(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】心内機能を提供するように構成された埋め込み型医療機器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/365 20060101AFI20240507BHJP
A61N 1/375 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A61N1/365
A61N1/375
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557130
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2022060957
(87)【国際公開番号】W WO2022233634
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤング、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ミドゲット、マデリーヌ アン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ウィッティントン、アール.ホリス
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053KK02
4C053KK07
(57)【要約】
心内機能を提供するように構成された埋め込み型医療機器(1)は、本体(10)と、本体(10)上に配置され、心臓センス信号(S2)を受信するように構成されたセンサ装置と、センサ装置に動作可能に接続された処理回路(15)とを備える。処理回路(15)は、センサ装置を使用して受信された心臓センス信号(S2)を処理して、開始基準が満たされているかどうかを検出するために心臓センス信号(S2)を監視し、ここで、心臓センス信号(S2)の少なくとも1つの信号サンプル(s(i-3)…s(i+3))が開始閾値(TH)よりも小さい場合に開始基準が満たされ、かつ前記開始基準が満たされているかどうかに基づいて、心房検出ウィンドウ(Tセンス)を開始して、心房検出ウィンドウ(Tセンス)内で、心房イベント(As)を潜在的に示す心臓センス信号(S2)の信号偏向を検出するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心内機能を提供するように構成された埋め込み型医療機器(1)であって、
本体(10)と、
前記本体(10)上に配置され、心臓センス信号(S2)を受信するように構成されたセンサ装置と、
前記センサ装置に動作可能に接続された処理回路(15)であって、前記センサ装置を使用して受信された前記心臓センス信号(S2)を処理して、
前記心臓センス信号(S2)を監視して、開始基準が満たされているかどうかを検出し、前記心臓センス信号(S2)の少なくとも1つの信号サンプル(s(i-3)…s(i+3))が開始閾値(TH)よりも小さい場合に前記開始基準が満たされ、かつ
前記開始基準が満たされているかどうかに基づいて、心房検出ウィンドウ(T
センス)を開始して、前記心房検出ウィンドウ(T
センス)内で心房イベント(As)を潜在的に示す前記心臓センス信号(S2)の信号偏向を検出する
ように構成された、処理回路(15)と
を備える、埋め込み型医療機器(1)。
【請求項2】
前記本体(10)が前記埋め込み型医療機器(1)のジェネレーター(18)に接続可能なリード線によって形成されるか、または前記本体(10)がリードレスペースメーカー機器のハウジングによって形成される、請求項1に記載の埋め込み型医療機器(1)。
【請求項3】
前記開始基準が、前記心臓センス信号(S2)の所定の複数の信号サンプル(s(i-3)…s(i+3))が前記開始閾値(TH)よりも小さい場合に満たされる、請求項1または2に記載の埋め込み型医療機器(1)。
【請求項4】
前記開始基準が、前記心臓センス信号(S2)の所定の複数の連続する信号サンプル(s(i-3)…s(i+3))が前記開始閾値(TH)よりも小さい場合に満たされる、請求項1から3のいずれか一項に記載の埋め込み型医療機器(1)。
【請求項5】
前記所定の複数の信号サンプル(s(i-3)…s(i+3))が、1~20の範囲内にある、請求項3または4に記載の埋め込み型医療機器(1)。
【請求項6】
前記処理回路(15)が、前記開始基準が満たされたことの検出時に前記心房検出ウィンドウ(T
センス)を開始するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の埋め込み型医療機器(1)。
【請求項7】
前記処理回路(15)が、前記心臓センス信号(S2)の一部をブランキングウィンドウ(T
ブランク)内でブランキングするように、かつ前記ブランキングウィンドウ(T
ブランク)の終了後に前記開始基準が満たされたかどうかを検出するために前記心臓センス信号(S2)の監視を開始するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の埋め込み型医療機器(1)。
【請求項8】
前記処理回路(15)が、前記開始基準が満たされる前に第1の処理状態で前記心臓センス信号(S2)を監視するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の埋め込み型医療機器(1)。
【請求項9】
前記処理回路(15)が、心房イベント(As)を潜在的に示す前記心臓センス信号(S2)の信号偏向を検出するために、前記心房検出ウィンドウ(T
センス)内の第2の処理状態で前記心臓センス信号(S2)を監視するように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の埋め込み型医療機器(1)。
【請求項10】
前記処理回路(15)が、前記心臓センス信号(S2)と前記心房検出ウィンドウ(T
センス)内のセンス閾値(ST)との比較に基づいて、心房イベント(As)を潜在的に示す前記心臓センス信号(S2)の信号偏向を検出するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の埋め込み型医療機器(1)。
【請求項11】
前記開始閾値(TH)が前記センス閾値(ST)に等しい、請求項10に記載の埋め込み型医療機器(1)。
【請求項12】
前記処理回路(15)が、心房イベント(As)を潜在的に示す信号偏向が検出された場合、前記心房イベント(As)に関連するピーク振幅(PA)を決定するように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の埋め込み型医療機器(1)。
【請求項13】
前記処理回路(15)が、前記心房イベント(As)に続くピーク検出ウィンドウ(PDW)で前記心房イベント(As)に関連する前記ピーク振幅(PA)を決定するように構成される、請求項12に記載の埋め込み型医療機器(1)。
【請求項14】
前記処理回路(15)が、前記センサ装置を介して受信された心臓センス信号から導出された第1の処理信号を処理するための第1の利得(G1)を有する第1の処理チャネル(16)と、前記センサ装置を介して受信された心臓センス信号から導出された第2の処理信号を処理するための第2の利得(G2)を有する第2の処理チャネル(17)とを備え、前記第2の利得(G2)が前記第1の利得(G1)よりも高い、請求項1から13のいずれか一項に記載の埋め込み型医療機器(1)。
