(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】自己免疫性、同種免疫性、炎症性、及びミトコンドリア性の状態を治療するための組成物、ならびにその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 38/13 20060101AFI20240501BHJP
A61K 31/427 20060101ALI20240501BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240501BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240501BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A61K38/13
A61K31/427
A61K31/496
A61P37/02
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570084
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 US2022030179
(87)【国際公開番号】W WO2022246146
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523426596
【氏名又は名称】クレー, トレバー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クレー, トレバー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA09
4C084BA18
4C084BA24
4C084DA11
4C084MA02
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4C084NA05
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4C084ZB071
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4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC60
4C086BC82
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4C086MA02
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4C086MA52
4C086NA06
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC75
(57)【要約】
本明細書では、自己免疫性、同種免疫性、炎症性、及びミトコンドリア性の状態を治療するための組成物及び方法が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における同種免疫性、自己免疫性、炎症性、またはミトコンドリア性の状態の治療方法であって、前記方法が、カルシニューリン阻害剤及びチトクロムp450阻害剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記カルシニューリン阻害剤及び前記チトクロムp450阻害剤が、同時に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カルシニューリン阻害剤及び前記チトクロムp450阻害剤がほぼ同時であるが、連続的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記カルシニューリン阻害剤が、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、及びそれらの類似体または誘導体から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記チトクロムp450阻害剤が、アミオダロン、クロロキン、シメチジン、クロミプラミン、ジフェンヒドラミン、フルオキセチン、フルフェナジン、ハロペリドール、パロキセチン、ペルフェナジン、プロパフェノン、プロポキシフェン、キナクリン、キニジン、リトナビル、セルトラリン、テルビナフィン、チオリダジン、アミオダロン、アンプレナビル、クラリスロマイシン、ダナゾール、デラビルジン、ジルチアゼム、エファビレンツ、エリスロマイシン、エチニルエストラジオール、フルコナゾール、フルボキサミン、グレープフルーツジュース、インジナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ネファゾドン、ネルフィナビル、キニーネ、リトナビル、サキナビル、シナシッド、トロレアンドマイシン、ベラパミル、ザフィルルカスト、及びそれらの類似体または誘導体から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記カルシニューリン阻害剤が、シクロスポリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記チトクロムp450阻害剤が、リトナビルである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記チトクロムp450阻害剤が、イトラコナゾールである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記カルシニューリン阻害剤が、0.1mg/体重kg/日、約0.2mg/体重kg/日、約0.3mg/体重kg/日、約0.4mg/体重kg/日、約0.5mg/体重kg/日、約1.0mg/体重kg/日、約2.0mg/体重kg/日、または約4.0mg/体重kg/日である量で投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記チトクロムp450阻害剤が、0.1mg/体重kg/日、約0.2mg/体重kg/日、約0.3mg/体重kg/日、約0.4mg/体重kg/日、約0.5mg/体重kg/日、約1.0mg/体重kg/日、約2.0mg/体重kg/日、または約4.0mg/体重kg/日である量で投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記自己免疫性、同種免疫性、または炎症性の状態が、リンパ球のレベルの上昇と関連する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ミトコンドリア性の状態が、ミトコンドリア膜透過性遷移孔と関連する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記自己免疫性、同種免疫性、または炎症性の状態が、移植臓器拒絶反応、乾癬、蕁麻疹、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、ループス腎炎、または多発性硬化症である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ミトコンドリア性の状態が、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、または筋ジストロフィーである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記カルシニューリン阻害剤が、経口剤形として投与される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記チトクロムp450阻害剤が、経口剤形として投与される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
