(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン及び(S)-3-(2-メトキシ-5-(メチルチオ)-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンの酸付加塩、その特定の多形並びにそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 211/22 20060101AFI20240507BHJP
A61K 31/4462 20060101ALI20240507BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
C07D211/22 CSP
A61K31/4462
A61P25/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023564114
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2022062142
(87)【国際公開番号】W WO2022234010
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522172302
【氏名又は名称】ロホラ エペィエス
【氏名又は名称原語表記】LOPHORA APS
【住所又は居所原語表記】Gyldenlundsvej 21,1.,DK-2920 Charlottenlund(DK)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン,イェスパー ランゴー
(72)【発明者】
【氏名】メルシャー-ローステッド,エミル
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC21
4C086GA13
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA02
4C086NA03
4C086NA14
4C086ZA12
(57)【要約】
本発明は、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン及び(S)-3-(2-メトキシ-5-(メチルチオ)-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンの特定の薬学的に許容される塩並びにその特定の多形に関する。より詳細には、本発明は、式(VI)の化合物並びにその製造のための化学経路に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)溶媒中、遷移金属触媒の存在下で、式(III)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、式(IVa)又は(IVb)のラセミ化合物を得る工程、又は溶媒中で、式(III)の化合物を脱保護試薬と反応させて、式(IIIa)の化合物を得る工程;
【化1】
(式中、PGはアミン保護基である)
,
b)工程a)で式(IVa)の化合物が形成された場合、溶媒中、式(IVa)の化合物を脱保護試薬と反応させて、式(IVb)のラセミ化合物を得る工程、又は工程a)で式(IIIa)の化合物が形成された場合、溶媒中、遷移金属触媒の存在下で、式(IIIa)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、式(IVb)のラセミ化合物を得る工程;
【化2】
c)溶媒中で、式(IVb)の化合物をキラル酸と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(ee)を有する式(V)の化合物を得る、及び式(V)の塩を遊離させて式(S)-(IVb)の化合物を得る工程;
【化3】
d)溶媒中で、式(S)~(IVb)の化合物をコハク酸、L-酒石酸又はHClと反応させて、式(VI)の結晶性化合物を得る工程;
【化4】
(式中、YはS又はOから選択され;A
-は、3-カルボキシプロパン酸、(2R、3R)-3-カルボキシ-2、3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。)
を含む、式(VI)の化合物を製造する方法。
【請求項2】
工程c)における前記キラル酸が、(-)-O、O’-ジ-p-トルオイル-L-酒石酸又は(-)-ジ-p-アニソイル-L-酒石酸、好ましくは(-)-ジ-p-アニソイル-L-酒石酸から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)溶媒中、遷移金属触媒及びキラル配位子の存在下で、式(III)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVa)若しくは(S)-(IVb)の化合物を得る工程、又は溶媒中で、式(III)の化合物を脱保護試薬と反応させて、式(IIIa)の化合物を得る工程;
【化5】
b)工程a)で式(S)-(IVa)の化合物が形成された場合、溶媒中で、式(S)-(IVa)の化合物を脱保護試薬と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVb)の化合物を得る工程、又は工程a)で式(IIIa)の化合物が形成された場合、溶媒中、遷移金属触媒及びキラル配位子の存在下で、式(IIIa)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVb)の化合物を得る工程;
【化6】
c)溶媒中で、式(S)-(IVb)の化合物をコハク酸、L-酒石酸又はHClと反応させて、式(VI)の結晶性化合物を得る工程;
【化7】
(式中、A
-は、3-カルボキシプロパン酸、(2R、3R)-3-カルボキシ-2、3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。)
を含む、式(VI)の化合物を製造する方法。
【請求項4】
前記キラル配位子が、(R,R)-i-Pr-DuPhosである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程a)の前に、
a1)溶媒中、塩基及び遷移金属触媒の存在下で、式(I)の化合物を式(II)の化合物と反応させて、式(III)の化合物を得る工程;
を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【化8】
式中、
Zは、ボロン酸、トリフルオロホウ酸塩及びボロン酸エステルから成る群から選択され、
PGはアミン保護基であり、
YはS又はOから選択され、
Xは、Cl、Br、I又はOTfから選択される。
【化9】
【請求項6】
PGが、カルバメート保護基、アミド保護基、ベンジルアミン保護基、トリフェニルメチルアミン保護基、又はスルホンアミド保護基、好ましくはカルバメート保護基、最も好ましくはtert-ブチルオキシカルボニル基(Boc)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記脱保護試薬が酸、好ましくはHClである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式(VI)の結晶性化合物:
【化10】
式中、
Yは、O又はSとして選択され、
A
-は、3-カルボキシプロパン酸、(2R,3R)-3-カルボキシ-2,3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。
【請求項9】
以下の構造を有する、請求項8に記載の結晶性化合物:
【化11】
【請求項10】
YがOである、請求項8又は9に記載の結晶性化合物。
【請求項11】
YがOであり、
A
-は3-カルボキシプロパン酸であり、塩は、
図1に示すように、2θピーク4.077°、8.108°、11.991°、12.156°、13.893°、15.876°、16.218°、16.412、16.596°、17.849°、19.507°、19.786°、20.031°、20.297°、21.122°、22.011°、22.635°、23.000°、23.268°、24.065°、24.408°、25.414°、25.758°、26.947°、27.751°、28.032°、28.314°、29.966°、30.358°、30.562°、30.770°、31.378°、32.306°、32.868°、33.505°、34.710°、35.206°、36.418°、36.714°、37.306°、38.147°、38.322°、38.745°を有するXRPDスペクトルを有する多形であるか、又は
A
-は(2R,3R)-3-カルボキシ-2,3-ジヒドロキシプロパン酸であり、塩は、
図3に示すように、2θピーク5.925°、10.183°、11.313°、11.823°、12.209°、12.542°、15.233°、15.592°、15.776°、16.275°、16.719°、17.063°、17.406°、17.752°、18.012°、19.568°、19.692°、20.291°、20.746°、21.261°、21.839°、22.200°、22.700°、23.226°、23.372°、23.603°、23.962°、24.516°、24.707°、25.013°、25.440°、25.914°、26.502°、27.003°、27.496°、27.902°、28.365°、28.786°、29.078°、29.791°、30.027°、30.299°、30.785°、31.187°、31.686°、32.070°、32.392°、33.434°、33.862°、34.358°、34.790°、35.584°、36.277°、36.801°、37.197°、38.121°及び39.667°を有するXRPDスペクトルを有する多形であるか、又は
A
-はクロリド(Cl
-)として選択され、塩は、
図2に示すように、2θピーク7.457°、9.185°、10.899°、11.738°、12.604°、14.956°、17.706°、18.215°、18.382°、19.307°、19.902°、20.442°、20.956°、21.850°、22.449°、23.781°、24.007°、24.357°、24.752°、25.327°、25.557°、26.064°、27.377°、27.702°、28.340°、28.557°、29.144°、29.366°、29.915°、30.164°、30.669°、30.975°、32.213°、32.725°、33.018°、33.742°、34.605°、35.012°、35.618°、36.883°、37.131°、37.250°、37.772°、38.358°、38.626°、39.140°、39.869°を有するXRPDスペクトルを有する多形である。
【請求項12】
A
-は、3-カルボキシプロパン酸であり、塩は、
図1に示すように、2θピーク4.077°、8.108°、11.991°、12.156°、13.893°、15.876°、16.218°、16.412、16.596°、17.849°、19.507°、19.786°、20.031°、20.297°、21.122°、22.011°、22.635°、23.000°、23.268°、24.065°、24.408°、25.414°、25.758°、26.947°、27.751°、28.032°、28.314°、29.966°、30.358°、30.562°、30.770°、31.378°、32.306°、32.868°、33.505°、34.710°、35.206°、36.418°、36.714°、37.306°、38.147°、38.322°、38.745°を有するXRPDスペクトルを有する多形である、請求項11に記載の結晶性化合物。
【請求項13】
前記結晶性化合物は、約5~約50μmの範囲の粒径を有する結晶を有する、請求項8~12に記載の結晶性化合物。
【請求項14】
式(III)又は(IIIa)の中間体化合物:
【化12】
(式中、Yは、O又はSから選択され、PGは、アミン保護基である。)
【請求項15】
式(IVa)、(IVb)、(S)-(IVa)、(S)-(IVb)、(V)、又は(VI)の化合物の製造のための、式(III)又は(IIIa)の中間体化合物の使用:
【化13】
(式中、Yは、O又はSから選択され、PGはアミン保護基である。)
【請求項16】
前記アミン保護基が、カルバメート保護基、アミド保護基、ベンジルアミン保護基、トリフェニルメチルアミン保護基、又はスルホンアミド保護基、好ましくはカルバメート保護基である、
請求項14又は15に記載の中間体化合物又は中間体化合物の使用。
【請求項17】
カルバメート保護基が、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc-NR
2)、t-ブチルカルバメート(Boc-NR
2)又はベンジルカルバメート(Cbz-NR
2)から選択され、アミド保護基が、アセトアミド(Ac-NR
2)又はトリフルオロアセトアミド(CF
3CO-NR
2)から選択され、ベンジルアミン保護基は、ベンジルアミン(Bn-NR
2)又は4-メトキシベンジルアミン(PMB-NR
2)から選択され、トリフェニルメチルアミン保護基は、トリフェニルメチルアミン(Tr-NR
2)であり、スルホンアミド保護基は、p-トルエンスルホンアミド(Ts-NR
2)である、
請求項16に記載の中間体化合物又は中間体化合物の使用。
【請求項18】
前記アミン保護基が、tert-ブチルオキシカルボニル基(Boc)である、請求項14~15に記載の中間体化合物又は中間体化合物の使用。
【請求項19】
YがOである、請求項14~18に記載の中間体化合物又は中間体化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン及び(S)-3-(2-メトキシ-5-(メチルチオ)-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンの特定の薬学的に許容される塩、並びに例えば、高い結晶化度、高い溶解度、高い安定性及び良好な熱特性を有するそれらの特定の多形に関する。本発明は又、このような塩及び多形を製造するための新しい経路に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の研究努力(特許文献1参照)は、新しいクラスの3-(2,4,5三置換フェニル)ピペリジン、3-(2,4-ジ置換フェニル)ピペリジン又は3-(3,4-ジ置換フェニル)ピペリジンが、5-HT2Aアゴニストとして作用すること、及びこのクラスの化合物が鬱病、特に治療抵抗性鬱病の治療に非常に大きな可能性を秘めていることを示している。したがって、これらの化合物を医薬品製造での使用に適した医薬品有効成分(API)に開発する必要がある。溶解性、吸湿性、結晶化度、及び化学的/物理的安定性などの化合物特性は、安全で効果的な薬物を得るために、薬物開発において最も重要である。塩形成は、例えば、薬物の溶解度、溶解速度、吸湿性、結晶化度、安定性、更には毒性を改善するための一般的な方法である。したがって、化合物を医薬品製造のためのAPIに開発するためには、適切な塩形態及びその安定な多形(すなわち、異なる結晶格子)を同定するために、様々な溶媒中での塩スクリーニングが必要である。多形は、溶解度、結晶化度、溶解速度及び安定性において顕著な差を示すことが多い。したがって、多形が製造中及び薬物の貯蔵寿命中の両方で安定であることを確実にするために、様々な塩及び特定の多形形態を特徴付けることが非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、1つの態様では、本発明は、薬物製造に適した(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン及び(S)-3-(2-メトキシ-5-(メチルチオ)-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンの特定の塩並びに多形形態を提供するという問題を解決することに着手する。
【0005】
新規化合物の合成のための医薬品化学経路は、様々な類縁体に小規模で迅速にアクセスするために、多様性に焦点を合わせることが多い。対照的に、工業規模でAPIを製造するためのプロセス化学経路は、スケーラビリティ、全体的な収率、安全性、環境ハザード、経済性、及び経路の全体的な実現可能性などの要因を考慮する必要がある。
【0006】
したがって、別の態様では、本発明は、本明細書に開示される(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン及び(S)-3-(2-メトキシ-5-(メチルチオ)-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンの特定の塩並びに多形形体の製造のためのスケーラブルで効率的なプロセス化学経路を提供するという問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
第1の態様では、本発明は、
