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特表2024-519447酸化物ギャップ・フィルを用いる高密度メモリ・デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】酸化物ギャップ・フィルを用いる高密度メモリ・デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10B 63/00 20230101AFI20240507BHJP
   H10B 61/00 20230101ALI20240507BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20240507BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240507BHJP
   H10N 70/00 20230101ALI20240507BHJP
   H10N 99/00 20230101ALI20240507BHJP
   H10B 63/10 20230101ALI20240507BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20240507BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20240507BHJP
【FI】
H10B63/00
H10B61/00
H01L21/308 E
H01L21/302 105A
H10N70/00 A
H10N70/00 Z
H10N99/00
H10B63/10
H01L29/82 Z
H10N50/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562654
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2022089031
(87)【国際公開番号】W WO2022233249
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】17/313,403
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】スタンダート、テオドルス イー
(72)【発明者】
【氏名】エーデルシュタイン、ダニエル チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チーチャオ
【テーマコード(参考)】
4M119
5F004
5F043
5F083
5F092
【Fターム(参考)】
4M119BB01
4M119DD17
4M119DD32
4M119JJ03
4M119JJ04
4M119JJ13
4M119JJ14
5F004BA04
5F004BA11
5F004BD04
5F004DB00
5F004DB03
5F004DB07
5F043AA29
5F043BB21
5F083FZ10
5F083GA03
5F083GA09
5F083HA02
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA60
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR07
5F083PR21
5F083PR40
5F092AA12
5F092AB06
5F092AC11
5F092AD23
(57)【要約】
半導体構造体は、ギャップ・フィル材料用誘電体材料を用いて、2つ以上の狭ピッチのメモリ・デバイスを形成する。この手法には、絶縁材料の層内にあり、メタル層の上方にある2つの隣接する下部電極を設けることが含まれている。2本の隣接するピラーはそれぞれ2つの隣接する下部電極の一方の上方にあり、2本の隣接するピラーの各ピラーはメモリ・デバイス用の材料のスタックから構成されている。スペーサは2本の隣接するピラーの各々の垂直側面の周囲にある。誘電体材料は、2本の隣接するピラーの各々の垂直側面の周囲のスペーサに接し、2つの隣接する下部電極間の絶縁材料層上にある。その誘電体材料は、2本の隣接するピラー間のギャップの少なくとも第1の部分を充填する。低k材料は、誘電体材料と絶縁材料の層の露出部分とを覆っている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造体であって、
第1の誘電体材料の層内にあり、メタル層の上方にある2つの隣接する下部電極と、
前記2つの隣接する下部電極の一方の上に各々存在する2本の隣接するピラーであって、前記2本の隣接するピラーの各ピラーがメモリ・デバイス用材料のスタックから構成される、前記2本の隣接するピラーと、
前記2本の隣接するピラーの各々の垂直側面の周囲のスペーサと、
前記2本の隣接するピラーの各々の垂直側面の周囲の前記スペーサに接し、前記2つの隣接する下部電極間の前記第1の誘電体材料の前記層上にあり、前記2本の隣接するピラー間のギャップの少なくとも第1の部分を充填する第2の誘電体材料と、
前記第2の誘電体材料および前記第1の誘電体材料の前記層の露出部分を覆う低k材料と
を備える半導体構造体。
【請求項2】
前記低k材料中の前記2本の隣接するピラーの各々の最上部上に上部電極をさらに備える、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項3】
前記2本の隣接するピラーの各々が、磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ・デバイス用材料のスタックから構成される、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項4】
前記第2の誘電体材料を覆う前記低k材料が、前記2本の隣接するピラー間の前記ギャップの第2の部分を充填する、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項5】
前記第2の誘電体材料を覆う前記低k材料が、前記2本の隣接するピラーの各々の最上部上の前記上部電極間においてボイドフリーである、請求項2に記載の半導体構造体。
【請求項6】
前記第2の誘電体材料がボイドフリーである、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項7】
前記2本の隣接するピラー間の前記ギャップの前記第2の部分が、前記2本の隣接するピラー間の前記ギャップの前記少なくとも前記第1の部分よりもはるかに小さい、請求項4に記載の半導体構造体。
【請求項8】
前記2本の隣接するピラー間の前記ギャップの前記少なくとも前記第1の部分が、前記第1の誘電体材料の前記層の最上部から前記2本の隣接するピラー中のハードマスクの一部まで延在する、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項9】
前記2本の隣接するピラー間の前記ギャップの前記第2の部分が、前記2本の隣接するピラー間の前記第2の誘電体材料の最上部表面の最低点から、前記2本の隣接するピラー中のハードマスクの最上部まで延在する、請求項4に記載の半導体構造体。
【請求項10】
前記メモリ・デバイス用材料の前記スタックから構成される前記2本の隣接するピラーが、抵抗変化型ランダム・アクセス・メモリ・デバイスを形成するための2本の垂直構造体である、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項11】
前記第2の誘電体材料が、前記低k材料のギャップ・フィル能力と比較して改善されたギャップ・フィル能力を与える、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項12】
前記2本の隣接するピラー間の前記ギャップの前記少なくとも前記第1の部分を充填する前記第2の誘電体材料が、前記2本の隣接するピラーの各々の前記垂直側面の周囲の前記スペーサの各スペーサ間のギャップを充填する前記第2の誘電体材料をさらに備える、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項13】
前記第1の誘電体材料の前記層内にあり、前記メタル層の上方にある前記2つの隣接する下部電極が、複数の下部電極のマトリクス中にある、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項14】
前記第2の誘電体材料が、酸化物材料、窒化物材料、またはスピンオングラスのうちの1つである、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項15】
半導体構造体であって、
第1の誘電体材料の層内にあり、メタル層の上方にある2つの隣接する下部電極と、
前記2つの隣接する下部電極の一方の上方に各々存在する2本の隣接するピラーであって、前記2本の隣接するピラーの各ピラーが、メモリ・デバイス用材料のスタックから構成される、前記2本の隣接するピラーと、
2つのスペーサであって、各スペーサが前記2本の隣接するピラーの1本の周囲にある、前記2つのスペーサと、
前記2つのスペーサの各々を覆い、前記2本の隣接するピラー間のギャップの第1の部分を充填する第2の誘電体材料と、
材料の前記スタックの下半分または前記2つの下部電極のうちの1つまたは複数に隣接する前記第2の誘電体材料中のボイドと、
前記2本の隣接するピラー上の2つの上部電極と、
前記第2の誘電体材料に接し、前記2つの上部電極を囲み、前記第1の誘電体材料の前記層の露出部分上にある低k誘電体材料と
を備える半導体構造体。
【請求項16】
前記低k誘電体材料がボイドフリーである、請求項15に記載の半導体構造体。
【請求項17】
前記第2の誘電体材料中の前記ボイドが前記2つの上部電極に隣接していない、請求項15に記載の半導体構造体。
【請求項18】
少なくとも狭ピッチの2つの隣接するメモリ・デバイスを形成する方法であって、前記方法は、
第1の誘電体層の少なくとも2つの隣接する下部電極上に、少なくとも2つの垂直メモリ構造体を形成することと、
前記少なくとも2つの垂直メモリ構造体の各垂直メモリ構造体に接してスペーサを形成することと、
前記少なくとも2つの垂直メモリ構造体および前記第1の誘電体層の上を覆うように第2の誘電体材料を堆積させることと、
前記第2の誘電体材料のエッチングを実行することであって、前記エッチングが、前記少なくとも2つの垂直メモリ構造体の各垂直メモリ構造体に接する前記スペーサの垂直側面上と、前記少なくとも2つの下部電極間の前記第1の誘電体層上とに前記第2の誘電体材料を残存させる、前記エッチングを実行することと、
