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特表2024-519432車両コントローラ及びそれを有する車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】車両コントローラ及びそれを有する車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20240507BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20240507BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B60K1/00
F16H57/04 G
F28F3/00 301Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557678
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 CN2022084261
(87)【国際公開番号】W WO2022262360
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202110679816.1
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【弁理士】
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼阿喜
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼星春
(72)【発明者】
【氏名】▲喩▼▲鳳▼▲伝▼
(72)【発明者】
【氏名】曾▲慶▼▲暉▼
【テーマコード(参考)】
3D235
3J063
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB21
3D235BB45
3D235CC12
3D235CC13
3D235DD19
3D235GA67
3D235GA70
3J063AA01
3J063AB01
3J063BA15
3J063CD41
3J063XH02
3J063XH13
3J063XH23
3J063XH42
(57)【要約】
車両コントローラは、制御ボックス(100)と、IGBTモジュール(200)と、電源モジュール(300)と、を含み、制御ボックスは、厚さ方向において対向して設置された第1外表面(110)及び第2外表面(120)を有し、第1外表面に制御冷却水路が設置され、制御冷却水路は、IGBT冷却層(112)、電源冷却層(113)及び遷移セクション(114)を含み、IGBT冷却層及び電源冷却層は、制御ボックスの厚さ方向において積層して設置され、かつ遷移セクションを介して連通し、IGBTモジュールは、第1外表面に取り付けられ、IGBT冷却層に挿入され、IGBT冷却層内の冷却液により放熱され、電源モジュールは、第2外表面に取り付けられ、電源冷却層に隣接し、電源冷却層内の冷却液により放熱される。車両コントローラは、2層の制御冷却水路が設置され、水路空間が大きく、冷却効率が高く、シールド効果が高いなどの利点を有する。車両がさらに開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ボックスと、IGBTモジュールと、電源モジュールと、を含み、
前記制御ボックスは、厚さ方向において対向して設置された第1外表面及び第2外表面を有し、前記第1外表面に制御冷却水路が設置され、前記制御冷却水路は、IGBT冷却層、電源冷却層及び遷移セクションを含み、前記IGBT冷却層及び前記電源冷却層は、前記制御ボックスの厚さ方向において積層して設置され、かつ前記遷移セクションを介して連通し、
前記IGBTモジュールは、前記第1外表面に取り付けられ、前記IGBT冷却層に挿入され、前記IGBT冷却層内の冷却液により放熱され、
前記電源モジュールは、前記第2外表面に取り付けられ、前記電源冷却層に隣接し、前記電源冷却層内の冷却液により放熱される、ことを特徴とする車両コントローラ。
【請求項2】
前記制御ボックスは、ボックス本体と、水路カバープレートとを含み、
前記電源冷却層は、前記ボックス本体に形成され、前記電源モジュールは、前記ボックス本体に取り付けられ、
前記水路カバープレートは、前記ボックス本体に取り付けられ、前記電源冷却層を覆い、前記ボックス本体と共に前記遷移セクションを画定し、前記IGBT冷却層が前記水路カバープレートに形成され、前記IGBTモジュールが前記水路カバープレートに取り付けられ、
前記水路カバープレートに挿入口が設置され、前記挿入口は、前記IGBT冷却層に連通し、前記IGBTモジュールは、前記挿入口により前記IGBT冷却層内に挿入され、
前記水路カバープレートの前記ボックス本体に背向する面には、前記挿入口を取り囲む取付面が設置され、前記IGBTモジュールは、前記取付面に取り付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両コントローラ。
【請求項3】
前記取付面には、前記挿入口を取り囲む密封溝が設置され、前記密封溝内には、前記取付面と前記IGBTモジュールとの間の隙間を密封する密封リングが設置される、ことを特徴とする請求項2に記載の車両コントローラ。
【請求項4】
前記水路カバープレートは、カバー部と、挿入部とを含み、
前記カバー部は、前記ボックス本体に取り付けられ、前記電源冷却層をカバーし、前記ボックス本体と共に前記遷移セクションを画定し、
前記挿入部は、前記カバー部の前記ボックス本体に背向する面に接続され、前記IGBTモジュールは、前記挿入部の前記カバー部に背向する面に取り付けられ、前記挿入部及び前記カバー部は、前記IGBT冷却層を画定する、ことを特徴とする請求項2に記載の車両コントローラ。
【請求項5】
前記制御冷却水路は、給水セクションをさらに含み、前記給水セクションは、前記IGBT冷却層の前記遷移セクションから離れた端に接続され、
前記制御ボックスには、給水管が接続され、前記給水管は、前記給水セクションに連通し、
前記給水セクションは、第1セクション及び第2セクションを含み、前記第1セクションは、前記給水管に連通し、前記第2セクションの両端は、それぞれ前記第1セクションと前記IGBT冷却層に接続され、
前記第1セクションは、前記制御ボックスの厚さ方向において、前記IGBT冷却層に対して前記第2外表面にずれる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両コントローラ。
【請求項6】
前記制御ボックスは、ボックス本体と、水路カバープレートとを含み、
前記電源冷却層は、前記ボックス本体に形成され、前記電源モジュールは、前記ボックス本体に取り付けられ、
前記水路カバープレートは、前記ボックス本体に取り付けられ、前記電源冷却層を覆い、前記ボックス本体と共に前記遷移セクションを画定し、前記IGBT冷却層が前記水路カバープレートに形成され、前記IGBTモジュールが前記水路カバープレートに取り付けられ、
前記第2セクションは、一部が前記ボックス本体に形成され、他の一部が前記水路カバープレートに形成される、ことを特徴とする請求項5に記載の車両コントローラ。
【請求項7】
前記第2外表面に複数のシールドキャビティが構成され、各前記シールドキャビティ及び前記電源冷却層の水路は、少なくとも1つの側壁を共用する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両コントローラ。
【請求項8】
