(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】電子制御ユニット用のハウジングおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 5/00 20060101AFI20240501BHJP
H01R 43/24 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H05K5/00 A
H05K5/00 B
H01R43/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564231
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2022058065
(87)【国際公開番号】W WO2022223239
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ マルツ
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー ナーロック
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン オラヴァ
(72)【発明者】
【氏名】エヴェリン ガイタン
(72)【発明者】
【氏名】ルイス アンゲル ラミレス オルティス
【テーマコード(参考)】
4E360
5E063
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB08
4E360AB09
4E360AB33
4E360BA08
4E360BD05
4E360EA03
4E360EA24
4E360EC05
4E360EC16
4E360ED03
4E360ED28
4E360EE02
4E360GA34
4E360GB99
5E063JB04
5E063XA01
(57)【要約】
電子制御ユニット(ECU)を含む電子回路のためのハウジングアセンブリは、容器と、容器の開放端部を閉じる蓋と、ハウジング内に配置されたプリント回路基板とを含む、概して矩形の薄型の装置である。この容器は、ハウジングの互いに反対側の端部に形成された入力電気コネクタおよび出力電気コネクタを含んでいる。出力電気コネクタは、導電性のピンを含んでおり、この導電性のピンは、不規則な形状を有していて、各ピンが容器に対してゼロの運動自由度を有しているように、部分的に容器に埋め込まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングアセンブリであって、該ハウジングアセンブリは、
ハウジングであって、該ハウジングは、容器および蓋を含み、
前記容器は、
基部と、
該基部に対して垂直な方向で前記基部から突出する側壁であって、該側壁の第1の端部が、前記基部に接続されていて、前記側壁の第2の端部が、容器開口を規定している、側壁と
を含み、
前記蓋は、前記容器開口を閉じるように成形かつ寸法設定されている、
ハウジングと、
前記側壁の第1の部分を通って延びる導電性のピンと
を備えており、
各ピンの第1の端部が、第1の電気的な接続部分を含み、
各ピンの第2の端部が、第2の電気的な接続部分を含み、
各ピンは、前記第1の電気的な接続部分が露出して前記ハウジングの外側に配置されていて、前記第2の電気的な接続部分が露出して前記ハウジングの内側に配置されているように、部分的に前記容器に埋め込まれており、かつ
前記ピンの、前記容器に埋め込まれている部分が、不規則に成形されていて、各ピンが前記容器に対してゼロの運動自由度を有しているように、前記容器に係合している、ハウジングアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の電気的な接続部分は、雌形の電気的な接続構成を有している、請求項1記載のハウジングアセンブリ。
【請求項3】
前記容器は、
前記側壁の内面から内方に向かって突出するように前記側壁の第1の部分に隣接する内側の保持部と、
前記側壁の外面から外方に向かって突出するように前記側壁の前記第1の部分に隣接する外側の支持ブロックと
を含んでおり、かつ
各ピンは、前記側壁の前記第1の部分と、前記内側の保持部と、前記外側の支持ブロックとを通って延びている、請求項1記載のハウジングアセンブリ。
【請求項4】
前記外側の支持ブロックは、管状のシュラウドによって包囲されている、請求項3記載のハウジングアセンブリ。
【請求項5】
前記容器は、前記側壁の前記第1の部分から外方に突出するシュラウドを含み、該シュラウドは、前記ピンの前記第1の端部を取り囲み、対応する相手側のコネクタに係合するように構成された外側の開口を規定している、請求項3記載のハウジングアセンブリ。
【請求項6】
前記ハウジングは、
前記基部の外面と前記蓋の外面との間の、Z軸線に沿った距離に一致する高さ寸法と、
前記側壁の前記第1の部分の外面と、前記側壁の前記第1の部分に対して平行でありかつ前記側壁の前記第1の部分に対して離間している、前記側壁の第2の部分の外面との間の、Y軸線に沿った距離に一致する長さ寸法と、
前記側壁の前記第1の部分および前記第2の部分に対して垂直であり、かつ互いに離間している前記側壁の第3の部分と前記側壁の第4の部分との間の、X軸線に沿った距離に一致する幅寸法と
を有し、
前記X軸線、前記Y軸線および前記Z軸線は、互いに直交しており、
前記容器は、前記X軸線、前記Y軸線および前記Z軸線に対する各ピンの軸方向の運動を阻止し、前記X軸線、前記Y軸線および前記Z軸線を中心とした各ピンの回転運動を阻止するように構成されている、請求項1記載のハウジングアセンブリ。
【請求項7】
各ピンは、
前記X軸線に対して垂直である、第1の対の対向する平坦面と、
前記Y軸線に対して垂直である、第2の対の対向する平坦面と、
前記Z軸線に対して対向する、第3の対の対向する平坦面と、
を有し、かつ
対向する平坦面の前記第1の対、前記第2の対および前記第3の対のそれぞれが、前記容器に当接し、前記容器は、X方向、Y方向およびZ方向に対する各ピンの軸方向の運動を阻止し、かつ前記X軸線、前記Y軸線および前記Z軸線を中心とした各ピンの回転運動を阻止するように構成されている、請求項6記載のハウジングアセンブリ。
【請求項8】
前記ハウジング内に配置されたプリント回路基板を備え、該プリント回路基板は、電気的な接続プラグを備え、各ピンの前記第2の電気的な接続部分は、前記電気的な接続プラグのうちの対応する1つに電気的に接続されている、請求項1記載のハウジングアセンブリ。
【請求項9】
前記容器に埋め込まれている各ピンの部分は、L字形の外形を有している、請求項1記載のハウジングアセンブリ。
【請求項10】
各ピンは、貫通開口を有しており、前記容器を形成するために使用された材料が、前記貫通開口を充填している、請求項1記載のハウジングアセンブリ。
【請求項11】
各ピンは、それぞれのピンの表面から突出するフランジを有している、請求項1記載のハウジングアセンブリ。
【請求項12】
前記ピンのうちの少なくとも幾つかのピンは、前記各ピンの側面から突出する一体的なばね要素を有している、請求項1記載のハウジングアセンブリ。
【請求項13】
前記ピンは、オーバーモールディング製造プロセスによって前記容器に対して位置固定されている、請求項1記載のハウジングアセンブリ。
【請求項14】
ハウジングアセンブリであって、該ハウジングアセンブリは、
ハウジングであって、該ハウジングは、容器および蓋を含み、
前記容器は、
基部と、
該基部に対して垂直な方向で前記基部から突出する側壁であって、該側壁の第1の端部が、前記基部に接続されていて、前記側壁の第2の端部が、容器開口を規定している、側壁と
を含み、
前記蓋は、前記容器開口を閉じるように成形および寸法設計されている
ハウジングと、
前記側壁の第1の部分を通って延びるピンであって、各ピンは、
雌形の第1の電気的な接続部分を含む第1の端部と、
第2の電気的な接続部分を含む第2の端部と、
前記側壁の前記第1の部分に対して垂直な第1の方向に延びる長手方向の部分であって、前記第1の電気的な接続部分を含み、該第1の電気的な接続部分は、前記第1の方向に対して平行な方向で電気的な接続部を形成するように配向されている、長手方向の部分と、
長手方向軸線および前記基部の蓋に面した面に対して垂直である第2の方向に延びている横方向の部分であって、前記第2の電気的な接続部分を含み、該第2の電気的な接続部分は、前記第2の方向に対して平行な方向で電気的な接続部を形成するように配向されている、横方向の部分と
を含み、
各ピンは、
前記第1の電気的な部分が露出して前記ハウジングの外側に配置されていて、
前記第2の電気的な部分が露出して前記ハウジングの内側に配置されていて、かつ
前記ピンが前記容器に対してゼロの運動自由度を有しているように、前記ピンの埋め込まれている部分が前記容器に係合しているように、
部分的に前記容器に埋め込まれている、
ハウジングアセンブリ。
【請求項15】
ハウジングと、該ハウジングから突出するピンとを含むハウジングアセンブリを製造する方法であって、該方法は、
導電性のピンを設けるステップであって、各ピンは、
雌形の第1の電気的な接続部分を有する第1の端部と、
