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特表2024-519379データ中断回復方法、端末、および記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】データ中断回復方法、端末、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/19 20180101AFI20240501BHJP
【FI】
H04W76/19
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571757
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 CN2022090479
(87)【国際公開番号】W WO2022257644
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】202110630174.6
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.iPad
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】楊海城
(72)【発明者】
【氏名】周金星
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD24
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ31
(57)【要約】
本開示の実施例は、PDUセッションを単位としてデータ中断を検出し、PDUセッションにデータ中断が発生したと検出した場合、すぐにネットワークに再接続してデータ接続再開動作を行うのではなく、データ中断が発生したPDUセッションがセッション切り替え条件を満たしているか否かを先に判定し、満たしている場合、該PDUセッションを切り替える、データ中断回復方法、端末、および記憶媒体を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトコルデータユニットPDUセッションのデータ中断を監視するステップと、
前記PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしているか否かを判定するステップと、
前記PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしていると判定した場合、前記PDUセッションを切り替えるステップと、を含む、
データ中断回復方法。
【請求項2】
前記PDUセッションのデータ中断を監視するステップは、
監視の結果、第1予め設定された期間内に、前記PDUセッションによってネットワーク側に連続的に送信されたN個(Nは1以上)のデータメッセージがネットワーク側から応答を受信しなかったこと、
監視の結果、第2予め設定された期間内に、前記PDUセッションに対応するドメイン名システムのクエリがM回(Mは1以上)失敗したこと、
監視の結果、第3予め設定された期間内に、前記PDUセッションに対応するパケットインターネットグローパーがK回(Kは1以上)失敗したこと、
監視の結果、第4予め設定された期間内に、前記PDUセッションのデータメッセージ再送信の数が予め設定されたメッセージ再送信閾値に達したこと、
監視の結果、前記PDUセッションに対応するサーバプローブが失敗したこと、
前記PDUセッションに対してネットワーク側から送信された予め設定されたPDUセッション解放指示メッセージを監視したこと、のうちの1つを含む、
請求項1に記載のデータ中断回復方法。
【請求項3】
前記PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしているか否かを判定する前記ステップは、
前記PDUセッションが、複数のネットワークチャネルアクセスをサポートするマルチアクセスMA PDUセッションであるか否かを判定するステップと、
前記PDUセッションがMA PDUセッションであると判定した場合、前記PDUセッションによってサポートされる複数のネットワークチャネルのうち現在利用可能なネットワークチャネルが存在するか否かを判定するステップと、を含む、
請求項1に記載のデータ中断回復方法。
【請求項4】
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうち現在利用可能なネットワークチャネルが存在するか否かを判定する前記ステップは、
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうち中断状態としてマークされていないネットワークチャネルが存在するか否かを判定するステップと、
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうちパケット損失率が正常であるネットワークチャネルが存在するか否かを判定するステップと、
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうちサーバプローブが成功したネットワークチャネルが存在するか否かを判定するステップと、
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうちパケットインターネットグローパーが成功したネットワークチャネルが存在するか否かを判定するステップと、
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうちネットワーク品質測定結果が設定されたネットワーク品質条件を満たすネットワークチャネルが存在するか否かを判定するステップと、のうちの1つを含む、
請求項3に記載のデータ中断回復方法。
【請求項5】
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルは、
少なくとも1つのセルラーネットワークチャネル、
少なくとも1つの非セルラーネットワークチャネルのうちの少なくとも1つを含む、
請求項4に記載のデータ中断回復方法。
【請求項6】
前記PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしていないと判定した場合、前記PDUセッションをデータ中断状態としてマークするステップと、
現在データ中断状態としてマークされているPDUセッションの数が、予め設定されたデータ回復閾値に達した場合、データ接続再開処理を行うステップと、をさらに含み、
または、
前記PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしていないと判定した場合、計時を開始し、計時値が予め設定された時間閾値に達した場合、なお前記PDUセッションのデータ中断を監視していれば、データ接続再開処理を行うステップ、をさらに含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載のデータ中断回復方法。
【請求項7】
データ接続再開処理を行う前記ステップは、
設定されたデータ回復規則に従って、
データ接続制御スイッチをオフにしてからオンにする動作、
ネットワーク加入手順を再実行する動作、
RFモジュールを再起動する動作、
モデムを再起動する動作のうちの少なくとも1つを実行するステップを含む、
請求項6に記載のデータ中断回復方法。
【請求項8】
前記データ回復規則は、段階的実行規則を含み、前記段階的実行規則は、現在のデータ回復動作が予め設定された順序で実行された後、第5予め設定された期間内にPDUセッションのデータ中断が存在するか否かを監視し、存在する場合、次のデータ回復動作を実行することを含む、
