(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】時計ムーブメント部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
G04B 13/02 20060101AFI20240507BHJP
G04B 15/14 20060101ALI20240507BHJP
G04B 17/06 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G04B13/02 Z
G04B15/14 A
G04B17/06 Z
G04B17/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574348
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2022065123
(87)【国際公開番号】W WO2022253983
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディ ルナ, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】エニン, ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴェイラ, アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンツヴァイク, アルノー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラレー, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンサン-ファルケ, ブノワ
(57)【要約】
【解決手段】
表面(11)を、特に上面を含む第一部分を少なくとも含む、時計ムーブメント部品(1)の製造方法であって、少なくとも1つのキャビティ(7)を形成するため、時計ムーブメント部品(1)または部品(1)のブランク(1a)の表面(11)を彫刻する(E3)ステップと、少なくとも1つのキャビティ(7)内に、素材を堆積する(E4)ステップ、を少なくとも含む、方法。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面(11)を、特に上面を含む第一部分を少なくとも含む、時計ムーブメント部品(1)の製造方法であって、
少なくとも1つのキャビティ(7)を形成するため、前記時計ムーブメント部品(1)または前記部品(1)のブランク(1a)の前記表面(11)をエッチングする(E3)ステップであって、前記エッチングはマスク(21)を介してフォトリソグラフィーにより深掘り反応性イオンエッチングを実施する、ステップと、
前記少なくとも1つのキャビティ(7)内に、素材を堆積する(E4)ステップ、
のステップを少なくとも含む、
時計ムーブメント部品(1)の製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのキャビティ(7)の前記深さは、10μmより小さい、または6μmより小さく、任意で3μmより大きい、
請求項1に記載の時計ムーブメント部品(1)の製造方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのキャビティ(7)の前記深さは、10μmと100μmの間、または15μmと80μmの間、または20μmと50μmの間である、
請求項1に記載の時計ムーブメント部品(1)の製造方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのキャビティ(7)は、少なくとも一方向に、少なくとも100μm、または少なくとも150μm、または少なくとも200μm、または少なくとも250μmの長さにわたり、前記表面(11)にわたり延長し、当該長さは、任意で、800μm以下、または600μm以下、または500μm以下、または400μm以下である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の時計ムーブメント部品(1)の製造方法。
【請求項5】
前記表面(11)を含む前記第一部分は、微細加工可能素材に基づく、特にシリコンに基づき、任意で0.5μmと5μmの間の厚さを有する酸化ケイ素コーティングを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の時計ムーブメント部品(1)の製造方法。
【請求項6】
前記時計ムーブメント部品(1)の前記第一部分の前記表面(11)をエッチングする(E3)ことからなる前記ステップは、前記時計ムーブメント部品(1)の輪郭をエッチングすることからなるステップと同一作業で実施される、及びまたは前記時計ムーブメント部品(1)の前記第一部分の前記表面をエッチングする(E3)ことからなる前記ステップは、前記時計ムーブメント部品(1)の輪郭をエッチングすることからなるステップの前に実施される、及びまたは方法は、第一マスク(21)から少なくとも1つのキャビティ(7)をエッチングする(E3)ことからなるステップを実施するような方法で、基板(10a)上に、特に前記基板(10a)の前記表面上に、前記第一マスク(21)を位置決めするステップと、第二マスク(21)から時計ムーブメント部品(1)の前記ブランク(1a)の輪郭をエッチングするような方法で、前記基板(10a)上に、特に前記基板(10a)の他の表面上に、前記第二マスク(21)を位置決めするステップとを含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の時計ムーブメント部品(1)の製造方法。
