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特表2024-519514急性腸間膜虚血の診断のためのメタボロームシグネチャー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-15
(54)【発明の名称】急性腸間膜虚血の診断のためのメタボロームシグネチャー
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553703
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 EP2022055463
(87)【国際公開番号】W WO2022184856
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】21305252.5
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】516039480
【氏名又は名称】エーピーエイチピー(アシスタンス パブリック-オピトークス ド パリ)
(71)【出願人】
【識別番号】520053762
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・パリ・シテ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS CITE
(71)【出願人】
【識別番号】514203362
【氏名又は名称】インセルム(インスティチュート ナショナル デ ラ サンテ エ デ ラ リシェルシェ メディカル)
(71)【出願人】
【識別番号】500217382
【氏名又は名称】インペリアル カレッジ オブ サイエンス,テクノロジー アンド メディスン
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ブーニク,ヨラム
(72)【発明者】
【氏名】ヌッゾ,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】コルコス,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】デュマス,マルク‐エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ミリダキス,アントニス
(72)【発明者】
【氏名】ゴーギエ,ドミニク
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045DA30
2G045DA35
2G045DA77
2G045JA06
(57)【要約】
本発明は、急性腸間膜虚血(AMI)のメタボロームシグネチャー及びAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法におけるその決定に関する。本発明はまた、AMIのメタボロームシグネチャーを決定するための、およびAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法を実行するための手段を含むキットにも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性腸間膜虚血(AMI)に罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法であって、
a)イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、1-モノオレイン、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、及びL1PLからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量、又は濃度を前記対象から以前に得られた生体試料において測定することにより前記対象のメタボロームシグネチャーを決定すること;
b)前記対象のメタボロームシグネチャーを参照メタボロームシグネチャーと比較すること;及び
c)対象のメタボロームシグネチャーの参照メタボロームシグネチャーとの比較に基づきAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定すること
を含む、方法。
【請求項2】
急性腸間膜虚血(AMI)に罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に対し適合されたケアを提供するための方法であって、
a)イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、1-モノオレイン、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、及びL1PLからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量、又は濃度を前記対象から以前に得られた生体試料において測定することにより前記対象のメタボロームシグネチャーを決定すること;
b)前記対象のメタボロームシグネチャーを参照メタボロームシグネチャーと比較すること;及び
c)対象のメタボロームシグネチャーの前記参照メタボロームシグネチャーとの比較に基づきAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に対し適合されたケアを提供すること
を含む、方法。
【請求項3】
前記メタボロームシグネチャーが、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、及び1-モノオレインからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量、又は濃度を前記対象から以前に得られた生体試料中で測定することにより決定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記メタボロームシグネチャーが、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNのレベル、量、又は濃度を前記対象から以前に得られた生体試料中で測定することにより決定される、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記メタボロームシグネチャーが、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、1-モノオレイン、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、及びL1PLのレベル、量、又は濃度を前記対象から以前に得られた生体試料中で測定することにより決定される、請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記参照メタボロームシグネチャーが、非虚血性の腹痛がある対象の集団から以前に得られた生体試料中の同じ少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、量、又は濃度の測定に由来する、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象から以前に得られた生体試料が、血液試料、好ましくは血漿試料である、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の方法を実行するためのキットであって、
-イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、1-モノオレイン、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、及びL1PLからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量、又は濃度を測定するための手段と;
-任意選択的に内部標準及び/又は対照と;
任意選択的に使用のための説明書、
を含む、キット。
【請求項9】
イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、及び1-モノオレインからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量、又は濃度を測定するための手段を含む、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNのレベル、量、又は濃度を測定するための手段を含む、請求項8又は9に記載のキット。
【請求項11】
イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、1-モノオレイン、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、及びL1PLのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含む、請求項8~10の何れか1項に記載のキット。
【請求項12】
イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、1-モノオレイン、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、及びL1PLからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含む、急性腸間膜虚血(AMI)のメタボロームシグネチャー。
【請求項13】
イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、及び1-モノオレインからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含む、請求項12に記載のAMIのメタボロームシグネチャー。
【請求項14】
イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、及びL1PNを含む、請求項12又は13に記載のAMIのメタボロームシグネチャー。
【請求項15】
イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、1-モノオレイン、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、及びL1PLを含む、請求項12~14の何れか1項に記載のAMIのメタボロームシグネチャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急性腸間膜虚血(AMI)の診断、及び特にAMIのメタボロームシグネチャー及びAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法におけるその決定に関する。
【背景技術】
【0002】
急性腸間膜虚血(AMI)は、腸間膜脈管(動脈又は静脈の何れか)を通じた不適切な血流により引き起こされ、その結果、虚血、炎症性損傷及び細胞傷害が起こる。処置をせずにいると、AMIは組織の壊死に至り得、腸切除を必要とし、究極的には患者の死をもたらす。
【0003】
AMIは、入院の約0.1%を占め、60%~80%の死亡率を伴う。死亡率及び腸切除率は、放射線学、血管内治療及び集中治療医学でなされた進歩にもかかわらず、数十年間不変のままである。しかし、最近のレポートは、診断及び標準化された集学的な熟練したケアが早期段階で提供される場合、患者について改善された転帰を示唆する(Corcos et al.,Clin Gastroenterol Hepatol.2013 Feb;11(2):158-65.e2;Ding et al.,J Clin Gastroenterol.2017 Oct;51(9):e77-e82;Nuzzo et al.,Am J Gastroenterol.2019 Feb;114(2):348-351)。実際に、初期AMIは、不可逆的な全層性壊死を伴う進行したAMIとは逆に、完全に可逆的な状態である(Clair et al.,N Engl J Med.2016 Mar 10;374(10):959-68)。
【0004】
AMIの早期管理は従って、致命的転帰を回避でき、生涯にわたる合併症又は短腸症候群などの機能障害を予防し得る。しかし、AMI患者は一般に非特異的な急性腹痛を示し、それは、臨床的な疑いを生じかつ同定を困難にし、診断及びケアの見逃し又は遅れにしばしばつながり得る。さらに、疑いが起こらない場合、AMIは、急性腹症の造影コンピュータ断層撮影(CT)スキャンにおいて過小診断され得る(Lehtimaki et al.,Eur J Radiol.2015 Dec;84(12):2444-53)。
【0005】
多くの研究が、急性腹痛を呈する患者のための信頼できるAMI診断検査を開発する目的で、AMIと特異的に関連するバイオマーカーを同定するよう試みている。生物学的異常-白血球増多又は乳酸アシドーシスなど-がAMI患者において実証されている一方で、早期診断を確立するためのそれらの性能は、不十分である(Peoc’h et al.,Clin Chem Lab Med.2018 Feb 23;56(3):373-385;Derikx et al.,Best Pract Res Clin Gastroenterol.2017 Feb;31(1):69-74)。層状の腸壁構造が非常に複雑であることが、AMIにおいて放出されるタンパク質及び代謝産物の多様性を増大させる。肝門脈系を通じたそれらの肝臓代謝は、肝臓タンパク質と代謝産物の相当な重複をもたらす。これらの要因は、この疾患の不均一性と併せて、今までAMIの臨床的に信頼できるバイオマーカーの同定が成功していない理由を説明する。
【0006】
従って、急性腹痛を呈する患者においてAMIを診断するための確実に且つ容易に評価され得るバイオマーカーが、依然として緊急に必要とされている。実際に、上述のように、AMIの時宜にかなった診断は、即時の及び適切なケアが提供されることを確実にするため、かつ従って死亡又は短腸症候群などの生涯にわたる合併症若しくは機能障害を回避するために非常に重要である。
【0007】
生存の改善及び切除率の低下を示すパイロット試験の結果に従い(Corcos et al.,Clin Gastroenterol Hepatol.2013 Feb;11(2):158-65.e2)、発明者らは、パリ地区の全病院から紹介されたAMI患者に対して24/7標準化されたマルチモーダル及び集学的ケアを提供するIntestinal stroke center(Beaujon Hospital,Clichy,France)を設立した。2016年にこのセンターを設立した時から、発明者らは、将来を見越して、SURVIBIO診断研究の一部として急性腹痛のために造影CTスキャンを受ける患者を登録してきた。血液試料を入院時に収集し、さらなるバイオマーカー分析及び研究のためにバイオバンクで保管する。本明細書中で詳述されるように、発明者らは、非標的GC-MS及びH-NMRメタボロミクスを使用するAMI診断のための新規バイオマーカーを同定するためにバイオバンクからの入院血漿試料を使用した。
【0008】
本発明は従って、急性腸間膜虚血(AMI)に罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法における、急性腸間膜虚血(AMI)のメタボロームシグネチャー及びその決定に関する。本発明はまた、AMIのメタボロームシグネチャーを決定するための、およびAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法を実行するための手段を含むキットにも関する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、急性腸間膜虚血(AMI)に罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法に関し、この方法は、
a)イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、1-モノオレイン、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2及びL1PLからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を上記対象から以前得られた生体試料において測定することによって、上記対象のメタボロームシグネチャーを決定すること;
