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特表2024-519488アミロイド疾患を治療するためのペプチド-FC融合体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】アミロイド疾患を治療するためのペプチド-FC融合体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20240507BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240507BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240507BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240507BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240507BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240507BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240507BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C12N15/63 Z
C12N5/10
A61K47/68
A61K38/16
A61P43/00 111
A61P25/28
A61P25/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567938
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022072112
(87)【国際公開番号】W WO2022236286
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/184,682
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/186,605
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504326686
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ テネシー リサーチ ファウンデーション
(71)【出願人】
【識別番号】522189850
【氏名又は名称】アトララス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・エス・ウォール
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エス・フォスター
(72)【発明者】
【氏名】ジョーム・ポンズ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BC01
4B065BD14
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA95
4C076CC01
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA16
4C084ZC54
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
4H045GA21
(57)【要約】
本明細書では、ヒトFc領域に結合されたアミロイド反応性ペプチドを含むアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質が提供される。本明細書では、ヒトFc領域に結合したアミロイド反応性ペプチドを含むアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を投与することにより、アミロイド系疾患を治療する方法、及びアミロイド沈着物を特定する方法も提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとを含むアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質であって、前記第1のポリペプチドは、第1のヒトFcドメインのN末端またはC末端に結合された第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、前記第2のポリペプチドは、第2のヒトFcドメインのN末端またはC末端に結合された第2のアミロイド反応性ペプチドを含み、前記第1のヒトFcドメインと前記第2のヒトFcドメインとは二量体を形成する、前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項2】
前記第1及び第2のアミロイド反応性ペプチドが、前記第1及び第2のヒトFcドメインのC末端に結合されている、請求項1に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項3】
前記第1及び/または前記第2のアミロイド反応性ペプチドが、配列番号1~13に記載のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項4】
前記第1及び/または第2のヒトFcドメインが、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4のFcである、請求項1~3のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項5】
前記第1及び/または第2のヒトFcドメインが、ヒトIgG1 Fcである、請求項1~4のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項6】
前記第1及び/または第2のヒトFcドメインが、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項7】
前記第1及び/または第2のアミロイド反応性ペプチドが、スペーサーを介して前記第1及び/または第2のヒトFcドメインに結合される、請求項1~6のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項8】
前記スペーサーが、ペプチドスペーサーである、請求項7に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項9】
前記スペーサーが、配列番号14~17のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項8に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項10】
前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端にかけて、第1のヒトFcドメイン、第1のスペーサー、及び第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、前記第2のポリペプチドが、N末端からC末端にかけて、第2のヒトFcドメイン、第2のスペーサー、及び第2のアミロイド反応性ペプチドを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項11】
前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号2または配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項12】
前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、前記スペーサーが、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項13】
前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含み、前記スペーサーが、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項14】
前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、前記スペーサーが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
i)前記第1のポリペプチド及び/または第2のポリペプチドが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み、
ii)前記第1のポリペプチド及び/または第2のポリペプチドが、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含み、
iii)前記第1のポリペプチド及び/または第2のポリペプチドが、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項16】
前記第1のポリペプチドが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み、前記第2のポリペプチドが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含む、請求項15に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項17】
前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端にかけて、第1のアミロイド反応性ペプチド、第1のスペーサー、及び第1のヒトFcドメインを含み、前記第2のポリペプチドが、N末端からC末端にかけて、第2のアミロイド反応性ペプチド、第2のスペーサー、及び第2のヒトFcドメインを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項18】
前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号2または配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む、請求項16に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項19】
前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、前記スペーサーが、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項20】
前記第1のポリペプチド及び/または第2のポリペプチドが、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項21】
前記第1及び第2のポリペプチドが、同じアミノ酸配列を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項22】
前記第1及び第2のポリペプチドが、異なるアミノ酸配列を含む、請求項1~15及び17~21のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項23】
前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質が、rVλ6Wil、Aβ、Aβ(1-40)、IAAP、ALκ、ALλ、またはATTRアミロイドに結合する、請求項1~22のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項24】
検出可能な標識に結合された、請求項1~23のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項25】
前記検出可能な標識が、蛍光標識及び放射性標識からなる群から選択される、請求項23に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【請求項26】
請求項1~24のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を含む、医薬組成物。
【請求項27】
請求項1~25のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質をコードする、核酸(複数可)。
【請求項28】
請求項26に記載の核酸(複数可)を含む、ベクター。
【請求項29】
請求項28に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項30】
哺乳動物細胞、場合により、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項29に記載の宿主細胞。
【請求項31】
前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質をコードする前記ベクターの発現に適した条件下で請求項29または30に記載の前記宿主細胞を培養することを含む、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の製造方法。
【請求項32】
前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を回収することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
アミロイド疾患を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~24のいずれか1項に記載の前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を、アミロイド疾患の治療を必要とする個体に投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
前記アミロイド関連疾患が、全身性または限局性アミロイドーシスである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記アミロイド関連疾患が、AL、AH、Aβ2M、ATTR、トランスサイレチン、AA、AApoAI、AApoAII、AGel、ALys、ALEct2、AFib、ACys、ACal、AMed、AIAPP、APro、AIns、APrP、パーキンソン病、アルツハイマー病、またはAβアミロイドーシスからなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質による治療によってアミロイドのクリアランスがもたらされる、請求項33~35のいずれか1つに記載の方法。
【請求項37】
クリアランスをもたらすためにアミロイド沈着物を標的化する方法であって、アミロイド沈着物を、請求項1~25のいずれか1項に記載の前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質と接触させることを含む、前記方法。
【請求項38】
クリアランスをもたらすために前記アミロイド沈着物を標的化することにより、前記アミロイド沈着物のクリアランスがもたらされる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
クリアランスが前記アミロイド沈着物のオプソニン化によりもたらされる、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
アミロイド系疾患を有するかまたはアミロイド系疾患を有することが疑われる個体を治療する方法であって、
請求項1~25のいずれか1項に記載の前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を検出可能に標識することと、
前記標識されたアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を前記個体に投与することと、
前記検出可能な標識に関連したシグナルが前記個体から検出され得るかどうかを判定することと、により、前記個体がアミロイド沈着物を有するかどうかを判定することと、
前記シグナルが検出された場合、前記個体にアミロイドーシス治療を投与することと、を含む、前記方法。
【請求項41】
個体のアミロイド沈着物を特定する方法であって、請求項1~25のいずれか1項に記載の前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を検出可能に標識することと、前記融合タンパク質を前記個体に投与することと、前記融合タンパク質からのシグナルを検出することと、を含む、前記方法。
【請求項42】
前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質が、検出可能に標識される、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記個体がヒトである、請求項31~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記第1のポリペプチドと前記第2のポリペプチドとが、Fcドメイン内のジスルフィド結合により共有結合されている、請求項1~25のいずれか1項に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月5日に出願された米国仮特許出願第63/184,682号、及び2021年5月10日に出願された米国仮特許出願第63/186,605号に基づく優先権を主張するものであり、それぞれの出願の全容を本明細書に参照により援用するものである。
【0002】
ASCIIテキストファイルによる配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出物、すなわち、配列表のコンピュータ可読形式(CRF)(ファイル名:165992000840SEQLIST.TXT、記録日:2022年5月4日、サイズ:16,694バイト)に関する内容を、参照によって本明細書にその全体を援用するものである。
【0003】
本発明は、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を投与することによりアミロイド関連疾患を治療する方法、及びアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を用いたアミロイドの検出方法に関する。
【背景技術】
【0004】
アミロイドーシスは、AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、AHアミロイドーシス、Aβアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシス、hATTRアミロイドーシス、ALect2アミロイドーシス、及びII型糖尿病のIAPPアミロイドーシス、アルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、脳βアミロイド血管障害、伝達性海綿状脳症、甲状腺腫瘍、パーキンソン病、ルイス小体型認知症、タウオパチー、ハンチントン病、老人性全身性アミロイドーシス、家族性血液透析、老人性全身性老化、加齢性下垂体疾患、医原性症候群、海綿状脳症、反応性慢性炎症、甲状腺腫瘍、骨髄腫、または他の形態のがんなどの他の疾患を含むコンフォメーションタンパク質疾患群に属する広範な疾患群である。
【0005】
アミロイドーシスは、組織中に線維状の異常な立体構造を有する不溶性タンパク質沈着物が存在することを特徴とする、稀な疾患である。ほとんどの場合、これは原因である血清前駆体タンパク質の断片である。多くの臓器で、「アミロイド物質」と呼ばれるこれらの細胞外沈着物が生じ得る。アミロイド沈着物が生じる主な臓器として、腎臓、心臓、消化管、肝臓、皮膚、末梢神経及び眼がある。この疾患に冒された臓器は、通常、かなりの量を有する。最終的に、アミロイドーシスはすべての臓器ばかりでなく中枢神経系も冒す可能性があるため、極めて多様な症状が数多く存在する。
【0006】
したがって、アミロイドーシス及びアミロイド関連疾患の効果的な治療が求められている。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとを含むアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質であって、第1のポリペプチドは、第1のヒトFcドメインのC末端に結合された第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、第2のヒトFcドメインのC末端に結合された第2のアミロイド反応性ペプチドを含み、第1のヒトFcドメインと第2のヒトFcドメインとは二量体を形成する、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のアミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~13に記載のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のヒトFcドメインは、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4のFcである。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のFcドメインは、ヒトIgG1のFcドメインである。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のアミロイド反応性ペプチドは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のアミロイド反応性ペプチドは、スペーサーを介して第1及び/または第2のヒトFcドメインに結合される。
【0013】
いくつかの実施形態において、スペーサーはペプチドスペーサーである。
【0014】
いくつかの実施形態では、スペーサーは、配列番号14~17のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のヒトFcドメイン、第1のスペーサー、及び第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のヒトFcドメイン、第2のスペーサー、及び第2のアミロイド反応性ペプチドを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド配列は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド配列は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、rVλ6Wil、Aβ、Aβ(1-40)、IAAP、ALκ4、ALλ1、またはATTRアミロイドに結合する。
【0018】
いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、検出可能な標識と結合される。
【0019】
別の態様では、本明細書において、段落[0006]~[0017]のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物が提供される。
【0020】
