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特表2024-519291大型セラミックシートを製造するための波形グリーンシートならびに関連する方法および使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】大型セラミックシートを製造するための波形グリーンシートならびに関連する方法および使用
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20240501BHJP
   H01M 8/124 20160101ALI20240501BHJP
   C04B 35/622 20060101ALI20240501BHJP
   C04B 35/486 20060101ALI20240501BHJP
   F27D 7/06 20060101ALI20240501BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20240501BHJP
【FI】
B28B1/30 101
H01M8/124
C04B35/622
C04B35/486
F27D7/06 C
H01M8/12 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565859
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2022061236
(87)【国際公開番号】W WO2022229273
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】21170635.3
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521441755
【氏名又は名称】ダインエレクトロ エーピーエス
【住所又は居所原語表記】Syvvejen 10,Hal 3 4130 Viby Sjaelland Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】ホイゴー イェンセン セーレン
(72)【発明者】
【氏名】リック スミツハイセン アネ
(72)【発明者】
【氏名】ロン フランスン ヘンレク
(72)【発明者】
【氏名】スディレディ バスカー レディ
(72)【発明者】
【氏名】エグスカード ピーダスン トマス
【テーマコード(参考)】
4G052
4K063
5H126
【Fターム(参考)】
4G052DA02
4G052DB05
4G052DC06
4K063AA07
4K063AA15
4K063BA04
4K063BA16
4K063CA03
4K063DA06
4K063DA07
4K063DA34
5H126AA06
5H126BB06
5H126FF04
5H126GG12
5H126HH01
5H126JJ02
5H126JJ03
(57)【要約】
本発明は、表面の第1の方向および表面の第2の方向の両方に沿って配置された交互の山と谷を有する波状面を含む未焼結グリーンシートまたはテープであって、第2の方向が第1の方向に対して60°~120°の角度を形成し、第1の方向の波形周期および/または波形振幅が第2の方向のものとは異なる、未焼結グリーンシートまたはテープに関する。本発明は、例えば、固体酸化物セル中で使用するセラミック電解質層として、フィルタもしくは膜用途のためのセラミックシートとして、または焼結基板もしくはセッターとしての、高信頼性の大型セラミックシート材料の調製を可能にする。加えて、焼結セラミックシートおよび電解質、調製方法、ならびに未焼結グリーンシートまたはテープを使用する固体酸化物セル(SOC)を記載する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の第1の方向および表面の第2の方向の両方に沿って配置された交互の山と谷を有する波状面を含む、セラミックシート材料を調製するための未焼結グリーンシートまたはテープであって、第2の方向が、第1の方向に対して60°から120°の間の角度を形成し、
第1の方向の波形周期および/または波形振幅が、第2の方向のものとは異なる、未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項2】
第2の方向の波形周期が、第1の方向の波形周期より大きく、
第2の方向の波形周期と第1の方向の波形周期との比が、好ましくは少なくとも2:1、より好ましくは少なくとも2:1から40:1、さらに好ましくは少なくとも2.2:1、さらにより好ましくは2.2:1から30:1の間、特に好ましくは2.5:1から20:1の間、例えば3:1から12:1の間である、
請求項1に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項3】
第2の方向の波形振幅が、第1の方向の波形振幅より大きく、
第2の方向の波形振幅と第1の方向の波形振幅との比が、好ましくは少なくとも1.5:1、より好ましくは少なくとも1.8:1、さらに好ましくは少なくとも2:1、特に好ましくは2:1から100:1の間、例えば2:1から10:1の間である、
請求項1または2に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項4】
第2の方向の波形振幅が、5mm以上、好ましくは7mm以上であり、および/または
第1の方向の波形振幅が、5mm未満、好ましくは3mm未満である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項5】
グリーンシートまたはテープの厚さが、実質的に一定であり、好ましくは10μmから1cmの範囲、さらに好ましくは30μmから0.7cm、特に好ましくは50μmから0.5cmの範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項6】
波状面が、未焼結グリーンシートまたはテープの全表面に及ぶ、請求項1から5のいずれか一項に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項7】
グリーンシートまたはテープが、ジルコニア、ジルコン酸塩、アルミナ、アルミン酸塩、チタニア、チタン酸塩、シリカ、ケイ酸塩、希土類金属および/もしくはそれらの酸化物、アルカリ金属および/もしくはそれらの酸化物、アルカリ土類金属および/もしくはそれらの酸化物、スチール、ステンレス鋼、アルミナイド、金属間化合物、アルミニウムおよびその合金、金属の第一、第二および第三遷移系列、それらの酸化物、ホウ化物、窒化物、炭化物、ケイ化物、ならびに/またはこれらの組合せから選択される1つまたは複数と、
焼結助剤、分散剤、結合剤、可塑剤、硬化剤、合体剤および溶媒のうちの1つまたは複数から選択される任意選択の添加剤と
を含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項8】
表面の第1の方向および表面の第2の方向の両方に沿って配置された交互の山と谷が、両方とも正弦波様形状を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項9】
a1)非波形の未焼結グリーンシートまたはテープを準備する工程と、