前記第2の誘電体材料上を覆うようにおよび前記第1の誘電体層の露出部分上に低k誘電体材料を堆積させることと、
前記少なくとも2つの垂直メモリ構造体の各垂直メモリ構造体上に上部電極を形成することと
を含む方法。
【請求項19】
前記少なくとも2つの垂直メモリ構造体および前記第1の誘電体層の上を覆うように前記第2の誘電体材料を堆積させることが、プラズマ強化化学気相堆積、物理気相堆積、化学気相堆積、スピンオン酸化物、またはスピンオンガラス堆積のうちの1つを用いることを含み、前記第2の誘電体材料が、酸化物材料、スピンオンガラス材料、シラン材料、またはテトラエトキシシラン材料のうちの1である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の誘電体材料の前記エッチングを実行することが、フォトリソグラフィと反応性イオン・エッチングとを用いることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の誘電体材料上を覆うようにおよび前記第1の誘電体層の前記露出部分上に前記低k誘電体材料を堆積させることにより、各上部電極間にボイドフリーのギャップ・フィルが与えられる、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも2つの垂直メモリ構造体の各垂直メモリ構造体が磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ・デバイス用のピラーである、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも狭ピッチの2つの隣接するメモリ・デバイスを形成する方法であって、前記方法は、
第1の誘電体材料の少なくとも2つの下部電極上に少なくとも2本のピラーを形成することであって、各ピラーが磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ・デバイス用である、前記少なくとも2本のピラーを形成することと、
前記少なくとも2つの下部電極上の前記少なくとも2本のピラーの各ピラー上を覆うようにスペーサを形成することと、
前記少なくとも2つの下部電極上の前記少なくとも2本のピラーおよび前記第1の誘電体材料の露出表面の上を覆うように流動性誘電体材料を堆積させることと、
前記流動性誘電体材料を硬化させることと、
前記流動性誘電体材料上に化学機械研磨を実行することと、
前記流動性誘電体材料をパターニングすることと、
前記流動性誘電体材料をエッチングすることであって、前記エッチング後、前記少なくとも2本のピラーの各ピラー上を覆う前記スペーサの間にある前記流動性誘電体材料の一部と、前記スペーサに隣接する前記流動性誘電体材料の小部分とが残る、前記流動性誘電体材料をエッチングすることと、
前記少なくとも2本のピラーの各ピラー上に上部電極を形成することと
を含む方法。
【請求項24】
前記流動性誘電体材料を堆積させることが、スピンオンプロセスまたは流動性化学気相堆積のいずれかを用いることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
半導体構造体であって、
第1の誘電体材料の層内にあり、メタル層の上方にある2つの隣接する下部電極と、
前記2つの隣接する下部電極の一方の上に各々存在する2本の隣接するピラーであって、前記2本の隣接するピラーの各ピラーはメモリ・デバイス用の材料のスタックから構成される、前記2本の隣接するピラーと、
前記2本の隣接するピラーの各々の垂直側面の周囲のスペーサ材料の層および前記誘電体材料の表面上の前記スペーサ材料の前記層のより薄い部分と、
前記2本の隣接するピラーの各々の垂直側面の周囲の前記スペーサに接し、前記2本の隣接するピラー間の前記第1の誘電体材料の表面上の前記スペーサ材料の前記より薄い部分上にある第2の誘電体材料であって、前記第2の誘電体材料が前記2本の隣接するピラー間のギャップの少なくとも第1の部分を充填する、前記第2の誘電体材料と、
前記第2の誘電体材料と、前記第1の誘電体材料の露出表面上の前記スペーサ材料の前記層の前記より薄い部分の露出部分とを覆う低k材料と、
前記低k材料中の前記2本の隣接するピラーの各々の最上部上の上部電極と
を備える半導体構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に半導体デバイス製造の分野に関し、より詳細には高密度メモリ・デバイス構造体の形成に関する。
【背景技術】
【0002】
より多くのデバイス回路とより速い処理速度の両方を必要とするコンピューティング機能の拡大が、コンピュータ・システムとアプリケーションのために続けられている。特に、ディープ・ニューラル・ネットワークを使用することは、多くの最終用途コンピュータ・アプリケーションにおいて普及しつつある。ディープ・ニューラル・ネットワークは、人工知能(AI:artificial intelligence)アプリケーションにおいて典型的に使用される。ディープ・ニューラル・ネットワークのトレーニングは、ディープ・ニューラル・ネットワークを用いてAIを実行するコンピュータ・システムのメモリ・システムに大きな負担を課す。
【0003】
高性能メモリ・システムの需要の高まりにより、メモリ・チップ内の新しい高度なメモリ・デバイスの開発が継続的に進められている。高度なメモリ・デバイスの開発には、磁気ドメインにデータを保存する不揮発性ランダム・アクセス・メモリの一種である磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM:magnetoresistive random-access memory)と、誘電性固体材料の両端抵抗を変化させることによって動作する抵抗変化型ランダム・アクセス・メモリ(RRAM(R)またはReRAM)と、電気的特性が大きく異なる結晶状態とアモルファス状態の少なくとも2つの固相を通常有する相変化材料を用いる相変化ランダム・アクセス・メモリ(PCRAM(phase change random-access memory)またはPCM(phase change memory))とが含まれる。
【0004】
現在のコンピュータ・アプリケーションにおける高性能メモリ・システムの需要により、メモリ・チップ内のメモリ・デバイスの高密度化が進められている。ピッチ、すなわちメモリ・デバイス間の間隔を狭めることにより、メモリ・チップ内の利用可能なメモリ・デバイスの数が増えると同時に、メモリ・デバイス間の距離が縮まり、メモリ・チップの性能が向上する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態により、第1の誘電体材料の層内にあり、メタル層の上方にある2つの隣接する下部電極を含む半導体構造体が開示される。本半導体構造体は、2つの隣接する下部電極の一方の上方に各々存在する2本の隣接するピラーを含み、その2本の隣接するピラーの各ピラーはメモリ・デバイス用材料のスタックから構成される。加えて、本半導体構造体は、2本の隣接するピラーの各々の垂直側面の周囲のスペーサを含む。本半導体構造体は、2本の隣接するピラーの各々の垂直側面の周囲のスペーサに接し、2つの隣接する下部電極間の第1の誘電体材料の層上にある第2の誘電体材料を含み、その第2の誘電体材料は2本の隣接するピラー間のギャップの少なくとも第1の部分を充填する。本半導体構造体は、酸化物材料および第1の誘電体材料の層の露出部分を覆う低k(low-k)材料を含む。
【0006】
本発明の実施形態により、第1の誘電体材料の層内にあり、メタル層の上方にある2つの隣接する下部電極を含む半導体構造体が開示される。本半導体構造体は、2つの隣接する下部電極の一方の上方に各々存在する2本の隣接するピラーを含み、その2本の隣接するピラーの各ピラーはメモリ・デバイス用材料のスタックから構成される。加えて、本半導体構造体は2つのスペーサを含み、各スペーサは2本の隣接するピラーのうちの1本の周囲に存在する。本半導体構造体は、2つのスペーサの各々を覆い、2本の隣接するピラー間のギャップの第1の部分を充填する第2の誘電体材料を含む。本半導体構造体は、材料のスタックの下部分のうちの1つまたは複数あるいは2つの下部電極に隣接する第2の誘電体材料中にボイドを含む。本半導体構造体は、2本の隣接するピラー上の2つの上部電極と、酸化物材料に接し、2つの上部電極を取り囲み、第1の誘電体材料の層の第2の誘電体材料に隣接する露出部分の上にある低k誘電体材料とをさらに含む。
【0007】
本発明の実施形態により、第1の誘電体材料の層内にあり、メタル層の上方にある2つの隣接する下部電極を含む半導体構造体が開示される。本半導体構造体は、2つの隣接する下部電極の一方の上に各々存在する2本の隣接するピラーを含み、2本の隣接するピラーの各ピラーは、メモリ・デバイス用材料のスタックから構成される。本半導体構造体は、2本の隣接するピラーの各々の垂直側面の周囲のスペーサ材料の層と、第1の誘電体材料の表面上にあるスペーサ材料の層のより薄い部分とを含む。本半導体構造体は、2本の隣接するピラーの各々の垂直側面の周囲のスペーサに接し、第1の誘電体材料の表面上にあるスペーサ材料のより薄い部分の上にあって、2本の隣接するピラー間のギャップの少なくとも第1の部分を充填する第2の誘電体材料を含む。加えて、本半導体構造体は、第2の誘電体材料と、第1の誘電体材料の表面上にあるスペーサ材料の層のより薄い部分の露出部分とを覆う低k材料、およびその低k誘電体材料中にある2本の隣接するピラーの各々の最上部上の上部電極を含む。
【0008】
本発明の実施形態により、狭ピッチの半導体デバイスの垂直構造体の間のギャップ・フィルのための第2の誘電体材料を用いて狭ピッチのメモリ・デバイスを形成する方法が提供される。本方法は、第1の誘電体層内にある少なくとも2つの隣接する下部電極上に、少なくとも2つの垂直メモリ構造体を形成することを含み、その少なくとも2つの垂直メモリ構造体の各垂直メモリ構造体は磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ・デバイス用ピラーである。本方法は、各垂直メモリ構造体に接してスペーサを形成することと、少なくとも2つの垂直メモリ構造体および第1の誘電体層の上を覆うように第2の誘電体材料を堆積させることとを含む。本方法は第2の誘電体材料のエッチングを実行することを含み、そのエッチングは、各垂直メモリ構造体に接するスペーサの垂直側面上に、および少なくとも2つの下部電極間の第1の誘電体層上に第2の誘電体材料を残存させるものである。本方法は、第2の誘電体材料上を覆うようにおよび第1の誘電体層の露出部分の上に低k誘電体材料を堆積させることと、磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ・デバイスの各ピラー上に上部電極を形成することとを含む。
