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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】組織開口部閉鎖デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
A61B17/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564402
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 US2021030037
(87)【国際公開番号】W WO2022231603
(87)【国際公開日】2022-11-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507084844
【氏名又は名称】デボル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マコーミック,ダニエル エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ボイル,ケビン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB01
4C160BB11
(57)【要約】
組織開口部閉鎖デバイスは、組織開口部の境界付近に複数の方向で展開された1を超える数の縫合糸を含み得る。縫合糸は、縫合糸係止部を通じて引っ張られ、縫合糸に張力を与え、組織開口部を閉鎖し得る。縫合糸係止部は、係止構成と、縫合糸の張力が調整され得る非係止構成と、の間で移行され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸係止部と、
前記縫合糸係止部を通じて延在する複数の縫合糸と、を備え、
前記複数の縫合糸のうちの各縫合糸の第1の部分は、組織に取り付けられるように構成され、
前記縫合糸係止部は、第1の係止構成において、前記縫合糸係止部から出て延在する前記複数の縫合糸の長さを維持し、第2の非係止構成において、前記縫合糸係止部を通じて前記複数の縫合糸が引っ張られ、前記縫合糸係止部から出て延在する前記複数の縫合糸の長さを変更するように構成され、
前記縫合糸係止部は、前記第1の係止構成と前記第2の非係止構成との間で可逆的に移動するように構成される、
組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項2】
前記複数の縫合糸のうちの各縫合糸は、前記係止部に取り付けられた第1の部分と、前記係止部に形成された開口を通過する第2の部分と、を含み、前記縫合糸の前記第2の部分を引き寄せることで、前記係止部を通じて前記縫合糸の前記第2の部分を引っ張る、請求項1に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項3】
前記複数の縫合糸は、テザーに接続され、
前記テザーは、前記複数の縫合糸を同時に引っ張るべく、引っ張られるように構成される、請求項1に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項4】
前記複数の縫合糸のうちの各縫合糸は、前記縫合糸係止部を通じて個々に引っ張られるように構成される、請求項1に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項5】
前記縫合糸係止部は、前記複数の縫合糸が一方向においてのみ前記縫合糸係止部を通じて引っ張られるのを可能にするように構成される、請求項1に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項6】
前記縫合糸係止部は、前記複数の縫合糸を前記係止構成に固定するボタンを含む、請求項1に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項7】
前記縫合糸係止部は、前記複数の縫合糸を前記係止構成に固定すべく、前記複数の縫合糸を穿孔するように構成されたかえしを含む、請求項1に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項8】
前記縫合糸係止部は、前記係止構成に付勢される、請求項1に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項9】
前記縫合糸係止部は、前記複数の縫合糸が通過するチャネルを備える、請求項1に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項10】
前記縫合糸係止部は、複数の縫合糸を前記組織開口部閉鎖デバイスに固定するため、前記縫合糸係止部の境界付近に位置決めされた複数の開口をさらに備える、請求項9に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項11】
縫合糸係止部と、
複数の縫合糸と、を備え、
前記複数の縫合糸のうちの各縫合糸は、前記係止部に取り付けられた第1の部分と、前記係止部に形成された開口を通過する第2の部分と、を含み、前記縫合糸の前記第2の部分を引き寄せることで、前記係止部を通じて前記縫合糸の前記第2の部分を引っ張る、
組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項12】
前記複数の縫合糸は、テザーに接続され、
前記中央テザーは、前記複数の縫合糸を同時に引っ張るべく、引っ張られるように構成される、請求項11に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項13】
前記複数の縫合糸のうちの各縫合糸は、前記縫合糸係止部を通じて個々に引っ張られるように構成される、請求項11に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項14】
前記縫合糸係止部は、前記複数の縫合糸が一方向においてのみ前記縫合糸係止部を通じて引っ張られるのを可能にするように構成される、請求項11に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項15】
前記縫合糸係止部は、前記複数の縫合糸を前記縫合糸係止部に固定するボタンを含む、請求項11に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項16】
