(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-09
(54)【発明の名称】動作状態を非接触で確認するための方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/34 20200101AFI20240430BHJP
H02P 23/14 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
G01R31/34 C
H02P23/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565941
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2021060955
(87)【国際公開番号】W WO2022228656
(87)【国際公開日】2022-11-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506087130
【氏名又は名称】カエザー・コンプレソーレン・エスエー
【氏名又は名称原語表記】KAESER COMPRESSOREN SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Kaeser-Str. 26, 96450 Coburg, Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーグナー、フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】シュプリューゲル、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン、パトリック
【テーマコード(参考)】
2G116
5H505
【Fターム(参考)】
2G116BA03
2G116BA04
2G116BB04
2G116BB06
2G116BC05
5H505AA06
5H505DD03
5H505JJ03
5H505JJ17
5H505KK06
5H505LL22
5H505LL32
5H505LL33
(57)【要約】
圧縮機(1)の動作状態および/または圧縮機駆動装置(2)、特に可変速度または固定速度圧縮機駆動装置(2)の速度を確認する、特に非接触で確認するための方法が提案され、本方法は、
- 検出要素(3)によって、ある時間期間にわたる磁界を検出することと、ここで、磁界は、電力供給ケーブル(4)の少なくとも1つの位相(L1、L2、L3)の電流によって発生され、
- 時間期間にわたる磁界の周波数スペクトルを決定することと、
- 圧縮機(1)の動作状態を確認するため、および/または圧縮機駆動装置(2)の速度を確認するために、磁界の周波数スペクトルを解析することと、を行う方法ステップを伴う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(1)の動作状態および/または圧縮機駆動装置(2)、特に可変速度または固定速度圧縮機駆動装置(2)の回転速度の決定、特に非接触決定のための方法であって、
- 検出要素(3)によって、ある時間範囲にわたる磁界を検出することと、ここにおいて、前記磁界は、電力供給ケーブル(4)の少なくとも1つの位相(L1、L2、L3)の電流によって発生され、
- 前記時間範囲にわたる前記磁界の周波数スペクトルを決定することと、
- 前記圧縮機(1)の動作状態を決定するため、および/または前記圧縮機駆動装置(2)の回転速度を決定するために、前記磁界の前記周波数スペクトルを解析することと、
を行う方法ステップを有する、方法。
【請求項2】
前記磁界を検出することは、特にロゴスキーコイルを使用して磁界強度を検出すること、および/または特にホールセンサを使用して磁束密度を検出することを備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
- 前記検出要素(3)を前記電力供給ケーブル(4)の位相(L1、L2、L3)に取り付ける方法ステップを備える、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
- 前記電力供給ケーブル(4)の複数の位相(L1、L2、L3)、特にすべての位相の電流によって発生される前記磁界を測定するように、前記電力供給ケーブル(4)の前記複数の位相(L1、L2、L3)、特にすべての位相に前記検出要素(3)を取り付ける方法ステップを備える、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記周波数スペクトルの決定が、前記磁界の時間的経過の解析を備えることを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記磁界の時間的経過に含まれる周波数成分が、フーリエ解析および/またはウェーブレット解析および/またはゲルツェルアルゴリズムを使用して解析されることを特徴とする、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
個々の前記周波数成分を解析することによって、前記磁界の周波数が決定され、
前記電力供給ケーブル(4)の前記少なくとも1つの位相(L1、L2、L3)の電流の基本周波数が、前記磁界の前記周波数に基づいて決定されることを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項、特に請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記圧縮機駆動装置(2)の前記回転速度が、特に係数を使用することによって、前記電流の前記決定された基本周波数から決定されることを特徴とする、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記検出するステップにおいて、前記電力供給ケーブル(4)のちょうど1つの位相(L1、L2、L3)が検出されることを特徴とする、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記検出するステップにおいて、前記電力供給ケーブル(4)の複数の位相(L1、L2、L3)、特にすべての位相が検出されることを特徴とする、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記動作状態および/または前記回転速度を決定するために、特に規定された時間範囲における前記磁界の位相スペクトルが評価されることを特徴とする、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記動作状態および/または前記回転速度を決定するために、特に規定された時間範囲における前記磁界の振幅スペクトルが評価されることを特徴とする、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記時間範囲が、200ms~20s、好ましくは300ms~10s、より好ましくは500ms~5s、特に750ms~3s、特に1sであることを特徴とする、
請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記磁界の前記位相スペクトルが、特に、0Hz~10kHz、好ましくは0Hz~1kHzの周波数範囲、特に好ましくは励起周波数の付近の範囲における前記位相スペクトルの分散を形成することによって自動的に評価されることを特徴とする、
請求項11または13に記載の方法。
【請求項15】
前記磁界の前記振幅スペクトルが、特に、0Hz~10kHz、好ましくは0Hz~1kHzの周波数範囲、特に好ましくは励起周波数の付近の範囲における前記振幅スペクトルの分散を形成することによって自動的に評価されることを特徴とする、
