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特表2024-519526麦草廃棄物顆粒燃料の物理的および化学的性能の生物酵素による前処理調節方法
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  • 特表-麦草廃棄物顆粒燃料の物理的および化学的性能の生物酵素による前処理調節方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-15
(54)【発明の名称】麦草廃棄物顆粒燃料の物理的および化学的性能の生物酵素による前処理調節方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20240508BHJP
   D21C 11/00 20060101ALI20240508BHJP
   C12P 1/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
C10L5/44
D21C11/00
C12P1/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566506
(86)(22)【出願日】2023-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 CN2023099078
(87)【国際公開番号】W WO2023198227
(87)【国際公開日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】202210373029.9
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523406130
【氏名又は名称】斉魯工業大学(山東省科学院)
【氏名又は名称原語表記】QILU UNIVERSITY OF TECHNOLOGY(SHANDONG ACADEMY OF SCIENCES)
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 正展
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(72)【発明者】
【氏名】陳 嘉川
(72)【発明者】
【氏名】楊 桂花
(72)【発明者】
【氏名】吉 興香
(72)【発明者】
【氏名】林 兆雲
(72)【発明者】
【氏名】王 宝斌
(72)【発明者】
【氏名】薛 藍馨
【テーマコード(参考)】
4B064
4H015
4L055
【Fターム(参考)】
4B064AH19
4B064CA21
4B064CD24
4B064DA20
4H015AA12
4H015AB01
4H015BA01
4H015BB03
4H015BB06
4H015BB11
4H015CA03
4H015CB01
4L055BA39
4L055BC00
(57)【要約】
本発明は、バイオベース材料の製造の分野に属する麦草廃棄物顆粒燃料の物理的および化学的性能の生物酵素による前処理調節方法に関する。前記製造方法は、麦草廃棄物に対して生物酵素前処理を実行し、乾燥させ、酵素前処理後の麦草廃棄物を得て、前記酵素前処理後の麦草廃棄物とパルプ製造廃液を均一に混合し、加熱して押し出して成型し、得ることを含む。本発明の製造方法は簡単で、操作に便利で、実用性が強く、環境に優しく、麦草廃棄物系顆粒燃料の物理的および化学的性能を改善し、現在のパルプ製造中における固形廃棄物と廃液の高価値に利用しにくいという問題を解決できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
麦草廃棄物顆粒燃料の物理的および化学的性能の生物酵素による前処理調節方法は、
麦草廃棄物に対して生物酵素前処理を実行し、乾燥させ、酵素前処理後の麦草廃棄物を得て、
前記酵素前処理後の麦草廃棄物とパルプ製造廃液を均一に混合し、加熱して押し出して成型し、麦草廃棄物顆粒燃料を得ることを含む麦草廃棄物顆粒燃料の物理的および化学的性能の生物酵素による前処理調節方法。
【請求項2】
使用のために、麦草廃棄物を乾燥させて準備するステップと、
