(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】基板の処理方法及び基板の処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20240507BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240507BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/302 101C
H01L21/302 102
C23C16/44 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561093
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 KR2022005103
(87)【国際公開番号】W WO2022216105
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0046543
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0042975
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504210651
【氏名又は名称】ジュスン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク キュン ラン
(72)【発明者】
【氏名】パク クワン ス
(72)【発明者】
【氏名】チャエ ウォン ウク
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ドン ファン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ チョル ヤン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA05
4K030AA06
4K030AA07
4K030CA04
4K030CA12
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5F045EK13
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5F045HA03
5F045HA13
(57)【要約】
本発明の実施形態に係る基板の処理方法は、チャンバーの内部の支持台の上に基板を載置する準備ステップと、前記チャンバーの内部に第1の洗浄ガスを吹き付けて、前記基板上の自然酸化膜を取り除くステップを含む第1の洗浄ステップと、前記チャンバーの内部に工程ガスを吹き付けて、前記基板の一方の面中の成長領域に薄膜を成長させる成長ステップと、前記第1の洗浄ステップにおいて前記チャンバーの内部に誘導結合プラズマを生じさせるステップと、を含み、前記チャンバーの内部の温度は、300℃~750℃である。
したがって、本発明の実施形態によれば、成長工程の前に基板の成長領域の上に形成されている酸化膜を取り除く洗浄工程を行う。このため、基板の上に選択的な成長工程を容易に行うことができ、薄膜の品質を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバーの内部の支持台の上に基板を載置する準備ステップと、
前記チャンバーの内部に第1の洗浄ガスを吹き付けて、前記基板上の自然酸化膜を取り除くステップを含む第1の洗浄ステップと、
前記チャンバーの内部に工程ガスを吹き付けて、前記基板の一方の面中の成長領域に薄膜を成長させる成長ステップと、
前記第1の洗浄ステップにおいて前記チャンバーの内部に誘導結合プラズマを生じさせるステップと、
を含み、
前記チャンバーの内部の温度は、300℃~750℃である、基板の処理方法。
【請求項2】
前記第1の洗浄ステップは、
前記チャンバーの内部に前記第1の洗浄ガスとは異なる第2の洗浄ガスを吹き付けて、前記自然酸化膜を取り除くステップにおいて生じる副産物を取り除くステップをさらに含む、請求項1に記載の基板の処理方法。
【請求項3】
前記チャンバーの内部に前記第1の洗浄ガスとは異なる第2の洗浄ガスを吹き付けて、前記基板の一方の面に残留する不純物を取り除く第2の洗浄ステップを含む、請求項1に記載の基板の処理方法。
【請求項4】
前記第2の洗浄ステップは、前記チャンバーの内部に誘導結合プラズマを生じさせるステップを含む、請求項3に記載の基板の処理方法。
【請求項5】
前記チャンバーの内部に基板を搬入する前及び前記チャンバーの内部の基板を外部に搬出した後の少なくとも一方において行うチャンバー洗浄ステップを含み、
前記チャンバー洗浄ステップは、前記チャンバーの内部に前記第2の洗浄ガスを吹き付けるステップを含む、請求項4に記載の基板の処理方法。
【請求項6】
前記チャンバー洗浄ステップは、前記チャンバーの内部に誘導結合プラズマを生じさせるステップを含む、請求項5に記載の基板の処理方法。
【請求項7】
前記チャンバー洗浄ステップにおいて誘導結合プラズマの発生のために前記チャンバーの外部のプラズマ発生部に供給されるRF電源の強さは、前記第1及び第2の洗浄ステップにおいて供給されるRF電源の強さとは異なる、請求項6に記載の基板の処理方法。
【請求項8】
前記成長ステップ及び第2の洗浄ステップを交互に複数回行う、請求項3に記載の基板の処理方法。
【請求項9】
チャンバーと、
