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特表2024-519314体内へのエネルギー送達構成要素の埋め込み誘導システム
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  • 特表-体内へのエネルギー送達構成要素の埋め込み誘導システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】体内へのエネルギー送達構成要素の埋め込み誘導システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/372 20060101AFI20240501BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20240501BHJP
【FI】
A61N1/372
A61B5/367
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568408
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 US2022027898
(87)【国際公開番号】W WO2022235953
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】17/308,400
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520414837
【氏名又は名称】ベクトル メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】クルメン ロバート ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4C053
4C127
【Fターム(参考)】
4C053KK02
4C053KK10
4C127AA02
4C127BB05
4C127GG10
4C127HH13
4C127HH16
4C127LL08
(57)【要約】
患者の心臓内の固定位置にて心臓ペーシングデバイスのエネルギー送達構成要素の埋め込みを誘導するためのシステムが提供される。エネルギーパルス送出構成要素を埋め込む処置の際、システムは、エネルギーパルス送出構成要素が心臓内の現在位置に位置付けられている間、エネルギーパルス送出構成要素のペーシング中に収集される患者の心電図を受信する。次にシステムは、患者の心電図に基づいてエネルギーパルス送出構成要素の現在位置を決定する。次いで、システムは、意図された固定位置へのエネルギーパルス送出構成要素の取り付けを誘導するために現在位置の指示を出力する。この処理は、エネルギーパルス送出構成要素が固定位置にくるまで繰り返される。またシステムは、中間位置のペーシングの有効性を評価して、ほぼリアルタイムでシステムのシミュレートされた電気機械工学に基づいて最終位置を最適化する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心臓内の固定位置での心臓デバイスのエネルギー送達構成要素の埋め込みを誘導するために1又は2以上のコンピューティングシステムによって実行される方法であって、前記心臓デバイスは、前記エネルギー送達構成要素にエネルギーを供給するエネルギー源構成要素を有し、
前記方法が、
前記エネルギー送達構成要素の埋め込み中に、繰り返して、
前記エネルギー送達構成要素が前記心臓内の現在位置に位置付けられている間、前記エネルギー送達構成要素のペーシング中に収集される患者の心電図を受信するステップと、
前記患者の心電図から、前記エネルギー送達構成要素の現在位置を決定するステップと、
前記固定位置での前記エネルギー送達構成要素の取り付けを誘導するために前記現在位置の指示を出力するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記出力するステップは、前記エネルギー送達構成要素の前記現在位置の指示と共に心臓の表現を表示するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表示された表現は更に、前記心臓へのエントリから前記固定位置までのターゲット経路の指示を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表示された表現は更に、前記ターゲット経路からの現在位置の逸脱の指示を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記決定するステップは、前記現在位置を識別するために前記患者の心電図に機械学習モデルを適用するステップを含み、前記機械学習モデルは、起動位置がラベル付けされたトレーニング心電図を含むトレーニングデータによってトレーニングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記トレーニング心電図は、起動位置が与えられた場合の心臓の電気的活動のシミュレーションから得られる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記トレーニング心電図は、患者から収集される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記トレーニングデータは、前記患者の心臓の特性と前記トレーニングデータを生成するのに使用される心臓の特性との間の類似性に基づく、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
患者の心電図を分析して、前記エネルギー送達構成要素の固定位置として前記現在位置の有効性を評価するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記有効性は、前記患者の心電図とターゲット心電図の類似性に基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記決定するステップは、起動位置へのライブラリ心電図のマッピングのライブラリにアクセスして、前記患者の心電図に類似したライブラリ心電図を識別するステップを含み、前記現在位置は、前記患者の心電図に類似したライブラリ心電図に関連付けられる起動位置に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ライブラリは、患者固有のライブラリである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記現在位置が、前記心臓へのエントリから前記固定位置までのターゲット経路から逸脱したときに、前記現在位置から前記固定位置までの更新されたターゲット経路を生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記更新されたターゲット経路を生成するステップは、ターゲット経路と前記更新されたターゲット経路がラベル付けされた現在位置を使用してトレーニングされる機械学習モデルを適用するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記出力するステップは、前記現在位置がいつ前記ターゲット位置にあるかを指示する