(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-15
(54)【発明の名称】安全エアバッグ
(51)【国際特許分類】
B60R 21/214 20110101AFI20240508BHJP
B60R 21/2338 20110101ALI20240508BHJP
B60R 21/2346 20110101ALI20240508BHJP
【FI】
B60R21/214
B60R21/2338
B60R21/2346
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567004
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 CN2022079710
(87)【国際公開番号】W WO2022252728
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202121194150.2
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】メン,チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ティン
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA02
3D054AA03
3D054AA04
3D054AA07
3D054AA20
3D054CC04
3D054CC10
3D054CC11
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、車両の上部に取り付けられる安全エアバッグ(10)であって、膨張状態及び詰め込まれた状態を有するエアバッグを含み、エアバッグは、互いに流体連通するように構成された第1のエアバッグ(11)及び第2のエアバッグ(12)を含み、第1のエアバッグ(11)は、エアバッグが膨張状態にあるときに第2のエアバッグ(12)を越えて前後方向に延び、第2のエアバッグ(12)は、第1の側部フランク(121)及び第2の側部フランク(122)によって形成され、乗員頭部を収容するために使用される凹部を有し、安全エアバッグ(10)は、第1のエアバッグ(11)と第2のエアバッグ(12)との接続位置に提供されたガイド(13、13A、13B、13C)を更に備え、ガイド(13、13A、13B、13C)は、第1のエアバッグ(11)及び第2のエアバッグ(12)のうちの一方のガス流を他方に向けて案内するために使用されることを特徴とする、安全エアバッグ(10)に関する。安全エアバッグは、構造が簡単であり、製造コストが低い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の上部に取り付けられる安全エアバッグ(10)であって、
膨張状態及び詰め込まれた状態を有するエアバッグを備え、
前記エアバッグは、互いに流体連通するように構成された第1のエアバッグ(11)及び第2のエアバッグ(12)を備え、前記第1のエアバッグ(11)は、前記エアバッグが前記膨張状態にあるときに前記第2のエアバッグ(12)を越えて前後方向に延び、前記第2のエアバッグ(12)は、第1の側部フランク(121)及び第2の側部フランク(122)によって形成され、乗員頭部を収容するために使用される凹部を有し、
前記安全エアバッグ(10)は、前記第1のエアバッグ(11)と前記第2のエアバッグ(12)との接続位置に提供されたガイド(13、13A、13B、13C)を更に備え、前記ガイド(13、13A、13B、13C)は、前記第1のエアバッグ(11)及び前記第2のエアバッグ(12)のうちの一方のガス流を他方に向けて案内するために使用されることを特徴とする、安全エアバッグ(10)。
【請求項2】
連通口は、前記第1のエアバッグ(11)と前記第2のエアバッグ(12)との対向面の一部にのみ設けられ、前記ガイド(13、13A、13B、13C)は前記連通口に設けられ、前記第1のエアバッグ(11)と前記第2のエアバッグ(12)とは前記連通口においてのみ接続されて、前記膨張状態における前記第1のエアバッグ(11)と前記第2のエアバッグ(12)との相対変位を許容する、請求項1に記載の安全エアバッグ(10)。
【請求項3】
前記ガイド(13、13A、13B、13C)は、方向転換部(132、132A、132B、132C)を含み、前記方向転換部(132、132A、132B、132C)に流れるガスは遮断され、したがって方向を変える、請求項2に記載の安全エアバッグ(10)。
【請求項4】
前記ガイド(13、13A、13B、13C)は、前記方向転換部(132、132A、132B、132C)に隣接する案内部(131、131A、131B、131C)を更に備え、前記ガスは、前記方向転換部(132、132A、132B、132C)によって前記方向が転換された後に前記案内部(131、131A、131B、131C)によって案内される、請求項3に記載の安全エアバッグ(10)。
