(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】レーシングイベントに仮想参加することを容易にするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/803 20140101AFI20240507BHJP
A63F 13/30 20140101ALI20240507BHJP
A63F 13/57 20140101ALI20240507BHJP
A63F 13/63 20140101ALI20240507BHJP
【FI】
A63F13/803
A63F13/30
A63F13/57
A63F13/63
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023566508
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 AU2022050449
(87)【国際公開番号】W WO2022236372
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523406118
【氏名又は名称】セージ エンターテインメント プロプライエタリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAGE ENTERTAINMENT PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】べイリー,グラント
(57)【要約】
レーシングイベントに仮想参加することを容易にするための、コンピュータにより実装されたシステムおよびコンピュータにより実装された方法。特に、本発明は、ライブのレーシングイベント、以前に記録されたレーシングイベントまたは過去のレーシングイベントに関連付けられた物理的環境を再現する多次元仮想環境を提供し、ここでは1人以上のユーザが、ユーザがこの仮想環境におけるアバターの動きをコントロールすることを可能にするゲーム機器を使用してイベントに仮想参加することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1人以上のユーザがレーシングイベントに仮想参加することを容易にするための、コンピュータにより実装された方法であって、
前記方法は、
1つ以上のプロセッサによって、前記イベントからデータフィードを受け取るステップと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記イベントの物理的環境を実質的に再現する多次元仮想環境を生成するために前記データフィードを処理するステップであって、
前記多次元仮想環境は、
前記イベントにおける各参加者の仮想化された表現を含んでおり、前記参加者の仮想化された表現の各々は、前記イベント中の対応する前記参加者の物理的な動きに従って前記多次元仮想環境内で動くように適合させられており、かつ
前記1人以上のユーザに対応する1つ以上のアバターを含んでいる、
処理するステップと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記1人以上のユーザに関連付けられたコンピュータハードウェアと通信するステップであって、これによって、
前記コンピュータハードウェアに関連付けられたディスプレイが、前記ユーザのアバターに関連付けられた視点から、前記仮想化された表現および前記仮想化された表現のあらゆる動きを含んでいる前記多次元仮想環境を前記ユーザに提示することが可能になり、その結果、前記ユーザが経時的に前記レーシングイベントを思い描くことが可能になり、かつ
ユーザの命令に基づいて前記ユーザのアバターがレース経路を進むことが可能になり、その結果、前記ユーザが前記レーシングイベントに参加し、前記参加者と競争することが可能になる、
通信するステップと
を含んでいる、方法。
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記レーシングイベントに仮想参加している1人以上のユーザのパフォーマンスに関するデータを受け取るステップをさらに含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記多次元仮想環境は、前記レーシングイベントの前記物理的環境の3次元の表現または2次元の表現のうちのいずれかである、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記レーシングイベントに関して受け取られるデータフィードは、ライブのイベントからのデータフィード、以前に記録されたレーシングイベントからのデータフィードまたは過去のイベントからのデータフィードのうちのいずれかである、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記レーシングイベントの前記物理的環境を実質的にシミュレートする前記多次元仮想環境は、任意の規定された環境状況および/または物理的状況をシミュレートするように修正可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記多次元仮想環境は、前記レーシングイベントの前および/または前記レーシングイベント中に入力されたユーザ入力に応じて、部分的または全体的に修正可能な仮想器具をさらに含んでいる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記多次元仮想環境は、レーストラック、動物レースのトラック、カーレースのトラック、未舗装道路、スポーツコート/スポーツアリーナ、マラソントラック、ラリー(レーシングカー)のトラック、スキー場/雪原または水域のいずれか1つ以上から選択された仮想レーシングランドスケープを含んでいる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
1人以上のユーザがレーシングイベントに仮想参加することを容易にするためのシステムであって、前記システムは、各ユーザに関連付けられたコンピュータハードウェアと、前記コンピュータハードウェアと通信する1つ以上のプロセッサとを含んでおり、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記レーシングイベントからデータフィードを受け取り、前記イベントに関連付けられた物理的環境を実質的に再現する多次元仮想環境を生成するために前記データフィードを処理するように構成されており、
前記多次元仮想環境は、
前記イベントにおける各参加者の仮想化された表現を含んでおり、前記参加者の仮想化された表現の各々は、前記イベント中の、レース経路に沿った、対応する前記参加者の物理的な動きに従って前記多次元仮想環境内で動くように適合させられており、かつ
前記1人以上のユーザに対応する1つ以上のアバターを含んでおり、
前記1人以上のユーザに関連付けられたコンピュータハードウェアと通信するように構成されており、これによって、