対象におけるリンパ球のレベルの上昇と関連する疾患、障害、または状態への介入方法であって、前記方法が、カルシニューリン阻害剤及びチトクロムp450阻害剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項18】
対象におけるミトコンドリア膜透過性遷移孔と関連する疾患、障害、または状態への介入方法であって、前記方法が、カルシニューリン阻害剤及びチトクロムp450阻害剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
前記カルシニューリン阻害剤及び前記チトクロムp450阻害剤が、同時に投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記カルシニューリン阻害剤及び前記チトクロムp450阻害剤が、ほぼ同時に連続的に投与される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項21】
前記カルシニューリン阻害剤が、シクロスポリン、タクロリムス、及びピメクロリムス、ならびにそれらの類似体もしくは誘導体、またはそれらの医薬的に許容可能な塩から選択される、請求項16~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記チトクロムp450阻害剤が、アミオダロン、クロロキン、シメチジン、クロミプラミン、ジフェンヒドラミン、フルオキセチン、フルフェナジン、ハロペリドール、パロキセチン、ペルフェナジン、プロパフェノン、プロポキシフェン、キナクリン、キニジン、リトナビル、セルトラリン、テルビナフィン、チオリダジン、アミオダロン、アンプレナビル、クラリスロマイシン、ダナゾール、デラビルジン、ジルチアゼム、エファビレンツ、エリスロマイシン、エチニルエストラジオール、フルコナゾール、フルボキサミン、グレープフルーツジュース、インジナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ネファゾドン、ネルフィナビル、キニーネ、リトナビル、サキナビル、シナシッド、トロレアンドマイシン、ベラパミル、もしくはザフィルルカスト、及びそれらの類似体もしくは誘導体、またはそれらの医薬的に許容可能な塩から選択される、請求項16~19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月21日出願の米国仮出願第63/191,835号、及び2021年9月2日出願の同第63/240,217号の優先権を主張し、これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって組み込まれる。
【0002】
本開示は、白血球のレベルの上昇と関連する自己免疫性及び炎症性の状態の治療、予防、及び/または緩和、ホスファターゼカルシニューリンの阻害、リンホカイン及びインターロイキンの放出の抑制、炎症の低減、同種免疫応答の低減、自己免疫応答の低減、及び/またはミトコンドリア機能障害と関連する状態の治療、予防、及び/または緩和、のうちの1つ以上における使用のための方法及び組成物を提供する。本開示は、チトクロムp450酵素阻害剤(例えば、イトラコナゾールまたはリトナビル)と組み合わせてカルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン)を投与して、自己免疫性、同種免疫性、炎症性、及び/またはミトコンドリア性の状態の緩和、発症予防、または発症遅延を行う方法をさらに提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物は、移植片拒絶反応、乾癬、蕁麻疹、多発性硬化症、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、ループス、ネフローゼ症候群、皮膚炎、水疱性障害、ぶどう膜炎、結合組織障害、特発性血小板減少性紫斑病、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、及び/または筋ジストロフィーと関連する自己免疫性、同種免疫性、及び炎症性の状態の緩和、発症遅延、または発症予防に有用である。
【背景技術】
【0003】
カルシニューリン阻害剤は、さまざまな同種免疫性、自己免疫性、及び炎症性の状態の治療として使用される。そうしたものは、ミトコンドリアの物質流動に対するその作用を介してミトコンドリア機能障害関連状態を治療するものとして有望であることも示されている[Fournier et al.]。しかしながら、そうしたものの使用は、それと関連する有害作用の頻度、及び患者に求められるその用量の服用頻度によって制限されている[Azzi et al.]。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
カルシニューリン阻害剤は、多くの場合、免疫系と関連する状態の治療として使用され、こうしたものには、例えば、乾癬のためのシクロスポリン[Ellis et al.]、または肝臓移植での拒絶反応を阻止するためのタクロリムス[Haddad et al.]が含まれる。しかしながら、こうした治療は、カルシニューリン阻害剤と関連する有害作用、及び患者に求められるその用量の服用頻度によって制限されている。シクロスポリンは、例えば、腎毒性と関連しているが、1日2回服用しなくてはならず[Schiff et al.]、一方、タクロリムスは糖尿病と関連しているが、これもまた1日2回服用しなくてはならない[van Hoof et al.]。したがって、こうした望ましくない状態を緩和し得る新たなカルシニューリン阻害剤製剤が必要とされている。
【0005】
カルシニューリン阻害剤は、チトクロムp450酵素を介して代謝される。理論に拘束されないが、本開示は、チトクロムp450の阻害剤が、カルシニューリン阻害剤と同時に投与された場合、体内でのカルシニューリン阻害剤の半減期を延ばすと共に、血流中のカルシニューリン阻害剤のレベルの低下速度を下げ得る[Dresser et al.]という洞察を包含する。
【0006】
一態様では、本開示は、自己免疫性、同種免疫性、炎症性の状態、及びミトコンドリア性の状態の緩和方法を提供し、この方法は、カルシニューリン阻害剤またはその医薬的に許容可能な塩と、チトクロムp450阻害剤またはその医薬的に許容可能な塩と、を対象または生物学的試料に投与することを含む。いくつかの実施形態では、自己免疫性、同種免疫性、または炎症性の状態は、リンホカインまたはインターロイキンのレベルの上昇と関連する。いくつかの実施形態では、ミトコンドリア性の状態は、ミトコンドリア膜透過性遷移孔(MPTP)と関連する。
【0007】
