(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】がんの予防、緩和、または処置のための医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20240507BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240507BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20240507BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240507BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20240507BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240507BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240507BHJP
A61K 33/243 20190101ALI20240507BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P35/00
A61K31/437
A61K31/496
A61K31/4545
A61P15/00
A61P43/00 121
A61K33/243
A61K31/44
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023567915
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 KR2022006349
(87)【国際公開番号】W WO2022235057
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2021-0056988
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0056994
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521559061
【氏名又は名称】ジェービーケーラボ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ボンクン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086CB05
4C086HA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明に従う化合物は、三種陰性乳がん細胞株MDA-MB-231および肝臓がん細胞株、ならびに一般的ながん細胞株、例えばA549、SK-OV-3、SK-MEL-2、HCT15、等々に対する優れた抗がん効果を呈し、およびよって抗がん剤として有利に使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下の式1もしくは2:
[式1]
【化1】
上の式1において、
Rは、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロシクロアルキル、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロアリール、またはC
6~10アリールであり;
[式2]
【化2】
上の式2において、
X
1は、ハロゲン、C
1~3アルコキシ、C
1~3アルキル、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、またはピペリジン置換ピラゾリルであり、および
X
2は、ハロゲン、またはメチル置換ピペラジニルである、
によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を活性成分として含む、がんを予防または処置するための医薬組成物。
【請求項2】
X
1が、ブロモ、またはピペリジン置換ピラゾリルであり、および
X
2が、フルオロ、またはメチル置換ピペラジニルである、請求項1に記載のがんを予防または処置するための医薬組成物。
【請求項3】
医薬組成物が、以下:
<1> N-(4-(ピロリジン-1-イル)フェニル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン;
<2> N-(5-ブロモ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ベンズアミド;および
<3> 4-フルオロ-N-(5-(1-(ピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)ベンズアミド
の化合物群からなる群から選択される式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を含む、請求項1に記載のがんを予防または処置するための医薬組成物。
【請求項4】
がんが、肺がん、非小細胞肺がん(NSCL)、細気管支肺胞細胞肺がん、卵巣がん、大腸がん、黒色腫、胃がん、消化管がん、肝臓がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚または眼球の黒色腫、子宮がん、直腸がん、結腸がん、乳がん、子宮肉腫、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、食道がん、喉頭がん、小腸がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、多発性骨髄腫、および慢性または急性の白血病からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
乳がんが、三種陰性乳がんである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬組成物が、抗がん剤との併用治療における使用のためのものである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
抗がん剤が、シスプラチン、ソラフェニブ、オプジーボ、テセントリク、キイトルーダ、イミフィンジ、OKN-007、ゲフィチニブ、ドキソルビシン、ビンブラスチン、タキソール、エトポシド、5-FU、およびイホスファミドからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
下の式1もしくは2:
[式1]
【化3】
上の式1において、
Rは、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロシクロアルキル、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロアリール、またはC
6~10アリールであり;
[式2]
【化4】
上の式2において、
X
1は、ハロゲン、C
1~3アルコキシ、C
1~3アルキル、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、またはピペリジン置換ピラゾリルであり、および
X
2は、ハロゲン、またはメチル置換ピペラジニルである、
によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を活性成分として含む、がんを予防または回復させるための健康機能食品組成物。
【請求項9】
下の式1:
[式1]
【化5】
上の式1において、
