(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】拡張可能な椎間ケージ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571558
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2022062781
(87)【国際公開番号】W WO2022243133
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(31)【優先権主張番号】CH000135/2022
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523433804
【氏名又は名称】25セグメンツ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】フリッグ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】フルリ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ファーシャド,マズダー
(72)【発明者】
【氏名】ビュルキ,パトリック
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097CC05
4C097CC18
(57)【要約】
本開示は、第1の方向(z)に延びる周囲側壁(7)、および第1の骨相互作用面(5)を有する、ベース(2)と、拡張可能な椎間ケージ(1)に対して、第1の骨相互作用面(5)と本質的に反対に配置された第2の骨相互作用面(6)を備える、ステージ(3)とを備える、拡張可能な椎間ケージ(1)に関する。拡張機構(4)は、少なくとも第1の方向(z)において、ベース(2)の第1の骨相互作用面(5)に対するステージ(3)の第2の骨相互作用面(6)の位置を調節する役割を果たす。拡張機構(4)は、それによって、ベース(2)の周囲側壁(7)内部に少なくとも部分的に配置される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能な椎間ケージ(1)であって、
a)第1の方向(z)に延びる周辺周囲側壁(7)、および第1の骨相互作用面(5)を備える、ベース(2)と、
b)前記拡張可能な椎間ケージ(1)に対して、前記第1の骨相互作用面(5)と本質的に反対に配置された第2の骨相互作用面(6)を備える、ステージ(3)と、
c)少なくとも前記第1の方向(z)において、前記ベース(2)の前記第1の骨相互作用面(5)に対する前記ステージ(3)の前記第2の骨相互作用面(6)の位置を調節する拡張機構(4)であって、前記ベース(2)の前記周囲側壁(7)内部に少なくとも部分的に配置される、拡張機構(4)と
を具備する、拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項2】
前記拡張機構(4)は、ベーススイベルジョイント(10、11)によって前記ベース(2)に、ステージスイベルジョイント(12、13)によって前記ステージ(3)にそれぞれ相互接続された、第1のレバー(8)と第2のレバー(9)とを備え、前記第1のレバー(8)の前記ベーススイベルジョイント(10)と、前記第2のレバー(9)の前記ベーススイベルジョイント(11)は、前記第1の方向(z)に直角の第2の方向(x)において、互いに対して変位可能に配置されている、請求項1に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項3】
前記ベーススイベルジョイント(10、11)は、それぞれ、2本の反対にあるピボットボルト(14)を備え、前記2本の反対にあるピボットボルト(14)は互いに対して同軸に配置され、前記第2の方向(x)に直角の第3の方向(y)に延びており、前記ベース(2)の前記周囲側壁(7)のそれぞれのガイドスロット(15)内で直線状に変位可能に配置されている、請求項2に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項4】
前記拡張機構は、前記第2の方向(x)に配置された、正のねじ方向を有する、第1のねじ山(16)と、それに同軸に配置された、負のねじ方向を有する第2のねじ山(17)とを備え、前記ベーススイベルジョイント(10、11)を互いに対して変位させるために、前記第1のねじ山(16)は、前記第1のレバー(8)の前記ベーススイベルジョイント(10)に相互接続されており、前記第2のねじ山(17)は、前記第2のレバー(9)の前記ベーススイベルジョイント(11)に相互接続されている、請求項3に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項5】
前記第1のレバー(8)の前記ベーススイベルジョイント(10)を前記第1のねじ山(16)に相互接続するために、第1のナット(18)が、前記第1のねじ山(16)上に配置されており、前記第2のレバー(9)の前記ベーススイベルジョイント(11)を前記第2のねじ山(17)に相互接続するために、第2のナット(19)が、前記第2のねじ山(17)上に配置されている、請求項4に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項6】
前記第1および第2のねじ山(16、17)は、トルクプルーフで相互接続されている、請求項4または5に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項7】
前記第1および第2のねじ山(16、17)が、互いに相対的に回転可能に配置されている、請求項4または5に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項8】
前記第1のレバー(8)の前記ベーススイベルジョイント(10)は、第1の変位距離(a)だけ直線状に変位可能であり、前記第2のレバー(9)の前記ベーススイベルジョイント(11)は、第2の変位距離(b)だけ直線状に変位可能であり、前記第1および前記第2の変位距離は長さが異なる、請求項3に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項9】
前記第1のねじ山(16)は、外面に前記第2のねじ山(17)を備えるブッシュ(21)がその上に配置された、シャフト(20)中に延びている、請求項7に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項10】