別の態様では、本明細書において、段落[0006]~[0017]のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質をコードする核酸が提供される。
【0021】
別の態様では、本明細書において、段落[0019]に記載の核酸(複数可)を含むベクターが提供される。
【0022】
別の態様では、本明細書において、段落[0020]に記載のベクターを含む宿主細胞が提供される。
【0023】
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞、場合により、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
【0024】
別の態様では、本明細書では、段落[0021]または[0022]に記載の宿主細胞を、融合タンパク質をコードするベクターの発現に適した条件下で培養することを含む、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の製造方法が提供される。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法は、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を回収することをさらに含む。
【0026】
別の態様では、本明細書において、アミロイド疾患を治療する方法であって、治療有効量の段落[0006]~[0017]のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を、アミロイド疾患の治療を必要とする個体に投与することを含む方法が提供される。
【0027】
いくつかの実施形態では、アミロイド関連疾患は、全身性または限局性アミロイドーシスである。
【0028】
いくつかの実施形態では、アミロイド関連疾患は、AL、AH、Aβ2M、ATTR、トランスサイレチン、AA、AApoAI、AApoAII、AGel、ALys、ALEct2、AFib、ACys、ACal、AMed、AIAPP、APro、AIns、APrP、またはAβアミロイドーシスからなる群から選択される。
【0029】
いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質による治療によってアミロイドのクリアランスがもたらされる。
【0030】
別の態様では、本明細書において、クリアランスをもたらすためにアミロイド沈着物を標的化する方法であって、アミロイド沈着物を、段落[0006]~[0017]のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質と接触させることを含む方法が提供される。
【0031】
いくつかの実施形態では、クリアランスをもたらすためにアミロイド沈着物を標的化することにより、アミロイド沈着物のクリアランスがもたらされる。
【0032】
いくつかの実施形態では、クリアランスはアミロイド沈着物のオプソニン化によりもたらされる。
【0033】
いくつかの実施形態では、個体は、ヒトである。
【0034】
別の態様では、本明細書において、アミロイド系疾患を有するかまたは有することが疑われる個体を治療する方法であって、段落[0006]~[0017]のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を検出可能に標識することと、標識されたアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を個体に投与することと、検出可能な標識に関連したシグナルが個体から検出され得るかどうかを判定することと、により個体がアミロイド沈着物を有するかどうかを判定することと、シグナルが検出された場合、個体にアミロイドーシス治療を投与することと、を含む、方法が提供される。
【0035】
いくつかの実施形態では、シグナルが検出されない場合、アミロイド沈着物の後の発生について個体を監視すること。
【0036】
いくつかの実施形態では、方法は、シグナルの強度を決定することと、その値を上回った場合に個体はアミロイド沈着物を有するものと判定される閾値とシグナルを比較することをさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、アミロイドーシス治療は、段落[0006]~[0017]のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を個体に投与することを含む。
【0038】
別の態様では、本明細書において、個体のアミロイド沈着物を特定する方法であって、段落[0006]~[0017]のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を検出可能に標識することと、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を個体に投与することと、融合タンパク質からのシグナルを検出することと、を含む方法が提供される。
【0039】
いくつかの実施形態では、個体は、アミロイドを有さないか、または意義不明のモノクローナル免疫グロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫(MM)、もしくは1つ以上の関連形質細胞疾患に罹患しているものと判定される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】例示的なペプチド-Fcコンストラクトを、各コンストラクトを呼称するために本明細書で使用される命名法と共に示す概略図である。
図2】2%FBSを含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中で産生されたタンパク質のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)分析の結果を示す。各レーンは、左から右に、分子量標準、IgG1抗体コントロール(「VH9/VL4 IgG1」)、ペプチドp5RがヒトIgGのN末端に融合されたペプチド抗体融合タンパク質(「hFcNV1」)、IgG1 Fcコントロール(「hFc1」)、及びペプチドp5RがIgG1 Fc1のC末端に融合されたペプチド-Fc融合体を示す「hFc1CV1」)を示す。各線は、天然免疫グロブリン軽鎖(レーン2)及びコントロールFcドメイン(レーン4)の電気泳動移動度を示し、これによって改変されたペプチド-融合体軽鎖(レーン3)及びペプチド-Fc融合体(レーン5及び6)との比較を行うことができる。レーン6上のアスタリスクは、Fcドメインに結合された完全にインタクトなペプチドを含むFc-ペプチドバリアントを示す。
図3】Fcp5RCV1(淡灰色の線、下の図)及びFcp5RNV1(黒の線、上の図)のペプチド-Fc融合タンパク質のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析の結果を示す。x軸は時間(分)を示し、左のy軸はFcp5RCV1の280nmの吸光度を示し、右のy軸はFcp5RNV1の280nmの吸光度を示す。
図4】抗体11-1F4と比較した、Fcp5R CV1ペプチド-Fcコンストラクトの放射性ヨウ素化の結果を示す。各タンパク質を、2%のFBSを含むCHO細胞で産生させた。Fcp5RCV1及び11-1F4は、それぞれ、還元型(「還元」)、及び非還元型(「NR」)として示されている。11-1F4 IgG、IgG重鎖(「HC」)、IgG軽鎖(「LC」)、及びFcp5R CV1の各位置が示されている。
図5125I-hFc1CV1の注入1時間後(黒い棒)、注入4時間後(中灰色の棒)、または注入24時間後(薄灰色の棒)のAAマウスにおける125I-hFc1CV1(125I-I-CV1)の生体内分布を示す。x軸は、測定した組織(左から右に、筋肉、肝臓、膵臓、脾臓、左腎臓、右腎臓、胃、上部小腸、下部小腸、心臓、肺、及び血液を含む)を示し、y軸は、生体内分布のレベルを組織1グラム当たりの注入用量の割合(%)として示す(各群3匹のマウスの平均+SD)。
図6125I-hFc1CV1の注入1、4または24時間後のAAマウスにおける125I-hFc1CV1の単光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)画像化を示す。
図7125I-hFc1CV1の注入1時間後のAAマウスにおける125I-hFc1CV1を示す、脾臓(左)、心臓(中央)、及び肝臓(右)組織のマイクロオートラジオグラフィー(ARG、下段)及びコンゴーレッド染色(上段)を示す。
図8125I-hFc1CV1の注入24時間後のAAマウスにおける125I-hFc1CV1を示す、脾臓(左)、心臓(中央)、及び肝臓(右)組織のマイクロオートラジオグラフィー(ARG、下段)及びコンゴーレッド染色(上段)を示す。
図9】x軸上で左から右に、ヒトPMA活性化THP-1マクロファージ単独(コントロール)による、またはヒト(h)Fc1、1μgのFc1NV1、3μgのFc1NV1、10μgのFc1NV1、1μgのFc1CV1、3μgのFc1CV1、または10μgのFc1CV1の存在下での、1時間にわたったpHrodoレッド標識したrVλ6Wil線維の取り込みを示す。y軸は、(蛍光単位で測定された)rVλ6Wil線維取り込みのレベルを示す。データは、平均+標準偏差(n=4)を表す。
図10】x軸上で左から右に、ヒトPMA活性化THP-1マクロファージ単独(コントロール)による、または1μgのヒトFc1(hFc1コントロール)、1μgのhFc1CV1、3μgのhFc1、3μgのhFc1CV1、10μgのhFc1、10μgのhFc1CV1、30μgのhFc1、または30μgのFcp5R CV1の存在下でのpHrodoレッド標識したrVλ6Wil線維の取り込みを示す。y軸は、rVλ6Wil線維の取り込みのレベル(蛍光単位で測定された)を示し、エラーバーは標準偏差を表す。hFc1及びFcp5R CV1はCHO細胞によって産生させた。データは、平均+標準偏差(n=4)を表す。
図11】ヒト(h)Fc1コントロール(濃い灰色)と比較した、rVλ6Wil線維(薄い灰色)に対するhFc1CV1の結合を示す。x軸は、Fcp5R CV1またはhFc1の濃度(nM)を示し、y軸は蛍光任意単位(au)で表した結合試薬量を示す。rVλ6Wil線維に対するhFc1CV1の結合のEC50は、2.5nMであった。
図12】全身性アミロイドタンパク質A関連アミロイドーシスを有するマウスにおけるhFc1CV1の結合を示す。SPECT/Ct画像は、Fcp5RCV1の注射1、4、24及び48時間後の放射性標識Fcp5RCV1を検出することにより得た。(A)は、AAマウスの各時点における異なる臓器中の分布を示す。(B)は、注射48時間後の野生型マウスと比較した、AAマウスの異なる臓器中の分布を示す。
図13】異なる組織におけるI-125標識したhFc1CV1(125I Fcp5RCV1)とアミロイドの共局在を示す。ARG(オートラジオグラフ)は、標識したhFc1CV1の局在化を示し、CR(コンゴーレッド)は、hFc1CV1の注射1時間後(A)及び24時間後(B)のアミロイドの局在化を示す。
図14】(A)~(D)は、Fcp5RCV1またはヒトIgG1コントロールを用いて行ったエクスビボ食作用アッセイの結果を示す。食作用は、pH感受性色素であるスクシンイミジル-pChrodoレッド蛍光体で標識することにより検出される。
図15】20%のヒト血漿(補体の供給源)の存在下(+C)または非存在下で、rVλWIL、ALκ及びALλ線維に対してhFc1CV1を用いて行ったエクスビボ食細胞症アッセイの結果を示す。
図16】ATTRV、ATTRwt、rVλWIL、ALκ、及びALλに対するhFc1CV1の親和性を試験した結合実験の結果を示す。ATTRwtは、野生型トランスサイレチン関連アミロイドーシスである。ATTRvは変異型トランスサイレチン関連アミロイドーシスである。
図17】合成アミロイド様線維であるタウ441、α-シヌクレイン、及びAβ(1-40)に対するFcp5RCV1の親和性を試験する結合実験の結果を示す。
図18A】線維沈着物を有する個人から得たヒト組織切片中のhFc1CV1を検出するための免疫組織化学的染色(上の各パネル)及びアミロイド線維を検出するためのコンゴーレッド蛍光を示す。ヒト脳組織切片中のATTR及びALκ線維に対するhFc1CV1の結合を示す。
図18B】線維沈着物を有する個人から得たヒト組織切片中のhFc1CV1を検出するための免疫組織化学的染色(上の各パネル)及びアミロイド線維を検出するためのコンゴーレッド蛍光を示す。ヒト腎臓及び肝臓組織切片中のALκ及びALλアミロイド沈着物に対するhFc1CV1の結合を示す。
図18C】線維沈着物を有する個人から得たヒト組織切片中のhFc1CV1を検出するための免疫組織化学的染色(上の各パネル)及びアミロイド線維を検出するためのコンゴーレッド蛍光を示す。ヒト心臓組織切片中のATTR及びALκ線維に対するhFc1CV1の結合を示す。矢印は、アミロイド及びhFc1CV1の結合の位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書では、アミロイドに結合して食作用を誘発することができるアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質が提供される。
【0042】
I.定義
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「theは、文脈によってそうでない旨が明確に示されない限り、単数及び複数を指す。略語「e.g.」は、ラテン語のexempli gratiaに由来し、本明細書では、非限定的な例を示すために用いられる。したがって、略語「e.g.」は、「例えば」という用語と同義である。本明細書で使用する場合、「comprise(含む)」という用語は、「includes(含む)」を意味する。
【0043】
本明細書において範囲は、「約」(ある特定の値)から、かつ/または「約」(別の特定の値)までとして表現することができる。かかる範囲が表される場合、別の態様は、その範囲のその特定の値から、かつ/またはその範囲の他の特定の値までを含む。範囲のそれぞれの端点は、他の端点との関連において、また、他の端点とは独立して有効であることがさらに理解されよう。同様に、先行詞「約」の使用により値が近似値として表される場合、特定の値が別の態様を形成することは理解されよう。特定の例示的実施形態では、「約」という用語は、当該技術分野における公称公差の範囲内、例えば、平均から標準偏差2つ分以内にあるものとして理解される。「約」は、記載される値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内として理解することができる。文脈から特に明確でない限り、本明細書に示されるすべての数値は、約という用語によって修飾され得る。さらに、例えば、「例」、「例示的」、または「例示の」といった本明細書で使用される用語は、優先性を示すものではなく、むしろ、その後に記載される態様が、あくまで示される態様の一例にすぎないことを説明するためのものである。
【0044】
アミロイド、アミロイド沈着物、アミロイド線維、及びアミロイド線維、ならびにアミロイド繊維という用語は、特定の構造特性を共有する不溶性線維状タンパク質凝集体を指す。タンパク質凝集体は、例えば、いくつかの異なるタンパク質の凝集によって形成され、線維軸に垂直に積層されたβシートの規則配列からなる三次構造を有する(Sunde et al., J.Mol.Biol.(1997)273:729-39を参照)。異常なアミロイドの臓器蓄積はアミロイドーシスにつながり得る。アミロイドは、それらの発生に関して多様であるが、いずれもコンゴーレッドのような特定の染料で染色され、かつ染色後に偏光中で特徴的な赤緑色の複屈折外観を有するという点で共通の形態学的特性を有する。アミロイドはまた、共通の超構造要素ならびに共通のX線回折及び赤外線スペクトルを共有している。
【0045】
アミロイドーシスとは、例えばアミロイド沈着物の存在などのアミロイドの存在を特徴とする病態または疾患を指す。「アミロイド疾患」または「アミロイドーシス」とは、アミロイド線維の形成、沈着、蓄積または持続に関連する疾患である。かかる疾患としては、これらに限定されるものではないが、アルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、及び脳β-アミロイド血管障害が挙げられる。全身性AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシス、ALect2アミロイドーシス及びII型糖尿病のIAPPアミロイドーシスなどの他のアミロイド疾患もアミロイド疾患である。
【0046】
アミロイド原性とは、アミロイド沈着物を生成するかまたは生成する傾向があることを指す。例えば、特定の可溶性モノマータンパク質は、広範囲のコンフォメーション変化を起こして、高い規則性を有する、分枝のない8~10nm幅の線維に凝集し、これが最終的にアミロイド凝集体の形成につながる。例えば、30種を超えるタンパク質がヒトにおいてアミロイド沈着物(またはアミロイド)を形成することが判明している。免疫グロブリンの軽鎖など、多様なタンパク質のクラスのすべてのタンパク質がアミロイドを形成できるわけではなく、一部のタンパク質は非アミロイド原性であり、アミロイドを形成する傾向がないことを意味する。しかしながら、このクラスの他のタンパク質は、アミロイド沈着物を形成し、したがってアミロイド原性である。さらに、軽鎖タンパク質のクラス内では、アミロイド線維の形成しやすさに基づき、一部のタンパク質は他のタンパク質よりも「アミロイド原性」が高いとみなすことができる。特定の軽鎖タンパク質は、患者でまたはインビトロでアミロイド線維を容易に形成することができないため、非アミロイド原性または低アミロイド原性とみなされる。
【0047】
動物:生きている多細胞脊椎動物、例えば、哺乳類及び鳥類を含むカテゴリーのこと。哺乳動物という用語は、ヒト及び非ヒト哺乳動物の両方を含む。同様に、「対象」及び「個体」という用語には、ヒト及び獣医学的個体の両方が含まれる。いくつかの例では、動物は、アミロイド疾患に罹患している個体である。
【0048】
クリアランス:「除去する」または「クリアランス」という用語は、測定可能な程度に減少または除去することを指す。例えば、本明細書に記載されるアミロイド沈着物のクリアランスは、沈着物を測定可能または識別可能な程度で減少または除去することに関する。クリアランスは100%の除去をもたらす場合もあるが、必ずしも必須ではない。むしろ、クリアランスは、100%未満の除去、例えば約10%、20%、30%、40%、50%、60%またはそれ以上の除去をもたらし得る。
【0049】
結合体:本明細書で使用する場合、「結合体」という用語は、2つ以上の材料を結合または接合させた生成物であって、得られる生成物が少なくとも2つのドメインなどの少なくとも2つの別個の要素を有するものを指す。結合される材料は、同じであっても異なっていてもよい。このような結合は、1つ以上の結合基を介したものであってよい。「タンパク質結合体」は、例えば、2つ以上のアミノ酸配列の結合により生じる。2つのタンパク質の結合体は、例えば、個々に結合されたタンパク質のそれぞれに対応するドメインを有する単一のタンパク質をもたらす。
【0050】
有効量または治療有効量:障害または疾患のいずれかの症状及び/または基礎的原因を予防、治療(予防を含む)、軽減及び/または改善するのに十分な薬剤の量、例えば、アミロイドーシスを予防、阻害、及び/または改善するのに十分な薬剤の量。いくつかの実施形態では、疾患の症状を軽減または消失させるには、「有効量」で十分である。有効量は、1回または複数回で投与することができる。
【0051】
阻害:測定可能な程度まで減少させること。阻害は、例えば、測定される性状の完全な機能喪失または完全な停止を必要としない。例えば、プラーク形成の阻害とは、プラークのさらなる成長を停止させること、プラークのさらなる成長を遅くすること、またはプラークのサイズを減少させることを意味し得る。
【0052】
疾患の阻害または治療:疾患または状態の完全な発症を阻害すること、例えば、アミロイドーシスを阻害すること。「治療」とは、疾患または病態が発症を開始した後にその徴候または症状を改善する治療的介入を指す。疾患または病態に関して「改善する」という用語は、治療のあらゆる観察可能な有益な効果を指す。有益な効果は、例えば、感受性の高い個体における疾患の臨床症状の開始の遅延、疾患の一部またはすべての臨床症状の重症度の低下、疾患の進行の遅延、個体の全体的な健康状態または生活状態の改善、または特定の疾患に特有の当該技術分野では周知の他のパラメーターによって示すことができる。「予防的」治療とは、病態の発症のリスクを低減する目的で、疾患の徴候を示していない、または初期の兆候のみを示す個体に投与される治療のことである。
【0053】
アミロイド沈着物の形成に関して、「阻害」とは、例えば、コントロールと比較した場合のアミロイド沈着物の形成の防止または減少を指す。例えば、阻害は、コントロールと比較して、アミロイド沈着物の約10%、20%、30%、40%、50%、60%またはそれ以上の減少をもたらし得る。
【0054】
標識とは、その分子の検出を容易にするために別の分子に直接的または間接的に結合させられる検出可能な化合物または組成物を指す。標識の具体的な非限定的な例としては、蛍光タグ、化学発光タグ、ハプテン、酵素結合、及び放射性同位元素が挙げられる。「検出可能に標識された」タンパク質とは、例えば、そのタンパク質の存在をそのタンパク質に結合された標識によって判定することができることを意味する。
【0055】
単離された:「単離された」生物学的成分、例えばペプチド(例えば本明細書に開示されるペプチドのうちの1つ以上のもの)、細胞、核酸または血清試料は、その成分が天然に存在する生物の細胞内の他の生物学的成分、例えば、他の染色体及び染色体外のDNA及びRNA、ならびにタンパク質から実質的に分離されるか、別に産生されるか、または精製されている。したがって、「単離された」核酸、ペプチド及びタンパク質には、標準的な精製方法によって精製された核酸及びタンパク質が含まれる。この用語には、細胞内での組み換え発現によって調製される核酸、ペプチド及びタンパク質、ならびに化学的に合成されたペプチド及び核酸も包含される。「単離された」または「精製された」という用語は、絶対純度を必要とせず、むしろ、相対的な用語として意図されている。したがって、例えば、単離されたペプチド調製物とは、ペプチドまたはタンパク質が、細胞内のその天然の環境におけるペプチドまたはタンパク質よりも濃縮されているものである。好ましくは、調製物は、ペプチドまたはペプチドが調製物の全ペプチドまたはタンパク質含量の少なくとも50%、例えばペプチドまたはタンパク質濃度の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはさらには少なくとも99%を表すように精製される。
【0056】
結合する:本明細書で使用する場合、「接続する」、「接続された」、「結合する」または「結合された」という用語は、タンパク質及び/またはタンパク質ドメイン同士を機能的に接続するための当該技術分野では周知の任意の方法を指す。例えば、1つのタンパク質ドメインは、介在する配列またはドメインを用いるかまたは用いずに、例えば組換え融合タンパク質におけるように、共有結合を介して別のタンパク質ドメインに結合することができる。連結には、例えば、2つの核酸配列同士を互いに統合すること、例えば、2つの核酸配列を同じ核酸鎖中に一緒に配置してこれらの配列を一緒に発現させることも含まれる。
