(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-15
(54)【発明の名称】湿式洗浄装置およびクリーナヘッド
(51)【国際特許分類】
A47L 11/20 20060101AFI20240508BHJP
A47L 11/03 20060101ALI20240508BHJP
A47L 1/05 20060101ALI20240508BHJP
A47L 7/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A47L11/20
A47L11/03
A47L1/05
A47L7/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563231
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 EP2023050360
(87)【国際公開番号】W WO2023135096
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523393508
【氏名又は名称】ヴェルスニ ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】デ ウィト バスティアン ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ウィアーズマ ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】フォールホルスト フォッケ ルーロフ
(57)【要約】
クリーナヘッド100を有する湿式洗浄装置278が提供される。クリーナヘッドは、少なくとも1つの汚れ入口142A、および少なくとも1つの汚れ入口に密閉取り付けされた多孔質材料層を含む多孔質材料168を有する。湿式洗浄装置はまた、負圧生成器178を含む負圧生成器装置280を有する。負圧生成器は負圧生成器出口を有する。負圧生成器は、少なくとも1つの汚れ入口から負圧生成器出口へと進み、負圧生成器出口を通過する流れを提供するように作動可能であり、また、流れを停止するために停止可能である。負圧生成器装置は、少なくとも負圧生成器が停止されているとき、負圧生成器出口から少なくとも1つの汚れ入口に向かう流体の通過を制限するように構成される。別の態様では、クリーナヘッドは、汚れ入口に密閉取り付けされた多孔質材料層への逆流を制限するように構成されたバルブアセンブリを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの汚れ入口、および前記少なくとも1つの汚れ入口に密閉取り付けされる多孔質材料層を含む多孔質材料を有するクリーナヘッドと、
負圧生成器出口を有する負圧生成器を含む負圧生成器装置とを備える、湿式洗浄装置であって、
前記負圧生成器は、流体を前記少なくとも1つの汚れ入口から前記負圧生成器出口まで、および前記負圧生成器出口を通過するように引き込むための流れを提供するように作動可能であり、前記負圧生成器装置は、少なくとも前記負圧生成器が停止しているとき、前記負圧生成器出口から前記少なくとも1つの汚れ入口に向かう流体の通過を制限する、湿式洗浄装置。
【請求項2】
前記負圧生成器装置は、少なくとも前記負圧生成器が停止されているとき、前記負圧生成器出口から前記少なくとも1つの汚れ入口の方向における流体の逆流を制限する、請求項1に記載の湿式洗浄装置。
【請求項3】
前記負圧生成器は容積式ポンプを含む、請求項1または2に記載の湿式洗浄装置。
【請求項4】
前記負圧生成器は、蠕動ポンプ、膜ポンプ、およびピストンポンプのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の湿式洗浄装置。
【請求項5】
前記負圧生成器装置は、少なくとも前記負圧生成器が停止しているとき、前記少なくとも1つの汚れ入口への流体の逆流を制限するバルブアセンブリを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の湿式洗浄装置。
【請求項6】
前記負圧生成器は負圧生成器入口を有し、前記バルブアセンブリは、前記負圧生成器入口と前記少なくとも1つの汚れ入口との間の前記流体の逆流を制限する、請求項5に記載の湿式洗浄装置。
【請求項7】
前記バルブアセンブリは、前記負圧生成器が停止されることに応じて、前記流体の逆流を制限する、請求項5または6に記載の湿式洗浄装置。
【請求項8】
前記バルブアセンブリは、前記少なくとも1つの汚れ入口の方向に流体が輸送されることを防ぐ一方向弁を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の湿式洗浄装置。
【請求項9】
前記湿式洗浄装置は、液体を収集するための汚れた液体収集タンクを備え、前記負圧生成器装置は、前記流れが、少なくとも1つの汚れ入口から前記汚れた液体収集タンクに前記液体を引き込むように構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の湿式洗浄装置。
【請求項10】
前記クリーナヘッドは、洗浄液を送出可能な少なくとも1つの洗浄液出口を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の湿式洗浄装置。
【請求項11】
前記湿式洗浄装置は、前記洗浄液を収容する洗浄液リザーバを含む洗浄液供給源を備え、前記洗浄液リザーバは、前記少なくとも1つの洗浄液出口と流体連通可能であるか、または流体連通している、請求項10に記載の湿式洗浄装置。
【請求項12】
前記洗浄液供給源は、前記洗浄液を前記洗浄液リザーバから前記少なくとも1つの洗浄液出口まで、および前記少なくとも1つの洗浄液出口を通過するように送るポンプを含み、ならびに/または、前記洗浄液供給源および前記負圧生成器は、前記少なくとも1つの洗浄液出口を通って送出される前記洗浄液の流れが、前記負圧生成器によって提供される前記流れよりも低くなるように構成されている、請求項11に記載の湿式洗浄装置。
【請求項13】
前記湿式洗浄装置は、湿式モップ掛けデバイスである、請求項1から12のいずれか一項に記載の湿式洗浄装置。
【請求項14】
前記負圧生成器は、2000cm
3/分以下の前記多孔質材料を通る流量を提供する、請求項1から13のいずれか一項に記載の湿式洗浄装置。
【請求項15】
前記負圧生成器は、流体を前記多孔質材料を通して前記少なくとも1つの汚れ入口に引き込むために、前記湿式洗浄装置の内部と大気圧との間の圧力差を2000Pa~13500Paの範囲内で提供する、請求項1から14のいずれか一項に記載の湿式洗浄装置。
【請求項16】
前記負圧生成器は、前記流れが提供されているとき、15~2000cm
3/分、好ましくは40~2000cm
3/分、より好ましくは80~750cm
3/分、最も好ましくは100~300cm
3/分の範囲内で前記流れを提供する、請求項1から15のいずれか一項に記載の湿式洗浄装置。
【請求項17】
前記湿式洗浄装置は、前記負圧生成器に電気的に接続されたバッテリによって前記負圧生成器に給電可能な、バッテリ駆動式の湿式洗浄装置である、請求項1から16のいずれか一項に記載の湿式洗浄装置。
【請求項18】
湿式洗浄装置用のクリーナヘッドであって、前記クリーナヘッドは、
少なくとも1つの汚れ入口と、
前記少なくとも1つの汚れ入口に密閉取り付けされた多孔質材料層を含む多孔質材料と、
バルブアセンブリと、を備え、前記バルブアセンブリは、
流体を前記多孔質材料を介して前記少なくとも1つの汚れ入口に引き込むための流れを許容し、
前記多孔質材料層への逆流を制限する、クリーナヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーナヘッド、およびそのようなクリーナヘッドを備えた湿式モップ掛けデバイスなどの湿式洗浄装置に関する。湿式洗浄装置は、例えば、床、屋内表面、または窓を洗浄するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
洗浄対象の表面から水を除去する湿式洗浄装置、例えば湿式モップデバイスが知られている。このような湿式洗浄装置はまた、洗浄対象の表面に洗浄液、例えば水を塗布し、その後、例えば適切な布を用いてその液体を除去してもよい。
【0003】
一部の湿式洗浄装置は、洗浄対象の表面から水を除去するための電動回収機能を有する。例えば、湿式掃除機は、十分な気流速度(例えば、少なくとも10m/s)、および/または液滴に十分な剪断力を及ぼして液滴がデバイス内に入るようにするために十分なブラシパワーを生成することによって、液体を回収する可能性がある。このような掃除機の典型的な消費電力値は比較的高く、例えば数百ワット程度である。
【0004】
湿式洗浄装置が洗浄液を供給するとともに、吸引力を使用して液体を回収するように構成されている場合、さらなる課題が生じる可能性がある。両方の機能を提供すると、少なくとも一部の設計では、洗浄液が非効率的に使用されるおそれがある。
【0005】
また、使用中、または使用後であっても、洗浄液の供給が適切に制御されていないと、周囲に洗浄液が染み込むおそれがある。そのような洗浄対象の表面に液体が染み込むことは、少なくとも状況によっては、装置の回収機能によって容易に対処できないことがあり、特に比較的低電力の回収システムが使用される場合にはそうである。
【0006】
一部の設計では、回収機能は、洗浄対象の濡れた表面上でのそのような湿式洗浄装置のクリーナヘッドの移動を妨げるおそれもある。
【0007】
KR940001037Y1は、湿式ダスターを備えた掃除機を開示している。
【0008】
EP3366182A1は、表面インタラクション層と、表面と接触している表面インタラクション層を介して表面に洗浄流体を供給するための洗浄流体チャネルを表面インタラクション層に備えた洗浄流体供給源とを含む洗浄デバイスを開示している。この洗浄デバイスはさらに、汚れた流体用ドレンを備え、これは、表面と接触している表面インタラクション層を介して表面から汚れた水を負圧によって排出させるための汚れた流体用チャネルを表面インタラクション層に有する。
【0009】
US2019/082925A1は、硬質床洗浄ブラシおよびカーペット洗浄ブラシを含む表面洗浄ヘッドを有する表面洗浄装置を開示している。この表面洗浄装置は、少なくとも1つのノズルから軟質ブラシバーに液体が送出される硬質床洗浄構成で動作可能である。また、この表面洗浄装置は、少なくとも1つのノズルからカーペットブラシバーに液体が送出されるカーペット洗浄構成で動作可能である。
【0010】
DE3143355A1は、ほぼ水平な面から液体を吸引するための吸引ノズルを開示している。吸引ノズルは、吸引ノズルを有するノズルボディを有し、ノズルボディは自吸ポンプまたは吸引ファンに接続可能である。
【0011】
US2020/187737A1は、掃除機の収集チャンバ内に破片を受け入れて保持するための装置および方法を開示している。収集チャンバは入口開口部を有し、そこを通って破片を伴う空気が収集チャンバに流入する。掃除機の停止中は、内部バルブによって、入口開口部を通って破片が収集チャンバから出るのが防がれている。内部バルブは、内部バルブがチャンバ入口開口部を覆う第1の密閉位置から、内部バルブがチャンバ入口開口部を覆わない第2の非密閉位置まで移動可能である。
【0012】
WO2016/008773A1は、多孔質材料上に配置された布と、布に吸収された液体を回収するためのリザーバと、液体を布から多孔質材料に移送するためにリザーバ内に負圧を印加する装置とを備える表面洗浄デバイスを開示している。多孔質材料の孔径は1μm~50μmである。
【発明の概要】
【0013】
本発明は特許請求の範囲によって定められる。
【0014】
本発明の一態様に係る例によれば、湿式洗浄装置が提供され、湿式洗浄装置は、少なくとも1つの汚れ入口、および少なくとも1つの汚れ入口に密閉取り付けされる多孔質材料層を含む多孔質材料を有するクリーナヘッドと、負圧生成器出口を有する負圧生成器を含む負圧生成器装置とを備え、負圧生成器は、流体を少なくとも1つの汚れ入口から負圧生成器出口まで、および負圧生成器出口を通過するように引き込むための流れを提供するように作動可能であり、負圧生成器装置は、少なくとも負圧生成器が停止しているとき、負圧生成器出口から少なくとも1つの汚れ入口に向かう流体の通過を制限する。
【0015】
汚れ入口に封止して取り付けられた多孔質材料層は、湿式洗浄装置に含まれる負圧生成器によって、流れが加えられていてもいなくても、汚れ入口内の負圧を維持するのを補助し得る。
【0016】
多孔質材料層の液体回収領域は、例えば、少なくとも1つの汚れ入口(例えば、各汚れ入口)の周囲に多孔質材料層を封止して取り付けることによって、境界が定められる。
【0017】
封止取り付けは任意の適切な方法で実現することができ、例えば、少なくとも1つの汚れ入口のそれぞれの周囲に多孔質材料層を接着または溶接することによって、例えば、汚れ入口を画定する開口部を有する1つ以上の管の周りに多孔質材料層を接着および/または溶接することによって、実現することができる。一部の非限定的な例では、ポリマーフィルムなどの不浸透性部分が、汚れ入口に露出する多孔質材料層の表面と、汚れ入口の周囲とに封止される。
【0018】
多孔質材料は、必ずしも多孔質材料に含まれる多孔質材料層ではなく、洗浄対象の表面上の液体と接触するように構成され得る。
【0019】
多孔質材料は、例えば、多孔質生地および/または多孔質発泡体を含み得る。多孔質生地は、例えば、マイクロファイバ生地であってもよい。
【0020】
多孔質材料の細孔内に保持される液体の表面張力は、負圧を維持するのに役立つ可能性がある。この表面張力は克服でき、すなわち、洗浄対象の表面上の液体と接触する多孔質材料の外側の点で気液表面が除去され、液体が汚れ入口の方向に向けて多孔質材料を通過する。
【0021】
しかし、負圧生成器が、例えば湿式洗浄装置の使用後にスイッチオフされることによって停止されると、負圧生成器出口を介して進入する流体、例えば周囲空気が負圧の損失に寄与する可能性がある。これにより、多孔質材料から液体が放出される、例えばしたたり落ちる可能性がある。
【0022】
洗浄対象の表面の洗浄後、例えばモップ掛けの後、負圧生成器の停止時に液体が多孔質材料を通って放出され、例えば洗浄対象の(または洗浄された)表面に戻ること、および/または、湿式洗浄装置をその保管場所に輸送している間に放出されることは望ましくない可能性がある。
【0023】
このため、負圧生成器装置は、少なくとも負圧生成器が停止しているとき、例えば負圧生成器のスイッチがオフになっているとき、負圧生成器出口から汚れ入口に向かう流体の通過を制限する、例えば遮断するように構成され得る。このようにして、負圧生成器の停止後に、覆われた汚れ入口内の負圧をより良好に維持することができる。これにより、例えば洗浄対象の表面の洗浄後および/または使用後の湿式洗浄装置の保管領域への保管中に、多孔質材料からの好ましくない液体の放出を軽減することができる。
【0024】
一部の実施形態では、負圧生成器は、少なくとも負圧生成器が停止されているとき、負圧生成器出口から少なくとも1つの汚れ入口の方向への流体の逆流を制限するように構成される。
【0025】
負圧生成器は容積式ポンプを含み得る。このような容積式ポンプは、ポンプ設計が本質的にポンプ出口からの逆流を制限するため、負圧生成器が停止した後、例えばスイッチを切った後、汚れ入口内の負圧を維持するのに役立つ。これにより、例えば洗浄対象の表面の洗浄後および/または使用後の湿式洗浄装置の保管領域への保管中に、多孔質材料からの好ましくない液体の放出を軽減することができる。
【0026】
負圧生成器がそのような容積式ポンプを含む、またはそのような容積式ポンプである場合、負圧生成器自体が、負圧生成器の停止時に負圧生成器出口から少なくとも1つの汚れ出口に向かう流体の通過を制限するため、例えば、負圧生成器装置は負圧生成器からなる可能性がある。
【0027】
一部の実施形態では、負圧生成器は蠕動ポンプ、膜ポンプ、またはピストンポンプである。これらのポンプタイプは、上記容積式ポンプの例としてみなすことができる。
【0028】
蠕動ポンプは、例えば、負圧生成器出口を画定する端部を有する圧縮可能なホースと、少なくとも1つの加圧シューを含む回転可能な加圧シューアセンブリとを含むことができる。加圧シューアセンブリの回転と、それに伴う少なくとも1つの加圧シューによる圧縮可能なホースの圧縮によって、流れが提供され得る。蠕動ポンプが停止されると、加圧シューアセンブリの回転は停止するが、加圧シューは圧縮可能なホースを圧縮したままとなり、それによって負圧生成器出口から少なくとも1つの汚れ入口に向かう流体の通過が制限される。
【0029】
上記膜ポンプおよびピストンポンプは、ポンプの休止状態、すなわちポンプが停止しているときに、ポンプ出口から汚れ入口の方向への逆流を制限する同様のタイプの構造を使用し得る。
【0030】
一部の実施形態では、負圧生成器装置は、少なくとも負圧生成器が停止されているとき、少なくとも1つの汚れ入口に向かう流体の逆流を制限するように構成されたバルブアセンブリを含む。
【0031】
負圧生成器は負圧生成器入口を有し得、バルブアセンブリは、負圧生成器入口と少なくとも1つの汚れ入口との間の流体の逆流を制限し得る。
【0032】
代わりにまたは追加で、流体の通過は、例えば、負圧生成器に含まれる、または負圧生成器を画定する容積式ポンプに関連して上述したように、負圧生成器出口と負圧生成器入口との間で制限されてもよい。
【0033】
バルブアセンブリは任意の適切な設計を有することができる。一部の実施形態では、バルブアセンブリは、負圧生成器が停止されることに応じて、少なくとも1つの汚れ入口に向かう流体の逆流を制限する。
【0034】
このようなバルブアセンブリは、負圧生成器が停止されることによってシステムを閉じるように(汚れ入口に向かう流体の逆流を制限することによって)作動する「アクティブ」バルブを含むとみなすことができる。
【0035】
追加でまたは代わりに、バルブアセンブリは、流体が少なくとも1つの汚れ入口の方向に輸送されるのを防ぐように構成された一方向弁を備え得る。
【0036】
一方向弁は「パッシブ」バルブとみなすことができる。このような一方向弁は、負圧生成器の停止時および停止後、流体、例えば空気および/または液体が多孔質材料から離れる方向に流れることを可能にするが、流体、例えば空気および/または液体が汚れ入口に向かって戻るのを防ぐように構成され得る。ボールチェックバルブなど、任意の適切な一方向弁設計を企図することができる。
【0037】
非限定的な例では、例えばマイクロファイバ生地製の追加の多孔質材料部分が、多孔質材料層と負圧生成器出口との間に配置される。追加の多孔質材料部分は、(少なくとも)負圧生成器が停止されるとき、流体、例えば空気および/または液体が多孔質材料層から離れる流れを許容できるが、流体、例えば空気および/または液体が多孔質材料層に向かって戻るのを制限することができる。
【0038】
一部の実施形態では、汚れ入口と負圧生成器出口との間に密閉された流路が画定される。
【0039】
これは負圧を維持するのに役立つ。
【0040】
他の実施形態では、流体、例えば空気の進入は、負圧生成器出口および多孔質材料の細孔以外の湿式洗浄装置の1つ以上の領域を介してであり得る。
【0041】
しかし、そのような実施形態では、負圧生成器装置の構成は、それでもなお、負圧生成器出口から汚れ入口の方向への流体の通過を(少なくとも)制限することによって、負圧を維持するのを支援することができる。
【0042】
一部の実施形態では、負圧生成器装置は、1つ以上の領域と汚れ入口との間に配置されたバルブアセンブリ、例えば上記バルブアセンブリを備え、それによって1つ以上の領域から汚れ入口への逆流を制限する。このような実施形態では、バルブアセンブリは、例えば、負圧生成器出口から汚れ入口の方向への流体の通過を制限することに加えて、1つ以上の領域からの逆流を制限することができる。
【0043】
一部の実施形態では、ASTM F316‐03、2019、Test Aを使用して測定された多孔質材料の限界細孔直径は15μm以上である。
【0044】
(後により詳細に説明されるように)15μm以上の限界細孔直径は、細孔が効率的に液体を輸送するのに十分な大きさであることを保証しながら、比較的大きな負圧を維持するのに役立つ可能性があることが経験的にわかった。なお、効率的な液体の輸送に関して、この観察は理論によって裏付けられており、ポアズイユ方程式を使用して近似した場合、細孔が小さくなると流れ抵抗が4乗に増加する可能性がある。
【0045】
同等に、ASTM F316‐03、2019、Test Aを使用して測定された多孔質材料の沸点圧力は13500Pa以下である。
【0046】
一部の実施形態では、ASTM F316‐03、2019、Test Aを使用して測定された多孔質材料の限界細孔直径は105μm以下である。限界細孔直径のこの上限は、多孔質材料によって十分な負圧を確実に維持するのに役立つ。
【0047】
同等に、ASTM F316‐03、2019、Test Aを使用して測定された多孔質材料の沸点圧力は2000Pa以上である。
【0048】
一部の実施形態では、ASTM F316‐03、2019、Test Aを使用して測定された多孔質材料の限界細孔直径は15μm以上かつ105μm以下である。
【0049】
流量を上限に制限すると、細孔が負圧に耐えられなくなり「破壊」し、その結果、湿式洗浄装置の内部に大量の空気が侵入し、ひいてはより大きなポンプがより大きな電力を消費することが必要となるリスクを最小限に抑えることができる。
【0050】
一部の実施形態では、負圧生成器は、2000cm3/分以下の多孔質材料を通る流量を提供するように構成される。
【0051】
このような流量は、上記の従来の湿式掃除機よりも大幅に低い可能性がある。パワーは流量と圧力差との積に等しいため、この最大流量2000cm3/分(0.03l/s)と、上記最大圧力差13500Paとを最大電力消費シナリオとして組み合わせることで、湿式洗浄装置の電力消費を最小限に抑えられる。これにより、例えばより小型のバッテリを使用して、湿式洗浄装置を比較的コンパクトにしたり、かつ/または比較的長い稼働時間を有するようにすることができる可能性がある。
【0052】
追加でまたは代わりに、負圧生成器は、15cm3/分以上の多孔質材料を通る流量を提供するように構成され得る。
【0053】
これは、洗浄対象の表面からの液体の回収が十分に迅速になることに寄与する可能性がある。15cm3/分という下限は、一部の実施形態では、同じくクリーナヘッドに含まれる洗浄液出口からの洗浄液の流量以上になるように設定され得る。
【0054】
より一般的には、負圧生成器は、作動された負圧生成器によって流れが提供されているとき、流れが15~2000cm3/分、好ましくは40~2000cm3/分、より好ましくは80~750cm3/分、最も好ましくは100~300cm3/分の範囲内であるように構成され得る。
【0055】
このような流れ、すなわち流量は、多孔質材料の負圧維持能力を利用する可能性があり、エネルギー消費を制限しながら十分な液体の回収を保証する可能性がある。
【0056】
代わりにまたは追加で、多孔質材料と負圧生成器との間の湿式洗浄装置の内部に負圧生成器によって提供される流れは、湿式洗浄装置の内部の圧力と大気圧との間の圧力差が、2000Pa~13500Pa、好ましくは2000Pa~12500Pa、より好ましくは5000Pa~9000Pa、最も好ましくは7000Pa~9000Paの範囲内であるように設定される。
【0057】
一部の実施形態では、湿式洗浄装置は、液体を収集するための汚れた液体収集タンクを備え、負圧生成器装置は、流れが、少なくとも1つの汚れ入口から汚れた液体収集タンクに液体を引き込むように構成されている。
