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特表2024-519204複数の標的を介して疼痛を処置するための治療組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-09
(54)【発明の名称】複数の標的を介して疼痛を処置するための治療組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7088 20060101AFI20240430BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 31/7115 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240430BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20240430BHJP
【FI】
A61K31/7088
A61K48/00 ZNA
A61K31/7115
A61P43/00 111
A61K31/7125
A61P25/04
C12N15/113 140Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566576
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 US2022026738
(87)【国際公開番号】W WO2022232395
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/180,875
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/281,492
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516056971
【氏名又は名称】キュー-ステート バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Q-State Biosciences, Inc.
【住所又は居所原語表記】179 Sidney Street, Cambridge, Massachusetts 02139 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デンプシー, グラハム ティー.
(72)【発明者】
【氏名】マクマナス, オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ホンカン
(72)【発明者】
【氏名】ガーバー, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ピン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ダウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】アグラワル, スディール
(72)【発明者】
【氏名】リワーク, ケイトリン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084MA16
4C084MA56
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA08
4C084ZA21
4C084ZC02
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA16
4C086MA56
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA21
4C086ZC02
(57)【要約】
本発明は、NaVチャネルmRNA上の同定された標的に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む非オピオイド疼痛治療組成物を提供する。ASOは、その標的RNAにハイブリダイズし、RNase Hを動員してRNAを分解する二重鎖を形成し、それによってNaVチャネル合成を下方制御し、これが疼痛の知覚に寄与するニューロンの能力を阻害する。ASOは、特定の同定された標的のうちの1つを標的とし、修飾RNAウィングに隣接した中央DNAセグメントを含むギャップマーとして提供され得る。組成物がインビトロで後根神経節(DRG)ニューロンに送達されると、DRGニューロンは、NaV1.7、NaV1.8またはNaV1.9の用量依存的ノックダウンを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1~164および166~390のうちの1つに少なくとも約75%相補的なRNAのセグメントに沿ってナトリウムチャネルタンパク質をコードするRNAにハイブリダイズし、それにより前記ナトリウムチャネルタンパク質へ前記のRNAの翻訳を防止するオリゴヌクレオチドを含む、
疼痛を処置するための組成物。
【請求項2】
前記オリゴヌクレオチドが、NaV1.7、NaV1.8およびNaV1.9の1またはそれを超えるプレ-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし、かつその発現をノックダウンする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチド中の塩基の配列が、配列番号1~164のうちの1つと少なくとも80%の同一性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記オリゴヌクレオチド中の塩基の配列が、配列番号1~101のうちの1つと少なくとも90%同一であり、前記オリゴヌクレオチドが、NaV1.7プレ-mRNAもしくはmRNAまたはNaV1.8プレ-mRNAもしくはmRNAのいずれかにハイブリダイズし、それらのRNase切断を誘導することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、それぞれが配列番号1~164のうちの1つと少なくとも80%同一の塩基配列を有する複数の治療用オリゴヌクレオチドを含み、前記治療用オリゴヌクレオチドのそれぞれが、修飾RNAウィングに隣接した中央DNAセグメントを含むギャップマー構造を有し、前記複数の治療用オリゴヌクレオチドが、髄腔内注射用に製剤化された溶液または担体中に提供される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも10個のDNA塩基の中央領域に隣接する2つのウィングを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つの末端が、修飾RNA塩基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
各修飾RNA塩基が、2’-O-メトキシエチルRNAおよび2’-O-メチルRNAからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも約15塩基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドが、約15~約25塩基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記オリゴヌクレオチドが、複数のホスホロチオエート結合を含む骨格を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記オリゴヌクレオチドが、スクリーニングされ、ヒトにおける任意の非標的転写物についての閾値マッチを満たさないと決定された塩基配列を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記オリゴヌクレオチドが、非ヒト霊長類ゲノム中の相同セグメントとのミスマッチが0であり、げっ歯類ゲノム中の相同セグメント中のミスマッチが約5以下である塩基配列を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、インビトロで後根神経節(DRG)ニューロンに送達される場合、前記DRGニューロンが、NaV1.7、NaV1.8またはNaV1.9の用量依存的ノックダウンを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記オリゴヌクレオチドが、ホスホロチオエート結合のみによって連結された塩基を有する、配列番号1~141のうちの1つと少なくとも90%のマッチを有する塩基配列を有し、前記オリゴヌクレオチドが、5’ウィングおよび3’ウィングに隣接した中央の10個のDNA塩基をさらに含み、前記5’ウィングおよび前記3’ウィングがそれぞれ、5個の連続する2’修飾RNA塩基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号1~141のうちの1つとマッチする塩基配列を有し、大部分の塩基間結合がホスホロチオエート結合を含み、前記オリゴヌクレオチドが、5’ウィングおよび3’ウィングに隣接した中央の10個のDNA塩基をさらに含み、前記5’ウィングおよび前記3’ウィングがそれぞれ、5個の連続する2’ MOE RNA塩基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
髄腔内投与用に製剤化された担体中に、先行する請求項のいずれか一項に記載の複数の異なる治療用ギャップマーの複数のコピーを含む組成物。
【請求項18】
前記オリゴヌクレオチドが、インビトロでDRGニューロンを使用するアッセイにおいて、対照ギャップマーよりも少なくとも25%良好なNavノックダウンを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記RNA中の1またはそれを超える塩基がメチル化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記メチル化塩基が、5-メチルシトシンおよび5-メチルウラシル(チミン)から選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
配列番号142~164のうちの1つに少なくとも約75%相補的である各RNAのセグメントに沿った2つの異なるナトリウムチャネルタンパク質をコードする2つのRNA上の位置にハイブリダイズし、それによりそのそれぞれのナトリウムチャネルタンパク質の前記RNAの翻訳を防止するオリゴヌクレオチドを含む、
疼痛を処置するための組成物。
【請求項22】
前記オリゴヌクレオチドが、NaV1.7およびNaV1.8のプレ-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし、かつその発現をノックダウンする、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記オリゴヌクレオチド中の塩基の配列が、配列番号142~164のうちの1つと少なくとも89%の同一性を有する、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
前記オリゴヌクレオチド中の塩基の配列が、配列番号142~164のうちの1つと少なくとも94%同一であり、前記オリゴヌクレオチドが、NaV1.7およびNaV1.8のプレ-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし、それらのRNase切断を誘導することができる、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が、それぞれが配列番号140~164のうちの1つと少なくとも94%同一の塩基配列を有する複数の治療用オリゴヌクレオチドを含み、前記治療用オリゴヌクレオチドのそれぞれが、修飾RNAウィングに隣接した中央DNAセグメントを含むギャップマー構造を有する、請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも9個のDNA塩基の中央領域に隣接する2つのウィングを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項27】
前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つの末端が、修飾RNA塩基を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項28】