前記コンピュータハードウェアに関連付けられたディスプレイが、前記ユーザのアバターの視点から、前記仮想化された表現および前記仮想化された表現のあらゆる動きを含んでいる前記多次元仮想環境を前記ユーザに提示することが可能になり、その結果、前記ユーザが経時的に前記レーシングイベントを思い描くことが可能になり、かつ
ユーザの命令に基づいて前記ユーザのアバターが前記レース経路を進むことが可能になり、その結果、前記ユーザが前記レーシングイベントに参加し、前記参加者と競争することが可能になる、
システム。
【請求項9】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記レーシングイベントに仮想参加している1人以上のユーザのパフォーマンスに関するデータを受け取ることをさらに含んでいる、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記多次元仮想環境は、前記レーシングイベントの前記物理的環境の3次元の表現または2次元の表現のうちのいずれかである、請求項8または9記載のシステム。
【請求項11】
前記レーシングイベントに関して受け取られるデータフィードは、ライブのイベントからのデータフィード、以前に記録されたレーシングイベントからのデータフィードまたは過去のイベントからのデータフィードのうちのいずれかである、請求項8から10までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項12】
前記レーシングイベントの前記物理的環境を実質的にシミュレートする前記多次元仮想環境は、任意の規定された環境状況および/または物理的状況をシミュレートするように修正可能である、請求項8から11までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項13】
前記多次元仮想環境は、前記レーシングイベントの前および/または前記レーシングイベント中に入力されたユーザ入力に応じて、部分的または全体的に修正可能な仮想器具をさらに含んでいる、請求項8から12までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項14】
前記多次元仮想環境は、レーストラック、動物レースのトラック、カーレースのトラック、未舗装道路、スポーツコート/スポーツアリーナ、マラソントラック、ラリー(レーシングカー)のトラック、スキー場/雪原または水域のいずれか1つ以上から選択されたレーシングサーフェスを含んでいる、請求項8から13までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項15】
1人以上のユーザがレーシングイベントに仮想参加することを容易にするための命令を格納しているコンピュータ可読媒体であって、
前記命令は1つ以上の命令を含んでおり、前記1つ以上の命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
レーシングイベントからデータフィードを受け取らせ、
前記レーシングイベントに関連付けられた物理的環境を実質的に再現する多次元仮想環境を生成するために前記データフィードを処理させ、
前記多次元仮想環境は、
前記イベントにおける各参加者の仮想化された表現を含んでおり、前記参加者の仮想化された表現の各々は、前記イベント中の、レース経路に沿った、対応する前記参加者の物理的な動きに従って前記多次元仮想環境内で動くように適合させられており、かつ
前記1人以上のユーザに対応する1つ以上のアバターを含んでおり、
前記1人以上のユーザに関連付けられたコンピュータハードウェアと通信させ、これによって、
前記コンピュータハードウェアに関連付けられたディスプレイが、前記ユーザのアバターの視点から、前記仮想化された表現および前記仮想化された表現のあらゆる動きを含んでいる前記多次元仮想環境を前記ユーザに提示することが可能になり、その結果、前記ユーザが経時的に前記レーシングイベントを思い描くことが可能になり、かつ
ユーザの命令に基づいて前記ユーザのアバターが前記レース経路を進むことが可能になり、その結果、前記ユーザが前記レーシングイベントに参加し、前記参加者と競争することが可能になる、
コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記レーシングイベントに仮想参加している1人以上のユーザのパフォーマンスに関するデータを受け取ることをさらに含んでいる、請求項15記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記多次元仮想環境は、前記レーシングイベントの前記物理的環境の3次元の表現または2次元の表現のうちのいずれかである、請求項15または16記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記レーシングイベントに関して受け取られるデータフィードは、ライブのイベントからのデータフィード、以前に記録されたレーシングイベントからのデータフィードまたは過去のイベントからのデータフィードのうちのいずれかである、請求項15から17までのいずれか1項記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記レーシングイベントの前記物理的環境を実質的にシミュレートする前記多次元仮想環境は、任意の規定された環境状況および/または物理的状況をシミュレートするように修正可能である、請求項15から18までのいずれか1項記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記多次元仮想環境は、前記レーシングイベントの前および/または前記レーシングイベント中に入力されたユーザ入力に応じて、部分的または全体的に修正可能な仮想器具をさらに含んでいる、請求項15から19までのいずれか1項記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記多次元仮想環境は、レーストラック、動物レースのトラック、カーレースのトラック、未舗装道路、スポーツコート/スポーツアリーナ、マラソントラック、ラリー(レーシングカー)のトラック、スキー場/雪原または水域のいずれか1つ以上から選択されたレーシングサーフェスを含んでいる、請求項15から20までのいずれか1項記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーシングイベントに仮想参加することを容易にするための、コンピュータにより実装されたシステムおよびコンピュータにより実装された方法に関する。特に、本発明は、ライブのレーシングイベント、以前に記録されたレーシングイベントまたは過去のレーシングイベントに関連付けられた物理的環境を再現する多次元仮想環境を提供し、1人以上のユーザが、ユーザがこの仮想環境におけるアバターの動きをコントロールすることを可能にするゲーム機器を使用してイベントに仮想参加することができる。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続された電子装置を使ったアクティビティにおいて、ユーザが、他のユーザを見ることおよび他のユーザと対話することを可能にする手法は進化し続けている。たとえば、多くのゲームコンソールは、ネットワークへの接続を可能にするように構成されており、したがって、ユーザが、自身のゲームコンソールおよび関連する2次元のディスプレイ、たとえばワイドスクリーンテレビを使用して没入型のオンライン体験を楽しむことを可能にする。このようなアクティビティは、もはや、ディスクまたはゲームコンソールに搭載されているメモリの量によって制限されるものとは考えられておらず、この点において、クラウドコンピューティングは、インターネットなどのデータ通信ネットワークを通じた大量のメモリへのアクセスおよびユーザの画面への直接的なイメージのストリーミングの利点をオンラインシステムが利用することを可能にするため、一般的な構成となっている。