前記縫合糸係止部は、前記複数の縫合糸を前記縫合糸係止部に固定すべく、前記複数の縫合糸を穿孔するように構成されたかえしを含む、請求項11に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項17】
前記縫合糸係止部は、係止構成に付勢される、請求項11に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項18】
前記縫合糸係止部は、前記複数の縫合糸が通過するチャネルを備える、請求項11に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項19】
前記縫合糸係止部は、複数の縫合糸を前記組織開口部閉鎖デバイスに固定するため、前記縫合糸係止部の境界付近に位置決めされた複数の開口をさらに備える、請求項18に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項20】
前記複数の開口は、前記縫合糸係止部の境界付近に対称に分散される、請求項19に記載の組織開口部閉鎖デバイス。
【請求項21】
組織に形成された開口部を閉鎖する方法であって、
組織に形成された開口部の境界付近に複数の縫合糸を展開することと、
縫合糸係止部を通じて前記複数の縫合糸を引っ張って、前記複数の縫合糸の長さを短くすることであって、前記縫合糸の長さを短くすることで前記開口部を閉鎖することと、
前記縫合糸係止部により前記複数の縫合糸の長さを係止して、前記短くなった縫合糸の長さを維持することと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記短くなった縫合糸の長さを維持することで、前記開口部を閉鎖構成に維持する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の縫合糸を解放することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の縫合糸の長さを調整することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の縫合糸を展開することは、3つ以上の縫合糸を展開することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の縫合糸のうちの各々の第1の部分を前記縫合糸係止部に取り付けることと、
前記複数の縫合糸のうちの各々の第2の部分を前記縫合糸係止部のチャネルに通過させることと、をさらに含み、
前記第2の部分を引き寄せることで、前記係止部を通じて前記縫合糸の前記第2の部分を引っ張る、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の縫合糸のうちの各々の端部を前記係止部に挿入することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記係止部を通じて前記複数の縫合糸を引っ張ることは、前記複数の縫合糸を個々に引っ張ることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の縫合糸は、テザーに接続され、
前記複数の縫合糸を引っ張ることは、前記複数の縫合糸を同時に引っ張るべく、前記テザーを引っ張ることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記複数の縫合糸を展開することは、前記開口部の境界付近に前記複数の縫合糸を均一に分散させることを含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 開示の実施形態は、組織開口部閉鎖デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 縫合糸及び縫合技術は、組織に形成された開口部を閉鎖するために使用され得る。
【発明の概要】
【0003】
[0003] いくつかの実施形態において、組織開口部閉鎖デバイスは、縫合糸係止部と、縫合糸係止部を通じて延在する複数の縫合糸と、を備える。縫合糸係止部は、第1の係止構成において縫合糸係止部から出て延在する複数の縫合糸の長さを維持し、第2の非係止構成において、複数の縫合糸が縫合糸係止部を通じて引っ張られることで、縫合糸係止部から出て延在する複数の縫合糸の長さを変更するように構成され得る。縫合糸係止部は、第1の係止構成と第2の非係止構成との間で可逆的に移動するように構成され得る。
【0004】
[0004] いくつかの実施形態において、組織開口部閉鎖デバイスは、縫合糸係止部と、複数の縫合糸と、を備える。複数の縫合糸のうちの各縫合糸は、係止部に取り付けられた第1の部分と、係止部に形成された開口を通過する第2の部分と、を含んでもよく、縫合糸の第2の部分を引き寄せることで、係止部を通じて縫合糸の第2の部分を引っ張る。
【0005】
[0005] いくつかの実施形態において、組織に形成された開口部を閉鎖する方法は、組織に形成された開口部の境界付近に複数の縫合糸を展開することと、縫合糸係止部を通じて複数の縫合糸を引っ張って、複数の縫合糸の長さを短くすることであって、縫合糸の長さを短くすることで開口部を閉鎖することと、縫合糸係止部により複数の縫合糸の長さを係止して、短くなった縫合糸の長さを維持することと、を含む。
【0006】
[0006] 本開示はこの点に限定されるものでないため、以上の概念及び以下に検討する追加の概念は、任意の好適な組み合わせで構成され得ることが理解されなければならない。さらに、本開示の他の利点及び新規の特徴は、添付の図と併せて検討すると、種々の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
[0007] 添付の図面は、一定の比率で描かれることを意図していない。図面において、種々の図に示される同一又はほぼ同一の各構成要素は、同様の参照符号で表される場合がある。明確にするために、すべての図面ですべての構成要素に符号が付されない場合がある。
【0008】
図1】[0008] 組織に形成された開口部に取り付けられた組織開口部閉鎖デバイスの実施形態の斜視図である。
図2】[0009] 複数の縫合糸を含む組織開口部閉鎖デバイスの実施形態の正面図である。
図3】[0010] 組織開口部閉鎖デバイスの縫合糸係止部の実施形態の斜視図である。
図4A】[0011] 非係止構成における組織開口部閉鎖デバイスの縫合糸係止部の実施形態の斜視図である。