請求項12または13に記載の方法。
【請求項16】
前記周波数範囲が、前記励起周波数の倍数、特に2倍~10倍の倍数であることを特徴とする、
請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記圧縮機の前記動作状態が、クラスタリング法および/または分類法を使用して前記磁界の前記周波数スペクトルに基づいて決定されることを特徴とする、
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記クラスタリング法および/または前記分類法が、閾値または統計的方法、特にk平均法および/またはニューラルネットワークを使用することを特徴とする、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記分類法が、3つの分類、特に、停止、アイドリング、および負荷運転という分類を備えることを特徴とする、
請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記圧縮機(1)の前記動作状態および/または前記圧縮機駆動装置(2)の前記回転速度が、励起周波数の前記周波数範囲における前記磁界の前記振幅スペクトルの解析によって決定されることを特徴とする、
請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
閾値化が前記振幅スペクトルの解析中に行われることを特徴とする、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の方法を実施するためのデバイスであって、
電力供給ケーブル(4)の少なくとも1つの位相(L1、L2、L3)に取り付けるための検出要素(3)を備え、前記検出要素(3)は、ロゴスキーコイル、電流クランプ、MEMS磁力計、および/またはホールセンサを備える、デバイス。
【請求項23】
前記検出要素(3)は、少なくとも1つのセンサユニットを備え、前記センサユニットは、
X方向の磁界強度を検出するためのセンサ、Y方向の磁界強度を検出するためのセンサ、またはZ方向の磁界強度を検出するためのセンサ、のうちの少なくとも2つを備える、
請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
圧縮機駆動装置(2)の回転速度を決定するため、および/または圧縮機(1)の動作状態を決定するための、請求項22または23に記載のデバイスの使用。
【請求項25】
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、前記命令が少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~21のいずれか一項に記載の方法を実施させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機の動作状態および/または圧縮機駆動装置の回転速度の決定、特に非接触決定のための方法に関する。また本発明は、本発明に係る方法を実施するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機の監視、解析、診断、または制御のために、動作状態(停止、アイドリング、負荷運転)の時間的経過、送出体積流量、および電力消費量などの、圧縮機の種々のパラメータの必要性から多くの問題が生じる。
【0003】
これらのパラメータを決定するために必要な情報は、例えば、圧縮機のコントローラによって、イーサネット(登録商標)、モドバス、またはプロフィバスなどの通信インターフェースを介して供給され得る。
【0004】
しかしながら、これは、例えば、コントローラを有していない、および/または対応する通信インターフェースを有していない圧縮機が使用されているため、既知の圧縮機には当てはまらない場合が多い。また、通信インターフェースは、圧縮機の製造者にのみ対応するデータを提供する、独自のおよび/または暗号化されたプロトコルで機能する場合がある。
【0005】
先行技術から、圧縮機内または圧縮機上に測定機器を設置することによって信号を取り出し、それに基づいて必要なパラメータが導出されることが知られている。
【0006】
例えば、信号「モータ運転」および「負荷」の検出が知られている。この目的のために、主電源コンタクタの位置または制御コマンド、すなわち、圧縮機駆動装置に電気エネルギーが供給されているかどうかに関する情報と、入口弁の制御のための電気コンタクタの位置または制御コマンド、すなわち、空気が妨げられずに圧縮機に流入しているかどうか、すなわち、空気が送出されているかどうかに関する情報とが、圧縮機の制御キャビネット内の無電位接点を介して取り出される。主電源コンタクタおよび入口弁を制御するための電気コンタクタの検出された位置と、圧縮機の停止、アイドリング、および負荷運転の動作状態とは組み合わせで区別され得る。
【0007】
この信号を取り出す先行技術の方法には、いくつかの欠点がある。1つには、圧縮機の制御キャビネット内の電気システムが、無電位接点を接続するために干渉される。この介入には、信号の接続が圧縮機の制御キャビネット内で行われるので、電気取扱者ともいう特別に訓練を受けた人員が必要になる。また、信号を取り出すための設置は、無電位接点が活電部に接続されるので、圧縮機の運転中に行うことができない。そのため、圧縮機を電気主電源から切断しなければならない。また、可変速度圧縮機駆動装置を有する圧縮機の場合、圧縮機駆動装置の回転速度は、信号「モータ運転」および「負荷」により決定することはできない。
【0008】
回転速度を決定するための反射パルス計数法を使用することも先行技術から知られている。反射パルス計数では、反射マーカが、圧縮機駆動装置と圧縮機との間のシャフトに置かれる。光学センサが回転シャフトの時間単位当たりのパルス数を数える。時間単位当たりのパルス数は、シャフトの回転速度に比例する。これは、パルス数を使用してシャフトの回転速度、ひいては圧縮機駆動装置の回転速度を推測することができることを意味する。
【0009】
しかしながら、このタイプの速度決定には、機械が停止しているときにしか反射マーカをシャフトに取り付けることができないという欠点がある。また、動作中の圧縮機の振動により光学センサがスリップする可能性があるので、光学センサの取り付けに時間を要する。そのため、光学センサを堅固な機械的アタッチメントにより取り付けなければならない。別の欠点としては、圧縮機駆動装置の回転速度を反射パルス計数によって決定することはできるが、動作状態「停止」、「アイドリング」、および「負荷運転」を区別することはできないということがある。「停止」(速度が0rpm)と「非停止」(速度が0rpmよりも大きい)を区別することしか可能でない。
【0010】
先行技術から知られている別の方法としては、電流クランプまたはロゴスキーコイルを介した圧縮機駆動装置の供給ラインにおける有効電流測定がある。このタイプの信号検出の基本的考えは、磁界強度を測定することによって接触なしで位相L1、L2、またはL3のうちの1つにおける有効電流を決定するというものである。この目的のために、電流を運ぶ導体の周りの磁界強度が導体内の電流強度に比例するという効果が使用される。固定速度駆動装置を有する圧縮機および可変速度駆動装置を有する圧縮機のための信号取得の位置が、
図1および
図2に示されている。
【0011】
