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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】導電性複合フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/14 20060101AFI20240501BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20240501BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240501BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20240501BHJP
   B32B 25/08 20060101ALI20240501BHJP
   B32B 25/20 20060101ALI20240501BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20240501BHJP
   A61B 5/265 20210101ALI20240501BHJP
   A61B 5/268 20210101ALI20240501BHJP
   H01B 7/06 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H01B5/14 Z
H01B13/00 503Z
B32B27/00 101
B32B7/025
B32B25/08
B32B25/20
H05K1/03 610Z
A61B5/265
A61B5/268
H01B7/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564125
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 US2022071866
(87)【国際公開番号】W WO2022226533
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/178,687
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519454187
【氏名又は名称】ディーディーピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス ナイン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン-ヤン シアン
(72)【発明者】
【氏名】イ-ホワ チェン
【テーマコード(参考)】
4C127
4F100
5G307
5G311
5G323
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127AA03
4C127AA04
4C127AA06
4C127LL22
4F100AA37C
4F100AB00A
4F100AB24C
4F100AD00A
4F100AG00A
4F100AH06B
4F100AK52A
4F100AK52B
4F100AK52D
4F100AL09A
4F100AL09D
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100CB05D
4F100DG11A
4F100GB41
4F100JB13B
4F100JG01C
4F100JK17
4F100JL13D
4F100YY00C
5G307GA02
5G307GB02
5G311BA02
5G311BC01
5G323AA01
(57)【要約】
導電性複合フィルムは、(A)基材、(B)シリコーンベースの反応性層、(C)少なくとも1つの導電層、及び(D)シリコーン封止剤層の4つの層を有し、シリコーンベースの反応性層は硬化性オルガノシロキサン組成物から形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)基材と、
(B)硬化性オルガノシロキサン組成物から形成されたシリコーンベースの反応性層と、
(C)少なくとも1つの導電層と、
(D)シリコーン封止剤層と、
を含む導電性複合フィルム。
【請求項2】
前記硬化性オルガノシロキサン組成物が、
以下の式(I)又は(II)で表される少なくとも1種の(B-i)オルガノシリコーン化合物:
Si(OR4-x (I)
Si(OROR4-y (II)
(式中、Rは、独立して、1~16個の炭素原子をそれぞれ独立に有するアルキル基又はアリル基であり、Rは1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、xは1~3の整数であり、Rは1~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは1~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、yは0~4の整数である);及び
以下の式(III)で表される少なくとも1種の(B-ii)有機金属化合物:
Ti(OR (III)
(式中、Rは、1~10個の炭素原子を有するアリル基である)
を含む、請求項1に記載の導電性複合フィルム。
【請求項3】
前記基材が、プラスチック、エラストマー、布地、金属、セラミック、ガラス、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項4】
前記基材がシリコーンエラストマーである、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項5】
前記シリコーン封止剤層が、シリコーンエラストマー、シリコーン粘着剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項6】
前記導電層が約10~約100,000のアスペクト比を有する導電性材料を含む、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項7】
前記導電性材料が、銀、炭素、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項8】