Rは、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロシクロアルキル、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロアリール、またはC
6~10アリールである、
によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項10】
請求項1に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩の投与を、これを必要とする対象へするステップを含む、がんを予防または処置するための方法。
【請求項11】
請求項1に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩と、放射線または抗がん剤との共投与を、これを必要とする対象へするステップを含む、がんを予防または処置するための方法。
【請求項12】
がんの予防または処置における使用のための医薬の調製のための、請求項1に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩の使用。
【請求項13】
がんの予防または処置における使用のための医薬の調製のための、請求項1に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩と、組み合わせて投与される抗がん剤との使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の背景
1.本発明の分野
本発明は、がんの予防、緩和、または処置のための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の記載
がんの発生率が文明の発展とともに増加しつつあるという事実があるにかかわらず、がん患者の処置は、外科手術、放射線治療、および細胞傷害性が強い抗がん薬を投与することによる化学治療に依然として頼っている。
しかしながら、これらの処置は、一般に早期がんの患者または特定タイプのがんの患者に限定され、様々な副作用を引き起こしており、そのため、安全性プロファイルを有しながら有効かつより副作用が少ない抗がん薬を開発するニーズがある。
【0003】
とりわけ、乳がん市場は、抗がんの高い有効性および安全性を欠いている、医療ニーズが満たされない分野であることが知られている。
【0004】
乳がん処置に関し、ホルモン治療、化学治療、および標的治療などの、疾患特徴が異なる患者を標的にする様々な機序の治療が導入されているが、抗がんの有効性および安全性が優れた治療に対して臨床上一定の需要がある。これらの中でも、すべての乳がんの16%を占める三種陰性乳がん(TNBC)は、処置後の予後不良に起因して処置が困難であり、TNBCを標的にする利用可能な治療が十分にない(非特許文献1、Rev Peru Med Exp Salud Publica. Oct-Dec 2013;30(4):649-56)。
【0005】
目下、乳がんのための処置は、腫瘍成長に関与するヒト上皮成長因子受容体2(下文において「HER2」と称される)遺伝子を阻害する治療を包含し、抗ホルモン薬が幅広く使用されている。しかしながら、TNBCのケースにおいて、HER2受容体、エストロゲン受容体、およびプロゲステロン受容体はすべて陰性であり、そのため既存の抗がん薬に反応しない。結果的に、安全かつ効率的に処置し得る新しい標的処置が至急必要とされる。
【0006】
よって、本発明者らは、安全かつ有効な抗がん薬として使用され得る本発明の医薬組成物を、様々ながん細胞株を使用して研究し完成させた。
【発明の概要】
【0007】
本発明の概要
本明細書に記載の式1または2によって表される化合物を活性成分として含む、がんを予防または処置するための医薬組成物を提供することが本発明の目的である。
N-フェニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン誘導体化合物を提供することが本発明の別の目的である。
本明細書に記載の式1または2によって表される化合物を活性成分として含む、がんを予防または処置するための健康機能食品組成物(health functional food composition)を提供することが本発明の目的である。
【0008】
がんを処置するための方法を提供することが本発明の別の目的であるが、前記方法は、本明細書に記載の式1または2によって表される化合物をこれを必要とする対象へ投与するステップを含む。
がんの予防または処置における使用のための、本明細書に記載の式1または2によって表される化合物を提供することが本発明の別の目的である。
がんの予防または処置における使用のための医薬の調製のための本明細書に記載の式1または2によって表される化合物の使用を提供することが本発明の別の目的である。
【0009】
上の目的を達成するために、本発明の側面において、本発明は、下の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を活性成分として含む、がんを予防または処置するための医薬組成物を提供する。
【0010】
[式1]
【化1】
上の式1において、
Rは、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロシクロアルキル、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロアリール、またはC
6~10アリールであり;
【0011】
[式2]
【化2】
上の式2において、
X
1は、ハロゲン、C
1~3アルコキシ、C
1~3アルキル、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、またはピペリジン置換ピラゾリルであり、および
X
2は、ハロゲン、またはメチル置換ピペラジニルである。
【0012】
本発明の別の側面において、本発明は、下の式1によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0013】
[式1]
【化3】
上の式1において、
Rは、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロシクロアルキル、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロアリール、またはC
6~10アリールである。
【0014】
本発明の別の側面において、本発明は、上の式1または2によって表される化合物を活性成分として含む、がんを予防または回復させるための健康機能食品組成物を提供する。
本発明の別の側面において、本発明は、がんを処置するための方法を提供するが、前記方法は、上の式1または2によって表される化合物の投与を、これを必要とする対象へするステップを含む。
【0015】
本発明の別の側面において、本発明は、がんの予防または処置における使用のための、上の式1または2によって表される化合物を提供する。
本発明の別の側面において、本発明は、がんの予防または処置における使用のための医薬の調製のための、上の式1または2によって表される化合物の使用を提供する。
【0016】
有利な効果
本発明に従う化合物は、三種陰性乳がん細胞株MDA-MB-231ならびに一般的ながん細胞株、例えばA549、SK-OV-3、SK-MEL-2、HCT15、等々に対する優れた抗がん効果を呈し、およびよって抗がん剤として有利に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面の簡単な記載
【
図1】
図1は、例1において調製された化合物のMSスペクトルを示す。
【
図2】
図2は、例1において調製された化合物の
1H-NMRスペクトルを示す。
【
図3】