請求項7に記載のデータ中断回復方法。
【請求項9】
メモリと、プロセッサと、前記メモリと前記プロセッサとを接続する通信バスと、を含む端末であって、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されて、請求項1~8のいずれか1項に記載のデータ中断回復方法のステップを実現する1つまたは複数のコンピュータプログラムを記憶した、端末。
【請求項10】
1つまたは複数のプロセッサによって実行されて、請求項1~8のいずれか1項に記載のデータ中断回復方法のステップを実現するための1つまたは複数のコンピュータプログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2021年06月07日に出願された名称が「データ中断回復方法、端末、および記憶媒体」の中国特許出願CN 202110630174.6の優先権を主張しており、その全ての内容は引用によって本開示に組み込まれている。
【0002】
本開示の実施例は、通信分野に関するが、これに限定されるものではなく、具体的に、データ中断回復方法、端末、および記憶媒体に関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0003】
スマート端末はすでに人々の日常生活にとって重要なツールになっており、人々の仕事や生活や娯楽に関するアプリケーションは、スマート端末の発展に伴い、拡張して普及させており、いったん端末のデータ中断(すなわち、スマート端末とネットワーク側のデータ接続やデータ転送に故障)が発生すると、ユーザの生活に多くの不便をもたらすことになる。ユーザのエクスペリエンスを向上させるために、スマート端末は、ネットワーク側とネットワークチャネル接続を確立した後(すなわち、データ接続を確立した後)、ネットワーク側と確立したネットワークチャネルにデータ中断が発生したか否かを継続的に検出し、データ中断を検出した場合、ネットワークに再接続してすべてのデータ接続をクリアすることによってデータ接続再開を行う。しかし、スマート端末がネットワーク側とネットワークチャネルを確立した後、端末がネットワーク側と当該ネットワークチャネルを通じて複数のPDU(プロトコルデータユニット:Protocol Data Unit)セッションを確立する可能性があり、スマート端末がネットワークチャネルの中断を検出したときに、当該ネットワークチャネルにおける個々のPDUセッションのデータが中断されているだけの場合があるので、単にネットワークに直接再接続してデータ接続再開動作を行うだけでは、当該ネットワークチャネルにおけるその他の正常なPDUセッションをリセットしてしまい、トラフィックの連続性を劣化し、ユーザのエクスペリエンスの低下を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施例によるデータ中断回復方法、端末、および記憶媒体は、データ中断が検出されると、ネットワークに直接再接続してデータ接続再開を行うことにより、通常のPDUセッションもリセットされてしまうことになるという関連技術における技術的課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施例は、
プロトコルデータユニットPDUセッションのデータ中断を監視するステップと、
前記PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしているか否かを判定するステップと、
前記PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしていると判定した場合、前記PDUセッションを切り替えるステップと、を含む、データ中断回復方法を提供する。
【0006】
本開示の実施例は、
メモリと、プロセッサと、前記メモリと前記プロセッサとを接続する通信バスと、を含む端末であって、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されて、前記のデータ中断回復方法のステップを実現する1つまたは複数のコンピュータプログラムを記憶した、端末をさらに提供する。
【0007】
本開示の実施例は、
1つまたは複数のプロセッサによって実行されて、前記のデータ中断回復方法のステップを実現するための1つまたは複数のコンピュータプログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。
【0008】
本開示の他の特徴および対応する有益な効果は明細書の後段に説明されており、有益な効果の少なくとも一部は本開示の明細書の記載から明らかになることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施例1によるデータ中断回復方法の流れの概略図である。
図2】本開示の実施例1によるデータ接続再開方法の流れの概略図である。
図3】本開示の実施例1による別のデータ接続再開方法の流れの概略図である。
図4】本開示の実施例2によるデータ中断回復装置の構造概略図である。
図5】本開示の実施例2によるATSSS機能の概略図である。
図6】本開示の実施例2によるデータ中断回復方法の流れの概略図である。
図7】本開示の実施例3による端末の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の目的、技術案、および利点をより明確にするために、図面および具体的な実施形態を参照して、本開示の実施例についてさらに詳細に説明する。本明細書に記載された具体的な実施例は、本開示を説明するためだけに使用され、本開示を限定するためには使用されないことが理解されるべきである。
【0011】
実施例1
関連技術では、端末はネットワーク側とネットワークチャネル接続を確立した後、ネットワークチャネルを単位としてデータ中断の検出を行い、例えば、端末はネットワーク側とセルラーネットワークチャネルおよびワイヤレス忠実度(Wi-Fi:Wireless Fidelity)ネットワークチャネルを確立した後、セルラーネットワークチャネルおよびWi-Fiネットワークチャネルにデータ中断が発生したか否かを検出し、発生した場合、ネットワークに直接再接続してデータ回復を行う。しかし、この場合、ネットワークチャネルにおける個々のPDUセッションのデータが中断されているだけの場合があるので、単にネットワークに直接再接続してデータ接続再開動作を行うだけでは、ネットワークチャネルにおけるその他の正常なPDUセッションをリセットしてしまい、トラフィックの連続性を劣化し、ユーザエクスペリエンスを低下させる恐れがある。これに対して、本実施例は、端末がネットワークチャネルを単位としてではなく、PDUセッションを単位としてデータ中断を検出する新しいデータ中断回復方法を提供し、検出の粒度がより微細になり、データ中断が発生した特定のPDUセッションを特定することができ、その後のデータ回復の正確な制御に対してより有利である。PDUセッションにデータ中断が発生したと検出した場合、すぐにネットワークに再接続してデータ接続再開動作を行うのではなく、データ中断が発生したPDUセッションがセッション切り替え条件を満たしているか否かを先に判定し、満たしている場合、当該PDUセッションを切り替える。これにより、ネットワークに再接続してデータ接続再開動作を行うことでその他の正常なPDUセッションをリセットしてしまうことを回避することができ、また、データ中断が発生したPDUセッションを他のチャネルに切り替えて正常な運行を行うことができ、データ回復の効率、正確率を高め、トラフィックの連続性を確保し、さらにユーザエクスペリエンスを向上させる。
