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特表2024-519293シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)iRNA組成物およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)iRNA組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20240501BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20240501BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20240501BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240501BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240501BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240501BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240501BHJP
   A61P 11/14 20060101ALI20240501BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20240501BHJP
   A61P 11/08 20060101ALI20240501BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240501BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240501BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/713
A61K47/54
A61K48/00
A61P11/06
A61P11/00
A61P43/00 105
A61P11/14
A61P11/02
A61P11/08
A61K9/12
A61K45/00
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566489
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 US2022026645
(87)【国際公開番号】W WO2022232343
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/181,356
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/232,335
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505369158
【氏名又は名称】アルナイラム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALNYLAM PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】ディートン,エイミー エム
(72)【発明者】
【氏名】ズーバー,ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA24
4C076AA93
4C076BB16
4C076BB22
4C076BB25
4C076CC15
4C076DD34
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD39
4C076DD41
4C076DD49
4C076DD55
4C076DD57
4C076DD60
4C076DD63
4C076DD70
4C084AA13
4C084AA19
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA57
4C084MA59
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZA61
4C084ZA62
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA57
4C086MA59
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA61
4C086ZA62
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)遺伝子を標的とするRNAi剤、例えば、二本鎖RNA(dsRNA)剤に関する。本発明はまた、STAT6遺伝子の発現を阻害するためにかかるRNAi剤を使用する方法、ならびにSTAT6関連障害、例えば、呼吸器疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎を予防および治療する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞内のシグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤であって、前記dsRNA剤が、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、前記センス鎖が、配列番号1のヌクレオチド配列のいずれか一つと3ヌクレオチド以下だけ異なる少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含み、かつ前記アンチセンス鎖が、配列番号2のヌクレオチド配列のいずれか一つと3ヌクレオチド以下だけ異なる少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含み、前記センス鎖またはアンチセンス鎖が一つまたは複数の親油性部分にコンジュゲートされる、二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤。
【請求項2】
細胞内でシグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤であって、前記dsRNA剤が、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖が、STAT6をコードするmRNAに対して相補性領域を含み、前記相補性領域が、表2~3のうちのいずれか一つにおけるアンチセンスヌクレオチド配列のいずれか一つと3ヌクレオチド以下だけ異なる少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含み、前記センス鎖またはアンチセンス鎖が、一つまたは複数の親油性部分にコンジュゲートされる、二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤。
【請求項3】
前記センス鎖および前記アンチセンス鎖の両方が、一つまたは複数の親油性部分にコンジュゲートされる、請求項1または2に記載のdsRNA剤。
【請求項4】
前記親油性部分が、前記dsRNA剤の前記二本鎖領域における一つまたは複数の位置にコンジュゲートされる、請求項1~3のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項5】
前記親油性部分が、リンカーまたは担体を介してコンジュゲートされる、請求項1~4のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項6】
logKowによって測定された前記親油性部分の親油性が0を超える、請求項1~5のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項7】
前記二本鎖RNAi剤の血漿タンパク質結合アッセイにおいて非結合型分画によって測定される前記二本鎖RNAi剤の疎水性が0.2を超える、請求項1~6のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項8】
前記血漿タンパク質結合アッセイが、ヒト血清アルブミンタンパク質を使用する電気泳動移動度シフトアッセイである、請求項7に記載のdsRNA剤。
【請求項9】
前記dsRNA剤が、少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項10】
前記センス鎖の5以下のヌクレオチドおよび前記アンチセンス鎖の5以下のヌクレオチドが、未修飾ヌクレオチドである、請求項9に記載のdsRNA剤。
【請求項11】
前記センス鎖のすべてのヌクレオチドおよび前記アンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが、修飾を含む、請求項9に記載のdsRNA剤。
【請求項12】
前記修飾ヌクレオチドのうちの少なくとも一つが、デオキシ-ヌクレオチド、3’末端デオキシチミジン(dT)ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ-修飾ヌクレオチド、ロックヌクレオチド、アンロックヌクレオチド、立体配座的に制限されたヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル-修飾ヌクレオチド、2’-C-アルキル-修飾ヌクレオチド、2’-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アルキル-修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミダート、非天然塩基を含むヌクレオチド、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、5’-ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、5’-メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’リン酸または5’ホスフェート模倣体を含むヌクレオチド、ビニルホスホネートを含むヌクレオチド、アデノシン-グリコール核酸(GNA)を含むヌクレオチド、チミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体を含むヌクレオチド、2-ヒドロキシメチル-テトラヒドロフラン-5-リン酸を含むヌクレオチド、2’-デオキシチミジン-3’リン酸を含むヌクレオチド、2’-デオキシグアノシン-3’-リン酸を含むヌクレオチド、2’-Oヘキサデシルヌクレオチド、2’-リン酸を含むヌクレオチド、シチジン-2’-リン酸ヌクレオチド、グアノシン-2’-リン酸ヌクレオチド、2’-O-ヘキサデシル-シチジン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-O-ヘキサデシル-アデノシン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-O-ヘキサデシル-グアノシン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-O-ヘキサデシル-ウリジン-3’-リン酸ヌクレオチド、5’-ビニルホスホネート(VP)、2’-デオキシアデノシン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-デオキシシチジン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-デオキシグアノシン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-デオキシチミジン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-デオキシウリジンヌクレオチド、およびコレステリル誘導体およびドデカノ酸ビスデシルアミド基に連結された末端ヌクレオチド、およびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項9~11のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項13】
前記修飾ヌクレオチドが、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ-修飾ヌクレオチド、3’-末端デオキシチミジンヌクレオチド(dT)、ロックヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ-修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミダート、および非天然塩基を含むヌクレオチドからなる群から選択される、請求項12に記載のdsRNA剤。
【請求項14】
前記修飾ヌクレオチドが、3’-末端デオキシチミジンヌクレオチド(dT)の短い配列を含む、請求項12に記載のdsRNA剤。
【請求項15】
前記ヌクレオチドの修飾が、2’-O-メチル修飾、2’-デオキシ-修飾、2’フルオロ修飾、5’-ビニルホスホネート(VP)修飾、および2’-Oヘキサデシルヌクレオチド修飾である、請求項12に記載のdsRNA剤。
【請求項16】
少なくとも一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結をさらに含む、請求項12に記載のdsRNA剤。
【請求項17】
前記dsRNA剤が、6~8のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む、請求項16に記載のdsRNA剤。
【請求項18】
各鎖が、30ヌクレオチド以下の長さである、請求項1~17のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項19】
少なくとも一つの鎖が、少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項20】
少なくとも一つの鎖が、少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項21】
前記二本鎖領域が、15~30ヌクレオチド対の長さである、請求項1~20のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項22】
前記二本鎖領域が、17~23ヌクレオチド対の長さである、請求項21に記載のdsRNA剤。
【請求項23】
前記二本鎖領域は、17~25ヌクレオチド対の長さである、請求項21に記載のdsRNA剤。
【請求項24】
前記二本鎖領域は、23~27ヌクレオチド対の長さである、請求項21に記載のdsRNA剤。
【請求項25】
前記二本鎖領域が、19~21ヌクレオチド対の長さである、請求項21に記載のdsRNA剤。
【請求項26】
前記二本鎖領域が、21~23ヌクレオチド対の長さである、請求項21に記載のdsRNA剤。
【請求項27】
各鎖が、19~30ヌクレオチドの長さである、請求項1~26のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項28】
各鎖が、19~23ヌクレオチドの長さである、請求項1~26のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項29】
各鎖が、21~23ヌクレオチドの長さである、請求項1~26のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項30】
一つまたは複数の親油性部分が、少なくとも一つの鎖における一つまたは複数の内側位置にコンジュゲートされる、請求項1~29のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項31】
前記一つまたは複数の親油性部分が、リンカーまたは担体を介して、少なくとも一つの鎖における一つまたは複数の内側位置にコンジュゲートされる、請求項30に記載のdsRNA剤。
【請求項32】
前記内側位置が、前記少なくとも一つの鎖の各末端から末端の二つの位置を除く全ての位置を含む、請求項31に記載のdsRNA剤。
【請求項33】
前記内側位置が、前記少なくとも一つの鎖の各末端から末端の三つの位置を除く全ての位置を含む、請求項31に記載のdsRNA剤。
【請求項34】
前記内側位置が、前記センス鎖の切断部位領域を除く、請求項31~33のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項35】
前記内側位置が、前記センス鎖の前記5’末端から数えて9~12位を除く全ての位置を含む、請求項34に記載のdsRNA剤。
【請求項36】
前記内側位置が、前記センス鎖の前記3’末端から数えて11~13位を除く全ての位置を含む、請求項34に記載のdsRNA剤。
【請求項37】
前記内側位置が、前記アンチセンス鎖の切断部位領域を除く、請求項31~33のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項38】
前記内側位置が、前記アンチセンス鎖の前記5’末端から数えて12~14位を除く全ての位置を含む、請求項37に記載のdsRNA剤。
【請求項39】
前記内側位置が、前記3’末端から数えて前記センス鎖上の11~13位および前記5’末端から数えて前記アンチセンス鎖上の12~14位を除く全ての位置を含む、請求項31~33のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項40】
前記一つまたは複数の親油性部分が、各鎖の前記5’末端から数えて、前記センス鎖上の4~8位および13~18位ならびに前記アンチセンス鎖上の6~10位および15~18位からなる群から選択される前記内側位置のうちの一つまたは複数にコンジュゲートされる、請求項1~39のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項41】
前記一つまたは複数の親油性部分が、各鎖の前記5’末端から数えて、前記センス鎖上の5、6、7、15および17位ならびに前記アンチセンス鎖上の15および17位からなる群から選択される前記内側位置のうちの一つまたは複数にコンジュゲートされる、請求項40に記載のdsRNA剤。
【請求項42】
前記二本鎖領域における前記位置は、前記センス鎖の切断部位領域を除く、請求項4に記載のdsRNA剤。
【請求項43】
前記センス鎖が、21ヌクレオチドの長さであり、前記アンチセンス鎖が、23ヌクレオチドの長さであり、また前記親油性部分が、各鎖の前記5’末端から数えて、前記センス鎖の21位、20位、15位、1位、7位、6位もしくは2位、または前記アンチセンス鎖の16位にコンジュゲートされる、請求項1~42のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項44】
前記親油性部分が、前記鎖の前記5’末端から数えて、前記センス鎖の21位、20位、15位、1位、または7位にコンジュゲートされる、請求項43に記載のdsRNA剤。
【請求項45】
前記親油性部分が、前記鎖の前記5’末端から数えて、前記センス鎖の21位、20位、または15位にコンジュゲートされる、請求項43に記載のdsRNA剤。
【請求項46】
前記親油性部分が、前記鎖の前記5’末端から数えて、前記センス鎖の20位または15位にコンジュゲートされる、請求項43に記載のdsRNA剤。
【請求項47】
前記親油性部分が、前記鎖の前記5’末端から数えて、前記アンチセンス鎖の16位にコンジュゲートされる、請求項43に記載のdsRNA剤。
【請求項48】
前記親油性部分が、脂肪族化合物、脂環式化合物、または多脂環式化合物である、請求項1~47のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項49】
前記親油性部分が、脂質、コレステロール、レチノイン酸、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキサノール、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メンソール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジンからなる群から選択される、請求項48に記載のdsRNA剤。
【請求項50】
前記親油性部分が、飽和または不飽和C4~C30炭化水素鎖と、ヒドロキシル、アミン、カルボン酸、スルホネート、ホスフェート、チオール、アジド、およびアルキンからなる群から選択される随意の官能基とを含有する、請求項49に記載のdsRNA剤。
【請求項51】
前記親油性部分が、飽和または不飽和C6~C18炭化水素鎖を含有する、請求項50に記載のdsRNA剤。
【請求項52】
前記親油性部分が、飽和または不飽和C16炭化水素鎖を含有する、請求項50に記載のdsRNA剤。
【請求項53】
前記飽和または不飽和C16炭化水素鎖が、前記鎖の前記5’末端から数えて6位にコンジュゲートされる、請求項52に記載のdsRNA剤。
【請求項54】
前記親油性部分が、前記内側位置または前記二本鎖領域における一つまたは複数のヌクレオチドに置き換わる担体を介してコンジュゲートされる、請求項1~51のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項55】
前記担体が、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフラニル、およびデカリニルからなる群から選択される環式基であるか、またはセリノール骨格またはジエタノールアミン骨格系の非環式部分である、請求項54に記載のdsRNA剤。
【請求項56】
前記親油性部分が、エーテル、チオエーテル、尿素、カーボネート、アミン、アミド、マレイミド-チオエーテル、ジスルフィド、ホスホジエステル、スルホンアミド連結、クリック反応の生成物、またはカルバメートを含有するリンカーを介して前記二本鎖iRNA剤にコンジュゲートされる、請求項1~51のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項57】
前記親油性部分が、核酸塩基、糖部分、またはヌクレオシド間連結にコンジュゲートされる、請求項1~56のいずれか一項に記載の二本鎖iRNA剤。
【請求項58】
前記親油性部分または標的リガンドが、DNA、RNA、ジスルフィド、アミド、およびガラクトサミン、グルコサミン、グルコース、ガラクトース、マンノースの官能化された単糖またはオリゴ糖、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される生物切断可能なリンカーを介してコンジュゲートされる、請求項1~57のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項59】
前記センス鎖の前記3’末端が、アミンを有する環状基であるエンドキャップを介して保護され、前記環状基が、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフラニル、およびデカリニルからなる群から選択される、請求項1~58のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項60】
肝組織を標的化する標的リガンドをさらに含む、請求項1~59のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項61】
前記標的リガンドが、GalNAcコンジュゲートである、請求項60に記載のdsRNA剤。
【請求項62】
前記アンチセンス鎖の前記3’末端における前記第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がSp立体配置である、末端キラル修飾と、
前記アンチセンス鎖の前記5’末端における前記第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がRp立体配置である、末端キラル修飾と、
前記センス鎖の前記5’末端における前記第一のヌクレオチド間連結で生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がRp立体配置またはSp立体配置のいずれかである、末端キラル修飾と、をさらに含む、請求項1~61のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項63】
前記アンチセンス鎖の前記3’末端における前記第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、前記連結リン原子がSp立体配置である、末端のキラル修飾と、
前記アンチセンス鎖の前記5’末端における前記第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がRp立体配置である、末端キラル修飾と、
前記センス鎖の前記5’末端における前記第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がRp立体配置またはSp立体配置のいずれかである、末端キラル修飾と、をさらに含む、請求項1~61のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項64】
前記アンチセンス鎖の前記3’末端における前記第一、第二および第三のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がSp立体配置である、末端キラル修飾と、
前記アンチセンス鎖の前記5’末端における前記第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がRp立体配置である、末端キラル修飾と、
前記センス鎖の前記5’末端における前記第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がRp立体配置またはSp立体配置のいずれかである、末端キラル修飾と、をさらに含む、請求項1~61のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項65】
前記アンチセンス鎖の前記3’末端における前記第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がSp立体配置である、末端キラル修飾と、
前記アンチセンス鎖の前記3’末端における前記第三のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がRp立体配置である、末端キラル修飾と、
前記アンチセンス鎖の前記5’末端における前記第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がRp立体配置である、末端キラル修飾と、
前記センス鎖の前記5’末端における前記第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がRp立体配置またはSp立体配置のいずれかである、末端キラル修飾と、をさらに含む、請求項1~61のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項66】
前記アンチセンス鎖の前記3’末端における前記第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がSp立体配置である、末端キラル修飾と、
前記アンチセンス鎖の前記5’末端における前記第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がRp立体配置である、末端キラル修飾と、
前記センス鎖の前記5’末端における前記第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾であって、前記連結リン原子がRp立体配置またはSp立体配置のいずれかである、末端キラル修飾と、をさらに含む、請求項1~61のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項67】
前記アンチセンス鎖の前記5’末端においてホスフェートまたはホスフェート模倣体をさらに含む、請求項1~66のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項68】
前記ホスフェート模倣体が、5’-ビニルホスホネート(VP)である、請求項67に記載のdsRNA剤。
【請求項69】
前記二重鎖の前記アンチセンス鎖の前記5’末端の一つの位置における前記塩基対が、AU塩基対である、請求項1~66のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項70】
前記センス鎖が、合計21ヌクレオチドを有し、また前記アンチセンス鎖が、合計23ヌクレオチドを有する、請求項1~66のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項71】
請求項1~70のいずれか一項に記載のdsRNA剤を含有する、細胞。
【請求項72】
請求項1~70のいずれか一項に記載のdsRNA剤を含む、STAT6遺伝子の発現を阻害する医薬組成物。
【請求項73】
請求項1~70のいずれか一項に記載のdsRNA剤と脂質製剤とを含む、医薬組成物。
【請求項74】
細胞内においてSTAT6遺伝子の発現を阻害する方法であって、
(a)前記細胞を、請求項1~70のいずれか一項に記載のdsRNA剤、または請求項72または73に記載の医薬組成物と接触させることと、
(b)工程(a)において産生された前記細胞を、STAT6遺伝子の分解を得るのに十分な時間にわたって維持し、それによって前記細胞内において前記STAT6遺伝子の発現を阻害することとを含む、方法。
【請求項75】
前記細胞が、対象内にある、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記対象が、ヒトである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記細胞を前記dsRNA剤と接触させることで、STAT6の発現が少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%阻害される、請求項74~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)発現の減少から恩恵を受けることとなる障害のある対象を治療する方法であって、請求項1~70のいずれか一項に記載の前記dsRNA剤または請求項72または73のいずれか一項に記載の前記医薬組成物の治療有効量を前記対象に投与し、それによってSTAT6発現の減少から恩恵を受けることとなる前記障害がある前記対象を治療することを含む、方法。
【請求項79】
シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)発現の減少から恩恵を受けることとなる障害のある対象における少なくとも一つの症状を予防する方法であって、請求項1~70のいずれか一項に記載の前記dsRNA剤または請求項72または73のいずれか一項に記載の前記医薬組成物の予防有効量を前記対象に投与し、それによってSTAT6発現の減少から恩恵を受けることとなる前記障害がある前記対象における少なくとも一つの症状を予防することを含む、方法。
【請求項80】
前記障害が、STAT6関連障害である、請求項78または79に記載の方法。
【請求項81】
前記STAT6関連障害が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎からなる群から選択される呼吸器疾患である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記STAT6関連疾患が、喘息である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記対象が、ヒトである、請求項78または79に記載の方法。
【請求項84】
前記対象への前記dsRNA剤の投与が、前記対象におけるSTAT6タンパク質蓄積の減少を引き起こす、請求項78~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記対象への前記dsRNA剤の投与が、前記対象における前記気道の炎症および/または腫脹を減少させる、請求項78~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記dsRNA剤が、約0.01mg/kg~約50mg/kgの用量で前記対象に投与される、請求項78~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記dsRNA剤が、前記対象に肺系投与される、請求項78~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記肺投与が、経口吸入または鼻腔内によるものである、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記dsRNA剤が、前記対象に皮下投与される、請求項78~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記対象からの試料中のSTAT6レベルを判定することをさらに含む、請求項78~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記対象からの試料中の前記STAT6レベルが、血液または血清中または肺系組織試料中のSTAT6タンパク質レベルである、請求項78~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
STAT6関連障害の治療または予防に好適な追加的な薬剤または療法を前記対象に投与することをさらに含む、請求項78~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記追加的な治療剤が、抗炎症剤、抗コリン剤、β2アドレナリン受容体アゴニスト、抗生物質、抗ウイルス剤、抗ヒスタミン薬、免疫調節因子、ホスホジエステラーゼ-5阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗線維化剤、および前述のいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
請求項1~70のいずれか一項に記載の前記dsRNA剤、または請求項72または73に記載の前記医薬組成物を含む、キット。
【請求項95】
請求項1~70のいずれか一項に記載の前記dsRNA剤、または請求項72または73に記載の前記医薬組成物を含む、バイアル。
【請求項96】
請求項1~70のいずれか一項に記載の前記dsRNA剤、または請求項72または73に記載の前記医薬組成物を含む、シリンジ。
【請求項97】
請求項1~70に記載のいずれか一項の前記dsRNA剤のアンチセンス鎖を含む、RNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年4月29日に出願された米国仮特許出願第63/181,356号、および2021年8月12日に出願された米国仮特許出願第63/232,335号に対する優先権の利益を主張する。先述の出願の各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(配列表)
本願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含んでおり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。先述のASCIIの写しは、2022年4月19日に作成され、121301_15720_SL.TXTという名称で、サイズは209,790バイトである。
【背景技術】
【0003】
シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)は、アレルギー疾患におけるTh2サイトカインIL-4およびIL-13の下流エフェクター機能を調節する主要な転写因子である。STAT6は、以下の三つの既知のスプライスバリアントSTAT6a、STAT6b、STAT6cを有するSTATタンパク質ファミリーのメンバーである。潜在細胞質STAT6は、IL-4またはIL-13がそれぞれの受容体に結合するときに活性化される。IL-4またはIL-13のそれらの受容体との連結は、リン酸化、およびそれゆえ受容体の細胞質尾部に付着しているヤヌスキナーゼ(Jak)の活性化をもたらす。活性されると、Jakは受容体上の特定のチロシン残基をリン酸化し、これが次にSTAT6単量体の結合部位を生成する。受容体上のホスホチロシンに結合すると、STAT6自体がチロシン残基上でリン酸化され、これにより二量体を形成することを可能にする。活性STAT6二量体は、核に急速に転座し、そこで標的遺伝子の発現を制御する。
【0004】
喘息は、主に膨張した気道を伴う気道の炎症を特徴とする。気道が好酸球、肥満細胞、およびTh2細胞により浸潤される。Th2細胞は、IL-4、IL-5、IL-9およびIL-13の重要な供給源である。Th2サイトカインは、様々な細胞からのケモカイン産生を誘導することができる。上皮下のコラーゲンの沈着(上皮下線維症)、平滑筋過形成、および杯細胞過形成などの特徴的な構造変化がある。気道の慢性炎症および構造変化は、気道の過敏反応性および気流の制限につながる可能性がある。
【0005】
サイトカインIL-4およびIL-13の生物学的機能を介在する主な転写因子として、STAT6は、免疫系のTh2分極および喘息などのアレルギー性炎症の発症において重要な役割を果たす。具体的には、STAT6は、Th2サイトカインのTh2細胞分化および分泌の制御に関与する転写因子を活性化する(Ho et al., 2007, Cel.Mol,Immunol, 4, 15-29)。さらに、STAT6は、アレルゲン曝露後の喘息持ちの人や喘息患者の気道において上方制御される。(Phipps et al., 2004, AJRCMB 31, 626-632; Christodoulopoulos et al., 2001, J. All. Clin. Immunol 107, 585-591; Mailings et al., 2001, J. All. Clin. Immunol. 108,832-838)。
【0006】
喘息に対する現在の治療には、気道内の炎症の低減に役立つ予防的な長期制御薬、および即効性吸入器が含まれる。しかしながら、これらの治療は必ずしも有効ではない。したがって、当技術分野においては喘息などの呼吸器疾患を有する対象者への代替的治療に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)をコードする遺伝子のRNA転写物のRNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)介在性の切断に影響を与えるiRNA組成物を提供する。STAT6遺伝子は、細胞内に、ヒト対象などである対象内の細胞にあり得る。本発明はまた、STAT6遺伝子の発現を阻害するため、および/またはSTAT6遺伝子の発現の阻害もしくは減少から恩恵を受けるであろう対象、例えば、STAT6関連障害、例えば、呼吸器疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎に罹患しているか、または罹患しやすい対象を治療するための、本発明のiRNA組成物を使用する方法を提供する。
【0008】
したがって、一態様においては、本発明は、細胞内でシグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤を提供し、当該dsRNA剤が、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、該センス鎖が、配列番号1のヌクレオチド配列と0ヌクレオチド以下、1ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下または3ヌクレオチド以下だけ異なる少なくとも15の連続するヌクレオチドを含み、該アンチセンス鎖は、配列番号2のヌクレオチド配列と1ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下または3ヌクレオチド以下だけ異なる少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含み、該センス鎖または該アンチセンス鎖は一つまたは複数の親油性部分にコンジュゲートされる。
【0009】
別の態様では、本発明は、細胞内のシグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(dsRNA)を提供し、前述のdsRNAは、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、該アンチセンス鎖は、STAT6をコードするmRNAに対して相補性領域を含み、該相補性領域は、表2~3のいずれか一つのアンチセンスヌクレオチド配列のいずれか一つと0、1、2、または3個以下のヌクレオチドが異なる15、16、17、18、19、または20などの少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含み、該センス鎖またはアンチセンス鎖は一つまたは複数の親油性部分にコンジュゲートされる。
【0010】
一実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方が、一つまたは複数の親油性部分にコンジュゲートされる。
【0011】
一実施形態では、親油性部分は、dsRNA剤の二本鎖領域内の一つまたは複数の位置にコンジュゲートされる。
【0012】
一実施形態では、親油性部分は、リンカーまたは担体を介してコンジュゲートされる。
【0013】
一実施形態では、親油性部分の親油性は、logKowで測定されて、0を超える。
【0014】
一実施形態では、二本鎖RNAi剤の疎水性は、二本鎖RNAi剤の血漿タンパク質結合アッセイにおける非結合型分画で測定され、0.2を超える。
【0015】
一実施形態においては、血漿タンパク質結合アッセイは、ヒト血清アルブミンタンパク質を使用する電気泳動移動度シフトアッセイである。
【0016】
一実施形態では、dsRNA剤は、少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含む。
【0017】
一実施形態では、センス鎖の実質的にすべてのヌクレオチド、アンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドが修飾を含むか、またはセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の実質的にすべてのヌクレオチドが、修飾を含む。
【0018】
一実施形態では、センス鎖のすべてのヌクレオチドが修飾を含むか、アンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが修飾を含むか、またはセンス鎖のすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが修飾を含む。
【0019】
一実施形態では、修飾ヌクレオチドのうちの少なくとも一つは、デオキシ-ヌクレオチド、3’末端デオキシチミジン(dT)ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ-修飾ヌクレオチド、ロックヌクレオチド、アンロックヌクレオチド、立体配座的に制限されたヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル-修飾ヌクレオチド、2’-C-アルキル-修飾ヌクレオチド、2’-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アルキル-修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミダート、非天然塩基を含むヌクレオチド、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、5’-ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、5’-メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’リン酸または5’ホスフェート模倣体を含むヌクレオチド、ビニルホスホネートを含むヌクレオチド、アデノシン-グリコール核酸(GNA)を含むヌクレオチド、チミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体を含むヌクレオチド、2-ヒドロキシメチル-テトラヒドロフラン-5-リン酸を含むヌクレオチド、2’-デオキシチミジン-3’リン酸を含むヌクレオチド、2’-デオキシグアノシン-3’-リン酸を含むヌクレオチド、2’-Oヘキサデシルヌクレオチド、2’-リン酸を含むヌクレオチド、シチジン-2’-リン酸ヌクレオチド、グアノシン-2’-リン酸ヌクレオチド、2’-O-ヘキサデシル-シチジン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-O-ヘキサデシル-アデノシン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-O-ヘキサデシル-グアノシン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-O-ヘキサデシル-ウリジン-3’-リン酸ヌクレオチド、5’-ビニルホスホネート(VP)、2’-デオキシアデノシン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-デオキシシチジン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-デオキシグアノシン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-デオキシチミジン-3’-リン酸ヌクレオチド、2’-デオキシウリジンヌクレオチド、およびコレステリル誘導体およびドデカノ酸ビスデシルアミド基に連結された末端ヌクレオチド、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される。
【0020】
別の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ-修飾ヌクレオチド、3’-末端デオキシチミジンヌクレオチド(dT)、ロックヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ-修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミダート、および非天然塩基を含むヌクレオチドからなる群から選択される。
【0021】
別の実施形態においては、修飾ヌクレオチドは、3’-末端デオキシチミジンヌクレオチド(dT)の短い配列を含む。
【0022】
なお別の実施形態では、ヌクレオチドにおける修飾は、2’-O-メチル修飾、2’デオキシ修飾、および2’フルオロ修飾である。
【0023】
一部の実施形態では、dsRNA剤は、少なくとも一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結をさらに含む。一部の実施形態では、dsRNA剤は、6~8のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む。一実施形態では、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結は、一方の鎖の3’末端にある。随意に、この鎖はアンチセンス鎖である。別の実施形態では、この鎖は、センス鎖である。関連する実施形態では、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結は、一方の鎖の5’末端にある。随意に、この鎖はアンチセンス鎖である。別の実施形態では、この鎖は、センス鎖である。別の実施形態では、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結は、一方の鎖の5’末端および3’末端の両方にある。随意に、この鎖はアンチセンス鎖である。別の実施形態では、この鎖は、センス鎖である。
【0024】
二本鎖領域は、長さが19~30ヌクレオチド対、長さが19~25ヌクレオチド対、長さが19~23ヌクレオチド対、長さが23~27ヌクレオチド対、または長さが21~23ヌクレオチド対であり得る。
【0025】
一実施形態では、各鎖は独立的に、長さが30ヌクレオチド以下である。
【0026】
一実施形態では、センス鎖は、長さが21ヌクレオチドであり、およびアンチセンス鎖は、長さが23ヌクレオチドである。
【0027】
相補性領域は、長さが少なくとも17ヌクレオチド、長さが19~23ヌクレオチド、または長さが19ヌクレオチドであり得る。
【0028】
一実施形態では、少なくとも一つの鎖が、少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。 別の実施形態では、少なくとも一つの鎖が、少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。
【0029】
一実施形態では、一つまたは複数の親油性部分は、少なくとも一本の鎖上の一つまたは複数の内側位置にコンジュゲートされる。
【0030】
一実施形態では、一つまたは複数の親油性部分は、リンカーまたは担体を介して少なくとも一本の鎖上の一つまたは複数の内側位置にコンジュゲートされる。
【0031】
一実施形態では、内側位置は、少なくとも一本の鎖の各末端から末端の二つの位置を除く全ての位置を含む。
【0032】
別の実施形態では、内側位置は、少なくとも一本の鎖の各末端から末端の三つの位置を除く全ての位置を含む。
【0033】
別の実施形態では、内側位置は、センス鎖の切断部位領域を除く。
【0034】
さらに別の実施形態では、内側位置は、センス鎖の5’末端から数えて9~12位を除く全ての位置を含む。
【0035】
一実施形態では、内側位置は、センス鎖の3’末端から数えて11~13位を除く全ての位置を含む。
【0036】
一実施形態では、内側位置は、アンチセンス鎖の切断部位領域を除く。
【0037】
一実施形態では、内側位置は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて12~14位を除く全ての位置を含む。
【0038】
一実施形態では、内側位置は、3’末端から数えてセンス鎖上の11~13位と、5’末端から数えてアンチセンス鎖上の12~14位とを除く全ての位置を含む。
【0039】
一実施形態では、一つまたは複数の親油性部分は、各鎖の5’末端から数えて、センス鎖上の4~8位および13~18位ならびにアンチセンス鎖上の6~10位および15~18位からなる群から選択される内側位置のうちの一つまたは複数にコンジュゲートされる。
【0040】
一実施形態では、一つまたは複数の親油性部分は、各鎖の5’末端から数えて、センス鎖上の5、6、7、15、および17位ならびにアンチセンス鎖上の15位および17位からなる群から選択される内側位置のうちの一つまたは複数にコンジュゲートされる。
【0041】
一実施形態では、二本鎖領域における位置は、センス鎖の切断部位領域を除く。
【0042】
一実施形態では、センス鎖は、21ヌクレオチドの長さであり、アンチセンス鎖は、23ヌクレオチドの長さであり、また親油性部分は、センス鎖の21位、20位、15位、1位、7位、6位、もしくは2位またはアンチセンス鎖の16位にコンジュゲートされる。
【0043】
一実施形態では、親油性部分は、センス鎖の21位、20位、15位、1位、または7位にコンジュゲートされる。
【0044】
一実施形態では、親油性部分は、センス鎖の21位、20位または15位にコンジュゲートされる。
【0045】
一実施形態では、親油性部分は、センス鎖の20位または15位にコンジュゲートされる。
【0046】
一実施形態では、親油性部分は、アンチセンス鎖の16位にコンジュゲートされる。
【0047】
一実施形態では、親油性部分は、脂肪族化合物、脂環式化合物、または多脂環式化合物である。
【0048】
一実施形態では、親油性部分は、脂質、コレステロール、レチノイン酸、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキサノール、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジンからなる群から選択される。
【0049】
一実施形態では、親油性部分は、飽和または不飽和C4~C30炭化水素鎖と、ヒドロキシル、アミン、カルボン酸、スルホネート、ホスフェート、チオール、アジド、およびアルキンからなる群から選択される随意の官能基とを含有する。
【0050】
一実施形態では、親油性部分は、飽和または不飽和C6~C18炭化水素鎖を含有する。
【0051】
一実施形態では、親油性部分は、飽和または不飽和C16炭化水素鎖を含有する。
【0052】
一実施形態では、飽和または不飽和C16炭化水素鎖は、一方の鎖の5’末端から数えて6位にコンジュゲートされる。
【0053】
一実施形態では、親油性部分は、内側位置または二本鎖領域における一つまたは複数のヌクレオチドに置き換わる担体を介してコンジュゲートされる。
【0054】
一実施形態では、担体は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフラニル、およびデカリニルからなる群から選択される環式基であるか、またはセリノール骨格またはジエタノールアミン骨格系の非環式部分である。
【0055】
一実施形態では、親油性部分は、エーテル、チオエーテル、尿素、カーボネート、アミン、アミド、マレイミド-チオエーテル、ジスルフィド、ホスホジエステル、スルホンアミド連結、クリック反応の生成物、またはカルバメートを含有するリンカーを介して二本鎖iRNA剤にコンジュゲートされる。
【0056】
一実施形態では、親油性部分は、核酸塩基、糖部分、またはヌクレオシド間連結にコンジュゲートされる。
【0057】
一実施形態では、親油性部分または標的リガンドは、DNA、RNA、ジスルフィド、アミド、およびガラクトサミン、グルコサミン、グルコース、ガラクトース、マンノースの官能化された単糖またはオリゴ糖、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される生物切断可能な(bio-clevable)リンカーを介してコンジュゲートされる。
【0058】
一実施形態では、センス鎖の3’末端は、アミンを有する環式基であるエンドキャップを介して保護され、前記環式基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフラニル、およびデカリニルからなる群から選択される。
【0059】
一実施形態では、dsRNA剤は、肝組織を標的とする標的リガンドをさらに含む。
