(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】付加製造用のマルチレーザーシステム
(51)【国際特許分類】
B23K 26/34 20140101AFI20240501BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20240501BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240501BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240501BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240501BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240501BHJP
B22F 10/322 20210101ALI20240501BHJP
B22F 12/44 20210101ALI20240501BHJP
B22F 12/70 20210101ALI20240501BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240501BHJP
B29C 64/25 20170101ALI20240501BHJP
B29C 64/277 20170101ALI20240501BHJP
B29C 64/371 20170101ALI20240501BHJP
B29C 64/214 20170101ALI20240501BHJP
B23K 26/142 20140101ALI20240501BHJP
【FI】
B23K26/34
B23K26/21 Z
B33Y30/00
B33Y10/00
B33Y50/02
B22F10/28
B22F10/322
B22F12/44
B22F12/70
B29C64/153
B29C64/25
B29C64/277
B29C64/371
B29C64/214
B23K26/142
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561008
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2021066368
(87)【国際公開番号】W WO2022207128
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102021000008102
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523374183
【氏名又は名称】プリマ アディティブ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】フェラーリオ,ファビオ
【テーマコード(参考)】
4E168
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4E168BA35
4E168BA81
4E168CB04
4E168DA13
4E168EA15
4E168FB03
4E168FC01
4F213AC04
4F213AM30
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL32
4F213WL72
4F213WL74
4F213WL76
4F213WL77
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
付加製造のためのマルチレーザーシステム(100)は、不活性ガスの雰囲気を有する環境において、複数のレーザー源と、電磁気放射線ビームを生成し、所定の処理セクター内に伝達するために必要な複数の光学及び/又は光学システム走査からなり、選択的な粉末溶融プロセスから生じるフューム及び/又は汚染物質を溶融層又は層の可能な限り近くで除去し、粉末床融着又は粉末床の処理に必要なプロセスガスを同一チャンバ内に局所的に導入することが可能な作業チャンバ内で使用されることが記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業表面(101)の所定の領域に電磁気放射線ビーム(107)を伝達するように設計された独立した光学システムのマトリックス(103)であり、前記独立した光学システムのマトリックス(103)が、前記作業表面(101)の所定の領域において、前記電磁気放射線ビーム(107)を100%で重ねることができ、前記独立した光学システムのマトリックス(103)が工作機械の上部表面に接続される、独立した光学システムのマトリックス(103)と;
ピストン(106)に作動可能に接続された、粉末床(102)を収容するように設計された作業表面(101)と、
を含むことを特徴とする付加製造用のマルチレーザーシステム(100)。
【請求項2】
前記独立した光学システムのマトリックス(103)が、付加製造プロセスを実施するために必要な作業領域に対応して、レーザー及び光学システム及び/又はガルバノメトリック走査システムの複数のモジュール(111)においてスケーラブルで、モジュール化されていることを特徴とする、請求項1に記載の付加製造用のマルチレーザーシステム(100)。
【請求項3】