前記ブッシュ(21)は、第1のツールインターフェイス(22)を備え、前記シャフト(29)は、前記第1のツールインターフェイス(22)に隣接して配置された第2のツールインターフェイス(23)を自由端に備え、同じツールによって操作されるように構成されている、請求項9に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項11】
前記第1のツールインターフェイス(22)は、ヘクサロビュラ形状の内面を有し、前記第2のツールインターフェイス(23)は、ヘクサロビュラ形状の外面を有する、請求項10に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項12】
前記ブッシュ(21)の遠位端(24)は、前記周囲側壁(7)の第1の軸受け開口(26)にピボット動作可能に装着されており、前記シャフト(20)の前記遠位端(25)は、前記周囲側壁(7)の第2の軸受け開口(27)にピボット動作可能に装着されている、請求項9から11のいずれか一項に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項13】
望ましくない横方向の傾斜を防止するために、前記拡張可能な椎間ケージ(1)が直線ガイド構造(28)をさらに備える、請求項1から12の一項に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項14】
前記直線ガイド構造(22)は、前記ステージ(3)から前記周囲側壁(7)中に延びる支柱(29)を備える、請求項13に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項15】
前記支柱(29)は、前記支柱の長手方向に延びるくぼみ(30)を備え、前記くぼみ(30)は、前記支柱(29)の前記くぼみ(30)内でスライドするように構成されたピン(31)によって、前記周囲側壁(7)に相互接続されている、請求項14に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項16】
前記第1の骨相互作用面(5)および/または前記第2の骨相互作用面(6)が、骨移植片を収容するための充填室(32)の開口を少なくとも部分的に避ける、請求項1から15の一項に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、拡張可能な椎間ケージに関する。拡張可能な椎間ケージ(以下、ケージともいう)は、収縮状態で椎間腔(intervertebral space)にインプラントとして持ち込むことができ、一旦所定位置に置かれると、所望の拡張状態まで連続的に拡張させることができる。
【背景技術】
【0002】
椎骨は、脊柱を構成する個々の不規則な骨であり、通常の状況では可撓性があり(flexuous)、柔軟性のある(flexible)柱である。通常、ヒトには33個の椎骨があり、それには、癒合して仙骨(sacrum)を形成する5個(他は椎間板で区切られている)と、テイルボーン(tail bone)を形成する4個の尾骨(coccygeal bones)が含まれる。上部の3つの領域は残りの24個の椎骨を含み、それらが占める領域に応じて、頸椎(7個の椎骨)、胸部(12個の椎骨)、腰椎(5個の椎骨)という名前でグループ化されている。
【0003】
従来技術から種々のデバイスが知られており、これらは、2つの隣接する椎骨の間に挿入して、それらの距離およびそれらの間の間隔を制御することができる。これらのデバイスは、例えば、椎骨メンバの特定の表面にアクセスする必要がある手術中など、一時的に使用されてもよい。また、このデバイスは、椎骨メンバを安定させるために、患者内にインプラントとして永久に残留することもある。これらの種類の恒久的なデバイスは、例えば、骨の隣接する部分の間に骨移植片を挿入するための充填室を提供する、癒合ケージであり得る。時間が経つにつれて、骨と骨移植片とは、癒合ケージを通過するか、またはその周りで一緒に成長し、移植片と骨をしっかりと癒合させる。癒合ケージの現在の用途の1つは、腰椎のグレードIまたはIIの脊椎すべり症(spondylolistheses)などの変性椎間板障害を含む、さまざまな脊椎障害の治療である。脊椎癒合ケージ(一般用語「癒合ケージ」に含まれる)は、2つの椎骨の間の椎間板腔に挿入して癒合させる。それらは、2つの椎骨の間の崩壊した椎間板腔を拡張させて(または、転移させて)、椎骨が互いに相対的に動くのを防ぐことで椎骨を安定させる。椎弓根スクリュー(pedicle screws)に加えて、脊椎セグメントの癒合のための椎間ケージを適用すると、通常、10%から15%の間で癒合率が向上する。側方または前方のアプローチによって埋め込まれた大きなケージは、椎弓根スクリューやその他のスクリューを追加することなく、単独で椎間腔に挿入することもでき、強固な癒合のための十分な機械的基盤を提供する。
【0004】
拡張可能な椎間ケージの一例がWO16019241Aに開示されている。椎間ケージは、上部バーおよび、反対の下部バー、ならびに上部バーと下部バーとの間で移動可能で上部バーを下部バーに近づけたり、それから遠ざけたりして移動させる、セパレータを備える。椎間ケージは、上部バーに設けられた開口中に延びる第1の端部と、第2のバーに設けられた開口中に延びる第2の端部とを有する、ピンをさらに備える。統合された拡張および角度の調節機構を有するケージのさらなる例が、WO19170739A1に開示されている。ここに記載の機構は、ケージが、必要に応じてその高さと角度を変えることを可能にする。拡張および角度の調節機構は、互いに沿ってスライドするように構成された側壁を有する、上部ハウジング部分と下部のハウジング部分の間に配置されている。一対の駆動可能なウェッジがハウジング上に配置され、側壁のそれぞれの係合面と係合している。したがって、ウェッジが互いに近づくと、ウェッジの係合面が側壁のそれぞれの係合面に当たって荷重を受け、それによって上部ハウジングと下部ハウジングが互いに離れるように動かす。
【発明の概要】
【0005】
