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特表2024-519493局所ナプロキセン製剤及びそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】局所ナプロキセン製剤及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20240507BHJP
   A61P 29/02 20060101ALI20240507BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 31/593 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240507BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240507BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A61K31/192
A61P29/02
A61P43/00 121
A61K31/167
A61K31/05
A61K31/593
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/38
A61K47/34
A61K47/20
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567954
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 US2022027935
(87)【国際公開番号】W WO2022235978
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/184,631
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522174096
【氏名又は名称】スマーテック トピカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ナット,トーマス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA13
4C076BB31
4C076CC01
4C076DD37
4C076DD37N
4C076DD38
4C076DD38N
4C076DD39
4C076DD41
4C076DD41N
4C076DD55
4C076DD55N
4C076EE23
4C076EE49
4C076FF34
4C076FF36
4C086AA01
4C086DA14
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA63
4C086NA03
4C086NA11
4C086ZA08
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206DA22
4C206GA19
4C206GA31
4C206KA01
4C206KA04
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA83
4C206NA03
4C206NA11
4C206ZA08
4C206ZC41
4C206ZC75
(57)【要約】
長鎖一価不飽和脂肪酸、長鎖一価不飽和脂肪アルコール、テルペン、またはそれらの組み合わせ、及びエタノール、プロピレングリコール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、及び任意選択でジメチルスルホキシド(「DMSO」)を含む溶媒混合物を含む局所ナプロキセン製剤であって、製剤が、約5.0重量%以下の水を含み、好ましくは無水である、局所ナプロキセン製剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.5重量%~約25重量%のナプロキセンと;
約1.0重量%~約15.0重量%の長鎖一価不飽和脂肪酸、長鎖一価不飽和脂肪アルコール、テルペン、またはそれらの組み合わせと;
0~約5.0重量%のポロキサマーと;
0~約5.0重量%の医薬的に許容されうるセルロース系賦形剤と;
0~約5.0重量%のコハク酸α-トコフェリルポリエチレングリコール(「TPGS」または「ビタミン E TPGS」)と;
エタノール、プロピレングリコール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、及び任意選択でジメチルスルホキシド(「DMSO」)を含む溶媒混合物と
を含む、局所ナプロキセン製剤であって、
前記製剤が、約5.0重量%以下の水を含む、前記局所ナプロキセン製剤。
【請求項2】
前記製剤が:
約5重量%~約20重量%のナプロキセンと;
約5重量%~約15重量%のオレイン酸、オレイルアルコールまたはそれらの組み合わせと;
約15重量%~約45重量%のDMSOと;
約5重量%~約15重量%のプロピレングリコールと;
約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースと;
0~約50重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールと;
約1重量%~約5重量%のTPGSと;
0~約50重量%のポロキサマー188と;
0~約5重量%のリドカインと;
0~約5重量%のカンナビジオールと;
0~約0.1重量%のビタミンD3と;
100重量%までの適量のエタノールと
を含む、請求項1に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項3】
前記製剤が:
約5重量%~約20重量%のナプロキセンと;
約5重量%~約15重量%のオレイン酸、オレイルアルコールまたはそれらの組み合わせと;
約15重量%~約45重量%のDMSOと;
約5重量%~約15重量%のプロピレングリコールと;
約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースと;
約10重量%~約30重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールと;
約1重量%~約4重量%のTPGSと;
0~約50重量%のポロキサマー188と;
0~約5重量%のリドカインと;
100重量%までの適量のエタノールと
を含む、請求項1に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項4】
前記製剤が:
約5重量%~約20重量%のナプロキセンと;
約5重量%~約15重量%のオレイン酸、オレイルアルコールまたはそれらの組み合わせと;
約15重量%~約45重量%のDMSOと;
約5重量%~約15重量%のプロピレングリコールと;
約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースと;
約10重量%~約30重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールと;
約1重量%~約5重量%のTPGSと;
100重量%までの適量のエタノールと
を含む、請求項1に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項5】
前記製剤が:
約5重量%~約20重量%のナプロキセンと;
約5重量%~約15重量%のオレイン酸、オレイルアルコールまたはそれらの組み合わせと;
約15重量%~約45重量%のDMSOと;
約5重量%~約15重量%のプロピレングリコールと;
約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースと;
約10重量%~約30重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールと;
100重量%までの適量のエタノールと
を含む、請求項1に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項6】
