(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-15
(54)【発明の名称】PXRを標的とする二官能性PROTAC型化合物、同化合物を調製するための方法、及びその治療的使用
(51)【国際特許分類】
C07D 403/14 20060101AFI20240508BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240508BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240508BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20240508BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240508BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
C07D403/14 CSP
A61P43/00 111
A61P35/00
A61K47/54
A61K31/496
A61K45/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572137
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 EP2022063422
(87)【国際公開番号】W WO2022243365
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504007888
【氏名又は名称】センター ナショナル デ ラ レシェルシェ サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】521240402
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド モンペリエ
(71)【出願人】
【識別番号】505386960
【氏名又は名称】アンスティテュト ナショナル ド ラ サンテ エ ド ラ ルシェルシュ メディカル (アンセルム)
(71)【出願人】
【識別番号】520307757
【氏名又は名称】エコール ナシオナル シュペリウール ドゥ シミ ドゥ モンペリエ
【氏名又は名称原語表記】ECOLE NATIONALE SUPERIEURE DE CHIMIE DE MONTPELLIER
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パスカッシ,ジョン-マルク
(72)【発明者】
【氏名】パネキン,ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】アンブラール-コーシル,ミュリエル
(72)【発明者】
【氏名】ラコムド,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ジャルバル-シャロワン,サビーヌ
(72)【発明者】
【氏名】シャヴァニュー,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ブルゲ,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】デルフォッセ,ヴァネッサ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC26
4C076CC27
4C076EE59
4C076FF68
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA13
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC421
4C084ZC422
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC50
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA13
4C086ZB26
4C086ZC42
(57)【要約】
本出願は、標的タンパク質PXR及びE3-ユビキチンリガーゼに同時に結合する新規の二官能性PROTAC型化合物、同化合物を調製するための方法、並びにPXRを過剰発現するがんを治療するためのその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)を有する二官能性化合物であって、
【化1】
式中、
L(PXR)が、PXR核内受容体に結合することが可能なリガンドであり、
L(E3リガーゼ)が、E3-ユビキチンリガーゼのリガンドを表し、
リンカーが、L(PXR)をL(E3リガーゼ)に共有結合することを可能にする基を表す、
二官能性化合物。
【請求項2】
L(PXR)が、式(II)の基であって、
【化2】
式中、
【化3】
が、リンカーへの前記基の付着を表す、