【0003】
帯域幅が許せば、ユーザは、バーチャルリアリティ(VR)ヘッドセットディスプレイなどの装置の使用を通じて、完全没入型のオンライン体験を楽しむこともでき、この装置はスタンドアローン型のユニットであっても、ゲームコンソールに関連付けられていてもよい。このようなヘッドセットは典型的に、ユーザが3次元のバーチャルリアリティ環境の表現に没入することを可能にするディスプレイを含んでいる。アプリケーションに応じて、バーチャルリアリティ環境を、実際の物理的空間を再現するように作ることができる。ヘッドセットはユーザを仮想環境内に置き、ユーザは典型的に、ヘッドセットとの相互作用によって、環境内のアバター(すなわち、自分自身を表すアイコンまたはフィギュア)の動きおよびインタラクションをコントロールすることができる。たとえば、アバターへのユーザの命令は、ヘッドセットによって、(たとえば仮想環境内を見回すための)ユーザの頭部の動き、(たとえば、仮想環境内を動き回るための)ユーザの身体の動き、ヘッドセットもしくは関連するコントローラに関連付けられた1つ以上のボタン/タッチパッドの使用を通じて登録されてよい、または音声命令によって登録されてよい。
【0004】
進化を続けている技術が普及している1つの特定の分野はスポーツ産業であり、ここでは、スポーツイベントおよびレーシングイベントなどのトーナメントが、ユーザ装置にライブで放送され、ユーザは様々な手段によって対話を行うことができる。たとえば、ユーザは、レーシングイベントの放送に関連して他のユーザと通信することができ、これは、イベントに関するディスカッションに参加したり、オンラインでの投げ銭や賭けなどのアクティビティに参加したりするために、自身のモバイル装置またはソーシャルメディアに関連付けられたコール/テキストメッセージング機能を使用することを含む。
【0005】
バーチャルリアリティのゲームイベントおよびスポーツイベントに関心があるのにもかかわらず、ライブのスポーツイベント、以前に記録されたスポーツイベントまたは過去のスポーツイベントへの自身の参加をシミュレートすることができないユーザでも、イベントにおける実際の参加者(たとえばスポーツマンおよびスポーツウーマン)との競争を仮想で体験することができる。
【0006】
本発明は、競技レースなどのスポーツイベントにおいて仮想で競争するユーザの能力の欠如に対処し、同時に、イベントにおける仮想の競争の間に利用可能なリソースに関するあらゆる運にも順応するシステムおよび方法を提供することを目的とする。
【0007】
本明細書におけるあらゆる従来技術への言及は、その従来技術が共通の一般知識の一部を形成することを容認または示唆するものとしては解釈されず、またそのように解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、競技レースなどのスポーツイベントにおいて仮想で競争するユーザの能力の欠如に対処し、同時に、イベントにおける仮想の競争の間に利用可能なリソースに関するあらゆる運にも順応するシステムおよび方法を提供することを目的とする。
【0009】
本明細書におけるあらゆる従来技術への言及は、その従来技術が共通の一般知識の一部を形成することを容認または示唆するものとしては解釈されず、またそのように解釈されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの態様は、1人以上のユーザがレーシングイベントに仮想参加することを容易にするための、コンピュータにより実装された方法であって、この方法は、1つ以上のプロセッサによって、イベントからデータフィードを受け取るステップと、1つ以上のプロセッサによって、イベントの物理的環境を実質的に再現する多次元仮想環境を生成するためにデータフィードを処理するステップであって、多次元仮想環境は、イベントにおける各参加者の仮想化された表現を含んでおり、参加者の仮想化された表現の各々は、イベント中の対応する参加者の物理的な動きに従って多次元仮想環境内で動くように適合させられており、かつ多次元仮想環境は、1人以上のユーザに対応する1つ以上のアバターを含んでいる、処理するステップと、1つ以上のプロセッサによって、1人以上のユーザに関連付けられたコンピュータハードウェアと通信するステップであって、これによって、コンピュータハードウェアに関連付けられたディスプレイが、ユーザのアバターに関連付けられた視点から、仮想化された表現および仮想化された表現のあらゆる動きを含んでいる多次元仮想環境をユーザに提示することが可能になり、その結果、ユーザが経時的にレーシングイベントを思い描くことが可能になり、かつユーザの命令に基づいてユーザのアバターがレース経路を進むことが可能になり、その結果、ユーザがレーシングイベントに参加し、参加者と競争することが可能になる、通信するステップとを含んでいる方法に関する。
【0011】
ある実施形態では、この方法は、1つ以上のプロセッサによって、レーシングイベントに仮想参加している1人以上のユーザのパフォーマンスに関するデータを含んでいる、コンピュータハードウェアからのフィードバックを受け取るステップをさらに含んでいる。
【0012】
実施形態では、多次元仮想環境は、レーシングイベントの物理的環境の3次元の表現または2次元の表現のうちのいずれかである。
【0013】
他の実施形態では、レーシングイベントに関して受け取られるデータフィードは、ライブのイベントからのデータフィード、以前に記録されたレーシングイベントからのデータフィードまたは過去のレーシングイベントからのデータフィードのうちのいずれかである。
【0014】
ある実施形態では、レーシングイベントの物理的環境を実質的にシミュレートする多次元仮想環境は、任意の規定された環境状況および/または物理的状況、たとえば雨、雪もしくは風/強風状況をシミュレートするように修正可能である。この実施形態では、仮想環境は、特定のイベントに対するオブジェクト(たとえば客席、広告看板など)の物理的位置の表現の変更を伴う、毎年行われるイベントの事前に規定された仮想環境の変化を含んでいてよい。
