(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】2番染色体、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座に一塩基多型を有する対象を診断および処置するための方法。
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20240501BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240501BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240501BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20240501BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240501BHJP
A61K 31/4045 20060101ALI20240501BHJP
C12Q 1/6827 20180101ALN20240501BHJP
C12Q 1/6837 20180101ALN20240501BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20240501BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240501BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61P25/00
A61P25/28
A61K45/06
G01N33/53 M
A61K31/4045
C12Q1/6827 Z
C12Q1/6837 Z
C12M1/00 A
C12N15/09 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570023
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 IB2022054347
(87)【国際公開番号】W WO2022238905
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510007481
【氏名又は名称】ニューリム・ファーマシューティカルズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NEURIM PHARMACEUTICALS LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ジサペル,ナヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ラウドン,モシェ
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029BB20
4B063QA08
4B063QA13
4B063QA17
4B063QQ43
4B063QR55
4B063QS34
4B063QX02
4C084AA17
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4C084MA52
4C084NA14
4C084ZA021
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4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC13
4C086GA02
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZC41
(57)【要約】
2番染色体、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座(ゲノムリファレンスコンソーシアム、ヒトゲノムビルド37(GRCh37)に開示される)における一塩基多型(SNP)に基づいて、アルツハイマー病、統合失調症、自閉症および注意障害を含むがこれに限定されない神経精神障害、神経変性、睡眠覚醒サイクルを処置する事または予防する事を意図した薬理学的薬物治療に対してポジティブ(有益)またはネガティブ(有害)な応答を示す可能性の高い個人を同定するための方法および製品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経障害または疾患を患うヒト対象の遺伝子型を同定し、およびその後ヒト対象を適切な処置により処置する方法であって、
(i)ヒト対象が2:107,510,000-107,540,000遺伝子座において一塩基多型(SNP)を有するかどうかを決定する工程;および
(ii)a)ヒト対象が統合失調症または自閉症スペクトラム障害と診断される、および2:107,510,000-107,540,000遺伝子座においてSNPを有する場合、または
b)ヒト対象が症候性アルツハイマー病と診断される、および2:107,510,000-107,540,000遺伝子座にSNPを有さない場合に、
該ヒト対象にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを投与する工程、を含む、方法。
【請求項2】
ヒト対象が症候性アルツハイマー病と診断される、および2:107,510,000-107,540,000遺伝子座にSNPを有する場合に、メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストではないアルツハイマー病を処置するための医薬を対象に投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒト対象が統合失調症または自閉症スペクトラム障害と診断される、および2:107,510,000-107,540,000遺伝子座にSNPを有する場合に、メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストである統合失調症または自閉症スペクトラム障害を処置するための医薬を対象に投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ヒト対象が統合失調症または自閉症スペクトラム障害と診断される、および2:107,510,000-107,540,000遺伝子座にSNPを有さない場合に、メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストではない統合失調症または自閉症スペクトラム障害を処置するための医薬を対象に投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
決定する工程が、対象から得た核酸含有試料を使用してインビトロで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
SNPが、2:107516926および/または2:107521253および/または2:107522069および/または2:107523546および/または2:107525598および/または2:107535946、および/またはゲノムリファレンスコンソーシアム、ヒトゲノムビルド37(GRCh37)に開示される前述のSNPのいずれか1つと連鎖不均衡にあるSNPから選択される、ならびにここで、
SNPを有するヒト対象が、以下:
rs12328439における少なくとも1つのC対立遺伝子(T>C);および/または
rs62155556における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A);および/または
rs62155557における少なくとも1つのT対立遺伝子(G>T);および/または
rs62155558における少なくとも1つのA対立遺伝子(G>A);および/または
rs17033479における少なくとも1つのG対立遺伝子(A>G);および/または
rs9789618における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前述のSNP位置における対象の遺伝子型が、前述のSNP位置と連鎖不均衡にあるSNP位置における対象の遺伝子型を決定することによって間接的に決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
決定する工程が、対象から得た試料からDNAを抽出および/または増幅する工程、ならびに、
以下のSNP位置:
rs12328439における少なくとも1つのC対立遺伝子(T>C);および/または
rs62155556における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A);および/または
rs62155557における少なくとも1つのT対立遺伝子(G>T);および/または
rs62155558における少なくとも1つのA対立遺伝子(G>A);および/または
rs17033479における少なくとも1つのG対立遺伝子(A>G);および/または
rs9789618における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A)、における少なくとも1つの対立遺伝子の同一性を決定するための複数のプローブを含むアレイと、該DNAとを接触させる工程、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アレイがDNAアレイ、DNAマイクロアレイまたはビーズアレイである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
投与する工程が、ピロメラチンおよび薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を投与する工程を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
医薬組成物が、1~100mgのピロメラチンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1日あたり1~100mgのピロメラチンを対象に投与する工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1日あたり5mgのピロメラチンを対象に投与する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
1日あたり20mgのピロメラチンを対象に投与する工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
1日あたり50mgのピロメラチンを対象に投与する工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
ヒト対象が症候性アルツハイマー病と診断された場合に追加的なアルツハイマー病の治療剤との組み合わせ療法において医薬組成物を投与する、またはヒト対象が統合失調症と診断された場合に追加的な統合失調症の治療剤との組み合わせ療法において医薬組成物を投与する、またはヒト対象が自閉症スペクトラム障害と診断された場合に追加的な自閉症スペクトラム障害の治療剤との組み合わせ療法において医薬組成物を投与する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
症候性アルツハイマー病と診断され、およびrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有する患者を処置する方法であって、メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストではないアルツハイマー病の治療剤を該患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項18】
統合失調症と診断され、およびrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有する患者を処置する方法であって、ピロメラチンを該患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項19】
メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを含む治療に対する対象の応答を予測する方法であって、該対象がrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有するかどうかを決定する工程、およびここで
(i)該対象が症候性アルツハイマー病と診断され、rs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有する場合に、対象がメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを含む治療に対してネガティブな応答を示すと予測する工程、
および
(ii)該対象が統合失調症または自閉症スペクトラム障害と診断され、およびrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有する場合に、対象がメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを含む治療に対してポジティブな応答を示すと予測する工程、を含む、方法。
【請求項20】
対象からの核酸含有試料を得る工程、および請求項19に記載されるSNPの位置における少なくとも1つの対立遺伝子の同一性を決定するために適切な複数のプローブを含むアレイと該核酸を接触させる工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