【請求項5】
前記ガイド(13、13A、13B、13C)は一枚のシートで形成されるように構築され、前記方向転換部(132、132A、132B、132C)は前記一枚のシートの一部分で構築され、前記案内部(131、131A、131B、131C)は前記一枚のシートの開口部になるように構築されている、請求項4に記載の安全エアバッグ(10)。
【請求項6】
複数の方向転換部(132、132A、132B、132C)が設けられ、複数の案内部(131、131A、131B、131C)が設けられ、前記方向転換部(132、132A、132B、132C)と前記案内部(131、131A、131B、131C)とは交互に配置されている、請求項5に記載の安全エアバッグ(10)。
【請求項7】
前記第1のエアバッグ(11)は、前記膨張状態において平坦になるように構成される、請求項1に記載の安全エアバッグ(10)。
【請求項8】
前記第1の側部フランク(121)及び前記第2の側部フランク(122)は、同じ布片によって形成される、請求項7に記載の安全エアバッグ(10)。
【請求項9】
前記第1の側部フランク(121)は、前記凹部を形成するための第1の内側面を含み、前記第2の側部フランク(122)は、前記凹部を形成するための第2の内側面を含み、前記第1の内側面と前記第2の内側面とは互いに隣接している、請求項8に記載の安全エアバッグ(10)。
【請求項10】
第1のプルストラップと、第2のプルストラップとを更に備え、第1のプルストラップは、前記第1のエアバッグ(11)の内側に設けられ、厚さ方向に前記第1のエアバッグ(11)の2つの側面に固定されるように構築されており、前記第2のプルストラップは、前記第2のエアバッグ(12)の内側に設けられるように構築されており、その一端は、前記第2のエアバッグ(12)の前側に接続されるように構築されており、前記プルストラップの他端は、前記第1の側部フランクと前記第2の側部フランクとの間に接続されるように構築されている、請求項1に記載の安全エアバッグ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の安全装置に関し、特に安全エアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
安全エアバッグは、乗員を保護するための安全装置として既存の車両内で広く使用されている。安全エアバッグは、例えば、ステアリングホイール内に配置された安全エアバッグ、ダッシュボード内に配置された安全エアバッグ、又は車両の上部において配置されたオーバーヘッド安全エアバッグである。車両がぶつかった又は衝突したとき、安全エアバッグのガス発生器は、ガス発生器に接続されたワイヤハーネスによって送信された信号を受信して、噴射剤に点火する。次いで、燃焼する噴射剤によって発生したガスは、安全エアバッグの収納された空気袋を急速に膨張させ、膨張した空気袋は、衝突による障害から乗員を保護するように拡張する。
【0003】
しかしながら、統計的には、2台の車両が正面衝突する確率は低いが、車両の前面が斜めに衝突する確率、すなわち、斜め衝突が発生する確率は高い。しかしながら、斜め衝突中に、乗員の頭部及び胸部は、安全エアバッグの空気袋から滑り落ちることがある。したがって、乗員の頭部及び胸部は、安全エアバッグの空気袋の保護領域内にもはや位置せず、代わりに車両内の他の構造にぶつかり、よって、損傷を受ける。その結果、従来技術の安全エアバッグは、衝突時に乗員がエアバッグの保護領域内に位置することを保証することが困難であるので、安全エアバッグは信頼性及び安全性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、高い信頼性及び良好な安全性を有する安全エアバッグが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、高い信頼性及び安全性を有する安全エアバッグを提供することである。また、本発明の安全エアバッグは、簡単な構造及び低い製造コストの目的を達成することができる。
【0006】
本発明は、車両の上部に取り付けられる安全エアバッグであって、
膨張状態及び詰め込まれた状態を有するエアバッグを備え、
エアバッグは、互いに流体連通するように構成された第1のエアバッグ及び第2のエアバッグを備え、第1のエアバッグは、エアバッグが膨張状態にあるときに第2のエアバッグを越えて前後方向に延び、第2のエアバッグは、第1の側部フランク及び第2の側部フランクによって形成され、乗員頭部を収容するために使用される凹部を有し、
安全エアバッグは、第1のエアバッグと第2のエアバッグとの接続位置に提供されたガイドを更に備え、ガイドは、第1のエアバッグ及び第2のエアバッグのうちの一方のガス流を他方に向けて案内するために使用されることを特徴とする、安全エアバッグ。