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記出力するステップは、ペーシングのための次の位置の指示を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記患者の心電図に類似したライブラリ心電図を心電図ライブラリから識別するステップを更に含み、前記出力するステップは、前記エネルギー送達構成要素の現在位置の指示と共に前記類似するライブラリ心電図に関連付けられる心臓に関する解剖学的幾何形状の表現を表示するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記指示は、前記エネルギー送達構成要素の誘導を制御するデバイスに出力される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記エネルギー送達構成要素は、前記心房を通って心室に入るよう誘導される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記エネルギー送達構成要素は、前記心房に入り、前記冠状静脈洞の小門を通って、前記冠状静脈洞の本体に入り、更に前記冠状静脈洞の支流から出るよう誘導される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
心臓デバイスのエネルギー送達構成要素の埋め込み中に可能性のある固定位置の有効性を評価するために1又は2以上のコンピューティングシステムによって実行される方法であって、前記心臓デバイスは、前記エネルギー送達構成要素にエネルギーを供給するエネルギー源構成要素を有し、
前記方法が、
前記エネルギー送達構成要素の埋め込み中に繰り返して、
前記エネルギー送達構成要素が候補固定位置に位置付けられている間、前記エネルギー送達構成要素のペーシング中に収集される患者の心電図を受信するステップと、
前記患者の心電図に基づいて前記候補固定位置の有効性を評価するステップと、
前記候補固定位置の前記有効性の指示を出力するステップと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記出力するステップは、前記エネルギー送達構成要素の候補固定位置の指示と共に心臓の表現を表示するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記有効性を評価するステップは、前記患者の心電図とターゲット心電図の比較に基づく、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記評価するステップは、前記患者の心電図に機械学習モデルを適用して、前記候補固定位置の有効性の指示を生成するステップを含み、前記機械学習モデルは、前記有効性の指示がラベル付けされたトレーニング心電図を含むトレーニングデータによってトレーニングされる、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記トレーニング心電図は、起動位置が与えられた場合の心臓の電気的活動のシミュレーションから得られる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記トレーニング心電図は、患者から収集される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記トレーニングデータは、前記患者の心臓の特性と前記トレーニングデータを生成するのに使用される心臓の特性との間の類似性に基づく、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記エネルギー送達構成要素の現在位置を前記患者の心電図から決定するステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
心臓内のカテーテルの位置を追跡するために1又は2以上のコンピューティングシステムによって実行される方法であって、前記カテーテルは、エネルギー源構成要素からエネルギーを受け取るエネルギー送達構成要素を有し、
前記方法が、
前記カテーテルが心臓内にある間に繰り返して、
前記エネルギー送達構成要素が前記心臓内の現在位置に位置付けられている間、前記エネルギー送達構成要素のペーシング中に収集される患者の心電図を受信するステップと、
前記患者の心電図から前記エネルギー送達構成要素の現在位置を決定するステップと、
前記心臓内にある間前記カテーテルを追跡するために前記現在位置の指示を出力するステップと、
を含む、方法。
【請求項30】
患者の器官内の固定位置でのエネルギー送達構成要素の埋め込みを誘導するための1又は2以上のコンピューティングシステムであって、
前記エネルギー送達構成要素は、エネルギー源構成要素からエネルギーを受け取るためのものであり、
前記1又は2以上のコンピューティングシステムは、
前記エネルギー送達構成要素の埋め込み中に繰り返して、
前記エネルギー送達構成要素が前記器官内の現在位置に位置付けられている間、前記エネルギー送達構成要素を介したエネルギーの送出後に収集される患者の心電図を受信し、
前記エネルギー送達構成要素の現在位置を前記患者の心電図から決定し、
前記固定位置への前記エネルギー送達構成要素の取り付けを誘導するために前記現在位置の指示を出力する、
ように、前記1又は2以上のコンピューティングシステムを制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する1又は2以上のコンピュータ可読ストレージ媒体と、
前記1又は2以上のコンピュータ可読ストレージ媒体に格納された前記コンピュータ実行可能命令を実行する1又は2以上のプロセッサと、
を備える、1又は2以上のコンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、全体が引用により本明細書に組み入れられる、2021年5月5日に出願された米国特許出願第17/308,400号明細書に対する優先権を主張するものである。
【0002】
(技術分野)
頻拍障害の多くは、症状、病的状態(例えば、失神又は発作)、及び死亡の原因となる可能性がある。急速不整脈によって起こる一般的な心臓病には、不適切洞頻脈(「IST」)、異所性心房調律、促進接合部調律、心室補充調律、心房細動(「AF」)、心室細動(「VF」)、局所性心房性頻脈(「局所性AT」)、心房ミクロリエントリー、心室性頻脈(「VT」)、心房粗動(「AFL」)、早期心室波形「PVC」)、早期心房波形(「PAC」)、房室リンパ節凹部頻脈(「AVNRT」)、房室凹部頻脈(「AVRT」)、永続接合部往復頻脈(「PJRT」)、及び接合部頻脈(「JT」)が挙げられる。急速不整脈の発生源は、電気ロータ(例えば、心室細動)、再発性電気局所性因子(例えば、心房頻脈)、解剖学に基づくリエントリー(例えば、心室頻脈)などを含む可能性がある。これらの発生源は、持続的又は臨床的に重篤な症状の発現の重大な要因である。不整脈は、心臓障害の発生源をターゲットにすることによる、高周波エネルギーアブレーション、低温アブレーション、超音波アブレーション、レーザアブレーション、外部放射線源、標的遺伝子治療などを含む、様々な技術を用いてアブレーションによって治療することができる。心臓障害の発生源及びその場所は、患者ごとに変わるので、一般的な心臓障害に対しても、ターゲットとされる治療は、不整脈の発生源、又は完全な心臓ブロックを達成し識別される心拍数応答を遅くするための房室結節を必要とする。
