(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】コンベヤシステム、モータローラコントローラ、およびコンベヤシステムを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
B65G 43/10 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
B65G43/10
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023564198
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2022057417
(87)【国際公開番号】W WO2022223216
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523320618
【氏名又は名称】キョウワ ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Kyowa Europe GmbH
【住所又は居所原語表記】Moltkestrasse 44a,42799 Leichlingen,Germany
(71)【出願人】
【識別番号】523320629
【氏名又は名称】インダストリアル ソフトウェア
【氏名又は名称原語表記】Industrial Software
【住所又は居所原語表記】jk Bukston,BL.10,1618 Sofia,Bulgaria
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ディミタール イヴァノフ ペトロフ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ アレクサンドロフ ヤンコフ
(72)【発明者】
【氏名】ディミタール フリストフ スヴァンドゥジーブ
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン ディミトロフ ペトロフ
(72)【発明者】
【氏名】市枝 和也
(72)【発明者】
【氏名】ランディー コーム
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク マリナ
【テーマコード(参考)】
3F027
【Fターム(参考)】
3F027AA03
3F027EA01
3F027FA02
(57)【要約】
たとえば物品およびパッケージなどを運搬するためのコンベヤシステムは、少なくとも2つの有線モータローラコントローラであって、各有線モータローラコントローラが少なくとも1つのモータローラ制御ポートおよび少なくとも1つの有線信号バスポートを有する、少なくとも2つの有線モータローラコントローラ、および少なくとも2つの無線モータローラコントローラであって、各無線モータローラコントローラが少なくとも1つのモータローラ制御ポートおよび無線ポートを有する、少なくとも2つの無線モータローラコントローラを含み、2つの有線モータローラコントローラは信号バスポートを介して信号バスに沿って直列に接続され、各有線モータローラコントローラにおいて無線モータローラコントローラの無線信号の信号強度を検知し、有線モータローラコントローラが検知信号強度に関する情報を交換することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
たとえば物品およびパッケージなどを運搬するためのコンベヤシステムであって、
- 少なくとも2つの有線モータローラコントローラであって、各有線モータローラコントローラが少なくとも1つのモータローラ制御ポートおよび少なくとも1つの有線信号バスポートを有する、少なくとも2つの有線モータローラコントローラ、および
- 少なくとも2つの無線モータローラコントローラであって、各無線モータローラコントローラが少なくともオンモータローラ制御ポートおよび無線ポートを有する、少なくとも2つの無線モータローラコントローラ、
を含み、
- 前記2つの有線モータローラコントローラが、前記信号バスポートを介して前記信号バスに沿って直列に接続され、
- 各有線モータローラコントローラにおいて、前記無線モータローラコントローラの無線信号の信号強度を検知し、
- 前記有線モータローラコントローラが前記検知信号強度に関する情報を交換することを特徴とする、
コンベヤシステム。
【請求項2】
- 各有線モータローラコントローラが、前記モータローラ制御ポートを介してコンベヤに沿った少なくとも1つのモータローラに接続され、
- 前記有線信号バスに沿った前記有線モータローラコントローラのシリアルトポロジーと、前記コンベヤに沿った前記モータローラのシリアルトポロジーとが互いに対応することを特徴とする、請求項1に記載のコンベヤシステム。
【請求項3】
各無線モータローラコントローラが、前記モータローラ制御ポートを介して前記コンベヤに沿った少なくとも1つのモータローラに接続されることを特徴とする、請求項1または2に記載のコンベヤシステム。
【請求項4】
前記コンベヤのシリアルトポロジーに沿って、それぞれの前記有線モータローラコントローラによって制御される2つのモータローラの間に、それぞれの前記無線モータローラコントローラによって制御される少なくとも2つのモータローラが配置されることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項5】
各無線モータローラが、特に自身の無線ポートを介して識別信号を無線で送出することを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項6】
各無線モータローラが、自身の無線ポートを介してモータローラコマンドを無線で受信することを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項7】
前記有線モータローラコントローラが、前記識別信号を前記識別信号の信号強度と共に検知することを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項8】
前記有線モータローラコントローラの少なくとも1つまたは前記有線信号バスに接続されたコンポーネントが、無線モータローラコントローラの識別および前記検知信号強度に関するそれぞれの情報のリストを記憶することを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項9】
前記検知信号強度に基づいて、無線モータローラコントローラと有線モータローラコントローラとの間の空間距離が推定され、前記推定された空間距離に基づいて、少なくとも1つの有線モータローラコントローラに関する前記無線モータローラコントローラのシリアルトポロジーが計算されることを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項10】
無線モータローラコントローラの前記モータローラ制御ポートに接続されたモータローラの相対空間位置が、前記無線モータローラコントローラの互いに対する相対空間位置に対応することを特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項11】
