(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】ナノスケール材料合成装置
(51)【国際特許分類】
B82Y 40/00 20110101AFI20240501BHJP
B22F 1/054 20220101ALI20240501BHJP
【FI】
B82Y40/00
B22F1/054
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553536
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 IN2022050175
(87)【国際公開番号】W WO2022185335
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】202111004717
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523334718
【氏名又は名称】シンハル,イシュー
(71)【出願人】
【識別番号】523334729
【氏名又は名称】グプタ,インドラ,クマール
(71)【出願人】
【識別番号】523334730
【氏名又は名称】グプタ,カニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】シンハル,イシュー
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,インドラ,クマール
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,カニカ
(72)【発明者】
【氏名】シンハル,ラビ
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018BB05
(57)【要約】
グラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)、酸化亜鉛(ZnO)の製造プロセス、MWCNT(多層カーボンナノチューブ)ナノ複合材料の製造プロセスを備え、複数のリニアアクチュエーター、ユーザーがコンピューティングシステムへのアクセスを行うために、ハウジング(101)に取り付けられたGUI(112)の複数のタッチディスプレイパネルから構成される、自動ナノ材料合成装置システムを提供する。ユーザーの要求に応じて、反応作動中、冷却状態を提供する冷却システム、複数のセンサー、排気システム、垂直方向対応の自動運動システム、水平方向対応の自動移動システム、カメラ、電極ホルダー、電極、ヒーターを備える。さまざまな触媒、または、前駆体、反応物質、金属塩、ポリマー、生体適合性配位子、炭素ベースのナノ材料、炭素ベースの材料などの少なくともいずれかが、装填または充填される可能性を有する適切な反応容器を有し、ハウジングチェンバー内に配置された複数の電磁波源、機能性の結果として、保持あるいは生成されるデータから構成される可能性をもつ複数のメモリを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム100であって、高度にカスタマイズ可能なナノスケール材料合成装置、付随するグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)、可変電源を含み、
- 操作、合成、製造、反応、実験、学習、改変、修正、研究、開発のさまざまな方法が含まれ、
- さまざまな特性、特徴、量を備えた、さまざまなナノスケール、マイクロスケール、またはより大きな材料についての、
- 自動、手動、または両方の組み合わせからなる、
- pH、熱、温度、圧力、導電率、誘導、放電、磁場、波動、機械的波動、機械的振動、および、紫外線、赤外線、可視光線、マイクロ波などの波長の範囲内および範囲外の電磁波など、さまざまな測定可能、制御可能、記録可能な変数を含むパラメーターを適用することによる、
- 固体、液体ガス媒体、溶媒、溶質、およびさまざまな前駆体上の
システム。
【請求項2】
ナノスケール材料合成装置100であって、
- ハウジング101と、
- ユーザーのために、ハウジング101の前面に取り付けられたグラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)を備えたタッチディスプレイパネルと、
- 透明/不透明/半透明のいずれかであることができ、広範囲の電磁スペクトルおよび、その他の有害な影響に対して、有害な迷光を遮断するシートで覆われることができる複数のドアと、
- リニア アクチュエーター、またはガスストラット、またはその他のタイプの動作システムとドアロック機構を使用した自動および、または手動ドア開/閉システムを備えるドアと、
- プロセス、イベント、実験、エラー、警告、注意などの観点から、装置の状態を表示するためにハウジング101に取り付けられた複数のインジケーターと、
- ハウジング101に取り付けられた、電源、緊急事態の処理、安全性、およびヒューズなどを制御するための複数のスイッチと、
- ハウジング101に取り付けられた、装置への電源接続とデータ交換のためのパネルと、
- ハウジング101上およびハウジング101内に取り付けられた、複数の異なる回路基板、配電、ケーブル、データ/メモリ203ストレージ、プロセッサー202、周辺機器201およびデータ交換インターフェースと、
- ハウジングチェンバー103と、
- 作業プラットフォーム、すなわちワークステーション104と、
- ユーザーの必要性または希望に応じたさまざまな反応容器105と、
- 複数の冷却システムと、排気システムと、温度、赤外線、湿度、ガスなどのための複数のセンサーと、近接センサーと、
- 紫外線、赤外線、可視光線、マイクロ波などの波長、周波数の範囲内および範囲外の複数の電磁波源と、
- 水平方向、垂直方向、軸方向および、またはロボットによる多次元方向などハウジングチャンバー103内の材料、プローブ、電極を取り扱い操作するための自動動作システムと、
- 材料などを保持または取り付けるための複数の材料ホルダーと、可変電界波形を提供する複数の電極と、時間に関する合成および、または実験イベントのpH値を監視および、またはアクセスするためなどの複数のプローブと、超音波トランスデューサーと、液体ハンドラーと、ディスペンサーチップと、
- 一連のイベントを記録するための複数のカメラであって、記録された一連のイベントは内蔵/内部記憶システム203および、または内蔵Wi-Fi接続を介したクラウドシステムおよび、または任意の外部記憶システムにアップロードされ、保存されるカメラと、
- ヒーターと、調整可能、制御可能な毎分回転数(RPM)を備えた攪拌機と、
- 時間に関して可変の制御可能で調整可能な出力を備えたソニケーターと、水槽と、
- システム100の観察、制御、操作、管理、記録、分析などのために、タッチディスプレイパネル、デスクトップ、携帯電話、タブレット、ウィンドウズ(登録商標)、マックOS、リナックス(登録商標)、アンドロイド(登録商標)などの複数のオペレーティングシステムと互換性があるが、これらに限定されない複数のデバイス上で操作可能であるソフトウェアプログラム、ファームウェア、アルゴリズム、グラフィカル ユーザー インターフェース 110, 111, 112と
を含むナノスケール材料合成装置。