酵素を緩衝溶液に追加した後、前記乾燥した麦草廃棄物を加えて混合して撹拌し、酵素処理した麦草廃棄物を得るステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生物酵素前処理で使用される酵素は、リパーゼ、キシラナーゼまたはセルラーゼのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記生物酵素前処理で使用される酵素は、リパーゼ、キシラナーゼ及びセルラーゼであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記生物酵素前処理で使用される条件は、前処理温度50~60℃、前処理の緩衝溶液pH 5.0~5.5、前処理時間6~8hであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
生物酵素の質量は、麦草廃棄物の質量の0.50~0.80wt%であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記麦草廃棄物の粒径は0.22mmより大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記生物酵素前処理は、
麦草廃棄物を60メッシュのふるいでふるいにかけて粒径0.22mmより大きい麦草廃棄物を得て、使用のために105℃条件下で4h乾燥させて準備するステップと、
pH5.0の緩衝溶液を調合し、前処理温度を50℃に制御し、固形廃棄物含有量の0.50wt%の生物酵素を追加し、10min撹拌し、次に、麦草廃棄物を加えて混合し、6h撹拌するステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記パルプ廃液は、パルプ黒液であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記酵素前処理後の麦草廃棄物とパルプ廃液の混合物では、酵素前処理後の麦草廃棄物の質量割合は72.0~74.0%であり、パルプ廃液の固形物の質量は24.0~26.0%であり、水の質量割合は2.0~3.0%であり、3つのパーセントの合計は100%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
加熱と押出成型の特定の条件は、圧力が6~8MPa、温度が100~120℃であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記乾燥の温度は60~65℃であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法で得られた麦草廃棄物顆粒燃料。
【請求項14】
クリーンエネルギ分野における請求項13に記載の麦草廃棄物顆粒燃料の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2022年4月11日に中国特許庁に提出され、出願番号CN202210373029.9、発明の名称「麦草廃棄物顆粒燃料の物理的および化学的性能の生物酵素による前処理調節方法」の中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、バイオベース材料の製造の分野に属し、具体的には麦草廃棄物顆粒燃料の物理的および化学的性能の生物酵素による前処理調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グローバルなエネルギー変換の重要な瞬間に、持続可能なグリーンクリーンエネルギーとしての農業廃棄物繊維原料は、持続可能な再生可能クリーンエネルギとして、研究者の注目の焦点になっている。麦草の備蓄量は膨大であるが、利用率は低く、開発と利用の大きな可能性がある。麦草は、パルプ化および製紙産業の繊維原料の1つであるが、麦草のパルプ製造は、材料準備からパルプになるプロセス全体中に、主に材料準備段階に生成された麦草廃棄物、前処理および磨砕プロセスに生成された廃液を含む一部の廃棄物及び廃液を生成する。固形廃棄物が収集された後、大量のスペースが占有され、前処理とパルプ製造中によって生成される廃液には、大量の溶存有機物が含まれ、これらはすべて、パルプ化および製紙企業の汚染物負荷になり、該部分の材料を最大限に活用して、バイオマス顆粒燃料に加工して製造すると、紙工場の固形廃棄物の蓄積と廃液の処理をしにくいという問題を効果的に改善することができる。