別の態様では、本開示は、カルシニューリン阻害剤の代謝と関連する有害作用の予防方法を提供し、この方法は、カルシニューリンとカルシニューリン阻害剤またはその医薬的に許容可能な塩とを接触させることと、チトクロムp450とチトクロムp450阻害剤またはその医薬的に許容可能な塩とを接触させることと、を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、タクロリムス、及びピメクロリムス、ならびにそれらの類似体または誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリンである。
【0009】
いくつかの実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、約1.5mg/体重kg/日の用量で経口投与される。
【0010】
いくつかの実施形態では、チトクロムp450阻害剤は、アミオダロン、クロロキン、シメチジン、クロミプラミン、ジフェンヒドラミン、フルオキセチン、フルフェナジン、ハロペリドール、パロキセチン、ペルフェナジン、プロパフェノン、プロポキシフェン、キナクリン、キニジン、セルトラリン、テルビナフィン、チオリダジン、アミオダロン、アンプレナビル、クラリスロマイシン、ダナゾール、デラビルジン、ジルチアゼム、エファビレンツ、エリスロマイシン、エチニルエストラジオール、フルコナゾール、フルボキサミン、グレープフルーツジュース、インジナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ネファゾドン、ネルフィナビル、キニーネ、リトナビル、サキナビル、シナシッド、トロレアンドマイシン、ベラパミル、またはザフィルルカストである。いくつかの実施形態では、チトクロムp450阻害剤は、リトナビルである。いくつかの実施形態では、チトクロムp450阻害剤は、イトラコナゾールである。
【0011】
いくつかの実施形態では、チトクロムp450阻害剤は、約2mg/kg/日の用量で投与される。
【0012】
ある特定の態様では、本開示は、自己免疫性、同種免疫性、炎症性、またはミトコンドリア性の状態の治療方法を提供し、この方法は、そうした状態のうちの1つ以上に罹患している対象を同定することと、カルシニューリン阻害剤またはその医薬的に許容可能な塩とチトクロムp450阻害剤またはその医薬的に許容可能な塩とを当該対象に投与することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】イトラコナゾールを併用した場合またはイトラコナゾールを併用しなかった場合の両方についてシクロスポリンの経時的な肝クリアランスを示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
A.カルシニューリン阻害剤
カルシニューリン阻害剤は、自己免疫性、同種免疫性、及び炎症性の状態に広く使用されている。シクロスポリンは、例えば、移植臓器拒絶反応(同種免疫性の状態)の予防、及び慢性特発性蕁麻疹(炎症性の状態)の治療に使用される。理論に拘束されないが、カルシニューリン阻害剤がこうした状態を治療できる機序は、リンパ球中のサイトゾルタンパク質シクロフィンに結合し、それによってカルシニューリンホスファターゼ経路におけるカルシニューリンを阻害することであることが理解されよう。これによってT細胞(重要な白血球型)の活性が低下する。このことは、免疫系全体に対する下方制御効果ももたらし得る[Reynolds et al.]。
【0015】
カルシニューリン阻害剤は、ミトコンドリア機能障害と関連する状態の治療にも使用されている。シクロスポリンは、例えば、筋ジストロフィー(ミトコンドリア機能障害と関連する状態)の治療に使用されている[Hicks et al.]。理論に拘束されないが、カルシニューリン阻害剤がミトコンドリア性の状態を治療する機序は、MPTPを阻害してミトコンドリアの生存性を向上させることであることが理解されよう[Halestrap et al.]。
【0016】
不幸なことに、高レベルのカルシニューリン阻害剤は有害作用も引き起こし得る。例えば、シクロスポリンの血中濃度が250ng/mLを超えると、重度の潰瘍性大腸炎では、高血圧及び腎毒性を含む有害作用が長期にわたって生じ得ることが明らかになった[Pham et al.]。一方で、これを保つことは困難であり得、その理由は、シクロスポリンの血中濃度が投与後の最初の2時間で急上昇し、その後、投与後の4時間で急速に低下することにある[Gomez et al.]。他のカルシニューリン阻害剤でも同様の結果が見受けられる。
【0017】
カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン)が、時にはチトクロムp450阻害剤(例えば、イトラコナゾール)後に投与された場合、シクロスポリンの投与スケジュールを最大で4時間まで延長し得ることが以前に明らかになっている。しかしながら、シクロスポリンの投与スケジュールを1日1回のスケジュールに延長するための唯一の方法は、コーラと共にカルシニューリン阻害剤及びチトクロムp450阻害剤を同時投与することによるものであるとされた[Wimberley et al.]。
【0018】
また、以前には、カルシニューリン阻害剤の薬物動態の線形性を改善するための唯一の方法は、カルシニューリン阻害剤の製剤を変えること(Neoralとして知られるシクロスポリンのマイクロエマルション製剤など)によるものであるともされていた[Mueller et al.]。
【0019】
本開示は、チトクロムp450阻害剤がカルシニューリン阻害剤と同時またはほぼ同時に併用投与された場合、投与後の最初の4時間にわたる劇的な濃度低下が抑制されて血流中のカルシニューリン濃度の維持が向上し得るという洞察を包含する。カルシニューリン阻害剤はチトクロムp450によって代謝されることから、実薬と組み合わせてチトクロムp450を阻害することで、そうした薬物の半減期が延びる。
【0020】
本開示は、チトクロムp450阻害剤をカルシニューリン阻害剤と同時またはほぼ同時に併用投与すると、1日1回の投与が可能になって患者コンプライアンスが改善するであろうという洞察も包含する。
【0021】
本開示は、チトクロムp450阻害剤をカルシニューリン阻害剤と同時またはほぼ同時に併用投与すると、患者間での薬物動態の変動が低減されて標的血中レベルの達成が容易になるであろうという洞察も包含する。
【0022】
本明細書で請求される方法及び組成物は、さまざまな炎症性、同種免疫性、自己免疫性、及び/またはミトコンドリア性の状態を緩和する。
【0023】
本開示は、カルシニューリンの阻害とチトクロムp450の阻害とを組み合わせることで、炎症、同種免疫、及び自己免疫(いくつかの実施形態では、リンパ球のレベルの高さと関連する)が緩和され得るという洞察を包含する。本開示は、カルシニューリンの阻害とチトクロムp450の阻害とを組み合わせることで、ミトコンドリア機能障害が緩和され得るという洞察も包含する。
【0024】
B.組成物
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の方法によって活性成分として同定される化合物を含む医薬組成物及び薬剤の製造及び使用を含む。医薬組成物自体も含まれる。
【0025】
1つ以上の実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、タクロリムス、及びピメクロリムス、ならびにそれらの類似体または誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリンである。
