(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】船舶用無限軌道装置の張力維持ユニットおよびこれを備える船舶用無限軌道装置
(51)【国際特許分類】
B62D 55/30 20060101AFI20240501BHJP
B63B 59/06 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B62D55/30 Z
B63B59/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552992
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 KR2021016586
(87)【国際公開番号】W WO2022103216
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0151834
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0146669
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517161566
【氏名又は名称】タスグローバル カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、ドン ウク
(57)【要約】
船舶用無限軌道装置の張力維持ユニットおよびこれを備える船舶用無限軌道装置が開示される。本発明の船舶用無限軌道装置の張力維持ユニットは、無限軌道本体の第1回転部材に連結されて第1ワンウェイベアリングを備える第1出力部、無限軌道本体の第2回転部材に連結されて第2ワンウェイベアリングを備える第2出力部、および第1出力部および第2出力部に動力を伝達する駆動部を含み、第1ワンウェイベアリングは無限軌道本体の前進方向移動時に自由回転して無限軌道本体に設けられる第1動力伝達部材の張力が緩くなることを防止すると共に前記第2ワンウェイベアリングは動力で駆動され、第2ワンウェイベアリングは無限軌道本体の後進方向移動時に自由回転して第1動力伝達部材の張力が緩くなることを防止すると共に前記第1ワンウェイベアリングは動力で駆動されることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無限軌道本体の第1回転部材に連結されて第1ワンウェイベアリングを備える第1出力部、
前記無限軌道本体の第2回転部材に連結されて第2ワンウェイベアリングを備える第2出力部、および
前記第1出力部および前記第2出力部に動力を伝達する駆動部を含み、
前記第1ワンウェイベアリングは前記無限軌道本体の前進方向移動時に自由回転して前記無限軌道本体に設けられる第1動力伝達部材の張力が緩くなることを防止すると共に前記第2ワンウェイベアリングは動力で駆動され、
前記第2ワンウェイベアリングは前記無限軌道本体の後進方向移動時に自由回転して前記第1動力伝達部材の張力が緩くなることを防止すると共に前記第1ワンウェイベアリングは動力で駆動される船舶用無限軌道装置の張力維持ユニット。
【請求項2】
前記第1出力部は、
前記第1回転部材に結合される第1コネクター、
前記第1コネクターに結合される前記第1ワンウェイベアリング、および
一側部は前記第1ワンウェイベアリングに結合され、他側部には第2動力伝達部材が結合されて前記第2動力伝達部材と共に回転する第1プーリを含む請求項1に記載の船舶用無限軌道装置の張力維持ユニット。
【請求項3】
前記第2出力部は、
前記第2回転部材に結合される第2コネクター、
前記第2コネクターに結合される前記第2ワンウェイベアリング、および
一側部は前記第2ワンウェイベアリングに結合され、他側部には第2動力伝達部材が結合されて前記第2動力伝達部材と共に回転する第2プーリを含む請求項1に記載の船舶用無限軌道装置の張力維持ユニット。
【請求項4】
前記張力維持ユニットは、
前記第1出力部と前記第2出力部の上部に配置され、前記第1出力部と前記駆動部を連結する領域の第2動力伝達部材と、前記第2出力部と前記駆動部を連結する領域の第2動力伝達部材を加圧する一対のアイドラをさらに含む請求項1に記載の船舶用無限軌道装置の張力維持ユニット。
【請求項5】
前記駆動部は、一対が設けられて前記第1出力部と前記第2出力部にそれぞれ連結される請求項1に記載の船舶用無限軌道装置の張力維持ユニット。
【請求項6】
前記第1ワンウェイベアリングの一側部は前記第1回転部材に直接結合され、他側部は前記駆動部に直接結合され、