a)溶媒中、遷移金属触媒の存在下で、式(III)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、式(IVa)又は(IVb)のラセミ化合物を得る工程、又は溶媒中で、式(III)の化合物を脱保護試薬と反応させて、式(IIIa)の化合物を得る工程;
【化1】
b)工程a)で式(IVa)の化合物が形成された場合、式(IVa)の化合物を溶媒中で脱保護試薬と反応させて、式(IVb)のラセミ化合物を得る工程、又は工程a)で式(IIIa)の化合物が形成された場合、溶媒中、遷移金属触媒の存在下で、式(IIIa)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、式(IVb)のラセミ化合物を得る工程;
【化2】
c)式(IVb)の化合物を溶媒中でキラル酸と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(ee)を有する式(V)の化合物を得る工程、及び式(V)の塩を遊離させて式(S)-(IVb)の化合物を得る工程;
【化3】
d)溶媒中で、式(S)-(IVb)の化合物をコハク酸、L-酒石酸又はHClと反応させて、式(VI)の結晶性化合物を得る工程;
【化4】
(式中、Yは、S又はOから選択され、Aは、3-カルボキシプロパン酸、(2R、3R)-3-カルボキシ-2、3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。)
を含む、式(VI)の化合物を製造する方法に関する。
【0008】
第2の態様では、本発明は、
a)溶媒中、遷移金属触媒及びキラル配位子の存在下で、式(III)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVa)若しくは(S)-(IVb)の化合物を得る工程、又は溶媒中で、式(III)の化合物を脱保護試薬と反応させて、式(IIIa)の化合物を得る工程;
【化5】
b)工程a)で式(S)-(IVa)の化合物が形成された場合、溶媒中で、式(S)-(IVa)の化合物を脱保護試薬と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVb)の化合物を得る工程、又は工程a)で式(IIIa)の化合物が形成された場合、溶媒中、遷移金属触媒及びキラル配位子の存在下で、式(IIIa)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVb)の化合物を得る工程;
【化6】
c)溶媒中で、式(S)-(IVb)の化合物をコハク酸、L-酒石酸又はHClと反応させて、式(VI)の結晶性化合物を得る工程;
【化7】
(式中、A
-は、3-カルボキシプロパン酸、(2R、3R)-3-カルボキシ-2、3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。)
を含む、式(VI)の化合物を製造する方法に関する。
【0009】
第3の態様では、本発明は、式(VI)の結晶性化合物に関する:
【化8】
式中、
Yは、O又はSとして選択され、
A
-は、3-カルボキシプロパン酸、(2R,3R)-3-カルボキシ-2,3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。
【0010】
第4の態様では、本発明は、式(III)又は(IIIa)の中間体に関する:
【化9】
式中、
Yは、O又はSから選択され、
PGは、アミン保護基である。
【0011】
第5の態様では、本発明は、式(IVa)、(IVb)、(IIIa)、(S)-(IVa)、(S)-(IVb)、(V)、又は(VI)の化合物の製造のための式(IIIa)の中間体の使用又は式(IVb)、(S)-(IVb)、(V)、又は(VI)の化合物の製造のための式(IIIa)の中間体の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】YがOであり、A
-が3-カルボキシプロパン酸である(すなわち、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン及びコハク酸との間で形成される1:1塩)式(VI)の化合物の多形AのXPRDスペクトルを示す。
【
図2】YがOであり、A
-がクロリド(Cl
-)である(すなわち、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン及びHClとの間で形成される1:1塩)式(VI)の化合物の多形AのXPRDスペクトルを示す。
【
図3】YがOであり、A
-が(2R,3R)-3-カルボキシ-2,3-ジヒドロキシプロパン酸(すなわち、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン及びL-酒石酸との間で形成される1:1塩)である式(VI)の化合物の多形BのXPRDスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態は、添付の図面に関連して以下でより詳細に説明される。
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン及び(S)-3-(2-メトキシ-5-(メチルチオ)-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンの特定の有利な薬学的に許容される塩並びにその特定の多形に関する。本発明はまた、これらの塩及び多形を大規模に製造するための新しい経路に関する。
【0015】
特に、本発明者らは、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのコハク酸塩(すなわち、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンとコハク酸との間に形成される1:1塩)、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのL-酒石酸塩(すなわち、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンとL-酒石酸との間に形成される1:1塩)及び(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのHCl塩が、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンの他の塩及び遊離塩基としての(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンと比較して改善された特性を示すことを見出した。したがって、これらの塩はAPIの開発に適していることが分かった。特に、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのコハク酸塩(1:1)及び(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのHCl塩は、有望な塩候補であることが分かった。
【0016】
態様I
第1の態様では、本発明は、
a)溶媒中、遷移金属触媒の存在下で、式(III)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、式(IVa)又は(IVb)のラセミ化合物を得る工程、又は溶媒中で、式(III)の化合物を脱保護試薬と反応させて、式(IIIa)の化合物を得る工程;
【化10】
b)工程a)で式(IVa)の化合物が形成された場合、溶媒中で、式(IVa)の化合物を脱保護試薬と反応させて、式(IVb)のラセミ化合物を得る工程、又は工程a)で式(IIIa)の化合物が形成された場合、溶媒中、遷移金属触媒の存在下で、式(IIIa)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、式(IVb)のラセミ化合物を得る工程;
【化11】
c)式(IVb)の化合物を溶媒中でキラル酸と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(ee)を有する式(V)の化合物を得る工程、及び式(V)の塩を遊離させて式(S)-(IVb)の化合物を得る工程;
【化12】
d)溶媒中で、式(S)-(IVb)の化合物をコハク酸、L-酒石酸又はHClと反応させて、式(VI)の結晶性化合物を得る工程;
【化13】
(式中、Yは、S又はOから選択され、A
-は、3-カルボキシプロパン酸、(2R、3R)-3-カルボキシ-2、3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。)
を含む、式(VI)の化合物を製造する方法に関する。
【0017】
本発明の実施形態では、本方法は、工程a)の前に、
a1)溶媒中、塩基及び遷移金属触媒の存在下で、式(I)の化合物を式(II)の化合物と反応させて、式(III)の化合物を得る工程;
を更に含む。
【化14】
式中、
Zは、ボロン酸、トリフルオロホウ酸塩及びボロン酸エステルから成る群から選択され、
PGはアミン保護基であり、
YはS又はOから選択され、
Xは、Cl、Br、I又はOTfから選択される。
【化15】
【0018】
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、
a1)溶媒中、塩基及び遷移金属触媒の存在下で、式(I)の化合物を式(II)の化合物と反応させて式(III)の化合物を得る工程;
【化16】
式中、
Zは、ボロン酸、トリフルオロホウ酸塩及びボロン酸エステルから成る群から選択され、
PGはアミン保護基であり、
YはS又はOから選択され、
Xは、Cl、Br、I又はOTfから選択される。
【化17】
a)溶媒中、遷移金属触媒の存在下で、式(III)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、式(IVa)又は(IVb)のラセミ化合物を得る工程;
【化18】
b)工程1)で式(IVa)の化合物が形成された場合、溶媒中で、式(IVa)の化合物を脱保護試薬と反応させて、式(IVb)の化合物を得る工程;
【化19】
c)溶媒中で、式(IVb)の化合物をキラル酸と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(ee)を有する式(V)の化合物を得る工程、及び式(V)の塩を遊離させて式(S)-(IVb)の化合物を得る工程;
【化20】
d)式(S)-(IVb)の化合物を溶媒中でコハク酸、L-酒石酸又はHClと反応させて、式(VI)の結晶性化合物を得る工程;
【化21】
(式中、A
-は、3-カルボキシプロパン酸、(2R、3R)-3-カルボキシ-2、3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。)
を含む、式(VI)の化合物を製造する方法に関する。
【0019】
水素化及び脱保護工程は、脱保護が水素化の前に行われるように逆転されてもよい。
【0020】
したがって、より好ましい実施形態では、本発明は、
a1)溶媒中、塩基及び遷移金属触媒の存在下で、式(I)の化合物を式(II)の化合物と反応させて、式(III)の化合物を得る工程;
【化22】
式中、
Zは、ボロン酸、トリフルオロホウ酸塩及びボロン酸エステルから成る群から選択され、
PGはアミン保護基であり、
YはS又はOから選択され、
Xは、Cl、Br、I又はOTfから選択される。
【化23】
a)溶媒中で、式(III)の化合物を脱保護試薬と反応させて、式(IIIa)の化合物を得る工程;
【化24】
b)溶媒中、遷移金属触媒の存在下で、式(IIIa)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、式(IVb)のラセミ化合物を得る工程;
【化25】
c)溶媒中で、式(IVb)の化合物をキラル酸と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(ee)を有する式(V)の化合物を得る工程、及び式(V)の塩を遊離させて式(S)-(IVb)の化合物を得る工程;
【化26】
d)溶媒中で、式(S)-(IVb)の化合物をコハク酸、L-酒石酸又はHClと反応させて、式(VI)の化合物を得る工程;
【化27】
(式中、Yは、S又はOから選択され、A
-は、3-カルボキシプロパン酸、(2R、3R)-3-カルボキシ-2、3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。)
を含む、式(VI)の化合物を製造する方法に関する。
【0021】
工程a1);Suzuki-Miyauraクロスカップリング(SMC)
【0022】
第1の態様による方法の工程a1)は、溶媒中、塩基及び遷移金属触媒の存在下での式(I)の化合物と式(II)の化合物との間のSMC反応である。工程a1)において、有機ホウ素(すなわち、式(I)の化合物)を代わりに適切な有機亜鉛、有機スタンナン、又は有機シランで置き換えることによって、他の適切なクロスカップリング、例えばNegishiカップリング、スティルカップリング、又はHiyamaカップリングを使用してもよい。有機亜鉛、有機スタンナン又は有機シランは、当技術分野で公知の従来の方法によって調製してもよい。
【0023】
式(I)の化合物:ボロン酸(R-B(OH)2)、トリフルオロホウ酸塩(R-BF3K、すなわち、モランダー塩)及び種々のボロン酸エステル(R-B(OR)2)、例えば、ボロン酸ピナコール、ボロン酸カテコール、ボロン酸トリメチレングリコールエステル、ボロン酸MIDAエステル及びボロン酸トリイソプロピルエステルを、ステップa1)のSMC反応に使用してもよい。本発明の実施形態では、式(I)のZは、ボロン酸、トリフルオロホウ酸塩、及びボロン酸エステルから成る群から選択される。最も好ましい実施形態では、Zはボロン酸ピナコールとして選択される。式(I)の化合物中のアミンには様々な保護基を使用してもよい。一般的なアミン保護基としては、カルバメート、例えば9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc-NR2)、t-ブチルカルバメート(Boc-NR2)、及びベンジルカルバメート(Cbz-NR2)、アミド、例えばアセトアミド(Ac-NR2)及びトリフルオロアセトアミド(CF3CO-NR2);ベンジルアミン、例えばベンジルアミン(Bn-NR2)又は4-メトキシベンジルアミン(PMB-NR2);トリフェニルメチルアミン(Tr-NR2);ベンジリデンアミン;並びにスルホンアミド、例えばp-トルエンスルホンアミド(Ts-NR2)が挙げられる。実施形態において、保護基は、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc-NR2)、t-ブチルカルバメート(Boc-NR2)又はベンジルカルバメート(Cbz-NR2)である。別の実施形態では、保護基は、アセトアミド(Ac-NR2)又はトリフルオロアセトアミド(CF3CO-NR2)である。さらに別の実施形態では、保護基は、ベンジルアミン(Bn-NR2)又は4-メトキシベンジルアミン(PMB-NR2)である。さらに別の実施形態では、保護基は、トリフェニルメチルアミン(Tr-NR2)である。さらに別の実施形態では、保護基はp-トルエンスルホンアミド(Ts-NR2)である。保護及び脱保護のための標準的な条件は、例えば、Greene´s Protective Groups in organic synthesisに見出すことができる。好ましくは、保護基(PG)は、Boc(t-ブチルオキシカルボニル)又はCBz(カルボキシベンジル)などのカルバメート保護基である。Boc保護基は、塩形成を伴う酸性条件下で除去できるという利点を有する。このことにより、特定の実施形態では、生成物のワンポット脱保護、沈殿、及び単離を可能にしてもよい。CBz保護基は、脱保護及び式(III)の化合物中のアルケン(すなわち、ピペリジンの二重結合)の還元を、別個の脱保護ステップ(すなわち、ステップa又はb)が必要とされないように単一のステップで実施してもよいという利点を有する。いくつかの実施形態において、SMC反応は、脱保護ステップ(すなわち、ステップa又はb)が必要とされないように、式(I)の化合物中のアミン保護基を使用せずに(すなわち、PG=Hである式Iの化合物)行われてもよい。最も好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ia)の化合物である。式(Ia)の化合物は以前に記載されており、市販されている[CAS番号885693-20-9]。
【0024】
【0025】