各修飾RNA塩基が、2’-O-メトキシエチルRNAである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記オリゴヌクレオチドが、約19塩基を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項30】
前記オリゴヌクレオチドが、複数のホスホロチオエート結合を含む骨格を有する、請求項21に記載の組成物。
【請求項31】
前記オリゴヌクレオチドが、ホスホロチオエート(PS)とホスホジエステル(PO)との混合物を含む骨格を有し、最も外側の塩基間結合およびDNA塩基を含むすべての結合がPSであり、各ウィングの他の3つのRNA間結合が2つまたは3つのPS結合のいずれかを含み、残りがPOである、請求項21に記載の組成物。
【請求項32】
前記オリゴヌクレオチドが、スクリーニングされ、ヒトにおける任意の非標的転写物についての閾値マッチを満たさないと決定された塩基配列を有する、請求項21に記載の組成物。
【請求項33】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号142~152または153~164のうちの1つの塩基配列を有する、請求項21に記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物が、インビトロで後根神経節(DRG)ニューロンに送達される場合、前記DRGニューロンが、NaV1.7およびNaV1.8の用量依存的ノックダウンを示す、請求項21に記載の組成物。
【請求項35】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号142~164のうちの1つと少なくとも94%のマッチを有する塩基配列を有し、少なくとも最も外側の塩基間結合およびDNA塩基を含むすべての結合がホスホロチオエートであり、前記オリゴヌクレオチドが、5’RNAウィングおよび3’RNAウィングに隣接した中央の9個のDNA塩基をさらに含み、前記5’ウィングおよび前記3’ウィングがそれぞれ、5個の連続する2’修飾RNA塩基を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項36】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号142~164のうちの1つの配列を有し、両方のRNAウィングが5個の2-メトキシエチル修飾RNA塩基からなる、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
配列番号166~390のうちの1つに少なくとも約75%相補的である各RNAのセグメントに沿った2つの異なるナトリウムチャネルタンパク質をコードする2つのRNA上の位置にハイブリダイズし、それによりそのそれぞれのナトリウムチャネルタンパク質の前記RNAの翻訳を防止するオリゴヌクレオチドを含む、
疼痛を処置するための組成物。
【請求項38】
前記オリゴヌクレオチドが、NaV1.7およびNaV1.8のプレ-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし、かつその発現をノックダウンする、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記オリゴヌクレオチド中の塩基の配列が、配列番号166~390のうちの1つと少なくとも89%の同一性を有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記オリゴヌクレオチド中の塩基の配列が、配列番号166~390のうちの1つと少なくとも94%同一であり、前記オリゴヌクレオチドが、NaV1.7およびNaV1.8のプレ-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし、それらのRNase切断を誘導することができる、請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
前記組成物が、それぞれが配列番号166~390のうちの1つと少なくとも94%同一の塩基配列を有する複数の治療用オリゴヌクレオチドを含み、前記治療用オリゴヌクレオチドのそれぞれが、修飾RNAウィングに隣接する中央DNAセグメントを含むギャップマー構造を有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項42】
前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも9個のDNA塩基の中央領域に隣接する2つのウィングを含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項43】
前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つの末端が、修飾RNA塩基を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項44】
各修飾RNA塩基が、2’-O-メトキシエチルRNAである、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記オリゴヌクレオチドが、約19塩基を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項46】
前記オリゴヌクレオチドが、複数のホスホロチオエート結合を含む骨格を有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項47】
前記オリゴヌクレオチドが、ホスホロチオエート(PS)とホスホジエステル(PO)との混合物を含む骨格を有し、最も外側の塩基間結合およびDNA塩基を含むすべての結合がPSであり、各ウィングの他の3つのRNA間結合が2つまたは3つのPS結合のいずれかを含み、残りがPOである、請求項37に記載の組成物。
【請求項48】
前記オリゴヌクレオチドが、スクリーニングされ、ヒトにおける任意の非標的転写物についての閾値マッチを満たさないと決定された塩基配列を有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項49】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号142~152または153~164のうちの1つの塩基配列を有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項50】
前記組成物が、インビトロで後根神経節(DRG)ニューロンに送達される場合、前記DRGニューロンが、NaV1.7およびNaV1.8の用量依存的ノックダウンを示す、請求項37に記載の組成物。
【請求項51】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号166~390のうちの1つと少なくとも94%のマッチを有する塩基配列を有し、少なくとも最も外側の塩基間結合およびDNA塩基を含むすべての結合がホスホロチオエートであり、前記オリゴヌクレオチドが、5’RNAウィングおよび3’RNAウィングに隣接した中央の9個のDNA塩基をさらに含み、前記5’ウィングおよび前記3’ウィングがそれぞれ、5個の連続する2’修飾RNA塩基を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項52】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号166~390のうちの1つの配列を有し、両方のRNAウィングが5個の2-メトキシエチル修飾RNA塩基からなる、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
前記RNAのセグメントに沿ってナトリウムチャネルタンパク質をコードするRNAにハイブリダイズする前記オリゴヌクレオチドが、配列番号11、27、82、85、145、157、および166~177のうちの1つに少なくとも約75%相補的であり、それによって前記RNAの前記ナトリウムチャネルタンパク質への翻訳を防止する、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、疼痛を処置するための非オピオイド治療組成物に関する。
【0002】
配列表
本出願は、2022年4月28日に作成され、サイズが72KBである、QSTA-029-02WO-Sequence-Listing.txtという名称の添付のASCIIテキストファイルにおけるコンピュータ可読形式の配列表とともに出願されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
背景
米国では、疾病管理センターは、1億人もの人々が慢性疼痛に罹患していると推定している。疼痛の処置に対する1つの一般的なアプローチは、オピオイドの使用を含む。オピオイド薬は疼痛に対して非常に効果的な処置であるが、これらの依存性薬物の乱用は流行性の問題であると理解されている。それにもかかわらず、経験および生活するのに疼痛を伴う多くの一般的な医学的症状がある。
【0004】
重度の慢性疼痛を誘導することが多い一般的な医学的症状の1つは変形性関節症である。変形性関節症は、関節内の軟骨が破壊または摩耗すると起こり、最終的に関節表面に露出した骨が生じ、互いに擦れ合い、断片化または裂けが生じる可能性がある。変形性関節症に罹患している多くの人々は、この症状がもたらす永続的な疼痛に精通している。重度の慢性疼痛を引き起こし得る別の一般的な医学的症状は、癌である。米国癌学会は、癌疼痛を、単に癌に対する炎症反応だけでなく、癌自体に起因すると考える。研究は、癌細胞自体が感覚ニューロンの過敏性を駆動することを示している。したがって、癌は腫瘍として現れるか、または身体全体に広がる可能性があるだけでなく、癌自体が重度の疼痛の直接的な原因となり得る。
【0005】
疼痛を処置するための様々なアプローチがあるが、それぞれが特定の制限に関連する。市販の非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drug、NSAID)は、特定の形態の疼痛を処置するのに必要な有効性を欠くことがある。さらに、一部の人々は、NSAIDに応答しなくなるか、または消化器系および腎機能に対する有害作用に耐えることができない。オピオイドは、疼痛を処置するのに有効であると理解されているが、ヒトおよび社会的に急勾配のコストがかかり、許容性の発達により効果を経時的に失う可能性がある。オピオイドは中毒性麻薬であり、乱用、転用、さらには不正行為および犯罪活動に関与しているとよく理解されている。NSAIDおよびオピオイド処置のさらに深刻な欠点には、高い死亡率が含まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本発明は、オピオイドを必要としないまたは伴わない疼痛を処置するのに有用な治療組成物を提供する。組成物は、疼痛の知覚に関与するタンパク質の合成を防止する短い核酸またはオリゴヌクレオチドを含む。具体的には、特定のニューロンは、「疼痛感覚性」神経、または侵害受容器として機能する。これらの疼痛感覚性ニューロンは、電位依存性ナトリウムチャネルとして機能するタンパク質を有する。神経末端の刺激が閾値電圧(V)を超えると、侵害受容器ニューロンは細胞膜を横切ってナトリウムイオン(Na+)を伝導し、これによりニューロンを再生的に脱分極させ、疼痛感覚の根底にある電気信号を伝播する「発火」をもたらすことができる。本発明の組成物は、疼痛感覚を可能にするナトリウムチャネルタンパク質の作製に使用されるメッセンジャーRNA(mRNA)または前駆体mRNA(プレ-mRNA)に結合するオリゴヌクレオチドを含む。本発明は、それらのRNA内の多数の特定の検証された標的の同定を含む。オリゴヌクレオチドは、それらのタンパク質が作製されるのを防止し、それにより、それらの疼痛感覚性ニューロンの感受性または活性が低下する。疼痛感覚性ニューロンの活性が低下するため、患者ははるかに少ない疼痛を経験する。組成物は、オピオイドまたは他の麻薬を含む必要がなく、したがって、習慣性はない。組成物は、オピオイドの有効用量を減少させるためにオピオイドと組み合わせて使用され得る。したがって、組成物は、疼痛感覚性ニューロンのナトリウムチャネルを下方制御することによって長期疼痛緩和を提供する。
【0007】
ヒトには9つのファミリーの電位依存性ナトリウムチャネルがあり、NaVl.l~NaV1.9と呼ばれる。これら9つのタンパク質のうち、NaV1.7、NaV1.8およびNaV1.9は、侵害受容器後根神経節(dorsal root ganglion、DRG)ニューロンにおいて発現され、疼痛の知覚に寄与する。