前記第1の端部とは反対側にある、第2の電気的な接続部分を有する第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された中間部分であって、該中間部分は、前記第1の端部が第1の軸線に沿って延び、かつ前記第2の端部が、前記第1の軸線に対して垂直な第2の軸線に沿って延びるように、エルボ形状を有している中間部分と
を含んでいる、ステップと、
前記ピンの周囲にハウジングを形成するステップであって、
前記第1の電気的な接続部分が前記ハウジングの外側に配置されていて、
前記第2の電気的な接続部分が前記ハウジングの内側に配置されていて、かつ
前記ピンが前記ハウジングに対してゼロの運動自由度を有しているように前記ピンの、前記ハウジングに埋め込まれている部分が前記ハウジングに係合しているように、
各ピンが部分的に前記ハウジングの部分に埋め込まれている、ステップと
を有している、方法。
【請求項16】
前記ハウジングを形成する前記ステップは、前記ピンが部分的に埋め込まれるオーバーモールディングプロセスを含んでいる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記ハウジングを形成する前記ステップは、容器であって、
基部と、
前記基部に対して垂直な方向で前記基部から突出する側壁であって、該側壁の第1の端部が前記基部に接続されていて、前記側壁の第2の端部は、容器開口を規定する、側壁と
を有する容器を形成することを含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
導電性のピンを設ける前記ステップは、前記ピンを配列内に配置するステップを含み、該配列において、各ピンは、前記配列の隣接するピンから離間し、かつ配列の隣接するピンに対して平行であり、
前記導電性のピンを設ける前記ステップを、前記ハウジングを形成するステップの前に実施する、請求項15記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
電子制御ユニット(ECU)は、例えば、窓、ミラー、シートおよび/またはドアのような車両の要素の位置を設定するために車両内で使用されるモータアセンブリの構成要素を制御するために使用され得る装置である。ECUは、ハウジングと、このハウジング内に組み付けられたプリント回路基板(PCB)とを含んでいる。PCBは、制御装置、コンピュータメモリ、組込みソフトウェア、通信装置、電子回路および別の補助装置を支持することができる。ECUハウジングは、1つまたは複数の電気コネクタを含んでいてもよい。コネクタは、ECUを、車両エンジン、モータアセンブリまたは別の装置のような外部の装置に接続する電気ハーネスを収容するように構成されていてもよい。コネクタ内では、ピンが、ハーネスとPCBとの間の電気的な接続部を提供するために使用され得る。従来の幾つかのプラスチック製のECUハウジングでは、製造中または幾つかの使用環境においてハウジングの反りが発生することがあり、この反りは、結果として電気コネクタ内における不安定なピン配置を引き起こす。さらに、振動、衝撃、湿度、腐食、高分離力等のような、車両使用中の環境条件により、ECUハウジングに対するピンの不安定性が生じ得る。ECUハウジングに対するピンの不安定性により、ECUとの電気的な接続の不具合が生じ得るので、ピンが安定的に保持され、電気的な接続部の信頼性が改善されているECUハウジングを提供することが望ましい。
【0002】
概要
幾つかの実施形態では、ECUは、ECUハウジングと、このECUハウジング内に配置されたPCBとを含むアセンブリである。PCBは、制御装置と、この制御装置の機能を支持する電子的な装置および構造体とを支持している。ECUハウジングは、容器と、容器の開放端部を閉鎖する蓋と、ECUを外部の装置に接続することを可能にする電気コネクタとを含んでいる。コネクタは、複数のピンを含み、これらのピンは、各ピンの第1の端部が容器内に存在してPCBの端子との電気的な接続部を形成し、かつ各ピンの第2の端部が容器の外側に配置されて保護フランジにより取り囲まれているように、容器の側壁に埋め込まれている。本明細書において使用する場合、「埋め込まれている」という用語は、ハウジングのプラスチック材料により密に取り囲まれ、かつハウジングのプラスチック材料内に覆われていることを指す。このことは、例えば、オーバーモールディングプロセスにおいて所定の位置にピンを備えたハウジングを製造することによって達成することができる。さらに、ピンは、ピンがハウジング側壁に対して堅固に位置固定されるように、包囲しているハウジング材料と協働するように形成されている。特に、ピンは、ハウジング側壁に対してゼロの運動自由度を有するように、ハウジング側壁内で支持されている。これにより、ピンが安定的に保持され、電気的な接続部の信頼性が改善されたECUハウジングが提供される。有利には、オーバーモールディングプロセスを用いることの利点は、ECUハウジングの組立て中の製造ステップが少なくなり、これによって、幾つかの従来のECUハウジングに比べて製造コストが低減されていることである。
【0003】
幾つかの態様において、ハウジングアセンブリは、容器および蓋を有するハウジングを含んでいる。容器は、基部と、この基部から基部に対して垂直な方向に突出する側壁とを含んでいる。側壁の第1の端部は、基部に接続されており、側壁の第2の端部は、容器開口を規定している。蓋は、容器開口を閉じるように成形かつ寸法設定されている。さらに、ハウジングアセンブリは、側壁の第1の部分を通って延びる導電性のピンを含んでいる。各ピンの第1の端部は、第1の電気的な接続部分を含んでいる。各ピンの第2の端部は、第2の電気的な接続部分を含んでいる。各ピンは、第1の電気的な接続部分が露出してハウジングの外側に配置されていて、第2の電気的な接続部分が露出してハウジングの内側に配置されているように、部分的に容器に埋め込まれている。さらに、ピンの、容器に埋め込まれている部分は、不規則に成形されていて、各ピンが容器に対してゼロの運動自由度を有しているように、容器に係合している。
【0004】
幾つかの実施形態では、第1の電気的な接続部分は、雌型の電気的な接続構成を有している。
【0005】
幾つかの実施形態では、容器が、側壁の内面から内方に突出するように側壁の第1の部分に隣接する内側の保持部と、側壁の外面から外方に突出するように側壁の第1の部分に隣接する外側の支持ブロックとを含んでいる。各ピンは、側壁の第1の部分と、内側の保持部と、外側の支持ブロックとを通って延びている。
【0006】
幾つかの実施形態では、外側の支持ブロックが、管状のシュラウドによって包囲されている。
【0007】
幾つかの実施形態では、容器が、側壁の第1の部分から外方に突出するシュラウドを含んでいる。シュラウドは、ピンの第1の端部を取り囲み、対応する相手側のコネクタに係合するように構成された外側の開口を規定している。
【0008】
幾つかの実施形態では、ハウジングは、高さ寸法、長さ寸法および幅寸法を有している。高さ寸法は、基部の外面と蓋の外面との間の、Z軸線に沿った距離に一致する。長さ寸法は、側壁の第1の部分の外面と、この側壁の第1の部分に対して平行であり、かつこの側壁の第1の部分から離間している、側壁の第2の部分の外面との間の、Y軸線に沿った距離に一致する。幅寸法は、側壁の第3の部分と側壁の第4の部分との間のX軸線に沿った距離に一致し、側壁の第3の部分および第4の部分は、側壁の第1の部分および第2の部分に対して垂直であり、互いに離間している。X軸線、Y軸線およびZ軸線が、互いに直交しており、容器が、X軸線、Y軸線およびZ軸線に対する各ピンの軸方向の運動を阻止し、かつX軸線、Y軸線およびZ軸線を中心とした各ピンの回転運動を阻止するように構成されている。
【0009】
幾つかの実施形態では、各ピンが、X軸線に対して垂直である、第1の対の対向する平坦面と、Y軸線に対して垂直である、第2の対の対向する平坦面と、Z軸線に対して対向する、第3の対の対向する平坦面とを有している。対向する平坦面の第1の対、第2の対および第3の対のそれぞれが、容器に当接し、これにより、容器は、X方向、Y方向およびZ方向に対する各ピンの軸方向の運動を阻止し、かつX軸線、Y軸線およびZ軸線を中心とした各ピンの回転運動を阻止するように構成されている。
【0010】
幾つかの実施形態では、ハウジングアセンブリが、ハウジング内に配置されたプリント回路基板を含んでいる。プリント回路基板は、電気的な接続プラグを含み、各ピンの第2の電気的な接続部分が、この電気的な接続プラグのうちの対応する1つに電気的に接続されている。
【0011】
幾つかの実施形態では、容器に埋め込まれている各ピンの部分が、L字形の外形を有している。
【0012】
幾つかの実施形態では、各ピンが、貫通開口を有しており、容器を形成するために使用された材料が、貫通開口を充填している。
【0013】
幾つかの実施形態では、各ピンが、それぞれのピンの表面から突出するフランジを有している。
【0014】
幾つかの実施形態では、ピンのうちの少なくとも幾つかのピンが、それぞれのピンの側面から突出する一体的なばね要素を有している。
【0015】
幾つかの実施形態では、ピンが、オーバーモールディング製造プロセスによって容器に対して位置固定されている。
【0016】