基板を支持可能なように前記チャンバーの内部に配設された支持台と、
前記チャンバーの内部に誘導結合プラズマを生じさせるように前記チャンバーの外部に配設されたプラズマ発生部と、
前記基板の上に薄膜を成長させる成長ステップの前に前記チャンバーに第1の洗浄ガスを吹き付ける第1の洗浄ステップにおいて、前記チャンバーの内部に誘導結合プラズマが生じるように前記プラズマ発生部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記チャンバーの内部の温度は、300℃~750℃である、基板の処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記成長ステップの後に前記チャンバーに前記第1の洗浄ガスとは異なる第2の洗浄ガスを吹き付ける第2の洗浄ステップにおいて、前記チャンバーの内部に誘導結合プラズマが生じるように前記プラズマ発生部の動作を制御する、請求項9に記載の基板の処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、互いに異なる強さの第1のRF電源及び第2のRF電源のうちのどちらか一方を前記プラズマ発生部に供給する、請求項10に記載の基板の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の処理方法及び基板の処理装置に関し、より詳細には、薄膜の品質を向上させることのできる基板の処理方法及び基板の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を製造する工程は、基板の上にエピタキシャル層を選択的に成長させる成長工程を含む。このとき、基板の上部面の一部には、酸化物、例えば、SiO2からなるパターン膜が形成されている。そして、工程ガスを吹き付けると、基板の上部面中のパターン膜が形成されておらずに露出された領域に薄膜が形成される選択的な成長が行われる。
【0003】
ところが、成長工程を行う前に基板が移動したり待機したりする間に基板の上部面に自然酸化膜が形成されることがある。すなわち、基板の上部面中のパターン膜が形成されておらずに露出された領域に自然酸化膜が形成されることがある。なお、基板に工程ガスを吹き付ける成長工程の間にパターン膜の上に不純物が堆積されることがある。
【0004】
そして、上述したような自然酸化膜及び不純物は、選択的な成長を妨げる要因として働く。これにより、目標の膜厚の薄膜を形成することができないか、あるいは、薄膜の膜厚の均一性が低下する虞があり、これに起因して半導体素子の性能が低下することが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-1728072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、薄膜の品質を向上させることのできる基板の処理方法及び基板の処理装置を提供する。
【0007】
本発明は、基板の洗浄速度を向上させることのできる基板の処理方法及び基板の処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る基板の処理方法は、チャンバーの内部の支持台の上に基板を載置する準備ステップと、前記チャンバーの内部に第1の洗浄ガスを吹き付けて、前記基板上の自然酸化膜を取り除くステップを含む第1の洗浄ステップと、前記チャンバーの内部に工程ガスを吹き付けて、前記基板の一方の面中の成長領域に薄膜を成長させる成長ステップと、前記第1の洗浄ステップにおいて前記チャンバーの内部に誘導結合プラズマを生じさせるステップと、を含み、前記チャンバーの内部の温度は、300℃~750℃である。
【0009】
前記第1の洗浄ステップは、前記チャンバーの内部に前記第1の洗浄ガスとは異なる第2の洗浄ガスを吹き付けて、前記自然酸化膜を取り除くステップにおいて生じる副産物を取り除くステップをさらに含んでいてもよい。
【0010】
前記チャンバーの内部に前記第1の洗浄ガスとは異なる第2の洗浄ガスを吹き付けて、前記基板の一方の面に残留する不純物を取り除く第2の洗浄ステップを含んでいてもよい。
【0011】
前記第2の洗浄ステップは、前記チャンバーの内部に誘導結合プラズマを生じさせるステップを含んでいてもよい。
【0012】
前記基板の処理方法は、前記チャンバーの内部に基板を搬入する前及び前記チャンバーの内部の基板を外部に搬出した後の少なくとも一方において行うチャンバー洗浄ステップを含み、前記チャンバー洗浄ステップは、前記チャンバーの内部に前記第2の洗浄ガスを吹き付けるステップを含んでいてもよい。
【0013】
前記チャンバー洗浄ステップは、前記チャンバーの内部に誘導結合プラズマを生じさせるステップを含んでいてもよい。
【0014】
前記チャンバー洗浄ステップにおいて誘導結合プラズマの発生のために前記チャンバーの外部のプラズマ発生部に供給されるRF電源の強さは、前記第1及び第2の洗浄ステップにおいて供給されるRF電源の強さとは異なっていてもよい。
【0015】
前記成長ステップ及び第2の洗浄ステップを交互に複数回行ってもよい。
【0016】
本発明の実施形態に係る基板の処理装置は、チャンバーと、基板を支持可能なように前記チャンバーの内部に配設された支持台と、前記チャンバーの内部に誘導結合プラズマを生じさせるように前記チャンバーの外部に配設されたプラズマ発生部と、前記基板の上に薄膜を成長させる成長ステップの前に前記チャンバーに第1の洗浄ガスを吹き付ける第1の洗浄ステップにおいて前記チャンバーの内部に誘導結合プラズマが生じるように前記プラズマ発生部の動作を制御する制御部と、を備え、前記チャンバーの内部の温度は、300℃~750℃である。