前記製剤が、約1.0重量%以下の水を含む、請求項1~5の一項に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項7】
前記製剤が無水である、請求項1~6の一項に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項8】
前記製剤が透明である、請求項1~7の一項に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項9】
前記製剤が、20℃、589nmで透過モードにおいてアッベ屈折計を使用して測定された、1~2の屈折率を有する、請求項1~8の一項に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項10】
前記製剤が、少なくとも5重量%のエタノール、約10.0~約12重量%のプロピレングリコール、約15重量%~約45重量%のジメチルスルホキシド、及び約10.0~約50重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを含む、請求項1~9の一項に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項11】
前記製剤が、約5重量%~約15重量%の長鎖一価不飽和脂肪酸、長鎖一価不飽和アルコールまたはそれらの混合物を含む、請求項1~10の一項に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項12】
前記製剤中に存在する前記長鎖一価不飽和脂肪酸、長鎖一価不飽和アルコール、またはそれらの混合物が、オレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物を含むかまたはこれらからなる、請求項1~11の一項に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項13】
前記製剤が、ポロキサマー-101、-105、-105ベンゾエート、-108、-122、-123、-124、-181、-182、-182ジベンゾエート、-183、-184、-185、-188、-212、-215、-217、-231、-234、-235、-237、-238、-282、-284、-288、-331、-333、-334、-335、-338、-401、-402、-403、及び-407からなる群から選択されるポロキサマーを含む、請求項1~12の一項に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項14】
前記製剤が、約2重量%~約5重量%のポロキサマー-188を含む、請求項13に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項15】
前記製剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びエチルヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される医薬的に許容されうるセルロース系賦形剤を含む、請求項1~14の一項に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項16】
前記製剤が、約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースを含む、請求項15に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項17】
前記製剤が、約1重量%~約5重量%のTPGSを含む、請求項1~16の一項に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項18】
前記製剤が、以下の無水製剤1~60のうちの1つであり、その際、示された値はそれぞれ、前記示された値の+/-10%、前記示された値の+/-1%であるか、または前記示された値である、請求項1に記載の局所ナプロキセン製剤。
【表1】
【請求項19】
前記製剤が無水である、請求項18に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項20】
前記製剤が透明である、請求項18または19に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項21】
前記製剤が、20℃、589nmで透過モードにおいてアッベ屈折計を使用して測定された、1~2の屈折率を有する、請求項18~20の一項に記載の局所ナプロキセン製剤。
【請求項22】
請求項1~21の一項に記載の局所ナプロキセン製剤を部位に局所的に適用することを含む、ヒトの身体の前記部位で疼痛発現を局所的に治療する方法。
【請求項23】
前記疼痛発現が急性疼痛発現である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記疼痛発現が慢性疼痛発現である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
膝(複数可)の変形性関節症の疼痛を局所的に治療する方法であって、請求項1~21の一項に記載の局所ナプロキセン製剤を、前記膝(複数可)に局所的に適用することを含む、前記方法。
【請求項26】
ナプロキセンの局所用量が、約80mg、約40mg、約30mg、約20mg、または約10mgである、請求項22~25の一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、2021年5月5日に出願された米国仮出願第63/184,631号の利益を主張するものであり、その優先権が主張され、すべての表、図、及び請求項を含むその全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本開示の背景の以下の説明は、読み手が本開示を理解するのを助けるために提供されているにすぎず、本開示への従来技術を説明または構成するとは認められない。
【0003】
シクロオキシゲナーゼ(COX、プロスタグランジン-エンドペルオキシドシンターゼとしても知られる)は、アラキドン酸からの、トロンボキサン及びプロスタサイクリンなどのプロスタグランジンを含む、プロスタノイドの形成に関与する酵素のファミリーを指す。プロスタノイドは疼痛及び炎症のメディエータであるため、COXは一般的な医薬標的に相当する。アラキドン酸からのプロスタグランジン、プロスタサイクリン及びトロンボキサンなどのプロスタノイドの産生を触媒する酵素であるプロスタグランジンG/Hシンターゼ(シクロオキシゲナーゼまたはCOX)を阻害する剤は、COX阻害剤と呼ばれる。一般的な非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えばアスピリン及びイブプロフェンは、酵素COX-1及びCOX-2の阻害によって効果を発揮するが、一方、NSAID、例えばアセレコキシブ及びエトリコキシブは、COX-2アイソザイムに特異的である。アセトアミノフェンは、わずかな抗炎症活性しか持たないため、NSAIDとはみなされないが、COX-2を遮断し、同時にエンドカンナビノイド再取り込みを阻害することによって疼痛を治療する。
【0004】
局所製剤におけるCOX阻害剤の使用は、患者が全身療法に関連する有害作用を受ける可能性を減らすのに有益でありうる。皮膚に直接適用される薬剤は、局所作用または全身効果のいずれかを意図しうる。局所的に適用される薬剤(例えば、局所パッチ、クリーム、ゲル、軟膏、溶液など)は、所望の療法効果を達成するために局所組織に到達することを意図することも可能であり、または経皮的に作用して、経口投与される薬剤に匹敵する全身濃度をもたらすことも可能である。
【0005】