【0009】
本発明の様々な実施形態の上記および他の態様、特徴、および利点は、添付の図面と併用される以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による、レベル間誘電体(ILD:interlevel dielectric)中にパーソナライズされた(personalized)メタル層をもつ半導体構造体の断面図を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による、誘電体層を堆積させた後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による、金属ライナー付きの下部電極を形成した後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図4】本発明の一実施形態による、磁気トンネル接合(MTJ:magnetic tunnel junction)用材料層のスタックおよびハードマスク層を堆積させた後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による、光学的平坦化層(OPL:optical planarization layer)を堆積させた後の、パーソナライズされたレジストの付いた反射防止(AR:anti-reflection)コーティングで覆われた半導体構造体の断面図を示す図である。
図6】本発明の一実施形態による、エッチング・プロセス後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図7】本発明の一実施形態による、誘電体スペーサ材料を堆積させた後の半導体構造体の断面図である。
図8】本発明の一実施形態による、スペーサ形成後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図9】本発明の一実施形態による、酸化物材料の層を堆積させた後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図10】本発明の一実施形態による、酸化物材料をエッチングした後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図11】本発明の一実施形態による、低k誘電体材料を堆積させた後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図12】本発明の一実施形態による、上部電極を形成した後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図13】本発明の一実施形態による、酸化物中にボイドをもつ半導体構造体の断面図を示す図である。
図14】本発明の別の実施形態による、スペーサ材料の層をエッチングしてスペーサを形成した後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図15】本発明の一実施形態による、酸化物材料を堆積させた後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図16】本発明の一実施形態による、酸化物材料の一部をエッチングした後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図17】本発明の一実施形態による、低k誘電体材料を堆積させた後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図18】本発明の一実施形態による、上部電極を形成した後の半導体構造体の断面図を示す図である。
図19】本発明の一実施形態による、酸化物材料中にボイドをもつ半導体構造体の断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態では、人工知能のコンピュータ・アプリケーションには、高い機能をもつメモリ・システムが必要であると認識されている。本発明の実施形態では、メモリ・システムの機能性が高められると、いくつかの高度なメモリ・デバイス構造体を含む半導体デバイスのさらなる高度化が継続されると認識されている。
【0012】
本発明の実施形態では、メモリ・システムの高い機能性を実現することにより、高度なメモリ・デバイス構造体の開発が進められるだけでなく、メモリ・デバイスの高密度化が継続的に進められると認識されている。本発明の実施形態では、コンピュータ・アプリケーションの性能向上、特にディープ・ニューラル・ネットワークの性能向上に注力するには、より高い機能性のメモリ・システムを提供するための、より高度なメモリ・デバイスとより狭いメモリ・デバイス間ピッチが必要であると認識されている。
【0013】
本発明の実施形態では、先端の14nmおよび将来の7nmの半導体デバイス技術を用いて高密度に集積された高度なメモリ・デバイスを開発すると、半導体プロセスの課題が増えると認識されている。半導体のプロセスや材料に関する課題は、高度なメモリ・デバイスが狭ピッチのアレイを形成する場合、特に顕著となる。本発明の実施形態では、狭ピッチの高度なメモリ・デバイス中の垂直構造体間に生じるリセスを充填する能力がますます困難なものになりつつあると認識されている。
【0014】
本発明の実施形態では、MRAMピラーとしても知られる磁気トンネル接合(MTJ)ピラーなどの高度な不揮発性メモリ・デバイス中の垂直構造体が非常に高密度になり、稠密に集積されると、垂直構造体間のリセスまたはギャップの充填が不完全になり得ると認識されている。狭ピッチのメモリ・デバイス間のギャップの充填が不完全であると、メモリ・デバイスの垂直構造体間に、処理薬品を取り込み、または上部電極間の短絡を引き起こし得るシームやボイドが生じる。加えて、高度なメモリ・デバイスでは、垂直構造体すなわちピラーの間に生じるシームやボイドは、メモリ・デバイスの垂直構造体間のギャップを充填するために用いられる誘電体材料の絶縁破壊強度を低下させる。本発明の実施形態では、高度なメモリ・デバイスの狭ピッチの垂直構造体間のギャップやリセスを充填する能力を与える新しい材料およびプロセスが望ましいと認識されている。
【0015】
本発明の実施形態により、狭ピッチの高度なメモリ・デバイスの垂直構造体間の効果的なギャップ・フィルで高密度に集積されたメモリ・デバイスを形成する半導体構造体および方法が提供される。本発明の実施形態により、高度なメモリ・デバイスのアレイ中の垂直構造体間の基本的にボイドフリーの誘電体フィルで狭ピッチの高度なメモリ・デバイスを作製するためのいくつかの方法および材料が提供される。本発明の実施形態により、MRAMピラー間の基本的にボイドフリーのギャップ・フィルで狭ピッチのMRAMデバイスを形成するためのいくつかの方法が開示されるとともに、本発明の実施形態により、RRAMやPCRAMデバイスなどの他の高度なメモリ・デバイスに適用される方法および材料も提供される。
【0016】
本発明の実施形態により、隣接するMRAMピラー間のギャップなど、高度なメモリ・デバイス中の垂直構造体間のギャップを充填するために酸化物材料またはスピンオンガラスなどの誘電体材料を用いる、高度なメモリ・デバイスのための半導体構造体が提供される。本発明の実施形態では、MRAMピラー間に一般的に堆積される低k材料よりも優れたコンフォーマリティすなわちギャップ・フィルのために、狭ピッチのMRAMピラー間に様々な酸化物材料などの誘電体材料が用いられる。
【0017】
本発明の実施形態では、誘電体材料がMRAMピラー間のギャップを充填して、近接したピッチのMRAMデバイス中の上部電極間またはビットライン間のボイドやシーム形成を防止する半導体構造体が提供される。加えて、本発明の実施形態は、電気的性能を向上させるために、半導体チップのメモリ領域の上部電極やビットライン間およびロジック領域に低k誘電体を堆積させることを含む。半導体チップの、半導体構造体のロジック領域中、およびメモリ領域中の上部電極やビットライン間の低k誘電体材料は、同様の厚さの、誘電率のより高い、堆積された酸化物材料または他の誘電体材料よりも優れたスイッチング速度を実現し、寄生容量を低減する。
【0018】
メモリ・デバイスの狭ピッチの垂直構造体すなわちピラー間のリセスを充填するために、ギャップ・フィルが改善された酸化物材料などの誘電体材料を使用すると、上部電極やビットライン間の低k誘電体の充填のアスペクト比すなわち深さを小さくする。現在用いられている低k誘電体材料よりも優れたギャップ・フィルの誘電体材料を用いる本発明の実施形態により、MRAMデバイスのピラー間に基本的にボイドフリーのギャップ・フィルが与えられる。
【0019】
本発明の実施形態には、MRAMデバイスのMRAMピラーなどの垂直構造体間の空間を充填し、半導体チップのメモリ領域中のメモリ・デバイスの上部電極領域に基本的にボイドフリーの半導体構造体を形成する誘電体材料堆積を可能にする材料およびプロセスが含まれる。さらに、本発明の材料およびプロセスを用いて、垂直構造体またはMRAMピラー間のギャップまたはリセスに小さいボイドが形成される場合、そのボイドは上部電極またはビットラインから離れたギャップのより低い部分に形成される。本発明の実施形態には、MRAMピラー間のギャップをピンチオフすることができる材料および堆積プロセスを提供することが含まれる。本発明の実施形態では、誘電体材料の堆積中にギャップのピンチオフされる部分は、隣接するMRAMピラー間のギャップの最上部分に発生する。このようにして、MRAMピラー間の半導体構造体中に小さなボイドが形成されても、そのボイドが上部電極を短絡させることにはならない。
【0020】
本発明の実施形態により、MRAMピラー間の低k誘電体材料の充填高さが低減された組み込みメモリ・デバイスが提供される。低k材料を堆積させる前に、より優れたギャップ・フィルをもつ酸化物材料を堆積させることによって、MRAMピラー間のギャップを充填するために必要な低k材料は少なくなる。誘電体材料は、メモリ・デバイスの垂直構造体間のギャップのほとんどまたはすべてを充填して、低k誘電体材料のギャップ・フィルのアスペクト比を小さくする(例えば、低k誘電体によって充填されるギャップの高さを低くする)。低k誘電体材料のギャップ・フィルのアスペクト比とは、低k誘電体材料の充填高さを、下部電極周囲の誘電体材料の最上部表面から上部電極の底面まで測ったMRAMピラーの高さで割ったものである。
【0021】