【請求項3】
ナノスケール材料合成装置可変電界電源106であって、
- ハウジングと、
- ユーザーのためにハウジングの前面に取り付けられたグラフィカル ユーザーインターフェイスを備えたタッチディスプレイパネルと、
- ハウジングに取り付けられた、電力、電圧、電流、インジケーター、冷却および、または排気ファンを制御する複数のスイッチと、
- 調整可能なキャスターホイールおよび、またはパッドを収容するハウジングチャンバーと、複数のコントローラー、プリント回路基板、モーター、ギアなどと、
- ここでモジュールは、ナノスケール材料合成装置のために、または1つまたはそれ以上の構成要素を介して、または必要に応じて独立して、電流、電圧、周波数出力の可変波形を提供するための他の目的のために使用でき、
- ここで、電界波形の種類は、正弦波、矩形波、脈動波、三角波、シヌソイダル波、鋸歯状波などを監視、変更、選択でき、
- ここで、可変交流(AC)/直流(DC)成分、フィルタリングされた全波または半波、または可変整流波形として監視、変更、選択された電圧および電流の値および平均、二乗平均平方根(RMS)、ピーク(PK)、ピークツーピーク(PK to PK)などの値が適切に選択、変更され、
- ここで、電源電界は、サイクリック ボルタンメトリー、リニア スイープ ボルタンメトリー、クロノアンペロメトリー(サイクリックステップ/ダブルステップ)、矩形波(カソード/アノード)、ストリッピング ボルタンメトリー、ディファレンシャル パルス ボルタンメトリー、クロノポテンショメトリー、開回路電圧、ディファレンシャル パルス ストリッピング ボルタンメトリー、ステアケース ボルタンメトリー、バルク電解などのポテンショスタットおよび、またはガルバノスタットの方法に従って、監視/調整/制御することが可能であり、マルチチャンネルシステムを作成するパラメーターの別個の指示セットを提供しながら、複数の別個の反応イベントを提供することができ、
- ここで、望ましい複数の出力波形は、時間、大きさ、値に関して並列または直列に選択され得ることができ、
- ナノスケール材料合成装置可変電界電源モジュールの観察、制御、操作、管理、記録、分析のために、タッチディスプレイパネル、デスクトップ、携帯電話、タブレット、ウィンドウズ(登録商標)、マックOS、リナックス(登録商標)、アンドロイド(登録商標)などの複数のオペレーティングシステムと互換性があるが、これらに限定されない複数のデバイス上で操作可能な、専用ソフトウェアプログラム、アルゴリズム、グラフィカル ユーザー インターフェースと
を含むナノスケール材料合成装置可変電界電源。
【請求項4】
さまざまな特性、特徴、量を備えた、さまざまな種類のナノスケール、マイクロスケール、またはより大きな材料を、手動または自動で、またはその両方を組み合わせて、合成、製造、反応、実験、学習、改変、修正、研究、開発する方法であって、
- ここで、pH、熱、温度、圧力、導電率、誘導、放電、磁場、波動、機械的波動、機械的振動、および、紫外線、赤外線、可視光線の波長の範囲内および範囲外の電磁波のさまざまな測定可能、制御可能、記録可能な変数を含むパラメーターの組み合わせおよび順列を、固体、液体ガス媒体、溶媒、溶質、およびさまざまな前駆体に適用することによるもので、
- ここで、関係するステップは次の通り、
- ユーザーは、反応容器105を選択し、設置し、準備し、選択した前駆体、電極、キャッピング剤、界面活性剤、表面改質剤、金属塩、および、ナノ材料の操作、合成、実験、修正、改変、学習、またはそのプロセス、方法論、または最終的に選択したナノ、マイクロ材料など、必要とされるものを加え、
- グラフィカル ユーザー インターフェース、すなわちタッチディスプレイパネル112、またはモバイル アプリケーション111、または専用デスクトップ ソフトウェア アプリケーション110のいずれか1つから時間に関するパラメーターを操作および入力するために必要なモジュールのいずれか1つ、または組み合わせを選択して接続し、
- ソフトウェアは、入力および選択されたモジュールのすべてのパラメーターをチェック、確認、検証し、間違ったパラメーターの場合、ソフトウェアはエラーを表示し、ユーザーに正しい設定を再入力するよう求め、
- パラメーターが正しい場合、ナノスケール材料合成装置は、ユーザーが指定したパラメーターに従って指定されたタスクを指定された時間に実行し、
- ユーザーは、生成物、残留物を収集し、プロセスのグラフ作図とともに、レポートおよび記録を閲覧、学習、分析、処理することができ、さらに、プリンターで印刷することができ、および、または内蔵メモリ203および、または外部コンピューターに保存することができる
方法。
【請求項5】
さまざまな種類のナノスケール、マイクロスケール、バルクおよび、またはより大きな材料を合成または製造するための請求項1に記載のナノスケール材料合成装置システム100の使用であって、
- 金属ナノ材料、金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫化物、コアシェル、バイメタル、薄膜、ナノロッド、ナノチューブ、ナノスケール複合材料、さまざまな溶媒媒体中の分散液、ナノスケール材料上の有機および、またはポリマーコーティングを含み、サイズ、形態、濃度、表面機能化、複合材料、ポリマーコーティングを施した生体適合性ナノ材料などを含む、さまざまな望ましい特性のさまざまな量での
使用。
【請求項6】
システム/装置100における本発明による新規なプロセスを使用して調製された
図9、
図10、
図11の生成物酸化亜鉛ZnO/MWCNTナノ複合体。
【請求項7】
酸化亜鉛(ZnO)/MWCNTナノ複合体材料を作成する
図8のプロセスであって、ここでステップのプロセスにおいて;
- 適切な反応容器105が選択され、設置され、
- 反応容器は、脱イオン水200ml、MWCNT25mg、2MのNaClを添加することによって準備され、
- ディスペンサー容器は2mlの70% H
2O
2(過酸化水素)で満たされ、反応イベントの第2サイクルの開始時間から4分後に、2mlの70% H
2O
2が自動的に分注され、
- 長さ70mm、直径6mmの寸法の2つの亜鉛(Zn)電極が電極台に取り付けられ、
- 複数の動作時間サイクルが作成され、各サイクルでさまざまな機能を実行するための指示が提供され、
- GUIにアクセスし、600RPMの撹拌で1時間の第1サイクルで溶液を70℃に保つためのパラメーターを入力し、
- 溶液の温度が70℃に達すると、電極間隔40mmで溶液中の電極を25 mm下降させる指示が入力され、
- 可変電源106から、フィルタリングされていない直流電流を4Vの定電圧で6分間の第2サイクルで供給する命令が入力され、
- 第2サイクルの開始から4分後に、反応容器に2mlの70% H
2O
2を添加する指示が入力され、
- 反応容器内の溶液を600RPMで30分間撹拌し続けるという指示が第3サイクルとして入力され、
- パラメーターがチェックされ、装置が起動され、
- 装置システム100による動作サイクルが完了すると、ZnO-MWCNT(酸化亜鉛-多層カーボンナノチューブ)の出来上がったナノ複合体が収集され、および、またはすべての関連記録がユーザーの要求に従って収集、印刷、保存、分析される
プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノテクノロジーの分野およびシステムについて、すなわち、さまざまな特性や数量を有する、さまざまなタイプのナノスケール材料を合成または操作できるグラフィカル ユーザー インターフェース ソフトウェア アプリケーションを備えた、ナノスケール材料合成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料の特性はナノスケールで劇的に変化し、それを利用することで、さまざまな応用が期待されている。
【0003】
ナノテクノロジーとナノスケール材料は、第四次産業革命の必需品かつ柱であって、材料産業、ゴム、金属産業、プラスチック、自動車、防衛、宇宙、医療、医薬品の開発と供給、ナノ流体、ナノ構造に基づく診断技術、ナノウイルス学、ナノバイオテクノロジーなど、産業と生活のほとんどすべての分野に応用できる。
【0004】
ナノスケール材料の研究、実験、干渉、変化、修正、合成、および調達は、あらゆる分野でのリアルタイムの応用、研究、開発、大規模な法人化などを促進するための第一歩である。
【0005】
現在、さまざまなナノスケール材料を合成または操作、製造するには、単一の統一プラットフォーム、標準化されたプロトコル、さまざまなナノスケール事象のリアルタイム監視が非常に不十分であり、時代のニーズとなっている。
【0006】
したがって、さまざまな品質と量による、さまざまな望ましい特性を備えた上記の要求を達成するために、統合され、コスト効率が高く、ユーザーフレンドリーで、自動化された、アクティブなシステム インターフェースが強く必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
急速に進展する第 4 次産業革命のためのナノテクノロジーの分野において、統一され、費用対効果が高く、エンド ユーザー フレンドリーで、自動化された、アクティブなマシンまたは、アクティブなシステム インターフェースの必要性を認識し、本発明者らはグラフィカル ユーザー インターフェース (GUI) 先行技術の問題を解決し、学術機関、研究所、産業界、学生、学者、研究者を含むが、これらに限定されない需要を満たすためのソフトウェアを備えた装置を発明し、開発した。
【0008】
本発明は、グラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)およびファームウェアを備える自動化システムまたは自動化装置としての実施形態を有し、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、薄膜、ナノロッド、複合金属酸化物ナノ材料、ナノスケール材料の分散液、ナノ複合体、ナノ複合材料、ナノコーティング、ナノスケール材料を含むが、これらに限定されないさまざまな事象を操作、合成製造、実験、反応、研究、変更、改良、調査、または、開発するために発明および開発されます。サイズ、形態、濃度、表面修飾、機能化、結合、ポリマーコーティングを施した生体適合性ナノ材料など、さまざまなナノスケール材料を、さまざまな媒体で、さまざまな量使用することができる。
【0009】
一実施形態では、自動化システムまたは自動化装置は、メインヒーターの温度、熱、気温、湿度、存在するガスの種類と値、紫外線、赤外線、可視光線、マイクロ波、マイクロ波電力の波長範囲内および範囲を超えた電磁波などの、測定可能、制御可能、記録可能なさまざまな変数を含むがこれらに限定されない、異なるパラメーターを適用することによって動作します。電場出力、入力電圧、電圧波形、電流波形、電場周波数、超音波処理、超音波処理出力、撹拌、撹拌速度またはかき混ぜ速度、超音波処理機、水槽温度、ポテンシオスタット法、ガルバノスタット法、pH、圧力など、固体、液体、気体媒体、溶媒、溶質、さまざまな前駆体など、さまざまな媒体上の時間に関する多くの情報を測定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態によるナノスケール材料合成装置システム100の機能構成要素を示している。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態による、ナノスケール材料合成システム100のハードウェアと結合されるグラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)のコンピューティングシステム200の機能要素を示している。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態による、ナノスケール材料合成装置システムを操作、制御、監視するための、デスクトップにインストール可能なグラフィカル ユーザー インターフェース ソフトウェア(GUI)アプリケーションの図(110)である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態による、システム100を操作、制御、監視するためのモバイルインストール可能なグラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)のスクリーンショット(111)である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態による、システム100を操作、制御、および監視するためのタッチディスプレイ グラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)のスクリーンショット(112)である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態によるナノスケール材料合成装置システム100の動作および方法のプロセスを示している。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態に従ってシステム100で合成された酸化亜鉛(ZnO)、MWCNTナノ複合体(実施例1)の合成プロセスを示している。
【
図8】
図8は、本開示の一実施形態に従って、システム100で合成された酸化亜鉛(ZnO)、MWCNTナノ複合体(実施例1)の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を示している。
【
図9】
図9は、本開示の一実施形態に従って、システム100で合成された酸化亜鉛(ZnO)、MWCNTナノ複合体(実施例1)の高解像度透過型電子顕微鏡写真(HRTEM)を示している。
【
図10】
図10は、本開示の一実施形態に従って、システム100で合成された酸化亜鉛(ZnO)、MWCNTナノ複合体(実施例1)のラマン分光図を示している。
【
図11】
図11は、本開示の一実施形態に従って、システム100で合成された酸化銅(CuO)ナノ構造(実施例2)の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を示している。
【
図12】
図12は、本開示の一実施形態に従って、システム100で合成された酸化銅(CuO)ナノ構造(実施例2)の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示している。
【
図13】
図13は、本開示の一実施形態による、システム100で合成された酸化銅(CuO)ナノ構造(実施例2)のX線回折図(XRD)を示している。