【0007】
本発明の実施形態によれば、連通口は、第1のエアバッグと第2のエアバッグとの対向面の一部にのみ設けられ、ガイドは連通口に設けられ、第1のエアバッグと第2のエアバッグとは連通口においてのみ接続されて、膨張状態における第1のエアバッグと第2のエアバッグとの相対変位を許容する。
【0008】
本発明の実施形態によれば、ガイドは、方向転換部を含み、方向転換部に流れるガスは遮断され、したがって方向を変える。
【0009】
本発明の実施形態によれば、ガイドは、方向転換部に隣接する案内部を更に備え、ガスは、方向転換部によって方向が転換された後に案内部によって案内される。
【0010】
本発明の実施形態によれば、ガイドは一枚のシートで形成されるように構築され、方向転換部は一枚のシートの一部分で構築され、案内部は一枚のシートの開口部になるように構築されている。
【0011】
本発明の実施形態によれば、複数の方向転換部が設けられ、複数の案内部が設けられ、方向転換部と案内部とは交互に配置されている。
【0012】
本発明の実施形態によれば、第1のエアバッグは、膨張状態において平坦になるように構築される。
【0013】
本発明の実施形態によれば、第1の側部フランク及び第2の側部フランクは、同じ布片によって形成される。
【0014】
本発明の実施形態によれば、第1の側部フランクは、凹部を形成するための第1の内側面を含み、第2の側部フランクは、凹部を形成するための第2の内側面を含み、第1の内側面と第2の内側面とは互いに隣接している。
【0015】
本発明の実施形態によれば、安全エアバッグは、第1のプルストラップと、第2のプルストラップとを更に備え、第1のプルストラップは、第1のエアバッグの内側に設けられ、厚さ方向に第1のエアバッグの2つの側面に固定されるように構築されており、第2のプルストラップは、第2のエアバッグの内側に設けられるように構築されており、その一端は、第2のエアバッグの前側に接続されるように構築されており、プルストラップの他端は、第1の側部フランクと第2の側部フランクとの間に接続されるように構築されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の例示的な実施形態の特徴、利点、及び技術的効果は、添付の図面を参照して以下に説明される。添付の図面において、同じ参照番号は同じ要素を示す。
【
図1】
図1は、は、本発明の一実施形態による安全エアバッグを概略的に示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による安全エアバッグ内のいくつかの構成要素を概略的に示す。
【
図3a】
図3aは、本発明の他の実施形態による安全エアバッグ内のいくつかの構成要素を概略的に示す。
【
図3b】
図3bは、本発明の他の実施形態による安全エアバッグ内のいくつかの構成要素を概略的に示す。
【
図3c】
図3cは、本発明の他の実施形態による安全エアバッグ内のいくつかの構成要素を概略的に示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態による安全エアバッグを製造する方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による安全エアバッグの具体的な実施形態について、添付の図面を参照して以下に説明する。以下の詳細な説明及び添付の図面は、本発明の原理を例示的に説明するために使用される。本発明は、記載された好ましい実施形態に限定されず、本発明に記載された様々な実施形態は、個々に、又は任意の組み合わせで使用することができる。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって定義される。
【0018】
加えて、空間関係(「上」、「下」、「左」、「右」など)の用語は、添付の図面に示されている要素と別の要素との間の相対位置関係を説明するために使用される。したがって、使用される場合、空間関係の用語は、添付の図面に示されているものとは異なる方向に適用されてもよい。当然ながら、説明を容易にするために、空間関係のこれらの用語は、全て添付の図面に示されている方向を指しているものの、当業者には、図面に示されているものと異なる方向が使用されてもよいことが理解されよう。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による安全エアバッグを概略的に示す。本発明の一実施形態による安全エアバッグについて、