【0017】
前記制御部は、前記成長ステップの後に前記チャンバーに前記第1の洗浄ガスとは異なる第2の洗浄ガスを吹き付ける第2の洗浄ステップにおいて、前記チャンバーの内部に誘導結合プラズマが生じるように前記プラズマ発生部の動作を制御してもよい。
【0018】
前記制御部は、互いに異なる強さの第1のRF電源及び第2のRF電源のうちのどちらか一方を前記プラズマ発生部に供給してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態によれば、成長工程の前に基板の成長領域の上に形成されている酸化膜を取り除く洗浄工程を行う。このため、基板の上に選択的な成長工程を容易に行うことができ、薄膜の品質を向上させることができる。
【0020】
また、時差をおいて工程ガスを複数回吹き付けて複数回の成長工程を行うが、各成長工程の合間にパターン膜の上に堆積されている不純物を取り除く洗浄工程を行う。このため、後続する成長工程に際して選択的な成長工程を容易に行うことができ、薄膜の品質を向上させることができる。
【0021】
そして、各洗浄工程のうちの少なくとも一つを行う際に、チャンバーの内部にプラズマを生じさせる。このため、洗浄工程のうちの少なくとも一つの速度を向上させることができ、洗浄効率を向上させることができる。これにより、全体の基板処理工程の速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る基板の処理装置を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る基板の処理装置により処理される基板を例にとって概念的に示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る基板の処理方法を示す手順図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る基板の処理方法を示す工程図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る基板の処理方法を示す工程図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る基板の処理方法を示す工程図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る基板の処理方法を示す工程図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る基板の処理方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範ちゅうを完全に知らせるために提供されるものである。本発明の実施形態を説明するために図面は誇張されてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0024】
以下、
図1に基づいて本発明の実施形態に係る基板の処理装置について説明する。このとき、基板の処理装置が基板の上にエピタキシャル層薄膜を選択的に成長させる装置であることを例にとって説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る基板の処理装置を示す図である。
図2は、本発明の実施形態に係る基板の処理装置により処理される基板を例にとって概念的に示す図である。
【0026】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係る基板の処理装置は、内部スペースを有するチャンバー100と、基板Sを支持可能なようにチャンバー100の内部に配設された支持台200と、チャンバー100の内部にガスを吹き付けるように前記チャンバー100に配設された吹付け部300と、チャンバー100の内部にプラズマを生じさせるようにチャンバー100の外部に位置するプラズマ発生部400及びプラズマ発生部400の動作を制御する制御部700を備えていてもよい。
【0027】
また、基板の処理装置は、少なくとも一部が支持台200と対向するように配設された加熱部500と、支持台200を昇降させたり回転させたりする駆動部600と、チャンバー100の内部のガス及び不純物を排気する排気部(図示せず)と、を備えていてもよい。
【0028】
このような基板の処理装置において処理される基板Sは、例えば、ウェーハ(wafer)であってもよい。より具体的には、基板Sは、Siウェーハ(silicon wafer)であってもよいし、
図2に示すように、Siウェーハ(silicon wafer)の上に酸化物、例えば、SiO
2からなる薄膜(以下、パターン膜P)が形成された状態のものであってもよい。換言すれば、基板Sは、その上部面にSiO
2からなるパターン膜Pが不連続的に形成された状態のものであってもよい。このため、基板の上部面の一部はSiO
2パターン膜Pにより覆われ、残りは露出されることが可能になる。
【0029】
このような基板Sによれば、上部面中のパターン膜Pが形成されていない領域に薄膜Lが成長する選択的な成長が行われる。基板Sの上に選択的に薄膜Lを成長させる工程の詳細については再び後述する
【0030】
