(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】臨床ネットワークにおいてデータをローカルに処理するエッジコンピューティングシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20240501BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G16H80/00
A61B5/00 102C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571327
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2022061774
(87)【国際公開番号】W WO2022243021
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511241734
【氏名又は名称】フレゼニウス ヴィアル エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】Fresenius Vial SAS
【住所又は居所原語表記】Le Grand Chemin, 38590 Brezins, France
(74)【代理人】
【識別番号】110003845
【氏名又は名称】弁理士法人籾井特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レーニエ, クリストフ
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XB03
4C117XB11
4C117XE13
4C117XE15
4C117XH16
5L099AA22
(57)【要約】
リモート中央サーバーデバイス100によって管理されている臨床ネットワークにおいてデータをローカルに処理するエッジコンピューティングシステムであって、少なくとも1つの医療デバイス5AA、SANと、少なくとも1つの第1のエッジノー3Aと、少なくとも1つの医療デバイス5AA、SANに割り当てられたモニタリングデバイス7とを備え、少なくとも1つの第1のエッジノード3Aは、少なくとも1つの医療デバイス5AA、SAN、並びにリモート中央サーバーデバイス100及びモニタリングデバイス7のうちの少なくとも一方とデータ接続を確立するようになっている接続インターフェース13と、処理モジュール15であって、(i)少なくとも1つの医療デバイス5AA、SANから未加工データを集約し、(ii)少なくとも、メタデータを集約された未加工データと結合して、処理されたデータを生成し、(iii)処理されたデータを、データ接続を介して、モニタリングデバイス7及び/又はリモート中央サーバーデバイス100に送信するようになっている、処理モジュールとを備える、エッジコンピューティングシステム。臨床環境においてデータをローカルに処理する方法及びコンピュータープログラム製品も記載される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモート中央サーバーデバイス(100)によって管理されている臨床ネットワークにおいてデータをローカルに処理するエッジコンピューティングシステムであって、
少なくとも1つの医療デバイス(5AA、5AN)と、少なくとも1つの第1のエッジノード(3A)と、前記少なくとも1つの医療デバイス(5AA、5AN)に割り当てられたモニタリングデバイス(7)とを備え、前記少なくとも1つの第1のエッジノード(3A)は、
前記少なくとも1つの医療デバイス(5AA、5AN)、並びに前記リモート中央サーバーデバイス(100)及び前記モニタリングデバイス(7)のうちの少なくとも一方とデータ接続を確立するようになっている接続インターフェース(13)と、
処理モジュール(15)であって、
(i)前記少なくとも1つの医療デバイス(5AA、5AN)から未加工データを集約し、
(ii)少なくとも、メタデータを前記集約された未加工データと結合して、処理されたデータを生成し、
(iii)前記処理されたデータを、前記データ接続を介して、前記モニタリングデバイス(7)及び/又は前記リモート中央サーバーデバイス(100)に送信するようになっている、処理モジュールと、
を備える、エッジコンピューティングシステム。
【請求項2】
前記接続インターフェース(13)は更に、前記リモート中央サーバーデバイス(100)及び/又は前記モニタリングデバイス(7)から分析データを索出するようになっており、前記処理モジュール(15)は更に、前記分析データを前記未加工データ及び前記メタデータと結合して、前記処理されたデータにするようになっていることを特徴とする、請求項1に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項3】
コンピューティングリソース(9)、好ましくはソフトウェアライブラリを特徴とし、前記接続インターフェース(13)は更に、前記コンピューティングリソース(9)とデータ接続を確立し、該コンピューティングリソース(9)から分析データを索出するようになっており、前記処理モジュール(15)は更に、前記分析データを前記未加工データ及び前記メタデータと結合して、前記処理されたデータにするようになっている、請求項1又は2に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項4】
更なる第1のエッジノード(3B)を特徴とし、前記第1のエッジノード(3A)の前記接続インターフェース(13)は更に、前記更なる第1のエッジノード(3B)とデータ接続を確立するようになっており、前記更なる第1のエッジノード(3B)は、少なくとも1つの更なる医療デバイス(5BA、5BN)と通信し、前記第1のエッジノード(3A)の前記処理モジュール(15)は更に、前記更なる第1のエッジノード(3B)に対し前記処理されたデータを送受信するようになっている、請求項1~3のいずれか1項に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1のエッジノード(3A)、並びに前記リモート中央サーバーデバイス(100)及び前記モニタリングデバイス(7)のうちの少なくとも一方とデータ接続を確立するようになっている接続インターフェース(13)と、
前記少なくとも1つの第1のエッジノード(3A)に対し前記処理されたデータを送受信するようになっている処理モジュール(15)と、
を備える少なくとも第2のエッジノード(11)を特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項6】
