(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】取り付けパッドを形成するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B30B 15/06 20060101AFI20240501BHJP
B21D 22/02 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B30B15/06 B
B21D22/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565955
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 US2022029828
(87)【国際公開番号】W WO2022245940
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515252112
【氏名又は名称】クーカ・システムズ・ノース・アメリカ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・ジェームズ・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ウィリアム・フレンチ
【テーマコード(参考)】
4E088
4E137
【Fターム(参考)】
4E088DA11
4E088EA06
4E137AA05
4E137AA10
4E137BB01
4E137CA03
4E137EA01
4E137FA02
4E137FA12
4E137FA22
4E137GA15
4E137GB01
(57)【要約】
シート材料の上に取り付けパッドを形成するためのツール12は、アンビル18を含み、アンビル18は、ハウジング16の上に支持されており、パッドを形成するための作業軸線22を画定している。スライドブロック24は、少なくとも作業軸線22に沿った移動のためにハウジング16の上に支持されており、ダイブロック20は、スライドブロック24の反対側に支持されており、作業軸線22に沿った方向に移動可能であり、パッドを形成するためにアンビル18と協働する。ハウジング16の上の少なくとも1つのアクチュエータ26は、ダイブロック20に向かう方向にスライドブロック24を付勢する。アクチュエータ26は、第1のモードおよび第2のモードで動作可能であり、第1のモードでは、スライドブロック24は、ダイブロック20に向けておよびダイブロック20から離れるように移動可能であり、第2のモードでは、スライドブロック24は、ダイブロック20から離れる方向への移動に対してロックされている。選択的に調節可能なカウンターバランスデバイス36は、アクチュエータ26によってスライドブロック24に印加される力を平衡させるためにアクチュエータ26と協働する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材料の上に取り付けパッドを形成するためのツールであって、前記ツールは、
ハウジングと、
アンビルであって、前記アンビルは、前記ハウジングの上に支持されており、前記パッドを形成するための作業軸線を画定している、アンビルと、
スライドブロックであって、前記スライドブロックは、少なくとも前記アンビルの前記作業軸線に沿った移動のために前記ハウジングの上に支持されている、スライドブロックと、
ダイブロックであって、前記ダイブロックは、前記スライドブロックの反対側に前記ハウジングの上に支持されており、前記作業軸線に沿った方向に移動可能であり、前記ダイブロックは、前記パッドを形成するためにアンビルと協働する、ダイブロックと、
アクチュエータであって、前記アクチュエータは、前記ハウジングの上にあり、前記ダイブロックに向かう方向に前記スライドブロックを付勢し、前記アクチュエータは、第1のモードおよび第2のモードで動作可能であり、前記第1のモードでは、前記スライドブロックは、前記ダイブロックに向けておよび前記ダイブロックから離れるように移動可能であり、前記第2のモードでは、前記スライドブロックは、前記ダイブロックから離れる方向への移動に対してロックされている、アクチュエータと、
選択的に調節可能なカウンターバランスデバイスであって、前記カウンターバランスデバイスは、前記アクチュエータによって前記スライドブロックに印加される力を平衡させるために前記アクチュエータと協働する、カウンターバランスデバイスと、
を含む、ツール。
【請求項2】
前記カウンターバランスデバイスのカウンターバランス力は、前記ツールの姿勢に基づいて調節可能である、請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記カウンターバランス力は、前記スライドブロックによって前記シート材料に印加され得る所定の力の限界に基づいて調節可能である、請求項1に記載のツール。
【請求項4】
前記カウンターバランスデバイスは、前記アクチュエータと前記スライドブロックとの間において前記ハウジングの上に位置決めされている、請求項1から3のいずれか一項に記載のツール。
【請求項5】
前記ツールは、前記スライドブロックと動作可能に連結されているレバーアームをさらに含み、
前記レバーアームは、前記アクチュエータまたは前記カウンターバランスデバイスのうちの少なくとも1つから前記スライドブロックに力を伝達するように動作可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載のツール。
【請求項6】
前記ツールは、
前記スライドブロックの上のフェースプレートと、
前記ダイブロックの上の形成ダイと、
をさらに含み、
前記フェースプレートおよび形成ダイは、前記ダイブロックが前記作業軸線に沿って移動されて前記アンビルに係合するときに、前記パッドを形成するように前記アンビルと協働する、請求項1から5のいずれか一項に記載のツール。
【請求項7】
前記ツールは、センサであって、前記センサは、前記ハウジングの上に支持されており、前記ハウジングに対する前記スライドブロックまたは前記スライドブロックの上のフェースプレートのうちの少なくとも1つの位置をセンシングするように構成されている、センサをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のツール。
【請求項8】
前記アンビルは、前記ハウジングに対して選択的に移動可能であり、
前記センサは、前記アンビルに対する前記スライドブロックの位置を決定するように動作可能であり、
前記ハウジングの上の前記アンビルの位置は、前記スライドブロックのセンシングされた前記位置に基づいて、前記シート材料のスプリングバックに対処するように調節可能である、請求項7に記載のツール。
【請求項9】
前記センサは、前記シート材料と接触されているときの前記スライドブロックの位置をセンシングするように構成されており、