幾つかの態様では、ハウジングアセンブリが、容器および蓋を有するハウジングを有している。容器は、基部と、この基部から基部に対して垂直な方向に突出する側壁とを含んでいる。側壁の第1の端部は、基部に接続されており、側壁の第2の端部は、容器開口を規定している。蓋は、容器開口を閉じるように成形および寸法設計されている。さらに、ハウジングアセンブリは、側壁の第1の部分を通って延びるピンを含んでいる。各ピンは、雌型の第1の電気的な接続部分を含む第1の端部と、第2の電気的な接続部分を含む第2の端部とを含んでいる。各ピンは、側壁の第1の部分に対して垂直である第1の方向に延びる長手方向の部分を含んでいる。長手方向の部分は、第1の電気的な接続部分を含み、この第1の電気的な接続部分は、第1の方向に対して平行な方向で電気的な接続部を形成するように配向されている。各ピンは、長手方向軸線および基部の、蓋に面した面に対して垂直である第2の方向に延びる横方向の部分を含んでいる。横方向の部分は、第2の電気的な接続部分を含んでいる。第2の電気的な接続部分は、第2の方向に対して平行な方向で電気的な接続部を形成するように配向されている。各ピンは、第1の電気的な接続部分が露出してハウジングの外側に配置されていて、第2の電気的な接続部分が露出してハウジングの内側に配置されていて、かつピンが容器に対してゼロの運動自由度を有しているようにピンの埋め込まれている部分が容器に係合しているように、部分的に容器に埋め込まれている。
【0017】
幾つかの態様では、ハウジングと、このハウジングから突出するピンとを含むハウジングアセンブリを製造する方法が説明される。この方法は、導電性のピンを設けることを含んでいる。各ピンは、雌型の第1の電気的な接続部分を有する第1の端部と、第1の端部の反対側にある、第2の電気的な接続部分を有する第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に配置された中間部分とを含んでいる。中間部分は、第1の端部が第1の軸線に沿って延び、かつ第2の端部が、第1の軸線に対して垂直な第2の軸線に沿って延びるように、エルボ形状を有している。方法は、第1の電気的な接続部分がハウジングの外側に配置されていて、第2の電気的な接続部分がハウジングの内側に配置されていて、かつピンがハウジングに対してゼロの運動自由度を有しているようにピンの、ハウジングに埋め込まれている部分がハウジングに係合しているように、各ピンが部分的にハウジングの部分に埋め込まれているように、ピンの周囲にハウジングを形成するステップを含んでいる。
【0018】
幾つかの実施形態では、ハウジングを形成するステップは、ピンが部分的に埋め込まれるオーバーモールディングプロセスを含んでいる。
【0019】
幾つかの実施形態では、ハウジングを形成するステップは、容器であって、基部と、この基部に対して垂直な方向で基部から突出する側壁とを有する容器を形成するステップを含んでいる。側壁の第1の端部は基部に接続されており、側壁の第2の端部は容器開口を規定している。
【0020】
幾つかの実施形態では、導電性のピンを設けるステップは、配列にピンを配置するステップを含み、配列において、各ピンが配列の隣接するピンから離間し、かつ配列の隣接するピンに対して平行であり、導電性のピンを設けるステップを、ハウジングを形成するステップの前に実施する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】電動モータユニットと、それぞれの電気コネクタを介してこの電動モータユニットに直接的かつ着脱可能に接続されているECUとを含む、シートモータアセンブリを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示したシートモータアセンブリを示す分解斜視図である。
【
図3】ハウジング蓋を省略して示したECUの上面斜視図であり、ECUハウジング内におけるPCBの配置を示している。
【
図4】ハウジング蓋およびPCBを省略して示したECUの上面斜視図であり、ECUハウジングの内部構造を示している。
【
図5】入力コネクタを含むECUハウジングの第1の端部を示す、ECUハウジングの斜視図である。
【
図6】出力コネクタを含むECUハウジングの第2の端部を示す、ECUハウジングの斜視図である。
【
図7】
図2に示した7-7線に沿って見たECUハウジングの断面図である。
【
図8】PCBを省略して示した、
図7に示した断面図の一部の拡大図である。
【
図9】PCBを省略して示した、
図2に示した9-9線に沿って見たECUハウジングの断面図である。
【
図10】アルファ出力コネクタピンを示す後側斜視図である。
【
図11】アルファ出力コネクタピンを示す正面斜視図である。
【
図12】ベータ出力コネクタピンを示す後側斜視図である。
【
図13】ベータ出力コネクタピンを示す正面斜視図である。
【
図14】ハウジングから分離して示した、出力コネクタピンの配列を示す正面斜視図である。
【
図15】
図14に示した出力コネクタピンの配列を示す側面図である。
【
図16】
図14に示した出力コネクタピンの配列を示す下面図である。
【
図17】
図7に示した17-17線に沿って見たECUハウジングの断面図である。
【
図18】
図7に示した18-18線に沿って見たECUハウジングの断面図である。
【
図19】
図7に示した19-19線に沿って見たECUハウジングの断面図である。
【
図20】
図7に示した20-20線に沿って見たECUハウジングの断面図である。
【
図21】入力コネクタピンの配列を示す正面斜視図である。
【
図22】ECUハウジングの製造方法のフローチャートである。
【
図23】ハウジングから分離して示した、代替的な実施形態の出力コネクタピンの配列を示す正面斜視図である。
【
図24】
図23に示した出力コネクタピンの配列を示す側面図である。
【
図25】
図23に示した出力コネクタピンの配列を示す下面図である。
【
図26】代替的な実施形態のアルファ出力コネクタピンを示す後側斜視図である。
【
図27】
図10に示したアルファ出力コネクタピンを示す正面斜視図である。
【
図28】
図23に示した出力コネクタピンの配列を含むECUハウジングの一部を示す側断面図である。
【
図29】
図23に示した出力コネクタピンの配列を含むECUハウジングの一部を上から見た断面図である。
【0022】
詳細な説明
図1~
図6を参照すると、モータアセンブリ1は、電動モータユニット2とECU20とを含んでいる。電動モータユニット2は、ギヤハウジング4内に収容されたギヤセット(図示せず)によって駆動されるアクチュエータ3を含んでいる。電動モータユニット2は、アクチュエータ3上に支持されているモータユニット電気コネクタ6を介して受信される電気的な信号により電力が供給され、電動モータユニット2は、組付けプレート5を使用して車両の構造体に組み付けられてもよい。ECU20は、ECUハウジング21およびPCB120を含んでいる。PCB120は、ECUハウジング21内に配置されていて、かつ出力コネクタ80を介して出力された電気的な信号を変調するために利用される1つまたは複数の制御装置プロセッサ(図示せず)を支持する剛性かつ多層の電気絶縁材料のシートである。PCB120は、コンピュータメモリ、組込みソフトウェア、通信装置、電解キャパシタ、電力構成要素および/または別の補助装置のような電子装置を支持する。通信装置は、無線送信機、無線受信機または無線送受信機を含んでいてもよく、ECU20と、ローカル相互接続ネットワーク(LIN)ハブのような1つまたは複数の外部の装置との間で無線データ通信を提供するように動作可能である。PCB120は、電子的な構成要素を互いに、かつ/またはPCB120の電子装置および構造体を外部の装置に接続することを可能にする接続プラグ125に電気的に接続するために使用される導電性トラック(図示せず)も含んでいる。
【0023】
ECUハウジング21は、電動モータユニット2のハウジングから分離していて、ECU出力コネクタ80とECU入力コネクタ180とを含んでいる。図示の実施形態では、ECU出力コネクタ80およびECU入力コネクタ180はそれぞれ、導電性のピン86,186と、包囲するシュラウド81,181とを含んでおり、シュラウド81,181は、既存の車両の電気コネクタに接続し、この既存の車両の電気コネクタとの電気接続部を形成するために適している。入力コネクタ180および出力コネクタ80の構造に関する詳細を以下で詳細に説明する。
【0024】
ECU20は、ECU入力コネクタ180を介して電力およびデータを受け取る。ECU入力コネクタ180は、ECUハウジング21の、ECU出力コネクタ80とは反対側に配置されていて、LINから電力およびデータを受け取るように構成されていてもよい。データは、センサからのセンサデータ、LINとデータ通信するプロセッサからの制御データまたは通信データを有していてもよい。別の構成は、ECU入力コネクタ180による別のデータ伝送を使用することができる。
【0025】