約50~約5000μmの厚さを有する、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項9】
可撓性を有する、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の導電性複合フィルムの製造方法であって、
(a)前記硬化性オルガノシロキサン組成物を前記基材(A)上に塗布する工程と、
(b)前記硬化性オルガノシロキサン組成物を硬化させて前記シリコーンベースの反応性層(B)を形成する工程と、
(c)前記(B)シリコーンベースの反応性層上に導電性材料を含む前記少なくとも1つの導電層(C)を形成する工程と、
(d)前記導電性金属層上に前記シリコーン封止剤層(D)を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項11】
前記硬化性オルガノシロキサン組成物が、
以下の式(I)又は(II)で表される少なくとも1種の(B-i)オルガノシリコーン化合物:
Si(OR4-x (I)
Si(OROR4-y (II)
(式中、Rは、独立して、1~16個の炭素原子をそれぞれ独立に有するアルキル基又はアリル基であり、Rは1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、xは1~3の整数であり、Rは1~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは1~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、yは0~4の整数である);及び
以下の式(III)で表される少なくとも1種の(B-ii)有機金属化合物:
Ti(OR (III)
(式中、Rは、1~10個の炭素原子を有するアリル基である)
を含み、
前記少なくとも1種の(Bi)オルガノシリコーン化合物及び前記少なくとも1種の(B-ii)有機金属化合物が、1~60分間の湿気硬化によって20~80%架橋される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの導電層(C)が、
(c-i)前記(B)シリコーンベースの反応性層の上にペーストを塗布する工程であって、前記ペーストが、導電性材料、キャリアポリマー、及びレオロジー調整剤を含む工程と、
(c-ii)前記塗布されたペーストを加熱して前記レオロジー調整剤を少なくとも部分的に蒸発させる工程と、
によって形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
フラット液晶ディスプレイ、エレクトロルミネセントデバイス、電子機器のタッチスクリーン、太陽電池、及びEMIシールドスクリーンのために使用される、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項14】
心電図、脳波、胃電図、運動生体信号-圧力及び歪み、皮膚差動インピーダンス、筋電図、眼電図、及び網膜電図のために使用される、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月23日に出願された米国仮特許出願第63/178,687号の利益を主張するものであり、その開示は、その全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、シリコーンエラストマーと導電層とを有する導電性複合フィルムに関する。導電性複合フィルムは、典型的には、ウェアラブルデバイス用途及び電子デバイス用途における使用に適した高い可撓性と伸縮能力とを有する。
【背景技術】
【0003】
導電性フィルムは、エレクトロニクスや医療などの多くの産業で使用されている。米国特許第9761349B号明細書には、樹脂と導電性フィラーとを含む導電性ペーストが開示されている。導電性多層フィルムも公知である。通常、導電性多層フィルムは、ガラス、セラミック、又はプラスチックである基材(又は支持体)と、導電性フィラーを含有する導電層とを含む。フレキシブルな導電性フィルムには、ポリマー基材が使用される。導電性フィラーは、真空蒸着や又はスパッタリング技術などの乾式プロセスによって基材表面に適用することができる。湿式コーティングプロセスも、導電性粒子を含み典型的にはバインダー樹脂も含むコーティング組成物を基材に塗布し、次いで高温で乾燥(又は焼結)して導電層を形成することによって使用される。
【0004】
導電性ナノワイヤー又はマイクロワイヤーも導電性フィラーとして使用される。米国特許第9199438B号明細書及び米国特許第9554460B号明細書には、ポリマー系ベース層とポリマー系結合層とを含むポリマー基材と、複数のナノワイヤーを含む導電層とを含む導電性複合フィルムが開示されている。ナノワイヤーは、結合層のポリマーマトリックス中に少なくとも部分的に分散されるように、結合層のポリマーマトリックスによって結合される。ポリエステルがベース層として使用され、コポリエステルが結合層として使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シリコーンエラストマーは、可撓性、伸縮能力、及び耐水性/耐薬品性などの良好な特性を有する傾向がある。シリコーンエラストマーは、導電性フィラーを含む導電層の基材として試験されているが、導電層とシリコーンエラストマーとの間の界面は強く結合せず、典型的にはシリコーンエラストマーと導電層との実用的な導電性複合材料を得ることができない。したがって、良好に接合したシリコーンエラストマーと導電層との導電性複合材料が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、(A)基材と、(B)硬化性オルガノシロキサン組成物から形成されたシリコーンベースの反応性層と、(C)少なくとも1つの導電層と、(D)シリコーン封止剤層とを含む導電性複合フィルムを提供する。
【0007】
本開示は、以下の図面に関連して以降で説明されるが、図面中の同様の数字は同様の要素を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】伸縮能力解析装置のモデルである。
図2】比較例1の伸縮試験の結果である。
図3】実施例1の伸縮試験の結果である。
図4】実施例2の伸縮試験の結果である。
