(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】疼痛の緩和及び麻痺のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20240507BHJP
A61P 23/00 20060101ALI20240507BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240507BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240507BHJP
A61K 9/02 20060101ALI20240507BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240507BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240507BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240507BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20240507BHJP
A61K 31/195 20060101ALI20240507BHJP
A61K 31/197 20060101ALI20240507BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P23/00
A61K47/36
A61K9/08
A61K9/02
A61K9/06
A61K9/14
A61K31/167
A61K31/445
A61K31/195
A61K31/197
A61K47/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519682
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 US2021052694
(87)【国際公開番号】W WO2023080886
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523048538
【氏名又は名称】ジロパ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ウォー・ジェイコブ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA24
4C076AA29
4C076BB11
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4C086ZA21
4C206AA01
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4C206FA44
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4C206MA36
4C206MA47
4C206MA48
4C206MA63
4C206MA83
4C206MA86
4C206NA10
4C206ZA21
(57)【要約】
麻酔剤と、細胞外基質構成成分またはその断片と、を含む組成物、及び、そのような組成物を局所投与することによる疼痛の治療方法を、本明細書に記載する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
麻酔剤と、細胞外基質構成成分またはその断片と、を含む組成物。
【請求項2】
前記麻酔剤が、リドカイン、リドカインHCl、ブピバカイン、ブピバカインHCl、ガバペンチン、ガバペンチンHCl、プレガバリン、プレガバリンHCl、及びこれらの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%~約10重量%の麻酔剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物の総重量を基準にして、約5重量%~約25重量%の細胞外基質構成成分またはその断片活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記細胞外基質構成成分またはその断片が、ヒアルロン酸、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、レクチン、これらの断片、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記細胞外基質構成成分またはその断片が、ヒアルロン酸またはヒアルロン酸の断片である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記細胞外基質構成成分またはその断片が、約2,000Da~約100,000Daの平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記細胞外基質構成成分またはその断片が、59,000Da未満の分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、酸化防止剤、ビタミン、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤、着色剤、可塑剤、担体、賦形剤、第2の活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、液体、ゲル、クリーム、粉末、またはスプレーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
脂質ナノ粒子、微小粒子、コロイド状脂質、及びこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
治療を必要とする対象の治療方法であって、前記対象の表面組織に、麻酔剤と、細胞外基質構成成分またはその断片と、を含む組成物を局所投与することを含む、前記方法。
【請求項13】
前記麻酔剤が、リドカイン、リドカインHCl、ブピバカイン、ブピバカインHCl、ガバペンチン、ガバペンチンHCl、プレガバリン、プレガバリンHCl、及びこれらの組み合わせである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、前記組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%~約10重量%の麻酔剤を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物の総重量を基準にして、約5重量%~約25重量%の細胞外基質構成成分またはその断片を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞外基質構成成分またはその断片が、ヒアルロン酸、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、レクチン、これらの断片、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞外基質構成成分またはその断片が、ヒアルロン酸またはヒアルロン酸の断片である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記細胞外基質構成成分またはその断片が、約2,000Da~約100,000Daの平均分子量を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞外基質構成成分またはその断片の少なくとも99.9%が、59,000Da未満の分子量を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、酸化防止剤、ビタミン、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤、着色剤、可塑剤、担体、賦形剤、第2の活性剤、及びこれらの組み合わせをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、液体、ゲル、クリーム、粉末、またはスプレーである、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、脂質ナノ粒子、微小粒子、コロイド状脂質、及びこれらの組み合わせをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
麻酔が、投与後または注射後最初の300秒以内に達成される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月29日に出願された、「疼痛の緩和及び麻痺のための組成物及び方法」という発明の名称の、米国仮出願番号第63/198,092号の利益を主張し、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
疼痛はしばしば、日々の機能及び生産性に影響を及ぼす形で個体を衰弱させ得るため、疼痛管理は、医療従事者にとっての大きな課題である。医師は、呼吸抑制または他の合併症を恐れて、高用量の鎮痛剤の投与に消極的であることが多い。幻覚、便秘、鎮静、悪心、及び精神不安などの好ましくない副作用を生じ得る、現在利用可能なオピオイドベースの薬物療法にも同じことが言える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の様々な実施形態は、麻酔剤と、細胞外基質構成成分またはその断片と、を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、麻酔剤は、リドカイン、リドカインHCl、ブピバカイン、ブピバカインHCl、ガバペンチン、ガバペンチンHCl、プレガバリン、プレガバリンHCl、及びこれらの組み合わせであってよく、いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%~約10重量%の麻酔剤を含んでよい。特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量を基準にして、約5重量%~約25重量%の細胞外基質構成成分またはその断片活性剤を含んでよく、細胞外基質構成成分またはその断片は、例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、レクチン、これらの断片、またはこれらの組み合わせであってよい。特定の実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、ヒアルロン酸またはヒアルロン酸の断片であってよい。いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、約2,000Da~約100,000Daの平均分子量を有してよく、いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片の少なくとも99.9%が59,000Da未満の分子量を有してよい。
【0004】
様々な実施形態では、組成物は、例えば、希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、酸化防止剤、ビタミン、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤、着色剤、可塑剤、担体、賦形剤、第2の活性剤、及びこれらの組み合わせなどの添加剤を含んでよい。組成物は、液体、ゲル、クリーム、粉末、またはスプレーとして製剤化されてもよく、いくつかの実施形態では、組成物は、脂質ナノ粒子、微小粒子、コロイド状脂質、及びこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0005】
他の実施形態は、麻酔剤と、細胞外基質構成成分またはその断片と、を含む組成物を、対象の表面組織に局所投与することによる、治療を必要とする対象の治療方法に関する。いくつかの実施形態では、麻酔剤は、リドカイン、リドカインHCl、ブピバカイン、ブピバカインHCl、ガバペンチン、ガバペンチンHCl、プレガバリン、プレガバリンHCl、及びこれらの組み合わせであってよく、いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%~約10重量%の麻酔剤を含んでよい。特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量を基準にして、約5重量%~約25重量%の細胞外基質構成成分またはその断片活性剤を含んでよく、細胞外基質構成成分またはその断片は、例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、レクチン、これらの断片、またはこれらの組み合わせであってよい。特定の実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、ヒアルロン酸またはヒアルロン酸の断片であってよい。いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、約2,000Da~約100,000Daの平均分子量を有してよく、いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片の少なくとも99.9%が59,000Da未満の分子量を有してよい。様々な実施形態では、麻酔効果は、投与後最初の300秒以内に達成され得る。
【0006】
