(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-15
(54)【発明の名称】冶金炉用冷却システム
(51)【国際特許分類】
F27D 1/12 20060101AFI20240508BHJP
C21B 7/10 20060101ALI20240508BHJP
F27B 1/24 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
F27D1/12 Z
C21B7/10
F27B1/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023566442
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2022061540
(87)【国際公開番号】W WO2022229414
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513200003
【氏名又は名称】ポール ワース エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジアン キエン
(72)【発明者】
【氏名】マジョーリー,ニコラス
【テーマコード(参考)】
4K015
4K045
4K051
【Fターム(参考)】
4K015CA00
4K045AA02
4K045GB20
4K051AA01
4K051HA18
(57)【要約】
冶金炉用の冷却システムであって、炉から熱を抽出するように構成された冷却要素のセット(38)をそれぞれ備える複数の冷却装置(40)であって、冷却要素(34)が、冷却材流体のための少なくとも1つの内部冷却流路を各々有し、冷却要素(34)が、各冷却装置(40)内で流体接続されている、複数の冷却装置(40)と、冷却材流体を主コレクタ(6)に向けて排出するための各冷却装置に関連付けられた少なくとも1つの排出配管(5)と、を備える冶金炉用の冷却システム。流量調整装置(7)は、排出配管(5)に直列に取り付けられ、そこを通る、したがって冷却装置(40)を通る冷却材流体の流量を制御するように構成される。流量調整装置(7)は、冷却材流体のためのデフォルトの最小流れ断面を画定する較正されたオリフィス(26、27)と、可変の追加の流れ断面を画定するように選択的に動作可能な調整弁(10)とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冶金炉用の冷却システムであって、
前記炉から熱を抽出するように構成された冷却要素のセット(38)をそれぞれ備える複数の冷却装置(40)であって、前記冷却要素(34)が、冷却材流体のための少なくとも1つの内部冷却流路を各々有し、前記冷却要素(34)が、各冷却装置(40)内で流体接続されている、複数の冷却装置(40)と、
前記冷却材流体を主コレクタ(6)に向けて排出するための各冷却装置に関連付けられた少なくとも1つの排出配管(5)と、を備え、
流量調整装置(7)が、前記排出配管(5)に直列に取着され、そこを通る、したがって前記冷却装置(40)を通る前記冷却材流体の流量を制御するように構成され、
前記流量調整装置(7)が、前記冷却材流体のためのデフォルトの最小流れ断面を画定する較正されたオリフィス(26、27)と、可変の追加の流れ断面を画定するように選択的に動作可能な調整弁(10)とを含むことを特徴とする、冶金炉用の冷却システム。
【請求項2】
前記調整弁(10)が、前記冷却装置(40)内の所定の位置に配置された1つまたは複数のセンサ装置(14)から受信したセンサ信号に応じて制御部(12)によって制御される自動弁である、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
1つまたは複数のセンサ装置が、各冷却装置内の所定の位置に配置された温度センサを含み、
前記制御部(12)が、前記センサ信号から判定された前記温度に基づいて前記調整弁を作動させるように構成される、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記調整弁(10)が、可動弁部材を含み、前記較正されたオリフィス(27)が、前記弁部材内に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記流量調整装置(7)が、
前記冷却装置(40)から前記冷却材流全体を受け取るように接続された第1の導管(18)であって、前記較正されたオリフィスが、前記第1の導管内に配置されている、第1の導管と、
前記調整弁(10)を備える、前記第1の導管と平行な第2の導管とを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記第2の導管(16)が、前記較正されたオリフィスの上流および下流に接続され、バイパスを形成する、請求項5に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記調整弁(10)が、バタフライ弁またはゲート弁を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記センサ装置(14)が、温度センサ、流量センサ、および圧力センサのうちの1つまたは複数を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記排出配管(5)が、第2の温度センサ(28)および/または流量計(30)および/または圧力センサおよび/または手動弁(32)をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記冷却要素(34)が互いに流体連通しており、前記冷却要素(34)が互いに垂直および/または水平に配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記複数の冷却装置(40)の各冷却装置(40-1、40-2、40-3、40-4)が、炉の所定の角度セクタを覆うように配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記排出配管(5)が、第1のセクション(5a)を備え、前記第1のセクション(5a)が、前記流体を中間コレクタ(4)に向けて導くための出口ライン(42)を備え、前記出口ライン(42)が、流量計(44)および/または温度センサ(46)および/またはシャトル弁(48)および/またはベント装置(50)のうちの少なくとも1つを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項13】
各冷却装置(40-1、40-2、40-3、40-4)が、複数の冷却流路を備える冷却要素の複数の垂直な列(41)から構成され、各列内で、前記冷却要素(34)が直列に流体接続されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記冷却装置の最下流の冷却要素の内部冷却材流路の一部が、一体化された流量調整装置(7)を有する第1の排出配管(5)の第1の中間コレクタ(4)に接続され、
前記冷却装置の最下流の冷却要素の内部冷却材流路の他の部分が、一体化された流量調整装置(7´)を有する第2の排出配管(5´)の第2の中間コレクタ(4´)に接続される、請求項13に記載の冷却システム。
【請求項15】
外側金属ジャケットと、請求項1から14項のいずれか一項に記載の冷却システムとを備える、シャフト炉、特に溶鉱炉であって、前記冷却要素が列状に配置されて前記外側金属ジャケットを保護し、前記冷却装置がそれぞれの角度セクタをそれぞれ覆うように構成された、シャフト炉、特に溶鉱炉。
【請求項16】
前記冷却システムが、各々が前記炉周囲の1つの四分円(2)を覆う4つの冷却装置(40-1、40-2、40-3、40-4)を備える、請求項17に記載のシャフト炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の冷却装置を備える冶金炉用の冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冶金炉内の冷却装置は、例えば溶鉱炉などの前述の炉から冷却材媒体/冷却材流体に熱を伝達するために使用される。このため、そのような炉の冷却装置は、前述の冷却材流体を案内するための内部冷却材流路を有する複数の冷却要素を提供する。冷却要素(例えば、冷却プレートまたは冷却ステーブ)は、高い動作温度からそれらを保護するために炉壁に沿って配置されてもよい。冷却材流体は、例えば水であってもよい。冶金炉の冷却装置を制御および作動させるために、適切な冷却システムを提供することが必要である。
【0003】
現在、冶金炉は、炉内、炉中または炉上に配置された複数の冷却要素を有する冷却装置を必要とする。しかしながら、これらの冷却装置は、通常、冷却装置の上流に配置された制御システムによって調整される。冶金炉のこれらの冷却システムは、反応時間、炉を冷却するために使用される流体の量の観点から、また冷却要素に伝達される熱負荷に流量が通常依存する流体流量の自動調整を考慮すると、不利である。
【0004】
さらに、炉の作動中、炉の少なくともいくつかの領域、すなわちそれぞれの冷却要素が、他の領域よりも多くの摩耗/摩損を受けることがしばしば発生する。同様に、炉のいくつかの領域、すなわちそれぞれの冷却要素は、特定の高い熱負荷を受けるが、他の領域はより低い熱負荷にさらされる。これは、例えば、高い熱負荷の領域に取り付けられた銅ステーブが摩損または溶解を受け得るという事態をもたらし得る。これにより、これらの要素の故障のリスクが高まり、炉の完全な故障につながる可能性さえある。このため、信頼性が高く費用効果の高い、動作可能な冶金炉の冷却システムが一般的に必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、冶金炉用の改良された冷却システムを提供することである。
【0006】
この目的は、独立請求項1に記載の冷却システムによって達成される。
【0007】
本発明は、(典型的には炉壁に沿って配置される)冷却要素のセットをそれぞれ備える複数の冷却装置を備える冶金炉の冷却システムに関し、冷却要素は、冷却材流体のための少なくとも1つの内部冷却流路を有する。冷却要素は、各冷却装置内で、典型的には直列に流体接続される。少なくとも1つの排出配管が、冷却材流体を主コレクタに向けて排出するための各冷却装置に関連付けられる。
【0008】
流量調整装置は、排出配管に直列に取着され、そこを通る、したがって冷却装置を通る冷却材流体の流量を制御するように構成されることが理解されよう。流量調整装置は、冷却材流体のためのデフォルトの最小流れ断面を画定する較正されたオリフィスと、可変の追加の流れ断面を画定するように選択的に動作可能な調整弁とを含む。