a2)未焼結グリーンシートまたはテープを波形加工して、未焼結グリーンシートまたはテープの表面の第1の方向に沿って配置される交互の山と谷を設ける工程と、
a3)未焼結グリーンシートまたはテープを波形加工して、未焼結グリーンシートまたはテープの表面の第2の方向に沿って配置される交互の山と谷を設ける工程と
を含む、請求項1から8に記載の未焼結グリーンシートまたはテープを製造するための方法であって、
波形の未焼結グリーンシートまたはテープを生成するために、工程a2)およびa3)が、ロール・ツー・ロール法で、または工程a1)で準備した未焼結グリーンシートを、波形を含む1つまたは複数の既製基板の表面と一致させることによって実施される、方法。
【請求項10】
a)請求項9に記載の未焼結グリーンシートまたはテープを準備する工程と、
b)未焼結グリーンシートまたはテープを、任意選択により還元または酸化雰囲気下で、焼結工程に供する工程と
を含む、セラミックシート材料を製造する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法によって得られるセラミックシート材料。
【請求項12】
セラミックシート材料の面積が、50cm2以上、好ましくは200cm2以上、より好ましくは300cm2以上、例えば2000cm2以上であり、ならびに/または
セラミックシート材料が、第2の方向の波形振幅が200μm以下、好ましくは100μm未満、特に好ましくは50μm未満であり、および/もしくは第1の方向の波形振幅が100μm以下、好ましくは50μm未満、より好ましくは25μm未満である、波形プロファイルを有する、
請求項11に記載のセラミックシート材料。
【請求項13】
請求項11または12に記載のセラミックシート材料を含む、電解質シート。
【請求項14】
電解質シート、多層固体酸化物セル、セラミックフィルタまたはセラミック膜の調製のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の未焼結グリーンシートまたはテープの使用。
【請求項15】
請求項13に記載の電解質シート、電解質シートの一方の側に配置されたカソード層、および電解質シートの他方の側に配置されたアノード層を含む、固体酸化物セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、固体酸化物セル中で使用するセラミック電解質層として、フィルタまたは膜の用途におけるセラミックシートとして、または焼結基板もしくはセッターとして使用することができる高信頼性の大型セラミックシート材料の調製を可能にする、波状面を含む未焼結グリーンシートまたはテープに関する。
【0002】
加えて、本発明は、前記グリーンシートまたはテープから得られる焼結セラミックシートおよび電解質シート、ならびにそれらを含む固体酸化物セルに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、固体酸化物セル(SOC)技術は、持続可能なエネルギー源の開発および探査の間に関心を集めてきた。
【0004】
例えば、固体酸化物燃料電池(SOFC)、固体酸化物再生燃料電池(SORFC)および固体酸化物電解セル(SOEC)を含み得る固体酸化物セルは、2つの電極、すなわち、燃料電極と酸素電極の間に挟まれた、固体酸化物をベースとする高密度電解質を含む。これらの構成要素の構成は、具体的には、電気およびイオン伝導率、反応性、安定性ならびに機械的強度に基づいて選択される。電極は、構造全体にわたってガス拡散を可能にし、同時に十分なイオンおよび電気伝導率を示すように多孔質でなければならないが、固体電解質は、高いイオン伝導率、低い電気伝導率および気密特性によって特徴付けられる。SOCの効率的かつ大規模な操作のために、所望の電圧および電力出力を達成するための多数の単セルが直列および並列に配置された、いわゆるスタックが構築される。典型的には、カソードおよびアノード電極層を支持する実質的に平坦な電極が、スタック設計を含めた、いくつかの異なったSOC構成における使用のために提案されており、ここで、各平坦電極/電解質サブユニットは、骨組み多様体構造に接合され、該骨組み多様体構造によって末端支持されている。
【0005】
経済面の下、材料費、特にスタック中の各反復ユニットに含まれるインターコネクタ(IC)、フレームおよびシーラント材に関連するものが、SOCスタックの製造および操作における経費の大部分を占める。したがって、電極および電解質層のサイズを拡大することによってSOCの占有面積を増加し、したがって1kW当たりの合計スタック費用を低減することが望ましいと考えられる。
【0006】
しかしながら、セル寸法の拡大は、特に電解質シートまたは層に対して困難である。
【0007】
例としては、セラミック材料粉末、結合剤および分散媒を含有するスラリーを調製する工程、(例えば、ドクターブレード、カレンダーまたは押出法によって)スラリーをシートに成形する工程、成形シートを乾燥し、揮発を通して分散媒を除去することによってグリーンシートを得る工程、グリーンシートを所定の形状にパンチングする工程、および焼結してセラミック電解質シートを生成する工程を含むプロセスによってセラミック電解質シートを調製することが知られている。あるいは、グリーン電解質シートを、1つまたは複数の電極層を含む多層構造中にスタックした後に焼結する(例えば、EP1930974A1参照)。しかしながら、焼結中、平坦グリーンシートは、実質的な収縮(典型的には、100%の元のサイズに対して、約70%~90%の長さおよび約40%~80%の面積)を経て、中心部の膨らみおよび端部カールを形成する傾向があり、これは、図1に示すように、典型的には端部の中心に向かって振幅が増加し、上図は、膨らみ形成面積を例示し、下の線グラフは、セルの端部を例示する。この効果は、推定上、グリーンシートの基板への接着に基づき(該基板上で焼結される)、セル面積が大きいほどより顕著である。端部の膨らみおよびバリは、得られたセラミックシートに実質的に残り、セルの欠陥、最悪の場合、特にスタック構成中の圧力下でのセラミックセルの亀裂につながる恐れがある。その上、焼結中のグリーンシート表面内の有機結合剤の不均一な分解および放散速度が、ムラのある収縮につながり、さらに欠陥および破損の一因となり得る。加えて、シート面積が増加するにつれ端部カールが大きくなる傾向があるため、焼結シートは、許容される平坦度を示すサイズに切断しなければならないことが多く、これが全体的に不良のプロセス収率をもたらし得る。
【0008】