前記第2のエッジノード(11)の前記接続インターフェース(13)は更に、
前記少なくとも1つの第1のエッジノード(3A)、並びに前記リモート中央サーバーデバイス(100)及び前記モニタリングデバイス(7)のうちの少なくとも一方から分析データを受信するようになっており、
前記処理モジュール(15)は更に、
前記分析データを結合して前記処理されたデータにし、
前記処理されたデータを、前記データ接続を介して、前記モニタリングデバイス(7)及び/又は前記リモート中央サーバーデバイス(100)に送信するようになっていることを特徴とする、請求項5に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項7】
前記第1のエッジノード(3A)が患者に割り当てられ、前記第2のエッジノード(11)が病院の病室に割り当てられるか、又は前記第1のエッジノード(3A)が病院の病室に割り当てられ、前記第2のエッジノード(11)が病棟に割り当てられることを特徴とする、請求項5又は6に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの第3のエッジノード(17A)、好ましくは複数の更なる上位エッジノード(17N)が、前記第2のエッジノード(11)と前記中央サーバーデバイス(100)との間に配置されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第3のエッジノード(17A)が病院の建物及び/又は病院に割り当てられることを特徴とする、請求項8に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの医療デバイス(5AA、5AN)は、前記第1のエッジノード(3A)の範囲から出て移動するときに該第1のエッジノード(3A)との前記データ接続を切り、前記更なる第1のエッジノード(3B)の範囲内に移動するときに該更なる第1のエッジノード(3B)とのデータ接続を確立するようになっていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの医療デバイス(5AA、5AN)は、注入デバイス及び患者モニタリングデバイスのうちの少なくとも一方であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第1のエッジノード(3A)の前記接続モジュールは、無線接続、好ましくは無線LAN接続を介して前記少なくとも1つの医療デバイス(5AA、5AN)に接続するようになっていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第1のエッジノード(3A)及び/又は前記少なくとも1つの第2のエッジノード(11)の前記接続モジュールは、EN ISO 11073に従って、及び/又は、高速ヘルスケア相互運用性リソース(FHIR)規格及び/又はヘルスレベル7(HL7)規格に従って、通信ネットワークと共に動作可能であるようになっていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載のエッジコンピューティングシステム。
【請求項14】
エッジコンピューターシステム(1)を用いて、臨床環境においてデータをローカルに処理する方法であって、前記エッジコンピューターシステム(1)は、少なくとも1つの第1のエッジノード(3A)と、少なくとも1つの医療デバイス(5AA、5AN)と、該少なくとも1つの医療デバイス(5AA、5AN)に割り当てられたモニタリングデバイス(7)とを備え、該方法は、
前記少なくとも1つの第1のエッジノード(3A)の接続インターフェース(13)によって、前記少なくとも1つの医療デバイス(5AA、5AN)、並びにリモート中央サーバーデバイス(100)及び前記モニタリングデバイス(7)のうちの少なくとも一方とデータ接続を確立するステップ(1010)と、
前記少なくとも1つの第1のエッジノード(3A)の処理モジュール(15)によって、
(i)前記少なくとも1つの医療デバイス(5AA、5AN)から未加工データを集約するステップ(1020)と、
(ii)少なくとも、メタデータを前記集約された未加工データと結合して、処理されたデータを生成するステップ(1030)と、
(iii)前記処理されたデータを、前記データ接続を介して、前記モニタリングデバイス(7)及び/又は前記リモート中央サーバーデバイス(100)に送信するステップ(1040)と、
を実行するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記分析データを前記未加工データ及び前記メタデータと結合して前記処理されたデータにすること(1035)、及び/又は、
処理されたデータを少なくとも1つの更なる第1のエッジノード(3B)に対し送受信すること(1050)を特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
処理されたデータを少なくとも1つの第2のエッジノード(11)に対し送受信すること(1060)と、
前記第2のエッジノード(11)において、更なる第1のエッジノード(3B)、前記リモート中央サーバーデバイス(100)及び前記モニタリングデバイス(7)のうちの少なくとも1つとのデータ接続を確立すること(1070)と、
を特徴とする、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
プログラム命令が記憶されたコンピューター可読ストレージ媒体を備えるコンピュータープログラム製品であって、前記プログラム命令は、プロセッサによって、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法(1000)を実行するように実行可能である、コンピュータープログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の、リモート中央サーバーデバイスによって管理されている臨床ネットワークにおいてデータをローカルに処理するエッジコンピューティングシステムと、臨床環境においてデータをローカルに処理する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床環境においてデータを処理する現在の最新技術によるシステムは、いわゆるポイントオブケアネットワーク、及び病院ITネットワークの2つのネットワークエリアに分割される。
【0003】