【0009】
本発明は、冶金炉の冷却システムの要素の特定の構成が、各々が冷却要素のセットを有する複数の冷却装置内の流体の流量を正確に調節することができる修正された自動冷却システムを提供することを可能にするという知見に基づいている。冷却要素の各セットは、有利には、炉の相異なるセクタ/四分円に存在する相異なる熱負荷に合わせて媒体の流量が自動的に調節され得るように、(溶鉱)炉のセクタ、例えば角度セクタまたは四分円内、その中またはその上に垂直または水平に配置され得る。
【0010】
本発明はまた、本発明による冶金炉の冷却システムの設置が比較的費用効率が高く、既存の冷却装置および/または炉内、その中またはその上で特に容易に実施することができるという知見に基づいている。
【0011】
本発明はまた、冶金炉の冷却システムが冷却装置の下流に位置するときに冶金炉の前述の冷却システムの効率的な自動調節機構が提供され得るという知見に基づいている。冷却システムの自動調節機構により、所定のセットの冷却装置内、すなわちそれぞれの冷却要素のセットにおける冷却流体の流量を自動的に制御することができる。これに関連して、本冷却システムは、冷却装置の特定の排出配管内に配置された調整弁の選択的開放を実行するのに適しており、その結果、流体流量は、実際に必要とされる炉セクタにおいてのみ増加され得るが、他のセクタに配置された他の残りの冷却要素は、一定の、例えば低減された水流量で作動し続けることができる。さらに、提案された冷却システムは、炉の作動中の各瞬間に主コレクタへの流体の一定の流れを可能にすることができ、したがって、流体の停止のリスクが効果的に低減される。
【0012】
本発明はまた、(溶鉱)炉の熱流束に応じて、提案された冷却システムが、2つではなく1つのポンプのみで冷却装置を作動させることを可能にすることができ(ポンプは一般に冷却装置の上流に配置される)、作動ポンプは公称水流量の60~80%のみを提供し得るという知見に基づいている。したがって、作動ポンプの流量は、(溶鉱)炉のサイズに応じて、例えば、約1250m3/h~1750m3/hの体積範囲内とすることができる。
【0013】
さらに、本発明者らは、本発明が、特に炉の高熱負荷領域において、特定の判定可能な冷却装置、すなわちそれぞれの冷却要素の前で「足場」を生成、維持、および最大化するのにも適し得ることを驚くべきことに見出した。「足場」は、一般に、棚状またはドーム形状の構造、すなわち炉の内壁にあるそれぞれの閉塞を、特に、溶鉱炉の羽口、すなわちそれぞれのチューブの上に形成する、接着性の、部分的に融合した材料の蓄積を指す。炉の高熱負荷領域内の冷却要素の前の足場は、炉の要素の過剰な熱負荷および/または摩損または浸食摩耗に対する保護として機能することができる。さらに、冷却装置の冷却要素のセットの前に生成された足場は、前述の冷却要素内の流体の流れを減少させることさえ可能にすることができ、これは、例えば炉の作動中に必要とされるコークスの量に関して、コスト削減およびエネルギー節約につながることが分かった。さらなる結果として、また冷却流体、例えば水の量が減少するという事実により、炉は、より環境に優しい方法で、二酸化炭素排出量を低減して作動することができる。
【0014】
これに関連して、足場の制御は、冷却装置が、ほぼ垂直に延びる冷却要素の群として構成され、炉の角度セクタ(冷却要素の1つまたは複数の列)を覆う場合に特に効率的である。これにより、炉の相異なる円周方向位置で相異なる熱流束を制御することが可能になる。したがって、炉内周で局所的に発生する足場現象に作用することがより容易である。
【0015】
「冶金炉の冷却システム」は、一般に、冷却装置または複数の冷却装置のパラメータを制御、すなわちそれぞれ調整、適合、修正、変更、および/または設定するための構造を形成する、関連する装置、要素、および/または物体のグループを指す。複数の冷却装置の冷却装置は、同様または相異なるサイズおよび/または構造であってもよい。冶金炉の冷却システムは、例えば、冷却装置を通って流れる、すなわちそれぞれ循環する冷却材、例えば流体の流れを制御および/または調整するための1つまたは複数の装置を備えることができる。
【0016】
「冷却装置」、すなわちそれぞれの複数の冷却装置は、一般に、冶金炉などの物体からの熱を流体にまたは流体によって冷却するため、すなわちそれぞれ伝達するために使用および構成される冷却要素、例えば冷却パネルまたは冷却ステーブの組成物を指す。熱は、一般に、熱放射、熱伝導および/または熱対流などの様々な機構によって炉から冷却要素に伝達され得る。冶金用の冷却装置は、炉の高熱領域内、その上に、またはその中に取り付けられる1つまたは複数の冷却要素を備える。
【0017】
「冶金炉」は、一般に、任意の種類の工業炉、特に溶鉱炉、製錬炉、電気アーク炉、加熱炉、シャフト炉、フード炉、コンベヤベルト炉、または同様の炉を指す。
【0018】
「冷却要素のセット」は、一般に、複数の関連する冷却要素がセットを形成するように、互いに動作可能に接続された例えば冷却パネルおよび/または冷却ステーブなどの複数の冷却要素を指し、「セット」は、一般に、一緒に使用される同じ種類または同様の種類のいくつかの要素を指す。各冷却要素には、冷却装置の作動状態中に流体が流れる少なくとも1つの内部冷却材流路(一般に複数)が設けられる。各冷却装置は、炉のセクタ/領域、すなわちそれぞれの四分円内、その中またはその上にそれぞれ取り付けられ、設置され、設定され、または部分を形成することができる。特に、冷却装置の冷却要素の各セットは、炉の内壁および/または外壁に沿って取り付け、すなわちそれぞれ配置されてもよい。冷却要素は直列に接続されてもよい。「直列に接続された」とは、少なくとも1つの冷却要素が同じ冷却装置の下流および/または上流の冷却要素と流体連通する配置を指す。冷却要素が複数の内部冷却材流路を備える場合、冷却要素の各冷却材流路は、隣接する(上流および下流の)冷却要素の対応する冷却流路と直列に接続される。
【0019】
冶金炉の文脈では、冷却材流体は一般に水または水性流体であってもよいが、他の適切な冷却材を使用してもよい。
【0020】
「排出配管」は、一般に、冷却装置から主コレクタに向かって冷却流体を導くように構成された管の量またはシステムを指す。排出配管は、冷却材流路から冷却材を収集するための個別の配管を有する第1のセクションを備えてもよく、第1のセクションの配管は、流量調整装置を有する第2のセクションに収束する。中間コレクタは、すなわち、第1のセクションの配管から流れを受け取り、それを第2のセクションの単一の配管に分配するように接続されてもよく、流量調整装置は直列に接続される。
【0021】
「中間コレクタ」、すなわちそれぞれの中間(コレクタ)管は、同様に排出配管に含まれてもよい。「中間コレクタ」という用語は、一般に、チューブ、管、またはチューブ状もしくは円筒状の物体、流路、中空部分もしくは通路、または液体、気体、および/もしくは流体を導くように構成された任意の他の種類の空隙体を指す。したがって、中間コレクタは排出配管の一部であり、調整装置の上流および導入装置の下流に配置される。一般に、中間コレクタは、前述の流体が調整装置および/または主コレクタに導かれる、すなわちそれぞれ案内される前に、加熱された流体を収集することができる。中間コレクタは、内部冷却材流路を接続する複数の配管から出る流体を収集するようにさらに構成されてもよく、および/または収集された流体を1つまたは複数の流量調整装置に分配するように構成されてもよい。
【0022】
「調整する装置」、すなわちそれぞれの調整装置は、一般に、流体の流量および他の物理的特性を調整および/または判定するように構成された排出配管のサブシステムを指す。実施形態では、調整装置は、中間コレクタの下流および主コレクタの上流に位置、すなわちそれぞれ配置される。例えば、調整装置は、流量、したがって冷却装置内ならびに主コレクタ内の流体の体積流量ならびに圧力も調整、すなわちそれぞれ判定または調節することを可能にすることができる。調整装置は、例えば、第1および第2の導管をさらに備えてもよく、第1の導管および第2の導管は互いに流体連通している。第1の導管は、冷却流体の可変の流れ断面を画定するように選択的に動作可能な第1の調整弁を備えることができる。「調整弁」は、一般に、流体の流れおよび/または流れの特性を調整することを可能にする物体または構成要素を指す。例えば、調整弁は、流体の流量の可変的な調節を可能にするように構成された自動弁として形成されてもよい。調整弁は、第1の導管内に配置され、前述の第1の調整弁を作動させるための制御部に接続されてもよい。言い換えると、調整弁は、流体の流量を可変に調節するように構成されてもよい。第2の導管は、較正されたオリフィスを備えてもよく、あるいは、第2の導管は、第2の導管によって各瞬間に流体のデフォルトの流れが主コレクタに導かれることが可能になるように、第1の調整弁の較正されたオリフィスに接続されてもよい。調整装置は、主コレクタと直列に接続されてもよい。
【0023】
「主コレクタ」、すなわちそれぞれの排出管は、一般に、前述の流体が通過した後および/または調整装置にかけられた後に流体を排出するための管を指す。主コレクタは、中間コレクタと流体連通し、中間コレクタの下流に配置される。
【0024】
「オリフィス」は、冷却流体が通過することができる開口部、例えば口、穴または通路を指す。「較正されたオリフィス」という用語は、一般に、標準化されたオリフィス、例えば、流体の特定のデフォルトの最小流量の通過などの特定の機能を正確に調節するように正確に設計、すなわちそれぞれ測定または構成され、取り付けられたオリフィスを指す。したがって、較正されたオリフィスは、冷却材流体の対応するデフォルトの最小流れ断面を画定することができるが、調整弁は、可変の追加の流れ断面を画定するように選択的に作動することができる。
【0025】
「デフォルトの最小流れ断面」は、一般に、流体が各瞬間に調整装置から出ることができるように、流体の最小流量または流れを通過させるように構成された管またはチューブの断面を指す。較正されたオリフィスのデフォルトの最小流れ断面により、冷却装置内の流体の流れが停止することが防止される。言い換えれば、較正されたオリフィスは、あらかじめ判定可能な最小流量に従って、主コレクタへの流体のデフォルトの流れを生成し、案内し、すなわちそれぞれ導くように構成される。
【0026】
「制御部」は、一般に、電子システム、プログラマブル制御部、コンピュータ、プロセッサ、記憶流体、ユーザインターフェース、プログラム、ソフトウェアアプリケーション、または同様の要素のうちの少なくとも1つを備えるシステムを指す。制御部は、センサによって提供される信号を受信するように構成されてもよい。制御部は、アクチュエータに電子信号を伝達することによって第1の導管内の第1の調整弁を作動させるようにさらに構成されてもよい。