基、又は薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の二官能性化合物。
【請求項3】
L(E3リガーゼ)が、
-式(IIIA)の基:
【化4】
及び
-式(IIIB)の基:
【化5】
又は薬学的に許容される塩から選択され、
式中、
Xが、NHであり、
X’が、-C(O)-又は-CH
2-であり、
Yが、H又はC1~C6アルキル基を表し、
【化6】
が、リンカーへの前記基の付着を表す、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
リンカーが、基-O-、-S-、-N(R’)-、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-C(NOR’)-、-C(O)N(R’)-、-C(O)N(R’)C(O)-、-C(O)N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)O-、-OC(O)N(R’)-、-C(NR’)-、-N(R’)C(NR’)-、-C(NR’)N(R’)-、-N(R’)C(NR’)N(R’)-、-S(O)
2-、-OS(O)-、-S(O)O-、-S(O)-、-OS(O)
2-、-N(R’)S(O)
2-、-S(O)
2N(R’)-、-N(R’)S-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)S(O)
2N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、C3~C12カルボシクレン、N、O、Sから選択される1、2、若しくは3個のヘテロ原子を含む3~12員ヘテロシクレン、N、O、Sから選択される1、2、若しくは3個のヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリーレン、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つによって、いずれか一方及び/又は両方の末端で任意選択的に中断されているか、又は終端している、C1~C20アルキレン基を表し、式中、R’が、同一であるか、又は異なり、H又はC1~C6アルキル基を表す、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
リンカーが、基(IV)を表し、
【化7】
式中、L
1及びL
2が、同一であるか、又は異なり、独立して、N、O、Sから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含む3~12員ヘテロシクレンによって任意選択的に中断されているか、又は終端している、1~12個の炭素原子のアルキレン基を表し、
L
1が、L(PXR)に連結されており、
【化8】
が、L(E3リガーゼ)に連結されており、
Zが、H又はC1~C6アルキル基を表す、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
以下の式(I-4)及び(I-5)のうちの1つであって、
【化9】
式中、L(PXR)、リンカーが、請求項1~5のいずれか一項に従って定義される、式、
又は薬学的に許容される塩に一致する、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
以下の式(V)に一致するような化合物であって、
【化10】
式中、L
2が、ピペリジニル基によって任意選択的に中断されたC2~C8直鎖アルキレン基を表し、L(E3リガーゼ)が、請求項1~6のいずれか一項に従って定義されるとおりである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
以下の式のうちの1つに一致する、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【化11】
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物を調製するための方法であって、式(B)の化合物及び式(C)の化合物のカップリングを含み、
【化12】
式中、L(PXR)及びL(E3リガーゼ)が、請求項1~7のいずれか一項に従って定義されるとおりであり、T及びT’が、各々、相補的反応性末端官能基を有するように、リンカー前駆体の2つの基である、
方法。
【請求項10】
前記化合物(B)が、式(A)に一致し、
【化13】
前記化合物(C)が、式(C-1)に一致し、
【化14】
式中、L
2及びL(E3リガーゼ)が、請求項1~7のいずれか一項に従って定義されるとおりである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(A)の化合物。
【化15】
【請求項12】
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項13】
PXR核内受容体を過剰発現するがんの治療及び/又は予防に使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