【請求項15】
心内機能を提供するための埋め込み型医療機器(1)を動作させるための方法であって、
前記埋め込み型医療機器(1)の本体(10)に配置されたセンサ装置を使用して、心臓センス信号(S2)を受信するステップと、
前記センサ装置に動作可能に接続された処理回路(15)を使用して、前記センサ装置を使用して受信された前記心臓センス信号(S2)を処理して、
前記心臓センス信号(S2)を監視して、開始基準が満たされているかどうかを検出し、前記心臓センス信号(S2)の少なくとも1つの信号サンプル(s(i-3)…s(i+3))が開始閾値(TH)よりも小さい場合に前記開始基準が満たされ、かつ
前記開始基準が満たされているかどうかに基づいて、心房検出ウィンドウ(T
センス)を開始して、前記心房検出ウィンドウ(T
センス)内で心房イベント(As)を潜在的に示す前記心臓センス信号(S2)の信号偏向を検出する
ステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、心内機能、特にペーシング機能、例えば心室ペーシング、具体的にはVDDペーシングを提供するための埋め込み型医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み型医療機器、例えば、リードレスペースメーカー機器、または皮下に埋め込まれたパルスジェネレーターおよび患者の心臓内に延びる1つ以上のリード線を使用する心臓刺激機器の形状では、患者の心臓の心室、例えば右心室に、心房活動と同期して刺激を提供することが望ましい場合がある。このために、心室ペーシングは、例えばいわゆるVDDペーシングモードで、心房活動を示す心房イベントに基づいて心室ペーシングを制御するために心房センス信号を考慮に入れるものとする。
【0003】
近年、リードレスペースメーカーの注目が高まっている。リードレスペースメーカーは、心臓内に経静脈的に延びるリード線を使用して皮下に埋め込まれたペースメーカーとは対照的に、ペースメーカー機器自体が心臓内に埋め込まれ、ペースメーカーが心臓組織、特に右心室内に埋め込まれるためのカプセルの形状を有するという点でリード線を回避する。そのようなリードレスペースメーカーは、リード線を使用しないという固有の利点を示し、それにより、気胸、リード線脱落、心臓穿孔、静脈血栓症などのリスクなど、心臓に経静脈的にアクセスするリード線に関与する患者のリスクを低減することができる。
【0004】
リードレスペースメーカー、または刺激機器のリード線は、右心室に埋め込まれるように特に設計されてもよく、この場合、埋め込み中に、例えば右心室の頂点付近に設置される。例えば、AV結節における機能障害が生じているものの、洞結節機能は損なわれておらず適切である場合、心室ペーシングが指示される場合がある。そのような場合、特に、心房追跡を伴う心室ペーシングを含み、したがって内因性心房収縮に基づいて心室をペーシングするために心房活動のセンスを必要とする、いわゆるVDDペーシングが望ましい場合がある。
【0005】
VDDペーシングは、特に、適切な洞結節機能を利用して心室ペーシングをトリガすることによって房室(AV)同期性の患者の血行動態上の利益によって動機付けられ、潜在的に心室前負荷を最大化し、AV弁逆流を制限し、低い平均心房圧を維持し、自律神経反射および神経体液反射を調節することを可能にする。
【0006】
刊行物は、動き、音および圧力のセンスを含む心房収縮の機械的イベントを検出するためにモダリティを使用する解決策を検討している(例えば、心房収縮タイミングを決定するための圧力センサおよび/または加速度計を含むリードレス心臓ペースメーカーを開示している米国特許出願公開第2018/0021581号明細書を参照)。機械的イベントは一般に小さな信号振幅を示すため、機械的イベント、例えば動き、音または圧力に基づく信号検出は、特に埋め込み型医療機器が心室に設置され、したがって収縮がセンスされることになる心房からかなり遠く離れている場合には、センスが困難な場合がある。さらに、心房収縮によって生成された心臓壁の動きおよび血液の移動は心室に直接変換されない可能性があり、運動、心音および圧力などの心臓血行動態信号は、姿勢および患者の活動などの外的要因によって影響を受ける可能性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0021581号明細書
【発明の概要】
【0008】
特に、房室同期性を伴う心室ペーシングを可能にし、したがって、そのような心房イベントに基づいて心室ペーシングを提供するために心房イベントの信頼できるセンスを必要とする埋め込み型医療機器および埋め込み型医療機器を動作させる方法を提供することが目的である。
【0009】
そのような要望は、請求項1の特徴を有する心内機能を提供するように構成された埋め込み型医療機器によって対処される。
【0010】
一態様では、心内機能を提供するように構成された埋め込み型医療機器は、本体と、本体上にあり、心臓センス信号を受信するように構成されたセンサ装置と、センサ装置に動作可能に接続された処理回路とを備える。処理回路は、センサ装置を使用して受信された心臓センス信号を処理して、開始基準が満たされているかどうかを検出するために心臓センス信号を監視し、ここで、心臓センス信号の少なくとも1つの信号サンプルが開始閾値よりも小さい場合に開始基準が満たされ、そして、前記開始基準が満たされているかどうかに基づいて、心房検出ウィンドウ内で、心房イベントを潜在的に示す心臓センス信号の信号偏向を検出するための心房検出ウィンドウを開始するように構成される。
【0011】
開始基準はまた、センス検出基準であってもよく、またはセンス検出基準に置き換えられてもよい。この場合、心房検出ウィンドウは、センス検出のための信号の監視を可能にする。したがって、この場合、この基準は検出基準であり、開始基準ではないように思われる。
【0012】
一般に、心房イベントの検出は心房検出ウィンドウ内で行われるものとし、心房イベントを検出するために、心房検出ウィンドウ内の心臓センス信号の信号偏向が監視され、心房イベントが存在し得るかどうかを識別するために処理される。ここで、埋め込み型医療機器が患者の心臓の心室、例えば右心室に埋め込まれている場合、心房活動に関連する信号は遠距離場で発生するが、心室活動に関連する心室信号は近距離場で受信される。これにより、心房信号は一般に心室信号と比較して小さく、ノイズが多くなり、心室信号から心房信号を見分けることが困難になる可能性がある。
【0013】
特に、心房活動に関連する信号部分は、心室活動に由来する信号によって損なわれる可能性がある。例えば、心内電位図における以前のQRS波形の後の心室の再分極に関連するT波の終了は、心房検出ウィンドウ内に延びる可能性があり、T波の一部が心内電位図信号において心房イベントとして誤って識別される可能性がある。さらに、心房検出ウィンドウは、後続の心室波形、特に心内電位図信号のQRS波形の始まりに延びる可能性があり、心房イベントが後続の心室イベントの近くで識別された場合に心房イベントのピーク振幅を容易に決定することができなくなる。
【0014】
したがって、特に、心房活動に関連しない先行波形(心内電位図のT波など)による破損なしに心房イベントを正確に識別することができるように、本明細書では、信号監視に基づいて心房検出ウィンドウを動的に設定することが提案される。特に、心房検出ウィンドウは、開始基準が満たされた後にのみ開始されるものとする。開始基準では、心臓センス信号の少なくとも1つのサンプルが開始閾値よりも小さいかどうかが監視され、これが見出された場合にのみ心房検出ウィンドウが開始される。