前記シート材料に関連付けられるパラメータは、センシングされた前記位置に基づいて決定され、
前記パラメータが所定の閾値に到達するときに、信号が発生/生成される、請求項7に記載のツール。
【請求項10】
前記ツールは、
前記スライドブロックの上のフェースプレートであって、前記フェースプレートは、前記パッドを形成するために前記アンビルと協働する、フェースプレートと、
前記ダイブロックの上の少なくとも1つのワークピースクランプであって、前記ワークピースクランプは、前記ダイブロックが前記作業軸線に沿って移動されて前記アンビルに係合するときに、前記フェースプレートと協働して、前記シート材料をそれらの間にクランプする、少なくとも1つのワークピースクランプと、
をさらに含む、請求項1から5または7から9のいずれか一項に記載のツール。
【請求項11】
前記少なくとも1つのワークピースクランプは、前記フェースプレートに向かう方向に付勢されている、請求項10に記載のツール。
【請求項12】
前記少なくとも1つのワークピースクランプは、前記作業軸線に平行な方向に沿って前記ダイブロックに対する前記ワークピースクランプの位置を変化させるように選択的に位置決め可能に調節可能である、請求項10に記載のツール。
【請求項13】
前記ツールは、前記ダイブロックの上の形成ダイをさらに含み、
前記形成ダイは、前記ダイブロックが前記作業軸線に沿って移動されて前記アンビルに係合するときに、前記パッドを形成するために前記フェースプレートおよび前記アンビルと協働する、請求項10に記載のツール。
【請求項14】
シート材料において取り付けパッドを形成するためのツールであって、前記ツールは、
ハウジングと、
アンビルであって、前記アンビルは、前記ハウジングの上に支持されており、前記パッドを形成するための作業軸線を画定している、アンビルと、
スライドブロックであって、前記スライドブロックは、前記アンビルの前記作業軸線に沿った移動のために、および、少なくとも2つ以上の自由度でのさらなる移動のために、前記ハウジングの上に支持されている、スライドブロックと、
ダイブロックであって、前記ダイブロックは、前記スライドブロックの反対側に前記ハウジングの上に支持されており、前記作業軸線に沿った方向に移動可能であり、前記ダイブロックは、パッドを形成するためにアンビルと協働する、ダイブロックと、
前記ハウジングの上のロッキングメカニズムであって、前記ロッキングメカニズムは、前記ダイブロックから離れる方向への前記作業軸線に沿った移動に対して前記スライドブロックをロックするように作動可能である、ロッキングメカニズムと、
を含む、ツール。
【請求項15】
前記スライドブロックは、前記スライドブロックがローラー軸受の枢動軸線の周りに回転可能であるように、前記ローラー軸受によって前記ハウジングの上に支持されており、
前記枢動軸線は、前記作業軸線と実質的に整合されている、請求項14に記載のツール。
【請求項16】
前記ツールは、前記ローラー軸受と前記スライドブロックとの間に配設されている球面軸受をさらに含み、それによって、前記スライドブロックは、最大で6つの自由度で移動可能である、請求項15に記載のツール。
【請求項17】
シート材料の上に取り付けパッドを形成する方法であって、前記方法は、
前記シート材料がパッド形成ツールのダイブロックとスライドブロックとの間に配設されるように、前記パッド形成ツールを位置決めするステップと、
前記ダイブロックに向かう方向に前記スライドブロックを付勢するために、前記パッド形成ツールのアクチュエータによって前記スライドブロックに付勢力を印加するステップと、
前記スライドブロックに作用する正味の力を実現するために、前記付勢力に対抗して選択的に調節可能なカウンターバランス力を印加するステップと、
前記シート材料を前記パッド形成ツールの前記スライドブロックと接触させるために、前記パッド形成ツールを移動させるステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記選択的に調節可能なカウンターバランス力は、前記パッド形成ツールの姿勢に基づいて選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記選択的に調節可能なカウンターバランス力は、前記スライドブロックによって前記シート材料に印加され得る所定の力の限界に基づいて選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
シート材料の上に取り付けパッドを形成する方法であって、前記方法は、
前記シート材料がパッド形成ツールのダイブロックとスライドブロックとの間に配設されるように、前記パッド形成ツールを位置決めするステップと、
前記シート材料を前記スライドブロックと接触させるために、前記パッド形成ツールを移動させるステップと、
前記パッド形成ツールのハウジングに対する前記スライドブロックの位置をセンシングするステップと、
前記パッド形成ツールのアンビルに向けて作業軸線に沿って前記ダイブロックを移動させることによって、前記パッドを形成するステップと、
前記パッドを形成した後の変形させられた前記シート材料のスプリングバックを決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項21】
前記方法は、決定された前記スプリングバックに基づいて前記アンビルの位置を調節するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、
センシングされた前記位置に基づいて前記シート材料に関連付けられるパラメータを決定するステップと、
決定された前記パラメータが所定の閾値に接近するかまたはそれを超えるときに信号を発生させるステップと、
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
シート材料の上に取り付けパッドを形成する方法であって、前記方法は、
前記シート材料が前記パッド形成ツールのダイブロックとスライドブロックとの間に配設されるように、前記パッド形成ツールを位置決めするステップと、
前記シート材料を前記パッド形成ツールの前記スライドブロックと接触させるために、前記パッド形成ツールを移動させるステップと、