【0058】
一部の実施形態では、クリーナヘッドは、洗浄液を送出可能な少なくとも1つの洗浄液出口を有する。
【0059】
湿式洗浄装置は、洗浄液を収容する洗浄液リザーバを含む洗浄液供給源を含み得、洗浄液リザーバは、少なくとも1つの洗浄液出口と流体連通可能であるか、または流体連通していてもよい。
【0060】
このような洗浄液供給源は、例えば、洗浄液リザーバと、洗浄液を少なくとも1つの洗浄液出口まで、および洗浄液出口を通過して輸送するための送出構成(例えば、ポンプを含む送出構成)とを備え得る。
【0061】
洗浄液供給源および少なくとも1つの洗浄液出口は、例えば、洗浄対象の表面に向かって洗浄液を連続的に送るように構成され得る。このような連続送出は、例えば、負圧生成器が流れを提供しているのと同時に提供されてもよい。
【0062】
一部の実施形態では、洗浄液供給源は、洗浄液を洗浄液リザーバから少なくとも1つの洗浄液出口に送り、および洗浄液出口を通過させるように構成されたポンプを含む。
【0063】
一部の実施形態では、洗浄液供給源および負圧生成器は、少なくとも1つの洗浄液出口を通って送出される洗浄液の流れが、負圧生成器によって供給される流れよりも低くなるように構成され得る
【0064】
これは、洗浄される表面が洗浄液で過度に濡れないようにするのに役立つ可能性がある。例えば、洗浄液の流れは20~60cm3/分の範囲内であってもよく、負圧生成器によって供給される流れは40~2000cm3/分の範囲内であってもよく、より好ましくは80~750cm3/分、最も好ましくは100~300cm3/分であり得る。
【0065】
少なくとも一部の実施形態では、湿式洗浄装置は湿式モップ掛けデバイスである。
【0066】
他の例では、湿式洗浄装置は、例えば、窓クリーナ、スイーパ、またはキャニスター型、スティック型、もしくは直立型湿式掃除機などの湿式掃除機であってもよく、またはこれらを含んでもよい。
【0067】
湿式洗浄装置は、一部の例では、床の表面などの洗浄対象の表面上でクリーナヘッドを自律的に移動させる、例えば一方向に自律的に移動させるように構成されたロボット湿式掃除機またはロボット湿式モップ掛け装置であってもよく、またはそれらを備えてもよい。
【0068】
湿式洗浄装置は、負圧生成器に電気的に接続されたバッテリによって負圧生成器に給電可能な、バッテリ駆動式の湿式洗浄装置であってもよい。
【0069】
負圧生成器の吸引力が提供される汚れ入口を多孔質材料が覆うことによってもたらされる電力消費削減効果により、湿式洗浄装置をバッテリ駆動式動作に特に適したものにすることができる。
【0070】
別の態様によれば、湿式洗浄装置用のクリーナヘッドが提供され、クリーナヘッドは、少なくとも1つの汚れ入口と、少なくとも1つの汚れ入口に密閉取り付けされた多孔質材料層を含む多孔質材料と、バルブアセンブリと、を備え、バルブアセンブリは、流体を多孔質材料を介して少なくとも1つの汚れ入口に引き込むための流れを許容し、多孔質材料層への逆流を制限する。
【0071】
このクリーナヘッドは、湿式洗浄装置に関連して上述したのと同じ問題に対する代替の解決策を提供し得る。この目的のために、クリーナヘッドは、多孔質材料層への逆流を制限するように構成されたバルブアセンブリを備える。バルブアセンブリが多孔質材料層への逆流を制限することにより、バルブアセンブリは、覆われた汚れ入口内の負圧を維持するのに役立ち、それによって、例えば、負圧生成器の停止時の多孔質材料を通した上記望ましくない液体の放出を軽減することができる。
【0072】
なお、汚れ入口は、流体を多孔質材料を通って少なくとも1つの汚れ入口に引き込むための流れを提供するために、湿式洗浄装置に含まれる負圧生成器に接続可能であり得る。
【0073】
バルブアセンブリは任意の適切な設計を有することができる。一部の実施形態では、バルブアセンブリは、刺激に応じて、例えば負圧生成器が停止されることに応じて、流体の逆流を制限するように構成される。
【0074】
このようなバルブアセンブリは、刺激に応じて逆流を制限するために作動する「アクティブ」バルブを含むとみなすことができる。
【0075】
追加でまたは代わりに、バルブアセンブリは、流体が多孔質材料層の方向に輸送されるのを防ぐように構成された一方向弁を備え得る。
【0076】
一方向弁は「パッシブ」バルブとみなすことができる。このような一方向弁は、例えば負圧生成器の停止時および停止後、流体、例えば空気および/または液体が多孔質材料から離れる方向に流れることを可能にするが、流体、例えば空気および/または液体が多孔質材料層に向かって戻るのを防ぐように構成され得る。ボールチェックバルブなど、任意の適切な一方向弁設計を企図することができる。
【0077】
非限定的な例では、バルブアセンブリは、例えばマイクロファイバ生地で作られた追加の多孔質材料部分を含む。追加の多孔質材料部分は、例えば負圧生成器が停止されるとき、流体、例えば空気および/または液体が多孔質材料層から離れる流れを許容できるが、流体、例えば空気および/または液体が多孔質材料層に向かって戻るのを制限することができる。
【0078】
より一般的には、クリーナヘッドに関連して本明細書に記載される実施形態は湿式洗浄装置に適用可能であり得、湿式洗浄装置に関連して本明細書に記載される実施形態は、クリーナヘッドに適用可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0079】
以下、添付図面を参照しながら発明の例について詳細に説明する。
【
図1】
図1は、一例に係るクリーナヘッドの底面を概略的に示す。
【
図2】
図2は、
図1に示されるクリーナヘッドに含まれる洗浄液分配ストリップの概略断面図を提供する。
【
図3】
図3は、洗浄液塗布材料がクリーナヘッドから取り外された第2の例に係るクリーナヘッドの底面を概略的に示す。
【
図4】
図4は、
図3に示されるクリーナヘッドの上側を概略的に示し、洗浄液塗布生地が取り付けられている。
【
図5A】例示的なクリーナヘッドの多孔質材料層および汚れ入口を概略的に示す。
【
図5B】
図5Bは、
図5Aに示される多孔質材料層および汚れ入口の概略的な断面図を提供する。
【
図6A】
図6Aは、汚れ入口の周りの多孔質材料層の封止取り付けの一例を概略的に示す。
【
図9】
図9は、
図8に示される封止取り付けの変形例の概略的な断面図を提供する。
【
図10】
図10は、3つの例示的な多孔質材料を通る流体輸送の概略図を提供する。
【
図11】
図11は、液体および吸引が多孔質材料に加えられたときの多孔質材料の挙動を試験するための試験装置を概略的に示す。
【
図12】
図12は、
図11に示される試験装置を使用して取得されたデータからの負圧対時間のグラフを提供する。
【
図13】
図13は、異なる数の多孔質材料層を含む多孔質材料に関するいくつかの圧力対時間のグラフを示す。
【
図14】
図14は、吸引がかけられたときの多孔質材料の液体輸送状態、中間レジームおよび終了レジームのシーケンスを概略的に示す。
【
図15】
図15は、異なる孔径の多孔質材料に関するいくつかの圧力対時間のグラフを示す。
【
図16】
図16は、洗浄対象の表面を横切って移動される例示的なクリーナヘッドを概略的に示す。
【
図17-23】
図17から
図23は、支持部材に取り付けられた多孔質材料の概略断面図である。
【
図31】
図31は、クリーナヘッドの上側の一部を洗浄対象の表面と接触させるために、突出要素で揺動可能な例示的なクリーナヘッドを概略的に示す。
【
図32A】
図32Aは、汚れ入口の周りの多孔質材料層の封止取り付けの一例を概略的に示す。
【
図33C】
図33Cは、一例に係る突出要素/取り外し可能部材の概略断面図である。
【
図33D】
図33Dは、別の例に係る突出要素/取り外し可能部材の概略断面図である。
【
図33E】
図33Eは、さらなる多孔質材料層および洗浄液塗布材料を含む例示的な取り外し可能要素の概略断面図を提供する。
【
図34】
図34は、多孔質材料168を通して液体を引き込む前(左側)、引き抜き中(中央)、及び後(右側)の例示的な湿式洗浄装置を概略的に示す。
【
図35】
図35は、作動(左側)および停止(右側)される負圧生成器を有する例示的な湿式洗浄装置を概略的に示す。
【
図36】
図36は、蠕動ポンプの形態の負圧生成器を概略的に示す。
【
図37A】
図37Aは、例示的な湿式洗浄装置の多孔質材料層の細孔を概略的に示す。
【
図37C】
図37Cは、特に湿式洗浄装置の始動時における湿式洗浄装置の動作ウィンドウをグラフで示している。
【
図38】
図38は、負圧生成器、圧力センサ、およびコントローラを有する負圧生成器装置を備える例示的な湿式洗浄装置を概略的に示す。
【
図39】
図39は、負圧生成器および機械的レギュレータを有する負圧生成器装置を有する例示的な湿式洗浄装置を概略的に示す。
【
図40】
図40は、負圧生成器が圧力制限液体ポンプを備える例示的な湿式洗浄装置を概略的に示す。
【
図41】
図41は、負圧生成器が圧力制限空気ポンプを備える例示的な湿式洗浄装置を概略的に示す。
【
図42】
図42は、湿式掃除機の形態の例示的な湿式洗浄装置を概略的に示す。
【
図43】
図43は、ロボット湿式掃除機の形態の例示的な湿式洗浄装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明について図面を参照しながら説明する。
【0081】
詳細な説明および具体例では装置、システム、および方法の例示的な実施形態を示されているが、例示のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定する意図はないことを理解されたい。本発明の装置、システム、および方法のこれらのおよび他の特徴、側面、および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付図面からよりよく理解されるであろう。図面は単に概略的なものであり、縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。また、各図面を通して、同じまたは類似の部分を指し示すために同じ参照番号が使用されることを理解されたい。
【0082】
湿式洗浄装置用のクリーナヘッドを提供する。クリーナヘッドは、洗浄液を送達可能な少なくとも1つの洗浄液出口を有する。クリーナヘッドはまた、洗浄対象の表面から汚れた液体を受け取るための少なくとも1つの汚れ入口を有する。少なくとも1つの汚れ入口のそれぞれを多孔質材料層が覆う。多孔質材料層の液体回収領域は、少なくとも1つの汚れ入口の周囲に多孔質材料層を封止して取り付けることによって、境界が定められる。液体回収領域は、洗浄対象の表面に向かって送達される洗浄液が液体回収領域を迂回するように、少なくとも1つの洗浄液出口のそれぞれに対して配置される。さらに、クリーナヘッドを備えた湿式洗浄装置、および湿式洗浄装置に取り付けるための取付部材に関する。
【0083】
図1は、非限定的な例に係るクリーナヘッド100を示す。特に、クリーナヘッド100の底面102が
図1に示されている。底面102は、クリーナヘッド100を使用して洗浄される表面(
図1には表示されていない)に面する。
【0084】
図1の図面から、クリーナヘッド100に少なくとも1つの洗浄液出口104が含まれていることがわかる。洗浄液は、少なくとも1つの洗浄液出口104の(例えば、各出口)を介して送出可能である。少なくとも1つの洗浄液出口は、クリーナヘッド100の底面102に設ける必要はなく、洗浄液を洗浄液出口を介して送出し、洗浄対象の表面に到達させることができるのであれば、クリーナヘッド100の他の場所に設けてもよいことに留意されたい。
【0085】
洗浄液は、水を含むか、または水からなり得る。したがって、洗浄液は水性洗浄液であってもよい。以下にさらに詳細に説明するいくつかの非限定的な例では、洗浄液は水性洗剤溶液である。
【0086】
図1に示される非限定的な例では、洗浄液出口104は、クリーナヘッド100の長さ106に沿って一列に配置されている。これは、クリーナヘッド100が、洗浄対象の表面をクリーナヘッド100の長さ106に沿って洗浄液で濡らすのを支援する可能性がある。ただし、クリーナヘッド100の他の部分を収めることできるのであれば、洗浄液出口104の任意の適切な構成またはパターンが考えられることに留意されたい。
【0087】
図1に示す具体例では、クリーナヘッド100には16個の洗浄液出口104が含まれているが、より多くの洗浄液出口104は、洗浄対象の表面の濡れの均一性を高めるのに役立つ可能性があることに留意されたい。しかし、任意の適切な数の洗浄液出口104をクリーナヘッド100に設けることができ、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のクリーナヘッドが設けられてもよい。
【0088】
一部の実施形態、例えば、
図1に示されるような実施形態では、クリーナヘッド100は、洗浄液分配ストリップ108を備える。図示のように、洗浄液出口104の少なくとも一部、またはこの例では全てが洗浄液分配ストリップ108内に含まれてもよい。
【0089】
図2は、
図1に示される例示的なクリーナヘッド100に含まれる洗浄液分配ストリップ108の断面図を提供する。この非限定的な例では、洗浄液分配ストリップ108は、例えば適切な洗浄液リザーバ(
図1では不図示)から入口112を介して洗浄液を供給され得るチャネル110を備える。
【0090】
図2に示す例では、入口112は洗浄液分配ストリップ108の一端に、またはその近傍に設けられている。しかし、入口112が洗浄液分配ストリップ108の長さに沿った中央位置に設けられることも考えられる。代わりにまたは追加で、洗浄液分配ストリップ108は複数の入口112を有し、例えば、洗浄液分配ストリップ108の両端に配置された一対の入口112を備える。
【0091】
洗浄液は、洗浄液出口104を画定する洗浄液分配ストリップ108の開口部を介して洗浄液分配ストリップ108から出ることができる。そのような開口部は、チャネル110が充填されている間は、洗浄液、例えば水性洗浄液の通過が開口部を通ることが洗浄液の表面張力によって制限されるが、チャネル110が満たされると、洗浄液分配ストリップ108の全ての開口部を洗浄液が同時に通過できるような寸法を有してもよい。これにより、クリーナヘッド100の長さ106にわたって、洗浄対象の表面を比較的均一に濡らすことが可能になり得る。
【0092】
この目的のために、各洗浄液出口104は、例えば1mm未満の直径、例えば0.1~1mm、好ましくは0.1~0.8mm、最も好ましくは0.1~0.5mmの範囲内の直径、例えば約0.3mmの直径を有してもよい。
【0093】
洗浄液分配ストリップ134は、金属、合金(例えば、ステンレス鋼)、および/またはポリマーなどの任意の適切な材料で形成され得る。洗浄液分配ストリップ108をポリマーから形成することにより、洗浄液分配ストリップ108をより軽量にし、かつ/または製造コストを安くすることができる。
【0094】
図1に戻り、クリーナヘッド100はまた、多孔質材料層114を含むか、または場合によっては多孔質材料層114からなる多孔質材料を備える。
図1では図示されていないが、クリーナヘッド100は少なくとも1つの汚れ入口を有する。汚れ入口はそれぞれ多孔質材料層114によって覆われている。
【0095】
多孔質材料層114は、洗浄対象の表面上の汚れた液体が最初に多孔質材料層114の細孔内に輸送され、次に多孔質材料層114から汚れ入口内に通過するように、汚れ入口と洗浄対象の表面との間に配置され得る。
【0096】
図1の図面は、多孔質材料層114の外面116を示しており、外面116は洗浄対象の表面に面している。
【0097】
多孔質材料層114は、クリーナヘッド100の底面102に、またはその近傍に配置される。より一般的には、多孔質材料は、必ずしも特に多孔質材料に含まれる多孔質材料層114ではなく、洗浄対象の表面および/または洗浄対象の表面上の液体と接触することができる。
【0098】
多孔質材料が、多孔質材料層114の外面116上に配置された1つ以上のさらなる多孔質材料層(
図1では図示されていない)を含む非限定的な例では、多孔質材料の厚さ方向において少なくとも1つの汚れ入口から最も遠いさらなる多孔質材料層の外面が、洗浄対象の表面と接触してもよい。
【0099】
少なくとも1つの汚れ入口のそれぞれを覆う多孔質材料層114は、例えば汚れ入口に流体結合された負圧生成器、例えばポンプによって一定の流れが印加されているか、または印加されていない汚れ入口内の負圧を維持するのを支援し得る。
【0100】
多孔質材料層114は、例えば、多孔質生地および/もしくは多孔質発泡体を含むか、またはそれらからなり得る。多孔質生地は、例えば、マイクロファイバ生地であってもよい。
【0101】
同様に、上記1つ以上のさらなる多孔質材料層のそれぞれは、マイクロファイバ生地などの多孔質生地および/または多孔質発泡体を含むか、またはそれらからなり得る。
【0102】
本明細書で使用される「マイクロファイバ生地」という用語は、合成繊維で形成された生地を指す可能性があり、この生地は、繊度が1デシテックス未満の糸で形成されている。
【0103】
このようなマイクロファイバ生地は、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、およびポリエステル繊維とポリアミド繊維との組み合わせを含むことができる。
【0104】
マイクロファイバ生地は、例えば、マイクロファイバセーム(microfiber chamois)であってもよい。
【0105】
他の例では、多孔質生地は天然セーム革であり、例えばセーム革、鹿革、ヤギ革、または羊革から作られる。
【0106】
多孔質材料層114の細孔内に保持される液体の表面張力は、負圧を維持するのに役立つ可能性がある。液体と接触する多孔質材料層114の外面116上の一点(または複数の点)でこの表面張力を超える可能性があり、それによって液体が多孔質材料層114を通って汚れ入口の方向に輸送される。
【0107】
例えばマイクロファイバ生地を含む多孔質材料は特に磨耗しやすい可能性があり、そのような磨耗は、多孔質材料の負圧維持/液体回収性能を損なうおそれがある。したがって、多孔質材料は、複数の異なる色の層を備えることができ、これらの層は、多孔質材料の色が摩耗インジケータとして機能するように、クリーナヘッド100の使用によって徐々に摩耗する。
【0108】
一部の実施形態、例えば、
図1に示されるような実施形態では、多孔質材料および/または多孔質材料に含まれる多孔質材料層114は、クリーナヘッド100の長さ106と平行に延びる最大寸法を有する細長い形状を有する。
【0109】
図1に示す非限定的な例では、多孔質材料層114は、洗浄液出口104に対して、クリーナヘッド100の幅118に沿った異なる位置に配置されている。
【0110】
一部の実施形態、例えば、
図1に示されるような実施形態では、クリーナヘッド100は、洗浄対象の表面に面する部分120を備える。洗浄液出口104のうちの1つ以上は、洗浄液をクリーナヘッド100の部分120に送るように配置され得る。
【0111】
図1の図面では図示されていないが、部分120に隣接して突出要素を取り付けることができ、この突出要素は洗浄対象の表面の方向にクリーナヘッド100から突出している。突出要素は、部分120に関してクリーナヘッド100内に別個に取り付けられた要素とみなすことができる。
【0112】
突出要素の突出している性質により、突出要素は洗浄対象の表面との接触が制限される可能性がある。突出要素は、例えば、部分120よりも洗浄対象の表面との接触面積が小さい可能性がある。
【0113】
少なくとも一部の実施形態では、突出要素は多孔質材料を含む。したがって、多孔質材料と洗浄対象の表面との間の接触面積が限定されることにより、洗浄対象の表面を横切るクリーナヘッド100の動きに対する抵抗が減少する可能性がある。これについては、
図31を参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0114】
一部の実施形態では、クリーナヘッド100を突出要素で第1の方向に揺動させることで、部分120を洗浄対象の表面に接触させることができ、突出要素で第1の方向とは反対の第2の方向に揺動させることで、部分120を洗浄対象の表面から分離させることができる。
【0115】
このような実施形態では、突出要素は、クリーナヘッド100が部分120で揺動できるようにするロッカー(揺り椅子の脚)とみなすことができる。この揺動機能を実現するために、突出要素と洗浄対象の表面との接触は制限されている。
【0116】
一部の実施形態、例えば、
図3に示されるような実施形態では、クリーナヘッド100は、洗浄対象の表面に面する部分120およびさらなる部分122を備える。このような実施形態では、多孔質材料層114は、部分120とさらなる部分122との間に配置され得る。
【0117】
図3の図面では図示されていないが、クリーナヘッド100が上述の突出要素を備える場合、突出要素は部分120とさらなる部分122との間に取り付けられ得る。したがって、突出要素は、部分120およびさらなる部分122の両方に関して分離して取り付けられた要素であってもよい。このようにすることで、クリーナヘッド100を突出要素で前方に揺動させることで部分120を洗浄対象の表面に接触させ、後方に揺動させることでさらなる部分122を洗浄対象の表面に接触させることができる。
【0118】
クリーナヘッド100が突出要素を備えるか否かに関係なく、洗浄液出口104は、クリーナヘッド100の部分120およびさらなる部分122に洗浄液を送るように配置され得る。
【0119】
図3に示される非限定的な例では、クリーナヘッド100は、
図1および
図2に関連して上述したように、洗浄液を部分120に送る洗浄液出口104を画定する開口を有する洗浄液分配ストリップ108と、洗浄液をさらなる部分122に送る洗浄液出口104を画定するさらなる開口部を有するさらなる洗浄液分配ストリップ124とを備える。
【0120】
洗浄液分配ストリップ108およびさらなる洗浄液分配ストリップ124は両方、
図3に示すように、クリーナヘッド100の長さ106と平行に延びていてもよい。
【0121】
一部の実施形態、例えば、
図4に示されるような実施形態では、クリーナヘッド100は、少なくとも1つの洗浄液出口104のそれぞれに隣接する洗浄液塗布材料126、128を備え、洗浄液塗布材料126、128は、洗浄対象の表面に洗浄液を塗布するように構成される。言い換えれば、洗浄液塗布材料126、128は、洗浄液出口104から送られた洗浄液を受け取り、洗浄液を洗浄対象の表面に移送し得る。
【0122】
洗浄液塗布材料126、128は、例えば、ポリアミドおよび/またはポリエステル繊維を含むことができる。
【0123】
代わりにまたは追加で、洗浄液塗布材料126、128は、細い繊維と太い繊維との組み合わせを含む。
【0124】
細い繊維は、例えば1デシテックス以下であり得、太い繊維は0.01mmを超える厚さを有し得、例えば、太い繊維の太さは約0.05mmであり得る。
【0125】
ポリアミドまたはポリエステル製であり得る太い繊維は、洗浄液塗布材料126、128と洗浄される表面との間の摩擦を低減するのに役立ち得る一方、例えばポリアミドまたはポリエステル製の細い繊維は、汚れの保持力を強化するのに役立ち得る。
【0126】
太い繊維はまた、洗浄液塗布材料126、128に弾性を与えることができ、それによって洗浄液塗布材料126、128の圧縮を最小限に抑えることができる。
【0127】
太い繊維の圧縮低減能力は、突出要素ロッカーに隣接する部分120および/またはさらなる部分122内に洗浄液塗布材料126、128が含まれる実施形態において特に有用であり得る。これは、圧縮の最小化が、クリーナヘッド100の継続使用にわたって、突出要素での一貫した程度の揺動により、洗浄液塗布材料126、128が洗浄対象の表面に接触することを保証するのを支援し得るからである。