図3は、様々ながん細胞株に対する本発明の例1の化合物の毒性を確認した結果を示す一連のグラフである。
【0018】
【
図4a】
図4aは、TNBC細胞株MDA-MB-231に対する例1の化合物の投与に従うマウスの体重における変化を示すグラフである。
【
図4b】
図4bは、TNBC細胞株MDA-MB-231に対する例1の化合物の投与に従うマウスの腫瘍体積における変化を示すグラフである。
【
図4c】
図4cは、TNBC細胞株MDA-MB-231に対する例1の化合物の投与に従うマウスの腫瘍重量における変化を示すグラフである。
【
図5】
図5は、例1の化合物の投与に従う腫瘍組織における有糸分裂像の数を比較した結果を示すグラフである。
【0019】
【
図6】
図6は、培養下での例2の化合物での処置の24時間後のヒト由来乳がん細胞株BT20の細胞生存率を示す一連のグラフである。
【
図7】
図7は、培養下での例2の化合物での処置の48時間後のヒト由来乳がん細胞株BT20の細胞生存率を示す一連のグラフである。
【
図8】
図8は、培養下での例2の化合物での処置の24時間後のTNBC細胞株MDA-MB-231の細胞生存率を示す一連のグラフである。
【
図9】
図9は、培養下での例2の化合物での処置の48時間後のTNBC細胞株MDA-MB-231の細胞生存率を示す一連のグラフである。
【0020】
【
図10】
図10は、例3の化合物での処置の24時間後のMDA-MB-231、MDA-MB-453、およびBT-20細胞株の細胞生存率を示す一連のグラフである。
【
図11】
図11は、腫瘍細胞(SKOV-3およびOVCAR-3)における、例1の化合物とシスプラチンとを単独でおよび組み合わせて投与した際の細胞生存率を示す一連のグラフである。
【
図12】
図12は、腫瘍細胞(SK Hep1およびHuh-7)における、例1の化合物とソラフェニブとを単独でおよび組み合わせて投与した際のcaspase-3活性を示す一連のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好ましい態様の記載
下文において、本発明は詳細に記載される。
本発明の態様は他の様々な形態に改変され得、本発明の範囲は下に記載の態様に限定されない。本発明の態様が、本発明をより正確に解釈するために与えられていることは、本分野に対して平均的な知識を有する当該技術分野の者によって十分理解される。
【0022】
加えて、本明細書全体にわたる要素の「包含」は、具体的に別様に規定されない限り、他の要素を排除せず、また他の要素を包含していてもよい。
【0023】
本発明の側面において、本発明は、下の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を活性成分として含む、がんを予防または処置するための医薬組成物を提供する。
【0024】
[式1]
【化4】
上の式1において、
Rは、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロシクロアルキル、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロアリール、またはC
6~10アリールであり;
【0025】
[式2]
【化5】
上の式2において、
X
1は、ハロゲン、C
1~3アルコキシ、C
1~3アルキル、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、またはピペリジン置換ピラゾリルであり、および
X
2は、ハロゲン、またはメチル置換ピペラジニルである。
【0026】
好ましい側面において、X1は、ブロモまたはピペリジン置換ピラゾリルであってもよく、およびX2は、フルオロまたはメチル置換ピペラジニルであってもよい。
さらなる好ましい側面において、以下:
<1> N-(4-(ピロリジン-1-イル)フェニル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン;
<2> N-(5-ブロモ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ベンズアミド;および
<3> 4-フルオロ-N-(5-(1-(ピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)ベンズアミド
の化合物群からなる群から選択される上の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を含む、がんを予防または処置するための医薬組成物が提供される。
【0027】
本発明の別の側面において、医薬組成物は、抗がん剤と組み合わせた処置において使用され得る。
抗がん剤は、シスプラチン、ソラフェニブ、オプジーボ、テセントリク、キイトルーダ、イミフィンジ、OKN-007、ゲフィチニブ、ドキソルビシン、ビンブラスチン、タキソール、エトポシド、5-FU、およびイホスファミドからなる群から選択される少なくとも1つであり得る。
本発明の別の側面において、本発明は、下の式1によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0028】
[式1]
【化6】
上の式1において、
Rは、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロシクロアルキル、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~10員のヘテロアリール、またはC
6~10アリールである。
【0029】
より好ましい側面において、
Rは、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロシクロアルキル、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、もしくはフェニルであってもよく;または
Rは、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5員のヘテロシクロアルキル、N、OおよびSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5員のヘテロアリール、もしくはフェニルであってもよく;または
Rは、1のNを含有する5員のヘテロシクロアルキル、少なくとも1のNを含有する5員のヘテロアリールであってもよく;または
Rは、1のNを含有する5員のヘテロシクロアルキルであってもよい。
【0030】
最も好ましくは、上の式1によって表される化合物は、下の式3によって表される化合物であってもよい。
[式3]
【化7】
上の式3によって表される化合物は、下に記載の<例1>において合成される化合物に対応する。
【0031】
本発明において、用語「薬学的に許容し得る塩」は、医薬産業において一般的に使用されている塩、例えば、カルシウム、カリウム、ナトリウム、およびマグネシウムから作られる無機イオン性塩;塩酸、硝酸、リン酸、臭素酸、ヨウ素酸、過塩素酸、および硫酸から作られる無機酸塩;酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸、マンデル酸、プロピオン酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、ガラクツロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グルクロン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、炭酸、バニリン酸、ヨウ化水素酸等々から作られる有機酸塩;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、およびナフタレンスルホン酸から作られるスルホン酸塩;グリシン、アルギニン、リシン等々から作られるアミノ酸塩;ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、アンモニア、ピリジン、ピコリン等々から作られるアミン塩を指すが、これらの塩は本発明の塩のタイプを限定しない。