図1を参照して以下に説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明で提供される安全エアバッグ10は、車両の上部に取り付けられるためのものであり、したがって、オーバーヘッド安全エアバッグと呼ぶこともできる。安全エアバッグ10は、膨張状態及び詰め込まれた状態を有するエアバッグを含む。エアバッグが膨張状態にあるとき、エアバッグは乗員を保護するために使用される。エアバッグが詰め込まれた状態にあるとき、エアバッグは車両の所定位置(例えば、車両の上部)に詰め込まれる。本発明の安全エアバッグ10において、エアバッグは、互いに流体連通するように構成された第1のエアバッグ11及び第2のエアバッグ12を含む。第1のエアバッグ11は、膨張状態において、第2のエアバッグ12よりも前後方向に延びている。本発明の一実施形態として、
図1に示すように、第1のエアバッグ11は、膨張状態において平坦になるように構築される。
【0021】
なお、ここでいう「前後方向」とは、車両の前後方向をいい、第1のエアバッグ11は、第2のエアバッグ12よりも車両の前後方向に延びており、第1のエアバッグ11の前後端部が所定の位置に確実に位置決めされるようになっている。特に、第1のエアバッグ11の前端部を、例えば車両のダッシュボードとフロントガラスとの間に、確実に位置させることができるとともに、第1のエアバッグ11の後端部を車両の上部に位置させて、エアバッグ全体としての膨張状態の安定性を維持しやすくすることができる。
【0022】
引き続き
図1を参照する。
図1に示すように、第2のエアバッグ12は、第1の側部フランク121と第2の側部フランク122とによって形成され、乗員頭部を収容するための凹部を有する。安全エアバッグ10は、第1のエアバッグ11と第2のエアバッグ12との接続位置に提供されたガイド13(
図1に示されず)を更に備え、ガイド13は、第1のエアバッグ11及び第2のエアバッグ12のうちの一方のガス流を他方に向けて案内するために使用されることを特徴とする。上記は、以下で更に詳細に説明される。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態による安全エアバッグ内のいくつかの構成要素を概略的に示す。
図3(a)~
図3(c)は、本発明の他の実施形態による安全エアバッグ内のいくつかの構成要素を概略的に示す。以下、
図2及び
図3(a)~
図3(c)を参照して、本発明の複数の異なる実施形態による安全エアバッグにおける一部の構成要素について説明する。なお、以下の説明では、第1のエアバッグにガス発生器が設けられているものとして説明する。すなわち、ガイドは、第1のエアバッグ内のガスを第2のエアバッグに向かって流れるように案内するために使用される。しかしながら、これは単なる例であり、本発明の安全エアバッグはこれに限定されない。例えば、ガス発生器は、第2のエアバッグ内に設けられてもよく、この場合、ガイドは、第2のエアバッグ内のガスを第1のエアバッグに向かって流れるように案内するために使用される。例示的な説明が以下に提供される。
【0024】
図2に示すように、
図2は、本発明の実施形態による安全エアバッグにおけるいくつかの構成要素を示す。具体的には、本発明の安全エアバッグの構造を明確に観察できるように、第1のエアバッグ11及びガイド13が示されている。本実施形態では、第1のエアバッグ11と第2のエアバッグ12との間に連通口が設けられている。
図2に示すように、第1のエアバッグ11の下側には、連通口111が設けられている。これに対応して、
図1に示す第2のエアバッグ12の上側にも連通口(図示せず)が設けられている。第1のエアバッグ11と第2のエアバッグ12との間のガス流は、対応して設けられた連通口によって達成される。また、第1のエアバッグ11と第2のエアバッグ12との対向面の一部のみに連通口を設け、第1のエアバッグ11と第2のエアバッグ12とを連通口のみで接続することにより、膨張状態における第1のエアバッグ11と第2のエアバッグ12との相対変位を許容することができ、乗員頭部の収容を容易にして乗員を確実に保護することができる。また、ガイド13は、連通口111に設けられ、第1のエアバッグ11と第2のエアバッグ12との間のガス流をガイドするために用いられる。ガイド13を設ける利点として、ガイド13は、第1のエアバッグ11と第2のエアバッグ12との間のガス流を減速させるために使用されることができ、それによって、エアバッグが過度に速く膨張することに起因してエアバッグを所定の位置に位置決めすることが困難になることを防止する。
【0025】
具体的には、
図2に示されるように、ガイド13は、方向転換部132と、方向転換部13に隣接する案内部131とを含み、方向転換部132に向かって下方に流れるガスは、遮断され、したがって方向を転換し、次いで、矢印によって示されるように、4つの方向に流れるように案内部131によってガイドされる。ガイド13の作用下で、ガスの流れの方向は、下方向から第1のエアバッグ11の下側面に基本的に平行な方向に変化することが理解できる。
【0026】
本発明の一実施形態として、ガイド13は、一枚のシートによって形成されるように構築される。