【0060】
一実施形態では、標的リガンドは、GalNAcコンジュゲートである。
【0061】
一実施形態では、dsRNA剤は、Sp立体配置での連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の3’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置での連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置またはSp立体配置のいずれかでの連結リン原子を有する、センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾をさらに含む。
【0062】
一実施形態では、dsRNA剤は、Sp立体配置での連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の3’末端における第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置での連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置またはSp立体配置のいずれかでの連結リン原子を有する、センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾とをさらに含む。
【0063】
一実施形態では、dsRNA剤は、Sp立体配置での連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の3’末端における第一、第二および第三のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置での連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置またはSp立体配置のいずれかでの連結リン原子を有する、センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾とをさらに含む。
【0064】
一実施形態では、dsRNA剤は、Sp立体配置での連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の3’末端における第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置での連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の3’末端における第三のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置での連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置またはSp立体配置のいずれかでの連結リン原子を有する、センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾とをさらに含む。
【0065】
一実施形態では、dsRNA剤は、Sp立体配置での連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の3’末端における第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置での連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の5’末端における第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置またはSp立体配置のいずれかでの連結リン原子を有する、センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾とをさらに含む。
【0066】
一実施形態では、dsRNA剤は、アンチセンス鎖の5’末端におけるホスフェートまたはホスフェート模倣体をさらに含む。
【0067】
一実施形態では、ホスフェート模倣体は、5’-ビニルホスホネート(VP)である。
【0068】
一実施形態では、二重鎖のアンチセンス鎖の5’-末端の1つの位置における塩基対が、AU塩基対である。
【0069】
一実施形態では、センス鎖は、合計21のヌクレオチドを有し、アンチセンス鎖は、合計23のヌクレオチドを有する。
【0070】
本発明はまた、本発明のdsRNA剤のいずれかを含有する細胞、および本発明のdsRNA剤のいずれかを含む医薬組成物も提供する。本発明の医薬組成物は、本発明のdsRNA剤を含む脂質製剤を含んでもよい。
【0071】
一態様では、本発明は、細胞内でシグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。当該方法は、細胞を本発明のdsRNAのいずれかと、または本発明の医薬組成物のいずれかと接触させて、それによって細胞内でSTAT6遺伝子の発現を阻害することを含む。
【0072】
一実施形態では、細胞は、対象、例えば、ヒト対象、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎などの呼吸器疾患などのSTAT6関連障害を有する対象内にある。
【0073】
特定の実施形態では、STAT6発現は、少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%阻害される。
【0074】
一態様では、本発明は、シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)発現の減少から恩恵を受けることとなる障害がある対象を治療する方法を提供する。この方法は、本発明のdsRNAのいずれかまたは本発明の医薬組成物のいずれかの治療有効量を対象に投与し、それによってSTAT6発現の減少から恩恵を受けるであろう障害がある対象を治療することを含む。
【0075】
別の態様では、本発明は、シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)発現の減少から恩恵を受けることとなる障害がある対象の少なくとも一つの症状を予防する方法を提供する。この方法は、本発明のdsRNAのいずれかまたは本発明の医薬組成物のいずれかの予防有効量を対象に投与し、それによってSTAT6発現の減少から恩恵を受けるであろう障害がある対象における少なくとも一つの症状を予防することを含む。
【0076】
特定の実施形態では、障害は、シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)関連障害である。一部の実施形態では、STAT6関連障害は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎からなる群から選択される呼吸器疾患である。一部の実施形態では、STAT6関連障害は喘息である。
【0077】
特定の実施形態では、対象へのdsRNAの投与は、対象におけるSTAT6タンパク質蓄積の減少を引き起こす。
【0078】
特定の実施形態では、対象へのdsRNAの投与は、対象における気道の炎症および/または腫脹を減少させる。
【0079】
さらなる態様では、本発明はまた、対象におけSTAT6の発現を阻害する方法も提供する。方法は、治療有効量の本明細書に提供されるdsRNAのいずれかを対象に投与することを含み、それによって対象におけるSTAT6の発現を阻害する。
【0080】
一実施形態では、対象はヒトである。
【0081】
一実施形態では、dsRNA剤は、約0.01mg/kg~約50mg/kgの用量で対象に投与される。
【0082】
一実施形態では、dsRNA剤は、肺系投与を介して対象に投与される。肺系投与、例えば、二本鎖RNAi剤の鼻腔内投与または経口吸入投与によって、本方法は、肺系組織、例えば、上咽頭組織、中咽頭組織、咽喉頭組織、喉頭組織、気管組織、気管分岐部組織、気管支組織、細気管支組織、または肺胞組織におけるSTAT6の発現を低減することができる。
【0083】
一部の実施形態では、dsRNA剤は、鼻腔内、気管内、または口腔吸入によって対象に投与される。
【0084】
一実施形態では、dsRNA剤は、対象に皮下投与される。
【0085】
一実施形態では、本発明の方法は、対象からの試料中のSTAT6のレベルをさらに決定することを含む。
【0086】
一実施形態では、対象の試料中のSTAT6レベルは、血液または血清試料中または肺系組織試料中のSTAT6タンパク質レベルである。
【0087】
特定の実施形態では、本発明の方法は、追加の治療薬を対象に投与することをさらに含む。
【0088】
一実施形態では、追加の治療剤は、抗炎症剤(例えば、全身性コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、抗コリン剤と、β2アドレナリン受容体アゴニスト、抗生物質、抗ウイルス剤、抗ヒスタミン薬、免疫調節因子(例えば、免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン、シクロホスファミド)、ホスホジエステラーゼ-5阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、ニンテダニブ)、抗線維化剤(例えば、ピルフェニドン)、および前述のいずれかの組み合わせからなる群から選択される。
【0089】
本発明はまた、本発明のdsRNAのいずれか、または本発明の医薬組成物のいずれか、および随意で使用説明書を含むキットを提供する。一実施形態では、本発明は、細胞内のSTAT6の発現を阻害するのに有効な量で、細胞を本発明の二本鎖RNAi剤と接触させることによって、細胞内のSTAT6遺伝子の発現を阻害する方法を実施するためのキットを提供する。キットは、RNAi剤と、使用説明書を含み、任意に、RNAi剤を対象に投与するための手段を含む。
【0090】
本発明はさらに、本発明のdsRNA剤のいずれかのアンチセンス鎖を含むRNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0091】
本発明は、シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)遺伝子のRNA転写物のRNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)介在性の切断をもたらすiRNA組成物を提供する。当該遺伝子は、細胞内に、例えば、ヒトなどである対象内の細胞内にあり得る。これらiRNAの使用は、哺乳動物における対応する遺伝子(STAT6)のmRNAの標的分解を可能にする。
【0092】
本発明のiRNAは、他の哺乳動物種のSTAT6オーソログに保存される遺伝子の部分を含める、ヒトシグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)を標的とするように設計した。理論に制限されることを意図するものではないが、前述の特徴およびこれらiRNAにおける特定の標的部位または特定の修飾の組み合わせまたは下位の組み合わせが、本発明のiRNAの有効性、安定性、効力、耐久性、および安全性を向上させると考えられる。
【0093】
したがって、本発明は、STAT6遺伝子のRNA転写物のRNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)介在性の切断をもたらすiRNA組成物を使用して、シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)関連障害、例えば、呼吸器疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎を治療および予防するための方法を提供する。
【0094】
本発明のiRNAは、長さが最大約30ヌクレオチドまたはそれ未満、例えば長さが19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22ヌクレオチド、である領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含み、該領域は、STAT6遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部に対して実質的に相補的である。
【0095】
特定の実施形態では、本発明の二本鎖RNAi剤の一方の鎖または両方の鎖は、長さが最大66ヌクレオチド、例えば長さが36~66、26~36、25~36、31~60、22~43、27~53ヌクレオチドであり、STAT6遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部に対して実質的に相補的である少なくとも19個の連続するヌクレオチドの領域を伴う。一部の実施形態では、より長いアンチセンス鎖を有するこうしたiRNA剤は、例えば、長さが20~60ヌクレオチドの第二のRNA鎖(センス鎖)を含み得、この場合、センス鎖およびアンチセンス鎖は、18~30の連続するヌクレオチドの二重鎖を形成する。
【0096】
本発明のiRNAの使用により、哺乳動物における対応する遺伝子(STAT6遺伝子)の標的とされたmRNAの分解が可能になる。本発明者らは、STAT6遺伝子を標的とするiRNAが、RNAiを強力に介在し、結果としてSTAT6遺伝子の発現の有意な阻害をもたらすことができることを、インビトロアッセイにより実証した。したがって、これらのiRNAを含む方法および組成物は、STAT6関連障害、例えば、呼吸器疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎を有する対象を治療するのに有用である。
【0097】
したがって、本発明は、STAT6遺伝子のRNA転写物のRNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)介在性の切断をもたらすiRNA組成物を使用して、STAT6遺伝子の発現の阻害または減少から恩恵を受けることとなる障害、例えば、シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)関連疾患、例えば、呼吸器疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎を有する対象を治療するための方法および併用療法を提供する。
【0098】
本発明はまた、STAT6遺伝子の発現の阻害または減少から恩恵を受けることになる障害、例えば、呼吸器疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎を有する対象における少なくとも一つの症状を予防するための方法を提供する。
【0099】
以下の発明の詳細な説明は、STAT6遺伝子の発現を阻害するiRNAを含有する組成物を作製および使用する方法、ならびにSTAT6遺伝子の発現の阻害および/または減少から恩恵を受けるであろう対象、例えば、STAT6関連障害に感受性がある、またはそれと診断される対象を治療する組成物、使用、および方法を開示している。
【0100】
I.定義
本発明がより容易に理解できるように、特定の用語を、最初に定義する。加えて、パラメータの値または値の範囲が列記される場合にはいつでも、その列記された値の中間の値および範囲もまた、本発明の一部であることを意図していることを意図するものであるということに留意されたい。
【0101】
冠詞「a」および「an」は、本明細書において、冠詞の文法上の目的語の一つまたは複数(すなわち、少なくとも一つ)を意味するために使用する。例えば、「ある要素(an element)」は、一つの要素または二つ以上の要素、例えば、複数の要素、を意味する。
【0102】
「~を含むこと(including)」という用語は、「~を含むが、これらに限定されない(including but not limited to)」という語句を意味するために本明細書において使用され、また当該語句と区別なく使用する。
【0103】
「または」という用語は、文脈において別途明示しない限り、「および/または」という用語を意味するために本明細書において使用され、また当該用語と区別なく使用する。例えば、「センス鎖またはアンチセンス鎖」は、「センス鎖もしくはアンチセンス鎖、またはセンス鎖およびアンチセンス鎖」として理解される。
【0104】
「約」という用語は、当技術分野において、典型的な許容誤差の範囲内であることを意味するために本明細書で使用する。例えば、「約」は、平均から約2の標準偏差として理解され得る。特定の実施形態では、約は、±10%を意味する。特定の実施形態では、約は、±5%を意味する。一連の数字または範囲の前に約がある場合、「約」は、その連続する数字または範囲のそれぞれを修飾し得ることが理解される。
【0105】
ある数字または連続する数字の前にある「少なくとも」、「以上」または「またはそれ以上」という用語は、文脈から明白な場合、「少なくとも」という用語に隣接する数字、および論理的に含まれ得るそれに続く全ての数字または整数を含むことが理解される。例えば、ある核酸分子内のヌクレオチドの数は、整数であるはずである。例えば、「21ヌクレオチドの核酸分子のうちの少なくとも19ヌクレオチド」は、19、20、または21ヌクレオチドが、示した特性を有するということを意味する。連続する数字または範囲の前に少なくともがある場合、「少なくとも」は、その連続する数字または範囲のそれぞれを修飾し得ることが理解される。
【0106】
本明細書において使用する場合、「~以下」または「またはそれ以下」は、その語句に隣接する値と、文脈から論理的である場合はゼロまでのその値より論理的により小さい値または整数として理解される。例えば、「2ヌクレオチド以下」のオーバーハングを有する二重鎖は、2、1、または0ヌクレオチドのオーバーハングを有する。連続する数字または範囲の前に「~以下」がある場合、「~以下」は、その連続する数字または範囲のそれぞれを修飾し得ることが理解される。本明細書において使用する場合、範囲は、上限および下限の両方を含む。
【0107】
本明細書において使用する場合、検出の方法は、存在する分析物の量がその方法の検出レベルを下回る判定を含み得る。
【0108】
示した標的部位と、センス鎖またはアンチセンス鎖に関するヌクレオチド配列と矛盾する場合には、示した配列を優先する。
【0109】
転写物または他の配列上の配列とその示した部位とが一致しない場合には、本明細書において列挙したヌクレオチド配列を優先する。
【0110】
本明細書で使用される場合、「STAT6」という用語と互換的に使用される「シグナル伝達兼転写活性化因子6」という用語は、転写因子のSTATファミリーのメンバーを指す。サイトカインおよび成長因子に応答して、STATファミリーのメンバーは、受容体関連キナーゼによってリン酸化され、次いで、転写活性化因子として作用する細胞核に転座するホモ二量体またはヘテロ二量体を形成する。STAT6は、気道好酸球増加症、上皮粘液産生、平滑筋変化、Th2細胞分化、およびB細胞からのIgE産生を含め、動物モデルにおいて、肺炎症反応の多くの病理学的特徴を調節することが実証されている(Wurster AL,et al.,Oncogene 2000;19:2577-84)。STAT6は、インターロイキン4誘導性、IL-4-STAT、D12S1644、STAT6B、またはSTAT6Cとしても知られている。
【0111】
ヒトSTAT6 mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank寄託番号GI: 1519313969 (NM_003153.5、配列番号1、逆相補、配列番号2)に見つけることができる。マウスSTAT6 mRNAの配列は、例えば、GenBank寄託番号GI: 128485773(NM_009284.2、配列番号3、逆相補、配列番号4)に見つけることができる。ラットSTAT6 mRNAの配列は、例えば、GenBank寄託番号GI: 113205499 (NM_001044250.1、配列番号5、逆相補、配列番号6)に見つけることができる。カニクイザルSTAT6 mRNAの配列は、例えば、GenBank寄託番号GI: 982282006 (XM_005571286.2、配列番号7、逆相補、配列番号8)に見つけることができる。アカゲザルSTAT6 mRNAの配列は、例えば、GenBank寄託番号GI: 1622842915 (XM_015152044.2、配列番号9、逆相補、配列番号10)に見つけることができる。
【0112】
STAT6 mRNAA配列のさらなる例としては、例えばGenBank、UniProt、OMIM、およびMacacaゲノムプロジェクトウェブサイトなどの公開されているデータベースを通じて容易に入手可能である。
【0113】
STAT6に関するさらなる情報は、例えば、www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/?term=STAT6において見出だされ得る。
【0114】
先述のGenBankアクセッション番号および遺伝子データベース番号のそれぞれの内容全体は、本願出願日の時点で参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
用語STAT6は、本明細書において使用する場合、SNPデータベースにおいて提供される変異体を含めたSTAT6遺伝子のバリエーションも意味する。STAT6遺伝子内の多数の配列バリエーションは特定されており、例えば、NCBI dbSNPおよびUniProtにおいて見られ得る(例えば、その内容全体が本願出願日の時点で参照により本明細書に組み込まれる、www.ncbi.nlm.nih.gov/snp/?term=STAT6を参照)。
【0116】
本明細書において使用する場合、「標的配列」は、例えば一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるmRNAなどである、STAT6遺伝子の転写中に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列における連続する部分を意味する。一実施形態においては、配列の標的部分は、少なくとも、STAT6遺伝子の転写中に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の一部分において、またはその近傍におけるiRNA依存性の切断のための基質として機能するのに十分な長さであることとなる。
【0117】
標的配列は、長さが約19~36ヌクレオチド、例えば、長さが約19~30ヌクレオチドであり得る。例えば、標的配列は、長さが約19~30ヌクレオチド、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22ヌクレオチドであり得る。特定の実施形態では、標的配列は、19~23ヌクレオチドの長さであり、随意に21~23ヌクレオチドの長さである。上記に列記した範囲および長さの間に存在する範囲および長さもまた、本開示の一部であることを意図している。
【0118】
本明細書において使用する場合、「配列を含む鎖」という用語は、標準的なヌクレオチドの用語体系を使用して言及される配列によって説明するヌクレオチドの鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。
【0119】
概して、「G」、「C」、「A」、「T」および「U」のそれぞれが、塩基としてのグアニン、シトシン、アデニン、チミジン、およびウラシルをそれぞれ含むヌクレオチドを表す。しかしながら、「リボヌクレオチド」または「ヌクレオチド」という用語は、以下においてより詳述されるような修飾ヌクレオチド、または代替置換部分(例えば、表1を参照)も指し得ることは理解されよう。当業者は、グアニン、シトシン、アデニン、およびウラシルは、そのような置換部分を有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性を実質的に変えることなく、他の部分で置換することができることを十分に認識している。例えば、これらに限定されるものではないが、その塩基としてイノシンを含むヌクレオチドは、アデニン、シトシンまたはウラシルを含むヌクレオチドと塩基対合することができる。したがって、ウラシル、グアニンまたはアデニンを含むヌクレオチドは、本発明で取り上げるdsRNAのヌクレオチド配列において、例えばイノシンを含むヌクレオチドで、置換することができる。別の実施例では、オリゴヌクレオチド内のいずれの箇所にあるアデニンおよびシトシンも、標的mRNAと対合するG-Uウォッブル塩基を形成するために、それぞれグアニンおよびウラシルで置換することができる。そのような置換部分を含む配列は、本発明で取り上げる組成物および方法に好適である。
【0120】
本明細書において区別なく使用する「iRNA」、「RNAi剤」、「iRNA剤」、「RNA干渉剤」という用語は、本明細書において用語が定義されるRNAを含有し、かつRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)経路を介してRNA転写の標的の切断を介在する薬剤を指す。iRNAは、RNA干渉(RNAi)として知られるプロセスを介してmRNAの配列特異的な分解を司る。iRNAは、細胞内であって、例えば哺乳動物対象などの対象における細胞内で、STAT6遺伝子の発現を調節、例えば阻害する。
【0121】
一実施形態では、本発明のRNAi剤は、標的RNA配列と、例えばSTAT6標的mRNA配列と相互作用して標的RNAの切断を司る、一本鎖RNAを含む。理論に束縛されることを望むものではないが、細胞内に導入された長い二本鎖RNAは、Dicer(ダイサー)として知られるIII型エンドヌクレアーゼによって、siRNAへと分解されると考えられている(Sharp et al. (2001) Genes Dev. 15:485)。DicerであるリボヌクレアーゼIII様酵素は、このdsRNAを、特徴的な二つの塩基の3’オーバーハングを有する19~23塩基対の低分子干渉RNAへとプロセシングする(Bernstein, et al., (2001) Nature 409:363)。その後siRNAは、RNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、そこで一つまたは複数のヘリカーゼがsiRNA二重鎖を解き、それによって相補的アンチセンス鎖に対して標的認識を誘導することが可能になる(Nykanen, et al., (2001) Cell 107:309)。適切な標的mRNAに結合すると、RISC内の一つまたは複数のエンドヌクレアーゼは、標的を切断してサイレンシングを誘導する(Elbashir, et al., (2001) Genes Dev. 15:188)。すなわち、一態様では、本発明は、細胞内で生成され、RISC複合体の形成を促進して、標的遺伝子、すなわちSTAT6遺伝子のサイレンシングをもたらす一本鎖RNA(siRNA)に関する。したがって、「siRNA」という用語はまた、上記において説明したiRNAを指すために本明細書において使用される。
【0122】
特定の実施形態では、RNAi剤は、細胞または有機体に導入されて標的mRNAを阻害する一本鎖siRNA(ssRNAi)であり得る。一本鎖RNAi剤は、RISCエンドヌクレアーゼであるアルゴノート2に結合し、それは次いで、標的mRNAを切断する。一本鎖siRNAは、概して、15~30ヌクレオチドであり、化学的に修飾されている。一本鎖siRNAの設計および試験は、米国特許第8,101,348号およびLima et al., (2012) Cell 150:883-894に記載されており、そのそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書において記載するアンチセンスヌクレオチド配列はいずれも、本明細書において記載する一本鎖siRNAとして、またはLima et al., (2012) Cell 150:883-894に記載される方法によって化学的に修飾されるような一本鎖siRNAとして使用され得る。
【0123】
特定の実施形態では、本発明の組成物、使用および方法において使用する「iRNA」は、二本鎖RNAであり、本明細書においては「二本鎖RNA剤」、「二本鎖RNA(dsRNA)分子」、「dsRNA剤」、または「dsRNA」と称する。「dsRNA」という用語は、標的RNA、すなわちSTAT6遺伝子に関して「センス」または「アンチセンス」配向を有するとして言及する、二本の逆平行の実質的に相補的な核酸鎖を含む二重鎖構造を有するリボ核酸分子の複合体を指す。本発明の一部の実施形態では、二本鎖RNA(dsRNA)が、本明細書においてRNA干渉またはRNAiと称する転写後遺伝子サイレンシング機序を経て、標的RNAの、例えば、mRNAの分解を誘発する。
【0124】
一般的には、dsRNA分子の各鎖のヌクレオチドの大部分は、リボヌクレオチドであるが、本明細書において詳細に記載するように、各鎖または両鎖は、一つまたは複数の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチド、も含み得る。加えて、本明細書において使用する場合、「iRNA」は、化学修飾を有するリボヌクレオチドを含み得、iRNAは、複数のヌクレオチドにおける実質的な修飾を含み得る。本明細書において使用する場合、「修飾ヌクレオチド」という用語は、修飾された糖部分、修飾されたヌクレオチド間連結、または修飾された核酸塩基、またはそれらのいずれかの組み合わせを、独立して有するヌクレオチドを指す。したがって、修飾ヌクレオチドという用語は、ヌクレオシド間連結、糖部分、または核酸塩基に対する、例えば、官能基または原子などの置換、付加、または除去を包含する。本発明の該剤で使用するのに好適な修飾は、本明細書において開示する修飾または当技術分野で公知の修飾の全てのタイプを包含する。siRNAタイプの分子において使用される場合、当該修飾はいずれも、本明細書および特許請求の範囲の目的のために「iRNA」または「RNAi剤」で包含される。
【0125】
本開示の特定の実施形態では、デオキシ-ヌクレオチドを包含することが、RNAi剤内に存在するならば、修飾ヌクレオチドを構成するとみなすことができる。
【0126】
二重鎖領域は、RISC経路を介して所望の標的RNAの特異的分解を可能にする任意の長さであってもよく、約19~36塩基対の長さ、例えば、約19~30塩基対の長さ、例えば、約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、または36塩基対の長さ、例えば、約19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22塩基対の長さの範囲であってもよい。特定の実施形態では、二重鎖領域は、長さが19~21塩基対、例えば、長さが21塩基対である。上記に列記した範囲および長さの間に存在する範囲および長さもまた、本開示の一部であることを意図している。
【0127】
二重鎖構造を形成する二本の鎖は、一つのより大きいRNA分子にのうちの異なる部分であり得るか、またはそれらは、別個のRNA分子であり得る。二本の鎖が、一つのより大きい分子のうちの部分であり、そのために二重鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端とそれに対応するもう一方の鎖の5’末端との間にある中断されないヌクレオチドの鎖でつながっている場合、その接続しているRNA鎖は、「ヘアピンループ」と呼ばれる。ヘアピンループは、少なくとも一つの不対のヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態では、ヘアピンループは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、23またはそれ以上の不対のヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態では、ヘアピンループは、10以下のヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、ヘアピンループは、8以下の不対のヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、ヘアピンループは、4~10の不対のヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、ヘアピンループは、4~8のヌクレオチドであり得る。
【0128】
dsRNAの実質的に相補的な二本の鎖が、別個のRNA分子で構成される場合、それら分子は必ずしもそうではないが、共有結合で結合することができる。二本の鎖が、二重鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端とそれに対応するもう一方の鎖の5’末端との間にある中断されないヌクレオチドの鎖とは異なる手段で共有結合によりつながっている場合、その接続している構造を「リンカー」と称する。RNA鎖は、同数または異なる数のヌクレオチドを有し得る。塩基対の最大数は、dsRNAの最も短い鎖にあるヌクレオチドの数から二重鎖内に存在するあらゆるオーバーハングを引いた数である。二重鎖構造に加えて、RNAiは、一つまたは複数のヌクレオチドオーバーハングを含み得る。RNAi剤の一実施形態では、少なくとも一方の鎖が、少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。別の実施形態においては、少なくとも一方の鎖が、少なくとも2ヌクレオチドの、例えば2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、または15ヌクレオチドの、3’オーバーハングを含む。他の実施形態では、RNAi剤の少なくとも一方の鎖が、少なくとも1ヌクレオチドの5’オーバーハングを含む。特定の実施形態では、少なくとも一方の鎖が、少なくとも2ヌクレオチドの、例えば、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、または15ヌクレオチドの、5’オーバーハングを含む。さらに他の実施形態では、RNAi剤の一方の鎖の3’末端および5’末端の両方が、少なくとも1ヌクレオチドのオーバーハングを含む。
【0129】
特定の実施形態では、本発明のiRNA剤は、dsRNAであり、その各鎖が19~23ヌクレオチドを含み、標的RNA配列、例えばSTAT6遺伝子と相互作用して標的RNAの切断を司る。
【0130】
一部の実施形態では、本発明のiRNAは、標的RNA配列、例えばSTAT6標的mRNA配列と相互作用して標的RNAの切断を司る24~30ヌクレオチドのdsRNAである。
【0131】
本明細書において使用する場合、「ヌクレオチド(の)オーバーハング」という用語は、二本鎖iRNAの二重鎖構造から突出する少なくとも一つの不対ヌクレオチドを指す。例えば、dsRNAの一方の鎖の3’末端が、もう一方の鎖の5’末端を越えて延びる場合、またはその逆の場合も同様に、ヌクレオチドオーバーハングが存在する。dsRNAは、少なくとも一つのヌクレオチドのオーバーハングを含み得、あるいは該オーバーハングは、少なくとも二つのヌクレオチド、少なくとも三つのヌクレオチド、少なくとも四つのヌクレオチド、少なくとも五つのヌクレオチド、またはそれ以上を含み得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドなどであるヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含み得るかまたは該類似体からなり得る。オーバーハングは、センス鎖上、アンチセンス鎖上、またはそれらのいずれかの組み合わせ上にあり得る。さらに、あるオーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンス鎖またはセンス鎖のいずれかの5’末端、3’末端、または両末端上に存在し得る。
【0132】
一実施形態では、dsRNAのアンチセンス鎖が、3’末端または5’末端において1~10ヌクレオチドの、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの、オーバーハングを有する。一実施形態では、dsRNAのセンス鎖が、3’末端または5’末端において1~10ヌクレオチドの、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの、オーバーハングを有する。別の実施形態では、オーバーハング内のヌクレオチドの一つまたは複数が、ヌクレオシドチオホスフェートで置換される。
【0133】
特定の実施形態では、dsRNAのアンチセンス鎖が、3’末端または5’末端において1~10ヌクレオチドの、例えば、0~3、1~3、2~4、2~5、4~10、5~10、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの、オーバーハングを有する。一実施形態では、dsRNAのセンス鎖が、3’末端または5’末端において1~10ヌクレオチドの、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの、オーバーハングを有する。別の実施形態では、オーバーハング内のヌクレオチドの一つまたは複数が、ヌクレオシドチオホスフェートで置換される。
【0134】
特定の実施形態では、dsRNAのアンチセンス鎖が、3’末端または5’末端において1~10ヌクレオチドの、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの、オーバーハングを有する。特定の実施形態では、センス鎖またはアンチセンス鎖上またはその両鎖上のオーバーハングは、10ヌクレオチドより長い伸長した長さを含み得、例えば、長さが1~30ヌクレオチド、2~30ヌクレオチド、10~30ヌクレオチド、10~25ヌクレオチド、10~20ヌクレオチド、または10~15ヌクレオチドである。特定の実施形態では、伸長したオーバーハングは、二重鎖のセンス鎖上にある。特定の実施形態では、伸長したオーバーハングは、二重鎖のセンス鎖の3’末端上に存在する。特定の実施形態では、伸長したオーバーハングは、二重鎖のセンス鎖の5’末端上に存在する。特定の実施形態では、伸長したオーバーハングは、二重鎖のアンチセンス鎖上にある。特定の実施形態では、伸長したオーバーハングは、二重鎖のアンチセンス鎖の3’末端上に存在する。特定の実施形態では、伸長したオーバーハングは、二重鎖のアンチセンス鎖の5’末端上に存在する。特定の実施形態では、伸長したオーバーハング内のヌクレオチドの一つまたは複数が、ヌクレオシドチオホスフェートで置換される。特定の実施形態では、オーバーハングは、オーバーハングが生理学的条件下において安定なヘアピン構造を形成することができるような自己相補性的部分を含む。
【0135】
「平滑」または「平滑末端」は、二本鎖RNA剤のその末端において不対ヌクレオチドがないこと、すなわち、ヌクレオチドオーバーハングがないことを意味する。「平滑末端である」二本鎖RNA剤は、その全長にわたって二本鎖であり、すなわち、当該分子のいずれの末端にもヌクレオチドオーバーハングがない。本発明のRNAi剤は、一端にヌクレオチドオーバーハングがないRNAi剤(すなわち、一つのオーバーハングと一つの平滑末端とを有する剤)、またはいずれの末端にもヌクレオチドオーバーハングがないRNAi剤を含む。ほとんどの場合、こうした分子は、その全長にわたって二本鎖となることとなる。
【0136】
「アンチセンス鎖」または「ガイド鎖」という用語は、標的配列、例えばSTAT6 mRNAに対して実質的に相補的である領域を含むiRNAの鎖、例えばdsRNAを指す。
【0137】
本明細書において使用する場合、「相補性領域」という用語は、本明細書において定義されるように、配列、例えば標的配列、例えば、STAT6ヌクレオチド配列に対して実質的に相補的であるアンチセンス鎖上の領域を指す。相補性領域が、標的配列に対して完全に相補的でない場合、そのミスマッチは、分子の内部領域または末端領域内にあり得る。概して、最も許容できるミスマッチは、末端領域内にあり、例えば、iRNAの5 ’末端または3’末端の5、4または3ヌクレオチドの範囲内にある。一部の実施形態では、本発明の二本鎖RNA剤は、アンチセンス鎖内のヌクレオチドミスマッチを含む。一部の実施形態では、本発明の二本鎖RNA剤のアンチセンス鎖は、標的mRNAとの4以下のミスマッチを含み、例えば、アンチセンス鎖が、標的mRNAとの4、3、2、1、または0のミスマッチを含む。一部の実施形態では、本発明のアンチセンス鎖の二本鎖RNA剤は、センス鎖との4以下のミスマッチを含み、例えば、アンチセンス鎖が、センス鎖との4、3、2、1、または0のミスマッチを含む。一部の実施形態では、本発明の二本鎖RNA剤は、センス鎖内にヌクレオチドミスマッチを含む。一部の実施形態では、本発明の二本鎖RNA剤のセンス鎖は、アンチセンス鎖との4以下のミスマッチを含み、例えば、センス鎖が、アンチセンス鎖との4、3、2、1または0のミスマッチを含む。一部の実施形態では、ヌクレオチドミスマッチは、例えば、iRNAの3’末端から5、4、3ヌクレオチドの範囲内にある。別の実施形態では、ヌクレオチドミスマッチは、例えば、iRNA剤の3’末端ヌクレオチド内にある。一部の実施形態では、ミスマッチは、シード領域にはない。
【0138】
したがって、本明細書において記載するRNAi剤は、標的配列に対する一つまたは複数のミスマッチを含有し得る。一実施形態では、本明細書において記載するRNAi剤は、3以下のミスマッチ(すなわち、3、2、1、または0のミスマッチ)を含有する。一実施形態では、本明細書において記載するRNAi剤は、2以下のミスマッチを含有する。一実施形態では、本明細書において記載するRNAi剤は、1以下のミスマッチを含有する。一実施形態では、本明細書において記載するRNAi剤は、0のミスマッチを含有する。特定の実施形態では、RNAi剤のアンチセンス鎖が、標的配列に対してミスマッチを含有する場合、該ミスマッチは、随意に、相補性領域の5’末端または3’末端のいずれかから最後の5ヌクレオチドの範囲内にあるように制限することができる。例えば、そのような実施形態では、23ヌクレオチドのRNAi剤の場合、STAT6遺伝子の領域に対して相補的な鎖は、概して、中央の13ヌクレオチドの範囲内にいかなるミスマッチも含まない。本明細書において記載する方法または当技術分野で公知の方法を使用することにより、標的配列に対してミスマッチを含有するRNAi剤が、STAT6遺伝子の発現の阻害において効果的であるか否かを判定することができる。とりわけ、STAT6遺伝子における特定の相補性領域が、集団内での多形配列バリエーションを有することがわかっている場合には、STAT6遺伝子の発現を阻害するミスマッチを有するRNAi剤の有効性を考慮することが重要である。
【0139】
「センス鎖」または「パッセンジャー鎖」という用語は、本明細書において使用する場合、用語を本明細書において規定しているアンチセンス鎖の領域に対して実質的に相補的である領域を含むiRNAの鎖を指す。
【0140】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチドの実質的に全てが修飾されている」は、広く修飾されているが全体が修飾されているものではなく、また5、4、3、2、もしくは1以下の未修飾のヌクレオチドを含み得る。
【0141】
本明細書において使用する場合、「切断領域」という用語は、切断部位に直接隣接して位置する領域を指す。切断部位は、切断が生じる箇所である標的上の部位である。一部の実施形態では、切断領域は、切断部位のいずれかの末端上における、および切断部位に直接隣接している三つの塩基を含む。一部の実施形態では、切断領域は、切断部位のいずれかの末端上における、および切断部位に直接隣接している二つの塩基を含む。一部の実施形態では、切断部位は、アンチセンス鎖のヌクレオチド10および11によって結合される部位において特異的に生じ、またこの切断領域は、ヌクレオチド11、12、および13を含む。
【0142】
本明細書において使用する場合、特に別段に示さない限り、「相補的」という用語は、第二のヌクレオチド配列との関連において第一のヌクレオチド配列を説明するために使用される場合には、当業者によって理解されることとなるとおり、第二のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと特定の条件下においてハイブリダイズして二重鎖構造を形成する第一のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの能力を指す。かかる条件は、例えば、厳しい条件であり得、該厳しい条件は、400mMのNaCl、40mMのPIPES pH 6.4、1mMのEDTA、50℃または70℃で12~16時間の後の洗浄、を含み得る(例えば、“Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Sambrook, et al. (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照)。生物体内で遭遇し得るような生理学的に関連のある条件などの他の条件を適用することができる。当業者は、ハイブリダイズされたヌクレオチドの最終的な用途に応じて、二つの配列の相補性の試験に最も適切な条件の組を決定することができる。
【0143】
iRNA内、例えば本明細書において記載するdsRNA内の相補配列は、一方または両方のヌクレオチド配列の全長にわたって第二のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに対する、第一のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの塩基対合を含む。かかる配列は、本明細書において、互いに対して「完全に相補的」であると称し得る。しかしながら、本明細書において、第一の配列が第二の配列に対して「実質的に相補的」であるという場合、この二つの配列は、完全に相補的であり得るか、またはそれらはその最終的な用途に、例えば、インビトロまたはインビボで、遺伝子発現の阻害に最も関連した条件下でハイブリダイズする能力を維持しつつ、最大30塩基対の二重鎖についてのハイブリダイゼーションの際に、一つまたは複数であるが、概して5、4、3、または2以下である、ミスマッチ塩基対を形成し得る。しかしながら、二つのオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションの際に一つまたは複数の一本鎖のオーバーハングを形成するように設計される場合には、かかるオーバーハングは、相補性の判定に関してミスマッチとはみなさないものとする。例えば、長さが21ヌクレオチドである一方のオリゴヌクレオチドと長さが23ヌクレオチドであるもう一方のオリゴヌクレオチドとを含むdsRNAであって、長い方のオリゴヌクレオチドが、短い方のオリゴヌクレオチドに対して完全に相補的である21ヌクレオチドの配列を含むようなdsRNAは、依然として、本明細書において記載する目的に関しては「完全に相補的」と称し得る。
【0144】
「相補的」配列は、本明細書において使用する場合、ハイブリダイズするそれらの能力に関する上記の要件を満足する限り、非ワトソン・クリック塩基対、または非天然の修飾ヌクレオチドから形成された塩基対も含み得るか、または全体的にそれらから形成され得る。かかる非ワトソン・クリック塩基対としては、これらに限定されるものではないが、G:Uウォッブル塩基対またはフーグスティーン塩基対が挙げられる。
【0145】
本明細書における「相補的」、「完全に相補的」および「実質的に相補的」という用語は、それらの使用の文脈から理解されることとなるとおり、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との間、または二本鎖RNA剤のアンチセンス鎖と標的配列などである二つのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド間における塩基マッチングに関連して使用され得る。
【0146】
本明細書において使用する場合、メッセンジャーRNA(mRNA)「の少なくとも一部に対して実質的に相補的」であるポリヌクレオチドは、目的のmRNA(例えば、STAT6遺伝子をコードするmRNA)の連続する部分に対して実質的に相補的であるポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、配列が、STAT6遺伝子をコードするmRNAの中断されない部分に対して実質的に相補的である場合、STAT6 mRNAの少なくとも一部に対して相補的である。
【0147】
したがって、一部の実施形態では、本明細書において開示されるアンチセンスポリヌクレオチドは、標的STAT6配列に対して完全に相補的である。他の実施形態では、本明細書に開示されるアンチセンスポリヌクレオチドは、標的STAT6配列に対して実質的に相補的であり、および配列番号1、3、5、7、または9のいずれか一つのヌクレオチド配列の等価領域に対して、または配列番号1、3、5、7、または9のいずれか一つの断片に対して、その全長にわたって少なくとも80%相補的である連続するヌクレオチド配列を含み、例えば、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%相補的である。
【0148】
他の実施形態では、本明細書において開示するアンチセンスポリヌクレオチドは、標的STAT6配列に対して実質的に相補的であり、また表2~3のいずれか一つのうちのいずれか一つにおけるセンス鎖ヌクレオチド配列のいずれか一つまたは表2~3のいずれか一つにおけるセンス鎖ヌクレオチド配列のうちのいずれか一つの断片に対して、その全長にわたって少なくとも約80%相補的である連続するヌクレオチド配列を含み、例えば約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%相補的である。
【0149】
一実施形態では、本開示のRNAi剤は、アンチセンスポリヌクレオチドに実質的に相補的であり、ひいては標的STAT6配列と同じであるセンス鎖を含み、および該センス鎖ポリヌクレオチドは、配列番号2、4、6、8、もしくは10の配列番号のヌクレオチド配列等価領域に対して、または配列番号2、4、6、8、もしくは10のいずれか一つの断片に対して、その全長にわたって少なくとも約80%相補的である連続するヌクレオチド配列を含み、例えば約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%相補的である。
【0150】
一部の実施形態では、本発明のiRNAは、同様に標的STAT6配列に対して相補的であるアンチセンスポリヌクレオチドに実質的に相補的であるセンス鎖を含み、また該センス鎖ポリヌクレオチドは、表2~3のいずれか一つのうちのいずれか一つにおけるアンチセンス鎖ヌクレオチド配列のいずれか一つ、または表2~3のいずれか一つにおけるアンチセンス鎖ヌクレオチド配列のうちのいずれか一つの断片に対して、その全長にわたって少なくとも約80%相補的である連続するヌクレオチド配列を含み、例えば約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%相補的である。
【0151】
概して、「iRNA」は、化学修飾を有するリボヌクレオチドを含む。かかる修飾は、本明細書に開示される、または当技術分野で公知のすべての種類の修飾を含み得る。こうした修飾はいずれも、dsRNA分子において使用される場合、本明細書および特許請求の範囲の目的のためには「iRNA」で包含される。
【0152】
本開示の特定の実施形態では、デオキシ-ヌクレオチドを包含することが、RNAi剤内に存在するならば、修飾ヌクレオチドを構成するとみなすことができる。
【0153】
本発明の一態様では、本発明の方法および組成物で使用するための薬剤が、アンチセンス阻害機構を介して標的mRNAを阻害する一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子である。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、標的mRNA内の配列に対して相補的である。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNAと塩基対形成し、翻訳機構を物理的に妨害することによって、化学量論的に翻訳を阻害することができる。Dias, N. et al ., (2002) Mol Cancer Ther 1:347-355を参照。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、約14~約30ヌクレオチド長であってもよく、標的配列に相補的な配列を有してもよい。例えば、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、本明細書に記載されるアンチセンス配列のいずれか一つから少なくとも約14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の連続するヌクレオチドである配列を含んでもよい。
【0154】
dsRNAなどの「iRNAと細胞を接触させること」なる語句は、本明細書において使用される場合、任意の可能な手段によって細胞を接触させることを包む。細胞をiRNAと接触させることは、インビトロで細胞をiRNAと接触させること、またはインビボで細胞をiRNAと接触させることを含む。接触させることは、直接的または間接的に行われ得る。したがって、例えば、iRNAは、方法を個別に実施することで細胞と物理的に接触させ得るか、あるいはiRNAは、その後に細胞と接触することを可能するまたは接触させることとなるような状況に置かれ得る。
【0155】
細胞をインビトロで接触させることは、例えば、細胞をRNAi剤と共にインキュベートすることによって行われ得る。細胞をインビボで接触させることは、例えば、吸入、鼻腔内投与、または気管内投与を介して、RNAi剤を細胞が位置している組織中もしくはその近傍(例えば、肺系)に注入することによって、または別の領域にRNAi剤を注入することによって、または薬剤がその後に接触対象の細胞が位置している組織に到達することとなるように、血流もしくは皮下腔にRNAi剤を注入することによって、行われ得る。例えば、RNAi剤は、目的の部位、例えば、肺系にRNAi剤を向かわせるかまたはそうでなければ安定化するリガンド、例えば、下記において説明され、例えば、PCT公報第WO2019/217459号(参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる)においてさらに詳述されるような親油性部分、を含み得るかまたはそれにカップリングされ得る。一部の実施形態では、RNAi剤は、対象部位、例えば、肝臓にRNAi剤を向けるか、またはそうでなければ安定化させるリガンド、例えば、以下に記載される一つまたは複数のGalNAc誘導体を含有するか、またはそれらに結合することができる。他の実施形態では、RNAi剤は、親油性部分または一つまたは複数のGalNAc誘導体を含有するか、またはそれらに結合することができる。インビトロおよびインビボでの接触方法の組合せもまた可能である。例えば、細胞をインビトロにおいてRNAi剤と接触させて、その後に対象に移してもよい。
【0156】