【0012】
理解を容易にするために、以下、本実施例によるデータ中断回復方法を例示的に説明する。図1に示すように、この方法は、以下のステップS101~S103を含むが、これに限定されるものではない。
【0013】
S101:PDUセッションのデータ中断を監視する。
【0014】
なお、S101の前には、端末がネットワーク側とネットワークチャネル接続を確立し、ネットワークチャネルで少なくとも1つのPDUセッションを確立するステップも含まれてもよい。本実施例では、端末がネットワーク側と確立するネットワークチャネル接続は、1つだけであってもよいし、複数であってもよい。端末は、PDUセッションを単位として現在確立されているPDUセッションの少なくとも一部にデータ中断が発生したか否かを監視する(例えば、いくつかの適用シナリオでは、確立されているすべてのPDUセッションにデータ中断が発生したか否かを監視することができる)。ネットワークチャネルを単位として検出するのではないため、検出の粒度がより微細になり、データ中断が発生した特定のPDUセッションを特定することができ、その後のデータ回復の正確な制御に対してより有利である。
【0015】
本実施例の一例では、端末は、データプレーンのみでPDUセッションにデータ中断が発生したか否かを監視してもよいし、制御プレーンのみでPDUセッションにデータ中断が発生したか否かを監視してもよい。本実施例の別の例では、端末は、データプレーンおよび制御プレーンの両方でPDUセッションにデータ中断が発生したか否かを監視することができ、これにより、監視はより包括的であり、監視の精度を向上させることができる。例えば、1つの適用例では、PDUセッションにデータ中断が発生したか否かを監視するステップは、以下のうちの1つを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0016】
第1予め設定された期間内に、PDUセッションによってネットワーク側に連続的に送信されたN個のデータメッセージがネットワーク側からの応答を受信したか否かを監視し、受信しなかった場合、当該PDUセッションにデータ中断が発生したと判定する。ここで、Nは1以上の整数値であり、具体的には、必要に応じて柔軟に設定することができ、例えば、1、3、5、7などに設定してもよいが、これらに限定されるものではない。第1予め設定された期間も必要に応じて柔軟に設定してもよいため、ここでは詳しく説明しない。
【0017】
第2予め設定された期間内に、PDUセッションに対応するドメイン名システム(DNS:Domain Name System)クエリがM回失敗したか否かを監視し、M回失敗した場合、当該PDUセッションにデータ中断が発生したと判定する。ここで、Mは1以上の整数値であり、具体的には、必要に応じて柔軟に設定することができ、例えば、2、4、6、8などに設定してもよいがが、これらに限定されるものではなく、本例では、M回の失敗は、連続したM回であってもよく、連続していないM回であってもよい。第2予め設定された期間も必要に応じて柔軟に設定してもよいため、ここでは詳しく説明しない。
【0018】
第3予め設定された期間内に、PDUセッションに対応するパケットインターネットグローパー(PING:Packet Internet Groper)がK回失敗したか否かを監視し、K回失敗した場合、当該PDUセッションにデータ中断が発生したと判定する。ここで、Kは1以上の整数値であり、具体的には、必要に応じて柔軟に設定することができ、例えば、1、4、5、8などに設定してもよいが、これらに限定されるものではない。本例では、K回の失敗は、連続したK回であってもよく、連続していないK回であってもよい。第3予め設定された期間も必要に応じて柔軟に設定してもよいため、ここでは詳しく説明しない。
【0019】
第4予め設定された期間内に、PDUセッションのデータメッセージ再送信の数が予め設定されたメッセージ再送信閾値に達したか否かを監視し、再送信閾値に達した場合、当該PDUセッションにデータ中断が発生したと判定する。予め設定されたメッセージ再送信閾値の数値および第4予め設定された期間は、必要に応じて柔軟に設定してもよいため、ここでは詳しく説明しない。
【0020】
PDUセッションに対応するサーバプローブが失敗したか否かを監視し、失敗した場合、当該PDUセッションにデータ中断が発生したと判定する。
【0021】
PDUセッションに対してネットワーク側から送信された予め設定されたPDUセッション解放指示メッセージを監視し、監視した場合、当該PDUセッションにデータ中断が発生したと判定する。本実施例では、予め設定されたPDUセッション解放指示メッセージは、適用の要求に応じて柔軟に設定することができ、例えば、Network Failureネットワーク故障、Insufficient resources for specific slice特定スライスのリソース不足、Insufficient resources for specific slice and DNN特定スライスとDNNのリソース不足の理由の少なくとも1つを含むPDUセッション解放指示メッセージを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0022】
さらに、本実施例のいくつかの適用シナリオでは、上記の例における少なくとも2つの状況がPDUセッションに検出された場合にのみ、当該PDUセッションにデータ中断が発生したと判定できる。
【0023】
S102:PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしているか否かを判定する。
【0024】
本実施例の一例では、PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしているか否かを判定するステップは、データ中断が発生したPDUセッションが複数のネットワークチャネルアクセスをサポートするマルチアクセス(MA:Multi-Access)PDUセッションであるか否かを判定するステップと、データ中断が発生したPDUセッションがMA PDUセッションであると判定した場合、該PDUセッションによってサポートされる複数のネットワークチャネルのうち現在利用可能なネットワークチャネルが存在するか否かを判定し、存在する場合、該MA PDUセッションがセッション切り替え条件を満たしていると判定するステップと、を含むが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本実施例のいくつかの適用例では、MA PDUセッションによってサポートされる複数のネットワークチャネルは、少なくとも1つのセルラーネットワークチャネル、少なくとも1つの非セルラーネットワークチャネルのうちの少なくとも1つを含む、これらに限定されるものではない。
【0026】
例えば、1つの適用シナリオでは、端末は、非独立モード5Gネットワーク下にある場合、5Gネットワークと4Gネットワークに同時に接続してもよく、本適用シナリオでは、端末は5Gネットワークと4Gネットワークに同時に接続してもよく、MA PDUセッションによってサポートされる複数のネットワークチャネルは4Gネットワークチャネルと5Gネットワークチャネルを含んでもよい。
【0027】
また、例えば、1つの適用シナリオでは、端末は、5Gネットワーク(または4Gネットワーク)およびWi-Fiネットワークに同時に接続してもよく、この場合、MA PDUセッションによってサポートされる複数のネットワークチャネルは、5Gネットワークチャネル(または4Gネットワークチャネル)およびWi-Fiネットワークチャネルを含んでもよい。