図5】実施例1のドッグボーン形状試験サンプルの写真である。
図6】比較例1のドッグボーン形状試験サンプルの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、本質的に単に例示的なものに過ぎず、本明細書に記載の主題の開示又は適用及び使用を限定することを意図するものではない。更に、前述した背景又は以降の詳細な説明で示される何らかの理論に拘束される意図はない。
【0010】
本開示の一態様は、
(A)基材と、
(B)シリコーンベースの反応性層と、
(C)少なくとも1つの導電層と、
(D)シリコーン封止剤層と、
を含む導電性複合フィルムであって、
シリコーンベースの反応性層が硬化性オルガノシロキサン組成物から形成される、導電性複合フィルムである。
【0011】
本開示の別の態様は、上で開示した導電性複合フィルムの製造方法であって、
(a)硬化性オルガノシロキサン組成物を基材(A)上に塗布する工程と、
(b)硬化性オルガノシロキサン組成物を硬化させてシリコーンベースの反応性層(B)を形成する工程と、
(c)シリコーンベースの反応性層上に導電性材料を含む少なくとも1つの導電層(C)を形成する工程と、
(d)導電層上にシリコーン封止剤層(D)を形成する工程と、
を含む製造方法に関する。
【0012】
様々な実施形態において、前述した層の全ての組み合わせが想定される。例えば、一実施形態では、(A)の上に(B)が配置され、(B)の上に(C)が配置され、(C)の上に(D)が配置される。任意の層を他の任意の層の上に配置することができ、他の任意の層から間隔をあけて配置することができることが想定されている。或いは、任意の層を他の任意の層の上に配置し、他の任意の層と直接接触させてもよい。「から間隔をあけて」という用語は、典型的には、2つの他の層の間に配置されている中間層が存在する実施形態を表す。或いは、「直接接触している」という用語は、典型的には、2つの層が互いに直接接触するように、2つの層の間に配置された中間層又は他の層が存在しないことを表す。(A)、(B)、(C)、及び/又は(D)のそれぞれ1つ以上が利用され得ることが想定されている。例えば、1つ以上の(A)は、1つ以上の(B)、1つ以上の(C)、及び/又は1つ以上の(D)と共に利用することができる。それぞれの個々の層は、独立して、任意の1つ以上の他の層上に配置され、任意の1つ以上の他の層から間隔をあけて、又は直接接触して配置することができる。(A)、(B)、(C)、及び/又は(D)のうちのいずれか1つ以上は、(A)、(B)、(C)、及び/又は(D)のうちの任意の1つ以上の他の上に部分的に又は完全に配置されていてもよい。(A)、(B)、(C)、及び/又は(D)のうちのいずれか2つ以上が同一平面上に、例えば隣り合って配置され、(A)、(B)、(C)、及び/又は(D)のうちのいずれか1つ以上の他の上に配置され得ることも想定される。様々な非限定的な実施形態では、前述した説明の全ての組み合わせが、本明細書における使用に明示的に想定される。
【0013】
(A)基材:
導電性複合フィルムは、(A)基材又は基材層を含む。フィルムは、1つ以上の(A)を含み得る。基材は複合フィルムの支持体として機能する。それと同時に、基材は導電性複合フィルムに機能を付与する。任意の基材を使用することができる。そのような基材の例としては、限定するものではないが、プラスチック、エラストマー、布地、金属、セラミック、ガラス、及びそれらの組み合わせが挙げられる。基材がシリコーンエラストマーである場合には、複合フィルムはウェアラブルデバイス用途における使用に適した優れた可撓性と伸縮能力を示す。
【0014】
基材の厚さは特に限定されない。様々な実施形態では、厚さは、約20~約300μm、約50~約200μm、約25~約275μm、約50~約250μm、約75~約225μm、約100~約200μm、約125~約175μm、又は約150~約175μmである。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0015】
B)シリコーンベースの反応性層
本開示の(B)シリコーンベースの反応性層は、硬化性オルガノシロキサン組成物から形成される。フィルムは、1つ以上の(B)を含み得る。「ベースの」という用語は、反応性層が硬化前、硬化中、又は硬化後に、硬化性オルガノシロキサンを含む、又は硬化性オルガノシロキサンである、又は硬化性オルガノシロキサンから本質的になる、又は硬化性オルガノシロキサンからなることを意味する。「から本質的になる」という用語は、反応性層が、硬化性オルガノシロキサン組成物又はその硬化した若しくは部分的に硬化した生成物ではないポリマーを含まないか、又は約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、若しくは0.1重量%未満含む実施形態を表す。「から形成される」という用語は、硬化性オルガノシロキサン組成物が硬化した若しくは部分的に硬化したときに反応性層が典型的に存在するようになることを意味する。硬化若しくは部分的な硬化の程度は、当業者によって決定することができる。「硬化性」という用語は、オルガノシロキサン組成物が硬化可能であることを表す。硬化の正確なタイプは特に限定されず、当業者によって選択され得る。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0016】
一実施形態では、硬化性オルガノシロキサン組成物は、少なくとも1種の(B-i)オルガノシリコーン化合物及び少なくとも1種の(B-ii)有機金属化合物であるか、又はこれを含むか、又はこれから本質的になるか、又はこれからなる。少なくとも1種の(B-i)オルガノシリコーン化合物及び少なくとも1種の(B-ii)有機金属化合物は、湿気硬化によって反応(架橋)して、シリコーン系反応性層を形成することができる。しかしながら、それらの反応はこのタイプの硬化機構に限定されない。「から本質的になる」という用語は、本明細書に記載されていない他のモノマー及び/若しくは有機化合物及び/若しくは金属化合物を含まなくてよいか、又は約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、若しくは0.1重量%未満含み得る実施形態を表す。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0017】