波形は、SOECセルのセラミックシートにおける機械的強度を改善し、面内応力を低減することができる。この文脈では、US2006/0003213A1およびEP1113518A1は、例えば、卵トレイ型波形を提案している。US2004/0265663A1およびUS2007/0273070A1は、薄い厚さで機械的安定性を改善するために、焼結前にグリーンシートをエンボス加工することによって形成される刻み目を含む電解質シートを開示している。しかしながら、焼結時の大型セラミックシートの端部の膨らみ形成を回避する問題は、全く対処されてきていない。US6,620,637Aは、シート形態の焼結ジルコニア体を調製する方法であって、少なくとも1つのおもりを前記グリーンシート上に置いて負荷を与えながら、ジルコニアのグリーンシートを焼成する工程を含む、方法を開示している。US6,001,761Aは、理論密度の30~85%に相当するかさ密度を有する多孔質シート間のグリーンシートの仮焼を含むセラミックシートを製造する方法であって、前記グリーンシートの仮焼温度まで加熱することによって引き起こされる収縮率が、グリーンシートの周囲が多孔質シートから突出しない条件で、5%以下である、方法を開示している。しかしながら、これらの方法で得られる平坦度は、特に大型シートにおいて、依然として改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、焼結に供したとき、大型寸法で製造した場合でも、その周囲に実質的な膨らみおよび/またはバリがないセラミックシートが得られる、したがって、SOCセルの占有面積を増加し、セルスタック中に亀裂が形成する危険性なくスタック費用を抑えることを可能にする、グリーンシートまたはテープを提供することが依然として望まれている。
【0010】
その上、高収率で安価かつ簡易な大型セラミックシートの製造を可能にする方法を提供することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、本明細書で定義される請求項の主題により、これらの目的を解決する。本発明のさらなる利点を、以下の項でさらに詳細に説明していく。
【0012】
一態様において、本発明は、セラミックシート材料を調製するための未焼結グリーンシートまたはテープであって、表面の第1の方向および表面の第2の方向の両方に沿って配置された交互の山と谷を有する波状面を含み、第2の方向が、第1の方向に対して60°~120°の角度を形成し、第1の方向の波形周期および/または波形振幅が、第2の方向のものとは異なる、未焼結グリーンシートまたはテープに関する。
【0013】
別の態様では、本発明は、前述の未焼結グリーンシートまたはテープを製造する方法であって、a1)非波形の未焼結グリーンシートまたはテープを準備する工程と、a2)未焼結グリーンシートまたはテープを波形加工して、未焼結グリーンシートまたはテープの表面の第1の方向に沿って配置された交互の山と谷を設ける工程と、a3)未焼結グリーンシートまたはテープを波形加工して、未焼結グリーンシートまたはテープの表面の第2の方向に沿って配置された交互の山と谷を設ける工程とを含み、波形の未焼結グリーンシートまたはテープを生成するために、工程a2)およびa3)が、ロール・ツー・ロール法で、または工程a1)で準備した未焼結グリーンシートを、波形を含む1つまたは複数の既製基板の表面と一致させることによって実施される、方法に関する。
【0014】
追加の態様において、本発明は、セラミックシート材料を製造する方法であって、a)前述の方法にしたがって未焼結グリーンシートまたはテープを準備する工程と、b)未焼結グリーンシートまたはテープを焼結工程に供する工程とを含む、方法に関する。
【0015】
さらなる態様において、本発明は、前述の方法にしたがって製造されるセラミックシート材料、前記セラミックシート材料を含む電解質シート、および前記電解質シートを含む固体酸化物セルに関する。
【0016】
追加の態様において、本発明は、電解質シートの調製のための前述の未焼結グリーンシートまたはテープの使用に関する。
【0017】
本発明の未焼結グリーンシートまたはテープの好ましい実施形態および他の態様を、以下の説明および特許請求の範囲に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】面積の拡大に伴うセラミックシートの膨隆および端部のカール形成を例示する(上:上図、下:端部プロファイルの側面図)。
図2】シートと焼結物質との間の接触点の移動がない、焼結工程中の波形による収縮補正の原理を例示する。
図3】正弦波プロファイルを有する、本発明による例示的な波形グリーンシートを示す。
図4】第1の方向と第2の方向との間の角度が90°から逸脱する、本発明による例示的な波形グリーンシートを示す(正弦波の形態の面内の稜および溝)。
図5】ローラー機構が、グリーンシートの表面と第1の波形板の表面とを一致させる、本発明の例示的な方法の第1の工程を例示する。
図6】ローラー機構が、グリーンシートの表面と第2の波形板の表面とを一致させる、本発明の例示的な方法の第2の工程を例示する。
図7】第1の方向の波形を生成するために使用される第1の3-D印刷波形板の写真である。
図8】第1および第2の方向の波形を生成するために使用される第2の3-D印刷波形板の写真である。
図9】比較例1で得た焼結シートの写真である。
図10】比較例1で得た焼結シートの写真である。
図11】実施例2で得た焼結シートの写真である。
図12】実施例3で得た焼結シートの写真である。
図13】実施例2および3のプロフィロメトリー測定の結果を示すグラフである。
図14】プロフィロメトリー測定によって決定された比較例2の表面構造を示す(上図)。
図15図14に示す断面に沿ったプロファイルを示す。
図16】プロフィロメトリー測定によって決定された比較例2の表面構造の3D図を例示する。
図17】プロフィロメトリー測定によって決定された実施例3の表面構造を示す(上図)。
図18図17に示す断面に沿ったプロファイルを示す。
図19】プロフィロメトリー測定によって決定された実施例3の表面構造の3D図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明をより完全に理解するために、ここで、以下のその例示的実施形態の説明を参照されたい。
【0020】
未焼結グリーンシートおよびテープ
第1の実施形態において、本発明は、セラミックシート材料の調製のための未焼結グリーンシートまたはテープであって、表面の第1の方向および表面の第2の方向の両方に沿って配置された交互の山と谷を有する波状面を含み、第2の方向が第1の方向に対して60°から120°の間の角度を形成し、第1の方向の波形周期および/または波形振幅が第2の方向のものとは異なる、未焼結グリーンシートまたはテープに関する。
【0021】
有利には、グリーンシートの事前波形加工により、シートと基板の間の接点の移動およびグリーンシートと基板の間の接着を最小限にしながら、焼結プロセス中にシートを平坦にできることが発見されている。この効果の簡易な二次元の説明図を図2に例示する。その結果、大きな寸法で製造した場合でも、側端部に実質的な膨らみおよび/またはバリのない好都合に平坦なセラミックシートを得ることができる。これに応じて、セル中の引張応力をもたらす支持体による摩擦を引き起こす、焼結プロセス中の水平収縮が相殺され、大型電解質さえも端部の膨隆が回避されうる。
【0022】
第1の方向(y軸)の波形周期および波形振幅の両方が、第2の方向(x軸)のものとは異なる(またはそれらより大きい)、例示的な波状面を図3に例示する。一般に、第1および第2の方向は両方ともx/y面内にあり、一方でz軸はグリーンシートの厚さ方向を表す。「第1の方向に対して60°から120°の間の角度を形成する第2の方向」という表現は、本明細書では、x/y面内の第1の方向と第2の方向との間の角度を指す。前記角度は、グリーンシートまたはテープの全表面にわたって一定である必要はなく、x/y面内の所与の範囲内で、例えば曲線の形態で変動しうる。例えば、図4に例示されるように、稜および溝が、x/y面内に、正弦波の形態で配置されてもよい。図4に示すもののような面内の波は、焼結体における直線を回避するために使用することができ、有利には熱化学的および/または熱機械的応力の低下に貢献することができ、したがって焼結体の靭性を改善する。他の好ましい実施形態において、第1の方向と第2の方向との間の角度は、70°~110°、より好ましくは80°~100°、さらに好ましくは85°~95°を範囲とし、特に好ましくは約90°である。
