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特表2024-519205抗BCMA抗体薬物コンジュゲート(ADC)をガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)と組み合わせて使用する併用療法
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  • 特表-抗BCMA抗体薬物コンジュゲート(ADC)をガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)と組み合わせて使用する併用療法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-09
(54)【発明の名称】抗BCMA抗体薬物コンジュゲート(ADC)をガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)と組み合わせて使用する併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20240430BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240430BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240430BHJP
【FI】
A61K47/68
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/55
A61K39/395 T
A61P35/02
C12N15/13 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566580
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 US2022026899
(87)【国際公開番号】W WO2022232488
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/182,598
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508027464
【氏名又は名称】セルジーン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100221523
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】ウー,カイダ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C076GG06
4C076GG47
4C085AA14
4C085AA25
4C085BB01
4C085BB11
4C085BB31
4C085BB33
4C085BB34
4C085BB35
4C085BB36
4C085BB37
4C085BB41
4C085BB43
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB11
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)と組み合わせたBCMA(BCMA)及びそのアイソフォーム、並びに相同体に特異的に結合する抗体コンジュゲートの治療方法などでの使用方法に関する。また、抗体コンジュゲート及びGSIを含む医薬組成物及びキットも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の治療又は予防を必要とする対象における癌を治療又は予防する方法であって、
前記対象に、
a)有効量の下記式:
【化1】
による抗体コンジュゲートであって、式中、
nが、1~4であり、
前記抗体が、配列番号13のV領域と配列番号14のV領域とを含み、
前記抗体が、EUナンバリングスキームに従って、部位HC-F404及びHC-Y180の各々において置換するp-アジドメチル-フェニルアラニンの残基を更に含み、
前記式の括弧内の各構造が、前記p-アジドメチル-フェニルアラニン残基のうちの1つで前記抗体に結合されている、抗体コンジュゲートと、
b)有効量の下記式:
【化2】
によるBMS-986405、又はその薬学的に許容される塩、クラスレート、固体形態、溶媒和物、立体異性体、互変異性体、若しくはラセミ混合物とを投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記抗体コンジュゲートの前記有効量が、前記対象の体重の約0.3mg/kg、0.6mg/kg、1.0mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2.0mg/kg、2.25mg/kg、2.5mg/kg、2.75mg/kg、3.0mg/kg、3.25mg/kg、3.5mg/kg、3.75mg/kg、4.0mg/kg、4.25mg/kg、4.5mg/kg、4.75mg/kg、5.0mg/kg、5.25mg/kg、5.5mg/kg、5.75mg/kg、6.0mg/kg、6.1mg/kg、6.2mg/kg、6.3mg/kg、6.4mg/kg、6.5mg/kg、6.6mg/kg、6.7mg/kg、6.8mg/kg、6.9mg/kg、7.0mg/kg、7.25mg/kg、7.5mg/kg、7.75mg/kg、8.0mg/kg、8.25mg/kg、8.5mg/kg、8.75mg/kg、9.0mg/kg、9.25mg/kg、9.5mg/kg、9.75mg/kg、又は10.0mg/kgである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
BMS-986405の前記有効量が、約25mgである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記有効量の前記抗体コンジュゲートが、前記対象に3週間毎に1回投与され、前記有効量のBMS-986405が、前記対象に21日のサイクル中に毎週3回投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記有効量の前記抗体コンジュゲートが、前記対象に前記21日のサイクルの1日目に投与され、前記抗体コンジュゲートの前記有効量が、0.3mg/kg、0.6mg/kg、1.25mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.5mg/kg、又は6.7mg/kgである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記有効量のBMS-986405が、前記対象に前記21日のサイクルの1日目、3日目、5日目、8日目、10日目、12日目、15日目、17日目、及び19日目に投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体コンジュゲートの前記有効量が、0.3mg/kgである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体コンジュゲートの前記有効量が、0.6mg/kgである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体コンジュゲートの前記有効量が、1.25mg/kgである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項10】
前記抗体コンジュゲートの前記有効量が、2.0mg/kgである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体コンジュゲートの前記有効量が、3.0mg/kgである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項12】
前記抗体コンジュゲートの前記有効量が、4.5mg/kgである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体コンジュゲートの前記有効量が、6.7mg/kgである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項14】
BMS-986405の前記有効量が、約25mgである、請求項4~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記有効量の前記抗体コンジュゲートが、静脈内投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
nが、1である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
nが、2である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
nが、3である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
nが、4である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの定常領域ドメインを更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記定常領域が、配列番号19及び20、又はその両方から選択される配列を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体が、IgA、IgD、IgE、IgG、又はIgMである、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記抗体が、ヒト化されているか、又はヒトである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記抗体が、アグリコシル化されている、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記抗体が、抗体断片である、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記抗体断片が、Fv断片、Fab断片、F(ab’)断片、Fab’断片、scFv(sFv)断片、及びscFv-Fc断片から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記抗体が、scFv断片である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記抗体が、scFv-Fc断片である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記抗体が、カニクイザルBCMA受容体に特異的に結合する、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記抗体が、マウスBCMA受容体に特異的に結合する、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記抗体コンジュゲートが、前記BMS-986405と同時に投与される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記抗体コンジュゲートが、前記BMS-986405の前記投与の前に投与される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記抗体コンジュゲートが、前記BMS-986405の前記投与の後に投与される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記抗体コンジュゲート及び前記BMS-986405が、空腹時に投与される、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記抗体コンジュゲート及び前記BMS-986405が、満腹時に投与される、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記癌が、白血病である、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記癌が、リンパ腫である、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記癌が、多発性骨髄腫である、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記多発性骨髄腫が、国際病期分類又は改訂国際病期分類に従って、ステージIである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記多発性骨髄腫が、国際病期分類又は改訂国際病期分類に従って、ステージIIである、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記多発性骨髄腫が、国際病期分類又は改訂国際病期分類に従って、ステージIIIである、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記多発性骨髄腫が、新たに診断された多発性骨髄腫である、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記多発性骨髄腫が、再発性又は難治性多発性骨髄腫である、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
キットであって、
a)1つまたはそれ以上の用量の下記式:
【化3】
による抗体コンジュゲートであって、式中、
nが、1~4であり、
前記抗体が、配列番号13のV領域と配列番号14のV領域とを含み、
前記抗体が、EUナンバリングスキームに従って、部位HC-F404及びHC-Y180の各々において置換するp-アジドメチル-フェニルアラニンの残基を更に含み、
前記式の括弧内の各構造が、前記p-アジドメチル-フェニルアラニン残基のうちの1つで前記抗体に結合されている、抗体コンジュゲートと、
b)1つまたはそれ以上の用量の下記式:
【化4】
によるBMS-986405、又はその薬学的に許容される塩、クラスレート、固体形態、溶媒和物、立体異性体、互変異性体、若しくはラセミ混合物と、
前記抗体コンジュゲート及び前記BMS-986405の使用説明書とを含む、キット。
【請求項46】
前記抗体コンジュゲートが、凍結乾燥されている、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
前記凍結乾燥抗体コンジュゲートの再構成のための流体を更に含む、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
前記抗体コンジュゲートが、約10mg~約1000mgを含む量で存在する、請求項45~47のいずれか一項に記載のキット。
【請求項49】
前記BMS-986405が、約25mgを含む量で存在する、請求項45~48のいずれか一項に記載のキット。
【請求項50】
前記キットが、前記抗体コンジュゲート及び前記BMS-986405を含む1つまたはそれ以上の容器を備える、請求項45~49のいずれか一項に記載のキット。
【請求項51】
前記抗体コンジュゲート及び前記BMS-986405が、別個の容器に入れられている、請求項50に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年4月30日に出願された米国仮特許出願第63/182,598号の利益を主張する。
【0002】
電子的に提出された配列表への言及
本出願は、2022年4月15日に作成され、14247-660-228_SEQ_LISTING.txtと題名が付けられ、30,224バイトのサイズを有するテキストファイルとして本出願と一緒に提出された配列表を参照により組み込む。
【0003】
本明細書に提供されるのは、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)と組み合わせて、B細胞成熟抗原(BCMA)に対して結合特異性を有する抗体コンジュゲートを治療方法などで使用する方法である。また、本明細書に提供されるのは、抗体コンジュゲートとガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)とを含む医薬組成物及びキットである。コンジュゲート及び組成物を使用する方法は、例えば、多発性骨髄腫(例えば、再発性又は難治性多発性骨髄腫)などの細胞増殖及び癌の治療法並びに予防法において有用である。
【背景技術】
【0004】
B細胞成熟抗原(BCMA)は、B細胞活性化因子を認識する腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリーの一員である。ヒトにおいてこのタンパク質は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17)においてコードされ、成熟B細胞リンパ球で優先的に発現される。
【0005】
BCMAは、B細胞の成熟及び形質細胞への分化の調節において重要な役割を果たす。これは、BAFF受容体(BAFF-R)及び膜貫通型活性化因子/カルシウム調節因子/シクロフィリンリガンド相互作用因子(TACI)と密接に関係している。BCMA、BAFF-R、及びTACIは、発達の異なる段階でB細胞の生存を促進するIII型膜貫通型タンパク質であるが、BCMAは、形質芽細胞及び分化した形質細胞などのB細胞系統細胞で独占的に発現される(Avery et al.(2003)J.Clin.Invest.112(2):286-297;O’Connor et al.(2004)J.Exp.Med.199(1):91-98)。それは、形質細胞分化中に選択的に誘導され、分化した細胞におけるBAFF-R発現の喪失と共に同時に生じる(Darce et al.(2007)J.Immunol.178(9):5612-5622)。BCMA発現は、正常な形質細胞及び形質芽細胞の生存を支援するように見えるが、典型的には、ナイーブな大部分のメモリーB細胞には通常は存在しない。したがって、それは全体的なB細胞の恒常性に必要であるとは考えられないが、骨髄における長期生存型形質細胞の最適な生存に必要とされる(O’Connor et al.(2004)(上記);Xu,S.and K.P.Lam(2001)Mol.Cell.Biol.21(12):4067-4074)。
【0006】
多発性骨髄腫において、BCMAは、悪性形質細胞中では高レベルで例外なく広範囲にわたって発現されることが示されているが、典型的には、形質細胞以外の正常なヒト組織では検出されない。多発性骨髄腫細胞株上の細胞表面受容体としてのその選択的発現のために、BCMAは、多発性骨髄腫を治療するための療法において標的化される可能性があり得る。BCMAの発現は、白血病及びリンパ腫にも関連している。したがって、BCMAの活性を標的化及び/又は調整する改善された方法が必要とされている。形質細胞上のBCMAの特異的発現及び非癌組織におけるより低い発現を考慮すると、BCMAを発現若しくは過剰発現する細胞及び組織を特異的に標的とすることができる改善された治療薬に対するニーズがある。BCMAに対する抗体コンジュゲートは、そのような疾患の治療若しくは診断のために、治療的若しくは診断的ペイロード部分を、BCMAを発現する標的細胞に送達するために使用することができる。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に提供されるのは、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)と組み合わせて、B細胞成熟抗原(BCMA)に選択的に結合する抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)を治療方法などで使用する方法である。抗体コンジュゲートは、1つ以上のペイロード部分に連結された、BCMAに結合する抗体を含む。抗体は、リンカーによってペイロードに連結されている。BCMA抗体は、有用なペイロード部分として、及び有用なリンカーとして本明細書に詳細に記載されている。同様に、BMS-986405などのGSIも本明細書に詳細に記載される。
【0008】
いくつかの実施形態では、本発明は、1つ以上のペイロード部分を、BCMAを発現する標的細胞又は組織に送達する方法である。いくつかの実施形態では、本方法は、治療の方法である。いくつかの実施形態では、抗体コンジュゲートは、疾患又は状態を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、疾患又は状態は癌であり、例えば、多発性骨髄腫である。
【0009】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、抗体コンジュゲートとGSIとを含むキットである。
【0010】
いくつかの実施形態では、抗体コンジュゲートは、ヒトBCMAに結合する。いくつかの実施形態では、抗体コンジュゲートは、ヒトBCMAの相同体にも結合する。いくつかの態様では、抗体コンジュゲートは、カニクイザル及び/又はマウスBCMAにも結合する。
【0011】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、癌の治療又は予防を必要とする対象における癌を治療又は予防する方法であって、対象に、a)有効量の下記式に従う抗体コンジュゲートであって、
【化1】
式中、nは、1~4であり、抗体は、配列番号13のV領域と、配列番号14のV領域とを含み、抗体は、EUナンバリングスキームに従うHC-F404及びHC-Y180部位の各々で置換するp-アジドメチル-フェニルアラニンの残基を含む重鎖定常領域を更に含み、式の括弧内の各構造は、p-アジドメチル-フェニルアラニン残基のうちの1つで抗体に結合している、抗体コンジュゲートと、b)有効量のBMS-986405とを投与することを含む、方法である。他の実施形態では、抗体は、(i)配列番号5若しくは6を含むCDR1;配列番号7若しくは8を含むCDR2;配列番号9を含むCDR3を含むV領域と、(ii)配列番号10を含むCDR1;配列番号11を含むCDR2;及び配列番号12を含むCDR3を含むVとを含む。抗体コンジュゲートのより具体的な実施形態では、nは、1、2、3、又は4である。特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、少なくとも1つの定常領域ドメインを更に含む。例えば、具体的な実施形態では、抗体コンジュゲートは、例えば、ヒト定常領域ドメインを含む。更に他の具体的な実施形態では、抗体コンジュゲートは、ヒトIgG1重鎖定常領域、ヒトIgG1カッパ軽鎖領域、又はヒトIgG1重鎖定常領域、及びヒトIgG1カッパ軽鎖領域を含む定常領域ドメインを含む。抗体コンジュゲートのより具体的な実施形態では、定常領域は、配列番号19及び20から選択される配列を含むか、又は配列番号19と配列番号20の両方を含む。他の実施形態では、抗体コンジュゲートは、配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。例えば、抗体コンジュゲートは、配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖を含んでもよく、ここではEUナンバリングスキームに従うHC-F404及びHC-Y180に対応するアミノ酸の各々は、p-アジドメチル-フェニルアラニン残基に置換されている。他の実施形態では、抗体コンジュゲートは、配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。更に他の実施形態では、抗体コンジュゲートは、配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。例えば、抗体コンジュゲートは、配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、ここでは、EUナンバリングスキームに従う重鎖(HC)-F404及びHC-Y180に対応するアミノ酸の各々は、p-アジドメチル-フェニルアラニン残基に置換されている。
【0012】
本明細書に提供される抗体コンジュゲートのいずれかのある特定の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。本明細書に提供される抗体コンジュゲートのいずれかのある特定の実施形態では、抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、又はIgMである。本明細書に提供される抗体コンジュゲートのいずれかのある特定の実施形態では、抗体は、ヒト化されているか、又はヒト抗体である。本明細書に提供される抗体コンジュゲートのいずれかのある特定の実施形態では、抗体は、アグリコシル化されている。本明細書に提供される抗体コンジュゲートのいずれかのある特定の実施形態では、抗体は、抗体断片、例えば、Fv断片、Fab断片、F(ab’)断片、Fab’断片、scFv(sFv)断片、又はscFv-Fc断片である。本明細書に提供される抗体コンジュゲートのいずれかのある特定の実施形態では、抗体は、ヒトBCMA及びカニクイザルBCMAに特異的に結合する。本明細書に提供される抗体コンジュゲートのいずれかのある特定の実施形態では、抗体は、ヒトBCMA及びマウスBCMAに特異的に結合する。
【0013】
ある特定の実施形態では、投与される抗体コンジュゲートの量は、対象の体重の約0.3mg/kg、0.6mg/kg、1.0mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2.0mg/kg、2.25mg/kg、2.5mg/kg、2.75mg/kg、3.0mg/kg、3.25mg/kg、3.5mg/kg、3.75mg/kg、4.0mg/kg、4.25mg/kg、4.5mg/kg、4.75mg/kg、5.0mg/kg、5.25mg/kg、5.5mg/kg、5.75mg/kg、6.0mg/kg、6.1mg/kg、6.2mg/kg、6.3mg/kg、6.4mg/kg、6.5mg/kg、6.6mg/kg、6.7mg/kg、6.8mg/kg、6.9mg/kg、7.0mg/kg、7.25mg/kg、7.5mg/kg、7.75mg/kg、8.0mg/kg、8.25mg/kg、8.5mg/kg、8.75mg/kg、9.0mg/kg、9.25mg/kg、9.5mg/kg、9.75mg/kg、又は10.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、GSIは、BMS-986405である。特定の実施形態では、投与されるBMS-986405の量は、約25mgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、対象に3週間毎に1回投与され、GSI、例えば、BMS-986405は対象に、21日のサイクルの間に毎週3回投与される。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲート(コンジュゲート4)は、対象に3週間毎に1回投与され、3週間毎が21日のサイクル(例えば、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)が対象に投与される間)である。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、対象に、21日サイクルの最初の日(1日目)に投与される。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、対象に毎21日サイクルの最初の日(1日目)に投与される。ある特定の実施形態では、21日サイクルは、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、又は15回行われる。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲートが、対象に21日サイクルの最初の日(1日目)に投与され、有効量の抗体コンジュゲートは、0.3mg/kg、0.6mg/kg、1.25mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.5mg/kg、又は6.7mg/kgである。ある特定の実施形態では、有効量のBMS-986405は、対象に、21日サイクルの1日目、3日目、5日目、8日目、10日目、12日目、15日目、17日目、及び19日目に投与される。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲートは、0.3mg/kgである。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲートは、0.6mg/kgである。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲートは、1.25mg/kgである。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲートは、2.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲートは、3.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲートは、4.5mg/kgである。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲートは、6.7mg/kgである。ある特定の実施形態では、有効量のBMS-986405は、25mgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、静脈内投与される。ある特定の実施形態では、GSI、例えば、BMS-986405は経口投与され、例えば、カプセル形態で投与される。
【0014】
ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、BMS-986405と同時に投与される。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、BMS-986405の投与の前に投与される。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、BMS-986405の投与後に投与される。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートとBMS-986405とは、空腹時に対象に投与される。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートとBMS-986405とは、満腹時に対象に投与される。
【0015】
ある特定の実施形態では、癌は白血病又はリンパ腫である。ある特定の実施形態では、癌は、多発性骨髄腫である。具体的な実施形態では、当該多発性骨髄腫は、国際病期分類(International Staging System)又は改訂国際病期分類(Revised International Staging System)に従って、ステージI、ステージII、又はステージIIIである。ある特定の実施形態では、当該多発性骨髄腫は、新たに診断された多発性骨髄腫である。他の実施形態では、当該多発性骨髄腫は、再発性又は難治性多発性骨髄腫である。
【0016】
本明細書に更に提供されるのは、有効量の本明細書に提供される抗体コンジュゲートのいずれか、及び有効量のBMS-986405、並びに抗体コンジュゲート及びBMS-986405の使用説明書を含むキットである。具体的な実施形態では、抗体コンジュゲートは、凍結乾燥されている。別の具体的な実施形態では、キットは、凍結乾燥された抗体の再構成のための流体を更に含む。具体的な実施形態では、有効量の抗体コンジュゲートは、約10mg~約1000mgである。具体的な実施形態では、有効量のBMS-986405は、約25mgである。具体的な実施形態では、キットは、有効量の抗体コンジュゲートと有効量のBMS-986405とを含む1つ以上の容器を含む。具体的な実施形態では、有効量の抗体コンジュゲートと有効量のBMS-986405とは、別々の容器に入っている。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、別々の容器に入った有効量の本明細書に提供される抗体コンジュゲート、例えば、コンジュゲート4及び有効量のBMS-986405、並びに抗体コンジュゲート及びBMS-986405の使用説明書を含むキットである。
【0017】
また、本明細書に提供されるのは、1つ以上の用量の本明細書に提供される抗体コンジュゲートのいずれか、及び1つ以上の用量のBMS-986405、並びに抗体コンジュゲート及びBMS-986405の使用説明書を含むキットである。具体的な実施形態では、抗体コンジュゲートは、凍結乾燥されている。別の具体的な実施形態では、キットは、凍結乾燥された抗体コンジュゲートの再構成のための流体を更に含む。具体的な実施形態では、抗体コンジュゲートは、約10mg~約1000mgを含む量で存在する。具体的な実施形態では、BMS-986405は、約25mgを含む量で存在する。具体的な実施形態では、キットは、抗体コンジュゲートとBMS-986405とを含む1つ以上の容器を含む。具体的な実施形態では、抗体コンジュゲートとBMS-986405とは、別々の容器に入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】CDR-H1についてのKabat及びChothiaナンバリングシステムの比較を提供する。Martin A.C.R.(2010).Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains.In R.Kontermann & S.Duebel(Eds.),Antibody Engineering vol.2(pp. 33-51).Springer-Verlag,Berlin Heidelbergから編集。
図2】再発性及び難治性多発性骨髄腫を有する対象における、コンジュゲート4、BCMA抗体薬物コンジュゲートの第1相、多施設、オープンラベル、用量設定試験の試験デザインの全体を例示する。特に、第1相試験は、再発性及び難治性MMを有する対象におけるコンジュゲート4の単剤療法、及びBMS-986405(ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI))と組み合わせた用量漸増(パートA)及びコホート用量拡大(パートB)、ヒト初回投与(FIH)臨床試験である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、表記法、及び他の科学用語は、本発明が関係する技術分野における当業者によって一般的に理解される意味を有することが意図される。場合によっては、一般的に理解されている意味を有する用語が、明確さのために及び/又は容易に参照できるように本明細書で定義されており、本明細書にそのような定義を含めることは、必ずしも当該技術分野において一般的に理解されているものとの違いを表すものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載され、又は言及される技術及び手順は、一般に十分に理解されており、例えば、Green & Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 4th ed.(2012),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sonsに記載される広く利用されている分子クローニング方法論などの当業者によって、従来の方法論を使用して一般に用いられている。必要に応じて、市販のキット及び試薬の使用を伴う手順は、特に明記されない限り、通常、製造元が規定したプロトコル及び条件に従って実行される。
【0020】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈において別途明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0021】
「約」という用語は、示された値及びその値を上回るまた下回る範囲を示し、包含する。ある特定の実施形態では、「約」という用語は、表示された値±10%、±5%、又は±1%を示す。ある特定の実施形態では、「約」という用語は、示された値±その値の標準偏差1を示す。
【0022】
「その組み合わせ」という用語は、その用語が指す要素のあらゆる可能な組み合わせを含む。例えば、「αがAの場合、αはDではなく;αはSではなく;又はαはSではなく;又はそれらの組み合わせである」で始まる文章は、以下の組み合わせを含む:αがAのとき:(1)αはDではなく;(2)αはSではなく;(3)αはSではなく;(4)αはDではなく;αはSではなく;且つαはSではなく;(5)αはDではなく且つαはSではなく;(6)αはDではなく且つαはSではなく;及び(7)αはSではなく且つαはSではない。
