IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ センセオニクス,インコーポレーテッドの特許一覧

特表2024-519422分析物監視システムにおける干渉の検出および相関付け
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-13
(54)【発明の名称】分析物監視システムにおける干渉の検出および相関付け
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1459 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
A61B5/1459
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573140
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 US2022031035
(87)【国際公開番号】W WO2022251427
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/193,784
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501078166
【氏名又は名称】センセオニクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】デヘニス,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】モルテヤーロ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】チャバン,アビー
(72)【発明者】
【氏名】ベルバダプ,ベンカタ
(72)【発明者】
【氏名】ハフステトラー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マスチョッティ,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス,パトリシア
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL07
(57)【要約】
分析物センサの分析物指示薬に対する作用を検出し、それに対する補正を行うためのセンサ、システム、および方法。分析物指示薬は、分析物濃度、および分析物指示薬に対する作用(例えば、その劣化)に応じて変動する第1の検出可能な特性を呈するように構成することができる。また、分析物センサは、分析物指示薬に対する作用に応じて変動する第2の検出可能な特性(例えば、吸収)を呈するように構成された干渉物質指示薬も含むことができる。分析物センサは、(i)分析物指示薬が呈する第1の検出可能な特性に基づいて分析物測定値を生成し、(ii)干渉物質指示薬が呈する第2の検出可能な特性に基づいて、干渉物質測定値を生成することができる。分析物センサは、トランシーバも含むシステムの一部であってもよい。トランシーバは、分析物測定値および干渉物質測定値を使用して、分析物レベルを計算することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物監視システムであって、
分析物指示薬であって、少なくとも(i)媒体内における分析物の量または濃度、および(ii)当該分析物指示薬に対する作用に応じて変動する第1の検出可能な特性を有する、分析物指示薬と、
前記分析物指示薬に対する作用に応じて変動する吸収を有する干渉物質指示薬と、
前記分析物指示薬の第1の検出可能な特性に基づいて、(i)分析物測定値を生成し、少なくとも前記干渉物質指示薬の吸収に基づいて、(ii)基準測定値を生成するように構成されたセンサ・エレメントと、
コントローラであって、
(i)少なくとも前記基準測定値に基づいて、前記分析物指示薬に対する作用を計算し、
(ii)少なくとも前記分析物指示薬に対して計算した作用に基づいて、変換関数を調節し、
(iii)前記調節した変換関数および前記分析物測定値を使用して、分析物レベルを計算する、
ように構成される、コントローラと、
を備える、分析物監視システム。
【請求項2】
請求項1記載の分析物監視システムにおいて、前記分析物指示薬に対する作用が、前記分析物指示薬の劣化である、分析物監視システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の分析物監視システムであって、更に、前記分析物指示薬と前記干渉物質指示薬とを含む指示薬エレメントを備え、前記分析物指示薬が、前記指示薬エレメント全域にわたって分散された分析物指示薬分子を含み、前記干渉物質指示薬が、前記指示薬エレメント全域にわたって分散された干渉物質指示薬分子を含む、分析物監視システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の分析物監視システムにおいて、前記センサ・エレメントが、
第1励起光を前記分析物指示薬に向けて放出するように構成された第1光源と、
前記分析物指示薬によって放出された第1放出光を受光し、前記分析物測定値を出力するように構成された信号光検出器であって、前記分析物測定値が、前記信号光検出器が受光した前記第1放出光の量を示す、信号光検出器と、
を含む、分析物監視システム。
【請求項5】
請求項4記載の分析物監視システムにおいて、前記センサ・エレメントが、更に、第2励起光を前記干渉物質指示薬に向けて放出するように構成された第2光源を含む、分析物監視システム。
【請求項6】
請求項5記載の分析物監視システムにおいて、前記信号検出器が、更に、ある量の前記第2励起光を受光し、前記基準測定値を出力するように構成され、前記基準測定値が、前記第2励起光の受光量を示し、前記第2励起光の受光量が、前記干渉物質指示薬の吸収を示す、分析物監視システム。
【請求項7】
請求項5記載の分析物監視システムにおいて、前記センサ・エレメントが、更に、ある量の前記第2励起光を受光し、前記基準測定値を出力するように構成された基準光検出器を含み、前記基準測定値が、前記第2励起光の受光量を示し、前記第2励起光の受光量が、前記干渉物質指示薬の吸収を示す、分析物監視システム。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項記載の分析物監視システムにおいて、前記センサ・エレメントが、更に、前記干渉物質指示薬によって放出された第2放出光を受光し、前記干渉物質光検出器が受光した前記第2放出光の量を示す干渉物質測定値を出力するように構成された干渉物質光検出器を含む、分析物監視システム。
【請求項9】
請求項8記載の分析物監視システムにおいて、前記第2放出光が、前記分析物指示薬に対する作用に応じて変動する、分析物監視システム。
【請求項10】
請求項8または9記載の分析物監視システムにおいて、前記センサ・エレメントが、ある量の前記第1励起光を受光し、前記第1励起光の受光量を示す第1基準測定値を出力するように構成された第1基準光検出器を含む、分析物監視システム。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項記載の分析物監視システムにおいて、前記干渉物質指示薬によって放出された第2放出光が、前記媒体内における分析物の量または濃度に応じて変動しない、分析物監視システム。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか1項記載の分析物監視システムにおいて、前記プロセッサが、少なくとも前記基準測定値および前記干渉物質測定値に基づいて、前記分析物指示薬に対する作用を計算するように構成される、分析物監視システム。
【請求項13】
請求項8から12のいずれか1項記載の分析物監視システムにおいて、前記プロセッサが、少なくとも前記干渉物質測定値と前記基準測定値との比率に基づいて、前記分析物指示薬に対する作用を計算するように構成される、分析物監視システム。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項記載の分析物監視システムにおいて、前記干渉物質指示薬の吸収が、前記媒体内における分析物の量または濃度に応じて変動しない、分析物監視システム。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項記載の分析物監視システムにおいて、前記プロセッサが、更に、前記媒体内における血液の量を計算するように構成される、分析物監視システム。
【請求項16】
請求項15項記載の分析物監視システムにおいて、前記プロセッサが、少なくとも前記計算した前記分析物指示薬に対する効果、および前記計算した前記媒体内における血液の量に基づいて、前記変換関数を調節するように構成される、分析物監視システム。
【請求項17】
請求項15または16項記載の分析物監視システムにおいて、前記基準測定値が第2基準測定値であり、前記センサ・エレメントが、
第1励起光を前記分析物指示薬に向けて放出するように構成された第1光源と、
第2励起光を前記干渉物質指示薬に向けて放出するように構成された第2光源と、
ある量の前記第1励起光を受光し、前記第1励起光の受光量を示す第1基準測定値を出力するように構成された第1基準光検出器と、
信号光検出器であって、(i)前記分析物指示薬によって放出された第1励起光を受光し、前記分析物測定値を出力し、(ii)ある量の前記第2励起光を受光し、前記第2基準測定値を出力するように構成された信号光検出器であって、前記分析物測定値が、前記第1放出光の受光量を示し、前記第2基準測定値が、前記第2励起光の受光量を示す、光信号検出器と、
を含む、分析物監視システム。
【請求項18】
請求項15または16項記載の分析物監視システムにおいて、前記基準測定値が第2基準測定値であり、前記センサ・エレメントが、
第1励起光を前記分析物指示薬に向けて放出するように構成された第1光源と、
第2励起光を前記干渉物質指示薬に向けて放出するように構成された第2光源と、
ある量の前記第1励起光を受光し、前記第1励起光の受光量を示す第1基準測定値を出力するように構成された第1基準光検出器と、
前記分析物指示薬によって放出された第1放出光を受光し、前記分析物測定値を出力するように構成された信号光検出器であって、前記分析物測定値が、前記第1放出光の受光量を示す、信号光検出器と、
ある量の第2励起光を受光し、前記第2基準測定値を出力するように構成された第2基準光検出器であって、前記第2基準測定値が、前記第2励起光の受光量を示す、第2基準光検出器と、
を含む、分析物監視システム。
【請求項19】
請求項17または18項記載の分析物監視システムにおいて、前記プロセッサが、少なくとも前記第1および第2基準測定値に基づいて、前記媒体内における血液の量を計算するように構成される、分析物監視システム。
【請求項20】
請求項17から19のいずれか1項記載の分析物監視システムにおいて、前記プロセッサが、少なくとも前記第1および第2基準測定値の比率に基づいて、前記媒体内における血液の量を計算するように構成される、分析物監視システム。
【請求項21】
請求項15から20のいずれか1項記載の分析物監視システムにおいて、前記センサ・エレメントが、干渉物質光検出器を含み、前記干渉物質光検出器が、前記干渉物質指示薬によって放出された放出光を受光し、当該干渉物質光検出器が受光した前記放出光の量を示す干渉物質測定値を出力するように構成され、前記プロセッサが、少なくとも前記干渉物質測定値に基づいて、前記媒体内における血液の量を計算するように構成される、分析物監視システム。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか1項記載の分析物監視システムにおいて、前記干渉物質指示薬が、前記分析物指示薬に対する作用に応じて変動する第2の検出可能な特性を有し、前記センサ・エレメントが、更に、前記分析物指示薬の前記第2検出可能な特性に基づいて、干渉物質測定値を生成するように構成され、前記プロセッサが、少なくとも前記基準測定値および前記干渉物質測定値に基づいて、前記分析物指示薬に対する作用を計算するように構成される、分析物監視システム。
【請求項23】
請求項22記載の分析物監視システムにおいて、前記プロセッサが、少なくとも前記干渉物質測定値と前記基準測定値との比率に基づいて、前記分析物質指示薬に対する作用を計算するように構成される、分析物監視システム。
【請求項24】
方法であって、
分析物指示薬を使用して、媒体内における分析物の量または濃度を示す分析物測定値を生成するステップであって、前記分析物測定値が、少なくとも、前記分析物指示薬に対する作用に応じて変動する、ステップと、
干渉物質指示薬を使用して、前記干渉物質指示薬の吸収を示す基準測定値を生成するステップであって、前記吸収が、前記分析物指示薬に対する作用に応じて変動する、ステップと、
少なくとも前記基準測定値に基づいて、前記分析物指示薬に対する作用を計算するステップと、
少なくとも前記計算した分析物指示薬に対する作用に基づいて、変換関数を調節するステップと、
前記調節した変換関数および前記分析物測定値を使用して、分析物レベルを計算するステップと、
を含む、方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、前記分析物指示薬に対する作用が、前記分析物指示薬の劣化である、方法。
【請求項26】
請求項24または25記載の方法において、前記分析物指示薬を使用して前記分析物測定値を生成するステップが、
第1励起光を前記分析物指示薬に向けて放出するステップと、
前記分析物指示薬によって放出された第1放出光を受光し、前記分析物測定値を出力するように構成された信号光検出器を使用するステップであって、前記分析物測定値が、前記信号光検出器が受光した第1放出光の量を示す、ステップと、
を含む、方法。
【請求項27】
請求項26記載の方法において、前記干渉物質指示薬を使用して前記基準測定値を生成するステップが、第2励起光を前記干渉物質指示薬に向けて放出するステップを含む、方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、前記干渉物質指示薬を使用して前記基準測定値を生成するステップが、更に、前記信号光検出器を使用して、ある量の前記第2励起光を受光し、前記基準測定値を出力するステップを含み、前記基準測定値が、前記第2励起光の受光量を示し、前記第2励起光の受光量が、前記干渉物質指示薬の吸収を示す、方法。
【請求項29】
請求項27記載の方法において、前記干渉物質指示薬を使用して前記基準測定値を生成するステップが、更に、基準光検出器を使用して、ある量の前記第2励起光を受光し、前記基準測定値を出力するステップを含み、前記基準測定値が、前記第2励起光の受光量を示し、前記第2励起光の受光量が、前記干渉物質指示薬の吸収を示す、方法。
【請求項30】
請求項27から29のいずれか1項記載の方法であって、更に、干渉物質光検出器を使用して、前記干渉物質指示薬によって放出された第2放出光を受光し、前記干渉物質検出器が受光した前記第2放出光の量を示す干渉物質測定値を出力するステップを含む、方法。
【請求項31】
請求項30記載の方法において、前記第2放出光が、前記分析物指示薬に対する作用に応じて変動する、方法。
【請求項32】
請求項30または31記載の方法であって、更に、第1基準光検出器を使用して、ある量の第1励起光を受光し、前記第1励起光の受光量を示す第1基準測定値を出力するステップを含む、方法。
【請求項33】
請求項30から32のいずれか1項記載の方法において、少なくとも、前記基準測定値および前記干渉物質測定値に基づいて、前記分析物指示薬に対する作用を計算する、方法。
【請求項34】
請求項30から33のいずれか1項記載の方法において、少なくとも、前記干渉物質測定値と前記基準測定値との比率に基づいて、前記分析物指示薬に対する作用を計算する、方法。
【請求項35】
請求項24から34のいずれか1項記載の方法であって、更に、前記媒体内における血液の量を計算するステップを含む、方法。
【請求項36】
請求項35記載の方法において、前記変換関数が、少なくとも、前記計算した前記分析物指示薬に対する作用、および前記計算した前記媒体内における血液の量に基づいて調節される、方法。
【請求項37】
請求項35または36記載の方法において、前記基準測定値が第2基準測定値であり、
前記分析物指示薬を使用して前記分析物測定値を生成するステップが、
第1励起光を前記分析物指示薬に向けて放出するステップと、
第1基準光検出器を使用して、ある量の前記第1励起光を受光し、前記第1励起光の受光量を示す第1基準測定値を出力するステップと、
信号検出器を使用して、前記分析物指示薬によって放出された第1放出光を受光し、前記分析物測定値を出力するステップであって、前記分析物測定値が、前記第1放出光の受光量を示す、ステップと、
を含み、
前記干渉物質指示薬を使用して前記基準測定値を生成するステップが、
第2励起光を前記干渉物質指示薬に向けて放出するステップと、
前記信号光検出器を使用して、ある量の前記第2励起光を受光し、前記第2基準測定値を出力するステップであって、前記第2基準測定値が、前記第2励起光の受光量を示す、ステップと、
を含み、
少なくとも前記第1および第2基準測定値に基づいて、前記媒体内における血液の量を計算する、方法。
【請求項38】
請求項35または36記載の方法において、前記基準測定値が第2基準測定値であり、
前記分析物指示薬を使用して前記分析物測定値を生成するステップが、
第1励起光を前記分析物指示薬に向けて放出するステップと、
第1基準光検出器を使用して、ある量の前記第1励起光を受光し、前記第1励起光の受光量を示す第1基準測定値を出力するステップと、