前記第2ワンウェイベアリングの一側部は前記第2回転部材に直接結合され、他側部は前記駆動部に直接結合され、
前記駆動部は一対が設けられて前記第1ワンウェイベアリングと前記第2ワンウェイベアリングにそれぞれ結合される請求項1に記載の船舶用無限軌道装置の張力維持ユニット。
【請求項7】
前記第1回転部材と前記第2回転部材はタイミングプーリまたはスプロケットで設けられる請求項1に記載の船舶用無限軌道装置の張力維持ユニット。
【請求項8】
前記第1動力伝達部材はトラックリンクを含み、
前記第1出力部、前記第2出力部および前記駆動部を連結する第2動力伝達部材はベルトを含む請求項1に記載の船舶用無限軌道装置の張力維持ユニット。
【請求項9】
前記第1出力部および前記第2出力部を連結する第2動力伝達部材の領域を支持する張力維持テンショナをさらに含む請求項1に記載の船舶用無限軌道装置の張力維持ユニット。
【請求項10】
第1動力伝達部材の一側部を支持して前記第1動力伝達部材と共に回転する第1回転部材および前記第1回転部材と離隔配置されて前記第1動力伝達部材の他側部を支持する第2回転部材を備える無限軌道本体、および
前記第1回転部材に連結されて第1ワンウェイベアリングを備える第1出力部、前記第2回転部材に連結されて第2ワンウェイベアリングを備える第2出力部および前記第1出力部および前記第2出力部に動力を伝達する駆動部を備える張力維持ユニットを含み、
前記第1ワンウェイベアリングは前記無限軌道本体の前進方向移動時に自由回転して前記第1動力伝達部材の張力が緩くなることを防止すると共に前記第2ワンウェイベアリングは動力で駆動され、
前記第2ワンウェイベアリングは前記無限軌道本体の後進方向移動時に自由回転して前記第1動力伝達部材の張力が緩くなることを防止すると共に前記第1ワンウェイベアリングは動力で駆動される船舶用無限軌道装置。
【請求項11】
前記第1出力部および前記第2出力部を連結する第2動力伝達部材の領域を支持する張力維持テンショナをさらに含む請求項10に記載の船舶用無限軌道装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用無限軌道装置に関する。より詳細には、無限軌道装置の無限軌道の張力維持失敗により無限軌道が離脱することを防止できる船舶用無限軌道装置の張力維持ユニットおよびこれを備える船舶用無限軌道装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に船舶の船体表面には、水中で棲息しているフジツボ、ホヤ、セルプラ(serpula)、ムラサキイガイ、淡水貝、スジアオノリ、アオノリなどの水中生物が付着および生育して様々な被害を発生させる。
【0003】
例えば、船体に水中生物が付着することにより海水との摩擦抵抗を増大させて船舶の航海速度を低下させ、燃料消費量を増加させて経済的に不利となる。
【0004】
従来は陸上のドック(dock)に船舶を移し、作業者が直接高圧ホースで水を噴射させて船体壁面の付着物を取り除く清掃作業が一般的に利用されてきた。この方法は、清掃対象の船舶をドックに移動させるための準備手順を必要とするため、清掃時間が長くかかり、多くの作業人員を動員しなければならない短所がある。
【0005】
船舶を移動させずにダイバーが水中に入り清掃装備で船底部を清掃することができるが、水中作業環境に熟練したダイバーであっても広い範囲の船体を清掃するには時間が長くかかり、視界確保がなされにくいため、清掃作業の難易度が増加する。
【0006】
作業者が船底部を清掃する方法は、効率的な付着物の除去が難しく、多くの作業人員が必要となる問題点を考慮して船舶の表面に海洋生物が付着して寄生することを防止するように毒性が強い物質が混合されたペイントを塗布する方法が開示されている。
【0007】
このような方法は、海水を汚染させて他の海洋生物に有害な影響を及ぼし、水中生態系を破壊する他の問題を招くため、国際機関で禁止している。また、一定時間が経過して毒性が減少すると、清掃後に再びペイントを塗布しなければならない。
【0008】
このような諸問題を考慮して、清掃ロボットが水中に浸った船体壁面を移動しながら、沈着物を除去する技術が開示されている。
【0009】
一方、船舶の清掃作業中に無限軌道(continuous track)の張力が緩くなると、走行中に無限軌道が離脱することになる。無限軌道の離脱原因は次の通りである。i)無限軌道の張力が緩くなる場合、ii)トラックリンクとアイドラ、スプロケットの間に異質物が流入する場合、iii)トラックリンクとアイドラ、スプロケット、上部および下部ローラが一直線でない場合、iv)トラックリンクが水平でない状態で走行する場合などである。
【0010】
