(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】有機材料を処理するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/60 20220101AFI20240501BHJP
B01F 25/60 20220101ALI20240501BHJP
B01F 23/50 20220101ALI20240501BHJP
B01F 23/53 20220101ALI20240501BHJP
B01F 25/51 20220101ALI20240501BHJP
C02F 3/28 20230101ALI20240501BHJP
C02F 11/04 20060101ALI20240501BHJP
B01F 101/33 20220101ALN20240501BHJP
B01F 101/25 20220101ALN20240501BHJP
【FI】
B09B3/60
B01F25/60 ZAB
B01F23/50
B01F23/53
B01F25/51
C02F3/28 A
C02F11/04 Z
B01F101:33
B01F101:25
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568303
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 IB2022054156
(87)【国際公開番号】W WO2022234507
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522284085
【氏名又は名称】ドランコ,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】DRANCO, NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【住所又は居所原語表記】Dok Noord 4C, bus 3, 9000 Gent BELGIUM
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ピート ロードヴェイク マグダレナ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイルブルック,ヴェスレイ ジェニー レイモンド
【テーマコード(参考)】
4D004
4D040
4D059
4G035
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AC04
4D004BA04
4D004BA10
4D004CA18
4D004CB04
4D004CB44
4D004CC07
4D040AA01
4D040AA42
4D040AA53
4D059AA07
4D059AA08
4D059BA11
4D059BA48
4D059BJ11
4D059CC01
4G035AB49
4G035AC29
4G035AC33
(57)【要約】
有機材料を処理するための装置(1)であって、前記有機材料は高密度の成分を含有することもでき、前記装置(1)は、3つの消化スペース(3)と、処理されるべき有機材料を供給する入口(4)とを有するタンク(2)を備え、装置(1)は少なくとも2つの封止可能出口(5)を備え、それにより、一つ又はそれ以上の出口(5)が、少なくとも部分的に消化された有機材料を排出することを意図されている再利用用出口(5a)であり、少なくとも一つの出口(5)は、高密度の難消化性成分の少なくとも一部を排出することを目的とした残渣出口(5b)であることを特徴とし、前記残渣出口(5b)は、前記一つ又はそれ以上の再利用用出口(5a)よりも低い高さに位置している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機材料を処理するための装置であって、前記有機材料は高密度の成分を含有することもでき、前記装置は、消化スペース(3)と、処理されるべき前記有機材料を供給する入口(4)とを有するタンクを備え、
前記装置は、少なくとも2つの封止可能出口(5)を備え、それにより、一つ又はそれ以上の出口(5)が、少なくとも部分的に消化された有機材料を排出することを意図されている再利用用出口(5a)であることを特徴とし、少なくとも一つの出口(5)は、高密度の難消化成分の少なくとも一部を排出することを意図されている残渣出口(5b)であることを特徴とし、前記残渣出口は、前記一つ又はそれ以上の再利用用出口(5a)よりも低い高さに位置しており、それにより、前記装置(1)は、消化されるべき有機材料と、少なくとも部分的に消化された材料及び/又は外部接種材料とを混合し、入口(4)を経由して消化スペース(3)へ混合物質をポンプで輸送するための混合ポンプ(8)を含む、装置。