【0032】
本発明において、用語「異性体」は、同じ化学式または分子式を有するが、構造的または立体的には異なる、本発明の化合物またはその塩を指す。異性体は、互変異性体および立体異性体などの構造異性体を包含し、立体異性体は、不斉炭素中心をもつR異性体またはS異性体(光学異性体、鏡像異性体)と幾何異性体(trans、cis)との両方を包含する。本発明において、式1または2によって表される化合物のすべての立体異性体およびそれらの混合物もまた、本発明の範囲に包含される。
【0033】
本発明において、用語「水和物」は、上の式1によって表される化合物および非共有結合の分子間力によって結合された水を指し、化学量論の水または非化学量論量の水を包含していてもよい。具体的には、水和物は、1モルの活性成分に基づき約0.25モル~約10モルの比率で水を含有していてもよく、より具体的には、約0.5モル、約1モル、約1.5モル、約2モル、約2.5モル、約3モル、約5モル等々を含有していてもよい。
【0034】
本発明において、用語「溶媒和物」は、上の式1によって表される化合物および非共有結合の分子間力によって結合された水以外の溶媒を指し、化学量論の水または非化学量論量の水を包含していてもよい。好ましい溶媒は、揮発性、非傷害性であって、ヒトへ微量に投与され得る。具体的には、溶媒和物は、1モルの活性成分に基づき約0.25モル~約10モルの比率で水を含有していてもよく、より具体的には、約0.5モル、約1モル、約1.5モル、約2モル、約2.5モル、約3モル、約5モル等々を含有していてもよい。
【0035】
本発明の別の側面において、本発明は、上の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を活性成分として含む、がんを予防または処置するための医薬組成物を提供する。
【0036】
本発明において、用語「活性成分として含む(含有する)」は、がんを予防、回復、または処置する効果をもたらす投薬量範囲中に包含することを意味し、投薬量範囲は、重症度および製剤に依存して変動してもよく、適用数もまた、対象の齢(age)、重量、および体格に依存して変動してもよい。本発明の一態様において、本発明の医薬組成物中、式1によって表される化合物は、例えば、0.001mg/kg以上、好ましくは0.1mg/kg以上、より好ましくは10mg/kg以上、より好ましくは100mg/kg以上、より好ましくは250mg/kg以上、および最も好ましくは0.1g/kg以上の量で包含されている。本発明の医薬組成物中に包含されている式1によって表される化合物の量的上限は、当業者によって適切な範囲内に選択されてもよい。
【0037】
本発明に従う医薬組成物は、式1もしくは2によって表される有効量の化合物を単独で含んでいてもよく、または1以上の薬学的に許容し得る担体、賦形剤、もしくは希釈剤も包含していてもよい。
【0038】
担体、賦形剤、および希釈剤の例は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギナート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油を包含するが、必ずしもこれらに限定されない。加えて、充填剤、抗凝固薬、潤滑剤、湿潤剤、フレグランス、乳化剤、および防腐剤も加えて包含されていてもよい。
【0039】
本発明の医薬組成物は、対象へ投与された後に活性成分の迅速な、持続した、または遅延した放出を提供するために当該技術分野において知られている方法を使用して製剤化され得る。医薬組成物は、経口用調製物、注射用調製物、または外用調製物の形態で製剤化され得る。経口用調製は、錠剤、丸薬、粉末、顆粒、カプセル、懸濁液、溶液、エマルション、シロップ剤、および凍結乾燥調製物からなる群から選択され得るが、必ずしもこれらに限定されない。加えて、外用調製物は、クリーム、ゲル、軟膏、エマルション、懸濁液、スプレー、および経皮パッチからなる群から選択され得るが、必ずしもこれらに限定されない。
本発明の医薬組成物は、経口投与、経皮投与、皮下投与、静脈内投与、または筋肉内投与を包含する様々なルートを通して投与され得る。
【0040】
本発明の別の側面において、本発明は、上の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を活性成分として含む、がんを予防または回復させるための健康機能食品組成物を提供する。
【0041】
本発明において、用語「回復」は、本発明の医薬組成物もしくは食品組成物をがんを患う対象へ投与、摂取、または適用することによる、がん症状の緩和、予防、あるいは処置を指す。
本発明において、用語「予防」は、本発明の医薬組成物もしくは食品組成物をがんを患っていない対象へ投与、摂取、または適用することによってがん症状を阻害あるいはブロックすることを指す。
本発明において、用語「処置」は、本発明の医薬組成物をがんを患う対象へ投与した結果として、がん症状の完全な治癒、ならびにがん症状の部分的な治癒、改善、および緩和を指す。
【0042】
本発明において、用語「対象」は、がんを既に発症しているかまたはがんを発症している可能性のある、ヒトを包含するいずれの動物も指す。
本発明の医薬組成物は、薬学的に有効な量で投与される。
【0043】
本発明において、用語「薬学的に有効な量」は、医学的処置または改善へ適用可能である合理的ベネフィット/リスク比で疾患を処置するのに充分な量を意味する。有効な用量レベルは、対象のタイプおよび重症度、齢(age)、性、薬物活性、薬物への感受性、投与の時間、投与ルートおよび排出速度、処置の持続時間、併用薬物、ならびに医療分野において周知である他の因子を包含する因子に依存する。
【0044】
本発明において、用語「投与」は、いずれか適切な方法によって物質を対象または患者へ提供することを意味する。物質は、非経口的に(例として、静脈内注射、皮下注射、腹腔内注射、もしくは局所注射)投与され得るか、または所望される方法に従って経口的に投与され得る。投薬量範囲は、患者の重量、齢(age)、性、健康状態、規定食(diet)、投与時間、投与方法、排出速度、および疾患の重症度に依存して変動する。具体的には、本発明において、用語「非経口投与」は、管を使用して、皮下に、筋肉内に、静脈内に、または腹腔内に投与する方法を指すが、経口投与は排除される。加えて、本発明において、用語「経口投与」は、病的症状を回復させるための注射剤の口中への投与方法を指す。
【0045】
非経口投与の製剤について、滅菌懸濁液、液体、水不溶性の賦形剤、懸濁液、エマルション、点眼薬、眼軟膏、シロップ剤、坐薬、エアロゾルなどの外用調製物、および滅菌注射液は従来の方法によって調製され得、好ましくは、クリーム、ゲル、パッチ、スプレー、軟膏、硬膏剤、ローション、塗布薬、眼軟膏、点眼薬、ペースト、またはパップの医薬組成物が調製され得るが、必ずしもこれらに限定されない。水不溶性の賦形剤および懸濁液は、活性化合物(単数または複数)に加えて、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油といった植物油、エチロラート(ethylolate)といった注射用エステル等々を含有し得る。坐薬は、活性化合物(単数または複数)に加えて、ウィテップゾール、マクロゴール、ツイーン61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチン等々を含有し得る。
【0046】