そして、基板Sは、Siウェーハに何ら限定されるものではなく、Geウェーハ、SiGeウェーハなどに種々に変更可能である。また、基板Sは、ウェーハに何ら限定されるものではなく、ガラス(glass)、プラスチック(plastic)、フィルム(film)、金属など種々に変更可能である。
【0031】
チャンバー100は、チャンバー胴体110と、チャンバー胴体110の上部に配設された上胴体120及びチャンバー胴体110の下部に配設された下胴体130を備えていてもよい。チャンバー胴体110は、上部及び下部が開放された筒状のものであってもよく、チャンバー胴体110の上部の開口を覆うように上胴体120が配設され、チャンバー胴体110の下部の開口を覆うように下胴体130が配設されてもよい。そして、上胴体120は、その幅方向の中心に向かって進むにつれて高さが増加する斜面を有するドーム(dome)状のものであってもよい。このようなチャンバー100、すなわち、チャンバー胴体110、上胴体120及び下胴体130のそれぞれは、光が透過可能な透明材質から作製されてもよく、例えば、石英(quartz)から作製されてもよい。
【0032】
支持台200は、一方の面、例えば、上部面に基板Sが支持される手段であって、チャンバー100の内部に配設されてもよい。このような支持台200は、基板Sに比べて大きな面積を有するように配設されてもよいし、基板Sと対応する形状、例えば、矩形状又は円形状の形状に配設されてもよい。いうまでもなく、支持台200は、基板Sと同じ面積を有するように、あるいは、基板Sに比べて小さな面積を有するように配設されてもよい。
【0033】
駆動部600は、支持台200を昇降及び回転のうちの少なくとも一方により動作させる手段であってもよい。駆動部600は、チャンバー100の下部の外側に配設されて昇降及び回転のうちの少なくとも一方の動力を提供する駆動源610及び一方の端が支持台200に接続され、他方の端が駆動源610に接続された駆動軸620を備えていてもよい。このような駆動部600によれば、駆動源610の動作のために駆動軸620及びここに接続された支持台200が昇降及び回転のうちの少なくとも一方により動作することができる。
【0034】
加熱部500は、チャンバー100の内部及び支持台200を加熱する手段であって、チャンバー100の外部に配設されてもよい。より具体的には、加熱部500は、チャンバー100の外部の下側において少なくとも一部が支持台200と向かい合うように配設されてもよい。このような加熱部500は、複数のランプを備える手段であってもよく、複数のランプは、支持台200の幅方向に並設されてもよい。そして、複数のランプは、輻射熱を放出するハロゲンなどのランプを備えていてもよい。
【0035】
吹付け部300は、チャンバー100の内部において支持台200の上に載置された基板Sに向かってガスを吹き付ける。吹付け部300は、ガスが吹き付けられる一方の端がチャンバー100の内部に位置するようにチャンバー100に配設されてもよい。このとき、吹付け部300は、
図1に示すように、チャンバー100の側部、例えば、チャンバー胴体110に配設されてもよく、ガスが通過可能なパイプ(pipe)状のものであってもよい。なお、吹付け部300は、
図1に示すように、ガスが吹き付けられる一方の端に向かって進むにつれてその高さが高くなるように上向きに傾斜するように設けられてもよい。
【0036】
いうまでもなく、吹付け部300の配設位置、配置及び形状などは、上述した例に何ら限定されるものではなく、種々に変更もしくは変形可能である。すなわち、吹付け部300は、ガスが吹き付けられる一方の端が支持台200と向かい合う限り、いかなる位置に配設されても構わず、例えば、チャンバー100の上胴体120に配設されてもよい。なお、吹付け部300は、上向きに傾斜することなく、水平な状態に配設されてもよく、パイプの形状に何ら限定されるものではなく、基板Sに向かってガスを吹付け可能な種々の形状に変形可能である。
【0037】
吹付け部300から吹き付けられるガスは、基板Sの上に薄膜Lを形成、成膜もしくは成長させるためのガス(以下、工程ガスと呼ぶ)、基板S又はチャンバー100の内部を洗浄するためのガス(以下、洗浄ガスと呼ぶ)であってもよい。
【0038】
工程ガスは、基板Sの上に薄膜Lを成長させるために吹き付けられるガスであって、基板S又は成長させようとする薄膜の種類に応じて異なり得る。例えば、基板SがSiウェーハであり、基板Sの上にSiからなる薄膜Lを成長させようとする場合、工程ガスは、Siを含有するガスであってもよい。また、基板SがGeウェーハであり、基板の上にGeからなる薄膜Lを成長させようとする場合、工程ガスは、Geを含有するガスであってもよい。別の例として、基板SがSiGeウェーハであり、基板Sの上にSiGeからなる薄膜Lを成長させようとする場合、工程ガスは、Siを含有するガスと、Geを含有するガスであってもよい。ここで、Siを含有するガスは、Si2H6及びSiH4のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。そして、Geを含有するガスは、GeH4を含んでいてもよい。なお、吹付け部300を介してさらにドープのためのガス、例えば、B(ホウ素)を含有するガスをさらに吹き付けることもある。このとき、B(ホウ素)を含有するガスは、例えば、B2H6を含んでいてもよい。
【0039】
一方、上述したように、基板Sの上部面の一部には、
図2に示すように、酸化物、例えば、SiO