【請求項2】
高密度の成分を排出するための少なくとも一つの残渣出口(5b)は最低地にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
出口(5)間の距離A及び/又は高さHは、高密度の成分がタンク(2)から、主に残渣出口(2)を経由して除去されるようになっている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置(1)は、再利用用出口(5a)及び混合ポンプ(8)の間の接続を形成する一つ又はそれ以上の再利用パイプ(9)を備え、
上記再利用パイプ(9)は、少なくとも部分的に消化した材料を混合ポンプ(8)に排出することを意図しており、前記混合ポンプ(8)では、少なくとも部分的に消化された材料は、消化されるべき有機材料、及び/又は外部接種材料と混合される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置(1)は、少なくとも部分的に消化された材料に対する消化されうる有機材料の比を決定する手段を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置(1)は、消化スペース(3)における前記材料の粘度よりも低い粘度を有する流体を加える手段を備え、こうして、前記消化スペース(3)における前記材料の粘度は残渣出口(5b)から高密度の成分の排出を促進する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記一つ又はそれ以上の再利用パイプ(9)は、抽出流体を測定するための流量測定器(10)を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記流量測定器(10)及び封止可能出口(5)に接続している制御器(11)を備え、前記制御器(11)は前記封止可能出口(5)を制御し、前記タンク(2)から少なくとも部分的又は完全に消化された物質を抽出するために開き、そして、流量測定器(10)が前記タンク(2)からの所望の抽出流体が得られることを示したときに閉じる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記タンク(2)は、タンク(2)からのバイオガスを除去するための少なくとも一つのガス出口(7)を備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
有機材料を処理するために嫌気性消化が用いられる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記タンク(2)は、円錐形底部(6)を備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置(1)は、混合ポンプ(8)と、1つまたはそれ以上の再利用パイプ(9)との間の接合を形成する1つ又はそれ以上の戻りパイプ(18)を備え、それにより、混合ポンプ(8)は、少なくとも部分的に消化された材料又はその一部を、戻りパイプ(18)を経由し、再利用パイプ(9)にポンプで輸送し、閉塞を解消する、及び/又は高密度の成分の排出を加速する、請求項1乃至11に記載の装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の装置(1)を使用し、有機材料を処理し、高密度の難消化成分を分離する方法であって、
前記装置(1)を用意する工程と、
消化スペース(3)において、前記有機材料を少なくとも部分的に消化する工程と、
一つまたはそれ以上の再利用用出口(5a)を経由し、高密度の成分が少ない又は含まない少なくとも部分的に消化された材料を抽出する工程と、
高密度の成分の少なくとも一部を、残渣出口(5b)を経由して排出する工程とを含み、
それにより、消化スペース(3)に前記有機材料を供給する前に、前記有機材料は、少なくとも部分的に消化された材料と、及び/又は外部接種材料と、混合ポンプにおいて混合される、方法。
【請求項14】
高密度の成分が少ない又は含まない少なくとも部分的に消化された材料は、タンク(2)から、再利用パイプ(9)を経由し、混合ポンプ(8)に供給される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
高密度の成分は、抽出システム(12)により、残渣出口(5b)を経由して消化スペース(3)から除去される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