抗がん剤と組み合わせた、請求項13に記載の使用のための化合物。
【請求項15】
抗がん剤に耐性がある患者に投与するための、請求項13又は14に記載の使用のための化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がん、より具体的には、結腸直腸がんなどのPXR核内受容体を過剰発現するがんの治療に関する。
【背景技術】
【0002】
結腸直腸がん(colorectal cancer、CRC)は、3番目に多く見られるがんであり、
がんによる第3の死因である。現在の治療には、時として、わずかな改善を示す標的療法と組み合わせて、手術、放射線療法、及び化学療法が含まれる。しかしながら、これらの治療の有効性は、耐性の頻繁な出現によって重篤に損なわれ、これは、治療停止後の患者の再発につながる(患者の50%)。近年、がん細胞の亜母集団であるがん幹細胞(cancer stem cell、CSC)が、腫瘍開始、転移発生、及び薬物耐性に関与し、したがって、腫瘍再発につながることが示されている。
【0003】
本発明者らは、現在、PXR(NR1I2)核内受容体が、がん幹細胞において優先的に活性化され、RNA干渉(shRNA)によるその発現の消失が、通常は化学療法に耐性であるこの細胞集団を感作し、マウスにおける腫瘍再発を著しく遅延させることを実証している。したがって、PXR(NR1I2)核内受容体の阻害は、現在の治療に対してがん幹細胞を感作することを可能にする。
【0004】
しかしながら、現在までに同定されたPXRアンタゴニスト(L-スルホラファン、ケトコナゾール及びSAP-70)は、PXRの不活性化に必要な濃度では非特異的及び/若しくは毒性であるか、又は臨床使用のためにまだ承認されていないかのいずれかである。
【0005】
PROTAC(Proteolysis Targeting Chimera、「タンパク質分解標的化キメラ」)
は、標的タンパク質及びE3-ユビキチンリガーゼに同時に結合する二官能性分子である。これは、標的タンパク質のポリユビキチン化を引き起こし、したがって、これは、プロテアソーム複合体によって小ペプチド及びアミノ酸に分解される。したがって、PROTACアプローチは、化学的タンパク質ノックダウン方略である。
【0006】
したがって、PROTAC方略に従ってPXRの標的タンパク質分解を誘導することが可能な二官能性キメラリガンドを提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】S.M.Berge et al.「Pharmaceutical Salts」J.Pharm.Sci,66:pages1-19(1977)
【非特許文献2】LarockによってComprehensive Organic Transformations,VCH Pub.,1989
【非特許文献3】T.W.Green and P.G.M.Wuts in Protective Groups in Organic Chemistry,John Wiley and Sons,1991、J.F.W.McOmie in Protective Groups in Organic Chemistry,Plenum Press,1973
【発明の概要】
【0008】
第1の主題によれば、本発明は、一般式(I)に一致する二官能性化合物であって、
【0009】
【0010】
式中、
L(PXR)が、PXR核内受容体に結合することが可能なリガンドであり、
L(E3リガーゼ)が、E3-ユビキチンリガーゼのリガンドを表し、
リンカーが、L(PXR)をL(E3リガーゼ)に共有結合することを可能にする基を表す、二官能性化合物に関する。
【0011】
ユビキチン-プロテアソーム経路(ubiquitin-proteasome pathway、UPP)は、重要な調節タンパク質を調節し、不正確に折り畳まれたタンパク質又は異常なタンパク質を分解する、不可欠な細胞経路である。UPPは、いくつかの細胞プロセスの中心にある。それに欠陥があるか、又はそれが不均衡である場合、様々な疾患の病因につながる。特異的なタンパク質基質へのユビキチンの共有結合は、E3-ユビキチンリガーゼの作用によって得られる。これらのリガーゼは、500を超える異なるタンパク質を含み、そのE3機能活性の構造要素によって定義されるいくつかのクラスに分類される。
【0012】
本発明の化合物の機能様式を構成するE3リガーゼリガンドは、E3-ユビキチンリガーゼに結合する。リガーゼは、標的タンパク質へのユビキチンの共有結合を触媒し、これはひいては、天然プロテアソームによる標的タンパク質の分解を誘導する。したがって、本発明の化合物は、天然細胞分解プロセスを利用するが、分解作用が疾患の病因に関与する望ましくない標的タンパク質に指向される様式で設計される。
【0013】
従来の化学阻害剤とは異なり、本発明によるPROTACは、超化学量論的作用の能力を有する分解酵素として作用する。
【0014】
したがって、本発明による化合物は、複数の利点を有する。