【0026】
1つ以上の実施形態では、チトクロムp450阻害剤は、アミオダロン、クロロキン、シメチジン、クロミプラミン、ジフェンヒドラミン、フルオキセチン、フルフェナジン、ハロペリドール、パロキセチン、ペルフェナジン、プロパフェノン、プロポキシフェン、キナクリン、キニジン、リトナビル、セルトラリン、テルビナフィン、チオリダジン、アミオダロン、アンプレナビル、クラリスロマイシン、ダナゾール、デラビルジン、ジルチアゼム、エファビレンツ、エリスロマイシン、エチニルエストラジオール、フルコナゾール、フルボキサミン、グレープフルーツジュース、インジナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ネファゾドン、ネルフィナビル、キニーネ、リトナビル、サキナビル、シナシッド、トロレアンドマイシン、ベラパミル、またはザフィルルカストである。いくつかの実施形態では、チトクロムp450阻害剤は、リトナビルである。いくつかの実施形態では、チトクロムp450阻害剤は、イトラコナゾールである。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物は、同種免疫性、自己免疫性、及び炎症性の状態の治療に使用される他の化合物、薬物、及び/または薬剤を含む。例えば、場合によっては、本明細書に開示の組成物は、1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または10個未満)の化合物と組み合わせられ得る。
【0028】
場合によっては、本明細書に開示の組成物は、医薬組成物としての使用または医薬組成物における使用向けに製剤化される。そのような組成物は、任意の経路(例えば、食品医薬品局(FDA)によって承認されたいずれかの経路)を介する対象への投与向けに製剤化されるか、または適する。方法の例は、FDAのCDER Data Standards Manualのバージョン番号004(fda.give/cder/dsm/DRG/drg00301.htmにて入手可能である)に記載されている。本明細書に記載の医薬組成物は、経口送達、非経口送達、または経皮送達向けに製剤化され得る。本開示の化合物は、他の医薬品とも組み合わせられ得る。
【0029】
いくつかの態様では、本開示は、シクロスポリン及び/またはリトナビル及び/またはイトラコナゾールを(別々の組成物中または単一の組成物中に)含む1つ以上の組成物を含むキットを提供する。キットは、医師及び/または患者向けの説明、シリンジ、針、箱、ボトル、バイアルなども含み得る。
【0030】
場合によっては、本明細書に記載の方法は、上記のようにカルシニューリン阻害剤及びチトクロムp450阻害剤を(単一の組成物の一部として、または別々の組成物として)含む有効量の組成物(複数可)を投与することを含む。本明細書で使用される「有効量」及び「治療に有効な」という用語は、所期の効果または生理学的転帰をもたらすために1つ以上の薬物を投与する状況の下で有効な、一定期間(急性投与または慢性投与及び定期投与または連続投与を含む)の当該1つ以上の薬物の量または濃度を指す。
【0031】
場合によっては、組成物は、カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン)、チトクロムp450阻害剤(例えば、リトナビル)、ならびに医薬的に許容可能な担体、補助剤、及び/または媒体を含む。場合によっては、本明細書に記載の組成物は、疾患または疾患症状の調節の達成に有効な量で1つ以上の追加の治療剤をさらに含む。
【0032】
「医薬的に許容可能な担体または補助剤」という用語は、治療量の本開示の化合物の送達に十分な用量で投与された場合に当該化合物の薬理学的活性を損なわず、かつ無毒である、当該化合物と一緒に患者に投与され得る担体または補助剤を指す。本明細書で使用される「医薬的に許容可能な担体」という言葉は、薬剤投与との適合性を有する生理食塩水、溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、ならびに同様のものを含む。
【0033】
組成物は、典型的には、その所期の投与経路と適合するように製剤化され得る。投与経路の例としては、非経口投与(例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与)、経口投与(例えば、吸入投与)、経皮投与(局所投与)、経粘膜投与、及び直腸内投与が挙げられる。
【0034】
組成物は、吸入及び/または経鼻投与のための溶液または粉末の形態のものであり得る。そのような組成物は、適切な分散剤または湿潤剤(例えば、Tween(登録商標)80など)及び懸濁剤を使用して、当該技術分野で知られる手法に従って製剤化され得る。注射用の滅菌調製物は、非経口的に許容可能な無毒の希釈剤または溶媒における注射用の滅菌溶液または滅菌懸濁液(例えば、1,3-ブタンジオールにおける溶液)でもあり得る。用いられ得る許容可能な媒体及び溶媒には、マンニトール、水、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液が含まれる。さらに、溶媒または懸濁媒体としては、通常、滅菌不揮発性油が用いられる。この目的では、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性不揮発性油が用いられ得る。脂肪酸(オレイン酸及びそのグリセリド誘導体など)は、医薬的に許容可能な天然油(オリーブ油またはヒマシ油、特にそのポリオキシエチル化バージョンのものなど)であることから、注射用物の調製に有用である。こうした油性の溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、またはカルボキシメチルセルロース、あるいは医薬的に許容可能な剤形(エマルション及びまたは懸濁液など)の製剤に一般に使用される同様の分散剤も含み得る。一般に使用される他の界面活性剤(TweenもしくはSpanなど)、及び/または医薬的に許容可能な固体、液体、もしくは他の剤形の製造に一般に使用される他の同様の乳化剤もしくはバイオアベイラビリティ増強剤もまた、製剤化の目的に使用され得る。
【0035】
組成物は、任意の経口的に許容可能な剤形において経口投与することができ、こうした剤形には、限定されないが、カプセル、錠剤、エマルション、ならびに水性の懸濁液、分散液、及び溶液が含まれる。経口用途のための錠剤の場合、一般に使用される担体には、ラクトース及びコーンスターチが含まれる。滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムなど)も典型的には添加される。カプセル形態での経口投与については、有用な希釈剤には、ラクトース及び乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁液及び/またはエマルションが経口投与される場合、活性成分は、乳化剤及び/または懸濁剤と組み合わせて油性相に懸濁または溶解され得る。望まれる場合、ある特定の甘味剤及び/または香味剤及び/または着色剤が添加され得る。
【0036】