高密度の成分の排出は、定期的に、そして、連続的に又は断続的に起こる、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機材料を処理するための装置及び方法に関する。
【0002】
詳細には、本発明は有機材料を嫌気性消化することを目的としており、それによって高密度の成分が分離される。
【0003】
生分解性有機材料を嫌気性消化するためのさまざまな方法及び設備がすでに知られているが、有機材料は多くの場合、比較的重い高密度の成分を含有しており、これらの成分はタンク内で有機画分と一緒に消化される。その後、重い成分は少なくとも部分的に消化された有機材料とともに抽出システムによってタンクから除去され、その後混合システムで消化されるべき有機材料と混合され、その混合物は消化のためにタンクにポンプで戻される。
【0004】
したがって、前述の重い成分は最終的にタンク内に到達し、消化プロセスを数回経ることがある。それにより、設備に損傷を与えたり、抽出システム及び/又は混合システム及び/又はポンプの磨耗を早めたりすることがある。これにより、コストが高くなるだけでなく、業務にも支障をきたし得る。
【0005】
有機材料の消化プロセス中、出口の方向への重力の影響で、重い成分がタンクの底に沈降し、そこに堆積されることがある。
【0006】
これによる欠点は、抽出システム及び/又は混合システム及び/又はポンプの段階において閉塞が発生することがあることである。
【0007】
本発明の目的は、前述の問題点及び他の問題点に対する解決策を提供することである。
【0008】
この目的のため、本発明は、高密度の成分を含有することもある有機材料を処理するための装置に関する。前記装置は、消化スペースを有するタンクと、処理されるべき有機材料を供給するための入口とを備え、装置には少なくとも2つの封止可能出口が設けられ、一つ以上の出口は、少なくとも部分的に消化された有機材料を排出することを意図されている再利用用出口であり、また少なくとも一つの出口は、高密度の難消化成分の一部を排出することを目的とした残渣出口である。前記残留出口は、一つ以上の再利用用出口よりも低い高さに位置しており、それにより、前記装置は、消化されるべき有機材料と、少なくとも部分的に消化された材料及び/又は外部接種材料とを混合し、入口を経由して消化スペースへ混合物質をポンプで輸送するための混合ポンプを含む。
【0009】
これによる利点は、高密度の難消化成分を比較的簡単に装置から排出できることである。
【0010】
これにより、少なくとも部分的に消化された材料が少量排出されることがある。しかしながら、失われる少なくとも部分的に消化された材料の量は限られており、好ましくは、最小限である。
【0011】
別の利点は、前述の成分はタンクから取り除かれることにより、前述の成分に別の後処理を行うことができ、装置にそれ以上の損傷を与えることがなく、装置の磨耗も少ないことである。
【0012】
さらに別の利点は、高密度の成分を消化スペースから排出すると、この方法で消化スペース内の前述の成分の平均濃度が、消化されるべき有機材料中の前述の成分の平均濃度よりも低いレベルに低下するため、装置内での堆積や閉塞のリスクが大幅に軽減されることである。
【0013】
したがって、装置の動作信頼性が大幅に向上する。
【0014】
装置は、消化されるべき廃棄物を乾式消化によって消化することができ、消化スペース内の比較的高い乾物率、つまり高い粘度と、消化スペース内の低い乾物率の両方に対応する。これにより、高密度の成分は、自然に沈降し、及び/又はこのプロセスを促進することができる。
【0015】
高密度の成分を完全に又は未完全に排出することを意図するタンクの出口は、前述の成分が重力の影響で前記出口に沈降し、消化スペースから比較的容易に排出されるように、最低地(最も低い位置)にある出口が好ましい。
【0016】
出口間の距離は、高密度の成分が主に最低地にある出口を経由してタンクから除去され、高密度の成分が少ないか又は含まれない、少なくとも部分的に消化された有機材料が、より高い位置にある出口を経由して消化スペースから得られるような距離が好ましい。
【0017】
装置には、消化されるべき有機材料と、少なくとも部分的に消化された有機材料及び/又は外部接種材料とを混合し、少なくとも一つの入口を経由して消化スペースへ混合物質を輸送するための混合ポンプを備えることができる。
【0018】
これによる利点は、そのような接種材料が有機材料の処理を促進させることができることである。
【0019】
さらに、装置には、少なくとも部分的に消化された材料を混合ポンプに排出することを目的とした一つ又はそれ以上の再利用パイプを備えることができる。混合ポンプでは、少なくとも部分的に消化された材料が、消化されるべき有機材料及び/又は必要に応じて外部接種材料と混合され、次に、混合物質はその処理のためにタンクに追加することができる。