【0008】
本開示のオリゴヌクレオチドは、NaV1.7、NaV1.8およびNaV1.9タンパク質の合成に使用されるRNA中の特定の標的に結合するように設計されている。オリゴヌクレオチドの結合は、タンパク質合成を防止し、対応するNaVチャネルの発現を下方制御する。具体的には、オリゴヌクレオチドは、NaVチャネルのプレ-mRNAまたはmRNA上の同定された標的のうちの1つに実質的にまたは完全に相補的な配列を有する。すなわち、オリゴヌクレオチドは、同定された標的に対してアンチセンスである。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、その標的RNAにハイブリダイズすると、二本鎖二重鎖の一部を分解する酵素(RNase H)を動員する二本鎖ASO:RNA二重鎖を形成する。ASO:RNA二重鎖を分解すると、NaVチャネルmRNAのニューロンが枯渇し、細胞によって合成されるNaVチャネルの量が減少する。NaVチャネル発現の下方制御は、疼痛の感覚に寄与するニューロンの能力を妨げる。
【0009】
したがって、NaV1.7、NaV1.8またはNaV1.9のプレ-mRNAまたはmRNA中の同定された標的に対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチドを含む組成物を患者に投与すると、その患者は疼痛の経験が減少する。したがって、本開示の組成物は、オピオイドの使用を必要とせずに患者の疼痛を処置するのに有用であり、オピオイドの使用を最小限に抑えるか、または減少させることもできる。
【0010】
特定の態様では、本開示は、疼痛を処置するための組成物を提供する。組成物は、配列番号1~164および166~390のうちの1つに少なくとも約75%相補的なRNAのセグメントに沿ってナトリウムチャネルタンパク質をコードするプレmRNAまたはmRNAにハイブリダイズし、それによってRNAのナトリウムチャネルタンパク質への翻訳を防止するオリゴヌクレオチドを含む。好ましい態様では、そのRNAのセグメントに沿ったナトリウムチャネルタンパク質をコードするプレmRNAまたはmRNAは、配列番号166~390のうちの1つに少なくとも約75%相補的である。さらにより好ましい態様では、そのRNAのセグメントに沿ったナトリウムチャネルタンパク質をコードするプレmRNAまたはmRNAは、配列番号11、27、82、85、145、157、および166~177のうちの1つに少なくとも約75%相補的である。
【0011】
オリゴヌクレオチドは、NaV1.7、NaV1.8およびNaV1.9の1またはそれを超えるプレ-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし、その発現をノックダウンし得る。好ましくは、オリゴヌクレオチド中の塩基の配列は、配列番号1~164および166~390のうちの1つと少なくとも80%の同一性を有する。例えば、オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1~101、142~164および201~390のうちの1つと少なくとも90%または95%同一であり得、オリゴヌクレオチドは、NaV 1.7またはNaV 1.8のプレ-mRNAまたはmRNAのいずれかにハイブリダイズし、それらのRNase H切断を誘導し得る。組成物は、それぞれが配列番号1~164および166~390のうちの1つと少なくとも80、90、95または100%同一の塩基配列を有する複数の治療用オリゴヌクレオチドを含み得る。
【0012】
本開示の治療用オリゴヌクレオチドは、修飾RNAウィングに隣接した中央DNAセグメントを含むギャップマー構造を有し得る。そのような治療用オリゴヌクレオチドは、DNA塩基の中央領域(例えば、約8~10個のDNA塩基)に隣接する2つのウィングを含み得る。好ましくは、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つの末端は、修飾RNA塩基、例えば、2’-O-メトキシエチルRNA(「2’-MOE」)および/または2’-O-メチルRNA(「2’O-Me」)の任意の数または任意の組み合わせを含む。さらに、本発明の組成物は、細胞質mRNA対核mRNAを異なって標的化するために、エクソン-エクソン接合部を標的化するように設計され得る。したがって、本発明のASOは、スプライシングの前または後にRNAと相互作用し、組成物に特異性および汎用性を付加するように設計することができる。
【0013】
治療用オリゴヌクレオチドは、髄腔内注射用に製剤化された溶液または担体中に、好ましくは約3~4回/年で提供され得る。オリゴヌクレオチドは、任意の適切な長さ、例えば、少なくとも約13塩基、好ましくは約15~25塩基であり得る。オリゴヌクレオチドは、骨格にホスホロチオエート結合を有していてもよい。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、スクリーニングされ、ヒトにおける任意の長い非コードRNAまたは他のオフターゲット配列もしくは転写物について閾値マッチを満たさないと決定された塩基配列を有する。オリゴヌクレオチドは、非ヒト霊長類ゲノム中の相同セグメントとのミスマッチが0であり、げっ歯類ゲノム中の相同セグメント中のミスマッチが約5以下である塩基配列を有し得る。
【0014】
組成物がインビトロで後根神経節(DRG)ニューロンに送達されると、DRGニューロンは、NaV1.7、NaV1.8またはNaV1.9の用量依存的ノックダウンを示す。オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合によって連結された塩基を有する、配列番号1~164および166~390のうちの1つと少なくとも90%のマッチを有する塩基配列を有するギャップマーであり得る。好ましい態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号166~390のうちの1つと90%マッチする塩基配列を有するギャップマーである。さらにより好ましい態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号11、27、82、85、145、157、および166~177のうちの1つと90%のマッチを有する塩基配列を有するギャップマーである。結合は、全てホスホロチオエートであっても、ホスホロチオエートとホスホジエステル結合との混合物であってもよい。オリゴヌクレオチドは、5’ウィングおよび3’ウィングに隣接した中央の10個のDNA塩基をさらに有し得、5’ウィングおよび3’ウィングはそれぞれ、5個の連続する2’修飾RNA塩基を含む。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合によって連結された塩基を有する配列番号1~164および166~390のうちの1つとマッチする塩基配列、ならびに5’ウィングおよび3’ウィングに隣接した中央DNA塩基を有する構造を有する。ウィング中のRNA塩基および中央セグメント中のDNA塩基の数は、5-10-5または4-12-4、または類似の適切なパターンであり得る。5’ウィングおよび3’ウィングはそれぞれ、いくつかの2’-MOE RNA塩基を含み得る。より好ましい態様では、そのようなオリゴヌクレオチドは、配列番号166~390、さらにより好ましくは、配列番号11、27、82、85、145、157、および166~177のうちの1つにマッチする塩基配列を有する。例えば、オリゴヌクレオチドは、各ウィング中に5個の連続する2’-MOE RNA塩基を有し得、中央の10個のDNA塩基(「5-10-5」構造)を有し、中央のDNAセグメント全体にホスホロチオエート結合があり、ウィング中にホスホロチオエート結合とホスホジエステル結合の混合物がある。
【0015】
組み合わせ実施形態では、本発明は、各々が上記の記載による複数の異なる治療用ギャップマーの複数のコピーを適切な製剤または担体中に含む組成物を提供する。
【0016】
好ましくは、本開示のオリゴヌクレオチドは、対照ギャップマー(例えば、インビトロでDRGニューロンを使用するアッセイでは、対照ギャップマーは、ホスホロチオエート結合のみによって連結されたGCCAUAATCCGGGTTUCUGC(配列番号165)からなり、5つの連続する2’-MOE RNA塩基の5’ウィングおよび5つの連続する2’-MOE RNA塩基の3’ウィングに隣接する中央の10個のDNA塩基をさらに含む)よりも少なくとも25%良好なNaVノックダウンを示す。
【0017】
本開示の態様は、患者の疼痛を処置するための医薬を製造するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の使用を提供する。当該使用において、ASOは、配列番号1~164および166~390のうちの1つと少なくとも約75%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性、例えば95%または100%の同一性を有する。好ましい態様では、ASOは、配列番号166~390のうちの1つと少なくとも約75%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性、例えば95%または100%の同一性を有する。さらにより好ましい実施形態では、ASOは、配列番号11、27、82、85、145、157、および166~177のうちの1つと少なくとも約75%の同一性を有する。
【0018】
好ましい実施形態は、約15~25塩基長、好ましくは約18~22または約19~21(包括的)のASOを使用する。一般に、「ASO」への言及は、実質的に同一の分子の多数のコピーを含む。したがって、「ASO」は、示されたASOの任意の数、例えば数十万または数百万のコピーであり得る。好ましい実施形態では、ASOは、20塩基長であり、配列番号1~164および166~390のうちの1つの配列を有し、疼痛の処置のための医薬の製造に使用される。ASOは、任意の適切なフォーマットで提供されてもよく、例えば、微量遠心管または試験管などの管内または管内の溶液中で凍結乾燥されてもよい。使用の好ましい実施形態は、NaV1.7および/またはNaV1.8を標的とする。1またはそれを超える(例えば、2、3、4、もしくは5またはそれを超える)ASOを医薬の製造に使用することができる。1またはそれを超えるASOは、NaV1.7またはNaV1.8のプレ-mRNAまたはmRNA中の標的にハイブリダイズし得る。使用の特定の実施形態では、ASO中の塩基の配列は、配列番号1~101、142~164、および166~390のうちの1つと少なくとも90%同一である。実施形態では、ASOは、RNAウィングに隣接した中央DNAセグメント、例えば中央領域の両側に5個の修飾RNA塩基を有する10個のDNA塩基の中央領域を有するギャップマー構造を有し得る。各修飾RNA塩基は、2’-MOEであり得る。好ましくは、ASOの骨格は、複数のホスホロチオエート結合を有し、例えば、使用実施形態では、糖結合の大部分またはすべてがホスホロチオエートであってもよい。対応する医薬は、髄腔内送達のために製剤化され得る。したがって、ASOは、注射またはポンプによる導入に適した製剤への混合に適した形態であり得る。例えば、ASO(1つのASOの数千または数百万またはそれを超えるコピー)は、既知のモル濃度または濃度でチューブまたは溶液中で凍結乾燥され得る。ASOは、溶媒および/または賦形剤などの担体がASOを含む薬学的に許容され得る組成物に溶解または希釈されてもよく、IVバッグ、シリンジ、またはポンプに装填されてもよい。医薬は、2またはそれを超えるASO、例えば2、3、4、若しくは5、またはそれを超える任意の組み合わせを使用して作製され得る。本発明の組成物中の塩基は、本発明の組成物の幅および有効性を増加させるために修飾、またはゆらぎ塩基が使用されてもよい。一例では、本発明で使用するためのASOは、メチル化塩基(例えば、5-メチルシトシン、5-メチルウラシル(チミン)等)を含有し得る。
【0019】
本発明の組成物は、連続投与に対応するように製剤化され得る。例えば、製剤は、最適な治療ウィンドウを利用し、ASO間の潜在的な競合を回避するために、2またはそれを超える別々の時間に、および必要に応じて2またはそれを超える異なるASOと共に投与される投与量を提供し得る。さらに、本発明の組成物は、連続的に投与されるか否かにかかわらず、関与するASOの組成に応じて、2またはそれを超える標的と相互作用し得る。例えば、ASOは、複数の標的(mRNAおよびプレmRNA種の内部および全体の両方)との相互作用を可能にし、したがって関連する処置が2またはそれを超えるチャネルに影響を及ぼすことを可能にする標的化ミスマッチを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、疼痛を処置するための組成物を示す。
