IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2024-519409腸内微生物叢、行動パターン、α-シヌクレインレベル、睡眠パターン、および/または血清メラトニンを改善するための組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-13
(54)【発明の名称】腸内微生物叢、行動パターン、α-シヌクレインレベル、睡眠パターン、および/または血清メラトニンを改善するための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/716 20060101AFI20240502BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240502BHJP
   A61K 36/06 20060101ALI20240502BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240502BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240502BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240502BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240502BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240502BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20240502BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20240502BHJP
【FI】
A61K31/716
A61P1/00
A61K36/06 A
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/08
A61P25/20
A23L33/125
C12N1/20 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561727
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 JP2022017237
(87)【国際公開番号】W WO2022215721
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2021065938
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021076579
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021174365
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】594063474
【氏名又は名称】株式会社ソフィ
(71)【出願人】
【識別番号】512083551
【氏名又は名称】有限会社ジーエヌコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾仲 隆
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム,サミュエル ジェイケー
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018MD33
4B018ME11
4B018ME14
4B065AA01X
4B065AC14
4B065CA22
4B065CA41
4B065CA44
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA20
4C086HA27
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA16
4C086ZA66
4C088AD20
4C088BA12
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA02
4C088ZA05
4C088ZA06
4C088ZA16
4C088ZA66
(57)【要約】
本発明は、腸内微生物叢を改善するための、特に、自閉症スペクトラム障害(ASD)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、および/またはてんかんの予防的、改善的および/または治癒的処置のための組成物に関する。本発明はまた、特に自閉症スペクトラム障害における、行動パターンおよびα-シヌクレインレベルを改善するための組成物に関する。本発明はさらに、特に自閉症スペクトラム障害を持つ小児における、睡眠パターンおよび血清メラトニンを改善するための組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オウレオバシディウム・プルランスAFO-202(FERM BP-19327)によって産生されるベータ-グルカンを含む、腸内微生物叢を改善するための組成物。
【請求項2】
腸内微生物叢の改善が、腸内のロゼブリアを包含する有益な細菌の増大とともにアッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)の減少を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が、自閉症スペクトラム障害(ASD)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、および/またはてんかんの予防的、改善的および/または治癒的処置のためのものである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
行動パターン、およびα-シヌクレインレベルを改善するための、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
組成物が、睡眠パターン、および血清メラトニンを改善するためのものである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
改善が、自閉症スペクトラム障害を持つ小児におけるものである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が、医薬組成物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が、食品組成物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年4月8日に出願された「A COMPOSITION FOR IMPROVING SLEEP PATTERN AND SERUM MELATONIN」と題する日本出願第2021-65938号、2021年4月28日に出願された「A COMPOSITION FOR IMPROVING BEHAVIOURAL PATTERN AND ALPHA-SYNUCLEIN LEVELS」と題する日本出願第2021-76579号、2021年10月26日に出願された「A COMPOSITION FOR IMPROVING GUT MICROBIOTA」と題する日本出願第2021-174365号の出願日の利益を主張するものであり、それぞれの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、腸内微生物叢を改善するための組成物に関する。本発明はまた、臨床パイロット研究において、自閉症スペクトラム障害を持つ小児におけるオウレオバシディウム・プルランス由来のβ-1,3-1,6グルカンを摂った後の、α-シヌクレインおよびCurliアミロイドを産生する腸内細菌の効果的な制御に関する。本発明はまた、自閉症、および神経変性疾患における可能性の臨床パイロット研究におけるβ-1,3-1,6グルカンによる、腸内微生物叢の有益な再構成、およびα-シヌクレインならびにCurliアミロイド産生腸内細菌の制御に関する。本発明はまた、自閉症におけるベータグルカンによる腸内微生物叢の再構成に関する。
【0003】
さらに、本発明は、特に自閉症スペクトラム障害における、行動パターンおよびα-シヌクレインレベルを改善するための組成物に関する。本発明はまた、無作為化、並行群間パイロット臨床研究において、ベータ-グルカン食品サプリメントを摂った後の自閉症スペクトラム障害における行動パターンおよびα-シヌクレインレベルの改善に関する。
【0004】
さらに、本発明は、特に自閉症スペクトラム障害を持つ小児における、睡眠パターンおよび血清メラトニンを改善するための組成物に関する。本発明はまた、パイロット臨床研究において、β-1,3-1,6グルカンを摂った後の自閉症スペクトラム障害を持つ小児における睡眠パターンおよび血清メラトニンの改善に関する。
【背景技術】
【0005】
(腸内微生物叢)
腸内毒素症は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ小児における主要な病態のひとつである。本無作為化パイロット臨床研究における対象の腸内微生物叢の評価が実施され、機構的知見を得ることを目的として比較された。
【0006】
(行動パターンおよびα-シヌクレインレベル)
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、社会的、感情的、および伝達の技術において著しい欠陥をもたらし得る発達障害の一群である(cdc.gov)。ASDの病因としては、遺伝的、環境的、免疫的な失調症、神経炎症、および酸化ストレスを包含する、いくつかの原因および根本的なメカニズムが想定されている。神経細胞シナプスの不均衡、ならびにシナプスタンパク質および受容体の突然変異もまたASDと関連していることが報告されている(Al-Mazeedi et al., 2020)。シヌクレインはシナプス前末端に存在する小さな可溶性タンパク質であり、シナプスの可塑性および神経伝達物質の放出を制御している。シヌクレインは脳および神経細胞において重要である(Al-Mazeedi et al., 2020; Vargas et al., 2017)。
【0007】
α-シヌクレインは、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)、および多系統萎縮症などのシヌクレイン症と総称されるいくつかの神経変性障害と関連していることがすでに報告されている(Al-Mazeedi et al., 2020)。最近、いくつかの研究で、低レベルのα-シヌクレインとASDとの間に強い関連性があることが報告されている。現在のところ、ASDに対する決定的な治療法は存在しない(Al-Mazeedi et al., 2020; Kadak et al., 2015; Sriwimol et al., 2018)。介入には、症状を改善するための言語治療および行動治療が関与する。本学術調査によれば、腸関連疾患、および、AD、多発性硬化症、PD、およびASDなどの特に神経系の他の全身性障害において、腸内毒素症が観察されていることから、微生物叢-腸-脳軸が重要である(Srikantha et al., 2019)。そのため、栄養サプリメントは、ASDにおける胃腸症状および行動症状を緩和することにおいて潜在的な介入と考えられる(Karhu et al., 2020)。
【0008】
ベータ-グルカン、特に酵母由来のものは、腸内微生物叢を調節することにおいて、食品サプリメントとして、かなりの肯定的な結果を示している(Karhu et al., 2020; Xu et al., 2020)。ニチグルカンは、黒酵母由来のAFO-202(FO-68[(受託番号)FERM BP-19327]とも呼ばれる)ベータ-グルカンであり、過去20年間消費されており(Ikewaki et al., 2007)、グルコース、脂質、および免疫調節物質の代謝レベルのバランスをとる栄養サプリメントとしての可能性を有することが示されている(Dedeepiya et al., 2012; Ganesh et al., 2014; Ikewaki et al., 2021)。本研究は、ASDを持つ小児における食品サプリメントとしてのニチグルカンの効果、特に小児自閉症評価尺度(CARS)スコア、およびα-シヌクレインレベルとの関連について調べるために実施された。
【0009】
(睡眠およびメラトニン)
良質の睡眠がとれないことは、自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ人々が直面する主要な問題のひとつである。これは低いメラトニンレベルに起因しており、そのために、メラトニンの補充が選択される処置のひとつであるが、結果はさまざまであると報告されている。ベータグルカンはメラトニンレベルを改善すると動物実験において先に報告されているが、本明細書において、黒酵母オウレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)由来のβ-1,3-1,6グルカン食品サプリメントを、ASDを持つ小児に投与した我々のパイロット臨床研究の結果を報告する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Shi H, Yu Y, Lin D, et al. β-glucan attenuates cognitive impairment via the gut-brain axis in diet-induced obese mice. Microbiome. 2020;8:143
【非特許文献2】Sriwimol W, Limprasert P. Significant changes in plasma alpha-synuclein and beta-synuclein levels in male children with autism spectrum disorder. Biomed Res Int 2018;2018:1-7.doi:10.1155/2018/4503871
【非特許文献3】Dutta SD, Patel DK, Ganguly K, Lim KT. Effects of GABA/β-glucan supplements on melatonin and serotonin content extracted from natural resources. PLoS One. 2021 Mar 5;16(3):e0247890. doi: 10.1371/journal.pone.0247890. PMID: 33667254; PMCID: PMC7935273
【非特許文献4】Miller AL, Bessho S, Grando K, Tukel C. Microbiome or Infections: Amyloid-Containing Biofilms as a Trigger for Complex Human Diseases. Front Immunol. 2021 Feb 26;12:638867
【非特許文献5】Grimaldi R, Gibson GR, Vulevic J, Giallourou N, Castro-Mejia JL, Hansen LH, Leigh Gibson E, Nielsen DS, Costabile A. A prebiotic intervention study in children with autism spectrum disorders (ASDs). Microbiome. 2018 Aug 2;6(1):133
【発明の概要】
【0011】
本発明は、以下に関する:
1.オウレオバシディウム・プルランスAFO-202(FERM BP-19327)によって産生されるベータ-グルカンを含む、腸内微生物叢を改善するための組成物。
2.腸内微生物叢の改善が、腸内のロゼブリアを包含する有益な細菌の増大とともにアッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)の減少を含む、1に記載の組成物。
3.組成物が、自閉症スペクトラム障害(ASD)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、および/またはてんかんの予防的、改善的、および/または治癒的処置のためのものである、1または2に記載の組成物。
4.行動パターン、およびα-シヌクレインレベルを改善するための、1または2に記載の組成物。
5.組成物が、睡眠パターン、および血清メラトニンを改善するためのものである、1または2に記載の組成物。
6.改善が、自閉症スペクトラム障害を持つ小児におけるものである、5に記載の組成物。
7.組成物が、医薬組成物である、1~6のいずれか一項に記載の組成物。
8.組成物が、食品組成物である、1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【0012】
本発明はまた、以下に関する:
[1A]オウレオバシディウム・プルランスAFO-202(FERM BP-19327)によって産生されるベータ-グルカンを含む、腸内微生物叢を改善するための組成物。
[2A]組成物が、医薬組成物である、[1A]に記載の組成物。
[3A]組成物が、食品組成物である、[1A]に記載の組成物。
[4A]組成物が、自閉症スペクトラム障害(ASD)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病(AD)、および/またはパーキンソン病(PD)の予防的、改善的および/または治癒的処置のためのものである、[1A]~[3A]のいずれか一項に記載の組成物。
【0013】
[1B]オウレオバシディウム・プルランスAFO-202(FERM BP-19327)によって産生されるベータ-グルカンを含む、行動パターンおよびα-シヌクレインレベルを改善するための組成物。
[2B]組成物が、医薬組成物である、[1B]に記載の組成物。
[3B]組成物が、食品組成物である、[1B]に記載の組成物。
【0014】
[1C]オウレオバシディウム・プルランスAFO-202(FERM BP-19327)によって産生されるベータ-グルカンを含む、睡眠パターンおよび血清メラトニンを改善するための組成物。
[2C]組成物が、医薬組成物である、[1C]に記載の組成物。
[3C]組成物が、食品組成物である、[1C]に記載の組成物。
【発明の効果】
【0015】
腸内微生物叢は、本発明によって改善され、および/または良好なバランスとなる。かかる腸内微生物叢における制御は、行動パターン、α-シヌクレインレベル、睡眠パターン、および/または血清メラトニンレベルの改善につながる。
【0016】
本発明は、特に、ロゼブリア、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Faecalibacterium prausnitzii)、およびプレボテラ・コプリ(Prevotella copri)の増大とともに、バクテロイデス、Curli産生腸内細菌大腸菌、アッカーマンシア・ムシニフィラCAG:154、ブラウチア属(Blautia spp.)、コプロバチルス属(Coprobacillus sp.)、およびクロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)の減少によって、腸内微生物叢のバランスをとるのに効果的である。他のベータグルカンは、多様な種に対する効果をともなう、かかる効果的かつバランスのとれた腸内細菌の調節を生じない(Shen RL, et al. 2012, Turunen K, et al. 2011, Zhen W, et al. 2021)。腸内細菌は減少することもあるが、アッカーマンシア・ムシニフィラの減少は同時に報告されていない。さらに、ロゼブリア、フィーカリバクテイリウム・プラウスニッツィ、およびプレボテラ・コプリなどの有益な細菌が同時に増えることもさらなる利点である。
【0017】
本発明は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、および/またはてんかんなどの神経障害の予防的、改善的、および/または治癒的処置に効果的である。本発明は、特に自閉症スペクトラム障害を持つ小児における、睡眠パターンおよび血清メラトニンを改善することに効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1:種のレベルにわたり最多数分類群のインデックス
図2A図2:A.腸内細菌;B.ファーミキューテス間における、選択された細菌におけるリードカウントの介入前後の差異。
図2B図2:A.腸内細菌;B.ファーミキューテス間における、選択された細菌におけるリードカウントの介入前後の差異。
【0019】
図3A図3:研究の異なるグループにおける、門(A)、属(B)、および種(C)レベルの最多数分類群。
図3B図3:研究の異なるグループにおける、門(A)、属(B)、および種(C)レベルの最多数分類群。
図3C図3:研究の異なるグループにおける、門(A)、属(B)、および種(C)レベルの最多数分類群。
【0020】
図4A図4:以下の主成分分析(PCA):A、B:全10サンプル(介入前5グループおよび介入後5グループ)、A、B:スコアプロット;C、D:ローディングプロット;研究グループ:対照/ビヒクル:2-ベースライン、12-介入後、AFO-202:4-ベースライン、14-介入後、テルミサルタン:10-ベースライン、20-介入後
図4B図4:以下の主成分分析(PCA):A、B:全10サンプル(介入前5グループおよび介入後5グループ)、A、B:スコアプロット;C、D:ローディングプロット;研究グループ:対照/ビヒクル:2-ベースライン、12-介入後、AFO-202:4-ベースライン、14-介入後、テルミサルタン:10-ベースライン、20-介入後
図4C図4:以下の主成分分析(PCA):A、B:全10サンプル(介入前5グループおよび介入後5グループ)、A、B:スコアプロット;C、D:ローディングプロット;研究グループ:対照/ビヒクル:2-ベースライン、12-介入後、AFO-202:4-ベースライン、14-介入後、テルミサルタン:10-ベースライン、20-介入後
図4D図4:以下の主成分分析(PCA):A、B:全10サンプル(介入前5グループおよび介入後5グループ)、A、B:スコアプロット;C、D:ローディングプロット;研究グループ:対照/ビヒクル:2-ベースライン、12-介入後、AFO-202:4-ベースライン、14-介入後、テルミサルタン:10-ベースライン、20-介入後
【0021】
図5A図5:存在量変動解析(Differential abundance analysis)、介入前後の各グループのlog2倍率変化の結果、A.対照;B.AFO-202;C.テルミサルタン