b)参照メタボロームシグネチャーと上記対象のメタボロームシグネチャーを比較すること;及び
c)対象のメタボロームシグネチャーと上記参照メタボロームシグネチャーとの比較に基づき、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定すること
を含む。
【0010】
本発明はまた、急性腸間膜虚血(AMI)に罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に適合されたケアを提供するための方法にも関し、この方法は、
a)イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、1-モノオレイン、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2及びL1PLからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を上記対象から以前得られた生体試料において測定することによって、上記対象のメタボロームシグネチャーを決定すること;
b)参照メタボロームシグネチャーと上記対象のメタボロームシグネチャーを比較すること;及び
c)対象のメタボロームシグネチャーと参照メタボロームシグネチャーとの比較に基づいてAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に対し適合されたケアを提供すること
を含む。
【0011】
一実施形態では、メタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象から以前得られた生体試料において測定することによって決定される。一実施形態では、メタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNのレベル、量又は濃度を上記対象から以前得られた生体試料において測定することによって決定される。一実施形態では、メタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、1-モノオレイン、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2及びL1PLのレベル、量又は濃度を対象から以前得られた生体試料中で測定することによって決定される。
【0012】
一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、非虚血性の腹痛がある対象の集団から以前得られた生体試料中の、同じ少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度の測定に由来する。
【0013】
一実施形態では、対象から以前得られた生体試料は、血液試料、好ましくは血漿試料である。
【0014】
本発明はまた、本発明の方法を実行するためのキットにも関し、これは、
-イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、1-モノオレイン、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2及びL1PLからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段と;
-任意選択的に内部標準及び/又は対照と;
-任意選択的に使用説明書、
を含む。
【0015】
一実施形態では、本キットは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含む。一実施形態では、本キットは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含む。一実施形態では、本キットは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、1-モノオレイン、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2及びL1PLのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含む。
【0016】
本発明はまた、急性腸間膜虚血(AMI)のメタボロームシグネチャーにも関し、上記メタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、1-モノオレイン、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2及びL1PLからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含む。
【0017】
一実施形態では、メタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含む。一実施形態では、メタボロームシグネチャーは、グリセロールをさらに含む。一実施形態では、メタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含む。一実施形態では、メタボロームシグネチャーは、グリセロールをさらに含む。一実施形態では、メタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、試験に含まれるAMI患者及び非AMI患者(対照)のスクリーニング及び選択を例示するフローチャートである。略語:AMI:急性腸間膜虚血;CTスキャン:造影コンピュータ断層撮影;CMI:慢性腸間膜虚血;GC-MS:ガスクロマトグラフィー-質量分析;H-NMR:プロトン核磁気共鳴スペクトロメトリーとしても知られる水素-1核磁気共鳴分光法;PCA:主成分分析。
図2A-M】図2A~Mは、試験で同定される急性腸間膜虚血に関連する血漿代謝産物を示すボックスプロットのセットである。0=対照患者;1=急性腸間膜虚血の患者。P-値は、年齢及び性別において調整され、偽発見率(Benjamini-Hochberg法)に対して補正される。ボックス中の水平線は、それぞれ、中央値及びボックスの上下、25th及び75thパーセンタイルを表す。Iバーは、最上位値(75thパーセンタイル+四分位範囲の1.5倍)及び最下位値(25thパーセンタイルの下の対応する式)を表し、点/星印は、外れ値を表す。
図3図3は、トレーニングセット(コホートの85%)に対し適用されるLAMDA統合分析における代謝産物の数による、13-代謝産物モデルの正確度を示すグラフである。次の13個の代謝産物(及びそれらの対応する重み)を用いて、最良のAUC/特徴数の比を得た:1-モノオレイン(1.00)、イソマルトース(0.72)、グルタミン(0.66)、フェニルアラニン(0.57)、グリセロール(0.57)、L1PN(0.56)、L1AB(0.56)、L3TG(0.55)、トレオース(0.55)、H4A2(0.53)、L1TG(0.53)、TPA2(0.51)、L1PL(0.50)。
図4図4は、1-モノオレインバイオマーカーを除き、トレーニングセット(コホートの85%)に対し適用されるLAMDA統合分析における代謝産物の数に従う、5個の代謝産物のモデルの正確度を示すグラフである。次の5個の代謝産物(及びそれらの対応する重み)を用いて、最良AUC/特徴数の比を得た:イソマルトース(1.00)、グルタミン(0.92)、フェニルアラニン(0.80)、グリセロール(0.80)、L1PN(0.79)。
図5A-C】図5A~Cは、対照患者、早期急性腸間膜虚血(初期AMI)の患者及び後期壊死性急性腸間膜虚血(壊死性AMI)の患者における、1-モノオレイン、イソマルトース及びグルタミンの濃度を示すボックスプロットのセットである。P-値は、年齢及び性別において調整され、偽発見率(Benjamini-Hochberg法)に対して補正される。ボックス中の水平線は、それぞれ、中央値及びボックスの上下、25th及び75thパーセンタイルを表す。Iバーは、最上位値(75thパーセンタイル+四分位範囲の1.5倍)及び最下位値(25thパーセンタイルの下の対応する式)を表し、点/星印は、外れ値を表す。n=34名の早期急性腸間膜虚血の患者及びn=13名の後期壊死性早期急性腸間膜虚血の患者。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
本発明において、次の用語は次の意味を有する:
【0020】
「a」及び「an」という用語は、その冠詞の文法上の対象が1つ又は複数(即ち、少なくとも1つ)であることを指す。例として、「バイオマーカー(a biomarker)」は、1つのバイオマーカー又は複数のバイオマーカーを意味する。
【0021】
数字の前に付く「約」は、上記数字の値のプラス又はマイナス10%以下を包含する。「約」という用語が指す値は、それ自身また具体的に、及び好ましくは、開示されることを理解すべきである。
【0022】
「AMI」は、急性腸間膜虚血を指し、これは、虚血、炎症性損傷及び細胞傷害を生じ得る、腸間膜脈管(動脈又は静脈の何れか)を通じた不適切な血流によって引き起こされる。AMIはまた、腸虚血又は急性腸虚血損傷(又はi3)又は虚血性腸炎又は腸間膜梗塞としても知られ得る。一実施形態では、AMIは、i)腸損傷の急性臨床、生物学的及び/又は造影CTスキャンの特徴;ii)腹腔動脈及び/又は上腸間膜動脈及び/又は上腸間膜静脈の血管不全(閉塞性又は非閉塞性)の存在;及び/又はiii)代替的な診断がないこととしても定義される。
【0023】
「AUROC」は、ROC曲線下面積(曲線下面積又はAUCとしても知られる)を表し、診断方法又は検査の正確度の指標である。統計において、受信者動作特性(ROC)又はROC曲線は、その識別閾値が変動する、二項分類器の系の性能を例示する図画プロットである。曲線を、0から1の連続値での特異度(通常は1-特異度)に対する感度をプロットすることにより作成する。ROC曲線及びAUC(又はAUROC)は、統計の分野で周知である。通常、0.5~0.7のAUC又はAUROCは、診断方法又は検査が鑑別不良(poor)~可(fair)であることを示すと考えられる。それに反して、0.7~0.8のAUROCは、診断方法又は検査が満足な鑑別を有することを示し、0.8~0.9のAUROCは、診断方法又は検査が優れた鑑別を有することを示す(Forthofer et al.(2006)Biostatistics:A guide to Design,Analysis and Discovery:Elsevier)。
【0024】
「バイオマーカー」又は「生体マーカー」は、対象からの生体試料中で測定され得る、代謝産物などの、可変要素を指す。
【0025】
「測定する(Measuring)」又は「測定(measurement)」又は或いは「検出する(detecting)」又は「検出(detection)」は、ある物質、例えばバイオマーカーの存在、非存在、レベル、量(quantity)又は量(amount)を評価することを意味する。本明細書中で使用される「測定する(Measuring)」又は「測定(measurement)」又は或いは「検出する(detecting)」又は「検出(detection)」は、上記物質、特に上記バイオマーカーの、定性的又は定量的な濃度の導出を含む。
【0026】
「非侵襲的」は、本発明による方法又は検査に言及する場合、本発明の方法又は検査が、対象の身体から組織試料を得るか又は回収することを含まないことを意味する。一実施形態では、血液試料は、組織試料としてみなされない。
【0027】
「診断標的」は、診断方法又は検査の主要な目標を指す。例えば、診断標的がAMIである診断方法は、対象におけるAMIの存在を評価することを目的とする。
【0028】
「感度」は、ある診断方法について、その診断方法によりそのように正確に同定される診断標的(例えばAMI)を有する患者の割合を評価する。
【0029】
「特異度」は、ある診断方法について、その診断方法によりそのように正確に同定される診断標的(例えばAMI)がない患者の割合を評価する。
【0030】
「対象」は、哺乳動物、好ましくは霊長類、より好ましくはヒトを指す。
【0031】
「処置する(Treating)」又は「処置(treatment)」は、治療的処置、予防的(又は予防)処置又は治療的処置及び予防的(又は予防)処置の両方を指し;その目的は、急性腸間膜虚血(AMI)、その付随する症状及び/又は合併症、例えば虚血、炎症性の損傷、細胞傷害、組織壊死及び/又は腸切除など、を予防する又は遅延させる又は緩和することである。一実施形態では、対象は、本明細書中に記載されるような適合されたケアを含む、本明細書中に記載されるような処置を受けた後、対象が次の少なくとも1つを示す場合、首尾よく「処置される」:AMIに付随する症状及び/又は合併症の1つ以上のある程度までの緩和及び/又はクオリティーオブライフ問題の改善。処置の成功及びAMIに付随する症状及び/又は合併症の改善を評価するための上のパラメーターは、医師によく知られる通常の手順により容易に測定可能である。
【0032】
詳細な説明
本発明は、急性腸間膜虚血(AMI)のメタボロームシグネチャー又はメタボロミックなプロファイルに関する。本明細書中で使用される場合、「メタボロームシグネチャー」及び「メタボロミックなプロファイル」という用語は、交換可能である。
【0033】
一実施形態によれば、上記メタボロームシグネチャーは、初期AMIのメタボロームシグネチャーである。
【0034】
本明細書中で使用される場合、初期AMIは、AMIの可逆的ステージに対応する。適時に処置される、初期AMIに罹患している患者は従って、完全に回復し得、特に正常な消化機能を回復し得る。
【0035】
一実施形態では、初期AMIは、腸壊死がないことを特徴とする。一実施形態では、初期AMIは、臓器不全がないこと、血中乳酸の増加がないこと、及び/又はCTスキャンで気腹/腹膜炎がないことを特徴とする。
【0036】
一実施形態によれば、AMIのメタボロームシグネチャーは、その存在又は非存在がAMIの特徴であるバイオマーカーを含むか又はそれらからなる。
【0037】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、参照メタボロームシグネチャーと比較した場合にその存在又は非存在がAMIの特徴であるバイオマーカーを含むか又はそれからなる。従って、一実施形態では、「AMIの特徴」は、バイオマーカーに言及する場合、上記バイオマーカーがAMIに罹患している対象において特異的に存在することを意味し、即ち、上記バイオマーカーが、AMIに罹患していない参照対象において又はAMIに罹患していない対象の参照集団において存在しないことである。一実施形態では、「AMIの特徴である」は、バイオマーカーに言及する場合、上記バイオマーカーがAMIに罹患している対象において特異的に非存在であることを意味し、即ち、上記バイオマーカーがAMIに罹患していない対象において又はAMIに罹患していない対象の参照集団において存在することである。
【0038】
一実施形態によれば、AMIのメタボロームシグネチャーは、そのレベル、量又は濃度がAMIの特徴であるバイオマーカーを含むか又はそれからなる。
【0039】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、参照メタボロームシグネチャーと比較した場合にそのレベル、量又は濃度がAMIの特徴であるバイオマーカーを含むか又はそれからなる。従って、一実施形態では、「AMIの特徴である」は、バイオマーカーのレベル、量又は濃度に言及する場合、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、参照対象において測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度と、実質的に異なるか又は実質的に同様であることを意味する。「特徴」が「実質的に異なる」又は「実質的に同様である」ことを意味するか否かは、参照対象(又は対象の参照集団)及びそれらの疾患状態に依存する。
【0040】
一実施形態では、参照対象は、非虚血性の腹痛(即ち腸間膜虚血が原因ではない腹痛)に罹患している対象であるか、又は対象の集団は、非虚血性の腹痛に罹患している対象の集団である。従って、上記実施形態では、「AMIの特徴である」は、「実質的に異なる」ことを意味する。
【0041】
一実施形態では、参照対象は、実質的に健康な対象であるか、又は対象の集団は、実質的に健康な対象の集団である。従って、上記実施形態では、「AMIの特徴である」は、「実質的に異なる」ことを意味する。