本発明の実施形態により、隣接する高度なメモリ・デバイスの上部電極領域中にボイドを生じることなく、狭ピッチの高度なメモリ・デバイスを形成する方法が提供される。本方法は、狭ピッチのMRAMデバイスに関して説明されるが、本方法は、RRAMデバイス、PCRAMデバイスなどの他の高度なメモリ・デバイスに適用され得る。本方法は、ILD中に下部メタル層の埋め込み部分をもつILD層の露出部分の上にキャップとして誘電体層を堆積させることを含む。誘電体キャップ層および下部メタル層は半導体基板の上方にあり、1つまたは複数の半導体デバイスの上方にあり得る。そのメタル層は、M0層、M1層、あるいは半導体構造体の中間工程(MOL:middle of the line)中の、または半導体構造体の配線工程(BEOL:back end of line)中の一層であり得る。本発明の実施形態では、MRAMデバイスの下部電極を形成することにより、少なくとも2つの隣接する狭ピッチのMRAMデバイスが形成される。下部電極の形成には、誘電体キャップ層をパターニングすることと、誘電体キャップ層をエッチングして下部メタル層の一部を露出させることが含まれる。金属ライナー材料は、誘電体キャップ層のリセス中および露出したメタル層上に堆積され得る。プラズマ気相堆積や化学気相堆積などの堆積プロセスを用いて、リセス中の金属ライナーの上を覆うように電極材料の層が堆積される。化学機械研磨(chemical mechanical polish)が誘電体キャップ層の最上部表面から余分な電極材料を除去して、下部メタル層(例えばM1)上に2つ以上の狭ピッチの下部電極を形成する。
【0022】
本方法は、材料層のスタックを堆積させて、ハードマスク材料の層を用いてMRAMデバイス用の磁気トンネル接合(MTJ)を形成することを含む。MTJの材料層のスタックはハードマスクで覆われている。MTJの材料層のスタックは、下部電極をもつ誘電体キャップ層上を覆うように堆積される。
【0023】
知られているMRAMピラー形成プロセスを用いて、エッチングによって、MTJのための材料層のスタック、ハードマスク、および誘電体キャップ層の最上部分の一部が除去される。そのエッチング後、例えば、フォトリソグラフィおよび反応性イオン・エッチングを用いて、材料層のスタックおよびハードマスクの残りの垂直部分によって、MRAMピラーが下部電極上に形成される。下部電極を囲む金属ライナーの最上部分は露出し、下部電極の下部分を囲む金属ライナーの下部分は誘電体キャップ層の残存部分で囲まれている。
【0024】
ハードマスク、材料層のスタック、下部電極の周囲の金属ライナーの最上部分の残りの露出部分、および誘電体キャップ層の最上部表面の上を覆うようにスペーサ材料の層を堆積させ、自己整合プロセス(例えば、反応性イオン・エッチング)を用いた後、下部電極上のMRAMピラーの各々の周囲にスペーサが形成される。本発明の実施形態では、MRAMピラーは、ハードマスクをもつ材料層のスタックから構成される。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、部分的スペーサが自己整合スペーサ形成プロセスを用いて形成される。部分的スペーサとは、異方性エッチングすなわち反応性イオン・エッチングが、半導体構造体の水平表面からスペーサ材料を完全には除去しないスペーサのことであり得る。これらの実施形態では、誘電体キャップ層およびハードマスク材料の露出した水平表面上にスペーサ材料の薄い一部が残る。
【0026】
本発明の実施形態により、半導体構造体上を覆うように第2の誘電体材料を堆積させるいくつかの方法が提供される。第2の誘電体材料は、酸化シリコン、スピンオン酸化物、窒化物であり得、あるいはスピンオンガラスなどの別の絶縁材料が堆積され得る。この堆積は、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD:plasma-enhanced chemical vapor deposition)、物理気相堆積(PVD:physical vapor deposition)、原子層堆積(atomic layer deposition)、スピンオンプロセス、または流動性酸化物材料の使用によって行われ得るが、これらに限定されない。誘電体材料のこれらの堆積方法を用いることにより、MRAMピラー間に、第2の誘電体材料のボイドフリーの堆積、または場合によってはほぼボイドフリーの堆積が与えられ得る。これらの堆積方法のいずれかを用いて、第2の誘電体材料中の狭ピッチの隣接するMRAMピラー間に小さいボイドが形成される場合、その小さいボイドは、MRAMピラーのより低い部分またはMRAMピラー中のハードマスクのより低い部分より低い位置に発生する。この方法は、誘電体キャップ層上を覆う第2の誘電体材料の、隣接する狭ピッチのMRAMピラーの間ではない部分を除去することをさらに含む。堆積プロセスに適合するように調整された誘電体除去プロセスを用いて、除去プロセスすなわちエッチング・プロセスは、MRAMピラー間には第2の誘電体材料の大部分を残しながら、隣接するMRAMピラー間にはない第2の誘電体材料を除去する。PECVD、PVD、CVD、原子層堆積(ALD)、またはスピンオンプロセスによって堆積された誘電体材料に対して、異方性エッチング・プロセスとしての反応性イオン・エッチング(RIE)などの自己整合プロセスを用いて、第2の誘電体材料は除去され得る(例えば、誘電体キャップ層の露出した水平表面上方の第2の誘電体材料が除去され得る)。狭ピッチのMRAMピラー間の誘電体材料の最上部分のみが除去される。MRAMピラー間に空間がない、または空間が小さいため、異方性エッチングはMRAMピラー間の誘電体材料をほとんど除去しない。異方性エッチング後、MRAMピラー間には第2の誘電体材料の大部分が残る。第2の誘電体材料は、MRAMピラー中のハードマスク材料の部分の間に残ることがある。
【0027】
本発明の実施形態により、半導体構造体上を覆うように低k誘電体材料を堆積させる方法が提供される。従来の電極形成プロセスを用いて、MRAMピラー中のハードマスク上の低k誘電体材料および半導体構造体のロジック領域の選択領域中の低k誘電体材料のエッチングが行われる。金属ライナーは、露出したハードマスク上を覆うように、および低k誘電体のエッチングによって形成されたリセスの内側に堆積される。導電性メタル層が、ハードマスク上のリセス中およびロジック領域に形成されたリセス中に堆積されて、MRAMピラー中のハードマスク上の1つまたは複数の上部電極およびロジック領域のラインまたはコンタクトをそれぞれ形成する。
【0028】
本構造体の実施形態により、隣接する狭ピッチのMRAMピラーの最上部分の間の領域を充填し、ロジック領域の結線またはデバイスを覆う低k誘電体材料が与えられる。本発明の実施形態に記載されたような方法のうちの1つおよび材料を用いて形成された狭ピッチの隣接するMRAMピラーを使用することにより、上部電極間または狭ピッチの高度なメモリ・デバイス(例えば、MRAM、RRAM、またはPCRAMデバイス)の上部電極およびビットラインの近傍におけるボイド形成が防止される。酸化物材料などの誘電体材料を改善されたコンフォーマルな堆積法で堆積させることにより、狭ピッチのメモリ・デバイスの垂直構造体間のギャップ・フィルが改善される。
【0029】
添付図面に関する以下の説明は、特許請求の範囲およびその均等物によって定義される本発明の例示的な実施形態の包括的な理解を支援するために与えられる。この説明は実施形態の理解を支援するために様々な具体的な詳細が記載されているが、これらは単なる例示に過ぎない。したがって、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態の様々な変更および改変を行うことができることを認識するであろう。示されているプロセス・ステップのいくつかは、統合されたプロセス・ステップとして組み合わされ得る。加えて、よく知られている機能や構成については、明快と簡潔のために説明を省略することがある。
【0030】
以下の説明および特許請求の範囲で使用される用語および単語は、文献的な意味に限定されるものではなく、本発明の、明確かつ一貫した理解を可能にするために使用されるに過ぎない。したがって、本発明の例示的な実施形態に関する以下の説明は、例示のみを目的として提供されるものであり、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される本発明を限定することを目的とするものではないことが、当業者には明らかであろう。
【0031】
単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上そうでなければならない場合を除き、複数の指示対象を含むことを理解されたい。したがって、例えば、「構成要素表面(a component surface)」への参照は、文脈上別段の指示がない限り、そのような表面のうちの1つまたは複数の参照を含む。
【0032】
以下の説明において、「上側の(upper)」、「下側の(lower)」、「右の(right)」、「左の(left)」、「垂直な(vertical)」、「水平な(horizontal)」、「上部/最上部(top)」、「下部(bottom)」、およびこれらの派生語などの用語は、図面内で方向付けされているとおりに、開示された構造体および方法に関するものとする。「上方に(above)」、「上に(overlying)」、「上に(atop)」、「最上部上に(on top)」、「上に配置された(positioned on)」または「最上部に配置された(positioned atop)」などの用語は、第1の構造体などの第1の要素が第2の構造体などの第2の要素上に存在し、界面構造などの介在要素が第1の要素と第2の要素との間に存在し得ることを意味する。「直接接触(direct contact)」または「接触(contact)」という用語は、第1の構造体などの第1の要素と第2の構造体などの第2の要素が、2つの要素の界面に中間導電層、絶縁層、または半導体層を介さずに接続されていることを意味する。
【0033】
本発明の実施形態の提示を不明瞭にしないために、以下の詳細な説明では、当技術分野で知られているいくつかの処理ステップまたは操作が、提示および例示の目的で組み合わされている場合があり、場合によっては具体的に説明されていないことがある。他の例では、当技術分野で知られているいくつかの処理ステップまたは操作は、全く説明されない場合がある。以下の説明は、むしろ本発明の様々な実施形態の特有の特徴または要素に焦点を合わせていることを理解されたい。
【0034】