式(II)の化合物:アリールハロゲン化物(クロロ、ブロモ又はヨード)又は擬ハロゲン化物(例えば、トリフラート、4-フルオロベンゼンスルホネート、スルフロフルオリダート、メシラート、トシラート、ノナフラート、1H-イミダゾール-1-スルホネートなどのスルホネート)をステップa1)のSMC反応に使用してもよい。したがって、本発明の実施形態では、式(II)の化合物は、1-クロロ-2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン又は(5-クロロ-4-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)フェニル)(メチル)スルファンである。本発明の別の実施形態では、式(II)の化合物は、1-ヨード-2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン又は(5-ヨード-4-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)フェニル)(メチル)スルファンである。本発明の最も好ましい実施形態では、式(II)の化合物は、1-ブロモ-2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン又は(5-ブロモ-4-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)フェニル)(メチル)スルファンである。これらの化合物は、例えばAngew.Chem.Volume 50,Issue 8,February 18,2011,pages 1896-1900に以前に記載され、様々な供給元から市販されているか、又は本明細書に示されているように市販の出発物質から数ステップで調製されてもよい。
【0026】
塩基:多数の塩基をSMC反応に首尾よく使用してきた。塩基は、より反応性の高いホウ酸塩錯体の生成を助ける。SMC用の典型的な塩基としては、炭酸塩基、リン酸塩基、アルコキシド塩基、水酸化物塩基又はアミン塩基が挙げられる。本発明の実施形態では、塩基は、炭酸塩基、例えばNa2CO3、K2CO3、Cs2CO3、MgCO3若しくはCaCO3、リン酸塩基、例えばK3PO4、アルコキシド塩基、例えばKOtBu、水酸化物塩基、例えばNaOH若しくはKOH、カルボン酸塩基、例えばKOAc、又はアミン塩基、例えばトリエチルアミンから選択される。最も好ましい実施形態では、塩基はK2CO3である。
【0027】
典型的には、塩基は、1.2当量~10当量など過剰に添加される。本発明の最も好ましい実施形態では、2当量の塩基が添加される。
【0028】
触媒:様々な遷移金属触媒がSMC反応に首尾よく使用されてきた。典型的には、そのような触媒は、遷移金属パラジウム又はニッケルに依存する。そのようなパラジウム触媒の例としては、Pd(dba)2、Pd(acac)2、Pd(PPh3)4、Pd(Cl2)(dppf)、Pd(Cl)2、Pd(OAc)2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
触媒中のパラジウムは、必要な酸化状態(すなわち、例えばPd(dba)2中のPd0)で存在していてもよく、又はパラジウムは、より高い酸化状態(すなわち、例えばPd(OAc)2中のPd+2)で存在し、例えば、使用される塩基、アリールボロン酸又はホスフィン配位子などによってその場でPd0に還元されてもよい。種々のホスフィン配位子をSMC反応に添加して活性触媒を形成してもよい。そのようなホスフィン配位子としては、PPh3、PCy3、P(o-tolyl)3、P(iPr)3、P(O-Pr-i)3、n-BuP(1-Ad)2、P(t-Bu)2(p-NMe2-Ph)、DavePhos、JophnPhos、SPhos、XPhos、RuPhos、DPPF、DPPE及びDPPPから成るリストから選択されるホスフィン配位子が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、様々なニッケル触媒を使用してもよい。そのような触媒としては、任意選択的に上記のホスフィン配位子の存在下、Ni(acac)2、Ni(COD)2、Ni(dppf)Cl2、NiCl2から成るリストが挙げられるが、これらに限定されない。SMC反応に適したPd/Ni触媒及び適した配位子のさらなる例は、例えば、教科書Suzuki-Miyaura Cross-Coupling Reaction and Potential Applications,2018(ISBN:3038425567,9783038425564)に見出してもよい。最も好ましい実施形態では、触媒はPd(dppf)Cl2である。
【0030】
SMC中の触媒充填は、典型的には、0.15~0.001当量の範囲、例えば0.10~0.005当量の範囲、好ましくは0.07~0.01当量の範囲、より好ましくは0.05~0.02当量の範囲で用いられる。最も好ましい実施形態では、触媒はPd(dppf)Cl2であり、最も好ましくは、触媒充填は0.03当量である(式(II)の化合物に基づく)。
【0031】
溶媒:種々の溶媒をSMC反応に使用してもよい。そのような溶媒としては、典型的には、ACN、THF、2-Me-THF、DMF、NMP、トルエン、H2O、ジオキサン、アセトン、MeOH、EtOH、iPrOH及びnBuOHから成るリストから選択される溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。ほとんどすべてのSMC反応には、少なくとも微量の水が必要である。水は、ボロン酸エステルを活性ボロン酸に加水分解し、トランスメタル化において役割を果たす可能性がある。水は、溶媒又は塩基中の二相性条件又は偶発的水から生じてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、溶媒の混合物、例えばジオキサン/H2O混合物又はDMF/H2O混合物を使用してもよい。本発明の最も好ましい実施形態では、溶媒はACNである。本発明者らは、少量のNaBr水溶液を添加すると触媒活性及び/又は安定性が増加することを見出した。したがって、最も好ましい実施形態では、NaBr水溶液を溶媒に、好ましくは溶媒としてのACNに添加する。SMC反応の様々な条件を調べた。見出された最も好ましい条件は、80~85℃でのK2CO3(2.0eq)、Pd(dppf)Cl2(0.03eq)、ACN(6V)だった。
【0032】
ステップa)又はb);水素化
水素化は、ステップa)又はステップb)のいずれかで実施してもよい。したがって、ステップa)で式(III)の化合物に対して水素化を実施して、式(IVa)又は(IVb)のラセミ化合物を得てもよい。あるいは、ステップb)で式(IIIa)の化合物に対して水素化を実施して、式(IVb)のラセミ化合物を得てもよい。水素化は、式(III)の化合物中のアルケンを還元することに加えて、例えばCbzなどのベンジルカルバメートをPGとして使用する場合、保護基(PG)の開裂にも効果を及ぼしてもよい。本発明者らは、式(III)の化合物と比較して、式(IIIa)の化合物では水素化がより速いことを見出した。したがって、最も好ましい実施形態では、式(III)の脱保護をステップa)で実施し、水素化をステップb)で実施する。
【0033】
触媒:水素化反応に使用することができる触媒の範囲。そのような触媒としては、例えば、パラジウム/活性炭(Pd/C)、PtO2、パラジウム錯体、ロジウム錯体(例えば、ウィルキンソン触媒)、ルテニウム錯体又はイリジウム錯体が挙げられるが、これらに限定されない。最も好ましい実施形態では、触媒はPd/Cである。典型的な触媒担持量は、プロセス規模で1~20重量%の範囲である。最も好ましい実施形態では、触媒担持量は約10重量%Pd/Cである。
【0034】
溶媒:一連の溶媒を水素化反応に使用してもよい。そのような溶媒としては、EtOAc、THF、2-Me-THF、DMF、トルエン、H2O、ジオキサン、MeOH、EtOH、iPrOH及びnBuOHが挙げられるが、これらに限定されない。最も好ましい実施形態では、溶媒はEtOAcである。
【0035】
圧力:水素化は、様々な水素圧力で実施してもよい。典型的には、圧力は、所望の反応時間に応じて1~5バールの間である。いくつかの実施形態では、水素化は、加圧反応器を必要とせずに大気圧で実施される。最も好ましい実施形態では、反応時間を短縮するために、反応を約3.5バール(50psi)で実施する。
【0036】
水素化反応の種々の条件を調べた。見出された最適な条件は、25~30℃でのPd/C(10重量%)、H2(50psi)、EtOAc(6V)だった。
【0037】
工程a)又は工程b);脱保護
保護基(PG)の脱保護は、工程a)又は工程b)のいずれかで実施してもよい。ステップa)で式(IVa)の化合物を形成する場合、アミン保護基(PG)、好ましくはカルバメートPG、より好ましくはBoc PGの脱保護をステップb)で実施して式(IVb)の化合物を得る。あるいは、脱保護を工程a)で式(III)の化合物に対して実施して式(IIIa)の化合物を得てもよい。最も好ましくは、脱保護を工程a)で実施して式(IIIa)の化合物を得る。選択されるアミンPGに応じて、様々な脱保護条件を使用してもよい。種々のアミン保護基に適した脱保護条件は、例えば、Greene’s Protective Groups in organic synthesisに見出すことができる。好ましくは、保護基は、カルバメート保護基、アミド保護基、ベンジルアミン保護基及びスルホンアミド保護基から成るリストから選択される。より好ましい実施形態では、保護基は、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc-NR2)、t-ブチルカルバメート(Boc-NR2)、ベンジルカルバメート(Cbz-NR2)、アセトアミド(Ac-NR2)、トリフルオロアセトアミド(CF3CO-NR2)、ベンジルアミン(Bn-NR2)、4-メトキシベンジルアミン(PMB-NR2)、トリフェニルメチルアミン(Tr-NR2)、及びp-トルエンスルホンアミド(Ts-NR2)から成るリストから選択される。好ましくは、脱保護は、工程a)で形成された場合、式(IVa)の生成物を溶媒中で酸と反応させてPGを除去し、式(IVb)の化合物を得ることによって実施される。好ましくは、脱保護は、工程a)で形成された場合、式(III)の生成物を溶媒中で酸と反応させてPGを除去し、式(IIIa)の化合物を得ることによって実施される。
【0038】
脱保護試薬:アミン保護基用の脱保護試薬の例は、例えば、Greene’s Protective Groups in organic synthesisのアミン保護基に見出してもよい。好ましくは、脱保護試薬は、t-ブチルカルバメート(Boc-NR2)などのアミン保護基の脱保護に使用してもよい酸である。そのような酸としては、HCl、HBr、H2SO4、TFA及びTfOHから成るリストが挙げられるが、これらに限定されない。最も好ましい実施形態では、酸はHClである。
【0039】
溶媒:様々な溶媒を脱保護反応に使用してもよい。そのような溶媒としては、H2O、ACN、EtOAc、THF、2-Me-THF、DMF、トルエン、ジオキサン、MeOH、EtOH、iPrOH及びnBuOHが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、溶媒は、いくつかの溶媒の混合物であってもよい。水素化が脱保護の前に実施される実施形態では、溶媒の切り替えを回避するために、水素化(工程a)と同じ溶媒を脱保護(工程b)に使用することが好ましく、それによってプロセス全体が単純化される。工程a)及びb)で同じ溶媒を使用する場合、単純な濾過を行って水素化触媒を除去し、続いて脱保護してもよい。したがって、これらの実施形態では、最も好ましくは、水素化及び脱保護の両方においてEtOAcを溶媒として使用する。最も好ましくは、溶媒はEtOAcであり、脱保護試薬はHClである。脱保護が水素化の前に実施される実施形態では、好ましくは脱保護工程において、MeTHFが、好ましくは脱保護試薬としてHClと共に使用され、水素化において好ましくはEtOAcが使用される。
【0040】
酸を脱保護に使用する場合、酸性脱保護条件下で得られたプロトン化ピペリジン中間体(すなわち、式(IVb)のプロトン化化合物)又はプロトン化1、2、3、6-テトラヒドロピリジン(すなわち、式(IIIa)のプロトン化化合物)を遊離させて、化合物を有機相(例えば、EtOAc)と水性塩基相(例えば、20% Na2CO3又は飽和NaHCO3水溶液)との間で分配することなどの当技術分野で公知の従来技術によって式(IVb)の化合物を得てもよい。
【0041】
工程c);キラル分割
工程c)は、高い鏡像体過剰率(%ee)で(S)-鏡像体を得るためのキラル分割である。本発明の実施形態では、鏡像体過剰率は、少なくとも60%ee、例えば少なくとも70%ee、例えば少なくとも75%ee、例えば少なくとも80%ee、例えば少なくとも85%ee、好ましくは少なくとも90%ee、より好ましくは少なくとも95%eeである。最も好ましくは、鏡像体過剰率は、最終的な結晶塩を高い鏡像体過剰率で、好ましくは再結晶を必要とせずに得ることができるように、少なくとも75%である。いくつかの実施形態では、鏡像体過剰率は、適切な溶媒中で結晶化/再結晶を行うことによって更に改善してもよい。キラル分割は、結晶化などの従来の技術によって分離することができるジアステレオマーの対を形成する光学的に純粋な酸で式(IVb)のラセミ化合物を誘導体化することによって実施することができる。形成された2つのジアステレオマー塩は異なる溶解度を有し、これにより一方のジアステレオマー塩を他方のジアステレオマー塩より選択的に沈殿させることが可能になる。あるいは、エナンチオマーを、例えばキラル連続クロマトグラフィー分離によって分離してもよい。
【0042】
キラル酸:多数のキラル酸が市販されており、安価であるため、大規模(例えば、kgスケール)に行われるプロセス化学経路での使用に適している。そのようなキラル酸としては、例えば、キラルアミノ酸、(1S)-(-)-カンファン酸、L-(+)-マンデル酸、D-(-)-酒石酸又はL-(+)-酒石酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0043】
本発明の実施形態では、キラル分割は、式(VIb)の化合物を(-)-O、O’-ジ-p-トルオイル-L-酒石酸又は(-)-ジ-p-アニソイル-L-酒石酸、好ましくは(-)-ジ-p-アニソイル-L-酒石酸から選択されるキラル酸と反応させて、ジアステレオマーの対を形成することによって行われ、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン又は(S)-3-(2-メトキシ-5-(メチルチオ)-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンとキラル酸との間のジアステレオマー塩は、(R)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン又は(R)-3-(2-メトキシ-5-(メチルチオ)-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンとキラル酸との間に形成されるジアステレオマー塩よりも低い溶解度を有する。沈殿したジアステレオマー塩は、従来の濾過によって分離してもよい。
【0044】
溶媒:キラル分割には様々な溶媒を使用することができる。そのような溶媒としては、例えば、2-Me-THF、THF、MeOH、EtOH、ACN、IPA、MTBE、DCM又はアセトンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、水を共溶媒として添加してもよい。
【0045】
式(V)の化合物の選択的沈殿について様々な条件を試験した。キラル酸(-)-ジ-p-アニソイル-L-酒石酸、(+)-ジピバロイル-D-酒石酸、(-)-O、O´-ジ-p-トルオイル-L-酒石酸、(1S)-(-)-カンファン酸、(S)-2-アセトキシ-2-フェニル酢酸、L-グルタミン酸、N-アセチル-L-イソロイシン、D-(-)-酒石酸を用いて、溶媒ACN、IPA、THF及びMTBEを試験した。溶媒ACN、IPA及びTHFを共溶媒としての水と共に使用した(15体積の溶媒:3体積のH2O)。MTBEを共溶媒としての水と共に使用した(20体積のMTBE:5体積のH2O)。最適な条件は、THF/H2Oの混合物中の(-)-ジ-p-アニソイル-L-酒石酸(1当量)であることが分かった。表1は、得られた%eeのいくつかの代表的な例を示す。
【0046】
【0047】
表1aに示すように、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンの(-)-ジ-p-アニソイル-L-酒石酸塩(1:1)及び(R)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンの(-)-ジ-p-アニソイル-L-酒石酸塩(1:1)の溶解度を調べた。データは、DCMがTHF/H2Oよりもさらに良好な溶媒であり、さらに高い鏡像体過剰率を提供してもよいことを示唆している。したがって、別の非常に好ましい実施形態では、工程c)でDCMを使用する。
【0048】
【0049】
沈殿した式(V)のエナンチオリッチな塩は、有機相(例えば、EtOAc)と水性塩基相(例えば、20%Na2CO3又は飽和NaHCO3水溶液)との間で化合物を分配することなどの当技術分野で公知の従来の技術によって、式(S)-(IVb)の化合物に遊離させてもよい。式(S)-(IVb)の化合物の大部分は有機相に留まるが、塩は水相に残る。
【0050】
工程d);最終塩の調製
工程d)は、式(S)-(IVb)の化合物とコハク酸、L-酒石酸又はHClとを沈殿させて、式(VI)の結晶性化合物を得ることである。
【0051】