【0020】
これによる利点は、比較的純粋な画分、言い換えれば、高密度の成分が少ない又は含まれない少なくとも部分的に消化された有機材料が、再利用用出口及び/又は再利用パイプを経由して得られることである。得られる有機材料は、実質的に接種材料の用途として使用されることだけでなく、例えば堆肥の製造など必要に応じてさらなる処理のために排出されることが意図されている。
【0021】
さらなる利点は、少なくとも部分的に消化された材料は、消化されるべき有機材料への接種材料と見なしうるため、追加する必要がある外部接種材料はなし又は限られた量だけであり、装置が自給式となり得ることである。
【0022】
好ましい実施形態では、タンクは、装置の最適な運転を維持するため、タンクからバイオガスを除去するガス出口を備えている。
【0023】
一実施形態では、タンクには円錐形底部を備え、最低地の出口への高密度の成分の誘導を促す。
【0024】
実際の実施形態では、装置は、混合ポンプが一定の間隔で、必要に応じて自動で、少なくとも部分的に消化された材料を、一つ又はそれ以上の再利用パイプを経由して、消化スペースの方向又は混合ポンプの方向のいずれかにポンプで輸送することができるようにすることができる。
【0025】
これによる利点は、再利用パイプを通過し、混合ポンプによって生成される生成物の流れにより、再利用用出口や再利用パイプの閉塞を解消又は防止できることである。
【0026】
さらなる利点は、一つ又はそれ以上の再利用パイプを通過し、混合ポンプによって生成される生成物の流れにおいて、最低地の出口を経由及び/又は別の一つ又はそれ以上の再利用パイプを経由して抽出が同時にある場合、駆動力が発生することがあり、最低地の出口にそって高密度の成分の排出が加速されうることである。
【0027】
本発明はまた、有機材料を処理する方法に関し、高密度の成分を分離し、前述の装置を使用するものであり、前記方法は、以下の工程を含む;
-装置を用意する工程と、
-少なくとも一つの入口を経由して有機材料を消化スペースに供給する工程と、
-消化スペース内の有機材料を少なくとも部分的に消化する工程と、
-一つ又はそれ以上の再利用用出口を経由して、高密度の成分が少ないか又は含まない材料を抽出する工程と、
-残渣出口を経由いて、少なくとも一部の高密度の成分を排出する工程。
これにより、有機材料を消化スペースに供給する前に、有機材料は、少なくとも部分的に消化された材料及び/又は外部接種材料と混合ポンプ内で混合される。
【0028】
本発明による装置の方法は、有機材料を処理するための装置と同じ前述の利点を提供すると理解される。
【0029】
高密度の成分は、抽出システムによって、最低地の出口を経由して消化スペースから除去されうるため、装置への損傷や磨耗が最小限に抑えられる。
【0030】
この方法には、消化スペース内の高密度の成分の濃度低下が得られ、装置内の閉塞及び/又は堆積のリスクが大幅に減少し、装置の動作信頼性が大幅に向上するという利点がある。
【0031】
本発明の特徴をより分かり易く示すため、本発明による装置の好ましい実施形態及び方法の一例として、添付の図面を参照しながら以下に説明するが、以下の記載に限定されない。
図1は本発明による装置の正面模式図である。
図2は
図1の線II-IIに沿った断面図を示している。
【0032】
図1に示される装置(1)は、嫌気性消化によって有機材料を処理することを意図しており、それによって難消化性成分を装置(1)から分離することができる。
【0033】
有機材料とは、なかでも、生分解性廃棄物を意味すると理解され、液体であってもよいし液体でなくてもよいが、特に一般廃棄物の有機画分及び/又は食品廃液及び/又は農作物及び/又は緑の廃棄物及び/又は庭木の廃棄物などから完全に又は部分的に構成される。
【0034】
図1に示される装置は、消化スペース(3)及び消化される有機材料を供給するための入口(4)を備えたタンク(2)を含む。
【0035】
通常、そのような材料には比較的高密度の難消化性成分も含まれている。
【0036】
高密度とは、タンク(2)内の消化可能な廃棄物及び/又は少なくとも部分的に消化された材料の密度より少なくとも50%、好ましくは100%、最も好ましくは150%高い密度を有する成分を意味すると理解される。
【0037】
このタンク(2)は上部が閉鎖されることが好ましい。
【0038】
装置(1)は、少なくとも二つの封止可能出口(5)、
図1及び
図2の場合五つの出口(5)も備えている。
【0039】
タンク(2)の封止可能出口(5)は、それぞれ任意に出口(5)を開閉できるようにバルブを備えていることが好ましい。
【0040】