様々な実施形態では、少なくとも1種の(B-i)オルガノシリコーン化合物は、以下の式(I)又は(II)で表される。それぞれ独立して式(I)又は(II)を有する1種以上の(B-i)オルガノシリコーン化合物が利用され得ることが想定されている
Si(OR4-x (I)
Si(OROR4-y (II)
(式中、各Rは、独立して、1~16個の炭素原子をそれぞれ独立に有するアルキル基又はアリル基であり、Rは1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、xは1~3の整数であり、Rは1~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは1~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、yは0~4の整数である)。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0018】
例えば、各Rは、独立して、1~16個の炭素原子を有するアルキル基、又は1~16個の炭素原子を有するアリル基である。様々な実施形態では、アルキル基及び/又はアリル基は、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16個の炭素原子を有するか、或いはそのような値の任意の範囲、例えば1~16、2~15、3~13、4~12、5~11、6~10、7~9、8~9、8~10、8~12、8~14、8~16、6~8、6~10、6~12、6~14、6~16、10~16、10~14、10~12、12~16、12~14個などの炭素原子を有する。更に、Rは、1~4個の炭素原子、例えば1、2、3、又は4個の炭素原子、又はそのような値の任意の範囲の炭素原子を有するアルキル基である。更に、xは、1~3の整数、例えば1、2、又は3である。Rは1~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、上述したいずれかであってよい。同様に、Rは、1~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、上述したいずれかであってよい。また、yは0~4の整数、例えば0、1、2、3、又は4である。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0019】
少なくとも1種の(B-i)オルガノシリコーン化合物の非限定的な例としては、限定するものではないが、アリルトリメトキシシラン、1-メトキシイソプロピルオルトシリケート、テトラキス(2-ブトキシエチル)オルトシリケート、及びトリメトキシビニルシラン、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0020】
少なくとも1種の(B-ii)有機金属化合物は、下記式(III)で表される
Ti(OR (III)
(式中、Rは、1~10個の炭素原子を有するアリル基である)。例えば、アリル基は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個、又は2~9、3~8、4~7、5~6、2~8、4~8、4~6、2~6、2~4、6~8個などの炭素原子を有し得る。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0021】
少なくとも1種の(B-ii)有機金属化合物の非限定的な例としては、限定するものではないが、テトラn-ブチルチタネート及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0022】
利用される少なくとも1種の(B-i)の量は特に限定されず、当該技術分野で知られている任意の量であってよい。例えば、その量は、硬化性オルガノシロキサン組成物の総重量を基準として約0.1~約99.9重量%、約1~約99重量%、約5~約95重量%、約10~約90重量%、約15~約85重量%、約20~約80重量%、約25~約75重量%、約30~約70重量%、約35~約65重量%、約40~約60重量%、約45~約55重量%、又は約45~約50重量%であってよい。同様に、少なくとも1種の(B-ii)の量も特に限定されず、当該技術分野で知られている任意の量であってよい。例えば、その量は、独立して、硬化性オルガノシロキサン組成物の総重量を基準として約0.1~約99.9重量%、約1~約99重量%、約5~約95重量%、約10~約90重量%、約15~約85重量%、約20~約80重量%、約25~約75重量%、約30~約70重量%、約35~約65重量%、約40~約60重量%、約45~約55重量%、又は約45~約50重量%であってよい。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0023】
硬化性オルガノシロキサン組成物は、溶媒を更に含んでいてもよく、或いは含んでいなくてもよい。溶媒の例としては、限定されるものではないが、n-ヘプタン及び当業者に認識される同様の炭素溶媒が挙げられる。使用される溶媒の量は特に限定されず、当該技術分野で知られている任意の量であってよい。例えば、その量は、硬化性オルガノシロキサン組成物の総重量を基準として約0.1~約99.9重量%、約1~約99重量%、約5~約95重量%、約10~約90重量%、約15~約85重量%、約20~約80重量%、約25~約75重量%、約30~約70重量%、約35~約65重量%、約40~約60重量%、約45~約55重量%、又は約45~約50重量%であってよい。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0024】
本開示は、
(a)硬化性オルガノシロキサン組成物を基材(A)上に塗布する工程と、
(b)硬化性オルガノシロキサン組成物を硬化させてシリコーンベースの反応性層(B)を形成する工程と、
(c)(B)シリコーンベースの反応性層上に導電性材料を含む少なくとも1つの導電層(C)を形成する工程と、
(d)導電性金属層上にシリコーン封止剤層(D)を形成する工程と、
を含む導電性複合フィルムの製造方法も提供する。
【0025】