前記有線モータローラコントローラの少なくとも1つまたは前記有線信号バスに接続されたコンポーネントが、前記検知信号強度に関する前記情報に依存して、前記有線モータローラコントローラに対する前記無線モータローラコントローラのシリアルトポロジー、および/または特に前記有線モータローラコントローラに接続された前記モータローラに対する前記コンベヤに沿った前記無線モータローラコントローラに接続された前記モータローラのシリアルトポロジーを計算することを特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項12】
前記識別信号が、前記無線モータローラコントローラのシリアル番号を含むことを特徴とする、請求項1~11の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項13】
- 少なくとも1つのモータローラ制御ポートおよび少なくとも1つの有線信号バスポート、
- 無線モータローラコントローラの識別信号を検知し、かつ前記検知する識別信号から信号強度情報を得るように配置された無線通信ユニット、
- 信号強度情報を送信および/または受信するように配置された有線通信ユニット
を含む、モータローラコントローラ。
【請求項14】
コンピューティングユニットが、少なくとも2つの有線モータローラコントローラからの信号強度情報の少なくとも2つのリストを計算するように配置されることを特徴とする、請求項13に記載のモータローラコントローラ。
【請求項15】
前記コンピューティングユニットが、前記少なくとも2つのリストに基づいて少なくとも2つの有線モータローラコントローラに対する無線モータローラコントローラの位置を計算するように配置されることを特徴とする、請求項14に記載のモータローラコントローラ。
【請求項16】
請求項1~15の何れか一項に記載のコンベヤシステムを動作させるための方法であって、
- 少なくとも2つの無線モータローラコントローラによって無線で送信された識別信号の信号強度を検知することと、
- 少なくとも2つの有線モータローラコントローラの間で、前記識別信号の前記検知信号強度に関する前記情報を交換することと、
- 前記交換された情報に基づいて、少なくとも2つの有線モータローラコントローラに対する無線モータローラコントローラの位置を計算することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の主題は、たとえば物品およびパッケージなどを運搬するためのコンベヤシステムに関する。特に、この主題は、モータローラによって駆動されるモータ駆動コンベヤを有するコンベヤシステムに関する。さらにこの主題は、こうしたコンベヤシステム内のモータローラコントローラと、こうしたコンベヤシステムを動作させるための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ駆動コンベヤローラ、別名モータローラは、ローラ軸の周りに回転可能に装着されたローラ本体を含む。ローラ本体は通常、中空のチューブである。ローラ本体内にはモータが配置される。モータは、軸エレメントとローラ本体との間でローラ軸の周りの回転運動を生成するように構成された電気モータである。
【0003】
理解する目的のために、以下においてモータローラという用語は、ローラ本体内のモータ単独に対しても、ローラ本体内のモータおよびモータに対応する制御回路を含むドライブユニットに対しても、モータまたはドライブユニットを含むローラ本体に対しても用いられ得る。以下においてモータという用語は、こうしたモータに対しても、こうしたモータおよびモータに対応する制御回路を含むドライブユニットに対しても用いられ得る。
【0004】
モータローラは、ローラ本体の外側の外部に配置されたコントローラとしても知られる制御ユニットによって動作されることが周知である。コントローラは、ローラ本体の内側のモータと制御信号を交換する。
【0005】
このタイプのモータローラによって駆動されるモータ駆動コンベヤは、コンベヤシステムにおいて使用される。こうしたコンベヤシステムにおいては、コンベヤゾーン内の複数のローラ本体を動作させるために、単一のモータローラが使用される。コンベヤシステムはしばしば複数のコンベヤゾーンを有し、運搬される物体はそれらのコンベヤゾーンを順に通過する。前述のとおり、各コンベヤゾーン内では、少なくとも1つのモータ駆動コンベヤローラが複数のローラを動作させる。
【0006】
コントローラは、好ましくは直流電力である電力を受け取るための有線電源インレットを有する。さらに、コントローラは有線モータローラポートを有する。有線モータローラポートは、モータローラに駆動電力を提供するように構成される。モータは、たとえば少なくともモータの回転速度を制御するためのPWM信号などを用いて、モータローラポートを通じて電力供給され得る。加えて、モータローラポートを用いて、モータローラとコントローラとの間で状態情報および制御信号が交換され得る。状態情報および/または制御信号は特に、現行モータ速度、設定モータ速度、現行コンベヤ速度、設定コンベヤ速度、現行回転方向、設定回転方向、現行/設定動作モード、温度、エラーメッセージ、モータギアのギア比、シリアル番号、商品番号、製造日などを含み得る。特に、モータローラポートは特許文献1に従う4線モータポートである。
【0007】
従来の有線コントローラは、有線I/O(入力/出力(Input/Output))ポートを含む。このI/Oポートは、たとえば中央SPS制御などの中央制御センタと制御情報を交換するように構成される。I/Oポートは、たとえば専用プロトコルなどを用いて構成され得る。しかし、I/Oポートは、たとえばCAN、DeviceNet(登録商標)、イーサネット(Ethernet)(登録商標)パワーリンク(Powerlink)、インターバス(INTERBUS)、フィールドバス(Fieldbus)、LIN、Mバス(M-Bus)、プロフィバス(PROFIBUS)、VARANなどによるものなどの標準化I/Oプロトコルを用いても構成され得る。こうした従来のコントローラに加えて、有線コントローラと同様に動作する無線コントローラが公知である。有線コントローラおよび無線コントローラに対する説明は、両方に対して用いられ得るが、例外として無線コントローラのI/Oバスは、適切な無線プロトコルを伴う無線バスである。
【0008】
コントローラは、モータローラポートにおいてモータローラとモータローラ制御信号を交換し、モータローラポートにおいてモータローラとモータローラ状態信号を交換し、かつI/Oポートにおいて中央制御部とモータローラに対するモータローラ制御信号を交換するように構成される。関連の制御および状態信号の交換は周知であり、さらなる説明を必要としない。なお、有線コントローラのすべてのポートおよびインレットは、好ましくは有線ポートであり、モータローラとコントローラとの間、およびコントローラと集中制御センタとの間に配線が必要である。産業環境において安定した通信を提供するために、通常は配線が必要である。無線コントローラもモータローラおよび電源インレットとの配線を有するが、無線I/Oポートを有する。
【0009】
理解する目的のために、モータローラコントローラ、別名コントローラは、モータローラを制御するために配置されてもよい。このために、コンベヤシステム内のモータローラを動作させるため、より特定的にはコンベヤシステム内の少なくとも1つのモータローラを動作させるために、コントローラ内に少なくとも1つのマイクロプロセッサが提供されてもよい。
【0010】
コンベヤシステムは通常、空間的に直列配置された複数のコンベヤゾーンによって構築される。すなわち、1つのコンベヤゾーンの後に次のコンベヤゾーンが続く。各コンベヤゾーン内に、少なくとも1つ、好ましくはただ1つのモータローラが提供される。加えて、2つの空間的に隣り合うモータローラが、単一のモータローラコントローラによって動作されてもよい。