疼痛を伴う状態の治療に認可されているNSAID製品は、米国で利用可能なものがいくつか存在する。ジクロフェナクナトリウム1%ゲル(Voltaren Gel)は、膝関節及び手の関節などの局所治療に適した関節の変形性関節症による疼痛の緩和に認可されている。この製品は、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、及び皮膚の薬物浸透を助ける水を含む、ビヒクル中の様々な追加成分を含有する。ジクロフェナクナトリウム局所溶液1.5%w/w(PENNSAID)は、膝(複数可)の変形性関節症の徴候及び症状の治療に示されている。この製品中の追加の吸収増進成分には、DMSO、プロピレングリコール、水及びアルコールが含まれる。ジクロフェナクエポラミン1.3%の局所用パッチ(Flector Patch)は、軽症の筋挫傷、捻挫、及び打撲による急性疼痛の局所治療に示されている。パッチは、1.3%ジクロフェナクエポラミンを含む粘着材を不織ポリエステルフェルト裏地に適用し、貼る前に除去するポリプロピレンフィルム剥離ライナーで被覆したもので構成される。
【0006】
局所製剤が、薬物の血清レベルを低く維持し、場合によっては全身毒性を回避しながら、局所組織における薬物の療法濃度を達成できることを示す証拠がある。局所ジクロフェナク調製物は、報告された最大血清濃度が、経口ジクロフェナクで達成された最大血清濃度の0.4~2.2%であり、その結果、有意に全身曝露が減少している。作用部位での薬物濃度が高いことと全身濃度が低いことを合わせると、有害作用のリスクが低下しつつ、全身性NSAIDの効力と同等以上の効力が得られる可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、本開示は、局所ナプロキセン製剤を提供する。これらの局所製剤は:
約0.5重量%~約25重量%のナプロキセンと;
約1.0重量%~約15.0重量%の長鎖一価不飽和脂肪酸、長鎖一価不飽和脂肪アルコール、テルペン、またはそれらの組み合わせと;
0~約5.0重量%のポロキサマーと;
0~約5.0重量%の医薬的に許容されうるセルロース系賦形剤と;
0~約5.0重量%のコハク酸α-トコフェリルポリエチレングリコール(「TPGS」または「ビタミンE TPGS」)と;
エタノール、プロピレングリコール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、及び任意選択でジメチルスルホキシド(「DMSO」)を含む溶媒混合物と
を含むかまたはこれらからなり、
製剤は、約5.0重量%以下の水、好ましくは約1.0%以下、最も好ましくは0%の水を含む。
【0008】
特定の実施形態では、局所製剤は:
約5重量%~約20重量%のナプロキセンと;
約5重量%~約15重量%のオレイン酸、オレイルアルコールまたはそれらの組み合わせと;
約15重量%~約45重量%のDMSOと;
約5重量%~約15重量%のプロピレングリコールと;
約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースと;
0~約50重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールと;
約1重量%~約5重量%のTPGSと;
0~約50重量%のポロキサマー188と;
0~約5重量%のリドカインと;
0~約5重量%のカンナビジオールと;
0~約0.1重量%のビタミンD3と;
100重量%までの適量のエタノールと
を含むかまたはこれらからなり、
製剤は無水であり、この用語は以下に定義される。
【0009】
特定の実施形態では、局所製剤は:
約5重量%~約20重量%のナプロキセンと;
約5重量%~約15重量%のオレイン酸、オレイルアルコールまたはそれらの組み合わせと;
約15重量%~約45重量%のDMSOと;
約5重量%~約15重量%のプロピレングリコールと;
約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースと;
約10重量%~約30重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールと;
約1重量%~約4重量%のTPGSと;
0~約50重量%のポロキサマー188と;
0~約5重量%のリドカインと;
100重量%までの適量のエタノールと
を含むかまたはこれらからなり、
製剤は無水であり、この用語は以下に定義される。
【0010】
特定の実施形態では、局所製剤は:
約5重量%~約20重量%のナプロキセンと;
約5重量%~約15重量%のオレイン酸、オレイルアルコールまたはそれらの組み合わせと;
約15重量%~約45重量%のDMSOと;
約5重量%~約15重量%のプロピレングリコールと;
約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースと;
約10重量%~約30重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールと;
約1重量%~約4重量%のTPGSと;
100重量%までの適量のエタノールと
を含むかまたはこれらからなり、
製剤は無水であり、この用語は以下に定義される。
【0011】
特定の実施形態では、局所製剤は:
約5重量%~約20重量%のナプロキセンと;
約5重量%~約15重量%のオレイン酸、オレイルアルコールまたはそれらの組み合わせと;
約15重量%~約45重量%のDMSOと;
約5重量%~約15重量%のプロピレングリコールと;
約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースと;
約10重量%~約30重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールと;
100重量%までの適量のエタノールと
を含むかまたはこれらからなり、
製剤は無水であり、この用語は以下に定義される。
【0012】
ナプロキセンは、遊離酸として、または多様な塩(例えば、ナプロキセンナトリウム)またはエステル(例えば、ナプロキセンメチルエステル)として、本発明の局所製剤中に存在することができる。
【0013】
好ましい実施形態では、本発明の局所製剤は、透き通っており、透明で、わずかに粘性である。これらの製剤では、ナプロキセンは、製剤のいずれの構成要素とも共結晶を形成せず、むしろ製剤中で可溶化される。
【0014】
様々な実施形態において、局所製剤は、カンナビノイド(例えば、テトラヒドロカンナビノール(D9-THC)、テトラヒドロ-カンナビノール酸-A(THCA-A)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビゲロール(CBG)及びカンナビゲロール酸(CBGA))、アセトアミノフェン、ベンジダミン、ブフェキサマク、ジクロフェナク、エトフェナマート、フルフェナム酸、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、及びサリチル酸塩(例えば、サリチル酸、サリシン、ジフルニサル、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸コリン)からなる群から選択される1種以上のCOX阻害剤をさらに含む。
【0015】
特定の実施形態では、局所製剤は、製剤中に存在する量の少なくとも7%のナプロキセンの経皮吸収を提供する。経皮吸収(または皮膚透過)は、一連の順序のステップ:角質層の表面層への浸透性分子の吸着、その角質層及び生存表皮を通した拡散からなるものとして見ることができる。真皮の乳頭層では、分子が微小循環に取り込まれ、その後、全身分配が行われる。局所的に適用された薬物の経皮吸収を測定するための方法は、当該技術分野において公知である。例えば、Kezic,Hum.Exp.Toxicol.2008 27(4):289-95.doi:10.1177/0960327107085825を参照されたい。好ましくは、本請求項による製剤は、ナプロキセンの少なくとも10%の経皮吸収を提供する。
【0016】
最も好ましい実施形態では、局所製剤は、水を含まず;すなわち、製剤は無水である。「水の重量%」、「水なし」または「無水」とは、製剤が、示された重量%の水を含有するか、あるいは水自体として添加されるかまたは液体溶媒の1つの構成要素として添加される水の使用を含まないことを意味する。例として、5%の水を含む共沸混合物である95%エタノールは、エタノール中に水が存在するので、無水製剤中では使用されない。しかし、水和イオン性化合物(水和の水を含有する「水和物」である化合物)の構成要素である、または吸湿性の吸収から生じる水は、このような無水製剤中に存在してもよい。
【0017】