以下の実験セクションに示すように、本発明者らは、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのHCl塩(多形A)、L-酒石酸塩(多形B、酸:塩基の1:1塩)、及びコハク酸塩(多形A、酸:塩基の1:1)が、例えば結晶性、熱特性、安定性、溶解性、及び吸湿性に関して全体的に良好な特性を有することを見出した。特に、HCl塩(多形A)及びコハク酸塩(多形A、1:1塩)は、全体的に優れた特性を有していた。
【0052】
コハク酸及びL-酒石酸は両方とも二塩基酸である。したがって、これらの酸は、1:1の比(酸:塩基)又は0.5:1の比(酸:塩基)で式(S)-(IVb)の化合物と塩を形成してもよい。実施例3及び4に示すように、本発明者らは驚くべきことに、塩を1:1の比(酸:塩基)で形成した場合に、コハク酸塩及びL-酒石酸塩の優れた特性が得られることを見出した。これらの塩は、スクリーニングした溶媒中で無水物として単一の安定な多形をもたらしたが、ヘミL-酒石酸塩及びヘミコハク酸塩(0.5:1の比の酸:塩基)は、脱水を受けた水和物をもたらし、結晶性及び/又は吸湿性が低かった。したがって、非常に好ましい実施形態では、1当量の式(S)-(IVb)の化合物を1当量のコハク酸又は1当量のHClと沈殿させて1:1の比の塩(すなわち、式(VI)の化合物)を形成する。本発明の最も好ましい実施形態では、1当量の式(S)-(IVb)の化合物を1当量のコハク酸と沈殿させて1:1の比の塩(すなわち、式(VI)の化合物)を形成する。全ての溶媒が同じ安定な多形(多形A)を提供したので、溶媒ACN、EtOH又はアセトンのいずれも結晶化に適していることが分かった。実施例5(表10)は、溶媒媒介平衡下で同じ多形が得られたので、広範囲の他の溶媒も使用してもよいことを示唆している。最も好ましい実施形態では、溶媒はEtOHである。式(VI)の化合物は、単純な濾過によって単離してもよい。
【0053】
態様II
本発明者らは更に、プロセス経路はキラル分割(すなわち、工程c)を必要とせずに実施することができることを見出した。したがって、第2の態様において、所望の(S)-エナンチオマーは、キラル分割を回避するために、不斉水素化を用いたエナンチオ選択的合成によって得てもよい。したがって、第2の態様において、本方法は、式(III)又は(IIIa)の化合物中のアルケンのエナンチオ選択的還元(すなわち、水素化)を実施するために、態様Iの工程a)又はb)においてキラル触媒を含めることを含む。不斉水素化の利点は、キラル誘導体化剤を用いた態様I)におけるキラル分割(すなわち、工程c)を冗長にする全体的により短いAPI経路である。
【0054】
したがって、第2の態様では、本発明は、
a)溶媒中、遷移金属触媒及びキラル配位子の存在下で、式(III)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVa)若しくは(S)-(IVb)の化合物を得る工程、又は式(III)の化合物を溶媒中で脱保護試薬と反応させて式(IIIa)の化合物を得る工程;
【化29】
b)工程a)で式(S)-(IVa)の化合物が形成された場合、溶媒中で、式(S)-(IVa)の化合物を脱保護試薬と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVb)の化合物を得る、又は工程a)で式(IIIa)の化合物が形成された場合、溶媒中、遷移金属触媒及びキラル配位子の存在下で、式(IIIa)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVb)の化合物を得る工程;
【化30】
c)溶媒中で、式(S)-(IVb)の化合物をコハク酸、L-酒石酸又はHClと反応させて、式(VI)の結晶性化合物を得る工程;
【化31】
(式中、A
-は、3-カルボキシプロパン酸、(2R、3R)-3-カルボキシ-2、3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。)
を含む、式(VI)の化合物を製造する方法に関する。
【0055】
工程a)又は工程b);不斉水素化
第2の態様の実施形態では、キラル触媒の存在下で式(IIIa)の化合物に水素化を実施して(すなわち、ステップb)、鏡像体過剰率(ee)で式(S)-(IVb)の化合物(すなわち、所望の(S)-エナンチオマー)を得る。第2の態様の好ましい実施形態では、キラル触媒の存在下で式(III)の化合物に水素化を実施して(すなわち、ステップa)、鏡像体過剰率(ee)で式(S)-(IVa)又は(S)-(IVb)(すなわち、所望の(S)-エナンチオマー)を得る。最も好ましくは、不斉水素化は、保護基が式(IIIa)の脱保護化合物と比較して鏡像体過剰率を改善したので、式(III)の化合物(すなわち、ステップa)に対して実施する。好ましくは、不斉水素化における鏡像体過剰率は、少なくとも60%ee、例えば少なくとも70%ee、例えば少なくとも75%ee、好ましくは少なくとも80%ee、例えば少なくとも85%ee、より好ましくは少なくとも90%ee、例えば少なくとも92%ee、更により好ましくは少なくとも94%ee、例えば少なくとも96%ee、更により好ましくは少なくとも97%ee、たとえば少なくとも98%ee、最も好ましくは、鏡像体過剰率は、>99%eeである。得られた鏡像体過剰率は、キラルHPLCなどの当技術分野で一般的に使用される方法で検証してもよい。最も好ましくは、不斉水素化は、キラル分割が必要とされないような高い鏡像体過剰率で(S)-エナンチオマーを提供する。不斉水素化において中程度の鏡像体過剰率しか達成されない場合(例えば、少なくとも70%ee)、鏡像体過剰率を最終沈殿ステップにおいて更に増加させて、高い鏡像体過剰率(例えば、>95%ee)の式(VI)の化合物を得ることができる。これは、(S)-エナンチオマーが(R)-エナンチオマーよりも高過剰に存在し、エナンチオマーが同じ溶解度を有する(すなわち、(S)-エナンチオマーが最初に沈殿する)という事実に起因する。式(VI)の化合物を形成するための最終沈殿が所望の鏡像体過剰率をもたらさない場合、式(VI)の化合物を、所望の鏡像体過剰率、例えば少なくとも97%ee、好ましくは少なくとも98%ee、最も好ましくは少なくとも99%eeに達するまで1回又は複数回再結晶してもよい。水素化(すなわち、態様I)の工程a)又はb)について記載される条件は、不斉水素化に等しく適用されるが、キラル配位子の存在を必要とする。
【0056】
キラル配位子
不斉水素化のために、一連のキラル配位子を使用することができる。そのようなキラル配位子としては、例えば、BINAP、SYNPHOS、DIOP、DuPhos、Josiphos、BDPP、BIBOP、Mandyphos又はホスホラミダイト、例えばMONOPHOSに基づくホスフィン配位子が挙げられる。最も好ましくは、キラル配位子は(R,R)-i-Pr-DuPhosである。不斉還元は、キラル酸によるキラル分割の必要性を回避する。したがって、不斉水素化を使用する場合、ステップd)(すなわち、キラル酸によるキラル分割)は必要ではない。しかしながら、残りのステップ(すなわち、ステップa)、SMCカップリング、工程b又はc)脱保護及びステップd)最終塩の調製)は、本明細書に記載されるのと同じ方法で実施してもよい。したがって、残りのステップについて本明細書に記載される実施形態は、必要な変更を加えて、不斉水素化を使用する実施形態に適用される。不斉水素化の最良の条件は、触媒としてのRh(NBD)BF4、キラル配位子としての(R,R)-i-Pr-DuPhos及び溶媒としてのEtOHであり、好ましくは触媒及びキラル配位子の予備混合を伴うことが分かった。表2は、得られた%eeのいくつかの代表的な例を示す。
【0057】
【0058】
工程a)又は工程b);脱保護
態様IIの工程a)又は工程b)の脱保護は、態様Iの工程a)又は工程b)の脱保護と同じ方法で実施する。したがって、態様Iの脱保護の説明及び実施形態は、態様IIにも等しく適用される。
【0059】
工程c);最終塩の調製
態様IIのステップc)は、最終結晶塩及びその特定の多形の調製であり、態様Iの最終塩の調製と同じ方法で実施される。したがって、態様Iの最終塩の調製の説明及び実施形態は、態様IIにも等しく適用される。
【0060】
態様IIの実施形態において、方法は、工程a)の前に、a1)溶媒中、塩基及び遷移金属触媒の存在下で、式(I)の化合物を式(II)の化合物と反応させて、式(III)の化合物を得る工程を更に含む。
【化32】
式中、
Zは、ボロン酸、トリフルオロホウ酸塩及びボロン酸エステルから成る群から選択され、
PGはアミン保護基であり、
YはS又はOから選択され、
Xは、Cl、Br、I又はOTfから選択される。
【化33】
【0061】
工程a1);Suzuki-Miyauraクロスカップリング(SMC)
態様IIにおけるステップa1)は、態様Iにおけるステップa1)と同一である。したがって、態様IにおけるSMC反応について記載される説明及び実施形態は、態様IIに等しく適用される。
【0062】
したがって、態様IIの非常に好ましい実施形態では、本発明は、
a1)溶媒中、塩基及び遷移金属触媒の存在下で、式(I)の化合物を式(II)の化合物と反応させて、式(III)の化合物を得る工程;
【化34】
式中、
Zは、ボロン酸、トリフルオロホウ酸塩及びボロン酸エステルから成る群から選択され、
PGはアミン保護基であり、
YはS又はOから選択され、
Xは、Cl、Br、I又はOTfから選択される。
【化35】
a)遷移金属触媒及びキラル配位子の存在下、式(III)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVa)若しくは(S)-(IVb)の化合物を得る工程、又は式(III)の化合物を溶媒中で脱保護試薬と反応させて、式(IIIa)の化合物を得る工程;
【化36】
b)工程a)で式(S)-(IVa)の化合物が形成された場合、溶媒中で、式(S)-(IVa)の化合物を脱保護試薬と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVb)の化合物を得る工程、又は工程a)で式(IIIa)の化合物が形成された場合、溶媒中、遷移金属触媒及びキラル配位子の存在下で、式(IIIa)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVb)の化合物を得る工程;
【化37】
c)溶媒中で、式(S)-(IVb)の化合物をコハク酸、L-酒石酸又はHClと反応させて、式(VI)の結晶性化合物を得る工程;
【化38】
(式中、A
-は、3-カルボキシプロパン酸、(2R、3R)-3-カルボキシ-2、3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。)
を含む、式(VI)の化合物を製造する方法に関する。
【0063】
最も好ましくは、不斉水素化は、式(III)の化合物(すなわち、保護中間体)に対して行われる。
【0064】
式(II)の化合物の調製
工程a)で使用するための式(II)の化合物をより低コストで大量に得るために、本発明者らは、より安価な前駆体4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)フェノール(式IIa)から出発して1-ブロモ-2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンへの2ステップのスケーラブルなプロセス化学経路を開発した。
【0065】
したがって、本発明のいくつかの実施形態では、第1及び第2の態様による方法は、工程a1)の前に、溶媒中、酸の存在下で、式(IIa)の化合物をハロゲン化剤と反応させて、式(IIb)の化合物を得て、溶媒中、塩基の存在下で、式(IIb)の化合物をメチル化剤と反応させて、式(II)の化合物を得る、更なる工程を含む:
【化39】
【0066】
ハロゲン化:
ハロゲン化剤:様々なハロゲン化剤が、式(IIa)の化合物に塩素、臭素又はヨウ素原子を据付けるのに適している。適した塩素化剤としては、限定されないが、シアヌル酸クロリド、N-クロロスクシンイミド、N-クロロフタルイミド、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸、N-クロロサッカリン、クロラミンB水和物、o-クロラミン T二水和物、クロラミン T三水和物、ジクロラミンB、ジクロラミンT、ベンジルトリメチルアンモニウムテトラクロロヨウ素酸塩から成るリストが挙げられる。適切な臭素化試薬としては、Br2、CBr4、テトラブチルアンモニウムトリブロミド、トリメチルフェニルアンモニウムトリブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド、ピリジニウムブロミドペルブロミド、4-ジメチルアミノピリジニウムブロミドペルブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリブロミド、1,8-ジアザビシクロ [5.4.0]-7-ウンデセン三臭化水素、N-ブロモスクシンイミド、N-ブロモフタルイミド、N-ブロモサッカリン、N-ブロモアセトアミド、2-ブロモ-2-シアノ-N,N-ジメチル-アセトアミド、1,3-ジブロモ5,5-ジメチルヒダントイン、ジブロモイソシアヌル酸、ブロモイソシアヌル酸一ナトリウム水和物、PBr3、ブロモジメチルスルホニウムブロミド、5、5-ジブロモメルドラム酸、2,4,4,6-テトラブロモ2,5-シクロヘキサジエノン、ビス(2,4,6トリメチルピリジン)-ブロモニウムヘキサフルオロホスフェートを挙げてもよいが、これらに限定されない。様々なヨウ素化剤としては、I2、HI、CI4、N-ヨードスクシンイミド、N-ヨードサッカリン、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン、ピリジン一塩化ヨウ素、ジクロロヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、ジクロロヨウ素酸ベンジルトリメチルアンモニウム及びビス(ピリジン)ヨードニウムテトラフルオロボラートから成るリストが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施形態では、ハロゲン化試薬は臭素化試薬であり、最も好ましくはピリジニウムブロミドペルブロミド(PyHBr3)である。
【0067】
酸:いくつかの酸は、式(IIa)の化合物のハロゲン化反応における使用に適している。そのような酸には、ルイス酸及びブレンステッド酸の両方が含まれる。適切な酸には、pTsOH、MsOH、HCl、及びTfOHから成るリストから選択される酸が含まれてもよいが、これらに限定されない。
【0068】
溶媒:いくつかの溶媒は、式(IIa)の化合物のハロゲン化反応に適している。そのような溶媒としては、例えば、MTBE、THF、ACN、DMF、2-MeTHF、EtOAc、EtOH、トルエン、アセトン又はMeOHが挙げられる。
【0069】
本発明者らは、ハロゲン化の様々な条件を調査した。見出された最も好ましい条件は、0~10℃でのピリジニウムブロミドペルブロミド(PyHBr3、1当量)、TfOH(2.0当量)、DCM(6V)だった。
【0070】
アルキル化:
アルキル化試薬:様々なメチル化剤が、式(IIb)の化合物のメチル化に適している。そのような試薬としては、MeI、フルオロスルホン酸メチル、メタンスルホン酸メチル、炭酸ジメチル及び硫酸ジメチルから成るリストから選択されるメチル化剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の最も好ましい実施形態では、メチル化剤はMeIである。
【0071】
塩基:式(IIb)の化合物のメチル化には様々な塩基を使用してもよい。そのような塩基としては、例えば、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3などのアルカリ炭酸塩基、MgCO3若しくはCaCO3などのアルカリ土類金属塩基又はNaHなどの水素化塩基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
本発明者らは、アルキル化の様々な条件を調査した。見出された最適な条件は、50~55でのMeI(1.1当量)、K2CO3(1.5当量)、アセトン(6V)だった。
【0073】
態様III
実施例3及び4に示すように、本発明者らは、HCl塩(多形A)、コハク酸塩(すなわち、多形A、酸:塩基の1:1の比)、及びL-酒石酸塩(すなわち、多形B、酸:塩基の比1:1)が、塩スクリーニングにおいて他の塩と比較して良好な全体的特性を有することを見出した。特に、これらの塩は、高い結晶性、高い融点、良好な熱特性、吸湿性がほとんど又は全くないこと、良好な溶解性、良好なバルク安定性を示した無水物を生じ、スクリーニングされた溶媒中で単一の安定な多形を形成した。対照的に、ヘミコハク酸塩及びヘミ-L-酒石酸塩(すなわち、酸:塩基の比が1:0.5)は、示差走査熱量測定(DSC)によって決定されるように脱水を受けた水和物を生じ、より吸湿性であり、及び/又は試験した溶媒とは異なる多形を形成した。更に、コハク酸塩(すなわち、多形A、酸:塩基の1:1の比)及びHCl塩(多形A)は、水中でL-酒石酸塩(すなわち、多形B、酸:塩基の比1:1)よりもかなり高い溶解度を示した。したがって、コハク酸塩(すなわち、多形A、酸:塩基の1:1の比、