この先行技術から知られている方法における信号取得は、交流電流の1つまたは複数の波にわたる電流強さのRMS値が、磁界強度を介して位相において取り出された電流強さ(交流電流)の測定値から計算されるように実施される。交流電流の電流強さのRMS値は、直流電流の等価電流強さを表す。交流電流のRMS値に基づいて、「停止」、「アイドリング」、および「負荷運転」の動作状態を、閾値化によって区別することができる。磁界強度と、電流のRMS値と、動作状態との関係が
図3に例として示されている。
【0012】
先行技術から知られている
図3の例では、「アイドリング」動作状態の検出のための動作状態を導出するために30Aの閾値が使用され、「負荷運転」動作状態の検出のために160Aの閾値が使用された。これらの2つの値は、それぞれの圧縮機のデータシートから得られるか、またはデータシートからの値に基づいて計算されなければならない。したがって、この先行技術の方法には、電流のRMS値の非常に正確な測定が必要になる。
【0013】
この先行技術から知られている方法には、電流クランプまたはロゴスキーコイルを単相の周りに置かなければならないので、電流クランプまたはロゴスキーコイルの設置のために圧縮機の制御キャビネットを開けなければならないという欠点がさらにある。これは、基本的に制御キャビネット内でしかできない。これは、設置するために電気技能者が必要になることを意味する。また、本方法によって圧縮機駆動装置の回転速度を決定することも可能でない。これは、電流強さが、回転速度だけでなく、圧縮機出口における背圧および電流と電圧との間の位相シフトにも依存するからである。同じ電力消費量のために、異なる位相シフト(有効力率cosφにより表される)に起因して異なる電流が必要とされ得る。
【発明の概要】
【0014】
したがって、本発明の目的は、先行技術から知られている欠点をなくす、または少なくとも最小限に抑える方法を設計することである。特に、本発明の目的は、圧縮機の動作状態および/または圧縮機駆動装置の回転速度の確実で高速かつ高価でない検出を提供することである。
【0015】
提起される課題は、請求項1に記載の方法、請求項22に記載のデバイス、請求項24に記載の使用、同様に請求項25に記載のコンピュータ可読記憶媒体によって解決される。
【0016】
特に、本目的は、圧縮機の動作状態および/または圧縮機駆動装置、特に可変速度または固定速度圧縮機駆動装置の回転速度の決定、特に非接触決定のための方法によって解決され、本方法は、
- 検出要素によって、ある時間範囲にわたる磁界を検出することと、ここにおいて、磁界は、電力供給ケーブルの少なくとも1つの位相の電流によって発生され、
- 時間範囲にわたる磁界の周波数スペクトルを決定することと、
- 圧縮機の動作状態を決定するため、および/または圧縮機駆動装置の速度を決定するために、磁界の周波数スペクトルを解析することと、を行う方法ステップを備える。
【0017】
本発明のコンテキストでは、「非接触」という用語は、特に、電気的接触がないことを意味するものとして理解されたい。機械的接触が存在してよいのは勿論である。
【0018】
本発明のコンテキストでは、「電流」という用語は、より具体的には、交流電流または三相電流を表す。
【0019】
本発明のコンテキストでは、「圧縮機」という用語は、限定するものではないが、特に、圧縮機および例えばブロワなどの関連する機械類を含むことを意味する。また、圧縮機が、これに限定されないが圧縮機ブロックを含むことも一般的であり、ここにおいて、圧縮機ブロックは、圧縮機駆動装置、例えば、電気モータ、特に、1対、2対、またはそれ以上の対の極を有する電気モータによって駆動される。
【0020】
本発明のコンテキストでは、「電力供給ケーブル」という用語は、限定するものではないが、特に、圧縮機に電力を供給するためのケーブルおよび/または圧縮機駆動装置に電力を供給するためのケーブルを意味するものと理解される。また、電力供給ケーブルが、圧縮機のさらなる電気部品に電力を供給することも起こり得る。そのようなさらなる構成部品は、例えば、ファンモータ、弁、または機械コントローラなどであり得る。
【0021】
特に、本発明のコンテキストでは、中性導体は、通電されると、位相であると考えられることに留意されたい。
【0022】
本発明のコンテキストでは、「磁界を検出する」という用語は、限定するものではないが、特に、1つまたは複数の磁気特性を検出することを表す。この磁気特性は、ある時点における1つの絶対値、またはある時間範囲における複数の絶対値であり得る。また、ある時間範囲内で磁気特性の時間的推移が検出されることも起こり得る。同様に、「磁界を検出する」という用語は、特定の時間範囲における絶対測定値同士の比を意味するものと理解する場合がある。特に、本発明の有利な考えによれば、磁界の物理量を、単位なしで検出することもでき、任意選択で、さらに処理するか、または(本願の図部分の表現においても)表示することができる。関連があるものは数値同士の関係である。したがって、軸の線形スケーリングも好ましくは表現に使用される。
【0023】
本発明に係る方法の1つの利点は、磁界の周波数スペクトルの解析に基づいて、圧縮機駆動装置の回転速度および/または圧縮機の動作状態を決定することができることである。本発明に係る方法のさらなる利点は、圧縮機駆動装置の回転速度および/または圧縮機の動作状態を決定するために、磁気特性および/または電流のRMS値の大きさの厳密な値が必要ないことである。この点に関して、磁気特性および/またはRMS値の大きさについての記録された値を用いて機能することが可能である。これは、本発明に係る解析には、それらの経時的な相対的変化で十分であると思われるからである。また、発生した磁界の厳密にどの位置でこれらの値が記録されたかもそれほど重要ではない。この点に関しても、それらの経時的な相対的変化のみが重要であるからである。
【0024】
したがって、これらのパラメータを、先行技術では通常である高い建設努力を伴って決定しなくて済む。むしろ、例えば、圧縮機の動作状態の決定および/または圧縮機駆動装置の回転速度の決定を、ある時間範囲内で記録された磁気特性を互いに比較することによって実施することが可能である。本発明に係る方法の結果、圧縮機駆動装置の回転速度をより簡易に決定し、および/または圧縮機の動作状態の決定を簡易化することが可能である。さらに、本発明に係る方法により、圧縮機および/または圧縮機駆動装置の特性値が正確にわかっていなくても、圧縮機駆動装置の回転速度の決定および/または圧縮機の動作状態の決定が可能になる。したがって、本発明に係る方法は、既に設置されている圧縮機または圧縮機駆動装置にも好適である。
【0025】
1つの実施形態では、磁界を検出することは、特にロゴスキーコイルを使用して磁界強度を検出すること、および/または特にホールセンサもしくは磁気抵抗センサを使用して磁束密度を検出することを備える。
【0026】
この実施形態の利点は、先行技術から知られているデバイス、およびホールセンサの場合には安価なデバイスを、本発明に係る方法と組み合わせることができることである。同様に、磁気ベクトルの方向および/または磁気ベクトルの大きさを検出することも可能である。
【0027】
さらなる実施形態では、本発明に係る方法は、
- 検出要素を電力供給ケーブルの位相に取り付ける方法ステップを備える。
【0028】
この実施形態の利点は、検出要素を電力供給ケーブルの1つの位相に可変的に取り付けることができることである。例えば、周波数変換器を有する圧縮機の場合に、特に速度が決定されるとき、検出要素は周波数変換器と圧縮機駆動装置との間に取り付けられる。固定速度圧縮機の場合、また周波数変換器を有する圧縮機の動作状態決定の場合も同様に、検出要素は、圧縮機駆動装置への電力供給内のどこにでも置かれ得る。例えば、検出要素は、圧縮機供給ラインに、または主駆動モータの直前に、またはその間のどこかに置かれ得る。
【0029】
1つの実施形態によれば、本発明に係る方法は、