【請求項7】
前記時計ムーブメント部品(1)または前記時計ムーブメント部品(1)のブランク(1a)の前記第一部分の前記表面をエッチングする(E3)ことからなる前記ステップは、特にフェムト秒レーザによる、レーザエッチングを更に含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の時計ムーブメント部品(1)の製造方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのキャビティ(7)内に素材を堆積する(E4)ことからなる前記ステップは、任意で接続層の事前堆積を含む、金属または金属合金の堆積、または塗料、ラッカー、ワニス、複合素材、特に発光複合素材の堆積を含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載の時計ムーブメント部品(1)の製造方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのキャビティ(7)内に素材を堆積する(E4)ことからなる前記ステップは、物理気相成長法(PVD)、または化学堆積(CVD)、または原子堆積(ALD)といった、気相堆積方法による、またはレーザ転写(LIFT)による、金属または金属合金の堆積を含む、
請求項8に記載の時計ムーブメント部品(1)の製造方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのキャビティ(7)内に素材を堆積する(E4)ことからなる前記ステップは、前記キャビティの前記深さよりも厳密に小さい厚さで、前記キャビティ(7)の底部(17)上への前記素材の前記堆積を含み、この堆積厚さは、5nm以上、または10nm以上、または50nm以上、または100nm以上、または5nmと1000nmの間、または100nmと1000nmの間である、または前記少なくとも1つのキャビティ(7)内に素材を堆積する(E4)ことからなる前記ステップは、前記キャビティ(7)の前記深さに等しいまたは実質的に等しい厚さで、前記キャビティ(7)の底部(17)上への前記素材の前記堆積を含む、
請求項1から9のいずれか一項に記載の時計ムーブメント部品(1)の製造方法。
【請求項11】
製造されるべき前記時計ムーブメント部品(1)の1以上のブランク(1a)を含む、微細加工可能素材に基づく基板(10a)の準備(E1)、
任意で、前記時計ムーブメント部品(1)の前記ブランクまたは複数のブランク(1a)の酸化、
の予備ステップを含み、
時計ムーブメント部品(1)の少なくとも1つのブランク(1a)の少なくとも第一部分の前記表面(11)の少なくとも1つのキャビティ(7)内に素材を堆積する(E4)ことからなる前記ステップの前または後に、前記基板(10a)から時計ムーブメント部品の前記少なくとも1つのブランク(1a)を取り外す(E6)ことからなるステップを含む、
請求項1から10のいずれか一項に記載の時計ムーブメント部品(1)の製造方法。
【請求項12】
前記時計部品は、レバー、脱進機の歯車といった歯車、アンクル組立体、てん輪またはひげぜんまいといったぜんまいである、
請求項1から11のいずれか一項に記載の時計ムーブメント部品(1)の製造方法。
【請求項13】
表面(11)を、特に上面を含む接続部材(3)を形成する、第一部分と、ぜんまいを形成する螺旋に巻かれた少なくとも1つの帯板(2)を含む、前記第一部分より剛性が低い第二部分とを含む、微細加工可能素材製のひげぜんまいである、請求項1から12のいずれか一項に記載の製造方法で製造された時計ムーブメント部品(1)であって、前記第一部分の前記表面(11)は、その中に素材の層(8)が堆積された、少なくとも1つのキャビティを含む、
時計ムーブメント部品(1)
【請求項14】
酸化ケイ素のコーティングで被覆されたシリコン製の、てん輪/ひげぜんまい用の一体ひげぜんまいである、
請求項13に記載の時計ムーブメント部品。
【請求項15】
前記少なくとも1つのキャビティ(7)の前記深さは、10μmより小さい、または6μmより小さく、任意で3μmより大きい、または前記少なくとも1つのキャビティ(7)の前記深さは、10μmと100μmの間、または15μmと80μmの間、または20μmと50μmの間である、及びまたは前記少なくとも1つのキャビティ(7)の前記深さは、前記上面上の酸化ケイ素コーティングの前記厚さ以上である、及びまたは前記少なくとも1つのキャビティ(7)は、少なくとも一方向に、少なくとも100μm、または少なくとも150μm、または少なくとも200μm、または少なくとも250μmの長さを有する、