図5B図5:存在量変動解析、介入前後の各グループのlog2倍率変化の結果、A.対照;B.AFO-202;C.テルミサルタン
図5C図5:存在量変動解析、介入前後の各グループのlog2倍率変化の結果、A.対照;B.AFO-202;C.テルミサルタン
図6A図6:主成分分析(PCA)のスコアプロット、および異なるグループのOPLS-DAにおいてVIP値が1以上の化合物、A.対照;B.AFO-202;C.テルミサルタン
図6B図6:主成分分析(PCA)のスコアプロット、および異なるグループのOPLS-DAにおいてVIP値が1以上の化合物、A.対照;B.AFO-202;C.テルミサルタン
図6C図6:主成分分析(PCA)のスコアプロット、および異なるグループのOPLS-DAにおいてVIP値が1以上の化合物、A.対照;B.AFO-202;C.テルミサルタン
【0022】
図7A図7:コハク酸の投影における変数重要度(VIP)スコアプロット
図7B図7:リン酸の投影における変数重要度(VIP)スコアプロット
図7C図7:グルコースの投影における変数重要度(VIP)スコアプロット
図7D図7:投影における変数重要度(VIP)、イソロイシンのlog2スコアプロット
図7E図7:投影における変数重要度(VIP)、ロイシンのlog2スコアプロット
【0023】
図8図8:AFO-202における特徴的代謝物の異なる強度レベルを明示する、ユークリッド距離階層的クラスタリング分析;
図9A図9:A.対象;B.テルミサルタンにおける特徴的代謝物の異なる強度レベルを明示する、ユークリッド距離階層的クラスタリング分析
図9B図9:A.対象;B.テルミサルタンにおける特徴的代謝物の異なる強度レベルを明示する、ユークリッド距離階層的クラスタリング分析
図10図10は、介入後の、対照と比較したAFO-202における腸内細菌の存在量の減少を示す。
図11図11は、介入後の、対照と比較したAFO-202におけるバクテロイデスの存在量の減少を示す。
【0024】
図12図12は、介入後の、対照と比較したAFO-202におけるプレボテラの存在量の減少を示す。
図13図13は、AFO-202および対象におけるラクトバチルスの減少を示す。
図14図14は、試験のCONSORTフローダイアグラムを示す。
図15図15:アダプタトリミング前後のデータ
図16図16:アダプタトリミング前後の平均リードクオリティ
図17図17:アダプタトリミング前後の平均GC%
図18図18:細菌、真菌、ウイルス、古細菌、およびヒトゲノムとのアライメント率
【0025】
図19図19:介入後の対照と介入後の処置のシード平均値
図20図20:門の分布:プロテオバクテリア門が最多数で、次いでファーミキューテス門であった。
図21A図21:同定された主要な属の属の存在量;A.グループ(Gr.)1のベースライン時対介入後、およびB.グループ(Gr.)2のベースライン時対介入後。
図21B図21:同定された主要な属の属の存在量;A.グループ(Gr.)1のベースライン時対介入後、およびB.グループ(Gr.)2のベースライン時対介入後。
【0026】
図22A図22Aは、介入後の、グループ(Gr.)1と比較したグループ2における腸内細菌の存在量の減少を示す。
図22B図22Bは、介入後に、グループ(Gr.)2におけるバクテロイデスの存在量が減少しているが、それがグループ1においては増大していることを示す。
図22C図22Cは、介入後の、グループ1およびグループ2におけるプレボテラの増加を示す。
図22D図22Dは、介入後の、グループ1およびグループ2におけるラクトバチルスの減少を示す。
【0027】
図23A図23A:同定された主要な種の種の存在量;A.グループ(Gr.)1のベースライン時対介入後、およびB.グループ(Gr.)2のベースライン時対介入後。
図23B図23B:同定された主要な種の種の存在量;A.グループ(Gr.)1のベースライン時対介入後、およびB.グループ(Gr.)2のベースライン時対介入後。
図24A図24A:属の分布
図24B図24B:種の分布
【0028】
図25A図25:(A)介入後に、グループ(Gr.)1と比較してグループ(Gr.)2において、大腸菌の存在量の減少が有意であった。(B)介入後に、グループ1と比較してグループ2において、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィの存在量が有意に増加した。(C)介入後に、グループ1におけるアッカーマンシア・ムシニフィラが増大したが、グループ2においては減少した。(D)介入後に、グループ1におけるクロストリジウム・ボルテアエCAG:59が増大したが、グループ2においては減少した。
図25B図25:(A)介入後に、グループ(Gr.)1と比較してグループ(Gr.)2において、大腸菌の存在量の減少が有意であった。(B)介入後に、グループ1と比較してグループ2において、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィの存在量が有意に増加した。(C)介入後に、グループ1におけるアッカーマンシア・ムシニフィラが増大したが、グループ2においては減少した。(D)介入後に、グループ1におけるクロストリジウム・ボルテアエCAG:59が増大したが、グループ2においては減少した。
図25C図25:(A)介入後に、グループ(Gr.)1と比較してグループ(Gr.)2において、大腸菌の存在量の減少が有意であった。(B)介入後に、グループ1と比較してグループ2において、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィの存在量が有意に増加した。(C)介入後に、グループ1におけるアッカーマンシア・ムシニフィラが増大したが、グループ2においては減少した。(D)介入後に、グループ1におけるクロストリジウム・ボルテアエCAG:59が増大したが、グループ2においては減少した。
図25D図25:(A)介入後に、グループ(Gr.)1と比較してグループ(Gr.)2において、大腸菌の存在量の減少が有意であった。(B)介入後に、グループ1と比較してグループ2において、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィの存在量が有意に増加した。(C)介入後に、グループ1におけるアッカーマンシア・ムシニフィラが増大したが、グループ2においては減少した。(D)介入後に、グループ1におけるクロストリジウム・ボルテアエCAG:59が増大したが、グループ2においては減少した。
【0029】
図26A図26:A.Gr.1(対照)における小児自閉症評価尺度(CARS)のスコアで、これは非常に軽度であり、研究後も改善を示さなかったが、B.のGr.2(ニチグルカン)に対しては、全小児においてスコアが平均3ポイント減少した。
図26B図26:A.Gr.1(対照)における小児自閉症評価尺度(CARS)のスコアで、これは非常に軽度であり、研究後も改善を示さなかったが、B.のGr.2(ニチグルカン)に対しては、全小児においてスコアが平均3ポイント減少した。
図26C】C.Gr.1とGr.2との間の比較がCARSスコアにおける有意な減少を示し、介入後に、Gr.1(対照)と比較して、Gr.2(ニチグルカン)において、自閉症の徴候および症状における改善を表した(p値=0.034517)。
【0030】
図27A図27:A.介入前後のGr.1(対照)における血漿α-シヌクレインレベル。
図27B】B.介入前後のGr.2(ニチグルカン)における血漿α-シヌクレイン。
図27C】C.ニチグルカングループGr.2における血漿α-シヌクレインレベルは、Gr.1と比較して有意な増大を示した(p値=0.091701)。
図28図28:子供の睡眠習慣質問票簡略版(Children's Sleep Habits Questionnaire-Abbreviated:CSHQ-A)の総睡眠パターンスコアは、介入後、Gr.1(対照)と比較してニチグルカン(Gr.2)におけるスコアの減少によって、有意な改善を示している。
【0031】
図29A図29A:Gr.1(対照グループ)における介入前後の血清メラトニンレベル
図29B図29B:Gr.2(ニチグルカングループ)における介入前後の血清メラトニンレベル
図29C図29C:ニチグルカングループGr.2においては、Gr.1においてより大きく、倍増している。
【0032】
図30図30は、病因、並びにベータグルカンが疾患プロセスの各段階へ対処するやり方を、段階的に説明する:(A)および(B)α-シヌクレイン(αSyn)のミスフォールディングをもたらすCurliを腸内細菌が分泌;それが腸の神経細胞において凝集することは、(1)腸内細菌の制御、(2)活性化されたナチュラルキラー細胞による蓄積アミロイドの除去、および(3)有益なマイクロバイオームの再構成によって対処される。(C)Curliタンパク質およびアミロイドの蓄積が、すでに蓄積した堆積物を取り除くこと(3)のみならず、産生と凝集のレベルにて制御されている(1)ので、プリオンのような増殖が起こらないこともある。(D)レビー小体、アミロイド線維、およびミスフォールドされたαSynの沈着は、(4)ミクログリアベースの除去によって対処される。
図31】AFO-202後のロゼブリア・ホムニス(Roseburia hominis)の存在量の増大を示し、その増大はメラトニンの増大に起因している可能性がある。
図32】AFO-202後のロゼブリア・イヌリニボランス(Roseburia inulinivorans)の存在量の増大を示し、その増大はメラトニンの増大に起因している可能性がある。
図33】AFO-202後のロゼブリア・インテスティナーリス(Roseburia intestinalis)の存在量の増大を示し、その増大はメラトニンの増大に起因している可能性がある。
【0033】
図34】AFO-202後のロゼブリア・フェーシス(Roseburia faecis)の存在量の増大を示し、その増大はメラトニンの増大に起因している可能性がある。
図35】AFO-202において有益に調節された(処置グループ)、異なる機能特性および代謝経路の、介入後の対照対介入後の処置のシード平均値。
図36A】神経芽腫細胞株(SHSY-5Y Tet-On: SCC291)におけるα-シヌクレインの発現α-シヌクレインポリクローナル抗体(Proteintech Co.10842-1-AP)
図36B】より広視野における神経芽腫細胞株(SHSY-5Y Tet-On: SCC291)におけるα-シヌクレインの発現、α-シヌクレインポリクローナル抗体(Proteintech Co.10842-1-AP)
【0034】
図37】AFO-202が、異常α-シヌクレインの産生および増殖を制御することによって、神経疾患を予防および処置する仕方を表す図解
図38】AFO-202が、異常α-シヌクレインの産生および増殖を制御することによって、神経疾患を予防および処置する仕方を表す図解;腸レベルにては、ナチュラルキラー(NK)細胞によって、α-シヌクレインの産生を制御し、凝集物を除去することによって、ならびに脳においてはミクログリアによって。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[発明の詳細な説明]
本発明の組成物内に含有されるグルカンは、オウレオバシディウム・プルランスFO-68株(本明細書中では「AFO202株」とも呼ばれる)由来のグルカンであり得て、好ましくはFO-68由来のβ-1,3-1,6グルカン(本明細書中では単に「グルカン」、「AFO202グルカン」または「AFO202ベータグルカン」とも呼ばれる)である。「オウレオバシディウム・プルランスFO-68株」は、国立研究開発法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにて寄託番号FERMP-19327で寄託されている。
【0036】
2003年4月23日に国内寄託が行われたが、オウレオバシディウム・プルランスFO-68株は、2021年4月21日に独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8、120号室)に、受託番号 FERM BP-19327で国際寄託に移管された。
【0037】
オウレオバシディウム・プルランスFO-68株は、オウレオバシディウムFERM P-18099株とも呼ばれる。
【0038】
FO-68の科学的特性
この真菌は、高粘度の高分子多糖類を産生する。この物質はエタノールで容易に膠着し、簡単に採取することが可能になる。この多糖類は[ベータ]型であり、1,3結合の主鎖、ならびに3位および6位からの分岐を有する酸性多糖類である。有機酸としてリンゴ酸などのカルボン酸、およびリン酸を含有する。さらには、アルミニウムイオン等と容易に膠着する。この物質はまた、飼料として成長促進に、および汚水処理にも効果的である。それは、食品添加物、および機能性食品として効果的である。
【0039】
FO-68は、25℃にて7日間傾斜培養して、ポテトデキストロース寒天上に黒褐色のコロニーを形成する。コロニーの縁は糸状の増殖を示し、徐々に明るい黒褐色になる。細胞は糸状で、時には分節胞子、酵母様の出芽性分生胞子、楕円形の酵母様単細胞、そしてある時には、厚肉の胞子細胞が形成される。増殖温度は25℃で、グルコース、フルクトース、およびガラクトースなどのヘキソース、スクロース、およびデンプンを分解する。培地は顕著に粘性になる。FO-68は、その菌類学的特性に基づいて、不完全真菌類の黒色真菌科に属するオウレオバシディウム・プルランスの一種である。
【0040】
単離された真菌の菌類学的特色
FO-68のコロニーは、最初は滑らかな表面を有し、灰白色、粘液性かつ光沢のある油滴様(脂肪様)、酵母様の材料に成長する。糸状菌体はその縁から放射状に増殖し、シワ状、糸状、ならびに単なる樹枝状の成長へつながる。この糸状菌体は、培地の表面上だけでなく、培地の中でもよく成長する。短時間で、コロニー表面の随所に薄い黒褐色の斑点が現れ、それが徐々に黒い斑点となり、最終的には表面全体が暗黒色になる。この糸状菌体上には、多くの淡褐色の長円形または楕円形の分生胞子が横方向に産生される。この分生胞子は容易にばらばらになる。一方、油滴様コロニーの表面には、随所に分生胞子が付着する。
【0041】
FO-68の培養方法およびFO-68を使用したβ-1,3-1,6グルカンの製造方法としては、既知の方法を使用し得て、例えば、特開2004-329077A号を見よ。
【0042】
いくつかの態様において、本発明は、腸内微生物叢、行動パターン、α-シヌクレインレベル、睡眠パターン、および/または血清メラトニンを改善するための、オウレオバシディウム・プルランスAFO-202(FERM BP-19327)によって産生されるベータ-グルカンを含む組成物に関する。別の側面において、本発明はまた、腸内微生物叢、行動パターン、α-シヌクレインレベル、睡眠パターン、および/または血清メラトニンを改善するためのオウレオバシディウム・プルランスAFO-202(FERM BP-19327)の使用に関し、特に、オウレオバシディウム・プルランスAFO-202(FERM BP-19327)を対象へ投与することによって、腸内微生物叢、行動パターン、α-シヌクレインレベル、睡眠パターン、および/または血清メラトニンを改善する方法に関する。
【0043】
本発明において使用される組成物については、FO-68の培養物が精製されることなくそのまま使用されてもよいし、あるいは培養物から単離されたグルカン、または必要に応じてさらに精製されたグルカンが使用されてもよい。さらに、例えば、本発明の培養産生品を粉砕して、濃縮物、ペースト、噴霧乾燥産生品、凍結乾燥産生品、真空乾燥産生品、ドラム乾燥産生品、媒体中に分散させた液状産生品、希釈産生品、および乾燥産生品とした。
【0044】
本発明の組成物は、ヒトを包含する哺乳動物によって摂取される場合に、その機能を発揮する。本明細書に使用されるとき、用語「摂取」は、ヒトの体に入り得る限り、いずれの投与経路も限定されず、経口投与、経管投与、および経腸投与などの、すべての既知の投与方法によって実現される。一般的には、経口摂取、および消化管を介した経管摂取が望ましい。
【0045】
本発明の投与量は、投与経路、年齢、体重、および症状などのさまざまな要素を考慮して適宜設定され得る。本発明の組成物の投与量は特に限定されないが、グルカンの量は好ましくは0.05mg/kg/日以上、より好ましくは0.5mg/kg/日以上、特に好ましくは1.0mg/kg/日である。しかしながら、長期間にわたって摂取する場合は、その量は上述の好ましい量よりも少量でよい。さらに、本発明において使用されるグルカンは、十分な食経験を有し、安全性の点から問題ない。したがって、上述の量をはるかに超える量(例えば、10mg/kg/日以上)も可能である。
【0046】
本発明の組成物は、食品または飲料として使用され得る。本発明の組成物は、特定保健用食品や栄養機能食品などの特別用途食品として、ヒトなどの動物に投与することによって、腸内微生物叢、行動パターン、α-シヌクレインレベル、睡眠パターン、および/または血清メラトニンを改善し得る。
【0047】
本発明の組成物が食品または飲料として使用される場合、食品または飲料の種類は特に限定されない。さらに、食品または飲料の形状は特に限定されず、通常使用される食品または飲料のいずれの形状であってよい。例えば、それは、固体形状(粉末および顆粒形状を包含する)、ペースト形状、液体形状、および懸濁液形状などの、いずれの形状であってもよく、ならびにこれらの形状に限定されるものではない。
【0048】
医薬として使用される場合、本発明の組成物が腸に届くので、経口投与され得る剤形が好ましい。本発明による薬剤の好ましい剤形の例は、錠剤、コーティング錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤、溶液剤、シロップ剤、トローチ剤等を包含する。これらのさまざまな製剤は、活性成分であるグルカン、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、着色剤、香味剤、可溶化剤、懸濁化剤、コーティング剤等を使用することによって常法に従って製剤化される。医薬製剤の技術分野において通常使用される補助剤を混合することによって製剤化され得る。
【0049】
いくつかの態様において、本発明は、本発明の効能を高めるために、他の食品、飲料、薬剤、およびいずれの他の物質と組み合わせても使用され得る。
【0050】
(非アルコール性脂肪肝炎のSTAM動物モデルにおけるAFO-202生物応答修飾グルカンの投与によって、有利な糞便メタボロームプロファイルを引き起こす腸内微生物叢の有益な調整が、ヒトの健康および疾患における効果的利用の道を開く)
はじめに:
ヒトの胃腸管内には、約100兆個の微生物が存在し、現在ではマイクロバイオームは、身体の仮想臓器と考えられている。マイクロバイオームは、ヒトゲノムの23,000の遺伝子と比較して、数千の代謝物を産生する300万を超える遺伝子をコードしており、それゆえに、ホストの適応度、表現型、および健康に影響を与えるホストの機能の多くを代替している。腸内微生物叢は、免疫、代謝、および神経行動の特質を包含するヒトの健康のいくつかの側面に影響を与えている[D1]。機能に関しては、腸内微生物叢は食物繊維および内在性腸粘液のような非消化性物質を発酵させる。発酵は、短鎖脂肪酸(SCFA)およびガスを産生する専門微生物の増殖をサポートする。産生される主要なSCFAは酢酸、プロピオン酸、および酪酸である。
【0051】
酪酸は大腸細胞を維持するために必要とされ、グルコースとエネルギーの恒常性、および腸内の酸素バランスの維持に有益な効果を有し、腸内微生物叢毒素症を防ぎつつ、大腸がん細胞のアポトーシス、腸の糖新生の活性化に役立つ。プロピオン酸は肝臓に運ばれ、そこで糖新生を調整し、酢酸は他の細菌の増殖のための必須代謝物であるとともに、中枢性の食欲調整の役割を果たしている[D1]。
【0052】
腸内毒素症、または微生物叢コミュニティの状態変化は、糖尿病、代謝異常、肥満、がん、関節リウマチ、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、自閉症スペクトラム障害(ASD)などの神経障害を包含するが、これらに限定されないいくつかの疾患と関連している[D2、3]。糞便メタボロームは、腸内微生物の活動を機能的に読み取ったものを表し、ホストとマイクロバイオームの相互作用を媒介する中間的な表現型であると考えられ得る。糞便メタボロームの分散の平均67.7%(±18.8%)は、腸内微生物の組成物を表す。
【0053】
したがって、糞便代謝プロファイリングは、マイクロバイオーム組成、ホストの表現型、および疾患状態の間の関連を探るための新規なツールである[D4]。プロバイオティクス(probiotics)およびプレバイオティック(pre-biotic)な栄養サプリメントは、腸内菌共生バランス失調の腸を健康な状態に回復させるための糞便微生物叢移植以外の主要な戦略である。ベータグルカンは、代謝性疾患、糖尿病、がん、心血管疾患、および神経疾患における確立された効能を持つ、最も有望な栄養サプリメントの1つである。黒酵母オウレオバシディウム・プルランス由来ベータグルカンの、AFO-202およびN-163の2つの株から産生されるベータグルカンは、糖尿病[D5]、脂質異常症[D6]、ASD[D7、8]、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)[D9]、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)[D10]、およびCOVID-19を包含する感染症[D11、12]において有益な効果が報告されている。
【0054】
以前の研究において、AFO-202β-1,3-1,6グルカンは、ASDを持つ小児において腸内マイクロバイオームのバランスをとることができた[D13]。NASHのSTAM(商標)マウスモデルの研究において、AFO-202ベータグルカンは、炎症に関連した肝細胞のバルーニングおよび脂肪症を有意に減少させた[D10]。本研究は、このNASH研究の延長として、AFO-202β1,3グルカン投与前後の糞便マイクロバイオームおよびメタボロームのプロファイルを研究するために実施された。
【0055】
方法:
マウス
本研究は、Animal Research: Reporting of In Vivo Experiments (ARRIVE)ガイドラインに従って報告する。C57BL/6Jマウスを、日本エスエルシー株式会社(日本)から得た。この研究において使用したすべての動物は、以下のガイドラインのもとで飼育した:動物の愛護及び管理に関する法律(日本環境省、1973年10月1日、法律105号)、実験動物の飼養及び管理並びに苦痛の軽減に関する基準(日本環境省告示第88号、2006年4月28日)、および動物実験の適正な実施に向けたガイドライン(日本学術会議、2006年6月1日)。プロトコールの承認は、SMC Laboratories, JapanのIACUCから得た(研究参照番号:SP_SLMN128-2107-6_1)。マウスは特定病原体除去(SPF)施設内で、温度(23±3℃)、湿度(50±20%)、照明(12時間の人工明暗サイクル、8:00から20:00まで点灯)、および空気交換の制御された条件のもとで維持した。