図1)及びHCl塩(多形A、
図2)、最も好ましくは、コハク酸塩(1:1の比)は、薬物製造用のAPIを開発するための最良の塩として特定された。
【0074】
したがって、第3の態様では、本発明は、式(VI)の結晶性化合物に関する:
【化40】
式中、
Yは、O又はSとして選択され、
Aは、3-カルボキシプロパン酸、(2R,3R)-3-カルボキシ-2,3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。
【0075】
好ましい実施形態では、YはOとして選択される。別の好ましい実施形態では、YはSとして選択される。更に好ましい実施形態では、YはO又はSから選択され、A-は、3-カルボキシプロパン酸又はCl-、より好ましくは3-カルボキシプロパン酸として選択される。別の好ましい実施形態では、YはSとして選択され、A-は、3-カルボキシプロパン酸又はCl-、最も好ましくは3-カルボキシプロパン酸から選択される。より好ましい実施形態では、YはOとして選択され、A-は、3-カルボキシプロパン酸又はCl-、最も好ましくは3-カルボキシプロパン酸から選択される。
【0076】
非晶質及び結晶性化合物は、例えば顕微鏡を使用して容易に区別することができる。非晶質物質と結晶性物質とを区別する最良の方法は、XRDパターンを測定することである。結晶性物質は常に鋭い回折ピークを示すが、非晶質物質はそうではない。同様に、結晶性物質の異なる多形は、異なるXRDパターンのために識別されてもよい。また、物質の結晶性は、透過型電子顕微鏡(TEM顕微鏡写真)を用いた制限視野電子回折(SAED)パターンから確認することができる。
【0077】
実施形態では、YはOとして選択され、A
-は、(2R,3R)-3-カルボキシ-2,3-ジヒドロキシプロパン酸として選択され、塩は、
図3に示すように、2θピーク5.925°、10.183°、11.313°、11.823°、12.209°、12.542°、15.233°、15.592°、15.776°、16.275°、16.719°、17.063°、17.406°、17.752°、18.012°、19.568°、19.692°、20.291°、20.746°、21.261°、21.839°、22.200°、22.700°、23.226°、23.372°、23.603°、23.962°、24.516°、24.707°、25.013°、25.440°、25.914°、26.502°、27.003°、27.496°、27.902°、28.365°、28.786°、29.078°、29.791°、30.027°、30.299°、30.785°、31.187°、31.686°、32.070°、32.392°、33.434°、33.862°、34.358°、34.790°、35.584°、36.277°、36.801°、37.197°、38.121°及び39.667°を有するXRPDスペクトルを有する多形である。
【0078】
非常に好ましい実施形態では、YはOとして選択され、A
-はクロリド(Cl
-)として選択され、塩は、
図2に示すように、2θピーク7.457°、9.185°、10.899°、11.738°、12.604°、14.956°、17.706°、18.215°、18.382°、19.307°、19.902°、20.442°、20.956°、21.850°、22.449°、23.781°、24.007°、24.357°、24.752°、25.327°、25.557°、26.064°、27.377°、27.702°、28.340°、28.557°、29.144°、29.366°、29.915°、30.164°、30.669°、30.975°、32.213°、32.725°、33.018°、33.742°、34.605°、35.012°、35.618°、36.883°、37.131°、37.250°、37.772°、38.358°、38.626°、39.140°、39.869°を有するXRPDスペクトルを有する多形である。
【0079】
最も好ましい実施形態では、YはOとして選択され、A
-は3-カルボキシプロパン酸として選択され、塩は、
図1に示すように、2θピーク4.077°、8.108°、11.991°、12.156°、13.893°、15.876°、16.218°、16.412°、16.596°、17.849°、19.507°、19.786°、20.031°、20.297°、21.122°、22.011°、22.635°、23.000°、23.268°、24.065°、24.408°、25.414°、25.758°、26.947°、27.751°、28.032°、28.314°、29.966°、30.358°、30.562°、30.770°、31.378°、32.306°、32.868°、33.505°、34.710°、35.206°、36.418°、36.714°、37.306°、38.147°、38.322°、38.745°を有するXRPDスペクトルを有する多形である。
【0080】
本文脈において、XRPDスペクトル(すなわち、与えられた2θピーク)は、一般的な機器の方法に開示されているX線粉末回折計及び方法を使用して得られることを理解されたい。
【0081】
態様IV
第4の態様では、本発明は、式(III)又は(IIIa)の中間体に関する:
【化41】
式中、
Yは、O又はSから選択され、
PGは、アミン保護基である。
【0082】
一般的なアミン保護基としては、カルバメート、例えば9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc-NR2)、t-ブチルカルバメート(Boc-NR2)、及びベンジルカルバメート(Cbz-NR2)、アミド、例えばアセトアミド(Ac-NR2)及びトリフルオロアセトアミド(CF3CO-NR2);ベンジルアミン、例えばベンジルアミン(Bn-NR2)又は4-メトキシベンジルアミン(PMB-NR2);トリフェニルメチルアミン(Tr-NR2);スルホンアミド、例えばp-トルエンスルホンアミド(Ts-NR2)が挙げられる。したがって、本発明の実施形態では、保護基PGは、カルバメート、アミド、ベンジルアミン又はスルホンアミドから成るリストから選択される。好ましい実施形態では、PGは、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc-NR2)、t-ブチルカルバメート(Boc-NR2)、ベンジルカルバメート(Cbz-NR2)、アセトアミド(Ac-NR2)、トリフルオロアセトアミド(CF3CO-NR2)、ベンジルアミン(Bn-NR2)、4-メトキシベンジルアミン(PMB-NR2)、トリフェニルメチルアミン(Tr-NR2)、及びp-トルエンスルホンアミド(Ts-NR2)から成るリストから選択される。
【0083】
より好ましくは、保護基(PG)は、Boc(t-ブチルオキシカルボニル)又はCBz(カルボキシベンジル)などのカルバメート保護基である。Boc保護基は、塩形成を伴う酸性条件下で除去してもよいという利点を有する。このことにより、特定の実施形態では、生成物のワンポット脱保護、沈殿、及び単離を可能にしてもよい。例えばCBz保護基は、保護基の切断及び式(III)の化合物中のアルケン(すなわち、ピペリジンの二重結合)の還元を、別個の脱保護ステップ(すなわち、工程c)が必要とされないように単一のステップで実施してもよいという利点を有する。当業者は、アミンの適切な保護基、それらを据付けるために使用される保護条件、並びにそれらの脱保護(すなわち、切断)条件を十分に認識しており、これらは例えばGreene’s Protective Groups in organic synthesisに見出すことができる、したがって、保護基は、本明細書で明示的に言及されていない他の適切なアミン保護基に変更されてもよい。
【0084】
好ましい実施形態では、PGはカルバメート保護基である。非常に好ましい実施形態では、カルバメートは、Boc又はCbzから選択される。最も好ましい実施形態では、カルバメート保護基はBoc基である。最も好ましくは、YはOである。
【0085】
態様V
第5の態様では、本発明は、式(III)の中間体の、式(IVa)、(IVb)、(IIIa)、(S)-(IVa)、(S)-(IVb)、(V)、若しくは(VI)の化合物の製造のための使用、又は式(IIIa)の中間体の、式(IVb)、(S)-(IVb)、(V)、若しくは(VI)の化合物の製造のための使用に関する:
【化42】
【0086】
適切なアミンPGは、例えば、Greene’s Protective Groups in organic synthesis又は態様IVで述べたリストに見出すことができ、これらは態様Vに等しく適用される。好ましい実施形態では、PGはカルバメート保護基である。非常に好ましい実施形態では、カルバメート保護基は、Boc又はCbzから選択される。最も好ましい実施形態では、カルバメート保護基はBoc基である。最も好ましくは、YはOである。
【実施例】
【0087】
【0088】
実施例1-式(VI)の化合物の合成
以下の反応スキーム1は、式(VI)の化合物の合成のために開発された全体的な経路を示す。
【化43】
【0089】
反応スキーム1
2-ブロモ-4-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェノール(2)の合成:
【化44】
【0090】
1.オーバーヘッドスターラーを備えた2Lジャケット付きフラスコを設置する。2.N2下で1(100g、1.0±0.05倍)をR1に充填する。3.N2下でDCM(750~850g、7.5~8.5倍、6V)をR1に充填する。4.R1を0~10℃に調整する。5.TfOH(156.2g、1.56~1.60倍、2.0当量)をR1に0~10℃で1時間にわたって添加する。6.PyHBr3(166.5g、1.66~1.68倍、1.0当量)をR1に0~10oCで1時間にわたって添加する。7.R1を0~10℃で16~20時間撹拌する。8.PyHBr3(8g、0.05~0.20倍、0.05当量)をR1に0~10℃で添加する。9.R1を0~10℃で6~12時間撹拌する。10.20%Na2SO3(550~650g、5.5~6.5倍、6V)を0~10oCで1時間にわたって添加する。11.R1を15~25℃に調整する。12.R1を15~25℃で1~2時間撹拌する。13.R1を1~2時間放置する。14.下層を分離し、上層を除去する。15.7%NaHCO3(950~1150g、8.5~11.5倍、10V)を添加して15~25oCでPH=7~9に調整する。16.R1を15~25℃で1~2時間撹拌する。17.R1を1~2時間放置する。18.下層を分離し、上層を除去する。19.DCM(600~700g、6.0~7.0倍、5V)を15~25℃で充填する。20.R1を1~2時間放置する。21.下層を分離し、上層を除去する。22.15~25℃で飽和NaCl(550~650g、5.5~6.5倍、6V)を充填する。23.R1を15~25℃で1~2時間撹拌する。23.R1を1~2時間放置する。24.下層を分離し、上層を除去する。25.R1を真空下、40℃未満で1~3倍に濃縮する。26.アセトン(468g、4.5~5.0倍、6V)をR1に充填する。26.R1を真空下、40℃未満で1~3倍に濃縮する。27.アセトン(468g、4.5~5.0倍、6V)をR1に充填する。化合物2を、アセトン中の溶液として得る。実験室収率:約90%1。1H NMR:400MHz,CDCl3 δ7.20(s,1H),7.10(s,1H),3.87(s,3H)
【0091】
1-ブロモ-2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(3)の合成:
【化45】
【0092】
1.オーバーヘッドスターラーを備えた2Lジャケット付きフラスコを設置する。2.2(100g、1.0倍(0.98~1.02倍)、1.0当量)のアセトン溶液をR1に充填する。3.K2CO3(76.5g、0.77倍(0.72~0.80倍)、1.52当量)をR1に充填する4.MeI(62.45g、0.62倍(0.59~0.65倍)、1.20当量)をR1に充填する。5.R1をN2流下で30℃(25~35℃)に調整する。6.R1を30℃(25~35℃)で18時間(16~20時間)撹拌する。7.MeI(7.9g、0.08倍(0.06~0.10倍)、0.15当量)をR1に充填する。8.R1を30℃(25~35℃)で8時間(6~10時間)撹拌する。9.懸濁液を濾過し、液をR2に移す。10.ウェットケーキをアセトン(158g、1.58倍(1.50~1.66倍)、2V(1.90~2.10V))ですすぐ。11.ウェットケーキをアセトン(158g、1.58倍(1.50~1.66倍)、2V(1.90~2.10V))ですすぐ。IPC:K2CO3ケーキ中の残留MeI:≦100ppm。12.真空下、R2を45℃未満で3~4Vに濃縮する。13.R2を30~35℃に調整する。14.プロセス水(600g、5.9~6.1倍)をN2下、30~35℃で40分間にわたりR1に充填する。15.R2を30~35℃で1~2時間撹拌する。16.R2を1時間にわたり10~15℃に調整する。17.R2を10~15℃で12~16時間撹拌する。18.混合物を濾過する。19.ケーキを(140g、1.3~1.5倍)溶液(アセトン/H2O=1/2、V/V)で洗浄する。20.ウェットケーキを50~55℃で16~24時間乾燥させる。化合物3を固体として得る。実験室収率:約85%。1HNMR:400MHz,CDCl3 δ7.23(s,1H),7.09(s,1H),3.97(s,3H),3.88(s,3H)。
【0093】
tert-ブチル5-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(4)の合成:
【化46】
【0094】
1.オーバーヘッドスターラーを備えた2Lジャケット付きフラスコを設置する。2.N2下で3(100g、1.0±0.02倍)をR1に充填する。3.N2下で3b(116~120g、1.19~1.21倍)をR1に充填する。4.ACN(450~550g、4.5~5.5倍、6V)をR1に充填する。5.NaBr水溶液(27~30g、0.27~0.30倍、0.2V)を充填する。6.K2CO3(95~98g、0.95~1.00倍)をR1に充填する。7.R1をN2で3回パージする。8.Pd(dppf)Cl2.CH2Cl2(8.4~8.6g、0.084~0.086倍)をR1に充填する。9.ACN(50~100g、0.5~1.0倍)をR1に充填する。10.R1をN2で3回パージする。11.R1を75~85oCに調整する。12.R1を75~85℃で16~24時間撹拌する。13.R1を45~55oCに調整する。14.R1を20~40℃に調整する。15.Pd(dppf)Cl2.CH2Cl2(1~3g、0.01~0.03倍)をR1に充填する。15.R1をN2で3回パージする。16.R1を75~85℃に調整する。17.R1を75~85℃で6~10時間撹拌する。18.R1を45~55oCに調整する。19.混合物を45~55℃で濾過する。20.ケーキをACN(150~200g、1.5~2.0倍、2V)ですすぐ。21.ケーキをACN(150~200g、1.5~2.0倍、2V)ですすぐ。22.有機相をR1に充填する。23.プロセス水(800~1200g、8.0~12.0倍、8V)を45~55℃で3時間にわたって添加する。24.R1を2時間にわたって0~10℃に調整する。25.R1を0~10℃で4~8時間撹拌する。26.ケーキを濾過し、ACN:H2O=1:3(V/V)で洗浄する(100~200g、1.0~2.0倍、2V)。27.ウェットケーキをR1に充填する。28.ACNを充填する(300~400g、3.0~4.0倍、4V)。29.R1を45~55oCに調整する。30.プロセス水(400~500g、4.0~5.0倍、4V)を45~55℃で3時間にわたって添加する。31.R1を2時間にわたって0~10℃に調整する。32.混合物を0~10℃で1~2時間撹拌する。33.ケーキを濾過し、ACN:H2O=1:3(V/V)で洗浄する(100~200g、1.0~2.0倍、2V)。34.ウェットケーキをR1に充填する。35.EtOAc(900~1000g、9.0~10.0倍)をR1に充填する。36.シリカチオール(10~15g、0.1~0.15倍)をR1に充填する。37.EtOAc(300~400g、3.0~4.0倍)をR1に充填する。38.R1を45~55oCに調整する。39.R1を45~55℃で12~18時間撹拌する。40.R1を15~25℃に調整する。41.R1を15~25℃で1~3時間撹拌する。42.ケーキを濾過し、EtOAc(90~150g、0.9~1.5倍、1V)で洗浄する。43.有機層をR1中でCUNO(CUNO装置;供給者:3M;モデル:ゼータカーボン;Zeta Plus活性炭、供給者:3M;グレード:R55SP;炭素含有量:1.4g;総重量:3g;サイズ:47*6mm)により25~35℃で10~16時間脱色する。44.CUNOをEtOAc(200~400g、2.0~4.0倍、3V)で2~4時間洗浄する。45.CUNOをEtOAc(200~400g、2.0~4.0倍、3V)で2~4時間洗浄する。46.CUNOをEtOAc(200~400g、2.0~4.0倍、3V)で3~6時間洗浄する。47.R1を真空下、40℃未満で2~3倍に濃縮する。48.EtOAc(600~700g、6.0~7.0倍)をR1に充填する。実験室収率:約80%。化合物4をオフホワイトの固体として得て、これは1H-NMRによって確認される。1H-NMR:400MHz,CDCl3 δ7.07(s,1H),6.85(s,1H),5.95(m,1H),4.22(m,2H),δ3.89(s,3H),3.82(s,3H),3.61-3.58(t,J=5.6Hz,3H),2.33(m,2H),1.50(s,9H)。