図2図2は、ギャップマー構造を有するオリゴヌクレオチドを示す。
図3図3は、2’-O-メトキシエチル(MOE)修飾リボース糖を示す。
図4図4は、DNAのセグメント中のホスホロチオエート結合を示す。
図5図5は、17の異なるASOによるNaV1.7のノックダウンのためのqPCRアッセイの結果を示す。
図6図6は、対照と比較したNaV1.7標的化ASOの効果を示す図である。
図7図7は、本開示のASOの標的選択性を示す。
図8図8は、ASOに対するリボース糖修飾の効果を比較する。
図9図9は、抗NaV1.7 ASOの効果を示す。
図10図10は、抗NaV1.8 ASOの効果を示す。
図11図11は、組み合わせ組成物による処置下での神経活性レベルを示す図である。
図12】記載なし
図13】記載なし
図14図14は、SK-N-AS細胞におけるヒトNaV1.7 ASO試験の結果である
図15図15は、IC50結果を示す。
図16図16は、発現に対する効果を示す。
図17図17は、SK-N-AS細胞におけるヒトNaV1.8 ASOの結果である。
図18図18は、ASOのIC50を示す。
図19図19は、発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
図1は、疼痛を処置するための組成物101を示す。組成物101は、mRNA 117またはプレ-mRNA中の標的セグメント115にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド107を含む。mRNA 117は、ナトリウムチャネルタンパク質をコードする。標的を含むmRNA 117のセグメント115は、配列番号1~164および166~390のうちの1つに少なくとも約75%相補的である。mRNA 117のセグメント115へのオリゴヌクレオチド107のハイブリダイゼーションは、ナトリウムチャネルタンパク質へのmRNAの翻訳を防止する。オリゴヌクレオチド107は、NaV1.7、NaV1.8およびNaV1.9の1またはそれを超えるプレ-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし、その発現をノックダウンし得る。好ましくは、オリゴヌクレオチド中の塩基の配列は、配列番号1~164および166~390のうちの1つと少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性を有する。特定の好ましい態様では、オリゴヌクレオチドの塩基の配列は、配列番号166~390のうちの1つと少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性を有する。より好ましい態様では、オリゴヌクレオチドの塩基の配列は、配列番号11、27、82、85、145、157、および166~177のうちの1つと少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性を有する。
【0022】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1~101、142~164および166~390のうちの1つと少なくとも90%同一であり、オリゴヌクレオチドは、NaV1.7 mRNAまたはNaV1.8 mRNAのいずれかにハイブリダイズし、そのRNase H切断を誘導することができる。
【0023】
オリゴヌクレオチド107がmRNA 117の標的セグメント115に対して実質的にまたは完全にアンチセンスであるので、オリゴヌクレオチド107はmRNA 117のセグメント115にハイブリダイズする。その意味で、組成物はアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。組成物101は、ASOの化学構造および設計に基づいて、塩基対相補性で標的RNAに結合し、様々な効果を発揮するASOを含む。神経疾患の前臨床モデルおよびヒト臨床試験開発で一般的に使用される様々な機構を使用することができる。これらの機構には以下:RNase H酵素の動員によるRNA標的分解;エクソンを含むかまたは排除するための選択的スプライシング修飾、およびその標的へのmiRNA結合を阻害するためのmiRNA阻害が含まれる。
【0024】
本開示の好ましい実施形態は、電位依存性ナトリウムチャネル(NaVチャネル)プレ-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし、RNase H酵素を動員するASOを含む。RNase H酵素は、NaVチャネルRNAを切断し、NaVチャネルタンパク質の発現を下方制御する。したがって、本開示のオリゴヌクレオチド107は、疼痛治療の標的としてNaVチャネルに対処する。本開示は、臨床データおよび前臨床データが疼痛治療のための小分子NaV遮断薬の使用を支持するという洞察に基づいている。例えば、IVリドカインおよびリドカインパッチは疼痛緩和効果を示しており、リドカインの標的の合成を遮断することが類似の効果をもたらし得ることを示唆している。実際、三環系および選択的セロトニン再取り込み阻害剤などの神経障害性疼痛に使用される多くの薬剤は、複数の作用機序を有するが、NaVチャネルを遮断する能力を共有する。ナトリウムチャネルNaV1.7、NaV1.8およびNaV1.9は疼痛に関与している。これらのタンパク質は、疼痛表現型との遺伝的リンクを提供する。例えば、NaV1.7機能喪失は、疼痛に対する先天性不感受性に関連している(マウスモデルで再現される)。さらに、NaV1.7およびNaV1.8の機能獲得は両方とも過剰な疼痛障害に関連している。さらに、NaV1.9機能獲得は、疼痛に対する無関心を伴う神経障害に関連している。遺伝的洞察は、NaV1.7およびNaV1.8およびNaV1.9を選択的に標的とするための理論的根拠を提供する。抗NaV ASOを含む組成物を対象に投与して、疼痛を処置または軽減することができる。抗NaV ASOは状態非依存性およびサブタイプ選択性であり得るので、抗NaV ASOはリドカインなどの他のアプローチよりも利点を提供することが見出され得る。
【0025】
したがって、本開示は、患者の疼痛を処置するための医薬を製造するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の使用を提供する。当該使用において、ASOは、配列番号1~141のうちの1つと少なくとも約75%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性、例えば95%またはそれを超える同一性を有する。より好ましい実施形態では、ASOは、配列番号166~390のうちの1つと少なくとも約75%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性、例えば95%またはそれを超える同一性を有する。さらにより好ましい実施形態では、ASOは、配列番号11、27、82、85、145、157、および166~177のうちの1つと少なくとも約75%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性、例えば95%またはそれを超える同一性を有する。
【0026】
好ましい実施形態は、約15~25塩基長、好ましくは約18~22塩基長(両端を含む)のASOを使用する。一般に、「ASO」への言及は、実質的に同一の分子の多数のコピーを含む。したがって、「ASO」は、定義されたASOの数十万または数百万を超えるコピーであり得る。好ましい実施形態では、ASOは、20塩基長であり、配列番号1~164および166~390のうちの1つの配列を有し、疼痛の処置のための医薬の製造に使用される。より好ましい実施形態では、AOは20塩基長であり、配列番号166~390のうちの1つの配列を有し、さらにより好ましい実施形態では、配列番号11、27、82、85、145、157および166~177のうちの1つの配列を有する。
【0027】
ASOは、任意の適切なフォーマットで提供されてもよく、例えば、微量遠心管または試験管などの管内または管内の溶液中で凍結乾燥されてもよい。使用の好ましい実施形態は、NaV1.7および/またはNaV1.8を標的とする。1またはそれを超える(例えば、2、3、4、もしくは5またはそれを超える)ASOを医薬の製造に使用することができる。1またはそれを超えるASOは、NaV1.7またはNaV1.8 mRNA中の標的にハイブリダイズし得る。使用の特定の実施形態では、ASO中の塩基の配列は、配列番号1~164および166~390のうちの1つと少なくとも90%同一である。使用の好ましい実施形態では、ASO中の塩基の配列は、配列番号166~390のうちの1つと、さらにより好ましい実施形態では、配列番号11、27、82、85、145、157、および166~177のうちの1つと少なくとも90%同一である。
【0028】
使用の実施形態では、ASOは、RNAウィングに隣接した中央DNAセグメント、例えば中央領域の両側に5個の修飾RNA塩基を有する10個のDNA塩基の中央領域を有するギャップマー構造を有し得る。各修飾RNA塩基は、2’-MOE RNA、2’-O-Me RNA、または他の適切な糖であり得る。好ましくは、ASOの骨格は、複数のホスホロチオエート結合を排他的に有するか、またはホスホジエステル結合も含み、例えば、使用実施形態では、糖結合の大部分またはすべてがホスホロチオエートであってもよい。医薬は、髄腔内(IT)送達のために製剤化され得る。したがって、ASOは、最初は髄腔内ポンプへの導入に適した製剤への混合に適した形態であり得る。例えば、ASO(1つのASOの数千または数百万またはそれを超えるコピー)は、既知のモル濃度でチューブまたは溶液中で凍結乾燥され得る。ASOは、溶媒または賦形剤などの担体がASOを含む薬学的に許容され得る組成物に溶解または希釈されてもよく、IVバッグ、シリンジ、または髄腔内ポンプに装填されてもよい。医薬は、2またはそれを超えるASO、例えば2、3、4、若しくは5、またはそれを超える任意の組み合わせを使用して作製され得る。
【0029】
使用実施形態に記載された任意のASOは、本開示の組成物に含まれてもよい。本開示の組成物の好ましい実施形態は、それぞれが配列番号1~164および166~390のうちの1つと少なくとも80%同一の塩基配列を有する1つまたは複数の治療用オリゴヌクレオチドを含み、治療用オリゴヌクレオチドのそれぞれは、修飾RNAウィングに隣接した中央DNAセグメントを含むギャップマー構造を有し、複数の治療用オリゴヌクレオチドは、髄腔内注射用に製剤化された溶液または担体中に提供される。より好ましい実施形態では、配列は、配列番号166~390のうちの1つと少なくとも80%同一である。
【0030】
図2は、ギャップマー構造を有するオリゴヌクレオチド207を示す。オリゴヌクレオチド207は、約10個のDNA塩基の中央領域221に隣接する二つのウィング(第1のウィング215および第2のウィング216)を含む。好ましい実施形態では、ウィング215、216は、すべてまたは主にRNA塩基であり、中央領域221は、すべてまたは主にDNA塩基である。好ましくは、ウィングはすべてRNA塩基(修飾または非修飾)であり、中央領域はすべてDNA塩基である。いくつかの実施形態では、各ウィングは、5個のRNA塩基からなり、その全部または大部分は修飾RNA塩基であり、例えば、各修飾RNA塩基は、2’-O-メトキシエチルRNAおよび2’-O-メチルRNAからなる群から選択される。修飾RNA塩基は、リボース糖のTヒドロキシル基上の置換を含み得る。
【0031】
図3は、RNA塩基に含まれ得る2’-O-メトキシエチル(「2’-MOE」)修飾された糖を示す。
【0032】
オリゴヌクレオチド207は、好ましくは少なくとも約15塩基を含み、約15~約25塩基を含み得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド207は、複数のホスホロチオエート結合を含む骨格を有する。
【0033】
図4は、オリゴヌクレオチド207の中央領域221などのDNAのセグメントの骨格内のホスホロチオエート結合505を示す。オリゴヌクレオチド207は、1または任意の数のホスホロチオエート結合505を含み得る。例えば、オリゴヌクレオチド207内の全ての骨格結合は、ホスホロチオエートであってもよく、または大部分、または約半分であってもよい。