- 電力供給ケーブルの複数の位相、特にすべての位相の電流によって発生される磁界を測定するように、電力供給ケーブルの複数の位相、特にすべての位相に検出要素を取り付けるステップを備える。
【0030】
この実施形態の利点は、検出要素を電力供給ケーブルの複数の位相、特にすべての位相に可変的に取り付けることができることである。したがって、電力供給ケーブルの複数の位相の電流によって発生される磁界が測定される。本発明に係る方法では、検出要素を複数の位相に取り付ければ十分である。電力供給ケーブルの個々の位相を機械的に分離する必要がなくなり、これにより、特に、検出要素を特定の位相に取り付けなくて済むので検出要素の取り付けが簡易になる。
【0031】
1つの実施形態では、周波数スペクトルの解析は、磁界の時間的経過の解析を備える。
【0032】
この実施形態の利点は、本発明に係る方法を可変的に使用することができることである。
【0033】
有利なことに、磁界の時間的経過に含まれる周波数成分が、フーリエ解析および/またはウェーブレット解析および/またはゲルツェルアルゴリズムを使用して解析される。
【0034】
この実施形態の利点は、本発明に係る方法を先行技術から知られている数学的方法と組み合わせることができることである。これは、計算負荷およびメモリ負荷の低減を達成することができるので、本発明に係る方法のソフトウェア技術的な実現の点で特に有利である。周波数分解能はゲルツェルアルゴリズムを使用することによって増加され得ることもわかっている。同様に、特にゲルツェルアルゴリズムはデジタル信号プロセッサにおいて効率的に実装され得ることもわかっている。
【0035】
さらなる実施形態では、磁界の周波数が、個々の周波数成分を解析することによって決定され、電力供給ケーブルの少なくとも1つの位相の電流の基本周波数が、磁界の周波数に基づいて決定される。
【0036】
本発明のコンテキストでは、「基本周波数」という用語は、特に、限定するものではないが、交流電流または三相電流の基本周波数、特に、最高振幅を有する0Hzよりも大きい周波数を意味する。
【0037】
この実施形態の利点は、本発明に係る方法では、磁界強度および電流のRMS値の大きさが厳密にわかる必要がないことである。単に磁界がどの周波数で振動するかを見出すことだけの問題である。磁界の振動の周波数は、圧縮機駆動装置の三相電流が回転する周波数と同じである。
【0038】
さらなる実施形態では、圧縮機駆動装置の回転速度は、特に係数を使用することによって、電流の決定された基本周波数から決定される。
【0039】
この実施形態の利点は、圧縮機駆動装置の回転速度を確実に決定することができることである。例えば、1つの極対を有する圧縮機駆動装置は、「1」の係数を有すると想定され、2つの極対を有する圧縮機駆動装置は、「2」の係数を有すると想定される。一般に、この関係は、速度=周波数/極対数、として表すことができる。
【0040】
さらなる実施形態では、検出するステップにおいて電力供給ケーブルのちょうど1つの位相が検出される。
【0041】
この実施形態の利点は、検出要素を据え付けるために、先行技術から知られている方法を使用することができることである。これは、人員の新たな訓練が必要ないことを意味し、圧縮機のオペレータのコストを削減する。
【0042】
さらなる実施形態によれば、検出するステップにおいて、電力供給ケーブルの複数の位相、特にすべての位相が検出される。
【0043】
この実施形態の利点は、電力供給ケーブルのいくつかの、特にすべての位相によって全体で発生される磁界が検出されることである。先行技術では、この場合、理論的に、対称的に負荷がかけられた位相における個々の電流の磁界が互いに打ち消し合うので、磁界を検出することはできないと仮定している。しかしながら、位相には対称的に負荷がかからず、個々の位相(および同様に存在する可能性がある中性導体)間にいわゆる漏れ電流が生じることがわかった。これらの漏れ電流は、磁界強度が検出され得る磁界も発生させる。この磁界および特に磁気特性は、単相を測定するときの磁界および磁気特性よりも数桁小さい。しかしながら、磁界および同じく磁気特性、ならびに特にそれらの質的な時間的経過を確実に検出することができる。これにより、電力供給ケーブル上の電気技能者を必要としない箇所で、磁界が検出されることが可能になる。そのような場所の一例には、圧縮機駆動装置の端子箱の前の圧縮機駆動装置の供給ケーブルにおける機械の内部がある。固定速度圧縮機駆動装置を有する圧縮機の場合、磁界の検出を、圧縮機の外側の電気供給ラインでさえも行ってよい。また、圧縮機または圧縮機駆動装置の電力供給ケーブルの位相だけでなく、電力供給ケーブルの存在する可能性がある中性導体の位相も検出されることが起こり得る。
【0044】
さらなる有利な実施形態では、動作状態および/または回転速度を決定するために、特に規定された時間範囲における磁界の位相スペクトルが評価される。
【0045】
この実施形態の利点は、動作状態および/または回転速度の決定が改善されることである。これは、異なる動作状態および/または異なる回転速度における位相スペクトルが互いに著しく異なるということに起因する。
【0046】
さらなる実施形態では、動作状態および/または回転速度を決定するために、特に規定された時間範囲における磁界の振幅スペクトルが評価される。
【0047】
この実施形態の利点は、動作状態および/または回転速度の決定が改善されることである。これは、異なる動作状態および/または異なる回転速度における振幅スペクトルが互いに著しく異なるということに起因する。
【0048】
1つの実施形態では、時間範囲は、200ms~20s、好ましくは300ms~10s、より好ましくは500ms~5s、特に750ms~3s、特に1sである。
【0049】
この実施形態の利点は、時間範囲を、圧縮機および本発明に係る方法の実現の要件にしたがって選択することができることである。
【0050】
さらなる実施形態では、磁界の位相スペクトルは、特に、0Hz~10kHz、好ましくは0Hz~1kHzの周波数範囲、特に好ましくは励起周波数の付近の範囲における位相スペクトルの分散を形成することによって自動的に評価される。
【0051】
この実施形態の利点は、圧縮機駆動装置に依存して、位相スペクトルが評価される周波数範囲を適宜調整することができることである。この点に関して、0Hz~10kHzの周波数範囲は高速圧縮機駆動装置に好適であり、0~1kHzの周波数範囲は非高速圧縮機駆動装置に好適であり、励起周波数の付近、特に50Hzまたは60Hz±5Hzの変動の付近の周波数範囲が、固定速度圧縮機駆動装置に好適であることがわかっている。
【0052】
さらなる実施形態では、磁界の振幅スペクトルは、特に、0Hz~10kHz、好ましくは0Hz~1kHzの周波数範囲、特に好ましくは励起周波数の付近の範囲における振幅スペクトルの分散を形成することによって自動的に評価される。
【0053】
この実施形態の利点は、圧縮機駆動装置に依存して、振幅スペクトルを評価することができる周波数範囲を適宜調整することができることである。この点に関して、0Hz~10kHzの周波数範囲は高速圧縮機駆動装置に好適であり、0~1kHzの周波数範囲は非高速圧縮機駆動装置に好適であり、励起周波数の付近、特に50Hzまたは60Hz±5Hzの変動の付近の周波数範囲が、固定速度圧縮機駆動装置に好適であることがわかっている。
【0054】
さらなる実施形態では、周波数範囲は、励起周波数の倍数、特に2倍~10倍の倍数である。
【0055】
この実施形態の利点は、周波数範囲を、走査に利用可能なハードウェアまたはソフトウェアに依存して適宜選択することができることである。
【0056】
さらなる実施形態によれば、圧縮機の動作状態は、クラスタリング法および/または分類法を使用して磁界の周波数スペクトルに基づいて決定される。
【0057】