前記遷移セクションは、第3セクション及び第4セクションを含み、前記第3セクションは、前記電源冷却層に連通し、前記第4セクションの両端は、それぞれ前記第3セクションと前記IGBT冷却層とに連通し、
前記第3セクションは、前記制御ボックスの厚さ方向において、前記IGBT冷却層に対して前記第2外表面にずれる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両コントローラ。
【請求項9】
前記制御ボックスは、ボックス本体と、水路カバープレートとを含み、
前記電源冷却層は、前記ボックス本体に形成され、前記電源モジュールは、前記ボックス本体に取り付けられ、
前記水路カバープレートは、前記ボックス本体に取り付けられ、前記電源冷却層を覆い、前記ボックス本体と共に前記遷移セクションを画定し、前記IGBT冷却層が前記水路カバープレートに形成され、前記IGBTモジュールが前記水路カバープレートに取り付けられ、
前記第4セクションは、前記水路カバープレートに形成され、前記第3セクションは、前記ボックス本体に形成され、前記水路カバープレートにより覆われ、
前記第3セクションの深さは、前記電源冷却層の深さよりも小さい、ことを特徴とする請求項8に記載の車両コントローラ。
【請求項10】
前記電源冷却層は、順に接続された第5セクション、第6セクション、第7セクション及び排水セクションを含み、前記第5セクションは、前記遷移セクションに接続され、前記第7セクションと平行であり、前記第6セクションは、前記第5セクションと前記第7セクションとの間に接続され、前記第5セクション及び前記第7セクションに対して傾斜して設置され、前記排水セクションは、一端が前記第7セクションに接続され、他端に排水孔が設置され、
ボックス本体には、吐水セクション及び吐水管が設置され、前記排水孔は、前記吐水セクションを介して前記吐水管に連通する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両コントローラ。
【請求項11】
前記第2外表面に第1シールドリブ及び第2シールドリブが設置され、前記第1シールドリブは、前記第5セクションの前記第7セクションに背向する側に位置し、前記第2シールドリブは、前記第7セクションの前記第5セクションに背向する側に位置し、
第1シールドキャビティが前記第1シールドリブ及び前記第5セクションによって囲まれ、第2シールドキャビティが前記第2シールドリブ及び前記第7セクションによって囲まれ、前記電源モジュールは、前記第1シールドキャビティ及び前記第2シールドキャビティに位置するMOSトランジスタを含む、ことを特徴とする請求項10に記載の車両コントローラ。
【請求項12】
第3シールドキャビティが前記第5セクション、前記第6セクション及び前記第7セクションによって囲まれ、前記電源モジュールは、変圧器及び変圧器インダクタをさらに含み、前記変圧器及び前記変圧器インダクタは、前記第3シールドキャビティに位置し、
前記MOSトランジスタ、前記変圧器及び前記変圧器インダクタは、同一の回路基板に集積され、前記回路基板は、前記第1シールドキャビティ、前記第2シールドキャビティ及び前記第3シールドキャビティを覆う、ことを特徴とする請求項11に記載の車両コントローラ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の車両コントローラと、動力ボックスと、モータ及び変速機と、を含み、
前記動力ボックスは、前記車両コントローラに取り付けられ、前記制御冷却水路に連通するモータ冷却水路が設置され、
前記モータ及び変速機は、伝動可能に接続され、前記動力ボックスに取り付けられ、前記モータは、前記IGBTモジュールに接続され、前記モータ及び前記変速機は、前記モータ冷却水路内の冷却液により放熱される、ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2021年6月18日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202110679816.1で、出願名称が「車両コントローラ及びそれを有する車両」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、車両の技術分野に関し、特に、車両コントローラ及びそれを有する車両に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術における車両コントローラは、一般的に、制御ボックス、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)モジュール及び電源モジュールを含む。車両コントローラは、制御ボックス内に冷却水路を設置することによってIGBTモジュールと電源モジュールを放熱するが、冷却水路のレイアウトが合理的でないため、冷却水路の空間が小さく、冷却液とIGBTモジュール、電源モジュールとの熱交換面積が小さく、IGBTモジュールと電源モジュールを効果的に放熱できず、放熱効果が低い。また、IGBTモジュールと電源モジュールとの距離が近く、電磁両立性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、従来技術に存在する技術的課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。そのため、本開示は、車両コントローラ及びそれを有する車両を提供し、該車両コントローラは、2層の制御冷却水路が設置され、水路空間が大きく、放熱効率が高く、シールド効果が高いなどの利点を有する。
【0005】
本開示は、上記車両コントローラを有する車両をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の第1態様の実施例に係る車両コントローラは、制御ボックスと、IGBTモジュールと、電源モジュールと、を含み、前記制御ボックスは、厚さ方向において対向して設置された第1外表面及び第2外表面を有し、前記第1外表面に制御冷却水路が設置され、前記制御冷却水路は、IGBT冷却層、電源冷却層及び遷移セクションを含み、前記IGBT冷却層及び前記電源冷却層は、前記制御ボックスの厚さ方向において積層して設置され、かつ前記遷移セクションを介して連通し、前記IGBTモジュールは、前記第1外表面に取り付けられ、前記IGBT冷却層に挿入され、前記IGBT冷却層内の冷却液により放熱され、前記電源モジュールは、前記第2外表面に取り付けられ、前記電源冷却層に隣接し、前記電源冷却層内の冷却液により放熱される。
【0007】
本開示の実施例に係る車両コントローラは、2層の制御冷却水路が設置され、水路空間が大きく、放熱効率が高く及びシールド効果が高いなどの利点を有する。
【0008】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、前記制御ボックスは、ボックス本体と、水路カバープレートとを含み、前記電源冷却層は、前記ボックス本体に形成され、前記電源モジュールは、前記ボックス本体に取り付けられ、前記水路カバープレートは、前記ボックス本体に取り付けられ、前記電源冷却層を覆い、前記ボックス本体と共に前記遷移セクションを画定し、前記IGBT冷却層が前記水路カバープレートに形成され、前記IGBTモジュールが前記水路カバープレートに取り付けられる。前記水路カバープレートに挿入口が設置され、前記挿入口は、前記IGBT冷却層に連通し、前記IGBTモジュールは、前記挿入口により前記IGBT冷却層内に挿入される。前記水路カバープレートの前記ボックス本体に背向する面には、前記挿入口を取り囲む取付面が設置され、前記IGBTモジュールは、前記取付面に取り付けられる。