1)それらは、阻害剤単独の濃度よりも低い濃度で活性であり、標的の飽和を得るために高レベルの全身曝露を必要とする。
2)それらは、標的タンパク質の分解につながる複数の分解サイクルを実施することができる。
3)その標的に対する阻害剤の急速な解離速度と比較して、PROTACによって誘導される分解後のタンパク質機能の回復は、細胞によるタンパク質のデノボ合成を必要とし、これははるかに長くかかり、したがって、PROTACの効果の持続時間を増加させる。
【0015】
L(PXR)は、PXRに結合する本化合物の機能様式である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、PXR JMV6845リガンドの類似体である。
【0016】
【0017】
一実施形態によれば、L(PXR)は、式(II)の基であって、
【0018】
【0019】
式中、
【0020】
【0021】
が、リンカーへの基の結合を表す、基、
又は薬学的に許容される塩から選択され得る。
【0022】
したがって、本発明による化合物は、以下の式(I-1)であって、
【0023】
【0024】
式中、リンカー、L(E3リガーゼ)が、上記又は下記に定義されるとおりである、式、又は薬学的に許容される塩に一致し得る。
【0025】
一実施形態によれば、E3リガーゼリガンドは、セレブロンに結合する。L(E3リガーゼ)は、特に、
-式(IIIA)の基:
【0026】
【0027】
及び
-式(IIIB)の基:
【0028】
【0029】
又は薬学的に許容される塩から選択され得、
式(IIIA)及び(IIIB)中、
Xは、NHであり、
X’は、-C(O)-又は-CH2-であり、
Yは、H又はC1~C6アルキル基を表し、
【0030】
【0031】
は、リンカーへの基の付着を表す。
【0032】
したがって、本発明による化合物は、特に、式(I-2)又は(I-3)であって、
【0033】
【0034】
式中、リンカー、L(PXR)、L(E3リガーゼ)、X、X’、Yが、上記若しくは下記に定義されるとおりである、式、
又は薬学的に許容される塩に一致し得る。
【0035】
より具体的には、本発明による化合物は、以下の式(I-4)及び(I-5)のうちの1つであって、
【0036】
【0037】
式中、L(PXR)、リンカーが、上記又は下記に定義される、式、
又は薬学的に許容される塩に一致し得る。
【0038】
リンカーは、E3リガーゼリガンドとの標的リガンドの共有結合を提供する。一実施形態によれば、リンカーは、基-O-、-S-、-N(R’)-、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-C(NOR’)-、-C(O)N(R’)-、-C(O)N(R’)C(O)-、-C(O)N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)O-、-OC(O)N(R’)-、-C(NR’)-、-N(R’)C(NR’)-、-C(NR’)N(R’)-、-N(R’)C(NR’)N(R’)-、-S(O)2-、-OS(O)-、-S(O)O-、-S(O)-、-OS(O)2-、-N(R’)S(O)2-、-S(O)2N(R’)-、-N(R’)S-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)S(O)2N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、C3~C12シクロアルキレン、N、O、Sから選択される1、2、若しくは3個のヘテロ原子を含む3~12員ヘテロシクレン、N、O、Sから選択される1、2、若しくは3個のヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリーレン、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つによって、いずれか一方及び/又は両方の末端で任意選択的に中断されているか、又は終端している、C1~C20アルキレン基を表し、式中、R’は、同一であるか、又は異なり、H又はC1~C6アルキル基を表す。
【0039】
したがって、特定の実施形態によれば、リンカーは、-NH-、-O-、-C(O)-、ピペリジニル、ピペラジレンから選択される1つ以上の基によって任意選択的に中断されているか、及び/又は終端しているC4~C20アルキレン基から選択され得る。
【0040】
より具体的には、リンカーは、式(IV)の基の中で表され得、
【0041】
【0042】
式中、L1及びL2は、同一であるか、又は異なり、N、O、Sから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含む3~12員ヘテロシクレンによって任意選択的に中断されているか、又は終端している、1~12個の炭素原子のアルキレン基を表し、
L1は、L(PXR)に連結されており、
【0043】
【0044】
は、L(E3リガーゼ)に連結されており、
Zは、H又はC1~C6アルキル基を表す。
【0045】
より特定の実施形態によれば、L1は、C7-アルキレン基(-C7H14-)である。
