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特表2024-519290再構成可能なバイオプロセシングシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】再構成可能なバイオプロセシングシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20240501BHJP
   G01N 30/06 20060101ALI20240501BHJP
   B01D 15/12 20060101ALI20240501BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240501BHJP
   G01N 1/38 20060101ALI20240501BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G01N1/00 101L
G01N30/06 Z
B01D15/12
G01N37/00 101
G01N1/38
G01N1/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565565
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2022060892
(87)【国際公開番号】W WO2022229098
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】2105909.2
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ルンディン
(72)【発明者】
【氏名】マッツ・リモ
【テーマコード(参考)】
2G052
4D017
【Fターム(参考)】
2G052CA12
2G052DA09
2G052EA00
2G052ED07
2G052FB03
2G052GA12
2G052GA23
2G052GA27
2G052HA18
2G052HC04
2G052HC09
4D017AA11
4D017BA07
4D017DA03
4D017EA05
4D017EB01
(57)【要約】
本開示は、バイオプロセシング動作の所定のセットをそれ自体の中で実施するように動作可能な再構成可能なバイオプロセシングシステム(80)に関し、バイオプロセシングシステム(80)は、複数の弁アクチュエータを備える基礎ユニット(60)であって、複数の弁アクチュエータのうちの少なくとも1つが、基礎ユニット(60)に取り外し可能に取り付け可能である膜弁カセット(200、300、400)と解放可能に係合するように構成され、複数の弁アクチュエータのうちの少なくとも1つは、膜弁カセット(200、300、400)を通じて流体流れを規制するように作動可能である、基礎ユニット(60)と、膜弁カセット(200、300、400)の中に弁構成を提供して、基礎ユニット(60)および膜弁カセット(200、300、400)にバイオプロセシング動作の所定のセットのうちの1つを一緒に実施させることができるようにするために、複数の弁アクチュエータのそれぞれ1つを選択的に作動させるように動作可能な制御システム(20)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再構成可能なバイオプロセシングシステム(80)であって、バイオプロセシング動作の所定のセットを前記バイオプロセシングシステム(80)の中で実施するように動作可能である、再構成可能なバイオプロセシングシステム(80)において、
複数の弁アクチュエータを備える基礎ユニット(60)であって、前記複数の弁アクチュエータのうちの少なくとも1つが、前記基礎ユニット(60)に取り外し可能に取り付け可能である膜弁カセット(200、300、400)と解放可能に係合するように構成され、前記複数の弁アクチュエータのうちの前記少なくとも1つは、前記膜弁カセット(200、300、400)を通じて流体流れを規制するように作動可能である、基礎ユニット(60)と、
前記膜弁カセット(200、300、400)の中に弁構成を提供して、前記基礎ユニット(60)および前記膜弁カセット(200、300、400)にバイオプロセシング動作の前記所定のセットのうちの1つを一緒に実施させることができるようにするために、前記複数の弁アクチュエータのそれぞれ1つを選択的に作動させるように動作可能な制御システム(20)と、
を備える再構成可能なバイオプロセシングシステム(80)。
【請求項2】
バイオプロセシング動作の前記所定のセットは、クロマトグラフィ動作、混合動作、および/または濾過動作のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載のバイオプロセシングシステム(80)。
【請求項3】
前記基礎ユニット(60)は、前記膜弁カセット(200、300、400)を前記基礎ユニットに取り外し可能に取り付けられるように構成される取り付け機構をさらに備える、請求項1または2に記載のバイオプロセシングシステム(80)。
【請求項4】
前記基礎ユニット(60)は複数の線形アクチュエータ(132)をさらに備え、前記複数の弁アクチュエータの各々は、前記複数の線形アクチュエータ(132)のそれぞれ1つによって独立して作動させられるように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のバイオプロセシングシステム(80)。
【請求項5】
前記基礎ユニット(60)を収めるケーシングをさらに備え、前記ケーシングは、クロマトグラフィカラム(70)を収容するように構成される細長い凹所(64)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のバイオプロセシングシステム(80)。
【請求項6】
前記膜弁カセット(200、300、400)は、前記再構成可能なバイオプロセシングシステム(80)の基礎ユニット(60)に取り外し可能に取り付けられるように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の再構成可能なバイオプロセシングシステム(80)のための膜弁カセット(200、300、400、2200)。
【請求項7】
複数の導管(312、490)と複数の弁インターフェース(202)とをさらに備え、前記複数の弁インターフェース(202)の各々は前記複数の弁アクチュエータのそれぞれ1つによって作動させられるように構成され、各々の弁インターフェース(202)は、前記複数の導管(312、490)のうちの1つを通る流体流れが阻止される第1の構成と、前記複数の導管(312、490)のうちの前記1つを通る流体流れが可能とされる第2の構成との間で作動可能である、請求項6に記載の膜弁カセット(200、300、400)。
【請求項8】
前記複数の弁インターフェース(202)の各々は、前記複数の弁アクチュエータのそれぞれ1つによる前記弁インターフェース(202)への押す力の発揮によって、第1の方向に移動可能であり、前記複数の弁アクチュエータの前記それぞれ1つによる前記弁インターフェース(202)への引っ張る力の発揮によって、前記第1の方向と反対の第2の方向に移動可能である、請求項7に記載の膜弁カセット(200、300、400)。
【請求項9】
前記弁インターフェース(202)のうちの少なくとも2つおよび/または前記膜(230)のうちの2つは、その中の異なる深さまたは同一平面上の高さにおいて動作可能である、請求項7または8に記載の膜弁カセット(200、300、400、2200)。
【請求項10】
弁作動ユニット(2100)の外側搭載面と相互作用する前記膜弁カセット(200、300、400、2200)の表面と略平行な平面から外への方向に流体流れを提供する少なくとも1つの導管(312、490)をその中にさらに備える、請求項9に記載の膜弁カセット(200、300、400、2200)。
【請求項11】
前記複数の弁インターフェース(202)の各々は、前記複数の弁アクチュエータの前記それぞれ1つと解放可能に係合するように構成される受入機構を備えるそれぞれの弾性変形可能膜(230)を備える、請求項7から10のいずれか一項に記載の膜弁カセット(200、300、400)。
【請求項12】
前記受入機構は、前記押す力および前記引っ張る力を前記弾性変形可能膜(230)に発揮させることができるように、前記複数の弁アクチュエータの前記それぞれ1つの対応する部分に解放可能に係合するように構成される内部環(244)を備える空洞(238)を備える、請求項11に記載の膜弁カセット(200、300、400)。
【請求項13】
バイオプロセシングシステム(80)のための流路圧力監視カセットであって、前記流路圧力監視カセットが前記バイオプロセシングシステム(80)に取り外し可能に取り付け可能である、前記バイオプロセシングシステム(80)のための流路圧力監視カセットにおいて、
1つまたは複数の導管(490)と、
前記1つまたは複数の導管(490)のうちの少なくとも1つを通じて流れる流体の圧力を感知するための圧力感知デバイス(412)と係合するように構成される取り付け機構であって、前記圧力感知デバイス(412)が前記取り付け機構と係合させられるとき、前記圧力感知デバイス(412)の感知領域(446)の周りを封止するように構成される取り付け機構と、
を備える流路圧力監視カセット。
【請求項14】
前記取り付け機構は、前記圧力感知デバイス(412)が前記取り付け機構と係合させられるとき、前記1つまたは複数の導管(490)のうちの前記少なくとも1つとの前記圧力感知デバイス(412)の前記感知領域(446)の前記係合を安定させるようにさらに構成される、請求項13に記載の流路圧力監視カセット。
【請求項15】
バイオプロセシングシステム(80)のための流路空気トラップカセットであって、前記流路空気トラップカセットは、バイオプロセシングシステム(80)に取り外し可能に取り付け可能である、前記バイオプロセシングシステム(80)のための流路空気トラップカセットにおいて、
1つまたは複数の導管(490)と、
前記1つまたは複数の導管(490)のうちの少なくとも1つと流体連通している空気トラップ(406)であって、前記1つまたは複数の導管(490)のうちの前記少なくとも1つを通じて流れる流体に存在する空気を捕獲するように構成される空気トラップ(406)と、
前記空気トラップ(406)の中の流体の高さを検出するように構成されるセンサ(420、422)と、
を備える流路空気トラップカセット。
【請求項16】
前記センサは第1のセンサ(420)であり、前記流路空気トラップカセットは第2のセンサ(422)をさらに備え、前記第2のセンサ(422)は、前記空気トラップ(406)の中の流体の第2の高さを検出するように構成され、前記流体の第2の高さは前記流体の第1の高さより大きい、請求項15に記載の流路空気トラップカセット。
【請求項17】
バイオプロセシングシステム(80)のための構成可能な流路カセット(300)であって、前記構成可能な流路カセット(300)は、バイオプロセシングシステム(80)に取り外し可能に取り付け可能である、前記バイオプロセシングシステム(80)のための構成可能な流路カセット(300)において、
第1のポート(214)、第2のポート(216)、ポートの第1のグループ(314)、およびポートの第2のグループ(316)を備える複数のポートであって、前記ポートの第1のグループ(314)は前記第1のポート(214)と流体連通している、複数のポートと、
前記ポートの第2のグループ(316)が前記第1のポート(214)と流体連通する第1の構成、および、前記ポートの第2のグループ(316)が前記第2のポート(216)と流体連通する第2の構成を提供するように作動可能である複数の弁インターフェース(202)と、
を備える構成可能な流路カセット(300)。
【請求項18】
前記複数の弁インターフェース(202)は、前記ポートの第1のグループ(314)の各々および/または前記ポートの第2のグループ(316)の各々を通じて、流体の流れを規制するように作動可能である、請求項17に記載の構成可能な流路カセット(300)。
【請求項19】
バイオプロセシングシステム(80)のための伝導性感知デバイス(414)であって、
伝導性センサ(460)と、
前記伝導性センサ(460)を受け入れるように構成される開口を有する封止部分(462)と、
前記伝導性感知デバイス(414)を前記バイオプロセシングシステム(80)に取り付けられるように構成される取り付け機構を備えるケーシングと
を備え、
前記封止部分(462)は、前記伝導性感知デバイス(414)が前記バイオプロセシングシステム(80)に取り付けられるとき、前記伝導性センサ(460)の周りにシールを形成するように構成される、伝導性感知デバイス(414)。
【請求項20】
前記封止部分(462)は、前記伝導性センサ(460)の周りに前記シールを形成するために、前記封止部分(462)に加えられる力を前記伝導性センサ(460)へと伝えるように構成される、請求項19に記載の伝導性感知デバイス(414)。
【請求項21】
前記取り付け機構はスナップ留め取り付け機構を備え、前記力は、前記バイオプロセシングシステム(80)への前記伝導性センサ(460)のスナップ留め取り付けによって、前記封止部分(462)に加えられる、請求項20に記載の伝導性感知デバイス(414)。
【請求項22】
バイオプロセシングシステム(80)のための流路キットであって、
請求項6から12のいずれか一項に記載の膜弁カセット(200、300、400)、
請求項13または14に記載の流路圧力監視カセット、
請求項15または16に記載の流路空気トラップカセット、および
請求項17または18に記載の構成可能な流路カセット(300)
のうちの少なくとも1つを備え、
請求項19、20、または21に記載の伝導性感知デバイス(414)を任意選択でさらに備える、流路キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バイオプロセシング動作の所定のセットを実施するように動作可能である再構成可能なバイオプロセシングシステムに関する。本開示は、バイオプロセシング動作のセットを実施するために使用され得る1つまたは複数の取り外し可能に取り付け可能なカセットにも関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフィシステムなどのバイオプロセシングシステムは、制御された含まれる条件の下でプロセスを実行するために、効果的な液体の取り扱いを典型的には必要とする。これは、閉じた液体取り扱いシステムにおける無菌での取り扱いと、滅菌前の構成要素の使用とを伴う可能性がある。