【
図14】
図14は、本開示の一実施形態による、システム100で合成された酸化銅(CuO)ナノ構造(例2)のエネルギー分散型X線(EDX)分析を示している。
【
図15】
図15は、本開示の一実施形態に従って、システム100で合成されたZnMn
2O
4ナノ構造(実施例3)の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を示している。
【
図16】
図16は、本開示の一実施形態による、システム100で合成されたZnMn
2O
4ナノ構造(実施例3)のX線回折図(XRD)を示している。
【
図17】
図17は、本開示の一実施形態に従って、システム100で合成された酸化鉄(Fe
3O
4)ナノ粒子(実施例4)の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示している。
【
図18】
図18は、本開示の一実施形態に従って、システム100で合成された酸化鉄(Fe
3O
4)、MWCNTナノ複合体(実施例5)の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示している。
【
図19】
図19は、本開示の一実施形態に従って、システム100で合成された酸化鉄(Fe
3O
4)、MWCNTナノ複合体(実施例5)のラマン分光図を示している。
【
図20】
図20は、本開示の一実施形態による、システム100で合成された酸化亜鉛(ZnO)ナノ構造(実施例6)のX線回折図(XRD)を示している。
【
図21】
図21は、本開示の一実施形態による、システム100で合成された酸化亜鉛(ZnO)ナノ構造(実施例6)のラマン分光図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のさまざまな例示的実施形態の詳細な説明を、添付の図面を参照して本明細書で説明を行う。本明細書では、本発明を明確に伝えるために実施形態が詳細に説明されていることに留意されたい。しかしながら、本明細書に提供される詳細の量は、実施形態の予想される変化を制限することを意図したものではない。逆に、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内に含まれるすべての修正、等価物、および代替物を含むが、これらに限定されないことを意図するものである。
【0012】
また、本明細書では明示的に説明または図示していないが、本開示の原理を具体化するさまざまな構成が考案され得ることも理解されたい。さらに、本開示の原理、態様、および実施形態、ならびに特定の例を列挙する本明細書のすべての記述は、それらの等価物を包含することを意図している。
【0013】
また、いくつかの代替的な実施態様では、記載された機能、記載された動作が、図に記載された順序と異なる順序で発生する可能性があることにも留意されたい。たとえば、連続して表示される2つの図表は、実際には同時に実行されることもあれば、関係する機能、関係する動作に応じて逆の順序で実行されることもある。
【0014】
自動ナノ材料合成装置システム100、それに付随するグラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)110、111、112および可変電源106が、添付図面とともに本明細書に開示および説明される。
【0015】
一実施形態では、ナノスケール材料合成システム100は、ユーザー、前駆体、および、測定可能、制御可能、記録可能な環境パラメーターとの組み合わせと並べ替えを可能にし、ナノスケール、マイクロスケール、または、より大きな材料の創造性、観察、研究、操作のほぼ無限の可能性のための設備を作り出す。
【0016】
一実施形態では、ナノスケール材料合成装置システム100の機能構成要素を示す
図1を参照する。
【0017】
一実施形態では、
図1のシステムおよびマシン100は、ハウジング101から構成され、その実施形態である、グラフィカル ユーザー インターフェース110、111、112、可変電源106を備える。
【0018】
一実施形態では、システム100は、液体、気体、固体、プラズマ媒質、溶媒、溶質および、異なる種類の前駆体のうちのいずれか1つ、またはそれらの組み合わせに、異なるパラメーターを適用することによって、手動、半自動、または自動的に、あるいは組み合わせて動作することができます。ナノスケール、異なる特性、特徴を持つマイクロスケール材料、実験、反応、研究などのさまざまな方法を通じて、サイズ、形態、濃度、表面修飾、機能化、共役、ポリマーコーティングを備えた生体適合性ナノ材料を含むがこれらに限定されない、マイクロ、ナノ材料の特性を操作するための特性システム100を備えるGUI110、111、112を介して入力される、さまざまな操作可能なパラメーターを制御することにより、変更、修正、調査、開発が行われる。
【0019】
一実施形態では、ハウジング101は、複数のリニアアクチュエーター、反応表示灯、機械ドア開閉スイッチ、調節可能なキャスターホイール、コネクタパネル、緊急スイッチ、マグネトロン、コントローラー、プリント回路基板で構成されるが、これらに限定されない。さらに、ヒューズ、ヒューズボックス、プロセッサー202、メモリストレージユニット203、複数の電源、冷却システム、排気システム、配電システム、ケーブル、インターフェース、回路ブレーカー、Bluetoothモジュール、Wi-Fiモジュールなどで構成されるが、これらに限定されない。
【0020】
一実施形態では、ハウジング101は、ユーザーがコンピューティングシステム200にアクセスするために、ハウジング101上に取り付けられたGUI112の複数のタッチディスプレイパネルを備える。
【0021】
一実施形態では、ハウジング101は、ホイールシステム、パッドシステム、ローラーシステムなどを含むが、これらに限定されない、複数の調整可能なキャスターホイールで構成される。
【0022】
一実施形態では、ハウジング101は、ユーザーの要求に応じて、反応事象の間に冷却を提供するように作用および機能する冷却システムを備える。
【0023】
一実施形態では、ハウジング101は、装置システム100のドアの開閉を作動させる複数のアクチュエーターで構成される。アクチュエーターは自動でも手動でも操作できる。ガスストラットまたは他のタイプの運動システムを、装置100のドアの開閉に使用することができる。
【0024】
一実施形態では、ハウジング101は、ハウジング101内で発生するさまざまな事象を示す複数の表示灯から構成される。
【0025】
一実施形態では、ハウジング101には、ハウジングチェンバー103の扉の開閉スイッチが複数設けられている。透明なドアは、ユーザーを保護するために、状況に応じて、危険な迷光線を遮断するための素材で作られたり、シートで覆われたりする場合がある。
【0026】
一実施形態では、複数のコネクタパネルがハウジング101に取り付けられ、主電源、可変電源106、データ交換、インターフェースを接続するために設けられる。
【0027】
別の実施形態では、ハウジングチェンバー103は、温度、気温、湿度、ガス、近接性、その他多くのセンサー、紫外線ライト、赤外線ライト、可視光線、排気システム、自動垂直運動システム、自動水平運動システム、ロボットアーム、カメラ、スケールバー、電極ホルダー、電極、ヒーター、加熱プレート、バス用超音波洗浄機、プローブ超音波処理機、撹拌機、自動ツールチェンジャー、自動ディスペンサー、液体ハンドラー、その他多くのセンサー102を含むが、これらに限定されない。