【0011】
すべてのモータローラ、または少なくとも2つに1つが別個のモータローラコントローラによって制御される。モータローラコントローラは、シリアルバスを用いて互いおよび中央コントローラに接続される。モータローラコントローラのシリアルバスに沿った配線は、コンベヤに沿ったモータローラの相対空間配置に対応する。現在のシステムにおいて、一方のコントローラの配線と、コンベヤに沿ったそれぞれのモータローラの空間配置との類似性は、配線トポロジー内のコンベヤに沿ったモータのトポロジーを反映させるために重要である。それは、コントローラの配線がコンベヤに沿ったモータローラの空間配置に対応していることを意味する。しかし、配線は労働集約的であり、かつエラーが起こりやすい。加えて、モータローラコントローラの配線にはロバストな有線バスが必要であり、特に安全性の理由から、配線は冗長に行われることがある。
【0012】
配線はコストがかかり、労働集約的であり、かつエラーが起こりやすいことから、より少ない配線の労力によって、コンベヤに沿って複数のモータローラをより容易に設定することが常に必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許第3 100 340(B1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
よって本願の主題は、有線モータローラコントローラおよび無線モータローラコントローラによって制御される複数のモータローラを有し、同時にモータローラコントローラのトポロジーのフェイルセーフ設定を可能にするコンベヤシステムを提供するという目的の技術的課題に基づいている。
【0015】
この目的は、請求項1によって解決される。
【0016】
コンベヤシステムは特に、物品およびパッケージなどを運搬ライン(conveying line)に沿って運搬するために配置される。運搬ラインは少なくとも2つの運搬ゾーンを含んでもよく、各々の運搬ゾーンは1つのモータローラを用いて始動される。理解する目的のために、コンベヤまたはコンベヤライン(conveyor line)という用語は、同義語として理解され得る。運搬ゾーンは、1つのモータローラと、少なくとも2つ、好ましくは6つ以上のパッシブローラとを含む。モータローラおよびパッシブローラは、ラックに回転可能に接続された好ましくは円筒形のチューブを含む。モータローラを始動させることによって、パッシブローラも始動されて所望の方向に回転する。
【0017】
モータローラを動作させるために、モータローラコントローラが必要である。モータローラコントローラは、モータローラに電力を与え、さらにモータローラの動作を制御するため、特に開始/停止、方向、トルク、回転数/RPMを制御するために配置される。さらに、モータローラコントローラは、モータローラ状態を検知するために配置され得る。モータローラに電力を与えること、および/またはモータローラ状態を検知することは、モータローラコントローラのモータローラポートを用いて達成されてもよい。モータローラはモータローラコントローラに配線される。よって、モータローラコントローラのモータローラ制御ポートは有線ポートである。複数のモータローラコントローラを動作させるために、モータローラコントローラは次に制御バスに接続される。従来のシステムは、各々が有線制御バスに接続された複数のモータローラコントローラを含む。
【0018】
コンベヤシステムの維持およびプログラミングの目的のために、現在のシステムにおいて、信号バスに沿ったモータローラコントローラの配線は、コンベヤラインに沿ったモータローラの空間配置を反映する。これは、信号バスに沿った連続的なモータローラコントローラが、コンベヤラインに沿った連続的なモータローラに接続されることを意味する。これは、モータローラコントローラの配線のトポロジーがコンベヤラインに沿ったモータローラの配置のトポロジーを反映することを意味する。
【0019】
しかし、本願の主題によると、有線モータローラコントローラのみを用いるのではなく、それに加えて少なくとも2つの無線モータローラコントローラを用いることが提案される。無線モータローラコントローラは、有線モータローラコントローラと同様に動作し、これらの有線モータローラコントローラの説明は無線モータローラコントローラにも当てはまることがある。有線モータローラコントローラおよび無線モータローラコントローラの唯一の相違点は、中央コントローラへの接続であってもよい。有線モータローラコントローラは有線信号バスに接続されるのに対し、無線モータローラコントローラは無線通信プロトコルを用いる。よって、有線信号バスポート、別名I/Oポートを有する代わりに、無線モータローラコントローラは無線ポート、別名無線信号バスポートまたは無線I/Oポートを有する。
【0020】
コンベヤラインに沿って無線コントローラを使用するため、もはや有線モータローラコントローラの配線においてコンベヤに沿ったモータローラのトポロジーを反映することはできない。このことは、トポロジーの維持およびプログラミング、特にコンベヤラインに沿ったモータローラのトポロジーの反映に問題を生じる。有線モータローラコントローラおよび無線モータローラコントローラの混合アプローチにおいて、有線モータローラコントローラの配線トポロジーは、もはやコンベヤラインに沿ったモータローラのトポロジーを反映しない。
【0021】
自動のトポロジー検出を可能にするために、ここで本願の主題は、有線モータローラコントローラを用いて無線モータローラコントローラの空間位置を計算し、それによってこれらの無線モータローラコントローラによって動作されるそれぞれのモータローラの空間位置を計算することを提案する。
【0022】
無線モータローラコントローラおよび有線モータローラコントローラは両方とも、コンベヤラインに沿って配置され、特にコンベヤラインのラックの上に、自身が動作させるモータローラと空間的に近接して配置されることが理解される必要がある。よって、モータローラコントローラの空間位置は通常、モータローラの空間位置に対応する。このため、有線モータローラコントローラおよび/または無線モータローラコントローラの互いに対する相対的位置決めは、コンベヤラインに沿ったモータローラの相対的位置決めを反映する。
【0023】
コンベヤラインのトポロジーを自動的に計算するため、特に無線モータローラコントローラにコンベヤラインに沿った位置を割り当てるために、各有線モータローラコントローラが無線モータローラコントローラの無線信号の信号強度を検知することが提案される。
【0024】
各無線モータローラコントローラは、連続的または断続的に無線信号を送出してもよい。加えて、各無線モータローラコントローラが無線でポーリングされ得ること、すなわち、たとえば有線モータローラコントローラによって送出されるポーリング信号が、無線モータローラコントローラによる無線信号の送出をアクティベートすることが可能であってもよい。
【0025】
有線モータローラコントローラに対する無線モータローラコントローラの空間位置は、コンベヤラインに沿ったモータローラの空間位置を反映する。無線モータローラコントローラは、それぞれの有線モータローラコントローラ内で検知された信号強度に対応するそれぞれの有線モータローラコントローラに対する空間距離にて配置される。
【0026】
本願の主題は、有線モータローラコントローラにおいて無線信号の信号強度を検知することによって、この状況を使用する。無線信号の信号強度は、主に有線モータローラコントローラおよび無線モータローラコントローラの間の空間距離に対応する。よって、無線信号の信号強度は、有線モータローラコントローラと無線モータローラコントローラとの間の空間距離の表示として用いられてもよい。