【0057】
核酸:ホスホジエステル結合を介して結合されたヌクレオチド単位(リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらの関連する天然に存在する構造的変異体、及び合成された天然に存在しない類似体)から構成されるポリマー、それらの関連する天然に存在する構造的変異体、及び合成された天然に存在しない類似体。したがって、この用語には、ヌクレオチド及びそれらの間の結合が、例えば、これらに限定されるものではないが、ホスホロチオエート、ホスホロアミダイト、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)などの天然に存在しない合成類似体を含むヌクレオチドポリマーが含まれる。かかるポリヌクレオチドは、例えば、自動化DNA合成装置を使用して合成することができる。「オリゴヌクレオチド」という用語は通常、一般的に約50ヌクレオチド以下の短いポリヌクレオチドを指す。ヌクレオチド配列がDNA配列(すなわち、A、T、G、C)によって表される場合、これは、「U」が「T」に置き換わっているRNA配列(すなわち、A、U、G、C)も含む点は理解されよう。
【0058】
ヌクレオチドとしては、これらに限定されるものではないが、例えば、ピリミジン、プリンもしくはその合成類似体のような、糖に結合された塩基、またはペプチド核酸(PNA)におけるようなアミノ酸に結合した塩基を含むモノマーが挙げられる。ヌクレオチドは、ポリヌクレオチド中の1個のモノマーである。ヌクレオチド配列とは、ポリヌクレオチド内の塩基の配列を指す。
【0059】
本明細書では、ヌクレオチド配列を説明するために従来の表記を用いている。すなわち、一本鎖ヌクレオチド配列の左端は5’末端であり、二本鎖ヌクレオチド配列の左方向は5’方向と呼ばれる。新生RNA転写物への5’~3’へのヌクレオチドの付加の方向は、転写方向と呼ばれる。mRNAと同じ配列を有するDNA鎖は「コーディング鎖」と呼ばれ、そのDNAから転写されるmRNAと同じ配列を有するDNA鎖上の配列であって、RNA転写物の5’末端に対して5’側に位置する配列は、「上流配列」と呼ばれ、そのRNAと同じ配列を有するDNA鎖上の配列であって、コーディングRNA転写物の3’末端に対して3’側にある配列は、「下流配列」と呼ばれる。
【0060】
cDNAとは、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態の、mRNAに相補的または同一であるDNAを指す。
【0061】
コードする、とは、ヌクレオチド(例えば、rRNA、tRNA及びmRNA)の定義された配列またはアミノ酸の定義された配列のいずれかを有する生物学的プロセスにおける他のポリマー及び巨大分子の合成のためのテンプレートとして機能する、遺伝子、cDNA、またはmRNAなどのポリヌクレオチドにおける特定のヌクレオチド配列の固有の特性、またはそれから得られる生物学的特性を指す。従って、ある遺伝子は、その遺伝子によって生成されるmRNAの転写及び翻訳によって、細胞または他の生物系内でタンパク質が産生される場合に、そのタンパク質をコードしている。そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり、通常、配列表に示されるコード鎖と、遺伝子またはcDNAの転写の鋳型として用いられる非コード鎖とはどちらも、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードしていると言うことができる。特に指定のない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」には、互いの縮重形態であり、かつ同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列が含まれる。タンパク質及びRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含み得る。
【0062】
薬学的に許容される担体:(A)薬学的に許容される担体の使用は、慣例的である。Remington’s Pharmaceutical Sciences,E. W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,PA,19thEdition(1995)には、本明細書に開示される融合タンパク質の医薬送達に適した組成物及び製剤が記載されている。
【0063】
一般に、担体の性質は、用いられる特定の投与様式によって決まる。例えば、非経口製剤は、水、生理食塩水、平衡塩溶液、デキストロース水溶液、グリセロールなどの薬学的及び生理学的に許容される流体を溶媒として含む注射可能な流体を通常、含む。固体組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤またはカプセル剤の形態)の場合、従来の非毒性固体担体としては、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムが挙げられる。投与される医薬組成物は、生物学的に中性の担体以外に、湿潤剤または乳化剤、保存剤、pH緩衝剤などのような少量の非毒性補助物質、例えば酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含んでもよい。
【0064】
ポリペプチド:モノマーがアミド結合により結合されたアミノ酸残基であるようなポリマー。アミノ酸がα-アミノ酸である場合、L-光学異性体またはD-光学異性体のいずれかを使用することができ、L-異性体が好ましい。本明細書で使用される「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、任意のアミノ酸配列を包含することを意図しており、糖タンパク質などの修飾された配列を含む。「ポリペプチド」という用語は、天然に存在するタンパク質、及び組換えまたは合成により産生されるタンパク質を網羅することを特に意図している。いくつかの例では、ペプチドは、本明細書に開示されるペプチドの1つ以上である。
【0065】
精製:「精製された」という用語は、絶対純度を必要とせず、むしろ、相対的な用語として意図されている。したがって、例えば、精製されたタンパク質調製物とは、言及されるタンパク質が、細胞内または生成反応チャンバー内の天然の環境におけるそのタンパク質よりも純度が高いもののことである
【0066】
配列同一性:2つの核酸配列または2つのアミノ酸配列間の類似性は、配列間の類似性に関して表され、それ以外の場合には配列同一性と呼ばれる。配列同一性は、同一率(%)(または類似性または相同性)としてしばしば測定され、割合(%)が高いほど2つの配列は類似している。
【0067】
比較する配列のアライメントの方法は、当該技術分野では周知のものである。種々のプログラム及びアライメントアルゴリズムが、Smith & WaterMan Adv. Appl.Math. 2: 482, 1981;Needleman & Wunsch J. Mol.Biol. 48: 443, 1970;Pearson & Lipman Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85: 2444, 1988;Higgins & Sharp Gene 73: 237-244,1988;Higgins & Sharp CABITOS 5: 151-153, 1989;Corpet et al.Nuc.Acids Res.16, 10881-90, 1988;Huang et al. Computer Applsに記載されている。Biosciences 8, 155-65, 1992;and Pearson et al. Meth. Mol. Bio. 24, 307-31, 1994.Altschul et al.(J.Mol.Biol.215:403-410,1990)には、配列アラインメントの方法及び相同性計算の詳細な考察が示されている。
【0068】
The NCBI Basic Local Alignment Search Tool (BLAST)(Altschul et al.J. Mol.Biol. 215:403-410,1990)は、国立生物工学情報センター(NCBI, Bethesda, MD)を含むいくつかの供給元から入手可能であり、インターネット上では、配列分析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn及びtblastxと併せて使用される。
【0069】
機能的に連結された:第1の核酸配列は、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的関係に置かれている場合に、第2の核酸配列と機能的に連結されている。例えば、プロモーターは、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合、コード配列に機能的に連結されている。一般に、機能的に連結されたDNA配列同士は、同じリーディングフレーム内で隣接しており、必要な場合、2つのタンパク質コード領域同士を繋げる。
【0070】
薬剤:個体または細胞に適切に投与される場合に所望の治療的または予防的作用を誘導することができる化合物または組成物。
【0071】
ベクター:宿主細胞に導入されることにより、形質転換された宿主細胞を生じる核酸分子。組換えDNAベクターは、組換えDNAを有するベクターである。ベクターは、宿主細胞内での複製を可能にする複製起点などの核酸配列を含むことができる。ベクターはまた、1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子及び当該技術分野では周知の他の遺伝子エレメントを含み得る。ウイルスベクターは、1つ以上のウイルスに由来する少なくともいくつかの核酸配列を有する組換えDNAベクターである。ベクターという用語には、プラスミド、直鎖状核酸分子、ならびに全体を通して記載されるようなアデノウイルスベクター及びアデノウイルスが含まれる。
【0072】
対象または個体とは、哺乳動物、例えばヒトを指す。個体は、ヒト患者であり得る。個体は、疾患または状態に罹患しているかまたは罹患が疑われる患者であってよく、治療または診断が必要な場合があり、あるいは疾患または状態の進行を監視する必要がある場合がある。患者は、有効性をモニタリングする必要がある療法を行っている場合もある。いくつかの例示的な実施形態では、個体は、アルツハイマー病、ハンチントン病またはプリオン病などのアミロイドーシス、または軽鎖(AL)アミロイドーシス及び2型糖尿病の患者にみられる末梢アミロイドーシスに罹患している個体を含む。
【0073】
治療する、または治療という用語は、疾患または病態が発症を開始した後にその徴候または症状を改善する治療的介入を指す。疾患または病態に関して「改善する」という用語は、治療のあらゆる観察可能な有益な効果を指す。有益な効果は、例えば、感受性の高い個体における疾患の臨床症状の開始の遅延、疾患の一部またはすべての臨床症状の重症度の低下、疾患の進行の遅延、個体の全体的な健康状態または生活状態の改善、または特定の疾患に特有の当該技術分野では周知の他のパラメーターによって示すことができる。「予防的」治療とは、病態の発症のリスクを低減する目的で、疾患の徴候を示していない、または初期の兆候のみを示す個体に投与される治療のことである。
【0074】
II.アミロイド反応性ペプチド-FC融合タンパク質
本明細書では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとを含み、第1のポリペプチドは第1のヒトFcドメインに結合された第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは第2のヒトFcドメインに結合された第2のアミロイド反応性ペプチドを含み、第1のヒトFcドメインと第2のヒトFcドメインとは二量体を形成する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、ホモ二量体である。アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、例えば、本開示のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を個体に投与することによって、アミロイドーシスに罹患した対象を治療するために使用することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のアミロイド反応性ペプチドは、下記表1に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、下記表1に示されるペプチドのうちの1つ以上のものを、ヒトFc領域のN末端またはヒトFc領域のC末端を介してヒトFc領域に結合し、それにより、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を形成することができる。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のアミロイド反応性ペプチドは、表1に示されるペプチドのうちの2つ以上のものを含んでもよく、これらを単一のヒトFc領域に結合することができる。例えば、これらのアミロイド反応性ペプチドのうちの2つを、単一のヒトFc領域に結合することができる。

【表1】
【0076】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のペプチドドメインは、個体に投与される際、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質をアミロイド沈着物にターゲティングするものと考えられる。次いで、Fcドメインは、アミロイド部位で免疫応答を誘発し、それにより、オプソニン化などによるアミロイドの除去をもたらす。さらに、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、アミロイド反応性ペプチド単独よりも長い半減期を有すると考えられる。特定の例示的な実施形態では、アミロイド沈着物を本開示の融合タンパク質と接触させることにより、アミロイド沈着物をアミロイド反応性ペプチド単独と接触させる場合と比較して、半減期が約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはそれ以上増加する。これにより、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、個体に投与される際に、その免疫刺激効果をアミロイド沈着部位でより長く発揮することができ、それにより、アミロイド沈着部位における免疫応答を高めることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のアミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~13のいずれか1つに記載のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、またはそれ以上同一である、例えば、配列番号1~13のいずれか1つに記載のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒトFc領域に結合されたアミロイド反応性ペプチドは、約10~約55個のアミノ酸を含むか、またはそれらからなる。本発明のアミロイド反応性ペプチドは、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54または55個のアミノ酸を含むか、またはそれらからなるものであってよい。かかるペプチドは、例えば、参照によって本明細書にその全容を援用するところの国際特許出願第WO2016032949号に記載されている。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のアミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~13に記載のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、95%またはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のアミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~13に記載のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、95%またはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のアミロイド反応性ペプチドは、1個、2個、3個、4個または5個のアミノ酸置換を含む配列番号1~13に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のアミロイド反応性ペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のアミロイド反応性ペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のアミロイド反応性ペプチドは、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のアミロイド反応性ペプチドは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む。
【0078】
ヒトFc領域に結合されたアミロイド反応性ペプチドの全部または一部を形成するアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、翻訳後修飾されたアミノ酸、酵素的に合成されたアミノ酸、誘導体化されたアミノ酸、アミノ酸を模倣するように設計されたコンストラクトまたは構造などの立体異性体及び改変体であってよい。本発明のペプチドを形成するアミノ酸は、天然に存在するタンパク質に見られる20種の一般的アミノ酸のうちの1つ以上、または改変されたアミノ酸、及び異常アミノ酸のうちの1つ以上であってよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、第1のアミロイド反応性ペプチドは第1のヒトFcドメインのN末端に結合され、第2のアミロイド反応性ペプチドは第2のヒトFcドメインのN末端に結合される。いくつかの実施形態では、第1のアミロイド反応性ペプチドは第1のヒトFcドメインのC末端に結合され、第2のアミロイド反応性ペプチドは第2のヒトFcドメインのC末端に結合される。アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の例示的な構造を図1に示す。
【0080】
いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のヒトFcドメインは、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4のFcである。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のFcドメインは、ヒトIgG1のFcドメインである。いくつかの実施形態では、第1及び第2のFcドメインは、ヒトIgG1のFcドメインである。いくつかの実施形態では、第1及び第2のアミロイド反応性ペプチドは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のアミロイド反応性ペプチドは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号18のアミノ酸配列を以下に示す。
ヒトIgG1 Fc(配列番号18)
DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0081】
いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のヒトFcドメインは、エフェクター機能が高められたFcバリアントである。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のヒトFcドメインは、食作用を促進する能力が高められたFcバリアントである。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のヒトFcドメインは、FcγRに結合する能力が高められたFcバリアントである。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のヒトFcドメインは、補体を動員する能力が高められたFcバリアントである。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のヒトFcドメインは、高いエフェクター機能及び/またはFcγRへの高い結合性を付与する1つ以上のアミノ酸置換を含む。かかるアミノ酸置換は、例えば、それぞれを参照によって本明細書に援用するところの国際公開第WO2004/099249、同WO2005/063815、同WO2006/019447、同WO2006/020114、同WO2007/041635、同WO2009/058492、同WO2009/086320、ならびに米国特許出願公開第20070224192号及び同第20080161541号に記載されている。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有するヒトFcドメインは、食作用を促進する能力が高められている。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のヒトFcドメインは糖鎖エンジニアリングされる。いくつかの実施形態では、糖鎖エンジニアリングされたヒトFcドメインは、食作用を促進する能力が高められている。
【0082】
いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、ヒトFc領域とアミロイド反応性ペプチドとの間にアミノ酸のスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のアミロイド反応性ペプチドは、スペーサーを介して第1及び/または第2のヒトFcドメインに結合される。いくつかの実施形態において、スペーサーはペプチドスペーサーである。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のアミロイド反応性ペプチドは、ペプチドスペーサーを介して第1及び/または第2のヒトFcドメインと融合される。いくつかの実施形態では、スペーサーは、柔軟なスペーサーペプチドである。いくつかの実施形態では、スペーサーは、グリシン及びセリン残基を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GGGGSモチーフを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、グリシン及びセリン残基からなる。いくつかの実施形態では、スペーサーは、剛直なスペーサーペプチドである。いくつかの実施形態において、スペーサーは荷電していない。いくつかの実施形態では、スペーサーは、グリシンセリンリンカーである。いくつかの実施形態では、スペーサーは、グリシンセリンリンカーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、約3~約55個のアミノ酸を含むかまたはそれらからなる。本発明のスペーサーペプチドは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、または55個のアミノ酸を含むか、またはそれらからなるものであってよい。いくつかの実施形態では、スペーサーペプチドは、アミノ酸約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、50、100または155個の長さであり、これらの値の間の任意の値または範囲を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、15個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーペプチドは、下記表2に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、配列番号14~17に記載のアミノ酸配列を含む。