タンク(2)の少なくとも一つの出口(5)は、少なくとも部分的に消化された有機材料を消化スペース(3)から抽出することを意図しており、前記出口(5)は再利用用出口(5a)であり、少なくとも一つの出口(5)は、少なくとも一部の高密度の成分を排出することを意図としており、前記出口(5)は残渣出口(5b)である。
【0041】
ここで抽出とは、少なくとも部分的に消化された有機材料を消化スペース(3)から除去することを意味すると理解され、前記材料は実質的に接種材料として再利用されることが意図されている。
【0042】
ここで排出とは、少なくとも部分的に消化された有機材料及び/又は難消化の材料及び/又は高密度の成分を消化スペース(3)から除去することを意味すると理解され、これらの成分は、完全に又は未完全に、場合によってはさらなる処理のため装置から取り出される。
【0043】
高密度の成分を排出する目的は、特に、タンク(2)から成分を除去して、タンク(2)又は装置(1)の他の部分への損傷を軽減及び/又は防止することである。
【0044】
通常、高密度の成分を排出する場合、その成分が含まれる少なくとも部分的に消化された物質が限定的な量を排出される。
【0045】
これによって排出され、したがって失われる少なくとも部分的に消化された物質の量は最小限であることが好ましい。
【0046】
残渣出口(5b)は再利用用出口(5a)よりも低い位置にあり、残渣出口(5b)と再利用用出口(5a)との間は少なくとも高さH以上離れている。
【0047】
残渣出口(5b)と再利用用出口(5a)との間の距離Aは、高密度の成分が主に残渣出口(5b)を経由して分離されるような距離であることが好ましい。
【0048】
実質的に、高密度の成分を排出することを目的とした残渣出口(5b)は、したがって、最低地の出口であることが好ましい。
【0049】
実際の実施形態では、タンク(2)には円錐形底部(6)が設けられており、残渣出口(5b)は円錐形底部6の先端中央に位置していることが好ましい。
【0050】
残渣出口(5b)と複数の再利用用出口(5a)との間の距離Aも相互に異なることもある。
【0051】
したがって、残渣出口(5b)と複数の再利用口(5a)との間の距離A及び/又は高さHが同じである必要はない。
【0052】
消化スペース(3)は、想定上、消化されるべき有機材料及び/又は少なくとも部分的に消化された物質が存在し、高密度の成分濃度が消化スペース(3)内の平均より低いゾーンBと、部分的に消化された物質が存在し、高密度の成分濃度が消化スペース(3)内の平均よりも高いゾーンCとに分割することができ、ゾーンBとゾーンCとの間の遷移部は、ほぼ再利用用出口(5a)の高さに位置している。
【0053】
タンク(2)は、タンク(2)からバイオガスを除去するためのガス出口(7)も備え、前記ガス出口(7)は、
図1の場合、タンク(2)の上部の入口(4)の近くに位置することが好ましい。
【0054】
バイオガスは、有機廃棄物を嫌気性消化するときに放出されるガスを意味すると理解される。
【0055】
装置(1)は、消化されるべき有機材料と、少なくとも部分的に消化された材料及び/又は外部接種材料を混合し、混合物質を処理するために混合物質を入口(4)を経由して消化スペース(3)に輸送するための混合ポンプ(8)を備えることができる。
【0056】
少なくとも部分的に消化された材料はまた、接種材料として機能しうるため、装置(1)はこの点において自給式となり得る。
【0057】
混合される物質の粘度を所望の粘度、例えば、消化スペース(3)内の消化されるべき材料及び/又は少なくとも部分的に消化された材料の粘度よりも低い粘度にするために、好ましくは混合ポンプ(8)の高さ(level)で、少なくとも部分的に消化された物質及び/又は消化されるべき物質に水又は他の流体を添加することもできる。
【0058】
その結果、消化スペース(3)内の高密度の成分は、少なくとも部分的に消化された有機材料の中から残渣出口(5b)の方向により迅速に沈降することができ、前述の成分の最適な分離が得られる。
【0059】
さらに、再利用パイプ(9)の高さ(level)で、混合される物質に水又は他の流体を添加することもできる。
【0060】
しかしながら、所望の粘度は消化スペース(3)内の物質の粘度よりも高い可能性もある。
【0061】
この目的のために、装置(1)には、一つ又はそれ以上の再利用パイプ(9)、
図1及び
図2の例では四つの再利用パイプ(9)を備えることもでき、これらは、高密度の成分の含有量が少ない又は含まない、少なくとも部分的に消化された物質を混合ポンプ(8)に排出することを意図している。混合ポンプ(8)では少なくとも部分的に消化された材料と消化されるべき有機材料が混合され、その後混合ポンプ(8)は混合物質を消化スペース(3)に輸送することができる。