【0027】
この主題による有線モータローラコントローラは、信号強度に関する情報を交換する。この交換は、有線モータローラコントローラの間、または無線モータローラコントローラおよび中央コントローラの間などで行われてもよい。有線モータローラコントローラは、有線信号バスを介してこの情報を交換してもよい。明瞭にする目的のために、「交換」という用語はデータの転送、送信、または受信を含んでもよい。
【0028】
以後に記載されるとおり、トポロジーの計算は、各有線モータローラコントローラにおいて行われても、少なくとも1つの専用有線モータローラコントローラ、たとえばマスタ有線モータローラコントローラおよび/または中央コントローラなどにおいて行われてもよい。この記載はこれらの選択肢の何れにも適用される。
【0029】
空間的に2つの有線モータローラコントローラの間に、少なくとも2つの無線モータローラコントローラが配置されることが好ましい。コンベヤラインは空間軌道に沿っているため、第1の有線モータローラコントローラと、2つの無線モータローラコントローラのそれぞれ1つとの間の空間距離は、第2の有線モータローラコントローラと、無線モータローラコントローラのそれぞれ1つとの間の空間距離とは異なる。この差は検知される信号強度に反映される。各々の有線モータローラコントローラにおいて検知されたそれぞれの無線モータローラコントローラの検知信号強度を比較することによって、どの無線モータローラコントローラが2つの有線モータローラコントローラの各々に最も近いかを決定し得る。よって、モータローラコントローラに加えてモータローラの空間シリアルトポロジーも、検知信号強度から計算できる。
【0030】
トポロジーの別の可能性は、コンベヤラインに沿った配置に関して、第1の無線モータローラコントローラの後に続く有線モータローラコントローラの後に続く少なくとも1つの第2の無線モータローラコントローラ、その後に続く第2の有線モータローラコントローラの後に続く第3の無線モータローラコントローラである。
【0031】
第1の無線モータローラコントローラと第1の有線モータローラコントローラとの間の相対空間距離は、第1の有線モータローラコントローラと少なくとも1つの第2の無線モータローラコントローラのうちの1つとの間の空間距離と同一であってもよい。少なくとも1つの第2の無線モータローラコントローラのうちの1つ、第2の有線モータローラコントローラ、および第3の無線モータローラコントローラに対して、同じことが適用されてもよい。さらに、2つの有線モータローラコントローラと少なくとも1つの第2の無線モータローラコントローラのうちの1つとの間の空間距離も同一であってもよい。
【0032】
それにもかかわらず、2つの有線モータローラコントローラの各々において無線モータローラコントローラの信号強度を検知することによって、トポロジーの計算が可能になってもよい。すなわち、第1の有線モータローラコントローラにおける第1の無線モータローラコントローラおよび第2の無線モータローラコントローラの信号強度は同一であってもよい。しかし、第1の有線モータローラコントローラにおいて検知される第3の無線モータローラコントローラの信号強度は、もっと低くてもよい。第2の有線モータローラコントローラ内では、第2の無線モータローラコントローラおよび第3の無線モータローラコントローラの検知信号強度は同一であってもよい。しかし、第2の有線モータローラコントローラにおいて検知される第1の無線モータローラコントローラの信号強度は、もっと低くてもよい。
【0033】
2つの有線モータローラコントローラの受信信号強度を比較するとき、第1の無線モータローラコントローラが第1の有線モータローラコントローラよりも第2の有線モータローラコントローラからより遠く離れていることが決定され得る。加えて、第3の無線モータローラコントローラが第2の有線モータローラコントローラよりも第1の有線モータローラコントローラからより遠く離れていることが決定され得る。最終的に、少なくとも1つの第2の無線モータローラコントローラのうちの1つが第1の有線モータローラコントローラおよび第2の有線モータローラコントローラの間に位置することが決定されてもよい。よって、計算されるトポロジーは次のとおりであってもよい。第1の無線モータローラコントローラ、第1の有線モータローラコントローラ、第2の無線モータローラコントローラ、第2の有線モータローラコントローラ、および第3の無線モータローラコントローラ。このトポロジーは自動的に計算でき、コンベヤラインに沿った実際のモータローラコントローラの空間配置を反映でき、それは次にコンベヤラインに沿ったモータローラの配置を反映する。
【0034】
第1の有線モータローラコントローラおよび第2の有線モータローラコントローラの間に2つ以上の第2の無線モータローラコントローラがある場合にも、トポロジーが計算されてもよい。すなわち、第1の有線モータローラコントローラにおける1つの第2の無線モータローラコントローラの信号強度が、第1の有線モータローラコントローラにおける1つの第2の無線モータローラコントローラの信号強度よりも高くてもよい。よって、2つの第2の無線モータローラコントローラのうちのどちらが第1の有線モータローラコントローラにより近いかが計算されてもよい。第2の有線モータローラコントローラにも同じことが適用される。よって、有線モータローラコントローラと、これらの間に空間的に配置された無線モータローラコントローラとの間の相対距離を検知信号強度から得ることができる。
【0035】
よって、検知信号強度およびこの情報の交換に基づいて、任意の種類のトポロジーが自動的に計算されてもよい。
【0036】
上記で説明されたとおり、実施形態によると、各有線モータローラコントローラがモータローラコントローラポートを介してコンベヤに沿った少なくとも1つのモータローラに接続されることが提案される。コンベヤに沿ったモータローラは、それぞれの運搬ゾーン内に配置される。連続的な運搬ゾーンはコンベヤラインを確立する。各コンベヤゾーン内には1つのモータローラと、少なくとも2つのパッシブローラとが存在する。上記で説明されたとおり、モータローラはモータローラポートを介して起動、制御、および/または調節され得る。
【0037】
実施形態によると、コンベヤシステム内では、有線信号バスに沿った有線モータローラコントローラの空間シリアルトポロジーと、コンベヤに沿ったモータローラの空間シリアルトポロジーとが互いに対応することが提案される。上記で述べたとおり、モータローラはコンベヤラインに沿って空間的に直列に配置される。それに対応して、有線モータローラコントローラは信号バスに沿って直列に配置される。実施形態によると、有線モータローラコントローラの間の無線モータローラコントローラの位置決めは、無線信号の検知信号強度に基づいて計算されてもよい。
【0038】
実施形態によると、各無線モータローラコントローラは、モータローラ制御ポートを介してコンベヤに沿った少なくとも1つのモータローラに接続されることが提案される。無線モータローラコントローラは2つのモータローラに接続されることが好ましいことがある。しかし、2つのモータローラの場合には、たとえそれらが1つの単一無線モータローラコントローラに接続される場合にも、これらのモータローラはコンベヤラインに沿って直列に接続される。有線モータローラコントローラについても同じことが当てはまる。有線モータローラコントローラも1つまたは2つのモータローラに接続され得る。後者の場合には、1つの有線モータローラコントローラに接続されたモータローラコントローラが、コンベヤラインに沿って連続的な順序で配置される。