自律するモジュール(111)が、少なくとも4つのレーザーで設計され、そのそれぞれが、合計100%のオーバーラップで、各作業セクター(112)の対応する領域(119)において付加製造を実行することができる電磁気放射線(107)のビームを発することを特徴とする、請求項1に記載の付加製造用のマルチレーザーシステム(100)。
【請求項4】
自律するモジュール(111)が、少なくとも4つのレーザーで設計され、そのそれぞれが、50%の部分的オーバーラップで、各作業セクター(112)の対応する領域(115)、(116)、(117)、及び(118)において付加製造を実行することができる電磁気放射線(107)のビームを発することを特徴とする、請求項1に記載の付加製造用のマルチレーザーシステム(100)。
【請求項5】
作業セクター(112)が、ヒュームの抽出、作業領域からプロセスヒュームを局所的に除去するために必要なサポートガスの導入、及びプロセス支援ガスを導入するためのシステム(105)によって区切られ、ヒュームの抽出、サポートガスの導入のための前記システム(105)は、前記作業表面(101)に動作可能に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の付加製造用のマルチレーザーシステム(100)。
【請求項6】
ヒュームの吸引及びサポートガスの導入のためのシステム(105)が、作業セクター(112)内のプロセスガスに適した中心拡散要素(108)と、プロセスから生じるヒュームを前記作業セクター(112)から除去するように設計された二つの吸引側要素(109)とを備え、前記中心拡散要素(108)及び前記吸引側要素(109)が前記作業表面(101)に動作可能に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の付加製造用のマルチレーザーシステム(100)。
【請求項7】
ヒュームの吸引及びサポートガスの導入のためのシステム(105)が、作業セクター(113)及び(114)を付加製造用途の電磁気放射線(107)に曝露するために必要な軸Xに沿った並進運動を行うように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の付加製造用のマルチレーザーシステム(100)。
【請求項8】
ヒュームの吸引及びサポートガスの導入のためのシステム(105)が、作業表面(101)から端部に向かってX方向に、及びドクターブレード(104)に対して反対方向に並進し、前記作業表面(101)における前記ドクターブレード(104)の通過を可能にし、前記ドクターブレード(104)が粉末を拡散させることを可能にするように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の付加製造用のマルチレーザーシステム(100)。
【請求項9】
ヒュームの吸引及びサポートガスの導入のためのシステム(105)が、前記作業表面(101)におけるプロセスに必要なガスを局所的に導入することができ、前記作業表面(101)からプロセスヒュームを局所的に抽出することができることを特徴とする、請求項1に記載の付加製造用のマルチレーザーシステム(100)。
【請求項10】
付加製造用のマルチレーザー(100)を使用して行われる付加製造方法であって、前記付加製造用のマルチレーザー(100)が請求項8に記載の付加製造用のマルチレーザー(100)であり、
前記付加製造方法は、
X方向に前記作業表面(101)に沿って前記ドクターブレード(104)を向け、前記作業表面(101)の端部を超えて前記粉末床(102)を拡散させる段階と;
ガス吸引及び吸入システム(105)を前記作業表面(101)における前記粉末床(102)の上方に配置する段階と;
レーザー源及び独立した光学システム(103)又は別々のモジュール(111)のスイッチオンを配置し、中心拡散要素(108)と二つの吸引側要素(109)との間に置かれた作業セクター(112)にレーザービーム(107)を向ける段階と;
ガス取込及び吸入システム(105)をX軸に沿って前記粉末床(102)の上に並進させ、付加製造用途のために作業セクター(113)及び(114)を電磁放射(107)に曝露する段階と;
ガス吸引及び吸入システム(105)を前記作業表面(101)の端部に向かってX方向に、前記ドクターブレード(104)とは反対方向に並進させ、前記ピストン(106)をZ方向に下方に移動させる段階と;
前記作業表面(101)に粉体を拡散させるために、前記ドクターブレード(104)の通過中にレーザー源をオフにする段階と;
前記作業表面(101)上に前記ガス取込及び吸入システム(105)を配置し、レーザー源を作動させる段階と、
を含むことを特徴とする、付加製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに従って、付加製造用のマルチレーザーシステムに関する。特に、粉末床溶融結合又は粉末床技術を有する付加製造用のマルチレーザーシステムが図示される。
【0002】
付加製造(AM)とは、従来のサブトラクティブ技術(切粉除去のための機械加工、切削、穴あけ)とは対照的に、デジタルモデルから始まる一連の付加製造プロセスであり;機械制御システムに統合されたソフトウエアによって、層に分割される3D CADモデル、又はオンラインサービスによって、様々なタイプの材料、特に金属、プラスチック、又は複合部材の堆積プロセス又は焼結のための工作機械によって加工される、得られた層のスキームが得られる。