【0062】
各再利用パイプ(9)は、再利用用出口(5a)と混合ポンプ(8)との間の接続を形成し、高密度の成分の含有量が少ない又は含まない、少なくとも部分的に消化された材料を消化スペース(3)から混合ポンプ(8)に排出する。
【0063】
再利用用出口(5a)は、様々な方法で混合ポンプ(8)に接続することができ、再利用パイプ(9)は、少なくとも部分的に消化された有機材料をタンク(2)から、またタンク(2)へ移動させる手段として様々な方法で実現できると理解される。
【0064】
高密度の成分が少ない少なくとも部分的に消化された材料を抽出するために、再利用パイプ(9)は、例えば各再利用パイプ(9)に一つの排出ポンプ(13)のように、排出ポンプ(13)を備えることができる。
【0065】
装置(1)はまた、少なくとも部分的に消化された有機材料に対する消化されるべき有機材料の比を決定することができる手段を含むこともでき、この比は制御器(11)によって調整又は制御することができる。
【0066】
かかる手段には、例えば一つ又はそれ以上の流量測定器及び/又は流体及び/又は消化される材料などを加えるための一つ又はそれ以上の添加システムを含む。
【0067】
したがって、前述の再利用パイプ(9)には、抽出流量を測定するための流量測定器(10)、好ましくは各再利用パイプ(9)に一つの流量測定器(10)を備えることができる。
【0068】
装置(1)は、前述の流量測定器(10)及び封止可能出口に接続している制御器(11)を含むこともでき、それにより、制御器(11)は、封止可能出口を制御して、タンク(2)から少なくとも部分的に消化された物質を部分的又は完全に抽出するために開き、そして流量測定器(10)が所望の抽出流体がタンク(2)から抽出されたことを示したときに閉じる。
【0069】
制御器(11)は、混合ポンプ(8)及び/又は排出ポンプ(13)にも接続され、制御器(11)が混合ポンプ(8)及び/又は排出ポンプ(13)を制御して、混合物質及び/又は少なくとも部分的に消化された廃棄物を消化スペース(3)及び/又は混合ポンプ(8)へ供給できるようにすることが好ましい。
【0070】
高密度の成分は、抽出システム(12)によって残渣出口(5b)を経由して消化スペース(3)から除去することができ、場合によっては別の後処理のために排出されることがある。
【0071】
この目的のために、残渣出口(5b)は、一つ又はそれ以上の残渣パイプ(16)によって前述の抽出システム(12)に接続されることが好ましい。
【0072】
前記残渣パイプ(16)には、残渣出口(5b)を経由して消化スペース(3)から出る材料の流体を測定し、場合によっては記録するために、前述の流量測定器(10)を備えることができる。
【0073】
装置(1)には、消化スペース(3)から内容物を排出するための一つ又はそれ以上の排出パイプ(17)を備えることもできる。
【0074】
このような排出パイプ(17)は、消化スペース(3)及び/又は混合ポンプ(8)に接続することができ、及び/又は再利用パイプ(9)から分岐することができ、及び/又は残渣パイプ16及び/又は戻りパイプ(18)から分岐することができる。
【0075】
前述の排出パイプ(17)の目的は、閉塞を防止又は除去するために、内容物又はその一部を消化スペース(3)及び/又は混合ポンプ(8)及び/又は再利用パイプ(9)及び/又は残留パイプ16及び/又は戻りパイプ(18)から排出することである。
【0076】
このような排出パイプ(17)は、内容物又はその一部の品質を検査するため、及び/又は汚染及び/又は難消化性成分の量、及び/又は必要なその他の検査を行うために使用することもできる。
【0077】
実際の実施形態では、装置(1)には、混合ポンプ(8)と再利用パイプ(9)との間の接続を形成する一つ又はそれ以上の戻りパイプ(18)を備えることもでき、前記戻りパイプ(18)は、混合物質又はその一部が再利用パイプ(9)を通過して消化スペース(3)の方向又は混合ポンプ(8)の方向のいずれかに流れるようにすることを意図しており、閉塞を解消及び/又は防止する。
【0078】
これによるさらなる利点は、残渣出口(5b)を経て高密度の成分を排出する際、同時に、一つ又はそれ以上の再利用パイプ(9)及び/又は一つ又はそれ以上の再利用用出口(5a)を経て混合物質を供給すると、駆動力が発生し、残渣出口(5b)からの高密度の成分の排出を加速させることができ、及び/又は閉塞を解消及び/又は防止することができることである。
【0079】
前述の制御器(11)は、混合ポンプ(8)を制御して、混合物質又はその一部を戻りパイプ(18)に、そして一つ又はそれ以上の再利用パイプ(9)にポンプで輸送することもできる。
【0080】