本明細書で使用されるような用語「重量%」は、(構成要素の質量/製剤の総質量)×100を指す。例として、2重量%のナプロキセンとは、製剤100g当たり2gのナプロキセンを指す。
【0018】
用語「長鎖一価不飽和脂肪酸」は、少なくとも14個の炭素及び単一の二重結合を有する脂肪酸を指す。用語「長鎖一価不飽和脂肪アルコール」は、同等のアルコール(すなわち、-OH基が、アルコキシではなく末端の炭素に結合する)を指す。例えば、オレイン酸の式は、CH(CHCH=CH(CHCOOHであり、同等のオレイルアルコールの式は、CH(CH-CH=CH-(CHOHである。この群に含まれる一価不飽和脂肪酸の例には、限定されるわけではないが、以下が含まれる:
【表1】
【0019】
様々な実施形態において、製剤中に存在する長鎖一価不飽和脂肪酸及び/または長鎖一価不飽和脂肪アルコールは、C16:1~C22:1の脂肪酸またはアルコールである。好ましい実施形態では、製剤中に存在する長鎖一価不飽和脂肪酸は、約1~約15重量%のオレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物、より好ましくは約1~約10重量%のオレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物、最も好ましくは約1~約5重量%のオレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物を含むか、またはそれらからなる。特定の実施形態では、製剤中に存在する長鎖一価不飽和脂肪酸は、約1重量%のオレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物、約2重量%のオレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物、約3重量%のオレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物、約4重量%のオレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物、約5重量%のオレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物、約6重量%のオレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物、約7重量%のオレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物、約8重量%のオレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物、約9重量%のオレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物、あるいは約10重量%のオレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物を含むかまたはそれらからなる。
【0020】
ポロキサマーは、ポリオキシプロピレンの中央の疎水性鎖に2本のポリオキシエチレンの親水性鎖が隣接して構成される非イオン性トリブロックコポリマーであり、これらのコポリマーは、通常、文字P(ポロキサマーを示す)の後に3つの数字が続き;最初の2つの数字に100を掛けるとポリオキシプロピレンコアの近似分子量が得られ、最後の数字に10を掛けるとポリオキシエチレン含有量パーセントが得られる。本開示で使用されうるポロキサマーの例は、限定されるわけではないが、ポロキサマー-101、-105、-105ベンゾエート、-108、-122、-123、-124、-181、-182、-182ジベンゾエート、-183、-184、-185、-188、-212、-215、-217、-231、-234、-235、-237、-238、-282、-284、-288、-331、-333、-334、-335、-338、-401、-402、-403、及び-407を含む。好ましい実施形態では、製剤中に存在するポロキサマーは、約0.1~約5重量%のポロキサマー-188を含むかまたはそれからなるか、あるいはポロキサマーを含有しない。
【0021】
セルロース及びその誘導体(例えば、エーテル及びエステル誘導体)は、様々な目的を有する医薬品配合及び工業製品においてしばしば使用される賦形剤の中に含まれている。それらの使用の中には、経口液体調製物における懸濁剤として、及び局所製剤における増粘剤としてのものがある。本開示において使用されうる医薬的に許容されうるセルロース系賦形剤の例は、限定されるわけではないが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びエチルヒドロキシエチルセルロースを含む。好ましい実施形態では、製剤中に存在する医薬的に許容されうるセルロース系賦形剤は、約1.0~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースを含むかまたはそれからなる。特定の実施形態では、製剤中のセルロース系賦形剤は、約1重量%のヒドロキシプロピルセルロース、約2重量%のヒドロキシプロピルセルロース、約3重量%のヒドロキシプロピルセルロース、約4重量%のヒドロキシプロピルセルロース、または約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースを含むか、またはそれからなる。特定の他の実施形態では、製剤はセルロース系賦形剤を含まない。
【0022】
特定の実施形態では、本発明の局所製剤は、1つ以上の麻酔剤、例えば、プロカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、コカイン、及びベンゾカイン、ジブカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ブピバカイン、レボブピバカイン、ロピバカイン、アルチカイン、及びエチドカインを含む。そのような剤の適切な量は、製剤の約5%までである。
【0023】
特定の実施形態では、本発明の局所製剤は透明である。本明細書において使用されているような用語「透明な」は、製剤の向こう側に位置する物体が人間の目に見えるように、認識可能な散乱を伴わずに可視光を透過する特性を有する製剤を指す。ヒトの可視スペクトルは、約380nm~約750nmに及ぶ。20℃の水は860nmで顕著な吸収を示すが、本発明の目的のためには透明であると見なされる。
【0024】
ほとんどの透明媒体は、589nmの波長で、ナトリウムの黄色2つ組D線で測定される1~2の屈折率を有する。例えば、水の屈折率は1.33である。対照的に、混濁媒体の屈折率は、複数の光散乱効果のために透過モードでは測定不能であり、典型的には、代わりに反射モードで測定される。したがって、特定の実施形態では、本発明の局所製剤は、20℃、589nmで透過モードにおいてアッベ屈折計を使用して測定した場合に1~2の屈折率を有する。
【0025】
特定の実施形態では、本発明の局所製剤は、わずかに粘性である。本明細書で使用されるような用語「わずかに粘性」は、20℃で約100センチポアズ超かつ約5000センチポアズ未満の粘度を有する製剤を指す。比較のために、20℃での水の粘度は1センチポアズである。特定の実施形態において、わずかに粘性である製剤は、20℃で約500センチポアズ超かつ約2000センチポアズ未満である。
【0026】
値に関して本明細書全体を通して使用されるような用語「約」は、+/-10%以下を指す。特定の実施形態では、所定の値の+/-10%を、所定の値の+/-5%または所定の値の+/-1%で置き換えることができる。
【0027】
本開示の例示的な製剤のリストを、以下の表に見ることができる。いずれの場合も、表に列挙された値は、その範囲内に各値の+/-10%、+/-5%または+/-1%を含んでもよい。いずれの場合も、製剤は、好ましくは無水であり、透明でわずかに粘性のあるゲルを形成し、この中では、ナプロキセンが共結晶の形ではなく、むしろ製剤に完全に可溶化されている。最も好ましくは、各製剤は、20℃、589nmで透過モードにおいてアッベ屈折計を使用して測定された場合に1~2の屈折率を示す。
【表2】
【0028】