ECU20は、ECU出力コネクタ80とモータユニット電気コネクタ6との間の着脱可能な電気的な接続部を介して電動モータユニット2に直接的に接続されることにより、車両の従来の電源と電動モータユニット2との間の仲介部として動作するように構成されている。ECU20のハウジング21は、電動モータユニット2への直接的な結合に有利である扁平な設計を有しているが、別の実施形態は、アダプタまたはコネクタケーブルを利用することができる。ECU20を電動モータユニット2に直接的に結合することにより、有利には、結合されたモータアセンブリを一緒に、シート、コンソールまたはパネルの背後内のような、車両内に収容することができる。さらに、ECU20を電動モータユニット2に直接的に結合することにより、ECU20と電動モータユニット2とを結合する電気的なリード線の長さを最小化することにより、装置の電磁適合性(EMC)を改善することができる。電気的なリード線の長さを最小化することは、環境または別の外部の源からの電磁干渉(EMI)を受けやすいシステムの部分を最小化することにより、システムのEMCを最適化することができる。
【0026】
ECU20は、有利には、既存の慣用の電動モータを備える車両に、自動制御およびユーザ制御のような所望の制御機能を組み込むことを可能にしてもよい。これにより、電動モータユニット2のような電動モータを効果的に改装して、ECU20を介したモジュール式のスマートモータにすることができる。出力コネクタ80および入力コネクタ180の両方を、着脱可能に接続することができるので、結合を反転させて、車両を元の構成に戻すか、または制御コンポーネントの交換、修理またはアップグレードを可能にすることができる。
【0027】
図3~
図9を参照すると、ECUハウジング21は、概して矩形である扁平な装置である。ECUハウジング21は、容器22と、容器22の開放端部28を閉じる蓋30とを含むアセンブリである。
【0028】
ECUハウジング21の蓋30は、容器の開放端部28を閉じるように成形かつ寸法設定されている。容器22が、矩形の容器の開放端部28を有している図示された実施形態では、蓋30は、矩形の輪郭を有している。蓋30は、ファスナおよび/または側壁の第2の端部42とのプレス嵌め係合を使用して容器22に固定されてもよい。幾つかの実施形態では、側壁の第2の端部42と蓋30との間にガスケット(図示せず)が配置されていてもよい。
【0029】
容器22は、板状の基部23と、基部23から突出する側壁40とを含んでいる。さらに、容器22は、ECU出力コネクタ80およびECU入力コネクタ180を含んでいる。側壁40は、基部23の(例えば、蓋に面した)内面25に対して垂直な方向に基部23から突出しており、基部23の周縁を取り囲んで延びている。側壁40は、基部23に接合されている側壁の第1の端部41と、側壁の第1の端部41とは反対側の、容器の開放端部28を規定する側壁の第2の端部42とを含む4面の構造体である。側壁40の4つの面は、第1の側壁部分45と、この第1の側壁部分45に対して平行であり、かつ第1の側壁部分45から離間している第2の側壁部分46と、基部23の一方の側で第1の側壁部分45と第2の側壁部分46との間に延びる第3の側壁部分47と、第3の側壁部分47に対して平行であり、かつ第3の側壁部分47から離間している第4の側壁部分48とを含んでいる。第4の側壁部分48は、基部23の、第3の側壁部分47とは反対側に配置され、第3の側壁部分47および第4の側壁部分48は、第1の側壁部分45および第2の側壁部分46に対して垂直である。
【0030】
ECUハウジング21は、基部23の外面26と蓋30の外面31との間のZ軸線に沿った距離に対応する高さ寸法と、第1の側壁部分45の外面と第2の側壁部分46の外面との間のY軸線に沿った距離に対応する長さ寸法とを有している。さらに、ECUハウジング21は、第3の側壁部分47と第4の側壁部分48との間のX軸線に沿った距離に対応する幅寸法を有している。X軸線、Y軸線およびZ軸線(
図3)は相互に直交しており、ECUハウジング21の基準フレームを提供する。
【0031】
容器22は、側壁40に取り囲まれ、第1の側壁部分45の内面および基部23の内面に隣接する概して矩形の第1の内側の保持部49と、側壁40に取り囲まれ、第2の側壁部分46の内面および基部23の内面に隣接する概して矩形の第2の内側の保持部50とを含んでいる。第1の保持部49および第2の保持部50は、以下で詳細に説明するように、容器22の構造的な補強部を提供し、ピン86,186の部分を収容して支持している。第1の保持部49および第2の保持部50の、蓋に面した面は、側壁の第2の端部42に対して凹設されており、PCB120の部分が、第1の保持部49および第2の保持部50の、蓋に面した面上に置かれており、これによってPCB120は、基部23に対して平行に、かつ基部23および蓋30に対して離間の関係で支持されている。
【0032】
容器22は、基部23から突出し、側壁40に対してPCB120を配置するために使用される位置決め柱34を含んでいる。各柱34は、基部23と一体的に形成された近位端と、近位端の反対側の遠位端とを含んでいる。各位置決め柱34は、遠位端が容器開放端部28に隣接して容器22内に位置するように十分な長さ(例えば、近位端と遠位端との間の距離)を有している。
【0033】
容器22は、ECU出力コネクタ80を含んでいて、このECU出力コネクタ80は、第1の側壁部分45と一体的に形成されている。ECU出力コネクタ80は、第1のシュラウド81と、第1の側壁部分45と、第1の内側の保持部49と、第1のシュラウド81を通って延びる出力コネクタピン86の配列とを含んでいる。
【0034】
第1のシュラウド81は、第1の管状部分82と、外側の支持ブロック84とを含んでいる。第1の管状部分82は、矩形管の形状を有し、第1の側壁部分45に対して垂直な方向で第1の側壁部分45の外面から外方に突出している。第1の管状部分82は、第1の側壁部分45の外面から突出した外側の支持ブロック84を取り囲んでいる。幾つかの実施形態では、第1の管状部分82は、例えばモータユニット電気コネクタ6のような別の電気コネクタとのインターロック係合を可能にするように構成されている。外側の支持ブロック84は、第1の管状部分82の開放端部83に対して凹設されており、Y軸線に対して平行な方向で第1の内側の保持部49に少なくとも部分的に整列されている。第1の側壁部分45および第1の内側の保持部49と一緒に、外側の支持ブロック84は、出力コネクタピン86を支持している。
【0035】
各出力コネクタピン86の部分は、容器22に埋め込まれている。より具体的には、各出力コネクタピン86の部分は、第1の外側の支持ブロック84、第1の側壁部分45および第1の内側の保持部49に埋め込まれている。以下で詳細に説明するように、出力コネクタピン86の埋め込まれている部分は、各出力コネクタピン86が、容器22に対してゼロの運動自由度を有し、ピン86に加えられる力の方向にかかわらず、容器22によって堅固に支持されるように、不規則に成形され、かつ容器22に係合している。
【0036】
図示された実施形態では、ECU出力コネクタ80は、4つの出力コネクタピン86を含んでおり、これらの出力コネクタピン86が、2×2の配列85で配置されている。配列の上段(例えば、蓋30に最も近い列)の2つのピン86(1)はそれぞれ、導電性のα型の出力コネクタピンであり、配列の下段(例えば、基部23に最も近い列)の2つのピン86(2)はそれぞれ、導電性のβ型の出力コネクタピンである。各アルファ出力コネクタピン86(1)は、ECUハウジング21の高さ方向(例えば、基部23に対して垂直な方向)でベータ出力コネクタピン86(2)に整列されており、かつECUハウジング21の幅方向(例えば、第3の側壁部分47に対して垂直な方向)で別のアルファ出力コネクタピン86(1)に整列されている。各ベータ出力コネクタピン86(2)は、ECUハウジング21の幅方向で別のベータ出力コネクタピン86(2)に整列されている。以下の説明では、全体的なピン構造への言及は、枝番を有しない一般的な参照番号を含み、例えば、出力コネクタピン「86」は、アルファ出力コネクタピンおよびベータ出力コネクタピンの両方を指す。さらに、「(1)」が付された参照符号は、アルファ出力コネクタピン86(1)の構造を指し、「(2)」が付された参照符号は、ベータ出力コネクタピン86(2)の構造を指す。
【0037】
図7~
図16を参照して、アルファ出力コネクタピン86およびベータ出力コネクタピン86の構成の詳細、ならびにアルファ出力コネクタピン86およびベータ出力コネクタピン86と容器22との間の係合の詳細を以下に詳細に説明する。
【0038】
アルファ出力コネクタピン86およびベータ出力コネクタピン86のそれぞれは、第1の端部87と、第2の端部88と、第1の端部87と第2の端部88との間に配置された中間部分とを含んでいる。さらに、アルファ出力コネクタピン86およびベータ出力コネクタピン86のそれぞれは、第1の端部87と第2の端部88との間に延びている長手方向軸線89に沿って延びている。各出力コネクタピン86の第1の端部87は、雌型の第1の電気的な接続部分90を含み、各出力コネクタピン86の第2の端部88は、雄型の第2の電気的な接続部分91を含んでいる。側面図(