請求項13または14に記載の時計ムーブメント部品。
【請求項16】
前記少なくとも1つのキャビティ(7)内に堆積される前記素材は、任意で中間金属接続層を含む、金属または金属合金、または塗料、ラッカー、ワニス、複合素材、特に発光複合素材である、及びまたは前記少なくとも1つのキャビティ内に堆積される前記素材は、前記キャビティの前記深さよりも厳密に小さい厚さを有し、この堆積厚さは、5nm以上、または10nm以上、または50nm以上、または100nm以上、または5nmと1000nmの間、または100nmと1000nmの間である、または前記キャビティの前記深さに等しいまたは実質的に等しい厚さを有する、
請求項13から15のいずれか一項に記載の時計ムーブメント部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計ムーブメント部品の製造方法に関する。本発明はまた、当該製造方法で得られた時計ムーブメント部品自身に関する。
【背景技術】
【0002】
時計の外部部品に、様々な装飾及びまたはマーキング方法が実施されている。外部部品と比較して、時計ムーブメント部品は、大抵サイズが小さく、変更されてはならない非常に正確な形状の機能的パーツを含む。このため、このような時計ムーブメント部品に対して、例えば識別や装飾の目的で、マーキングを作成することは非常に困難である。機能性に加えて、特に時計のムーブメント部品にとって、審美的観点も非常に重要であることを注記する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3632839号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、本発明の目的は、特に魅力的な視覚的効果を、部品の機能性を害することなく、達成することを可能にする、時計ムーブメント部品のマーキング及びまたは装飾の解決策を見つけることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明は、表面を、特に上面を含む第一部分を少なくとも含む、時計ムーブメント部品の製造方法であって、
少なくとも1つのキャビティを形成するため、前記時計ムーブメント部品または前記部品のブランクの前記表面をエッチングするステップ、
前記少なくとも1つのキャビティ内に、素材を堆積するステップ、
のステップを少なくとも含む、時計ムーブメント部品の製造方法に基づく。
当該エッチングは、有利には、マスクを介してフォトリソグラフィーにより深掘り反応性イオンエッチングを実施してもよい。
本発明はまた、表面を、特に上面を含む接続部分を形成する、第一部分と、ぜんまいを形成する螺旋の形に巻かれた少なくとも1つの帯板を含む、第一部分より剛性が低い第二部分とを含む、微細加工可能素材製のひげぜんまいである時計ムーブメント部品であって、前記第一部分の前記表面は、その中に素材の層が堆積された、少なくとも1つのキャビティを含む、時計ムーブメント部品に関する。
【0006】
本発明は、より具体的には、請求項で定義される。
【0007】
本発明の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照して非限定的に与えられる、特定の実施形態についての以下の説明において、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態にかかる時計ムーブメントひげぜんまいの製造方法の、連続的ステップを示す。
【
図2】
図2は、本発明の第一実施形態にかかる時計ムーブメントひげぜんまいの製造方法の、連続的ステップを示す。
【
図3】
図3は、本発明の第一実施形態にかかる時計ムーブメントひげぜんまいの製造方法の、連続的ステップを示す。
【
図4】
図4は、本発明の第一実施形態にかかる時計ムーブメントひげぜんまいの製造方法の、連続的ステップを示す。
【
図5】
図5は、本発明の第一実施形態にかかる時計ムーブメントひげぜんまいの製造方法の、連続的ステップを示す。
【
図6】
図6は、本発明の第一実施形態にかかる時計ムーブメントひげぜんまいの製造方法の、連続的ステップを示す。
【
図7】
図7は、本発明の第一実施形態の第一変形例を示す。
【
図8】
図8は、本発明の第一実施形態の第二変形例を示す。
【
図9】
図9は、本発明の第一実施形態の第二変形例を示す。
【
図10】
図10は、本発明の第一実施形態の第二変形例を示す。
【
図11】
図11は、本発明の第一実施形態の第三変形例を示す。
【
図12】
図12は、本発明の第一実施形態の第三変形例を示す。
【
図13】
図13は、本発明の第一実施形態の第三変形例を示す。
【
図14】
図14は、本発明の第二実施形態にかかる時計ムーブメントひげぜんまいの製造方法の、連続的ステップを示す。
【
図15】
図15は、本発明の第二実施形態にかかる時計ムーブメントひげぜんまいの製造方法の、連続的ステップを示す。
【
図16】