特定の実施形態では、細胞をiRNAと接触させることは、細胞内への取り込みまたは吸収を促進するまたは生じさせることによって「導入すること」または「iRNAを細胞内に送達すること」を含む。iRNAの吸収または取り込みは、自発的な拡散もしくは活性な細胞内プロセスを介して、または補助の薬剤もしくはデバイスによって、生じ得る。iRNAの細胞内への導入は、インビトロまたはインビボにおいてであり得る。例えば、インビボでの導入の場合、iRNAは、組織部位に注入され得るかまたは全身的に投与され得る。インビトロでの細胞内への導入としては、当技術分野で公知の方法、例えばエレクトロポレーション法およびリポフェクション法などが挙げられる。さらなるアプローチは、本明細書の下記において説明されるか、または当技術分野で公知である。
【0157】
「脂溶性」または「親油性部分」という用語は、脂質に対して親和性を有する任意の化合物または化学部分を広く意味する。親油性部分の親油性を特徴付ける方法の一つは、オクタノール-水分配係数logKowによるものであり、この場合Kowは、平衡状態にある二相系のうちの水相の化学物質の濃度に対するオクタノール相の化学物質の濃度の比である。オクタノール-水分配係数は、物質の実験室測定される特性である。しかしながら、それは、第一原理または経験的方法を使用して算出される化学物質の構造成分に起因する係数を使用することによっても予想され得る(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Tetko et al., J. Chem. Inf. Comput. Sci. 41:1407-21 (2001)を参照)。それは、水よりもむしろ非水性または油性環境を好む物質の傾向の熱力学的尺度(すなわち、その親水性/親油性バランス)をもたらす。原則として、化学物質は、そのlogKowが0を超える場合、性質が親油性である。典型的には、親油性部分は、1を超える、1.5を超える、2を超える、3を超える、4を超える、5を超える、または10を超える、logKowをもつ。例えば、6-アミノヘキサノールのlogKowは、例えばおよそ0.7であると予測される。同じ方法を使用することにより、N-(ヘキサン-6-オール)カルバミン酸コレステリルのlogKowは、10.7であると予測される。
【0158】
分子の親油性は、分子が有する官能基に応じて変化し得る。例えば、親油性部分の末端にヒドロキシル基またはアミン基を付加することにより、親油性部分の分配係数(例えば、logKow)の値が増加または減少し得る。
【0159】
あるいは、一つまたは複数の親油性部分にコンジュゲートされた二本鎖RNAi剤の疎水性は、そのタンパク質結合特性によって測定することができる。例えば、特定の実施形態では、二本鎖RNAi剤の血漿タンパク質結合アッセイの非結合型分画が、二本鎖RNAi剤の相対的疎水性に対して正に相関することを判定することとなれば、それは次いで二本鎖RNAi剤のサイレンシング活性に対して正に相関することとなる。
【0160】
一実施形態では、判定される血漿タンパク質結合アッセイは、ヒト血清アルブミンタンパク質を使用する電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)である。この結合アッセイの例示的プロトコールは、例えば、PCT公報第WO 2019/217459号において詳細に説明される。結合アッセイにおけるsiRNAの非結合画分によって測定される二本鎖RNAi剤の疎水性は、増強されたsiRNAのインビボでの送達の場合では、0.15を超える、0.2を超える、0.25を超える、0.3を超える、0.35を超える、0.4を超える、0.45を超える、または0.5を超える。
【0161】
したがって、親油性部分を二本鎖RNAi剤の内側位置にコンジュゲートすることによ り、siRNAにおける増強されたインビボでの送達のために最適の疎水性がもたらされる。
【0162】
「脂質ナノ粒子」または「LNP」という用語は、例えば核酸分子など、薬学的に活性な分子を封入する脂質層を含むベシクルであり、例えば、iRNAまたはiRNAの転写元のプラスミドなどである。LNPは、例えば米国特許第6,858,225号、第6,815,432、8,158,601号、および第8,058,069号に記載されており、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0163】
本明細書で使用される場合、「対象」は哺乳類などの動物であり、霊長類(ヒト、例えばサル、およびチンパンジーである非ヒト霊長類など)、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、またはマウスなど)、または内因性または異種性のいずれかで標的遺伝子を発現する鳥が挙げられる。ある実施形態では、対象はヒトであり、例えばSTAT6発現の減少により利益を得るであろう疾患または障害に関して治療または評価されるヒト、STAT6発現の減少により利益を得るであろう疾患または障害のリスクがあるヒト、STAT6発現の減少により利益を得るであろう疾患または障害を有するヒト、または本明細書に記載されるSTAT6発現の減少により利益を得るであろう疾患または障害が治療されるヒトなどである。一部の実施形態では、対象は、女性であるヒトである。他の実施形態では、対象は、男性であるヒトである。一実施形態では、対象は、成人である対象である。別の実施形態では、対象は、小児である対象である。
【0164】
本明細書において使用される場合、「治療する」または「治療」という用語は、対象におけるSTAT6関連障害の少なくとも一つの兆候または症状を減少させるなど、有益または望ましい転帰を指す。治療はまた、望ましくないSTAT6発現に関連する一つ以上の徴候または症状の減少、望ましくないSTAT6の活性化または安定化の程度の低下、望ましくないSTAT6の活性化または安定化の改善または緩和を含む。「治療」はまた、治療が行われない場合に予想される生存時間と比較して、生存時間を延ばすことも意味し得る。
【0165】
対象におけるSTAT6のレベルまたは疾患マーカーまたは症状の文脈での「低下させる(lower)」という用語は、こうしたレベルの統計学的に有意な減少を指す。減少は、例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上であり得る。特定の実施形態では、減少は、少なくとも20%である。特定の実施形態では、減少は、疾患マーカーにおいて、例えば、タンパク質レベルまたは遺伝子発現レベルにおいて、少なくとも50%である。対象におけるSTAT6のレベルの文脈での「低下させる」は、好ましくは、当該障害のない個体における正常な領域の範囲内として受け入れられるレベルまで減少することである。特定の実施形態では、標的の発現は、正常化するものであり、すなわち当該障害のない個体における正常な領域の範囲内として受け入れられるレベルに向けて、または該レベルまで減少する(例えば、血中酸素レベル、白血球数、肝臓機能)。本明細書において使用される場合、対象において「低下させる」は、対象の細胞における遺伝子発現またはタンパク質産生が低下することを指し得すが、これは対象のすべての細胞または組織における発現が低下することを必要とするものではない。例えば、本明細書において使用する場合、対象において低下させることは、対象における遺伝子発現またはタンパク質産生が低下することを含み得る。
【0166】
「低下させる」という用語はまた、疾患の症状または病態を正常化すること、すなわちSTAT6関連疾患に罹患していない正常な対象のレベルとSTAT6関連疾患に罹患している対象のレベルとの差を、STAT6関連疾患に罹患していない正常な対象のレベルに向けて、またはそのレベルまで減少させること、に関連して使用され得る。本明細書において使用する場合、疾患が、ある症状について値の上昇を伴うならば、「正常」は基準値上限とする。疾患が、ある症状について値の減少を伴うならば、「正常」は基準値下限とする。
【0167】
本明細書で使用される場合、「予防」または「予防する」は、STAT6遺伝子の発現の減少によって治療または改善される疾患、障害またはその状態に言及して使用されるとき、対象がこのような疾患、障害またはその状態に関連する症状、例えば、STAT6関連疾患の症状、例えば、呼吸器疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、副鼻腔炎などを発症する可能性の減少を指す。疾患、障害、または状態を発症しないこと、またはこうした疾患、障害、または状態に関連する症状の発症の減少(例えば、その疾患または障害に対して臨床的に受け入れられる規模の少なくとも約10%の減少)、または遅延された症状の提示の遅延(例えば、数日、数週間、数か月、または数年の遅延)は、有効な予防とみなされる。
【0168】
本明細書で使用される場合、「シグナル伝達兼転写活性化因子6関連疾患」または「STAT6関連疾患」という用語は、STAT6遺伝子発現またはSTAT6タンパク質産生によって引き起こされる、または関連する疾患または障害である。「STAT6関連疾患」という用語は、STAT6遺伝子発現、複製、またはタンパク質活性の減少から利益を得るであろう疾患、障害、または状態を含む。一部の実施形態では、STAT6関連疾患は、呼吸器疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎である。
【0169】
本明細書で使用される場合、「喘息」という用語は、気道が炎症する慢性の疾患または状態を指す。喘息発作中、気道は腫脹し、その周囲の筋肉は締め付けられ、空気が肺に出入りするのがより困難になり、それによって咳、ゼーゼーいう呼吸、息切れ、および/または胸部の締め付けなどの症状を引き起こす。
【0170】
本明細書で使用される場合、慢性閉塞性肺疾患(COPD)という用語は、気流の慢性閉塞を特徴とする肺の疾患を指す。COPDでは、経時的な肺への損傷は、適切な呼気に関与する肺組織の弾性の喪失につながる。この弾性が失われると、呼気の終了時に一部の排二酸化炭素がに肺内に残り、体内での二酸化炭素の蓄積につながる。COPDは肺胞の破壊である肺気腫、および肺の気道管の炎症である慢性気管支炎につながる。
【0171】
本明細書で使用される場合、「嚢胞性線維症」という用語は、組織の肥厚および肺、膵臓、肝臓、腎臓、および腸内での粘液の蓄積をもたらす遺伝性疾患を指す。嚢胞性線維症を有する個人は、肺の気道を遮断し得る濃厚な粘液を発生させる。この粘液の蓄積は、粘液が細菌を捕捉して効率的に除去できないため、呼吸困難および呼吸器感染症に対する感受性の増加をもたらす。この状態はまた、消化系を重度に衰弱させる効果を有し、成長および体重に支障をもたらす。
【0172】
本明細書で使用される場合、「肺線維症」という用語は、組織が肥厚し、瘢痕化する肺の状態を指す。この濃厚な硬い組織は、肺の適切な機能をより困難にする。肺線維症が悪化するにつれて、患者は徐々に息切れがひどくなる。一部の実施形態では、肺線維症の原因は不明である。これらの場合、肺線維症は、「特発性肺線維症(IPF)」と呼ばれる。
【0173】
STAT6関連疾患の症状には、例えば、気道内での粘液の蓄積、呼吸困難、呼吸器感染症に対する感受性の増加、成長および体重の不全、肺組織の弾性の喪失、体内での二酸化炭素の蓄積、肺気腫、慢性気管支炎、息切れ、慢性咳および過剰な粘液、ゼーゼーいう呼吸、胸部の圧迫感、青唇および爪床、ならびにコントロール不良の体重減少が含まれる。様々な疾患または状態の徴候および症状に関するさらなる詳細が本明細書に提供されており、当該技術分野で周知である。
【0174】
「治療有効量」は、本明細書において使用する場合、STAT6関連疾患がある対象に投与されたときに、(例えば、既存の疾患または疾患の一つ以上の症状を減少、改善、または維持することによって)疾患の治療を行うのに十分なRNAi剤の量を含むことが意図される。「治療有効量」は、RNAi剤、当該剤の投与方法、疾患およびその重症度および病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、ある場合には先行するまたは併用する治療の種類、および治療しようとする対象の他の個人的特徴、に応じて変動し得る。
【0175】
「予防有効量」は、本明細書において使用する場合、STAT6関連障害を有する対象に投与されたときに、疾患または疾患の一つ以上の症状を予防または改善するのに十分である、RNAi剤の量を含むことが意図される。疾患の改善は、疾患の経過を鈍化させること、またはこれから発症する疾患の重症度を減少させることを含む。「予防有効量」は、RNAi剤、当該剤の投与方法、疾患のリスクの程度、および病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、ある場合には先行するまたは併用する治療の種類、および治療しようとする患者の他の個人的特徴、に応じて変動し得る。
【0176】
「治療有効量」または「予防有効量」はまた、任意の治療に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比においていくつかの所望の効果を生じるRNAi剤の量も含む。本発明の方法において用いるiRNAは、そうした治療に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比を生じるのに十分な量で投与され得る。
【0177】
「薬学的に許容される」という語句は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、合理的なベネフィット/リスク比に見合う、健全な医学的判断の範囲内でのヒト対象および動物対象の組織との接触での使用に好適であるそれら化合物、材料、組成物または剤形を指す。
【0178】
「薬学的に許容される担体」という語句は、本明細書において使用する場合、一つの臓器または身体の部分から、別の臓器または身体の部分への主題化合物の運搬または輸送に関与する、薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルであって、例えば液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、潤滑剤、タルク マグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛、またはステアリン酸)、または溶媒封入材料など、を意味する。各担体は、製剤の他の原材料に対して適合性であり、かつ治療される対象に対して有害であってはならないという意味において「許容される」ものでなければならない。こうした担体は、当技術分野で公知である。薬学的に許容される担体には、注射による投与のための担体が含まれる。
【0179】
本明細書で使用される場合、「呼吸系」は、例えば、口、鼻、および鼻腔、洞、気管、咽頭、喉頭、気管支、細気管支、肺胞、および血管系、例えば、毛細血管、造血細胞、リンパ管、および肺、ならびにその中に存在する細胞、組織、および流体から空気が身体の外側から体内の肺に移動し、体内から体外に出る構造として理解される。
【0180】
本明細書で使用される場合、「吸入による送達」などは、気管内投与を含む、鼻または口を通した吸入による送達を含む。吸入による送達は典型的に、薬剤が送達される場所、例えば、鼻、口、肺、および送達される材料のタイプ、例えば滴下、ミスト、乾燥粉末に部分的に基づいて選択される、装置、例えば、吸入器、噴霧器、ネブライザーを使用して実施される。
【0181】
「試料」という用語は、本明細書において使用する場合、対象から単離された同様の体液、細胞、または組織、および対象内に存在する体液、細胞、または組織の採取物を包含する。生体液の例としては、血液、血清、および漿液、血漿、髄液、眼液、リンパ液、尿、唾液などが挙げられる。組織試料は、組織、臓器、または局所領域からの試料を含み得る。例えば、試料は、特定の臓器、臓器の部分、またはそれら臓器内の体液もしくは細胞に由来するものであり得る。特定の実施形態では、試料は鼻腔スワブに由来してもよい。特定の実施形態では、試料は咽頭スワブに由来してもよい。特定の実施形態では、試料は、肺、または肺内の特定のタイプの細胞に由来してもよい。一部の実施形態では、試料は細気管支に由来してもよい。一部の実施形態では、試料は気管支に由来してもよい。一部の実施形態では、試料は肺胞に由来してもよい。特定の実施形態では、試料は、肝臓(例えば、肝全体または肝臓の特定のセグメント、または肝臓内の特定のタイプの細胞、例えば、幹細胞など)に由来するものであり得る。一部の実施形態では、「対象に由来する試料」は、対象から取得した尿を指す。「対象に由来する試料」は、対象からの血液または血液由来の血清もしくは血漿を指すこともある。
【0182】
II.本発明のiRNA
本発明は、STAT6遺伝子の発現を阻害するiRNAを提供する。特定の実施形態では、iRNAは、対象内の細胞、例えば、STAT6関連障害、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎などの呼吸器疾患を発症しやすいヒトなどの、例えば、哺乳動物などの細胞内のSTAT6遺伝子の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を含む。dsRNAi剤は、STAT6遺伝子の発現の際に形成されるmRNAの少なくとも一部に対して相補的である相補性領域を有するアンチセンス鎖を含む。相補性領域は、長さが約19~30ヌクレオチド(例えば、長さが約30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、または19ヌクレオチド)である。
【0183】
iRNAは、STAT6遺伝子を発現する細胞と接触させると、STAT6遺伝子(例えば、ヒト、霊長類、非霊長類、またはラットのSTAT6遺伝子)の発現を少なくとも約50%阻害するが、これは例えばPCRまたは分枝DNA(bDNA)による方法によって、またはタンパク質による方法、例えば免疫蛍光法などによって、例えばウエスタンブロット法またはフローサイトメトリー技術を使用して、検定した場合である。特定の実施形態では、発現の阻害は、その中に提供される適切な生物細胞株中で、例えば10nMの濃度でのsiRNAを用いた、本明細書の実施例に提供されるqPCR方法によって決定される。特定の実施形態では、インビボでの発現の阻害は、例えば、RNA発現の最低値では3mg/kgで、例えば、単回投与として投与した場合に、ヒト遺伝子を発現するげっ歯類、例えば、ヒト標的遺伝子を発現するマウスまたはAAV感染マウスにおいて、ヒト遺伝子をノックダウンすることによって決定される。
【0184】
dsRNAは、二本のRNA鎖を含み、それらは、相補的であり、またdsRNAが使用されることとなる条件下においてハイブリダイズして二重鎖構造を形成する。dsRNAの一方の鎖(アンチセンス鎖)は、標的配列に対して、実質的に相補的であり、また概して完全に相補的である、相補性領域を含む。標的配列は、STAT6遺伝子の発現の際に形成されたmRNAの配列から得られ得る。もう一方の鎖(センス鎖)は、アンチセンス鎖に対して相補的である領域を含むため、当該二本の鎖は、好適な条件下で組み合わされた場合に、ハイブリダイズして二重鎖構造を形成する。本明細書の他の箇所で説明し、また当技術分野で公知であるように、dsRNAの相補的配列はまた、別個のオリゴヌクレオチド上において相対するように、単一の核酸分子の自己相補的領域として含ませることもできる。
【0185】
概して、二重鎖構造は、15~30塩基対の長さ、例えば、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22塩基対の長さである。特定の実施形態では、二重鎖構造は、18~25塩基対の長さ、例えば、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~25、21~24、21~23、21~22、22~25、22~24、22~23、23~25、23~24または24~25塩基対の長さであり、例えば19~21塩基対の長さである。上記に列記した範囲および長さの間に存在する範囲および長さもまた、本開示の一部であることを意図している。
【0186】
同様に、標的配列に対する相補性領域が、15~30ヌクレオチド長、例えば、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22ヌクレオチド長であり、例えば、19~23ヌクレオチド長、または21~23ヌクレオチド長である。上記に列記した範囲および長さの間に存在する範囲および長さもまた、本開示の一部であることを意図している。
【0187】
一部の実施形態では、二重鎖構造は、長さが19~30塩基対である。同様に、標的配列に対する相補性領域は、長さが19~30ヌクレオチドである。
【0188】
一部の実施形態では、dsRNAは、長さが約19~約23ヌクレオチド、または長さが約25~約30ヌクレオチドである。概して、dsRNAは、Dicer酵素のための基質として機能するのに十分に長い。例えば、長さが約21~23ヌクレオチドより長いdsRNAが、Dicerのための基質として機能することができることは、当技術分野において周知である。当業者も認識することとなるように、切断のために標的とされるRNAの領域は、ほとんどの場合、より長いRNA分子、多くの場合mRNA分子の一部である。関連する場合、mRNA標的の「一部」は、RNAi依存性切断(すなわち、RISC経路を経る切断)のための基質となることを可能にさせるのに十分な長さのmRNA標的の連続する配列である。
【0189】
当業者であれば、二重鎖領域が、dsRNAの主要な機能性部分、例えば、約19~約30塩基対、例えば、約19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22塩基対の二重鎖領域であることを認識するであろう。すなわち、一実施形態では、切断のために所望のRNAを標的とする、例えば、15~30塩基対の機能性二重鎖へとプロセシングされる限り、30超の塩基対の二重鎖領域を有するRNA分子またはRNA分子の複合体は、dsRNAである。したがって、当業者は、一実施形態では、miRNAがdsRNAであることを認識するであろう。別の実施形態では、dsRNAは、天然に生じるmiRNAではない。別の実施形態では、STAT6遺伝子発現を標的とするのに有用なiRNA剤は、より大きなdsRNAの切断により標的細胞中で生成されない。
【0190】
本明細書において記載するdsRNAは、一つまたは複数の一本鎖のヌクレオチドオーバーハングをさらに含み得、例えば1~4、2~4、1~3、2~3、1、2、3、または4ヌクレオチドである。少なくとも一つのヌクレオチドオーバーハングを有するdsRNAは、それらの平滑末端の相手方と比較して、優れた阻害特性を有し得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドなどであるヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含み得るかまたは該類似体からなり得る。オーバーハングは、センス鎖上、アンチセンス鎖上、またはそれらのいずれかの組み合わせ上にあり得る。その上、オーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンス鎖またはセンス鎖の5’末端、3’末端、または両末端上に存在し得る。
【0191】
dsRNAは、当技術分野で公知の標準的な方法で合成することができる。本発明の二本鎖RNAi化合物は、二段階手法を使用して調製され得る。最初に、二本鎖RNA分子の個々の鎖が、別個に調製される。次いで、当該構成要素の鎖がアニーリングされる。siRNA化合物の個々の鎖は、溶液相または固相の有機合成またはその両方を使用して調製することができる。有機合成は、非天然のヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド鎖を容易に調製することができるという利点を提供する。同様に、本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、溶液相または固相の有機合成またはその両方を使用して調製することができる。
【0192】
一態様では、本発明のdsRNAは、少なくとも二つのヌクレオチド配列、センス配列およびアンチセンス配列を含む。センス鎖は、表2~3のうちのいずれか一つに提供される配列群から選択され、またセンス鎖の対応するアンチセンス鎖は、表2~3のうちのいずれか一つの配列群から選択される。この態様においては、二つの配列の一方は、二つの配列の他方に対して相補的であり、この場合、配列の一方は、STAT6遺伝子の発現の際に生じたmRNAの配列に対して実質的に相補的である。このように、この態様では、dsRNAは、二つのオリゴヌクレオチドを含むこととなるが、一つのオリゴヌクレオチドは、表2~3のいずれか一つにおいてセンス鎖として記載され、第二のオリゴヌクレオチドは、表2~3のいずれか一つにおいて該センス鎖の対応するアンチセンス鎖として記載される。
【0193】
特定の実施形態では、dsRNAの実質的に相補的な配列は、それぞれのオリゴヌクレオチド上に含有される。他の実施形態では、dsRNAの実質的に相補的な配列は、一つのオリゴヌクレオチド上に含有される。
【0194】
一実施形態では、アンチセンス鎖は、表2~3のいずれか一つにおいて、アンチセンス鎖ヌクレオチド配列のいずれか一つと0、1、2、または3ヌクレオチド以下だけ異なる、少なくとも15、例えば、15、16、17、18、19、または20の連続するヌクレオチドを含む。
【0195】
例えば表3の配列は、修飾された配列またはコンジュゲートされた配列として記述されていないが、本発明のiRNAのRNA、例えば本発明のdsRNAは、表2~3のいずれか一つに明記される配列のうちのいずれか一つを含み得、それらは、修飾されていない、コンジュゲートされていない、またはその中に記載されるものとは異なるように修飾もしくはコンジュゲートされたものである。言い換えれば、本発明は、本明細書に記載されるような、修飾されていない、コンジュゲートされていない、修飾された、またはコンジュゲートされた、表2~3のdsRNAを包含する。
【0196】
当業者は、約20から23塩基対、例えば、21塩基対の二重鎖構造を有するdsRNAが、RNA干渉を導入する際に特に有効であるとして歓迎されてきたことを十分に意識している(Elbashir et al., EMBO 2001, 20:6877-6888)。しかしながら、他の者らは、それよりも短いまたは長いRNA二重鎖構造も有効であり得ることを発見してきた(Chu and Rana (2007) RNA 14:1714-1719、Kim et al. (2005) Nat Biotech 23:222-226)。上記において説明した実施形態においては、表2~3のいずれか一つに提供されるオリゴヌクレオチド配列の性質を理由に、本明細書において記載するdsRNAは、最小21ヌクレオチドの長さの少なくとも一つの鎖を含むことができる。表2~3のいずれか一つの中の配列のいずれか一つを有するより短い二重鎖から、一方または両方の末端上の少数のヌクレオチドのみを差し引いたものが、上述したdsRNAと比較して同様に有効であり得ると合理的に予想することができる。したがって、表2~3のいずれか一つの配列のいずれか一つから誘導され、かつSTAT6遺伝子の発現を約5、10、15、20、25、または30%以下の阻害率で阻害する能力が全配列を含むdsRNAとは異なっているものである、少なくとも19、20、またはそれ以上の連続するヌクレオチドの配列を有するdsRNAは、本発明の範囲内であることが企図される。
【0197】
さらに、表2~3に提供されるRNAが、RISC介在性の切断に感受性であるSTAT6転写物中の部位を特定する。このように、本発明はさらに、これら部位のうちの一つ内を標的とするiRNAを取り上げる。本明細書において使用する場合、iRNAは、iRNAがRNA転写物の特定の部位内のいずれかの場所で転写物の切断を促進するならば、該特定の部位内を標的としているといわれる。かかるiRNAは、概して、STAT6遺伝子内の選択された配列に隣接する領域から取られた追加のヌクレオチド配列に結合した、表2~3のいずれか一つに提供される配列のいずれか一つからの少なくとも約19の連続するヌクレオチドを含むこととなる。
【0198】
III.本発明の修飾iRNA
特定の実施形態では、本発明のiRNAのRNA、例えば、dsRNAは、未修飾であり、また例えば、当技術分野において公知で本明細書に記載の化学修飾またはコンジュゲーションを含まない。他の実施形態では、本発明のiRNAのRNA、例えば、dsRNAは、安定性または他の有益な特徴を増強するように化学修飾される。本発明の特定の実施形態では、本発明のiRNAのヌクレオチドの実質的にすべてが修飾される。本発明の他の実施形態では、iRNAのヌクレオチドの全て、またはiRNAのヌクレオチドの実質的に全てが修飾され、すなわち5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下の未修飾ヌクレオチドがiRNAの鎖内に存在する。
【0199】
本発明において取り上げる核酸は、当技術分野で十分に確立された方法によって、例えば“Current protocols in nucleic acid chemistry,” Beaucage, S.L. et al. (Edrs.), John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, USA、に記載された方法などによって合成または修飾することが可能であり、当該文献は参照により本明細書に組み込まれる。修飾としては、例えば末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、コンジュゲーション、逆方向連結)または3’末端修飾(コンジュゲーション、DNAヌクレオチド、逆方向連結など)や、塩基修飾、例えば、安定化塩基、不安定化塩基、もしくは伸長したレパートリーのパートナーと塩基対合する塩基での置換、塩基除去(脱塩基ヌクレオチド)もしくはコンジュゲートされた塩基や、糖修飾(例えば、2’位または4’位における)もしくは糖の置換や、またはホスホジエステル連結の修飾もしくは置換をはじめとする骨格修飾が挙げられる。本明細書において記載する実施形態では有用なiRNA化合物の具体例としては、これに限定されないが、修飾骨格を含有する、または非天然のヌクレオシド間連結を含有するRNAが挙げられる。修飾骨格を有するRNAとしては、中でも、骨格内にリン原子を有さないものが挙げられる。本明細書の目的上、時には当技術分野で言及されるように、そのヌクレオシド間骨格内にリン原子を有さない修飾RNAもまた、オリゴヌクレオシドであるとみなされ得る。一部の実施形態では、修飾iRNAは、そのヌクレオシド間骨格内にリン原子を有することとなる。
【0200】
修飾RNA骨格としては、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’-アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含むメチルおよび他のアルキルのホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびに通常の3’-5’連結を有するボラノホスフェート、これらの2’-5’連結類似体、およびヌクレオシド単位の隣接する対が連結された3’-5’と5’-3’または2’-5’と5’-2’であるものである反転した極性を有するものが挙げられる。種々の塩、混合塩および遊離酸の形態も挙げられる。本発明の一部の実施形態では、本発明のdsRNA剤は、遊離酸形態である。本発明の他の実施形態では、本発明のdsRNA剤は、塩形態である。一実施形態では、本発明のdsRNA剤は、ナトリウム塩形態である。特定の実施形態では、本発明のdsRNA剤がナトリウム塩形態である場合には、ナトリウムイオンが、薬剤中に存在するホスホジエステルおよび/またはホスホロチオエート基の実質的に全てに対する対イオンとして薬剤中に存在する。ホスホジエステルおよび/またはホスホロチオエート連結の実質的に全てがナトリウム対イオンを有する薬剤は、5、4、3、2または1以下の、ナトリウム対イオンを有さないホスホジエステルおよび/またはホスホロチオエート連結を含む。一部の実施形態では、本発明のdsRNA剤が、ナトリウム塩形態である場合は、ナトリウムイオンは、薬剤中に存在するホスホジエステルおよび/またはホスホロチオエート基の全てに対する対イオンとして薬剤中に存在する。
【0201】
上記リン含有連結の調製を教示する代表的な米国特許には、限定されるものではないが、米国特許第3,687,808号、第4,469,863号、第4,476,301号、第5,023,243号、第5,177,195号、第5,188,897号、第5,264,423号、第5,276,019号、第5,278,302号、第5,286,717号、第5,321,131号、第5,399,676号、第5,405,939号、第5,453,496号、第5,455,233号、第5,466,677号、第5,476,925号、第5,519,126号、第5,536,821号、第5,541,316号、第5,550,111号、第5,563,253号、第5,571,799号、第5,587,361号、第5,625,050号、第6,028,188号、第6,124,445号、第6,160,109号、第6,169,170号、第6,172,209号、第6,239,265号、第6,277,603号、第6,326,199号、第6,346,614号、第6,444,423号、第6,531,590号、第6,534,639号、第6,608,035号、第6,683,167号、第6,858,715号、第6,867,294号、第6,878,805号、第7,015,315号、第7,041,816号、第7,273,933号、第7,321,029号、および米国特許第RE39464号が含まれ、それら各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0202】
骨格内にリン原子を含まない修飾RNA骨格は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルのヌクレオシド間連結、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルのヌクレオシド間連結または一つもしくは複数の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環のヌクレオシド間連結によって形成される骨格を有する。これらとしては、モルホリノ連結を有するもの(ヌクレオシドの糖部分から一部形成される)、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシドおよびスルホン骨格、ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格、スルホネートおよびスルホンアミド骨格、アミド骨格、ならびにN、O、SおよびCHの混合した構成要素部分を有する他のものが挙げられる。
【0203】
上記のオリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な米国特許としては、これらに限定されないが、米国特許第5,034,506号、第5,166,315号、第5,185,444号、第5,214,134号、第5,216,141号、第5,235,033号、第5,64,562号、第5,264,564号、第5,405,938号、第5,434,257号、第5,466,677号、第5,470,967号、第5,489,677号、第5,541,307号、第5,561,225号、第5,596,086号、第5,602,240号、第5,608,046号、第5,610,289号、第5,618,704号、第5,623,070号、第5,663,312号、第5,633,360号、第5,677,437号、および第5,677,439号が挙げられ、このそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0204】
ヌクレオチド単位の、糖およびヌクレオシド間連結の両方が、すなわち、その骨格が、新規の基と置換されているものである本明細書で提供するiRNAにおいて使用するのに好適なRNA模倣体が考察される。この塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。RNA模倣体が優れたハイブリダイゼーション特性を有するとわかっているものである一つのこのようなオリゴマー化合物は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物においては、RNAの糖骨格は、アミド含有骨格で、特にアミノエチルグリシン骨格で置換されている。核酸塩基が、保持されて、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接的または間接的に結合される。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、これに限定されないが、米国特許第5,539,082号、第5,714,331号および第5,719,262号が挙げられ、このそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明のiRNAにおける使用に好適であるさらなるPNA化合物は、例えばNielsen et al., Science, 1991, 254, 1497-1500に記載されている。
【0205】
本発明で取り上げる一部の実施形態には、ホスホロチオエート骨格をもつRNAおよびヘテロ原子骨格をもつオリゴヌクレオシドが挙げられ、特に上記で参照した米国特許第5,489,677号の、--CH--NH--CH-、--CH--N(CH)--O--CH--[メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として知られる]、--CH--O--N(CH)--CH--、--CH--N(CH)--N(CH)--CH--、および--N(CH)--CH--CH--、および上記で参照した米国特許第5,602,240号のアミド骨格、が挙げられる。一部の実施形態では、本明細書において取り上げるRNAは、上記で参照した米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を有する。天然のホスホジエステル骨格は、O-P(O)(OH)-OCH2-として表され得る。
【0206】
修飾RNAはまた、一つまたは複数の置換された糖部分を含有し得る。本明細書において取り上げられるiRNA、例えば、dsRNAは、2’位に以下のうちの一つを含み得る:OH、F、O-、S-またはN-アルキル、O-、S-またはN-アルケニル、O-、S-またはN-アルキニル、またはO-アルキル-O-アルキルであって、式中アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、置換されたまたは非置換のC~C10アルキルまたはC~C10アルケニルおよびアルキニルであり得る。例示的な好適な修飾としては、O[(CHO] CH、O(CH).OCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、およびO(CHON[(CHCH)]が挙げられ、式中、nおよびmは、1~約10である。他の実施形態では、dsRNAは、2’位において以下のうちの一つを含む:C~C10低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリルまたはO-アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、干渉物質、iRNAの薬物動態特性を改善するための基またはiRNAの薬力学的特性を改善するための基、および同様の特性を有する他の置換基。一部の実施形態では、修飾は、2’-メトキシエトキシ(2’-O--CHCHOCH、2’-O-(2-メトキシエチル)または2’-MOEとしても知られる)(Martin et al., Helv. Chim. Acta, 1995, 78:486-504)、すなわち、アルコキシ-アルコキシ基、が挙げられる。別の例示的な修飾には、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、本明細書において以下の実施例において記載されるような、2’-DMAOEとしても知られる、O(CHON(CH基、および2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当技術分野で2’-O-ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’-DMAEOEとしても知られる)、すなわち、2’-O--CH--O--CH--N(CHがある。さらなる例示的な修飾としては、以下が挙げられる: 5’-Me-2’-Fヌクレオチド、5’-Me-2’-OMeヌクレオチド、5’-Me-2’-デオキシヌクレオチド、(これら三つのファミリー内のRおよびS異性体の両方)、2’-アルコキシアルキル、および2’-NMA(N-メチルアセトアミド)が挙げられる。
【0207】
他の修飾としては、2’-メトキシ(2’-OCH)、2’-アミノプロポキシ(2’-OCHCHCHNH)および2’-フルオロ(2’-F)が挙げられる。同様の修飾はまた、iRNAのRNA上の他の位置、特に3’末端ヌクレオチド上または2’-5’連結dsRNA中の糖の3’位および5’末端ヌクレオチドの5’位においてもなされ得る。iRNAはまた、ペントフラノース糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有し得る。このような修飾された糖構造の調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許出願第4,981,957号、5,118,800号、5,319,080号、5,359,044号、 5,393,878号、5,446,137号、5,466,786号、5,514,785号、5,519,134号、5,567,811号、5,576,427号、5,591,722号、5,597,909号、5,610,300号、5,627,053号、5,639,873号、5,646,265号、5,658,873号、5,670,633号、および5,700,920号が挙げられるが、限定されるものではなく、これらの一部は本出願と共有されている。前述のものの各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0208】
iRNAはまた、核酸塩基(当技術分野では単に「塩基」と称することも多い)の修飾または置換を含み得る。本明細書において使用する場合、「未修飾の(修飾されていない)」または「天然の」核酸塩基としては、プリン塩基のアデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基のチミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)が挙げられる。修飾核酸塩基としては、他の合成核酸塩基および天然核酸塩基が挙げられ、例えばデオキシチミジン(deoxythimidine)(dT)、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニルウラシルおよびシトシン、6-アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルおよび他の8-置換のアデニンおよびグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換のウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-ダアザアデニン(7-daazaadenine)ならびに3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニン(3-deazaadenine)などである。さらなる核酸塩基としては、米国特許第 3,687,808号に開示されるもの、Modified Nucleosides in Biochemistry, Biotechnology and Medicine, Herdewijn, P. ed. Wiley-VCH, 2008に開示されるもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, pages 858-859, Kroschwitz, J. L, ed. John Wiley & Sons, 1990に開示されるもの、Englisch et al., Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613に開示されるもの、およびSanghvi, Y S., Chapter 15, dsRNA Research and Applications, pages 289-302, Crooke, S. T. and Lebleu, B., Ed., CRC Press, 1993に開示されるもの、が挙げられる。これら核酸塩基のうちの一部は、特に本発明で取り上げるオリゴマー化合物の結合親和性を増大するのに有用である。これらには、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジンおよびN-2、N-6および0~6置換のプリンが含まれ、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシンが挙げられる。5-メチルシトシン置換は、核酸の二重鎖安定性を0.6~1.2℃高めることがわかっており(Sanghvi, Y. S., Crooke, S. T. and Lebleu, B., Eds., dsRNA Research and Applications, CRC Press, Boca Raton, 1993, pp. 276-278)、そしてさらにより具体的には2’-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わせた場合には、模範的な塩基置換である。
【0209】
上記の修飾核酸塩基ならびに他の修飾核酸塩基のうちの特定のものの調製を教示する代表的な米国特許としては、これに限定されるものではないが、上記に記載の米国特許第3,687,808号、第4,845,205号、第5,130,30号、第5,134,066号、第5,175,273号、第5,367,066号、第5,432,272号、第5,457,187号、第5,459,255号、第5,484,908号、第5,502,177号、第5,525,711号、第5,552,540号、第5,587,469号、第5,594,121号、第5,596,091号、第5,614,617号、第5,681,941号、第5,750,692号、第6,015,886号、第6,147,200号、第6,166,197号、第6,222,025号、第6,235,887号、第6,380,368号、第6,528,640号、第6,639,062号、第6,617,438号、第7,045,610号、第7,427,672号、および第7,495,088号が挙げられ、そのそれぞれの内容全体が、参照により本明細書において組み込まれる。
【0210】
一部の実施形態では、本開示のRNAi剤はまた、一つまたは複数の二環式糖部分を含むように修飾され得る。「二環式糖」は、隣接するかまたは非隣接かにかかわらず、二つの炭素の架橋によって形成される環によって修飾されるフラノシル環である。「二環式ヌクレオシド」(「BNA」)は、隣接するかまたは非隣接かにかかわらず糖環の二つの炭素原子を架橋して形成される環を含み、それによって二環式環系を形成する糖部分を有するヌクレオシドである。特定の実施形態では、架橋が、糖環の4’-炭素と2’-炭素を接続するが、これは随意に2’-非環式酸素原子を介する。したがって、一部の実施形態では、本発明の剤は、一つまたは複数のロック核酸(LNA)を含み得る。ロック核酸は、リボース部分が2’および4’炭素を接続する追加の架橋を含むものである、修飾リボース部分を有するヌクレオチドである。言い換えれば、LNAは、4’-CH-O-2’架橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオチドである。この構造は、3’-endo構造立体配座内にリボースを効率的に「ロックする」。siRNAへのロック核酸の付加により、血清中でのsiRNA安定性が増大し、オフターゲット効果が低減するとわかっている(Elmen, J. et al., (2005) Nucleic Acids Research 33(1):439-447、Mook, OR. et al., (2007) Mol Canc Ther 6(3):833-843、Grunweller, A. et al., (2003) Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193)。本発明のポリヌクレオチドで使用するための二環式ヌクレオシドの例としては、これに限定するものではないが、4’および2’のリボシル環原子の間の架橋を含むヌクレオシドが挙げられる。特定の実施形態では、本発明のアンチセンスポリヌクレオチド剤としては、4’から2’への架橋を含む一つまたは複数の二環式ヌクレオシドが挙げられる。
【0211】
ロックされたヌクレオシドは、この構造(立体化学は省略する)によって表すことができ、
【化1】
【0212】
式中、Bは、核酸塩基または修飾核酸塩基であり、Lは、リボース環の2’-炭素と4’-炭素とを結合する連結基である。かかる4’から2’の架橋された二環式ヌクレオシドの例としては、これに限定するものではないが、4’-(CH)-O-2’(LNA)、4’-(CH)-S-2’、4’-(CH-O-2’(ENA)、4’-CH(CH)-O-2’(「拘束されたエチル」または「cEt」とも称される)および4’-CH(CHOCH)-O-2’(およびその類似体、例えば、米国特許第7,399,845号を参照)、4’-C(CH)(CH)-O-2’(およびその類似体、例えば、米国特許第8,278,283号を参照)、4’-CH-N(OCH)-2’(およびその類似体、例えば、米国特許第8,278,425号を参照)、4’-CH-O-N(CH)-2’(例えば、米国特許出願公開第2004/0171570号を参照)、4’-CH-N(R)-O-2’であって式中RはH、C1~C12アルキルまたは窒素保護基(例えば、米国特許第7,427,672号を参照)、4’-CH-C(H)(CH)-2’(例えば、Chattopadhyaya et al., J. Org. Chem., 2009, 74, 118-134を参照)、および4’-CH-C(=CH)-2’(およびその類似体、例えば、米国特許第8,278,426号を参照)、が挙げられる。前述のものの各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0213】
ロック核酸ヌクレオチドの調製を教示するさらなる代表的な米国特許および米国特許出願公開公報としては、これに限定されるものではないが、米国特許第6,268,490号、第6,525,191号、第6,670,461号、第6,770,748号、第6,794,499号、第6,998,484号、第7,053,207号、第7,034,133号、第7,084,125号、第7,399,845号、第7,427,672号、第7,569,686号、第7,741,457号、第8,022,193号、第8,030,467号、第8,278,425号、第8,278,426号、第8,278,283号、米国特許出願公開第2008/0039618号および米国特許出願公開第2009/0012281号が挙げられ、この各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0214】
例えばα-L-リボフラノースおよびβ-D-リボフラノースをはじめとする一つまたは複数の立体化学的な糖立体配座を有する前述の二環式ヌクレオシドのいずれもが、調製可能である(国際公開第99/14226号を参照)。
【0215】
iRNAのRNAはまた、一つまたは複数の拘束されたエチルヌクレオチドを含むように修飾され得る。本明細書において使用される場合、「拘束されたエチルヌクレオチド」または「cEt」は、4’-CH(CH)-O-2’架橋(すなわち、先述の構造におけるL)を含む二環式糖部分を含むロック核酸である。一実施形態では、拘束されたエチルヌクレオチドは、S立体配座であり、本明細書において「S-cEt」と称する。
【0216】
本発明のiRNAはまた、一つまたは複数の「立体配座的に制限されたヌクレオチド」(「CRN」)を含み得る。CRNは、リボースのC2’炭素およびC4’炭素を、またはリボースのC3炭素および-C5’炭素を接続するリンカーを有するヌクレオチド類似体である。CRNは、リボース環を安定な立体配座にロックして、mRNAに対するハイブリダイゼーション親和性を増大する。リンカーは、酸素を安定性および親和性にとって最適な位置に配置するのに十分な長さのものであり、その結果、リボース環のパッカリングを少なくさせる。
【0217】
上記のCRNのうちの特定のものの調製を教示する代表的な刊行物としては、これに限定されるものではないが、米国特許出願公開第2013/0190383号およびPCT公開公報である国際公開第2013/036868号が挙げられ、この各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0218】
一部の実施形態では、本発明のiRNAは、UNA(アンロック核酸)ヌクレオチドである一つまたは複数のモノマーを含む。UNAは、アンロック非環式核酸であり、その糖の結合のいずれもが除去されていて、アンロック「糖」残基を形成しているものである。一実施例では、UNAはまた、C1’-C4’間の結合が除去されているモノマーも包含する(すなわち、C1’炭素とC4’炭素との間の共有結合による炭素-酸素-炭素間結合)。別の実施例では、糖のC2’-C3’結合(すなわち、C2’炭素とC3’炭素との間の共有結合による炭素-炭素間結合)が除去されている(Nuc. Acids Symp. Series, 52, 133-134 (2008)およびFluiter et al., Mol. Biosyst., 2009, 10, 1039を参照されたく、これは参照により本明細書に組み込まれる)。
【0219】
UNAの調製を教示する代表的な米国の刊行物として、これに限定されるものではないが、米国特許第8,314,227号、および米国特許出願公開第2013/0096289号、第2013/0011922号、および第2011/0313020号が挙げられ、この各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0220】
RNA分子の末端に対する安定化修飾として可能性があるものとしては、N-(アセチルアミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-NHAc)、N-(カプロイル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6)、N-(アセチル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-NHAc)、チミジン-2’-0-デオキシチミジン(エーテル)、N-(アミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-アミノ)、2-ドコサノイル-ウリジン-3’’-ホスフェート、逆位塩基(inverted base)dT(idT)およびその他などが挙げられ得る。この修飾の開示内容は、PCT国際公開第2011/005861号に見ることができる。