【0039】
実施形態によると、コンベヤのシリアルトポロジーに沿って、有線モータローラコントローラによって各々制御される2つのモータローラの間に、それぞれの無線モータローラコントローラによって制御される少なくとも2つのモータローラが配置されることが提案される。つまり、2つの有線モータローラコントローラの間に、少なくとも2つの無線モータローラコントローラが配置される。無線モータローラコントローラによって制御される対応するモータローラは、コンベヤラインに沿って有線モータローラコントローラによって制御されるモータローラの間に配置される。よって、有線モータローラコントローラおよび無線モータローラコントローラのトポロジーは、有線モータローラコントローラが無線モータローラコントローラを「包囲する」ようにされる。このため、トポロジーの観点からは、無線モータローラコントローラが有線モータローラコントローラの間に配置される。上記で説明されたとおり、有線モータローラコントローラの間のそれらの無線モータローラコントローラの相対位置は、検知信号強度に基づいて計算され得る。
【0040】
実施形態によると、無線信号は識別信号であってもよい。無線モータローラコントローラは、特に自身の無線ポートを介してこの信号を送出し得る。しかし、説明されたとおりにトポロジーを計算するために使用されるこの信号を送出するために、別個の無線通信ポートも使用されてもよい。
【0041】
上記で説明されたとおり、有線モータローラは信号バスを介して制御される。実施形態によると、無線モータローラコントローラは無線通信プロトコルを介して制御される。このため、各無線モータローラコントローラは自身の無線ポートを介してモータローラコマンドを無線で受信することが提案される。制御コマンドは、有線モータローラコントローラと交換される制御コマンドと類似のものであり得る。制御コマンドは、たとえば現行/設定モータ速度、現行/設定モータ加速度、現行/設定モータ減速度、現行/設定回転方向(時計回り/反時計回り)、モータのタイプ、P、PI、またはPIDレギュレータに対するON/OFFスイッチ、ブレーキモード、モータの運転/停止、入力のタイプ(NPNまたはPNP)、エラーの手動/自動クリア、アナログ/デジタル制御、設定速度、NPN/PNPエラー、エラー出力に対するON/OFFスイッチ、NPN/PNP速度設定などであってもよい。
【0042】
無線モータローラコントローラの識別信号は固有のものであってもよい。識別信号は、無線モータローラコントローラの固有の識別を含んでもよい。このため、この固有識別を用いて、各受信識別信号を特定の無線モータローラコントローラに割り当てることができる。実施形態によると、トポロジーを計算するために、有線モータローラコントローラが識別信号の固有識別子を識別信号の信号強度と共に検知することが提案される。よって、固有識別を用いて各受信識別信号を固有の無線モータローラコントローラに割り当てることができ、各有線モータローラコントローラにおいて、それぞれの無線モータローラコントローラの各々の信号強度が既知となる。
【0043】
トポロジーを計算するために、少なくとも2つの異なる有線モータローラコントローラにおいて検知されたそれぞれの無線モータローラコントローラの識別信号の信号強度を比較でき、よって無線モータローラコントローラと各々の有線モータローラコントローラとの間の相対距離を得ることができる。よって、識別信号および信号強度に基づいて、どの有線モータローラコントローラがそれぞれの無線モータローラコントローラにより近いかを計算できる。計算する(computing)という用語は、算出する(calculating)、得る、導出する、または処理するなどとして理解されてもよい。計算はマイクロプロセッサにおいて行われてもよい。マイクロプロセッサは、有線モータローラコントローラのうちの少なくとも1つか、またはたとえば中央プロセッサなどの有線バスに接続されたコンポーネントに配置されてもよい。
【0044】
トポロジーを計算することに関連する情報は、少なくとも無線モータローラの固有識別を含む情報信号およびその信号強度であってもよい。トポロジーを計算するために、互いの相対位置および/またはコンベヤラインに沿った絶対位置が既知である少なくとも2つの有線モータローラコントローラからこの情報が入手可能である必要がある。これらのモータローラコントローラは、固有識別を含む無線信号を検知し、少なくとも2つの無線モータローラコントローラの信号強度を決定することによって、情報を集めてもよい。有線モータローラコントローラ内で、固有識別を対応する信号強度と共に含む(すべての)受信/検知無線信号は、メモリに記憶され得る。メモリはアレイ、マトリクス、および/またはリストとして配置され得る。以下において、これらの用語の何れかに対する同義語としてリストという用語が用いられる。
【0045】
有線モータローラコントローラの少なくとも1つまたは有線信号バスに接続されたコンポーネントにおいて、少なくとも2つの異なる有線モータローラコントローラのリストが記憶されてもよい。これらのリストを記憶することによって、2つ以上の異なる有線モータローラコントローラにおいて受信された無線信号をもたらした1つの特定の無線モータローラコントローラの検知信号強度を比較し得る。受信信号強度を比較することによって、その識別信号を受信した有線モータローラコントローラの各々に対する無線モータローラコントローラの相対距離を決定し得る。よって、無線モータローラコントローラがどの1つまたは2つの有線モータローラコントローラに最も近いかを決定し得る。有線モータローラコントローラの絶対位置または相対位置の知識によって、この情報に基づいてそれぞれの無線モータローラコントローラに対する相対位置が割り当てられ得る。
【0046】
理解する目的のために、検知信号強度はたとえば信号の電界強度、信号の信号対ノイズ比(SNR)、または信号のビットエラー率(BER)などであってもよい。さらに、検知信号強度は絶対値、平均値、または中央値などであり得る。信号強度が特定の時間にわたって検知されてもよく、検知信号の平均値または中央値が計算され得る。
【0047】
実施形態によると、トポロジーの計算は、無線モータローラコントローラと有線モータローラコントローラとの間の空間距離を推定することを含んでもよい。この推定は検知信号強度に基づいてもよい。信号強度が高いほど、無線モータローラコントローラが検知有線モータローラコントローラのより近くに位置する。よって、同じ無線モータローラコントローラに関する2つの有線モータローラコントローラの信号強度を比較するとき、その信号強度に基づいて、どちらの有線モータローラコントローラが無線モータローラコントローラにより近いかを決定でき、すなわちより高い値はより近接していることに関する。少なくとも無線モータローラコントローラと有線モータローラコントローラとの間の相対空間距離が推定されたとき、少なくとも1つの有線モータローラコントローラに関する無線モータローラコントローラのシリアルトポロジーが計算され得る。
【0048】
実施形態によると、無線モータローラコントローラのモータローラ制御ポートに接続されたモータローラの互いに対する相対空間位置は、無線モータローラコントローラの互いに対する相対空間位置に対応することが提案される。よって、無線モータローラコントローラ、すなわちその制御ポートに対するモータローラの配線は、コンベヤラインに沿ったモータローラが、無線モータローラコントローラの互いに対する順序と同じ連続的な順序となるようにされる。
【0049】