【0023】
第2の方向の波形周期が第1の方向の波形周期より大きい場合、焼結時の改善された平坦化の観点から、第2の方向の波形周期と第1の方向の波形周期との比が、好ましくは少なくとも2:1、より好ましくは2:1~40:1、さらに好ましくは少なくとも2.2:1、さらにより好ましくは2.2:1~30:1、特に好ましくは2.5:1~20:1、例えば3:1~12:1であることが好ましい。「周期」という表現は、本明細書では、波形プロファイルの隣接の山と隣接の谷との間の距離を示す。
【0024】
さらに好ましい実施形態では、第2の方向の波形周期は、25mm以上、好ましくは30mm以上であり、および/または第1の方向の波形周期は、25mm未満、好ましくは20mm未満である。
【0025】
第1および第2の方向の波形プロファイルは特に限定されず、独立して、対称周期波(例えば、正弦波、方形波、三角波、もしくはこれらの組合せ)および/または非対称周期波(例えば、鋸歯状プロファイル)を含む。正弦波プロファイルの使用が、両方向の波形にとって特に好ましい。
【0026】
第2の方向の波形振幅が第1の方向の波形振幅より大きい場合、第2の方向の波形振幅と第1の方向の波形振幅との比が少なくとも1.5:1、より好ましくは少なくとも1.8:1、さらに好ましくは少なくとも2:1、特に好ましくは2:1から100:1の間、例えば2:1から10:1の間であるとき、さらに改善された平坦化が達成される。「振幅」という表現は、本明細書では、山と基線との間で測定されたピーク振幅(すなわち、シートプロファイルの合計深さの半分)を示すと理解される。
【0027】
さらに好ましい実施形態において、第2の方向の波形振幅は、5mm以上、好ましくは7mm以上であり、および/または第1の方向の波形振幅は、5mm未満、好ましくは3mm未満である。
【0028】
平面状収縮と焼結収縮との間の特に好都合な適合は、第1の方向の波形周期および波形振幅の両方が、第2の方向のものと異なり、好ましくは、さらに上記の範囲を満たす場合に達成されうる。波形パターンの平面状収縮は、好ましくは5%超、例えば6%以上であり、より好ましくは8%から40%の間、特に好ましくは15%から38%、例えば20%から37%の間で調整される。
【0029】
未焼結グリーンシートまたはテープの厚さ(すなわち、材料厚)は、好ましくは、刻み目なしで理想的に平坦かつ均一なセラミックシートを得るために、実質的に一定である。さらに好ましい実施形態において、厚さは、例えば、10μmから1cm、さらに好ましくは30μmから0.7cm、特に好ましくは50μmから0.5cm、例えば70から220μmの範囲である。
【0030】
波形パターンは、必ずしも未焼結グリーンシートまたはテープの全表面にわたって付与されるわけではなく、例えば、面積の60%、70%、80%または90%のみしか占めないこともあるが、本発明の利点は、全表面に上記の波形パターンが及ぶときに最も顕著である。
【0031】
一般に、表現「グリーン」は、本明細書では、未焼結かつ不焼成の材料を説明する。好ましい実施形態において、本発明によるセラミックシート材料の調製用のグリーンシートまたはテープは、シートまたはテープの形態で供給された後、800℃以上、600℃以上、または400℃以上の熱処理に供されなかった。
【0032】
グリーン材料の焼結がセラミックシート材料を生成する限り、グリーンシートまたはテープの組成は特に限定されない。好ましい実施形態において、グリーンシートまたはテープは、ジルコニア、ジルコン酸塩、アルミナ、アルミン酸塩、チタニア、チタン酸塩、シリカ、ケイ酸塩、希土類金属および/またはそれらの酸化物、アルカリ金属および/またはそれらの酸化物、アルカリ土類金属および/またはそれらの酸化物、スチール、ステンレス鋼、アルミナイド、金属間化合物、アルミニウムおよびその合金、金属の第一、第二および第三遷移系列、それらの酸化物、ホウ化物、窒化物、炭化物、ケイ化物、ならびに/またはこれらの組合せから選択される1種または複数のプレセラミック材料を原料粉末の形態で含む。さらに好ましい実施形態において、グリーンシートまたはテープは、ジルコニア(例えば、単斜晶系ジルコニア(ZrO2)など)、希土類金属(例えば、イットリウム、セリウム、サマリウム、スカンジウムもしくはガドリニウム)および/またはそれらの酸化物(例えば、Y23など)のうちの1つまたは複数をプレセラミック材料として含む。昇温での酸素空孔の好都合な移動度ならびに還元および酸化の両方の雰囲気における優れた安定性を有する具体例として、イットリウム安定化ジルコニア(例えば、3YSZ、8YSZ)、スカンジウム-セリウム安定化ジルコニア(例えば、6Sc1CeSZ、10Sc1CeSZ)、およびイットリウム-スカンジウム安定化ジルコニア(YScSZ)を挙げることができ、その中でも、高品質の原料の費用および入手しやすさの観点から、イットリウム安定化ジルコニアが特に好ましい。とりわけ好ましいのは、2~10mol%の酸化イットリウムで安定化された、それぞれ正方および/または立方構造を有する酸化ジルコニウムである。要望に応じて、セラミックシートは、当業者に公知の特定の強靱化剤(例えば、タンタルおよびニオブの酸化物など)を選択することによってより強靱にすることができる。
【0033】
特に、未焼結グリーンシートまたはテープは、2つ以上の層を有する多層構造を有してもよく、ただし異なる層の材料は、焼結時の接着および収縮挙動に対して十分に適合する。そのような構成において、少なくとも1つの、しかし必ずしも全てではない副層が、プレセラミック材料を含むことが必要とされる。言い換えると、焼結時に1つの副層がセラミック層を形成すれば十分である。
【0034】
グリーンシートまたはテープの調製方法に応じて、焼結助剤、分散剤(例えば、高分子分散剤、例えばポリビニルピロリドン、ブタジエンと無水マレイン酸とのコポリマー、およびこれらのアンモニウム塩)、合体剤、結合剤、可塑剤(グリコール、例えば、プロピレングリコールおよびグリコールエーテルなど)、硬化剤、消泡剤および溶媒(例えば、有機溶媒)のうちの1つまたは複数から選択される任意選択の添加剤も典型的には含まれる。
【0035】
本発明において使用される結合剤の種類に特に限定はなく、公知の有機結合剤を、適宜、選択して使用することができる。有機結合剤の例としては、エチレンコポリマー、スチレンコポリマー、アクリレートまたはメタクリレートコポリマー、酢酸ビニルコポリマー、マレイン酸コポリマー、ビニルブチラール樹脂、ビニルアセタール樹脂、ビニルホルマール樹脂、ビニルアルコール樹脂、ワックス、およびセルロース、例えばエチルセルロースが挙げられる。これらの有機結合剤は、単独で使用してもよく、または必要に応じて、それらの2種類以上の適切な組合せで使用してもよい。使用する原料粉末と結合剤との比は、100質量部の原料粉末に対して、好ましくは5から30質量部、より好ましくは10から20質量部の範囲の結合剤であってもよく、これは、グリーンシートの十分な強度および可撓性を確保し、同時に、スラリーの粘度調整を促進する。