【背景技術】
【0003】
遅い心調律は、洞性徐脈、洞性結節進出ブロック、第1度房室ブロック、第2度房室ブロックタイプ1、第2度房室ブロックタイプ2、第3度房室ブロック(完全心臓ブロック)、左脚ブロック、右脚ブロック、左前方線維ブロック、左後方線維ブロック、及び両線維ブロックを含む。
【0004】
不整脈のタイプ及び重症度に応じて、埋め込み型ペースメーカ又は埋め込み型除細動器は、不整脈を治療するための選択肢とすることができる。ペースメーカ/ICD(「ペースメーカ」)は、典型的には、電極、リード(リードのないペースメーカの場合を除く)、及びパルス発生器を含む。ペースメーカを埋め込むために、電極がターゲットの固定位置に位置付けられて取り付けられるように、リード及び電極が静脈に挿入されて、次に心臓に移動される。パルス発生器は、心臓近くの皮膚下に埋め込む(又はリードレスペースメーカの場合には電極に物理的に接続する)ことができる。
【0005】
ペースメーカ/ICDはまた、上心腔と下心腔及び/又は左心腔と右心腔の間の同期不全の問題によって引き起こされる心不全を治療するのに使用できる。1つのこのような治療は、心臓再同期治療法(CRT)である。CRTは、心拍のタイミング及び起動位置を制御するために心臓へのCRTデバイス(すなわち、ペースメーカの1つのタイプ)の複数の電極の配置を伴う。CRTデバイスは、通常、例えば、心臓の両室ペーシングを制御するパルス発生器にリードを介して接続される3又は4以上の電極を利用する。
【0006】
ターゲット固定位置まで心臓内を動く際の電極の位置を決定するために、心臓のX線が、様々な間隔で撮影される。電気生理学的検査士は、電極を次にどのように動かすか決めるためにX線を使用する。電極がターゲット固定位置に達したときに、電気生理学的検査士は、電極を現在位置の心内膜に配置又は取り付ける。
【0007】
埋め込みを誘導するためのX線(又は他のイメージングデバイス)の使用は、高価で煩雑である可能性がある。加えて、一部には、意図された固定位置における冠状静脈ブランチにおけるブロックの存在、心臓を一定のペースで拍動させる能力を制限する心房又は心室の瘢痕又は他の心筋症の存在、血栓の存在などの患者の生体構造における制限に起因して、意図される固定位置が最も実現可能ではない、又は効果的ではない固定位置の可能性がある。例えば、より効果的な固定位置は、ターゲット固定位置から1.0cm離れた場所である場合がある。従って、ターゲット固定位置に電極を取り付けることは、幾らかは効果的である可能性はあるが、別の固定位置ほど効果的でない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第10,860,745号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】C.T.Villongco、D.E.Krummen、P.Stark、J.H.Omens、及びA.D.McCullochの「脚ブロックにおける表面ECG由来のベクトル心電図を用いた心室起動パターンの患者固有のモデリング」生物物理学及び分子生物学の進歩、2014年8月、発行物2-3、ボリューム115、305~313頁
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】埋め込まれるリード及びエネルギーパルス発生構成要素(EPDC)を示す心臓のグラフィックを示す図である。
図2】一部の実施形態における埋め込み誘導システムの構成要素を示すブロック図である。
図3】一部の実施形態におけるIGシステムの埋め込み誘導構成要素の処理を示す図である。
図4】一部の実施形態におけるIGシステムのグラフィックディスプレイ構成要素の処理を示す流れ図である。
図5】一部の実施形態におけるIGシステムの有効性評価構成要素の処理を示す流れ図である。
図6】一部の実施形態におけるIGシステムのターゲット経路構成要素の更新処理を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
身体における埋め込み型電磁デバイスの埋め込みを誘導するための方法及びシステムが提供される。埋め込み型電磁デバイスは、エネルギー送達構成要素(例えば、電極)と電気発生器構成要素(例えば、バッテリ及びパルスコントローラ)とを含むことができる。埋め込み型電磁デバイス(IMED)はまた、エネルギーパルス発生器構成要素(EPGC)をエネルギーパルス送出構成要素(EPDC)に接続するリードを含むことができる。IMEDはまた、EPGCとEPDCが、身体内に埋め込まれるカプセル内に収容されるという意味でリードレスとすることもできる。IMED(例えば、心臓デバイス)は、標準的ペースメーカ、両心ペースメーカ、埋め込み型除細動器、心臓ループレコーダ、リードレスペースメーカ、心臓再同期治療デバイスなどとすることができる。以下では、埋め込み誘導(IG)システムが、主に心臓の関連において記載されるが、器官(例えば、脳又は肺)などの他の電磁発生源と共に使用することができる。一般的には、器官は、循環系、神経系、消化器系、呼吸器系内にあるものなどとすることができる。EPDCは、器官内にある又は器官の外側にある固定位置で器官に取り付けることができる。EPGCは、器官内又は器官近くの位置に位置付けることができる。EPDCが器官にエネルギーを送出するとき、エネルギーに対する器官の反応を指示する電気記録図(例えば、脳電図)を収集して使用し、EPDCの位置を決定することができる。
【0012】
一部の実施形態において、IGシステムは、心臓内にEPDCを取り付けるために心臓内の固定位置にEPDCを位置付けるための誘導部を提供する。埋め込み中、EPDCは、心臓内のエントリポイントから(例えば、静脈を介して内側から、又は心膜スペースを介して外側から、又は冠状静脈洞及びこの支流を介して外側から)固定位置への経路に沿って誘導される。EPDCが心臓を通って動かされる場合に、EPDCは、様々な位置で心内膜に接触して配置され、ペーシングと呼ばれる電磁パルスを心臓に提供するために起動される。患者の心電図(例えば、電気心電図又はベクトル心電図)がペーシング中に収集される。IGシステムは、患者の心電図をライブラリ心電図の心電図ライブラリにおけるライブラリ心電図と比較する。各ライブラリ心電図は、心臓内の起動位置に関連付けられる。ライブラリ心電図は、引用により本明細書に組み入れられる2020年12月8日に発行された「シミュレート心電図の較正」という名称の米国特許第10,860,745号明細書に記載される通りに生成することができる。心電図に関連付けられる起動位置は、心電図を結果として生じる心周期が発生する(例えば、シミュレート起動、臨床開始起動、又は患者起動を介して)位置である。IGシステムは、患者の心電図にマッチングするライブラリ心電図を識別して、マッチングライブラリ心電図に関連付けられる起動位置を出力する。IGシステムは、EPDCの現在位置を表すためにEPDCの起動位置の指示を出力する。心内膜に接触させてEPDCを配置する処理、EPDCをペーシングする処理、心電図を収集する処理、及びEPDCの現在位置を識別する処理は、EPDCが固定位置に位置付けられるまで繰り返し実行することができる。このように、埋め込み手順中に透視方法(X線イメージング)を使用する必要性及び資本設備の支出なしに、EPDCを固定位置に正確に誘導することができる。