ポイントオブケアネットワークは、患者関連情報及びヘルスケア情報、並びにデバイス動作データの自動電子データキャプチャを提供する。医療/ヘルスデバイス通信規格は、ISO/IEEE11073において指定されている。病院ITネットワークは、ヘルスケア情報の交換及び記憶を促進し、DICOM、HL7 v2又はHL7 FHIR等の規格によって指定することができる。
【0004】
このため、当該技術分野において現在既知のポイントオブケアネットワークは、患者のベッド及び部屋の要素の近傍でヘルスケア情報を得る態様にのみ焦点を当てる。しかしながら、特定のデータ処理及び視覚化等の得られた情報の処理は、より高い視点及びデータ統合を必要とする。そのような特定のデータ処理は、従来技術において、一般的に、病院ITネットワークを管理する中央サーバーアーキテクチャに頼る。
【0005】
そのような中央サーバーは、多数の離れたデバイスから発生する大量の可能性のある要求を処理するために、予測することが困難なハードウェア機能を必要とする。また、そのような中央サーバーアーキテクチャは、潜在的な単一の障害点を呈する。このため、中央サーバーに障害が発生する場合、システム全体が所望及び意図されるように機能することを停止する場合がある。中央サーバーとの通信が損なわれる場合、更なる問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、より効果的で信頼性の高い手法でデータを処理するコンピューティングシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を含む、リモート中央サーバーデバイスによって管理されている臨床ネットワークにおいてデータをローカルに処理するエッジコンピューティングシステムによって達成される。
【0008】
したがって、エッジコンピューティングシステムは、
少なくとも1つの医療デバイスと、少なくとも1つの第1のエッジノードと、少なくとも1つの医療デバイスに割り当てられたモニタリングデバイスとを備え、少なくとも1つの第1のエッジノードは、
少なくとも1つの医療デバイス、並びにリモート中央サーバーデバイス及びモニタリングデバイスのうちの少なくとも一方とデータ接続を確立するようになっている接続インターフェースと、
処理モジュールであって、
(i)少なくとも1つの医療デバイスから未加工データを集約し、
(ii)少なくとも、メタデータを集約された未加工データと結合して、処理されたデータを生成し、
(iii)処理されたデータを、データ接続を介して、モニタリングデバイス及び/又はリモート中央サーバーデバイスに送信するようになっている、処理モジュールと、
を備える。
【0009】
エッジコンピューティングシステムはリモート中央サーバーデバイスによって管理されるが、リモート中央サーバーデバイスは、本質的に、実際のエッジコンピューティングシステムの一部であってはならない。しかしながら、例において、エッジコンピューティングシステムはリモート中央サーバーデバイスを含むことができる。
【0010】
少なくとも1つの医療デバイスは、患者に関連付けられ、患者の近傍に位置することができるパッシブデバイス又はアクティブデバイスとして理解することができる。例えば、医療デバイスは、患者のベッドサイドに位置することができる。パッシブ医療デバイスの例は、血圧、心拍等の患者の少なくとも1つの生体機能をモニタリングするデバイスであり、したがって、「患者モニタリングデバイス」とも呼ばれ得る。アクティブ医療デバイスの例は、注入ポンプ等の注入デバイスとすることができる。
【0011】
モニタリングデバイスは、電子医療チャート及び記録も用いることができる生理学的電子モニタリングデバイスとすることができる。通常、1つのそのようなモニタリングデバイスを用いて、同時に複数の医療デバイスのステータスをモニタリングすることができる。例えば、モニタリングデバイスは、コンピューター、例えばデスクトップコンピューターと、ディスプレイ、例えばタッチスクリーンディスプレイとを含むことができる。コンピューターは、看護師等のユーザを効果的に組織化し、ユーザが自身の行動の優先順位付けをするのを支援するための注入ステータスを提供するソフトウェア等のソフトウェアを実行することができる。例において、24室の部屋/48台のベッドをモニタリングすることができる。しかしながら、更なる例において、より多くの又はより少ない部屋/ベッドがモニタリングされてもよい。
【0012】
本明細書において、少なくとも1つの第1のエッジノードは、他のエッジノード、並びに他のエッジノードに接続された他の医療デバイス、モニタリングデバイス及びリモート中央サーバーデバイスとの通信を可能にするために、エッジノードに接続された医療デバイス間の通信を可能にするためのポータルとして作用することができるコンピューティングデバイスとして理解することができる。また、「エッジノード」という名称に対応して、コンピューティングデバイスは、一般的に、物理的ロケーションのエッジにおいて少なくとも1つの機能を実行するものとみなすことができる。例えば、第1のエッジノードは、リモート中央サーバーデバイスと直接通信することができるか、又は、例えば複数の第1のエッジノードを接続することができる少なくとも1つの第2のエッジノードを介して、リモート中央サーバーデバイスと間接的に通信することができる。
【0013】
第1のエッジノードは、少なくとも1つの医療デバイス、並びにリモート中央サーバーデバイス及びモニタリングデバイスのうちの少なくとも一方とデータ接続を確立するようになっている接続インターフェースを含む。「インターフェース」という用語は、第1のエッジノードがデータ接続を確立することを可能にするハードウェアインターフェース及び/又はソフトウェアインターフェースを指すのに用いることができる。データ接続は、永続的に又は一時的に、すなわち必要なときに確立することができ、これはアップリンク及び/又はダウンリンクデータ接続とすることができる。また、リモート中央サーバーデバイス及びモニタリングデバイスのうちの少なくとも一方とのデータ接続は、少なくとも1つのこれらのデバイスと直接、又は例えば第2のエッジノードを介して間接的に確立することができる。
【0014】
処理モジュールが少なくとも1つの医療デバイスから集約するようになっている未加工データは、医療デバイスによって送信されるか又は読み出されるデータとして理解することができる。各医療デバイスは、データを転送/受信するための特定のペイロード及びプロトコルを有することができる。ここで、「ペイロード」という用語は、送信されるか又は読み出される「実際のデータ」を指すのに用いることができる。「プロトコル」という用語は、独自のソフトウェアを利用するソフトウェアプロトコル、又はオープンソースソフトウェアを利用するオープンソースプロトコルを指すのに用いることができる。
【0015】