代替的または付加的に、医薬組成物は、経鼻エアロゾルまたは吸入によって投与され得る。そのような組成物は、医薬製剤の分野でよく知られる手法に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティ増強用吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/または当該技術分野で知られる他の可溶化剤もしくは分散剤を用いて、生理食塩水における溶液として調製され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、本開示は、カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン)を含む組成物と、チトクロムp450阻害剤(例えば、イトラコナゾール)を含む組成物とを投与するための方法を提供し、それぞれが、下記の方法における本明細書に開示の医薬組成物(以下では「X」と示される)を含む:本明細書に開示の疾患または状態(例えば、炎症であり、下記の例では「Y」と称される)の1つ以上の治療における薬剤としての使用のための物質X。Yの治療のための薬剤を製造するための物質Xの使用、及びYの治療における使用のための物質X。
【0038】
場合によっては、本明細書に開示の治療組成物は、米国での販売、米国への輸入、及び/または米国からの輸出向けに製剤化され得る。
【0039】
医薬組成物は、投与のための説明と一緒に容器、パック、またはディスペンサーに含められ得る。
【0040】
C.用量
いくつかの実施形態では、自己免疫性、同種免疫性、または炎症性の状態の治療方法は、カルシニューリン阻害剤及びチトクロムp450阻害剤を投与することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、カルシニューリン阻害剤及びチトクロムp450阻害剤は、同時に投与される。
【0042】
いくつかの実施形態では、カルシニューリン阻害剤及びチトクロムp450阻害剤は、連続的に投与される。
【0043】
本開示のいくつかの態様では、カルシニューリン阻害剤及びチトクロムp450阻害剤は、個別に投与される(すなわち、別々の剤形)。
【0044】
いくつかの実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、約0.1mg/体重kg/日、約0.5mg/体重kg/日、約1mg/体重kg/日、約2mg/体重kg/日、または約4mg/体重kg/日の量で投与される。いくつかの実施形態では、チトクロムp450阻害剤は、5mg/日、10mg/日、20mg/日、または40mg/日の量で投与される。これらの化合物は、治療レジメンの一部としてのものを含めて、別々または一緒に投与され得る。
【0045】
本開示のいくつかの態様では、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリンであり、チトクロムp450阻害剤は、リトナビルである。本開示のいくつかの態様では、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリンであり、チトクロムp450阻害剤は、イトラコナゾールである。いくつかの態様では、シクロスポリン及びリトナビルは、個別に投与される(すなわち、別々の剤形)。いくつかの態様では、シクロスポリン及びイトラコナゾールは、個別に投与される(すなわち、別々の剤形)。いくつかの実施形態では、シクロスポリンは、0.1mg/体重kg/日、約0.5mg/体重kg/日、約1mg/体重kg/日、約2mg/体重kg/日、または約4mg/体重kg/日の量で投与される。いくつかの実施形態では、リトナビルは、約0.1mg/体重kg/日、約0.5mg/体重kg/日、約1mg/体重kg/日、約2mg/体重kg/日、または約4mg/体重kg/日の量で投与される。いくつかの実施形態では、イトラコナゾールは、約0.1mg/体重kg/日、約0.5mg/体重kg/日、約1mg/体重kg/日、約2mg/体重kg/日、または約4mg/体重kg/日の量で投与される。これらの化合物は、治療レジメンの一部としてのものを含めて、別々または一緒に投与され得る。
【0046】
本開示は、単回1日用量として、1日単位で、1週間単位で、または何らかの他の単位で、カルシニューリン阻害剤及びチトクロムp450阻害剤を別々または一緒に投与する投与レジメンをさらに提供する。さらに、患者には、数週間、数ヶ月間、または数年間にわたって特定の用量が投与され得る。例えば、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、及び同様のもの。
【0047】
本開示は、カルシニューリン阻害剤がシクロスポリンであり、チトクロムp450阻害剤がリトナビルまたはイトラコナゾールである投与レジメンをさらに提供する。シクロスポリン及びリトナビルまたはイトラコナゾールは、単回1日用量として、1日単位で、1週間単位で、または何らかの他の単位で、別々または一緒に投与される。さらに、患者には、数週間、数ヶ月間、または数年間にわたって特定の用量が投与され得る。例えば、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、及び同様のもの。
【0048】
D.治療方法
本明細書に記載の方法には、リンパ球のレベルの上昇と関連する障害(例えば、移植臓器拒絶反応)またはミトコンドリア機能障害(例えば、筋ジストロフィー)の治療方法が含まれる。一般に、方法は、治療有効量のカルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン)を本明細書に記載のチトクロムp450阻害剤(例えば、イトラコナゾール)と組み合わせて、そのような治療が必要な対象またはそのような治療が必要であると特定されている対象(例えば、哺乳類対象、例えば、ヒト対象)に投与することを含む。
【0049】
場合によっては、方法は、状態または疾患を有しているまたは有していたヒト対象を選択することを含み得る。場合によっては、適切な対象には、例えば、状態または疾患を有しているまたは有していたが、疾患もしくはその一側面が解消し、疾患の症状が(例えば、同じ状態もしくは疾患を有する他の対象(例えば、大部分の対象)と比較して)低減され、及び/または(例えば、(例えば、同じ状態もしくは疾患を有する他の対象(例えば、大部分の対象)と比較して)無症候状態で)状態もしくは疾患を有して生存している期間が(例えば、同じ状態もしくは疾患を有する他の対象(例えば、大部分の対象)と比較して)延びている対象が含まれる。
【0050】
本明細書に開示の方法は、広範な種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、サル)、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、シカ、ヘラジカ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ハムスター、ラット、及びマウス)に適用され得る。
【0051】
単離された細胞に適用される「処理する」、「処理すること」、「処理」などという用語は、任意の種類のプロセスもしくは条件に細胞を供すこと、または細胞に対して任意の種類の操作もしくは手順を実施することを含む。対象に適用される「治療すること」という用語は、医学的または外科的な配慮、看護、または管理を個体に与えることを指す。個体は、通常、病気もしくは損傷を有するか、または集団の平均的なメンバーと比較して病気になるリスクが高まっており、そのような配慮、看護、もしくは管理を必要とする。
【0052】