【0013】
一部の実施形態において、IGシステムに、心臓へのエントリから固定位置までのターゲット経路を提供することができる。ターゲット経路は、心房を通って心室に入る経路とすることができる。別のターゲット経路は、心房に入り、冠状静脈洞の小門を通って、冠状静脈洞の本体に入り、更に冠状静脈洞の支流から出るものとすることができる。またターゲット経路は、静脈へのエントリポイントから心臓へのエントリポイントまでの静脈の一部分を含むこともできる。IGシステムは、心臓に重ね合わされた経路の指示と共に心臓を示すグラフィックを表示することができる。EPDCが固定位置に移動する場合に、IGシステムは、電気生理学的検査士が起動位置(及び前の起動位置)を見てEPDCの現在位置を決定しこれに従ってEPDCの動きを誘導できるように、起動位置のグラフィック指示を重ね合わせることができる。またIGシステムは、経路に沿って続ける、逸脱した後に経路に戻る、又は代わりの経路(例えば、更新された経路)に沿って動くよう次の起動位置を提案することもできる。IGシステムは、逸脱がターゲット経路を更新するのに十分に重大であるかどうか決定するために逸脱条件を利用することができる。例えば、逸脱条件は、ターゲット経路からの閾値距離とすることができる。閾値距離は、EPDCが現在位置付けられているチャンバ、心内膜までの距離、ターゲット固定位置までの距離などに基づいて変えることができる。心臓のグラフィックは、患者から又はライブラリ心電図に関連付けられる心臓の幾何形状から収集された測定値から得ることができる。例えば、患者の心電図を、正常な洞調律の間に収集し、ライブラリ心電図と比較してマッチングライブラリ心電図を識別することができる。IGシステムは、マッチングライブラリ心電図に関連付けられる幾何形状に基づいてグラフィックを生成することができる。
【0014】
一部の実施形態において、IGシステムは、超音波デバイスに接続して、EPDCが静脈へのエントリポイントから心臓へのエントリポイントまで移動する場合の心エコー心電図を収集することができる。静脈は心臓の一部ではないので、静脈の内皮へのパルスの送出が、心臓の起動を起こすことはない。静脈内で心内膜ペーシングを用いてEPDCを追跡するための超音波デバイスの使用は、静脈へのエントリポイントから固定位置までのEPDCの追跡を可能にする。
【0015】
一部の実施形態において、EPDCがターゲット固定位置に近付いたら、EPDCをターゲット固定位置近くの様々な起動位置で起動して、起動位置の有効性を実際の固定位置として評価することができる。IGシステムは、ターゲット固定位置近くの各起動位置の患者の心電図を収集する。次にIGシステムは、患者の心電図をターゲット心電図(例えば、要求される洞調律を指示する)と比較して、ターゲット心電図(例えば、コサイン類似性、又はベクトル心電図に基づくピアソン類似性)にマッチングする患者の心電図を生じる起動位置を識別する。次に実際の固定位置である識別された起動位置にEPDCを埋め込むことができる。
【0016】
一部の実施形態において、IGシステムは、アブレーション処置中のカテーテルを誘導するために利用することができる。カテーテルは、カテーテルの先端近くに取り付けられたEPDCを有することができる。カテーテルがターゲットアブレーション位置に向けて動く場合に、心内膜に接触した時にEPDCを起動して、上述のように起動位置を識別することができる。識別された起動位置がターゲットアブレーション位置であるとき、アブレーションを実行することができる。上述のように、経路(ターゲット経路及び/又は実際の経路)をグラフィック上に表示することができる。加えて、EPDCがターゲットアブレーション位置の近くにあるとき、EPDCを様々な起動位置で起動することができ、患者の心電図を収集することができる。IGシステムは、患者の心電図をターゲット心電図と比較して、ターゲット心電図にマッチングする患者の心電図を識別する。ターゲット心電図は、不整脈中に収集された患者の心電図をライブラリ心電図と比較して不整脈の発生位置(起動位置)を識別することによって識別しておくことができる。患者の心電図がターゲット心電図にマッチングしたときに、マッチング患者心電図に関連付けられる起動位置をアブレーション位置として使用することができる。より一般的には、IGシステムを用いて、デバイスが器官を通って移動しEPDCが起動される場合の様々なタイプのデバイスの動きを追跡することができる。
【0017】
一部の実施形態において、IGシステムは、生体力学シミュレーションシステムに接続して、初期ターゲット固定位置を識別して埋め込み処置中の更新されたターゲット固定位置を識別することができる。埋め込み処置の開始前に、生体力学シミュレーションシステムは、最初に患者の心臓の初期生体力学に基づいてシミュレーションを実行し、初期ターゲット固定位置を識別することができる。次に静脈へのエントリポイントから初期ターゲット固定位置までのターゲット経路を決定することができる。埋め込み処置中に、電気生理学的検査士は、シミュレーションで使用する生体力学が患者の実際の生体力学を正確には表さないと判断することがある。このような場合、生体力学シミュレーションシステムは、患者の実際の生体力学(又は仮定される実際の生体力学)から導かれた生体力学に基づいてシミュレーションを実行し、更新されたターゲット固定位置を識別することができる。次にIGシステムは、EPDCの現在位置から更新されたターゲット固定位置までの更新されたターゲット経路を生成して表示することができる。生体力学シミュレーションシステムは、引用により本明細書に組み入れられる、2016年9月15日に発行された「心不全の診断及び心臓再同期治療の結果を予測するための患者固有のモデリングのための構成、デバイス及び方法」という名称の米国特許出願公開第2016/0262635号に記載されている。
【0018】
一部の実施形態において、IGシステムは、固定位置までのEPDCの動きを制御する制御デバイスに接続することができる。制御デバイスは、心臓内のカテーテルの動きを制御することができる。IGシステムは、次の起動位置を制御デバイスに提供することができる。制御デバイスは、EPDCの次の起動位置までのEPDCの動きを制御する。次に制御デバイスは、心内膜に接触するようEPDCを制御して、次にEPDCを起動する。IGシステムは、患者の心電図を受信し、ターゲット起動位置から逸脱していることがある実際の起動位置(すなわち、EPDCの現在位置)を識別する。制御デバイスは、心臓電気生理学的検査士がカテーテルの動きを制御する方法と類似の方式でカテーテルの動き(例えば、押す、引く、ねじる、及び曲げる)を指示する機構を利用することができる。
【0019】
一部の実施形態において、IGシステムは、患者の心電図に関連付けられる起動位置(現在のEPDC位置)を識別するために機械学習モデルを利用することができる。機械学習モデルは、データをトレーニングする場合に関連付けられる起動位置がラベル付けされた特徴ベクトルとしてライブラリ心電図を使用してトレーニングすることができる。機械学習モデルのトレーニングは、米国特許第10,860,745号に記載されている。IGシステムが患者の心電図を受信したときに、IGシステムは、患者の心電図を表す特徴ベクトルを生成して、機械学習モデルを特徴ベクトルに適用して、起動位置を識別する。また特徴ベクトルは、瘢痕位置、心臓の向き、電気特性、及び心臓の他の属性などの発生源(心臓)構成データを表すことができる。