【0034】
組成物101は、送達のために製剤化され得る。したがって、オリゴヌクレオチド107は、最初は、シリンジ、バッグ、または注入ポンプへの導入に適した製剤への混合に適した形態であり得る。例えば、オリゴヌクレオチド107(1つのオリゴヌクレオチド107の数千または数百万またはそれを超えるコピー)は、既知のモル濃度でチューブまたは溶液中で凍結乾燥され得る。オリゴヌクレオチド107は、溶媒または賦形剤などの担体がオリゴヌクレオチド107を含む薬学的に許容され得る組成物に溶解または希釈されてもよく、IVバッグ、シリンジ、または髄腔内ポンプに装填されてもよい。記載されるように、組成物101は、配列番号1~164および166~390のうちの1つとの比較によって定義される配列を有する少なくとも1つのオリゴヌクレオチド107を含む。より好ましい組成物は、配列番号166~390のうちの1つとの比較によって定義される配列を有する少なくとも1つのオリゴヌクレオチド107を含む。したがって、本開示の組成物は、同定された標的によって定義および例示される。
【0035】
具体的には、オリゴヌクレオチド107は、配列番号1~164および166~390のうちの1つに少なくとも約75%相補的なmRNAのセグメントに沿ってナトリウムチャネルタンパク質をコードするmRNAにハイブリダイズし、それによってmRNAのナトリウムチャネルタンパク質への翻訳を防止する。これは、オリゴヌクレオチドが配列番号1~164および166~390のうちの1つと少なくとも約75%の同一性、好ましくは少なくとも約90%または95%の同一性を有する場合に達成される。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、配列番号1~164および166~390のうちの1つの配列を有するが、当業者は、相補的な標的に対して90個または好ましくは95%の同一性を有するオリゴヌクレオチドが依然として標的に配列特異的な様式でハイブリダイズする傾向があるだろうことを理解するであろう。二本鎖構造を形成することは、ワトソン-クリック型塩基対形成および塩基スタッキングによって十分にエネルギー的に有利であり、二本鎖構造は、およそ10個ごとに約1個のミスマッチ塩基対を許容することができる。したがって、DRGニューロンにおける中程度にストリンジェントな生理学的条件下では、特にオリゴヌクレオチドを酵素分解から保護するためにオリゴヌクレオチドが少なくとも数個の修飾RNA塩基またはホスホロチオエート骨格結合を有するギャップマー構造を有する場合、95%の同一性が有効であるはずである。
【0036】
実際、本開示の組成物の特徴および利点は、ナトリウムチャネル転写物以外の分子中に補体が存在する配列を除外するために標的(配列番号1~164および166~390)がスクリーニングされていることである。例えば、長い非コードRNA(IncRNA)を含むRNA転写物のデータベースに対して配列をスクリーニングし、非標的配列とマッチする初期配列を除外した。したがって、患者に投与した場合の配列番号1~164および166~390の配列を有するASOは、非標的配列にハイブリダイズする可能性を最小限に抑えるべきである。したがって、好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチド107は、スクリーニングされ、ヒトにおける任意のオフターゲットコードまたは長い非コードRNAについての閾値マッチを満たさないと決定された塩基配列を有する。上記の基準を満たす組成物または使用は、含まれる配列がIncRNAのデータベースに対してスクリーニングされているので、インビボでIncRNAなどのオフターゲット物質に結合すべきではない。本開示の配列は、標的特異性についてスクリーニングされている。好ましくは、オリゴヌクレオチド107は、ヒトまたは非ヒト霊長類ゲノム中の相同セグメントとのミスマッチがゼロであり、げっ歯類ゲノム中の相同セグメント中のミスマッチが約5以下である塩基配列を有する。
【0037】
組成物がインビトロで後根神経節(DRG)ニューロンに送達される場合、DRGは、NaV1.7、NaV1.8またはNaV1.9の用量依存的ノックダウンを示す。
【0038】
図5は、本開示の実施形態に従って設計された17の異なるASO(それぞれ3つの濃度)によるラットにおけるNaV1.7のノックダウンのためのqPCRアッセイの結果を示す(ASOを介した2’-O修飾RNAおよびホスホロチオエート結合を有するRNAウィングに隣接する20塩基、10塩基のDNA中央領域)。図の下部に沿って、「開始位置」、すなわちラットSCN9A mRNA内の位置が示されている。最も右側の3つのバーは、対照のみを投与した場合の発現レベルを示す。17個全てのASOは、少なくとも最高濃度で、対照と比較してNaV1.7発現を減少させた。位置1294から始まる20塩基標的に特異的なASOについて、最も強いノックダウンが示された。グラフは、GAPDHに対して正規化された発現レベルで、gymnotic送達を使用してDIV8に適用された17個のASO、3つの濃度の結果を示す。グラフは、本開示の組成物101がNaV1.7の用量依存的ノックダウンを示すことを示す。
【0039】
核酸ハイブリダイゼーションは、ミスマッチに対するいくらかの許容性を有するので、オリゴヌクレオチド107は、ホスホロチオエート結合によってのみ連結された塩基を有し、配列番号1~164および166~390のうちの1つと少なくとも90%のマッチである塩基配列を有し、オリゴヌクレオチド107は、5’ウィングおよび3’ウィング(例えば、5’ウィングおよび3’ウィングがそれぞれ、10個のDNA塩基に隣接する5個の連続した2’修飾RNA塩基を含む5-10-5構造、または4-12-4構造、または類似のもの)に隣接するDNA塩基の中央セグメントを有するか、またはチャートに示されるパターンに従って用量依存的ノックダウンを示すことが見出され得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド107は、具体的には、配列番号1~164および166~390(より好ましくは、配列番号166~390のうちの1つ)のうちの1つとマッチする塩基配列を有し、ホスホロチオエート結合によって連結された塩基を有し(必要に応じてウィング中にいくつかのホスホジエステル結合を有し)、オリゴヌクレオチド107は、5’ウィングおよび3’ウィングに隣接した中央の10個のDNA塩基を有し、5’ウィングおよび3’ウィングはそれぞれ、5個の連続する2’MOE RNA塩基を含む。
【0040】
図6は、対照と比較したラットDRGニューロンにおけるDIV14でのmRNA発現に対するNaV1.7標的化ASOの効果を示す。本開示の組成物101は、髄腔内投与のために製剤化された担体中に、先行する請求項のいずれか一項に記載の複数の異なる治療用ギャップマーの複数のコピーを含み得ることに留意されたい。好ましくは、いずれかの1またはそれを超えるオリゴヌクレオチド107は、インビトロでDRGを使用するアッセイにおいて、対照ギャップマーよりも少なくとも25%良好なNaVノックダウンを示し、候補オリゴヌクレオチドと対照は、大部分がまたはホスホロチオエート結合のみによって連結され、2’-MOE RNA塩基の5’ウィングおよび2’-MOE RNA塩基の3’ウィングに隣接するDNA塩基の中央セグメントを含む。
【0041】
これらの組成物はナトリウムチャネルの発現をノックダウンするのに有効であるので、本開示の組成物は、重度の難治性疼痛を経験する患者集団を処置するために使用され得る。本開示の方法は、それを必要とする患者に本開示の任意の組成物を投与し、それにより癌性疼痛(例えば、転移性骨癌に由来する)もしくは神経障害性疼痛(例えば、機能獲得型NaV変異に関連する小線維性神経障害)または他の集団を処置するかまたは緩和することを含む。本開示の方法は、任意のNaVチャネルを一次標的として標的化するために使用され得、二次標的のためのオリゴをさらに含み得る。例えば、一次標的はNaV1.7(1またはそれを超える配列番号1~53、166~171および178~191と実質的な同一性を有するオリゴを有する)であり得、二次標的はNaV1.8および/またはNaV1.9(それぞれ1またはそれを超える配列番号54~101、172~177、および192~200および/または配列番号102~141と実質的な同一性を有するオリゴを有する)であり得る。
【0042】
図7は、ラットDRGでqPCRによって試験したラットNaV標的ASOの選択性を示す。上のパネルは、NaV1.7に特異的なASOの送達のmRNAレベルに対する効果を示す。中央のパネルは、NaV1.8に特異的なASOを送達する効果を示す。底部パネルはNaV1.9用である。全てのパネルにおいて、バーの4番目の三つ組は、450nMカクテルASO(150nM NaV1.7 ASO+150nM NaV1.8 ASO+150nM NaV1.9 ASO)を送達するための結果を与える。各パネルにおいて、非標的NaVチャネルはASOによってノックダウンされなかった(NaV1.7 ASOは、NaV1.8またはNaV1.9などの発現をノックダウンせず、標的選択性を示した)。3つのオリゴヌクレオチド107のカクテルは、3つの標的すべてをノックダウンすることが示されている。
【0043】
図8は、本開示のオリゴヌクレオチド107内のリボース糖修飾の効果を比較する。ヒトSCN9A遺伝子の位置1294から始まる20塩基とマッチする20塩基配列を有するオリゴヌクレオチド107(配列番号6)を、2’-O-メチル-(OMe)リボース糖修飾を有する形態および2’-O-メトキシエチル-(MOE)リボース糖修飾を有する形態で試験した。配列番号165の対照オリゴに対して類似の試験を行った。本開示のオリゴヌクレオチドは対照よりも優れており、また示されるように、MOE修飾はOMe修飾よりも優れている(標的相対発現のより大きな阻害を示す)ことが見出された。したがって、本開示のオリゴヌクレオチドがRNAリボース糖に1またはそれを超える2’-O-メトキシエチル(MOE)修飾を含むことが好ましい場合がある。例えば、ASOは、それぞれ約5個のRNA塩基の5’および3’ウィングを有し得、それらのウィングでは、ほとんどまたはすべてのリボース糖がT MOEであり得る。
【0044】
NaV1.7とNaV1.8のASOの組み合わせ効果をインビトロでラットDRGニューロンで試験した。
【0045】
インビトロでのニューロンには、光刺激下で神経活性化を提供する光遺伝学的構築物(例えば、光に応答してニューロンを興奮させる改変藻類チャネルロドプシン)および神経活性の光学的レポーター(ニューロン膜電圧に比例して光を放出し、ニューロン活性のシグナルを生じる修飾されたアルケロドプシン)が含まれた。インビトロでのニューロンを蛍光顕微鏡装置でアッセイし、インビボでの疼痛の経験と類似の方法でDRGニューロンを興奮させる刺激物質として働く疼痛メディエーター組成物(例えば、シミュレートされた「癌疼痛スープ」)で処理した。任意の適切な光遺伝学的構築物、光遺伝学的顕微鏡、または疼痛メディエーター組成物が使用され得る。例えば、適切な光遺伝学的構築物には、参照により組み込まれる、米国特許第9,594,075号に記載されているものが含まれる。適切な光遺伝学的顕微鏡には、参照により組み込まれる、米国特許第10,288,863号に記載されているものが含まれる。適切な疼痛メディエーター組成物には、参照により組み込まれる、国際公開第2018/165577号に記載されているものが含まれる。
【0046】
インビトロでのDRGアッセイは、増加する光刺激下で、光遺伝学的神経試料のみからの光を測定することを含む。これにより、神経興奮性のベースラインが得られる。次いで、神経試料を刺激物質、ここではサイトカイン、プロテアーゼ、pH、壊死因子、または有痛性腫瘍の部位でインビボで見られ得る他の因子の混合物を含む疼痛メディエーター組成物で刺激する。その刺激物質で処理している神経試料から光を測定する。最後に、神経試料を本開示の組成物で処理する。刺激物質が測定された興奮性を測定されたベースラインから遠ざける場合、オリゴヌクレオチド107は、測定された興奮性をベースラインに向かって回復させる傾向があると仮定される。NaV 1.7およびNaV 1.8は、異なる(重複するが)神経活性条件下でそれらの効果を示すことがさらに予想される。結果は、抗NaV1.7および抗NaV1.8 ASOを組み合わせて、個々のNaV 1.7またはNaV 1.8 ASOと比較して、より多くの量およびより広い範囲の入力刺激レベルにわたって、有痛性刺激物質に対する神経応答を緩和することを示す。
【0047】
