(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-09
(54)【発明の名称】家禽スタニングのためのオンサイトCO2生成
(51)【国際特許分類】
C01B 32/50 20170101AFI20240430BHJP
【FI】
C01B32/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567249
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 US2022027239
(87)【国際公開番号】W WO2022235547
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523404930
【氏名又は名称】メッサー インダストリーズ ユーエスエー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン,マイケル,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】エーベリング,クリストファー,ティー.
【テーマコード(参考)】
4G146
【Fターム(参考)】
4G146JA02
4G146JB02
4G146JC03
(57)【要約】
排気ガス混合物で動物をスタニングする装置は、スタニングするために選択される動物が同数だけその中に収容される、加工現場に設置されるスタニングチャンバと、ガスの混合物を燃焼させて、そこからスタニングチャンバ内の動物をスタニングするための二酸化炭素を含む排気ガス混合物を提供する、加工現場に設置される燃焼チャンバと、を含む。それに関連する方法及び排気ガス混合物も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス混合物で動物をスタニングする装置において、
スタニングするために選択される動物が同数だけその中に収容される、加工現場に設置されるスタニングチャンバと、
ガスの混合物を燃焼させて、そこから前記スタニングチャンバ内の前記動物をスタニングするための二酸化炭素を含む排気ガス混合物を提供する、前記加工現場に設置される燃焼チャンバと、
を含む装置。
【請求項2】
前記燃焼チャンバの上流にあり、前記燃焼チャンバと流体連通し、気体酸素、空気、及び天然ガス又はプロパンを受けて、前記燃焼チャンバに提供されることになる燃焼混合物のための前記気体酸素、空気、及び天然ガス又はプロパンの各々をある割合で提供するための、前記加工現場にあるフロースキッドをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記燃焼チャンバの下流にあり、排気ガス混合物を受け取って、前記排気ガス混合物が前記スタニングチャンバに送達される前に冷却する、前記加工現場に設置される熱交換器をさらに含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記熱交換器の下流にあり、前記熱交換器と流体連通し、前記排気ガス混合物を受け取って乾燥させるための、前記加工現場に設置される凝縮器と、
前記凝縮器の下流にあり、前記凝縮器と流体連通し、乾燥した排気ガス混合物を受け取って、前記乾燥した排気ガス混合物から微粒子状物質を除去するための前記加工現場に設置されるフィルタと、をさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記熱交換器の下流にあり、前記熱交換器と流体連通し、前記排気ガス混合物をスタニングチャンバに送達するために受け取る、前記加工現場に設置される圧縮機又はブロワをさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記排気ガス混合物は窒素と酸素をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記気体酸素、前記空気、前記天然ガス、及び前記プロパンは前記加工現場から入手可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記燃焼チャンバは、前記ガスの混合物を燃焼させるための酸素燃料バーナ及び空気-酸素燃料バーナからなる群より選択されるバーナをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記燃焼チャンバからの前記排気ガス混合物が接触する、前記加工現場に設置されるボイラと、