【0009】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、前記取付面には、前記挿入口を取り囲む密封溝が設置され、前記密封溝内には、前記取付面と前記IGBTモジュールとの間の隙間を密封する密封リングが設置される。
【0010】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、前記水路カバープレートは、カバー部と、挿入部とを含み、前記カバー部は、前記ボックス本体に取り付けられ、前記電源冷却層をカバーし、前記ボックス本体と共に前記遷移セクションを画定し、前記挿入部は、前記カバー部の前記ボックス本体に背向する面に接続され、前記IGBTモジュールは、挿入部の前記カバー部に背向する面に取り付けられ、前記挿入部及び前記カバー部は、前記IGBT冷却層を画定する。
【0011】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、前記制御冷却水路は、給水セクションをさらに含み、前記給水セクションは、前記IGBT冷却層の前記遷移セクションから離れた端に接続され、前記制御ボックスには、給水管が接続され、前記給水管は、前記給水セクションに連通する。前記給水セクションは、第1セクション及び第2セクションを含み、前記第1セクションは、前記給水管に連通し、前記第2セクションの両端は、それぞれ前記第1セクションと前記IGBT冷却層に接続され、前記第1セクションは、前記制御ボックスの厚さ方向において、前記IGBT冷却層に対して前記第2外表面にずれる。
【0012】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、前記制御ボックスは、ボックス本体と、水路カバープレートとを含み、前記電源冷却層は、前記ボックス本体に形成され、前記電源モジュールは、前記ボックス本体に取り付けられ、前記水路カバープレートは、前記ボックス本体に取り付けられ、前記電源冷却層を覆い、前記ボックス本体と共に前記遷移セクションを画定し、前記IGBT冷却層が前記水路カバープレートに形成され、前記IGBTモジュールが前記水路カバープレートに取り付けられ、前記第2セクションは、一部が前記ボックス本体に形成され、他の一部が前記水路カバープレートに形成される。
【0013】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、前記第2外表面に複数のシールドキャビティが構成され、各前記シールドキャビティ及び前記電源冷却層の水路は、少なくとも1つの側壁を共用する。
【0014】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、前記遷移セクションは、第3セクション及び第4セクションを含み、前記第3セクションは、前記電源冷却層に連通し、前記第4セクションの両端は、それぞれ前記第3セクションとIGBT冷却層とに連通し、前記第3セクションは、前記制御ボックスの厚さ方向において、前記IGBT冷却層に対して前記第2外表面にずれる。
【0015】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、前記制御ボックスは、ボックス本体と、水路カバープレートとを含み、前記電源冷却層は、前記ボックス本体に形成され、前記電源モジュールは、前記ボックス本体に取り付けられ、前記水路カバープレートは、前記ボックス本体に取り付けられ、前記電源冷却層を覆い、前記ボックス本体と共に前記遷移セクションを画定し、前記IGBT冷却層が前記水路カバープレートに形成され、前記IGBTモジュールが前記水路カバープレートに取り付けられ、前記第4セクションは、前記水路カバープレートに形成され、前記第3セクションは、前記ボックス本体に形成され、前記水路カバープレートにより覆われる。前記第3セクションの深さは、前記電源冷却層の深さよりも小さい。
【0016】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、前記電源冷却層は、順に接続された第5セクション、第6セクション、第7セクション及び排水セクションを含み、前記第5セクションは、前記遷移セクションに接続され、前記第7セクションと平行であり、前記第6セクションは、前記第5セクションと前記第7セクションとの間に接続され、前記第5セクション及び前記第7セクションに対して傾斜して設置され、前記排水セクションは、一端が前記第7セクションに接続され、他端に排水孔が設置され、前記ボックス本体には、吐水セクション及び吐水管が設置され、前記排水孔は、前記吐水セクションを介して前記吐水管に連通する。
【0017】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、前記第2外表面に第1シールドリブ及び第2シールドリブが設置され、前記第1シールドリブは、前記第5セクションの前記第7セクションに背向する側に位置し、前記第2シールドリブは、前記第7セクションの前記第5セクションに背向する側に位置し、第1シールドキャビティが前記第1シールドリブ及び前記第5セクションによって囲まれ、第2シールドキャビティが前記第2シールドリブ及び前記第7セクションによって囲まれ、前記電源モジュールは、前記第1シールドキャビティ及び前記第2シールドキャビティに位置するMOSトランジスタを含む。
【0018】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、第3シールドキャビティが前記第5セクション、前記第6セクション及び前記第7セクションによって囲まれ、前記電源モジュールは、変圧器及び変圧器インダクタをさらに含み、前記変圧器及び前記変圧器インダクタは、前記第3シールドキャビティに位置する。前記MOSトランジスタ、前記変圧器及び前記変圧器インダクタは、同一の回路基板に集積され、前記回路基板は、前記第1シールドキャビティ、前記第2シールドキャビティ及び前記第3シールドキャビティを覆う。
【0019】
本開示の第2態様の実施例に係る車両は、本開示の第1態様の実施例に記載の車両コントローラと、動力ボックスと、モータ及び変速機と、を含み、前記動力ボックスは、前記車両コントローラに取り付けられ、前記制御冷却水路に連通するモータ冷却水路が設置され、前記モータ及び変速機は、伝動可能に接続され、前記動力ボックスに取り付けられ、前記モータは、前記IGBTモジュールに接続され、前記モータ及び前記変速機は、前記モータ冷却水路内の冷却液により放熱される。
【0020】
本開示の第2態様の実施例に係る車両は、本開示の第1態様の実施例に記載の車両コントローラを用いることにより、水路空間が大きく、冷却効率が高く、シールド効果が高いなどの利点を有する。
【0021】
本開示の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本開示の実施により把握される。
【0022】
本開示の上記及び/又は追加の様態及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の実施例に係る車両コントローラの概略構成図である。
図2】本開示の実施例に係る車両コントローラのボックス本体及び水路カバープレートの分解図である。
図3】本開示の実施例に係る車両コントローラのボックス本体の概略構成図である。
図4】本開示の実施例に係る車両コントローラの制御ボックスの断面図である。
図5】本開示の実施例に係る車両コントローラの制御ボックスの分解後の断面図であり、矢印が指す方向が冷却液の流れの概略図である。