椎間ケージの設置における外科的課題は、通常、終板(endplates)や、面関節(facet joints)などの骨構造、および背側アプローチのための硬膜嚢(dural sac)や神経根(nerve roots)などの神経構造、さらに前方または側方アプローチのための血管構造により、アプローチスペースが限られていることである。ケージを設置するために最も一般的に使用されるアプローチは、本質的に背側であり、後方腰椎椎体間固定術(PLIF:posterior lumbar interbody fusion)または経椎間孔腰椎椎体間固定術(TLIF:transforaminal lumbar interbody fusion)と呼ばれることが多い。両方のアプローチについて、椎間ケージを挿入する前に、神経根と硬膜嚢を内側に引っ込めて、椎間板腔を開いて椎間板を取り外すことができるようにする。したがって、椎間ケージは、上記の椎間板腔にはめ込むための、寸法が非常に限られている。さらに、いったんはめ込まれると、拡張機構によって拡張させるために、椎間ケージにアクセスする必要がある(通常は片側)。
【0006】
上述したように、拡張可能な椎間ケージは従来技術から知られているが、これらのデバイスは、通常は、かなり複雑な構造を有しており、自己安定していないため、椎間腔内にあるときには、誤って崩壊させる危険性がしばしばある。現在利用可能な拡張可能な椎間ケージのさらなる問題は、患者の前弯角(lordosis angle)を考慮に入れることができないことが多いことである。これは、既知の椎間ケージが高さにだけ適応できるという事実によるものである。多くの場合、個々の椎骨のアライメントは通常、大きすぎるため、さらに複雑な拡張機構が必要である。
【0007】
本開示は、従来技術に対して比較的小さな開口を通して、ケージを最小限の侵襲性で椎間板腔に挿入することを可能にする浅い設計を有する、単純であるが堅牢で汎用性の高い椎間ケージを提供することによって、これらの問題を克服する。挿入すると、椎間ケージを拡張させて、隣接する椎骨間の間隔を調節することができる。さらに、本開示は、患者の前弯角に適応可能な椎間ケージに関する。適当であれば、本開示に係る複数の椎間ケージを互いに隣り合わせに配置し、それらのそれぞれを必要な位置に調節することも可能である。
【0008】
本開示による拡張可能な椎間ケージは、それ自身、収縮状態に折り畳まれるように設計されており、そのために非常に浅く、従来技術から知られている製品と比較して限られた高さしか有していない。以下で詳しく説明する特殊な設計により、拡張時に高さを2倍にできるように、椎間ケージを設計することが可能である。収縮時の初期高さは、例えば7mmで、約14mmまで拡張することができる。収縮状態からケージを拡張するこの能力によって、剛性のある癒合ケージよって可能であるよりも、ずっと小さい開口を通して、ケージを挿入することが可能となり、同時に、剛性のある癒合ケージによって提供されるのと同じ椎骨間の最終間隔を提供する。
【0009】
さらに、拡張されると、椎間ケージが開き、それによってケージ内部に十分な骨移植片を挿入して体細胞間癒合(intersomatic fusion)を可能にする。このようにして、骨移植片を(拡張された)ケージの充填室に挿入して、隣接する椎骨の癒合を助けることができる。好ましい変形例では、ケージは、十分な機械的安定性を維持しながら、高さの連続的な変化を可能にする。設計に応じて、椎間ケージは、例えば、相互接続された2つのドライブシャフトと、関連するナット要素とによって形成される、セルフロック機構を備える。このようにして、椎間ケージの高さは、セルフロックによってその拡張状態のいずれにおいても維持される。このようにして、椎間板腔にある間、不注意によるケージの崩壊が予防される。さらに、ケージは、以下でより詳細に説明するように、前弯を矯正するために使用することができるように、寸法決めすることができる。
【0010】
本開示によれば、このような拡張可能な椎間ケージは、普通には、ベースと、ベースに対して第1の方向の、直線状に変位可能なステージとを備える。ベースとステージとは、椎間ケージが収縮状態にあるときに、主にベースおよび/またはステージ内部に配置(一体化)される拡張機構によって互いに相互接続される。ベースおよびそれに対して変位可能なステージは、それぞれ、骨相互作用面(第1および第2の骨相互作用面)を含む。第2の骨相互作用面は、拡張可能な椎間ケージに対して、第1の骨相互作用面と本質的に反対に配置される。
【0011】
ベースは、好ましくは、ベースの骨相互作用面から離れる第1の方向に延びる周囲側壁を含む。これにより、骨相互作用面は、ベースの底壁上に配置されてもよい。したがって、周囲側壁は、底壁から離れる第1の方向に延びていてもよい。周囲側壁および/または底壁は、さらに薄肉化することができる。したがって、ベースはトラフ(trough)形状であってもよい。このような構造は、ケージの高い剛性を実現すると同時に、拡張機構のための大きな内部空間と骨移植片のための充填室とを提供する。適切な場合には、第1の骨相互作用面は、周囲側壁に対して本質的に直角に配置することができる。周囲側壁は、周辺に配置されることが好ましい。以下、添付の図面に関連してより詳細に説明するように、周囲側壁は、その内側に配置された拡張機構を支持し、保護する。周囲側壁が、収縮状態で拡張機構がその中に配置される内空間を包含するとき、収縮状態において高さの低い、非常に浅いセットアップを達成することができる。周囲側壁は、例えば、円形および/または楕円形および/または長方形のレイアウト、またはそれらの組合せを有することができる。用途に応じて、第1の骨相互作用面および/または第2の骨相互作用面は、骨移植片を収容するための充填室のための開口を少なくとも部分的に避けてもよい。有利には、第1の骨相互作用面および/または第2の骨相互作用面は、リング形であり、上記開口を避けている。
【0012】
拡張機構により、ステージは、収縮状態と少なくとも1つの拡張状態との間で、第1の方向にベースに対して連続的に直線状に変位可能である。それぞれの拡張状態は、収縮状態から距離を空けられて、椎間ケージの総作業高さ(第1および第2の骨相互作用面の間の距離)を決定する。設計に応じて、拡張機構は、第1の骨相互作用面に対して、少なくとも1つのさらなる方向、特に傾斜軸のまわりに、第2の骨相互作用面を位置決めするようにさらに構成されてもよい。その場合、ステージの第2の骨相互作用面は、第1および第2の骨相互作用面の間に傾斜角度が形成されるように、ベースの第1の骨相互作用面に対して、傾斜可能、特に連続的に傾斜可能である。設計によっては、傾斜角度は、ベースに対するステージの直線変位とは独立して調節できる。他の変形例では、傾斜角度は、ある変速比によって直線変位に結合されてもよい。ケージの個々の設計に応じて、傾斜軸は、拡張可能な椎間ケージの輪郭の内部または外側に配置されてもよい。