したがって、これらの廃棄物及び廃液をどのように効果的に使用して、それを高付加価値のあるバイオマスエネルギー製品に変換することは、現在の草類のバイオマス繊維原料が製紙のために解決する必要がある技術的なボトルネックの1つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の問題を解決するために、本発明は、生物酵素調節により前処理された、麦草の生化学機械パルプ製造中に生成した固体残留物とパルプ製造中に生成した廃液を利用して顆粒燃料を製造する方法を提供する。麦草廃棄物を最初に生物酵素で前処理調節し、次に麦草のパルプ製造中に各段階に生成された廃液と、一定の質量比で混合し、加熱することにより、より良好に結合して成型させ、顆粒燃料を得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の技術的目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を採用する。
【0005】
本発明の第1の態様は、
麦草廃棄物に対して生物酵素前処理を実行し、乾燥させ、酵素前処理後の麦草廃棄物を得て、
前記酵素前処理後の麦草廃棄物とパルプ製造廃液を均一に混合し、加熱して押し出して成型し、麦草廃棄物顆粒燃料を得ることを含む麦草廃棄物顆粒燃料の物理的および化学的性能の生物酵素による前処理調節方法を提供する。
【0006】
本発明は、生物酵素を使用して、麦草の化学機械的パルプ製造中に生成した固形廃棄物及び廃液の性能を前処理調節し、低コストで環境に優しい顆粒燃料を製造する。
【0007】
本発明の第2の態様は、いずれか一項の上記方法によって製造された麦草廃棄物顆粒燃料を提供する。
【0008】
本発明の第3の態様は、クリーンエネルギの分野における上記麦草廃棄物顆粒燃料の使用を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
(1)本発明で使用されている麦草の生化学的機械パルプ製造中に生成される固形廃棄物麦草廃棄物及び廃液は、廃棄物の高付加価値の利用の利点を有する。
(2)本発明の顆粒燃料には、主にC、H、およびOの3つの要素が含まれ、燃焼によって生成されるガスは主にCOであり、クリーン製品である。
(3)本発明の前処理に使用される生物酵素は、無毒無味で環境にやさしい。
(4)本発明の製造方法は簡単で実用的であり、経済的および環境的な利点が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の一部を形成する添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために使用され、本発明の例示的な実施例およびそれらの説明は、本発明を説明するために使用され、本発明の不適切な制限を構成するものではない。
図1】本発明の各実施例及び比較例で製造された麦草廃棄物顆粒燃料物理図/サンプルの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明はすべて例示的なものであり、本発明のさらなる説明を提供することを意図していることに留意されたい。特に明記しない限り、本発明で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0012】
本発明の1番目の目的は、麦草の生化学的機械パルプ製造中の固形廃棄物と廃液のリサイクルの問題を解決することである。
【0013】
本発明の2番目の目的は、麦草廃棄物顆粒燃料性能の生物酵素による前処理調節方法を提供することである。
【0014】
本発明3番目の目的は、麦草パルプ製造中の廃棄物及び廃液を利用して顆粒燃料を製造する方法を提供することである。
【0015】
この目的のために、本発明は、生物酵素調節の麦草廃棄物/パルプ製造廃液系顆粒燃料の製造方法を提供し、具体的には、
工場麦草材料準備中によって生成された麦草廃棄物を生物酵素前処理し、次に、特定の割合で、パルプ廃液と混合し均一に撹拌して、加熱して押出成型して顆粒燃料を得るステップを含む。
【0016】
いくつかの実施例において、前記麦草廃棄物は、60メッシュの標準ふるいにかけた後、60メッシュ(0.22mm)より大きい麦草廃棄物であり、
いくつかの実施例において、前記酵素は、リパーゼ、キシラナーゼ及びセルラーゼを含む。