図6】本開示の実施例に係る車両コントローラの断面図である。
図7】本開示の実施例に係る車両コントローラのボックス本体及び電源モジュールの分解図である。
図8】本開示の実施例に係る車両コントローラ及び動力ボックスの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は図面に示されるが、一貫して同一又は類似の符号は、同一又は類似の素子、或いは、同一又は類似の機能を有する素子を表す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は、例示的なものであり、本開示を解釈するためのものに過ぎず、本開示を限定するものであると理解すべきではない。
【0025】
なお、本開示の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内」、「外」、「軸方向」、「半径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本開示を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は素子が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本開示を限定するものであると理解すべきではない。
【0026】
本開示の説明では、「第1特徴」、「第2特徴」は、1つ以上の該特徴を含んでもよい。
【0027】
本開示の説明において、「複数」とは、2つ以上を意味し、「いくつか」とは、1つ以上を意味する。
【0028】
以下、図面を参照して、本開示の実施例に係る車両コントローラ1を説明する。
【0029】
図1図8に示すように、本開示の実施例に係る車両コントローラ1は、制御ボックス100、IGBTモジュール200及び電源モジュール300を含む。
【0030】
制御ボックス100は、厚さ方向において対向して設置された第1外表面110及び第2外表面120を有し、第1外表面110に制御冷却水路111が設置され、制御冷却水路111は、IGBT冷却層112、電源冷却層113及び遷移セクション114を含み、IGBT冷却層112及び電源冷却層113は、制御ボックス100の厚さ方向において積層して設置され、かつ遷移セクション114を介して連通する。IGBTモジュール200は、第1外表面110に取り付けられ、IGBT冷却層112に挿入され、IGBT冷却層112内の冷却液により放熱される。電源モジュール300は、第2外表面120に取り付けられ、電源冷却層113に隣接し、電源冷却層113内の冷却液により放熱される。
【0031】
例えば、制御冷却水路111に冷却液を導入することができ、冷却液は、IGBT冷却層112、遷移セクション114及び電源冷却層113を流れることができる。
【0032】
本開示の実施例に係る車両コントローラ1において、制御ボックス100は、厚さ方向において対向して設置された第1外表面110及び第2外表面120を有し、第1外表面110と第2外表面120とは、間隔をあけて設置され、制御ボックス100は、第1外表面110と第2外表面120とにそれぞれ部品を収容可能な空間を構成することができ、第1外表面110に制御冷却水路111が設置され、制御冷却水路111と第2外表面120とは、間隔をあけ、すなわち、制御冷却水路111における冷却液が第2外表面120から流出しない。これにより、冷却液と直接的に接触できない部品を第2外表面120に配置することができ、このように冷却液が第2外表面120内の部品と直接的に接触することを回避するとともに、冷却液が第2外表面120の部品を放熱することができる。
【0033】
制御冷却水路111は、IGBT冷却層112、電源冷却層113及び遷移セクション114を含み、IGBT冷却層112及び電源冷却層113は、制御ボックス100の厚さ方向において積層して設置され、かつ遷移セクション114を介して連通する。遷移セクション114は、制御ボックス100の厚さ方向において延伸することができ、遷移セクション114の体積は、小さく設定することができ、遷移セクション114は、冷却液がIGBT冷却層112と電源冷却層113とを流通できるように、主にIGBT冷却層112と電源冷却層113とを連通させる。
【0034】
IGBT冷却層112と電源冷却層113が積層して設置され、このように、制御冷却水路111の空間と流れ長さを大きくすることができ、それにより制御冷却水路111は、より多くの部品を放熱することができ、制御冷却水路111と制御ボックス100内の放熱する必要がある部品との熱交換面積がより大きく、放熱効果がより高い。
【0035】
また、IGBTモジュール200は、第1外表面110に取り付けられ、IGBT冷却層112に挿入され、IGBT冷却層112内の冷却液により放熱され、このように、IGBTモジュール200は、IGBT冷却層112内の冷却液に浸漬することができ、IGBTモジュール200と冷却液との熱交換面積が大きく、IGBTモジュール200の放熱速度の向上に寄与し、制御ボックス100は、より高い電力密度のIGBTモジュール200に適応することができ、IGBTモジュール200の電力を向上させる目的を達成する。
【0036】
同時に、電源モジュール300は、第2外表面120に取り付けられ、電源冷却層113に隣接し、電源冷却層113内の冷却液により放熱される。電源モジュール300と電源冷却層113とは、間隔をあけて設置され、IGBT冷却層112における冷却液は、IGBTモジュール200を冷却した後、遷移セクション114を介して電源冷却層113に流入し、電源冷却層113における冷却液は、電源モジュール300を冷却して放熱することができ、このように、制御冷却水路111がIGBT冷却層112と電源モジュール300を同時に放熱することを実現し、制御冷却水路111の利用率が高くなり、IGBTモジュール200と電源モジュール300との間の距離がより遠くなり、それによりIGBTモジュール200と電源モジュール300との間の電磁干渉を低減することができ、シールド効果がより高くなる。
【0037】
上記から分かるように、IGBT冷却層112と電源冷却層113を制御ボックス100の厚さ方向において積層して設置するため、IGBT冷却層112が位置する層は、IGBTモジュール200を十分に放熱するように、より大きい横断面積を有することができ、電源冷却層113が位置する層は、電源モジュール300を十分に放熱するように、より大きい横断面積を有することができ、車両コントローラ1の動作性能を大幅に最適化する。
【0038】
これにより、本開示の実施例に係る車両コントローラ1は、2層の制御冷却水路111が設置され、水路空間が大きく、放熱効率が高く、及びシールド効果が高いなどの利点を有する。
【0039】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、図2図6に示すように、制御ボックス100は、ボックス本体130及び水路カバープレート140を含む。
【0040】
電源冷却層113は、ボックス本体130に形成され、電源モジュール300は、ボックス本体130に取り付けられる。水路カバープレート140は、ボックス本体130に取り付けられ、電源冷却層113を覆い、例えば、水路カバープレート140は、第1外表面110の第2外表面120に背向する側に位置してもよく、ボックス本体130と共に遷移セクション114を画定し、遷移セクション114は、IGBT冷却層112及び電源冷却層113を連通させる。
【0041】