【0056】
NASHのSTAMモデルは、前述の[D10]のように人工出産させた。マウスには、生後2日目に200μgのストレプトゾトシン(STZ、Sigma-Aldrich、USA)溶液を単回皮下注射し、4~9週齢に高脂肪食(HFD、脂肪57kcal%、Cat# HFD32、日本クレア株式会社(日本))を与えた。すべてのマウスは、肝脂肪症および糖尿病になり、3週目にてマウスは、組織学的に脂肪肝炎を形成した。
【0057】
研究グループ:5つの研究グループがあり、以下に記載する。各研究グループは、8匹のマウスを包含した。
グループ1:ビヒクル
8匹のNASHマウスに、6週齢から9週齢まで、毎日1回5mL/kgの量のビヒクル[RO水]を経口投与した。
【0058】
グループ2:AFO-202ベータグルカン
8匹のNASHマウスに、6週齢から9週齢まで、1mg/kgの投与量でAFO-202ベータグルカンを補充したビヒクルを5mL/kgの量で毎日1回、経口投与した。
【0059】
グループ3:テルミサルタン
8匹のNASHマウスに、6週齢から9週齢まで、10mg/kgの投与量でテルミサルタンを補充したビヒクルを毎日1回、経口投与した。
【0060】
【表1】
【0061】
テスト物質
AFO-202ベータグルカンは、有限会社ジーエヌコーポレーション(日本)によって提供された。テルミサルタン(Micardis(登録商標))は、Boehringer Ingelheim GmbH (Germany)から購入した。
【0062】
無作為化
NASHモデルマウスを、処置開始前日の体重に基づいて、6週齢にて8匹のマウス3グループに無作為化した。無作為化は、エクセルソフトウェアを使用して、体重層別化無作為サンプリングによって行った。NASHモデルマウスは、グループの間でSDと平均体重における差ができるだけ小さくなるように、その体重によって層別化した。
【0063】
動物の監視と屠殺
生育力、臨床徴候(無気力、単収縮、呼吸困難)、および行動を毎日監視した。体重を処置前に毎日記録した。投与前および投与後に、有意な毒性の臨床徴候、瀕死、および死亡率についてマウスを観察した。動物は9週齢で、イソフルラン麻酔(Pfizer Inc.)下で直接心臓穿刺を通して失血によって屠殺した。
【0064】
糞便ペレットサンプルの採取:
頻度:糞便サンプルは6週齢(投与前)、および9週齢(屠殺前)にて採取した。
手順:6週齢にて、クリーンキャッチ法によって各マウスから糞便サンプルを採取した。70%エタノールで滅菌した清潔な手袋で動物を取り扱う。作業台に滅菌シャーレを置く。腹部をやさしくマッサージし、マウスの臀部を未使用のシャーレ上に位置し、糞便ペレットを1~2個採取する。屠殺時に、盲腸から糞便サンプルを無菌で採取した。糞便の入ったチューブを、直ちに氷上に置いた。これらのチューブは液体窒素でスナップ凍結し、輸送用に-80℃にて保存した。
【0065】
マイクロバイオーム分析:
この分析において、次世代シーケンサーによって糞便RNAから取得した16S rRNA配列データを使用して、微生物群分析用プログラムQIIME2を使用して群集分析を行った。次世代シーケンサーから出力されたFASTQ形式の生のリードデータは、データに包含されることもあるアダプター配列、および低QV領域を削除するためにトリミングした。DNA配列のリードからアダプター配列を削除するために、Cutadaptを使用した。イルミナNGSデータのリードトリミングツールとしてTrimmomaticを使用した。リード配列の末端での領域のトリミングが対応する配列と少なくとも1塩基オーバーラップしている場合に、アダプタートリミングプログラム「cutadapt」を使用して、アダプター配列をトリミングした(ミスマッチ許容度:20%)。Nを含有するリードが、リード1とリード2の少なくとも一方に存在した場合、リード1とリード2の両方を削除した。
【0066】
イルミナアダプター配列情報
リード1 3’末端側
CTGTCTTCTATACATCTCCCGCCCACGAGAC
リード2 3’末端側
CTGTCTTCTATACATCTGACGCTGCCGACGA
【0067】
低QV領域のトリミングは、処理後のリードデータに対し、QVトリミングプログラム「Trimomatic」を使用して以下の条件のもとで行った。
<QVトリミング条件>
20塩基のウィンドウを5’側からスライドさせ、平均QVが20未満のエリアをトリミングする。
トリミング後、リード1とリード2の両方において50塩基以上を持つリードのみを出力として利用した。
【0068】
集団分析
先のセクションにおいてトリミングした配列データに対し、微生物群分析用プログラム「QIIME2」を使用して16S rRNA配列に基づく微生物群分析を行った。ASV(OTU)配列のアノテーションには、QIIME2に包含されるアノテーションプログラム「sklearn」を使用する。
QIIME2に包含されるアノテーションプログラム「sklearn」を使用して、得られたASV(OTU)配列に16S rDNAデータベースに基づいて、分類学情報[界(kingdom)/門(phylum)/綱(class)/目(order)/科(family)/属/種]をアノテーションした。
【0069】
QIIME2 Resourcesサイト上で提供されている16S rDNAデータベース「greengenes」のデータセットを解析用に使用した。上で得られたASV(OTU)は、各検体の分類学情報およびリードカウントに基づいて集計し、グラフ化した。上記にまとめた各検体の細菌叢の組成に基づいて、α多様性のさまざまな指標値を算出した。
【0070】
メタボローム分析:
糞便サンプルを凍結乾燥した後、約10mgのサンプルを分離し、Bligh-Dyer法によって抽出し、得られた水性層1を採取し凍結乾燥した。残渣を2-メトキシアミン塩酸塩とMSTFAとを使用して誘導体化し、分析試料としてガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)に供した。2-イソプロピルマレイン酸を内部標準物質として使用した。さらに、運用ブランクテストもまた実施した。
【0071】
使用した分析装置は、GCMS-TQ8030(島津製作所);カラムBPX-5(膜厚0.25μm、長さ30m、内径0.25mm、島津ジーエルシー)。
【0072】
ピーク検出および分析:
MS-DIAL ver.4.7(http://prime.psc.riken.jp/compms/index.html)を使用して、表2に挙げた条件のもと分析し、ピークリスト(ピーク高さ)を作成した。その際、QCサンプルにおいて検出されたピークであり、かつC.V.が20%未満であり、かつ強度が運用ブランクの2倍以上のものを検出ピークとしてみなした。
【0073】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表2-14】
【表2-15】
【表2-16】
【表2-17】
【表2-18】
【表2-19】
【表2-20】
【表2-21】
【0074】
存在量変動解析、PCA、ならびにPCA、OPLS-DA、ならびにクラスタリング分析:
主成分分析(PCA)と直交部分最小二乗-判別分析(OPLS-DA)を行い、実験グループ間の代謝の差異を可視化した。主成分分析には、SIMCA-P+ver.17(Umetrics)を使用した。サンプル由来のピークの正規化したピーク高さを使用して、全サンプルならびに5点(F18S-12、F18S-14、F18S-16、F18S-18、およびF18S-20)を使用した主成分分析を行った。Transformはnoneに設定し、ScalingはPareto scalingに設定した。OPLS-DAモデルから得られた統計的に有意な投影における変数重要度(VIP)値に従って、示差代謝物を選択した。階層的クラスター分析(HCA)およびヒートマップは、R(https://www.r-project.org/)を使用して行った。
【0075】
統計分析
統計データは、マイクロソフトエクセル統計パッケージ分析ソフトウェアを使用して分析した。グラフはOrigin LabのOriginb2021ソフトウェアを使用して調製した。正規分布変数については、t検定、またはTukey HSDとともにANOVAを使用し、P値<0.05を有意と考えた。OPLS-DAでは、両側のスチューデントのt検定の値を正規化ピークエリアに適用し;VIP値>1かつP値<0.05である代謝物を包含した。ユークリッド距離およびウォード法を使用して、ヒートマップを分析した。平均と分散は、平均が0、分散が1になるように正規化した。
【0076】
結果:
処置期間中のいずれの日にても、対照グループと他の処置グループとの間で、平均体重において有意差はなかった。処置グループ間で、屠殺日の平均体重において有意差はなかった。
【0077】
腸内マイクロバイオーム分析:
分類学的プロファイリングでは、ファーミキューテスが最も多い存在量の門を表し、次いでバクテロイデスであった(図1)。
ベータグルカングループの各々において、それをテルミサルタン(標準)と比較して個々の分類群について分析したところ、AFO-202グループにおける腸内細菌の減少が最高であった(図2A)。AFO-202グループにおける、ファーミキューテスの減少が最高であった(図2B)。
【0078】
糞便メタボローム分析:
10サンプル(5グループの介入前および介入後)の正規化ピーク高を使用した主成分分析の結果のスコアプロットを図3に示す。第1主成分の寄与率は55%であり、第2主成分の寄与率は20%であった。正規化後のピーク高さを使用した介入後サンプルの主成分分析、および得られたスコアプロットを図4A、Bに、ならびにローディングプロットを図4C、Dに示す。第1主成分の寄与率は49%であり、第2主成分の寄与率は34%であった。
正規化後の全ての検出された代謝物化合物のピーク高さは、表3に見られる。介入後に減少を示した値は、異なるグループにおいて太字で強調表示した。QCサンプルにおいて検出されたピークの数は108であり、そのうち53のピークが定性であり、55のピークが未知であった。
存在量変動解析、log2倍率変化の結果を図5に示す。
【0079】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0080】
PCAのスコアプロット、およびOPLS-DAにおいてVIP値1以上を持つ化合物を図6に示し、表4はOPLS-DAにおいてVIP値1以上を持つ化合物とその係数を示す。対照グループの主成分分析の結果は、第1主成分軸(PC1)の寄与率は96.7%であり、第2主成分軸(PC2)のそれは1.5%であることを示した。AFO-202グループにおいて、PCAは、PC1およびPC2が、それぞれ90.4%および4.9%の寄与率であることを示した。テルミサルタングループにおいては、PC1およびPC2が、それぞれ95.1%および1.9%の寄与率であった。
【0081】
【表4-1】
【表4-2】
【0082】
テルミサルタンを除く全てのグループにおいて、増大という点からリン酸が最も大きなlog2倍率変化を示した。プトレシンが最大の減少を示した。特定の化合物に関して、AFO-202においてコハク酸の増大が、統計的有意性をもって最大であった(P値=0.06)(図7A)。AFO-202において、有意ではなかったが(p値=0.21)、リン酸の増大もまた大きかった(図7B)。AFO-202において、グルコース、イソロイシン、およびロイシンの減少が最も大きかった(図7C~E)。特徴的な代謝物の異なる強度レベルを明示するユークリッド距離階層的クラスタリング分析も、上の観察と一致した(図8および図9)。
【0083】
検討:
本研究は、NASHモデルマウスの糞便における腸内マイクロバイオームおよびメタボロームのプロファイルを、ベータグルカン、特に同じ種の黒酵母A.プルランスの異なる株が産生する2つの異なるベータグルカンについて関連性を持って調べた初めての研究である。ベータグルカンは異なる供給源から得て、その機能は供給源および抽出/精製プロセスによる[D14]。A.プルランス黒酵母のAFO-202株からの研究において記載したベータグルカンは、抽出/精製を必要とせずにエキソポリサッカライドとして産生されるのでユニークであり、それゆえ生物学的作用が優れている[D15]。
【0084】
AFO-202ベータグルカンは、COVID-19のような免疫-感染の病気における免疫強化[D11、12]とは別に、血糖値を正常化することによって優れた代謝効果を有することが報告されており[D5]、ならびにASDなどの神経発達障害における睡眠および行動の改善とは別に、メラトニンおよびα-シヌクレインの神経伝達物質に対して明確な効果をもたらすことが報告されている[D7、8]。NASH動物研究において、AFO-202ベータグルカンは、炎症に関連した肝細胞のバルーニングおよび脂肪症を有意に減少させることができた[D10]。
【0085】
ベータグルカンは、非エステル化脂肪酸のレベルのバランスから明らかである脂質異常症を調整する点で、免疫調節の有益性を生じ[D16]、ならびにNASHにおける線維化および炎症を減少させることができている[D10]。ベータグルカンは、健康なヒトのボランティアにおいて有利なやり方で、炎症促進性マーカーを減少させ、抗炎症性マーカーを増大させ[D17]、NASHモデルにおいてはNAFLD活性スコア(NAS)を減少させ[D10]、Covid-19患者においてIL-6、CRPおよびフェリチンの免疫介在性調節不全レベルを有意に制御することができている[D11、12]。ASD対象における腸内マイクロバイオームの分析に関してなされた研究において、AFO-202ベータグルカンによってASDにおいて有益性を生じるのに好都合な腸内マイクロバイオームを有益に再構成するのとは別に、腸内細菌の効率的な制御があった[D13]。本研究において、我々はNASH動物モデルにおけるAFO-202の有益性を評価しようとした。
【0086】
本研究において使用したNASHのSTAMモデルは、疾患モデルであるStelic Animal model[D10、18、19]であり、マウスに生後2日後にストレプトゾトシン溶液を注射し高脂肪食を与えることによって肝脂肪症を発症させる。このモデルは、肥満および高脂肪食が糖尿病、脂質異常症、および肝脂肪症を引き起こすという、ヒトにおいて起こるメタボリックシンドロームの特色のほとんどを再現する。
【0087】
したがって、ベースライン時に存在する腸内マイクロバイオームプロファイルおよび糞便代謝物プロファイルは、加齢で低下する免疫系およびそれに伴う合併症へとつながる免疫-代謝相互作用とは別に、心臓、肝臓、腎臓を包含する身体の異なる臓器系において経時的に病態生理学的問題を生じるであろうメタボリックシンドロームにおいて存在するものを再現していると考え得る[D20、21]。
【0088】
したがって、本研究は、メタボリックシンドロームに関連する病態の異なる側面、ならびに免疫-代謝相互作用が深い係り合いを有する神経障害を包含する、かかる免疫-代謝相互作用に関連する疾病[D20]に対するベータグルカンの効果を研究する先駆けとなるであろう。
【0089】
メタボロームおよびマイクロバイオームのNASHとの関連性:
NAFLDを持つヒトにおいて、プロテオバクテリア、腸内細菌、および大腸菌などの細菌種が多量にあることが報告されている[D21、22]。本研究においては、AFO-202を用いた腸内細菌の減少が報告された。
【0090】
神経の病気における可能性:
神経発達性および神経変性:
我々は以前、ASDを持つ小児において、AFO-202を摂った後の、腸内細菌、大腸菌、アッカーマンシア・ムシニフィラCAG:154、ブラウチア属、コプロバチルス属、およびクロストリジウム・ボルテアエCAG:59の減少、ならびにフィーカリバクテリウム・プラウスニッツおよびプレボテラ・コプリの増大を報告した[D13]。本研究でもまた、腸内細菌の減少が、AFO-202グループにおいて最も大きかった(図5A)。ASDの個体においては低いと報告されているコハク酸[D23]は、AFO-202グループにおいて最も大きく増大することが発見された(図7A~C)。パーキンソン病などの神経変性疾患に関しては、イソロイシンおよびロイシンなどのアミノ酸が、糞便メタボロームにおいて高いことが発見されている[D24]。本研究においては、これらのアミノ酸の減少がAFO-202グループにおいて最も大きかった(図7D~E)。
【0091】
その他の係り合い:
ステロイドの使用は、大腸菌、腸球菌の増大、一方でバクテロイデスの減少をもたらすことが報告されている[D25]。本研究において、バクテロイデスの増大をともなうAFO-202による腸内細菌の制御が、ステロイドなどの薬の補助剤としてもまた価値があると考えられる。
【0092】
結論:
要約すると、黒酵母A.プルランスのAFO-202株が産生するベータグルカンは、糞便代謝物において有益な差異をもたらすこととは別に、腸内微生物の多様性を増加させ、有害な細菌を制御し、健康な細菌を促進し、これらはすべて、このNASH動物モデルにおいて単独および組み合わせの両方で健全なプロファイルを示している。AFO-202は、ASDなどの神経発達疾病、およびPDなどの神経変性疾病用の価値ある処置補助剤として役立つであろう。特定の疾病における腸内マイクロバイオームと糞便代謝物との相関関係についてさらなる検証で、これらの安全性が証明されたプレバイオティクスは、健康的な生活の促進において潜在的な用途を有する。
【0093】
(増大する腸内微生物叢)
自閉症スペクトラム障害(ASD)などのいくつかの神経発達疾病、多発性硬化症(MS)などの神経炎症性疾病、アルツハイマー病(AD)およびパーキンソン病(PD)などの神経変性疾患の発生および進行において、腸内毒素症が重大な役割を果たしているという証拠が増大している。細菌、特にグラム陰性腸内細菌のバイオフィルムおよび副産物は、これらの疾患条件における変化した腸内マイクロバイオームの影響を媒介する。アミロイドタンパク質は、バイオフィルムの主要部分を構成しており、特にCurliアミロイドの特徴は、アルツハイマー病に関連するアミロイドβ、ASD、およびPDに関連するα-シヌクレインなどの病理学的および免疫調節性ヒトアミロイドに類似していると報告されている。
【0094】
これらの報告は、アミロイド、腸内細菌、および神経疾患のレベルの相関関係について論じているが、腸内微生物叢を有益な利点へと変えることに関連する臨床的な有益性への、主観的かつ客観的な相関関係を持つ単純かつ安全な介入はない。我々は本明細書中で、臨床パイロット研究において、自閉症スペクトラム障害を持つ小児において、β-1,3-1,6グルカンを摂った後に、腸内微生物叢、特にα-シヌクレインとCurliアミロイドとに関連する細菌の微生物叢が有益に再構成された結果を報告する。
【0095】
腸-脳軸を通して腸と脳との間に不断の伝達および相互作用があるという新たな証拠が現れ、中枢神経系の健康に関連するその重要性が解明され始めている。腸内微生物叢のいずれの腸内毒素症も、発達障害(自閉症スペクトラム障害[ASD])、炎症性障害(多発性硬化症[MS])、および退行性障害(アルツハイマー病[AD]およびパーキンソン病[PD])の神経病態の発症および進行に影響を及ぼすことが示されている(Kang et al., 2019)。そのメカニズムには、免疫系の活性化;炎症性サイトカインおよびケモカイン(例として、IL-6およびTNF-α)の産生;および腸管バリアの透過性の変化が関与しており、それは今度は、これらの神経疾患において増大する循環リポ多糖のレベルによるものである。これらのメカニズムは、神経栄養因子、中枢および末梢神経系の活動、ならびに内分泌経路を調節し、これらすべてが精神神経障害および神経発達障害の発病または表現型の発現に寄与する(Santocchi et al., 2020)。
【0096】
別の重要なプレーヤーは、自己凝集特性を有するアミロイドタンパク質である。非同一のアミロイドタンパク質でさえ、プリオンのような様式において相互のアミロイド凝集を促進し得る。30近くのアミロイド形成タンパク質がヒトによってコードされているが、いくつかの機能的アミロイドは腸内マイクロバイオームによって産生される(Werner et al., 2020)。重要なのは、Curliと呼ばれる細胞表面アミロイドタンパク質であり、これは、ASD、PD、AD、およびMSなどの神経性障害の発生および病因に重要なプレシナプス神経伝達物質であるα-シヌクレイン(αSyn)の形成を次に促進する、特定の腸内細菌によって産生される(Sampson et al., 2020)。これらの報告(Sampson et al., 2020; Werner et al., 2020; Santocchi et al., 2020)が、これらのアミロイド、腸内細菌、および神経疾患のレベルの相関関係を論じているが、腸内微生物叢の関連したバランスを取ることに基づいて引き出され得る臨床的な有益性への、主観的かつ客観的な相関関係を持つ単純かつ安全な介入はなかった。
【0097】
我々は本明細書中で、臨床パイロット研究において、ASDを持つ小児において、β-1,3-1,6グルカンを摂った後に、腸内微生物叢、特にαSynおよびCurliアミロイドに関連する細菌の微生物叢が有益に再構成された結果を報告する。研究されたベータ-グルカン(ニチグルカン)は、オウレオバシディウム・プルランスと呼ばれる黒酵母のAFO-202株から得られ、これは糖毒性(Dedeepiya et al., 2012)、脂肪毒性(Ganesh et al., 2014; Ikewaki et al、 2021a)、脂肪血症誘発性肝線維症(Ikewaki et al., 2021b)、免疫増強(Ikewaki et al., 2021c)とは別に炎症(Ikewaki et al., 2021b)、およびCOVID-19における調節(Raghavan et al., 2022)を緩和することによって代謝障害において有益な利点を有するものであり、これらのことは橋渡し研究および臨床研究において報告されている。
【0098】
ASDを持つ小児における、行動パターン改善(Raghavan et al., 2021a)および睡眠パターン改善(Raghavan et al., 2021b)、血漿αSynレベルの増大(Raghavan et al., 2021a)、および血清メラトニンレベルの増大(Raghavan et al., 2021b)の点から、このAFO-202ベータグルカンの効果が報告されている。我々は、パイロット研究に参加したASDを持つ小児における腸内マイクロバイオームに対するAFO-202ベータグルカンの効果を報告する。
【0099】