信号光検出器を使用して、前記分析物指示薬によって放出された第1放出光を受光し、前記分析物測定値を出力するステップであって、前記分析物測定値が、前記第1放出光の受光量を示す、ステップと、
を含み、
前記干渉物質指示薬を使用して前記基準測定値を生成するステップが、
第2励起光を前記干渉物質指示薬に向けて放出するステップと、
第2基準光検出器を使用して、ある量の前記第2励起光を受光し、前記第2基準測定値を出力するステップであって、前記第2基準測定値が、前記第2励起光の受光量を示す、ステップと、
を含み、
少なくとも前記第1および第2基準測定値に基づいて、前記媒体内における血液の量を計算する、方法。
【請求項39】
請求項37または38記載の方法において、少なくとも前記第1および第2基準測定値の比率に基づいて、前記媒体内における血液の量を計算する、方法。
【請求項40】
請求項35から39のいずれか1項記載の方法であって、更に、干渉物質光検出器を使用して、前記干渉物質指示薬によって放出された放出光を受光し、前記干渉物質光検出器が受光した前記放出光の量を示す干渉物質測定値を出力するステップを含み、少なくとも前記干渉物測定値に基づいて、前記媒体内における血液の量を計算する、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願に対する相互引用
[0001] 本願は、2021年5月27日に出願された米国仮特許出願第63/193,784号に対する優先権の権利を主張する。この特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。加えて、本願は、2020年11月9日に出願された米国特許出願第17/092,830号の一部継続出願である。米国特許出願第17/092,830号は、2018年4月19日に出願された米国特許出願第15/957,604号の継続出願である。米国特許出願第15/957,604号は、2017年4月19日に出願された米国仮特許出願第62/487,289号に対する優先権の利益を主張する。これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0002】
[0002] 発明の分野
[0003] 本発明は、一般的には、分析物監視システムにおける干渉の検出および相関付けに関する。干渉は、媒体(例えば、間質液)における血液、および/または分析物監視システムにおける分析物指示薬に対する作用(effect)(例えば、酸化誘起劣化)を含んでもよい。
【0003】
[0004] 背景の論述
[0005] 分析物監視システムは、分析物濃度(例えば、グルコース濃度)のような、分析物レベルを監視するために使用することができる。分析物監視システムの一種に、連続分析物監視システムがある。連続分析物監視システムは、1日を通して分析物レベルを測定し、糖尿病のような疾病の管理において非常に有益となることができる。
【0004】
[0006] 分析物監視システムの中には、分析物センサを含むものがあり、このセンサは動物内に(完全にまたは部分的に)埋め込むこともでき、更に分析物指示薬(analyte indicator)を含むこともできる。分析物指示薬に近接して間質液内にある血液、および/または分析物指示薬に対する作用は、分析物センサによる分析物(例えば、グルコース)の高精度な測定に干渉するおそれがある。例えば、分析物センサは、動物内に埋め込まれている間、感度パラメータ(例えば、較正定数)の変化の結果として、感度が低下する(lose)おそれがある。感度パラメータの変化は、例えば、分析物指示薬の劣化による可能性もある。劣化は、例えば、細胞によって生成される活性酸素種(ROS:reactive oxygen species)によって誘発される分析物指示薬の酸化が原因で生ずるおそれがある。例えば、米国特許第8,143,068号、米国特許第9,427,181号、および米国特許出願公開第2012/0238842号を参照のこと。これらの特許をここで引用したことにより、その各々の内容全体が本願にも含まれるものとする。生体における感度低下率(rate in vivo sensitivity loss)は、たとえば、耐酸化指示薬分子を使用し、触媒保護を統合し(integrate)、および/または活性酸素種(ROS)の劣化を促す(catalyze)メンブレーンを使用することによって、低下させることができる。しかしながら、生体における感度低下率を下げることによって、感度低下を完全に防げる訳ではない。経時的な感度パラメータの漸進変化が、分析物感知精度に悪影響を及ぼすおそれがあり、基準分析物測定値(たとえば、自己監視血糖測定値)を使用して較正し直すことが必要になる可能性があるが、これはユーザにとって不快である、および/またはそうでなければ(otherwise)、望ましくないのはもっともである。
【発明の概要】
【0005】
[0007] 本発明は、1つ以上の干渉物質(interferents)を検出し相関付けることができる分析物監視システムを提供することによって、従来システムの欠点を克服する。ある態様では、1つ以上の干渉物質が、媒体(例えば、間質液)における分析物(例えば、グルコース)の高精度測定に干渉するおそれがある。ある態様では、1つ以上の干渉物質が、媒体における血液を含む場合もある。ある態様では、1つ以上の干渉物質(interferents)が、分析物センサの分析物指示薬に対する作用を含む場合もある。先行技術のシステムでは、基準分析物測定値を使用する再較正のときでなければ1つ以上の干渉物質に対して補正できないのとは対照的に、本分析物監視システムは、利点の中でもとりわけ、基準分析物測定値を必要とせずに、1つ以上の干渉物質に対して補正することができる機能(ability)を提供することができる。ある態様では、分析物監視システムが、干渉物質指示薬を使用して1つ以上の干渉物質を測定する分析物センサを含むこともできる。ある態様では、干渉物質指示薬は、分析物には感応しない。ある態様では、干渉物質指示薬は、分析物指示薬に対する作用(例えば、活性酸素種(ROS))による劣化)と共に変動する1つ以上の特性を有することもできる。ある態様では、干渉物質指示薬の1つ以上の特性は、分析物指示薬に対する作用に応じて変動する吸収(absorption)を含むことができる。ある態様では、干渉物質指示薬の1つ以上の特性は、分析物指示薬に対する作用に応じて変化する光学特性を含むこともできる。ある態様では、干渉物質指示薬は、分析物指示薬に対する作用を測定し補正する基準染料(reference dye)として使用することもできる。ある態様では、分析物監視システムは、研究室における検査を通じて確定された経験的相関関係を使用して、1つ以上の干渉物質に対して補正することもできる。
【0006】
[0008] 本発明の一態様では、生体動物内の媒体における分析物測定のための分析物センサを提供することができる。この分析物センサは、分析物指示薬、劣化指示薬、およびセンサ・エレメントを含むことができる。分析物指示薬は、(i)媒体における分析物の量または濃度、および(ii)分析物指示薬が劣化した度合い(extent)に応じて変動する第1の検出可能な特性を呈するように構成することができる。劣化指示薬は、この劣化指示薬が劣化した度合いに応じて変化する第2の検出可能な特性を呈するように構成することができる。劣化指示薬が劣化した度合いは、分析物指示薬が劣化した度合いに対応することもできる。センサ・エレメントは、(i)分析物指示薬が呈する第1の検出可能な特性に基づいて分析物測定値を生成し、更に(ii)劣化指示薬が呈する第2の検出可能な特性に基づいて、劣化測定値を生成するように構成することができる。
【0007】
[0009] ある態様では、劣化指示薬が劣化した度合いは、分析物指示薬が劣化した度合いに比例する場合もある。ある態様では、分析物指示薬の劣化は、活性酸素種(ROS)が誘起する酸化を含むことができ、劣化指示薬の劣化は、ROSが誘起する酸化を含む。ある態様では、分析物指示薬はフェニルボロン系分析物指示薬(phenylboronic-based analyte)でもよい。ある態様では、劣化指示薬はフェニルボロン系劣化指示薬でもよい。
【0008】
[0010] ある態様では、分析物センサが、更に、分析物指示薬と劣化指示薬とを備えた指示薬エレメントを含むこともできる。ある態様では、分析物指示薬が、指示薬エレメント全域に分散された分析物指示薬分子を含むこともでき、劣化指示薬が、指示薬エレメント全域に分散された劣化指示薬分子を含むこともできる。ある態様では、第2の検出可能な特性が、媒体における分析物の量または濃度に応じて変動しない。
【0009】
[0011] ある態様では、センサ・エレメントが、第1光源と、第1光検出器とを含むことができる。第1光源は、第1励起光を分析物指示薬に向けて放出するように構成することができる。第1光検出器は、分析物指示薬によって放出された第1放出光を受光し、分析物測定値を出力するように構成される。分析物測定値は、第1光検出器が受光した第1放出光の量を示すことができる。ある態様では、センサ・エレメントが、第2光源と第2光検出器を含むこともできる。第2光源は、第2励起光を劣化指示薬に向けて放出するように構成することができる。第2光検出器は、劣化指示薬によって放出された第2放出光を受光し、劣化測定値を出力するように構成することができる。劣化測定値は、第2光検出器が受光した第2放出光の量を示すことができる。ある態様では、第1光検出器が、指示薬エレメントから反射した第2励起光を受光し、第1光検出器が受光した反射第2励起光の量を示す第1基準信号を出力するように構成することができる。ある態様では、センサ・エレメントが第3光検出器を含むこともできる。第3光検出器は、指示薬エレメントから反射した第1励起光を受光し、第3光検出器が受光した反射第1励起光の量を示す第2基準信号を出力するように構成される。
【0010】
[0012] 本発明の他の態様では、分析物センサの分析物指示薬を使用して、媒体内において分析物の量または濃度を測定するステップを含む方法を提供することができる。この方法は、分析物センサの劣化指示薬を使用して、劣化指示薬が劣化した度合いを測定するステップを含むことができる。この方法は、トランシーバのセンサ・インターフェース・デバイスを使用して、分析物センサから、媒体内における分析物の量または濃度を示す分析物測定値を受け取るステップを含むことができる。この方法は、トランシーバのセンサ・インターフェース・デバイスを使用して、分析物センサから、劣化指示薬が劣化した度合いを示す劣化測定値を受け取るステップを含むことができる。この方法は、トランシーバのコントローラを使用して、分析物センサの分析物指示薬が劣化した度合いを、少なくとも受け取った劣化測定値に基づいて、計算するステップを含むことができる。この方法は、トランシーバのコントローラを使用して、計算した分析物指示薬の劣化度合いに基づいて、変換関数(conversion function)を調節するステップを含むことができる。この方法は、トランシーバのコントローラを使用し、調節した変換関数および受け取った分析物測定値を使用して、分析物レベルを計算するステップを含むことができる。この方法は、計算した分析物レベルを表示するステップを含むことができる。
【0011】
[0013] 本発明の更に他の態様では、分析物センサとトランシーバとを含む分析物監視システムを提供することができる。分析物センサは、分析物指示薬と、劣化指示薬と、センサ・エレメントと、トランシーバ・インターフェース・デバイスとを含むことができる。分析物指示薬は、(i)媒体における分析物の量または濃度、および(ii)分析物指示薬が劣化した度合いに応じて変化する第1の検出可能な特性を呈するように構成することができる。劣化指示薬は、劣化指示薬が劣化した度合いに応じて変化する第2の検出可能な特性を呈するように構成することができる。センサ・エレメントは、(i)分析物指示薬が呈する第1の検出可能な特性に基づいて分析物測定値を生成し、更に(ii)劣化指示薬が呈する第2の検出可能な特性に基づいて、劣化測定値を生成するように構成することができる。トランシーバは、センサ・インターフェース・デバイスとコントローラとを含むことができる。コントローラは、(i)分析物センサのトランシーバ・インターフェース・デバイスおよびセンサ・インターフェース・デバイスを介して、分析物センサから分析物測定値を受け取り、(ii)分析物センサのトランシーバ・インターフェース・デバイスおよびセンサ・インターフェース・デバイスを介して、分析物センサから劣化測定値を受け取り、(iii)分析物センサの分析物指示薬が劣化した度合いを、少なくとも受け取った劣化測定値に基づいて計算し、(iv)計算した分析物指示薬の劣化度合いに基づいて、変換関数を調節し、(v)調節した変換関数および受け取った分析物測定値を使用して、分析物レベルを計算するように構成される。
【0012】
[0014] ある態様では、分析物センサが、更に、指示薬エレメントを含むこともでき、この指示薬エレメントが、分析物指示薬と劣化指示薬とを含むことができる。ある態様では、第2の検出可能な特性が、媒体における分析物の量または濃度に応じて変動しない。
【0013】
[0015] 本発明の更に他の態様では、分析物指示薬と、干渉物質指示薬と、センサ・エレメントと、コントローラとを含む分析物監視システムを提供することができる。分析物指示薬は、少なくとも(i)媒体における分析物の量または濃度、および(ii)分析物指示薬に対する作用に応じて変動する第1の検出可能な特性を有することができる。干渉物質指示薬は、分析物指示薬に対する作用に応じて変動する吸収を有することができる。センサ・エレメントは、(i)分析物指示薬の第1の検出可能な特性に基づいて分析物測定値を生成し、(ii)少なくとも干渉物質指示薬の吸収に基づいて基準測定値を生成するように構成することができる。コントローラは、(i)少なくとも基準測定値に基づいて、分析物指示薬に対する作用を計算し、(ii)少なくとも計算した分析物指示薬に対する作用に基づいて、変換関数を調節し、(iii)調節した変換関数および分析物測定値を使用して、分析物レベルを計算するように構成することができる。
【0014】
[0016] ある態様では、分析物指示薬に対する作用が、分析物指示薬の劣化であってもよい。ある態様では、このシステムは、更に、指示薬エレメントを含むことができる。指示薬エレメントは、分析物指示薬と干渉物質指示薬とを備え、分析物指示薬は、指示薬エレメント全域に分散された分析物指示薬分子を含むことができ、干渉物質指示薬は、指示薬エレメント全域に分散された干渉物質指示薬分子を含むことができる。
【0015】
[0017] ある態様では、センサ・エレメントは、第1励起光を分析物指示薬に向けて放出するように構成された第1光源と、分析物指示薬によって放出された第1放出光を受光し、分析物測定値を出力するように構成された信号光検出器とを含み、分析物測定値は、信号光検出器が受光した第1放出光の量を示すことができる。ある態様では、センサ・エレメントが、更に、第2励起光を干渉物質指示薬に向けて放出するように構成された第2光源を含むことができる。ある態様では、信号光検出器が、更に、ある量の第2励起光を受光し、基準測定値を出力するように構成することもでき、基準測定値が、第2励起光の受光量を示すことができ、第2励起光の受光量が、干渉物質指示薬の吸収を示すことができる。ある態様では、センサ・エレメントが、更に、基準光検出器を含むこともでき、基準光検出器が、ある量の第2励起光を受光し、基準測定値を出力するように構成され、基準測定値が、第2励起光の受光量を示すことができ、第2励起光の受光量が、干渉物質指示薬の吸収を示すことができる。
【0016】
[0018] ある態様では、センサ・エレメントが、更に、干渉物質光検出器も含むことができる。干渉物質光検出器は、干渉物質指示薬によって放出された第2放出光を受光し、干渉物質光検出器が受光した第2放出光の量を示す干渉物質測定値を出力するように構成される。ある態様では、第2放出光が、分析物指示薬に対する作用に応じて変動することができる。ある態様では、センサ・エレメントが第1基準光検出器を含むこともできる。第1基準光検出器は、ある量の第1励起光を受光し、第1励起光の受光量を示す第1基準測定値を出力するように構成される。ある態様では、干渉物質指示薬によって放出された第2放出光は、媒体における分析物の量または濃度に応じて変動しない。ある態様では、プロセッサが、少なくとも基準測定値および干渉物質測定値に基づいて、分析物指示薬に対する作用を計算するように構成することができる。ある態様では、プロセッサが、少なくとも干渉物質測定値と基準測定値の比率に基づいて、分析物指示薬に対する作用を計算するように構成することができる。
【0017】
[0019] ある態様では、プロセッサが、更に、媒体内における血液の量を計算するように構成することもできる。ある態様では、プロセッサが、少なくとも、計算した分析物指示薬に対する作用、および計算した媒体内における血液の量に基づいて、変換関数を調節するように構成することができる。ある態様では、基準測定値が第2基準測定値であってもよく、センサ・エレメントが、第1光源と、第2光源と、第1基準光検出器と、信号プロセッサとを含むことができる。ある態様では、第1光源が、第1励起光を分析物指示薬に向けて放出するように構成することができ、第2光源が、第2励起光を干渉物質指示薬に向けて放出するように構成することができ、第1基準光検出器が、ある量の第1励起光を受光し、第1励起光の受光量を示す第1基準測定値を出力するように構成することができ、更に信号光検出器が、(i)分析物指示薬によって放出された第1放出光を受光して、分析物測定値を出力し、(ii)ある量の第2励起光を受光し、第2基準測定値を出力するように構成することができる。ある態様では、分析物測定値が、第1放出光の受光量を示すことができ、第2基準測定値が、第2励起光の受光量を示すことができる。