【0221】
本発明のiRNAのヌクレオチドの他の修飾としては、5’ホスフェートまたは5’ホスフェート模倣体、例えば、iRNAのアンチセンス鎖上の5’末端ホスフェートまたはホスフェート模倣体、が挙げられる。好適なホスフェート模倣体は、例えば米国特許出願公開第2012/0157511号に開示されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0222】
A.本発明のモチーフを含む修飾iRNA
本発明の特定の態様では、本発明の二本鎖RNA剤としては、例えば国際公開第2013/075035号において開示されるような化学修飾を有する剤が挙げられ、当該公報は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書および国際公開第2013/075035号において示されるように、三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一修飾の一つまたは複数のモチーフが、特に切断部位またはその近傍において、dsRNAi剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖に導入され得る。一部の実施形態では、dsRNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、さもなくば完全に修飾され得る。これらモチーフの導入は、存在する場合にはセンス鎖またはアンチセンス鎖の修飾パターンを中断する。dsRNAi剤は、随意に、例えばセンス鎖上の、親油性リガンドと、例えば、C16リガンドとコンジュゲートし得る。RNAi剤は、随意に、例えばアンチセンス鎖の一つまたは複数の残基において、(S)-グリコール核酸(GNA)修飾で修飾され得る。得られたRNAi剤は、優れた遺伝子サイレンシング活性を示す。
【0223】
したがって、本発明は、インビボで標的遺伝子(すなわち、STAT6遺伝子)の発現を阻害可能な二本鎖RNA剤を提供する。このRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む。RNAi剤の各鎖は、例えば、長さが17~30ヌクレオチド、長さが25~30ヌクレオチド、長さが27~30ヌクレオチド、長さが19~25ヌクレオチド、長さが19~23ヌクレオチド、長さが19~21ヌクレオチド、長さが21~25ヌクレオチド、または長さが21~23ヌクレオチドであり得る。
【0224】
センス鎖およびアンチセンス鎖は、典型的には、本明細書において「dsRNAi剤」とも称する二重鎖の二本鎖RNA(「dsRNA」)を形成する。dsRNAi剤の二重鎖領域は、例えば、長さが27~30ヌクレオチド対、長さが19~25ヌクレオチド対、長さが19~23ヌクレオチド対、長さが19~21ヌクレオチド対、長さが21~25ヌクレオチド対、または長さが21~23ヌクレオチド対とすることができる二重鎖領域であり得る。別の実施例では、二重鎖領域は、長さが19、20、21、22、23、24、25、26および27ヌクレオチドから選択される。
【0225】
特定の実施形態では、dsRNAi剤は、一方の鎖または両鎖の3’末端、5’末端または両末端において一つまたは複数のオーバーハング領域またはキャッピング基を含有し得る。オーバーハングは、独立的に、長さが1~6ヌクレオチド、例えば2~6ヌクレオチドの長さ、1~5ヌクレオチドの長さ、2~5ヌクレオチドの長さ、1~4ヌクレオチドの長さ、2~4ヌクレオチドの長さ、1~3ヌクレオチドの長さ、2~3ヌクレオチドの長さ、または1~2ヌクレオチドの長さであり得る。特定の実施形態では、オーバーハング領域は、上述のように、伸長したオーバーハング領域を含み得る。オーバーハングは、一方の鎖がもう一方よりも長い結果、または同一の長さの二本の鎖がねじれている結果であり得る。このオーバーハングは、標的mRNAとミスマッチを形成し得る、または標的とする遺伝子配列に対して相補的であり得る、または別の配列であり得る。第一および第二の鎖を、例えば、ヘアピンを形成する追加の塩基によって、または他の非塩基リンカーによって、連結することもできる。
【0226】
特定の実施形態では、dsRNAi剤のオーバーハング領域内のヌクレオチドは、それぞれ独立して、例えば、2’-F、2’-O-メチルの、チミジン(T)、2`-O-メトキシエチル-5-メチルウリジン(Teo)、2`-O-メトキシエチルアデノシン(Aeo)、2`-O-メトキシエチル-5-メチルシチジン(m5Ceo)、およびこれらの任意の組み合わせを含む、2’-糖修飾を含むが、これに限定されない、修飾または未修飾のヌクレオチドであり得る。
【0227】
例えばTTは、いずれかの鎖上のいずれかの末端のためのオーバーハング配列であり得る。このオーバーハングは、標的mRNAとミスマッチを形成し得る、または標的とする遺伝子配列に対して相補的であり得る、または別の配列であり得る。
【0228】
dsRNAi剤のセンス鎖、アンチセンス鎖または両鎖の5’-または3’-のオーバーハングは、リン酸化され得る。一部の実施形態では、オーバーハング領域は、二つのヌクレオチドの間にホスホロチオエートを有する二つのヌクレオチドを含有し、当該二つのヌクレオチドは、同一であり得るか、または異なり得る。一部の実施形態では、オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖または両鎖の3’末端に存在する。一部の実施形態では、この3’-オーバーハングは、アンチセンス鎖内に存在する。一部の実施形態では、この3’-オーバーハングは、センス鎖内に存在する。
【0229】
dsRNAi剤は、その全体的な安定性に影響を及ぼすことなく、RNAiの干渉活性を強化することができる単一のオーバーハングのみを含有し得る。例えば、一本鎖のオーバーハングは、センス鎖の3’末端に、あるいはアンチセンス鎖の3’末端に位置し得る。RNAiはまた、アンチセンス鎖の5’末端(すなわち、センス鎖の3’末端)に位置する、または逆も同じである、平滑末端を有し得る。概して、dsRNAi剤のアンチセンス鎖は、3’末端にヌクレオチドオーバーハングを有し、また5’末端は平滑である。理論に拘束されることを望むことなく、こうした非対称であるアンチセンス鎖の5’末端にある平滑末端およびアンチセンス鎖の3’末端オーバーハングであることが、RISCプロセスへのガイド鎖挿入に好都合である。
【0230】
特定の実施形態においては、dsRNAi剤は、長さが19ヌクレオチドの二重平滑末端であるものであり、センス鎖が、5’末端から7、8、9位において三つの連続するヌクレオチド上に三つの2’-F修飾の少なくとも一つのモチーフを含有する。アンチセンス鎖は、5’末端から11、12、13位において三つの連続するヌクレオチド上に三つの2’-O-メチル修飾の少なくとも一つのモチーフを含有する。
【0231】
他の実施形態では、dsRNAi剤は、長さが20ヌクレオチドの二重平滑末端であり、センス鎖は、5’末端から8、9、および10位において三つの連続するヌクレオチド上に三つの2’-F修飾の少なくとも一つのモチーフを含有する。アンチセンス鎖は、5’末端から11、12、13位において三つの連続するヌクレオチド上に三つの2’-O-メチル修飾の少なくとも一つのモチーフを含有する。
【0232】
さらに他の実施形態では、dsRNAi剤は、長さが21ヌクレオチドの二重平滑末端であり、センス鎖は、5’末端から9、10、および11位において三つの連続するヌクレオチド上に三つの2’-F修飾の少なくとも一つのモチーフを含有する。アンチセンス鎖は、5’末端から11、12、13位において三つの連続するヌクレオチド上に三つの2’-O-メチル修飾の少なくとも一つのモチーフを含有する。
【0233】
特定の実施形態では、dsRNAi剤は、21ヌクレオチドのセンス鎖および23ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含むものであり、センス鎖が、5’末端から9、10、11位において三つの連続するヌクレオチド上の三つの2’-F修飾の少なくとも一つのモチーフを含有し、アンチセンス鎖が、5’末端から11、12、13位において三つの連続するヌクレオチド上の三つの2’-O-メチル修飾の少なくとも一つのモチーフを含有し、RNAi剤の一方の末端が平滑であり、もう一方の末端が2ヌクレオチドのオーバーハングを含む。一部の実施形態では、2ヌクレオチドのオーバーハングが、アンチセンス鎖の3’末端にある。
【0234】
2ヌクレオチドのオーバーハングが、アンチセンス鎖の3’末端にある場合には、末端の三つのヌクレオチドの間に二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結があり得るものであり、該三つのヌクレオチドのうち二つが、オーバーハングヌクレオチドであり、三番目のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合したヌクレオチドである。一実施形態では、RNAi剤は、さらに、センス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の5’末端の両方において末端の三つのヌクレオチドの間に二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結を有する。特定の実施形態では、モチーフの一部であるヌクレオチドを含むdsRNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖内の全てのヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドである。特定の実施形態では、各残基は独立的に、例えば、交互モチーフで、2’-O-メチルまたは3’-フルオロで修飾されている。随意に、dsRNAi剤は、リガンド(親油性リガンド、随意にC16リガンドなど)をさらに含む。
【0235】
特定の実施形態では、dsRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含むものであり、センス鎖が、長さが25~30ヌクレオチド残基であり、5’末端ヌクレオチド(1位)から開始して、第一の鎖の1位~23位が、少なくとも8リボヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖が、長さが36~66ヌクレオチド残基であり、また3’末端ヌクレオチドから開始して、センス鎖の1~23位と対合した位置において少なくとも8リボヌクレオチドを含んで二重鎖を形成するものであり、アンチセンス鎖の少なくとも3’末端ヌクレオチドがセンス鎖と対合せず、また最大6の連続する3’末端ヌクレオチドはセンス鎖と対合せず、それによって1~6ヌクレオチドの3’単一鎖のオーバーハングを形成し、アンチセンス鎖の5’末端が、センス鎖と対合しない10~30の連続するヌクレオチドを含み、それによって10~30ヌクレオチドの単一鎖の5’オーバーハングを形成し、少なくともセンス鎖5’末端および3’末端ヌクレオチドが、センス鎖およびアンチセンス鎖が最大の相補性で整列する場合にアンチセンス鎖のヌクレオチドと塩基対合し、それによってセンス鎖およびアンチセンス鎖間の実質的に二本鎖の領域を形成し、またアンチセンス鎖が、アンチセンス鎖長の少なくとも19リボヌクレオチドに沿って標的RNAに対して十分に相補的であり、二本鎖核酸が哺乳類細胞に導入されたときに標的遺伝子発現を低減させ、またセンス鎖が、三つの連続するヌクレオチド上に三つの2’-F修飾の少なくとも一つのモチーフを含有するものであり、モチーフのうちの少なくとも一つが、切断部位においてまたは切断部位の近傍で生じる。アンチセンス鎖は、切断部位においてまたはその近傍で三つの連続するヌクレオチド上の三つの2’-O-メチル修飾の少なくとも一つのモチーフを含有する。
【0236】
特定の実施形態では、dsRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含むものであり、該dsRNAi剤が、少なくとも25ヌクレオチドであり最大でも29ヌクレオチドである長さを有する第一の鎖、および5’末端から11、12、13位において三つの連続するヌクレオチド上の三つの2’-O-メチル修飾の少なくとも一つのモチーフをもつ最大でも30ヌクレオチドである長さを有する第二の鎖を含むものであり、第一の鎖の3’末端および第二の鎖の5’末端が平滑末端を形成し、また第二の鎖が、その3’末端において第一の鎖よりも長い1~4ヌクレオチドであるものであり、二重鎖領域が長さが少なくとも25ヌクレオチドであり、第二の鎖が、第二の鎖の長さのうちの少なくとも19ヌクレオチドに沿って標的mRNAに対して十分に相補的であり、RNAi剤が哺乳類細胞に導入されたときに標的遺伝子発現を低減するものであり、またdsRNAi剤のDicer切断が、第二の鎖の3’末端を含むsiRNAを結果として生じ、それによって哺乳類において標的遺伝子の発現が低減する。随意に、dsRNAi剤は、リガンドをさらに含む。
【0237】
特定の実施形態では、dsRNAi剤のセンス鎖は、三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾の少なくとも一つのモチーフを含有し、該モチーフのうち一つは、センス鎖中の切断部位において生じる。
【0238】
特定の実施形態では、dsRNAi剤のアンチセンス鎖はまた、三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾の少なくとも一つのモチーフを含有することができるものであり、当該モチーフのうち一つが、アンチセンス鎖内の切断部位においてまたはその近傍で生じる。
【0239】
長さが19~23ヌクレオチドである二重鎖領域を有するdsRNAi剤については、アンチセンス鎖の切断部位は通常、5’末端からおよそ10、11および12位にある。したがって、三つの同一の修飾のモチーフは、アンチセンス鎖の、9、10、11位、10、11、12位、11、12、13位、12、13、14位、または13、14、15位において生じ得、これら数字はアンチセンス鎖の5’末端から一つ目のヌクレオチドから開始するか、またはこれら数字はアンチセンス鎖の5’末端から二重鎖領域内の一つめの対合したヌクレオチドから開始する。アンチセンス鎖内の切断部位はまた、5’末端からのdsRNAi剤の二重鎖領域の長さに応じて変わり得る。
【0240】
dsRNAi剤のセンス鎖は、鎖の切断部位において三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾の少なくとも一つのモチーフを含有し得、またアンチセンス鎖は、鎖の切断部位においてまたはその近傍において三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾の少なくとも一つのモチーフを有し得る。センス鎖およびアンチセンス鎖がdsRNA二重鎖を形成する場合には、センス鎖およびアンチセンス鎖は、センス鎖上の三つのヌクレオチドの一つのモチーフおよびアンチセンス鎖上の三つのヌクレオチドの一つのモチーフが、少なくとも一つのヌクレオチドオーバーラップを有するように、すなわち、センス鎖内のモチーフの三つのヌクレオチドの少なくとも一つが、アンチセンス鎖内のモチーフの三つのヌクレオチドの少なくとも一つと塩基対合を形成するように、整列され得る。あるいは、少なくとも二つのヌクレオチドが重複してもよく、または三つのヌクレオチドの全てが重複してもよい。
【0241】
一部の実施形態では、dsRNAi剤のセンス鎖は、三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾の二つ以上のモチーフを含有し得る。第一のモチーフは、鎖の切断部位においてまたはその近傍に生じ得、またその他のモチーフが、ウイング修飾であり得る。本明細書において「ウイング修飾」という用語は、同一の鎖の切断部位においてまたはその近傍においてのモチーフから分離されている鎖の別の部分において生じるモチーフを指す。ウイング修飾は、第一のモチーフに隣接しているか、または少なくとも一つもしくは複数のヌクレオチドで分離されている。モチーフが互いにすぐ隣に隣接する場合には、モチーフの化学的性質は、互いに別個であり、またモチーフが一つまたは複数のヌクレオチドで分離されている場合には、その化学的性質は、同一であっても異なっていてもよい。二つ以上のウイング修飾が存在する場合もある。例えば、二つのウイング修飾が存在する場合には、各ウイング修飾は、切断部位またはその近傍において第一のモチーフに対して一方の末端において、またはリードモチーフのいずれかの側で生じ得る。
【0242】
センス鎖と同様に、dsRNAi剤のアンチセンス鎖は、三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾の二つ以上のモチーフを含有する場合があり、該モチーフの少なくとも一つは鎖の切断部位においてまたはその近傍において生じる。このアンチセンス鎖はまた、センス鎖上に存在し得るウイング修飾と同様のアラインメント内に一つまたは複数のウイング修飾を含有し得る。
【0243】
一部の実施形態では、dsRNAi剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖上のウイング修飾は、典型的には、鎖の3’末端、5’末端または両末端において最初の一つまたは二つの末端ヌクレオチドを含まない。
【0244】
他の実施形態では、dsRNAi剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖上のウイング修飾は、典型的には、鎖の3’末端、5’末端または両末端において二重鎖領域内の最初の一つまたは二つの対合したヌクレオチドを含まない。
【0245】
dsRNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖が各々、少なくとも一つのウイング修飾を含有する場合には、ウイング修飾は、二重鎖領域の同一末端に入り得、また一つ、二つまたは三つのヌクレオチドの重複部分を有する。
【0246】
dsRNAi剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖が各々、少なくとも二つのウイング修飾を含有する場合には、センス鎖およびアンチセンス鎖は、それぞれの一本鎖からの二つの修飾が、一つ、二つまたは三つのヌクレオチドの重複部分を有する二重鎖領域の一方の末端に入り、それぞれの一本鎖からの二つの修飾が、一つ、二つまたは三つのヌクレオチドの重複部分を有する二重鎖領域のもう一方の末端に入り、それぞれの一本鎖からの二つの修飾が、二重鎖領域内の一つ、二つまたは三つのヌクレオチドの重複部分を有するリードモチーフの両側に入るように、整列され得る。
【0247】
一部の実施形態では、モチーフの一部であるヌクレオチドを含むdsRNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖内のどのヌクレオチドも、修飾され得る。各ヌクレオチドは、同一または異なる修飾で修飾され得、当該修飾としては、非連結ホスフェート酸素の一方もしくは両方の、または連結ホスフェート酸素の一つもしくは複数のうちの一つまたは複数の変更、リボース糖の構成成分の変更、例えば、リボース糖上の2’ヒドロキシルの変更、ホスフェート部分の「脱リン酸化」リンカーでの大規模な置換、天然に存在する塩基の修飾または置換、およびリボースホスフェート骨格の置換または修飾が挙げられ得る。
【0248】
核酸はサブユニットのポリマーであるので、修飾の多くは、核酸内で反復される位置で生じ、例えば、塩基またはホスフェート部分、またはホスフェート部分の非連結のOの修飾である。一部の場合では、修飾は、核酸中の対象位置の全てにおいて生じることとなるが、多くの場合、生じることとならない。例として、修飾は、3’末端または5’末端の位置においてのみ生じ得、末端領域においてのみ生じ得、例えば、鎖の末端ヌクレオチド上の位置、または鎖の最後の2、3、4、5もしくは10ヌクレオチドにおいて生じ得る。修飾は、二本鎖領域、一本鎖領域または両方において生じ得る。修飾は、RNAの二本鎖領域内においてのみ生じ得、またはRNAの一本鎖領域内においてのみ生じ得る。例えば、非連結性O位置におけるホスホロチオエート修飾は、一方または両方の末端においてのみ生じ得、末端領域においてのみ生じ得、例えば、鎖の末端ヌクレオチド上の位置または鎖の最後の2、3、4、5もしくは10ヌクレオチド内において生じ得、または二本鎖内および一本鎖領域において、特に末端で、生じ得る。5’末端をリン酸化することが可能である。
【0249】
それにより、例えば、安定性を増強すること、オーバーハング内に特定の塩基を含めること、または一本鎖のオーバーハング内、例えば、5’オーバーハングもしくは3’オーバーハング内、または両オーバーハング内に、修飾ヌクレオチドもしくはヌクレオチド代替物を含めることが可能であり得る。例えば、オーバーハング内にプリンヌクレオチドを含めることが望ましいものであり得る。一部の実施形態では、3’オーバーハングまたは5’オーバーハング内の塩基の全てまたは一部が、例えば、本明細書において記載する修飾で修飾され得る。修飾は、例えば、当技術分野で公知である修飾でのリボース糖の2’位における修飾の使用、例えば、核酸塩基のリボ糖の代わりに修飾された、デオキシリボヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-フルオロ(2’-F)または2’-O-メチルの使用、およびホスフェート基における修飾、例えば、ホスホロチオエート修飾、を含み得る。オーバーハングは、標的配列と相同である必要はない。
【0250】
一部の実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の各残基は、LNA、CRN、cET、UNA、HNA、CeNA、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-デオキシ、2’-ヒドロキシル、または2’-フルオロで独立的に修飾される。鎖は、二つ以上の修飾を含有し得る。一実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の各残基は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロで独立的に修飾される。
【0251】
少なくとも二つの異なる修飾が、典型的には、センス鎖およびアンチセンス鎖上に存在する。それら二つの修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾などであり得る。
【0252】
特定の実施形態では、NまたはNは、交互パターンの修飾を含む。「交互モチーフ」という用語は、本明細書で使用する場合、一つまたは複数の修飾を 有するモチーフを指し、各修飾が、一本鎖の交互ヌクレオチド上で生じる。交互ヌクレオチドとは、一つ置きのヌクレオチド毎に一つまたは三つのヌクレオチド毎に一つまたは類似のパターンを指し得る。例えばA、BおよびCが各々、ヌクレオチドに対する一タイプの修飾を表す場合、交互モチーフは、「ABABABABABAB…」、「AABBAABBAABB…」、「AABAABAABAAB…」、「AAABAAABAAAB…」、「AAABBBAAABBB…」または「ABCABCABCABC…」などであり得る。
【0253】
交互モチーフ内に含有されるこのタイプの修飾は、同一である場合も、異なっている場合もある。例えば、A、B、C、Dが各々、ヌクレオチド上の一タイプの修飾を表す場合、交互パターン、すなわち、一つ置きのヌクレオチド上の修飾は、同一であり得るが、センス鎖またはアンチセンス鎖の各々は、例えば「ABABAB…」、「ACACAC…」、「BDBDBD…」、または「CDCDCD…」などの交互モチーフの内のいくつかの可能性のある修飾から選択され得る。
【0254】
一部の実施形態では、本発明のdsRNAi剤は、アンチセンス鎖上の交互モチーフの修飾パターンに対して相対的にシフトされているセンス鎖上の交互モチーフの修飾パターンを含む。当該移動は、センス鎖のヌクレオチドの修飾基が、アンチセンス鎖のヌクレオチドの異なるように修飾された基に対応するようになされたものであり得、逆もまた同様である。例えば、センス鎖は、dsRNA二重鎖内のアンチセンス鎖と対合する場合、センス鎖内の交互モチーフは、鎖の5’から3’へ「ABABAB」で開始し得、またアンチセンス鎖内の交互モチーフは、二重鎖領域内の鎖の5’から3’へ「BABABA」で開始し得る。別の例として、センス鎖内の交互モチーフは、鎖の5’から3’へ「AABBAABB」で開始し得、またアンチセンス鎖内の交互モチーフは、二重鎖領域内の鎖の5’から3’へ「BBAABBAA」で開始し得、その結果、センス鎖およびアンチセンス鎖間の修飾パターンの完全なシフトまたは部分的なシフトが存在するようになる。
【0255】
一部の実施形態では、dsRNAi剤は、センス鎖上の2’-O-メチル修飾と2’-F修飾の交互モチーフのパターンを含み、最初に、アンチセンス鎖上の2’-O-メチル修飾と2’-F修飾の交互モチーフのパターンに対して相対的なシフトを有し、すなわち、センス鎖の塩基対上の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、アンチセンス鎖上の2’-F修飾ヌクレオチドを含み、その逆もまた同様である。センス鎖の1位は、2’-F修飾で開始し得、またアンチセンス鎖の1位は、2’-O-メチル修飾で開始し得る。
【0256】
センス鎖またはアンチセンス鎖への三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾の一つまたは複数のモチーフの導入は、センス鎖またはアンチセンス鎖内に存在する最初の修飾パターンを中断する。センス鎖またはアンチセンス鎖への三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾の一つまたは複数のモチーフを導入することによるセンス鎖またはアンチセンス鎖の修飾パターンの中断は、標的遺伝子に対する遺伝子サイレンシング活性を増強し得る。
【0257】
一部の実施形態では、三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾のモチーフが鎖のいずれかに導入される場合、該モチーフに隣接するヌクレオチドの修飾は、そのモチーフの修飾とは異なる修飾である。例えば、モチーフを含有する配列の部分は、「…NYYYN…」であり、ここで「Y」は三個の連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾のモチーフの修飾を表し、また「N」および「N」は、Yの修飾とは異なるモチーフ「YYY」に隣接するヌクレオチドに対する修飾を表し、NおよびNは同一または異なる修飾であり得る。あるいは、ウイング修飾が存在する場合、NまたはNは存在してもよく、または存在しなくてもよい。
【0258】
iRNAは、少なくとも一つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結をさらに含み得る。ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾は、鎖の任意の位置においてセンス鎖、アンチセンス鎖または両鎖の任意のヌクレオチド上で生じ得る。例えば、ヌクレオチド間連結修飾は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上の全てのヌクレオチド上でも生じ得、各ヌヌクレオチド間連結修飾は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上で交互パターンで生じ得、またはセンス鎖もしくはアンチセンス鎖は、交互パターンで両方のヌクレオチド間連結修飾を含み得る。センス鎖上のヌクレオチド間連結修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖と同一または異なり得、またセンス鎖上のヌクレオチド間連結修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖上のヌクレオチド間連結修飾の交互パターンに対してシフトを有し得る。一実施形態では、二本鎖RNAi剤は、6~8のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む。一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、5’末端において二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結と、3’末端において二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結とを含み、またセンス鎖は、5’末端または3’末端のいずれかに少なくとも二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む。
【0259】
一部の実施形態では、dsRNAi剤は、オーバーハング領域内にホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾を含む。例えば、オーバーハング領域は、二つのヌクレオチド間にホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結を有する二つのヌクレオチドを含有し得る。ヌクレオチド間連結修飾はまた、オーバーハングヌクレオチドを二本鎖領域内の末端の対合したヌクレオチドと連結するようになされ得る。例えば、少なくとも2、3、4または全てのオーバーハングヌクレオチドは、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結によって結合され得、随意に、オーバーハングヌクレオチドを、オーバーハングヌクレオチドと隣接する対合するヌクレオチドと結合するさらなるホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結が存在し得る。例えば、三つのヌクレオチドの二つがオーバーハングヌクレオチドであり、三番目が、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合したヌクレオチドである、末端の三つのヌクレオチド間に少なくとも二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結が存在し得る。これら末端の三つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖の3’末端、センス鎖の3’末端、アンチセンス鎖の5’末端、またはアンチセンス鎖の5’末端にあり得る。
【0260】
一部の実施形態では、2-ヌクレオチドオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にあり、末端の三つのヌクレオチド間に二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結が存在し、該三つのヌクレオチドの二つは、オーバーハングヌクレオチドであり、また三番目のヌクレオチドは、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合したヌクレオチドである。随意に、dsRNAi剤は、さらに、センス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の5’末端の両方において末端の三つのヌクレオチド間に二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結を有し得る。
【0261】
一実施形態では、dsRNAi剤は、標的との、二重鎖内のミスマッチまたはその組み合わせを含む。ミスマッチは、オーバーハング領域内または二重鎖領域内に生じ得る。塩基対は、解離または融解を促進するそれらがもつ傾向に基づいて格付けされ得る(例えば、特定の対合の会合または解離の自由エネルギーに基づくものであり、最も単純なアプローチとしては、個々の対ごとに対を調べることであるが、次に、隣接するまたは同様の分析も使用可能である)。解離の促進の点では、A:UはG:Cより好ましく、G:UはG:Cより好ましく、またI:CはG:Cより好ましい(I=イノシン)。ミスマッチ、例えば、非標準の対合または標準以外の対合(本明細書において別の箇所に記載される)が、標準(A:T、A:U、G:C)の対合より好ましく、またユニバーサル塩基を含む対合が、標準の対合より好ましい。
【0262】
特定の実施形態では、dsRNAi剤は、A:U、G:U、I:Cの群から独立的に選択されるアンチセンス鎖の5’末端から二重鎖領域内の最初の1、2、3、4または5塩基対、および例えば、非標準の対合または標準以外の対合またはユニバーサル塩基を含む対合であるミスマッチ対のうちの少なくとも一つを含み、二重鎖の5’末端においてアンチセンス鎖の解離を促進する。
【0263】
特定の実施形態では、アンチセンス鎖内の5’末端から二重鎖領域内の1位におけるヌクレオチドは、A、dA、dU、UおよびdTから選択される。あるいは、アンチセンス鎖の5’末端から二重鎖領域内の最初の1、2または3の塩基対のうち少なくとも一つは、AU塩基対である。例えば、アンチセンス鎖の5’末端から二重鎖領域内の最初の塩基対は、AU塩基対である。
【0264】
他の実施形態では、センス鎖の3’末端におけるヌクレオチドは、デオキシチミジン(dT)であるか、またはアンチセンス鎖の3’末端におけるヌクレオチドは、デオキシチミジン(dT)である。例えば、デオキシチミンジンヌクレオチドの短い配列、例えばセンス鎖、アンチセンス鎖または両鎖の3’末端上の二つのdTヌクレオチド、が存在する。
【0265】
特定の実施形態では、センス鎖配列は、式(I):
5’ n-N-(X X X )-N-Y Y Y -N-(Z Z Z )-N-n 3’ (I)で表され得、
式中、
iおよびjは各々独立的に、0または1であり、
pおよびqは各々独立的に、0~6であり、
各Nは独立的に、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表すものであって、各配列は少なくとも二つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含み、
各Nは独立的に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、
各nおよびnは独立的に、オーバーハングヌクレオチドを表すものであり、
式中、NbおよびYは、同一の修飾を有さず、ならびに
XXX、YYYおよびZZZは各々独立的に、三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾の一つのモチーフを表す。一部の実施形態では、YYYは、すべて2’-F修飾ヌクレオチドである。
【0266】
一部の実施形態では、NまたはNは、交互パターンの修飾を含む。
【0267】
一部の実施形態では、YYYモチーフは、センス鎖の切断部位においてまたはその近傍において生じる。例えば、dsRNAi剤が、17~23ヌクレオチドの長さの二重鎖領域を有する場合、YYYモチーフは、センス鎖の切断部位においてまたはその近傍において生じ得(例えば、6、7、8位、7、8、9位、8、9、10位、9、10、11位、10、11、12位、または11、12、13位において生じ得る)、この数字は、5’末端から、第一のヌクレオチドから開始し、または随意に、この数字は、5’末端から、二重鎖領域内の最初の対合したヌクレオチドにおいて開始する。
【0268】
一実施形態では、iは1であり、かつjは0であり、またはiは0であり、かつjは1であり、またはiおよびjの両方が1である。したがって、センス鎖は、以下の式、
5’ n-N-YYY-N-ZZZ-N-n 3’ (Ib)、
5’ n-N-XXX-N-YYY-N-n 3’ (Ic)、または
5’ n-N-XXX-N-YYY-N-ZZZ-N-n 3’(Id)で表され得る。
【0269】
センス鎖が式(Ib)で表される場合、Nは、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは独立的に、2~20、2~15または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
【0270】
センス鎖が式(Ic)で表される場合、Nは、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは独立的に、2~20、2~15または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
【0271】
センス鎖が式(Id)で表される場合、各Nは独立的に、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。一実施形態では、Nは、0、1、2、3、4、5、または6である。各Nは独立して、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
【0272】
X、YおよびZの各々は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0273】
他の実施形態では、iは0であり、かつjは0であり、またセンス鎖は、式
5’ n-N-YYY- N-n 3’(Ia)で表され得る。
【0274】
センス鎖が、式(Ia)で表される場合、各Nは独立的に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
【0275】
一実施形態では、RNAiのアンチセンス鎖配列は、式(II)
5’ nq’-N’-(Z’Z’Z’)-N’-Y’Y’Y’-N’-(X’X’X’)-N’-n’3’ (II)で表され得、
式中、
kおよびlは各々独立的に、0または1であり、
p’およびq’は各々独立的に、0~6であり、
各N’は独立的に、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表すものであり、各配列は、少なくとも二つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含み、
各N’は独立的に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、
各n’およびn’は独立的に、オーバーハングヌクレオチドを表し、
式中、N’およびY’は、同一の修飾を有さず、ならびに
X’X’X’、Y’Y’Y’およびZ’Z’Z’は各々独立的に、三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾の一つのモチーフを表す。
【0276】
一部の実施形態では、N’またはN’は、交互パターンの修飾を含む。
【0277】
Y’Y’Y’モチーフは、アンチセンス鎖の切断部位においてまたはその近傍において生じる。例えば、dsRNAi剤が、17~23ヌクレオチドの長さの二重鎖領域を有する場合、Y’Y’Y’モチーフは、アンチセンス鎖の9、10、11位、10、11、12位、11、12、13位、12、13、14位、または13、14、15位において生じ得、この数字は、5’末端から、最初のヌクレオチドから開始し、または随意に、この数字は、5’末端から、二重鎖領域内の最初の対合したヌクレオチドにおいて開始する。一部の実施形態では、Y’Y’Y’モチーフは、11位、12位、13位において生じる。
【0278】
特定の実施形態では、Y’Y’Y’モチーフは、全て2’-OMe修飾ヌクレオチドである。
【0279】
特定の実施形態では、kは1であり、かつlは0であるか、またはkは0であり、かつlは1であるか、またはkおよびlは両方とも1である。
【0280】
したがって、アンチセンス鎖は、以下の式
5’ nq’-N’-Z’Z’Z’-N’-Y’Y’Y’-N’-np’ 3’ (IIb)、
5’ nq’-N’-Y’Y’Y’-N’-X’X’X’-np’ 3’ (IIc)、または
5’ nq’-N’- Z’Z’Z’-N’-Y’Y’Y’-N’- X’X’X’-N’-np’ 3’ (IId)で表され得る。
【0281】
アンチセンス鎖が、式(IIb)で表される場合、N は、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は独立的に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0282】
アンチセンス鎖が、式(IIc)で表される場合、N’は、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は独立的に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0283】
アンチセンス鎖が、式(IId)で表される場合、各N’は独立的に、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は独立的に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。一部の実施形態では、Nは、0、1、2、3、4、5、または6である。
【0284】
他の実施形態では、kは0であり、かつlは0であり、またアンチセンス鎖は、式
5’ np’-Na’-Y’Y’Y’- Na’-nq’ 3’ (Ia)で表され得る。
【0285】
アンチセンス鎖が、式(IIa)で表される場合、各N’は独立的に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0286】
X’、Y’およびZ’の各々は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0287】
センス鎖およびアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立的に、LNA、CRN、UNA、cEt、HNA、CeNA、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-ヒドロキシルまたは2’-フルオロで独立的に修飾され得る。例えば、センス鎖およびアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、2’-O-メチルまたは2’-フルオロで独立的に修飾される。各X、Y、Z、X’、Y’およびZ’は、特に2’-O-メチル修飾または2’-フルオロ修飾を表し得る。
【0288】
一部の実施形態では、dsRNAi剤のセンス鎖は、二重鎖領域が21nt(ヌクレオチド)である場合に鎖の9、10および11位において生じるYYYモチーフを含有し得、この数字は、5’末端から、最初のヌクレオチドから開始し、または随意に、この数字は、5’末端から、二重鎖領域内の最初の対合したヌクレオチドにおいて開始し、またYは、2’-F修飾を表す。センス鎖は、二重鎖領域の対向する側の末端においてウイング修飾としてXXXモチーフまたはZZZモチーフをさらに含有し得、またXXXおよびZZZは各々独立的に、2’-OMe修飾または2’-F修飾を表す。
【0289】
一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、鎖の11、12、13位において生じるY’Y’Y’モチーフを含有し得、この数字は、5’末端から、最初のヌクレオチドから開始し、または随意に、この数字は、5’末端から、二重鎖領域内の最初の対合したヌクレオチドにおいて開始し、またY’は、2’-O-メチル修飾を表す。アンチセンス鎖は、二重鎖領域の対向する側の末端においてウイング修飾としてX’X’X’モチーフまたはZ’Z’Z’モチーフをさらに含有し得、またX’X’X’およびZ’Z’Z’は各々独立的に、2’-OMe修飾または2’-F修飾を表す。
【0290】
上記の式(Ia)、(Ib)、(Ic)および(Id)のいずれか一つで表されるセンス鎖は、それぞれ式(IIa)、(IIb)、(IIc)および(IId)のいずれか一つで表されるアンチセンス鎖と二重鎖を形成する。
【0291】
したがって、本発明の方法において使用するdsRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み得、各鎖は、14~30ヌクレオチドを有し、iRNA二重鎖は、以下の式(III)
センス: 5’ n -N-(X X X) -N- Y Y Y -N -(Z Z Z)-N-n 3’
アンチセンス: 3’ n -N -(X’X’X’)-N -Y’Y’Y’-N -(Z’Z’Z’)-N -n 5’
(III)で表され、
式中、
i、j、kおよびlは各々独立的に、0または1であり、
p、p’、qおよびq’は各々独立的に、0~6であり、
各NおよびN は独立的に、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列は、少なくとも二つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含み、
各NおよびN は独立して、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、
式中、各n’、n、n’およびnは、それらの各々が、存在していても存在していなくてもよく、オーバーハングヌクレオチドを独立的に表し、
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’およびZ’Z’Z’は各々独立的に、三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾の一つのモチーフを表す。
【0292】
一実施形態では、iは0であり、かつjは0であり、またはiは1であり、かつjは0であり、またはiは0であり、かつjは1であり、またはiおよびjは両方とも0であり、またはiおよびjは両方とも1である。別の実施形態では、kは0であり、かつlは0であり、またはkは1であり、かつlは0であり、kは0であり、かつlは1であり、またはkおよびlは両方とも0であり、またはkおよびlは両方とも1である。
【0293】
iRNA二重鎖を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖の例示的な組み合わせとしては、以下の式が挙げられる:
5’ n - N -Y Y Y -N-n 3’
3’ n -N -Y’Y’Y’-N 5’
(IIIa)
5’ n-N-Y Y Y-N-Z Z Z-N-n 3’
3’ n -N -Y’Y’Y’-N -Z’Z’Z’-N 5’
(IIIb)
5’ n-N-X X X-N-Y Y Y-N-n 3’
3’ n -N -X’X’X’-N -Y’Y’Y’-N -n 5’
(IIIc)
5’ n-N-X X X-N-Y Y Y-N-Z Z Z-N-n 3’
3’ n -N -X’X’X’-N -Y’Y’Y’-N -Z’Z’Z’-N-n 5’
(IIId)。
【0294】
dsRNAi剤が式(IIIa)で表される場合、各Nは独立的に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0295】
dsRNAi剤が式(IIIb)で表される場合、各Nは独立的に、1~10、1~7、1~5、または1~4の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは独立的に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0296】
dsRNAi剤が式(IIIc)で表される場合、各N、N’は独立的に、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは独立的に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0297】
dsRNAi剤が式(IIId)で表される場合、各N、N’は独立的に、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N、N は独立的に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。N、N’、N、およびN の各々は独立的に、交互パターンの修飾を含む。
【0298】
式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)の中のX、Y、およびZの各々は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0299】
dsRNAi剤が式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)で表される場合、Yヌクレオチドのうちの少なくとも一つが、Y’ヌクレオチドのうちの一つと塩基対を形成し得る。あるいは、少なくとも二つのYヌクレオチドが、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成し、または三つのYヌクレオチドすべてが、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
【0300】
dsRNAi剤が式(IIIb)または(IIId)で表される場合、Zヌクレオチドのうちの少なくとも一つが、Z’ヌクレオチドのうちの一つと塩基対を形成し得る。あるいは、少なくとも二つのZヌクレオチドが、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成し、または三つのZヌクレオチドすべてが、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
【0301】
dsRNAi剤が式(IIIc)または(IIId)で表される場合、Xヌクレオチドのうちの少なくとも一つが、X’ヌクレオチドのうちの一つと塩基対を形成し得る。あるいは、Xヌクレオチドのうちの少なくとも二つが、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成し、またはXヌクレオチドのうちの三つすべてが、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
【0302】
特定の実施形態では、Yヌクレオチド上の修飾は、Y’ヌクレオチド上の修飾とは異なるか、Zヌクレオチド上の修飾は、Z’ヌクレオチド上の修飾とは異なるか、またはXヌクレオチド上の修飾は、X’ヌクレオチド上の修飾とは異なる。
【0303】
特定の実施形態では、dsRNAi剤が式(IIId)で表される場合、N修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾である。他の実施形態では、RNAi剤が式(IIid)で表される場合、N修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、またn’>0および少なくとも一つのn’は、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドに連結する。さらに他の実施形態では、RNAi剤が、式(IIId)で表される場合、N修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、n’>0および少なくとも一つのn’は、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドに連結し、またセンス鎖は、二価または三価の分枝リンカー(以下に記載する)を介して結合される一つまたは複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。他の実施形態では、RNAi剤が、式(IIId)で表される場合、N修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、n’>0および少なくとも一つのn’は、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドに連結し、センス鎖は、少なくとも一つのホスホロチオエート連結を含み、またセンス鎖は、二価または三価の分枝リンカーを介して結合される一つまたは複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。
【0304】
一部の実施形態では、dsRNAi剤が、式(IIIa)で表される場合、N修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、n’>0および少なくとも一つのn’は、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドに連結し、センス鎖は、少なくとも一つのホスホロチオエート連結を含み、またセンス鎖は、二価または三価の分枝リンカーを介して結合される一つまたは複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。
【0305】
一部の実施形態では、dsRNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および(IIId)で表される少なくとも二つの二重鎖を含有する多量体であり、該二重鎖は、リンカーで接続される。該リンカーは、切断可能である場合も、切断可能でない場合もある。随意に、多量体は、リガンドをさらに含む。二重鎖の各々は、同一の遺伝子または二つの異なる遺伝子を標的にし得、または二重鎖の各々は、二つの異なる標的部位における同一の遺伝子を標的とし得る。
【0306】
一部の実施形態では、dsRNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および(IIId)で表される三、四、五、六、またはそれ以上の二重鎖を含有する多量体であり、該二重鎖は、リンカーで接続される。該リンカーは、切断可能である場合も、切断可能でない場合もある。随意に、多量体は、リガンドをさらに含む。二重鎖の各々は、同一の遺伝子または二つの異なる遺伝子を標的にし得、または二重鎖の各々は、二つの異なる標的部位における同一の遺伝子を標的とし得る。
【0307】
一実施形態では、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および(IIId)のうちの少なくとも一で表される二つのdsRNAi剤は、5’末端において、また3’末端の一方または両方において、互いに連結され、随意に、リガンドにコンジュゲートされる。当該剤は各々、同一の遺伝子または二つの異なる遺伝子を標的とし得、または当該剤の各々が、二つの異なる標的部位において同一の遺伝子を標的にし得る。
【0308】