2からなる薄膜状のパターン膜Pが形成されている。このため、吹付け部300に面する基板Sの上部面の一部はパターン膜Pにより覆われており、残りは露出されている。
【0040】
ここで、酸化物からなるパターン膜Pは、堆積又は成長を妨害又は阻止するマスク手段であってもよい。すなわち、パターン膜Pは、選択的な成長又は成膜が行われるようにする手段であってもよい。このため、吹付け部300から工程ガス、例えば、Si2H6を含むガスが吹き付けられれば、チャンバー100の内部の熱によりSi2H6が分解又は解離され、分解されたSiが基板Sの上に堆積される。すなわち、基板Sの上部面中のパターン膜Pが形成されずに露出されている領域(以下、成長領域DAと呼ぶ)にSiが堆積されてSiからなる薄膜Lが成長又は成膜される。換言すれば、基板Sの上部面中のパターン膜Pが形成されていない成長領域にSiが堆積される選択的な成長が行われることが可能になる。
【0041】
ところが、成長工程を行う前に基板Sの成長領域DAが酸化されて、前記成長領域DAに薄い膜厚の酸化膜、すなわち、自然酸化膜(native oxide)が形成されることがある。すなわち、基板Sをチャンバーに移動させたり、チャンバー100の外において待機したりする間に成長領域DAが酸化されて自然酸化膜が形成されることがある。この自然酸化膜は、薄膜の成長又は成膜を妨げる要因として働く。このため、成長工程を行う前に基板Sの成長領域DAに形成されている自然酸化膜を取り除く必要がある。
【0042】
また、基板Sの上に薄膜Lを成膜又は成長させる工程の最中に、パターン膜Pの上に不純物が残留する虞がある。すなわち、基板Sの成長領域DAのみならず、パターン膜Pの上にも工程ガスに起因する物質が少量付着して残留する虞があり、このとき、パターン膜Pの上に残留する物質は不純物として働く虞がある。例えば、工程ガスがSi2H6を含む場合、基板Sの成長領域DAにSiからなる薄膜が堆積されるとき、パターン膜Pの上部に少量のSiが付着して残留する虞がある。このように、パターン膜Pの上部の残留物、すなわち、Siは、後続する成長工程において選択的な成長を妨げる不純物として働く。このため、パターン膜Pの上に残留しているSiなどの不純物を取り除くことが好ましい。
【0043】
したがって、実施形態においては、基板Sの上に薄膜Lを成長させる成長工程を行う前に、基板Sの成長領域DAに形成された自然酸化膜を取り除く洗浄工程(以下、第1の洗浄工程と呼ぶ)を行い、成長工程の後に、パターン膜Pの上部に残留している不純物を取り除く洗浄工程(以下、第2の洗浄工程と呼ぶ)を行う。
【0044】
このとき、第1の洗浄工程において吹き付けられる洗浄ガスは、第1の洗浄ガスを含んでいてもよい。また、第1の洗浄工程において吹き付けられる洗浄ガスは、第1の洗浄ガスとは異なる物質のガスである第2の洗浄ガスをさらに含んでいてもよい。そして、第2の洗浄工程において吹き付けられるガスは、第2の洗浄ガスを含んでいてもよい。このとき、第1の洗浄ガスは、SF6を含んでいてもよいし、第2の洗浄ガスは、Cl2を含んでいてもよい。
【0045】
さらに、チャンバー100の内部において基板の処理工程を複数回行うと、前記チャンバー100の内部に工程ガスに起因する副産物が生じる虞があり、この副産物は、チャンバー100の内壁、支持台200の表面などに堆積されることがある。例えば、工程ガスとしてSi2H6を用いる場合、チャンバー100の内壁、支持台200の表面などにSiからなる副産物が堆積されることがある。このような副産物は、薄膜L又は製品の品質を低下させる不純物として働く虞がある。このため、チャンバー100の内部の不純物を取り除く洗浄工程を行うことが好ましい。
【0046】
例えば、基板処理工程を複数回行った後、チャンバー100の内部に基板Sを搬入する前に、又はチャンバー100の内部の基板Sが外部に搬出された後に、前記チャンバー100の内部を洗浄する。このとき、吹付け部300を介してCl2を含む第2の洗浄ガスを吹き付けて洗浄してもよい。
【0047】
第1の洗浄工程、成長工程、第2の洗浄工程及びチャンバー100の洗浄工程の詳細については再び後述する。
【0048】
プラズマ発生部400は、チャンバー100の上部、すなわち、上胴体120の上部に設けられてチャンバー100の内部に供給されたガスをイオン化させてプラズマを生じさせる。このようなプラズマ発生部400は、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を生じさせる手段であってもよい。すなわち、プラズマ発生部400は、
図1に示すように、チャンバー100内に電場を誘導するためのコイル410を備えるアンテナ及びコイル410と接続されてRF電源を供給する電源部420を備えていてもよい。
【0049】
コイル410は、上胴体120の上部に配設されてもよい。このとき、コイル410は、複数のターン(turn)にて巻き付けられた螺旋状に設けられるか、あるいは、同心円の形状に配置されて互いにつながった多数の円形コイルを含む構成であってもよい。いうまでもなく、コイル410は、螺旋状のコイル又は同心円状の円形コイルに何ら限定されるものではなく、他の形状を有する種々のコイルが適用可能である。
【0050】
また、コイル410は、上胴体120の上部に隣り合うように配設される下コイルと、下コイルの上部に離れて配設される上コイルとを備えて複層構造となっていてもよい。
【0051】
このようなコイル410は、銅などの導電性材料から作製されてもよいし、内部が空いた管状に作製されてもよい。コイル410が管状に作製される場合、冷却水又は冷媒が流れることができるので、コイルの昇温を抑えることができる。