【0028】
一実施形態では、ハウジングチェンバー103は、事象発生中にメインヒーターの温度、気温、湿度、ガスの種類、運動システム、コンテナの位置、その他多くのパラメーターの値を時間に関して観察、監視、制御することができる。
【0029】
一実施形態では、ハウジングチェンバー103内の事象を記録、監視、観察するために複数のカメラが設けられている。記録された事象は、内臓ストレージ 203あるいは内部ストレージ 203 、または、内蔵 Wi-Fi 接続を介したクラウドシステムの少なくともいずれかに、あるいは、任意の外部ストレージ システム 203 に保存することができる。記録された事象は、Bluetooth、Wi-Fi、USB接続、または任意の他のデータ送信システムの助けを借りて、装置100に取り付けられたタッチディスプレイ、または、外部のモバイル、デスクトップ、ラップトップの少なくともいずれかにライブストリーミングすることができる。
【0030】
一実施形態では、ハウジングチェンバー103は複数のワークステーション104から構成される。求められるマイクロ、ナノスケールまたは、それ以上の大きさの材料の少なくとも一方の操作、製造、反応、研究、変更、修正、調査、開発に関連する、すべての事象のために使用される。ワークステーション104のプラットフォームは、クローズドアモードまたはオープンドアモードで使用することができる。
【0031】
一実施形態では、ハウジングチェンバー103は、複数の反応容器105で構成される。反応活動および事象に対するユーザーの要求や要望に応じて、異なる反応容器105が選択され、設置される。適切な反応容器には、さまざまな溶媒、または、前駆体、電極、キャッピング剤、界面活性剤、反応材、触媒、表面改質剤、金属塩、ポリマー、生体適合性配位子、炭素ベースのナノ材料、炭素ベースの材料、その他多くのものの少なくともいずれかを装填または充填され得る。
【0032】
一実施形態では、紫外線、赤外線、マイクロ波、可視光線などの波長内および波長を超えた複数の電磁波源が、ハウジングチェンバー103内に配置される。複数の電磁波源は、求められた事象または必要な事象発生中に、いずれか1つ、または、組み合わせて使用することができる。実験中や合成中、ハウジングチェンバー103に、ハウジング101内に存在するマグネトロンの助けを借りて、マイクロ波を照射することができる。
【0033】
一実施形態において、自動垂直運動システム、自動水平運動システム、または、ロボットアームの少なくともいずれかが、反応事象の間、感知プローブ、電極、pHプローブ、超音波処理プローブ、撹拌プローブ、液体ハンドラープローブのような、複数のプローブなどの複数のプローブの取り扱いおよび操作のために、ハウジングチェンバー103内に設けられる。ハウジングチェンバー103は、ガイドレールシステム、ベルトシステムまたは、ネジ機構、ロッド機構、あるいは、他の任意の直線運動システム機構を使用して操作、制御、および監視され得る自動化された垂直および水平運動システムをさらに含み得る。複数の電極ホルダーは電極を保持するために設けられている。電極は、実験中や合成中に可変電場波形を提供する。
【0034】
一実施形態では、ハウジングチェンバー103は、ハウジングチェンバー103の壁の取り外し可能な内部ライニング、または交換可能な内部ライニングを含み、支持する。ハウジングチェンバーの壁の内張りは、掃除の際に、効率を高めるために、チェンバーを清潔に保つために、といった際に取り外したり交換したりすることがでる。
【0035】
一実施形態では、機械学習(ML)、人工知能(Al)、深層学習、および、IOTの機能を有するか否かを問わず、コンピューティングシステム200は、複数の周辺機器201、1つまたは複数のマイクロプロセッサー、マイクロコンピューター、マイクロコントローラー、デジタル信号プロセッサー、中央処理装置、論理回路、または操作命令に基づいてデータを操作する、任意のデバイスとして実装され得るプロセッサー202で構成されるが、これらに限定されない。他の機能の中でも特に、1つまたは複数のプロセッサー202は、ハウジング101のメモリ203に格納されたコンピューター可読命令を取得し、実行するように構成されている。
【0036】
一実施形態では、プロセッサー202は、ハードウェアとプログラミング(例えば、プログラム可能な命令、すなわちファームウェア)の組み合わせとして実装され、ユーザーの指示に従って1つ以上の機能を実装することができる。本明細書で説明される例では、このようなハードウェアとプログラミングの組み合わせは、いくつかの異なる方法で実装することができる。
【0037】
代替実施形態では、プロセッサー202用のプログラミングは、持続的な機械可読記憶媒体に記憶されたプロセッサー実行可能命令であってもよく、プロセッサー202用のためのハードウェアは、そのような命令を実行するための処理リソース(例えば、1つまたはそれ以上のプロセッサー)から構成されても構わない。このような代替実施形態では、システム100は、命令を記憶する機械可読記憶媒体と、命令を実行するための処理リソースとを備えることができ、または機械可読記憶媒体は、別個であるが、システム100および処理リソースにアクセス可能であっても構わない。他の例では、プロセッサー202は、電子回路によって実装されても構わない。
【0038】
一実施形態では、コンピューティングシステム200は、システム100のコンポーネント、または、プロセッサー202の少なくとも一方の機能、事象の結果として格納または生成されるデータを含むことができる複数のメモリ203で構成される。メモリ203は、ネットワークサービスを介して、データユニットを作成または共有するために、取得され、実行され得る、1つまたは複数のコンピューター可読命令またはルーチンを記憶することが可能である。メモリ203は、例えば、RAMなどの揮発性メモリ、またはEPROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを含む任意の記憶装置を備えることができる。
【0039】
一実施形態では、コンピューティングシステム200は、I/Oデバイスと呼ばれるデータ入出力装置のための複数のインターフェース、および他の追加の実施形態を備える。
【0040】
一実施形態では、グラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)は、専用のデスクトップ ソフトウェア アプリケーション110、モバイル アプリケーション111、またはタッチディスプレイ パネル アプリケーション112を含むが、これらに限定されない。
【0041】
一実施形態では、上記のパラメーター、構成要素、部品、反応事象、環境は、グラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)を伴うナノスケール材料合成機のいずれかを使用して、あるいは使用してから、時間に関して観察、操作、監視、記録、分析、および制御することができる。
【0042】