【0003】
近年、一回限りの使用の流路に基づいたモジュール式バイオプロセシングシステムが開発されている。一回限りの使用の流路の構成要素は、時間が掛かって労力を消費する濡れた流路の前洗浄および後洗浄を排除する。これは、全体のプロセスの効率を高め、コストを低減する。機器の洗浄および関連する洗浄検証のプロセスの排除は、バイオプロセシングシステムを使用して処理される異なるバッチ間での交差汚染の危険性も大幅に低減する。
【0004】
一回限りの使用の構成要素は、プロセスの実施の後に廃棄されるように意図されているモジュール式消耗品として実装される。モジュール式バイオプロセシングシステムの例には、WO2015/095658、WO2018/158273、WO2019/057936、WO2019/057937、およびWO2020/065040に記載されているシステムがある。
【0005】
WO2015/095658は、空気圧作動システムによって遠隔から作動させられ得る弁装置を含む生物学的液体取り扱いシステムを説明している。弁装置は、一回限りの使用の流路における流体の流れを制御する。弁装置は、空気圧導管を介した空気圧制御システムからの空気圧の適用によって空気圧で作動させられる膜弁を備える。異なる弁装置が異なる液体処理作業のために使用される(例えば、弁の異なる数、物理的配置、大きさ、および機能)。
【0006】
WO2018/158273は、カセットを通る流体経路が、カセットの構成要素を通じて、または出口へとのいずれかで流体の経路決定をする弁を使用して制御され得るバイオプロセシングカセットを説明している。弁は、カセットを通る流体経路を制御するために、弁を手動で作動させる露出した弁軸を備える。
【0007】
WO2020/065040は、それまでのシステムよりも高い構成能力を提供することを目指した生物学的流体処理システムを説明している。高い構成能力を提供するために、流体処理システムは、処理制御要素と流体処理デバイスとの間において流体処理インターフェースを実装する。システムで使用できる流体処理デバイスは、互いと異なることができ(例えば、異なる構成または能力を伴う)、流体処理インターフェースは、対応する流体処理デバイスに処理制御要素と相互作用させるために必要とされる物理的インターフェースおよび機械的インターフェースを提供する。
【0008】
WO2019/057936は、それまでのシステムよりも高い構成能力を提供することを目指したクロマトグラフィ装置を説明している。高い構成能力を提供するために、クロマトグラフィ装置は、クロマトグラフィ装置の筐体に搭載され得る複数のモジュール式流路構成要素を実装する。モジュール式構成要素同士は、流路を形成するために一体に連結され得る。流路構成要素は、モジュールが具体的な手順に適合するために再位置決めおよび置き換えできるように、別々のモジュールで提供される。流路を通る流体流れは、(WO2019/057937に記載されているような)弁ユニットによって制御され、弁ユニットは、弁ユニット内のピストンによって各々が作動させられる複数の膜弁を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2015/095658
【特許文献2】WO2018/158273
【特許文献3】WO2019/057936
【特許文献4】WO2019/057937
【特許文献5】WO2020/065040
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
モジュール式バイオプロセシングシステムが知られているが、特に再構成能力が高められたモジュール式バイオプロセシングシステムを提供するために、この業界ではこのようなモジュール式バイオプロセシングシステムへのさらなる改善を常に求めている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この概要は、発明を実施するための形態でより詳細に説明される概念を紹介している。この概要は、特許請求されている主題の本質的な特徴を特定するためにも、特許請求されている主題の範囲を限定するためにも使用されるべきではない。
【0012】
第1の態様によれば、バイオプロセシング動作の所定のセットをそれ自体の中で実施するように動作可能な再構成可能なバイオプロセシングシステムであって、複数の弁アクチュエータを備える基礎ユニットであり、複数の弁アクチュエータのうちの少なくとも1つが、基礎ユニットに取り外し可能に取り付け可能である膜弁カセットと解放可能に係合するように構成され、複数の弁アクチュエータのうちの少なくとも1つは、膜弁カセットを通じて流体流れを規制するように作動可能である、基礎ユニットと、膜弁カセットの中に弁構成を提供して、基礎ユニットおよび膜弁カセットにバイオプロセシング動作の所定のセットのうちの1つを一緒に実施させることができるようにするために、複数の弁アクチュエータのそれぞれ1つを選択的に作動させるように動作可能な制御システムとを備える再構成可能なバイオプロセシングシステムが提供される。
【0013】
第1の態様の再構成可能なバイオプロセシングシステムは、具体的なバイオプロセシング動作に適した弁構成を提供するために、流体流れ経路を容易に再構成させることができる。具体的には、流体流れ経路は、異なる弁構成を提供するために、制御システムを使用するアクチュエータの作動によって容易に再構成させることができる。また、基礎ユニットに取り外し可能に取り付け可能である膜弁カセットと解放可能に係合する少なくとも1つのアクチュエータを基礎ユニットに提供することで、取り外し可能に取り付け可能な標準的な膜弁カセットにおいて弁を作動させるための共通インターフェースが提供される。この共通インターフェースは、異なる種類の膜弁カセットが、実行されるバイオプロセシング動作に依存して基礎ユニットと共に利用できるため、流路の高い再構成能力を提供する。流路は、制御システムによって容易に再構成させることができ、制御システムは、バイオプロセシング動作のセットを実行させることができる弁構成を提供することができる。結果として、バイオプロセシングシステムは、システムにバイオプロセシング動作のセットから具体的なバイオプロセシング動作を実行させるための流路の再構成能力と、異なる弁構成を提供することで、具体的なバイオプロセシング動作のために使用される流路の再構成能力とを提供する。
【0014】
このような再構成可能なバイオプロセシングシステムを提供することによって、単一の基礎ユニットが複数の異なる種類のバイオプロセシング動作を提供するために使用できるだけでなく、このようなバイオプロセシングシステムは、以下に提供されている説明から明らかになるように、従来必要とされていた熟練度より低い熟練度の使用者/作業者によって動作させることができる。
【0015】
第2の態様によれば、第1の態様による再構成可能なバイオプロセシングシステムのための膜弁カセットであって、再構成可能なバイオプロセシングシステムの基礎ユニットに取り外し可能に取り付けられるように構成される膜弁カセットが提供される。
【0016】
先に述べられているように、バイオプロセシングシステムの基礎ユニットは、バイオプロセシング動作のセットの各々を実行するために、異なる種類の膜弁カセットを基礎ユニットと共に利用させる共通インターフェースを提供する。そのため、第2の態様の膜弁カセットは、実行される具体的なバイオプロセシング動作に特有である流路構成要素を含み得る。
【0017】
第3の態様によれば、バイオプロセシングシステムに取り外し可能に取り付け可能である、バイオプロセシングシステムのための流路圧力監視カセットであって、1つまたは複数の導管と、1つまたは複数の導管のうちの少なくとも1つを通じて流れる流体の圧力を感知するための圧力感知デバイスと係合するように構成される取り付け機構であり、圧力感知デバイスが取り付け機構と係合させられるとき、圧力感知デバイスの感知領域の周りを封止するように構成される、取り付け機構とを備える流路圧力監視カセットが提供される。
【0018】
第4の態様によれば、バイオプロセシングシステムに取り外し可能に取り付け可能である、バイオプロセシングシステムのための流路空気トラップカセットであって、1つまたは複数の導管と、1つまたは複数の導管のうちの少なくとも1つと流体連通している空気トラップであり、1つまたは複数の導管のうちの少なくとも1つを通じて流れる流体に存在する空気を捕獲するように構成される、空気トラップと、空気トラップの中の流体の高さを検出するように構成されるセンサとを備える流路空気トラップカセットが提供される。
【0019】
第5の態様によれば、バイオプロセシングシステムに取り外し可能に取り付け可能である、バイオプロセシングシステムのための構成可能な流路カセットであって、第1のポート、第2のポート、ポートの第1のグループ、およびポートの第2のグループを備える複数のポートであり、ポートの第1のグループは第1のポートと流体連通している、複数のポートと、ポートの第2のグループが第1のポートと流体連通する第1の構成、および、ポートの第2のグループが第2のポートと流体連通する第2の構成を提供するように作動可能である複数の弁インターフェースとを備える構成可能な流路カセットが提供される。
【0020】
第6の態様によれば、バイオプロセシングシステムのための伝導性感知デバイスであって、伝導性センサと、伝導性センサを受け入れるように構成される開口を有する封止部分と、伝導性感知デバイスをバイオプロセシングシステムに取り付けられるように構成される取り付け機構を備えるケーシングとを備え、封止部分は、伝導性感知デバイスがバイオプロセシングシステムに取り付けられるとき、伝導性センサの周りにシールを形成するように構成される、伝導性感知デバイスが提供される。
【0021】
第3~第5の態様によるカセットおよび第6の態様によるデバイスは、バイオプロセシングシステムの流路の中のホールドアップ容積を最小限にすることを可能にする。具体的には、第3の態様は、バイオプロセシング動作を実施するために使用される取り外し可能に取り付け可能なカセットにおける流体流れの圧力の検出を提供する。また、第4の態様は、バイオプロセシング動作を実施するために使用される取り外し可能に取り付け可能なカセットへの空気トラップの組み込みを提供する。さらに、第5の態様は、バイオプロセシング動作を実施するために使用される取り外し可能に取り付け可能なカセットによって提供されるいくつかの流体入口または流体出口の構成能力を提供する。最後に、第6の態様は、バイオプロセシング動作を実施するために使用される取り外し可能に取り付け可能なカセットにおける流体流れの伝導性の検出を提供する。
【0022】
バイオプロセシング動作で使用される取り外し可能に取り付け可能なカセットにおける上記の機能性の提供は、様々な流路動作(圧力または伝導性の測定、空気捕獲、または流体流れの経路決定など)を、取り外し可能に取り付け可能なカセットの中で、流路動作を提供する別の流路構成要素を通るように流体流れを経路決定する必要なく、実施させることができる。取り外し可能に取り付け可能なカセットの中で様々な流路動作を実施することは、流路構成要素を接続するために使用される配管の長さを最小限にし、ひいては、流路における流体のホールドアップ容積がさらに最小限にされることを意味する。
【0023】
第7の態様によれば、バイオプロセシングシステムのための流路キットであって、第2の態様による膜弁カセット、第3の態様による流路圧力監視カセット、第4の態様による流路空気トラップカセット、および第5の態様による構成可能な流路カセットのうちの少なくとも1つを備え、第6の態様による伝導性感知デバイスを任意選択でさらに備える流路キットが提供される。
【0024】
特定の実施形態が、単なる例として、添付の図面を参照して、以下に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】再構成可能なバイオプロセシングシステムの基礎ユニットの概略図である。
図1B図1Aに示されている基礎ユニットと流路キットとを含む再構成可能なバイオプロセシングシステムの概略図である。
図1C図1Bに示されている再構成可能なバイオプロセシングシステムで使用される流路キットの概略図である。
図2A図1Bに示されている再構成可能なバイオプロセシングシステムの制御システムの概略図である。
図2B図2Aで示されている制御システムの動作を示す流れ図である。
図3図1Aで示されている基礎ユニットの複数の弁アクチュエータの概略図である。
図4図3に示されているアクチュエータのうちの1つを貫く断面図である。
図5A】弁インターフェースの配列を備える膜弁カセットの概略図である。
図5B】弁インターフェースの配列を備える膜弁カセットの概略図である。
図6図5Aおよび図5Bに示されている弁インターフェースのうちの1つを貫く断面図である。
図7図3に示されている複数のアクチュエータに取り付けられた、図5Aおよび図5Bに示されている膜弁カセットを示す図である。
図8図5Aおよび図5Bに示されている膜弁カセットの等角図である。
図9図5Aおよび図5Bに示されている膜弁カセットを貫く断面図である。
図10A】構成可能な流路カセットとして構成されている膜弁カセットの概略図である。
図10B図10Aで概略的に示されている構成可能な流路カセットの等角図である。
図10C】構成可能な流路カセットとして構成されている追加の膜弁カセットの概略図である。
図11】システム弁カセットとして構成されている膜弁カセットの前面図である。
図12図11に示されているシステム弁カセットの概略図である。
図13図11に示されているシステム弁カセットの空気トラップの概略図である。
図14図11に示されているシステム弁カセットに取り付けられた圧力感知デバイスの概略図である。
図15図11に示されているシステム弁カセットに取り付けられるように構成された伝導性感知デバイスの分解図である。
図16図15における伝導性感知デバイスを組み立てられた形態で示す概略図である。
図17図11に示されているシステム弁カセットに取り付けられた図15における伝導性感知デバイスを示す概略図である。
図18】伝導性感知デバイスを製造する方法の流れ図である。