そして、トラックリンクを支持するテンショナに過度の力が加わって張力が緩くなる場合は次の通りである。i)船舶清掃車両が後進するのに障害物や外部力によって移動の妨害を受けた場合、ii)船舶清掃車両がその場で回転時に後進方向に無限軌道が回転する場合である。
【0011】
図1には、アイドラとテンショナが一体型で設けられた場合、無限軌道が緩くなる場合が示されている。
【0012】
スプロケット1000は、
図1を基準として右側に配置され、トラックリンク1100の右側部はスプロケット1000に支持され、他側部はアイドラ1200に支持されている。そして、トラックリンク1100の上部と下部は4つのローラ部材1300によって支持されている。
【0013】
図1aに示すように、無限軌道が前進する場合、すなわちトラックリンク1100が反時計方向に回転する場合、無限軌道は張って維持される。
【0014】
逆に、
図1bに示すように、無限軌道が後進する場合、後進時に障害物や外部の力で移動の妨害を受ける場合、テンショナに力が加わって地面に当たる無限軌道の領域は緩くなる。
【0015】
図2には、アイドラとテンショナが分離型で設けられた場合、無限軌道が緩くなる場合が示されている。
【0016】
図2aに示すように、無限軌道が前進する場合、すなわちトラックリンク1100が反時計方向に回転する場合、無限軌道は張って維持される。
【0017】
逆に、
図2bに示すように、無限軌道が後進する場合、後進時に障害物や外部の力で移動の妨害を受ける場合、テンショナ1400に力が加わって地面と当たる無限軌道の領域は緩くなる。
【0018】
前述した技術構成は、本発明の理解を助けるための背景技術であって、本発明が属する技術分野で広く知られた従来技術を意味するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1069916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
前述した無限軌道の緩みを防止するために、
図3に示すように、前方へ動力伝達のためにアイドラからスプロケットに変更し、前後のスプロケットが同一の回転数で回転する場合、下部のローラ部材と当たるトラックリンクの部分は、テンショナの影響を受けずに動くので張力が緩かったり張っていたりし得る。
【0021】
下部に当たる無限軌道が張るようになるためには、前進時には前方スプロケットの動力を切って自由に動くようにすると共に後方スプロケットに動力を伝達する。後進時には後方スプロケットの動力を切って自由に動くようにし、前方スプロケットに動力を伝達する。
【0022】
したがって、本発明がなそうとする技術的課題は、前述した原理を用いて無限軌道装置の無限軌道の張力維持失敗により無限軌道が離脱することを防止できる船舶用無限軌道装置の張力維持ユニットおよびこれを備える船舶用無限軌道装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の一側面によれば、無限軌道本体の第1回転部材に連結されて第1ワンウェイベアリングを備える第1出力部、前記無限軌道本体の第2回転部材に連結されて第2ワンウェイベアリングを備える第2出力部、および前記第1出力部および前記第2出力部に動力を伝達する駆動部を含み、前記第1ワンウェイベアリングは前記無限軌道本体の前進方向移動時に自由回転して前記無限軌道本体に設けられる第1動力伝達部材の張力が緩くなることを防止すると共に前記第2ワンウェイベアリングは動力で駆動され、前記第2ワンウェイベアリングは前記無限軌道本体の後進方向移動時に自由回転して前記第1動力伝達部材の張力が緩くなることを防止すると共に前記第1ワンウェイベアリングは動力で駆動される船舶用無限軌道装置の張力維持ユニットが提供されることができる。
【0024】
前記第1出力部は、前記第1回転部材に結合される第1コネクター、前記第1コネクターに結合される前記第1ワンウェイベアリング、および一側部は前記第1ワンウェイベアリングに結合され、他側部には前記第2動力伝達部材が結合されて前記第2動力伝達部材と共に回転する第1プーリを含むことができる。
【0025】
前記第2出力部は、前記第2回転部材に結合される第2コネクター、前記第2コネクターに結合される前記第2ワンウェイベアリング、および一側部は前記第2ワンウェイベアリングに結合され、他側部には前記第2動力伝達部材が結合されて前記第2動力伝達部材と共に回転する第2プーリを含むことができる。
【0026】
前記張力維持ユニットは、前記第1出力部と前記第2出力部の上部に配置され、前記第1出力部と前記駆動部を連結する領域の第2動力伝達部材と、前記第2出力部と前記駆動部を連結する領域の第2動力伝達部材を加圧する一対のアイドラをさらに含むことができる。