いくつかの実施形態では、「治療すること」及び「治療」という用語は、有効量の組成物(例えば、カルシニューリン阻害剤を含む組成物及びチトクロムp450阻害剤を含む組成物)を対象に投与することを指し、この投与の結果、対象において疾患の少なくとも1つの症状の低減または疾患の改善(例えば、有利な臨床結果もしくは所望の臨床結果)が生じる。本開示の目的では、有利な臨床結果または所望の臨床結果には、限定されないが、検出可能または検出不可能を問わず、1つ以上の症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の状態の安定化(すなわち、無増悪)、疾患の進行の遅延または鈍化、疾患状態の軽快または軽減、及び寛解(部分的または完全を問わず)が含まれる。治療することは、治療が行われていない場合の予想生存期間と比較して生存期間を延ばすことを指し得る。したがって、治療は疾患状態を改善し得るが、疾患を完治させるものにはなり得ないことを当業者なら認識している。いくつかの実施形態では、治療は、予防的治療であり得、本明細書に開示の炎症の発症リスクを有する対象に本明細書に開示の組成物が投与される。いくつかの実施形態では、治療は、疾患の進行が鈍化または停止する場合に「有効」である。
【0053】
本明細書で使用される「対象」という用語は、任意の動物を指す。場合によっては、対象は、哺乳類である。場合によっては、本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒト(例えば、男性、女性、または小児)を指す。
【0054】
場合によっては、対象の選択は、対象(例えば、候補対象)から試料を採取することと、対象の選択に適する指標について試料を検査することと、を含み得る。場合によっては、対象は、状態または疾患を有していたことまたは有していることが、(例えば、医療従事者によって)確認または特定され得る。場合によっては、状態または疾患に対して正の免疫応答を示すことは、患者記録、家族歴、及び/または正の免疫応答の指標の検出から特定され得る。場合によっては、複数のパーティーが対象選択に含められ得る。例えば、第1のパーティーが候補対象から試料を採取し得、第2のパーティーが試料を検査し得る。場合によっては、対象は、医師(例えば、一般開業医)によって選択及び/または指定され得る。場合によっては、対象の選択は、選択される対象から試料を採取し、試料を保管すること、及び/または本明細書に開示の方法を使用することを含み得る。試料は、例えば、細胞または細胞集団を含み得る。
【0055】
場合によっては、治療方法は、対象が罹患している疾患または状態の予防または治療に応じて単回投与、複数回投与、及び反復投与を含み得る。場合によっては、治療方法は、治療前、治療中、及び/または治療後に対象における疾患のレベルを評価することを含み得る。場合によっては、治療は、対象における疾患のレベルの低下が検出されるまで継続され得る。
【0056】
本明細書で使用される「投与する」、「投与すること」、または「投与」という用語は、形態を問わず、本発明の薬物を移植すること、吸収させること、摂取させること、注射すること、または吸入させることを指す。場合によっては、本明細書に開示の化合物の1つ以上が、局所的(例えば、経鼻的)及び/または経口的に対象に投与され得る。例えば、本明細書に記載の方法は、所望の効果または記載の効果を達成するために有効量の化合物または化合物組成物を投与することを含む。いずれかの特定の患者向けの特定の用量及び治療レジメンは、さまざまな要因に依存することになり、こうした要因には、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、総体的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物併用、疾患、状態、または症状の重症度及び経過、疾患、状態、または症状に対する患者の易罹患性、ならびに治療にあたる医師の判断が含まれる。
【0057】
投与後、対象は、その疾患のレベルが検出、評価、または決定されるように調べられ得る。場合によっては、対象における疾患のレベルの変化(例えば、低下)が検出されるまで治療が継続され得る。
【0058】
患者の状態に改善(例えば、対象における疾患のレベルの変化(例えば、低下))が生じた際には、必要に応じて、本開示の化合物、組成物、または組み合わせが維持用量で投与され得る。その後、投与の用量もしくは頻度またはそれらの両方が、状態の改善が保たれるレベルにまで、症状に応じて減らされ得る。一方で、疾患症状のいずれかの再発に際して患者には間欠的治療が長期的に必要になり得る。
【0059】
E.定義
神経変性は、神経細胞が進行性に死滅する任意の状態を指す。
【0060】
ミトコンドリア性の状態は、ミトコンドリアの機能障害から生じる任意の状態を指す。
【0061】
阻害薬剤:本明細書で使用される「阻害薬剤」という用語は、その存在、レベル、または程度が標的のレベルまたは活性の低下と相関する実体、条件、または事象を指す。いくつかの実施形態では、阻害薬剤は、直接的に作用し得る(この場合、阻害薬剤は、その標的に対して(例えば、標的に結合することによって)直接的にその影響を発揮する)。いくつかの実施形態では、阻害薬剤は、間接的に作用し得る(この場合、阻害薬剤は、標的のレベル及び/または活性が低下するように標的の制御因子と相互作用し、及び/またはその他の様式で標的の制御因子を変化させることによってその影響を発揮する)。いくつかの実施形態では、阻害薬剤は、その存在またはレベルが、特定の参照レベルまたは参照活性(例えば、適切な参照条件(既知の阻害薬剤の存在または問題の阻害薬剤の不在など)の下で観察されるもの)と比較して標的レベルまたは標的活性が低下することと相関するものである。
【0062】
本明細書で使用される阻害剤は阻害薬剤を指し、一方、阻害は、阻害剤薬剤の活性を指す。
【0063】
制御すること:制御することは、活性またはオルガネラもしくは細胞を変化させること、増強すること、または減少させることを指す。
【0064】
アンタゴニスト:本明細書で使用される「アンタゴニスト」という用語は、その存在、レベル、程度、型、または形態が別の物質(すなわち、阻害される物質または標的)のレベルまたは活性の低下と相関する薬剤、条件、または事象を指すために使用され得ることを当業者なら理解するであろう。一般に、アンタゴニストは、任意の化学クラスの薬剤であり得るか、または任意の化学クラスの薬剤を含み得、こうした薬剤には、例えば、小分子、ポリペプチド、核酸、糖質、脂質、金属、及び/または関連する阻害活性を示す任意の他の実体が含まれる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストは、直接的なものであり得る(この場合、アンタゴニストは、その標的に対して直接的にその影響を発揮する)。いくつかの実施形態では、アンタゴニストは、間接的なものであり得る(この場合、アンタゴニストは、その標的に結合する以外のことによって(例えば、標的のレベルまたは活性が変化するように標的の制御因子と相互作用することによって)その影響を発揮する)。
【0065】