特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を含有する少数のヌクレオチド、例えば2’-フルオロ修飾を有する10以下のヌクレオチド、を含有し得る。例えば、RNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する10、9、8、7、6、5、4、3、2、1または0のヌクレオチドを含有し得る。特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する10ヌクレオチド、例えば、センス鎖内に2’-フルオロ修飾を有する4ヌクレオチド、およびアンチセンス鎖内に2’-フルオロ修飾を有する6ヌクレオチド、を含有する。別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する6ヌクレオチド、例えば、センス鎖内に2’-フルオロ修飾を有する4ヌクレオチド、およびアンチセンス鎖内に2’-フルオロ修飾を有する2ヌクレオチド、を含有する。
【0309】
他の実施形態では、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を含有する極めて少数のヌクレオチド、例えば、2’-フルオロ修飾を含有する2以下のヌクレオチド、を含有し得る。例えば、RNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する2、1または0のヌクレオチドを含有し得る。特定の実施形態では、RNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する2ヌクレオチド、例えば、センス鎖内に2-フルオロ修飾を有する0ヌクレオチド、およびアンチセンス鎖内に2’-フルオロ修飾を有する2ヌクレオチド、を含有し得る。
【0310】
種々の公開公報には、本発明の方法において使用され得る多量体iRNAが記載されている。当該公開公報としては、国際公開第2007/091269号、米国特許第7,858,769号、国際公開第2010/141511号、国際公開第2007/117686号、国際公開第2009/014887号、および国際公開第2011/031520号が挙げられ、それら各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0311】
特定の実施形態では、本開示の組成物および方法は、本明細書において記載するようなRNAi剤のビニルホスホネート(VP)修飾を含む。例示的な実施形態では、本開示の5’-ビニルホスホネート修飾ヌクレオチドが、以下の構造を有し、
【化2】
式中、XはOまたはSであり、
Rは、水素、ヒドロキシ、フルオロ、またはC1~20アルコキシ(例えば、メトキシまたはn-ヘキサデシルオキシ)であり、
5’は、=C(H)-P(O)(OH)であり、またC5’炭素とR5’との間の二重結合が、E配座またはZ配座(例えば、E配座)であり、また
Bは、核酸塩基または修飾核酸塩基であり、随意に、Bは、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、またはウラシルである。
【0312】
本開示のビニルホスホネートは、本開示のdsRNAのアンチセンスまたはセンス鎖のいずれかに結合し得る。特定の実施形態では、本開示のビニルホスホネートは、dsRNAのアンチセンス鎖に、随意にdsRNAのアンチセンス鎖の5’末端において、結合する。
【0313】
ビニルホスホネート修飾もまた、本開示の組成物および方法として企図される。例示的なビニルホスホネート構造は、前述した構造を含み、式中、R5’は=C(H)-OP(O)(OH)2であり、またC5’炭素およびR5’間の二重結合は、E配座またはZ配座(例えば、E配座)である。
【0314】
以下により詳細に記載するように、iRNAへの一つまたは複数の炭水化物部分のコンジュゲーションを含有するiRNAは、iRNAの一つまたは複数の特性を最適化できる。多くの場合、炭水化物部分は、iRNAの修飾サブユニットに結合することとなる。例えば、iRNAの一つまたは複数のリボヌクレオチドサブユニットのリボース糖は、別の部分、例えば、炭水化物リガンドが結合される非炭水化物(好ましくは、環式)の担体、で置換され得る。該サブユニットのリボース糖がそのように置換されているリボヌクレオチドのサブユニットは、本明細書においては、リボース置換修飾サブユニット(RRMS)と称する。環式担体は、環状炭素系であり得、すなわち、すべての環原子が炭素原子であるか、または複素環系であり得、すなわち、一つまたは複数の環原子が例えば、窒素、酸素、硫黄であるヘテロ原子であり得る。環式担体は、単環式環系であり得、または二つ以上の環、例えば、縮合環、を含有し得る。環式担体は、完全に飽和の環系であり得、または一つもしくは複数の二重結合を含有し得る。
【0315】
リガンドは、担体を介してポリヌクレオチドに結合し得る。該担体は、(i)少なくとも一つの「骨格結合点」、例えば二つの「骨格結合点」と、(ii)少なくとも一つの「係留結合点」とを含む。「骨格結合点」とは、本明細書で使用する場合、例えば、ヒドロキシル基などの官能基を指し、または概して、リボ核酸の骨格、例えば、ホスフェート、もしくは例えば、硫黄含有などの修飾ホスフェートの骨格内に担体を組み込むために利用可能であり好適である結合を指す。一部の実施形態における「係留結合点」(TAP)とは、選択された部分を接続する環式担体の構成環原子、例えば、炭素原子またはヘテロ原子(骨格結合点を提供する原子とは別の)を指す。この部分は、例えば、炭水化物であり得、例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖または多糖であり得る。随意に、選択部分は、介在する係留によって環式担体に接続される。したがって環式担体は、しばしば、例えば、アミノ基である官能基を含む、または概して結合であって、構成する環への、例えば、リガンドである別の化学的実体の組み込みもしくは係留に適している結合を提供することとなる。
【0316】
iRNAは、担体を介してリガンドにコンジュゲートし得るものであり、該担体は、環式基または非環式基であり得る。一実施形態では、環式基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラン、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフリル、およびデカリンから選択される。一実施形態では、非環式基は、セリノール骨格またはジエタノールアミン骨格である。
【0317】
i.熱的不安定化修飾
特定の実施形態では、アンチセンス鎖のシード領域中に熱的不安定化修飾を組み込むことによって、dsRNA分子をRNA干渉のために最適化できる。本明細書で使用される場合、「シード領域」は、参照される鎖の5’末端の2~9位を意味する。例えば、熱的不安定化修飾をアンチセンス鎖のシード領域に組み込み、標的外遺伝子サイレンシングを低減または阻害することができる。
【0318】
「熱的不安定化修飾」という用語は、そうした修飾を有していないdsRNAの融解温度(T)よりも低い全体的な融解温度(T)を有するdsRNAをもたらすこととなる修飾を含む。例えば、熱的不安定化修飾は、dsRNAのTを、例えば摂氏一度、二度、三度、または四度など、1~4℃だけ減少させることができる。また、「熱的不安定化ヌクレオチド」という用語は、一つまたは複数の熱的不安定化修飾を含有するヌクレオチドを指す。
【0319】
アンチセンス鎖の5’末端から数えて最初の9ヌクレオチドの位置内にある二重鎖の少なくとも一つの熱的不安定化修飾を含むアンチセンス鎖を有するdsRNAが、オフターゲット遺伝子サイレンシング活性を低減したことを発見した。したがって、一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’領域の最初の9ヌクレオチドの位置内に、二重鎖の少なくとも一つ(例えば、一、二、三、四、五またはそれより多い)の熱的不安定化修飾を含む。一部の実施形態では、一つまたは複数の、二重鎖の熱的不安定化修飾は、アンチセンス鎖の5’末端から2~9位に、例えば4~8位に、位置する。一部のさらなる実施形態では、二重鎖の熱的不安定化修飾は、アンチセンス鎖の5’末端から6、7または8位に位置する。さらに一部のさらなる実施形態では、二重鎖の熱的不安定化修飾は、アンチセンス鎖の5’末端から7位に位置する。一部の実施形態では、二重鎖の熱的不安定化修飾は、アンチセンス鎖の5’末端から2、3、4、5または9位に位置する。
【0320】
iRNA剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、各鎖は14~40ヌクレオチドを有する。RNAi剤は、以下の式(L)
【化3】
(L)
で表され得る。
【0321】
式(L)中、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、およびB4’は各々独立的に、2’-O-アルキル、2’-置換アルコキシ、2’-置換アルキル、2’-ハロ、ENA、およびBNA/LNAからなる群から選択される修飾を含有するヌクレオチドである。一実施形態では、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、およびB4’はそれぞれ、2’-OMe修飾を含有する。一実施形態では、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、およびB4’はそれぞれ、2’-OMe修飾または2’-F修飾を含有する。一実施形態では、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、およびB4’のうちの少なくとも一つは、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA、2’-O-CH2C(O)N(Me)H)修飾を含有する。
【0322】
C1は、アンチセンス鎖のシード領域に対向する部位(すなわち、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位)に配置された熱不安定化ヌクレオチドである。例えば、C1は、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位におけるヌクレオチドと対合するセンス鎖の位置にある。一実施例では、C1は、センス鎖の5’末端から15位にある。C1ヌクレオチドは、脱塩基修飾、二重鎖における対向するヌクレオチドとのミスマッチ、および糖修飾、例えば2’-デオキシ修飾または非環式ヌクレオチド、例えばアンロック核酸(UNA)またはグリセロール核酸(GNA)など、を含み得る熱的不安定化修飾を保持する。一実施形態では、C1は、i)アンチセンス鎖内の対向するヌクレオチドとのミスマッチ、ii)以下からなる群から選択される脱塩基修飾、
【化4】

および
iii)以下からなる群から選択される糖修飾であって、
【化5】
式中、Bは、修飾または未修飾の核酸塩基であり、RおよびRは独立して、H、ハロゲン、OR、またはアルキルであり、およびRはH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、または糖である。一実施形態では、C1における熱的不安定化修飾は、G:G、G:A、G:U、G:T、A:A、A:C、C:C、C:U、C:T、U:U、T:T、およびU:Tからなる群から選択されるミスマッチであり、随意に、ミスマッチ対内の少なくとも一つの核酸塩基が、2’-デオキシ核酸塩基である。一例では、C1における熱的不安定化修飾は、GNAまたは
【化6】
である。
【0323】
T1、T1’、T2’、およびT3’はそれぞれ独立的に、2’-OMe修飾の立体的嵩高さと等しいかまたはそれ以下の立体的嵩高さをヌクレオチドに提供する修飾を含むヌクレオチドを表す。立体的嵩高さは、修飾の立体効果の総和を指す。ヌクレオチドの修飾の立体効果を決定する方法は、当業者に公知である。修飾は、ヌクレオチドのリボース糖の2’位にあり得る、または非リボースヌクレオチド、非環式ヌクレオチド、もしくはリボース糖の2’位と類似もしくは同等であるヌクレオチドの骨格に対する修飾であり得、そしてヌクレオチドに、2’-OMe修飾の立体的嵩高さ以下の立体的嵩高さを提供する。例えば、T1、T1’、T2’、およびT3’は、それぞれ独立的に、DNA、RNA、LNA、2’-F、および2’-F-5’-メチルから選択される。一実施形態では、T1はDNAである。一実施形態では、T1’はDNA、RNA、またはLNAである。一実施形態では、T2’はDNA、またはRNAである。一実施形態では、T3’はDNA、またはRNAである。
【0324】
、n、およびqは独立的に、4~15ヌクレオチドの長さである。
【0325】
、q、およびqは独立的に、1~6ヌクレオチドの長さである。
【0326】
、q、およびqは独立的に、1~3ヌクレオチドの長さであり、あるいはnは0ヌクレオチドの長さである。
【0327】
は独立的に、0~10ヌクレオチドの長さである。
【0328】
、およびqは独立的に、0~3ヌクレオチドの長さである。
【0329】
あるいは、nは、0~3ヌクレオチドの長さである。
【0330】
一実施形態では、nは、0であり得る。一実施例では、nは0であり、またqおよびqは1である。別の例では、nは0であり、またqおよびqは1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数える)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖(アンチセンス鎖の5’末端から数える)の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う。
【0331】
一実施形態では、n、q、およびqはそれぞれ1である。
【0332】
一実施形態では、n、n、q、q、およびqはそれぞれ1である。
【0333】
一実施形態では、C1は、センス鎖が19~22ヌクレオチドの長さ、かつnが1であるとき、センス鎖の5’末端の14~17位にある。一実施形態では、C1は、センス鎖の5’末端の15位にある。
【0334】
一実施形態では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位において開始する。一実施例では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位にあり、またqが1に等しい。
【0335】
一実施形態では、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位において開始する。一実施例では、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位にあり、またqが1に等しい。
【0336】
例示的な実施形態では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位から開始し、またT1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位から開始する。一実施例では、T3’はアンチセンス鎖の5’末端から2位から開始し、またqが1に等しく、またT1’はアンチセンス鎖の5’末端から14位から開始し、またqが1に等しい。
【0337】
一実施形態では、T1’およびT3’は、11ヌクレオチドの長さ(すなわち、T1’およびT3’ヌクレオチドは数えない)だけ分離される。
【0338】
一実施形態では、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位にある。一実施例では、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位にあり、またqが1に等しく、また非リボースの非環式または骨格における2’位にある修飾は、2’-OMeリボースよりも少ない立体的嵩高さである。
【0339】
一実施形態では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位にある。一実施例では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位にあり、またqが1に等しく、また非リボースの非環式または骨格における2’位における修飾は、2’-OMeリボースよりも少ないまたは同等の立体的嵩高さである。
【0340】
一実施形態では、T1はセンス鎖の切断部位にある。一実施例では、T1は、センス鎖が19~22ヌクレオチドの長さ、かつnが1であるとき、センス鎖の5’末端から11位にある。例示的な実施形態では、T1は、センス鎖が19~22ヌクレオチドの長さ、かつnが1であるとき、センス鎖の5’末端から11位にあるセンス鎖の切断部位にある。
【0341】
一実施形態では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から6位において開始する。一実施例では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から6~10位にあり、またqが1である。
【0342】
例示的な実施形態では、T1は、センス鎖の切断部位にあり、例えばセンス鎖が19~22ヌクレオチドの長さ、かつnが1のとき、センス鎖の5’末端から11位にあり、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位にあり、またqが1に等しく、そしてT1’に対する修飾は、リボース糖の2’位、または2’-OMeリボースよりも立体的嵩高さが少ない非リボースの非環式または骨格内の位置にあり、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から6~10位にあり、またqが1であり、ならびにT3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位にあり、またqが1に等しく、またT3’に対する修飾は、2’位にあるか、または2’-OMeリボースよりも立体的嵩高さが少ない非リボースの非環式または骨格内の位置にある。
【0343】
一実施形態では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から8位において開始する。一実施例では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から8位において開始し、またqが2である。
【0344】
一実施形態では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から9位において開始する。一実施例では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から9位にあり、またqが1である。
【0345】
一実施形態では、B1’は2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが1であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが6であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0346】
一実施形態では、nは0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが1であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが6であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0347】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。
【0348】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0349】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが6であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。
【0350】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが6であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0351】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが1であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが6であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。
【0352】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが1であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが6であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0353】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T2’が2’-Fであり、qが1であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、随意に、これらはアンチセンス鎖の3’末端において少なくとも2のさらなるTTを伴う。
【0354】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T2’が2’-Fであり、qが1であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、随意に、これらはアンチセンス鎖の3’末端において少なくとも2のさらなるTTを伴い、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0355】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。
【0356】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。
【0357】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1である。
【0358】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0359】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1である。
【0360】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、を伴う。
【0361】
RNAi剤は、センス鎖またはアンチセンス鎖の5’末端においてリン含有基を含み得る。5’末端リン含有基は、5’末端ホスフェート(5’-P)、5’末端ホスホロチオエート(5’-PS)、5’末端ホスホロジチオエート(5’-PS2)、5’末端ビニルホスホネート(5’-VP)、5’末端メチルホスホネート(MMePhos)、または5’-デオキシ-5’-C-マロニル(
【化7】
)であり得る。5’末端リン含有基が5’末端ビニルホスホネート(5’-VP)である場合、5’-VPは、5’-E-VP異性体(すなわち、トランス-ビニルホスホネート、
【化8】
)、5’-Z-VP異性体(すなわち、シス-ビニルホスホネート、
【化9】
)、またはそれらの混合物のいずれかであり得る。
【0362】
一実施形態では、RNAi剤は、センス鎖の5’末端においてリン含有基を含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖の5’末端においてリン含有基を含む。
【0363】
一実施形態では、RNAi剤は、5’-Pを含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-Pを含む。
【0364】
一実施形態では、RNAi剤は、5’-PSを含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-PSを含む。
【0365】
一実施形態では、RNAi剤は、5’-VPを含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-VPを含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-E-VPを含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-Z-VPを含む。
【0366】
一実施形態では、RNAi剤は、5’-PSを含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-PSを含む。
【0367】
一実施形態では、RNAi剤は、5’-PSを含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-デオキシ-5’-C-マロニルを含む。
【0368】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0369】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0370】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0371】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0372】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0373】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0374】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0375】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0376】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0377】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0378】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0379】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。dsRNA剤はまた、5’-PSも含む。
【0380】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0381】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0382】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0383】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0384】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0385】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0386】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0387】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0388】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0389】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0390】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0391】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1である。dsRNAi RNA剤はまた、5’-PSも含む。
【0392】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0393】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0394】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0395】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0396】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0397】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0398】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0399】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0400】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0401】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0402】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1である。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0403】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0404】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0405】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0406】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0407】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0408】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0409】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0410】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせ)、および標的リガンドも含む。
【0411】
一実施形態では、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0412】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0413】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0414】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0415】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0416】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせ)、および標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0417】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0418】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-OMeであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0419】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0420】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0421】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせ)、および標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0422】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0423】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、T2’が2’-Fであり、qが2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが5であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0424】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0425】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0426】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせ)、および標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0427】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0428】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、nが8であり、T1が2’Fであり、nが3であり、B2が2’-OMeであり、nが7であり、nが0であり、B3が2’-OMeであり、nが3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが9であり、T1’が2’-Fであり、qが1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが4であり、qが0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、qが7であり、T3’が2’-Fであり、qが1であり、B4’が2’-Fであり、またqが1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルおよび標的リガンドも含む。一実施形態では、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、また標的リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0429】
特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ、
(ii)3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、および
(iii)1位、3位、5位、7位、9位から11位、13位、17位、19位、および21位における2’-F修飾、および2位、4位、6位、8位、12位、14位から16位、18位、および20位における2’-OMe修飾(5’末端から数えて)、
ならびに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ、
(ii)1位、3位、5位、9位、11位から13位、15位、17位、19位、21位および23位における2’-OMe修飾、および2位、4位、6位から8位、10位、14位、16位、18位、20位および22位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii)ヌクレオチド21位と22位の間、およびヌクレオチド22位と23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、を含み、
dsRNA剤が、アンチセンス鎖の3’末端において二つのヌクレオチドのオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0430】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ、
(ii)3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii)1位、3位、5位、7位、9位から11位、13位、15位、17位、19位、および21位における2’-F修飾、および2位、4位、6位、8位、12位、14位、16位、18位、および20位における2’-OMe修飾(5’末端から数えて)、および
(iv)ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
ならびに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ、
(ii)1位、3位、5位、7位、9位、11位から13位、15位、17位、19位、および21位から23位における2’-OMe修飾、および2位、4位、6位、8位、10位、14位、16位、18位、および20位における2’F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii)ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含み、
RNAi剤が、アンチセンス鎖の3’末端において二つのヌクレオチドのオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0431】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ、
(ii)3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii)1位から6位、8位、10位、および12位から21位における2’-OMe修飾、7位および9位における2’-F修飾、および11位におけるデオキシ-ヌクレオチド(例えば、dT)(5’末端から数えて)、および
(iv)ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
ならびに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ、
(ii)1位、3位、7位、9位、11位、13位、15位、17位、および19位から23位における2’-OMe修飾、および2位、4位から6位、8位、10位、12位、14位、16位、および18位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii)ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)の ホスホロチオエートヌクレオチド間連結、を含み、
RNAi剤が、アンチセンス鎖の3’末端において二つのヌクレオチドのオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0432】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ、
(ii)3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii)1位から6位、8位、10位、12位、14位、および16位から21位における2’-OMe修飾、および7位、9位、11位、13位、および15位における2’-F修飾、および
(iv)ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
ならびに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ、
(ii)1位、5位、7位、9位、11位、13位、15位、17位、19位、および21位から23位における2’-OMe修飾、および2位から4位、6位、8位、10位、12位、14位、16位、18位、および20位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii)ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含み、
RNAi剤が、アンチセンス鎖の3’末端において二つのヌクレオチドのオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0433】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ、
(ii)3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii)1位から9位、12位から21位における2’-OMe修飾、および10位および11位における2’-F修飾、および
(iv)ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
ならびに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ、
(ii)1位、3位、5位、7位、9位、11位から13位、15位、17位、19位、および21位から23位における2’-OMe修飾、および2位、4位、6位、8位、10位、14位、16位、18位、および20位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii)ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含み、
RNAi剤が、アンチセンス鎖の3’末端において二つのヌクレオチドのオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0434】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ、
(ii)3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii)1位、3位、5位、7位、9位から11位、および13位における2’-F修飾、および2位、4位、6位、8位、12位、および14位から21位における2’-OMe修飾、および
(iv)ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
ならびに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ、
(ii)1位、3位、5位から7位、9位、11位から13位、15位、17位から19位、および21位から23位における2’-OMe修飾、および2位、4位、8位、10位、14位、16位、および20位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii)ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含み、
RNAi剤が、アンチセンス鎖の3’末端において二つのヌクレオチドのオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0435】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ、
(ii)3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii)1位、2位、4位、6位、8位、12位、14位、15位、17位、および19位から21位における2’-OMe修飾、および3位、5位、7位、9位から11位、13位、16位、および18位における2’-F修飾、および
(iv)ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
ならびに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)25ヌクレオチドの長さ、
(ii)1位、4位、6位、7位、9位、11位から13位、15位、17位、および19位から23位における2’-OMe修飾、2位、3位、5位、8位、10位、14位、16位、および18位における2’-F修飾、および24位および25位におけるデオキシ-ヌクレオチド(例えば、dT)(5’末端から数えて)、および
(iii)ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含み、
RNAi剤が、アンチセンス鎖の3’末端において四つのヌクレオチドのオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0436】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ、
(ii)3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii)1位から6位、8位、および12位から21位における2’-OMe修飾、および7位、および9位から11位における2’-F修飾、および
(iv)ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
ならびに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ、
(ii)1位、3位から5位、7位、8位、10位から13位、15位、および17位から23位における2’-OMe修飾、および2位、6位、9位、14位、および16位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii)ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含み、
RNAi剤が、アンチセンス鎖の3’末端において二つのヌクレオチドのオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0437】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ、
(ii)3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii)1位から6位、8位、および12位から21位における2’-OMe修飾、および7位、および9位から11位における2’-F修飾、および
(iv)ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
ならびに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ、
(ii)1位、3位から5位、7位、10位から13位、15位、および17位から23位における2’-OMe修飾、および2位、6位、8位、9位、14位、および16位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii)ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含み、
RNAi剤が、アンチセンス鎖の3’末端において二つのヌクレオチドのオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0438】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)19ヌクレオチドの長さ、
(ii)3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii)1位から4位、6位、および10位から19位における2’-OMe修飾、および5位、および7位から9位における2’-F修飾、および
(iv)ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
ならびに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ、
(ii)1位、3位から5位、7位、10位から13位、15位、および17位から21位における2’-OMe修飾、および2位、6位、8位、9位、14位、および16位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii)ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの19位と20位の間、およびヌクレオチドの20位および21位の間(5’末端から数えて)の ホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含み、
RNAi剤が、アンチセンス鎖の3’末端において二つのヌクレオチドのオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0439】
特定の実施形態では、本発明の方法で使用するiRNAは、表2~3のいずれか一つから選択される剤から選択される剤である。これらの薬剤は、一つもしくは複数の親油性部分、一つもしくは複数のGalNAc誘導体、または一つもしくは複数の親油性部分と一つもしくは複数のGalNAc誘導体の両方などのリガンドをさらに含み得る。
【0440】
III.リガンドにコンジュゲートしたiRNA
本発明のiRNAのRNAの別の修飾は、iRNAの活性、細胞分布または例えば、細胞内への細胞取り込みを増強する一つまたは複数のリガンド、部分またはコンジュゲートと、iRNAを化学的に連結することを含む。かかる部分としては、コレステロール部分などの脂質部分が挙げられるが、これらに限定されない(Letsinger et al., Proc. Natl. Acid. Sci. USA, 1989, 86: 6553-6556)。他の実施形態では、リガンドは、コール酸(Manoharan et al., Biorg. Med. Chem. Let., 1994, 4:1053-1060)、チオエーテル、例えば、ベリル-S-トリチルチオール(beryl-S-tritylthiol)(Manoharan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660:306-309、Manoharan et al., Biorg. Med. Chem. Let., 1993, 3:2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20:533-538)、脂肪鎖、例えば、ドデカンジオール残基またはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., EMBO J, 1991, 10:1111-1118、Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259:327-330、Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75:49-54)、リン脂質、例えば、ジヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム 1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-ホスホネート(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651-3654、Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18:3777-3783)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14:969-973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651-3654)、パルミチル部分(Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264:229-237)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニルオキシコレステロール部分(Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277:923-937)である。
【0441】
特定の実施形態では、リガンドは、それが組み込まれるiRNA剤の分布、ターゲティング、または寿命を変化させる。一部の実施形態では、リガンドは、例えば、このようなリガンドが存在しない種と比較した場合に、選択された標的に対する、例えば、分子、細胞または細胞型、例えば、細胞または臓器のコンパートメントなどのコンパートメント、組織、身体の器官または領域に対する、親和性の増強をもたらす。一部の実施形態では、リガンドは、二重鎖核酸における二重鎖対合には関与しない。
【0442】
リガンドとしては、天然に存在する物質、例えばタンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)またはグロブリン)、炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミンまたはヒアルロン酸)、または脂質等を挙げることができる。リガンドはまた、組換え分子または合成分子、例えば合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸であり得る。ポリアミノ酸の例としては、ポリリジン(PLL)、ポリL-アスパラギン酸、ポリL-グルタミン酸、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド(L-lactide-co-glycolied))共重合体、ジビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド共重合体(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸(poly(2-ethylacryllic acid))、N-イソプロピルアクリルアミドポリマーまたはポリホスファジンであるポリアミノ酸が挙げられる。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリジン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、シュードペプチド-ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩またはαヘリックスペプチドが挙げられる。
【0443】
リガンドはまた、ターゲティング基、例えば、細胞または組織をターゲットとする剤、例えば、腎細胞など特定の細胞型に結合するレクチン、糖タンパク質、脂質、または例えば、抗体などのタンパク質、を含み得る。ターゲティング基は、甲状腺刺激ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、レクチン、糖タンパク質、界面活性剤プロテインA、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、葉酸、ビタミンB12、ビタミンA、ビオチン、またはRGDペプチドもしくはRGDペプチド模倣体であり得る。特定の実施形態では、リガンドは、多価ガラクトース、例えば、N-アセチル-ガラクトサミンである。