【0018】
[0020] ある態様では、基準測定値が第2基準測定値であってもよく、センサ・エレメントが、第1光源と、第2光源と、第1基準光検出器と、信号光検出器とを含む。ある態様では、第1光源が、第1励起光を分析物指示薬に向けて放出するように構成することができ、第2光源が、第2励起光を干渉物質指示薬に向けて放出するように構成することができ、第1基準光検出器が、ある量の第1励起光を受光し、第1励起光の受光量を示す第1基準測定値を出力するように構成することができ、信号検光出器が、分析物指示薬によって放出された第1放出光を受光し、分析物測定値を出力するように構成することができ、分析物測定値が、第1放出光の受光量を示すことができ、第2基準光検出器が、ある量の第2励起光を受光し、第2基準測定値を出力するように構成することができ、第2基準測定値が、第2励起光の受光量を示すことができる。
【0019】
[0021] ある態様では、プロセッサが、少なくとも第1および第2基準測定値に基づいて、媒体内における血液の量を計算するように構成することができる。ある態様では、プロセッサが、少なくとも第1および第2基準測定値の比率に基づいて、媒体内における血液の量を計算するように構成することができる。ある態様では、センサ・エレメントが、干渉物質光検出器を含むことができ、干渉物質光検出器が、干渉物質指示薬によって放出された放出光を受光し、干渉物光検出器が受光した放出光の量を示す干渉物質測定値を出力するように構成され、更に、プロセッサが、少なくとも干渉物質測定値に基づいて、媒体内における血液の量を計算するように構成することができる。
【0020】
[0022] ある態様では、干渉物質指示薬が、分析物指示薬に対する作用に応じて変動する第2の検出可能な特性を有することもでき、センサ・エレメントが、更に、分析物指示薬の第2の検出可能な特性に基づいて、干渉物質測定値を生成するように構成することができ、プロセッサが、少なくとも基準測定値および干渉物質測定値に基づいて、分析物指示薬に対する作用を計算するように構成することができる。ある態様では、プロセッサが、少なくとも干渉物質測定値および基準測定値の比率に基づいて、分析物指示薬に対する作用を計算するように構成することもできる。
【0021】
[0023] 本発明の更に他の態様では、分析物指示薬を使用して、媒体内における分析物の量または濃度を示す分析物測定値を生成するステップを含む方法を提供することができ、分析物測定値は、少なくとも分析物指示薬に対する作用に応じて変動することができる。この方法は、干渉物質指示薬を使用して、干渉物質指示薬の吸収を示す基準測定値を生成するステップを含むことができ、吸収は、分析物指示薬に対する作用に応じて変動することができる。この方法は、少なくとも基準測定値に基づいて、分析物指示薬に対する作用を計算するステップを含むことができる。この方法は、少なくとも、計算した分析物指示薬に対する作用に基づいて、変換関数を調節するステップを含むことができる。この方法は、調節した変換関数および分析物測定値を使用して、分析物レベルを計算するステップを含むことができる。
【0022】
[0024] ある態様では、分析物指示薬に対する作用は、分析物指示薬の劣化であってもよい。
【0023】
[0025] ある態様では、分析物指示薬を使用して分析物測定値を生成するステップが、第1励起光を分析物指示薬に向けて放出するステップと、分析物指示薬によって放出された第1放出光を受光し、分析物測定値を出力するように構成された信号光検出器を使用するステップとを含むことができ、分析物測定値が、信号光検出器が受光した第1放出光の量を示すことができる。ある態様では、干渉物質指示薬を使用して基準測定値を生成するステップが、第2励起光を干渉物質指示薬に向けて放出するステップを含むことができる。ある態様では、干渉物質指示薬を使用して基準測定値を生成するステップが、更に、信号光検出器を使用して、ある量の第2励起光を受光し、基準測定値を出力するステップを含むことができ、基準測定値は、第2励起光の受光量を示すことができ、第2励起光の受光量が、干渉物質指示薬の吸収を示すことができる。ある態様では、干渉物質指示薬を使用して基準測定値を生成するステップが、更に、基準光検出器を使用して、ある量の第2励起光を受光し、基準測定値を出力するステップを含むことができ、基準測定値が、第2励起光の受光量を示すことができ、第2励起光の受光量が、干渉物質指示薬の吸収を示すことができる。
【0024】
[0026] ある態様では、この方法は、更に、干渉物質光検出器を使用して、干渉物質指示薬によって放出された第2放出光を受光し、干渉物質光検出器が受光した第2放出光の量を示す干渉物質測定値を出力するステップを含むことができる。ある態様では、第2放出光は、分析物指示薬に対する作用に応じて変動することができる。ある態様では、この方法は、更に、第1基準光検出器を使用して、ある量の第1励起光を受光し、第1励起光の受光量を示す第1基準測定値を出力するステップを含むことができる。ある態様では、少なくとも、基準測定値および干渉物質測定値に基づいて、分析物指示薬に対する作用を計算することができる。ある態様では、少なくとも、干渉物質測定値および基準測定値の比率に基づいて、分析物指示薬に対する作用を計算することもできる。
【0025】
[0027] ある態様では、この方法は、更に、媒体内における血液の量を計算するステップを含むことができる。ある態様では、変換関数は、少なくとも、計算した分析物指示薬に対する作用、および計算した媒体内における血液の量に基づいて、調節することができる。ある態様では、基準測定値が第2基準測定値であってもよく、分析物指示薬を使用して分析物測定値を生成するステップが、第1励起光を分析物指示薬に向けて放出するステップと、第1基準光検出器を使用して、ある量の第1励起光を受光し、第1励起光の受光量を示す第1基準測定値を出力するステップと、信号光検出器を使用して、分析物指示薬によって放出された第1放出光を受光し、分析物測定値を出力するステップとを含むことができる。ある態様では、分析物測定値が、第1放出光の受光量を示すことができる。ある態様では、干渉物質指示薬を使用して基準測定値を生成するステップが、第2励起光を干渉物質指示薬に向けて放出するステップと、信号光検出器を使用して、ある量の第2励起光を受光し、第2基準測定値を出力するステップを含むことができる。ある態様では、第2基準測定値は、第2励起光の受光量を示すことができ、少なくとも第1および第2基準測定値に基づいて、媒体内における血液の量を計算することができる。
【0026】
[0028] ある態様では、基準測定値が第2基準測定値であってもよく、分析物指示薬を使用して分析物測定値を生成するステップが、第1励起光を分析物指示薬に向けて放出するステップと、第1基準光検出器を使用して、ある量の第1励起光を受光し、第1励起光の受光量を示す第1基準測定値を出力するステップと、信号光検出器を使用して、分析物指示薬によって放出された第1放出光を受光し、分析物測定値を出力するステップとを含むことができる。ある態様では、分析物測定値が、第1放出光の受光量を示すことができる。ある態様では、干渉物質指示薬を使用して基準測定値を生成するステップが、第2励起光を干渉物質指示薬に向けて放出するステップと、第2基準光検出器を使用して、ある量の第2励起光を受光し、第2基準測定値を出力するステップを含むことができる。ある態様では、第2基準測定値が、第2励起光の受光量を示すことができる。ある態様では、少なくとも第1および第2基準測定値に基づいて、媒体内における血液の量を計算することができる。
【0027】
[0029] ある態様では、媒体内における血液の量は、少なくとも、第1および第2基準測定値の比率に基づいて計算することもできる。ある態様では、この方法は、更に、干渉物質光検出器を使用して、干渉物質指示薬によって放出された放出光を受光し、干渉物質光検出器が受光した放出光の量を示す干渉物質測定値を出力するステップを含むことができ、少なくとも干渉物質測定値に基づいて、媒体内における血液の量を計算することができる。
【0028】
[0030] 本発明の更に他の態様では、分析物監視システムを提供することができる。このシステムは、分析物指示薬と劣化指示薬とを含む指示薬エレメントを含むことができる。分析物指示薬は、少なくとも、媒体内における分析物の量または濃度に応じて変動する検出可能な特性を有することができる。このシステムは、第1励起光を分析物指示薬に向けて放出するように構成された第1光源を含むことができる。このシステムは、第2励起光を劣化指示薬に向けて放出するように構成された第2光源を含むことができる。このシステムは、1つ以上の光検出器を含むことができ、これらの光検出器は、(i)分析物指示薬によって放出された放出光を受光し、1つ以上の光検出器が受光した放出光の量を示す分析物測定値を出力し、(ii)指示薬エレメントから反射した第2励起光を受光し、1つ以上の光検出器が受光した反射第2励起光の量を示す基準測定値を出力するように構成される。基準測定値は、指示薬エレメントの不透明度を示す。このシステムは、(i)基準測定値に基づいて変換関数を調節し、(ii)調節した変換関数および分析物測定値を使用して、分析物レベルを計算するように構成されたコントローラを含むことができる。
【0029】
[0031] ある態様では、1つ以上の光検出器が信号光検出器を含むことができる。信号光検出器は、(i)第1放出光を受光して分析物測定値を出力し、(ii)反射した第2励起光を受光し、基準測定値を出力するように構成される。ある態様では、1つ以上の光検出器が、(i)第1放出光を受光し、分析物測定値を出力するように構成された信号光検出器と、(ii)反射した第2励起光を受光し、基準測定値を出力するように構成された基準光検出器とを含む。
【0030】
[0032] ある態様では、放出光が第1放出光であってもよく、1つ以上の光検出器が、更に、劣化指示薬によって放出された第2放出光を受光し、1つ以上の光検出器が受光した第2放出光の量を示す劣化測定値を出力するように構成することができ、コントローラが、更に、少なくとも劣化測定値に基づいて、分析物指示薬が劣化した度合いを計算するように構成することができ、更に、コントローラが、基準測定値と、計算した分析物指示薬の劣化度合いとに基づいて、変換関数を調節するように構成することができる。
【0031】
[0033] 以上のシステムおよび方法に内包される更に他の変形について、以下の発明の詳細な説明において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
[0034] 添付図面は、本明細書に組み込まれその一部を形成し、本発明の種々の非限定的な態様を例示する。図面において、同様の参照番号は同一のまたは機能的に同様の要素を示す。
図1】本発明の態様を具体化する分析物監視システムを示す模式図である。
図2A】本発明の態様を具体化する分析物センサを示す模式図である。
図2B】本発明の態様を具体化する分析物センサを示す模式図である。
図3】本発明の態様を具体化する分析物センサのエレメントを示す斜視図である。
図4】本発明の態様を具体化する分析物センサの半導体基板のレイアウトを示す模式図である。
図5】本発明の態様を具体化する、分析物指示薬を干渉物質指示薬に相関付ける感度比の非限定的な例を示すチャートである。
図6】本発明の態様を具体化するトランシーバの断面斜視図である。
図7】本発明の態様を具体化するトランシーバの分解斜視図である。
図8】本発明の態様を具体化するトランシーバを示す模式図である。
図9】本発明の態様を具体化する、変化を検出し分析物指示薬と相関付けるプロセスを示すフロー・チャートである。
図10】本発明の態様を具体化する指示薬エレメント106の構造の非限定的な例を示す模式図である。
図11】本発明の態様を具体化する指示薬エレメント106の構造の非限定的な例を示す模式図である。
図12】本発明の態様を具体化する指示薬エレメント106の構造の非限定的な例を示す模式図である。
図13】本発明の非限定的な1つの態様による、指示薬の干渉物質および基準染料の割合(rates)の相関プロットを示すグラフである。
図14A】2mMグルコースおよび50μM過酸化水素における指示薬分子の蛍光強度低下(励起波長380nm)を、指示薬分子との比率を1:1とした化合物Aの蛍光強度の同時増大(励起波長470nm)と共に、明示する蛍光光度計の読み取り値を示す。化合物Aは、共重合可能な基準染料としての化合物Aの使用を明示する(demonstrate)。
図14B】2mMグルコースおよび50μM過酸化水素における指示薬分子の蛍光強度低下(励起波長380nm)を、指示薬分子との比率を1:1とした化合物Aの蛍光強度の同時増大(励起波長470nm)と共に、明示する蛍光光度計の読み取り値を示す。化合物Aは、共重合可能な基準染料としての化合物Aの使用を明示する。
図15A】本発明の態様にしたがって、活性酸素種(ROS)による劣化の前および後における、分析物指示薬の分析物指示薬分子の非限定的な一例を示す。
図15B】本発明の態様にしたがって、ROSによる劣化の前および後における、干渉物質指示薬の干渉物質指示薬分子の非限定的な一例を示す。
図16A】本発明の態様を具体化する干渉物質指示薬を含む指示薬エレメントについて、酸化がない場合における白色の指示薬エレメントを示す。
図16B】本発明の態様を具体化する干渉物質指示薬を含む指示薬エレメントについて、酸化した場合における黄色い指示薬エレメントを示す。
図17A】本発明の態様にしたがって、分析物指示薬によって放出された光の強度または量の経時的な減少を示す。
図17B】本発明の態様にしたがって、指示薬エレメントの吸収の経時的な増大、および指示薬エレメントが反射する第2励起光の強度または量の経時的な減少を示す。
図18】人の生体(living human)の身体の皮下に分析物センサ100を埋め込んだ臨床試験からの実験データを示すグラフである。
図19A】異なる波長におけるオキシヘモグロビンおよびディオキシヘモグロビンの消衰係数を示すグラフである。
図19B】異なる波長におけるオキシヘモグロビン、ディオキシヘモグロビン、メトヘモグロビン、およびビリルビンの消衰係数を示すグラフである。
図20】本発明の態様を具体化する、分析物指示薬に対する作用を検出し、相関付けるプロセスを示すフロー・チャートである。
図21A】ある態様による分析物指示薬の化学構造を示す。
図21B】ある態様による干渉指示薬(interference indicator)の化学構造を示す。
図22】ある態様による、複数の検知エリアおよび複数の指示薬エレメントを含む分析物センサを示す。
図23】ある態様にしたがって、同様の劣化動態(degradation kinetics)によって、酸化が増大するに連れて、分析物指示薬によって放出された第1放出光が減少し、干渉物質指示薬によって放出された第2放出光が増大することを示す。
図24A】ある態様による、局所酸化後における分析物センサの光学および蛍光画像を示す。
図24B】ある態様による、局所酸化後における分析物センサの光学および蛍光画像を示す。
図24C】ある態様による、局所酸化後における分析物センサの光学および蛍光画像を示す。
図24D】ある態様による、局所酸化後における分析物センサの光学および蛍光画像を示す。
図25A】ある態様による、図22に示す分析物センサの異なる検知エリアからの生体内測定値を示す。
図25B】ある態様による、図22に示す分析物センサの異なる検知エリアからの生体内測定値を示す。
図25C】ある態様による、図22に示す分析物センサの異なる検知エリアからの生体内測定値を示す。
図25D】ある態様による、図22に示す分析物センサの異なる検知エリアからの生体内測定値を示す。
図26A】ある態様にしたがって、図22に示す分析物センサ100の検知エリアから、個々に、計算された個々のグルコース濃度を示す。
図26B】ある態様にしたがって、個々のグルコース濃度の加重平均に基づいて計算された総合(combined)グルコース濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[0061] 図1は、本発明の態様を具体化する分析物監視システム50の一例の模式図である。分析物監視システム50は、連続分析物監視システム(例えば、連続グルコース監視システム)でもよい。ある態様では、分析物監視システム50は、分析物センサ100、トランシーバ101、およびディスプレイ・デバイス107の内1つ以上を含むことができる。ある態様では、分析物センサ100は、小型で、完全に皮下に埋め込むことができるセンサとすることもでき、生体動物(例えば、人間の生体)の媒体(例えば、間質液)における分析物(例えば、グルコース)の量または濃度を測定する。しかしながら、これは必須ではなく、ある代替態様では、分析物センサ100は、部分的に埋め込み可能な(例えば、経皮)センサ、または完全に外部のセンサであってもよい。ある態様では、トランシーバ101は、外部装着トランシーバ(例えば、アームバンド、リストバンド、ウェストバンド、または粘着性パッチよって取り付けられる)であってもよい。ある態様では、トランシーバ101は、遠隔操作で給電し、および/またはセンサ100と通信して、測定を開始し測定値を受信することもできる(例えば、近場通信(NFC)によって)。しかしながら、これは必須ではなく、ある代替態様では、トランシーバ101は、1つ以上の有線接続を介して、給電すること、および/または分析物センサ100と通信することもできる。ある非限定的な態様では、トランシーバ101はスマートフォン(例えば、NFC対応スマートフォン)であってもよい。ある態様では、トランシーバ101は、情報(例えば、1つ以上の分析物測定値)をワイヤレスで(例えば、そして限定ではなく、Bluetooth Low Energyのような、Bluetooth(商標)通信規格によって)、ディスプレイ・デバイス107(例えば、スマートフォン)上で実行するハンド・ヘルド・アプリケーションに伝達することができる。