【0128】
洗浄液塗布材料126、128の太さは、代わりにまたは追加で、部分120および/またはさらなる部分122に対する突出要素の突出の程度を考慮して選択または制限されてもよく、例えば、クリーナヘッド100の使用中の洗浄液塗布材料126、128の圧縮を最小化するように選択され得る。
【0129】
洗浄液塗布材料126、128が細い繊維と太い繊維の組み合わせを含む実施形態では、これらの繊維は任意の適切な方法で互いに対して配置することができる。例えば、洗浄液塗布材料126、128は、細い繊維のストリップに隣接して太い繊維のストリップを有し得る。このようなストリップはそれぞれ、繊維の太さが幅118方向において交互になるように、クリーナヘッド100の長さ106に沿って延びることができる。このような構成は、クリーナヘッド100が幅118方向に平行な方向に移動するときの摩擦を低減するのに役立ち得る。
【0130】
洗浄液塗布材料126、128がポリアミド繊維とポリエステル繊維の両方を含む実施形態では、これらの繊維は任意の適切な方法で互いに対して配置することができる。例えば、洗浄液塗布材料126、128は、ポリエステル繊維のストリップに隣接してポリアミド繊維のストリップを有し得る。このようなストリップはそれぞれ、繊維の種類が幅118方向において交互になるように、クリーナヘッド100の長さ106に沿って延びることができる。
【0131】
洗浄液塗布材料126、128は、例えば、洗浄される表面と接触する材料、例えばポリアミドおよび/またはポリエステル繊維含有材料を支持する裏打ち層を備えることができる。裏打ち層は、ポリエステルなどの任意の適切な裏打ち生地材料から形成することができる。
【0132】
このような裏打ち層は、例えばポリアミドおよび/またはポリエステル繊維から形成された房を用いて提供され得る。このような房は、洗浄液塗布材料126、128が洗浄対象の表面の輪郭に沿うのを助けることができ、かつ/または洗浄液塗布材料126、128が汚れ粒子を保持するのを助けるとともに、洗浄対象の表面を傷つけるおそれを最小限にすることができる。
【0133】
一部の実施形態では、洗浄液塗布材料126、128は、洗浄液塗布材料126、128には含まれているが、多孔質材料には含まれていない(少なくとも)裏打ち層によって(例えば、房を支持する上記裏打ち層によって)、多孔質材料と区別され得る。
【0134】
一部の非限定的な例では、洗浄液塗布材料126、128を構成する繊維は、多孔質材料を構成する繊維と同一である。
【0135】
他の例では、洗浄液塗布材料126、128を多孔質材料から区別できる方法の1つは、それぞれの材料の糸および/または繊維、例えば、それぞれの材料の洗浄される表面と接触する糸および/または繊維の細さ、例えば繊度である。例えば、多孔質材料を構成する多孔質材料層の繊維は、洗浄液塗布材料126、128の繊維よりも細くてもよい。代わりにまたは追加で、多孔質材料を構成する多孔質材料層の糸が、洗浄液塗布材料126、128の糸よりも細くてもよい。
【0136】
多孔質材料は一般に、例えばマイクロファイバ生地の織りが緻密であるため、洗浄液塗布材料126、128よりも密度が高い可能性がある。
【0137】
一部の実施形態では、洗浄液塗布材料126、128は複数の異なる色の層を有し、これらの層は、洗浄液塗布材料126、128の色が摩耗インジケータとして機能するように、クリーナヘッド100の使用によって徐々に摩耗する。
【0138】
一部の実施形態では、洗浄液塗布材料126、128は、少なくとも1つの洗浄液出口104のそれぞれから取り外し可能である。これにより、例えば洗浄液塗布材料126、128が過度に磨耗した場合に洗浄液塗布材料126、128を交換したり、かつ/または洗浄液塗布材料126、128を使用の合間に洗浄したりできるようになる可能性がある。磨耗は、例えば、上述の着色層を含む洗浄液塗布材料126、128を介して示され得る。
【0139】
洗浄液塗布材料126、128は、任意の適切な方法でクリーナヘッド100に、特に、
図1から
図4に示す非限定的な例ではクリーナヘッド100の底面102に取り付けることができる。
【0140】
図3に戻り、図示のクリーナヘッド100は、この例ではマジックテープ(登録商標)ストリップの形態の少なくとも1つの締結部材130A、130B、132A、132Bを備え、これらは洗浄液塗布材料126、128上のさらなる締結部材(不図示)と係合する。さらなる締結部材は、例えば、洗浄液塗布材料126、128の上記裏打ち層に含まれるか、または取り付けられ得る。
【0141】
洗浄液塗布材料126、128をクリーナヘッド100、特に少なくとも1つの洗浄液出口104に取り付ける、例えば取り外し可能に結合する他の方法も考えられ、例えば、スナップボタン、ボタンとボタン穴との構成、ジッパーなどを使用することが考えられる。
【0142】
一部の実施形態、例えば、
図4に示されるような実施形態では、洗浄液塗布材料126、128は、第1の塗布部分126と第2の塗布部分128とを備え、多孔質材料層114が第1の塗布部分126と第2の塗布部分128との間に配置される。
【0143】
第1の塗布部分126がクリーナヘッド100に含まれる場合、第1の塗布部分126は、クリーナヘッド100の上記部分120に含まれてもよい。
【0144】
洗浄液塗布材料、例えば第1の塗布部分126が部分120に含まれる実施形態では、この部分は、洗浄対象の表面と接触することに適していると同時に、例えば洗浄対象の表面への洗浄液の塗布を補助することによって、洗浄対象の表面を洗浄することに適している可能性がある。
【0145】
しかし、例えばクリーナヘッド100に洗浄液塗布材料が設けられていない場合などでは、部分120に洗浄液塗布材料が含まれていないことも考えられる。このような場合では、部分120はそれでも、洗浄対象の表面と接触するのに適している可能性があるが(部分120が洗浄液塗布材料を含まなくても、部分120を洗浄対象の表面と接触させることが可能であるという点で)、部分120が洗浄液塗布材料、例えば第1の塗布部分126を含む場合よりも洗浄能力が低い可能性がある。
【0146】
第1の塗布部分126は、第1の塗布部分126を部分120に組み込むためにクリーナヘッド100上に設けられた締結部材130A、130Bと係合する、上記さらなる締結部材を含むことができる。
【0147】
同様に、第2の塗布部分128がクリーナヘッド100に含まれる場合、第2の塗布部分128は、クリーナヘッド100の上記さらなる部分122に含まれてもよい。
【0148】
このような実施形態では、第2の塗布部分128は、第2の塗布部分128をさらなる部分122に組み込むためにクリーナヘッド100上に設けられた締結部材132A、132Bと係合する、上記さらなる締結部材を含むことができる。
【0149】
一部の実施形態では、少なくとも1つの洗浄液出口104は、少なくとも一対の洗浄液出口104を含み、多孔質材料層114は各対の洗浄液出口104の間に配置される。
【0150】
洗浄液塗布材料126、128が第1の塗布部分126および第2の塗布部分128を含む実施形態では、第1の塗布部分126は、洗浄液出口104のペアのうちの一方に隣接し、第2の塗布部分128は、洗浄液出口104のペアのうちの他方に隣接していてもよい。これの一例が
図3および
図4に示されている。
【0151】
少なくとも一部の実施形態では、多孔質材料は、必ずしも特に多孔質材料に含まれる多孔質材料層114ではないが、洗浄液塗布生地126、128と接触する。
【0152】
多孔質材料が洗浄液塗布材料126、128に接触することにより、洗浄液の一部が洗浄液塗布材料126、128から多孔質材料に、そして汚れ入口に輸送され得る。この構成は、洗浄液塗布材料126、128内に過剰な洗浄液が蓄えられるのを防ぐのを支援し得、したがって、例えば洗浄液塗布材料から洗浄対象の表面に洗浄液がしたたることにより、洗浄対象の表面が過度に濡れることを最小限に抑えるのを支援し得る。代わりにまたは追加で、多孔質材料が洗浄液塗布材料126、128と接触することによって、後者に含まれる洗浄液が、汚れ入口を覆う多孔質材料を効率的に洗い流すために使用され得る。
【0153】
非限定的な例では、多孔質材料層114が洗浄液塗布材料126、128と接触する。多孔質材料が、多孔質材料層114の外面116上に配置された1つ以上のさらなる多孔質材料層(
図3および
図4では図示されていない)を含む例では、多孔質材料層114および/またはさらなる多孔質材料層が洗浄液塗布材料126、128と接触し得る。
【0154】
多孔質材料が洗浄液塗布材料126、128に接触しているが、これらの材料の両方が洗浄対象の表面と接触するように構成されてもよい。これは、任意の適切なやり方で実現することができる。一部の実施形態、例えば、
図3および
図4に示されるような実施形態では、多孔質材料の縁部分134が、洗浄液塗布材料126、128の対向する縁部分136に当接する。したがって、洗浄液は、最初に洗浄液塗布材料126、128内に輸送され、その後、それぞれの材料の隣接する縁部134、136を介して、洗浄液塗布材料126、128から多孔質材料内に輸送され得る。これにより、洗浄液塗布材料126、128の湿り度の制御を強化することができる。
【0155】
代わりにまたは追加で、洗浄液塗布材料126、128の少なくとも一部が多孔質材料と接触できるように、洗浄液塗布材料126、128が変形可能であってもよい。
【0156】
洗浄液塗布材料126、128の少なくとも一部が多孔質材料と接触できるように洗浄液塗布材料126、128を変形可能にすることにより、洗浄液の一部を、特に制御されたやり方で洗浄液塗布材料126、128から多孔質材料に輸送することができる。このようにして、例えば洗浄液塗布材料126、128から洗浄される表面に洗浄液がしたたり落ちることにより、洗浄される表面が過度に濡れることを最小限に抑えることができる。代わりにまたは追加で、洗浄液塗布材料126、128の少なくとも一部が多孔質材料と接触するように洗浄液塗布材料126、128が変形することによって、多孔質材料中の洗浄液を使用して多孔質材料を効率的にすすぐことができる。
【0157】
少なくとも一部の実施形態では、洗浄液塗布材料126、128は、洗浄される表面と接触すると、および/または液体、例えば水で濡れると変形するように構成される。
【0158】
このような濡れは、洗浄液出口から洗浄液塗布材料126、128に洗浄液が供給される結果として、および/または洗浄される表面上に存在する液体によって生じ得る。
【0159】
非限定的な例では、洗浄液塗布材料126、128は、繊維から形成されたタフトと、タフトを支持する裏打ち層とを含む。このようなタフトは、例えば洗浄される表面と接触したとき、および/または液体、例えば水で濡れたとき、多孔質材料と接触するように変形可能であってもよい。
【0160】
タフトが多孔質材料との接触を維持している間、洗浄液はタフトを介して洗浄液塗布材料126、128から多孔質材料に移動することができる。
【0161】
一部の実施形態では、洗浄液塗布材料は、洗浄液塗布材料126、128の縁部分136を多孔質材料と接触させる、例えば多孔質材料の縁部分134と接触させるように変形可能である。
【0162】
例えば、洗浄液塗布材料126、128が変形し、洗浄液塗布材料126、128の縁部分136を多孔質材料と接触させるとき、洗浄液塗布材料126、128の縁部分136が、多孔質材料の(対向する)縁部分134に当接し得る。
【0163】
一部の実施形態では、洗浄液塗布材料126、128の縁部分136は、少なくとも、洗浄液塗布材料126、128が変形して洗浄液塗布材料126、128の縁部分136が多孔質材料と接触したとき、洗浄される表面に接触するように構成される。したがって、洗浄液塗布材料126、128の濡れの程度は、洗浄液塗布材料126、128が洗浄対象の表面と接触する場所で制御され得、それによって洗浄対象の表面が過度に濡れるリスクを最小限に抑えることができる。
【0164】
非限定的な例では、洗浄液塗布材料126、128の少なくとも一部が多孔質材料の多孔質材料層114と接触できるように、洗浄液塗布材料126、128が変形可能である。多孔質材料が1つ以上のさらなる多孔質材料層を含む例では、洗浄液塗布材料126、128の変形により、洗浄液塗布材料126、128の少なくとも一部、例えば縁部分136が多孔質材料層114および/またはさらなる多孔質材料層と接触する。
【0165】
クリーナヘッド100が上記突出要素を備える実施形態では、多孔質材料および洗浄液塗布材料126、128の隣接かつ対向する縁部分134、136は、突出要素と部分120との間に配置されることが好ましい。このようにして、例えば突出要素を介してクリーナヘッド100が揺動することによって、突出要素と洗浄液塗布材料126、128との間で洗浄液塗布材料126、128から絞り出された余剰な洗浄液を、多孔質材料を介して汚れ入口に効率的に運ぶことができる。
【0166】
なお、多孔質材料と洗浄液塗布材料126、128との間の接触は、両材料の、洗浄される表面と接触する側で提供され得ることに留意されたい。これは、洗浄液塗布材料126、128を適切に濡らすか、または多孔質材料を洗い流すことなく、洗浄液が多孔質材料に直接通過することを回避するのを支援し得る。
【0167】
一部の実施形態では、洗浄液塗布材料126、128の少なくとも一部が、突出要素と部分120との間の多孔質材料と接触できるように、洗浄液塗布材料126、128が変形可能である。
【0168】
したがって、例えば突出要素でのクリーナヘッド100の揺動によって、突出要素と洗浄液塗布材料との間で洗浄液塗布材料126、128から絞り出された余剰な洗浄液を、効率的に多孔質材料を介して汚れ入口に運ぶことができる。
【0169】
洗浄液塗布材料126、128が上記第1の塗布部分126および第2の塗布部分128を備える実施形態では、
図4に示すように、洗浄液塗布材料126、128の対向する縁部分136は、第1の塗布部分126に含まれてもよい。また、多孔質材料のさらなる縁部分138は、第2の塗布部分128のさらなる対向する縁部分140に当接し得る。これの一例が
図3および
図4に示されている。
【0170】
上記突出要素が部分120とさらなる部分122との間に配置される場合、多孔質材料および第1の塗布部分126の隣接かつ対向する縁部分134、136は、好ましくは突出要素と部分120との間に配置され、多孔質材料および第2の塗布部分128の隣接かつ対向するさらなる縁部分138、140は、好ましくは突出要素とさらなる部分122との間に配置される。
【0171】
このようにして、例えばクリーナヘッド100が前後に揺動することによって、それぞれ、突出要素と第1および第2の洗浄液塗布部分126、128との間で洗浄液塗布材料126、128から絞り出された余剰な洗浄液を、多孔質材料を介して汚れ入口に効率的に運ぶことができる。
【0172】
洗浄液塗布材料126、128の対向する縁部分136および/またはさらなる対向する縁部分140(存在する場合)は、例えば、洗浄される表面と接触するように配置され得る。したがって、洗浄液塗布材料126、128の濡れの程度は、洗浄液塗布材料126、128が洗浄対象の表面と接触する場所で制御され得、それによって洗浄対象の表面が過度に濡れるリスクを最小限に抑えることができる。
【0173】
一部の実施形態では、第1の塗布部分126は、第1の塗布部分126の少なくとも一部を、部分120と突出要素との間で多孔質材料と接触させるように変形可能であり、かつ/または第2の塗布部分128は、第2の塗布部分128の少なくとも一部を、さらなる部分122と突出要素との間で多孔質材料と接触させるように変形可能であり得る。
【0174】
図5Aは、例示的なクリーナヘッド100の多孔質材料層114および少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bを示す平面図を提供する。
図5Bは、
図5Aに示される多孔質材料層114および少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bの概略的な断面図を提供する。
【0175】
一部の実施形態、例えば、
図5Aおよび
図5Bに示されるような実施形態では、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bはそれぞれ、負圧生成器(
図5Aおよび
図5Bでは不図示)に流体結合されているか、または結合可能な管144A、144Bの開口部によって画定される。
【0176】
図5Aおよび
図5Bに示す非限定的な例では、クリーナヘッド100は一対の汚れ入口142A、142Bを備えるが、1、2、3、4、5、6、またはそれ以上など、任意の適切な数の汚れ入口142A、142Bが企図され得る。
【0177】
複数の汚れ入口142A、142Bがクリーナヘッド100に含まれる場合、これらは、例えば、互いに同じ寸法を有してもよい。
【0178】
代わりにまたは追加で、複数の、例えば一対の汚れ入口142A、142Bが使用される場合、汚れ入口142A、142Bは、クリーナヘッド100の長さ106に沿って比較的均一な吸引を提供するように、クリーナヘッド100の長さ106方向に沿って離間されてもよい。例えば、クリーナヘッド100の中心位置と汚れ入口142Aの中心との間の長さ106に沿った距離は、中心位置と汚れ入口142Bの中心との間の長さ106に沿った距離と同じであってもよく、または実質的に同じであってもよい。
【0179】
単一の汚れ入口が使用される場合、これは、クリーナヘッド100の長さ106に沿って比較的対称な吸引プロファイルを提供するために、クリーナヘッド100の中心位置に提供され得る。
【0180】
より一般的には、多孔質材料層114の液体回収領域PRは、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bの(例えば、各汚れ入口の)周囲に多孔質材料層を封止して取り付けることによって、境界114が定められる。
【0181】
汚れ入口142A、142Bと多孔質材料層114との間の漏れによる負圧の損失が最小限に抑えられるか、または防止されるため、このような封止および取り付けは、覆われた汚れ入口142A、142B内の負圧を維持するのを支援し得る。
【0182】
封止取り付けは任意の適切な方法で実現することができ、例えば、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bのそれぞれの周囲に多孔質材料層114を接着または溶接することによって、例えば、汚れ入口142A、142Bを画定する開口部の周囲において、多孔質材料層114を上記上管144A、144Bに接着および/または溶接することによって、実現することができる。
【0183】
特に、ヒートシール、例えば超音波溶接によって、多孔質材料層114を汚れ入口142A、142Bに封止取り付けすることが挙げられる。これは、汚れ入口142A、142B内の負圧を維持するのを助ける単純なやり方で、特に気密な封止を提供することがわかった。
【0184】
図5B、
図6A、および
図6Bを参照すると、多孔質材料層114を汚れ入口142A、142Bに封止取り付けすることの非限定的な例は、多孔質材料層114上(例えば、多孔質材料層114の内面148上)に、および汚れ入口142A、142Bの周囲に不浸透性部分146が封止されているクリーナヘッド100によって実装される。これにより、汚れ入口142A、142Bは、多孔質材料層114と不浸透性部分146との間の密封空洞150に露出される。
【0185】
不浸透性部分146は、例えば、熱可塑性フィルムなどのポリマーフィルムを含むか、またはポリマーフィルムからなり得る。様々な代替の封止構成を以下に説明するが、そのいくつかはそのようなポリマーフィルムを含まない。
【0186】
図6Aおよび
図6Bに示す非限定的な例では、例えば接着剤、および/またはポリマーフィルムなどの不浸透性部分146の溶接によって形成されたシール152が、多孔質材料層114の周囲および汚れ入口142A、142Bの周りに延在する。
【0187】
少なくとも一部の実施形態、例えば、
図7Aおよび
図7Bに示されるような実施形態では、例えば、洗浄液が液体回収領域PRを迂回して、例えば液体回収領域PRの周囲を通って、洗浄される表面に到達できるように、または少なくとも洗浄される表面に向かうように、液体回収領域PRが少なくとも1つの洗浄液出口104に対して配置される。
【0188】
これにより、洗浄液をより効率的に使用できる可能性がある。これは、洗浄液が、例えば上記洗浄液塗布材料126、128(クリーナヘッド100に含まれる場合)を介して、洗浄される表面に到達する可能性が高くなるためである。
【0189】
他の例では、多孔質材料は、負圧生成器によって提供される流れによって吸引されることに少なくとも部分的に起因して、例えばクリーナヘッド100またはクリーナヘッド100の構成要素に押し付けられ、汚れ入口142A、142Bの周囲に取り付けられ得る。
【0190】
一部の実施形態では、クリーナヘッド100は、空洞150内に液体輸送支持構造154を備える。液体輸送支持構造154は、多孔質材料層114(特に、多孔質材料層114の細孔)と、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bとの間で液体回収領域PR内に1つ以上の流路を提供するように構成される。
【0191】
多孔質材料層114、例えばマイクロファイバ生地、および/または不浸透性部分146、例えばポリマーフィルムは、負圧によって多孔質材料層114および不浸透性部分146が互いに引き寄せられるように柔軟であってもよい。これにより、多孔質材料層114から少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bへの液体の通過が制限されるおそれがある。液体輸送支持構造154は、そのような多孔質材料層114と不浸透性部分146が互いに向かって引き寄せられる場合であっても、液体が依然として多孔質材料層114(特に、多孔質材料層114の細孔)から少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bに運ばれることを保証するのに役立ち得る。
【0192】
液体輸送支持構造154は、任意の適切な方法で実装することができる。
図7Aおよび
図7Bに示す非限定的な例では、液体輸送支持構造154は、1つ以上のメッシュ層を備えるか、または1つ以上のメッシュ層によって画定される。このような例では、上記1つ以上の流路は、メッシュ層を構成する要素間の空間によって提供され得る。液体輸送支持構造154の代替例を以下に説明する。
【0193】
上述したように、多孔質材料は、一部の実施形態では、多孔質材料層114に加えて、1つ以上のさらなる多孔質材料層156、158を含むことができる。これらの例が
図8および
図9に示されている。
【0194】
ここで、多孔質材料が乾燥しているとき、多孔質材料は、多孔質材料の乾燥した各細孔を空気が通る「空気輸送状態」にあるとみなすことができる。「液体輸送状態」は、液体、例えば水が多孔質材料の(濡れた)細孔を通して運ばれることに対応する。細孔への液体の供給がなくなると、「流体遮断状態」を取り得る。「流体遮断状態」は、多孔質材料の濡れた細孔内に保持された(残留)液体の表面張力が、細孔を通した流体の輸送を妨げる状態に対応する。この状態では、空気と液体、例えば水との間の境界に表面または障壁が作成される。この障壁は、汚れ入口142A、142B内の上記負圧を維持するのに役立ち得る。この障壁を「破る」ために必要な圧力を「破壊圧力」と呼ぶことができる。
【0195】