【0444】
リガンドの他の例としては、色素、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、ソラーレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン(texaphyrin)、サフィリン(Sapphyrin))、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性分子、例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレンブタン酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)およびペプチドコンジュゲート(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進物質(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾールコンジュゲート、テトラアザマクロサイクルのEu3+錯体)、ジニトロフェニル、HRPまたはAPが挙げられる。
【0445】
リガンドは、タンパク質、例えば、糖タンパク質、またはペプチド、例えば、共リガンド(co-ligand)に対して特異的親和性を有する分子、または抗体、例えば、肝細胞などである特定の細胞型に結合する抗体、であり得る。リガンドにはまた、ホルモンおよびホルモン受容体が含まれ得る。それらにはまた、非ペプチド種、例えば脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補助因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン多価マンノースまたは多価フコース、が含まれ得る。リガンドは、例えば、リポ多糖、p38 MAPキナーゼのアクチベーターまたはNF-κBのアクチベーターであり得る。
【0446】
リガンドは、例えば、細胞の細胞骨格系を破壊することによって、例えば、細胞の微小管、微小線維または中間径線維を破壊することによって、細胞内へのiRNA剤の取り込みを増大し得る物質、例えば薬物であり得る。薬物は、例えば、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャプラキノリド(japlakinolide)、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA(swinholide A)、インダノシン(indanocine)またはミオセルビン(myoservin)であり得る。
【0447】
一部の実施形態では、本明細書において記載するiRNAに結合するリガンドは、薬物動態モジュレーター(PKモジュレーター)として作用する。PKモジュレーターとしては、親油性物質、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミンなどが挙げられる。例示的PKモジュレーターとしては、これに限定されないが、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンなどが挙げられる。いくつかのホスホロチオエート連結を含むオリゴヌクレオチドはまた、血清タンパク質に結合することがわかっており、したがって骨格中に複数のホスホロチオエート連結を含む短いオリゴヌクレオチド、例えば、約5塩基、10塩基、15塩基または20塩基のオリゴヌクレオチドもまた、リガンドとして(例えば、PK調節リガンドとして)本発明に適している。さらに、血清成分(例えば、血清タンパク質)を結合するアプタマーもまた、本明細書において記載する実施形態においてPK調節リガンドとして使用するのに適している。
【0448】
本発明のリガンドがコンジュゲートしたiRNAは、反応性官能性ペンダント側鎖を有するオリゴヌクレオチドの使用によって合成でき、例えば該ペンダント側鎖は該オリゴヌクレオチド(以下に記載される)上への連結分子の結合に由来するものなどである。この反応性オリゴヌクレオチドを、市販のリガンド、種々の保護基のいずれかを有する合成されたリガンド、またはそれに結合する連結部分を有するリガンドと、直接反応させてもよい。
【0449】
本発明のコンジュゲートにおいて使用するオリゴヌクレオチドは、固相合成の周知の技術によって好都合に、ごく普通に作製できる。このような合成のための機器は、例えばApplied Biosystems(登録商標)社(カリフォルニア州、フォスターシティ)をはじめとするいくつかのベンダーによって販売されている。当技術分野で公知であるこうした合成のための任意の他の方法を、追加的に、または代替として、使用してもよい。例えばホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体などである、他のオリゴヌクレオチドを調製する同様の技術を使用することも知られている。
【0450】
本発明のリガンドがコンジュゲートしたiRNAおよびリガンド分子を保有する配列特異的な連結ヌクレオシドにおいて、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオシドは、標準ヌクレオチドまたはヌクレオシドの前駆体を利用する好適なDNAシンセサイザー、または連結部分を既に保有するヌクレオチドもしくはヌクレオシドのコンジュゲート前駆体、リガンド分子を既に保有するリガンドヌクレオチドもしくはリガンドヌクレオシドのコンジュゲート前駆体、または非ヌクレオシドリガンド保有構成単位上において組み立てられ得る。
【0451】
連結部分を既に保有するヌクレオチド-コンジュゲート前駆体を使用する場合には、典型的に、配列特異的に連結されるヌクレオシドの合成が完了してから、次いで、リガンド分子が連結部分と反応して、リガンドがコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドを形成する。一部の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドまたは連結ヌクレオシドは、市販の、オリゴヌクレオチド合成でごく普通に使用する標準ホスホラミダイトおよび非標準ホスホラミダイトに加えて、リガンド-ヌクレオシドコンジュゲートから誘導したホスホラミダイトを使用して、自動化シンセサイザーによって合成される。
【0452】
A.脂質コンジュゲート
特定の実施形態では、リガンドまたはコンジュゲートは、脂質または脂質系分子である。一実施形態では、このような脂質または脂質系分子は、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン(HSA)を結合する。HSA結合性リガンドは、身体の標的組織への、例えば、腎臓でない標的組織への、コンジュゲートの分布を可能にする。例えば標的組織は、肝臓の実質細胞を含めた肝臓であり得る。HSAを結合可能である他の分子もまた、リガンドとして使用できる。例えば、ナプロキセンまたはアスピリンを使用できる。脂質または脂質系リガンドは、(a)コンジュゲートの分解に対する耐性を増大できる、(b)標的の細胞もしくは細胞膜内へのターゲティングもしくは輸送を増大できる、または(c)血清タンパク質、例えば、HSAへの結合を調整するために使用できる。
【0453】
脂質系リガンドを使用して、標的組織へのコンジュゲートの結合を阻害する、例えば、制御することができる。例えば、より強力にHSAに結合する脂質または脂質系リガンドは、腎臓を標的とする可能性が低く、したがって身体から排除される可能性が低くなる。コンジュゲートが腎臓を標的とするように、あまり強力にHSAに結合しない脂質または脂質系リガンドを使用することができる。
【0454】
特定の実施形態では、脂質系リガンドは、HSAを結合する。一実施形態では、それはコンジュゲートが非腎臓組織に分布されることとなるように、十分な親和性でHSAを結合する。しかしながら、この親和性は、HSA-リガンド間結合を元に戻すことができないほど強力ではないことが好ましい。
【0455】
他の実施形態では、脂質系リガンドは、HSAを弱く結合するか、または全く結合しない。一実施形態では、コンジュゲートは腎臓に分布される。脂質系リガンドの代わりに、またはそれに加えて、腎臓細胞を標的とする他の部分も使用できる。
【0456】
別の態様では、リガンドは、標的細胞、例えば、増殖性細胞によって取り込まれる、例えば、ビタミンである部分である。これらは、例えば、悪性または非悪性種の、例えば、がん細胞の望まれない細胞増殖を特徴とする障害の治療に特に有用である。例示的ビタミンとしては、ビタミンA、EおよびKが挙げられる。他の例示的ビタミンとしては、ビタミンB、例えば葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサール、または肝細胞等の標的細胞によって取り込まれる他のビタミンまたは栄養素が挙げられる。HSAおよび低比重リポタンパク(LDL)もまた挙げられる。
【0457】
B.細胞透過剤
別の態様では、リガンドは、細胞透過剤、例えばヘリックス細胞透過剤などである。一実施形態では、該細胞透過剤は、両親媒性である。例示的な細胞透過剤としては、例えばtatまたはantennopediaなどのペプチドがある。該細胞透過剤がペプチドである場合、それは修飾可能であり、これにはペプチジル模倣体、逆位の異性体(invertomer)、非ペプチドまたはシュードペプチドの連結およびD-アミノ酸の使用が挙げられる。一部の実施形態では、ヘリックス剤は、親油性相および疎油性相を有するアルファヘリックス剤である。
【0458】
リガンドは、ペプチドまたはペプチド模倣体であり得る。ペプチド模倣体(本明細書においてオリゴペプチド模倣体とも称する)は、天然ペプチドと類似する規定された三次元構造にフォールディング可能な分子である。ペプチドおよびペプチド模倣体のiRNA剤への結合は、細胞認識および吸収を増強することなどによって、iRNAの薬物動態分布に影響を及ぼし得る。ペプチドまたはペプチド模倣体部分は、約5~50アミノ酸長であり得、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50アミノ酸長である。
【0459】
ペプチドまたはペプチド模倣体は、例えば、細胞透過ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチドまたは疎水性ペプチド(例えば、主にTyr、TrpまたはPheからなる)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、拘束されたペプチドまたは架橋されたペプチドであり得る。別の選択肢としては、ペプチド部分は、疎水性の膜輸送配列(MTS)を含み得る。例示的な疎水性MTS含有ペプチドとしては、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号14)を有するRFGFがある。疎水性MTSを含有するRFGF類似体(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号15)はまた、ターゲティング部分であり得る。ペプチド部分は「送達」ペプチドであり得、これはペプチド、オリゴヌクレオチド、および細胞膜横断タンパク質を含む大きな極性分子を担持することができる。例えば、HIV Tatタンパク質(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号16))およびDrosophila Antennapediaタンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号17))よりの配列は、送達ペプチドとして機能する能力があることが見出されている。ペプチドまたはペプチド模倣体は、DNAのランダム配列によってコードされ得、例えばファージディスプレイライブラリーまたはone-bead-one化合物(OBOC)コンビナトリアルライブラリー(Lam et al., Nature, 354:82-84, 1991)から特定されるペプチドなどである。細胞ターゲティングの目的のために組み込まれた単量体ユニットを介してdsRNA剤に係留したペプチドまたはペプチド模倣体の例としては、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)-ペプチドまたはRGD模倣体がある。ペプチド部分は、長さが、約5アミノ酸~約40アミノ酸の範囲であり得る。ペプチド部分は、例えば安定性を増大させるまたは立体配座特性を司るなどの構造的な修飾を有し得る。以下に記載する構造的な修飾のいずれもが利用可能である。
【0460】
本発明の組成物および方法において使用するためのRGDペプチドは、直鎖状であっても環状であってもよく、また特定の組織へのターゲティングを促進するように修飾、例えば、グリコシル化またはメチル化、されてもよい。RGD含有ペプチドおよびペプチジオ模倣体(peptidiomimemtics)は、D-アミノ酸ならびに合成RGD模倣体を含み得る。RGDに加えて、例えば、PECAM-1またはVEGFなどであるインテグリンリガンドを標的とする他の部分を使用できる。
【0461】
「細胞透過ペプチド」は、細胞に、例えば、バクテリア細胞もしくは真菌細胞などである微生物細胞、または例えばヒト細胞などである哺乳類細胞に、透過可能である。微生物細胞透過性ペプチドは、例えばα-ヘリックス直鎖ペプチド(例えば、LL-37またはセロピン(Ceropin)P1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α-デフェンシン、β-デフェンシンまたはバクテネシン(bactenecin))または一つもしくは二つの支配的なアミノ酸のみを含有するペプチド(例えば、PR-39またはインドリシジン)であり得る。細胞透過性ペプチドはまた、核移行シグナル(NLS)を含み得る。例えば、細胞透過性ペプチドは、HIV-1 gp41とSV40ラージT抗原のNLSとの融合ペプチドドメインに由来する、例えばMPGなどである、二部分の両親媒性ペプチドであり得る(Simeoni et al., Nucl. Acids Res. 31:2717-2724, 2003)。
【0462】
C.炭水化物コンジュゲート
本発明の組成物および方法の一部の実施形態では、iRNAは、炭水化物をさらに含む。炭水化物をコンジュゲートしたiRNAは、本明細書に記載するように、核酸のインビボでの送達に有利であると同時にインビボでの治療的使用に適した組成物である。本明細書において使用する場合、「炭水化物」とは、各炭素原子に結合した酸素、窒素もしくは硫黄原子とともに少なくとも6個の炭素原子を有する一つもしくは複数の単糖単位で構成されている炭水化物自体(直鎖状、分枝または環状であり得る)、またはその一部として、各炭素原子に結合した酸素、窒素もしくは硫黄原子とともに各々が少なくとも六個の炭素原子を有する一つまたは複数の単糖単位で構成されている炭水化物部分(直鎖状、分枝または環状であり得る)を有する化合物、のいずれかである化合物を指す。代表的な炭水化物としては、糖(単糖、二糖、三糖、および約4、5、6、7、8または9の単糖単位からなるオリゴ糖)ならびに多糖、例えばデンプン、グリコーゲン、セルロースおよび多糖類樹脂、が挙げられる。特定の単糖としては、C5、および上記の(例えば、C5、C6、C7またはC8)糖が挙げられ、二糖および三糖としては、二または三の単糖単位(例えば、C5、C6、C7またはC8)を有する糖が挙げられる。
【0463】
特定の実施形態では、本発明の組成物および方法において使用する炭水化物コンジュゲートは、単糖である。
【0464】
特定の実施形態では、単糖は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。一つまたは複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)誘導体を含むGalNAcコンジュゲートは、例えば米国特許第8,106,022号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、GalNAcコンジュゲートは、iRNAが特定の細胞を標的にするリガンドとして機能する。一部の実施形態では、GalNAcコンジュゲートは、例えば、肝臓の細胞(例えば、肝細胞)のアシアロ糖タンパク質受容体のリガンドとして機能することによって、iRNAが肝臓の細胞を標的にする。
【0465】
一部の実施形態では、炭水化物コンジュゲートは、一つまたは複数のGalNAc誘導体を含む。GalNAc誘導体は、リンカーを介して、例えば、二価または三価の分枝リンカーを介して、結合させることができる。一部の実施形態では、GalNAcコンジュゲートは、センス鎖の3’末端にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、GalNAcコンジュゲートは、リンカーを介して、例えば、本明細書において記載するようなリンカーを介して、iRNA剤に(例えば、センス鎖の3’末端に)コンジュゲートされる。一部の実施形態では、GalNAcコンジュゲートは、センス鎖の5’末端にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、GalNAcコンジュゲートは、リンカーを介して、例えば、本明細書において記載するようなリンカーを介して、iRNA剤に(例えば、センス鎖の5’末端に)コンジュゲートされる。
【0466】
本発明の特定の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、一価リンカーを介して本発明のiRNA剤に結合する。一部の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、二価リンカーを介して本発明のiRNA剤に結合する。本発明のさらに他の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、三価リンカーを介して本発明のiRNA剤に結合する。本発明の他の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、四価リンカーを介して本発明のiRNA剤に結合する。
【0467】
特定の実施形態では、本発明の二本鎖RNAi剤は、iRNA剤に結合した一つのGalNAcまたはGalNAc誘導体を含む。特定の実施形態では、本発明の二本鎖RNAi剤は、複数の(例えば、2、3、4、5または6の)GalNAcまたはGalNAc誘導体を含み、この各々は、独立して、複数の一価リンカーを介して二本鎖RNAi剤の複数のヌクレオチドに結合する。
【0468】
一部の実施形態では、例えば、本発明のiRNA剤の二本の鎖が、複数の対合しないヌクレオチドを含むヘアピンループを形成する、一方の鎖の3’末端と、対応するもう一方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの中断されない鎖によって接続した一つのより大きな分子の一部である場合には、該ヘアピンループ内の対合しないヌクレオチドは各々、一価リンカーを介して結合したGalNAcまたはGalNAc誘導体を独立的に含み得る。このヘアピンループはまた、二重鎖のうち一方の鎖内の伸長したオーバーハングによって形成される場合もある。
【0469】
一部の実施形態では、例えば、本発明のiRNA剤の二本の鎖が、複数の対合しないヌクレオチドを含むヘアピンループを形成する、一方の鎖の3’末端と、対応するもう一方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの中断されない鎖によって接続した一つのより大きな分子の一部である場合には、該ヘアピンループ内の対合しないヌクレオチドは各々、一価リンカーを介して結合したGalNAcまたはGalNAc誘導体を独立的に含み得る。このヘアピンループはまた、二重鎖のうち一方の鎖内の伸長したオーバーハングによって形成される場合もある。
【0470】
一実施形態では、本発明の組成物および方法において使用するための炭水化物コンジュゲートは、以下からなる群から選択される:
【化10】
式II、
【化11】
式III、
【化12】
式IV、
【化13】
式V、
【化14】
式VI、
【化15】
式VII、
【化16】
式VIII、
【化17】
式IX、
【化18】
式X、
【化19】
式XI、
【化20】
式XII、
【化21】
式XIII、
【化22】
式XIV、
【化23】
式XV、
【化24】
式XVI、
【化25】
式XVII、
【化26】
式XVIII、
【化27】
式XIX、
【化28】
式XX、
【化29】
式XXI、
【化30】
式XXII、
【化31】
式XXIII、
【化32】

式中、YはOまたはSであり、nは3~6であり(式XXIV)、
【化33】

式中、YはOまたはSであり、nは3~6であり(式XXV)、
【化34】
式XXVI、
【化35】

式中、XはOまたはSであり(式XXVII)、
【化36】
式XXVII、式XXIX、
【化37】
式XXX、式XXXI、
【化38】
式XXXII、式XXXIII、
【化39】
式XXXIV。
【0471】
別の実施形態では、本発明の組成物および方法において使用するための炭水化物コンジュゲートは、単糖である。一実施形態では、単糖は、N-アセチルガラクトサミンであり、例えば
【化40】
式II、などである。
【0472】
一部の実施形態では、RNAi剤は、以下の概略図で示すようなリンカーを介して炭水化物コンジュゲートに結合し、式中Xは、OまたはSである。
【化41】
【0473】
一部の実施形態では、RNAi剤は、表1において規定され、以下に示す、L96にコンジュゲートする:
【化42】
【0474】
本明細書において記載する実施形態において使用するための別の代表的な炭水化物コンジュゲートとしては、これに限定されないが、
【化43】
(式XXXVI)、が挙げられ、XまたはYのうち一方がオリゴヌクレオチドである場合は、もう一方が水素である。
【0475】
一部の実施形態では、適したリガンドは、国際公開第2019/055633号において開示されるリガンドであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、リガンドは、以下の構造を含む:
【化44】
【0476】
本発明の特定の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、一価リンカーを介して本発明のiRNA剤に結合する。一部の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、二価リンカーを介して本発明のiRNA剤に結合する。本発明のさらに他の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、三価リンカーを介して本発明のiRNA剤に結合する。
【0477】
一実施形態では、本発明の二本鎖RNAi剤は、iRNA剤に結合した一つまたは複数のGalNAcまたはGalNAc誘導体を含む。GalNAcは、センス鎖またはアンチセンス鎖上のリンカーを介して任意のヌクレオチドに結合し得る。GalNAcは、センス鎖の5’末端、センス鎖の3’末端、アンチセンス鎖の5’末端またはアンチセンス鎖の3’末端に結合し得る。一実施形態では、GalNAcは、例えば、三価リンカーを介して、センス鎖の3’末端に結合する。
【0478】
他の実施形態では、本発明の二本鎖RNAi剤は、複数の(例えば、2、3、4、5または6の)GalNAcまたはGalNAc誘導体を含み、各々が独立的に、複数のリンカー、例えば、一価リンカーを介して、二本鎖RNAi剤の複数のヌクレオチドに結合する。
【0479】
一部の実施形態では、例えば、本発明のiRNA剤の二本の鎖が、複数の対合しないヌクレオチドを含むヘアピンループを形成する、一方の鎖の3’末端と、対応するもう一方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの中断されない鎖によって接続した一つのより大きな分子の一部である場合には、該ヘアピンループ内の対合しないヌクレオチドは各々、一価リンカーを介して結合したGalNAcまたはGalNAc誘導体を独立的に含み得る。
【0480】
一部の実施形態では、炭水化物コンジュゲートは、これに限定されないがPKモジュレーターまたは細胞透過ペプチドなどである、上記のような一つまたは複数のさらなるリガンドをさらに含む。
【0481】
本発明において使用するのに適したさらなる炭水化物コンジュゲートおよびリンカーとしては、PCT公開公報である国際公開第2014/179620号および国際公開第2014/179627号に記載されるものが挙げられ、当該公報は各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0482】
D.リンカー
一部の実施形態では、本明細書において記載するコンジュゲートまたはリガンドを、切断可能である場合も切断可能でない場合もある種々のリンカーを用いてiRNAオリゴヌクレオチドに結合させることができる。
【0483】
「リンカー」または「連結基」という用語は、化合物の二つの部分を接続する、例えば、化合物の二つの部分を共有結合で結合させる、有機部分を意味する。典型的には、リンカーは、直接結合、または酸素もしくは硫黄などの原子、NR8、C(O)、C(O)NH、SO、SO、SONHなどのユニット、または原子の鎖であって、例えばこれに限定されるものではないが、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘレロシクリルアルキニル(alkylhererocyclylalkynyl)、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘレロアリール(alkynylhereroaryl)など、を含み、一つもしくは複数のメチレンが、O、S、S(O)、SO、N(R8)、C(O)、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換複素環によって中断または終結され得、式中、R8は、水素、アシル、脂肪族、または置換された脂肪族である。一実施形態では、リンカーは、約1~24原子、2~24、3~24、4~24、5~24、6~24、6~18、7~18、8~18、7~17、8~17、6~16、7~17、または8~16原子である。
【0484】
切断可能な連結基とは、細胞の外部で十分に安定であるが、標的細胞内に入ると、切断されて、リンカーが一緒に保持している二つの部分を放出する基である。例示的な一実施形態では、切断可能な連結基は、対象の血液中で、または第二の参照条件下(例えば、血液または血清中で見られる条件を模倣または表すように選択され得る)においてよりも、標的細胞において、または第一の参照条件下(例えば、細胞内条件を模倣または表すように選択され得る)で、少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、またはそれ以上、または少なくとも100倍速い速度で切断される。
【0485】
切断可能な連結基は、切断剤、例えば、pH、酸化還元電位または分解性分子の存在、の影響を受け易い。概して切断剤は、血清または血液中においてよりも、細胞の内部で、より広範に広がっているかまたはより高いレベルもしくは活性で見られる。このような分解剤の例としては、特定の基質のために選択される、または基質特異性を有さない酸化還元剤、例えば還元によって酸化還元切断可能な連結基を分解できる、細胞中に存在する、例えば、メルカプタンなどの酸化酵素もしくは還元酵素または還元剤や、エステラーゼや、エンドソームまたは酸性環境を作出できる試薬、例えば、五以下のpHをもたらす試薬や、一般酸、ペプチダーゼ(基質特異的であり得る)およびホスファターゼとして作用することによって酸切断可能な連結基を加水分解もしくは分解できる酵素が挙げられる。
【0486】
切断可能な連結基、例えばジスルフィド結合などは、pHの影響を受け易い場合がある。ヒト血清のpHは7.4であるが、平均細胞内pHはわずかに低く、約7.1~7.3の範囲である。エンドソームは、5.5~6.0の範囲のより酸性のpHであり、またリソソームは、およそ5.0のさらにより酸性のpHである。一部のリンカーは、選択されたpHで切断され、それによって細胞の内部でリガンドから、または細胞の所望のコンパートメント中に、カチオン性脂質を放出するものである、切断可能な連結基を有することとなる。
【0487】
リンカーは、特定の酵素によって切断可能である切断可能な連結基を含み得る。リンカー中に組み込まれる切断可能な連結基の種類は、標的にする細胞に左右され得る。例えば、肝臓ターゲティングリガンドは、エステル基を含むリンカーを介してカチオン性脂質に連結できる。肝細胞は、エステラーゼが豊富であるため、リンカーは、肝細胞中では、エステラーゼが豊富でない細胞型においてよりも効率的に切断されることとなる。エステラーゼが豊富な他の細胞型としては、肺、腎皮質および精巣の細胞が挙げられる。
【0488】
肝細胞および滑膜細胞などのペプチダーゼが豊富な細胞型を標的とする場合には、ペプチド結合を含有するリンカーを使用することができる。
【0489】
概して、候補の切断可能な連結基の適合性は、分解剤が候補連結基を切断する能力(または条件)を試験することによって評価可能である。また、血液中で、または他の非標的組織と接触したときに、切断に抵抗する能力について候補の切断可能な連結基を試験することもまた望ましいであろう。したがって、第一および第二の条件の間での切断に対する相対的な感受性を決定することができるものであり、ここで第一の条件は、標的細胞において切断を示すように選択され、第二の条件は、他の組織または生物学的流体中で、例えば、血液もしくは血清中で、切断を示すように選択される。評価は、無細胞系において、細胞において、細胞培養液において、臓器または組織の培養液において、または動物全身において、実施され得る。無細胞条件または培養条件において最初の評価を行うことおよび動物全身におけるさらなる評価によって確認することが、有用であり得る。特定の実施形態では、有用な候補化合物は、血液もしくは血清(または細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下で)と比較して、細胞中で(または細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下で)少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100倍速く切断される。
【0490】
i.酸化還元切断可能な連結基
特定の実施形態では、切断可能な連結基は、還元または酸化の際に切断される酸化還元切断可能な連結基である。還元的に切断可能な連結基の例としては、ジスルフィド連結基(-S-S-)が挙げられる。候補の切断可能な連結基が、適した「還元的に切断可能な連結基」であるか、または例えば、特定のiRNA部分および特定のターゲティング剤とともに使用するのに適しているか否かを決定するために、本明細書において記載する方法に目を向けることができる。例えば、細胞中であって、例えば、標的細胞中で観察されるであろう切断の速度を模倣する、当技術分野で公知の試薬を使用してジチオスレイトール(DTT)または他の還元剤とともにインキュベートすることによって、候補を評価することができる。候補はまた、血液または血清条件を模倣するように選択された条件下で評価することもできる。ある条件においては、候補化合物は、血液中で最大約10%切断される。他の実施形態では、有用な候補化合物は、血液中(または細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下)と比較して、細胞中で(または細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下で)少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90または約100倍速い速度で分解される。候補化合物の切断の速度は、細胞内媒体を模倣するように選択された条件下での標準酵素動態アッセイを用いて決定され、細胞外媒体を模倣するように選択された条件と比較され得る。
【0491】
ii.ホスフェート系の切断可能な連結基
他の実施形態では、切断可能なリンカーは、ホスフェート系の切断可能な連結基を含む。ホスフェート系の切断可能な連結基は、ホスフェート基を分解または加水分解する試薬により切断される。細胞中においてホスフェート基を切断する試薬の例としては、細胞中のホスファターゼなどの酵素がある。ホスフェート系連結基の例としては、-O-P(O)(ORk)-O-、-O-P(S)(ORk)-O-、-O-P(S)(SRk)-O-、-S-P(O)(ORk)-O-、-O-P(O)(ORk)-S-、-S-P(O)(ORk)-S-、-O-P(S)(ORk)-S-、-S-P(S)(ORk)-O-、-O-P(O)(Rk)-O-、-O-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-O-、-S-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-S-、-O-P(S)(Rk)-S-があり、式中、Rkはそれぞれの出現において、独立的に、C1~C20アルキル、C1~C20ハロアルキル、C6~C10アリール、またはC7~C12アラルキルであり得る。例示的な実施形態としては、-O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-P(O)(H)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O、-S-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-S-、および-O-P(S)(H)-S-が挙げられる。特定の実施形態では、ホスフェート系連結基は、-O-P(O)(OH)-O-である。これら候補は、上述のものと類似した方法を使用して評価することができる。
【0492】
iii.酸切断可能な連結基
【0493】
他の実施形態では、切断可能なリンカーは、酸切断可能な連結基を含む。酸切断可能な連結基は、酸性条件下で切断される連結基である。特定の実施形態では、酸切断可能な連結基は、pHが約6.5またはそれより低い(例えば、約6.0、5.5、5.0またはそれより低い)ものである酸性環境において、または一般酸として作用できる酵素などの試薬によって、切断される。細胞においては、特定の低pHオルガネラ、例えばエンドソームおよびリソソームは、酸切断可能な連結基のための切断環境をもたらすことができる。酸切断可能な連結基の例としては、これに限定されないが、ヒドラゾン、エステルおよびアミノ酸のエステルが挙げられる。酸切断可能な基は、一般式-C=NN-、C(O)O、または-OC(O)を有し得る。例示的な実施形態は、炭素がエステルの酸素に結合している場合(アルコキシ基)、アリール基、置換アルキル基、または第三級アルキル基、例えばジメチルペンチルもしくはt-ブチルである。これら候補は、上述のものと類似した方法を使用して評価することができる。
【0494】
iv.エステル系連結基
【0495】
他の実施形態では、切断可能なリンカーは、エステル系の切断可能な連結基を含む。エステル系の切断可能な連結基は、細胞中でエステラーゼおよびアミダーゼなどの酵素によって切断される。エステル系の切断可能な連結基の例としては、これに限定されないが、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基のエステルが挙げられる。エステルの切断可能な連結基は、一般式-C(O)O-または-OC(O)-を有する。これら候補は、上述のものと類似した方法を使用して評価することができる。
【0496】
v.ペプチド系切断基
【0497】
さらに他の実施形態では、切断可能なリンカーは、ペプチド系の切断可能な連結基を含む。ペプチド系の切断可能な連結基は、細胞中でペプチダーゼおよびプロテアーゼなどの酵素によって切断される。ペプチド系の切断可能な連結基は、アミノ酸の間で形成されて、オリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチドなど)およびポリペプチドが得られるペプチド結合である。ペプチド系の切断可能な基は、アミド基(-C(O)NH-)を含まない。アミド基は、任意のアルキレン、アルケニレンまたはアルキネレンの間で形成され得る。ペプチド結合は、アミノ酸の間で形成されて、ペプチドおよびタンパク質が得られるアミド結合の特殊な型である。ペプチド系の切断基は、概して、アミノ酸の間で形成されてペプチドおよびタンパク質が得られるペプチド結合(すなわち、アミド結合)に限定されて、すべてのアミド官能基を含むものではない。ペプチド系の切断可能な連結基は、一般式-NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)-を有するものであり、式中、RAおよびRBは、二つの隣接するアミノ酸のR基である。これら候補は、上述のものと類似した方法を使用して評価することができる。
【0498】
一部の実施形態では、本発明のiRNAは、リンカーを介して炭水化物にコンジュゲートされる。本発明の組成物および方法のリンカーを有するiRNA炭水化物コンジュゲートの限定されない例としては、これに限定されないが、
【化45】
(式XXXVII)、
【化46】
(式XXXVIII)、
【化47】
(式XXXIX)、
【化48】
(式XL)、
【化49】
(式XLI)、
【化50】
(式XLII)、
【化51】
(式XLIII)、および
【化52】
(式XLIV)が挙げられ、XまたはYの一方がオリゴヌクレオチドである場合、もう一方は、水素である。
【0499】
本発明の組成物および方法の特定の実施形態では、リガンドは、二価または三価の分枝リンカーを介して結合した一つまたは複数の「GalNAc」(N-アセチルガラクトサミン)誘導体である。
【0500】
一実施形態では、本発明のdsRNAは、以下の式(XLV)~(XLVI)のいずれかに示す構造の群から選択される二価または三価の分枝リンカーにコンジュゲートされる:
【化53】
式XXXXV、
【化54】
式XLVI、
【化55】

式XLVII、または
【化56】
式XLVIII
であり、
式中、
q2A、q2B、q3A、q3B、q4A、q4B、q5A、q5Bおよびq5Cは、出現ごとに独立的に、0~20を表し、また繰り返し単位は、同一である場合も、異なる場合もあり、
2A、P2B、P3A、P3B、P4A、P4B、P5A、P5B、P5C、T2A、T2B、T3A、T3B、T4A、T4B、T4A、T5B、T5Cは、出現ごとに独立的に、存在しない、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH、CHNH、またはCHOであり、
2A、Q2B、Q3A、Q3B、Q4A、Q4B、Q5A、Q5B、Q5Cは、出現ごとに独立的に、存在しない、アルキレン、置換アルキレンであり、式中一つまたは複数のメチレンが、O、S、S(O)、SO、N(R)、C(R’)=C(R’’)、C≡CまたはC(O)のうち一つまたは複数によって中断または終結され得、
2A、R2B、R3A、R3B、R4A、R4B、R5A、R5B、R5Cは、出現ごとにそれぞれ独立的に、存在しない、NH、O、S、CH、C(O)O、C(O)NH、NHCH(R)C(O)、-C(O)-CH(R)-NH-、CO、CH=N-O、
【化57】
またはヘテロシクリルであり、
2A、L2B、L3A、L3B、L4A、L4B、L5A、L5B、およびL5Cはリガンドを表し、すなわち、出現ごとにそれぞれ独立的に、単糖(GalNAcなど)、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、または多糖であり、またRはHまたはアミノ酸側鎖である。三価コンジュゲートGalNAc誘導体は、標的遺伝子の発現を阻害するRNAi剤と共に使用するのに特に有用であり、例えば以下の式(XLIX)のものなどであり、
【化58】
式XLIX、
式中、L5A、L5B、およびL5Cは、単糖、例えばGalNAc誘導体を表す。
【0501】
GalNAc誘導体をコンジュゲートする二価および三価の分枝のリンカー基の例としては、これに限定されないが、式II、VII、XI、XおよびXIIIのような上記で列挙した構造が挙げられる。
【0502】
RNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許としては、これに限定されるものではないが、米国特許第4,828,979号、第4,948,882号、第5,218,105号、第5,525,465号、第5,541,313号、第5,545,730号、第5,552,538号、第5,578,717号、第5,580,731号、第5,591,584号、第5,109,124号、第5,118,802号、第5,138,045号、第5,414,077号、第5,486,603号、第5,512,439号、第5,578,718号、第5,608,046号、第4,587,044号、第4,605,735号、第4,667,025号、第4,762,779号、第4,789,737号、第4,824,941号、第4,835,263号、第4,876,335号、第4,904,582号、第4,958,013号、第5,082,830号、第5,112,963号、第5,214,136号、第5,082,830号、第5,112,963号、第5,214,136号、第5,245,022号、第5,254,469号、第5,258,506号、第5,262,536号、第5,272,250号、第5,292,873号、第5,317,098号、第5,371,241号、第5,391,723号、第5,416,203号、第5,451,463号、第5,510,475号、第5,512,667号、第5,514,785号、第5,565,552号、第5,567,810号、第5,574,142号、第5,585,481号、第5,587,371号、第5,595,726号、第5,597,696号、第5,599,923号、第5,599,928号、第5,688,941号、第6,294,664号、第6,320,017号、第6,576,752号、第6,783,931号、第6,900,297号、第7,037,646号、および第8,106,022号が挙げられ、この各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0503】
所与の化合物においてすべての位置について均一に修飾される必要はなく、実際には、先述の修飾のうち二つ以上を単一の化合物内に、またはさらにiRNA内の単一のヌクレオシドにおいて組み込むことができる。本発明はまた、キメラ化合物であるiRNA化合物も含む。
【0504】
本発明の文脈における「キメラ」iRNA化合物または「キメラ」は、二つ以上の化学的に区別される領域を含有する、例えばdsRNAi剤などであるiRNA化合物であり、そのそれぞれが少なくとも一つのモノマー単位、すなわち、dsRNA化合物の場合にはヌクレオチド、により構成される。これらiRNAは、典型的には、RNAが、iRNAに対してヌクレアーゼ分解に対する耐性の増加、細胞取込みの増大、または標的核酸に対する結合親和性の増大を付与するように修飾される、少なくとも一つの領域を含有する。iRNAの追加的な領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAの複合型を切断可能である酵素のための基質として機能し得る。例として、リボヌクレアーゼHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。したがって、リボヌクレアーゼHの活性化が、RNA標的の切断をもたらし、それによって遺伝子発現のiRNA阻害の効率を大きく増強する。結果的に、これに匹敵する結果は、しばしば、同一の標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシdsRNAと比較して、キメラdsRNAを使用する場合により短いiRNAで得ることができる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動によって、また必要に応じて、当技術分野で公知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって、ごく普通に検出可能である。
【0505】
特定の例では、iRNAのRNAは、非リガンドの基によって修飾できる。iRNAの活性、細胞分布または細胞取り込みを増強するために、いくつかの非リガンドの分子がiRNAにコンジュゲートされてきたので、当該コンジュゲーションを実施するための手順は、科学文献において利用可能である。こうした非リガンドの部分には、脂質部分、例えばコレステロール(Kubo, T. et al., Biochem. Biophys. Res. Comm., 2007, 365(1):54-61、Letsinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86:6553)、コール酸(Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1994, 4:1053)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(hexyl-S-tritylthiol)(Manoharan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660:306; Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Let., 1993, 3:2765)、チオコレステロール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20:533)、脂肪鎖、例えば、ドデカンジオール残基またはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., EMBO J., 1991, 10:111、Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259:327、Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75:49)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651、Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18:3777)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14:969)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651)、パルミチル部分(Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264:229)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277:923)、が含まれてきた。このようなRNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許は、上記で列挙している。典型的なコンジュゲーションプロトコールは、配列の一つまたは複数の位置にアミノリンカーを有するRNAの合成を伴う。次いで、アミノ基が、適切なカップリングまたは活性化試薬を使用することによってコンジュゲートされている分子と反応する。コンジュゲーション反応は、RNAがまだ固体支持部に結合している状態で、または溶液相でRNAが切断された後で実施可能である。典型的には、HPLCによるRNAコンジュゲートの精製によって、純粋なコンジュゲートが得られる。
【0506】
IV.本発明のiRNAの送達
本発明のiRNAの、細胞、例えば、ヒト対象などの対象内の細胞(例えば、それを必要とする対象、例えば、STAT6関連障害、例えば、呼吸器疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎に感受性がある、またはそれと診断された対象など)への送達は、多くの異なる方法で達成され得る。例えば、送達は、細胞をインビトロまたはインビボのいずれかで本発明のiRNAと接触させることによって実施され得る。インビボでの送達はまた、iRNA、例えば、dsRNA、を含む組成物を対象に投与することによって直接的に実施され得る。あるいは、インビボでの送達は、iRNAをコードしてその発現を誘導する一つまたは複数のベクターを投与することによって間接的に実施し得る。これら選択肢は、下記においてさらに説明される。
【0507】
概して、核酸分子を送達(インビトロまたはインビボで)する任意の方法は、本発明のiRNAで使用するのに適合させることができる(例えば、Akhtar S. and Julian RL. (1992) Trends Cell. Biol. 2(5):139-144および国際公開第94/02595号を参照されたく、これらは参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる)。インビボでの送達の場合、iRNA分子を送達するために考慮するファクターとしては、例えば、送達される分子の生物学的安定性、非特異的な影響の防止、および標的組織内での送達される分子の蓄積が挙げられる。RNA干渉はまた、直接注射によるCNSへの局所送達での成功もわかっている(Dorn, G., et al. (2004) Nucleic Acids 32:e49、Tan, PH., et al (2005) Gene Ther. 12:59-66、Makimura, H., et al (2002) BMC Neurosci. 3:18、Shishkina, GT., et al (2004) Neuroscience 129:521-528、Thakker, ER., et al (2004) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101:17270-17275、Akaneya,Y., et al (2005) J. Neurophysiol. 93:594-602)。RNAまたは医薬担体の修飾もまた、iRNAの標的組織へのターゲティングを可能にし、望ましくないオフターゲット効果を回避させることができる。iRNA分子は、細胞取込みを強化し、分解を防止するために、例えばコレステロールなどの親油性基への化学コンジュゲーションによって修飾され得る。例えば、親油性コレステロール部分にコンジュゲートさせたApoBへと誘導されるiRNAは、マウスに全身的に注射されたところ、結果として肝臓および空腸の両方においてapoB mRNAのノックダウンを生じた(Soutschek, J., et al (2004) Nature 432:173-178)。
【0508】
代替的な実施形態では、iRNAは、例えばナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソーム、またはカチオン性送達系などである薬剤送達システムを使用して送達可能である。正に荷電したカチオン性の送達系は、iRNA分子(負に荷電した)の結合を促進し、また負に荷電した細胞膜での相互作用も高め、それにより細胞によるiRNAの効率的な取り込みを可能にもする。カチオン性脂質、デンドリマー、またはポリマーは、iRNAに結合することができるか、またはiRNAを封入するベシクルまたはミセルを形成するように誘導することができる(例えば、Kim SH, et al (2008) Journal of Controlled Release 129(2):107-116を参照)。ベシクルまたはミセルの形成はさらに、全身投与したときのiRNAの分解を防止する。カチオン性のRNAi複合体を作製および投与する方法は、十分に当業者の能力の範囲内である(例えば、Sorensen, DR., et al. (2003) J. Mol. Biol 327:761-766、Verma, UN. et al., (2003) Clin. Cancer Res. 9:1291-1300、Arnold, AS et al. (2007) J. Hypertens. 25:197-205を参照のこと。これらは参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる)。iRNAの全身送達に有用な薬剤送達システムのいくつかの非限定的な例としては、DOTAP (Sorensen, DR., et al (2003), supra; Verma, UN, et al (2003), supra), “solid nucleic acid lipid particles” (Zimmermann, TS, et al (2006) Nature 441:111-114), cardiolipin (Chien, PY, et al (2005) Cancer Gene Ther. 12:321-328; Pal, A, et al (2005) Int J. Oncol. 26:1087-1091), polyethyleneimine (Bonnet ME, et al (2008) Pharm. Res. Aug 16 Epub ahead of print; Aigner, A. (2006) J. Biomed. Biotechnol. 71659), Arg-Gly-Asp (RGD) peptides (Liu, S. (2006) Mol. Pharm. 3:472-487), and polyamidoamines (Tomalia, DA, et al (2007) Biochem. Soc. Trans. 35:61-67; Yoo, H., et al (1999) Pharm. Res. 16:1799-1804)が挙げられる。一部の実施形態では、iRNAは、全身投与のためにシクロデキストリンと複合体を形成する。投与の方法およびiRNAとシクロデキストリンとによる医薬組成物は、米国特許第7,427,605号に見ることができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示の特定の態様は、細胞内においてSTAT6遺伝子の発現を減少させる方法であって、前記細胞を本開示の二本鎖RNAi剤と接触させることを含む方法に関する。一実施形態では、細胞は肝細胞(hepatic cell)、任意で肝細胞(hepatocyte)である。一実施形態では、細胞は、肝外細胞(extraheptic cell)であり、随意に肺細胞である。
【0509】
一実施形態では、細胞は、呼吸系の器官または組織に存在し、気管支、細気管支、肺胞、鼻上皮および気道上皮を含む上皮、線毛上皮、および杯細胞、I型及びII型の両方の肺胞上皮細胞、マクロファージ、尿細管間質、マクロファージ、脂肪組織、例えば、縦隔脂肪組織、肺細胞、神経細胞、例えば、肺神経叢、クラブ細胞、クララ細胞、常在と一過性の両方の好中球、および口腔粘膜を含むが、これらに限定されない。
【0510】
特定の実施形態では、RNAi剤は、例えば、肝臓などの呼吸系の器官内に存在する一つまたは複数の組織または細胞型において取り込まれる。
【0511】
本開示の別の態様は、対象においてSTAT6遺伝子の発現および/または活性化を低減させる方法であって、本開示の二本鎖RNAi剤を対象に投与することを含む。