図2に示されるガイド13について、製造ステップは、一枚の平坦なシートを曲げることと、シート上の特定の位置に穴を機械加工することとを含むことが理解できる。したがって、方向転換部132は一枚のシートの一部として構築され、案内部132は一枚のシートの開口部として構築される。開口部には、穴加工後に形成された開口部と、折り曲げ加工によって形成された開口部とが含まれる。
【0027】
図2に示す実施形態の他の実施形態として、
図3(a)~
図3(c)に示す構造を有するようにガイドを構成してもよい。
図3(a)に示すガイド13Aは、一枚のシートに曲げ加工のみを施したものであり、その方向転換部132Aは十字状である。案内部131Aは、一枚のシートを折り曲げて形成された開口部によって形成されている。ガスは、案内部131Aによって案内されて、矢印で示すように4方向に流れる。
図3(b)に示すガイド13Bは、一枚のシートに曲げ加工のみを施したものであり、その方向転換部131Bと第1のエアバッグ11の下側面とが所定の角度をなすように位置決めされている。案内部132Bは、一枚のシートを折り曲げて形成された開口部によって形成されている。案内部132Bは、矢印で示すように、ガスを一方向にのみ案内する。
図3(c)に示すガイド13Cは、複数の方向転換部132Cと、複数の案内部131Cとを有する。方向転換部132Cと案内部131Cとは交互に配置されている。案内部131Cは、矢印で示すように、ガスを一方向にのみ案内する。以上、本発明の安全エアバッグにおけるガイドのいくつかの例を説明したが、本発明のガイドはこれに限定されるものではないことが理解できる。ガスの流量を減少させるようにガスの方向を変化させることができる任意のガイドを、本発明の安全エアバッグにおいて使用することができる。
【0028】
本発明の実施形態として、第1の側部フランク及び第2の側部フランクは、同じ布片によって形成される。本発明の実施形態として、第1の側部フランクは、凹部を形成するための第1の内側面を含み、第2の側部フランクは、凹部を形成するための第2の内側面を含み、第1の内側面と第2の内側面とは互いに隣接している。これにより、安全エアバッグの製造工程が簡略化され、製造コストが低減されるという利点がある。
【0029】
本発明の実施形態として、安全エアバッグは、第1のプルストラップと、第2のプルストラップとを更に含み、第1のプルストラップは、第1のエアバッグの内側に設けられ、厚さ方向に第1のエアバッグの2つの側面に固定されるように構築されており、第2のプルストラップは、第2のエアバッグの内側に設けられるように構築されており、その一端は、第2のエアバッグの前側に接続されるように構築されており、プルストラップの他端は、第1の側部フランクと第2の側部フランクとの間に接続されるように構築されている。したがって、膨張したエアバッグの形状は、低コストで簡単な方法で設計される。
【0030】
図4は、本発明の一実施形態による安全エアバッグを製造する方法を概略的に示す。本発明の一実施形態による、安全エアバッグの製造方法について、
図3を参照して以下に説明する。
【0031】
図4に示すように、第1の布片W1、第2の布片W2、第3の布片W3、第4の布片W4、第5の布片W5、第6の布片W6の6枚の布片が用意されている。第1の布片W1、第2の布片W2及び第3布片W3は、第2のエアバッグ12を形成するために用いられる。膨張状態の第1の布片W1は、左部分と右部分とを含むように構築されている。右側部分は、第1の側部フランク121を形成するために使用される。左側部分は、第2の側部フランク122を形成するために使用される。加えて、第2の布片W2は、前側面を形成するように構築されている。前側面は、車両のフロントガラスに面する側面、すなわち、
図1に示される第2のエアバッグの見えない側面として理解され得る。第3の布片W3は、第2のエアバッグ12の内側に第2のプルストラップを形成するために使用されるように構築されている。第4布片W4及び第5布片W5は、第1のエアバッグ11を形成するために用いられる。第6の布片W6は、第1のエアバッグ11の内側に第1のプルストラップを形成するために使用される。
【0032】
本発明の実施形態の安全エアバッグのエアバッグを製造するための方法は、
第1の布片W1を提供し、第1の布片W1の上側縁部に6つの特徴点A1、A2、A3、B1、B2、及びB3をマーキングすることであって、点A3及び点B1が一致する、ことと、
第1の布片W1の下側縁部に6つの特徴点A4、A5、A6、B6、B5、及びB4をマーキングすることと、
第2の布片W2を提供し、第2の布片W2上に5つの特徴点C1、C5、C2、C3、及びC4をマーキングすることと、
点A1と点A3とを一致させ、エッジ線A1A2とエッジ線A2A3とが重なるようにエッジ線A1A2を折り曲げ、エッジ線A1A2とエッジ線A2A3とを(例えば、縫合又は接着により)接続することと、
点B1と点B3とを一致させ、エッジ線B2B3とエッジ線B2B1とが重なるように折り曲げ、線B1B2とエッジ線B2B3とを(例えば、縫合又は接着により)接続することと、エッジ線A1A4とエッジ線B3B4とを重ね合わせて縫い合わせることと、
