作またはプロセスを実行することができる。例えば、非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ530)は、プロセッサ520による実行用の一組の命令(例えば、1つ以上の命令またはコード)を記憶することができる。プロセッサ520は、一組の命令を実行して、本明細書中に説明する1つ以上の動作またはプロセスを実行することができる。一部の実現では、1つ以上のプロセッサ520による一組の命令の実行が、1つ以上のプロセッサ520及び/または装置500に、本明細書中に説明する1つ以上の動作またはプロセスを実行させる。一部の実現では、ハード配線回路を、命令の代わりに、あるいは命令と組み合わせて用いて、本明細書中に説明する1つ以上の動作またはプロセスを実行する。それに加えて、あるいはその代わりに、プロセッサ520は、本明細書中に説明する1つ以上の動作またはプロセスを実行するように構成することができる。従って、本明細書中に説明する実現は、いずれの特定のハードウェア回路とソフトウェアとの組合せにも限定されない。
【0062】
図5に示す構成要素の数及び配置は、一例として提供するものである。装置500は、図5に示すものに対して、追加的な構成要素、より少数の構成要素、異なる構成要素、または異なるように配置された構成要素を含むことができる。それに加えて、あるいはその代わりに、装置500の一組の構成要素(例えば、1つ以上の構成要素)が、装置500の他の一組の構成要素によって実行されるものとして記載した1つ以上の機能を実行することができる。
【0063】
図6は、光センサデバイス(例えば、光センサデバイス410)に関連するプロセスの例600のフローチャートである。一部の実現では、図6の1つ以上の処理ブロックを、上記光センサデバイスによって、例えば光センサデバイスの1つ以上のプロセッサ(例えば、1つ以上のプロセッサ130または1つ以上のプロセッサ520)によって実行することができる。一部の実現では、図6の1つ以上の処理ブロックを、ユーザ装置(例えば、ユーザ装置440)のような、上記1つ以上のプロセッサとは別個の、あるいは上記1つ以上のプロセッサを含む他の装置または装置のグループによって実行することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、図6の1つ以上の処理ブロックは、装置500の1つ以上の構成要素、例えばプロセッサ520、メモリ530、記憶構成要素540、入力構成要素550、出力構成要素560、及び/または通信構成要素570によって実行することができる。
【0064】
一部の実現では、光センサデバイスが、1つ以上のプロセッサに加えて、一組のセンサ素子を含む光センサ;1つ以上のチャネルを含む光学フィルタ;被検体に関連する複数の光ビームをコード化されたパターンで光学フィルタの入力面上に分布させるように構成された位相マスク;及び/または、複数の位置間で位相マスクを移動させるように構成された移動構成要素を含むことができる。
【0065】
図6に示すように、プロセス600は、被検体に関連する第1組のセンサデータを取得するステップ(ブロック610)を含むことができる。例えば、光センサデバイスは、上述したように、光センサデバイスの光センサから、被検体に関連する第1組のセンサデータを取得することができる。一部の実現では、第1組のセンサデータが、光センサデバイスの位相マスクが第1位置に配置されている際に被検体を出て位相マスクを通過する第1の光に関する情報を示す。
【0066】
図6に更に示すように、プロセス600は、被検体に関連する第2組のセンサデータを取得するステップ(ブロック620)を含むことができる。例えば、光センサデバイスは、上述したように、光センサから、被検体に関連する第2組のセンサデータを取得することができる。一部の実現では、第2組のセンサデータが、位相マスクが第1位置とは異なる第2位置に配置されている際に被検体を出て位相マスクを通過する第2の光に関する情報を示す。
【0067】