前記排気ガス混合物の少なくとも一部を受け取る、前記加工現場に設置される熱交換器であって、冷却された排気ガス混合物を前記スタニングチャンバに送達するために戻すように構成され、配置された熱交換器と、
をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記熱交換器は冷却塔を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記排気ガス混合物を前記ボイラの下流領域から前記燃焼チャンバへと提供して、前記燃焼チャンバを冷却するように構成及び配置されたパイプラインをさらに含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記排気ガス混合物中の前記二酸化炭素のパーセンテージは11%~99%の範囲内である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記動物は、家禽、鶏、七面鳥、又は豚からなる群より選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
動物を排気ガス混合物でスタニングする方法において、
加工現場に設置される燃焼チャンバからの二酸化炭素を含む排気ガス混合物を任意の量の選択される種類の動物のために前記加工現場に設置されるスタニングチャンバに送達することと、
前記選択される種類の動物を前記スタニングチャンバ内で前記排気ガス混合物と接触させて、前記選択される種類の動物をスタニングすることと、
を含む方法。
【請求項15】
空気を前記燃焼チャンバに提供することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
天然ガスを前記燃焼チャンバに提供することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
プロパンを前記燃焼チャンバに提供することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記加工現場からの空気及び天然ガスを前記燃焼チャンバに提供することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記加工現場からの空気及びプロパンを前記燃焼チャンバに提供することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記排気ガス混合物は窒素と酸素をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記排気ガス混合物を前記スタニングチャンバに送達する前に、前記排気ガス混合物を冷却することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記排気ガス混合物を前記スタニングチャンバに送達する前に、前記排気ガス混合物の微粒子状物質をフィルタにより除去することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
ボイラを前記燃焼チャンバからの前記排気ガス混合物と接触させて、蒸気を提供することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記排気ガス混合物の一部を前記ボイラの下流の領域から前記燃焼チャンバへと提供して、前記燃焼チャンバを冷却することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記燃焼チャンバの上流で気体酸素、空気、及び天然ガスを組み合わせて燃焼混合物にすることと、
前記燃焼混合物を前記燃焼チャンバ内で燃焼されるように提供して、前記排気ガス混合物を提供することと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
前記燃焼チャンバの上流で気体酸素、空気、及びプロパンを組み合わせて燃焼混合物にすることと、
前記燃焼混合物を前記燃焼チャンバ内で燃焼されるように提供して、前記排気ガス混合物を提供することと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記排気ガス混合物中の前記二酸化炭素のパーセンテージは11%~99%の範囲内である、請求項14に記載の装置。
【請求項28】
前記選択される種類の動物は家禽である、請求項14に記載の方法。