図15)で見ると、アルファ出力コネクタピン86およびベータ出力コネクタピン86は、長手方向の部分68と横方向の部分69とを含む概してL字形の外形を有している。長手方向の部分68は、長手方向軸線89に対して平行な方向に延びており、第1の電気的な接続部分90は、長手方向の部分68の一方の端部から突出している。横方向の部分69は、長手方向軸線89に対して垂直な方向で、基部23の、蓋に面した面から離れる方向に延びている。第2の電気的な接続部分91は、横方向の部分の一方の端部から蓋30に向かって突出している。この構成により、第1の電気的な接続部分90は、第2の電気的な接続部分91の方向に対して垂直な方向に延びている。
【0039】
幾つかの実施形態では、アルファ出力コネクタピン86およびベータ出力コネクタピン86のそれぞれは、図示された構成を達成するために、ブランクから打ち抜かれ、折り曲げられたかつ/または屈曲された、導電性の材料の薄いストリップから形成されていてもよい。結果として、ピン86はブレード状であり、全長および高さに対して小さな材料厚さを有している。
【0040】
図示の実施形態では、アルファ出力コネクタピン86(1)は、ピン86(1)の第1の端部87と中間点92との間に配置された折曲げ部分93を含んでいる。折曲げ部分93は、ピン86(1)を長手方向軸線89(1)に対して平行な方向で見た場合に、U字形の断面を有している。折畳み部分93の脚部93(a),93(b)は、ベータ出力コネクタピン86(2)の一方に面して開いている。一方の脚部93(a)が、長手方向軸線89(1)に一致しているのに対して、反対側の脚部93(b)は、ピン86(1)の幅方向で長手方向軸線89(1)から離間している。折畳み部分93の脚部93(a),93(b)は、突出部93(c)を有しており、この突出部93(c)は、長手方向に突出して、雌型の第1の電気的な接続部分90を提供するために、互いに収束するように曲げられている。使用時には、相手側の電気コネクタ(図示せず)の雄型のピンが、突出部93(c)の間の空間に収容され、突出部93(c)の末端部が、雄型のピンの外面に係合し、雄ピンの外面と電気的な接続部を形成する。
【0041】
アルファ出力コネクタピン86(1)は、中間点92とピンの第2の端部88との間に配置された平坦な部分94を含んでいる。平坦な部分94は、長手方向軸線89(1)と一致している。平坦な部分94の高さは、中間点92におけるピン86(1)の高さが、ピンの第2の端部88に近いピン86(1)の高さよりも大きくなるように、不均一である。高さの移行部には、ショルダ99が形成されている。ショルダ99は、ピンの第2の端部88に面している。矩形のばねエレメント95が、中間点92とショルダ99との間の箇所において平坦な部分94に設けられている。図示された実施形態では、ばねエレメント95は、矩形のタブである。ばね要素95は、一方のエッジに沿って平坦な部分94と一体的であり、一方の縁部とは反対側にあるタブのエッジが、平坦な部分94から離間しているように、平坦な部分94から突出している。結果として、ばね要素95は、平坦な部分94に対して鋭角である。第1のフランジ96は、ショルダ99と第2の端部88との間の箇所で平坦な部分94に設けられている。第1のフランジ96は、ピン86(1)のエッジから長手方向軸線89に対して垂直な方向に突出しており、中心開口97を有している。図示された実施形態では、第1のフランジ96が、ばね要素95の方向とは反対の方向に突出している。ピン86(1)にL字形を提供するピン86(1)のエルボ98は、第1のフランジ96とピンの第2の端部88との間に配置されている。エルボ98により、雄型の第2の電気的な接続部分91が、長手方向軸線89に対して垂直な方向に延びている。
【0042】
アルファ出力コネクタピン86(1)は、ピン86(1)の幅寸法および高さ寸法よりも格段に大きい長さ寸法(例えばピン86(1)の第1の端部87と第2の端部88との間の距離)を有している。例えば、アルファ出力コネクタピン86(1)は、幅寸歩および高さ寸法の少なくとも3倍である長さを有していてもよい。さらに、アルファ出力コネクタピン86(1)は、幅寸法(例えば、第2の電気的な接続部分91の長手方向軸線および挿入方向に対して垂直な方向の寸法)より大きな高さ寸法(例えば、第2の電気的な接続部分91の挿入方向に対して平行な方向の寸法)を有している。例えば、アルファ出力コネクタピン86(1)は、幅寸法の約2倍の高さであってもよい。アルファ出力コネクタピン86(1)を形成するために使用された材料の厚さは、ピン86(1)の長さ、高さまたは幅に対して極めて小さい。例えば、図示の実施形態では、アルファ出力コネクタピン86(1)の長さは、アルファ出力コネクタピン86(1)を形成するために使用された材料の厚さの少なくとも50倍である。
【0043】
ベータ出力コネクタピン86(2)は、導電性材料の薄いストリップから形成されていてもよく、この薄いストリップは、図示された構成を達成するために、ブランクから打ち抜かれ、折り曲げられ、かつ屈曲される。図示の実施形態では、ベータ出力コネクタピン86(2)は、概して平坦であり、アルファ出力コネクタピン86(1)の折畳み部分を省略している。ベータ出力コネクタピン86(2)は、アルファ出力コネクタピン86(1)よりも長い。ベータ出力コネクタピン86(2)は、アルファ出力コネクタピン86(1)の高さよりも大きな高さ寸法と、アルファ出力コネクタピン86(1)の幅よりも小さな幅寸法とを有している。ベータ出力コネクタピン86(2)を形成するために使用された材料の厚さは、アルファ出力コネクタピン86(1)を形成するために使用された材料の厚さと同じであってもよい。
【0044】
ベータ出力コネクタピン86(2)のそれぞれは、細長いスロット100を含んでおり、このスロット100は、ピンの第1の端部87において開放し、ベータ出力コネクタピン86(2)の第1の電気的な接続部分90の一部を規定している。図示の実施形態では、スロット100は、長手方向軸線89に対して平行な方向で延びており、スロット100の長手方向の寸法は、ベータ出力コネクタピン86(2)の長さの10%~30%の範囲である。スロット100は、ピンの第1の端部87に隣接したネック部分101を有している。スロット100は、スロット100のネック部分101と盲端114との間の領域において、概して均一な高さ寸法を有している。ベータ出力コネクタピン86(2)の第1の電気的な接続部分90の残りの部分は、スロット100を取り囲むピン材料により形成されている。この材料は、対向する平行なアーム102(a),102(b)を規定する。平行アーム102(a),102(b)のそれぞれは、スロット100のネック部分101に対応する内向きの突出部103を有している。使用時に、相手側の電気コネクタ(図示せず)の雄型のピンがスロット100に収容され、内向きの突出部103は、歯として働く。この歯は、雄型のピンの外面に係合し、雄型のピンの外面と電気的な接続部を形成する。
【0045】
ベータ出力コネクタピン86(2)のそれぞれは、第1の電気的な接続部分90と第2の端部88との間に配置された平坦な部分104を含んでいる。平坦な部分104は、ベータ出力コネクタピン86(2)の中間点105を含んでいる。平坦な部分104の高さは、中間点105におけるピン86(2)の高さが、ピンの第2の端部88に近いピン86(2)の高さよりも大きくなるように、不均一である。高さの移行部には、一対のショルダ106,107が形成されており、各ショルダ106,107はピンの第2の端部88に面している。第2のフランジ108が、中間点105と第2の端部88との間の箇所において平坦な部分94に設けられている。第2のフランジ108は、ピン86(2)のエッジから長手方向軸線89に対して垂直な方向に突出していて、中心開口109を有している。
【0046】
ピン86(2)にL字形を提供する、ピン86(2)のエルボ112が、第2のフランジ108とピンの第2の端部88との間に配置されている。エルボ112により、雄型の第2の電気的な接続部分91が、長手方向軸線89に対して垂直な方向に延びている。エルボ112と第2の電気的な接続部分91との間の箇所において、平坦な部分94に矩形の切欠き110が設けられている。
【0047】
ベータ出力コネクタピン86(2)のそれぞれにおいて、第1の電気的な接続部分90、平坦な部分104、エルボ112、矩形の切欠きおよび第2の電気的な接続部分91が、長手方向軸線89(2)を含む平面内に位置している。使用時に、この平面は容器基部23に対して垂直である。
【0048】
ベータ出力コネクタピン86(2)は、その幅寸法および高さ寸法よりも大幅に大きい長さ寸法(例えば、ピン86(2)の第1の端部87と第2の端部88との間の距離)を有している。例えば、ベータ出力コネクタピン86(2)は、幅寸法および高さの寸法の少なくとも5倍である長さを有していてもよい。さらに、ベータ出力コネクタピン86(2)は、幅寸法(例えば、第2の電気的な接続部分91の長手方向軸線および挿入方向に対して垂直な寸法)よりも大きな高さ寸法(例えば、第2の電気的な接続部分91の挿入方向に対して平行な方向の寸法)を有している。例えば、ベータ出力コネクタピン86(2)は、幅寸法の約2倍の高さであってもよい。
【0049】