【0015】
したがって、以前の波形、例えば心内電位図信号のT波が十分に減衰しているかどうかが監視され、以前の非心房信号波形に関連する信号部分の破損なしに心房イベントが心房検出ウィンドウ内で確実に検出することができるようになる。心房イベントは、遠距離場の活動に起因する信号偏向に基づいて検出されるため、心房イベントに関連する信号偏向は一般に振幅が小さく、ノイズが多い可能性がある。開始基準が満たされたときにのみ心房検出ウィンドウを開始することによって、心房検出ウィンドウが心房活動のみに関連する可能性が高い心臓センス信号の一部をカバーすることを確実にすることができ、したがって心房イベントの検出の信頼性が向上し、房室(AV)同期性の喪失につながり得る心房アンダセンスのリスクが低減される。
【0016】
特に、心房検出ウィンドウの前に心臓センス信号の振幅を監視する開始基準に基づいて心房検出ウィンドウを適応的に開始することによって、心房検出ウィンドウに到達し、心房活動に関連しない信号部分による心房イベントの誤検出を回避することができ、したがって心房捕捉の信頼性が向上する。
【0017】
センサ装置は、特に、本体上に配置された1つ以上の電極の電極装置によって形成されてもよい。したがって、センサ装置によって、電気信号を受信することができ、そのような電気信号は、心内電位図(IEGM)記録を表し、したがって心臓活動を示す。
【0018】
別の実施形態では、センサ装置は、圧力信号、音響信号、超音波信号、動き信号、および/またはインピーダンス信号の形状の心臓センス信号をセンスするように構成されてもよい。
【0019】
一実施形態では、埋め込み型医療機器の本体は、埋め込み型医療機器のジェネレーターに接続可能なリード線によって形成されてもよい。この場合、ジェネレーターは、例えば心臓から離れた皮下で患者に埋め込まれてもよく、本体を形成するリード線は、ジェネレーターから心臓内に延び、それにより、センサ装置が配置された本体は、心臓内、例えば右心室内に設置されて、右心室の組織と係合する。
【0020】
別の実施形態では、本体は、リードレスペースメーカー機器のハウジングによって形成されてもよい。この場合、埋め込み型医療機器は、心臓内の刺激および/またはセンスを提供するために、心臓の外側の位置から心臓内に延びるリード線を含まないリードレスデバイスとして形成される。リードレスペースメーカー機器のハウジングは、ハウジングによって形成された遠位端を有する組織上に設置されてもよく、センサ装置は、例えば、遠位端上またはその近傍に(少なくとも部分的に)設置され、リードレスペースメーカー機器をその遠位端を用いて組織上に設置するときに組織と係合する。
【0021】
埋め込み型医療機器がリードレスペースメーカー機器である場合、ハウジングは埋め込み型医療機器のカプセル化を提供し、埋め込み型医療機器は、処理回路、バッテリーなどの蓄電部、電気および電子回路などの自律動作に必要なすべての構成要素をハウジング内に含む。ハウジングは液密であるため、埋め込み型医療機器は心臓組織に埋め込まれ、長期間にわたって心臓組織内に維持されて、長期の連続的な心臓ペーシング動作を提供することができる。
【0022】
一実施形態では、心臓センス信号の所定の複数の信号サンプルが開始閾値よりも小さい場合、開始基準が満たされていると仮定される。したがって、処理回路は、所定数の複数の信号サンプルが開始閾値を下回っているかどうかを監視するように構成される。この場合に限り、心房検出ウィンドウが開始される。
【0023】
本明細書における複数の信号サンプルは、連続していなければならない場合があり、または連続していなくてもよい場合がある。特に、所定の複数の連続する信号サンプルが開始閾値を下回るかどうかを監視することができる。そのような複数の連続するサンプルが検出された場合にのみ、心房検出ウィンドウが開始される。代替的に、信号サンプルが連続している必要がない場合、信号サンプルが連続しているかいないかにかかわらず、所定の複数の信号サンプルに応じた(合計)数の信号サンプルが開始閾値を下回ることが判明すると、心房検出ウィンドウが開始される。
【0024】
心房検出ウィンドウを開始するために開始閾値を下回る必要がある信号サンプルの数は、例えば1~20、例えば3~6、例えば4であってもよい。
【0025】
開始基準を満たすために開始閾値を下回る必要がある信号サンプルの数はプログラム可能であってもよく、ユーザが埋め込み型医療機器を適切にプログラムすることによってサンプルの数を定義することができるようになる。
【0026】
一実施形態では、処理回路は、開始基準が満たされたことの検出時に心房検出ウィンドウを開始するように構成される。したがって、心房検出ウィンドウは、開始基準が満たされたことが判明すると直ちに開始することができる。したがって、信号サンプルの事前に必要な数が開始閾値を下回ることが検出されると、心房検出ウィンドウが開始され、心房イベントを潜在的に示す信号偏向が監視される。
【0027】
別の実施形態では、心房検出ウィンドウは、開始基準が満たされたことを検出した時点で直ちに開始されるのではなく、開始基準が満たされた時点に対するギャップで開始されてもよい。ギャップはプログラム可能であってもよい。
【0028】
一実施形態では、処理回路は、ブランキングウィンドウ内の前記心臓センス信号の一部をブランキングするように、かつブランキングウィンドウの終了後に開始基準が満たされているかどうかを検出するために心臓センス信号の監視を開始するように構成される。ブランキングウィンドウは、一般に、心房活動に起因しない可能性が高いそのような信号部分を抑制する役割を果たす。特に、ブランキングウィンドウは、心内電位図において、心室活動に起因し、したがって一般に大きな信号振幅を示すQRS波形およびT波に関連する信号部分をカバーすべきである。心房活動に関連する信号は心室信号偏向に対して振幅がはるかに小さい可能性があるため、心室信号偏向の抑制によって、心房信号偏向に対する感度を高めることができ、心房活動に関連する波形を他の信号部分から見分けることができる。
【0029】
ブランキングウィンドウは、一般に、以前の心室イベントの検出に応じて開始することができる。ブランキングウィンドウは、一般に、以前のQRS波形に続く心内電位図のT波がブランキングウィンドウによって確実にカバーされるように長くなければならない。
【0030】
ブランキングウィンドウが経過すると、開始基準が満たされているかどうかを監視するために開始される。開始基準によって、本明細書では、心房活動に関連しない可能性が高い信号部分が十分に減衰したかどうかが分析され、(心臓センス信号の信号サンプルを開始閾値と比較することによって)これが見出された場合にのみ、心房検出ウィンドウが開始される。
【0031】
一実施形態では、処理回路は、開始基準が満たされる前に第1の処理状態で心臓センス信号を監視するように構成される。心房検出ウィンドウを開始する前に、心臓センス信号は、特に、いかなる特定の信号処理も適用しないことによる非処理方式で監視することができる。したがって、開始基準を評価するために、心臓センス信号の生信号データが検査される。
【0032】