【0027】
一実施形態では、調整弁は、冷却装置内の所定の位置に配置された1つまたは複数のセンサ装置から受信したセンサ信号に応じて制御部によって制御される自動弁である。「センサ装置」は、環境の変化または状態を検出、測定、判定または監視するように構成された要素、システムまたは構造を指す。センサ装置、すなわちそれぞれのセンサは、例えば冷却装置内を循環する流体の温度などの(プロセス)パラメータを表す信号などの情報を送信するようにさらに構成されてもよい。情報は、センサ装置によって制御部にそれぞれ伝達されてもよい。センサ装置のおかげで、制御部は、測定値が所定の値または所定の値の範囲を満たすかどうかを判定することができる。そのような場合、制御部は、第1の調整弁を(部分的または全体的に)開閉させ、それによって調整装置内の流量を調節することができる。その結果、調整装置の上流に配置された冷却装置内の流体の流量も、所定の流量または所定の流量範囲に対応して調節される。第1の調整弁は、アクチュエータを有する自動弁をさらに備えてもよく、またはそれからなってもよく、アクチュエータは制御部に接続される。アクチュエータは、例えば、電気アクチュエータまたは空気圧アクチュエータであってもよい。
【0028】
一実施形態では、調整弁は可動弁部材を含み、較正されたオリフィスは弁部材に配置される。したがって、較正されたオリフィスは、弁が流体に少なくとも通路を提供するように、弁本体の一部であってもよい。
【0029】
一実施形態では、調整装置は、第1の導管および第2の導管を備え、第1の導管および第2の導管は互いに平行に配置され、第2の導管は較正されたオリフィスを備え、第1の導管は調整弁を備える。例えば、第2の導管内に配置された較正されたオリフィスは、オリフィスプレートの一部であってもよい。「オリフィスプレート」、すなわちそれぞれの制限プレートは、一般に、流体の流量を判定し、および/または圧力を低下させ、および/または流れを制限するように構成された要素を指す。オリフィスプレートは、その中に較正されたオリフィスを有する薄板として形成されてもよい。オリフィスプレートは、例えば、第2の導管内に配置されてもよい。流体、すなわちそれぞれの流体がオリフィスプレートを通過すると、その圧力はオリフィスの上流で増加し、オリフィスの下流では、その流体圧力が低下するにつれて速度が増加する。
【0030】
一実施形態では、調整弁はバタフライ弁として構成される。バタフライ弁は、任意の種類の調節可能な弁、特にディスクなどの回転可能要素を提示する閉鎖機構を有する弁を指すことができる。バタフライ弁は、比較的速く作動することができ、したがって流れの流量を迅速に調節するために使用することができる。
【0031】
一実施形態では、センサ装置は、温度センサ、流量センサ、圧力センサのうちの少なくとも1つを備えるか、またはそれからなる。温度センサは、流体の温度などの温度、および/または温度変化を判定するのに適した任意の種類のセンサであってもよい。流量センサは、流体の流れを判定するように構成された任意の種類のセンサであってもよい。圧力センサは、流体の圧力を判定するように構成された任意の種類のセンサであってもよい。
【0032】
一実施形態では、第1の導管は、第2の導管のバイパスとして構成される。または、任意選択で、第2の導管が、第1の導管のバイパスとして構成される。「バイパス」は、一般に、流れを方向転換するために使用されるチューブ、管、弁および/または中空体および/または同様の要素の任意の配置を指すことができる。バイパスの配置によって、あらかじめ判定可能な最小流量、すなわちそれぞれのデフォルト流量が調整装置を出て主コレクタに向かうことが可能になる。結果として、冷却装置内の流体の停止が防止される。
【0033】
一実施形態では、調整装置は、第2の温度センサおよび/または流量計および/または圧力センサおよび/または手動弁をさらに備える。第2の温度センサおよび/または流量計および/または圧力センサは、制御部に電気的に接続されてもよい。第2の温度センサおよび/または流量計および/または圧力センサの配置により、制御部は、調整装置内を流れる流体の追加のプロセスパラメータを判定することができる。手動弁は、例えばメンテナンスが必要な場合に、調整装置の手動遮断を可能にすることができる。
【0034】
一実施形態では、冷却要素は互いに流体連通しており、冷却要素は互いに垂直または水平に配置されている。炉壁上の冷却要素の配置は、前述の冷却要素が互いに対して水平または垂直に配置され得ることを可能にする。例えば、各々が複数の冷却要素を備える4つの冷却装置などの複数の冷却装置が炉に取り付けられる場合、炉の相異なるセクションが、相異なる流量で水平または垂直に配置された冷却要素によって冷却され得る。その結果、高い熱負荷が冷却要素に伝達される領域では流体の流れを増加させることができ、一方、通常または低い熱負荷が冷却要素に伝達される領域では流体の流れを減少させることができる。
【0035】
一実施形態では、複数の冷却装置の各冷却装置は、炉の四分円に配置される。「四分円」は、一般に、炉の角度セクタを指す。四分円は厳密に円周の90°を示すが、本明細書では、単一の冷却要素列に対応するものであっても、より小さい角度セクションを指定するために拡張によって使用される。冷却装置の相異なる四分円への配置および分離、すなわちそれぞれの分割は、溶鉱炉の相異なる角度部分が異なるように冷却され得ることを可能にする。その結果、その作動中の炉内のホットスポットの発生を防止することができる。
【0036】
セクションまたは四分円による制御は、典型的には列状に接続される冷却要素の通常の接続とは著しく異なることに留意されたい。冷却要素が列として接続されている場合、特定の角度セクタ(四分円)を異なるように制御することは不可能である。
【0037】
一実施形態では、排出配管は導入装置を備え、導入装置は、中間コレクタに向かって流体を導くための出口ラインを備え、出口ラインは、さらなる流量計および/またはさらなる温度センサおよび/またはシャトル弁および/またはベント装置のうちの少なくとも1つを備える。流体は、出口ラインを備える前記導入装置を介して冷却装置から中間コレクタに流れてもよく、中間コレクタは、流体を収集して少なくとも1つの調整装置に分配する。排出配管は、導入装置および調整装置を備えてもよい。(さらなる)流量計および(さらなる)温度センサは、プロセスパラメータ、例えば主コレクタの上流を循環する流体に関連するパラメータの監視を強化することを可能にする。シャトル弁ならびにベント装置、すなわちそれぞれのベント弁は、漏れを検出するために使用または構成されてもよい。
【0038】
本発明のこれらおよび他の態様および特徴はまた、従属請求項、添付の図面および実施形態の以下の説明から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
ここで、本発明の実施形態を、例として、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】冶金炉内の本冷却システムの一実施形態の原理図である。
【
図2】複数の冷却装置を備える本冷却システムの別の実施形態の概略図である。
【
図3】流量調整装置の代替実施形態の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明の一実施形態による冶金炉1の冷却システムの原理図である。
図1は、炉(図示せず)の領域/セクタ2に配置された冷却装置40を示し、冷却装置40は、複数の冷却要素34を有し、冷却要素34は、炉壁(図示せず)に沿って配置され、管36、38を介して互いに流体連通している。冷却要素34の各々は、1つまたは複数の内部冷却材流路(図示せず)を備えることができ、冷却要素34の内部冷却材流路の各々は、冷却要素34を隣接する上流および/または下流の冷却要素34に接続する対応する管36、38に接続、すなわちそれぞれ流体連通される。冷却要素(すなわち、それぞれの冷却流路)は、冷却装置40内で直列に接続されることが好ましい。この実施形態では、冷却要素34は、2つの内部冷却流路を有する。
【0041】
各冷却装置40は、冷却材流体を主コレクタ6に向かって排出するために、ここでは2つのセクション5aおよび5bからなる少なくとも1つの排出配管5に、下流側で接続される。
【0042】
排出配管の第2のセクション5bは、流量調整装置7を含む。第1のセクション5aは、最下流の冷却要素34から排出された冷却材を第2のセクション5bに向かって搬送するように設計されている。好ましくは、
図1に見られるように、それぞれの出口配管42が各冷却材流路に接続される。2つの出口配管42は、他端で中間コレクタ4と流体接続され、そこから流体が第2のセクション5bに流入する。
【0043】
第2のセクション5bは、一端で第1のセクション5aに、ここでは中間コレクタ4を通って接続され、他端で主コレクタ6に接続された配管18を備える。流量調整装置7は、上流配管セクション5aに入る冷却材流の全体が配管18の下流セクション、したがって主コレクタ6に到達するために流量調整装置7を通って流れなければならないように、配管18内に直列に一体化されている。結果として、流量調整装置7は、第2のセクション5bを通る、したがって冷却装置40内の対応する冷却材流路も通る冷却材流体の流量を制御することを可能にする。
【0044】
図1に示す実施形態では、流量調整装置7は、配管18に一体化されたいわゆるオリフィスプレート24を備える。オリフィスプレート24は、配管18を通る冷却材流体のためのデフォルトの最小流れ断面を画定する較正されたオリフィス26を備える。調整弁10は、可変の追加の流れ断面を画定するように選択的に動作可能である。オリフィス26によって画定される流れは、それが常に開いており固定されており、調整弁を通る流れがオリフィス26を通る流れに加わるという意味で最小である。
【0045】
冷却装置40は、炉、すなわち炉のそれぞれの所与のセクタ/領域2から冷却要素34の流路内を流れる冷却材流体に熱を伝達するように構成される。矢印M1およびM2は冷却材の流れ方向を示し、M1は冷却装置40における冷却材の入口流を表し、M2は主コレクタ6における冷却材の出口流を示す。冷却材流体は、冷却装置40から、配管42を備える第1のセクション5aを介して中間コレクタ4に流れる。中間コレクタ4は、冷却材流体を収集し、セクション5bの調整装置7に分配する。代替実施形態では、複数の調整装置7(
図1には示されていない)が、中間コレクタ4と主コレクタ6との間に互いに平行に配置されてもよいことに留意されたい。
【0046】