メラトニン/5-HT1A受容体アゴニスト療法で処置された症候性アルツハイマー病患者における認知機能悪化のリスクを評価する方法であって、該患者がrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618の少なくとも1つにおいてSNPを有するかどうかを決定する工程、および患者が該SNPを有する場合に該対象がメラトニン/5-HT1A受容体アゴニスト療法の投与による認知機能悪化のリスクがあると決定する工程を含む、方法。
【請求項22】
統合失調症、注意欠陥障害、または自閉症スペクトラム障害に伴う注意障害をもつ対象の注意および集中を改善する方法であって、該対象がrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618の少なくとも1つにおいてSNPを有するかどうかを決定する工程、および該患者がSNPを有する場合にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニスト療法を該対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項23】
メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストがピロメラチンである、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
ヒト対象における精神障害および/または知的能力を処置するための薬剤に対する対象の応答の予後に関する遺伝子型を同定する方法であって、該方法は、2:107516926および/または2:107521253および/または2:107522069および/または2:107523546および/または2:107525598および/または2:107535946、および/または前述のSNPのいずれか1つと連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)から選択されるSNPの少なくとも1つの位置の該対象の遺伝子型を決定する工程を含む、ここで前記SNPはGRCh37において開示される、および、以下:
rs12328439における少なくとも1つのC対立遺伝子(T>C);および/または
rs62155556における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A);および/または
rs62155557における少なくとも1つのT対立遺伝子(G>T);および/または
rs62155558における少なくとも1つのA対立遺伝子(G>A);および/または
rs17033479における少なくとも1つのG対立遺伝子(A>G);および/または
rs9789618における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A)の存在は、
対象が統合失調症、注意障害、または自閉症スペクトラム障害と診断された場合に対象がメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストに対してポジティブな応答を示すことを示唆する、または対象が症候性アルツハイマー病と診断された場合に対象がメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストに対してネガティブな応答を示すことを示唆する、方法。
【請求項25】
決定する工程が、対象から得た核酸含有試料を使用してインビトロで行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前述のSNP位置における対象の遺伝子型が、前述のSNP位置との連鎖不平衡にあるSNP位置における対象の遺伝子型を決定することによって間接的に決定される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前述のSNP位置における対象の遺伝子型を決定する工程が、
(i)対象から得た試料からDNAを抽出および/または増幅する工程;
(ii)前述のSNPの位置における少なくとも1つの対立遺伝子の同一性を決定するために適切な複数のプローブを含むアレイと該DNAを接触させる工程、
を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
アレイがDNAアレイ、DNAマイクロアレイまたはビーズアレイである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストがピロメラチンである請求項24に記載の方法。
【請求項30】
統合失調症、注意障害、または自閉症スペクトラム障害と診断された対象にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを投与する工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
症候性アルツハイマー病を患う患者を処置する方法であって、該患者がrs12328439、rs62155556、rs62155557、rs62155558、rs17033479、およびrs9789618のいずれにおいてもSNPを有さないことを決定する工程、および該対象にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを投与する工程を含む、方法。
【請求項32】
メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストがピロメラチンである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストではない少なくとも1つの追加的なアルツハイマー病剤を投与する工程をさらに含む、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
統合失調症、注意障害、または自閉症スペクトラム障害を患う患者を処置する方法であって、該患者が、rs12328439、rs62155556、rs62155557、rs62155558、rs17033479、およびrs9789618の少なくとも1つにおいてSNPを有する事を決定する工程、および該患者にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを投与する工程を含む、方法。
【請求項35】
メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストがピロメラチンである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストではない少なくとも1つの追加的な統合失調症、注意障害、または自閉症スペクトラム障害の治療剤を投与する工程をさらに含む、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
2:107,510,000-107,540,000遺伝子座におけるSNPについてヒト対象の遺伝子型を決定する工程を含む方法であって、
該ヒト対象が症候性アルツハイマー病と診断された場合に、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座において少なくとも1つのSNPを持つヒト対象を、メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストである認知症を処置するための医薬の投与から除外する工程、および該ヒト対象が症候性アルツハイマー病と診断されたが、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座においてSNPを有さない場合にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストである認知症を処置するための医薬を用いて該ヒト対象を処置する工程、を含む、方法。
【請求項38】
2:107,510,000-107,540,000遺伝子座におけるSNPについてヒト対象の遺伝子型を決定する工程を含む方法であって、該ヒト対象が2:107,510,000-107,540,000遺伝子座においてSNPを有する、および統合失調症、自閉症スペクトラム障害、または注意障害と診断された場合に、該ヒト対象をメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストである統合失調症、自閉症スペクトラム障害、または注意障害を処置するための医薬を用いて処置する工程、および該ヒト対象が統合失調症、自閉症スペクトラム障害、または注意障害と診断されたが、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座においてSNPを有さない場合に、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座においてSNPを有さない該ヒト対象をメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストである統合失調症、自閉症スペクトラム障害、または注意障害を処置するための医薬の投与から除外する工程を含む、方法。
【請求項39】
症候性アルツハイマー病と診断されたヒト対象の集団の遺伝子型を同定し、その後該ヒト対象に適切な処置を選択し、および投与する方法であって、
該方法は、以下:
(i)2:107,510,000-107,540,000において少なくとも1つの一塩基多型(SNP)を有する、該集団におけるヒト対象を同定する工程およびそれらのヒト対象をメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを用いた処置から除外する工程;および
(ii) 2:107,510,000-107,540,000遺伝子座において少なくとも1つのSNPを有さない、該集団におけるヒト対象を同定する工程、
を含む、方法。
【請求項40】
2:107,510,000-107,540,000遺伝子座における少なくとも1つのSNPを有さない、該集団におけるヒト対象にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを投与する工程をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
(i)におけるヒト対象が、以下:
rs12328439における少なくとも1つのC対立遺伝子(T>C);および/または
rs62155556における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A);および/または
rs62155557における少なくとも1つのT対立遺伝子(G>T);および/または
rs62155558における少なくとも1つのA対立遺伝子(G>A);および/または
rs17033479における少なくとも1つのG対立遺伝子(A>G);および/または
rs9789618における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A)を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
(ii)におけるヒト対象が、2:107516926、2:107521253、2:107522069、2:107523546、2:107525598、2:107535946におけるSNP、およびゲノムリファレンスコンソーシアム、ヒトゲノムビルド37(GRCh37)において開示された前述のSNPのいずれか1つと連鎖不平衡にあるSNPを欠如している、請求項39または40に記載の方法。
【請求項43】
統合失調症、自閉症スペクトラム障害、または注意障害と診断されたヒト対象の集団の遺伝子型を同定し、その後該ヒト対象に適切な処置を選択し、および投与する方法であって、該方法は、以下:
(i)2:107,510,000-107,540,000において少なくとも1つの一塩基多型(SNP)を有する、該集団におけるヒト対象を同定する工程;および
(ii) 2:107,510,000-107,540,000遺伝子座において少なくとも1つのSNPを有さない、該集団におけるヒト対象を同定する工程およびそれらのヒト対象をメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを用いた処置から除外する工程、
を含む、方法。
【請求項44】
2:107,510,000-107,540,000遺伝子座における少なくとも1つのSNPを有する、該集団におけるヒト対象にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを投与することをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
(i)におけるヒト対象が、以下:
rs12328439における少なくとも1つのC対立遺伝子(T>C);および/または
rs62155556における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A);および/または
rs62155557における少なくとも1つのT対立遺伝子(G>T);および/または
rs62155558における少なくとも1つのA対立遺伝子(G>A);および/または
rs17033479における少なくとも1つのG対立遺伝子(A>G);および/または
rs9789618における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A)を有する、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
(ii)におけるヒト対象が、2:107516926、2:107521253、2:107522069、2:107523546、2:107525598、2:107535946におけるSNP、およびゲノムリファレンスコンソーシアム、ヒトゲノムビルド37(GRCh37)において開示された前述のSNPのいずれか1つとの連鎖不平衡にあるSNPを欠如している、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
神経障害または疾患を患うヒト対象の遺伝子型を同定し、その後適切な処置を用いてヒト対象を処置する方法であって、該方法は、以下:
(i)2:107,510,000-107,540,000遺伝子座における一塩基多型(SNP)を有する対象を同定する工程;および
(ii)3mg~10mgのメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストをヒト対象に投与する工程、を含む、方法。
【請求項48】
SNPが、2:107516926および/または2:107521253および/または2:107522069および/または2:107523546および/または2:107525598および/または2:107535946、および/またはゲノムリファレンスコンソーシアム、ヒトゲノムビルド37(GRCh37)において開示される前述のSNPのいずれか1つとの連鎖不平衡にあるSNPから選択される、
およびここでSNPを有するヒト対象が以下:
rs12328439における少なくとも1つのC対立遺伝子(T>C);および/または
rs62155556における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A);および/または
rs62155557における少なくとも1つのT対立遺伝子(G>T);および/または
rs62155558における少なくとも1つのA対立遺伝子(G>A);および/または
rs17033479における少なくとも1つのG対立遺伝子(A>G);および/または
rs9789618における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A)を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前述のSNP位置における対象の遺伝子型が、前述のSNP位置との連鎖不平衡にあるSNP位置における対象の遺伝子型を決定することによって間接的に決定される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
3mg~8mg、4mg~7mg、5mg~6mg、または5mgのメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストをヒト対象に投与することを含む、請求項48~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストがピロメラチンである、請求項48~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストが1日1回投与される、請求項48~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
同定する工程が、対象から得た試料からDNAを抽出および/または増幅する工程を含む;および以下のSNP位置:
rs12328439における少なくとも1つのC対立遺伝子(T>C);および/または
rs62155556における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A);および/または
rs62155557における少なくとも1つのT対立遺伝子(G>T);および/または
rs62155558における少なくとも1つのA対立遺伝子(G>A);および/または
rs17033479における少なくとも1つのG対立遺伝子(A>G);および/または
rs9789618における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A)、における少なくとも1つの対立遺伝子の同一性を決定するための複数のプローブを含むアレイと該DNAを接触させる工程を含む、請求項48~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
アレイが、DNAアレイ、DNAマイクロアレイまたはビーズアレイである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
投与する工程が、ピロメラチンおよび薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を投与する工程を含む、請求項48~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
症候性アルツハイマー病と診断され、およびrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有する対象を処置する方法であって、メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを、1日あたり3mg~10mgの間の用量で該患者に投与する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年5月11日に出願された米国仮出願第63/187,078号の優先権を主張するものであり、ここに本明細書の一部として参照によりその全体を援用する。
【0002】
配列表の参照
本願は電子的な形式で提出された配列表を含む。コンピューターで読み取り可能な形式(CRF)で本願と共に電子的に提出された「配列表」は、「2007-145_ST25.txt」と名付けられ、2022年4月10日に作成され、サイズは4,096バイトである。電子的形式の配列表の情報は本願の一部であり、ここに本明細書の一部として参照によりその全体を援用する。
【0003】
本開示の分野
本開示は、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座と呼ばれる、2番染色体、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座(ゲノムリファレンスコンソーシアム、ヒトゲノムビルド37(GRCh37)において開示される)における一塩基多型に基づき、対象への所定の医薬品の投与から予測される利益または害に基づいて、精神障害を持つ患者における精神的能力および知的能力を改善する事を含む、対象を処置するための方法に関連する。
【背景技術】
【0004】
背景
神経疾患および神経変性疾患の患者における記憶、精神的能力および知的能力の低下は、理解および処置が困難である事で有名である。患者は謎めいた未知の理由によって処置に対する応答が異なる。それゆえ、このような病気に苦しむ患者の症状や徴候は、医薬によって十分に対処されないままである。
【0005】
進行性の神経変性障害であるアルツハイマー病(AD)は、高齢者集団における認知症の主な原因である。ADが進行した人では、記憶、思考、機能および振舞いに痛ましい変化が生じ、経時的に悪化する。これらの変化は患者の日常生活にますます影響を与え、彼らの自立度を低下させ、最終的にはこれらの患者は完全に他者に依存することになる(Querfurth and LaFerla,2010)。世界的には、約5千万人の人が認知症を患っており、毎年新たに一千万人が発症していると推定されている。アルツハイマー病はこれらの患者の60%~70%を占める(who.int/news-room/fact-sheets/detail/dementia-dated September 21,2020)。早期のADにおいてエピソード記憶が最も顕著な障害である(Gold and Budson,2008)。高齢者人口の増加に伴い、認知症に移行する早期AD患者数は20年ごとにほぼ倍増し、2050年には1億1,500万人が罹患すると予測されている(Duthey,2013)。世界人口の高齢化が進む中、この壊滅的な疾患に対する効果的な治療法が緊急に必要とされている。
【0006】
軽度の初期では、AD症状には、遅延性再生障害(impairment of delayed recall)、記憶喪失および集中力の問題が含まれる。最も長期である中等度の中期では、症状には、出来事を記憶する事の困難、問題解決のための思考および行動にうまく取り組むことの困難、衝動的な行動、注意持続時間の短縮、言語の問題ならびに落ち着きのなさおよび/または興奮が見られる可能性、を含む。重度の後期では、患者は意思疎通ができず、および介護を完全に他人に依存するようになる。ADの進行は避けられず、5年から10年で死に至る。
【0007】
ADの病態生理を説明するために提唱された様々な理論の中でも、アミロイドβタンパク質(Aβ)の沈着によって誘導される酸化的ストレスが大きな注目を集めている。その他の理論には、タウ、アポリポタンパク質E(apoE)/脂質/リポタンパク質受容体、神経伝達物質受容体、神経発生、炎症、酸化的ストレス、細胞死、タンパク質恒常性/タンパク質症、代謝/生体エネルギー、血管系、成長因子、ホルモン、シナプス可塑性/神経保護、およびエピジェネティクスを含む。AD患者の死後脳サンプルを用いた研究は、一貫して、過剰な脂質、タンパク質およびDNA酸化を示してきた。異常なタウタンパク質の存在、ミトコンドリアの機能不全およびタンパク質の過剰なリン酸化の全てが、AD患者の神経組織において実証されてきた。さらに、AD患者は重度の睡眠/覚醒障害および不眠症を示し、これらは急速な認知機能の低下および記憶障害と関連する。ADのコストは加速度的に増加しており、2018年には世界で1兆ドル、2030年には2兆ドルに達すると予測されている。ADを予防し、発症を遅らせ、進行を遅くさせ、症状を改善する手段が緊急に必要とされている。記憶力や注意力の低下など、アルツハイマー病の症状を緩和しようとするために利用可能な医薬品はあるが、病気の経過を変える薬で今のところ承認されたものはない。
【0008】
統合失調症は、記憶、思考、知覚および意思などの複数の認知機能を障害する慢性的な精神疾患である。主要な症状には幻覚(典型的には声を聞く)、妄想および無秩序な思考(disorganized thinking)を含む。その他の症状には、社会的引きこもり、感情表現の低下、無気力などがある。世界人口の約0.5%~1%が罹患している。2017年の新規患者数は110万人、2019年においては全世界で計2,000万人であると推定されている。55歳以上の患者が、世界の統合失調症患者総数の25%以上を占めるようになる日も近い。米国では、高齢者における統合失調症の有病率は2025年までに倍増し、110万人に達する見込みである。統合失調症を患う高齢者には、早期から発症し晩年まで持続する患者と、後期に症状を発症する患者とを含む。統合失調症を患う高齢者では、実行機能、処理速度、注意/警戒、作業記憶、言語学習、視覚学習、推論、問題解決において著しい認知障害がみられる。(Daban C,et al.J Psychiatr Res.2005;39:391-8,Schappi L,et al..Front Psychiatry.2018;9:129)。高齢者における統合失調症と、精神病を伴うアルツハイマー病との鑑別は困難である(Radhakrishnan et al Advances in psychiatric treatment 2012,vol.18,144-153)。統合失調症および高い抗コリン薬負荷をもつ高齢者が、アルツハイマー型認知症で観察されるものと一致する認知機能障害プロファイルを示す事は興味深い。
【0009】
統合失調症の原因には、遺伝的要因および環境的要因を含む。遺伝的要因には、様々な一般的および稀な遺伝子変異体を含む。セロトニン(5-HT)受容体は、神経伝達物質、シナプスの完全性および神経の可塑性への影響を介して精神病、認知機能および気分において重要な役割を果たす事が示唆されている。具体的には、遺伝学的な証拠により、5-HT1A、5-HT2Aおよび5-HT2C受容体の一塩基多型(SNP)が統合失調症の精神病症状、認知機能障害および処置応答に関連する事が示唆される(Sumiyoshi et al Adv Ther.2008;25(10):1037-1056.)。
【0010】
2番染色体、領域2q12.2(GRCh37における2:106992995-108507424)(2:107,510,000-107,540,000遺伝子座の近傍であるか、またはこれを含む)における珍しいコピー数多型(欠失または重複;CNV)は、統合失調症患者1656人中の3人(0.18%)および健康な人4036人中の1人(0.2%)において報告されており(Magri et al PLos ONE 2010;5(Issue 10)e134222010,Kirov et al.Hum Mol Genet 2009;18:1497-1503.,Need et al.PLoS Genet 2009;5:e1000373,Grozeva et al Arch Gen Psychiatry.2010;67(4):318-327)、統合失調症に罹患しやすい危険因子である事が示唆されているが、統合失調症や症候性アルツハイマー病と正式には関連していない。欠失したセグメントにおける遺伝子はいずれも統合失調症に関与していなかった。これらの発表のいずれも、本発明の近接性の高いSNP、および初期の症候性アルツハイマー病患者におけるそれらの高頻度(約25%)について開示していない。
【0011】
自閉症または自閉症スペクトラム障害(ASD)は、社会的相互作用およびコミュニケーションにおける持続的な困難、ならびに限定的な興味関心および反復的な行動を特徴とする複雑な神経発達症である。ASDは典型的には生後3歳までの間に診断され、特徴的な症状や行動特性(中核症状)において明らかになる。現在では、ASDの診断には以前は別々に診断されていた複数の症状、すなわち自閉性障害、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)およびアスペルガー症候群が含まれる。これらの症状はすべて、アメリカ精神医学会の「精神障害の診断と統計マニュアル第5版」(DSM-V)に記載されている自閉症スペクトラム障害の診断基準に包含されている。これらの主な診断基準でみられる症状のスペクトラムに加えて、自閉症の患者はまた、うつ病、不安障害、不眠症、行動障害(例えば、過敏性、多動性、攻撃性)、知的障害、てんかんなどの併発する症状、および血中高セロトニン血症、免疫調節障害、消化器(GI)機能障害(例えば、慢性的な便秘、下痢、腹痛、胃食道逆流症)などの非神経学的併存症を経験し得る。
【0012】