【表2】
【0083】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のアミロイド反応性ペプチド、第1のスペーサー、及び第1のヒトFcドメインを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のアミロイド反応性ペプチド、第2のスペーサー、及び第2のヒトFcドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとは同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとは異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、配列番号2に記載の第1のアミロイド反応性ペプチド、第1のスペーサー、及び第1のヒトFcドメインを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、配列番号2に記載の第2のアミロイド反応性ペプチド、第2のスペーサー、及び第2のヒトFcドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のアミロイド反応性ペプチド、第1のスペーサー、及び第1のヒトIgG1 Fcドメインを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のアミロイド反応性ペプチド、第2のスペーサー、及び第2のヒトIgG1 Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のアミロイド反応性ペプチド、第1の短い剛直なスペーサー、及び第1のヒトFcドメインを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のアミロイド反応性ペプチド、第2の短い剛直なスペーサー、及び第2のヒトFcドメインを含む。いくつかの実施形態では、短い剛直なスペーサーは、配列番号14に記載の配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、配列番号2に記載の第1のアミロイド反応性ペプチド、第1の短い剛直なスペーサー、及び第1のヒトIgG1 Fcドメインを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、配列番号2に記載の第2のアミロイド反応性ペプチド、第2の短い剛直なスペーサー、及び第2のヒトIgG1 Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号19に記載のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を共有するアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、配列番号19に記載のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を共有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド配列は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド配列は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、hFc1NV1の構造及び/またはアミノ酸配列を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のヒトFcドメイン、第1のスペーサー、及び第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のヒトFcドメイン、第2のスペーサー、及び第2のアミロイド反応性ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のヒトFcドメイン、第1のスペーサー、及び配列番号2に記載の第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のヒトFcドメイン、第2のスペーサー、及び配列番号2に記載の第2のアミロイド反応性ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のヒトIgG1 Fcドメイン、第1のスペーサー、及び第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のヒトIgG1 Fcドメイン、第2のスペーサー、及び第2のアミロイド反応性ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のヒトFcドメイン、第1の短い剛直なスペーサー、及び第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のヒトFcドメイン、第2の短い剛直なスペーサー、及び第2のアミロイド反応性ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のヒトIgG1 Fcドメイン、第1の短い剛直なスペーサー、及び配列番号2に記載の第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のヒトIgG1 Fcドメイン、第2の短い剛直なスペーサー、及び配列番号2に記載の第2のアミロイド反応性ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、短い剛直なスペーサーは、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号20に記載のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を共有するアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、配列番号20に記載のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を共有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド配列は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド配列は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、hFc1CV1の構造及び/またはアミノ酸配列を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のヒトFcドメイン、第1の柔軟な長いスペーサー、及び第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のヒトFcドメイン、第2の柔軟な長いスペーサー、及び第2のアミロイド反応性ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のヒトFcドメイン、第1の柔軟な長いスペーサー、及び配列番号2に記載の第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のヒトFcドメイン、第2の柔軟な長いスペーサー、及び配列番号2に記載の第2のアミロイド反応性ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のヒトIgG1 Fcドメイン、第1の柔軟な長いスペーサー、及び配列番号2に記載の第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のヒトIgG1 Fcドメイン、第2の柔軟な長いスペーサー、及び配列番号2に記載の第2のアミロイド反応性ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のヒトIgG1 Fcドメイン、第1のスペーサー、及び配列番号13に記載の第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のヒトIgG1 Fcドメイン、第2のスペーサー、及び配列番号13に記載の第2のアミロイド反応性ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のヒトFcドメイン、第1のスペーサー、及び配列番号13に記載の第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のヒトFcドメイン、第2のスペーサー、及び配列番号13に記載の第2のアミロイド反応性ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のヒトFcドメイン、第1の柔軟な長いスペーサー、及び配列番号13に記載の第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のヒトFcドメイン、第2の柔軟な長いスペーサー、及び配列番号13に記載の第2のアミロイド反応性ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のヒトIgG1 Fcドメイン、第1の柔軟な長いスペーサー、及び配列番号13に記載の第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第2のヒトIgG1 Fcドメイン、第2の柔軟な長いスペーサー、及び配列番号13に記載の第2のアミロイド反応性ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、配列番号17のアミノ酸配列を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号21に記載のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を共有するアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、配列番号21に記載のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を共有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド配列は、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド配列は、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号22に記載のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を共有するアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、配列番号22に記載のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を共有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド配列は、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド配列は、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書において、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドと含む融合タンパク質であって、第1のポリペプチドが、第1のヒトFcドメインに結合された第1のアミロイド反応性ペプチド及び第2のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドが、第2のヒトFcドメインに結合された第3のアミロイド反応性ペプチド及び第4のアミロイド反応性ペプチドを含み、第1のヒトFcドメインと第2のヒトFcドメインとが二量体を形成する、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、第1のヒトFcドメインと第2のヒトFcドメインとは、抗体ヒンジ領域内の共有結合によって二量体を形成する。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインと第2のFcドメインとは、ジスルフィド結合によって結合される。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、ホモ二量体である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第1のアミロイド反応性ペプチド、第1のスペーサー、第1のヒトFcドメイン、第2のスペーサー、及び第2のアミロイド反応性ペプチドを含み、第2のポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、第3のアミロイド反応性ペプチド、第3のスペーサー、第2のヒトFcドメイン、第4のスペーサー、及び第4のアミロイド反応性ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3及び第4のアミロイド反応性ペプチドは、本明細書に記載のアミロイド反応性ペプチドのいずれか1つ、例えば、表1に記載のアミロイド反応性ペプチドのいずれか1つである。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3及び第4は、本明細書に記載のスペーサーのいずれか1つである。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、アミロイド沈着物または線維に結合する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、アミロイド中の1つ以上のアミロイド原性ペプチドに結合する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、アミロイド中のヘパリン硫酸グリコサミノグリカンに結合する。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、ヒト線維に結合する。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、合成線維に結合する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、rVλ6Wil線維、Per125 wtATTR抽出物、KEN hATTR抽出物、SHI ALλ肝臓抽出物、及び/またはTAL ALκ肝臓抽出物に結合する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質が結合するアミロイドは、アミロイド原性λ6可変ドメインタンパク質(Vλ6Wil)またはアミロイド原性イムノグロブリン軽鎖(AL)、Aβ(1-40)アミロイド様線維またはアミロイド原性Aβ前駆体タンパク質、または血清アミロイドタンパク質A(AA)を含む。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、rVλ6Wil、Aβ、Aβ(1-40)、IAAP、ALκ、ALλ、またはATTRアミロイドに結合する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、ALκ4、ALλアミロイドに結合する。他の実施形態では、ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質が結合するアミロイドは、免疫グロブリン重鎖(AH)、β-ミクログロブリン(AβM)、トランスサイレチンバリアント(ATTR)、アポリポタンパク質AI(AApoAI)、アポリポタンパク質AII(AApoAII)、ゲルゾリン(AGel)、リゾチーム(ALys)、白血球走化性因子(ALect2)、フィブリノゲンaバリアント(AFib)、シスタチンバリアント(ACys)、カルシトニン(ACal)、ラクタドヘリン(AMed)、膵島アミロイドポリペプチド(AIAPP)、プロラクチン(APro)、インスリン(AIns)、プリオンタンパク質(APrP)、α-シヌクレイン(AαSyn)、タウ(ATau)、心房ナトリウム利尿因子(AANF)、またはIAAP、ALκ4、Alλ1、その他のアミロイドペプチドのアミロイド原性の形態を含む。ヒト化抗体または抗体-ペプチド融合タンパク質が結合するアミロイド原性ペプチドは、タンパク質、タンパク質断片、またはタンパク質ドメインであり得る。いくつかの実施形態では、アミロイド沈着物またはアミロイド原線維は、組換えアミロイド原性タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、アミロイドは、疾患の病因の一部である。
【0090】
いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチドFc融合タンパク質は汎アミロイド反応性を有し、異なるアミロイド組織における多様なアミロイドタイプに結合することができる。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、中枢神経系のアミロイドに結合することができる。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、脳のアミロイドに結合することができる。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、タウ線維及び/またはαシヌクレイン凝集体に結合することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、約1、10、100または1000nM未満の半数効果濃度(EC50)でヒトアミロイド線維に結合する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、100、250、750、または1000nM(これらの値の間の任意の値または範囲を含む)のEC50でヒトアミロイド線維に結合する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、約1nM、2nM、2.5nM、3nM、4nM、または5nMのEC50でヒトアミロイド線維に結合する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、約2.5nMのEC50でヒトアミロイド線維に結合する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、約3nM、4nM、5nM、10nM、20nM、80nM、または100nM未満の半数効果濃度(EC50)でヒトアミロイド線維に結合する。いくつかの実施態様では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、ヒトアミロイド線維に結合するコントロールヒトFc領域のEC50より小さいEC50でヒトアミロイド線維に結合する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、アミロイド沈着物または線維にヒトFc1コントロールよりも大きく結合する。EC50を計算するための方法は当該技術分野では周知のものであり、例えば表面プラズモン共鳴を含む。いくつかの実施形態では、EC50は、rVλ6Wil線維への結合を測定することにより決定される。アミロイド線維への結合を測定する例示的な方法は、図11に示されるように、実施例4に示されている。
【0092】
いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のヒトアミロイドへの結合は、ヒトアミロイド線維の食作用を促進する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、ヒトアミロイド線維をオプソニン化する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、rVλ6Wil線維をオプソニン化する。いくつかの実施形態では、マクロファージの存在下で本開示のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質とヒトアミロイド線維とを接触させると、マクロファージによるヒトアミロイド線維の取り込みが促進される。いくつかの実施形態では、マクロファージの存在下で本開示のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質とヒトアミロイド線維とを接触させると、ヒトアミロイド線維のオプソニン化が促進される。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のヒトアミロイドへの結合は、コントロール分子(例えば、ヒトFc領域)以上にヒトアミロイド線維の食作用を促進する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、抗体依存性細胞食作用を促進する。
【0093】
いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、検出可能な標識と結合される。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、放射性核種(例えば、I-124、I-125、I-123、I-131、Zr-89、Tc-99m、Cu-64、Br-76、F-18)、酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ)、ビオチン、及び蛍光体などからなる群から選択される。タンパク質を検出可能に標識するために当該技術分野では周知のあらゆる手段を本明細書に記載の方法で使用することができ、及び/または本明細書に記載の方法での使用に適合させることができる。例えば、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、放射性同位元素で放射性標識するか、または蛍光タグまたは化学発光タグで標識することができる。放射性同位元素の例としては、例えば、18F、111In、99mTc、ならびに123I、及び125Iが挙げられる。これらの放射性同位体及び他の放射性同位体は、例えば、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質に共有結合されるDTPAまたはDOTAなどのキレート剤を使用するかまたは使用しない、周知の化学的方法を用いてアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質に結合させることができる。蛍光タグまたは化学発光タグの例としては、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、Alexa染料、及びルシフェラーゼが挙げられ、これらをリシン、システイン、グルタミン酸、及びアスパラギン酸側鎖との反応によってアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質に結合させることができる。1つの例示的な実施形態では、使用されるタグに適した励起波長及び発光波長を用い、蛍光マイクロプレートリーダーまたは蛍光光度計を使用して標識を検出する。放射性標識は、例えば、放射線の種類に応じてガンマカウンターまたはシンチレーションカウンターを使用し、かつ特定の放射性核種の正確な検出に適したエネルギー窓を使用して検出することができる。しかしながら、放射性同位体を検出するための他の任意の適当な技術を標識の検出に使用することもできる。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、125Iである。
【0094】
本明細書ではまた、本明細書に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のいずれかを含む医薬組成物も提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0095】
III.核酸、ベクター、宿主細胞、及び融合タンパク質の製造方法
本明細書では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質をコードする核酸も提供される。いくつかの実施形態では、核酸は、本明細書に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のいずれかをコードする。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される核酸は、1つ以上のベクター中にある。いくつかの実施形態では、ベクターは、本開示のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質をコードする核酸(複数可)を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、ホモ二量体である。いくつかの実施形態では、ベクターは、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の第1及び第2のポリペプチドの両方をコードする核酸を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、ヘテロ二量体である。いくつかの実施形態では、ベクターは、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の第1のポリペプチドをコードする第1の核酸と、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の第2のポリペプチドをコードする第2の核酸とを含む。いくつかの実施形態では、第1のベクターが、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の第1のポリペプチドをコードする第1の核酸を含み、第2のベクターが、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の第2のポリペプチドをコードする第2の核酸を含む。
【0099】
アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を産生させるには、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の発現ベクター(複数可)を、当該技術分野では周知の適当な産生細胞株に導入することができる。発現ベクター(複数可)の導入は、エレクトロポレーションによる同時トランスフェクションまたは当該技術分野で利用可能な他の任意の適当な形質転換法によって行うことができる。次いで、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を産生する細胞株を選択して増殖させ、抗体を精製する。次に、精製されたアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を、SDS-PAGEまたはSECなどの標準的な技術により分析することができる。
【0100】
本明細書に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のいずれかをコードする核酸を含む宿主細胞も提供される。アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質コードベクターのクローニングまたは発現に適した宿主細胞としては、本明細書に記載の原核生物細胞または真核生物細胞が挙げられる。例えば、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要でない場合には、細菌中で産生させることができる。細菌中でのポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい(Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol. 248 (B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照)。発現後、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、細菌細胞のペーストから可溶性画分中に単離することができ、さらに精製することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本開示のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質をコードする核酸(複数可)を含むベクターを含む。
【0102】
グリコシル化されたアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。昆虫細胞とともに、特に、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションに使用することができる多くのバキュロウイルス株が同定されている。
【0103】
植物細胞培養物を宿主として利用することもできる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載)を参照。
【0104】
脊椎動物細胞も宿主として使用することができる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合された哺乳類細胞株が、有用であり得る。有用な宿主哺乳動物細胞株の他の例としては、SV40により形質転換されたサル腎臓CVl株(COS-7);ヒト胚性腎臓株(293細胞または例えばGraham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載されているような293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載のTM4細胞);サル腎臓細胞(CVl);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ科腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562);例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載のTRI細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞がある。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));ならびに、骨髄腫細胞株、例えば、Y0、NS0、及びSp2/0を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられる。抗体産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞系の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照。
【0105】
本明細書では、本開示のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の製造方法も提供される。いくつかの実施形態では、方法は、本開示の宿主細胞を、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質をコードしたベクターの発現に適した条件下で培養することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を回収することをさらに含む。いくつかの実施形態では、タンパク質回収では、例えば浸透圧ショック、超音波処理または溶解による宿主細胞の破壊を行う。細胞が破壊されたら、細胞破片を遠心分離または濾過で除去する。その後、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質をさらに精製することができる。いくつかの実施形態では、本開示のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、及びサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の差などのタンパク質精製のさまざまな方法により、またはタンパク質の精製のための他の任意の標準的方法により精製される。例えば、いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、プロテインAカラム(例えば、POROS Protein Aクロマトグラフィー)などのアフィニティーカラムと、クロマトグラフィーカラム(例えば、POROS HS-50カチオン交換クロマトグラフィー)、濾過、限外濾過、脱塩、及び透析法を適切に選択して組み合わせることによって単離及び精製される。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、精製を促進するためのペプチドなどのマーカー配列と結合される。マーカーアミノ酸配列の1つの例として、マイクロモル親和性でニッケル官能化アガロースアフィニティーカラムに結合できるヘキサヒスチジンペプチドがある。これに代えて、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質由来のエピトープに相当するヘマグルチニン「HA」タグを用いることもできる。
【0106】
アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、化学合成または標準的な分子生物学的技術を用いた組換え手段を含む、当業者には周知の任意の技術によって製造することができる。
【0107】
IV.治療方法
本明細書ではさらに、アミロイド関連疾患を治療する方法であって、本明細書に開示されるアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を個体に投与することを含む方法も提供される。
【0108】
いくつかの実施形態では、アミロイド疾患を治療する方法であって、治療有効量の本明細書に記載されるアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のいずれか1つを、アミロイド疾患の治療を必要とする個体に投与することを含む方法が提供される。
【0109】
いくつかの実施形態では、アミロイド沈着物は、疾患の病態に寄与し得る。他の実施形態では、アミロイド沈着物は、個体におけるアミロイドーシスまたはアミロイド関連疾患を示し得る。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、アミロイドーシスを有する個体のアミロイドに結合する。いくつかの実施形態では、アミロイドーシスは、肝臓、心臓または中枢神経系などの特定の組織または臓器系に限局される。
【0110】
他の実施形態において、アミロイドーシスは、全身性アミロイドーシスである。いくつかの実施形態では、アミロイドーシスは、家族性アミロイドーシスである。他の実施形態では、アミロイドーシスは、散発性アミロイドーシスである。いくつかの実施形態では、アミロイドーシスまたはアミロイド関連疾患は、AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、AHアミロイドーシス、Aβアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシス、hATTRアミロイドーシス、ALect2アミロイドーシス、及びII型糖尿病のIAPPアミロイドーシス、アルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、脳βアミロイド血管障害、伝達性海綿状脳症、甲状腺腫瘍、パーキンソン病、ルイス小体型認知症、タウオパチー、ハンチントン病、老人性全身性アミロイドーシス、家族性血液透析、老人性全身性老化、加齢性下垂体疾患、医原性症候群、海綿状脳症、反応性慢性炎症、甲状腺腫瘍、骨髄腫、または他の形態のがんである。いくつかの実施形態では、アミロイド関連疾患は、AL、AH、Aβ2M、ATTR、トランスサイレチン、AA、AApoAI、AApoAII、AApoAIV、AApoCII、AApoCII、AGel、ALys、ALEct2、AFib、ACys、ACal、AMed、AIAPP、APro、AIns、APrP、ASPC、AGal7、ACor、Aker、ALac、AOAPP、ASem1、AEnf、またはAβアミロイドーシスからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質による治療によってアミロイドのクリアランスがもたらされる。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、正常な老化に関連するアミロイドに結合する。他の実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、個体におけるアミロイドーシスまたはアミロイド関連疾患の診断、治療、または予後に使用される。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書において、個体のアミロイド関連疾患を治療する方法であって、本明細書に提供される融合タンパク質を投与することを含み、個体が、腎臓、肝臓及び/または心臓にアミロイドを有する、方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体は、腎臓にALλ沈着物を有する。いくつかの実施形態では、個体は、腎臓にALκ沈着物を有する。いくつかの実施形態では、個体は、肝臓にALλ沈着物を有する。いくつかの実施形態では、個体は、肝臓にALκ沈着物を有する。いくつかの実施形態では、個体は、心臓にATTR沈着物を有する。いくつかの実施形態では、個体は、心臓にALκ沈着物を有する。いくつかの実施形態では、個体は、アルツハイマー病を有する。いくつかの実施形態では、個体は、タウ線維素またはαシヌクレイン凝集体を有する。いくつかの実施形態では、個体は、パーキンソン病を有する。いくつかの実施形態では、個体は、脾臓に線維を有する。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、第1のヒトFcドメインのC末端に結合された第1のアミロイド反応性ペプチドを含む第1のポリペプチドを含み、第2のポリペプチドは、第2のヒトFcドメインのC末端に結合された第2のアミロイド反応性ペプチドを含み、第1のヒトFcドメインと第2のヒトFcドメインとは二量体を形成する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~13に記載のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のヒトFcドメインは、ペプチドスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、配列番号14~17のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書において、個体のアミロイド関連疾患を治療する方法であって、本明細書に提供される融合タンパク質を投与することを含み、アミロイド関連疾患が、AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、及びATTRアミロイドーシスからなる群から選択される、方法が提供される。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、第1のヒトFcドメインのC末端に結合された第1のアミロイド反応性ペプチドを含む第1のポリペプチドを含み、第2のポリペプチドは、第2のヒトFcドメインのC末端に結合された第2のアミロイド反応性ペプチドを含み、第1のヒトFcドメインと第2のヒトFcドメインとは二量体を形成する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~13に記載のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のヒトFcドメインは、ペプチドスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、配列番号14~17のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、個体は、脾臓、腎臓、肝臓、及び/または心臓にアミロイド沈着物を有する。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、補体の固定により食作用を促進する。
【0113】
いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、皮内、皮下、筋肉内、心臓内、血管内、静脈内、眼内、動脈内、硬膜外、脊髄内、体外、髄腔内、腹腔内、胸膜内、管腔内、硝子体内、空洞内、脳室内、骨内、関節内、細胞内、または肺経路を介して投与される。
【0114】
いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、免疫系の細胞(例えば、マクロファージ)によりアミロイドの食作用を誘導するのに十分な量で投与される。
【0115】
いくつかの実施形態では、個体は、霊長類、ウシ、齧歯類、またはブタなどの哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体は、ヒトである。
【0116】
本明細書では、クリアランスをもたらすためにアミロイド沈着物を標的化する方法であって、アミロイド沈着物を本明細書に記載されるアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のいずれか1つと接触させることを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、クリアランスをもたらすためにアミロイド沈着物を標的化することにより、アミロイド沈着物のクリアランスがもたらされる。いくつかの実施形態では、クリアランスはアミロイド沈着物のオプソニン化によりもたらされる。いくつかの実施形態では、方法はアミロイドの食作用をもたらす。いくつかの実施形態では、個体は、ヒトである。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、第1のヒトFcドメインのC末端に結合された第1のアミロイド反応性ペプチドを含む第1のポリペプチドを含み、第2のポリペプチドは、第2のヒトFcドメインのC末端に結合された第2のアミロイド反応性ペプチドを含み、第1のヒトFcドメインと第2のヒトFcドメインとは二量体を形成する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~13に記載のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のヒトFcドメインは、ペプチドスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、配列番号14~17のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0117】
本明細書では、アミロイド系疾患を有するかまたは有することが疑われる個体を治療する方法であって、本明細書に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のいずれか1つを検出可能に標識することと、標識された融合タンパク質を個体に投与することと、検出可能な標識に関連したシグナルが個体から検出され得るかどうかを判定することと、により個体がアミロイド沈着物を有するかどうかを判定することと、シグナルが検出された場合、個体にアミロイドーシス治療を投与することと、を含む、方法も提供される。いくつかの実施形態では、シグナルが検出されない場合、アミロイド沈着物の後の発生について個体を監視すること。いくつかの実施形態では、方法は、シグナルの強度を決定することと、その値を上回った場合に個体はアミロイド沈着物を有するものと判定される閾値とシグナルを比較することをさらに含む。いくつかの実施形態では、アミロイドーシス治療は、本明細書に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のいずれか1つを個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、第1のヒトFcドメインのC末端に結合された第1のアミロイド反応性ペプチドを含む第1のポリペプチドを含み、第2のポリペプチドは、第2のヒトFcドメインのC末端に結合された第2のアミロイド反応性ペプチドを含み、第1のヒトFcドメインと第2のヒトFcドメインとは二量体を形成する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~13に記載のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のヒトFcドメインは、ペプチドスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、配列番号14~17のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、本明細書において、個体のアミロイド沈着物を特定する方法であって、検出可能に標識された融合タンパク質を個体に投与することと、融合タンパク質からのシグナルを検出することと、を含む方法が提供される。