【0036】
グリーンシートまたはテープの製造において使用される溶媒は、適宜、当業者によって選択してよく、とりわけ、水;メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、および1-ヘキサノールなどのアルコール;アセトンおよび2-ブタノンなどのケトン;ペンタン、ヘキサン、およびブタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、および酢酸ブチルなどの酢酸エステルなどを挙げることができる。これらの溶媒は、単独で使用してもよく、またはそれらの2種類以上の適切な組合せを使用してもよい。溶媒の量は、適宜、グリーン材料の所望の粘度に応じて当業者によって調整されうる。
【0037】
波形グリーンシートまたはテープの製造方法
第2の実施形態において、本発明は、第1の実施形態による未焼結グリーンシートまたはテープを製造する方法であって、a1)非波形の未焼結グリーンシートまたはテープを準備する工程と、a2)未焼結グリーンシートまたはテープを波形加工して、未焼結グリーンシートまたはテープの表面の第1の方向に沿って配置される交互の山と谷を設ける工程と、a3)未焼結グリーンシートまたはテープを波形加工して、未焼結グリーンシートまたはテープの表面の第2の方向に沿って配置される交互の山と谷を設ける工程とを含み、ここで、波形の未焼結グリーンシートまたはテープを生成するために、工程a2)およびa3)がロール・ツー・ロール法で、または工程a1)で準備した未焼結グリーンシートを、波形を含む1つまたは複数の既製基板の表面と一致させることによって実施される、方法に関する。有利には、前記方法は、所望の波形特性および薄い厚さを有する大型グリーンシートまたはテープの迅速で連続的かつ安価の製造を可能にする。
【0038】
工程a1)に関して、シートまたはテープの形態の非波形の可撓性グリーン材料のさまざまな調製方法が、当該技術分野において公知である(例えば、US4,710,227A、EP0302972A1およびEP0317676)。一般に、これらは特に限定されず、適宜、本発明による波形加工に供する基板を生成するように採用されうる。一例として、グリーンシートまたはテープは、1種または複数のプレセラミック材料ならびに第1の実施形態の説明による焼結助剤、分散剤、合体剤、結合剤、可塑剤、硬化剤および溶媒のうちの1つまたは複数から選択される任意選択の添加剤を含むスラリーから調製されうる。その結果、テープキャスティング、ドクターブレード法、カレンダー法、押出法などを含むがこれらに限定されない方法によってシート形状のスラリーを生成することができる。任意選択により、後者の工程に後続して乾燥工程があってもよい。
【0039】
その後、第1の実施形態に関して説明した波形プロファイルが、工程a2)およびa3)で設けられるが、これは、好ましくは、可能な限り少ない引き伸ばしまたは絞りを要し、それによって、得られる波形シート全体にわたって実質的に均一な材料厚さが可能になる方法によって得られる。工程a2)およびa3)の順序は入れ替え可能であり、工程a2)およびa3)はまた、同時に行ってもよいことに留意されたい。しかしながら、波形加工時のテープまたはシート中の変形を最小限にするためには、二段階手法が好ましいことが多い。
【0040】
上述したように、工程a2)およびa3)は、ロール・ツー・ロール法で実施してもよい。例としては、キャストグリーンシートまたはテープをロール間に通すことができ、ここで、これらのロールのうちの少なくとも1つは、グリーンシートまたはテープを曲げて、その表面の第1の方向に沿って配置される交互の山と谷を設けるようにパターン化および構成されていてもよい。グリーンシート表面の第2の方向に沿って配置される山と谷は、さらなるロールセット間にシートまたはテープを通すことによって設けることができる。
【0041】
あるいは、工程a2)およびa3)は、波形の未焼結グリーンシートまたはテープを生成するために、工程a1)で得た未焼結グリーンシートを、波形を含む1つまたは複数の既製基板の表面と一致させることによって実施してもよい。好ましい実施形態において、1つまたは複数の既製基板は、例えば、3-D印刷法によって予め組み立てることができる波形板である。有利には、未焼結グリーンシートを、第1の方向に沿ったパターンによる交互の山と谷を含む第1の波形板の表面(比較的小さい周期および/または振幅を有する波形プロファイル)と一致させ、後続して、未焼結グリーンシートを、第1および第2の方向の両方に沿ったパターンによる交互の山と谷を含む第2の波形板の表面(完全波形パターン)と一致させることによって、望ましくない塑性変形の低減が達成される。グリーンシートの表面は、好ましくは、ロール機構を介して既製基板の表面と一致される。方法の一例を図5(第1の波形板)および図6(第2の波形板)に例示するが、ここで、最終の波形加工工程において、第1の方向の波形と一致させるようにロールをパターン化する(図6参照)。したがって、グリーンシートの望ましくない引き伸ばしまたは絞りおよび局所的薄化を回避することができる。これに応じて、所望の波形プロファイルを有する高品質グリーンシートまたはテープを、簡易かつ安価で得ることができる。
【0042】
実施形態において、工程a2)およびa3)を昇温(例えば、40℃から120℃の間、または50℃から85℃の間)で実施して、波形加工プロセス中にグリーンテープまたはシートの可撓性を強化することができ、したがってロールおよび/または波形板への追従性の改善を可能にする。
【0043】
セラミックシート材料およびSOC電解質シートの製造方法
第3の実施形態において、本発明は、a)第2の実施形態による未焼結グリーンシートまたはテープを準備する工程と、b)未焼結グリーンシートまたはテープを焼結工程に供する工程とを含む、セラミックシート材料を製造する方法に関する。この方法は、焼結すると通常観察される膨らみおよびカールした端部が形成されることのない大型セラミックシートの製造を可能にする。さらに、そのような欠陥および関連するスクラップが低減されるため、製造収率が実質的に改善されうる。
【0044】
一般に、工程b)における焼結条件は、とりわけ、未焼結グリーンシートの組成および構成ならびにセラミックシートの所望の特性によって決まるであろう。しかしながら、セラミックシートをSOC電解質として使用することが意図される場合、焼結プロセスの継続時間は、好ましくは、当業者によって、電解質の全体の電気伝導率および気密性と相関する、十分な緻密化度(理論密度の%)を達成するように適切に選択される。この態様において、気密性電解質の要件を満たすためには、目的緻密化度は95%以上であるべきであり、セラミックシートの有孔率は5%未満であるべきである。
【0045】
しかしながら、一般に、不活性、酸化または還元雰囲気下、好ましくは酸化または還元雰囲気下、約1時間以上、好ましくは少なくとも3時間、より好ましくは6時間から20時間の間、特に好ましくは8時間から16時間の間の継続時間の間、800℃超、より好ましくは1000℃超、さらに好ましくは1100℃から1900℃、特に好ましくは1250℃から1850℃の温度で焼結を実施することが好ましい。