【請求項29】
前記選択される種類の動物は、鶏、七面鳥、及び豚からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
動物をスタニングするための排気ガス混合物において、加工現場において燃焼させられて、前記加工現場で動物をスタニングするための二酸化炭素を含む排気ガス混合物を生成するためのガスの混合物を含む排気ガス混合物。
【請求項31】
前記動物は家禽を含む、請求項30に記載の排気ガス混合物。
【請求項32】
前記選択される種類の動物は、鶏、七面鳥、及び豚からなる群より選択される、請求項30に記載の排気ガス混合物。
【請求項33】
前記ガスの混合物は、前記加工現場で燃焼させられるための気体酸素、空気、及び天然ガス又はプロパンを含む、請求項30に記載の排気ガス混合物。
【請求項34】
前記排気ガス混合物は窒素と酸素をさらに含む、請求項30に記載の排気ガス混合物。
【請求項35】
前記排気ガス混合物の温度は動物の前記スタニングの前に低下させられる、請求項30に記載の排気ガス混合物。
【請求項36】
前記排気ガス混合物中の前記二酸化炭素のパーセンテージは11%~99%の範囲内である、請求項30に記載の排気ガス混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、食品加工のための動物のスタニングに関し、特に、例えば家禽等の動物を工業ガスでスタニングするための装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば家禽等の動物のスタニングには、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、及び酸素(O2)からなる大気が必要である。「二酸化炭素」と「CO2」、「窒素」と「N2」、「酸素」と「O2」という用語は本明細書では互換的に使用される。「スタニングされた」又は「スタニング」という用語は、動物性食品加工産業で使用され、また本明細書で使用されるかぎり、動物を、その動物を食用として屠殺する前に失神状態にするプロセスを意味する。スタニングプロセスにより、家禽等の動物は不快や痛みを感じなくなる。例えば家禽のスタニングでは、鳥類をその後の処理のために屠殺する前に高濃度のCO2が必要となる。家禽のスタニング及び家禽のスタニングに使用される機器は当業界で知られている。
【0003】
従来、家禽スタニングシステムへの工業ガスの供給は、オンサイトの工業用バルクガス貯蔵タンク(二酸化炭素、窒素、及び酸素)により提供されてきた。「オンサイト(の)」及び「バルク」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、加工業者の施設又は敷地に配置又は設置された大型タンク、コンテナ、又は容器を意味し、これにはそれぞれの液体が、計画された配達中に、又はスタニング施設での需要の増大に対応するために緊急時に必要に応じてオンサイトのタンクにその液体を送達するタンカトラックから充填される。ほとんどの用途において、バルクタンクには液体が収容される。バルクタンクはその後、その液体をパイプライン又はその他の中間プロセスを通じて送達し、そこで液相はスタニングチャンバで使用されることになるガスへと変化する。ガスは、所定のスタニングガス混合物を得るために様々な濃度で混合される。選択されるスタニングガス混合物は、動物へのストレスを最小化し、したがってその後の加工中に動物から得られる食用肉の収量と品質の両方を高めるものである。
【0004】
スタニングは家禽肉加工における最初の必要なステップ又は初期ステップの1つであるため、二酸化炭素の確実な供給がオンサイトのスタニングプロセスに欠かせない。スタニングプロセスのための二酸化炭素の供給が中断されると、家禽肉加工施設の生産を停止しなければならず、その結果、家禽(食品)加工業者に不利な経済的影響が及ぶ。既知のスタニング施設事業者は自己のオンサイトバルク貯蔵タンクを有し、そこには現在、計画的な配達を行うバルク二酸化炭素タンカから供給が行われる。残念ながら、CO2はスタニングガス混合物のために使用される全てのガスの中で中断のリスクが最も高い。これは、CO2が、例えば精製所、エタノールプラント等のフィードガス供給業者から供給されるフィードガスストリームから得られるからである。そして、フィードガス供給業者が締結するフィードガス契約では、そこからCO2が得られるプラントの保守、一時休業、停電、アイドリング、及び定期修理によるフィードガスストリームの停止及び/又は中断が認められている。実際に、供給業者と、したがってガススタニング施設の事業者は、空気から取り込まれるガスである酸素及び窒素の送達と比較して、CO2の継続的な供給の送達をほとんどコントロールできない。それゆえ、関係するプロセスで使用されるスタニングガス混合物のためのCO2の確実な供給は、酸素と窒素のそれより中断しやすい。