さらなる実施形態は、麻酔剤と、細胞外基質構成成分またはその断片と、を含む組成物を、注射によって対象に投与することによる、治療を必要とする対象の治療方法に関する。いくつかの実施形態では、麻酔剤は、リドカイン、リドカインHCl、ブピバカイン、ブピバカインHCl、ガバペンチン、ガバペンチンHCl、プレガバリン、プレガバリンHCl、及びこれらの組み合わせであってよく、いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%~約10重量%の麻酔剤を含んでよい。特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量を基準にして、約5重量%~約25重量%の細胞外基質構成成分またはその断片活性剤を含んでよく、細胞外基質構成成分またはその断片は、例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、レクチン、これらの断片、またはこれらの組み合わせであってよい。特定の実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、ヒアルロン酸またはヒアルロン酸の断片であってよい。いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、約2,000Da~約100,000Daの平均分子量を有してよく、いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片の少なくとも99.9%が59,000Da未満の分子量を有してよい。様々な実施形態では、麻酔効果は、注射後最初の300秒以内に達成され得る。
【0007】
上述した方法の様々な実施形態では、組成物は、例えば、希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、酸化防止剤、ビタミン、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤、着色剤、可塑剤、担体、賦形剤、第2の活性剤、及びこれらの組み合わせなどの添加剤を含んでよい。組成物は、液体、ゲル、クリーム、粉末、またはスプレーとして製剤化されてもよく、いくつかの実施形態では、組成物は、脂質ナノ粒子、微小粒子、コロイド状脂質、及びこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0008】
追加の実施形態は、麻酔剤と、細胞外基質構成成分またはその断片と、皮膚充填剤と、を含む充填剤に関する。いくつかの実施形態では、麻酔剤は、リドカイン、リドカインHCl、ブピバカイン、ブピバカインHCl、ガバペンチン、ガバペンチンHCl、プレガバリン、プレガバリンHCl、及びこれらの組み合わせであってよく、いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%~約10重量%の麻酔剤を含んでよい。特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量を基準にして、約5重量%~約25重量%の細胞外基質構成成分またはその断片活性剤を含んでよく、細胞外基質構成成分またはその断片は、例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、レクチン、これらの断片、またはこれらの組み合わせであってよい。特定の実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、ヒアルロン酸またはヒアルロン酸の断片であってよい。いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、約2,000Da~約100,000Daの平均分子量を有してよく、いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片の少なくとも99.9%が59,000Da未満の分子量を有してよい。このような実施形態の皮膚充填剤は、コラーゲン、ヒアルロン酸、架橋コラーゲン、架橋ヒアルロン酸、及びこれらの組み合わせであってよい。
【0009】
上述した方法の様々な実施形態では、組成物は、例えば、希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、酸化防止剤、ビタミン、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤、着色剤、可塑剤、担体、賦形剤、第2の活性剤、及びこれらの組み合わせなどの添加剤を含んでよい。組成物は、液体またはゲルとして製剤化することができる。
【0010】
またさらなる実施形態は、上述した充填剤を対象に注入することによる、治療を必要とする対象の治療方法に関する。
【0011】
本特許または出願ファイルには、カラーで制作された図面が少なくとも1点含まれている。カラー図面(複数可)を伴った本特許または特許出願公開のコピーは、要請し必要料金を支払えば特許商標庁から提供される。
【0012】
具体的な実施形態の例は、添付の図面に示されている。本発明を、これらの具体的な実施形態と併せて説明するが、本発明をこのような具体的な実施形態に限定することが意図されていないことは理解されよう。反対に、本発明の趣旨及び範囲に含まれ得る代替形態、変更形態、及び等価物を網羅することが意図されている。以下の説明では、本発明の十分な理解を提供するために、多数の具体的な詳細を記載する。本発明は、これらの具体的な詳細の一部または全部がなくても実施することができる。他の事例では、周知のプロセス操作については、本発明を不必要に不明瞭にしないようにするため、詳細には説明していない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ガバペンチン及びヒアルロン酸を含有する組成物の局所投与後の組織濃度を示す棒グラフである。
【
図2】4週間にわたりガバペンチン及びヒアルロン酸を含有する組成物で治療した疼痛性糖尿病性ニューロパチー(PDN)患者において、週平均疼痛強度スコアが低下したことを示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
様々な態様を、本明細書の以下でより完全に説明する。しかし、そのような態様は、多くの異なる形態で具現化可能であり、本明細書で示される実施形態に限定されるものと解釈してはならない。むしろ、これらの実施形態は、本開示を徹底的かつ完全なものとするように、そして、その範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。
【0015】
ある値の範囲が示される場合、当該範囲の上限と下限の間にある、介在するそれぞれの値、及び、当該言及された範囲内の、任意の他の、または介在する値は、本開示に包含されることが意図される。例えば、1μm~8μmの範囲が述べられる場合、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、及び7μm、加えて、1μm以上の値の範囲、及び、8μm以下の値の範囲もまた、明示的に開示されることが意図される。
【0016】
特に断らない限り、全ての百分率、部、及び比率は、局所用組成物の総重量に基づき、行われる全ての測定は、約25℃におけるものである。
【0017】
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈で明確に別途規定されない限り、複数への言及を含む。したがって、例えば、「ポリマー(polymer)」への言及は、単一のポリマー、加えて、2種類以上の同一または異なるポリマーを含み、「賦形剤(excipient)」への言及は、単一の賦形剤、加えて、2種類以上の同一または異なる賦形剤を含む、などである。
【0018】
本開示の文脈で別途示されない限り、または、そのような解釈と一致しない限り、用語「約」は、ある数値のすぐ前に先行する場合、当該値の±10%の範囲を意味する。例えば、「約50」は45~55を意味し、「約25,000」は22,500~27,500を意味する、などである。例えば、「約49、約50、約55」などの数値の一覧において、「約50」は、先行する値と後に続く値との区間(複数可)の半分未満を超える値、例えば、49.5超~52.5未満を意味する。さらに、「約[ある値]未満」、または、「約[ある値]超」という語句は、本明細書で提供する用語「約」の定義に鑑みて理解されなければならない。
【0019】
本明細書で使用する場合、用語「投与する」、「投与すること」、または「投与」とは、対象に、化合物(「対象となる剤」とも呼ばれる)、または化合物(対象となる剤)の薬学的に許容される塩、または組成物のいずれかを、対象に直接投与することを意味する。
【0020】
本明細書で使用する場合、用語「担体」は、担体、賦形剤、及び希釈剤を包含し、液体または固体充填剤;希釈剤、賦形剤;角質層または有棘層などの組織層にまたがり薬剤、美容剤、または他の剤の運搬または輸送に関与する溶媒または封入材料などの材料、組成物、またはビヒクルを意味する。
【0021】
「を含む(including)」、「を含有する」、または「を特徴とする」と同義である、移行句「を含む(comprising)」は、包括的またはオープンエンドであり、追加の、列挙されていない要素または方法工程を排除しない。対照的に、移行句「からなる」は、請求項で明記されていないあらゆる要素、工程、または成分を除外する。移行句「から本質的になる」は、特許請求の範囲を、明記した材料または工程、及び、特許請求された発明の「基本的かつ新規の特徴(複数可)に物質的に影響を及ぼさないもの」に限定する。用語「を含む」が移行句で用いられる実施形態または請求項において、そのような実施形態は、用語「を含む」を、用語「からなる」または「から本質的になる」に置き換えたものとして想倒されることもまた可能である。
【0022】
「障害」という用語は、本開示において、別途指示されない限り、疾患、状態、または病気という用語を意味するように使用され、それらと互換的に使用される。
【0023】
用語「有効量」及び「治療に有効な量」は、本開示で同じ意味で用いられ、対象に投与されたときに、対象における障害の症状を軽減可能である、または、意図する組織治療領域の質感、外観、色、感覚、または水和を向上させる化合物の量を意味する。「有効量」または「治療に有効な量」を含む実際の量は、障害の重症度、患者のサイズ及び健康、ならびに投与経路を含むがこれらに限定されない多数の条件に応じて変化するであろう。熟練した医師は、医療技術分野において既知の方法を使用して適切な量を速やかに決定することができる。
【0024】
語句「薬学的に許容される」または「美容上適合する」とは、本明細書において、医学的良識の範囲内で、過剰の毒性、刺激、アレルギー反応、または、他の問題もしくは合併症を伴わずに、妥当なベネフィット/リスク比に見合った、ヒト及び/または他の哺乳類の組織と接触して用いるのに適した、対象となるそれらの剤/化合物、塩、組成物、剤形などを意味するために用いられる。いくつかの態様では、「薬学的に許容される」とは、連邦もしくは州政府の監督機関により認可されたこと、または、哺乳類(例えば、動物)、及びより具体的にはヒトで使用するために、米国薬局方もしくは他の一般に認可された薬局方で列挙されていることを意味する。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「塩」とは、一般的に、遊離酸のアルカリ金属塩を形成するために、及び、遊離塩基の付加塩を形成するために使用される、薬学的に許容される塩を包含する。薬学的に許容されるのであれば、塩の性質は重要ではない。用語「塩」は、付加塩の溶媒和物、例えば水和物、加えて、付加塩の多形体もまた含む。好適な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸から、または有機酸から調製することができる。このような無機酸の非限定例は、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、及びリン酸である。適切な有機酸は、カルボン酸及びスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、3-ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、及びガラクツロン酸を含有する、脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族、及びヘテロシクリルから選択することができる。
【0026】
用語「患者」及び「対象」は同じ意味であり、本発明の化合物で治療され得る任意の生体を意味するものと解釈することができる。そのため、用語「患者」及び「対象」としては、任意の非ヒト哺乳類、霊長類、またはヒトを挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、「患者」または「対象」は、哺乳類、例えばマウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、またはヒトである。いくつかの実施形態では、患者または対象は成人、子ども、または乳児である。いくつかの実施形態では、患者または対象はヒトである。
【0027】
用語「治療すること」は、本明細書では、例えば、皮膚疾患または全身状態を治療する方法を参照して用いられ、一般的に、化合物もしくは組成物を受けない対象と比較して、医学的状態の頻度を下げる、医学的状態の開始を遅らせる、医学的状態の症状を減らす、または、対象の組織表面の、目的に組織治療表面における質感、外観、色、感覚、もしくは水和を向上させる、化合物または組成物の投与を含む。これには、対象の状態を改善するまたは安定化させる様式で、症状、臨床的徴候、及び、状態の根底にある病状を逆転させる、軽減する、または停止することを含むことができる。