【0015】
多次元仮想環境は、レーストラック、動物レースのトラック、カーレースのトラック、未舗装道路、スポーツコート/スポーツアリーナ、マラソントラック、ラリー(レーシングカー)のトラック、スキー場/雪原または水域を含むがこれらに限定されない任意のレーシングサーフェスを含んでいてよいことが理解されよう。
【0016】
ある実施形態では、多次元仮想環境は、レーシングイベントの前および/またはレーシングイベント中のユーザ入力に応じて、部分的または全体的に修正可能な仮想器具をさらに含んでいてよい。
【0017】
この器具は、レーシングイベントの一部として使用される任意のアイテムを含んでいてよい。たとえば、器具はレーシングカーを含んでいてよく、これは、レーシングカーの1つ以上の側面、さらに場合によってはレーシングイベントの結果に関して修正可能である。この例において、レーシングイベントが、レース中に気候がドライの気候状況からウエットの気候状況に変化したことが知られ/記録されており、この環境変化が仮想レーシングイベント中にシミュレートされる特定のグランプリ(過去の)レーシングイベントに基づいていると仮定すると、1人以上のユーザは、このレースに勝つ可能性を高めるために、自身のレーシングカーのタイヤを、レーシングイベント中に「スリック」タイヤ(すなわち、いかなる溝またはパターンも有しておらず、その結果ドライの気象状況下でより優れたトラクションを提供する)からトレッドパターンを有するタイヤ(ウエットの気象状況下でより優れたトラクションを提供する)に変えることを選択し得る。この実施形態では、レーシングベントが、実際の過去のグランプリレーシングイベントに基づいており、データフィードが、過去のグランプリイベントの日に存在していた環境状況に関する過去の/記録されたデータに基づくであろうことが理解されよう。
【0018】
本発明の別の態様は、1人以上のユーザがレーシングイベントに仮想参加することを容易にするためのシステムであって、このシステムは、各ユーザに関連付けられたコンピュータハードウェアと、コンピュータハードウェアと通信する1つ以上のプロセッサとを含んでおり、1つ以上のプロセッサは、レーシングイベントからデータフィードを受け取り、イベントに関連付けられた物理的環境を実質的に再現する多次元仮想環境を生成するためにデータフィードを処理するように構成されており、多次元仮想環境は、イベントにおける各参加者の仮想化された表現を含んでおり、参加者の仮想化された表現の各々は、イベント中の、レース経路に沿った、対応する参加者の物理的な動きに従って多次元仮想環境内で動くように適合させられており、かつ多次元仮想環境は、1人以上のユーザに対応する1つ以上のアバターを含んでおり、1つ以上のプロセッサは1人以上のユーザに関連付けられたコンピュータハードウェアと通信するように構成されており、これによって、コンピュータハードウェアに関連付けられたディスプレイが、ユーザのアバターの視点から、仮想化された表現および仮想化された表現のあらゆる動きを含んでいる多次元仮想環境をユーザに提示することが可能になり、その結果、ユーザが経時的にレーシングイベントを思い描くことが可能になり、かつユーザの命令に基づいてユーザのアバターがレース経路を進むことが可能になり、その結果、ユーザがレーシングイベントに参加し、参加者と競争することが可能になる、システムに関する。
【0019】
本発明のさらに別の態様は、1人以上のユーザがレーシングイベントに仮想参加することを容易にするための命令を格納しているコンピュータ可読媒体であって、命令は1つ以上の命令を含んでおり、この1つ以上の命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、レーシングイベントからデータフィードを受け取らせ、レーシングイベントに関連付けられた物理的環境を実質的に再現する多次元仮想環境を生成するためにデータフィードを処理させ、多次元仮想環境は、イベントにおける各参加者の仮想化された表現を含んでおり、参加者の仮想化された表現の各々は、イベント中の、レース経路に沿った、対応する参加者の物理的な動きに従って多次元仮想環境内で動くように適合させられており、かつ多次元仮想環境は、1人以上のユーザに対応する1つ以上のアバターを含んでおり、この1つ以上の命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、1人以上のユーザに関連付けられたコンピュータハードウェアと通信させ、これによって、コンピュータハードウェアに関連付けられたディスプレイが、ユーザのアバターの視点から、仮想化された表現および仮想化された表現のあらゆる動きを含んでいる多次元仮想環境をユーザに提示することが可能になり、その結果、ユーザが経時的にレーシングイベントを思い描くことが可能になり、かつユーザの命令に基づいてユーザのアバターがレース経路を進むことが可能になり、その結果、ユーザがレーシングイベントに参加し、参加者と競争することが可能になる、コンピュータ可読媒体に関する。
【0020】
極めて現実的な体験を生成するために、ユーザが没入できる3次元の環境を生成することが好ましい。しかし、イベントに仮想参加している間に帯域幅の利用可能性が制限される等の状況が存在し得る。これによって、ユーザが物理的環境の2次元の表現を受け取り、その結果、イベントおよび参加者の2次元の表現でイベントに参加することが必要となる。ある実施形態では、異なるユーザが、レーシングイベントの物理的環境の2次元の仮想表現または3次元の仮想表現のうちのどちらかで同じレーシングイベントに参加することができ、この2次元または3次元の表現は、異なる時間の個々の参加者に、異なる期間の間、自身の位置に従った個々の参加者に対する帯域幅の利用可能性に応じて、提供されてよい。特定の一実施形態では、個々の参加者は、自身に提供される仮想表現をいつでも選択することができるので、個々の参加者は、3次元の表現を2次元の表現にダウングレードするタイミングを自分で決定することができ、このダウングレードによって、そうでなければ、ネットワーク帯域幅が一時的に侵害され、データのバッファリングが発生した場合に発生し得る中断/遅延を発生させずにユーザインタラクションを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照してさらに詳細に説明する。添付の図面では、イベントはレーシングイベントであり、物理的環境および物理的環境におけるオブジェクトが生成され、3次元で表されている。
【
図1】本発明の実施形態に係る、ライブのレーシングイベントに仮想参加することを容易にするためのシステムおよび方法の概要を示す図である。
【
図2】例示的なライブのレーシングイベントと、
図1に示した実施形態によるライブフィードデータの捕捉とを示す斜視図である。
【
図3】
図1の実施形態のサーバコンポーネントを示す図である。
【
図4】
図3に示したサーバと動作可能に通信を行うコンピュータハードウェアを使用して、ユーザが2次元または3次元の仮想環境を見ることを可能にするプロセスの例示的なフロー図である。