【0027】
前記駆動部は、一対が設けられて前記第1出力部と前記第2出力部にそれぞれ連結されることができる。
【0028】
前記第1ワンウェイベアリングの一側部は前記第1回転部材に直接結合され、他側部は前記駆動部に直接結合され、
前記第2ワンウェイベアリングの一側部は前記第2回転部材に直接結合され、他側部は前記駆動部に直接結合され、前記駆動部は一対が設けられて前記第1ワンウェイベアリングと前記第2ワンウェイベアリングにそれぞれ結合されることができる。
【0029】
前記第1回転部材と前記第2回転部材はスプロケットで設けられることができる。
【0030】
前記第1動力伝達部材はトラックリンクを含み、前記第1出力部、前記第2出力部および前記駆動部を連結する第2動力伝達部材はベルトを含むことができる。
【0031】
前記第1出力部および前記第2出力部を連結する第2動力伝達部材の領域を支持する張力維持テンショナをさらに含むことができる。
【0032】
また、本発明の他側面によれば、第1動力伝達部材の一側部を支持して前記第1動力伝達部材と共に回転する第1回転部材および前記第1回転部材と離隔配置されて前記第1動力伝達部材の他側部を支持する第2回転部材を備える無限軌道本体、および前記第1回転部材に連結されて第1ワンウェイベアリングを備える第1出力部、前記第2回転部材に連結されて第2ワンウェイベアリングを備える第2出力部および前記第1出力部および前記第2出力部に動力を伝達する駆動部を備える張力維持ユニットを含み、前記第1ワンウェイベアリングは前記無限軌道本体の前進方向移動時に自由回転して前記第1動力伝達部材の張力が緩くなることを防止すると共に前記第2ワンウェイベアリングは動力で駆動され、前記第2ワンウェイベアリングは前記無限軌道本体の後進方向移動時に自由回転して前記第1動力伝達部材の張力が緩くなることを防止すると共に前記第1ワンウェイベアリングは動力で駆動される船舶用無限軌道装置が提供されることができる。
【0033】
前記第1出力部および前記第2出力部を連結する第2動力伝達部材の領域を支持する張力維持テンショナをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の実施例は、第1ワンウェイベアリングが無限軌道本体の前進方向移動時に自由回転して無限軌道本体に設けられた第1動力伝達部材の張力が緩くなることを防止し、第2ワンウェイベアリングが無限軌道本体の後進方向移動時に自由回転して第1動力伝達部材の張力が緩くなることを防止することによって、無限軌道装置の無限軌道の張力維持失敗により無限軌道が離脱することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】アイドラとテンショナが一体型で設けられた場合、無限軌道が緩くなる場合を示す図である。
【
図2】アイドラとテンショナが分離型で設けられた場合、無限軌道が緩くなる場合を示す図である。
【
図3】無限軌道が緩くなることを防止できる原理を概略的に示す図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る船舶用無限軌道装置を概略的に示す図である。
【
図6】
図5に示す第1出力部と第2出力部の分解斜視図である。
【
図7】
図5に示す張力維持ユニットの概略的な正面図である。
【
図8】
図7に示す張力維持ユニットの作動図である。
【
図9】
図5に示す張力維持ユニットの他の実施例である。
【
図11】
図5に示す張力維持ユニットのまた他の実施例である。
【
図13】
図12に示す第1回転部材と第1ワンウェイベアリングと駆動部の結合を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明と本発明の動作上の利点および本発明の実施によって達成される目的を十分に理解するためには、本発明の好ましい実施例を例示する添付図面および添付図面に記載された内容を参照しなければならない。
【0037】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明することによって、本発明を詳細に説明する。各図面に提示された同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0038】
図4は本発明の一実施例に係る船舶用無限軌道装置を概略的に示す図であり、
図5は
図4の分解斜視図であり、
図6は
図5に示す第1出力部と第2出力部の分解斜視図であり、
図7は
図5に示す張力維持ユニットの概略的な正面図であり、