【0512】
本開示の別の態様は、STAT6関連障害を有する対象またはSTAT6関連障害を有するもしくは発症するリスクを有する対象を治療する方法に関連し、対象に本開示の二本鎖RNAi剤の治療有効量を投与し、それによって対象を治療することを含む。一部の実施形態では、STAT6関連障害は、呼吸器疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎である。
【0513】
一実施形態では、二本鎖RNAi剤は、皮下投与される。
【0514】
一実施形態では、二本鎖RNAi剤は、肺系投与、例えば、鼻腔内投与、または経口吸入投与によって投与される。
【0515】
一実施形態では、二本鎖RNAi剤は、鼻腔内投与される。
【0516】
肺系投与、例えば、二本鎖RNAi剤の鼻腔内投与または経口吸入投与によって、本方法は、肺系組織、例えば、上咽頭組織、中咽頭組織、咽喉頭組織、喉頭組織、気管組織、気管分岐部組織、気管支組織、細気管支組織、または肺胞組織におけるSTAT6標的遺伝子の発現を低減することができる。
【0517】
説明を簡単にするため、この項における製剤、組成物、および方法は、主として修飾siRNA化合物に関して述べる。しかしながら、これら製剤、組成物、および方法は、他のsiRNA化合物、例えば、未修飾siRNA化合物で実施することができ、そして当該実施は、本開示の範囲内であることは理解され得る。RNAi剤を含む組成物は、様々な経路によって対象に送達することができる。例示的な経路としては、肺系、静脈内、脳室内、局所、経直腸、経肛門、経膣、経鼻、および眼内が挙げられる。
【0518】
本開示のRNAi剤は、投与に好適な医薬組成物に組み込むことができる。こうした組成物は、通常、一つまたは複数の種のRNAi剤と薬学的に許容可能な担体とを含む。本明細書において使用する場合、「薬学的に許容可能な担体」という語句は、医薬投与に適合性の、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、ならびに同様のものを含むことが意図される。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と不適合性である場合を除き、組成物におけるそれらの使用は意図される。補足的な有効成分もまた組成物に組み込まれ得る。
【0519】
本開示の医薬組成物は、局所処置または全身処置のどちらが所望されるか、ならびに処置される面積に応じて、いくつかの方法で投与され得る。投与は、例えば、ネブライザーによる粉末またはエアロゾル剤の吸入または吹送による肺内、気管内、鼻腔内、局所(眼、膣、直腸、鼻腔内、経皮を含む)、経口、非経口であり得る。非経口投与は、点滴静注、皮下、腹腔内、もしくは筋肉注射、または髄腔内または脳室内の投与を含む。
【0520】
投与の経路および部位は、ターゲティングを増強するように選択され得る。例えば、筋肉細胞を標的とするため、目的の筋肉内への筋肉注射が、論理的な選択となるであろう。肺細胞は、粉末またはエアロゾル形態でのRNAi剤の投与によって標的とすることができる。血管内皮細胞は、バルーンカテーテルをRNAi剤でコーティングすること、およびRNAを機械的に導入することによって標的とすることができる。
【0521】
肺系送達のための組成物は、例えば、鼻腔内または経口吸入投与のための水溶液、例えば、脂質(リポソーム、ニオソーム、マイクロエマルション、脂質ミセル、固体脂質ナノ粒子)またはポリマー(高分子ミセル、デンドリマー、高分子ナノ粒子、ノノゲル、ナノカプセル)から構成される好適な担体、例えば、経口吸入投与のためのアジュバントを含み得る。水性組成物は滅菌されてもよく、緩衝剤、希釈剤、吸収促進剤、および他の適切な添加剤を任意選択で含有してもよい。
【0522】
局所投与用製剤は、経皮パッチ、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、点滴剤、坐剤、噴霧剤、溶液剤、および散剤を含み得る。従来の医薬担体、水性、粉末、または油状の基剤、増粘剤なども必要であり得、または望ましくあり得る。コーティングしたコンドーム、手袋なども有用であり得る。
【0523】
経口投与用組成物としては、散剤または顆粒剤、水中の懸濁剤または溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤または非水性媒体、タブレット剤、カプセル剤、ドロップ剤、またはトローチ剤を含む。錠剤の場合、使用できる担体としては、ラクトース、クエン酸ナトリウム、およびリン酸の塩が挙げられる。錠剤中には、例えばデンプンなどの種々の崩壊剤、および例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどである潤滑剤が、通常使用される。カプセル形態での経口投与の場合、有用な希釈剤は、ラクトースおよび高分子量ポリエチレングリコールである。経口投与のために水性懸濁剤が必要な場合は、核酸組成物を、乳化剤および懸濁剤と組み合わせることができる。所望の場合、特定の甘味剤または風味剤を加えることができる。
【0524】
髄腔内または脳室内に投与されるための組成物は、緩衝液、希釈剤、および他の好適な添加剤も含有し得る無菌の水溶液を含み得る。
【0525】
非経口投与用の製剤は、緩衝液、希釈剤、および他の好適な添加剤も含有し得る無菌の水溶液を含み得る。脳室内注射は、例えばリザーバに取り付けられた、脳室内カテーテル によって促進され得る。静脈内での使用の場合、溶質の総濃度は、調製物を等張にするように制御され得る。
【0526】
一実施形態では、siRNA化合物、例えば、二本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物、組成物の投与は、非経口であり、例えば、静脈内(例えば、ボーラスとして、または拡散性注入として)、皮内、腹腔内、筋肉内、髄腔内、脳室内、頭蓋内、皮下、経粘膜、頬側、舌下、内視鏡下、経直腸、経口、経膣、局所、肺系、鼻腔内、経尿道、または眼内である。投与は、対象自身によって、または他の者、例えば、医療提供者などによって提供され得る。医薬品は、測定された用量で、または計量された用量を送達するディスペンサーで、提供することができる。選択される送達形態は、以下においてより詳細に説明する。
【0527】
肺系投与
一実施形態では、二本鎖RNAi剤は、肺系投与される。肺系は、上肺系および下肺系を含む。上肺系は、鼻および咽頭を含む。咽頭は、鼻咽頭、中咽頭、および咽喉頭を含む。下肺系は、喉頭、気管、竜骨、気管支、細気管支、および肺胞を含む。
【0528】
肺系投与は、鼻腔内投与または経口吸入投与であってもよい。かかる投与は、本発明の二本鎖RNAi剤の全身送達および局所送達の両方を可能にする。
【0529】
鼻腔内投与は、一度に数滴を塗布することによって、または霧化を介して、二本鎖RNAi剤をシリンジまたはスポイトで鼻腔内に滴下または注入することを含んでもよい。鼻腔内投与に好適な剤形としては、液滴、粉末、噴霧化したミスト、およびスプレーが挙げられる。鼻送達装置には、蒸気吸入器、点鼻薬、噴霧ボトル、定量噴霧ポンプ、ガス駆動噴霧アトマイザー、ネブライザー、機械粉末噴霧器、呼吸作動式吸入器、および送気装置が含まれるが、これらに限定されない。呼吸系の中、例えば肺の中により深く送達するための装置には、ネブライザー、加圧定量吸入器、乾燥粉末吸入器、および熱気化エアロゾル装置が含まれる。吸入による送達のための装置は、商業的サプライヤーから入手可能である。装置は、例えば、予防または治療する疾患または障害、送達する薬剤の体積、薬剤の送達頻度、および当技術分野における他の考慮事項に応じて、定量または可変用量、単回用量または複数回用量、使い捨てまたは再使用可能であり得る。
【0530】
経口吸入投与は、装置、例えば、受動的呼吸駆動または能動的動力駆動の単回/複数回用量乾燥粉末吸入器(DPI)などを使用して、二本鎖RNAi剤を肺系に送達することを含み得る。経口吸入投与に適した剤形には、粉末および溶液が含まれる。経口吸入投与に適した装置には、ネブライザー、定量吸入器、および乾燥粉末吸入器が含まれる。乾燥粉末吸入器は、薬剤、特にタンパク質を肺に送達するために使用される最も一般的な装置である。例示的な市販の入手可能な乾燥粉末吸入器としては、Spinhaler(Fisons Pharmaceuticals, Rochester, NY)およびRotahaler(GSK, RTP, NC)が挙げられる。いくつかのタイプのネブライザー、すなわちジェット式ネブライザー、超音波ネブライザー、振動メッシュネブライザーが利用可能である。ジェット式ネブライザーは、圧縮空気によって駆動される。超音波ネブライザーは、開放液体貯蔵部から液滴を作り出すために圧電変換器を使用する。振動メッシュネブライザーは、環状ピエゾ素子によって作動して共振曲げモードで振動する穿孔された膜を使用する。膜中の穴は、液体供給側に大きな断面サイズを、液滴が現れる側に狭い断面サイズを有する。治療用途に応じて、穴のサイズおよび穴の数を調整することができる。適切な装置の選択は、薬剤およびその製剤の性質、作用部位、および肺の病態生理などのパラメータに依存する。水性懸濁液および溶液は、効果的に噴霧される。機械的に生成された振動メッシュ技術に基づくエアロゾルも、タンパク質を肺に送達するために首尾よく使用されてきた。
【0531】
肺系投与のためのRNAi剤の量は、一つの標的遺伝子から別の標的遺伝子で変動し得、ならびに適用されるべき適切な量は、標的遺伝子ごとに個別に決定しなければならない場合がある。典型的には、この量は、10μgから2mg、好ましくは50μgから1500μg、より好ましくは100μgから1000μgの範囲である。
【0532】
本発明のiRNAをコードしたベクター
STAT6遺伝子を標的とするiRNAは、DNAベクターまたはRNAベクターに挿入された転写ユニットから発現され得る(例えば、Couture, A, et al., TIG. (1996), 12:5-10、Skillern, AらによるPCT国際出願の公開公報である国際公開第00/22113号、ConradによるPCT国際出願の公開公報である国際公開第00/22114号、およびConradによる米国特許第6,054,299号を参照)。発現は、使用される特定の構築物および標的組織または細胞型に応じて、一過性的(数時間から数週間のオーダー)または持続的(数週間から数か月またはそれ以上)であり得る。これら導入遺伝子は、直鎖状の構築物、環状プラスミド、または統合ベクターもしくは非統合ベクターであり得るウイルスベクターとして導入することができる。導入遺伝子は、染色体外プラスミドとして継代されることを可能にするように構築することもできる(Gassmann, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1995) 92:1292)。
【0533】
本明細書において記載する方法および組成物と共に用いることができるウイルスベクターシステムとしては、これらに限定されるものではないが、(a)アデノウィルスベクター、(b)レトロウイルスベクター、例えばこれに限定されるものではないが、レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスなど、(c)アデノ随伴ウイルスベクター、(d)単純ヘルペスウイルスベクター、(e)SV 40ベクター、(f)ポリオーマウイルスベクター、(g)パピローマウイルスベクター、(h)ピコルナウイルスベクター、(i)ポックスウイルスベクター、例えば、オルソポックスなどであり、例えば、ワクシニアウイルスベクターなど、またはトリポックスであり、例えば、カナリアポックスもしくは鶏痘など、ならびに(j)ヘルパー依存性アデノウィルスまたはガットレス(gutless)アデノウィルスが挙げられる。複製欠損ウイルスもまた有利であり得る。異なるベクターは、細胞のゲノムの中に組み込まれるようになるかまたは組み込まれるようにならないであろう。当該構築物は、所望の場合、トランスフェクションのためのウイルス配列を含めることができる。あるいは、構築物は、エピソーム複製が可能なベクター内に、例えば、EPVベクターおよびEBVベクター内に、組み込むことができる。iRNAの組換え発現のための構築物は、概して、標的細胞におけるiRNAの発現を確実にするために、調節要素を、例えば、プロモーター、エンハンサーなどを、必要とするであろう。ベクターおよび構築物を考慮する他の態様は、当技術分野で公知である。
【0534】
V.本発明の医薬組成物
【0535】
本発明はまた、本発明のiRNAを含む医薬組成物および製剤も含む。一実施形態では、本明細書において説明されるような、iRNAを含有する医薬組成物と、薬学的に許容される担体とを本明細書において提供する。iRNAを含む医薬組成物は、STAT6関連障害、例えば、呼吸器疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎を有する対象を予防または治療するのに有用である。そのような医薬組成物は、送達の態様に基づいて製剤化される。一例は、鼻腔内投与または経口吸入投与、例えば、ネブライザーによるものを含む粉末またはエアロゾルの吸入または注入による肺系への直接送達、気管内または鼻腔内送達用に製剤化される組成物である。別の実施例は、非経口送達により、例えば皮下(SC)、筋肉内(IM)、または静脈内(IV)の送達により、全身投与用に製剤化される組成物である。本発明の医薬組成物は、STAT6遺伝子の発現を阻害するのに十分な投薬量で投与され得る。
【0536】
一部の実施形態では、本発明の医薬組成物は、無菌である。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、発熱因子なしである。
【0537】
本発明の医薬組成物は、STAT6遺伝子の発現を阻害するのに十分な投薬量で投与され得る。概して、本発明のiRNAの好適な用量は、1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり約0.001~約200.0ミリグラムの範囲、概して1日当たり体重1キログラム当たり約1~50mgの範囲とすることとなる。典型的には、本発明のiRNAの適切な用量は、約0.1mg/kg~約5.0mg/kg、例えば、約0.3mg/kg~約3.0mg/kgの範囲とすることとなる。反復投与レジメンとしては、例えば毎月、3~6か月に一回、または一年に一回など、治療量のiRNAの定期的な投与を含み得る。特定の実施形態では、iRNAは、およそ一か月当たり一回~およそ六か月当たり一回で投与される。
【0538】
初回治療レジメンの後、治療は、少ない頻度で施与することができる。治療期間は、疾患の重症度に基づいて決定することができる。
【0539】
当業者は、例えばこれらに限定されるものではないが、疾患または障害の重症度、過去の治療、対象の健康全般または年齢、および存在する他の疾患などである特定のファクターが、対象を効果的に治療するために必要な投薬量および投薬のタイミングに影響を及ぼし得ることを理解するであろう。その上、治療有効量の組成物での対象の治療には、単回治療または一連の治療が含まれ得る。
【0540】
本開示の医薬組成物は、局所処置または全身処置のどちらが所望されるか、および処置される面積に応じて、いくつかの方法で施与され得る。投与は、局所的(例えば、経皮パッチによる)、例えば、ネブライザーを含む、粉末またはエアロゾルの吸引または吹送などによる、鼻腔内投与または経口吸入投与による肺系投与、気管内、表皮および経皮、経口または非経口であり得る。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内の注射または注入、例えば、植込みデバイスによって皮下への投与、または例えば、実質内、髄腔内、または脳室内の投与によって頭蓋内への投与を含む。
【0541】
RNAi剤は、特定の組織、例えば、肝臓、肺(例えば、細気管支、肺胞、または肺の気管支)、または肝臓と肺の両方などを標的とする方式で送達することができる。
【0542】
局所投与用の医薬組成物および製剤は、経皮パッチ、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、点滴剤、坐剤、噴霧剤、溶液剤、および散剤を含み得る。従来の医薬担体、水性基剤、粉末基剤、または油性基剤、増粘剤などは、必要であり得るか、または望ましいものであり得る。コーティングしたコンドーム、手袋なども有用であり得る。好適な局所製剤としては、本開示で取り上げるRNAi剤が、局所送達剤、例えば脂質、リポソーム、脂質酸、脂質酸エステル、ステロイド、キレート剤および界面活性剤との混合物となっているものを含める。適切な脂質およびリポソームとしては、中性(例えば、ジオレオイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロリホスファチジルコリン)、陰性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)およびカチオン性(例えば、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピルDOTAPおよびジオレオイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)が挙げられる。本開示において取り上げるRNAi剤は、リポソーム内においてカプセル化することができ、またはリポソームと、特にカチオン性リポソームと複合体を形成することができる。あるいは、RNAi剤は、脂質、特にカチオン性脂質と複合体化することができる。好適な脂肪酸およびエステルとしては、これに限定されるものではないが、アラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプリン酸、トリカプリン酸、モノオレイン、ジラウリン、1-モノカプリン酸グリセリル、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、またはC1~20アルキルエステル(例えば、イソプロピルミリステートIPM)、モノグリセリド、ジグリセリド、またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。局所製剤は、米国特許第6,747,014号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0543】
A.膜性分子アセンブリを含むRNAi剤製剤
本開示の組成物および方法で使用するためのRNAi剤は、膜性分子アセンブリでの、例えば、リポソームまたはミセルでの送達用に製剤化することができる。本明細書において使用する場合、「リポソーム」という用語は、少なくとも一つの二分子層、例えば、一つの二分子層または複数の二分子層内に整列した両親媒性脂質で構成されたベシクルを指す。リポソームは、親油性材料から形成された膜と水性の内部とを有する単層膜および多重膜のベシクルを含む。水性部分が、RNAi剤組成物を含有する。親油性材料は、典型的にはRNAi剤組成物を含まないが一部の実施例では含む場合もある水性の外側部分から、水性の内側部分を隔離する。リポソームは、作用部位への活性成分の移送および送達に有用である。リポソーム膜は、生体膜と構造的に似ているため、リポソームが組織に適用されるとリポソーム二重層は細胞膜の二重層と融合する。リポソームと細胞の融合が進むにつれて、RNAi剤を含む内側水性部分の内容物は、細胞内へと送達されて、そこでRNAi剤が、標的RNAに特異的に結合することができ、そしてRNAiを媒介することができる。場合によっては、リポソームはまた、例えば、RNAi剤を特定の細胞種に誘導するために、特異的に標的とされる。
【0544】
RNAi剤を含有するリポソームは、様々な方法によって調製することができる。一実施例では、リポソームの脂質成分が界面活性剤に溶解され、それによって脂質成分でミセルが形成される。例えば、脂質成分は、両親媒性カチオン性脂質または脂質コンジュゲートであり得る。界面活性剤は、高い臨界ミセル濃度を有し得、また非イオン性であり得る。例示的な界面活性剤としては、コール酸、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコール酸およびラウロイルサルコシンが挙げられる。次いで、RNAi剤調製物は、脂質成分を含むミセルに加えられる。脂質上のカチオン性基が、RNAi剤と相互作用して、RNAi剤の周りに凝縮してリポソームを形成する。凝縮後、界面活性剤は、RNAi剤のリポソーム調製物を得るために、例えば、透析などによって、除去される。
【0545】
必要であれば、凝集反応の際に、例えば、制御された添加によって、凝集を補助する担体化合物を加えることもできる。例えば、担体化合物は、核酸以外のポリマーであり得る(例えば、スペルミンまたはスペルミジン)。pHはまた、縮重に都合よく調節可能である。
【0546】
送達ビヒクルの構造的な成分としてポリヌクレオチド/カチオン性脂質複合体を組み込んだ安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルを産生する方法が、例えば、国際公開第96/37194号にさらに記載されて、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。リポソーム形成はまた、Felgner, P. L. et al., (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8:7413-7417、米国特許第4,897,355号、米国特許第5,171,678号、Bangham et al., (1965) M. Mol. Biol. 23:238; Olson et al., (1979) Biochim. Biophys. Acta 557:9; Szoka et al., (1978) Proc. Natl. Acad. Sci. 75: 4194; Mayhew et al., (1984) Biochim. Biophys. Acta 775:169; Kim et al., (1983) Biochim. Biophys. Acta 728:339; および Fukunaga et al., (1984) Endocrinol. 115:757、に記載される例示的な方法の一つまたは複数の態様も含み得る。送達ビヒクルとして使用するための適切なサイズの脂質凝集体を調製するために通常使用される技術としては、超音波処理および凍結融解に加えて押出成形が挙げられる(例えば、Mayer et al., (1986) Biochim. Biophys. Acta 858:161を参照されたい。一貫して小さく(50~200nm)、比較的均一な凝集体が望ましいときには、顕微溶液化を使用することができる(Mayhew et al., (1984) Biochim. Biophys. Acta 775:169。これら方法は、RNAi剤の調製物をリポソームに包含させるために容易に適合される。
【0547】
リポソームは、二つの広いクラスに分類される。カチオン性リポソームは、正に帯電したリポソームであって、負に帯電した核酸分子と相互作用して安定な複合体を形成するリポソームである。正に帯電した核酸/リポソーム複合体は、負に帯電した細胞表面に結合して、エンドソームに内在化される。エンドソーム内の酸性pHに起因して、リポソームは破裂して、その内容物を細胞質中へと放出する(Wang et al. (1987) Biochem. Biophys. Res. Commun., 147:980-985)。
【0548】
リポソームは、pH感受性であるかまたは負に帯電しており、それらとの複合体ではなく核酸を捕捉する。核酸および脂質の両方が、同様の電荷であるため、複合体形成ではなく反発が生じる。それにもかかわらず、一部の核酸は、これらリポソームの水性内側部分内に捕捉される。チミジンキナーゼ遺伝子をコードする核酸を、培養液中の細胞単一層に送達するために、pH感応性リポソームが使用され てきた。外因性遺伝子の発現が、標的遺伝子内において検出された(Zhou et al. (1992) Journal of Controlled Release, 19:269-274)。
【0549】
リポソーム組成物の主要なタイプの一つは、天然由来のホスファチジルコリン以外のリン脂質を含む。中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成され得る。アニオン性リポソーム組成物は、概して、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成され、その一方で、アニオン性融合性リポソームは、主に、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。別のタイプのリポソーム組成物は、ホスファチジルコリン(PC)から形成され、例えば大豆製PCおよび卵製PCなどである。別のタイプは、リン脂質またはホスファチジルコリンまたはコレステロールの混合物から形成される。
【0550】
インビトロおよびインビボでリポソームを細胞に導入する他の方法の例としては、米国特許第5,283,185号、米国特許第5,171,678号、国際公開第94/00569号、国際公開第93/24640号、国際公開第91/16024号、Felgner, (1994) J. Biol. Chem. 269:2550; Nabel, (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. 90:11307; Nabel, (1992) Human Gene Ther. 3:649、Gershon, (1993) Biochem. 32:7143、およびStrauss, (1992) EMBO J. 11:417が挙げられる。
【0551】
非イオン性リポソーム系は、特に非イオン性界面活性剤とコレステロールを含む系は、皮膚への薬物の送達におけるそれらの有用性を判定するためにも試験されてきた。Novasome(商標)I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)およびNovasome(商標)II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤が、マウスの皮膚の真皮中にシクロスポリンAを送達するために使用された。結果として、こうした非イオン性リポソーム系が、皮膚の異なる層中へのシクロスポリンAの蓄積を促進する際に有効であることが示された(Hu et al., (1994) S.T.P.Pharma. Sci., 4(6):466)。
【0552】
リポソームはまた、「立体的に安定化した」リポソームも含み、当該用語は、本明細書において使用する場合、一つまたは複数の特化された脂質を含むリポソームであって、リポソームに組み込まれた場合に、結果として当該特化された脂質を欠くリポソームと比較して循環寿命の向上が生じるような一つまたは複数の特化された脂質を含むリポソームを指す。立体的に安定化したリポソームの例としては、リポソームのベシクル形成脂質部分が(A)例えばモノシアロガングリオシドGM1などである一つまたは複数の糖脂質を含むか、または(B)例えばポリエチレングリコール(PEG)部分などである一つまたは複数の親水性ポリマーで誘導体化されている、リポソームである。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、少なくとも、ガングリオシド、スフィンゴミエリン、またはPEG誘導体化脂質を含有する立体的に安定化されたリポソームの場合、これら立体的に安定化されたリポソームの循環半減期の向上は、細網内皮系(RES)の細胞内への取り込みの減少に由来するということが、当技術分野では考えられている(Allen et al., (1987) FEBS Letters, 223:42; Wu et al., (1993) Cancer Research, 53:3765)。
【0553】
一つまたは複数の糖脂質を含む様々なリポソームが、当技術分野で公知である。Papahadjopoulos et al. (Ann. N.Y. Acad. Sci., (1987), 507:64)は、モノシアロガングリオシドGM1、硫酸ガラクトセレブロシド、およびホスファチジルイノシトールがリポソームの血液半減期を向上させる能力について報告した。これら知見は、Gabizonら (Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., (1988), 85,:6949)によって解説された。いずれもAllenらによる米国特許第4,837,028号および国際公開第88/04924号では、(1)スフィンゴミエリンと(2)ガングリオシドGM1またはガラクトセレブロシド硫酸エステルとを含むリポソームが開示されている。米国特許第5,543,152号(Webbら)では、スフィンゴミエリンを含むリポソームについて開示している。1,2-SN-ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームが、国際公開第97/13499号(Limら)において開示されている。
【0554】
一実施形態では、カチオン性リポソームが使用される。カチオン性リポソームは、細胞膜に融合することができるという利点を有する。非カチオン性リポソームは、原形質膜と効率的には融合することができないが、インビボでマクロファージによって取り込まれるため、RNAi剤をマクロファージに送達するために使用することができる。
【0555】
リポソームのさらなる利点としては、天然のリン脂質から得られるリポソームが生体適合性および生分解性であること、リポソームは広範囲の水および脂質溶解性薬物を組み込むことができること、リポソームはそれらの内部コンパートメント内のカプセル化されたRNAi剤を代謝および分解から保護することができること、が挙げられる(Rosoff, in “Pharmaceutical Dosage Forms,” Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, volume 1, p. 245)。リポソーム製剤の調製における重要な検討事項は、脂質表面の電荷、ベシクルのサイズ、およびリポソームの水の量である。
【0556】
正に帯電した合成カチオン性脂質であるN-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)は、小リポソームを形成するために使用することができ、該小リポソームは、組織培養細胞の細胞膜の負に帯電した脂質と融合することができる脂質-核酸複合体を形成する核酸と自発的に相互作用して、結果としてRNAi剤の送達がなされる(例えば、Felgner, P. L. et al., (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8:7413-7417、ならびにDOTMAの説明およびDNAとのその使用については米国特許第4,897,355号を参照)。
【0557】
DOTMA類似体である1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3-(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)は、リン脂質と組み合わせて使用することにより、DNA複合体化ベシクルを形成することができる。リポフェクチン(商標)Bethesda Research Laboratories社、ゲイザースバーグ、メリーランド州) は、負に帯電したポリヌクレオチドと自発的に相互作用して複合体を形成する正に帯電したDOTMAリポソームを含む、生組織培養細胞内へのアニオン性の核酸の高度な送達に有効な薬剤である。十分に正に帯電したリポソームを使用すると、結果として得られる複合体上の正味電荷も正である。この方法において調製された正に帯電した複合体は、負に帯電した細胞表面に自発的に結合し、原形質膜と融合して、機能的核酸を、例えば組織培養細胞内へと効率的に送達する。別の市販のカチオン性脂質である1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3,3-(トリメチルアンモニア)プロパン(「DOTAP」)(Boehringer Mannheim社、インディアナポリス、インディアナ州)は、オレオイル部分が、エーテル連結ではなくエステルで連結している点がDOTMAと異なる。
【0558】
他の報告されたカチオン性脂質化合物としては、様々な部分にコンジュゲートしているものが挙げられ、例えば二つのタイプの脂質の一方にコンジュゲートしているカルボキシスペルミンなどが挙げられ、また例えば5-カルボキシスペルミルグリシンジオクタオレオイルアミド(「DOGS」)(トランスフェクタム(Transfectam)(商標)、Promega社、マディソン、ウィスコンシン州)およびジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン 5-カルボキシスペルミル-アミド(「DPPES」)などの化合物が挙げられる(例えば、米国特許第5,171,678号)。
【0559】
別のカチオン性脂質コンジュゲートは、DOPEと組み合わせてリポソーム中へと製剤化されているコレステロールでの脂質の誘導体化(「DC-Chol」)を含む(Gao, X. and Huang, L., (1991) Biochim. Biophys. Res. Commun. 179:280を参照)。ポリリジンをDOPEにコンジュゲートすることによって作製されたリポポリリジンは、血清の存在下でのトランスフェクションに効果的であることが報告されている(Zhou, X. et al., (1991) Biochim. Biophys. Acta 1065:8)。特定の細胞系の場合、コンジュゲートしたカチオン性脂質を含むこれらリポソームは、低い毒性を示すと言われており、またDOTMA含有組成物よりもより効率的なトランスフェクションをもたらす。他の市販のカチオン性脂質製品としては、DMRIEおよびDMRIE-HP(Vical社、ラホヤ、カリフォルニア州)およびリポフェクタミン(DOSPA)(Life Technology, Inc.社、ゲイザースバーグ、メリーランド州)が挙げられる。オリゴヌクレオチドの送達に好適な他のカチオン性脂質は、国際公開第98/39359号および国際公開第96/37194号に記載されている。
【0560】
リポソーム製剤は、局所投与に特に適しており、リポソームは、他の製剤に勝るいくつかの利点をもたらす。こうした利点としては、投与された薬物の高い体内吸収に関連する副作用の減少、所望の標的での投与された薬物の蓄積の増加、およびRNAi剤を皮膚に投与する能力が挙げられる。一部の実践形態では、リポソームは、RNAi剤を上皮細胞に送達するため、および真皮組織内、例えば、皮膚内へのRNAi剤の浸透を増強するために、使用される。例えば、リポソームは、局所的に塗布することができる。リポソームとして製剤化された薬物の皮膚への局所的な送達は、文献 に報告されている(例えば、Weiner et al., (1992) Journal of Drug Targeting, vol. 2,405-410およびdu Plessis et al., (1992) Antiviral Research, 18:259-265、Mannino, R. J. and Fould-Fogerite, S., (1998) Biotechniques 6:682-690、Itani, T. et al., (1987) Gene 56:267-276、Nicolau, C. et al. (1987) Meth. Enzymol. 149:157-176、Straubinger, R. M. and Papahadjopoulos, D. (1983) Meth. Enzymol. 101:512-527、Wang, C. Y. and Huang, L., (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7851-7855を参照)。
【0561】
非イオン性リポソーム系は、特に非イオン性界面活性剤とコレステロールを含む系は、皮膚への薬物の送達におけるそれらの有用性を判定するためにも試験されてきた。マウスの皮膚の真皮内に薬物を送達するために、Novasome I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)およびNovasome II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10 -ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤が使用された。RNAi剤を含むこうした製剤は、皮膚障害を治療するのに有用である。
【0562】
RNAi剤を含むリポソームは、非常に変形可能に作製することができる。こうした変形能は、リポソームがリポソームの平均半径より小さい孔を通って浸透することを可能にする。例えば、トランスファーソーム(transfersome)は、変形可能なタイプのリポソームである。トランスファーソームは、表面エッジ活性化剤(surface edge activator)、通常は界面活性剤、を標準のリポソーム組成物に加えることによって作製することができる。RNAi剤を含むトランスファーソームは、RNAi剤を皮膚のケラチン生成細胞に送達するために、感染によって、例えば皮下に送達することができる。脂質ベシクルは、インタクトな哺乳動物の皮膚を通過するために、好適な経皮勾配の影響下において、それぞれが50nm未満の直径を有する一連の微細孔を通過しなければならない。加えて、脂質特性に起因して、これらトランスファーソームは、自己最適性(例えば、皮膚などにおいて、孔の形状に順応性のある)で、自己修復性であり得、ならびに断片化することなくそれらの標的に頻繁に到達することができ、また多くの場合、自己負荷性(self-loading)であり得る。
【0563】
本開示に適合する他の製剤は、PCT公開公報である国際公開第2008/042973号に記載されている。
【0564】
トランスファーソームは、さらに別のタイプのリポソームであり、薬物送達ビヒクルの関心ある候補である高度に変形可能な脂質凝集体である。トランスファーソームは、脂質滴であって、該脂質滴より小さい孔を通って容易に浸透することができるほど高度に変形可能である脂質滴として説明することができる。トランスファーソームは、それらが使用される環境に適応可能であり、例えば、それらは、自己最適性(皮膚において孔の形状に順応性のある)で、自己修復性であり、断片化することなくそれらの標的に頻繁に到達し、また多くの場合自己負荷性である。トランスファーソームを作製するために、表面エッジ活性化剤、通常は界面活性剤、を標準リポソーム組成物に加えることができる。トランスファーソームは、皮膚に血清アルブミンを送達するために使用されてきた。血清アルブミンのトランスファーソーム媒介送達は、血清アルブミンを含有する溶液の皮下注入と同じくらい有効であることが分かっている。
【0565】
界面活性剤は、本明細書において説明されるような製剤において、特にエマルション(マイクロエマルションを含む)およびリポソームにおいて、広い応用が見出される。天然および合成の、多くの異なるタイプの界面活性剤の特性を分類および格付けする最もよくある手法としては、親水性/親油性バランス(HLB)を使用するものがある。親水性基(「頭」としても知られる)の性質が、製剤中で使用される様々な界面活性剤を分類するのに最も有用な手段となる(Rieger, in Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., 1988, p. 285)。
【0566】
界面活性剤分子がイオン化されない場合、それらは、非イオン性界面活性剤として分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬品および化粧製品において広い応用が見出され、広範囲のpH値にわたって使用可能である。概して、それらのHLB値は、それらの構造に応じて2から約18の範囲である。非イオン性界面活性剤としては、非イオン性エステル、例えばエチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、およびエトキシ化エステルが挙げられる。例えば脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシ化アルコールおよびエトキシ化/プロポキシ化ブロックポリマーなどである非イオン性のアルカノールアミドおよびエーテルもまた、このクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤のクラスの最も普及した要素である。
【0567】
水に溶解または分散されたときに、界面活性剤分子が負電荷を保持する場合、界面活性剤は、アニオン性として分類される。アニオン性界面活性剤としては、例えばセッケンなどであるカルボン酸エステル、アシル乳酸エステル、アミノ酸のアシルアミド、例えばアルキル硫酸エステルおよびエトキシ化アルキル硫酸エステルなどである硫酸のエステル、アルキルベンゼンスルホン酸エステルなどであるスルホン酸エステル、アシルイセチオン酸エステル、アシルタウリン酸塩、およびスルホコハク酸塩、およびリン酸塩が挙げられる。アニオン性剤のクラスの最も重要な要素は、アルキル硫酸エステルおよびセッケンである。
【0568】
水に溶解または分散されたときに、界面活性剤分子が正電荷を保持する場合、界面活性剤は、カチオン性として分類される。カチオン性界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩およびエトキシ化アミンが挙げられる。第四級アンモニウム塩は、このクラスの最も使用される要素である。
【0569】
界面活性剤分子が、正電荷または負電荷のどちらかを保持する能力を有する場合、界面活性剤は、両性として分類される。両性界面活性剤としては、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N-アルキルベタインおよびホスファチドが挙げられる。
【0570】
薬品、製剤、およびエマルション中での界面活性剤の使用は、概説されている(Rieger, in Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., 1988, p. 285)。
【0571】
本開示の方法での使用のためのRNAi剤は、ミセル製剤としても提供することができる。「ミセル」は、本明細書においては、分子の全ての疎水性部分が内側に向くように両親媒性分子が球状構造で整列され、それによって親水性部分が周囲の水相に接触したままになる、特定のタイプの分子アセンブリとして定義される。環境が疎水性である場合、逆の配置で存在する。
【0572】
経皮的な膜を通る送達に好適な混合ミセル製剤は、siRNA組成物の水溶液と、アルカリ金属のC~C22アルキル硫酸塩と、ミセル形成化合物とを混合することによって調製され得る。例示的なミセル形成化合物としては、レシチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の薬学的に許容可能な塩、グリコール酸、乳酸、カモミール抽出物、キュウリ抽出物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノオレイン、モノオレエート、モノラウレート、ルリジサ油、月見草油、メントール、トリヒドロキシオキソコラニルグリシン(trihydroxy oxo cholanyl glycine)およびその薬学的に許容可能な塩、グリセリン、ポリグリセリン、リシン、ポリリジン、トリオレイン、ポリオキシエチレンエーテルおよびその類似体、ポリドカノールアルキルエーテルおよびその類似体、ケノデオキシコール酸塩(chenodeoxycholate)、デオキシコール酸塩、ならびにそれらの混合物が挙げられる。ミセル形成化合物は、アルカリ金属のアルキル硫酸塩と同時に加えてもよく、またはそれらを加えた後に加えてもよい。混合ミセルは、原材料の、実質的に任意の種類の混合によって形成されることとなるが、より小さいサイズのミセルを提供するために激しい混合によって形成されることとなる。
【0573】
一方法では、siRNA組成物と少なくともアルカリ金属のアルキル硫酸塩とを含む第一のミセル組成物が調製される。次いで、第一のミセル組成物を、少なくとも三種のミセル形成化合物と混合し、混合ミセル組成物を形成する。別の方法では、ミセル組成物は、siRNA組成物とアルカリ金属のアルキル硫酸塩と、ミセル形成化合物のうちの少なくとも一つとを混合して、その後に激しく混合しながら、残りのミセル形成化合物を加えることによって調製される。
【0574】
製剤を安定化させるため、および細菌増殖から保護するために、フェノールまたはm-クレゾールを混合ミセル組成物に加えてもよい。あるいは、フェノールまたはm-クレゾールを、ミセル形成原材料と共に加えてもよい。グリセリンなどの等張剤を、混合ミセル組成物の形成後に加えてもよい。
【0575】
ミセル製剤を噴霧剤として送達する場合には、当該製剤を、エアゾールディスペンサーに入れることができ、そしてディスペンサーには、噴射剤が装填される。噴射剤は、加圧されており、ディスペンサー中では液体状態である。原材料の比率は、水相および噴射剤の相が一つになるように、すなわち、一相で存在するように、調節される。二相で存在する場合には、例えば、計量弁などによって、内容物の一部を噴出する前に、ディスペンサーを振る必要がある。医薬品の分配用量が、微細な噴霧で計量弁から射出される。
【0576】
噴射剤は、含水素クロロフルオロカーボン、含水素フルオロカーボン、ジメチルエーテル、およびジエチルエーテルを含み得る。特定の実施形態では、HFA 134a(1,1,1,2テトラフルオロエタン)が使用され得る。
【0577】
必須の原材料の特定の濃度は、比較的簡単な実験によって決定することができる。口腔による吸収の場合には、注射でのまたは胃腸管経由の投与のための投与量を、例えば、少なくとも二倍または三倍に、増加させることが望ましいことが多い。
【0578】
脂質粒子
RNAi剤は、例えば、本開示のdsRNAは、例えば、LNPなどである脂質製剤において、または他の核酸-脂質粒子において、完全にカプセル化され得る。
【0579】
本明細書において使用される場合、「LNP」という用語は、安定な核酸-脂質粒子を指す。LNPは、典型的には、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および粒子の凝集を防ぐ脂質(例えば、PEG-脂質コンジュゲート)を含有する。LNPは、静脈(i.v.)注射後に循環寿命の延長を呈し、遠位部位(例えば、投与部位から物理的に離れた部位)において蓄積するため、全身投与に極めて有用である。LNPは、「pSPLP」を含むものであり、それは国際公開第 00/03683号に記載されるようなカプセル化された縮合剤-核酸複合体を含む。本開示の粒子は、典型的には、平均粒径が約50 nmから約150nmであり、より典型的には約60nmから約130nm、より典型的には約70 nmから約110nmであり、最も典型的には約70nmから約90nmであり、また実質的には無毒性である。加えて、核酸は、本開示の核酸-脂質粒子中に存在する場合、水溶液中において、ヌクレアーゼによる分解に対して抵抗性を有する。核酸-脂質粒子およびその調製方法は、例えば、米国特許第5,976,567号、第5,981,501号、第6,534,484号、第6,586,410号、第6,815,432号、米国特許出願公開第2010/0324120号、および国際公開第96/40964号において開示されている。
【0580】
一実施形態では、薬物に対する脂質の比(質量/質量比)(例えば、dsRNAに対する脂質の比)は、約1:1から約50:1、約1:1から約25:1、約3:1から約15:1、約4:1から約10:1、約5:1から約9:1、または約6:1から約9:1の範囲とすることとなる。上記に列記した範囲の中間にある範囲も、本開示の一部であることが企図される。
【0581】
RNAi剤の送達用のある特定のLNP製剤は、当技術分野において記述されてきたものであり、例えば、国際公開第2008/042973号において説明されるような例えば、「LNP01」製剤が挙げられ、当該公開公報は参照により本明細書に組み込まれる。
【0582】
さらなる例示的な脂質-dsRNA製剤を、下記の表で特定している。
【表1-1】
【表1-2】
DSPC: ジステアロイルホスファチジルコリン
DPPC: ジパルミトイルホスファチジルコリン
PEG-DMG: PEG-ジジミリストイルグリセロール(C14-PEG、またはPEG-C14)(平均分子量2000のPEG)
PEG-DSG: PEG-ジスチリルグリセロール(C18-PEG、またはPEG-C18)(平均分子量2000のPEG)
PEG-cDMA:PEG-カルバモイル-1,2-ジミリスチルオキシプロピルアミン(平均分子量2000のPEG)
【0583】
製剤を含むSNALP(1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA))は、国際公開第2009/127060号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0584】
製剤を含むXTCは、国際公開第2010/088537号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0585】
製剤を含むMC3は、例えば、米国特許出願公開第2010/0324120号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0586】
製剤を含むALNY-100は、国際公開第2010/054406号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0587】
製剤を含むC12-200は、国際公開第2010/129709号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0588】
経口投与のための組成物および製剤には、粉末または顆粒、微粒子、ナノ粒子、水または非水性媒体中の懸濁剤または溶液、カプセル剤、ゲルカプセル剤、サシェ剤、錠剤またはミニ錠剤が含まれる。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤、または結合剤は、望ましい場合がある。一部の実施形態では、経口製剤は、本開示において取り上げるdsRNAが一つまたは複数の浸透促進剤、界面活性剤、およびキレート化剤と共に投与される製剤である。好適な界面活性剤としては、脂肪酸またはそのエステルもしくは塩、胆汁酸またはその塩が挙げられる。好適な胆汁酸/塩としては、ケノデオキシコール酸(CDCA)およびウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸(glucholic acid)、グリコール酸(glycholic acid)、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロ-24,25-ジヒドロ-フシジン酸ナトリウムおよびグリコジヒドロフシジン酸ナトリウムが挙げられる。好適な脂肪酸としては、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプリン酸、トリカプリン酸、モノオレイン、ジラウリン、1-モノカプリン酸グリセリル、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、またはモノグリセリド、ジグリセリド、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、ナトリウム)が挙げられる。一部の実施形態では、浸透促進剤の組合せが用いられ、例えば、胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸/塩である。例示的な組み合わせの一つには、ラウリン酸、カプリン酸、およびUDCAのナトリウム塩がある。さらに、浸透促進剤としては、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-20-セチルエーテルが挙げられる。本開示において取り上げるdsRNAは、噴霧された乾燥粒子などの粒状形態で、経口で送達することができ、またはマイクロ粒子またはナノ粒子を形成するために複合体化することができる。dsRNA複合体化薬剤としては、ポリ-アミノ酸、ポリイミン、ポリアクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリオキシエタン、ポリアルキルシアノアクリレート、カチオン化ゼラチン、アルブミン、デンプン、アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)およびデンプン、ポリアルキルシアノアクリレート、DEAE誘導ポリイミン、プルラン(pollulan)、セルロースおよびデンプンが挙げられる。好適な複合体化薬剤としては、キトサン、N-トリメチルキトサン、ポリ-L-リシン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリスペルミン、プロタミン、ポリビニルピリジン、ポリチオジエチルアミノメチルエチレンP(TDAE)、ポリアミノスチレン(例えば、p-アミノ)、ポリ(メチルシアノアクリレート)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシルシアノアクリレート)、DEAE-メタクリレート、DEAE-ヘキシルアクリレート、DEAE-アクリルアミド、DEAE-アルブミン、およびDEAEデキストラン、ポリメチルアクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリ(D,L-乳酸)、ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸(PLGA)、アルギン酸塩、およびポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。dsRNAのための経口製剤およびその調製は、米国特許第6,887,906号、米国特許出願公開第2003/0027780号、および米国特許第6,747,014号において詳細に記載されており、それぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0589】
肺系送達のための組成物は、例えば、鼻腔内または経口吸入投与のための水溶液、例えば、脂質(リポソーム、ニオソーム、マイクロエマルション、脂質ミセル、固体脂質ナノ粒子)またはポリマー(高分子ミセル、デンドリマー、高分子ナノ粒子、ノノゲル、ナノカプセル)から構成される好適な担体、例えば、経口吸入投与のためのアジュバントを含み得る。水性組成物は滅菌されてもよく、緩衝剤、希釈剤、吸収促進剤、および他の適切な添加剤を任意選択で含有してもよい。
【0590】
非経口、実質内(脳内へ)、髄腔内、脳室内、または肝内への投与のための組成物および製剤は、緩衝剤、希釈剤、および他の好適な添加剤、例えばこれらに限定されるものではないが、浸透促進剤、担体化合物、および他の薬学的に許容可能な担体または賦形剤などを含むことができる滅菌水溶液を含むことができる。
【0591】