【0052】
さらに、コイル410の両端のうちの一方の端は電源部420と接続され、他方の端は接地端子と接続されてもよい。したがって、電源部420を介してコイルにRF電源が供給されれば、チャンバー100の内部に吹き付けられたガスがイオン化又は放電されてチャンバー100の内部にプラズマを生じさせることになる。
【0053】
制御部700は、プラズマ発生部400の動作を制御することができる。より具体的には、制御部700は、第1の洗浄工程及び第2の洗浄工程のうちの少なくとも一方の工程においてチャンバー100の内部にプラズマが生じるようにプラズマ発生部400の動作を制御することができる。
【0054】
また、制御部700は、チャンバー100の内部に基板Sを搬入する前に、又は処理済みの基板Sをチャンバー100から搬出した後に、前記チャンバー100の内部を洗浄する工程を行うとき、チャンバー100の内部にプラズマが生じるようにプラズマ発生部400を制御することができる。
【0055】
制御部700は、チャンバーの洗浄工程に際してプラズマ発生部400の電源部420に供給されるRF電源の強さが第1及び第2の洗浄工程に際して供給されるRF電源の強さとは異なるように調整することができる。例えば、制御部は、洗浄工程に際して電源部720に供給されるRF電源の強さが第1及び第2の洗浄工程に際して供給されるRF電源の強さに比べて大きくなるように調整することができる。換言すれば、制御部700は、第1及び第2の洗浄工程に際して供給される第1のRF電源の強さとチャンバー洗浄工程に際して供給される第2のRF電源の強さとが互いに異なり、第1のRF電源の強さに比べて第2のRF電源の強さの方がさらに大きくなるようにすることができる。
【0056】
図3は、本発明の実施形態に係る基板の処理方法を示す手順図である。
図4から
図8は、本発明の実施形態に係る基板の処理方法を示す工程図である。
【0057】
以下、
図3から
図8に基づいて、本発明の実施形態に係る基板の処理方法について説明する。このとき、基板はSiウェーハであり、基板の成長領域にSiからなる薄膜を成長させる方法を例にとって説明する。
【0058】
まず、加熱部500を動作させて、支持台200を工程のための温度(以下、工程温度と呼ぶ)、例えば、550℃まで加熱する。支持台200が工程温度に達すると、チャンバー100の内部に基板Sを搬入し、基板Sを支持台200上部に載置する(準備ステップ)。
【0059】
基板Sが支持台200に載置される前に、又は載置された後に、チャンバー100の内部の圧力を数mTorr以下又は数十mTorr以下又は数百mTorr以下の圧力範囲に設定又は制御することができる。そして、第1の洗浄工程(S100)、成長工程(S200)及び第2の洗浄工程(S300)のうちの少なくとも一つの工程において、チャンバー100の内部の圧力を数mTorr以下又は数十mTorr以下又は数百mTorr以下の圧力範囲に設定又は制御することができる。
【0060】
また、基板Sが支持台200に載置される前に、又は基板Sが支持台200に載置された後に、チャンバー100の内部の温度を300℃~750℃(300℃以上、かつ、750℃以下)、好ましくは、400℃~600℃(400℃以上、かつ、600℃以下)に設定又は制御することができる。そして、第1の洗浄工程(S100)、成長工程(S200)及び第2の洗浄工程(S300)のうちの少なくとも一つの工程において、チャンバー100の内部の温度を300℃~750℃、好ましくは、400℃~600℃に設定又は制御することができる。このとき、チャンバー100の内部の温度は、加熱部500を用いて設定又は制御することができる。
【0061】
支持台200の上に基板Sが載置されれば、前記基板Sの上に形成されている自然酸化膜NOを取り除く過程(S110)を含む第1の洗浄工程を行う(S100)。このために、
図4に示すように、吹付け部300を介して第1の洗浄ガス、例えば、SF
6を含むガスを吹き付ける。また、制御部700を介してプラズマ発生部400の電源部720にRF電源を供給してチャンバー100の内部にプラズマを生じさせる。このとき、制御部700は、電源部420を介してコイル410に供給されるRF電源の強さ、すなわち、電力が、例えば、60W~1000Wになるように調整することができる。
【0062】
チャンバー100の内部にSF6を含む第1の洗浄ガスが吹き付けられれば、支持台200によるチャンバー100の内部の熱とプラズマ発生部400により生成されたプラズマによりSF6と自然酸化膜NOとが反応する。すなわち、SF6と自然酸化膜NOの酸素(O)とが反応してSO2が生成される反応が起こる。そして、反応生成物であるSO2は、排気部を介して外部に排出されることができる。このため、基板Sの上に形成された自然酸化膜NOが取り除かれる。
【0063】
このように、チャンバー100の内部にSF
6を含む第1の洗浄ガスが吹き付けられれば、基板Sの成長領域DAに形成されている自然酸化膜NOのみならず、酸化物からなるパターン膜Pも前記第1の洗浄ガスと反応する可能性がある。このため、パターン膜Pの一部も第1の洗浄ガスによりエッチングされる可能性がある。しかしながら、自然酸化膜NOはその膜厚が非常に薄く、パターン膜Pはその膜厚が厚いため、第1の洗浄ガスによりエッチングされるパターン膜Pの膜厚は少量であり得る。したがって、第1の洗浄ガスにより成長領域DAの上に形成された自然酸化膜NOが取り除かれるとき、パターン膜Pは残っていることになる(