【0017】
いくつかの実施例において、前記パルプ製造中の廃液は、パルプ黒液である。
【0018】
いくつかの実施例において、酵素前処理は、麦草廃棄物を60メッシュのふるいにかけて粒径0.22mmより大きい麦草廃棄物を得て、使用のために105℃条件下で4h乾燥させて準備し、pH5.0の緩衝溶液を調合し、前処理温度を50℃に制御し、0.05g(固形廃棄物含有量の0.50wt%)リパーゼ/キシラナーゼ/セルラーゼを加えて処理し、10min撹拌し、次に、10g麦草廃棄物を加えて混合し、6h撹拌し、リパーゼ/キシラナーゼ/セルラーゼで処理された麦草廃棄物を60℃のオーブンに入れて乾燥させて使用に備えることである。
【0019】
いくつかの実施例において、前記顆粒燃料の具体的な製造ステップは、上記酵素前処理後の麦草廃棄物に一定量の廃液を加えて均一に混合して乾燥処理し、麦草廃棄物の質量割合は74.0%であり、廃液における固形物の質量割合は24.0%であり、混合物における水の質量割合は2.0%であり、該混合物1.0gを成形金型スリーブ内に添加し、圧力6MPa、温度100℃の条件下で油圧プレスにおいて圧縮成形し、その密度、熱価及び機械性能を測定することである。ここでパルプ廃液に含まれる多糖類とリグニンの両方が、バインダーとして使用することができる特定の接着性能を有し、燃焼の性能を向上させることもできる。
【0020】
いくつかの実施例において、顆粒燃料は、油圧プレスを介して圧縮され成形した。
【0021】
以下、具体的な実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明し、前記具体的な実施例は、本発明を限定するものではなく、説明であることに留意されたい。
【0022】
次の実施例及び比較例の黒液はすべて、ある製紙工場から取ったパルプ黒液である。
【0023】
比較例1
顆粒燃料の製造及び性能の測定:60メッシュのスクリーンでふるいにかけた粒径0.22mm以下の麦草廃棄物を105℃の条件下で4h乾燥させ、次に10.0wt%の脱イオン水を加えて混合して均一に撹拌し、次に1.0gの十分に均一に混合した麦草廃棄物を成形金型スリーブ内に入れ、液圧プレスの圧力6MP、常温条件下で圧縮成形した。その密度を測定し、また、バイオマス顆粒燃料の熱価を熱量計により測定し、万能試験機を介してその水平圧縮強度を測定した。
【0024】
比較例2
顆粒燃料の製造及び性能の測定:60メッシュのふるいにかけて残した粒径0.22mm以上の麦草廃棄物を105℃条件下で4h乾燥させ、次に10.0wt%の脱イオン水を加えて混合して均一に撹拌し、次に1.0gの十分に均一に混合した麦草廃棄物を成形金型スリーブ内に入れ、油圧プレス圧力6MPa、常温条件下で圧縮成形した。その密度を測定し、また、顆粒燃料の熱価を熱量計ーにより測定し、万能試験機を介してその水平圧縮強度を測定した。
【0025】
比較例3
顆粒燃料の製造及び性能の測定:60メッシュのふるいにかけて残した粒径0.22mm以上の麦草廃棄物を105℃の条件下で4h乾燥させ、次に一定量の黒液を加えて均一に混合し且つ乾燥処理して麦草廃棄物の質量割合を74.0%、廃液における固形物の質量割合を24.0%、混合物における水の質量割合を2.0%にし、1.0gの乾燥後の麦草廃棄物/廃液混合物を成形金型スリーブ内に入れ、油圧プレス圧力6MPa、常温条件下で圧縮成形した。その密度を測定し、また、顆粒燃料の熱価を熱量計ーにより測定し、万能試験機を介してその水平圧縮強度を測定した。
【0026】
実施例1
(1)顆粒燃料の生物酵素処理:60メッシュのふるいにかけて残した粒径0.22mm以上の麦草廃棄物を105℃の条件下で4h乾燥させ使用に備え、pH5.0の緩衝溶液を調製し、前処理温度を50℃に制御し、0.05g(固形廃棄物含有量の0.50%を占め)キシラナーゼを加えて処理し、10min撹拌し、次に、10g麦草廃棄物を加えて混合し、6h撹拌し、キシラナーゼで前処理された麦草廃棄物を60℃のオーブンに入れて乾燥させて使用に備えた。
(2)顆粒燃料の製造及び性能の測定:上記キシラナーゼで処理した麦草廃棄物に一定量の黒液を加えて均一に混合し且つ乾燥処理し、ここで麦草廃棄物の質量割合は74.0%、廃液における固形物の質量割合は24.0%であり、混合物における水の質量割合は2.0%であり、1.0gの乾燥後の麦草廃棄物/廃液混合物を成形金型スリーブ内に入れ、油圧プレス圧力6MPa、温度100℃の条件下で圧縮成形した。顆粒燃料の密度を測定し、顆粒燃料の熱価を熱量計ーにより測定し、万能試験機を介してその水平圧縮強度を測定した。