関連する態様では、本開示は、本開示による局所ナプロキセン製剤を部位に局所的に適用することを含む、疼痛発現を人体の身体の部位で局所的に治療するための方法を提供する。様々な実施形態では、疼痛発現は、急性疼痛発現または慢性疼痛発現である。治療されうる疼痛発現の例は、限定されるわけではないが、変形性関節症、関節リウマチ、軽度から中程度の炎症及び組織傷害、腰痛、炎症性関節症(例えば、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎)、テニス肘、頭痛、術後疼痛、パーキンソン病による筋硬直及び疼痛、ならびに外傷性傷害を含む。好ましい実施形態では、本方法は、膝(複数可)の変形性関節症の疼痛を局所的に治療するためのものであり、本開示による局所ナプロキセン製剤を膝(複数可)に局所的に適用することを含む。
【0029】
特定の実施形態では、適用される開示によるナプロキセン製剤の用量は、約80mg、約40mg、約30mg、約20mg、または約10mgのナプロキセン量を提供する。特定の実施形態では、例えば、4mLの2重量%ナプロキセン製剤を適用すると、80mgのナプロキセンの局所用量が提供され;2mLでは40mgが提供され、1mLでは20mgが提供される等であろう。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示の製剤は、ゲル、ローション、クリーム、スプレー、エアロゾル、軟膏、エマルジョン、懸濁液、リポソーム系、ラッカー、パッチ、絆創膏、口内錠、ウェハー、舌下錠、坐剤、膣剤形または閉鎖包帯の形態にある。特定の実施形態では、製剤は、ゲルである。いくつかの実施形態では、本開示の製剤は、例えば、ゲル、軟膏またはクリームとして皮膚に直接適用されるか、あるいはパッチ、絆創膏または他の閉鎖包帯により間接的に適用される。本開示の製剤は、患者の状態に応じて、1日1回または1日複数回適用することができる。いくつかの実施形態では、製剤は、1日1回、2回、3回または4回の投与に対して、所望される長さにわたって、適切には数日から数週間、数ヶ月のオーダーで、または所望される場合にはそれよりも長く適応する。組成物は、手、腕、体幹、背中、脚、足などを含む任意の皮膚表面に投与することができる。
【0031】
本開示が、その用途において、以下の説明に示される、または図面に例示される、構成の詳細及び構成要素の配置に限定されないことが理解されるものとする。本開示は、記載されたものに加えて実施形態を実施することができ、様々な方法で実施及び実行することができる。本明細書とともに要約に採用されている表現及び用語は、説明を目的としており、限定的なものと見なすべきでないことも理解すべきである。
【0032】
したがって、当業者は、本開示の基礎となる概念が、本開示のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法及びシステムの設計の基礎として容易に利用されうることを理解するであろう。したがって、特許請求の範囲は、そのような同等の構造が本開示の精神及び範囲から逸脱しない限り、これらを含むと見なされるべきであることが重要である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
COX阻害薬の局所、経皮送達における最大の障害は、皮膚の最外層である角質層(SC)の閉塞性、皮膚結合、皮膚代謝、皮膚毒性及び長時間の遅延時間である。経皮吸収を高めるために、様々な方法論が開発されており、これには薬物誘導体、過飽和系、物理的アプローチ、及びSCを通じた薬物の拡散を促進する化学浸透促進剤(吸着促進剤)の使用が含まれる。その点で、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコールまたは脂肪アルコールエーテル、脂肪エーテル、低級アルコール、グリセロールエステル、多価アルコール、ジオール、アミド(例えば、N,N-ジエチル-m-トルアミド)、アミン、テルペン、極性溶媒、ピロリドン及びその誘導体、スルホキシド、アゾンまたはラウロカプラム、界面活性剤、レシチン、ポリオール、グリコール、四級アンモニウム化合物、シリコーン、アルカノエート、特定の生物製剤(biologies)、酵素、錯化剤、大環状化合物、溶媒等を含む多数の化学物質が皮膚透過促進能のために使用されている。
【0034】
本明細書で使用される「浸透増進」とは、活性医薬成分(API)が皮膚に浸透する速度を高めるために、APIに対する皮膚の浸透性を高めることを指す。同様に、「透過増進剤」(PE)とは、そのような浸透増進を達成する剤または剤の混合物を指す。本開示に適したPE混合物は、1つ以上の以下の機構:(1)皮膚における薬物の拡散性を高めることによって;(2)バリア機能の低下につながるSC脂質流動化(可逆作用)を引き起こすことによって;(3)ビヒクルにおける薬物の熱力学的活性を高めて最適化することによって;(4)薬物の分配係数に影響を与えることによって;(5)製剤から皮膚の上層への放出を高めることによって、皮膚を通じたAPIの浸透を促進する。
【0035】
特定の実施形態において、本開示に適したPE混合物は、以下の特徴:非毒性、非刺激性、非アレルギー性、及び/または皮膚に対する非感受性;少なくとも適切な浸透作用を発揮するために必要な濃度で、薬理学的に不活性であり;即時的、予測的、及び/または可逆的効果を有し;医薬品中に容易に組み込まれ;化粧品に許容されうる、の内の1つ以上を有する。
【0036】
脂肪酸透過増進剤
【0037】
本開示のPE混合物は、好ましくは1つ以上の脂肪酸、例えば長鎖脂肪酸を含む。例えば、脂肪酸は、オレイン酸(シス-9-オクタデセン酸)またはその機能的誘導体でありうる。特定の実施形態では、PEは、脂肪酸エステル、脂肪アルコールまたは脂肪アルコールエーテル、脂肪エーテル、低級アルコール、グリセロールエステル、多価アルコール、ジオール、アミド(例えばN,N-ジエチル-m-トルアミド)、アミン、テルペン、極性溶媒またはそれらの混合物である。特定の実施形態では、脂肪酸は、アルカン酸、カプリン酸、二酸、エチルオクタデカン酸、ヘキサン酸、乳酸、ラウリン酸、リノエライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ネオデカン酸、オレイン酸(シス-9-オクタデセン酸)、パルミチン酸、ペラルゴン酸、プロピオン酸、またはバクセン酸である。特定の実施形態では、PEは、C8~C22脂肪酸、例えばミリスチン酸イソプロピルの少なくとも1つである。
【0038】
いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、本開示の脂肪酸PEは、SC中の細胞間脂質二重層を選択的に摂動させ、それによりAPIによるSCの浸透を増進すると考えられている。特定の実施形態では、特に親油性薬物/APIの場合、不飽和脂肪酸がその飽和対応物よりも経皮吸収を増進する効果がより高くなる(例えば、5倍超、10倍超、15倍超、20倍超、またはそれ以上)一般的な傾向に基づいて、脂肪酸異性体の二重結合の数及びシス/トランス配置を調整することにより、浸透増進効果の差を調整することができる。
【0039】
特定の実施形態では、PEは、オレイン酸、リノール酸、a-リノレン酸、アラキドン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、カプリル酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸イソプロピル、またはミリスチン酸であり、任意選択で、さらに、プロピレングリコール、エタノール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、及びデクスパンテノールの1種以上を含む。特定の実施形態では、PEはパルミチン酸であり、局所製剤は、SC(特にアルキルリッチ領域)へのAPIの浸透を増進するために配合される。特定の実施形態では、PEはミリスチン酸であり、局所製剤は表皮へのAPIの浸透を増進するために配合される。特定の実施形態において、PEはサリチル酸オクチルであり、局所製剤は表皮及び真皮への水溶性または油溶性APIの浸透を増進するために配合される。
【0040】