【0005】
図1に関して、上述のようなCO
2の停止又は中断の影響を受けやすい既知のスタニング施設では、例えば家禽(鶏その他)等の動物102のためのスタニングチャンバ100を有するスタニングシステムを使用している。スタニングチャンバ100が使用されるスタニング施設に、ある量又は分子のO
2、N
2、及びCO
2が液体バルクで送達される。液体酸素(LOX)、液体窒素(LIN)、及び液体二酸化炭素(LCO
2)の各々のタンカトラック(図示せず)は、それぞれの液体製品を、スタニング施設の構内に設置される対応するバルクタンク104(バルク液体O
2)、106(バルク液体N
2)、108(バルク液体CO
2)に配達する。バルクタンク104、106、108の各々は、対応する出口と対応するパイプライン104’、106’、108’を有し、これらはバルクタンクのそれぞれ1つを対応する気化器114、116、118の入口に接続する。気化器114、116、118の各々は、対応するパイプライン114’、116’、118’に接続された出口を有し、パイプラインの各々は混合システム110又はスキッドの対応する入口に接続される。バルクタンク104、106、108は加圧され、それによって各タンク内にタンク上部圧力を生じさせ、対応するバルク液体をタンクから押し出し、気化器114、116、118のそれぞれ1つに、好ましくはその作業に必要であるように制御された連続的な方法で送達されるようにする。気化器114、116、118は、バルク液体を受け取ってそれらを気化させ、すなわち、バルク液体は各々、液体から気相へと変化し、それによって下流の混合システム110又はスキッド内でガスを混合しやすくなる。
【0006】
スキッド110で、タンク104、106、108からの各バルク液体の気体部分が混合されて、その後、別のパイプライン110’を通じてスタニングチャンバ100に供給され、それと連通する。各バルクタンク104、106、108から出た液体の流れは加圧されることが好ましいが、タンク104、106、108からバルク液体を送達するその他の方法も利用できる。
【0007】
混合システム110は、ガススタニング混合物112をスタニングチャンバ100に提供する。3種類のガスがスキッド110において、スタニング及びその後の加工中の食肉の品質と収量を最適化するように選択されるガススタニング混合物112を提供するために、様々な濃度で混合されている。チャンバ100内でスタニングされる動物の種類と数により、ガススタニング混合物112の中で使用されることになる各ガスの特定の割合又は濃度が決まる。スタニング中の動物に関するその後のプロセスによっても、ガススタニング混合物112中で使用されることになる各ガスの割合又は濃度が決まることがあり得る。
【0008】
図1の既知のスタニングシステムから明らかであるように、スタニングシステムはその後の加工のために家禽をスタニングするためのCO
2の確実な供給により左右される。CO
2ガスは、スタニングガス混合物112にとって主要な、すなわち最も重要なガスである。しかしながら、CO
2の停止、中断、及び/又はその他の考え得る不可抗力の状況は、スタニングシステムのスタニングガス混合物112中で使用されることになるCO
2ガス生成のためのバルク貯蔵タンク108への液体CO
2の確実な送達に不利な影響を与え得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、スタニングのために「オンデマンドのCO2」を発生させることのできる、上述のように食品加工業者が受ける欠点を排除するような、オフサイトからのバルク液体CO2の送達への依存に代わる方策が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