例えば、硬化性オルガノシロキサン組成物は、任意の公知の方法によって基材(A)上に塗布することができる。そのような方法の例としては、限定するものではないが、噴霧、浸漬、スクリーン印刷、ワイピング、及びグラビアコーティングが挙げられる。硬化性オルガノシロキサン組成物が塗布された後、基材は、典型的には、例えば約0~約60%、約5~約60%、約10~約60%、約15~約60%、約20~約60%、約25~約55%、約30~約50%、約35~約45%、又は約40~約45%の水分を含む雰囲気中で、約10~約50分間、約15~約45分間、約20~約40分間、約25~約35分間、又は約30~約35分間、室温で、例えば約15~約30℃、約20~約25℃、又は約25~約30℃で、オルガノシラン化合物と有機金属化合物が反応してシリコーンベースの反応性層を形成するように、湿気にさらされる。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0026】
(C)導電層
ここで少なくとも1つの(C)導電層について言及すると、フィルムは1つ以上の(C)を含むことができる。この層は、導電性材料、例えば1種以上の導電性材料を含む。導電性材料は特に限定されず、当該技術分野で公知の任意のものであってよい。導電性材料は導電性フィラーとも呼ばれる。フレーク、又はワイヤー形状の導電性材料が典型的である。ワイヤー形状の導電性材料としては、金属ナノワイヤー、金属マイクロワイヤー、及びカーボンナノチューブが挙げられる。導電層に導電性ナノワイヤー及び/又はマイクロワイヤーを使用することは、例えば米国特許出願公開第2012/0118617A号明細書に記載されている通りに実施することができ、この開示は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。本明細書で使用される「ナノワイヤー」及び「マイクロワイヤー」という用語は、典型的には約10~約100,000のアスペクト比(すなわち長さLを幅Wで割ったもの)を有する要素を指す。アスペクト比は、10より大きく、典型的には50より大きく、より典型的には100より大きい。上限は、約100,000までの任意の値、例えば約500、約1,000、約5,000、約10,000、約15,000、約20,000、約25,000、約30,000、約35,000、約40,000、約45,000、約50,000、約55,000、約60,000、約65,000、約70,000、約75,000、約80,000、約85,000、約90,000、約95,000、又は約100,000であってよい。更に、前述したいずれかの値が範囲の下限であってもよい。ナノワイヤーの断面寸法は、500nm未満、典型的には200nm未満、より典型的には100nm未満であってよい。様々な実施形態では、ナノワイヤーの断面寸法は、約1~約500nm、約25~約475nm、約50~約450nm、約75~約425nm、約100~約400nm、約125~約375nm、約150~約350nm、約175~約325nm、約200~約300nm、約225~約275nm、又は約250~約275nmであってよい。フレーク形状の導電性材料も典型的である。フレーク形状の導電性材料の粒径は、典型的には約0.1~約15μm、より典型的には約0.1~約10μmである。様々な実施形態では、粒径は、当該技術分野で公知の任意の装置、例えばよく知られているMalvern MS2000などのMalvern粒度分析計を使用して、Dv10及び/若しくはDn10、Dv50及び/若しくはDn50、Dv90及び/若しくはDn90、又はそれらの組み合わせのいずれかとして表すことができる。この値は、代表値、中央値、又は平均値であってよい。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0027】
導電性材料には、金属フィラー及び他の導電性粒子が含まれる。そのような導電性粒子の例としては、限定するものではないが、カーボンナノチューブ(CNT)や導電性ポリマー繊維などが挙げられる。典型的には、そのような導電性粒子は10以上のアスペクト比を有し、アスペクト比の上限値は当業者によって選択され得る。金属フィラーの金属としては、元素金属、金属合金、及び金属化合物(金属酸化物など)、並びにそれらの組み合わせを挙げることができる。金属フィラーとして使用することができる金属、金属合金、及び金属酸化物としては、限定するものではないが、Cu、Au、Ni、Pd、Co、Pt、Ru、W、Cr、Mo、Ag、及びCo、並びにこれらの合金又は酸化物が挙げられる。適切な金属フィラーは、任意の金属、特に銀、金、銅、及びニッケル、並びにそれらの組み合わせのものであってよい。
【0028】
別の有利な実施形態では、導電層は少なくとも1種の金属フィラーと少なくとも1種の非金属フィラーを含む。そのような組み合わせの例としては、限定するものではないが、銀フィラーとカーボンナノチューブ、金フィラーとカーボンナノチューブ、及び銅フィラーとカーボンナノチューブが挙げられる。
【0029】
導電層は、典型的には、導電材料及び液体(例えばキャリア溶媒/ポリマー)を含む分散液をシリコーン系反応性層(B)に塗布することによって形成することができる。導電性材料は、キャリア溶媒/ポリマーに分散させることができる。有機液体/溶媒又は水などの任意の適切な液体を使用することができる。有機液体/溶媒は、当該技術分野で公知のいずれであってもよく、当業者によって選択され得る。
【0030】
典型的には、導電性材料と液体との有機液体分散液又は溶液が利用される。分散液又は溶液は、任意選択的には、キャリア溶媒(又はキャリアポリマー)を更に含む。キャリアポリマーの例としては、限定するものではないが、酢酸カルビトール、リン酸トリエチル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、エステル化合物、4-ヒドロキシ-4-メチルペンタン-2-オン(4-ヒドロキシ-4-メチルペンタン-2-オン)、及びジプロピレングリコールメチルエーテル、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。分散液又は溶液は、当該技術分野で公知の粘度調整剤、界面活性剤、腐食防止剤などの添加剤を任意選択的に更に含む。
【0031】