配列85において、アルファ出力コネクタピン86およびベータ出力コネクタピン86は、アルファ出力コネクタピン86(1)の第1のフランジが、ベータ出力コネクタピン86(2)の第2のフランジ108に重なるように、かつそれぞれの中心開口97,109がZ軸線方向で整列しているように、配向されている。配列85において、アルファ出力コネクタピン86(1)の第1の端部87が、ベータ出力コネクタピン86(2)の第1の端部87に重なり、ベータ出力コネクタピン86(2)の第1の端部87に長手方向で整合している。さらに、アルファ出力コネクタピン86(1)の長手方向軸線89は、ベータ出力コネクタピン86(2)の長手方向軸線89に対してX方向でオフセットされている。さらに、アルファ出力コネクタピン86(1)の第2の電気的な接続部分91は、ベータ出力コネクタピン86(2)の第2の電気的な接続部分91に高さ方向またはZ方向で整合している。
【0050】
アルファ出力コネクタピン86およびベータ出力コネクタピン86のそれぞれは、それぞれの長手方向軸線89がECUハウジング21のY(例えば、長さ)方向に対して平行であり、平坦な部分94,104がY-Z平面に対して平行であり、第1のフランジ96および第2のフランジ108がX-Y平面に対して平行であるように、部分的に容器22に埋め込まれている。アルファ出力コネクタピン86およびベータ出力コネクタピン86のそれぞれは、第1の電気的な接続部分90が露出してECUハウジング21の外側に配置されるように、部分的に容器22に埋め込まれている。第1の電気的な接続部分90は、シュラウドの管状部分82によって包囲されている。さらに、アルファ出力コネクタピン86およびベータ出力コネクタピン86のそれぞれは、第2の電気的な接続部分91が露出してECUハウジング21の内側に配置されているように、部分的に容器に埋め込まれている。この構成により、第2の電気的な接続部分91は、PCB120との電気的な接続部を形成することができる。
【0051】
図7~
図9および
図17~
図20を参照すると、アルファ出力コネクタピン86およびベータ出力コネクタピン86は、オーバーモールディングプロセスにおいて、ECUハウジング21の容器22に組み付けられている。アルファ出力コネクタピン86(1)に関して、オーバーモールディングプロセス中に、容器22を形成するために使用された材料が、折畳み部分93の部分(例えば、突出部93(c)を除く折畳み部分)と、ショルダ99、第1のフランジ96およびエルボ98を含む平坦な部分94とを埋め込む。さらに、材料は、ばね要素95の周囲を流れ、第1のフランジの中心開口97内へと流れ、材料は、ピン86(1)を容器22に対して所望の位置に保持することを容易にするために、これらの要素と協働する。ベータ出力コネクタピン86(2)に関しては、オーバーモールディングプロセス中に、ECUハウジング21を形成するために使用された材料が、ショルダ106,107、第2のフランジ108およびエルボ112を含む平坦な部分104を埋め込む。さらに、材料は第2のフランジの中心開口109および切欠き110内へ流れ、材料は、ピン86(2)をECUハウジング21の容器22に対して所望の位置に保持することを容易にするために、これらの要素と協働する。
【0052】
上述したように、容器22に埋め込まれているアルファ出力コネクタピン86(1)およびベータ出力コネクタピン86(2)の部分は、不規則な形状である。アルファ出力コネクタピン86(1)およびベータ出力コネクタピン86(2)の不規則な形状は、アルファ出力コネクタピン86(1)およびベータ出力コネクタピン86(2)が、容器22に対してゼロの運動自由度を有しているように、容器22と係合している。特に、各ピン86(1),86(2)の、それぞれX方向、Y方向およびZ方向における軸方向の運動が阻止され、かつ各ピン86(1),86(2)の、X軸線、Y軸線およびZ軸線を中心とした回転運動が阻止されるように、容器22と、ピン86(1),86(2)とが互いに協働するように係合させられている。
【0053】
上述の協働するような係合を達成するために、各ピン86(1),86(2)は、容器22の対応する面に当接する、X軸線に対して垂直な、少なくとも一対の互いに反対側に位置する平坦面を含んでいる。各アルファ出力コネクタピン86(1)および各ベータ出力コネクタピン86(2)は、例えば平坦な部分94,104の互いに反対側に位置する主面に対応する、少なくとも一対の互いに反対側に位置する第1のピン面61および第2のピン面62を含んでいる。第1のピン面61は第1の容器部分51に面して当接し、第2のピン面62は第2の容器部分52に面して当接する(
図18)。第1のピン面61および第2のピン面62と、第1の容器部分51および第2の容器部分52のそれぞれの当接面とは、Y-Z平面に対して平行な面を規定する。別の例では、折畳み部分93の脚部93(a),93(b)が、平坦な部分94に対して平行であり、Y-Z平面に対して平行である広い面を規定している(
図19)。折畳み部分93の脚部93(a),93(b)は、外側の支持ブロック84の面に面して当接している。
【0054】
各ピン86は、容器22の対応する面に当接する、Y軸線に対して垂直な、少なくとも一対の対向する平面を含んでいる。例えば、各アルファ出力コネクタピン86(1)および各ベータ出力コネクタピン86(2)は、対向する第3のピン面63および第4のピン面64を含んでいる。例えば、第3のピン面63は、ショルダ99,106,107に対応し、第4のピン面64は、ピンの横方向の部分69の、向かい合っている面に対応する(
図8、
図9)。アルファ出力コネクタピン86およびベータ出力コネクタピン86のそれぞれにおいて、第3のピン面63は、第3の容器部分53に面して当接しており、第4のピン面64は、第4の容器部分54に面して当接している。第3のピン面63および第4のピン面64と、第3の容器部分53および第4の容器部分54のそれぞれの当接面とは、X-Z平面に対して平行である面を規定している。
【0055】
別の例では、平坦な部分94,104の互いに反対側に位置する短い側面94a,94b,104a,104bが、第1のフランジ96および第2のフランジ108の広い面に対して平行であり、X-Y平面に対して平行な面を規定している(
図8)。平坦な部分94,104の互いに反対側に位置する短い側面94a,94b,104a,104bは、外側の支持ブロック84の面に面して当接している。
【0056】
各ピン86は、容器22の対応する面に当接する、Z軸線に対して垂直な、少なくとも一対の互いに反対側に位置する平坦面を含んでいる。例えば、各アルファ出力コネクタピン86(1)および各ベータ出力コネクタピン86(2)は、第1のフランジ96および第2のフランジ108の互いに反対側に位置する広い面に対応する、互いに反対側に位置する第5のピン面65および第6のピン面66を含んでいる。第5のピン面65は、第5の容器部分55に面して当接し、第6のピン面66は、第6の容器部分56に面して当接している(
図17)。第5のピン面65および第6のピン面66と、第5の容器部分55および第6の容器部分56のそれぞれの当接面とが、X-Y平面に対して平行な面を規定する。
【0057】
別の例では、平坦な部分94,104の互いに反対側に位置する短い側面94a,94b,104a,104bが、第1のフランジ96および第2のフランジ108の広い面に対して平行であり、X-Y平面に対して平行な面を規定する(
図8)。平坦な部分94,104の互いに反対側に位置する短い側面94a,94b,104a,104bは、外側の支持ブロック84の面に面して当接している。
【0058】
各ピン86が、X軸線に対して垂直な少なくとも一対の反対側に位置する平坦面61,62と、Y軸線に対して垂直な少なくとも一対の対向する平坦面63,64と、Z軸線に垂直な少なくとも一対の互いに反対側に位置する平坦面65,66とを含んでおり、平坦面61,62,63,64,65,66のそれぞれは、容器22の対応する面51,52,53,54,55,56に当接するので、ピン28の、X方向、Y方向およびZ方向のいずれかへの並進運動が阻止される。さらに、X軸線、Y軸線およびZ軸線のいずれかを中心としたピン86の回転は阻止される。
【0059】
使用時には、各ピン86の雄型の第2の電気的な接続部分91は、PCBの電気的な接続プラグ125のうちの対応する1つの接続プラグに収容され、電気的に接続される。
【0060】
図示の実施形態では、ECU出力コネクタ80は、マルチピンラッチコネクタであるが、別の実施形態が、別の構成を有してもよい。図示の実施形態では、ECU出力コネクタ80は、オーバーモールディングされた雌型のコネクタであり、この雌型のコネクタは、モータユニットの電気コネクタ6のような電気的な駆動装置に設けられている電気的な入力部と機能的に互換性がある。
【0061】
図3~
図7および
図21を参照すると、容器22は、第2の側壁部分46と一体的に形成されているECU入力コネクタ180を含んでいる。ECU入力コネクタ180は、第2のシュラウド181と、第2の側壁部分46と、第2の内側の保持部50と、第2のシュラウド181、第2の側壁部分46および第2の内側の保持部50を通って延びる入力コネクタピン186の配列とを含んでいる。
【0062】