【0023】
「BCMA」と呼び、「B細胞成熟抗原」という用語は、本明細書で互換的に使用される。BCMAはまた、とりわけ、BCM、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー17(「TNFRSF17」)、CD269、TNFRSF13A、及びTNF受容体スーパーファミリーメンバー17を含む同意語によっても知られている。別段の定めがない限り、この用語は、細胞によって天然に発現される、又はBCMA若しくはBCMA遺伝子でトランスフェクトされた細胞によって発現されるヒトBCMAの任意の変異体、アイソフォーム、種相同体を含む。BCMAタンパク質は、例えば、ヒトBCMAアイソフォーム1(配列番号1)及びヒトBCMAアイソフォーム2(配列番号2)を含む。いくつかの実施形態では、BCMAタンパク質は、カニクイザルBCMA(配列番号3)を含む。いくつかの実施形態では、BCMAタンパク質は、ネズミBCMA(配列番号4)を含む。
【0024】
「免疫グロブリン」という用語は、一般に、ポリペプチド鎖の2つの対:軽(L)鎖の1つの対及び重(H)の1つの対を含む構造的に関連するタンパク質の一部類を指す。「インタクトな免疫グロブリン」において、これらの鎖の4つ全ては、ジスルフィド結合によって相互接続されている。免疫グロブリンの構造は、十分に特性評価されている。例えば、Paul,Fundamental Immunology 7th ed.,Ch.5(2013)Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,PAを参照されたい。簡単に言うと、各重鎖は、典型的には、重鎖可変領域(V又はVH)と重鎖定常領域(C又はCH)とを含む。重鎖定常領域は、典型的には、3つのドメイン、C1(又はCH1)、C2(又はCH2)、及びC3(又はCH3)と略記されるものを含む。各重鎖は、典型的には、軽鎖可変領域(V又はVL)と軽鎖定常領域とを含む。軽鎖定常領域は、典型的には、C又はCLと略記される1つのドメインを含む。
【0025】
「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子の一種を説明し、本明細書では、その最も広い意味で使用される。抗体は、具体的には、インタクトな抗体(例えば、インタクトな免疫グロブリン)、及び抗体断片を含む。抗体は、少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む。抗原結合ドメインの1つの例は、V-V二量体によって形成される抗原結合ドメインである。「BCMA」、「抗BCMA抗体」、「BCMA Ab」、「BCMA特異的抗体」、「抗BCMA Ab」、「BCMA抗体」、「抗BCMA抗体」、「BCMA Ab」、「BCMA特異的抗体」、又は「抗BCMA Ab」、若しくは「BCMA」が「TNFSF17」によって置き換えられているこれらの語句の任意の反復は、本明細書に記載されるようにBCMAに特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、BCMAの細胞外ドメインに結合する。
【0026】
及びV領域は、より保存されている領域が散在する、超可変性の領域(「超可変領域(HVR)」;「相補性決定領域」(CDR)とも呼ばれる)に更に細分され得る。より保存された領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。各V及びVは、以下の順番で(N末端からC末端に向かって)配置された3つのCDR及び4つのFR:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含む。CDRは、抗原結合に関与し、抗体の抗原特異性及び結合親和性に影響を及ぼす。Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest 5th ed.(1991)Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(その全体が参照により組み込まれる)を参照されたい。
【0027】
脊椎動物種由来の軽鎖は、定常ドメインを配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つのタイプの1つに割り当てることができる。
【0028】
脊椎動物種由来の重鎖は、5つの異なるクラス(又はアイソタイプ):IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMのうちの1つに割り当てることができる。これらのクラスはまた、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと表示される。IgG及びIgAクラスは、配列及び機能における違いに基づいて、サブクラスに更に分けられる。ヒトは以下のサブクラスを発現する:IgG1, IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2。
【0029】
CDRのアミノ酸の境界は、Kabat et al.,上記(「Kabat」ナンバリングスキーム);Al-Lazikani et al.,1997,J.Mol.Biol.,273:927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム);MacCallum et al.,1996,J.Mol.Biol.262:732-745(「Contact」ナンバリングスキーム);Lefranc et al.,Dev.Comp.Immunol.,2003,27:55-77(「IMGT」ナンバリングスキーム);及びHonegge and Plueckthun,J.Mol.Biol.,2001,309:657-70(「AHo」ナンバリングスキーム)(これらの各々が、その全体が参照により組み込まれる)によって記載されるものを含む多数の既知のナンバリングスキームのいずれかを使用して、当業者によって決定することができる。
【0030】
表1は、Kabat及びChothiaスキームによって特定されるようなCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3の位置を提供する。CDR-H1については、残基ナンバリングは、Kabat及びChothiaナンバリングスキームの両方を使用して提供されている。
【0031】
【表1】
【0032】
別段の定めがない限り、本明細書の特定のCDRの同定に使用されるナンバリングスキームは、Kabat/Chothiaナンバリングスキームである。これらの2つのナンバリングスキームによって包含される残基が分岐する場合(例えば、CDR-H1及び/又はCDR-H2)、ナンバリングスキームは、Kabat又はChothiaのいずれかとして特定される。便宜上、CDR-H3は、本明細書ではKabat又はChothiaのいずれかと称されることがある。しかしながら、これは、それらが存在しない配列の違いを意味するものではなく、当業者は配列を調べることによって配列が同じであるか、又は異なるかを容易に確認することができる。
【0033】
CDRは、例えば、www.bioinf.org.uk/abs/abnum/で入手可能であり、その全体が参照により組み込まれる、Abhinandan and Martin,Immunology,2008,45:3832-3839に記載されるAbnumなどの抗体ナンバリングソフトウェアを使用して割り当てることができる。
【0034】
「EUナンバリングスキーム」は、一般に、抗体重鎖定常領域中の残基を指す場合に使用される(例えば、Kabatら、上記に報告されるように)。特に明記しない限り、EUナンバリングスキームは、本明細書に記載の抗体重鎖定常領域中の残基を指すために使用される。
【0035】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の抗原結合領域又は可変領域などのインタクトな抗体の一部を含む。抗体断片としては、例えば、Fv断片、Fab断片、F(ab’)断片、Fab’断片、scFv(sFv)断片、及びscFv-Fc断片が挙げられる。
【0036】
「Fv」断片は、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとの非共有結合で連結された二量体を含む。
【0037】
「Fab」断片は、重鎖及び軽鎖可変ドメインに加えて、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む。Fab断片は、例えば、組換え方法によって、又は完全長抗体のパパイン消化によって生成され得る。
【0038】
「F(ab’)」断片は、ジスルフィド結合によってヒンジ領域の近傍で接合された2つのFab’断片を含有する。F(ab’)断片は、例えば、組換え方法によって、又はインタクトな抗体のペプシン消化によって生成され得る。F(ab’)断片は、例えば、β-メルカプトエタノールによる処理によって解離され得る。
【0039】
「一本鎖Fv」、又は「sFv」、又は「scFv」抗体断片は、一本鎖ポリペプチド中にVドメインとVドメインとを含む。V及びVは、一般に、ペプチドリンカーによって連結される。Plueckthun A.(1994)を参照されたい。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号26である。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号27である。抗体は、大腸菌(Escherichia coli)に由来する。Rosenberg M.& Moore G.P.(Eds.),The Pharmacology of Monoclonal Antibodies vol.113(pp.269-315).Springer-Verlag,New York(その全体が参照により組み込まれる)。
【0040】
「scFv-Fc」断片は、Fcドメインに結合したscFvを含む。例えば、Fcドメインは、scFvのC末端に結合することができる。Fcドメインは、scFv内の可変ドメインの配向性(すなわち、V-V又はV-V)に応じて、V又はVに後続し得る。当該技術分野において既知であるか、又は本明細書に記載される任意の好適なFcドメインが使用されてもよい。いくつかの場合では、Fcドメインは、IgG1 Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、IgG1 Fcドメインは、配列番号19、又はその一部を含む。配列番号19は、ヒトIgG1定常領域のC1、C2、及びC3の配列を提供する。
【0041】
「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一の抗体の集団に由来する抗体を指す。実質的に均一の抗体の集団は、モノクローナル抗体の産生中に正常に生じ得る変異体を除く、実質的に類似し、且つ同じエピトープに結合する抗体を含む。そのような変異体は、一般に、ほんの微量で存在する。モノクローナル抗体は、典型的には、複数の抗体からの単一の抗体の選択を含むプロセスによって得られる。例えば、選択プロセスは、複数のクローン、例えば、ハイブリドーマクローン、ファージクローン、酵母クローン、細菌クローン、又は他の組換えDNAクローンのプールからの唯一のクローンの選択であり得る。選択された抗体は、例えば、標的に対する親和性を改善するため(「親和性成熟」)、抗体をヒト化するため、細胞培養下でその産生を改善するため、且つ/又は対象におけるその免疫原性を低減するため、更に改変され得る。
【0042】
「キメラ抗体」という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の供給源又は種に由来する一方で、重鎖及び/又は軽鎖の残りが異なる供給源又は種に由来する抗体を指す。
【0043】
非ヒト抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体に由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。ヒト化抗体は、一般に、1つ以上のCDRからの残基が非ヒト抗体(ドナー抗体)の1つ以上のCDRからの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ドナー抗体は、所望される特異性、親和性、又は生物学的効果を有する任意の好適な非ヒト抗体、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ニワトリ、又は非ヒト霊長類抗体であり得る。場合によっては、レシピエント抗体の選択されたフレームワーク領域残基は、ドナー抗体からの対応するフレームワーク領域残基によって置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体又はドナー抗体のいずれにも見出されない残基を含んでもよい。そのような修飾は、抗体機能を更に改良するため、行われてもよい。更なる詳細については、Jones et al.,Nature,1986,321:522-525;Riechmann et al.,Nature,1988,332:323-329;及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.,1992,2:593-596(これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる)を参照されたい。
【0044】
「ヒト抗体」は、ヒト又はヒト細胞によって産生される、又はヒト抗体レパートリー若しくはヒト抗体コード配列(例えば、ヒト供給源から得られるか又は新規に設計される)を利用する非ヒト供給源に由来する抗体の場合に対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体では、具体的にはヒト化抗体が除外される。
【0045】
「単離された抗体」は、その天然環境の成分から分離及び/又は回収されているものである。天然環境の成分は、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、例えば、スピニングカップ配列決定装置の使用により、少なくとも15残基のN末端又は内部アミノ酸配列を得るのに十分な程度まで精製される。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、還元又は非還元条件下でゲル電気泳動(例えば、SDS-PAGE)により均一になるまで精製され、クーマシーブルー又は銀染色により検出される。単離された抗体は、抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないことから、組換え細胞内のインサイチュでの抗体を含む。いくつかの態様では、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。
【0046】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、少なくとも80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、又は99重量%に精製される。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、少なくとも80体積%、85体積%、90体積%、95体積%、又は99体積%に精製される。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、少なくとも85重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%~100重量%を含む溶液として提供される。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、少なくとも85体積%、90体積%、95体積%、98体積%、99体積%~100体積%を含む溶液として提供される。
【0047】
「親和性」は、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の全合計の強さを指す。特に指定されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体及び抗原)のメンバー間の1:1相互作用を反映する固有結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、解離定数(K)により表すことができる。親和性は、当該技術分野で既知の一般的方法、例えば、本明細書に記載のものにより、測定され得る。親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)技術、例えば、Biacore(登録商標)機器を用いて決定され得る。いくつかの実施形態では、親和性は、25℃で決定される。
【0048】
抗体の標的分子への結合に関連して、特定の抗原(例えば、ポリペプチド標的)又は特定の抗原上のエピトープに対して、「特異的結合」、「特異的に結合する」、「特異的な」、「選択的に結合する」、及び「選択的な」という用語は、測定可能に非特異的又は非選択的相互作用と異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、分子の結合を対照分子の結合と比べて決定することにより測定され得る。特異的結合はまた、標的上の抗体結合部位を模倣する対照分子との競合によって決定され得る。その場合、特異的結合は、抗体の標的への結合が対照分子によって競合的に阻害される場合、示される。
【0049】
「k」又は「kd」(秒-1)という用語は、本明細書で使用される場合、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度定数を指す。この値はkoff値とも称される。
【0050】
「k」又は「ka」(M-1×秒-1)という用語は、本明細書で使用される場合、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度定数を指す。この値はkon値とも称される。
【0051】
「K」(「Kd」又は「KD」、M又はnMとも称される)という用語は、本明細書で使用される場合、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数を指す。K=k/kである。Kの値は、典型的には、タンパク質分子の半分が平衡状態でリガンドに結合しているリガンドの濃度と大きさが等しくなる。
【0052】
「K」又は「K」(M-1)という用語は、本明細書で使用される場合、特定の抗体-抗原相互作用の会合平衡定数を指す。K=k/kである。
【0053】
「親和性成熟された」抗体は、改変を有しない親抗体と比べて、抗体のその抗原に対する親和性における改善をもたらす、1つ以上のCDR又はFRにおける1つ以上の改変を有するものである。一実施形態では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該技術分野で既知の様々な方法を用いて産生されてもよい。例えば、Marks et al.(Bio/Technology,1992,10:779-783、その全体が参照により組み込まれる)は、V及びVドメインシャッフリングによる親和性成熟について記載している。CDR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、例えば、Barbas et al.(Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.,1994,91:3809-3813);Schier et al.,Gene,1995,169:147-155;Yelton et al.,J.Immunol.,1995,155:1994-2004;Jackson et al.,J.Immunol.,1995,154:3310-33199;及びHawkins et al,J.Mol.Biol.,1992,226:889-896(これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる)により記載されている。
【0054】
2つ以上の抗体と関連して本明細書で使用されるとき、「~と競合する」又は「~と交差競合する」という用語は、2つ以上の抗体が抗原(例えば、BCMA)への結合に対して競合することを示す。1つの例示的なアッセイでは、BCMAは、プレート上にコーティングされ、第1の抗体への結合とその後の第2の標識抗体の付加を可能にする。第1の抗体の存在により第2の抗体の結合が低下する場合、抗体は競合する。別の例示的なアッセイでは、第1の抗体はプレート上にコーティングされ、抗原への結合と、その後の第2の抗体の付加を可能にする。「~と競合する」という用語はまた、1つの抗体が別の抗体の結合を低減するが、抗体が逆順で付加されるときに競合が認められない場合の抗体の組み合わせを含む。しかし、いくつかの実施形態では、第1及び第2の抗体は、それらが付加される順序と無関係に互いの結合を阻害する。いくつかの実施形態では、1つの抗体が、別の抗体のその抗原への結合を少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%低減する。
【0055】
「エピトープ」という用語は、抗体に特異的に結合することができる抗原の一部を意味する。エピトープは、表面接近可能アミノ酸残基及び/又は糖側鎖からなることが多く、特異的な三次元構造特性、並びに特異的な電荷特性を有することがある。立体構造及び非立体構造エピトープは、後者ではなく前者への結合が変性溶媒の存在下で失われる点で区別される。エピトープは、その結合に直接的に関与するアミノ酸残基、及びその結合に直接的に関与しない他のアミノ酸残基を含んでもよい。抗体が結合する相手のエピトープは、例えば、異なる点突然変異を有するBCMA変異体への抗体の結合についての試験など、エピトープ測定のための既知の技術を用いて決定され得る。
【0056】
ポリペプチド配列と参照配列との間のパーセント「同一性」は、最大パーセント配列同一性を得るため、必要な場合、配列を整列し、ギャップを導入した後、参照配列内のアミノ酸残基と同一であるポリペプチド配列内のアミノ酸残基の百分率と定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定することを目的とする整列化は、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、MEGALIGN(DNASTAR)、又はCLUSTALW、CLUSTAL OMEGA、又はMUSCLEソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを用いて、当該技術分野の範囲内に含まれる様々な方法で達成され得る。当業者は、比較されている配列の全長にわたって最大整列化を達成するのに要求される任意のアルゴリズムを含む、配列を整列するための適切なパラメータを決定することができる。
【0057】
「保存的置換」又は「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸の化学的又は機能的に類似したアミノ酸による置換を指す。類似のアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該技術分野において周知である。そのような置換を有するポリペプチド配列は、「保存的修飾変異体」として知られる。例として、表2~4に提供されるアミノ酸のグループは、いくつかの実施形態では、互いに対して保存的置換と見なされる。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
追加的な保存的置換は、例えば、Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties 2nd ed.(1993)W.H.Freeman & Co.,New York,NY中に見出され得る。親抗体中にアミノ酸残基の1つ以上の保存的置換を作製することによって生成される抗体は、「保存的修飾変異体」と称される。
【0062】
「アミノ酸」という用語は、20の共通の天然に存在するアミノ酸を指す。天然に存在するアミノ酸は、アラニン(Ala;A)、アルギニン(Arg;R)、アスパラギン(Asn;N)、アスパラギン酸(Asp;D)、システイン(Cys;C);グルタミン酸(Glu;E)、グルタミン(Gln;Q)、グリシン(Gly;G);ヒスチジン(His;H)、イソロイシン(Ile;I)、ロイシン(Leu;L)、リジン(Lys;K)、メチオニン(Met;M)、フェニルアラニン(Phe;F)、プロリン(Pro;P)、セリン(Ser;S)、スレオニン(Thr;T)、トリプトファン(Trp;W)、チロシン(Tyr;Y)、及びバリン(Val;V)を含む。
【0063】
天然にコードされたアミノ酸は、当業者に既知のタンパク質原性アミノ酸である。それらは、20の一般的なアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリン)、並びにあまり一般的でないピロリシン及びセレノシステインを含む。天然にコードされたアミノ酸は、22の天然に存在するアミノ酸の翻訳後変異体、例えば、プレニル化アミノ酸、イソプレニル化アミノ酸、ミリソイル化(myrisoylated)アミノ酸、パルミトイル化アミノ酸、N-結合型グリコシル化アミノ酸、O-結合型グリコシル化アミノ酸、リン酸化アミノ酸及びアシル化アミノ酸を含む。
【0064】
「非天然アミノ酸」という用語は、タンパク質原性アミノ酸でないアミノ酸、又はその翻訳後修飾変異体を指す。特に、同用語は、20の一般的なアミノ酸の1つでないアミノ酸又はピロリシン若しくはセレノシステイン、又はその翻訳後修飾変異体を指す。
【0065】
「コンジュゲート」又は「抗体コンジュゲート」という用語は、1つ以上のペイロード部分に連結された抗体を指す。この抗体は、本明細書に記載の任意の抗体であり得る。ペイロードは、本明細書に記載の任意のペイロードであり得る。この抗体は、共有結合を介してペイロードに直接的に連結され得るか、又はこの抗体はリンカーを介してペイロードに間接的に連結され得る。典型的には、リンカーは、この抗体に共有結合され、ペイロードにも共有結合される。「抗体薬物コンジュゲート」又は「ADC」という用語は、少なくとも1つのペイロードが薬物などの治療部分である場合のコンジュゲートを指す。
【0066】
「ペイロード」という用語は、抗体にコンジュゲートされ得る分子部分を指す。特定の実施形態では、ペイロードは、治療部分及び標識部分からなる群から選択される。
【0067】
「リンカー」という用語は、少なくとも2つの共有結合を形成することができる分子部分を指す。典型的には、リンカーは、抗体に対して少なくとも1つの共有結合、またペイロードに対して少なくとももう1つの共有結合を形成する能力がある。ある特定の実施形態では、リンカーは、抗体に対して2つ以上の共有結合を形成し得る。ある特定の実施形態では、リンカーは、1つのペイロードに対して2つ以上の共有結合を形成し得るか、又は2つ以上のペイロードに対して共有結合を形成し得る。リンカーが抗体、又はペイロード、又は双方に対する結合を形成した後、残りの構造、すなわち1つ以上の共有結合が形成された後のリンカーの残基もまた、本明細書で「リンカー」となお称されてもよい。「リンカー前駆体」という用語は、抗体又はペイロード、又は双方と共有結合を形成する能力がある1つ以上の反応基を有するリンカーを指す。いくつかの実施形態では、リンカーは、切断可能リンカーである。例えば、切断可能リンカーは、操作されていても又は操作されていなくてもよい、生体不安定機能によって放出されるリンカーであり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、切断不可リンカーである。例えば、切断不可リンカーは、抗体の分解の際に放出されるリンカーであり得る。
【0068】
任意の疾患又は障害に対しての「治療する」又は「治療」は、ある特定の実施形態では、対象中に存在する疾患又は障害を寛解させることを指す。別の実施形態では、「治療する」又は「治療」は、対象によって識別不能であり得る、少なくとも1つの身体的パラメータを寛解させることを含む。更に別の実施形態では、「治療する」又は「治療」は、身体的に(例えば、識別可能な症状の安定化)又は生理学的に(例えば、身体的パラメータの安定化)又は双方のいずれかで疾患又は障害を調節することを含む。更に別の実施形態では、「治療する」又は「治療」は、疾患又は障害の発症を遅延又は予防することを含む。
【0069】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」又は「有効量」という用語は、対象に投与されるとき、疾患又は障害を治療するのに有効である抗体又は組成物の量を指す。いくつかの実施形態では、治療有効量又は有効量は、対象に投与されるとき、疾患又は疾患の進行を予防若しくは寛解するのに有効であり、症状の寛解をもたらす抗体又は組成物の量を指す。
【0070】
本明細書で使用される場合、「成長を阻害する」(例えば、細胞、例えば、腫瘍細胞を参照するとき)という用語は、BCMA抗体と接触されるときの細胞成長(例えば、腫瘍細胞成長)における、BCMA抗体と接触状態にない同じ細胞の成長と比べての任意の測定可能な減少を含むことが意図される。いくつかの実施形態では、成長は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、又は100%阻害され得る。細胞成長における減少は、限定はされないが、抗体内在化、アポトーシス、壊死、及び/又はエフェクター機能に媒介される活性を含む種々の機構によって生じ得る。
【0071】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳類対象を意味する。例示的な対象としては、ヒト、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ラクダ、鳥類、ヤギ、及びヒツジが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に提供される抗体で治療又は診断され得る疾患を有する。いくつかの実施形態では、疾患は、白血病、リンパ腫、又は多発性骨髄腫、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、B細胞系悪性腫瘍、形質細胞腫瘍、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、低悪性度B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、又は濾胞性リンパ腫である。
【0072】
本明細書に図示されるいくつかの化学構造では、ある特定の置換基、化学基、及び原子は、置換基、化学基、及び原子の結合を介する原子を示すため、結合(単数又は複数)を交差させる曲線/波線(例えば、
【化2】
)で表される。例えば、限定はされないが、
【化3】
などのいくつかの構造では、この曲線/波線は、図示される化学実体の結合相手のコンジュゲート又はリンカー-ペイロード構造の骨格内の原子を示す。限定はされないが、
【化4】
などのいくつかの構造では、この曲線/波線は、抗体又は抗体断片中、並びに図示される化学実体の結合相手のコンジュゲート又はリンカー-ペイロード構造の骨格内の原子を示す。
【0073】
「部位特異的な」という用語は、ポリペプチド中の所定の配列位置でのポリペプチドの修飾を指す。修飾は、ポリペプチドの単一の予測可能な残基に存在し、ここで変異はほとんど又は全く伴わない。特定の実施形態では、修飾アミノ酸がその配列位置に、例えば、組換え的に又は合成的に導入される。同様に、ある部分がポリペプチド中の特定の配列位置の残基に「部位特異的に」連結され得る。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、2つ以上の部位特異的修飾を含み得る。
【0074】
2.コンジュゲート
本明細書に提供されるのは、ガンマセクレターゼ阻害剤(例えば、BMS-986405)と組み合わせて使用され得るBCMAに対する抗体のコンジュゲートである。コンジュゲートは、ペイロードに対してリンカーを介して共有結合的に連結されたBCMAに対する抗体を含む。ある特定の実施形態では、この抗体は、1つのペイロードに連結される。更なる実施形態では、抗体は、2つ以上のペイロードに連結される。ある特定の実施形態では、この抗体は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれより多くのペイロードに連結される。
【0075】
本明細書に提供されるコンジュゲートにおいて、抗体は、任意の種に由来し得る。ある特定の実施形態では、BCMAは、脊椎動物BCMAである。ある特定の実施形態では、BCMAは、哺乳動物BCMAである。ある特定の実施形態では、BCMAは、ヒトBCMAである。ある特定の実施形態では、BCMAは、マウスBCMAである。ある特定の実施形態では、BCMAは、カニクイザルBCMAである。
【0076】
抗体は、典型的には、複数のポリペプチド鎖を含むタンパク質である。ある特定の実施形態では、抗体は、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖を含むヘテロ四量体である。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合により、重鎖に連結され得る。各重鎖は、1つ以上の共有ジスルフィド結合により、その他の重鎖に連結され得る。各重鎖及び各軽鎖はまた、1つ以上の鎖間ジスルフィド結合を有し得る。当業者に既知であるように、各重鎖は、典型的には、可変ドメイン(V)と後続するいくつかの定常ドメインとを含む。各軽鎖は、典型的には、一端に可変ドメイン(V)及び定常ドメインを含む。当業者に既知であるように、抗体は、典型的には、それらの標的分子、すなわち抗原に対して選択的親和性を有する。
【0077】
本明細書に提供される抗体は、当業者に既知の任意の抗体型を有し得る。それらは、完全長、又は断片であり得る。例示的な完全長抗体としては、IgA、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgMなどが挙げられる。例示的な断片としては、Fv、Fab、Fc、scFv、scFv-Fcなどが挙げられる。
【0078】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートの抗体は、本明細書に記載のCDR配列の6つを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートの抗体は、本明細書に記載の重鎖可変ドメイン(V)を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートの抗体は、本明細書に記載の軽鎖可変ドメイン(V)を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートの抗体は、本明細書に記載の重鎖可変ドメイン(V)及び本明細書に記載の軽鎖可変ドメイン(V)を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートの抗体は、本明細書に記載の対合された重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメイン(V-Vペア)を含む。
【0079】
ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、1つ以上の反応基を含む抗体から形成され得る。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、全ての天然にコードされたアミノ酸を含む抗体から形成され得る。当業者は、いくつかの天然にコードされたアミノ酸が、ペイロード又はリンカーにコンジュゲート可能な反応基を含むことを認識するであろう。これらの反応基は、システイン側鎖、リジン側鎖、及びアミノ末端基を含む。これらの実施形態では、抗体コンジュゲートは、抗体反応基の残基に連結されたペイロード又はリンカーを含み得る。これらの実施形態では、ペイロード前駆体又はリンカー前駆体は、抗体反応基との結合を形成することが可能である反応基を含む。典型的な反応基としては、マレイミド基、活性化炭酸塩(限定はされないが、p-ニトロフェニルエステルを含む)、活性化エステル(限定はされないが、N-ヒドロキシサクシニミド、p-ニトロフェニルエステル、及びアルデヒドを含む)が挙げられる。特に有用な反応基としては、システイン及びリジン側鎖との結合を形成するために、マレイミド及びサクシニミド、例えば、N-ヒドロキシサクシニミドが挙げられる。更なる反応基が、下記のセクション及び実施例に記載される。