【0028】
さらに、例えば、1つの適用シナリオでは、端末は、5Gネットワーク、4Gネットワーク、およびWi-Fiネットワークに同時に接続してもよく、この場合、MA PDUセッションによってサポートされる複数のネットワークチャネルは、5Gネットワークチャネル、4Gネットワークチャネル、およびWi-Fiネットワークチャネルのうちの少なくとも2つを含んでもよい。
【0029】
以上の適用シナリオは、単に分かりやすい例としてのものであり、具体的には、適用の必要に応じて柔軟に設定および調整することができるので、ここでは詳しく説明しない。
【0030】
理解を容易にするために、本実施例は、MA PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうち現在利用可能なネットワークチャネルが存在するか否かを判定する判定方式について例示的に説明し、この判定方式は、MA PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうち中断状態としてマークされていないネットワークチャネルが存在するか否かを判定し、存在する場合、中断状態としてマークされていないネットワークチャネルを該MA PDUの利用可能なネットワークチャネルとすること、MA PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうちパケット損失率が正常である(すなわち、パケット損失率が予め設定されたパケット損失率閾値以下である)ネットワークチャネルが存在するか否かを判定し、存在する場合、パケット損失率が正常であるネットワークチャネルを該MA PDUの利用可能なネットワークチャネルとすること、MA PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうちプローブサーバが成功したネットワークチャネルが存在するか否かを判定し、存在する場合、プローブサーバが成功したネットワークチャネルを該MA PDUの利用可能なネットワークチャネルとすること、MA PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうちパケットインターネットグローパーが成功したネットワークチャネルが存在するか否かを判定し、存在する場合、パケットインターネットグローパーが成功したネットワークチャネルを該MA PDUの利用可能なネットワークチャネルとすること、MA PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうちネットワーク品質(通信遅延、レート、基準信号受信電力、基準信号受信品質、信号対雑音比、受信信号強度表示などの指標のうちの少なくとも1つを含むことができるが、これらに限定されない)測定結果が、設定されたネットワーク品質条件を満たすネットワークチャネルが存在するか否かを判定し、存在する場合、ネットワーク品質の測定結果が設定されたネットワーク品質条件を満たすネットワークチャネルを該MA PDUの利用可能なネットワークチャネルとすることのうちの1つを含むが、これらに限定されるものではない。
【0031】
S103:データ中断が発生したPDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしていると判定した場合、データが中断されたPDUセッションを切り替え、例えば、それに対応する利用可能なネットワークチャネルに切り替えて、対応するデータトラフィックの実行を継続する。これにより、ネットワークに再接続してデータ接続再開動作を行うことを回避することができ、さらにデータ接続再開動作によって他の正常なPDUセッションをリセットしてしまうことを回避することができ、また、データ中断が発生したPDUセッションを他のチャネルに切り替えて正常な運行を行うことができ、データ回復の効率、正確率を高め、トラフィックの連続性を確保し、さらにユーザエクスペリエンスを向上させることができる。
【0032】
本実施例では、データ中断が発生したPDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしていないと判定した場合、データ接続再開制御を行うステップも含む。この場合、上記した関連技術のデータ接続再開制御を採用してもよい。しかし、本実施例では、より合理的なデータ接続再開方式を提供し、該データ接続再開方式は、以下で例示する2つのデータ接続再開方式を含むが、これらに限定されるものではない。
【0033】
方式1:図2に示すように、以下のステップを含むが、これらに限定されるものではない。
【0034】
S201:データ中断が発生したPDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしていないと判定した場合、データ中断が発生したPDUセッションをデータ中断状態としてマークする。
【0035】
S202:現在データ中断状態とマークされているPDUセッションの数が予め設定されたデータ回復閾値に達した場合、データ接続再開処理を行い、現在データ中断状態としてマークされているPDUセッションの数が予め設定されたデータ回復閾値に達していない場合、データ接続再開を行わない。
【0036】
本実施例では、ネットワークチャネルを単位として統計してもよく、すなわち、統計の結果、あるネットワークチャネルでデータ中断状態とマークされているPDUセッションの数が予め設定されたデータ回復閾値(このデータ回復閾値は、例えば、現在のPDUセッション数全体の10%、15%や20%など柔軟に設定してもよいし、固定値などに設定してもよい)に達した場合、データ接続再開動作を実行し、また、そのネットワークチャネルに対してのみデータ接続再開動作を実行して、端末が現在接続している他のネットワークチャネルに対してはデータ接続再開動作を実行しなくてもよいし、もちろん同時に実行してもよい。
【0037】
本実施例の別の例では、データ接続再開動作は、統計の結果、端末が現在接続しているすべてのネットワークチャネルでデータ中断状態としてマークされているPDUセッションの数が予め設定されたデータ回復閾値に達した場合に実行されてもよく、その一部またはすべてのネットワークチャネルについて実行されてもよい。
【0038】
本方式1では、現在データ中断状態とマークされているPDUセッションの数が予め設定されたデータ回復閾値に達していない場合、データ接続再開を行わずに待機し、待機中に、ネットワーク環境が良くなったまたはその他の要因により以前にデータ中断が発生したPDUセッションが自動的に回復する可能性があり、自動的に回復したPDUセッションを監視した後、データ中断マークを削除することができる。すなわち、本方式1では、データ中断が発生したPDUセッションの少なくとも一部に自動回復の時間を与えることができ、このため、フォールトトレラント性能がより良くなり、データ回復動作の頻度が減少し、データ中断が発生したPDUセッションの自動回復能力、成功率およびリソースの利用率が向上し得る。
【0039】
方式2:図3に示すように、以下のステップを含むが、これらに限定されるものではない。
【0040】
S301:データ中断が発生したPDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしていないと判定した場合、計時を開始する(同等物としてPDUセッションのデータ中断が監視された場合に計時を開始することに置き換えてもよい)。
【0041】