一実施形態では、処理回路は、心房イベントを潜在的に示す心臓センス信号の信号偏向を検出するために、心房検出ウィンドウ内の第2の処理状態で心臓センス信号を監視するように構成される。心房検出ウィンドウが開始されると、開始基準のチェックに基づいて、第2の処理状態で心臓センス信号に基づいて心房イベントが検索される。第2の処理状態では、心臓センス信号は、心房検出ウィンドウ内の信号偏向に基づく心房イベントの信頼できる検出を可能にするために、特に、例えば、バンドパスフィルタリング、整流、平均化などのフィルタリングを適用することによって処理することができる。したがって、心房検出ウィンドウが開始されると、心房検出ウィンドウ内の心臓センス信号が心房イベントの信頼できる検出を可能にするために適切に処理されるように、心臓センス信号の信号処理をオンにすることができる。
【0033】
一実施形態では、処理回路は、心臓センス信号と心房検出ウィンドウ内のセンス閾値との比較に基づいて、心房検出ウィンドウ内の心房イベントを潜在的に示す心臓センス信号内の信号偏向を検出するように構成される。したがって、心房イベントは、心臓センス信号をセンス閾値と比較することによって検出され、心房イベントは、例えば、1つ以上の信号値に基づくセンス閾値の交差が識別された場合に存在すると仮定される。
【0034】
一実施形態では、開始閾値はセンス閾値に等しい。別の実施形態では、開始閾値はセンス閾値と異なっていてもよい。
【0035】
一実施形態では、処理回路は、心房イベントを潜在的に示す信号偏向が識別された場合、心房イベントに関連するピーク振幅を決定するように構成される。一般に、心房イベントが検出された場合、例えばセンス閾値、および場合によってはさらに後続の心周期の開始閾値の設定を可能にするために、関連するピーク振幅が決定されることになる。ピーク振幅に基づいてセンス閾値および場合によってはさらに開始閾値を動的に調整することによって、心房イベントのチェックを改善することができるように、センス閾値および場合によってはさらに開始閾値を動的に調整することができる。
【0036】
一実施形態では、心房イベントの検出時に、心房検出ウィンドウ内の心臓センス信号によるセンス閾値の交差に基づいて、ピーク検出ウィンドウを開始することができる。ピーク検出ウィンドウ内で、心臓センス信号は、ピーク検出ウィンドウ内の心臓センス信号の最大値を決定するために追跡される。次いで、最大値はピーク振幅であると仮定され、さらなる処理に使用される。
【0037】
ピーク振幅を使用して、処理回路は、後続の心周期における心房イベントを検出するためのセンス閾値を計算するように構成されてもよい。特に、処理回路は、以下の式
ST=PC・ATR(t)
(式中、STは現在のセンス閾値であり、PCはパーセンテージ比であり、そして、ATR(t)はサイクルtの現在の平均閾値基準である)
に従って平均閾値基準およびパーセンテージ比を使用してセンス閾値を更新するように構成されてもよい。パーセンテージ比は、例えば0%~100%、特に25%~75%の範囲内にあってもよく、プログラム可能であってもよい。
【0038】
別の実施形態では、平均閾値基準は、以下の式
ATR(t)=W・PA(t-1)+(1-W)・ATR(t-1)
(式中Wは、以前のピーク振幅に基づいて平均閾値基準がどれだけ変化すべきかを決定する更新重みを示し、PA(t-1)は、以前のサイクルt-1について決定されたピーク振幅であり、そして、ATR(t-1)は、以前の平均閾値基準である)
に従ってピーク振幅PAに基づいて計算することができる。したがって、現在のサイクルtについて、平均閾値基準は、そのサイクルtについて決定されたピーク振幅PAに基づいて、およびサイクルt-1での以前の有効な平均閾値基準に基づいて決定される。したがって、心房イベントAsが検出された各サイクルについて、平均閾値基準がサイクルごとに動的に調整されるように、平均閾値基準が更新されて新たに計算される。
【0039】
平均閾値基準は、例えば、心房イベントが検出された所定の心周期数、例えば2~6心周期の間の数、例えば4心周期のピーク振幅の平均値として計算することができる。
【0040】
一実施形態では、処理回路は、センサ装置を介して受信されたセンサ信号から導出された第1の処理信号を処理するための第1の利得を有する第1の処理チャネルと、センサ装置を介して受信されたセンサ信号から導出された第2の処理信号を処理するための第2の利得を有する第2の処理チャネルとを備え、第2の利得は第1の利得よりも高い。
【0041】
一般に、埋め込み型医療機器は、異なる処理信号を処理するように構成される場合がある。そのような処理信号を取得するために、センサ装置が提供され、センサ装置は、例えば、処理信号が導出される電気信号を受信するための1つ以上の電極を備える。本明細書の処理信号は、例えば、1対の電極を使用してそれぞれ取得することができ、ここで、異なる処理信号を取得するために、同じ対の電極または異なる対の電極を使用することができる。第1の場合、心内電位図などの単一の電気信号を取得することができ、そこから異なる処理信号、すなわち第1の処理信号および第2の処理信号が別々の処理のために導出される。後者の場合、そのような異なる電気信号から第1の処理信号および第2の処理信号を導出するために、例えば心室センス信号および心房センス信号に関連する別個の電気信号を受信すること(すなわち、心房センスに最適化されたセンスを適用することによる)ができ、異なる電気信号は、例えばセンサ装置の異なる電極対を使用して受信される。
【0042】
一実施形態では、異なる処理信号は、処理回路の異なる処理経路で処理される。このために、処理回路は、第1の処理信号を処理するための第1の処理チャネルを備え、第1の処理信号は、例えば、患者の心臓の心室内の埋め込み型医療機器の設置に応じて、第1の処理チャネルがかなり低い利得を示すように大きくなり得る近距離場(特に心室)センス信号に関連する。
【0043】
さらに、処理回路は、第2の処理信号を処理するための第2の処理チャネルを備え、第2の処理チャネルは、例えば、心室に埋め込み型医療機器を設置した場合に、埋め込み位置と信号の発信源との間の距離のために小さな振幅を有し得る遠距離場の心房センス信号に関連する場合がある。第2の処理信号の信頼できる処理を可能にするために、第2の処理チャネルは、心房活動に関連する特徴が受信信号内で適切に分析され得るように、第1の処理チャネルの利得よりも高い利得を示す。
【0044】
埋め込み型医療機器を例えば心室に設置する場合、心房活動が遠距離場で発生するため、心房活動に起因するP波はQRSおよびT波に関して小さな振幅を示す可能性があるため、通常の心室センス信号内の心房イベント(例えば、通常の心室QRSセンスチャネルから取得される)を見分けることは困難である可能性がある。このため、遠距離場での活動に関連する信号部分は、第2の処理チャネル内の近距離場での活動に関連する信号とは別に処理することができ、第2の処理チャネル内では、遠距離場イベントをより高い信頼性および向上したタイミング精度で検出することができるようになる。
【0045】
埋め込み型医療機器は、一態様では、完全にまたは部分的に右心室または左心室に設置される。
【0046】
一態様では、センサ装置は、電極装置によって形成され、電極装置は、本体の先端の近傍に配置された第1の電極を備える。第1の電極は、第1の電極が例えば、ペーシング動作、特に心室ペーシングを誘発するために心臓組織に刺激信号を注入するのに有効な位置で心臓組織と接触するように、埋め込み型医療機器が埋め込まれた状態の心臓組織上に載置されることになる。
【0047】