少なくとも3つの自由度で前記スライドブロックの位置または配向を調節するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年5月20日に出願された米国特許出願第17/325,554号(係属中)の優先権の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、概して、コンポーネントの自動組み立てに関し、より具体的には、組立て体のコンポーネントパーツを接合することを促進させるためのパッドを形成するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最終製品へのコンポーネントパーツの組み立てを自動化するために、ロボットマニピュレータおよび他のコンピュータ制御されたマシンがますます使用されている。非限定的な例として、自動車の製造は、従来から、組み立てラインを使用して達成され、組み立てラインは、自動機械によって実施される組み立てプロセスおよび動作の数がますます増加している。Savoyによる特許文献1は、自動組み立ての間にコンポーネントパーツをパネルに接合することを促進させるために、自動車ボディーパネルなどのようなシート材料において取り付けパッドを形成するための多軸産業用ロボットマニピュレータの上で支持され得るツールを開示している。特許文献1に開示されているツールは、シート材料におけるパッドの形成を大きく促進させるが、ツールおよびその動作のさまざまな態様は改善される可能性がある。たとえば、特許文献1に開示されているツールは、ロボットマニピュレータに担持されているツールの姿勢(配向および位置)が変化するときに、ツールのスライドブロックの上の均一な付勢力を維持しない。したがって、シート材料の上のさまざまなターゲットポイントに到達するためのロボットによるツールの関節運動は、一般的に、スライドブロックに印加される広範な付勢力を結果として生じさせる。
【0004】
また、以前のツールは、パッドが形成された後にシート材料の中に起こる可能性のある「スプリングバック」を考慮しておらず、また、ツールは、パッドが形成される場所の周りのシート材料のエリアに対する支持を提供しておらず、それによって、シート材料の望まれない変形または湾曲が起こる可能性がある。また、特許文献1に開示されているツールは、入って来るシート材料(パッドがその中に形成されることとなる)の面外配向に十分に対処しない。また、スライドブロックに対してシート材料を繰り返して正確に位置付けするためのツールの能力も改善される可能性があり、それによって、形成されることとなるパッドのターゲット高さの微調節を可能にする。したがって、従来のパッド形成デバイスのこれらのおよび他の欠点を克服する、シート材料においてパッドを形成するための改善されたツールおよび方法に対する必要性が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,117,706号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、コンポーネントパーツを接合することを促進させるために、シート材料においてパッドを形成するための改善された装置および方法を提供する。本発明は、特定の実施形態に関連して説明されることとなるが、本発明は、これらの実施形態に限定されないということが理解されることとなる。それどころか、本発明は、本開示の精神および範囲の中に含まれ得るようなすべての代替例、修正例、および均等物を含む。1つの実施形態では、シート材料の上に取り付けパッドを形成するためのツールは、アンビルを含み、アンビルは、ハウジングの上に支持されており、パッドを形成するための作業軸線を画定している。スライドブロックが、少なくとも作業軸線に沿った移動のためにハウジングの上に支持されており、ダイブロックが、スライドブロックの反対側に支持されており、作業軸線に沿った方向に移動可能であり、パッドを形成するためにアンビルと協働する。ハウジングの上の少なくとも1つのアクチュエータが、ダイブロックに向かう方向にスライドブロックを付勢する。アクチュエータは、第1のモードおよび第2のモードで動作可能であり、第1のモードでは、スライドブロックは、ダイブロックに向けておよびダイブロックから離れるように移動可能であり、第2のモードでは、スライドブロックは、ダイブロックから離れる方向への移動に対してロックされている。選択的に調節可能なカウンターバランスデバイスが、アクチュエータによってスライドブロックに印加される力を平衡させるためにアクチュエータと協働する。1つの態様では、カウンターバランスデバイスのカウンターバランス力は、ツールの姿勢に基づいて調節可能であり得る。別の態様において、カウンターバランス力は、スライドブロックによってシート材料に印加され得る所定の力の限界に基づいて調節可能であり得る。
【0007】
別の実施形態では、シート材料において取り付けパッドを形成するための例示的なツールは、センサをさらに含むことが可能であり、センサは、ハウジングの上に支持されており、ハウジングに対するスライドブロック(または、スライドブロックの上に支持されているフェースプレート)の位置をセンシングするように構成されている。次いで、スライドブロックまたはフェースプレートの相対的位置は、スライドブロックおよび/またはアンビルの相対的位置を調節することによって、取り付けパッドを形成するためにツールの動作を制御するために使用されることが可能である。別の実施形態では、ツールは、ダイブロックの上のワークピースクランプをさらに含むことが可能であり、ワークピースクランプは、ダイブロックが作業軸線に沿って移動されてアンビルに係合するときに、フェースプレートと協働して、シート材料をそれらの間にクランプする。さらに別の実施形態では、スライドブロックは、アンビルの作業軸線に沿った移動のために、および、少なくとも2つ以上の自由度でのさらなる移動のために、ハウジングの上に支持されることが可能である。
【0008】
別の実施形態では、シート材料の上に取り付けパッドを形成する方法は、シート材料がツールのダイブロックとスライドブロックとの間に配設されるように、パッド形成ツールを位置決めするステップと、アクチュエータによってスライドブロックに付勢力を印加し、ダイブロックに向かう方向にスライドブロックを付勢するステップと、スライドブロックに作用する正味の力を実現するために、付勢力に対抗して選択的に調節可能なカウンターバランス力を印加するステップとを含む。次いで、形成ツールは、シート材料をツールのスライドブロックと接触させるために移動されることが可能である。1つの態様では、選択的に調節可能なカウンターバランス力は、ツールの姿勢に基づいて選択されることが可能である。別の態様において、選択的に調節可能なカウンターバランス力は、スライドブロックによってシート材料に印加され得る所定の力の限界に基づいて選択されることが可能である。
【0009】
以下の例示的な実施形態は、本開示の原理にしたがった、シート材料の上に取り付けパッドを形成するためのツールおよび関連の方法のさまざまな態様を識別している。
【0010】
例示的な実施形態1:シート材料の上に取り付けパッドを形成するためのツールであって、ツールは、
ハウジングと、
アンビルであって、アンビルは、ハウジングの上に支持されており、パッドを形成するための作業軸線を画定している、アンビルと、
スライドブロックであって、スライドブロックは、少なくともアンビルの作業軸線に沿った移動のためにハウジングの上に支持されている、スライドブロックと、
ダイブロックであって、ダイブロックは、スライドブロックの反対側にハウジングの上に支持されており、作業軸線に沿った方向に移動可能であり、ダイブロックは、パッドを形成するためにアンビルと協働する、ダイブロックと、