図16は、本発明の第二実施形態の第一変形例を示す。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態にかかる、時計ムーブメント部品の製造方法のステップとサブステップを模式的に図示する、フローチャートを示す。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態にかかる製造方法により作成されたひげぜんまいの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、少なくとも浅い深さでエッチングするステップと、ムーブメント部品の機能的性能に影響を与えない、可視エッチングを得るように、当該得られたエッチングを着色するステップとを有利に組み合わせる、時計部品の製造方法を実施する。
【0010】
本明細書の理解を簡単にするため、各種実施形態とその変形例において、同一の特徴を指定するために同一の参照番号が用いられる。本発明の実施形態にかかる製造方法は、例えばひげぜんまいであってもよい、時計ムーブメント部品の製造の観点で説明される。
【0011】
図1から6は、より具体的には、時計ムーブメント部品の製造方法の第一実施形態にかかる、製造の各種ステップ中の、時計ムーブメント部品1、または部品のブランク1aの、断面図である。本発明の製造方法は、特に、表面をエッチングする方法に関する、製造の特定のフェーズに関する。有利には、製造方法は、時計ムーブメント部品1の可視面または上面を、特に装飾目的で、エッチングする方法である。代替的に、製造方法は、非可視面または下面を、特に識別またはマーキング目的で、エッチングする方法である。当該エッチング方法は、部品の製造の最終フェーズにおいて実施されてもよく、または代替的には部品の製造方法の様々な多かれ少なかれ進んだ段階において実施されてもよい。
【0012】
当該実施形態によれば、方法は、製造方法を図示する様々な図において特に断面で示される、時計ムーブメント部品1のブランク1aの少なくとも一部分を提供するE1からなる第一ステップを含む。当該有利な実施形態において、いくつかのブランク1aが同一の支持部または基板10aに接続され、以下に説明する方法であって、そのステップは
図17のフローチャートに要約される方法に同時に曝されることができることを注記する。
【0013】
このため、時計部品ブランク1aは、好ましくはシリコンといった微細加工可能素材から、微細加工作業により、事前に基板10aから製造されてもよい。ブランクの文言は、時計部品の製造方法におけるあらゆる中間要素を指定するために、広い意味で用いられることを注記する。このため、ブランクは、提供されエッチングされる前の基板でも、例えば将来の時計部品の輪郭の全部または一部を定義するため、既に部分的にエッチングされた基板でもよい。
【0014】
ブランク1aの部分は、以下に詳細に説明するように、可視パターンまたは表示を当該表面に創成する目的で、本発明にかかる方法により特に処理される、表面11を含む。当該表面11は、シリコン基板10aを用いる一実施形態において、二酸化ケイ素SiO2の層を含んでもよい。このように本方法は、有利には、シリコンの酸化の事前ステップを含む。
【0015】
図2は、ブランク1aの表面11上に、感光性樹脂9の層を堆積することからなる、マスクを作成するE2の第二ステップの第一サブステップE21を示す。当該樹脂は、当業者に既知のあらゆる技術を用いて、例えば浸漬被覆、または吹き付け被覆、またはスピンコーティングにより、堆積されてよい。図示する実施例において、樹脂は、照射の作用下で、現像液内で溶解する一方で、照射に曝されない部分は不溶またはほぼ溶解しないままでいるように設計される、アクリル系ポジ型樹脂である。本実施例において、感光性樹脂の層は、より具体的には、AZ(登録商標)9260の商品名で既知の樹脂の層であり、その厚さは約6μmである。当該サブステップE21には、堆積された樹脂層9を焼きなます任意のサブステップが続いてもよい。
【0016】
図3は、樹脂層9が、マスク91の開口910を通した紫外線照射に曝される、第二サブステップE22を示す。当該開口910は、以下で詳細に説明するように、時計ムーブメント部品上に作成される可視パターンまたは表示を前もって表す。この場合の紫外線照射は、マスク91に形成された開口910と一致して存在する樹脂層9の領域13のみを照射するよう、マスク91が延長する平面に垂直であり、ブランク1aの表面11に垂直である。
【0017】
図4は、マスク91の開口910と一致した領域13の照射された樹脂を、溶剤を用いて除去することからなる、第三サブステップE23を示す。当該サブステップの終わりに、樹脂層9は、表面11上に、開口910のパターンに対応するパターンの、開口92を含む。開口92を有する当該樹脂層9は、以下に説明するエッチングステップの実施用が意図される、マスク21を形成する。
【0018】