発明性のある実施形態は、スタニングガス混合物として煙道ガス又は排気ガス混合物を、例えば家禽等の動物のためのスタニングシステムで必要な二酸化炭素(CO2)及びその他のガスを供給する、加工業者の敷地又は施設の現場にある酸素燃料燃焼プロセスから供給する。酸素燃料燃焼装置及びそれに関連する方法は、スタニングシステムのそれと同じ加工現場又は施設内にある。加工現場に既に存在する天然ガス又はプロパン及びバルク液体タンクからの気体酸素は、CO2より容易に入手でき、燃焼プロセスの酸素燃料バーナに送達される。本明細書における天然ガスへの言及は、プロパンも含む。気体酸素、空気、及び天然ガスを酸素燃料バーナで燃焼させることにより、CO2、窒素(N2)、酸素(O2)、及び水(H2O)からなる燃料ガスが得られる。天然ガスを酸素及び空気と共に異なる量の酸化剤を使用できる空気-酸素燃料バーナで燃焼させることによっても、CO2、窒素(N2)、酸素(O2)、及び水(H2O)からなる燃料ガスが得られる。燃焼ガス又はバーナ用酸化剤が100%酸素である場合、その結果として得られる燃料ガスは90%ものCO2を含む可能性がある。酸素と天然ガス(又はプロパン)は、より容易且つ確実に入手可能であり、供給中断のリスクを有意に減らすことになるが、それはCO2が現場でオンデマンドで作られるからである。
【0011】
本願では、排気ガス混合物で動物をスタニングする装置が提供され、これは、スタニングするために選択される動物が同数だけその中に収容される、加工現場に設置されるスタニングチャンバと、ガスの混合物を燃焼させて、そこからスタニングチャンバ内の動物をスタニングするための二酸化炭素を含む排気ガス混合物を提供する、加工現場に設置される燃焼チャンバと、を含む。
【0012】
特定の実施形態において、装置は、燃焼チャンバの上流にあり、それと流体連通し、気体酸素、空気、及び天然ガス又はプロパンを受け取って、燃焼チャンバに提供されることになる燃焼混合物のための気体酸素、空気、及び天然ガス又はプロパンの各々をある割合で提供する、加工現場に設置されるフロースキッドをさらに含む。
【0013】
特定の実施形態において、装置は、燃焼チャンバの下流にあり、排気ガス混合物を受け取って、排気ガス混合物がスタニングチャンバに送達される前に冷却する、加工現場に設置される熱交換器をさらに含む。
【0014】
特定の実施形態において、装置は、熱交換器の下流にあり、それと流体連通し、排気ガス混合物を受け取って乾燥させる、加工現場に設置される凝縮器と、凝縮器の下流にあり、それと流体連通し、乾燥した排気ガス混合物を受け取って、乾燥した排気ガス混合物から微粒子状物質を除去する、加工現場に設置されるフィルタと、をさらに含む。
【0015】
特定の実施形態において、装置は、熱交換器の下流にあり、それと流体連通し、排気ガス混合物をスタニングチャンバに送達するために受け取る、加工現場に設置される圧縮機又はブロワをさらに含む。
【0016】
特定の実施形態において、排気ガス混合物は窒素と酸素をさらに含む。
【0017】
特定の実施形態において、気体酸素、空気、及び天然ガスは加工現場から入手可能であり、又は天然ガスの代わりにプロパンは加工現場から入手可能である。
【0018】
特定の実施形態において、燃焼チャンバは、ガスの混合物を燃焼させるための酸素燃料バーナ又は空気-酸素燃料バーナをさらに含む。
【0019】
特定の実施形態において、装置は、燃焼チャンバからの排気ガス混合物が接触する、加工現場に設置されるボイラと、排気ガス混合物の少なくとも一部を受け取る、加工現場に設置される熱交換器であって、冷却された排気ガス混合物をスタニングチャンバに送達するために戻すように構成され、配置される熱交換器と、をさらに含む。
【0020】
特定の実施形態において、熱交換器は冷却塔を含む。
【0021】
特定の実施形態において、排気ガス混合物中の二酸化炭素のパーセンテージは11%~90%の範囲内である。
【0022】
特定の実施形態において、選択される動物は家禽、鶏、七面鳥、又は豚である。
【0023】
本願では、動物を排気ガス混合物でスタニングする方法も提供され、これは、加工現場に設置される燃焼チャンバからの二酸化炭素からなる排気ガス混合物を任意の量の選択される種類の動物のために加工現場に設置されるスタニングチャンバに送達することと、選択される種類の動物をスタニングチャンバ内で排気ガス混合物と接触させて、選択される種類の動物をスタニングすることと、を含む。
【0024】
特定の実施形態において、方法は、空気を燃焼チャンバに提供することをさらに含む。
【0025】
特定の実施形態において、方法は、天然ガスを燃焼チャンバに提供すること又は、天然ガスの代わりにプロパンを燃焼チャンバに提供することをさらに含む。
【0026】
特定の実施形態において、方法は、加工現場からの空気及び天然ガスを燃焼チャンバに提供することをさらに含む。