本発明において、がんは、肺がん、非小細胞肺がん(NSCL)、細気管支肺胞細胞肺がん(bronchial alveolar cell lung cancer)、卵巣がん、大腸がん、黒色腫、胃がん、消化管がん、肝臓がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚または眼球の黒色腫、子宮がん、直腸がん、結腸がん、乳がん、子宮肉腫、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、食道がん、喉頭がん、小腸がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、多発性骨髄腫、および慢性または急性の白血病からなる群から選択されるいずれか1つであり得、好ましくは、がんは、肝臓がん、卵巣がん、肺がん、大腸がん、黒色腫、または乳がんであり得る。
【0047】
本発明に従う食品組成物は、医薬組成物と同じやり方で製剤化され得、かつ機能的食品として使用され得るかまたは様々な食品へ加えられ得る。本発明の食品組成物が加えられ得る食品は、飲料(beverages)、アルコール性の飲料、菓子類、ダイエットバー(diet bars)、乳製品、肉、チョコレート、ピザ、ラーメン、他の麺類、ガム、アイスクリーム、および二日酔いの薬(hangover relievers)(飲み物(drinks)、低粘度ゲルタイプ、丸薬、錠剤、カプセル等々)、ビタミン複合体、健康補助剤(health supplements)等々によって例示される。
【0048】
本発明の食品組成物は、式1もしくは2によって表される化合物、その薬学的に許容し得る塩、その水和物、またはその溶媒和物を活性成分として含み、ならびに食品製品化の間に一般的に加えられる成分、例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味料、および香味剤を包含していてもよい。上述の炭水化物の例は、単糖類、たとえばグルコース、フルクトース等々;二糖類、たとえばマルトース、スクロース、オリゴ糖類等々;ならびに多糖類、たとえばデキストリンおよびシクロデキストリンを包含する一般的な糖、および糖アルコール、たとえばキシリトール、ソルビトール、およびエリスリトールを包含する。天然甘味剤(タウマチン、ステビア抽出物、例えばレバウジオシドA、グリチルリチン等々)および合成甘味剤(サッカリン、アスパルテーム等々)は、甘味剤として包含され得る。本発明の食品組成物が飲み物および飲料として製剤化されるとき、加えて、クエン酸、高果糖コーンシロップ、糖、グルコース、酢酸、リンゴ酸、果汁、および様々な植物エキスを、式1もしくは2によって表される化合物、その薬学的に許容し得る塩、その水和物、またはその溶媒和物に加えて包含していてもよい。
【0049】
本発明は、式1もしくは2によって表される化合物、その薬学的に許容し得る塩、その水和物、もしくはその溶媒和物を活性成分として含む食品組成物を含有する、健康機能食品または健康補助食品(health supplement food)を提供する。本発明において、用語「健康機能食品または健康補助食品」は、健康機能食品の法令(Act on Health Functional Food)に従う人体に有用な機能特性を有する原材料または成分を使用して製造および処理された食品を指す。用語「機能」食品は、有用な健康効果を得る(人体の構造および機能または生理学的効果のための栄養素を調節する(regulating)、など)の目的から消費される食品を指す。本発明において、機能食品は、式1によって表される化合物、その薬学的に許容し得る塩、その水和物、もしくはその溶媒和物を、飲料、茶、香辛料、ガム、および菓子類などの食品材料へ加えることによって、またはカプセル化、粉末化、もしく懸濁によって、調製される食品製品である。上の機能食品は、消費されたとき特定の健康効果を有するが、食品を原材料として使用して製造されるところ、一般的な薬物とは違って、長期間薬物を取り込み続けたときに生じる可能性のあるいずれの副作用も有さないという利点を有する。このように得られる本発明の健康機能食品または健康補助食品は、日常的に取り込まれてもよいものであるところ、極めて有用である。かかる健康機能食品または健康補助食品中の、式1によって表される化合物、その薬学的に許容し得る塩、その水和物、またはその溶媒和物の量は、標的にされる健康機能食品のタイプに依存するが、食品本来の味覚を損なわない範囲で加えられ、一般に標的食品の0.01~50wt%、好ましくは0.1~20wt%の範囲にあるので、一様には処方され得ない。加えて、丸薬、顆粒、錠剤、もしくはカプセルの形態にある、健康機能食品または健康補助食品のケースにおいては大抵、0.1~100 wt%、好ましくは0.5~80wt%の範囲で加えられる。本発明の一態様において、本発明の健康機能食品または健康補助食品は、丸薬、錠剤、カプセル、または飲料の形態にあってもよい。
【0050】
本発明の食品組成物は、従来の食品添加剤を含有し得る。「食品添加剤」としての適性は、別様に特定されない限り、食品医薬品安全省(Ministry of Food and Drug Safety)によって承認された食品添加剤のための一般規則および一般試験方法に従い、問題になっている品物に係る規格および基準によって決定される。
【0051】
「韓国食品添加物公定書(Korean Food Additives Code)」に列挙される品物は、例えば、ケトン、グリシン、クエン酸カリウム、ニコチン酸、および桂皮酸などの化学化合物;柿色素(persimmon color)、甘草エキス、結晶セルロース、モロコシ色素(sorghum color)、およびグァーガムなどの天然の添加剤;ならびにL-グルタミン酸ナトリウム調製物、麺類用のアルカリ剤、防腐剤製剤、およびタール色素製剤などの混合型調製物を包含する。
【0052】
加えて、本発明の食品組成物は、がんを予防および/または回復させる目的から、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液体、丸薬等の形態に調製、処理され得る。
【0053】
例えば、錠剤形態にある健康機能食品は、式1もしくは2によって表される化合物、その薬学的に許容し得る塩、その水和物、またはその溶媒和物を活性成分として含む食品組成物と、賦形剤、結合剤、崩壊剤、および他の添加剤との混合物を従来のやり方で造粒すること、次いで混合物を潤滑剤もしくは同種のものとともに圧縮成形することまたは混合物を直接圧縮成形することによって調製され得る。加えて、錠剤形態にある健康機能食品は、フレーバー増強剤(flavors enhancer)もしくは同種のものを随時含有し得、また好適なコーティング剤で随時コートもされ得る。
【0054】
カプセル形態にある健康機能食品の中でも、硬カプセルは、従来の硬カプセルに、式1もしくは2によって表される化合物、その薬学的に許容し得る塩、その水和物、もしくはその溶媒和物を活性成分として含む食品組成物と賦形剤などの添加剤との混合物、またはその粒状物(granularity thereof)もしくはコートされたその粒状物を充填することによって調製され得る。軟カプセルは、式1によって表される化合物、その薬学的に許容し得る塩、その水和物、またはその溶媒和物を活性成分として含む食品組成物と賦形剤などの添加剤との混合物を、ゼラチンなどのカプセル基部中へ充填することによって調製され得る。軟カプセルは、必要ならば、グリセリンまたはソルビトールなどの可塑剤、着色料、防腐剤等々を含有し得る。
【0055】
丸薬形態にある健康機能食品は、式1もしくは2によって表される化合物、その薬学的に許容し得る塩、その水和物、またはその溶媒和物を活性成分として含む食品組成物と、賦形剤、結合剤、崩壊剤等との混合物をいずれか好適なやり方で成形することによって調製され得るが、必要ならば、白色糖もしくは別の好適なコーティング剤でコートされ得るか、またはデンプン、タルク、もしくは他の好適な物質でコートされ得る。