特許請求される構造体および方法の詳細な実施形態を本明細書に開示する。以下に説明する方法ステップは、半導体チップ上に集積回路を製造するための完全なプロセス・フローを構成するものではない。本実施形態は、当技術分野で現在使用されている半導体チップおよびデバイスのための集積回路製造技術とともに実施することができ、一般的に実施されているプロセス・ステップのうち、記載された実施形態の理解に必要なものだけが含まれる。図は、製造中の半導体ウェーハなどの半導体チップまたは基板の断面部分を表しており、正確な比率ではなく、記載された実施形態の特徴を例示するために示されている。本明細書に開示する特定の構造的および機能的詳細は、限定的なものとして解釈されるべきでなく、単に、当業者が本開示の方法および構造体を様々に採用することを教示するための代表的な基本原理として解釈されるべきである。本明細書では、よく知られている特徴および技術の詳細は、提示された実施形態を不必要に不明瞭にすることを避けるために省略されることがある。
【0035】
本明細書における「ある実施形態」、「他の実施形態」、「別の実施形態」、「一実施形態」などへの参照は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを示すが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造、または特性を含むとは限らない。さらに、このような表現は必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して記載されている場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、または特性に影響を及ぼすことは当業者の知識の範囲内であると理解される。
【0036】
次に、本発明の実施形態を詳細に参照するが、その例は添付図面に示されており、同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指す。
【0037】
図1は、本発明の実施形態による、ILD8中にMx10がある半導体構造体100の断面図を示す。示されているように、図1には、金属ライナー9付きのMx10、ILD8、ロジック領域A、およびメモリ領域Bが含まれる。ロジック領域Aは、半導体構造体100の一部であり、1つまたは複数のロジック・デバイスが形成され得る場所または存在する場所を含んでいる。メモリ領域Bは、1つまたは複数のメモリ・デバイスを含む、または1つまたは複数のメモリ・デバイスが形成され得る半導体構造体100の一部を含んでいる。
【0038】
Mx10は、半導体構造体100におけるメタル層の一部である。Mx10は、半導体製造の基板工程(FEOL:front-end of the line)、中間工程(MOL)、または配線工程(BEOL)プロセスで形成されるメタル層の一部であり得る。例えば、Mx10は、M1メタル層の下部メタル層であり得る。別の例では、Mx10はM0メタル層にある。図1にはMx10の3つの部分が示されているが、本発明の実施形態はMx10のこの数に限定されない。Mx10は、半導体デバイス(図示せず)の一部または半導体基板(図示せず)の上方にあり得る。いくつかの例では、Mx10のメタルのうちの1つまたは複数は、下層の半導体デバイス(図示せず)に接続する。下層の半導体デバイスは、金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)デバイス、またはプレーナFET、FinFET、水平ゲートオールアラウンド(h-GAA:horizontal Gate-All-Around)FET、または垂直ゲートオールアラウンド(v-GAA:vertical Gate-All-Around)FETなどの様々なアーキテクチャに基づくCMOSデバイスであり得るが、これらの半導体デバイスに限定されない。いくつかの実施形態では、Mx10は、下部電極(例えば、誘電体層20によって部分的に囲まれ得る下部電極30)を形成するために用いられる。Mx10は、半導体チップのメタル層に使用されるタングステン(W)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)などの知られた金属材料から構成され得るが、これらに限定されない。
【0039】
図1に示されているように、Mx10は金属ライナー9に囲まれている。金属ライナー9は、純金属材料、金属窒化物材料、またはこれらの材料の1つまたは複数の層の組合せから構成され得る。例えば、金属ライナー9は、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、W、Co、またはRuなどの金属材料、あるいはチタン-窒素合金、タンタル-窒素合金、チタン-アルミニウム-窒素合金、またはタンタル-アルミニウム-窒素合金などの金属窒化物材料の1つまたは複数から構成され得る。金属ライナー9はこれらの素材に限定されない。一実施形態では、金属ライナー9は存在しない。
【0040】
ILD8は、半導体チップ製造においてILD材料として用いられる知られている誘電体材料から構成され得る。例えば、ILD8はSiOから構成されている。示されているように、ILD8は金属ライナー9付きのMx10の各々を囲み、分離している。
【0041】
図2は、本発明の実施形態による、誘電体層20を堆積させた後の半導体構造体200の断面図を示す。示されているように、図2には、ILD8、金属ライナー9、Mx10、および誘電体層20が含まれる。誘電体層20は、窒化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC)、またはSiCNなどの任意の絶縁材料であり得るが、これらの誘電体材料に限定されない。化学気相堆積(CVD)やプラズマ気相堆積(PVD)などの知られている誘電体材料堆積プロセスを用いて、誘電体層20は、キャップ誘電体層として、Mx10、金属ライナー9、およびILD8の最上部表面の上に堆積され得る。誘電体層20の厚さは20~500nmの範囲であり得るが、これらの厚さに限定されない。例えば、誘電体層20の典型的な厚さは55nmであり得る。
【0042】
図3は、本発明の実施形態による、金属ライナー39付きの下部電極30を形成した後の半導体構造体300の断面図を示す。示されているように、図3には、ILD8、金属ライナー9、Mx10、誘電体層20、金属ライナー39、および下部電極30が含まれる。図3は2つの隣接する下部電極30を含むが、他の実施形態では、2つ以上の隣接する下部電極30が存在し得る。例えば、下部電極30は、下部電極の4×4マトリクス中の2つの隣接する下部電極30であり得る。ある実施形態では、金属ライナー9と39のうちの一方または両方が存在しない。
【0043】
下部電極30は、メモリ・デバイスにおける電極形成のための知られている半導体プロセスおよび材料を用いて形成され得る。例えば、誘電体層20の最上部表面は知られているフォトリソグラフィ・プロセスを用いてパターニングされ得、例えばドライまたはウェット・エッチング・プロセスを使用して、誘電体層20のエッチングにより、Mx10の最上部分が露出される。金属ライナー39用に、Ta、Ti、W、Ru、または金属窒化物合金などの金属ライナー材料が、Mx10および誘電体層20の露出部分上に堆積され得るが、これらに限定されない。TaN、TiN、タングステン、またはこれらの材料の組合せなどの電極材料が、金属ライナー39上に堆積され得るが、これらに限定されない。誘電体層20をCMPストップとして用いて化学機械研磨(CMP)を行い、誘電体層20の最上部表面から余分な電極材料と金属ライナー材料を除去することができる。金属ライナー39および下部電極30は、誘電体層20のエッチング中に形成されたリセスの中に残る。下部電極30の電極材料は、銅(Cu)、窒化チタン(TiN)、Ti、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、炭化タングステン(WC)、タンタル(Ta)、TaN、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)などを含むが、これらに限定されない。下部電極30の形成後、金属ライナー39付きの2つの隣接する下部電極30間の典型的な間隔は7~800nmであり得るが、これらの間隔に限定されない。
【0044】
図4は、本発明の実施形態による、材料層のスタック41、ハードマスク(HM)42、および犠牲材料43を堆積させた後の半導体構造体400の断面図を示す。材料層のスタック41を用いて、MRAMデバイスの磁気トンネル接合(MTJ)を形成することができる。図4では、MRAMピラー中のMTJを形成する材料層のスタック41を説明するが、他の実施形態では、材料層のスタック41は、RRAM、PCRAM、DRAM、または他のタイプのメモリ・デバイス用の材料層のスタック41である。例えば、RRAM用の材料層のスタック41は、Tiバッファ層付きのHfO層、またはTaO層付きのTa層を含み得る。ここでxは整数である。別の例では、PCRAM用の材料層のスタック41は、1つもしくは複数の相変化材料、TiNなどのヒーター要素材料、または電極材料、あるいはその組合せの複数の層を含むことができる。
【0045】
材料層のスタック41が、誘電体層20、下部電極30、および金属ライナー39の露出部分の上にある場合、材料層のスタック41上にあるHM42上に犠牲材料43を堆積させることによって、後のMRAMピラー形成のための材料が与えられる。例えば、当業者に知られているように、MRAMピラー用の材料のスタック(例えば、材料層のスタック41用)における典型的な材料の例は、薄いスペーサ(例えば、タンタル、酸化アルミニウムなど)によって分離された複数の多層強磁性体膜を含む。図6に示されているように、図5および図6を参照して後述するプロセスを使用して、材料層のスタック41およびHM42により、MRAMピラーが形成され得る。一実施形態では、ペデスタル(図4には示されていない)が、誘電体層20の最上部上かつ材料層のスタック41の下に堆積される。例えば、ペデスタルは、金属、金属窒化物(例えば、TaN)、またはこれらの材料の組合せ(例えば、W、Ta、Ti、Nなどの組合せ)の層であり得る。
【0046】
HM42は、半導体デバイスに使用される任意のハードマスク材料であり得る。例えば、HM42は、金属(例えば、Al、W、Ta、Ti)、金属窒化物(例えば、WN、TaN、TiN)、またはこれらの材料の組合せであり得る。様々な実施形態において、犠牲材料43は材料層のスタック41上に堆積される。例えば、犠牲材料43は二酸化シリコンまたはアモルファス・カーボンであり得る。一実施形態では、犠牲材料43が存在しない。
【0047】