図8は
図7に示す張力維持ユニットの作動図である。
【0039】
また、
図9は
図5に示す張力維持ユニットの他の実施例であり、
図10は
図9の分解斜視図であり、
図11は
図5に示す張力維持ユニットのまた他の実施例であり、
図12は
図11の分解斜視図であり、
図13は
図12に示す第1回転部材と第1ワンウェイベアリングと駆動部の結合を概略的に示す図である。
【0040】
これらの図面に示すように、本実施例に係る船舶用無限軌道装置1は、船舶清掃装置の本体に結合されて駆動される無限軌道本体100と、無限軌道本体100に連結されて無限軌道本体100に設けられた第1動力伝達部材110の緩みを防止して張力を維持する張力維持ユニット200を備える。
【0041】
無限軌道本体100は、船舶清掃装置の本体に結合されて本体に設けられた動力伝達手段から動力が伝達され、船舶清掃装置を前方または後方に移動させることができる。
【0042】
本実施例で無限軌道本体100は、第1動力伝達部材110と、第1動力伝達部材110の前方に配置されて第1動力伝達部材110を支持し、第1動力伝達部材110と共に回転する第1回転部材120と、第1動力伝達部材110の後方に配置されて第1動力伝達部材110を支持し、第1動力伝達部材110と共に回転する第2回転部材130と、第1回転部材120と第2回転部材130との間の上部に配置されて第1動力伝達部材110の上部を支持する本体テンショナ140と、第1回転部材120と第2回転部材130との間に配置されて第1動力伝達部材110の下部を支持する複数のローラ部材150を含む。
【0043】
無限軌道本体100の第1動力伝達部材110は、トラックリンクを含むことができる。また、本実施例で第1動力伝達部材110は、タイミングベルトに一定間隔でトラックシューを固定して設けられることができる。
【0044】
無限軌道本体100の第1回転部材120と第2回転部材130は、
図4に示すように、タイミングプーリで設けられることができる。本実施例で第1回転部材120と第2回転部材130は、スプロケットで設けられることもできる。
【0045】
無限軌道本体100の本体テンショナ140は、
図4に示すように、一対のローラ部材150よりも大きいサイズで設けられ、第1動力伝達部材110を支持することができる。本実施例で一対のローラ部材150は、選択的に使用されることができる。
【0046】
張力維持ユニット200は、
図4に示すように、無限軌道本体100に結合されて無限軌道本体100の前進方向移動時に前方領域がアイドラの役割をし、後進方向移動時に後方領域がアイドラの役割をし、無限軌道本体100がどの方向に移動しても第1動力伝達部材110の張力が緩くなることを防止することができる。
【0047】
本実施例で張力維持ユニット200は、
図5に示すように、無限軌道本体100の第1回転部材120に連結され、第1ワンウェイベアリング320を備える第1出力部300と、無限軌道本体100の第2回転部材130に連結され、第2ワンウェイベアリング420を備える第2出力部400と、第1出力部300および第2出力部400に動力を伝達する駆動部500と、第1出力部300と第2出力部400と駆動部500を連結する第2動力伝達部材600と、第1出力部300および第2出力部400を連結する第2動力伝達部材600の領域を支持する張力維持テンショナ700と、第1出力部300と第2出力部400の上部に配置されて第1出力部300と駆動部500を連結する領域の第2動力伝達部材600および第2出力部400と駆動部500を連結する領域の第2動力伝達部材600を加圧する一対のアイドラ800を含む。
【0048】
第1出力部300は、無限軌道本体100の前進方向移動時に自由回転して無限軌道本体100に設けられた第1動力伝達部材110の張力が緩くなることを防止するものであって、
図5に示すように、複数の締結部材10によって第1回転部材120に着脱可能にねじ結合されることができる。
【0049】
本実施例で第1出力部300は、
図5および
図6に示すように、第1回転部材120に複数の締結部材10で結合される第1コネクター310と、第1コネクター310に結合される第1ワンウェイベアリング320と、一側部は第1ワンウェイベアリング320に結合され、他側部には第2動力伝達部材600が結合されて第2動力伝達部材600と共に回転する第1プーリ330を含む。
【0050】
第1出力部300の第1コネクター310は、