S302:計時値が予め設定された時間閾値(この時間閾値は、要求に応じて柔軟に設定可能)に達した場合、なお当該PDUセッションのデータ中断を監視していれば(すなわち、当該PDUセッションがセッションデータ中断状態にあることを監視していれば)、データ接続再開処理を行う。すなわち、本方式2では、データ中断が発生したPDUセッションに自動回復の時間を与えることができ、このため、フォールトトレラント性能がより良くなり、データ回復動作の頻度が減少し、データ中断が発生したPDUセッションの自動回復能力、成功率およびリソースの利用率が向上し得る。
【0042】
もちろん、本実施例のいくつかの例では、データ回復動作は、データ中断が発生したPDUセッションによって実行されるデータトラフィックのタイプに応じて制御されて実行されてもよく、例えば、重要でないデータトラフィックのPDUセッションにデータ中断が発生した場合、データ回復動作は実行されなくてもよく、例えば、重要なデータトラフィックのPDUセッションにデータ中断が発生した場合、切り替え条件が満たされると、データ回復動作はすぐに実行されてもよい。本実施例による上記した制御例を基に、他の制御方式に置き換えたり、拡張したりすることも可能であるが、ここでは詳しく説明しない。
【0043】
理解を容易にするために、本実施例では、データ接続再開処理の方式を例示的に説明し、データ接続再開処理の方式は、設定されたデータ回復規則に従って、データ接続制御スイッチをオフにしてからオンにする動作、ネットワーク加入手順を再実行する動作、RFモジュールを再起動する動作、モデムを再起動する動作のうちの少なくとも1つを実行することを含む。データ接続制御スイッチをオフにしてからオンにする動作について、例えば、現在端末が接続している5Gネットワークのネットワークチャネルに対してデータ接続再開動作を行っていると仮定すると、端末の5Gネットワークデータ接続制御スイッチをオフにしてから、再びオンにすることができ、他のネットワークに対する制御方式は類似しているので、ここでは詳しく説明しない。
【0044】
本実施例において設定されたデータ回復規則は、柔軟に設定することができ、例えば、ランダムな順序で動作するように設定してもよいし、上記のデータ回復動作をユーザに提供してユーザの選択に応じて実行するようにしてもよい。本実施例の一例では、データ回復制御の合理性および効率性を向上させるために、データ回復規則は、段階的実行規則を含み、該段階的実行規則は、現在のデータ回復動作を予め設定された順序で実行した後、第5予め設定された期間内にPDUセッションのデータ中断が存在するか否かを監視し、存在する場合、次のデータ回復動作を実行し、存在しない場合、データ中断が解決されたことを示し、データ回復動作を停止することを含む。
【0045】
例えば、予め設定された順序としては、データ接続制御スイッチをオフにしてからオンにすること、ネットワーク加入手順を再実行すること、RFモジュールを再起動すること、モデムを再起動することを順次実行してもよい。現在実行されているデータ回復動作としてデータ接続制御スイッチをオフにしてからオンにし、実行が完了した後、第5予め設定された期間内にPDUセッションのデータ中断が存在するか否かを監視し、存在する場合、ネットワーク加入手順を再実行し、存在しない場合、データ中断が解決されたことを示し、データ回復動作を停止する。
【0046】
なお、本実施例の一例では、データ中断回復方法の少なくとも1つのステップは、端末によって実行されてもよい。端末はPDUセッションを単位としてデータ中断を検出し、PDUセッションにデータ中断が発生したと検出した場合、すぐにネットワークに再接続してデータ接続再開動作を行うのではなく、データ中断が発生したPDUセッションがセッション切り替え条件を満たしているか否かを先に判定し、満たしている場合、当該PDUセッションを切り替える。これにより、ネットワークに再接続してデータ接続再開動作を行うことを回避することができ、さらにデータ接続再開動作により他の正常なPDUセッションをリセットしてしまうことを回避することができ、また、データ中断が発生したPDUセッションを他のチャネルに切り替えて正常な運行を行うことができ、データ回復の効率、正確率を高め、トラフィックの連続性を確保する。一方、データ中断が発生したPDUセッションがセッション切り替え条件を満たしていない場合、現在データ中断が発生したPDUセッションが設定されたデータ回復条件を満たしている場合にのみデータ接続再開動作を実行するため、フォールトトレラント性能がより良くなり、データ回復動作の頻度が減少し、データ中断が発生したPDUセッションの自動回復能力、成功率およびリソースの利用率が向上し得る。
【0047】
実施例2
本実施例は、図4に示すように、データ中断回復装置を提供し、該データ中断回復装置は、監視モジュール401と、測定モジュール402と、マルチチャネル管理モジュール403と、マークモジュール404と、リスニングモジュール405と、回復モジュール406とを含むが、これに限定されない。
【0048】
監視モジュール401は、PDUセッションにデータ中断が発生したか否か、およびデータ中断が発生したPDUセッションがMA PDUセッションであるか否かを監視するためのものであり、その監視方式は、上記の実施例に示された方式を採用することができるが、これらに限定されるものではなく、ここでは詳しく説明しない。
【0049】
測定モジュール402は、データ中断が発生したPDUセッションがMA PDUセッションである場合、該MA PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうち利用可能なチャネルが存在するか否かを検出するためのものであり、この検出方式は、上記の実施例に示された方式を採用することができるが、これらに限定されないものではなく、ここでは詳しく説明しない。
【0050】
マルチチャネル管理モジュール403は、測定モジュール402によって検出された結果としてデータ中断が発生したMA PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうち利用可能なチャネルが存在する場合、該MA PDUセッションを対応する利用可能なネットワークに切り替え、該MA PDUセッションの交換データメッセージを切り替え後の利用可能なネットワークチャネルに送信するためのものである。
【0051】
マークモジュール404は、データ中断が発生したPDUセッションがセッション切り替え条件を満たしていない場合、該PDUセッションをデータ中断状態としてマークするためのものである。
【0052】
リスニングモジュール405は、現在データ中断状態としてマークされているPDUセッションが、設定されたデータ接続再開条件を満たしているか否かをリスニングするためのものである。データ接続再開条件は、上記の実施例に示された条件を採用することができるが、これらに限定されるものではなく、ここでは詳しく説明しない。
【0053】
回復モジュール406は、データ接続再開条件が満たされたことをリスニングモジュール405がリスニングした場合、データ接続再開動作を実行するためのものであり、実行方式は、上記の例に記載の方式を採用することができるが、これらに限定されるものではなく、ここでは詳しく説明しない。
【0054】
なお、以上の少なくとも1つのモジュールは、端末に配置されてもよく、その少なくとも1つのモジュールの機能は、プロセッサによって実装されてもよいが、これに限定されない。もちろん、いくつかの例では、これらのモジュールのいくつかは、ネットワーク側の機器に配置されてもよい。ここでは詳しく説明しない。