アクチュエータであって、アクチュエータは、ハウジングの上にあり、ダイブロックに向かう方向にスライドブロックを付勢し、アクチュエータは、第1のモードおよび第2のモードで動作可能であり、第1のモードでは、スライドブロックは、ダイブロックに向けておよびダイブロックから離れるように移動可能であり、第2のモードでは、スライドブロックは、ダイブロックから離れる方向への移動に対してロックされている、アクチュエータと、
選択的に調節可能なカウンターバランスデバイスであって、カウンターバランスデバイスは、アクチュエータによってスライドブロックに印加される力を平衡させるためにアクチュエータと協働する、カウンターバランスデバイスと、
を含む、ツール。
【0011】
例示的な実施形態2:カウンターバランスデバイスのカウンターバランス力は、ツールの姿勢に基づいて調節可能である、例示的な実施形態1に記載のツール。
【0012】
例示的な実施形態3:カウンターバランス力は、スライドブロックによってシート材料に印加され得る所定の力の限界に基づいて調節可能である、例示的な実施形態1に記載のツール。
【0013】
例示的な実施形態4:カウンターバランスデバイスは、アクチュエータとスライドブロックとの間においてハウジングの上に位置決めされている、例示的な実施形態1に記載のツール。
【0014】
例示的な実施形態5:ツールは、スライドブロックと動作可能に連結されているレバーアームをさらに含み、
レバーアームは、アクチュエータまたはカウンターバランスデバイスのうちの少なくとも1つからスライドブロックに力を伝達するように動作可能である、例示的な実施形態1に記載のツール。
【0015】
例示的な実施形態6:ツールは、
スライドブロックの上のフェースプレートと、
ダイブロックの上の形成ダイと、
をさらに含み、
フェースプレートおよび形成ダイは、ダイブロックが作業軸線に沿って移動されてアンビルに係合するときに、パッドを形成するようにアンビルと協働する、例示的な実施形態1に記載のツール。
【0016】
例示的な実施形態7:ツールは、センサであって、センサは、ハウジングの上に支持されており、ハウジングに対するスライドブロックまたはスライドブロックの上のフェースプレートのうちの少なくとも1つの位置をセンシングするように構成されている、センサをさらに含む、例示的な実施形態1に記載のツール。
【0017】
例示的な実施形態8:アンビルは、ハウジングに対して選択的に移動可能であり、
センサは、アンビルに対するスライドブロックの位置を決定するように動作可能であり、
ハウジングの上のアンビルの位置は、スライドブロックのセンシングされた位置に基づいて、シート材料のスプリングバックに対処するように調節可能である、例示的な実施形態7に記載のツール。
【0018】
例示的な実施形態9:センサは、シート材料と接触されているときのスライドブロックの位置をセンシングするように構成されており、
シート材料に関連付けられるパラメータは、センシングされた位置に基づいて決定され、
パラメータが所定の閾値に到達するときに、信号が発生/生成される、例示的な実施形態7に記載のツール。
【0019】
例示的な実施形態10:ツールは、
スライドブロックの上のフェースプレートであって、フェースプレートは、パッドを形成するためにアンビルと協働する、フェースプレートと、
ダイブロックの上の少なくとも1つのワークピースクランプであって、ワークピースクランプは、ダイブロックが作業軸線に沿って移動されてアンビルに係合するときに、フェースプレートと協働して、シート材料をそれらの間にクランプする、少なくとも1つのワークピースクランプと、
をさらに含む、例示的な実施形態1に記載のツール。
【0020】
例示的な実施形態11:少なくとも1つのワークピースクランプは、フェースプレートに向かう方向に付勢されている、例示的な実施形態10に記載のツール。
【0021】
例示的な実施形態12:少なくとも1つのワークピースクランプは、作業軸線に平行な方向に沿ってダイブロックに対するワークピースクランプの位置を変化させるように選択的に位置決め可能に調節可能である、例示的な実施形態10に記載のツール。
【0022】
例示的な実施形態13:ツールは、ダイブロックの上の形成ダイをさらに含み、
形成ダイは、ダイブロックが作業軸線に沿って移動されてアンビルに係合するときに、パッドを形成するためにフェースプレートおよびアンビルと協働する、例示的な実施形態10に記載のツール。
【0023】
例示的な実施形態14:シート材料において取り付けパッドを形成するためのツールであって、ツールは、
ハウジングと、
アンビルであって、アンビルは、ハウジングの上に支持されており、パッドを形成するための作業軸線を画定しているアンビルと、
スライドブロックであって、スライドブロックは、アンビルの作業軸線に沿った移動のために、および、少なくとも2つ以上の自由度でのさらなる移動のために、ハウジングの上に支持されている、スライドブロックと、
ダイブロックであって、ダイブロックは、スライドブロックの反対側にハウジングの上に支持されており、作業軸線に沿った方向に移動可能であり、ダイブロックは、パッドを形成するためにアンビルと協働する、ダイブロックと、
ハウジングの上のロッキングメカニズムであって、ロッキングメカニズムは、ダイブロックから離れる方向への作業軸線に沿った移動に対してスライドブロックをロックするように作動可能である、ロッキングメカニズムと、
を含む、ツール。
【0024】
例示的な実施形態15:スライドブロックは、スライドブロックがローラー軸受の枢動軸線の周りに回転可能であるように、ローラー軸受によってハウジングの上に支持されており、
枢動軸線は、作業軸線と実質的に整合されている、例示的な実施形態14に記載のツール。
【0025】
例示的な実施形態16:ツールは、ローラー軸受とスライドブロックとの間に配設されている球面軸受をさらに含み、それによって、スライドブロックは、最大で6つの自由度で移動可能である、例示的な実施形態15に記載のツール。
【0026】
例示的な実施形態17:シート材料の上に取り付けパッドを形成する方法であって、方法は、
シート材料がツールのダイブロックとスライドブロックとの間に配設されるように、パッド形成ツールを位置決めするステップと、
ダイブロックに向かう方向にスライドブロックを付勢するために、ツールのアクチュエータによってスライドブロックに付勢力を印加するステップと、
スライドブロックに作用する正味の力を実現するために、付勢力に対抗して選択的に調節可能なカウンターバランス力を印加するステップと、
シート材料をツールのスライドブロックと接触させるために、形成ツールを移動させるステップと、
を含む、方法。
【0027】
例示的な実施形態18:選択的に調節可能なカウンターバランス力は、ツールの姿勢に基づいて選択される、例示的な実施形態17に記載の方法。
【0028】
例示的な実施形態19:選択的に調節可能なカウンターバランス力は、スライドブロックによってシート材料に印加され得る所定の力の限界に基づいて選択される、例示的な実施形態17に記載の方法。