より細かく織られた多孔質生地は、より小さな細孔、例えば微小孔を有し、より高い破断圧力を有する可能性がある。しかし、製織技術で小さな細孔を作るには限界がある可能性がある。同時に、特定の繊維、例えば、良好な洗浄性能および/または摩耗性能を理由に選択された繊維は、汚れ入口142A、142B内の十分な負圧を維持するには不向きな、より開放的な構造を提供するようにしか織ることができない可能性がある。
【0196】
それでも、「破壊圧力」は様々な方法で調整できる。
図8に示す非限定的な例では、多孔質材料は、多孔質材料層114および第1のさらなる多孔質材料層156を含むか、またはそれらによって画定される。
【0197】
例えば、多孔質材料層114はマイクロファイバ生地であり、第1のさらなる多孔質材料層156はマイクロファイバ生地である。
【0198】
このように多孔質材料が多孔質材料層114、156を重ねたものを備えることにより、例えば多孔質材料が多孔質材料層114のみからなる場合と比較して、破壊圧力が高くなる可能性がある。
【0199】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、この効果は、細孔のサイズおよび形状のばらつき、例えば統計的ばらつきに起因すると考えられる。例えば、マイクロファイバ生地は、多くの繊維と糸を織り込んで1枚の生地のシートにすることで作成され得る。したがって、繊維と糸との間に細孔、例えば微小孔が形成される可能性があり、よって、生地中に存在する細孔のサイズは厳密に1つのサイズおよび形状に固定されず、統計的に変化する。
【0200】
単一の多孔質材料層114は、残留液体の表面張力が小さい少数の比較的大きな細孔を含んでよく、これらの比較的大きな細孔は、単一の多孔質材料層114の破断圧力を下げることに寄与する。さらなる多孔質材料層156を多孔質材料層114上に積層することによって、多孔質材料層114の上記少数の比較的大きな細孔が、さらなる多孔質材料層156に含まれる比較的大きな細孔と整列/連通する確率は、比較的小さい可能性がある。したがって、多孔質材料層114、156を積層することは、多孔質材料の破壊圧力を高めるのに役立つ可能性がある。
【0201】
図8に示す非限定的な例では、多孔質材料は多孔質材料層114と第1のさらなる多孔質材料層156とから形成されるが、例えば破壊圧力をさらに高めるために、2つ以上のさらなる多孔質材料層156を多孔質材料に含めることができる。
図9に示す非限定的な例では、多孔質材料は、多孔質材料層114、第1のさらなる多孔質材料層156、および第2のさらなる多孔質材料層158を含むか、またはそれらによって画定される。
【0202】
例えば、多孔質材料層114はマイクロファイバ生地であり、第1のさらなる多孔質材料層158はマイクロファイバ生地であり、第2のさらなる多孔質材料層158はマイクロファイバ生地である。
【0203】
多孔質材料の多孔質材料層114、156、158は、互いに接着していてもよく、接着していなくてもよい。多孔質材料層114、156、158が、例えば多孔質材料層間に塗布された適切な接着剤を介して互いに接着されている非限定的な例では、これは、多孔質材料の破壊圧力をさらに高めるのに役立ち得る。
【0204】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、これは、接着剤が接着された多孔質材料層間の水平方向の流体輸送を妨げるためであると考えられる。
図10を参照すると、多孔質材料層114の細孔160A、160B中の流体輸送が左上に概略的に示されており、接着されていない多孔質材料層114と、第1のさらなる多孔質材料層156の細孔162Aとの間の水平方向の流体輸送が左下に概略的に示されている。後者を
図10の右側の図面と比較すると、多孔質材料層114と第1のさらなる多孔質材料層156との間の接着剤164が、多孔質材料層の細孔160Aと、第1のさらなる多孔質材料層156の細孔162A、162Bとの間の水平方向の流体輸送を制限または防ぐことがわかる。
【0205】
多孔質材料層114、156、158を互いに接着するために、熱活性化布接着剤などの任意の適切な接着剤164を使用することができる。市販されている熱活性化布接着剤の例としてVliesofix(登録商標)が挙げられる。
【0206】
多孔質材料の多孔質材料層114、156、158が互いに付着していないことの利点は、例えば多孔質材料114、156、158間の液体の水平方向の輸送が可能になるか、または少なくとも、多孔質材料層114、156、158の間に接着剤164が存在する場合と比較して輸送の制限が減ることにより、多孔質材料を通る液体輸送に対する抵抗が低減される可能性があることであり得る。
【0207】
多孔質材料層114に加えて1つ以上のさらなる多孔質材料層156、158を含む多孔質材料の代わりに、またはそれに加えて、多孔質材料層114、例えばマイクロファイバ生地に、例えば超音波溶接による緻密化処理が施されてもよい。これは、多孔質材料層114の破壊圧力を高めるのに役立ち得る。
【0208】
例示的な緻密化化プロセスでは、多孔質材料層114、例えばマイクロファイバ生地などの多孔質生地が、2つの要素(例えば、ローラー)の間に配置され、例えば圧縮される。ローラーは比較的高い周波数(例えば、約40kHz)の振動を多孔質材料層114内に与える。
【0209】
この振動により、多孔質生地、例えばマイクロファイバ生地の繊維が移動して互いに擦れ、熱が発生し、その結果、個々の繊維が互いに溶着する可能性がある。このような溶着は、圧縮された空洞のない塊ではなく、より緻密な多孔質構造を与えるように制御され得る。このプロセスは多孔質生地が圧縮状態にあるときに行われるため、生地の密度が増加し、それによって破壊圧力が高まる可能性がある。
【0210】
このような緻密化プロセスは、代わりにまたは追加で、1つ以上のさらなる多孔質材料層156、158が多孔質材料に含まれる場合、さらなる多孔質材料層156、158を緻密化するために使用され得る。
【0211】
図11は、多孔質材料168の破壊圧力特性を試験するための例示的な試験装置166を概略的に示す。多孔質材料168は、クランプ部材170とベースプレート172との間に固定される。クランプ部材170はボルト174用の穴の境界を定め、ボルト174はベースプレート172のねじ穴に受け入れられる。ボルト174を適切な方向に回すことで、多孔質材料168を固定/解放することができる。
【0212】
この具体例では、クランプ部材170は厚さ10mmのアルミニウム製のリングであり、ベースプレート172は厚さ10mmのポリ(メチルメタクリレート)で作られている。多孔質材料のサンプルは直径140mmの円板である。サンプルは8本のボルト174を使用して固定される。
【0213】
この試験装置166の汚れ入口142Aは、ベースプレート172に設けられた輸送ダクト176の開口部によって画定される。多孔質材料168と汚れ入口142Aとの間の空洞内には上記液体輸送支持構造154が設けられ、この例では直径80mmのメッシュの形態で設けられる。
【0214】
試験装置166は、汚れ入口142A内に負圧を発生させるための負圧生成器178と、汚れ入口142A内の圧力を測定するように構成された圧力センサ180、例えば圧力計を備える。
【0215】
この具体例における圧力センサ180は、時間に応じて圧力を監視することを可能にするために、圧力計とデータ収集ユニット(LabQuest(登録商標)2)との組み合わせを備える。
【0216】
この具体例における負圧生成器178は、蠕動ポンプまたはシリンジポンプ、例えば250mLシリンジポンプの形態である。蠕動ポンプはパルス状の水流を提供することができる。シリンジポンプは、蠕動ポンプよりも正確な測定を可能にすることが分かった。
【0217】
試験装置166はまた、圧力ラインフィルタ182を圧力センサ180に接続する圧力センサライン184に液体が入るのを防ぐように配置されたチャンバの形態の圧力ラインフィルタ182を備える。圧力ラインフィルタ182およびポンプ178の下流には、多孔質材料168を通してポンプ輸送された液体を収集するための収集リザーバ186がある。
【0218】
試験手順は、クランプ部材170とベースプレート172との間に多孔質材料168のサンプルを固定し、次いで流量100cm3/分を送出するようにポンプ178を設定することを含む。各測定の前に、圧力ラインフィルタ182が空であることが確認され、圧力センサ180の圧力計がゼロに調整され、再接続される。次に、25cm3の水が多孔質材料168のサンプル上に注がれ、多孔質材料上に約4mmの深さを有する水の層が残る。ポンプ178を起動することによってフラッシング運転が実行され、水が多孔質材料168のサンプルを通して吸引される。フラッシング運転の後、ポンプ178が停止され、25cm3の水が多孔質材料168のサンプル上に注がれ、データ収集ユニットをトリガしてデータ収集を開始し、ポンプ178を起動することによって測定運転が実施される。
【0219】
データ取得からの負圧対時間の典型的なグラフが、多孔質材料168の概略図とともに
図12に提供されている。最初に、液体190(この例では水)が(予め濡らされた)細孔192を通される上記「液体輸送状態」188が取られる。この例で記録される「輸送圧力」は、多孔質材料168およびメッシュ液体輸送支持構造154を通して液体190を輸送するのに必要な圧力差に対応する。
【0220】
「液体輸送状態」188を記述する支配方程式は、次のポアズイユ方程式であってもよい。
【数1】
ここで、ΔPは細孔192の両端での圧力差であり、ηは液体の動粘度であり、Lは細孔192の長さであり、φは体積流量であり、rは細孔192の半径である。
【0221】
例えば、細孔の直径が20μmであり、細孔が厚さ0.8mmの多孔質材料168にわたって延在しており、(典型的な流体流量100cm3/分から)細孔192あたりの推定体積流量が約4.96×10-14m3/秒であり、ηwaterが1×10-3Pa・sであると仮定すると、ΔP=10.1Paである。
【0222】
「液体輸送状態」188に続いて、中間レジーム194になり、液体190のほぼ全てが多孔質材料168のサンプルの表面から除去され、細孔のほとんどが上記「流体遮断状態」になる。この状態では、多孔質材料168の濡れた細孔内に保持された(残留)液体190の表面張力により、空気196が細孔192を通って輸送されることが妨げられる。中間レジーム194では、「液体輸送状態」にある細孔192の数が減少し続ける可能性がある。「流体遮断状態」は、著しく高い負圧を可能にするので、図示のように、中間レジーム194の間、負圧は比較的急速に上昇する。
【0223】
「流体遮断状態」を記述する支配方程式は、次の液滴(Droplet dP)方程式であってもよい。
【数2】
ここで、
図12に概略的に示すように、P
iおよびP
Oは内圧および外圧であり、Rは流体滴の半径である。Tは表面張力である。
【0224】
例えば、典型的な直径20μmの細孔192についてRが10μmであり、Twaterが0.073N/mであると仮定すると、Pi-PO=ΔP=14600Paである。
【0225】
洗剤を水に添加すると、このΔPは18000Paまで増加する可能性がある。洗剤を添加すると水の表面張力は低下するが(T
soapy water=0.045N/m)、細孔192上の気泡に2つの表面、すなわち、気泡の内側と外側が作成される。したがって、洗剤を水に添加した場合の破壊圧力は、単層表面の破壊圧力の約2倍になる可能性がある。
【数3】
【0226】
中間レジーム194に続いて、全ての自由な水が多孔質材料168の表面から除去されており、全ての細孔192が最初は「流体遮断状態」にある終了レジーム198になる。ポンプ178は多孔質材料168を通して水を吸い込み続け、負圧を上昇させるため、流体遮断の一部が破壊され、「空気輸送状態」で空気196がそれぞれの細孔192を通して輸送される可能性がある。これに伴う空気の進入の結果、終了レジーム198において、加えられた流れによって生じる負圧がこれ以上流体遮断を破壊しなくなる平衡状態に達する可能性がある。後者は、調べられている多孔質材料168の「破壊圧力」に対応する。
【0227】
「空気輸送状態」を記述する支配方程式は、「液体輸送状態」について上で提供されたポアズイユ方程式であってもよい。例えば、細孔の直径が20μmであり、細孔が厚さ0.8mmの多孔質材料168にわたって延在しており、(典型的な流体流量100cm3/分から)細孔192あたりの推定体積流量が約4.96×10-14m3/秒であり、ηairが18.1×10-6Pa・sであると仮定すると、ΔP=0.18Paである。
【0228】
全体として、空気輸送圧力(例えば、0.18Pa)および水輸送圧力(例えば、10.1Pa)は両方とも、表面張力由来の圧力差(例えば、14600Pa)と比較して著しく小さい、例えば無視できるほどであり得る。
【0229】
図13は、上記試験装置166および試験手順を使用して試験された多孔質材料168のいくつかの圧力対時間グラフを提供する。プロット200は、多孔質材料層114のみを有する多孔質材料168に関するものである。プロット202は、多孔質材料層114および第1のさらなる多孔質材料層156を有する多孔質材料168に関するものである。プロット204は、多孔質材料層114、第1のさらなる多孔質材料層156、および第2のさらなる多孔質材料層158を有する多孔質材料168に関するものである。プロット206は、多孔質材料層114および3つのさらなるの多孔質材料層を有する多孔質材料168に関するものである。これらのデータは、上記したように、多孔質材料168内により多くの多孔質材料層を積層すると、破壊圧力が上昇することを示している。
【0230】
また、プロット202、204、および206の各セット内には、多孔質材料層が互いに接着している場合と接着していない場合の多孔質材料168のプロットが含まれている。上記のように、多孔質材料層を互いに接着するために接着剤を使用すると、破壊圧力がさらに上昇することが観察された。
【0231】
図14は、a)では、液体が細孔192の全てを通して吸い込まれる上記「液体輸送状態」188、b)では「液体輸送状態」の終了、c)では中間レジーム194、そしてd)では終了レジーム198を概略的に示す。
図14に示される多孔質材料168は、負圧生成器178、例えばポンプに接続された汚れ入口142A、142Bを覆っている。
【0232】
多孔質材料168は、それぞれが異なる破壊圧力を有する細孔192、例えば微小孔を有する。後者は、各細孔192の下に示されている数値により、
図14に示されている。わかりやすくするために、各数値は1桁に四捨五入されている。
【0233】
負圧生成器178、例えばポンプの始動時に、全ての液体、例えば水が床から吸引され、必要な圧力は水輸送圧力であり、この例では「1」に設定されている。汚れ入口142A内の負圧、そしてこの例では多孔質材料168の背後の空洞150内の負圧は、これに対応して「1」である。したがって、
図14のa)は「液体輸送状態」188を概略的に表し、b)は「液体輸送状態」188の終了を示す。b)では、負圧が上昇し始める点に到達する。
【0234】
全ての液体、例えば水が床から除去されると、全ての細孔192は、その中に残っている液体の表面張力によって遮断される可能性がある。図示の非限定的な例では、負圧生成器178は固定流量ポンプであるため、ポンプの連続的な動作により負圧が上昇し得る。ある時点で、多孔質材料168の背後の汚れ入口142A内の負圧が、最も弱い細孔192の破壊圧力のレベル(例えば、「4」)まで上昇し、細孔の破壊圧力を超え、そこを通って空気の輸送が開始する可能性がある。これらの最初の細孔192が「破壊される」とき、多孔質材料168の背後の汚れ入口142A内の圧力は既に大きくなっている可能性があるため、この時点でこれらの細孔192によって輸送される空気はかなりのものである可能性がある。したがって、
図14のステップc)は、中間レジーム194を概略的に表すものとみなすことができる。
【0235】
中間レジーム194では、一部の細孔192が閉塞しつつある一方、他の細孔192が依然としてさらなる領域から(汚れ入口142Aからさらに遠くに)液体を輸送している可能性があり、そのため、汚れ入口142Aの近くにより負圧が生成される可能性がある。これにより、自由な液体が全てなくなるまで、負圧が比較的ゆっくりと上昇する可能性がある。これは全て、ポンプ速度、ならびに少なくとも一部の例では、液体輸送支持構造154の特性、および負圧が加えられたときに変形する全ての要素の柔軟性によって影響される可能性がある。
【0236】
簡略化した説明として、流量が100cm
3/分に設定され、多孔質材料とポンプの間の流れ抵抗が無視され、全ての要素が無限に硬い場合、中間レジーム194は、
図12では、「液体輸送状態」188から終了レジーム198にデジタル的に移行する縦線であってもよい。
【0237】
このプロセスは、輸送される空気が、この例ではポンプ速度と等しくなり、多孔質材料168の背後の汚れ入口142A内の負圧が、最も低い破壊圧力を有する残りの「破壊されていない」細孔192の破壊圧力よりも低くなるまで継続し得る。したがって、
図14のステップd)は、上記終了レジーム198を概略的に表すものとみなすことができる。
【0238】
試験装置166内で測定される圧力は、多孔質材料168の破壊圧力を規定し得ることに留意されたい。150cm3/分などの異なる流量が試験されたが、同じ破壊圧力を示し、増加した流量を補償するためにより多くの細孔192が「破壊」する可能性がある。
【0239】
多孔質材料168の細孔192の細孔サイズ、言い換えれば細孔直径は、比較的高い負圧と、多孔質材料168を通る液体の輸送に対する比較的低い抵抗/液体輸送圧力とのバランスをとるために選択され得る。
【0240】
より小さな細孔192は、例えば比較的低電力の負圧生成器178、例えばポンプを用いて、汚れ入口142A内に生成され得る負圧を上昇させることができる。より小さな細孔192を有するより緻密な多孔質材料168は、より高い破壊圧力を生み出すことができる。また、細孔サイズの下限を調べる目的で、保持できる粒子のサイズに従って指定されたビールフィルタを多孔質材料168として使用して、上記の試験装置166および試験手順を使用して調査が実施された。0.25μm、3μm、10μm、および25μmのフィルタが試験された。この実験では、後者のビールフィルタの仕様が「細孔サイズ/直径」と同じであると仮定した。
【0241】
図15を参照すると、プロット208は0.25μmフィルタのものである。プロット210は3μmフィルタのものである。プロット212は10μmフィルタのものである。プロット214は25μmフィルタのものである。プロット216は基準マイクロファイバ生地のものである。
【0242】
図15から、多孔質材料168の細孔サイズ/直径は、パフォーマンスに大きな影響を与えることがわかる。これらの結果から、負圧の考慮に基づいて、多孔質材料168の平均40μmの細孔サイズ/直径(例えば、40μmのビールフィルタに相当)が最大値に対応する可能性があると推定される。
【0243】
液体輸送圧力の考慮に基づいて、多孔質材料168の平均0.25μmの細孔サイズ/直径(例えば、0.25μmのビールフィルタに相当)は最小値に対応し得る。
【0244】
図15から、0.25μmフィルタでは、水輸送圧力が3μmフィルタの場合よりも著しく高くなる可能性があることがわかる。0.25μmフィルタの場合、水輸送中に負圧が約23000Paまで上昇する可能性がある。また、0.25μmフィルタの場合、乾燥状態に達するまでの時間が大幅に長くなる可能性があり、これは、洗浄対象の表面から液体/水を運ぶのに著しく長い時間がかかる可能性があることを意味する。
【0245】
非限定的な例では、多孔質材料168の平均細孔サイズ/直径が約3μm(例えば、3μmのビールフィルタに相当)であると、特性の好ましいバランスが提供され得る。
【0246】
図15は、液体/水の輸送圧力と多孔質材料168の破壊圧力との間に有限の差があることを示しているように見える。比較的小さい細孔192は破壊圧力の上昇、例えば0.25μmフィルタの場合には39000Paまでの上昇をもたらす可能性があるが、水/液体輸送圧力、例えば0.25μmフィルタの場合には33000Paももたらす可能性がある。なお、水輸送圧力と破壊圧力との間のこの差は、基準マイクロファイバ生地のそれ(水輸送圧力1000Pa、破壊圧力7000Pa)と同様である。
【0247】
細菌は比較的サイズが小さいことによって特徴づけられる傾向がある。例えば、「平均的な」サイズの細菌とみなせる大腸菌細胞は、長さが約2μm、直径が約0.5μmである。
【0248】
したがって、細孔サイズが2μmより大きい多孔質材料168は、そのような細菌の通過を可能にする可能性がある。このようにして、洗浄対象の表面から細菌を除去することができる。
【0249】
選択された多孔質材料168に応じて、洗浄対象の表面から、最大99.9%の細菌を多孔質材料168を通して吸引できる。
【0250】
一部の実施形態では、多孔質材料168は、細孔が0.25μm~40μmの範囲の細孔サイズ/直径(例えば、0.25μm~40μmのビールフィルタに相当)を有するマイクロファイバ生地の1つ以上の層によって画定される。
【0251】
例えば、このような多孔質材料168(マイクロファイバ生地の1つ以上の層によって画定される)は、上記0.25μm~40μmの範囲内の細孔サイズ/直径の分布、および20μm~40μm、例えば約35μmの平均細孔サイズを有し得る。細孔の寸法は細菌のサイズよりも著しく大きいため、細菌は多孔質材料168を通過することができ、したがって洗浄対象の表面から除去され得る。
【0252】
上記の説明は多孔質材料168自体の動作原理に焦点を当ててきたが、多孔質材料168は洗浄対象の表面と接触し、何らかの速度で洗浄対象の表面上を移動してもよいことに留意されたい。これは
図16に概略的に示されており、
図16は、洗浄対象の表面218上の多孔質材料168で覆われた汚れ入口142Aを備える例示的なクリーナヘッド100を示す。この非限定的な例では、洗浄対象の表面218は床220の表面であり、液体222、例えば水の層が洗浄対象の表面218と多孔質材料168との間に存在する。負圧生成器178、例えばポンプは、多孔質材料168の細孔192を通って矢印224の方向に流体を吸引するように設計されている。矢印226は、液体を汚れ入口142Aに向かって引き寄せる内部負圧を表す。矢印228はクリーナヘッド100の速度を表す。
【0253】
図16は、流体層222における速度分布234を概略的に示す。矢印230は、流体層222内の速度分布234によって生成される、多孔質材料168上の流体せん断力を表す。矢印232は、水を床220に向かって引っ張るせん断力を表す。
【0254】
この挙動は、次のベルヌーイ方程式を使用して近似できる。
【数4】
ここで、ρは流体の密度、υは流体の流速、Pは圧力、hは基準面(この場合は床220)からの高度、そしてgは重力による加速度を表す。
【0255】
上記ベルヌーイ方程式は、多孔質材料168の下の圧力のために書き直すことができる。
【数5】
【0256】
速度1.5m/sの場合、ΔP=1125Paであり。速度3.16m/sの場合、ΔP=5000Paである。
【0257】
これは、より高い速度では床220が液体をより強く引っ張るので、より高い速度ではより多くの液体が床220上に残ることを示しており、これは本開示に係るクリーナヘッド100で観察された。
【0258】
クリーナヘッド100の移動、例えば約1.5m/秒での移動は、液体222の層内にせん断流を生成し得、これは、多孔質材料168内に存在する液体に作用して液体を洗浄対象の表面218に向かって引っ張るせん断力232を生成し得る。水はまた、負圧226を介して汚れ入口142Aの方向に力を加えられる。負圧は、液体222を汚れ入口142Aに向かって移動させる力がせん断力232を超えるように選択され得る。