本開示の医薬組成物は、これに限定されるものではないが、溶液、エマルション、およびリポソームを含有する製剤を含む。これら組成物は、予め形成した液体、自己乳化型固体、および自己乳化型半固体を含めるがこれらに限定されない様々な構成要素から生成することができる。特に好ましいのは、APP関連疾患または障害を処置する場合において脳を標的化する製剤である。
【0592】
本開示の医薬製剤は、単位剤形において簡便にもたらされ得、製薬産業において周知の従来技術に従って調製することができる。こうした技術としては、活性成分を医薬担体または賦形剤と会合させる工程を含む。概して、製剤は、活性成分を液体担体または微粉化された固体担体またはその両方と均一にかつ密接に混合し、次いで、必要であれば、生成 物を成形することによって調製される。
【0593】
本開示の組成物は、例えば、これらに限定されるものではないが、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、軟質ゲル剤、坐剤、および浣腸剤などの多くの可能な剤形のいずれかへと製剤化することができる。本開示の組成物は、水性媒体、非水性媒体、または混合媒体中の懸濁剤として製剤化することもできる。水性懸濁剤は、懸濁剤の粘度を増加させる物質を、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどをさらに含有することができる。懸濁液はまた、安定剤を含有し得る。
【0594】
さらなる製剤
i.エマルション
本発明の組成物は、エマルションとして調製および製剤化することができる。エマルションは、典型的には、一方の液体が、通常直径0.1μmを超える液滴の形態でのもう一方の液体中に分散した不均一系である(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Allen, LV., Popovich NG., and Ansel HC., 2004, Lippincott Williams & Wilkins (8th ed.), New York, NY、Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 199、Rosoff, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., Volume 1, p. 245、Block in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 2, p. 335、Higuchi et al., in Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1985, p. 301を参照)。エマルションは、多くの場合、互いに密に混合し分散した二つの不混和性液相を含む二相系である。概して、エマルションは、油中水型(w/o)または水中油型(o/w)のいずれかのものであり得る。水相が、細かく分かれて微細な液滴として大量の油相中に分散している場合、その結果として得られる組成物を、油中水型(w/o)エマルションと呼ぶ。あるいは、油相が、細かく分かれて微細な液滴として大量の水相中に分散している場合、その結果として得られる組成物を、水中油型(o/w)エマルションと呼ぶ。エマルションは、分散相と、水相、油相、または別個の相としてのそれ自体のいずれかの中に溶液として存在し得る活性薬物とに加えて、追加的な成分を含有し得る。乳化剤、安定剤、色素、および抗酸化剤などの医薬賦形剤も、必要に応じてエマルション中に存在していてもよい。医薬エマルションは、例えば、油中水中油型(o/w/o)および水中油中水型(w/o/w)エマルションの場合などで、二相以上で構成される多相エマルションでもあってもよい。こうした複合剤形によれば、多くの場合、単純な二相エマルションでは与えられない一定の利点がもたらされる。w/o/wエマルションは、o/wエマルションの個々の油滴が小水滴を封入する多相エマルションにより構成される。同様に、o/w/oエマルションは、連続油相中で安定化した水の小滴中に封入された油滴の系によりもたらされる。
【0595】
エマルションは、熱力学的安定性がほとんどないかまたは全くないことが特徴である。多くの場合、エマルションの分散相または不連続相は、外部相または連続相中に良好に分散しており、乳化剤または製剤の粘度によってこの形態で維持される。エマルションを安定化させる他の手段としては、該エマルションのいずれかの相に組み込まれ得る乳化剤の使用を必要とする。乳化剤は、以下の四つのカテゴリ、合成界面活性剤、天然乳化剤、吸収基剤、および微細分散固体、に大きく分類することができる(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Allen, LV., Popovich NG., and Ansel HC., 2004, Lippincott Williams & Wilkins (8th ed.), New York, NY、Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 199を参照)。
【0596】
表面活性剤としても知られる合成界面活性剤は、エマルションの剤形において広い適用可能性が見出されており、文献において検討されてきている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Allen, LV., Popovich NG., and Ansel HC., 2004, Lippincott Williams & Wilkins (8th ed.), New York, NY、Rieger, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 285、Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., 1988, volume 1, p. 199を参照)。界面活性剤は、典型的には両親媒性であるので、親水性部分および疎水性部分を含む。界面活性剤の疎水性に対する親水性の比は、親水性/親油性バランス(HLB)と命名されており、製剤の調製において界面活性剤を分類および選択する際の有益なツールである。界面活性剤は、親水性基の性質に基づいて以下の異なるクラス、非イオン性、アニオン性、カチオン性、および両性に分類することができる(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Allen, LV., Popovich NG., and Ansel HC., 2004, Lippincott Williams & Wilkins (8th ed.), New York, NY Rieger, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 285を参照)。
【0597】
非常に多様な非乳化材料もまた、エマルション製剤に含まれて、エマルションの特性に寄与する。これらとしては、脂肪、油、ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、湿潤剤、親水性コロイド、保存剤、および抗酸化剤が挙げられる(Block, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 335、Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 199)。
【0598】
皮膚、経口、および非経口経路によるエマルション製剤の適用ならびにそれらの製造方法は、文献において検討されてきている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Allen, LV., Popovich NG., and Ansel HC., 2004, Lippincott Williams & Wilkins (8th ed.), New York, NY、Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 199を参照)。
【0599】
ii.マイクロエマルション
本発明の一実施形態では、iRNAおよび核酸の組成物は、マイクロエマルションとして製剤化される。マイクロエマルションは、単一の、光学的等方性で熱力学的に安定した液体溶液である、水、油、および両親媒性物質の系として規定され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Allen, LV., Popovich NG., and Ansel HC., 2004, Lippincott Williams & Wilkins (8th ed.), New York, NY、Rosoff, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 245を参照)。典型的には、マイクロエマルションは、はじめに油を界面活性剤水溶液に分散させ、次いで十分な量の第四の成分、概して中鎖のアルコール、を加えて透明な系を形成することによって調製される系である。したがって、マイクロエマルションはまた、表面活性分子の界面膜によって安定化される、二つの不混和性液体の熱力学的に安定で等方的に透明な分散液として説明されてもいる(Leung and Shah, in: Controlled Release of Drugs: Polymers and Aggregate Systems, Rosoff, M., Ed., 1989, VCH Publishers, New York, pages 185-215)。
【0600】
iii.マイクロ粒子
本発明のiRNAは、粒子、例えば微粒子、に組み込まれてもよい。マイクロ粒子は、噴霧乾燥によって製造することができるが、凍結乾燥、蒸発、流動床乾燥、真空乾燥、またはこれらの技術の組み合わせなどの他の方法によっても製造され得る。
【0601】
iv.浸透促進剤
一実施形態では、本発明は、核酸の、特にiRNAの、動物の皮膚への効率的な送達を有効にするために、様々な浸透促進剤を採用する。大部分の薬物は、イオン化形態および非イオン化形態の両方で溶液中に存在する。しかしながら、通常、脂溶性または親油性の薬剤のみが、細胞膜を容易に横断する。横断しようとする膜が、浸透促進剤で処理されていれば、非親油性薬剤であっても細胞膜を横断することができることが分かっている。浸透促進剤はまた、非親油性薬剤が細胞膜を横断して拡散するのを補助することに加えて、親油性薬剤の透過性も高める。
【0602】
浸透促進剤は、五つの広いカテゴリ、すなわち界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート化剤、および非キレート化非界面活性剤、のうちのひとつに属するものとして分類することができる(例えば、Malmsten, M. Surfactants and polymers in drug delivery, Informa Health Care, New York, NY, 2002、Lee et al., Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, p.92を参照)。上述の浸透促進剤の分類の各々、および医薬組成物の製造および医薬品の送達におけるそれらの使用は、当技術分野で周知である。
【0603】
v.賦形剤
担体化合物とは対照的に、「医薬担体」または「賦形剤」は、一つまたは複数の核酸を動物に送達する、薬学的に許容される溶媒、懸濁剤または任意の他の薬理学的に不活性なビヒクルである。賦形剤は、液体または固体であり得、核酸および所定の医薬組成物を他の成分と併用される場合に、所望の体積、稠度などをもたらするように計画された投与の様式を念頭において選択される。こうした薬剤は、当技術分野で周知である。
【0604】
vi.他の成分
本発明の組成物は、医薬組成物中で従来見られた他の補助成分を、その技術分野で確立されたそれらの使用レベルにおいて追加的に含有することができる。したがって、例えば、組成物は、追加的な、適合性の、薬学的に活性な材料、例えば止痒剤、収れん剤、局部麻酔剤、もしくは抗炎症剤などを含有することができ、または本発明の組成物の様々な剤形を物理的に製剤化する際に有用な追加的な材料、例えば色素、香味剤、防腐剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤、および安定剤などを含有することができる。ただし、こうした材料は、添加したときに、本発明の組成物の成分の生物活性を過度に妨害すべきではない。製剤は、滅菌され、また所望により、例えば潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤、着色剤、香味剤、または芳香物質などである、製剤の核酸と有害に相互作用しない補助剤と混合してもよい。
【0605】
水性懸濁液は、懸濁液の粘度を増加する物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどを含有することができる。懸濁液はまた、安定剤を含有し得る。
【0606】
一部の実施形態では、本発明において取り上げる医薬組成物は、(a)一または複数のiRNA、および(b)非iRNAの機序によって機能し、STAT6関連障害を治療する際に有用である、一つまたは複数の薬剤を含む。こうした薬剤の例には、抗炎症剤(例えば、全身性コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、抗コリン剤、β2アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染剤(例えば、抗生物質または抗ウイルス剤)、抗ヒスタミン薬、免疫調節因子(例えば、免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン、シクロホスファミド)、ホスホジエステラーゼ-5阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、ニンテダニブ)、抗線維化剤(例えば、ピルフェニドン)、および前述のいずれかの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0607】
こうした化合物の毒性および予防効果は、例えばLD50(集団のうちの50%に致死的である用量)およびED50(集団のうちの50%において予防的に有効な用量)を判定するために、細胞培養物または実験動物において標準的な薬学的手順によって判定することができる。毒性と治療効果との間の用量比は、治療指数となり、LD50/ED50の比として表すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。
【0608】
細胞培養アッセイおよび動物試験から得たデータは、ヒトにおける使用のための範囲の投与量を製剤化する際に使用することができる。本発明における本明細書において取り上げる組成物の投与量は、概して、わずかな毒性であるかまたは毒性が全くない、例えばED80またはED90などであるED50を含む血中濃度の範囲内である。投与量は、用いる剤形および利用する投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。本発明において取り上げる方法で使用される任意の化合物に関して、最初に、細胞培養アッセイから予防的に有効な用量を見積もることができる。細胞培養において決定されたIC50(すなわち、症状の最大半量阻害を達成する試験化合物の濃度)またはより高い阻害レベルを含む、化合物の、または適切な場合には、標的配列のポリペプチド産物の循環血漿濃度の範囲を達成する(例えば、ポリペプチドの濃度減少を達成する)ように、用量を動物モデルにおいて計画することができる。こうした情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に判定するために使用することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって、測定することができる。
【0609】
それらの投与に加えて、上述したように、本発明において取り上げるiRNAは、STAT6関連障害、例えば、原発性高シュウ酸尿症の予防または治療に使用される他の公知の薬剤と併用して投与することができる。いずれにしても、投与する医師は、当技術分野で公知であるかまたは本明細書で記載した、有効性の標準的尺度を使用して観察された結果に基づいて、iRNA投与の量およびタイミングを調整することができる。
【0610】
VI.STAT6発現を阻害する方法
本発明はまた、細胞内でSTAT6遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。この方法は、細胞を、細胞内でSTAT6の発現を阻害するのに有効である量のRNAi剤、例えば二本鎖RNA剤と接触させ、それによって細胞におけるSTAT6の発現を阻害することを含む。本開示の特定の実施形態では、MUC5B遺伝子の発現は、肺系(例えば、肺、気管支、肺胞)細胞において優先的に阻害される。本開示の他の実施形態では、STAT6遺伝子の発現は肝臓(例えば、肝細胞)で優先的に阻害される。本開示の特定の実施形態では、STAT6遺伝子の発現は、肺系(例えば、肺、気管支、肺胞)細胞および肝臓(例えば、肝細胞)細胞において阻害される。
【0611】
細胞の、iRNAとの、例えば、二本鎖RNA剤との接触は、インビトロまたはインビボで行うことができる。細胞をインビボでiRNA剤と接触させることは、対象内の、例えば、ヒト対象内の細胞または細胞の群をiRNAと接触させることを含む。インビトロおよびインビボで細胞を接触させる方法を組み合せることも可能である。細胞を接触させることは、上記に記載したように直接的であっても間接的であってもよい。さらに、細胞を接触させることは、本明細書に記載する、または当技術分野で公知の任意のリガンドをはじめとするターゲティングリガンドを介して達成できる。一部の実施形態では、標的リガンドは、親油性部分、例えばC16、および/もしくは炭水化物部分、例えばGalNAcリガンドであるか、またはRNAi剤を目的の部位に向ける任意の他のリガンドである。特定の実施形態では、リガンドはコレステロール部分ではない。特定の実施形態では、RNAi剤は、標的リガンドを含まない。
【0612】
「阻害すること」という用語は、本明細書で使用する場合、「低減すること」、「サイレンシングすること」、「下方制御すること」、「抑制すること」および他の同様の用語と区別なく使用され、いずれかのレベルの阻害を含む。
【0613】
「STAT6の発現を阻害すること」という語句は、任意のSTAT6遺伝子(例えば、マウスSTAT6遺伝子、ラットSTAT6遺伝子、サルSTAT6遺伝子、またはヒトSTAT6遺伝子)、ならびにSTAT6遺伝子のバリアントまたは変異体の発現の阻害を指すことが意図されている。したがって、STAT6遺伝子は、遺伝子操作された細胞、細胞の群または生物の文脈で、野生型STAT6遺伝子、変異STAT6遺伝子、または遺伝子導入STAT6遺伝子であり得る。
【0614】
「STAT6遺伝子の発現を阻害すること」は、任意のレベルでのSTAT6遺伝子の阻害、例えばSTAT6遺伝子の発現の少なくとも部分的抑制を含む。STAT6遺伝子の発現は、STAT6遺伝子発現と関連する任意の変数、例えばSTAT6 mRNAレベルもしくはSTAT6タンパク質レベルなどの、レベル、またはレベルの変化に基づいて評価され得る。
【0615】
阻害は、対照レベルと比較した、STAT6発現と関連する一つ以上の変数の絶対レベルまたは相対レベルの低下によって評価され得る。対照レベルは、当技術分野で利用される任意の種類の対照レベルであり得、例えば、投与前ベースラインレベル、または未処理であるかもしくは対照(例えば、バッファーのみの対照または不活性薬剤対照など)で処理された同様の対象、細胞もしくは試料から決定されるレベルであり得る。
【0616】
本発明の方法の一部の実施形態では、STAT6遺伝子の発現は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%、またはアッセイの検出レベルを下回るまで阻害される。一部の実施形態では、STAT6遺伝子の発現は、少なくとも70%阻害される。さらに、例えば脳などの他の組織中での発現の有意な阻害を伴うことのない、例えば肺および/または肝臓中などの特定の組織中でのSTAT6発現の阻害が所望される場合があることが理解される。一部の実施形態では、発現レベルは、適切な種に合致した細胞株において10nMのsiRNA濃度を有する実施例2に提供されるアッセイ方法を使用して決定される。
【0617】
特定の実施形態では、インビボでの発現の阻害は、例えばRNA発現の最低値で3mg/kgで、例えば単回投与として投与した場合に、ヒト遺伝子を発現するげっ歯類において、例えばヒト標的遺伝子(すなわち、STAT6)を発現するAAV感染マウスにおいて、ヒト遺伝子をノックダウンすることによって決定される。例えばRNA発現の最低値では3mg/kgで、例えば単回投与として投与後に、モデル動物系における内因性遺伝子の発現のノックダウンも判定することができる。当該系は、ヒト遺伝子とモデル動物遺伝子の核酸配列が十分に近いことによりヒトiRNAがモデル動物遺伝子の効果的なノックダウンをもたらす場合に有用である。肝臓におけるRNA発現は、実施例2に提供されるPCR法を使用して判定される。
【0618】
STAT6遺伝子の発現の阻害は、第一の細胞または細胞の群と実質的に同一であるが、そのように処理されていない第二の細胞または細胞の群(iRNAで処理されていない、または目的の遺伝子を標的とするiRNAで処理されていない対照細胞)と比較して、STAT6遺伝子が転写され、STAT6遺伝子の発現が阻害されるように処理(例えば、細胞を本発明のiRNAと接触させることによって、または本発明のiRNAを、細胞が存在しているもしくは存在していた対象に投与することによって)されている第一の細胞または細胞の群(このような細胞は、例えば、対象に由来する試料中に存在し得る)によって発現されるmRNAの量の低減によって現れ得る。一部の実施形態では、阻害は、種が一致する細胞株において例えば10nMのsiRNA濃度を使用して、および以下の式を使用して処理細胞中のmRNAのレベルを対照細胞中のmRNAのレベルの百分率として表現することによって、実施例2に提供される方法によって評価される:
【数1】
【0619】
他の実施形態では、STAT6遺伝子の発現の阻害は、例えば対象からの血液または血清中のSTAT6タンパク質レベルなど、STAT6遺伝子発現に機能的に結びついたパラメータの減少の観点から評価され得る。STAT6遺伝子サイレンシングは、発現コンストラクトからの内因性または異種性いずれかのSTAT6を発現する任意の細胞において、当技術分野で公知の任意のアッセイによって決定され得る。
【0620】
STAT6タンパク質の発現の阻害は、細胞または細胞の群によって、または対象の試料中において発現されるSTAT6タンパク質のレベル(例えば、対象に由来する試料中のタンパク質のレベル)の低減によって現れ得る。上記において説明したように、mRNA抑制の評価のために、処理した細胞または細胞の群におけるタンパク質発現レベルの阻害を、同様に、対照の細胞または細胞の群におけるタンパク質のレベルの、または例えば対象由来の呼吸系の試料、例えば、喀痰試料または鼻腔スワブなどの対象の試料中のタンパク質レベルの変化の百分率として表すことができる。
【0621】
STAT6遺伝子の発現の阻害を評価するために使用できる対照の細胞、細胞の群、または対象の試料には、本発明のRNAi剤とまだ接触していない細胞、細胞の群または対象の試料が含まれる。例えば、対照の細胞、細胞の群、または対象の試料は、RNAi剤を用いる対象の処理の前の個々の対象(例えば、ヒトまたは動物対象)またはある適切に合致する集団の対照に由来し得る。
【0622】
細胞または細胞の群によって発現されるSTAT6 mRNAのレベルは、mRNA発現を評価するための当技術分野で公知の任意の方法を使用して決定できる。一実施形態では、試料中のSTAT6の発現レベルは、転写されたポリヌクレオチド、またはその一部を、例えばSTAT6遺伝子のmRNAを検出することによって決定される。RNAは、例えば酸フェノール/グアニジンイソチオシアネート抽出(RNAzol B; Biogenesis社)、RNeasy(商標)RNA調製キット(Qiagen(登録商標)社)またはPAXgene(商標)(PreAnalytix(商標)社、スイス国)を使用することを含む、RNA抽出技術を使用して細胞から抽出され得る。リボ核酸ハイブリダイゼーションを利用する典型的なアッセイ形式としては、核ラン-オンアッセイ、RT-PCR、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ、ノーザンブロッティング、インサイツハイブリダイゼーションおよびマイクロアレイ分析が挙げられる。
【0623】
一部の実施形態では、STAT6の発現レベルは、核酸プローブを使用して決定される。「プローブ」という用語は、本明細書において使用する場合、特定のSTAT6に選択的に結合可能である任意の分子を指す。プローブは、当業者によって合成できる、または適切な生物学的調製物から誘導できる。プローブは、標識されるように特異的に設計してもよい。プローブとして利用できる分子の例としては、これに限定されないが、RNA、DNA、タンパク質、抗体および有機分子が挙げられる。
【0624】
単離されたmRNAは、これに限定されるものではないが、サザン分析またはノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析およびプローブアレイをはじめとする、ハイブリダイゼーションアッセイまたは増幅アッセイにおいて使用することができる。mRNAレベルを決定する方法の一つとしては、単離されたmRNAを、STAT6 mRNAとハイブリダイズできる核酸分子(プローブ)と接触させることを含む。一実施形態では、例えば、単離されたmRNAをアガロースゲルにかけてmRNAをゲルから膜へ、例えばニトロセルロースに移行させることによって、mRNAを固体表面上に固定化し、プローブと接触させる。代替的な実施形態では、例えばAffymetrix(登録商標)遺伝子チップアレイにおいて、プローブを固体表面に固定化して、mRNAをプローブと接触させる。当業者ならば、公知のmRNA検出方法を、STAT6 mRNAのレベルを決定する際に使用するために容易に適応させることができる。
【0625】
試料中のSTAT6の発現レベルを決定する代替的な方法は、例えばRT-PCR(Mullisによる1987年の米国特許第4,683,202号に記載の試験的実施形態)、リガーゼ連鎖反応(Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193)、自家持続配列複製法(Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878)、転写増幅システム(Kwoh et al . (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177)、Q-ベータレプリカーゼ(Lizardi et al. (1988) Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardiらによる米国特許第5,854,033号)、または任意の他の核酸増幅法と、その後の当業者に周知の技術を使用した増幅分子の検出を行うことなどの、試料中の例えばmRNAの核酸増幅または反転転写(cDNAを調製するための)のプロセスを伴う。これら検出スキームは、特に、核酸分子が非常に少ない数で存在する場合に該核酸分子の検出のために有用である。本発明の特定の態様では、STAT6の発現レベルは、定量的な蛍光RT-PCR(すなわち、TaqMan(商標)システム)によって決定される。一部の実施形態では、発現レベルは、その種に合致した細胞系において、例えば10nMのsiRNA濃度を使用する実施例2に提供される方法で決定される。
【0626】
STAT6 mRNAの発現レベルは、メンブレンブロット(例えば、ノーザン、サザン、ドットなどといったハイブリダイゼーション分析において使用されるような)またはマイクロウェル、試料チューブ、ゲル、ビーズまたは繊維(または結合している核酸を含む任意の固相支持体)を使用して観察され得る。米国特許第5,770,722号、第5,874,219号、第5,744,305号、第5,677,195号、および第5,445,934号を参照されたく、これらは参照によって本明細書に組み込まれる。STAT6発現レベルの決定はまた、溶液中で核酸プローブを使用することを含み得る。
【0627】
一部の実施形態では、mRNA発現のレベルは、分枝DNA(bDNA)アッセイまたはリアルタイムPCR(qPCR)を使用して評価される。これら方法の使用は、本明細書において示す実施例において記載され、例示される。一部の実施形態では、発現レベルは、その種に一致した細胞株において、10nMのsiRNA濃度を使用する実施例2に提供される方法で決定される。
【0628】
STAT6タンパク質の発現レベルは、タンパク質レベルの測定のための当技術分野で公知の任意の方法を使用して決定され得る。こうした方法としては、例えば電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超拡散(hyperdiffusion)クロマトグラフィー、流体またはゲル沈降反応、吸収分光法、比色分析、分光学的定量法、フローサイトメトリー、免疫拡散法(一重または二重)、免疫電気泳動、ウエスタンブロッティング、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、電気化学発光アッセイなどが挙げられる。
【0629】
一部の実施形態では、本発明の方法の有効性は、STAT6 mRNAまたはタンパク質レベルの減少によって評価される(例えば、肺内、生検によって、または別の方法、例えば、喀痰試料もしくは鼻腔スワブ、または肝臓試料内、生検によって)。
【0630】
本発明の方法の一部の実施形態では、iRNAは、iRNAが、対象内の特定の部位に送達されるように対象に投与される。STAT6の発現の阻害は、対象(例えば、肝臓および/または肝臓細胞または呼吸系からの液状試料)内の特定の部位から流体または組織に由来する試料中のSTAT6 mRNAまたはSTAT6タンパク質のレベルの測定値または該レベルの変化を使用して評価され得る。
【0631】
本明細書において使用する場合、分析物のレベルを検出することまたは決定することという用語は、物質が、例えば、タンパク質、RNAが存在するか否かを決定する工程を実施することを意味すると理解される。本明細書において使用する場合、検出するまたは決定する方法は、使用する方法の検出のレベルを下回る分析物のレベルの検出または決定を含む。
【0632】
VII.本発明の予防および治療方法
本発明はまた、本発明のiRNA、または本発明のiRNAを含有する組成物を使用して、STAT6の発現を阻害し、それによってSTAT6関連障害、例えば、原発性高シュウ酸尿症および/または尿路結石を予防または治療する方法も提供する。本発明の方法においては、細胞をインビトロまたはインビボでsiRNAと接触させることができる、すなわち、細胞は対象内にあり得る。
【0633】
本発明の方法を使用した治療に適する細胞は、STAT6を発現する呼吸系の細胞などのSTAT6遺伝子を発現する任意の細胞であってもよい。本発明の方法での使用に適した細胞は、哺乳類細胞、例えば霊長類細胞(例えば、キメラ非ヒト動物中のヒト細胞をはじめとするヒト細胞、またはサル細胞もしくはチンパンジー細胞などの非ヒト霊長類細胞など)、または非霊長類細胞であり得る。特定の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。一実施形態では、細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト肺細胞である。一実施形態では、細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト肝臓細胞である。一実施形態では、細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト肺細胞およびヒト肝細胞である。
【0634】
STAT6発現は、細胞において、少なくとも約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99または約100%だけ、すなわち、検出レベル未満に、阻害される。特定の実施形態では、STAT6発現は、少なくとも50%阻害される。
【0635】
本発明のインビボでの方法は、対象に、iRNAを含有する組成物を投与することを含み得、該iRNAは、RNAi剤を投与しようとする哺乳類のSTAT6遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部と相補的であるヌクレオチド配列を含む。組成物は、当技術分野で公知の任意の手段によって投与され得るが、例えばこれに限定されるものではないが、経口、腹腔内、または頭蓋内(例えば、脳室内、実質内およびくも膜下腔内)、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、気道(エアロゾル)、鼻腔、直腸などの非経口経路、および局所(頬側および舌下を含む)投与が含まれる。特定の実施形態では、組成物は、静脈内への注入または注射によって投与される。特定の実施形態では、組成物は、皮下注射によって投与される。特定の実施形態では、組成物は、筋肉内注射によって投与される。特定の実施形態では、組成物は、肺送達、例えば、経口吸入または鼻腔内送達によって投与される。
【0636】
一部の実施形態では、投与は、蓄積注射による。蓄積注射は、長期的な時間にわたって一貫した態様でRNAi剤を放出し得る。したがって、蓄積注射は、所望の効果、例えば所望のSTAT6阻害または治療的もしくは予防的な効果を得るために必要とされる投薬の回数を減らすことができる。蓄積注射はまた、より一貫した血清濃度を提供することもできる。蓄積注射は、皮下注射または筋肉内注射を含み得る。好ましい実施形態では、蓄積注射は、皮下注射である。
【0637】
一実施形態では、二本鎖RNAi剤は、肺系投与、例えば、鼻腔内投与、または経口吸入投与によって投与される。肺系投与は、シリンジ、ドロッパ、霧化、または装置、例えば受動的呼吸駆動または能動的動力駆動の単回/複数回用量乾燥粉末吸入器(DPI)装置の使用を介してもよい。
【0638】
投与様式は、局所的な治療または全身的な治療のいずれが望まれるかに応じて、また処理しようとする面積に基づいて選択され得る。投与の経路および部位は、ターゲティングを増強するように選択され得る。
【0639】
一態様では、本発明はまた、哺乳類におけるSTAT6遺伝子の発現を阻害する方法も提供する。方法は、哺乳動物に、哺乳動物の細胞内においてSTAT6遺伝子を標的とするdsRNAを含む組成物を投与すること、および哺乳動物をSTAT6遺伝子のmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間の間維持し、それによって、細胞内においてSTAT6遺伝子の発現を阻害することを含む。遺伝子発現の低減は、当技術分野で公知の任意の方法によって、また例えば、実施例2にある、本明細書において記載される方法、例えば、qRT-PCRによって評価され得る。タンパク質産生の低減は、当技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、ELISAによって評価され得る。特定の実施形態では、肺生検試料が、STAT6遺伝子またはタンパク質の発現の減少を観察するための組織材料として機能する。
【0640】
本発明はまた、それを必要とする対象、例えば、呼吸器疾患などのSTAT6関連障害、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎と診断された対象における治療の方法をさらに提供する。
【0641】
本発明はさらに、それを必要とする対象における予防方法を提供する。本発明の治療方法は、対象に、例えばSTAT6発現の減少から利益を得るであろう対象に、STAT6遺伝子を標的とするdsRNAまたはSTAT6遺伝子を標的とするdsRNAを含む医薬組成物を予防有効量で、本発明のiRNAを投与することを含む。
【0642】
一態様では、本発明は、STAT6発現の減少から恩恵を受けることになる障害、例えば、呼吸器疾患などのSTAT6関連疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎を有する対象を治療するための方法を提供する。STAT6遺伝子発現の減少および/または阻害から恩恵から受けるであろう対象の治療には、治療治療(例えば、対象が、呼吸器疾患を有する)および予防的治療(例えば、対象が、呼吸器疾患を有していない、または対象が、呼吸器疾患を発生するリスクがある場合がある)が含まれる。
【0643】
一部の実施形態では、STAT6関連疾患は、呼吸器疾患である。
【0644】
他の実施形態では、STAT6関連疾患は喘息である。
【0645】
本発明のiRNAは、「遊離iRNA」として投与され得る。遊離iRNAは、医薬組成物の不在下で投与される。当該そのままのiRNAは、適したバッファー溶液中にあってもよい。該バッファー溶液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、またはリン酸塩、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。一実施形態では、バッファー溶液は、リン酸緩衝食塩水(PBS)である。iRNAを含有するバッファー溶液のpHおよびモル浸透圧濃度は、対象への投与に好適であるように調整され得る。
【0646】
あるいは、本発明のiRNAは、医薬組成物として、例えばdsRNAリポソーム製剤として、投与され得る。
【0647】
STAT6遺伝子発現の阻害から恩恵を受けるであろう対象は、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎などの呼吸器疾患などのSTAT6関連障害に感受性があるか、またはそれと診断された対象である。一実施形態では、方法は、標的STAT6遺伝子の発現が、用量当たり約1、2、3、4、5、6、1~6、1~3、または3~6か月などの間、減少するように、本明細書において取り上げる組成物を投与することを含む。特定の実施形態では、組成物は3~6か月に一回投与される。
【0648】
一実施形態では、本明細書において特徴付けられる方法および組成物にとって有用なiRNAは、標的STAT6遺伝子のRNA(一次またはプロセシングされた)を特異的に標的とする。iRNAを使用してこれら遺伝子の発現を阻害する組成物および方法は、本明細書に記載するように調製および実施され得る。
【0649】
本発明の方法によるiRNAの投与は、例えば、呼吸器疾患などのSTAT6関連障害、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、嚢胞性線維症、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、鼻炎、および副鼻腔炎の予防または治療をもたらし得る。
【0650】
対象には、治療量のiRNA、例えば約0.01mg/kg~約200mg/kgなどが投与され得る。
【0651】
一実施形態では、dsRNA剤は、肺系投与を介して対象に投与される。一実施形態では、肺系投与は、吸入または鼻腔内である。一部の実施形態では、iRNAは、皮下に、すなわち、皮下注射によって投与される。所望の用量のiRNAを対象に送達するために、一回または複数回の注射を使用してもよい。一定期間にわたって、注射を反復してもよい。
【0652】
投与を定期的に反復してもよい。特定の実施形態では、最初の治療レジメン後に、より少ない頻度で治療を施与することができる。反復投与レジメンとしては、例えば一か月に一回から一年に一回など、治療量のiRNAの定期的な投与を含み得る。特定の実施形態では、iRNAは、約一か月に一回から約三か月に一回、または約三か月に一回から約六か月に一回投与される。
【0653】
本発明は、さらに、STAT6遺伝子発現の低減および/または阻害から利益を得るであろう対象を、例えばSTAT6関連疾患がある対象を、治療するためのiRNA剤またはその医薬組成物の方法および使用を、他の医薬および/または他の治療方法と、例えば公知の医薬および/または公知の治療方法、例えばこれら障害を治療するために現在採用されているものなどと組み合わせて、提供する。
【0654】
したがって、本発明の一部の態様では、本発明の単一のiRNA剤のいずれかを含む方法は、対象に一つまたは複数の追加の治療薬を投与することをさらに含む。
【0655】
例えば、特定の実施形態では、STAT6を標的とするiRNAは、例えば、他の医薬品または他の治療方法、例えば、既知の医薬品、または例えば、これらの障害の治療に現在使用されているものなどの既知の治療方法と組み合わせて投与される。例えば、特定の実施形態では、STAT6を標的とするRNAi剤は、例えば本明細書において別の場所に記載されるような、またはそうでければ当技術分野で公知であるような、STAT6関連障害の治療に有用な薬剤と組み合わせて投与される。例えば、STAT6発現の低減から恩恵を受けることとなる対象を、例えば、STAT6関連障害を有する対象を治療するのに適した追加の薬剤および治療は、STAT6関連障害の症状を治療するために現在使用されている薬剤を含み得る。
【0656】
追加的な治療薬および治療の例には、抗炎症剤(例えば、全身性コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、抗コリン剤、β2アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染剤(例えば、抗生物質または抗ウイルス剤)、抗ヒスタミン薬、免疫調節因子(例えば、免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン、シクロホスファミド)、ホスホジエステラーゼ-5阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、ニンテダニブ)、抗線維化剤(例えば、ピルフェニドン)、および前述のいずれかの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0657】
RNAi剤および追加の治療薬は、同時にまたは同じ組み合わせで、例えば、肺系投与され得、または追加の治療薬は、別個の組成物の一部として、もしくは別個の時間で、または当技術分野で公知のもしくは本明細書に記載する別の方法によって投与され得る。
【0658】
VIII. キット
特定の態様においては、本開示は、例えば、二本鎖siRNA化合物またはsiRNA化合物であるsiRNA化合物(例えば、前駆体、例えば、siRNA化合物にプロセシングすることができるより大きなsiRNA化合物、または例えば、二本鎖siRNA化合物もしくはsiRNA化合物またはその前駆体であるssiRNA化合物をコードするDNA)の医薬製剤を含有する適切な容器を含むキットを提供する。
【0659】
こうしたキットは、一つまたは複数のdsRNA剤と、使用のための使用説明書、例えば、予防的有効量または治療有効量のdsRNA剤を投与するための説明書とを含む。dsRNA剤は、バイアル瓶または予め充填された注射器内にあり得る。キットは、随意に、dsRNA剤を投与するための手段(例えば、予め充填された注射器などの注入デバイス)、またはSTAT6の阻害を測定するための手段(例えば、STAT6 mRNA、STAT6タンパク質、および/またはSTAT6活性の阻害を測定するための手段)をさらに含んでもよい。こうしたSTAT6の阻害を測定する手段は、対象からの試料、例えば、細胞、組織、血液または肺系の試料を得るための手段を含み得る。本発明のキットは、随意に、治療有効量または予防有効量を決定するための手段をさらに含み得る。
【0660】
特定の実施形態では、医薬製剤の個々の成分は、一容器で、例えば、バイアル瓶または予め充填された注射器で提供され得る。あるいは、医薬製剤の成分を別々に二以上の容器で、例えば、siRNA化合物調製物用の一つの容器と担体化合物のための少なくとももう一つの容器とで、提供することが望ましいものであり得る。キットは、単一の箱内に一つまたは複数の容器などであるいくつかの様々な構成で包装され得る。この様々な構成要素は、例えば、キットと共に提供される使用説明書に従って、組み合わせることができる。当該構成要素は、例えば、医薬組成物を調製および投与するために、本明細書において説明した方法に従って組み合わせることができる。キットはまた、肺投与に適した装置、例えば、ネブライザー、定量吸入器、および乾燥粉末吸入器を含む経口吸入投与に適した装置などの送達装置を含み得る。
【0661】
本発明について、以下の実施例によってさらに説明するが、これらは限定として解釈されるべきではない。本願全体を通して引用されるすべての参考文献、特許公報、および公開された特許出願、ならびに非公式な配列表および図の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0662】
[実施例1]
iRNAの合成
【0663】
試薬の供給元
本明細書において試薬の供給元が具体的に与えられていない場合には、当該試薬は、分子生物学で応用するための品質/純度基準にある分子生物学用の試薬の任意の供給元から得ることができる。
【0664】
siRNAの設計
ヒトシグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)遺伝子(ヒト:NCBI refseqID NM_003153.5、NCBI GeneID: 6778)を標的とするsiRNAを、カスタムのRおよびPythonスクリプトを使用して設計した。ヒトNM_003153.5 REFSEQ mRNAは、長さが3963塩基である。
【0665】
非修飾STAT6のセンス鎖とアンチセンス鎖のヌクレオチド配列の詳細なリストを、表2に示す。この修飾されたSTAT6のセンス鎖とアンチセンス鎖のヌクレオチド配列の詳細なリストを、表3に示す。
【0666】
本願全体にわたって、小数のない二重鎖名は、小数付きの二重鎖名と同等であり、単に二重鎖のバッチ番号を指しているということを理解されたい。例えば、AD-959917は、AD-959917.1と同等である。
【0667】
siRNAの合成
siRNAを、当技術分野で公知の方法を使用して設計、合成、および調製した。
【0668】
簡潔に述べると、siRNA配列を、固体支持体上でホスホラミダイトの化学的性質を用いてMermade 192シンセサイザー(BioAutomation)を使用して1μmolスケールで合成した。固体支持体は、カスタムGalNAcリガンド(3’-GalNAcコンジュゲート)、ユニバーサル固体支持体(AM Chemicals社)、または目的の第一ヌクレオチドを装填した制御された細孔ガラス(500~1000Å)とした。補助合成試薬および標準的な2-シアノエチルホスホラミダイトモノマー(2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-メチル、RNA、DNA)を、Thermo-Fisher社(ウィスコンシン州ミルウォーキー)、Hongene社(中華人民共和国)、またはChemgenes社(米国マサチューセッツ州ウィルミントン)から取得した。追加のホスホラミダイトモノマーを、市販の供給元から調達するか、組織内で調製するか、または様々なCMOからのカスタム合成を使用して調達した。ホスホラミダイトを、アセトニトリルまたは9:1のアセトニトリル:DMFのいずれかの中で100mMの濃度で調製し、反応時間400秒で、5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT、アセトニトリル中0.25M)を使用して結合した。無水アセトニトリル/ピリジン(9:1v/v)中の3-((ジメチルアミノ-メチリデン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾール-3-チオン(DDTT、Chemgenes社(ウィルミントン、マサチューセッツ州、米国)より取得)の100mM溶液を使用して、ホスホロチオエート連結を生成した。酸化時間は5分であった。全ての配列を、DMT基の最終的な除去(「DMT-Off」)で合成した。
【0669】
固相合成が完了したら、固体支持したオリゴリボヌクレオチドを、96ウェルプレート中、室温で、300μLのメチルアミン(40%水溶液)で約2時間にわたって処理し、固体支持体から切断させ、その後追加的な塩基不安定性保護基をすべて除去した。tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)基で保護された任意の天然リボヌクレオチド連結(2’-OH)を含有する配列に関しては、TEA.3HF(トリエチルアミントリヒドロフルオリド)を使用して第二の脱保護工程を実施した。メチルアミン水溶液中の各オリゴヌクレオチド溶液に、200μLのジメチルスルホキシド(DMSO)および300μLのTEA.3HFを加えて、この溶液を60℃で約30分間インキュベートした。インキュベート後、プレートを室温まで自然に戻し、1mLの9:1アセトニトリル:エタノールまたは1:1エタノール:イソプロパノールの添加によって、粗オリゴヌクレオチドを沈殿させた。次いでプレートを4℃で45分間遠心分離し、上清を、マルチチャネルピペットの補助により慎重にデカントした。オリゴヌクレオチドペレットを、20mMのNaOAc中に再懸濁し、その後、オートサンプラー、UV検出器、電気伝導度計、およびフラクションコレクターを備えたAgilent LCシステム上で、HiTrap分子ふるいカラム(5mL、GE Healthcare社)を使用して脱塩した。脱塩したサンプルを96ウェルプレートに回収し、次いでLC-MSおよびUV分光分析法により分析して、それぞれで同一性を確認し、物質の量を定量した。
【0670】
一本鎖の二重化を、Tecan社のリキッドハンドリングロボットで行った。センス鎖とアンチセンス鎖のそれぞれの単鎖を、96ウェルプレートにおいて1×PBS中10μMの最終濃度まで等モル比で合わせて、このプレートを密封し、100℃で10分間インキュベートし、その後2~3時間かけてゆっくりと室温まで自然に戻した。各二重鎖の濃度および同一性を確認し、その後インビトロスクリーニングアッセイに利用した。
【0671】
[実施例2]
インビトロスクリーニング法
【0672】
細胞培養およびトランスフェクション
トランスフェクションのために、A549細胞を、10%のFBS(ATCC社)で補ったイーグル最小必須培地(Gibco社)中、5%のCO2雰囲気下、37℃で、ほぼコンフルエントまで増殖させてから、トリプシン化によりプレートから放出した。トランスフェクションを、ウェル当たり7.5μlのOpti-MEMと0.1μlのリポフェクタミンRNAiMAX(Invitrogen社、カリフォルニア州カールスバッド カタログ番号13778-150)を、96ウェルプレートの個々のウェルに、2.5μlの各siRNA二本鎖に、添加することによって実施した。次いで混合物を、室温で15分間インキュベートした。次いでsiRNA混合物に、約2×10個の細胞を含有する抗生物質を有さない完全増殖培地を40μl添加した。細胞を24時間インキュベートし、その後RNAの精製を行った。単回投与試験を、10nMの最終二本鎖濃度で実施した。
【0673】
DYNABEADS mRNA単離キット(Invitrogen(商標)社、部品番号:610-12)を使用した全RNAの単離
細胞を、ウェル当たり3μLのビーズを含有する75μlの溶解/結合バッファー中で溶解し、静電式振とう機上で10分間混合した。洗浄工程は、磁気プレート支持体を使用して、Biotek EL406上で自動化した。ビーズを、バッファーA中で一回、バッファーB中で一回、およびバッファーE中で二回、それぞれの間に吸引工程を入れて洗浄した(90μL中で)。最後の吸引後、以下に説明するように、完全な10μLのRT混合物を各ウェルに加えた。
【0674】
ABI High capacity cDNA逆転写キット(Applied Biosystems社、カリフォルニア州フォスターシティ、カタログ番号#4368813)を用いたcDNA合成
1反応当たり、1μlの10×バッファー、0.4μlの25×dNTP、1μlのランダムプライマー、0.5μlの逆転写酵素、0.5μlのリボヌクレアーゼ阻害剤および6.6μlのHOのマスターミックスを、各ウェルに加えた。プレートを密封し、静電式振とう機で10分間振とうし、次いで37℃で2時間インキュベートした。その後、プレートを80℃で8分間振とうした。
【0675】
リアルタイムPCR
二マイクロリットル(μl)のcDNAを、384ウェルプレート(Roche社カタログ番号# 04887301001)において、ウェル当たり、0.5μlのヒトGAPDH TaqManプローブ(4326317E)、0.5μlのヒトSTAT6、2μlのヌクレアーゼを含まない水、および5μlのLightcycler 480プローブマスターミックス(Roche社カタログ番号#04887301001)を含有するマスターミックスに添加した。リアルタイムPCRは、LightCycler480リアルタイムPCRシステム(Roche社)において実施した。
【0676】
相対的な倍率変化を算出するために、データを、ΔΔCt法を使用して分析し、10nMのAD-1955でトランスフェクトされた細胞またはモックトランスフェクトされた細胞で実施されるアッセイに対して正規化する。IC50は、XLFitを使用して4パラメータの当てはめモデルを使用して計算し、AD-1955でトランスフェクトした細胞またはモックのトランスフェクト細胞に対して正規化する。AD-1955のセンス配列およびアンチセンス配列は、センスがcuuAcGcuGAGuAcuucGAdTsdT(配列番号18)であり、またアンチセンスがUCGAAGuACUcAGCGuAAGdTsdT(配列番号19)である。
【0677】
A549細胞における表2および3に列挙されるdsRNA剤のスクリーニングの結果が、表4に示されている。
【0678】
表1.核酸配列表現で使用されるヌクレオチドモノマーの略語。これらモノマーは、オリゴヌクレオチド中に存在するとき、5’-3’-ホスホジエステル結合によって相互に結合されることが理解され、またヌクレオチドが、2’-フルオロ修飾を含有するとき、そしてフルオロが親ヌクレオチド内のその位置においてヒドロキシを置換する(すなわち、2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオチドである)ことが理解されるであろう。
【表2-1】

【表2-2】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【0679】
均等物
当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態および方法に対する多くの均等物を認識するか、または通例の実験のみを使用して確認することができるであろう。こうした均等物は、添付の特許請求の範囲に包含されることを意図する。
【配列表】
2024519293000001.app
【国際調査報告】