【
図5】
図4に示したユーザが、2次元または3次元の仮想環境において使用するための特定のアバターを選択し、修正することを可能にするプロセスの例示的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、1人以上のユーザ(190)がレーシングイベント(10)に仮想参加することを容易にするための、コンピュータにより実装されたシステムおよびコンピュータにより実装された方法に関する。ある実施形態では、中央のサーバ(100)が、イベント(10)からデータフィード(80)を受け取り、イベント(10)に関連付けられた物理的環境を実質的に再現する2次元の仮想環境(220)または3次元の仮想環境(220)のうちどちらかを生成するためにデータフィード(80)を処理する。本明細書に記載される実施形態では、イベント(10)は、特定のモーターレーシングトラック(20)を使用するモーターレーシングイベントであるが、このイベントが任意の他のライブの(または以前に記録されたもしくは過去の)レーシングイベントであってよい。仮想環境(220)は、各実際のレース参加者(40A,40B)に対応する仮想化された表現(図示せず)を含んでおり、参加者(40A,40B)に対応する仮想化された表現の各々は、イベントに関連付けられたレース経路(20)に沿った、参加者(40A,40B)の物理的な動きに従って2次元または3次元の仮想環境(220)内で動くように適合させられている。仮想環境(220)は、1人以上のユーザ(190)によってコントロールされる、1人以上のユーザ(190)に対応するアバター(250,260)をさらに含んでいる。
【0023】
中央のサーバ(100)は、示されている実施形態ではゲームコンソールである、ユーザエンドにおけるコンピュータハードウェア(210)と通信するように構成されている。これは、コンピュータハードウェア(210)が、ユーザのアバターに関連付けられた視点から、仮想化された表現(たとえば、参加者)と、そのあらゆる動き(たとえば、レース経路に沿った仮想参加者の動き)とを含んでいる2次元または3次元の仮想環境(220)を、関連するディスプレイに提示させることを可能にする。このようにして、1人以上のユーザ(190)が、実際の参加者(40A,40B)が共存するイベント(10)においてユーザ(190)の存在を再現するライブのレーシングイベント(10)を、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで思い描くことが可能になる。さらに、コンピュータハードウェア(210)に入力された、ユーザ(190)による命令に基づいて、たとえばコントローラ(230)を使用して、ユーザ(190)は、自身のアバターをイベントにおける追加の参加者としてコントロールすることができる。つまり、ユーザ(190)は、アバターとして表された実際の参加者と共にレーストラック(20)の仮想再現を進むことができ、その結果、ユーザ(190)がレーシングイベント(10)へ参加し、元来の参加者(40A,40B)と競争することが仮想的に開始される。
【0024】
したがって、
図1に例として示したように、本発明のシステムおよび方法は、世界中のどこにいても、自身のリビングルームでくつろぎながら、ユーザ(190)が、ライブのレーシングイベント(10)の仮想表現(220)を見ることおよびレーシングイベントにおいて競争することを可能にするソリューションを提供する。ライブのレーシングイベントは、たとえば、モーターレース、オートバイレース、競馬、またはリアルタイムもしくはほぼリアルタイムでそのデータが捕捉され得る任意の他のレーシングイベントなどの任意のレーシングスポーツを含んでいてよい。
【0025】
当業者は、レーシングイベントを再現するために、サーバ(100)が、レーストラック(20)などのレース経路に関するデータへのアクセスを必要とするであろうことを理解するだろう。この点に関して、レーストラックデータが、このようなトラックが典型的には変化せず、かつレーシングイベント(たとえば、モナコF1ストリートサーキット、またはオーストラリアのビクトリア州にあるフレミントン競馬場)に対して頻繁に使用されるということに基づいて、サーバ(100)に事前プログラミングされてよい。このようなレース経路のデータがサーバ(100)によって格納されてよく、これによって、各レース中に、レーストラックに関する詳細をモニタリングして、サーバに供給する必要がなくなり、これによって、プロセッサおよびメモリの消費が減るだろう。
【0026】
択一的に、レーストラックのデータが知られていない、かつ/またはアクセス可能でない場合に、トラックに関連付けられたオブジェクト(たとえばレールまたは安全柵)に対応する視覚的表現がイベント中にリアルタイムで検出されてよく、このようなデータが収集されたときに、トラックも仮想環境においてリアルタイムで現れる。明らかになるように、ユーザに可能な限り没入型の体験を提供するために、たとえば、雨、視認性、風速、温度および湿度などの環境データ、ならびにトラック上の参加者の位置、速度、加速度およびラップタイムなどの遠隔測定データを含む付加的データがライブのイベント(10)中に収集されてよい。1つの実施形態では、システムのプログラミングに従って、既存のまたは過去の広告表示を、選択された広告表示と置き換えるために、レーストラックの視覚的表現が変更される。この実施形態では、既存の/過去の表示に代わる、選択された広告表示が、参加者の地理的位置に応じて変化してよく、これによって、参加者は、各参加者の地理的位置において消費者が入手可能な商品および/またはサービスに関連する広告表示に触れる。当然、事前に格納されたレーストラックを使用した仮想イベント/仮想参加のインスタンスに関して、企業が既存の/過去の広告表示を自社のブランド/ロゴに置き換える機会を提供することは、システムの運営者が収益を得ることができる商機を表している。
【0027】
また、(ライブのレーシングイベントではなく)過去のまたは以前に記録されたレーシングイベントの再現には、特定の過去のまたは以前に記録されたレーシングイベントに関連付けられた任意の既知/記録された環境状況に関するサーバの事前プログラミングも含まれることが理解されよう。さらに、ユーザが競争する可能性がある実際の過去のレースの参加者のアバターを生成するために、過去のレース中に発生した実際のイベントに関係する過去のデータが格納され、アクセスされてよい。
【0028】
図1を複数のセグメントに分割し、これらのセグメントを後続の
図2~
図4においてさらに拡大する。
図1において、セグメント(200)およびセグメント(300)は、サーバ(100)が、スポーツイベント(10)において配置された環境データ捕捉ハードウェア(30)および遠隔測定データ受信器ハードウェア(60)と通信することを示している。このようなハードウェアは、
図3においてさらに拡大されているように、ライブデータフィードがイベントデータ収集サーバ(70)に伝送され、次にサーバ(100)に伝送されることを可能にする。