【0046】
より特定の実施形態によれば、L2は、ピペリジニル基によって任意選択的に中断された(C2~C8)-アルキレン基である。
【0047】
一実施形態によれば、本発明による化合物は、以下の式(V)に一致し得、
【0048】
【0049】
式中、L2は、ピペリジニル基によって任意選択的に中断されたC2~C8直鎖アルキレン基を表し、L(E3リガーゼ)は、上記又は下記に定義されるとおりである。
【0050】
本明細書で表される式(I)、(II)、(IIIA)、(IIIB)、(IV)、(V)はまた、その薬学的に許容される塩、その同位体誘導体、及びその立体異性体も対象とする。
【0051】
上記又は下記で使用される場合、他に特定されない限り、
「アルキル」は、鎖中に約1~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐であり得る脂肪族炭化水素基を示す。好ましいアルキル基は、鎖中に1~約12個の炭素原子、特に、
1~6個の炭素原子を有する。分岐は、メチル、エチル、又はプロピルなどの1つ以上の低級アルキル基が直鎖アルキル鎖に結合されていることを意味する。「低級アルキル」は、直鎖又は分岐であり得る鎖中の約1~約4個の炭素原子を意味する。アルキルは、同一であるか、又は異なり、ハロ、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、アロイルアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、ヘテロアラルコキシカルボニル、又はY1Y2NCO-を含み得る、1つ以上の「アルキル基置換基」によって置換され得、Y1及びY2は、独立して、水素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたアラルキル、若しくは任意選択的に置換されたヘテロアラルキルであるか、又はY1及びY2は、Y1及びY2が介して結合されているNと一緒とみなされ、4~7個の元素ヘテロシクリルを形成する。アルキル基の典型的な例としては、メチル、トリフルオロメチル、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル、メトキシエチル、カルボキシメチル、メトキシカルボニルエチル、ベンジルオキシカルボニルメチル、ピリジルメチルオキシカルボニルメチルが挙げられる。
【0052】
「アルキレン」は、二価である上記で定義されるアルキル基を示す。好ましいアルキレン基は、1~約6個の炭素原子を有する低級アルキレン基である。アルキレン基の典型的な例としては、メチレン及びエチレンが挙げられる。
【0053】
「シクロアルキル」は、約3~約10個の炭素原子、好ましくは、約5~約10個の炭素原子の非芳香族単環式又は多環式環系を意味する。環系の環の好ましい環サイズは、1つ以上の置換基によって任意選択的に置換された約5~約6個の環原子を含む。例示的な単環式シクロアルキルは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及び同等物を含む。例示的な多環式シクロアルキルは、1-デカリン、ノルボルニル、アダマント-(1又は2-)イル、及び同等物を含む。
【0054】
「シクロアルキレン」は、特にシクロヘキシレンなどの飽和した二価である上記で定義されるシクロアルキル基を意味する。
【0055】
「ヘテロシクリル」は、約3~約10個の炭素原子、好ましくは、約5~約10個の炭素原子の非芳香族飽和単環式又は多環式環系を意味し、環系中の炭素原子のうちの1つ以上は、炭素以外の1つ以上のヘテロ元素、例えば、窒素、酸素、又は硫黄である。環系の環の好ましい環サイズは、約5~約6個の環原子を含む。ヘテロシクリルの前の接頭辞としてのアザ、オキサ、又はチアの指定は、少なくとも1つの窒素、酸素、又は硫黄原子が、それぞれ、環原子として存在することを定義する。ヘテロシクリルは、同じであるか、又は異なり得、本明細書で定義されるとおりである、1つ以上の置換基によって任意選択的に置換され得る。ヘテロシクリルの窒素原子は、塩基性窒素原子であり得る。ヘテロシクリルの窒素又は硫黄原子はまた、任意選択的に、対応するN-オキシド、S-オキシド、又はS,S-ジオキシドに酸化され得る。例示的な単環式ヘテロシクリル環には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3-ジオキソラニル、1,4-ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、及び同等物が含まれる。
【0056】
「ヘテロシクレン」という用語は、二価である上記で定義されるヘテロシクリル基を示す。
【0057】
「ヘテロアリール」は、約5~約14個の炭素原子、好ましくは、約5~約10個の炭素原子の単環式又は多環式芳香族環系を意味し、環系中の炭素原子のうちの1つ以上は、炭素以外の1つ以上のヘテロ元素、例えば、窒素、酸素、又は硫黄である。環系の環の好