処理モジュールが集約された未加工データと結合して処理されたデータを生成するようになっているメタデータは、ロケーション識別子、患者識別子、処方箋識別子等を含むことができる。これに関して、「メタデータ」という用語は、一般的に、他のデータに関する情報を提供し、例において、病院のトポロジ内の特定のロケーションを指すのに用いることができるデータとして理解することができる。特定のロケーションは、患者レベル、部屋レベル、病棟レベル及び/又は組織レベルとすることができる。また、メタデータ及び集約された未加工データの単なる結合は「リッチデータ」と呼ぶことができる。
【0016】
処理モジュールはまた、処理されたデータを、データ接続を介して、モニタリングデバイス及び/又はリモート中央サーバーデバイスに送信するようになっている。
【0017】
有利には、エッジコンピューティングシステムは、ネットワーク及びデータ管理を分割及び区分することを可能にする。各エッジノードは、各トポロジレベルにおいて、各トポロジレベルの実際の需要に対応して特定のデータ処理、視覚化又は通知を可能にする異なる機能データ処理をホスティングし実行することができる。
【0018】
このため、本明細書に記載のエッジコンピューティングシステムは、分散手法においてデータをより効率的に処理及び転送することを可能にする。
【0019】
例において、接続インターフェースは更に、リモート中央サーバーデバイス及び/又はモニタリングデバイスから分析データを索出するようになっており、処理モジュールは更に、分析データを未加工データ及びメタデータと結合して、処理されたデータにするようになっている。
【0020】
「分析データ」という用語は、本明細書において、集約された未加工データ及びメタデータから以前に得られたデータ、及び/又は、以前に集約された未加工データ及びメタデータ等の大量のデータから、有意味な情報を得るためのアルゴリズムを用いて抽出されたデータを指すのに用いることができる。注入が管理されることになる、より具体的な例において、「分析データ」という用語は、残りの注入時間、すなわち、目標量に達するまで経過する時間に関するデータとすることができる。それに応じて生成されたスマートデータは、例えば、モニタリングデバイスのディスプレイ上にゲージを表示することによって、進行として視覚化することができる。
【0021】
有利には、分析データを未加工データ及びメタデータと結合して、処理されたデータにするとき、スマートデータを生成することができる。スマートデータは、集約された未加工データ及びメタデータを用いて新たな洞察を得ること、及びデータを分析するのに用いることができるモデルを作成することの双方に用いることができる。
【0022】
例において、エッジコンピューティングシステムは、コンピューティングリソース、好ましくはソフトウェアライブラリを含み、接続インターフェースは更に、コンピューティングリソースとデータ接続を確立し、コンピューティングリソースから分析データを索出するようになっており、処理モジュールは更に、分析データを未加工データ及びメタデータと結合して、処理されたデータにするようになっている。
【0023】
有利には、分析データは、例えば、患者の過去及び現在の投薬に関するデータを含み、スマートデータを生成するために分析データを得る必要があるときにアクセスすることができる、薬剤ライブラリ等のコンピューティングリソースに記憶することができる。
【0024】
例において、エッジコンピューティングシステムは、更なる第1のエッジノードを含み、第1のエッジノードの接続インターフェースは更に、更なる第1のエッジノードとデータ接続を確立するようになっており、更なる第1のエッジノードは、少なくとも1つの更なる医療デバイスと通信し、第1のエッジノードの処理モジュールは更に、更なる第1のエッジノードに対し処理されたデータを送受信するようになっている。
【0025】
ここで、更なる第1のエッジノードは、上記で説明した第1のエッジノードと同じタイプとすることができる。また、医療デバイス及び更なる医療デバイスは、同じタイプとすることができる。
【0026】
有利には、第1のエッジノード及び更なる第1のエッジノードは、互いに直接通信してデータを交換することができ、すなわち、通信を、中央サーバーを通じてルーティングする必要がない。
【0027】
例において、エッジコンピューティングシステムは、少なくとも1つの第1のエッジノード、並びにリモート中央サーバーデバイス及びモニタリングデバイスのうちの少なくとも一方とデータ接続を確立するようになっている接続インターフェースと、
少なくとも1つの第1のエッジノードに対し処理されたデータを送受信するようになっている処理モジュールと、
を備える少なくとも第2のエッジノードを含む。
【0028】
有利には、複数の第1のエッジノードを第2のエッジノードに接続することができる。また、リモート中央サーバーデバイス及びモニタリングデバイスのうちの少なくとも一方とのデータ接続は、直接、又は例えば上位層のエッジノードを介して間接的に行うことができる。
【0029】
例において、第2のエッジノードの接続インターフェースは更に、
少なくとも1つの第1のエッジノード、並びにリモート中央サーバーデバイス及びモニタリングデバイスのうちの少なくとも一方から分析データを受信するようになっており、
処理モジュールは更に、
分析データを結合して処理されたデータにし、
処理されたデータを、データ接続を介して、モニタリングデバイス及び/又はリモート中央サーバーデバイスに送信するようになっている。
【0030】
分析データは、例えば、リモート中央サーバーデバイス、第1のエッジノード、更なる第1のエッジノード、又はコンピューティングリソースから受信することができる。
【0031】
有利には、第2のエッジノードはスマートデータを生成することができ、これは次に、モニタリングデバイス及び/又はリモート中央サーバーに送信することができる。
【0032】
例において、第1のエッジノードが患者に割り当てられ、第2のエッジノードが病院の病室に割り当てられるか、又は第1のエッジノードが病院の病室に割り当てられ、第2のエッジノードが病棟に割り当てられる。
【0033】
例において、少なくとも1つの第3のエッジノード、好ましくは複数の更なる上位エッジノードが、第2のエッジノードと中央サーバーデバイスとの間に配置される。
【0034】
エッジコンピューティングシステムは、例えば、少なくとも1つの第3のエッジノードと、更なる上位レベルのエッジノードとを含むことができる。
【0035】
例において、少なくとも1つの第3のエッジノードが病院の建物及び/又は病院に割り当てられる。
【0036】