A6とC4とを一致させ、B6とC3とを一致させ、エッジ線A6B6とC4C3とを重ね合わせて縫い合わせることと、エッジ線B6B5B4とC3C2C5とを重ね合わせて縫い合わせることと、エッジ線C4C1C5とA6A5A4とを重ね合わせて縫い合わせることと、
第3の布片W3を提供し、第3の布片W3の一端を第1の布片W1、例えば、W1の特徴点A3/B1に近い位置に接続し、他端を第2の布片W2、例えば、W2の中間に接続することと、
第4の布片W4、第5の布片W5及び第6の布片W6を提供し、エッジ線D1D4とエッジ線D5D8とを重ねて縫い合わせ、エッジ線D6D7とエッジ線D2D3とを重ねて縫い合わせ、エッジ線D7D8とエッジ線D2D1とを重ねて縫い合わせ、エッジ線F1F2とエッジ線E1E6とを重ねて縫い合わせ、エッジ線F3F4とエッジ線E5E4とを重ねて縫い合わせ、エッジ線G1G2とエッジ線E2E3とを重ねて縫い合わせることと、
第1のエアバッグと第2のエアバッグとを連通口で接続することと、を含む。
【0033】
本発明の安全エアバッグのエアバッグを製造するための前述の方法は単なる例であり、当業者は、実際の要件に従って、ステップの順序を調整することができ、又は更には、前述の方法のステップを削除することができることに留意されたい。
【0034】
上記のように、本発明の例示的な実施形態が添付の図面を参照して明細書において説明されたが、本発明は、前述の特定の実施形態に限定されず、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲及びその同等の意味によって定義されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の上部に取り付けられる安全エアバッグであって、
膨張状態及び詰め込まれた状態を有するエアバッグを備え、
前記エアバッグは、互いに流体連通するように構成された第1のエアバッグ及び第2のエアバッグを備え、前記第1のエアバッグは、前記エアバッグが前記膨張状態にあるときに前記第2のエアバッグを越えて前後方向に延び、前記第2のエアバッグは、第1の側部フランク及び第2の側部フランクによって形成され、乗員頭部を収容するために使用される凹部を有し、
前記安全エアバッグは、前記第1のエアバッグと前記第2のエアバッグとの接続位置に提供されたガイドを更に備え、前記ガイドは、前記第1のエアバッグ及び前記第2のエアバッグのうちの一方のガス流を他方に向けて案内するために使用される、安全エアバッグ。
【請求項2】
連通口は、前記第1のエアバッグと前記第2のエアバッグとの対向面の一部にのみ設けられ、前記ガイドは前記連通口に設けられ、前記第1のエアバッグと前記第2のエアバッグとは前記連通口においてのみ接続されて、前記膨張状態における前記第1のエアバッグと前記第2のエアバッグとの相対変位を許容する、請求項1に記載の安全エアバッグ。
【請求項3】
前記ガイドは、方向転換部を含み、前記方向転換部に流れるガスは遮断され、したがって方向を変える、請求項2に記載の安全エアバッグ。
【請求項4】
前記ガイドは、前記方向転換部に隣接する案内部を更に備え、前記ガスは、前記方向転換部によって前記方向が転換された後に前記案内部によって案内される、請求項3に記載の安全エアバッグ。
【請求項5】
前記ガイドは一枚のシートで形成されるように構築され、前記方向転換部は前記一枚のシートの一部分で構築され、前記案内部は前記一枚のシートの開口部になるように構築されている、請求項4に記載の安全エアバッグ。
【請求項6】
複数の方向転換部が設けられ、複数の案内部が設けられ、前記方向転換部と前記案内部とは交互に配置されている、請求項5に記載の安全エアバッグ。
【請求項7】
前記第1のエアバッグは、前記膨張状態において平坦になるように構成される、請求項1に記載の安全エアバッグ。
【請求項8】
前記第1の側部フランク及び前記第2の側部フランクは、同じ布片によって形成される、請求項7に記載の安全エアバッグ。
【請求項9】
前記第1の側部フランクは、前記凹部を形成するための第1の内側面を含み、前記第2の側部フランクは、前記凹部を形成するための第2の内側面を含み、前記第1の内側面と前記第2の内側面とは互いに隣接している、請求項8に記載の安全エアバッグ。
【請求項10】
第1のプルストラップと、第2のプルストラップとを更に備え、第1のプルストラップは、前記第1のエアバッグの内側に設けられ、厚さ方向に前記第1のエアバッグの2つの側面に固定されるように構築されており、前記第2のプルストラップは、前記第2のエアバッグの内側に設けられるように構築されており、その一端は、前記第2のエアバッグの前側に接続されるように構築されており、前記プルストラップの他端は、前記第1の側部フランクと前記第2の側部フランクとの間に接続されるように構築されている、請求項1に記載の安全エアバッグ。
【国際調査報告】