【0259】
多孔質材料168と、例えば水などの液体を洗浄対象の表面218に塗布するための洗浄液塗布材料126、128とを備え、洗浄対象の表面218上を1.5m/秒で移動する例示的なクリーナヘッド100の液体回収パフォーマンスを、異なる汚れ入口負圧を用いて評価した。表1に結果を示す。
【表1】
【0260】
本明細書で説明される液体回収原理のさらなる利点は、特に負圧生成器178に電力が供給される例において、消費電力が低いことである可能性がある。
【0261】
水を回収できる従来の掃除機は、水滴を掃除機内に進入させるのに十分なせん断力を発生させるために、かなりの気流速度および/またはブラシパワーを生成することを必要とする。このような掃除機の一般的な消費電力値は数百ワットである。
【0262】
以下の計算は、本開示によれば、液体、例えば水の回収に必要な機械的パワーが比較的低いことを示している。
【数6】
ここで、Pはワット単位の機械的パワー、φは流体流量(m
3/s)、ΔPは汚れ入口142A内の負圧(Pa)を表す。
【0263】
例えば、5000Paの負圧および100cm3/分の流体流量の場合、パワーは8.3×10-3ワットである。
【0264】
例えば、機械的パワー消費が約50ワットである湿式洗浄装置において28分間の稼働時間を提供する従来のバッテリを使用して負圧生成器178が給電される場合、この例での稼働時間は168000分であり、言い換えれば100日を超える。
【0265】
したがって、本開示に係るクリーナヘッド100を有する電動湿式洗浄装置は、バッテリの再充電をまれにしか必要とせず(湿式洗浄装置を給電するためにそのようなバッテリが含まれる例では)、かつ/または、例えば1時間の稼働時間に必要な最小限のバッテリ容量に起因して、より軽量にできる。なお、後者に関して、従来の手持ち式湿式洗浄装置のバッテリの重量は約0.5kgであり得、したがって湿式洗浄装置の総重量に大きく寄与する可能性がある。
【0266】
表2は、従来の掃除機と、本開示に係る湿式洗浄装置に関して上述した様々な状態との間の機械的パワーの比較を提供する。
【表2】
【0267】
より一般的には、本開示は、クリーナヘッド100を備える湿式洗浄装置を提供する。クリーナヘッド100は、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bと、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bを覆う多孔質材料168とを有する。湿式洗浄装置は、流体を多孔質材料168を通して少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bに吸い込むために、湿式洗浄装置の内部と大気圧との間の圧力差を提供するように構成された負圧生成器178をさらに備える。
【0268】
一部の実施形態では、圧力差は2000Pa~13500Paの範囲内である。
【0269】
圧力差の2000Pa~13500Paの範囲の両端点は意図的に選択されている。
【0270】
2000Paの下限は、クリーナヘッド100が通常、洗浄される表面、例えば床上を移動することを反映しており、床上でのクリーナヘッド100の速度が増加するのに伴う静圧の低下は、液体が床に向かって引っ張られることを意味する。このような挙動は、上記したように、ベルヌーイ方程式によって近似できる。
【0271】
上記の表1を参照すると、2000Pa未満では、クリーナヘッド100が典型的な速度で移動する場合、洗浄される表面上にあまり多量の液体が残る可能性があることがわかった。
【0272】
2000Paの最小負圧は、ユーザが洗浄対象の表面上でクリーナヘッド100を移動させる最小の典型的な速度に応じて設定される。これにより、液体を回収するためにユーザが洗浄対象の表面上でのクリーナヘッド100の動きを大幅に遅くするか、または停止する必要なく、負圧が液体を湿式洗浄装置の内部に吸い込むのに十分であることを保証する。
【0273】
13500Paの上限は、多孔質材料168内の液体輸送が十分に迅速であることを保証することを目的に定められている。
【0274】
維持できる負圧の大きさと、多孔質材料168内の流れ抵抗との間にはトレードオフがあり、後者が液体が多孔質材料168を通過できる速度を決定する。このトレードオフが、範囲の上限13500Paの選択に反映されている。
【0275】
一部の実施形態では、圧力差は2000Pa~12500Pa、好ましくは5000Pa~9000Pa、最も好ましくは7000Pa~9000Paである。これらの範囲は、クリーナヘッド100の移動中に観察される特に強化された液体回収と、多孔質材料168内の比較的低い流れ抵抗とを反映し得る。
【0276】
圧力差は、例えば、汚れ入口142A、142Bと流体結合された湿式洗浄装置の管に穴を開け、その穴を使用して空気圧センサに結合することによって、所与の湿式洗浄装置において直接かつ積極的に確認することができる。空気圧センサ自体が管を有し、その一端は膜で覆われている。したがって、センサは気密結合を使用して結合されている。センサは流れを乱さないように構成され得、したがって、当業者は、例えばバイパス流の生成を避けるようにセンサを構成する。センサに向かう/から出る流れはなく、圧力のみが伝達される。このようにすることで、機器の流れが損なわれることはない(したがって、センサが設置されているにもかかわらず、設定レベルを維持できる)。
【0277】
圧力センサは、感知される圧力差に対する他の要因、例えば流れ抵抗などの影響を最小限に抑えるために、多孔質材料168と負圧生成器178との間で多孔質材料168にできるだけ近く接続される。
【0278】
圧力センサ/圧力計の感知要素/膜は、感知要素を管内、または多孔質材料168の背後の空洞150内に直接(接続管を必要とすることなく)配置できるように、圧力センサ内に構成/配置されるのが理想的である。
【0279】
圧力センサの膜、言い換えれば膜圧力計を、膜が管の壁に位置するように、言い換えれば管の壁と並ぶように(または空洞150に露出するように)配置することによって、測定誤差を最小限に抑えられることが当業者には理解されるであろう。
【0280】
なお、狭い管内の気泡は抵抗(毛細管/表面張力効果)を生じさせ、測定に影響を与える可能性がある。したがって、当業者であれば、気泡(水-空気表面)が圧力差の測定に過度の影響を与えないように注意する必要があることをさらに理解するであろう。
【0281】
さらに、圧力センサと多孔質材料168との間に存在する水の柱は、水の柱によって生成される静圧を補償するために、測定結果から差し引かれるべきであることに留意されたい(そのような水の柱が測定中に存在する場合)。
【0282】
圧力センサが上述のように構成されると、負圧の維持は多孔質材料168によるものであり、バルブなどの他の要素によるものではないことが確認され得る。多孔質材料168に与えられる負圧に影響を与えるそのような要素は、測定を実行するために動作不能にされなければならない。
【0283】
(湿式洗浄装置が洗浄液を供給するように構成されている場合)洗浄液を分注する構成要素は、圧力差の測定を実行するときに切り離される。
【0284】
湿式洗浄装置が(所望の設定で)起動されると、負圧生成器178を含む回収システムが作動する。圧力センサからのデータの記録が開始される。
【0285】
クリーナヘッド100の回収領域は、最大で深さ5mmの水の層の中に浮かされる。
【0286】
次に、回収領域は、領域を傾けることなく水から持ち上げられ(クリーナヘッド100が、床を洗浄するように配置されたかのように、洗浄位置に留まるように)、水と多孔質材料168との接触がなくなる。ここで、「自由な水」が多孔質材料168から除去され、全ての細孔が「遮断状態」になり、破壊圧力が決定可能となる。測定結果は
図12に示すグラフのようになる。なお、上記したように、終了レジーム198では、加えられた流れによって生じる負圧がこれ以上流体遮断を破壊しなくなる平衡状態が確立される。
【0287】
終了レジーム198に関して、この測定結果から取得される破壊圧力は、「流体を多孔質材料168を通して少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bに吸い込むための、湿式洗浄装置の内部と大気圧との間の圧力差」である。測定結果から、2000Pa~13500Paの範囲を満たしているかどうかが確認される。
【0288】
上記したように、多孔質材料168は、洗浄される表面上の液体と接触するように構成され得る。したがって、多孔質材料168は、洗浄される表面上の液体に露出可能な多孔質材料168の外面から、少なくとも1つの汚れ入口に露出された多孔質材料168の内面まで画定され得る。
【0289】
ASTM F316-03、2019、Test Aは沸点圧力測定を提供する。この標準的な方法は非繊維性の膜フィルタ用に開発されたものであるが、この手順を本開示に係る多孔質材料168についても再現することができる。
【0290】
限界細孔直径、換言すれば最大細孔サイズを求めるための沸点試験は、要約すると、多孔質材料168のサンプルを予め濡らし、多孔質材料168の上流のガスの圧力を所定の速度で増加させ、多孔質材料168の最大直径の細孔をガスが通過することを示すために、下流の気泡を監視することによって実行される。
【0291】
ASTM F316-03、2019、Test Aに記載されている膜フィルタと同じく、多孔質材料168は、毛細管と同様に、多孔質材料168の片側から他方の側まで延びる複数の個別の細孔を(少なくとも近似的に)有し得る。沸点試験は、湿潤液が毛細管引力および表面張力によってこれらの毛管細孔内に保持されるという原理に基づいており、これらの細孔から液体を押し出すのに必要な最小圧力は細孔の直径に依存する。この試験で安定した気泡の流れが現れる圧力を「沸点圧力」と呼ぶ。
【0292】
ASTM F316-03、2019、Test A は、円形断面を有する毛細管細孔としての細孔の近似に基づいており、したがって、限界細孔直径は、この前提に基づく最大細孔直径の単なる経験的推定と見なされるべきであることに留意されたい。
【0293】
ASTM F316-03、2019、Test Aで義務付けられている試験装置および試験手順が再現された。
1.多孔質材料のサンプル(直径2インチ(50.8mm)、直径47mmの開口/活性領域を有するように円形ホルダー内に保持される)を液体に浮かべることによって完全に濡らす(必要に応じて、サンプルを濡らすために真空チャンバを使用することもできる)。水に濡れやすいサンプルの場合、サンプルを水に入れて完全に浸す。
2.濡れた多孔質材料のサンプルを試験装置のフィルタホルダー内に配置した。
3.細かい(100x100)メッシュを多孔質材料のサンプル上に配置する。細かいメッシュは、規格で義務付けられている2層構造の第1の部分である。
4.2層構造の第2の部分は、剛性を高めるために穴あき金属コンポーネントの形態であり、細かいメッシュ上に配置される。
5.支持リングが積層体の上に配置され、ボルトを使用して所定の位置に固定される。この時点でわずかなガス圧力を加えて、液体の逆流の可能性を排除する。
6.穴あき金属コンポーネントが2~3mmの試験液(サンプルが水に濡れやすい場合、規格で義務付けられているType IVの水)で覆われる。
7.次にガス圧力を上げ、リザーバの中央領域から安定した気泡の流れがのぼる最低圧力を記録する(ASTM F316-03、2019、Test Aの
図5参照、リザーバの端で観察される気泡は、沸点の決定では無視される)。
【0294】
沸点を大まかに決定するには、まず圧力を比較的急速に、例えば約200Pa/秒で上昇させることが適していることがわかった。次に、サンプルから圧力を解放して、水をサンプルに戻す。その後、圧力を予想圧力値の約80%まで上げ、80%のレベルを約15秒間維持した後(全ての「自由な」水がサンプルから押し出されるようにするために)、安定した気泡の流れが観察されるまで、より低い速度の50Pa/秒以下で再び上げた。
【0295】
次に、ASTM F316-03、2019、Test Aの式 1であるd=Cγ/pを使用して、記録された沸点圧力pから限界細孔直径dが求められる。ここで、γは表面張力(mM/m)であり(20°Cの蒸留水では72.75)、Cは、pの単位がPaの場合、2860である。
【0296】
ASTM F316-03、2019、Test Aの沸点圧力は、多孔質材料168のサンプルについては、上記破壊圧力と同等であることがわかった。ただし、0.25μmビールフィルタの場合は除いてであり、これは、破壊圧力試験では存在するが、沸点試験では存在しない強制的な流れによって簡単に説明できる。様々な多孔質材料168サンプルの結果を表Aに示す。
【表3】
【0297】
一部の実施形態では、ASTM F316-03、2019、Test Aを使用して測定された多孔質材料168の限界細孔直径は15μm以上である。
【0298】
このような15μm以上の限界細孔直径は、細孔が効率的に液体を輸送するのに十分な大きさであることを保証しながら、比較的大きな負圧を維持するのに役立つ可能性がある。なお、効率的な液体の輸送に関して、この観察は理論によって裏付けられており、上記のポアズイユ方程式を使用して近似した場合、細孔が小さくなると流れ抵抗が4乗に増加する可能性がある。
【0299】
一部の実施形態では、ASTM F316-03、2019、Test Aを使用して測定された多孔質材料168の限界細孔直径は105μm以下である。限界細孔直径のこの上限は、多孔質材料168によって十分な負圧を確実に維持するのに役立つ。
【0300】
上記したように、ASTM F316-03、2019、Test Aは円筒状の細孔を想定している。純粋に説明/例示を目的として(したがって、ASTM F316-03、2019、Test Aの限界細孔直径について本明細書で提供される限界値とみなされるべきではない)、限界細孔直径は、細孔の非真円性を補償するためにソリッドワイヤフィルタ用に導出された経験的係数である屈曲係数(TF)を用いて調整できる。ASTM E3278-21(同規格のセクション4.2.1参照)で提案されているTFの1.3~1.65の広がりは、約27%の細孔サイズの広がりをもたらす可能性がある。例示のみを目的として、表Bは、TFを使用して調整された場合の上記限界細孔直径の端点を示す。ASTM F316-03、2019、Test Aの限界細孔直径は、粒子が通過できる最大の細孔サイズの尺度を提供するため、「三角形」の細孔は、三角形の表面よりもかなり小さい球形の粒子しか通過できないという事実をTFで補償できることに留意されたい。
【表4】
【0301】
一部の実施形態では、負圧生成器は、2000cm3/分以下の多孔質材料168を通る流量を提供するように構成される。
【0302】
このような流量は、上記の従来の湿式掃除機よりも大幅に低い可能性がある。パワーは流量と圧力差との積に等しいため、この最大流量2000cm3/分と、上記最大圧力差13500Paとを最大電力消費シナリオとして組み合わせることで、湿式洗浄装置の電力消費を最小限に抑えられる。上記の表2を参照すると、これにより、例えばより小型のバッテリを使用して、湿式洗浄装置を比較的コンパクトにしたり、かつ/または比較的長い稼働時間を有するようにすることができる可能性がある。
【0303】
追加でまたは代わりに、負圧生成器は、15cm3/分以上の多孔質材料168を通る流量を提供するように構成され得る。これは、洗浄対象の表面からの液体の回収が十分に迅速になることに寄与する可能性がある。15cm3/分という下限は、一部の実施形態では、同じくクリーナヘッド100に含まれる洗浄液出口104からの洗浄液の流量以上になるように設定され得る。
【0304】
一部の実施形態では、負圧生成器は、40cm3/分以上の多孔質材料168を通る流量を提供するように構成される。効率的な液体の回収に寄与するだけでなく、この40cm3/分は、一部の実施形態では、同じくクリーナヘッドに含まれる洗浄液出口からの洗浄液の流量以上になるように設定され得る。洗浄液の最小流量は、洗浄される表面に洗浄液が十分に供給されるように設定される。
【0305】
負圧生成器は、80~750cm3/分、より好ましくは100~300cm3/分、最も好ましくは150~300cm3/分の範囲内の多孔質材料を通る流量を提供するように構成され得る。このような流量は、多孔質材料168の負圧維持能力を利用する可能性があり、エネルギー消費を制限しながら十分な液体の回収を保証する可能性がある。
【0306】
一部の実施形態では、多孔質材料168は、10mm以下、より好ましくは5mm以下、最も好ましくは3mm以下の厚さを有する。このような最大厚さは、多孔質材料168内の流れ抵抗の最小化に寄与し得る。
【0307】
多孔質材料168の厚さは、0.01mmの精密ゲージと、間に多孔質材料168が配置される2枚のグランド金属板(垂直な圧力が加わる上板は70mm×30mmであり、多孔質材料のサンプルを支持する下板は、位置合わせを容易にするために上板の70mm×30mmの表面よりも大きな面積を有する)を用いて決定され得る。この装置は、多孔質材料のサンプル(70mm×30mm)に対して垂直に864.2N/m
2の圧力を加えるように構成される。関連する測定パラメータを表Cに示す。
【表5】
【0308】
いくつかのサンプルの厚さがこの方法を使用して測定され、データは表Dに示されている。
【表6】
【0309】
一部の実施形態では、多孔質材料168を通る200cm3/分の流れでの流体輸送圧力は、ASTM F316-03、2019、Test Aによって求められる沸点圧力の0.25倍未満である。
【0310】
これは、多孔質材料168内の流れ抵抗が比較的低いレベルに維持されることを意味する可能性がある。
【0311】
表Aのサンプル番号18、表Dのサンプル番号22~25に対応する多孔質材料、および厚さ0.8mmのサプライヤF生地を使用して、さらなる一連の破壊圧力試験を(上記実験と同様に)実施した。流圧降下と破壊圧力が各サンプルについて記録され、結果(少なくとも2回の測定の平均値)が表Eにまとめられた。これらの実験では、89cm
3/分の流量が使用され、サンプルの下の円形メッシュ(サンプルの「活性領域」全体に広がる)の直径は80mmであった。
【表7】
【0312】
上記したように、より多くの層を積み重ねると破壊圧力が上昇することがわかる。しかし、層が増えると輸送流圧が破壊圧力よりも早く上昇する可能性があり、サンプル番号22~27の場合、多孔質材料が(サンプル番号25において)4つの二重層スタックを有すると、輸送流圧が破壊圧力を超える。
【0313】
輸送流圧が層が多いほど早く上昇することはサンプル2~27から明らかである可能性があるが、システム内の空気は、特にサンプル番号25~27で圧縮性をデータが示し始めることを意味する可能性がある。
【0314】
より一般的には、これらのデータは、(所望の流量における)輸送流圧が破壊圧力よりも低いときに湿式洗浄装置が動作し得ることを示している可能性がある。
【0315】
結果が表Eにまとめられている試験では、流量は89cm3/分、生地の有効面積は5030mm2であった。クリーナヘッド100の場合、有効面積は約1750mm2であり得る。したがって、輸送流圧がクリーナヘッド100の多孔質材料168に加えられるとき、多孔質材料168を通る実際の流れは、これらの試験で使用される流量よりも(1750/5030)0.35倍低い可能性がある。
【0316】
これは、輸送流圧が破壊圧力に等しい点(例えば、サンプル番号24)において、多孔質材料168が耐えることができる最大流量は約(0.35×98)31cm3/分であることを意味し得る。多孔質材料168にさらに多くの層が追加されたとしても、輸送流の圧力が増加する一方で、破壊圧力はほぼ同じままであり、したがってこの値はさらに低下する。
【0317】
なお、上記破壊圧力試験では、試験サンプルの表面全体が水で覆われているため、多孔質材料168の全域が水を輸送することになる。しかし、実際には、床に接触するクリーナヘッド100の領域(例えば、幅5mm、長さ350mm)は水を輸送する一方、その領域に隣接する多孔質材料168の領域は空気も輸送する可能性がある。これは、例えば、4つの二重層が使用され(サンプル番号25の場合)、多孔質材料の破壊圧力が水輸送圧力よりも低い場合、多孔質材料168の周縁が破壊し始めて空気が入り込み、破壊圧力で沈降が生じることを意味し得る。活性/回収領域は比較的低い圧力のままである可能性があるため、液体を比較的ゆっくりと回収する可能性があり、したがって液体が洗浄対象の表面上に残る可能性がある。逆に、多孔質材料168が比較的低い輸送流圧と著しく大きい破壊圧力を有する場合では(例えば、厚さ0.8mmのサプライヤF生地であって、破壊圧力が輸送流圧の50倍である場合)、回収流量が非常に高くなる可能性がある。
【0318】
全体として、湿式洗浄装置は、破壊圧力が輸送流圧よりも高い状態で動作し得るが、より高速での回収を可能にするために、破壊圧力は輸送流圧の少なくとも2倍であってもよい。
【0319】
一部の非限定的な例では、クリーナヘッド100は40cm3/分の流量で洗浄液を送出することができる。多孔質材料168を通る流量が、滑らかな洗浄対象の表面上での洗浄液のこの流量の85%である場合、すなわち、回収速度が34cm3/分である場合、回収速度は、サンプル番号24について上記で推定された31cm3/分と同等である。
【0320】
一部の非限定的な例では、例えば20cm3/分の洗浄液流量を考慮するために、ある程度の許容誤差を導入することができ、したがって、多孔質材料168の厚さの上限は約5mmとなる(サンプル番号25参照)。
【0321】
上記したように、多孔質材料168は、多孔質生地、多孔質プラスチック、および発泡体のうちの1つ以上を含むことができる。
【0322】
このような多孔質プラスチックは、例えば、プラスチック顆粒の焼結メッシュの形態をとることができる。
【0323】
多孔質材料168がそのような多孔質プラスチックを含む実施形態では、例えば、多孔質織布などの多孔質生地を含む1つ以上のさらなる多孔質材料層が、多孔質プラスチックの外面上に配置され得る。このようなさらなる多孔質材料層は、多孔質プラスチックよりも水に濡れやすく、したがって、水で濡れたときに洗浄対象の表面と接触するのにより適している可能性がある。
【0324】
特に、多孔質織布、最も好ましくはマイクロファイバ織布を含む多孔質材料について言及する。このようなマイクロファイバ織布は、湿式洗浄装置内で必要な負圧を実現することを容易にすることができる。
【0325】
このような多孔質織布、特にそのようなマイクロファイバ織布は、特にその織りの緻密さを介して、限界細孔直径の上記範囲を満たすように構成され得る。
【0326】
特に適切な織布の仕様が、例示的かつ非限定的な例として表Fに提供されている。
【表8】
【0327】
図17から
図23は、多孔質材料168をクリーナヘッド100にどのように取り付けることができるかの例を概略的に示す。
【0328】
多孔質材料168は、任意の適切な方法で取り付けることができる。一部の実施形態、例えば、
図17に示されるような実施形態では、クリーナヘッド100は、多孔質材料168を支持するための支持部材236、例えば剛性支持部材236を備える。支持部材236は、エンジニアリング熱可塑性プラスチックなどの任意の適切な材料で形成され得る。
【0329】
一部の実施形態では、クリーナヘッド100は、多孔質材料168がその上に配置されるエラストマー材料238を備える。このようなエラストマー材料238の弾性変形は、例えば、多孔質材料168と接触する洗浄対象の表面218上に比較的硬い突起物が存在する場合に、多孔質材料168が損傷するリスクを軽減することができる。代わりにまたは追加で、エラストマー材料238は、多孔質材料168が洗浄対象の表面218の任意の輪郭に追従するのを支援することができる。