図19】バイオプロセシングシステムを再構成するための方法の流れ図である。
図20】弁作動ユニットと、弁作動ユニットに結合された膜弁カセットとを含む、本発明によるシステムの実施形態の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の実施が、バイオプロセシングシステムを特に参照して以下で説明されている。しかしながら、以下に記載されている実施が他の流体取り扱いシステムに適用可能であることは理解されよう。
【0027】
以下の詳細な記載において、2つの構成要素が「流体連通」にあるとして記載されている場合、流体は、2つの構成要素の間で流れることが許可され、流体の流れは弁によって制御することができることが理解されよう。
【0028】
本開示は、再構成可能なバイオプロセシングシステム(図1Bにおいて概略的に示されている)に関する。再構成可能なバイオプロセシングシステムは、バイオプロセシングシステムの中でバイオプロセシング動作の所定のセット(例えば、複数のバイオプロセシング動作)を実施するように動作可能である。バイオプロセシングシステムは基礎ユニット(図1Aにおいて概略的に示されている)を備える。基礎ユニットは、(図3に示されているような)複数の弁アクチュエータを備える。複数の弁アクチュエータのうちの少なくとも1つは、(図5Aおよび図5Bにおいて概略的に示されている)膜弁カセットと解放可能に係合するように構成される。膜弁カセットは基礎ユニットに取り外し可能に取り付け可能である。複数の弁アクチュエータのうちの少なくとも1つは、膜弁カセットを通る流体流れを規制するように作動可能である。バイオプロセシングシステムは、膜弁カセットの中に弁構成を提供して、基礎ユニットおよび膜弁カセットにバイオプロセシング動作の所定のセットのうちの1つを一緒に実施させることができるように、複数の弁アクチュエータのそれぞれ1つを選択的に作動させるように動作可能である制御システムも備える。
【0029】
いくつかの異なる種類の膜弁カセットが、バイオプロセシング動作の所定のセットを実施するために基礎ユニットに取り外し可能に取り付けられ得る。基礎ユニットに取り外し可能に取り付けられ得る第1の種類の膜弁カセットは、構成可能な流路カセット(図10A図10Cにおいて概略的に示されている)である。基礎ユニットに取り外し可能に取り付けられ得る第2の種類の膜弁カセットは、空気トラップ(例えば、図13に概略的に示されている空気トラップ)を備える流路空気トラップカセットである。基礎ユニットに取り外し可能に取り付けられ得る第3の種類の膜弁カセットは、(例えば、図14に概略的に示されているような)圧力感知デバイスとの組合せで使用され得る流路圧力監視カセットである。これらの種類の膜弁カセットは、(例えば、図15および図16に概略的に示されているような)伝導性感知デバイスへの取り付けのために構成されてもよい。先に記載されている膜弁カセットの種類の流路構成要素が、膜弁カセットにおいて組み合わせて実施されてもよい。例えば、基礎ユニットに取り外し可能に取り付けられ得る第4の種類の膜弁カセットは、空気トラップを備え、複数の圧力感知デバイスおよび伝導性感知デバイスへの取り付けのために構成されるシステム弁カセット(図11および図12において概略的に示されている)である。本明細書に記載されている例の膜弁カセットが限定ではなく、基礎ユニットに取り外し可能に取り付けられ得る追加の種類の膜弁カセットが、本明細書に記載されている流路構成要素の他の組合せを含み得ることは理解されよう。
【0030】
図1Aは、バイオプロセシング動作の所定のセットを実施するように動作可能な再構成可能なバイオプロセシングシステムの基礎ユニット60の概略図である。例えば、バイオプロセシングシステムは、クロマトグラフィ動作、混合動作、および/または濾過動作(例えば、接線流濾過(TFF))のうちの1つまたは複数を実施するように動作可能であり得る。所定のセットは、同じ種類のバイオプロセシング動作を使用するが、必要とされ得る異なる動作流量、処理量、および/またはシステムホールドアップ容積に適応する動作を、追加または代替で含み得る。所定のセットは、1つの種類の単位動作内に、より複雑な流路、またはより複雑でない流路の動作を含むことができる。
【0031】
しかしながら、バイオプロセシング動作のこのようなセットが、その動作パラメータが変更される1つまたは複数の異なる種類のバイオプロセシング動作を追加または代替で含み得ることは理解されるべきである。例えば、クロマトグラフィ動作が選択されてもよく、1つまたは複数の異なる種類のこのようなクロマトグラフィ動作および/または動作パラメータのセットが(例えば、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、逆相クロマトグラフィ(RPC)、サイズ排除クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、および/または擬似移動床法(SMB)クロマトグラフィなどのために)選択されてもよい。
【0032】
他の例では、濾過、流体条件付け(例えば、混合ステップおよび/または反応ステップなどを含む)など、クロマトグラフィ以外の単位動作が選択され得る。濾過動作の場合、通常フロー濾過、ウイルス濾過、被保持物再循環を伴うクロスフロー濾過(マルチパス濾過)、および/または、シングルパス濾過構成でのクロスフロー濾過など、異なる種類の濾過が選択され得る。
【0033】
図1Aに示されているように、基礎ユニット60は、3つの弁作動ユニット100が搭載されている筐体62を備える。各々の弁作動ユニット100が複数の弁アクチュエータを備える。各々の弁作動ユニット100は、対応する膜弁カセットと(複数の弁アクチュエータを介して)解放可能に係合するように構成されている。具体的には、各々の弁作動ユニット100の複数の弁アクチュエータは、対応する膜弁カセットを通る流体流れを規制するように作動可能である。
【0034】
図1Aに示されているように、筐体62は細長い凹所64を備える。凹所64は筐体62の角66に設けられている。具体的には、筐体61は略立方体状であり、筐体62の角66に設けられている凹所64も略立方体状である。凹所64は、クロマトグラフィカラム70を収容するように構成されており、クロマトグラフィカラム70が支持され得る基部68を備える。クロマトグラフィカラム70をこの方法で位置決めすることで、クロマトグラフィカラム70は筐体62の設置面積の中に設けられる。
【0035】
クロマトグラフィカラム70を凹所64の中の基部68に位置決めすることは、筐体62が位置決めされる表面(例えば、作業台)においてカラム70が離して搭載される必要がないことも意味する。これは、クロマトグラフィカラム70が膜弁カセットのより近くに位置決めでき、それによって、膜弁カセットをクロマトグラフィカラム70に接続するために使用される配管のより短い長さを可能にすることを意味する。配管の長さを短縮することは、より少ない流体が配管の中で保持されることを意味し、これは、処理される流体のホールドアップ容積(つまり、バイオプロセシングシステムの流路内の流体の全容積)を低減する。
【0036】
より小さい寸法とされたクロマトグラフィカラムの取り付けを可能とするために、凹所64は、凹所64の側壁に設けられた器具も含み、その器具は、より小さい寸法とされたクロマトグラフィカラムを、凹所64の中で基部の上方に保持させることができる。より小さい寸法とされたクロマトグラフィカラムを(基部68を使用して支持する代わりに)凹所64の側壁に固定することは、クロマトグラフィカラムの上部を膜弁カセットのより近くに位置決めさせ、それによって、膜弁カセットをカラムに接続するために使用される配管のより短い長さを可能にする。
【0037】
図1Bは、クロマトグラフィカラム70、および、3つの膜弁カセットを備える流路キット96を伴う基礎ユニット60(3つの弁作動ユニット100を含む)と、ポンプ84の対と、pH/UVセンサデバイス94と、様々な構成要素を接続する配管とを備える組み立てられたバイオプロセシングシステム80を示している。流路キット96は図1Cにおいて別に示されている。クロマトグラフィカラム70および流路キット96は、一緒になって流路を形成する。
【0038】
バイオプロセシングシステム80は、制御システム(図1Bでは示されていない)も含む。制御システムは、各々の弁作動ユニット100に複数の弁アクチュエータのそれぞれ1つを選択的に作動させるように動作可能である。複数の弁アクチュエータの作動は、膜弁カセットの中に弁構成を提供する。異なる弁構成によって、基礎ユニット60(および取り付けられた膜弁カセット)にバイオプロセシング動作を実施させる。そのため、弁構成は、基礎ユニット60および膜弁カセットに一緒になって、バイオプロセシングシステムが実施するように動作可能なバイオプロセシング動作のセットにおけるバイオプロセシング動作のうちの1つを実施させることができる。
【0039】
使用中、第1の構成可能な流路カセット(図1Bにおいて300aとして指示されており、図10A図10Cを参照してより詳細に説明されている)の形態での第1の膜弁カセットが、入口82とポンプ84の対との間に流体連通を提供する。ポンプ84は流路内の流体の流れを駆動する。図10Aおよび図10Bに関連して以下に記載されているように、第1の構成可能な流路カセット300aは、異なる数の入口がポンプ84の各々に提供され得るように構成され得る。第1の構成可能な流路カセット300aを通る流れの構成は、第1の構成可能な流路カセット300aが取り付けられる弁作動ユニット100における複数の弁アクチュエータの選択的な作動によって提供される弁構成によって決定される。
【0040】
ポンプ84はT字区域86に流体接続され、T字区域86は、異なる流体の混合を可能とする(ここでは、例えば、異なる流体が各々のポンプ84に入れられる)、または、増加した流体流れを可能とする(ここでは、例えば、同じ流体が各々のポンプ84に入れられる)。流体の混合は、提供される異なる流体の分割(または勾配)を提供させることができ、各々の流体は異なるポンプ84によって汲み上げられる。例えば、これによって、異なる流体の相対的割合をバイオプロセシング動作の間に調整することを可能にする。
【0041】
T字区域86からの出口は、システム弁カセット400(図11図14を参照してより詳細に記載されている)の形態での第2の膜弁カセットに流体接続されている。後で記載されているように、システム弁カセット400は、(i)空気トラップ、(ii)システム弁カセット400におけるポートの第1の対に接続されたフィルタ、および(iii)システム弁カセット400におけるポートの第2の対に接続されているクロマトグラフィカラム70を通るように、流体を任意選択で経路決定することができる。システム弁カセット400のこれらの構成要素を通じての流体の経路決定は、システム弁カセット400が取り付けられる弁作動ユニット100における複数の弁アクチュエータの選択的な作動によって提供される弁構成によって決定される。
【0042】
具体的には、弁構成は、システム弁カセット400の導管において流れる流体の圧力を、システム弁カセット400に取り付けられた圧力感知デバイスを使用して測定させることができる。また、弁構成は、システム弁カセット400の導管において流れる流体の塩濃度を、システム弁カセット400に取り付けられた伝導性感知デバイスを使用して測定させることができる。さらに、弁構成は、システム弁カセット400の導管において流れる流体における空気の高さを、システム弁カセット400の空気検出センサを使用して測定させることができる。
【0043】
図1Bに示されている例では、システム弁カセット400の空気トラップの空気出口は、第2の構成可能な流路カセット(図1Bにおいて300bとして指示されており、図10A図10Cを参照してより詳細に説明される)の形態での第3の膜弁カセットに接続されている。第2の構成可能な流路カセット300bにおける弁インターフェースは、通気出口を開いて、空気トラップから空気フィルタ(図1Cに示されている)へと空気出口を経路決定するために使用される。
【0044】
システム弁カセット400からの流体出口(例えば、クロマトグラフィカラム70からの流体の戻り)も、pH/UVセンサデバイス94を通り、続けて第2の構成可能な流路カセット300bへと経路決定される。(図1Cにおいて最もよく示されているような)pH/UVセンサデバイス94は、システム弁カセット400からの流体出口のpHを測定するためのpHセンサを備える。クロマトグラフィプロセスは、カラムを通じて流れる流体のpHを制御することで、クロマトグラフィカラム70からタンパク質を放出することを伴い得る。そのため、pHセンサは、カラムを通じて流れる流体のpHを監視することができる。pH/UVセンサデバイス94は、デバイスへの光ファイバの取り付けのための接続も含み、そのデバイスは、pH/UVセンサデバイス94を通過する流体を、紫外線、可視光、または赤外線の放射を用いて照らす。pH/UVセンサデバイス94は、流体流れを通過する放射の量を測定するUVセンサを備える。これはさらに、流体流れによって吸収される放射の量を決定することができ、これは、測定のために使用される波長における放射を吸収する流体流れにおける試料分子の存在を決定することができる。
【0045】
図10Cに関連して以下に記載されているように、第2の構成可能な流路カセット300bは、異なる数の出口が提供されるように構成され得る。結果として、システム弁カセット400からの流体出口は、第2の構成可能な流路カセット300bによって構成されるいくつかの異なる出口88に経路決定され得る。第2の構成可能な流路カセット300bを通る流れの構成は、第2の構成可能な流路カセット300bが取り付けられる弁作動ユニット100における複数の弁アクチュエータの選択的な作動によって提供される弁構成によって決定される。
【0046】
図1Cは、図1Bに示されている流路キット96の概略図である。流路キット96は、図1Aに示されている基礎ユニット60への取り付けのために構成されている。流路キット96は、構成可能な流路カセット300aおよび300bと、システム弁カセット400と、ポンプ84の対と、pH/UVセンサデバイス94と、様々な構成要素を接続する配管とを含む。流路キット96は、システム弁カセット400の空気トラップからの空気出口を濾過するように構成された空気フィルタ98も含む。
【0047】