一実施形態では、グラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)110、111、112は、ウィンドウズ(登録商標)、マックOS、リナックス(登録商標)、アンドロイド(登録商標)など複数のオペレーティングシステムと互換性がある。
【0043】
一実施形態では、GUIは、ツール、ヘルプ、ビューバー、測定バー、標準ツールバー、トレースバー、モジュールバー、ステータスバー、ランプバーなどを備え、複数のメインウィンドウおよび、グラフウィンドウ、スペクトラムウィンドウ、結果ウィンドウ、実験ウィンドウ、数学ウィンドウなど、図 3、図 4、図 5 に示されている以上の、多くのサブウィンドウを開く。
【0044】
一実施形態では、メインメニューオプションの「ファイル」は、「新規」、「開く」、「閉じる」、「すべて閉じる」、「保存」、「名前を付けて保存」、「メソッドを開く」、「メソッドを保存」、「エクスポート」、「印刷」、「終了」などの複数のコマンドをサポートする。メイン メニュー オプションの [編集] オプションには、「切り取り」、「コピー」、「貼り付け」、「元に戻す」、「やり直し」、「削除」、「すべて削除」、「選択」、「すべて選択」などのサブコマンドがある。メイン メニュー オプションの「実験」は、「モジュールの選択」(新しいウィンドウをパッと開く) などのサブコマンドをサポートしている。これには、モジュール、そのパラメーター、その他、実験の実行に必要な設定を選択するためのオプション、「モジュールの現在のステータス」、「パス」、「オプション」、「スキャン速度」、「モード」、「パラメーターの選択」などが含まれる。
【0045】
一実施形態では、メインメニューオプション「Graphplot」は、このメニューを通じて、監視、アクセス、変更、表示できる「結果グラフ」などのサブコマンドをサポートする。グラフ機能により、別ウィンドウのポップアップが容易になる。「結果ウィンドウ」の結果値、コメント オプション、データの切り取り、データのコピー、データの貼り付けのオプション、複数のグラフプロット データ ファイルをロードして表示するオプションなどが表示されるが、これらに限定されない。トレースバーは、グラフ プロット ウィンドウのスペクトル、グラフ プロット ウィンドウのデータ上に、マウスポインターのX軸とY軸の値を表示する。
【0046】
一実施形態では、メインメニューオプションの「数学」には、「平滑化」、「微分」、「スカラー加算」、「スカラー乗算」、「スカラー除算」、「対数」、「加算」、「減算」、「平均」など、収集または結果のデータ、結果のスペクトルを分析するためのコマンドを含むが、これらに限定されないオプションを含む。
【0047】
一実施形態では、メインメニューオプションの「ツール」は、ウィンドウズ(登録商標)の配置オプション(「水平方向に並べる」、「垂直方向に並べる」、「カスケード」など)、「スペクトラムリスト」、「スペクトラム情報」、「異なるツールバーの選択」、「異なるツールバーの表示」(「ビューバー」、「測定バー」、「標準ツールバー」、「トレース バー」、「モジュール バー」、「ステータス バー」、「ランプ バー」)、「ユーザー情報」、「カスタマイズ」、「ツールバーのリセット」などのコマンドを提供するが、これらに限定されない。
【0048】
一実施形態では、メインメニューオプションの「ヘルプ」は、現在のソフトウェアバージョン、ソフトウェアガイドリンク、および下記を提供する。PDF ファイル形式、ヘルプ ガイド、Web サイトへのリンク、ドライバーの更新、ソフトウェアの更新、オンライン サポート オプション、その他多数。
【0049】
一実施形態では、機械に付随するソフトウェア アプリケーションは、反応事象を「開始」、「停止」または「一時停止」、「スキャン」、「再開する」機能を提供する。また、システム100のコンポーネントの誤動作やユーザーが入力した実験設定に、誤りがあった場合に備えて、自動エラー検出機能も内蔵されている。GUI には、さまざまなモジュール接続において、接続ステータスがリアルタイムで表示される。
【0050】
一実施形態では、ハウジング101への付属品として、実験中および合成中に、求められる可変電場、出力電圧、入力電圧、および電流、電流の可変波形、電圧周波数出力を、各構成要素のいずれか1つまたは組み合わせを通じて、または個別に提供するために、可変電源106が提供される。可変電子機器電源106は、他の目的または他の機械のために独立して使用することができる。
【0051】
一実施形態では、可変電子機器電源106は、電力、電圧、電流、インジケーター、冷却システム、排気システム、タッチディスプレイ、プロセッサー、メモリ、コントローラー、回路基板、モーター、ギア、リミットスイッチ、調整可能なキャスターホイール、またはパッドなどを制御するための複数のスイッチを備えるが、これらに限定されない。
【0052】
一実施形態では、可変電源106の電界波形の種類として、例えば、正弦波、矩形波、のこぎり波、脈動、三角波、正弦波などを含むが、これらに限定されず、観察、監視、変更および選択することができる。電圧と電流の電源値は、可変の交流(AC)電流、直流 (DC) 成分、フィルタリングされた波形、全波または半波波形、または可変整流波形を含むが、これらに限定されず、観察、監視、変更、および選択することができる。平均、二乗平均平方根 (RMS)、ピーク (PK)、ピークツーピーク (PK to PK) などの値を適切に選択および変更できる。
【0053】
一実施形態では、可変電源装置106の周波数値を観察、監視、変更、および制御することができる。指定された時間に対して、適切な大きさ、適切な値を持つ波形の種類を選択および制御することにより、時間に関して、複数の求められる出力波形を選択することができる。複数の出力波形を並列等に選択可能である。電極ホルダーで固定できる複数の電極を使用して、B05をシリアル化する。
【0054】
一実施形態では、可変電源106は専用のグラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)有しており、タッチディスプレイパネル、デスクトップ、携帯電話、タブレットを含むが、これらに限定されない複数のデバイス上で、操作可能である。
【0055】
一実施形態では、GUIに付随する可変電源106は、以下のものと互換性がある。 BIO:観察、制御、操作、管理、記録、分析、ハウジング101と連動した実験中、または合成反応中の少なくともいずれか、あるいは他の目的や他の機械のための、ウィンドウズ(登録商標)、マックOS、リナックス(登録商標)、アンドロイド(登録商標)などの複数のオペレーティングシステム。
【0056】
一実施形態では、可変電源106は、1つまたは複数のマイクロプロセッサー、マイクロコンピューター、マイクロコントローラー、および下記のデバイス等として、実装可能な1つまたは複数のプロセッサーで構成される。デジタル信号プロセッサー、中央処理装置、論理回路、または、操作命令に基づいてデータを操作するあらゆるデバイス。他の機能の中でも、プロセッサーは、可変電源106のメモリに格納されたコンピューター可読命令を取得して、実行するように構成されている。プロセッサーまたはコントローラーは、ハードウェアとプログラミング (例えば、プログラム可能な命令、すなわちファームウェア) の組み合わせとして実装され、1つまたはそれ以上の機能を実現する。ユーザーの指示に従って機能を実行する。ストレージは、可変電源106または、プロセッサーの少なくとも一方の構成要素のいずれかによって実装される機能の結果として、格納または生成されるデータから構成される可能性がある。