【0003】
本技術の主な特徴は、プロジェクト設計で要求される最終部品のものに非常に近い形状の部品を作製できる製造プロセスであることである。AMのファミリーにおいて、レーザービームを用いた粉末床の選択的溶融/焼結(選択的レーザービーム溶融-SLBM、又は選択的レーザービーム焼結-SLBS、又は粉末床溶融結合又はPBFとしても知られる)、レーザービームによる金属堆積(レーザービーム金属堆積-LBMD)、及び選択的電子ビーム溶融-SEBM等、幾つかの様々な技術が特定されることができる。
【0004】
粉末床又はPBF技術において、レーザービームは、高出力密度を有する熱源として使用され、レーザービームは、三次元部品の作製のためにコンパクトな材料を取得する必要がある特定のゾーン又は所定の領域でのみ金属粉末を溶融するのに必要である。レーザービームの使用に関連する利点は、通常直径30μm程度の小さな寸法やスポットに集光できるので、製造される部品の表面仕上げの点で、粉末の迅速な溶融及び良好なレベルの精度をもたらす高出力密度を保証する。これらの特徴は、航空宇宙から医療、自動車から宝飾品に至るまで、様々な分野の部品製造のために、粉末床技術の産業市場への参入を可能にしてきた。特に、従来の製造技術に比べて、粉末床技術の優れた柔軟性により、非常に高いレベルの部品のカスタマイズを達成することができる。
【0005】
製造工程では、1つの層の溶融と次の層の溶融との間で、後続の処理を開始する前に、新しい粉体床の製図を完了するために、ドクターブレードやリコーターが待機する必要があるため、システムの生産性を制限する時間間隔がある。
【0006】
製造プロセスは主に、放射線と物質の相互作用、電磁気放射線のエネルギーの材料の吸収特性、及び粉末床の温度に依存し、特に、材料の吸収特性は、密度、熱伝導率、比熱、及び放射率等のパラメータを含み、材料自体の温度によって変化し、粉末床又は粉末床溶融結合における付加製造技術では、材料の加工プロセスを決定する。
【0007】
レーザー出力、粉末床上のレーザー走査速度、レーザービームの形状、使用される材料等のプロセスパラメータの選択は、製造される部品の構造及び表面品質、システムの生産性に影響を及ぼし、高い空間分解能、キャピラリープロセス制御、粉末床の前処理と新しく溶融した材料の後処理を実行する能力等の利点のおかげで、産業分野、特に鋳造及び/又は熱成形及び/又はダイカストによって網羅される今日の分野において、このタイプの機械を使用するための決定的なものとなる。
【0008】
溶融プロセスは、複数の光学システム及び/又は走査システムの助けを借りて、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン等)雰囲気の環境下で、作業チャンバ内の1以上のレーザー源によって行われ、その内部では、粉末の提示(adduction)を制御するので、部品の実現を保証し、選択的溶融プロセスから派生するヒュームの吸引、及び製造プロセスをサポートするためのガスの注入を可能にする幾つかの処理装置がある。
【0009】
多くの付加製造用のマルチレーザーシステムは、対象の3D製造用の作業領域を走査するのに適した1セットのレーザーからなるシステムに関する欧州特許出願公開第3083254号明細書、造形中の対象で実行される走査の数を減らして、造形の品質を向上させた、複数のレーザーを備えたシステムに関する中国特許出願公開第112248436号明細書、作業領域とレーザービーム伝送システムとの間に、レーザービーム及び送風及び吸引システムの複数の走査システムがある、粉末床技術用のシステムに関する中国特許出願公開第111842886、2つの排気口が、チャンバの左右の側板の下端にそれぞれ配置されている、4つのガルバノメーター、及び2つの吸気口、2つの排気口、及び濾過システムを含むシステムを記載する中国特許出願公開第209063559号明細書、部分的に作業領域及び接合領域の少なくとも上を通過するガス流を形成するように配置された流入ノズル及び流出ノズルを備えた、作業領域上のガスの流入及び吸引システムに関する欧州特許出願公開第3050648号明細書に開示されるように、当技術分野では知られている。
【0010】
公知技術の主な欠点は、複数のレーザーを有するデバイスが、作業表面の特定のセクターに自律的に作動することができないシステム、又は複数のレーザー源を使用しても、走査数が製造速度の欠点に減少するシステム、及び更にプロセスヒュームの抽出及びサポートガスの導入が局在化されないが、作業チャンバの境界壁、又は制御不能な振動をダスト床(dust bed)に導入することができる構造に制限され、使用されるレーザーによって粉体の層で行われるプロセスに近接して局在化されないシステム、溶融材料、及びそれによって小さな及び/又は大きな寸法の最終部品に欠陥及び/又は含有物の形成を導入する制限に関連する。更に、これらは、レーザー源に関して、特に粉末床における層の局所的な加工に関して、スケーラブル(scalable)が容易ではない装置である。
【0011】