本明細書に記載されている様々な例は、一回限りの使用の技術を使用することができる。例えば、流路キット96は一回限りの使用の流路キットであり得る。したがって、このような例は、あらかじめ滅菌され得る無菌コネクタなどの、1つまたは複数の構成要素を含み得る。例えば、ガンマ線滅菌が使用でき、適合性のある様々な材料が提供され得る。
【0048】
図2Aは、図1Bにおける再構成可能なバイオプロセシングシステム80と使用することができる制御システム20の概略図である。図2Aに示されているように、制御システム20は入力インターフェース22を含む。入力インターフェース22は、基礎ユニット60に取り付けられる構成要素の識別子を受け取るように構成される。例えば、入力インターフェース22は、流路キット96および/または基礎ユニット60に取り付けられた個々の膜弁カセットの識別子を受け取るように構成される。入力インターフェース22は、各々の流路キットおよび/またはカセットに、入力インターフェース22に識別子を提供するRFIDチップ(または、特徴を提供する他の自動識別子)を介して識別子を受け取ることができる。代替または追加で、識別子は、(例えば、バイオプロセシングシステム80のユーザインターフェースを介して)バイオプロセシングシステム80の作業者によって手動で入力インターフェース22に入力されてもよい。
【0049】
制御システム20は、バイオプロセシング動作の所定のセットについての動作命令を保存するように構成されている動作命令保存部24も含む。例えば、動作命令保存部24は、1つもしくは複数のクロマトグラフィ動作、1つもしくは複数の混合動作(流体勾配を提供させる)、および/または1つもしくは複数の濾過動作のための動作命令を保存することができる。
【0050】
制御システム20は、バイオプロセシング動作のセットからバイオプロセシング動作を識別するように構成されると共に、識別されたバイオプロセシング動作のための動作命令を動作命令保存部24から読み出すように構成された制御装置26をさらに含む。制御装置26は、入力インターフェース22によって受け取られた流路キットおよび/または膜弁カセットの識別子に基づいて、バイオプロセシング動作を識別することができる。制御装置26は、追加または代替で、(例えば、バイオプロセシングシステム80のユーザインターフェースを介した)入力インターフェース22への所望のバイオプロセシング動作の手動の入力に基づいて、バイオプロセシング動作を識別してもよい。制御装置26がバイオプロセシング動作を識別すると、制御装置26は、識別されたバイオプロセシング動作のための動作命令を、動作命令保存部24から読み出す。
【0051】
制御システム20は、制御信号を制御装置26から受け取る駆動システム28をさらに含む。具体的には、制御装置26は、読み出された動作命令を読み、動作命令に応じて制御信号を駆動システム28に提供する。駆動システム28は、制御信号を制御装置26から受け取り、複数の線形アクチュエータを使用して複数の弁アクチュエータを作動させる。駆動システムは、制御信号に応じて複数の弁アクチュエータを作動させ、それによって、識別されたバイオプロセシング動作を基礎ユニット60および膜弁カセットに一緒に実施させることができるように、膜弁カセット内に弁構成を提供する。
【0052】
図2Bは、図2Aで示されている制御システムの動作を示す流れ図である。30において、制御システムは入力インターフェースを介して入力を受け取る。制御システムへの入力は、所望のバイオプロセシング動作と共に、基礎ユニット60に取り付けられた膜弁カセットの1つまたは複数の識別子を含み得る。
【0053】
32において、制御システムの制御装置は、受け取られた入力に基づいて、バイオプロセシング動作をバイオプロセシング動作の所定のセットから識別する。バイオプロセシング動作は、膜弁カセットの識別子に基づいて、かつ/または、入力インターフェースを介して受け取られた所望のバイオプロセシング動作に基づいて、識別され得る。
【0054】
34において、制御システムの制御装置は、バイオプロセシング動作の所定のセットのための動作命令を保存する動作命令保存部から、識別されたバイオプロセシング動作のための命令を読み出す。
【0055】
36において、制御システムの制御装置は、動作命令保存部から読み出された動作命令に従って駆動システムを制御するために、信号を駆動システムに出力する。
【0056】
図3は、棒102の配列の形態での複数の弁アクチュエータを備える弁作動ユニット100を示している。先に述べられているように、弁作動ユニット100は、例えば、所定のバイオプロセシング動作のセットを実施するように構成されたバイオプロセシングシステム80の基礎ユニット60に搭載され得る。しかしながら、弁作動ユニット100は、代替で、他の液体取り扱いシステムで実施されてもよい。
【0057】
棒102の配列が弁作動ユニット100の表面104に設けられている。図3に示されている例では、棒102は4×3の配列で提供されている。棒102の配列の各々は、棒102が格納されている第1の位置(格納位置)と、棒102が係合させられる第2の位置(係合位置)との間で移動可能である。係合位置において、棒102は格納位置より表面104から遠くへ突出する。
【0058】
棒102は、複数の線形アクチュエータを備える駆動システム(図3では示されていない)によって駆動され、各々の棒102は、それぞれの線形アクチュエータによって独立して機械的に作動させられる。明確には、棒102の各々は、(図4において最もよく示されているような)対応する線形アクチュエータ132によって、第1の方向に(例えば、第1の位置から第2の位置へ)、および、第2の方向に(例えば、第2の位置から第1の位置へ)、移動させられる。制御装置(図示されていない)が、バイオプロセシング動作のための弁構成が実施されることに応じて、第1の位置と第2の位置との間で棒102の各々の移動を選択的に制御するために、電気制御信号をバイオプロセシングシステム80の制御システムから駆動システムへと提供する。
【0059】
弁作動ユニット100は複数の突起106も備える。各々の突起106は表面104から突出する。図3に示されている例では、6つの突起がある。3つの突起106の第1のグループ108が、棒102の配列の第1の側に配置されている。3つの突起106の第2のグループ110が、第1の側と反対である、配列の第2の側に配置されている。
【0060】
各々の突起106は、その遠位端(つまり、表面104から最も遠い突起106の端)において突出部112を備える。各々の突出部112は、配列を向く突起106の面から突出している。後でさらに説明されているように、突起106は、弁作動ユニット100との取り付けにおいて膜弁カセットを保持するために使用される。明確には、膜弁カセットは、膜弁カセットが取り付けられたときに膜弁カセットの一部分が表面104と突出部112との間で保持された状態で、相対する突起106同士の間のスナップ留め取り付けによって所定位置で保持される。突出部112は、相対する突起106の間への膜弁カセットの挿入を可能にするために斜めにされた表面114を含む。
【0061】
図4は、図3に示されている棒102のうちの1つを貫く縦断面図である。棒102は、表面104における孔122を貫いて延びる、円形の断面のシャフト120を備える。孔122を貫くシャフト120の移動は、駆動システムによってもたらされる。弁作動ユニット100は、1つが図4に示されている複数の封止部分118を備える。各々の封止部分118は表面104から延び、対応するシャフト120を包囲する。封止部分118は、弁作動ユニット100に取り付けられるとき、膜弁カセットを封止する(例えば、IP55等級の封止を提供するために)。封止部分118は、弁作動ユニット100に取り付けられるとき、膜弁カセットを表面104から離すように押すように作用する力を膜弁カセットに加える弾性的に変形可能な材料から形成される。封止部分118によって加えられる力は、膜弁カセットを弁作動ユニット100における所定位置で保持するのを助ける。複数の封止部分118は、膜弁カセットと各々の棒102との間に一定の距離があることを確保もし、それによって、一定の力が各々の弁を閉じるために加えられることを確保する。
【0062】
棒102はシャフト120の端において頭部分124も含む。頭部分124は、シャフト120より小さい直径の首部126によって定められている。
【0063】
頭部分124は、その遠位端(つまり、表面104から突出するシャフト120の端)において第1の丸みのあるまたは斜めにされた縁128を有する。頭部分124は、後でさらに説明されるように、対応する弁インターフェースの受入機構(例えば、空洞)の中に嵌まるように構成されている。第1の丸みのあるまたは斜めにされた縁128は、空洞への頭部分124の挿入の間、頭部分124を弁インターフェースの弾性的に変形可能な環に通過させる。
【0064】
頭部分124が空洞へと完全に挿入されるとき、弾性的に変形可能な環は棒102の対応する部分(例えば、首部126)と係合する。弾性的に変形可能な環と首部126との間の係合は、棒102と弁インターフェースとの間に能動的な係合を提供し、これは、弁インターフェースを一方向に移動させるための押す力と、弁インターフェースを反対方向に移動させるための引っ張る力とを発揮することで、棒102に弁インターフェースを作動させる。
【0065】
空洞からの頭部分124の除去を可能とするために、頭部分124は、頭部分124の遠位端の反対に配置された第2の端において、第2の丸みのあるまたは斜めにされた縁130も含む。第2の丸みのあるまたは斜めにされた縁130は、空洞からの頭部分124の除去の間、弁インターフェースの変形可能な環を戻るように頭部分124を通過させる。
【0066】
棒102が第1の位置にあるとき、棒102の頭部分124が弁インターフェースの空洞の中に挿入され得るように、シャフト120の一部分が孔122から突出する。
【0067】
棒102の移動は線形アクチュエータ132によってもたらされる。線形アクチュエータは、シャフト120と直列に搭載されたバネ134に力を加える。バネ134は、線形アクチュエータ132によって加えられる力を和らげる。弁を閉じるために、力がバネ134を介して線形アクチュエータ132によって加えられる。これは、棒102を、弁を閉じるための係合位置へと作動させる。次いで、弁が膜弁カセットの中を流れる流体の圧力によって開けられないように、追加の閉じる力が線形アクチュエータ132およびバネ134を介して棒102に加えることができる。
【0068】
図5Aおよび図5Bは、弁インターフェース202の配列を備える膜弁カセット200を概略的に示している。図5Aは、膜弁カセット200の下側を示しており、いくつかの孔208を伴う基部206を示している。図5Bは、膜弁カセット200の下側を示しているが、基部206は取り外されている。
【0069】
膜弁カセット200は、バイオプロセシング動作に合わせされたいくつかの異なるカセットで実施され得る一般的な弁インターフェース配置を提供する。例えば、膜弁カセットは、(例えば、図10に示されているような)構成可能な流路カセット、(例えば、図13に示されているような)空気トラップを備える流路空気トラップカセット、圧力感知デバイス(例えば、図14における圧力感知デバイス)との組合せで使用され得る流路圧力監視カセット、または、(例えば、図11および図12に示されているような)システム弁カセットとして、実施され得る。各々の場合で、膜弁カセット200は筐体204を備える。図5Aにおいて最もよく示されているように、筐体204は、いくつかの孔208を含む基部206を有する。各々の弁インターフェース202(図5Bにおいて最もよく示されている)は、孔208のうちの1つに配置される。図5Aおよび図5Bに示されている例では、弁インターフェース202は、図3に示されている棒102の配列と対応するために、4×3の配列で提供されている。
【0070】
図5Aに戻ると、膜弁カセット200の筐体202は、第1の端壁210と、第1の端壁210の反対の第2の端壁212とを備えることが見て取れる。膜弁カセット200は、第1の端壁210における第1の側方ポート214と、第2の端壁212における第2の側方ポート216とを備えてもいる。
【0071】
図6は、図5Aおよび図5Bに示されている弁インターフェース202のうちの1つを貫いての断面図であり、弁インターフェース202と係合している対応する棒102を示している。図6に示されているように、筐体204は、膜弁カセット200の基部206における孔208のそれぞれ1つを介してアクセス可能な室220を備える。室220は、室220の側壁における第1の流体ポート222と、室220の後壁における第2の流体ポート224とを介してアクセス可能でもある。例えば、第1の流体ポート222は流体入口ポートであり得、第2の流体ポート224は流体出口ポートであり得る(逆の構成も可能である)。室220は、第2の流体ポート224と同じ場所に弁座226も備える。
【0072】
弁インターフェース202は、筐体204の中で所定位置に保持される弾性変形可能膜230を備える。弾性変形可能膜230は、筐体204の中のその周囲232に係留された円板形ダイアフラムの形態で提供される。膜230は、膜230の中心に位置付けられた弁体234を備える。弁体234は室220の中で移動可能である。膜230(弁体234を含む)は、約70のショア硬さを有するゴムから形成され得る。
【0073】
弁体234の開口部分236は、それぞれの孔208の中に配置され、そこを通って室220にアクセス可能である。弁体234は、開口部分236を介してアクセス可能な内部空洞238の形態で受入機構を含む。受入機構は、膜弁カセット200が弁作動ユニット100に取り付けられるとき、それぞれの棒102と解放可能に係合するように構成される。開口部分236は、内部空洞238への棒102の頭部分124の挿入を可能にするために、斜めにされた縁240を含む。
【0074】
弁体234は、開口部分236の反対の端において、丸みのある部分242を伴う細長い形を有する。丸みのある部分242は、弁インターフェース202が作動させられるとき(明確には、対応する棒102が第2の位置へと移動させられるとき)、弁座226と係合する。弁体234の丸みのある部分242が弁座226と係合するとき、第1の流体ポート222と第2の流体ポート224との間の流体の流れが防止される。同様に、弁体234の丸みのある部分242が弁座226との係合から外されるとき(例えば、棒102が第2の位置から第1の位置に向けて移動させられるとき)、流体は第1の流体ポート222と第2の流体ポート224との間で流れることができる。