一態様では、電極装置は、本体の周りに円周方向に延びる電極リングによって形成された第2の電極を備える。代替的に、第2の電極は、例えば、本体上に形成されたパッチまたは他の導電性領域によって形成されてもよい。第2の電極は、本体の先端から離れて設置され、したがって、先端に配置された第1の電極から離れて設置される。
【0048】
一実施形態では、処理回路は、前記第1の処理信号として、第1の電極と第2の電極との間でセンスされた第1の信号を処理するように構成される。そのような第1の信号は、第1の電極と第2の電極とからなる1対の電極間で受信される近距離場ベクトルとして表すことができる。第1の電極および第2の電極は、一実施形態では、互いにかなり近い距離に位置し得るので、そのような電極対は、埋め込み型医療機器に近接して、すなわち埋め込み型医療機器が心室に埋め込まれた場合に心室内の近距離場領域で信号を受信するのに主に適している。第1の電極と第2の電極との間で受信されたセンス信号は、例えば信号内の近距離場(例えば、心室)イベントを検出するために、処理のために第1の処理チャネルに提供される。
【0049】
一実施形態では、本体は、先端から取り外された遠隔位置(例えば、リードレスペースメーカー機器のハウジングの遠位端)を備え、電極装置は、遠隔位置で本体上に配置された第3の電極を備える。第3の電極は、処理回路が第3の電極を介して受信された信号を受信および処理することが可能になるように、処理回路に動作可能に接続される。
【0050】
一実施形態では、処理回路は、前記第2の処理信号として、第1の電極と第3の電極との間でセンスされた第2の信号を処理するように構成される。第1の電極と第3の電極との間に生じるそのような第2の信号ベクトルは、遠距離場ベクトルと呼ばれる場合があり、第1の電極および第3の電極は、第1の電極および第2の電極よりも大きい互いに対する距離を示す。第2の信号は、特に、第2の信号によってペーシング刺激を注入する前の内因性心房活動が捕捉され得るように、遠距離場におけるイベント、すなわち埋め込み型医療機器が心室に設置された場合の心房収縮を検出するために処理され得る。
【0051】
第1の電極と第3の電極との間でセンスされた第2の信号は、心房収縮後にペースメーカー機器の埋め込みの心室位置に刺激を適時に注入することによって心房-心室同期を提供するために、内因性心房収縮をセンスするために使用され得る。第2の信号は、検出された心房イベントに基づいてペーシング作用を提供するために、信号を処理して信号から心房イベントを検出するために第2の処理チャネルに提供され、したがって房室(AV)同期下での心室ペーシングを可能にする。
【0052】
一実施形態では、第2の処理チャネルは、第2の処理信号内の1つの波部分を別の波部分から区別するための処理段を含む。処理段は、特に、バンドパスフィルタリング、第2のセンサ信号の一部をさらなる処理から除外するためのブランキングウィンドウ、移動平均フィルタリング、および整流のうちの少なくとも1つを第2の処理信号に適用するように構成され得る。処理段によって、特に、そのような波形部分は、例えば心房イベントを示し得る処理信号内で分離および/または強調されることになる。埋め込み型医療機器が患者の心臓の心室に設置されている場合、遠距離場での心房活動に関連する信号部分は、近距離場での心室活動に関連する信号部分よりもはるかに小さい振幅を有する可能性がある。したがって、処理は、遠距離場での心房活動に関連する信号を含み得るそのような信号部分を識別するために、異なる信号部分を区別する役割を果たす。
【0053】
例えば、心内電位図におけるP波を分離するために、バンドパスフィルタリングを適用することができ、したがって、P波に関連する波部分を、特に心室活動に起因するQRSおよびT波に関連する波部分から区別することができる。代替的または追加的に、信号の移動平均フィルタリング、差分、または整流などの他の方法が適用されてもよい。ここでの移動平均化フィルタは、処理信号を平滑化するために使用することができる。整流は、信号の大きさが所定の閾値を超えるときを識別するために、処理された信号を(単一の)閾値と容易に比較する役割を果たす。
【0054】
別の態様では、心内機能を提供するための埋め込み型医療機器を動作させる方法は、埋め込み型医療機器の本体に配置されたセンサ装置を使用して、q個の心臓センス信号を受信するステップと、センサ装置に動作可能に接続された処理回路を使用して、センサ装置を使用して受信された心臓センス信号を処理して、開始基準が満たされているかどうかを検出するために心臓センス信号を監視し、ここで、心臓センス信号の少なくとも1つの信号サンプルが開始閾値よりも小さい場合に開始基準が満たされ、かつ前記心臓センス信号が、プログラムされたサンプル数でセンス閾値を超えるという検出基準を満たしているかどうかに基づいて、心房検出ウィンドウ内で、心房イベントを潜在的に示す心臓センス信号の信号偏向を検出するための心房検出ウィンドウを開始するステップとを含む。
【0055】
機器について上述した利点および有利な実施形態は、上記で参照されるように、方法にも等しく適用される。
【0056】
本発明の様々な特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面に示される実施形態を参照することにより、より容易に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】リードレスペースメーカー機器の形状の埋め込み型医療機器が埋め込まれたヒトの心臓の概略図である。
【
図3】埋め込み型医療機器の異なる電極間の信号ベクトルを示す、埋め込み型医療機器の概略図である。
【
図4】埋め込み型医療機器の一実施形態の処理回路の概略図である。
【
図5A】処理回路の第1の処理チャネルによって処理される心内電位図(IEGM)の形状の第1の処理信号を示す図である。
【
図5B】処理回路の第2の処理チャネルによって処理される第2の処理信号を示す図である。
【
図6】2つの心周期内の第2の処理信号の一例を示す図である。
【
図7】リード線が右心室に埋め込まれた心臓刺激機器の形状の埋め込み型医療機器を備えた、ヒトの心臓の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
続いて、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明することにする。図面において、同様の参照番号は同様の構造要素を示す。
【0059】
実施形態は、本発明を限定するものではなく、単に例示的な例を表すことに留意されたい。
【0060】
本発明では、心内機能、特に心室ペーシング、具体的にはいわゆるVDDペーシングを提供する埋め込み型医療機器を提供することが提案される。
【0061】
図1は、右心房RA、右心室RV、左心房LAおよび左心室LVを含むヒトの心臓を概略図で示し、いわゆる洞房結節SANは右心房RAの壁に位置し、洞房結節SANは、心臓の電気伝導系を通って移動する電気インパルスを自発的に生成する能力を有する細胞の群によって形成され、したがって心臓を通して血液を送り出すために心臓を収縮させる。房室結節AVNは、心房と心室との間の電気伝導を調整する役割を果たし、冠静脈洞の開口付近の心房中隔の下側背部に位置する。房室結節AVNから、いわゆるHIS束Hが延びており、HIS束Hは、電気伝導に特化した心筋細胞で構成され、右心室RVの周りのいわゆる右束分岐RBBを介して、および左心室LVの周りの左束分岐LBBを介して、房室結節AVNから電気インパルスを伝達するための電気伝導系の一部を形成する。