【0095】
3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン(6)の合成:
【化47】
【0096】
1.オーバーヘッドスターラーを備えた2Lジャケット付きフラスコを設置する。2.4のEtOAc溶液(正味:100g、1.0倍、1.0当量)をN2下でR1に充填する。3.EtOAc(890g、8.9倍、10V)をN2下でR1に充填する。4.湿ったPd/C(10.0g、0.1倍)をN2下でR1に充填する。5.0.5~1MPaのH2でR1を3回パージする。6.H2流下、R1を0.5~1MPaに調整する。7.R1を25~35℃に調整する。8.R1を25~35℃で20~24時間撹拌する。9.湿ったPd/C(2.5g、0.025倍)をN2下でR1に充填する。10.0.5~1MPaのH2でR1を3回パージする。11.H2流下、R1を0.5~1MPaに調整する。12.R1を25~35℃に調整する。13.R1を25~35℃で20~24時間撹拌する。14.混合物を珪藻土(0.5倍~2.0倍)パッドで濾過する。15.パッドをEtOAc(160~240g、1.6~2.4倍)で洗浄する。16.EtOAc溶液を合わせ、R2に移す。17.有機相を50℃未満で7~9Vに濃縮する。化合物5を固体として得る。5の1H-NMR.δ7.04(s,1H)、6.85(s,1H)、4.17~4.14(d,J=12.0Hz,1H)、3.86(s,3H)、3.83(s,3H)、3.13~3.10(m、1H)、2.79(s,1H)、1.96~1.94(d,J=9.20Hz,1H)、1.75(s,1H)、1.69~1.61(m、3H)、1.47(s,9H)。18.R2を10~15℃に調整する。19.濃HCl(135g、1.30~1.40倍、5.0当量)を10~15℃で1時間かけてR2に添加する。20.R2を25~30℃に調整する。21.R2を25~35℃で16~20時間撹拌する。22.R2を10~15℃に調整する。23.濃HCl(26g、0.2~0.3倍、1.0当量)を10~15℃で1時間かけてR2に添加する。24.R2を25~35℃で8~10時間撹拌する。25.2N NaOH水溶液(650~900g、6.5~9.0倍)をR2に添加して、10~30℃でpHを8~9に調整する。26.R2を15~25℃で1~2時間撹拌する。27.R2を1~2時間放置する。28.水相を分離する。29.水層をR2に移す。30.EtOAc(160~240g、1.6~2.4倍)をR2に充填する。31.R2を15~25℃で1~2時間撹拌する。32.R2を1~2時間放置する。33.水相を分離する。34.有機相を合わせる。35.合わせた有機相を10%NaCl水溶液(500~700g、5.0~7.0倍)で洗浄する。36.R2を15~25℃で1~2時間撹拌する。37.R2を1~2時間放置する。38.水相を分離する。39.有機相を50℃未満で5~6Vに濃縮する。実験室収率:2ステップで約88%。化合物6(130g、粗製)をオフホワイトの固体として得て、これを1H NMRによって確認する。1H NMR:400MHz,MeOD δ7.14(s,1H),7.04(s,1H),3.89(s,3H),3.86(s,3H),3.34-3.32(m,2H),3.25-3.22(m,2H)2.88-2.81(m,2H),1.97-1.94(m,2H),1.85-1.79(m,2H)。
【0097】
3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン(8)の合成:
【化48】
【0098】
1.オーバーヘッドスターラーを備えた3Lジャケット付きフラスコを設置する。2.N2下で6(100g、1.0±0.02倍)をR1に充填する。3.THF(850~950g、8.5~9.5倍、10V)をR1に充填する。4.プロセス水(90~110g、2.8~3.2倍、1V)を充填する。5.R1を25~35℃に調整する。5.(2R,3R)-2,3-ビス[(4-メトキシベンゾイル)オキシ]ブタン二酸(144~146g、1.44~1.46倍)をR1に充填する。6.R1を45~55oCに調整する。R1を45~55℃で10~16時間撹拌する。7.R1を30~40℃に調整する。8.R1を真空下40℃で2~4Vに濃縮する。9.DCM(900~1000g、9.0~10.0倍、7V)を充填する。10.R1を真空下40℃で2~4Vに濃縮する。11.DCM(900~1000g、9.0~10.0倍、7V)を充填する。12.R1を35~45℃で3~6時間撹拌する。13.R1を20~30℃に調整する。14.R1を20~30℃で10~16時間撹拌する。15.混合物を濾過する。IPC:ウェットケーキ中7のee%(ジ-アニソイル-酒石酸塩として)≧98.0%。16.ウェットケーキをR1に充填する。17.DCM(1300~1400g、13.0~14.0倍、10V)をR1に充填する。18.R1を35~45℃に調整する。19.R1を35~45℃で1~3時間撹拌する。20.R1を20~30℃に調整する。21.R1を20~30℃で3~6時間撹拌する。22.混合物を濾過する。23.IPC:ウェットケーキ中7のee%(ジ-アニソイル-酒石酸塩として)≧98.0%。7(ジ-アニソイル-酒石酸塩として)1H NMR:400MHz,MeOD δ8.09-8.06(m,4H),7.15(s,1H),7.02-6.97(m,5H),5.88(s,2H),3.88-3.84(m,12H),3.34-3.32(m,3H),3.09-3.03(t,J=12.0Hz,1H),2.97(m,1H),2.00(m,1H),1.91-1.87(m,3H)。24.ウェットケーキをR1に充填する。25.EtOAc(450~500g、4.5~5.0倍、5V)をR1に充填する。26.20%Na2CO3(450~500g、4.5~5.0V、5V)水相をR1に充填する。27.R1を20~30℃で2~4時間撹拌する。28.R1を1~2時間静置させる。29.上層を分離し、下層を除去する。30.20%Na2CO3(450~500g、4.5~5.0V、5V)水相をR1に充填する。31.R1を20~30℃で1~3時間撹拌する。32.R1を1~2時間放置する。33.上層を分離し、下層を除去する。34.R1を真空下40℃で2~3Vに濃縮する。7の実験室収率:35~40%。1H-NMR:400MHz,MeOD δ7.14(s,1H),6.99(s,1H),3.86-3.84(d,6H),3.21(m,1H),3.08-3.05(m,2H),2.65-2.58(m,2H),1.90-1.64(m,4H)。35.EtOH(450~500g、4.5~5.0倍、5V)をR1に充填する。36.R1を真空下40℃で2~3Vに濃縮する。37.EtOH(50~300g、0.5~3.0倍、2V)をR1に充填する。38.コハク酸(15~25g、0.15~0.25倍)をR1に充填する。39.R1を45~55oCに調整する。40.R1を45~55℃で3~6時間撹拌する。41.R1を3時間にわたって20~30℃に調整する。42.R1を20~30℃で16~20時間撹拌する。43.混合物を濾過する。44.ウェットケーキを35~45℃で18~24時間乾燥させる。8の実験室収率:約70%。1H-NMR:400MHz,MeOD δ7.16(s,1H),7.08(s,1H),3.89(d,6H),3.46-3.43(m,3H),3.15-3.02(m,2H),2.53(s,4H),2.08-1.89(m,4H)。
【0099】
YがSである場合、XがCl、Br又はIである以下に示される式(II)の化合物を使用することによって、上記と同じ手順を式(VI)の化合物の合成に使用してもよい。
【化49】
【0100】
YがSである式(II)の化合物は又、市販の4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェノールから以下の反応スキームに示されるように調製してもよい。臭素化剤は、必要であれば、本明細書に開示される塩素化剤又はヨウ素化剤で置換されて、それぞれ(5-クロロ-4-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)フェニル)(メチル)スルファン又は(5-ヨード-4-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)フェニル)(メチル)スルファンを得てもよい。
【化50】
【0101】
実施例1A-式(VI)の化合物の合成
以下の反応スキーム1Aは、脱保護を水素化の前に実施する、式(VI)の化合物の合成のための代替経路を示す。
【化51】
【0102】
反応スキーム1A
2-ブロモ-4-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェノール(2)の合成:
【化52】
【0103】
1.オーバーヘッドスターラーを備えた2Lジャケット付きフラスコを設置する。2.N2下で1(100g、1.0±0.05倍)をR1に充填する。3.N2下でDCM(750~850g、7.5~8.5倍、6V)をR1に充填する。4.R1を0~10℃に調整する。5.PyHBr3(166.5g、1.66~1.68倍、1.0当量)をR1に0~10oCで添加する。6.TfOH(156.2g、1.56~1.60倍、2.0当量)をR1に0~10℃で2時間にわたって添加する。7.R1を0~10℃で16~20時間撹拌する。8.PyHBr3(8g、0.05~0.20倍、0.05当量)をR1に0~10oCで添加する。9.R1を0~10℃で6~12時間撹拌する。10.20%Na2SO3(550~700g、5.5~7.0倍、6V)を0~10oCで4時間にわたって添加する。11.R1を15~25℃に調整する。12.R1を15~25℃で1~2時間撹拌する。13.R1を1~2時間放置する。14.下層を分離し、上層を除去する。15.7%NaHCO3(950~1150g、8.5~11.5倍、10V)を添加して15~25oCでPH=7~9に調整する。16.R1を15~25℃で1~2時間撹拌する。17.R1を1~2時間放置する。18.下層を分離し、上層を除去する。19.DCM(600~700g、6.0~7.0倍、5V)を15~25℃で充填する。20.R1を1~2時間放置する。21.下層を分離し、上層を除去する。22.15~25℃で飽和NaCl(550~650g、5.5~6.5倍、6V)を充填する。23.R1を15~25℃で1~2時間撹拌する。23.R1を1~2時間放置する。24.下層を分離し、上層を除去する。25.R1を真空下、40℃未満で1~3倍に濃縮する。26.アセトン(468g、4.5~5.0倍、6V)をR1に充填する。26.R1を真空下、40℃未満で1~3倍に濃縮する。27.アセトン(468g、4.5~5.0倍、6V)をR1に充填する。化合物2を、アセトン中の溶液として得る。実験室収率:約90%。1H NMR:400MHz、CDCl3δ7.26(s,1H)、7.14(s,1H)、5.94(ブロードのs,1H)、3.87(s,3H)
【0104】
1-ブロモ-2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(3)の合成:
【化53】
【0105】
1.オーバーヘッドスターラーを備えた2Lジャケット付きフラスコを設置する。2.2(100g、1.0倍(0.98~1.02倍)、1.0当量)のアセトン溶液をR1に充填する。3.K2CO3(76.5g、0.77倍(0.72~0.80倍)、1.5当量)をR1に充填する。4.MeI(62.45g、0.62倍(0.59~0.65倍)、1.20当量)をR1に充填する。5.R1をN2流下で30℃(25~35℃)に調整する。6.R1を30℃(25~35℃)で18時間(16~20時間)撹拌する。7.MeI(7.9g、0.08倍(0.06~0.10倍)、0.15当量)をR1に充填する。8.R1を30℃(25~35℃)で8時間(6~10時間)撹拌する。9.懸濁液を濾過し、液をR2に移す。10.ウェットケーキをアセトン(158g、1.58倍(1.50~1.66倍)、2V(1.90~2.10V))ですすぐ。11.R2を25~35℃に調整する。12.プロセス水(1600g、15.0~18.0倍)をN2下、25~35℃で40分間にわたりR1に充填する。13.R2を25~35℃で1~2時間撹拌する。14.R2を1時間にわたり5~15℃に調整する。15.R2を5~15℃で12~16時間撹拌する。16.混合物を濾過する。17.ケーキ(150g、1.0~2.0倍)を溶液で洗浄する(アセトン/H2O=1/2、V/V)。18.ウェットケーキを45~55℃で16~24時間乾燥させる。化合物3を固体として得る。実験室収率:約85%。1HNMR:400MHz,CDCl3 δ7.24(s,1H),7.10(s,1H),3.89(s,3H),3.88(s,3H)。
【0106】
tert-ブチル5-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(4)の合成:
【化54】
【0107】
1.オーバーヘッドスターラーを備えた2Lジャケット付きフラスコを設置する。2.N2下で3(100g、1.0±0.02倍)をR1に充填する。3.N2下で3b(116~120g、1.19~1.21倍)をR1に充填する。4.ACN(450~550g、4.5~5.5倍、6V)をR1に充填する。5.NaBr水溶液(27~30g、0.27~0.30倍、0.2V)を充填する。6.K2CO3(95~98g、0.95~1.00倍)をR1に充填する。7.R1をN2で3回パージする。8.Pd(dppf)Cl2.CH2Cl2(8.4~8.6g、0.084~0.086倍)をR1に充填する。9.ACN(50~100g、0.5~1.0倍)をR1に充填する。10.R1をN2で3回パージする。11.R1を75~85oCに調整する。12.R1を75~85℃で16~24時間撹拌する。13.R1を45~55oCに調整する。14.R1を20~40℃に調整する。15.Pd(dppf)Cl2.CH2Cl2(1~3g、0.01~0.03倍)をR1に充填する。15.R1をN2で3回パージする。16.R1を75~85℃に調整する。17.R1を75~85℃で6~10時間撹拌する。18.R1を45~55oCに調整する。19.混合物を45~55℃で濾過する。20.ケーキをACN(150~200g、1.5~2.0倍、2V)ですすぐ。21.有機相をR1に充填する。22.シリカチオール(10~15g、0.1~0.15倍)をR1に充填する。23.R1を45~55oCに調整する。24.R1を45~55℃で12~18時間撹拌する。25.ケーキを濾過し、ACN(100~200g、1.0~2.0倍、2V)で洗浄する。26.有機相をR1に充填する。27.プロセス水(1000~1500g、10.0~15.0倍、11V)を45~55℃で3時間にわたって添加する。28.R1を2時間にわたって0~10℃に調整する。29.R1を0~10℃で4~8時間撹拌する。26.ケーキを濾過し、ACN:H2O=1:3(V/V)で洗浄する(100~200g、1.0~2.0倍、2V)。27.ウェットケーキを35~45℃で10~16時間にわたって乾燥させる。実験室収率:約80%。化合物4をオフホワイトの固体として得て、これは1H-NMRによって確認される。1H-NMR:400MHz,CDCl3 δ7.07(s,1H),6.85(s,1H),5.94(m,1H),4.22(m,2H),δ3.89(s,3H),3.83(s,3H),3.61-3.58(t,J=5.6Hz,3H),2.33(m,2H),1.54(s,9H)。
【0108】
3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン(6)の合成:
【化55】
【0109】