図5参照)。
【0064】
このように、実施形態においては、チャンバー100の内部に第1の洗浄ガスを吹き付けながら、プラズマ発生部400を動作させてプラズマを生じさせる。すなわち、チャンバー100の内部の支持台200を加熱することに加えて、チャンバー100の内部にプラズマをさらに生じさせる。このように、チャンバー100の内部にプラズマが生じると、第1の洗浄ガスと自然酸化膜NOとの間の反応速度が向上する。すなわち、プラズマを生じさせる場合、そうではない場合に比べてSF6の分解速度が速く、これにより、自然酸化膜NOとの反応速度が速い。したがって、プラズマを生じさせる場合、そうではない場合に比べて反応速度を向上させることができる。これにより、基板Sの成長領域DAに形成された自然酸化膜NOを取り除く第1の洗浄工程時間を短縮させることができ、洗浄効率を向上させることができる。
【0065】
一方、自然酸化膜を取り除く過程(S110)において、第1の洗浄ガスと自然酸化膜とが反応するとき、第1の洗浄ガスから分解された成分を含む反応副産物が生じることがある。すなわち、第1の洗浄ガスのSF6と自然酸化膜NOとが反応してSO2が生成されるとき、前記第1の洗浄ガスからフッ素(F)が分解され、このため、フッ素(F)を含む反応副産物がチャンバー100の内部に残留することがある。そして、チャンバー100の内部のフッ素(F)は、薄膜L又は製品の品質を低下させる虞がある。このため、自然酸化膜NOを取り除く過程(S110)を行った後、チャンバー100の内部に残留する反応副産物、すなわち、フッ素(F)を取り除く(S120)ことが好ましい。
【0066】
このために、第1の洗浄ガスを吹き付けて自然酸化膜NOを取り除く工程(S110)を行った後、
図5に示すように、吹付け部300を介してチャンバー100の内部にCl
2を含む第2の洗浄ガスを吹き付け、プラズマを生じさせる。このとき、制御部7000は、電源部420を介してコイル410に印加される電力が第1の洗浄ガスの吹付け時と同じくなるように調整することができ、例えば、60W~1000Wであってもよい。
【0067】
このように、チャンバー100の内部にCl2を含む第2の洗浄ガスが吹き付けられれば、支持台200によるチャンバー100の内部の熱とプラズマ発生部400により生成されたプラズマによりCl2と反応副産物、すなわち、フッ素(F)とが反応する。そして、第2の洗浄ガスとフッ素(F)との間の反応により生成されたClF(一フッ化塩素)は、排気部を介して外部に排出される。このため、自然酸化膜を取り除く過程(S110)において第1の洗浄ガスにより生成された反応副産物がチャンバー100の外部に取り除かれる(S120)。
【0068】
このように、第2の洗浄ガスが吹き付けられるときにプラズマを生じさせると、第2の洗浄ガスとフッ素(F)との間の反応速度が向上する。すなわち、プラズマを生じさせる場合、そうではない場合に比べてCl2の分解速度が速く、これにより、チャンバー100内のフッ素(F)との反応速度が速い。したがって、プラズマを生じさせる場合、そうではない場合に比べて反応速度を向上させることができる。これにより、第1の洗浄工程の後にチャンバー100の内部に残留する反応副産物、すなわち、フッ素(F)を取り除く工程時間を短縮させることができ、洗浄効率を向上させることができる。
【0069】
第1の洗浄工程が終わると、基板Sの成長領域DAの上に薄膜を形成する成長工程(S200)を行う。このために、
図6に示すように、吹付け部300を介して工程ガス、例えば、Si
2H
6を含むガスを吹き付ける。このとき、チャンバー100の内部の熱により工程ガスのSi
2H
6からSiが分解又は解離され、分解されたSiが基板Sの成長領域DAに堆積される。このため、
図6に示すように、基板Sの成長領域DAの上にSiからなる薄膜(1次薄膜L
1)が形成される。
【0070】
ところが、このように、基板Sの上に薄膜を形成する成長工程の最中に、基板Sの成長領域DAのみならず、パターン膜Pの上にも工程ガスに起因する物質が少量付着して残留することがある。例えば、Si2H6を含む工程ガスが吹き付けられて基板Sの成長領域DAにSiからなる薄膜が堆積されるとき、パターン膜Pの上部に少量のSiが付着して残留することがある。このように、パターン膜Pの上部に残留するSiは、後続する成長工程において不純物として働く。このため、成長工程が終わると、パターン膜Pの上に残留する不純物Iを取り除く第2の洗浄工程(S300)を行う。
【0071】
このために、
図7に示すように、吹付け部300を介して第2の洗浄ガス、例えば、Cl
2を含むガスを吹き付ける。また、制御部700を介してプラズマ発生部400の電源部420にRF電源を供給してチャンバー100の内部にプラズマを生じさせる。このとき、制御部700は、電源部420を介してコイル410に供給されるRF電源、すなわち、電力が、例えば、60W~1000Wになるようにする。
【0072】
チャンバー100の内部にCl2を含む第2の洗浄ガスが吹き付けられれば、支持台200によるチャンバー100の内部の熱とチャンバー100の内部に生成されたプラズマによりCl2とSiとが反応する。そして、反応生成物SiCl4は、排気部を介して外部に排出される。このため、パターン膜P上の不純物Iが取り除かれる。
【0073】