第1のセクション5aは、冷却装置40を出る冷却材流体の状態を監視するために装備されてもよい。したがって、流量計44および温度センサ46は、第1のセクション5aの配管42のうちの1つを通って流れる流体を監視するように構成される。また、各配管42には、(流れを遮断するための)シャトル弁48およびベント装置50が一体化される。流量計44、温度センサ46、シャトル弁48および/またはベント装置50は、制御部12によって遠隔操作可能であってもよい。
【0047】
図1に示す実施形態では、調整装置7は、冷却材流体の流量を制御するために使用される。より具体的には、既に示したように、オリフィスプレート24は、配管18に一体化される。典型的には交換可能な(例えば、2つの管端部の間にフランジが付けられている)オリフィスプレート24は、その所定の開いた断面に起因する流体のデフォルトの流れを可能にする較正されたオリフィス26を含む。このオリフィス26は常に開いている。参照符号16は、配管18と平行に流体連通して配置された別の導管を示し、この導管は、オリフィスプレート24の上流および下流に接続される。したがって、導管16は、オリフィスプレート24に関してバイパスを形成する。
【0048】
導管16は、そこを通る流体の流量を可変に調節するための調整弁10を備える。制御部12は、調整弁10を作動させるように構成される。アクチュエータ22は、調整弁10を作動させるように、すなわち、0から100%の間の流れ断面を画定するために弁部材を移動させるように、動作可能に結合される。
【0049】
較正されたオリフィス26(オリフィスプレート24内)により、冷却材流体の所定の最小流量は、常に主コレクタ6に向かって導かれ得る。必要に応じて、例えば、流体の温度が特定の所定の値を超えると制御部12が判定した場合、(アクチュエータ22を作動させることによって)調整弁10が開かれて、流れ断面を増加させる。この場合、流体のクロスフローが増加し、したがって、流体の体積流量も同様に増加する。自動化弁20は、例えば、バタフライ弁またはゲート弁であってもよい。
【0050】
例えば、較正されたオリフィス24が流れ断面D1を画定し、調整弁10が最大の(すなわち、調整弁が100%開いている場合の)流れ断面D2を有すると仮定する。
【0051】
デフォルトの流れ構成では、調整弁は閉じられ、したがって、調整装置7を通る流れは、D1に対応するオリフィス26によってのみ画定される。
【0052】
流量の増加が望まれる場合、制御部12は、調整弁10を作動させて開度%で示される特定の位置まで開く。したがって、調整装置7によって提供される総流れ断面は、D1+D2*(開度%)に対応する。
【0053】
調整弁10が全開(開度%=100%)である場合、排出配管5を通ってコレクタ6に向かう流れ断面積は、D1+D2である。
【0054】
D1=D2の場合、調整弁10が完全に開いているときに流れ断面を2倍にすることができる。
【0055】
遮断弁17は、有利には、導管16内の調整弁10の前後に配置することができる。これらの弁17は、作動中は開いており、メンテナンスのために調整弁10を隔離するために閉じられてもよい。これにより、排出配管7全体を停止することなく、調整弁10をメンテナンスすることができる。
【0056】
図3に示す代替実施形態では、較正されたオリフィス27を調整弁10に一体化することができ、調整弁は、弁が閉じられたときに配管18を通る流体のデフォルトの流れを可能にすることができる。オリフィス27は、例えば弁本体内に配置することができるが、好ましくは可動弁部材内、すなわち弁のフラップ部材またはゲート部材内に配置することができる。
【0057】
図1からさらに導き出すことができるように、冷却材の状態監視の目的のために、温度センサ28および流量計30が配管18内に配置され、任意選択的に圧力センサが配置される。温度センサ28および流量計30は、制御部12に電気的に接続されてもよい。参照符号32は、第2のセクション5bの入口にある弁を示し、このセクションへの流体の流れを開閉することを可能にする。
【0058】
第2のセクション5bの下流側に配置された追加の遮断弁29は、排出配管5から主コレクタ6への流れを開閉することを可能にする。閉鎖弁29および32は、メンテナンスの目的のために調整装置を隔離することを可能にする。弁29および32は、通常はメンテナンスまたは緊急の場合に使用されるので、一般に手動弁である。しかしながら、例えば制御部12を介して、それらの一方または両方に遠隔作動のためのアクチュエータを装備することが可能である。
【0059】
図1からさらに分かるように、調整装置7は、冷却装置40内、特に2つの隣接する冷却要素34の間の管36内の冷却材温度を表すセンサ信号を生成するセンサ装置14、すなわち温度センサをさらに備える。センサ装置14は、その信号を制御部12に伝達する。
【0060】
制御部12は、冷却装置40内の測定温度に応じて調整弁を作動させるように構成される。基本的に、弁10は、低温では閉じられているが、測定された温度が閾値に達したときに作動する。制御部は、例えば、弁開口部対測定温度を定義するテーブルを含むことができる。あるいは、制御部は、閉ループ制御システムを作動させることができ、それによって弁は、冷却装置内の所与の目標温度に達するように作動される(流れ断面を増加または減少させる)。
【0061】
図2は、冷却システムの別の実施形態を概略的に示し、複数の冷却装置が炉(図示せず)の相異なる領域に位置している。
図1を参照すると、同じまたは類似の要素を示すために同じ参照符号が使用されている。
【0062】
4つの冷却装置40-1~40-4の各々は、複数の冷却要素34を備える。当技術分野で知られているように、これらの冷却要素は、典型的には、シャフト/溶鉱炉ジャケットの内側、すなわち炉外壁を形成するほぼ円筒形の金属壁に沿って配置される。冷却要素は、典型的にはプレート状の形状を有し、当技術分野で知られているように、冷却要素の内側の高温面を保護するために、冷却要素の前に耐火材料の層が最初に形成される。下部冷却要素(斜線部分)は、温度がより高い炉の下部領域に位置する。これらの冷却要素は、銅(合金)体を備えてもよい。より低い温度にさらされる上部領域では、冷却要素は鋳鉄体を備えることができる。
【0063】
図2から導き出すことができるように、各装置40内の冷却要素34は、冷却材流体を案内するための複数の管36によって互いに流体連通している。図示の実施形態では、各冷却要素34は、冷却要素間に直列に接続された4つの内部冷却材流路を備える。
【0064】
上流側では、入口冷却材流M1は、主流M1が所望の温度および圧力を有するように従来のシステム(図示せず)で調整される。そのような従来のシステムは、1つまたは複数のポンプ、フィルタなどを含むことができる。入口流M1は、主分配器60(またはマニホールド)から中間分配器62に分配され、そこから内部冷却材流路に関連する入口ダクト64まで分配される。中間分配器62は、入口ダクト64のセットに冷却材を供給する。
【0065】
図示の実施形態では、入口ダクト64はペアでグループ化されている。冷却要素34は、4つの冷却流路を備え、各冷却装置40に対して2つの中間分配器62が使用される。各中間分配器62は、それぞれの入口ダクト64を介して2つの内部冷却材流路に接続されている。
【0066】
冷却要素34は、炉の金属ジャケットを覆うように、すなわち垂直および水平に(すなわち、円周方向に)炉の内部に配置される。
図2において、各冷却装置2の冷却要素34のセットは、垂直方向に直列に接続されている。
【0067】
各冷却装置2内で、冷却要素34は、炉の下部領域から上部領域まで延在し、冷却要素は直列に接続される。したがって、冷却材は、それぞれの冷却装置2の各冷却要素34を通って下から上へ連続的に流れる。
【0068】
図2の図では、各冷却装置40-1~40-4は、冷却要素34(ここでは7つ)の、41で示される1つの垂直列で示されている。実際には、各冷却装置40-1~40-4は、いくつかのそのような列41を平行に含む。1つの列41内の冷却要素34は、直列に接続されている。各冷却装置40-1~40-4における冷却要素34の数および列41の数は、溶鉱炉のサイズに依存する。例えば、列41は、4~15個の冷却要素34を含むことができ、それぞれの冷却装置40内の列41の数は、6~20の範囲とすることができる。これらは例示的な値にすぎず、限定として解釈されるべきではない。
【0069】
したがって、実際には、各冷却装置40-1~40-4は、シャフト炉の所与の角度部分をその高さにわたって覆うように取り付けられた冷却要素34の複数の列41を備え、その結果、冷却装置はシャフト炉の角度セクタ、または場合によっては四分円に対応すると言うことができる。
【0070】
特に
図2の実施形態を参照すると、4つの冷却装置40-1~40-4があり、これらはそれぞれ、溶鉱炉周囲の1/4、すなわち90°を覆うのに適した、冷却要素のいくつかの平行な列41を備える。したがって、各冷却装置40は、(2で示す)四分円に対応する。
【0071】
冷却システムの下流側では、冷却装置2から排出された高温冷却材がコレクタ6に収集される。流れM2は、通常、リサイクルされる前に、集水部および/または冷却塔に向けられる。
【0072】
各冷却装置40は、少なくとも1つの排出配管5によって主コレクタ6に接続される。より正確には、この実施形態は、冷却装置40ごとに(流量調整装置7、7´を有する)2つの排出配管5、5´を使用する。排出配管5の構成は、
図1の構成と同様である。
【0073】
内部冷却材流路の流れは、2つの排出配管5、5´上に分配される。
図2から理解されるように、各装置40の最上部(または最下流)の冷却要素34の冷却材流路の半分(ここでは2つ)は、第1のセクション5aを介して、第1の中間コレクタ4に接続され、第1の中間コレクタ4は、流量調整装置7を一体化する第2のセクション5bに接続される。冷却装置40の最上部の冷却要素34の各々の冷却材流路の他の部分は、セクション5a´を介して、第2の中間コレクタ4´に接続され、第2の中間コレクタ4´は、流量調整装置7´を一体化する第2のセクション5b´に接続される。
【0074】
図2に示す冷却システム1は、相異なる冷却装置40、すなわちそれぞれのセクタ/四分円を通る流量を下流側から個別に調節できるようにする。
図2からさらに導き出すことができるように、調整装置7、7´を有する少なくとも2つの排出配管5、5´は、冷却装置40を作動させるために平行に配置され、それによって各排出パイプ5、5´は、関連する四分円を通る冷却材流の半分を受け取る。
【0075】