【0034】
[0062] 図2Aは、本発明の態様を具体化する分析物センサ100を示す模式図であり、図3は、本発明の態様を具体化する分析物センサ100のエレメントを示す斜視図である。ある態様では、分析物センサ100は、分析物(例えば、グルコース、酸素、心臓マーカ、低比重リポタンパク質(LDL)、高比重リポタンパク質(HDL)、または中性脂肪)の存在、量、および/または濃度を検出することができる。ある非限定的な態様では、分析物センサ100は光学センサ(例えば、蛍光光度計)であってもよい。ある態様では、分析物センサ100は化学的センサまたは生物化学的センサであってもよい。ある態様では、分析物センサ100は無線周波数識別(RDIF)デバイスであってもよい。トランシーバ101からの無線周波数(RF)信号によって、分析物センサ100に給電することができる。
【0035】
[0063] 分析物センサ100は、トランシーバ101と通信することができる。トランシーバ101は、分析物センサ100と通信して、分析物センサ100に給電する、および/または測定データ(例えば、光検出器および/または温度センサの読み取り値)を分析物センサ100から受信する電子デバイスであってもよい。測定データには、分析物センサ100の1つ以上の光検出器からの1つ以上の読み取り値、および/または分析物センサ100の1つ以上の温度センサからの1つ以上の読み取り値を含むことができる。ある態様では、トランシーバ101は、分析物センサ100から受信した測定データから、分析物の濃度を計算することができる。しかしながら、トランシーバ101自体が分析物濃度計算を実行することは必須ではなく、ある代替態様では、トランシーバ101は、代わりに、分析物センサ100から受信した測定データを、他のデバイス(例えば、ディスプレイ・デバイス107)に、分析物濃度の計算のために、伝達/中継することもできる。他の代替態様では、分析物センサ100は、分析物濃度計算を実行し、計算した分析物濃度をトランシーバ101に伝達することもできる。
【0036】
[0064] ある態様(例えば、分析物センサ100が完全に埋め込み可能な検知システムである態様)では、トランシーバ101は、給電および/またはデータ転送のために、誘導性磁気リンクを介して、埋め込み可能な分析物センサ100と通信するために、受動遠隔測定(passive telemetry)を実装することができる。ある態様では、図3に示すように、分析物センサ100が誘導性エレメント114を含むこともでき、例えば、誘導性エレメントは、フェライト系マイクロ・アンテナ(ferrite based micro-antenna)であってもよい。ある態様では、図3に示すように、誘導性エレメント114が、コイルおよび磁気コア304の形態である導体(conductor)302を含むのでもよい。ある非限定的な態様では、コア304は、例えば、フェライト・コアであってもよく、更にこれに限定されるのではない。ある態様では、誘導性エレメント114を分析物センサ100の分析物検出回路に接続することができる。例えば、ある態様では、分析物センサ100が光学センサである場合、誘導性エレメント114をマイクロ蛍光光度測定回路(micro-fluorimeter circuitry)(例えば、特定用途集積回路(ASIC))と、分析物センサ100の関連する光学検出システムとに接続すればよい。ある態様では、分析物センサ100がバッテリを含まなくてもよく、その結果、分析物センサ100は、分析物センサ100からトランシーバ101に分析物関連データを伝達するために、トランシーバ101に依拠して、センサ・システム105の分析物センサ100およびデータ・リンクに電力を供給することができる。しかしながら、これは必須ではなく、ある代替態様では、分析物センサ100はバッテリを含むことができる。
【0037】
[0065] ある非限定的な態様では、分析物センサ100が、小型の受動型完全埋め込み可能マルチサイト検知システムであってもよい。分析物センサ100がバッテリ電源を有さない完全埋め込み可能検知システムである場合、トランシーバ101がエネルギを供給し、磁界を通じて分析物センサ100を動作させることもできる。ある態様では、磁気トランシーバ-検知システム・リンクは、「弱結合変圧器」型(weakly coupled transformer type)と見なすことができる。磁気トランシーバ-検知システム・リンクは、振幅変調(AM)を使用して、エネルギを供給し、データ転送のためのリンクを設けることができる。ある態様では、AMを使用してデータ転送が実行されるが、代替態様では、他の形式の変調を使用することもできる。磁気トランシーバ-センサ・リンクは、電力転送が低効率になるおそれがあり、したがって、分析物センサ100に付勢するためには、遠く離れる程相対的に高い電力増幅器を必要とする可能性がある。ある非限定的な態様では、トランシーバ101および分析物センサ100は、電力転送のために、近場通信(例えば、高い皮膚貫通を達成することができ、医学的に承認された周波数帯域である、13.56MHzの周波数を利用する近場通信)を使用して通信することもできる。しかしながら、これは必須ではなく、他の態様では、分析物センサ100に給電し、これと通信するために、他の周波数を使用することもできる。
【0038】
[0066] ある態様では、図7に示すように、トランシーバ101が、例えば、コイルのような、誘導性エレメント103を含むこともできる。トランシーバ101は、電磁波または電磁場(electrodynamic field)を生成して(例えば、コイル103を使用することによって) 分析物センサ100の誘導性エレメント114内に電流を誘起することができ、こうして分析物センサ100に給電する。また、トランシーバ101はデータ(例えば、コマンド)を分析物センサ100に伝達することもできる。例えば、非限定的な態様では、トランシーバ101は、分析物センサ100に給電するために使用される電磁波を変調することによって(例えば、トランシーバ101のコイルを通過する電流を変調することによって)、データを伝達することができる。トランシーバ101によって生成された電磁波における変調は、分析物センサ100によって検出/抽出することができる。更に、トランシーバ101はデータ(例えば、測定情報)を分析物センサ100から受信することもできる。例えば、非限定的な態様では、トランシーバ101は、分析物センサ100によって生成された電磁波における変調を検出することによって、例えば、トランシーバ101のコイル103を通過する電流における変調を検出することによって、データを受信することができる。
【0039】
[0067] ある非限定的な態様では、図2Aに示すように、分析物センサ100がセンサ筐体102(即ち、本体、シェル、カプセル、または容器)を含むこともでき、センサ筐体102は剛体で生物適合性があるとよい。ある非限定的な態様では、センサ筐体102はシリコン・チューブであってもよい。しかしながら、これは必須ではなく、他の態様では、センサ筐体102に異なる材料および/または形状を使用することもできる。ある態様では、分析物センサ100は透過性の光共振器(optical cavity)を含むこともできる。ある非限定的な態様では、透過性の光共振器は、例えば、アクリル・ポリマー(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))のような、適した光透過性のポリマー材料で形成することができる。しかしながら、これは必須ではなく、他の態様では、透過性光共振器に異なる材料を使用することもできる。
【0040】
[0068] ある態様では、図2Aに示すように、分析物センサ100が、例えば、センサ筐体102の外面の少なくとも一部の上または中に、被覆、拡散、接着、埋め込み、または成長されたポリマー・グラフト(polymer graft)もしくはハイドロゲルのような、指示薬エレメント106を含むこともできる。ある非限定的な態様では、センサ筐体102が1つ以上の切り欠きまたは窪みを含むこともでき、指示薬エレメント106をこの切り欠きまたは窪みの中に(部分的にまたは全体的に)配置することができる。ある態様では、指示薬エレメント106を多孔性してもよく、媒体(例えば、間質液)内における分析物(例えば、グルコース)を指示薬エレメント106内に拡散させることができる。
【0041】
[0069] ある態様では、センサ100の指示薬エレメント106(例えば、ポリマー・グラフトまたはハイドロゲル)が、分析物指示薬207および干渉物質指示薬209(例えば、劣化指示薬)の内1つ以上を含むことができる。ある態様では、分析物指示薬207は、(i)指示薬エレメント106に近接する分析物の量または濃度、および(ii)分析物指示薬207に対する作用(例えば、分析物指示薬207に対する変化)に応じて変動する1つ以上の検出可能な特性(例えば、光学特性)を呈することができる。ある態様では、分析物指示薬207に対する変化は、分析物指示薬207が劣化した度合いを含むことができる。ある非限定的な態様では、劣化は、(少なくとも部分的に)ROSによって誘起される酸化とすることができる。ある態様では、分析物指示薬207は、1つ以上の分析物指示薬分子(例えば、蛍光分析物指示薬分子)を含むこともでき、この分析物指示薬分子は、指示薬エレメント106全域にわたって分散させることができる。ある非限定的な態様では、分析物指示薬207がフェニルボロン系分析物指示薬であってもよい。しかしながら、フェニルボロン系分析物指示薬は必須ではなく、ある代替態様では、分析物センサ100は、例えば、グルコース・オキシターゼ系指示薬、グルコース・デヒドロゲナーゼ系指示薬、およびグルコース結合タンパク質系指示薬のような、そしてこれらには限定されない、異なる分析物指示薬を含むこともできる。
【0042】
[0070] ある態様では、干渉物質指示薬209は、干渉物質指示薬209に対する変化に応じて変動する1つ以上の検出可能な特性(例えば、光学特性)を呈することができる。ある態様では、干渉物質指示薬209は、指示薬エレメント106に近接する分析物の濃度の量(the amount of concentration of the analyte)に感応しない。即ち、ある態様では、干渉物質指示薬209が呈する1つ以上の検出可能な特性が、指示薬エレメント106に近接する分析物の量または濃度に応じて変動しない。しかしながら、これは必須ではなく、ある代替態様では、干渉物質指示薬209が呈する1つ以上の検出可能な特性は、指示薬エレメント106に近接する分析物の量または濃度に応じて変動することができる。
【0043】
[0071] ある態様では、干渉物質指示薬209に対する変化が、干渉物質指示薬209が劣化した度合いを含むことができる。ある態様では、劣化は(少なくとも部分的に)ROSによって誘起される酸化とすることができる。ある態様では、干渉物質指示薬209は1つ以上の干渉物質指示薬分子(例えば、蛍光干渉物質指示薬分子)を含むことができ、指示薬エレメント106全域にわたってこの干渉物質指示薬分子を分散させることができる。ある非限定的な態様では、干渉物質指示薬209はフェニルボロン系干渉物質指示薬であってもよい。しかしながら、フェニルボロン系干渉物質指示薬は必須ではなく、ある代替態様では、分析物センサ100は、例えば、総合赤系干渉物質指示薬、ジクロロジヒドロフルオレセイン系指示薬、ジヒドロローダミン系指示薬、およびスコポレチン系干渉物質指示薬のような、そしてこれらには限定されない、異なる干渉物質指示薬を含んでもよい。
【0044】
[0072] ある非限定的な態様では、干渉物質指示薬分子は、約450nmおよび約550nmの間の励起波長、約500nmおよび約650nmの間のストークス・シフト、ならびに約50日および約150日の間の半減期を有する蛍光プローブ化合物であってもよい。ある非限定的な態様では、干渉物質指示薬分子は、化学式Iの化合物であってもよい。
【0045】
【化1】
【0046】
ここで、A”、B”、C”、A’、B’、C’、W’、X、Y’、およびZ’は、-CHを表し、ここで水素は、随意にそして独立して、アルキル基と置換されてもよい。R1およびR2は、1つ以上のビニル基、アルキル・ビニル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、またはその他の重合性基から独立して選択される。代表的な非限定的化合物には、以下のものが含まれる。
【0047】
【化2】
【0048】
更に他の非限定的な態様では、干渉物質指示薬分子は、以下のような代表的な化合物を含むこともできる。
【0049】
【化3】
【0050】
【化4】
【0051】
【化5】
【0052】
【化6】
【0053】
【化7】
【0054】
【化8】
【0055】
【化9】
【0056】
【化10】
【0057】
【化11】
【0058】
【化12】
【0059】
ここで、A、B’、C’、D’、E、F、G、H’、I’、およびJは、-CHを表し、ここで、水素は随意にそして独立してアルキル基と置換されてもよい。
【0060】
[0073] 化合物は、“Preparation and use of MitoPY1 for imaging hydrogen peroxide in mitochondria of live cells”(生体細胞のミトコンドリアにおいて過酸化水素を撮像するためのMitoPY1の調合および使用)、Dickinson, et al. Nat Protoc. 2013 June; 8(6): 1249-1259、および米国付与前公開番号US2016/0312033(出願番号第15/135,788号、Yang et al.、2016年10月27日)におけるような、当技術分野において知られている合成技法を使用して、合成することができる。これらの文献をここで引用したことにより、その開示内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0061】
[0074] ある代替態様では、干渉物質指示薬209の分子は、約450nmおよび約550nmの間の励起波長、約500nmおよび約650nmの間のストークス・シフト、ならびに約50日および約150日の間の半減期を有し、異なる化学式を有する化合物であってもよい。
【0062】
[0075] ある非限定的な態様では、図10図12に示すように、指示薬エレメント106が1つ以上のポリマー骨格1002を含むこともできる。ある非限定的な態様では、ポリマー骨格1002はポリマー鎖であってもよい。ある態様では、図10および図11に示すように、指示薬エレメント106が、1つ以上の分析物指示薬分子Aと、1つ以上の干渉物質指示薬分子Dとを含むこともできる。ある態様では、図10および図11に示すように、分析物指示薬分子Aおよび干渉物質指示薬分子Dは、個々にポリマー骨格1002に重合されたモノマーであってもよい。ある非限定的な態様では、指示薬エレメント106が、等しい数の分析物指示薬分子Aおよび干渉物質指示薬分子Dを含んでもよく(図10参照)、または異なる数の分析物指示薬分子Aおよび干渉物質指示薬分子Dを含んでもよい(図11参照)。ある態様では、分析物指示薬分子Aが干渉物質指示薬分子Dに対して、例えば、図10に示すような1:1、図11に示すような2:1、1:2、3:1、5:1、10:1等のような、そしてこれらには限定されない、ある比率になっていてもよい。
【0063】
[0076] ある代替態様では、図12に示すように、1つ以上の干渉物質指示薬分子Dが、分析物指示薬分子Aに化学結合されてもよく(例えば、共有結合によって)、更に分析物指示薬分子Aが、ポリマー骨格1002に化学結合されてもよい。ある非限定的な代替態様では、分析物指示薬分子Aおよび干渉物質指示薬分子Dがモノマーであってもよく、分析物指示薬分子Aがポリマー骨格1002に重合されてもよい。ある他の代替態様では、1つ以上の分析物指示薬分子Aが、干渉物質指示薬分子Dに化学結合されてもよく、干渉物質指示薬分子Dがポリマー骨格1002に化学結合されてもよい。ある非限定的な代替態様では、分析物指示薬分子Aとおよび干渉物質指示薬分子Dがモノマーであってもよく、干渉物質指示薬分子Dがポリマー骨格1002に重合されてもよい。
【0064】
[0077] ある態様では、分析物センサ100が、干渉物質指示薬209を使用して、分析物指示薬207に対する変化を間接的に測定することもでき、干渉物質指示薬209は、活性酸素種(ROS)による劣化には感応するが、分析物には感応しなければよい。ある態様では、干渉物質指示薬209が、酸化の度合いと共に変化する1つ以上の光学特性を有することができ、分析物指示薬の酸化度合いを測定し、相関付けるための基準染料として使用することができる。ある態様では、干渉物質指示薬209が劣化した度合いが、分析物指示薬207が劣化した度合いに対応することができる。例えば、ある非限定的な態様では、干渉物質指示薬209が劣化した度合いが、分析物指示薬207が劣化した度合いに比例するのでもよい。ある非限定的な代替では、干渉物質指示薬209が劣化した度合いに基づいて、分析物指示薬207が劣化した度合いを計算することができる。ある態様では、分析物監視システム50が、研究室における検査を通じて確定された経験的相関関係を使用して、分析物質指示薬207の変化に対して補正することができる。
【0065】