好ましくは、制御器(11)は、混合ポンプ(8)を制御して、混合物質又はその一部を戻りパイプ(18)を経由して消化スペース(3)にポンプで送り、同時に高密度の成分が少ない又は含まれない、少なくとも部分的に消化された物質を、残りの一つ又はそれ以上の再利用用出口(5a)を経由して消化スペース(3)から抽出する。それにより、二つ又はそれ以上の再利用パイプ(9)の間の消化スペース(3)内に流れを作ることができ、さらに機動力が発生し、残渣出口(5b)からの高密度成分の排出を促進し、及び/又は閉塞を解決及び/又は防止することができる。
【0081】
好ましい実施形態では、制御器(11)は、混合ポンプ(8)及び/又は排出ポンプ(13)を制御して、定期的及び/又は所定の時間に、混合物質の少なくとも一部及び/又は少なくとも部分的に消化された廃棄物の少なくとも一部をポンプで輸送する。
【0082】
しかしながら、混合物質又はその一部を完全に又は完全ではないがポンプで輸送する時間と、少なくとも部分的に消化された廃棄物又はその一部を消化スペース(3)から排出する時間は、同じである必要はない。
【0083】
実際の実施形態では、再利用用出口(5a)から抽出される所望の流量は、タンクに加えられる流量から、ガス出口(7)及び残渣出口(5b)を経てタンク(2)から出る生成されたバイオガスの量及び少なくとも部分的に消化された材料の量を減じたと量と等しいか、又は実質的に等しい。
【0084】
好ましい実施形態では、有機材料を処理するために、装置(1)は嫌気性消化、好ましくは乾式消化を用いる。
【0085】
乾式消化とは、消化スペース(3)内の少なくとも部分的に消化された有機材料が、通常、少なくとも18%、好ましくは少なくとも15%、最も好ましくは少なくとも12%の乾燥した材料を含む有機材料の消化を意味すると理解される。
【0086】
例えば12%といった乾物率の最小値は、本発明の文脈では定義されておらず、少なくとも部分的に消化された有機材料の正確な組成及び/又は構造及び/又は粘度などによる。
【0087】
実際の実施形態では、本発明の範囲から逸脱しないかぎり、混合ポンプ(8)及び/又は入口(4)及び/又は再利用パイプ(9)及び/又は戻りパイプ(18)及び/又は残渣パイプ(17)及び/又はそれらと関連する出口(5b)は、相互に及び/又はタンク(2)と様々な方法で接続することができる。
【0088】
実際の実施形態では、装置(1)は、高密度の成分を排出するときに失われる少なくとも部分的に消化された材料が収集され、接種材料として供給されるように実行される、又は実行され得る。
【0089】
ここで、この少なくとも部分的に消化された材料は、接種材料として再利用される前に、高密度の成分を除去するために前処理されていることがある。
【0090】
本発明はまた、上述の装置を使用して有機材料を処理し、高密度の成分を分離する方法にも関し、前記方法は以下の工程を含む。
本発明による装置(1)を用意する。
有機材料を入口(4)を経由して消化スペース(3)に供給する。
消化スペース(3)内において、有機材料を少なくとも部分的に消化する。
高密度の成分が少ないか又は含まない少なくとも部分的に消化した材料を一つまたはそれ以上の再利用用出口(5a)を経由して抽出する。
高密度の成分の少なくとも一部を、残渣出口(5b)を経由して排出する。
【0091】
有機材料を消化スペース(3)に供給する前に、混合ポンプ(8)内で有機材料を少なくとも部分的に消化された材料と混合することができ、その後、混合物質を消化スペース(3)にポンプで輸送することができる。
【0092】
前記有機廃棄物は、混合ポンプ(8)を終点とする供給パイプ(14)によって供給することができ、前記供給パイプ(14)には、供給ポンプ(15)を備えることが好ましい。
【0093】
有機性廃棄物及び/又は混合物質の消化を促進するために、有機性廃棄物及び/又は混合物質に外部接種材料を供給することもできる。
【0094】
前記外部接種材料は、消化スペース(3)に直接供給されるか、又は混合ポンプ(8)での混合中に供給されるのが好ましい。
【0095】
少なくとも部分的に消化された、高密度の成分が少ない又は含まない材料は、消化スペース(3)からタンク(2)の再利用パイプ(9)を経由して混合ポンプ(8)に供給することができる。
【0096】
抽出システム(12)によって残渣出口(5b)を経由して消化スペース(3)から除去される、
高密度成分を高濃度に含む少なくとも部分的に消化された材料は、別個の後処理のために排出されることがある。
【0097】
本発明は、例として説明され、図に示された実施形態に決して限定されるものではなく、本発明による装置及び方法は、本発明の範囲から逸脱しない限り、あらゆる種類の形態及び規模で実現することができる。
【国際調査報告】