図4B】[0012] 一部削除された図4Aの縫合糸係止部の斜視図である。
図4C】[0013] 係止構成における図4Aの縫合糸係止部の斜視図である。
図4D】[0014] 係止構成における、一部削除された図4Cの縫合糸係止部の斜視図である。
図5A】[0015] 組織に形成された開口部に取り付けられた組織開口部閉めデバイスの実施形態の斜視図である。
図5B】[0016] 図5Aの組織開口部閉鎖デバイスであり、複数の縫合糸が縫合糸係止部を通じて引っ張られて開口部を閉鎖している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0017] 被験者の組織に存在する創傷、トロカール開口、又は他の開口など、組織に形成された開口部を縫合することは、中断された縫合糸を組織開口部の境界に取り付けることと、組織開口部を閉鎖するために縫合糸に一度に張力を加えることと、を包含し得る。これにより、各縫合糸部位の組織及び/又は縫合糸自体に過度の張力が加えられ、潜在的な組織の損傷又は縫合糸の破断を生じ得る。別の縫合技術には、連続縫合を使用して、組織開口部の長さに沿ってらせん状の縫い目を施すことと、縫合糸に張力を与えて組織開口部をまとめることと、を包含し得る。この技術は、組織開口部の長さに沿って不均一な張力付与を防止するために、適用プロセス全体を通して頻繁に縫合糸の停止及び張力付与を必要とし、面倒で時間がかかり得る。
【0010】
[0018] 以上を鑑みて、本発明者らは、組織開口部を閉鎖している間、組織の損傷及び縫合糸の破断を防ぐために、適用が容易、及び/又は、組織開口部にわたって張力をより均一に分散する、創傷閉鎖デバイスの設計を認識及び評価した。いくつかの実施形態によると、組織開口部閉鎖デバイスは、縫合糸が取り付けられた組織に形成された開口の境界付近の種々の箇所で、縫合糸が組織に取り付けられ得るように、中央箇所から複数の方向に展開され得る(例えば、蜘蛛の巣又はバイク車輪スポークの配置を形成する)複数の縫合糸を含み得る。いくつかの実施形態において、縫合糸は、対称パターンで取り付けられてもよく、及び/又は、組織開口部の境界周辺に等間隔をあけられてもよいが、本開示はこれらに限定されるものでなく、関連組織に形成された開口部付近の非対称及び非均一の間隔をあけるものも使用され得る。複数の縫合糸の対応部分は、組織の開口部に関して中央箇所であってもよく、一か所に集められてもよく、組織開口部境界をまとめて組織開口部を閉鎖するようにともに張力が付与されてもよい。縫合糸に張力を付与するための特定の構造の使用について、以下にさらに詳述する。
【0011】
[0019] いくつかの実施形態において、組織開口部閉鎖デバイスは、ある長さの複数の縫合糸を内部に受容するように構成された縫合糸係止部を備え得る。いくつかの適用において、縫合糸係止部は、使用中、開口部に対して中央箇所に配置され得る。例えば、組織開口部境界に取り付けられた各縫合糸の一部分が、縫合糸係止部を通じて引っ張られ、張力が付与されることで、組織開口部境界と縫合糸係止部との間で縫合糸の長さを短くしてもよい。各縫合糸の長さが減少するにつれて、組織開口部境界の対応部分は、縫合糸係止部に向かって内側に引っ張られ、互いに引き合わされることで、組織開口部を閉鎖してもよい。実施形態に応じて、縫合糸は、閉鎖中に組織開口部境界に加えられる張力を調整及び管理するために、個々に、又は、同時に張力が付与され得る。所望の張力に到達すると、縫合糸係止部は、縫合糸係止部から出て組織開口部境界の関連部分まで延在する縫合糸の長さを固定及び維持することにより、縫合糸が縫合糸係止部を通じて滑ったり、組織開口部が再び開いたりしてしまうことを防いでもよい。
【0012】
[0020] いくつかの実施形態において、縫合糸は、第1の端部において組織部開口部境界に取り付けられ、第1の端部とは反対の第2の端部において、縫合糸係止部を通じて引っ張られてもよい。縫合糸は、以下でさらに説明されるように、種々の技術を使用して第1の端部で組織開口部境界に取り付けられてもよく、縫合糸は、次の縫合糸が組織開口部境界に取り付けられるまで、張力を付与されずに維持されるか、又は部分的に張力が付与されてもよい。第1の端部とは反対の縫合糸の第2の端部は、第1の端部が組織開口部境界に取り付けられる前又は後に、コード係止部に通されてもよい。各縫合糸の第2の端部は、係止部を通じて引っ張られてもよく、各縫合糸は、必要に応じて、個別に、又は、同時に張力が付与されることで、縫合糸の長さを短くし、組織開口部境界を接近させてもよい。組織開口部境界付近で複数の縫合糸の間隔をあけることにより、組織開口部に張力が付与されて閉鎖されつつ、張力は、境界付近により均一に分配され得る。縫合糸に適正に張力が付与されて組織開口部を閉鎖すると、縫合糸係止部は、係合して、縫合糸を係止構成に固定し得る。
【0013】
[0021] いくつかの実施形態において、縫合糸係止部は、それを通じて縫合糸が引っ張られ、固定されるチャネルを含み得る。縫合糸係止部は、複数の縫合糸を取り付け部位に取り付けるために、チャネル境界付近に位置決めされた複数の取り付け部位を含み得る。いくつかの実施形態において、取り付け部位は、任意の適切な構造に対応し得るが、取り付け部位は、縫合糸係止部の第1の表面から縫合糸が結び付けられる縫合糸係止部の第2の対向面まで延在する1つ以上の貫通孔に対応してもよい。いくつかの実施形態において、縫合糸係止部は、縫合糸係止部が一部又は全部、それを通じて延在するチャネルの箇所に対応するより大きな外径と内径とを有した略環状の部分を含み得る。本開示は、これに限定されるものでないため、1つ以上の縫合糸取り付け部位がチャネル付近に配されてチャネルが縫合糸係止部を通じて延在する他の形状も使用され得る。さらに、取り付け部位は、等間隔をあけることを使用して、又は環体付近の種々の角度範囲で、縫合糸が通過し得るチャネルの付近に位置決めされてもよい。1つ以上の縫合糸も、各取り付け部位に取り付けられ得る。
【0014】