【0013】
好ましい変形例では、拡張機構は、第1のレバーと、それと反対の第2のレバーとを備える。各レバーは、ベーススイベル(swivel)ジョイントによってベースに、ステージスイベルジョイントによってステージに、相互接続されている。普通は、ベーススイベルジョイントとステージスイベルジョイントは、それぞれのレバーの反対端に配置されている。周囲側壁に包含された内空間は、収縮状態にある両レバーを受け入れるのに十分な大きさである。好ましい変形例では、第1および第2のレバーは、本質的に同じ方向に延びて、互いの背後に配置された、収縮状態にある。適当であれば、第1および第2のレバーは、収縮状態において互いに僅かに屈曲していてもよい。さらに、第2のレバーは、第1のレバーとは異なる長さであってもよい(またはその逆)。
【0014】
各レバーのベーススイベルジョイントが反対側のレバーのベーススイベルジョイントに対して変位可能に配置されている場合、非常に堅牢で汎用性の高い配置を達成できる。代替的に、第1のレバーのステージスイベルジョイントと第2のレバーのステージスイベルジョイントとは、互いに変位可能であってもよい。好ましい変形例では、各ベーススイベルジョイントは、直線的に変位可能に配置される。したがって、各ベーススイベルジョイントは、第1の方向に対して本質的に直交する第2の方向に延びる、周囲側壁に配置されたそれぞれのガイドスロットに配置することができる。これにより、第1のレバーのベーススイベルジョイントは、第1の変位距離だけ直線状に変位可能であり、第2のレバーのベーススイベルジョイントは、第2の変位距離だけ直線状に変位可能である。用途に応じて、第1の変位距離と第2の変位距離の長さが異なる場合があり得る。好ましい変形例では、ベーススイベルジョイントは、第1および第2の方向に垂直な第3の方向に延びる、互いに同軸かつ反対に配置された、2つのピボットボルトをそれぞれ含む。好ましくは、前述の傾斜軸も上記第3の方向に延びている。ピボットボルトは、互いに第2の方向に直線状に変位可能に配置されている。周囲側壁が2対の反対のガイドスロット、各レバーに1対、を含む場合、良好な結果を得ることができる。したがって、1対のガイドスロットは、周囲側壁に対して第3の方向において互いに反対で、かつ同軸に配置される。ベーススイベルジョイントの異なる変位距離を提供するために、第1および第2のレバーのそれぞれのガイドスロットも異なる長さを有し得る。したがって、一方のレバーが他方のレバーよりも高く延びることができ、タイリング角度(tiling angle)が確立される。
【0015】
各レバーのベーススイベルジョイントを変位させるために、拡張機構は、正のねじ方向を有する第1のねじ山と、これと同軸に配置された、負のねじ方向を有する第2のねじ山と(またはその逆)とを備えることができる。第1および第2のねじ山は、第2の方向に延びる中心軸のまわりに回転する。これにより、第1のねじ山は、第1のレバーのベーススイベルジョイントに相互接続されてもよく、第2のねじ山は、第2のレバーのベーススイベルジョイントに相互接続されて、ベーススイベルジョイントを互いに対して変位させてもよい。したがって、それぞれのねじを操作することにより、相互接続されたベーススイベルジョイントがガイドスロット内で変位し、これが、相互接続されたレバーを押してケージを拡張させる。第1および第2のねじ山は、さらに、同じまたは異なるねじピッチを有していてもよい。しかしながら、ケージ拡張の微調整および制御されたチューニングのためには、同じねじピッチを有するねじ山がより望ましい。用途によっては、第1および第2のねじ山がトルクプルーフ(torque proof)方式で相互接続されてもよい。これは、第1の方向のみで調節可能である、したがって高さが調節可能である、拡張可能な椎間ケージに特に有利である。さらなる傾斜運動を実現するために、第1および第2のねじ山は、互いに回転可能に配置されることが好ましい。これにより、第1および第2のねじ山を同時に、または互いに独立して動作可能にすることができる。したがって、例えば第2のねじ山だけを回転させることによって、第2のレバーのみが延長され、第2の骨相互作用面、したがってステージが、第1の骨相互作用面に対して、したがってベースに対して傾斜する(またはその逆)。
【0016】
好ましい変形例では、第1のナットが第1のねじ山に配置され、第1のレバーのベーススイベルジョイントを第1のねじ山に相互接続する。第2のナットは、対応して第2のねじ山に配置され、第2のレバーのベーススイベルジョイントを第2のねじ山に相互接続する。ナットを介する相互接続は、ナットが各拡張ステージでケージを(自己)ロックし、ケージの崩壊を防ぐことができるため、有利である。それぞれのねじ山を操作することにより、ねじ山のナットが変位し、これが相互接続されたレバーを押し上げ、それによってガイドスロット内部でベーススイベルジョイントが変位する。第1および第2のねじ山を互いに相対的に回転させるために、第2のねじ山は、上記シャフト上に少なくとも部分的にブッシュが配置されたシャフト中に延びることができる。一方、ブッシュは、上記ブッシュの外面に第1のねじ山を備えることができる。シャフトとブッシュは、好ましくは、互いに同軸上に配置されており、それにより、両者は、好ましくは第2の方向に延びている。これにより、シャフトは、遠位端から自由端まで延びてもよく、その上にブッシュが配置される。ブッシュ(したがって第1のねじ山)とシャフト(したがって第2のねじ山)を同時に回転させることにより、第2の骨相互作用面は、第1の骨相互作用面から連続的に変位する。しかしながら、ブッシュ(したがって第1のねじ山)とシャフト(したがって第2のねじ山)とを互いに別々に回転させることにより、第2の骨相互作用面は、第1の骨相互作用面に対して連続的に傾斜する。
【0017】
上述したように、拡張機構は、主として、ベースの周囲側壁内部に配置(一体化)される。したがって、ブッシュの遠位端を周囲側壁の第1の軸受け開口に装着することができ、一方、シャフトの遠位端を、周囲側壁の第2の軸受け開口にピボット動作可能に装着してもよい。これにより、第1および第2の開口は、周囲側壁に対して互いに反対に配置される。
【0018】