研究されたベータ-グルカン(ニチグルカン)は、オウレオバシディウム・プルランスと呼ばれる黒酵母のAFO-202株から得られ、糖毒性[B5]、脂肪毒性[B6、B7]、脂肪血症誘発性肝線維症[B8]、免疫増強[B9]とは別に炎症[B8]、およびCOVID-19における調節[B10]を緩和することによって代謝障害において有益な利点を有するものであり、これらは橋渡し研究および臨床研究において報告されている。ASDを持つ小児における、行動パターン改善[B11]および睡眠パターン改善[B12]、血漿αSynレベルの増大[B11]、および血清メラトニンレベルの増大[B12]の点から、このAFO-202ベータグルカンの効果が報告されている。我々は、パイロット研究に参加したASDを持つ小児における腸内マイクロバイオームに対するAFO-202ベータグルカンの効果を報告する。
【0100】
この無作為化パイロット臨床研究において我々は、オウレオバシディウム・プルランス(黒酵母)AFO-202株産生ベータグルカン(ニチグルカン)を摂った後の、自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ対象の腸内微生物叢を評価した。
【0101】
例1
方法:
本研究は、18人の無作為に割り付けられた対象において行われた;6人の対象(n=6)は対照グループ(Gr.1)で、改善行動治療および1日あたりL-カルノシン500mgを含む既存の処置を受け、ならびに12人の対象(n=12)Gr.2は、既存の処置に加えて0.5gのオウレオバシディウム黒酵母AFO-202(オウレオバシディウム・プルランスAFO-202株(FO-68[受託番号:FERM BP-19327]とも呼ばれる))由来のベータグルカン(ニチグルカン)の補充を1日2回受けた。対象からの便サンプルは、ベースライン時、および介入後に採取した。サンプルを、Novaseq6000を使用してリード長151bpで配列決定し、全ゲノムメタゲノム分析用に利用した。
【0102】
13人の対象(対照(Gr.1)に4人、およびニチグルカン(Gr.2)に9人)が研究を終えた。サンプルリードを、ヒトDNAコンタミネーションを防ぐようにフィルターにかけた。ヒトゲノムとのアライメントは約18.98%であった。フィルターにかけたリードは次に、細菌、真菌、ウイルス、および古細菌のゲノムにアライメントした。細菌ゲノムとの全体的なアラインメントは約40%であった。しかしながら、ウイルス、真菌、および古細菌のゲノムとのアライメントは0.05~0.2%であった。前処理したリードを使用してde novoアセンブリを実行し、スキャフォールドを得た。これらのスキャフォールドは次に、遺伝子予測に使用した。細菌の存在量を分析した。
【0103】
結果:
エンテロバクターは、対照グループにおいては0.36%から0.85%へ増大したものの、ニチグルカン(Gr.2)グループにおいては介入後ほぼゼロへ減少した(図10)。バクテロイデスの存在量は、介入後、Gr.2においては11.60から11.43%へ減少したものの、対照においては16.84から19.09%へ増大した(図11)。プレボテラの存在量は、Gr.1およびGr.2の両方において増大した(図12)。ラクトバチルスの存在量の減少は、Gr.1と比較して、Gr.2において有意であった(図13)。
【0104】
結論:
先の報告は、自閉症スペクトラム障害を持つ小児においては、プレボテラの存在量が少なく、ラクトバチルスおよびバクテロイデスの存在量が多いことを指摘していた[A2]。MS患者もまた、少ない存在量のプレボテラを有することが報告されている[A4]。エンテロバクターは、ヒトアミロイドα-シヌクレイン(αSyn)の病態を促進するCurliと称される機能性アミロイドタンパク質を産生し、CurliとαSynの凝集は、ASD、MS、PD、およびADなどの神経発達疾患および神経変性疾患につながる病理学的かつ免疫学的プロセスを刺激する[A1]。アミロイドの蓄積を伴うかかる神経発達および神経変性疾患の背後にある病理学的プロセスを緩和することによって、腸内微生物叢におけるニチグルカンを摂った後に好都合な結果を生じた本研究の結果は、そのメカニズムおよびさらなる可能性を探るための学術調査とは別に、神経変性および神経炎症疾病を持つ患者において、定型的な食品サプリメントとしてこれを推奨するための、より大きな臨床研究を是認するものである。
【0105】
例2
方法:
ASDを持つ18人の患者を無作為に割り付けた:
対照グループ(グループ1)内の6人の対象:改善行動治療および1日あたりL-カルノシン500mgを含む既存の処置、および12人の対象(グループ2)は、90日間、既存の処置に加えて0.5gのニチグルカンの補充を1日2回受けた。
【0106】
結果:
ベースライン時と介入後との便サンプルの全ゲノムメタゲノム(WGM)配列決定は、関連する属の間で腸内細菌の存在量は、介入後のグループ2においてはほぼゼロに減少したが、グループ1においては0.36%から0.85%へ増大したことを示した。バクテロイデスの存在量は、グループ1においては増大したが、グループ2においては減少した。プレボテラの存在量は、グループ1およびグループ2の両方において増大した。ラクトバチルスの存在量の減少は、グループ1と比較して、グループ2において有意であった。種の間では、大腸菌、アッカーマンシア・ムシニフィラCAG:154、ブラウチア属、コプロバチルス属、およびクロストリジウム・ボルテアエCAG:59の減少が、フィーカリバクテイルム・プラウスニッツイ、およびプレボテラ・コプリの増大とともに見られ、これらは両方とも有益である。
【0107】
結論:
AFO-202β-1,3-1,6グルカンは、ASDを持つ小児における腸内マイクロバイオームのバランスを整えるのとは別に、α-シヌクレイン(αSyn)のミスフォールディングおよび蓄積へとつながるCurli産生腸内細菌を効果的に制御するその役割が、パーキンソン病およびアルツハイマー病においてもまた予防的な役割を有するだろう。
【0108】
試験登録:
本試験はインドの臨床試験登録機関CTRIに登録され、登録番号:CTRI/2020/10/028322である。URL:http://ctri.nic.in/Clinicaltrials/showallp.php?mid1=47623&EncHid=&userName=kenmax
【0109】
例3
方法
この研究は、本研究が行われた病院の施設倫理委員会によって承認され、国立臨床試験登録機関において臨床試験として登録された。各対象の介護者は、研究に参加する前に内容に対してのインフォームドコンセントを行った。本研究は、ヘルシンキ宣言に従って運営した。
【0110】
患者の関与:
患者はこの研究の設計および実行に関与した。実現化の段階の間には、研究課題の優先順位、結果尺度の選択、人員補充の方法を、フォーカスグループセッションおよび構造的インタビューを通して患者との話し合いによって通知した。試験が公開されると、非専門家の読者用の試験ニュースレターを通して、参加者に結果を通知する。
【0111】
研究設計
本研究に登録された対象は、発達小児科医からASDの診断を受けており、それは小児自閉症評価尺度のスコアを組み込んだ行動パターンに対する臨床インタビューを使用して、心理学者によって検証された。
ASDを持つ18人の対象が、2つのアームからなる、この将来的な非盲検パイロット臨床試験に登録された。CONSORTフロー図を図14に提示する。
【0112】
研究グループ:
アーム1またはグループ1(対照グループ):ASDを持つ6人の対象が、改善行動治療および1日あたりL-カルノシン500mgを含む既存の処置を受けた。
アーム2またはグループ2(ニチグルカングループ):12人の対象が、既存の処置(改善行動治療および1日あたりL-カルノシン500mg)に加えてニチグルカン食品サプリメントを用いた補充を受けた。各対象は90日間、1日2袋(各々0.5g)のニチグルカンを1日2回食事とともに1袋を摂った。
【0113】
αSynおよびメラトニンのレベルの評価とは別に、行動パターンおよび睡眠パターンの評定とともに、参入基準および除外基準が、先に報告した臨床試験の結果内で入手可能である(Raghavan et al., 2021a,b)。
【0114】
糞便サンプルの採取および調製
糞便サンプルは、ベースライン時および介入後90日で、無菌の糞便採取キットを使用して採取し、サンプルは実験室へ移送および処理するまで、-20℃にて保管した。DNA抽出用サンプルは、分析に必要となるまで-80℃にて保存した。
【0115】
DNA抽出
各検体の糞便から、QIAAmp DNA Mini Kit(Qiagen)を使用し製造者の指示に従って、全微生物DNAを抽出した。各バッチの検体は、ネガティブバッファーコントロール(抽出コントロール)を用いて抽出した。
【0116】
ライブラリの調製
全ゲノムメタゲノム配列決定ライブラリを調製した。端的に言うと、DNAをCovaris社の超音波処理器を使用してせん断した。せん断したDNAは、末端を修復し、ならびに指標付きのアダプター配列のライゲーションによってdAでテーリングするための一連の酵素的ステップに従う。これらのアダプターライゲーションした断片を、次にSPRIビーズを使用してクリーンアップした。次に、限定サイクルPCRを使用してクリーンな断片に指標付けを行い、アダプターライゲーションした分子を濃縮する。最後に、増幅した産生物を精製し、配列決定の前にチェックした。
【0117】
メタゲノム配列決定
調製したライブラリを、リード長151bpでNovaseq 6000を使用して配列決定した。サンプルは、全ゲノムメタゲノム分析用に採取された。最初に、リードを、ヒトDNAコンタミネーションを防ぐようにフィルターにかけた(図15~17)。ヒトゲノムとのアライメントは約18.98%であった。フィルターにかけたリードは次に、細菌、真菌、ウイルス、および古細菌のゲノムにアライメントした(図18)。細菌ゲノムとの全体的なアラインメントは約40%であった。しかしながら、ウイルス、真菌、および古細菌のゲノムとのアライメントは0.05~0.2%であった。前処理したリードを使用してde novoアセンブリを実行し、スキャフォールドを得、それを次に、遺伝子予測に使用した。門、属、および種レベルでの存在量を評価した。
【0118】
マイクロバイオーム バイオインフォマティクス(bioinformatics)
以下のバイオインフォマティクスパイプラインを使用して、全ゲノム配列決定メタゲノム分析を行った。生データのクオリティを分析し、アダプターをトリミングした。低処理リードを、まずヒトゲノムにアライメントして、アライメントされていないリードを削除し、その後、メタゲノム解析用のMETASPADES de novoアセンブラを使用してアセンブルした。アセンブル後、PRODIGALを使用して遺伝子予測を行った。次に、予測された遺伝子は、DIAMOND MEGAN5プログラムを使用して、NCBIデータベース内の既存の遺伝子に対して検索した。与えられたサンプル中の分類学的存在量に基づいて、さまざまなレベル(門、綱、目、科、および属)にて優性な微生物集団の発生を研究した。優占度は、サンプルから得た配列の量、コミュニティの組成、およびコンティグのサイズ分布に基づいて計算した。キメラ配列を同定し、分析からフィルタリングした。
【0119】
統計分析
統計データは、マイクロソフトエクセル統計パッケージ分析ソフトウェアを使用して分析した。対応のあるt検定も、このパッケージを使用して計算し、P値<0.05を有意と考えた。
【0120】
結果
すべての選択基準を満たし、除外基準のいずれも満たさなかった18人の患者を選択し、研究を始めた。登録の間に、処置グループ(グループ2)内の1人の参加者が、研究が始まる前に脱落した。研究の間、4人の対象が追跡不能となった:グループ1内で2人(1人は家庭内の社会的問題により脱落し、もう1人は別の都市へ転居した)、およびグループ2内で2人(1人は家庭内の社会的問題により脱落し、もう1人は別の都市へ転居した)。これら4人の対象を除外した後、13人の対象を分析に包含した。
【0121】
前処理したリードを、まずBWA-MEMアライナーを使用してヒトゲノム(hg19)とアライメントし、サンプルからヒトゲノムコンタミネーションを削除した。その後、汚染されていない配列は、BWA MEMアライナーを使用して、既知の細菌、真菌、ウイルス、および古細菌の細菌ゲノムとのさらなるアライメントに利用した。リードの約7~12%がヒトゲノムへマッピングし、30~60%のリードが細菌ゲノムへマッピングした。
【0122】
シード平均については、AFO-202ニチグルカン処置グループにおいて、炭水化物、脂肪酸、脂質、毒性、代謝物損傷、および窒素代謝を包含する、すべての遺伝子アノテーション(代謝物および代謝機能)において数倍の減少があった(図19および表5)。
【0123】
細菌界が、最も存在量の多い生物種の界であった。グループ1(対照)とグループ2(ニチグルカン)との両方において、介入前と後の両方ともに、ファーミキューテス門が最も多く、次いでバクテロイデスであった(図20)。グループ1においては、プロテオバクテリアがその次に最も存在量が多く、次いでアクチノバクテリア(Actinobacteria)であったが、グループ2においては、この関係が逆転した(図21)。
【0124】
関連性のある属の間で、介入後、エンテロバクターの存在量はグループ2においてほぼゼロに減少したが、グループ1においては0.36%から0.85%へ増大した(図22A)。バクテロイデスの存在量は、グループ1においては16.84%から19.09%へ増大(p値=0.42)したが、介入後はほとんど有意差は示さなかった(11.60%および11.43%)(p値=0.46)(図22B)。プレボテラの存在量は、グループ1およびグループ2の両方において増大した(図22C)。ラクトバチルスの存在量の減少は、グループ1と比較して、グループ2において有意であった(図22D)。デスルホビブリオ(Desulfovibrio)は、Gr.2において0.40%から0.28%へ減少した。介入後、グループ2における種の存在量が増加した。フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ、ビフィドバクテリウムロングム(Bifidobacterium longum)、およびファーミキューテス細菌CAG:124が最も多い存在量の種を表した(図23および図24)。大腸菌はグループ1とグループ2との両方で減少したが、その差異はグループ2において有意であった(p値=0.02)(図25A)。フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィはグループ1とグループ2との両方で増大したが、その差異はグループ2においては有意であった(p値=0.041)(図25B)。アッカーマンシア・ムシニフィラCAG:154(図25C)およびクロストリジウム・ボルテアエCAG:59はグループ1において増大したが、グループ2においては減少した(図25D)。プレボテラ・コプリは両グループにおいて増大した。ブラウチア属、コプロバチルス属、およびいくつかのクロストリジウム属(Clostridium spp.)は、両グループにおいて減少した。
【0125】
Gr.1およびGr.2における属および種レベルの存在量のデータを表5~9に提示する。
【0126】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0127】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【0128】
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表7-6】
【表7-7】
【表7-8】
【表7-9】
【表7-10】
【表7-11】
【表7-12】
【表7-13】
【表7-14】
【0129】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【表8-6】
【表8-7】
【表8-8】
【表8-9】
【表8-10】
【表8-11】
【表8-12】
【表8-13】
【表8-14】
【表8-15】
【表8-16】
【表8-17】
【表8-18】
【表8-19】
【0130】
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【0131】
検討
この研究においては、睡眠パターン(Raghavan et al., 2021a)、行動パターン(Raghavan et al., 2021b)、血漿αSyn(Raghavan et al., 2021a)、および血清メラトニン増大(Raghavan et al., 2021b)の点から臨床的改善があったという先の報告に続き、腸内毒素症がASDにおける症状の重症度と強い相関を有することが示されている(Grimaldi et al., 2018)。AFO-202由来1,3-1,6ベータグルカンを補充した対象と、補充を受けなかった対象の腸内微生物叢を評価し、比較した。
【0132】
いくつかの研究では、ASDを持つ小児と定型発達の小児との間の腸内微生物叢の差異を報告している。ビフィドバクテリウム(bifidobacterial)の数が減少し、クロストリジウム属、デスルホビブリオ属(Desulfovibrio spp.)、サテレラ属(Sutterella spp.)、および/またはベイヨネラ科(Veillonellacea)が増大したことがSouzaら(2012)によって報告された。Tomovaら(2015)は、プロバイオティクス投与後の、バクテロイデス/ファーミキューテス比における変化、およびビフィドバクテリウムの数の増大を報告した。
【0133】
限定食および6週間のプレバイオティクス介入が、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium spp.)およびベイヨネラ科の存在量が低く、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィおよびバクテロイデス属(Bacteroides spp.)の存在量が多いことを明示した(Grimaldi et al., 2018)。ASDを持つ小児においては、フィーカリバクテリウム、ルミノコッカス、およびビフィドバクテリウムの存在量が比較的少ないのに対して、カロラマター(Caloramator)、サルシナ、サテレラ・シアエ(Sutterella ceae)、および腸内細菌科(Enterobacteriaceae)の存在量が多い(De Angelis et al, 2013)。さらに、プレボテラ属、コプロコッカス属、および分類されていないベイヨネラ科の存在量が少ないと報告されている(Kang et al., 2013)。これらの細菌の間で、バクテロイデス科、プレボテラ科、およびルミノコックス科が増大し、ならびにプレボテラ・コプリ、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ、およびヘモフィルス・パラインフルエンザ(Haemophilus parainfluenzae)が減少したことが報告されている(Kang et al., 2018; Oh et al., 2020)
【0134】
本研究においては、これらの報告と同様に、エンテロバクター、ラクトバチルス、大腸菌、アッカーマンシア・ムシニフィラCAG:154、ブラウチア属、コプロバチルス属、いくつかのクロストリジウム属、およびクロストリジウム・ボルテアエCAG:59の減少とともに、バクテロイデス、プレボテラ、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ、およびプレボテラ・コプリの存在量の増大があったので、グループ2(ニチグルカン)においては、腸内マイクロバイオームのシフトは有益なスペクトルへ向かっていた。PDと関連があると報告されているデスルホビブリオ菌(Desulfovibrio Bacteria)(Murros et al., 2021)は、Gr.2において減少した。
【0135】
特に、腸内細菌および大腸菌は、介入後、グループ1と比較してグループ2において有意に減少した。エンテロバクターおよび大腸菌などのグラム陰性腸内細菌は、腸内バイオフィルムの細胞外マトリックスの85%を構成するアミロイドCurliを分泌する。Curliは、ADに係り合いがあるアミロイドβ、ASDおよびPDに関与するαSyn、ならびに神経炎症に関連する血清アミロイドAなどの病理学的および免疫調節的なヒトアミロイドと類似性および関連性を有する(Miller et al., 2021)。Curliはミスフォールディング(Al-Mazidi et al., 2021)、ならびに神経細胞タンパク質αSynが不溶性のアミロイド凝集体の形で蓄積することをもたらし、PDおよびADを包含するレビー小体関連のシヌクレイン症の病因の中心である炎症および神経細胞機能障害へつながる。
【0136】
Curli産生細菌もまたアミロイドタンパク質αSynの産生および凝集を増大させ、これが迷走神経および/または脊髄を介して腸から脳へとプリオンのような様式で増殖し、このようにしてついには、ASDなどの神経疾患となることが示されている(Al-Mazidi et al., 2021)。この研究においては、エンテロバクターおよび大腸菌が有意に減少していることから、これらのシヌクレイン症に有益であろうと考えられる。この研究の開始前、αSynを研究する目的は、ASDにおいて観察されるシナプス前の末端におけるシナプス不均衡に対するベータグルカン補充の効果を理解することであった。
【0137】
研究の結果は、小児自閉症評価尺度スコアおよび睡眠パターンの改善とともに、αSynの血漿レベルがグループ1と比較してグループ2において増大したことを示し、これは、血漿中シヌクレインレベルにおいて観察可能な変化を生ずる、我々の知る限り初めての介入である(Al-Mazidi et al., 2021)。
【0138】
Dingらの研究においては、14の機能特性がASDグループと健康な対照グループとの間で差異を示したことが報告された。ASDグループにおいては、ガラクトース代謝、糖転移酵素活性、グルタチオン代謝、および抗葉酸抵抗性を包含する4つの機能が強化された。Lindefeldtらによる別の研究においては、てんかんを持つ小児においてケトン食療法を3か月行った後に、26の代謝経路の相対的存在量が減退し、3つは相対的存在量が多くなった。
【0139】
最も多く変化した経路を持つグループは、炭水化物代謝であって、フラクトオリゴ糖(FOS)とラフィノースの利用、スクロースの利用、グリコーゲン代謝、ラクト-N-ビオースIとガラクト-N-ビオース代謝経路の低下を示した。本研究のシード平均の調査結果もまた、この有益な結果を反映している(図21および表9)。
【0140】