図9は、ベースライン、刺激物質による処置下、および刺激物質および抗NaV1.7 ASOによる処置下での青色光刺激の増加勾配に応答した神経活性の測定レベルを示す。予想されるように、NaV1.7 ASOは、刺激物質に応答して示される神経興奮性を減少させる。
【0048】
図10は、ベースライン、刺激物質による処置下、および刺激物質および抗NaV1.8 ASOによる処置下での青色光刺激の増加勾配に応答した神経活性の測定レベルを示す。予想されるように、NaV1.8 ASOは、入力刺激力の異なる領域ではあるが、刺激物質に応答して示される神経興奮性を減少させる。
【0049】
図11は、ベースライン、刺激物質での処置下、および刺激物質と抗NaV1.7 ASOおよび抗NaV1.8 ASOを含む組成物での処置下での青色光刺激の増加勾配に応答した神経活性の測定レベルを示す。オリゴの組み合わせの正味の疼痛軽減効果は、いずれかのオリゴ単独よりも良好である。DRGニューロンの活性レベルは、入力刺激の全範囲にわたって有意に低い。様々な有痛性症状を経験している生きている対象は、異なるNaVチャネルを標的とする異なるオリゴを含む組成物を投与することによって、鎮痛効果のより大きな範囲および効力によって利益を得ることが見出され得る。
【0050】
本開示の方法および組成物は、疼痛に罹患している患者のインビボで後根神経節(DRG)ニューロンに本明細書に記載の治療用オリゴヌクレオチド107を送達するために有益に使用され得る。例えば、全身送達(例えば、注射によって)または局所送達(例えば、皮下注射または徐放装置の埋め込みによって)を含む任意の適切な送達アプローチが使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示の組成物101は、髄腔内注射によって送達される。本開示の方法は、約数ヶ月毎、例えば約3回または4回/年の髄腔内注射によって本開示の組成物を送達することを含み得る。
【0051】
髄腔内注射は、脳脊髄液(CSF)に到達し、脊髄麻酔、化学療法、または疼痛管理用途に有用であるように、脊柱管内またはくも膜下腔内への注射を介した薬物の投与経路を指す。髄腔内送達は、組成物が血液脳関門によって停止されるのを回避する。好ましくは、組成物101は、標準的な注射用薬物調製物に時折見られる防腐剤または他の潜在的に有害な不活性成分を含有しないように、そのような製剤に配合される。組成物101は、髄腔内ポンプで提供されてもよく、または髄腔内ポンプを介した送達のための診療所での再構成に適した製剤で提供されてもよい。例えば、組成物101は、規定の濃度で溶液中(例えば、生理食塩水中)にあってもよい。技術者は、濃度を診療所で適切な希釈剤と混合して送達することができる。他の実施形態では、ASOは、凍結乾燥されるか、そうでなければ乾燥固体形態で保存され、再懸濁され、診療所で適切に希釈される。髄腔内送達は、PK、代謝、末梢オン/オフ標的効果に関する懸念を軽減する。髄腔内投与アプローチは、ジコヌクレオチドなどの他の薬物およびヌシネルセンなどのASOとの臨床使用について検証されている。そのような方法は、本開示の組成物101を神経系に直接送達するために使用され得る。
【0052】
組成物101中のギャップマー、ASO、または治療用オリゴヌクレオチド107などの本開示のオリゴヌクレオチドは、表1に示される配列のうちの1つを参照して定義される配列を有し得る。例えば、本開示のオリゴヌクレオチドは、表1に示す配列番号1~141のうちの1つと少なくとも約75%、80%、90%、95%、または完全に同一の配列を有し得る。SCN9Aに対する最も好ましい実施形態には、以下のようにラベル付けされた表1の実施形態が含まれる。「4/11」(配列番号11);「4/34」(配列番号27);「4/72」(配列番号166);「4/77」(配列番号167);「4/84」(配列番号168);「4/86」(配列番号169);「4/91」(配列番号170);および「4/95」(配列番号171)。SCN9Aに対するさらなる好ましい実施形態には、以下のようにラベル付けされた表1のものが含まれる。「4/6」(配列番号6);および「4/10」(配列番号10)。好ましい候補は、用量依存的様式でNaV1.7の強く有意なノックダウン活性(>75%)を示す。
【0053】
SCN10Aに対する最も好ましい実施形態には、以下のようにラベル付けされた表1の実施形態が含まれる。「5/62」(配列番号172);「5/65」(配列番号173);「5/81」(配列番号174);「5/84」(配列番号175);「5/88」(配列番号176);および「5/108」(配列番号177)。SCN10Aに対するさらなる好ましい実施形態には、以下のようにラベル付けされた表1のものが含まれる。「5/8」(配列番号61);「5/18」(配列番号71);「5/20」(配列番号73)。これらの好ましい候補は、用量依存的様式でNaV1.8の強く有意なノックダウン活性(>65%)を示す。
【0054】
SCN10AおよびSCN9Aの両方に対する最も好ましい実施形態には、以下のようにラベル付けされた表1のものが含まれる。「4/64」(配列番号145)および「5/53」(配列番号157)。これらの好ましい実施形態は、Nav1.7およびNav1.8の強いノックダウン活性を用量依存的様式で示す。
【0055】
SCN11Aに対する最も好ましい実施形態には、以下のようにラベル付けされた表1のものが含まれる。「6/1」(配列番号102);「6/3」(配列番号104);および「6/6」(配列番号107)。これらの3つの候補は、用量依存的様式でNaV1.9の強く有意なノックダウン活性(>70%)を示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【0056】
上で論じられたように、ベースライン、刺激物質による処置下、および刺激物質ならびに抗NaV1.7 ASOおよび抗NaV1.8 ASOを含む組成物による処置下での神経活性の測定レベルは、オリゴの組み合わせがオリゴ単独よりも良好に機能することを示す。本明細書に開示されるように、SCN9A(別名NaV1.7)に対する最も好ましい実施形態は、配列番号11、配列番号27、および配列番号166~171のうちの1つを有するものを含む。SCN9Aに対する他の好ましい実施形態には、配列番号6および配列番号10のうちの1つを有するものが含まれる。SCN10A(別名NaV1.8)に対する最も好ましい実施形態は、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、および配列番号177のうちの1つを有するものを含む。SCN10Aに対する他の好ましい実施形態としては、配列番号61、配列番号71、および配列番号73のうちの1つを有するものを含む。
【0057】
したがって、本開示の最も好ましい組み合わせの実施形態は、疼痛を処置するための組成物を含む。組成物は、配列番号6;および配列番号10またはより好ましくは配列番号27;および配列番号166~171のうちの1つに少なくとも約90%相補的なmRNAのセグメントに沿ってナトリウムチャネルタンパク質をコードするmRNAにハイブリダイズする第1のオリゴヌクレオチド、ならびに配列番号61;配列番号71;および配列番号73またはより好ましくは、配列番号172;配列番号173;配列番号174;配列番号175;配列番号176;および配列番号177のうちの1つに少なくとも約90%相補的なmRNAのセグメントに沿ってナトリウムチャネルタンパク質をコードするmRNAにハイブリダイズする第2のオリゴヌクレオチドを含む。好ましい組み合わせの実施形態では、治療用オリゴヌクレオチドのそれぞれは、修飾RNAウィングに隣接した中央DNAセグメントを含むギャップマー構造を有し得る。
【0058】
ウィングのいずれかまたは両方は、修飾されたRNA塩基を含み得、例えば、両方のウィングは、2’-O-メトキシエチルリボース修飾を有する5個の連続したRNA塩基を含み得る。各オリゴヌクレオチドの全体は、当業者には明らかであるように、ホスホジエステルまたはホスホロチオエート結合などを介して連結されていてもよい。好ましくは、複数の治療用オリゴヌクレオチドは、髄腔内注射のために診療所で希釈または再構成するために、凍結乾燥または溶液で提供される。すなわち、凍結乾燥されたまたは溶液中の1またはそれを超えるチューブに包装されたものは、少なくとも数千~数百万コピーの第1のオリゴヌクレオチドおよび少なくとも数千~数百万コピーの第2のオリゴヌクレオチドである。図11によって実証されるような効果を示すように、組成物のこの好ましい組み合わせの実施形態は、疼痛の処置のための非オピオイド治療薬として予想外の利益を有することが証明され得る。
【0059】
他の特徴および実施形態は、本開示の範囲内である。本開示の実施形態は、NaV1.7および/またはNaV1.8を発現している細胞においてNaV1.7またはNaV1.8の発現を阻害することができる、SCN9AまたはSCN10Aを標的とするロックド核酸(locked nucleic acid、LNA)アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、疼痛の防止または処置に使用され得る。本発明はさらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのヒトNaV1.7のオリゴヌクレオチド阻害剤またはsiRNAもしくはshRNAなどのRNAi剤によって標的化され得るヒトNaV1.7プレmRNA上の有利な標的部位配列を提供する。
【0060】
本発明は、10~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドを提供し、オリゴヌクレオチドは、ヒトNaV1.7標的核酸およびヒトNaV1.8標的核酸に対して少なくとも90%の相補性、例えば100%の相補性を有し、細胞内のNaV1.7またはNaV1.8の両方の発現を阻害することができる、10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。オリゴヌクレオチド107は、配列番号1~101、142~164および166~390のうちの1つと100%同一であり得るか、または少なくとも90%同一である。
【0061】
実施形態は、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的に許容され得る塩または本発明によるコンジュゲートを含む。
【0062】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは本発明のコンジュゲートと、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩および/またはアジュバントと、を含む医薬組成物を提供する。
【0063】
本発明は、医薬に使用するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは本発明のコンジュゲートまたは本発明の医薬の塩もしくは組成物を提供する。
【0064】
本発明は、疼痛の処置または防止または緩和に使用するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは本発明のコンジュゲートまたは本発明の医薬の塩もしくは組成物を提供する。本発明は、疼痛を処置、防止または緩和するための医薬を調製するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは本発明のコンジュゲートまたは本発明の医薬の塩もしくは組成物の使用を提供する。
【0065】
いくつかの実施形態では、疼痛は、慢性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、自発性疼痛、または侵害受容性疼痛である。
【0066】
オリゴヌクレオチドは、一般に、固相化学合成とそれに続く精製および単離によって実験室で作製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合、共有結合したヌクレオチドまたはヌクレオシドの核酸塩基部分またはその修飾の配列または順序が参照される。本発明のオリゴヌクレオチドは、人工のもの、すなわち化学的に合成されたものであってもよく、典型的には精製または単離される。本発明のオリゴヌクレオチドは、1またはそれを超える修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチド、例えば2’糖修飾ヌクレオシドを含み得る。
【0067】