【0046】
焼結中、シートまたはテープは、好ましくは、焼結基板の幅方向の側方運動を減少するために拘束してもよい。この目的のために、シートまたはテープの各角部分、および好ましくは1つまたは複数の端部分におもりを置いてもよい。組み合わせてまたは別法で、平板(好ましくは、多孔質セラミック板、例えばアルミナ、ムライト/アルミナ、ジルコニア、コージエライトまたはマグネシアなどをベースとする多孔質セラミック板)を、波状面に損傷を与えることなくシートの上面に置くことが好ましく、これにより側方運動が好都合に低減され、平坦度の改善をもたらす。
【0047】
必要に応じて、グリーンシートまたはテープ中の有機結合剤および揮発性成分を除去するために、実際の焼結に先立って脱結合剤工程を実施してもよい。この目的のために、別に予熱工程(例えば、約300℃~500℃で約30分~300分)を予め行ってもよく、または脱結合剤を確実にするために焼結温度プラトーに向かうランプ加熱速度を適切に調整してもよい。限定されないが、典型的なランプ加熱速度は、1℃/hから150℃/hの範囲である。
【0048】
セラミックシート材料
第4の実施形態において、本発明は、第3の実施形態にしたがって製造されたセラミックシート材料に関する。
【0049】
「セラミックシート材料」という表現は、本明細書では、2つ以上の副層を含み、ただし少なくとも1つの副層がセラミック層である多層シートまたは複合膜を包含すると理解される。例としては、セラミック副層は、異なる組成または構造を含む副層と組み合わせてもよい。
【0050】
上で説明したように、セラミックシート材料は、大型で製造される場合、好都合な平坦度を示す。したがって、好ましい実施形態において、セラミックシート材料の面積は、50cm2以上、好ましくは100cm2以上、より好ましくは150cm2以上、例えば160cm2以上、200cm2以上、300cm2以上、500cm2以上、1000cm2以上、1500cm2以上、または2000cm2以上である。
【0051】
典型的には、セラミックシート材料は、焼結プロセス中に平坦化されるが、本発明にしたがって得られたセラミックシート材料の表面は、第1の方向および第2の方向の波形周期が焼結する前のものにほぼ相当する(上記の第1の実施形態と併せて定義される)が、波形振幅は比較的小さい、残留波形構造を有する表面を示す。これに応じて、好都合な平坦度を示すが、本発明のセラミックシート材料の表面は、典型的には、第1の方向および第2の方向の両方の残留うねりプロファイル(表面の粗さを越えて伸長する)が認識できる微細構造を示す。
【0052】
特徴的なことには、本発明の焼結シート中の残留波形は、従来の焼結シートに観察された中心部分での不規則な膨らみまたは端部に集中したカール形成の存在とは対照的に、全表面にわたって本質的に規則的な構造を有する。加えて、グリーンシートに対するx/y面内の第1の方向と第2の方向との間の角度は、好ましくは60°~120°、より好ましくは70°~110°、さらに好ましくは80°~100°、さらにより好ましくは85°~95°の範囲であり、特に好ましくは約90°である。
【0053】
特に、セラミックシートの表面形状は、当該技術分野において公知のプロフィロメトリー法によって分析することができる。具体的には、表面粗さおよびうねり(すなわち、波形から得られた)を区別するために、セラミックシートの表面形状をプロフィロメーターでトレースして、フィルタされていない測定プロファイルを得ることができ、次いでこれを、最初に電子ローパスフィルタによってフィルタして一次プロファイルを得た後、ISO11562/ISO16610-21にしたがってさらにフィルタして、独立したうねりおよび粗さプロファイルを生成する。うねりと粗さとの間の境界を決定するための変数λc(すなわち、プロファイルフィルタのカットオフ波長)は、当業者によって、谷の間隔または粗さの予想値に応じて適切に選択することができ、典型的には0.5~7μmの範囲、例えば5μmである。多孔質表面構造または明白な表面不純物の場合、一次プロファイルを適切に狭帯域フィルタリングに供した後に、(例えば、VDA2007/ISO4288にしたがって)うねりプロファイルを引き出してもよい。
【0054】
うねりプロファイルに基づいて、以下に概説するように、焼結シート中の残留波形を分析することができる。
【0055】
一般に、第1の方向または第2の方向のいずれかの残留波(焼結後)の周期は、焼結前に(グリーンシート中に)存在していた周期および焼結時の焼結収縮と、以下の関係式:
周期(焼結後)≧周期(焼結前)×(100%-焼結収縮[%])
にしたがって相関する。
【0056】
本明細書で定義する「焼結収縮」は、推定される材料依存性収縮率に相当し、未焼結グリーンシートを、セラミックシートの調製を想定した処理による加熱および冷却サイクルに供し、当業者に公知の方法(例えば、膨張計測)によって収縮率を決定することによって、予め決定することができる。所望の緻密化度を得る観点から、焼結セラミックシートを製造する方法における工程b)の焼結条件を調整して、例えば、5%超、例えば6%以上、より好ましくは8%から50%の間、特に好ましくは15%から38%の間、例えば20%から37%の焼結収縮をもたらす。
【0057】
焼結シートにおいて、第2の方向の波形周期と第1の方向の波形周期との比は、好ましくは少なくとも2:1、より好ましくは2:1から40:1の間、さらに好ましくは少なくとも2.2:1、さらにより好ましくは2.2:1から30:1の間、特に好ましくは2.5:1から20:1の間、例えば3:1から12:1の間である。
【0058】
焼結シートの好ましい実施形態において、第2の方向の波形周期は、23mm以上、好ましくは28mm以上であってもよく、および/または第1の方向の波形周期は、23mm未満、好ましくは18mm未満である。
【0059】
残留波形の振幅は、特に限定されず、焼結中の処理条件(例えば、平面状収縮、温度および圧力条件)によって決まりうる。この点において、焼結後の第2の方向の波形振幅は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm未満、特に好ましくは50μm未満である。好ましくは、焼結後の第2の方向の波形振幅は、0.5μm以上、例えば1μm以上、2μm以上または5μm以上である。別法で、または組み合わせて、焼結後の第1の方向の波形振幅は、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm未満、特に好ましくは25μm未満である。加えて、焼結後の第1の方向の波形振幅は、0.1μm以上、例えば0.5μm以上、1μm以上または2μm以上である。
【0060】
セラミックシート材料は、好ましくは、60μm未満、より好ましくは40μm以下、特に好ましくは0.01~20μm、例えば0.1~10μmの表面粗さRaを有し、ここでRaはISO4287:1997にしたがって測定される。
【0061】
本発明によるセラミックシート材料は、これらに限定されないが、化学的および材料加工、誘電体および電気絶縁、または鋳造および金属加工を含めた多数の用途において使用されうる。好ましくは、セラミックシート材料は、電気化学装置(例えば、SOC)、光電池(例えば、薄膜太陽電池中の障壁層として)、電子装置、セラミックフィルタ、セラミック膜、センサ(例えば、基板シート、保護シートまたは膜として)、セッター、キルンファーニチャー、焼結基板、または摩耗保護パッドの組み立てにおいて使用される。