【0042】
一実施形態では、参照対象は、AMIに罹患している対象であるか、又は対象の集団は、AMIに罹患している対象の集団である。従って、上記実施形態では、「AMIの特徴である」は、「実質的に同様である」ことを意味する。
【0043】
一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、参照対象において測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約1%超高い、2%超高い、3%超高い、4%超高い、5%超高い、6%超高い、7%超高い、8%超高い、9%超高い、10%超高い、15%超高い、20%超高い、25%超高い、30%超高い、35%超高い、40%超高い、45%超高い又は50%超高いか又はそれを超える場合;又は参照対象において測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約1%超低い、2%超低い、3%超低い、4%超低い、5%超低い、6%超低い、7%超低い、8%超低い、9%超低い、10%超低い、15%超低い、20%超低い、25%超低い、30%超低い、35%超低い、40%超低い、45%超低い又は50%超低い又はそれより低い場合、「実質的に異なる」。一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、参照対象において測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約5%を超えて高いか又は5%を超えて低い場合、「実質的に異なる」。
【0044】
一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、その所与のバイオマーカーがAMIに罹患している対象において存在し、AMIに罹患していない参照対象において又はAMIに罹患していない対象の参照集団において存在しない場合、「実質的に異なる」。一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、所与のバイオマーカーがAMIに罹患している対象において存在せず、AMIに罹患していない参照対象において又はAMIに罹患していない対象の参照集団において存在する場合、「実質的に異なる」。
【0045】
一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、参照対象で測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも、約1%未満高い、2%未満高い、3%未満高い、4%未満高い、5%未満高い、6%未満高い、7%未満高い、8%未満高い、9%未満高い、10%未満高い、15%未満高い、又は20%未満高い場合;又は参照対象で測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも、約1%未満低い、2%未満低い、3%未満低い、4%未満低い、5%未満低い、6%未満低い、7%未満低い、8%未満低い、9%未満低い、10%未満低い、15%未満低い、又は20%未満低い場合、「実質的に同様である」。一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、参照対象において測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約5%未満高いか又は5%未満低い場合、「実質的に同様である」。
【0046】
一実施形態では、バイオマーカーのレベル、量又は濃度は、当技術分野で周知の方法によって測定され得る。このような方法としては、例えば、クロマトグラフィー支援質量分析(ガスクロマトグラフィー-質量分析又はGC-MS及び液体クロマトグラフィー-質量分析又はLC-MSなど)を含む質量分析、及びプロトン核磁気共鳴スペクトロメトリーとしても知られる水素-1核磁気共鳴分光法(H-NMR);高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びアンペロメトリック電気化学検出法を伴う高速陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC-PAD)を含む、クロマトグラフィー;免疫組織化学;免疫アッセイ;酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA);ウエスタンブロット;酵素法が挙げられる。
【0047】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1つのバイオマーカーからなる。
【0048】
本発明によれば、AMIのメタボロームシグネチャーは従って、脂質(1-モノオレインなど)であるバイオマーカー;多価アルコール又はポリオールとしても知られる糖アルコールであるバイオマーカー(イソマルトース、トレオース、メリビオース、D-アロース、キナ酸、及び/又はグリセロールなど);アミノ酸であるバイオマーカー(フェニルアラニン及び/又はグルタミンなど);ビタミンであるバイオマーカー(アルファ-トコフェロールなど);有機酸であるバイオマーカー(2-ヒドロキシ酪酸など);脂肪酸であるバイオマーカー(2-エチルヘキサン酸、パルミチン酸、コハク酸及び/又はオレイン酸など);糖酸であるバイオマーカー(トレオン酸及び/又はグリセリン酸など);アルファ-ケト酸であるバイオマーカー(ピルビン酸及び/又は2-ケトイソカプロン酸など);無機化合物であるバイオマーカー(リン酸など);ステロールであるバイオマーカー(コレステロールなど);カルボン酸であるバイオマーカー(酢酸など);及び/又はリポタンパク質亜分画であるバイオマーカー(低密度リポタンパク質(LDL)亜分画、例えばL1PN、L1AB、L3TG、L1TG、L1PL、L6FC、L5PL、L5CH、L5FC、L5AB、L5PN及び/又はL6PL;高密度リポタンパク質(HDL)亜分画、例えばH4A2、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、H3A2及び/又はH3PL;アポリポタンパク質A1(Apo-A1)亜分画、例えばTPA1;及び/又はアポリポタンパク質A2(Apo-Ab)亜分画、例えばTPA2など)を含み得るか又はそれらからなり得る。
【0049】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、グリセロールを含まないか又はそれからならない。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、グルタミンを含まないか又はそれからならない。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、グリセロールを含まないか又はそれからならず、グルタミンを含まないか又はそれからならない。
【0050】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1つのバイオマーカーからなり;任意選択的にグリセロールをさらに含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL及び酢酸を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1個のバイオマーカーからなり;任意選択的にグリセロール及び/又はグルタミンをさらに含む。
【0051】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーを含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーを含むか又はそれらからなる。
【0052】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーを含み;任意選択的にグリセロールをさらに含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーを含むか又はそれらからなり;任意選択的にグリセロールをさらに含む。
【0053】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1個のバイオマーカーからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1個のバイオマーカーからなり;任意選択的にグリセロールをさらに含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2及びL1PLを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1個のバイオマーカーからなり;任意選択的にグリセロール及び/又はグルタミンをさらに含む。
【0054】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個のバイオマーカーを含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13個のバイオマーカーを含むか又はそれらからなる。
【0055】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11個のバイオマーカーを含み;任意選択的にグリセロールをさらに含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個のバイオマーカーを含むか又はそれらからなり;任意選択的にグリセロールをさらに含む。
【0056】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくとも1-モノオレインを含むか又はそれからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくとも1-モノオレイン及びイソマルトースを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくとも1-モノオレイン、イソマルトース及びグルタミンを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくとも1-モノオレイン、イソマルトース、グルタミン及びフェニルアラニンを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくとも1-モノオレイン、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくとも1-モノオレイン、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくとも1-モノオレイン、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及びL1ABを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくとも1-モノオレイン、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、L1AB及びL3TGを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくとも1-モノオレイン、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、L1AB、L3TG及びトレオースを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくとも1-モノオレイン、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース及びH4A2を含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくとも1-モノオレイン、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2及びL1TGを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくとも1-モノオレイン、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG及びTPA2を含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくとも1-モノオレイン、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2及びL1PLを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる。
【0057】
一実施形態では、本明細書中の上に記載のようなAMIのメタボロームシグネチャーは、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL及び酢酸を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーをさらに含む。
【0058】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、トレオース、H4A2、TPA2、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1個のバイオマーカーからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、トレオース、H4A2、TPA2及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1個のバイオマーカーからなり;任意選択的にグリセロールをさらに含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、トレオース、H4A2及びTPA2を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1個のバイオマーカーからなり;任意選択的にグリセロール及び/又はグルタミンをさらに含む。
【0059】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、トレオース、H4A2、TPA2、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4、5、6又は7個のバイオマーカーを含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、トレオース、H4A2、TPA2、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される2、3、4、5、6、7又は8個のバイオマーカーを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、トレオース、H4A2、TPA2、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる。
【0060】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、トレオース、H4A2、TPA2及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4、5又は6個のバイオマーカーを含み;任意選択的にグリセロールをさらに含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、トレオース、H4A2、TPA2及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される2、3、4、5、6又は7個のバイオマーカーを含むか又はそれらからなり;任意選択的にグリセロールをさらに含む。
【0061】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1個のバイオマーカーからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1個のバイオマーカーからなり;任意選択的にグリセロールをさらに含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1個のバイオマーカーからなり;任意選択的にグリセロール及び/又はグルタミンをさらに含む。