それぞれのねじ山を回転させ、第1および第2の骨相互作用面の互いの位置を調節するために、ブッシュの遠位端は、第1のツールインターフェイスを備えることができ、シャフトの自由端は、第2のツールインターフェイスを備えることができる。第1および第2のツールインターフェイスは、ツールで拡張機構を操作する役割を果たす。これにより、第1のツールインターフェイスは、好ましくは、第2のツールインターフェイスに隣接して配置され、第1のツールインターフェイスと同じツールによって操作されるように構成されてもよい。周囲側壁は、第1および/または第2のツールインターフェイスがそれぞれのツールでアセサブル(assessable)となるように、第2の方向の開口を備えてもよい。第1および/または第2のツールインターフェイスの開口は、第1の軸受け開口とすることができる。第2のツールインターフェイスは、第2の方向に沿ったビューから第1のツールインターフェイスの輪郭の内側に配置することができる。第1および/または第2のツールインターフェイスは、第2の方向に沿って見て、さらにヘクサロビュラ形状(hexalobular shape)を有してもよい。したがって、第1のツールインターフェイスは、ヘクサロビュラ形の内面を有してもよく、一方、第2のツールインターフェイスは、ヘクサロビュラ形の外面を有していてもよい。これにより、内面は径方向内側を向いており、一方、外面は径方向外側を向いている。これにより、内面は、ブッシュの遠位端内に配置されてもよい。外面は、シャフトの自由端の周囲に配置することができる。第1および/または第2のツールインターフェイスがトルクス(Torx)ツールと互換性がある場合、したがって、トルクスインターフェイスが使用される場合には、良好な結果が得られる。
【0019】
代替的に、または、追加的に、第1および第2のツールインターフェイスは、第2の方向に連続して配置されてもよい。例えば、第2のツールインターフェイスは、第1のツールインターフェイスよりも第2の方向においてケージの中心からさらに離れた場所に配置することができる。また、第1または第2のツールインターフェイスのいずれか、または両方(第1および第2のツールインターフェイス)が、ケージ外向き方向に対して周囲側壁から突出することも可能である。したがって、第2のツールインターフェイスは、円周側壁の少なくとも部分的に外側に配置され、一方、第1のツールインターフェイスは、周囲側壁の内側に配置されることが可能である。
【0020】
用途に応じて、椎間ケージは、ケージに対するツールの位置決めのための少なくとも1つの位置決めインターフェイスをさらに備えてもよい。少なくとも1つの位置決めインターフェイスに相互接続されたツールは、それにより、第1および/または第2のツールインターフェイスに対してツールを位置決めするのを助けてもよい。さらに、少なくとも1つの位置決めインターフェイスは、ツールに対するケージの望ましくない転倒(tipping)を防止することができる。好ましくは、2つの位置決めインターフェイスは、第1および/または第2のツールインターフェイスに対して互いに反対に配置される。さらに、2つの位置決めインターフェイスは、周囲壁のそれぞれの反対のエッジに隣接して配置することができる。ケージの操作を容易にするために、少なくとも1つの位置決めインターフェイスは、第2の方向からアクセス可能である。これにより、少なくとも1つの位置決めインターフェイスは、第2の方向の凹部であってもよい。その場合、ツールは、椎骨間にケージを位置決めする間に、少なくとも部分的に上記凹部に係合することができる。代替的に、それぞれの位置決めインターフェイス(1つまたは複数)は、周囲側壁上に配置されて、好ましくは第2の方向に延びる、突起および/またはガイドレールであってもよい。
【0021】
用途に応じて、さらに別のロック要素を周囲側壁に配置することができる。ロック要素は、ツールと椎間ケージを第2の方向に一時的に相互接続する役割を果たす。したがって、ロック要素は、ケージが挿入中に誤ってツールから滑り落ちることを防止し、椎骨間のケージの位置決めにさらに役立ち得る。ケージの操作を容易にするために、ロック要素は、好ましくは、第2の方向からアクセス可能である。したがって、ロック要素は、ツールインターフェイスの隣に配置され、かつ/または第3の方向の2つの位置決めインターフェイスの間に配置されてもよい。1つの変形例によれば、ロック要素は、ツールのそれぞれのラッチがアンダーカットの背後に(一時的に)ラッチされ得るように構成された、ラッチまたはアンダーカット(第2の方向)を備えてもよい。代替的に、ロック要素は、ねじ山を含んでもよい。ねじ山は、周囲側壁に延びる(ねじ山付き)穴に配置することができる。その場合、ケージが誤ってツールから滑り落ちないように、ツールと椎間ケージを第2の方向に連結するために、ツールの一部をネジ穴にねじ込んでもよい。
【0022】
用途に応じて、拡張可能な椎間ケージは、中間位置などでの不要な横方向の傾斜を防ぐために、追加の直線ガイド構造を備えることができる。直線ガイド構造は、椎間ケージを拡張した状態で安定させ、横方向への不要な動きを防止する。直線ガイド構造は、ステージから周囲側壁中に延びる少なくとも1つの支柱として設計することができる。ステージの(第2の)骨相互作用面は、上壁上に配置されてもよい。したがって、少なくとも1つの支柱は、上壁からベースの周囲側壁中に延びることができる。上記で説明したように、上壁および/または底壁は、充填室のための開口を避けるリング状にすることができる。好ましくは、少なくとも1つの支柱は、側壁がさらに支柱を支持するように、周囲側壁の内部側壁に沿って延びている。支柱は、支柱の長手方向に延びるくぼみであって、くぼみ内でスライドし、かつ/またはくぼみ内部でくぼみに対して回転するように構成されたピンによって、周囲側壁に相互接続される、くぼみを備えてもよい。例えば、ケージが傾斜している(したがって、第2の骨相互作用面が第1の骨相互作用面に対して傾斜角度を有する)場合、ピンは、くぼみ内に留まり、くぼみに対して回転する。改善された安定化のために、直線ガイド構造は、周囲側壁上で互いに反対に配置された少なくとも2つの支柱を含む。好ましくは、上記2本の支柱は、上記方向に延びる傾斜軸をさらに安定させるために、第3の方向に互いに反対に配置される。第2の方向において第1および第2のレバーの間に2本の支柱を配置することは、さらに有利である。
【0023】
前述の全体的な説明および以下の詳細な説明の両方が、実施形態を提示するとともに、開示の性質および特性を理解するための俯瞰図またはフレームワークを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、種々の実施形態を例示し、説明とともに、開示された概念の原理および作用を説明する役割を果たす。
【0024】