説明した実施形態は、本発明の例である。実施形態の場合、それぞれの実施形態に関して記載された構成要素はそれぞれ、本発明の個々の特徴を表し、これらの特徴は互いに独立して考慮されるべきであり、また互いに独立して本発明をさらに発展させる。したがって、特徴はまた、個別に、または示された組み合わせ以外の組み合わせで本発明の構成要素と見なされるべきである。さらに、記載された実施形態は、既に記載された本発明のさらなる特徴によって補足することもできる。
【0076】
本発明のさらなる特徴および実施形態は、本開示および特許請求の範囲の文脈において当業者にもたらされる。
【符号の説明】
【0077】
1 冷却システム
2 炉のセクタまたは四分円
4 中間コレクタ
5 排出配管
6 主コレクタ
7 流量調整装置
10 調整弁
12 制御部
14 センサ装置
16 導管
18 導管
20 自動弁
22 アクチュエータ
24 オリフィスプレート
26 較正されたオリフィス
28 温度センサ
29 遮断弁
30 流量計
32 手動弁
34 冷却要素
36 配管
38 配管
40 冷却装置
42 出口ライン
44 流量計
46 温度センサ
48 シャトル弁
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【手続補正書】
【提出日】2023-03-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冶金炉用の冷却システムであって、
前記炉から熱を抽出するように構成された冷却要素のセット(38)をそれぞれ備える複数の冷却装置(40)であって、前記冷却要素(34)が、冷却材流体のための少なくとも1つの内部冷却流路を各々有し、前記冷却要素(34)が、各冷却装置(40)内で流体接続されている、複数の冷却装置(40)と、
前記冷却材流体を
前記冷却装置(40)から主コレクタ(6)に向けて排出するための各冷却装置に関連付けられた少なくとも1つの排出配管(5)と、を備え、
流量調整装置(7)が、前記排出配管(5)
内に直列に
一体化され、そこを通る、したがって前記冷却装置(40)を通る前記冷却材流体の流量を制御するように構成され、
前記流量調整装置(7)が、前記冷却材流体のためのデフォルトの最小流れ断面を画定する較正されたオリフィス(26、27)と、可変の追加の流れ断面を画定するように選択的に動作可能な調整弁(10)とを含むことを特徴とする、冶金炉用の冷却システム。
【請求項2】
前記調整弁(10)が、前記冷却装置(40)内の所定の位置に配置された1つまたは複数のセンサ装置(14)から受信したセンサ信号に応じて制御部(12)によって制御される自動弁である、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
1つまたは複数のセンサ装置が、各冷却装置内の所定の位置に配置された温度センサを含み、
前記制御部(12)が、前記センサ信号から判定された前記温度に基づいて前記調整弁を作動させるように構成される、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記調整弁(10)が、可動弁部材を含み、前記較正されたオリフィス(27)が、前記弁部材内に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記流量調整装置(7)が、
前記冷却装置(40)から前記冷却材流全体を受け取るように接続された第1の導管(18)であって、前記較正されたオリフィスが、前記第1の導管内に配置されている、第1の導管と、
前記調整弁(10)を備える、前記第1の導管と平行な第2の導管とを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記第2の導管(16)が、前記較正されたオリフィスの上流および下流に接続され、バイパスを形成する、請求項5に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記調整弁(10)が、バタフライ弁またはゲート弁を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記センサ装置(14)が、温度センサ、流量センサ、および圧力センサのうちの1つまたは複数を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記排出配管(5)が、第2の温度センサ(28)および/または流量計(30)および/または圧力センサおよび/または手動弁(32)をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記冷却要素(34)が互いに流体連通しており、前記冷却要素(34)が互いに垂直および/または水平に配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記複数の冷却装置(40)の各冷却装置(40-1、40-2、40-3、40-4)が、炉の所定の角度セクタを覆うように配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記排出配管(5)が、第1のセクション(5a)を備え、前記第1のセクション(5a)が、前記流体を中間コレクタ(4)に向けて導くための出口ライン(42)を備え、前記出口ライン(42)が、流量計(44)および/または温度センサ(46)および/またはシャトル弁(48)および/またはベント装置(50)のうちの少なくとも1つを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項13】
各冷却装置(40-1、40-2、40-3、40-4)が、複数の冷却流路を備える冷却要素の複数の垂直な列(41)から構成され、各列内で、前記冷却要素(34)が直列に流体接続されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記冷却装置の最下流の冷却要素の内部冷却材流路の一部が、一体化された流量調整装置(7)を有する第1の排出配管(5)の第1の中間コレクタ(4)に接続され、
前記冷却装置の最下流の冷却要素の内部冷却材流路の他の部分が、一体化された流量調整装置(7´)を有する第2の排出配管(5´)の第2の中間コレクタ(4´)に接続される、請求項13に記載の冷却システム。
【請求項15】
外側金属ジャケットと、請求項1から14項のいずれか一項に記載の冷却システムとを備える、シャフト炉、特に溶鉱炉であって、前記冷却要素が列状に配置されて前記外側金属ジャケットを保護し、前記冷却装置がそれぞれの角度セクタをそれぞれ覆うように構成された、シャフト炉、特に溶鉱炉。
【請求項16】
前記冷却システムが、各々が前記炉周囲の1つの四分円(2)を覆う4つの冷却装置(40-1、40-2、40-3、40-4)を備える、請求項17に記載のシャフト炉。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の冷却装置を備える冶金炉用の冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冶金炉内の冷却装置は、例えば溶鉱炉などの前述の炉から冷却材媒体/冷却材流体に熱を伝達するために使用される。このため、そのような炉の冷却装置は、前述の冷却材流体を案内するための内部冷却材流路を有する複数の冷却要素を提供する。冷却要素(例えば、冷却プレートまたは冷却ステーブ)は、高い動作温度からそれらを保護するために炉壁に沿って配置されてもよい。冷却材流体は、例えば水であってもよい。冶金炉の冷却装置を制御および作動させるために、適切な冷却システムを提供することが必要である。
【0003】
現在、冶金炉は、炉内、炉中または炉上に配置された複数の冷却要素を有する冷却装置を必要とする。しかしながら、これらの冷却装置は、通常、冷却装置の上流に配置された制御システムによって調整される。特許文献1(特開昭56-96005)には、このような制御システムが開示されている。冶金炉のこれらの冷却システムは、反応時間、炉を冷却するために使用される流体の量の観点から、また冷却要素に伝達される熱負荷に流量が通常依存する流体流量の自動調整を考慮すると、不利である。
【0004】
さらに、炉の作動中、炉の少なくともいくつかの領域、すなわちそれぞれの冷却要素が、他の領域よりも多くの摩耗/摩損を受けることがしばしば発生する。同様に、炉のいくつかの領域、すなわちそれぞれの冷却要素は、特定の高い熱負荷を受けるが、他の領域はより低い熱負荷にさらされる。これは、例えば、高い熱負荷の領域に取り付けられた銅ステーブが摩損または溶解を受け得るという事態をもたらし得る。これにより、これらの要素の故障のリスクが高まり、炉の完全な故障につながる可能性さえある。このため、信頼性が高く費用効果の高い、動作可能な冶金炉の冷却システムが一般的に必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、冶金炉用の改良された冷却システムを提供することである。
【0006】
この目的は、独立請求項1に記載の冷却システムによって達成される。
【0007】
本発明は、(典型的には炉壁に沿って配置される)冷却要素のセットをそれぞれ備える複数の冷却装置を備える冶金炉の冷却システムに関し、冷却要素は、冷却材流体のための少なくとも1つの内部冷却流路を有する。冷却要素は、各冷却装置内で、典型的には直列に流体接続される。少なくとも1つの排出配管が、冷却材流体を主コレクタに向けて排出するための各冷却装置に関連付けられる。
【0008】
流量調整装置は、排出配管内に直列に一体化され、そこを通る、したがって冷却装置を通る冷却材流体の流量を制御するように構成されることが理解されよう。流量調整装置は、冷却材流体のためのデフォルトの最小流れ断面を画定する較正されたオリフィスと、可変の追加の流れ断面を画定するように選択的に動作可能な調整弁とを含む。
【0009】
本発明は、冶金炉の冷却システムの要素の特定の構成が、各々が冷却要素のセットを有する複数の冷却装置内の流体の流量を正確に調節することができる修正された自動冷却システムを提供することを可能にするという知見に基づいている。冷却要素の各セットは、有利には、炉の相異なるセクタ/四分円に存在する相異なる熱負荷に合わせて媒体の流量が自動的に調節され得るように、(溶鉱)炉のセクタ、例えば角度セクタまたは四分円内、その中またはその上に垂直または水平に配置され得る。
【0010】
本発明はまた、本発明による冶金炉の冷却システムの設置が比較的費用効率が高く、既存の冷却装置および/または炉内、その中またはその上で特に容易に実施することができるという知見に基づいている。
【0011】