【0062】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4又は5個のバイオマーカーを含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される2、3、4、5又は6個のバイオマーカーを含むか又はそれらからなる。
【0063】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3又は4個のバイオマーカーを含み;任意選択的にグリセロールをさらに含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される2、3、4又は5個のバイオマーカーを含むか又はそれらからなり;任意選択的にグリセロールをさらに含む。
【0064】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる。
【0065】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1個のバイオマーカーからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1個のバイオマーカーからなり;任意選択的にグリセロールをさらに含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、フェニルアラニン及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーを含むか又はその群から選択される1個のバイオマーカーからなり;任意選択的にグリセロール及び/又はグルタミンをさらに含む。
【0066】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3又は4個のバイオマーカーを含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される2、3、4又は5個のバイオマーカーを含むか又はそれらからなる。
【0067】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2又は3個のバイオマーカーを含み;任意選択的にグリセロールをさらに含む。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される2、3又は4個のバイオマーカーを含むか又はそれらからなり;任意選択的にグリセロールをさらに含む。
【0068】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくともイソマルトースを含むか又はそれからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくともイソマルトース及びグルタミンを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくともイソマルトース、グルタミン及びフェニルアラニンを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくともイソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくともイソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、少なくともイソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる。
【0069】
一実施形態では、本明細書中の上に記載のようなAMIのメタボロームシグネチャーは、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL及び酢酸を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーをさらに含む。
【0070】
一実施形態では、AMIのメタボロームシグネチャーの所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、参照メタボロームシグネチャーと比較した場合に、AMIの特徴とみなされる。
【0071】
一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、本明細書中の上に記載のようなAMIのメタボロームシグネチャーと同じバイオマーカーを含むか又はそれらからなる。
【0072】
一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択されるAMIのメタボロームシグネチャーと同じバイオマーカーを含むか又はそれらからなる。
【0073】
一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択されるAMIのメタボロームシグネチャーと同じバイオマーカーを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、トレオース、H4A2、TPA2、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択されるAMIのメタボロームシグネチャーと同じバイオマーカーを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択されるAMIのメタボロームシグネチャーと同じバイオマーカーを含むか又はそれらからなる。一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択されるAMIのメタボロームシグネチャーと同じバイオマーカーを含むか又はそれらからなる。
【0074】
一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、参照対象に由来するか又は対象の参照集団に由来する。
【0075】
一実施形態では、参照対象は、哺乳動物、好ましくは霊長類である。一実施形態では、参照対象は、ヒトである。
【0076】
一実施形態では、対象の参照集団は、少なくとも2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50人の又はそれを超える対象を含むか又はそれらからなる。
【0077】
一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、例えば、同様の年齢範囲を有する対象、同じ又は類似の人種群の対象、AMIのリスク上昇と関連する慢性的な医学的状態を有する対象又は腸間膜虚血の病歴がある対象を含む、集団試験に由来する。
【0078】
一実施形態によれば、参照メタボロームシグネチャーは、腸間膜虚が原因ではない腹痛(非虚血性の腹痛とも呼ばれる)に対する治療を求めている1人以上の対象からの生体試料中で測定されるAMIのメタボロームシグネチャーと同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度に由来する。従って、一実施形態によれば、参照メタボロームシグネチャーは、非虚血性の腹痛がある対象の参照集団に由来する。
【0079】
一実施形態によれば、参照メタボロームシグネチャーは、実質的に健康な1人以上の対象からの生体試料中で測定されるAMIのメタボロームシグネチャーと同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度に由来する。従って、一実施形態によれば、参照メタボロームシグネチャーは、実質的に健康な対象の参照集団に由来する。
【0080】
一実施形態では、「実質的に健康な対象」は、AMIに罹患していると以前に診断されたことがないか又は同定されたことがない対象である。一実施形態では、「実質的に健康な対象」は、腹痛に罹患していない対象である。一実施形態では、「実質的に健康な対象」は、何れの既知の疾患、障害又は状態にも罹患していない対象である。一実施形態では、「実質的に健康な対象」は、治療を求めていない対象である。
【0081】
一実施形態によれば、参照メタボロームシグネチャーは、1人以上のAMIに罹患している対象からの生体試料中で測定されるAMIのメタボロームシグネチャーのものと同じバイオマーカーの、レベル、量又は濃度に由来する。従って、一実施形態によれば、参照メタボロームシグネチャーは、AMIである対象の参照集団に由来する。
【0082】
一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、本明細書中の上に記載のような対象の参照集団の統計学的分析及び/又はリスク予想データに由来する。一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、1つ以上のアルゴリズムに由来する。一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、統計学的及び/又は構造分類の方法を用いる本明細書中の上に記載のような対象の参照集団に由来する。
【0083】
上で述べられるように、一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、参照メタボロームシグネチャーと比較した場合のAMIの特徴である。従って、一実施形態では、「AMIの特徴である」は、本発明のメタボロームシグネチャー内に含まれるバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、参照対象からの生体試料中で測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度と実質的に異なるか又は実質的に同様であることを意味する。
【0084】
一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、本発明のメタボロームシグネチャー内に含まれる少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、非虚血性の腹痛があるか若しくは実質的に健康であるかの何れかの参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象若しくは実質的に健康な対象の何れかの参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIの特徴である。一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、本発明のメタボロームシグネチャー内に含まれる1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又はそれを超える数のバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、非虚血性の腹痛があるか若しくは実質的に健康であるかの何れかの参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象若しくは実質的に健康な対象の何れかの参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIの特徴である。
【0085】
一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、非虚血性の腹痛があるか若しくは実質的に健康であるかの何れかの参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象若しくは実質的に健康な対象の何れかの参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIの特徴である。一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、非虚血性の腹痛があるか若しくは実質的に健康であるかの何れかの参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象若しくは実質的に健康な対象の何れかの参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIの特徴である。
【0086】
一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、非虚血性の腹痛があるか若しくは実質的に健康であるかの何れかの参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象若しくは実質的に健康な対象の何れかの参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIの特徴である。一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、非虚血性の腹痛があるか若しくは実質的に健康であるかの何れかの参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象若しくは実質的に健康な対象の何れかの参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIの特徴である。
【0087】
一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4又は5個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、非虚血性の腹痛があるか若しくは実質的に健康であるかの何れかの参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象若しくは実質的に健康な対象の何れかの参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIの特徴である。一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される1、2、3、4、5又は6個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、非虚血性の腹痛があるか若しくは実質的に健康であるかの何れかの参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象若しくは実質的に健康な対象の何れかの参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIの特徴である。
【0088】
一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3又は4個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、非虚血性の腹痛があるか若しくは実質的に健康であるかの何れかの参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象若しくは実質的に健康な対象の何れかの参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIの特徴である。一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される1、2、3、4又は5個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、非虚血性の腹痛があるか若しくは実質的に健康であるかの何れかの参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象若しくは実質的に健康な対象の何れかの参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIの特徴である。
【0089】
一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、参照対象において測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約1%超、2%超、3%超、4%超、5%超、6%超、7%超、8%超、9%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超又は50%超高いか又は低い場合、「実質的に異なる」。一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、参照対象において測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約1%超、2%超、3%超、4%超、5%超、10%超、15%超、20%超又は25%超高いか又は低い場合、「実質的に異なる」。一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、参照対象において測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約5%超高いか又は低い場合、「実質的に異なる」。