追加の脂肪酸ベースのPEは、MX 9705070、GR 1004995、US 2005-020552A1、WO 05/060540、CA 2,420,895、MX 9800545、WO 04/054552、NZ 537359、WO 98/18417、WO 96/30020、DE 4301783、US 4,885,174、US 4,983,396、NZ 222346、CA 1,280,974、及びUS 4,626,539で見出されうる。
【0041】
テルペン透過増進剤
【0042】
テルペンは、増進効果が高く、皮膚刺激が低いために、透過増進剤として医薬品製剤及び化粧品製剤に使用されうる。テルペンは、主に薬用植物から抽出され、炭素原子、水素原子及び酸素原子のみから構成される分子構成要素を有する揮発性化合物である。テルペンの基本的な化学構造は、テルペンを分類するために使用されるいくつかの反復イソプレン(C5H8)単位からなる。いくつかのテルペン(例えば、1,8-シネオール、メントール、及びメントン)が、米国食品医薬品局によって発行された一般に安全と認められる(GRAS)剤のリストに含まれている。本開示に適したテルペンの例は、メントール、D-リモネン、ゲラニオール、ネロリドール及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0043】
スルホキシド透過増進剤
【0044】
特定の実施形態では、本開示に適したPE混合物は、親水性API及び親油性APIの両方の浸透を増進するためにジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。DMSOに代わることができる付加的なDMSO様PEとしては、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)、環状スルホキシド、デシルメチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド及び2-ヒドロキシウンデシルメチルスルホキシドなどの類似の化学関連化合物が挙げられる。
【0045】
グリコール透過増進剤
【0046】
特定の実施形態では、本開示に適したPE混合物は、1種以上のグリコール系化合物、例えばジエチレングリコールのモノアルキルエーテル、好ましくはジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはジエチレングリコールモノメチルエーテルまたは他のジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコールなどを含む。現在、米国食品医薬品局(FDA)の不活性成分データベースには、局所投与経路(最大49.9%)及び経皮投与経路(最大5%)のためのジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスカトール)が列挙されている。トランスカトールの重要な特性は、広範囲の親水性活性物質及び親油性活性物質を溶解する能力である。可溶化力においてPG及びEtOHよりも優れているその能力から、トランスカトールは非常に有用な医薬賦形剤となる。約0.5の負の対数Pを用いた場合、トランスカトールは、疎水性基とも親和性及び良好な混和性を示す極性プロトン性可溶化剤と見なされる。負の対数Pを有する溶媒が角質層内に浸透しやすい性質は、負の対数P値を有する活性物質よりも、角質内により容易に浸透する親油性活性物質(対数P値2~3)と対照的である。トランスカトールは、ほとんどの医薬賦形剤と適合性があり;通常の溶媒、例えば、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、及び水に可溶であり;中鎖トリグリセリド及びポリエチレングリコールベースの界面活性剤(ポリオキシルグリセリド)などの極性脂質と混和性であるが、非極性鉱油またはジメチコンには不溶である。その高い溶解度及び水との混和性のため、トランスカトールは、相対湿度条件に応じて水和されうる。
【0047】
乳化剤
【0048】
皮膚または粘膜表面に局所適用するための製剤の製造は、しばしば油相を乳化剤と混合することを必要としうる。乳化剤は、小分子、オリゴマーまたはポリマーでありうる、医薬的に許容されうる界面活性剤である。これは、非イオン性、カチオン性またはアニオン性でありうる。これは天然または合成由来でありうる。
【0049】
多数の乳化剤が本開示において使用されうる。特定の実施形態では、乳化剤は:ラウリル硫酸ナトリウムまたは非イオン性乳化剤(例えばステアリン酸グリセリル及び/またはステアリン酸PEG 100)を含みうる。他の代表的な乳化剤としては、限定されるわけではないが、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、アカシアガム、コレステロール、トラガカント、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばセトマクロゴール1000などのマクロゴールエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば市販のTween、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微晶質セルロース、及びケイ酸アルミニウム・マグネシウムが挙げられる。これらの表面修飾剤のほとんどは既知の医薬賦形剤であり、American Pharmaceutical Association及びThe Pharmaceutical Society of Great Britain,Pharmaceutical Press,1986年によって共同で出版されたHandbook of Pharmaceutical Extractientsに詳細に記載されている。
【0050】
界面活性剤の他の例には、チロキサポール、ポロキサマー及びポリキサミンが含まれる。ポロキサマーは、親水性ポリエチレンオキシド(PEO)ブロックと疎水性ポリプロピレンオキシド(PPO)ブロックとが一緒に結合して構成されている水溶性トリブロックコポリマーである。これらのブロックコポリマーの両親媒性は、PEO及び/またはPPOブロック構成要素の長さを制御することにより変化させることができる(Ahmed et al.,2001)。このポロキサマーファミリーの化学物質(例えばポロキサマー188及び407)のいくつかのメンバーは、哺乳動物細胞及び組織に対して生体適合性及び非毒性であることが知られており、生体用途に有用である。これらの界面活性剤は、哺乳動物細胞膜に組み込まれるか、またはその上に組み込まれることで、タンパク質の吸着及び細胞の接着を低下させることが知られている。
【0051】
さらに他の乳化剤には、レシチン、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、例えばAmerican Cyanamid社から入手可能なスルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステルであるAersol OT、DuPont社から入手可能なラウリル硫酸ナトリウムであるDuponol P、Rohm and Haas社から入手可能なスルホン酸アルキルアリールポリエーテルであるTriton X-200、Croda社から入手可能なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであるTween(登録商標)20及びTween(登録商標)80;Croda社から入手可能なステアリン酸スクロース及びジステアリン酸スクロースの混合物であるCrodesta F-l 10、Croda社から入手可能なCrodesta SL-40、及びCi8H37-CH2(CON(CH3)CH2(CHOH)4CHOH)2であるSA90HCO、デカノイル-N-メチルグルカミド;n-デシルーP-D-グルクソピラノシド;n-デシル-P-D-マルトピラノシド;n-ドデシル-P-D-グルコピラノシド;n-ドデシル-P-D-マルトシド;ヘプタノイル-N-メチルグルカミド;n-ヘプチル-P-D-グルコピラノシド;n-ヘプチル-P-D-チオグルコシド;n-ヘキシル-P-D-グルコピラノシド;ノナノイル-N-メチルグルカミド;n-ノニルーP-D-グルコピラノシド;オクタノイル-N-メチルグルカミド;n-オクチル-P-D-グルコピラノシド;オクチル-P-D-チオグルコピラノシド等を有する。