腸内マイクロバイオームの本研究は、腸内神経系におけるCurliタンパク質およびαSyn沈着を増大させるエンテロバクターがベータグルカン食品サプリメントによって制御され、血漿αSynレベルの増大が、これらのαSynが血流に入ることにつながるアミロイド沈着物の分解を指摘するという、さらなる新たな知見を提案した。実際、ナチュラルキラー(NK)細胞は、異常なα-Syn凝集物の効率的なスカベンジャーとしての役割をなすことが示されており(Earls et al., 2020)、AFO-202ベータグルカンには、NK細胞を増大させ、かつ活性化させる証明された能力を有しており(Ikewaki et al., 2007)、これは、ASDを持つこれらの小児において臨床的結果が良好であることとは別に、血漿中のαSynレベルの増大に寄与する別の可能性のあるメカニズムであり得る。
【0141】
この結果は、NK細胞が脳障害の予防および防止のための有望な治療戦略としての可能性を強調するものであり、その特異的な経路およびその能力の多様性に関する関連研究の後に、それらがかかるαSynの蓄積および増殖に使用される可能性がある。NK細胞は、マクロファージではないが、アミロイド沈着物を末梢で取り除くことが証明されている(Raghavan et al., 2021c)。中枢神経系においては、かかる役割はミクログリアが果たしている(Bartels et al., 2020)。ベータグルカンはまた、脳およびCNS内のアミロイド沈着物を除去することが示されている(Morato Torres et al., 2020)ミクログリアを若返らせ(Luna et al., 2015)、神経発達および神経変性疾患に対する健全な治療戦略であることを証明している。
【0142】
プリオンのようなやり方で解剖学的に連結した領域に広がり、PDなどの神経変性疾患、およびASDを持つ小児が後にPDを発生する増大されたリスクを媒介する、変化したα-Synタンパク質のミスフォールディングは、神経発達および神経変性疾患のこれらの収束した発症経路に関するさらなる学術調査が必要であることを示唆するとともに、この安全性が証明された食品サプリメントが、ASDを持つ対象におけるPDに対する予防戦略であることを示唆する。
【0143】
正常なα-synおよび異常なα-synの学術調査が是認される以外に、PD患者の脳組織においてはSer129にてリン酸化された不溶性α-synの割合が有意に高いことが報告されているので、可溶性α-synと不溶性α-synとの係り合い(Boziki et al., 2020)を研究することが重要である。さらに、SH-SYHY神経芽細胞腫(Boziki et al., 2020)などの細胞株は、かかる単純な栄養補充を用いた新規な疾患修飾戦略の開発に役立つこととは別に、これらの神経変性疾患における症状および病態の重症度と様々なα-synとの相関関係を明らかにするだろう。
【0144】
AFO-202ベータグルカンを用いた本研究において、有益なやり方で再構成された微生物叢は、抗炎症性であると示されているA.プルランスベータグルカンの他のバリアントの効果を研究するための学術調査へとさらに進める必要がある。かかる学術調査は、腸における局所的な免疫反応から全身の炎症、および、最終的にはMSなどの神経炎症性疾病におけるCSの臓器特異的自己免疫につながる分子経路の機構的な知見につながり得る。
【0145】
結論
すでに報告された臨床的改善とは別に、ASDを持つ小児におけるAFO-202ベータグルカンを摂った後の腸内微生物叢の良好な再構成が、この研究において明示された。腸内細菌の減少は、ASDなどの神経発達疾病、ならびにアミロイドの蓄積および増殖の収束経路を持つPDおよびADなどの神経変性疾患に対するこのベータ-グルカンサプリメントの可能性を明示するものであり、神経発達疾患および神経変性疾患の両方の防止および管理のための定型的な食品サプリメント、あるいは既存の治療の補助として、これを推奨するためのより大きな臨床研究および学術調査を是認する。
【0146】
略語のリスト:
ASD-自閉症スペクトラム障害
WGM-全ゲノムメタゲノム
αSyn-α-シヌクレイン
MS-多発性硬化症
AD-アルツハイマー病
PD-パーキンソン病
【0147】
(行動パターンおよびα-シヌクレインレベルの改善)
【0148】
要約:
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、神経シナプスのバイオマーカーおよびメカニズムが理解しにくいままになっている広範囲の障害である。行動パターンを改善するための明確な介入様式がないため、リメディアルセラピー(remedial therapy)が唯一の選択肢であり、さまざまな結果を有する。生物学的反応修飾物質であるベータ-グルカン食品サプリメントを補充した場合のASD小児におけるメラトニンの改善に関する我々の先の研究に基づき、我々は、この無作為化、並行群間、多アーム臨床試験において、小児自閉症評価尺度(CARS)およびα-シヌクレインレベルを評価した。ASDを持つ6人の対象(n=6)Gr.1が、改善行動治療および1日あたりL-カルノシン500mgを含む既存の処置を受け、ならびに、12人の対象(n=12)Gr.2は、既存の処置に加えてニチグルカン食品サプリメント0.5gの補充を1日2回受けた。
【0149】
ニチグルカンGr.2の全児童において、対照と比較してCARSスコアにおいて有意な減少(自閉症の徴候および症状の改善において平均3ポイント)があったのに対し、(p値=0.034517)、Gr.1においては、改善は非常に軽度またはゼロであった。α-シヌクレインの血漿レベルは、対照グループGr.1におけるよりもGr.2(ニチグルカン)において有意に高かった(p値=0.091701)。行動パターンCARSスコアおよび相関するα-シヌクレインレベルの改善、それにつづいて安全なベータ-グルカン食品サプリメントは、腸内微生物叢の評価、および新規な解決策に光を当てる可能性がある関連する神経細胞バイオマーカーなどの他のパラメータに関するさらなる学術調査を是認する。
【0150】
試験登録番号:
インド臨床試験登録機関(CTRI/2020/10/028322)
レイサマリー:
β-1,3-1,6グルカン食品サプリメントを摂った後に、自閉症スペクトラム障害を持つ小児における行動パターンが改善することが観察されている。このパイロット臨床研究における対照グループと比較して、CARSスコアも改善を示し、それとともに、正常な同齢の対照と比較して、罹患した小児においては通常は低い神経細胞マーカーであるα-シヌクレインの増大も示した。
【0151】
方法:
この研究は、インドのマドゥライにあるKenmax Medical Service Private Limitedの施設倫理委員会によって承認され、インド臨床試験登録機関において、無作為化、並行群間、ならびに多アーム臨床試験として登録された(CTRI/2020/10/028322)。全対象の介護者は、研究に参加する前に内容に対してのインフォームドコンセントを行った。本研究は、ヘルシンキ宣言に従って実行した。
【0152】
研究設計:
本研究に登録された対象は、発達小児科医によってASDの診断を受けており、CARSを組み込んだ行動パターンに対する臨床インタビューを使用して、心理学者によって検証された。
【0153】
ASDを持つ合計18人の対象(n=18)が、2つのアームを含むこの将来的な非盲検パイロット臨床試験に登録された。CONSORTフロー図を図14として提示する。
【0154】
アーム1またはGr.1:対照:ASDを持つ6人の対象(n=6)が、改善行動治療および1日あたりL-カルノシン500mgを含む既存の処置を受けた。
アーム2またはGr.2:処置アーム:12人の対象(n=12)が、既存の処置に加えてニチグルカン(オウレオバシディウム・プルランス株AFO-202(FO-68[(受託番号)FERM BP-19327]とも呼ばれる)由来のβ-1,3-1,6グルカン)食品サプリメントを受けた。各対象は90日の期間、1日2袋(各々0.5g)のニチグルカンを1日2回食事とともに1袋を摂った。
【0155】
包含基準:
i.年齢:3~18歳
ii.性別:男性、女性の両方
iii.CARSスコアによるASD基準
iv.保護者/後見人は、その小児が研究に積極的に参加することに同意する
【0156】
除外基準:
i.18歳を超えた対象
ii.急性の全身の病気を持つ、あるいは本試験に登録する2週間以内に、抗生物質、抗炎症剤、または抗酸化剤の処置を受けた、あらゆる小児。
iii.治験薬のいずれかに過敏症がある
iv.長期にわたる感染症の対象
【0157】
結果測定:
i.小児自閉症評価尺度(CARS):
ベースライン時と90日後とに、Gr.1(対照)とGr.2(ニチグルカン)との間でCARSを監視した。CARSスコアは、CARSスケールで得られる累積スコアに基づいて算出し、30未満のスコアは自閉症を示す十分な徴候やおよび症状がないことを指摘し、30と36との間のスコアは、軽度から中等度の重度自閉症を指摘し、37から60までのスコアは重度の自閉症と相関する(Ramaekers et al., 2019)。評定を行った心理学者および両親は、参加者の処置状況について知ることができず;よってこれは、二重盲検研究である
【0158】
ii.血漿α-シヌクレインの評価:
血漿中のヒトα-シヌクレイン(α-syn)レベルを、ベースライン時および90日の試験終了後にて、末梢血において測定した。測定は、ヒトα-シヌクレイン(α-syn)ELISAキット(KINESISDx、米国)を使用して、製造者の指示に従って行った。
【0159】
データ分析:
すべてのデータは、エクセルソフトウェア統計パッケージ分析ソフトウェア(Microsoft Office Excel(登録商標))を使用して分析し;スチューデントの対応のあるt検定もまたこのパッケージを使用して計算し;ならびにp値<0.05が有意であると考えた。
【0160】
結果:
登録の間に、対照グループ(Gr.1)においてASDを持つ6人の対象(n=6)が登録できたが、処置グループ(Gr.2)においては、そのうちの1人が研究の開始前に脱落した。研究の間、4人の対象が追跡不能となった:Gr.1内で2人(1人は家庭内の社会的問題により脱落し、もう1人は別の都市へ転居した)、およびGr.2内で2人(1人は家庭内の社会的問題により脱落し、もう1人は別の都市へ転居した)。合計13人の対象(Gr.1において4人、Gr.2において9人)が研究を終えた。Gr.1とGr.2の両方に、1人の女性の対象がいた。残りは男性であった。
【0161】
副作用:
Gr.2において、ニチグルカンの補充後1週間、1人の小児だけが便通の増大に関連した軽度の副作用の可能性を示したが、これは自然治癒した。他の小児のいずれにおいても、副作用は発見されなかった。
【0162】
CARSスケールでのスコア:
対照グループ(Gr.1)における小児の間では、4人全員が重度の自閉症の範疇であり、彼らのベースライン時のスコアは37から52まで(平均=42.75±5.76)の範囲であった。Gr.2における9人の小児の間では、2人は軽度から中等度の自閉症の範疇(平均=33.5±2.5)であったが、残りの7人は重度の自閉症の範疇(平均=43.71±4.80)であった。
【0163】
介入後、対照グループの4人の小児における平均CARSスコアは42.5±5.4であったが、Gr.2(ニチグルカン)においては、軽度から中等度の自閉症を持った2人の小児におけるCARSスコアの平均は32.5±0.5であった。残りの7人の小児においては、ニチグルカン介入後のCARSスコアは平均40.1±5.96を有した。このように、ニチグルカンGr.2グループの全児童において、対照と比較してCARSスコアにおける有意な減少(自閉症の徴候および症状の改善において平均3ポイント)があったのに対し(p値=0.034517)、Gr.1においては、改善は非常に軽度またはゼロであった(図26)。
【0164】
CARSで査定したさまざまなパラメータの間で、感情反応における目に見える主観的改善があり、それには、ニチグルカンGr.2において、小児の短気および怒りの低下(88%)、睡眠の改善(88%)、指さしおよび単音節における改善を伴う言語特徴(77%)、ならびに介護者に対する改善した反応(77%)を包含するが、Gr.1においてはこれらの改善は非常に軽度またはゼロであった。
【0165】
α-シヌクレインの血漿レベルは、ベースライン時にて、対照グループにおいては0.12と20.41ng/dlとの間(平均=9.73ng/dl)、処置グループにおいては0.45と41.12ng/dlとの間(平均=9.39ng/dl)の範囲であった。介入後、α-シヌクレインの血漿レベルは、対照グループGr.1(平均増大=10.56ng/dl)と比較して、処置(ニチグルカン)Gr.2グループにおいては、平均増大=26.72ng/dlのレベルで増大した(p値=0.091701)(図27)。
【0166】
検討:
13人の対象のこの研究において、Gr.2(ニチグルカン)の9人の対象全員において、特に、感情面と睡眠関連パラメータに関して、CARSスコアによって評価する行動パターンが改善し(図14)、ならびに、対照と比較してこれら9人の対象において、α-シヌクレインレベルが有意に増大した(図26)。α-シヌクレインは、CADPS2 mRNA発現を調整することによって、神経細胞のシナプス機能に重要な役割を果たしている。ASDの病因に関連する神経の過剰接続およびシナプスの変化は、実はα-シヌクレインの失調にその病因があることもあるという報告がある(Kadak et al., 2015;Sriwimol et al., 2018;Obergasteiger et al., 2014)。
【0167】
さらに、α-シヌクレインは最近、自閉症およびASDの診断に重要なバイオマーカーのひとつと考えられており、そのレベルは同齢の対照と比較して低い(Kadak et al., 2015;Sriwimol et al., 2018;Siddique et al. 2020)。PDなどの神経変性疾患に関しては、正常より低いという報告もあれば高いという報告もあり、報告はさまざまである。自閉症と神経変性疾患との間の、血漿α-シヌクレインレベルの相関仮説において、神経シナプス中のα-シヌクレインの凝集がより低い血漿レベルにつながることもあると提言されている(Sriwimol et al., 2018)。
【0168】
酵母からのベータ-グルカンに関する先の研究は、パーキンソン病ラットモデルの脳黒質におけるα-シヌクレイン発現の低下を示したので(Masruroh et al., 2017)、ニチグルカン補充後のASD患者における血漿中のα-シヌクレインレベルの増大が、神経シナプスにおけるα-シヌクレインの凝集の調整/防止によるものであるかどうかを調べる必要がある。しかしながら、特にASDを持つ小児において、α-シヌクレインレベルを調整する能力を証明した単一のメカニズム、介入、または治療はない。この種では初めてである我々の研究において、血漿α-シヌクレインレベルは、ニチグルカンの補充後に有意な増大を示し、そのレベルはASDを持たない小児について報告されたレベル(Kadak et al., 2015;Sriwimol et al., 2018)と一致していた。
【0169】
ASDを持つ小児に関する研究は、脳のさまざまな領域においてミクログリアの活性化に関与する根本的な神経炎症プロセスがあることを指摘しており、その結果、神経細胞の接続の喪失、または接続不良となり、行動的症状発現へとつながる(Shah et al., 2009)。MCP-1、IL-6、IL-10、およびTNF-αは、自閉症を持つ小児において高いレベルで発現することが示されている(Sah et al., 2009)。ベータ-グルカンは、ミクログリアを通して炎症性サイトカインの産生を弱めることによる神経保護効果(Alp et al., 2012)とは別に、Il-6およびTNF-αを包含する炎症性および炎症促進性マーカーの発現を減少させることが証明されている(Ikewaki et al., 2007)。ニチグルカンの補充によってASDの炎症を妨害するこのメカニズムは、さらなる学術調査に値する。
【0170】
別の研究においては、ベータ-グルカンは、タウのシグナル伝達を促進し、腸-脳軸を介して認知および脳の機能を改善する(Shi et al., 2020)のとは別に、シナプス点の誘発されたミクログリアの活性化およびその貪食、ならびに炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、およびIL-6)のmRNA発現のアップレギュレーションを減少させた。ベータ-グルカンが、本研究において行動改善を促進し、ならびにα-シヌクレインレベルの調整と相関するメカニズムについては、ASDに付いてだけでなく、AD、PD等などの神経変性疾患についても、特に腸内微生物生態系についての効果に関して、さらなる徹底的な学術調査が必要である。腸-脳軸および腸内微生物叢に関する進化するデータは、腸内微生物叢のバランスをとるための2つの主要なアプローチがあることを指摘する:プロバイオティクスおよびプレバイオティックである。
【0171】
栄養プロバイオティクス、糞便移植等などのプロバイオティクなアプローチは、腸にコロニー形成する必要がある有益な微生物の直接投与を伴う(Peng et al., 2020)。しかしながら、かかるプロバイオティクス補充のためには、腸内環境が助けとなる必要がある。これが、腸内細菌の生態系を調整し、かつ慢性炎症状態を防ぐのに役立つニチグルカンなどのプレバイオティックなアプローチが登場するところであり(Peng et al., 2020);このことは、ニチグルカンおよび腸内微生物叢のASDへの効果という点で、さらなる研究によって検証する必要がある。
【0172】
本研究の限界は、参加者の数が限られていること、性別およびグループ間の参加者の数の分布が不均等であることである。しかしながら、これは単なるパイロット研究であり、より大きな無作為化、多中心性の臨床試験が是認される。とはいえ、内在性α-シヌクレインの分泌を刺激し、より良いシナプス調整を促進し、ならびに自閉症を持つ小児の行動症状を改善し得る、天然由来のベータ-グルカンであるニチグルカンに基づく単純な栄養補助的介入を同定したのであるから、本研究は意義深いものである。しかしながら、本結果は、社会的かつ感情的な幸福および介護者のストレス緩和という点から評価する場合、その有益性はかなりなものであることを示唆しており、これは極めて意義深いものである。
【0173】
結論:
ASDを持つ患者は、行動症状における改善、および血漿α-シヌクレインのレベルの改善を示し;このように、黒酵母オウレオバシディウム・プルランスのAFO-202株を用いた栄養補充のこのパイロット臨床研究が、生物学的反応修飾因子ベータ-グルカン(ニチグルカン)を産生した。CARSスコアによる評価もまた、有意な有益な効果を示している。さらなる検証を行う必要があるものの、本研究は、ニチグルカンがASDを持つ小児において定型的として考えられるべき、単純だが効果的な食品サプリメントとしての可能性を明確に確認するものである。プレバイオティックとして、慢性炎症の管理および腸内微生物叢の調整という観点において、α-シヌクレインレベルを改善し、免疫系のバランスをとる作用のメカニズムについてのさらなる学術調査は、PDおよびADなどの神経炎症によってもたらされる他の疾患の理解を改善する可能性がある。
【0174】
(異なるベータグルカンとAFO-202との比較)
F26Sの研究からのα-シヌクレイン抑制データ
方法
神経芽細胞腫細胞株(SHSY-5Y Tet-On:SCC291)(MERCK)を10%FCS-DMEM/F12培地中に懸濁し、細胞数が5x10個/ウェルになるように96ウェルマイクロプレートに播種した。24時間のインキュベーション後、細胞を10%FCS-DMEM/F12培地で洗浄し、新たな10%FCS-DMEM/F12培地を加えた。
【0175】
次に、異なるベータグルカン(産生品1:ミセルグルカン(登録商標)(ゲルまたは液体タイプ)、株式会社RL-JP(日本)から購入;産生品2:ベータ-グルカンNEW EX(ゲルまたは液体タイプ)、株式会社アウレオ(日本)から購入;産生品3:イーストグルカン(Yeast Glucan)(カプセル、中身は粉体か?)、シェルライフジャパン株式会社(日本)から購入)を培地に加え、細胞を1日間培養した。インキュベーション後、ウェルをPBSで3回洗浄し、0.25%グルタルアルデヒド-PBS中に室温にて1時間固定した。固定後、ウェルをPBS-0.05%Tween(PBS-T)で3回洗浄した。PBS-Tでウェルを洗浄後、α-シヌクレインポリクローナル抗体(proteintech Co.10842-1-AP;1,000倍希釈)をウェルへ加え、室温にて1時間インキュベートした。その後、2%BSA-PBS-Tを加え、1hの間放置した(非特異的反応をブロックするため)。
【0176】
1時間後、ウェルをPBS-Tで洗浄し、50μLの5,000倍に希釈したビオチン標識抗ウサギIgG抗体(コスモ・バイオ)をウェルへ加え、室温にて40分間反応を行わせた。ウェルを洗浄後、50μLの10,000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(コスモ・バイオ)を加え、室温にて20分間反応を行わせた。再度ウェルを洗浄した後、50μLのTMB(コスモ・バイオ)をウェルへ加え、0.5M-HClで10分間反応を停止した。
【0177】
その後、マイクロプレートリーダー(450nm)(東ソー)を用いて、吸光度(OD値)を測定した。データは、δOD値(サンプルOD値-ブランクOD値)として表した。発現率は、対照(無し)に基づいて計算した。
【0178】
結果:
結果は表10にある。
【表10】
【0179】
α-シヌクレイン発現の減少は、AFO-202ベータグルカンにおいて最も大きかった。これらの細胞株が産生するα-シヌクレインは異常/ミスフォールディングであり、ならびに凝集の可能性があると考えられるので、その発現低下は異常なα-シヌクレインの産生の抑制であり、それゆえ利点であると考えられる。
【0180】
(睡眠パターンおよび血清メラトニンの改善)
はじめに:
睡眠問題は、自閉症および自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ小児の50~80%において報告されている[C1]。ASDを持つ青年および年長の小児においては、入眠の遅れ、短時間睡眠、および日中の眠気を包含する睡眠問題が大きいのに対して、年少の小児においては、就寝時の自律性、睡眠時の不安、パラソムニア(parasomnias)、夜間中途覚醒が顕著である[C2]。睡眠における問題は、親のストレスおよび家族全体の幸福に加えて、かんしゃく、攻撃行動、自傷行為、不注意、活動亢進、社会的相互行為、および反復行動などの自閉症の他の特色を悪化させる[C1、C3]。
【0181】
睡眠パターンを包含する概日リズムを調整する松果体によって分泌される神経ホルモンであるメラトニンは、自閉症を持つ個体においては低いレベルにて放出されることが示されており、ならびに不安症の緩和、感覚処理、痛みに対する抗侵害受容作用、また胃腸機能障害または腸内毒素症もの改善にも作用することで、自閉症における睡眠に対して明確な効果を有することが示されている[C3]。有意な割合のASDを持つ小児が、下痢および/または便秘、過敏性腸症候群等などの慢性的な胃腸の問題を有する。これらのGIT症状は、ストレスに対するコルチゾール反応、および腸内毒素症が誘発するASDにおける慢性炎症と関連しており[C2]、これが次には、自閉症における変化したメラトニンレベルとも関連性を有する[C2]。したがって、メラトニンの補充[C2、C4、C5]は、ASDに対して考えられている主な薬理学的アプローチの1つである。