制御ボックス100がボックス本体130と水路カバープレート140として別体に設置されるため、電源冷却層113とIGBT冷却層112とを別体に加工することができ、電源冷却層113の水路カバープレート140に向かう側が開放され、すなわち、電源冷却層113は、第1外表面110を貫通し、これにより、電源冷却層113を加工しやすく、電源冷却層113を加工して成形した後、水路カバープレート140をボックス本体130に取り付け、電源冷却層113の密封を完了する。このように、電源冷却層113の密封を実現すると同時に、電源冷却層113の加工難度を低減することができる。
【0042】
また、IGBT冷却層112は、水路カバープレート140に形成され、IGBTモジュール200は、水路カバープレート140に取り付けられ、例えば、IGBT冷却層112は、水路カバープレート140の電源冷却層113に背向する側に形成され、IGBTモジュール200は、水路カバープレート140のボックス本体130に背向する側に位置してもよい。このように、IGBTモジュール200と電源モジュール300との間の距離がより遠くなり、IGBTモジュール200と電源モジュール300との間の電磁干渉を低減することができる。
【0043】
本開示のいくつかの実施例において、図2に示すように、水路カバープレート140に挿入口141が設置され、挿入口141は、水路カバープレート140のボックス本体130に背向する側に位置することができ、挿入口141のボックス本体130に背向する側が開放され、挿入口141の形状は、IGBTモジュール200の水路カバープレート140に向かう一端の形状に合わせることができ、挿入口141は、IGBT冷却層112に連通し、IGBTモジュール200は、挿入口141を介してIGBT冷却層112内に挿入される。
【0044】
挿入口141を設置することにより、IGBT冷却層112内の冷却液がIGBTモジュール200の周方向に沿ってIGBTモジュール200を被覆することを実現することができ、それによりIGBT冷却層112内の冷却液とIGBTモジュール200との接触面積を増大させ、放熱効果が高い。
【0045】
本開示のいくつかの実施例において、図2に示すように、水路カバープレート140のボックス本体130に背向する面には、挿入口141を取り囲む取付面142が設置され、IGBTモジュール200は、取付面142に取り付けられる。
【0046】
例えば、IGBTモジュール200の水路カバープレート140に背向する一端は、挿入口141を介してIGBT冷却層112から延出し、該端の横断面積は、挿入口141の横断面積よりも大きく、該端は、ネジ締結具(例えば、ボルト)によって取付面142と係合されてもよく、ネジ締結具は、複数であってもよく、複数のネジ締結具は、挿入口141の周方向に沿って間隔をあけて設置される。
【0047】
このように、IGBTモジュール200を取付面142に固定し、さらにIGBTモジュール200と水路カバープレート140との固定接続を実現する一方、IGBTモジュール200の一部は、挿入口141から延出しているため、人の手が把持可能な領域が大きく、IGBTモジュール200を容易に着脱することができる。
【0048】
図2及び図4に示すように、取付面142には、挿入口141を取り囲む密封溝143が設置され、密封溝143内に密封リング144が設置され、密封リング144は、取付面142とIGBTモジュール200との間の隙間を密封する。すなわち、密封溝143は、水路カバープレート140のボックス本体130に背向する側に設置され、密封リング144は、密封溝143内に取り付けられ、取付面142から突出することができ、IGBTモジュール200は、挿入口141に挿入された後、取付面142と共に密封リング144を押圧して密封リング144を弾性変形させることにより、取付面142とIGBTモジュール200との間の密封を実現し、冷却液が挿入口141から流出することを効果的に回避し、密封性がより高く、車両コントローラ1の信頼性を保証する。
【0049】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、図2に示すように、水路カバープレート140は、カバー部145及び挿入部146を含む。
【0050】
カバー部145は、ボックス本体130に取り付けられ、電源冷却層113をカバーし、カバー部145とボックス本体130とは、遷移セクション114を画定し、冷却液は、電源冷却層113内を流れて外に溢れないようにすることができ、遷移セクション114は、IGBT冷却層112と電源冷却層113とを連通させ、冷却液は、遷移セクション114を介してIGBT冷却層112から電源冷却層113に流れることができる。
【0051】
また、挿入部146は、カバー部145のボックス本体130に背向する面に接続され、IGBTモジュール200は、挿入部146のカバー部145に背向する面に取り付けられ、挿入部146及びカバー部145は、IGBT冷却層112を画定する。
【0052】
具体的には、挿入部146は、カバー部145のボックス本体130に背向する側から突出し、カバー部145は、IGBT冷却層112の底壁を構成し、挿入部146は、IGBT冷却層112の側壁を構成する。このように、IGBTモジュール200を容易に取り付けるだけでなく、IGBT冷却層112と電源冷却層113とがボックス本体130の厚さ方向に沿って間隔をあけて配置された2層を実現し、IGBT冷却層112の空間がより大きくなり、冷却液は、IGBTモジュール200を十分に冷却することができる。
【0053】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、水路カバープレート140とボックス本体130とは、一体に溶接され、例えば、水路カバープレート140とボックス本体130とは、摩擦溶接によって接続される。このように、水路カバープレート140とボックス本体130との接続がより確実であり、車両の揺れ及び走行時に、水路カバープレート140が電源冷却層113に対して変位することを回避することができ、水路カバープレート140による電源冷却層113に対する覆い効果がより高くなり、制御冷却水路111全体の密封性を保証し、冷却液は、制御冷却水路111内を正常に流通することができる。
【0054】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、図4図6に示すように、制御冷却水路111は、給水セクション115をさらに含み、給水セクション115は、IGBT冷却層112の遷移セクション114から離れた一端に接続され、すなわち、給水セクション115と遷移セクション114とは、IGBT冷却層112の相対する両側に位置し、このように、冷却液がIGBT冷却層112に入った後、給水セクション115から遷移セクション114に流れる過程において、冷却液は、IGBT冷却層112に十分に拡散し、それによりIGBTモジュール200を十分に冷却して放熱することができ、放熱効率がより高い。
【0055】
また、制御ボックス100に給水管400が接続され、給水管400が給水セクション115に連通し、冷却液が給水管400から給水セクション115を通ってIGBT冷却層112に供給され、給水管400は、給水セクション115に接続されて冷却液を供給しやすいように、ボックス本体130の周方向において給水セクション115隣接する側面に設置されてもよい。