メラトニン受容体アゴニスト(例えば、メラトニン、ラメルテオン、アゴメラチン、ピロメラチン)は、アルツハイマー病、虚血性脳卒中、うつ病、統合失調症および自閉症スペクトラ障害症(ASD)を含む神経変性障害の処置および予防のために検討されてきた(Srinivasan et al Int J Alzheimer’s Dis 2010Dec 8;2011:741974,Wade et al Clin Interv Aging.2014Jun 18;9:947-61,Altinyazar and Kiylioglu Ther Adv Psychopharmacol.2016;6(4):263-268,US Patents No US8242163B2,Cho et al.,Brain Research 755:335-338,1997;Reiter et al.,Exp.Biol.Med.230:104-17,2005,Norman and Olver Expert Opinion on Pharmacotherapy 2019,20:647-656,Morera-Fumero and Abreu-Gonzalez Int.J.Mol.Sci.2013,14,9037-9050,Gagnon and Godbout Current Developmental Disorders Reports 2018;5:197-206)。しかしながら、このような研究において、これらの何れも、明確に有効であることを示したものはなかった。
【0013】
5-HT1受容体アゴニストは、統合失調症(Sumiyoshi et al Adv Ther.2008;25(10):1037-1056.)、アルツハイマー病(Verdurand and Zimmer,Neuropharmacology 2017;123:446-454)、うつ病、不安障害および精神病性障害(Celada et al CNS Drugs (2013;27:703-716))におけるの認知機能の強化のために検討されてきた。しかしながら、製薬業界はアルツハイマー病および統合失調症の有効な処置の開発に何度も失敗しており、近年ではピマバンセリン(pimavanserin)、ビトペルチン(bitopertin)、ルバダキシスタット(luvadaxistat)、クレネズマブ(crenezumab)、トロリルゾール(troriluzole)、ソラネズマブ(solanezumab)、ガンテルマブ(gantenerumab)、セマガセスタット(semagacestat)、アバガセスタット(avagacestat)、ベルベセスタット(verubecestat)、アタベセスタット(atabecestat)およびラナベセスタット(lanabecestat)を含む製品が相次いで失敗している。
【0014】
したがって、アルツハイマー病、統合失調症、注意障害、ASDおよび関連する症状を含む神経学的疾患および神経変性疾患を患う対象における、記憶、精神状態および知的能力を処置するための製品を提供することに対する、長年にわたる切実な、満たされていない需要が存在する
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の概要
本発明は、2番染色体、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座(ゲノムリファレンスコンソーシアム、ヒトゲノムビルド37(GRCh37)において開示される)(以下、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座と称する)における多型を有する症候性アルツハイマー病患者の個別のサブグループを同定する、および精神障害を処置する、特に精神障害を患う患者における知的能力を改善する事を目的とした処置に対する応答の予測因子を同定する方法に関し、具体的にはそのような患者が特定の医薬品の投与によって害を受けるか、または利益を受けるかを予測する。当該方法はまた、患者の同定された遺伝子型に基づいて、本開示の方法に従って患者を処置することを含む。
【0016】
本開示は、神経学的障害または疾患を患うヒト対象の遺伝子型を同定し、およびその後ヒト対象を適切な処置により処置する方法を含む。本開示は、ヒト対象が2番染色体:107,510,000-107,540,000遺伝子座において一塩基多型(SNP)を有するかどうかを決定する、ならびにa)ヒト対象が統合失調症または自閉症スペクトラム障害と診断される、および2:107,510,000-107,540,000遺伝子座においてSNPを有する場合、またはb)ヒト対象が症候性アルツハイマー病と診断される、および2:107,510,000-107,540,000遺伝子座にSNPを有さない場合に、ヒト対象にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを投与することを含む。
【0017】
本開示は、症候性アルツハイマー病と診断され、およびrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有する患者を処置する方法であって、メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストではないアルツハイマー病の治療剤を患者に投与することを含む、方法を含む。
【0018】
本開示は、統合失調症と診断され、およびrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有する患者を処置する方法であって、ピロメラチンを患者に投与することを含む、方法を含む。
【0019】
本開示は、対象がrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有するかどうかを決定することによる、メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを含む治療に対する対象の応答を予測する方法であって
(i)対象が症候性アルツハイマー病と診断され、rs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有する場合に、対象がメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを含む治療に対してネガティブな応答を示すと予測すること
および
(ii)対象が統合失調症または自閉症スペクトラム障害と診断され、およびrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有する場合に、対象がメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを含む治療に対してポジティブな応答を示すと予測すること、を含む、方法を含む。
【0020】
本開示は、メラトニン/5-HT1A受容体アゴニスト療法で処置された症候性アルツハイマー病患者における認知機能悪化のリスクを評価する方法であって、該患者がrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618の少なくとも1つにおいてSNPを有するかどうかを決定すること、および患者が該SNPを有する場合に該対象がメラトニン/5-HT1A受容体アゴニスト療法の投与による認知機能悪化のリスクがあると決定することを含む、方法を含む。
【0021】
本開示は、統合失調症、注意欠陥障害、または自閉症スペクトラム障害に伴う注意障害をもつ対象の注意および集中を改善する方法であって、該対象がrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618の少なくとも1つにおいてSNPを有するかどうかを決定すること、および該患者がSNPを有する場合にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニスト療法を該対象に投与することを含む、方法を含む。
【0022】
本開示は、ヒト対象における精神障害および/または知的能力を処置するための薬剤に対する対象の応答の予後に関する遺伝子型を同定する方法であって、該方法は、2:107516926および/または2:107521253および/または2:107522069および/または2:107523546および/または2:107525598および/または2:107535946、および/または前述のSNPのいずれか1つと連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)から選択されるSNPの少なくとも1つの位置の該対象の遺伝子型を決定することを含む、ここで前記SNPはGRCh37において開示される、および、以下:
rs12328439における少なくとも1つのC対立遺伝子(T>C);および/または
rs62155556における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A);および/または
rs62155557における少なくとも1つのT対立遺伝子(G>T);および/または
rs62155558における少なくとも1つのA対立遺伝子(G>A);および/または
rs17033479における少なくとも1つのG対立遺伝子(A>G);および/または
rs9789618における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A)の存在は、
対象が統合失調症、注意障害、または自閉症スペクトラム障害と診断された場合に対象がメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストに対してポジティブな応答を示すことを示唆する、または対象が症候性アルツハイマー病と診断された場合に対象がメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストに対してネガティブな応答を示すことを示唆する、方法を含む。
【0023】
本開示は、統合失調症、注意障害、または自閉症スペクトラム障害と診断された対象にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを投与する方法を含む。
【0024】
本開示は、統合失調症、注意障害、または自閉症スペクトラム障害を患う患者を処置する方法であって、該患者が、rs12328439、rs62155556、rs62155557、rs62155558、rs17033479、およびrs9789618の少なくとも1つにおいてSNPを有する事を決定すること、および対象にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを投与する事を含む、方法を含む。
【0025】
1つの態様では、対象は自閉症スペクトラム障害、アルツハイマー病、統合失調症、注意欠陥障害、または注意欠陥および/もしくは多動性障害であると診断される。
【0026】
1つの態様では、対象は知的障害、てんかん、不安障害、気分障害、社会的相互作用の障害、過敏性、攻撃性、自傷行為、多動性および/または不注意を有する。1つの態様では、対象は脆弱X症候群を有する。
【0027】
本開示の主題の他の特徴および特性、ならびに操作方法、構造および部分の組み合わせの関連要素の機能、および製造の経済性は、以下の記載および添付の特許請求の範囲(これらはすべて本明細書の一部を構成する)を考慮することにより、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本開示の方法のフローチャートを示す。
【0029】
【
図2-1】
図2は、2番染色体、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座(ゲノムリファレンスコンソーシアム、ヒトゲノムビルド37(GRCh37)に開示される)(ncbi.nlm.nih.gov/genome/gdv/browser/genome/?id=GCF_000001405.25)を示す。
【0030】
【
図3】
図3は野生型のDNA配列、ならびにrs12328439、rs62155556、rs62155557、rs62155558、rs17033479、およびrs9789618(ゲノムリファレンスコンソーシアム、ヒトゲノムビルド37(GRCh37)に開示される)の各SNPを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な説明
本開示の主題の態様は様々な形態において実施され得るが、以下の説明は、単に本開示に包含される主題の特定の実施例として、これらの形態の一部を開示する事を意図するものである。したがって、本開示の主題は、記載された形態または実施形態に限定する事を意図されない。
【0032】
単数形の「a」、「an」および「the」は文脈において明確に別段の指示がない限り、複数の参照を含む。
【0033】
本明細書で使用され、当分野においてよく理解されている、用語「処置する」または「処置」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチを意味する。有益なまたは所望の結果には、検出可能または検出不可能にかかわらず、1つ以上の症状または状態の緩和(alleviation)または改善(amelioration)、疾患の範囲の縮小、病勢の安定(すなわち悪化させない事)、疾患の進行を遅らせるか遅くさせる、病勢の改善または緩和(palliation)、疾患の再発の減少、および寛解(部分寛解または完全寛解にかかわらず)、を含むがこれに限定されない。「処置する」または「処置」はまた、処置を受けなかった場合に予想される生存期間に比して生存期間を延長することも意味し得る。処置方法として有用である事に加えて、本明細書に記載の方法は、疾患の予防(prevention or prophylaxis)のために有用であり得る。
【0034】