【0182】
ASD小児における補助的なメラトニンの臨床的研究は、さまざまな程度で[C3]、睡眠の潜時および質を改善することを示している[C2、C4、C5]。また、メラトニンは、副作用はごくわずかであると報告されているが、たいていは睡眠障害の短期の処置において有効であることが発見されており、特定の臨床研究においては、追跡調査(6~12ヵ月)の間に明確な効果が薄れている[C6]ことに注意すべきである。天然に存在する化合物であるベータ(β)-グルカンは、免疫系に関連する経路に作用することによって、ストレスおよび精神障害を減少させることのみならず、代謝、抗がんにおいても幅広い生物学的反応を修飾する有益な効果を有することが示されている[C7]。米ぬか(RB)、およびキノコのコウタケの抽出物中に存在するベータ(β)-グルカンの存在下で、ラットの血清中のメラトニンレベルが上昇することを、動物研究が先に示している[C7、C8]。我々および他の学術調査チームは、黒酵母(オウレオバシディウム・プルランス)AFO-202由来の1,3-1,6ベータグルカンであるニチグルカンの、ヒト臨床研究における代謝障害[C9、C10]、がん[C11、C12]、およびCOVID-19の示唆されるワクチンアジュバントとしての[C13]有益な効果を先に報告している。ここに、われわれは、このパイロット臨床研究において、ASD小児の睡眠パターンおよび血清メラトニンレベルに対するニチグルカンの効果の研究を実施した。
【0183】
例4
材料および方法:
対照グループ(Gr.1)に4人、処置グループ(Gr.2)に9人、年齢幅2.5~13歳の13人のASDを持つ小児を本研究に包含した。Gr.2の対象は、既存治療に加えて、1グラムのニチグルカン(オウレオバシディウム・プルランスAFO-202株(FO-68[(受託番号)FERM BP-19327]とも呼ばれる)由来のβ-1,3-1,6グルカン)を食品サプリメントとして摂ったが、Gr.1は既存治療のみを90日の期間受けた。研究前後の血清メラトニンレベルを、睡眠パターンにおける主観的パラメータの評定とともに、両方のグループ内の介護者への質問票を用いて評価した。
【0184】
結果:
ニチグルカン補充グループ(Gr.2)においては、血清メラトニンが平均で、238.85ng/dl(介入前)から394.72ng/dl(介入後)までに増大し、これは対照グループ(Gr.1)よりも大きかった。ニチグルカングループ(Gr.2)における小児全員が、睡眠のパターンおよび質における改善を示した。
【0185】
結論
この種の報告において初めてとなる本文献において、オウレオバシディウム・プルランス由来のベータ1,3-1,6グルカンは、90日間摂った後、睡眠の質、パターン、および血清メラトニンレベルにおいて明らかな改善を示し、これは、ASDを持つ子供たちにおける彼らの睡眠の質を改善するための定型的な補充としてこれを推奨するために、そのメカニズムに関する検証および徹底的な学術調査のためのより大きな多中心性の研究を是認するものである。
【0186】
例5
材料および方法:
この研究は、インドのマドゥライにあるKenmax Medical Service Private Limitedの我が施設倫理委員会によって承認され、インド臨床試験登録機関において登録された(CTRI/2020/10/028322)。
【0187】
研究設計:
本研究に登録された対象は、CARS(小児自閉症評価尺度)を組み込んだ臨床面接を使用して検証された標準的な評定を使用して、発達小児科医によるASDの臨床診断を受けた。
ASDを持つ合計18人の対象(n=18)が、2つのアームを含むこの将来的な非盲検パイロット臨床試験に登録された。
アーム1またはグループ(Gr.)1:対照:ASDを持つ6人の対象(n=6)は、改善行動治療および1日あたり500mgのL-カルノシンからなる既存の処置を受けた。
アーム2またはグループ(Gr.)2:処置アーム:12人の対象(n=12)は、既存の処置に加えてニチグルカン(オウレオバシディウム・プルランスAFO-202株(FO-68[(受託番号)FERM BP-19327]とも呼ばれる)由来のβ-1,3-1,6グルカン)食品サプリメントを受けた。対象は90日の期間、2袋(各々0.5g)のニチグルカンを、1日2回食事とともに1袋を摂った。
【0188】
包含基準:
i.年齢:3~18歳
ii.2.性別:男性、女性の両方
iii.CARS(小児自閉症評価尺度)スコアによるASD基準
iv.保護者は、その小児が研究に積極的に参加することに同意する
【0189】
除外基準:
i.18歳を超えた対象
ii.急性の全身の病気を持つ、あるいは本試験の登録前2週間に、抗生物質、抗炎症剤、または抗酸化剤の処置を受けている、あらゆる小児。
iii.治験薬のいずれかに過敏症がある
iv.長期にわたる感染症の対象
【0190】
結果測定
i.質問票による睡眠パターンの評定:
親または介護者は、調査票を終えて、この調査においては、睡眠問題を査定するために、現地の文化的および社会的条件に合うように適応されている、22の質問(NICHD SECCYD-Wisconsin)からなる子供の睡眠習慣質問票簡略版(CSHQ-A)を使用した。
ii.血清メラトニンの評価:
日中に採取した末梢血において血清中のメラトニンレベルを測定した(ならびに、評価はヒトメラトニンELISAキット(BT-LAB(Bioassay Technology Laboratory)kit、中国)を用いて行った)。
【0191】
データ分析:
すべてのデータは、エクセルソフトウェア統計パッケージ分析ソフトウェア(Microsoft Office Excel(登録商標))を使用して分析し;スチューデントの対応のあるt検定もまたこのパッケージを使用して計算し;p値<0.05が有意であると考えた。
【0192】
結果:
登録の間に、対照Gr.1においてASDを持つ6人の対象(n=6)が登録できたが、処置グループ(Gr.2)においては、研究の開始前でさえ、そのうちの1人が脱落した。研究の間、3人の対象が追跡不能となり:Gr.1内で1人(対象が、別の都市へ転居した)、およびGr.2内で2人(1人は家庭内の社会的問題により、もう1人は別の都市へ転居した)。合計で13人の対象(Gr.1において4人、Gr.2において9人)が研究を終えた。Gr.1とGr.2の両方に、1人の女性の対象がいた。残りは男性であった。
【0193】
睡眠パターンにおける改善:
子どもの睡眠習慣関連調査票(CSHQ)では、Gr.1と比較してGr.2において、合計スコアに、特に就寝時の自律性および入眠時間における減少の点から、有意な低下があった(表11)。合計睡眠スコアは、ベースライン時に、Gr.1対照グループにおいては66から67までの範囲(平均=66.25±0.5)であったが、Gr.2(ニチグルカン)においては62から75までの範囲(平均=72±5.02)であった。研究終了時にて合計睡眠スコアは、Gr.1対照グループにおいては58から66までの範囲(平均=64±4)であったが、Gr.2(ニチグルカン)においては51から70までの範囲(平均64.22±7.47)であった。睡眠行動における改善を指摘する介入後の睡眠スコアの低下は、Gr.2において統計学的に有意であり(p値=0.009879)、ニチグルカンアームにおいては対象の睡眠パターンにおける有意な改善を示しているが、対照アームにおいては睡眠スコアにおける差異はいかなる統計学的に有意な改善も示さなかった(p値=0.153494)。合計睡眠スコアもまた、対照と比較してニチグルカングループにおいては十分に減少した(図28)。
【0194】
【表11】
【0195】
表11:子どもの睡眠習慣関連調査票(CSHQ)の結果であり、合計スコアにおいて有意な低下があり、対照Gr.1と比較してニチグルカンGr.2においては、就寝時の自律性および入眠時間における改善を指摘している。
【0196】
血清メラトニンレベル:
対照グループ(Gr.1)においては、血清メラトニンは平均で110.585から介入後にわずか114.11へ増加した(図29A)が、一方、ニチグルカン補充グループ(Gr.2)においては、血清メラトニンは平均で、介入前238.85ng/dlから介入後394.72ng/dlへ増大した(図29B)。増大倍率は、Gr.1においては1であったのと比較して、ニチグルカングループGr.2においては2.29であり(図29C)、Gr.2の方が大きいが、統計的に有意ではなかった(p値=0.065786)。
【0197】
副作用:
Gr.2において、ニチグルカンの補充後1週間、1人の小児だけが便通の増大に関連した軽度の副作用の可能性を示したが、これは自然治癒した。他の小児のいずれにおいても、副作用はなかった。
【0198】
検討:
ニチグルカンを用いたこの非盲検臨床試験において、ニチグルカングループ(Gr.2)における小児の大多数(9人中8人(88%)の対象)が、ニチグルカン補充後の睡眠スコアの減少によって観察された睡眠パターンおよび睡眠の質において改善を有したことを、我々は発見した。血清メラトニンは、Gr.1と比較してGr.2においてより大きく増大した。睡眠スコアは、Gr.1と比較してGr.2において有意に減少した(図28)。
【0199】
最小限の副作用しかなかった。これは、薬理学的な薬剤ではない栄養サプリメントが、対応する血清メラトニンの実験室評価において、ならびにASDを持つ小児において、証拠を持って睡眠パターンを改善することができたという、この種の研究の最初のものである。
【0200】
睡眠障害はASDを持つ小児において主要な問題であり、53%が入眠障害、40%が浅い眠り、34%が夜間覚醒、32%が睡眠からの覚醒障害における難題を有すると報告されている[C14]。熟睡が不足すると、感情的および機能的能力にも影響を及ぼし、次には、学術的および社会的機能、ならびにこれらの小児における関係性の維持における欠陥へとつながる。したがって、良質の睡眠を確保することは、ASDの治療に不可欠な部分となる。薬理学的介入の中では、メラトニン[C2、C4、C5]、トラゾドン、ベンゾジアゼピン、およびSSRI抗うつ薬が、小児集団において最も一般的に使用されている薬品を代表するものである[C15]。メラトニンの補充は、他の介入の副作用、およびその補充の明確な結果を示している臨床試験を考慮すると、依然として選択される処置である[C15]。とはいえ、メラトニンは長期よりも短期としてより効果的であるという報告もあるが、それらの研究は、ほとんどがASDを持たない個人においてのものである[C6]。
【0201】
投与が単純、容易であり、副作用が最小限または無い栄養サプリメントは、メラトニンの理想的な代替品となるであろう。本研究において、代謝性障害およびがん等において証明済みの効果[C9~12]とともに、数十年のあいだ食品サプリメントとして摂られてきたニチグルカン[C16]が、睡眠の質における改善および日中の血清メラトニンレベルの増大という点から、本研究の結果に基づく有望な戦略であることが示されている。
【0202】
ASD小児における低メラトニンレベルは、胚芽期における神経発達の間にその影響を及ぼしている、これらの小児の母親におけるメラトニン欠乏にその病因学的起源を有し得ると想定されている[C17]。別の研究では、ASDを持つ小児およびその母親の腸内マイクロバイオームプロファイルの間に明確な相関関係があることが報告されており、妊娠中の母親において早い段階の間にマイクロバイオームを評価し、ならびに微生物叢の調節を介してASDの個別化処置および防止を計画することの重要性が示唆されている[C17]。ベータグルカンはまた、腸内毒素症による根本的な慢性炎症を低減し、健康的なマイクロバイオームへ向かう調節を助けることが示されており、それは、慢性炎症がASD症状の重症度と関連していることが示されていることから、ASDにおいてさらに有利なものとなるであろう[C18]。したがって、ベータグルカンがASDを持つ小児においてメラトニンおよび睡眠の質を高めることを示している本研究に伴い、腸内微生物叢を調節し、メラトニンのレベルの増大の背後にある考えられるメカニズムとして腸内毒素症を逆転させ[C6、C19、C20]、それによって睡眠を改善するというベータグルカンの能力については、さらなる学術調査が必要である。
【0203】
これは単なるパイロット研究であり、ASDを持つ患者における行動面およびその他の症状に対するニチグルカンの有益な効果の可能性を研究することとは別に、数が非常に少ないことによる限界は、追加の大規模な研究によって克服されることが計画される。
【0204】
結論:
ASDを持つ患者は、黒酵母オウレオバシディウム・プルランスのAFO-202株が産生する1,3-1,6ベータグルカン(ニチグルカン)を用いた栄養補充のこの非盲検パイロット臨床研究において、睡眠の質における改善、および血清メラトニンのレベルが改善されたことを示した。ASDを持つ小児において、このパイロット研究において観察された行動改善およびその他のパラメータという点でのニチグルカンの有効性は、長期追跡を伴うより大きな研究において確認された時に、かかる小児において補助食品として推奨する価値がある。メカニズムおよび他の神経性パラメータとの相関関係の、さらなる徹底的な評価が推奨され、それが、かかる調査結果から、新規な解決策および薬剤候補に光を当てることもある。
【0205】
(メラトニンと腸内マイクロバイオームとの相関関係)
AFO-202の研究
方法
本研究には、無作為に割り付けたASDを持つ18人の対象が関与した:
対照グループ(グループ1)内の6人の対象は、改善行動治療および1日あたりL-カルノシン500mgを含む既存の処置を受け、ならびに12人の対象(グループ2)は、90日間、既存の処置に加えて0.5gのニチグルカンの補充を1日2回受けた。対象の便サンプルを、ベースライン時および介入後に採取した。
全ゲノムメタゲノム(WGM)配列決定を行った。
【0206】
結果
結果を図31~34に示す。
【0207】
推定:
すべての種、R.Hominis、R.intestinalis、R.inulinivorans、およびR.faecisが、AFO-202処理グループにおいて介入後に大きく増大した。R. inulinivoransおよびR. faecisは、対照グループにおいて減少した。本研究において報告されたメラトニンの増大および睡眠の改善(doi: 10.21203/rs.3.rs-701988/v1)は、ロゼブリアの存在量の増大に起因すると考え得る。
【0208】
(自閉症およびてんかんにおけるF5S腸マイクロバイオーム)
腸内マイクロバイオームのシード平均
シードとは何か:
2004年に、シード(http://pubseed.theseed.org/)は、何千ものゲノムにわたり首尾一貫した、ならびに正確な遺伝子アノテーションを提供し、de novoアノテーションを発見および開発するためのプラットフォームとして考案された。シードは、ゲノムデータベース、ウェブフロントエンド、API、およびサーバースクリプトを持つ、常に更新されるゲノムデータの統合体である。それは、遺伝子の機能を予測し、新たな経路を発見するために、多くの科学者によって使用されている。
【0209】
方法:
ASDを持つ18人の対象が、2つのアームからなる、この将来的な非盲検パイロット臨床試験に登録された。アーム1またはグループ1(対照グループ):ASDを持つ6人の対象が、改善行動治療および1日あたりL-カルノシン500mgを含む既存の処置を受けた。アーム2またはグループ2(ニチグルカングループ):12人の対象が、既存の処置(改善行動治療および1日あたりL-カルノシン500mg)に加えてニチグルカン食品サプリメントを用いた補充を受けた。各対象は90日の期間、1日2袋(各々0.5g)のニチグルカンを1日2回食事とともに1袋を摂った。
糞便サンプルは、ベースライン時および介入後90日で、無菌の糞便採取キットを使用して採取し、サンプルは実験室へ移送および処理するまで、-20℃にて保管した。DNA抽出用サンプルは、分析に必要となるまで-80℃にて保存した。
その後サンプルは、全ゲノムメタゲノム分析に利用した。最初に、リードを、ヒトDNAコンタミネーションを防ぐようにフィルターにかけた。フィルターにかけたリードは次に、細菌、真菌、ウイルス、および古細菌のゲノムにアライメントした。前処理したリードを使用してde novoアセンブリを実行し、スキャフォールドを得た。これらのスキャフォールドは次に、遺伝子予測に使用した。シードのアノテーションという点での存在量を分析した。
【0210】
結果
結果を図35および表9に示す。
【0211】
解釈
AFO-202ニチグルカン処置グループにおいて、炭水化物、脂肪酸、脂質、毒性、代謝物損傷、窒素代謝、ミトコンドリア電子伝達系等を包含する、すべての遺伝子アノテーション(代謝物および代謝機能)において数倍の減少がある。
【0212】
推定:
1.代謝経路および関連する機能遺伝子のほとんどが、自閉症とてんかんにおいて良質になるか、または高められている。
2.自閉症およびてんかんのために提唱されているケトン食療法は、他の研究においてシード分析によってこれらの経路の減少を示している。
3.したがって、本研究におけるAFO-202グループにおいてのシード相対平均データが数倍に減少したことは、本研究において報告された明確な臨床結果の原因である、腸内微生物叢の代謝経路を減少させることにおけるこのベータグルカンの利点を示している。
【0213】
F5Sの研究-α-シヌクレイン-F26S研究からのサポートデータ:
方法
神経芽細胞腫細胞株(SHSY-5Y Tet-On:SCC291)(MERCK)を10%FCS-DMEM/F12培地中に懸濁し、細胞数が5×10個/ウェルになるように96ウェルマイクロプレートに播種した。24時間のインキュベーション後、細胞を10%FCS-DMEM/F12培地で洗浄し、新たな10%FCS-DMEM/F12培地を加えた。
【0214】
その後、β-グルカンAFO-202(50μg/mL)とPMA(500ng/mL)(Sigma)とを培地へ加え、細胞を1~3日間培養した。インキュベーション後、ウェルをPBSで3回洗浄し、0.25%グルタルアルデヒド-PBS中に室温にて1時間固定した。固定後、ウェルをPBS-0.05%Tween(PBS-T)で3回洗浄した。PBS-Tでウェルを洗浄後、50μLの500倍に希釈したα-シヌクレインポリクローナルウサギ抗体(proteintech Co. 10842-1-AP)をウェルへ加え、室温で1hの間インキュベートした。その後、2%BSA-PBS-Tを加え、1hの間放置した(非特異的反応をブロックするため)。
【0215】
1時間後、ウェルをPBS-Tで洗浄し、50μLの5,000倍に希釈したビオチン標識抗ウサギIgG抗体(コスモ・バイオ)をウェルへ加え、室温にて40分間反応を行わせた。ウェルを洗浄後、50μLの10,000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(コスモ・バイオ)を加え、室温にて20分間反応を行わせた。再度ウェルを洗浄した後、50μLのTMB(コスモ・バイオ)をウェルへ加え、0.5M-HClで10分間反応を停止した。
【0216】
その後、マイクロプレートリーダー(450nm)(東ソー)を用いて、吸光度(OD値)を測定した。データは、δOD値(サンプルOD値-ブランクOD値)として表した。発現率は、対照(無し)に基づいて計算した。
【0217】
結果
結果を図36A~Bおよび以下の表12に示す。
【表12】
神経芽細胞腫細胞株(SHSY-5Y Tet-On:SCC291)をBGまたはPMAを用いて3日間刺激した。この実験においては、α-シヌクレインポリクローナル抗体(proteintech Co.10842-1-AP)を使用した(グルタルアルデヒド固定細胞ELISA)。
【0218】
AFO-202ベータグルカンが、αシヌクレイン発現を減少させる
解釈-I
αシヌクレイン発現は、細胞株においてAFO-202によって減少する。これらの細胞株が産生するASNは異常/ミスフォールディングであり、ならびに凝集の可能性があるので、その発現低下は異常なASNの産生の抑制であり、それゆえ利点であると考えられる。
【0219】
解釈-II
βグルカンは、ROSおよびミトコンドリアストレスを制御することができ、そのため上記の異常αSynの抑制は、そのメカニズムに起因するものと考え得る。
【0220】
解釈-III
細胞から細胞への伝達を示し得て、腸脳軸を通してプリオンのように増殖しやすいのは、凝集をもたらす異常なASNであり、そのため、その産生を細胞レベルで少なくするAFO-202は、根本原因自体で問題に対処するのに役立っている。
【0221】
解釈-IV
AFO-202は脂質異常症を調整し得るので、ならびに酸化された脂質代謝物と結合しているアルファ-シヌクレインはミトコンドリアの機能障害へとつながり、神経細胞障害へつながり得るので、(i)ミスフォールドしたアルファ-シヌクレインの産生を減少させ、(ii)脂質を調整するAFO-202は利点を有する。
【0222】
解釈-V
自閉症の小児におけるアルファ-シヌクレインの血漿レベルの増大(http://dx.doi.org/10.1136/bmjno-2021-000203)は、AFO-202ベータグルカンによって活性化されたNK細胞による沈着物を取り除くことに起因すると考え得る。
解釈-VI
ミクログリアを活性化するベータグルカンの能力は、CNSにおける凝集体を取り除くことにおいて利点であり、したがって自閉症研究におけるAFO-202の行動および睡眠パターンの改善に寄与する(http://dx.doi.org/10.1136/bmjno-2021-000203)。
【0223】
改変ならびに他の態様
記載されたグルカン産生品、組成物および方法のさまざまな改変および変形、ならびに本発明の概念は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本発明を、特定の好ましい態様に関連して記載したが、請求される本発明は、かかる特定の態様に限定されることを意図するものではないことを理解されたい。化学、生物学、医学、環境、化粧品または食品技術、あるいは関連分野の当業者にとって明白である、本発明を実行するための記載された形態のさまざまな改変は、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0224】
参考文献:
A1. Miller AL, Bessho S, Grando K, Tukel C. Microbiome or Infections: Amyloid-Containing Biofilms as a Trigger for Complex Human Diseases. Front Immunol. 2021 Feb 26;12:638867.