[0022] いくつかの実施形態において、縫合糸の第1の端部部分は、縫合糸係止部上の取り付け部位に取り付けられてもよく、縫合糸の第2の端部部分は、組織開口部境界に隣接する組織に通された後、縫合糸係止部に戻され、チャネルを通じて引っ張られてもよい。このような実施形態において、各縫合糸は、縫合糸係止部上の第1の箇所から組織開口部境界まで延在し、縫合糸係止部の中央チャネルなどのチャネルを通じて戻るループを形成し得る。縫合糸係止部の中央チャネルを通じて縫合糸の第2の端部部分を戻すように引っ張ることで、縫合糸に張力を付与し、各ループの長さを低減して、組織開口部を閉鎖してもよい。係止部は、縫合糸を係止構成に固定するように係合され得る。いくつかの実施形態において、縫合糸係止部は、組織開口部の中央箇所にあり、複数の縫合糸の第1の端部が係止部周辺に分散された種々の角度位置で縫合糸係止部に取り付けられてもよい。縫合糸の第2の端部部分は、複数の方向において縫合糸係止部から径方向外側に延在し、組織開口部境界付近の種々の箇所に取り付けられ(例えば、自転車スポーク配置)、縫合糸ループに張力を付与しつつ、引っ張り負荷をより均一に分配してもよい。
【0015】
[0023] 縫合糸は、メッシュのストリップ、リボン、糸、フィラメント、又はワイヤを含むがこれらに限定されない、組織に通され得る任意のタイプの可撓性布、繊維、又は、他の材料を含み得ることに留意されたい。縫合糸は、標準サイズの縫合糸(例えば、2-0、0、1)であってもよく、0.3mm~1mmの間の最大横方向寸法(例えば、直径又は幅)を有してもよいが、本開示はこれに限定されるものでないため、これらの寸法より大きい縫合糸及び小さい縫合糸も両方、使用され得る。いくつかの実施形態において、縫合糸は、平坦で幅広の断面(例えば、リボン縫合糸)、正方形、長方形、円形、又は他の任意の適切な形状を含む、種々の断面形状を有し得る。縫合糸は、種々の生体適合性材料で製作されてもよく、用途に応じて、生体吸収性、非生体吸収性、天然、及び/又は、合成材料も含んでよい。いくつかの実施形態において、縫合糸は、用途に応じて、モノフィラメント、編布、織布、不織布、又は他の適切なタイプの材料であってよい。いくつかの実施形態において、縫合糸は、用途に応じて、中実断面、又は中空(管状)断面を有してもよい。
【0016】
[0024] いくつかの実施形態において、本明細書に記載の縫合糸係止部と共に使用される複数の縫合糸は、それらの長さに沿った箇所で接合されてテザーを形成するか、又は別々に形成されたテザーに取り付けられて、個々の縫合糸がテザーから出て延在するようにした、複数の縫合糸を含んでもよい。このような実施形態において、テザー端部の反対にある、複数の縫合糸のうちの各々の第1の端部部分は、組織開口部境界付近で組織に取り付けられ得る。テザー端部は、縫合糸係止部に通されてもよく、又は縫合糸は、縫合糸係止部を通じてテザーまで既に延在していることで、テザーが同時に引っ張られて、各縫合糸に張力が与えられるようにし、縫合糸係止部を通じて各縫合糸を引っ張り、各縫合糸の長さを短くするようにしてもよい。組織に接続された各縫合糸の端部部分がともに引っ張られるため、組織開口部境界はともに閉鎖される。テザーは、縫合糸係止部に事前に通されてもよく、又は各縫合糸の第1の端部が組織開口部境界に取り付けられた後、縫合糸係止部に通されてもよい。
【0017】
[0025] 本発明者らは、係止構成と非係止構成との間で切り替わるように構成され得る可逆的縫合糸係止部の設計をさらに認識及び評価した。非係止構成において、縫合糸は、係止部を通じて一方向又は双方向に引っ張られることで、縫合糸の長さを増減(すなわち、張力を増減)してもよい。係止構成において、縫合糸係止部は、縫合糸を固定することで、係止部を通じて一方向又は双方向に縫合糸が引っ張られるのを防いでもよい。係止構成にある可逆的係止部は、非係止構成に移行することで、ユーザにより、縫合糸の長さ及び張力を調整してもよい。例えば、係止のトリガ、ボタン、スライド、又は他の構造がユーザによって操作されることで、係止部を係止構成と非係止構成との間で移行させてもよい。縫合糸に適切に張力が付与されると、係止部は、係止構成に戻るように移行され得る。係止部は、所望に応じた回数で係止及び非係止されることで、組織開口部を閉鎖する所望の張力に達するようにしてもよい。当然のことながら、係止部が係止解除可能でない実施形態も考えられる。
【0018】
[0026] 本発明者らは、複数の縫合糸を縫合糸係止部に固定する種々の係止機構の設計をさらに認識及び評価した。いくつかの実施形態において、縫合糸係止部は、非係止構成において、縫合糸が反対方向(すなわち、増減する張力)に引っ張られるのを可能にしてもよく、係止構成にあるとき、縫合糸がいずれかの方向に引っ張られるのを防いでもよい。このような一実施形態において、縫合糸係止部は、チャネルの断面積を増減し得る、係止部のチャネル内に位置決めされた、ピン又はプレートなどの係止部分を含み得る。ピン又はプレートは、糸が通過する断面積を選択的に増減させることにより、チャネル内で縫合糸をクランプ又はクランプ解除する断面積に平行する方向に移動し得る。いくつかの代替実施形態において、縫合糸係止部は、係止部で縫合糸をともに圧縮するための圧入係止部又は止めねじを含み得る。さらに別の実施形態において、係止部は、縫合糸を係合及び/又は穿孔するためのかえしを含み得る。例えば、より大きな縫合糸、又は平坦リボンなどのアスペクト比の大きい縫合糸を使用するとき、かえしは、縫合糸を縫合糸係止部に固定するために、縫合糸に穿孔し得る。あるいは、より小さな縫合糸を使用するとき、かえしは、かえしの反対の係止部のセクションに押し込まれ、縫合糸を縫合糸係止部にクランプしてもよい。
【0019】
[0027] いくつかの実施形態において、縫合糸係止部は、縫合糸が一方向においてのみ係止部を通じて進行できる一方向係止部を含み得る。例えば、係止部は、縫合糸が縫合糸の長さを増加させるのとは反対方向に縫合糸係止部を通じて引っ張られるのを防ぎつつ、縫合糸が、係止部から関連組織に向かって延在する縫合糸の長さを短くする方向に、係止部を通じて引き寄せられるのを許容するように構成され得る。このような実施形態において、縫合糸にかかる張力は、増加され得るが、係止部が係合解除されない限り、低減されない。いくつかの実施形態において、縫合糸係止部は、縫合糸に与えられる張力に対抗し、滑りを防止するために、縫合糸に係合するラチェットバネ又は角度付きタブを含み得る。
【0020】
[0028] 縫合糸は、種々の技術及び配置を使用して組織開口部境界に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、個々の縫合糸は、針を使用して組織のセクションに通された後、切断されて結び付けられ得る。次に、縫合糸の自由端部分は、縫合糸係止部に通され得る。縫合糸はまた、縫合糸を組織に取り付けるために使用され得る1つ以上のかえしも第1の端部部分に含み得る。いくつかの実施形態において、縫合糸は、一方の端部にループを含み、他方の端部に針を含み得る。このような実施形態において、針は、組織を穿孔し、ループに糸を通し、投げ縄ループ状の縫い目を作成し得る。同様に、縫合糸は、縫合糸の一端が組織に穿孔した後、他端でジップ結合包囲を通じて引っ張る、ジップ結合配置を使用して組織に取り付けられ得る。当然のことながら、本開示はこれに限定されるものでないため、所望の用途に応じて他の取り付けが使用されてもよい。