この実施形態の利点は、圧縮機の動作状態の自動決定が可能になることである。
【0058】
さらなる実施形態では、クラスタリング法および/または分類法は、閾値または統計的方法、特にk平均法および/またはニューラルネットワークを使用する。
【0059】
この実施形態の利点は、クラスタ法および分類法の両方のために、大部分が自動化された方法を使用することができることである。これは、特に、圧縮機の動作状態の決定の改善を意味する。
【0060】
さらなる実施形態では、分類法は、3つの分類、特に、停止、アイドリング、および負荷運転という分類を備える。
【0061】
この実施形態の利点は、分類法の具体的な実現を提供することである。
【0062】
別の実施形態は、各分類が統計パラメータのレベルに基づいて定義されることを説明する。
【0063】
この実施形態の利点は、統計パラメータ、例えば、分散、平均、および最頻値などを、特に本発明に係る方法のソフトウェア実装で、迅速かつ確実に計算することができることである。
【0064】
さらなる実施形態では、圧縮機の動作状態および/または圧縮機駆動装置の回転速度は、励起周波数の周波数範囲における磁界の振幅スペクトルを解析することによって決定される。
【0065】
この実施形態の利点は、圧縮機の動作状態および/または圧縮機駆動装置の回転速度の代替的な決定方法が提供されることである。
【0066】
さらなる実施形態によれば、閾値化は、振幅スペクトルの解析中に行われる。
【0067】
この実施形態の利点は、これによって動作状態の自動検出を行うことができることである。
【0068】
本目的はまた、前述の実施形態のいずれかに記載の方法を行うためのデバイスによって解決され、本デバイスは、
電力供給ケーブルの少なくとも1つの位相に取り付けるための検出要素を備え、検出要素は、ロゴスキーコイル、電流クランプ、MEMS磁力計、および/またはホールセンサもしくは磁気抵抗センサを備える。
【0069】
本発明に係るデバイスによって、本方法の利点が得られる。特に、本発明に係るデバイスの利点は、磁界の周波数スペクトルの解析に基づいて、圧縮機駆動装置の回転速度および/または圧縮機の動作状態を決定することが可能であることである。本発明に係るデバイスの別の利点は、圧縮機駆動装置の回転速度および/または圧縮機の動作状態を決定するために、磁気特性および/または電流のRMS値の大きさの厳密な値が必要ないことである。したがって、これらのパラメータを、先行技術では一般的である高い設計コストで決定しなくて済む。むしろ、例えば、圧縮機の動作状態の決定および/または圧縮機駆動装置の回転速度の決定を、ある時間範囲内で検出された磁気特性を互いに比較することによって実施することが可能である。本発明に係るデバイスによって、圧縮機駆動装置のより簡易な速度決定、および/または圧縮機の動作状態の決定の簡易化が可能である。さらに、本発明に係るデバイスにより、圧縮機または圧縮機駆動装置の特性値が正確にわかっていなくても、圧縮機駆動装置の回転速度の決定および/または圧縮機の動作状態の決定が可能になる。したがって、本発明に係るデバイスは、既に設置されている圧縮機または圧縮機駆動装置にも好適である。
【0070】
さらなる実施形態では、検出要素は、少なくとも1つのセンサユニットを備え、センサユニットは、X方向の磁界強度を検出するためのセンサ、Y方向の磁界強度を検出するためのセンサ、またはZ方向の磁界強度を検出するためのセンサ、のうちの少なくとも2つを備える。
【0071】
この実施形態の利点は、少なくとも2つのセンサにより、それぞれのセンサユニットの位置とは無関係に磁界が検出されることが可能になることである。
【0072】
本目的はまた、圧縮機駆動装置の回転速度を決定するため、および/または圧縮機の動作状態を決定するための前述の実施形態に記載のデバイスを使用することによって解決される。
【0073】
本発明に係るデバイスを使用することによって、デバイスの利点が得られる。
【0074】
本目的はまた、1つまたは複数のコンピューティングユニット上で実行されると、前述の実施形態の1つに記載の方法を実施する命令を備える、本発明に係るコンピュータ可読媒体によって解決される。
【0075】
コンピュータ実行可能命令を含む本発明に係るコンピュータ可読媒体は、本発明に係る方法の情報処理の改善を提供する。
【0076】
本発明について、図を参照して詳述するいくつかの例示的な実施形態を用いて以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】固定速度圧縮機駆動装置を有する圧縮機における電流強さの既知の先行技術の検出を示す。
【
図2】可変速度圧縮機駆動装置を有する圧縮機における電流強さの既知の先行技術の検出を示す。
【
図3】先行技術から知られている、磁界強度と電流のRMS値と動作状態との関係を示す。
【
図4】本発明に係る方法による固定速度圧縮機駆動装置を有する圧縮機における磁界の検出を示す。
【
図5】本発明に係る方法による可変速度圧縮機駆動装置を有する圧縮機における磁界の検出を示す。
【
図6】本発明に係る周波数範囲における磁界強度(振幅スペクトル)の時間セクションの評価を示す。
【
図7】負荷運転(
図7a)、アイドリング(
図7b)、および停止(
図7c)中の固定速度圧縮機駆動装置を有する圧縮機の位相スペクトルの一例を示す。
【
図8】励起周波数50Hz±2Hzの間隔の周波数範囲における振幅の分散からの動作状態の検出を示す。
【
図9】動作モード「負荷運転」(
図9b)および動作モード「アイドリング」(
図9c)における検出された磁束密度(
図9a)からの動作状態の検出を示す。
【
図10】主電源周波数のFFTの振幅に基づく動作状態の検出を示す。
【
図11】位相スペクトルの値に基づく動作状態の検出を示す。
【
図13】本発明に係る方法の第1の可能な実装形態を示す。
【
図14】本発明に係る方法の第2の可能な実装形態を示す。
【
図15】本発明に係る方法の第3の可能な実装形態を示す。
【
図16】本発明に係る方法の第4の実装形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0078】
特に、本発明は、電流によって誘起される位相L1、L2、L3の磁界を検出することに基づくことに留意されたい。しかしながら、圧縮機駆動装置の回転速度の決定のために、電流強さまたは電流のRMS値の指標としての磁界強度の評価は省略される。その代わりに、本発明に係る方法は、例えばフーリエ解析、ウェーブレット解析、またはゲルツェルアルゴリズムを使用して周波数範囲を解析することによって、磁界強度の時間特性をその中に含まれる周波数成分に関して解析する。個々の周波数成分を解析することによって、圧縮機駆動装置を駆動する三相電流の基本周波数に起因し得る磁界の周波数が認識される。磁界強度信号のある時間セクションについてのそのような周波数解析の一例が
図6に示されている。
【0079】
以下の説明では、同一の部分および同様に作用する部分に同じ参照番号が使用される。
【0080】
図1は、圧縮機1、例えば固定速度圧縮機駆動装置2を有する圧縮機における電流強さを検出するための既知の先行技術を示す。圧縮機1は、圧縮機駆動装置2を有し、ここにおいて、これは、例えば電気モータであり、対応するモータ巻線8を有する。圧縮機駆動装置の前には、端子箱9が配置されている。圧縮機駆動装置2と、電力供給ケーブル4の一部と、端子箱9とは、機械内部5に収容されている。検出要素3が、主電源コンタクタ7の後、すなわち制御キャビネット6の領域において、電力供給ケーブル4の位相のうちの1つに取り付けられている。
図1から分かるように、電力供給ケーブル4の一部は、機械内部5と制御キャビネット6との間に延在する。
図1は、検出要素3の位相L1への取り付けを示す。