【0027】
実施例2
(1)顆粒燃料の酵素処理:60メッシュのふるいにかけて残した粒径0.22mm以上の麦草廃棄物を105℃の条件下で4h乾燥させ使用に備え、pH5.0の緩衝溶液を調製し、前処理温度を50℃に制御し、0.05g(固形廃棄物含有量の0.50%を占め)リパーゼを加えて処理し、10min撹拌し、次に、10g麦草廃棄物を加えて混合し、6h撹拌し、リパーゼで処理された麦草廃棄物を60℃のオーブンに入れて乾燥させて使用に備えた。
(2)顆粒燃料の製造及び性能の測定:上記リパーゼで処理した麦草廃棄物に一定量の黒液を加えて均一に混合し且つ乾燥処理し、ここで麦草廃棄物の質量割合は74.0%であり、廃液における固形物の質量割合は24.0%であり、混合物における水の質量割合は2.0%であり、1.0gの乾燥後の麦草廃棄物/廃液混合物を成形金型スリーブ内に入れ、油圧プレス圧力6MPa、温度100℃の条件下で圧縮成形した。顆粒燃料の密度を測定し、顆粒燃料の熱価を熱量計ーにより測定し、万能試験機を介してその水平圧縮強度を測定した。
【0028】
実施例3
(1)顆粒燃料の酵素処理:60メッシュのふるいにかけて残した粒径0.22mm以上の麦草廃棄物を、105℃条件下で4h乾燥させて使用に備え、pH5.0の緩衝溶液を調製し、ウォーターバスの温度を50℃に制御し、0.05g(固形廃棄物含有量の0.50%を占め)セルラーゼを加えて処理し、10min撹拌し、次に、10g麦草廃棄物を加えて混合し、6h撹拌し、セルラーゼで処理された麦草廃棄物を60℃のオーブンに入れて乾燥させて使用に備えた。
(2)顆粒燃料の製造及び性能の測定:上記セルラーゼで処理した麦草廃棄物に一定量の黒液を加えて均一に混合し且つ乾燥処理し、麦草廃棄物の質量を74.0%、廃液における固形物の質量を24.0%、混合物における水の質量を2.0%にし、1.0gの乾燥後の麦草廃棄物/廃液混合物を成形金型スリーブ内に入れ、油圧プレス圧力6MPa、温度100℃の条件下で圧縮成形した。顆粒燃料の密度を測定し、顆粒燃料の熱価を熱量計ーにより測定し、万能試験機を介してその水平圧縮強度を測定した。
【0029】
実施例4
(1)顆粒燃料の酵素処理:60メッシュのふるいにかけて残した粒径0.22mm以上の麦草廃棄物を105℃の条件下で4h乾燥させ使用に備え、pH5.0の緩衝溶液を調製し、前処理温度を50℃に制御し、0.05g(固形廃棄物含有量の0.50%を占め)キシラナーゼ/セルラーゼを加えて処理し、10min撹拌し、次に、10g麦草廃棄物を加えて混合し、6h撹拌し、キシラナーゼ/セルラーゼで処理された麦草廃棄物を60℃のオーブンに入れて乾燥させて使用に備えた。
(2)顆粒燃料の製造及び性能の測定:上記キシラナーゼ/セルラーゼで処理した麦草廃棄物に一定量の黒液を加えて均一に混合し且つ乾燥処理し、麦草廃棄物の質量割合を74.0%、廃液における固形物の質量割合を24.0%、混合物における水の質量割合を2.0%にし、乾燥後の麦草廃棄物/廃液混合物1.0gを成形金型スリーブ内に入れ、油圧プレス圧力6MPa、温度100℃の条件下で圧縮成形した。顆粒燃料の密度を測定し、顆粒燃料の熱価を熱量計ーにより測定し、万能試験機を介してその水平圧縮強度を測定した。
【0030】
実施例5
(1)顆粒燃料の酵素処理:60メッシュのふるいにかけて残した粒径0.22mm以上の麦草廃棄物を105℃の条件下で4h乾燥させ使用に備え、pH5.0の緩衝溶液を調製し、前処理温度を50℃に制御し、0.05g(固形廃棄物含有量の0.50%を占め)リパーゼ/キシラナーゼ/セルラーゼを加えて処理し、10min撹拌し、次に、10g麦草廃棄物を加えて混合し、6h撹拌し、リパーゼ/キシラナーゼ/セルラーゼで処理された麦草廃棄物を60℃のオーブンに入れて乾燥させて使用に備えた。
(2)顆粒燃料の製造及び性能の測定:上記リパーゼ/キシラナーゼ/セルラーゼで処理した麦草廃棄物に一定量の黒液を加えて均一に混合し且つ乾燥処理し、麦草廃棄物の質量割合を74.0%、廃液における固形物の質量割合を24.0%、混合物における水の質量割合を2.0%にし、1.0gの乾燥後の麦草廃棄物/廃液混合物を成形金型スリーブ内に入れ、油圧プレス圧力6MPa、温度100℃の条件下で圧縮成形した。顆粒燃料の密度を測定し、顆粒燃料の熱価を熱量計ーにより測定し、万能試験機を介してその水平圧縮強度を測定した。