【0090】
一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、次のバイオマーカーの少なくとも1個、好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個の又は全てのレベル、量又は濃度が、示されるように、非虚血性の腹痛がある参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは異なる場合、AMIの特徴である:
-1-モノオレインのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-イソマルトースのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-フェニルアラニンのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-トレオースのレベル、量又は濃度が実質的により低い、
-グルタミンのレベル、量又は濃度が実質的により低い、
-グリセロールのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-H4A2のレベル、量又は濃度が実質的により低い、
-TPA2のレベル、量又は濃度が実質的により低い、
-L1PNのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-L1ABのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-L3TGのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-L1TGのレベル、量又は濃度が実質的により高い、及び/又は
-L1PLのレベル、量又は濃度が実質的により高い。
【0091】
一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、次のバイオマーカーの少なくとも1個、好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7個の又は全てのレベル、量又は濃度が、次に示されるように、非虚血性の腹痛がある参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは異なる場合、AMIの特徴である:
-1-モノオレインのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-イソマルトースのレベル、量又は濃度が実質的により高い,
-フェニルアラニンのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-トレオースのレベル、量又は濃度が実質的により低い、
-グルタミンのレベル、量又は濃度が実質的により低い、
-グリセロールのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-H4A2のレベル、量又は濃度が実質的により低い、及び/又は
-TPA2のレベル、量又は濃度が実質的により低い。
【0092】
一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、次のバイオマーカーの少なくとも1個、好ましくは少なくとも2、3、4、5個の又は全てのレベル、量又は濃度が、示されるように、非虚血性の腹痛がある参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは異なる場合、AMIの特徴である:
-イソマルトースのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-グルタミンのレベル、量又は濃度が実質的により低い
-フェニルアラニンのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-グリセロールのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-L1PNのレベル、量又は濃度が実質的により高い、及び/又は
-1-モノオレインのレベル、量又は濃度が実質的により高い。
【0093】
一実施形態では、本発明のメタボロームシグネチャーは、次のバイオマーカーの少なくとも1個、好ましくは少なくとも2、3、4個の又は全てのレベル、量又は濃度が、示されるように、非虚血性の腹痛がある参照対象からの生体試料中で測定されるか又は非虚血性の腹痛がある対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは異なる場合、AMIの特徴である:
-イソマルトースのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-グルタミンのレベル、量又は濃度が実質的により低い、
-フェニルアラニンのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-グリセロールのレベル、量又は濃度が実質的により高い、及び/又は
-L1PNのレベル、量又は濃度が実質的により高い。
【0094】
一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、参照対象において測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約1%超、2%超、3%超、4%超又は5%超高い、好ましくは約5%超高い場合、実質的により高い。一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、参照対象において測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約1%超、2%超、3%超、4%超又は5%超低い、好ましくは約5%超低い場合、実質的により低い。
【0095】
本発明の別の目的は、本明細書中の上に記載のようなメタボロームシグネチャーを決定することによって、急性腸間膜虚血(AMI)に罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法である。一実施形態では、本方法は、本明細書中の上に記載のような初期AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するためである。
【0096】
一実施形態によれば、本発明は、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法に関し、上記方法は、
a)本明細書中の上に記載のようなバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することによって、対象のメタボロームシグネチャーを決定すること;
b)参照メタボロームシグネチャーと対象のメタボロームシグネチャーを比較すること;及び
c)対象のメタボロームシグネチャーと参照メタボロームシグネチャーとの比較に基づき、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定すること
を含むか又はそれらからなる。
【0097】
一実施形態では、「生体試料」は、体液、細胞又は組織又は臓器、特に組織又は臓器生検を指す。生体試料の例は従って、全血、アフェレーシス血液、血清、血漿、尿、糞便、滑液、気管支肺胞洗浄液、痰、リンパ、腹水、羊水、腹腔液、脳脊髄液、胸水、心膜液及び肺胞マクロファージ、組織溶解液、生検及び組織から調製された抽出物を含む。
【0098】
一実施形態では、対象からの生体試料は、体液試料である。体液試料の例としては、血液、血漿、血清、リンパ、尿又は汗試料が挙げられる。
【0099】
一実施形態では、対象からの生体試料は、血液試料である。一実施形態では、対象からの生体試料は、全血試料である。一実施形態では、対象からの生体試料は、血漿試料である。血漿試料を得るための方法は、臨床研究室において日常的に使用される。一実施形態では、対象からの全血試料又は血漿試料を処理して、血清試料を得る。従って、一実施形態では、対象からの生体試料は、血清試料である。全血試料又は血漿試料から血清試料を得るための方法は、臨床研究室において日常的に使用される。
【0100】
一実施形態によれば、本発明の方法は、対象から生体試料を得るか又は回収する段階を含む。
【0101】
一実施形態によれば、本発明の方法は、対象から生体試料を得るか又は回収する段階を含まない。上記実施形態では、生体試料は、対象から以前に得られた。生体試料は、本発明の方法で使用される前に適切な条件で保存され得る。従って、一実施形態では、本発明の方法は、非侵襲的な方法又はインビトロ法である。
【0102】
一実施形態では、本発明は、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法に関し、上記方法は、
a)本明細書中の上に記載のような上記対象から以前得られた生体試料中でバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定することによって、上記対象のメタボロームシグネチャーを決定すること;
b)参照メタボロームシグネチャーと対象のメタボロームシグネチャーを比較すること;及び
c)対象のメタボロームシグネチャーと参照メタボロームシグネチャーとの比較に基づき、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定すること
を含むか又はそれらからなる。
【0103】
一実施形態によれば、対象のメタボロームシグネチャーを決定することは、対象においてAMIのメタボロームシグネチャーの存在を決定することを意味する。従って、一実施形態では、対象のメタボロームシグネチャーを決定することは、本明細書中の上に記載のようなAMIのメタボロームシグネチャー内に含まれるバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することを含むか又はそれからなる。
【0104】
一実施形態では、対象のメタボロームシグネチャーを決定することは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することを含むか又はそれからなる。一実施形態では、対象のメタボロームシグネチャーを決定することは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することを含むか又はそれからなり;任意選択的に、対象からの生体試料中でグリセロールのレベル、量又は濃度を測定することをさらに含む。
【0105】
一実施形態では、上記対象のメタボロームシグネチャーを決定することは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することを含むか又はそれからなる。一実施形態では、上記対象のメタボロームシグネチャーを決定することは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10若しくは11個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することを含むか又はそれからなり;任意選択的に、対象からの生体試料中でグリセロールのレベル、量又は濃度を測定することをさらに含む。
【0106】
一実施形態では、対象のメタボロームシグネチャーを決定することは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4若しくは5個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することを含むか又はそれからなる。一実施形態では、対象のメタボロームシグネチャーを決定することは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3若しくは4個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することを含むか又はそれからなる。
【0107】
従って、一実施形態では、本発明は、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法に関し、上記方法は、
a)本明細書中の上に記載のようなバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定すること;
b)対象からの生体試料中で測定されるバイオマーカーのレベル、量又は濃度を、本明細書中の上に記載のような参照対象からの生体試料中で測定されるか又は本明細書中の上に記載のような対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度と比較すること;及び
c)上記比較に基づいてAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定すること
を含むか又はそれらからなる。
【0108】
一実施形態では、本方法の段階a)は、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することを含むか又はそれからなる。一実施形態では、本方法の段階a)は、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することを含むか又はそれからなり;任意選択的に、対象からの生体試料中でグリセロールのレベル、量又は濃度を測定することをさらに含む。
【0109】
一実施形態では、本方法の段階a)は、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することを含むか又はそれからなる。一実施形態では、本方法の段階a)は、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10若しくは11個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することを含むか又はそれからなり;任意選択的に、対象からの生体試料中でグリセロールのレベル、量又は濃度を測定することをさらに含む。
【0110】
一実施形態では、本方法の段階a)は、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4若しくは5個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することを含むか又はそれからなる。一実施形態では、本方法の段階a)は、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3若しくは4個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することを含むか又はそれからなる。
【0111】
一実施形態によれば、本方法の段階b)は、対象に対して決定されるメタボロームシグネチャーを本明細書中の上に記載のような参照メタボロームシグネチャーと比較することを含むか又はそれからなる。
【0112】
一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、対象に対して決定されるメタボロームシグネチャー内に含まれるものと同じバイオマーカーを含むか又はそれらからなる。
【0113】
一実施形態では、参照メタボロームシグネチャーは、参照対象由来であるか又は参照対象集団由来、好ましくは非虚血性の腹痛がある参照対象由来、又は非虚血性の腹痛がある対象の参照集団由来である。
【0114】
一実施形態では、対象に対して決定されるメタボロームシグネチャーを参照メタボロームシグネチャーと比較する段階b)は、コンピュータで実行される。従って、一実施形態では、急性腸間膜虚血(AMI)に罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法は、コンピュータで実行される。
【0115】
一実施形態によれば、本方法の段階c)は、本明細書中の上に記載のような参照メタボロームシグネチャーとの上記対象に対して決定されるメタボロームシグネチャーの比較に基づいて、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定することを含むか又はそれからなる。