【0029】
例示的な実施形態20:シート材料の上に取り付けパッドを形成する方法であって、方法は、
シート材料がツールのダイブロックとスライドブロックとの間に配設されるように、パッド形成ツールを位置決めするステップと、
シート材料をスライドブロックと接触させるために、形成ツールを移動させるステップと、
ツールのハウジングに対するスライドブロックの位置をセンシングするステップと、
ツールのアンビルに向けて作業軸線に沿ってダイブロックを移動させることによって、パッドを形成するステップと、
パッドを形成した後の変形させられたシート材料のスプリングバックを決定するステップと、
を含む、方法。
【0030】
例示的な実施形態21:方法は、決定されたスプリングバックに基づいてアンビルの位置を調節するステップをさらに含む、例示的な実施形態20に記載の方法。
【0031】
例示的な実施形態22:方法は、
センシングされた位置に基づいてシート材料に関連付けられるパラメータを決定するステップと、
決定されたパラメータが所定の閾値に接近するかまたはそれを超えるときに信号を発生させるステップと、
をさらに含む、例示的な実施形態20に記載の方法。
【0032】
例示的な実施形態23:シート材料の上に取り付けパッドを形成する方法であって、方法は、
シート材料がツールのダイブロックとスライドブロックとの間に配設されるように、パッド形成ツールを位置決めするステップと、
シート材料をツールのスライドブロックと接触させるために、形成ツールを移動させるステップと、
少なくとも3つの自由度でスライドブロックの位置または配向を調節するステップと、
を含む、方法。
【0033】
本発明の上記のおよび他の目的および利点は、添付の図面およびその説明から明らかになるはずである。
【0034】
添付の図面(それらは、本明細書の中に組み込まれており、本明細書の一部を構成している)は、本発明の例示的な実施形態を図示しており、上記に与えられている本発明の一般的な説明、および、下記に与えられている詳細な説明とともに、本発明の原理を説明するための役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本開示の原理による、例示的なパッド形成ツールを含む、シート材料において取り付けパッドを形成するための例示的なシステムの斜視図である。
【
図3】異なる角度から見た、
図2のツールの斜視図である。
【
図4】
図2の線4-4に沿ってとられた拡大断面図である。
【
図5】
図2の線5-5に沿ってとられた拡大断面図である。
【
図6】
図2の円で囲まれたエリアの拡大詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、多軸産業用ロボットマニピュレータ14によって支持されている、本開示の原理にしたがった例示的なパッド形成ツール12を含む、シート材料において取り付けパッドを形成するための例示的なシステム10を示している。本明細書で示されて説明されているツール12は、Savoyによる特許文献1に開示されているパッド形成ツールと多くの態様において類似しており、その文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。ロボットマニピュレータ14およびツール12の動作は、ロボットマニピュレータ14、ツール12、またはシステム10に関連付けられた1つまたは複数のプログラマブルコントローラ15によって制御されることが可能である。したがって、本明細書におけるツール12の説明は、シート材料において装着パッドを形成するためのツール12の改善された性能および動作を提供する相違点に主に焦点を合わせている。
【0037】
特許文献1に示されて説明されているツールと同様に、ツール12は、ハウジング16を含み、ハウジング16は、ツール12のさまざまなコンポーネントを支持するためのものであり、また、ロボットマニピュレータ14へのツール12の取り付けを促進させるためのものである。
図2~
図4を参照すると、ハウジング16は、アンビル18を支持しており、アンビル18に対抗して、シート材料は、ダイブロック20によって係合および変形させられ、それによって、取り付けパッドを形成する。ダイブロック20は、ハウジング16の上に支持されており、アンビル18の作業軸線22に沿った方向にハウジング16に対してスライド可能に移動可能である(
図4を参照)。ツール12は、スライドブロック24をさらに含み、スライドブロック24は、ダイブロック20に概して対向して位置決めされており、少なくともアンビル18の作業軸線22に沿った移動のために、ハウジング16の上に支持されている。ハウジング16の上に担持されている1つまたは複数のアクチュエータ26は、特許文献1に一般的に説明されているように、シート材料との係合のために、ダイブロック20に向かう方向にスライドブロック24を付勢する。この実施形態におけるアクチュエータ26は、第1のモードおよび第2のモードで動作可能であり、第1のモードでは、スライドブロック24は、たとえば、シート材料との初期の係合の間に、ダイブロック20に向けておよびダイブロック20から離れるように移動されることが可能であり、第2のモードでは、スライドブロック24は、ダイブロック20から離れる方向への移動に対抗してロックされることが可能である。アクチュエータ26のロックされた第2のモードでは、スライドブロック24は、ダイブロック20およびアンビル18と協働し、パッドを形成することが可能である。動作時に、ツール12は、ロボットマニピュレータ14によって、パッドが形成されることとなるシート材料の上の場所へ移動させられる。スライドブロック24がダイブロック20に向けて付勢された状態で、ロボットマニピュレータ14は、次いで、スライドブロック24の上のフェースプレート30がシート材料と最初に接触するまで、ツール12を移動させる。シート材料に向けたツール12の継続的な移動は、ダイブロック20から離れる方向に、アクチュエータ26の付勢力に対抗してスライドブロック24を移動させる。その後に、アクチュエータ26は、第2のモードに切り替えられ、それによって、ダイブロック20から離れる方向へのさらなる移動に対抗してスライドブロック24をロックすることが可能である。次いで、ハウジング16によって支持されている第1のサーボモータ32は、アンビル18およびスライドブロック24に向けてダイブロック20を移動させるように作動されることが可能であり、シート材料が、ダイブロック20の上に担持されている形成ダイ34によって係合されるようになっており、フェースプレート30およびアンビル18に対抗して変形させられ、それによって、取り付けパッドを形成するようになっている。
【0038】