【0081】
図2は、先行技術から知られている、圧縮機1、例えば可変速度圧縮機駆動装置2を有する圧縮機における電流強さの検出を概略的に示す。可変速度圧縮機駆動装置2を有する圧縮機1における電流強さの検出は、固定速度圧縮機駆動装置2を有する圧縮機1における電流強さの検出とは、検出要素3が、電力供給ケーブル4の位相のうちの1つに周波数変換器10の後で取り付けられている点が異なる。この点に関して、周波数変換器10は、圧縮機駆動装置2とは別個の構成部品である。
【0082】
有効電流測定が、検出要素3、例えば電流クランプまたはロゴスキーコイルを介して圧縮機駆動装置2の電力供給ケーブル4上で実施される。電力供給ケーブル4の1つの位相、
図1および
図2では位相L1において、有効電流が、磁界強度を測定することによって接触なしで決定される。この目的のために、位相L1の周りの磁界強度が位相L1における電流強度に比例するという効果が使用される。固定速度圧縮機駆動装置を有する圧縮機のための検出要素3の可能な位置付けが
図1に示されており、可変速度圧縮機駆動装置を有する圧縮機のための可能な位置付けが
図2に示されている。
【0083】
図3は、先行技術から知られている、磁界強度と、電流のRMS値と、動作状態との関係を示す。
図3の上の図は、経時的な(秒単位の)磁界強度を示す。
【0084】
図3の下側の図は、電流のRMS値と、それから導出され得る動作状態とを示す。この先行技術から知られている方法における信号取得は、交流電流の1つまたは複数の波にわたる電流強さのRMS値が、磁界強度を介して位相において取り出された電流強さ(交流電流)の測定値から計算されるように実施される。交流電流の電流強さのRMS値は、直流電流の等価電流強さを表す。交流電流のRMS値に基づいて、「停止」、「アイドリング」、および「負荷運転」の動作状態を、閾値化によって区別することができる。磁界強度と、電流のRMS値と、動作状態との関係が
図3に例として示されている。
【0085】
先行技術から知られている
図3の例では、「アイドリング」動作状態の検出のための動作状態を導出するために30Aの閾値が使用され、「負荷運転」動作状態の検出のために160Aの閾値が使用された。これらの2つの値は、それぞれの圧縮機のデータシートから得られるか、またはデータシートからの値に基づいて計算されなければならない。
【0086】
図4は、本発明に係る方法による固定速度圧縮機駆動装置2を有する圧縮機1における磁界の検出を示す。ここでは、検出要素3が電力供給ケーブル4のすべての位相L1、L2、およびL3を検出する、本発明に係る方法の一実施形態が例示されている。しかしながら、当業者には、例えば位相L1、または位相L2、または位相L3、または電流を運ぶ中性導体(例示せず)などの1つの位相のみが検出されるように検出要素3を配置することができることが理解されよう。ただし、検出要素3の位置は、
図1の位置付けとは基本的に異なる。よって、
図4の実施形態では、検出要素3は、制御キャビネット6の外側かつ機械内部5の外側に位置付けられる。これには、電気技能訓練を受けていない人員も検出要素3を装着することができるという利点がある。
【0087】
図5は、本発明に係る方法による可変速度圧縮機駆動装置2を有する圧縮機1における磁界の検出を示す。ここでも、検出要素3が電力供給ケーブル4のすべての位相L1、L2、L3、および中性導体(もしあれば)(
図5には例示せず)を検出する、本発明に係る方法の一実施形態が例示されている。しかしながら、当業者には、例えば位相L1、または位相L2、または位相L3、または任意選択で存在する中性導体(
図5に図示せず)などの1つの位相のみが検出されるように検出要素3を配置することができることが理解されよう。
【0088】
先行技術においては、
図4および
図5に示される実施形態では、理論的に、対称的に負荷がかけられた位相L1、L2、L3における個々の電流の磁界が互いに打ち消し合うので、磁界を検出することはできないと仮定している。しかしながら、本出願人は、位相L1、L2、L3には対称的に負荷がかからず、個々の位相L1、L2、L3、および/または中性導体(
図4および
図5には図示せず)間に、いわゆる漏れ電流が生じることを見出した。これらの漏れ電流は、磁界強度が検出され得る磁界も発生させる。この磁界および特に磁界強度は、単相L1、L2、L3を測定するときの磁界および磁界強度よりも数桁低い。磁界および同様に磁界強度、ならびに特にそれらの質的な時間的経過を確実に検出することができる。したがって、検出要素3を、電力供給ケーブル4の電気取扱者が必要ない位置に置くことが可能である。そのような位置の一例には、例えば
図5に示されるように、圧縮機駆動装置2の端子箱9の前の圧縮機駆動装置2の供給ラインにおける機械内部5がある。固定速度圧縮機駆動装置2を有する圧縮機1の場合、検出要素3を、
図4において電力供給ケーブル4によって示される、圧縮機1の外側の電気供給ラインにさえも置くことができる。
【0089】
図6は、本発明に係る、周波数範囲における磁界強度、いわゆる、振幅スペクトルの時間セクションの評価を示す。個々の周波数成分を解析することによって、圧縮機駆動装置を駆動する三相電流の基本周波数に起因し得る磁界の周波数が特定される。
【0090】
磁界強度の決定の結果が、
図6の上部に示されている。
図6の下部は、磁界強度信号のある時間セクションについての周波数解析の一例を示している。時間セクションは、
図6の上部において破線のバーで示されている。
【0091】
図6の下部において、すなわち振幅スペクトルにおいて、23.1Hzの周波数において明らかに顕著な最大値がある。この周波数がまさに、電力供給ケーブル4を介して圧縮機駆動装置2に電気エネルギーを供給する三相電流の周波数である。
図6は、可変速度圧縮機駆動装置2を有する圧縮機1についての磁界強度および振幅スペクトルの一例を示している。磁界の強度および/または電流のRMS値の大きさは、本発明に係る方法ではいずれの役割も果たさない。むしろ、本発明に係る方法は、磁界が振動する周波数を決定する。これによって、この磁界の振動の周波数は、圧縮機駆動装置2の三相電流が回転する周波数と同じである。
【0092】
図7は、「停止」、「アイドリング」、および「負荷運転」の動作状態における固定速度圧縮機駆動装置2を有する圧縮機1の位相スペクトルの一例を示す。
図7aは、固定速度圧縮機駆動装置2を有する圧縮機1の「負荷運転」動作状態を示す。
図7bは、固定速度圧縮機駆動装置2を有する圧縮機1の「アイドリング」動作状態を示す。最後に、
図7cは、固定速度圧縮機駆動装置2を有する圧縮機1の「停止」動作状態を示す。
【0093】
図7から、位相スペクトルが個々の動作状態において著しく異なることが分かる。また、動作状態の検出のために、磁界の位相スペクトルを、規定された時間範囲、例えば200ms~20s、好ましくは300ms~10s、特に好ましくは500ms~5s、特に750ms~3s、特に1sの時間範囲で評価することも可能である(
図7には図示せず)。
【0094】
位相スペクトルの自動評価は、例えば、0Hz~80Hzの範囲の位相スペクトルの分散を形成することによって行われる(
図7には図示せず)。この分散は、クラスタリングアルゴリズムに送り込まれる。クラスタリングアルゴリズムは、閾値を使用して、またはk平均法もしくはニューラルネットワークなどの統計的技法を使用して、クラスタを定義する。このクラスタリングに基づいて分類法が実施され、ここにおいて、各クラスタに分散の量に基づく動作的状態が割り当てられる。例えば、「停止」動作状態には非常に大きい分散が割り当てられ、「負荷運転」動作状態には中程度の分散が割り当てられ、「アイドリング」動作状態には非常に小さい分散が割り当てられている。また、分類法を事前のクラスタリングなしで実施することも可能である。