第2のシュラウド181は、第2の管状部分182を含んでいる。第2の管状部分182は、矩形の管の形状を有しており、第2の側壁部分46に対して垂直な方向で第2の側壁部分46の外面から外方に突出している。第2の管状部分182は、第2の側壁部分46の外面から突出している入力コネクタピン186の配列を取り囲んでいる。第2の側壁部分46および第2の内側の保持部50は、入力コネクタピン186の配列を支持している。幾つかの実施形態では、第2の管状部分182は、別の電気コネクタとのインターロック係合を可能にするように構成されている。
【0063】
各入力コネクタピン186の部分は、容器22に埋め込まれている。より具体的には、各入力コネクタピン186の部分は、外側の支持ブロック84、第1の側壁部分45および第1の内側の保持部49に埋め込まれている。入力コネクタピン186の埋め込まれている部分は、各入力コネクタピン186が、容器22に対してゼロの運動自由度を有し、ピン186に加えられる力の方向にかかわらず、容器22によって堅固に支持されるように、不規則に成形され、かつ容器22に係合している。
【0064】
図示の実施形態では、ECU入力コネクタ180は、5つの入力コネクタピン186を含んでおり、これらは1×5の配列185で配置されている。配列185の最も外側の2つのピン186(1)はそれぞれ、導電性のガンマ型の入力コネクタピンであり、配列185の中間の3つのピン186(2)はそれぞれ、導電性のデルタ型の入力コネクタピンである。各ガンマ入力コネクタピン186(1)は、ECUハウジング21の幅方向(例えば、第3の側壁部分47に対して垂直な方向)で、デルタ型の入力コネクタピン186(2)に整列されている。
【0065】
ガンマ入力コネクタピン186(1)およびデルタ入力コネクタピン186(2)のそれぞれは、第1の端部187と、第2の端部188と、第1の端部187と第2の端部188との間に配置された中間部分とを含んでいる。さらに、ガンマ入力コネクタピン186(1)およびデルタ入力コネクタピン186(2)のそれぞれは、第1の端部187と第2の端部188との間に延びる長手方向軸線189に沿って延びている。各入力コネクタピン186の第1の端部187は、雄型の第1の電気的な接続部分190を含み、各入力コネクタピン186の第2の端部188は、雄型の第2の電気的な接続部分191を含んでいる。側面図(
図7)で見て、ガンマ入力コネクタピン186(1)およびデルタ入力コネクタピン186(2)は、長手方向の部分168と横方向の部分169とを含む概してL字形の外形を有している。長手方向の部分168は、長手方向軸線189に対して平行な方向に延びており、第1の電気的な接続部分190は、長手方向の部分168の一方の端部から突出している。横方向の部分169は、長手方向軸線189に対して垂直な方向で、基部23の、蓋に面した面から離れる方向に延びている。第2の電気的な接続部分191は、横方向の部分の一方の端部から蓋30に向かって突出している。この構成により、第1の電気的な接続部分190は、第2の電気的な接続部分191に対して垂直な方向に延びている。
【0066】
幾つかの実施形態では、ガンマ入力コネクタピン186およびデルタ入力コネクタピン186(1),186(2)のそれぞれは、図示された構成を達成するために、ブランクから打ち抜かれ、折り曲げられたかつ/または屈曲された、薄い導電性材料のストリップから形成されていてもよい。結果として、ピン186(1),186(2)はブレード状であり、全長および高さに対して小さい材料厚さを有している。図示の実施形態では、ガンマ入力コネクタピン186(1)は、デルタ入力コネクタピン186(2)の幅の少なくとも2倍のピン幅を有している。さらに、各デルタ入力コネクタピン186(2)の各第2の電気的な接続部分191が、単独の雄型のコネクタである一方、各ガンマ入力コネクタピン186(1)の各第2の電気的な接続部分191は、二重の雄型のコネクタである。
【0067】
図示の実施形態では、ECU入力コネクタ180は、LINから電力およびデータを受け取るように構成されていてもよい。図示の実施形態では、ECU入力コネクタ180は、オーバーモールディングされた雄型のコネクタである。
【0068】
上述したように、容器22は、各出力コネクタピン86のそれぞれX方向、Y方向およびZ方向における軸方向の運動が阻止され、かつ各ピンのX軸線、Y軸線およびZ軸線を中心とした回転運動が阻止されるように、各出力コネクタピンに係合させられるように構成されている。換言すると、各出力コネクタピン86の、容器22に埋め込まれる部分が不規則な形状であり、ピン86が容器22に対してゼロの運動自由度を有しているように、容器22に係合している。このことは、オーバーモールディング製造プロセスを用いて、出力コネクタピン86を所定の位置に備えるハウジングアセンブリを製造することによって達成される。次いで、容器22を製造する方法を説明する。
【0069】
図22を参照すると、ハウジングアセンブリ(例えば、容器22)を製造する方法が、以下の方法ステップを含んでいる。第1のステップ(ステップ200)において、導電性の出力コネクタピン86(1),86(2)および入力コネクタピン186(1),186(2)を設ける。特に、出力コネクタピン86(1),86(2)および入力コネクタピン186(1),186(2)は、用途に適しているように配列において配置され、次いで、射出成形型の空所(図示せず)に配置される。第1のステップに続いて、各ピン86(1),86(2),186(1),186(2)が容器22の一部に部分的に埋め込まれるように、型内への材料注入を使用して、出力コネクタピン86(1),86(2)および入力コネクタピン186(1),186(2)上に容器22がオーバーモールディングされる(例えば、インサート成形)(ステップ202)。特に、第1の電気的な接続部分90,190が容器22の外側に配置されていて、第2の電気的な接続部分91,191が容器22の内側に配置されていて、かつピン86(1),86(2),186(1),186(2)が容器に対してゼロの運動自由度を有しているようにピン86(1),86(2),186(1),186(2)の、容器材料内に埋め込まれている部分が容器22に係合しているように、各ピン86(1),86(2),186(1),186(2)が部分的に埋め込まれている。ECUハウジング21の蓋30は、容器22とは別個に型成形されており、PCB120の取付けに続いて、容器の開放端部28に取り付けられている。
【0070】
図23~
図29を参照すると、代替的な実施形態の容器222は、上述の容器22と同様であり、共通の要素を示すために共通の参照符号が使用されている。代替的な実施形態の容器222は、この容器222が、第1の側壁部分45と一体的に形成された代替的な実施形態のECU出力コネクタ280を含んでいる点で、上述の容器22と異なっている。ECU出力コネクタ280は、このECU出力コネクタ280が配列285内に代替的なアルファコネクタピン286(1)を含んでいる点で、上述した出力コネクタ80と異なっている。この配列285は、
図12および
図13に関して上述したベータコネクタピン82(2)も含んでいる。特に、ECU出力コネクタ280は、2×2の配列285で配置された4つの出力コネクタピン86を含んでいる。2つのアルファコネクタピン286(1)は、配列の上段に配置されており、2つのベータコネクタピン86(2)は、配列の下段に配置されている。各アルファ出力コネクタピン286(1)は、ECUハウジング21の高さ方向(例えば、基部23に対して垂直な方向)でベータ出力コネクタピン86(2)に整列されており、ECUハウジング21の幅方向(例えば、第3の側壁部分47に対して垂直な方向)で別のアルファ出力コネクタピン286(1)に整列されている。各ベータ出力コネクタピン86(2)は、ECUハウジング21の幅方向で別のベータ出力コネクタピン86(2)に整列されている。次に、アルファ出力コネクタピン286(1)の構成およびアルファ出力コネクタピン286(1),86(2)と容器222との間の係合の詳細を詳細に説明する。
【0071】
アルファ出力コネクタピン286(1)のそれぞれは、第1の端部87と、第2の端部88と、第1の端部87と第2の端部88との間に配置された中間部分とを含んでいる。さらに、アルファ出力コネクタピン286(1)のそれぞれは、第1の端部87と第2の端部88との間に延びる長手方向軸線89に沿って延びている。各アルファ出力コネクタピン286(1)の第1の端部87は、雌型の第1の電気的な接続部分90を含んでおり、各アルファ出力コネクタピン286(1)の第2の端部88は、雄型の第2の電気的な接続部分91を含んでいる。側面図(
図24)で見て、アルファ出力コネクタピン286(1)は、長手方向の部分68と横方向の部分69とを含む概してL字形の外形を有している。長手方向の部分68は、長手方向軸線89に対して平行な方向に延びており、第1の電気的な接続部分90は、長手方向の部分68の一方の端部から突出している。横方向の部分69は、長手方向軸線89に対して垂直な方向で、基部23の、蓋に面した面から離れる方向に延びている。第2の電気的な接続部分91は、横方向の部分の一方の端部から蓋30に向かって突出している。この構成により、第1の電気的な接続部分90は、第2の電気的な接続部分91に対して垂直な方向に延びている。
【0072】