【0021】
[0029] いくつかの実施形態において、縫合糸の第1の端部部分は、縫合糸係止部に取り付けられてもよく、第2の端部部分は、組織開口部境界を通してループを形成し、縫合糸係止部に戻るように通され、縫合糸係止部のチャネルを通じて引っ張られてもよい。組織開口部閉鎖デバイスは、縫合糸係止部に事前に取り付けられた縫合糸を伴って、又はこれを伴わずにパッケージ化され得る。事前に取り付けられた縫合糸のない縫合糸係止部を使用する場合、外科医は、係止部付近に位置した取り付け部位に1つ以上の縫合糸を取り付け得る。例えば、組織開口部の閉鎖中、外科医は、組織開口部のサイズ及び形状に基づいて、縫合糸を縫合糸係止部にいくつ取り付けなければならないか、及びそれらをどこに配置しなければならないかを選択し得る。予め取り付けられた縫合糸を備えた縫合糸係止部を使用する際には、組織開口部が一旦閉じられれば、いずれの未使用の縫合糸もデバイスから切り揃えられてよい。
【0022】
[0030] いくつかの実施形態において、取り付け部位は、縫合糸係止部の周辺付近に間隔をあけて配された1つ以上の開口を含み得る。いくつかの実施形態において、開口部は、デバイスの環状部分に形成され得るチャネルの周辺付近に位置決められることで、開口に取り付けられるとき、縫合糸がデバイスから径方向外側に延在するようにしてもよい。各開口は、1つ以上の縫合糸を受容するのに適切なサイズ及び形状の最小横方向寸法(例えば、幅又は直径)を有し得る。例えば、開口の最小横方向寸法は、0.15mm以上~1.25mm以下の間であってもよく、特定の縫合糸と相補する形状及びサイズであってもよい。いくつかの実施形態において、開口は、針が開口に縫合糸を通し得るサイズの寸法を有してもよい。このようないくつかの実施形態において、縫合糸は、開口の内径よりも大きい横方向寸法を備えた、結び目付き端部又は他の端部構造を有することで、縫合糸の端部部分が開口を通り抜けたり、又は開口に拘束されたりしないようにし得る。あるいは、縫合糸は、一端にループを備え、反対側端部に針を備えてもよい。ループ状端部は、開口を通して供給されてもよく、(針を備えた)反対側の端部は、ループを通して供給されてもよい。針を備えた端部が引っ張られると、ループ状端部は、投げ縄のように縫合糸係止部に対して端部自体を締め付ける。あるいは、縫合糸は、開口でデバイスに結び付けられてもよい。場合によっては、縫合糸を係止部に取り付けるために使用される結び目又は他の保持構造が、デバイスの外面から外側に延設されることを回避するのが望ましくなり得る。このような実施形態において、1つ以上の凹部が、デバイスに形成された1つ以上の開口に関連付けられ得る。1つ以上の凹部は、縫合糸をデバイスに固定するために、縫合糸の端部部分に存在する結び目又は他の構造を受容するようなサイズ及び形状を有し得る。
【0023】
[0031] 取り付け部位が縫合糸係止部のチャネル付近に位置決めされ得る実施形態において、取り付け部位は、均一、非均一、対称、及び/又は、非対称の間隔あけを使用して、デバイス境界付近に分散され得る。いくつかの実施形態において、縫合糸係止部上の取り付け部位の数としては、2、3、5、又は6以上の取り付け部位であってもよい。いくつかの実施形態において、縫合糸係止部上の取り付け部位の数としては、15、12、10、又は9以下の取り付け部位であってもよい。2以上~15以下の間の縫合糸取り付け部位の数を含む、前述の範囲の組み合わせが考えられる。しかしながら、本開示はこのやり方に限定されるものでないため、前述したものより小さい取り付け部位の数、又は前述したものより大きい取り付け部位の数の両方も考えられる。
【0024】
[0032] ゼロ又は1つ以上の縫合糸が、組織開口部を閉鎖する特定のユーザの必要性に応じて、縫合糸係止部の取り付け部位に取り付けられ得る。組織開口部の形状及びサイズにより、最適な数、間隔あけ、縫合糸係止部上への縫合糸の展開角度が決まり得る。いくつかの実施形態において、組織開口部閉鎖デバイスから展開される縫合糸の数は、2、3、5、又は6以上の縫合糸であり得る。いくつかの実施形態において、組織開口部閉鎖デバイスから展開される縫合糸の数は、15、12、10、又は9以下の縫合糸であり得る。縫合糸は、均一、非均一、対称(両側又は放射状)、及び/又は、非対称の間隔あけを使用して、組織開口部境界に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、1を超える数の色の縫合糸が使用されて、いずれの縫合糸が組織開口部境界の異なるセクションに取り付けられるかを識別し得る。
【0025】
[0033] いくつかの実施形態において、通過する複数の縫合糸を受容する縫合糸係止部を通じて延在するチャネルは、内部の縫合糸を受容及び選択的に係止するための任意の適切な最大横方向寸法(例えば、直径又は幅)及び/又は長さを有し得る。例えば、チャネルの長さは、5mm以上~10mm以下の間であり得る。チャネルの最大横方向寸法はまた、1mm以上~2mm以下の間の範囲でもあり得る。いくつかの実施形態において、縫合糸係止部は任意の所望のサイズ及び形状を有し得るが、縫合糸係止部及び縫合糸を受容するために内部に形成されたチャネルを含む閉鎖デバイスの最大外側横方向寸法は、3mm以上~8mm以下の間であり得る。いくつかの実施形態において、縫合糸係止部の外側最大横方向寸法は、腹腔鏡技術及び処置において使用されるトロカールの内径を通り抜けるサイズを有してもよい。しかしながら、本明細書の上記及び他の箇所で特定の寸法に言及しているものの、本開示はこのやり方に限定されるものでないため、本開示はいずれの特定のサイズスケールにも限定されるものでなく、上記よりも大きい寸法及び上記よりも小さい寸法の両方が使用され得ることを理解されたい。
【0026】
[0034] 図面に戻り、特定の非限定的な実施形態についてさらに詳細に説明する。本開示は本明細書に記載の特定の実施形態のみに限定されるものでないため、これらの実施形態に関連して記載された種々のシステム、構成要素、特徴、及び方法は、個々に、及び/又は、任意の所望の組み合わせで使用され得ることを理解されたい。