本明細書に記載の開示は、以下に本明細書に記載される詳細な説明、および添付の特許請求の範囲に記載の開示に限定されると見なされるべきではない、添付の図面から、より完全に理解されるであろう。図面は、以下を示している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】収縮状態の拡張可能な椎間ケージの第1の変形例の斜視図である。
【
図2】
図1に記載の拡張可能な椎間ケージの上面図である。
【
図3】
図2に記載の拡張可能な椎間ケージのA-A断面図である。
【
図4】拡張状態における拡張可能な椎間ケージの側面図である。
【
図5】
図4に記載の拡張可能な椎間ケージの斜視図である。
【
図6】傾斜拡張状態における、拡張可能な椎間ケージの側面図である。
【
図7】
図6に記載の拡張可能な椎間ケージの斜視図である。
【
図8】本発明による拡張可能な椎間ケージのさらに別の変形例の斜視図である。
【
図9】
図8に記載の拡張可能な椎間ケージの上面図である。
【
図10】
図9に記載の拡張可能な椎間ケージのB-B断面図である。
【
図11】本発明による拡張可能な椎間ケージのさらに別の変形例の斜視図である。
【
図12】
図11に記載の拡張可能な椎間ケージの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、特定の実施形態を詳細に参照し、その実施例は添付の図面に例示され、その中に、すべてではないが、いくつかの特徴が示されている。実際、本明細書に開示される実施形態は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の構成要素または部品を参照するのに、可能な限り、同様の参照番号を使用する。
【0027】
図1から
図7は、本開示による拡張可能な椎間ケージ1の第1の変形例を示す。拡張可能な椎間ケージ1は、ベース2とステージ3とを備える。ベースは、第1の方向(z方向)に延びる周囲側壁7と、第1の骨相互作用面5とを備え、一方、ステージ3は、拡張可能な椎間ケージ1に対して、第1の骨相互作用面5と本質的に反対に配置された、第2の骨相互作用面6を備える。ステージ3をベース2に対して変位および/または傾斜させるために、拡張機構4が使用される。拡張機構4は、ベース2の第1の骨相互作用面5に対するステージ3の第2の骨相互作用面6の位置を調節する役割を果たす。椎間ケージが収縮状態にあるとき、拡張機構4は、ベース2とステージ3の内部に一体化されている。収縮状態では、
図3に例示されるように、拡張機構4は、少なくとも部分的にベース2の周囲側壁7内部に配置されている。図示の実施形態では、拡張機構4は、ケージ1の高さを調節するだけでなく、さらに、傾斜軸のまわりの、ベース2の第1の骨相互作用面5に対するステージ3の第2の骨相互作用面6の位置を調節することができる。
【0028】
図3は、拡張機構4を詳細に示す。拡張機構4は、第2の方向(x方向)に延びるシャフト20を備え、シャフト20の上にブッシュ21が配置されている。それによって、第1のねじ山16がブッシュ21の外面上に配置され、第2のねじ山17がシャフト20の外面上に配置されている。これによって、必要な場合には、第1および第2のねじ山16、17は互いに独立して動作可能である。ブッシュ21とシャフト20は、両方とも中心軸のまわりに回転するが、両方のねじ山16、17は異なるねじ山方向を有する。拡張機構4におけるねじ山16、17の使用によって、特に、ケージ1の収縮状態からケージ1の少なくとも1つの拡張状態への連続的な拡張が可能になる。ブッシュ21の遠位端25は、周囲側壁7の第1の軸受け開口26にピボット動作可能に装着されており、シャフト20の遠位端24は、周囲側壁7のそれと反対の第2の軸受け開口27にピボット動作可能に装着されている。ステージ3をベース2に対して変位させるために、シャフト20および/またはブッシュ21は、周囲側壁7内の開口27を通して、第1および/または第2のツールインターフェイス22,23中に挿入される、ツールの助けによって回転させることができる。シャフト20とブッシュ21が回転させられると、ブッシュ21の第1のねじ山16に設置された第1のナット18と、シャフト20の第2のねじ山17に設置された第2のナット19とは、それぞれのねじ山16、17上で変位させられる。ナット18、19は、拡張状態においてケージ1を(自己)ロックして、ケージ1の望ましくない崩壊を防止できるので、ナット18、19の使用は有利である。ねじ山16、17上でナット18、19を変位させることによって、ベーススイベルジョイント10、11によってベース2に、ステージスイベルジョイント12、13によってステージ3にそれぞれ相互接続されている第1のレバー8および第2のレバー9が、ステージ3がベース2から持ち上がるように移動される。一方、
図4に見られるように、第1および第2のレバー8,9は、互いの後方に省スペースに配置され、収縮状態では本質的に同じ方向に延び、拡張状態ではベース2の外に展開されて延びる。拡張中、第1の方向(z方向)と直交する第2の方向(x方向)に互いに変位可能に配置された、第1のレバー8のベーススイベルジョイント10と第2のレバー9のベーススイベルジョイント11は、
図1~
図5に見られるように、互いに離れて変位する。各ベーススイベルジョイント10、11は、互いに同軸に配置されそれぞれ側壁7内のガイドスロット15内部でガイドされる、2本のピボットボルト14を備える。
【0029】
図4では、第1の骨相互作用面5に対する第2の骨相互作用面6の最大の(本質的に平行な)変位が表示されている。図からわかるように、第1のレバー8のベーススイベルジョイント10のみが、各ガイドスロット15の右側でその最大変位に達している。したがって、第1のレバー8のベーススイベルジョイント10の(最大)変位距離は、第2のレバー9のベーススイベルジョイント11の(最大)変位距離よりも小さい。すなわち、ステージ3(したがって、第2の骨相互作用面6)は、
図6~
図7に図示されるように、ベーススイベルジョイント11をさらに変位させることによって、さらに傾斜させることができる。
【0030】
ステージ3をさらに連続して傾斜させるために、シャフト20(したがって、第2のねじ山17)を、ブッシュ21(したがって、第1のねじ山16)と別個に回転させることができる。結果として、第2のねじ山17上に配置された第2のナット19は、第1のねじ山16上の第1のナット18よりも遠くに変位させられる。したがって、第2のレバー9のベーススイベルジョイント11のガイドスロット15は、