【0080】
更なる実施形態では、抗体は、本明細書に記載の通り、反応基を有する1つ以上の修飾アミノ酸を含む。典型的には、修飾アミノ酸は、天然にコードされたアミノ酸ではない。これらの修飾アミノ酸は、リンカー前駆体又はペイロード前駆体に対して共有結合を形成するのに有用な反応基を含み得る。当業者は、ポリペプチドを修飾アミノ酸に対して共有結合を形成する能力がある任意の分子実体に連結するため、その反応基を用いることができる。したがって、本明細書に提供されるのは、ペイロードに直接的に又はリンカーを介して間接的に連結された修飾アミノ酸残基を含む抗体を含むコンジュゲートである。例示的な修飾アミノ酸は、下記のセクションに記載されている。一般に、修飾アミノ酸は、相補的反応基を有するリンカー又はペイロードに対する結合を形成することが可能な反応基を有する。
【0081】
ある特定の実施形態では、非天然アミノ酸は、抗体のポリペプチド鎖内の選択された位置に位置付けられる。これらの位置は、非天然アミノ酸との置換のための最適な部位を提供するものとして特定された。各部位は、抗体を産生するための最適な構造、機能、及び/又は方法を伴う非天然アミノ酸を担持することが可能である。
【0082】
ある特定の実施形態では、置換のための部位特異的位置は、安定である抗体を提供する。安定性は、当業者にとって明白な任意の技術により測定され得る。
【0083】
ある特定の実施形態では、置換のための部位特異的位置は、最適な機能特性を有する抗体を提供する。例えば、抗体は、部位特異的非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、その標的抗原に対する結合親和性の喪失をほとんど又は全く示し得ない。ある特定の実施形態では、抗体は、部位特異的非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して増強された結合を示し得る。
【0084】
ある特定の実施形態では、置換のための部位特異的位置は、有利に作製され得る抗体を提供する。例えば、ある特定の実施形態では、抗体は、以下で論じられるその合成方法において有利な特性を示す。ある特定の実施形態では、抗体は、部位特異的非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、産生収率の喪失をほとんど又は全く示し得ない。ある特定の実施形態では、抗体は、部位特異的非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、増強された産生収率を示し得る。ある特定の実施形態では、抗体は、部位特異的非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、tRNA抑制の喪失をほとんど又は全く示し得ない。ある特定の実施形態では、抗体は、産生において部位特異的非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、増強されたtRNA抑制を示し得る。
【0085】
ある特定の実施形態では、置換のための部位特異的位置は、有利な溶解度を有する抗体を提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、部位特異的非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、溶解度の低下をほとんど又は全く示し得ない。ある特定の実施形態では、抗体は、部位特異的非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、増強された溶解度を示し得る。
【0086】
ある特定の実施形態では、置換のための部位特異的位置は、有利な発現を有する抗体を提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、部位特異的非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、発現の減少をほとんど又は全く示し得ない。ある特定の実施形態では、抗体は、部位特異的非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、増強された発現を示し得る。
【0087】
ある特定の実施形態では、置換のための部位特異的位置は、有利なフォールディングを有する抗体を提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、部位特異的非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、適切なフォールディングの減少をほとんど又は全く示し得ない。ある特定の実施形態では、抗体は、部位特異的非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、増強されたフォールディングを示し得る。
【0088】
ある特定の実施形態では、置換のための部位特異的位置は、有利なコンジュゲーションが可能である抗体を提供する。以下に記載されるように、いくつかの非天然アミノ酸は、この抗体の第2の薬剤への直接的な又はリンカーを介したコンジュゲーションを促進する側鎖又は官能基を有する。ある特定の実施形態では、抗体は、他の位置に同じ又は他の非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、増強されたコンジュゲーション効率を示し得る。ある特定の実施形態では、抗体は、他の位置に同じ又は他の非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、増強されたコンジュゲーション収率を示し得る。ある特定の実施形態では、抗体は、他の位置に同じ又は他の非天然アミノ酸を伴わない抗体と比較して、増強されたコンジュゲーション特異性を示し得る。
【0089】
1つ以上の非天然アミノ酸は、抗体の少なくとも1つのポリペプチド鎖内の選択された部位特異的位置に位置付けられる。ポリペプチド鎖は、限定はされないが、いずれかの軽鎖又はいずれかの重鎖を含む抗体の任意のポリペプチド鎖であり得る。部位特異的位置は、任意の可変ドメイン及び任意の定常ドメインを含む、抗体の任意のドメイン内に存在し得る。
【0090】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、部位特異的位置に1つの非天然アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、部位特異的位置に2つの非天然アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、部位特異的位置に3つの非天然アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、部位特異的位置に3つを超える非天然アミノ酸を含む。
【0091】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、Kabat又はChothia又はEUナンバリングスキームに従って、位置HC-F404及びHC-Y180において、それぞれ非天然アミノ酸、又はその翻訳後修飾変異体を含む。これらの表示では、HCは重鎖残基を示し、LCは軽鎖残基を示す。当業者は、抗体アミノ酸配列中の残基HC-F404及びHC-Y180を非天然アミノ酸が置換することを認識するであろう。ある特定の実施形態では、非天然アミノ酸は、本明細書では式(30)の残基である。
【0092】
3.コンジュゲート基及びその残基
コンジュゲート基は、本明細書に記載のペイロードの第2の化合物、例えば、本明細書に記載の抗体へのコンジュゲートを促進する。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、本明細書ではRと名付けられる。コンジュゲート基は、当業者に既知の任意の好適な反応機構を介して反応し得る。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、本明細書で詳述される通り、[3+2]アルキン-アジド環化付加反応、逆電子要請型ディールス・アルダーライゲーション反応、チオール-求電子試薬反応、又はカルボニル-オキシアミン反応を通じて反応する。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、アルキン、例えば、歪んだアルキンを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、
【化5】
である。追加のコンジュゲート基は、例えば、米国特許出願公開第2014/0356385号明細書、米国特許出願公開第2013/0189287号明細書、米国特許出願公開第2013/0251783号明細書、米国特許第8,703,936号明細書、米国特許第9,145,361号明細書、米国特許第9,222,940号明細書、及び米国特許第8,431,558号明細書に記載されている。
【0093】
コンジュゲーション後、コンジュゲート基の二価残基が形成され、第2の化合物の残基に結合される。二価残基の構造は、コンジュゲートの形成に用いられるコンジュゲーション反応のタイプにより判定される。
【0094】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートが[3+2]アルキン-アジド環化付加反応を通じて形成されるとき、コンジュゲート基の二価残基は、トリアゾール環又はトリアゾール環を含む融合環式基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートが歪み促進型[3+2]アルキン-アジド環化付加(SPAAC)反応を通じて形成されるとき、コンジュゲート基の二価残基は、
【化6】
である。
【0095】
実施形態では、本明細書に提供されるのは、式101a~105bのいずれかによるコンジュゲートであり、式中、COMPは抗BCMA抗体の残基を示し、PAYはペイロード部分を示す。
【化7】
【0096】
前述の実施形態のいずれかにおいて、コンジュゲートは、個数nのPAY部分を含み、このnは1~8の整数である。いくつかの実施形態では、nは2である。いくつかの実施形態では、nは3である。いくつかの実施形態では、nは4である。いくつかの実施形態では、nは5である。いくつかの実施形態では、nは6である。いくつかの実施形態では、nは7である。いくつかの実施形態では、nは8である。
【0097】
特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、式105a~105bのいずれかによる抗BCMAコンジュゲートであり、式中、COMPは以下の式(30)による非天然アミノ酸の残基を示す。特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、EUナンバリングシステムに従う重鎖位置404での、式105a~105bのいずれかによる抗BCMAコンジュゲートであり、式中、COMPは以下の式(30)による非天然アミノ酸の残基を示す。特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、EUナンバリングシステムに従う重鎖位置180での、式105a~105bのいずれかによる抗BCMAコンジュゲートであり、式中、COMPは以下の式(30)による非天然アミノ酸の残基を示す。
【化8】
当業者は、式(30)などのアミノ酸がポリペプチド及び抗体に残基として組込まれることを認識するであろう。例えば、式(30)の残基は、以下の式:
【化9】
に従い得る。
例えば、-Nでの更なる修飾も、本明細書の残基という用語内に包含される。
【0098】
実施形態では、本明細書に提供されるのは、式105c~105dのいずれかによるコンジュゲートであり、式中、COMPは抗BCMA抗体の残基を示し、PAYはペイロード部分を示す。
【化10】
【0099】
前述の実施形態のいずれかにおいて、コンジュゲートは、個数nのPAY部分を含み、このnは1~8の整数である。いくつかの実施形態では、nは2である。いくつかの実施形態では、nは3である。いくつかの実施形態では、nは4である。いくつかの実施形態では、nは5である。いくつかの実施形態では、nは6である。いくつかの実施形態では、nは7である。いくつかの実施形態では、nは8である。
【0100】
特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、式105c~105dのいずれかによる抗BCMAコンジュゲートであり、式中、COMPは以下の式(30)による非天然アミノ酸の残基を示す。特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、EUナンバリングシステムに従う重鎖位置404での、式105c~105dのいずれかによる抗BCMAコンジュゲートであり、式中、COMPは以下の式(30)による非天然アミノ酸の残基を示す。特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、EUナンバリングシステムに従う重鎖位置180での、式105c~105dのいずれかによる抗BCMAコンジュゲートであり、式中、COMPは以下の式(30)による非天然アミノ酸の残基を示す。
【化11】
当業者は、式(30)などのアミノ酸がポリペプチド及び抗体に残基として組込まれることを認識するであろう。例えば、式(30)の残基は、以下の式:
【化12】
に従い得る。
例えば、-Nでの更なる修飾も、本明細書の残基という用語内に包含される。
【0101】
特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、コンジュゲートMの構造を有する抗BCMAコンジュゲートであり:
【化13】
式中、nは1~6の整数である。いくつかの実施形態では、nは1~4の整数である。いくつかの実施形態では、nは2である。例えば、特定の実施形態では、抗BCMAコンジュゲートは、下記の構造を有する。
【化14】
【0102】
いくつかの実施形態では、nは4である。例えば、特定の実施形態では、抗BCMAコンジュゲートは、下記の構造を有する。
【化15】
【0103】
抗BCMAコンジュゲートがコンジュゲートMによる構造を有する前述の実施形態のいずれかにおいて、括弧付きの構造は、Kabat又はKabatのEUナンバリングスキームに従って、HC-F404及びHC-Y180の部位で抗体の1つ以上の非天然アミノ酸に共有結合され得る。特定の実施形態では、各非天然アミノ酸は、式(30)による残基である。
【0104】
一実施形態では、抗BCMAコンジュゲートは、下記式:
【化16】
の構造を有するコンジュゲート4であり、
抗体は、配列番号15に提供される重鎖配列と配列番号17に提供される軽鎖配列とを含み;
抗体は、EUナンバリングスキームに従って、HC-F404及びHC-Y180の部位の各々で置換するp-アジドメチル-フェニルアラニンの残基を更に含み;並びに
式の括弧内の各構造は、p-アジドメチル-フェニルアラニン残基のうちの1つで抗体に結合されている。
【0105】
一実施形態では、抗BCMAコンジュゲートは、コンジュゲート4であり、優勢な種は下記式であり:
【化17】
抗体は、配列番号15に提供される重鎖配列と配列番号17に提供される軽鎖配列とを含み;
抗体は、EUナンバリングスキームに従って、HC-F404及びHC-Y180の部位の各々で置換するp-アジドメチル-フェニルアラニンの残基を更に含み;並びに
式の括弧内の各構造は、p-アジドメチル-フェニルアラニン残基のうちの1つで抗体に結合されている。
【0106】
一実施形態では、抗BCMAコンジュゲートは、コンジュゲート4であり、優勢な種は下記式であり:
【化18】
抗体は、配列番号15に提供される重鎖配列と配列番号17に提供される軽鎖配列とを含み;
抗体は、EUナンバリングスキームに従って、HC-F404及びHC-Y180の部位の各々で置換するp-アジドメチル-フェニルアラニンの残基を更に含み;並びに
式の括弧内の各構造は、p-アジドメチル-フェニルアラニン残基のうちの1つで抗体に結合されている。
【0107】
一実施形態では、抗BCMAコンジュゲートは、コンジュゲート4であり、優勢な種は下記式であり:
【化19】
抗体は、配列番号15に提供される重鎖配列と配列番号17に提供される軽鎖配列とを含み;
抗体は、EUナンバリングスキームに従って、HC-F404及びHC-Y180の部位の各々で置換するp-アジドメチル-フェニルアラニンの残基を更に含み;並びに
式の括弧内の各構造は、p-アジドメチル-フェニルアラニン残基のうちの1つで抗体に結合されている。
【0108】
4.抗体特異性
コンジュゲートは、ヒトBCMAに選択的に結合する抗体を含む。いくつかの態様では、抗体は、ヒトBCMA(ヒトBCMA)の細胞外ドメインに選択的に結合する。
【0109】
いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトBCMAの相同体に結合する。いくつかの態様では、抗体は、サル、マウス、イヌ、ネコ、ラット、ウシ、ウマ、ヤギ、及びヒツジから選択される種に由来するヒトBCMAの相同体に結合する。いくつかの態様では、相同体は、カニクイザル相同体である。いくつかの態様では、相同体は、マウス又はネズミ相同体である。
【0110】
いくつかの実施形態では、抗体は、軽鎖を含む。いくつかの態様では、軽鎖は、カッパ軽鎖である。いくつかの態様では、軽鎖は、ラムダ軽鎖である。具体的な実施形態では、カッパ軽鎖は、配列番号20に提供されるアミノ酸配列を含む定常領域を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、抗体は、重鎖を含む。いくつかの態様では、重鎖は、IgAである。いくつかの態様では、重鎖は、IgDである。いくつかの態様では、重鎖は、IgEである。いくつかの態様では、重鎖は、IgGである。いくつかの態様では、重鎖は、IgMである。いくつかの態様では、重鎖は、IgG1である。いくつかの態様では、重鎖は、IgG2である。いくつかの態様では、重鎖は、IgG3である。いくつかの態様では、重鎖は、IgG4である。いくつかの態様では、重鎖は、IgA1である。いくつかの態様では、重鎖は、IgA2である。
【0112】
いくつかの実施形態では、抗体は、抗体断片である。いくつかの態様では、抗体断片は、Fv断片である。いくつかの態様では、抗体断片は、Fab断片である。いくつかの態様では、抗体断片は、F(ab’)断片である。いくつかの態様では、抗体断片は、Fab’断片である。いくつかの態様では、抗体断片は、scFv(sFv)断片である。いくつかの態様では、抗体断片は、scFv-Fc断片である。
【0113】
いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ポリクローナル抗体である。
【0114】
いくつかの実施形態では、抗体は、キメラ抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト抗体である。
【0115】
いくつかの実施形態では、抗体は、親和性成熟抗体である。いくつかの態様では、抗体は、本開示に提供される例示的な配列に由来する親和性成熟抗体である。
【0116】
本明細書に提供される抗体コンジュゲートは、癌を含む様々な疾患及び状態の治療に有用であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される抗体コンジュゲートは、固形腫瘍の癌の治療に有用であり得る。例えば、本明細書に提供される抗体コンジュゲートは、結腸直腸癌の治療に有用であり得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号13に提供されるV配列を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号14に提供されるV配列を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。いくつかの実施形態では、抗体は、V配列とV配列とを含む。いくつかの態様では、V配列は、配列番号13のいずれか1つを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になるV配列であり、V配列は、配列番号14のいずれか1つを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になるV配列である。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号15に提供される重鎖配列を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。具体的な実施形態では、重鎖配列、例えば、配列番号15に提供される重鎖配列は、N末端メチオニンを追加的に含む。ある特定の実施形態では、そのような重鎖配列は、配列番号16に提供されるヌクレオチド配列によってコードされる。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号17に提供される軽鎖配列を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。具体的な実施形態では、軽鎖配列、例えば、配列番号17に提供される軽鎖配列は、N末端メチオニンを追加的に含む。ある特定の実施形態では、そのような軽鎖配列は、配列番号18に提供されるヌクレオチド配列によってコードされる。
【0118】
いくつかの実施形態では、抗体は、以下の表5に示されるCDRの6つを含む。特定の実施形態では、Chothia CDRが選択される。特定の実施形態では、Kabat CDRが選択される。
【0119】
【表5】
【0120】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号5及び6のうちの1つを含むCDR-H1;配列番号7及び8のうちの1つを含むCDR-H2;配列番号9を含むCDR-H3のうちの3つと、配列番号10を含むCDR-L1;配列番号11を含むCDR-L2;及び配列番号12を含むCDR-L3のうちの1つ、2つ、又は3つ全てを含む。特定の実施形態では、CDRは、Chothiaに従う。特定の実施形態では、CDRは、Kabatに従う。
【0121】
5.生殖細胞系
いくつかの実施形態では、BCMAに特異的に結合する抗体は、特定の生殖細胞系遺伝子、又はその変異体によってコードされる可変領域を含む抗体である。本明細書に提供される例示的な抗体は、重鎖可変領域の生殖細胞系遺伝子VH1-18、VH3-33、VH2-5、VH2-70、及びVH4-30-4、又はその変異体、並びに軽鎖可変領域の生殖細胞系遺伝子Vκ1-5、Vκ3-11、Vκ2-20、Vκ1-33、及びVκ1-16、又はその変異体によってコードされる可変領域を含む。
【0122】
当業者は、本明細書に提供されるCDR配列が、他の可変領域の生殖細胞系遺伝子、又はその変異体によってコードされる可変領域と組み合わされる場合にまた有用であり得ることを認識するであろう。特に、本明細書に提供されるCDR配列は、上で述べた可変領域の生殖細胞系遺伝子と構造的に類似している可変領域の生殖細胞系遺伝子、又はその変異体によってコードされる可変領域と組み合わされる場合に有用であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCDR-H配列は、V1、V2、V3、又はV4ファミリー、若しくはその変異体から選択される可変領域の生殖細胞系遺伝子によってコードされる可変領域と組み合わされてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCDR-L配列は、Vκ1、Vκ2、又はVκ3、若しくはその変異体から選択される可変領域の生殖細胞系遺伝子によってコードされる可変領域と組み合わされてもよい。
【0123】
6.グリコシル化変異体
ある特定の実施形態では、抗体は、それがグリコシル化される程度を増強、低減又は除去するため、改変されてもよい。ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、「N-結合型」又は「O-結合型」のいずれかである。
【0124】
「N-結合型」グリコシル化は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付着を指す。トリペプチド配列アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(式中、Xはプロリンを除く任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素付着のための認識配列である。したがって、ポリペプチド中のこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在により、有望なグリコシル化部位が作り出される。
【0125】
「O-結合型」グリコシル化は、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンもまた用いられてもよいが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンへの糖N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つの付着を指す。
【0126】
抗体に対するN-結合型グリコシル化部位の付加又は欠失は、上記のトリペプチド配列の1つ以上が作り出されるか、又は除去されるようにアミノ酸配列を改変することにより達成されてもよい。O-結合型グリコシル化部位の付加又は欠失は、(場合に応じて)抗体の配列における又は抗体の配列への1つ以上のセリン又はスレオニン残基の付加、欠失、又は置換によって達成されてもよい。
【0127】
7.Fc変異体
ある特定の実施形態では、Fc領域変異体を生成するため、アミノ酸修飾が本明細書に提供される抗体のFc領域に導入されてもよい。ある特定の実施形態では、Fc領域変異体は、全部でなく一部のエフェクター機能を有する。そのような抗体は、例えば、インビボでの抗体の半減期が重要である場合の用途では有用であり得るが、特定のエフェクター機能は不要又は有害である。エフェクター機能の例としては、補体依存性細胞傷害性(CDC)及び抗体介在性補体媒介性細胞傷害性(ADCC)が挙げられる。改変されたエフェクター機能を伴う極めて多数の置換又は欠失は、当該技術分野において既知である。
【0128】
いくつかの実施形態では、Fcは、C3配列のうちの少なくとも1つにおいて1つ以上の修飾を含む。いくつかの実施形態では、Fcは、C2配列のうちの少なくとも1つにおいて1つ又は修飾を含む。例えば、Fcは、V262E、V262D、V262K、V262R、V262S、V264S、V303R、及びV305Rからなる群から選択される1つ以上の修飾を含み得る。いくつかの実施形態では、Fcは、単一ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、Fcは、複数のペプチド、例えば、2つのポリペプチドである。Fc領域中の例示的な修飾は、例えば、2017年6月14日に出願された国際特許出願第PCT/US2017/037545号明細書に記載されている。
【0129】
CDC及び/又はADCC活性における改変は、インビトロ及び/又はインビボアッセイを用いて確認され得る。例えば、FcγR結合を測定するため、Fc受容体(FcR)結合アッセイが実施され得る。ADCCを媒介するための初代細胞として、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現する一方、単球は、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcRの発現が、Ravetch and Kinet,Ann.Rev.Immunol.,1991,9:457-492(その全体が参照により組み込まれる)にまとめられている。
【0130】
目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号明細書及び同第5,821,337号明細書;Hellstrom et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1986,83:7059-7063;Hellstrom et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1985,82:1499-1502;並びにBruggemann et al.,J.Exp.Med.,1987,166:1351-1361(これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる)に提供されている。そのようなアッセイにとって有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替的に、又は追加的に、目的の分子のADCC活性は、Clynes et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1998,95:652-656(その全体が、参照により組み込まれる)に開示されるような動物モデルを用いてインビボで評価されてもよい。
【0131】
抗体がC1qに結合することができず、それ故にCDC活性が欠如することを確認するため、C1q結合アッセイが更に実施されてもよい。C1q結合アッセイの例としては、国際公開第2006/029879号パンフレット及び国際公開第2005/100402号パンフレット(これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる)に記載のものが挙げられる。
【0132】
補体活性化アッセイは、例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods,1996,202:163-171;Cragg et al.,Blood,2003,101:1045-1052;及びCragg and Glennie,Blood,2004,103:2738-2743(これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる)に記載のものを含む。
【0133】
FcRn結合及びインビボクリアランス(半減期決定)についても、例えば、Petkova et al.,Intl.Immunol.,2006,18:1759-1769(その全体が参照により組み込まれる)に記載の方法を用いて測定され得る。
【0134】
8.修飾アミノ酸
抗体コンジュゲートが修飾アミノ酸を含む場合、修飾アミノ酸は、施術者により好適であると見なされる任意の修飾アミノ酸であり得る。特定の実施形態では、修飾アミノ酸は、p-アジド-メチル-L-フェニルアラニン(p-メチルアジドフェニルアラニンとも称される)である。特定の実施形態では、非天然アミノ酸は、化合物(30):
【化20】
又はその塩である。そのような非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよい。当業者は、p-アジド-メチル-L-フェニルアラニン残基のアジド部分がコンジュゲート基と反応して、本明細書に記載の特定のコンジュゲートを作製するために使用される歪み促進型[3+2]アルキン-アジド環化付加反応を通じて形成される縮合環基のトリアゾールを形成することを理解するであろう。
【0135】
9.抗体コンジュゲートの調製
9.1.抗原の調製
抗体の単離に使用されるBCMAタンパク質は、インタクトなBCMA又はBCMAの断片であってもよい。インタクトなBCMAタンパク質又はBCMAの断片は、単離されたタンパク質又は細胞によって発現されたタンパク質の形態であってもよい。抗体を生成するのに有用なBCMAの他の形態は、当業者には明らかであろう。
【0136】
9.2.モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、例えば、Kohler et al.,Nature,1975,256:495-497(その全体が参照により組み込まれる)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて、且つ/又は組換えDNA法(例えば、その全体が参照により組み込まれる、米国特許第4,816,567号明細書を参照されたい)により、得られてもよい。モノクローナル抗体はまた、例えば、ファージ又は酵母に基づくライブラリーを用いて得られてもよい。例えば、米国特許第8,258,082号明細書及び同第8,691,730号明細書(これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる)を参照されたい。
【0137】
ハイブリドーマ法では、免疫化のために用いられるタンパク質に特異的に結合することになる抗体を産生するか、又は産生することができるリンパ球を誘発するため、マウス又は他の適切な宿主動物が免疫化される。或いは、リンパ球は、インビトロで免疫化されてもよい。次いで、リンパ球は、好適な融剤、例えば、ポリエチレングリコールを用いて骨髄腫細胞と融合され、ハイブリドーマ細胞を形成する。Goding J.W.,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice 3rd ed.(1986)Academic Press,San Diego,CA(その全体が参照により組み込まれる)を参照されたい。
【0138】
ハイブリドーマ細胞は、融合されていない親骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する1つ以上の物質を含有する好適な培地中で播種され、増殖される。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠如している場合、ハイブリドーマのための培地は、典型的には、HGPRT欠損細胞の増殖を阻止する物質である、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含むことになる(HAT培地)。
【0139】
有用な骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞により抗体の安定な高レベルの産生を支持し、HAT培地の存在又は不在などの高感度培地条件であるものである。これらの中で好ましい骨髄腫細胞株は、ネズミ骨髄腫株、例えば、MOP-21及びMC-11マウス腫瘍(Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,CAから入手可能)由来のもの、及びSP-2又はX63-Ag8-653細胞(アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection),Rockville,MDから入手可能)である。ヒトモノクローナル抗体の産生のため、ヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株についても記載がなされている。例えば、Kozbor,J.Immunol.,1984,133:3001(その全体が参照により組み込まれる)を参照されたい。
【0140】
所望される特異性、親和性、及び/又は生物学的活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞の特定後、選択されたクローンは、限界希釈法によりサブクローニングされ、標準的方法により増殖されてもよい。Goding、上記を参照されたい。この目的に適した培地としては、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地が挙げられる。更に、ハイブリドーマ細胞は、動物における腹水腫瘍としてインビボで増殖されてもよい。
【0141】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、通常の手順を用いて(例えば、モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)、容易に単離され、配列決定され得る。したがって、ハイブリドーマ細胞は、所望される特性を有する抗体をコードするDNAの有用な供給源として役立ち得る。一旦単離されると、DNAは発現ベクター内に配置されてもよく、次いで、細菌(例えば、大腸菌(E.coli))、酵母(例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)又はピキア菌種(Pichia sp.))、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は本来なら抗体を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトされ、モノクローナル抗体を産生する。
【0142】
9.3.ヒト化抗体