濃度、量およびその他の数値データは、本明細書において範囲形式で表現または提示され得る。そのような範囲形式は単に便宜および簡潔性のために使用され、よって範囲の上下限として明示的に記載された数値だけでなく、あたかも各数値および小範囲が明示的に記載されているかのように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値または小範囲を含むように柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例として、「約0.01~2.0」の数値範囲は、明示的に記載された数値である約0.01~2.0を含むのみならず、示された範囲内の個々の数値および小範囲を含むように解釈されるべきである。よって、この数値範囲には、例えば0.5、0.7および1.5などの個々の数値、ならびに0.5~1.7、0.7~1.5、および1.0~1.5等の小範囲が含まれる。さらに、このような解釈は、範囲の広さや記載されている特性に関係なく適用されるべきである。さらに、特に断りのない限り、すべてのパーセンテージは重量であることに留意されたい。
【0035】
本開示の範囲を理解するにあたって、本明細書で使用される場合、用語「含む(including)」または「含む(comprising)およびその派生語は、記載した特徴、要素、構成要素、群、整数および/または工程の存在を特定するが、その他の記載されていない特徴、要素、構成要素、群、整数および/または工程の存在を排除しない、非限定的な(open-ended)用語である事が意図される。上記は、同様の意味を有する用語、例えば用語「含む(including)」、「有する(having)」およびその派生語にも適用される。本明細書で使用される場合、用語「からなる(consisting)」およびその派生語は、記載した特徴、要素、構成要素、群、整数および/または工程の存在を特定し、その他の記載されていない特徴、要素、構成要素、群、整数および/または工程の存在を排除する、限定的な(closed)用語であることが意図される。本明細書で使用される場合、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」は、記載された特徴、要素、構成要素、群、整数、および/または工程の存在、ならびに特徴、要素、構成要素、群、整数、および/または工程の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を与えないものの存在を特定することを意図している。これらの移行句のいずれか1つ(すなわち、「含む」、「からなる」、または「から本質的になる」)への言及は、特に使用されていない他の移行句への置き換えを直接的に支持するものと理解される。例えば、「含む」から「から本質的になる」への用語の修正は、この定義による直接的な支持を見出すことができる。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、所定の値が終点の「少し上」または「少し下」である可能性があることを提供することによって、数値範囲の終点に柔軟性を提供するために使用される。この用語の柔軟性の程度は、特定の変数によって決定することができ、経験と本明細書の関連記述に基づいて当業者が判断できる範囲内であろう。例えば、1つの態様において、柔軟性の程度は、数値の約±10%以内であり得る。別の態様において、柔軟性の程度は、数値の約±5%以内であり得る。さらなる態様では、柔軟性の程度は、数値の±2%、±1%、または±0.05%以内とすることができる。
【0037】
本明細書において通常、用語「または」は、「および/または」を含む。
【0038】
本明細書において使用されるように、複数の化合物、要素または工程は、便宜上、共通のリストにおいて提示される。しかしながら、これらのリストは、リストの各メンバーが、別個の固有のメンバーとして個々に識別されるものとして解釈されるべきである。したがって、このようなリストの個々のメンバーは、反対の指示なしに、共通のグループにおける提示のみに基づいて、同じリストの他のメンバーの事実上の同等物として解釈されるべきではない。
【0039】
さらに、特定の組成物、要素、賦形剤、成分、障害、状態、性質、工程等は、本開示の別々の段落または節において、1つの特定の実施形態または態様の文脈において議論され得る。これは、単に便宜性および簡潔性のためであり、そのような開示は、本開示および特許請求の範囲のいずれかにおいて見られる任意の他の実施形態または態様において同等に適用され、およびそれらと組み合わせられる事が意図されており、それらは全てが出願時において本願および特許請求される発明を形成することが理解される。例えば、ある治療剤または特定の対象の処置方法に関して記載される方法の工程、活性剤、キットもしくは組成物は、それらの方法の工程、活性剤、キットもしくは組成物がその実施形態もしくは態様の文脈もしくは節において再度リスト化されておらずとも、本開示の別の部分において記載される組成物、製剤、治療的活性剤および方法に関する実施形態についての直接的な支持を意図しており、また直接的な支持を見出すものである。
【0040】
第1の態様では、本開示の方法は、対象の遺伝子型と組み合わせて対象において診断された疾患/障害の状態に基づいて、メチオニン/5-HT1Aアゴニスト剤に対する対象の驚くべき奇異性の(paradoxical)応答に基づくものである。本発明者らは、対象のメチオニン/5-HT1Aアゴニスト剤処置に対する奇異性の(有利なまたは不利な)応答の独立した予測因子である、2:107,510,000-107,530,000遺伝子座における6つの一塩基多型を同定し、ここで処置の有利(すなわち有益であること)または不利(すなわち有害であること)は、対象の診断された疾患/障害に依存する。特に、これらのSNPの1つ以上の存在は、統合失調症、注意障害およびASD患者において有用であり得るような、知的能力および神経精神医学的措置における処置に対する有利な応答を予測するものであるが、しかし同時に1つ以上のこれらのSNPの存在は、症候性アルツハイマー病患者に関連する神経変性における不利な(有害な)応答と関連している。したがって、本開示は、2:107,510,000-107,530,000遺伝子座におけるエンドフェノタイプ性変異および新規の認知機能増強薬を使用する新規のおよび予期せぬ方法を提供する。
【0041】
「症候性アルツハイマー病」という語句は、対象おけるアルツハイマー病の症状の臨床所見を指す。
【0042】
本発明における使用のための好適なメラトニンおよび/または5-HT1a受容体アゴニストには、ここに参照によりその全体を援用する米国特許第7,635,710号、8,569,355号、5,151,446号;5,318,994号;5,385,944号;5,403,851号;および国際公開公報WO2007/093880A2およびWO2007/093880A3(これらについてここに参照によりその全体を援用する)に記載されるような化合物を含むが、これに限定されない。
【0043】
1つの非限定的かつ例示的な態様では、本発明は、以下の化学式(I):
Ar-B-Ar’(I)
[式中、Bは-X-Y-Z-を表し、ここで
Xは-(CH2)n-(ここでnは0-6である)を表し、ここでアルキル部分は直鎖状または分岐状である、
Yは酸素、硫黄、>NHを表すか、または不在である、
Zは、>C=O、>O、>COOを表すか、または不在である、
ここでX、YおよびZの内の少なくとも1つは存在しなければならない;
Arはインドール核環系:
【化1】
を表す;
Ar’は、アルファ-、ベータ-またはガンマ-ピロン核環系:
【化2】
を表す;
ここで、R
1-4のそれぞれは、任意の利用可能な位置(N-位を含む)で環Arを置換し、R
1’-2’のそれぞれは、任意の利用可能な位置で環Ar’を置換し、ここで、R
1-4およびR
1’-2’のそれぞれは、独立して、水素、酸素、ハロ、ハロ-C
1-5アルキル、アリール、アシル;窒素、酸素または硫黄から独立して選択される
1-3個のヘテロ原子を含有するC
5-7ヘテロ環式基;窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1-3個のヘテロ原子を含有するC
6-8ヘテロアリール基;C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、C
2-5アルキニル、アリール-C
1-5アルキル、アリール-C
2-5アルケニル、アリール-C
2-5アルキニル、ヒドロキシ-C
1-5アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、シアナミド、グアニジノ、アミジノ、アシルアミド、C
1-5アルキルアミン、C
1-5アルキルアミド、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アジド、C
1-5アルコキシ、カルボキシ、カルボニルアミドまたはスチリルを表す;ここで、該アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、またはスチリル基は、任意に、水素、ハロ、ハロ-C
1-5アルキル、アリール;窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1-3個のヘテロ原子を含むC
5-7ヘテロ環式基;窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1-3個のヘテロ原子を含むヘテロアリール基;C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、C
2-5アルキニル、アリール-C
1-5アルキル、アリール-C
1-5アルケニル、アリール-C
2-5アルキニル、ヒドロキシ-C
1-5アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、シアナミド、グアニジノ、アミジノ、アシルアミド、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アジド、アルコキシ、カルボキシ、カルボニルアミド、S-アルキルまたはアルキルチオールからなる群から独立して選択される1~4個の置換基で環置換され得る;
およびR
3またはR
4のいずれかは、Bへの結合をさらに含み得るか、または表し得る;
ここで、Arは、N-位を含む、R
1またはR
2で置換されていないAr環上の任意の位置でBに結合することができる、およびAr’は、R
1’またはR
2’で置換されていないAr’環上の任意の炭素にてBに結合することができる]
を有する化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは立体異性体に関する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、フェニルまたはナフチルを表す。
【0045】
本発明の化合物の一般性を損なうことなく、現在好ましい化合物のサブグループは、式(I)において、Xは、-(CH2)2-であり、Yは、>NHまたは>Oであり、Zは、>C=Oであり、Arは、インドール環の3位にR3からXへの結合を含むインドールであり、R1は、インドール環の5位のメトキシであり、R2およびR4のそれぞれは、水素であり、ならびに(a)Ar’は、ピロン環の2位でZに結合したガンマピロンであり、R1’は、ピロン環の5位の水素またはヒドロキシ基であり、R2’は、ガンマピロン環の6位の水素またはカルボキシ基であるか、または(b)Ar’は、ピロン環の5位でZに結合したα-ピロン環であり、R1’およびR2’はそれぞれ、ピロン環の3、4、または6位の水素である、のいずれかであると定義される、またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体である。
【0046】
また、本明細書で使用される場合、式(I)の「ある1つの(a)」化合物、塩、立体異性体、またはラセミ混合物への言及は、「1つまたは複数の」そのような化合物、塩または立体異性体を包含することを意図する。さらに、式(I)の「化合物」への言及はまた、下記の医薬製剤の議論のように、化合物の塩、立体異性体、またはラセミ混合物を含むことを意図する。
【0047】
好ましい実施態様では、Xは、-(CH2)n-であり、ここで、nは、0-6のいずれか、好ましくは、1-6のいずれかであり、Yは、>NHまたは>Oであり、Zは>COである。
【0048】
本発明の化合物の一般性を損なうことなく、式(I)によって定義される化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、またはラセミ混合物の好ましい実施態様では、Xは、-(CH2)2-であり、Yは、>NHまたは>Oであり、Zは、>C=Oであり、Arは、インドール環の3位にR3からXへの結合を含むインドールであり、R1は、インドール環の5位のメトキシであり、R2およびR4のそれぞれは、水素であり、Ar’は、ピロン環の2位でZに結合したガンマピロンであり、R1’は、ピロン環の5位の水素またはヒドロキシ基であり、R2’は、ガンマピロン環の6位の水素またはカルボキシ基である。第二の好ましい実施態様では、Arは、上記と同意義であり、Ar’は、α-ピロン環の5位でZに結合したα-ピロン環であり、R1’およびR2’は、水素であり;またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、もしくはラセミ混合物である。いくつかの例示的な化合物には、例えば、N-[2-(1H-インドール-3-イル)-エチル]-コマニルアミド、N-[2-(5-メトキシ-インドール-3-イル)-エチル]-コマニルアミド、および2-メチル-4-オキソ-4H-ピラン-3-イル[2-(5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)エチル]カルバメートを含む。
【0049】