【0075】
弁体234は、空洞238の中に配置される弾性的に変形可能な環244の形態での円形の縁も含む。弾性的に変形可能な環244は空洞238の内部へと延びる。弾性的に変形可能な環244は、棒102の頭部分124を通過させるために、変形するように構成されている。しかしながら、弾性的に変形可能な環244は、頭部分124を第2の位置から第1の位置へと後退させることで、丸みのある部分242を弁座226との接触から引っ張り出せるようにするために、頭部分124の取り外しに対していくらかの抵抗を提供もする。
【0076】
空洞238の内部の端246と弾性的に変形可能な環244との間の距離は、頭部分124を、空洞238の内部の端246と、後壁に相対する柔軟な環244の表面との両方に係合させるために、頭部分124の長さと実質的に同じである。これは、棒102が第1の位置から第2の位置へと移動させられるとき、頭部分124が内部の端246を押すことを意味する。同様に、棒102が第2の位置から第1の位置へと移動させられるとき、頭部分124は、内部の端246と反対の柔軟な環244の表面を引っ張る。
【0077】
弾性的に変形可能な環244は、対応する棒102の対応する部分(例えば、対応する棒102の首部126)と係合し、棒102と弁インターフェース202との間に能動的な係合を提供する。先に記されているように、これは、棒102に、弁インターフェース202を一方向に移動させるための押す力と、弁インターフェース202を反対方向に移動させるための引っ張る力とを発揮することで、弁インターフェース202を作動させることができる。棒102と弁インターフェース202との間の能動的な係合は、弁インターフェース202を第2の位置から引き離すことができる。これは、弁インターフェース202が第2の位置で詰まることになるのを回避することで、弁インターフェース202の信頼性を向上させる。弁インターフェース202を移動させるために引っ張る力を発揮することは、弁インターフェース202の動作の速さを向上させもする。
【0078】
空洞238は、空洞238の内部の端246と弾性的に変形可能な環244との間に定められる内部室248を含む。図6に示されているように、室248の容積は空洞238の容積より実質的に小さい。例えば、室248の容積は空洞238の容積の半分未満であり得る。この容積の室248を使用することで、頭部分124が空洞238へと挿入されるときに空洞の中に捕らえられる空気の量を低減または排除する。
【0079】
別の言い方をすれば、空洞238の内部の端246と弾性的に変形可能な環244との間の距離は、空洞238の内部の端246と斜めにされた縁240との間の距離の半分未満である(別の言い方をすれば、深さが空洞238の内部の端246によって定められる場合、空洞238の深さの半分未満である)。この距離を使用することで、頭部分124が弾性的に変形可能な環244を通じて挿入されるとき、空気が空洞238の中に捕らえられるのを防止する。
【0080】
具体的には、空洞238の中に捕らえられた空気は、棒102を弁座226に対して押すために力を加えることで放出され、これは、空洞238の中の空気を加圧する。加圧された空気は環244を変形させ、これによって空洞238の中から空気を放出し、結果として、空気は棒102の基部に向けて排出されることになる。
【0081】
図7図9は、弁作動ユニット100への膜弁カセット200の取り付けを提供する膜弁カセット200の特徴を示している。図7図9はシステム弁カセットの形態(図11図14を参照してより詳細に記載されている)での膜弁カセットを示しているが、弁作動ユニット100への取り付けを提供する特徴は、具体的には図10Bにおいて見られるように、図10A図10Cを参照して記載されている再構成可能な流路カセット300に組み込まれてもよい。
【0082】
図7は、弁作動ユニット100とスナップ留めしている膜弁カセット200を示している。図8図9において最もよく示されているように、膜弁カセット200は、筐体204の側壁252から延びるL字形の羽根区域254の形態で、一体の取り付け機構を含む。羽根区域254の各々は、(図8において最もよく示されているような)複数の溝区域264を含む。溝区域264は、図7に示されているように、膜弁カセット200を弁作動ユニット100の突起106同士の間にスナップ留めさせることができる。
【0083】
溝区域264は、膜弁カセット200を正しい水平の配向で位置合わせするのを助けもする。これは、膜弁カセット200が、突起106を溝区域264と位置合わせすることで取り付けられるためである。
【0084】
また、膜弁カセット200が表面104に向けて押されるため、各々の棒102の頭部分124は、室248の中に嵌まるために、対応する弁インターフェース202の空洞238へと延び、続いて、弾性的に変形可能な環244を通じて延びる。頭部分124が、柔軟な環244によって室248の中の所定位置で保持されると、棒102は、各々の弁体234の丸みのある部分242を、弁座226と係合させる、および、弁座226との係合から外すために、第1の位置と第2の位置との間で移動させられ得る。
【0085】
膜弁カセット200が表面104に向けて押されるとき、棒102がすべて同じ時に弁インターフェース202と係合することを確実にするために、溝区域264の高さは、表面104と各々の突出部112の基部との間の距離と同じである。
【0086】
羽根区域254同士の間の距離は、人の手のひらの親指の先から小指の先までの距離より小さくてよく、その結果、作業者は、溝区域264を突起106との係合から外すために、筐体204の相対する側における羽根区域254を互いに向けて絞るように自身の手を使えることができ、それによって、膜弁カセット200を弁作動ユニット100から取り外すことができる。例えば、羽根区域同士の間の距離は80mmから150mmの間であり得る。弁作動ユニット100の表面104における突起の第1のグループ108と第2のグループ110との間に、対応する距離があり得る。
【0087】
図8は、各々の羽根区域254が筐体204の側壁252の長さに沿って延びていることを示している。図8は、羽根区域254を弁作動ユニット100の突起106の中にスナップ留めさせる溝区域264も示している。
【0088】
膜弁カセット200の筐体204からの羽根区域254の広がりが図9においてより詳細に示されており、これは、図7および図8に示されている膜弁カセット200を貫く断面である。先に説明されているように、図7図9に示されている膜弁カセット200は、システム弁カセットの形態である。システム弁カセットの空気トラップが図9において見ることができる。空気トラップは、図11図13を参照してより詳細に記載されている。
【0089】
図9は、基部206と、基部206に対して垂直である側壁252とを備える膜弁カセット200の筐体204を示している。各々の側壁252から延びる羽根区域254は、基部206と一体である。羽根区域254および基部206は、膜弁カセット200の濡れる部品ではないため(つまり、流体と接触することがない)、筐体204と異なる材料から形成され得る。筐体204のための適切な材料には、例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン(TPX(RTM)としても知られている)、および環状オレフィンコポリマー(COC)がある。
【0090】
図9において見られるように、各羽根区域254は、基部206と平行である第1の部分256と、側壁252と平行である第2の部分258と、第1の部分256を第2の部分258に繋ぐ湾曲部分260とを備える。
【0091】
湾曲部分260は、羽根区域254を、弾性的に変形可能なヒンジとして機能させる。明確には、圧力が第2の部分258の一方の側に加えられるとき、第2の部分258は湾曲部分260の周りにおいてヒンジで動く。基部206と平行に延びる第1の部分256は、側壁252と第2の部分258との間に隙間262を提供し、第2の部分258を側壁252に向けて内方へ押すことができる。
【0092】
図8において最もよく示されているように、複数の溝区域264は、第2の部分258および湾曲部分260に形成されている。各々の溝区域264において、第2の部分258および湾曲部分260は、縮小した厚さを有し、それによって羽根区域254に溝を形成する。また、第2の部分258の長さ(つまり、第2の部分258が湾曲部分260から延びる距離)は、各々の溝区域264において縮小されている。
【0093】
図8は、各々の羽根区域254の第2の部分258が、溝区域264同士の間で長手方向に延びる隆条部266を含むことも示している。隆条部266は各々の第2の部分258から外方へ突出する。隆条部266は、膜弁カセット200が突起106によって保持されるのを解放するために、作業者に羽根区域254の第2の部分258を内側に押させる。
【0094】
膜弁カセット200を弁作動ユニット100に取り付けるために、溝区域264は突起106と初期に位置合わせされる。膜弁カセット200が表面104に向けて押されるとき、突出部112は、図7に示されているように、溝区域264の端にスナップ留めする前に、羽根区域254の第2の部分258を内方へ押す。
【0095】
棒102の配列と、対応する弁インターフェース202の配列とは、ある範囲の異なる膜弁カセット200を、弁作動ユニット100に取り外し可能に取り付けることができる。これは、同じ標準的なインターフェースを使用して、幅広い様々な異なる流路を実現させることができ、棒102の配列は、各々の膜弁カセット200における導管を通る流体の流れを制御する。結果として、バイオプロセシングシステム80は、ある範囲の異なるバイオプロセシング動作(例えば、クロマトグラフィ、混合、濾過など)を実行するように再構成できる。
【0096】
弁作動ユニット100と使用することができる膜弁カセット200の2つの例が、図10A図10C(構成可能な流路カセット300)および図11(システム弁カセット400)に示されている。しかしながら、追加の流路および構成要素が、同じインターフェースを使用して組み込むことができることは理解されよう。
【0097】
図10Aは、弁作動ユニット100と使用することができる膜弁カセットの第1の例である構成可能な流路カセット300の概略図である。構成可能な流路カセット300は、図10Bにおいて等角図で示されている。構成可能な流路カセット300は、先に記載されている一般的な膜弁カセット200の特徴のすべてを含む。
【0098】
また、構成可能な流路カセット300は、基部206と反対の前壁308に加えて、一般的な膜弁カセット200の筐体204のすべての特徴を含む筐体302を有する。構成可能な流路カセット300は、筐体302の前壁308に配置された複数の流体ポート310をさらに備える。
【0099】
前壁308、基部206、側壁252、第1の端壁210、および第2の端壁212は、一緒になって、筐体302の内部容積を定める。構成可能な流路カセット300は、筐体302の内部容積の中に設けられた複数の導管312を備える。複数の導管312は、流体ポート310を第1の側方ポート214および第2の側方ポート216に接続する。これは、第1の側方ポート214および第2の側方ポート216が、導管312への流体の入口および/または導管312からの流体の出口のために使用されることを意味する。導管312を通る(および、結果としてポート214、216、310を通る)流体流れが、弁作動ユニット100における棒102の配列による弁インターフェース202の作動によって制御される。
【0100】
図10Aに示されている例では、弁インターフェース202は、4×3の配列(つまり、12個の弁インターフェース202がある)の形態で提供されている。また、図10Aの例では10個の流体ポート310がある。10個の流体ポート310の各々を通る流体流れは、対応する弁インターフェース202によって制御される。10個の流体ポート310は、(図10Bにおいて最もよく示されているように)7個のポートの第1のグループ314と3つのポートの第2のグループ316とに分割される。図10Aに戻ると、ポートの第1のグループ314が第1の側方ポート214と選択的な流体連通にあることが見て取れる(ここで、選択的な流体連通は、ポートの第1のグループ314における個々のポート310を通る流れが、対応する弁インターフェース202を使用して制御されることを意味する)。
【0101】
残りの2つの弁インターフェース202(図10Aにおいて弁インターフェース304および306として指示されている)は、ポートの第2のグループ316と第1の側方ポート214との間の流体連通を制御するために、および、ポートの第2のグループ316と第2の側方ポート216との流体連通を制御するために、使用される。明確には、弁インターフェース304は、ポートの第2のグループ316が第1の側方ポート214に選択的に流体接続されるかどうかを制御するために使用される(ここで、選択的に流体接続されるとは、ポートの第2のグループ316が第1の側方ポート214に流体接続される場合であっても、ポートの第2のグループ316における個々のポート310を通じた流れが、対応する弁インターフェース202を使用して選択的に制御されることを意味する)。同様に、弁インターフェース306は、ポートの第2のグループ316が第2の側方ポート216に選択的に流体接続されるかどうかを制御するために使用される。
【0102】
この方法では、構成可能な流路カセット300は、以下の流体連通構成、つまり、(i)ポートの第1のグループ314および第2のグループ316(つまり、すべての10個のポート310)が第1の側方ポート214と選択的な流体連通にあり、どのポートも第2の側方ポート216と流体連通にない流体連通構成、(ii)ポートの第1のグループ314(つまり、7個のポート)が第1の側方ポート214と選択的な流体連通にあり、ポートの第2のグループ316(つまり、3個のポート)が第2の側方ポート216と選択的な流体連通にある流体連通構成、(iii)7個のポートの第1のグループ314が第1の側方ポート214と選択的な流体連通にあり、3個のポートの第2のグループ316が側方ポート214、216のいずれとも選択的な流体連通にない流体連通構成、または(iv)7個のポートの第1のグループ314が第1の側方ポート214と選択的な流体連通にあり、3個のポートの第2のグループ316が両方の側方ポート214、216と選択的な流体連通にある流体連通構成を提供する。