【0028】
ここで、ある範囲に従って、または、任意の類似の様式で特許請求可能な群の、任意のサブ範囲またはサブ範囲の組み合わせを含む、任意のそのような群のあらゆる個別の要素を条件付きで排除する、または除外する権利を保護するため、あらゆる目的で、不足のない本開示を下回って特許請求を行うことができる。さらに、ここで、特許請求された群の、任意の個別の置換基、類似体、化合物、リガンド、構造体、もしくはそれらの群、または任意の要素を条件付きで排除する、または除外する権利を保護するために、あらゆる目的で、不足のない本開示を下回って特許請求を行うことができる。本開示をとおして、様々な特許、特許出願、及び公報が参照される。本開示の日付で、当業者に既知の現況技術をより完全に説明するために、これらの特許、特許出願、及び公報の開示は、それら全体が参照により、本開示に組み込まれている。引用される特許、特許出願、及び公報と、本開示との間に何らかの不一致が存在する場合は、本開示が優先する。
【0029】
便宜上、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲で用いられる特定の用語を、ここでまとめる。別段の定めがない限り、本開示で使用する全ての技術及び科学用語は、本開示が属する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0030】
様々な実施形態は、麻酔剤と、細胞外基質構成成分またはその断片と、を含む、疼痛管理のための医薬組成物に関する。このような組成物は、局所投与用に、または注射用組成物として製剤化することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、第2の活性剤を含んでよい。他の実施形態は、このような組成物を局所投与することによる疼痛治療または治療的麻痺のための方法に関する。
【0031】
様々な実施形態では、麻酔剤は、例えば、アンブカイン、アモラノン、アミロカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェタミン、ブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジシクロミン、エクゴニジン、エクゴニン、塩化エチル、エチドカイン、ベータ-ユーカイン(eucaine)、ユープロシン(euprocin)、フェナルコミン、フォモカイン、ヘキシルカイン、ヒドロキシテトラカイン、p-アミノ安息香酸イソブチル、メシル酸ロイシノカイン、レボキサドロール、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、塩化メチル、ミルテカイン(myrtecaine)、ナエパイン(naepaine)、オクトカイン、オルトカイン、オキセサゼイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プソイドカイン、ピロカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、ゾラミンなど、ならびにこれらの塩及び組み合わせなどの局所麻酔剤であってよい。特定の実施形態では、麻酔剤はリドカインであってよく、いくつかの実施形態では、リドカインはリドカインHClであってよい。
【0032】
本明細書に記載する組成物中のリドカインの濃度は、治療に有効であることができ、これは、患者に害を与えることなく治療上の利益を提供するのに十分な濃度であることを意味する。例えば、麻酔剤の濃度は、組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%~約10重量%、または約0.2重量%~約7.5重量%、約0.2重量%~約5重量%、またはこれらの範囲によって包含されるあらゆる範囲または個別の濃度であってよい。特定の実施形態では、麻酔剤の濃度は、組成物の総重量を基準にして、約2重量%~約5重量%であってよい。
【0033】
様々な実施形態の細胞外基質構成成分またはその断片は、ヒアルロン酸、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、レクチン、及びこれらの組み合わせを含む任意の細胞外基質構成成分、またはヒアルロン酸断片、コラーゲン断片、フィブロネクチン断片、エラスチン断片、レクチン断片、及びこれらの組み合わせを含んでよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、ヒアルロン酸、またはヒアルロン酸の断片であってよい。ヒアルロン酸は、例えば、ヒアルロン酸媒介運動性(RHAMM)、及び細胞間接着分子-1(ICAM-1)に対する受容体であるCD44と相互作用することが知られている、二糖のポリマーである。CD44は、全身に幅広く分布しており、ヒアルロン酸との細胞相互作用を媒介する。ICAM-1は、ヒアルロン酸に対する代謝性細胞表面受容体であり、ヒアルロン酸がICAM-1に結合することは、ICAM-1媒介炎症性活性化の制御に寄与し得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、コラーゲン、またはコラーゲンの断片であってよい。このような実施形態で使用されるコラーゲンは、任意の形態及び源で単離することができ、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、及びV型コラーゲン、もしくは、これらのコラーゲンの組み合わせ、またはこれらの断片が挙げられる。コラーゲンは、繊維性、非繊維性、無秩序コラーゲン、ならびにこれらの組み合わせ及び断片を含む任意の形態で存在することができる。いくつかの実施形態では、コラーゲンは、例えば、コラーゲンの完全長または大型断片を加水分解することにより作製することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、フィブロネクチン、またはフィブロネクチンの断片であってよい。フィブロネクチンは、一対のジスルフィド結合により結合した、2つのほぼ同一のモノマーからなるタンパク質二量体である。フィブロネクチンは、インテグリンと呼ばれる膜貫通受容タンパク質、及びコラーゲン、フィブリン、硫酸ヘパリン、プロテオグリカン、ならびに他の細胞外基質構成成分に結合する。フィブロネクチンは、大型糖タンパク質である。フィブロネクチンはそれ故、フィブロネクチンの断片を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、エラスチン、またはエラスチンの断片であってよい。エラスチンは、結合組織で見出されるタンパク質であり、体内の多くの組織が、伸張または収縮後に、その形状を元に戻すことを可能にする。エラスチン断片は市販されている場合があるか、または、プロテイナーゼKもしくはサーモリシンを使用するなどして、プロテアーゼ消化により生成することができる。実施形態では、エラスチンまたはエラスチン断片は、エラスチンE91(Protein Preparations,Inc.,St.Louis,MO製)、ProK、ProK-60、及び/またはProK-60Pであってよく、これらは、ウシの首靱帯に由来する不溶性エラスチンのタンパク質分解消化によりもたらされる、エラスチンペプチド混合物である。実施形態では、エラスチンまたはエラスチン断片は、GAAPG、GVVPG、GGGPG、GLLPG、GIIPG、GSSPG、GTTPG、GCCPG、GMMPG、GFFPG、GYYPG、GWWPG、GDDPG、GNNPG、GEEPG、GQQPG、GRRPG、GHHPG、GKKPG、GPPPG、G3Hyp3HypPG(グリシン-3-ヒドロキシプロリン-3-ヒドロキシプロリン-プロリン-グリシン)、G4Hyp4HypPG(グリシン-4-ヒドロキシプロリン-4-ヒドロキシプロリン-プロリン-グリシン)、RRPEV、QPSQPGGV、PGGV、GPGV、KPGV、GPGL、EGSA、PGGF、GGGA、KPGKV、PGGV、KPKA、GPGGV、GPQA、GGPGI、PGPGA、GPGGV、GQPF、GGKPPKPF、GGQQPGL、GGPGI、VGVAPG、IGVAPG、PGGVLPG、VGVVPG、IGLGPGGV、VGAMPG、VGLSPG、IGAMPG、IGLSPG、GVAPGV、VAPGVG、APGVGV、PGVGVA、GVGVAP、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでよい。
【0038】
実施形態では、様々な細胞外基質構成成分またはその断片、及びこれらの組み合わせは、特定の平均分子量を有してよい。例えば、いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、約2,000Da~約100,000Da、約2,000Da~約60,000Da、約2,000Da~約50,000Da、約2,000Da~約40,000Da、約2,000Da~約30,000Da、約2,000~約20,000Da、約2,000~約15,000Da、約2,000Da~約10,000Da、約5,000Da~約40,000Da、約60,000Da未満、約50,000Da未満、約40,000Da未満、約30,000Da未満、約20,000Da未満、約15,000Da未満、約10,000Da未満、約5,000Da未満、約60,000Da、約50,000Da、約40,000Da、約30,000Da、約20,000Da、約15,000Da、約12,500Da、約10,000Da、約8,500Da、約7,500Da、約5,000Da、約2,000Da~約5,000Da、約5,000Da~約10,000Da、約10,000Da~約20,000Da、約20,000Da~約30,000Da、約30,000Da~約40,000Da、約20,000Da~約40,000Da、約40,000Da~約60,000Da、もしくは、約60,000Da~約100,000Daの平均分子量、または、これらの例示的範囲に収まるあらゆる範囲もしくは個別の平均分子量を有してよい。特定の実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、150,000Daを上回る、125,000Da未満の、100,000Da未満の、90,000Da未満の、80,000Da未満の、70,000Da未満の、60,000Da未満の、55,000Da未満の、50,000Da未満の、45,000Da未満の、40,000Da未満の、または、35,000Da未満の分子量を有する。
【0039】
細胞外基質構成成分またはその断片の濃度は、実施形態間で変化し得、細胞外基質構成成分またはその断片の種類及びサイズに応じて変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%~約15重量%、約2重量%~約12重量%、約4重量%~約10重量%、約4重量%~約7重量%、約4重量%~約6重量%、約4.5重量%~約5.5重量%、約4重量%~約5重量%、または組成物のこれらの例示的範囲内のあらゆる範囲もしくは個別の濃度を構成してよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、例えば、アルコール、グリコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、閉塞剤、界面活性剤、ジメチルアミノプロピオン酸誘導体、テルペン、スルホキシド、環状エーテル、アミド、アミンなど、及びこれらの組み合わせなどの透過促進剤を含んでよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、組成物透過促進剤は、経皮薬物送達のための化学的浸透促進剤(CPE)であってよい。CPEは、当該技術分野において既知である。好適なCPEとしては、エチレン-ジアミン四酢酸(EDTA)、胆汁酸塩浸透促進剤(デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸塩、グリココール酸塩、タウロケノデオキシコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、デオキシコール酸塩、グリコデオキシコール酸塩、及びウルソデオキシコール酸塩など)、脂肪酸浸透促進剤(カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸、ラウリン酸、及びカプリル酸など)、アシルカルニチン(パルミトイルカルニチン、ステアロイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、及びラウロイルカルニチンなど)、ならびに、サリチル酸塩(サリチル酸ナトリウム、5-メトキシサリチル酸塩、及びサリチル酸メチルなど)を挙げることができるが、これらに限定されない。組成物に含まれる浸透促進剤の量は、例えば、送達される予定の活性剤、浸透促進剤自体の性質、及び、投与される予定の製剤の用量に応じて、約0.1重量%~約40重量%で変化してよい。例えば、浸透促進剤は、約0.1重量%~約15重量%、約2重量%~約12重量%、約4重量%~約10重量%、約4重量%~約7重量%、約4重量%~約6重量%、約4.5重量%~約5.5重量%、約4重量%~約5重量%、または、これらの例示的範囲内のあらゆる範囲もしくは個別の濃度の総量で製剤に含まれることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、透過促進剤は、ペプチドまたはタンパク質断片であってよい。このようなペプチド及びタンパク質断片は一般に、「皮膚透過性ペプチド」(SPP)、または細胞膜透過性ペプチド(CPP)と呼ばれる。SPPは、これらの構造タンパク質を変性させるのではなく、皮膚内でこれらの構造タンパク質を安定化させ得る。例えば、SPPは、水素結合及び弱い静電相互作用によりケラチンタンパク質に結合し、ケラチンと薬物分子との結合メディエーターとして機能することができる。SPPは、破壊を起こすことなく、細胞間の間隔により、加えて、脂質二重層を介して、薬物の拡散による角質細胞間の経路もまた利用することができる。SPPの一例はTD-1であり、これは、角質細胞間のデスモソーム誘発性閉鎖帯を緩め、局所適用から30分以内に、細胞どうしの間隔を約30nm~約466nmに変化させることが知られている。細胞の間隔は増加し、その後、TD-1での治療の1時間後に徐々に元に戻る。様々なSPPは当該技術分野において既知であり、9~19個のアミノ酸を含有する多数のペプチドが、皮膚透過性活性を示すことが知られている。実施形態は、このようなペプチドを全て包含する。