【0031】
原料の分析:
測定方法は、麦草廃棄物におけるセルロース、ヘミセルロース、酸不溶性リグニン含有量をNREL法に応じて測定し、元素組成分析を、自動要素分析器によって測定し、パルプ廃液におけるリグニン含有量を、紫外分光光度計によって吸光度を測定して計算し、糖成分の含有量を、ICS5000+イオンクロマトグラフによって測定することであり、測定結果を表1及び表2に示す。
【0032】
表1 麦草材料から準備した廃棄物の化学成分及び元素組成分析(%)
【表1】

【0033】
表2 黒液成分及び含有量の分析
【表2】

【0034】
表3 バイオマス顆粒燃料の物理的および化学的性能分析
【表3】
【0035】
最後に、上記の説明は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定することを意図するものではないことに留意されたい。本発明は前述の実施例を参照して詳細に説明されているが、当業者にとって、それらは、前述の実施例に記載された技術的解決手段を依然として修正することができるか、またはそれらの一部を同等に置き換えることができる。本発明の精神と原則におけるいかなる修正、同等の置換、改善などはすべて、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
麦草廃棄物顆粒燃料の物理的および化学的性能の生物酵素による前処理調節方法は、
麦草廃棄物に対して生物酵素前処理を実行し、乾燥させ、酵素前処理後の麦草廃棄物を得て、
前記酵素前処理後の麦草廃棄物とパルプ製造廃液を均一に混合し、加熱して押し出して成型し、麦草廃棄物顆粒燃料を得ることを含む麦草廃棄物顆粒燃料の物理的および化学的性能の生物酵素による前処理調節方法。
【請求項2】
使用のために、麦草廃棄物を乾燥させて準備するステップと、
酵素を緩衝溶液に追加した後、前記乾燥した麦草廃棄物を加えて混合して撹拌し、酵素処理した麦草廃棄物を得るステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生物酵素前処理で使用される酵素は、リパーゼ、キシラナーゼまたはセルラーゼのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生物酵素前処理で使用される酵素は、リパーゼ、キシラナーゼ及びセルラーゼであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記生物酵素前処理で使用される条件は、前処理温度50~60℃、前処理の緩衝溶液pH5.0~5.5、前処理時間6~8hであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
生物酵素の質量は、麦草廃棄物の質量の0.50~0.80wt%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記麦草廃棄物の粒径は0.22mmより大きいことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記生物酵素前処理は、
麦草廃棄物を60メッシュのふるいでふるいにかけて粒径0.22mmより大きい麦草廃棄物を得て、使用のために105℃条件下で4h乾燥させて準備するステップと、
pH5.0の緩衝溶液を調合し、前処理温度を50℃に制御し、固形廃棄物含有量の0.50wt%の生物酵素を追加し、10min撹拌し、次に、麦草廃棄物を加えて混合し、6h撹拌するステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記酵素前処理後の麦草廃棄物とパルプ廃液の混合物では、酵素前処理後の麦草廃棄物の質量割合は72.0~74.0%であり、パルプ廃液の固形物の質量は24.0~26.0%であり、水の質量割合は2.0~3.0%であり、3つのパーセントの合計は100%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法で得られた麦草廃棄物顆粒燃料。
【国際調査報告】