【0062】
房室結節AVNにおける閉塞の場合、心臓Hの内因性電気伝導系が破壊され、心室活動の潜在的に不十分な内因性刺激、すなわち、右および/または左心室RV、LVの不十分なまたは不規則な収縮を引き起こす可能性がある。そのような場合、ペースメーカー機器による心室活動のペーシングが指示される場合があり、そのようなペースメーカー機器は、心内組織、特に心筋Mに刺激エネルギーを注入することによって心室活動を刺激する。
【0063】
一実施形態では、
図1に概略的に示すように、リードレスペースメーカー機器の形状の埋め込み型医療機器1に心室ペーシングが提供され、リードレスペースメーカー機器は、リードレスペースメーカー機器のハウジングによって形成された本体10を有する。
【0064】
別の実施形態では、
図7に示すように、埋め込み型医療機器1は、ジェネレーター18と、埋め込み型医療機器1の本体10を形成し、ジェネレーター18から患者の心臓内に経静脈的に延びる少なくとも1つのリード線とを有する刺激機器であってもよい。
【0065】
一般的な埋め込み型医療機器は、それらが設置されている心室RV、LVから電気信号を受信することによって心室活動をセンスするように設計されているが、内因性心房活動と同期して心室にペーシングを提供することによって房室(AV)同期を達成するペーシング動作を提供することが望ましい場合がある。VDDペーシングモードとも表されるそのようなペーシングモードの場合、心房活動をセンスし、そのような心房イベントに基づく心室ペーシングのために心房収縮に関連する心房イベントを識別することが必要である。
【0066】
ここで
図2および
図3を参照すると、一実施形態では、特にVDDペーシングモードで心内ペーシングを提供するように構成されたリードレスペースメーカー機器の形状の埋め込み型医療機器1は、埋め込み型医療機器1を動作させるための電気および電子構成要素を囲むハウジング10を備える。特に、ハウジング10内に収容されているのは処理回路15であり、例えば、プログラマワンドなどの外部機器と通信するための通信インターフェースも備える。さらに、ハウジング10内には、バッテリーの形状の蓄電部などの電気および電子構成要素が収容されている。ハウジング10は、その中に収容された構成要素のカプセル化を提供し、ハウジング10は、例えば、数センチメートルの長さを有する円筒形シャフトの形状を有する。
【0067】
埋め込み型医療機器1は、心内組織Mの直上に埋め込まれることになる。このために、埋め込み型医療機器1は、先端100の領域に、埋め込み型医療機器1を埋め込み状態で組織上に固定的に保持するために心内組織Mと係合する、例えばニチノールワイヤの形状の固定デバイス14を備える。
【0068】
図2および
図3の実施形態における埋め込み型医療機器1は、リード線を含まないが、ハウジング10上に配置された電極装置によって心臓活動に関連する信号を受信し、およびまた、そのような電極装置によって刺激信号を放出する。
図2および
図3の実施形態では、埋め込み型医療機器1は、電極装置を構成し、ペーシングを提供するために心内組織Mに向かってペーシング信号を放出し、心臓活動を示す、特に心房および心室収縮を示す電気信号をセンスする役割を果たす異なる電極11、12、13を備える。
【0069】
本明細書では、第1の電極11は、ペーシング電極として表されている。第1の電極11は、ハウジング10の先端100に設置され、心臓組織Mと係合するように構成される。
【0070】
本明細書では、第2の電極12は、ペーシングリングとして表されている。第2の電極12は、第1の電極11の対電極として機能し、第1の電極11と第2の電極12との間に生じる信号ベクトルPは、心内組織Mに向かってペーシング信号を放出するためのペーシングベクトルPを提供する。
【0071】
さらに、第2の電極12は、特に心室収縮に関連する信号をセンスするためのセンス電極として機能し、信号ベクトルVが第2の電極12と第1の電極11との間に生じ、信号ベクトルVは近距離場ベクトルとして表される。
【0072】
第2の電極12は、第1の電極11から離れて設置され、例えばハウジング10の周りに周方向に延びるリング形状を有する。第2の電極12は、例えば、第1の電極11が設置されるハウジング10の先端100から約1cmの距離に設置される。
【0073】
図2および
図3の実施形態では、埋め込み型医療機器1は、ハウジング10の遠端101に設置された第3の電極13をさらに備え、第3の電極13は、遠距離場での心臓活動を示す信号をセンスするためのセンス電極として機能する。特に、第3の電極13と第1の電極11との間に信号ベクトルAが生じ、信号ベクトルAは、例えば心房収縮を示し、遠距離場ベクトルとして表される信号を拾い上げる。
【0074】
電極11、12、13は、処理回路15と動作可能に接続しており、処理回路15は、第1の電極11および第2の電極12に心室に刺激を提供するためのペーシング信号を放出させるように構成されている。処理回路15はさらに、電極11、12、13を介して受信された信号を処理して、心臓活動、特に心房および心室収縮のセンスを提供するように構成される。
【0075】
図7の実施形態に示すように、埋め込み型医療機器1が、ジェネレーター18とジェネレーター18から延びるリード線とを備える刺激機器の形状を有する場合、例えば3つの電極11、12、13を備える同様の電極装置は、
図7に示すように、右心室RVに埋め込まれ、右心室RVに延びるリード線上に配置されてもよく、上記は、患者の心臓に延びるリード線を有する埋め込み型医療機器1の実施形態にも適用される。この場合、処理回路15は、ジェネレーター18の一部であってもよく、リード線上に配置された電極装置と動作可能に接続してもよい。
【0076】
埋め込み型医療機器1が設置されている心室でのペーシングを提供するために、特にVDDモードでのペーシングを可能にするために、心房活動のセンスは、房室(AV)同期性を取得するために心室でのペーシングを計時するために検出された心房センスマーカーを提供するために必要である。このために、埋め込み型医療機器1が右心室RV内の心内組織Mに埋め込まれることによって、右心室RV内の同期ペーシングを可能にするために、特に右心房RA(
図1および
図9参照)からの遠距離場信号がセンスされるものとする。
【0077】
ここで
図4を参照すると、処理回路15は、一実施形態では、心室活動および心房活動に関連する異なる処理信号を処理するための2つの処理チャネル16、17を備える。本明細書では、典型的には、心内電位図(IEGM)は、心室活動(特にQRS波)および心房活動(特にP波)に関連する信号部分を含むが、心房活動に関連する信号部分は、遠距離場の信号源から生じ、したがってはるかに弱く、そして、近距離場での心室活動に関連する、すなわち、埋め込まれた埋め込み型医療機器1に近接して生じる信号部分よりもはるかに小さい振幅を有する。このため、2つの処理チャネル16、17は異なる利得G1、G2に関連付けられ、第1の処理チャネル16は、かなり低い利得G1で心室イベントVxを識別するために第1の処理信号を処理する役割を果たし、第2の処理チャネル17は、有意に高い利得G2で心房イベントを識別するために第2の処理信号を処理するように構成される。
【0078】
特に、第1の処理チャネル16は、電極11、12、13からなる電極装置に接続され、第1の処理チャネル16は、特に電極11、12を介して受信される信号(
図2および