[0078] ある態様では、図2Aに示すように、分析物センサ100が、1つ以上の第1光源108を含むこともできる。第1光源108は、ある波長範囲にわたって第1励起光329を放出し、この第1励起光329が指示薬エレメント106における分析物指示薬207と相互作用する。ある非限定的な態様では、第1励起光329が紫外線(UV)光であってもよい。ある態様では、分析物センサ100が、1つ以上の光源227を含むこともできる。光源227は、ある波長範囲にわたって第2励起光330を放出し、第2励起光330が指示薬エレメント106における干渉物質指示薬209と相互作用する。ある非限定的な態様では、第2励起光330は青色光であってもよい。
【0066】
[0079] ある態様では、図2Aに示すように、分析物センサ100が1つ以上の光検出器224、226、228(例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタ、またはその他の光感応エレメント)を含むこともできる。ある態様では、分析物センサ100が、指示薬エレメント106の分析物指示薬207によって放出された第1放出光331(例えば、蛍光(fluorescent light))に感応する1つ以上の信号光検出器224を含み、それに応答して光検出器224によって生成された信号が、分析物指示薬207の第1放出光331のレベル、つまり、対象分析物(例えば、グルコース)の量を示すようにしてもよい。ある非限定的な態様では、分析物センサ100が、1つ以上の基準光検出器226を含み、基準光検出器226は、指示薬エレメント106からは反射するとしてよい第1励起光329に感応し、それに応答して光検出器226によって生成された信号が、反射した第1励起光329のレベルを示すようにしてもよい。ある態様では、分析物センサ100が、指示薬エレメント106の干渉物質指示薬209によって放出された第2放出光332(例えば、蛍光)に感応する1つ以上の干渉物質光検出器228を含み、それに応答して干渉物質光検出器228によって生成された信号が、干渉物質指示薬209の第2放出光332のレベル、つまり劣化(例えば、酸化)の量を示すようにしてもよい。ある非限定的な態様では、1つ以上の信号光検出器224は、指示薬エレメント106からは反射するとしてよい第2励起光330に感応することができる。このように、1つ以上の信号光検出器224は、1つ以上の光源227が第2励起光330を放出しているときは、基準光検出器として作用することができる。
【0067】
[0080] しかしながら、1つ以上の光源227が第2励起光330を放出しているときに、1つ以上の信号光検出器224が基準光検出器として作用することは必須ではない。ある代替態様では、図2Bに示すように、分析物センサ100が1つ以上の第2基準光検出器230を含むこともでき、1つ以上の光源227が第2励起光330を放出しているときに、第2基準光検出器230は基準光検出器として作用する。ある態様では、1つ以上の第2基準光検出器230は、指示薬エレメント106からは反射するとしてよい第2励起光330に感応し、それに応答して光検出器230によって生成された信号が、反射した第2励起光330のレベルを示すようにしてもよい。
【0068】
[0081] ある態様では、第1励起光329が第1波長範囲を超えてもよく、第2励起光330が、第1波長範囲とは異なるのがもっともな第2波長範囲を超えてもよい。ある非限定的な態様では、第1および第2波長範囲が重複しないが、これは必須ではなく、ある代替態様では、第1および第2波長範囲が重複してもよい。ある態様では、第1放出光331が第3波長範囲を超えてもよく、第2放出光332が、第3波長範囲とは異なるのがもっともな第4波長範囲を超えてもよい。ある非限定的な態様では、第3および第4波長範囲は重複しないが、これは必須ではなく、ある代替態様では、第3および第4波長範囲が重複してもよい。ある態様では、第1および第3波長範囲が異なってもよい。ある非限定的な態様では、第1および第3波長範囲は重複しないが、これは必須ではなく、ある代替態様では、第1および第3波長範囲が重複してもよい。ある態様では、第2および第4波長範囲が異なってもよい。ある非限定的な態様では、第2および第4波長範囲は重複しないが、これは必須ではなく、ある代替態様では、第2および第4波長範囲が重複してもよい。ある態様では、第2および第3波長範囲が異なってもよい。ある非限定的な態様では、第2および第3波長範囲が重複してもよいが、これは必須ではなく、ある代替態様では、第2および第3波長範囲は重複しない。
【0069】
[0082] ある態様では、光検出器224、226、228、230の内1つ以上が1つ以上のフィルタによって覆われ、光の波長の内特定の一部分(subset)のみを通過させ、残りの波長を反射させる(吸収する)ことができる。ある非限定的な態様では、1つ以上の信号光検出器224上に1つ以上のフィルタを配して、波長の内、第1放出光331および/または反射した第2励起光330に対応する部分集合のみを通過させることもできる。ある非限定的な態様では、1つ以上の基準光検出器226上に1つ以上のフィルタを配し、波長の内、反射した第1励起光329に対応する部分集合のみを通過させることもできる。ある非限定的な態様では、1つ以上の干渉物質光検出器228上に1つ以上のフィルタを配し、波長の内、第2放出光332に対応する部分集合のみを通過させることもできる。ある非限定的な態様において、分析物センサ100が1つ以上の第2基準光検出器230を含む場合、1つ以上の第2基準光検出器230上に1つ以上のフィルタを配し、波長の内、反射した第2励起光330に対応する部分集合のみを通過させることもできる。
【0070】
[0083] ある態様では、分析物指示薬207の酸化の度合いを測定し、これを補正するための基準染料として、干渉物質指示薬209を使用することができる。ある態様では、分析物監視システム50は、研究室における検査を通じて確定された経験的相関関係を使用して、分析物指示薬207における変化に対する補正を行うことができる。図5は、分析物指示薬207を干渉物質指示薬209と相関付ける感度比率の非限定的な例を示すチャートである。ある態様では、図5における感度比率1によって示すように、干渉物質指示薬209は、分析物指示薬207よりも、酸化に対する感度を高くすることができる。しかしながら、これは必須ではなく、ある代替態様では、図5における感度比率2によって示すように、干渉物質指示薬209が、分析物指示薬207よりも、酸化に対する感度が低くてもよい。ある他の代替態様では、干渉物質指示薬209および分析物指示薬207が、酸化に対して等しく感応するのでもよい。
【0071】
[0084] ある態様では、図4に示すように、基板112は回路ボード(例えば、印刷回路ボード(PCB)または可撓性PCB)であってもよく、その上に回路コンポーネント111(例えば、アナログおよび/またはデジタル回路コンポーネント)の1つ以上を実装する、言い換えると、取り付けることができる。しかしながら、ある代替態様では、基板112が、内部に回路コンポーネント111の1つ以上が製作されている、半導体基板であってもよい。実例をあげると、製作された回路コンポーネントはアナログおよび/またはデジタル回路を含むことができる。また、基板112が半導体基板である態様では、半導体基板内に製作された回路コンポーネントに加えて、半導体基板に回路コンポーネントを実装する、言い換えると、取り付けることができる。言い方を変えると、ある半導体基板の態様では、ディスクリート回路エレメント、集積回路(例えば、特定用途集積回路(ASIC))、および/または他の電子コンポーネント(例えば、不揮発性メモリ)を含むことができる回路コンポーネント111の一部または全部を、半導体基板内に製作し、残りの回路コンポーネント111を半導体基板に固定することができ、種々の固定されたコンポーネント間に通信経路を設けることができる。
【0072】
[0085] ある態様では、分析物センサ100が、1つ以上の光源108、227を含むことができ、光源108、227の内1つ以上を基板112上に実装する、または基板112内部に製作することができる。ある態様では、分析物センサ100が、1つ以上の光検出器224、226、228、230を含むことができ、光検出器224、226、228、230の内1つ以上を基板112上に実装する、または基板112内部に製作することができる。ある非限定的な態様では、1つ以上の光源108、227を基板112上に実装することができ、1つ以上の光検出器を基板112内部に製作することができ、回路コンポーネント111の内全部または一部を基板112内部に製作することができる。
【0073】
[0086] ある態様では、分析物センサ100の指示薬エレメント106、光源(1つまたは複数)108、227、光検出器224、226、228、230、回路コンポーネント111、および基板112の内1つ以上が、2013年2月7日に出願された米国特許出願第13/761,839号、2013年7月9日に出願された米国特許出願第13/937,871号、2012年10月11に出願された米国特許出願第13/650,016号、および2013年12月27日に出願された米国特許出願第14/142,017号の内1つ以上に記載されている特徴の一部または全部を含むことができる。これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。同様に、センサ筐体102、分析物センサ100、および/またはトランシーバ101の構造、機能、および/または特徴も、米国特許出願第13/761,839号、第13/937,871号、第13/650,016号、および第14/142,017号の内1つ以上に記載されている可能性がある。実例をあげると、センサ筐体102は、1つ以上の疎水性、親水性、不透明、および/または耐性(immune)応答遮断メンブレーン(response blocking membrane)もしくは層を、その外面上に有することができる。
【0074】
[0087] 図1に示すように、ある態様では、分析物センサ100を完全に埋め込み可能なセンサ にすることができるが、これは必須ではなく、ある代替態様では、分析物センサ100が、トランシーバ101への有線接続を有する、経皮検知システムであってもよい。例えば、ある代替態様では、分析物センサ100を経皮ニードル内またはその上に(例えば、その先端に)配置することができる。これらの態様では、誘導性エレメント103および114を使用するワイヤレス通信の代わりに、分析物センサ100およびトランシーバ101は、トランシーバ101と、分析物センサ100を含むトランシーバ経皮ニードルとの間を接続する1本以上のワイヤを使用して、通信することができる。他の例をあげると、ある代替態様では、分析物センサ100をカテーテル内に配置することができ(例えば、静脈内血糖監視のため)、トランシーバ101と通信することができる(ワイヤレスで、またはワイヤを使用して)。
【0075】
[0088] ある態様では、分析物センサ100はトランシーバ・インターフェース・デバイスを含むことができる。ある態様では、トランシーバ・インターフェース・デバイスは、分析物センサ100のアンテナ(例えば、誘導性エレメント114)を含むことができる。分析物センサ100とトランシーバ101との間に有線接続が存在する経皮態様の一部では、トランシーバ・インターフェース・デバイスが有線接続を含むことができる。
【0076】
[0089] 図6および図7は、それぞれ、図1に示した分析物監視システム50内に含むことができる、トランシーバ101の非限定的な態様の断面図および分解図である。図7に示すように、ある非限定的な態様では、トランシーバ101は、グラフィック・オーバーレイ204、前面筐体206、ボタン208、印刷回路ボート(PCB)アセンブリ210、バッテリ212、ガスケット214、アンテナ103、フレーム218、反射板216、背面筐体220、IDラベル222、および/または振動モータ928を含むことができる。ある非限定的な態様では、振動モータ928を前面筐体206または背面筐体220に取り付け、バッテリ212が振動モータ928の振動を弱らせないようにすることができる。非限定的な態様では、標準的な表面実装デバイス(SMD)リフローおよびはんだ付け技法を使用して、トランシーバの電子回路を組み立てることができる。1つの態様では、電子回路および周辺回路を噛み合い筐体構造(snap together housing design)内に組み入れることができる。この構造では、前面筐体206および背面筐体220を噛み合わせることができる。ある態様では、1つの外部電子回路筐体において、完全組み立てプロセスを実行することもできる。しかしながら、これは必須ではなく、代替態様では、1つ以上の電子回路筐体において、トランシーバ組み立てプロセスを実行することができ、電子回路筐体は内部でも、外部でも、またはその組み合わせでもよい。ある態様では、組み立てられたトランシーバ101にプログラミングを行い、機能検査を行うことができる。ある態様では、組み立てられたトランシーバ101を、それらの最終的な出荷用コンテナに装荷し(package)、販売の準備を整えることができる。
【0077】
[0090] ある態様では、図6および図7に示すように、トランシーバ101の筐体206および220内部に、アンテナ103を収容する(contain)ことができる。ある態様では、トランシーバ101におけるアンテナ103が、小型軽量のトランシーバ101の筐体206および220内に納まるように、アンテナ103は小型および/または平坦であるとよい。ある態様では、アンテナ103が堅牢であり、種々の衝撃に抵抗できるとよい。ある態様では、トランシーバ101が、例えば、患者の身体の腹部、上腕、手首、または腿の上に置くのに適するとよい。ある非限定的な態様では、トランシーバ101が、生物適合性のあるパッチによって患者の身体に取り付けるのに適するとよい。ある態様では、トランシーバ101の筐体206および220内にアンテナ103を収容することができるが、これは必須ではなく、ある代替態様では、アンテナ103の一部または全部を、トランシーバ筐体の外部に配置してもよい。例えば、ある代替態様では、例えば、米国特許第8,073,548号に記載されたアンテナのように、ユーザの手首、腕、足、またはウェストの周りに、アンテナ103を巻回することができる。米国特許第8,073,548号をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0078】
[0091] 図8は、非限定的な態様による外部トランシーバ101の模式図である。ある態様では、トランシーバ101は、例えば、マイクロ-ユニバーサル・シリアル・バス(USB:Micro-Universal Serial Bus)コネクタのような、コネクタ902を有することができる。コネクタ902は、パーソナル・コンピュータ(例えば、パーソナル・コンピュータ109)またはディスプレイ・デバイス107(例えば、スマートフォン)のような、外部デバイスへの有線接続に対応する(enable)ことができる。
【0079】
[0092] トランシーバ101は、コネクタ902を介して、外部デバイスに、そして外部デバイスから、データを交換することができ、および/またはコネクタ902を介して電力を受けることができる。トランシーバ101は、例えば、USB-ICのような、コネクタ集積回路(IC)904を含むことができ、このコネクタ集積回路904が、コネクタ902を介したデータの送信および受信を制御することができる。また、トランシーバ101は、充電用IC(charger IC)906も含むことができ、充電用IC906はコネクタ902を介して電力を受け、バッテリ908(例えば、リチウム-ポリマー・バッテリ)を充電することができる。ある態様では、バッテリ908が再充電可能であるとよく、短い再充電期間を有するとよく、および/または小さいサイズを有するとよい。
【0080】
[0093] ある態様では、トランシーバ101は、マイクロ-USBコネクタ904に加えて(またはその代わりに)、1つ以上のコネクタも含むことができる。例えば、1つの代替態様では、トランシーバ101が、マイクロ-USBコネクタ904に加えて(またはその代わりに)、ばねを利用した(spring-based)コネクタ(例えば、ポゴ・ピン・コネクタ)を含むこともでき、トランシーバ101は、パーソナル・コンピュータ(例えば、パーソナル・コンピュータ109)またはディスプレイ・デバイス107(例えば、スマートフォン)への有線通信のために、ばねを利用したコネクタによって形成された(established)接続を使用することができ、および/または電力を受け、例えば、バッテリ908を充電するために使用することができる。
【0081】
[0094] ある態様では、トランシーバ101がワイヤレス通信IC910を有することができる。ワイヤレス通信IC910は、例えば、1つ以上のパーソナル・コンピュータ(例えば、パーソナル・コンピュータ109)または1つ以上のディスプレイ・デバイス107(例えば、スマートフォン)のような外部デバイスとのワイヤレス通信を可能にする。1つの非限定的な態様では、ワイヤレス通信IC910は、ワイヤレスでデータを送信するために、1つ以上のワイヤレス通信規格を採用することができる。採用されるワイヤレス通信規格は、ANT規格、Bluetooth規格、またはBluetooth Low Energy(BLE)規格(例えば、BLE4.0)のような、任意の適したワイヤレス通信規格でよい。ある非限定的な態様では、ワイヤレス通信IC910は、1ギガヘルツよりも高い周波数(例えば、2.4または5GHz)でデータをワイヤレスで送信するように構成することができる。ある態様では、ワイヤレス通信IC910はアンテナ(例えば、Bluetoothアンテナ)を含むことができる。ある非限定的な態様では、ワイヤレス通信IC910のアンテナは、トランシーバ101の筐体(例えば、筐体206および220)内部に完全に収容することができる。しかしながら、これは必須ではなく、代替態様では、ワイヤレス通信IC910のアンテナの全部または一部が、トランシーバ筐体の外部にあってもよい。