【0027】
特定の実施形態において、排気ガス混合物は窒素と酸素をさらに含む。
【0028】
特定の実施形態において、方法は、排気ガス混合物をスタニングチャンバに送達する前に、排気ガス混合物を冷却することをさらに含む。
【0029】
特定の実施形態において、方法は、排気ガス混合物をスタニングチャンバに送達する前に、排気ガス混合物の微粒子状物質をフィルタにより除去することをさらに含む。
【0030】
特定の実施形態において、方法は、ボイラを燃焼チャンバからの排気ガス混合物と接触させて、蒸気を提供することをさらに含む。
【0031】
特定の実施形態において、方法は、燃焼チャンバの上流で気体酸素、空気、及び天然ガス又はプロパンを組み合わせて燃焼混合物にすることと、排気ガス混合物を提供するために燃焼混合物を燃焼チャンバ内で燃焼されるように提供することと、をさらに含む。
【0032】
特定の実施形態において、排気ガス混合物中の二酸化炭素のパーセンテージは11%~90%の範囲内である。
【0033】
特定の実施形態において、選択される種類の動物は家禽である。
【0034】
本願では、動物をスタニングするための排気ガス混合物も提供され、これは、加工現場において燃焼させられて、加工現場で動物をスタニングするための二酸化炭素を含む排気ガス混合物を生成するためのガスの混合物を含む。
【0035】
排気ガス混合物特定の実施形態において、動物は家禽、鶏、七面鳥、又は豚である。
【0036】
特定の実施形態において、排気ガス混合物は窒素と酸素をさらに含む。
【0037】
排気ガス混合物の特定の実施形態において、排気ガス混合物中の二酸化炭素のパーセンテージは11%~90%の範囲内である。
【0038】
図面の簡単な説明
本発明をよりよく理解するために、下記のような図面と共に読むべき発明性のある実施形態の詳細な説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】家禽のための既知のスタニングシステムと、このスタニングシステムで使用されるバルク液体製品のタンクを示す。
【
図2】本発明の発明性のある実施形態によるスタニングシステム及びそれに関連する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
発明性のある実施形態を詳しく説明する前に、本発明はその応用において添付の図面に示されている部品の構成と配置の詳細には一切限定されないと理解されたく、これは、本発明は他の実施形態をとることも可能であり、様々な方法で実施又は実行できるからである。また、本明細書で採用されている表現法や用語法は、説明を目的としており、限定が目的ではないと理解されたい。
【0041】
以下の説明の中で、水平、直立、垂直、上、下、下方等の用語は、本発明を明瞭に説明することのみを目的として使用されており、限定の単語とは解釈すべきではない。図面は発明例のある実施形態を図解することを目的としており、正確な縮尺によるものではない。
【0042】
概して
図2を参照すると、食品加工業者は加工現場10、すなわち、例えば家禽14をスタニングするための装置12及び方法の実施形態が位置付けられるプラント又は施設を有する。現場10は、例えば家禽加工プラントとして使用するために以下のように機能する。プラントの中で、家禽14は例えば鶏、七面鳥、又はその他の家禽であり、このような動物は、食肉処理のためにさらに加工が行われる前に、このプラント内でスタニングしなければならない。その他の種類の動物のスタニングも可能であり、それは例えば豚肉製品を製造するための豚である。
【0043】
一般に、純酸素(O2)、天然ガス(NG)又はプロパン、及び用途によっては空気の混合物が例えば酸素燃料バーナ又は空気-酸素燃料バーナ(「バーナ」)に供給される。NG、又はそれが使用される場合はプロパンは、プラントにおいて現場ですでに入手可能であり、これは、プラントではNG(又はプロパン)がその他のプラント業務に使用されるからであり、これにはプラントへの熱の提供や家禽の食肉処理を行うための蒸気を発生させるボイラが含まれる。バーナは燃焼チャンバに火を入れ、それを加熱する。燃焼プロセス中、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、及び酸素(O2)が、熱及び水蒸気のほかに生成される。この混合物は、燃料ガス又は燃焼からの排気ガスであり、家禽14のためのスタニングガス混合物として使用される。
【0044】