図1には、セグメント(400)も詳しく示されており、このセグメント(400)は
図4においてさらに詳細に示されており、自身のラウンジルームに座って、ゲームコンソール(210)に関連付けられたディスプレイスクリーン上で仮想環境(220)の2次元のバージョンを見ているユーザ(190)を示している。最後に、
図1のセグメント(500)は、
図5においてさらに詳細に示されており、仮想イベントに参加する前にユーザが利用可能ないくつかの選択肢を示しており、これにはたとえば、示されている例では車両(250,260)である特定のアバターを選択することが含まれている。以降の段落は、
図2~
図5のそれぞれの詳細をさらに詳しく説明する。
【0029】
上述したように、
図2は、ライブのレーシングイベント(10)の例と、イベント(10)からのデータ(80)がどのように捕捉され、仮想レースを再現するために使用され得るのかを示している。
図2には、レーストラック(20)と、互いに競争しているレーシングカードライバーの形態の2人の参加者(40A,40B)とが示されている。車両の動きは、モーションキャプチャ技術を使用して捕捉されてよい。たとえば、1つ以上のセンサが各車両に配置されていてよく、データを受け取る遠隔測定データ受信器(60)にリアルタイムでデータを伝送してよい。車載センサによるデータ伝送を必要としない他のモーションキャプチャ技術が使用されてよい。たとえば、車両に、光を反射または放射する反射マーカを取り付けることができ、この光は、その後カメラによって追跡され、その結果、車両の動きが追跡される。このようにして、遠隔測定データが車両毎に捕捉されてよく、この遠隔測定データには、トラック上の各参加者の位置、車両が走行している速度、車両の加速度、およびラップタイムに関するデータが含まれていてよい。収集されるデータおよび収集方法が、仮想表現が要求されるレーシングイベントに応じて異なっていてよいことが理解されよう。
【0030】
収集後、遠隔測定データ受信器(60)は、同様にライブのイベント(10)において存在しているイベントデータ収集サーバ(70)にデータを伝送してよい。
【0031】
遠隔測定データに加えて、環境データも1つ以上の環境捕捉装置(30)によって捕捉され得る。これは、参加者が体験する、雨、視認性、風速、温度および湿度を含む状況が捕捉されることを可能にし、これによって、同様の状況が仮想環境において反映され得る。その目的は、仮想レースがライブのイベントの状況に可能な限り一致することを保証することである。このようなデータが、環境データ捕捉装置(30)によって、イベントデータ収集サーバ(70)に伝送されてもよく、イベントデータ収集サーバ(70)は、イベントから受け取った全てのデータを照合して、これらのデータをリアルタイムまたはほぼリアルタイムにサーバ(100)に伝送する役割を担う。
【0032】
択一的な実施形態では、1つ以上の環境要因が、利用可能な気象情報などの他のソースから受け取られてよい、またはアクセスされてよい。
【0033】
図3は、イベントデータ収集サーバ(70)からのデータフィード(80)を受容して、2次元または3次元の仮想環境(220)を生成するためにこのデータフィード(80)を処理するサーバコンポーネントを示している。
図3では、サーバ(100)が、ローカルまたはクラウドベースのインフラストラクチャであってよいインフラストラクチャ(90)を含むことが理解されよう。サーバ(100)の主要な目的は、イベント(10)からデータフィード(80)を受け取り、その後、仮想環境(220)を生成するためにこのデータフィード(80)を処理することであり、仮想環境(220)は、レーシング状況および競走相手を含んでいるレーシングイベントを再現する。ユーザ(190)は、ゲームコンソール(210)、バーチャルリアリティヘッドセット(図示せず)、コンピュータ、または2次元もしくは3次元の環境を表示することができる任意の装置を介して、実際の参加者(たとえばプロスポーツ選手)の仮想表現と仮想レースにおいて競争することができる。
【0034】
中央のサーバ(100)は、本明細書に記載された少なくとも1つの機能(110,120,130,140,150および160)を提供するコンピュータアプリケーションを動作させることができ、これらの機能にはそれぞれ次のもの:
・データ処理(110)、すなわちイベントデータフィード(80)を収集し、処理して、仮想環境(220)の格納および生成(120)に適したフォーマットにする;
・収集され、処理されたイベントデータ(80)に基づいて、任意の時点でのレーシングイベント(10)を再現する2次元または3次元のモデルを生成する機能(120);
・システムを利用するユーザ(190)のレジスタ、ならびにユーザのプリファレンスおよび設定を提供するユーザアカウントレジスタ(130);
・仮想レースがレンダリングされる(150)際に、ユーザが自身のアバターとして選択することができ、ユーザのプリファレンスおよび設定(130)に基づき得るグラフィカルイメージのリポジトリ(140);
・機能(120)によって生成された仮想環境モデルを取得し、コンピュータ機器(210)を使用して表示されるイメージを作成することによって、2次元または3次元の仮想環境(220)をレンダリングする機能(150)。この機能は、生成された仮想レースモデルを取得し、自身のゲームコンソールまたは同様の装置を操作するときにユーザ(190)が見るイメージを作成し、作られた環境は、遠隔操作データおよび/または環境データを含んでいるデータフィード(80)において受け取ったデータに基づいて、ライブのイベントを再現する。作成されたイメージは、ユーザ(190)の視聴位置を含む付加的な要因と、仮想化された表現およびアバターに対する特定のグラフィカルイメージの選択のような、ユーザのプリファレンスとに基づいていてよい;
・元来の競争相手(40A,40B)の各々および1人以上のユーザ(190)に関連付けられた、パフォーマンスに関連した詳細を示すディスプレイのようなグラフィカルユーザインタフェース上に表示される結果およびメーターボードを生成する機能(160):
が含まれる。
【0035】
したがって、位置および動き、ならびに参加者、環境状況およびライブのレーシングイベント(10)において捕捉される必要がある任意の付加的なオブジェクトに関する付加的な遠隔測定データを提供するために、イベントデータのリアルタイムのまたはほぼリアルタイムのフィード(80)がハードウェア(70)からサーバ(100)に転送される。これは、2次元または3次元の仮想環境(220)の生成を可能にする。モニタリングを必要とする付加的なオブジェクトデータは、トラック(20)の再現を可能にするトラック関連オブジェクトを含むが、これに限定されない。
【0036】
本発明は、特定の種類のセンサまたはモーションキャプチャ装置に限定されることを意図したものではない。データを捕捉する際に使用されるセンサ、マーカまたは任意の他の装置の選択は、最終的に、再現されるレーシングイベントに関連し得る。概して、参加者(40A,40B)に関連付けられた最小限の位置データおよび動きのデータを捕捉する必要がある。