幾つかの実施形態では、アルファ出力コネクタピン286(1)のそれぞれは、図示された構成を達成するために、ブランクから打ち抜かれ、折り曲げられたかつ/または屈曲された、薄い導電性材料のストリップから形成されていてもよい。結果として、アルファ出力コネクタピン286(1)はブレード状であり、全長および高さに対して小さい材料厚さを有している。
【0073】
アルファ出力コネクタピン286(1)のそれぞれは、細長いスロット200を含んでおり、このスロット200は、ピンの第1の端部87において開放し、アルファ出力コネクタピン286(1)の第1の電気的な接続部分90の一部を規定している。図示の実施形態では、スロット200は、長手方向軸線89に対して平行な方向で延びており、スロット200の長手方向の寸法は、アルファ出力コネクタピン286(1)の長さの10%~30%の範囲である。スロット200は、ピンの第1の端部87に隣接したネック部分201を有している。スロット200は、スロット200のネック部分201と盲端214との間の領域において、盲端214において最小の寸法を有するように先細りしている。アルファ出力コネクタピン286(1)の第1の電気的な接続部分90の残りの部分は、スロット200を取り囲むピン材料により形成されている。この材料は、対向する平行なアーム202(a),202(b)を規定する。平行アーム202(a),202(b)のそれぞれは、スロット200のネック部分201に対応する内向きの突出部203を有している。さらに、平行なアーム202(a),202(b)のそれぞれは、スロット200から離れる方向に向いた各アーム202(a),202(b)のエッジに沿って形成された浅い湾曲した切欠き210を含んでいる。平面図で見ると(
図25)、湾曲した切欠き210は、スロット盲端214に整列した箇所において最大深さを有している。使用時に、相手側の電気コネクタ(図示せず)の雄型のピンがスロット200に収容され、内向き突出部203は、歯として働く。この歯は、雄型のピンの外面に係合し、雄型のピンの外面と電気的な接続部を形成する。
【0074】
アルファ出力コネクタピン286(1)のそれぞれは、第1の電気的な接続部分90と第2の端部88との間に配置された平坦な部分204を含んでいる。平坦な部分204は、アルファ出力コネクタピン286(1)の中間点205を含んでいる。平坦な部分204の高さ寸法は、ピンを形成するために使用されるプレートの厚さに一致するのに対して、平坦な部分204の幅寸法は、ピン286(1)の長さ寸法の約20パーセントである。平坦な部分204の幅寸法は、矩形の切欠き211がその一方の周縁に設けられているので不均一である。幅の移行部には、ショルダ206が形成されており、ショルダ206は第2の端部88に面している。第1のフランジ296が、中間点208と第2の端部88との間の箇所において平坦な部分204に設けられている。第1のフランジ296は、矩形の切欠き211の盲縁207から、長手方向軸線89に対して垂直な方向に突出していて、中心開口209を含んでいる。第1のフランジ296は、平坦な部分204と同一平面にある。
【0075】
ピン286(1)にL字形を提供する、アルファ出力コネクタピン286(1)のエルボ212が、第1のフランジ296とピンの第2の端部88との間に配置されている。エルボ212により、雄型の第2の電気的な接続部分91が、長手方向軸線89に対して垂直な方向に延びている。
【0076】
アルファ出力コネクタピン286(1)のそれぞれにおいて、第1の電気的な接続部分90および平坦な部分204は、長手方向軸線89(1)を含む第1の平面内に位置しており、エルボ212および第2の電気的な接続部分91は、長手方向軸線89(1)に対して垂直な第2の平面内に位置している。使用時に、第1の平面は容器の基部23に対して平行であり、第2の平面は、容器の基部23に対して垂直である。
【0077】
アルファ出力コネクタピン286(1)は、その幅寸法および高さ寸法よりも大幅に大きい長さ寸法(例えば、ピン86(1)の第1の端部87と第2の端部88との間の距離)を有している。例えば、アルファ出力コネクタピン286(1)は、幅寸法および高さ寸法の少なくとも3倍である長さを有していてもよい。さらに、アルファ出力コネクタピン286(1)は、高さ寸法よりも大きな幅寸法を有している。アルファ出力コネクタピン286(1)を形成するために使用された材料の厚さは、ピン286(1)の長さ、高さまたは幅に対して極めて小さい。例えば、図示の実施形態では、アルファ出力コネクタピン286(1)の長さは、アルファ出力コネクタピン286(1)を形成するために使用された材料の厚さの少なくとも50倍である。
【0078】
配列285において、アルファ出力コネクタピン286(1)およびベータ出力コネクタピン86(2)は、アルファ出力コネクタピン286(1)の第1のフランジ296が、ベータ出力コネクタピン86(2)の第2のフランジ108に重なるように、かつそれぞれの中心開口209,109がZ軸線方向で整列しているように、配向されている。配列285において、アルファ出力コネクタピン286(1)の第1の端部87が、ベータ出力コネクタピン86(2)の第1の端部87に重なり、ベータ出力コネクタピン86(2)の第1の端部87に長手方向で整合している。さらに、アルファ出力コネクタピン86(1)の長手方向軸線89は、ベータ出力コネクタピン86(2)の長手方向軸線89に対してX方向で整列させられている。さらに、アルファ出力コネクタピン286(1)の第2の電気的な接続部分91は、ベータ出力コネクタピン86(2)の第2の電気的な接続部分91と高さ方向またはZ方向で整合している。
【0079】
アルファ出力コネクタピン86およびベータ出力コネクタピン86のそれぞれは、それぞれの長手方向軸線89がECUハウジング21のY(例えば長さ)方向に対して平行であるように、部分的に容器22に埋め込まれている。アルファ出力コネクタピン286(1)の平坦な部分204は、X-Y平面に対して平行であるのに対して、ベータ出力コネクタピン86(2)の平坦部分104は、Y-Z平面に対して平行であり、第1のフランジ96および第2のフランジ108は、X-Y平面に対して平行である。アルファ出力接続ピン286(1)の第2の電気的な接続部分91は、X-Z平面内に存在するのに対して、ベータ出力接続ピン86(2)の第2の電気的な接続部分91は、Y-Z平面内に存在する。アルファ出力コネクタピン286(1)およびベータ出力コネクタピン86(2)のそれぞれは、第1の電気的な接続部分90が露出してECUハウジング21の外側に配置されているように、部分的に容器22に埋め込まれている。第1の電気的な接続部分90は、シュラウドの管状部分82によって包囲されている。さらに、アルファ出力コネクタピン286(1)およびベータ出力コネクタピン86(2)のそれぞれは、第2の電気的な接続部分91が露出してECUハウジング21の内側に配置されているように、部分的に容器に埋め込まれている。この構成により、第2の電気的な接続部分91は、PCB120との電気的な接続部を形成することができる。
【0080】
上述した実施形態と同様に、アルファ出力コネクタピン286およびベータ出力コネクタピン86(1),86(2)は、オーバーモールディングプロセスにおいて、ECUハウジング21の容器222に組み付けられている。アルファ出力コネクタピン286(1)に関して、オーバーモールディングプロセス中に、容器222を形成するために使用された材料が、切欠き205、ショルダ206および第1のフランジ296を含む平坦な部分204を埋め込む。さらに、材料は、湾曲した切欠き210の一部も埋め込む。特に、この材料は、第1のフランジ296とスロット200の盲端214との間のアルファ出力コネクタピン286(1)を埋め込むことができる。
【0081】
上で説明したように、容器22に埋め込まれているアルファ出力コネクタピン286(1)およびベータ出力コネクタピン86(2)の部分は、不規則な形状である。アルファ出力コネクタピン286(1)およびベータ出力コネクタピン86(2)の不規則な形状は、アルファ出力コネクタピン286(1)およびベータ出力コネクタピン86(2)が、容器222に対してゼロの運動自由度を有しているように、容器22と係合している。特に、容器222と、ピン286(1),86(2)とは、各ピン286(1),86(2)の、それぞれX方向、Y方向およびZ方向における軸方向の運動が阻止され、かつ各ピン286(1),86(2)の、X軸線、Y軸線およびZ軸線を中心とした回転運動が阻止されるように、互いに協働するように係合させられている。
【0082】
ECU用のハウジングアセンブリの図示した選択的な実施形態を上記で幾つかの詳細に説明した。ハウジングアセンブリを明確にするために必要と考えられる構造のみが本明細書に説明されていることを理解すべきである。別の従来の構造、ならびにハウジングアセンブリおよびECUの付属的および補助的な構成要素の構造は、当業者には公知であり、理解されているものと想定される。さらに、ハウジングアセンブリの実施例を上記で説明したが、ハウジングアセンブリは、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載されたハウジングアセンブリから逸脱することなく、種々異なる設計変更を実行することができる。
【国際調査報告】