【0055】
理解を容易にするために、以下、具体的な適用シナリオを例に挙げて本実施例を説明する。本適用シナリオでは、端末は5GネットワークとWi-Fiネットワークに同時に接続する。データ回復接続は、データ中断状態にあるPDUセッションの数が、予め設定されたデータ回復閾値に達することを条件としている。
【0056】
5Gネットワークについては、3GPP(登録商標)R16バージョンは、4Gネットワークでも導入可能なアクセストラフィックステアリング、スイッチング、スプリッティング(ATSSS:Access Traffic Steering,Switching,Splitting)機能を導入しており、このATSSS機能は、主に端末のMAトラフィックの経路優先、シームレス切り替え、マルチパス同時実行などに使用されており、その1つの概略図は図5に示される。
【0057】
経路優先については、端末は5GネットワークとWi-Fiネットワークの中から最適なネットワーク経路を選択してデータトラフィックを実行することができる。シームレスな切り替えについては、端末は5GネットワークからWi-Fiネットワークに切り替えてデータトラフィックを実行してもよいし、Wi-Fiネットワークから5Gネットワークに切り替えてデータトラフィックを実行してもよい。マルチパス同時実行については、端末は5GネットワークとWi-Fiネットワークを同時に利用してデータトラフィックを実行することができる。
【0058】
【0059】
本適用例によるデータ中断回復方法は、図6に示すように、以下のステップS601~S611を含むが、これらに限定されるものではない。
S601:端末は、ATSSSをサポートする5Gネットワークを登録すると、5GチャネルとWiFiチャネルでそれぞれネットワーク側とPDUセッション1からPDUセッションnを確立する。
【0060】
1つの適用シナリオでは、確立されるPDUセッションは、インターネットトラフィック用のInternetタイプのPDUセッション、IMS(IP Multimedia Subsystem、IP マルチメディアサブシステム)トラフィック用のIMSタイプのPDUセッション、マルチメディアメッセージングサービス(MMS:Multimedia Messaging Service)用のMMSタイプのPDUセッション、およびネットワークスライスPDUセッションなどを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0061】
S602:端末は5GネットワークのPDUセッション1にデータ中断が発生したと検出する。この例では、端末がPDUセッションにデータ中断が発生したか否かを検出するステップは、第1予め設定された期間内に、PDUセッションによってネットワーク側に連続的に送信されたN個のデータメッセージが、ネットワーク側から応答を受信したか否かを監視するステップと、第2予め設定された期間内に、PDUセッションに対応するDNSクエリがM回失敗したか否かを監視するステップと、第3予め設定された期間内に、PDUセッションに対応するPING検出がK回失敗したか否かを監視し、K回失敗した場合、該PDUセッションにデータ中断が発生したと判定するステップと、第4予め設定された期間内に、PDUセッションのデータメッセージ再送信の数が予め設定されたメッセージ再送信閾値に達したか否かを監視するステップと、PDUセッションに対応するサーバプローブが失敗したか否かを監視するステップと、PDUセッションに対してネットワーク側から送信された予め設定されたPDUセッション解放指示メッセージを監視するステップとのうちの1つを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。本実施例では、予め設定されたPDUセッション解放指示メッセージは、適用の必要に応じて柔軟に設定することができ、例えば、Network Failureネットワーク故障、Insufficient resources for specific slice特定スライスのリソース不足、Insufficient resources for specific slice and DNN特定スライスとDNNのリソース不足の理由の少なくとも1つを含むPDUセッション解放指示メッセージを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0062】
3GPP TS 24.501仕様によれば、ネットワーク側は、PDUセッションを解放する旨をPDU Session Release Commandで端末に通知し、以下の表1および表2に示すように、解放理由を「5GSM cause」フィールドに含める。
【0063】
【0064】
【0065】
S603:端末は、該PDUセッション1がMA PDUセッションであるか否かを判断し、MA PDUセッションである場合、S604へ進み、MA PDUセッションではない場合、S608へ進む。
【0066】
一例では、端末は、該PDUセッション1がMA PDUセッションであるか否かを判断し、PDUセッション1のセッションIDに対応するPDUセッションが複数のネットワークチャネルにわたって確立されているか否かを判断し、確立されている場合、該PDUセッション1がMA PDUセッションであることを示す。MA PDUセッションリストを事前に設定または取得し、データ中断が発生したPDUセッションがMA PDUセッションリスト内にあるか否かを判定してもよい。
【0067】
S604:端末は、PDUセッション1に対応するWiFiチャネルが利用可能であるか否かを測定し、利用可能である場合、S605に進み、利用可能ではない場合、S606へ進む。
【0068】
S605:端末は、該PDUセッション1をWiFiチャネルに切り替え、すべてのデータメッセージを当該PDUセッション1のWiFiチャネルに送信する。
【0069】
S606:端末は、5Gネットワークの共通PDUセッションチャネルが利用可能であるか否かを測定し、利用可能である場合、S607に進み、利用可能ではない場合、S608へ進む。
【0070】
S607:端末は、該PDUセッション1を5Gネットワークの共通PDUセッションチャネルに切り替え、すべてのデータメッセージを該PDUセッション1の5Gネットワークの共通PDUセッション(すなわち、InternetタイプのデフォルトPDUセッション)チャネルに送信する。
【0071】
この例では、端末がWi-Fiネットワークチャネルまたは5Gネットワークの共通PDUセッションが利用可能であるか否かを測定する方式は、PDUセッション1に対応するWi-Fiネットワークチャネルまたは5Gネットワークの共通PDUセッションチャネルがデータ中断状態としてマークされているか否かを検出することと、カーネルでPDUセッション1に対応するWi-Fiネットワークチャネルまたは5Gネットワークの共通PDUセッションチャネルのデータ送受信の統計情報をチェックして、パケット損失率が異常か否かを判定することと、PDUセッション1に対応するWi-Fiネットワークチャネルまたは5Gネットワークの共通PDUセッションチャネルでサーバプローブを開始することと、PDUセッション1に対応するWi-Fiネットワークチャネルまたは5Gネットワークの共通PDUセッションチャネルでPING動作を開始することと、PDUセッション1に対応するWi-Fiネットワークチャネルまたは5Gネットワークの共通PDUセッションチャネルで測定を開始することとのうちの1つを含むが、これらに限定されるものではない。
【0072】