ヒト化抗体は、モノクローナル抗体の構造部分の大部分又は全部を対応するヒト抗体配列で置き換えることによって生成されてもよい。結果として、抗原特異的な可変部、又はCDRのみが非ヒト配列から構成されるハイブリッド分子が生成される。ヒト化抗体を得るための方法としては、例えば、Winter and Milstein,Nature,1991,349:293-299;Rader et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.,1998,95:8910-8915;Steinberger etal.,J.Biol.Chem.,2000,275:36073-36078;Queen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1989,86:10029-10033;並びに米国特許第5,585,089号明細書、同第5,693,761号明細書、同第5,693,762号明細書、及び同第6,180,370号明細書(これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる)に記載されているものが挙げられる。
【0143】
9.4ヒト抗体
ヒト抗体は、当該技術分野において既知の様々な技術により、例えば、トランスジェニック動物(例えば、ヒト化マウス)を用いることにより生成され得る。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1993,90:2551;Jakobovits et al.,Nature,1993,362:255-258;Bruggermann et al.,Year in Immuno.,1993,7:33;並びに米国特許第5,591,669号明細書、同第5,589,369号明細書、及び同第5,545,807号明細書(これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる)を参照されたい。ヒト抗体は又はジディスプレイライブラリー(例えば、Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.,1991,227:381-388;Marks et al.,J.Mol.Biol.,1991,222:581-597;並びに米国特許第5,565,332号明細書及び同第5,573,905号明細書(これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる)を参照されたい)から誘導され得る。ヒト抗体はまた、インビトロ活性化B細胞(例えば、米国特許第5,567,610号明細書及び同第5,229,275号明細書(これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる)を参照されたい)によって生成されてもよい。ヒト抗体はまた、酵母に基づくライブラリー(例えば、その全体が参照により組み込まれる米国特許第8,691,730号明細書を参照されたい)から誘導されてもよい。
【0144】
9.5コンジュゲーション
抗体コンジュゲートは、標準的技術により調製され得る。ある特定の実施形態では、抗体は、抗体からペイロードへの結合を形成するのに適した条件下でペイロード前駆体と接触され、抗体-ペイロードコンジュゲートを形成する。ある特定の実施形態では、抗体は、抗体からリンカーへの結合を形成するのに好適な条件下でリンカー前駆体と接触される。得られる抗体-リンカーは、抗体-リンカーからペイロードへの結合を形成するのに適した条件下でペイロード前駆体と接触され、抗体-リンカー-ペイロードコンジュゲートを形成する。ある特定の実施形態では、ペイロード前駆体は、ペイロードからリンカーへの結合を形成するのに好適な条件下でリンカー前駆体と接触される。得られるペイロード-リンカーは、ペイロード-リンカーから抗体への結合を形成するのに好適な条件下で抗体と接触され、抗体-リンカー-ペイロードコンジュゲートを形成する。抗体コンジュゲートを調製するために好適なリンカーが本明細書に開示され、コンジュゲーションのための例示的な条件が以下の実施例に記載される。
【0145】
いくつかの実施形態では、抗BCMAコンジュゲートは、本明細書に開示されるような抗BCMA抗体を、構造(M):
【化21】
を有するリンカー前駆体と接触させることによって調製される。そのようなリンカー前駆体は、標準的な技術によって調製され得るか、又は市販の供給源から得ることができ、例えば、国際公開第2019/055931号パンフレット、国際公開第2019/055909号パンフレット、国際公開第2017/132617号パンフレット、国際公開第2017/132615号パンフレット(これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる)である。
【0146】
本明細書に開示されるコンジュゲーション反応からのコンジュゲートは、コンジュゲートと抗体に取り付けられた1つ以上の薬物(例えば、PAY部分)の配分との混合物をもたらし得る。個々のコンジュゲートは、例えば、質量分析法によって混合物中で特定されることができ、HPLC、例えば、当該技術分野において既知のそのような方法を含む疎水性相互作用クロマトグラフィーによって分離することができる。ある特定の実施形態では、コンジュゲートの混合物は、優勢なコンジュゲート種を含む。ある特定の実施形態では、単一の薬物抗体比(DAR)値を有する均一なコンジュゲートは、例えば、電気泳動又はクロマトグラフィーによってコンジュゲーション混合物から単離され得る。
【0147】
DARは、コンジュゲート当たり1~8単位の範囲である。n関するDARの量的分布も決定することができる。いくつかの場合では、nが特定の値である均一なコンジュゲートの分離、精製、及び特性評価は、電気泳動などの手段によって達成され得る。
【0148】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、1~8の範囲である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、約2~約6、約3~約5の範囲である。
【0149】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、約1である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、約2である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、約2.5である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、約3である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、約3.5である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、約4である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、約3.0、約3.1、約3.2、約3.3、約3.4、約3.5、約3.6、約3.7、約3.8、又は約3.9である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、約5である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、約6である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、約7である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、約8である。
【0150】
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書に提供されるコンジュゲートについてのDARは、約4である。
【0151】
10.ベクター、宿主細胞、及び組換え方法
実施形態はまた、抗BCMA抗体をコードする単離された核酸、その核酸を含むベクター及び宿主細胞、並びに抗体を産生するための組換え技術の提供を目的とする。
【0152】
抗体の組換え産生については、それをコードする核酸は、更なるクローニング(すなわちDNAの増幅)又は発現のため、単離され、複製可能なベクターに挿入されてもよい。いくつかの態様では、核酸は、例えば、米国特許第5,204,244号明細書(その全体が参照により組み込まれる)に記載のように、相同組換えによって産生されてもよい。
【0153】
多種のベクターが当該技術分野において既知である。ベクター成分としては、一般に、例えば、米国特許第5,534,615号明細書(その全体が参照により組み込まれる)に記載のように、シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
好適な宿主細胞の例示的な例が下記に提示される。これらの宿主細胞は、限定することを意味するものではない。
【0155】
好適な宿主細胞としては、任意の原核生物(例えば、細菌)、下等真核生物(例えば、酵母)、又は高等真核生物(例えば、哺乳動物)細胞が挙げられる。好適な原核生物としては、真正細菌、例えば、グラム陰性又はグラム陽性生物、例えば、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、例えば、エシェリキア(Escherichia)(大腸菌(E.coli))、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ(Salmonella)(ネズミチフス菌(S.typhimurium))、セラチア(Serratia)(セラチア・マルセッセンス(S.marcescans))、シゲラ(Shigella)、桿菌(Bacilli)(枯草菌(B.subtilis)及びバシラス・リケニフォルミス(B.licheniformis))、シュードモナス(Pseudomonas)(緑膿菌(P.aeruginosa))、及びストレプトマイセス(Streptomyces)が挙げられる。1つの有用な大腸菌(E.coli)クローニング宿主は大腸菌(E.coli)294であるが、大腸菌(E.coli)B、大腸菌(E.coli)X1776、及び大腸菌(E.coli)W3110などの他の株は好適である。
【0156】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母などの真核微生物もまた、抗BCMA抗体をコードするベクターに好適なクローニング又は発現宿主である。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、又は通常のパン酵母は、一般に用いられる下等真核生物宿主微生物である。しかし、多数の他の属、種、及び株、例えば、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(例えば、SF9)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)(クルイベロマイセス・ラクティス(K.lactis)、クルイベロマイセス・フラジリス(K.fragilis)、クルイベロマイセス・ブルガリカス(K.bulgaricus)、クルイベロマイセス・ウィッカラミイ(K.wickeramii)、クルイベロマイセス・ワルティ(K.waltii)、クルイベロマイセス・ドロソフィラルム(K.drosophilarum)、クルイベロマイセス・サーモトレランス(K.thermotolerans)、及びクルイベロマイセス・マルシアヌス(K.marxianus))、ヤロウイア(Yarrowia)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、カンジダ(Candida)(カンジダ・アルビカンス(C.albicans))、トリコデルマ・レーシア(Trichoderma reesia)、アカバンカビ(Neurospora crassa)、シュワンニオマイセス(Schwanniomyces)(シュワンニオミセス・オシデンタリス(S.occidentalis))、及び糸状菌、例えば、アオカビ(Penicillium)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、及びアスペルギルス(Aspergillus)(アスペルギルス・ニデュランス(A.nidulans)及びアスペルギルス・ニガー(A.niger))などが利用可能であり、有用である。
【0157】
有用な哺乳動物宿主細胞としては、COS-7細胞、HEK293細胞;ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞;チャイニーズハムスター卵巣(CHO);マウスセルトリ細胞;アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)などが挙げられる。
【0158】
本発明の抗BCMA抗体を産生するのに用いられる宿主細胞は、種々の培地中で培養されてもよい。例えば、ハムF10、最小必須培地(MEM)、RPMI-1640、及びダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)などの市販の培地は、宿主細胞の培養に好適である。更に、Ham et al.,Meth.Enz.,1979,58:44;Barnes et al.,Anal.Biochem.,1980,102:255;並びに米国特許第4,767,704号明細書、同第4,657,866号明細書、同第4,927,762号明細書、同第4,560,655号明細書、及び同第5,122,469号明細書、又は国際公開第90/03430号パンフレット及び国際公開第87/00195号パンフレット記載される培地のいずれかが用いられてもよい。前述の参考文献の各々は、その全体が参照により組み込まれる。
【0159】
これらの培地のいずれかは、必要に応じて、ホルモン及び/又は他の成長因子(インスリン、トランスフェリン、又は上皮増殖因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシン及びチミジンなど)、抗生物質、微量元素(通常、マイクロモル範囲内の最終濃度で存在する無機化合物と定義される)、及びグルコース又は等価なエネルギー源で補充されてもよい。任意の他の必要な補給剤もまた、当業者に既知である適切な濃度で含まれてもよい。
【0160】
培養条件、例えば、温度、pHなどは、発現用に選択された宿主細胞で以前に用いられたものであり、当業者にとって明らかになるであろう。
【0161】
組換え技術を用いるとき、抗体は、細胞内のペリプラズム空間内で産生され得るか、又は直接的に培地に分泌され得る。最初のステップとして抗体が細胞内で産生される場合、宿主細胞又は溶解断片のいずれかの微粒子片が、例えば、遠心分離又は限外濾過により除去される。例えば、Carter et al.(Bio/Technology,1992,10:163-167)は、大腸菌(E.coli)のペリプラズム空間に分泌される抗体を単離するための手順を記述している。簡潔に述べると、細胞ペーストが、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)の存在下で、約30分かけて解凍される。細胞片は、遠心分離により除去され得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、抗体は、無細胞系内で産生される。いくつかの態様では、無細胞系は、Yin et al.,mAbs,2012,4:217-225(その全体が参照により組み込まれる)に記載のようなインビトロ転写及び翻訳系である。いくつかの態様では、無細胞系は、真核細胞又は原核細胞からの無細胞抽出液を利用する。いくつかの態様では、原核細胞は、大腸菌(E.coli)である。抗体の無細胞発現は、例えば、抗体が不可溶性凝集体として細胞内で蓄積する場合、又はペリプラズム発現からの収量が低い場合、有用であり得る。無細胞系で産生される抗体は、細胞の供給源に応じてグリコシル化されてもよい。
【0163】
抗体が培地中に分泌される場合、そのような発現系からの上清は、一般に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、Amicon(登録商標)又はMillipore(登録商標)Pellcon(登録商標)限外濾過ユニットを用いて最初に濃縮される。タンパク質加水分解を阻害するため、前述のステップのいずれかにPMSFなどのプロテアーゼ阻害剤が含まれてもよく、また偶発的な汚染物質の成長を阻止するため、抗生物質が含まれてもよい。
【0164】
細胞から調製される抗体組成物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製され得、ここでアフィニティークロマトグラフィーは特に有用な精製技術である。親和性リガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体中に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプに依存する。ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖に基づく抗体を精製するため、プロテインAを用いることができる(その全体が参照により組み込まれる、Lindmark et al.,J.Immunol.Meth.,1983,62:1-13)。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に対して有用である(その全体が参照により組み込まれる、Guss et al.,EMBO J.,1986,5:1567-1575)。
【0165】
親和性リガンドが付着する対象のマトリックスはアガロースであることが最も多いが、他のマトリックスが利用可能である。制御された細孔ガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定なマトリックスは、アガロースで達成され得る場合よりも速い流速及び短い処理時間を可能にする。この抗体がCH3ドメインを含む場合、BakerBond ABX(登録商標)樹脂は精製にとって有用である。
【0166】
タンパク質精製のための他の技術、例えば、イオン交換カラムでの分画、エタノール沈降、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンSepharose(登録商標)でのクロマトグラフィー、クロマト分画、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈降もまた利用可能であり、当業者により適用され得る。
【0167】
任意の予備精製ステップ後、目的の抗体及び汚染物質を含む混合物は、一般に低い塩濃度(例えば、約0~0.25M塩)で実施される、約2.5~4.5の間のpHでの溶出緩衝液を用いる低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけてもよい。
【0168】
11.ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)
本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるBCMAに対する抗体のコンジュゲートと組み合わせて使用され得るガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)である。本明細書に提供されるBCMAに対する抗体のコンジュゲートのいずれか、例えば、コンジュゲート4は、GSIと組み合わせて使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体コンジュゲートは、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)、例えば、BMS-986405(Bristol-Myers Squibb、以前はJSMD194又はLY3039478として知られていた)、アバガセスタット(avagacestat)(BMS-708163;Bristol-Myers Squibb)、MK-0752(Merck & Co.)、R04929097(Roche)、セマガセスタット(semagacestat)(LY-450139;Eli Lilly & Co.)、DAPT(N-[N-(3,5-ジフルオロフェニルアセチル-L-アラニル)]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル)、L685,458、化合物E((s,s)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)-アセチルアミノ1-N-(1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-3-イル)-プロピオンアミド)、DBZ(ジベンズアゼピン)、JLK6(7-アミノ-4-クロロ-3-メトキシイソクマリン)、又は[11-エンド]-N-(5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-6,9-メタノベンゾ[9][8]アヌレン-11-イル)-チオフェン-2-スルホンアミド、又はGSIの薬学的に許容される塩、固体形態、クラスレート、溶媒和物、互変異性体、若しくはラセミ混合物と組み合わせて投与される。
【0169】
BMS-946405についてのIUPAC名は、4,4,4-トリフルオロ-N-[(1S)-1-{[(10S)-8-(2-ヒドロキシエチル)-9-オキソ-6,8-ジアザトリシクロ[9.4.0.02,7]ペンタデカ-1(11),2(7),3,5,12,14-ヘキサエン-10イル]カルバモイル}エチル]ブタンアミド水和物である。BMS-986405についてのCA索引名は、ブタンアミド,N-[(1S)-2-[[(7S)-6,7-ジヒドロ-5-(2-ヒドロキシエチル)-6-オキソ-5H-ピリド[3,2-a][3]ベンズアゼピン-7-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソエチル]-4,4,4-トリフルオロ-水和物)である。
【0170】
BMS-986405は、以下の式を有する。
【化22】
ある特定の実施形態では、GSIは、下記式によるBMS-986405である。
【化23】
ある特定の実施形態では、GSIは、下記式:
【化24】
によるBMS-986405であるか、又はその薬学的に許容される塩、クラスレート、固体形態、溶媒和物、立体異性体、互変異性体、若しくはラセミ混合物である。ある特定の実施形態では、GSIは、下記式:
【化25】
によるBMS-986405であるか、又はその薬学的に許容される塩である。
【0171】
ある特定の実施形態では、有効量のBMS-986405が、対象に投与される。ある特定の実施形態では、BMS-986405が、対象に経口投与される。ある特定の実施形態では、BMS-986405が、カプセルとして対象に投与される。
【0172】
12.医薬組成物及び投与方法
本明細書に提供される抗体コンジュゲートは、当該技術分野で利用可能な方法及び本明細書で開示される方法を用いて医薬組成物に配合され得る。同様に、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(例えば、BMS-986405)は、当該技術分野で利用可能な方法及び本明細書で開示される方法を用いて医薬組成物に配合され得る。本明細書に提供される抗体コンジュゲートのいずれかは、適切な医薬組成物中に提供され、好適な投与経路により投与され得る。
【0173】
本明細書に提供される方法は、本明細書に提供される少なくとも1つの抗体コンジュゲート及び1つ以上の適合でき、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を投与することを包含する。同様に、本明細書に提供される方法は、本明細書に提供される少なくとも1つのガンマセクレターゼ阻害剤(例えば、BMS-986405)及び1つ以上の適合でき、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を投与することを包含する。これに関連して、「薬学的に許容される」という用語は、連邦又は州政府の規制当局により認可されている又は米国薬局方(U.S.Pharmacopeia)若しくは他の一般に認められている薬局方に、動物、より詳細にはヒトでの使用に関して列記されていることを意味する。「担体」という用語は、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全及び不完全))、賦形剤、又は治療薬と共に投与されるビヒクルを含む。そのような薬学的担体は、滅菌液体、例えば、水及び油、例えば、石油、動物、植物又は合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などであり得る。医薬組成物が静脈内に投与されるとき、担体として水を用いることができる。液体担体として、特に注射可能溶液用に、生理食塩水及び水性デキストロース及びグリセロール溶液もまた用いることができる。好適な薬学的担体の例は、Martin,E.W.,Remington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。
【0174】
実際の臨床では、本明細書に提供される医薬組成物又は抗体コンジュゲート又はガンマセクレターゼ阻害剤は、当該技術分野で既知の任意の経路により投与されてもよい。例示的な投与経路としては、吸入、動脈内、経皮、筋肉内、腹腔内、静脈内、鼻腔、非経口、肺、及び皮下経路が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される医薬組成物又は抗体コンジュゲートは、非経口投与される。
【0175】
非経口投与用の組成物は、乳濁液又は滅菌溶液であり得る。非経口組成物は、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、及び注射可能有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)を含んでもよい。これらの組成物はまた、湿潤剤、等張化剤、乳化剤、分散剤、及び安定化剤を含有し得る。滅菌は、いくつかの方法で、例えば、細菌学的フィルターを用いて、放射線により、又は加熱により実施され得る。非経口組成物はまた、滅菌水又は任意の他の注射可能な滅菌培地における使用時に溶解され得る滅菌固体組成物の形態で調製され得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、医薬組成物又は単回単位剤形である。本明細書に提供される医薬組成物及び単回単位剤形は、1つ以上の予防又は治療抗体コンジュゲートを予防又は治療有効量で含む。
【0177】
医薬組成物は、1つ以上の薬学的賦形剤を含み得る。任意の好適な薬学的賦形剤を使用することができ、当業者は好適な薬学的賦形剤を選択することが可能である。好適な賦形剤の非限定的な例としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。特定の賦形剤が医薬組成物又は剤形への組み込みに適するか否かは、当該技術分野で周知の種々の要素、例えば、限定はされないが、剤形が対象に投与される方法及び剤形中の特異的抗体に依存する。組成物又は単回単位剤形はまた、必要に応じて、少量の湿潤剤又は乳化剤、又はpH緩衝液を含有し得る。したがって、以下に提供される薬学的賦形剤は、例示することを意図しており、限定するものではない。追加の薬学的賦形剤としては、例えば、その全体が参照により組み込まれる、Handbook of Pharmaceutical Excipients,Rowe et al.(Eds.)6th Ed.(2009)に記載されているものが挙げられる。
【0178】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、消泡剤を含む。任意の好適な消泡剤が使用されてもよい。いくつかの態様では、消泡剤は、アルコール、エーテル、油、ワックス、シリコーン、界面活性剤、及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの態様では、消泡剤は、鉱油、植物油、エチレンビスステアラミド、パラフィンワックス、エステルワックス、脂肪アルコールワックス、長鎖脂肪アルコール、脂肪酸石鹸、シリコングリコール、フルオロシリコーン、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールコポリマー、ポリジメチルシロキサン-二酸化ケイ素、エーテル、オクチルアルコール、キャプリルアルコール、トリオレイン酸ソルビタン、エチルアルコール、2-エチル-ヘキサノール、ジメチコン、オレイルアルコール、シメチコン、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0179】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、共溶媒を含む。共溶媒の例示的な例としては、エタノール、ポリ(エチレン)グリコール、ブチレングリコール、ジメチルアセトアミド、グリセリン、及びプロピレングリコールが挙げられる。
【0180】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、緩衝液を含む。緩衝液の例示的な例としては、酢酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、水酸化物、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、グリセリン、メチオニン、グアーガム、及びグルタミン酸一ナトリウムが挙げられる。
【0181】
いくつかの実施形態では、医薬組成部は、担体又は充填剤を含む。担体又は充填剤の例示的な例としては、ラクトース、マルトデキストリン、マンニトール、ソルビトール、キトサン、ステアリン酸、キサンタンガム、及びグアーガムが挙げられる。
【0182】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、界面活性剤を含む。界面活性剤の例示的な例としては、d-アルファトコフェロール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、ドクセートナトリウム、ベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、ラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸マクロゴール15、ミリスチルアルコール、リン脂質、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリオキシグリセリド、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンエステル、ビタミンEポリエチレン(グリコール)スクシネートが挙げられる。
【0183】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、固化防止剤を含む。固化防止剤の例示的な例としては、リン酸三カルシウム、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及び酸化マグネシウムが挙げられる。
【0184】
医薬組成物と共に使用され得る他の賦形剤としては、例えば、アルブミン、抗酸化剤、抗菌剤、抗真菌剤、生体吸収性ポリマー、キレート剤、制御放出剤、希釈剤、分散剤、溶解促進剤、乳化剤、ゲル化剤、軟膏基剤、浸透促進剤、防腐剤、可溶化剤、溶媒、安定剤、及び糖が挙げられる。これらの薬剤の各々の具体的な例は、例えば、その全体が参照により組み込まれる、Handbook of Pharmaceutical Excipients,Rowe et al.(Eds.)6th Ed.(2009)に記載されている。
【0185】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、溶媒を含む。いくつかの態様では、溶媒は、無菌等張生理食塩水などの生理食塩水又はデキストロース溶液である。いくつかの態様では、溶媒は、注射用水である。
【0186】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、マイクロ粒子又はナノ粒子などの微粒子形態である。マイクロ粒子及びナノ粒子は、ポリマー又は脂質などの任意の好適な材料から形成され得る。いくつかの態様では、マイクロ粒子又はナノ粒子は、ミセル、リポソーム、又はポリマーソームである。
【0187】
本明細書に更に提供されるのは、抗体コンジュゲートを含む無水医薬組成物及び単位剤形であり、これはいくつかの実施形態では、水が一部の抗体の分解を容易にすることができるためである。
【0188】
本明細書に提供される無水医薬組成物及び単位剤形は、無水の若しくは低水分を含有する成分、及び低水分若しくは低湿度条件を使用して調製することができる。ラクトースと、一級又は二級アミンを含む少なくとも1つの活性成分とを含む医薬組成物及び単位剤形は、製造、パッケージング、及び/又は貯蔵中に水分及び/又は湿度との実質的な接触が予想される場合、無水であり得る。
【0189】
無水医薬組成物は、その無水性が維持されるように調製及び貯蔵される必要がある。したがって、無水組成物は、好適なフォーミュラリーキット中に含めることができるように、水への曝露を防止することが知られる材料を用いてパッケージングされ得る。好適なパッケージングの例として、限定はされないが、密封ホイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられる。
【0190】
本明細書に提供されるラクトースを含まない組成物は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国薬局方(USP)SP(XXI)/NF(XVI)に列記される賦形剤を含み得る。一般に、ラクトースを含まない組成物は、活性成分、結合剤/充填剤、及び滑沢剤を、薬学的に適合でき、薬学的に許容される量で含む。例示的なラクトースを含まない剤形は、活性成分、微結晶性セルロース、予備ゼラチン化デンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0191】
更に提供されるのは、抗体又は抗体コンジュゲートが分解することになる速度を低減する1つ以上の賦形剤を含む医薬組成物及び剤形である。本明細書で「安定剤」と称されるそのような賦形剤としては、限定はされないが、アスコルビン酸などの抗酸化剤、pH緩衝液、又は塩緩衝液を含む。
【0192】
12.1.非経口剤形
ある特定の実施形態では、提供されるのは、非経口剤形である。非経口剤形は、限定はされないが、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内、及び動脈内を含む様々な経路により対象に投与され得る。それらの投与が、典型的には、汚染物質に対する対象の自然防御を迂回することから、非経口剤形は、典型的には、無菌であるか又は対象への投与前に滅菌され得る。非経口剤形の例としては、限定はされないが、注射用即時溶液、注射用の薬学的に許容される溶媒に溶解又は懸濁されるべき即時乾燥生成物、注射用即時懸濁液、及び乳濁液が挙げられる。
【0193】
非経口剤形を提供するのに使用可能な好適なビヒクルは、当業者に周知である。例としては、限定はされないが、注射用水(USP);水性ビヒクル、例えば、限定はされないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、及び乳酸リンゲル注射液;水混和性ビヒクル、例えば、限定はされないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール;並びに非水性ビヒクル、例えば、限定はされないが、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルが挙げられる。
【0194】
本明細書に開示される抗体の1つ以上の溶解度を増加させる賦形剤もまた、非経口剤形中に組み込まれ得る。
【0195】
12.2.投与量及び単位剤形
ヒト治療薬では、医師は、予防的又は根治的治療に従い、また年齢、体重、状態及び治療されるべき対象に特異的な他の要素に従い、最適であると考える薬量を決定することになる。
【0196】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、医薬組成物又は単回単位剤形である。本明細書に提供される医薬組成物及び単回単位剤形は、1つ以上の予防又は治療抗体を予防又は治療有効量で含む。
【0197】