【0095】
図7のスペクトルから、240Hz~260Hzのスペクトル範囲も、クラスタリング、ひいては動作状態の検出に好適であることが視覚的に明らかである。
図7に示される例では、240Hz~260Hzの範囲は、5つの圧縮チャンバを有するブロックのチャンバ周波数の周波数範囲に相当する。したがって、圧縮プロセスの電力グリッドに対する影響を解析するために磁界の解析を使用することも可能である。
【0096】
図8は、励起周波数50Hz±2Hzの間隔の周波数範囲における振幅の分散からの動作状態の検出を示す。ここでは、動作状態を検出するために閾値化が使用される。
図8に示される実施形態では、10000よりも大きい分散が「アイドリング」動作状態の検出のために定義され、100000よりも大きい分散が「負荷運転」動作状態の検出のために定義されている。
図8では、分散は、それぞれの時間ウィンドウの検査された振幅スペクトルの平均値に正規化されている。
図8では、この時間ウィンドウは1秒である。
【0097】
図9は、記録された磁束密度(
図9a)から2つの異なる手順によって動作状態を検出するための基礎となるデータを示す。2つの時間範囲が
図9aにおいて例として規定されている。
図9bおよび
図9cにおいて、これら2つの時間範囲についての、フーリエ解析(ここでは高速フーリエ変換FFT)後の振幅スペクトルが示されている。2つの時間範囲は、圧縮機の動作状態「負荷運転」(
図9b)および「アイドリング」(
図9c)に関して異なる。
【0098】
特に、
図9は、動作状態を検出するための別の可能性を示し、ここにおいて、電力供給ケーブル4のすべての位相L1、L2、L3の磁界が検出される。この方法は、周波数変換器10を有する圧縮機1(例えば
図2または
図5参照)、および周波数変換器10を有さない圧縮機1(例えば
図1または
図4参照)の両方に好適である。検出要素3によって検出される磁束密度(
図9aに例として示される)に基づいて、特定の時間セクションについての振幅スペクトルが計算され得る。これは、
図9bの負荷運転での1sの時間間隔、および
図9cのアイドリング動作での1sの時間間隔について例示されている。周波数50Hzの振幅値(
図10aに例として示される)に基づいて、動作状態(
図10bに例として示される)が閾値によって決定される。この適用例では、50Hzのネットワーク周波数を有する電力グリッドで動作する固定速度圧縮機を伴うので、50Hzの周波数の振幅値がこの適用例では特に関連がある。
【0099】
閾値を決定するために2つの異なる手順が使用され得る。第1の手順では、測定の時点で動作状態がわかっていなければならない(例えば、
図9または
図10の530sのときの「アイドリング」)。この時点について、50Hzにおける周波数の振幅値がわかっている。この振幅値に第1の安全係数(例えば0.8)を乗算して、下側閾値を得る。第2の安全係数(例えば、1.5)を乗算すると、上限閾値が定義される。どの時点でも50Hzにおける周波数の振幅値が両方の閾値よりも大きい場合、動作状態は「負荷運転」である。どの時点でも50Hzにおける周波数の振幅値が両方の閾値よりも小さい場合、動作状態は「オフ」である。どの時点でも50Hzにおける周波数の振幅値が2つの閾値の間にある場合、動作状態は「アイドリング」である。これらの2つの閾値を使用して、動作状態を時間ステップごとに決定することができ、これは、
図10bに示されている。
【0100】
閾値を決定するための第2の手順は、自動的に実行され、したがって、特定の時点における動作状態についての情報を必要としない。「アイドリング」および「負荷運転」の両方の動作状態では、磁界の励起周波数は6Hzよりも大きい。他方で、「オフ」動作状態では、6Hz未満の励起周波数が検出される。したがって、励起周波数が6Hzよりも低い時間は、「オフ」動作状態として定義され得る。圧縮機が「オフ」動作状態に変わる前に、数秒間「アイドリング」動作状態を経る。同様の挙動が、圧縮機を「オフ」から「アイドリング」を介して「負荷運転」に起動させるときに生じる。この現象が、「アイドリング」動作状態についての50Hzにおける周波数の振幅値を得るために使用され得る。第2の手順では、わかっている「オフ」動作状態の前の4つの時間ステップの50Hzにおける周波数の振幅値の平均値が形成される。この平均値に第1の安全係数(例えば0.8)を乗算して、下側閾値を得る。第2の安全係数(例えば、1.5)を乗算すると、上限閾値が定義される。どの時点でも50Hzにおける周波数の振幅値が両方の閾値よりも大きい場合、動作状態は「負荷運転」である。どの時点でも50Hzにおける周波数の振幅値が両方の閾値よりも小さい場合、動作状態は「オフ」である。どの時点でも50Hzにおける周波数の振幅値が2つの閾値の間にある場合、動作状態は「アイドリング」である。これらの2つの閾値を使用して、動作状態を時間ステップごとに決定することができ、これは、
図10bに示されている。
【0101】
図11aおよび
図11bは、電力供給ケーブル4のすべての位相L1、L2、L3の磁界が検出される、動作状態を検出する別の方法を示す。この方法は、周波数変換器10を有する圧縮機1(例えば
図2または
図5参照)、および周波数変換器10を有さない圧縮機1(例えば
図1または
図4参照)の両方に好適である。
【0102】
1~80Hzの周波数範囲における位相スペクトル(
図7を参照)に基づいて、位相スペクトルのすべての値を、例えば1sの時間範囲において合計することができる。
【0103】
引数のこれらの合計値の差が形成される。この差が>0.1radである場合、この差は0.1radに制限される。差の新しい時系列が作成される。
【0104】
差の時系列を(例えば、3つの隣接する値にわたる平均値を形成することによって)平滑化したら、「アイドリング」、「負荷運転」、および「停止」の動作状態の変化について閾値が定義され得る。この差の時系列は、位相スペクトルにおける経路と呼ばれる。この位相スペクトルにおける経路の経過および関連する閾値は、
図11aに示されている。これから決定される圧縮機の動作状態が
図11bに示されている。
【0105】
図12は、本発明に係る方法の可能な順序を示す。第1のステップS1において、測定が開始される。次いで、第2のステップS2において、磁界値が走査によって取得および記憶される。続いて、第3のステップS3において、測定が停止される。第4のステップS4において、磁界値の時系列が読み出される。第5のステップS5において、回転速度および動作状態が、周波数解析によって一度に1秒のセクションにおいて決定される。第6のステップS6において、回転速度および動作状態の時系列が得られる。
【0106】
個々の適用例について、
図13~
図16を参照して以下で詳述する。
【0107】
適用例1:
図13は、本発明に係る方法の第1の可能な実装形態を示す。第1のステップS101において、測定が開始される。次いで、第2のステップS102において、磁界値が走査によって取得および記憶される。次いで、第3のステップS103において、測定が停止される。第4のステップS104において、磁界値の時系列が読み出される。第5のステップS105において、磁束密度のX値、Y値、およびZ値(時系列として存在する)がさらに使用される。時系列の時点ごとに、X値、Y値、およびZ値がベクトルへと組み合わされ、このベクトルがその時点のスカラにマッピングされる。続いて、スカラの時系列での周波数スペクトルの決定が、上記時系列の1sセグメントごとにゲルツェルアルゴリズムを用いて周波数解析を行うことによって実施される(S106)。次いで、48Hz~52Hzの周波数スペクトルの振幅の分散が形成される。分散値のさらなる正規化が振幅の平均を使用して行われる(S107)。正規化された分散値は