A2. Kang DW, Park JG, Ilhan ZE, Wallstrom G, Labaer J, Adams JB, Krajmalnik-Brown R. Reduced incidence of Prevotella and other fermenters in intestinal microflora of autistic children. PLoS One. 2013 Jul 3;8(7):e68322.
A3. Liu F, Li J, Wu F, Zheng H, Peng Q, Zhou H. Altered composition and function of intestinal microbiota in autism spectrum disorders: a systematic review. Transl Psychiatry. 2019 Jan 29;9(1):43.
A4. Shahi SK, Freedman SN, Murra AC, Zarei K, Sompallae R, Gibson-Corley KN, Karandikar NJ, Murray JA, Mangalam AK. Prevotella histicola, A Human Gut Commensal, Is as Potent as COPAXONE(R)(R) in an Animal Model of Multiple Sclerosis. Front Immunol. 2019 Mar 22;10:462
【0225】
Al-Mazidi, S., & Al-Ayadhi, L. Y. (2021). Plasma Levels of Alpha and Gamma Synucleins in Autism Spectrum Disorder: An Indicator of Severity. Medical principles and practice : international journal of the Kuwait University, Health Science Centre, 30(2), 160-167.
Bartels, T., De Schepper, S., & Hong, S. (2020). Microglia modulate neurodegeneration in Alzheimer's and Parkinson's diseases. Science (New York, N.Y.), 370(6512), 66-69.
Boziki, M. K., Kesidou, E., Theotokis, P., Mentis, A. A., Karafoulidou, E., Melnikov, M., Sviridova, A., Rogovski, V., Boyko, A., & Grigoriadis, N. (2020). Microbiome in Multiple Sclerosis; Where Are We, What We Know and Do Not Know. Brain sciences, 10(4), 234.
Ding, X., Xu, Y., Zhang, X., Zhang, L., Duan, G., Song, C., Li, Z., Yang, Y., Wang, Y., Wang, X., & Zhu, C. (2020). Gut microbiota changes in patients with autism spectrum disorders. Journal of psychiatric research, 129, 149-159.
De Angelis, M., Piccolo, M., Vannini, L., Siragusa, S., De Giacomo, A., Serrazzanetti, D. I., Cristofori, F., Guerzoni, M. E., Gobbetti, M., & Francavilla, R. (2013). Fecal microbiota and metabolome of children with autism and pervasive developmental disorder not otherwise specified. PloS one, 8(10), e76993.
Dedeepiya, V. D., Sivaraman, G., Venkatesh, A. P., Preethy, S., & Abraham, S. J. (2012). Potential effects of nichi glucan as a food supplement for diabetes mellitus and hyperlipidemia: preliminary findings from the study on three patients from India. Case reports in medicine, 2012, 895370.
Dilsizoglu Senol, A., Samarani, M., Syan, S., Guardia, C. M., Nonaka, T., Liv, N., Latour-Lambert, P., Hasegawa, M., Klumperman, J., Bonifacino, J. S., & Zurzolo, C. (2021). α-Synuclein fibrils subvert lysosome structure and function for the propagation of protein misfolding between cells through tunneling nanotubes. PLoS biology, 19(7), e3001287.
Earls, R. H., Menees, K. B., Chung, J., Gutekunst, C. A., Lee, H. J., Hazim, M. G., Rada, B., Wood, L. B., & Lee, J. K. (2020). NK cells clear α-synuclein and the depletion of NK cells exacerbates synuclein pathology in a mouse model of α-synucleinopathy. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 117(3), 1762-1771.
Ganesh, J. S., Rao, Y. Y., Ravikumar, R., Jayakrishnan, G. A., Iwasaki, M., Preethy, S., & Abraham, S. J. (2014). Beneficial effects of black yeast derived 1-3, 1-6 Beta Glucan-Nichi Glucan in a dyslipidemic individual of Indian origin--a case report. Journal of dietary supplements, 11(1), 1-6.
Grimaldi, R., Gibson, G. R., Vulevic, J., Giallourou, N., Castro-Mejia, J. L., Hansen, L. H., Leigh Gibson, E., Nielsen, D. S., & Costabile, A. (2018). A prebiotic intervention study in children with autism spectrum disorders (ASDs). Microbiome, 6(1), 133.
aIkewaki N, Onaka T, Ikeue Y, Nagataki M, Kurosawa G, Dedeepiya VD, Rajmohan M, Vaddi S, Senthilkumar R, Preethy S, Abraham SJK. Beneficial effects of the AFO-202 and N-163 strains of Aureobasidium pullulans produced 1,3-1,6 beta glucans on non-esterified fatty acid levels in obese diabetic KKAy mice: A comparative study.bioRxiv 2021.07.22.453362; doi: 10.1101/2021.07.22.453362
bIkewaki N, Kurosawa G, Iwasaki M, Preethy S, Dedeepiya VD, Vaddi S, Senthilkumar R, Levy GA, Abraham SJK. Hepatoprotective effects of Aureobasidium pullulans derived Beta 1,3-1,6 biological response modifier glucans in a STAM- animal model of non-alcoholic steatohepatitis .bioRxiv 2021.07.08.451700; doi: 10.1101/2021.07.08.451700
cIkewaki N, Sonoda T, Kurosawa G, Iwasaki M, Dedeepiya VD, Senthilkumar R, Preethy S, Abraham SJK. Immune and metabolic beneficial effects of Beta 1,3-1,6 glucans produced by two novel strains of Aureobasidium pullulans in healthy middle-aged Japanese men: An exploratory study. medRxiv 2021.08.05.21261640. doi: 10.1101/2021.08.05.21261640
Ikewaki N, Fujii N, Onaka T, Ikewaki S, Inoko H. Immunological actions of Sophy beta-glucan (beta-1,3-1,6 glucan), currently available commercially as a health food supplement. Microbiol Immunol. 2007;51:861-73.
Kang, D. W., Adams, J. B., Coleman, D. M., Pollard, E. L., Maldonado, J., McDonough-Means, S., Caporaso, J. G., & Krajmalnik-Brown, R. (2019). Long-term benefit of Microbiota Transfer Therapy on autism symptoms and gut microbiota. Scientific reports, 9(1), 5821.
Kang, D. W., Park, J. G., Ilhan, Z. E., Wallstrom, G., Labaer, J., Adams, J. B., & Krajmalnik-Brown, R. (2013). Reduced incidence of Prevotella and other fermenters in intestinal microflora of autistic children. PloS one, 8(7), e68322.
Kang, D. W., Ilhan, Z. E., Isern, N. G., Hoyt, D. W., Howsmon, D. P., Shaffer, M., Lozupone, C. A., Hahn, J., Adams, J. B., & Krajmalnik-Brown, R. (2018). Differences in fecal microbial metabolites and microbiota of children with autism spectrum disorders. Anaerobe, 49, 121-131.
Lindefeldt, M., Eng, A., Darban, H., Bjerkner, A., Zetterstrom, C. K., Allander, T., Andersson, B., Borenstein, E., Dahlin, M., & Prast-Nielsen, S. (2019). The ketogenic diet influences taxonomic and functional composition of the gut microbiota in children with severe epilepsy. NPJ biofilms and microbiomes, 5(1), 5.
Luna, E., & Luk, K. C. (2015). Bent out of shape: α-Synuclein misfolding and the convergence of pathogenic pathways in Parkinson's disease. FEBS letters, 589(24 Pt A), 3749-3759.
Miller, A. L., Bessho, S., Grando, K., & Tukel, C. (2021). Microbiome or Infections: Amyloid-Containing Biofilms as a Trigger for Complex Human Diseases. Frontiers in immunology, 12, 638867.
Morato Torres, C. A., Wassouf, Z., Zafar, F., Sastre, D., Outeiro, T. F., & Schule, B. (2020). The Role of Alpha-Synuclein and Other Parkinson's Genes in Neurodevelopmental and Neurodegenerative Disorders. International journal of molecular sciences, 21(16), 5724.
Murros, K. E., Huynh, V. A., Takala, T. M., & Saris, P. (2021). Desulfovibrio Bacteria Are Associated With Parkinson's Disease. Frontiers in cellular and infection microbiology, 11, 652617.
Oh, D., & Cheon, K. A. (2020). Alteration of Gut Microbiota in Autism Spectrum Disorder: An Overview. Soa--ch'ongsonyon chongsin uihak = Journal of child & adolescent psychiatry, 31(3), 131-145.
Raghavan, K., Dedeepiya, V. D., Suryaprakash, V., Rao, K. S., Ikewaki, N., Sonoda, T., Levy, G. A., Iwasaki, M., Senthilkumar, R., Preethy, S., & Abraham, S. J. (2022). Beneficial effects of novel aureobasidium pullulans strains produced beta-1,3-1,6 glucans on interleukin-6 and D-dimer levels in COVID-19 patients; results of a randomized multiple-arm pilot clinical study. Biomedicine & pharmacotherapy = Biomedecine & pharmacotherapie, 145, 112243.
aRaghavan, K., Dedeepiya, V.D., Ikewaki, N., Sonoda, T., Iwasaki., M., Preethy. S., Abraham, S.J.K. Improvement of behavioural pattern and alpha-synuclein levels in autism spectrum disorder after consumption of a beta-glucan food supplement in a randomized, parallel-group pilot clinical study. BMJ Neurology Open (In print). Preprint in MedRxiv: https://doi.org/10.1101/2021.06.28.21259619
bRaghavan, K., Dedeepiya, V.D. Kandaswamy, R., Balamurugan. M., Ikewaki, N., Sonoda, T., Kurosawa, G., Iwasaki, M., Preethy, S., Abraham, S.J.K. (2021). Improvement of sleep patterns and serum melatonin levels in children with autism spectrum disorders after consumption of beta-1,3/1,6-glucan in a pilot clinical study. Research Square rs.3.rs-701988/v1; doi: 10.21203/rs.3.rs-701988/v1
cRaghavan, K., Kandaswamy, R. S., Ikewaki, N., Iwasaki, M., & Abraham, S. (2021). Potentials to alleviate coagulopathy and enhance microglial function of beta (β)- glucans, making them worth a clinical study for COVID-19's neurological sequalae. Journal of the neurological sciences, 427, 117554.
Sampson, T. R., Challis, C., Jain, N., Moiseyenko, A., Ladinsky, M. S., Shastri, G. G., Thron, T., Needham, B. D., Horvath, I., Debelius, J. W., Janssen, S., Knight, R., Wittung-Stafshede, P., Gradinaru, V., Chapman, M., & Mazmanian, S. K. (2020). A gut bacterial amyloid promotes α-synuclein aggregation and motor impairment in mice. eLife, 9, e53111.
Santocchi, E., Guiducci, L., Prosperi, M., Calderoni, S., Gaggini, M., Apicella, F., Tancredi, R., Billeci, L., Mastromarino, P., Grossi, E., Gastaldelli, A., Morales, M. A., & Muratori, F. (2020). Effects of Probiotic Supplementation on Gastrointestinal, Sensory and Core Symptoms in Autism Spectrum Disorders: A Randomized Controlled Trial. Frontiers in psychiatry, 11, 550593.
Swirski, M., Miners, J. S., de Silva, R., Lashley, T., Ling, H., Holton, J., Revesz, T., & Love, S. (2014). Evaluating the relationship between amyloid-β and α-synuclein phosphorylated at Ser129 in dementia with Lewy bodies and Parkinson's disease. Alzheimer's research & therapy, 6(5-8), 77.
Souza, N. C., Mendonca, J. N., Portari, G. V., Jordao Junior, A. A., Marchini, J. S., & Chiarello, P. G. (2012). Intestinal permeability and nutritional status in developmental disorders. Alternative therapies in health and medicine, 18(2), 19-24.
Tomova A, Husarova V, Lakatosova S, Bakos J, Vlkova B, Babinska K, Ostatnikova D. Gastrointestinal microbiota in children with autism in Slovakia. Physiol Behav. 2015;138:179-87.
Werner, T., Horvath, I., & Wittung-Stafshede, P. (2020). Crosstalk Between Alpha-Synuclein and Other Human and Non-Human Amyloidogenic Proteins: Consequences for Amyloid Formation in Parkinson's Disease. Journal of Parkinson's disease, 10(3), 819-830.
【0226】
Shen RL, Dang XY, Dong JL, Hu XZ. Effects of oat β-glucan and barley β-glucan on fecal characteristics, intestinal microflora, and intestinal bacterial metabolites in rats. J Agric Food Chem. 2012 Nov 14;60(45):11301-8.
Turunen K, Tsouvelakidou E, Nomikos T, Mountzouris KC, Karamanolis D, Triantafillidis J, Kyriacou A. Impact of beta-glucan on the faecal microbiota of polypectomized patients: a pilot study. Anaerobe. 2011 Dec;17(6):403-6
Zhen W, Liu Y, Shao Y, Ma Y, Wu Y, Guo F, Abbas W, Guo Y, Wang Z. Yeast β-Glucan Altered Intestinal Microbiome and Metabolome in Older Hens. Front Microbiol. 2021 Dec 17;12:766878.