図6に更に示すように、プロセス600は、第1組のセンサデータ及び第2組のセンサデータに基づいて、被検体に関連する情報を決定するステップ(ブロック630)を含むことができる。例えば、光センサデバイスは、上述したように、第1組のセンサデータ及び第2組のセンサデータに基づいて、被検体に関連する情報を決定することができる。被検体に関連する情報は、被検体に関連する画像情報、被検体に関連するスペクトル情報、被検体に関連する空間情報、または被検体に関連する距離情報を含むことができる。
【0068】
図6に更に示すように、プロセス600は、被検体に関連する情報に基づいて、1つ以上の動作を実行するステップ(ブロック640)を含むことができる。例えば、光センサデバイスは、上述したように、被検体に関連する情報に基づいて、1つ以上の動作を実行することができる。
【0069】
プロセス600は、以下に説明する、及び/または本明細書中の他所に説明する1つ以上の他のプロセスに関連する、あらゆる単一の実現または実現のあらゆる組合せのような追加的実現を含むことができる。
【0070】
第1の実現では、プロセス600が、第1組のセンサデータが、位相マスクが第1位置に配置されている際に位相マスクにより符号化された第1光パターンの第1の光の分布に関する情報を示すこと、及び第2組のセンサデータが、位相マスクが第2位置に配置されている際に位相マスクにより符号化された第2光パターンの第2の光の分布に関する情報を示すことを含む。
【0071】
第2の実現では、単独で、あるいは第1の実現と組み合わせて、被検体に関連する情報を決定するステップが、符号化された第1光パターン及び符号化された第2光パターンを復号化することに関連する少なくとも1つのアルゴリズムを用いて、第1組のセンサデータ及び第2組のセンサデータを処理して、被検体に関連する情報を決定するステップを含む。
【0072】
第3の実現では、単独で、あるいは第1及び第2の実現と組み合わせて、1つ以上の動作を実行するステップが、被検体に関連する情報を提供するステップを含む。例えば、光センサデバイスが、例えば、被検体に関連する情報を他の装置に送信することによって、被検体に関連する情報の表示をさせることができる。
【0073】
第4の実現では、単独で、あるいは第1~第3の実現のうちの1つ以上と組み合わせて、被検体に関連する情報が被検体に関連する画像情報を含み、被検体に関連する情報を決定するステップが、符号化された第1光パターン及び符号化された第2光パターンから少なくとも1つの画像を再構成するための1つ以上のアルゴリズムを識別するステップと、これら1つ以上のアルゴリズムを用いて、第1組のセンサデータ及び第2組のセンサデータを処理して、被検体に関連する画像情報を決定するステップとを含む。
【0074】
第5の実現では、単独で、あるいは第1~第4の実現のうちの1つ以上と組み合わせて、被検体に関連する情報が、被検体に関連する空間情報及び距離情報を含み、被検体に関連する情報を決定するステップが、符号化された第1光パターン及び符号化された第2光パターンから空間情報を再構成するための1つ以上のアルゴリズムを識別するステップと;これら1つ以上のアルゴリズム、第1組のセンサデータ、及び第2組のセンサデータを用いて、光学フィルタに入射する第1の光及び第2の光の光ビームの、それぞれの入射位置及びそれぞれの入射角を測定するステップと;光学フィルタに入射する第1の光及び第2の光の光ビームの、それぞれの入射位置及びそれぞれの入射角に基づいて、被検体までの距離を測定するステップとを含む。
【0075】
第6の実現では、単独で、あるいは第1~第5の実現のうちの1つ以上と組み合わせて、被検体に関連する情報が、被検体に関連する空間的情報を含み、被検体に関連する情報を決定するステップが、第1組のセンサデータ及び第2組のセンサデータに基づいて、光センサの一組のセンサ素子のうち、第1の光及び第2の光のそれぞれの1つ以上の光ビームを受光した特定のセンサ素子を特定するステップと;第1位置及び第2位置に配置された位相マスクに関連する設定情報に基づいて、上記特定のセンサ素子が、光学フィルタの1つ以上のチャネルのうちの少なくとも1つの特定の光チャネルに関連することを判定するステップと;光学フィルタ及び光センサに関連する他の設定情報に基づいて、この少なくとも1つの特定の光チャネルが、特定の波長範囲内の少なくとも1つの特定の部分的範囲に関連する光ビームを通過させるように構成されているものと判定するステップと;上記少なくとも1つの特定の光チャネルが、特定の波長範囲内の少なくとも1つの特定の部分的範囲に関連する光ビームを通過させるように構成されているものと判定したことに基づいて、上記第1の光及び第2の光のそれぞれの1つ以上の光ビームが、上記特定の波長範囲内の少なくとも1つの特定の部分的範囲に関連するものと判定するステップとを含む。