図5は、第三エッチングステップE3の実施を示す。当該第一実施形態において、当該エッチングは、上述のように、部品部分の表面に堆積された樹脂層9の形状を取る、樹脂製の、マスク21を用いて実施される。本実施形態によれば、エッチングは、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)技術を用いて行われる。当該技術は、樹脂層9で被覆されたままの表面11の領域に影響を与えることなく、樹脂層9内の開口92と一致する、垂直または実質的に垂直な側面を有するキャビティ7を形成することを可能にする。より具体的には、エッチングステップは、最初に、少なくとも1つのキャビティ7を形成するよう、ブランク1aの表面11の表面上に存在する二酸化ケイ素の層をエッチングし、その後シリコンをエッチングする。各キャビティ7は、部品の表面11に実質的に平行な、底部17を形成する表面により境界が定められる、実質的に長方形の断面を有する。キャビティの深さは、表面11に垂直に測定され、表面11の平面とキャビティの底部17の平面のそれぞれの間の距離に対応する。
【0019】
有利には、キャビティ7の少なくとも1つまたは全ての深さは、10μmより小さく、好ましくは酸化ケイ素層の厚さ以上である。
【0020】
有利には、深掘り反応性イオンエッチングにより実施された当該エッチングステップはまた、以下に説明するように、底部17上に続いて堆積される素材の層の光沢を露にすることを可能にする、とりわけ特に低い粗さにより特徴づけられる表面状態の底部17を、特に50nmより低い、好ましくは20nmほどの、または20nmより低い粗さRa、及びまたは100nmより低い、好ましくは80nmほどの、または80nmより低い粗さSaを有する底部17を、得ることを可能にすることを注記する。
【0021】
方法はその後、
図6に示すように、少なくとも1つのキャビティ7内への、素材の堆積E4の第四ステップを実施する。実施形態に応じて、素材は金属または金属合金であり、堆積ステップは、キャビティ7の底部17上に金属または金属合金の層8を形成する。
【0022】
好ましくは、素材は、Au、Ag、Cr、CrN、Ni、Pt、TiN、ZrN、Pdの群に属する金属、またはその合金である。
【0023】
当該少なくとも1つの素材の層8の厚さは、数ナノメートルほどでもよい。厚さは、好ましくは、少なくとも5nm、または少なくとも10nm、または少なくとも50nm、または少なくとも100nmである。より具体的には、厚さは、好ましくは、5nmと1000nmの間、または100nmと1000nmの間である。
【0024】
素材の堆積E4のステップは、単一層のみの堆積を含んでもよい。代替的に、当該堆積ステップは、キャビティ7内で可視の、例えば装飾の、第二層のための接着層としての役割を果たすことが意図される、底部17上に直接堆積される第一層の、2つの別個の層の連続堆積を含んでも良い。
【0025】
一実施形態によれば、素材堆積ステップE4は、物理気相成長法(PVD)により実施される。より一般的には、当該堆積は、前述の物理気相成長法(PVD)や化学堆積(CVD)や原子堆積(ALD)といった、気相堆積方法であってもよい。当該素材堆積ステップにおいて、樹脂層9により形成されたマスク21はまた、当該ステップ用のマスクとしても用いられることを注記する。当該マスク21は、問題のブランク1の部分のエッチングされていない表面11を保護する一方、キャビティ7の底部17上への素材の堆積を保証することを可能にする。より具体的には、素材は、マスク21の開口92と一致するキャビティの底部17上と、表面11上に載置される樹脂9上とに堆積される。
【0026】
方法はその後、樹脂層9の除去E5の第五ステップを実施する。当該ステップは、例えば、化学薬品による溶解、またはプラズマ処理により、実施されてもよい。当該ステップの終わりには、時計ムーブメント部品のブランク1aの準備が整う。
【0027】
最後に、本方法は、基板10aからブランク1aを取り外すE6からなるステップを含んでもよい。当該ステップの実施を簡単にするため、部品ブランクは、特に特許文献1で記載する、部分的にエッチングされた破断領域を含んでもよい。
【0028】
変形実施形態において、使用されるマスク21は、詳細に上述した実施形態によるものとは異なって実施されてもよい。
【0029】
図7は、上述した目的のために、マスクを作成するE2の第二ステップがレーザの使用に基づく、第一変形実施形態を図示する。
図2に示すように、感光性樹脂層9がブランク1aの表面11に付着されると、方法は、レーザを、特にフェムト秒パルスを有するレーザを用いた、エッチングのステップを実施し、その照射Rは、選択されたパターンに従って事前に定義される。このように、レーザ照射は、上述のマスクを作成するE2のステップに対応する、樹脂層9と、上述のエッチングステップE3に対応する、ブランク1aの上層11を、両方エッチングする。方法はその後、上述のように、素材堆積ステップE4へ続く。
【0030】
図8から10は、使用されるマスク21がもはや樹脂製ではなく、
図8に示すように、部品ブランク1aの表面11上に最初に堆積される、例えばシリコンといった、剛体素材製であるプレート19の形状である、第二変形実施形態を図示する。プレート19の除去を可能にするため、プレート19とブランク1aとの間に、パリレンの中間層29を堆積することもできる。方法はその後、前述の場合同様、マスク21に開口92を形成し、その後ブランク1aの表面11上にエッチング7を形成する、レーザからの、特にフェムト秒パルスレーザからの、照射Rを用いる。前述の変形例同様、開口92を有するマスクの生成E2とエッチングE3の2つのステップが、同一のエッチングステップにおいて、同時にまたはほぼ同時に実施される。その後、