【0043】
【0044】
細胞外基質構成成分またはその断片は、皮膚の角質層にて単に作用する透過促進剤よりも、活性剤のより効率的な送達を促進し得る。即ち、投与部位にて送達される活性剤の量は、他の透過促進剤を使用する組成物での、細胞外基質構成成分もしくはその断片または活性剤を含まない活性剤の送達と比較すると、はるかに多い。いくつかの実施形態では、組成物は、標準用量の少なくとも約75%以下、標準用量の約50%以下、標準用量の約25%以下、標準用量の約10%以下、標準用量の約1.0%~約75%未満、標準用量の約1.0%~約50%未満、標準用量の約1.0%~約25%未満、標準用量の約1.0%~約10%未満、標準用量の約2.0%~約75%未満、標準用量の約2.0%~約50%未満、標準用量の約2.0%~約25%未満、標準用量の約2.0%~約10%未満、または、これらの例示的範囲により包含される任意の範囲もしくは個別の値の投与量で、既知の局所投与される活性剤との治療等価性をもたらし得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、組成物は、ヒアルロニダーゼ、エラスターゼ酵素、またはこれらの組み合わせをさらに含んでよい。ヒアルロニダーゼ酵素ファミリーは、多糖のヒアルロン酸を加水分解、即ち「破壊」することができる酵素で構成される。ヒアルロン酸は、結合組織の重要な構成成分である。したがって、組織間で広がって急速に拡散可能であるヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸の加水分解により、細胞間セメント質の透過性及び粘度を変更可能である。ヒアルロニダーゼは大きく、3つの群に分けることができる:哺乳類型ヒアルロニダーゼ(EC 3.2.1.35)は、主たる最終生成物として四糖類及び六糖類を生成する、エンド-β-N-アセチルヘキソサミニダーゼである。哺乳類型ヒアルロニダーゼは、加水分解活性及びトランスグリコシダーゼ活性の両方を有し、ヒアルロナン及びコンドロイチン硫酸(CS)、特に、C4-S及びC6-Sを分解することができる。細菌性ヒアルロニダーゼ(EC 4.2.99.1)はヒアルロナン、ならびに、様々な度合いにわたって、CS及びDSを分解する。細菌性ヒアルロニダーゼは、主に二糖最終生成物をもたらすβ脱離反応により稼働する、エンド-β-N-アセチルヘキソサミニダーゼである。ヒル、他の寄生生物、及び甲殻類に由来するヒアルロニダーゼ(EC 3.2.1.36)は、β-1,3結合の加水分解により四糖及び六糖を生成する、エンド-β-グルクロニダーゼである。
【0046】
本明細書で開示するヒアルロニダーゼは、任意の源に由来することができる。例えば、ヒアルロニダーゼは、ウシタンパク質(ウシ型)、ヒルもしくは細菌(例えば、ヒアルロン酸リアーゼ、野菜、もしくは遺伝子組み換え細菌の形態で)、酵母菌、または、クローン哺乳類もしくはヒト細胞から回収することができる。ヒアルロニダーゼはまた、例えば、Wyeth-Ayerst(Wydase(登録商標))、Abbot(Hyazyme)、Bristol-Myers Squibb(Enzodase)、及びOrtho Pharmaceuticals(Diffusin)から商業的に入手することができる。組成物中で使用可能なヒアルロニダーゼの非限定例は、ヒトヒアルロニダーゼ-1、ヒトヒアルロニダーゼ-2、ヒトヒアルロニダーゼ-3、ヒトヒアルロニダーゼ-4、及びヒトPH20である。
【0047】
エラスターゼ(EC 3.4.21.36)は、酵素の活性部位でのセリン残基の反応性を特徴とする、「セリンプロテアーゼ」という名前の酵素群のメンバーである。エラスターゼは、弾性線維の特異的タンパク質であるエラスチンを破壊し、フィブリン、ヘモグロビン、及びアルブミンなどの他のタンパク質を分解する。エラスターゼI、II、及びIII(または、プロテアーゼE)という名前の、3つの構造的に関連する種類のエラスターゼが同定されており、いくつかのアイソフォームは、哺乳類の膵外分泌により分泌される。エラスターゼは、ヒト、サル、ネコ、ウサギなどを含む大部分の哺乳類の膵臓に存在することが確認されている。本明細書で開示するエラスターゼは任意の源に由来することができ、遺伝子工学技術により生成することができる。使用可能なエラスターゼの非限定例は、ヒトエラスターゼI、ヒトエラスターゼII、及びヒトエラスターゼIIIである。
【0048】
いくつかの実施形態では、ヒアルロニダーゼ、エラスターゼ、またはこれらの組み合わせは、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約9重量%、約0.1重量%~約8重量%、約0.1重量%~約7重量%、約0.1重量%~約6重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約4重量%、約0.1重量%~約3重量%、約0.1重量%~約3重量%、または、約0.1重量%~約1重量%で、組成物中に存在してよい。具体例としては、約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約5重量%、約10重量%、及び、これらの値のいずれか2つの間の範囲が挙げられる。本明細書で開示する重量%は、組成物の総量に対して、重量-重量、または、重量-体積%であってよい。実施形態の組成物は、有効量のリドカインと、有効量の細胞外基質構成成分またはその断片とを含有してよい。有効量のリドカインは、実施形態間で変化し得、組成物に組み込まれる活性剤、活性剤の活性、治療されている疾患、ならびに、治療領域の位置及びサイズに応じて変化し得る。様々な実施形態では、リドカインの量は、約1重量%~約95重量%、約1重量%~約75重量%、約1重量%~約50重量%、約1重量%~約40重量%、約1重量%~約30重量%、約1重量%~約25重量%、約1重量%~約10重量%、または、これらの値のいずれか2つの間のあらゆる個別の量もしくはあらゆる範囲であってよい。重量%は、その全ての構成成分を含む、組成物の総重量を基準にする。
【0049】
他の実施形態では、組成物は、上述した濃度のリドカインまたはブプバカイン、細胞外基質構成成分またはその断片、ならびに様々な担体、賦形剤、添加剤、及びこれらの組み合わせを含んでよい。そのような実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約9重量%、約0.1重量%~約8重量%、約0.1重量%~約7重量%、約0.1重量%~約6重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約4重量%、約0.1重量%~約3重量%、約0.1重量%~約2重量%、約0.1重量%~約1重量%、約0.1重量%~約0.5重量%、約0.25重量%~約10重量%、約0.25重量%~約1.0重量%、約0.25重量%~約1.5重量%、約0.25重量%~約2.0重量%、約0.25重量%~約3.0重量%、約0.5重量%~約5.0重量%、約0.5重量%~約3.0重量%、約0.75重量%~約7.5重量%、約1.0重量%~約3重量%、約1.0重量%~約5.0重量%、約1重量%、約2重量%、約5重量%、約10重量%、またはこれらの例示的範囲に収まるあらゆる範囲もしくは個別の濃度で存在してよい。重量パーセントは、その全ての構成成分を含む、組成物の総重量を基準にする。このような実施形態における細胞外基質構成成分またはその断片の質量は、約1マイクログラム~約100ミリグラムで変化することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、組成物は、リポソームに封入するか、または少なくとも部分的に封入することができる。リポソームは周知であり、薬学技術分野において一般的に使用されており、任意の種類のリポソームを実施形態の組成物で使用することができる。いくつかの実施形態では、リポソームは、ホスファチジルコリン(PC)、ならびにコレステロール及び脂質コンジュゲート親水性ポリマーなどの他の成分で構成されてよい。他の実施形態では、リポソームは、キトサンを含有することができるか、またはキトサン内で被覆される(即ち、キトソームである)ことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、組成物は、脂質ナノ粒子または微小粒子を含んでよい。このようなナノ粒子は、溶媒に分散または溶解可能な、活性剤、細胞外基質構成成分、または、活性剤と細胞外基質構成成分の両方のエマルションを形成することにより調製可能であり、この溶液をグリセロールまたはポロキサマ-と合わせてエマルションを形成してよい。エマルションを加熱、冷却、及び均質化して、微小粒子またはナノ粒子を生成することができる。他の実施形態では、組成物は、市販されているナノ粒子または微小粒子、例えば、ハイブリッドポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーヒドロゲル/ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)ナノ粒子または微小粒子(HDNP)、キトサン(CS)ナノ粒子または微小粒子、チオレート化キトサンナノ粒子または微小粒子、リン酸カルシウム(CaP)ナノ粒子または微小粒子、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー(PLGA)、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ-(-カプロラクトン)ナノポリマーナノ粒子または微小粒子、例えば、レシチンリポソームとしてのコア及びプルロニックF127ジアクリレート(DA-PF 127)で構成されるコア/シェルナノ粒子または微小粒子、無機コーティングされたレチノイン酸(atRA)ナノ粒子または微小粒子、ポリ(乳酸)(PLA)ホモポリマー及びPEG-ブロック-PLAコポリマーナノ粒子または微小粒子、プルロニックなどのPEG-ブロック-PPGコポリマー、PEG化リポソーム-プロタミン-ヒアルロン酸ナノ粒子または微小粒子、ポリ乳酸/ポリ乳酸-ポリエチレンオキシド(PLA/PLA-PEO)ナノ粒子または微小粒子など、ならびにこれらの組み合わせなどを含んでよい。様々な実施形態では、ナノ粒子は、約2~約200ナノメートル、約5~約50ナノメートル、もしくは約18~約22ナノメートル、または、これらの範囲により包含される任意の範囲もしくは個別の値の直径を有してよい。
【0052】
ナノ粒子及び微小粒子を使用して、上述した組成物の送達を補助することができる。いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片及び活性剤は、ナノ粒子もしくは微小粒子に封入することができるか、またはナノ粒子もしくは微小粒子とイオン的に会合することができる。他の実施形態では、活性剤は、ナノ粒子または微小粒子に封入することができ、細胞外基質構成成分またはその断片は、ナノ粒子もしくは微小粒子と結合し、かつ非会合であることができるか、またはナノ粒子もしくは微小粒子とイオン的に会合することができ、さらなる実施形態では、活性剤の一部、細胞外基質構成成分の一部、または活性剤及び細胞外基質構成成分の両方の一部を、ナノ粒子または微小粒子に封入することができ、かつ、活性剤の一部、細胞外基質構成成分の一部、または活性剤及び細胞外基質構成成分の両方の一部は、ナノ粒子または微小粒子によって封入されない。
【0053】
様々な実施形態では、このような製剤は、微小粒子またはナノ粒子により封入された組成物、即ち、活性剤及び細胞外基質構成成分またはその断片を含んでよい。他の実施形態では、活性剤または細胞外基質構成成分もしくはその断片の一方または他方を、微小粒子またはナノ粒子により封入してよい。さらに他の実施形態では、組成物の一部が、微小粒子またはナノ粒子により封入されてよく、組成物の別の部分は、微小粒子またはナノ粒子により封入されなくてよい。このようなそれぞれの実施形態では、活性剤または細胞外基質構成成分もしくはその断片は、微小粒子もしくはナノ粒子の中、または、微小粒子もしくはナノ粒子の外側表面上のいずれかで、微小粒子もしくはナノ粒子、またはこれらの一部とイオン結合または共有結合することができる。いくつかの実施形態では、上述した組成物はリポソーム内に、封入、または、少なくとも部分的に封入することができる。リポソームは周知であり、薬学技術分野において一般的に使用されており、任意の種類のリポソームを実施形態の組成物で使用することができる。いくつかの実施形態では、リポソームは、ホスファチジルコリン(PC)、ならびに、コレステロール及び脂質コンジュゲート親水性ポリマーなどの他の成分で構成されてよい。他の実施形態では、リポソームはキトサンを含有することができるか、または、キトサン内で被覆される(即ち、キトソームである)ことができる。