ましい環サイズは、約5~約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」はまた、1つ以上の置換基によって置換され得る。ヘテロアリールの前の接頭辞としてのアザ、オキサ、又はチアの指定は、少なくとも1つの窒素、酸素、又は硫黄原子が、それぞれ、環原子として存在することを定義する。ヘテロアリールの窒素原子は、塩基性窒素原子であり得、また、任意選択的に、対応するN-オキシドに酸化され得る。例示的な置換ヘテロアリール及びヘテロアリール基には、ピラジニル、チエニル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、チエノピリジル、チエノピリミジニル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、ベンゾアザインドール、1,2,4-トリアジニル、ベンズチアゾリル、フラニル、イミダゾリル、インドリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、1,3,4-チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、及びトリアゾリルが含まれる。好ましいヘテロアリール基は、ピラジニル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、及びイソチアゾリルを含む。
【0058】
「ヘテロアリーレン」は、二価である上記で定義されるヘテロアリールラジカルを示す。
【0059】
「置換基」は、ハロゲン、シアノ、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アロイルアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、ヘテロアラルコキシカルボニルから選択される1つ以上の同一の基又は異なる基を示す。
【0060】
本発明の化合物は、遊離酸若しくは遊離塩基、又は薬学的に許容される塩の形態であり得る。
【0061】
「薬学的に許容される塩」という表現は、本発明の化合物の比較的非毒性の無機及び有機酸付加塩、並びに塩基付加塩を指す。これらの塩は、化合物の最終的な単離及び精製中にインサイチュで調製され得る。特に、酸付加塩は、精製された化合物をその精製された形態で有機又は無機酸と別々に反応させることによって、かつそのように形成された塩を単離することによって、調製することができる。酸付加塩の例としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプタン酸塩、ラクトビオン酸塩、スルファミン酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、プロピオン酸塩、メチレンビス-b-ヒドロキシナフト酸塩、ゲンチシン酸、イセチオン酸塩、ジ-p-トルオイル酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、及びキナ酸ラウリルスルホン酸塩、並びに同等物が挙げられる(例えば、参考文献として本明細書に組み込まれる、非特許文献1を参照)。酸付加塩はまた、精製された化合物をその酸形態で有機又は無機塩基と別々に反応させることによって、かつそのように形成された塩を単離することによって、調製することもできる。酸付加塩には、アミン及び金属塩が含まれる。適切な金属塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、マグネシウム、及びアルミニウム塩が含まれる。ナトリウム塩及びカリウム塩が好ましい。好適な塩基性無機付加塩は、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛を含む金属塩基から調製される。適切な塩基性付加塩は、安定した塩を形成するために十分なアルカリ度を有するアミンから調製され、好ま
しくは、その低毒性及び医療用途のためのその容認性に起因して、医薬品化学でしばしば使用されるアミン:アンモニア、エチレンジアミン、N-メチル-グルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、エフェナミン、デヒドロアビエチルアミン、N-エチルピペリジン、ベンジルアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、塩基性アミノ酸、例えば、リジン及びアルギニン、並びにジシクロヘキシルアミン、及び同等物を含む。
【0062】