【0052】
別の適切な界面活性剤は、ビタミンE TPGS(コハク酸α-トコフェリルポリエチレングリコール、TPGSとも略される)である。
【0053】
多くのポリマー乳化剤、例えば、ポロキサマー及びセルロース系賦形剤も、ゲル化剤として作用する。ゲルは、比較的多量の液体に分散された少量の固体を含むが、より固体に似た特性を有する半固体の三次元ポリマーマトリックスである。ゲルは、固体状態に特徴的な機械的特性を示し、分散した構成要素と分散媒との双方は、システム全体を通して連続的に広がる。ゲルは、しばしば透明または半透明の半固体状の製剤であり、目立たないことから患者に好まれる。局所ゲル製剤は、べたつきが少なく、クリーム及び軟膏と比較してより良好な塗布性及び安定性を提供するため、薬物に適した送達系を提供する。
【0054】
その他の成分
【0055】
特定の実施形態では、組成物はさらに、1種以上の添加剤またはそれらの組み合わせを含んでもよく、該添加剤または組み合わせには、限定されるわけではないが:湿潤剤;テクスチャ向上剤;湿度調整剤;pH調整剤;浸透圧修飾剤;UV-A及びUV-Bスクリーニング剤;ならびに酸化防止剤が含まれる。例えば、酸化防止剤は、α-トコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール、またはブチル化ヒドロキシトルエン、スーパーオキシドジスムターゼ、ユビキノール、またはある種の金属キレート剤でありうる。当業者であれば、本開示に本質的に関連する有利な特性が、想定される添加により悪影響を受けないか、または実質的に影響を受けないように、これらの組成物に添加される任意選択の化合物(複数可)を選択することができるであろう。
【0056】
さらに、組成物は、抗ヒスタミン剤;コルチコステロイド、局所麻酔剤、局所鎮痛剤、及び抗生物質などの1つ以上のさらなる活性剤をさらに含みうる。様々な実施形態では、抗ヒスタミン剤は、塩酸ジフェンヒドラミンまたはマレイン酸クロルフェニラミンであってもよく;コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン-21-モノエステル(例えばヒドロコルチゾン-21-アセテート、ヒドロコルチゾン-21-ブチレート、ヒドロコルチゾン-21-プロピオネート、ヒドロコルチゾン-21-バレレート等)、及びヒドロコルチゾン-17,21-ジエステル(例えばヒドロコルチゾン-17,21-ジアセテート、ヒドロコルチゾン-17-アセテート-21-ブチレート、ヒドロコルチゾン-17,21-ジブチレート)、デキサメタゾン、フルメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プロピオン酸クロベタゾール、安息香酸ベタメタゾン、二プロピオン酸ベタメタゾン、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノニド、フランカルボン酸モメタゾン、またはトリアムシノロンアセトニドであってもよく;局所麻酔剤は、ベンゾカイン、リドカイン、プリロカイン、及びジブカインであってもよく;局所鎮痛剤はl-メントール、d,l-カンフルまたはカプサイシンであってもよい。
【0057】
好ましい実施形態
【0058】
以下は、本発明の好ましい実施形態である。
実施形態1.
約0.5重量%~約25重量%のナプロキセンと;
約1.0重量%~約15.0重量%の長鎖一価不飽和脂肪酸、長鎖一価不飽和脂肪アルコール、テルペン、またはそれらの組み合わせと;
0~約5.0重量%のポロキサマーと;
0~約5.0重量%の医薬的に許容されうるセルロース系賦形剤と;
0~約5.0重量%のコハク酸α-トコフェリルポリエチレングリコール(「TPGS」または「ビタミンE TPGS」)と;
エタノール、プロピレングリコール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、及び任意選択でジメチルスルホキシド(「DMSO」)を含む溶媒混合物と
を含む、局所ナプロキセン製剤であって、
前記製剤が、約5.0重量%以下の水を含む、前記局所ナプロキセン製剤。
実施形態2. 前記製剤が:
約5重量%~約20重量%のナプロキセンと;
約5重量%~約15重量%のオレイン酸、オレイルアルコールまたはそれらの組み合わせと;
約15重量%~約45重量%のDMSOと;
約5重量%~約15重量%のプロピレングリコールと;
約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースと;
0~約50重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールと;
約1重量%~約5重量%のTPGSと;
0~約50重量%のポロキサマー188と;
0~約5重量%のリドカインと;
0~約5重量%のカンナビジオールと;
0~約0.1重量%のビタミンD3と;
100重量%までの適量のエタノールと
を含む、実施形態1に記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態3. 前記製剤が:
約5重量%~約20重量%のナプロキセンと;
約5重量%~約15重量%のオレイン酸、オレイルアルコールまたはそれらの組み合わせと;
約15重量%~約45重量%のDMSOと;
約5重量%~約15重量%のプロピレングリコールと;
約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースと;
約10重量%~約30重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールと;
約1重量%~約4重量%のTPGSと;
0~約50重量%のポロキサマー188と;
0~約5重量%のリドカインと;
100重量%までの適量のエタノールと
を含む、実施形態1に記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態4. 前記製剤が:
約5重量%~約20重量%のナプロキセンと;
約5重量%~約15重量%のオレイン酸、オレイルアルコールまたはそれらの組み合わせと;
約15重量%~約45重量%のDMSOと;
約5重量%~約15重量%のプロピレングリコールと;
約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースと;
約10重量%~約30重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールと;
約1重量%~約5重量%のTPGSと;
100重量%までの適量のエタノールと
を含む、実施形態1に記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態5. 前記製剤が:
約5重量%~約20重量%のナプロキセンと;
約5重量%~約15重量%のオレイン酸、オレイルアルコールまたはそれらの組み合わせと;
約15重量%~約45重量%のDMSOと;
約5重量%~約15重量%のプロピレングリコールと;
約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースと;
約10重量%~約30重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールと;
100重量%までの適量のエタノールと