【0054】
ナノ粒子及び微小粒子を使用して、上述した組成物の送達を補助することができる。いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片及び活性剤は、ナノ粒子もしくは微小粒子に封入することができるか、またはナノ粒子もしくは微小粒子とイオン的に会合することができる。他の実施形態では、活性剤は、ナノ粒子または微小粒子に封入することができ、細胞外基質構成成分またはその断片は、ナノ粒子もしくは微小粒子と結合し、かつ非会合であることができるか、またはナノ粒子もしくは微小粒子とイオン的に会合することができ、さらなる実施形態では、活性剤の一部、細胞外基質構成成分の一部、または活性剤及び細胞外基質構成成分の両方の一部を、ナノ粒子または微小粒子に封入することができ、かつ、活性剤の一部、細胞外基質構成成分の一部、または活性剤及び細胞外基質構成成分の両方の一部は、ナノ粒子または微小粒子によって封入されない。
【0055】
特定の実施形態では、組成物はコロイド脂質を含んでよい。このような組成物は、例えば、PEG-30ヒマシ油、PEG-33ヒマシ油、PEG-36ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-30硬化ヒマシ油、及びPEG-40硬化ヒマシ油などの、ヒマシ油及び/または硬化ヒマシ油の1種以上の非イオン性ポリエチレングリコール誘導体から形成される、コロイド状極性脂質;ジェランガムなどのアニオン性精製多糖;例えば、ホウ酸、トリメタミンなどの1種以上の緩衝剤;ならびに、いくつかの実施形態では、1種以上の水性潤滑剤及び1種以上のコロイド状水性潤滑剤を含んでよい。リポソームまたはコロイド脂質は、約1ナノメートル~約50ナノメートル、または、約6ナノメートル~約22ナノメートルの粒子を形成してよい。このような実施形態の組成物は、約0.1w/v%~約15w/v%の脂質を含んでよい。様々な実施形態の組成物は、例えば、白色ワセリン、白色ワセリンUSP、ミネラルゼリー、ワセリンゼリー、黄色ワセリン、黄色液性パラフィン、白色液性パラフィン、脂肪、蝋、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、PCCA可塑化基剤、及びこれらの組み合わせなどの基剤を含んでよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、基剤は、リポソーム基剤であってよい。リポソーム基剤は、ローション、クリーム、ゲル、またはペーストの形態であることができる、親油性構成成分及び水性構成成分を含むエマルションである。好適なリポソーム基剤の例としては、PCCA Lipoderm(登録商標)、Lipoderm ActiveMax(商標)、Anhydrous Lipoderm、及びLipoderm High Molecular Weight(商標)PCCAが挙げられる。このようなリポソームベース製剤は、例えば、約60~80%wt/wtの水を、グリセリン、安息香酸C12-15アルキル、ステアリン酸グリセリル、ジメチコン、セテアリルアルコール、セテアリルグルコシド、ポリアクリルアミド、セチルアルコール、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、キサンタンガム、アロエベラ(aloe barbadensis)、酢酸トコフェリル(ビタミンEアセテート)、prunus amygadalus amara(クヘントウ)核油、vitis vinifera(ブドウ)種子抽出物、triticum vulgare(コムギ)胚芽油、パルミチン酸レチニル(ビタミンAパルミテート)、パルミチン酸アスコルビル(ビタミンCパルミテート)、プロリポマルチエマルションリポソームシステム、EDTA四ナトリウム、フェノキシエタノール、ヒドロキシメチルグリシンナトリウムなど、及びこれらの組み合わせと組み合わせたものを含んでよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、基剤は、クリーム基剤であってよい。クリーム基剤は、油及び水の半固体エマルションである。それらは、連続した水相中に分散した油の小滴で構成されている水中油型(O/W)クリームと、連続した油相中に分散した水の小滴で構成されている油中水型(W/O)クリームとの2種類に分類される。水中油型クリームは、より油分が少なく、水を使用してより容易に洗い流されるため、より快適性が高く美容上許容される。油中水型クリームは取り扱いがより難しいが、クリームに組み込まれる多くの薬物は、疎水性であり、水中油型クリームからよりも油中水型クリームからの方が容易に放出される。また、油中水型クリームは、肌の最外層である角質層からの水分損失を低減する油性バリアをもたらすため、保湿性もより高い。クリーム基剤は、典型的には、以下で論じるような水、油、乳化剤、及び増粘剤を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、基剤は、保湿クリーム基剤であってよい。保湿クリーム基剤は、上述したクリーム基剤と同じ構成成分にエモリエント剤または湿潤剤を加えたもので構成され、皮膚の最外層である角質層からの水分損失を低減するバリアを提供することができる。保湿クリーム基剤中のエモリエント剤または湿潤剤は、セチルエステル蝋、ステアリルアルコール、セチルアルコール、及びグリセリン、またはこれらの組み合わせであってよい。例示的なクリーム基剤及び保湿クリーム基剤としては、VersaBase(PCCA);エモリエントクリーム、バニシングクリーム、CeraVe、Vanicream、ビタミンE;Cliniderm;Dermabase(精製水、ワセリン、鉱物油、セトステアリルアルコール);Eucerin(水、ワセリン、鉱物油、セレシン、ラノリンアルコール、メチルクロロイソチオゾリノン、メチルイソチアゾリノン);Glaxal(WellSpring Pharmaceutical Corp.,Sarasota,Fla.);ステアリン酸クリーム、または当業者に既知の局所製剤に使用される任意の他の医薬用クリーム基剤が挙げられる。
【0059】
いくつかの実施形態では、基剤は、軟膏基剤であってよい。軟膏は、油及び水が7:1~2:1、5:1~3:1、または4:1の割合で提供される組成物であり、いくつかの実施形態では、軟膏は、水を含んでも含まなくてもよく、例えば、Aquaphor、Pracasil、及び可塑化基剤である。軟膏は一般に、様々な粘度及び溶媒特性を有する製剤を調製するために、油、蝋、水、アルコール、石油製品、シリコーン、水、及び他の薬剤を使用して製剤化される。一般的に使用される製剤としては、油性基剤(白色軟膏)、吸収性基剤、W/O型エマルション基剤(コールドクリームタイプ基剤)、O/W型エマルション基剤(親水性軟膏)、水溶性基剤、その他が挙げられる。これらの調製物を使用して、医療的または美容的な価値を有する物質または製品を溶解または懸濁する。
【0060】
いくつかの実施形態では、基剤は、エモリエント基剤であってよい。エモリエント基剤の非限定的な例としては、C9-C14直鎖状または分枝状アルキルアルコール、C3-C14直鎖状または分枝状ポリオール、C6-C12二酸のC6-C14ジエステル、炭化水素、天然蝋、植物油、及びシリコーン、分枝状鎖エステル、エトキシル化部分グリセリド脂肪酸エステル、タンパク質誘導体、ラノリン及びラノリン誘導体、ならびにエトキシル化脂肪アルコール、エモリエント油、脂肪酸、脂肪アルコール及びそのエステル、例えば、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジオクチル、イソオクタン酸イソオクチル、アジピン酸ジオクチル、スクワラン、ワセリン、ミネラルオイル、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、蜜蝋、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、シクロメチコン、及びジメチコンが挙げられる。
【0061】
いくつかの実施形態では、基剤は、ゲルであってよく、特定の実施形態では、ゲルは、水和した粘着性ゲルであってよい。粘着性ゲルは、非粘着性ゲルと比較すると、例えば、せん断または他の応力を受けた後に、その形状を保持し変形に耐えることができ、経時的に、または滅菌などの外部刺激を受けたときに、劣化または不安定化しにくい可能性がある。いくつかの実施形態では、ゲルは、架橋HAベースゲルであってよく、これは、粘着性ゲルであってもそうでなくてもよい。このような実施形態では、HAベースゲルは、組成物の総体積を基準にして、約1体積%~約10体積%の遊離HAを含んでよい。
【0062】
実施形態の組成物中の基剤の量は変化し得、他の構成成分の量に依存する。より多くの基剤を加えて、所望の局所用医薬製剤中の他の構成成分の量の少なさを補うことができる。いくつかの実施形態では、基剤は、全組成物の約45%(w/w)~約99.75%(w/w)の濃度、または当該技術分野で既知のあらゆる範囲もしくは個別の濃度で存在してよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、上述した組成物は、1種以上の薬学的に許容される希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤、着色剤、可塑剤、担体、賦形剤など、及びこれらの組み合わせをさらに含んでよい。当業者は、例えば、Modern Pharmaceutics,Banker & Rhodes,Marcel Dekker,Inc.(1979)及びGoodman & Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics,6th Edition,MacMillan Publishing Co,New York(1980)などの様々な薬理学の参考文献を、実施形態の組成物及び製剤中のこのような構成成分の量を決定する際の指針として参照することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、組成物は、緩衝剤を含んでよい。緩衝剤は、薬物の安定性を提供するため、原薬の治療活性を制御するため、及び注射に関連する最初の不快感を防止するために使用することができる。好適な緩衝剤としては、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、リン酸ナトリウムなど、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1種以上の緩衝剤が本発明の製剤に利用される場合、これらは薬学的に許容されるビヒクルと組み合わせ、約0.1%(w/w)~約20%(w/w)の量で存在することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、組成物は、酸化防止剤を含んでよい。このような酸化防止剤は、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビン、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノン、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、エリソルビン酸、グアヤックガム、没食子酸プロピル、チオジプロピオン酸、チオジプロピオン酸ジラウリル、tert-ブチルヒドロキノン、トコフェロールなど、及びこれらの薬学的に許容される塩もしくはエステル、またはこれらの組み合わせであることができる。酸化防止剤は、全組成物の約0.01%(w/w)~約1%(w/w)の濃度、またはこの例示的範囲に包含されるあらゆる個別の濃度で存在することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、様々なモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、及びこれらのブレンドを含む乳化剤を、全組成物の約3%(w/w)~約10%(w/w)の濃度で含んでよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、組成物は、皮膚の鎮静、平滑化、保湿、または保護を提供する湿潤剤を含んでよい。湿潤剤は、特に限定されず、例えば、カラミン、ドデシルサルフェート、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、モノオレイン酸、モノラウリン酸、モノパルミチン酸、モノステアリン酸エステルなどのポリソルビタンのポリオキシエチレンエステル、ソルビタンのエステル、ポリオキシエチレンエーテル、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)、レシチン、及びドクサートナトリウムであってよい。