排気ガスは、例えば、スタニングガス混合物として使用される前に冷却することができ、その後、燃料ガス中の水蒸気の一部をそこから除去又は排除してから、スタニングガスをスタニングプロセスへと導入しなければならない。
【0045】
したがって、スチームボイラは、排気ガスから熱を除去するために装置の中に含められる。スチームボイラは、排気ガスを受け取り、熱交換器を含み、その中を水が流れて、それが排気ガスにより加熱される。熱交換器内の水は加熱され、それによって凝縮液と蒸気が生成され、加工プラント内の別の場所又は離れた場所で使用される。
【0046】
蒸気はまた、プラント並びにスタニング装置及びプロセスに用いられる電気を生成するタービン(図示せず)への電源供給にも使用できる。熱はまた、冷却塔までの、又は淡水供給源(例えば、川から)との循環ループを接続することによって、大気中に散逸させることもできる。熱の大部分が排気ガスから排除されたところで、排気ガスをさらに凝縮器によって冷却してそこからの余分な水蒸気を凝縮させるか、又は乾燥させることができ、その後、排気ガスはスタニングプロセスに使用される。
【0047】
前述のように、スタニングプロセスではCO2、窒素、及び酸素のある混合物が必要となる。本願の実施形態によれば、燃焼ガスの取り込み酸素:空気の比を変化させて、スタニング装置及び方法の実施形態で使用される排気ガス混合物中に存在するCO2、窒素、及び酸素の各々の量をより多く、又は少なくすることが可能となる。
【0048】
より具体的に
図2に関して、本願の実施形態で利用可能な複数のステージI~VIがある。これらのステージは、その整然とした詳述と、ステージ内の要素及びスタニング装置及び方法の実施形態のためのこれらの要素の関連する相互作用の理解を容易にするために説明されている。ステージの詳述は、これらのステージ及びその要素を実行するための優先順位を説明又は限定しようとするものではない。装置12及び関連する方法の実施形態のステージI~VIは全て、家禽14のスタニングを行う加工現場10にある。ステージI~VI及びその中の関連するコンポーネントとステップは、本明細書中で、相互に関して上流又は下流にあると記述されているかもしれない。
【0049】
ステージIは、液体酸素(LOX)を保持するためのバルク貯蔵タンク16を含む。タンク16は加圧されて、LOXをタンクの下側領域に近い出口から気化器17の入口に接続されるパイプライン16’に強制的に送達する。LOXは気化器17において気相へと変換され、すなわち気化され、その後、気体酸素として気化器の出口から流体混合器20(食品加工及び工業ガス業界ではミキシング又はフロースキッド20とも呼ばれる)の入口に接続された管18へと送達される。空気22もまた、スキッド20の入口に接続された管24内で送達するために入手可能である。天然ガス(NG)26、又は代替的にプロパンは、加工現場10の位置28から供給され、管30を通じてスキッド20の入口に送達される。実際、結果として得られたスタニングガス混合物を提供するために必要なガス又は成分の全てが加工現場10から得られる。フロースキッド20は、発明性のある実施形態の燃焼ステージへの酸素、空気、及びNGの各気体流の選択される量を測定又は配分する。
【0050】
ステージIIはフロースキッド20を含み、そこでスキッド内に導入される気体O2、空気、及びNGの各々の比率又は濃度が配分されて、その後の加熱及び燃焼のために注入される。酸素は、気化器17を通過する間に暖められ、気相へと膨張し始める。スキッド20の出口からの燃焼混合物は、管32によって、加工現場10に設置される炉内の燃焼チャンバ36のバーナ34、例えば酸素燃料バーナ又は空気-酸素燃料バーナへと送達される。代替的に、装置12は、気体が燃焼のために混合されるバーナ34へと送達される気体酸素、空気、及びNGについてそれぞれ1つの管からなる複数の管32を含むことができる。チャンバ36内の気体混合物の燃焼によって、CO2、N2、O2、及びH2Oに加熱された排気ガス混合物38が提供される。加熱された排気ガス混合物38は、家禽14のスタニングに使用される排気ガス混合物を提供するようにさらにコンディショニング又は処理することができ、家禽14のスタニングプロセスのために離れた場所からの、バルクかそれ以外かを問わない、別のCO2送達に依存する必要がない。
【0051】