分散液又は溶液は、任意の公知の方法によってシリコーンベースの反応性層上に塗布することができる。そのような方法の例としては、限定するものではないが、スクリーン印刷、噴霧、浸漬、ワイピング、及びグラビアコーティングが挙げられる。塗布後、分散液又は溶液は、溶液中の液体が蒸発する温度に又はその温度まで加熱することができ、これは当業者に公知である。
【0032】
導電層は単層であっても又は複数層であってもよい。2種類以上の導電性材料が導電層に含まれる場合、上の工程(すなわち導電性材料を含む溶液を塗布し、次いで溶液が層を形成するまで加熱する工程)を繰り返すことができる。
【0033】
導電層の厚さは、典型的には約5~約300μm、より典型的には約10~約150μmである。様々な実施形態では、厚さは、約10~約290μm、約15~約280μm、約20~約270μm、約25~約265μm、約30~約260μm、約35~約255μm、約40~約250μm、約45~約245μm、約50~約240μm、約55~約235μm、約60~約230μm、約65~約225μm、約70~約220μm、約75~約215μm、約80~約210μm、約85~約205μm、約90~約200μm、約95~約195μm、約100~約190μm、約105~約185μm、約110~約180μm、約115~約175μm、約120~約170μm、約125~約165μm、約130~約160μm、約135~約155μm、約140~約150μm、又は約145~約150μmである。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0034】
(D)シリコーン封止剤層
ここで(D)シリコーン封止剤層について言及すると、フィルムは1つ以上の(D)を含むことができる。この層は、反応又は硬化時にシリコーン層を形成することができるシリコーン封止剤組成物であってよく、又はそれを含んでいてもよく、又はそれから本質的になっていてもよく、又はそれからなっていてもよい。この層は、反応性材料、又はデリケートな材料、又は本フィルムの任意の部分を保護するために使用することができる。更に、「から本質的になる」という用語は、シリコーンではないポリマーを含まなくてよいか、又はシリコーン封止剤組成物の総重量を基準として約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、若しくは0.1重量%未満含む実施形態を表し得る。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0035】
シリコーン封止剤組成物は、典型的には、ポリジメチルシロキサン化学構造を有しており、そのシロキサン主鎖がメチル基で囲まれていることで、気体/湿気の透過性が高い、電子的に絶縁された、疎水性を示す層が得られる。メチル基の相互作用が低いため、皮膚と接触する用途に有益な(非閉鎖性など)通気性バリアを提供することができる。
【0036】
シリコーンの自然な外観は、配合に応じて透明から半透明である。ただし、シリコーンエラストマーは、通常、外観に色を付けるために顔料添加が可能である。透明及び半透明のシリコーンは、観察し易くするために透かして見ることができる一方で、着色された外観は、典型的には、美観目的のために実行される。
【0037】
シリコーンエラストマーは、設計された形状を形成するための成形技術(すなわち圧縮又は射出)による架橋反応によってもたらされる3次元ネットワークである。様々な配合の架橋したエラストマーは、約ショア00から約ショアAまでの範囲の硬度を有することができる。エラストマーの弾性を有する性質のため、これらは破断点伸びの範囲内、例えば約200~約1,000%で伸縮可能である傾向がある。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0038】
シリコーンエラストマーの一般的な組成は、「ジメチルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端」、充填剤、「シロキサン及びシリコーン、ジ-Me、Me-ビニル、ビニル基末端」、「ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシ末端」、及び「ジメチル、メチル水素シロキサン、トリメチルシロキシ末端」を含む。フィラーの例としては、限定するものではないが、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、珪藻土鉱物、及び硫酸バリウムが挙げられる。
【0039】
シリコーンソフトスキン粘着剤(SSA)の一般的な組成は、「ジメチルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端」、「シロキサン及びシリコーン、ジメチル」、「シロキサン及びシリコーン、ジ-Me、水素末端」、及び「シロキサン及びシリコーン、ジ-Me、Me水素」を含む。
【0040】
シリコーン感圧粘着剤(PSA)の一般的な組成は、「ジメチルシロキサンで処理されたトリメチル化シリカ」及び「キャリア溶媒」を含み、キャリア溶媒としては、限定するものではないが、n-ヘキサン、ミネラルスピリット、イソプロパノール、トルエン、キシレン、ヘキサメチルジシロキサン、酢酸エチル、及びオクタメチルトリシロキサンが挙げられる。
【0041】
シリコーン封止剤又はシリコーン封止剤層などの硬化性封止剤は、任意の公知の方法によって少なくとも1つの導電層(C)上に塗布することができる。硬化性封止剤がエラストマー(エラストマー及びSSA)である場合、そのような方法の例としては、限定するものではないが、スクリーン印刷、グラビアコーティング、浸漬、ワイピング、及び成形が挙げられる。硬化性封止剤組成物を塗布した後、基材をオーブン内で高温にさらすことで、硬化(架橋)を促進することができる。
【0042】
硬化性封止剤がシリコーン感圧粘着剤(PSA)である場合、そのような方法の例としては、限定するものではないが、グラビアコーティング、浸漬、及びワイピングが挙げられる。PSA封止剤組成物を塗布した後、基材をオーブン内で高温にさらすことで、キャリア溶媒を除去/蒸発させることができる。
【0043】