このような組成物中の湿潤剤の量は、全組成物の約0.01%(w/w)~5%(w/w)であってよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、第2の活性剤には、レチノイド(retioind)(レチノール、レチナール、レチノイン酸、プロピオン酸レチニル)、サリチレート(アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸)、過酸化ベンゾイル、ミノサイクリン、塩酸クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、ジクロキサシリン、ドキシサイクリン、トレチノイン、イソトレチノイン、アダパレン、ガバペンチン、プレガバリン、シクロスポリン、タクロリムス(FK506)、オキシメタゾリン、ブリモニジン、テトラヒドロゾリン、フェニレフリン、クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロル、チクロピジン、ビマトプロスト及び他のPGE2阻害剤、タダラフィル、クリンダマイシン、コルチゾン、ミノキシジル、ミノキシジルサルフェート、ナイアシンアミド、ガバペンチン、ハイドロコルチゾン、パルミトイル-KTTKSペプチド、フェニトイン、ビタミンB12、シクロベンザプリン、アナストロゾール、リドカイン、ミノサイクリン、硫酸ゲンタマイシン、ビマトプロスト、ミノキシジルサルフェート、プロピオン酸クロベタゾール、アスコルビン酸、トラネキサム酸、サリチル酸(サリチル酸ナトリウム)、ヒドロキノン、Renokin(登録商標)、トルナフテート、クロトリマゾール、テルビナフィン、イソトレチノイン、トレチノイン、コウジ酸、プレドニゾン、日焼け止め活性物質(ホモサラート、オクチサラート、オクトクリレン、またはアボベンゾン)、ハイドロコルチゾン、リドカイン、イキセキズマブトルツ、アミノレブリン酸(ALA)、バリシチニブ、トファシチニブ、アダリムマブ、シトロネラ油、3(N-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、サレサイクリン、D3類似体、カルシニューリン阻害剤、メクロレタミン、予防接種抗原、イミキモド、イブプロフェン、セレコキシブ、ジクロフェナク、シルデナフィル、シクロピロックス、サレサイクリン、エストロゲン、コンジュゲート化エストロゲン(PREMARIN(登録商標))、水酸化カリウム、ポドフィリン、カンタリジン、イミキモド、硝酸、経口シメチジン、5-フルオロウラシル、ブレオマイシン、DNCB、イミキモド、及びトリクロロ酢酸、ブレオマイシン、2,4-ジニトロクロロベンゼン、フルオロウラシル、硝酸銀、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、バシトラシン、クロルテトラサイクリン、ネオマイシン、ムピロシン、ポリミキシンB、クプリミクシン、フラゾリドン、ゲンタマイシン、リンコマイシン、セファロスポリン、βラクタム抗生物質、塩酸リンコマイシン、タザロテン、ビタミンA、アシトレチン、ベキサロテン、オキシブチニン;ビタミンD、ビタミンC、ビタミンB、ビタミンE;硫黄;グルココルチコステロイド、コルチコステロイド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベータメタゾン、ベータメタゾン・17-吉草酸、ベータメタゾンジプロピオネート、ハルシノニド、酢酸イソフルプレドン、フルメタノン、フルオシノニド、モメタゾン、フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、プレドニゾロン、ベクロメタゾン、ハイドロコルチゾン、シプロテロン、ドロスピレノン、エストロゲン、プロゲストーゲン、タクロリムス、ピメクロリムス、ウルソル酸、ベツリン酸、モロン酸、オレアノール酸、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、ペンシクロビル、ドコサノール、ペリリルアルコール、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、鎮痛剤、抗カビ剤、抗菌剤、麻酔剤、抗炎症剤、抗酒さ剤、血管収縮薬、抗ニキビ剤、抗跛行剤、皮膚修復剤、及びステロイドが含まれる。様々な実施形態では、組成物は、約0.0001重量%~約50重量%、約0.001重量%~約10重量%、約0.01重量%~約5重量%、もしくは約0.1重量%~約1重量%、または、任意の個別濃度または範囲の、組成物に含有される各第2の活性剤を含んでよい。
【0069】
実施形態では、組成物は、レチノール、ステロイド、日焼け防止剤、サリチレート、ミノサイクリン、抗カビ剤、ペプチド、抗体、リドカインなど、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、他のスキンケア剤を含んでよい。いくつかの実施形態では、他のスキンケア剤は、N-アシルアミノ酸化合物(例えば、N-アシルフェニルアラニン、N-アシルチロシンなどを含む)、ならびに、これらの異性体(D及びL異性体を含む)、塩、誘導体、及び混合物を含む。好適なN-アシルアミノ酸の例は、SEPIWHITE(登録商標)の商品名で市販されている、N-ウンデシレノイル-L-フェニルアラニンである。他の皮膚活性剤としては、Lavandox、Thallasine 2、Argireline NP、Gatuline In-Tense及びGatuline Expression、Myoxinol LS 9736、Syn-ake、及びInstensyl(登録商標)、Sesaflash(商標)、N-アセチルD-グルコサミン、パンテノール(例えば、Alps Pharmaceutical Inc.から入手可能なDLパンテノール)、ニコチン酸トコフェリル、過酸化ベンゾイル、3-ヒドロキシ安息香酸、フラボノイド(例えば、フラバノン、カルコン),ファルネソール、フィタントリオール、グリコール酸、乳酸、4-ヒドロキシ安息香酸、アセチルサリチル酸、2-ヒドロキシブタン酸、2-ヒドロキシペンタン酸、2-ヒドロキシヘキサン酸、cis-レチノイン酸、trans-レチノイン酸、レチノール、レチニルエステル(例えば、プロピオン酸レチニル)、フィチン酸、N-アセチル-L-システイン、リポ酸、トコフェロール及びそのエステル(例えば、酢酸トコフェリル、Eisaiから入手可能なDL-a-酢酸トコフェリル)、アゼライン酸、アラキドン酸、テトラサイクリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ハイドロコルチゾン、アセトアミノフェン、レゾルシノール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’-トリクロロカルバニリド、オクトピロックス、塩酸リドカイン、クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、硫酸ネオマイシン、テオフィリン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらなるスキンケア剤は、米国公報2007/0020220A1号に開示されており、この明細書での構成成分/成分は、それら全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0070】
実施形態では、組成物は、冷却剤、保温剤、リラックスまたは無痛化剤、刺激または清涼剤、及びこれらの組み合わせをさらに含んでよい。
【0071】
実施形態では、冷却剤は、限定されるものではないが、メントール;メントールの異性体、メントール誘導体;4-メチル-3-(1-ピロリジニル)-2[5H]-フラノン;WS-23、イシリン、イシリンユニリーバ類似体、5-メチル-4(1-ピロリジニル)-3-[2H]-フラノン;4,5-ジメチル-3-(1-ピロリジニル)-2[5H]-フラノン;イソプレゴール、3-(1-メントキシ)プロパン-1,2-ジオール、3-(1-メントキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール、p-メンタン-2,3-ジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、6-イソプロピル-9-メチル-1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカン-2-メタノール、コハク酸メンチル及びそのアルカリ土類金属塩類、トリメチルシクロヘキサノール、N-エチル-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド、ニホンハッカ(Mentha arvensis)油、ペパーミント油、メントン、メントングリセロールケタール、乳酸メンチル、3-(1-メントキシ)エタン-1-オール、3-(1-メントキシ)プロパン-1-オール、3-(1-メントキシ)ブタン-1-オール、1-メンチル酢酸N-エチルアミド、1-メンチル-4-ヒドロキシペンタノエート、1-メンチル-3-ヒドロキシブチレート、N,2,3-トリメチル-2-(1-メチルエチル)-ブタンアミド、ならびにスペアミント油から選択される。
【0072】
実施形態では、保温剤は、限定されるものではないが、多価アルコール、カプサイシン、トウガラシ粉末、トウガラシチンキ、トウガラシ抽出物、カプサイシン、ハマメリス、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ノナノイルバニリルアミド、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル(バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、及びバニリルヘキシルエーテルなど)、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバリニンプロピレングリコールアセタール、ショウガ抽出物、ショウガ油、ギンゲロール(gingeol)、及びギンゲロンから選択される。
【0073】
実施形態では、リラックスまたは無痛化剤は、限定されるものではないが、アロエベラ、αビサボロール、D-パンテノール、アラントイン、ハマメリス、カミツレ、カモミール、セイヨウノコギリソウからなる群から選択されるハーブ抽出物;キンセンカ、ヒレハリソウ、マンサクオ及び他の収れん剤、海藻、及びオート麦抽出物;アーモンド油、アボカド油、及びヒレハリソウからなる群から選択される油類;ならびに、カルダモン、ユーカリ、mentha piperita(ペパーミント)、ヒソップ、及びローズマリーからなる群から選択される精油;ラノリンまたはワセリンゼリーからなる群から選択される蝋または油状物質;酸化亜鉛、カラミン、及びセレンからなる群から選択されるミネラル;酢酸トコフェリル(ビタミンE)からなる群から選択されるビタミン類;ならびに、鎮痛剤、麻酔剤、抗炎症剤、及び抗ヒスタミン剤、及び筋弛緩薬からなる群から選択される医薬品;メントール、カンファー、オイゲノール、ユーカリプトール、サフロール、サリチル酸メチル、乳酸メンチル、エトキシ酢酸メンチル、メントングリセリンアセタール、3-1-メトキシプロパン-1,2-ジオール、炭酸エチル1-メチル、(1S,3S,4R)-p-メンタ-8-エン-3-オール、カルボン酸メチルピロリドン、N置換p-メンタン-3-カルボキサミドハマメリス抽出物及びジンジャー油から選択される。
【0074】
実施形態では、刺激または清涼剤は、限定されるものではないが、アルコール、L-メントール、カンファー、ハッカ油、トウガラシ抽出物、カプサイシン、ニコチン酸ベンジル、サリチレート、サリチル酸グリコール、アセチルコリン、セロトニン、ヒスタミン、プロスタグランジン、神経伝達物質;CNS刺激剤、カフェイン、及びキニーネから選択される。
【0075】
このような組成物は、例えば、液体、ローション、リニメント、フォームなどを含む任意の剤形に製剤化することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、上述した組成物は、液体として製剤化することができる。局所投与のための液体製剤は、例えば、アルコール、グリコール、油、水などの希釈剤を含んでよい。このような組成物は、湿潤剤または乳化剤も含んでよい。いくつかの実施形態では、実施形態の組成物は、水中油型または油中水型のエマルションとして製剤化することができる。クリームは、水相が油相中に分散している油中水型(w/o)エマルション、または水性基剤内に油が分散している水中油型(o/w)エマルションであることができる。軟膏は一般に、より粘度の高い水中油型クリームを指す。従来の軟膏基剤(即ち、担体)は、炭化水素(ワセリン、蜜蝋など)、植物油、脂肪アルコール(コレステロール、ラノリン、ウールアルコール、ステアリルアルコールなど)、またはシリコーンを含む。デンプン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、またはタルクなどの不溶性固体も、軟膏及びクリーム中に使用することができる。上述した組成物のゲル形態は、大量の水性または水性-アルコール性液体を、ポリマーまたはコロイド状固体粒子のネットワークに捕捉することによって形成することができる。このようなポリマーまたはコロイド(ゲル化剤または増粘剤)は、典型的には10%w/w未満の濃度で存在し、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、ペクチン、トラガカント、カラギーン、寒天、粘土、ケイ酸アルミニウム、カルボマーなどを含む。いくつかの実施形態では、注射用製剤は、分解を防止し、製剤の取り扱いを容易にし、輸送の費用を少なくするために、凍結乾燥(即ち、フリーズドライ)または真空乾燥粉末として配布することができる。粉末製剤は、使用前に水または食塩水などの液体担体で再構成することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、局所用製剤は、ローションの形態であることができる。ローションは、低~中粘度の局所用調製物である。多くのローションは、水中油型のエマルションであり、これらの2つの相の分離を防止するためにセチルアルコールなどの乳化剤を含有する。ローションは、香料、グリセロール、ワセリンゼリー、色素、防腐剤、タンパク質、安定化剤を含んでよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、局所用製剤は、リニメントの形態であることができる。リニメントまたはバームは、ローションに類似する粘度を有し、軟膏またはクリームより粘度が低い局所用製剤である。リニメントは一般に、リニメントを皮膚に塗擦することによる摩擦で適用される。リニメントは、典型的には、アルコール、アセトン、または同様の迅速に蒸発する溶媒から製剤化され、サリチル酸メチル、ベンゾイン樹脂、またはカプサイシンなどの反対刺激性の芳香族化学化合物を含み得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、局所用製剤は、フォームの形態であることができる。医薬用フォームは、1種以上の有効成分を含む加圧式剤形であり、バルブを作動させると、気体媒体中に液体及び/または固体の微細な分散物を放出する。フォーム製剤は一般に、他の局所用剤形よりも適用が容易で、密度が低く、拡散が容易である。フォームは、製剤成分に応じて、皮膚にエモリエント機能または乾燥機能を提供するために、様々な方法で製剤化することができる。したがって、この送達技術は、局所使用に利用可能な製剤のスペクトルにとって有用な追加である。