修飾ヌクレオチドは、独立して、デオキシ-ヌクレオチド、3’末端デオキシ-チミン(dT)ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、ロック解除ヌクレオチド、配座制限ヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、無塩基ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル修飾ヌクレオチド、2’-C-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-ヒドロキシル修飾ヌクレオチド、2’-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミデート、ヌクレオチドを含む非天然塩基、1,5-アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’-ホスフェートを含むヌクレオチド、5’-ホスフェート模倣物を含むヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド、および2’-O-(N-メチルアセトアミド)修飾ヌクレオチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0068】
ASOの窒素塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチンおよびヒポキサンチンなどの天然に生じる核酸塩基、ならびに置換プリンまたは置換ピリミジンなどの非天然変異体、例えばイソシトシン、プソイドイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロシトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル、5-チアゾロウラシル、2-チオ-ウラシル、2’チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基であり得る。
【0069】
核酸塩基部分は、各対応する核酸塩基、例えばA、T、G、CまたはUの文字コードによって示され得、各文字は、同等の機能の修飾核酸塩基を必要に応じて含み得る。例えば、例示されるオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、Cおよび5-メチルシトシンから選択される。必要に応じて、LNAギャップマーの場合、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドを使用してもよい。
【0070】
本開示のオリゴヌクレオチド107は、ナトリウムチャネル(NaV1.7、1.8または1.9)の発現を下方制御する(阻害する)ことができる。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的の発現を阻害または下方制御することによって、標的の発現を調節することができる。好ましくは、そのような調節は、標的の正常発現レベルと比較して少なくとも20%の発現の阻害、より好ましくは標的の正常発現レベルと比較して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の阻害をもたらす。
【0071】
本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、例えばプレ-mRNAのスプライシングの調節を介して、標的核酸(例えば、RNase H切断を介して)のレベルを低下させ得るか、または標的核酸の機能性を低下させ得る(または機能性を変化させ得る。
【0072】
本開示のオリゴヌクレオチド107は、修飾された糖部分、すなわち、DNAおよびRNAに見られるリボース糖部分と比較した場合の糖部分の修飾を有する1またはそれを超えるヌクレオシドを含み得る。主に、親和性および/またはヌクレアーゼ耐性などのオリゴヌクレオチドの特定の特性を改善する目的で、リボース糖部分を修飾した多数のヌクレオシドが作製されている。そのような修飾には、リボース環構造が、例えば、リボース環(HNA)、または典型的にはリボース環(LNA)上のC2炭素とC4炭素との間に架橋を有する二環式環、または典型的にはC2炭素とC3炭素との間の結合を欠く非連結リボース環(例えば、UNA)での置換によって修飾されるものが含まれる。修飾ヌクレオシドには、例えばペプチド核酸(PNA)またはモルホリノ核酸の場合、糖部分が非糖部分で置き換えられているヌクレオシドも含まれる。
【0073】
糖修飾には、リボース環上の置換基を水素以外の基、またはDNAおよびRNAヌクレオシドに天然に見られる2’-OH基に変更することによって行われる修飾も含まれる。置換基は、例えば、2’、3’、4’または5’位に導入され得る。
【0074】
オリゴヌクレオチドは、1またはそれを超えるロックド核酸(LNA)塩基を含み得る。LNAは、リボース環の配座を制限またはロックする、前記ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’とを連結するビラジカルを含む2’修飾ヌクレオシド「2’-4’ブリッジ」を含み得る。これらのヌクレオシドは、文献では架橋核酸または二環式核酸(bicyclic nucleic acid、BNA)とも呼ばれる。LNAが相補的なRNAまたはDNA分子のためのオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、リボースの立体配座の固定は、ハイブリダイゼーションの増強された親和性(二重鎖安定化)に関連する。これは、オリゴヌクレオチド/補体二重鎖の融解温度を測定することによって日常的に決定することができる。非限定的で例示的なLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号、国際公開第00/66604号、国際公開第98/039352号、国際公開第2004/046160号、国際公開第00/047599号、国際公開第2007/134181号、国際公開第2010/077578号、国際公開第2010/036698号、国際公開第2007/090071号、国際公開第2009/006478号、国際公開第2011/156202号、国際公開第2008/154401号、国際公開第2009/067647号および国際公開第2008/150729号に開示されており、これらはすべて参照により組み込まれる。
【0075】
本開示のオリゴヌクレオチドの薬学的に許容され得る塩には、遊離塩基または遊離酸の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない塩が含まれる。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、特に塩酸などの無機酸、および酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、スルホン酸、またはサリチル酸などの有機酸で形成される。さらに、これらの塩は、遊離酸への無機塩基または有機塩基の添加から調製され得る。無機塩基から誘導される塩には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が含まれるが、これらに限定されない。有機塩基から誘導される塩としては、限定されないが、第一級、第二級および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂の塩が挙げられる。
【0076】
オリゴヌクレオチド107は、ナトリウムチャネルプレmRNAまたはmRNA転写物のヌクレアーゼ媒介分解を媒介または促進し得る。ヌクレアーゼ媒介分解は、そのような配列と二重鎖を形成するときに相補的なヌクレオチド配列の分解を媒介することができるオリゴヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸のヌクレアーゼ媒介分解を介して機能することができ、本発明のオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ、特にエンドヌクレアーゼ、好ましくはRNase Hなどのエンドリボヌクレアーゼ(RNase)を動員することができる。ヌクレアーゼ媒介機構を介して作用するオリゴヌクレオチド設計の例は、典型的には少なくとも5個または6個の連続するDNAヌクレオシドの領域を含み、親和性増強ヌクレオシド、例えばギャップマーによって片側または両側に隣接するオリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチド107のRNase H活性とは、相補的RNA分子との二重鎖にあるときにRNase Hを動員する能力を指す。
【0077】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド107またはその連続するヌクレオチド配列は、ギャップマーオリゴヌクレオチドまたはギャップマー設計とも呼ばれるギャップマーであり得る。アンチセンスギャップマーは、一般に、RNase H媒介分解を介して標的核酸を阻害するために使用される。ギャップマーオリゴヌクレオチドは、「5→3」配向の少なくとも3つの異なる構造領域、5’-フランク、ギャップおよび3’-フランク、F-G-Fを含む。「隙間」領域(G)は、オリゴヌクレオチドがRNase Hを動員することを可能にする一続きの連続するDNAヌクレオチドを含む。ギャップ領域は、1またはそれを超える糖修飾ヌクレオシド、有利には高親和性糖修飾ヌクレオシドを含む5’隣接領域(F)と、1またはそれを超える糖修飾ヌクレオシド、有利には高親和性糖修飾ヌクレオシドを含む3’隣接領域(F’)とに隣接している。領域FおよびF’における1またはそれを超える糖修飾ヌクレオシドは、標的核酸に対するオリゴヌクレオチドの親和性を高める(すなわち、親和性増強糖修飾ヌクレオシドである)。いくつかの実施形態では、領域FおよびF’における1またはそれを超える糖修飾ヌクレオシドは、2’糖修飾ヌクレオシド、例えば高親和性2’糖修飾、例えばLNAおよび2’-MOEから独立して選択されるものである。
【0078】
混合ウィングギャップマーは、領域FおよびF’の一方または両方が2’置換ヌクレオシド、例えば2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA単位、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA単位、MOE単位、アラビノ核酸(ANA)単位、2’-フルオロ-ANA単位、またはそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される2’置換ヌクレオシドを含むLNAギャップマーである。領域FおよびF’の少なくとも1つ、または領域FおよびF’の両方が少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含むいくつかの実施形態では、領域FおよびF’の残りのヌクレオシドは、2’-MOEおよびLNAからなる群から独立して選択される。領域FおよびF’の少なくとも1つ、または領域FおよびF’の両方が少なくとも2つのLNAヌクレオシドを含むいくつかの実施形態では、領域FおよびF’の残りのヌクレオシドは、2’-MOEおよびLNAからなる群から独立して選択される。いくつかの混合ウィング実施形態では、領域FおよびF’の1つまたは両方は、1またはそれを超えるDNAヌクレオシドをさらに含み得る。ギャップマー設計は、いずれも参照により組み込まれる、国際公開第2008/049085号および国際公開第2012/109395号に論じられている。
【0079】
オリゴヌクレオチド107の1またはそれを超える非ヌクレオチド部分へのコンジュゲーションは、例えば、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、細胞取り込みまたは安定性に影響を及ぼすことによって、オリゴヌクレオチドの薬理学を改善し得る。いくつかの実施形態では、コンジュゲート部分は、オリゴヌクレオチドの細胞分布、バイオアベイラビリティ、代謝、排泄、透過性および/または細胞取り込みを改善することによって、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改変または増強することができる。特に、コンジュゲートは、オリゴヌクレオチドを特定の器官、組織または細胞型に標的化し、それによってその器官、組織または細胞型におけるオリゴヌクレオチドの有効性を高め得る。コンジュゲートはまた、非標的細胞型、組織または器官におけるオリゴヌクレオチドの活性、例えば非標的細胞型、組織または器官におけるオフターゲット活性または活性を低下させるのに役立ち得る。
【0080】