【0103】
一例として、構成可能な流路カセット300は、2つのポンプ、つまり、ポンプAおよびポンプB(図1Bに示されているポンプ84など)への流体の流れを制御するために使用できる。図10Aに戻ると、ポートの第1のグループ314は、第1の側方ポート214に選択的に流体接続されている。第1の側方ポート214はさらに、ポンプAに流体接続される。これは、ポートの第1のグループ314に接続される0個から7個の間の入口が、第1のグループ314の各々に対応する弁インターフェース202を制御することで、ポンプAと流体連通させることができることを意味する。追加の3個のポート(つまり、ポートの第2のグループ316)は、弁インターフェース304を使用してポンプAと流体連通させることができ、0個と10個との間の入口をポンプAと流体連通させることができる。
【0104】
代替で、ポートの第2のグループ316は、第2の側方ポート216に選択的に流体接続されてもよく、これはさらに、弁インターフェース306を使用してポンプBに流体接続される。これは、ポートの第2のグループ316に接続される0個から3個の間の入口が、第2のグループ316の各々に対応する弁インターフェース202を制御することで、ポンプBと流体連通させることができることを意味する。
【0105】
さらなる代替として、ポートの第2のグループ316は、第1の側方ポート214および第2の側方ポート216に選択的に流体接続されてもよく、これは、ポートの第2のグループ316に接続される入口がポンプAおよびポンプBと流体接続され得ることを意味する。この場合、ポンプAとポンプBとの間のポートの第2のグループ316からの流れの分割は、ポンプの速度によって決定されることになる。
【0106】
選択可能な数の入口流れを提供するために構成可能な流路カセット300を使用する上記の例が単なる例であることと、構成可能な流路カセット300が、(例えば、図1Bを参照して先に記載されているような)具体的なプロセスからの流体出口を経路決定するために、または、入口と出口との両方について経路決定するために、代替で使用され得ることとは理解されるであろう。
【0107】
流体出口に経路決定するために構成可能な流路カセット300を使用する例が、図10Cに示されている。図10Cに示されている例において、第1の側方ポート214は、ポートの第1のグループ314と選択的な流体接続にある(図10Cは、第1の側方ポート214と流体接続している出口の第1のグループ314の7個すべてを示している)。また、第2の側方ポート216はポートの第2のグループ316との選択的な流体連通にある。図10Cに示されている例では、ポートの第2のグループ316のうちの2つは弁インターフェース202を使用して栓がされるが(つまり、それらを通る流れがないように)、第3のポートは第2の側方ポート216と流体連通している。この例では、空気トラップからの空気出口は、第2の側方ポート216へと経路決定され、続けて、ポートの第2のグループ316のうちの開いたポートに経路決定される(つまり、図1Bおよび図1Cに示されている例のように経路決定される)。次いで、開いたポートからの空気流は、(例えば、図1Cに示されているように)空気フィルタを通るように経路決定され得る。
【0108】
図11は、バイオプロセシングシステム80と使用することができる膜弁カセットの第2の例であるシステム弁カセット400の概略図である。システム弁カセット400は、先に記載されている一般的な膜弁カセット200の特徴のすべてを含む。また、システム弁カセット400は、一般的な膜弁カセット200の筐体204のすべての特徴を含む筐体402を有する。
【0109】
システム弁カセット400は、それに配置された流体ポートの第1の対408および流体ポートの第2の対410を有する前面404を備える。前面404、基部206、側壁252、第1の端壁210、および第2の端壁212は一緒になって、筐体402の内部容積を定める。図12において最もよく示されているように、流れ処理モジュール400は、筐体402の内部容積の中に提供される複数の導管490も含む。
【0110】
図12は、複数の導管490が、流れ処理モジュール400の以下の流れ構成要素、すなわち、空気トラップ406、ポートの第1の対408、およびポートの第2の対410、を流体接続していることを示している。弁インターフェース202は、これらの構成要素への流体接続を制御する。つまり、弁インターフェース202は、(i)流体が図11に示された空気トラップ406を通って流れ得るか、流体が空気トラップ406を迂回するか、(ii)流体がポートの第1の対408を通って流れ得るか、流体がポートの第1の対408を迂回するか、(iii)流体がポートの第2の対410を通って流れ得るか、流体がポートの第2の対410を迂回するかを制御する。
【0111】
図12は、ポートの第1の対408およびポートの第2の対410の場所を、空気トラップ406への入口426および出口428、ならびに、システム弁カセット400の構成要素を流体的に接続する複数の導管490と共に、概略的に示している。また、図12は、圧力感知デバイス412、伝導性感知デバイス414、および空気検出センサ416の場所を示している。図12は、弁インターフェース202のうちの1つが、廃棄導管492への流体接続を提供するために使用できることも示している。
【0112】
空気トラップ406は、導管490を通じて流れる空気を捕らえるように構成されている。筐体402は、筐体402の中に組み込まれた高さセンサ420、422(図13に示されている)などの2つのセンサも備える。2つの高さセンサ420、422は空気トラップ406の中の流体の高さを監視する。明確には、図13に示されているように、第1の高さセンサ420は、流体の高さが第1の高さ未満に下がってないかどうかを監視し、第2の高さセンサ422は、流体の高さが、第1の高さより高い第2の高さを超えていないかどうかを監視する。流体の高さが第1の高さ未満に下がった場合、空気出口424(図11に示されている)は、空気を空気トラップ406から放出し、それによって流体の高さを増加させるために開けられる。空気出口424は、空気トラップ406から放出される空気を濾過するためにフィルタをさらに備えてもよい。これは、空気トラップ406から解放される空気に存在する物質による周囲空気の汚染を回避する。流体の高さが第2の高さを超える場合、空気出口424は、空気が空気トラップ406から放出されるのを防止するために閉じられる。
【0113】
図12で概略的に示されているように、空気トラップ406は、導管490のうちの1つと流体連通している入口426と、導管490のうちの他の1つと流体連通している出口428とを備えてもいる。
【0114】
図11および図12を参照して先に記載されている例では、空気トラップ406は、バイオプロセシングシステム80で使用されるシステム弁カセット400の一部である。しかしながら、空気トラップ406は、流路空気トラップカセットをバイオプロセシングシステムに提供するために、膜弁カセット200の一般的な構造と併せて実装され得る。流路空気トラップカセットは、1つまたは複数の導管と、図13に示されている空気トラップ406の特徴のすべてを有する空気トラップとを含み得る。そのため、流路空気トラップカセットは、導管のうちの1つまたは複数を通じて流れる流体に存在する空気を捕まえるように構成され得る。流路空気トラップカセットは、図11および図12を参照して記載されているシステム弁カセット400の追加の構成要素のいずれか、および/または、図10A図10Cを参照して記載されている構成可能な流路カセットの構成可能なポートも含み得る。
【0115】
図11を参照すると、ポートの第1の対408は、システム弁カセット400からの出口と、システム弁カセット400へと戻る入口とを含む。ポートの第1の対408の入口および出口は、それ自体を流れる流体から凝集物を除去するように構成されるフィルタ(例えば、粗いフィルタ)に流体接続され得る。図11に示された例では、フィルタはシステム弁カセット400の外部に位置付けられる(つまり、フィルタはシステム弁カセット400の構成要素ではない)。フィルタは、システム弁カセット400を含み、システム弁カセット400とフィルタとを接続するための配管を任意選択で含む流れ取り扱いキットの一部であり得る。
【0116】
ポートの第2の対410も、システム弁カセット400からの出口と、システム弁カセット400へと戻る入口とを含む。ポートの第2の対410の入口および出口は、外部のクロマトグラフィカラム(例えば、図1Aおよび図1Bに示されたクロマトグラフィカラム70)に流体的に接続され得る。クロマトグラフィカラムは、カラムを通じて流れる流体におけるクロマトグラフィプロセス(例えば、液体クロマトグラフィプロセスなどの流体クロマトグラフィプロセス)を実行するように構成される。図11に戻って、弁インターフェース202は、ポートの第2の対410を通る流体の流れを制御することで、カラムを通る流体流れの方向を制御する。例えば、弁インターフェース202は、流体が「上から下へ」の配置でクロマトグラフィカラムを通って流れることができるように制御され得る。上から下へのクロマトグラフィプロセスに続いて、クロマトグラフィカラムは、カラムの中の堆積した生体分子を除去するために洗い流され得る。これは、ポートの第2の対410の入口と出口とを切り替えるために弁インターフェース202を制御し、続いて溶出試薬をカラムに通すことによって、クロマトグラフィカラムの逆噴流を実行することで実現できる。
【0117】
システム弁カセット400は、複数の圧力感知デバイス412を筐体402の前面404に適合させる(図14において最もよく示されているような)中空の突出部436の形態での取り付け機構をさらに備える。図11に戻ると、複数の圧力感知デバイス412は、ポートの第2の対410の出口に接続された導管における流体の圧力を検出するように構成される第1の圧力感知デバイスと、ポートの第2の対410の入口に接続された導管における流体の圧力を検出するように構成される第2の圧力感知デバイスとを含む。これは、クロマトグラフィカラムへの入口における圧力と、クロマトグラフィカラムからの出口における圧力とを測定することができ、それによって、クロマトグラフィカラムの前後での圧力差を測定することができる。特定のクロマトグラフィプロセスは、クロマトグラフィカラムを通るプロセス流れについて具体的な圧力の高さを必要とする。そのため、圧力感知デバイス412を使用してクロマトグラフィカラムの前後の圧力を測定することによって、具体的なプロセスについてクロマトグラフィカラムの前後に十分な圧力があるかどうかを作業者に決定させることができる。
【0118】
複数の圧力感知デバイス412は、第1の側方ポート214に接続される導管における流体の圧力を検出するように構成される第3の圧力感知デバイスも備える。これによってフィルタへの入口における圧力を測定させ、何かがフィルタを塞いでいないかどうか(これは、入口における圧力の増加をもたらすことになる)を作業者に決定させることができる。
【0119】
圧力感知デバイス412の各々は、図14においてより詳細に示されている同じ構成を有している。図14に示されている例では、各々の圧力感知デバイス412は、PendoTECH of Princeton、New Jersey、U.S.から入手可能なPendoTECHの一回限りの使用の圧力センサを含む。圧力センサは、筐体402の前面404に設けられた対応する取り付け機構(例えば、中空の円筒形の突出部436)への圧力感知デバイス412のスナップ留め取り付けを提供する円筒形のケーシング430の中に搭載される。各々の円筒形の突出部436は、外方へ突出するリップ部438を有する。各々のケーシング430は、ケーシング430の内部表面から内方へ延びる複数の突出部432を備える。ケーシング430が円筒形の突出部436へと押されるとき、複数の突出部432は、圧力感知デバイス412と円筒形の突出部436との間にスナップ留め取り付けを提供するために、リップ部438にスナップ留めする。スナップ留め取り付けを容易にするために、リップ部438は、ケーシング430が円筒形の突出部436へと押されるときに突出部432を外方へ押す斜面440を備える。また、ケーシング430は、円筒形の表面において切り欠き434を備え、ケーシング430が円筒形の突出部436へと押されるとき、切り欠き434に隣接する円筒形の表面の一部分が外方へ曲がることを可能にする。
【0120】
圧力感知デバイス412は、ケーシング430の中に配置された略円筒形の支持部442も備える。支持部442は円筒形の突出部436の中に嵌まる大きさとされ、これは、支持部442とケーシング430との間に環状の隙間があることを意味する。2つのOリングシール444が、支持部442の円筒形の表面に配置され、圧力感知デバイス412が円筒形の突出部436の中の所定位置で保持されることを可能にする。
【0121】
感知領域446が、円筒形の支持部442の平坦な端の一部分に配置されている。感知領域446は、円筒形の突出部436の基部452における孔を介してアクセス可能な隣接の導管490における流体の圧力を検出するように構成される。支持部442の円筒形の表面に設けられたOリングシール444に加えて、第3のOリングシール448が円筒形の突出部436の基部452に設けられる。これは、円筒形の支持部442が円筒形の突出部436へと押し込まれるとき、第3のOリングシール448が円筒形の支持部442の平坦な端と接触することを意味する。明確には、第3のOリングシール448は、圧力感知デバイス412が円筒形の突出部436へと押し込まれるとき、円筒形の支持部442の平坦な端における感知領域446を包囲する。第3のOリングシール448は、感知領域446と接触する流体の漏れ(例えば、円筒形の突出部436への流体の漏れ)を防止する。第3のOリングシール448より大きい直径の第4のOリングシール450も、円筒形の突出部436の基部452に設けられている。第4のOリングシール450は、円筒形の支持部442が円筒形の突出部436へと押されるとき、円筒形の支持部442の平坦な端(明確には、円筒形の支持部442の周縁)と接触する。第4のOリングシール450は、圧力感知デバイス412が円筒形の突出部436の中で傾くのを防止するために、圧力感知デバイス412を安定させるのに設けられている。圧力感知デバイス412を安定させることにより、第3のOリングシール448によって提供されるシールが円筒形の突出部436の中での圧力感知デバイス412の傾きによって損なわれないようにする。