【0119】
V.検出方法
本明細書では、個体のアミロイド沈着物を特定する方法も提供される。
【0120】
方法は、対象から組織試料を得ることと、ペプチドまたは融合ペプチドを組織試料に適用することと、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合体のアミロイドへの結合を検出することと、を含む。アミロイドの存在を検出することは、蛍光、または標準的な組織化学的技術を用いてペプチドまたは融合ペプチドのアミロイドへの結合を可視化することを含んでもよい。方法は、さらに、組織試料から組織切片を得て組織切片を染色することと、蛍光または標準組織化学的技術を用いてペプチドのアミロイドへの結合を可視化することにより、組織試料中のアミロイドの存在を検出することと、を含んでもよい。
【0121】
いくつかの実施形態では、個体のアミロイド沈着物を特定する方法であって、本明細書に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のいずれか1つを検出可能に標識することと、融合タンパク質を個体に投与することと、融合タンパク質からのシグナルを検出することと、を含む方法が提供される。本明細書に記載の検出可能に標識されたアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のいずれか1つを使用することができる。いくつかの実施形態では、ペプチド-Fc融合タンパク質は、放射性標識される。いくつかの実施形態では、ペプチド-Fc融合タンパク質は、I-125で放射性標識される。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、SPECT/CTイメージング、PET/CTイメージング、ガンマシンチグラフィ、または光学イメージングによって検出される。いくつかの実施形態では、ペプチド-Fc融合タンパク質は、蛍光標識される。いくつかの実施形態では、方法は、シグナル強度を決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、シグナル強度は、SPECT/CTスキャンまたはマイクロラジオグラフによって決定される。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、第1のヒトFcドメインのC末端に結合された第1のアミロイド反応性ペプチドを含む第1のポリペプチドを含み、第2のポリペプチドは、第2のヒトFcドメインのC末端に結合された第2のアミロイド反応性ペプチドを含み、第1のヒトFcドメインと第2のヒトFcドメインとは二量体を形成する。いくつかの実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~13に記載のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2のヒトFcドメインは、ペプチドスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、配列番号14~17のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0122】
特定の実施形態では、本発明のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、臓器及び組織のアミロイドのイメージングに有用なイメージング剤に結合させることができる。例えば、本発明のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質をイメージング剤に結合させて対象に与え、アミロイドの正確な位置を標準的なイメージング技術によって決定することができる。アミロイドに対して非選択的なペプチドを、比較用のコントロールとして使用することができる。これにより、本発明のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の生体内分布を1種以上の非選択的ペプチドまたはコントロールペプチドの生体内分布と比較することで、アミロイドの検出及び/または局在化についてさらに高い判別性を与えることができる。
【0123】
アミロイドをイメージングするための方法としては、これらに限定されるものではないが、磁気共鳴撮像法(MRI)、コンピュータ断層撮影(CAT)走査法、陽電子放出断層撮影法(PET)、超音波イメージング、X線、放射性核種イメージング、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、及び多光子顕微鏡法が挙げられる。
【0124】
スキャンの感度を高めるために、さまざまな造影剤を使用することができる。スキャン用の造影剤には、X線を減衰させるあらゆる分子が含まれる。陽電子放出断層撮影及び放射性核種イメージングでは、放射性同位元素を使用することができる。あらゆる陽電子放出同位体が、陽電子放出断層撮影の放射性核種イメージングに有用であり、あらゆるγ光子放出同位体が、単光子放出コンピュータ断層撮影またはシンチグラフィイメージングにおける放射性核種イメージングに有用である。
【0125】
超音波イメージング用の造影剤は、陽性剤及び陰性剤を含む。陽性剤は超音波エネルギーを反射することで陽性(明るい)画像を生成する。これに対応して、陰性剤は、透過性または音響透過性を高めることにより、陰性(暗い)画像を生成する。潜在的なコントラスト向上剤として広範な物質(気体、液体、固体、及びこれらの組み合わせ)が検討されている。米国特許第5,558,854号に開示される固体粒子造影剤の例として、これらに限定されるものではないが、IDE粒子及びSHU454が挙げられる。欧州特許出願0231091には、超音波画像においてコントラストを向上させるための高度にフッ素化された有機化合物を含む水中油エマルションが開示されている。ペルフルオロオクチルブロミド(PFOB)を含有するエマルションも超音波イメージング剤として検討されている。米国特許第4,900,540号には、コントラスト向上剤としてガスまたはガス前駆体を含むリン脂質系リポソームの使用について記載されている。
【0126】
造影剤は、公知の方法を用いて本発明のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質に結合させることができる。特定の結合方法では、例えばDTPAなどの有機キレート剤を用いた金属キレート錯体が使用される。許容されるキレート剤は、当該技術分野では周知のものである。キレート剤としては、これらに限定されるものではないが、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(DOTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’-三酢酸(DO3A)、1,4,7-トリス(カルボキシメチル)-10-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン(HP-DO3A)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、及びその他多数のものが挙げられる。
【0127】
いくつかのクラスの化合物は、MRI造影剤としての可能性を有する。これらのクラスには、超磁性酸化鉄粒子、窒素酸化物、及び常磁性金属キレートが含まれる(Mann et al.,1995)。強い常磁性金属が好ましい。通常、常磁性ランタニド及び遷移金属イオンは生体内で毒性を示す。したがって、これらの化合物は、有機配位子を有するキレート剤に組み込む必要がある。本発明のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、かかるキレート化金属のアミロイドへの標的化を促進するために使用することができ、これにより、融合タンパク質を用いない場合に必要とされる造影用組成物の総用量の低減が可能となる。
【0128】
広範な常磁性金属がキレート化に適している。適当な金属としては、原子番号が22~29(端点を含む)、42、44、58~70(端点を含む)であり、酸化数が2または3であるものが挙げられる。かかる金属の例としては、これらに限定されるものではないが、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、プラセオジム(III)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、ガドリニウム(III)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)、イッテルビウム(III)、及びバナジウム(II)が挙げられる。X線イメージングなどの他の文脈で有用なイオンとしては、これらに限定されるものではないが、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)、及び特にビスマス(III)が挙げられる。
【0129】
局在化試験に適した本発明のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を標識するために使用することができる放射性同位体としては、γ-エミッタ、陽電子エミッタ、X線エミッタ及び蛍光エミッタが挙げられる。ペプチド及び融合タンパク質を標識するのに適した放射性同位体としては、アスタチン211、臭素7614-炭素、11炭素、51クロム、36塩素、57コバルト、58コバルド、銅67、銅64152ユーロピウム、フッ素18、ガリウム67、ガリウム68水素、ヨウ素123、ヨウ素124、ヨウ素125、ヨウ素126、ヨウ素131、indium111、インジウム113m59鉄、177ルテチウム、水銀107、水銀20332リン、レニウム186、レニウム188、ルテニウム95、ルテニウム97、ルテニウム103、ルテニウム105、レニウム99m、レニウム105、レニウム10175セレン、35硫黄、テクネチウム99m、テルル121mテルル122m、テルル125m、ツリウム165、ツリウム167、ツリウム168、及びイットリウム90が挙げられる。ハロゲンを標識としてある程度、互換的に使用することができる。ガンマエミッタであるヨウ素123及びテクネチウム99mは、これらの放射性金属がガンマカメラで検出でき、生体内でのイメージングに有利な半減期を有することから使用されてもよい。PETイメージングに適しており、かつペプチドイメージングに適した半減期を有する陽電子エミッタである18-フッ素または124-ヨウ素を使用することもできる。本発明のペプチド及び融合ペプチドは、DTPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)などの結合された金属キレート剤を介して、またはCys残基を含む隣接ペプチドに対して共有結合により直接的にインジウム111またはテクネチウム99mで標識することができる。
【0130】
本発明の放射性標識アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、当該技術分野で周知の方法に従って製造することができる。例えば、それらを、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウム及び次亜塩素酸ナトリウムなどの化学酸化剤、またはラクトペルオキシダーゼなどの酵素酸化剤との接触によりヨウ素化することができる。本発明によるペプチドまたは融合ペプチドは、配位子交換反応により、例えば、過テクネチウム酸塩を第一スズ溶液で還元し、還元されたテクネチウムをセファデックスカラムにキレート化し、このカラムにペプチドを適用することにより、または例えば、過テクネチウム酸塩、SnClなどの還元剤、フタル酸ナトリウム-カリウム溶液などの緩衝液、及びペプチドをインキュベートすることによる、直接的標識技術によって、テクネチウム99mで標識することができる。上述したように、金属イオンとして存在する放射性同位体をペプチドに結合するためにしばしば使用される中間官能基として、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)がある。
【0131】
他の有用な標識としては、蛍光標識、発色標識、及びビオチン標識が挙げられる。蛍光標識としては、これらに限定されるものではないが、ローダミン、フルオレセインイソチオシアネート、フルオレセインナトリウム、レノグラフィン、及びテキサスレッドスルホニルクロリドが挙げられる。特定の実施形態では、本発明のペプチド及び融合ペプチドは、二次結合リガンドに、または発色性基質との接触時に着色生成物を生成する酵素(酵素タグ)に結合させることができる。適当な酵素の例としては、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、(西洋ワサビ)水素ペルオキシダーゼ、及びグルコースオキシダーゼが挙げられる。二次結合リガンドとしては、ビオチン及びアビジンまたはストレプトアビジン化合物が挙げられる。かかるラベルの使用は当業者には周知のものであり、例えば、参照によって本明細書にそれぞれを援用する米国特許第3,817,837号、同第3,850,752号、同第3,939,350号、同第3,996,345号、同第4,277,437号、同第4,275,149号及び同第4,366,241号に記載されている。
【0132】
本発明のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質はまた、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩のようなカップリング剤の存在下で酵素と反応させてもよい。フルオレセインマーカーとの結合体は、これらのカップリング剤の存在下で、またはイソチオシアネートとの反応によって調製される。
【0133】
本発明のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、アミロイドを標的とし、アミロイドに結合することで、アミロイドの検出を可能にする薬剤として使用される。本発明のペプチド及び融合ペプチドは、対象がアミロイドを有するか否か、及び対象がアミロイドーシスまたはアミロイド媒介病態に罹患しているか否かを判定するために使用することができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、本発明は、対象のアミロイドを検出するための方法を提供する。方法は、有効量の1つ以上の本発明のペプチドまたは融合ペプチドを含む医薬組成物を対象に投与することと、アミロイドに結合したペプチドまたは融合ペプチドを検出することと、を含む。アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、放射性同位体などのイメージング剤で標識することができる。アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、沈着物に対して特異的な結合親和性を有し、結合を検出可能である。アミロイドへのアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質ペプチドの結合は、MRI、CATスキャン、PETイメージング、超音波イメージング、SPECTイメージング、X線イメージング、蛍光イメージング、または放射性核種イメージングによって検出することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、個体は、アミロイド関連疾患に関連する1つ以上のリスク因子を有する。いくつかの実施形態では、個体は、アミロイド関連疾患の1つ以上の症状を有する。
【0136】
アミロイドーシスに関して、例えば、こうした標識を用いてアミロイドの存在を診断し、アミロイドタンパク質の量を測定し、特定の個体でアミロイドと結合するアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の能力を監視し、アミロイドーシスの進行を監視し、かつ/またはアミロイド治療に対する個体の応答を監視する(個体へのアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の投与に関連する治療を含む)ことができる。例えば、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は本明細書に記載の検出可能な標識で標識された後、アミロイド系疾患(例えば、アミロイドーシス、意義不明のモノクローナル免疫グロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫(MM)、または関連形質細胞疾患)を罹患しているかまたは罹患することが疑われる対象に投与される。その後、個体をイメージングすることにより、例えば、検出可能に標識されたアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の存在を検出することができる。
【0137】
特定の例示的な実施形態では、検出可能に標識されたアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質からのシグナルを定量化し、それによって、個体におけるアミロイド沈着のレベルの指標を与えることができる。例えば、シグナル強度を、その値を上回る場合にはアミロイドーシスが存在するが、下回る場合にはアミロイドーシスが存在しないかまたは低レベルである基準のシグナル閾値と比較することができる。個体は、アミロイドを有すると診断することができ、その場合、例えば、化学療法、コルチコステロイド薬(レナリドミドまたはサリドマイド)及び/またはボルテゾミブ(ベルケード)などの治療を投与することができる。上記に加えてまたは上記に代えて、本明細書に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質は、本明細書に記載されるような個体を治療するために個体に投与することができる。特定の例示的な実施形態では、個体を、低アミロイド量、中アミロイド量、または高アミロイド量のように、1つ以上のグループに層別化した後、それに応じて治療することができる。治療の進行を監視するため、検出可能に標識されたアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を個体に再投与し、ひいてはそのアミロイド量について再評価することができる。
実施形態
1. 第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとを含むアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質であって、前記第1のポリペプチドは、第1のヒトFcドメインのN末端またはC末端に結合された第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、前記第2のポリペプチドは、第2のヒトFcドメインのN末端またはC末端に結合された第2のアミロイド反応性ペプチドを含み、前記第1のヒトFcドメインと前記第2のヒトFcドメインとは二量体を形成する、前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
2. 前記第1及び第2のアミロイド反応性ペプチドが、前記第1及び第2のヒトFcドメインのC末端に結合されている、実施形態1に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
3. 前記第1及び/または前記第2のアミロイド反応性ペプチドが、配列番号1~13に記載のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1または2に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
4. 前記第1及び/または第2のヒトFcドメインが、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4のFcである、実施形態1~3のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
5. 前記第1及び/または第2のヒトFcドメインが、ヒトIgG1 Fcである、実施形態1~4のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
6. 前記第1及び/または第2のヒトFcドメインが、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
7. 前記第1及び/または第2のアミロイド反応性ペプチドが、スペーサーを介して前記第1及び/または第2のヒトFcドメインに結合される、実施形態1~6のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
8. 前記スペーサーが、ペプチドスペーサーである、実施形態7に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
9. 前記スペーサーが、配列番号14~17のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、実施形態8に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
10. 前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端にかけて、第1のヒトFcドメイン、第1のスペーサー、及び第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、前記第2のポリペプチドが、N末端からC末端にかけて、第2のヒトFcドメイン、第2のスペーサー、及び第2のアミロイド反応性ペプチドを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
11. 前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号2または配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む、実施形態10に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
12. 前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、前記スペーサーが、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む、実施形態10に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
13. 前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含み、前記スペーサーが、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む、実施形態10に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
14. 前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、前記スペーサーが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む、実施形態10に記載の融合タンパク質。
15.