本発明はまた、冶金炉の冷却システムが冷却装置の下流に位置するときに冶金炉の前述の冷却システムの効率的な自動調節機構が提供され得るという知見に基づいている。冷却システムの自動調節機構により、所定のセットの冷却装置内、すなわちそれぞれの冷却要素のセットにおける冷却流体の流量を自動的に制御することができる。これに関連して、本冷却システムは、冷却装置の特定の排出配管内に配置された調整弁の選択的開放を実行するのに適しており、その結果、流体流量は、実際に必要とされる炉セクタにおいてのみ増加され得るが、他のセクタに配置された他の残りの冷却要素は、一定の、例えば低減された水流量で作動し続けることができる。さらに、提案された冷却システムは、炉の作動中の各瞬間に主コレクタへの流体の一定の流れを可能にすることができ、したがって、流体の停止のリスクが効果的に低減される。
【0012】
本発明はまた、(溶鉱)炉の熱流束に応じて、提案された冷却システムが、2つではなく1つのポンプのみで冷却装置を作動させることを可能にすることができ(ポンプは一般に冷却装置の上流に配置される)、作動ポンプは公称水流量の60~80%のみを提供し得るという知見に基づいている。したがって、作動ポンプの流量は、(溶鉱)炉のサイズに応じて、例えば、約1250m3/h~1750m3/hの体積範囲内とすることができる。
【0013】
さらに、本発明者らは、本発明が、特に炉の高熱負荷領域において、特定の判定可能な冷却装置、すなわちそれぞれの冷却要素の前で「足場」を生成、維持、および最大化するのにも適し得ることを驚くべきことに見出した。「足場」は、一般に、棚状またはドーム形状の構造、すなわち炉の内壁にあるそれぞれの閉塞を、特に、溶鉱炉の羽口、すなわちそれぞれのチューブの上に形成する、接着性の、部分的に融合した材料の蓄積を指す。炉の高熱負荷領域内の冷却要素の前の足場は、炉の要素の過剰な熱負荷および/または摩損または浸食摩耗に対する保護として機能することができる。さらに、冷却装置の冷却要素のセットの前に生成された足場は、前述の冷却要素内の流体の流れを減少させることさえ可能にすることができ、これは、例えば炉の作動中に必要とされるコークスの量に関して、コスト削減およびエネルギー節約につながることが分かった。さらなる結果として、また冷却流体、例えば水の量が減少するという事実により、炉は、より環境に優しい方法で、二酸化炭素排出量を低減して作動することができる。
【0014】
これに関連して、足場の制御は、冷却装置が、ほぼ垂直に延びる冷却要素の群として構成され、炉の角度セクタ(冷却要素の1つまたは複数の列)を覆う場合に特に効率的である。これにより、炉の相異なる円周方向位置で相異なる熱流束を制御することが可能になる。したがって、炉内周で局所的に発生する足場現象に作用することがより容易である。
【0015】
「冶金炉の冷却システム」は、一般に、冷却装置または複数の冷却装置のパラメータを制御、すなわちそれぞれ調整、適合、修正、変更、および/または設定するための構造を形成する、関連する装置、要素、および/または物体のグループを指す。複数の冷却装置の冷却装置は、同様または相異なるサイズおよび/または構造であってもよい。冶金炉の冷却システムは、例えば、冷却装置を通って流れる、すなわちそれぞれ循環する冷却材、例えば流体の流れを制御および/または調整するための1つまたは複数の装置を備えることができる。
【0016】
「冷却装置」、すなわちそれぞれの複数の冷却装置は、一般に、冶金炉などの物体からの熱を流体にまたは流体によって冷却するため、すなわちそれぞれ伝達するために使用および構成される冷却要素、例えば冷却パネルまたは冷却ステーブの組成物を指す。熱は、一般に、熱放射、熱伝導および/または熱対流などの様々な機構によって炉から冷却要素に伝達され得る。冶金用の冷却装置は、炉の高熱領域内、その上に、またはその中に取り付けられる1つまたは複数の冷却要素を備える。
【0017】
「冶金炉」は、一般に、任意の種類の工業炉、特に溶鉱炉、製錬炉、電気アーク炉、加熱炉、シャフト炉、フード炉、コンベヤベルト炉、または同様の炉を指す。
【0018】
「冷却要素のセット」は、一般に、複数の関連する冷却要素がセットを形成するように、互いに動作可能に接続された例えば冷却パネルおよび/または冷却ステーブなどの複数の冷却要素を指し、「セット」は、一般に、一緒に使用される同じ種類または同様の種類のいくつかの要素を指す。各冷却要素には、冷却装置の作動状態中に流体が流れる少なくとも1つの内部冷却材流路(一般に複数)が設けられる。各冷却装置は、炉のセクタ/領域、すなわちそれぞれの四分円内、その中またはその上にそれぞれ取り付けられ、設置され、設定され、または部分を形成することができる。特に、冷却装置の冷却要素の各セットは、炉の内壁および/または外壁に沿って取り付け、すなわちそれぞれ配置されてもよい。冷却要素は直列に接続されてもよい。「直列に接続された」とは、少なくとも1つの冷却要素が同じ冷却装置の下流および/または上流の冷却要素と流体連通する配置を指す。冷却要素が複数の内部冷却材流路を備える場合、冷却要素の各冷却材流路は、隣接する(上流および下流の)冷却要素の対応する冷却流路と直列に接続される。
【0019】
冶金炉の文脈では、冷却材流体は一般に水または水性流体であってもよいが、他の適切な冷却材を使用してもよい。
【0020】
「排出配管」は、一般に、冷却装置から主コレクタに向かって冷却流体を導くように構成された管の量またはシステムを指す。排出配管は、冷却材流路から冷却材を収集するための個別の配管を有する第1のセクションを備えてもよく、第1のセクションの配管は、流量調整装置を有する第2のセクションに収束する。中間コレクタは、すなわち、第1のセクションの配管から流れを受け取り、それを第2のセクションの単一の配管に分配するように接続されてもよく、流量調整装置は直列に接続される。
【0021】
「中間コレクタ」、すなわちそれぞれの中間(コレクタ)管は、同様に排出配管に含まれてもよい。「中間コレクタ」という用語は、一般に、チューブ、管、またはチューブ状もしくは円筒状の物体、流路、中空部分もしくは通路、または液体、気体、および/もしくは流体を導くように構成された任意の他の種類の空隙体を指す。したがって、中間コレクタは排出配管の一部であり、調整装置の上流および導入装置の下流に配置される。一般に、中間コレクタは、前述の流体が調整装置および/または主コレクタに導かれる、すなわちそれぞれ案内される前に、加熱された流体を収集することができる。中間コレクタは、内部冷却材流路を接続する複数の配管から出る流体を収集するようにさらに構成されてもよく、および/または収集された流体を1つまたは複数の流量調整装置に分配するように構成されてもよい。
【0022】
「調整する装置」、すなわちそれぞれの調整装置は、一般に、流体の流量および他の物理的特性を調整および/または判定するように構成された排出配管のサブシステムを指す。実施形態では、調整装置は、中間コレクタの下流および主コレクタの上流に位置、すなわちそれぞれ配置される。例えば、調整装置は、流量、したがって冷却装置内ならびに主コレクタ内の流体の体積流量ならびに圧力も調整、すなわちそれぞれ判定または調節することを可能にすることができる。調整装置は、例えば、第1および第2の導管をさらに備えてもよく、第1の導管および第2の導管は互いに流体連通している。第1の導管は、冷却流体の可変の流れ断面を画定するように選択的に動作可能な第1の調整弁を備えることができる。「調整弁」は、一般に、流体の流れおよび/または流れの特性を調整することを可能にする物体または構成要素を指す。例えば、調整弁は、流体の流量の可変的な調節を可能にするように構成された自動弁として形成されてもよい。調整弁は、第1の導管内に配置され、前述の第1の調整弁を作動させるための制御部に接続されてもよい。言い換えると、調整弁は、流体の流量を可変に調節するように構成されてもよい。第2の導管は、較正されたオリフィスを備えてもよく、あるいは、第2の導管は、第2の導管によって各瞬間に流体のデフォルトの流れが主コレクタに導かれることが可能になるように、第1の調整弁の較正されたオリフィスに接続されてもよい。調整装置は、主コレクタと直列に接続されてもよい。
【0023】
「主コレクタ」、すなわちそれぞれの排出管は、一般に、前述の流体が通過した後および/または調整装置にかけられた後に流体を排出するための管を指す。主コレクタは、中間コレクタと流体連通し、中間コレクタの下流に配置される。
【0024】
「オリフィス」は、冷却流体が通過することができる開口部、例えば口、穴または通路を指す。「較正されたオリフィス」という用語は、一般に、標準化されたオリフィス、例えば、流体の特定のデフォルトの最小流量の通過などの特定の機能を正確に調節するように正確に設計、すなわちそれぞれ測定または構成され、取り付けられたオリフィスを指す。したがって、較正されたオリフィスは、冷却材流体の対応するデフォルトの最小流れ断面を画定することができるが、調整弁は、可変の追加の流れ断面を画定するように選択的に作動することができる。
【0025】
「デフォルトの最小流れ断面」は、一般に、流体が各瞬間に調整装置から出ることができるように、流体の最小流量または流れを通過させるように構成された管またはチューブの断面を指す。較正されたオリフィスのデフォルトの最小流れ断面により、冷却装置内の流体の流れが停止することが防止される。言い換えれば、較正されたオリフィスは、あらかじめ判定可能な最小流量に従って、主コレクタへの流体のデフォルトの流れを生成し、案内し、すなわちそれぞれ導くように構成される。
【0026】
「制御部」は、一般に、電子システム、プログラマブル制御部、コンピュータ、プロセッサ、記憶流体、ユーザインターフェース、プログラム、ソフトウェアアプリケーション、または同様の要素のうちの少なくとも1つを備えるシステムを指す。制御部は、センサによって提供される信号を受信するように構成されてもよい。制御部は、アクチュエータに電子信号を伝達することによって第1の導管内の第1の調整弁を作動させるようにさらに構成されてもよい。
【0027】
一実施形態では、調整弁は、冷却装置内の所定の位置に配置された1つまたは複数のセンサ装置から受信したセンサ信号に応じて制御部によって制御される自動弁である。「センサ装置」は、環境の変化または状態を検出、測定、判定または監視するように構成された要素、システムまたは構造を指す。センサ装置、すなわちそれぞれのセンサは、例えば冷却装置内を循環する流体の温度などの(プロセス)パラメータを表す信号などの情報を送信するようにさらに構成されてもよい。情報は、センサ装置によって制御部にそれぞれ伝達されてもよい。センサ装置のおかげで、制御部は、測定値が所定の値または所定の値の範囲を満たすかどうかを判定することができる。そのような場合、制御部は、第1の調整弁を(部分的または全体的に)開閉させ、それによって調整装置内の流量を調節することができる。その結果、調整装置の上流に配置された冷却装置内の流体の流量も、所定の流量または所定の流量範囲に対応して調節される。第1の調整弁は、アクチュエータを有する自動弁をさらに備えてもよく、またはそれからなってもよく、アクチュエータは制御部に接続される。アクチュエータは、例えば、電気アクチュエータまたは空気圧アクチュエータであってもよい。