【0227】
1. Al-Mazidi, S., & Al-Ayadhi, L. Y. (2021). Plasma Levels of Alpha and Gamma Synucleins in Autism Spectrum Disorder: An Indicator of Severity. Medical principles and practice : international journal of the Kuwait University, Health Science Centre, 30(2), 160-167. https://doi.org/10.1159/000513935
2. Alp, H., Varol, S., Celik, M. M., Altas, M., Evliyaoglu, O., Tokgoz, O., Tanriverdi, M. H., & Uzar, E. (2012). Protective effects of beta glucan and gliclazide on brain tissue and sciatic nerve of diabetic rats induced by streptozosin. Experimental diabetes research, 2012, 230342. https://doi.org/10.1155/2012/230342
3. Centers for Disease Control and Prevention. What is Autism Spectrum Disorder? Retrieved from https://www.cdc.gov/ncbddd/autism/facts.html
4. Dedeepiya, V. D., Sivaraman, G., Venkatesh, A. P., Preethy, S., & Abraham, S. J. (2012).
5. Potential effects of nichi glucan as a food supplement for diabetes mellitus and hyperlipidemia: preliminary findings from the study on three patients from India. Case reports in medicine, 2012, 895370. https://doi.org/10.1155/2012/895370
6. Ganesh, J. S., Rao, Y. Y., Ravikumar, R., Jayakrishnan, G. A., Iwasaki, M., Preethy, S., & Abraham, S. J. (2014). Beneficial effects of black yeast derived 1-3, 1-6 Beta Glucan-Nichi Glucan in a dyslipidemic individual of Indian origin--a case report. Journal of dietary supplements, 11(1), 1-6. https://doi.org/10.3109/19390211.2013.859211
7. Ikewaki, N., Fujii, N., Onaka, T., Ikewaki, S., & Inoko, H. (2007). Immunological actionsof Sophy beta-glucan (beta-1,3-1,6 glucan), currently available commercially as a healthfood supplement. Microbiology and immunology, 51(9), 861-873. https://doi.org/10.1111/j.1348-0421.2007.tb03982.x
8. Ikewaki, N., Iwasaki, M., Kurosawa, G., Rao, K. S., Lakey-Beitia, J., Preethy, S., & Abraham, S. J. (2021). β-glucans: wide-spectrum immune-balancing food-supplement-based enteric (β-WIFE) vaccine adjuvant approach to COVID-19. Human vaccines & immunotherapeutics, 1-6. Advance online publication. https://doi.org/10.1080/21645515.2021.1880210
9. Kadak, M. T., Cetin, I., Tarakcioglu, M. C., Ozer, O. F., Kacar, S., & Cimen, B. (2015). Low Serum Level α-Synuclein and Tau Protein in Autism Spectrum Disorder Compared to Controls. Neuropediatrics, 46(6), 410-415. https://doi.org/10.1055/s-0035-1565273
10. Karhu, E., Zukerman, R., Eshraghi, R. S., Mittal, J., Deth, R. C., Castejon, A. M., Trivedi, M., Mittal, R., & Eshraghi, A. A. (2020). Nutritional interventions for autism spectrum disorder. Nutrition reviews, 78(7), 515-531. https://doi.org/10.1093/nutrit/nuz092
11. Obergasteiger, J., Uberbacher, C., Pramstaller, P. P., Hicks, A. A., Corti, C., & Volta, M. (2017). CADPS2 gene expression is oppositely regulated by LRRK2 and alpha-synuclein. Biochemical and biophysical research communications, 490(3), 876-881. https://doi.org/10.1016/j.bbrc.2017.06.134
12. Peng, M., Tabashsum, Z., Anderson, M., Truong, A., Houser, A. K., Padilla, J., Akmel, A., Bhatti, J., Rahaman, S. O., & Biswas, D. (2020). Effectiveness of probiotics, prebiotics, and prebiotic-like components in common functional foods. Comprehensive reviews in food science and food safety, 19(4), 1908-1933. https://doi.org/10.1111/1541-4337.12565
13. Rahayu, M., Kurniawan, S.N., Husna, M., Hermawan, H.O. (2016). The effect of beta glucan of saccharomyces cerevisae on the decrease of alpha synuclein expression in the brain substantia nigra of parkinson’s wistar strain rats (rattus novergicus) model induced with rotenone. Malang Neurology Journal 2(1). ISSN 2442-5001. Retrieved from https://mnj.ub.ac.id/index.php/mnj/article/view/32
12. Ramaekers, V. T., Sequeira, J. M., DiDuca, M., Vrancken, G., Thomas, A., Philippe, C., Peters, M., Jadot, A., & Quadros, E. V. (2019). Improving Outcome in Infantile Autism with Folate Receptor Autoimmunity and Nutritional Derangements: A Self-Controlled Trial. Autism research and treatment, 2019, 7486431. https://doi.org/10.1155/2019/7486431
13. Shah, V. B., Williams, D. L., & Keshvara, L. (2009). beta-Glucan attenuates TLR2- and TLR4-mediated cytokine production by microglia. Neuroscience letters, 458(3), 111-115. https://doi.org/10.1016/j.neulet.2009.04.039
14. Shi, H., Yu, Y., Lin, D., Zheng, P., Zhang, P., Hu, M., Wang, Q., Pan, W., Yang, X., Hu, T., Li, Q., Tang, R., Zhou, F., Zheng, K., & Huang, X. F. (2020). β-glucan attenuates cognitive impairment via the gut-brain axis in diet-induced obese mice. Microbiome, 8(1), 143. https://doi.org/10.1186/s40168-020-00920-y
15. Siddique, A., Khan, H. F., Ali, S., Abdullah, A., Munir, H., & Ariff, M. (2020). Estimation of Alpha-Synuclein Monomer and Oligomer Levels in the Saliva of the Children With Autism Spectrum Disorder: A Possibility for an Early Diagnosis. Cureus, 12(8), e9936. https://doi.org/10.7759/cureus.9936
16. Srikantha, P., & Mohajeri, M. H. (2019). The Possible Role of the Microbiota-Gut-Brain-Axis in Autism Spectrum Disorder. International journal of molecular sciences, 20(9),2115. https://doi.org/10.3390/ijms20092115
17. Sriwimol, W., & Limprasert, P. (2018). Significant Changes in Plasma Alpha-Synuclein and Beta-Synuclein Levels in Male Children with Autism Spectrum Disorder. BioMed research international, 2018, 4503871. https://doi.org/10.1155/2018/4503871
18. Xu, M., Mo, X., Huang, H., Chen, X., Liu, H., Peng, Z., Chen, L., Rong, S., Yang, W., Xu, S., & Liu, L. (2020). Yeast β-glucan alleviates cognitive deficit by regulating gut microbiota and metabolites in Aβ1-42-induced AD-like mice. International journal of biological macromolecules, 161, 258-270. https://doi.org/10.1016/j.ijbiomac.2020.05.180
19. Vargas, K. J., Schrod, N., Davis, T., Fernandez-Busnadiego, R., Taguchi, Y. V., Laugks, U., Lucic, V., & Chandra, S. S. (2017). Synucleins Have Multiple Effects on Presynaptic Architecture. Cell reports, 18(1), 161-173. https://doi.org/10.1016/j.celrep.2016.12.023
【0228】
C1. Goldman SE, Richdale AL, Clemons T, Malow BA. Parental sleep concerns in autism spectrum disorders: variations from childhood to adolescence. J Autism Dev Disord. 2012 Apr;42(4):531-8.
C2. Malow B, Adkins KW, McGrew SG, Wang L, Goldman SE, Fawkes D, Burnette C. Melatonin for sleep in children with autism: a controlled trial examining dose, tolerability, and outcomes. J Autism Dev Disord. 2012 Aug;42(8):1729-37
C3. Gagnon K, Godbout R. Melatonin and Comorbidities in Children with Autism Spectrum Disorder. Curr Dev Disord Rep. 2018;5(3):197-206.
C4. Maras A, Schroder CM, Malow BA, Findling RL, Breddy J, Nir T, Shahmoon S, Zisapel N, Gringras P. Long-Term Efficacy and Safety of Pediatric Prolonged-Release Melatonin for Insomnia in Children with Autism Spectrum Disorder. J Child Adolesc Psychopharmacol. 2018 Dec;28(10):699-710.
C5. Cortesi F, Giannotti F, Sebastiani T, Panunzi S, Valente D. Controlled-release melatonin, singly and combined with cognitive behavioural therapy, for persistent insomnia in children with autism spectrum disorders: a randomized placebo-controlled trial. J Sleep Res. 2012 Dec;21(6):700-9. doi: 10.1111/j.1365-2869.2012.01021.x.
C6. Russcher M, Koch BC, Nagtegaal JE, van Ittersum FJ, Pasker-de Jong PC, Hagen EC, van Dorp WT, Gabreels B, Wildbergh TX, van der Westerlaken MM, Gaillard CA, Ter Wee PM. Long-term effects of melatonin on quality of life and sleep in haemodialysis patients (Melody study): a randomized controlled trial. Br J Clin Pharmacol. 2013 Nov;76(5):668-79. doi: 10.1111/bcp.12093.
C7. Costa HFB, Chemical and biological characterization of an aqueous Sambucus nigra L. flower extract 2019.
C8. Dutta SD, Patel DK, Ganguly K, Lim KT. Effects of GABA/β-glucan supplements on melatonin and serotonin content extracted from natural resources. PLoS One. 2021 Mar 5;16(3):e0247890. doi: 10.1371/journal.pone.0247890.
C9. Dedeepiya VD, Sivaraman G, Venkatesh AP, et al. Potential effects of nichi glucan as a food supplement for diabetes mellitus and hyperlipidemia: preliminary findings from the study on three patients from India. Case Rep Med 2012 (2012) :895370.
C10. Ganesh JS, Rao YY, Ravikumar R, Jayakrishnan GA, Iwasaki M, Preethy S, Abraham SJ. Beneficial effects of black yeast derived 1-3, 1-6 Beta Glucan-Nichi Glucan in a dyslipidemic individual of Indian origin--a case report. J Diet Suppl (2014)11:1-6.
C11. Mizobuchi S, Taniwaki C, Watanabe Y, Sasaguri S. Antitumor effects of combined therapy with intraperitoneal CDDP and oral Sofy β-glucan. Abstract presented at the 63rd General Meeting of the Japanese Society of Gastroenterology, Japan (2008).
C12. Mio M. Effect of oral intake of black yeast beta-glucan on NK activity in the elderly and patients with cancer. Abstract presented at 29th Annual Meeting of the Japanese Society of Venous and Enteral Nutrition Pacifico Yokohama, Japan (2014).
C13. Katoh S, Rao KS, Suryaprakash V, Horiguchi A, Kushibiki T, Ojima K, Iwasaki M, Takeda M, Senthilkumar R, Rajmohan M, Karthick R, Preethy S, Abraham S. β-Glucans: Wide-spectrum Immune-balancing Food-supplement-based Enteric (β-WIFE) Vaccine Adjuvant Approach to COVID-19. Human Vaccines & Immunotherapeutics (2021)
C14. Parvataneni T, Srinivas S, Shah K, Patel RS. Perspective on Melatonin Use for Sleep Problems in Autism and Attention-Deficit Hyperactivity Disorder: A Systematic Review of Randomized Clinical Trials. Cureus. 2020 May 28;12(5):e8335. doi: 10.7759/cureus.8335.
C15. Ikewaki N, Fujii N, Onaka T, Ikewaki S, Inoko H. Immunological actions of Sophy beta-glucan (beta-1,3-1,6 glucan), currently available commercially as a health food supplement. Microbiol Immunol. 2007;51(9):861-73. doi: 10.1111/j.1348-0421.2007.tb03982.x.
C16. Braam W, Ehrhart F, Maas APHM, Smits MG, Curfs L. Low maternal melatonin level increases autism spectrum disorder risk in children. Res Dev Disabil. 2018 Nov;82:79-89. doi: 10.1016/j.ridd.2018.02.017.
C17. Li N, Yang J, Zhang J, Liang C, Wang Y, Chen B, Zhao C, Wang J, Zhang G, Zhao D, Liu Y, Zhang L, Yang J, Li G, Gai Z, Zhang L, Zhao G. Correlation of Gut Microbiome Between ASD Children and Mothers and Potential Biomarkers for Risk Assessment. Genomics Proteomics Bioinformatics. 2019 Feb;17(1):26-38. doi: 10.1016/j.gpb.2019.01.002. Epub 2019 Apr 23. PMID: 31026579; PMCID: PMC6520911.
C18. Innate Immunity and Neuroinflammation in Neuropsychiatric Conditions Including Autism Spectrum Disorders: Role of Innate Immune Memory. Harumi Jyonouchi DOI: 10.5772/intechopen.87167
C19. Cheng WY, Lam KL, Pik-Shan Kong A, Chi-Keung Cheung P. Prebiotic supplementation (beta-glucan and inulin) attenuates circadian misalignment induced by shifted light-dark cycle in mice by modulating circadian gene expression. Food Res Int. 2020 Nov;137:109437. doi: 10.1016/j.foodres.2020.109437.
C20. Shi H, Yu Y, Lin D, Zheng P, Zhang P, Hu M, Wang Q, Pan W, Yang X, Hu T, Li Q, Tang R, Zhou F, Zheng K, Huang XF. β-glucan attenuates cognitive impairment via the gut-brain axis in diet-induced obese mice. Microbiome. 2020 Oct 2;8(1):143. doi: 10.1186/s40168-020-00920-y.
【0229】
D1. Valdes AM, Walter J, Segal E, Spector TD. Role of the gut microbiota in nutrition and health. BMJ. 2018 Jun 13;361:k2179.
D2. Ghaisas S, Maher J, Kanthasamy A. Gut microbiome in health and disease: Linking the microbiome-gut-brain axis and environmental factors in the pathogenesis of systemic and neurodegenerative diseases. Pharmacol Ther. 2016 Feb;158:52-62.
D3. Shreiner AB, Kao JY, Young VB. The gut microbiome in health and in disease. Curr Opin Gastroenterol. 2015 Jan;31(1):69-75. doi: 10.1097/MOG.0000000000000139. PMID: 25394236; PMCID: PMC4290017.
D4. Zierer J, Jackson MA, Kastenmuller G, Mangino M, Long T, Telenti A, Mohney RP, Small KS, Bell JT, Steves CJ, Valdes AM, Spector TD, Menni C. The fecal metabolome as a functional readout of the gut microbiome. Nat Genet. 2018 Jun;50(6):790-795.
D5. Dedeepiya V, Sivaraman G,Venkatesh A, Preethy S, Abraham S. Potential Effects of Nichi Glucan as a Food Supplement for Diabetes Mellitus and Hyperlipidemia; Preliminary Findings from the Study on Three Patients from India. Case Reports in Medicine 2012 (2012), Article ID 895370
D6. Ganesh JS, Rao YY, Ravikumar R, Jayakrishnan AG, Iwasaki M, Preethy S, Abraham S. Beneficial effects of Black yeast derived 1-3, 1-6 beta glucan- Nichi Glucan in a dyslipidemic individual of Indian origin - A case report. J Diet Suppl. 2014;11(1):1-6.
D7. Raghavan K, Dedeepiya VD, Ikewaki N, Sonoda T, Iwasaki M, Preethy S, Abraham SJK. Improvement of behavioural pattern and alpha-synuclein levels in autism spectrum disorder after consumption of a beta-glucan food supplement in a randomized, parallel-group pilot clinical study. BMJ Neurology Open (In print)
D8. Raghavan K, Dedeepiya VD, Kandaswamy R, Balamurugan M, Ikewaki N, Sonoda T, Kurosawa G, Iwasaki M, Preethy S, Abraham SJK. Improvement of sleep patterns and serum melatonin levels in children with autism spectrum disorders after consumption of beta-1,3/1,6-glucan in a pilot clinical study.Research Square rs.3.rs-701988/v1; doi: 10.21203/rs.3.rs-701988/v1
D9. Raghavan K, Dedeepiya VD, Srinivasan S, Pushkala S, Subramanian S, Ikewaki N, Iwasaki M, Senthilkumar R, Preethy S, Abraham S. Disease-modifying immune-modulatory effects of the N-163 strain of Aureobasidium pullulans-produced 1,3-1,6 Beta glucans in young boys with Duchenne muscular dystrophy: Results of an open-label, prospective, randomized, comparative clinical study. medRxiv 2021.12.13.21267706
D10. Ikewaki N, Kurosawa G, Iwasaki M, Preethy S, Dedeepiya VD, Vaddi S, Senthilkumar R, Levy GA, Abraham SJK. Hepatoprotective effects of Aureobasidium pullulans derived Beta 1,3-1,6 biological response modifier glucans in a STAM- animal model of non-alcoholic steatohepatitis .bioRxiv 2021.07.08.451700; doi: 10.1101/2021.07.08.451700
D11. Pushkala S, Seshayyan S, Theranirajan E, Sudhakar D, Raghavan K, Dedeepiya VD, Ikewaki N,Iwasaki M, Preethy S, Abraham S. Efficient control of IL-6, CRP and Ferritin in Covid-19 patients with two variants of Beta-1,3-1,6 glucans in combination, within 15 days in an open-label prospective clinical trial. medRxiv 2021.12.14.21267778; doi: 10.1101/2021.12.14.21267778
D12. Raghavan K, Dedeepiya VD, Suryaprakash V, Rao KS, Ikewaki N, Sonoda T, Levy GA, Iwasaki M, Senthilkumar R, Preethy S, Abraham SJK. Beneficial Effects of novel aureobasidium pullulans strains produced beta-1,3-1,6 glucans on interleukin-6 and D-Dimer levels in COVID-19 patients; results of a randomized multiple-arm pilot clinical study. Biomedicine and Pharmacotherapy 2021. sciencedirect. https://doi.org/10.1016/j.biopha.2021.112243
D13. Raghavan K, Dedeepiya VD, Yamamoto N, Ikewaki N, Sonoda T, Kurosawa G, Iwasaki M, Kandaswamy R, Senthilkumar R, Preethy S, Abraham SJK. Beneficial reconstitution of gut microbiota and control of alpha-synuclein and curli-amyloids-producing enterobacteria, by beta 1,3-1,6 glucans in a clinical pilot study of autism and potentials in neurodegenerative diseases. medRxiv 2021.10.26.21265505; doi: 10.1101/2021.10.26.21265505
D14. Bashir KMI, Choi JS. Clinical and Physiological Perspectives of β-Glucans: The Past, Present, and Future. Int J Mol Sci. 2017 Sep 5;18(9):1906.
D15. Ikewaki N, Fujii N, Onaka T, Ikewaki S, Inoko H. Immunological actions of Sophy beta-glucan (beta-1,3-1,6 glucan), currently available commercially as a health food supplement. Microbiol Immunol. 2007;51(9):861-73.
D16. Ikewaki N, Onaka T, Ikeue Y, Nagataki M, Kurosawa G, Dedeepiya VD, Rajmohan M, Vaddi S, Senthilkumar R, Preethy S, Abraham SJK. Beneficial effects of the AFO-202 and N-163 strains of Aureobasidium pullulans produced 1,3-1,6 beta glucans on non-esterified fatty acid levels in obese diabetic KKAy mice: A comparative study.bioRxiv 2021.07.22.453362; doi: 10.1101/2021.07.22.453362
D17. Ikewaki N, Sonoda T, Kurosawa G, Iwasaki M, Dedeepiya VD, Senthilkumar R, Preethy S, Abraham SJK. Immune and metabolic beneficial effects of Beta 1,3-1,6 glucans produced by two novel strains of Aureobasidium pullulans in healthy middle-aged Japanese men: An exploratory study. medRxiv 2021.08.05.21261640; doi: 10.1101/2021.08.05.21261640
D18. STAM Model. https://www.smccro-lab.com/service/service_disease_area/stam.html
D19. Nakashima A, Sugimoto R, Suzuki K, Shirakata Y, Hashiguchi T, Yoshida C, Nakano Y. Anti-fibrotic activity of Euglena gracilis and paramylon in a mouse model of non-alcoholic steatohepatitis. Food Sci Nutr. 2018;7(1):139-147
D20. Dantzer R. Neuroimmune Interactions: From the Brain to the Immune System and Vice Versa. Physiol Rev. 2018 Jan 1;98(1):477-504.
D21. Kolodziejczyk AA, Zheng D, Shibolet O, Elinav E. The role of the microbiome in NAFLD and NASH. EMBO Mol Med. 2019 Feb;11(2):e9302. doi: 10.15252/emmm.201809302. PMID: 30591521; PMCID: PMC6365925.
D22. Chen J, Vitetta L. Gut Microbiota Metabolites in NAFLD Pathogenesis and Therapeutic Implications. Int J Mol Sci. 2020 Jul 23;21(15):5214. doi: 10.3390/ijms21155214. PMID: 32717871; PMCID: PMC7432372.
D23. Kang DW, Adams JB, Vargason T, Santiago M, Hahn J, Krajmalnik-Brown R. Distinct Fecal and Plasma Metabolites in Children with Autism Spectrum Disorders and Their Modulation after Microbiota Transfer Therapy. mSphere. 2020 Oct 21;5(5):e00314-20. doi: 10.1128/mSphere.00314-20. PMID: 33087514; PMCID: PMC7580952.
D24. Vascellari S, Palmas V, Melis M, Pisanu S, Cusano R, Uva P, Perra D, Madau V, Sarchioto M, Oppo V, Simola N, Morelli M, Santoru ML, Atzori L, Melis M, Cossu G, Manzin A. Gut Microbiota and Metabolome Alterations Associated with Parkinson's Disease. mSystems. 2020 Sep 15;5(5):e00561-20. doi: 10.1128/mSystems.00561-20. PMID: 32934117; PMCID: PMC7498685.
D25. Gibson CM, Childs-Kean LM, Naziruddin Z, Howell CK. The alteration of the gut microbiome by immunosuppressive agents used in solid organ transplantation. Transpl Infect Dis. 2021 Feb;23(1):e13397.


図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C
図22D
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図25C
図25D
図26A
図26B
図26C
図27A
図27B
図27C
図28
図29A
図29B
図29C
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36A
図36B
図37
図38
【国際調査報告】