障害又はその1つ以上の症状の予防又は治療において有効となる抗体コンジュゲート、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)又は組成物の量は、疾患又は状態の性質及び重症度、並びに抗体が投与される経路と共に変動することになる。頻度及び投与量もまた、施される特定の治療(例えば、治療薬又は予防薬)や、障害、疾患、又は状態の重症度、投与経路に依存する各対象に特異的な要素、並びに対象の年齢、体重、応答、及び過去の病歴に従って変動することになる。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から得られる用量反応曲線から外挿されてもよい。
【0198】
ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲート、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)、又は組成物の例示的な用量は、対象又は試料重量のキログラム当たりの抗体のミリグラム又はマイクログラム量(例えば、約10マイクログラム/キログラム~約50ミリグラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム~約25ミリグラム/キログラム、又は約100マイクログラム/キログラム~約10ミリグラム/キログラム)を含む。ある特定の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供される抗体コンジュゲートの、抗体の重量に基づく投与量は、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2mg/kg、2.25mg/kg、2.5mg/kg、2.75mg/kg、3mg/kg、3.25mg/kg、3.5mg/kg、3.75mg/kg、4mg/kg、4.25mg/kg、4.5mg/kg、4.75mg/kg、5mg/kg、5.1mg/kg、5.2mg/kg、5.3mg/kg、5.4mg/kg、5.5mg/kg、5.6mg/kg、5.7mg/kg、5.8mg/kg、5.9mg/kg、6mg/kg、6.1mg/kg、6.2mg/kg、6.3mg/kg、6.4mg/kg、6.5mg/kg、6.6mg/kg、6.7mg/kg、6.8mg/kg、6.9mg/kg、7.0mg/kg、7.1mg/kg、7.2mg/kg、7.3mg/kg、7.4mg/kg、7.5mg/kg、7.6mg/kg、7.7mg/kg、7.8mg/kg、7.9mg/kg、8.0mg/kg、8.25mg/kg、8.5mg/kg、8.75mg/kg、9.0mg/kg、9.25mg/kg、9.5mg/kg、9.75mg/kg、10mg/kg、10.25mg/kg、10.5mg/kg、10.75mg/kg、11.0mg/kg、11.25mg/kg、11.5mg/kg、11.75mg/kg、12.0mg/kg、12.25mg/kg、12.5mg/kg、12.75mg/kg、13.0mg/kg、13.25mg/kg、13.5mg/kg、13.75mg/kg、14.0mg/kg、14.25mg/kg、14.5mg/kg、14.75mg/kg、又は15mg/kg、若しくはそれ以上(対象の体重)である。ある特定の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供される抗体コンジュゲートの、抗体の重量に基づく投与量は、約0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2mg/kg、2.25mg/kg、2.5mg/kg、2.75mg/kg、3mg/kg、3.25mg/kg、3.5mg/kg、3.75mg/kg、4mg/kg、4.25mg/kg、4.5mg/kg、4.75mg/kg、5mg/kg、5.1mg/kg、5.2mg/kg、5.3mg/kg、5.4mg/kg、5.5mg/kg、5.6mg/kg、5.7mg/kg、5.8mg/kg、5.9mg/kg、6mg/kg、6.1mg/kg、6.2mg/kg、6.3mg/kg、6.4mg/kg、6.5mg/kg、6.6mg/kg、6.7mg/kg、6.8mg/kg、6.9mg/kg、7.0mg/kg、7.1mg/kg、7.2mg/kg、7.3mg/kg、7.4mg/kg、7.5mg/kg、7.6mg/kg、7.7mg/kg、7.8mg/kg、7.9mg/kg、8.0mg/kg、8.25mg/kg、8.5mg/kg、8.75mg/kg、9.0mg/kg、9.25mg/kg、9.5mg/kg、9.75mg/kg、10mg/kg、10.25mg/kg、10.5mg/kg、10.75mg/kg、11.0mg/kg、11.25mg/kg、11.5mg/kg、11.75mg/kg、12.0mg/kg、12.25mg/kg、12.5mg/kg、12.75mg/kg、13.0mg/kg、13.25mg/kg、13.5mg/kg、13.75mg/kg、14.0mg/kg、14.25mg/kg、14.5mg/kg、14.75mg/kg、又は15mg/kg、若しくはそれ以上(対象の体重)である。別の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供される抗体コンジュゲートの、抗体の重量に基づく投与量は、約0.1mg/kg~15mg/kg、0.1mg/kg~14mg/kg、0.1mg/kg~13mg/kg、0.1mg/kg~12mg/kg、0.1mg/kg~11mg/kg、0.1mg/kg~10mg/kg、0.1mg/kg~9mg/kg、0.1mg/kg~8mg/kg、0.1mg/kg~7mg/kg、0.1mg/kg~6mg/kg、0.1mg/kg~5mg/kg、0.1mg/kg~4mg/kg、0.1mg/kg~3mg/kg、0.1mg/kg~2mg/kg、0.1mg/kg~1.0mg/kg、0.1mg/kg~0.5mg/kg、0.3mg/kg~15mg/kg、0.3mg/kg~14mg/kg、0.3mg/kg~13mg/kg、0.3mg/kg~12mg/kg、0.3mg/kg~11mg/kg、0.3mg/kg~10mg/kg、0.3mg/kg~9mg/kg、0.3mg/kg~8mg/kg、0.3mg/kg~7mg/kg、0.3mg/kg~6mg/kg、0.3mg/kg~5mg/kg、0.3mg/kg~4mg/kg、0.3mg/kg~3mg/kg、0.3mg/kg~2mg/kg、0.3mg/kg~1.0mg/kg、1.0mg/kg~15mg/kg、1.0mg/kg~14mg/kg、1.0mg/kg~13mg/kg、1.0mg/kg~12mg/kg、1.0mg/kg~11mg/kg、1.0mg/kg~10mg/kg、1.0mg/kg~9mg/kg、1.0mg/kg~8mg/kg、1.0mg/kg~7mg/kg、1.0mg/kg~6mg/kg、1.0mg/kg~5mg/kg、1.0mg/kg~4mg/kg、1.0mg/kg~3mg/kg、1.0mg/kg~2mg/kg、3.0mg/kg~15mg/kg、3.0mg/kg~14mg/kg、3.0mg/kg~13mg/kg、3.0mg/kg~12mg/kg、3.0mg/kg~11mg/kg、3.0mg/kg~10mg/kg、3.0mg/kg~9mg/kg、3.0mg/kg~8mg/kg、3.0mg/kg~7mg/kg、3.0mg/kg~6mg/kg、3.0mg/kg~5mg/kg、又は3.0mg/kg~4mg/kgである。
【0199】
別の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供される抗体コンジュゲート又は組成物の投与量は、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1.0mg、1.5mg、2.0mg、2.5mg、3.0mg、3.5mg、4.0mg、4.5mg、5.0mg、5.5mg、6.0mg、6.5mg、7.0mg、7.5mg、8.0mg、8.5mg、9.0mg、9.5mg、10mg、15mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、150mg、又は200mgである。別の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供される抗体コンジュゲート又は組成物の投与量は、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1.0mg、1.5mg、2.0mg、2.5mg、3.0mg、3.5mg、4.0mg、4.5mg、5.0mg、5.5mg、6.0mg、6.5mg、7.0mg、7.5mg、8.0mg、8.5mg、9.0mg、9.5mg、10mg、15mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、150mg、又は200mgである。別の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供される抗体コンジュゲート又は組成物の投与量は、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、又は2000mgである。別の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供される抗体コンジュゲート又は組成物の投与量は、0.1mg~200mg、0.1mg~100mg、0.1mg~50mg、0.1mg~25mg、0.1mg~20mg、0.1mg~15mg、0.1mg~10mg、0.1mg~7.5mg、0.1mg~5mg、0.1~2.5mg、0.25mg~20mg、0.25~15mg、0.25~12mg、0.25~10mg、0.25mg~7.5mg、0.25mg~5mg、0.25mg~2.5mg、0.5mg~20mg、0.5~15mg、0.5~12mg、0.5~10mg、0.5mg~7.5mg、0.5mg~5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~20mg、1mg~15mg、1mg~12mg、1mg~10mg、1mg~7.5mg、1mg~5mg、又は1mg~2.5mgである。別の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供される抗体コンジュゲート又は組成物の投与量は、0.1mg~200mg、0.1mg~100mg、0.1mg~50mg、0.1mg~25mg、0.1mg~20mg、0.1mg~15mg、0.1mg~10mg、0.1mg~7.5mg、0.1mg~5mg、0.1~2.5mg、0.25mg~20mg、0.25~15mg、0.25~12mg、0.25~10mg、0.25mg~7.5mg、0.25mg~5mg、0.25mg~2.5mg、0.5mg~20mg、0.5~15mg、0.5~12mg、0.5~10mg、0.5mg~7.5mg、0.5mg~5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~20mg、1mg~15mg、1mg~12mg、1mg~10mg、1mg~7.5mg、1mg~5mg、又は1mg~2.5mgである。別の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供される抗体コンジュゲート又は組成物の投与量は、0.1mg~200mg、0.1mg~100mg、0.1mg~50mg、0.1mg~25mg、0.1mg~20mg、0.1mg~15mg、0.1mg~10mg、0.1mg~7.5mg、0.1mg~5mg、0.1~2.5mg、0.25mg~20mg、0.25~15mg、0.25~12mg、0.25~10mg、0.25mg~7.5mg、0.25mg~5mg、0.25mg~2.5mg、0.5mg~20mg、0.5~15mg、0.5~12mg、0.5~10mg、0.5mg~7.5mg、0.5mg~5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~20mg、1mg~15mg、1mg~12mg、1mg~10mg、1mg~7.5mg、1mg~5mg、又は1mg~2.5mgである。別の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供される抗体コンジュゲート又は組成物の投与量は、10mg~2000mg、10mg~1900mg、10mg~1800mg、10mg~1700mg、10mg~1600mg、10mg~1500mg、10mg~1400mg、10mg~1300mg、10mg~1200mg、10mg~1100mg、10mg~1000mg、10mg~900mg、10mg~800mg、10mg~700mg、10mg~600mg、10mg~500mg、10mg~400mg、10mg~300mg、10mg~200mg、10mg~100mg、15mg~2000mg、15mg~1900mg、15mg~1800mg、15mg~1700mg、15mg~1600mg、15mg~1500mg、15mg~1400mg、15mg~1300mg、15mg~1200mg、15mg~1100mg、15mg~1000mg、15mg~900mg、15mg~800mg、15mg~700mg、15mg~600mg、15mg~500mg、15mg~400mg、15mg~300mg、15mg~200mg、又は15mg~100mgである。
【0200】
別の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(例えば、BMS-986405)の投与量は、10mg、15mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、40mg、45mg、又は50mgである。別の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(例えば、BMS-986405)の投与量は、約10mg、15mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、40mg、45mg、又は50mgである。別の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(例えば、BMS-986405)の投与量は、10mg~50mg、10mg~45mg、10mg~40mg、10mg~35mg、10mg~30mg、10mg~25mg、10mg~20mg、10mg~15mg、20mg~50mg、20mg~45mg、20mg~40mg、20mg~35mg、20mg~30mg、又は20mg~25mgである。別の実施形態では、対象における障害、又はその1つ以上の症状を予防する、治療する、処置する、又は寛解させるために投与される、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(例えば、BMS-986405)の投与量は、約10mg~50mg、10mg~45mg、10mg~40mg、10mg~35mg、10mg~30mg、10mg~25mg、10mg~20mg、10mg~15mg、20mg~50mg、20mg~45mg、20mg~40mg、20mg~35mg、20mg~30mg、又は20mg~25mgである。
【0201】
用量は、好適なスケジュール、例えば、週に1回、2回、3回、又は4回に従って投与され得る。ある特定の実施形態では、用量は、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与され得る。業者にとって明らかになるように、場合によっては、本明細書に開示される範囲外の抗体コンジュゲート又はガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)の投与量を用いることが必要であり得る。更に、臨床医又は治療医師が対象応答と共に治療をいつどのように介入し、調節し、又は終結させるか知ることになることが記録される。
【0202】
異なる治療有効量は、当業者により容易に理解されるように、異なる疾患及び状態に適用可能であり得る。同様に、そのような障害を予防する、処置する、治療する、又は寛解させるのに十分であるが、本明細書に提供される抗体に関連した有害作用を引き起こすのに不十分であるか、又は低減するのに十分である量もまた、本明細書に記載される用量及び投与頻度スケジュールにより包含される。更に、本明細書に提供される組成物が複数回投与量で対象に投与されるとき、投与量の全てが同じである必要はない。例えば、対象に投与される投与量は、組成物の予防又は治療効果を改善するように増加されてもよく、又は特定の対象が経験している1つ以上の副作用を低減するように低減されてもよい。
【0203】
ある特定の実施形態では、治療又は予防は、1つ以上の負荷用量、その後の1つ以上の維持用量の本明細書に提供される抗体コンジュゲート、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)、又は組成物を用いて開始され得る。
【0204】
ある特定の実施形態では、対象の血液又は血清中で本明細書に提供される抗体、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)、又は組成物の定常状態を達成するように、本明細書に提供される抗体コンジュゲート、ガンマセクレターゼ阻害剤、又は組成物の用量が投与される。定常状態濃度は、当業者に利用可能な技術による測定により決定され得るか、又は対象の身長、体重及び年齢などの身体的特徴を基準とし得る。
【0205】
ある特定の実施形態では、同じ組成物の投与は、反復されてもよく、その投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、又は6ヶ月で分割されてもよい。他の実施形態では、同じ予防薬又は治療薬の投与は、反復されてもよく、その投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、又は6ヶ月で分割されてもよい。
【0206】
本明細書に開示される抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の投与の前に(例えば、直前に)、それと同時に、又はその後に(例えば、その直後に)投与され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の投与の30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、又は24時間前に投与され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の投与の1日、2日、3日、4日、5日、6日、又は7日前に投与され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の投与の1週間、2週間、3週間、又は4週間前に投与され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の投与の30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、又は24時間後に投与され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の投与の1日、2日、3日、4日、5日、6日、又は7日後に投与され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の投与の1週間、2週間、3週間、又は4週間後に投与され得る。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、3週間毎に1回対象に投与され、有効量のBMS-986405は、21日のサイクル中に、毎週3回対象に投与される。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)及び有効量のガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、空腹時に対象に投与される。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、空腹時に対象に投与される。ある特定の実施形態では、有効量のガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、空腹時に対象に投与される。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)及び有効量のガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、満腹時に対象に投与される。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、満腹時に対象に投与される。ある特定の実施形態では、有効量のガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、満腹時に対象に投与される。
【0207】
ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、3週間毎に1回対象に投与され、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、21日のサイクル中に、毎週1週間に3回(例えば、1日目、3日、5日、8日、10日、12日、15日、17及び19日目)投与される。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、3週間毎に1回対象に投与され、ここで、3週間毎は、21日サイクルである(例えば、その間、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)が対象に投与される)。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、21日サイクルの最初の日(1日目)に対象に投与される。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、各21日サイクルの最初の日(1日目)に対象に投与される。ある特定の実施形態では、21サイクルは、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、又は15回行われる。ある特定の実施形態では、有効量の抗体コンジュゲートは、21日サイクルの最初の日(1日目)に対象に投与され、抗体コンジュゲートの有効量は、0.3mg/kg、0.6mg/kg、1.25mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.5mg/kg、又は6.7mg/kgである。ある特定の実施形態では、有効量のBMS-986405は、21日サイクルの1日目、3日目、5日目、8日目、10日目、12日目、15日目、17日目、及び19日目に対象に投与される。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約0.3mg/kg、0.6mg/kg、1.0mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2.0mg/kg、2.25mg/kg、2.5mg/kg、2.75mg/kg、3.0mg/kg、3.25mg/kg、3.5mg/kg、3.75mg/kg、4.0mg/kg、4.25mg/kg、4.5mg/kg、4.75mg/kg、5.0mg/kg、5.25mg/kg、5.5mg/kg、5.75mg/kg、6.0mg/kg、6.1mg/kg、6.2mg/kg、6.3mg/kg、6.4mg/kg、6.5mg/kg、6.6mg/kg、6.7mg/kg、6.8mg/kg、6.9mg/kg、7.0mg/kg、7.25mg/kg、7.5mg/kg、7.75mg/kg、8.0mg/kg、8.25mg/kg、8.5mg/kg、8.75mg/kg、9.0mg/kg、9.25mg/kg、9.5mg/kg、9.75mg/kg、又は10.0mg/kg(対象の体重)であり、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、21日のサイクル中に毎週週に3回対象に投与され、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の量は、約25mgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約0.3mg/kgであり、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、21日サイクル中に毎週週に3回対象に投与され、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の量は、約25mgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約0.6mg/kgであり、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、21日サイクル中に毎週週に3回対象に投与され、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の量は、約25mgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約1.25mg/kgであり、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、21日サイクル中に毎週週に3回対象に投与され、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の量は、約25mgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約2.0mg/kgであり、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、21日サイクル中に毎週週に3回対象に投与され、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の量は、約25mgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約3.0mg/kgであり、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、21日サイクル中に毎週週に3回対象に投与され、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の量は、約25mgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約4.5mg/kgであり、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、21日サイクル中に毎週週に3回対象に投与され、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の量は、約25mgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約6.7mg/kgであり、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、21日サイクル中に毎週週に3回対象に投与され、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の量は、約25mgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約10.0mg/kgであり、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は、21日サイクル中に毎週週に3回対象に投与され、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の量は、約25mgである。ある特定の実施形態では、投与される抗体コンジュゲートの量は有効量である。ある特定の実施形態では、投与される抗体コンジュゲートの量は有効量であり、この有効量は、約0.3mg/kg、0.6mg/kg、1.0mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2.0mg/kg、2.25mg/kg、2.5mg/kg、2.75mg/kg、3.0mg/kg、3.25mg/kg、3.5mg/kg、3.75mg/kg、4.0mg/kg、4.25mg/kg、4.5mg/kg、4.75mg/kg、5.0mg/kg、5.25mg/kg、5.5mg/kg、5.75mg/kg、6.0mg/kg、6.1mg/kg、6.2mg/kg、6.3mg/kg、6.4mg/kg、6.5mg/kg、6.6mg/kg、6.7mg/kg、6.8mg/kg、6.9mg/kg、7.0mg/kg、7.25mg/kg、7.5mg/kg、7.75mg/kg、8.0mg/kg、8.25mg/kg、8.5mg/kg、8.75mg/kg、9.0mg/kg、9.25mg/kg、9.5mg/kg、9.75mg/kg、又は10.0mg/kg(対象の体重)である。ある特定の実施形態では、投与されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は有効量である。ある特定の実施形態では、投与されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)の量は有効量であり、この有効量は、10mg、15mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、40mg、45mg、又は50mgである。ある特定の実施形態では、投与されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)は有効量であり、この有効量は、25mgである。
【0208】
抗体コンジュゲートが、単剤療法として投与されるある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与される。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約0.3mg/kg、0.6mg/kg、1.0mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2.0mg/kg、2.25mg/kg、2.5mg/kg、2.75mg/kg、3.0mg/kg、3.25mg/kg、3.5mg/kg、3.75mg/kg、4.0mg/kg、4.25mg/kg、4.5mg/kg、4.75mg/kg、5.0mg/kg、5.25mg/kg、5.5mg/kg、5.75mg/kg、6.0mg/kg、6.1mg/kg、6.2mg/kg、6.3mg/kg、6.4mg/kg、6.5mg/kg、6.6mg/kg、6.7mg/kg、6.8mg/kg、6.9mg/kg、7.0mg/kg、7.25mg/kg、7.5mg/kg、7.75mg/kg、8.0mg/kg、8.25mg/kg、8.5mg/kg、8.75mg/kg、9.0mg/kg、9.25mg/kg、9.5mg/kg、9.75mg/kg、又は10.0mg/kg(対象の体重)である。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約0.3mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約0.6mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約1.25mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約2.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約3.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約4.5mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約6.7mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、3週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約10.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、投与される抗体コンジュゲートの量は有効量である。ある特定の実施形態では、投与される抗体コンジュゲートの量は有効量であり、この有効量は、約0.3mg/kg、0.6mg/kg、1.0mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2.0mg/kg、2.25mg/kg、2.5mg/kg、2.75mg/kg、3.0mg/kg、3.25mg/kg、3.5mg/kg、3.75mg/kg、4.0mg/kg、4.25mg/kg、4.5mg/kg、4.75mg/kg、5.0mg/kg、5.25mg/kg、5.5mg/kg、5.75mg/kg、6.0mg/kg、6.1mg/kg、6.2mg/kg、6.3mg/kg、6.4mg/kg、6.5mg/kg、6.6mg/kg、6.7mg/kg、6.8mg/kg、6.9mg/kg、7.0mg/kg、7.25mg/kg、7.5mg/kg、7.75mg/kg、8.0mg/kg、8.25mg/kg、8.5mg/kg、8.75mg/kg、9.0mg/kg、9.25mg/kg、9.5mg/kg、9.75mg/kg、10.0mg/kg(対象の体重)である。
【0209】
抗体コンジュゲートが単剤療法として投与されるある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、4週間毎に1回対象に投与される。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、4週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約0.3mg/kg、0.6mg/kg、1.0mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2.0mg/kg、2.25mg/kg、2.5mg/kg、2.75mg/kg、3.0mg/kg、3.25mg/kg、3.5mg/kg、3.75mg/kg、4.0mg/kg、4.25mg/kg、4.5mg/kg、4.75mg/kg、5.0mg/kg、5.25mg/kg、5.5mg/kg、5.75mg/kg、6.0mg/kg、6.1mg/kg、6.2mg/kg、6.3mg/kg、6.4mg/kg、6.5mg/kg、6.6mg/kg、6.7mg/kg、6.8mg/kg、6.9mg/kg、7.0mg/kg、7.25mg/kg、7.5mg/kg、7.75mg/kg、8.0mg/kg、8.25mg/kg、8.5mg/kg、8.75mg/kg、9.0mg/kg、9.25mg/kg、9.5mg/kg、9.75mg/kg、又は10.0mg/kg(対象の体重)である。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、4週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約0.3mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、4週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約0.6mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、4週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約1.25mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、4週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約2.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、4週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約3.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、4週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約4.5mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、4週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約6.7mg/kgである。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、4週間毎に1回対象に投与され、投与される抗体コンジュゲートの量は、約10.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、投与される抗体コンジュゲートの量は有効量である。ある特定の実施形態では、投与される抗体コンジュゲートの量は有効量であり、この有効量は、約0.3mg/kg、0.6mg/kg、1.0mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2.0mg/kg、2.25mg/kg、2.5mg/kg、2.75mg/kg、3.0mg/kg、3.25mg/kg、3.5mg/kg、3.75mg/kg、4.0mg/kg、4.25mg/kg、4.5mg/kg、4.75mg/kg、5.0mg/kg、5.25mg/kg、5.5mg/kg、5.75mg/kg、6.0mg/kg、6.1mg/kg、6.2mg/kg、6.3mg/kg、6.4mg/kg、6.5mg/kg、6.6mg/kg、6.7mg/kg、6.8mg/kg、6.9mg/kg、7.0mg/kg、7.25mg/kg、7.5mg/kg、7.75mg/kg、8.0mg/kg、8.25mg/kg、8.5mg/kg、8.75mg/kg、9.0mg/kg、9.25mg/kg、9.5mg/kg、9.75mg/kg、又は10.0mg/kg(対象の体重)である。