実施形態によると、有線モータローラコントローラの少なくとも1つまたは有線信号バスに接続されたコンポーネントは、有線モータローラコントローラに対する無線モータローラコントローラのシリアルトポロジーを計算することが提案される。この計算は、検知信号強度に基づいてもよく、特に比較されるべき少なくとも2つのリストに挙げられている専用無線モータローラコントローラの検知信号強度の比較に基づいてもよい。加えて、特に有線モータローラコントローラに接続されたモータローラに対する、コンベヤに沿った無線モータローラコントローラに接続されたモータローラのシリアルトポロジーを計算できてもよい。
【0050】
2つの異なる有線モータローラコントローラからもたらされた1つの単一無線モータローラコントローラの検知信号を比較するために、識別信号はたとえば無線モータローラコントローラのシリアル番号などの識別を含むことが提案される。このシリアル番号はたとえば固有のものであってもよく、たとえばMACアドレスなどであってもよい。
【0051】
別の態様は、請求項13に記載のモータローラコントローラである。
【0052】
モータローラコントローラは、上述のとおりに動作される少なくとも1つの有線信号バスポートと、少なくとも1つのモータローラ制御ポートとを有する。加えて、無線通信ユニットが含まれる。上述のとおり、モータローラコントローラ内の無線通信ユニットは、無線信号、特に無線モータローラコントローラの識別信号を検知するように配置される。通信ユニットはさらに、検知された識別信号から信号強度情報を得るように配置される。上述のとおり、得られる信号強度は絶対値、平均値、または中央値であってもよい。上述のとおり、有線通信ユニットは信号強度情報を送信および/または受信するために配置され得る。信号強度情報は、固有識別と共にリスト内に提供されてもよい。
【0053】
モータローラコントローラ内には、コンピューティングユニットが配置されてもよい。コンピューティングユニットは、好ましくは少なくとも2つの有線モータローラコントローラからの識別と共に、信号強度情報の少なくとも2つのリストを計算するように配置されてもよい。各リストは、有線モータローラコントローラの固有識別子によって識別されることによって、1つの有線モータローラコントローラの専用にされてもよい。リストにおける各エントリは、検知信号強度と共に、検知された信号強度をもたらした無線モータローラコントローラの識別を含んでもよい。2つのリストに無線モータローラの同じ固有識別が含まれるとき、対応する信号強度を比較でき、どちらの有線モータローラコントローラがその無線モータローラコントローラにより近いかを計算できる。この情報に基づいて、トポロジーが計算されてもよい。上述の計算は、3つ、6つ、またはそれ以上の無線モータローラコントローラに近接する2つ以上の有線モータローラコントローラに対して行われてもよい。
【0054】
ある実施形態によると、コンピューティングユニットは、少なくとも2つのリストに基づいて少なくとも2つの有線モータローラコントローラに対する無線モータローラコントローラの位置を計算するように配置されることが提案される。よって、コンベヤラインのトポロジーは、有線モータローラコントローラの互いに対する位置と、有線モータローラコントローラに対する無線モータローラコントローラの対応する位置との知識に基づいて計算されてもよい。
【0055】
さらなる態様は、請求項16に記載の方法である。
【0056】
本願の主題のこれらの態様およびその他の態様は、以下の図面を参照してより詳細に説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1A】実施形態による有線モータローラコントローラを示す図である。
【
図1B】実施形態による無線モータローラコントローラを示す図である。
【
図4】1つの有線モータローラコントローラによって得られる情報のリストを示す図である。
【
図5】実施形態によるトポロジーを計算するためのリストのセットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1Aは、モータローラに対する従来の有線モータローラコントローラ2aを示す。コントローラ2は電源インレット4を有する。電源インレット4は、好ましくはDC電源インレット4、特に12Vまたは24V電源インレットである。電源インレット4は、コントローラ2を動作させるための電力を受け取る。電源インレット4は、モータローラを動作させるための電力も受け取ってもよい。
【0059】
モータローラはモータローラポート6に接続され得る。モータローラポート6は、モータローラを接続するために少なくとも2つ、好ましくは4つのコネクタを有する。モータローラは、モータローラポート6を介して少なくとも電気エネルギーを供給されてもよい。加えてモータローラは、モータローラポート6を介して制御信号および/または状態情報信号を交換することによって制御されてもよい。こうしたモータローラの制御は周知であり、より詳細に説明されることはない。
【0060】
最後に、コントローラ2は有線I/Oポート8aを有する。I/Oポート8aは、特に上述のとおりの、たとえば業界標準に従う有線通信のための通信ポートであり得る。さらに、I/Oポート8aは任意の専用プロトコルをサポートし得る。ポート8aを介して、コントローラ2と中央制御センタとの間で制御信号および/または状態情報が交換され得る。
【0061】
コントローラ2はさらに、電源インレット4と、モータローラポート6と、I/Oポート8aとに接続される中央プロセッサ26を有する。中央プロセッサ26はプログラムされ得る。このプログラミングは、モータローラに対してパラメータを設定することと理解されてもよい。このプログラミングに従って、モータローラはモータローラポート6を介して、少なくとも特定の方向に特定の速度で回転するように指示される。上述の任意のその他のパラメータがパラメータ化およびプログラムされ得る。
【0062】
コントローラ2のパラメータを設定して、ポート8aを介してコントローラ2から状態情報を読み出すことが可能である。加えて、コントローラ2はメモリ30を有してもよい。
【0063】
動作中に、中央プロセッサ26はモータローラポート6を介してモータローラに対する制御信号を出力する。出力される信号、出力信号のアンペア数および電圧などは、コントローラ2の構成設定(パラメータ)に依存する。さらに、動作中に、中央プロセッサ26はモータローラポート6を介してモータローラから状態情報を読み出す。
【0064】
上記および下記に説明されるトポロジーの計算に用いるための無線信号を空気界面を介して検知するために、コントローラ2aは無線ユニット28aも含んでもよい。下記に説明されるとおり、無線ユニット28aは、無線コントローラ2bの無線ポート8bまたは無線ユニット28bからの信号を検知するように配置されてもよい。無線ユニット28aは、無線信号の信号強度を検知するために配置される。信号強度は信号/ノイズ比(SNR)、電界強度、またはビットエラー率(BER)などであってもよい。
【0065】
無線信号は、後述のコントローラ2bによって送出される信号であってもよい。無線信号はパルス状または連続的であってもよい。無線信号は、送信ユニットすなわちコントローラ2bの固有識別子を含んでもよい。無線信号は、測定の目的のためのペイロードデータを含んでもよい。ペイロードデータは、合意された任意の種類の符号またはデータであってもよく、このペイロードデータによって受信コントローラ2aが信号強度、SNR、および/またはBERなどの測定を行ってもよい。
【0066】