ステージIIは、燃焼チャンバ36からの排気ガス混合物38が接触するスチームボイラ40を含み、そこでボイラ40に導入される水(H2O)42によって蒸気44及び凝縮物46のストリームが生成される。ステージIIIにおける排気ガス混合物38の代替的な冷却には、冷却塔50を通じた排気ガス混合物のための閉ループ48又はその他の種類の熱交換器が含まれ得る。
【0052】
ステージIVには、スタニングシステムの要求事項に応じて、排気ガス混合物38のために任意選択的に使用可能なものが含まれる。排気ガス混合物38は凝縮器52の中で乾燥させられて、排気ガス混合物からのH2Oを凝縮物管54を通じて除去することができる。凝縮器52の下流に位置付けられたフィルタ56は、排気ガス混合物38から、それが家禽14と接触する前に、汚染物質及び/又は微粒子状物質があればそれを取り除くために使用される。
【0053】
ステージVは圧縮機58又はブロワを含み、排気ガス混合物38を加圧して強制的にステージVIに送達する。
【0054】
ステージVIはスタニングチャンバ60を含み、そこで、その中の水分量が減少した排気ガス混合物38が導入されて家禽14と接触し、スタニングする。混合物は、それぞれの割合のCO2、N2、及びO2を含む。圧縮機58の内容積より小さい内径を有するパイプライン62又は導管によって、圧縮機の出口がスタニングチャンバ60への入口に接続され得る。
【0055】
ステージIはステージIIの上流にあり、ステージIIはステージIIIの上流にあり、ステージIIIはステージVの上流にあり、ステージVはステージVIの上流にあることになる。ステージIVが使用される場合、ステージIVはステージIII及びV間に位置付けられ、すなわち、ステージIVはステージIIIの下流且つステージVの上流にある。しかしながら、発明性のある実施形態に、ステージIVのコンポーネント及びステップを使用することは必要ではない。
【0056】
例I。本願の実施形態の装置12を使用して、ステージI及びIIで、酸素90%と空気10%を天然ガスと混合すると、家禽14のスタニングのための、CO253%、O25%、N242%の排気ガス混合物38が生成される。
【0057】
例II。本願の実施形態の装置12を使用して、ステージI及びIIで、酸素100%のみを天然ガス(NG)と混合すると、家禽14のスタニングのための、CO290%、O29%、N21%の排気ガス混合物38が生成される。
【0058】
排気ガス混合物中の二酸化炭素のパーセンテージは11%~90%の範囲内とすることができ、特定の装置及び方法の実施形態では、排気ガス混合物中の二酸化炭素のパーセンテージは11%~99%の範囲内とすることができる。
【0059】
依然として
図2を参照すると、その他の装置及び方法の実施形態は、ボイラ40の下流領域を燃焼チャンバ36と相互接続して、燃焼チャンバを冷却する冷却流体を提供するためのパイプライン41を含み得て、この冷却は、チャンバの内部及び/又は燃焼チャンバの外部側壁で行われる。他の熱交換器63、例えば空冷式熱交換器もまた、圧縮機58とスタニングチャンバ60との間に、排気ガス混合物38と流体連通させることによって位置付けることができ、それによって混合物を、それがスタニングチャンバ内に導入される前に冷却し、その温度を下げる。また別の実施形態では、圧縮機58がその代わりにボイラ40の下流であり凝縮器/乾燥器52の上流に位置付けられるようにされる。
【0060】
本願の装置及び方法の実施形態によって、プロセッサは具体的な動物のための具体的なスタニングプロセスに必要な要求事項に合うように取り込みガスの比を正確に調整することが可能となる。本願の実施形態で必要な唯一のバルク送達は1つのバルク液体酸素供給のみであり、現場10において複数のバルク貯蔵タンクは不要となる。
【0061】
本願の実施形態の利点には、CO2供給中断の不都合とリスクが排除されること、加工現場10でのスタニングのためのオンデマンドのCO2供給が提供されること、酸素及び空気の取り込み比を変化させることによって、スタニングのためのCO2、O2、及びN2の選択される混合物を生成できること、及び排気ガス混合物38から加工施設のための熱源を提供できること、が含まれる。
【0062】
本明細書に記載の実施形態は例にすぎず、当業者であれば、本発明の主旨と範囲から逸脱せずに変更や改良を行い得ると理解されたい。このような変更や改良は、前述の、及び本願の特許請求項において求められる本発明の範囲に含められるものとする。さらに、開示されている全ての実施形態が代替案にも含まれるとはかぎらず、これは、様々な実施形態を組み合わせて所望の結果を提供することができるからである。
【国際調査報告】