【0082】
[0095] ある態様では、トランシーバ101がディスプレイ・インターフェース・デバイスを含むこともでき、ディスプレイ・インターフェース・デバイスは、1つ以上のディスプレイ・デバイス107とのトランシーバ101による通信を可能にすることができる。ある態様では、ディスプレイ・インターフェース・デバイスが、ワイヤレス通信IC910のアンテナおよび/またはコネクタ902を含むことができる。ある非限定的な態様では、ディスプレイ・インターフェース・デバイスが、加えて、ワイヤレス通信IC910および/またはコネクタIC904も含むことができる。
【0083】
[0096] ある態様では、トランシーバ101が電圧レギュレータ912および/または昇圧器914も含むことができる。バッテリ908は、電力を無線周波数識別(RFID)リーダIC916に供給する(昇圧器914を通じて)ことができ、無線周波数識別リーダIC916は、誘導性エレメント103を使用して、情報(例えば、コマンド)をセンサ101に伝達し、情報(例えば、測定情報)をセンサ100から受信する。ある非限定的な態様では、センサ100およびトランシーバ101は、近場通信(NFC)を使用して(例えば、13.56MHzの周波数で)通信することができる。図示した態様では、誘導性エレメント103は平面アンテナである。ある非限定的な態様では、アンテナは可撓性でもよい。しかしながら、先に注記したように、トランシーバ101の誘導性エレメント103は、センサ100の誘導性エレメント114に対して適した物理的近接の範囲に持ち込まれたときに、適当な磁場強度が得られるのであれば、任意の構成にすることができる。ある態様では、トランシーバ101が電力増幅器918を含み、誘導性エレメント103によってセンサ100に伝達しようとする信号を増幅することもできる。
【0084】
[0097] ある態様では、トランシーバ101が周辺インターフェース・コントローラ(PIC:peripheral interface controller)コントローラ920とメモリ922(例えば、フラッシュ・メモリ)とを含むことができる。メモリ922は、不揮発性であり、および/または電子的に消去および/または再書き込みが可能であるとよい。PICコントローラ920は、トランシーバ101の全体的な動作を制御することができる。例えば、PICコントローラ920は、有線またはワイヤレス通信によってデータを送信するように、コネクタIC904またはワイヤレス通信IC910を制御することができ、および/または誘導性エレメント103を介してデータを伝達するように、RFIDリーダIC916を制御することができる。また、PICコントローラ920は、誘導性エレメント103、コネクタ902、またはワイヤレス通信IC910を介して受信したデータの処理も制御することができる。
【0085】
[0098] ある態様では、トランシーバ101がセンサ・インターフェース・デバイスを含むこともでき、センサ・インターフェース・デバイスは、トランシーバ101によるセンサ100との通信を可能にすることができる。ある態様では、センサ・インターフェース・デバイスが誘導性エレメント103を含むことができる。ある非限定的な態様では、センサ・インターフェース・デバイスが、加えて、RFIDリーダIC916および/または電力増幅器918も含むことができる。しかしながら、ある代替態様において、センサ100とトランシーバ101との間に有線接続が存在する場合(例えば、経皮の態様)、センサ・インターフェース・デバイスが有線接続を含むこともできる。
【0086】
[0099] ある態様では、トランシーバ101がディスプレイ924(例えば、液晶ディスプレイおよび/または1つ以上の発光ダイオード)を含むことができ、PICコントローラ920は、データ(例えば、分析物濃度値)を表示するために、これらを制御することができる。ある態様では、トランシーバ101がスピーカ926(例えば、ビーパー(beeper))および/または振動モータ928を含むこともでき、これらは、例えば、警報条件(例えば、低血糖症または高血糖症状態の検出)が満たされた場合に、起動させる(activate)ことができる。また、トランシーバ101は1つ以上の追加のセンサ930も含むことができ、これらには加速度計および/または温度センサを含むことができ、PICコントローラ920によって実行される処理において使用することができる。
【0087】
[00100] 図9は、分析物監視システム50によって実行することができる分析物監視プロセス950の非限定的な態様を示す。ある態様では、プロセス950は分析物指示薬207に対する作用を検出し、これに対して補正することができる。
【0088】
[00101] ある態様では、プロセス950はステップ952を含むことができ、ステップ952において、分析物監視システム50は分析物信号を測定する。ある態様では、ステップ952は、トランシーバ101が分析物測定コマンドを分析物センサ100に伝達する動作を含むこともできる。ある態様では、ステップ952は、分析物センサ100が、分析物測定コマンドを受信しデコードしたことに応答して、第1光源108を使用して第1励起光329を指示薬エレメント106に向けて放出する動作を含むこともできる。指示薬エレメント106の分析物指示薬207は、第1励起光329を受光し、第1放出光331を放出することができる。信号光検出器224は、第1放出光331を受光し、信号光検出器224が受光した第1放出光331の量に基づいて、分析物測定信号を生成することができる。ある態様では、ステップ952は、分析物センサ100が基準光検出器226を使用して、指示薬エレメント106から反射した第1励起光329を受光し、基準光検出器226が受光した反射第1励起光329の量を示す基準信号を生成する動作を含むことができる。
【0089】
[00102] ある態様では、プロセス950はステップ954を含むことができ、ステップ954において、分析物監視システム50は干渉物質信号を測定する。ある態様では、ステップ954は、トランシーバ101が干渉物質測定コマンドを分析物センサ100に伝達する動作を含むことができる。ある態様では、ステップ954は、分析物センサ100が、干渉物質測定コマンドを受信しデコードしたことに応答して、第2光源227を使用して、第2励起光330を指示薬エレメント106に向けて放出するステップを含むことができる。指示薬エレメント106の干渉物質指示薬209は、第2励起光330を受光し、第2放出光332を放出することができる。干渉物質光検出器228は、第2放出光332を受光し、干渉物質光検出器228が受光した第2放出光332の量に基づいて、干渉物質測定信号を生成することができる。ある態様では、ステップ954は、分析物センサ100が、信号光検出器224(および/または第2基準光検出器230)を使用して、指示薬エレメント106から反射した第2励起光330を受光し、信号光検出器224(および/または第2基準光検出器230)が受光した反射第2励起光330の量を示す基準信号を生成する動作を含むことができる。
【0090】
[00103] ある代替態様では、ステップ954が、干渉物質測定コマンドを分析物センサ100に伝達する動作を含まなくてもよく、分析物センサ100は、分析物測定コマンドを受信しデコードしたことに応答して(別個の干渉物質測定コマンドを受信しデコードしたことに応答する代わりに)、第2光源227を使用して、第2励起光330を指示薬エレメント106に向けて放出してもよい。ある代替態様では、ステップ952および954を同時に行うこともでき、分析物センサ100は、第1および第2光源108、227を使用して、同時に第1および第2励起光329、330を指示薬エレメント106に放出することもできる。ある代替態様では、ステップ954をステップ952の前に実行してもよい。
【0091】
[00104] ある態様では、プロセス950はステップ956を含むこともでき、ステップ956において、分析物監視システム50は分析物指示薬207における変化を計算する。ある態様では、ステップ956は、トランシーバ101がセンサ・データを分析物センサ100から受信する動作を含むことができる。ある態様では、センサ・データは、分析物測定値、第1基準測定値、干渉物質測定値、第2基準測定値、および温度測定値の内1つ以上を含むことができる。ある態様では、分析物測定値は、信号光検出器224が受光した第1放出光331の量に対応することができ、第1基準測定値は、基準光検出器226が受光した反射第1励起光329の量に対応することができ、干渉物質測定値は、干渉物質光検出器228が受光した第2放出光332の量に対応することができ、第2基準測定値は、信号光検出器224が受光した反射第2励起光330の量に対応することができる。ある代替態様では、分析物測定値および第1基準測定値の内1つ以上をステップ952の間に受け取ってよく、干渉物質測定値および第2期順測定値の内1つ以上をステップ954の間に受け取ってもよい。
【0092】
[00105] ある態様では、ステップ956は、トランシーバ101(例えば、トランシーバ101のマイクロコントローラ910)が、少なくとも受信した干渉物質測定値に基づいて、分析物指示薬207が劣化した度合いを判定する動作を含むことができる。ある非限定的な態様では、ステップ956は、トランシーバ101が、(i)受信した干渉物質測定値に基づいて、干渉物質指示薬209が劣化した度合いを判定し、更に(ii)判定した干渉物質指示薬209の劣化度合いに基づいて、分析物指示薬207が劣化した度合いを判定する動作を含むことができる。ある非限定的な態様では、トランシーバ101が、加えてまたは代わりに、1つ以上の以前の干渉物質測定値および/または干渉物質指示薬209が劣化した度合いについての1つ以上の以前の判定を使用して、分析物指示薬207が劣化した度合いを判定することもできる。
【0093】
[00106] ある態様では、プロセス950はステップ958を含むことができ、ステップ958において、分析物監視システム50は、分析物指示薬207に対して計算した変化、および/または計算したISFにおける血液量に対する補正を行う。ある非限定的な態様では、トランシーバ101(例えば、トランシーバ101のマイクロコントローラ910)は、分析物測定値に基づいて分析物レベルを計算するために使用される変換関数を調節することによって、分析物指示薬207に対して計算した変化、および/または計算したISFにおける血液量に対する補正を行うことができる。ある態様では、変換関数を調節する動作は、変換関数の1つ以上のパラメータを調節する動作を含むことができる。ある態様では、ステップ958において、トランシーバ101は、加えてまたは代わりに、第1基準測定値に基づいて変換関数を調節することもでき、第1基準測定値は、指示薬エレメント106の生体内水和(in-vivo hydration)および/または創傷治癒の動態(wound healing kinetics)を示すことができる。ある態様では、ステップ958において、トランシーバ101が、加えてまたは代わりに、第2基準測定値に基づいて変換関数を調節することもでき、第2基準測定値は、第1放出光331の波長範囲における指示薬エレメント106の不透明度(opacity)の測定値であってもよい。
【0094】
[00107] ある態様では、プロセス950はステップ960を含むことができ、ステップ960において、分析物監視システム50は分析物レベル(例えば、分析物濃度)を計算する。ある態様では、ステップ960において、トランシーバ101(例えば、トランシーバ101のマイクロコントローラ910)が、少なくとも調節した変換関数および分析物測定値を使用して、分析物レベルを計算することができる。ある態様では、トランシーバ101は、加えて、温度測定値を使用して、分析物レベルを計算することができる。
【0095】
[00108] ある態様では、プロセス950はステップ962を含むことができ、ステップ962において、分析物監視システム50は、計算した分析物レベルを表示する。ある態様では、ステップ962において、トランシーバ101はディスプレイ924上に分析物レベルを表示することができる。ある態様では、ステップ962において、トランシーバ101は、加えてまたは代わりに、計算した分析物レベルをディスプレイ・デバイス107に伝達することができ、ディスプレイ・デバイス107は、加えてまたは代わり、計算した分析物レベルを伝達することができる。
【0096】
[00109]
[00110] ヒドロゲル上で、化合物Aを指示薬分子と共重合した。共重合方法は、米国特許第7,060,503号(Colvin)および第9,778,190号(Huffstetler et al.)に記載されている。これらの特許をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0097】
【化13】
【0098】
[00111] 初期の特徴化、およびそれに続く酸化試験が、図14Aおよび図14Bに示すように、基準染料(化合物A)および指示薬双方の劣化動態を理解するのに役立った。初期の蛍光光度計の作業は、指示薬(TFM):化合物Aの比率を1:1として行い、化合物1を共重合可能な基準染料として使用する場合を明示した。図14Aおよび図14Bにおけるプロットは、2mMグルコースおよび50μM過酸化水素における、指示薬分子の蛍光強度の減少(励起波長380nm)、および同時に発生した化合物Aの蛍光強度の上昇(励起波長470nm)を明示する。TFMは、9-[N-[6-(4,4,5,5,-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラノ)-3-)トリフルオロメチル)ベンジル]-N-[3-(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]-10-[N-[6-(4,4,5,5,-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラノ)-3-(トリフルオロメチル)ベンジル]-N-[2-(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン・ナトリウム塩という化学名を有する。
【0099】
[00112] 共重合化した指示薬に対して、その上にあるヒドロゲル内の化合物Aの比率が1:1であるモック・センサを使用して、18匹の雌のモルモットにおいて、生体内研究を行った。モック・センサをモルモット内に埋植して、生体内酸化に応答する化合物Aの挙動、および指示薬分子の劣化に対するその相関関係を評価した。埋植は、埋植訓練ファイルにしたがって、センソニック社(Senseonics)埋植ツール・キットによって、各モルモットの背中において皮下で行った(モルモット毎に2つの検体)。30日、60日、および90日という外植時点に合わせて、被験体を3つのグループに分けた。一旦検体を外植したなら、ENZOL(登録商標)社の酵素洗剤およびグルタルアルデヒド溶液を使用して、これらを洗浄および殺菌した。次いで、蛍光光度計によって、外植検体を分析し、化合物Aにおける蛍光強度変化を評価し、化合物Aの強度増加率(% increase in Compound A intensity)を指示薬における変調損失率(% modulation loss)に相関付けた。
【0100】
[00113] 生体内研究は、次のように行われた。酸化試験に先立って、初期変調データを収集するために、初期0-18変調を行った。既知の濃度の過酸化水素を使用して、故意にセンサを部分的に酸化させた。部分的酸化の後、変調データを収集し変調における損失を記録するために、再度0-18変調を行った。この手順を3~5サイクル繰り返した。ここで、同じセンサに更なる部分的酸化が行われ、各酸化ステップにおいて、0-18変調データを収集した。指示薬および基準染料双方の劣化率(rates of degradation)の相関プロットを図13に示す。
【0101】
[00114] 検体の外植分析において、検体は、生体内および生体内酸化検体の間に強い相関を示した。この相関は、指示薬染料の酸化量を分析することによって、信号チャネルに残された変調量を判定するのに役立ち、これによって実行する較正の回数が減少する。
【0102】
[00115] 追加の態様
[00116] ある態様では、分析物指示薬207によって放出された放出光(例えば、第1放出光331)の強度または量は、分析物指示薬207の劣化が増大するに連れて、変化するのでもよい(例えば、増大または減少する)。実例をあげると、図15Aは、活性酸素種(ROS)によって生じる劣化の前および後における分析物指示薬207の分析物指示薬分子の非限定的な例を示す。ある態様では、図14Aに示すように、図15Aに示す分析物指示薬分子を含む分析物指示薬207によって放出された放出光(例えば、第1放出光331)の強度または量は、分析物指示薬207の劣化がときの経過と共に増大するに連れて、減少するのでもよい。
【0103】