【0080】
特定の実施形態は、皮膚充填剤を含む。このような実施形態では、麻酔剤、細胞外基質構成成分もしくはその断片、及び様々な追加の構成成分、またはこれらの組み合わせを含む、上述したものなどの組成物は、コラーゲンまたはヒアルロン酸充填剤を含んでよい。現在利用可能な皮膚充填剤は、主にコラーゲンまたはヒアルロン酸で構成されている。皮膚充填剤は、ブタ由来コラーゲン、ウシ由来コラーゲン、ヒトコラーゲン、合成コラーゲン、ブタ由来ヒアルロン酸、ウシ由来ヒアルロン酸、ヒト由来ヒアルロン酸、合成ヒアルロン酸など、及びこれらの組み合わせで構成されてよい。実施形態は、現在利用可能な任意の皮膚充填剤またはこのような充填剤の組み合わせを含有する組成物を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲンまたはヒアルロン酸は、架橋されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、架橋皮膚充填剤は、架橋デキストラン(DEAEセファデックス)及びヒアルロン酸であってよい。このような皮膚充填剤は、注射直後に体積増加を示し得る。ヒアルロン酸は6~12ヶ月にわたって分解し吸収され、その結果空洞となる。充填剤のデキストラン(dextan)は、この空洞を内在性コラーゲンで満たす新たなコラーゲンを生成するように体を刺激する。
【0081】
いくつかの実施形態では、皮膚充填剤は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びコラーゲンで構成されてよい。このような実施形態では、液体コラーゲンを、麻酔剤と、細胞外基質構成成分またはその断片と、を含む液体またはゲル組成物と混合することができる。この組成物をPMMAと組み合わせ、真皮下に注射することができる。この皮膚充填剤は、注射直後に体積増加を示す。注射されたコラーゲンは分解され、体内に吸収され、その空間内の新たに生成された内在性コラーゲンに置き換えられる。PMMAは、この新たなコラーゲンの成長を刺激する。
【0082】
いくつかの実施形態では、皮膚充填剤は、粘着性架橋HAベースゲルで構成されてよい。このような実施形態では、前駆体粘着性架橋HAベースゲルは、リドカインと、細胞外基質構成成分またはその断片と、を含む溶液と混合することができる。この組成物を均質化して、オートクレーブに安定であるリドカインを含む、粘着性の少なくとも部分的に架橋したHAベース組成物を得ることができる。粘着性架橋HAベースゲルは、組成物の総体積を基準にして約1体積%~約10体積%の遊離HAを含んでよい。いくつかの実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、HAであることができ、これは架橋HAベースゲルと架橋してもしなくても、または共有結合的に会合してもしなくてもよい。
【0083】
様々な実施形態では、皮膚充填剤は、コラーゲン、ヒアルロン酸、架橋コラーゲン、架橋ヒアルロン酸など、及び任意のこれらの組み合わせであってよく、このような皮膚充填剤は、約300kDa(キロダルトン)~約10,000kDa、約300kDa~約1,000kDa、300kDa~約500kDa、またはこれらの例示的範囲によって包含されるあらゆる範囲もしくは個別の濃度の分子量を有してよい。これに対し、このような実施形態の細胞外基質構成成分またはその断片は、約300kDa未満、約0.2kDa~約200kDa、約1kDa~約100kDa、またはこれらの例示的範囲によって包含されるあらゆる範囲もしくは個別の濃度の平均分子量を有してよい。細胞外基質構成成分またはその断片は、イオン的または共有結合的に皮膚充填剤と会合してもしなくてもよく、特定の実施形態では、皮膚充填剤と会合する細胞外基質構成成分またはその断片は、投与後直ちに、または1時間、2時間、もしくは3時間のウィンドウ内で皮膚充填剤から解離してよい。多種多様の方法を、本明細書で記載する製剤を調製するために使用することができる。
【0084】
概して、薬学的に許容される組成物をもたらすのに十分な温度、かつ十分な時間で、本明細書に記載する製剤の構成成分を合わせることにより、製剤を調製することができる。例えば、いくつかの実施形態では、組成物の組成物構成成分を、治療される予定の状態が軽減または緩和されるような有効濃度で、選択した担体または媒体に溶解、懸濁、分散、または別の場合においては、この中で混合してよい。
【0085】
上述した実施形態の組成物は、既知の局所活性剤の強度を向上させ得、これにより、治療に有効な量を達成するのに必要な、必要用量が減少する。例えば、いくつかの実施形態では、活性剤及び細胞外基質構成成分またはその断片を含有する組成物の強度は、標準的な局所用製剤に送達される活性剤の、約80%または90%におよそ等しいか、または、これらの値を上回ってよい。他の実施形態では、活性剤及び細胞外基質構成成分またはその断片を含有する組成物の強度は、標準的な局所用製剤で達成される活性剤の、約75%に等しいかまたは約75%超、約1.0%~約80%超、約1.0%~約75%超、約1.0%~約50%超、約1.0%~約25%超、約2.0%~約80%超、約2.0%~約75%超、約2.0%~約50%超、約2.0%~約25%超、約5.0%~約50%超、約5.0%~約25%超であってよい。したがって、本明細書で記載する組成物は、標準用量の少なくとも約75%以下、標準用量の約50%以下、標準用量の約25%以下、標準用量の約10%以下、標準用量の約1.0%~約75%未満、標準用量の約1.0%~約50%未満、標準用量の約1.0%~約25%未満、標準用量の約1.0%~約10%未満、標準用量の約2.0%~約75%未満、標準用量の約2.0%~約50%未満、標準用量の約2.0%~約25%未満、標準用量の約2.0%~約10%未満、または、これらの例示的範囲により包含される任意の範囲もしくは個別の値の投与量で、既知の局所投与される活性剤との治療等価性をもたらし得る。本明細書で開示する組成物は、活性剤をより効率的に送達することができる。即ち、投与部位に送達される活性剤の有効量は、細胞外基質構成成分またはその断片を含まない活性剤と比較したときに、はるかに多い。
【0086】
追加の実施形態は、活性剤の送達方法を含む。このような方法は、活性剤及び細胞外基質構成成分またはその断片を含む、上述したものなどの組成物または製剤を、対象の表面組織に適用する工程を含んでよい。いくつかの実施形態では、方法は、組成物を患者の皮下領域に注射する工程を含んでよい。他の実施形態では、細胞外基質構成成分またはその断片は、活性剤の局所投与前に、表面組織に適用してよい。さらに他の実施形態では、活性剤は、細胞外基質構成成分またはその断片を表面組織に適用した後に、表面組織に適用してよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、損傷または疾患の位置において、治療を必要とする患者の皮膚に直接、組成物を適用することにより、局所投与することができる。他の実施形態では、組成物は、例えば、手術、注射、または、他の医学的に必要な損傷の前に患者の皮膚に局所適用することができる。さらなる実施形態では、組成物は、経皮(transdermally)、経皮(percutaneously)、または、微細針注射により投与することができる。投与は、例えば、静脈内、腹腔内、皮下(subdermal)、皮下(subcutaneous)、皮内、経皮、筋肉内、経口、関節内、非経口、経鼻、または吸入投与することもまた可能である。したがって、投与の好適な部位としては、皮膚、気管支、胃腸管、眼、口腔、及び耳が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
上述したものなどの実施形態では、組成物は、それぞれの日に1回以上、表面組織に適用することができ、適用は、治療されている患者または疾患または損傷の状態に応じて、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、12ヶ月、または無期限にわたり行うことができる。いくつかの実施形態では、組成物は1回、必要に応じて1日1回、1日2回、1日3回、週に1回、週に2回、隔週、隔日などで投与してよい。投与サイクルは、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、または約10週間の投与を含んでよい。このサイクルの後、後続サイクルを、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間後に開始してよい。治療レジメンは、1、2、3、4、5、または6サイクルを含んでよく、各サイクルは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間の間隔がある。
【0089】
このような実施形態の方法を、ほぼあらゆる状態を治療するために使用することができる。例えば、実施形態の方法を、急性または慢性疼痛、体節痛、内臓痛、炎症性疼痛、ニューロパチー、関節炎、変形性関節症、頭痛など、及びこれらの組み合わせから生じる、または、これらと関連する疼痛を治療するために使用することができる。疼痛は、局所性または全身性であってよく、いくつかの実施形態では、本発明の方法を、活性剤の経皮送達を必要とする状態を治療するための活性剤の投与のために使用することができる。特に、実施形態では、疼痛は、長期的な鎮痛、がん、乗り物酔い、慢性的な病気、座瘡、真菌または細菌感染症、皮膚癌、膿瘍、蜂窩織炎、良性腫瘍、前悪性腫瘍、悪性腫瘍、疣贅、尋常性疣贅、掌蹠疣贅、扁平疣贅、肬贅状表皮発育異常症関連疣贅、肛門性器疣贅、尖圭コンジローム;HHV-1(HSV-1)、HHV-2(HSV-2)、HHV-3(水痘帯状疱疹ウイルス)により誘発されるものを含む、ヘルペスウイルス関連病変、例えば、水痘、帯状疱疹(Herpes zoster)、帯状疱疹(shingles);ポックスウイルス誘発病変、例えば、伝染性軟属腫、羊痘;仮骨、皮角、鶏眼、糸状線維腫、線維上皮性ポリープ、結節性痒疹、日光角化症、扁平上皮細胞癌、in situ扁平上皮細胞癌、ケラトアカントーマ、基底細胞癌、皮膚リンパ腫及び良性リンパ球浸潤及び皮膚の過形成、明細胞棘細胞腫、大型細胞棘細胞腫、表皮剥離性棘細胞腫、汗孔角化症、過角化、苔癬様角化症、棘細胞増殖、黒色棘細胞増殖、融合性細網状乳頭腫症、母斑(例えば、真皮母斑、表皮母斑、複合母斑、ILVEN(炎症性線状いぼ状表皮母斑)、脂腺母斑、面皰母斑など);座瘡(例えば、面皰座瘡、炎症性座瘡、丘疹状座瘡、膿疱性座瘡、嚢胞性座瘡);嚢腫(例えば、類表皮腫嚢腫、稗粒腫、外毛根鞘嚢腫、濾胞性嚢腫、浸潤性嚢腫、類比嚢腫、毛巣嚢腫、アポクリン嚢腫、エクリン嚢腫、皮脂性嚢腫、粘液性嚢腫、粘膜様嚢腫、ガングリオン嚢腫、滑液性嚢腫、軟毛嚢腫、脂腺嚢腫、汗腺嚢腫);付属器腫瘍(例えば、毛包腫、線維毛包腫、毛包周囲線維腫、毛盤腫、脂腺母斑、軟骨様汗管腫、毛包上皮腫、毛芽腫、類腱毛包上皮腫、毛母腫、毛母癌、外毛根鞘腫、外毛根鞘腫、濾胞性漏斗の腫瘍、毛包腺腫、浸潤性毛髪腫瘍、皮脂性過形成、皮脂性腺腫、皮脂性上皮腫、皮脂性癌、汗管腫、汗孔腫、汗腺腫、アポクリン汗腺腫、らせん腺腫、円柱腫、エクリン母斑(エクリン過誤腫)、乳頭腺腫、乳頭腺癌);良性メラノサイト性腫瘍(例えば、雀卵斑、カフェオレ斑、ベッカーメラノーシス、黒子、日光黒子、単純黒子、粘膜メラノサイト性病変、蒙古斑、太田母斑、青色母斑、通常型後天性メラノサイト性母斑(母斑細胞母斑、「黒あざ」)、先天性母斑、扁平母斑、再発性母斑);血管性及び血管周囲腫瘍及び反応性過形成(例えば、単純性血管腫、老人性血管腫、ホブネイル単純性血管腫(標的化ヒモジデリン単純性血管腫)、房状血管腫、血管内皮腫、好酸球増加随伴性血管類リンパ組織増殖症(ALHE)、グロムス腫瘍(グロマンジオーマ)、血管周囲細胞腫);皮膚神経及び神経内分泌性腫瘍(例えば、神経腫、神経鞘腫、神経線維腫、神経鞘腫、神経鞘粘液腫、神経莢腫、顆粒細胞腫);繊維性及び線維組織球性増殖(例えば、糸状線維腫、線維上皮性ポリープ、線維腫、繊維性丘疹、血管線維腫、真珠様陰茎小丘疹、爪囲線維腫、皮膚線維腫、線維角化腫、硬壁または多形線維腫、結合組織母斑);皮膚瘢痕、過形成、ケロイド、酒さ、皮膚真菌症、皮膚糸状菌及びモールド感染症、爪真菌症、色素沈着過剰、皺、乾癬、悪性黒色腫、脂漏性角化症、脂漏性角化症異型(例えば、黒色丘疹性皮膚症を含む)、反転性毛包角化症/ケラトーマいぼ状角化異常症/いぼ状ジスケラトーマ、疣贅状肢端角化症、脂漏性角化症、多汗症、先天性厚硬爪甲など、及びこれらの組み合わせと関連してよい。