示されている実施形態では、ツール12は、少なくとも1つの選択的に調節可能なカウンターバランスデバイス36をさらに含み、カウンターバランスデバイス36は、カウンターバランス力を提供するように構成されており、カウンターバランス力は、1つまたは複数のアクチュエータ26によってスライドブロック24に印加される付勢力を相殺する。この実施形態では、2つのカウンターバランスデバイス36が、ハウジング16の両側に支持されている。例示的なカウンターバランスデバイス36は、制御可能なエアスプリングシリンダー(Airpot Corporation,Norwalk,CTから入手可能なModel No.300200-1)を含む。したがって、カウンターバランスデバイス36によって印加される力の量は、デバイス36の入口部36に提供される空気圧力を変化させることによって制御されることが可能である。ツール12は、1対のレバーアーム40a、40bをさらに含むことが可能であり、1対のレバーアーム40a、40bは、ハウジング16の両側に枢動方向に支持されており、カウンターバランスデバイス36とスライドブロック24との間に延在している。このように、レバーアーム40a、40bは、カウンターバランスデバイス36からスライドブロック24へ力を伝達するために使用され、所望され得るように、アクチュエータ26によって印加される付勢力を平衡させることが可能である。別の実施形態では、レバーアーム40a、40bは、カウンターバランスデバイス36とアクチュエータ26との間に位置決めされ、より直接的にアクチュエータ26の付勢力を平衡させることが可能である。
【0039】
1つの実施形態では、カウンターバランスデバイス36によって印加されるカウンターバランス力は、ロボットマニピュレータ14の上に支持されているツール12の姿勢に基づいて変化させられることが可能である。姿勢は、たとえば、マニピュレータ14の運動学、マニピュレータ14のためのモデルデータ、または、ロボットマニピュレータ14の動作の間に取得されるセンサデータに基づいて決定されることが可能である。他の実施形態において、カウンターバランスデバイス36によって印加されるカウンターバランス力は、他のパラメータ(たとえば、シート材料の寸法、または、シート材料の材料特性など)に基づいて変化させられることも可能である。代替的に、カウンターバランスデバイス36によって印加される力は、アクチュエータ26によって印加される付勢力を相殺するように選択され、それによって、スライドブロック24によって担持されているフェースプレート30によってシート材料に印加される力の量を限定することが可能である。カウンターバランスデバイス36は、1つまたは複数の制御可能なエアスプリングを含むものとして本明細書で示されて説明されてきたが、アクチュエータ26によってスライドブロック24に効果的に印加される力の量を変化させるのに適切なさまざまな他の制御可能なデバイスが、代替的に使用されることが可能であるということが認識されることとなる。
【0040】
引き続き
図2~
図3を参照すると、および、さらに
図5を参照すると、例示的なツール12は、センサ42をさらに含むことが可能であり、センサ42は、ハウジング16の上に支持されており、ハウジング16に対するスライドブロック24および/またはフェースプレート30の位置をセンシングするように構成されている。示されている実施形態では、位置センサ42(たとえば、Keyence Corporation of America,Itasca,ILから入手可能なスタイラス-タイプセンサModel No.GT2-P12Fなど)は、センサブラケット(図示せず)の上に支持されており、センサブラケットは、ハウジング16と連結されており、スライドブロック24の後ろに所定の距離に位置付けされている。位置センサ42に関連付けられるプローブ46が、一般的にアンビル18の作業軸線22と整合された軸線に沿って、スライドブロック24に向かう方向に延在しており、スライドブロック24またはフェースプレート30に関連付けられるセンサタブ48に連結されている。センサタブ48は、スライドブロック24と一体的になっていることが可能であり、または、センサプローブ46の取り付けを促進させるためにスライドブロック24もしくはスライドブロック24に関連付けられた構造体に連結されている別個のブラケットであることが可能である。1つの実施形態では、センサタブ48は、本明細書でより完全に説明されるように、スライドブロックを支持するローラー軸受80の一部分と連結されることが可能である。スライドブロック24が(たとえば、アクチュエータ26の付勢力、カウンターバランスデバイス36のカウンターバランス力、および/または、スライドブロック24とワークピースとの接触などによって)ハウジング16に対して移動させられるときに、スライドブロック24および/またはフェースプレート30の移動が、センサ42によって検出される。次いで、スライドブロック24のセンシングされた移動は、ハウジング16に対するスライドブロック24の場所、および/または、スライドブロック24に固定されているフェースプレート30の場所を正確におよび連続的に決定するために使用されることが可能である。有利には、フェースプレート30の相対的位置についての情報は、パッド形成ツール12の性能を改善するために使用されることが可能である。たとえば、フェースプレート30の相対的位置は、フェースプレート30がシート材料に係合する瞬間に決定されることが可能であり、決定された位置からシート材料に関してパラメータが確立されることが可能である。いくつかの実施形態において、フェースプレート30が最初にシート材料に係合するときに決定されるフェースプレート30の相対的位置は、シート材料の初期の場所が所望の製造公差を超えるということを示すことが可能であり、また、所望の公差閾値が接近されているということまたは超過されたということを示すために、信号が発生させられることが可能であり、入って来るシート材料および/または生産プロセスに対する調節が実施され得るようになっている。シート材料に関するパラメータを決定または確立すること、および、信号を発生させることは、1つもしくは複数のコントローラ15または任意の他の適切なデバイスによって実施されることが可能である。
【0041】
別の実施形態では、フェースプレート30の決定された位置は、たとえば、アクチュエータ26によってスライドブロック24のロック位置を制御し、それによって、パッドが形成された後のシート材料の「スプリングバック」を考慮することなどによって、フェースプレート30およびアンビル18の相対的位置を調節するために使用されることが可能である。たとえば、フェースプレート30およびアンビル18の相対的位置は、パッドの形成が、材料の予測または決定されたスプリングバックに対処するように計算された量だけ過剰に引かれる(overdrawn)ように調節されることが可能であり、結果として生じるパッドの高さが所望の範囲に入るようになっている。
【0042】
シート材料のスプリングバックを考慮することは、所望のストップ/ロック位置に設定するためにアクチュエータ26を使用してフェースプレート30の位置を制御することによって達成されることが可能であるが、別の実施形態では、アンビル18は、追加的にまたは代替的に、作業軸線22に沿ってハウジング16に対して選択的に移動可能であり得る。