【0057】
一実施形態では、システム100は、ハウジング内に存在する複数の環境監視センサーを含むが、これに限定されない複数の安全機能(下記含)およびハウジングチェンバー103で構成されている。環境センサーは、湿度センサー、温度センサー、電磁スペクトルセンサーなどであり、実験中や合成中に、システムの誤動作、または動作可能範囲を超えた事象を監視する。ハウジング 101 には、有害な温度範囲を調整するための冷却システムが存在する。ハウジング101は、複数の断熱材および電気絶縁体を含むが、これらに限定されない。システム、ヒューズ、電圧安定装置、遮断機、接地システム。ハウジングチェンバー103には、不要な火災や予防のための消火システムが備えられている。消火システムは、複数の熱環境監視センサーからのフィードバックによって自動的に作動するか、手動で監視、制御することができる。緊急時に停止、緊急時に一時停止が可能な非常スイッチが付いている。
【0058】
一実施形態では、ハウジングチェンバー103には、実験中または、合成中の少なくとも一方の事象中に発生する煙またはガスを低減するように作用および機能する、ハウジング101に取り付けられた排気システムが設置される。ハウジングチェンバー103の排気システムは、ユーザーの要求に応じて、フィルター、気体洗浄装置、膜、または、水調整システム、空気調整システムを含むが、これらに限定されない複数のシステムから構成される。
【0059】
システム100の動作条件は、ユーザーの要望および必要に応じて、さまざまな種類のナノスケール、マイクロスケール、またはより大きな材料の操作、製造、反応、研究、変更、修正、調査、開発などを含むが、これらに限定されない、さまざまな事象の方法に適用可能な、異なるパラメーターに関してカスタマイズ可能である。
【0060】
装置システム100のさまざまなパラメーターは、メインヒーターの温度、熱、気温、湿度、存在するガスの種類と値、紫外線、赤外線、可視光線、マイクロ波、マイクロ波電力の波長範囲内および範囲を超えた電磁波などの、測定可能、制御可能、記録可能なさまざまな変数を含むがこれらに限定されない、異なるパラメーターを適用することによって動作する。電場出力、入力電圧、電圧波形、電流波形、電界周波数、超音波処理、超音波処理出力、撹拌、撹拌速度またはかき混ぜ速度、超音波処理機の水槽温度、ポテンシオスタット法、ガルバノスタット法、pH、圧力など、その他多くの時間に関する設定、制御、観察、監視することが可能である。
【0061】
一実施形態では、
図6のナノスケール材料合成装置システム100の一般的な動作方法が開示され、説明される。ユーザーは、装置100の閾値制限および安全要件の範囲内で、要件または要望に応じて、革新的で即席の他の方法に従う自由と選択を有する。
【0062】
ブロック301では、液体、気体、固体、適切な前駆体、電極、キャッピング剤、界面活性剤、反応物質、触媒、表面改質剤、金属塩、ポリマー、生体適合性配位子、炭素系ナノ材料、炭素系ナノ物質などの媒体を、要件に応じて加えることによって、適切な反応容器105が選択、設置、準備される。この場合、ユーザーは、電極ホルダーに、手動でまたは、自動的に、任意のタイプの求められる、または必要な1つあるいは複数の電極を設置、固定、取り付けることができる。
【0063】
ブロック302で、可変電源106のような、求められる別個のモジュールのいずれか1つまたはそれらの組み合わせが装置100に接続される。装置100の電源が入る。
【0064】
ブロック302で、GUI110、111、112を使用して、ユーザーは、超音波処理、電磁光照射、温度、電極の種類、電極の数、pH走査速度、および制御、反応事象の前および反応中の任意の前駆体の分注、または必要に応じて他の組み合わせなどのパラメーターを入力し、設定する。ユーザーは希望の反応時間や反応事象のサイクルを設定する。ここで、ユーザーは、GUI 110、111、112を使用して、ロボットアーム、直線軸移動システム、または自動ツールチェンジャーの少なくともいずれかの助けを借りて、自動的に動作する電極、感知プローブ、分注プローブ、および他の種類のプローブに対する指示を入力する。要件や要望に応じて、手動モードも選択できる。
【0065】
ブロック303で、コンピューティングシステムは、入力されたパラメーターおよび選択されたモジュールが、条件を満たすかどうかをチェックし、各プロセスのパラメーター、手順、モジュールに関連する事前定義された制限データに従って、検証することができる。ケース304では、入力されたパラメーターおよび選択されたモジュールが、事前に定義されたデータに基づいて正しくないと分析されると、エラー通知がGUI110、111、112に表示され、ユーザーは正しい設定入力を再入力するように促される。
【0066】
ブロック305で、入力されたパラメーターおよび選択されたモジュールが正しいことが確認されると、プロセスはハウジング101のドアを閉めるように進み、入力されたパラメーターおよび指定された時間に基づいて反応を開始する。
【0067】
ここで、緊急スイッチは、動作パラメーターに関連する事前に定義された閾値に基づいて、センサーによって検出された何らかの異常な状況の場合に、装置100内で実行されている反応を一時停止または中止するために、作動させることができる。
【0068】
ここで、望ましくない温度上昇、システム 100 の構成部品の誤動作、火災、安全違反、または環境監視センサーの測定値が定義された許容範囲を上回ったり、下回ったりした場合、または配電システムに何らかの障害が発生した場合、システム100は、一時停止、実行中の事象の停止、自動消火器の作動、警報、電源および配電の切断、ドアの密閉、またはその他他の安全対策など、独自に定義された安全措置、安全手順を開始することができる。表示画面にエラーが表示される場合がある。
【0069】
ブロック306で、反応の完了後、生成物、すなわちX個のナノ構造、マイクロまたはより大きな材料は、準備どおりに回収することが可能、あるいは、さらなる操作、合成、または実験の少なくともいずれかの事象によって、さらなる処理をすることができる。事象および反応に関連するレポートおよび記録は、ユーザーによってGUI110、111、112を介して閲覧され得る。レポートは、反応記録、時間、日付と時刻、センサー値、フィードバック、使用されたパラメーターの値などに関して、グラフプロットの形式で、プロセスの反応を記録する形で、ビデオ録画などの形で行われ、プリンターで印刷したり、ビデオとして再生したり、内蔵メモリ203や外部メモリに保存したりすることができる。
【0070】
例
ナノスケール材料合成装置システム100は、ユーザーが、前駆体および環境の制御可能なパラメーターの組み合わせと並べ替えを可能にし、ナノスケール材料、および、これらの従来型および非従来型のナノスケール製品の創造性、観察、研究の、ほぼ無限の可能性のための施設を作り出す。これらの従来型および非従来型のナノスケール製品のうちのいくつかの例を、機械、方法、プロセスの新規性、非自明性、および、その学術的および商業的有用性の主張を裏付けるために示す。
【0071】