一実施形態では、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分)は、炭水化物、細胞表面受容体リガンド、原薬、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素(例えば、細菌毒素)、ビタミン、ウイルスタンパク質(例えば、キャプシド)またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0081】
本開示のオリゴヌクレオチド107は、上述のオリゴヌクレオチドおよび/またはオリゴヌクレオチドコンジュゲートもしくはその塩、ならびに薬学的に許容され得る希釈剤、担体、塩および/またはアジュバントのいずれかを含む医薬組成物で提供され得る。薬学的に許容され得る希釈剤には、ACSF人工脳脊髄液が含まれ、薬学的に許容され得る塩には、ナトリウム塩およびカリウム塩が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、薬学的に許容され得る希釈剤は、滅菌リン酸緩衝生理食塩水または滅菌炭酸ナトリウム緩衝液である。いくつかの好ましい実施形態では、臨床用途のための希釈剤は、ElliottのB溶液および/またはACSF人工脳脊髄液を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、薬学的に許容され得る希釈剤中の溶液、例えばPBSまたは炭酸ナトリウム緩衝液に溶解した溶液の形態である。オリゴヌクレオチドは、溶液中に予め製剤化されてもよく、またはいくつかの実施形態では、投与前に薬学的に許容され得る希釈剤に溶解され得る乾燥粉末(例えば、凍結乾燥粉末)の形態であってもよい。適切には、例えば、オリゴヌクレオチドは、0.1~100mg/mL、例えば1~10mg/mLの濃度で溶解され得る。
【0083】
本開示の組成物は、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、自発性疼痛、または侵害受容性疼痛などの疼痛の防止または処置のために患者に投与され得る。本発明のオリゴヌクレオチド、または本発明のコンジュゲート、塩もしくは医薬組成物は、局所鎮痛薬として使用するためのものであり得る。
【0084】
本発明のオリゴヌクレオチド、または本発明のコンジュゲート、塩もしくは医薬組成物によって処置され得る疼痛は、疼痛シグナルが末梢神経系にある疼痛であり得る。有意な末梢成分による疼痛に関連する適応症には、例えば、糖尿病性神経障害、癌、頭蓋神経痛、帯状疱疹後神経痛および術後神経痛が含まれる。
【0085】
本発明のオリゴヌクレオチド、コンジュゲート、組成物または塩を使用して防止、処置または改善され得る疼痛は、例えば、遺伝性先端紅痛症(IEM)、発作性激痛症(PEPD)、三叉神経痛、神経因性疼痛、慢性疼痛に関連する疼痛からなる群から選択され得るが、侵害受容性(例えば、神経の圧迫)、神経因性疼痛(例えば、糖尿病性神経障害)、内臓痛、癌性疼痛または混合疼痛の一般的な処置からも選択され得る。本発明は、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、自発性疼痛、癌性疼痛、または侵害受容性疼痛などの疼痛の防止または処置に使用するための本発明のオリゴヌクレオチド、コンジュゲート、組成物または塩を提供する。
【0086】
本開示は、疼痛を患っているか、または疼痛を患っている可能性があるヒトなどの対象における疼痛を処置または防止する方法であって、治療上または予防上有効量の本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物を、癌性疼痛、変形性関節症性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、自発性疼痛、または侵害受容性疼痛などの疼痛を患っているか、または疼痛を患っている可能性がある対象に投与することを含み、オリゴヌクレオチドが、配列番号1~164および166~390のうちの1つに相補的な配列を標的とする、方法を提供する。
【0087】
二重ノックダウン実施形態
本開示の実施形態は、複数の標的を介して疼痛を処置するための治療組成物に関する。組成物は、配列番号142~164のうちの1つに少なくとも約75%相補的なRNAのセグメントに沿ってナトリウムチャネルタンパク質の2またはそれを超える遺伝子(例えば、ヒトNaV1.7/NaV1.8)からのRNAにハイブリダイズし、それによってRNAのナトリウムチャネルタンパク質への翻訳を防止するオリゴヌクレオチドを含む。注意:SCN9AはNaV1.7であり、SCN10AはNaV1.8であり、SCN11AはNaV1.9である。
【0088】
オリゴヌクレオチドは、配列番号142~164(「ギャップマー」構造ではあるが、DNAコアおよびRNAウィングを有する)のうちの1つと少なくとも80%類似する配列を有し得る。オリゴヌクレオチドの外側ウィングは、例えば、大部分または全体が2-メトキシエチル(2’-MOE)RNA塩基で作られているなどの修飾RNA化学を含み得る。好ましい実施形態は、ウィング内にいくつかの(例えば、2~4)ホスホジエステル結合を含み、他のすべての塩基間結合はホスホロチオエートである。例えば、第2、第3、第4、第15および第17の結合(配列に記載された方向)は、ホスホジエステルであり得、他は全てホスホロチオエートである。特に、そのような実施形態では、最も外側の結合およびDNA塩基を含むすべての結合は、好ましくはホスホロチオエートであり、3つのRNA間結合が2つまたは3つのホスホジエステル結合のいずれかを含むように残る(残りはホスホロチオエートである)。好ましい実施形態では、組成物は、それぞれが配列番号142~164のうちの1つによって与えられる配列を有し、5-9-5(RNA-DNA-RNA)ギャップマー設計を有する1またはそれを超えるオリゴヌクレオチドのコピーを含み、最も外側の塩基間結合およびDNA塩基を含むすべての結合はホスホロチオエートであり、各ウィングの他の3つのRNA間結合は2つまたは3つのホスホジエステル結合のいずれかを含む(残りはホスホロチオエートである)。
【0089】
配列番号142~164によって例示されるヒトNav1.7/Nav1.8二重ノックダウン配列はそれぞれ、好ましくは、5’および3’のRNA様ウィングを有する9塩基のDNAコアを有する5×9×5の立体配置の後の19-merのASOギャップマー設計として提供される。好ましくは、5’および3’ウィングは、少なくとも実質的に2-メトキシエチル(2’-MOE)化学の後に続き、骨格結合は、ホスホロチオエート(PS)およびホスホジエステル(PO)(例えば、最も外側の塩基間結合およびDNA塩基を含むすべての結合はPSであり、各ウィングの他の3つのRNA間結合は2つまたは3つのPS結合のいずれかを含み、残りはPOである)の混合物を含む。一定の実施形態では、ヒトNaV1.7/NaV1.8二重ノックダウンが、配列番号142~164のうちの1つによって示される配列を有するオリゴヌクレオチドおよび上記のギャップマー組成物を含む。
【0090】
二重ノックダウン配列のうち、群1と呼ばれる第1の好ましい実施形態が、配列番号142~152によって示され、参照番号(標的コード/番号)4/61-4/71とも記載される。群1の二重ノックダウンASOはすべて、ヒトSCN9A転写物と100%のマッチを有し、ヒトSCN10Aと1ヌクレオチドのミスマッチしか有さない。群1の示された二重ノックダウンASOオリゴヌクレオチドは、9塩基のDNAコアならびに5’および3’のRNA様ウィングを有する5-9-5ギャップマー設計を有する。5’および3’ウィングは、2-メトキシエチル(2’-MOE)化学を含む。骨格は、ホスホロチオエート(PS)およびホスホジエステル(PO)の混合物を含み、例えば、第2、第3、第4、第15および第17の結合(配列に記載された方向)は、POであってもよく、他は全てPSである。好ましくは、配列番号142~152のいずれかは、その骨格化学を有する。この群1の各配列は、ヒトSCN9AプレRNAまたはmRNAの標的配列に対して0のミスマッチおよびヒトSCN10AプレRNAまたはmRNAの標的配列に対して1のミスマッチを有する。
【0091】
二重ノックダウン配列のうち、群2と呼ばれる第2の好ましい実施形態は、配列番号153~164によって示され参照番号(標的コード/番号)5/49-5/60とも記載される。群2の二重ノックダウンASOはすべて、ヒトSCN10A転写物と100%のマッチを有し、ヒトSCN9Aと1ヌクレオチドのミスマッチしか有さない。示されている2群の二重ノックダウンASOオリゴヌクレオチドは、5’および3’のRNA様ウィングを有する9塩基のDNAコアを有する5-9-5ギャップマー設計を有する。5’および3’ウィングは、2-メトキシエチル(2’-MOE)化学を含む。骨格は、ホスホロチオエート(PS)とホスホジエステル(PO)との混合物を含み、例えば、第2、第3、第4、第15、および第17の結合(配列に記載された方向)はPOであってもよく、他は全てPSである。好ましくは、配列番号153~164のいずれかは、その骨格化学を有する。この群2の各配列は、ヒトSCN9AプレRNAまたはmRNAの標的配列に対して1つのミスマッチを有し、ヒトSCN10AプレRNAまたはmRNAの標的配列に対して0つのミスマッチを有する。
【0092】
特定の二重ノックダウン実施形態では、本発明は、10~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドを提供し、オリゴヌクレオチドは、ヒトNaV1.7標的核酸およびヒトNaV1.8標的核酸に対して少なくとも90%の相補性、例えば100%の相補性を有し、細胞内のNaV1.7またはNaV1.8の両方の発現を阻害することができる、10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0093】
図12は、本開示のASOが複数のNav標的の強力かつ選択的なノックダウンを提供することを示す。図において、上のグラフは、2つの濃度で4つの異なるASO(標識ASO1、ASO2、ASO3、およびASO4)で処理した場合の、NaV1.5およびNaV1.2の他のNaV1.7の比較発現レベルを示す。下のグラフは、2つの濃度でそれらの同じ4つの異なるASO(再び、ASO1、ASO2、ASO3、およびASO4)で処理した場合のNaV1.5およびNaV1.2以外のNaV1.8の比較発現レベルを示す。
【0094】
上のパネルにおける6つのバーからなる第1の群は、5nMまたは15nMのどちらかの濃度のASO1において、NaV1.7の発現が、NaV1.5およびNaV1.2の発現と比較して有意にノックダウンされたことを示す。予想外にも、下のパネルの6つのバーからなる第1の群は、5nMまたは15nMのいずれかの濃度のASO1において、NaV1.5およびNaV1.2の発現と比較して、NaV1.8の発現が有意にノックダウンされたことを示す。すなわち、上パネルおよび下パネルの6つのバーの左端の群は、ASO1が、NaV1.5およびNaV1.2と比較して、NaV1.7およびNaV1.8の両方の発現を特異的にノックダウンすることを示している。上部パネルおよび下部パネルを一緒に見ると、部分の第2の群は、ASO2について同じことを示し、バーの第3の群は、ASO3について同じ結果を示し、6つのバーからなる第4の群は、ASO4について同じ結果を示す。これらのデータは、本開示のASOがNaV1.7またはNaV1.8の両方の発現を阻害することができることを強く示している。
【0095】
異なるNavチャネルは、異なる生物物理学的特性および興奮性における役割を有する。
【0096】
図13は、どのNavチャネルが神経活性の閾値、閾値未満および閾値を超える興奮性に実質的または主に関与しているかを示す。データは、青色光およびOptopatch構築物を使用してニューロンを刺激し、ナトリウム(Na)伝導率を測定することによって得られる。青色光刺激プロトコルを使用して、侵害受容器発火における各Navの役割を特徴付けた。データは、NaV1.7およびNaV1.8が閾値以上の活性の主な駆動因子であり、したがって、これらの標的が疼痛を処置するための治療組成物の貴重な標的であることを示す。ここで、本開示は、検証された標的Nav1.7およびNav1.8に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドに基づく治療薬を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【配列表】
2024519204000001.app
【国際調査報告】