【0076】
図6はプロセス600のブロックの例を示すが、一部の実現では、プロセス600が、図6に示すものに対して、追加的なブロック、より少数のブロック、異なるブロック、あるいは異なるように配列されたブロックを含む。それに加えて、あるいはその代わりに、プロセス600のブロックのうちの2つ以上を並列的に実行することができる。
【0077】
以上の開示は図示及び説明を提供するが、排他的であること、あるいは実現を開示した明確な形態に限定することは意図していない。以上の開示を考慮して変更及び変形を加えることができ、あるいは実現の実施から変更及び変形を獲得することができる。
【0078】
本明細書中に用いる「構成要素」は、ハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとハードウェアの組合せとして広義に解釈されることを意図している。本明細書中に記載するシステム及び/または方法は、ハードウェア、ファームウェア、及び/またはハードウェアとソフトウェアの組合せの異なる形態で実現することができることは明らかである。これらのシステム及び/または方法を実現するために用いる実際の特化した制御ハードウェアまたはソフトウェアコードは、実現の限定ではない。従って、システム及び/または方法の動作及び挙動は、特定のソフトウェアコードを参照せずに本明細書中に説明し-ソフトウェア及びハードウェアを用いて、本明細書中の説明に基づくシステム及び/または方法を実現することができることは明らかである。
【0079】
特徴の特定の組合せを特許請求の範囲中に記載し本明細書中に開示していても、これらの組合せは種々の実現の開示を限定することは意図していない。実際に、これらの特徴の多数は、特許請求の範囲中に具体的に記載していない、及び/または明細書中に具体的に開示していない方法で組み合わせることができる。以下に列挙する各従属請求項は1つの請求項のみに直接従属することがあるが、種々の実現の開示は、各従属請求項を特許請求の範囲中の他のあらゆる請求項と組み合わせたものを含む。本明細書中に用いる、アイテムのリスト「のうちの少なくも1つ」を参照する語句は、単一の部材を含めたこれらのアイテムのあらゆる組合せを参照する。一例として、「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、並びに複数の同一アイテムとのあらゆる組合せをカバーすることを意図している。
【0080】
本明細書中に用いる要素、動作、または命令のいずれも、そのように明示的に記載されていない限り、決定的または不可欠なものと解釈するべきでない。また、本明細書中に用いる「(ある)1つの」は、1つ以上のアイテムを含み得るし、「1つ以上の」と互換的に用いることがある。更に、本明細書中に用いる「この、これらの、上記」は、これらに関連して参照する1つ以上のアイテムを含むことを意図しており、「1つ以上の」と互換的に用いることがある。更に、本明細書中に用いる「一組の」は、1つ以上のアイテム(例えば、関係するアイテム、無関係なアイテム、または関係するアイテムと無関係なアイテムとの組合せ)を含むことを意図し、「1つ以上の」と互換的に用いることがある。1つだけのアイテムを意図している場合、「1つだけの」または同様な文言を用いる。また、本明細書中に用いる「有する」、「有している」または同様な文言は、上限がないことを意図している。更に、「...に基づく」は、特に明示的断りのない限り、「少なくとも部分的に基づく」ことを意味することを意図している。また、本明細書中に用いる「または/あるいは」は、連続する語の間に用いる際には包含的であることを意図しており、特に断りのない限り(例えば、「...のいずれか」または「...のうちの1つのみ」と組み合わせて用いる場合)、「及び/または」と互換的に用いることがある。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
図6
【国際調査報告】