1.オーバーヘッドスターラーを備えた2Lジャケット付きフラスコを設置する。2.4(正味:100g、1.0倍、1.0当量)をN2下でR1に充填する。3.2.-MeTHF(860g、8.0~9.0倍、10V)をN2下でR1に充填する。4.濃HCl(135g、1.30~1.40倍、5.0当量)を5~15℃で1時間にわたりR1に添加する。5.R1を25~35℃に調整する。6.R1を25~35℃で16~20時間撹拌する。7.R1を5~15℃に調整する。8.濃HCl(26g、0.2~0.3倍、1.0当量)を5~15℃で1時間にわたりR1に添加する。9.R1を25~35℃で8~10時間撹拌する。10.R1を0~10℃に調整する。11.3N NaOH水溶液(800~1500g、8.0~15.0倍)をR1に添加して、0~25℃でpHを10~13に調整する。12.R1を15~25℃で1~3時間撹拌する。13.R1を1~2時間放置する。14.水相を分離する。15.3N NaOH水溶液(500~700g、5.0~7.0倍)をR1に0~25℃で添加する。16.R1を15~25℃で1~3時間撹拌する。17.R1を1~2時間放置する。18.水相を分離する。19.20% NaCl水溶液(500~700g、5.0~7.0V)をR1に15~25℃で充填する。20.R1を15~25℃で1~3時間撹拌する。21.R1を1~2時間放置する。22.水相を分離する。23.有機相を真空下、40℃未満で2~3Vに濃縮する。24.EtOAc(630g、6.0~7.0倍)をR1に充填する。25.有機相を真空下、40℃未満で2~3Vに濃縮する。26.EtOAc(630g、6.0~7.0倍)をR1に充填する。化合物5を、EtOAc中の溶液として得る。27.湿ったPd/C(8.0g、0.07~0.09倍)をN2下でR2に充填する。28.有機相をR2に充填する。29.0.5~1MPaのN2でR2を3回パージする。30.0.5~1MPaのH2でR2を3回パージする。31.H2流下、R2を0.5~1MPaに調整する。32.R2を25~35℃に調整する。33.R2を25~35℃で20~24時間撹拌する。34.湿ったPd/C(2.5g、0.025倍)をN2下でR2に充填する。35.0.5~1MPaのN2でR2を3回パージする。36.0.5~1MPaのH2でR2を3回パージする。37.H2流下、R2を0.5~1MPaに調整する。38.R2を25~35℃に調整する。39.R2を25~35℃で10~16時間撹拌する。40.混合物を珪藻土(0.5倍~2.0倍)パッドで濾過する。41.パッドをEtOAc(200~300g、2.0~3.0倍)で洗浄する。42.EtOAc溶液を合わせる。実験室収率:2ステップで約88%。化合物6(130g、粗製)をオフホワイトの固体として得て、これを1H NMRによって確認する。1H NMR:400MHz,MeOD δ7.11(s,1H),7.02(s,1H),3.86(s,3H),3.84(s,3H),3.34-3.32(m,1H),3.22-3.20(m,2H)2.86-2.77(m,2H),1.94-1.91(m,2H),1.83-1.77(m,2H)。
【0110】
3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン(8)の合成:
【化56】
【0111】
1.オーバーヘッドスターラーを備えた3Lジャケット付きフラスコを設置する。2.N2下、EtOAc(100g、1.0±0.02倍)中の6の溶液をR1に充填する。3.R1を真空下、40℃未満で2~3倍に濃縮する。4.THF(850~950g、8.5~9.5倍、10V)をR1に充填する。5.プロセス水(90~110g、0.9~1.1倍、1V)を充填する。6.R1を25~35℃に調整する。6.(2R,3R)-2,3-ビス[(4-メトキシベンゾイル)オキシ]ブタン二酸(144~146g、1.44~1.46倍)をR1に充填する。7.R1を45~55oCに調整する。8.R1を45~55℃で10~16時間撹拌する。9.R1を30~40℃に調整する。10.R1を真空下40℃で2~4Vに濃縮する。11.DCM(900~1000g、9.0~10.0倍、7V)を充填する。12.R1を真空下40℃で2~4Vに濃縮する。13.DCM(900~1000g、9.0~10.0倍、7V)を充填する。14.R1を35~45℃で4~8時間撹拌する。15.R1を20~30℃に調整する。16.R1を20~30℃で4~8時間撹拌する。17.混合物を濾過する。IPC:ウェットケーキ中7のee%(ジ-アニソイル-酒石酸塩として)≧98.0%。18.ウェットケーキをR1に充填する。19.DCM(1300~1400g、13.0~14.0倍、10V)をR1に充填する。20.R1を30~45℃に調整する。21.R1を30~45℃で4~6時間撹拌する。22.混合物を濾過する。23.IPC:ウェットケーキ中7のee%(ジ-アニソイル-酒石酸塩として)≧98.0%。7(ジ-アニソイル-酒石酸塩として)1H NMR:400MHz,MeOD δ8.10-8.06(m,4H),7.15(s,1H),7.02-6.97(m,5H),5.88(s,2H),3.88-3.85(m,12H),3.33-3.32(m,3H),3.09-3.03(t,J=12.0Hz,1H),2.98-2.97(m,1H),2.00(m,1H),1.91-1.87(m,3H)。24.ウェットケーキをR1に充填する。25.EtOAc(450~500g、4.5~5.0倍、5V)をR1に充填する。26.20%Na2CO3(550~700g、5.5~7.5V、5V)水溶液をR1に充填する。27.R1を20~30℃で2~4時間撹拌する。28.R1を1~2時間静置させる。29.上層を分離し、下層を除去する。30.水相をR1に充填する。31.EtOAc(450~500g、4.5~5.0V、5V)をR1に充填する。32.R1を20~30℃で1~2時間撹拌する。33.R1を1~2時間放置する。34.上層を分離し、下層を除去する。35.有機相を合わせる。36.R1を真空下40℃で5~6Vに濃縮する。37.プロセス水(400~600g、4.0~6.0倍)をR1に充填する。38.R1を20~30℃で1~2時間撹拌する。39.R1を1~3時間沈降させる。40.上層を分離し、下層を除去する。41.プロセス水(400~600g、4.0~6.0倍)をR1に充填する。42.R1を20~30℃で1~3時間撹拌する。39.R1を1~2時間放置する。43.上層を分離し、下層を除去する。44.R1を真空下40℃で2~3Vに濃縮する。45.EtOH(450~500g、4.5~5.0倍)を充填する。46.R1を真空下40℃で2~3Vに濃縮する。47.EtOH(450~500g、4.5~5.0倍)を充填する。EtOH溶液中の7の実験室収率:35~40%。1H-NMR:400MHz,MeOD δ7.14(s,1H),6.99(s,1H),3.87(s,3H),3.83(s,3H),3.22(m,1H),3.08-3.05(m,2H),2.65-2.59(m,2H),1.90-1.64(m,4H)。48.7のEtOH溶液をR1に充填する。49.コハク酸(15~25g、0.15~0.25倍)をR1に充填する。39.R1を45~55oCに調整する。40.R1を45~55℃で3~6時間撹拌する。41.R1を3時間にわたって20~30℃に調整する。42.R1を20~30℃で16~20時間撹拌する。43.混合物を濾過する。44.ウェットケーキを35~45℃で18~24時間乾燥させる。8の実験室収率:約70%。1H-NMR:400MHz,MeOD δ7.17(s,1H),7.08(s,1H),3.90(s,3H),3.88(s,3H),3.46-3.44(m,3H),3.34-3.32(m,1H),3.16-3.03(m,2H),2.53(s,4H),2.00-1.90(m,4H)。
【0112】
実施例2-式(VI)の化合物の合成
式(VI)の化合物はまた、YがSである場合、以下の反応スキームに示すように調製してもよい。キラル分割は、本明細書中に開示されるキラル酸のいずれか、好ましくは表1に示されるキラル酸を使用して実施してもよい。
【化57】
【0113】
実施例3:塩スクリーニング
(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンとの塩形成剤として15種類の酸を選択した(表3参照)。約45mgを適切な溶媒に添加し、様々な当量の酸を50℃で約2時間、次いで25℃で少なくとも32時間撹拌しながら添加した。スクリーニング溶媒として、エタノール、アセトン及びACNを使用した。沈殿が得られなかったか、又はわずかな固体しか得られなかった場合、溶液を結晶化のために5℃に置いた。
【0114】
得られた懸濁液を取り出し、遠心分離した。得られた固体をXRPDによって分析した。塩スクリーニング結果を表4に要約する。結晶化度が高い又は中程度の塩を更に特徴付けた(表5参照)。
【0115】
【0116】
【0117】
実施例4:結晶ヒットの特性評価
塩スクリーニング結果(表4参照)によれば、合計19の潜在的な塩ヒットが特定された。全ての潜在的な塩ヒットを、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、1H-NMR、イオンクロマトグラフィー(IC)、カール・フィッシャー滴定(KF)、及び偏光顕微鏡法(PLM)によって更に調査して、塩ヒットの同一性を確認し、以下の表5に示すように塩ヒットの物理化学的特性を評価した。
【0118】
【0119】
表5で試験した塩の中で、塩酸塩(多形A)、L-酒石酸塩(多形B)及びコハク酸塩(多形A)は、他の塩よりも全体的に良好に機能し、高い結晶性、高い融点、妥当な化学量論及び良好な対イオン安全性を含む良好な物理化学的特性を示した。したがって、これらの3つの塩を候補として選択した。
【0120】
HCl塩(多形A)の調製。遊離塩基(多形B)1600mgを20mLガラスバイアルに秤量し、50℃で約5分間撹拌しながらエタノール4.2mLをバイアルに添加した。(透明溶液)2.1.79mL(約1.05当量)HCl溶液(0.2mLのHCl及び1.8mLのエタノールの混合物)を溶液にゆっくり添加した(透明溶液)。3.約22.7mgの種晶を溶液に添加し、50℃で約2時間撹拌し続けた(懸濁液)。4.25℃まで自然冷却し、次いで、25℃で約4日間撹拌し続け、5℃で約5時間撹拌した。5.固体を遠心濾過によって回収し、50℃で約16時間乾燥させた。6.461mgの塩酸塩(多形A)をオフホワイトの固体として収率74%で得た。1H NMR:400MHz,MeOD δ7.15(s,1H),7.08(s,1H),3.88(s,3H),3.86(s,3H),3.50-3.42(m,3H),3.40-3.30(m,1H),3.10-3.06(m,1H),2.10-2.06(m,1H),1.98-1.91(m,3H)。
【0121】
L-酒石酸塩(多形B)の調製。1600mgの遊離塩基(多形B)及び338mgのL-酒石酸(約1.05当量)を20mLガラスバイアルに秤量した。次いで、2mLのエタノールを50℃で撹拌しながらバイアルに添加した(薄い懸濁液)。約3分間撹拌した後、固体が沈殿した。2.4mLのエタノールを溶液(懸濁液)に添加し、2.約36.8mgの種晶を溶液に添加し、50℃で約2時間撹拌し続けた(懸濁液)。3。25℃まで自然冷却し、次いで、25℃で約4日間撹拌し続け、5℃で約5時間撹拌した。4.固体を遠心濾過によって回収し、50℃で約16時間乾燥させた。5.780 mgのL-酒石酸塩(多形B)をオフホワイトの固体として収率80%で得た。1H NMR:400MHz,DMSO δ7.17(s,1H),7.16(s,1H),3.86-3.83(m,8H),3.31-3.28(m,1H),3.23-3.20(m,1H),3.10-3.06(m,1H),2.85(m,1H),1.90-1.81(m,1H),1.79-1.74(m,3H)。
【0122】
コハク酸塩(多形A)の調製。1600mgの遊離塩基(多形B)及び268mgのコハク酸(約1.05当量)を20mLガラスバイアルに秤量した。次いで、2mLのエタノールを50℃で撹拌しながらバイアルに添加した(薄い懸濁液)。約3分間撹拌した後、固体が沈殿した。2.0mLのエタノールを溶液(懸濁液)に添加した。2.約23.7mgの種晶を懸濁液に添加した。次いで、1.2mLのエタノールを添加し、50℃で約2時間撹拌し続けた(懸濁液)。3.25℃まで自然冷却し、次いで、25℃で約4日間撹拌し続け、5℃で約5時間撹拌した。4.固体を遠心濾過によって回収し、50℃で約16時間乾燥させた。5.625mgのコハク酸塩(多形A)をオフホワイトの固体として収率70%で得た。1H NMR:400MHz,MeOD δ7.16(s,1H),7.08(s,1H),3.89(d,6H),3.46-3.43(m,3H),3.15-3.02(m,2H),2.53(s,4H),2.08-1.89(m,4H)
【0123】
塩候補評価
(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンの塩酸塩(多形A)、L-酒石酸塩(多形B)及びコハク酸塩(多形A)をスケールアップし、遊離塩基(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン(多形B)と比較して十分に評価した。スケールアップバッチは、スクリーニングサンプルのものと同じ多形である。表6~10に示すように、物理化学的特性、安定性、溶解性、吸湿性及び多形挙動に関して、3つの塩候補を遊離形態の多形B(すなわち、3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン)と比較して評価した。
【0124】
【0125】
結晶化度及び熱特性:遊離塩基(多形B)は、カール・フィッシャーにより約8%の水(モル比で1.3当量)を含有する一水和物である。結晶性が高い。DSCは、Tonsetが53.4℃でエンタルピーが約180J/gの脱水ピークを示し、続いて、Tonsetが80.0℃でエンタルピーが約68J/gの融解ピークを示す。TGAは、約100℃で約8%の質量減少率を示す。残留溶媒は1H-NMRによって検出されなかった。塩酸塩(多形A)は無水物である。結晶性が高い。遊離形態の塩酸に対する化学量論比は、ICによって1:0.99である。DSCは、233.2℃のTonsetで融解ピークを示す。融解時に分解が起こった。TGAは、約160℃で約0.3%の質量減少率を示す。残留溶媒は検出されなかった。L-酒石酸塩多形Bは無水物である。結晶性が高い。遊離形態のL-酒石酸に対する化学量論比は、1H-NMRに基づいて1:1.00である。DSCは、203.1℃のTonsetで融解ピークを示す。融解時に分解が起こった。TGAは、約170℃で約0.4%の質量減少率を示す。残留溶媒は検出されなかった。コハク酸塩多形Aは無水物である。結晶性が高い。遊離形態のコハク酸に対する化学量論比は、1H-NMRに基づいて1:1.01である。DSCは、166.4℃のTonsetで融解ピークを示す。融解時に分解が起こった。TGAは、約135℃で約0.2%の質量減少率を示す。残留溶媒は検出されなかった。
【0126】
安定性
以下の表7に示すように、遊離塩基(多形B)及び3つの塩候補のバルク安定性を、開放容器中25℃/92%RH、開放容器中40℃/75%RH及び密閉容器中60℃で1週間にわたって調査した。
【0127】
【0128】
初期化学純度:遊離塩基(多形B)、塩酸塩(多形A)、L-酒石酸塩(多形B)及びコハク酸塩(多形A)は、それぞれ98.7%、99.8%、99.5%および99.9%の高い化学純度を有する。塩形成は精製効果を示した。
【0129】
バルク安定性:塩酸塩(多形A)、L-酒石酸塩(多形B)、及びコハク酸塩(多形A)は、ストレス条件下で化学的及び物理的に安定である。遊離形態(多形B)は、これらの条件では化学的に安定であるが、60℃では物理的に不安定である。これを遊離塩基(多形A)に変換した。このパラメータのみに基づいて、候補塩を識別することはできない。
【0130】
溶解度
遊離塩基(多形B)及び3つの塩候補の溶解度を、以下の表8に示すように、4つのpH緩衝液(pH1.2 HCl緩衝液、pH4.5酢酸緩衝液、pH6.8リン酸緩衝液及び水)並びに3つの生体関連媒体(SGF、FaSSIF-V1及びFeSSIF-V1)中、37℃で2時間及び24時間試験した。溶解度を2mg/mLまで試験した。
【0131】
【0132】
遊離塩基及び3つの塩候補は、全体的に良好な溶解度を示した。それらの溶解度は、pH6.8リン酸緩衝液を除いて、ほとんどのpH緩衝液及び生体関連流体中で>2mg/mLである。この緩衝液では、溶解度をL-酒石酸塩(多形B)>コハク酸塩(多形A)>HCl塩としてランク付けした。
【0133】
【0134】
3つの塩候補は、表9に示すように、全体的に良好な水への溶解度を示した。
【0135】
水中では、溶解度をHCl塩(多形A)>コハク酸塩(多形A)>L-酒石酸塩(多形B)としてランク付けした。L-酒石酸塩及びコハク酸塩(1:1)は、HCl塩などの一プロトン酸から形成される塩と比較して、増加した緩衝能力を提供するという利点を有する。したがって、溶解度データから、コハク酸塩(多形A)が最も有望な塩候補であると思われる。
【0136】
吸湿性
表10に示すように、25℃での動的水蒸気吸着(DVS)試験により、遊離塩基(多形B)及び3つの塩候補の吸湿性を評価した。
【0137】
【0138】
遊離塩基(多形B)は、40%RH~95%RHで安定である。しかしながら、遊離塩基(多形B)は、相対湿度が40%未満である場合に脱水を受け、脱水後に潜在的な無水物(多形A)に変換される。脱水生成物は、0%RH~70%RHで安定である。RH>70%の場合、脱水生成物は水を吸収し、90%RHで含水量を回復する。結果として、無水物(多形A)は、遊離塩基(多形B)に戻る。塩酸塩(多形A)は、非吸湿性である。塩酸塩(多形A)は、25℃で40%RH~95%RHで約0.17%の水を吸収する。DVS試験後の形態変化なし。L-酒石酸塩(多形B)はわずかに吸湿性である。L-酒石酸塩(多形B)は、25℃で40%RH~95%RHで約1.5%の水を吸収する。DVS試験後の形態変化なし。コハク酸塩(多形A)は非吸湿性である。コハク酸塩(多形A)は、25℃で40%RH~95%RHで約0.21%の水を吸収する。DVS試験後の形態変化なし。したがって、HCl塩(多形A)及びコハク酸塩(多形A)は、吸湿性に基づいて最も有望な塩候補であると思われる。