【0122】
ケーシング430と円筒形の突出部436との間(明確には、突出部432とリップ部438との間)のスナップ留め取り付けは、結果として第3および第4のOリングシール448、450に圧力を加えることになる。これにより、圧力感知デバイス412を円筒形の突出部436の中で平衡にさせる(つまり、傾かせない)ことが可能になり、シール448、450を通る流体の漏れを防止する。
【0123】
図11および図12を参照して先に記載されている例では、突出部436は、バイオプロセシングシステム80で使用されるシステム弁カセット400の一部である。しかしながら、圧力感知デバイス412を受け入れるための突出部436は、流路圧力監視カセットをバイオプロセシングシステムに提供するために、膜弁カセット200の一般的な構造と併せて実装され得る。流路圧力監視カセットは、1つまたは複数の導管と、図14に示されている突出部436の特徴のすべてを有する1つまたは複数の突出部とを含み得る。そのため、流路圧力監視カセットは、圧力感知デバイス412と係合するように構成される(例えば、突出部436の形態での)取り付け機構を提供するように構成され得る。流路圧力監視カセットおよび圧力感知デバイス412は、流路圧力監視キットの一部を形成することができる。圧力感知デバイス412が取り付け機構と係合させられるとき、シールが圧力感知デバイス412の遠位端において平坦な端と接触することができる。圧力感知デバイス412は、導管のうちの1つまたは複数を通じて流れる流体の圧力を測定するように構成され得る。流路圧力監視カセットは、図11および図12を参照して記載されているシステム弁カセット400の追加の構成要素のいずれか、および/または、図10A図10Cを参照して記載されている構成可能な流路カセットの構成可能なポートも含み得る。
【0124】
図11に戻ると、システム弁カセット400が圧電式空気検出センサ416をさらに含むことが見て取れる。圧電式空気検出センサ416は、システム弁カセット400の導管490のうちの1つまたは複数の中の空気の存在を検出するように構成される。
【0125】
システム弁カセット400は、複数の伝導性感知デバイス414(例えば、図11に示されているような2つの伝導性感知デバイス414)をシステム弁カセット400に嵌め込むことを可能にする中空の突出部(図17に示されている)をさらに備える。伝導性感知デバイス414のうちの第1のものは、第1の側方ポート214と流体連通している導管490を通じて流れる流体における塩濃度を検出するように構成され、伝導性感知デバイス414のうちの第2のものは、第2の側方ポート216と流体連通している導管490を通じて流れる流体における塩濃度を検出するように構成される。各々の伝導性感知デバイス414の構造は図15においてさらに詳細に示されている。
【0126】
図15に示されているように、伝導性感知デバイス414は、伝導性センサ460と、伝導性センサ460が搭載されるセンサ保持体480と、封止部分462と、スナップ留めナット464の形態でのケーシングとを備える。伝導性感知デバイス414の構成要素は、図15において分解図で示されており、組み立てられた伝導性感知デバイス414は図16に示されている。封止部分462は、熱可塑性エラストマなどのエラストマ材料から形成される。図15に戻ると、封止部分462が、第1の端470(つまり、封止部分462の遠位端)において平坦な面468(図16に示されている)を伴う略円筒形の部分466を有することが見て取れる。面468は、スリット472の形態での開口を含む。スリット472は、伝導性センサ460がスリット472を通じて押されるとき、伝導性センサ460に締り嵌めを提供する大きさとされている。図15に戻って、第1の端470は、面468の周りに円形の斜めにされた縁474をさらに備える。封止部分は、第1の端470の反対の第2の端478において開口476を有する。開口476は、スリット470より大きく、伝導性センサ460が搭載されるセンサ保持体480を受け入れるように構成されている。センサ保持体480は、ケーブルコネクタ(図示されていない)のための取り付け点を提供する。
【0127】
スナップ留めナット464は、封止部分462の略円筒形の部分466に嵌まるように構成される円筒形の筐体482を備える。スナップ留めナット464(またはケーシング)は、円筒形の筐体482の一端に位置付けられたフランジ488から延びる対応する指部486から径方向内方へ各々が突出する複数の歯484の形態での取り付け手段をさらに備える。歯484は、(図17に示されているように)システム弁カセット400の筐体402の前面404に設けられた円筒形の突出部へのスナップ留めナット464のスナップ留め取り付けを提供し、円筒形の突出部は、スナップ留めナット464が円筒形の突出部へと押されるときに歯484がスナップ留めする外方に延びるリップ部を有する。スナップ留めナット464が取り付けられる円筒形の突出部は、圧力感知デバイス412が取り付けられる円筒形の突出部と構造が同様である。
【0128】
図17に示されているように、システム弁カセット400は、複数の伝導性感知デバイス414を筐体402の前面404に嵌めさせることができる中空の円筒形の突出部494を備える。各々の円筒形の突出部494は、外方へ突出するリップ部を備える。複数の歯484は、伝導性感知デバイス414と円筒形の突出部494との間にスナップ留め取り付けを提供するために、円筒形の突出部のリップ部にスナップ留めする。環状の斜めの表面496が、円筒形の突出部494の基部において円筒形の突出部494の中に設けられている。環状の斜めの表面496は、力を伝導性感知デバイス414の円形の斜めにされた縁474に加え、その力は、伝導性センサ460に加えられるように、封止部分462によって伝えられる。封止部分462によって伝導性センサ460に加えられる力は、封止部分462が伝導性センサ460の周りにシールを形成することを意味する。
【0129】
図18は、伝導性感知デバイスを製造する方法の流れ図である。方法は、500において、伝導性センサ460を封止部分462における開口へと挿入することを含む。明確には、伝導性センサ460は、エラストマ材料から形成された封止部分462の略円筒形の部分466の第1の端470における面468に設けられたスリット472へと挿入される。スリット472は締り嵌めを伝導性センサ460に提供する。
【0130】
502において、方法は、伝導性感知デバイスをバイオプロセシングシステムに(例えば、バイオプロセシングシステムとの使用のために構成されたシステム弁カセット400などの膜弁カセットに)取り付けるように構成されたケーシングへと封止部分462を挿入することをさらに含む。明確には、封止部分462の略円筒形の部分466は、スナップ留めナット464の形態でのケーシングの円筒形の筐体482へと挿入される。スナップ留めナット464は、バイオプロセシングシステムに(例えば、システム弁カセット400の筐体402への円筒形の突出部に)スナップ留めナット464のスナップ留め取り付けを提供する複数の歯484の形態で取り付け手段を含む。
【0131】
504において、方法は、開口内で伝導性センサ460の周りにシールを形成するために、圧力を封止部分462に加えることをさらに含む。明確には、圧力は、スリット470の中に位置決めされた伝導性センサ460に圧力を加えるために、封止部分462の面468の周りの斜めにされた縁474に適用され得る。圧力は、バイオプロセシングシステムへの(例えば、システム弁カセット400の筐体402における円筒形の突出部494への)スナップ留めナット464のスナップ留め取り付けによって適用され得る。スナップ留め取り付けは、例えば(i)スナップ留めナット464の筐体482の一端に位置付けられるフランジ488から延びるそれぞれの指部486から径方向内方に突出する複数の歯484と、(ii)円筒形の突出部494における外方に延びるリップ部とによって提供され得る。
【0132】
図19は、本開示の様々な例によるバイオプロセシングシステムを再構成するための方法1000を示している。このような方法1000は、バイオプロセシングシステムと使用される制御システム(例えば、図2Aに示されている制御システム20)によって実施され得る。
【0133】
方法1000は、バイオプロセシングシステム80における第1の流路キット96を、前記第1の流路キット96と関連付けられるものと異なるバイオプロセシング動作を実施するための第2の流路キット96と置き換える第1のステップ1010を含む。例えば、第1の流路キット96は、その後にクロマトグラフィ分離プロセスで使用されるように意図されている様々な流体成分の混合動作を提供するために使用され得る。次いで、第2の流路キット96は、混合した流体成分を使用してクロマトグラフィ動作を実施するために使用されてもよい。
【0134】
方法1000およびその第1のステップ1010は、膜弁カセットの嵌め合いおよび構成を含み得る(および、基礎ユニット60内の膜弁カセットおよび/または弁作動ユニットの構成または配向における変更をさらに含み得る)。
【0135】
方法1000は、第2の流路キット96の型式および/または種類を特定する第2のステップ1020を含む。このステップ1020は、基礎ユニット60の画面にグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提供することを含み得る。このような画面は、タッチセンサ式であってもよく、使用者に第2の流路キット96の種類および/または型式を特定させることができる。このような特定によって、第2の流路キット96内に適切な流体流れ制御を提供して所望のバイオプロセシング動作を達成するために、基礎ユニット60にその中の制御システムをプログラムさせて特に弁アクチュエータ(例えば、棒102)を制御させることができる。
【0136】
手動の特定が可能であるが、好ましい実装形態では、膜弁カセットの自動の特定が提供される。このような膜弁カセットは、バイオプロセシングシステム80における使用のために提供されるとき、自動的に特定され得る。したがって、膜弁カセット、または流路キット96の任意の他の一部には、例えば一意識別子(UID)を符号化する無線周波数識別(RFID)タグ、2Dバーコード、近距離無線通信タグ、光学的に読み取り可能なタグなどが提供され得る。したがって、基礎ユニット60(例えば、弁作動ユニット100、その膜弁カセットの各々)は、例えば、膜弁カセットが使用のために設置されるとき、膜弁カセットからUIDを読み取るように構成され得る。
【0137】
基礎ユニット60は通信ネットワークに接続され得る。例えば、基礎ユニット60を、安全な遠隔でホストされた中央データベースに接続する安全なインターネットリンクが提供されてもよい。したがって、中央データベースにおける記録が、販売/提供される各々の基礎ユニット60および/または各々の流路キットについて作り出されてもよい。これらの記録は、具体的な基礎ユニット60に提供された具体的な流路キット96が、基礎ユニット60と適合するかどうか、純正部品であるかどうか、既に使用されているかどうか(ひいては、偽造されている可能性がないかどうか)、正しく滅菌されたかどうか、製品リコールを受けているかどうか、期限を過ぎていないかどうかなどを特定するために使用できる。したがって、基礎ユニット60との特定の流路キット96の使用は、例えば、汚染された生物製品が作成されるのを防止するように、適宜禁止されてもよい。
【0138】
様々な実施形態において、基礎ユニット60は、基礎ユニット60自体、および/または基礎ユニット60と使用される任意の流路キットについて、データ分析を行わせて診断などを提供することができるように、プロセスデータおよび/または制御システムデータを中央データベースに提供してもよい。基礎ユニット60での障害が報告される可能性もあり、例えば、それによって保守人員に警告することができる。
【0139】
方法1000は、第2の流路キット96の型式/種類の特定情報に基づいてバイオプロセシングシステム80を再構成する第3のステップ1030も含む。例えば、制御ユニットを構成するために提供されるソフトウェア構成要素が、例えば、流路キット動作パラメータを、第1の流路キットと関連付けられるパラメータから、第2の流路キットと関連付けられるパラメータへと、UIDに応じて自動的に変更するようにプログラムされてもよい。このようなパラメータは、1つまたは複数の弁作動ユニット100に設けられた複数の弁アクチュエータ102の各々を動作させるためのタイミング順序を含み得る。このようなパラメータは、特定の種類のバイオプロセシング動作(例えば、液体クロマトグラフィ動作)ためのプロセスパラメータを任意選択で定め得るが、第1の流路キットと第2の流路キットとの間で変化可能である。
【0140】
図20は、弁作動ユニット2100と、弁作動ユニット2100に結合された膜弁カセット2200とを含む、本発明によるシステム2000の実施形態の部分断面図である。
【0141】
システム2000は、膜弁カセット2200における様々な膜がその中の異なる深さ/動作高さで提供される点において、先の実施形態と異なる。したがって、膜弁カセット2200における流体の複雑な三次元(3D)経路決定が、様々な実施形態によって(例えば、任意選択で様々な角度なしの管を使用して、その中の様々な異なる深さの同一平面高さを通じて定められる流体経路決定路を提供することで)可能とされる。したがって、流路の最適な経路決定が、膜弁カセット2200における圧力低下を低減するなどのために、提供され得る。このような膜弁カセットは、一体にレーザ溶接されるなど、複数の層から形成されてもよい。
【0142】
また、膜/弁インターフェースは、膜弁カセット2200において異なる深さに設けられ得るため、膜弁カセット2200の平面状の外側表面から投影して見たとき、効果的に重ねられ得る。したがって、これによって、よりコンパクトな膜弁カセット2200(例えば、より小さい全体の外側表面積を有する)を提供することができる。
【0143】