i)前記第1のポリペプチド及び/または第2のポリペプチドが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み、
ii)前記第1のポリペプチド及び/または第2のポリペプチドが、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含み、
iii)前記第1のポリペプチド及び/または第2のポリペプチドが、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
16. 前記第1のポリペプチドが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み、前記第2のポリペプチドが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含む、実施形態15に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
17. 前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端にかけて、第1のアミロイド反応性ペプチド、第1のスペーサー、及び第1のヒトFcドメインを含み、前記第2のポリペプチドが、N末端からC末端にかけて、第2のアミロイド反応性ペプチド、第2のスペーサー、及び第2のヒトFcドメインを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
18. 前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号2または配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む、実施形態16に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
19. 前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、前記スペーサーが、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む、実施形態17または18に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
20. 前記第1のポリペプチド及び/または第2のポリペプチドが、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む、実施形態17に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
21. 前記第1及び第2のポリペプチドが、同じアミノ酸配列を含む、実施形態1~20のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
22. 前記第1及び第2のポリペプチドが、異なるアミノ酸配列を含む、実施形態1~15及び17~21のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
23. 前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質が、rVλ6Wil、Aβ、Aβ(1-40)、IAAP、ALκ、ALλ、またはATTRアミロイドに結合する、実施形態1~22のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
24. 検出可能な標識に結合された、実施形態1~23のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
25. 前記検出可能な標識が、蛍光標識及び放射性標識からなる群から選択される、実施形態23に記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
26. 実施形態1~24のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を含む、医薬組成物。
27. 実施形態1~25のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質をコードする、核酸(複数可)。
28. 実施形態26に記載の核酸(複数可)を含む、ベクター。
29. 実施形態28に記載のベクターを含む、宿主細胞。
30. 哺乳動物細胞、場合により、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、実施形態29に記載の宿主細胞。
31. 前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質をコードする前記ベクターの発現に適した条件下で実施形態29または30に記載の前記宿主細胞を培養することを含む、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質の製造方法。
32. 前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を回収することをさらに含む、実施形態31に記載の方法。
33. アミロイド疾患を治療する方法であって、治療有効量の実施形態1~24のいずれか1つに記載の前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を、アミロイド疾患の治療を必要とする個体に投与することを含む、前記方法。
34. 前記アミロイド関連疾患が、全身性または限局性アミロイドーシスである、実施形態33に記載の方法。
35. 前記アミロイド関連疾患が、AL、AH、Aβ2M、ATTR、トランスサイレチン、AA、AApoAI、AApoAII、AGel、ALys、ALEct2、AFib、ACys、ACal、AMed、AIAPP、APro、AIns、APrP、パーキンソン病、アルツハイマー病、またはAβアミロイドーシスからなる群から選択される、実施形態33に記載の方法。
36. 前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質による治療によってアミロイドのクリアランスがもたらされる、実施形態33~35のいずれか1つに記載の方法。
37. クリアランスをもたらすためにアミロイド沈着物を標的化する方法であって、アミロイド沈着物を、実施形態1~25のいずれか1つに記載の前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質と接触させることを含む、前記方法。
38. クリアランスをもたらすために前記アミロイド沈着物を標的化することにより、前記アミロイド沈着物のクリアランスがもたらされる、実施形態37に記載の方法。
39. クリアランスが前記アミロイド沈着物のオプソニン化によりもたらされる、実施形態37または38に記載の方法。
40. アミロイド系疾患を有するかまたはアミロイド系疾患を有することが疑われる個体を治療する方法であって、
実施形態1~25のいずれか1つに記載の前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を検出可能に標識することと、
前記標識されたアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を前記個体に投与することと、
前記検出可能な標識に関連したシグナルが前記個体から検出され得るかどうかを判定することと、により、前記個体がアミロイド沈着物を有するかどうかを判定することと、
前記シグナルが検出された場合、前記個体にアミロイドーシス治療を投与することと、を含む、前記方法。
41. シグナルが検出されない場合、アミロイド沈着物の後の発生について個体を監視することを含む、実施形態40に記載の方法。
42. 前記シグナルの強度を決定することと、その値を上回った場合に前記個体がアミロイド沈着物を有するものと判定される閾値と前記シグナルを比較することをさらに含む、実施形態40または41に記載の方法。
43. 前記アミロイドーシス治療が、実施形態1~25のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を前記個体に投与することを含む、実施形態40~42のいずれかに記載の方法。
44. 個体のアミロイド沈着物を特定する方法であって、実施形態1~25のいずれか1つに記載の前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を検出可能に標識することと、前記融合タンパク質を前記個体に投与することと、前記融合タンパク質からのシグナルを検出することと、を含む、前記方法。
45. 前記個体が、アミロイドを有さないか、または意義不明のモノクローナル免疫グロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫(MM)、もしくは1つ以上の関連形質細胞疾患に罹患しているものと判定される、実施形態40~44のいずれかに記載の方法。
46. 前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質が、検出可能に標識される、実施形態44または45に記載の方法。
47.前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質が、放射性核種または蛍光体で検出可能に標識される、実施形態40~43及び46のいずれか1つに記載の方法。
48.前記放射性核種が、I-123、I-124、F-18、ZR-89またはTc-99mである、実施形態47に記載の方法。
49.前記アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質が、SPECT/CTイメージング、PET/CTイメージング、ガンマシンチグラフィ、または光学イメージングによって検出される、実施形態40~43及び46~48のいずれか1つに記載の方法。
50.前記個体が、ヒトである、実施形態33~49のいずれか1つに記載の方法。
51. 前記アミロイド反応性ペプチド-Fcの前記第1のポリペプチドと前記第2のポリペプチドとが、Fcドメイン内のジスルフィド結合により共有結合されている、実施形態1~25のいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質。
1A. 第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとを含む融合タンパク質であって、前記第1のポリペプチドは、第1のヒトFcドメインのC末端に結合された第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、前記第2のポリペプチドは、第2のヒトFcドメインのC末端に結合された第2のアミロイド反応性ペプチドを含み、前記第1のヒトFcドメインと前記第2のヒトFcドメインとは二量体を形成する、前記融合タンパク質。
2A. 前記第1及び/または第2のアミロイド反応性ペプチドが、配列番号1~13に記載のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1Aに記載の融合タンパク質。
3A. 前記第1及び/または第2のヒトFcドメインが、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4のFcである、実施形態1Aまたは2Aに記載の融合タンパク質。
4A. 前記第1及び/または第2のヒトFcドメインが、ヒトIgG1 Fcである、実施形態1A~3Aのいずれか1つに記載の融合タンパク質。
5A. 前記第1及び/または第2のヒトFcドメインが、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む、実施形態1A~4Aのいずれか1つに記載の融合タンパク質。
6A. 前記第1及び/または第2のアミロイド反応性ペプチドが、スペーサーを介して前記第1及び/または第2のヒトFcドメインに結合される、実施形態1A~5Aのいずれか1つに記載の融合タンパク質。
7A. 前記スペーサーが、ペプチドスペーサーである、実施形態6Aに記載の融合タンパク質。
8A. 前記スペーサーが、配列番号14~17のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、実施形態7Aに記載の融合タンパク質。
9A. 前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端にかけて、第1のヒトFcドメイン、第1のスペーサー、及び第1のアミロイド反応性ペプチドを含み、前記第2のポリペプチドが、N末端からC末端にかけて、第2のヒトFcドメイン、第2のスペーサー、及び第2のアミロイド反応性ペプチドを含む、実施形態6A~8Aのいずれか1つに記載の融合タンパク質。
10A. 前記第1のポリペプチドが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み、前記第2のポリペプチドが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含む、実施形態1A~9Aのいずれか1つに記載の融合タンパク質。
11A. 前記融合タンパク質が、rVλ6Wil、Aβ、Aβ(1-40)、IAAP、ALκ4、Alλ1、またはATTRアミロイドに結合する、実施形態1A~10Aのいずれか1つに記載の融合タンパク質。
12A. 検出可能な標識に結合された、実施形態1A~11Aのいずれか1つに記載の融合タンパク質。
13A. 実施形態1A~12Aのいずれか1つに記載の融合タンパク質を含む、医薬組成物。
14A. 実施形態1A~12Aのいずれか1つに記載の融合タンパク質をコードする、核酸(複数可)。
15A. 実施形態14Aに記載の核酸(複数可)を含む、ベクター。
16A. 実施形態15Aに記載のベクターを含む、宿主細胞。
17A. 哺乳動物細胞、場合により、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、実施形態16Aに記載の宿主細胞。
18A. 前記融合タンパク質をコードする前記ベクターの発現に適した条件下で実施形態16Aまたは17Aに記載の前記宿主細胞を培養することを含む、融合タンパク質の製造方法。
19A. 前記融合タンパク質を回収することをさらに含む、実施形態18Aに記載の方法。
20A. アミロイド疾患を治療する方法であって、治療有効量の実施形態1A~12Aのいずれか1つに記載の前記融合タンパク質を、アミロイド疾患の治療を必要とする個体に投与することを含む、前記方法。
21A. 前記アミロイド関連疾患が、全身性または限局性アミロイドーシスである、実施形態20Aに記載の方法。
22A. 前記アミロイド関連疾患が、AL、AH、Aβ2M、ATTR、トランスサイレチン、AA、AApoAI、AApoAII、AGel、ALys、ALEct2、AFib、ACys、ACal、AMed、AIAPP、APro、AIns、APrP、またはAβアミロイドーシスからなる群から選択される、実施形態20Aに記載の方法。
23A. 前記融合タンパク質による治療によってアミロイドのクリアランスがもたらされる、実施形態20A~22Aのいずれか1つに記載の方法。
24A. クリアランスをもたらすためにアミロイド沈着物を標的化する方法であって、アミロイド沈着物を、実施形態1A~12Aのいずれか1つに記載の前記融合タンパク質と接触させることを含む、前記方法。
25A. クリアランスをもたらすために前記アミロイド沈着物を標的化することにより、前記アミロイド沈着物のクリアランスがもたらされる、実施形態24Aに記載の方法。
26A. クリアランスが前記アミロイド沈着物のオプソニン化によりもたらされる、実施形態24Aまたは25Aに記載の方法。
27A. 前記個体が、ヒトである、実施形態20A~26Aのいずれか1つに記載の方法。
28A. アミロイド系疾患に罹患しているかまたは罹患していると疑われる個体を治療する方法であって、
実施形態1A~12Aのいずれか1つに記載の融合タンパク質を検出可能に標識することと、
前記標識された融合タンパク質を前記個体に投与することと、
前記検出可能な標識に関連したシグナルが前記個体から検出され得るかどうかを判定することと、により、前記個体がアミロイド沈着物を有するかどうかを判定することと、
前記シグナルが検出された場合、前記個体にアミロイドーシス治療を投与することと、を含む、前記方法。
29A. シグナルが検出されない場合、アミロイド沈着物の後の発生について前記個体を監視することを含む、実施形態28Aに記載の方法。
30A. 前記シグナルの強度を決定することと、その値を上回った場合に前記個体がアミロイド沈着物を有するものと判定される閾値と前記シグナルを比較することをさらに含む、実施形態29Aに記載の方法。
31A. 前記アミロイドーシス治療が、実施形態1A~12Aのいずれか1つに記載のアミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質を前記個体に投与することを含む、実施形態28A~30Aのいずれかに記載の方法。
32A. 個体のアミロイド沈着物を特定する方法であって、実施形態1A~12Aのいずれか1つに記載の前記融合タンパク質を検出可能に標識することと、前記融合タンパク質を前記個体に投与することと、前記融合タンパク質からのシグナルを検出することと、を含む、前記方法。
33A. 前記個体が、アミロイドを有さないか、または意義不明のモノクローナル免疫グロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫(MM)、もしくは1つ以上の関連形質細胞疾患に罹患しているものと判定される、実施形態28A~32Aのいずれかに記載の方法。
【0138】
実施例
以下の実施例は本発明をさらに説明するものであるが、その範囲をいかなる意味でも限定するものとして解釈されるべきではない。本開示及び当該技術分野における一般的な技術水準に鑑みれば、当業者には、以下の実施例はあくまで例示的なものに過ぎず、本明細書に開示される主題の範囲から逸脱することなく、多くの変更、修正、及び改変を行いうる点は認識されよう。添付の図面は、本開示の明細書及び記載と一体の部分とみなされることを意図している。
【0139】
実施例1:ペプチド-Fcコンストラクトの製造
以下の実施例では、アミロイド反応性ペプチド-Fc融合タンパク質のコンストラクトの製造について説明する。例示的なコンストラクトの構造を図1に示す。Fcp5R NV1と称されるコンストラクトでは、p5Rペプチドを、図1の最上段に示されるように、短い剛直なスペーサー(VSPSV、配列番号15)を介して、第1及び第2のFcドメインのN末端に融合させた。Fcp5R CV1と称される第2のコンストラクトでは、p5Rペプチドを、図1の2段目に示されるように、短い剛直なスペーサー(VSPSV、配列番号15)を介して、第1及び第2のFcドメインのC末端に融合させた。Fcp5R NV1及びFcp5R CV1のアミノ酸配列を下記表3に示す。

【表3】
【0140】
ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)分析を行ってペプチド-Fc融合コンストラクトの調製物とペプチド-抗体融合コンストラクトとの比較を行った。各融合コンストラクトを、2%ウシ胎児血清(FBS)を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中で産生させた。各試料を還元してから沸騰させた。4~12%のビストリスゲルを2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)バッファーと共に使用し、クマシー青染色を用いてタンパク質を検出した。図2に示されるように、Fcp5R CV1コンストラクト(レーン6)は、Fcp5R NV1コンストラクト(レーン5)よりもサイズが大きかった。理論に縛られることを望むものではないが、この製造方法により、アミロイド結合ペプチドの切断を受けやすいコンストラクト(Fcp5R NV1の場合、レーン5)またはペプチド切断されにくいコンストラクト(Fcp5R CV1の場合、レーン6)が得られたものと考えられる。これらのデータは、Fcドメイン上のペプチドの位置が、製造時のタンパク質分解からペプチドを保護し得ることを示している。
【0141】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を行ってFcp5R NV1及びFcp5R CV1をさらに分析した。図3に示されるように、Fcp5R NV1及びFcp5R CV1は異なる時点でカラムから溶出し、2つのコンストラクトが異なるサイズであったことを示す。Fcp5R CV1はNV1の前に溶出し、このペプチドがより大きな分子量を有し、試薬製造時のペプチドのタンパク質分解を受けにくいというSDS-PAGE分析(図2)の観察結果と一致していた。これに対して、Fcp5R NV1は、タンパク質切断を受けやすかった。
【0142】
実施例2.マウスにおけるペプチド-Fcの生体内分布
以下の実施例は、Fcp5R CV1の放射性ヨウ素化、及び放射性標識Fcp5R CV1のAAアミロイドーシスマウスへの投与について記載する。
【0143】
Fcp5R CV1を、I-125で放射性標識した。放射性標識反応のコントロールとして抗体11-1F4を用いた。図4に示されるように、2%FBS中で増殖させたHD CHO細胞により産生されたFcp5R CV1はI-125で容易に放射性標識され、青色のデキストランで溶出した。カラム及びチューブからの回収は非常に良好であった。SDS-PAGEゲルは、放射性標識の際に凝集体が形成されず、調製物が高純度及び高放射性純度を有する(すなわち、SDS-PAGEゲル中に遊離放射性ヨウ素の痕跡がなかった)ことを示した。
【0144】
125I-Fcp5R CV1を、全身性AAアミロイドーシスを有するマウスに投与した。ヒトインターロイキン-6導入遺伝子を構成的に発現するH2-Ld-huIL-6 Tg Balb/cトランスジェニックマウスに100μLの滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、0.1mgの単離アミロイド増強因子(AEF,Axelrad et al.,Lab Invest(1982)47:139-146)を静脈内投与することにより、AAアミロイドーシスマウスモデルを作製した。アミロイドーシスの誘導から4~6週間後のマウスをこれらの試験で使用した。AAマウスモデルは、肝臓における広範囲の類洞アミロイド沈着、脾臓における初期及び大量の濾胞周囲アミロイド沈着、及び膵臓、腎臓、副腎、腸管における後期のアミロイド沈着、ならびに軽度の間質性心臓アミロイド沈着を特徴とする。
【0145】
125I-Fcp5R CV1(約10μg、約100μCi)を、AAアミロイドーシスを有するマウスに静脈内尾静脈注射することにより投与し、125I-Fcp5R CV1の生体内分布を注射後の各時点で検出した。具体的には、AAマウスの各群(n=群当たり4匹)に、125Iで標識したFcp5R CV1を注射し、次いで注射の1時間、4時間、または24時間後に安楽死させた。安楽死後のAAマウスから、脾臓、膵臓、左右の腎臓、肝臓、心臓、筋肉、胃、上部腸、下部腸、及び肺組織の試料を採取した。各試料を、風袋引きしたプラスチックバイアルに入れて秤量し、自動Wizard3ガンマカウンター(1480 Wallacガンマカウンター、PERKIN ELMER(登録商標))を使用して125Iの放射能を測定した。生体内分布データを、組織1グラム当たりの注入用量の割合(%ID/g)として表した。さらに、各組織の試料を10%緩衝ホルマリンで24時間固定し、組織学的検査及びオートラジオグラフィー用にパラフィンに埋め込んだ。オートラジオグラフィー用には、ホルマリン固定したパラフィン包埋ブロックから、Plus顕微鏡スライドグラス(FISHER SCIENTIFIC(登録商標))上で厚さ4~6μmの切片を切り出し、これをNTB2エマルション(EASTMAN KODAK(登録商標))中に浸漬し、暗所で保存して、96時間露光した後に現像した。各切片をヘマトキシリンで対比染色した。
【0146】
図5~8に示されるように、125I-Fcp5R CV1を、マウスの特に肝臓及び脾臓(このマウスモデルにおけるアミロイド沈着の主な部位)で検出した。トレーサーのさらなる取り込みが腎臓で観察された(図5)。注射後24時間超にわたる放射性ヨウ素化Fcp5R CV1の肝脾臓取り込みを示す、肝臓及び脾臓におけるアミロイド沈着物への結合を、小動物用SPECT/CTイメージングを用いて可視化した(図6)。心臓、肝臓及び脾臓におけるアミロイド沈着物への特異的な結合を、マイクロオートラジオグラフィーを使用して実証した(図7~8)。マイクロオートラジオグラフ(ARG)において、放射性標識したFcp5R CV1の存在は、黒色銀粒子の沈着により示された。銀粒子、したがって125I-Fcp5R CV1の分布は、コンゴーレッド染色された連続した組織切片(Congo red)に示されるアミロイドの分布と相関していた。これらの組織中のアミロイドと125I-Fcp5R CV1との特異的反応性は、注射24時間後の遅い時点でも観察された(図8)。
【0147】
実施例3.rVλ6Wil線維の結合及び食作用
アミロイド線維の食作用を促進するペプチド-Fc融合タンパク質の能力を、pHrodoレッドで標識したrVλ6Wil線維システムを用いて調べた。
【0148】
ヒトTHP1細胞(10個の細胞/ウェル)を、24ウェル組織培養処理プレートの各ウェルにコーティングした。50ng/mlのホルボールミリスチン酸酢酸(PMA)のアリコートを加え、5%のCOインキュベーター中、37℃で24時間インキュベートした。24時間後に、PMAを含む培地を慎重に取り出し、完全DMEM-F12培地と交換し、細胞を最小48時間静置した。食作用アッセイを行うため、培地をウェルから取り除き、ダルベッコPBSで洗浄した後、500μLのRPMIのアリコートを各ウェルに加えた。Fcp5Rの各バリアントまたはコントロールhFc1を、pHrodoレッドで標識した線維と適切な濃度で混合した後、24ウェルプレートの細胞に加えた。穏やかに混合した後、食作用を促進させるために、プレートを5%COインキュベーター中、37℃で1時間インキュベートする。1時間のインキュベーション終了時に、4倍対物レンズ及び赤色蛍光フィルターを用いた蛍光顕微鏡を使用して、pHrodoレッド蛍光体からの蛍光発光をイメージングした。各ウェルにつき4つの画像を撮影して、ウェルのすべての領域がカバーされ、バイアスなく表現されるようにした。各画像における蛍光量を、画像のセグメント化及び定量化(Image ProPlus)を用いて定量化した。蛍光単位はデジタルスペクトル数として測定した。
【0149】
図9に示されるように、Fcp5R CV1は、Fcp5R NV1よりもWil線維の取り込みを大きく促進した。理論に縛られることを望むものではないが、Fcp5R CV1によって誘導される食細胞活性の増加は、Fcp5R NV1に対してこのバリアントでは完全長のアミロイド反応性ペプチドが存在することによるものと考えられる。さらに、図10に示されるように、Fcp5R CV1は、Wil線維の取り込みにおいて用量依存的な応答を示した。
【0150】
さらに、Fcp5R CV1がrVλ6Wil線維に結合する能力を、ヒトFc1コントロールと比較して測定した。図11に示されるように、Fcp5R CV1は、rVλ6Wil線維に、2.5nMのEC50で結合したが、ヒトFc1コントロールは線維に結合しなかった。
【0151】
実施例4.さらなるペプチド-Fcコンストラクトの設計
さらなるペプチド-Fcコンストラクトが考えられる。1つのコンストラクトでは、p5Rペプチドは、図1の第3段目に示されているように、柔軟な長いスペーサー(GGGGSGGGGS、配列番号16)を介して第1のFcドメイン及び第2のFcドメインのC末端に融合されている。別のコンストラクトでは、p5R+14ペプチド(さらに4個のアミロイド結合アルギニン残基を含む、さらに14個のアミノ酸を有する拡張されたp5R変異体)は、図1の最下段に示されるように、短い剛直なスペーサー(VSPSV、配列番号15)を介して、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインのC末端に融合されている。これらのコンストラクトのアミノ酸配列を、下記表4に示す。
【表4】
【0152】
実施例5-全身性血清アミロイドタンパク質A関連(AA)アミロイドーシスを有するマウスにおける125I-Fcp5RCV1の生体内分布。
hFc1CV1を一過性にトランスフェクトしたCHO細胞によって発現させた。Fcペプチド融合をプロテインAにより精製した。チロシン側鎖への酸化的取り込みにより、hFc1CV1をヨウ素-125で放射性標識した。遊離放射性ヨウ素をサイズ排除クロマトグラフィーにより分離し、放射性純度をSDS-PAGE及びオートラジオグラフィーにより評価した。
【0153】
全身性AAアミロイドーシスまたはアミロイドフリーの野生型マウス(コントロールとして)のマウスの外側尾静脈に約100μCi(10μgの試薬)を静脈内注入した。トランスジェニックAAマウスは、あらゆる臓器及び組織で全身性アミロイドを発症するが、肝臓、脾臓、及び腎臓における重度のアミロイドを特徴とし、心臓ではわずかな沈着物しか見られない。注入後、1時間、4時間、24時間及び48時間に、マウス(1群当たりn=4)をイソフルランの過剰投与により安楽死させ、SPECT/CT画像を取得した。
【0154】
その直後に、臓器内での試薬の生体内分布の尺度として、組織に関連する放射能を測定するために試料または臓器及び血液を採取した。この分析により、アミロイドが沈着した臓器では、注入後1時間以内に急速な蓄積が示され、特に肝臓、脾臓、腎臓、胃及び心臓で125I-hFc1CV1が保持され、放射能はこれらの臓器で経時的に減少することが示された(図12A)。
【0155】
注入の48時間後に、野生型マウスにおける125I-hFc1CV1と比較して、肝臓、脾臓、膵臓、胃及び心臓で放射性標識hFc1CV1が有意に保持されており、これらの臓器におけるリガンドとしてのアミロイドへの特異的結合が示された(図12B)。
【0156】
AAマウスの臓器における放射性標識hFc1CV1の分布を、マイクロオートラジオグラフィーを用いて評価した。組織の試料を、10%緩衝ホルマリン中で24時間固定し、パラフィンブロック中に包埋し、厚さ6μmの組織切片をスライドグラス上で調製した。スライドを写真乳剤に3日間曝露した後、H&Eで対比染色した。組織中の放射能の存在は黒色銀粒子の沈着により示された。評価したすべての臓器で組織中のアミロイド沈着物と関連して放射性標識hFc1CV1の結合が観察され、病変組織への特異的結合が示された(図13A及び図13B)。注入の1時間後(図13A)、125I-hFc1CV1は、オートラジオグラフ(ARG)に示されるように既に組織中の特定の部位に蓄積しており、コンゴーレッド(CR)染色された組織切片中で緑色/金色の複屈折として見られるアミロイドの存在と相関していた。注入の24時間後(図13B)では、125I-hFc1CV1の強い特異的なアミロイド結合は、ARGにおいて依然明らかであった。
【0157】
実施例6-hFc1CV1は、インビトロでヒトALアミロイド抽出物の食作用を増強する
hFc1CV1を、灌流培養条件下で増殖させた安定的にトランスフェクトしたCHO細胞によって発現させ、7日目に精製した。Fcペプチド融合をタンパク質Aにより精製した。
【0158】
アミロイド様線維(rVλ6WIL)、ヒトAL抽出物(ALλまたはALκ)及びヒトATTRwtアミロイド抽出物を、エクスビボ食作用アッセイで使用するためにpH感受性色素スクシンイミジル-pHrodoレッド蛍光体で標識した。ヒトTHP-1細胞をホルボールミリスチン酸酢酸(PMA)の添加により活性化させ、24ウェル組織培養プレートの各ウェル上に播種した。アミロイド抽出物の20μg粒塊を、増加する量のhFc1CV1またはコントロールhIgG1抗体(6nM、20nM、60nM及び200nM)と共に各ウェルに加え、各プレートを37℃で1時間インキュベートした。各ウェルを、倒立型蛍光顕微鏡(Keyance BZ X800)を使用して観察し、各ウェルについて4つのデジタル画像(4倍対物レンズ)を取得した。各画像の蛍光を、スペクトルセグメンテーションを用いて定量化し、4つの画像の平均及びSDを求めた(図14A図14D)。
【0159】
結果は、hFc1CV1が、活性化ヒトTHP-1マクロファージによる多様なアミロイド抽出物の食作用を用量依存的に増強し、その効果はAL抽出物及びATTRwt抽出物の両方で約60nMで飽和することを示している。アミロイド基質の食作用の増加による蛍光発光の増強は、すべての濃度でコントロールhIgG1よりも有意に大きかった。
【0160】
これらのデータは、hFc1CV1によるヒトアミロイドのオプソニン化が、ヒトマクロファージによるアミロイドの顕著な食作用をもたらすことを示している。
【0161】
実施例7 補体の供給源としてのヒト血漿は、インビトロでヒトALアミロイド抽出物のhFc1CV1媒介性食作用を増強する
hFc1CV1を、灌流培養条件下で増殖させた安定的にトランスフェクトしたCHO細胞によって発現させ、7日目に精製した。Fcペプチド融合をプロテインにより精製した。
【0162】
アミロイド様線維(rVλ6WIL)及びヒトAL抽出物(ALλまたはALκ)アミロイド抽出物を、pH感受性色素スクシンイミジル-pHrodoレッド蛍光体で標識した。ヒトTHP-1細胞をホルボールミリスチン酸酢酸(PMA)の添加により活性化させ、24ウェル組織培養プレートの各ウェル上に播種した。20%のヒト血漿(補体の供給源として)の存在下または非存在下で、アミロイド抽出物の20μgの粒塊を60nMのhFc1CV1と共にウェルに加えた。各ウェルを、倒立型蛍光顕微鏡(Keyance BZ X800)を使用して観察し、各ウェルについて4つのデジタル画像(4倍対物レンズ)を取得した。各画像の蛍光を、スペクトルセグメンテーションを用いて定量化し、4つの画像の平均及びSDを求めた。結果は、血漿/補体が活性化ヒトTHP-1マクロファージによるヒトアミロイド抽出物の食作用を誘発するhFc1CV1の効果を有意に高めることを示している(図15)。
【0163】
これらのデータは、血漿中の補体成分の存在下でのhFc1CV1によるヒトアミロイドのオプソニン化が、ヒトマクロファージによるアミロイドの食作用を有意に高めることを示している。
【0164】
実施例8 hFc1CV1は、サブナノモル効力を有するさまざまな形態のアミロイドに結合する
hFc1CV1を、灌流培養条件下で増殖させた安定的にトランスフェクトしたCHO細胞によって発現させ、7日目に精製した。Fcペプチド融合をタンパク質Aにより精製した。
【0165】
合成アミロイド様線維(rVλ6WIL)ならびにヒトAL抽出物(ALλまたはALκ)及びヒトATTRV及びATTRwtアミロイド抽出物をhFc1CV1の結合の基質として使用した。Fcペプチド結合体を、400nMから出発して2倍段階希釈で各ウェルに加えた。結合したhFc1CV1の検出を、ビオチン化ヤギ抗ヒトFc反応性二次抗体及びストレプトアビジン-ユーロピウム結合体の添加後の時間分解蛍光を測定することにより評価した(図16)。3重の実験の平均及びSDを計算し、対数x軸を有するS字4PL方程式にフィッティングした後、効力(EC50)を求めた(Prism)(表5)。
【0166】
hFc1CV1のアミロイド基質への結合の推定効力(EC50)値は、0.5nM(合成線維に対する)からATTRvアミロイド抽出物に対する1.8nMの範囲であった。これらのデータは、合成線維ならびにヒトAL及びATTRアミロイド抽出物に対するhFc1CV1の高親和性結合を示している。
【表5】
【0167】
hFcCV1が結合する基質として、合成アミロイド様線維(タウ441、α-シヌクレイン、及びAβ(1-40))を使用した。hFc1CV1を、400nM(示されるAβ線維の場合、50nM)から出発して2段階連続希釈で各ウェルに添加した。結合したhFcCV1の検出を、ビオチン化ヤギ抗ヒトFc反応性二次抗体及びストレプトアビジン-ユーロピウム結合体の添加後の時間分解蛍光を測定することにより評価した(図17)。3重の実験の平均及びSDを計算し、対数x軸を有するS字4PL方程式にフィッティングした後、効力(EC50)を求めた(Prism)(表5)。
hFc1CV1の線維への結合についての推定効力(EC50)値は、α-シヌクレイン、タウ441及びAβ(1-40)について、7.3nM、7nM及び0.7nMであった(表5)。
【0168】
実施例8-組織切片中のアミロイドへのビオチン化hFc1CV1の結合
ホルマリン固定したパラフィン包埋切片を、ALまたはATTRアミロイドを含有する組織から調製した。アルツハイマー病患者由来の脳組織の追加試料も評価した。標準的な免疫組織化学的方法を用いてビオチン化hFc1CV1(PBS中2μg/mL)で組織を染色し、ジアミノベンジジンの添加後に可視化した。同じ組織からのスライド中のアミロイドの存在を、組織をアルカリ性コンゴーレッドの溶液で染色した後、コンゴーレッド蛍光によって可視化した。
【0169】
hFc1CV1は、アルツハイマー病患者の脳内のAβアミロイド及び血管壁内のAβアミロイドからなるびまん性及びコアプラークに特異的に結合した(図18A
【0170】
同様に、アミロイドとの特異的結合が腎臓及び肝臓におけるALアミロイド沈着物でも観察された(図18B)。ATTR及びAL心臓アミロイドーシスの2つの試料中の心筋細胞を取り囲む心臓アミロイド沈着物に対するhFc1CV1の特異的結合も認められた(図18C)。
【0171】
これらのデータは、多様な組織におけるさまざまな種類の組織アミロイド沈着物とhFc1CV1との特異的反応性を示すものである。したがって、p5Rペプチドによって媒介されるhFc1CV1の汎アミロイド反応性が、アミロイド関連疾患の最も一般的な3つの形態に由来する組織を用いた免疫組織化学的染色によって示された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
【配列表】
2024519488000001.app
【国際調査報告】