式(I)の化合物の適切な薬学的に許容される塩として、例えば、化合物の溶液を薬学的に許容される酸の溶液と混合することによって形成され得る塩が挙げられる。薬学的に許容される酸として、塩酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、安息香酸、酒石酸、炭酸、リン酸または硫酸が挙げられるが、これらに限定されない。アミン基の塩はまた、アミノ窒素原子がアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアラルキル基を有する第四級アンモニウム塩を含み得る。化合物が酸性基、例えば、カルボン酸基を有する場合、本発明は、その塩、好ましくは、そのナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩などの無毒性の薬学的に許容されるその塩も企図する。代表的な薬学的に許容される塩として、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシレート、トリエチオジドおよび吉草酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
いくつかの実施態様では、本発明において有用な式(I)で示される化合物の官能基は、化合物の薬理学的利用性を高めるように修飾され得る。そのような修飾は、十分に当業者の知識の範囲内であり、式(I)の示された化合物のエステル、アミド、エーテル、N-オキシド、およびプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。式(I)で示される化合物の活性を高めることができる修飾の例として、例えば、C1~C6アルキルエステル、好ましくは、C1~C4アルキルエステルの形成(ここで、アルキル基は、直鎖または分枝鎖である)などのエステル化が挙げられる。他の許容されるエステルとして、例えば、C1~C7シクロアルキルエステルおよびベンジルエステルなどのアリールアルキルエステルが挙げられる。そのようなエステルは、有機化学の分野でよく知られている従来の方法を使用して、本明細書に記載の化合物から調製することができる。
【0051】
本発明において有用な式(I)の化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する実施態様において、化合物は、化学的に異なるエナンチオマーとして存在し得ることが理解される。さらに、化合物が2つ以上のキラル中心を有する場合、化合物はジアステレオマーとして存在し得る。すべてのそのような異性体およびそれらの混合物は式(I)の示された化合物の範囲内に包含される。同様に、化合物が互変異性体として構造を存在させることを可能にする構造配置を有する場合、そのような互変異性体は示された化合物の範囲内に包含される。さらに、結晶形では、化合物は、多形体として存在することできる;溶媒の存在下で、化合物は、例えば、水または一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。そのような多形体、水和物および他の溶媒和物もまた、本明細書中に定義されるように本発明の範囲内に包含される。
【0052】
本発明はまた、活性物質として治療有効量の式(I)の化合物または治療有効量のその塩および式(I)により包摂される任意の立体異性体を、医薬および獣医学的製剤において従来から使用されている、1つ以上の薬学的に許容される希釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント、賦形剤または担体との関連において含む医薬組成物をその範囲に含む。本発明の医薬製剤はヒトおよび/または動物への投与のために採用され得る。
【0053】
本開示の組成物中の活性剤の用量は、治療量が投与されるという条件で、変化し得る。そのような治療量は、一般的に、所望の治療効果を達成するのに必要な最小用量であり、これは、例えば認知症の症状を軽減する、例えばエピソード記憶を強化するのに概ね必要な量であり得る。望ましくは、活性剤は、そのような治療を必要としている患者(ヒトまたは動物)に最適な薬学的有効性を提供する用量で投与される。選択される投与量は、処置される疾患または障害の性質および重症度、所望の治療効果、投与経路、ならびに処置期間に依存する。用量は、疾患の性質および重症度、患者の体重、その後の患者が摂る特別食、併用薬、投与時の化合物のバイオアベイラビリティ、および当業者が認識する他の要因に応じて患者ごとに異なるであろう。治療用量は一般に、0.1~1000mg/日の範囲であり、例えば、0.1~500mg/日、0.5~500mg/日、0.5~100mg/日、0.5~50mg/日、0.5~20mg/日、0.5~10mg/日または0.5~5mg/日であり得て、実際の投与量は、認知症の重症度、患者の年齢および体重、患者の全身状態、認知症の原因、投与経路など、関連する状況を考慮して医師によって決定される。いくつかの実施態様では、治療有効量は、1日当たり、1回以上の0.10mg、0.15mg、0.20mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、40mgまたは50mgである用量を含む。非限定的な例として、本発明の化合物は、少なくとも3日間、または、例えば、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間もしくは10日間にわたって、または慢性的に、反復投与または連続投与によって投与することができる。さらなる例として、化合物は、1日に2回、1日に3回、1日に4回、またはそれ以上など、1日に複数回投与することができる。
【0054】
本発明において有用な医薬組成物は、活性化合物(すなわち式(I)の化合物)を含み、さらに、所望であれば、薬学的に許容される担体または希釈剤などの賦形剤を含むことができ、これらは、対象に投与された場合、実質的に長期的または恒久的な有害作用がない任意の担体または希釈剤である。そのような賦形剤は、一般に、活性化合物と混合されるか、または活性化合物を希釈または封入することを可能にされる。担体は、活性化合物のための賦形剤またはビヒクルとして作用する固体、半固体、または液体の剤であり得る。薬学的に許容される担体および希釈剤の例として、蒸留水または脱イオン水などの水;生理食塩水;および他の水性媒体が挙げられるが、これらに限定されない。活性成分は可溶性でありうるか、または所望の担体もしくは希釈剤中の懸濁液として送達され得ることが理解される。
【0055】
用語「SNP」または「一塩基多型」は当分野における一般的な意味を有し、集団において評価可能な頻度で生じる遺伝子配列における一塩基変異(single nucleotide variation)を指す。一塩基変異は、置換であり得て、または付加若しくは欠失でもあり得る。ヒトゲノムには数百万個のSNPが存在する。最も一般的には、これらの変異は遺伝子間のDNAセグメントにおいて見られる。
【0056】
本発明に従って、用語「遺伝子型」は、単一個体からの単一染色体上または両方の染色体上の遺伝子座における1つ以上の多型部位のセットで見出される5’から3’のヌクレオチド配列を意味する。
【0057】
本発明に従って、用語「生物学的試料」は、DNA抽出が可能な、患者から単離された任意の試料を指す。限定するものではないが、例として、これには患者から得られたホモジネートまたは可溶化組織などの体液および/または組織抽出物を含み得る。組織抽出物は、組織生検および部検材料または口腔/鼻腔粘液から日常的に得られる。本発明において有用な体液には、血液、尿、唾液、その他の体内分泌物またはその派生物が含まれる。
【0058】
本明細書で使用される場合、「血液」には全血、単離された単核細胞/リンパ球(それぞれ核を有するT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞および単球)、血漿、血清、循環上皮細胞、血液成分、または任意の血液の派生物を含む。本発明の好ましい実施形態では、検査する試料は血液である。
【0059】
用語「患者の応答性(responsiveness)」、「応答患者(responder patient)」または「応答性患者(responsive patient)」という用語は、処置により疾患において所望の応答(例えば、アルツハイマー病もしくは症状の緩和または進行の減速、または統合失調症における知的能力の改善)を示す患者を指す。疾患の重症度は、本技術分野における一般常識(CGK)の基準に従って測定することができる。
【0060】
本発明に従う、2番染色体、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座(ゲノムリファレンスコンソーシアム、ヒトゲノムビルド37(GRCh37)において開示される)における一塩基多型は、2番染色体;rs12328439(2:107516926)および/またはrs62155556(2:107521253)および/またはrs62155557(2:107522069)および/またはrs62155558(2:107523546)および/またはrs17033479(2:107525598)および/またはrs9789618(2:107535946)における1~6つの一塩基多型を指す。
【0061】
本開示の1つの態様は、精神障害(例えばアルツハイマー病、ASD、統合失調症、または注意障害)を患う患者の薬学的処置に対する応答性を予測するゲノム遺伝子座の同定のためのインビトロ方法であって、前記患者から得た生物学的試料において、2番染色体,2:107,510,000-107,540,000遺伝子座における一塩基多型(SNP)の遺伝子型を決定する工程を含む、方法に関する。
【0062】
いくつかの態様では、患者の遺伝子型は、前記患者からの生物学的試料から得た核酸試料において決定される。核酸試料は任意の細胞供給源または組織生検から取得され得る。入手可能な細胞供給源の非限定的な例には、血液細胞、頬細胞、上皮細胞または線維芽細胞を含むがこれに限定されない。細胞は血液若しくはリンパ等の体液からも取得され得る。DNAは、例えばDilhari et al.,AMB Express volume 7,179,(2017)に記載されるような当分野で知られた任意の方法を使用して抽出され得る。
【0063】
SNPは、核酸試料において、好ましくは増幅後に検出され得る。例えば、単離されたDNAは、1つの規定の遺伝子型に特異的であるか、または目的の多型を含む領域の増幅を可能にするオリゴヌクレオチドプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅に供され得る。第1の選択肢としては、プライマーのアニーリングのための条件は、特異的な逆転写(適切な場合)および増幅を確実にするように選択され得る;それにより、増幅産物の出現が特定の遺伝子型の存在を診断する。1つの態様では、DNAは増幅され、その後に増幅された配列中において、好適なプローブを用いたハイブリダイゼーションもしくは直接的な配列決定、または当分野で知られた任意のその他の適切な方法によって遺伝子型が決定され得る。
【0064】
いくつかの態様では、検出する工程は、対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーション、対立遺伝子特定的プライマー伸長、対立遺伝子特異的増幅、配列決定、5’ヌクレアーゼ消化、分子ビーコンアッセイ、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)、サイズ分析、一本鎖コンフォメーション多型分析(SSCP)、または変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE)を使用して行われる。
【0065】
いくつかの態様では、本開示は本明細書で規定される位置におけるSNPを含む増幅されたポリヌクレオチドの使用を含み、増幅されたポリヌクレオチドは長さが約16~1,000ヌクレオチドの間であり、例えば長さが20~100ヌクレオチドである。
【0066】
いくつかの態様では、本開示は本明細書で規定される位置における単一のSNPを含む核酸分子に特異的にハイブリダイズする単離されたポリヌクレオチドまたはその相補配列の使用を含む。
【0067】
いくつかの態様では、単離されたポリヌクレオチドは対立遺伝子特異的プローブ、対立遺伝子特異的プライマーである。
【0068】
いくつかの態様では、本開示は本明細書で規定されるポリヌクレオチド、緩衝剤、および酵素、例えばDNAポリメラーゼを含むキットを含む。
【0069】
いくつかの態様では、本開示は、対立遺伝子特異的プローブを含む、および酵素はリガーゼである、および対立遺伝子特異的プローブの3’末端がSNPと整列する、およびキットは第2のプローブをさらに含み、これは対立遺伝子特異的プローブの3’に直接的に隣接する核酸分子のセグメントにハイブリダイズする。
【0070】
いくつかの態様では、SNPは好適なDNAチップ技術を使用することにより同定され得る。非限定的な例には、EP1065280A2およびWO2002101094A1に記載されるものを含み、これらはここに本明細書の一部として参照によりその全体を援用する。
【0071】
1つの態様では、本開示は、例えば1~6つの、2番染色体、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座におけるSNPを有する症候性アルツハイマー病を患う患者において、メラトニンおよびまたは5-HT1A受容体アゴニストの投与が禁忌である方法を含む。
【0072】
1つの態様では、本開示は、ヒト対象が2:107,510,000-107,540,000遺伝子座において一塩基多型(SNP)を有するかどうかを決定すること、ならびに以下の場合:a)ヒト対象が統合失調症または自閉症スペクトラム障害と診断される、および2:107,510,000-107,540,000遺伝子座においてSNPを有する場合、またはb)ヒト対象が症候性アルツハイマー病と診断される、および2:107,510,000-107,540,000遺伝子座にSNPを有さない場合に、該ヒト対象にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを投与することによる、神経障害または疾患を患うヒト対象の遺伝子型を同定し、その後ヒト対象を適切な処置により処置する方法を含む。
【0073】