図1Bは、モータローラに対する無線モータローラコントローラ2bを示す。モータローラコントローラ2bは、構成要素4、6、26、30に関してモータローラコントローラ2aに対応する。しかし、類似の機能を有する異なる構成要素が用いられることがあっても、その機能は同じであり得る。
【0067】
コントローラ2aとは対照的に、コントローラ2bは無線ポート8bを有してもよい。無線ポート8bの機能は、制御信号および情報を中央プロセッサに送信し、かつそこから受信するという点で、ポート8aの機能と類似していてもよい。加えて上述のとおり、コントローラ2bはポート8bを介して無線信号を送出してもよい。
【0068】
任意選択で、または付加的に、コントローラ2bは無線ユニット28bを含んでもよい。無線ユニット28bは、上述のとおりに無線信号を送出するように配置されてもよい。
【0069】
図2に示される従来のコンベヤは、モータローラ14およびローラ16を含んでもよい。コンベヤライン12は、2つ以上のコンベヤゾーン12aを有してもよい。各コンベヤゾーン12a内で、特にVベルトまたはポリVベルトなどによって、1つのモータローラ14が少なくとも1つ、好ましくは2~7のローラ16と機械的に結合される。他の機械的結合も可能である。
【0070】
モータローラ14はラック18上に回転可能に配置され、中空のチューブ内にモータを含む。中空のチューブ内のモータは、コントローラ2にそのモータローラポート6を介して接続される。
【0071】
これらのゾーン12aの各々に対して、それぞれのモータローラ14を制御する別個のコントローラ2が提供される。コントローラ2は、自身の電源インレット4およびI/Oポート8を介して電源および制御バスに接続される。
【0072】
複数のコンベヤゾーン12a、12bを有する実施形態によるコンベヤライン12が
図3に示される。
【0073】
従来のコンベヤライン12とは対照的に、実施形態によるコンベヤは2つの異なるコンベヤゾーン12a、12bを有する。コンベヤゾーン12aは有線モータローラコントローラ2aによって動作され、コンベヤゾーン12bは無線モータローラコントローラ2bによって動作される。各コンベヤゾーン12aに対して、単一のモータローラ14を制御する単一のコントローラ2aが提供される。各コンベヤゾーン12bに対して、単一のモータローラ14を制御する単一のコントローラ2bが提供される。1つのモータローラコントローラ2a/2bが2つの空間的に隣り合うモータローラ14を制御し得る場合もある。
【0074】
見られるとおり、モータローラコントローラ12aは、有線信号バスによって互いに接続される。モータローラ12aの接続は空間的に直列であり、コンベヤゾーン12aの互いに対する空間配置に対応する。加えて見られるとおり、2つのモータローラコントローラ12aの間に、少なくとも1つ、好ましくは2つの無線モータローラコントローラ12bが配置される。以下においては、2つの有線モータローラコントローラ12aの間に2つの無線モータローラコントローラ12bを有する例が説明されるが、2つの有線モータローラコントローラ12aの間の1つまたは3つ以上の無線モータローラコントローラ12bに対する技術的教示も同様であり、それに従って適用される。
【0075】
図3から、コントローラ2aを設置してこれらを有線バスに接続したときに、それらのトポロジーは配線から既知となるであろうことが理解できる。しかし、コントローラ2bを設置したときは、配線が存在しないので、それらのトポロジーならびに互いの空間配置およびコントローラ2aに対する空間配置は未知であることも見られる。トポロジーを自動的に決定するために、以下の計算が提案される。
【0076】
各々のコントローラ2bはポーリングされてもよく、または連続的に、もしくはパルス状に、もしくは断続的に、もしくは特定の間隔を置いて、自律的に無線信号を送出してもよい。無線信号は上記で説明されたとおりであってもよい。コントローラ2bは、自身の無線ポート8bまたは無線ユニット28bを介して無線信号を送出する。無線信号を送出するために用いられる空気界面は、たとえばNFC、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、WLAN、またはジグビー(Zigbee)などのさまざまな規格に従って実装されてもよい。見られるとおり、コントローラ2b、2aの間の空間距離は異なっていてもよい。この空間距離、特に空間距離の差は、コントローラ2aにおけるそれぞれのコントローラ2bの検知信号強度の差をもたらす。
【0077】
説明の目的のために、コントローラ2aを2a’、2a’’とインデックス付けし、コントローラ2bを2b’~2b’’’’とインデックス付けする。たとえば、コントローラ2b’は固有識別子Aを含む信号を送出してもよく、コントローラ2b’’は識別子Bを有する無線信号を送出してもよく、コントローラ2b’’’は識別子Cを有する信号を送出してもよく、コントローラ2b’’’’は識別子Dを有する無線信号を送出してもよい。
【0078】
コントローラ2a’において、たとえば3つの無線信号が検知される。よってコントローラ2a’は、
図4に示されるようなリストを維持してもよい。コントローラ2aのリストにおいて、このリストは識別子2a’によって識別され、各固有識別子A、B、C、Dなどに対して、もし受信されれば信号強度値X、Y、Zが記憶される。識別子2a’によって識別されるこのリストは、ここで複数のエントリを含み、各エントリは識別子A~Dおよび対応する信号強度X、Y、Zによって識別される。
【0079】
コントローラ2a’において、識別子2a’によって識別される類似のリストが維持される。
図4に同様に見られるとおり、リスト2a’’はエントリB、C、およびDと共に、対応する信号強度値U、V、Wを含む。理解する目的のために、異なるリストにおける信号の強度値X、Y、Z、U、V、Wは、異なる値または同じ値を有してもよいことに留意すべきである。
【0080】
上記で説明されたとおり、コントローラ2aは自身の対応するリストを維持して、これらのリストを互いに交換し、かつ/または有線バスに接続された中央コントローラと交換してもよい。
【0081】
プロセッサ26の一部であっても、別個の部分であっても、有線バスに沿った任意の場所のコンポーネントにあってもよいコンピューティングユニットにおいて、有線バスのシリアルブランチに沿ったすべてのコントローラ2aのリストが受信されて計算されてもよい。
図5に示されるとおり、さまざまなリスト2a’、2a’’が受信されて記憶される。これらのリストを用いて、電界強度情報の比較が行われてもよい。
【0082】
この例において、たとえば固有識別子Aに対する電界強度Xに関する情報は、リスト2a’のみに含まれる。このことは、コントローラ2b’がコントローラ2a’に近接しており、かつコントローラ2a’、2a’’の間にはあり得ないことを意味し、そうでなければリスト2a’’内で固有識別子Aに対する電界強度信号が入手可能であろう。よって、コントローラ2b’は有線バスに沿ったトポロジーの点でコントローラ2a’の前に位置することが結論付けられ得る。
【0083】
固有識別子B、Cに対する電界強度Y、Zについての情報は、固有識別子B、Cに対する電界強度U、Vについての情報と比較され得る。
図3によるトポロジー例では、電界強度情報Yが電界強度値Uよりも高い値を有するという結果がもたらされるだろう。このことによって、有線信号バスに沿って、一方では固有識別子Bがリスト2a’、2a’’の両方に含まれることからコントローラ2b’’がコントローラ2a、2a’の間に位置すること、および他方ではコントローラ2b’’がコントローラ2a’’よりもコントローラ2a’のより近くに位置することが結論付けられるだろう。
【0084】
さらに、