3GPP TS 24.193仕様によれば、測定時に、端末はPMFP Echo要求メッセージをネットワーク側に送信し、ネットワーク側はPMFP Echo応答情報を返信し、端末はPMFP Echo応答メッセージ中のタイマーTxの現在値とPMFP Echo要求メッセージ中のタイマーTxの元の値との差を計算することにより、今回のRTT値を得るが、もちろん、レート、RSSI、SNRなどのネットワーク品質を表す指標の少なくとも1つを測定することもできる。
【0073】
S608:端末は、該PDUセッション1をデータ中断状態としてマークする。
【0074】
S609:端末は、データ中断状態としてマークされているPDUセッションの数がデータ回復閾値に達したか否かを判断し、データ回復閾値に達した場合、S610へ進み、データ回復閾値に達していない場合、S611に進む。
【0075】
S610:端末は、データ接続再開動作を実行する。
【0076】
この例では、端末は、段階的実行規則を採用しており、現在のデータ回復動作を予め設定された順序で実行した後、第5予め設定された期間内にPDUセッションのデータ中断が存在するか否かを監視し、存在する場合、次のデータ回復動作を実行し、存在しない場合、データ中断が解決されたことを示し、データ回復動作を停止する。例えば、予め設定された順序としては、データ接続制御スイッチをオフにしてからオンにすること、ネットワーク加入手順を再実行すること、RFモジュールを再起動すること、モデムを再起動することを順次実行してもよい。現在実行されているデータ回復動作としてデータ接続制御スイッチをオフにしてからオンにし、実行が完了した後、第5予め設定された期間内にPDUセッションのデータ中断が存在するか否かを監視し、存在する場合、ネットワーク加入手順を再実行し、存在しない場合、データ中断が解決されたことを示し、データ回復動作を停止する。
【0077】
S611:待ち続ける。
【0078】
本実施例では、粒度がWiFiチャネル、セルラーチャネル単位である関連技術のデータ中断検出に対しては、本実施例では、検出粒度をPDUセッションに絞っている。端末は、トラフィックの必要に応じて、WiFiチャネル、セルラーチャネル上でネットワーク側と複数のPDUセッションを確立する。
【0079】
関連技術では、データプレーン方式による検出が行われているのに対し、本実施例では、検出範囲を制御プレーンに拡張し、データ検出の網羅性と正確性を向上させた。
【0080】
関連技術では、検出粒度が大きく、データ中断を検出した後、データ接続再開手段しか採用できず、その結果、精度が制限されるのに対し、本実施例では、端末の検出粒度がより微細になり、データの中断を検出した後、トラフィックの連続性を確保するためにトラフィックの切り替えを試みる。中断状態にあるPDUセッションの数が一定の閾値に達したと確認した場合にのみ回復動作を実行するため、精度が高く、フォールトトレラント性能がより良くなり、データ回復動作の頻度が減少し、データ中断状態のPDUセッションの自動回復能力、成功率およびリソースの利用率が向上し得る。
【0081】
実施例3
本実施例は、端末をさらに提供し、この端末は、スマートフォン、IPAD、車載端末、スマートウェアラブルデバイスなどのような様々なモバイルスマート端末を含むが、これらに限定されず、非モバイルタイプのスマート端末も含んでもよい。図7に示すように、端末は、プロセッサ701と、メモリ702と、通信バス703とを含み、通信バス703は、プロセッサ701とメモリ702とを接続し、プロセッサ701は、メモリ702に記憶された1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行して、上記の各実施例に例示されたデータ中断回復方法のうちの少なくとも1つのステップを実現する。
【0082】
本実施例は、情報(例えば、コンピュータ読み取り可能命令、データ構造、コンピュータプログラムモジュール、または他のデータなど)を記憶するための任意の方法または技術において実施される、揮発性または不揮発性の、取り外し可能または取り外し不可能な媒体を含むコンピュータ読み取り可能記憶媒体をさらに提供する。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM:Electrically Erasable Programmable read only memory)、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM:Compact Disc Read-Only Memory)、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光ディスク記憶装置、磁気カートリッジ、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、または所望の情報を記憶するために使用でき、コンピュータにアクセスできる他の任意の媒体を含むが、これらに限定されない。
【0083】
本実施例のコンピュータ読み取り可能記憶媒体は、1つまたは複数のコンピュータプログラムを記憶するために使用することができ、それに記憶された1つまたは複数のコンピュータプログラムは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されて、上記の各実施例に例示されたデータ中断回復方法の少なくとも1つのステップを実現することができる。
【0084】
本実施例は、コンピュータ読み取り可能媒体に配布され、コンピューティングデバイスによって実行され、上記の各実施例に例示されたデータ中断回復方法のうちの少なくとも1つのステップを実現することができるコンピュータプログラム(またはコンピュータソフトウェア)をさらに提供する。また、いくつかの場合、上記の各実施例の例とは異なるデータ中断回復方法の少なくとも1つのステップが採用されてもよい。
【0085】
なお、いくつかの場合、示されたまたは説明された少なくとも1つのステップは、上記の実施例で説明された順序とは異なる順序で実行されてもよい。
【0086】
本実施例は、上記のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能装置を含むコンピュータプログラム製品をさらに提供する。本実施例におけるコンピュータ読み取り可能装置は、上記のコンピュータ読み取り可能記憶媒体を含んでもよい。
【0087】
本開示の実施例によるデータ中断回復方法、端末、および記憶媒体では、PDUセッションを単位としてデータ中断を検出し、PDUセッションにデータ中断が発生したと検出した場合、すぐにネットワークに再接続してデータ接続再開動作を行うのではなく、データ中断が発生したPDUセッションがセッション切り替え条件を満たしているか否かを先に判定し、満たしている場合、該PDUセッションを切り替える。これにより、ネットワークに再接続してデータ接続再開動作を行うことを回避することができ、さらにデータ接続再開動作により他の正常なPDUセッションをリセットしてしまうことを回避することができ、またデータ中断が発生したPDUセッションを他のチャネルに切り替えて正常な運行を行うことができ、データ回復の効率、正確率を高め、トラフィックの連続性を確保し、さらにユーザエクスペリエンスを向上させることができる。
【0088】