【0116】
一実施形態では、対象は、上記対象に対して決定されたメタボロームシグネチャーが、参照メタボロームシグネチャーと、特に非虚血性の腹痛がある参照対象に由来するか又は非虚血性の腹痛がある対象の参照集団に由来する参照メタボロームシグネチャーと実質的に異なる場合、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定される。
【0117】
一実施形態では、対象は、上記対象に対して決定されたメタボロームシグネチャーが、参照メタボロームシグネチャーと、特に非虚血性の腹痛がある参照対象に由来するか又は非虚血性の腹痛がある対象の参照集団に由来する参照メタボロームシグネチャーと実質的に同様である場合、AMIに罹患していないか又はAMIに罹患するリスクがないと同定される。
【0118】
一実施形態では、対象は、上記対象に対して決定されたメタボロームシグネチャー内に含まれる少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、参照メタボロームシグネチャー内に含まれる同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定される。
【0119】
一実施形態では、対象は、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL、酢酸、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、参照メタボロームシグネチャー内に含まれる同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定される。
【0120】
一実施形態では、対象は、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、参照メタボロームシグネチャー内に含まれる同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定される。
【0121】
一実施形態では、対象は、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4若しくは5個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、参照メタボロームシグネチャー内に含まれる同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定される。一実施形態では、対象は、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1、2、3若しくは4個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度が、参照メタボロームシグネチャー内に含まれる同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは実質的に異なる場合、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定される。
【0122】
一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、それが参照メタボロームシグネチャー内に含まれる同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約1%超、2%超、3%超、4%超、5%超、6%超、7%超、8%超、9%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超又は50%超高いか又は低い場合、「実質的に異なる」。一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、それが参照メタボロームシグネチャー内に含まれる同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約1%超、2%超、3%超、4%超、5%超、10%超、15%超、20%超又は25%超高いか又は低い場合、「実質的に異なる」。一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、それが参照メタボロームシグネチャー内に含まれる同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約5%超高いか又は低い場合、「実質的に異なる」。
【0123】
一実施形態では、対象は、次のバイオマーカーの少なくとも1個、好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個の又は全てのレベル、量又は濃度が、示されるように、非虚血性の腹痛がある参照対象に由来するか又は非虚血性の腹痛がある対象の参照集団に由来する参照メタボロームシグネチャー内に含まれる同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度とは異なる場合、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定される:
-1-モノオレインのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-イソマルトースのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-フェニルアラニンのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-トレオースのレベル、量又は濃度が実質的により低い、
-グルタミンのレベル、量又は濃度が実質的により低い、
-グリセロールのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-H4A2のレベル、量又は濃度が実質的により低い、
-TPA2のレベル、量又は濃度が実質的により低い、
-L1PNのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-L1ABのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-L3TGのレベル、量又は濃度が実質的により高い、
-L1TGのレベル、量又は濃度が実質的により高い、及び/又は
-L1PLのレベル、量又は濃度が実質的により高い。
【0124】
一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、それが参照対象において測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約1%超、2%超、3%超、4%超又は5%超高い、好ましくは約5%超高い場合、実質的により高い。一実施形態では、所与のバイオマーカーのレベル、量又は濃度は、それが参照対象において測定されるか又は対象の参照集団に由来する同じバイオマーカーのレベル、量又は濃度よりも約1%超、2%超、3%超、4%超又は5%超低い、好ましくは約5超%低い場合、実質的により低い。
【0125】
本発明の別の目的は、急性腸間膜虚血(AMI)に罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に適合されたケアを提供するための方法である。一実施形態では、本方法は、本明細書中の上に記載のような初期AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に適合されたケアを提供するためである。
【0126】
一実施形態によれば、本発明は、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に適合されたケアを提供するための方法に関し、上記方法は、
-本明細書中の上に記載のようなAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして対象を同定すること;
-AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に対し適合されたケアを提供すること
を含むか又はそれらからなる。
【0127】
従って、一実施形態では、本発明は、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に適合されたケアを提供するための方法に関し、上記方法は、
a)本明細書中の上に記載のようなバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することによって、対象のメタボロームシグネチャーを決定すること;
b)本明細書中の上に記載のような参照メタボロームシグネチャーと対象のメタボロームシグネチャーを比較すること;及び
c)本明細書中の上に記載のような参照メタボロームシグネチャーと対象のメタボロームシグネチャーとの比較に基づき、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に対し適合されたケアを提供すること
を含むか又はそれらからなる。
【0128】
一実施形態では、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に対し適合されたケアを提供することは、次のものの少なくとも1つを含むか又は次のものの1つからなる:
-AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された上記対象に対し、腹部コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、好ましくは腹部CT血管造影図(CTA)、より好ましくは腹部造影CTAを実施すること;
-特に壊死のリスク因子について、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象を監視すること;
-緊急の薬物療法を提供すること;及び/又は
-緊急の介入療法を提供すること。
【0129】
一実施形態では、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に対し適合されたケアを提供することは、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された上記対象に対し、特に診断を確認し及び/又は介入処置(血管及び/又は消化器外科など)を先導するために、腹部CTスキャン、好ましくは腹部CT血管造影図(CTA)、より好ましくは腹部造影CTAを実施することを含むか又はそれからなる。
【0130】
一実施形態では、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に対し適合されたケアを提供することは、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象を監視することを含むか又はそれからなる。一実施形態では、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に対し適合されたケアを提供することは、壊死のリスク因子について、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象を監視することを含むか又はそれからなる。AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象における壊死のリスク因子の例としては、血清乳酸濃度上昇、臓器不全及び小腸の膨張が挙げられるが限定されない。一実施形態では、壊死のリスク因子についてAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象を監視することは、次のものの少なくとも1つを含むか又は次のものの1つからなる:
-AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象の血清乳酸濃度を監視すること;
-AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象において臓器不全の存在を監視すること;
-AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象において小腸の膨張の存在を監視すること。
【0131】
一実施形態では、血清乳酸濃度の上昇は、約2mmol/Lより高い血清乳酸濃度である。血清乳酸濃度を測定するための方法は、当技術分野で周知であり、臨床研究室で日常的に使用される。
【0132】
一実施形態では、臓器不全(臓器機能不全としても知られていることがある)は、呼吸不全(又は呼吸機能不全)、心血管不全(又は心血管機能不全)、肝不全(又は肝機能不全)、腎不全(腎機能不全)及び神経学的不全(神経機能不全)の少なくとも1つを含む。臓器不全又は臓器機能不全の存在を評価するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、連続的臓器不全評価(SOFA)スコアなどのスコアを用いて臓器不全又は臓器機能不全の存在を評価することを含む。
【0133】
一実施形態では、小腸膨張の存在は、少なくとも約2.5cmの小腸の膨張の存在として定義される。小腸膨張の存在を評価するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば腹部CTスキャンを実施することを含む。
【0134】
一実施形態では、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に対し適合されたケアを提供することは、緊急の薬物療法を提供することを含むか又はそれからなる。緊急の薬物療法の例としては、抗血栓及び/又は抗生物質の投与が挙げられるが限定されない。
【0135】
一実施形態では、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に対し適合されたケアを提供することは、緊急の介入処置を提供することを含むか又はそれからなる。緊急の医学的介入処置の例は血管及び/又は消化器外科であるが限定されない。
【0136】
一実施形態では、本発明は、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に適合されたケアを提供するための方法に関し、上記方法は、
-本明細書中の上に記載のようにAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして対象を同定すること;及び
-AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に対し、腹部CTスキャン、好ましくは腹部CT血管造影(CTA)、より好ましくは腹部造影CTAを実施することを含むか又はそれからなる、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に対する適合されたケアを提供すること
を含むか又はそれらからなる。
【0137】
本発明の別の目的は、急性腸間膜虚血(AMI)に罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象を処置するための方法である。一実施形態では、本方法は、本明細書中の上に記載のような初期AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象を処置するためである。
【0138】
一実施形態によれば、本発明は、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象を処置するための方法に関し、上記方法は、
-本明細書中の上に記載のようにAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして対象を同定すること;及び
-AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に処置を施すこと
を含むか又はそれらからなる。
【0139】
一実施形態では、本発明は、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象を処置するための方法に関し、上記方法は、
a)本明細書中の上に記載のようにバイオマーカーのレベル、量又は濃度を対象からの生体試料中で測定することによって、対象のメタボロームシグネチャーを決定すること;