図10に示すように、上述と同様の態様で、剛体マスク21を介してキャビティ7の底部に、素材堆積ステップE4が実施される。
【0031】
図11から13は、マスク21がエッチングステップE3後にブランク1aの表面11上に設置される、第三変形実施形態を示す。具体的には、
図11に示すように、エッチングステップE3がフェムト秒レーザを用いて実施され、その照射Rは、マスクを必要とすることなく、選択されたパターンに対応する事前に定義された経路に沿って、ブランク1aの表面11を直接エッチングする。
【0032】
エッチングを完了し、エッチングまたは複数のエッチング7を作成した後、方法は、マスクを作成するステップE2を実施する。当該ステップは、選択されたパターンに基づき、剛体プレート19上に開口92を形成することで、部品ブランク1aから離れてマスク21を準備することからなる、事前ステップを含む。その後、マスク21は、
図12に示すように、部品ブランク1aの表面11上に設置される。当該ステップにおいて、マスク21は、当業者に既知のあらゆる技術を用いて、その開口92が事前に製造されたキャビティ7上に、好ましくはミクロン程度の正確性で正確に重ね合わされるように、ブランク1a上に位置決めされる。プレート19の除去を可能にするため、マスク21とブランク1aの表面11の間に、パリレンの中間層29を堆積してもよい。
【0033】
方法はその後、
図13に示すように、マスク21を通してキャビティ7の底部へ、上述と同様の態様で実施される、素材堆積ステップE4を実施する。当該実施形態において、マスクは、素材堆積ステップE4のみに用いられ、エッチングステップE3ではもはや用いられない。
【0034】
マスクを使用する全ての上述の実施形態において、方法は、マスクの使用後、マスクを除去するステップE5を実施する。
【0035】
図14から16は、エッチングステップE3にも素材堆積ステップE4にもマスクが用いられないことで第一実施形態とは異なる、第二実施形態を図示する。
【0036】
当該第二実施形態は、
図11に示すように、ブランク1aの表面11へのエッチング7の作成まで、第一実施形態の第三変形例と同一の初期ステップを含む。
【0037】
その後、方法は、LIFT(レーザ誘起前方転写法)として知られる、レーザ転写技術を用いた、素材堆積ステップE4を実施する。
図14及び15に示すように、当該技術は、最初に、本実施形態では金属層810を含む、透明のメタライズプレート81を、レーザ装置と部品ブランク1aとの間に挿入することからなる。代替的に、メタライズプレートの代わりにメタライズフィルムを用いることができる。
【0038】
レーザは、その後、レーザビームからプレート81上への照射Rが、金属層810を直撃し、メタライズプレート81から部品ブランク1aへの素材の転写を発生させるのに十分な機械的力を当該金属層810上に発生させるように、メタライズプレート81に向けられる。もちろん、レーザ照射は、エッチングまたは複数のエッチング7に正確に重ね合わされた、ブランク1aのエッチングまたは複数のエッチング7により生成されたパターンに沿って、正確性をもって行われる。このため、メタライズプレート81の金属層810から生じる金属素材の層8は、
図15に示すように、キャビティまたは複数のキャビティ7の底部17に転写される。より具体的には、当該技術は、レーザパルスを用いて、特にフェムト秒レーザパルスを用いて、金属層810の少なくとも一部分を、キャビティまたは複数のキャビティ7の底部17上へ、素材の層8を形成するよう、転写することを可能にする。好ましくは、当該素材の層8の厚さは、少なくとも100nmである。
【0039】
最後に、本方法は、基板10aからブランクまたは複数のブランク1aを取り外す最終ステップを実施する。
【0040】
図16は、素材堆積ステップE4が、吹き付け技術やブラシの使用といった、当業者に既知のあらゆる技術により塗布された、塗料の層80である素材の層8を、キャビティまたは複数のキャビティ7の底部17へ塗布するステップからなる、第二実施形態の変形例を図示する。代替的に、ラッカー、ワニス、または複合素材、特に発光複合素材の層が塗布されてもよい。
【0041】
当該素材の層8の厚さは、自身が堆積されるキャビティ7の深さに対応または実質的に対応してもよい。好ましくは、深さは、10μmより大きい、または15μmより大きい、または20μmより大きい。
【0042】
全ての実施形態とその変形例において、代替として、素材堆積ステップE4を、特に上述の実施形態のように素材80の手動適用の観点において、基板10aからブランク1aを取り外すE6からなるステップの実施後に行ってもよいことを注記する。
【0043】
更に、全ての実施形態において、全てのステップは、基板に接続されない、部品ブランク単体に実施されてもよい。全てのステップは、時計ムーブメント部品の製造の異なるステップ中に、即ち、時計ムーブメント部品のブランク上に製造中に、または完成またはほぼ完成された時計ムーブメント部品上に直接、実施されてもよい。
【0044】