様々な実施形態では、シリコーン封止剤層の厚さは、典型的には約50~約500μm、より典型的には約100~約300μmである。様々な実施形態では、厚さは、約60~約490μm、約70~約480μm、約80~約470μm、約90~約460μm、約100~約450μm、約110~約440μm、約120~約430μm、約130~約420μm、約140~約410μm、約150~約400μm、約160~約390μm、約170~約380μm、約180~約370μm、約190~約360μm、約200~約350μm、約210~約340μm、約220~約330μm、約230~約320μm、約240~約310μm、約250~約300μm、約260~約290、又は約270~約280μmである。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0044】
上述した方法の工程を繰り返すことによって、導電性複合フィルムを製造することができる。導電性複合フィルムの厚さは、典型的には約50~約5000μmである。様々な実施形態では、厚さは、約50~約100μm、約55~約95μm、約60~約90μm、約65~約85μm、約70~約80μm、約75~約80μm、約100~約5000μm、約500~約4500μm、約1000~約4000μm、約1500~約3500μm、約2000~約3000μm、又は約2500~約3000μmである。様々な非限定的な実施形態では、前述したそれぞれの値を含む、及びそれぞれの値の間の、整数と小数の両方の全ての値及び値の範囲が、本明細書における使用のために明示的に想定される。
【0045】
導電性複合フィルムは、典型的には、例えば当業者に理解されるように、高い可撓性、伸縮能力、及び耐水性/耐薬品性などの多くの優れた特性を有する。
【0046】
本開示の導電性複合材料は、様々な産業及び用途、例えば、フラット液晶ディスプレイ、エレクトロルミネセントデバイス、電子機器のタッチスクリーン、太陽電池、及びEMIシールドスクリーンなどの電子デバイス用途で使用することができる。
【0047】
本開示の導電性複合フィルムは、様々なウェアラブルデバイス、例えば、心電図(ECG)、脳波(EEG)、胃電図(EGG)、運動生体信号-圧力、歪み及び皮膚差動インピーダンス(EDI)、筋電図(EMG)、眼電図(EOG)、及び網膜電図(ERG)にも使用することができる。
【実施例
【0048】
分析方法
伸縮能力
100×7mmの寸法を有するドッグボーン形状の導体を試験片パターン(試験サンプル)として作製した。
【0049】
リアルタイムでの抵抗測定能力を有する、変位及び速度が制御可能な試験機を使用した。
【0050】
伸縮能力を評価するために、図1に示す通りに試験片を試験機に設置する。抵抗測定器(11)は、ドッグボーン形状の試験片(31)を銅電極(21)で電気的に接続した。ドッグボーン形状の試験片を、図1に示されている長さ(W)まで引き伸ばした。試験片が120mmまで引き伸ばされる場合、これは元の長さ(100mm)に対して20%伸びることを意味する。伸縮%は性能試験用に調整可能であった。試験片を100mmから120mmまで同じ速度で前後に引き伸ばしたときを1サイクルと数える。引き伸ばしは、設計されたサイクル、例えば100サイクル繰り返した。抵抗データを各引き延ばしサイクルに対してプロットし、100サイクルの引き延ばし中の抵抗増加性能を示した。
【0051】
比較例1(既存の複合フィルム)
DuPontから製品名TE-11Cとして供給されているサーマルポリウレタンベースフィルムを基材として使用した。カーボンナノチューブと、製品名PE671としてDuPontから供給されているジプロピレングリコールメチルエーテルとを含むカーボンペーストを、サーマルポリウレタンベースフィルム上にスクリーン印刷し、次いで、オーブン内で130℃で10分間乾燥した(溶媒を蒸発させた)。その後、銀ナノワイヤーとカルビトールアセテートとを含む銀ペーストと、製品名PE876としてDuPontから供給されているリン酸トリエチルをカーボンナノチューブ層上にスクリーン印刷し、130℃のオーブンで10分間乾燥した。スクリーン印刷と乾燥の工程を再度繰り返して、2つの銀層を形成した。その後、DuPontから製品名PE773として供給されているサーマルポリウレタン封止剤をスクリーン印刷し、次いで130℃で10分間加熱した。得られた複合フィルムを100×7mmの寸法のドッグボーン形状に切り取り、伸縮能力試験を行った。
【0052】
本発明の実施例1
DuPontから製品名7-4107として供給されているシリコーンエラストマーベースフィルムを基材として使用した。
【0053】
4.0~5.0重量%のアリルトリメトキシシランと、1.2~1.6重量%のテトラn-ブチルチタネートと、n-ヘプタン(残り)とを含むプライマーをシリコーンエラストマーベースフィルム上にスクリーン印刷し、次いで10~15時間風乾した。これは(B)シリコーンベースの反応性層の一種である。
【0054】
次いで、DuPontから製品名PE671として供給されているカーボンナノチューブとジプロピレングリコールメチルエーテルとを含むカーボンペーストを、サーマルポリウレタンベースフィルム上にスクリーン印刷し、次いで130℃のオーブン中で10分間乾燥(溶媒を蒸発)した。その後、銀ナノワイヤーとカルビトールアセテートとを含む銀ペーストと、製品名PE876としてDuPontから供給されているリン酸トリエチルをカーボンナノチューブ層上にスクリーン印刷し、130℃のオーブンで10分間乾燥した。スクリーン印刷と乾燥の工程を再度繰り返して、2つの銀層を形成した。これは、少なくとも1つの導電層、すなわち2つの導電層の(C)の実施例である。
【0055】
その後、Dow Corningから製品名MMDX4-4210として供給されているシリコーンエラストマーをスクリーン印刷し、次いで130℃で10分間加熱した。これは(D)シリコーン封止剤層である。
【0056】
得られた複合フィルムを比較例1に開示されているものと同様にドッグボーン形状に切り取った。
【0057】
本発明の実施例2
MDX4-4210の代わりに、DuPontから製品名MG7-9960として供給されているシリコーン粘着剤を使用したことを除いて、実施例1について上述した手順と同じ手順を使用した。
【0058】
上記各フィルムの伸縮能力を3つの試験サンプルについて試験し、その結果を図2(比較例1)、図3(実施例1)、及び図4(実施例2)に示した。
【0059】