【0210】
12.3追加の併用療法及び製剤
本明細書に開示される抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)は、単剤療法として投与されてもよく、又は本明細書に提供されるようなガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)と組み合わせて投与されてもよい。ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)と組み合わせてBCMAに対する抗体のコンジュゲートを使用することを含むある特定の実施形態では、1つ以上の追加の治療薬が本明細書に提供される組成物、治療用製剤、及び治療の方法の一部として使用されてもよい。ある特定の実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)と組み合わせて使用されるBCMAに対する抗体のコンジュゲートは、本明細書に開示される1つ以上の化学療法剤、及びそのような組み合わせを、それを必要としている対象に投与することを含む治療の方法と組み合わせて使用されてもよい。化学療法剤の例としては、ベンダムスチン(TREANDA(登録商標)、Cephalon)、ベネトクラクスVENCLEXTA(登録商標)、Abbvie,Genentech)、デノスマブ(XGEVA(登録商標)、Amgen;PROLIA(登録商標)、カルフィルゾミブ(KYPROLIS(登録商標)、Amgen)、イキサゾミブ(NINLARO(登録商標)、Takeda)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、AstraZeneca)、スーテント(SU11248、Pfizer)、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、Novartis)、イマチニブメシル酸塩(GLEEVEC(登録商標)、Novartis)、PTK787/ZK222584(Novartis)、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標)、Sanofi)、5-FU(5-フルオロウラシル)、ロイコボリン、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファルニブ(SCH 66336)、ソラフェニブ(BAY43-9006、Bayer Labs)、及びゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、AstraZeneca)、AG1478、AG1571(SU 5271;Sugen)、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロスホスファミド;スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロメラミン(trimethylomelamine)を含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エロイテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニンヌスチン;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、ウンシアラマイシン、カリケミシン・ガムマール、及びカリケミシン・オメガール(Angew Chem.Intl.Ed.Engl.(1994)33:183-186);ジネミシンAを含むジネミシン;ビスホスホネート、例えば、クロドロネート;エスペラマイシン;並びにネオカルジノスタチンクロモフォー及び関連するクロモタンパク質エンジイン抗生物質クロモフォー)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)(ドキソルビシン)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、ミトマイシン、例えば、ミトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノシタチン、ゾルビシン;抗代謝物、例えば、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プラジエノリドB、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアムニプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、ドロモスタノロン、プロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドレナル、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充物(replenisher)、例えば、フロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシノイド、例えば、メイタンシン及びアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products,Eugene,Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピロブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOL(登録商標)(パクリタキセル;Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、ABRAXANE(登録商標)(クレモフォールフリー)、パクリタキセルのアルブミン安定化ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Ill.)、及びTAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル;Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチンNAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン);ノバントロン;テノポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;及び上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0211】
ある特定の実施形態では、提供されるのは、1つ以上のPD-1若しくはPD-L1阻害剤と組み合わせた、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)と組み合わせて使用される抗体コンジュゲートのいずれかを含む組成物、治療用製剤、及び治療若しくは使用の方法、並びにそのような組み合わせを必要としている対象に投与することを含む治療の方法である。いくつかの実施形態では、1つ以上のPD-1若しくはPD-L1阻害剤は、PD-1若しくはPD-L1経路の小分子ブロッカーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のPD-1若しくはPD-L1阻害剤は、PD-1若しくはPD-L1活性を阻害する抗体を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のPD-1若しくはPD-L1阻害剤は、CA-170、BMS-8、BMS-202、BMS-936558、CK-301、及びAUNP12からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPD-1若しくはPD-L1阻害剤は、アベルマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、AMP-224(GlaxoSmithKline)、MEDI0680/AMP-514(AstraZeneca)、PDR001(Novartis)、セミプリマブ、TSR-042(Tesaro、GlaxoSmithKline)、チスレリズマブ/BGB-A317(Beigene)、CK-301(Checkpoint Therapeutics)、BMS-936559(Bristol-Meyers Squibb)、セミプリマブ(Regeneron)、カムレリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、ゲノリムズマブ、及びA167(Sichuan Kelun-Biotech Biopharmaceutical)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPD-1若しくはPD-L1阻害剤は、MGA012(Incyte/MacroGenics)、PF-06801591(Pfizer/Merck KGaA)、LY3300054(Eli Lilly)、FAZ053(Novartis)、PD-11(Novartis)、CX-072(CytomX)、BGB-A333(Beigene)、BI754091(Boehringer Ingelheim)、JNJ-63723283(Johnson and Johnson/Jannsen)、AGEN2034(Agenus)、CA-327(Curis)、CX-188(CytomX)、STI-A1110(Servier)、JTX-4014(Jounce)、AM0001(Armo Biosciences,Eli Lilly)、CBT-502(CBT Pharmaceuticals)、FS118(F-Star/Merck KGaA)、XmAb20717(Xencor)、XmAb23104(Xencor)、AB122(Arcus Biosciences)、KY1003(Kymab)、RXI-762(RXi)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPD-1若しくはPD-L1阻害剤は、PRS-332(Pieris Pharmaceuticals)、ALPN-202(Alpine Immune Science)、TSR-075(Tesaro/Anaptys Bio)、MCLA-145(Merus)、MGD013(Macrogenics)、MGD019(Macrogenics)、RO7121661(Hoffman-La Roche)、LY3415244(Eli Lilly)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPD-1若しくはPD-L1阻害剤は、例えば、国際公開第2016/077397号パンフレット、国際公開第2018/156777号パンフレット、及び2018年5月23日に出願された国際特許出願第PCT/US2013/034213号明細書に記載される抗PD1単一特異性又は二重特異性抗体から選択される。
【0212】
ある特定の実施形態では、提供されるのは、1つ以上のLAG3阻害剤と組み合わせた、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)と組み合わせて使用される抗体コンジュゲートのいずれかを含む組成物、治療用製剤、及び治療若しくは使用の方法、並びにそのような組み合わせを必要としている対象に投与することを含む治療の方法である。いくつかの実施形態では、1つ以上のLAG3阻害剤は、LAG3経路の小分子ブロッカーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のLAG3阻害剤は、LAG3活性を阻害する抗体を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のLAG3阻害剤は、IMP321(エフチラジモドアルファ、Immutep)、レラチリマブ(Brisol-Myers Squibb)、LAG525(Novartis)、MK4280(Merck)、BI754111(Boehringer Ingelheim)、REGN3767(Regeneron/Sanofi)、Sym022(Symphogen)、及びTSR-033(Tesaro/GSK)からなる群から選択される。
【0213】
ある特定の実施形態では、提供されるのは、1つ以上のTIM3阻害剤と組み合わせた、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)と組み合わせて使用される抗体コンジュゲートのいずれかを含む組成物、治療用製剤、及び治療若しくは使用の方法、並びにそのような組み合わせを必要としている対象に投与することを含む治療の方法である。いくつかの実施形態では、1つ以上のTIM3阻害剤は、TIM3経路の小分子ブロッカーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のTIM3阻害剤は、TIM3活性を阻害する抗体を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のTIM3阻害剤は、SR-022(Tesaro)、LY3321367(Eli Lilly)、Sym023(Symphogen)、及びMBG453(Novartis)からなる群から選択される。
【0214】
ある特定の実施形態では、提供されるのは、1つ以上のCD73阻害剤と組み合わせた、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)と組み合わせて使用される抗体コンジュゲートのいずれかを含む組成物、治療用製剤、及び治療若しくは使用の方法、並びにそのような組み合わせを必要としている対象に投与することを含む治療の方法である。いくつかの実施形態では、1つ以上のCD73阻害剤は、CD73経路の小分子ブロッカーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のCD73阻害剤は、CD73活性を阻害する抗体を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のCD73阻害剤は、MEDI9447(Medimmune)、AB680(Arcus)、及びBMS-986179(Bristol-Myers Squibb)からなる群から選択される。
【0215】
ある特定の実施形態では、提供されるのは、1つ以上のCD39阻害剤と組み合わせた、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)と組み合わせて使用される抗体コンジュゲートのいずれかを含む組成物、治療用製剤、及び治療若しくは使用の方法、並びにそのような組み合わせを必要としている対象に投与することを含む治療の方法である。いくつかの実施形態では、1つ以上のCD39阻害剤は、CD39経路の小分子ブロッカーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のCD39阻害剤は、CD39活性を阻害する抗体を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のCD39阻害剤は、CPI-444(Corvus)、PBF-509(パブロビオ、Novartis)、MK-3814(Merck)、及びAZD4635(AstraZeneca)からなる群から選択される。
【0216】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)と組み合わせて使用される抗体コンジュゲートは、VELCADE(登録商標)(ボルテゾミブ)、KYPROLIS(登録商標)(カルフィルゾミブ)、NINLARO(登録商標)(イキサゾミブ)と組み合わせて投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体コンジュゲートは、FARYDAK(登録商標)(パノビノスタット)と組み合わせて投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体コンジュゲートは、DARZALEX(登録商標)(ダラツムマブ)と組み合わせて投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体コンジュゲートは、EMPLICITI(登録商標)(エロツズマブ)と組み合わせて投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体コンジュゲートは、AREDIA(登録商標)(パミドロネート)又はZOMETA(登録商標)(ゾレンドロン酸)と組み合わせて投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体コンジュゲートは、XGEVA(登録商標)(デノスマブ)又はPROLIA(登録商標)(デノスマブ)と組み合わせて投与される。
【0217】
本明細書に開示される抗体コンジュゲートと組み合わせて投与される薬剤は、抗体コンジュゲートの投与の直前、同時、又は直後に投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体コンジュゲートは、第1の投与スケジュールで投与され、1つ以上の第2の薬剤は、それら独自の投与スケジュールで投与される。本開示の目的上、そのような投与レジメンは、抗体コンジュゲートが追加の治療的活性成分と「組み合わせて」投与されることが考えられる。実施形態には、本明細書に開示される抗体コンジュゲートが、本明細書に開示される化学療法剤、PD-1阻害剤、又はPD-L1阻害剤のうちの1つ以上と一緒に製剤化されている医薬組成物が含まれる。
【0218】
13.治療用適用
治療目的の場合、本発明の抗体コンジュゲート及びガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)は、当該技術分野において既知であり、また上述した薬学的に許容される投与形態で、哺乳動物、一般的にはヒトに投与される。例えば、抗体コンジュゲート及びガンマセクレターゼ阻害剤、例えば、BMS-986405は、ボーラスとして静脈内に投与されるか、一定期間にわたり持続的に点滴するか、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、間接内、腔内、髄腔内、又は腫瘍内経路によって投与することができる。抗体コンジュゲート及びガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)はまた、全身的な治療効果だけではなく、局所的な治療効果を発揮するためには、腫瘍周辺、病巣内、又は病変部近傍の経路により好適に投与される。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは静脈内投与され、GS1、例えば、BMS-986405は、例えば、カプセル形態で経口投与される。
【0219】
ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、点滴により少なくとも60分にわたって投与され得る。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、点滴により少なくとも50分にわたって投与され得る。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、点滴により少なくとも40分にわたって投与され得る。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、点滴により少なくとも30分にわたって投与され得る。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは、点滴により少なくとも20分にわたって投与され得る。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートは点滴により投与されてもよく、最初の2つの点滴は少なくとも60分にわたって投与され、後続の点滴は少なくとも30分にわたって投与される。
【0220】
本明細書に提供される抗体コンジュゲート及びガンマセクレターゼ阻害剤は、BCMAが関与するあらゆる疾患又は状態の治療に有用である。いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、BCMAの過剰発現によって診断され得る疾患又は状態である。いくつかの実施形態では、疾患又は状態とは、抗BCMA抗体及び/又はガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)による治療から利益を得ることができる疾患又は状態である。いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、癌である。いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、白血病、リンパ腫又は多発性骨髄腫である。
【0221】
任意の好適な癌を、本明細書に提供される抗体コンジュゲート及びガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)の組み合わせを用いて治療することができる。例示的な好適な癌としては、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、肛門癌、虫垂癌、星細胞腫、基底細胞癌、脳腫瘍、胆管癌、膀胱癌、骨癌、乳癌、気管支腫瘍、原発不明癌、心臓腫瘍、頸癌、脊索腫、結腸癌、大腸癌、頭蓋咽頭腫、管状癌、胚性腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、嗅神経芽細胞腫、維性組織球腫、ユーイング肉腫、眼癌、胚細胞腫瘍、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質性腫瘍、妊娠性絨毛疾患、神経膠腫、頭頸部癌、肝細胞癌、組織球症、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、口唇及び口腔癌、肝臓癌、非浸潤性小葉癌、肺癌、マクログロブリン血症、悪性線維性組織球腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、原発不明転移性扁平頸癌、NUT遺伝子関与正中線路癌、口腔癌、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、鼻腔/副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽腫、非小細胞肺癌、中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、乳頭腫症、傍神経節腫、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、胸膜肺胞腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盂尿管癌、網膜芽細胞腫、ラブドイド腫瘍、唾液腺癌、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、脊髄腫瘍、胃癌、T細胞リンパ腫、テラトイド腫瘍、精巣癌、咽頭癌、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、膣癌、外陰癌及びウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0222】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される抗体コンジュゲート及びガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)の組み合わせにより治療される疾患は、胃癌、大腸癌、腎細胞癌、子宮頸癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、子宮癌、子宮内膜癌、前立腺癌、乳癌、頭頸部癌、脳腫瘍、肝癌、膵臓癌、中皮腫及び/又は上皮由来の癌である。特定の実施形態では、疾患は大腸癌である。いくつかの実施形態では、疾患は卵巣癌である。いくつかの実施形態では、疾患は乳癌である。いくつかの実施形態では、疾患は肺癌である。いくつかの実施形態では、疾患は頭頸部癌である。いくつかの実施形態では、疾患は、腎細胞癌である。いくつかの実施形態では、疾患は脳腫瘍である。いくつかの実施形態では、疾患は子宮内膜癌である。
【0223】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体コンジュゲート及びガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)の組み合わせで治療される疾患は、多発性骨髄腫である。具体的な実施形態では、多発性骨髄腫は、国際病期分類又は改訂国際病期分類によるステージI、ステージII又はステージIIIである。ある特定の実施形態では、当該多発性骨髄腫は、新たに診断された多発性骨髄腫である。他の実施形態では、当該多発性骨髄腫は、再発性又は難治性の多発性骨髄腫である。
【0224】
国際病期分類(ISS)では、多発性骨髄腫の病期は以下の通りである:ステージI:血清β2ミクログロブリンが<3.5mg/L且つ血清アルブミンが≧3.5g/dL、ステージII:ステージI又はステージIIIではない、ステージIII:血清β2ミクログロブリンが≧5.5mg/L。改訂国際病期分類(R-ISS)では、多発性骨髄腫の病期は以下の通りである;ステージI:ISSステージI及び蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)による標準リスクの染色体異常(すなわち、ハイリスクではない)及び血清乳酸脱水素酵素(LDH)値が正常の上限以下;ステージII:R-ISSステージI又はIIIではない;ステージIII:ISSステージIIIで、FISHによる高リスクの染色体異常(例えば、del(17p)及び/又は転座t(4;14)及び/又は転座t(14;16)の存在)又は血清LDH値が正常上限値を超える。
【0225】
多発性骨髄腫は、Durie-Salmonシステムを使用してステージを分類することもできる。このシステムでは、多発性骨髄腫はステージI、II又はIII(1、2、又は3)に分類される。各ステージは、腎機能への影響の有無により、更にA又はBに分類され、Bに分類された場合は、腎機能が著しく低下していることを意味する。ステージI:患者に症状は無いが、癌が腎機能に影響を及ぼしている場合は、ステージにかかわらず予後が悪くなる可能性がある。ステージIに特徴的な要素は、以下の通りである:赤血球数が、正常範囲内であるか、又はわずかに少ない;血液中のカルシウム量が正常である;血液中又は尿中のMタンパク質のレベルが低い;Mタンパク質が、IgGでは<5g/dL;IgAでは<3g/dL;尿中の軽鎖が<4g/24時間である;及び/又はX線検査で骨の損傷がないか、又は1つの骨病変しか認められない。ステージII:ステージIIでは、体内に多くの癌細胞が存在しており、腎機能に影響が出ている場合は、ステージに関わらず予後が悪化する。ステージIIの基準は、ステージIにもステージIIIにも当てはまらないものと定義されている。ステージIII:ステージIIIでは、体内に多くの癌細胞が存在している。このステージに特徴的な要素は以下の通りである:ヘモグロビンが、<8.5g/dLの貧血;高カルシウム血症;進行した骨損傷(3つ以上の骨病変);血中又は尿中の高レベルのMタンパク質;及び/又はMタンパク質がIgGでは>7g/dL;IgA>5g/dL;尿中軽鎖では>12g/24時間。
【0226】
上記実施形態のいずれかでは、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、≧18歳の年齢のヒト男性又はヒト女性である。
【0227】
上記実施形態のいずれかでは、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、再発性及び難治性疾患の多発性骨髄腫の病歴を有するヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、再発性及び難治性疾患の多発性骨髄腫の病歴を有するヒトであり、再発性及び難治性疾患の多発性骨髄腫は、対象に施された最新の抗骨髄腫療法に非応答性(例えば、最小奏効(MR)又はそれより良好なものを得ることに失敗)であったか、又は対象が、対象に施された最新の抗骨髄腫療法の最後の投与から60日以内に、対象が記録された疾患の進行を有している。特定の実施形態では、対象に施された最新の抗骨髄腫療法は、CAR T細胞療法である。特定の実施形態では、対象に施された最新の骨髄腫療法は、CAR T細胞療法であり、対象は、CAR T細胞療法に対して非応答性(例えば、最小奏効(MR)又はそれ以上のものを得ることに失敗)である疾患を有しているか、又は対象は、CAR T細胞注入後に60日を超えて記録された疾患の進行を有している。
【0228】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、少なくとも1つ、2つ、又は3つの先行する多発性骨髄腫治療レジメンを受けたヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、3つの先行する多発性骨髄腫治療レジメンを受けたヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、2つの先行する多発性骨髄腫治療レジメンを受けたヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、1つの先行する多発性骨髄腫治療レジメンを受けたヒトである。ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫治療レジメンは、少なくとも2つの連続した治療サイクルを含む。例えば、多発性骨髄腫治療レジメンは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つの連続した治療サイクルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、連続した治療サイクルは同じ治療であってもよく、又は異なる治療であってよい。特定の実施形態では、各治療レジメンは、少なくとも2つの連続した治療サイクルを有する。特定の実施形態では、各治療レジメンは、2つの連続した治療サイクルを有する。特定の実施形態では、各治療レジメンは、2つより少ない連続した治療サイクルを有し、対象は、治療レジメンに対する最良の応答として進行(progressive disease(PD))を有していた。特定の実施形態では、造血幹細胞移植を伴うか又は伴わない誘導、及び維持療法を伴うか又は伴わない誘導は、単一のレジメンである。特定の実施形態では、対象は、(1)プロテアソーム阻害剤、(2)免疫調節剤、及び(3)抗CD38抗体を以前に受けている。特定の実施形態では、抗CD38抗体は、ダラツムマブである。特定の実施形態では、対象は、再発性及び難治性のMMに対する療法に不耐性を有する、及び/又は不耐性であるかで先行治療に失敗している。
【0229】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、少なくとも1つ、2つ、又は3つの先行する多発性骨髄腫治療レジメンを受けているヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、3つの先行する多発性骨髄腫治療レジメンを受けているヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、2つの先行する多発性骨髄腫治療レジメンを受けているヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、1つの先行する多発性骨髄腫治療レジメンを受けているヒトである。特定の実施形態では、造血幹細胞移植を伴うか又は伴わない誘導、及び維持療法を伴うか又は伴わない誘導は、単一のレジメンである。特定の実施形態では、対象は、(1)免疫調節剤、及び/又はプロテアソーム阻害剤、(2)抗CD38単剤療法又は抗CD38組み合わせレジメン、並びに自家幹細胞移植を以前に受けている。特定の実施形態では、対象は、(1)免疫調節剤、及び/又はプロテアソーム阻害剤(対象は、少なくとも2つの完全な治療サイクルを受けた)、(2)抗CD38単剤療法又は抗CD38組み合わせレジメン、並びに自家幹細胞移植を以前に受けている。特定の実施形態では、免疫調節剤は、レナリドミド又はポマリドミドである。特定の実施形態では、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、又はイキサゾミブである。特定の実施形態では、抗CD38抗体は、ダラツムマブである。
【0230】
上記実施形態のいずれかでは、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、測定可能な疾患を有するヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、血清タンパク質電気泳動(sPEP)によって決定される≧0.5g/dLのMタンパク質の量を有するヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、尿タンパク電気泳動(uPEP)によって決定される≧200mg/24時間の採尿を有するヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、>100mg/Lの血清FLCレベル(軽鎖を伴うミリグラム/リットル)及び検出可能な血清又は尿Mタンパク質を有さない対象における異常なカッパ/ラムダ(κ/λ)比を有するヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、≧0.50g/dLの血清モノクローナルIgAレベルを有するヒトであり、対象は、免疫グロブリンクラスA(IgA)骨髄腫を有し、骨髄腫は、定量的免疫グロブリン測定によって測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、≧0.50g/dLの血清モノクローナルIgAレベルを有するヒトであり、対象は、免疫グロブリンクラスA(IgA)骨髄腫を有し、骨髄腫は、定量的免疫グロブリン測定によってだけ測定することができる。
【0231】
上記実施形態のいずれかでは、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、連続骨髄穿刺及び/又は生検に同意している。
【0232】
上記実施形態のいずれかでは、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、0~1のECOG PSを有するヒトである。
【0233】