例において、少なくとも1つの医療デバイスは、第1のエッジノードの範囲から出て移動するときに第1のエッジノードとのデータ接続を切り、更なる第1のエッジノードの範囲内に移動するときに更なる第1のエッジノードとのデータ接続を確立するようになっている。
【0037】
例えば、少なくとも1つの医療デバイスは、例えば、少なくとも第1のエッジノード及び更なる第1のエッジノードと共に動作可能である等、システム内の複数の又は全ての第1のエッジノードと共に動作可能であり得る。
【0038】
有利には、医療デバイスは、1つの病室から別の病室に移動されるとき、自動的に第1のエッジノードとの接続を切り、第1のエッジノードに再接続することができる。
【0039】
例において、少なくとも1つの医療デバイスは、注入デバイス及び患者モニタリングデバイスのうちの少なくとも一方である。
【0040】
ここで、注入デバイスは、シリンジポンプ及び/又は容積ポンプとすることができる。患者モニタリングデバイスは、EEGモニタリングデバイス、呼気モニタリングデバイス、及び/又は血糖値、血圧、心拍及び/又は酸素濃度をモニタリングするデバイスとすることができる。
【0041】
例において、少なくとも1つの第1のエッジノードの接続モジュールは、無線接続、好ましくは無線LAN接続を介して少なくとも1つの医療デバイスに接続するようになっている。
【0042】
有利には、既存のネットワークを、第1のエッジノードを医療デバイスに接続するために利用することができる。
【0043】
例において、少なくとも1つの第1のエッジノード及び/又は少なくとも1つの第2のエッジノードの接続モジュールは、EN ISO 11073に従って、及び/又は、高速ヘルスケア相互運用性リソース(FHIR)規格及び/又はヘルスレベル7(HL7)規格に従って、通信ネットワークと共に動作可能であるようになっている。
【0044】
有利には、第1のエッジノード及び第2のエッジノードは、ポイントオブケアネットワーク及び病院ITネットワークに接続することが可能であり得る。
【0045】
本発明はまた、臨床ネットワークにおいてデータをローカルに処理するエッジコンピューティングシステムであって、
複数の第1のエッジノードであって、各第1のエッジノードは、少なくとも1つの医療デバイスとデータを交換するために少なくとも1つの医療デバイスに接続可能であり、複数の第1のエッジノード間でデータを交換するように動作可能である、複数の第1のエッジノードと、
少なくとも1つの第2のエッジノードであって、第2のエッジノードは、データを交換するために、各第1のエッジノード、並びに第3のエッジノード及びリモート中央サーバーデバイスのうちの少なくとも一方に接続可能である、少なくとも1つの第2のエッジノードと、
を備える、エッジコンピューティングシステムに関する。
【0046】
本発明はまた、エッジコンピューターシステムを用いて、臨床環境においてデータをローカルに処理する方法であって、エッジコンピューターシステムは、少なくとも1つの第1のエッジノードと、少なくとも1つの医療デバイスと、少なくとも1つの医療デバイスに割り当てられたモニタリングデバイスとを備え、方法は、
少なくとも1つの第1のエッジノードの接続インターフェースによって、少なくとも1つの医療デバイス、並びにリモート中央サーバーデバイス及びモニタリングデバイスのうちの少なくとも一方とデータ接続を確立するステップと、
少なくとも1つの第1のエッジノードの処理モジュールによって、
(i)少なくとも1つの医療デバイスから未加工データを集約するステップと、
(ii)少なくとも、メタデータを集約された未加工データと結合して、処理されたデータを生成するステップと、
(iii)処理されたデータを、データ接続を介して、モニタリングデバイス及び/又はリモート中央サーバーデバイスに送信するステップと、
を実行するステップと、
を含む、方法に関する。
【0047】
例において、方法は、
分析データを未加工データ及びメタデータと結合して処理されたデータにすること、及び/又は、
処理されたデータを少なくとも1つの更なる第1のエッジノードに対し送受信すること、
を含む。
【0048】
別の例において、方法は、処理されたデータを少なくとも1つの第2のエッジノードに対し送受信することと、
第2のエッジノードにおいて、更なる第1のエッジノード、リモート中央サーバーデバイス及びモニタリングデバイスのうちの少なくとも1つとのデータ接続を確立することと、
を含む。
【0049】
さらに、本発明は、プログラム命令が記憶されたコンピューター可読ストレージ媒体を備えるコンピュータープログラム製品であって、プログラム命令は、プロセッサによって、本明細書に記載の方法を実行するように実行可能である、コンピュータープログラム製品に関する。
【0050】
続いて、本発明の基礎をなす着想を、図に示す実施形態を参照することによってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】当該技術分野において既知の臨床環境における集中型データ処理の概略図である。
【
図2】データをローカルに処理するエッジコンピューティングシステムを利用する臨床環境における分散型データ処理の概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による、データをローカルに処理するエッジコンピューティングシステムの概略図である。
【
図4A】第1のエッジノードとの接続を切り、更なる第1のエッジノードに接続する医療デバイスの概略図である。
【
図4B】第1のエッジノードとの接続を切り、更なる第1のエッジノードに接続する医療デバイスの概略図である。
【
図4C】第1のエッジノードとの接続を切り、更なる第1のエッジノードに接続する医療デバイスの概略図である。
【
図5】エッジコンピューティングシステムを利用したケーススタディーの概略ステップを示す図である。
【
図6A】エッジコンピューティングシステムを利用した臨床環境における分散型データ処理における概略的なアップストリームデータフローを示す図である。
【
図6B】エッジコンピューティングシステムを利用した臨床環境における分散型データ処理における概略的なダウンストリームデータフローを示す図である。
【
図7】本発明の実施形態による、データタイプを含む簡略化された層モデルを示す図である。
【
図8】本発明の実施形態による方法フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、当該技術分野において既知の臨床環境における集中型データ処理の概略図を示す。
図1に示すセットアップは、臨床環境の様々なレベルにおけるデータ処理の簡略化された表現である。