図5に示すように、第1回転部材120に複数の第1溝311aと複数の締結部材10によって結合される第1フランジ311と、第1フランジ311に設けられて第1ワンウェイベアリング320の第1固定リング321に複数のピン部材20で結合される第1ボディ312を含む。本実施例で複数の締結部材10は、第1回転部材120に設けられた複数のホールを通過した後、複数の第1溝311aに着脱可能にねじ結合されることができる。本実施例で第1ボディ312には、ピン部材20が結合される複数の第1結合溝312aが設けられる。
【0051】
第1出力部300の第1ワンウェイベアリング320は、
図5に示すように、第1ボディ312に結合される第1固定リング321と、第1固定リング321の外壁に回転可能に結合される第1回転リング322と、
図6に示すように、第1固定リング321の内壁と第1回転リング322の外壁に設けられてピン部材の嵌合結合場所に提供される複数の第1リング溝323を含む。
【0052】
本実施例では、第1回転リング322が特定の方向に回転時に第1固定リング321に動力が伝達され、第1回転リング322が特定の方向の反対方向に回転時に第1固定リング321に動力が伝達されないことができる。
【0053】
本実施例で第1ワンウェイベアリング320は、
図8に示すように、時計方向に動力を伝達する方向に取り付けられることができる。
【0054】
第1出力部300の第1プーリ330は、
図6に示すように、内壁に設けられた複数の第1ピン溝331と複数のピン部材20を介して第1回転リング322の外壁に結合されることができる。
【0055】
第2出力部400は、無限軌道本体100の後進方向移動時に自由回転して第1動力伝達部材110の張力が緩くなることを防止するものであって、
図5に示すように、複数の締結部材10によって第2回転部材130に着脱可能に結合されることができる。
【0056】
本実施例で第2出力部400は、
図5に示すように、第2回転部材130に結合される第2コネクター410と、第2コネクター410に結合される第2ワンウェイベアリング420と、一側部は第2ワンウェイベアリング420に結合され、他側部には第2動力伝達部材600が結合されて第2動力伝達部材600と共に回転する第2プーリ430を含む。
【0057】
第2出力部400の第2コネクター410は、
図5に示すように、第2回転部材130に複数の第2溝411aと複数の締結部材10によって結合される第2フランジ411と、第2フランジ411に設けられて第2ワンウェイベアリング420の第2固定リング421に複数のピン部材20で結合される第2ボディ412を含む。本実施例で複数の締結部材10は、第2回転部材130に設けられた複数のホールを通過した後、複数の第2溝411aに着脱可能にねじ結合されることができる。本実施例で第2ボディ412には、ピン部材20が結合される複数の第2結合溝412aが設けられる。
【0058】
第2出力部400の第2ワンウェイベアリング420は、
図5に示すように、第2ボディ412に結合される第2固定リング421と、第2固定リング421の外壁に回転可能に結合される第2回転リング422と、
図6に示すように、第2固定リング421の内壁と第2回転リング422の外壁に設けられてピン部材の嵌合結合場所に提供される複数の第2リング溝423を含む。
【0059】
本実施例で第2回転リング422が特定の方向に回転時に第2固定リング421に動力が伝達され、第2回転リング422が特定の方向の反対方向に回転時に第2固定リング421に動力が伝達されない。
【0060】
本実施例で第2ワンウェイベアリング420は、
図8に示すように、反時計方向に動力を伝達する方向に取り付けられることができる。
【0061】
第2出力部400の第2プーリ430は、
図6に示すように、内壁に設けられた複数の第2ピン溝431と複数のピン部材20を介して第2回転リング422の外壁に結合されることができる。
【0062】
駆動部500は、
図5に示すように、第2動力伝達部材600の上側中央部に連結されて第2動力伝達部材600を回転させる動力を提供することができる。
【0063】
本実施例で駆動部500は、
図5に示すように、駆動モータ510と駆動モータ510の軸に結合されて軸と共に回転し、第2動力伝達部材600と噛み合う駆動プーリ520を含む。
【0064】
第2動力伝達部材600は、
図5に示すように、内壁が第1プーリ330と第2プーリ430と駆動プーリ520と噛み合い、
図8に示すように、時計方向または反時計方向に回転することができる。
【0065】
本実施例で第2動力伝達部材600の上部外壁は、
図5に示すように、一対のアイドラ800によって支持されることができ、下部中央外壁は張力維持テンショナ700によって支持されることができる。
【0066】
また、本実施例で第2動力伝達部材600は、ベルト状に設けられることができる。