他の有利な変形実施形態によれば、本発明は、上述の実施形態の更に上流で、特に将来の部品の輪郭を定義する役割を果たすブランク1aのエッチングの全部または一部と、同一作業中に、または将来の部品の輪郭を全部または一部定義する役割を果たすブランク1aのエッチング作業の上流で、実施されてもよい。このように、方法は、例えば、基板10a上に第一マスクを位置決めするステップを含んでもよく、当該第一マスクは、本発明の原理に基づき、少なくとも1つのキャビティ内に素材を堆積する目的で、少なくとも1つのキャビティのエッチング、特に止まりエッチングを行う役割を果たす。方法はまた、基板10a上に、特に基板10aの第二表面上に、第二マスクを位置決めする他のステップを含んでも良く、当該第二マスクは、部品ブランク1aの輪郭のエッチングを行う役割を果たす。換言すれば、基板から部品を切断するために用いられるエッチングと、本発明にかかる少なくとも1つのキャビティを形成するエッチングは、同一の作業内で、または同一の作業内で一部、実施されてもよい。2つのエッチングは、異なるマスクを用いて作成される。
【0045】
方法の当該変形例は、コイルのエッチング前に本発明のキャビティまたは複数のキャビティを作成することが特に有利であるため、ひげぜんまいの製造に特に適している。コイルのエッチング前に実施しないと、樹脂がコイルの間を流れてしまうため、本発明のキャビティをエッチングするためコイル上に樹脂を配置することが実務上難しいためである。
【0046】
最後に、本発明は、時計ムーブメント部品ブランクまたは時計ムーブメント部品の、表面、特に上面を含む、少なくとも第一部分に適用される、以下の2つの必須のステップの組み合わせを通じて、所望の目的を達成するように見られる。
- ブランクまたは時計ムーブメント部品の表面上に、少なくとも1つのキャビティを形成するため、エッチングするE3、
- 当該少なくとも1つのキャビティ内に、素材を堆積するE4。
【0047】
全ての実施形態とその変形例において、少なくとも1つのキャビティの、そして好ましくは全てのキャビティの深さは、有利には、10μmより小さい、または6μmより小さい。深さはまた、任意で、3μmより大きい。このため、当該深さは3μmと10μmの間、または3μmと6μmの間であってもよい。驚くべきことに、裸眼では、少なくとも1つのキャビティ7と表面11との間のコントラストは、当該少なくとも1つのキャビティ7の深さが浅いほど、一層目立つように見える。
【0048】
代替的に、少なくとも1つのキャビティ、そして好ましくは全てのキャビティの深さは、10μmと100μmの間、または15μmと80μmの間、または20μmと50μmの間である。
【0049】
少なくとも1つのキャビティ、そして好ましくは全てのキャビティの深さは、当該表面上に存在する酸化ケイ素コーティングの厚さ以上であってもよい。このような酸化ケイ素コーティングは、0.5μmと5μmの間の厚さを含んでもよい。
【0050】
少なくとも1つのキャビティ、好ましくは全てのキャビティは、少なくとも1方向に、少なくとも100μm、または少なくとも150μm、または少なくとも200μm、または少なくとも250μmの長さを有してもよい。当該長さは、800μm以下、または600μm以下、または500μm以下、または400μm以下であってもよい。
【0051】
少なくとも1つのキャビティに堆積された素材は、金属または金属合金であってもよい。代替的に、素材は、任意で中間金属接着層を有する、塗料、ラッカー、ワニス、複合素材、特に発光複合素材であってもよい。
【0052】
2つの実施形態とその変形例において、少なくとも1つのキャビティに堆積された素材は、有利には、キャビティの深さよりも厳密に小さい厚さを有する。堆積厚さは、100nm以上であってもよい。厚さは、100nmと1000nmの間であってもよい。代替的に、キャビティの厚さと同一のまたは実質的に同一の厚さであってもよい。
【0053】
本発明は、微細加工可能素材製の、即ち、特にフォトリソグラフィーを伴う、またはレーザの使用を伴う、微細加工技術を用いて得られた、あらゆる時計ムーブメント部品に特に適用可能である。このため、このような時計ムーブメント部品は、特にその全体形状は、例えば、少なくとも部分的に、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)ステップで得られてもよい。代替的にこのような時計ムーブメント部品は、特にその全体形状は、例えば、少なくとも部分的に、UV-Liga(LIthography Galvanik Abformung)技術により、得られてもよい。
【0054】
本発明にかかる時計ムーブメント部品は、全体にまたは部分的に、あらゆる形態で、シリコンを含んでもよい。このため、時計ムーブメント部品は、その向きに関わらない単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、非晶質二酸化ケイ素、ドーピングのタイプやレベルに関わらないドープシリコン、または多孔質シリコンを含んでもよい。特に、時計ムーブメント部品は、SOI(silicon on insulator)基板から製造されてもよい。
【0055】
本発明にかかる時計ムーブメント部品はまた、炭化ケイ素、ガラス、セラミック、石英、ルビーまたはサファイアを含んでもよい。代替的に、金属または金属合金、特に少なくとも部分的に非晶質の金属合金製であってもよい。例えば、当該部品は、NiまたはNiPを含んでもよい。