図1の最も左側に、患者の寝室が示され、患者の寝室内に位置することができ、通常患者のベッドサイドに位置する、患者の生体機能をモニタリングするデバイス及び/又は注入ポンプ等の複数の医療デバイス5AA~5ANが示される。
図1に示すように、医療デバイス5AA~5ANのうちのいくつかは、無線通信のためのWiFiインターフェースを含む。
【0053】
医療デバイスは、通常、病棟レベルにおいてモニタリングデバイスを用いてモニタリングされる。しかしながら、破線の水平方向の矢印によって示されるように、医療デバイスからのデータは、まず、建物及び病院レベルを介して、組織レベルに位置する中央サーバーにルーティングされる。
図1の従来技術の例において、説明の目的でアラーム状況が示される。ここで、アラームの検出、及びアラームの消音が中央サーバーを介して行われる。
【0054】
図1に示すような集中型のデータ処理の利用は、多数の可能性のあるデバイスから発生する大量の可能性のある要求を処理するために、事前に予測することが困難なハードウェア機能を必要とする。また、そのような中央サーバーアーキテクチャは、潜在的な単一の障害点を呈する。このため、中央サーバーに障害が発生する場合、又はサーバーとの通信が中断する場合、システム全体が所望及び意図されるように機能することを停止する場合がある。
【0055】
図2は、本発明の実施形態による、データをローカルに処理するエッジコンピューティングシステムを利用する臨床環境における分散型データ処理の概略図を示す。
図2に示す臨床環境の異なるレベルは、
図1に示すレベルに対応する。
【0056】
臨床環境の異なるレベルにおいて、異なる演算又は関数f(x)、g(x)、h(x)、z(x)が
図2に例示的に示されている。演算f(x)、g(x)、h(x)、z(x)は、各エッジノードによって指定のレベル(
図2には示されていない)において直接扱われる。
【0057】
ここで、エッジノードは、病棟レベルにおけるf(x)関数、例えばアラームの消音を担当することができるのに対し、上位レベルにおける更なるエッジノードは、例えば、建物レベルにおける、いくつかのベッド又は病棟の状態の表示及びそれらの監督等のためのg(x)関数を担当することができる。前述のエッジノードよりも上位のエッジノードは、例えば、病院レベルにおいて薬剤ライブラリに接続され、薬剤ライブラリからのデータの索出/薬剤ライブラリへのデータの追加を行うことができる。
図2に示す例において、中央サーバーは組織レベルにあり、情報を集中化し、継続的品質改善(CQI)のような高度な関数z(x)を実行する。
【0058】
分散型データ処理は、以下の図を参照してより詳細に説明される。
【0059】
図3は、本発明の実施形態による、データをローカルに処理するエッジコンピューティングシステム1の概略図を示す。
図2において上記で示したような分散型データ処理を用いる臨床環境に対し、
図3に示すエッジコンピューティングシステム1を利用することができる。
【0060】
図3に示すエッジコンピューティングシステム1は、2つの第1のエッジノード3A、3Bを含む。しかしながら、最小構成において、エッジコンピューティングシステム1は、本発明の実施形態において1つのみの第1のエッジノード3Aを含むこともできる。また、それぞれの第1のエッジノード3A、3Bに接続された少なくとも1つの医療デバイス5AA、5BAが示される。しかしながら、破線を用いて示される医療デバイス5AN、5BNによって示される2つ以上の医療デバイスを各第1のエッジノード3A、3Bに接続することができる。
【0061】
第1のエッジノード3A、3Bは、医療デバイス5AA、5AN、5BA、5BN並びに
図3に示すリモート中央サーバーデバイス100及びモニタリングデバイス7のうちの少なくとも一方とデータ接続を確立するようになっている接続インターフェース13も含む。ここで、データ接続は、対応するデバイスを介して直接、又は他のエッジノードを介して行うことができる。例えば、以下でより詳細に説明されるように、第1のエッジノード3Aから中央サーバー100へのデータ接続は、第2のエッジノード11を介して行われる。また、
図3に示すように、更なる第1のエッジノード3Bとモニタリングデバイス7との間のデータ接続は、第1のエッジノード3Aを介して行うことができるが、モニタリングデバイス7を更なる第1のエッジノード3Bと接続する破線によって示されるように直接確立されることもある。さらに、
図3は、第1のエッジノード3Aが接続されるソフトウェアライブラリを含むコンピューティングリソース9を示す。更なる第1のエッジノード3B及びコンピューティングリソース9は、第1のエッジノード3Aを介して接続することができるが、コンピューティングリソース9を更なる第1のエッジノード3Bに接続する破線によって示されるように直接接続されることもある。また、本発明の実施形態において、更なるモニタリングデバイス7’及び更なるコンピューティングリソース9’は、さらに又は代替的に、更なる第1のエッジノード3Bに接続することができる。
【0062】
第1のエッジノード3A、3Bの処理モジュール15は、示される実施形態において、
(i)少なくとも1つの医療デバイス5AA、5AN、5BA、5BNから未加工データを集約し、
(ii)少なくともメタデータを集約された未加工データと結合して、処理されたデータを生成し、
(iii)処理されたデータを、データ接続を介して、モニタリングデバイス7及び/又はリモート中央サーバーデバイス100に送信するようになっている。
【0063】
示される実施形態において、接続インターフェース13は更に、リモート中央サーバーデバイス100及び/又はモニタリングデバイス7から分析データを索出するようになっており、処理モジュール15は更に、分析データを未加工データ及びメタデータと結合して、処理されたデータにするようになっている。
【0064】
様々なデータタイプは、
図7を参照してより詳細に説明される。
【0065】
また、
図3には、第1のエッジノード3A及び更なる第1のエッジノード3Bの接続が示され、更なる第1のエッジノード3Bが少なくとも1つの更なる医療デバイス5BAと通信することが示される。第1のエッジノード3Aの処理モジュール15は更に、更なる第1のエッジノード3Bに対し、処理されたデータを送受信するようになっている。
【0066】
ここで、示される更なる第1のエッジノード3Bは、第1のエッジノード3Aと同じタイプである。したがって、第1のエッジノード3A及び更なる第1のエッジノード3Bは、互いに直接通信してデータを交換することができ、すなわち、通信を、中央サーバーデバイス100を通じてルーティングする必要がない。また、
図3には、更なる第1のエッジノード3Bも第2のエッジノード11と直接通信することができることを示す、更なる第1のエッジノード3Bと第2のエッジノード11との間の破線が示されている。