【0330】
エラストマー材料238は、例えば、シリコーンゴムであるか、またはシリコーンゴムを含むことができる。ポリジエン(例えば、ポリブタジエン)や熱可塑性エラストマーなどの他のエラストマー材料も、エラストマー材料238に含めるか、またはエラストマー材料238を画定し得る。
【0331】
代わりにまたは追加で、エラストマー材料は、50ショアA未満、好ましくは20ショアA未満、最も好ましくは10ショアA未満であり得る。
【0332】
非限定的な例では、エラストマー材料は4ショアAのシリコーンゴムである。
【0333】
クリーナヘッド100が支持部材236、例えば剛性支持部材236を備える実施形態では、エラストマー材料238は、支持部材236と多孔質材料168との間に設けられ得る。これの一例が
図17に示されている。
【0334】
クリーナヘッド100が上記突出要素を備える実施形態では、以下により詳細に説明するように、突出要素がエラストマー材料238を備えることができる。
【0335】
図17に示す非限定的な例に戻り、不浸透性部分146はポリマー、例えば熱可塑性フィルムの形態であり、ポリマーフィルムと多孔質材料168に含まれる多孔質材料層114との間にシール152が設けられている。さらに、この具体例に含まれる液体輸送支持構造154は、メッシュか、または複数のメッシュ層の積層体の形態である。
【0336】
一部の実施形態、例えば、
図18に示されるような実施形態では、不浸透性部分146は、エラストマー材料238から多孔質材料168の多孔質材料層114まで延びる不浸透性封止部分、例えば複数のポリマーフィルム片によって画定される。この場合、ポリマーフィルムが多孔質材料層114の内面上に横方向に延在する必要はない可能性がある。
【0337】
一部の実施形態では、エラストマー材料238は、多孔質材料168の多孔質材料層114上に封止された不浸透性部分146を含む。したがって、上記ポリマーフィルムおよびポリマーフィルム片はこの例では不要であり、省くことができる。このようにして、クリーナヘッド100内の構成要素の数を減らすことができ、それによって製造が容易になる。
【0338】
一部の実施形態、例えば、
図19に示されるような実施形態では、液体輸送支持構造154は、多孔質材料168の多孔質材料層114に面するエラストマー材料238の表面上および/または表面内の表面パターンによって少なくとも部分的にまたは全体的に提供される。メッシュをエラストマー材料238の表面上の表面パターンによって置き換えることは、クリーナヘッド100内の構成要素の数を減らすという点で役立つ可能性がある。他の点では、
図19に示す例は
図18に示される例に対応する。
【0339】
一部の実施形態、例えば、
図20に示されるような実施形態では、支持部材236は、多孔質材料168の多孔質材料層114に押し当てて封止された不浸透性部分146を含む。言い換えれば、支持部材236と多孔質材料168との間に存在するシールは、多孔質材料168に押し当てて封止する支持部材236の突出部分によって提供される。したがって、多孔質材料層114と支持部材236との間の直接接続を使用してシールを作成できるため、この例では上述のポリマーフィルムは必要ない。他の点では、
図20に示す例は
図17に示される例に対応する。
【0340】
図21に示す非限定的な例は、液体輸送支持構造154が、多孔質材料168の多孔質材料層114に面するエラストマー材料238の表面上および/または表面内の表面パターンによって少なくとも部分的にまたは全体的に提供される点を除き、
図20に示されるものに対応する。
【0341】
図22に示す非限定的な例は、エラストマー材料238が、不浸透性部分146としてのポリマーフィルムと多孔質材料168の多孔質材料層114との間に設けられた空洞150内に配置されることを除き、
図18に示されるものに対応する。
【0342】
図23に示す非限定的な例は、液体輸送支持構造154が、多孔質材料168の多孔質材料層114に面するエラストマー材料238の表面上および/または表面内の表面パターンによって少なくとも部分的にまたは全体的に提供される点を除き、
図22に示されるものに対応する。
【0343】
ここで、繰り返しになるが、多孔質材料層114の上記液体回収領域PR(少なくとも1つの汚れ入口142A、142B(例えば、各汚れ入口)の周りの多孔質材料層114の封止取り付けによって境界が定められる)は、洗浄液が液体回収領域PRを迂回して洗浄される表面218に到達する、または少なくとも洗浄される表面218に向けられることを可能にするように、少なくとも1つの洗浄液出口104のそれぞれに対して配置され得る。各洗浄液出口104に対する液体回収領域PRのそのような配置は、任意の適切な方法で達成することができる。
【0344】
一部の実施形態、例えば、
図24に示されるような実施形態では、各洗浄液出口104は、多孔質材料層114から空間的に分離された1つ以上の分注部内に配置される。洗浄液出口104をそのような別個の1つ以上の分注部内に配置することによって、洗浄液を、最初に多孔質材料層114と接触することなく、
図24の矢印240の方向に洗浄対象の表面218に向かって送ることができる。
【0345】
図24に示す非限定的な例では、分注部は、上記洗浄液分配ストリップ108、124に対応する。
【0346】
空間的分離は、多孔質材料層114と洗浄液分配ストリップ108、124との間に設けられた隙間242、例えば空隙242によって、
図24において明らかである。
【0347】
一部の実施形態、例えば、
図25に示されるような実施形態では、多孔質材料168は、上記1つ以上のさらなる多孔質材料層156を含み、クリーナヘッド100は、1つ以上のさらなる多孔質材料層156を含む取り外し可能要素244を含む。取り外し可能要素244の取り外しにより、多孔質材料層114からの1つ以上のさらなる多孔質材料層156が分離される。
【0348】
一部の実施形態では、取り外し可能要素244は上記洗浄液塗布材料126、128を含む。このようにすることで、1つ以上のさらなる多孔質材料層156を、洗浄液塗布材料126、128を交換するときに同時に容易に交換することができる。例えば、洗浄液塗布材料126、128は、取り外し可能要素244内の1つ以上のさらなる多孔質材料層156に取り付けられる、例えば接着され得る。
【0349】
一部の実施形態、例えば、
図25に示されるような実施形態では、洗浄液塗布材料126、128は、上記第1および第2の塗布部分126、128を備え、第1の取り付け部246Aが、1つ以上のさらなる多孔質材料層156を第1の塗布部分126に接続し、第2の取り付け部246Bが、1つ以上のさらなる多孔質材料層156を第2の塗布部分128に接続する。これの別の例については、
図33Eを参照して以下に説明する。
【0350】
一部の実施形態では、クリーナヘッド100は、多孔質材料層114を支持するための支持体を備え、クリーナヘッド100は、多孔質材料層114を含む取り外し可能な(および/または取り付け可能な)部材248を備える。取り外し可能な部材248の取り外しにより、多孔質材料層114が支持体から分離される。
【0351】
このような取り外し可能な部材248は、多孔質材料層114に加えて、例えばポリマーフィルムを含むかまたはポリマーフィルムの形態である上記不浸透性部分146を備えてもよい。少なくとも1つの汚れ入口142Aは、不透過性部分146の1つ以上の開口部によって画定される。
【0352】
一部の非限定的な例、例えば、
図26に示されるような例では、取り外し可能(および/または取り付け可能)部材248は、上記液体輸送支持構造154をさらに備える。
【0353】
例えば、液体輸送支持構造154は、多孔質材料層114と不浸透性部分146との間の空洞150内に設けることができる。
【0354】
クリーナヘッド100が取り外し可能要素244と取り外し可能部材248の両方を備える場合、取り外し可能要素244は、例えば、取り外し可能部材248とは独立して取り外し可能であってもよく、取り外し可能部材248は、取り外し可能要素244とは独立して取り外し可能であってもよい。
【0355】
一部の実施形態、例えば、
図27に示されるような実施形態では、取り外し可能部材248はさらに、洗浄液塗布材料126、128を含む。例えば、取り外し可能部材248が不浸透性部分146を含む場合、洗浄液塗布材料126、128は、不浸透性部分146に取り付ける、例えば接着することができる。
【0356】
図27に示す非限定的な例では、洗浄液塗布材料126、128は、上記第1および第2の塗布部分126、128を備え、第1の接続部250Aが、不浸透性部分146の第1の側を第1の塗布部分126に接続し、第2の接続部250Bが、不浸透性部分146の第2の側を第2の塗布部分128に接続する。
【0357】
図28は、洗浄液塗布材料126、128を含まない取り外し可能部材248を備える例示的なクリーナヘッド100を概略的に示す。しかし、それでも洗浄液塗布材料126、128は取り外し可能であり、この例では第1および第2の塗布部分126、128のそれぞれが、互いに独立して、かつ取り外し可能部材248とは独立して、洗浄液出口104から取り外し可能である。
【0358】
より一般的には、本開示は、取り付け可能(かつ/または取り外し可能)部材248自体を提供する。取り付け可能部材248は、負圧生成器178を有する湿式洗浄装置に取り付けるのに適していてもよい。少なくとも一部の実施形態では、取り付け可能部材248は多孔質材料層114と、取り付け可能部材248が湿式洗浄装置に取り付けられるとき、負圧生成器178が流体連結可能である少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bとを含む。多孔質材料層114の液体回収領域PRは、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bの周りに多孔質材料層114を封止取り付けすることによって画定される。
【0359】
このような取り付け可能部材248は、多孔質材料層114を汚れ入口142A、142Bに再封止する必要なく、多孔質材料層114を交換することを可能にし得る。
【0360】
一部の実施形態では、取り付け可能部材248は不浸透性部分146を備え、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bは、不浸透性部分146内および/または不浸透性部分146と多孔質材料層114との間に設けられた1つ以上の開口部によって画定される。このような取り付け可能部材248は、不浸透性部分146を多孔質材料層114に再封止する必要なく、多孔質材料層114を交換することを可能にし得る。
【0361】
一部の実施形態では、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bは、多孔質材料層114と不浸透性部分146との間の空洞150に露出され、液体輸送支持構造154が空洞150内に配置され、多孔質材料層114と少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bとの間の液体回収領域PR内の1つ以上の流路を提供する。
【0362】
湿式洗浄装置、例えば湿式洗浄装置に含まれるクリーナヘッド100は、上記したように、洗浄液を送出可能な少なくとも1つの洗浄液出口104を備えることができる。取り付け可能部材248の少なくとも1つの汚れ入口が負圧生成器178に流体結合されるとき、液体回収領域PRは、洗浄対象の表面218に向かって送られる洗浄液が液体回収領域PRを迂回するように、少なくとも1つの洗浄液出口104のそれぞれに対して配置され得る。
【0363】
図29は、取り外し可能要素244を備える例示的なクリーナヘッド100を概略的に示し、この例では、取り外し可能な要素244は1つ以上のさらなる多孔質材料層156からなる。しかし、この非限定的な例では、第1および第2の塗布部分126、128のそれぞれが、互いに独立して、かつ取り外し可能部材244とは独立して、洗浄液出口104から取り外し可能である。
【0364】
図30は、多孔質材料、この場合は多孔質材料層114が洗浄液塗布生地126、128と接触する例示的なクリーナヘッド100を示す。上記したように、この構成は、洗浄液塗布材料126、128内に過剰な洗浄液が蓄えられるのを防ぐのを支援し得、したがって、例えば洗浄液塗布材料126、128から洗浄対象の表面218に洗浄液がしたたり落ちることにより、洗浄対象の表面218が過度に濡れることを最小限に抑えるのを支援し得る。
【0365】
この具体例では、多孔質材料層114の縁部分134が洗浄液塗布材料126、128の対向する縁部分136に当接することにより、洗浄液塗布材料126、128の濡れの度合の制御が強化され得る。
【0366】
より具体的には、この非限定的な例では、洗浄液塗布材料126、128が第1の塗布部分126および第2の塗布部分128を備え、図示されるように、洗浄液塗布材料126、128の対向する縁部分136は、第1の塗布部分126に含まれてもよい。また、多孔質材料層114のさらなる縁部分138は、第2の塗布部分128のさらなる対向する縁部分140に当接する。
【0367】
それでも、多孔質材料層114の液体回収領域PR(例えば、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bのそれぞれの周りに多孔質材料層114を封止取り付けすることによって画定される)は、洗浄液が液体回収領域PRを迂回できるように、
図30に示される例における各洗浄手段液出口104に対して配置される。この点において、この例における洗浄液出口104は、この例では、多孔質材料層114から空間的に分離された洗浄液分配ストリップ108、124の形態をとる分注部内に配置される。空間的分離は、多孔質材料層114と分注部108、124との間に設けられた隙間242、例えば空隙242によって反映される。
【0368】
繰り返しになるが、例えばマイクロファイバ生地の織りがより緻密であることに起因して、多孔質材料168が洗浄液塗布材料126、128よりも高密度であることにより、多孔質材料層114を含む多孔質材料168を洗浄液塗布材料126、128から区別することができる。
【0369】
一部の実施形態、例えば、
図31に示されるような実施形態では、クリーナヘッド100は、洗浄対象の表面218に面する部分120を備え、突出要素252が部分120に隣接して取り付けられる。したがって、突出要素252は、部分120に対して別個に取り付けられる要素である。突出要素252は、洗浄対象の表面218の方向にクリーナヘッド100から突出する。上記したように、このようにして、クリーナヘッド100を突出要素252で第1の方向に揺動させることで、部分120を洗浄対象の表面に接触させることができ、突出要素252で第1の方向とは反対の第2の方向に揺動させることで、部分120を洗浄対象の表面218から分離させることができる。
【0370】
一部の実施形態、例えば、
図31に示されるような実施形態では、クリーナヘッド100は、支持部材236、例えば剛性支持部材236を備え、突出要素252は、支持部材236への取り付けを介して取り付けられる。
【0371】
なお、クリーナヘッド100は、クリーナヘッド100の移動を補助するために、適切なハンドル(不図示)に取り付けられるか、または取り付け可能であってもよい。この目的のために、クリーナヘッド100は、そのようなハンドルが結合され得る、例えば枢動可能に結合され得る結合点254を備え得る。
【0372】
図31を参照して、力F
moveを加えることによる洗浄対象の表面218上でのクリーナヘッド100の移動には、抵抗がないわけではない可能性がある。クリーナヘッド100の重量F
gravity、および/またはクリーナヘッド100を洗浄対象の表面218に向かって押すユーザによって、洗浄対象の表面218に垂直な力F
nが生じ得る。
【0373】
クリーナヘッド100は濡れていてもよく、したがって、粘性摩擦レジームおよび乾燥レジームで動作してもよい。前者は粘性摩擦力F
vをもたらし、後者は、垂直抗力F
nおよび摩擦係数fによって支配されるクーロン摩擦F
cをもたらす。結果として生じる抵抗力F
rは次の式で近似される。
【数7】
ここで、力F
r、F
v、F
c、およびF
nの単位はニュートンであり、μは動粘度(Pa・s)であり、Aは接触面積(m
2)であり、uは速度(m/s)であり、yは液体層の厚さ(m)である。
【0374】
上記式は、接触面積Aの増加、および厚さyがゼロに近づく傾向にある液体層の両方が、粘性摩擦項を増加させ、結果として生じる抵抗力Frが増加し得ることを示している。
【0375】
さらに、平坦でない洗浄対象の表面218上で液体を効果的に回収するために必要な比較的大きな接触面積Aは、特に比較的平坦な/滑らかな洗浄対象の表面218上では、比較的高い抵抗力Frをもたらす可能性があることに留意されたい。
【0376】
よって、少なくとも一部の実施形態では、突出要素252は多孔質材料168を含む。したがって、多孔質材料168と洗浄対象の表面218との間の接触面積Aが限定されることにより、洗浄対象の表面を横切るクリーナヘッド100の動きに対する抵抗が減少する可能性がある。
【0377】
多孔質材料168の多孔質材料層114は、突出要素252に含まれてもよい。
【0378】
一部の実施形態では、多孔質材料層114の液体回収領域PRは突出要素252に含まれ、突出要素252と部分120との間で終端する。このようにすることで、吸引がかけられる多孔質材料層114の領域が突出要素252に限定され、それによって動きに対する抵抗を軽減するのに役立つ。
【0379】
代わりにまたは追加で、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bが突出要素252内に画定され得る。したがって、吸引はクリーナヘッド100の一部、言い換えれば、突出要素252にかけられ得る。突出要素の洗浄対象の表面218との接触は、例えばその揺動機能により、低減され得る。
【0380】
クリーナヘッド100が部分120と、洗浄対象の表面218に面するさらなる部分122とを備える実施形態では、突出要素252は、部分120とさらなる部分122との間に取り付けられ得る。このようにすることで、
図31に示されるように、クリーナヘッド100を突出要素で前方に揺動させることで部分120を洗浄対象の表面218に接触させ、後方に揺動させることでさらなる部分を洗浄対象の表面218に接触させることができる。
【0381】
このような実施形態では、多孔質材料層114の液体回収領域PRは、部分120とさらなる部分122との間に延在し、突出要素252と部分120との間、および突出要素252とさらなる部分122との間で終端し得る。
【0382】
図31に示す非限定的な例では、多孔質材料168および洗浄液塗布材料126、128の隣接かつ対向する縁部分134、136は、突出要素252と部分120との間に配置される。このようにして、例えばクリーナヘッド100が揺動することによって、突出要素252と洗浄液塗布材料126、128との間で洗浄液塗布材料126、128から絞り出された余剰な洗浄液を、多孔質材料168を介して汚れ入口142A、142Bに効率的に運ぶことができる。
【0383】
特に、
図31に示される部分120は第1の塗布部分126を含み、さらなる部分122は第2の塗布部分128を含む。また、多孔質材料168および第1の塗布部分126の隣接かつ対向する縁部分134、136は、この例では突出要素252と部分120との間に配置され、多孔質材料168および第2の塗布部分128の隣接かつ対向するさらなる縁部分138、140は、突出要素252とさらなる部分122との間に配置される。したがって、例えばクリーナヘッド100が前後に揺動することによって、それぞれ、突出要素と第1の塗布部分126との間、および突出要素と第2の塗布部分128との間で洗浄液塗布材料126、128から絞り出された余分な洗浄液を、多孔質材料168を介して汚れ入口142A、142Bに効率的に運ぶことができる。
【0384】
一部の実施形態、例えば、
図31に示されるような実施形態では、突出要素252は洗浄対象の表面218に接触するように構成された曲面を有する。
【0385】
突出要素252のこのような湾曲した、例えば丸みを帯びた表面は、突出要素252と洗浄対象の表面218との接触面積を最小限に抑えるのにさらに役立ち得、それによって、クリーナヘッド100の洗浄対象の表面218上での動きに対する抵抗を最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0386】
突出要素252の曲面は、例えば、
図31に示すように、部分120とさらなる部分122との間で湾曲していてもよい。
【0387】
一部の実施形態では、突出要素252は、多孔質材料168がその上に配置される上記エラストマー材料238を備える。エラストマー材料238は、例えば、シリコーンゴムであるか、シリコーンゴムを含むことができ、かつ/または50ショアA未満、好ましくは20ショアA未満、最も好ましくは10ショアA未満の硬度を有し得る。
【0388】
図31を参照して、エラストマー材料238は、支持部材236、例えば剛性支持部材236と多孔質材料168との間に配置され得る。
【0389】
このようなエラストマー材料238の弾性変形は、例えば、多孔質材料168と接触する洗浄対象の表面218上に比較的硬い突起物が存在する場合に、多孔質材料168が損傷するリスクを軽減することができる。代わりにまたは追加で、エラストマー材料238は、多孔質材料168が洗浄対象の表面218の任意の輪郭に追従するのを支援することができる。
【0390】
代わりにまたは追加で、突出要素252は部分120に隣接して弾性的に取り付けられてもよい。例えば、突出要素252は、支持部材236にバネを用いて取り付けられてもよい。これは、多孔質材料168が洗浄対象の表面218の輪郭に追従するのを助け、それによって液体の回収を容易にすることができる。
【0391】
エラストマー材料238が突出要素252に含まれる実施形態では、(例えば、部分120と更なる部分122との間で弧を描く)エラストマー材料238の曲面の曲率に多孔質材料168が追従し、突出要素252の曲面を提供し得る。
【0392】
図31では図示されていないが、突出要素252は、多孔質材料層114の上および汚れ入口142A、142Bの周りに封止されたポリマーフィルムを含むか、またはそのようなポリマーフィルムの形態をとる不浸透性部分146をさらに備え得る。このような例では、クリーナヘッド100の使用中に多孔質材料168の背後に存在する負圧は、エラストマー材料238内に存在せず、多孔質材料層114と不浸透性部分146との間の密閉された空洞150内に含まれ得る。これは、エラストマー材料238が負圧によって実質的に影響を受けないようにするのに役立ち得、特にエラストマー材料238自体が多孔質であり、したがって、上記の通りでなければ負圧によって圧縮されやすい例において役立ち得る。
【0393】
他の非限定的な例では、エラストマー材料238はそれ自体非多孔質であるので、例えば
図18に関連して上述したように、多孔質材料168の多孔質材料層114上に封止された不浸透性部分146にエラストマー材料238を含めることができる。
【0394】
図31に示す非限定的な例では、上記液体輸送支持構造154も、多孔質材料168、特に多孔質材料層114と不浸透性部分146との間に設けられる。液体輸送支持構造154は、例えば、エラストマー材料238の表面(例えば、曲面)上および/または表面内の1つ以上のメッシュ層および/または表面パターンによって画定されるか、またはそれらを含み得る。