1つの態様では、ヒト対象が症候性アルツハイマー病と診断される、および2:107,510,000-107,540,000遺伝子座にSNPを有する場合に、方法はメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストではない症候性アルツハイマー病を処置するための医薬を対象に投与する工程をさらに含む。
【0074】
1つの態様では、ヒト対象が統合失調症または自閉症スペクトラム障害と診断される、および2:107,510,000-107,540,000遺伝子座にSNPを有さない場合に、方法は、メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストではない統合失調症または自閉症スペクトラム障害を処置するための医薬を対象に投与する工程をさらに含む。
【0075】
決定する工程は、対象から得た核酸含有試料を使用してインビトロで行われる。
【0076】
1つの態様では、SNPは、2:107516926および/または2:107521253および/または2:107522069および/または2:107523546および/または2:107525598および/または2:107535946、および/またはゲノムリファレンスコンソーシアム、ヒトゲノムビルド37(GRCh37)に開示される前述のSNPのいずれか1つと連鎖不均衡にあるSNPから選択される、ならびにSNPを有するヒト対象は、以下:
rs12328439における少なくとも1つのC対立遺伝子(T>C);および/または
rs62155556における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A);および/または
rs62155557における少なくとも1つのT対立遺伝子(G>T);および/または
rs62155558における少なくとも1つのA対立遺伝子(G>A);および/または
rs17033479における少なくとも1つのG対立遺伝子(A>G);および/または
rs9789618における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A)、を有する。
【0077】
1つの態様では、前述のSNP位置における対象の遺伝子型は、前述のSNP位置と連鎖不均衡にあるSNP位置における対象の遺伝子型を決定することによって間接的に決定される。
【0078】
1つの態様では、決定する工程は、対象から得た試料からDNAを抽出する事および/または増幅する事を含む;および規定のSNPの位置における少なくとも1つの対立遺伝子の同一性を決定するための複数のプローブを含むアレイと、当該DNAとを接触させる事を含む。
【0079】
1つの態様では、アレイはDNAアレイ、DNAマイクロアレイまたはビーズアレイである。
【0080】
1つの態様では、投与する工程は、N-(2-(5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)-4-オキソ-4H-ピラン-2-カルボキサミド(ピロメラチン)および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を投与する事を含む
【化3】
【0081】
1つの態様では、医薬組成物は、1~100mgのピロメラチンを含む。1つの態様では、1日あたり5~100mg、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100mgのピロメラチンが対象に投与される。1つの態様では、20、50、または100mgのピロメラチンが投与される。
【0082】
1つの態様では、方法は、ヒト対象が症候性アルツハイマー病と診断された場合に追加的なアルツハイマー病の治療剤との組み合わせ療法において医薬組成物を投与する、またはヒト対象が統合失調症と診断された場合に追加的な統合失調症の治療剤との組み合わせ療法において医薬組成物を投与する、またはヒト対象が自閉症スペクトラム障害と診断された場合に追加的な自閉症スペクトラム障害の治療剤との組み合わせ療法において医薬組成物を投与することをさらに含む
【0083】
1つの態様では、本開示は、症候性アルツハイマー病と診断され、且つrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有する患者を処置する事であって、メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストではない症候性アルツハイマー病の治療剤を当該患者に投与することを含む、処置する事を含む。
【0084】
1つの態様では、本開示は、統合失調症と診断され、且つrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有する患者を処置する事であって、ピロメラチンを当該患者に投与することを含む、処置する事を含む。
【0085】
1つの態様では、本開示は、対象がrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有するかどうかを決定することによって、メラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを含む治療に対する対象の応答を予測する事を含み、ここで対象が症候性アルツハイマー病と診断されており、且つrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有する場合に、対象はメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを含む治療に対してネガティブな応答を示すと予測される、ならびに対象が統合失調症または自閉症スペクトラム障害と診断されており、且つrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618から選択されるSNPを有する場合に、対象はメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストを含む治療に対してポジティブな応答を示すと予測される。
【0086】
1つの態様では、方法は、対象から核酸含有試料を得ること、およびSNPの位置における少なくとも1つの対立遺伝子の同一性を決定するために適切な複数のプローブを含むアレイと該核酸を接触させることを含む。
【0087】
1つの態様では、本開示は、メラトニン/5-HT1A受容体アゴニスト療法で処置された症候性アルツハイマー病患者における認知機能悪化のリスクを評価する事であって、患者がrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618の少なくとも1つにおいてSNPを有するかどうかを決定すること、および患者が当該SNPを有する場合に該対象がメラトニン/5-HT1A受容体アゴニスト療法の投与による認知機能悪化のリスクがあると決定することを含む、評価する事を含む。
【0088】
1つの態様では、本開示は、統合失調症、注意欠陥障害、または自閉症スペクトラム障害に伴う注意障害をもつ対象の注意および集中を改善する事であって、対象がrs12328439および/またはrs62155556および/またはrs62155557および/またはrs62155558および/またはrs17033479および/またはrs9789618の少なくとも1つにおいてSNPを有するかどうかを決定すること、および患者が当該SNPを有する場合にメラトニン/5-HT1A受容体アゴニスト療法を当該対象に投与することを含む、改善する事を含む。
【0089】
1つの態様では、本開示は、ヒト対象における精神障害および/または知的能力を処置するための薬剤に対する対象の応答の予後に関する遺伝子型を同定する事を含み、方法は、2:107516926および/または2:107521253および/または2:107522069および/または2:107523546および/または2:107525598および/または2:107535946から選択される一塩基多型(SNP)、および/または当該SNPのいずれか1つと連鎖不平衡にあるSNPの少なくとも1つの位置の対象の遺伝子型を決定することを含み、ここで当該SNPはGRCh37において開示されるものであり、
そしてrs12328439における少なくとも1つのC対立遺伝子(T>C);および/または
rs62155556における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A);および/または
rs62155557における少なくとも1つのT対立遺伝子(G>T);および/または
rs62155558における少なくとも1つのA対立遺伝子(G>A);および/または
rs17033479における少なくとも1つのG対立遺伝子(A>G);および/または
rs9789618における少なくとも1つのA対立遺伝子(T>A)の存在は、
対象が統合失調症、注意障害、または自閉症スペクトラム障害と診断された場合に対象がメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストに対してポジティブな応答を示すことを示唆する、または対象が症候性アルツハイマー病と診断された場合に対象がメラトニン/5-HT1A受容体アゴニストに対してネガティブな応答を示すことを示唆する、同定する事を含む。
【0090】
1つの態様では、決定する工程は、対象から得た核酸含有試料を使用してインビトロで行われる。
【0091】
1つの態様では、前述のSNP位置における対象の遺伝子型は、当該SNP位置との連鎖不平衡にあるSNP位置における対象の遺伝子型を決定することによって間接的に決定される
【0092】
1つの態様では、前述のSNP位置における、対象の遺伝子型を決定することは、
(i)対象から得た試料からDNAを抽出および/または増幅すること;
(ii)前述のSNPの位置における少なくとも1つの対立遺伝子の同一性を決定するために適切な複数のプローブを含むアレイと当該DNAを接触させること、を含む。
【0093】
本明細書において引用される全ての刊行物および特許文献は、かかる刊行物または文献がそれぞれ参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。刊行物および特許文献の引用は、いずれかが適切な先行技術であることを認める事を意図するものではなく、また、その内容または日付についての何らの認証をも構成しない。発明の詳細な説明において本発明をこれまで記載してきたが、当業者は、当該発明が様々な実施形態において実施され得る事、および前述の説明および以下の実施例が例示を目的とするものであり、添付の特許請求の範囲の限定を目的とするものではない事を理解するはずである。
【実施例】
【0094】
実施例1-ピロメラチン錠の調製(バッチあたり10,000錠):
【0095】
すべての成分をまず30メッシュのふるいにかけた。Starch1500(結合剤および崩壊剤、375グラム)およびピロメラチン(200グラム)をVブレンダーで5分間混合した。微結晶セルロース(充填剤/圧縮助剤、1550グラム)を先に合わせた混合物に加え、Vブレンダーでさらに5分間混合して内相を完成させた。微結晶セルロース(300グラム)、コロイド状二酸化ケイ素(流動化剤、37.5グラム)およびステアリン酸マグネシウム(滑沢剤、37.5グラム)を、外相としてVブレンダーで別々に組み合わせ、2分間混合した。その後、2つの混合物を合わせてブレンダーで1分間混合した。このブレンドを、8.0X16.0mm(深さ2.0mm)の楕円形凹型ダイとパンチを備えた6ステーション回転式錠剤プレス機を用いて圧縮した。
【0096】
実施例2
【0097】
早期の症候性アルツハイマー病の患者(n=352、年齢60~85歳)におけるピロメラチンの無作為化、プラセボ対照試験(1日あたり、5、20および50mg、6か月間)では、コンピューター処理された神経心理学テストバッテリー(cNTB)のグローバルコンポジットスコア(the global composite score of the computerized Neuropsychological Test Battery)およびアルツハイマー病評価尺度-認知機能下位尺度(the Alzheimer’s Disease Assessment Scale cognitive subscale)(ADAS-cog14、抗認知症処置の有効性を評価するためのゴールドスタンダードと考えられている。)によって測定された知的能力において、薬剤およびプラセボ処置間で統計的に有意な差は観察されなかった。しかしながら、驚くべきことに、患者が薬剤に対して奇異性の応答を示す事が見出され、cNTBが有意に改善したのに対して、ADAS-Cog14は悪化した。
【0098】
DNA抽出およびSNP遺伝子型決定は以下のように行われた:107人の患者について、登録時に全血を採取し、市販のキットを用いて末梢リンパ球からゲノムDNAを抽出した。全ゲノムおよび全エクソームシーケンスを組み合わせた変異型遺伝子型決定を行った。処置への応答に関連する変異型の検出は、ゲノムワイド関連研究(GWAS)解析(これは既知の症例対照パラダイムである)によって行われた。この設定には、治療に応答した患者を症例とし、治療に応答しなかった患者を対照とすることを含む。一般的な症例-対照対立遺伝子検定は、Cochran-Armitage傾向検定によって行われた。これらの結果は、層別化検定(stratification test)として潜在的交絡変数(potential confounding variables)とクロスチェックされた。層別化は、一対の母集団の一致を制約条件として用いた完全連鎖階層的クラスタリング(complete-linkage hierarchical clustering)により評価した。SNPコールは、DRAGENを用いてアラインメントされたBAMファイルに対して行った:support.illumina.com/help/DRAGEN_Germline_OLH_1000000083701/Content/Source/Informatics/Apps/DRAGENGermlineSmallVarCaller_appDRAG.htmおよびVQSR:gatk.broadinstitute.org/hc/en-us/articles/360035531612-Variant-Quality-Score-Recalibration-VQSR、を用いてSNPをフィルターした。SNPコーラープログラム(SNP caller program)は、マッピングされアラインメントされたDNAリードをインプットとし、カラム単位の検出とハプロタイプのローカルde novoアセンブリの組み合わせによりSNPとインデルをコールする。コール可能な参照領域(Callable reference region)が最初に十分なアラインメントカバレッジにより同定される。これらの参照領域内で、ソートされたリードの高速スキャンにより、変異型の証拠を持つパイルアップ列を中心とした活性領域が特定される。活性領域は、近傍の有意な非参照内容をカバーするために十分な文脈でパディングされ(padded)、インデルの証拠がある場合はさらにパディングされる。