【0056】
もちろん、本発明は、説明した実施形態に限定されず、例えば実施形態及びまたは変形例を組み合わせることで、他の実施を想定することも可能である。特に、エッチングステップE3は、フォトリソグラフィーによる深掘り反応性イオンエッチングをレーザエッチング、特にフェムト秒レーザと組み合わせてもよい。このため、本発明は、部品の表面上へのエッチングと、素材により部分的または全体的に充填することを、有利に組み合わせることで、望ましい目的を達成するように見える。当該組み合わせは、小さな表面上であっても、判読可能なマーキング、特に可視且つ魅力的なマーキングを、時計ムーブメント部品の機能性に影響を与えることなく、形成することを可能にする。有利には、当該表面は、上面または可視面、特に部品が時計ムーブメント内に組み立てられた際の可視面である。代替的に、当該表面は、下面または非可視面である。
【0057】
マーキングはまた、装飾目的が意図されてもよい。代替的にまたは追加で、マーキングは、識別目的で用いられてもよい。レーザを、特にフェムト秒レーザを伴う本発明にかかる方法の変形例は、時計ムーブメントの特定の部品上の、特に特定のひげぜんまい上の、マーキングを個別化するために、特に有利である。マーキングは、例えば、製造番号または測定結果を形成してもよい。
【0058】
本発明はまた、上述の製造方法で得られた時計ムーブメント部品に関する。時計ムーブメント部品は、レバー、脱進機の歯車といった歯車、アンクル組立体、てん輪またはひげぜんまい、特に発振器ひげぜんまいであってもよい。
【0059】
特に、一実施形態によれば、時計ムーブメント部品は、表面を、特に上面または可視面を含む接続部材を形成する第一部分と、ぜんまいを形成する螺旋に巻かれた少なくとも1つの帯板を含む、第一部分より剛性が低い第二部分とを含む、微細加工可能素材製のひげぜんまいであってもよく、第一部分の表面は、本発明にかかる素材が堆積された、少なくとも1つのキャビティを含む。より一般的には、時計部品、または少なくとも本発明により検討された表面を含む部分は、有利には、微細加工可能素材に基づく、特にシリコンに基づく、即ち微細加工可能素材を少なくとも50重量%含む。
【0060】
図18は、上述の実施形態の一つにかかる製造方法で得られたひげぜんまいを示す。ひげぜんまいは、少なくとも1つの帯板2を含み、その上面12は平面P1に位置し、その外端は、少なくとも1つの帯板2の剛性よりも著しく高い剛性を有する接続部材3と一体で製造される。ひげぜんまい1は更に、少なくとも1つの帯板2の内端と一体に製造された、軸A1のひげ玉4を含む。
【0061】
接続部材3は、帯板2周りに配置されたリング部分の形状の、第一中央部分31を含み、その角度範囲は、軸A1に対して100度程度である。当該接続部材3はまた、第一中央部分31の両側に配置された2つの曲げ部分32を含み、そのそれぞれは、この場合は開口の形状である、ひげぜんまいを位置決め及びまたは付着するための要素5を含む。
【0062】
接続部材3は、平面P1に配置された、上面11に、特にその中央部分31に、付加されたパターン(または表示)6を含むという、特定の特徴を有する。上面11は、この場合、ひげぜんまいの少なくとも1つの帯板2の上面12と連続して形成される。
【0063】
パターン6は、上述の方法から得られ、上面11から形成され、その中に素材の層8が堆積された、キャビティ7を含む。
【0064】
図19は、その底部17が素材の層8で被覆された、深さpのキャビティ7により形成された、上述のパターン6を明確に示すために、ひげぜんまいの接続部材3の中央部分31の断面図を示す。
【0065】
驚くべきことに、裸眼では、パターン6と接続部材3の上面11との間のコントラストは、キャビティ7が、可能な限り浅い、上面11とキャビティ7の底部17のそれぞれの間で平面P1に垂直に測定された深さpを有するときに、一層目立つように見える。代替的に、当該深さは、上面11と、それぞれのキャビティ7の底部17上に堆積されその厚さが非常に小さい、素材の層8の上面とのそれぞれの間で検討されてもよい。
【0066】
加えて、軸A1に対して半径方向に測定された、パターンの範囲eは、100μmより大きい、または150μmより大きい、または200μmより大きい、または250μmより大きくてもよい。このようなパターンまたは表示6は、ひげぜんまい1が、時計ムーブメント内に組み立てられる、組み立てられたてん輪内に搭載されると、可視または判読可能になる。
【0067】
当該ひげぜんまいは、自由てんぷのひげぜんまいであってもよい。ひげぜんまいは、一体であってもよい。ひげぜんまいは、シリコン製であってもよい。本発明が検討する表面は、酸化ケイ素のコーティングで被覆されてもよい。代替的に、ひげぜんまいは、SOI(silicon on insulator)基板製であってもよい。
【0068】
本発明はまた、当該時計ムーブメント部品を含む、時計ムーブメントに関する。本発明はまた、少なくとも1つの当該時計ムーブメントまたは1つの当該時計ムーブメント部品を含む、時計に関する。
【国際調査報告】