【0056】
顆粒形態にある健康機能食品は、式1もしくは2によって表される化合物、その薬学的に許容し得る塩、その水和物、またはその溶媒和物を活性成分として含む食品組成物と、賦形剤、結合剤、崩壊剤等との混合物をいずれか好適なやり方で使用することによって調製され得るが、必要ならば、香味剤、フレーバー増強剤等々を含有し得る。No.12(1680μm)、No.14(1410μm)、およびNo.45(350μm)シーブ(sieves)を使用して粒子サイズ試験を行ったとき、顆粒形態にある健康機能食品の全量がNo.12シーブを通過し、No.14シーブに総量の5.0%未満が残存し、総量の15.0%未満がNo.45シーブを通過した。
【0057】
食品のタイプには具体的な限定はなく、従来の意味においてすべての健康機能食品を包含する。
本発明の医薬組成物および食品組成物において言及される事柄は、相互に矛盾しない限り、同じやり方で適用される。
【0058】
本発明の別の側面において、本発明は、本明細書に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩の投与を、これを必要とする対象へするステップを含む、がんを予防または処置するための方法を提供する。
【0059】
本発明の別の側面において、本発明は、本明細書に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩と、放射線または抗がん剤との共投与を、これを必要とする対象へするステップを含む、がんを予防または処置するための方法を提供する。
【0060】
本発明の別の側面において、本発明は、がんの予防または処置における使用のための医薬の調製のための、本明細書に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩の使用を提供する。
【0061】
本発明の別の側面において、本発明は、がんの予防または処置における使用のための医薬の調製のための、本明細書に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩と、組み合わせて投与される放射線または抗がん剤との使用を提供する。
上の方法または使用に、上に記載の医薬組成物の詳細な記載が適用されてもよい。
【0062】
本発明に従う化合物は、三種陰性乳がん細胞株MDA-MB-231ならびに一般的ながん細胞株、例えばMDA-MB-231A549、SK-OV-3、SK-MEL-2、HCT15、等々に対する優れた抗がん効果を呈し、およびよって抗がん剤として有利に使用され得、それは以下の例および実験例によってサポートされる。
【0063】
下文において、本発明は、以下の例および実験例によって詳細に記載されるであろう。
しかしながら、以下の例および実験例は、本発明を説明するためだけのものであって、本発明の内容はこれらに限定されない。
【0064】
【0065】
例1: N-(4-(ピロリジン-1-イル)フェニル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン
[反応式1]
【化8】
【0066】
DIPEA(9.78mL、56.0mmol、N,N-ジイソプロピルエチルアミン)を1-ブタノール(86mL)中に溶解された4-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(4.30g、28.0mmol)および4-ピロリジン-1-イルアニリン(5.00g、30.8mmol)の溶液へ添加した。窒素雰囲気下で、混合溶液を115℃にて24時間攪拌した。懸濁液を室温まで冷却し、1時間攪拌し、濾過し、1-ブタノール(10mL)で洗浄した。得られた固体をEtOAc(100mL)および水(100mL)で処置し、18時間攪拌した。懸濁液を濾過し、水(10mL)およびEtOAc(10mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させることによって、標題化合物(4.41g、56%)が茶色固体として与えられた。例1において調製された化合物のMSスペクトルを
図1に示し、1H-NMRスペクトルを
図2に示す。
図1および2に示されるとおり、例1の化合物が十分に合成されたことを確認した。
【0067】
NMRスペクトルをBruker BioSpin 400 MHz (AVANCE III HD 400)で室温にて記録し、試料採取に際して、各試料をDMSO-d6中に溶解し、NMR管(5-mm o.d.、Wilmad、WG-1007-7)へ移した。
【0068】
LC-MSをAPCI(+)イオン化モードにおいて操作するAccela-Thermo Finnigan LCQ Fleet上のIon-trap Mass Spectrometerにおいて実施した。
【0069】
Agilent 1100シリーズをHPLCに使用し、条件は以下のとおりだった。
【表B】
【0070】
例2: N-(5-ブロモ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ベンズアミド
[式4]
【化9】
【0071】
例2の化合物を韓国特許No.10-2129114を参照して調製した。
【0072】
例3: 4-フルオロ-N-(5-(1-(ピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)ベンズアミド
[式5]
【化10】
【0073】
例3の化合物を韓国特許第10-2129114号を参照して調製した。
【0074】
例3: 様々ながん細胞株に対する細胞障害性の評価
様々ながん細胞株に対する例1の化合物の細胞傷害性を評価した。エトポシドは、抗がん剤として販売されており、対照群薬物として使用した。
具体的には、以下のとおりの細胞生存率アッセイを実施した。
【0075】
A549、SK-OV-3、SK-MEL-2、およびHCT15細胞株をウェル当たり5×103細胞の密度にて96ウェルプレートに播種し、24時間培養した。次いで、プレートを異なる濃度にての例1の化合物またはエトポシドで処置し、これに続き24および48時間培養した。培養終了時に、100μlのWST-8溶液をプレートの各ウェルへ加え、マイクロプレートリーダーで450nm光学フィルターを使用して生細胞中の還元因子によって産生されるホルマザンを測定するため吸光度を測定した。
- A549: ヒト非小細胞肺がん細胞
- SK-OV-3: ヒト卵巣がん細胞
- SK-MEL-2: ヒト黒色腫細胞
- HCT15: ヒト大腸がん腺癌細胞
【0076】
結果は
図3に示す。
図3は、様々ながん細胞株に対する本発明の例1の化合物の毒性を確認した結果を示す一連のグラフである。
図3に示されるとおり、本発明に従う例1の化合物は、がん細胞株A549、SK-OV-3、SK-MEL-2、およびHCT15に対して優れた毒性を用量依存的に示し、よってこれは抗がん剤における活性成分として有効に使用され得る。
【0077】
上の結果から、本発明に従う例1の化合物は、様々ながん細胞株に対する優れた毒性を呈し、肺がん、卵巣がん、大腸がん、黒色腫、等々において幅広く使用されるトポイソメラーゼインヒビターであるエトポシドと等しいかまたはより有効であることが確認され、このため、本発明の化合物は様々な抗がん剤における活性成分として有効に使用され得る。
【0078】
実験例2: 乳がん成長阻害の評価
本発明の医薬組成物の活性成分である例1の化合物の、ヒト由来TNBC細胞株である乳がん細胞(MBA-MB-231)の異種移植腫瘍試料に対する腫瘍阻害を確認するための実験を実施した。