【0056】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、図4図6に示すように、給水セクション115は、第1セクション115a及び第2セクション115bを含む。第1セクション115aは、給水管400に連通し、第2セクション115bの両端は、それぞれ第1セクション115aとIGBT冷却層112に接続され、このように、給水管400とIGBT冷却層112との間の連通を実現し、冷却液は、給水管400から第1セクション115a及び第2セクション115bを順に通過してIGBT冷却層112に輸送されてもよい。
【0057】
第1セクション115aは、制御ボックス100の厚さ方向においてIGBT冷却層112に対して第2外表面120にずれ、すなわち、第1セクション115aとIGBT冷却層112とは、互いに平行である。この場合、給水管400は、第1外表面110と第2外表面120との間に位置し、ボックス本体130の体積の減少に寄与する。
【0058】
例えば、第2セクション115bは、制御ボックス100の厚さ方向において、IGBT冷却層112及び第1セクション115aと垂直であってもよい。或いは、第2セクション115bは、制御ボックス100の厚さ方向に対して傾斜して設置され、第1セクション115aと第2セクション115bとの間の夾角が直角ではなく、第2セクション115bとIGBT冷却層112との間の夾角も直角ではなく、第1セクション115aとIGBT冷却層112の第1外表面110への正投影が重ならない。このように設置することで、給水セクション115を電源モジュール300により近接させることができ、給水セクション115内の冷却液は、電源モジュール300を放熱し、冷却液を十分に利用することができ、一方で、給水セクション115とIGBT冷却層112との接続箇所は、直角又は鋭角がなく、冷却液の流れは、よりスムーズで、緩やかである。
【0059】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、図4図6に示すように、制御ボックス100は、ボックス本体130及び水路カバープレート140を含む。電源冷却層113は、ボックス本体130に形成され、電源モジュール300は、ボックス本体130に取り付けられる。水路カバープレート140は、ボックス本体130に取り付けられ、電源冷却層113を覆い、ボックス本体130と共に遷移セクション114を画定し、IGBT冷却層112は、水路カバープレート140に形成され、IGBTモジュール200は、水路カバープレート140に取り付けられる。
【0060】
制御ボックス100がボックス本体130と水路カバープレート140として別体に設置されるため、電源冷却層113とIGBT冷却層112とを別体に加工することができ、電源冷却層113の水路カバープレート140に向かう側が開放され、すなわち、電源冷却層113は、第1外表面110を貫通し、これにより、電源冷却層113を加工しやすく、電源冷却層113を加工して成形した後、水路カバープレート140をボックス本体130に取り付け、電源冷却層113の密封を完了する。このように、電源冷却層113の密封を実現すると同時に、電源冷却層113の加工難度を低減することができる。
【0061】
第2セクション115bは、一部がボックス本体130に形成され、他の一部が水路カバープレート140に形成される。第2セクション115bをボックス本体130及び水路カバープレート140を別体に設置することにより、第2セクション115bのボックス本体130に形成された一部と第1外表面110との夾角の角度が、第2セクション115bの水路カバープレート140に形成された一部と第1外表面110との夾角の角度と同じであってもよい。水路カバープレート140がボックス本体130に取り付けられた場合、第2セクション115bの2つの部分は、よりよくマッチングすることができ、それにより、給水セクション115の連通を確保し、冷却液の流通をスムーズにする。
【0062】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、図3に示すように、第2外表面120に複数のシールドキャビティ121が構成され、複数のシールドキャビティ121は、電源モジュール300の複数の電力モジュールを一対一に対応して収容することにより、複数の電力モジュール間の相互干渉を防止し、複数の電力モジュールが他の素子に干渉することを回避し、電磁両立(Electro Magnetic Compatibility、EMC)効果を向上させる。
【0063】
また、各シールドキャビティ121及び電源冷却層113の水路は、少なくとも1つの側壁を共用する。例えば、そのうちの1つのシールドキャビティ121は、完全に電源冷却層113の水路の側壁で構成されてもよく、或いは、そのうちの1つのシールドキャビティ121の1つの側壁は、電源冷却層113の水路の側壁である。これにより、電源冷却層113が各シールドキャビティ121内の素子を冷却して放熱することを保証することができ、各シールドキャビティ121は、固定作用、シールド作用及び冷却放熱作用を両立する。
【0064】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、図4及び図6に示すように、遷移セクション114は、第3セクション114a及び第4セクション114bを含む。第3セクション114aは、電源冷却層113に連通し、第4セクション114bの両端は、それぞれ第3セクション114aとIGBT冷却層112に連通する。このように、IGBT冷却層112と電源冷却層113との間の連通を実現することができ、IGBT冷却層112の冷却液は、順に第4セクション114b及び第3セクション114aから電源冷却層113に流れることができる。
【0065】
第3セクション114aは、制御ボックス100の厚さ方向においてIGBT冷却層112に対して第2外表面120にずれ、すなわち、第3セクション114aとIGBT冷却層112とは、互いに平行であってもよい。例えば、第4セクション114bは、IGBT冷却層112の底部に接続され、第1外表面110から離れると同時にIGBT冷却層112から徐々に離れる。このように、遷移セクション114は、電源モジュール300により近接し、すなわち、電源冷却層113と電源モジュール300との間の距離がより近く、電源冷却層113が電源モジュール300に対して放熱するのに寄与し、第3セクション114aとIGBT冷却層112との間に高度差があるため、IGBT冷却層112における冷却液がよりスムーズに第3セクション114aに向かって流れる。
【0066】
好ましくは、第4セクション114bと第3セクション114aとの間の夾角が直角ではなく、第4セクション114bとIGBT冷却層112との間の夾角も直角ではなく、第3セクション114aとIGBT冷却層112の第1外表面110への正投影が重ならなく、それにより冷却液の流れがより緩やかである。
【0067】
本開示のいくつかの実施例において、図4図6に示すように、制御ボックス100は、ボックス本体130及び水路カバープレート140を含む。電源冷却層113は、ボックス本体130に形成され、電源モジュール300は、ボックス本体130に取り付けられる。水路カバープレート140は、ボックス本体130に取り付けられ、電源冷却層113を覆い、ボックス本体130と共に遷移セクション114を画定し、IGBT冷却層112は、水路カバープレート140に形成され、IGBTモジュール200は、水路カバープレート140に取り付けられる。
【0068】
制御ボックス100がボックス本体130と水路カバープレート140として別体に設置されるため、電源冷却層113とIGBT冷却層112とを別体に加工することができ、電源冷却層113の水路カバープレート140に向かう側が開放され、すなわち、電源冷却層113は、第1外表面110を貫通し、これにより、電源冷却層113を加工しやすく、電源冷却層113を加工して成形した後、水路カバープレート140をボックス本体130に取り付け、電源冷却層113の密封を完了する。このように、電源冷却層113の密封を実現すると同時に、電源冷却層113の加工難度を低減することができる。