図4において見られるように、第1のレバー8のベーススイベルジョイント10のそれぞれのガイドスロット15よりも長い。第2のレバー9が完全に延びた場合、第2のレバー9のベーススイベルジョイント11のピボットボルト14も、
図6に図示されるように、ケージ1の左側に向かって最大まで変位する。すなわち、それぞれのベーススイベルジョイント10、11は、可能な互いの距離が最大となる。
【0031】
拡張可能な椎間ケージ1のより良好な安定性のために、直線ガイド構造28があってもよい。直線ガイド構造28は、拡張状態において椎間ケージを安定化し、ケージ1の望ましくない横方向の傾斜または崩壊を防止する。図示の実施形態では、直線ガイド構造28は、ステージ3から周囲側壁7中に延びる2本の支柱29を備える。支柱29は、周囲側壁7に対して、互いに反対に配置されている。省スペース設計のために、2本の支柱29は、第2の方向において第1および第2のレバー8、9の間にさらに設置される。各支柱29は、支柱29の長手方向に延びるくぼみ30を含み、このくぼみ30は、支柱29のくぼみ30内でスライドするように構成されたピン31によって、周囲側壁7に相互接続されている。ピン31は、周囲側壁7の内面上に配置されている。ケージ1が傾斜状態にあれば(したがって、第2の骨相互作用面6が第1の骨相互作用面5に対して傾斜角度を有する)、ピン31は、例えば、
図6に見られるように、くぼみ30内に留まり、くぼみ30に対して回転する。
【0032】
例えば、
図7で見られるように、第2の骨相互作用面6は、リング形にされて、骨移植片を収容するための充填室32にアクセスするための開口を避ける。また、第1の骨相互作用面もリング形として、骨移植片(図示せず)を収容するための充填室にアクセスするための開口を避けることができる。
【0033】
図8から
図10は、拡張可能な椎間ケージ1のさらに別の変形例を示す。拡張可能な椎間ケージ1は、拡張可能な椎間ケージ1が第1の方向においてのみ調節可能であり、それぞれ高さのみが調節可能である点で、
図1から
図7に記載の第1の変形例と異なる。すなわち、拡張機構4がシャフト20を備え、上記シャフト20上に第1および第2のねじ山16、17が配置されていれば十分である。この場合に、第1および第2のねじ山16、17は、第1および第2のねじ山16、17が同時に動作可能であるように、トルクプルーフ方式で互いに相互接続される。シャフト20は、周囲側壁の軸受け開口に、両端がピボット動作可能に装着されている。ベース2に対してステージ3を変位させるために、シャフト20は、周囲側壁7内の開口を通り、ツールインターフェイス中に挿入されたツールの助けによって、回転させることができる。第1の変形例と同等に、第1のねじ山16上に設置された第1のナット18と、第2のねじ山17上に設置された第2のナット19とは、シャフト20が回転されると、それぞれのねじ山16、17上で変位する。ナット18、19を変位させることによって、それぞれがベーススイベルジョイント10、11によってベース2に、ステージスイベルジョイント12、13によってステージ3に相互接続された、第1のレバー8と第2のレバー9とは、ステージ3がベース2から持ち上がるように、移動される。すなわち、シャフト20を回転させることによって、第1および第2のレバー8、9は、同時に延長されて、第2の骨相互作用面6、それと一致して、ステージ3は、第1の骨相互作用面5に対して、したがって、ベース2に対して、持ち上げられる。
図10において見られるように、第1および第2の骨相互作用面5、6は、互いに対して角度をつけることができる。第1および第2の骨相互作用面5、6の間の角度は、ケージの収縮状態および拡張状態において同一とすることができる。
【0034】
図11および
図12は、椎間ケージ1の第3の変形例を示す。第3の変形例は、ケージ1が異なるツールインターフェイス22,23の特徴を有する点において、上記で説明した変形例と異なる。しかしながら、ケージ1のその他の要素に関しては、ケージ1の第1および第2の変形例について上記した説明を参照されたい。
【0035】
図からわかるように、第3の変形例による椎間ケージ1は、内面を有する第1のツールインターフェイス22と、外面を有する第2のツールインターフェイス23とを備える。内面および/または外面は、第2の方向から見ると、それぞれ六角形である。さらに、第1および第2のツールインターフェイス22,23は、第2の方向に連続して配置され、第2のツールインターフェイス23は、第1のツールインターフェイス22よりもさらに外側に配置されている。これによって、第2のツールインターフェイス23は、周囲側壁7からむしろ突出している。さらに、椎間ケージ1は、ケージ1の挿入と位置決めのためのツールに少なくとも部分的に係合するために、周囲側壁7上の2つの位置決めインターフェイス33を備える。これにより、位置決めインターフェイス33は、ツールインターフェイス22、23に対して互いに反対に配置される。さらに、ケージ1は、上記で説明したように、ロック要素34(ここでは、周囲側壁7内に延びるネジ穴として設計されている)を備えてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 拡張可能な椎間ケージ
2 ベース
3 ステージ
4 拡張機構
5 第1の骨相互作用面
6 第2の骨相互作用面
7 周囲側壁
8 第1のレバー
9 第2のレバー
10 ベーススイベルジョイント(第1のレバー)
11 ベーススイベルジョイント(第2のレバー)
12 ステージスイベルジョイント(第1のレバー)
13 ステージスイベルジョイント(第2のレバー)
14 ピボットボルト
15 ガイドスロット
16 第1のスレッド
17 第2のスレッド
18 第1のナット
19 第2のナット
20 シャフト
21 ブッシュ
22 第1のツールインターフェイス
23 第2のツールインターフェイス
24 遠位端(シャフト)
25 遠位端(ブッシュ)
26 第1の軸受け開口
27 第2の軸受け開口
28 直線ガイド構造
29 支柱
30 くぼみ
31 ピン
32 充填室
33 位置決めインターフェイス
34 ロック要素
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能な椎間ケージ(1)であって、
a)第1の方向(z)に延びる周辺周囲側壁(7)、および第1の骨相互作用面(5)を備える、ベース(2)と、
b)前記拡張可能な椎間ケージ(1)に対して、前記第1の骨相互作用面(5)と本質的に反対に配置された第2の骨相互作用面(6)を備える、ステージ(3)と、