【0027】
[0035] 図1は、組織開口部102に取り付けられた組織開口部閉鎖デバイス100の一実施形態の概略を示している。デバイスは、縫合糸係止部104と、縫合糸係止部104から異なる角度方向に展開された複数の縫合糸106と、を含み得る。各縫合糸の第1の端部部分108は、組織開口部102の境界110に取り付けられ得る。図1に示されるとおり、6つの縫合糸106が組織開口部の境界110に取り付けられ、3つずつ2つの群の縫合糸106が両側対称配置で組織開口部の両側に取り付けられている。図1には6つの縫合糸が示されているが、本開示はこれに限定されるものでなく、組織開口部のサイズ、形状、及び場所に応じて、種々の構成及び角度範囲において任意の数の縫合糸が採用され得る。
【0028】
[0036] いくつかの実施形態において、図1に示されるとおり、各縫合糸106の第2の端部部分112は、縫合糸係止部104のチャネル114に通され得る。各縫合糸の第2の端部部分112がチャネル114を通じて引っ張られると、組織開口部境界と縫合糸係止部104との間に延在する縫合糸の長さが減少し、縫合糸106に張力を付与し、組織開口部境界110をともに接近させ、結果として組織開口部を閉鎖する。図1において、各縫合糸106の第2の端部部分112はまだ、縫合糸106及び組織開口部境界110に張力を付与するように、縫合糸係止部104を通じて引っ張られていない。
【0029】
[0037] 第2の端部部分112は、同時又は個々に縫合糸係止部104を通じて引っ張られ、縫合糸に張力を付与し、組織開口部境界をまとめてもよい。組織開口部境界付近において複数の方向に縫合糸を展開することにより、組織開口部が閉鎖されつつ、縫合糸の間で張力がより均一に広げられ得る。張力は、組織開口部付近に過剰に大きい張力が与えられるのを回避し、縫合糸の破断及び/又は組織の損傷を防ぐために、組織開口部を閉鎖しつつ、所望に応じて調整及び管理され得る。
【0030】
[0038] いくつかの実施形態において、縫合糸係止部104は、係止構成にあるとき、チャネル114内に縫合糸106を固定するように構成された係止部を有し得る。いくつかの実施形態において、図1に示されるとおり、係止デバイスは、チャネル内に縫合糸を選択的にクランプするためにデバイスのチャネル内に延在するように構成され得る、ボタン116などの圧入又はバネ負荷構造であり得る。非係止構成にあるとき、ボタン116は、チャネル114に延設されず、縫合糸106は、チャネル114を通じて2つの両方向のいずれかに引っ張られてもよい。しかしながら、係止構成にあるとき、ボタン114又は他の適切な係止構造は、チャネル114に押し込まれ、縫合糸106をチャネル内の定位置にクランプし、縫合糸がチャネルを通じていずれかの方向に引っ張られるのを防いでもよい。係止デバイスは、各縫合糸の所望の張力に達し、組織開口部が閉鎖されると、係止構成に係合され得る。係止位置において、縫合糸係止部104は、縫合糸に係る張力を固定及び維持することで、組織開口部102を閉鎖した状態に保ってもよい。
【0031】
[0039] いくつかの実施形態において、ボタン116は、バネ負荷がかけられることにより、チャネルに入るように付勢されることで、縫合糸がそれを通じて引っ張られるのを防いでもよい。したがって、係止部は、係止構成に向かって付勢され得る。このような実施形態において、ボタン、又は他の適切に構成されたトリガを押すことにより、ボタンをチャネルから押し出し、縫合糸がチャネルを通じて引っ張られるようにし、張力を調整してもよい。ボタンを解放することで、ボタンをチャネルに戻すように付勢し、縫合糸を固定してもよい。図1にはボタン114が示されているが、他の係止デバイスを使用して、縫合糸を縫合糸係止部に固定してもよい。例えば、ラチェットバネ又はその他の構造を使用して、縫合糸が係止部を通じて一方向に引っ張られるようにし、縫合糸が第2の方向において縫合糸係止部から滑り出るのを防ぎつつ、縫合糸を短くしてもよい。
【0032】
[0040] いくつかの実施形態において、組織開口部閉鎖デバイスは、図2に示されるとおり、複数の縫合糸202がともに組み合わせられて、個々の縫合糸の近位部分に接続されるテザー204を形成するか、又はテザー204に取り付けられる、縫合糸配置200を含み得る。図2においては、2つの縫合糸202のみがテザー204に取り付けられた様子が示されているが、任意の数の縫合糸202がテザー204に取り付けられてもよい。テザーの反対の各縫合糸202の対向遠位端部部分206は、図1を参照して上述したとおり、組織開口部境界に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、テザー204は、縫合糸係止部208を通じて引っ張られ、縫合糸202に張力を付与し、組織開口部境界を閉鎖し得る。しかしながら、縫合糸が縫合糸係止部を通過するか、テザーがチャネル内に配されない使用前である実施形態も考えられる。テザーは、本明細書に記載の係止部のうちのいずれかとともに使用され得ることも理解されたい。
【0033】
[0041] 図3は、デバイスの1つ以上の縫合糸を定位置に係止するために使用され得る1つ以上のかえし構造を含む縫合糸係止部300の一実施形態の斜視図を示している。係止部300は、リング部302と、リング部302の開口310に向かう方向において、クロスバー304から延在する1つ以上のかえし306と、を含み得る。クロスバー304は、リング部302の外側境界の外に配置されてもよく、かえし306は、リング部302の1つ以上の開口(図示せず)内に配されてもよい。非係止構成において、図3に示されるとおり、かえし306は、縫合糸係止部300の開口310内に延在しなくてもよく、1つ以上の縫合糸308が開口310を通じて所望の長さに引っ張られるようにしてもよい。次いで、クロスバー304がリング部302に押し込まれ、かえし306を開口310に押し込むことで、縫合糸を係止構成に固定し得る。いくつかの実施形態において、クロスバー304は、開口310から後退することで、縫合糸308を解放し、縫合糸の長さが調整できるようにしてもよい。
【0034】