本発明の化合物は、少なくとも1つのキラル中心を有し得、したがって、立体異性体の形態であり得、これは、本明細書で使用される場合、空間内のその原子の配向のみが異なる個々の化合物の全ての異性体を包含する。立体異性体という用語は、鏡像異性体(化合物の(R-)又は(S-)配置を含むエナンチオマー)、化合物の幾何化合物(シス/トランス又はE/Z、R/S異性体)の鏡像異性体の混合物(エナンチオマー及びラセミ体の物理的混合物又はラセミ混合物)、及び互いの鏡像ではない1つを超えるキラル中心を有する化合物の異性体(ジアステレオ異性体)を含む。化合物のキラル中心は、インビボでエピマー化を受けることができ、したがって、これらの化合物について、その(R~)形態での化合物の投与は、その(S-)形態での化合物の投与と同等とみなされる。したがって、本発明の化合物は、個々の異性体の形態で、他の異性体を実質的に含まない状態で、又は様々な異性体の混合物、例えば、立体異性体のラセミ混合物の形態で、製造及び使用することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、以下の化合物が、セレブロン及びPXRへの結合に好適である。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
最も具体的には、本発明による化合物は、以下の式のうちの1つに一致する化合物から選択され得る。
【0068】
【0069】
更なる主題によれば、本発明はまた、本発明による化合物を調製するための方法に関する。
【0070】
一般式(I)の化合物は、任意の既知の方法自体及び/又は当業者の手の届く範囲内の任意の既知の方法、特に、非特許文献2に記載されている方法の適用若しくは適合によって、又は以下の実施例に記載される方法を適用若しくは適合することによって、調製することができる。
【0071】
本発明によれば、当該方法は、式(B)の化合物及び式(C)の化合物のカップリングを含み、
【0072】
【0073】
したがって、L(PXR)及びL(E3リガーゼ)は、上記で定義されるとおりであり、T及びT’は、リンカー前駆体の2つの基であり、すなわち、そのカップリングは、各々がそれぞれ、相補的反応性末端官能基を有するように、リンカー基につながることを可能にする。
【0074】
本明細書では、「相補的反応性官能基」は、一緒に反応して、TとT’との間の共有結合を確実にする官能基を形成することが可能な2つの官能基を示す。したがって、典型的には、T及びT’は、Tがアミン型末端官能基を有し、T’がカルボン酸型の末端官能基を有するようなものである。
【0075】
したがって、典型的には、Tは、式(T-B)の基を表し、
【0076】
【0077】
T’は、式(T-C)の基を表し、
【0078】
【0079】
式中、L1及びL2は、上記で定義されるとおりである。
【0080】
当該カップリングは、有利には、BOP(benzotriazol-1-yloxytris (dimethylamino)
phosphonium hexafluorophosphate、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)などのペプチドカップリング剤の存在下で、典型的には、ヒューニッヒ塩基N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA又はDIEA)などの有機塩基の存在下で実行することができる。
【0081】
一実施形態によれば、化合物(B)は、式(A)に一致する。
【0082】
【0083】
一実施形態によれば、化合物(C)は、式(C-1)に一致し、
【0084】
【0085】
式中、L2及びL(E3リガーゼ)は、上記で定義されるとおりである。
【0086】
任意選択的に、当該方法はまた、得られた式(I)の生成物を単離することからなるステップを含み得る。
【0087】
下記に記載される反応では、反応性官能基、例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオ、カルボキシ基が最終生成物において所望される場合、それらを保護して、反応におけるそれらの望ましくない関与を回避することが必要であり得る。従来の保護基は、標準的な実践に従って使用することができる。例えば、非特許文献3を参照されたい。
【0088】
このようにして調製された化合物は、従来の手段によって反応混合物から回収することができる。例えば、化合物は、反応混合物の溶媒を蒸留することによって、又は必要であれば溶液の混合物の溶媒の蒸留後に、残りを水に注ぎ、続いて、水に非混和性の有機溶媒で抽出することによって、及び抽出物から溶媒を蒸留することによって回収することができる。加えて、所望される場合、生成物は、再結晶、再沈殿、又は種々のクロマトグラフィー技術、特に、カラムクロマトグラフィー又は分取薄膜クロマトグラフィーなどの種々の技術によって、更に精製され得る。
【0089】
本発明による有用な化合物は、不斉中心を含み得ることが分かる。これらの不斉中心は、独立して、R又はS配置であり得る。本発明によるある特定の有用な化合物は、幾何異性も有し得ることが、当業者には明らかであろう。本発明は、上記の式(I)の化合物の個々の幾何異性体及び立体異性体、並びにラセミ混合物を含むそれらの混合物を含むことが理解されるべきである。このタイプの異性体は、既知の方法、例えば、クロマトグラフィー技術若しくは再結晶技術を適用若しくは適合することによって、それらの混合物から分離され得るか、又はそれらは、それらの中間体の適切な異性体から別々に調製される。
【0090】