【0028】
一実施形態では、調整弁は可動弁部材を含み、較正されたオリフィスは弁部材に配置される。したがって、較正されたオリフィスは、弁が流体に少なくとも通路を提供するように、弁本体の一部であってもよい。
【0029】
一実施形態では、調整装置は、第1の導管および第2の導管を備え、第1の導管および第2の導管は互いに平行に配置され、第2の導管は較正されたオリフィスを備え、第1の導管は調整弁を備える。例えば、第2の導管内に配置された較正されたオリフィスは、オリフィスプレートの一部であってもよい。「オリフィスプレート」、すなわちそれぞれの制限プレートは、一般に、流体の流量を判定し、および/または圧力を低下させ、および/または流れを制限するように構成された要素を指す。オリフィスプレートは、その中に較正されたオリフィスを有する薄板として形成されてもよい。オリフィスプレートは、例えば、第2の導管内に配置されてもよい。流体、すなわちそれぞれの流体がオリフィスプレートを通過すると、その圧力はオリフィスの上流で増加し、オリフィスの下流では、その流体圧力が低下するにつれて速度が増加する。
【0030】
一実施形態では、調整弁はバタフライ弁として構成される。バタフライ弁は、任意の種類の調節可能な弁、特にディスクなどの回転可能要素を提示する閉鎖機構を有する弁を指すことができる。バタフライ弁は、比較的速く作動することができ、したがって流れの流量を迅速に調節するために使用することができる。
【0031】
一実施形態では、センサ装置は、温度センサ、流量センサ、圧力センサのうちの少なくとも1つを備えるか、またはそれからなる。温度センサは、流体の温度などの温度、および/または温度変化を判定するのに適した任意の種類のセンサであってもよい。流量センサは、流体の流れを判定するように構成された任意の種類のセンサであってもよい。圧力センサは、流体の圧力を判定するように構成された任意の種類のセンサであってもよい。
【0032】
一実施形態では、第1の導管は、第2の導管のバイパスとして構成される。または、任意選択で、第2の導管が、第1の導管のバイパスとして構成される。「バイパス」は、一般に、流れを方向転換するために使用されるチューブ、管、弁および/または中空体および/または同様の要素の任意の配置を指すことができる。バイパスの配置によって、あらかじめ判定可能な最小流量、すなわちそれぞれのデフォルト流量が調整装置を出て主コレクタに向かうことが可能になる。結果として、冷却装置内の流体の停止が防止される。
【0033】
一実施形態では、調整装置は、第2の温度センサおよび/または流量計および/または圧力センサおよび/または手動弁をさらに備える。第2の温度センサおよび/または流量計および/または圧力センサは、制御部に電気的に接続されてもよい。第2の温度センサおよび/または流量計および/または圧力センサの配置により、制御部は、調整装置内を流れる流体の追加のプロセスパラメータを判定することができる。手動弁は、例えばメンテナンスが必要な場合に、調整装置の手動遮断を可能にすることができる。
【0034】
一実施形態では、冷却要素は互いに流体連通しており、冷却要素は互いに垂直または水平に配置されている。炉壁上の冷却要素の配置は、前述の冷却要素が互いに対して水平または垂直に配置され得ることを可能にする。例えば、各々が複数の冷却要素を備える4つの冷却装置などの複数の冷却装置が炉に取り付けられる場合、炉の相異なるセクションが、相異なる流量で水平または垂直に配置された冷却要素によって冷却され得る。その結果、高い熱負荷が冷却要素に伝達される領域では流体の流れを増加させることができ、一方、通常または低い熱負荷が冷却要素に伝達される領域では流体の流れを減少させることができる。
【0035】
一実施形態では、複数の冷却装置の各冷却装置は、炉の四分円に配置される。「四分円」は、一般に、炉の角度セクタを指す。四分円は厳密に円周の90°を示すが、本明細書では、単一の冷却要素列に対応するものであっても、より小さい角度セクションを指定するために拡張によって使用される。冷却装置の相異なる四分円への配置および分離、すなわちそれぞれの分割は、溶鉱炉の相異なる角度部分が異なるように冷却され得ることを可能にする。その結果、その作動中の炉内のホットスポットの発生を防止することができる。
【0036】
セクションまたは四分円による制御は、典型的には列状に接続される冷却要素の通常の接続とは著しく異なることに留意されたい。冷却要素が列として接続されている場合、特定の角度セクタ(四分円)を異なるように制御することは不可能である。
【0037】
一実施形態では、排出配管は導入装置を備え、導入装置は、中間コレクタに向かって流体を導くための出口ラインを備え、出口ラインは、さらなる流量計および/またはさらなる温度センサおよび/またはシャトル弁および/またはベント装置のうちの少なくとも1つを備える。流体は、出口ラインを備える前記導入装置を介して冷却装置から中間コレクタに流れてもよく、中間コレクタは、流体を収集して少なくとも1つの調整装置に分配する。排出配管は、導入装置および調整装置を備えてもよい。(さらなる)流量計および(さらなる)温度センサは、プロセスパラメータ、例えば主コレクタの上流を循環する流体に関連するパラメータの監視を強化することを可能にする。シャトル弁ならびにベント装置、すなわちそれぞれのベント弁は、漏れを検出するために使用または構成されてもよい。
【0038】
本発明のこれらおよび他の態様および特徴はまた、従属請求項、添付の図面および実施形態の以下の説明から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
ここで、本発明の実施形態を、例として、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】冶金炉内の本冷却システムの一実施形態の原理図である。
【
図2】複数の冷却装置を備える本冷却システムの別の実施形態の概略図である。
【
図3】流量調整装置の代替実施形態の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明の一実施形態による冶金炉1の冷却システムの原理図である。
図1は、炉(図示せず)の領域/セクタ2に配置された冷却装置40を示し、冷却装置40は、複数の冷却要素34を有し、冷却要素34は、炉壁(図示せず)に沿って配置され、管36、38を介して互いに流体連通している。冷却要素34の各々は、1つまたは複数の内部冷却材流路(図示せず)を備えることができ、冷却要素34の内部冷却材流路の各々は、冷却要素34を隣接する上流および/または下流の冷却要素34に接続する対応する管36、38に接続、すなわちそれぞれ流体連通される。冷却要素(すなわち、それぞれの冷却流路)は、冷却装置40内で直列に接続されることが好ましい。この実施形態では、冷却要素34は、2つの内部冷却流路を有する。
【0041】
各冷却装置40は、冷却材流体を主コレクタ6に向かって排出するために、ここでは2つのセクション5aおよび5bからなる少なくとも1つの排出配管5に、下流側で接続される。
【0042】
排出配管の第2のセクション5bは、流量調整装置7を含む。第1のセクション5aは、最下流の冷却要素34から排出された冷却材を第2のセクション5bに向かって搬送するように設計されている。好ましくは、
図1に見られるように、それぞれの出口配管42が各冷却材流路に接続される。2つの出口配管42は、他端で中間コレクタ4と流体接続され、そこから流体が第2のセクション5bに流入する。
【0043】
第2のセクション5bは、一端で第1のセクション5aに、ここでは中間コレクタ4を通って接続され、他端で主コレクタ6に接続された配管18を備える。流量調整装置7は、上流配管セクション5aに入る冷却材流の全体が配管18の下流セクション、したがって主コレクタ6に到達するために流量調整装置7を通って流れなければならないように、配管18内に直列に一体化されている。結果として、流量調整装置7は、第2のセクション5bを通る、したがって冷却装置40内の対応する冷却材流路も通る冷却材流体の流量を制御することを可能にする。
【0044】
図1に示す実施形態では、流量調整装置7は、配管18に一体化されたいわゆるオリフィスプレート24を備える。オリフィスプレート24は、配管18を通る冷却材流体のためのデフォルトの最小流れ断面を画定する較正されたオリフィス26を備える。調整弁10は、可変の追加の流れ断面を画定するように選択的に動作可能である。オリフィス26によって画定される流れは、それが常に開いており固定されており、調整弁を通る流れがオリフィス26を通る流れに加わるという意味で最小である。
【0045】
冷却装置40は、炉、すなわち炉のそれぞれの所与のセクタ/領域2から冷却要素34の流路内を流れる冷却材流体に熱を伝達するように構成される。矢印M1およびM2は冷却材の流れ方向を示し、M1は冷却装置40における冷却材の入口流を表し、M2は主コレクタ6における冷却材の出口流を示す。冷却材流体は、冷却装置40から、配管42を備える第1のセクション5aを介して中間コレクタ4に流れる。中間コレクタ4は、冷却材流体を収集し、セクション5bの調整装置7に分配する。代替実施形態では、複数の調整装置7(
図1には示されていない)が、中間コレクタ4と主コレクタ6との間に互いに平行に配置されてもよいことに留意されたい。
【0046】
第1のセクション5aは、冷却装置40を出る冷却材流体の状態を監視するために装備されてもよい。したがって、流量計44および温度センサ46は、第1のセクション5aの配管42のうちの1つを通って流れる流体を監視するように構成される。また、各配管42には、(流れを遮断するための)シャトル弁48およびベント装置50が一体化される。流量計44、温度センサ46、シャトル弁48および/またはベント装置50は、制御部12によって遠隔操作可能であってもよい。
【0047】
図1に示す実施形態では、調整装置7は、冷却材流体の流量を制御するために使用される。より具体的には、既に示したように、オリフィスプレート24は、配管18に一体化される。典型的には交換可能な(例えば、2つの管端部の間にフランジが付けられている)オリフィスプレート24は、その所定の開いた断面に起因する流体のデフォルトの流れを可能にする較正されたオリフィス26を含む。このオリフィス26は常に開いている。参照符号16は、配管18と平行に流体連通して配置された別の導管を示し、この導管は、オリフィスプレート24の上流および下流に接続される。したがって、導管16は、オリフィスプレート24に関してバイパスを形成する。