b)本明細書中の上に記載のように参照メタボロームシグネチャーと対象のメタボロームシグネチャーを比較すること;及び
c)本明細書中の上に記載のような参照メタボロームシグネチャーとの対象のメタボロームシグネチャーの比較に基づき、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に処置を施すこと
を含むか又はそれらからなる。
【0140】
一実施形態によれば、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に処置を施すことは、本明細書中の上に記載のように適合されたケアを提供することを含むか又はそれからなる。
【0141】
一実施形態によれば、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象に処置を施すことは、次の少なくとも1つを含むか又は次の1つからなる:
-補液蘇生を実施すること;
-例えばゲンタマイシン及び/又はメトロニダゾールなどの経口抗生物質を投与すること;
-例えばパントプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤を投与すること;
-抗血栓、例えば未分画ヘパリンなどの抗血栓薬を投与すること;
-酸素治療を施すこと;及び/又は
-血行再建、例えば血管内又は外科的な血行再建を実施すること。
【0142】
一実施形態では、本発明は、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象を処置するための方法に関し、上記方法は、
-本明細書中の上に記載のようにAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして対象を同定すること;
-補液蘇生を実施することによって;経口抗生物質、プロトンポンプ阻害剤、抗血栓薬及び/又は酸素療法の少なくとも1つを施すことによって;及び/又は血行再建を実施することによって、AMIに罹患しているか又は罹患するリスクがあるとして同定された対象を処置すること
を含むか又はそれらからなる。
【0143】
一実施形態では、対象は、哺乳動物、好ましくは霊長類である。一実施形態では、対象は、ヒトである。
【0144】
一実施形態では、対象は、治療を受けるために待機しているか又は治療を受けているか又は医学的手順の対象であるか又は疾患の進行について監視されている、患者、即ち哺乳動物、好ましくは霊長類、より好ましくはヒトである。
【0145】
一実施形態では、対象は、腹痛があるヒトである。一実施形態では、対象は、腹痛に対する治療を求めるヒトである。一実施形態では、対象は、腹痛がある緊急治療室に入院させられるヒトである。
【0146】
一実施形態では、対象は、男性である。一実施形態では、対象は、女性である。一実施形態では、対象は、50、55、60、65、70、75、80又は85歳を超える。
【0147】
一実施形態では、対象は、循環器疾患の病歴を有する。一実施形態では、対象は、過体重である。一実施形態では、対象は、約25kg/mよりも高いBMI(体格指数)を有する。
【0148】
本発明の別の目的は、本明細書中の上に記載のようにAMIのメタボロームシグネチャーを決定するための及び本明細書中の上に記載のようにAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法を実行するための手段を含むか又はそれらからなるキットである。
【0149】
一実施形態によれば、本発明のキットは、
-本明細書中の上に記載のようなAMIのメタボロームシグネチャー内に含まれるバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段と;
-任意選択的に内部標準及び/又は対照と;
-任意選択的に使用説明書、
を含むか又はそれらからなる。
【0150】
一実施形態によれば、本発明のキットは、
-本明細書中の上に記載のようなAMIのメタボロームシグネチャー内に含まれるバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段と;
-内部標準及び/又は対照と;
-使用説明書、
を含むか又はそれらからなる。
【0151】
一実施形態では、本発明のキットは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL及び酢酸、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなる。一実施形態では、本発明のキットは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL及び酢酸及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなり;任意選択的にグリセロールのレベル、量又は濃度を測定するための手段をさらに含む。一実施形態では、本発明のキットは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL及び酢酸を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなり;任意選択的にグリセロール及び/又はグルタミンのレベル、量又は濃度を測定するための手段をさらに含む。
【0152】
一実施形態では、本発明のキットは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL及び酢酸、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなる。一実施形態では、本発明のキットは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、メリビオース、アルファ-トコフェロール、2-ヒドロキシ酪酸、D-アロース、2-エチルヘキサン酸、トレオン酸、パルミチン酸、コハク酸、オレイン酸、キナ酸、ピルビン酸、リン酸、コレステロール、2-ケトイソカプロン酸、グリセリン酸、H4PL、HDA2、H4A1、H4CH、H3FC、H4FC、HDA1、TPA1、L6FC、L5PL、L5CH、H3A2、L5FC、H3PL、L5AB、L5PN、L6PL及び酢酸及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個又はそれを超える数のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなり;任意選択的にグリセロールのレベル、量又は濃度を測定するための手段をさらに含む。
【0153】
一実施形態では、本発明のキットは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなる。一実施形態では、本発明のキットは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなり;任意選択的にグリセロールのレベル、量又は濃度を測定するための手段をさらに含む。一実施形態では、本発明のキットは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2及びL1PLを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなり;任意選択的にグリセロール及び/又はグルタミンのレベル、量又は濃度を測定するための手段をさらに含む。
【0154】
一実施形態では、本発明のキットは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなる。一実施形態では、本発明のキットは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL及びグルタミンを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなり;任意選択的にグリセロールのレベル、量又は濃度を測定するための手段をさらに含む。
【0155】
一実施形態では、本発明のキットは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなる。一実施形態では、本発明のキットは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなり;任意選択的にグリセロールのレベル、量又は濃度を測定するための手段をさらに含む。一実施形態では、本発明のキットは、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなり;任意選択的にグリセロール及び/又はグルタミンのレベル、量又は濃度を測定するための手段をさらに含む。
【0156】
一実施形態では、本発明のキットは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4、5個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなる。一実施形態では、本発明のキットは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、L1PN及び1-モノオレインを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなり;任意選択的にグリセロールのレベル、量又は濃度を測定するための手段をさらに含む。
【0157】
一実施形態では、本発明のキットは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなる。一実施形態では、本発明のキットは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなり;任意選択的にグリセロールのレベル、量又は濃度を測定するための手段をさらに含む。一実施形態では、本発明のキットは、イソマルトース、フェニルアラニン及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1個のバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなり;任意選択的にグリセロール及び/又はグルタミンのレベル、量又は濃度を測定するための手段をさらに含む。
【0158】
一実施形態では、本発明のキットは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3、4個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなる。一実施形態では、本発明のキットは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも2、3個の又は全てのバイオマーカーのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなり;任意選択的にグリセロールのレベル、量又は濃度を測定するための手段をさらに含む。
【0159】
一実施形態では、本発明のキットは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、L1PL、グルタミン及びグリセロールのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなる。一実施形態では、本発明のキットは、1-モノオレイン、イソマルトース、フェニルアラニン、トレオース、H4A2、TPA2、グルタミン及びグリセロールのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなる。一実施形態では、本発明のキットは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール、L1PN及び1-モノオレインのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなる。一実施形態では、本発明のキットは、イソマルトース、グルタミン、フェニルアラニン、グリセロール及びL1PNのレベル、量又は濃度を測定するための手段を含むか又はそれからなる。
【0160】
本発明の別の目的は、本明細書中の上に記載のようなAMIに罹患しているか又は罹患するリスクがある対象を同定するための方法を実施するための診断剤又はキットの製造における、本明細書中の上に記載のようなAMIのメタボロームシグネチャーを決定するための試薬の使用である。
【0161】
本発明は、次の実施例によりさらに例示される。
実施例:インテスティナル・ストローク・センター(intestinal stroke center)からの横断的研究
材料及び方法
試験設計及び設定
この試験は、2016年1月から2018年3月に造影コンピュータ断層撮影(CT)スキャンを必要とする急性腹痛がある患者を登録した横断的診断試験であった。急性腸間膜虚血(AMI)がある患者を、インテスティナル・ストローク・センター(intestinal stroke center)(Beaujon Hospital,Clichy,France)に入院させ、一方で、AMI診断が除外された患者(対照)を、緊急治療室に入院させた(患者フローチャート、図1を参照)。血液試料を、入院時に全患者から収集し、さらなるバイオマーカー分析のために保管した。この試験は、Ethics Committee of Paris-Nord Val de Seine University Hospitalsにより承認された。この試験は、Standards for Reporting Diagnostic Accuracy(STARD)ガイドライン(Bossuyt et al.,BMJ.2015 Oct 28;351:h5527)に適合した。書面のインフォームドコンセントを、全患者から得た。
【0162】
患者及び対照
AMIを、1)腸損傷の急性臨床、生物学的及び/又は造影CTスキャンの特性、2)腹腔動脈及び/又は上腸間膜動脈及び/又は上腸間膜静脈の血管不全(閉塞性又は非閉塞性)及び3)代替診断がないこと(Nuzzo et al.,Am J Gastroenterol.2019 Feb;114(2):348-351)の関連により定義した。診断を、腸切除後に組織学により確認した(Nuzzo et al.,Am J Gastroenterol.2017 Apr;112(4):597-605)。全てのAMI患者を、前に記載のように、標準化したマルチモーダルな及び集学的なアプローチにより管理した(Corcos et al.,Clin Gastroenterol Hepatol.2013 Feb;11(2):158-65.e2)。簡潔に述べると、患者に経口抗生物質及び抗血栓薬を全身投与し、動脈AMIの緊急血管内血行再建を、技術的に実現可能な場合は必ず実施した。或いは、外科的血行再建を行った。腸生存能を、開腹手術により評価し、不可逆的な全層性腸壊死に対する公開されているリスク因子:臓器不全の発生、血清乳酸濃度上昇、小腸膨張又はCTスキャンでの穿孔に基づき決定した(Nuzzo et al.,Am J Gastroenterol.2017 Apr;112(4):597-605)。不可逆的な全層性腸壊死を、病理学的評価時に確認した。
【0163】
AMIの診断を、CTスキャンにより組み入れるか又は除外し、代替的な最終診断は、臨床、生物学的及びCTスキャンの所見に基づいた。最終的に、含まれた全ての患者は、造影腹部CTスキャン、日常的な生物学的精密検査及び血液及び尿試料採取を受けた。左側結腸虚血、急性損傷がない慢性腸間膜虚血、腸損傷がない血管病変又は絞扼性腸閉塞の診断を示す何れの患者も除外した(患者フローチャート、図1を参照)。患者の臨床記録、CTスキャン及び病理学検体の全てを、胃腸科医、放射線科医、消化器及び血管外科医及び集中治療医、消化器血管疾患における全ての専門家を含む集学的なミーティングにおいて検討して、あらゆる血液試料分析の前に診断の誤分類を回避した。
【0164】
データ収集及び処理
入院時に日常的なベースライン臨床及び生物学的特徴を、全ての患者について収集した:年齢、性別、体格指数(BMI)、循環器疾患又はリスク因子の病歴、一般的及び消化器臨床徴候及び一般的な生物学的特性。AMI(動脈血栓性又は塞栓性-静脈又は非閉塞性)の原因を、患者の記録、CTスキャン及び病理学的検討に基づき特定した。血漿試料を、ヘパリン処理チューブ中に収集し、その後、3,000rpmで15分間、室温ですぐに遠心分離し、その後さらなる分析まで-80℃で保管した。メタボローム解析を、最終診断分類を全患者において行った後で実施した。