図20に示されている設計では、弁作動ユニット2100は、3つの棒2102a、2102b、2102cの配列が設けられている。これらは、それぞれのバネ2134を含むそれぞれの線形アクチュエータによって駆動される。棒2102aおよび2102cを駆動する2つの最も外側の線形アクチュエータは、第3の線形アクチュエータ(図示されていない)より弁作動ユニット2100の外側搭載面のより近くに設けられる。この方法では、最も中央の棒2102bは、弁作動ユニット2100のコンパクトな設計も提供されるように、最も外側の線形アクチュエータ2102a、2102cの間を通る。したがって、線形アクチュエータが弁作動ユニットの中に2つ以上の層で提供されてもよい。
【0144】
棒2102a、2102b、2102cの配列は、実質的に同じ距離で弁作動ユニット2100の外側搭載面から突出する2つ(2102a、2102c)を有する。第3の棒2102bは、より大きな距離で弁作動ユニット2100の外側搭載面から突出する。
【0145】
しかしながら、様々な代替の実施形態において、実質的に同じ距離で弁作動ユニットの外側搭載面からすべてが突出する棒(例えば、3つ以上)の配列が提供されることが想定される。その場合、膜弁カセットは、(例えば、その中の部材または弁インターフェースにあらかじめ結合される延長ピンなどを提供することで)このような配列へのインターフェースに適合されてもよい。代替または追加で、1つまたは複数の中間アクチュエータ深さアダプタ(図示されていない)が、膜弁カセットとの使用のために(または、膜弁カセットの一部として)提供されてもよい。このような中間アクチュエータ深さアダプタは、例えば、膜弁カセットと弁作動ユニットの外側搭載面との間に提供され得る。このような配置であれば、再構成可能なバイオプロセシングシステムには標準的なアクチュエータ配列が設けられ得るが、異なる消費可能な(例えば、一回限りの使用の)膜弁カセットが顧客の要求に応じて使用されてもよい。
【0146】
様々な代替の実施形態が、膜弁カセットの2つの側方などにおけるアクチュエータの提供を含み得る。これらは、任意選択で、膜弁カセットへの相互作用のためのL字形の座部などの提供、および/または、1つもしくは複数の可動性/再位置決め可能なアクチュエータブロックの提供を含み得る。
【0147】
様々な実施形態において、アクチュエータまたはその一部(例えば、棒)は、弁作動ユニットの外側搭載面における様々なパターンに応じて提供されてもよい。このようなパターンは、長方形/正方形でない配列の形(例えば、五点形、千鳥状、六角形、三角形など)を含む場合、設計/レイアウトにおいてさらによりコンパクトに作ることもできる。
【0148】
(例えば、膜弁カセットの中に)追加の構成要素および/または機能の一体化が提供され得る本開示の様々な例が提供されてもよい。例えば、流体および/もしくは非流体パラメータの感知、搭載された消耗品部品の特定、ならびに/または指示器/表示特徴部などが提供され得る。例えば、LED、LCD、および/または電子インク表示装置が、膜弁カセットに組み込まれてもよく、状態、膜弁多岐管に関する情報、弁位置、システムパラメータ、流体流れ、および/または感知特徴部などを明らかにする/表示するために使用され得る。このような追加の構成要素および/または機能性は、自動的に作動させられ得る。
【0149】
したがって、本発明の様々な態様および実施形態は、柔軟であるだけでなく、使用および構成するのが容易である再構成可能なバイオプロセシングシステムを提供する。したがって、このような再構成可能なバイオプロセシングシステムは、熟練した/専門の/特殊化した作業者への必要性を低減することができるだけでなく、より素早くより確実に使用および再構成することができる。
【0150】
本明細書に記載されているシステムおよび方法への変形または変更が、以下の段落において述べられている。
【0151】
上記の例では、構成可能な流路カセット300およびシステム弁カセット400の形態での特定の膜弁カセット200が記載されている。他の膜弁カセット200が、いくつかの異なる構成可能な流路およびバイオプロセシング動作を提供するために、先に記載されている弁作動ユニット100と使用することもできることは理解されよう。先に記載されている構成可能な流路カセット300およびシステム弁カセット400は、例としてのみ提供されている。
【0152】
弁作動ユニット100と使用することができる他の膜弁カセットは、より少ない弁インターフェース202を含む可能性がある。例えば、ブランキングプレートが弁インターフェースの代わりに設けられてもよい。代替で、筐体は、より少ない弁インターフェース202を伴う膜弁カセットが弁作動ユニット100に嵌められるとき、棒102が位置付けられる空所を含み得る。したがって、このような例では、膜弁カセットにおける弁インターフェース202の数は、弁作動ユニット100における棒102の数と異なる可能性がある。
【0153】
他の例では、より小さい大きさとされた膜弁カセットが弁作動ユニット100で使用されてもよい。例えば、弁作動ユニット100は、6個または9個の弁インターフェースがより短い長さの筐体の中に組み込まれている膜弁カセットと使用されてもよい。これは、より小さい大きさとされた膜弁カセットを、(6個の代わりに)弁作動システム100における突起106のうちの4個に適合させることで実現され得る。
【0154】
上記の例における棒102および弁インターフェース202は3×4の配列(つまり、12個の棒102および弁インターフェース202)で提供されているが、異なる数および/または構成の棒および/または弁インターフェースが代替の例で提供されてもよい。例えば、棒および/または弁インターフェースは、4×4の配列、3×3の配列、もしくは2×2の配列などの正方形の配列、または長方形の配列で提供されてもよい。さらなる例では、棒および/または弁インターフェースは、五点形のパターンを備える棒および/または弁インターフェースの配置など、代替の構成で提供されてもよい。
【0155】
五点形のパターンを備える配置は、膜弁カセットに設けられた多岐管を通る流体流れを制御するために実施され得る。例えば、このような配置は、反対の位置に置かれて横方向に延びる導管の2つの対に接続された中央の導管を備える多岐管を通じて流体流れを制御することができ、反対の位置に置かれて横方向に延びる導管の第1の対は、中央導管の中心軸に沿って、反対の位置に置かれて横方向に延びる導管の第2の対に対して離間され、反対の位置に置かれて横方向に延びる導管の第1の対と、反対の位置に置かれて横方向に延びる導管の第2の対とは、互いに対して略平行である。五点形のパターンの周辺における棒は、横方向に延びる導管の各々に設けられた弁インターフェースを作動させるために使用でき、五点形のパターンの中央における棒は、中央導管に設けられた弁インターフェースを作動させるために使用でき、それによって、多岐管を通る流体流れを制御することができる。五点形のパターンで実施される弁アクチュエータは、T字形区域など、代替の多岐管を通る流体流れを制御するためにも使用され得る。
【0156】
様々な実施形態において、様々な流体導管配向をその中に提供することを可能にする、アクチュエータのレイアウトパターン、および/または膜弁カセットを伴う1つもしくは複数の多岐管/導管/通路が、提供され得る。任意選択で、膜弁カセットは、膜弁カセットが使用中に接続される対応するアクチュエータ板に設けられるアクチュエータより少ない膜弁/弁インターフェースをその中に含んでもよい。これにより、さらにより多くの再構成能力の選択肢が有効になる。例えば、水平に対して様々な角度(例えば、10度超、20度超、45度超、90度、約5度から約45度または約40度まで、約10度から約45度または約40度まで、約20度から約45度または約40度まで、約30度から約45度または約40度まで、約5度から約30度まで、約10度から約30度まで、約20度から約30度までなど)で配向された少なくとも1つの多岐管/導管/通路を有する様々な実施形態が提供され得る。様々な実施形態は、膜弁を介して一体に接続される複数のこのような多岐管/導管/通路を含み得る。
【0157】
対応する棒102が空洞238へと挿入されるときに空洞238からの空気の放出を助長するために、溝が空洞238の側壁に設けられてもよい。例えば、棒102の頭部分124が挿入されるのに通る弾性的に変形可能な環244に溝が設けられてもよい。他の例として、棒102自体が、代替または追加で、空気の通路を可能とするための溝を含んでもよい。例えば、溝は、棒102の頭部分124に設けられてもよい。
【0158】
上記の例では、構成可能な流路カセット300とシステム弁カセット400とは異なる機能性を有するとして説明されている。代替の実装形態では、構成可能な流路カセット300とシステム弁カセット400との両方の機能性を有する共通の膜弁カセットが実装されてもよい。これは、弁インターフェース202の2つ以上の層を実装することで実現できる。例えば、構成可能な流路カセット300の機能性が、共通の膜弁カセットの第1の層に設けることができ、システム弁カセット400の機能性が、共通の膜弁カセットの第2の層に設けることができる。機能性が複数の層で提供される場合、棒は、各々の棒が第2の位置におけるよりも表面104からさらに遠くへ突出する第3の位置へと作動可能であり得る。代替で、棒は、第1の位置および第2の位置における棒の長さを調整できるようにするネジ機構に搭載されてもよい。
【0159】
棒102は、弁インターフェース202の第1のポート222および第2のポート224を通る流体の流れを規制することで、1つまたは複数の導管を通じて増加した圧力で流体を提供するように制御可能でもあり得る。これは、ポート222、224の一方において規制を提供するために、第1の位置と第2の位置との間にある位置へと棒102を駆動することで実現できる。
【0160】
流路キット96は、特定の流路構成要素を含むとして先に記載されているが、一般的な流路キットは、任意選択で流路キット96の追加の流路構成要素(つまり、ポンプ、空気フィルタ、pH/UVセンサデバイス、および/または、構成要素を接続するための配管)のいずれかを含め、先に記載されている膜弁カセットのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0161】
「1つ(a、an)」という単数形の用語は、「唯一」を意味すると解釈されるべきではない。むしろ、単数形の用語は、別段の記載がない限り、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。「備える(comprising)」という言葉、ならびに「comprises」および「comprise」を含むその派生語は、述べられた特徴の各々を含むが、1つまたは複数のさらなる特徴を含めることを排除しない。
【0162】
上記の実施は例としてのみ説明されており、記載されている実装形態は、すべての点において、例示としてのみ見なされるべきであり、限定として見なされるべきではない。記載されている実装形態の変形が、本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることは理解されよう。記載されていないが、添付の特許請求の範囲内にある多くの変形があることも明らかであろう。
【符号の説明】
【0163】
60 基礎ユニット
62 筐体
64 凹所
66 角
68 基部
70 クロマトグラフィカラム
20 制御システム
22 入力インターフェース
24 動作命令保存部
26 制御装置
28 駆動システム
80 再構成可能なバイオプロセシングシステム、バイオプロセシングシステム
82 入口
84 ポンプ
86 T字区域
88 出口
94 pH/UVセンサデバイス
96 流路キット
98 空気フィルタ
100 弁作動ユニット
102 棒、弁アクチュエータ
104 表面
106 突起
108 突起106の第1のグループ
110 突起106の第2のグループ
112 突出部
114 斜めにされた表面
118 封止部分
120 シャフト
122 孔
124 頭部分
126 首部
128 第1の丸みのあるまたは斜めにされた縁
130 第2の丸みのあるまたは斜めにされた縁
132 線形アクチュエータ
134 バネ
200 膜弁カセット
202 弁インターフェース
204 筐体
206 基部
208 孔
210 第1の端壁
212 第2の端壁
214 第1の側方ポート
216 第2の側方ポート
220 室
222 第1の流体ポート
224 第2の流体ポート
226 弁座
230 弾性変形可能膜
232 周囲
234 弁体
236 開口部分
238 内部空洞
240 斜めにされた縁
242 丸みのある部分
244 弾性的に変形可能な環
246 内部の端
248 内部室
252 側壁
254 羽根区域
256 第1の部分
258 第2の部分
260 湾曲部分
262 隙間
264 溝区域
266 隆条部
300 再構成可能な流路カセット、構成可能な流路カセット
300a 第1の構成可能な流路カセット
300b 第2の構成可能な流路カセット
302 筐体
304、306 弁インターフェース
308 前壁
310 流体ポート
312 導管
314 ポートの第1のグループ
316 ポートの第2のグループ
400 システム弁カセット、流れ処理モジュール
402 筐体
404 前面
406 空気トラップ
408 流体ポートの第1の対
410 流体ポートの第2の対
412 圧力送りデバイス、圧力感知デバイス
414 伝導性感知デバイス
416 空気検出センサ
420 第1の高さセンサ
422 第2の高さセンサ
424 空気出口
426 入口
428 出口
430 ケーシング
432 突出部
434 切り欠き
436 円筒形の突出部
438 リップ部
440 斜面
442 円筒形の支持部
444 Oリングシール
446 感知領域
448 第3のOリングシール
450 第4のOリングシール
452 基部
460 伝導性センサ
462 封止部分
464 スナップ留めナット
466 略円筒形の部分
468 平坦な面
470 第1の端
472 スリット
474 円形の斜めにされた縁
476 開口
478 第2の端
480 センサ保持体
482 円筒形の筐体
484 歯
486 指部
488 フランジ
490 導管
492 廃棄導管
494 円筒形の突出部
496 環状の斜めの表面
2000 システム
2100 弁作動ユニット
2102a、2102b、2102c 棒、線形アクチュエータ
2134 バネ
2200 膜弁カセット
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】