【0067】
張力維持テンショナ700は、
図5に示すように、第2動力伝達部材600の下部中央外壁を支持して第2動力伝達部材600に張力を付与することができる。
【0068】
本実施例で張力維持テンショナ700は、船舶清掃装置の本体に軸で結合されることができる。
【0069】
一対のアイドラ800は、
図7に示すように、駆動プーリ520の下部に配置されて第2動力伝達部材600の上側外壁を支持することができる。
【0070】
以下、張力維持ユニット200の作動について
図8を参考して簡略に説明する。
【0071】
まず、無限軌道本体100が前進方向に移動するときの動力伝達は次の通りである。
【0072】
駆動モータ510の力によって第1プーリ330と第2プーリ430を反時計方向であり、同一の回転数で回転させる。このとき、第1ワンウェイベアリング320は時計方向に入力を受けてこそ動力が伝達される。したがって、第1出力部300は自由回転する。これに対し、第2ワンウェイベアリング420は、反時計方向に入力を受けてこそ動力が伝達される。したがって、第2出力部400に動力が伝達される。
【0073】
次に、無限軌道本体100が後進方向に移動するときの動力伝達は次の通りである。
【0074】
駆動モータ510の力によって、第1プーリ330と第2プーリ430を時計方向であり、同一の回転数で回転させる。このとき、第1ワンウェイベアリング320は、時計方向に入力を受けてこそ動力が伝達される。したがって、第1出力部300に動力が伝達される。これに対し、第2ワンウェイベアリング420は、反時計方向に入力を受けてこそ動力が伝達される。したがって、第2出力部400は自由回転する。
【0075】
すなわち、無限軌道本体100が前進方向に移動時には、第1回転部材120がアイドラの役割をし、後進方向に移動時には、第2回転部材130がアイドラ役割をする。したがって、無限軌道本体100がどの方向に進行しても、第1動力伝達部材110の張力は緩くならない。
【0076】
一方、本実施例で船舶用無限軌道装置1aの張力維持ユニット200aは、
図10および
図11に示すように、第1出力部300、第2出力部400および駆動部500のみからなることができる。このとき、駆動部500は一対が設けられ、第1出力部300と第2出力部400にそれぞれ連結され、互いに独立的に動力を伝達することができる。
【0077】
この場合、前述した第2動力伝達部材600、張力維持テンショナ700および一対のアイドラ800が必要ではないため、構造が簡単で製造単価を下げることができるという利点がある。
【0078】
また、本実施例で船舶用無限軌道装置1bの張力維持ユニット200bは、
図11~
図13に示すように、第1出力部300bを第1回転部材120に複数のピン部材20を用いて直接結合させ、第2出力部400bを第2回転部材130に複数のピン部材20を用いて直接結合させることができる。このとき、駆動部500bの一対の駆動モータ510は、それぞれの軸が複数のピン部材20を用いて、
図12に示すように、第1固定リング321と第2固定リング421にそれぞれ結合されることができる。
【0079】
このように、本発明は記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲から逸脱することなく様々に修正および変形することができることは、当技術分野における通常の知識を有する者にとって明らかである。したがって、そのような修正例または変形例は、本発明の特許請求の範囲に属するというべきものである。
【符号の説明】
【0080】
1:船舶用無限軌道装置
100:無限軌道本体
110:第1動力伝達部材
120:第1回転部材
130:第2回転部材
140:本体テンショナ
150:ローラ部材
200、200a、200b:張力維持ユニット
300、300b:第1出力部
310:第1コネクター
311:第1フランジ
311a:第1溝
312:第1ボディ
312a:第1結合溝
320:第1ワンウェイベアリング
321:第1固定リング
322:第1回転リング
323:第1リング溝
330:第1プーリ
331:第1ピン溝
400、400b:第2出力部
410:第2コネクター
411:第2フランジ
411a:第2溝
412:第2ボディ
412a:第2結合溝
420:第2ワンウェイベアリング
421:第2固定リング
422:第2回転リング
423:第2リング溝
430:第2プーリ
431:第2ピン溝
500、500b:駆動部
510:駆動モータ
520:駆動プーリ
600:第2動力伝達部材
700:張力維持テンショナ
800:アイドラ
【国際調査報告】