図4に示されている実施形態では、アンビル18は、サーボモータ(たとえば、ハウジング16の上に支持されている第2のサーボモータ52など)または追加的なサーボモータによる作業軸線22に沿った方向への選択的に制御された移動のために、アンビルブロック50の中に支持されることが可能である。したがって、ハウジング16に対するアンビル18の位置は、フェースプレート30の位置、および、シート材料の計算されたまたは実験的に計算されたスプリングバックに関係する情報に基づいて調節されることが可能である。アンビル18および/またはフェースプレート30の相対的位置を変化させるために使用されるシート材料のそのような計算されたまたは実験的に計算されたスプリングバックは、シート材料の特質(たとえば、厚さおよび/または材料特性など)に関連付けられることが可能である。
【0043】
引き続き
図2~
図3を参照すると、および、さらに
図6を参照すると、別の実施形態における例示的なツール12は、少なくとも1つのワークピースクランプ60をさらに含むことが可能であり、少なくとも1つのワークピースクランプ60は、ダイブロック20の上にあり、形成ダイ34に隣接して位置決めされている。示されている実施形態では、ツール12は、第1および第2のワークピースクランプ60を含み、第1および第2のワークピースクランプ60は、形成ダイ34の両側に位置決めされ、形成されることとなるパッドを取り囲むシート材料のエリアを支持する。ダイブロック20が、スライドブロック24に向かう方向に移動され、形成ダイ34、アンビル18、およびフェースプレート30の間でシート材料を変位させるときに、ワークピースクランプ60は、形成ダイ34に横方向に隣接するシート材料の部分を支持し、形成されるパッドの外側のシート材料の望まれない変形が、低減および/または防止されるようになっている。シート材料の望まれない変形を低減または防止することに加えて、ワークピースクランプ60は、パッドが形成された後のシート材料のスプリングバックを低減させることを助ける可能性もある。
図6に最良に見られるように、この実施形態のそれぞれのワークピースクランプ60は、クランプ部材62を含み、クランプ部材62は、1つまたは複数の位置決めボルト64によってダイブロック20の上に支持されており、1つまたは複数の位置決めボルト64は、ダイブロック20を通って延在し、クランプ部材62の中へねじ込まれている。位置決めボルト64は、ダイブロック20の中に提供されているそれぞれのジャーナル66の中にスライド可能に受け入れられており、クランプ部材62が、アンビル18の作業軸線22と整合された方向に移動可能であるようになっている。
【0044】
ワークピースクランプ60は、スライド部材24に向かう方向にクランプ部材62を付勢するように動作可能な1つまたは複数の付勢部材68をさらに含むことが可能である。示されている実施形態では、付勢部材68は、ガススプリング(たとえば、Plymouth,MIのDADCO,Inc.から入手可能な窒素ガススプリングシリンダーModel No.U.0175.007.TO.180など)を含む。この実施形態における付勢部材68は、ダイブロック20の中に形成された対応するポケットの中に支持されており、ガススプリングシリンダーのピストンロッドが、それぞれのクランプ部材62に係合するようになっている。この例示的な実施形態では、付勢部材68はガススプリングとして示されて説明されてきたが、スライド部材24に向かう方向にクランプ部材62を付勢するのに適切なさまざまな他の構造体またはデバイスも、代替的に使用されることが可能であるということが認識されることとなる。
【0045】
引き続き
図2~
図3を参照すると、および、再び
図4を参照すると、シート材料において取り付けパッドを形成するためのツール12の別の例示的な実施形態は、アンビル18の作業軸線22に沿った移動のために、および、追加的に、少なくとも2つ以上の自由度で移動するために、ハウジング16の上に支持されているスライドブロック24を含む。
図4は、
図2の線4-4に沿ったスライドブロック24を通る断面図を図示している。この実施形態では、ローラー軸受80が、アンビル18の上に担持されており、作業軸線22に沿った並進移動のためにスライドブロック24を支持している。この目的のために、ローラー軸受80のレースは、作業軸線22の周りの回転に対抗して固定されることが可能であり、スライドブロック24の並進のみがローラー軸受80によって許容されるようになっている。
【0046】
ツール12は、球面軸受82をさらに含むことが可能であり、球面軸受82は、ローラー軸受80の上に支持されており、スライドブロック24を担持している。球面軸受82は、軸受ジャーナル84の中に移動可能に支持されており、作業軸線22に対するピッチ軸およびヨー軸に対応する追加の自由度でのスライドブロック24の移動を促進させる。最大で6つの自由度で移動するスライドブロック24の能力は、スライドブロック24の上に担持されているフェースプレート30が、入って来るシート材料の角度変化により良好に対処することを可能にし、フェースプレート30が、入って来るシート材料に対して同一平面上に着座することが可能であるようになっており、それは、そうでなければ、フェースプレート30の平面の外にある可能性がある。
【0047】
本発明はさまざまな実施形態の説明によって図示されてきたが、また、これらの実施形態はかなり詳細に説明されてきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限することを意図しておらず、または、決して限定することを意図していない。本明細書で示されて説明されているさまざまな特徴は、単独でまたは任意の組み合わせで使用されることが可能である。追加的な利点および修正例が、容易に当業者に現れることとなる。したがって、本発明は、そのより広い態様において、示されて説明されている特定の詳細、代表的な装置および方法、ならびに、例示的な例に限定されない。したがって、一般的な発明概念の精神および範囲から逸脱することなく、そのような詳細からの逸脱が行われることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 システム
12 ツール
14 ロボットマニピュレータ
15 コントローラ
16 ハウジング
18 アンビル
20 ダイブロック
22 作業軸線
24 スライドブロック
26 アクチュエータ
30 フェースプレート
32 第1のサーボモータ
34 形成ダイ
36 カウンターバランスデバイス
40a、40b レバーアーム
42 位置センサ
46 センサプローブ
48 センサタブ
50 アンビルブロック
52 第2のサーボモータ
60 ワークピースクランプ
62 クランプ部材
64 位置決めボルト
66 ジャーナル
68 付勢部材
80 ローラー軸受
82 球面軸受
84 軸受ジャーナル