本明細書では、さらに多くの実施例が、記載および図示されているが、これらは本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0072】
例1
酸化亜鉛(ZnO)およびMWCNTナノ複合体の合成プロセス400:
酸化亜鉛(ZnO)およびMWCNTナノ複合体の合成プロセスの詳細は、バイオテクノロジーの分野、塗料、自動車などの産業において、さまざまな応用が可能であり、
図7、
図8、
図9、
図10とともに、本明細書に開示および説明される。
【0073】
まず、反応容器105に200mlの脱イオン水を入れ、25mgのMWCNTと2Mの塩化ナトリウム(NaCl)を加える。次に、ワークステーション104上の反応容器105を設置、装着、取り付ける。
【0074】
ハウジングチェンバー103内の分注容器は、70%のH2O2を2ml分配するように充填される。
【0075】
長さ 70 mm、直径 0.6 mm の亜鉛 (Zn) 電極が電極台に取り付けられている。
【0076】
酸化亜鉛 (ZnO)/MWCNT ナノ複合体の合成には、異なるパラメーターと時間軸を備えた、完全にカスタマイズされた 3 つの事象サイクルが作成される。指示を GUI から入力する。
【0077】
1時間の最初のサイクルを作成し、600 RMP で溶液を撹拌し続け、70℃まで加熱する。反応容器105の温度を70℃にする指示が入力され、水平間隔40mmで電極を挿入し、溶液中での吊り高さ25mmが自動的に入力される(電極数=2)。
【0078】
次に、600 RMP での溶液の連続撹拌、70℃の温度を維持するための溶液の連続加熱、および可変波形によって 2 番目のサイクルが作成される。定電圧値=4Vの、フィルタリングされていない直流の可変電源106を介して供給される。分注容器 (70% H2O2) から 2mlの液体を、4分後に、 B0 反応容器に自動的に加えるように指示が入力される。
【0079】
3番目のサイクルは、600 RPM のみで溶液を継続的に撹拌しながら 30 分間作成される。
【0080】
オプションを選択すると、以前に作成されたすべてのサイクルが連続的に実行され、メソッドは将来の参照のために選択した名前で保存される。ハウジングチェンバー103が閉じられ、GUI上のスタートボタンが押される。このシステムは、内蔵のアラームとインジケーターによって反応の完了を促す。ドアが開くと、合成されたナノ材料酸化亜鉛 (ZnO)/MWCNT ナノ複合体が回収され、適切な容器に移される。
酸化亜鉛 (ZnO)/MWCNT ナノ複合体の特性評価 (TEM、HRTEM、ラマン)の特性評価
【0081】
一実施形態において、酸化亜鉛(ZnO)ナノ構造、MWCNTナノ複合体の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を示す
図8を参照する。TEM 画像には、平均粒径 30 ナノメートルのナノ粒子と平均外径 20 ナノメートルのカーボン ナノチューブがはっきりと示されている。
【0082】
一実施形態では、酸化亜鉛(ZnO)ナノ構造、MWCNTナノ複合体の高解像度透過型電子顕微鏡写真(HRTEM)を示す
図9を参照する。HRTEM 画像は、ZnO と MWCNT のそれぞれ 0.25 ナノメートルと 0.35 ナノメートルの格子縞を示している。
【0083】
一実施形態では、酸化亜鉛(ZnO)ナノ構造、MWCNTナノ複合体のラマン分光図を示す
図10を参照する。ラマンスペクトルは、ナノ複合体の対応物、つまり酸化亜鉛ナノ粒子とMWCNTの両方のピークを示している。不純物のピーク50は検出されず、得られたナノ複合体が純粋であることを示している。
【0084】
例2
ウニのような酸化銅ナノ構造の特性評価 (TEM、SEM、XRD、EDX)
一実施形態では、ウニ酸化銅(CuO)ナノ構造のTEMを示す
図11を参照する。TEM 画像には、平均サイズ 25 ナノメートルの表面スパイクがはっきりと示されている。
【0085】
一実施形態では、ウニ様酸化銅(CuO)ナノ構造のSEMを示す
図12を参照する。SEM 画像は、ウニのような表面形態、高度に単分散した、平均粒径 250 ナノメートルのナノ構造を明確に示している。
【0086】
一実施形態では、ウニ様酸化銅(CuO)ナノ構造のX線回折図(XRD)を示す
図13を参照する。XRD パターンは材料の結晶性を確認し、参照 JCPDS カード番号 087125 と一致する。不純物のピークは検出されず、CuO ナノ構造が純粋であることを示している。
【0087】
一実施形態では、ウニ様酸化銅(CuO)ナノ構造のエネルギー分散型X線(EDX)分析を示す
図14を参照する。ウニのような CuO ナノ構造の EDX スペクトルにより、銅と酸素の元素の存在が確認される。約 1.0 keV および約8.0 keVエネルギーの EDX ピークは CuK に割り当てられ、約 0.5 keV エネルギーのピークは OK に割り当てられる。
【0088】
例3
亜鉛マンガン酸化物 (ZnMn
2O
4) ナノ構造の特性評価 (TEM および XRD)
一実施形態において、亜鉛マンガン酸化物(ZnMn
2O
4)ナノ構造のTEMを示す
図15を参照する。TEM 画像は、平均粒径 80 ナノメートルのナノ粒子を明確に示している。
【0089】
一実施形態において、亜鉛マンガン酸化物(ZnMn
2O
4)ナノ構造のXRDを示す
図16を参照する。XRD パターンは材料の結晶性を確認し、参照 JCPDS カード番号 24-1133 と一致する。不純物のピークは検出されず、ZnMn
2O
4ナノ構造が純粋であることを示している。
【0090】
例4
酸化鉄 (Fe
3O
4) ナノ粒子の特性評価 (TEM)
一実施形態において、酸化鉄(Fe
3O
4)ナノ粒子のTEMを示す
図17を参照する。TEM 画像は、平均粒径 50 ナノメートルのナノ粒子を明確に示している。
【0091】
例5
酸化鉄 (Fe
3O
4)、MWCNT (多層カーボンナノチューブ) ナノ複合体の特性評価 (TEM、ラマン)
一実施形態では、酸化鉄(Fe
3O
4)、MWCNT(多層カーボンナノチューブ)ナノ複合体のTEMを示す
図18を参照する。TEM 画像からはっきりとわかる。平均粒子サイズが 70 ナノメートルのナノ粒子と、平均外径が 20 ナノメートルのカーボンナノチューブである。
【0092】
一実施形態において、酸化鉄(Fe
3O
4)、 MWCNT(多層カーボンナノチューブ)ナノ複合体)のラマン分光図を示す
図19を参照する。ラマンスペクトルは、ナノ複合体の対応物、つまり酸化鉄ナノ粒子とMWCNTの両方のピークを示している。不純物のピークは検出されず、得られたナノ複合体が純粋であることを示している。
【0093】
例6
酸化亜鉛(ZnO)ナノ構造の特性評価(XRD、ラマン)
一実施形態では、酸化亜鉛(ZnO)ナノ構造のXRDを示す
図20を参照する。XRD パターンは材料の結晶性を確認し、参照 JCPDS カード番号 36-1451 と一致する。不純物のピークは検出されず、ZnO ナノ構造が純粋であることを示している。
【0094】
一実施形態では、酸化亜鉛(ZnO)ナノ構造のラマンスペクトログラムを示す
図21を参照する。ラマンスペクトルには、ZnO ナノ構造の特徴的なピークが示されている。不純物のピークは検出されず、得られたナノ複合体が純粋であることを示している。
【国際調査報告】