[0042] いくつかの実施形態において、クロスバー304は、リング部302の一部に嵌め込まれ、係止構成を維持し得る。縫合糸係止部300は、種々の縫合糸サイズ及び断面形状で使用されてもよく、かえし306は、縫合糸及び/又はクロスバー304に対向するリング部302のセクションを穿孔して、係止構成を維持してもよい。いくつかの実施形態において、縫合糸308は、図3に示される幅広平坦縫合糸308など、少なくとも2つのかえし306の間の幅よりも大きな幅を有してもよく、かえし306は、クロスバー306が開口部310に押し込まれる際、縫合糸308に穿孔することにより、縫合糸308を縫合糸係止部300に固定してもよい。このような実施形態において、かえし306は、リング部302のセクションに押し込まれてもよく、又は押し込まれなくてもよい。いくつかの実施形態において、縫合糸308は、かえし306が嵌め込まれて縫合糸308を係止部300に固定してもよい開口(図示せず)を含み得る。
【0035】
[0043] 他の実施形態において、縫合糸308は、かえし302間の幅よりも小さい幅を有してもよく、かえし306は、クロスバー304の反対のリング部302のセクションに押し込む際、縫合糸308の片側を通過してもよく、クロスバー304が縫合糸308を係止部300にクランプ及び固定してもよい。いくつかの実施形態において、縫合糸係止部300は、図2の縫合糸配置200とともに使用されてもよく、テザー204が開口310を通じて引っ張られることで、縫合糸202の長さを短くし、かえし306がテザーを係止部300に穿孔及び/又はクランプしてもよい。いくつかの実施形態において、縫合糸係止部300は、図1に示される実施形態とともに使用され得る。このような実施形態において、ボタン116は、クロスバー304と、かえし306と、を前進させて、チャネル114内で縫合糸に穿孔及び/又はクランプしてもよい。
【0036】
[0044] 図4Aから図4Dは、一実施形態に係る縫合糸係止部400の斜視図を示している。縫合糸係止部400は、本体401を通じて延在するチャネル402を備えた本体401を含み得る。組織開口部を閉鎖するために使用されるとき、縫合糸がチャネルを通るようにし、チャネルを通じて引っ張られることで、縫合糸に張力を付与してもよい。
【0037】
[0045] いくつかの実施形態において、本体401は、縫合糸係止部の本体の長手軸に略直交する方向において、本体401の表面から径方向外側に延在する、1つ以上の突起404又は他の径方向に延在する構造を含んでもよい。例えば、図4Aから図4Dに示されるとおり、2つの別個の略平坦なウィング状突起が、本体の片側から径方向外側に延在する。実施形態によっては、1つ以上の突起は、関連する本体401の境界周辺において全体的又は部分的に延在し得る。突起404は、本体401の外径よりも大きな外径又は他の最大横方向寸法も有し得る。実施形態によっては、1つ以上の突起は、縫合糸係止部の対向端部部分に対して、縫合糸係止部400の一端部部分のより近くにあるか、又はこの一端部部分にあってもよい。1つ以上の突起は、各々、縫合糸の第1の端部を縫合糸係止部400に取り付けるために、1つ以上の突起内に形成されるか、又は1つ以上の突起に接続された、1つ以上の縫合糸取り付け部位406も備え得る。いくつかの実施形態において、図4Aから図4Dに示されるとおり、取り付け部位は、突起404の第1の表面407から図示しない突起の第2の対向面まで延在する1つ以上の貫通孔406に対応することで、縫合糸が貫通孔に結び付けられるか、又は他のやり方で貫通孔に接続され得るようにしてもよい。他の実施形態において、取り付け部位は、縫合糸の端部を縫合糸係止部400に固定し得るノブ又はフックなど、他の設計も含み得る。いくつかの実施形態において、縫合糸係止部400は、6つの貫通孔406を含んでもよく、3つの貫通孔が本体から出て延在する各突起に形成され、貫通孔が関連突起の周辺に沿って分布するようにしてもよい。しかしながら、本開示はこれに限定されるものでないため、任意の適切なパターンで配置されたより多くの貫通孔又はより少ない貫通孔が使用されてもよい。
【0038】
[0046] いくつかの実施形態において、縫合糸と縫合糸係止部との間の接続を周辺組織から少なくとも部分的に取り除かれた箇所に位置決めすることが望ましくなり得る。例えば、縫合糸係止部は、図示の貫通孔406など、対応する取り付け特徴部に1つ以上の縫合糸を取り付けるのに使用される結び目又は他の接続構造を受容するサイズ及び形状を有し得る凹部410を含み得る。例えば、図示の実施形態において、1つ以上の突起404は、本体401の隣接端部から間隔をあけてもよく、1つ以上の壁部408は、チャネル402の長手軸に平行な方向において、1つ以上の突起404の外側部分から本体401の隣接端部部分に向かって延在してもよい。結果として得られる凹部410は、1つ以上の突起、1つ以上の壁部、及び本体401の外面の間の空間に位置づけられ得る。実施形態に応じて、1つ以上の壁部は、本体の隣接部分の端部まで、又は隣接部分の端部を超えて、延在し得る。
【0039】
[0047] 1つ以上の縫合糸は、関連突起404内の1つ以上の貫通孔406に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、縫合糸は、貫通孔406の内径より大きい径を備えた結び目付き端部を含み得る。このような縫合糸は、貫通孔406の挿入側に通されることで、結び目付き端部が貫通孔の挿入側(すなわち、凹部410内)に拘束され得るようにしてもよい。あるいは、本開示はこのやり方に限定されるものでないため、縫合糸は、貫通孔上に結び付けられてもよく、縫合糸に取り付けられた構造は、貫通孔との機械的干渉接続を形成してもよく、及び/又は、縫合糸は、他の任意の適切な手法でデバイス上の貫通孔又は他の取り付け箇所に接続されてもよい。さらに、縫合糸は、使用前に縫合糸係止部400に事前に取り付けられてもよく、又は縫合糸は、使用中に(すなわち、組織開口部の縫合中に)取り付けられてもよい。
【0040】