【0099】
結果
【0100】
研究コホートの代表的試料のGWASにおいて、ピロメラチン処置が、cNTBのベースラインからの変化について、ベースラインと比較して有意な増強をもたらし、およびプラセボと比較して有意な増強をもたらした、2番染色体、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座に1~6の一塩基多型を持つ特定の亜集団(試料の27%)が同定された。しかしながら、cNTBの結果とは対照的に、本発明者らは驚くべきことに、ピロメラチンが実際にADAS-cog14スコアの悪化、これはこれらの患者における認知症の悪化を示唆する、をもたらす事を見出した(表1)。2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の非保有者である患者(試料の73%)では、cNTBの成績は平均して低かったが、ピロメラチン治療は、ADAS-Cog14においてプラセボと比較して有意な改善をもたらした(表1)。
【0101】
別の分析では、2番染色体;rs12328439(T>C)、rs6215556(T>A)、rs6215557(G>T)、rs6215558(G>A)、rs17033479(A>G)およびrs9789618(T>A)における6つの一塩基多型の検出を、11個の抽出ゲノムDNA試料について、盲検化された評価の下で、別の生物分析研究室によって、双方向サンガー配列決定法を用いて行った。この11個の試料は、上記6SNPの保有者5検体、非保有者5検体、5SNPのみの保有者1検体(rs6215558(G>A)SNPを欠く)であり、GWAS法で解析された107検体の全グループを代表する。再検査の結果から、GWAS法で決定された6つのSNPの有無が完全に確認された。
【表1】
【0102】
本研究において、これらの奇異性の応答とその他の変数間の関係をさらに探索するために、中間用量(20mg)のピロメラチンについてのADAS-cog14の変化およびその他の変数との関係を分析した(表2)。特に、20mgのピロメラチンで処置した患者についてのADAS-cog14におけるベースラインからの変化が、実際に多型を有する患者と多型を有さない患者とで対照的である事が見られた(表2)。さらに、本試験において、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の非保有者であり、ピロメラチン20mgを投与された患者のうちの39%がADAS-Cog14で4点以上の改善(低下)を示し、「応答者(有益な応答)」とみなされたのに対し、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の保有者でありピロメラチン20mgを投与された患者のうち、応答者はわずか8%であった(表2)。
【0103】
2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の保有者を20mgピロメラチンの用量で処置した際に改善した、コンピューター処理された神経心理学テストバッテリー(cNTB)における主なパフォーマンスドメインは、エピソード記憶ドメインコンポジットスコアおよび注意ドメインコンポジットスコアであった。ADAS-cog14試験において悪化した主なドメインは、統合失調症における既知の困難である、問題解決のための思考および行動にうまくとり組む事の困難であった(Morris et al Schizophrenia Research 1995;14(Issue 3):235-246)。加えて、睡眠品質指標(PSQI)の平均値は、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の保有者において改善しなかったが、非保有者において改善し、一方で神経精神症状評価(neuropsychiatric inventory(NPI))は2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の保有者において改善し、非保有者ではあまり改善しなかった。2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の保有者におけるNPIの改善は、主に、統合失調症でもよくみられる異常運動の改善によるものであった(Schappi et al.Distinct Associations of Motor Domains in Relatives of Schizophrenia Patients-Different Pathways to Motor Abnormalities in Schizophrenia?.Front Psychiatry.2018;9:129)。
【0104】
驚くべきことに、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の保有者におけるADAS-cog14の悪化は、NPIの改善と負に相関した(表2)。一方で、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の保有者におけるADAS-cog14の変化は、PSQIの変化と有意に相関しており(両者とも悪化)、ADAS-Cog14の悪化は、ピロメラチンの睡眠促進効果が睡眠不足につながる奇異性の応答と関連していた(表2)。この関連は非保有者では存在しなかった。これらの知見は、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の保有者においてピロメラチンがもたらす利益は、知的能力、特に注意力のドメイン、および異常な運動活性のドメインにおいてより顕著であって、本発明者らは、これらの患者のメラトニン/5HT1アゴニストの効果に対する奇異性の応答から、これらのすべてについて統合失調症、ASDおよび注意障害を患う患者にとり有益であると想定している。同時に、本発明者らは、このようなSNP保有者の被験者がアルツハイマー病に罹患した場合、かかる処置によって睡眠の質が低下し、その結果、統合失調症とも関連する問題解決のための思考および行動にうまく取り組む事が困難になるという悪影響が生じることを想定している。
【表2】
【0105】
逆説的なことに、ADAS-cog14の悪化は、NPI(神経精神症状評価)の改善および睡眠の質の悪化と有意に相関した。
【0106】
ADAS-cog14尺度のような古典的評価ツールを用いた2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の非保有者である患者における20mgのピロメラチンの認知機能の改善効果は、睡眠の質の改善を伴った。同じ受容体を活性化する他のメラトニン/5-HT1Aアゴニストは同様の応答を引き起こすものと想定される。実施例4の結合データは、ピロメラチンが両方の受容体のアゴニストであることを示している。
【0107】
実施例3-2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の保有者である症候性AD患者の低用量治療
【0108】
本研究において、これらの奇異性の応答とその他の変数間の関係をさらに探索するために、低用量(5mg)のピロメラチンについて、cNTB、ADAS-cog14およびPSQIの変化を分析した(表3)。特に、5mgのピロメラチンで処置した多型を有する患者では、ADAS-cog14またはPSQIについて悪化しないかまたは改善(Cohen’s d>0.2)の傾向が見られた(表3)。しかしながら、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の保有者のみ、5mgのピロメラチン用量を用いた処置によりコンピューター処理された神経心理学テストバッテリー(cNTB)が改善し、主なパフォーマンスドメインはエピソード記憶ドメインコンポジットスコアおよび注意ドメインコンポジットスコアであった。この知見は、症候性アルツハイマー病を患う患者であって、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の保有者である患者は低用量のピロメラチンで改善し得ることを示唆する。
【0109】
【0110】
これらの結果に基づいて、本発明者らは、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の保有者であり症候性AD患者であるこの患者集団において、2:107,510,000-107,540,000遺伝子座多型の非保有者である症候性AD患者における臨床的有効量の半量までの用量(「低用量」組成物)、例えば10mgまで、8mgまで、5mg前後でのピロメラチンおよびその他のメラトニン/5-HT1Aアゴニストの投与は有効であるだろうと想定している。同じ受容体を活性化する他のメラトニン/5-HT1Aアゴニストは同様の応答を引き起こすものと想定される。実施例4の結合データは、ピロメラチンが両方の受容体のアゴニストであることを示している。
【0111】
実施例4-ピロメラチン結合アッセイ
【0112】
受容体結合アッセイについて、5-HT1a、1b、1dおよび2c受容体を安定的に発現する細胞(それぞれHEK-293、ラット大脳皮質、CHOおよびHEK-293)を、0.3または1nMの各々の放射性リガンド(3H-OH-DPAT、125I CYP、3H セロトニンおよび3H-メスレルギン)単独と共に、または1nM~10μMのピロメラチンの存在下でインキュベートした。結合した放射性リガンドを測定した。非特異的な結合を、8-OH-PTA、セロトニンおよびRS-10221(8-[5-(2,4-ジメトキシ-5-(4-トリフルオロメチルフェニルスルホンアミド)フェニル-5-オキソペンチル]-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン塩酸塩)を含む反応下で評価した
【0113】
機能性アッセイについて、5-HT1a、2a、2b、2c、4e、6、7とそれぞれのリガンド(8-OG-DPATまたはセロトニン)との機能的アゴニストまたはアンタゴニスト結合の産物としてcAMPまたはIP1を測定するために、均一系時間分解蛍光(Homogeneous Time Resolved Fluorescence)(HTRF)を使用した。細胞誘電分光法(cellular dielectric spectroscopy)を用いて、5HT1bの機能的アゴニストまたはアンタゴニスト結合の産物としてのインピーダンスを測定し、それぞれのリガンド(セロトニン)を決定した。
【0114】
さらに60の異なるイオンチャンネルおよび異なる神経伝達物質およびホルモンの受容体に対する結合パラメーターの完全なプロフィールを実施した(60の受容体アッセイのいずれも、10μMのピロメラチンによる有意な(>50%の)阻害をもたらさなかったので、データは示していない)。
【0115】
結果:
【0116】
表4に示す結果は、特定の5-HT受容体上での、5-HT
1A、5-HT
1B、5-HT
2A、5-HT
2Cおよび5-HT
2B受容体に低親和性で結合するピロメラチンの競合を示す。
【表4】
【0117】
機能性アッセイにおいて、5HT1aおよび5-HT1dについてピロメラチンの中程度のアゴニスト活性が検出された。5-HT1bについての低いアゴニスト活性が検出された。
【0118】
この結果は、これらのメラトニン/5-HT1A、1Dアゴニストが、インビトロにおいてメラトニンおよびセロトニンの応答と同様の応答を誘導する事を示した。加えて、これらのアッセイは、低用量レベルでは、セロトニン作動性活性が少なくなることを示しているので、本発明者らは、メラトニン作動性活性とセロトニン作動性活性との間の比を調節して、所望の処置応答を得ることができることを想定している。
【0119】
上記のプロトコールのいずれかまたはその類似の変形は、医薬品に関連する様々な文書に記載することができる。この文書には、非限定的に、プロトコール、統計解析計画、治験薬概要書(investigator brochures)、臨床ガイドライン、投薬ガイド、リスク評価およびメディエーションプログラム、処方情報(prescribing information)、および医薬品に関連し得る他の文書が含まれ得る。このような文書は、有益であり得るように、または規制当局によって規定されるように、キットとして本開示に係る医薬品とともに物理的に包装され得ることが特に企図される。
【0120】
本開示の主題は、特徴の様々な組合せおよびサブコンビネーションを含む特定の例示的な実施形態を参照してかなり詳細に説明され、および示されてきたが、当業者は、他の実施形態ならびにその変形および改変について本開示の範囲内に包含されるものとして容易に理解するであろう。さらに、このような実施形態、組み合わせおよびサブコンビネーションの記載は、特許請求される主題が、特許請求の範囲に明示的に記載されたもの以外の特徴または特徴の組み合わせを必要とするという旨の伝達を意図するものではない。従って、本開示の範囲は、以下の添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に包含される全ての改変および変形を含むことが意図される。
【配列表】
【国際調査報告】