図5は、本発明の実施形態による、ARコーティング53で覆われたOPL52、およびパターニングされたレジスト54を堆積させた後の半導体構造体500の断面図を示す。示されているように、図5には、ILD8、金属ライナー9、Mx10、誘電体層20、下部電極30、金属ライナー39、材料層のスタック41、HM42、犠牲材料43、OPL52、ARコーティング53、およびパターニング後のレジスト54(例えば、フォトリソグラフィを用いてレジスト54をパターニングした後)が含まれる。レジスト54の2つの部分が下部電極30の上方のARコーティング53上に存在する。
【0048】
OPL52は、スピンオンカーボンまたは市販のOPL材料のうちの任意のものを使用することができる。OPL52は、知られているスピンオンプロセスを用いて、犠牲材料43(存在する場合)の最上部表面上またはHM42(犠牲材料43が存在しない場合)上に塗布され得る。
【0049】
様々な実施形態において、ARコーティング53はOPL52の上にある。ARコーティング53は、フォトリソグラフィ時に基板またはOPL52の表面からの反射に関連する像の歪みを低減するために、半導体製造において一般的に使用される材料の単層または複数の層から構成され得る。例えば、ARコーティング53は、スピンオン酸化物材料であり得るが、この材料または堆積方法に限定されない。
【0050】
レジスト54は、パーソナライズ(personalization)またはパターニング後のものが示されている。レジスト54の2つの部分は、2つの下部電極30の各々の上方のARコーティング53上に存在する。そのレジスト54の2つの部分は、メモリ・ピラーをパターニングすることすなわちMRAMピラー・パターニングに使用され得る。例えば、そのレジスト54の2つの部分は、エッチング・プロセスが2本のMRAMピラーを形成した後に、図6に残る材料層のスタック41の部分を決定する。
【0051】
図6は、本発明の実施形態による、材料層のスタック41およびHM42のエッチング後の半導体構造体600の断面図を示す。知られているMRAMピラー形成プロセスを用いて、材料層のスタック41およびHM42のエッチングにより、下部電極30上に2本のMRAMピラーが形成される。示されているように、図6には、ILD8、金属ライナー9、Mx10、誘電体層20の下部分、下部電極30、金属ライナー39、材料層のスタック41、およびHM42が含まれる。パターニングされたレジスト54およびエッチング・プロセス、例えば、反応性イオン・エッチング(RIE)、イオン・ビーム・エッチング(IBE:ion beam etch)、またはこれらのプロセスの組合せを用いて、ARコーティング53、OPL52、犠牲材料43、HM42、誘電体層20の最上部分、および材料層のスタック41の露出部分は除去され得る。エッチング後、HM42付きの材料層のスタック41の残る2つの部分は、下部電極30の各々の上方に、犠牲材料43、OPL52、ARコーティング53、およびレジスト54の残存部分と一緒に残る。RIE後の材料層のスタック41の残りの2つの部分の間の典型的な間隔は、7~800nmの範囲であり得るが、これらの間隔に限定されない。
【0052】
1つまたは複数の追加のエッチング・プロセスが、犠牲材料43、OPL52、ARコーティング53、およびレジスト54の残存部分を除去するために用いられ得る。例えば、適切な化学薬品によるウェット・エッチング・プロセスを用いると、犠牲材料43、OPL52、ARコーティング53、およびレジスト54の残存部分が除去される。いくつかの場合において、ウェット・エッチングでレジスト54を除去し、第2の異方性エッチング(例えば、RIE)で、HM42の最上部表面をエッチ・ストップとして用いて、ARコーティング53、OPL52、および犠牲材料43の残存部分を除去する。様々な実施形態において、誘電体層20の最上部分はエッチング時に除去される。誘電体層20の残りの下部分の厚さは、5~200nmの範囲であり得るが、これらの厚さに限定されない。例えば、誘電体層20の残りの下部分は、20nmから50nmの間であり得る。下部電極30上の材料層のスタック41およびHM42の残存部分によって、2本のMRAMピラーなどの2本のピラーが形成される。
【0053】
図7は、本発明の実施形態による、スペーサ材料77を堆積させた後の半導体構造体700の断面図を示す。示されているように、図7には、図6の要素およびスペーサ材料77が含まれる。CVD、PVD、電子ビームPVD、プラズマ強化CVD(PECVD)、またはALDなどのスペーサ材料堆積プロセスを用いて、スペーサ材料77の薄い層が半導体構造体700の上を覆うように堆積され得る。スペーサ材料77には、SiN、SiC、およびSiC(H)が含められ得るが、これらのスペーサ材料に限定されない。スペーサ材料77は、誘電体層20の露出面上、金属ライナー39の露出面の周囲、材料層のスタック41の側面上、ならびにHM42の側面および最上部表面上の半導体構造体700の上を覆うように堆積され得る。
【0054】
図8は、実施形態による、スペーサ材料77からスペーサを形成した後の半導体構造体800の断面図を示す。自己整合スペーサ形成プロセスを用いて、スペーサ材料77のエッチングによりスペーサが形成され得る。様々な実施形態において、例えばRIEを用いる異方性エッチングにより、誘電体層20およびHM42の水平面からスペーサ材料77が除去されて、金属ライナー39の最上部分の周囲、材料層のスタック41の側面の周囲、およびHM42の側面の周囲にスペーサが形成される。以下、図9図12では、スペーサ材料77をスペーサ77と呼ぶ。スペーサ77は2本のMRAMピラーを覆う。
【0055】
別の実施形態(図8には示されていない)では、スペーサの最上部分が誘電体層20とHM42の上の水平面から部分的に除去される。この代替実施形態については、図14図19に関して後に詳述する。
【0056】
図9は、本発明の実施形態による、酸化物90の層を堆積させた後の半導体構造体900の断面図を示す。示されているように、図9には、図8の要素および酸化物90が含まれる。酸化物90は、誘電体層20、スペーサ77、およびHM42の露出表面の上を覆うように堆積され得る。酸化物90は、酸化物を形成するための前駆体としてシラン(SiH)またはテトラエトキシシラン(TEOS:tetraethoxysilane)としても知られるテトラエチルオルソシリケート(tetraethyl orthosilicate)から製造される酸化シリコン(例えば、SiOまたはSiO)材料、SiCOH、流動性SiCOH、SOD(spin-on dielectric)、酸窒化物(SiON)または窒化物(SiN)などのPECVD「流動性」酸化物様材料、あるいは酸化物90用のスピンオンガラスなどの酸化物材料から構成され得るが、これらの誘電体材料に限定されない。酸化物90は、下部電極30の最上部分、スペーサ77、およびHM42から形成される2本のピラーの間の良好なギャップ・フィルを与える。当業者にはよく知られているように、TEOS、流動性SiCOH、SODなどの上記の材料は、MRAMデバイス半導体デバイス製造に典型的に用いられる低k誘電体材料よりも優れたコンフォーマリティまたはギャップ・フィルを与える。
【0057】
様々な実施形態において、酸化物90は、PECVD法、PVD法、CVD法、またはスピンオン法のうちの1つによって堆積される。PECVD法、PVD法、CVD法、またはスピンオン法のうちの1つを用いる酸化物90の堆積により、誘電体層20、スペーサ77、およびHM42が覆われる。示されているように、酸化物90の層はHM42の最上部表面より上方に延在する。
【0058】
いくつかの実施形態では、半導体構造体900上を覆うように酸化物90を堆積させると、スペーサ77によって覆われている2本のMRAMピラー間の領域がピンチオフされる。この堆積プロセスによってMRAMピラー間のギャップの最上部分がピンチオフされると、HM42に隣接する領域、特にHM42の最上部分に隣接する領域にはボイドが生じ得ない。いくつかの場合において、後に図10および図12に関して2本のMRAMピラー間のギャップ・フィルおよびHを説明する際、2本のMRAMピラーは、誘電体層20より上方の下部電極30の最上部分を含むとみなすことがある。
【0059】
狭ピッチMRAMデバイス、特に狭ピッチのメモリ・アレイを形成する場合、2本のMRAMピラー間の小さな空間またはリセスは、MRAM製造において隣接するMRAMピラー間のギャップ・フィルに典型的に用いられる低k誘電体よりも優れたギャップ・フィル能力を有する酸化物90を用いて充填され得る。示されているように、現在の低k誘電体材料よりも改善されたコンフォーマリティをもつ酸化物90は、2本のMRAMピラー間のギャップにボイドフリーの充填を与える(例えば、酸化物90は、2本のMRAMピラーに接するスペーサ77間のギャップまたは領域を充填する)。
【0060】
いくつかの実施形態では、酸化物90は流動性誘電体材料として堆積される。流動性CVD(FCVD:flowable CVD)堆積またはSODを用いて、酸化物90は誘電体層20、スペーサ77、およびHM42の上を覆うように堆積され得る。例えば、二酸化シリコンを流動性誘電体材料として用いる場合、酸化物90は半導体構造体900の最上部表面を覆う。様々な実施形態において、流動性プロセスを用いて堆積させた後、酸化物90の最上部表面はHM42の最上部表面より上方にあり、2本のMRAMピラー間のリセスを完全に充填する。堆積後、この流動性酸化物材料は、高温での紫外線(UV)硬化などの知られているプロセスを用いて硬化またはアニールされ得る。一実施形態では、流動性誘電体材料として酸化物90を堆積させることにより、材料層のスタック41の側面およびHM42の側面の一部を覆う酸化物90の層が得られる。例えば、流動性酸化物90は、HM42の垂直側面の75~95%に延在し得る。
【0061】
ある実施形態では、酸化物90中に小さいボイドが存在する(図13に示されている)。酸化物90中のボイドは、酸化物90の堆積中に、PECVDなどの堆積プロセスが、HM42または材料層のスタック41の上側部分の間の酸化物90の最上部分においてMRAMピラー間のギャップをピンチオフすると発生し得る。ボイドはMRAMピラー間のギャップのピンチオフ部分の下に生じ得、そこでは、酸化物90が、閉じられるギャップの下の領域を完全に充填する前にギャップをピンチオフ、すなわち閉じる。例えば、HM42に隣接しかつHM42より下方、または材料層のスタック41の最上部分より下方のギャップの部分は完全には充填されず、その結果、酸化物90中に小さいボイドが形成されることがある。同様に、流動性誘電体プロセスが用いられて酸化物90が堆積される場合、HM42や材料層のスタック41の間の酸化物90の最上部分は完全に充填すなわちブロックされ、小さいボイドは、ハードマスク42または材料層のスタック41の最上部分より下方に存在することになる。