【0048】
導管16は、そこを通る流体の流量を可変に調節するための調整弁10を備える。制御部12は、調整弁10を作動させるように構成される。アクチュエータ22は、調整弁10を作動させるように、すなわち、0から100%の間の流れ断面を画定するために弁部材を移動させるように、動作可能に結合される。
【0049】
較正されたオリフィス26(オリフィスプレート24内)により、冷却材流体の所定の最小流量は、常に主コレクタ6に向かって導かれ得る。必要に応じて、例えば、流体の温度が特定の所定の値を超えると制御部12が判定した場合、(アクチュエータ22を作動させることによって)調整弁10が開かれて、流れ断面を増加させる。この場合、流体のクロスフローが増加し、したがって、流体の体積流量も同様に増加する。自動化弁20は、例えば、バタフライ弁またはゲート弁であってもよい。
【0050】
例えば、較正されたオリフィス24が流れ断面D1を画定し、調整弁10が最大の(すなわち、調整弁が100%開いている場合の)流れ断面D2を有すると仮定する。
【0051】
デフォルトの流れ構成では、調整弁は閉じられ、したがって、調整装置7を通る流れは、D1に対応するオリフィス26によってのみ画定される。
【0052】
流量の増加が望まれる場合、制御部12は、調整弁10を作動させて開度%で示される特定の位置まで開く。したがって、調整装置7によって提供される総流れ断面は、D1+D2*(開度%)に対応する。
【0053】
調整弁10が全開(開度%=100%)である場合、排出配管5を通ってコレクタ6に向かう流れ断面積は、D1+D2である。
【0054】
D1=D2の場合、調整弁10が完全に開いているときに流れ断面を2倍にすることができる。
【0055】
遮断弁17は、有利には、導管16内の調整弁10の前後に配置することができる。これらの弁17は、作動中は開いており、メンテナンスのために調整弁10を隔離するために閉じられてもよい。これにより、排出配管7全体を停止することなく、調整弁10をメンテナンスすることができる。
【0056】
図3に示す代替実施形態では、較正されたオリフィス27を調整弁10に一体化することができ、調整弁は、弁が閉じられたときに配管18を通る流体のデフォルトの流れを可能にすることができる。オリフィス27は、例えば弁本体内に配置することができるが、好ましくは可動弁部材内、すなわち弁のフラップ部材またはゲート部材内に配置することができる。
【0057】
図1からさらに導き出すことができるように、冷却材の状態監視の目的のために、温度センサ28および流量計30が配管18内に配置され、任意選択的に圧力センサが配置される。温度センサ28および流量計30は、制御部12に電気的に接続されてもよい。参照符号32は、第2のセクション5bの入口にある弁を示し、このセクションへの流体の流れを開閉することを可能にする。
【0058】
第2のセクション5bの下流側に配置された追加の遮断弁29は、排出配管5から主コレクタ6への流れを開閉することを可能にする。閉鎖弁29および32は、メンテナンスの目的のために調整装置を隔離することを可能にする。弁29および32は、通常はメンテナンスまたは緊急の場合に使用されるので、一般に手動弁である。しかしながら、例えば制御部12を介して、それらの一方または両方に遠隔作動のためのアクチュエータを装備することが可能である。
【0059】
図1からさらに分かるように、調整装置7は、冷却装置40内、特に2つの隣接する冷却要素34の間の管36内の冷却材温度を表すセンサ信号を生成するセンサ装置14、すなわち温度センサをさらに備える。センサ装置14は、その信号を制御部12に伝達する。
【0060】
制御部12は、冷却装置40内の測定温度に応じて調整弁を作動させるように構成される。基本的に、弁10は、低温では閉じられているが、測定された温度が閾値に達したときに作動する。制御部は、例えば、弁開口部対測定温度を定義するテーブルを含むことができる。あるいは、制御部は、閉ループ制御システムを作動させることができ、それによって弁は、冷却装置内の所与の目標温度に達するように作動される(流れ断面を増加または減少させる)。
【0061】
図2は、冷却システムの別の実施形態を概略的に示し、複数の冷却装置が炉(図示せず)の相異なる領域に位置している。
図1を参照すると、同じまたは類似の要素を示すために同じ参照符号が使用されている。
【0062】
4つの冷却装置40-1~40-4の各々は、複数の冷却要素34を備える。当技術分野で知られているように、これらの冷却要素は、典型的には、シャフト/溶鉱炉ジャケットの内側、すなわち炉外壁を形成するほぼ円筒形の金属壁に沿って配置される。冷却要素は、典型的にはプレート状の形状を有し、当技術分野で知られているように、冷却要素の内側の高温面を保護するために、冷却要素の前に耐火材料の層が最初に形成される。下部冷却要素(斜線部分)は、温度がより高い炉の下部領域に位置する。これらの冷却要素は、銅(合金)体を備えてもよい。より低い温度にさらされる上部領域では、冷却要素は鋳鉄体を備えることができる。
【0063】
図2から導き出すことができるように、各装置40内の冷却要素34は、冷却材流体を案内するための複数の管36によって互いに流体連通している。図示の実施形態では、各冷却要素34は、冷却要素間に直列に接続された4つの内部冷却材流路を備える。
【0064】
上流側では、入口冷却材流M1は、主流M1が所望の温度および圧力を有するように従来のシステム(図示せず)で調整される。そのような従来のシステムは、1つまたは複数のポンプ、フィルタなどを含むことができる。入口流M1は、主分配器60(またはマニホールド)から中間分配器62に分配され、そこから内部冷却材流路に関連する入口ダクト64まで分配される。中間分配器62は、入口ダクト64のセットに冷却材を供給する。
【0065】
図示の実施形態では、入口ダクト64はペアでグループ化されている。冷却要素34は、4つの冷却流路を備え、各冷却装置40に対して2つの中間分配器62が使用される。各中間分配器62は、それぞれの入口ダクト64を介して2つの内部冷却材流路に接続されている。
【0066】
冷却要素34は、炉の金属ジャケットを覆うように、すなわち垂直および水平に(すなわち、円周方向に)炉の内部に配置される。
図2において、各冷却装置2の冷却要素34のセットは、垂直方向に直列に接続されている。
【0067】
各冷却装置2内で、冷却要素34は、炉の下部領域から上部領域まで延在し、冷却要素は直列に接続される。したがって、冷却材は、それぞれの冷却装置2の各冷却要素34を通って下から上へ連続的に流れる。
【0068】
図2の図では、各冷却装置40-1~40-4は、冷却要素34(ここでは7つ)の、41で示される1つの垂直列で示されている。実際には、各冷却装置40-1~40-4は、いくつかのそのような列41を平行に含む。1つの列41内の冷却要素34は、直列に接続されている。各冷却装置40-1~40-4における冷却要素34の数および列41の数は、溶鉱炉のサイズに依存する。例えば、列41は、4~15個の冷却要素34を含むことができ、それぞれの冷却装置40内の列41の数は、6~20の範囲とすることができる。これらは例示的な値にすぎず、限定として解釈されるべきではない。
【0069】
したがって、実際には、各冷却装置40-1~40-4は、シャフト炉の所与の角度部分をその高さにわたって覆うように取り付けられた冷却要素34の複数の列41を備え、その結果、冷却装置はシャフト炉の角度セクタ、または場合によっては四分円に対応すると言うことができる。
【0070】
特に
図2の実施形態を参照すると、4つの冷却装置40-1~40-4があり、これらはそれぞれ、溶鉱炉周囲の1/4、すなわち90°を覆うのに適した、冷却要素のいくつかの平行な列41を備える。したがって、各冷却装置40は、(2で示す)四分円に対応する。
【0071】
冷却システムの下流側では、冷却装置2から排出された高温冷却材がコレクタ6に収集される。流れM2は、通常、リサイクルされる前に、集水部および/または冷却塔に向けられる。
【0072】
各冷却装置40は、少なくとも1つの排出配管5によって主コレクタ6に接続される。より正確には、この実施形態は、冷却装置40ごとに(流量調整装置7、7´を有する)2つの排出配管5、5´を使用する。排出配管5の構成は、
図1の構成と同様である。
【0073】
内部冷却材流路の流れは、2つの排出配管5、5´上に分配される。
図2から理解されるように、各装置40の最上部(または最下流)の冷却要素34の冷却材流路の半分(ここでは2つ)は、第1のセクション5aを介して、第1の中間コレクタ4に接続され、第1の中間コレクタ4は、流量調整装置7を一体化する第2のセクション5bに接続される。冷却装置40の最上部の冷却要素34の各々の冷却材流路の他の部分は、セクション5a´を介して、第2の中間コレクタ4´に接続され、第2の中間コレクタ4´は、流量調整装置7´を一体化する第2のセクション5b´に接続される。
【0074】
図2に示す冷却システム1は、相異なる冷却装置40、すなわちそれぞれのセクタ/四分円を通る流量を下流側から個別に調節できるようにする。
図2からさらに導き出すことができるように、調整装置7、7´を有する少なくとも2つの排出配管5、5´は、冷却装置40を作動させるために平行に配置され、それによって各排出パイプ5、5´は、関連する四分円を通る冷却材流の半分を受け取る。
【0075】
説明した実施形態は、本発明の例である。実施形態の場合、それぞれの実施形態に関して記載された構成要素はそれぞれ、本発明の個々の特徴を表し、これらの特徴は互いに独立して考慮されるべきであり、また互いに独立して本発明をさらに発展させる。したがって、特徴はまた、個別に、または示された組み合わせ以外の組み合わせで本発明の構成要素と見なされるべきである。さらに、記載された実施形態は、既に記載された本発明のさらなる特徴によって補足することもできる。
【0076】
本発明のさらなる特徴および実施形態は、本開示および特許請求の範囲の文脈において当業者にもたらされる。
【符号の説明】
【0077】
1 冷却システム
2 炉のセクタまたは四分円
4 中間コレクタ
5 排出配管
6 主コレクタ
7 流量調整装置
10 調整弁
12 制御部
14 センサ装置
16 導管
18 導管
20 自動弁
22 アクチュエータ
24 オリフィスプレート
26 較正されたオリフィス
28 温度センサ
29 遮断弁
30 流量計
32 手動弁
34 冷却要素
36 配管
38 配管
40 冷却装置
42 出口ライン
44 流量計
46 温度センサ
48 シャトル弁
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【国際調査報告】