図3によるトポロジー例において、固有識別子Cに対する電界強度値Vは、固有識別子Cに対する電界強度値Zよりも高いだろう。固有識別子Cはリスト2a’、2a’’の両方に含まれるため、コントローラ2b’’’はコントローラ2a’、2a’’の間に位置する。加えて、コントローラ2b’’’はコントローラ2b’よりもコントローラ2a’により近く、コントローラ2b’’’はトポロジーの点でコントローラ2a’’のより近くに位置することが結論付けられ得る。
【0085】
この計算はさらなるリスト2a’’に対して行われてもよく、各々の場合に、コントローラ2aとコントローラ2bとの間の相対距離が何であるか、さらに少なくとも2つのコントローラ2aに対するコントローラ2bの相対距離が何であるかが決定されてもよい。その情報に基づいて、コントローラ2bの空間位置の点でのトポロジーが計算されてもよく、よってコンベヤゾーン12aに対するコンベヤゾーン12bのトポロジーも計算されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 少なくとも1つのモータローラ制御ポートおよび少なくとも1つの有線信号バスポート
と、
- 無線モータローラコントローラの識別信号を検知し、かつ前記検知
された識別信号から信号強度情報を得るように配置された無線通信ユニット
と、
-
前記信号強度情報を送信
し、かつ信号強度情報を受信するように配置された有線通信ユニット
と、
- 前記受信信号強度情報に基づいて少なくとも2つの有線モータローラコントローラに対する前記無線モータローラコントローラの位置を計算するように配置されたコンピューティングユニットと
を含む、モータローラコントローラ。
【請求項2】
前記コンピューティングユニットが、
前記受信信号強度情報から少なくとも2つの有線モータローラコントローラからの信号強度情報の少なくとも2つのリストを計算するように配置されることを特徴とする、請求項
1に記載のモータローラコントローラ。
【請求項3】
前記コンピューティングユニットが、前記少なくとも2つのリストに基づいて
前記少なくとも2つの有線モータローラコントローラに対する無線モータローラコントローラの位置を計算するように配置されることを特徴とする、請求項
2に記載のモータローラコントローラ。
【請求項4】
たとえば物品およびパッケージなどを運搬するためのコンベヤシステムであって、
-
請求項1~3の何れか一項に記載の少なくとも2つの有線モータローラコントロー
ラ、および
- 少なくとも2つの無線モータローラコントローラであって、各無線モータローラコントローラが少なくとも
1つのモータローラ制御ポートおよび無線ポートを有する、少なくとも2つの無線モータローラコントローラ、
を含み、
- 前記2つの有線モータローラコントローラが、前記信号バスポートを介して前記信号バスに沿って直列に接続され、
- 各有線モータローラコントローラにおいて、前記無線モータローラコントローラの無線信号の信号強度を検知し、
- 前記有線モータローラコントローラが前記検知信号強度に関する情報を交換することを特徴とする、
コンベヤシステム。
【請求項5】
- 各有線モータローラコントローラが、前記モータローラ制御ポートを介してコンベヤに沿った少なくとも1つのモータローラに接続され、
- 前記有線信号バスに沿った前記有線モータローラコントローラのシリアルトポロジーと、前記コンベヤに沿った前記モータローラのシリアルトポロジーとが互いに対応することを特徴とする、請求項
4に記載のコンベヤシステム。
【請求項6】
各無線モータローラコントローラが、前記モータローラ制御ポートを介して前記コンベヤに沿った少なくとも1つのモータローラに接続されることを特徴とする、請求項
4または
5に記載のコンベヤシステム。
【請求項7】
前記コンベヤのシリアルトポロジーに沿って、それぞれの前記有線モータローラコントローラによって制御される2つのモータローラの間に、それぞれの前記無線モータローラコントローラによって制御される少なくとも2つのモータローラが配置されることを特徴とする、請求項
4~
6の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項8】
各無線モータローラ
コントローラが、特に自身の無線ポートを介して識別信号を無線で送出することを特徴とする、請求項
4~
7の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項9】
各無線モータローラ
コントローラが、自身の無線ポートを介してモータローラコマンドを無線で受信することを特徴とする、請求項
4~
8の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項10】
前記有線モータローラコントローラが、前記識別信号を前記識別信号の信号強度と共に検知することを特徴とする、請求項
4~
9の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項11】
前記有線モータローラコントローラの少なくとも1つまたは前記有線信号バスに接続されたコンポーネントが、無線モータローラコントローラの識別および前記検知信号強度に関するそれぞれの情報のリストを記憶することを特徴とする、請求項
4~
10の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項12】
前記検知信号強度に基づいて、無線モータローラコントローラと有線モータローラコントローラとの間の空間距離が推定され、前記推定された空間距離に基づいて、少なくとも1つの有線モータローラコントローラに関する前記無線モータローラコントローラのシリアルトポロジーが計算されることを特徴とする、請求項
4~
11の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項13】
無線モータローラコントローラの前記モータローラ制御ポートに接続されたモータローラの相対空間位置が、前記無線モータローラコントローラの互いに対する相対空間位置に対応することを特徴とする、請求項
4~
12の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項14】
前記有線モータローラコントローラの少なくとも1つまたは前記有線信号バスに接続されたコンポーネントが、前記検知信号強度に関する前記情報に依存して、前記有線モータローラコントローラに対する前記無線モータローラコントローラのシリアルトポロジー、および/または特に前記有線モータローラコントローラに接続された前記モータローラに対する前記コンベヤに沿った前記無線モータローラコントローラに接続された前記モータローラのシリアルトポロジーを計算することを特徴とする、請求項
4~
13の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項15】
前記識別信号が、前記無線モータローラコントローラのシリアル番号を含むことを特徴とする、請求項
4~
14の何れか一項に記載のコンベヤシステム。
【請求項16】
請求項
4~15の何れか一項に記載のコンベヤシステムを動作させるための方法であって、
- 少なくとも2つの無線モータローラコントローラによって無線で送信された識別信号の信号強度を検知することと、
- 少なくとも2つの有線モータローラコントローラの間で、前記識別信号の前記検知信号強度に関する前記情報を交換することと、
- 前記交換された情報に基づいて、少なくとも2つの有線モータローラコントローラに対する無線モータローラコントローラの位置を計算することと、
を含む、方法。
【国際調査報告】