【0020】
一部の実施形態において、IGシステムは、米国特許第10,860,745号に記載された技術の何れも利用することができる。例えば、IGシステムは、患者マッチングシステムを利用して、患者源構成(例えば、心臓幾何形状)をモデル源構成又臨床的源構成(他の患者)にマッチングする患者マッチングに基づいて患者の心臓の属性を識別することができる。患者の心電図は、ライブラリ心電図と比較して、マッチングライブラリ心電図を見つけることができる。マッチングライブラリ心電図に関連付けられる発生源構成は、患者の心臓の属性(例えば、解剖学的及び電気生理学的特性)を表すことができる。識別された属性は、生体力学的シミュレーションシステムへの入力として使用することができる。また識別された属性及び/又は他の方法で識別された属性(例えば、MRI測定値)を使用して、患者の心臓の属性に類似の属性に関連付けられるライブラリ心電図を含む患者固有の心電図ライブラリを生成することもできる。患者マッチングシステムは、患者固有の心電図ライブラリを使用して、マッチング心電図の高速且つ正確な識別又はより正確な機械学習モデル(例えば、分類子)を提供することができる。別の実施例として、IGシステムは、例えば、ライブラリ心電図に関連付けられる属性(例えば、心臓の向き)と患者の属性との間の差に基づいてライブラリ心電図を調節することによって、心電図ライブラリを患者の属性に較正することができる。
【0021】
一部の実施形態において、IGシステムは、ターゲット経路を生成する及び/又は処置(例えば、埋め込み又はアブレーション)中にターゲット経路を調節するために機械学習モデルを利用することができる。ターゲット経路を生成するための機械学習モデルは、エントリポイント及びターゲット固定位置と共に、現在位置(例えば、エントリポイント又は起動位置)、心臓の幾何形状、及び瘢痕位置などの特徴を表す特徴ベクトルを含むトレーニングデータを使用してトレーニングすることができる。特徴ベクトルは、エントリからターゲット固定位置までのターゲット経路をラベル付けすることができる。患者のためのターゲット経路を決定するために、患者の特徴ベクトルが生成され、機械学習モデルに入力され、機械学習モデルが、エントリポイントからターゲット固定位置までのターゲット経路を出力する。処置中にターゲット経路を調節するために、特徴ベクトルは、現在位置及び機械学習モデルへの入力に基づいて生成され、機械学習モデルが、現在位置からターゲット固定位置までのターゲット経路を出力する。
【0022】
一部の実施形態において、IGシステムは、電磁源(例えば、器官)のコンピューテーションモデルを利用するシミュレーションシステムに接続し、機械学習モデルをトレーニングするために使用することができるライブラリを生成する。コンピューテーションモデルは、電磁源の発生源構成に基づいて経時的に電磁源の電磁出力をモデル化する。電磁出力は、電位、電流、磁界などを表すことができる。電磁(「EM」)源が心臓であるとき、発生源構成(又は発生源属性)は、心臓の幾何形状及び筋繊維、胴の生体構造、正常及び異常の心臓の生体構造、正常及び異常の心臓組織、瘢痕、線維形成、炎症、浮腫、副伝導路、先天性心疾患、悪性腫瘍、前のアブレーションの部位、前の手術の部位、外部放射線治療の部位、ペーシングリード、埋め込み型除細動器・心臓細動除去器リード、心臓再同期治療リード、ペースメーカパルス発生器位置、埋め込み型除細動器・心臓細動除去器パルス生成器位置、皮下心臓細動除去器リード位置、皮下心臓細動除去器パルス発生器位置、リードレスペースメーカ位置、他の埋め込み型ハードウェア(例えば、右又は左心室支援デバイス)、外部除細動電極、表面ECGリード、表面マッピングリード、マッピングベスト、他の正常及び病態生理的特徴の分布などの情報から成るグループの何れのサブセットも含むことができ、EM出力は、様々な心臓位置における電位の経時的な集まりである。EM出力を生成するために、ステップサイズ(例えば、1ms)のシミュレーションステップのシミュレーションを実行して、このステップのEMメッシュを生成することができる。EMメッシュは、このステップの各心臓位置の電位の値を格納する有限要素メッシュとすることができる。例えば、左心室は、各心臓位置の電磁値を格納するEMメッシュによって約70,000の心臓の位置を有すると定義することができる。もしそうなら、1msのステップサイズによる3秒シミュレーションが、各々が70,000値を含む3,000EMメッシュを生成することになる。EMメッシュの集まりは、シミュレーションのEM出力である。コンピューテーションモデルは、引用により本明細書に組み入れられる、C.T.Villongco、D.E.Krummen、P.Stark、J.H.Omens、及びA.D.McCullochの「脚ブロックにおける表面ECG由来のベクトル心電図を用いた心室起動パターンの患者固有のモデリング」生物物理学及び分子生物学の進歩、2014年8月、発行物2-3、ボリューム115、305~313頁に記載されている。一部の実施形態において、シミュレーションシステムは、頂点だけでなく、メッシュとしての頂点の間のポイントに対する値を生成することができる。例えば、シミュレーションシステムは、ガウスクワドラチャ技術を使用してこれらのポイントの値を計算することができる。
【0023】
一部の実施形態において、シミュレーションシステムは、各々が、コンピューテーションモデルの構成パラメータの異なる値のセットである異なる発生源構成に基づく多くのシミュレーションを実行することによって、トレーニングデータを生成する。例えば、心臓の構成パラメータは、心臓の幾何形状、回転子位置、焦点ソース位置、胸郭の心室の向き、心室筋原線維の向き、心臓ミオサイト細胞電位電気発生及び伝播などとすることができる。各構成パラメータは、可能性のある値のセット又は範囲を有することができる。例えば、回転子位置は、心室内の様々な位置に対応する78の可能性のあるパラメータセットとすることができる。システムが、可能性のある値の各組合せに対するシミュレーションを実行できるので、シミュレーションの数は数百万になることもある。
【0024】
一部の実施形態において、シミュレーションシステムは、シミュレーションのEM出力を使用して、患者から収集されたEMデータに基づく分類の生成のための分類子をトレーニングする。シミュレーションシステムは、シミュレーションの各EM出力に対して導出されるEMデータを生成することができる。導出されるEMデータは、例えば、心電図(ECG)又はベクトル心電図(VCG)、身体表面ベスト、電磁源間デバイスなどを生成するために12リードを使用するEM測定デバイスによって収集される測定値に基づいて生成されるEMデータに対応する。ECG及びVCGは、EM出力の等価のソース表現である。次にシミュレーションシステムは、各導出されるEMデータの対応する分類を指示する、各導出されるEMデータのラベル(又は複数のラベル)を生成する。例えば、シミュレーションシステムは、EMデータが導出されるEM出力を生成する時に使用される構成パラメータ(例えば、回転子位置)の値であるラベルを生成することができる。導出されるEMデータの集まりは、特徴ベクトルに対応し、これらのラベルは、分類子をトレーニングするトレーニングデータを含む。次にシミュレーションシステムは、分類子をトレーニングする。分類子は、完全接続性、コンボリューショナル、回帰性、自動符号器、又は限定ボルツマン機械、サポートベクトル機械、ベイズ分類子などのニューラルネットワークを含む多種多様な分類子、又は分類子の組合せの何れかとすることができる。分類子が、深層ニューラルネットワークであるとき、トレーニングは、深層ニューラルネットワークの起動関数の加重のセットを結果として生じる。選択される分類子は、識別される疾病のタイプに基づくことができる。例えば、ニューラルネットワークの特定のタイプを、回転子ソースではなく焦点ソースに基づいて効率的にトレーニングすることができる。