【0165】
メタボロミクススペクトル取得
分析を、バリデーション済みのGC-MS(ガスクロマトグラフィー-質量分析)及び1H-NMR(プロトン核磁気共鳴分光法)を使用して、Imperial College Londonで行った。試料調製及びGC-MSスペクトル取得を、次のように行った。タンパク質/脂質沈殿プロトコールを、メタボロームの変化を最小にしながら試料を効果的にクリーンアップするために最適化した。さらに、分析物を、2段階手順(メトキサミン(MOX)、続いてN-メチル-トリメチルシリル-トリフルオロアセトアミド(MSTFA))下で誘導体化して、それらをGC-MSにより分析可能にし、メタボロームの適用範囲を最大化した。代謝産物のアノテーションを、Fiehnライブラリ(Kind et al.,Anal Chem.2009 Dec 15;81(24):10038-48)及びNIST(National Institute of Standards及びTechnology)ライブラリとスペクトル及び保持時間を比較することにより行った。その後、アノテーションされたピークを、目視により1つずつ調べて、アノテーションされた代謝産物の生物学的関連性、それらの物理化学的な特性及び分析プラットフォームの選択に基づき見逃されたアノテーションを修正した。
【0166】
ピークピッキングを、標的化された代謝産物全てが正確に統合されたことを確実にするために、MatlabにおいてGavin3パッケージで行った。再現性、ブランクコンタミネーション、機器ドリフト、試行順序及びバッチ効果を、教師付き及び教師なし多変量統計の使用により評価し、従って、分析的な変動性を調節し、最小化し、生物学的な変動性に専ら集中する目的で、補正した。
【0167】
試料調製及び600.22MHzの周波数で作動するBruker分光光度計(Rheinstetten,Germany)でのH-NMRスペクトル取得のための方法は、以前に記載のとおりであった(Dona et al.,Anal Chem.2014 Oct 7;86(19):9887-94;Dumas et al.,Nat Genet.2007 May;39(5):666-72)。
【0168】
統計学的分析
メタデータ
連続型変数のそれぞれに対して、中央値及び四分位範囲(IQR)を報告した。カテゴリー変数を、観察数及びパーセンテージとして表した。正規分布定量データを、スチューデントt検定で分析した。マン-ホイットニーU検定を、さもなければ使用した。定性データを、試料サイズに依存して、ピアソンχ検定又はフィッシャー直接検定の何れかで比較した。各群での50名の患者の登録は、AUC≧0.70で診断検査を評価するために95%を超える検出力を提供すると決定された(Obuchowski et al.,Clin Chem.2004 Jul;50(7):1118-25)。
【0169】
メタボロミクス
参照標準の結果の知識を含まない教師なし主成分分析(PCA)モデルを、分析誤差又は生物学的偏差の何れかによる何らかのハードな外れ値(hard outlier)があったか否かを調べるために作成した。PCAは、データマトリクスにおける体系的変化を抽出し示すために使用される、多変量射影である。PCAモデルのスコアプロットは、より類似するプロファイルを表す共に近い点を有する、参加者の代謝プロファイル間の相関を示し、群及び傾向を明らかにする。
【0170】
メタボロミクスデータ分析は、アミノ酸、炭水化物、脂質、ヌクレオチド、細菌叢代謝、エネルギー、補助因子及びビタミン、生体異物及び新規代謝産物を含む全ての代謝産物に関連する。群間で顕著に異なっていた生化学的物質を同定するために、代謝産物を、年齢及び性別について調整する一変量及び多変量ロジスティック回帰により比較した。偽発見率(FDR)の推定値を、メタボロームベースの研究で通常出現する多重比較を考慮するために計算した。一変量及び多変量テーブルを、p-値及びq-値(偽発見率調整)に従いランク付けした。次に、機械学習分析(ファジイ特徴選択(fuzzy feature selection)アルゴリズム-MEMBAS(MEmbership Margin Based Attribute Selection))を、最良のAUC/代謝産物数の比を有する診断バイオマーカーのパネルを選択するために行った。アルゴリズムを、患者の85%のトレーニングセット及び患者の15%のバリデーションセットに対し適用した。
【0171】
ファジイ特徴選択(fuzzy feature selection)アルゴリズム(MEMBAS)
ファジイ理論は、いくつかの概念に固有の不正確さを数学的にモデル化するために1965年にZadehにより提案された。要約すると、ファジイ理論は、対象物が部分的に(同時に)0~1のある度合いのメンバーシップを伴うセット(クラス)に属するようにする。機械学習フレームワークにおいて、アプローチは、各個体が1つのクラスにのみ属すると考えられる「クリスプ」(「ハード(hard)」)アプローチとは異なり、個体がある度合いのメンバーシップを伴う各クラスに属すると考えられる場合、「ファジイ」と定義される。
【0172】
既存の特徴選択アルゴリズムは伝統的に、適切な特性を探索するために使用される判断基準に従い、ラッパー又はフィルターとして特徴付けられる。MEMBAS(MEmbership Margin Based Attribute Selectionを表す)と呼ばれる選択アルゴリズムは、ファジイ論理の概念を使用する適切なマッピングに基づき、同様に3種類のデータタイプ(数的、質的、区間)を処理することを可能にする。このアルゴリズムは、最良の識別を見つけるために、2種類のクラス(患者及び対照)のそれぞれに対する各代謝産物の寄与を同時に評価する。即ち、これは、それがメンバーシップマージン(membership margin)の最大化に従う特徴重み付けに基づくので、最も適切なマーカーを抽出する。特性選択手順中のヒューリスティックな検索を回避するために、MEMBASは、分析的解明を提供する古典的な最適化技術を使用することによって、メンバーシップマージン(membership margin)に基づく目的関数を最適化する。
【0173】
クラス予測-ファジイ分類アルゴリズム
学習及び分類アルゴリズム、LAMDA(Learning Algorithm for Multivariable Data Analysis(多変量データ分析のための学習アルゴリズム))は、患者のメタボロミックプロファイルに従いAMI患者と腹痛対照患者を最良に識別するファジイ分割を生成するために使用されている。LAMDAは、各特徴の全ての寄与を考慮する、既存のクラスに対する試料の包括的なメンバーシップ度を見つけることに基づく概念クラスタリング及び分類のファジイ方法論である。これらの寄与は、マージナル・アデクエイシー・ディグリーズ(marginal adequacy degrees)(MADs)と呼ばれる。MADsは、メンバーシップ関数により計算され、クラスに対するエレメントの包括的妥当性(global adequacy degree)(GAD)を得るために、次に集合演算子として「ファジイ・ミックスド・コネクティブズ(fuzzy mixed connectives)」を使用して組み合わされる。最後に、試料(AMI患者/対照患者)を、そのGADが最大であるクラスに割り当てる。Hedjazi et al.(Hedjazi et al.,J Comput Biol.2013 Aug;20(8):610-20)において、及び対応するPhD論文(Lyamine Hedjazi,Outil d’aide au diagnostic du cancer a( partir d’extraction d’informations issues de bases de donnees et d’analyses par biopuces.Automatic Control Engineering.Universite) Paul Sabatier-Toulouse III,2011)において、既知の特徴選択法での比較を含む、大規模な実験的試験が、混合型及び高次データを与えるいくつかのデータセットで行われた。これらの研究における実験の結果は、MEMBASがLAMDA(ファジイ分類指標)の分類性能並びに他の周知の分類指標(k-NN、SVM)の分類性能の顕著な改善をもたらすことを示す。さらに、組み合わされたファジイモデルMEMBAS/LAMDAは、混合型データを伴うデータセットにおいてよく機能し、それは、同じファジイ化工程(メンバーシップ関数)が、特徴選択及び分類の両方に対して使用されるからである。これは、情報の欠損が最小である各特徴タイプについて同様の処理を提供する。
【0174】
同定されたバイオマーカーのパネルの診断値を、受信者動作曲線(ROC)下面積(AUROC)の計算により受信者動作曲線(ROC)を分析することにより評価した。全ての試験は、両側性であった。欠損データの補完は行わなかった。分析を、Mac OSXソフトウェア用のStatistical Package for the Social Sciences(SPSS)(バージョン23.0、Chicago,IL,USA)を使用して、及びRソフトウェア、バージョン3.6.2(R Foundation for Statistical Computing)において行った。
【0175】
結果
研究課題の特徴
2016年1月14日~2018年3月5日に、造影CTスキャンを必要とする急性腹痛がある185名の患者を、適格性について評価した。造影腹部CTスキャンを行い、血液試料を173名の患者から収集し、これはAMIの疑いがあるインテスティナル・ストローク・センター(intestinal stroke center)(Beaujon Hospital,Clichy,France)に入院した77名及び非虚血性の腹痛のために緊急治療室に入院した96名を含んだ(フローチャート、図1参照)。44名の患者を、最終診断又は試料欠損に基づき分析から除外し、これは、50名の確認済みのAMI及び79名の非AMI患者(対照)を含んだ129名の患者を残した。両集団のベースラインの特徴を下の表1にまとめる。
【表1】
【0176】
対照の最終診断を下の表2に示す。AMIの患者(中央値年齢:65歳(55~75)、女性38%)は、動脈及び静脈の原因を含み、それぞれ症例の66%及び34%であった。含まれた患者のうち非閉塞性AMIである者はいなかった。AMIは、慢性腸間膜虚血の徴候を示す7名の患者で起こった。AMI患者は、対照よりも、顕著に高齢であり、BMIがより高く、循環器疾患のリスク因子又は病歴を有する確率が高かった(表1参照)。AMI患者はまた、ベースラインで血便、防御及び臓器機能不全(総SOFA(連続的臓器不全評価)スコア≧2により測定した場合)及びより高い白血球細胞数を示す可能性もより高かった。L-乳酸を含む、他のベースラインの臨床及び実験的特徴は、有意な差がなかった(表1参照)。インテスティナル・ストローク・センター(Intestinal stroke center)(Beaujon Hospital,Clichy,France)への入院後、AMI患者は、抗血小板物質療法(n=33、動脈AMI患者の100%)、抗凝固剤(n=50、AMI患者の100%)、経口抗生物質(n=49、AMI患者の98%)及び静脈内抗生物質(n=21、AMI患者の42%)を受けた。緊急血行再建を、29名の患者(動脈AMI患者の88%)に対し行った。
【表2】
【0177】
メタボロミクス
218個の異なる代謝産物を、それぞれGC-MS及びH-NMRプロファイリングを通じた97個及び127個を含み、同定した。グリセロールなどのいくつかの代謝産物を、GC-MS及びH-NMRプロファイリングの両方を通じて同定した。ロジスティック回帰(年齢及び性別について調整された)におけるAMIの診断と最も正及び負の関連がある代謝産物を下の表3に示す。
【表3】
【0178】
218個の同定された代謝産物を含む機械学習アルゴリズム(ファジイ特徴選択アルゴリズム)を、対照患者からAMI患者を最良に識別し得る、代謝産物及びそのパネルを同定するために実行した。
【0179】
対照患者からAMI患者を識別する13個の代謝産物(グルタミン、フェニルアラニン、イソマルトース、トレオース、1-モノオレイン、TPA2、L3TG、グリセロール、L1PN、L1TG、H4A2、L1AB及びL1PL)のパネルを、従って、トレーニングセット(コホートの85%)に適用されたファジイ論理的機械学習アルゴリズムにより選択した。13個の代謝産物のうち8個(グルタミン、フェニルアラニン、イソマルトース、トレオース、1-モノオレイン、TPA2、グリセロール及びH4A2)は特に、表3で示されるロジスティック回帰においてAMIの診断と最も正及び負に関連する代謝産物である。
【0180】
13個の代謝産物のそれぞれに対する個々の比較は、グルタミン(図2A)、トレオース(図2D)、TPA2(図2F)及びH4A2(図2K)のレベルは対照患者よりもAMI患者において低く、一方でフェニルアラニン(図2B)、イソマルトース(図2C)、1-モノオレイン(図2E)、L3TG(図2G)、グリセロール(図2H)、L1PN(図2I)、L1TG(図2J)、L1AB(図2L)及びL1PL(図2M)のレベルは対照患者よりもAMI患者において高かったことを示す。
【0181】
13個の代謝産物の組み合わせは、トレーニングセット(コホートの85%)においてAUC=0.89でAMI患者の同定を可能にし(図3)、優れた診断能を示す。バリデーションセットに対応するコホートの15%(18名の患者)において行われた内部検証(交差検証)の後で、AMIの全症例を、0%のエラー率で同定した(AUC=1.00)。主成分分析及び階層的クラスタ分析により13個のバイオマーカーに減少されたデータにおける結果の教師なし検証は、2つの患者群の明らかな分離を示す(データは示さない)。
【0182】
さらに、図3は、より少ない数の代謝産物が、非常に良好な診断能でAMI患者を同定するために実際に使用され得ることを示す。例えば、1-モノオレイン単独は、AUC=0.8でAMI患者の同定を可能にした(コホートの85%に対応するトレーニングセットにおいて決定される場合)。
【0183】
LAMDA統合分析によって同定される13個の代謝産物のそれぞれの個々のAUROC(AUCとしても知られる)を、表4に示す。上記個々のAUROCを、コホート全体において計算した。特に、1-モノオレイン、イソマルトース及びグリセロールは、0.8よりも優れたAUROCを有し、優秀な診断能を示唆する。さらに、グルタミン、L1PN、L1AB、L3TG、トレオース、H4A2、L1TG、TPA2、フェニルアラニン及びL1PLは、0.7より優れているか又は0.7に非常に近いAUROCを有し、満足のいく診断能を示す。
【表4】
【0184】
1-モノオレインバイオマーカーを除外する二次モデルにおいて、トレーニングセット(コホートの85%)に適用されたファジイ論理的な機械学習アルゴリズムは、AUC=0.86でAMI患者を対照患者から識別する5個の代謝産物(グルタミン、フェニルアラニン、イソマルトース、グリセロール、L1PN)のパネルを選択し(図4)、優れた診断能を示唆する。バリデーションセット(コホートの15%、n=18)において、5個の代謝産物のこの組み合わせは、AUC=0.93でAMI患者を同定した。
【0185】
上で記されるように、図4は従って、より少ない数の代謝産物が、非常に良好な診断能でAMI患者を同定するために実際に使用され得ることを裏付ける。例えば、イソマルトース単独は、約0.8のAUCでAMI患者の同定を可能にした(コホートの85%に対応するトレーニングセットにおいて決定された場合)。
【0186】
最後的に、1-モノオレイン、イソマルトース及びグルタミンの濃度を、腹痛対照患者、早期の急性腸間膜虚血(初期AMI)の患者と後期の壊死急性腸間膜虚血(壊死性AMI)の患者の間で比較した(図5A~C)。対照患者と初期AMI患者の間の有意な差により示されるように、各マーカーは個々に、初期AMI患者と腹痛対照患者の識別を可能にするのに十分な検出力があった。
【0187】
結論として、データは、本明細書中で同定された代謝産物バイオマーカー、特にグルタミン、フェニルアラニン、イソマルトース、トレオース、1-モノオレイン、TPA2、L3TG、グリセロール、L1PN、L1TG、H4A2、L1AB及びL1PLが、急性腸間膜虚血(AMI)に罹患しているか又は罹患するリスクがある患者を同定するために、単独で又は組み合わせての何れかで、測定され得ることを明らかにする。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5A-C】
【国際調査報告】