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材料の上に取り付けパッドを形成するためのツールであって、前記ツールは、
ハウジングと、
アンビルであって、前記アンビルは、前記ハウジングの上に支持されており、前記パッドを形成するための作業軸線を画定している、アンビルと、
スライドブロックであって、前記スライドブロックは、少なくとも前記アンビルの前記作業軸線に沿った移動のために前記ハウジングの上に支持されている、スライドブロックと、
ダイブロックであって、前記ダイブロックは、前記スライドブロックの反対側に前記ハウジングの上に支持されており、前記作業軸線に沿った方向に移動可能であり、前記ダイブロックは、前記パッドを形成するためにアンビルと協働する、ダイブロックと、
アクチュエータであって、前記アクチュエータは、前記ハウジングの上にあり、前記ダイブロックに向かう方向に前記スライドブロックを付勢し、前記アクチュエータは、第1のモードおよび第2のモードで動作可能であり、前記第1のモードでは、前記スライドブロックは、前記ダイブロックに向けておよび前記ダイブロックから離れるように移動可能であり、前記第2のモードでは、前記スライドブロックは、前記ダイブロックから離れる方向への移動に対してロックされている、アクチュエータと、
選択的に調節可能なカウンターバランスデバイスであって、前記カウンターバランスデバイスは、前記アクチュエータによって前記スライドブロックに印加される力を平衡させるために
前記第1のモードにおいて前記アクチュエータと協働する、カウンターバランスデバイスと、
を含む、ツール。
【請求項2】
前記カウンターバランスデバイスのカウンターバランス力は、前記ツールの姿勢に基づいて調節可能である、請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記カウンターバランス力は、前記スライドブロックによって前記シート材料に印加され得る所定の力の限界に基づいて調節可能である、請求項1に記載のツール。
【請求項4】
前記カウンターバランスデバイスは、前記アクチュエータと前記スライドブロックとの間において前記ハウジングの上に位置決めされている、
請求項1に記載のツール。
【請求項5】
前記ツールは、前記スライドブロックと動作可能に連結されているレバーアームをさらに含み、
前記レバーアームは、前記アクチュエータまたは前記カウンターバランスデバイスのうちの少なくとも1つから前記スライドブロックに力を伝達するように動作可能である、
請求項1に記載のツール。
【請求項6】
前記ツールは、
前記スライドブロックの上のフェースプレートと、
前記ダイブロックの上の形成ダイと、
をさらに含み、
前記フェースプレートおよび形成ダイは、前記ダイブロックが前記作業軸線に沿って移動されて前記アンビルに係合するときに、前記パッドを形成するように前記アンビルと協働する、
請求項1に記載のツール。
【請求項7】
前記ツールは、
センサであって、前記センサは、前記ハウジングの上に支持されており、前記ハウジングに対する前記スライドブロックまたは前記スライドブロックの上のフェースプレートのうちの少なくとも1つの位置をセンシングするように構成されている、センサ
をさらに含む、
請求項1に記載のツール。
【請求項8】
前記アンビルは、前記ハウジングに対して選択的に移動可能であり、
前記センサは、前記アンビルに対する前記スライドブロックの位置を決定するように動作可能であり、
前記ハウジングの上の前記アンビルの位置は、前記スライドブロックのセンシングされた前記位置に基づいて、前記シート材料のスプリングバックに対処するように調節可能である、請求項7に記載のツール。
【請求項9】
前記センサは、前記シート材料と接触されているときの前記スライドブロックの位置をセンシングするように構成されており、
前記シート材料に関連付けられるパラメータは、センシングされた前記位置に基づいて決定され、
前記パラメータが所定の閾値に到達するときに、信号が発生/生成される、請求項7に記載のツール。
【請求項10】
前記ツールは、
前記スライドブロックの上のフェースプレートであって、前記フェースプレートは、前記パッドを形成するために前記アンビルと協働する、フェースプレートと、
前記ダイブロックの上の少なくとも1つのワークピースクランプであって、前記ワークピースクランプは、前記ダイブロックが前記作業軸線に沿って移動されて前記アンビルに係合するときに、前記フェースプレートと協働して、前記シート材料をそれらの間にクランプする、少なくとも1つのワークピースクランプと、
をさらに含む、
請求項1に記載のツール。
【請求項11】
前記少なくとも1つのワークピースクランプは、前記フェースプレートに向かう方向に付勢されている、請求項10に記載のツール。
【請求項12】
前記少なくとも1つのワークピースクランプは、前記作業軸線に平行な方向に沿って前記ダイブロックに対する前記ワークピースクランプの位置を変化させるように選択的に位置決め可能に調節可能である、請求項10に記載のツール。
【請求項13】
前記ツールは、
前記ダイブロックの上の形成ダイ
をさらに含み、
前記形成ダイは、前記ダイブロックが前記作業軸線に沿って移動されて前記アンビルに係合するときに、前記パッドを形成するために前記フェースプレートおよび前記アンビルと協働する、請求項10に記載のツール。
【請求項14】
シート材料において取り付けパッドを形成するためのツールであって、前記ツールは、
ハウジングと、
アンビルであって、前記アンビルは、前記ハウジングの上に支持されており、前記パッドを形成するための作業軸線を画定している、アンビルと、
スライドブロックであって、前記スライドブロックは、前記アンビルの前記作業軸線に沿った移動のために、および、少なくとも2つ以上の自由度でのさらなる移動のために、前記ハウジングの上に支持されている、スライドブロックと、
ダイブロックであって、前記ダイブロックは、前記スライドブロックの反対側に前記ハウジングの上に支持されており、前記作業軸線に沿った方向に移動可能であり、前記ダイブロックは、パッドを形成するためにアンビルと協働する、ダイブロックと、
前記ハウジングの上のロッキングメカニズムであって、前記ロッキングメカニズムは、前記ダイブロックから離れる方向への前記作業軸線に沿った移動に対して前記スライドブロックをロックするように作動可能である、ロッキングメカニズムと、
を含む、ツール。
【請求項15】
前記スライドブロックは、前記スライドブロックがローラー軸受の枢動軸線の周りに回転可能であるように、前記ローラー軸受によって前記ハウジングの上に支持されており、
前記枢動軸線は、前記作業軸線と実質的に整合されている、請求項14に記載のツール。
【請求項16】
前記ツールは、前記ローラー軸受と前記スライドブロックとの間に配設されている球面軸受をさらに含み、それによって、前記スライドブロックは、最大で6つの自由度で移動可能である、請求項15に記載のツール。
【国際調査報告】