図3の近距離場ベクトルV)をセンスして処理するように構成される。第1の処理チャネル16は、利得G1を有する第1の増幅段161を備え、第1の増幅段161の後に、第1の処理チャネル16内で処理された第1の処理信号から心室センスマーカーVxを識別するように構成された検出段162が続く。
【0079】
第2の処理チャネル17は、同様に、電極11、12、13から構成される電極装置に接続され、第2の処理チャネル17は、特に、
図2および
図3に示すように、先端100に設置された電極11、13とハウジング10の遠端101との間にある遠距離場ベクトルAを介してセンスされる信号を処理するように構成されてもよい。第2の処理チャネル17は、第2の利得G2を有する第2の増幅段171を備え、第2の増幅段171の後に処理段172および第2の検出段173が続く。
【0080】
処理段172は、増幅後の第2の処理信号を前処理する役割を果たす。次に、検出段173は、第2の処理信号内の心房イベントを識別するために、処理信号を評価および分析する役割を果たし、次いで、第2の処理チャネル17は、処理信号内で検出された心房イベントを示す心房センスマーカーAsを出力する。
【0081】
さらに、処理回路15は、第1の処理チャネル16および第2の処理チャネル17から受信したタイミング情報を使用して、ペーシングタイミング、特に心房-心室同期ペーシングを達成するためのVDDタイミングを提供するタイミング段174を備える。
【0082】
心房イベントを識別および分析するために、第2の処理チャネル17の利得G2は、第1の処理チャネル16の利得G1よりも(有意に)高い。これは、一般に、心房イベントに関連する信号部分を分析することを可能にするが、心房イベントに関連するそのような信号部分を他の信号部分、特に近距離場での心室イベントVxに関連し、したがって遠距離場での心房イベントに由来する信号部分よりもはるかに大きい信号部分から見分けることを必要とする。
【0083】
処理段172内で、例えば、バンドパスフィルタリング、ウィンドウ処理(例えば、部分ブランキング)、移動平均フィルタリングによる平滑化、および整流が行われてもよい。P波欠陥を強化しながら非ゼロベースラインを除去するために、一次または二次差分を適用することができる。
【0084】
図5Aおよび
図5Bは、異なる処理チャネル16、17で処理される信号S1、S2の例を示し、上にある
図5Aは、第1の処理チャネル16で処理される信号S1を示し、下にある
図5Bは、第2の処理チャネル17で処理される信号S2を示す。処理の結果として、心室イベントVxおよび心房イベントAsが識別され、対応するマーカーが出力される。
【0085】
図5Bから明らかなように、心房イベントAsのセンスは、ウィンドウイングスキームを使用し、特にブランキングウィンドウT
ブランクを採用して、心室活動に潜在的に関連する信号S2の信号部分をブランキングしている。
【0086】
特に、第1の処理チャネル16内の心室イベントVxの検出によって、心房イベントAsと心室イベントVxとの間の(予想される)タイミングを決定することができる。このようなタイミングによれば、ブランキングウィンドウTブランクの開始点および終了点を設定することができるため、心房活動に関連しない信号部分を処理から除外することができる。このようにして、心室活動に関連する信号部分が心房イベントの検出を妨げないように、大きな心室信号を抑制することができる。
【0087】
ブランキングウィンドウTブランクの間、第2の処理チャネル17はオフにされてもよい。特に、第2の処理チャネル17の増幅段171は、電力を節約するためにオフにされてもよい。
【0088】
一般に、心房イベントAsの検出は、ブランキングウィンドウT
ブランクの外側で行われる。
図6を参照して以下でさらに説明するように、心房検出ウィンドウT
センスは、ブランキングウィンドウT
ブランクの経過後に開始され、心房検出ウィンドウT
センスは、心臓センス信号S2と、心房活動に関連しない可能性が高い信号部分がブランキングウィンドウT
ブランクの終了後に十分に減衰したかどうかを考慮する開始基準とに基づいて適応的に開始される。
【0089】
心房イベントAsは、心房検出ウィンドウT
センスにおいて、
図5Bに示すように、信号S2がセンス閾値STを交差する場合に存在すると仮定される。比較は、センス信号S2の整流に基づいて行われてもよい。代替的に、正負のセンス閾値STを使用してもよく、これらは同じ値であってもよいし、または異なる値であってもよい。ここでの閾値交差は、1つの信号値がセンス閾値STよりも大きい場合に仮定されてもよい。代替的に、所定数の信号値、例えば2つ以上の連続または非連続サンプル値がセンス閾値STよりも大きい場合、センス閾値STの交差が仮定される。
【0090】
心房イベントAsが検出された場合、
図5Bの第2の心周期の場合と同様に、心房イベントAsは、さらなる処理、特にセンス閾値STを更新し、心房-心室同期ペーシングを達成するために使用される。
【0091】
特に、心房イベントAsは、センス閾値STの交差が識別される時点として解釈される。心房イベントの時点で、ピーク検出ウィンドウPDWが開始し、そのピーク検出ウィンドウPDW中に記録されたデータに基づいて、ピーク振幅PAがピーク検出ウィンドウPDW内の最大信号値として決定される。これを
図5Bに示す。
【0092】
また、心房イベントAsの検出の場合、房室遅延AVDが決定され、その後の処理に使用されてもよい。房室遅延AVDの経過後に心室イベントVxが検出されない場合、ペーシング信号を注入して心室刺激を引き起こすことができる。
【0093】
図5Bに示すように、ピーク振幅PAは、心房イベントAsの検出後のピーク検出ウィンドウPDW内で決定される。一般に、ここでのピーク振幅PAは、センス信号S2を追跡し、このようにしてピーク検出ウィンドウPDW内のセンス信号S2の最大値を識別することによって決定される。
【0094】
ピーク振幅PAは、心房イベントAs(および/またはその検出)後のピーク検出ウィンドウPDW中に決定される。
図5B(およびさらに
図6)に示すように、ピーク検出ウィンドウPDWは、心房検出ウィンドウT
センスの間であってもよい。したがって、ピーク振幅PAは、心房検出ウィンドウT
センスの間に決定されてもよく、ブランキングウィンドウT
ブランクの間に決定されなくてもよい。したがって、一実施形態では、ピーク振幅PAは、心房イベントAsの検出後の心房検出ウィンドウT
センス内およびピーク検出ウィンドウPDW内で決定される。
【0095】
一実施形態では、ピーク振幅PAを使用して、次の心周期のセンス閾値STを更新することができる。
【0096】
特に、処理回路15は、以下の式
ST=PC・ATR(t)
(式中、STは現在のセンス閾値であり、PCはパーセンテージ比であり、そして、ATR(t)は現在のサイクルtの平均閾値基準である)
に従って平均閾値基準およびパーセンテージ比を使用してセンス閾値STを更新するように構成されてもよい。パーセンテージ比は、例えば0%~100%、特に25%~75%の範囲内にあってもよい。
【0097】
別の実施形態では、平均閾値基準は、以下の式
ATR(t)=W・PA(t-1)+(1-W)・ATR(t-1)
(式中Wは、以前のピーク振幅に基づいて平均閾値基準がどれだけ変化すべきかを決定する更新重みを示し、PA(t-1)は、以前のサイクルt-1について決定されたピーク振幅であり、そして、ATR(t-1)は、以前の平均閾値基準である)