【0062】
図10は、本発明の実施形態による、酸化物90をエッチングした後の半導体構造体1000の断面図を示す。示されているように、図10には、ILD8、金属ライナー9、Mx10、誘電体層20、金属ライナー39、下部電極30、材料層のスタック41、HM42、スペーサ77、およびスペーサ77を囲む酸化物90の残存部分が含まれる。図10は、後述のHおよびHも示す。いくつかの実施形態では、酸化物90が各スペーサ77を覆い、下部電極30の最上部分の周囲の金属ライナー39の最上部分の間のギャップ、およびHM42の周囲のスペーサ77の間のギャップのほぼすべてを充填する。これらの実施形態では、酸化物90は、下部電極30上に形成された2本のMRAMピラー間のギャップを充填する。酸化物90が2本のMRAMピラー間のギャップを充填する場合、エッチング・プロセス後、酸化物90の最上部表面はHM42の最上部表面と同じ高さになる。様々な実施形態において、スペーサ77間の酸化物90の最上部表面に小さなくぼみすなわちリセスが生じる(例えば、MRAMピラー上のHM42の最上部分に隣接するスペーサ77の間に示されるリセス)。一実施形態では、酸化物90のリセスは、材料層のスタック41の最上部分まで延びている。
【0063】
示されているように、Hは、誘電体層20の最上部とHM42の最上部との間の距離であり、Hは、MRAMピラー中のHM42間の酸化物90の表面の最下部とHM42の最上部との間の距離である。Hは、MRAMピラー間の充填されるべきギャップの距離または高さを表す。Hは、MRAMピラー間のギャップの距離または高さのうちの、酸化物90によって完全に充填されていない部分を表す。Hは、図11に関して説明される後のプロセス・ステップで低k誘電体が充填する必要があるギャップの深さを表す。MRAMデバイス用の低k誘電体材料は、コンフォーマリティが劣り、ギャップ・フィル特性が低いため、Hを小さくすることが望ましい。
【0064】
酸化物90がPECVD、PVD、またはCVDなどによって堆積される場合、エッチングまたはRIEなどの方向性エッチングによって、誘電体層20およびHM42の露出した水平面から酸化物90が除去される。この場合、誘電体層20およびHM42は、RIEプロセスのエッチ・ストップまたは終点であり得、スペーサ77間の酸化物90の表面に小さなくぼみが生じ得る。下部電極30上方のHM42と材料層のスタック41とに接しているスペーサ77はピッチが狭い(例えば、MRAMピラー間のピッチが狭い)ので、誘電体層20より上方の下部電極30の最上部分の間の、誘電体層20の上方にある酸化物90のその部分(例えば、材料層スタック41とHM42とで形成されるMRAMピラー間の酸化物90の部分)は、エッチング(例えば、RIE)によって除去されない。場合によっては、図10に示されているように、HM42の最上部分に接しているスペーサ77の間の酸化物90の小さな最上部分は除去され得る。示されているように、MRAMピラー中のHM42に接しているスペーサ77間の酸化物90の表面にわずかなくぼみが生じることがある。そのくぼみがわずかであると、Hの値すなわち距離が小さくなる。図10に示されているように、酸化物90はスペーサ77上を覆い、RIEエッチング後、酸化物90のスペーサ77に接して残る部分は、HM42の少なくとも下部分または下半分に隣接している。
【0065】
一実施形態では、異方性エッチングの前に、酸化物90の最上部表面に対してHM42をCMPストップとして用いるCMPとパターニングとが行われる。例えば、CMP後に、フォトリソグラフィを用いて酸化物90の最上部表面がパターニングされ(例えば、2本のMRAMピラー間の酸化物90がレジストで保護される)、RIEにより、誘電体層20およびHM42の露出した水平面から酸化物90が除去され得る。この場合、誘電体層20およびHM42は、RIEプロセスのエッチ・ストップまたは終点であり得、パターニングされたレジストにより、HM42の各々に接するスペーサ77間の酸化物90が保護される。この例では、パターニングし、エッチングし、残存レジストを除去した後は、酸化物90の表面は基本的に平坦である(例えば、MRAMピラー間にくぼみがない)。
【0066】
他の実施形態では、酸化物90が流動性誘電体材料として(例えば、SODによって)堆積される場合、CMPが行われ、続いて酸化物90のパターニングおよび酸化物90のエッチング・プロセスが行われる。この例では、HM42がCMPストップとして機能する。CMPにより酸化物90の最上部表面が平坦化された後、これらの実施形態では、フォトリソグラフィ・パターニング・プロセスのためにレジストが堆積され得る。フォトリソグラフィ・パターニング・プロセスによって、酸化物90の、MRAMピラーの間ではない部分またはMRAMピラーに接するスペーサ77に直接隣接していない部分が露出される。フォトリソグラフィのパターニング後、続いてウェットまたはドライエッチング・プロセスが行われ、それによって酸化物90の露出部分が除去され得る。パターニングおよびエッチング・プロセスの後、酸化物90は、スペーサ77の側面に接し、かつ下部電極30に接する金属ライナー39間の誘電体層20の上方と、材料層のスタック41の側面上と、HM42の側面上に残る(例えば、MRAMピラー間およびスペーサ77に隣接する誘電体層20の一部の上に残る)。このようにして、酸化物90が流動性酸化物材料として堆積される場合(例えば、SODまたはFCVDを用いて)、フォトリソグラフィのパターニングおよび酸化物90のエッチングを用いると、MRAMピラー中のHM42やスペーサ77の間の酸化物90上に平坦な表面または比較的平坦な表面が残される。SODまたはFCVDを用いて成膜された酸化物90は良好なコンフォーマリティを有し、基本的にボイドを形成することなく狭ピッチのMRAMピラー間のギャップを充填するので、MRAMピラー間のギャップを充填する他のギャップ・フィルはほとんどまたは全く必要ない。この例ではHは小さい。例えば、Hは数nmから15nmの範囲である。
【0067】
図11は、本発明の実施形態による、低k誘電体材料111を堆積させた後の半導体構造体1100の断面図を示す。示されているように、図11には、図10の要素、ならびに誘電体層20、酸化物90、およびハードマスク42の露出表面の上を覆うように堆積された低k誘電体材料111が含まれる。低k誘電体材料111の層はハードマスク42の最上部表面より上方に延在する。示されているように、低k誘電体材料111にはボイドがない。様々な実施形態において、低k誘電体材料111は、MRAMピラー間の酸化物90の小さなリセスまたはくぼみを充填する。酸化物90の小さなくぼみは、MRAMピラーの最上部分に隣接し得る(例えば、HM42に隣接する)。CVDまたはPVDなどの知られている堆積プロセスを用いて低k誘電体材料111を堆積させた後、CMPにより、ハードマスク42を露出させることなく低k誘電体材料111の最上部表面が平坦化され得る。
【0068】
図12は、本発明の実施形態による上部電極120を形成した後の半導体構造体1200の断面図を示す。示されているように、図12には、ILD8、金属ライナー9、Mx10、誘電体層20、金属ライナー39、下部電極30、材料層のスタック41、HM42、スペーサ77、酸化物90、低k誘電体材料111、上部電極120、ロジック領域A、メモリ領域B、誘電体層20の最上部からHM42の最上部までの距離を示すH、およびHM42間の酸化物90の表面の最低点の最上部表面からHM42の最上部までの距離を示すHが含まれる。前述したように、Hを小さくすると、低k誘電体材料111によって充填されるMRAMピラー間のギャップの部分が小さくなることによって、低k誘電体材料111のギャップ・フィルが改善される。このようにして、酸化物90よりもコンフォーマリティおよびギャップ・フィル能力が低い低k誘電体材料111は、狭ピッチMRAMデバイス形成中に、上部電極120間または上部電極120近傍にボイドまたはシームを生じない。
【0069】
酸化物90を使用しない従来のMRAMデバイス形成プロセスでは、HのHに対するアスペクト比は約1である。酸化物90を使用しないで形成された狭ピッチMRAMデバイスでは、低k誘電体材料111が充填しなければならないギャップすなわち距離Hは、典型的には、誘電体層20のような誘電体材料の最上部から上部電極120の下のHM42の最上部に至るものである。この場合、HはHとほぼ同じである。本発明の実施形態において、酸化物90の堆積およびパターニングによって、半導体構造体1200において、従来のやり方で形成されたMRAMデバイスのHよりも大幅に小さいHが与えられる。
【0070】
図12に示されているように、低k誘電体材料111によって充填されたギャップの領域または部分は、酸化物90によって充填されたギャップの領域または部分よりも小さい。図1図12に関して説明したプロセスを用いると、HのHに対するアスペクト比は小さくなり、低k誘電体材料111が充填するギャップまたはリセスの深さが小さくなる。コンフォーマリティおよびギャップ・フィルに優れる酸化物90を用いると、酸化物90は、下部電極30上に形成されたMRAMピラーの間のギャップをすべてではないにしても大部分を充填するので、Hが小さくなる。
【0071】
様々な実施形態において、上部電極120はHM42上に形成される。知られている電極形成プロセスを用いて、低k誘電体材料111のエッチングにより、各MRAMピラー上のHM42の一部が露出される。前に説明したプロセスおよび金属ライナー材料を用いて、金属ライナー129が、エッチング・プロセス後に露出した低k誘電体材料111、HM42、および酸化物90の小部分の露出表面上に堆積され得る。Cu、TiN、Wなどの電極金属の層が金属ライナー129上に堆積され得るが、これらに限定されない。CMPが行われて、金属ライナー129の最上部分、低k誘電体材料111上の電極材料層の最上部分が除去され、それによって上部電極120が形成され得る。いくつかの実施形態では、上部電極120はビットラインである。
【0072】
示されているように、図12に示されている2つのMRAMデバイスの各々は、下部電極30上の、HM42によって覆われた材料層のスタック41から構成されるMRAMピラーを含む。各MRAMピラーはスペーサ77で覆われた垂直な側面を有し、上部電極120のうちの1つはMRAMピラー上に存在する。図12に示される2つのMRAMデバイスは、それぞれ、MRAMピラー、下部電極30および上部電極120を含む。
【0073】