【0139】
モルフィック特性
遊離塩基(多形B)は、約10~約100μmの範囲の粒径を有する板状結晶から成る。塩酸塩(多形A)は、約2~約30μmの範囲の粒径を有する凝集した小さな結晶から成る。L-酒石酸塩(多形B)は、約2~約20μmの範囲の粒径を有する凝集した小さな結晶から成る。コハク酸塩(多形A)は、約5~約50μmの範囲の粒径を有する棒状結晶から成る。
【0140】
多形性
塩スクリーニングでは、L-酒石酸塩の2つの多形(多形A及び多形B)が同定され、コハク酸塩の1つの多形(多形A)が同定された。塩酸塩の1つの多形(多形A)を同定した。したがって、同定された多形の数から、コハク酸塩及びHCl塩は、スクリーニングされた溶媒からの単一の多形の形成に基づいて、最も有望な塩候補であると思われる。
【0141】
結論
とりわけ、遊離塩基は、非常に低い融点及びストレス条件下での物理的不安定性を含む、遊離塩基の技術的開発性にいくつかの欠点を有する。3つの塩候補は、遊離塩基のこれらの開発可能性の問題を十分に解決した。3つの塩候補は結晶化度が高く、融点が高い。3つの塩候補は、化学的及び物理的に安定であり、非吸湿性又はわずかに吸湿性である。3つ塩は全て、pH緩衝液及び生体関連流体中で良好な溶解性を示す。塩形成が精製効果を提供することも見出された。これらに基づいて、3つの塩はすべて、遊離塩基よりも良好な開発可能性を有する。全体的な特性において、コハク酸塩及びHCl塩が最も有望な塩候補だった。コハク酸塩は、水溶液中の緩衝能を増加させてもよい遊離の追加のカルボン酸のために、製剤に関してHCl塩よりもいくつかの追加の利点を提供してもよい。
【0142】
実施例5:(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのモノ-コハク酸塩の他の多形形態についてのスクリーニング。
【0143】
溶媒との平衡化
溶媒媒介平衡は、新しい多形を生成する、受け入れられている形態である。おおよその溶解度結果に基づいて、約50mgの(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのコハク酸塩(多形A)を溶媒中で、25℃で2週間、50℃で1週間、又は0.1℃/分の加熱/冷却速度で、5℃~50℃の温度サイクルで10サイクルにわたって、速度400rpmの磁気撹拌プレート上の撹拌棒を用いて平衡化させた。得られた懸濁液を、14,000rpmでの遠心分離によって0.45μmナイロンメンブレンフィルターに通して濾過した。固体部分(ウェットケーキ)をXRPDによって調査した。
【0144】
【0145】
低速又は高速蒸発による室温での結晶化
おおよその溶解度の結果に基づいて、約30mgの(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのコハク酸塩(多形A)を表12に示す溶媒に溶解した。
【0146】
得られた溶液を0.45μmナイロン膜で濾過した。得られた透明溶液を周囲条件(約25℃、50%RH)でゆっくり蒸発させ、乾燥窒素流下、室温で急速蒸発させた。固体残渣をXRPDによって調査した。
【0147】
【0148】
徐冷又は急速冷却による高温飽和溶液からの結晶化
おおよその溶解度の結果に基づいて、約50mgの(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのコハク酸塩(多形A)を、50℃で表13に示される最小量の選択された溶媒に溶解した。得られた溶液を0.45μmナイロン膜で濾過した。得られた透明溶液を0.1℃/分で5℃に冷却するか(徐冷)、又は得られた透明溶液を0℃の氷浴に入れ、撹拌した(急速冷却)。沈殿物を、5℃、14,000rpmで0.45μmナイロンメンブレンフィルターによる遠心濾過によって回収した。固体部分(ウェットケーキ)をXRPDによって調査した。
【0149】
【0150】
貧溶媒の添加による結晶化
おおよその溶解度の結果に基づいて、約50mgの(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのコハク酸塩(多形A)を、周囲温度(約25℃)で最小量の選択された良好な溶媒に溶解した。大量の固体が沈殿するまで、得られた透明溶液に2~4倍の貧溶媒をゆっくりと添加した。沈殿物を、14,000rpmで0.45μmナイロンメンブレンフィルターによる遠心濾過によって回収した。固体部分(ウェットケーキ)をXRPDによって調査した。
【0151】
【0152】
圧縮シミュレーション実験
約100mgの(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのコハク酸塩(多形A)を、油圧プレスで2MPa、5MPa及び10MPa下で5分間圧縮した。多形形態の潜在的変化及び結晶化度を、表15に示すようにXRPDによって評価した。
【0153】
【0154】
乾式粉砕シミュレーション実験
約50mgの(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのコハク酸塩(多形A)を乳鉢及び乳棒を用いて手動で5分間粉砕した。多形形態の潜在的変化及び結晶化度をXRPDによって評価した。多形形態及び結晶化度の変化は観察されなかった。
【0155】
湿式造粒シミュレーション実験
サンプルが十分に濡れるまで、水又はエタノールを約50mgの(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのコハク酸塩(多形A)に滴下した。湿ったサンプルを乳鉢及び乳棒で穏やかに粉砕した。造粒後のサンプルを周囲条件下で10分間乾燥させた。多形形態の潜在的変化及び結晶化度をXRPDによって評価した。多形形態及び結晶化度の変化は観察されなかった。
【0156】
結論
結果は、多形Aが、(S)-3-(2,5-ジメトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジンのモノ-コハク酸塩の唯一の同定された多形であることを示す。データは、多形が非常に安定であり、貯蔵又は製剤化中に多形Aが他の多形形態に自発的に変換される可能性が非常に低いことを示す。多形Aは、高い結晶化度、良好な化学的及び物理的安定性、非吸湿性並びに製剤プロセスに対する良好な耐性を有する。したがって、多形Aは、開発に最適な多形である。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)溶媒中、遷移金属触媒の存在下で、式(III)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、式(IVa)又は(IVb)のラセミ化合物を得る工程、又は溶媒中で、式(III)の化合物を脱保護試薬と反応させて、式(IIIa)の化合物を得る工程;
【化1】
b)工程a)で式(IVa)の化合物が形成された場合、溶媒中、式(IVa)の化合物を脱保護試薬と反応させて、式(IVb)のラセミ化合物を得る工程、又は工程a)で式(IIIa)の化合物が形成された場合、溶媒中、遷移金属触媒の存在下で、式(IIIa)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、式(IVb)のラセミ化合物を得る工程;
【化2】
c)溶媒中で、式(IVb)の化合物をキラル酸と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(ee)を有する式(V)の化合物を得る、及び式(V)の塩を遊離させて式(S)-(IVb)の化合物を得る工程;
【化3】
d)溶媒中で、式(S)~(IVb)の化合物をコハク酸、L-酒石酸又はHClと反応させて、式(VI)の結晶性化合物を得る工程;
【化4】
(式中、YはS又はOから選択され;A
-は、3-カルボキシプロパン酸、(2R、3R)-3-カルボキシ-2、3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。)
を含む、式(VI)の化合物を製造する方法。
【請求項2】
工程c)における前記キラル酸が、(-)-O、O’-ジ-p-トルオイル-L-酒石酸又は(-)-ジ-p-アニソイル-L-酒石酸、好ましくは(-)-ジ-p-アニソイル-L-酒石酸から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)溶媒中、遷移金属触媒及びキラル配位子の存在下で、式(III)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVa)若しくは(S)-(IVb)の化合物を得る工程、又は溶媒中で、式(III)の化合物を脱保護試薬と反応させて、式(IIIa)の化合物を得る工程;
【化5】
b)工程a)で式(S)-(IVa)の化合物が形成された場合、溶媒中で、式(S)-(IVa)の化合物を脱保護試薬と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVb)の化合物を得る工程、又は工程a)で式(IIIa)の化合物が形成された場合、溶媒中、遷移金属触媒及びキラル配位子の存在下で、式(IIIa)の化合物を水素ガス(H
2)と反応させて、少なくとも70%の鏡像体過剰率(%ee)を有する式(S)-(IVb)の化合物を得る工程;
【化6】
c)溶媒中で、式(S)-(IVb)の化合物をコハク酸、L-酒石酸又はHClと反応させて、式(VI)の結晶性化合物を得る工程;
【化7】
(式中、A
-は、3-カルボキシプロパン酸、(2R、3R)-3-カルボキシ-2、3-ジヒドロキシプロパン酸又はクロリド(Cl
-)として選択される。)
を含む、式(VI)の化合物を製造する方法。
【請求項4】
前記キラル配位子が、(R,R)-i-Pr-DuPhosである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程a)の前に、
a1)溶媒中、塩基及び遷移金属触媒の存在下で、式(I)の化合物を式(II)の化合物と反応させて、式(III)の化合物を得る工程;
を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【化8】
式中、
Zは、ボロン酸、トリフルオロホウ酸塩及びボロン酸エステルから成る群から選択され、
PGはアミン保護基であり、
YはS又はOから選択され、
Xは、Cl、Br、I又はOTfから選択される。
【化9】
【請求項6】
PGが、カルバメート保護基、アミド保護基、ベンジルアミン保護基、トリフェニルメチルアミン保護基、又はスルホンアミド保護基、好ましくはカルバメート保護基、最も好ましくはtert-ブチルオキシカルボニル基(Boc)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記脱保護試薬が酸、好ましくはHClである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式(VI)の結晶性化合物:
【化10】
式中、
A
-
は3-カルボキシプロパン酸であり、塩は、図1に示すように、2θピーク4.077°、8.108°、11.991°、12.156°、13.893°、15.876°、16.218°、16.412、16.596°、17.849°、19.507°、19.786°、20.031°、20.297°、21.122°、22.011°、22.635°、23.000°、23.268°、24.065°、24.408°、25.414°、25.758°、26.947°、27.751°、28.032°、28.314°、29.966°、30.358°、30.562°、30.770°、31.378°、32.306°、32.868°、33.505°、34.710°、35.206°、36.418°、36.714°、37.306°、38.147°、38.322°、38.745°を有するXRPDスペクトルを有する多形であるか、又は
A
-
は(2R,3R)-3-カルボキシ-2,3-ジヒドロキシプロパン酸であり、塩は、図3に示すように、2θピーク5.925°、10.183°、11.313°、11.823°、12.209°、12.542°、15.233°、15.592°、15.776°、16.275°、16.719°、17.063°、17.406°、17.752°、18.012°、19.568°、19.692°、20.291°、20.746°、21.261°、21.839°、22.200°、22.700°、23.226°、23.372°、23.603°、23.962°、24.516°、24.707°、25.013°、25.440°、25.914°、26.502°、27.003°、27.496°、27.902°、28.365°、28.786°、29.078°、29.791°、30.027°、30.299°、30.785°、31.187°、31.686°、32.070°、32.392°、33.434°、33.862°、34.358°、34.790°、35.584°、36.277°、36.801°、37.197°、38.121°及び39.667°を有するXRPDスペクトルを有する多形であるか、又は
A
-
はクロリド(Cl
-
)として選択され、塩は、図2に示すように、2θピーク7.457°、9.185°、10.899°、11.738°、12.604°、14.956°、17.706°、18.215°、18.382°、19.307°、19.902°、20.442°、20.956°、21.850°、22.449°、23.781°、24.007°、24.357°、24.752°、25.327°、25.557°、26.064°、27.377°、27.702°、28.340°、28.557°、29.144°、29.366°、29.915°、30.164°、30.669°、30.975°、32.213°、32.725°、33.018°、33.742°、34.605°、35.012°、35.618°、36.883°、37.131°、37.250°、37.772°、38.358°、38.626°、39.140°、39.869°を有するXRPDスペクトルを有する多形である。
【請求項9】
A
-は、3-カルボキシプロパン酸であり、塩は、
図1に示すように、2θピーク4.077°、8.108°、11.991°、12.156°、13.893°、15.876°、16.218°、16.412、16.596°、17.849°、19.507°、19.786°、20.031°、20.297°、21.122°、22.011°、22.635°、23.000°、23.268°、24.065°、24.408°、25.414°、25.758°、26.947°、27.751°、28.032°、28.314°、29.966°、30.358°、30.562°、30.770°、31.378°、32.306°、32.868°、33.505°、34.710°、35.206°、36.418°、36.714°、37.306°、38.147°、38.322°、38.745°を有するXRPDスペクトルを有する多形である、請求項
10に記載の結晶性化合物。
【請求項10】
前記結晶性化合物は、約5~約50μmの範囲の粒径を有する結晶を有する、請求項8~
9に記載の結晶性化合物。
【請求項11】
式(III)又は(IIIa)の中間体化合物:
【化12】
(式中、Yは、O又はSから選択され、PGは、
カルバメート保護基、アミド保護基、ベンジルアミン保護基、トリフェニルメチルアミン保護基、又はスルホンアミド保護基である。)
【請求項12】
式(IVa)、(IVb)、(S)-(IVa)、(S)-(IVb)、(V)、又は(VI)の化合物の製造のための、式(III)又は(IIIa)の中間体化合物の使用:
【化13】
(式中、Yは、O又はSから選択され、PGはアミン保護基である。)
【請求項13】
前記アミン保護基が、カルバメート保護基、アミド保護基、ベンジルアミン保護基、トリフェニルメチルアミン保護基、又はスルホンアミド保護基、好ましくはカルバメート保護基である、請求項
12に記載の
中間体化合物の使用。
【請求項14】
カルバメート保護基が、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc-NR
2)、t-ブチルカルバメート(Boc-NR
2)、又はベンジルカルバメート(Cbz-NR
2)から選択され、アミド保護基が、アセトアミド(Ac-NR
2)又はトリフルオロアセトアミド(CF
3CO-NR
2)から選択され、ベンジルアミン保護基は、ベンジルアミン(Bn-NR
2)又は4-メトキシベンジルアミン(PMB-NR
2)から選択され、トリフェニルメチルアミン保護基は、トリフェニルメチルアミン(Tr-NR
2)であり、スルホンアミド保護基は、p-トルエンスルホンアミド(Ts-NR
2)である、請求項
11又は13に記載の中間体化合物又は中間体化合物の使用。
【請求項15】
YがOである、請求項
11~
14に記載の中間体化合物又は中間体化合物の使用。
【国際調査報告】