【0069】
第4セクション114bは、水路カバープレート140に形成され、第3セクション114aは、ボックス本体130に形成され、水路カバープレート140により覆われ、水路カバープレート140が第3セクション114aを覆うことにより、冷却液が遷移セクション114からIGBT冷却層に溢れることを回避することができる。水路カバープレート140がボックス本体130に取り付けられた後、第3セクション114aは、第4セクション114bに連通し、冷却液は、IGBT冷却層112から順に第4セクション114b及び第3セクション114aに流れ、さらに電源冷却層113に流れることにより、電源モジュール300を放熱する。また、第3セクション114aの横断面積を大きく設置してもよく、このように、冷却液の流れ速度を遅くし、冷却液は、電源モジュール300を十分に放熱する。
【0070】
具体的には、図2及び図6に示すように、第3セクション114aの深さは、電源冷却層113の深さよりも小さい。
【0071】
例えば、電源冷却層113は、第1外表面110の第2外表面120に向かって凹む凹溝に形成され、電源冷却層113の深さ方向は、ボックス本体130の厚さ方向と平行である。第3セクション114aの底壁は、少なくとも1つのシールドキャビティ121の底壁であってもよく、第3セクション114aの深さを小さくすることにより、上記少なくとも1つのシールドキャビティ121の容積を増大させ、空間利用率を向上させることに寄与する。また、ボックス本体130の厚さ方向において、第3セクション114aは、電源冷却層113の底壁とIGBT冷却層112との間に位置し、第3セクション114aは、それぞれ電源冷却層113とIGBT冷却層112と高度差を形成し、これにより、第3セクション114aは、緩衝作用を果たし、冷却液は、IGBT冷却層112から遷移セクション114を通過してより緩やかに電源冷却層113に流れることができ、冷却液に冷却放熱作用を十分に発揮させるだけでなく、冷却液の飛散を回避することができる。
【0072】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、図2図3及び図7に示すように、電源冷却層113は、順に接続された第5セクション113a、第6セクション113b、第7セクション113c及び排水セクション113dを含む。
【0073】
第5セクション113aは、遷移セクション114に接続され、第7セクション113cと平行であり、第6セクション113bは、第5セクション113aと第7セクション113cとの間に接続され、第5セクション113a及び第7セクション113cに対して傾斜して設置され、例えば、第6セクション113bは、それぞれ第5セクション113aと第7セクション113cと垂直であり、すなわち、第5セクション113a、第6セクション113b及び第7セクション113cは、「几」字形に形成されてもよい。
【0074】
電源冷却層113を複数段に曲げることにより、電源冷却層113の長さを増加させることができ、電源冷却層113は、電源モジュール300をより十分に放熱することができ、それにより電源冷却層113と電源モジュール300との接触面積をより大きくし、放熱効果をより高くする。
【0075】
排水セクション113dは、一端が第7セクション113cに接続され、他端に排水孔113eが設置され、第7セクション113c内の冷却液は、排水セクション113dから排水孔113eに流れることができる。排水セクション113dの深さは、第7セクション113cの深さよりも小さくてもよく、排水セクション113dの底壁は、冷却液を止める作用を果たし、冷却液の流れ速度を低下させることにより、冷却液が電源冷却層113に流す時間をより長くし、第5セクション113a、第6セクション113b及び第7セクション113cの冷却液が電源モジュール300と十分に熱交換することに寄与し、冷却液の使用効率がより高くなり、それにより冷却液が電源モジュール300を効果的に放熱することができる。
【0076】
また、ボックス本体130に吐水セクション及び吐水管132が設置され、排水孔113eは、吐水セクションを介して吐水管132に連通し、吐水セクションは、排水セクション113dから離れると同時に第1外表面110から徐々に離れ、吐水管132は、第1外表面110と第2外表面120との間に位置してもよく、ボックス本体130の構造がよりコンパクトであり、冷却液は、電源冷却層113において電源モジュール300を十分に放熱した後、順に排水孔113e、吐水セクション及び吐水管132を流れた後にボックス本体130外に排出され、電源冷却層113における冷却液を容易に交換し、電源冷却層113の放熱効果を保証する。
【0077】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、図3及び図7に示すように、第2外表面120に第1シールドリブ122及び第2シールドリブ123が設置される。
【0078】
第1シールドリブ122は、第5セクション113aの第7セクション113cに背向する側に位置し、第2シールドリブ123は、第7セクション113cの第5セクション113aに背向する側に位置する。第1シールドキャビティ124が第1シールドリブ122及び第5セクション113aによって囲まれ、第2シールドキャビティ125が第2シールドリブ123及び第7セクション113cによって囲まれ、電源モジュール300は、第1シールドキャビティ124及び第2シールドキャビティ125に位置するMOSトランジスタ310を含む。
【0079】
例えば、第1シールドリブ122は、第1平行セクションと、間隔をあけて設置された複数の第1閉鎖セクションを含んでもよく、第1平行セクションは、第5セクション113aと平行であってもよく、第5セクション113aと間隔をあけて設置され、各第1閉鎖セクションは、それぞれ第1平行セクションと第5セクション113aに接続され、隣接する2つの第1閉鎖セクション、第1平行セクション及び第5セクション113aは、第1シールドキャビティ124を形成し、第1シールドキャビティ124は、複数であってもよい。第2シールドリブ123は、第2平行セクションと、間隔をあけて設置された複数の第2閉鎖セクションを含んでもよく、第2平行セクションは、第7セクション113cと平行であってもよく、第7セクション113cと間隔をあけて設置され、各第2閉鎖セクションは、それぞれ第2平行セクションと第7セクション113cに接続され、隣接する2つの第2閉鎖セクション、第2平行セクション及び第7セクション113cは、第2シールドキャビティ125を形成し、第2シールドキャビティ125は、複数であってもよい。
【0080】
電源冷却層113は、第1シールドキャビティ124内のMOSトランジスタ310と第2シールドキャビティ125内のMOSトランジスタ310とを同時に放熱することができ、複数のシールドキャビティ121を設置することにより、電源冷却層113は、MOSトランジスタ310を十分に放熱するだけでなく、MOSトランジスタ310を収容し、MOSトランジスタ310と制御ボックス100との相対位置を固定することができ、第1シールドキャビティ124及び第2シールドキャビティ125は、MOSトランジスタ310をシールドし、MOSトランジスタ310が他の素子(例えば、車両制御盤)に干渉することを回避し、EMC効果を向上させることができる。