【0025】
図1は、埋め込まれるリード及びEPDCを示す心臓のグラフィックを示している。心臓グラフィック100は、リード101及びEPDC102を上に重ね合わせている。EPGC103は、心臓のグラフィックの隣りに示されている。円(星付き)111a、111b及び11cは、3つのEPDCのターゲット固定位置を表す。EPDC102は、固定位置111aに位置付けられて図示されている。濃い影の付いた円113は、エントリポイント112から円111aまでのターゲット経路に沿った起動位置を表している。薄い影の付いた円114は、ターゲット経路から逸脱した起動ポイントを表す。起動位置を指示する円は、ターゲット経路からの逸脱の量を示すためにカラーコード化することができる。
【0026】
図2は、一部の実施形態における埋め込み誘導システムの構成要素を示すブロック図である。IGシステム200は、埋め込み誘導構成要素201、グラフィックディスプレイ構成要素202、有効性評価構成要素203、及びターゲット経路更新構成要素204を含む。埋め込み誘導構成要素は、固定位置を入力し、患者から埋め込み処置中の起動位置をペーシングするECGが収集される。埋め込み誘導構成要素は、各ECGの起動位置を識別して、埋め込み処置を誘導するために起動位置の指示を出力する。グラフィックディスプレイ構成要素は、ターゲット経路及び起動位置の指示及びターゲット固定位置と共に心臓のグラフィックを表示する。有効性評価構成要素は、ターゲット固定位置に近い様々な候補固定位置の有効性の評価をコーディネートする。ターゲット経路更新構成要素は、生体力学シミュレーションシステムを利用して、患者の心臓の更新された属性に基づいて埋め込み処置中のターゲット経路を更新する。またIGシステムは、ECGライブラリ211、及び起動位置機械学習モデル212、及びターゲット経路機械学習モデル213を含む。ECGライブラリは、シミュレートされたECG、及び/又は、対応するECGを結果として生じる起動位置に関連付けられる患者ECGを含む。起動位置機械学習モデルは、ECGを含み更に患者の他の心臓構成情報を含むことができる特徴ベクトルを入力して、対応する起動位置を出力する。ターゲット経路機械学習モデルは、現在位置及び固定位置を入力して、現在位置から固定位置までのターゲット経路を出力する。IGシステムは、集合的ECG構成要素220からECGを入力して、誘導デバイス230に起動位置を出力する。
【0027】
IGシステム及び他の記載するシステムを実施することができるコンピューティングシステム(例えば、ネットワークノード又はネットワークノードの集まり)は、中央処理ユニット、入力デバイス、出力デバイス(例えば、ディスプレイデバイス及びスピーカ)、ストレージデバイス(例えば、メモリ及びディスクドライブ)、ネットワークインタフェース、グラフィック処理ユニット、セルラーラジオリンクインタフェース、全地球測位システムデバイスなどを含むことができる。入力デバイスは、キーボード、ポインティングデバイス、タッチ画面、ジェスチャ認識デバイス(例えば、エアジェスチャ用)、ヘッド及びアイトラッキングデバイス、音声認識用のマイクロフォンなどを含むことができる。コンピューティングシステムは、高性能コンピューティングシステム、クラウドベースサーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレット、Eリーダ、携帯情報端末、スマートフォン、ゲームデバイス、サーバなどを含むことができる。例えば、シミュレーション及びトレーニングは、高性能コンピューティングシステムを使用して実行することができ、分類は、タブレットによって実行することができる。コンピューティングシステムは、コンピュータ可読ストレージ媒体及びデータ送信媒体を含むコンピュータ可読媒体にアクセスすることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、一時的伝播信号を含まない有形ストレージ手段である。コンピュータ可読ストレージ媒体の例は、一次メモリ、キャッシュメモリ、及び二次メモリ(例えば、DVD)及び他のストレージなどのメモリを含む。コンピュータ可読ストレージ媒体は、記録しておくことができるか、又はIGシステム及び他の記載したシステムを実施するコンピュータ実行可能命令又は論理によって符号化することができる。データ送信媒体は、一時的伝播信号を介してデータを、又は有線又は無線接続を介して搬送波(例えば、電磁気)を送信するために使用される。コンピューティングシステムは、キーを生成し安全に格納し更にキーを用いてデータを暗号化及び解読するための中央処理ユニットの一部としてセキュアクリプトプロセッサを含むことができ、健康保険ポータビリティ及びアカウンタビリティアクト(HIPAA)によって要求されるような患者情報のプライバシーを保護することができる。
【0028】
IGシステム及び他の記載したシステムは、1又は2以上のコンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイスによって実行されるプログラムモジュール及び構成要素などのコンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で説明される。一般的には、プログラムモジュール又は構成要素は、IGシステム及び他の記載したシステムのタスクを実行するか又はデータタイプを実施する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、データ構造などを含む。典型的には、プログラムモジュールの機能は、様々な実施例で要求されるように結合又は分散することができる。IGシステム及び他の記載したシステムの態様は、例えば、特定用途向け集積回路(「ASIC」)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)を使用してハードウェアで実施することができる。
【0029】
IGシステムによって利用される機械学習モデルは、完全接続、コンボリューショナル、回帰性、自動符号器、又は限定ボルツマン機械、サポートベクトル機械、ベイズ分類子などのニューラルネットワークを含む多種多様な分類子又は分類子の組合せの何れかとすることができる。機械学習モデルが深層ニューラルネットワークであるとき、トレーニングは、深層ニューラルネットワークの起動関数の加重のセットを結果として生じる。ニューラルネットワークモデルは、3つの主要な構成要素、すなわち、アーキテクチャ、コスト関数、及びサーチアルゴリズムを有する。アーキテクチャは、入力対出力に関する機能形態を(ネットワークトポロジー、ユニット接続性、及び起動関数の点で)定義する。目的関数を最小化する加重のセットの加重スペースにおけるサーチは、トレーニング処理である。1つの実施形態において、IGシステムは、サーチ技術として放射基底関数(「RBF」)ネットワーク及び標準的勾配降下法を使用することができる。