を含む、実施形態1に記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態6. 前記製剤が、約1.0重量%以下の水を含む、実施形態1~5の1つに記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態7. 前記製剤が無水である、実施形態1~6の1つに記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態8. 前記製剤が透明である、実施形態1~7の1つに記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態9. 前記製剤が、20℃、589nmで透過モードにおいてアッベ屈折計を使用して測定された、1~2の屈折率を有する、実施形態1~8の1つに記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態10. 前記製剤が、少なくとも5重量%のエタノール、約10.0~約12重量%のプロピレングリコール、約15重量%~約45重量%のジメチルスルホキシド、及び約10.0~約50重量%の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを含む、実施形態1~9の1つに記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態11. 前記製剤が、約5重量%~約15重量%の長鎖一価不飽和脂肪酸、長鎖一価不飽和アルコールまたはそれらの混合物を含む、実施形態1~10の1つに記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態12. 前記製剤中に存在する前記長鎖一価不飽和脂肪酸、長鎖一価不飽和アルコール、またはそれらの混合物が、オレイン酸、オレイルアルコール、またはそれらの混合物を含むかまたはこれらからなる、実施形態1~11の1つに記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態13. 前記製剤が、ポロキサマー-101、-105、-105ベンゾエート、-108、-122、-123、-124、-181、-182、-182ジベンゾエート、-183、-184、-185、-188、-212、-215、-217、-231、-234、-235、-237、-238、-282、-284、-288、-331、-333、-334、-335、-338、-401、-402、-403、及び-407からなる群から選択されるポロキサマーを含む、実施形態1~12の1つに記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態14. 前記製剤が、約2重量%~約5重量%のポロキサマー-188を含む、実施形態13に記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態15. 前記製剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びエチルヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される医薬的に許容されうるセルロース系賦形剤を含む、実施形態1~14の1つに記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態16. 前記製剤が、約1重量%~約5重量%のヒドロキシプロピルセルロースを含む、実施形態15に記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態17. 前記製剤が、約1重量%~約5重量%のTPGSを含む、実施形態1~16の1つに記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態18. 前記製剤が、以下の無水製剤のうちの1つであり、その際、示された値はそれぞれ、前記示された値の+/-10%、前記示された値の+/-1%であるか、または前記示された値である、実施形態1に記載の局所ナプロキセン製剤。
【表3】
実施形態19. 前記製剤が無水である、実施形態18に記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態20. 前記製剤が透明である、実施形態18または19に記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態21. 前記製剤が、20℃、589nmで透過モードにおいてアッベ屈折計を使用して測定された、1~2の屈折率を有する、実施形態18~20の1つに記載の局所ナプロキセン製剤。
実施形態22. 実施形態1~21の1つに記載の局所ナプロキセン製剤を部位に局所的に適用することを含む、ヒトの身体の前記部位で疼痛発現を局所的に治療する方法。
実施形態23. 前記疼痛発現が急性疼痛発現である、実施形態22に記載の方法。
実施形態24. 前記疼痛発現が慢性疼痛発現である、実施形態22に記載の方法。
実施形態25. 膝(複数可)の変形性関節症の疼痛を局所的に治療する方法であって、実施形態1~21の1つに記載の局所ナプロキセン製剤を、前記膝(複数可)に局所的に適用することを含む、前記方法。
実施形態26. ナプロキセンの局所用量が、約80mg、約40mg、約30mg、約20mg、または約10mgである、実施形態22~25の1つに記載の方法。
【実施例
【0059】
実施例1.製剤
【0060】
以下は、本発明のナプロキセン処方を調製するための方法である。
【0061】
ナプロキセン、リドカイン、オレイン酸、DMSO、DEGEE(トランスカトール)、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ビタミンE TPGS及び無水エタノールを量る。20℃で、DMSO及び/またはDEGEEを混合しながら組み合わせて、溶液Aを形成する。
【0062】
プロピレングリコールと無水エタノールとを合わせ、混合しながら溶液Aに加えて溶液Bを形成する。製剤に必要な場合は、ビタミンE TPGSを溶液B中に加えて溶解してから、溶液Aに加える。
【0063】
ナプロキセン、または製剤に必要な場合はナプロキセン及びリドカインを溶液B中で溶解し、溶液Cを形成する。
【0064】
溶液Cにオレイン酸及び/またはオレイルアルコールを添加して溶液Dを形成する。
【0065】
ポリマーが完全に溶媒和されるまで、ヒドロキシプロピルセルロースを溶液Dに激しく混合しながらゆっくりと添加すると、溶液は均質になり、500~3000CPSの適切な粘度が得られて製剤が完成する。製剤は、わずかに黄色であるが透明であり、不透明度を伴わず、未溶解粒子または共結晶を伴わずに、1~2の屈折率を有し、500~3000CPS(センチポワズ)の粘度を有する。
【0066】
当業者であれば、本開示が、上述の目的を達成し、言及した目的及び利点、ならびにその中に固有の目的及び利点を達成するように良好に適応していることを容易に理解することができる。本明細書に提供する実施例は、好ましい実施形態を代表し、例示するものであり、本開示の範囲を限定するとは意図されない。
【0067】
本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書で開示した本開示において様々な置換及び修正を行いうることは当業者には容易に明らかであろう。
【0068】
本明細書で言及するすべての特許及び刊行物は、本開示が属する技術分野の一般の当業者のレベルを示す。すべての特許及び刊行物は、各個別の刊行物が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
本明細書中に例示として記載される本開示は、本明細書中に具体的に開示されない任意の要素(単数または複数)または制限(単数または複数)がなくとも、適切に実行可能である。したがって、例えば、本明細書の各例において、用語「含む」、「から本質的になる」及び「からなる」のいずれも、他の2つの用語のいずれかに置き換えられうる。使用されている用語及び表現は、限定するためではなく説明するための用語として使用されてきており、そのような用語及び表現の使用には、示され説明される特徴あるいはその一部分のどのような等価物も排除する意図は存在せず、そうではなく、請求される開示の範囲内で様々な修正が可能であると認識される。したがって、本開示は、好ましい実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修正及び変形は、当業者によって利用されうること、ならびにそのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本開示の範囲内と見なされることが理解されなければならない。
【0070】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内に記載される。

【国際調査報告】