【0037】
図4は、自身のラウンジルームに座っており、自身のゲームコンソール(210)に接続されているスクリーン上に表示された2次元の仮想環境(220)を見ているユーザ(190)を示している。たとえば、ユーザ(190)が、2次元の仮想環境の代わりに3次元の仮想環境を思い描くことを可能にし得るバーチャルリアリティヘッドセット(図示せず)を含む任意の適切な視聴ハードウェアが利用され得ることが理解されよう。示された実施形態では、レースを通してユーザのアバターを動かすための命令が、コントローラ(230)を介してコンソールに転送される。
【0038】
図4にはクライアントコネクション(180)も示されており、これは、サーバ(100)からユーザエンドでのゲームコンソール(210)への通信、またユーザエンドでのゲームコンソール(210)からサーバ(100)への通信を表している。ゲームコンソール(210)とサーバ(100)との間の通信は、インターネットまたは同様のネットワークコネクションを介して達成されてよい。さらに、2次元または3次元の仮想環境(220)のレンダリングが、上述したように、サーバ側で達成されてよい、またはクライアント側で、たとえばゲームコンソール(210)によって達成されてよい、またはその両方の組み合わせで達成されてよい、ということも理解されよう。
【0039】
図4は、関連するディスプレイを備えるゲームコンソール(210)およびゲームコントローラ(230)をそれぞれ拡大して示している。上述のように、ゲームコンソール(210)は、ユーザ(190)によってコントロールされるコントローラ(230)から入力(命令)を受け取り、ユーザのアバターに関連付けられた特定の視点から、レンダリングされた環境(220)をユーザ(190)に表示する。
図4に示す実施形態では、この視点は一人称視点であり、ここではゲームは、プレイヤーのアバターがアバター自身の目で見ているであろうものを表示する。しかし、視点が異なるように環境がレンダリングされてよく、たとえばユーザが自身のアバターを思い描き、自身のアバターをコントロールすることができる三人称視点から、環境がレンダリングされてよい。
【0040】
表示が一人称視点であるか三人称視点であるのかを含んでいる視点は、仮想レースへの参加前または参加中にユーザ(190)によって選択可能なプリファレンスのうちの1つであってよい。コントローラ(230)への入力は、仮想環境(220)におけるユーザのアバターに代わって種々異なる行動に変換され、これは、たとえば、操縦、加速、制動、および特定のレーシングイベントへの適切な参加のために必要となり得る任意の付加的な行動を含んでいてよい。
【0041】
本発明は、ユーザのアバターの動きをコントロールするためにゲームコンソールコントローラを使用することに限定されることを意図したものではない。たとえば、レースシミュレータコックピットなどの他の装置が使用されてよい。ハードウェア(210)に関連付けられたディスプレイが、たとえば、TV、ヘッドセット、コンピュータモニタ、またはレンダリングされたイベント(220)をユーザ(190)に表示することができる任意の他のプロジェクタを含んでいる、2次元または3次元のイメージをユーザ(190)に提示するのに適した任意のディスプレイであってよい。
【0042】
図4はさらに、レーシングイベントの間および/またはレーシングイベントの終了後の任意の時点で任意のレース関連情報を表示するために使用され得るインタフェース(240)を示している。たとえば、ディスプレイ(240)は、たとえばレースリーダーの一覧を含んでいる、レースの結果をリアルタイムで表示するリーダーボードの形態であってよい。このようにして、ユーザ(190)は、自身のパフォーマンスを、参加者(40A,40B)に対して、レースの後だけでなく、レースの間にも比較することができ、これとならんで、異なる場所から同じイベントに参加している可能性のあるあらゆる他のユーザに対しても比較することができる。
【0043】
ユーザ(190)は、仮想環境に関連付けられた様々な付加的なパラメータおよび選択肢のコントロールを楽しむことができ、これは、代わりのアバターを選択する(270)能力を含むが、これに限定されない。たとえば、代わりの車両(260)が表示されてよく、ユーザは、任意の1つのレーシングイベント中に使用するのに好ましいアバター(250)を選択することができる。車両の仕様およびパフォーマンスは、ライブ参加者(40A,40B)の車両の仕様およびパフォーマンスと現実的に一致していてよく、選択された車両のパフォーマンスが、ライブのイベントでの実際の参加者(40A,40B)が体験する可能性が高いランダムなイベントにおける状況と同様の、セーフティカーや故障などの状況および他のランダムなイベントによって影響を受けることもある。
【0044】
ユーザが、特定の状況(たとえば、ウエットウェザータイヤの使用)に適するように、またはたとえば、
図5に示すように、車両エンジン(280)のアップグレードなど、一般的なパフォーマンスの改善を行うように、自身の選択されたアバター(車両)を構築するまたは修正する能力を有していてもよい。いくつかの実装においては、ユーザが、金銭またはゲームクレジットによる、このような構築/修正に対する支払いを要求されることがある。
【0045】
図5は、ユーザが、ライブ参加者(40A,40B)の仮想表現および参加しているあらゆる他のユーザの仮想表現と競争しているレーシングイベント中のレーストラック(20)上に配置されたレーシング車両の形態のユーザのアバター(290)を示している。ユーザ(190)は、自身のラウンジルームでくつろぎながら、ライブのイベントと同じまたは同様の状況の下で仮想レースに参加する。
【0046】
レース中だけでなく、ある期間(たとえば数週間、数ヶ月または数年)にわたって、特定のレーストラックにおける自身の全体的なパフォーマンスの改善、または特定のスポーツに関する自身の全体的なパフォーマンスの改善に関してユーザが、自身がどのように進化しているかを追跡できるようにするために、付加的なデータがモニタリングされ、格納されてよい(また、ユーザによって随時検索されてよい)。先頭でゴールしたユーザまたは参加者に報酬を与えることに加えて、たとえば個人のベストラップタイムを含む、他の成果がモニタリングされ、承認されてよい/報酬が与えられてよい。このような成果に関連して他のユーザと競うために、ユーザ(190)が、コミュニティおよびリーダーボードに参加できることを理解されたい。このようにして、ユーザは、自身の結果を他のユーザと比較し、友好的な競争を楽しむことができ、また、ゲームクレジットの金銭のために他のユーザに対して自身のアバター(車両)を取引するまたは販売するなどの付加的なオンラインインタラクションに参加することができる。
【0047】