[0048] 図4A及び図4Bは、非係止構成における縫合糸係止部を示しており、図4C及び図4Dは、係止構成にある縫合糸係止部400を示している。いくつかの実施形態において、縫合糸係止部400は、本体401における第1の開口416を通じてチャネル402内に延在するボタン412を含み得る。ボタン412は、ボタン412の第1の側から延在するラッチ414を含み得る。ラッチ414は、開口416の反対の本体401を通じて延在する開口420内に位置決めされ得る。図4B及び4Dは、チャネル402を横切る本体401におけるボタン412の断面を示すため、部分的に切り取られた縫合糸係止部の概略である。非係止構成(図4A及び図4B)において、ボタン412は、開口416を通じて本体401から出て延在し得る。ラッチ414は、開口420の第1の端部に位置決めされ得る。各ラッチ414は、開口420の裏面上に据えられた端部のテーパ状レッジを有して、ボタン412を開口416内に保持してもよい。ボタン412は、係止部が非係止構成(図4A及び図4B)にあるとき、チャネル402と同一径を有するラッチ414間の曲面418を有し得る。この非係止構成において、縫合糸は、チャネルを通じて引っ張られ得る。係止構成(図4C及び図4D)において、ボタン412は、チャネル中央に向かって押されてもよく、ラッチ414は、開口420と係止係合するように移動され、係止部のボタン412を係止構成に拘束してもよい。係止部のボタン412が内側に押し下げられると、係止部の内面418は、図示の実施形態では湾曲しているが他の形状も使用され得、チャネル402の内側部分内に移動されることで、縫合糸がチャネル402のこの位置に対して配されるチャネル402の面積を低減してもよい。したがって、縫合糸は、チャネル内に延在するボタン418の内面と、ボタンから反対のチャネルの対向面と、の間で圧縮され得る。
【0041】
[0049] 図5A及び図5Bは、いくつかの実施形態に係る図4Aから図4Dの縫合糸係止部400を使用した組織開口部を閉鎖する方法を示している。図5Aに示されるとおり、複数の縫合糸500は、縫合糸係止部400と、デバイスによる閉鎖対象である組織開口部の境界600と、に取り付けられ得る。縫合糸500は、以下の方法を使用して取り付けられてもよいが、本開示はこれに限定されるものでないため、他の方法が使用されてもよい。縫合糸500の第1の端部502は、図示の向きに対して上側方向に突起404上の貫通孔406に通されることで、縫合糸が関連開口の凹部410内から通過するようにしてもよい。いくつかの実施形態において、1つの縫合糸500が6つの貫通孔406の各々に取り付けられてもよい。関連縫合糸500は、第1の端部502の反対の縫合糸の第2の端部504における結び目(図示せず)が凹部410に隣接した貫通孔406の内面に当接するまで、貫通孔406を通じて引っ張られ得る。縫合糸の端部部分上の結び目又は他の適切なサイズの構造は、関連貫通孔406よりも大きな横方向寸法を有することで、保持特徴部が凹部410内に配され、関連開口によって定位置に保持されるようにしてもよい。
【0042】
[0050] 各縫合糸の第1の端部部分502は、組織の第1の表面に穿孔して第2の表面における組織から出ることにより、組織開口部境界600に隣接した組織の対応部分を通過させられ得る。組織の第1の表面は、縫合糸係止部400に近接して、下方にある組織から離れる向きの表面であってもよく、貫通孔の面に略平行であってもよい。この組織の第2の表面は、組織の厚さ、並びに組織開口部の形状及びサイズに応じて、第1の表面と略平行であってもよく、又は直交してもよい。図5A及び図5Bの実施形態に示されるとおり、第2の表面は、第1の表面に対向してこれと略平行であり、第1の表面よりも縫合糸係止部400から遠い距離に位置決めされ得る。いくつかの実施形態において、図示のとおり、3つの縫合糸が組織開口部境界600の両側に取り付けられ得る。組織開口部境界の両側における縫合糸500は、縫合糸を識別するために異なる色を有してもよい。各縫合糸の第1の端部部分502は、縫合糸係止部400に戻るようにループ状を有し、使用中に下にある組織に向かって方向付けられるように構成された縫合糸係止部400の底面上に配されたチャネル402の底部開口に通され得る。このように、各縫合糸500は、縫合糸係止部400と組織開口部境界600との間に縫合糸ループを形成し得る。図5Aに示されるとおり、縫合糸がチャネル402に通されていてもよいが、縫合糸500はまだ、引っ張られて縫合糸ループの長さを低減し、縫合糸500に張力を付与していなくてもよい。組織開口部は、組織開口部境界600をまとめるために張力が付与される前に、直径600を有し得る。ボタン412又は他の適切な係止部が、非係止構成にあることで、縫合糸500がいずれかの方向でチャネル402を通じて引っ張られるようにしてもよい。
【0043】
[0051] 図5Bは、縫合糸500が縫合糸係止部400のチャネル402を通じて引っ張られて、縫合糸500に張力を付与し、ループの長さを低減した後の組織開口部閉鎖デバイスを示している。ループの長さが低減されると、張力によって組織開口部境界600をまとめることで、組織開口部直径602を低減する。ループの長さが低減されて、組織開口部直径602が低減されると、縫合糸係止部400の底面は、縫合糸係止部が上に配される組織の第1の表面と閉鎖組織開口部との上に据えられ得る。縫合糸の第2の端部部分504に接続された結び目又は他の保持構成が凹部410に受容されることにより、最終閉鎖構成にあるとき、結び目又は他の構造が組織表面に接触しないようにすることで、組織又は組織開口部境界600の刺激を防ぐのを補助してもよい。縫合糸係止部400は、突起404の間に切込み422を備えることで、ユーザが開口部閉鎖中の進行を視認できるようにしてもよい。
【0044】
[0052] 所望の張力及び組織開口部直径602に達すると、ボタン412は、係止構成でチャネル402に押し込まれることで、上述のとおり、チャネル402の内面に対して縫合糸500を圧縮し、縫合糸の長さを係止してもよい。例えば、圧入ボタン上の1つ以上のラッチ414は、開口420を通じて押されてもよく、チャネル402の外面を係合することで、ボタン412を係止構成に維持してもよい。このように、縫合糸係止部は、長さと縫合糸500に与えられる張力とを維持することで、組織開口部を所望の閉鎖構成に維持してもよい。
【0045】
[0053] 圧入ボタン412について図5A及び図5Bを参照して説明したが、種々の係止機構を採用して、縫合糸をチャネル402に固定してもよい。いくつかの実施形態において、縫合糸係止部400は、縫合糸係止部が係止構成と非係止構成との間で切り替わり得る係止構成に向かって付勢されたバネ負荷ボタンなどの可逆的係止部を含み得る。このように、縫合糸500の張力は、組織開口部の閉鎖中及び閉鎖後、必要に応じて調整及び再調整され得る。
【0046】
[0054] 本教示を種々の実施形態及び例とともに記載したが、本教示はこのような実施形態又は例に限定されることが意図されるものでない。対照的に、当業者によって理解されるとおり、本教示は、種々の代替、変更、及び同等物を包含する。したがって、以上の説明及び図面は単なる例である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
【国際調査報告】