に従ってピーク振幅PAに基づいて計算することができる。したがって、現在のサイクルtについて、平均閾値基準は、そのサイクルtについて決定されたピーク振幅PAに基づいて、およびサイクルt-1での以前の有効な平均閾値基準に基づいて決定される。したがって、心房イベントAsが検出された各サイクルについて、平均閾値基準がサイクルごとに動的に調整されるように、平均閾値基準が更新されて新たに計算される。
【0098】
平均閾値基準は、例えば、心房イベントが識別され、それに対応してピーク振幅値が取得された以前の心周期の数の平均値に基づいて決定することができる。この場合の平均閾値基準は、例えば、以前の心周期におけるピーク振幅値の平均として決定されてもよい。
【0099】
(有効な)心房イベントAsが検出されない場合、ピーク振幅PAは決定されず、平均閾値基準ATRは更新されない。このようにして、心房イベントAsの誤った検出がセンス閾値STの誤った増加およびその後の正確な心房検出の喪失を引き起こし得ることが回避される。これは、
図5Aおよび
図5Bに示すような最初の心周期の場合であり、センス閾値STの交差が検出されず、それに対応して心房イベントAsは識別されない。
【0100】
ここで
図6を参照すると、心房検出ウィンドウT
センスは、一般に、心房活動に関連する可能性が高い心臓センス信号S2の部分を(
図4に示されるように処理回路15の第2の処理チャネル17で処理されるように)カバーするものとする。心房活動に関連しない信号部分は、心房検出ウィンドウT
センスから除外されるものとする。
【0101】
このため、
図6の実施形態では、心房検出ウィンドウT
センスは、ブランキングウィンドウT
ブランクの終了に続く開始基準の評価に基づいて適応的に開始される。
【0102】
2つの後続の心周期を示す
図6から判明するように、先行する波形の終わり、特に心内電位図のT波は、ブランキングウィンドウT
ブランクの終わりを超えて延び、心房活動に関連する心臓センス信号S2の信号部分に到達する可能性がある。これは、特に、ブランキングウィンドウT
ブランクの終了後に先行する波形のテールが存在する、
図6の左側に示すような第1の心周期から明らかである。これは、
図6の右側に示すように、第2の心周期でも見られ、前のT波に関連する可能性が高いピークがブランキングウィンドウT
ブランクの終了後に発生する。
【0103】
このため、心房検出ウィンドウTセンスは、開始基準が満たされた場合にのみ開始され、心臓センス信号の所定数の信号サンプルが開始閾値THを下回っているかどうかがチェックされる。
【0104】
開始基準が満たされるためには、ここでは、1つの信号サンプルが開始閾値THを下回っていれば十分であってもよい。別の実施形態では、2つ以上の信号サンプル、例えば2、3、4つ以上の信号サンプルが開始閾値THよりも小さくいことが必要とされてもよい。
【0105】
開始基準が満たされるために、所定の複数の連続する信号サンプルが開始閾値THよりも小さいかどうかがチェックされてもよい。この場合に限り、開始基準は真であると仮定される。別の実施形態では、開始基準を満たすために信号サンプルが連続している必要はないが、信号サンプルの総数が開始閾値THよりも小さいかどうかがチェックされる。
【0106】
図6の実施形態では、所定数の連続する信号サンプル(図示の例では4つの信号サンプル)が開始閾値THよりも小さいことが判明した場合に開始基準が満たされると仮定する。本明細書の信号サンプルの数はプログラム可能であってもよく、開始基準を満たすために信号サンプルが連続する必要があるかないかもプログラム可能であってもよい。
【0107】
図6の左側の心周期では、時点T
開始において、4つの連続する信号サンプルs(i)…s(i3)が開始閾値THを下回っていることが判明する。したがって、開始基準が満たされ、心房検出ウィンドウT
センスが開始される。
【0108】
その後の心周期では、右側の
図6において、2つの信号サンプルs(i-3)、s(i-2)が開始閾値THを下回っていることが判明する。しかしながら、後続の信号サンプルs(i-1)は開始閾値THを上回っており、開始閾値THを下回る連続する信号サンプルのカウントが新たに開始される。時点T
開始においてのみ、4つの連続する信号サンプルs(i)…s(i+3)が開始閾値THよりも小さいことが判明し、この時点で心房検出ウィンドウT
センスが開始され、
図5Aおよび
図5Bを参照して上述したような検出スキームを使用して心房イベントの検出が開始される。
【0109】
心房検出ウィンドウTセンスは、開始基準が満たされたことが判明した時点T開始で直ちに開始されてもよい。しかしながら、時点T開始と心房検出ウィンドウTセンスの開始との間にギャップがあってもよい。
【0110】
開始閾値THは、心房検出ウィンドウTセンス内の心房イベントを検出するために続いて適用されるセンス閾値STに等しくてもよく、その結果、開始閾値THは、例えば上述のスキームに従って決定されるセンス閾値STに設定されてもよい。別の実施形態では、開始閾値THは、例えば所定の係数だけセンス閾値STと異なってもよい。
【0111】
別の実施形態では、開始閾値THは固定値にプログラムされ、サイクルごとに適合されず、またはセンス閾値STに関連しない。さらに、開始閾値THは、センス閾値STと等しくなくてもよい。
【0112】
処理回路15によって出力される心房センスマーカーAsを使用して、心室同期ペーシングを達成することができる。このために、検出された心房センスマーカーAsに続いて、心房センスマーカーAsの後の所定の時間遅延ウィンドウ(房室遅延AVDに対応する)内に内因性心室センスマーカーVxが生じるかどうかを検出することができ、その場合、刺激は必要とされない。心室センスマーカーVxが検出されない場合、刺激パルスが放出され、心室で同期ペーシングを引き起こすことができる。
【0113】
逆に、非同期ペーシングも実行することができる。
【0114】
埋め込み型医療機器によって受信された遠距離場の電気信号を利用することは、埋め込み型医療機器が心室に埋め込まれた場合の遠距離場イベント、特に心房イベントの優れた検出を提供することができる。電気信号を使用および評価することによる遠距離場イベントの追跡は、特に姿勢および患者の活動などの外的要因に関して一貫性および信頼性を高めることを可能にすることができる。
【符号の説明】
【0115】
1 埋め込み型医療機器
10 本体(ハウジング)
100 先端
101 遠端
11 第1の電極(ペーシング電極)
12 第2の電極(ペーシングリング)
13 第3の電極
14 固定機器
15 処理回路
16 処理チャネル
161 増幅段
162 検出段
17 処理チャネル
171 増幅段
172 処理段
173 検出段
174 タイミング段
18 ジェネレーター
A 信号ベクトル(心房/遠距離場ベクトル)
As 心房イベント(心房センスマーカー)
AVD 房室遅延
AVN 房室結節
G1、G2 利得
H HISバンドル
LA 左心房
LAT 下限絶対閾値
LBB 左束分岐
LV 左心室
M 心内組織(心筋)
P 信号ベクトル(ペーシングベクトル)
PA ピーク振幅
PDW ピーク検出ウィンドウ
RA 右心房
RBB 右束分岐
RV 右心室
s(i-3)…s(i+3) 信号サンプル
S1、S2 信号
SAN 洞房結節
ST センス閾値
Tブランク ブランキングウィンドウ
Tセンス 検出ウィンドウ
T開始 開始時間
TH 開始閾値
V 信号ベクトル(心室/近距離場ベクトル)
Vx 心室イベント(心室センスマーカー)
【国際調査報告】