チャンバー100の内部に第2の洗浄ガスが吹き付けられるとき、パターン膜Pの上部に残留している不純物のみならず、基板Sの成長領域DAに形成された1次薄膜L1も第2の洗浄ガスと反応する可能性がある。このため、1次薄膜L1の一部も第2の洗浄ガスによりエッチングされる可能性がある。しかしながら、不純物Iはその膜厚が非常に薄く、1次薄膜L1は相対的にその膜厚が厚いため、第2の洗浄ガスによりエッチングされる1次薄膜L1の膜厚は少量であり得る。したがって、第2の洗浄ガスによりパターン膜P上の不純物Iがエッチングまたは取り除かれるとき、1次薄膜L1は残っていることになる。
【0074】
このように、第2の洗浄ガスを吹き付けてパターン膜Pの上部の不純物を取り除く第2の洗浄工程に際してプラズマを生じさせることにより、第2の洗浄ガスと不純物Iとの間の反応速度が向上する。すなわち、プラズマを生じさせる場合、そうではない場合に比べてCl2の分解速度が速く、これにより、パターン膜Pの上部の不純物Iとの反応速度が速い。したがって、プラズマを生じさせる場合、そうではない場合に比べて反応速度を向上させることができる。これにより、第2の洗浄工程時間を短縮させることができ、第2の洗浄工程時間を工程時間に比べて短くすることができる。すなわち、成長工程時間に比べて短い時間の間に第2の洗浄工程を行うことができる。したがって、洗浄効率を向上させることができ、全体の工程時間を短縮させることができる他、第2の洗浄工程時間に伴う基板又は薄膜のダメージを防ぐことができる。
【0075】
第2の洗浄工程が終わると、上述した成長工程(S200)を上述した方法と同様にして行う。このため、
図8に示すように、1次薄膜L
1の上に2次薄膜L
2が形成される。そして、1次薄膜L
1の上に2次薄膜L
2を形成する成長工程(S200)の最中にパターン膜Pの上に不純物Iが付着又は残留することがある。このため、2次薄膜の形成のための成長工程(S200)が終わると、第2の洗浄工程(S300)を上述した方法と同様にして行う。
【0076】
そして、基板Sの成長領域DAの上に目標とする膜厚の薄膜の形成されるまで、上述した成長工程(S200)と第2の洗浄工程(S300)とを交互に複数回繰り返し行う。これにより、
図2に示すように、基板Sの成長領域DAの上に目標の膜厚を有する薄膜が成長される。
【0077】
また、上述したように、基板Sの上に薄膜Lを形成する工程を複数回繰り返し行った後、前記チャンバー100の内部を洗浄する工程を行う。すなわち、チャンバー100の内部に基板Sを搬入する前に、又はチャンバー100の内部の基板Sが外部に搬出された後に、前記チャンバー100の内部を洗浄する。このために、吹付け部300を介してチャンバー100の内部にCl2を含む第2の洗浄ガスを吹き付け、プラズマ発生部400の電源部420にRF電源を供給してプラズマを生じさせる。このとき、制御部700は、電源部420を介してコイル410に供給されるRF電源の強さ、すなわち、電力が第1の洗浄工程及び第2の洗浄工程に際して印加される電力に比べて大きくなるように調整する。
【0078】
このように、チャンバー100の内部に第2の洗浄ガスが吹き付けられ、プラズマが生じると、第2の洗浄ガスのCl2とチャンバー100の内部に残留している不純物、例えば、Siとが反応する。そして、反応生成物であるSiCl4は排気部を介して外部に排出され、このため、チャンバー100の内部の不純物が取り除かれる。すなわち、チャンバー100の内部が洗浄される。
【0079】
このように、実施形態に係る基板の処理方法によれば、成長工程の前に基板Sの成長領域DAの上に形成されている自然酸化膜NOを取り除く第1の洗浄工程を行う。このため、基板Sの上に選択的な成長工程を容易に行うことができ、薄膜の品質を向上させることができる。
【0080】
また、時差をおいて工程ガスを複数回吹き付けて複数回の成長工程を行うに当たって、各成長工程の合間にパターン膜Pの上に残留している不純物Iを取り除く第2の洗浄工程を行う。このため、後続する成長工程に際して選択的な成長工程を容易に行うことができ、薄膜の品質を向上させることができる。
【0081】
そして、第1の洗浄工程及び第2の洗浄工程のうちの少なくとも一方を行うとき、チャンバー100の内部にプラズマを生じさせる。このため、基板S上の自然酸化膜を取り除く第1の洗浄工程の速度及びパターン膜P上の不純物を取り除く第2の洗浄工程の速度のうちの少なくとも一方の速度を向上させることができ、洗浄効率を向上させることができる。これにより、全体の基板処理工程の速度を向上させることができる。
【0082】
さらに、第1の洗浄工程、成長工程及び第2の洗浄工程のうちの少なくとも一つの工程を行うとき、チャンバー100の内部の圧力を数mTorr以下又は数十mTorr以下又は数百mTorr以下の圧力範囲に設定又は制御することができる。このため、従来に比べて低い温度において第1の洗浄工程、第2の洗浄工程及び成長工程のうちの少なくとも一つの工程を容易に行うことができる。そして、チャンバー100の内部の圧力を数mTorr以下又は数十mTorr以下又は数百mTorr以下の圧力範囲に設定又は制御することにより、チャンバー100の内部の酸素などの不純物の濃度を下げることができ、これにより、薄膜の品質を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の実施形態によれば、成長工程の前に基板の成長領域の上に形成されている酸化膜を取り除く洗浄工程を行う。このため、基板の上に選択的な成長工程を容易に行うことができ、薄膜の品質を向上させることができる。
【国際調査報告】