【0079】
具体的には、80匹メス5週齢の異種移植Balb/cヌードマウスを使用して、本発明によって提供される医薬組成物の活性成分である例1の化合物の、乳がん細胞成長の阻害に対する効果を確認するための実験を実施した。実験的異種移植Balb/cヌードマウスは、免疫細胞であるT細胞を欠いており、ヒトがん細胞を移植するのに好適な動物モデルとして選択した。投与時に総平均体重の±20%以内にある動物を選択し、その表面から腫瘍成長を週に2度チェックし、腫瘍のサイズをノギスで3週間測定した。加えて、例1の化合物を25mpkの濃度にて静脈内に投与し、30%PEGを溶媒として使用した。
【0080】
結果は
図4a~4cに示す。
図4a~4cは、TNB細胞株であるMDA-MB-231に対する例1の化合物の成長阻害性活性を評価した結果を示すグラフである。
【0081】
例1の化合物の投与に従う体重における変化を示す
図4aから、例1の化合物が生物学的毒性を有さず、安全であったことを確認した。とりわけ、抗がん剤の投与に続いて一般的に観察される悪液質現象が観察されなかった。
【0082】
例1の化合物の投与に従う腫瘍サイズにおける変化を示す
図4bから、例1の化合物が投与された群において、例1の化合物が投与されなかった群(CTL)と比較して、腫瘍成長が有意に抑制されたことを確認した。
【0083】
例1の化合物の投与に従う腫瘍重量における変化を示す
図4cから、例1の化合物が投与された群において、例1の化合物が投与されなかった群(CTL)と比較して、腫瘍成長が有意に抑制されたことを確認した。
【0084】
上の結果から、<実験例1>において既に実証されたとおり、本発明に従う例1の化合物は、三種陰性乳がん、ならびに様々な一般的ながん細胞株の成長を抑制することにおいて高度に活性であることが見出された。
【0085】
実験例3: 有糸分裂像の数の比較
がん細胞株が注射されたBALB/c-ヌードマウスにおける腫瘍中のアポトーシス小体の数および腫瘍組織のH&E染色を測定することによって、例1の化合物の腫瘍壊死効果を評価するための実験を実施した。具体的には、
図4a~4cに示されるとおり、<実験例2>のT1(2回/週)およびT2(3回/週)群の腫瘍組織中のアポトーシス小体の数を測定するため、腫瘍組織が成長していた5箇所のエリアを無作為に選択し、アポトーシス小体の数をx400倍率にて測定した。測定値の和を算出し、それらを個々の値として表した後、GraphPad Prism 5を使用して統計的な比較分析を実施した。
【0086】
アポトーシス小体を観察した結果として、細胞が縮んで分裂したこと(ブレブ)および空隙(中空)が周辺を取り囲んだことが観察された。加えて、細胞質の好酸球性(eosinophilicity)が増大し、核は小さく、濃縮または断片化され、周囲の細胞によって貪食されることが観察された。腫瘍組織中の有糸分裂像の頻度は、腫瘍細胞の分裂能力に関連し、それは腫瘍の悪性腫瘍の程度を反映し得る。
【0087】
結果は下の表1および
図5に示す。
図5は、例1の化合物の投与に従う腫瘍組織中の有糸分裂像の数を比較した結果を示すグラフである。
[表1]
【表1】
【0088】
表1および
図5中の確認されたアポトーシス小体の数によると、その数は、本発明の医薬組成物の活性成分である例1の化合物で処置されたT1およびT2群において、NC(陰性対照)と比較して用量依存的に高かったが、本発明の例1の化合物はがん細胞のアポトーシスを増加させることによって腫瘍抑制効果を有することが確認された。
【0089】
実験例4: 例2および例3化合物の乳がん細胞株阻害の評価
本発明の医薬組成物の活性成分である例1および2の化合物の乳がん細胞株に対する成長阻害効果を細胞生存率アッセイを通して確認するための実験を実施した。
【0090】
具体的には、以下のとおりの細胞生存率アッセイを実施した。ヒト由来乳がん細胞株BT20およびTNBC細胞株MDA-MB-231を各々、96ウェルプレートに5×103細胞/ウェルの密度にて播種し24時間培養した。次いで、I-bet 762および化合物をそれらへ種々の濃度にて処置し、48時間培養した。培養終了時に100μlのWST-8溶液をプレートの各ウェルへ加え、マイクロプレートリーダーで450nm光学フィルターを使用して生細胞中の還元因子によって産生されるホルマザンを測定するため吸光度を測定した。
【0091】
図6~9に示されるとおり、ヒト由来乳がん細胞株BT20およびTNBC細胞株MDA-MB-231を培養することによって腫瘍様塊の形成を分析した結果として、本発明の医薬組成物の活性成分である例2の化合物が、一般的な乳がん細胞株においてのみならず、TNBC細胞株においてもまた、用量依存的に細胞生存率が抑制されたことを確認した。
【0092】
図10は、例3の化合物での処置の24時間後のMDA-MB-231、MDA-MB-453、およびBT-20の細胞生存率を示す。
図10に示されるとおり、一般的な乳がん細胞株においてのみならず、TNBC細胞株においてもまた、用量依存的に細胞生存率が抑制されたことを確認した。
【0093】
実験例5: 他の抗がん剤と組み合わせた有効性の評価
<5-1>シスプラチンと組み合わせた有効性の評価
ヒト卵巣がん細胞株(SKOV-3およびOVCAR-3)を、対照(処置なし)、0.1μMの例1の化合物、10μMのシスプラチン、および0.1μMの例1の化合物/10μMのシスプラチンで処置し、SKOV-3およびOVCAR-3の細胞生存率を確認した。結果は
図11に示す。
【0094】
0.1μMの例1の化合物または1μMのシスプラチンを、SKOV-3細胞株およびOVCAR-3細胞株へ投与したとき、細胞生存率が抑制されたことを確認した。加えて、0.1μMの例1の化合物および10μMのシスプラチンを組み合わせて投与したとき、細胞生存率はさらに阻害された(相乗効果)こともまた確認した。
【0095】
<5-2>ソラフェニブと組み合わせた有効性の評価
ヒト肝臓がん細胞株(SK Hep1およびHuh-7)を、対照(処置なし)、5μMの例1の化合物、0.1μMのソラフェニブ、および5μMの例1の化合物/0.1μMのソラフェニブで処置し、SK Hep1およびHuh-7の細胞生存率を確認した。結果は
図12に示す。
【0096】
5μMの例1の化合物または0.1μMのソラフェニブを、SK Hep1細胞株およびHuh-7細胞株へ投与したとき、細胞生存率が抑制されたことを確認した。加えて、5μMの例1の化合物および0.1μMのソラフェニブを組み合わせて投与したとき、caspase-3活性がさらに阻害された(相乗効果)ことも確認した。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下の式1もしくは2:
[式1]
【化1】
上の式1において、
Rは、
少なくとも1のNを含有する5~
6員のヘテロシクロアルキ
ルであり;
[式2]
【化2】
上の式2において、
X
1は、ハロゲ
ンであり、およびX
2は
、メチル置換ピペラジニルである、
または、
X
1
は、ピペリジン置換ピラゾリルであり、およびX
2
は、ハロゲンである、
によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を活性成分として含む、がんを予防または処置するための医薬組成物。
【請求項2】
X
1が、ブロモ
であり、およびX
2
が、メチル置換ピペラジニルである、または
、X
1
が、ピペリジン置換ピラゾリルであり、およびX
2が、
ハロゲンである、請求項1に記載のがんを予防または処置するための医薬組成物。
【請求項3】
医薬組成物が、以下:
<1> N-(4-(ピロリジン-1-イル)フェニル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン;