20%の伸縮能力試験で100サイクル後、比較例1の抵抗は25(最小抵抗)から100Ω(最大抵抗)まで増加した一方で、実施例1及び2の抵抗は、それぞれ5(最小抵抗)から25Ω(最大抵抗)と11Ω(最小抵抗)から40Ω(最大抵抗)であった。これは、最大抵抗と最小抵抗の両方が既存の複合フィルムよりも低減されたことを示している。
【0060】
前述した詳細な説明では少なくとも1つの例示的な実施形態が示されているが、膨大な数の変形形態が存在することが理解されるべきである。また、例示的な実施形態は例示に過ぎず、範囲、適用可能性、又は構成をいかなる形でも限定することを意図したものではないことも理解されるべきである。むしろ、前述した詳細な説明は、当業者が例示的な実施形態を実施するための便利なロードマップを提供するものである。添付の特許請求の範囲に記載の範囲から逸脱することなしに、例示的な実施形態に記載されている要素の機能及び配置に対して様々な変更を行い得ることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)基材と、
(B)硬化性オルガノシロキサン組成物から形成されたシリコーンベースの反応性層と、
(C)少なくとも1つの導電層と、
(D)シリコーン封止剤層と、
を含む導電性複合フィルム。
【請求項2】
前記硬化性オルガノシロキサン組成物が、
以下の式(I)又は(II)で表される少なくとも1種のオルガノシリコーン化合物(B-i)
Si(OR4-x (I)
Si(OROR4-y (II)
(式中、Rは、独立して、1~16個の炭素原子をそれぞれ独立に有するアルキル基又はアリル基であり、Rは1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、xは1~3の整数であり、Rは1~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは1~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、yは0~4の整数である);及び
以下の式(III)で表される少なくとも1種の有機金属化合物(B-ii)
Ti(OR (III)
(式中、Rは、1~10個の炭素原子を有するアリル基である)
を含む、請求項1に記載の導電性複合フィルム。
【請求項3】
前記基材が、プラスチック、エラストマー、布地、金属、セラミック、ガラス、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項4】
前記基材がシリコーンエラストマーである、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項5】
前記シリコーン封止剤層が、シリコーンエラストマー、シリコーン粘着剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項6】
前記導電層が約10~約100,000のアスペクト比を有する導電性材料を含む、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項7】
前記導電性材料が、銀、炭素、又はそれらの組み合わせを含む、請求項に記載の導電性複合フィルム。
【請求項8】
約50~約5000μmの厚さを有する、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項9】
可撓性を有する、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の導電性複合フィルムの製造方法であって、
(a)前記硬化性オルガノシロキサン組成物を前記基材(A)上に塗布する工程と、
(b)前記硬化性オルガノシロキサン組成物を硬化させて前記シリコーンベースの反応性層(B)を形成する工程と、
(c)前記シリコーンベースの反応性層(B)上に導電性材料を含む前記少なくとも1つの導電層(C)を形成する工程と、
(d)前記少なくとも1つの電層(C)上に前記シリコーン封止剤層(D)を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項11】
前記硬化性オルガノシロキサン組成物が、
以下の式(I)又は(II)で表される少なくとも1種のオルガノシリコーン化合物(B-i)
Si(OR4-x (I)
Si(OROR4-y (II)
(式中、Rは、独立して、1~16個の炭素原子をそれぞれ独立に有するアルキル基又はアリル基であり、Rは1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、xは1~3の整数であり、Rは1~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは1~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、yは0~4の整数である);及び
以下の式(III)で表される少なくとも1種の有機金属化合物(B-ii)
Ti(OR (III)
(式中、Rは、1~10個の炭素原子を有するアリル基である)
を含み、
前記少なくとも1種のオルガノシリコーン化合物(B-i)及び前記少なくとも1種の有機金属化合物(B-ii)が、1~60分間の湿気硬化によって20~80%架橋される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの導電層(C)が、
(c-i)前記シリコーンベースの反応性層(B)の上にペーストを塗布する工程であって、前記ペーストが、導電性材料、キャリアポリマー、及びレオロジー調整剤を含む工程と、
(c-ii)前記塗布されたペーストを加熱して前記レオロジー調整剤を少なくとも部分的に蒸発させる工程と、
によって形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
フラット液晶ディスプレイ、エレクトロルミネセントデバイス、電子機器のタッチスクリーン、太陽電池、及びEMIシールドスクリーンのために使用される、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【請求項14】
心電図、脳波、胃電図、運動生体信号-圧力及び歪み、皮膚差動インピーダンス、筋電図、眼電図、及び網膜電図のために使用される、請求項1又は2に記載の導電性複合フィルム。
【国際調査報告】