【0067】
また、
図3に示す第2のエッジノード11は、接続インターフェース13及び処理モジュール15を含む。ここで、第1のエッジノード3A、3Bの対応する構成要素と同じ参照符号が用いられる。なぜなら、これらの構成要素は本質的に類似し得るためである。第2のエッジノード11の接続インターフェース13は、少なくとも1つの第1のエッジノード3A、並びにリモート中央サーバーデバイス100及びモニタリングデバイス7のうちの少なくとも一方とデータ接続を確立するようになっている。第2のエッジノード11の接続インターフェース13は更に、分析データを受信するようになっている。
【0068】
モニタリングデバイス7及び更なる第1のエッジノード3Bは、第2のエッジノード11に直接接続することができるか、又は
図3に示すように第1のエッジノード3Aを介して接続を行うことができる。
【0069】
第2のエッジノード11の処理モジュール15は、少なくとも1つの第1のエッジノード3Aに対し処理されたデータを送受信するようになっている。また、処理モジュール15は更に、分析データを結合して処理されたデータにし、この処理されたデータを、データ接続を介してモニタリングデバイス7及び/又はリモート中央サーバーデバイス100に送信するようになっている。
【0070】
示される第1のエッジノード3A、3Bは、それぞれの病院の病室に割り当てることができ、第2のエッジノード11は病棟に割り当てることができる。更なる実施形態において、少なくとも第3のエッジノード17A、又は複数の更なる上位レベルのエッジノード17Nを、第2のエッジノード11と中央サーバーデバイス100との間に配置することができる。
図3において、第3のエッジノード17A及び上位レベルのエッジノード17Nは共に、これらのエンティティが単に任意選択であることを示すために破線により示される。
【0071】
図4A~
図4Cは、第1のエッジノード3Aとの接続を切り、更なる第1のエッジノード3Bに接続する医療デバイス5AAの概略図を示す。
【0072】
図4A~
図4Cにおいて、上記で
図3に示された第1のエッジノード3A及び更なる第1のエッジノード3Bが示されている。簡単にするために、1つのみの医療デバイス5AAが示されているが、
図4A~
図4Cに示すように、医療デバイス5AAが第1のエッジノード3Aから第2のエッジノード3Bに移動されるとき、更なる医療デバイスが第1のエッジノード3A及び更なる第1のエッジノード3Bに接続されていてもよいことが明らかであろう。
【0073】
図4Aにおいて、医療デバイス5AAは第1のエッジノード3Aに接続されて示されているが、
図4Bにおいて、破線及び破線の矢印は、医療デバイス5AAが第1のエッジノード3Aの範囲から出て更なる第1のエッジノード3Bの範囲に入るように移動されることを示す。ここで、医療デバイス5AAは、更なる第1のエッジノード3Bの範囲内に移動しているとき、この更なる第1のエッジノード3Bとのデータ接続を確立しながら、第1のエッジノード3Aとの接続を維持することができる。第1のエッジノード3Aとのデータ接続は、更なる第1のエッジノード3Bとの接続が確立されると切られる。
【0074】
第1のエッジノード3A及び更なる第1のエッジノード3Bが互いにより大きい距離にある場合、医療デバイス5AAは、第1のエッジノード3Aの範囲から出て移動しているとき、第1のエッジノード3Aとの接続を完全に切り、医療デバイス5AAが更なる第1のエッジノード3Bの範囲内に移動するとき、この更なる第1のエッジノード3Bに後に接続することもできる。
【0075】
図4Cにおいて、医療デバイス5AAは、第1のエッジノード3Aから更なる第1のエッジノード3Bに移動された後、更なる第1のエッジノード3Bに接続される。
【0076】
示される実施形態において、接続はWiFi接続であり、範囲は、対応するWiFi信号の強度によって決定される。
【0077】
図5は、
図3に示すエッジコンピューティングシステム1を利用したケーススタディーの概略ステップを示す。
【0078】
図3に示すエッジコンピューティングシステム1の発明的概念を強調するために、以下のケーススタディーが
図5に提示される。
図5において、
図3のエッジコンピューティングシステム1の概略図が示され、ケーススタディーの以下に説明されるステップを示すために追加の矢印が加えられている。
【0079】
ステップA:第1のステップにおいて、アラームイベントが医療デバイス5AAにおいて生成されると仮定される。例えば、医療デバイス5AAは注入ポンプを含むことができ、アラームイベントは、注入ポンプの誤動作を示すことができる。
【0080】
次に、アラームイベントを示すデータは、医療デバイス5AAから第1のエッジノード3Aにアップストリーム送信される。
【0081】
ステップB:次に、アラームイベントがユーザへの通知のために第1のエッジノード3Aによってモニタリングデバイス7に転送される。
【0082】
アラームをモニタリングデバイス7に転送するために、まず、未加工データが医療デバイス5AAから集約され、この事例では、注入プロセスに関するデータを含む。次に、第1のエッジノード3Aは、この事例では、注入ポンプ、患者、患者の部屋のID等に関するデータを含む、集約された未加工データをメタデータと結合して、処理されたデータにし、この処理されたデータは、次にモニタリングデバイス7に転送される。
【0083】
任意選択で、処理されたデータは、第2のエッジノード11からリモート中央サーバーデバイス100に延びる破線の矢印によって示されるように、第2のエッジノード11を介して、及び、第2のエッジノード11とリモート中央サーバーデバイス100との間でアップストリームに位置するより上位のエッジノード17A、17Nを介して中央サーバーデバイス100にも送信される。ここで、アラームイベントの発生のログをとることができる。
【0084】
ステップC:次に、アラームイベントは、モニタリングデバイス7においてユーザによって肯定応答され、肯定応答が、第1のエッジノード3Aを介してアラームイベントを開始した医療デバイス5AAに、及び任意選択で中央サーバーデバイス100に返される。
【0085】
上記のケーススタディーは、各エッジノードが、各トポロジレベルにおいて、対応するトポロジレベルの実際の需要に応じて特定のデータ処理、視覚化又は通知を可能にする異なる機能データ処理をホスティングし実行することができることを強調する。機能データ処理は、中央サーバーデバイス100において行われるデータ処理と完全に独立することができる。
【0086】
図6A及び
図6Bは、
図3~