図8に示されており、時間ウィンドウは1秒である。最後に、「負荷運転」、「アイドリング」、および「オフ」の動作状態を区別するために、正規化された分散値についての閾値が決定される(S108)。
図8に例示される実施形態では、10000よりも大きい分散が「アイドリング」動作状態を検出するために定義され、100000よりも大きい分散が「負荷運転」動作状態を検出するために定義される。
【0108】
適用例2:
図14は、本発明に係る方法の第2の可能な実装形態を示す。第1のステップS201において、測定が開始される。次いで、第2のステップS202において、磁界値が走査によって取得および記憶される。次いで、第3のステップS203において、測定が停止される。第4のステップS204において、磁界値の時系列が読み出される。第5のステップS205において、磁束密度のX値、Y値、およびZ値(時系列として存在する)がさらに使用される。時系列の時点ごとに、X値、Y値、およびZ値がベクトルへと組み合わされ、このベクトルがその時点のスカラにマッピングされる。このスカラの値は
図9aに示されている。第6のステップS206において、上記の時系列の1sセグメントごとにフーリエ解析(FFT)を使用して周波数解析を行い、振幅スペクトルを計算することによって、スカラの時系列で周波数スペクトルが決定される。振幅スペクトルの値は、
図9bおよび
図9cにおいて、1秒の「負荷運転」および1秒の「アイドリング」について示されている。次いで、50Hz(励起周波数)における振幅の抽出が、1s間隔ごとに行われる(S207)。50Hzにおける振幅値が、
図10aに時系列として示されている。その後、手動指定によって、圧縮機動作状態が「アイドリング」である時点が特定され得る(S208)。
図10aでは、例えば、530sのときである。わかっている時点「アイドリング」の50Hzにおけるフーリエ解析の振幅の大きさの値に基づいて、閾値SW1が、安全係数(例えば0.8)による乗算によって形成され、閾値SW2が、第2の安全係数(例えば1.5)によって形成される(S209)。安全係数は、圧縮機のグループを測定および解析することによって決定される。これら2つの閾値は、
図10aに破線で示されている。最後に、50Hzにおけるフーリエ解析の振幅のうち、2つの閾値を上回るすべての大きさの値が、「負荷運転」動作状態に割り当てられ、2つの閾値を下回るすべての値が、「オフ」動作状態に割り当てられ、2つの閾値の間にあるすべての値が、「アイドリング」動作状態に割り当てられる(S210)。これは、
図10bに示される、圧縮機の動作状態の曲線をもたらす。
【0109】
適用例3:
図15は、本発明に係る方法の第3の可能な実装形態を示す。第1のステップS301において、測定が開始される。次いで、第2のステップS302において、磁界値が走査によって取得および記憶される。次いで、第3のステップS303において、測定が停止される。第4のステップS304において、磁界値の時系列が読み出される。第5のステップS305において、磁束密度のX値、Y値、およびZ値(時系列として存在する)がさらに使用される。時系列の時点ごとに、X値、Y値、およびZ値がベクトルへと組み合わされ、このベクトルがその時点のスカラにマッピングされる。このスカラの値は
図9aに示されている。第6のステップS306において、上記の時系列の1sセグメントごとにフーリエ解析を用いて(ここではFFTを使用して)周波数解析を行い、振幅スペクトルを計算することによって、スカラの時系列で周波数スペクトルが決定される。振幅スペクトルの値は、
図9bおよび
図9cにおいて、1秒の「負荷運転」および1秒の「アイドリング」について示されている。次いで、50Hz(励起周波数)における振幅の抽出が、1s間隔ごとに行われる(S307)。50Hzにおける振幅値が、
図10aに時系列として示されている。ステップS308において、圧縮機の「オフ」動作状態が検出され得る。圧縮機の「オフ」動作状態では、フーリエ解析は、0Hzよりも大きい最大振幅を有する周波数(DC成分)として非常に小さい周波数(<6Hz)を与える。これが当てはまる時間間隔は、「オフ」動作状態に自動的に割り当てられ得る。ステップS309において、圧縮機が、上記の方法ステップによって決定されたわかっている「オフ」動作状態にちょうど変わった時間間隔(例えば、
図10aの時点680s)が検索される。決定された時間間隔の数秒前に、圧縮機は「アイドリング」動作状態であったと想定できる。したがって、ステップS310において、システムが安全に「オフ」状態である時間間隔の前の4秒間にわたる50Hzにおけるフーリエ解析の振幅の大きさの値の平均が形成される。
図10aでは、これは、676s~679sの値の平均値である。続いて、決定された平均値から開始して、閾値SW1が安全係数(例えば0.8)による乗算によって形成され、閾値SW2が第2の安全係数(例えば1.5)によって形成される(S311)。安全係数は、圧縮機のグループを測定および解析することによって決定される。これら2つの閾値は、
図10aに示されている。最後に、50Hzにおけるフーリエ解析の振幅のうち、2つの閾値を上回るすべての大きさの値が、「負荷運転」動作状態に割り当てられ、2つの閾値を下回るすべての値が、「オフ」動作状態に割り当てられ、2つの閾値の間にあるすべての値が、「アイドリング」動作状態に割り当てられる(S312)。これは、
図10bに示される動作状態の曲線をもたらす。
【0110】
適用例4:
図16は、本発明に係る方法の第4の可能な実装形態を示す。第1のステップS401において、測定が開始される。次いで、第2のステップS402において、磁界値が走査によって取得および記憶される。次いで、第3のステップS403において、測定が停止される。第4のステップS404において、磁界値の時系列が読み出される。第5のステップS405において、磁束密度のX値、Y値、およびZ値(時系列として存在する)がさらに使用される。時系列の時点ごとに、X値、Y値、およびZ値がベクトルへと組み合わされ、このベクトルがその時点のスカラにマッピングされる。第6のステップS406において、上記の時系列の1sセグメントごとにフーリエ解析を用いて(ここではFFTを使用して)周波数解析を行い、rad単位の引数/位相を計算することによって、スカラの時系列で周波数スペクトルが決定される。第7のステップS407において、引数の2つの隣接する値の差が形成される。この差が>0.1radである場合、この差は0.1radに制限される。差の新しい時系列が形成される。続いて、S408において、1~80Hzの周波数範囲におけるrad単位の引数のすべての差の合計が形成され、これは位相スペクトルにおける距離と呼ばれる。第9のステップS409において、位相スペクトルにおける距離の曲線が、(例えば、位相スペクトルにおける距離の3つの値の平均値を得ることによって)平滑化される。この位相スペクトルにおける距離は、
図11aに示されている。次に、動作状態を区別するために閾値が設定され、閾値は
図11aに破線として示されている。最後のステップS411において、位相スペクトルにおける距離のうち、2つの閾値を上回るすべての値が、「負荷運転」動作状態に割り当てられ、2つの閾値を下回るすべての値が、「オフ」動作状態に割り当てられ、2つの閾値の間にあるすべての値が、「アイドリング」動作状態に割り当てられる。これは、
図11bにおける圧縮機の時系列としての動作状態の曲線をもたらす。
【符号の説明】
【0111】
L1…位相1
L2…位相2
L3…位相3
1…圧縮機
2…圧縮機駆動装置、例えば電気モータ
3…検出要素
4…電力供給ケーブル
5…機械内部
6…制御キャビネット
7…主電源コンタクタ
8…モータ巻線
9…電気モータの端子箱
10…周波数インバータ
【国際調査報告】