【0081】
本開示のいくつかの実施例において、図3及び図7に示すように、第3シールドキャビティ126が第5セクション113a、第6セクション113b及び第7セクション113cによって囲まれ、第3シールドキャビティ126は、U字形であり、電源モジュール300は、変圧器320及び変圧器インダクタ330をさらに含み、変圧器320及び変圧器インダクタ330は、第3シールドキャビティ126に位置する。例えば、第6セクション113bは、第5セクション113a及び第7セクション113cに対して垂直に設置されてもよい。このように、第5セクション113a、第6セクション113b及び第7セクション113cによって形成された第3シールドキャビティ126の体積を増大させることに寄与し、変圧器320及び変圧器インダクタ330を収容しやすく、取り付けがより便利である。
【0082】
第5セクション113a、第6セクション113b及び第7セクション113cは、いずれも変圧器320及び変圧器インダクタ330を放熱することができ、電源冷却層113の第3シールドキャビティ126内の素子に対する降温効果が顕著であり、変圧器320及び変圧器インダクタ330への効果的な放熱を実現し、変圧器320及び変圧器インダクタ330は、常に効率的な動作状態にある。第3シールドキャビティ126は、変圧器320、変圧器インダクタ330及び制御ボックス100の3者の相対位置を固定することができ、変圧器320及び変圧器インダクタ330をシールドし、変圧器320及び変圧器インダクタ330が他の素子(例えば、車両制御盤)に干渉することを回避し、EMC効果を向上させることができる。
【0083】
第1シールドキャビティ124、第2シールドキャビティ125及び第3シールドキャビティ126は、3つの互いに独立したキャビティであり、このように、各キャビティ内の電力素子が互いに干渉せず、シールド効果がより高くなり、EMCを再度最適化することができる。
【0084】
本開示のいくつかの具体的な実施例において、図7に示すように、MOSトランジスタ310、変圧器320及び変圧器インダクタ330は、同一の回路基板340に集積され、回路基板340は、第1シールドキャビティ124、第2シールドキャビティ125及び第3シールドキャビティ126を覆う。
【0085】
具体的には、回路基板340は、一体物であり、上記部品を集積して設置することにより、電源モジュール300の体積を減少させるとともに、MOSトランジスタ310、変圧器320及び変圧器インダクタ330を同時に着脱し、電源モジュール300の組立効率を向上させることができる。MOSトランジスタ310、変圧器320及び変圧器インダクタ330は、回路基板340の第2外表面120に向かう側に取り付けられ、回路基板340は、複数のシールドキャビティ121を覆い、MOSトランジスタ310、変圧器320及び変圧器インダクタ330が対応するシールドキャビティ121から離脱することを回避することができる。
【0086】
以下、図面を参照して本開示の実施例に係る車両を説明する。
【0087】
図1及び図8に示すように、本開示の実施例に係る車両は、本開示の上記実施例に係る車両コントローラ1、動力ボックス500、モータ及び変速機を含む。
【0088】
動力ボックス500は、車両コントローラ1に取り付けられ、モータ及び上記変速機は、伝動可能に接続され、動力ボックス500に取り付けられ、モータは、IGBTモジュール200に接続され、例えば、動力ボックス500は、ボックス本体130の水路カバープレート140に背向する側に取り付けられ、動力ボックス500は、モータ及び変速機を固定及び遮蔽し、モータ及び変速機の損傷を回避することができる。
【0089】
動力ボックス500にはモータ冷却水路が設置され、モータ冷却水路は、制御冷却水路111に連通し、これにより、制御冷却水路111内の冷却液がIGBTモジュール200及び電源モジュール300を冷却して放熱した後、冷却液は、排水孔113eから排出され、吐水管132を介してモータ冷却水路に流入し、モータ及び変速機は、モータ冷却水路内の冷却液によって放熱される。
【0090】
これにより、制御冷却水路111及びモータ冷却水路の水路空間が大きく、冷却液の流路が長く、冷却液を十分に利用することができ、車両コントローラ1全体の放熱効率がより高い。
【0091】
本開示の実施例に係る車両は、本開示の上記実施例に記載の車両コントローラ1を用いることにより、水路空間が大きく、冷却効果が高く、効率が高く、シールド効果が高いなどの利点を有する。
【0092】
以下、図面を参照して、車両コントローラ1内の冷却液の流路を説明する。
【0093】
まず、冷却液は、給水管400から供給され、給水セクション115を介してIGBT冷却層112に入って、IGBT冷却層112においてIGBTモジュール200を冷却した後に遷移セクション114に流れ、
次に、冷却液は、遷移セクション114を介して電源冷却層113に流入し、電源冷却層113において、第5セクション113a、第6セクション113b及び第7セクション113cを順に流れ、電源モジュール300を放熱し、さらに排水セクション113dを介して排水孔113eに流れ、
最後に、冷却液は、排水孔113eから排出され、吐水セクション131を介して吐水管132に排出され、吐水管132は、モータ冷却水路に連通し、冷却液は、モータ冷却水路に流入してモータ及び変速機を放熱する。
【0094】
本開示の実施例に係る車両コントローラ1及びそれを有する車両の他の構成及び操作は、当業者にとって既知であり、ここで詳細に説明しない。
【0095】
本明細書の説明において、用語「具体的な実施例」、「具体例」などを参照する説明は、当該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施例又は例に限定されるわけではない。
【0096】
本開示の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本開示の原理及び目的を逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本開示の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定されることを理解することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 車両コントローラ
100 制御ボックス
110 第1外表面
111 制御冷却水路
112 IGBT冷却層
113 電源冷却層
113a 第5セクション
113b 第6セクション
113c 第7セクション
113d 排水セクション
113e 排水孔
114 遷移セクション
114a 第3セクション
114b 第4セクション
115 給水セクション
115a 第1セクション
115b 第2セクション
120 第2外表面
121 シールドキャビティ
122 第1シールドリブ
123 第2シールドリブ
124 第1シールドキャビティ
125 第2シールドキャビティ
126 第3シールドキャビティ
130 ボックス本体
132 吐水管
140 水路カバープレート
141 挿入口
142 取付面
143 密封溝
144 密封リング
145 カバー部
146 挿入部
200 IGBTモジュール
300 電源モジュール
310 MOSトランジスタ
320 変圧器
330 変圧器インダクタ
340 回路基板
400 給水管
500 動力ボックス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】