アゴニスト:「アゴニスト」という用語は、その存在、レベル、程度、型、または形態が別の物質(すなわち、アゴナイズされる物質または標的物質)のレベルまたは活性の上昇と相関する薬剤、条件、または事象を指すために使用され得ることを当業者なら理解するであろう。一般に、アゴニストは、任意の化学クラスの薬剤であり得るか、または任意の化学クラスの薬剤を含み得、こうした薬剤には、例えば、小分子、ポリペプチド、核酸、糖質、脂質、金属、及び/または関連する活性化活性を示す任意の他の実体が含まれる。いくつかの実施形態では、アゴニストは、直接的なものであり得る(この場合、アゴニストは、その標的に対して直接的にその影響を発揮する)。いくつかの実施形態では、アゴニストは、間接的なものであり得る(この場合、アゴニストは、その標的に結合する以外のことによって(例えば、標的のレベルまたは活性が変化するように標的の制御因子と相互作用することによって)その影響を発揮する)。
【0066】
投与:本明細書で使用される「投与」という用語は、典型的には、対象または系への適用または送達を指す。当業者なら、本開示を読めば、例えば、組成物の投与にはさまざまな経路が利用可能であることを理解するであろう。例えば、組成物によっては、1つ以上の経路(経眼、経口、非経口、局所など)によって投与され得る。いくつかの特定の実施形態では、投与は、気管支(例えば、気管支内注入によるもの)、口腔、皮膚(例えば、真皮局所投与、皮内局所投与、皮間局所投与、経皮局所投与などのうちの1つ以上であるか、またはそれを含むものであり得る)、腸内、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、くも膜下腔内、静脈内、脳室内、特定の器官内(例えば、肝内)、粘膜、経鼻、経口、直腸、皮下、舌下、局所、気管(例えば、気管内注入によるもの)、腟、硝子体などに対するものであり得る。さらに、本開示は、いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のようにカウンセラー(例えば、セラピスト)とのやりとりを介して、及び/またはデバイスもしくはコンピューターシステムを用いて、行動療法を投与することを説明するものである。いくつかの実施形態では、投与は、間欠的な投与(例えば、時間的に分離された複数用量)及び/または定期的な投与(例えば、共通の時間によって分離された個別用量)である投与、適用、またはやりとりを含み得る。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも選択期間の間実施される連続投与(例えば、灌流)、適用、またはやりとりを含み得る。
【0067】
シクロスポリンは、下記の構造を有する化合物である。
【化1】
【0068】
リトナビルは、下記の構造を有する化合物である。
【化2】
【0069】
約:「約」という用語は、値に関して本明細書で使用される場合、参照値の文脈において値が同様であることを指す。一般に、当業者なら、文脈に馴染みがあり、その文脈での「約」によって包含される適切な変動程度を理解するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、「約」という用語は、参照値の25%以内、20%以内、19%以内、18%以内、17%以内、16%以内、15%以内、14%以内、13%以内、12%以内、11%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、またはそれ未満の値の範囲を包含し得る。
【0070】
医薬的に許容可能な塩:「医薬的に許容可能な塩(複数可)」という用語は、医薬的に活性な化合物の酸性基及び塩基性基から形成される塩を指す。塩の例としては、限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))が挙げられる。
【0071】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される専門用語及び科学用語はすべて、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。方法及び材料は、本開示における使用向けに本明細書に記載されており、他にも、当業者に知られる適切な方法及び材料を使用することができる。材料、方法、及び実施例は単なる例示にすぎず、限定を意図するものではない。刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、及び本明細書で言及される他の参照はすべて、それらの全体が参照によって組み込まれる。矛盾が生じる場合は、定義を含めて、本明細書が優先されることになる。
【0072】
本開示の他の特徴及び利点は、下記の詳細な説明及び図、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0073】
本開示は下記の実施例においてさらに説明されるが、こうした実施例は、特許請求の範囲に記載の本開示の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0074】
本開示は下記の実施例においてさらに説明されるが、こうした実施例は、特許請求の範囲に記載の本開示の範囲を限定するものではない。
【0075】
F.実施例1
1.材料及び方法
化合物は、本明細書に記載のようにIONTOX LLCにて肝細胞薬物間相互作用モデルにおいて試験した。
【0076】
シクロスポリンは、Tokyo Chemical Industry(TCI)(カタログ番号C2408、ロット番号4244-NO)から購入した。
【0077】
イトラコナゾールは、Cayman Chemical Company(カタログ番号13288、ロット番号0464242-56)から購入した。
【0078】
初代ヒト肝細胞は、Sekisui XenoTech(カタログ番号H1500.H15Q、ロット番号HC3-38)から入手した。
【0079】
初代ヒト肝細胞は、Seisui-XenoTech(カタログ番号K8000、ロット番号20-1-0532)から入手したOptithaw肝細胞培地を用いて解凍した。初回の播種にはOptiplate(カタログ番号K8200、ロット番号21-1-0100)を培養培地とし、培養にはOptiCulture(カタログ番号K8300、ロット番号21-1-0102)を培養培地とした。初代肝細胞由来のOptiThaw培地、OptiPlate培地、及びOpticulture培地は専売品であることに留意されたい。
【0080】
ジメチルスルホキシドは、Sigma-Aldrich(カタログ番号D2650-100ML、ロット番号RNBF5782)から購入した。
【0081】
2.細胞内ATP
細胞内ATPは、5%CO2雰囲気下、37℃で24時間が経過した後に製造者の説明に従って細胞内ATPの監視(Promega CellTiter Glo、カタログ番号G7572、ロット番号0000482080)を実施することによって測定した(注記:インキュベート後に溶解性の問題を示す証拠がウェル中にないかプレートを調べた)。曝露時間の経過後、培地を除去し、50μLの新鮮な培地及び50μLの溶解試薬(ルシフェラーゼを含む)を細胞に添加し、プレートを10分間振盪した。この緩衝液によって細胞内ATPが遊離し、細胞内ATPが保持される。この溶解緩衝液は、アッセイのための他の試薬も含む。この保持された可溶化液(100μL)を不透明なマルチウェルプレートに移し、ルシフェリンで処理した。ATP、Mg2+、酸素の存在下では、このルシフェリンからルシフェラーゼ酵素によってオキシルシフェリンが形成され(