本発明の目的は、スケーラブルなシステムにより、付加製造用のマルチレーザーシステムによる上記従来技術の問題を解決することであり、前記スケーラブルなシステムは、予め確立された処理のセクターに沿って配置された電磁気放射線ビームを生成する複数のレーザー源の使用を可能にし、各セクターの能力で自律的に動作することができ、高い生産速度と組み合わせて作製される物体の高品質を保証する。別の目的は、ドクターブレードの通過中に、作業領域に関して完全に右/左に沿って移動する、作業領域の上に固定されたシステムの使用によって、粉末床内の制御不能な振動の可能性のない機械システムを使用することである。これは、作業表面に堆積された層が、後続の層の製図に関して変動及び/又は乱れ(turbulence)を受けないことを確実にする。
【0012】
以下の説明から明らかになるように、本発明の上記及び他の目的及び利点は、請求項1に記載されたもののような付加製造用のマルチレーザーシステムによって達成される。本発明の好ましい実施形態及び非自明な変形は、従属クレームの対象を形成する。
【0013】
添付の特許請求の範囲はいずれも、本明細書の不可欠な部分を形成することが理解される。
【0014】
添付の特許請求の範囲から明らかなように、本発明の範囲から逸脱することなく、記載されているものに無数の変形や修正(例えば、形状、寸法、配置、同等の機能を有する部分に関するもの)を加えることができることは、直ちに明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、添付の図面を参照し、非限定的な例として提供される幾つかの好ましい実施形態によって更に詳しく説明される。
【0016】
【
図1】
図1は、本発明による付加製造用のマルチレーザーシステム(100)を示す。
【
図2】
図2は、本発明による付加製造用のマルチレーザーシステム(100)の重複(overlap)領域の図を示す。
【
図3】
図3は、本発明による付加製造用のマルチレーザーシステム(100)の連続した重複領域の図を示す。
【
図4】
図4は、本発明による付加製造用のマルチレーザーシステム(100)の対応する作業領域におけるレーザー軌道の上面図を示す。
【
図5】
図5は、本発明による、方向(X+)の並進運動段階におけるガス吸引及び吸入システム(105)を示す。
【
図6】
図6は、本発明による、方向(X-)の並進運動段階におけるガス取込及び吸入システム(105)を示す。
【
図7】
図7は、本発明による作業表面外のガス吸引及び吸入システム(105)を示す。
【0017】
付加製造用のマルチレーザーシステム(100)は、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン等)雰囲気の環境で、作業チャンバ内で使用されるように設計され、所定の加工セクター内で電磁気放射線ビームを生成し、伝達するために必要とされる複数のレーザー源及び複数の光学システム及び/又は走査システムからなり、選択的粉体溶融プロセスから派生するヒューム及び/又は汚染物質を溶融層又は層の可能な限り近くで除去することが可能であるとともに、粉末床溶融結合又は粉末床の処理に必要なプロセスガスを同じチャンバ内に局所的に導入することが可能であり、前記マルチレーザーシステム(100)は、スケーラブルであり、各専門分野で自律的に動作することができ、高い生産速度を組み合わせた製造される対象の高い品質を保証する。
図1によって見られるように、付加製造用のマルチレーザーシステム(100)は、作業表面(101)の所定の領域に電磁気放射線ビーム(107)を伝達するように設計された独立した光学システムのマトリックス(103)、所謂前記作業面(101)の所定の領域において前記電磁気放射線ビーム(107)を100%で重ねることができる独立した光学システムのマトリックス(103)であって、前記独立した光学システムのマトリックス(103)が、工作機械の上部表面に接続される独立した光学システムのマトリックス(103)と;ピストン(106)に作動可能に接続された、粉末床(102)を収容するように設計された作業表面(101)と、からなる。
【0018】
有利なことに、
図1から分かるように、前記独立した光学システムのマトリックス(103)は、レーザー及び光学システム及び/又はガルバノメトリック(galvanometric)走査システムの複数のモジュール(111)においてスケーラブルかつモジュール化可能であり、特に、前記モジュール(111)は、少なくとも4つのレーザー及び光学及び/又はガルバノメトリック走査システムによって構成されることができ、前記モジュール(111)は、付加製造プロセスを実施するのに必要な作業領域に対応する4の倍数の単位で、生産量、製造される部品の寸法、及びプロセス速度に応じて増加させることができる。
【0019】
更に、レーザー及び光学システム及び/又はガルバノメトリック走査システムの前記モジュール(111)は、自律的に動作し、各作業セクター(112)内で付加製造プロセスを実施することができ、特に、各レーザー源は、電磁気放射線(107)のビームを発し、即ち
図2及び
図3に示されるように、2つのレーザー源が動作する場合、100%の全オーバーラップ(overlap)で、各作業セクター(112)内の対応する領域(119)において、且つ50%の部分的オーバーラップで、各作業セクター(112)内の対応する領域(115)、(116)、(117)、及び(118)において、付加製造プロセスを実行することができる。
【0020】