【0395】
より一般的には、突出要素252は、例えば多孔質材料層114と少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bとの間に配置された液体輸送支持構造154を備えることができる。
【0396】
多孔質材料168は、任意の適切な方法でエラストマー材料238上、例えばエラストマー材料238の曲面上に配置され得る。
【0397】
図32Aおよび
図32Bは、液体回収領域PRを画定するために、汚れ入口142A、142Bの周囲に多孔質材料層114を封止して取り付ける例を概略的に示す。また、
図32Aおよび
図32Bには、この例ではポリマーフィルムの形態である不浸透性部分146と、この例では1つのメッシュまたは複数の積層されたメッシュ層の形態である液体輸送支持構造154が示されている。この例の多孔質材料168は、多孔質材料層114およびさらなる多孔質材料層156、158を含むか、またはそれらによって画定される。したがって、積層体が、さらなる多孔質材料層156、158と、多孔質材料層114と、液体輸送支持構造154と、不浸透性部分146とを備える。管144A、144Bは、不浸透性部分146と多孔質材料層114との間に部分的に閉じ込められた汚れ入口142A、142Bを提供する。
【0398】
図32Aおよび
図32Bに示す非限定的な例では、不浸透性部分146、多孔質材料層114、およびさらなる多孔質材料層156、158は、液体輸送支持層154を越えて管144A、144Bの方向に延びる。シール152(この例ではヒートシール)も、液体輸送支持層154を越えて管144A、144Bの方向に延びる。
【0399】
シール152、すなわち気密シールは、多孔質材料層114と、管144A、144Bが通される不浸透性部分146との間の領域に粘土を導入することによって、多孔質材料層114と不透過部分146との間に設けられる。この例では、次いで、テープ片を多孔質材料層114、不浸透性部分146、管144A、144B、および粘土の周りに巻き付けることで粘土が包み込まれ、粘土が別の物体に付着するのを防止する。
【0400】
この積層体は、例えばエラストマー材料238の曲面上に配置するのに十分な柔軟性を有し得る。さらに、積層体は、例えば、積層体をクリーナヘッド100内に固定するために1つ以上の適切な固定具256A~Dが有し得、この例dはベルクロ(登録商標)片の形態の固定具を有し得る。
【0401】
図33Aおよび
図33Bに示す非限定的な例を参照すると、
図32Aおよび
図32Bに関連して上述したものと同様の積層体が多孔質材料層114を含み、第1のさらなる多孔質材料層156がエラストマー材料238の曲面258上に配置され、固定具256A~D(例えば、ベルクロ(登録商標))を介して支持部材236に固定される。したがって、この例の突出要素252は、エラストマー材料238および多孔質材料層114、156を含む。
【0402】
この例では、多孔質材料層114、156がエラストマー材料238の曲面258の曲率に追従するため、突出要素252自体は、洗浄される表面218と接触するように構成された曲面を含む。
【0403】
図33Aおよび
図33Bに示す非限定的な例では、突出要素252は、エラストマー材料238がクリーナヘッド100の支持部材236に取り付けられることによって、部分120に隣接して(特に、この例では部分120とさらなる部分122との間で)取り付けられる。この非限定的な例では、この取り付けは、支持部材236内に画定されたスロット262内に入って係合する突起260を備えるエラストマー材料238によって少なくとも部分的に達成される。突起260は、例えば、スロット262内への押し込み式であってもよい。
【0404】
図33Aは、洗浄液塗布材料126、128の少なくとも一部が多孔質材料と接触できるように、洗浄液塗布材料126、128が変形することを示す。このようにして、洗浄液の一部を、特に制御された方法で、洗浄液塗布材料126、128から多孔質材料に移送できる。
【0405】
図33Aに示す非限定的な例では、洗浄液塗布材料126、128は、繊維から形成されたタフトと、タフトを支持する裏打ち層(不図示)とを含む。図示されるように、このようなタフトは、例えば洗浄される表面と接触したとき、および/または液体、例えば水で濡れたとき、多孔質材料と接触するように変形可能であってもよい。
【0406】
一部の実施形態では、湿式洗浄装置は、クリーナヘッド100と、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bに流体結合された負圧生成器178(
図33Aおよび
図33Bでは不図示)とを備える。この流体結合は管144A、144Bを介して確立でき、この特定の非限定的な例では、分岐点266で負圧生成器につながる単一の管まで延びている。
【0407】
負圧生成器178は、例えば、容積式ポンプなどのポンプであるか、またはポンプを備え得る(これの技術的利点について、以下でより詳細に説明する)。ポンプが、湿式洗浄装置用ために選択された動作圧力、例えば約5000Paに耐えることができる限り、任意の適切なポンプを使用することができる(上記表1参照)。
【0408】
一部の実施形態では、負圧生成器178は、15~2000cm3/分、好ましくは40~2000cm3/分、より好ましくは80~750cm3/分、最も好ましくは100~300cm3/分の範囲内の流れを提供することによって吸引を供給するように構成される。
【0409】
このような流れ、すなわち流量は、多孔質材料168の負圧維持能力を利用する可能性があり、エネルギー消費を制限しながら十分な液体の回収を保証する可能性がある。
【0410】
湿式洗浄装置はまた、汚れた液体収集タンク(
図33Aおよび
図33Bでは不図示)を含んでもよい。このような実施形態では、負圧生成器は、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bから汚れ液体収集タンクに液体を引き込むように構成され得る。
【0411】
このような実施形態では、汚れた液体収集タンクは、例えば負圧生成器178の上流または下流に対して任意の適切な形で配置することができる。
【0412】
一部の実施形態では、クリーナヘッド100を含む湿式洗浄装置は、少なくとも1つの洗浄液出口104によって洗浄対象の表面に向けて送出するために洗浄液をクリーナヘッド100に供給するための洗浄液供給源(
図33Aおよび33Bでは不図示)を含む。このような洗浄液供給源は、例えば、洗浄液リザーバと、洗浄液を少なくとも1つの洗浄液出口104まで、および洗浄液出口104を通過して輸送するための送出構成(例えば、ポンプを含む送出構成)とを備え得る。
【0413】
洗浄液供給源および少なくとも1つの洗浄液出口104は、洗浄対象の表面218に向かって洗浄液を連続的に送るように構成され得る。
【0414】
洗浄液供給源および負圧生成器178は、例えば、少なくとも1つの洗浄液出口104を通って送出される洗浄液の流れが、負圧生成器178によって少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bに供給される流れよりも低くなるように構成され得る。これは、洗浄される表面218が洗浄液で過度に濡れないようにするのに役立つ可能性がある。例えば、洗浄液の流れは20~60cm3/分の範囲内であってもよく、負圧生成器178によって供給される流れは40~2000cm3/分の範囲内であってもよく、より好ましくは80~750cm3/分、最も好ましくは100~300cm3/分であり得る。
【0415】
負圧生成器178として容積式ポンプが、1または2リットル/分の流量で使用される場合、そのようなポンプは比較的大型でうるさくなる可能性があるため、より低い流量が、湿式洗浄装置を比較的小型、静か、かつ軽量に保つのに役立つ可能性がある。
【0416】
原理的には、洗浄液供給源によって供給される洗浄液の流量と等しい負圧生成器178の流量で十分である可能性がある。
【0417】
しかしこれは、例えば、(例えば新たに取り付けられた)多孔質材料168が水の流出に遭遇した場合、システムの平衡(必要な負圧)に比較的重大な乱れを引き起こすおそれがある。例えば、40cm3/分の洗浄液流量および50cm3/分の負圧生成器178によって提供される流量を有する湿式洗浄装置が50cm3の水たまりと遭遇した場合、全ての水を吸い込むのに約5分かかる(その結果、負圧は5分間低下し、よって、(水たまりが広がり続けるため)床が著しく濡れた状態が5分間続く)。一方、負圧生成器178によって提供される250cm3/分の流量は、これを14秒の期間に短縮することができる。負圧生成器178によって供給される流量が、洗浄液供給源によって供給される洗浄液の流量よりも大きいため、システムは、そのような乱の後により迅速に平衡に戻ることができる。
【0418】
図33Aおよび
図33Bに示す非限定的な例では、洗浄液は、例えば上記洗浄液リザーバから、第1の管270Aを介して洗浄液分配ストリップ108の洗浄液出口104と、第2の管270Bを介してさらなる洗浄液分配ストリップ124の洗浄液出口104とに洗浄液を供給するために分岐する管268を介して送られる。
【0419】
湿式洗浄装置がクリーナヘッド100、負圧生成器、および洗浄液供給源を備える実施形態では、負圧生成器は、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bへの吸引を、洗浄液供給源が少なくとも1つの洗浄液出口104に、およびそれを通して洗浄液を供給するのと一緒に、言い換えれば同時に提供するように構成され得る。
【0420】
図33Aよび
図33Bに示される例示的なクリーナヘッド100では、洗浄液分配ストリップ108、124は、結合部材272A、272Bによって互いに結合され、かつ支持部材236に結合される。
【0421】
一部の実施形態では、湿式洗浄装置は、クリーナヘッド100に結合されたか、または取り付け可能であるハンドル(
図33Aおよび
図33Bでは不図示)を含む。このようなハンドルは、クリーナヘッド100の移動を容易にすることができる。
【0422】
図33Aおよび
図33Bに示す非限定的な例では、このようなハンドルが結合される結合点254は、結合が設けられる高さを調整するための垂直に延びるスロットを備える。この例では、そのような結合点254は、一対のマウント274A、274Bのそれぞれに設けられ、一対のマウントの間には、ハンドル係合部材276が枢動可能に取り付けられる。ハンドル係合部材276は、ハンドルの端部と係合する、例えば、ハンドルの端部を受け入れ得る。
【0423】
一部の実施形態では、ハンドルは、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bおよび/または汚れた液体収集タンクに流体結合された負圧生成器178の少なくとも一部を支持するか、または含み得る。代わりにまたは追加で、洗浄液供給源の少なくとも一部、例えば洗浄液リザーバおよび/または送出構成は、ハンドルによって支持されるか、またはハンドルに含まれてもよい。
【0424】
一部の実施形態、例えば、
図33Cおよび
図33Dに示されるような実施形態では、上記取り付け可能部材248(多孔質材料層114の液体回収領域PRが、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bの周りに多孔質材料層114を封止して取り付けることによって画定される)は突出要素252を形成する(または画定する)。
【0425】
図33Cに示す非限定的な例では、突出要素252は、多孔質材料層114がその上に配置されるエラストマー材料238を備える。この具体例では、多孔質材料層114は、シール152、例えばヒートシールを介して支持部材236に密閉して取り付けられる。
【0426】
このようにして、多孔質材料層114は汚れ入口142Aに密封して取り付けられ、この例では汚れ入口142Aは、支持部材236およびエラストマー材料238によって画定される、すなわち境界が定められる。この具体例では、汚れ入口142A、142Bは、支持部材236およびエラストマー材料238を通って延びるチャネルの形態である。
【0427】
より一般的には、多孔質材料層114が密封して取り付けられる支持部材236は、取り付け可能部材248に含まれてもよい。このような例では、支持部材236は、クリーナヘッド100(の残りの部分)に含まれる支持体に取り付け可能であり得る。
【0428】
取り付け可能部材248は任意の適切な方法で支持体に取り付けることができ、例えば、取り付け可能部材248(例えば、支持部材236)が支持体内に画定されたスロットに押し込まれる隆起部材を有することによって、または支持体が、取り付け可能部材248(例えば、支持部材236)内に画定されたスロットに押し込まれる隆起部材を有することによって取り付けられてもよい。
【0429】
図33Cに示される例では、さらなる多孔質材料層156も突出要素252に含まれる。なお、例えば超音波溶接を介して多孔質材料層114をプラスチック支持部材236にヒートシールするプロセスによっても、さらなる多孔質材料層156が多孔質材料層114に接着されることになる。
【0430】
図33Cおよび
図33Dに示される例の相違点は、
図33Cに示す液体輸送支持構造154が、エラストマー材料238の表面上および/または表面内に配置された表面パターンによって画定される一方、
図33Dに示される液体輸送支持構造154はメッシュ層の形態である点である。
【0431】
図33Eは、さらなる多孔質材料層158A、158Bおよび洗浄液塗布材料126、128を含む例示的な取り外し可能要素244を示す。この例は、
図26に示される取り外し可能要素244とある程度の類似性を有するが、洗浄液塗布材料126、128がさらなる多孔質材料層158A、158B上に取り付けられる点で異なる。
【0432】
なお、さらなる多孔質材料層158A、158Bは、例えば超音波溶接などのヒートシールを介して、互いに接着され得る。
【0433】
さらに、
図33Eには、洗浄液塗布材料126、128に含まれる裏打ち層BLおよびタフトTUが示されている。上記したように、裏打ち層BLはタフトTUを支持する。
【0434】
図33Fは、
図33Cおよび
図33Dに示される突出要素252/取り付け可能部材248と、
図33Eに示される着脱可能要素244とを備えたクリーナヘッド100の斜視図を提供する。したがって、この場合、多孔質材料168は、突出要素252/取り付け可能部材248に含まれる多孔質材料層114およびさらなる多孔質材料層156と、取り外し可能要素244に含まれるさらなる多孔質材料層158A、158Bとを含む。
【0435】
取外し可能要素244は任意の適切な方法でクリーナヘッド100の残りの部分に取外し可能に結合され得、例えば、取外し可能要素244が、取外し可能要素244の長手方向の一方の側に沿って配置されたシューのセットと、長さ方向の反対側の上に配置されたベルクロ(登録商標)ストリップとを備えることによって結合され得る。このような例では、シューのセットはそれぞれ、クリーナヘッド100の残りの部分の長さ方向の一方の側に設けられた足を受け入れて係合し、ベルクロ(登録商標)ストリップは、クリーナヘッド100の残りの部分の長さ方向の反対側に配置された相補的なベルクロ(登録商標)ストリップに結合され得る。この足のセットとシューのセットの配置は、幅方向と長さ方向の両方向において、クリーナヘッド100の残りの部分に対する取り外し可能要素244の望ましくない動きを最小限に抑えるのに役立つ可能性がある。
【0436】
さらに、33Fには取り外し可能要素244のラベルLAが示されている。このラベルは、クリーナヘッド100の残りの部分から取り外し可能要素244を取り外して洗浄するための取り付け/取り外しおよび/または洗浄の指示を提供することができる。
【0437】
より一般的には、本開示の一態様に係る湿式洗浄装置は、負圧生成器装置と、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bを有するクリーナヘッド100と、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bに密封して取り付けられた多孔質材料層114を含む多孔質材料168とを備える。
【0438】
クリーナヘッド100は、例えば、本明細書に記載される実施形態のいずれかに係るものとすることができる。
【0439】
負圧生成器装置は、負圧生成器出口を有する負圧生成器178を備え、負圧生成器178は、少なくとも1つの汚れ入口242A、242Bから負圧生成器出口へ、およびその中を通る流れを提供するために作動可能であり、また流れを停止するために停止可能である。
【0440】
少なくとも一部の実施形態では、負圧生成器装置は、少なくとも負圧生成器が停止されているとき、負圧生成器出口から少なくとも1つの汚れ入口242A、242Bに向かう流体の通過を制限するように構成される。
【0441】
負圧生成器178によって提供される流れは、少なくとも1つの汚れ入口142A、142B内に負圧を生成することができる。多孔質材料168、特に濡れた多孔質材料168は、負圧を維持するのに役立ち得、液体は、上記したように、多孔質材料168を通って汚れ入口に引き込まれ得る。
【0442】
図34は、多孔質材料168を通して液体190を引き込む前(左側)、引き抜き中(中央)、及び後(右側)の例示的な湿式洗浄装置278を概略的に示す。
図34の左側の図は、例えば洗浄サイクルの開始時における、完全に乾燥したシステムを示しているとみなすことができる。
図34の中央の図は、湿式洗浄装置278が作動中であることを示しており、その間、多孔質材料168と接触している液体190、例えば水が、そこを通って汚れ入口142Aの方向に輸送される。したがって、洗浄対象の表面218は乾燥しているか、または少なくともより乾燥している可能性があるが、液体190の全てがクリーナヘッド100から、例えば汚れた液体収集タンク(
図34では不図示)に移送されるわけではない可能性がある。この非限定的な例では、図示のように、液体190の一部が液体輸送支持構造154の流路内に残る可能性がある。動作中、この液体190は、洗浄対象の表面218上に液体190が存在しない場合でも、多孔質材料168を濡れた状態に保つのに役立つため、有益である可能性がある。上記したように、多孔質材料168の細孔192内の残留液体190は、負圧を維持するのに役立つ。汚れ入口142A内の負圧が維持されている間、
図34の中央に示すように、液体190は多孔質材料168の汚れ入口側に残る。
【0443】
しかし、負圧生成器178が、例えば湿式洗浄装置278の使用後にスイッチオフされることによって停止されると、負圧生成器出口を介して進入する流体、例えば周囲空気が負圧の損失に寄与する可能性がある。これにより、
図34の右側に示すように、液体190が多孔質材料168から放出され、例えば滴下する可能性がある。
【0444】
洗浄対象の表面の洗浄後、例えばモップ掛けの後、負圧生成器178の停止時に液体190が多孔質材料168を通って放出され、例えば洗浄対象の(または洗浄された)表面218に戻ること、および/または、湿式洗浄装置278をその保管場所に輸送している間に放出されることは望ましくない可能性がある。
【0445】
このため、負圧生成器装置は、少なくとも負圧生成器178が停止しているとき、例えば負圧生成器178のスイッチがオフになっているとき、負圧生成器出口から汚れ入口に向かう流体、例えば周囲空気の通過を制限する、例えば遮断するように構成され得る。これにより、例えば洗浄対象の表面218の洗浄後および/または使用後の湿式洗浄装置の保管領域への保管中に、多孔質材料168からの好ましくない液体の放出を軽減することができる。
【0446】
図35は、そのような負圧生成器装置280を備える例示的な湿式洗浄装置278を概略的に示す。
図35の左側では、この例ではポンプである負圧生成器178が作動する。これを「ポンプオン」と称す。
図35の右側では、負圧生成器178は、「ポンプオフ」で示されるように停止される。
図34に関連して上述した液体漏れとは対照的に、
図35において十字282によって示されるように、負圧生成器出口から汚れ入口142Aに向かう流体の通路は制限され、例えば遮断される。このようにして、負圧生成器178の停止後に負圧をより良好に維持することができ、それによって多孔質材料168からの好ましくない液体の放出が軽減される。
【0447】
少なくとも負圧生成器が停止されているとき、負圧生成器出口から汚れ入口142Aに向かう流体の通路を制限するように負圧生成器装置280を構成する任意の適切な方法が企図される。
【0448】
一部の実施形態では、負圧生成器178自体が、負圧生成器178が停止されているときに負圧生成器出口から汚れ入口142Aの方向への流体、例えば空気の逆流を制限するように構成されている。
【0449】
一部の実施形態、例えば、
図36に示されるような実施形態では、負圧生成器178は容積式ポンプであるか、または容積式ポンプを含む。このような容積式ポンプの設計は、負圧生成器出口、言い換えればポンプ出口からの汚れ入口142Aの方向への流体、例えば空気の逆流が本質的に制限されることを意味する。
【0450】
このような容積式ポンプとしては、蠕動ポンプ、膜ポンプ、およびピストンポンプ等が挙げられる。したがって、負圧生成器178は、蠕動ポンプ、膜ポンプ、およびピストンポンプのうちの1つ以上を備えるか、またはそれらからなり得る。
【0451】
図36を参照して、図示の蠕動ポンプは、ポンプ/負圧生成器入口286とポンプ/負圧生成器出口288との間に、蠕動ポンプが停止されると少なくとも1つの位置に圧縮される圧縮性ホース284を備えることができる。したがって、蠕動ポンプが停止されると、ポンプ出口から汚れ入口142Aに向かう流体、例えば空気の逆流が制限され、例えば遮断され得る。したがって、蠕動ポンプの選択は、汚れ入口における負圧の損失を最小限に抑えることを可能にし、それによって、多孔質材料168を介するクリーナヘッド100の外側への望ましくない液体の放出を最小限に抑えることができる。
【0452】
蠕動ポンプは、例えば、少なくとも1つの加圧シュー292を備える回転可能な加圧シューアセンブリ290を含んでもよい。加圧シューアセンブリ290の回転と、それに伴う、少なくとも1つの加圧シュー292による圧縮性ホース284の圧縮によって、流れが提供される。
【0453】
上記膜ポンプおよびピストンポンプは、ポンプの休止状態、すなわちポンプが停止しているときに、ポンプ出口288から汚れ入口142Aの方向への逆流を制限する同様のタイプの構造を使用する。
【0454】
一部の実施形態では、例えば負圧生成器178を構成する上記容積式ポンプの代わりに、またはそれに加えて、負圧生成器装置280は、例えば
図35の十字282で表されるバルブアセンブリを備える。バルブアセンブリは、負圧生成器出口288から少なくとも1つの汚れ入口142Aに向かう流体の通過を制限するように構成されている。
【0455】
図35に示す非限定的な例では、バルブアセンブリは、負圧生成器入口286と少なくとも1つの汚れ入口142Aとの間の流体の通過を制限するように構成されている。
【0456】
代わりにまたは追加で、流体の通過は、例えば、負圧生成器178に含まれる、または負圧生成器178を画定する容積式ポンプに関連して上述したように、負圧生成器出口288と負圧生成器入口186との間で制限されてもよい。
【0457】
バルブアセンブリは任意の適切な設計を有することができる。一部の実施形態では、バルブアセンブリは、負圧生成器178が停止されることに応答して、空気の通過を制限するように構成される。これは、負圧生成器178が停止されることによってシステムを閉じるように(負圧生成器出口288から汚れ入口142Aに向かう流体の通過を制限することによって)作動する「アクティブ」バルブとみなすことができる。