図5に示す本発明の実施形態による、データをローカルに処理するエッジコンピューティングシステムを利用する臨床環境における分散型データ処理におけるアップストリーム及びダウンストリームデータフローを示す。
【0087】
第1のエッジノード3A及び更なる第1のエッジノード3Bは、医療デバイス5AA及び5BAも位置する寝室レベルに例示的に示されている。
【0088】
図6Aにおいて、アップストリームデータフローが示され、ここで、医療デバイス5AA及び5BAから発生する未加工データは、対応する第1のエッジノード3A、3Bにおいて受信される。この事例において、未加工データは、注入速度等の注入流体の管理に関するデータを含む。「アラーム通知」として示されるアラームイベントは、集約された未加工データによって表される注入ポンプの誤動作を示す。患者ID又は対応する医療デバイス5AA、5BAのIDを含むメタデータが未加工データに加えられる。その後、データは、病棟レベルにおいて第2のエッジノード11に送信される。ここで、g(x)関数は、いくつかのベッドの状態のモニタリング等の監督に関する関数を含む。第2のエッジノード11から第3のエッジノード17Aまで上位に延びる破線の矢印は、第3のエッジノード17Aまでアップストリーム送信されるデータを示す。ここで、h(x)関数は、建物内の全てのベッドの状態のモニタリング等のフリート管理に関する関数を含む。
【0089】
中央サーバー100は組織レベルに位置し、情報を集中化し、継続的品質改善(CQI)等の高度な関数z(x)を実行する。
図6Aから見てとることができるように、最下位レベルからのデータを中央サーバー100に転送することができる一方で、
図6Bに示すダウンストリームデータフローによって明らかとなるように、エッジコンピューティングシステムの下位レベルにおけるデータ処理に中央サーバー100が関与する必要がない。
【0090】
ダウンストリーム方向において、組織レベルにおける高度な関数z(x)は、
図6Bに示すように、下位レベルにおけるエンティティにファームウェア更新を提供する等、更新を提供する関数を含むことができる。建物レベルにおける関数h(x)は、データを薬剤ライブラリから下位レベルに提供することを含むことができる。ここで、病棟レベルにおけるg(x)関数は、臨床ワークフローに関するデータを寝室レベルに提供することを含むことができる。
図5を参照して既に説明したように、寝室レベルにおけるダウンストリーム関数f(x)は、アラームイベントを開始した医療デバイス5AAに肯定応答を返すことを含むことができる。
【0091】
図6A及び
図6Bに示す全てのレベルにおいて、アップストリームデータ及びダウンストリームデータを結合することができる。
【0092】
図7は、本発明の実施形態による、データタイプを含む簡略化された層モデルを示す図である。
【0093】
図7の底部に、医療デバイスによって送信されるか又は読み出されるデータとして理解することができる未加工データが示される。各医療デバイスは、データを転送/受信するための特定のペイロード及びプロトコルを有することができる。
【0094】
処理モジュールが未加工データと結合して処理されたデータを生成するようになっているメタデータは、ロケーション識別子、患者識別子、処方箋識別子等を含むことができる。本明細書において既に説明したように、メタデータは、病院のトポロジ内の特定のロケーションを指すことができる。特定のロケーションは、患者レベル、部屋レベル、病棟レベル及び/又は組織レベルとすることができる。また、メタデータ及び未加工データの単なる結合を「リッチデータ」と呼ぶことができる。
【0095】
スマートデータは、分析データをリッチデータに加えるときにアプリケーション層において生成される。分析データは、有意味な情報を得るためにアルゴリズムを用いて以前に集約された未加工データ及びメタデータ等の大量のデータから抽出されたデータとすることができる。それに応じて生成されたスマートデータは、例えば、モニタリングデバイスのディスプレイ上にゲージを表示することによって、進行として視覚化することができる。また、履歴データ、又は医療デバイスからのデータは、例えば、異なる医療デバイスによって管理されている流体の比率の表示及び/又は閾値に対する比率の比較等、対応するスマートデータの生成のために用いることができる。
【0096】
図8は、本発明の実施形態による方法フローを示す図である。方法は、以下のステップ、すなわち、
・少なくとも1つの医療デバイス、並びにリモート中央サーバーデバイス及びモニタリングデバイスのうちの少なくとも一方とデータ接続を確立するステップ1010と、
・少なくとも1つの医療デバイスから未加工データを集約するステップ1020と、
・少なくとも、メタデータを集約された未加工データと結合して、処理されたデータを生成するステップ1030と、
・処理されたデータを、データ接続を介して、モニタリングデバイス及び/又はリモート中央サーバーデバイス100に送信するステップ1040と、
を含む。
【0097】
方法はまた、本発明に必須ではなく、したがって破線によって境界を画されたボックスに示される更なる任意選択のステップ、すなわち、
・分析データを未加工データ及びメタデータと結合して処理されたデータにするステップ1035と、
・処理されたデータを少なくとも1つの更なる第1のエッジノードに対し送受信するステップ1050と、
・処理されたデータを少なくとも1つの第2のエッジノードに対し送受信するステップ1060と、
・第2のエッジノードにおいて、更なる第1のエッジノード、リモート中央サーバーデバイス及びモニタリングデバイスのうちの少なくとも1つとのデータ接続を確立するステップ1070と、
を含むことができる。
【符号の説明】
【0098】
1 エッジコンピューティングシステム
3A、3B 第1のエッジノード
5AA、5AN、5BA、5BN、5N 医療デバイス
7、7’ モニタリングデバイス
9、9’ コンピューティングリソース
11、11’ 第2のエッジノード
13 接続インターフェース
15 処理モジュール
17A~17N 更なるエッジノード
100 リモート中央サーバーデバイス
1000 臨床環境においてデータをローカルに処理する方法
1010 確立する
1020 集約する
1030 結合する
1035 分析データを結合する
1040 送信する
1050 更なる第1のエッジノードに対し送受信する
1060 第2のエッジノードに対し送受信する
1070 第2のエッジノードにおいてデータ接続を確立する
ステップA アラームイベントが生成される
ステップB アラームイベントが転送される
ステップC アラームイベントが消音される
f(x)、g(x)、h(x)、z(x) 臨床環境における関数
【国際調査報告】