[00117] ある態様では、干渉物質指示薬209によって放出された放出光(例えば、第2放出光332)の強度または量は、干渉物質指示薬209の劣化が増大するに連れて、変化するのでもよい(例えば、増大または減少する)。ある態様では、干渉物質指示薬209の劣化度合いは、分析物指示薬207の劣化度合いに対応することができる。したがって、ある態様では、干渉物質指示薬209によって放出された放出光の強度または量の変化度合いは、分析物指示薬207によって放出された放出光の強度または量の変化に対応することができる。実例をあげると、図15Bは、ROSによって生じる劣化の前および後における干渉物質指示薬209の干渉物質指示薬分子の非限定的な例を示す。ある態様では、図14Bに示すように、図15Bに示す分析物指示薬分子を含む干渉物質指示薬209によって放出された放出光(例えば、第2放出光332)の強度または量は、干渉物質指示薬209の劣化がときの経過と共に増大するに連れて、増大するのでもよい。しかしながら、これは必須ではなく、ある代替態様では、干渉物質指示薬209によって放出された放出光(例えば、第2放出光332)の強度または量は、干渉物質指示薬209の劣化がときの経過と共に増大するに連れて、減少するのでもよい。
【0104】
[00118] ある態様では、干渉物質指示薬209によって放出された放出光(例えば、第2放出光332)の強度または量が、干渉物質指示薬209の劣化が増大するに連れて変化することに加えて(またはその代わりに)、干渉物質指示薬209の吸収が、干渉物質指示薬209の劣化が増大するに連れて、変化するのでもよい(例えば、増大または減少する)。ある態様では、干渉物質指示薬209の劣化度合いは、分析物指示薬207の劣化度合いに対応することができる。したがって、ある態様では、干渉物質指示薬209の吸収の変化度合い(例えば、指示薬エレメント106によって吸収されず反射した第2励起光330の量によって測定される)が、分析物指示薬207によって放出された放出光の強度または量の変化に対応することができる。ある態様では、干渉物質指示薬209の劣化(例えば、酸化)が増大するに連れて、干渉物質指示薬209の色(したがって、干渉物質指示薬209を含む指示薬エレメント106の色)が変化するのでもよい。例えば、ある態様では、指示薬エレメント106の色が、図16Aに示すように、酸化がない場合の白から、図16Bに示すように、酸化されたときの黄色に変化するのでもよい。しかしながら、白から黄色への変化は必須ではなく、ある代替態様では、劣化によって、異なる色の変化(例えば、白から黄色、白からオレンジ色、黄色から赤、オレンジ色から茶色等)が生じてもよい。ある態様では、干渉物質指示薬209の色(したがって、干渉物質指示薬209を含む指示薬エレメント106の色)の変化が、干渉物質指示薬209の吸収(したがって、干渉物質指示薬209を含む指示薬エレメント106の吸収)を変化させるのでもよい。
【0105】
[00119] ある態様では、図17Aに示すように、分析物指示薬207によって放出された放出光331の強度または量は、ときの経過と共に減少するのでもよい(例えば、酸化のような、分析物指示薬207の劣化が増大するに連れて)。ある態様では、図17Bの黄色い線で示すように、指示薬エレメント106の吸収が、ときの経過と共に増大するのでもよい(例えば、酸化のような、干渉物質指示薬209の劣化が増大するに連れて)。ある態様では、図17Bの青い線によって示すように、指示薬エレメント106が反射する第2励起光330の強度または量が、ときの経過と共に減少するのでもよい(例えば、酸化のような、干渉物質指示薬209の劣化が増大するに連れて)。ある態様では、図17Aおよび図17Bに示すように、指示薬エレメント106の吸収増大、および指示薬エレメント106が反射する第2励起光330の強度または量の減少は、分析物指示薬207によって放出された放出光331の強度または量の減少に対応することができる。
【0106】
[00120] 図18は、分析物センサ100を、人の生体の身体に皮下埋植した臨床試験からの実験データのグラフを示す。図18のグルコース信号エリア(glucose signal area)は、分析物指示薬207によって放出され1つ以上の信号光検出器224が受光した第1放出光331の量を経時的に示す分析物測定値を表す。図18に示すように、分析物測定値が、初期において変動するのは差し支えない(例えば、分析物センサ100の埋植後の創傷治癒期間の間であり、センサ100に近接する間質液において血液量が増大する可能性があるとき)。次いで、分析物測定値は、分析物指示薬207に対する作用(例えば、分析物指示薬207の劣化)の増大によって、ときの経過と共に減少すればよい。
【0107】
[00121] 図18のUV基準エリアは、経時的に指示薬エレメント106が反射し1つ以上の第1基準光検出器226が受光した第1励起光329の量を示す第1基準測定値を表す。図18に示すように、第1基準測定値が、初期において変動するのは差し支えない(例えば、分析物センサ100の埋植後の創傷治癒期間の間であり、センサ100に近接する間質液において血液量が増大する可能性があるとき)。
【0108】
[00122] 図18の黄色い酸化指示薬(YOI)エリアは、干渉物質指示薬209によって放出され、1つ以上の干渉物質光検出器228が受光した第2放出光332の量を示す干渉物質測定値を示す。この実験では、干渉物質測定値は、開始して10日目以降打ち切ったが、干渉物質指示薬209の劣化が増大するに連れて、ときの経過と共に増大することが予測された。しかしながら、生体内酸化研究からの実験データは、干渉物質指示薬209の劣化が増大するに連れて、干渉物質指示薬209によって放出された光の強度または量が経時的に増大することを実証した。更に、生体内酸化研究からの実験データは、干渉物質指示薬209によって放出された光の強度または量の経時的な増大は、分析物指示薬207の劣化が増大するに連れて、分析物指示薬207によって放出された光の強度または量の経時的な減少に対応することを実証した。
【0109】
[00123] 図18の青い基準エリアは、指示薬エレメント106が反射し1つ以上の光検出器(例えば、図2Aの1つ以上の信号光検出器224または図2Bの1つ以上の第2基準光検出器230)が受光した第2励起光330の経時的な量を示す、第2基準測定値を表す。図18に示すように、第2基準測定値が初期において変動するのは差し支えない(例えば、分析物センサ100の埋植後の創傷治癒期間の間であり、センサ100に近接する間質液において血液量が増大する可能性があるとき)。次いで、第2基準測定値は、干渉物質指示薬209の吸収(および干渉物質指示薬209を含む指示薬エレメント106の吸収)が増大するに連れて(例えば、酸化のような、干渉物質指示薬209の劣化による)、ときの経過と共に減少すればよい。図18に示すように、第2基準測定値の経時的な減少は、分析物測定値の経時的な減少に対応する。つまり、実験データから確認されるのは、干渉物質指示薬209を含む指示薬エレメント106の吸収の測定値は、指示薬エレメント106の分析物指示薬207に対する作用(例えば、その劣化)を計算するために使用できるということである。
【0110】
[00124] 図20は、分析物監視システム50によって実行することができるプロセス2000の非限定的な態様を示す。ある態様では、プロセス2000は、分析物指示薬207に対する作用を検出し、それに対する補正を行うことができる。ある態様では、プロセス2000は、加えてまたは代わりに、分析物指示薬207に近接する媒体(例えば、間質液)内における血液を検出し、それに対する補正を行うこともできる。
【0111】
[00125] ある態様では、プロセス2000はステップ2002を含むことができ、ステップ2002において、分析物監視システム50は分析物測定を実行する。ある態様では、ステップ2002は、分析物監視システム50(例えば、分析物センサ100)が分析物指示薬207を使用して、媒体内における分析物の量または濃度を示す分析物測定値を生成する動作を含むことができる。ある態様では、分析物測定値は、少なくとも分析物指示薬207に対する作用に応じて、変動するのでもよい。ある態様では、分析物指示薬207に対する作用は、分析物指示薬207の劣化であってもよい。ある態様では、劣化は、例えば、活性酸素種(ROS)による劣化のような、酸化によって誘起される劣化を含むこともできる。
【0112】
[00126] ある態様では、ステップ2002において分析物指示薬207を使用して分析物測定値を生成する動作は、1つ以上の第1光源108を使用して第1励起光329を分析物指示薬207に向けて放出する動作と、分析物指示薬207によって放出された第1放出光331を受光するように構成された信号光検出器224を使用して、分析物測定値を出力する動作とを含むこともできる。ある態様では、分析物測定値は、信号光検出器224が受光した第1放出光331の量を示すことができる。
【0113】
[00127] ある態様では、ステップ2002は、分析物監視システム50(例えば、分析物センサ100)が、1つ以上の第1基準光検出器226を使用して、ある量の第1励起光329を受光し、第1励起光329の受光量を示す第1基準測定値を出力する動作を含むことができる。ある態様では、第1基準光検出器226が受光した第1励起光329は、1つ以上の第1光源108によって放出され、第1分析物指示薬207から反射したものでよい)。
【0114】
[00128] ある態様では、ステップ2002は、トランシーバ101が分析物測定コマンドを伝達し、分析物センサ100が分析物測定コマンドを受信する動作を含むことができる。ある態様では、ステップ2002は、分析物センサ100が、分析物測定コマンドを受信しデコードしたことに応答して、第1光源108を使用して第1励起光329を指示薬エレメント106に向けて放出する動作を含むことができる。指示薬エレメント106の分析物指示薬207は、第1励起光329を受光し、第1放出光331を放出することができる。信号光検出器224は、第1放出光331を受光し、信号光検出器224が受光した第1放出光331の量に基づいて、分析物測定信号を生成することができる。ある態様では、基準光検出器226が、指示薬エレメント106から反射した第1励起光329を受光し、第1基準測定値を生成することができる。
【0115】
[00129] ある態様では、プロセス2000はステップ2004を含むことができ、ステップ2004において、分析物監視システム50は、分析物指示薬207に対する作用を測定する。ある態様では、ステップ2004は、分析物監視システム50(例えば、分析物センサ100)が、干渉物質指示薬209を使用して、第2基準測定値を生成する動作を含むことができる。ある態様では、第2基準測定値は、干渉物質指示薬209の吸収を示すことができる。ある態様では、干渉物質指示薬209の吸収は、分析物指示薬207に対する作用(例えば、その劣化)に応じて変動することができる。ある態様では、ステップ2004において生成される第2基準測定値は、ステップ2002において生成することができる第1基準測定値に付加することができ、第1基準測定値は、1つ以上の第1基準光検出器226が受光した第1励起光329の量を示すことができる)。しかしながら、第1基準測定値がステップ2002において生成されない態様においてでも、第2基準測定値をステップ2004において生成することもできる。
【0116】
[00130] ある態様では、ステップ2004において干渉物質指示薬209を使用して第2基準測定値を生成する動作が、1つ以上の第2光源227を使用して、第2励起光330を干渉物質指示薬209に向けて放出する動作を含むこともできる。ある態様では、干渉物質指示薬209を使用して第2基準測定値を生成する動作が、1つ以上の光検出器(例えば、図2Aに示すような1つ以上の信号光検出器224、または図2Bに示すような1つ以上の第2基準光検出器230)を使用して、ある量の第2励起光330を受光し、第2基準測定値を出力する動作を含むことができる。ある態様では、第2基準測定値が、第2励起光330の受光量を示すことができ、第2励起光330の受光量は、干渉物質指示薬209の吸収を示すことができる。
【0117】
[00131] ある態様では、ステップ2004は、分析物監視システム50(例えば、分析物センサ100)が干渉物質指示薬209を使用して干渉物質測定値を生成する動作を(第2基準測定値を生成する動作に加えて、またはその代わりに)含むことができる。ある態様では、干渉物質測定値を生成する動作は、1つ以上の第2光源227を使用して第2励起光330を干渉物質指示薬209に向けて放出する動作を含むことができる。ある態様では、干渉物質測定値を生成する動作は、干渉物質光検出器228を使用して、干渉物質指示薬209によって放出された第2放出光332を受光し、干渉物質光検出器228が受光した第2放出光332の量を示す干渉物質測定値を出力する動作を含むことができる。ある態様では、第2放出光332は、分析物指示薬331に対する作用(例えば、その劣化)に応じて変動するのでもよい。
【0118】
[00132] ある態様では、ステップ2004は、トランシーバ101が干渉物質測定コマンドを伝達し、分析物センサ100が干渉物質測定コマンドを受信する動作を含むことができる。ある態様では、ステップ2004は、分析物センサ100が、干渉物質測定コマンドを受信しデコードしたことに応答して、分析物指示薬207に対する作用を測定する動作を含むことができる。ある態様では、分析物指示薬に対する作用を測定する動作は、第2光源227を使用して、第2励起光330を指示薬エレメント106に向けて放出する動作を含むことができる。指示薬エレメント106の干渉物質指示薬209は、第2励起光330を受光し、第2放出光332を放出することができる。干渉物質光検出器228は、第2放出光332を受光し、干渉物質光検出器228が受光した第2放出光332の量に基づいて、干渉物質測定信号を生成することができる。信号光検出器224(および/または第2基準光検出器230)は、指示薬エレメント106から反射した第2励起光330を受光し、第2基準信号を生成することができる。ある代替態様では、ステップ2004は、トランシーバ101が干渉物質測定コマンドを伝達し、分析物センサ100が干渉物質測定コマンドを受信する動作を含まなくてもよく、分析物センサ100は、分析物測定コマンドを受信しデコードしたことに応答して、分析物指示薬207に対する作用を測定することができる(干渉物質測定コマンドを受信しデコードしたことに応答する代わりに)。
【0119】
[00133] ある態様では、ステップ2002をステップ2004の前に実行してもよい。ある代替態様では、ステップ2002およびステップ2004を同時に実行してもよく、分析物センサ100は、第1および第2光源108、227を使用して、第1および第2励起光329、330を同時に指示薬エレメント106に放出することもできる。ある他の代替態様では、ステップ2004をステップ2002の前に実行してもよい。
【0120】
[00134] ある態様では、プロセス2000はステップ2006を含むことができ、ステップ2006において、分析物監視システム50(例えば、トランシーバ101)は、分析物指示薬207に対する作用(例えば、分析物指示薬207が劣化した度合い)を計算する。ある態様では、ステップ2006は、分析物センサ100がセンサ・データを伝達し、トランシーバ101がセンサ・データを受信する動作を含むことができる。ある態様では、センサ・データは、分析物測定値、第1基準測定値、干渉物質測定値、第2基準測定値、および温度測定値の内1つ以上を含むことができる。ある代替態様では、ステップ2002は、分析物センサ100がセンサ・データ(例えば、分析物測定値、第1基準測定値、および/または温度測定値)を伝達し、トランシーバ101がセンサ・データを受信する動作を含むことができ、および/またはステップ2004は、分析物センサ100がセンサ・データ(例えば、干渉物質測定値および/または第2基準測定値)を伝達し、トランシーバ101がセンサ・データを受信する動作を含むことができる。
【0121】
[00135] ある態様では、分析物監視システム50(例えば、トランシーバ101)は、少なくともステップ2004において生成した1つ以上の測定値(例えば、干渉物質指示薬209の吸収を示す第2基準測定値、および/または干渉物質指示薬209の放出を示す干渉物質測定値)に基づいて、ステップ2006において、分析物指示薬207に対する作用を計算することができる。ある態様では、システム50は、分析物指示薬106の吸収変化に基づいて、分析物指示薬106に対する作用を計算することができる。分析物指示薬106の吸収変化は、第2基準測定値によって示すことができる。ある態様では、システム50は、干渉物質測定値と第2基準測定値との比率に基づいて、分析物指示薬207に対する作用を計算することもできる。ある態様では、ステップ2006は、加えてまたは代わりに、システム50が1つ以上の以前の干渉物質測定値および/または1つ以上の分析物指示薬207に対する作用の以前の計算を使用して、分析物指示薬207に対する作用(例えば、現在の作用)を計算することができる。
【0122】
[00136] ある態様では、プロセス2000はステップ2008を含むことができ、ステップ2008において、分析物監視システム50(例えば、トランシーバ101)は、媒体(例えば、間質液(ISF))内における血液の量を計算する。ある態様では、媒体内における血液の量は、ステップ2008において、第2基準測定値に基づいて計算することができる。第2基準測定値は、第2励起光330の受光量を示すことができる。ある態様では、第2基準測定値が、干渉物質指示薬209の吸収を示すこともできる。ある態様では、媒体内における血液の量は、加えてまたは代わりに、第1基準測定値に基づいて計算することもできる。第1基準測定値は、第1励起光329の受光量を示すことができる。ある態様では、媒体内における血液の量は、ステップ2008において、少なくとも第1および第2基準測定値の比率に基づいて計算することもできる。ある態様では、媒体内における血液の量は、加えてまたは代わりに、ステップ2008において、干渉物質測定値に基づいて計算することもできる。干渉物質測定値は、第2放出光332の受光量を示すことができる。
【0123】