上記実施形態のいずれかでは、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、7日間の増殖因子サポートなしで、≧1.0×10/Lの絶対好中球数(ANC)を有するヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、14日間の増殖因子サポートなしで、≧1.0×10/Lの絶対好中球数(ANC)を有するヒトであり、対象は、ペグフィルグラスチムを投与されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、(1)≧75×10/Lの血小板数(plt)(対象は、7日間輸血を受けていない)、又は(2)≧50×10/Lのplt及び≧50%の骨髄(BM)形質細胞を有するヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、カリウムが正常範囲内であるか、又は栄養補助食品で補正可能なヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、≦2.5倍の正常上限値(ULN)のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/SGOT)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/SGPT)を有するヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、≦1.5倍のULNの血清ビリルビンを有するヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、≦2.0倍のULNを有するヒトであり、この対象は、ギルバート症候群を有している。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、≦2.0倍のULNを有するヒトであり、この対象は、ギルバート症候群を有することが記録されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、コッククロフト・ゴールト式を使用するか、又は24時間の採尿法から直接計算された≧60mL/分の推算血清クレアチニンクリアランスを有するヒトである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、<1.5倍のULNの国際標準比(INR)及び<1.5倍のULNの活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を有するヒトである。
【0234】
上記実施形態のいずれかでは、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、妊娠可能な女性(FCBP)のヒトであり、(1)対象は、子宮摘出術又は両側卵巣摘出術を受けておらず、又は(2)対象は、自然閉経後24ヶ月を経過していない。更なる実施形態では、女性対象は、異性との性交渉を完全に控えるか、又は少なくとも2つの有効な避妊方法を使用することに同意している。更なる実施形態では、女性対象は、コンジュゲート4の最後の投与後に、最長42日間にわたって異性との性交渉を完全に控えるか、又は少なくとも2つの有効な避妊方法を使用することに同意している。特定の実施形態では、有効な避妊法は、経口注射可能、又は埋め込み可能なホルモン避妊薬;卵管結紮;子宮内避妊具;殺精子剤を有するバリア避妊薬;又はパートナーの精管切除である。更なる実施形態では、女性対象は、コンジュゲート4を受ける前に、2回の妊娠検査が陰性でなければならない。特定の実施形態では、陰性の妊娠検査は陰性の血清妊娠検査であり、陰性の血清妊娠検査の感度は、少なくとも25mIU/mLであるか、又は治療のサイクル1の1日目の前の72時間以内、及び治療のその後の毎回のサイクルの1日目の前の72時間以内の陰性の血清若しくは尿妊娠検査である。更なる実施形態では、女性対象は、コンジュゲート4の最後の投与後42日間避妊する。更なる実施形態では、女性対象は、BMS-986405の最後の投与後3ヶ月間避妊する。更なる実施形態では、女性対象は、継続する妊娠検査に同意している。
【0235】
上記実施形態のいずれかでは、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、性交渉を完全に控えるか、又は妊婦若しくはFCBPとの性交渉の際にコンドームを使用することを同意したヒト男性である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、コンジュゲート4の中止後少なくとも42日間、及びBMS-986405の最後の投与後3ヶ月間にわたって性交渉を完全に控えるか、又は妊婦若しくはFCBPとの性交渉の際にコンドームを使用することを同意したヒト男性である。特定の実施形態では、ヒト男性は、精管切除を受けている。
【0236】
上記実施形態のいずれかでは、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、妊娠可能な女性(FCBP)のヒトであり、(1)対象は、子宮摘出術又は両側卵巣摘出術を受けておらず、又は(2)対象は、自然閉経後24ヶ月を経過していない。更なる実施形態では、女性対象は、異性との性交渉を完全に控えるか、又は少なくとも2つの有効な避妊方法を使用することに同意している。更なる実施形態では、女性対象は、コンジュゲート4の最後の投与後に、最長220日間及びBMS-986405の最後の投与後220日間にわたって異性との性交渉を完全に控えるか、又は少なくとも2つの有効な避妊方法を使用することに同意している。特定の実施形態では、有効な避妊法は、経口注射可能、又は埋め込み可能なホルモン避妊薬;卵管結紮;子宮内避妊具;殺精子剤を有するバリア避妊薬;又はパートナーの精管切除である。更なる実施形態では、女性対象は、コンジュゲート4を受ける前に、2回の妊娠検査が陰性でなければならない。特定の実施形態では、陰性の妊娠検査は陰性の血清妊娠検査であり、陰性の血清妊娠検査の感度は、少なくとも25mIU/mLであるか、又は治療のサイクル1の1日目の前の72時間以内、及び治療のその後の毎回のサイクルの1日目の前の72時間以内の陰性の血清若しくは尿妊娠検査である。更なる実施形態では、女性対象は、コンジュゲート4の最後の投与後220日間避妊する。更なる実施形態では、女性対象は、BMS-986405の最後の投与後220日間避妊する。更なる実施形態では、女性対象は、継続する妊娠検査に同意している。
【0237】
上記実施形態のいずれかでは、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、性交渉を完全に控えるか、又は妊婦若しくはFCBPとの性交渉の際にコンドームを使用することを同意したヒト男性である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って癌を治療される対象は、コンジュゲート4の中止後少なくとも130日間、及びBMS-986405の最後の投与後130日間にわたって性交渉を完全に控えるか、又は妊婦若しくはFCBPとの性交渉の際にコンドームを使用することを同意したヒト男性である。特定の実施形態では、ヒト男性は、精管切除を受けている。
【0238】
14.親和性精製試薬
本明細書に提供される抗体コンジュゲートは、親和性精製剤として使用することができる。このプロセスにおいて、抗体コンジュゲートは、当該技術分野において周知の方法を用いて、樹脂又は濾紙などの固相に固定化されてもよい。固定化された抗体コンジュゲートを、精製すべきBCMAタンパク質(又は、その断片)を含有する試料と接触させた後、固定化抗体に結合しているBCMAタンパク質以外の試料中の物質を、実質的に全て除去する好適な溶媒を用いて支持体を洗浄する。最後に、支持体を、別の好適な溶媒、例えば、抗体からBCMAタンパク質を放出するグリシン緩衝液(pH5.0など)で洗浄する。
【0239】
15.キット
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される抗BCMA抗体コンジュゲート(例えば、コンジュゲート4)とガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)との組み合わせは、キットの形態、すなわち、その手順を行うための指示書と共に所定量の試薬がパッケージに組み合わせた形態で提供される。いくつかの実施形態では、手順とは、診断アッセイである。他の実施形態では、手順は、治療手順である。
【0240】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、有効量の本明細書に提供される抗体コンジュゲート、例えば、コンジュゲート4と、有効量のBMS-986405と、抗体コンジュゲート及びBMS-986405の使用説明書と、を含むキットである。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、別個の容器内の有効量の本明細書に提供される抗体コンジュゲート、例えば、コンジュゲート4と、有効量のBMS-986405と、抗体コンジュゲート及びBMS-986405の使用説明書と、を含むキットである。具体的な実施形態では、抗体コンジュゲートは、凍結乾燥されている。別の具体的な実施形態では、キットは、凍結乾燥抗体の再構成用の流体を更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、抗BCMA抗体コンジュゲートの再構成のための溶媒を更に含む。
【0241】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、1つ以上の用量の本明細書に提供される抗体コンジュゲート、例えば、コンジュゲート4と、1つ以上の用量のBMS-986405と、抗体コンジュゲート及びBMS-986405の使用説明書と、を含むキットである。具体的な実施形態では、抗体コンジュゲートは、約10mg~約1000mgを含む量で存在する。ある特定の実施形態では、BMS-986405は、約25mgを含む量で存在する。ある特定の実施形態では、キットは、抗体コンジュゲートとBMS-986405とを含む1つ以上の容器を含む。ある特定の実施形態では、抗体コンジュゲートとBMS-986405とは、別個の容器に入っている。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、別個の容器内の本明細書に提供される抗体コンジュゲート、例えば、コンジュゲート4と、BMS-986405と、抗体コンジュゲート及びBMS-986405の使用説明書と、を含むキットである。具体的な実施形態では、抗体コンジュゲートは、凍結乾燥されている。別の具体的な実施形態では、キットは、凍結乾燥抗体の再構成のための流体を更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、抗BCMA抗体コンジュゲートの再構成のための溶媒を更に含む。
【0242】
16.医薬組成物
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体コンジュゲートは、医薬組成物の形態で提供される。いくつかの実施形態では、GSI、例えば、BMS-986405は、医薬組成物の形態で提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、抗BCMA抗体コンジュゲートとガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)(例えば、BMS-986405)とを含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体コンジュゲートとGSIの両方が対象に提供される。
【実施例
【0243】
実施例1
抗BCMA抗体の生成
生成及びファージディスプレイ選択
ファージディスプレイを使用して、最初のヒト抗体のリード物質2190-B01及び2213-A06を発見した。抗体Fabライブラリーを、改変した市販p3ファージミドベクター(Antibody Design Labs)においてコドン最適化されたトラスツズマブFab配列を用いて構築した。簡単に説明すると、ファージミドベクターを、C末端のp3融合タンパク質としてFab重鎖を発現するように改変し、制御領域(開始コドン、制限酵素部位、ペリプラズムリーダー配列)を、Fabディスプレイレベルに合わせて最適化した。ライブラリーは、重鎖の相補性決定領域(CDR)を標的とする変異導入プライマーを用いた標準的なオーバーラップエクステンションPCRプロトコルを用いて構築した。Heckman and Pease,Nat.Protoc.,2007,2:924-932を参照されたい。ライブラリーは、M13-K07に感染したSS320大腸菌(E.coli)細胞のエレクトロポレーションにより導入した。ライブラリーの選択は、標準的なファージディスプレイプロトコルを用いて行った。Rajan & Sidhu,Methods Enzymol.,2012,502:3-23;Marks & Bradbury,Methods Mol Biol.,2004,248:161-76を参照されたい。複数回の選択工程後、Fab重鎖プールを、無細胞発現ベクターに移し、His6及びFLAGタグ付きIgG1として発現させた。
【0244】
リボソームディスプレイ選択
リボソームディスプレイを使用して、最初のヒト抗体リード物質2137-A05及び2137-C07を発見した。またリボソームディスプレイを用いて、2137-C07、2137-A05、2190-B01、及び2213-A06を親和成熟させ、特に改良型の誘導体2265を生成させた。
【0245】
抗体Fabライブラリーは、相補性決定領域(CDR)を標的とする変異導入プライマーを用いた標準的なオーバーラップエクステンションPCRプロトコルを用いて構築した。Heckman & Peasem、(上記)を参照されたい。新規抗体の選択は、標準的なリボソームディスプレイプロトコルを用いて行った。Hanes & Plueckthun,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1997,94:4937-4942を参照されたい。具体的には、Fabをベースとしたリボソームディスプレイ選択は、公開されているプロトコルに従って実施した。Stafford et al.,2014,Protein Eng.Des.Sel.27:97-109;Dreier and Plueckthun,2011,Methods Mol Biol 687:283-306を参照されたい。複数回の選択後、RT-PCRの情報から得たDNAを、標準的な分子生物工学技術を用いて、無細胞発現のために最適化されたベクターにクローニングした。Yin et al.,2012,mAbs 4:217-225を参照されたい。全ての構築物は、スクリーニング中の精製及び試験を効率化するために、HIS-及びFLAG-タグを付けた。
【0246】
例示的な抗体を、表6に報告する。抗体4は、本明細書では「抗体2265-F02」とも称される。
【0247】
【表6】
【0248】
実施例2
抗体の一次スクリーニング
抗体変異体の一次ELISAスクリーニング
選択ワークフローで生成した抗体変異体のライブラリーを大腸菌(E.coli)に形質転換し、抗生物質(カナマイシン)を添加した寒天プレートで増殖させた。個々のコロニーを、液体ブロス(TB+抗生物質カナマイシン)中で増殖させて、ローリングサークル増幅法(RCA)によるDNA増幅のテンプレートとして使用した。次いで、変異体を、記載の通りに、無細胞タンパク質合成反応で発現させた。Yin et al.,mAbs,2012,4:217-225を参照されたい。簡単に言うと、無細胞抽出物を、50μMのヨードアセトアミドを用いてRT(20℃)で30分間処理し、無細胞成分(Cai et al.,Biotechnol Prg,2015,3:823-831を参照されたい)、目的のHC変異体の10%(v/v)RCA DNAテンプレート(約10μg/mLのDNA)及び2.5μg/mLのトラスツズマブLCを含有するプレミックスに添加した。60μLの細胞不含(CF)反応物を、シェーカー(650rpm)上にて30℃で12時間、96ウェルプレート中でインキュベートした。400~1500個のコロニーを、様々な選択キャンペーンの予測される変動に応じてスクリーニングした。合成後、各反応を1:200に希釈し、ELISAによりヒト又はカニクイザルのBCMA-Fcタンパク質との結合を試験した。簡単に言うと、BCMA-Fc(R&D Systems,Minneapolis,MN)を、0.1Mの炭酸水素塩(pH8.9)中で384ウェルのMaxisorpプレートにコーティングし、PBST中の1%BSAでブロッキングした。1:200で希釈したCF反応から得た抗体を、プレート上でインキュベートして洗浄し、HRPコンジュゲート抗ヒトFab抗体(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA)及びPierce Pico Supersignal ELISA基質(ThermoFisher Scientific)を用いて検出した。
【0249】
ハイスループット細胞結合
小規模(60μL)の無細胞反応で産生した抗体の細胞結合を、迅速に評価するために、ハイスループットの一次スクリーニングを行った。このスクリーニングでは、U底96ウェルプレート(Greiner Cat#650201)又は平底384ウェルプレート(Greiner Cat#781201)に、4成分を等量ずつ合わせて、最終的に100μL/ウェルとした。これらの成分は以下のものである:1)BCMA発現NCI-H929細胞をアッセイ緩衝液(1×PBS+0.2%BSA、無菌濾過)で希釈し、最終濃度500,000個細胞/ウェルにしたもの、2)BCMA陰性MOLT-4細胞をCellTrace Oregon Green(Invitrogen Cat#34555)で染色し、アッセイ緩衝液で希釈し、最終濃度500,000個細胞/ウェルにしたもの、3)目的の抗体を産生する無細胞反応物をアッセイ緩衝液で1:50に希釈したもの、及び4)二次抗ヒト抗体(AlexaFluor 647 AffiniPure F(ab’) ロバ抗ヒトIgG、Fc特異性;Jackson ImmunoResearch Cat#709-606-098)をアッセイ緩衝液で1:100に希釈したもの。その後、プレートを氷上で1時間インキュベートした。細胞を、5分間、1500×gで回転させてペレット化し、アッセイ緩衝液に再懸濁した。その後、FACS装置(BD Biosciences FACSCanto II又はBD Biosciences LSR II)を用いて、再懸濁した細胞に対してハイスループットのフローサイトメトリーを行い、FlowJoソフトウェアを用いてデータを解析した。抗体結合は、NCIH929 BCMA陽性細胞の二次抗体シグナル(目的の抗体との結合によるものと推定される)とMOLT-4 BCMA陰性細胞のシグナルとを比較した比率により評価した。
【0250】
実施例3
抗体の二次スクリーニング
IgGの調製
初回スクリーニングで得られたトップリード物質を培養し、メーカーの指示書に従ってQiaprep 96 Turbo miniprep キット(Qiagen)を用いてミニプレップ(miniprepped)した。7.5μg/mLのミニプレップしたHC DNAと2.5μg/mLのトラスツズマブLCを4mLの無細胞反応に加え、30℃、650rpmで一晩12時間インキュベートした。清澄化した無細胞反応から得た発現した変異体を、半自動化高スループットのバッチ精製法を用いてIMAC精製により精製した。簡単に言うと、精製は96ウェルプレートの形式で行い、50μL/ウェルのIMAC樹脂(Ni Sepharose High Performance、GE Healthcare)を、IMAC結合緩衝液(50mMのTris(pH8.0)、300mMのNaCl、10mMのイミダゾール)中で平衡化し、1mLの無細胞反応物と15分間インキュベートした後、IMAC結合緩衝液中で2回洗浄した。その後、200μLのIMAC溶出緩衝液(50mMのTris(pH8.0)、300mMのNaCl、500mMのイミダゾール)を用いてHisタグ付き抗体変異体を溶出し、96ウェルのZebaプレート(7kD MWCO、Thermofisher)を用いてPBSに緩衝液を交換した。精製された抗体を、Labchip GXII(Perkin Elmer)を用いて、メーカーの指示に従いハーセプチンの標準曲線に対してハイスループットキャピラリー電気泳動を介して定量した。
【0251】
scFvの調製
ドメインとVドメインの間にリンカー配列を有するV又はVのいずれかの配向のいずれかで単鎖抗体を作製する。典型的には、scFvのリンカーは、(GGGGS)n(配列番号28)の繰り返しにより構成されており、式中、n=3、4、5又は6であり、それぞれ15、20、25、又は30残基のリンカーとなる。無細胞で発現させる場合は、N末端にMetを付加するが、哺乳類で発現させる場合はリーダーペプチドを付加する。scFvのC末端には、インビボ半減期を延ばすためにFc配列を付加できるが、scFvを直接的に使用することも可能である。scFvとFcの間には、任意選択のリンカー配列を組み込むことができる。例示的なscFv-Fcリンカー配列は、AAGSDQEPKSS(配列番号27)である。精製及びアッセイ発色を容易にするために、C末端の親和性タグを適宜追加することができる。例示的な親和性タグは、C末端FlagHisタグGSGDYKDDDDKGSGHHHHHH(配列番号25)である。停止コドンは、通常、配列の最後に挿入される。例示的なscFvは、N末端のMet残基、Vドメイン、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号26)リンカー、Vドメイン、AAGSDQEPKSS(配列番号27)リンカー、Fcドメイン、FlagHisタグ及び停止コドンを含み得る。
【0252】
示差走査蛍光定量法
タンパク質サーマルシフトアッセイは、アッセイ対象のタンパク質と環境感受性の高い色素(SYPRO Orange、Life Technologies Cat#S-6650)を、リン酸緩衝液(PBS)中で混合し、制御下で熱変性を与えながら混合物の蛍光をリアルタイムでモニターすることにより行った。0.2~2mg/mLのタンパク質溶液を、SYPRO Orangeの1:500のPBS希釈溶液と、1:1の体積比で混合した(SYPRO Orangeのストック色素はDMSO中で5000倍)。タンパク質-染料混合物の10μLアリコートを、384ウェルマイクロプレート(Bio-Rad Cat#MSP-3852)に4回に分けて分注し、光学的に透明なシールフィルム(Bio-Rad Cat#MSB-1001)でプレートを封止し、384ウェルプレートのリアルタイムサーモサイクラー(Bio-Rad CFX384 Real Time System)に入れた。タンパク質-染料混合物を、25℃~95℃まで、1サイクル当たり0.1℃の増分で加熱して(1分当たり約1.5℃)、各温度で3秒間の平衡化を行った後、蛍光測定を行った。実験の最後に、Bio-Rad CFX managerソフトウェアを用いて、転移融解温度(TM1及びTM2)を決定した。TM1は、Fcドメインの融解温度を表す。TM2は、Fabドメインの融解温度を表す。
【0253】
ビアコア(Biacore)オフレート及び反応速度分析
抗Fab又は抗Fcポリクローナル抗体を、アミンカップリング化学反応(Amine Coupling Kit、GE Life Sciences)を用いてCM5チップ(GE Life Sciences)に固定化した。固定化工程は、1×HBS-EP+緩衝液(GE Life Sciences;10×ストックを使用前に希釈した)で25μL/分の流量にて行った。NHS(0.05M)及びEDC(0.2M)の混合液を用いて、センサー表面を7分間活性化した。抗Fab抗体又は抗Fc抗体を、7分間、10mMの酢酸ナトリウム(pH4.5)中に25μg/mlの濃度で、4つのフローセル全てに注入した。エタノールアミン(1M、pH8.5)を7分間注入し、残存する活性化基をブロックした。各フローセルに、平均12,000応答単位(RU)の捕捉抗体を固定した。
【0254】
オフレート及び反応速度結合実験は、1×HBS-EP+緩衝液を用いて25℃で行った。テスト抗体及び対照抗体を、フローセル2、3及び4で、10μL/分の流量で12秒間、5~10μg/mLの濃度で抗Fab又は抗Fc表面に注入し、その後同じ流量で30秒間緩衝液洗浄を行った。抗体試料の反応速度特性評価は、1~100nMの範囲の抗原濃度と、0nMの抗原を1回注入して行った(例えば、100、50、25、6.25、1.56、及び0nMなど)。リガンド(抗体)を、抗Fab又は抗Fc表面で捕捉した後、分析物(それぞれ、ヒトBCMA-Fc、カニクイザルBCMA-Fc又はヒトBCMA;R&D Systems,custom protein production、又はSigma Aldrich)を180秒間結合させ、その後50μL/分の流量で600秒間の解離相を行った。各リガンド捕捉サイクルと分析物の結合サイクルの間に、10mMグリシン(pH2.0)を、30μL/分で30秒間2回注入することで再生を行い、その後30秒間の緩衝液洗浄工程を行った。
【0255】
データは、ビアコアT200 Evaluationソフトウェアを用いて、1-1 Langmuir結合モデルを用いてフィットさせた。KD(親和性、nM)は、会合相と解離相のフィットから算出した速度定数の比として決定した。
【0256】
細胞株及び細胞培養条件
NCI-H929、U266B1、MOLT-4及びARP-1は、ATCC及びKeats Lab(Tgen,Phoenix,AZ)から入手した。293T-カニクイザルBCMA及び293T-ラットBCMA組換え細胞は、293T細胞をカニクイザル又はラットのBCMAのcDNA配列を含有するプラスミドによりトランスフェクトして、細胞表面にカニクイザルBCMA又はラットBCMAが最も安定して発現しているものを選択することによって生成した。NCI-H929、U266B1、MOLT-4細胞は、20%熱不活化ウシ胎児血清(Hyclone;Thermo Scientific;Waltham,MA)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Cellgro-Mediatech;Manassas,VA)及び2mmol/L-glutamax(Life Technology;Carlsbad,CA)を補充したRPMI-1640(Cellgro-Mediatech;Manassas,VA)にて維持した。293T-カニクイザルBCMA及び293T-ラットBCMA細胞は、10%熱不活化ウシ胎児血清(Hyclone;Thermo Scientific;Waltham,MA)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Cellgro-Mediatech;Manassas,VA)及び2mmol/L-glutamax(Life Technology;Carlsbad,CA)を補充したハムのF-12-高グルコースDMEM(50-50)(Cellgro-Mediatech;Manassas,VA)で維持した。
【0257】
細胞結合実験
二次スクリーニングで十分量のタンパク質として精製された変異体を、蛍光活性化細胞選別(FACS)の細胞結合アッセイにて試験した。BCMA陽性のNCI-H929細胞、293T-カニクイザルBCMA細胞及びBCMA陰性の293T細胞を、FACS結合剤のスクリーニングに使用した。293T細胞は、BCMAの流出(shedding)を防ぐため、細胞結合の24時間前に1μMのDAPTで処理した。BioMekFX(Beckman Coulter)を用いて、約100~200nMの抗体濃度から開始した抗BCMA変異体の6~12点希釈溶液を、各ウェルに分注した。その後、細胞を、氷上で1時間インキュベートし、FACS緩衝液で洗浄し、BioMekFX(Beckman Coulter)を用いて分注した2.5μg/mlのAlexa647コンジュゲートヤギ抗ヒトIgGを含有する50mLのFACS緩衝液と共に氷上で1時間インキュベートした。その後、細胞を、FACS緩衝液で2回洗浄し、2%パラホルムアルデヒド(PFA)を含む200mLのPBSで10分間固定した後、蛍光検出を行った。試料は、Beckton Dickinson LSRII FACSを使用して取得した。BCMA抗体結合の幾何学的平均蛍光強度は、FlowJo(登録商標)ソフトウェア(Tree Star,Inc)を用いて分析した。
【0258】
細胞殺傷分析
BCMA陽性細胞に対する細胞殺傷アッセイにおいて、二次抗体にコンジュゲートさせた薬剤により、抗体の内在化を評価した。BCMA陽性細胞株ARP-1及びU266B1を用いて、内在化リード物質のスクリーニングを行った。細胞は、カルシウム及びマグネシウムを含まないダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)で2回洗浄し、Accutase(登録商標)(Innovative Cell Technologies;San Diego,CA)で採取し、Vi-CELL Cell Viability Analyzer(Beckman Coulter,Brea,CA)で計測した。アッセイ当日は、25マイクロリットルの容量で合計12,500個の細胞を384ウェル平底白色ポリスチレンプレート(Greiner Bio-One,Monroe,NC)に播種した。リード抗体を、細胞培養液に4倍の開始濃度で配合し、MultiScreenHTS 96-Well Filter Plates(Millipore;Billerica,MA)で濾過した。連続希釈した抗体(100nMから開始した1:3の連続希釈)(12.5μL)を、処理ウェルに加え、次にコンジュゲートP(切断可能なリンカーを介したヘミアステルリン)又はコンジュゲートM(非切断可能なリンカーを介したメイタンシノイド)によりコンジュゲートした抗ヒトナノボディ(12.5μL)を、20nMの固定最終濃度で各ウェルに添加した。アッセイプレートは、COインキュベーター内において37℃で72時間培養した後、アッセイを行った。細胞生存率の測定には、Cell Titer-Glo(登録商標)試薬(Promega Corp.Madison,WI)を、各ウェルに各々30μL添加し、製品の説明書に従ってプレートを処理した。ENVISION(登録商標)プレートリーダー(Perkin-Elmer;Waltham,MA)を用いて相対的な発光を測定した。対照として未処理の細胞を用い、相対的な発光の測定値を%生存率に変換した。データは、GraphPad Prism(GraphPad v5.0,Software;San Diego,CA)を用いて、log(阻害剤)対応答-可変傾斜、4パラメーターフィットを用いた非線形回帰分析にフィッティングさせた。データは、相対的な細胞生存率(ATP含量)%対抗体の用量で表した。
【0259】
実施例4
例示した抗BCMA抗体の特徴
表7A及び7Bは、最初のリード物質及び親和成熟後のリボソーム及びファージディスプレイから得た抗体を用いた結果を示す。
【0260】
【表7】
【0261】
【表8】
【0262】
実施例5
抗体-薬物コンジュゲーション及びDAR比の決定
抗体-薬物コンジュゲーションは、Zimmerman ES,et al.2014,Bioconjugate Chem.,25(2),pp 351-361に記載されている。簡単に言うと、精製した抗BCMA抗体変異体を、細胞傷害性薬剤にコンジュゲートさせる。ストック薬物を、DMSOに溶解し、最終濃度を5mMとする。この化合物を、PBSで1mMに希釈した後、最終薬物濃度が100μMとなるように、精製したタンパク質の試料に添加した。混合物を、RT(20℃)で17時間インキュベートした。反応試料を、製剤緩衝液で平衡化したZebaプレート(Thermo Scientific)の7000MWCO樹脂に通すことで、取り込まれなかった薬物を除去した。その後、濾液を、MUSTANG(登録商標)Qプレート(Pall Corp.)に通してエンドトキシンを除去した。
【0263】
精製の後、精製抗体又は抗体薬物コンジュゲート試料は、同じProtein Express LabChip(Caliper Life Sciences #760499)により行ったHERCEPTIN(登録商標)の質量標準と比較することにより、Caliper GXIIシステムで定量された。試料は、Protein Express Reagent Kit(Caliper Life Sciences #760328)に記載されているように分析のために調製したが、試料(試料緩衝液+50mMのNEMと混合)をCaliperシステムで分析する前に、65℃で10分間加熱した以外は、Protein Express Reagent Kitに記載されている通りに製造した。
【0264】
抗体薬物コンジュゲートを、10mMのTCEP(Pierce)において37℃で10分間還元した。還元した試料に、30uLのTA30(30%のアセトニトリル、70%の0.1%トリフルオロ酢酸)を添加した。20mgのsuper-DHB(Sigma、part No.50862)を、TA50(50%のアセトニトリル、50%の0.1%トリフルオロ酢酸)に溶解し、試料マトリックスを生成した。次に、TA30の0.5uLの試料を、TA50の0.8uLのsuper-DHBマトリックスに添加し、MALDI試料プレートに結合させる。スペクトルは、Bruker Autoflex Speed MALDI装置で以下の初期設定により得た:質量範囲7000~70000Da;試料レート及びデジタイザーの設定は0.05、0.1、0.5、1、2、リアルタイムスムージングはHighに設定し、ベースラインオフセットは調整しなかった。高電圧をオンにし、イオン源1を20kVに調整した。200nsのパルスイオン抽出、偏向時のマトリックス抑制及び最大6000Daまで抑制する。ピーク検出アルゴリズムは、信号雑音比閾値20のセントロイド、ピーク幅は150m/z、高さは80%、ベースラインはTopHatを控除する。スムージングアルゴリズムはSavtzkyGolay法であり、幅は10m/z、サイクルは10であった。全試料についての薬物-抗体比(DAR)は、各コンジュゲートのデコンボリューション後の質量スペクトルの曲線下面積の加重平均として実測した。
【0265】
実施例6
コンジュゲート4の化学特性
コンジュゲート4は、抗体と薬物-リンカーとのコンジュゲートである。コンジュゲート4は、アグリコシル化抗B細胞成熟抗原(抗BCMA)ヒト化IgG1抗体薬物コンジュゲート(ADC)であって、EUナンバリングによる公称位置180及び404(実際の位置186及び410)の非天然アミノ酸(nnAA)パラアジドメチル-L-フェニルアラニン(pAMF)残基を、20-メチル-1-(3-メチル-3,9-ジヒドロ-8Hジベンゾ[b,f][1,2,3]トリアゾロ[4,5-d]アゾシン-8-イル)-1,5,21-トリオキソ-8,11,14,17-テトラオキソ-4,20-ジアザペンタコサン-25-オイル(脱アセチル)メイタンシノイド薬物-リンカーに共有結合によりコンジュゲートされた抗BCMA IgG1ヒト化抗体(アグリコシル化2265-F02)から構成される。ADCであるコンジュゲート4は、薬物対抗体比(DAR)が4の単一で優勢なコンジュゲートされた種類(2つのレジオ異性体の約1:1の混合物として存在)である。コンジュゲート4の分子量は、約151kDaである。本明細書に記載した方法を使用して調製したコンジュゲート4の試料は、本明細書に記載の方法で測定及び計算したところ、3.9~4のDARを示した(例えば、実施例6を参照されたい)。
【0266】
コンジュゲート4中のジスルフィド結合は、以下の通りである:鎖間(LC1):Cys24-Cys89;Cys135-Cys195。鎖間(HC1):Cys23-Cys97;Cys150-Cys206;Cys267-Cys327;Cys373-Cys431。鎖間(HC2):Cys23-Cys97;Cys150-Cys206;Cys267-Cys327;Cys373-Cys431。鎖間(LC2):Cys24-Cys89;Cys135-Cys195。Intra-LC1-HC-1:Cys215-Cys226。Intra-LC2-HC-2:Cys215-Cys226。Intra-HC-HC-Hinge-1:Cys232-Cys232。Intra-HC-HC-Hinge-2:Cys235-Cys235。
【0267】
実施例7
配列
表8は、本明細書において引用される配列を提供する。
【0268】
【表9】
【0269】
【表10】
【0270】
【表11】
【0271】
【表12】
【0272】
【表13】
【0273】
【表14】
【0274】
実施例8
再発性及び難治性多発性骨髄腫(MM)を有する対象におけるコンジュゲート4の単剤療法又は組み合わせのオープンラベル、第1相、用量漸増(パートA)及び臨床用量拡大(パートB)ヒト初回投与(FIH)臨床試験