【0030】
図3は、一部の実施形態におけるIGシステムの埋め込み誘導構成要素の処理を示す図である。埋め込み誘導構成要素300は繰り返して、ECGを受信し且つEPDCの現在位置の指示を出力する。ブロック301で、構成要素は、EPDCが起動位置に位置付けられたという指示を受信する。ブロック302で、構成要素は、起動位置でのペーシング中の患者ECGを収集する。ブロック303で、構成要素は、例えば、マッチングライブラリECGを識別するか又は患者ECGを入力する機械学習モデルを適用することによって、患者ECGに基づく起動位置を決定する。ブロック304で、構成要素は、起動位置の指示を出力する。決定ブロック305では、起動位置が固定位置に対応する場合、次に構成要素は、ブロック306で続行し、そうでなければ、構成要素はブロック301にループして、EPDCの次の位置付けを処理する。ブロック306で、構成要素は、固定位置のEPDCの取り付けを指示し、次に完了する。
【0031】
図4は、一部の実施形態におけるIGシステムのグラフィックディスプレイ構成要素の処理を示す流れ図である。グラフィックディスプレイ構成要素400は、起動位置を受信して、心臓のグラフィック上にEPDCの現在位置の指示を表示する。ブロック401で、構成要素は、患者から収集されたECGを受信する。ブロック402で、構成要素は、患者ECGをライブラリECGと比較して、マッチングライブラリECGを識別する。ブロック403で、構成要素は、マッチングライブラリECGに関連付けられる心臓の幾何形状を検索する。ブロック404で、構成要素は、反転表示されたターゲット固定位置と共に心臓幾何形状に基づいてグラフィックを出力する。ブロック405‐409で、構成要素は、各起動位置の処理にループする。ブロック405で、構成要素は、ターゲット経路を表示する。ブロック406で、構成要素は、現在の起動位置の指示を受信する。ブロック407で、構成要素は、起動位置の指示を表示する。表示される指示は、現在の起動位置が、ターゲット経路に沿うか又はターゲット経路から逸脱しているかどうか指示するためにカラーコード化することができる。カラーの濃淡は、ターゲット経路からの逸脱の量を指示することができる。決定ブロック408で、逸脱に基づいてターゲット経路を調節する必要がある場合、次に構成要素は、ブロック409で続行し、そうでなれば、構成要素はブロック406にループして、次の起動位置を受信する。ブロック409で、構成要素はターゲット経路を調節して、ブロック405にループして調節されたターゲット経路を表示する。
【0032】
図5は、一部の実施形態におけるIGシステムの有効性評価構成要素の処理を示す流れ図である。有効性評価構成要素500に患者ECGが提供され、患者ECGに関連付けられる起動位置が不整脈の治療に有効かどうかの指示を出力する。ブロック501で、構成要素は、ターゲットECGにアクセスする。ブロック502で、構成要素は、患者ECGとターゲットECGの間の類似性を指示する類似性スコアを計算する。例えば、類似性スコアは、ECGから導かれたVCG間のベクトル距離に基づくことができる。類似性を評価するための他の技術は、米国特許第10,860,745号に記載されている。決定ブロック503で、類似性スコアが有効性条件を満足させた場合、次に構成要素はブロック505で続行し、そうでなければ、構成要素は、ブロック504で続行する。有効性条件は、最大ベクトル距離閾値、候補固定位置に関連付けられるベクトル距離との比較などに基づくことができる。ブロック504で、構成要素は、現在の起動位置が有効でないという指示を出力して完了する。ブロック505で、構成要素は、現在の起動位置が有効であるという指示を出力して次に完了する。
【0033】
図6は、一部の実施形態におけるIGシステムのターゲット経路更新構成要素の処理を示す流れ図である。ターゲット経路更新構成要素600は、埋め込み処置中に呼び出され、患者の心臓の属性における更新情報に基づいてターゲット経路を更新する。ブロック601で、構成要素は、患者の属性を初期化する。ブロック602で、構成要素は、生体力学シミュレーションを実行して、患者の属性に基づくターゲット経路を生成する。ブロック603で、構成要素は、ターゲット経路を受信する。ブロック604で、構成要素は、ターゲット経路を表示する。ブロック605で、構成要素は、起動位置のペーシング中に患者からの心電図を収集する。ブロック606で、構成要素は、例えば、心電図とライブラリ心電図の比較に基づいて、及び/又は電気生理学的検査士からの入力に基づいて、患者の属性を識別する。決定ブロック607で、属性が修正されている場合、次に構成要素は、ブロック608で続行し、そうでなければ構成要素は、ブロック605で続行し次の心電図を収集する。ブロック608で、構成要素は、修正された属性に基づいて生体力学シミュレーションを実行し、更新されたターゲット経路を生成する。ブロック609で、構成要素は、更新されたターゲット経路を受信して、ブロック604にループし、更新されたターゲット経路を表示する。
【0034】
以下の段落は、IGシステム及び他のシステムの態様の様々な実施形態を記載する。システムの実施構成は、実施形態の何れの組合せも利用することができる。以下に説明する処理は、システムを実施するコンピュータ可読ストレージ媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令を実行するプロセッサを備えたコンピューティングシステムによって実行することができる。
【0035】
一部の実施形態において、患者の心臓内の固定位置での埋め込み型デバイスのエネルギー送達構成要素の埋め込みを誘導する1又は2以上のコンピューティングシステムによって実行される方法が提供される。埋め込み型デバイスは、エネルギーをエネルギー送達構成要素に供給するエネルギー源構成要素を有する。本方法は、エネルギー送達構成要素の埋め込み中に、繰り返して、エネルギー送達構成要素が心臓の中の現在位置に位置付けられている間、エネルギー送達構成要素のペーシング中に収集される患者の心電図を受信するステップと、患者の心電図からエネルギー送達構成要素の現在位置を決定するステップと、固定位置へのエネルギー送達構成要素の取り付けを誘導するために現在位置の指示を出力するステップとを含む。一部の実施形態において、出力するステップは、エネルギー送達構成要素の現在位置の指示と共に心臓の表現を表示するステップを含む。一部の実施形態において、表示された表現は更に、心臓へのエントリから固定位置までのターゲット経路の指示を含む。一部の実施形態において、4つのディスプレイ画像は更に、ターゲット経路からの現在位置の逸脱の指示を含む。一部の実施形態において、決定するステップは、機械学習モデルを患者の心電図に適用して、現在位置を識別するステップを含む。機械学習モデルは、起動位置がラベル付けされたトレーニング心電図を含むトレーニングデータによってトレーニングすることができる。一部の実施形態において、トレーニング心電図は、起動位置を与えられた場合の心臓の電気的活動のシミュレーションから得ることができるか、患者から収集することができるか、又はこれら両方によって得ることができる。