【0458】
一部の実施形態では、バルブアセンブリは、流体が少なくとも1つの汚れ入口142Aの方向に輸送されるのを防ぐように構成された一方向弁を備える。一方向弁は「パッシブ」バルブとみなすことができる。このような一方向弁は、負圧生成器178の停止時および停止後、流体、例えば空気および/または液体が多孔質材料168から離れる方向に流れることを可能にするが、流体、例えば空気および/または液体が汚れ入口142Aに向かって戻るのを防ぐように構成され得る。ボールチェックバルブなど、任意の適切な一方向弁設計を企図することができる。
【0459】
非限定的な例では、例えばマイクロファイバ生地製の追加の多孔質材料部分が、多孔質材料層114と負圧生成器出口288との間に配置される。追加の多孔質材料部分は、(少なくとも)負圧生成器178が停止されるとき、流体、例えば空気および/または液体が多孔質材料層114から離れる流れを許容できるが、流体、例えば空気および/または液体が多孔質材料層114に向かって戻るのを制限することができる。
【0460】
より一般的には、負圧生成器178は、(作動された)負圧生成器178によって流れが提供されているとき、流れが40~2000cm3/分、より好ましくは80~750cm3/分、最も好ましくは100~300cm3/分の範囲内であるように構成され得る。
【0461】
このような流れ、すなわち流量は、多孔質材料168の負圧維持能力を利用する可能性があり、エネルギー消費を制限しながら十分な液体の回収を保証する可能性がある。
【0462】
繰り返しになるが、湿式洗浄装置278は、汚れた液体を収集するための汚れた液体収集タンク(
図35および
図36では不図示)を含んでもよい。負圧生成器装置280は、負圧生成器出口288への、および負圧生成器出口288を通る流れによって少なくとも1つの汚れ入口142Aから汚れた液体収集タンクに汚れた液体が引き込まれるように構成されている。このような実施形態では、上記バルブアセンブリは、例えば汚れた液体収集タンクの上流または下流に対して任意の適切な形で配置することができる。
【0463】
一部の実施形態では、汚れ入口142Aと負圧生成器出口288との間に密閉された流路が画定される。
【0464】
これは負圧を維持するのに役立つ。
【0465】
他の実施形態では、流体、例えば空気の進入は、負圧生成器出口288および多孔質材料168の細孔192以外の湿式洗浄装置278の1つ以上の領域を介してであり得る。
【0466】
しかし、そのような実施形態では、負圧生成器装置280の構成は、それでもなお、負圧生成器出口288から汚れ入口142Aの方向への流体の通過を(少なくとも)制限することによって、負圧を維持するのを支援することができる。
【0467】
一部の実施形態では、負圧生成器装置280は、1つ以上の領域と汚れ入口142Aとの間に配置されたバルブアセンブリ282、例えば上記バルブアセンブリ282を備え、それによって1つ以上の領域から汚れ入口142Aへの逆流を制限する。このような実施形態では、バルブアセンブリ142Aは、例えば、負圧生成器出口288から汚れ入口142Aの方向への流体の通過を制限することに加えて、1つ以上の領域からの逆流を制限することができる。
【0468】
より一般的には、本開示の別の態様に係る湿式洗浄装置は、負圧生成器装置280と、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bを有するクリーナヘッド100と、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bを覆う多孔質材料168とを備える。一部の実施形態では、多孔質材料168は、少なくとも1つの汚れ入口142A、142Bに密閉して取り付けられた多孔質材料層114を含む。クリーナヘッド100は、例えば、本明細書に記載される実施形態のいずれかに係るものとすることができる。この態様では、負圧生成器装置280は、多孔質材料168を介して少なくとも1つの汚れ入口に流体を引き込むための湿式洗浄装置内の流れを提供するように構成された負圧発生装置178を備える。負圧発生装置280は、多孔質材料168と負圧生成器178との間の湿式洗浄装置の内部、例えば少なくとも1つの覆われた汚れ入口142A、142B内の圧力に基づいて流れを制御するように構成される。
【0469】
負圧生成器装置280が、多孔質材料168と負圧生成器178との間の湿式洗浄装置の内部の圧力に基づいて流れを制御することによって、多孔質材料168を通る流体輸送を有利に制御することができる。一部の非限定的な例では、そのような制御は、多孔質材料168内およびその下流での泡の蓄積を最小限に抑えることができる。
【0470】
一部の実施形態では、負圧生成器装置280は、圧力が所定の圧力閾値以上に維持されるように流れを制御するように構成される。
【0471】
圧力を所定の閾値以上(言い換えれば、負圧閾値以下)に維持するように流量を制御することにより、湿式洗浄装置278の安定かつ効率的な動作が促進され得る。特に、圧力を所定の閾値以上に維持するとは、例えば間欠的に停止/スイッチオフすることで、多孔質材料168の覆われた汚れ入口142A、142B内の負圧を維持するのを補助する上記能力を利用することによって、負圧生成器178をより効率的に動作させることができることを意味し得る。
【0472】
上記したように、流れの制御は、洗浄対象の表面の濡れの程度を制御することにも役立つ。
【0473】
図37Aは、液体190、例えば水で満たされている多孔質材料層168の細孔192、例えば微小孔192を概略的に示す。このように保持された液体190は、上記したように、負圧生成器178によって流れが加えられるかどうかにかかわらず、汚れ入口142A内の負圧を維持するのを補助し得る。
【0474】
同様に上記したように、多孔質材料168の各細孔192は、細孔192内に存在する(残留)液体190の表面張力が内部負圧にもはや耐えられなくなり、破壊される特定の破壊圧力を有することができる。これが起こると、細孔192は、その中に含まれる液体によってもはや実質的に閉鎖されなくなり、空気が汚れ入口142A内に輸送され始める可能性がある。
【0475】
負圧生成器178として使用される典型的なポンプは、例えば、フロー駆動ポンプまたはピストンポンプなどの容積式ポンプであってもよく、多孔質材料168が遮断されると、その最大動作圧力、例えば20000Paに向かって移動し得る。後者は、多孔質材料168の平均破壊圧力、例えば約5000Paよりも高くてもよく、その結果、多孔質材料168は、ある時点で空気を通過させるようになり始める可能性がある。
【0476】
例えば、液体190として純水を使用した動作は、わずかな問題しか引き起こさないか、全く問題を引き起こさない可能性がある。しかし、洗浄液190に発泡洗剤が含まれる場合には問題が生じる可能性がある。
図37Bを参照して、破壊された細孔294は、負圧生成器178、例えばポンプの速度で空気を輸送し始める可能性があり、これにより、比較的大量の泡296が生成されるおそれがあり、例えば、比較的急速に汚れた液体収集タンク(
図37Bでは不図示)をあふれさせる可能性がある。
【0477】
非限定的な具体例では、上記洗浄液供給源のポンプ(
図37Bでは不図示)は、40cm
3/分の洗浄液の流れを供給する。これにより、回収可能な洗浄液、例えば水はわずか40cm
3になる可能性がある。この例では負圧生成器178、例えばポンプは、約150cm
3/分の流れを送出する。この組み合わせにより、少なくとも(150cm
3/分-40cm
3/分=)110cm
3/分の泡が生成される可能性がある。例えば、400cm
3の容量の汚れた液体収集タンクを湿式洗浄装置278が含む場合、これは約4分(または40cm
3/分の回収速度では10分)で容量に達し得る。
【0478】
これは、是正措置が講じられない場合、特に洗浄液に水性洗剤が含まれている場合、急速な泡の蓄積が湿式洗浄装置278の使用を乱す可能性があることを示している。このような乱れは、汚れた液体収集タンクを空にするための洗浄の頻繁な中断を含み得る。
【0479】
したがって、上記所定の圧力閾値は、例えば、多孔質材料168の細孔192の少なくとも一部、例えば大部分または全ての細孔の破壊圧力に達することを回避するように設定され得る。これにより、洗剤使用時の泡に関連した動作上の問題を回避できる。
【0480】
圧力閾値は、(上記試験装置166および試験手順を使用して測定された)多孔質材料168の破壊圧力に従って設定/予め決定され得る。したがって、所定の圧力閾値は、負圧、言い換えれば、多孔質材料と負圧生成器との間の湿式洗浄装置の内部と、クリーナヘッド100の外部、例えば大気圧との間の圧力差が、(例えば、最大で)2000Pa~13500Pa、好ましくは2000Pa~13500Pa、より好ましくは5000Pa~9000Pa、最も好ましくは7000Pa~9000Paの範囲内の値になるように制限するように設定され得る。
【0481】
調査から、上記したように、負圧が高くなるほど洗浄対象の表面が乾燥する可能性があることがわかった(上記の表1を参照)。これは、湿式洗浄装置278が多孔質材料168の破壊圧力で動作することが望ましいという結論をもたらす。
【0482】
上記調査により、5000Paの負圧下での動作によって、好ましい表面乾燥結果が得られることが示された。したがって、発泡を防止できる作業ウィンドウを定義することができる。表3は、例示的な湿式洗浄装置278の動作パラメータの非限定的な具体例を提供する。
【表9】
【0483】
上記のパラメータは、多孔質材料168が5000Paで好ましい表面乾燥能力を示すことができ、6500Paでのみ「破壊」し始める可能性があることを反映している可能性がある。
【0484】
したがって、多孔質材料168の背後の負圧が多孔質材料168の破壊圧力に達しないように圧力を調整すること、言い換えれば、上記圧力閾値を選択することによって、発泡を最小限に抑えるか防止することができる。
【0485】
図37Cは、特に湿式洗浄装置の始動時における湿式洗浄装置の動作ウィンドウをグラフで示している。
図37Cは、大気圧に対する圧力対時間を示す。
【0486】
多孔質材料168の破壊圧力BPは、(大気圧を基準として)負であるとみなすことができる。したがって、多孔質材料168と負圧生成器178との間の湿式洗浄装置内の圧力は、この負圧BPよりも高く維持され得る。一方、多孔質材料の破壊圧力が絶対圧力(真空0Paを基準として)である場合、依然として、多孔質材料168と負圧生成器178との間の湿式洗浄装置内の圧力は、そのような絶対圧力以上に維持され得、特に、圧力を所定の閾値PT以上に維持するように流量を制御することによって維持され得る。
【0487】
図37Cはまた、多孔質材料168の破壊圧力BPに近づくことなく湿式洗浄装置を動作させることができる、所定の閾値PT以上の「安全ゾーン」SZを示す。さらに、
図37Cは、多孔質材料168の破壊圧力BPに達することを回避する要件と、洗浄対象の表面からの十分な液体回収の達成とが組み合わされた、最適な動作ゾーンOZを示す。
【0488】
より一般的には、少なくとも1つの覆われた汚れ入口142A内の圧力に基づいて流れを制御することは、任意の適切な方法で達成することができる。一部の実施形態、例えば、
図38に示されるような実施形態では、負圧生成器装置280は、多孔質材料168と負圧生成器178との間の湿式洗浄装置内の圧力の尺度を感知するように構成されたセンサ180と、感知された圧力の尺度に基づいて流量を提供するように負圧生成器178を制御するように構成されたコントローラ298とを備える。
【0489】
コントローラ298、例えばマイクロコントローラは、
図38において矢印300で示されるように、センサ180からセンサ信号を受信することができ、そしてセンサ信号に基づいて、制御信号302を負圧生成器178に送信する。
【0490】
制御信号302は、例えば、負圧生成器178を作動させて流れを提供するか、または停止して流れを止め得る。代わりにまたは追加で、制御信号302は、センサ信号300に応じて、流量を増加または減少させることができる。このようにして負圧生成器178によって提供される流れを停止または減少させることは、湿式洗浄装置278の電力消費を低減するのに役立ち得る。これは、湿式洗浄装置がバッテリ駆動/給電可能である例においてバッテリ電力を節約するのに役立ち、それによって実行時間を増加させることができる。
【0491】
上記したように、流れの制御は、洗浄対象の表面の濡れの程度を制御することにも役立つ。
【0492】
一部の実施形態では、コントローラ298は、多孔質材料168と負圧生成器178との間の湿式洗浄装置内の圧力が上記所定の圧力閾値以上に維持されるように、負圧生成器178によって提供される流れを制御するように構成される。非限定的な例では、圧力の感知された尺度が所定の圧力閾値を下回っていることが示された場合、負圧生成器178は、負圧生成器178を停止にして流れを終了または減少させるように制御することができる。
【0493】
非限定的な例では、例えば比例積分コントローラを備える、または比例積分コントローラの形態のコントローラ298は、感知された圧力の尺度を所望の動作圧力(例えば、上記したように多孔質材料168の破壊圧力を参照して設定される)と比較するように構成される。材料、前述したように)。コントローラは、その比較に基づいて負圧生成器178を制御する。
【0494】
一部の実施形態では、センサ180は、多孔質材料168と少なくとも1つの汚れ入口142Aとの間の空洞150、および少なくとも1つのゴミ入口142Aを負圧生成器178に接続する管144A(または管144A、144B)のうちの少なくとも1つにおける圧力の尺度を感知するように構成されている。
【0495】
空洞150内の圧力の尺度を感知することは、使用中に多孔質材料168の特性に合わせて流れをより直接的に調整できるため、特に有利である可能性がある。
【0496】
管144A、144B内で圧力の尺度が感知されるようにセンサ180を配置することにより、センサ180を湿式洗浄装置に組み込む比較的簡単な方法を提供することができる。
【0497】
負圧生成器178が汚れた液体収集タンクの下流に配置される実施形態では、センサ180も汚れた液体収集タンク内に配置することができる。このような場合では、例えばハンドル上またはハンドル内に配置された汚れた液体収集タンクの高さが、騒音を発生させる可能性があり(dP=H*cos(α)*ρ*g、ここで、H は汚れた液体収集タンクの高さ)垂直位置では、αは垂直方向に対するハンドルの角度である)。しかし、このノイズは、センサ180に角度センサ、例えば加速度計を含めることによって補償することができる。
【0498】
より一般的には、センサ180は、センサが多孔質材料168と負圧生成器178との間の湿式洗浄装置内の圧力の尺度を感知することができる限り、任意の適切なタイプのセンサであり得る。例えば、センサは圧力センサ、例えば微小電気機械システム(MEMS)圧力センサを含む。
【0499】
一部の実施形態、例えば、
図39に示されるような実施形態では、負圧発生装置280は、多孔質材料168と負圧生成器178との間の湿式洗浄装置内の圧力に基づいて流れを制御するように構成された機械的レギュレータ304を備える。
【0500】
機械式レギュレータ304は、例えば、少なくとも1つの覆われた汚れ入口142A内の圧力に従って、負圧生成器178と少なくとも1つの汚れ入口142Aとの間の流体連結を制御するように構成されたバルブ306、308を備え得る。
【0501】
図39に示す非限定的な例では、バルブ306、308は、弁座306と、負圧生成器178と少なくとも1つの汚れ入口142Aとの間の流体連通を可能にするように、弁部材308が弁座306から分離される初期位置をとるように構成された弁部材308とを備える。バルブはさらに、負圧生成器178と少なくとも1つの汚れ入口142Aとの間の流体連通を制限するように、弁部材308が弁座306に押し当てられる閉位置を有する。
【0502】
一部の実施形態では、バルブ306、308は、圧力が上記所定の圧力閾値を下回ったときに、少なくとも1つの覆われた汚れ入口142A内の圧力によって弁部材308が弁座306に対して移動するように構成される。
【0503】
弁部材308は、例えば、初期位置で平坦なプロファイルを有する可撓性ゴム膜の形態であってもよく、したがって、覆われた汚れ入口142Aに負圧がないとき、弁座306から空間的に取り外される。負圧生成器178、例えばポンプが作動した後、覆われた汚れ入口142Aおよび機械式レギュレータ304内に負圧が生成され得る。負圧は、機械式レギュレータ304内のゴム膜の露出表面に作用する可能性があり、したがって、ゴム膜は、弁座306の方向に内側に逸れ始める可能性がある。
【0504】
この非限定的な例では、閾値圧力は、可撓性ゴム膜と弁座306との間の距離によって設定/予め決定することができる。距離が大きくなるほど、ゴム膜を変形させて弁座306に接触させるのに必要な、覆われた汚れ入口142A内の負圧が高くなる(または同等に圧力が低くなる)。
【0505】
負圧がゴム膜を弁座に接触させるレベルに達すると、負圧生成器178と多孔質材料168との間の流体連通が除去され、それによって負圧が機械式レギュレータ304によって設定されたレベルよりも高いレベルに達することが防止される。負圧生成器178は、その最大動作負圧に向かって同じ速度で動作し続けてもよい。覆われた汚れ入口142A内の負圧が低下すると、可撓性膜は上記平坦な状態に向かって戻り、それによってバルブ306、308が開き、負圧生成器178が所望の負圧レベルを回復できるようなる。
【0506】
別の非限定的な例では、機械式レギュレータ304は、その作動によって負圧生成器178を制御するスイッチと、圧力に応じてスイッチを作動させるように構成された可撓性部材、例えば膜とを備える。
【0507】
このような機械式レギュレータ、この場合は電気機械式レギュレータは、例えば圧力が所定の圧力閾値以上のときに膜によるスイッチの作動、例えば負圧生成器178を停止させるように構成することができる。
【0508】
このスイッチ-膜構成は、追加のコントローラ、例えばマイクロコントローラを必要とせずに、圧力に基づいて流れを制御する簡単で安価な方法を提供することができる。
【0509】
一部の実施形態、例えば、
図40および
図41に示されるような実施形態では、負圧生成器178自体が、少なくとも1つの覆われた汚れ入口142A内の圧力に応答して流れを制御するように構成されたポンプを備える。
【0510】
このようなポンプは圧力制限ポンプとみなすことができる。圧力制限ポンプは、接続されている管に一定の圧力差を発生させることができる。原理的には、このポンプ圧力は、汚れ入口142Aを覆う多孔質材料168に必要な圧力に調整することができる。
【0511】
圧力制限ポンプは、例えば、遠心ポンプを含むか、または遠心ポンプであり得る。ポンプ、例えば遠心ポンプは、液体ポンプであってもよいし、液体ポンプを含んでもよい。このような液体ポンプは、例えば、汚れ入口142Aと汚れた液体収集タンク310との間に配置され得る。
【0512】
図40に示す非限定的な例では、負圧生成器178、例えば遠心ポンプおよび/または液体ポンプは、クリーナヘッド100内に配置される。
【0513】
あるいは、ポンプ、例えば遠心ポンプは、空気ポンプであってもよいし、空気ポンプを含んでもよい。このような空気ポンプは、例えば、汚れた液体収集タンク310の下流に配置され得る。
【0514】
汚れた液体収集タンク310は、ハンドル上の特定の高さ312、例えば0.5mに配置され得ることに留意されたい。したがって、追加の水頭が必要になる可能性がある。
【数8】
洗浄対象の水平面218、例えば床面上にハンドルが平らに置かれている位置(水頭がゼロになる位置)を含むハンドルの位置を考慮すると、多孔質材料168上の圧力変動は、その動作圧力と等しい可能性がある。後者は、ハンドルの位置に関係なく、床に対して一定の高さに管144Aを取り付けることによって、例えば、汚れた液体収集タンク310(の一部)を多孔質材料168に直接取り付けることによって対処することができる。
【0515】
図41は、負圧生成器178の圧力制限空気ポンプ、例えば遠心空気ポンプを使用して圧力が調整される湿式洗浄装置278を概略的に示す。これは、
図40に示される例と比較して始動時の利点を提供する可能性がある。なぜなら、ポンプは常に空気を使用して動作することができ、それによってポンプが始動時に(多孔質材料168が完全に乾燥した状態で)必要な負圧を生成できることが保証されるからである。
【0516】
一部の実施形態では、負圧生成器178は、その設計によらず、流れが提供されているとき、流れが40~2000cm3/分、より好ましくは80~750cm3/分、最も好ましくは100~300cm3/分の範囲内であるように構成され得る。
【0517】
上記したように、このような流れ、すなわち流量は、多孔質材料の負圧維持能力を利用する可能性があり、エネルギー消費を制限しながら十分な液体の回収を保証する可能性がある。
【0518】
より一般的には、湿式清掃装置278は、例えば、湿式モップ掛け装置、窓クリーナ、スイーパ、またはキャニスター型、スティック型、もしくは直立型湿式掃除機などの湿式掃除機であってもよく、またはこれらを含んでもよい。
【0519】
非限定的な具体例では、湿式洗浄装置278は、電池式(または電池式対応)湿式モップ掛け装置などの電池式(または電池式対応)湿式洗浄装置であり、負圧生成器178、例えばポンプは、それに電気的に接続された(または接続可能な)バッテリによって給電される(または給電可能)。この例は、負圧生成器178の吸引が提供される汚れ入口142A、142Bを覆う多孔質材料168によってもたらされる上記電力消費削減効果のために、特に言及される。
【0520】
図42は、湿式掃除機の形態の例示的な湿式洗浄装置278を概略的に示す。この非限定的な例では、湿式洗浄装置278は、上述の汚れた液体収集タンク310と、洗浄液リザーバ313とを備える。湿式掃除機に含まれるクリーナヘッド100は、この例では、湿式掃除機に含まれるホイール314によって補助されて、洗浄対象の表面218上を移動することができる。
【0521】
湿式洗浄装置278は、いくつかの例では、床の表面などの洗浄対象の表面上でクリーナヘッド100を自律的に移動させるように構成されたロボット湿式掃除機またはロボット湿式モップ掛け装置であってもよく、またはそれらを備えてもよい。
【0522】
図43は、ロボット湿式掃除機の形態の例示的な湿式洗浄装置278を概略的に示す。ロボット湿式掃除機は、例えばホイール314の自動制御を介して、洗浄対象の表面218上を自律的に移動することができる。
【0523】
ロボット湿式掃除機の自律移動中、洗浄液リザーバ313に貯蔵された洗浄液を洗浄対象の表面に送ることができ、液体は、クリーナヘッド100の覆われた汚れ入口142Aを介して回収され、汚れた液体収集タンク310に集めることができる。負圧生成器278/負圧生成器装置280および/または洗浄液供給源も自動制御下に置くことができる。
【0524】
図面、開示、および添付の特許請求の範囲から、開示の実施形態の他の変形例が、クレームされる発明を実施する当業者によって理解および実現され得る。特許請求の範囲において、「備える」や「含む」という用語は他の要素またはステップを排除するものではなく、単数形の要素は複数を除外しない。複数の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているからといって、これらの手段の組み合わせを好適に使用することができないとは限らない。特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】