[00137] 図19Aは、異なる波長におけるオキシヘモグロビン(HbO)およびデオキシヘモグロビン(Hb)の消衰係数を示すグラフである。図19Bは、異なる波長におけるオキシヘモグロビン(HbO)、ディオキシヘモグロビン(Hb)、メトヘモグロビン(MetHb)、およびビリルビンの消衰係数を示すグラフである。ある態様では、ステップ2008において、システム50は、第1励起光329(例えば、380nm)および第2励起光330(例えば、470nm)の内1つ以上の波長におけるオキシヘモグロビン(HbO)、ディオキシヘモグロビン(Hb)、メトヘモグロビン(MetHb)、およびビリルビンの内1つ以上の既知の消衰係数を、第1および第2基準測定値の内1つ以上と共に使用して、分析物センサ100に近接する媒体における血液の量を計算することができる。
【0124】
[00138] ある態様では、プロセス2000はステップ2010を含むことができ、ステップ2010において、分析物監視システム50(例えば、トランシーバ101)は、分析物指示薬207および/または媒体(例えば、ISF)における血液に対する作用を補正する。ある態様では、ステップ2010は、分析物監視システム50(例えば、トランシーバ101)が変換関数を調節する動作を含むことができる。ある態様では、分析物測定値に基づいて分析物レベルを計算するために、変換関数を使用することができる。ある態様では、ステップ2010において、分析物指示薬207に対して計算した作用(例えば、ステップ2006において計算した)に基づいて、変換関数を調節することができる。ある態様では、加えてまたは代わりに、ステップ2010において、計算した媒体内における血液(例えば、ステップ2008において計算した)に基づいて、変換関数を調節することもできる。ある態様では、変換関数を調節する動作は、変換関数の1つ以上のパラメータを調節する動作を含むこともできる。
【0125】
[00139] ある態様では、プロセス2000はステップ2012を含むことができ、ステップ2012において、分析物監視システム50(例えば、トランシーバ101)は、分析物レベル(例えば、分析物濃度)を計算する。ある態様では、ステップ2012は、分析物監視システム50(例えば、トランシーバ101)が、調節した変換関数および分析物測定値を使用する動作を含むことができる。ある態様では、システム50は、加えて、温度測定値を使用して分析物レベルを計算することもできる。
【0126】
[00140] ある態様では、プロセス2000はステップ2014を含むことができ、ステップ2014において、分析物監視システム50は、計算した分析物レベルを表示する。ある態様では、ステップ2014において計算した分析物レベルを表示するために、システム50は分析物レベルをディスプレイ924上に表示することができる。ある態様では、ステップ2014において計算した分析物レベルを表示するために、システム50は、加えてまたは代わりに、計算した分析物レベルをディスプレイ・デバイス107に伝達することもでき、ディスプレイ・デバイス107は、加えてまたは代わりに、計算した分析物レベルを伝達することもできる。
【0127】
[00141] ある態様では、分析物監視システム50の分析物センサ100は、完全に埋植可能なセンサとすることができ、蛍光、ボロン酸グルコース結合部分を、グルコース測定のための分析物指示薬207として利用することができる。ある態様では、この分析物指示薬207の結合親和性は、グルコースに特異的と言って差し支えないが、間質空間内に存在する局所活性酸素種(ROS)(例えば、過酸化水素(H2O))による酸化脱硼素化(oxidative de-boronation)を受ける可能性もある。ある態様では、分析物センサ100は、較正更新(calibration updates)に基づいて、ROSの局所生体内濃度から酸化速度を特徴付けることができる。ある態様では、ROS濃度を測定するために干渉物質指示薬209を含む指示薬エレメント106を利用することによって、較正頻度の減少を可能にすることもできる。
【0128】
[00142] ある態様では、図22に示すように、分析物センサ100は、複数の検知エリア2202(例えば、検知エリア2202a、2202b、2202c、および2202d)を含むことができる。ある態様では、検知エリア2202は、各々、測定電子回路(例えば、光学測定電子回路)を含むことができる。ある態様では検知エリア2202の各々における測定電子回路は、1つ以上の光源(例えば、光源108および227)および/または1つ以上の光検出器(例えば、光検出器224、226、228、および/または230)を含むことができる。ある態様では、分析物センサ100は、第1および第2基板112を含むことができ、検知エリア2202aおよび2202cを第1基板112上に配し、検知エリア2202bおよび2202dを第2基板112上に配してもよい。ある態様では、検知エリア2202aおよび2202cは、それぞれ、分析物センサ100の長い遠端(LED:long end distal)および長い中央端(LEC:long end central)の検知エリアとしてもよく、検知エリア2202bおよび2202dは、それぞれ、分析物センサの短い中央端(SEC:short end central)および短い遠端(SED:short end distal)の検知エリアとしてもよい。
【0129】
[00143] ある態様では、図22に示すように、分析物センサ100は1つ以上の指示薬エレメント106(例えば、指示薬エレメント106aおよび106b)を含むことができ、例えば、センサ筐体102上の1つ以上のヒドロゲルとしてもよい。ある態様では、図2Aおよび図2Bに示すように、1つ以上の指示薬エレメント106は、各々、分析物指示薬207および干渉物質指示薬209を含むこともできる。ある態様では、分析物センサ100は、分析物指示薬207を使用して分析物(例えば、グルコース、酸素、心臓マーカ、低比重リポタンパク質(LDL)、高比重リポタンパク質(HDL)、または中性脂肪)の存在、量、および/または濃度を測定することができる。ある態様では、分析物センサ100は、干渉物質指示薬209を使用して、ROS誘起信号劣化を測定することもできる。ある態様では、1つ以上の指示薬エレメント106において、分析物指示薬207および干渉物質指示薬209を、1つの生物適合性ヒドロゲルに共重合化することもできる。ある態様では、分析物指示薬207および干渉物質指示薬209は、無視できる程度のスペクトル重複があってもよく、生体内において同様の劣化(例えば、ボロン酸の同様の劣化)が生じてもよい。
【0130】
[00144] ある態様では、1つ以上の指示薬エレメント106の分析物指示薬207は、例えば、TFMであってもよい。ある態様では、分析物指示薬207は、図21Aに示す化学構造を有することができる。ある態様では、図21Aに示すように、分析物(例えば、グルコース)は、分析物指示薬202に可逆的に結合することができ、分析物が結合された分析物指示薬207は、第1励起光329によって照射されると、第1放出光331(例えば、蛍光)を放出することができ、分析物が結合されていない分析物指示薬207は、第1励起光329によって照射されても、光を放出しなくてよい(または、少量の光のみを放出する)。ある態様では、図21Bに示すように、干渉物質指示薬209の酸化が、干渉物質指示薬209に第2放出光332を放出させる(例えば、第2励起光330によって照射されたとき)。ある態様では、干渉物質指示薬209の酸化が、加えてまたは代わりに、干渉物質指示薬209の吸収を変化させることもできる(例えば、干渉物質指示薬209による第2励起光330の吸収)。ある態様では、図22に示すように、1つ以上の検知エリア2202(例えば、検知エリア2202aおよび2202c)が第1指示薬エレメント106aと相互作用することができ(例えば、第1指示薬エレメント106aに向けて第1および第2励起光329および330を放出し、第1指示薬エレメント106aによって放出された第1および第2放出光331および332を測定する)、1つ以上の異なる検知エリア2202(例えば、検知エリア2202bおよび2202d)が第2指示薬エレメント106bと相互作用することができる。
【0131】
[00145] ある態様では、1つ以上の指示薬エレメント106における干渉物質指示薬209によって、分析物センサ100は、ROSによって生ずる生体内信号劣化および信号変化を測定するように構成することができ、基準分析物測定(例えば、フィンガ・スティックによる血糖測定)に基づく較正の頻度を減少させることができる。
【0132】
[00146] ある態様では、分析物センサ100は、複数の検知エリア2202の各々(例えば、検知エリア2202a~2202dの各々)において分析物(例えば、グルコース)を検知することができる。ある態様では、複数の検知エリア2202は冗長検知エリアであってもよい。ある態様では、検知エリア2202の各々において、光源108(例えば、UV LED)によって放出された第1励起光329によって、分析物指示薬207を励起することができ、光源227(例えば、青色LED)によって放出された第2励起光330によって、干渉物質指示薬209を励起することができる。ある態様では、分析物指示薬207によって放出された第1励起光329および第1放出光331は、それぞれ、1つ以上の第1基準光検出器226(例えば、1つ以上のUVフィルタ被覆光ダイオード)および1つ以上の信号光検出器224(例えば、1つ以上の青色フィルタ被覆光ダイオード)によって測定することができる。ある態様では、第2励起光330は、1つ以上の信号光検出器224(図2A参照)または1つ以上の第2基準光検出器230(図2B参照)によって測定することができ、これらは、例えば、1つ以上の青色フィルタ被覆光ダイオード(blue filter coated photodiode)にすることができる。ある態様では、干渉物質指示薬209によって放出された第2放出光332は、1つ以上の干渉物質光検出器228(例えば、1つ以上の黄色フィルタ被覆光ダイオード)によって測定することができる。
【0133】
[00147] ある態様では、図22に示すように、分析物センサ100は、センサ筐体102の外面の全部または一部に、1つ以上の薬剤溶出ポリマー・マトリクス2204を含むことができる。ある態様では、1つ以上の薬剤溶出ポリマー・マトリクス2204の中に1つ以上の治療薬を分散させることができる。ある態様では、1つ以上の治療薬が、分析物センサ100が埋植されている空間に入る好中球の移動(migration)を減少または停止させ、こうして過酸化水素の産生および繊維性被包を減少または停止させることができる。したがって、ある態様では、1つ以上の治療薬が1つ以上の指示薬エレメント106(例えば、指示薬エレメント106aおよび106b)の劣化(deterioration)を減らすことができる。ある態様では、薬剤溶出ポリマー・マトリクス2204内に分散することができる1つ以上の治療薬が、例えば、非ステロイド系抗炎症薬(例えば、アセチルサリチル酸(アスピリン)および/またはイソブチルフェニルプロピオン酸(イブプロフェン))のような、1つ以上の抗炎症薬を含んでもよい。ある態様では、薬剤溶出ポリマー・マトリクス内に分散された1つ以上の治療薬が、1つ以上のグルココルチコイドを含んでもよい。ある非限定的な実施形態では、1つ以上の治療薬が、デキサメタゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、メチルプレドニゾロン、ベクロメタゾン、フルドロコルチゾン、これらの誘導体、およびこれらの類似体の内1つ以上を含んでもよい。ある態様では、1つ以上の治療薬が、好中球およびマクロファージによる過酸化水素の産生を減らすことができる。
【0134】
[00148] 分析物指示薬207および干渉物質指示薬209の酸化に対する応答を研究するために、生体内酸化実験を行った。図23に示すように、酸化が増大するに連れて、 同様の劣化動態によって、分析物指示薬207によって放出された第1放出光331は減少し、干渉物質指示薬209によって放出された第2放出光332は増大する。図24A図24Dは、局所酸化の後における分析物センサ100の光学および蛍光画像を示す。図24Aおよび図24Bは、それぞれ、分析物センサ100の基礎となるセンサの光学部品および明視野画像を示す。図24Cは、分析物指示薬207の底面付近の局所酸化によって蛍光の局所的減少がある場合における分析物指示薬207の蛍光撮像を示し、図24Dは、干渉物質指示薬209の底面付近の局所酸化によって、対応する蛍光の局所的増大がある場合における干渉物質指示薬209の蛍光撮像を示す。つまり、図24Cおよび図24Dに示す蛍光撮像は、分析物指示薬207によって放出された第1放出光331の局所酸化による減少が、空間的に、干渉物質指示薬209によって放出された第2放出光332の減少と相関付けられることを明示する。
【0135】
[00149] 非限定的な例では、告知に基づく同意の後、10人の1型糖尿病の成人において臨床的実現可能性評価を365日まで行った。フィンガ・スティックによる血糖測定に対する精度を、自宅における使用期間中にわたって、評価した。測定によって、分析物指示薬の化学的成分(chemistry)の一時的な脱ボロン化を判定するためには、局所酸化を評価することが有効であることが示された。図25A図25Dは、それぞれ、図22に示す分析物センサ100の検知エリア2202a、2202c、2202b、および2202dからの生体内測定値を示す。ある態様では、検知エリア2202aおよび2202cは、それぞれ、分析物センサ100の長い遠端(LED:long end distal)および長い中央端(LEC:long end central)の検知エリアとしてもよく、検知エリア2202bおよび2202dは、それぞれ、分析物センサの短い中央端(SEC:short end central)および短い遠端(SED:short end distal)の検知エリアとしてもよい。図25A図25Dに示すように、測定値は、第1および第2励起光329および330ならびに第1および第2放出光331および332の測定値を含むことができる。
【0136】
[00150] ある態様では、図22に示す分析物センサ100は、酸化を測定するために使用される干渉物質指示薬209と、冗長な検知エリア2202a~2202dとを組み合わせて、加重平均を使用して分析物値を得ることができる。ある態様では、分析物監視システム50(例えば、分析物監視システム50のトランシーバ101)は、酸化測定値よび分析物測定値を、較正の頻度減少を可能にする(例えば、14日目以降1週間に1回の較正)分析物計算モデルに統合することができる。ある態様では、分析物監視システム50は、選択的に、多重分析物(例えば、グルコースおよび酸化)多部位アレイからの検知エリア2202からの情報(例えば、測定値)を利用して、グルコース値を計算することができる。非限定的な例では、図26Aは、図22に示す分析物センサ100の検知エリア2202a~2202dから個々に計算した個々のグルコース濃度(例えば、検知エリア2202からの第1および第2励起光329および330ならびに第1および第2放出光331および332の内1つ以上の測定値に基づいて個々に)を示し、図26Bは、個々のグルコース濃度の加重平均に基づいて計算した、総合グルコース濃度を示す。ある態様では、検知エリア2202aおよび2202cは、それぞれ、分析物センサ100の長い遠端(LED:long end distal)および長い中央端(LEC:long end central)の検知エリアとしてもよく、検知エリア2202bおよび2202dは、それぞれ、分析物センサの短い中央端(SEC:short end central)および短い遠端(SED:short end distal)の検知エリアとしてもよい。
【0137】
[00151] 非限定的な例では、以下の表に示すように、10人の被験者による実現可能性の研究において、図22に示す分析物センサ100を含む分析物監視システム50は、1週間に1回較正を行い、フィンガ・スティックによる血糖測定値を基準として使用して、90日において9.2%、180日において9.3%の総合MARDを有した。
【0138】
【表1】
【0139】
[00152] 非限定的な例では、これらの研究は、図22に示す分析物センサ100の複数の検知チャネルが、指示薬エレメント106の酸化の評価だけでなく、グルコースの精度高い測定を可能にすることを示す。これら複数の分析物(例えば、グルコースおよび酸化)を検出することによって、365日まで、較正を1週間に1回まで著しく減少させつつ、精度を維持することができる。図22に示す分析物センサ100を含む分析物監視システム50の性能を評価するために、今後の研究が計画されている。
【0140】
[00153] 以上、本願の態様について、図面を参照しながら余すところなく説明した。 これらの好ましい態様に基づいて本発明について説明したが、発明の主旨および範囲内において、説明した態様には一定の変更、変形、および代替構造が可能であることは、当業者には明白であろう。例えば、本発明の態様では、分析物指示薬207および干渉物質指示薬209は同じ指示薬エレメント106全域にわたって分散されるが、これは必須ではない。ある代替態様では、分析物センサ100が、分析物指示薬207を含む第1指示薬エレメントと、干渉物質指示薬209を含む第2指示薬エレメントとを含んでもよい。これらの代替態様では、分析物指示薬207および干渉物質指示薬209を空間的に互いに分離してもよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図24D
図25A
図25B
図25C
図25D
図26A
図26B
【国際調査報告】