領域(115)、(116)、(117)、及び(118)では、第1のモジュール(111)の2つのレーザー源が、第2のモジュール(111)のレーザー源の2つと共に機能し、領域(219)における100%の加工及び領域(215)、(216)、(217)、及び(218)における50%の加工を実行することできるので、
図3に示されるように、2つのレーザー源の重なりは、前記モジュール(111)のレーザー源の2つの助けを借りて、全体の周辺領域の100%をカバーすることができる。したがって、
図3から分かるように、領域(215)及び(118)の結合によって付与されるAAとして示される領域では、4つのレーザー源が働き、上記領域(215)及び(118)のそれぞれは、2つの近接したモジュール(111)のレーザー源によってカバーされる。この重複領域の管理により、光学システム及び/又はガルバノメトリック走査システムが作業領域により近くなり、前記電磁気放射線ビーム(107)のより小さなスポット径を使用して付加製造作業を実施することを可能にし、例えば、より大きな表面仕上げ、より優れた最終表面の精度、製造欠陥が含まれる確率の低下等、製造される最終部品に対する利点が得られる。
【0021】
図5、
図6、及び
図7から分かるように、本発明の付加製造用のマルチレーザーシステム(100)は、特定の処理セクター(112)にプロセスガスを導入することに適した中心拡散要素(108)によって、上記作業セクター(112)の範囲を定めるヒューム抽出及びサポートガス投入システム(105)、及びセクター(112)からのプロセスから派生するヒュームを除去するように設計された2つの吸引側要素(109)が装備され、上記中心拡散要素(108)及び上記吸引側要素(109)は、上記作業面(101)に対して、横方面に移動することができ、上記作業面(101)に動作可能に接続される。
【0022】
特に、作業セクター(113)及び(114)を対応するモジュール(111)の電磁気放射線(107)に曝露するように設計された電気機械アクチュエータの助けを借りて、X軸に沿った並進システムにより、最終部品の構造的完全性及び性能を損なうことに寄与する、残留応力、内部欠陥、及び層又は層内の含有物(例えば、結合(welded)表面の領域内の多孔性又は構造的中断)のない対象を生成するために、上記ヒューム抽出及びサポートガス投入システム(105)は、流れの最大層状性能を保証することができ、それによって上記作業セクター(113)及び(114)における付加製造プロセスを完了することを可能にし、前記ヒューム抽出及びサポートガス投入システム(105)は、プロセスに必要なガスを上記作業表面(101)に局所的に導入し、上記作業表面(101)からプロセスヒュームを局所的に吸引することを可能にする。
【0023】
並進プロセスは、ドクターブレード又はリコーター(104)と組み合わせた動作で行われ、前記ドクターブレード又はリコーター(104)は、作業表面(101)の端部の一方に配置され、上記ドクターブレード(104)と、ヒュームを吸引し、サポートガス(105)を導入するための上記システムとの間の相対的な動作を制御するのに必要な光学的又は容量性近接センサを備え、これらの動作は、工作機械に動作可能に接続された制御ユニット(120)によって管理される。
【0024】
有利には、
図7から見られるように、ヒューム吸引及びサポートガス投入システム(105)は、作業表面(101)から端部に向かってX方向に、及びドクターブレード(104)に対して反対方向に並進し(translate)、上記作業表面(101)内で前記ドクターブレード(104)の通過を可能にし、前記ドクターブレード(104)が粉末を拡散させるように設計されている。
【0025】
更に、ヒュームの吸引及びサポートガスの導入のための上記システム(105)は、作業表面(101)の端部に向かってX方向に、及びドクターブレード(104)とは反対方向に並進し、前記作業表面(101)における前記ドクターブレード(104)の通過を可能にし、前記ドクターブレード(104)による粉体の拡散を可能にするように設計されている。
【0026】
付加製造用のマルチレーザーシステム(100)は、生産ニーズに応じて汎用性があるように設計され、以下:
X方向に作業表面(101)に沿ってドクターブレード(104)を向け、上記作業表面(101)の端部を超えて粉末床(102)を拡散(spreading)させる段階と;
ガス吸引及び吸入システム(105)を前記作業表面(101)における粉末床(102)の上方に配置する段階と;
レーザー源及び独立した光学システム(103)又は別々のモジュール(111)のスイッチオン(switching on)を配置し、中心拡散要素(108)と二つの吸引側要素(109)との間に置かれた作業セクター(112)にレーザービーム(107)を向ける段階と;
ガス取込及び吸入システム(105)をX軸に沿って粉末床(102)の上に並進させ、付加製造用途のために作業セクター(113)及び(114)を電磁放射(107)に曝露する段階と;
ガス吸引及び吸入システム(105)を前記作業表面(101)の端部に向かってX方向に、ドクターブレード(104)とは反対方向に並進させ、ピストン(106)をZ方向に下方に移動させる段階と;
前記作業表面(101)に粉体を拡散させるために、ドクターブレード(104)の通過中にレーザー源をオフにする段階と;
前記作業表面(101)上にガス取込及び吸入システム(105)を配置し、レーザー源を作動させる段階と、
を含む。
【国際調査報告】