一部の実施形態において、トレーニングデータは、患者の心臓の特性とトレーニングデータを生成するのに使用される心臓の特性との間の類似性に基づく。一部の実施形態において、本方法は更に、患者の心電図を分析して、エネルギー送達構成要素の固定位置として現在位置の有効性を評価する。一部の実施形態において、有効性は、患者の心電図とターゲット心電図の間の類似性に基づく。一部の実施形態において、決定するステップは、ライブラリ心電図と起動位置のマッピングのライブラリにアクセスして、患者の心電図に類似したライブラリ心電図を識別するステップを含み、ここで、現在位置は、患者の心電図に類似したライブラリ心電図に関連付けられる起動位置に基づいて決定される。一部の実施形態において、心電図ライブラリは、患者固有のライブラリである。一部の実施形態において、本方法は更に、現在位置が、心臓へのエントリから固定位置までのターゲット経路から逸脱する時に、現在位置から固定位置までの更新されたターゲット経路を生成するステップを含む。一部の実施形態において、更新されたターゲット経路を生成するステップは、ターゲット経路と更新されたターゲット経路がラベル付けされた現在位置とを使用してトレーニングされた機械学習モデルを適用するステップを含む。一部の実施形態において、出力するステップは、現在位置がいつターゲット位置にあるかを指示する。一部の実施形態において、出力するステップは、ペーシングのための次の位置の指示を提供する。一部の実施形態において、本方法は更に、患者の心電図に類似したライブラリ心電図を心電図ライブラリから識別するステップを含み、ここで、出力するステップは、エネルギー送達構成要素の現在位置の指示と共に類似のライブラリ心電図に関連付けられる心臓に関する解剖学的幾何形状の表現を表示するステップを含む。一部の実施形態において、エネルギー送達構成要素の誘導を制御するデバイスに指示が出力される。一部の実施形態において、エネルギー送達構成要素は、心房から心室に入るように誘導される。一部の実施形態において、エネルギー送達構成要素は、心房に入り、冠状静脈洞の小門を通って、冠状静脈洞の本体に入り、冠状静脈洞の支流から出るよう誘導される。
【0036】
一部の実施形態において、心臓デバイスのエネルギー送達構成要素の埋め込み中の可能性のある固定位置の有効性を評価するために1又は2以上のコンピューティングシステムによって実行される方法が提供される。心臓デバイスは、エネルギー送達構成要素にエネルギーを供給するエネルギー源構成要素を有する。本方法は、エネルギー送達構成要素の埋め込み中に繰り返して、エネルギー送達構成要素が候補固定位置に位置付けられている間のエネルギー送達構成要素のペーシング中に収集される患者の心電図を受信するステップと、患者の心電図に基づいて候補固定位置の有効性を評価するステップと、候補固定位置の有効性の指示を出力するステップとを含む。一部の実施形態において、出力するステップは、エネルギー送達構成要素の候補固定位置の指示と共に心臓の表現を表示するステップを含む。一部の実施形態において、有効性の評価は、患者の心電図とターゲット心電図の比較に基づく。一部の実施形態において、評価するステップは、機械学習モデルを患者の心電図に適用して、候補固定位置の有効性の指示を生成するステップを含み、機械学習モデルは、有効性の指示がラベル付けされたトレーニング心電図を含むトレーニングデータによってトレーニングされる。一部の実施形態において、トレーニング心電図は、起動位置が与えられた場合の心臓の電気的活動のシミュレーションから得られる。一部の実施形態において、トレーニング心電図は、患者から収集される。一部の実施形態において、トレーニングデータは、患者の心臓の特性とトレーニングデータを生成する場合に用いられた心臓の特性の間の類似性に基づく。一部の実施形態において、本方法は更に、患者の心電図からエネルギー送達構成要素の現在位置を決定するステップを含む。一部の実施形態において、決定するステップは、ライブラリ心電図と起動位置のマッピングのライブラリにアクセスして、患者の心電図に類似したライブラリ心電図を識別するステップを含み、ここで、現在位置は、患者の心電図に類似したライブラリ心電図に関連付けられる起動位置に基づいて決定される。一部の実施形態では、本方法は更に、心電図ライブラリの中から患者の心電図に類似したライブラリ心電図を識別するステップを含み、ここで出力するステップは、候補固定の指示と共に類似するライブラリ心電図に関連付けられる心臓に関する解剖学的幾何形状の表現を表示するステップを含む。一部の実施形態において、評価するステップは、患者の心電図とターゲット心電図の間の類似性を決定するステップを含む。
【0037】
一部の実施形態において、心臓内のカテーテルの位置を追跡するために1又は2以上のコンピューティングシステムによって実行される方法が提供される。カテーテルは、エネルギー源構成要素からエネルギーを受け取るエネルギー送達構成要素を有する。カテーテルが心臓内にある間、本方法は、繰り返して、エネルギー送達構成要素が心臓内の現在位置に位置付けられている間のエネルギー送達構成要素のペーシング中に収集された患者の心電図を受信するステップと、患者の心電図からエネルギー送達構成要素の現在位置を決定するステップと、心臓内のカテーテルを追跡するために現在位置の指示を出力するステップとを含む。
【0038】
一部の実施形態において、患者の器官内の固定位置へのエネルギー送達構成要素の埋め込みを誘導するための1又は2以上のコンピューティングシステムが提供される。エネルギー送達構成要素は、エネルギー源構成要素からエネルギーを受け取るためのものである。1又は2以上のコンピューティングシステムは、1又は2以上のコンピューティングシステムを制御するコンピュータ実行可能命令を格納する1又は2以上のコンピュータ可読ストレージ媒体と、1又は2以上のコンピュータ可読ストレージ媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令を実行する1又は2以上のプロセッサとを含む。命令は、繰り返して、エネルギー送達構成要素の埋め込み中にエネルギー送達構成要素が器官内の現在位置に位置付けられている間、エネルギー送達構成要素を介したエネルギーの送出後に収集される患者の心電図を受信し、患者の心電図からエネルギー送達構成要素の現在位置を決定し、固定位置へのエネルギー送達構成要素の取り付けを誘導するために現在位置の指示を出力する、ように、1又は2以上のコンピューティングシステムを制御する。
【0039】
主題が構造的特徴及び/又は動作に特定の言語で説明されているが、添付の請求項で定義される主題は、必ずしも上述の特定の特徴又は動作に限定されないことを理解されたい。むしろ、上述の特定の特徴及び動作は、請求項を実施する例示的形態として開示される。従って、本発明は、添付の請求項によることを除いては限定されるものではない。
【符号の説明】
【0040】
300 埋め込み誘導
301 次の位置のEDCを位置付ける
302 ペーシングの間のECGを収集する
303 ECGに基づいて起動位置を決定する
304 起動位置を出力する
305 起動位置==固定位置
306 固定位置にEDCを取り付ける
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】