ここで開示された方法のステップの全部または一部、システム、装置における機能モジュール/ユニットは、ソフトウェア(コンピューティングデバイスによって実行可能なコンピュータプログラムコードによって実装されてもよい)、ファームウェア、ハードウェア、およびそれらの適切な組み合わせとして実装されてもよいことを当業者は理解する。ハードウェアの実施形態では、上記の説明に記載された機能モジュール/ユニット間の区分は、必ずしも物理的な構成要素の区分に対応するものではなく、例えば、1つの物理的な構成要素が複数の機能を有していてもよいし、複数の物理的な構成要素が協働して1つの機能またはステップを実行していてもよい。物理的な構成要素の一部またはすべては、中央処理装置、デジタル信号処理装置、マイクロプロセッサなどのプロセッサによって実行されるソフトウェアとして、またはハードウェアとして、または特定用途向け集積回路などの集積回路として実装されてもよい。
【0089】
さらに、通信媒体は、一般に、コンピュータ読み取り可能命令、データ構造、コンピュータプログラムモジュール、または搬送波や他の伝動機構などの変調データ信号中の他のデータを含み、任意の情報配信媒体を含むことができることが当業者には周知である。したがって、本開示は、いかなる特定のハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせにも限定されない。
【0090】
以上は、具体的な実施形態を参照して本開示の実施例をさらに詳細に説明したものであり、本開示の具体的な実施がこれらの説明のみに限定されるとは理解すべきではない。当業者にとって、本開示の構想を逸脱することなく、いくつかの簡単な推論または置換を行うことができ、いずれも本開示の特許範囲に属するものと見なすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトコルデータユニットPDUセッションのデータ中断を監視するステップと、
前記PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしているか否かを判定するステップと、
前記PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしていると判定した場合、前記PDUセッションを切り替えるステップと、を含む、
データ中断回復方法。
【請求項2】
前記PDUセッションのデータ中断を監視するステップは、
監視の結果、第1予め設定された期間内に、前記PDUセッションによってネットワーク側に連続的に送信されたN個(Nは1以上)のデータメッセージがネットワーク側から応答を受信しなかったこと、
監視の結果、第2予め設定された期間内に、前記PDUセッションに対応するドメイン名システムのクエリがM回(Mは1以上)失敗したこと、
監視の結果、第3予め設定された期間内に、前記PDUセッションに対応するパケットインターネットグローパーがK回(Kは1以上)失敗したこと、
監視の結果、第4予め設定された期間内に、前記PDUセッションのデータメッセージ再送信の数が予め設定されたメッセージ再送信閾値に達したこと、
監視の結果、前記PDUセッションに対応するサーバプローブが失敗したこと、
前記PDUセッションに対してネットワーク側から送信された予め設定されたPDUセッション解放指示メッセージを監視したこと、のうちの1つを含む、
請求項1に記載のデータ中断回復方法。
【請求項3】
前記PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしているか否かを判定する前記ステップは、
前記PDUセッションが、複数のネットワークチャネルアクセスをサポートするマルチアクセスMA PDUセッションであるか否かを判定するステップと、
前記PDUセッションがMA PDUセッションであると判定した場合、前記PDUセッションによってサポートされる複数のネットワークチャネルのうち現在利用可能なネットワークチャネルが存在するか否かを判定するステップと、を含む、
請求項1に記載のデータ中断回復方法。
【請求項4】
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうち現在利用可能なネットワークチャネルが存在するか否かを判定する前記ステップは、
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうち中断状態としてマークされていないネットワークチャネルが存在するか否かを判定するステップと、
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうちパケット損失率が正常であるネットワークチャネルが存在するか否かを判定するステップと、
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうちサーバプローブが成功したネットワークチャネルが存在するか否かを判定するステップと、
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうちパケットインターネットグローパーが成功したネットワークチャネルが存在するか否かを判定するステップと、
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルのうちネットワーク品質測定結果が設定されたネットワーク品質条件を満たすネットワークチャネルが存在するか否かを判定するステップと、のうちの1つを含む、
請求項3に記載のデータ中断回復方法。
【請求項5】
前記PDUセッションに対応する複数のネットワークチャネルは、
少なくとも1つのセルラーネットワークチャネル、
少なくとも1つの非セルラーネットワークチャネルのうちの少なくとも1つを含む、
請求項4に記載のデータ中断回復方法。
【請求項6】
前記PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしていないと判定した場合、前記PDUセッションをデータ中断状態としてマークするステップと、
現在データ中断状態としてマークされているPDUセッションの数が、予め設定されたデータ回復閾値に達した場合、データ接続再開処理を行うステップと、をさらに含み、
または、
前記PDUセッションが現在セッション切り替え条件を満たしていないと判定した場合、計時を開始し、計時値が予め設定された時間閾値に達した場合、なお前記PDUセッションのデータ中断を監視していれば、データ接続再開処理を行うステップ、をさらに含む、
請求項に記載のデータ中断回復方法。
【請求項7】
データ接続再開処理を行う前記ステップは、
設定されたデータ回復規則に従って、
データ接続制御スイッチをオフにしてからオンにする動作、
ネットワーク加入手順を再実行する動作、
RFモジュールを再起動する動作、
モデムを再起動する動作のうちの少なくとも1つを実行するステップを含む、
請求項6に記載のデータ中断回復方法。
【請求項8】
前記データ回復規則は、段階的実行規則を含み、前記段階的実行規則は、現在のデータ回復動作が予め設定された順序で実行された後、第5予め設定された期間内にPDUセッションのデータ中断が存在するか否かを監視し、存在する場合、次のデータ回復動作を実行することを含む、
請求項7に記載のデータ中断回復方法。
【請求項9】
メモリと、プロセッサと、前記メモリと前記プロセッサとを接続する通信バスと、を含む端末であって、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されて、請求項1~8のいずれか1項に記載のデータ中断回復方法のステップを実現する1つまたは複数のコンピュータプログラムを記憶した、端末。
【請求項10】
1つまたは複数のプロセッサによって実行されて、請求項1~8のいずれか1項に記載のデータ中断回復方法のステップを実現するための1つまたは複数のコンピュータプログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【国際調査報告】