この実施例は、再発性及び難治性多発性骨髄腫(MM)を有する対象におけるBCMA抗体-薬物コンジュゲートであるコンジュゲート4の第1相多施設、オープンラベル、用量設定試験を概説する。特に、第1相試験は、再発性及び難治性MMを有する対象におけるコンジュゲート4の単剤療法及びBMS-986405(ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI))との組み合わせの用量漸増(パートA)及び用量拡大(パートB)、ヒト初回投与(FIH)臨床試験である。この試験の主な目的は、(1)再発性及び難治性MMを有する対象において、コンジュゲート4の単剤療法及びBMS-986405との組み合わせの安全性及び忍容性を決定すること、並びに(2)再発性及び難治性MMを有する対象において、コンジュゲート4の単剤療法及びBMS-986405との組み合わせの最大耐用量(MTD)、及び/又は第2相推奨用量(RP2D)を明確にすることである。この試験の副次的目的は、(1)再発性及び難治性MMにおけるコンジュゲート4の単剤療法及びBMS-986405との組み合わせの予備的な有効性を評価すること、(2)単剤療法におけるコンジュゲート4及びコンジュゲート4とBMS-986405との組み合わせの薬物動態(PK)を特性化すること、並びに(3)コンジュゲート4の抗薬物抗体(ADA)の存在、頻度、及び機能的影響を決定することである。
【0275】
選択基準
以下の基準を満たす対象が本試験に登録され得る:(1)対象(男性又は女性)は、ICFに署名する時点で≧18歳であること;(2)対象は、再発性及び難治性疾患のMMの病歴を有し、(a)最後の抗骨髄腫療法中に応答しない疾患を有し得る(最小奏効(MR)以上を得ることに失敗する)か、又は最後の抗骨髄腫療法の最後の投与から60日以内に疾患の進行が記録されていること、(b)少なくとも3回の先行するMM治療レジメンを受けた可能性があること(各レジメンは、進行(PD)がレジメンに対する最良の反応でない限り、各レジメンは少なくとも2回の連続する治療サイクルを有し得る(注:造血幹細胞移植の有無にかかわらず、及び維持療法の有無にかかわらず、誘導は、単一のレジメンと見なされる))、(c)プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、及び抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ)を受けた可能性があること、並びに(d)再発性及び難治性MMにおいて、臨床的有用性を提供することが知られている全ての確立された療法での治療に失敗したか、又は不寛容であること;(3)対象は、以下のような基準のうちの少なくとも1つを含む測定可能疾患を有し得ること:(a)血清タンパク質電気泳動(sPEP)による≧0.5g/dLのMタンパク質量、又は(b)尿タンパク質電気泳動(uPEP)による≧200mg/24時間の採尿、又は(c)>100mg/L(軽鎖を伴うミリグラム/リットル)の血清FLCレベル、及び検出可能な血清若しくは尿Mタンパク質を伴わずに患者における異常なカッパ/ラムダ(κ/λ)比、又は(d)免疫グロブリンクラスA(IgA)骨髄腫を有する対象については、その疾患は定量的免疫グロブリン測定によってのみ確実に測定でき、≧0.50g/dLの血清モノクローナルIgAレベル;(4)対象が、連続的な骨髄穿刺及び生検に同意していること;(5)対象が、0~1のECOG PSを有していること;(6)対象が、以下の臨床検査値を有し得ること:(a)7日間の増殖因子のサポート(ペグフィルグラスチムの場合は14日間)なしで、≧1.0×10/Lの絶対好中球数(ANC)、(b)7日間輸血を受けずに、≧75×10/Lの血小板数(plt)又はBM形質細胞が≧50%の場合は、≧50×10/Lのplt、(c)正常範囲内にあるか、又は栄養補助食品で補正可能なカルシウム、(d)≦2.5倍の正常上限値(ULN)のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/SGOT)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/SGPT)、(e)≦1.5倍のULNの血清ビリルビン(又はギルバート症候群を有していると記録された対象については、≦2.0倍のULN)、(f)コッククロフト・ゴールト式を使用するか、又は24時間の採尿法から直接計算された≧60mL/分の推算血清クレアチニンクリアランス、(g)<1.5倍のULNの国際標準比(INR)及び<1.5倍のULNの活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT);(7)妊娠可能な女性(FCBP)(妊娠可能な女性は、1)子宮摘出術(子宮の外科的切除)又は両側卵巣摘出術(両方の卵巣の外科的切除)を受けていないか、又は2)自然閉経後24ヶ月を経過していない(例えば、過去24ヶ月連続する任意の時点で月経があった)性的に成熟した女性である)が、(a)異性との性交渉を完全に控える(性交渉を完全に控えることは、対象の好ましい通常のライフスタイルと合致している場合に同意される。[注:周期的禁欲法(例えば、月経周期、排卵、基礎体温、排卵後を考慮した避妊)及びウィズドロアル法は容認できる避妊法ではない])か、又は少なくとも2つの有効な避妊方法(経口注射可能、又は埋め込み可能なホルモン避妊薬;卵管結紮;子宮内避妊具;殺精子剤を有するバリア避妊薬;又はパートナーの精管切除)を使用することに同意し、且つ遵守することができること(これらのうちの1つは、ICFに署名することの、試験全体を通して、コンジュゲート4の最後の投与後最大42日間、障壁になる可能性がある)、並びに(b)コンジュゲート4を開始する前に、2回の妊娠検査が陰性であること。彼女は、試験の過程中、及び試験処置の終了後に継続する妊娠検査に同意し得る(これは、対象が異性との性交渉を完全に控えている場合であっても適用する)。対象は以下の通りに、妊娠検査の結果が陰性であることが確認されるまでIPを受けることができない:(i)スクリーニング時に血清妊娠検査が陰性(少なくとも25mIU/mLの感度)、(ii)試験処置のサイクル1の1日目の前の72時間以内に、及び治療のその後の毎回のサイクルの1日目の前の72時間以内に尿妊娠検査が陰性(スクリーニング時の血清妊娠検査は、72時間前以内に実施されるならば、1日目の試験処置に先行する検査として用いることができることに留意されたい)。各妊娠の可能性のある女性(FCBP)に対して、血清又は尿妊娠検査はまた、試験終了時に実施され得る);(c)アーム2においては、コンジュゲート4の最後の投与後42日間避妊し、BMS-986405の最後の投与後3ヶ月間避妊すること、(d)試験の過程中、及び試験処置の終了後に継続する妊娠検査に同意し得る。更なる実施形態では、女性対象は、継続する妊娠検査に同意していること(これは、対象が異性との性交渉を完全に控えている場合であっても適用する);(8)男性は、彼が精管切除を受けている場合であっても、試験に参加している間、投与中断中、及びコンジュゲート4の中止後少なくとも42日間、またアーム2では、BMS-986405の最後の投与後3ヶ月間、性交渉を完全に控えるか(1ヶ月単位で検討され得る)で、又は妊婦若しくはFCBPとの性交渉の際にコンドーム(ラテックスコンドームが推奨される)を使用することを同意し、ICFの署名の障壁となることを避けることができること;(9)対象が、試験中の来院スケジュール及びその他のプロトコル要件を遵守する意欲があり、遵守することが可能であること。
【0276】
試験デザイン
本試験の用量漸増パート(パートA)は、ベイズ流ロジスティック回帰モデル(BLRM)によってガイドされたコンジュゲート4の最大耐用量(MTD)を決定するために、単剤療法で(アーム1)又はBMS-986405と組み合わせて(アーム2)IV投与された漸増用量のコンジュゲート4の安全性及び忍容性を評価する。修正された加速漸増デザインを、アーム1及びアーム2に使用する。MTDは、Q3W(3週間毎に1回)及びQ4W(4週間毎に1回)で投与されたコンジュゲート4について別々に確立され得る。用量拡大部分(パートB)は、第2相推奨用量(RP2D)を決定するために、約80人の評価可能な対象の選択された用量拡大コホートにおいて、MTD以下で投与された単剤療法(アーム1)又は組み合わせ(アーム2)でのコンジュゲート4の安全性及び有効性を更に評価する。1つ以上の用量及び投与レジメンは、非臨床データ、PK、PD、安全性、及び有効性データなどのコンジュゲート4のデータの全体に基づいてRP2Dを決定するためにコホート用量拡大のために選択され得る。全ての対象は、IMWG基準に従う確認された疾患の進行、許容できない毒性、又は対象/治験責任医師が中止を決定するまで処置される。パートA及びBは、3つの期間:スクリーニング、処置、及びフォローアップからなる。試験デザインの全体が、図2に示されている。
【0277】
治療の方法
パートAのアーム1において、コンジュゲート4の開始用量(コホート1)は、対象当たり0.6mg/kgである。コホート1における初回投与後に、後続の用量がQ3Wで与えられる。コンジュゲート4の開始用量で忍容性が認められない場合、より低い用量レベル(すなわち、コホート1、0.3mg/kg)又は代替投与間隔(すなわち、Q4W)が探索されてもよい。最初の2回の用量漸増増分はおよそ2倍であり、2.0mg/kgの投与レベルを超えると、用量の増加は50%以下になる。最初の2回のコンジュゲート4の輸注は、少なくとも60分にわたって投与される。前の輸注中に顕著なIRR又は過敏症がない場合には、次の輸注が30分かけて投与され得る。
【0278】
アーム1用量漸増についての投与コホートが、表9に要約される。
【0279】
【表15】
【0280】
パートAのアーム2では、コンジュゲート4の開始用量は、対象当たり0.6mg/kgであり、BMS-986405の用量は、25mg TIW(すなわち、1週間に3回)に固定される。特に、BMS-986405の用量は、21日のサイクル中毎週TIW(例えば、1日目、3日目、5日目、8日目、10日目、12日目、15日目、17日目、及び19日目)で経口投与され、1週間以内の各投与の間には48時間(±12時間)がある。第1のアーム2コホートにおけるコンジュゲート4の初回投与後に、コンジュゲート4のその後の用量がQ3Wで与えられる。コンジュゲート4の開始用量がアーム2で忍容性でない場合、より低いコンジュゲート4の用量レベル/又はコンジュゲート4の代替投与間隔(例えば、Q4W)が探索され得る。アーム2コホートにおいて、最初の2回の用量漸増増分はおよそ2倍であり、2.0mg/kgの投与レベルを超えると、用量の増加は50%以下になる。アーム2用量漸増についての投与コホートが、表10に要約される。
【0281】
【表16】
【0282】
用量漸増中に、投与コホート内の追加の対象を評価するための決定、次に高い用量レベル、中間用量レベル、又はMTDの申告が、所与の用量レベルについてのベイズ流ロジスティック回帰モデル(BLRM、以下に記載)推奨、臨床及び実験室安定性データ(DLT及び非DLT安定性データの両方)、PK、及びPDに基づいて、安全性審査委員会(SRC)によって決定される。SRCは、異なるスケジュール(例えば、Q4W)を用いて1つ以上の並行用量漸増コホートを試験することを推奨してもよい。代替投与間隔が探索される場合、そのコホートについての開始用量は、忍容性があると決定された用量レベル以下である。更に、SRCは、ベースライン時の骨髄腫の腫瘍組織量(例えば、骨髄形質細胞のパーセンテージ、BCMA発現、又は他の変数)などの対象に特有の変数に基づいて、用量漸増を2つ以上の並行する用量漸増コホートに分割するように推奨してもよい。
【0283】
用量漸増(パートA)の完了後に、再発性及び難治性MMを有する対象の選択されたコホートは、用量拡張相(パートB)に登録され得る。用量拡張は、パートAからの安全性、PK、及びPDデータの検討に基づいて、用量漸増相で確立された用量及びスケジュールを使用する。1つ以上の用量及び投与レジメンは、RP2Dを決定するために、用量拡張コホートにおいて探索され得る。SRCは、用量拡張コホートのための目的の用量、スケジュール、治療レジメン、及び/又は再発性及び難治性MM対象集団を選択する。
【0284】
エンドポイント
応答は、各サイクルの1日目(サイクル2の1日目に開始)及び治療終了時(EOT)に、国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)が定める多発性骨髄腫の効果判定基準(Uniform Response Criteria)(Kumar,S.et al.,“International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal residual disease assessment in multiple myeloma,”Lancet Oncol.,2016;17(8):e328-46)を使用して治験責任医師によって評価される。
【0285】
重要な有効性評価には、以下が含まれる:血清中の骨髄腫パラタンパク質(Mタンパク質)及び24時間の採尿;血清免疫グロブリン;血清遊離軽鎖;補正血清カルシウム;骨髄中の形質細胞のパーセント;溶解性骨病変のX線撮影評価;髄外形質細胞腫(EMP)評価;及び試料が評価可能な場合、EuroFlow及び/又は次世代シーケンシング(NGS)による微小残存病変(MRD)。
【0286】
分析される他の有効な変数としては、全奏効率(ORR)、奏効に至るまでの期間、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、及び全生存期間(OS)が挙げられる。
【0287】
主な関心事の有効性変数は、最小奏効(MR)及びIMWG基準に従う疾患の進行を含む骨髄腫応答である(Kumar,S et al.,2016(上記を参照))。追加の変数が要約されており、これらには奏効に至るまでの期間:治療の開始から応答(部分奏効(PR)以上)が最初に記録されるまでの時間、及び奏効期間:応答(PR以上)が最初に記録されてから疾患の進行が最初に記録されるまでの時間が含まれる。無増悪生存期間及びOSは、エンドポイントの以前のリストに加えて分析される。有効性変数は、カテゴリー変数の度数分布表又はイベントエンドポイントまでの時間と連続変数の記述統計を使用して要約される。
【0288】
全奏効率(ORR)
全奏効率は、IMWG効果判定基準に従って、部分的奏効以上(例えば、PR、最良部分奏効(VGPR)、完全奏効(CR)、又は厳格な完全奏効(sCR))を達成した対象の比率として定義される。ORRの分析は、安全性集団及び有効性評価可能な集団に基づいている。以下の応答カテゴリーにおける対象の数及びパーセンテージが提示される:厳格な完全奏効(sCR)、完全奏効(CR)、sCR+CR、最良部分奏効(VGPR)、部分奏効(PR)、全奏効(sCR+CR+VGPR+PR)、最小奏効(MR)、全奏効+MR(sCR、CR、VGPR、PR、及びMR)、安定(SD)、進行(PD)、及び評価不能(NE)。各応答カテゴリーについての対応する90%の正確なCIも提供される。
【0289】
微小残存病変(MRD)の陰性率は、最初の投与後のいずれかの時点でMRD陰性を有する対象の比率として定義される。MRDの陰性率は、持続性MRD陰性、フローMRD陰性、シーケンシングMRD陰性、及びイメージングプラスMRD陰性を含む異なる方法によって評価されるようなMRD陰性率は、安全性集団に基づいて報告されている。対応する90%の正確なCIが提供されている。
【0290】
奏効に至るまでの期間
奏効に至るまでの期間は、最初の試験処置投与日から最初の応答(PR以上)が記録された日付までの時間として定義される。この分析は、応答した対象に限定される。奏効に至るまでの期間は、安全性集団についての記述統計(平均値、標準偏差、中央値、最小値及び最大値)を用いて要約される。
【0291】
奏効期間
奏効期間は、応答(≧PR)の最も早い日付から疾患進行又は死亡(いずれか早い方)の最初の記録までの時間として定義される。奏効期間は、カプラン・マイヤー推定法を使用して要約される。分析集団は、応答した者に限定される。データカットオフの日付までに進行せず生存していた対象は、最後の適切な腫瘍評価の日に打ち切られる。奏効期間はまた、記述統計(平均値、標準偏差、中央値、最小値及び最大値)を用いて要約される。カプラン・マイヤー法を用いて観察及び打ち切られた値の両方に基づいて計算される中央値を除いて、全ての他の統計値(平均値、標準偏差、最小値及び最大値)は、観察された値のみに基づいて計算される。
【0292】
無増悪生存期間
無増悪生存期間は、試験処置の最初の投与からPD又は何らかの原因による死亡(いずれか早い方)までの時間として定義される。データカットオフの日付まで進行もなく生存していた対象は、最後の適切な腫瘍評価の日に打ち切られる。PFSは、安全性集団についてのカプラン・マイヤー法を用いて要約される。
【0293】
全生存期間
全生存期間は、試験処置の最初の投与から何らかの原因による死亡までの時間として定義される。分析のための臨床カットオフ日になお生存している対象は、生存日最後に打ち切られる。OSは、安全性集団についてのカプラン・マイヤー法を用いて要約される。
【0294】
表11は、一次エンドポイント、二次エンドポイント、及び探索的エンドポイントを含む試験エンドポイントを提供する。
【0295】
【表17】
【0296】
【表18】
【0297】
実施例9
再発性及び難治性多発性骨髄腫(MM)を有する対象におけるコンジュゲート4の単剤療法又は組み合わせのオープンラベル、第1相、用量漸増(パートA)及び臨床用量拡大(パートB)ヒト初回投与(FIH)臨床試験
この実施例は、再発性及び難治性多発性骨髄腫(MM)を有する対象におけるBCMA抗体-薬物コンジュゲートであるコンジュゲート4の第1相多施設、オープンラベル、用量設定試験を概説する。特に、第1相試験は、再発性及び難治性MMを有する対象におけるコンジュゲート4の単剤療法及びBMS-986405(ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI))との組み合わせの用量漸増(パートA)及び用量拡大(パートB)、ヒト初回投与(FIH)臨床試験である。この試験の主な目的は、(1)再発性及び難治性MMを有する対象において、コンジュゲート4の単剤療法及びBMS-986405との組み合わせの安全性及び忍容性を決定すること、並びに(2)再発性及び難治性MMを有する対象において、コンジュゲート4の単剤療法及びBMS-986405との組み合わせの最大耐用量(MTD)、及び/又は第2相推奨用量(RP2D)を明確にすることである。この試験の副次的目的は、(1)再発性及び難治性MMにおけるコンジュゲート4の単剤療法及びBMS-986405との組み合わせの予備的な有効性を評価すること、(2)単剤療法におけるコンジュゲート4及びコンジュゲート4とBMS-986405との組み合わせの薬物動態(PK)を特性化すること、並びに(3)コンジュゲート4の抗薬物抗体(ADA)の存在、頻度、及び機能的影響を決定することである。
【0298】
選択基準
以下の基準を満たす対象が本試験に登録され得る:(1)対象(男性又は女性)は、ICFに署名する時点で≧18歳であること;(2)対象は、再発性及び難治性疾患のMMの病歴を有し、(a)最後の抗骨髄腫療法中に応答しない疾患を有し得る(最小奏効(MR)以上を得ることに失敗する)か、又は最後の抗骨髄腫療法の最後の投与から60日以内に疾患の進行が記録されていること(注:最後の骨髄腫療法としてキメラ抗原受容体[CAR]T細胞を受けた疾患進行を記録した対象は、非応答性である疾患を有する(MR以上を得ることに失敗)か、又はCAR T輸注から60日を超えて疾患進行を記録した対象として登録されることが許容される)並びに(b)少なくとも3回の先行するMM治療レジメンを受けた可能性があること(注:造血幹細胞移植の有無にかかわらず、及び維持療法の有無にかかわらず、誘導は、単一のレジメンと見なされる)(対象は、以下の両方の各々を以前に受けている:(i)免疫調節剤(例えば、レナリドミド、ポマリドミド)及びプロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ)を単独で、又は組み合わせて含んだレジメン(対象は、疾患の進行がレジメンに最良の応答でない限り、少なくとも2つの治療の完全なサイクルを受けてもよい);(ii)単剤療法で、又は併用レジメンの一部として抗CD38(例えば、ダラツムマブ)を含んだレジメン;並びに(iii)対象が不適格でない限り、自家幹細胞移植);(3)対象は、以下のような基準のうちの少なくとも1つを含む測定可能疾患を有し得ること:(a)血清タンパク質電気泳動(sPEP)による≧0.5g/dLのMタンパク質量、又は(b)尿タンパク質電気泳動(uPEP)による≧200mg/24時間の採尿、又は(c)>100mg/L(軽鎖を伴うミリグラム/リットル)の血清FLCレベル、及び検出可能な血清若しくは尿Mタンパク質を伴わずに患者における異常なカッパ/ラムダ(κ/λ)比、又は(d)免疫グロブリンクラスA(IgA)骨髄腫を有する対象については、その疾患は定量的免疫グロブリン測定によってのみ確実に測定でき、≧0.50g/dLの血清モノクローナルIgAレベル;(4)対象が、連続的な骨髄穿刺及び生検に同意していること;(5)対象が、0~1のECOG PSを有していること;(6)対象が、以下の臨床検査値を有し得ること:(a)7日間の増殖因子のサポート(ペグフィルグラスチムの場合は14日間)なしで、≧1.0×10/Lの絶対好中球数(ANC)、(b)7日間輸血を受けずに、≧75×10/Lの血小板数(plt)又はBM形質細胞が≧50%の場合は、≧50×10/Lのplt、(c)正常範囲内にあるか、又は栄養補助食品で補正可能なカルシウム、(d)≦2.5倍の正常上限値(ULN)のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/SGOT)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/SGPT)、(e)≦1.5倍のULNの血清ビリルビン(又はギルバート症候群を有していると記録された対象については、≦2.0倍のULN)、(f)コッククロフト・ゴールト式を使用するか、又は24時間の採尿法から直接計算された≧60mL/分の推算血清クレアチニンクリアランス、(g)<1.5倍のULNの国際標準比(INR)及び<1.5倍のULNの活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT);(7)妊娠可能な女性(FCBP)(妊娠可能な女性は、1)子宮摘出術(子宮の外科的切除)又は両側卵巣摘出術(両方の卵巣の外科的切除)を受けていないか、又は2)自然閉経後24ヶ月を経過していない(例えば、過去24ヶ月連続する任意の時点で月経があった)性的に成熟した女性である)が、(a)異性との性交渉を完全に控える(性交渉を完全に控えることは、対象の好ましい通常のライフスタイルと合致している場合に同意される。[注:周期的禁欲法(例えば、月経周期、排卵、基礎体温、排卵後を考慮した避妊)及びウィズドロアル法は容認できる避妊法ではない])か、又は少なくとも2つの有効な避妊方法(経口注射可能、又は埋め込み可能なホルモン避妊薬;卵管結紮;子宮内避妊具;殺精子剤を有するバリア避妊薬;又はパートナーの精管切除)を使用することに同意し、且つ遵守することができること(これらのうちの1つは、ICFに署名することの、試験全体を通して、コンジュゲート4の最後の投与後最大42日間、障壁になる可能性がある)、並びに(b)コンジュゲート4を開始する前に、2回の妊娠検査が陰性であること。彼女は、試験の過程中、及び試験処置の終了後に継続する妊娠検査に同意し得る(これは、対象が異性との性交渉を完全に控えている場合であっても適用する)。対象は以下の通りに、妊娠検査の結果が陰性であることが確認されるまでIPを受けることができない:(i)スクリーニング時に血清妊娠検査が陰性(少なくとも25mIU/mLの感度)、(ii)試験処置のサイクル1の1日目の前の72時間以内に、及び治療のその後の毎回のサイクルの1日目の前の72時間以内に尿妊娠検査が陰性(スクリーニング時の血清妊娠検査は、72時間前以内に実施されるならば、1日目の試験処置に先行する検査として用いることができることに留意されたい)。各妊娠の可能性のある女性(FCBP)に対して、血清又は尿妊娠検査はまた、試験終了時に実施され得る);(c)アーム2においては、コンジュゲート4の最後の投与後42日間避妊し、BMS-986405の最後の投与後3ヶ月間避妊すること、(d)試験の過程中、及び試験処置の終了後に継続する妊娠検査に同意し得ること(これは、対象が異性との性交渉を完全に控えている場合であっても適用する);(8)男性は、彼が精管切除を受けている場合であっても、試験に参加している間、投与中断中、及びコンジュゲート4の中止後少なくとも42日間、またアーム2では、BMS-986405の最後の投与後3ヶ月間、性交渉を完全に控えるか(1ヶ月単位で検討され得る)で、又は妊婦若しくはFCBPとの性交渉の際にコンドーム(ラテックスコンドームが推奨される)を使用することを同意し、ICFの署名の障壁となることを避けることができること;(9)対象が、試験中の来院スケジュール及びその他のプロトコル要件を遵守する意欲があり、遵守することが可能であること。
【0299】
試験デザイン
本試験の用量漸増パート(パートA)は、ベイズ流ロジスティック回帰モデル(BLRM)によってガイドされたコンジュゲート4の最大耐用量(MTD)を決定するために、単剤療法で(アーム1)又はBMS-986405と組み合わせて(アーム2)IV投与された漸増用量のコンジュゲート4の安全性及び忍容性を評価する。修正された加速漸増デザインを、アーム1及びアーム2に使用する。MTDは、Q3W及びQ4Wで投与されたコンジュゲート4について別々に確立され得る。用量拡大部分(パートB)は、第2相推奨用量(RP2D)を決定するために、約80人の評価可能な対象の選択された用量拡大コホートにおいて、MTD以下で投与された単剤療法(アーム1)又は組み合わせ(アーム2)でのコンジュゲート4の安全性及び有効性を更に評価する。1つ以上の用量及び投与レジメンは、非臨床データ、PK、PD、安全性、及び有効性データなどのコンジュゲート4のデータの全体に基づいてRP2Dを決定するためにコホート用量拡大のために選択され得る。全ての対象は、IMWG基準に従う確認された疾患の進行、許容できない毒性、又は対象/治験責任医師が中止を決定するまで処置される。パートA及びBは、3つの期間:スクリーニング、処置、及びフォローアップからなる。試験デザインの全体が、図2に示されている。
【0300】
治療の方法
パートAのアーム1において、コンジュゲート4の開始用量(コホート1)は、対象当たり0.6mg/kgである。コホート1における初回投与後に、後続の用量がQ3Wで与えられる。コンジュゲート4の開始用量で忍容性が認められない場合、より低い用量レベル(すなわち、コホート1、0.3mg/kg)又は代替投与間隔(すなわち、Q4W)が探索されてもよい。最初の2回の用量漸増増分はおよそ2倍であり、2.0mg/kgの投与レベルを超えると、用量の増加は50%以下になる。最初の2回のコンジュゲート4の輸注は、少なくとも60分にわたって投与される。前の輸注中に顕著なIRR又は過敏症がない場合には、次の輸注が30分かけて投与され得る。
【0301】
アーム1用量漸増についての投与コホートが、表12に要約される。
【0302】
【表19】
【0303】
パートAのアーム2では、コンジュゲート4の開始用量は、対象当たり0.6mg/kgであり、BMS-986405の用量は、25mg TIW(すなわち、1週間に3回)に固定される。特に、BMS-986405の用量は、21日のサイクル中毎週TIW(例えば、1日目、3日目、5日目、8日目、10日目、12日目、15日目、17日目、及び19日目)で経口投与され、1週間以内の各投与の間には48時間(±12時間)がある。第1のアーム2コホートにおけるコンジュゲート4の初回投与後に、コンジュゲート4のその後の用量がQ3Wで与えられる。コンジュゲート4の開始用量がアーム2で忍容性でない場合、より低いコンジュゲート4の用量レベル/又はコンジュゲート4の代替投与間隔(例えば、Q4W)が探索され得る。アーム2コホートにおいて、最初の2回の用量漸増増分はおよそ2倍であり、2.0mg/kgの投与レベルを超えると、用量の増加は50%以下になる。アーム2用量漸増についての投与コホートが、表13に要約される。
【0304】
【表20】
【0305】
用量漸増中に、投与コホート内の追加の対象を評価するための決定、次に高い用量レベル、中間用量レベル、又はMTDの申告が、所与の用量レベルについてのベイズ流ロジスティック回帰モデル(BLRM、以下に記載)推奨、臨床及び実験室安定性データ(DLT及び非DLT安定性データの両方)、PK、及びPDに基づいて、安全性審査委員会(SRC)によって決定される。SRCは、異なるスケジュール(例えば、Q4W)を用いて1つ以上の並行用量漸増コホートを試験することを推奨してもよい。代替投与間隔が探索される場合、そのコホートについての開始用量は、忍容性があると決定された用量レベル以下である。更に、SRCは、ベースライン時の骨髄腫の腫瘍組織量(例えば、骨髄形質細胞のパーセンテージ、BCMA発現、又は他の変数)などの対象に特有の変数に基づいて、用量漸増を2つ以上の並行する用量漸増コホートに分割するように推奨してもよい。
【0306】
用量漸増(パートA)の完了後に、再発性及び難治性MMを有する対象の選択されたコホートは、用量拡張相(パートB)に登録され得る。用量拡張は、パートAからの安全性、PK、及びPDデータの検討に基づいて、用量漸増相で確立された用量及びスケジュールを使用する。1つ以上の用量及び投与レジメンは、RP2Dを決定するために、用量拡張コホートにおいて探索され得る。SRCは、用量拡張コホートのための目的の用量、スケジュール、治療レジメン、及び/又は再発性及び難治性MM対象集団を選択する。
【0307】
エンドポイント
応答は、各サイクルの1日目(サイクル2の1日目に開始)及び治療終了時(EOT)に、国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)が定める多発性骨髄腫の効果判定基準(Kumar,S.et al.,“International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal residual disease assessment in multiple myeloma,”Lancet Oncol.,2016;17(8):e328-46)を使用して治験責任医師によって評価される。
【0308】
重要な有効性評価には、以下が含まれる:血清中の骨髄腫パラタンパク質(Mタンパク質)及び24時間の採尿;血清免疫グロブリン;血清遊離軽鎖;補正血清カルシウム;骨髄中の形質細胞のパーセント;溶解性骨病変のX線撮影評価;髄外形質細胞腫(EMP)評価;及び試料が評価可能な場合、EuroFlow及び/又は次世代シーケンシング(NGS)による微小残存病変(MRD)。
【0309】
分析される他の有効な変数としては、全奏効率(ORR)、奏効に至るまでの期間、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、及び全生存期間(OS)が挙げられる。
【0310】
主な関心事の有効性変数は、最小奏効(MR)及びIMWG基準に従う疾患の進行を含む骨髄腫応答である(Kumar,S et al.,2016(上記を参照))。追加の変数が要約されており、これらには奏効に至るまでの期間:治療の開始から応答(部分奏効(PR)以上)が最初に記録されるまでの時間、及び奏効期間:応答(PR以上)が最初に記録されてから疾患の進行が最初に記録されるまでの時間が含まれる。無増悪生存期間及びOSは、エンドポイントの以前のリストに加えて分析される。有効性変数は、カテゴリー変数の度数分布表又はイベントエンドポイントまでの時間と連続変数の記述統計を使用して要約される。
【0311】
全奏効率(ORR)
全奏効率は、IMWG効果判定基準に従って、部分的奏効以上(例えば、PR、最良部分奏効(VGPR)、完全奏効(CR)、又は厳格な完全奏効(sCR))を達成した対象の比率として定義される。ORRの分析は、安全性集団及び有効性評価可能な集団に基づいている。以下の応答カテゴリーにおける対象の数及びパーセンテージが提示される:厳格な完全奏効(sCR)、完全奏効(CR)、sCR+CR、最良部分奏効(VGPR)、部分奏効(PR)、全奏効(sCR+CR+VGPR+PR)、最小奏効(MR)、全奏効+MR(sCR、CR、VGPR、PR、及びMR)、安定(SD)、進行(PD)、及び評価不能(NE)。各応答カテゴリーについての対応する90%の正確なCIも提供される。
【0312】
微小残存病変(MRD)の陰性率は、最初の投与後のいずれかの時点でMRD陰性を有する対象の比率として定義される。MRDの陰性率は、持続性MRD陰性、フローMRD陰性、シーケンシングMRD陰性、及びイメージングプラスMRD陰性を含む異なる方法によって評価されるようなMRD陰性率は、安全性集団に基づいて報告されている。対応する90%の正確なCIが提供されている。
【0313】
奏効に至るまでの期間
奏効に至るまでの期間は、最初の試験処置投与日から最初の応答(PR以上)が記録された日付までの時間として定義される。この分析は、応答した対象に限定される。奏効に至るまでの期間は、安全性集団についての記述統計(平均値、標準偏差、中央値、最小値及び最大値)を用いて要約される。
【0314】
奏効期間
奏効期間は、応答(≧PR)の最も早い日付から疾患進行又は死亡(いずれか早い方)の最初の記録までの時間として定義される。奏効期間は、カプラン・マイヤー推定法を使用して要約される。分析集団は、応答した者に限定される。データカットオフの日付までに進行せず生存していた対象は、最後の適切な腫瘍評価の日に打ち切られる。奏効期間はまた、記述統計(平均値、標準偏差、中央値、最小値及び最大値)を用いて要約される。カプラン・マイヤー法を用いて観察及び打ち切られた値の両方に基づいて計算される中央値を除いて、全ての他の統計値(平均値、標準偏差、最小値及び最大値)は、観察された値のみに基づいて計算される。
【0315】
無増悪生存期間
無増悪生存期間は、試験処置の最初の投与からPD又は何らかの原因による死亡(いずれか早い方)までの時間として定義される。データカットオフの日付まで進行もなく生存していた対象は、最後の適切な腫瘍評価の日に打ち切られる。PFSは、安全性集団についてのカプラン・マイヤー法を用いて要約される。
【0316】
全生存期間
全生存期間は、試験処置の最初の投与から何らかの原因による死亡までの時間として定義される。分析のための臨床カットオフ日になお生存している対象は、生存日最後に打ち切られる。OSは、安全性集団についてのカプラン・マイヤー法を用いて要約される。
【0317】
表14は、一次エンドポイント、二次エンドポイント、及び探索的エンドポイントを含む試験エンドポイントを提供する。
【0318】
【表21】
【0319】
【表22】
【0320】
均等物
上に記載される開示は、独立した有用性を持つ複数の異なる発明を包含する場合がある。これらの発明の各々は、その好ましい形態にて開示されているが、様々な変形が可能であるため、本明細書に開示及び図示されたそれらの特異的な実施形態は、限定的な意味として理解されるべきではない。本発明の主題は、本明細書に開示された様々な要素、特徴、機能及び/又は特性の全ての新規及び自明でない組み合わせ、及びサブコンビネーションを含むものである。以下の特許請求の範囲は、特に、新規且つ自明でないと見なされるある特定の組み合わせ及びサブコンビネーションを意図している。特徴、機能、要素、及び/又は特性の他の組み合わせ及びサブコンビネーションにおいて具体化された発明は、本願、本願の優先権主張出願又は関連出願の権利を求め得る。このような請求は、異なる発明又は同じ発明を対象としているかどうか、及び元の請求と比較して範囲が広いか、狭いか、同等か、又は異なるかにかかわらず、本開示の発明の主題に含まれるものと見なされる。
【0321】
本明細書又は図に記載された任意の実施形態から、1つ以上の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書又は図に記載された任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができる。
【0322】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願は、あたかも個々の刊行物又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的且つ個別に示されているものとして、参照により本明細書に組み込まれる。前述の発明は、理解を明確にする目的で、図示及び実施例により、ある程度詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく、ある特定の変更及び修正がなされ得ることは、本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかであろう。
図1
図2
【配列表】
2024519205000001.app
【国際調査報告】