【0062】
SOC電解質シート
第5の実施形態において、本発明は、第4の実施形態によるセラミックシート材料を含む電解質シートに関する。
【0063】
実施形態において、電解質シートは、種々の組成を有するが、上記の第4の実施形態による多層セラミックシート材料の配列を含む多層構成を有しうる。
【0064】
電解質シートは、実質的に無孔(すなわち、実質的には孤立気孔なし、有孔率は5%未満、好ましくは3%未満、より好ましくは1%未満)の物体である。
【0065】
固体酸化物セル(SOC)
第6の実施形態において、本発明は、上記の第5の実施形態による電解質シートを含む固体酸化物セルに関する。
【0066】
本明細書に記載の固体酸化物セル(SOC)は、電流の方向に応じて、固体酸化物電解セル(SOEC)または固体酸化物燃料電池(SOFC)のいずれかとして使用することができる電気化学装置を含みうる。固体酸化物セルは、可逆的操作が可能でありうる。セルを組み合わせてスタックを形成して、全体の出力を増加してもよい。
【0067】
固体酸化物セル(SOC)構成は、電解質シートの一方の側に配置されたカソード層と、電解質シートの他方の側に配置されたアノード層とを含む。その他では、SOCの特定の設計は特に限定されず、分割された直列セル設計、モノリシック設計、および平板設計を挙げることができる。波形電解質シートは、例えば、電解質支持型、アノードもしくはカソード支持型、対称電極支持型の固体酸化物燃料電池および/または多層テープキャスティングされたセル中で利用されうる。
【0068】
例示的なSOCは、例えば、燃料電極、電解質層および障壁層(例えば、CGO(セリウム-ガドリニウム酸化物)層)のテープキャスティングによって調製されうる。これは、半セル全体の共焼結に先立って、多層テープキャスティングによって、またはテープキャスティングを介した後に層を積層することのいずれかによって行うことができる。
【0069】
さらに、当該技術分野において公知の追加の構成要素(インターコネクタ、フレーム、およびシーラント材を含む)を使用してSOCを組み立ててもよい。インターコネクタに関しては、セルの両側部の大部分は、典型的には、ガスチャネルおよびシーラント材のために割り当てられている。フレームのサイズおよびガラスシーラントの量は、典型的には、インターコネクタの面積から引かれたセルの面積にほぼ比例する。辺長を延長することによって、余分な電解質および電極材料、ならびにインターコネクタ、終板およびフレーミングに使用される材料の量、ならびにガラスシーラントの量、ならびにそれらに関連する費用を減らすことができる。本発明は、SOCの亀裂に対する耐性および信頼性を損なうことなく、セルの辺長および作用面積(すなわち、50cm2以上、好ましくは100cm2以上、より好ましくは150cm2以上、例えば160cm2以上、200cm2以上、300cm2以上、500cm2以上、1000cm2以上、1500cm2以上、または2000cm2以上の固体電解質面積まで)の増加を可能にする。
【0070】
そのようなスケールアップしたセル寸法を含む大型スタックを操作するとき、WO2020/201485A1で開示されているように、セルスタック内部で温度勾配の望ましくない増加が観察されることがあるが、これは、積算ジュール熱発生量を前記セル内部の積算反応熱消費量と突き合わせることによって部分負荷でのほぼ熱的中性の操作が可能になるように、1つまたは複数の電圧または電流変動をSOCに与えることによって打ち消すことができる。
【0071】
第1から第6の実施形態の好ましいフィーチャは、フィーチャの少なくとも一部が互いに矛盾する組合せを除いて、任意の組合せで自由に組み合わせることができると理解されよう。
【実施例
【0072】
固体電解質シートの調製
固体電解質シートを、以下に記載する方法にしたがって、波形グリーンシートをベースにして調製した。
【0073】
実施例1~3のそれぞれで、市販の159μm厚の8YSZベースのグリーンセラミックテープ(Kerafol(登録商標)から購入)を使用した。
【0074】
波形加工を、厚さ0.1~0.2mmのポリ乳酸(PLA)ワイヤを用いたFDM(溶融堆積モデリング)印刷を使用して製造された3D印刷波形プレートを使用して実施した。
【0075】
波形加工時のテープ内の塑性変形を最小限にするために、プロセスを2つの工程に分けた。最初の工程は、図7の波形プレートを使用して、波形パターン中の第1の方向のための波形パターン(比較的小さい周期および/または振幅を有する波形プロファイル)を作製する工程だった。その後、テープを、図8で見られるような完全波形パターンを有する別の波形プレート上に滑り込ませることになるが、この波形は、第1の方向に対して垂直の第2の方向で比較的大きな周期および/または振幅を有する。いずれの場合も、表面の第1の方向および表面の第2の方向の両方に沿って配置された交互の山と谷は、正弦波様の形状を有していた。ロール機構によりグリーンシート表面を既製基板上へ軽く折り曲げることによって、グリーンシート表面と基板の波形とを一致させた(図5および図6に例示)。この方法では、以下の表1による3つの異なる波形パターンを有する未焼結グリーンシートを調製した(実施例1~3)。
【0076】
【表1】
【0077】
SOC電解質の所望の特性を得るために、実施例1~3のグリーンシートを脱結合剤および焼結に供し、最終面積13.4×13.4cm2を得た。テープの波形は、脱結合剤工程に耐え、構造は無傷のまま残った。焼結工程では、波形テープを1450℃まで加熱するために120℃/hのランプ速度を使用し、この温度を12時間維持した後、再度冷却した。実施例1~3の焼結シートは、z方向の25%の収縮に対応する75μmの平均厚さを示した。
【0078】
比較例1として、9×9cm2のサイズに切断した市販の159μm厚の8YSZグリーンシート(Kerafol(登録商標)から購入)を、同じ焼結プロセスに供した。比較例1の焼結シートは、z方向の13%の収縮に対応する138μmの平均厚さを示した。
【0079】
評価
実施例1~3および比較例1による焼結電解質シートを、中心部分での膨らみ形成および各端部でのカール形成の観点から平坦度について目視検査した。結果を、以下の表2に示すが、ここで、「++」は優秀、「+」は良好、「-」は不良の電解質の平坦度を示す。
【0080】
【表2】
【0081】
図9および図10の添付写真に示されるように、比較例1による非波形サンプルの焼結は、端部の中心に向かって増加する実質的な膨隆および端部カールを示す。
【0082】
一方、本発明による実施例1~3は、かなり大きな電解質寸法にもかかわらず、顕著に小さな膨らみおよび端部のカール形成ならびに優れた平坦度を示す。実施例2および3の焼結シートのそれぞれの写真を、それぞれ、図11および図12に示す。
【0083】
さらに、実施例2および3の焼結シートを、プロフィロメーターを使用したプロフィロメトリー評価に供した。図13に示す結果は、実施例3のシートが、実施例2のシートと比較した場合、より平坦であるのに対し、波形パターンCを有するグリーンシートから調製された実施例3が、実施例2と比較した場合、より高い表面粗さを示すことを実証している。
【0084】