図10.1)、このオキシルシフェリンによって発光シグナルが生成される(これらの反応物はすべて、溶解緩衝液中に存在し、ホイルを被せて遮光されている)。シグナルが強いほど細胞が健康である。発光シグナルは高度に安定であるため、リードタイムは問題にならない。アッセイ発光の読み取りは、BioTek Synergy H4プレートリーダーを発光モードで使用して実施した。
【0082】
3.LC-MS/MS
ギ酸を0.1%含む50%のアセトニトリルで試料を1:50希釈し、ボルテックスして混合した。シクロスポリンAのLC-MS分析は、Waters TQ-Sトリプル四重極質量分析計と直列に連結されたWaters Acquity UPLCを使用して実施した。逆相分離では、Waters BEH Phenylカラム 1.7μM、2.1mm×50mmを使用し、ギ酸を0.1%含む水を移動相Aとし、ギ酸を0.1%含むアセトニトリルを移動相Bとした。グラジエント溶出は、始まりはB量5%、1分時点でB量95%、3分時点でB量95%、3.1分時点でB量5%とした。カラム温度は55℃とし、流速は0.4mL/分とし、5uLを注入した。シクロスポリンAの質量分析は、衝突エネルギーを20eVとして1202.9->1202.9遷移を使用してMRMモードで実施した。データは、Waters TargetLynxアプリケーションマネージャーを使用して処理し、報告用にExcelに出力した。
【0083】
この試験では、二次元培養したヒト初代肝細胞を使用した。肝細胞を取得し、コラーゲンがプレコートされた24ウェルプレートに播種した。こうした培養物を、デキサメタゾンを培養培地に含めた培地中で増殖させて代謝能を拡大させた。シクロスポリンの肝クリアランスに対するCYP3A4阻害剤イトラコナゾールの効果を試験した。報告IC50濃度(5μM)(メタノール中)の一定分量のシクロスポリンAをプレートに添加し、フード内、室温で乾燥させた。その後、培地+0.2%のDMSOにシクロスポリンを再溶解し、5%CO2雰囲気下、37℃で1時間インキュベートした。この混合物を培養肝細胞に添加した。細胞を37℃で240分間インキュベートし、0分、30分、60分、120分、180分、及び240分の時点で試料を採取し、シクロスポリンAの存在についてLC-MS/MSによって分析した。240分後に細胞内ATPを監視した。比較として、イトラコナゾール(2.2μM)と共に細胞を10分間インキュベートした後、シクロスポリンA(5μM)を含む培地を添加した。CYP3A4代謝対照用の対照として、ミダゾラム(メタノール中)をフード内、プレート上、室温で乾燥させた後、5%CO2雰囲気下、37℃で1時間培地に溶解した(標的濃度10μM)。この培地混合物を細胞に添加し、37℃で240分間インキュベートし、0分、30分、60分、120分、180分、及び240分の時点で試料を採取し、ミダゾラム、1-ヒドロキシミダゾラム、及び4-ヒドロキシミダゾラムの存在についてLC-MS/MSによって分析した。
【0084】
シクロスポリンA及びイトラコナゾールを肝細胞薬物間相互作用モデルにおいて組み合わせて試験した。肝細胞薬物間相互作用モデルを選択した理由は、インビボでの薬物クリアランスとそれが相関するためである。
【0085】
シクロスポリンAとイトラコナゾールとを併用すると、初期のシクロスポリン濃度の56.67%にあたるシクロスポリン濃度が肝クリアランス試験の最初の180分間にわたって維持され、これは、180分時点で36.6%であったシクロスポリン単独使用時の濃度を上回る統計的に有意な改善(p<0.05)であった(
図1、表1)。240分時点でのシクロスポリンAの測定からは、180分間にわたるシクロスポリン濃度の有意な増加から生じた不規則な結果が得られた。理論に拘束されないが、この結果は、溶解性の問題に起因するものであることが理解されよう。このデータは除外した。
【0086】
CYP3A4阻害剤イトラコナゾールとシクロスポリンとをほぼ同時に投与することによってシクロスポリンクリアランスが有意に低下したことは実に驚くべきことであり、炎症性、自己免疫性、同種免疫性、またはミトコンドリア性の状態において1日1回のシクロスポリン投与を可能にする方法としてのこの方法の潜在力を浮き彫りにするものである。この投与を行うことで、シクロスポリンを単独投与した場合に見られるシクロスポリン濃度の急速な低下が回避された。
【表1】
【0087】
G.実施例2
1.材料及び方法
本明細書に記載の用量漸増試験において化合物を試験する。
【0088】
改変シクロスポリン(Neoral)及びリトナビルを入手する。
【0089】
用量漸増試験への参加に向けて36匹のネコをスクリーニングする。参加基準は、年齢3~6歳、体重4~7kgとする。除外基準は、詳細な病歴及び手術歴ならびに完全な身体検査の後に(試験責任者の意見において)いずれかの臨床的に有意な急性または慢性の疾患の証拠が存在すること、及び遺伝子型決定に基づくチトクロムP450 3A4代謝物質の代謝が不十分であることとする。
【0090】
参加許可後、対象を3コホートに分ける:コホート1、コホート2、及びコホート3。各対象を1つコホートにのみ参加させる。各コホートは12匹のネコを含むことになる。
【0091】
コホート1には、24mgのシクロスポリン経口用量を1日目に投与し、1.2mgのシクロスポリン単回経口用量と5.5mgのリトナビル単回経口用量とを同時投与する。
【0092】
コホート2には、24mgのシクロスポリン経口用量を1日目に投与し、1.2mgのシクロスポリン単回経口用量と10mgのリトナビル単回経口用量とを同時投与する。
【0093】
コホート3には、24mgのシクロスポリン経口用量を1日目に投与し、1.2mgのシクロスポリン単回経口用量と20mgのリトナビル単回経口用量とを同時投与する。
【0094】
シクロスポリンの経口用量、ならびに同時投与するシクロスポリン及びリトナビルの経口用量から0時間、2時間、4時間、8時間、12時間、及び24時間の時点で各コホートから試料を採取する。
【0095】
2.結果
各試料について全血中シクロスポリン濃度を決定する。また、各試料について、必要に応じて非コンパートメント解析を使用して全血PKパラメーターを推定する:Cmax、tmax、kel、t1/2、AUC0-last、AUC0-inf、CL/F、及びVz/F。また、血漿中リトナビル濃度を測定して、4日目の投与後のその存在を確認する。
【0096】
すべての関連PKパラメーターについて記述統計を計算する:n、平均値、標準偏差、最小値、中央値、最大値、幾何平均値、及び変動係数。
【0097】
用量非補正パラメーターの自然対数を使用して、対象を変量効果、日数を固定効果とする分散分析(ANOVA)モデルを使用して1日目と4日目との間でPKパラメーター(Cmax、AUC0-last、AUC0-inf)を比較する。対数変換データ及び二重片側t検定手順を使用して3つすべてのパラメーターについて4日目~1日目のシクロスポリンの幾何平均比(GMR)についての信頼区間(CI)(90%)を構築する。GMR及び90%CIを真数に戻して最初のスケールとする。シクロスポリンに対するリトナビルの同時投与の効果をGMR及びCIから評価する。
【0098】
この解析によって、1日1回の投与レジメンに適したシクロスポリン半減期の延長と薬物動態変動の減少との両方について統計的に有意な効果が示されることになる。
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【国際調査報告】