【0090】
上述のとおり、「表面組織」は、限定されるものではないが、皮膚、粘膜、眼、耳部、鼻腔内、口腔内、唇、尿道口、膣、肛門、舌、舌小帯、毛髪、歯、骨などの任意の表面組織を含む。したがって、組成物の投与は、皮膚、粘膜、眼、耳部、鼻腔内、口腔内、唇、尿道口、膣、肛門、舌、舌小帯、毛髪、歯、骨などを含む、任意の表面組織へのものであることができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、方法は、例えば、適用部位において表面組織をきれいにするなどの、様々な追加の工程を含んでよい。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載する組成物の投与前、投与中、または投与後に、組織を切除することをさらに含んでよい。実施形態では、組織表面の切除は、電磁放射線、レーザー、皮膚剥離、ケミカルピール、超音波、加熱、冷却、または、針を用いるものを含んでよい。特定の実施形態では、組織表面は表皮剥脱により切除される。皮膚の外側層または表皮の表皮剥脱(皮膚剥離)は、平らなもしくは混ざった瘢痕、傷、または、例えば、座瘡、日光への曝露、及び加齢により引き起こされ得る、他の皮膚状態に対して望ましい。皮膚を剥脱するために使用する標準的な技術は一般に、皮膚剥離とマイクロダーマブレージョンと呼ばれる、2つの分野に分けられている。両方の技術が、角質層と呼ばれる表皮の一部を取り除くが、これらは、体を軽度な損傷で解釈する。次に、体は、失われた皮膚細胞を交換し、これにより、皮膚の新たな外層が形成される。さらに、操作と関連する、軽度の浮腫及び紅斑が生じるにもかかわらず、皮膚の新しい外層によって、皮膚はより滑らかなように見え、また、そのように感じられる。いくつかの実施形態では、組織表面をマイクロダーマブレージョンで切除する。マイクロダーマブレージョンとは一般に、砂または砂利の流れをハンドピースにより放出することで生じる機械的摩擦により、皮膚の表面が取り除かれる操作を意味する。例えば、ハンドピースを使用して、酸化アルミニウム、塩化ナトリウム、または重炭酸ナトリウムの微細結晶を含有する空気流を向けることができる。砂利の運動量は、それぞれがハンドピースを通過するにつれ、皮膚の2~3個の細胞層をすり減らす傾向にある。あるいは、新たな「結晶非含有」マイクロダーマブレージョン技術は、砂利の流れを用いずに、ダイヤモンドチップのハンドピースを利用する。
【実施例】
【0092】
本発明について、その特定の好ましい実施形態を参照しながらかなり詳細に説明してきたが、他のバージョンも可能である。それ故、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲は、この明細書内に含まれる説明及び好ましいバージョンに限定されるべきではない。以下の非限定的な実施例を参照しながら、本発明の様々な態様を示す。
【0093】
実施例1
クリームを調製し、患部に直接投与する。クリームの実施例を表1に示す。
【表1】
リドカインは、リドカイン塩酸塩であってよい。HAは、約10,000KD~約50,000KDの重量平均分子を有することができる。クリーム基剤は、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの乳化剤、メチルパラベン、プロピルパラベンなどの防腐剤、水酸化ナトリウムなどの緩衝剤、ステアリン酸などの安定剤、鉱物油などの油、プロピレングリコールなどのエモリエント剤、ポリソルベート80、モノステアリン酸ソルビタンなどの乳化剤、硫酸アルミニウムなどの凝固剤、酢酸カルシウムなどの結合剤、ワセリンなどの刺激防止剤、精製水、及びこれらの様々な組み合わせを含有してよい。
【0094】
実施例2
液体を調製し、患部に直接投与する。クリームの実施例を表2に示す。
【表2】
リドカインは、リドカイン塩酸塩であってよい。HAは、約10,000KD~約50,000KDの重量平均分子を有することができる。液体基剤は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンなどの防腐剤、水酸化ナトリウムなどの緩衝剤、カルボキシメチルセルロースなどの安定剤、精製水、及びこれらの様々な組み合わせを含んでよい。経口投与のための実施形態では、このような製剤は、香味料、甘味料など、及びこれらの組み合わせを含んでよい。
【0095】
実施例3
ゲルを調製し、患部に直接投与する。クリームの実施例を表3に示す。
【表3】
リドカインは、リドカイン塩酸塩であってよい。HAは、約10,000KD~約50,000KDの重量平均分子を有することができる。可塑化ゲル基剤は、メチルパラベン、プロピルパラベンなどの防腐剤、水酸化ナトリウムなどの緩衝剤、鉱物油などの油、プロピレングリコールなどのエモリエント剤、ブチル化ヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤、精製水、及びこれらの様々な組み合わせを含有してよい。
【0096】
実施例4
リドカイン塩酸塩(リドカインHCl)をWFIに溶解し、0.2μmフィルターで濾過する。希釈NaOH溶液を、米国特許第10,485,896号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のとおりに調製した、実質的に中性のpH、好ましくは約7.2を有し、流動性媒体中に目視で区別できる粒子を有しない粘着性架橋HAゲルに、約7.5~約8のpHに達するように加える。次に、リドカインHCl溶液及びHAを、最終的な所望の濃度、例えば、約0.1重量%~約2.0重量%の濃度に達するようにゲルに加える。得られるHA/リドカイン混合物のpHは約7、架橋HAゲル中のHA濃度は約24mg/mL、HAの濃度は約1重量%~約10重量%となるべきである。機械的混合は、適切なブレンダー機構を有する標準的な反応器内でより良好な均質性をもたらすことができる。得られる組成物は粘着性である。
【0097】
実施例5
ガバペンチンをWFIに溶解し、0.2μmのフィルターで濾過した。希釈NaOH溶液を、米国特許第10,485,896号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のとおりに調製した、実質的に中性のpH、好ましくは約7.2を有し、流動性媒体中に目視で区別できる粒子を有しない粘着性架橋HAゲルに、約7.5~約8のpHに達するように加える。
ガバペンチン溶液及びHAを、最終的に約0.1重量%~約2.0重量%に達するようにゲルに加えた。得られたHA/ガバペンチン混合物のpHは約7であった。架橋HAゲル中のHA濃度は約24mg/mL、HAの濃度は約1重量%~約10重量%であった。
【0098】
実施例6
実施例5の組成物を、疼痛性糖尿病性ニューロパチー(PDN)の症状を示す患者に局所投与した。PDNは、最も一般的な糖尿病の合併症であり、しばしば下肢が最初に侵され、続いて上肢が侵される。PDN患者は、慢性の漸進的に重篤な疼痛を経験し、しばしば灼熱感を伴い、麻痺に至る。ガバペンチン及びガバペンチンに似た効果をもたらすプレガバリンは、しばしばPDNの治療に使用される。しかし、傾眠及びめまいを含む、ガバペンチンの経口送達に起因する副作用は、日常の生活及び仕事といった活動を障害し、また、オピオイド乱用者による共同乱用が生じることにより、ガバペンチンは医師にとって魅力的なものではない。
【0099】
実施例5の組成物をPDN患者に局所投与した際に得られた有効組織濃度は、PDN患者において約2.4mcg/グラム超である。
図1を参照。これらの臨床試験では、高いシグナル対ノイズ比が認められた。注目すべきことには、経口送達でガバペンチンの組織レベルを達成するには、600mg超のガバペンチンの全身投与を必要とする。
【0100】
実施例7
医師主導のパイロット試験を、PDN患者6例に対し行った。単一群非盲検試験において、対象に実施例5に記載した組成物を投与した。各対象は、11ポイントスケールで5以上のPDNベースライン平均疼痛を示した。組成物を、4週間にわたって6~8時間ごとに患部に直接投与した。対象の日々の疼痛、睡眠、マルチドメイン疼痛影響(MDPI:multi-domain pain impact)、及びレスキュー薬の使用を記録した。
【0101】
図2は、4週間の治療にわたる週平均疼痛強度スコアにおけるベースラインからの変化を示している。週平均疼痛強度スコアは、
図2に示すように、4週間の治療にわたって約50%低下した。加えて、この患者コホートでは、有害事象は記録されず、バイタルサインは全て正常と記録され、皮膚反応/紅斑は記録されず、レスキュー薬としてのオピエート/麻薬の使用は記録されなかった。実際に、レスキュー薬の使用率は、試験対象全体において100%から11%に低下した。
【0102】
〔実施の態様〕
(1) 麻酔剤と、細胞外基質構成成分またはその断片と、を含む組成物。
(2) 前記麻酔剤が、リドカイン、リドカインHCl、ブピバカイン、ブピバカインHCl、ガバペンチン、ガバペンチンHCl、プレガバリン、プレガバリンHCl、及びこれらの組み合わせである、実施態様1に記載の組成物。
(3) 前記組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%~約10重量%の麻酔剤を含む、実施態様1に記載の組成物。
(4) 前記組成物の総重量を基準にして、約5重量%~約25重量%の細胞外基質構成成分またはその断片活性剤を含む、実施態様1に記載の組成物。
(5) 前記細胞外基質構成成分またはその断片が、ヒアルロン酸、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、レクチン、これらの断片、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様1に記載の組成物。
【0103】
(6) 前記細胞外基質構成成分またはその断片が、ヒアルロン酸またはヒアルロン酸の断片である、実施態様1に記載の組成物。
(7) 前記細胞外基質構成成分またはその断片が、約2,000Da~約100,000Daの平均分子量を有する、実施態様1に記載の組成物。
(8) 前記細胞外基質構成成分またはその断片が、59,000Da未満の分子量を有する、実施態様1に記載の組成物。
(9) 希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、酸化防止剤、ビタミン、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤、着色剤、可塑剤、担体、賦形剤、第2の活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含む、実施態様1に記載の組成物。
(10) 前記組成物が、液体、ゲル、クリーム、粉末、またはスプレーである、実施態様1に記載の組成物。
【0104】
(11) 脂質ナノ粒子、微小粒子、コロイド状脂質、及びこれらの組み合わせをさらに含む、実施態様1に記載の組成物。
(12) 治療を必要とする対象の治療方法であって、前記対象の表面組織に、麻酔剤と、細胞外基質構成成分またはその断片と、を含む組成物を局所投与することを含む、前記方法。
(13) 前記麻酔剤が、リドカイン、リドカインHCl、ブピバカイン、ブピバカインHCl、ガバペンチン、ガバペンチンHCl、プレガバリン、プレガバリンHCl、及びこれらの組み合わせである、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記組成物が、前記組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%~約10重量%の麻酔剤を含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記組成物の総重量を基準にして、約5重量%~約25重量%の細胞外基質構成成分またはその断片を含む、実施態様12に記載の方法。
【0105】
(16) 前記細胞外基質構成成分またはその断片が、ヒアルロン酸、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、レクチン、これらの断片、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記細胞外基質構成成分またはその断片が、ヒアルロン酸またはヒアルロン酸の断片である、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記細胞外基質構成成分またはその断片が、約2,000Da~約100,000Daの平均分子量を有する、実施態様12に記載の方法。
(19) 前記細胞外基質構成成分またはその断片の少なくとも99.9%が、59,000Da未満の分子量を有する、実施態様12に記載の方法。
(20) 前記組成物が、希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、酸化防止剤、ビタミン、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤、着色剤、可塑剤、担体、賦形剤、第2の活性剤、及びこれらの組み合わせをさらに含む、実施態様12に記載の方法。
【0106】
(21) 前記組成物が、液体、ゲル、クリーム、粉末、またはスプレーである、実施態様12に記載の方法。
(22) 前記組成物が、脂質ナノ粒子、微小粒子、コロイド状脂質、及びこれらの組み合わせをさらに含む、実施態様12に記載の方法。
(23) 麻酔が、投与後または注射後最初の300秒以内に達成される、実施態様12に記載の方法。
【配列表】
【国際調査報告】