全体的に見て、上記の結果は、波状面を含む未焼結グリーンシートまたはテープを、その機械的強度を維持し、膨隆現象による亀裂の危険を低減する、大型の平坦な電解質シートの調製のために、成功裏に使用することができることを示す。
【0085】
焼結シートの表面構造分析
比較例2として、市販の3YSZベースのグリーンセラミックテープを使用し、これを実施例1~3と同じ焼結プロセスに供した。後続して、比較例2および実施例3の焼結シートのプロファイルおよび表面構造をプロフィロメーターで分析した。プロフィロメトリー分析の結果を図14図19に示す。
【0086】
具体的には、図14が、比較例2として得た焼結シートの表面構造の上図を示すのに対し、図15は、図14に示した断面(水平線)に沿ったプロファイルを示す。図6は、表面全体にわたる不規則な膨らみの存在を示す、比較例2の表面構造の3D図を例示する。
【0087】
実施例3として得た焼結シートの表面構造の上図を、図17に示す。図14とは異なり、残留波形が焼結シート中で目視可能であり、稜がy方向およびx方向の両方に沿って延長している。図17に示した断面に沿ったプロファイルを示す図18は、規則的正弦波パターンの存在を裏付ける。実施例3の表面構造の3D図を図19に示す。
【0088】
これに応じて、本発明の焼結シートが、本質的に規則的な構造を有する特有の残留波形を保持しうることが示される。
【0089】
上記の開示から、多くの他のフィーチャ、修正、および改善が、当業者には明らかになるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の第1の方向および表面の第2の方向の両方に沿って配置された交互の山と谷を有する波状面を含む、セラミックシート材料を調製するための未焼結グリーンシートまたはテープであって、第2の方向が、第1の方向に対して60°から120°の間の角度を形成し、
第1の方向の波形周期および/または波形振幅が、第2の方向のものとは異なる、未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項2】
第2の方向の波形周期が、第1の方向の波形周期より大きく、
第2の方向の波形周期と第1の方向の波形周期との比が、好ましくは少なくとも2:1、より好ましくは少なくとも2:1から40:1、さらに好ましくは少なくとも2.2:1、さらにより好ましくは2.2:1から30:1の間、特に好ましくは2.5:1から20:1の間、例えば3:1から12:1の間である、
請求項1に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項3】
第2の方向の波形振幅が、第1の方向の波形振幅より大きく、
第2の方向の波形振幅と第1の方向の波形振幅との比が、好ましくは少なくとも1.5:1、より好ましくは少なくとも1.8:1、さらに好ましくは少なくとも2:1、特に好ましくは2:1から100:1の間、例えば2:1から10:1の間である、
請求項1に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項4】
第2の方向の波形振幅が、5mm以上、好ましくは7mm以上であり、および/または
第1の方向の波形振幅が、5mm未満、好ましくは3mm未満である、
請求項1に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項5】
グリーンシートまたはテープの厚さが、実質的に一定であり、好ましくは10μmから1cmの範囲、さらに好ましくは30μmから0.7cm、特に好ましくは50μmから0.5cmの範囲である、請求項1に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項6】
波状面が、未焼結グリーンシートまたはテープの全表面に及ぶ、請求項1に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項7】
グリーンシートまたはテープが、ジルコニア、ジルコン酸塩、アルミナ、アルミン酸塩、チタニア、チタン酸塩、シリカ、ケイ酸塩、希土類金属および/もしくはそれらの酸化物、アルカリ金属および/もしくはそれらの酸化物、アルカリ土類金属および/もしくはそれらの酸化物、スチール、ステンレス鋼、アルミナイド、金属間化合物、アルミニウムおよびその合金、金属の第一、第二および第三遷移系列、それらの酸化物、ホウ化物、窒化物、炭化物、ケイ化物、ならびに/またはこれらの組合せから選択される1つまたは複数と、
焼結助剤、分散剤、結合剤、可塑剤、硬化剤、合体剤および溶媒のうちの1つまたは複数から選択される任意選択の添加剤と
を含む、
請求項1に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項8】
表面の第1の方向および表面の第2の方向の両方に沿って配置された交互の山と谷が、両方とも正弦波様形状を有する、請求項1に記載の未焼結グリーンシートまたはテープ。
【請求項9】
a1)非波形の未焼結グリーンシートまたはテープを準備する工程と、
a2)未焼結グリーンシートまたはテープを波形加工して、未焼結グリーンシートまたはテープの表面の第1の方向に沿って配置される交互の山と谷を設ける工程と、
a3)未焼結グリーンシートまたはテープを波形加工して、未焼結グリーンシートまたはテープの表面の第2の方向に沿って配置される交互の山と谷を設ける工程と
を含む、請求項1から8に記載の未焼結グリーンシートまたはテープを製造するための方法であって、
波形の未焼結グリーンシートまたはテープを生成するために、工程a2)およびa3)が、ロール・ツー・ロール法で、または工程a1)で準備した未焼結グリーンシートを、波形を含む1つまたは複数の既製基板の表面と一致させることによって実施される、方法。
【請求項10】
a)請求項9に記載の未焼結グリーンシートまたはテープを準備する工程と、
b)未焼結グリーンシートまたはテープを、任意選択により還元または酸化雰囲気下で、焼結工程に供する工程と
を含む、セラミックシート材料を製造する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法によって得られるセラミックシート材料。
【請求項12】
セラミックシート材料の面積が、50cm2以上、好ましくは200cm2以上、より好ましくは300cm2以上、例えば2000cm2以上であり、ならびに/または
セラミックシート材料が、第2の方向の波形振幅が200μm以下、好ましくは100μm未満、特に好ましくは50μm未満であり、および/もしくは第1の方向の波形振幅が100μm以下、好ましくは50μm未満、より好ましくは25μm未満である、波形プロファイルを有する、
請求項11に記載のセラミックシート材料。
【請求項13】
請求項11に記載のセラミックシート材料を含む、電解質シート。
【請求項14】
電解質シート、多層固体酸化物セル、セラミックフィルタまたはセラミック膜の調製のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の未焼結グリーンシートまたはテープの使用。
【請求項15】
請求項13に記載の電解質シート、電解質シートの一方の側に配置されたカソード層、および電解質シートの他方の側に配置されたアノード層を含む、固体酸化物セル。
【国際調査報告】