イベントが必ずしもライブのイベントである必要はなく、たとえば以前に記録されたイベントまたは過去のイベントであり得ることを理解されたい。このようなイベントを仮想環境にレンダリングすることもでき、このようなイベントの利点は、遠隔測定データ、環境データなどの、イベントに関連付けられたデータが全て既知であるので、リアルタイムで記録する必要がないことである。たとえば、ユーザは、引退したまたは亡くなった、過去のスポーツマンに対して自身の能力をテストするために、ユーザが関心を向けていた特定のF1グランプリレースにおいてレースを行うことを好む場合がある。この点に関して、サーバ(100)は、仮想環境にレンダリングすることができる特定のレースに対応する必要なデータを格納する、またはこのようなデータにアクセスすることができる。
【0048】
他のユーザおよび/または実際の参加者に関する公平性を保証するために、種々異なるユーザに(たとえば、アバターの選択、車両の加速能力、スコアリング補償、または他のアドバンテージを通じて)アドバンテージを割り当てるようにイベントが構成されていてもよい。たとえば、プロのレース参加者と競争する目的で、増大した能力をユーザに提供するために、選択できるようにされているアバター(たとえば、モータースポーツの場合は車両、競馬の場合は馬など)が実際の参加者の属性を超える属性を有していてよい。
【0049】
選択のためにユーザに提示される利用可能なアバターに影響を及ぼすこともある、ユーザが入力するように要求され得る付加的なパラメータには、ユーザの身長、体重、体力および付加的なフィットネスパラメータが含まれる。この点に関して、ユーザに、利用可能な選択肢として提示されるアバターを調整するために、ならびに上述のように割り当てられたハンディキャップを含む他の設定を調整するために、全ての遠隔測定データ、環境データおよびユーザデータが照合され、処理されると、人工知能技術が利用されてよい。別の選択肢として、各ユーザが、たとえば低、中または高の難度を選択するように要求されてよく、特定のレースおよび/または特定の参加者および/または特定のユーザが、他のユーザのプリファレンスに加えて、上記の選択に基づいて選択されてよい。
【0050】
また、ユーザが、レーシングイベントの進行の前または進行の間に、レーシング器具に関する付加的なパラメータを入力するように要求されてよい。たとえば、ユーザが、レースの前および/またはレースの間に、自身のレーシングカーのメーカー、製造年および/またはモデル、ならびにレーシングカーのコントロールおよび構成に関する他の側面を入力するように要求されてよい。択一的に、ユーザに、ある範囲の選択可能な選択肢が提示され得る。この点に関して、ユーザは、レース中に自身のレーシングカーの燃料補給/保守(一般に「ピットストップ」と称される)が行われるタイミング(または頻度)を選択することもでき、自身の車両の特定の側面に関するデータを、実質的にリアルタイムで、レースの進行中に入力することもできる。例として、ドライな状況からウエットな状況へと変化したレーストラックに順応するために、ユーザが、レース中にタイヤの種類の変更(たとえば、降雨時のスリックタイヤからトレッドパターンを有するタイヤへの変更)を開始することを好む場合がある。一実施形態では、選択に関するユーザの選択が記録され、各ユーザに対してターゲットとされる広告プロファイルを生成するために使用されてよい。各ユーザに応じてレーストラックの仮想表現における広告表示が選択される実施形態では、個々のユーザに多大に関連する、適切な代わりの広告表示を決定するために、ユーザのターゲットとされる広告プロファイルが分析されてよい。
【0051】
ユーザのアバターが、レース中に、競争している車両の仮想表現と接触し得ることが理解されよう。この状況に、たとえば、あたかもこれらの車両が接触しておらず、相互に見えないかのようにユーザおよび参加者の両方がレーシングを続けることを可能にすることによって対応することができる。これによって、仮想環境におけるライブ参加者の表現が、ライブのレーシングイベント中の参加者の動きに従って継続して動くことが保証される。択一的に、このような接触によって、ユーザの車両およびライブ参加者の車両の一方もしくは両方の動きならびに/または位置が接触による影響を受けてもよい。この点に関して、サーバおよび/またはコンソールは、ライブ参加者に関連付けられたデータフィードを無視し、仮想環境における参加者の動きを停止させるまたは自動化することができる(すなわち、ライブのイベントにおけるこの参加者の動きはもはや反映されない)。接触の激しさに応じて、一方または両方の車両がレーシングイベントから退出させられてよい。この点に関して、ユーザは、レーシングイベントの前、またはレーシングイベント中に、自身の好ましい選択肢を選択することができる。
【0052】
サーバおよび/またはゲームコンソール(210)は、レーシングイベントへのユーザの参加に関して、賭けを行うことを可能にする外部のギャンブルソフトウェアプラットフォームとのAPIリンクを確立する能力を有していてよい。
【0053】
中央のサーバ(100)は、単一のコンピュータ、単一のコンピュータの部分的なコンピューティングリソース、相互に通信する複数のコンピュータ、またはリモートサーバのネットワークであってよい(たとえば、クラウド)。1つ以上のサーバは、ローカルデータベースを収容してよい、かつ/または1つ以上の外部データベースと通信してよい。
【0054】
視聴ハードウェア(210)は、ネットワークを介してサーバ(100)と通信してよい。いくつかの実施形態では、ネットワークは、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、たとえばインターネットであってよい。他の実施形態では、ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)であってよい。たとえば、大都市圏から離れたより遠隔の位置では、インターネットが利用できない場合がある。さらに他の実施形態では、ネットワークを、WANとLANとの組み合わせとすることができる。
【0055】
関連する技術分野の当業者であれば、広範に説明されている本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、実施形態において詳述されているように、本発明に対して多数の変更および/または修正を行うことができることを理解するだろう。したがって、これらの実施形態は、全ての態様において、例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【0056】
本明細書および以降の特許請求の範囲を通して、文脈が別段の要求をしない限り、「備える(comprise)」という用語ならびに「備える(comprises)」および「備えている(comprising)」などの変化形は、記載した特徴もしくは記載したステップ、または記載した特徴のグループもしくは記載したステップのグループの包含を意味するが、いかなる他の特徴もしくは他のステップ、または他の特徴のグループもしくは他のステップのグループの除外も意味しないものとして理解されよう。
【国際調査報告】