c)少なくとも前記第1の方向(z)において、前記ベース(2)の前記第1の骨相互作用面(5)に対する前記ステージ(3)の前記第2の骨相互作用面(6)の位置を調節する拡張機構(4)であって、前記ベース(2)の前記周囲側壁(7)内部に少なくとも部分的に配置される、拡張機構(4)と
を具備する、拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項2】
前記拡張機構(4)は、ベーススイベルジョイント(10、11)によって前記ベース(2)に、ステージスイベルジョイント(12、13)によって前記ステージ(3)にそれぞれ相互接続された、第1のレバー(8)と第2のレバー(9)とを備え、前記第1のレバー(8)の前記ベーススイベルジョイント(10)と、前記第2のレバー(9)の前記ベーススイベルジョイント(11)は、前記第1の方向(z)に直角の第2の方向(x)において、互いに対して変位可能に配置されている、請求項1に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項3】
前記ベーススイベルジョイント(10、11)は、それぞれ、2本の反対にあるピボットボルト(14)を備え、前記2本の反対にあるピボットボルト(14)は互いに対して同軸に配置され、前記第2の方向(x)に直角の第3の方向(y)に延びており、前記ベース(2)の前記周囲側壁(7)のそれぞれのガイドスロット(15)内で直線状に変位可能に配置されている、請求項2に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項4】
前記拡張機構は、前記第2の方向(x)に配置された、正のねじ方向を有する、第1のねじ山(16)と、それに同軸に配置された、負のねじ方向を有する第2のねじ山(17)とを備え、前記ベーススイベルジョイント(10、11)を互いに対して変位させるために、前記第1のねじ山(16)は、前記第1のレバー(8)の前記ベーススイベルジョイント(10)に相互接続されており、前記第2のねじ山(17)は、前記第2のレバー(9)の前記ベーススイベルジョイント(11)に相互接続されている、請求項3に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項5】
前記第1のレバー(8)の前記ベーススイベルジョイント(10)を前記第1のねじ山(16)に相互接続するために、第1のナット(18)が、前記第1のねじ山(16)上に配置されており、前記第2のレバー(9)の前記ベーススイベルジョイント(11)を前記第2のねじ山(17)に相互接続するために、第2のナット(19)が、前記第2のねじ山(17)上に配置されている、請求項4に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項6】
前記第1および第2のねじ山(16、17)は、トルクプルーフで相互接続されている、請求項4または5に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項7】
前記第1および第2のねじ山(16、17)が、互いに相対的に回転可能に配置されている、請求項4または5に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項8】
前記第1のレバー(8)の前記ベーススイベルジョイント(10)は、第1の変位距離(a)だけ直線状に変位可能であり、前記第2のレバー(9)の前記ベーススイベルジョイント(11)は、第2の変位距離(b)だけ直線状に変位可能であり、前記第1および前記第2の変位距離は長さが異なる、請求項3に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項9】
前記第1のねじ山(16)は、外面に前記第2のねじ山(17)を備えるブッシュ(21)がその上に配置された、シャフト(20)中に延びている、請求項7に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項10】
前記ブッシュ(21)は、第1のツールインターフェイス(22)を備え、前記シャフト(29)は、前記第1のツールインターフェイス(22)に隣接して配置された第2のツールインターフェイス(23)を自由端に備え、同じツールによって操作されるように構成されている、請求項9に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項11】
前記第1のツールインターフェイス(22)は、ヘクサロビュラ形状の内面を有し、前記第2のツールインターフェイス(23)は、ヘクサロビュラ形状の外面を有する、請求項10に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項12】
前記ブッシュ(21)の遠位端
(25)は、前記周囲側壁(7)の第1の軸受け開口(26)にピボット動作可能に装着されており、前記シャフト(20)の前記遠位端
(24)は、前記周囲側壁(7)の第2の軸受け開口(27)にピボット動作可能に装着されている、
請求項9に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項13】
望ましくない横方向の傾斜を防止するために、前記拡張可能な椎間ケージ(1)が直線ガイド構造(28)をさらに備える、
請求項1から5及び8のうち一項に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項14】
前記直線ガイド構造(22)は、前記ステージ(3)から前記周囲側壁(7)中に延びる支柱(29)を備える、請求項13に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項15】
前記支柱(29)は、前記支柱の長手方向に延びるくぼみ(30)を備え、前記くぼみ(30)は、前記支柱(29)の前記くぼみ(30)内でスライドするように構成されたピン(31)によって、前記周囲側壁(7)に相互接続されている、請求項14に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【請求項16】
前記第1の骨相互作用面(5)および/または前記第2の骨相互作用面(6)が、骨移植片を収容するための充填室(32)の開口を少なくとも部分的に避ける、
請求項1から5及び8のうち一項に記載の拡張可能な椎間ケージ(1)。
【国際調査報告】