<2> N-(5-ブロモ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ベンズアミド;および
<3> 4-フルオロ-N-(5-(1-(ピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)ベンズアミド
の化合物群からなる群から選択される式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を含む、請求項1に記載のがんを予防または処置するための医薬組成物。
【請求項4】
がんが
、非小細胞肺がん(NSCL)
、卵巣がん、大腸がん、黒色腫
、乳がん
、および肝がんからなる群から選択され
る、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
乳がんが、三種陰性乳がんである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬組成物が、抗がん剤との併用治療における使用のためのものである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
抗がん剤が、シスプラチン、ソラフェニブ、オプジーボ、テセントリク、キイトルーダ、イミフィンジ、OKN-007、ゲフィチニブ、ドキソルビシン、ビンブラスチン、タキソール、エトポシド、5-FU、およびイホスファミドからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
下の式1もしくは2:
[式1]
【化3】
上の式1において、
Rは、
少なくとも1のNを含有する5~
6員のヘテロシクロアルキ
ルであり;
[式2]
【化4】
上の式2において、
X
1は、ハロゲ
ンであり、およびX
2は
、メチル置換ピペラジニルである、
または、
X
1
は、ピペリジン置換ピラゾリルであり、およびX
2
は、ハロゲンである、
によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を活性成分として含む、がんを予防または回復させるための健康機能食品組成物。
【請求項9】
下の式1:
[式1]
【化5】
上の式1において、
Rは、
少なくとも1のNを含有する5~
6員のヘテロシクロアルキ
ルである、
によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項10】
請求項1に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩の投与を、これを必要とする対象へするステップを含む、がんを予防または処置するための方法。
【請求項11】
請求項1に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩と、放射線または抗がん剤との共投与を、これを必要とする対象へするステップを含む、がんを予防または処置するための方法。
【請求項12】
がんの予防または処置における使用のための医薬の調製のための、請求項1に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩の使用。
【請求項13】
がんの予防または処置における使用のための医薬の調製のための、請求項1に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩と、組み合わせて投与される抗がん剤との使用。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下の式1もしくは2:
[式1]
【化1】
上の式1において、
Rは、少なくとも1のNを含有する5~6員のヘテロシクロアルキルであり;
[式2]
【化2】
上の式2において、
X
1は、ハロゲンであり、およびX
2は、メチル置換ピペラジニルである、または、
X
1は、ピペリジン置換ピラゾリルであり、およびX
2は、ハロゲンである、
によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を活性成分として含む、がん
の予防または処置
における使用のための医薬組成物。
【請求項2】
X
1が、ブロモであり、およびX
2が、メチル置換ピペラジニルである、または、X
1が、ピペリジン置換ピラゾリルであり、およびX
2が、ハロゲンである、請求項1に記載のがん
の予防または処置
における使用のための医薬組成物。
【請求項3】
医薬組成物が、以下:
<1> N-(4-(ピロリジン-1-イル)フェニル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン;
<2> N-(5-ブロモ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ベンズアミド;および
<3> 4-フルオロ-N-(5-(1-(ピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)ベンズアミド
の化合物群からなる群から選択される式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を含む、請求項1に記載のがん
の予防または処置
における使用のための医薬組成物。
【請求項4】
がんが、非小細胞肺がん(NSCL)、卵巣がん、大腸がん、黒色腫、乳がん、および肝がんからなる群から選択される、請求項1に記載の
がんの予防または処置における使用のための医薬組成物。
【請求項5】
乳がんが、三種陰性乳がんである、請求項4に記載の
がんの予防または処置における使用のための医薬組成物。
【請求項6】
医薬組成物が、抗がん剤との併用治療における使用のためのものである、請求項1に記載の
がんの予防または処置における使用のための医薬組成物。
【請求項7】
抗がん剤が、シスプラチン、ソラフェニブ、オプジーボ、テセントリク、キイトルーダ、イミフィンジ、OKN-007
(オクラホマニトロン-007)、ゲフィチニブ、ドキソルビシン、ビンブラスチン、タキソール、エトポシド、5-FU
(5-フルオロウラシル)、およびイホスファミドからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項6に記載の
がんの予防または処置における使用のための医薬組成物。
【請求項8】
下の式1もしくは2:
[式1]
【化3】
上の式1において、
Rは、少なくとも1のNを含有する5~6員のヘテロシクロアルキルであり;
[式2]
【化4】
上の式2において、
X
1は、ハロゲンであり、およびX
2は、メチル置換ピペラジニルである、または、
X
1は、ピペリジン置換ピラゾリルであり、およびX
2は、ハロゲンである、
によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩を活性成分として含む、がん
の予防または回復
における使用のための健康機能食品組成物。
【請求項9】
下の式1:
[式1]
【化5】
上の式1において、
Rは、少なくとも1のNを含有する5~6員のヘテロシクロアルキルである、
によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項10】
がんの予防または処置における使用のための医薬の調製のための、請求項1に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩の使用。
【請求項11】
がんの予防または処置における使用のための医薬の調製のための、請求項1に記載の式1もしくは2によって表される化合物、その立体異性体、その溶媒和物、その水和物、またはその薬学的に許容し得る塩と、組み合わせて投与される抗がん剤との使用。
【国際調査報告】