図12には2つのMRAMデバイスが示されているが、MRAMデバイスはいくつでもメモリ領域B中に存在し得る。図12には、ロジック領域AのMx10も含まれる。いくつかの例(示されていない)では、メタル・ライン、コンタクト、ビア、または他の半導体デバイスが、ロジック領域A中のMx10の上方に形成されるかもしれない。図9図11に関して説明した半導体構造体1100を形成するためのプロセスによって、上部電極120に隣接する半導体構造体1100の領域における酸化物90または低k材料のいずれかにボイドまたはシームが形成されることが防止され得る。一実施形態では、酸化物90中のボイドは上部電極120に隣接する領域の下に生じることがある。
【0074】
図13は、本発明の実施形態による、酸化物90の堆積時にボイド90Vが形成される場合の半導体構造体1300の断面図を示す。図13は、隣接する狭ピッチのMRAMピラーの、下部電極30の最上部分や材料層のスタック41の下部分の間にボイド90Vが存在することを除き、図12と基本的に同じである。ボイド90Vは、2本のMRAMピラー間のギャップのより低い部分に形成され得る。図13に示されているように、ボイド90Vは、スペーサ77に隣接し、HM42より下方の酸化物90中に形成される。例えば、ボイド90Vは、材料層のスタック41の下部分または下半分に隣接、またはそれより下方に生じる。
【0075】
ボイド90Vは、最初は、図9に関して説明した酸化物堆積プロセス中に生じる。示されているように、ボイド90Vは上部電極120の近傍には生じない(例えば、ボイド90Vは上部電極120の下面より下にある)。このようにして、ボイド90Vは、MRAMデバイスの機能性または完成した半導体デバイスの信頼性に影響を与えない(例えば、ボイド90Vは、上部電極120間またはビットライン間の金属接触またはトラップされた流体に起因する短絡を、初期にまたは経時で発生させることはない)。図13では、ボイド90Vは、下部電極30および材料層のスタック41の下半分または下部分に隣接する酸化物90中に生じているが、他の例では、ボイド90Vはより小さく、材料層のスタック41の最上部分より下方の異なる位置に存在し得る(例えば、上部電極120の付近ではない)。一実施形態では、ボイド90VはHM42の底面より下方に存在する。
【0076】
図14は、本発明の別の実施形態による、部分的なスペーサ・エッチングを行った後の半導体構造体1400の断面図を示す。示されているように、図14には、ILD8、Mx10、金属ライナー9、誘電体層20、金属ライナー39、下部電極30、材料層のスタック41、HM42、およびスペーサ材料85が含まれる。いくつかの実施形態では、図14に示されているように、スペーサ材料85の部分的なエッチングが行われる。図14では、スペーサ材料77の代わりにスペーサ材料85を用いた図7の半導体構造体700が用いられて、スペーサ材料85の部分的なスペーサ・エッチングが行われる。スペーサ材料85は、図7のスペーサ材料77と同じ材料であり得るが、スペーサ材料85はスペーサ材料77に限定されず、半導体デバイスのスペーサ形成に使用される任意の誘電体材料であり得る。
【0077】
図14に示されているように、スペーサ材料85の部分的なスペーサ・エッチングが行われ得る。例えば、方向性エッチングすなわちRIEにより、MRAMピラーの周囲にスペーサを形成するスペーサ材料85の最上部分が除去され、誘電体層20およびHM42の上を覆うようにスペーサ材料85の薄い層が残され得る。部分的なスペーサ・エッチング後、スペーサ材料85は、金属ライナー39の上部分に接しておよび材料層のスタック41に接して残ってスペーサを形成し、スペーサ材料85の薄い層としてHM42および誘電体層20の露出面の上方にも残る。示されているように、HM42に接するスペーサ材料85は、典型的なスペーサのようにHM42の最上部表面付近で薄くなっているが、HM42の最上部表面上を覆う薄い層に続いてもいる。部分的なスペーサのエッチング後、スペーサ材料85は、金属ライナー39、材料層のスタック41、およびHM42の垂直面すなわち側面に接して残って従来のスペーサを形成する。スペーサ材料85の薄い層は、半導体構造体1400の水平面上にも残る。RIEエッチングは処理時間によって制御され、スペーサ材料85(例えばSiN)の一部を意図的に残存させる。ここでの意図は、RIEプロセス中またはプロセス後に金属10が露出されて拡散することが決してないようにすることである。
【0078】
図15は、本発明の実施形態による、酸化物95を堆積させた後の半導体構造体1500の断面図を示す。示されているように、図15には、図14の要素および酸化物95の層が含まれる。酸化物95は、酸化物95がスペーサ材料85を覆っていることを除けば、基本的に酸化物90と同じである。前述のように、酸化物95は、SiO、SODなどの酸化物材料、またはスピンオングラス、TEOSなどの絶縁体材料であり得る。酸化物95は、前に図10に関して詳細に説明したプロセスおよび材料を用いて堆積され得る。例えば、酸化物95は、PECVD、PVD、CVD、SOD、ALD、またはFCVDを用いて堆積され得る。示されているように、酸化物95はスペーサ材料85上を覆っている。酸化物95は、MRAMピラー間のギャップを充填し、MRAMピラー上の酸化物95の最上部表面からある距離だけ上方に延在する。
【0079】
図16は、本発明の実施形態による、酸化物95の一部をエッチングした後の半導体構造体1600の断面図を示す。様々な実施形態において、方向性のある自己整合プロセスは、スペーサ材料85の水平面上に存在し、MRAMピラー間に存在するものではない酸化物95の部分をエッチングする。前に図10に関して詳細に説明したように、方向性エッチングすなわちRIEは酸化物95の大部分を、狭ピッチのMRAMピラーの間(すなわち、スペーサ材料85の上方)に、およびスペーサ材料85で覆われたMRAMピラーの垂直側面上に残存させる。より具体的には、図16に示されているように、酸化物95は、下部電極30間のスペーサ材料85の上方に、ならびにHM42、材料層のスタック41、および金属ライナー39の最上部分の垂直側面に接しているスペーサ材料85の垂直部分に接して残存する。酸化物95がMRAMピラー間のスペーサ材料85より上方に延びる高さは変化し得る。例えば、MRAMピラー間のスペーサ材料85の上方の酸化物95の高さは、HM42上のスペーサ材料85の最上部表面とほぼ同水準(例えば、HM42の最上部表面からわずかに下)から材料層のスタック41の最上部分と同水準の範囲にあり得る。方向性エッチング(例えば、RIE)後、2本のMRAMピラー間の酸化物95の最上部表面は連続的であり、場合によっては、わずかなリセスを有することがある。酸化物95の最上部表面から酸化物95の最上部分中に延びるボイド、クラック、シームは存在しない。
【0080】
図17は、本発明の実施形態による、低k誘電体材料115を堆積させた後の半導体構造体1700の断面図を示す。示されているように、図17には、図16の要素および低k誘電体材料115が含まれる。低k誘電体材料115は低k誘電体材料111と基本的に同じものである。低k誘電体材料115の層は、スペーサ材料85上方に、および酸化物95の周囲と上を覆って堆積される。示されているように、図17の低k誘電体材料115中にボイドは存在しない。
【0081】
図18は、本発明の実施形態による上部電極181を形成した後の半導体構造体1800の断面図を示す。例えば、金属ライナー189付きの上部電極181は、前に図12に関して詳細に説明したように、知られている電極形成プロセスおよび金属エッチング・プロセスを用いて形成され得る。示されているように、図18には、ILD8、Mx10、誘電体層20、金属ライナー39、下部電極30、材料層のスタック41、HM42、スペーサ材料85、酸化物95、低k誘電体材料115、金属ライナー189、および上部電極181が含まれる。金属ライナー189付きの上部電極181は、HM42上の低k誘電体材料115中に形成される。いくつかの例では、上部電極181はHM42の最上部付近の酸化物95の小部分上を覆い得る。図12に関して前述したように、他の例では、ライン、コンタクト、ビア、および他の半導体デバイスがロジック領域(示されていない)に形成され得る。示されているように、上部電極181や金属ライナー189の近傍にはボイドが存在しない。
【0082】
図19は、本発明の実施形態による、酸化物95中にボイド90Vをもつ半導体構造体1900の断面図を示す。示されているように、図19には図18の要素およびボイド90Vが含まれる。図19のボイド90Vは、図13のボイド90Vと基本的に同じものである。示されているように、図19は、図15における酸化物95堆積中に生じた小さいボイドである90Vを除いて、図14図18で説明した材料とプロセスで形成される。図9および図13に関して詳述したように、ボイド90Vが上部電極181の下方に形成される。酸化物95の堆積中にボイド90Vが生じると、HM42や材料層のスタック41の最上部分の間の酸化物95の最上部表面は連続的なままである(例えば、ボイド90Vは酸化物95の最上部表面までは延在せず、上部電極181の近傍にはない)。示されているように、90Vは、金属ライナー39および材料層のスタック41の下半分に隣接する酸化物95の部分のHM42より下方の酸化物95の部分に形成される。他の例では、ボイド90Vはより小さいことがあり、またはHM42より下方の異なる位置に存在することがあり、あるいはその両方であり得る。
【0083】
本発明を、その特定の例示的な実施形態を参照して示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される本発明の思想および範囲から逸脱することなく、形態および細部における様々な変更をそこで行われ得ることが、当業者には理解されるであろう。
【0084】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されたが、網羅的であることまたは開示された実施形態に限定されることを意図するものではない。多くの改変および変形は、その範囲および記載された実施形態から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本明細書で使用する用語は、1つまたは複数の実施形態の原理、市場で見出される技術に対する実用化または技術的改良を最もよく説明するため、または当業者が本明細書に開示される実施形態を理解することが可能になるように選択されたものである。
図1
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【国際調査報告】