使用される塩基生成物又は試薬は、市販されており、及び/又は既知の方法、例えば、参照実施例に記載される方法若しくはその明白な化学的同等物の適用若しくは適合によって調製することができる。
【0091】
本発明による方法は、新規である式(A)の中間体を実装することができる。
【0092】
したがって、更なる主題によれば、本発明はまた、式(A)の化合物に関する。
【0093】
【0094】
式(A)の化合物は、以下の化合物をカップリングすることによって調製することができる。
【0095】
【0096】
このカップリングは、典型的には、実施例1に記載される手順の適用又は適合によって実行することができる。
【0097】
本発明によれば、式(I)の化合物は、PXRの標的タンパク質分解を誘導することが可能である。したがって、式(I)の化合物は、がん、特に、PXRを過剰発現するがんの治療及び/又は予防に有用である。
【0098】
したがって、本発明はまた、薬学的に許容される賦形剤とともに本発明による化合物を含む、医薬組成物に関する。
【0099】
好ましくは、当該組成物は、有効量の本発明による化合物を含有する。
【0100】
更なる主題によれば、本発明はまた、がん、特に、PXRを過剰発現するがんの治療及び/又は予防のための一般式(I)の化合物に関する。
【0101】
PXRを過剰発現するがんは、特に、結腸直腸がん、並びに膵臓がん、肝臓がん、及び乳がんである。
【0102】
典型的には、本発明による化合物は、抗がん剤と組み合わせて使用することができる。そのような抗がん剤は、特に、5-フルオロウラシル(5-Fluorouracil、5-FU)、イリノテカン(CPT11)、オキザリプラチン、シスプラチン、タモキシフェン、パクリタキセル、ドキソルビシン、ボンブラスチン(Vonblastin)、シクロホスファミド(Cyclophosphamide、CPA)、イソホスファミド(Isophosphamide、IFO)から選択することができる。
【0103】
好ましくは、当該組成物は、それを必要とする患者に投与される。当該患者は、特に、上述の抗がん剤に耐性がある患者である。
【0104】
本発明の医薬組成物の製剤のタイプは、経腸(例えば、経口)、非経口(例えば、皮下(subcutaneous、sc)、静脈内(intravenous、iv)、筋肉内(intramuscular、im)及び胸骨内)であり得る注射、又は静脈内若しくは動脈、髄内、くも膜下腔内、脳室内、経皮、皮内、直腸、膣内、腹腔内、局所粘膜、経鼻、経口、舌下注入、気管内点滴、気管支点滴、及び/又は吸入であり得る注入技術を含み得る、投与様式に依存する。一般に、最も好適な投与経路は、様々な因子、特に、薬剤の性質(例えば、消化管の環境におけるその安定性)及び/又は対象の状態(例えば、対象が経口投与に耐えることが可能であるかどうか)に依存する。いくつかの実施形態では、組成物は、経口又は静脈内投与(例えば、全身静脈内注射)のために製剤化される。
【0105】
当技術分野で公知である「薬学的に許容される担体」という表現は、哺乳動物への本発明の化合物の投与に好適である、薬学的に許容される物質、組成物、又は担体を示す。好適な支持体には、例えば、1つの器官若しくは身体部分から別の器官若しくは身体部分に化合物を輸送するように動作するか、又は輸送する、液体(水性及び非水性の両方並びにそれらの組み合わせ)、固体、カプセル化材料、気体、及びそれらの組み合わせ(例えば、半固体)が含まれ得る。支持体は、生理学的に不活性であり、製剤の他の成分と適合性があり、対象又は患者にとって非毒性であるという意味で、「許容される」。製剤のタイプに基づいて、
【0106】
結果として、式Iの化合物は、固体組成物(例えば、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、ウエハース、及び坐剤)、液体組成物(例えば、化合物が溶解される溶液、化合物の粒子が分散される懸濁液、リポソーム、ミセル、又はナノ粒子を含有するエマルション及び溶液、シロップ及びエリキシル剤)、半固体組成物(例えば、ゲル、懸濁液、及びクリーム)、及びガス(例えば、エアロゾル組成物用の推進剤)として製剤化され得る。化合物はまた、急速放出、中間放出、又は持続放出のために製剤化され得る。
【0107】
固体投与に好適である賦形剤は、固体形態のためのセルロース又は微結晶性セルロースの誘導体、アルカリ土類炭酸塩、リン酸マグネシウム、デンプン、加工デンプン、ラクトースである。非経口使用については、水、水性溶質、生理学的血清、等張溶質が、最も便宜的に使用される担体である。
【0108】
投与量は、治療適応症及び投与経路、並びに対象の年齢及び体重に基づいて、広い限界内で変動し得る。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【
図1】RT-FRETによって測定された前駆PROTAC JMV6944のPXR親和性を描写する。
【
図2】PXRの標的遺伝子であるCYP3A4プロモーターの制御下に置かれたルシフェラーゼレポーター遺伝子によって測定された、前駆PROTAC JMV6944及びそれから生じるPROTACによるPXRの活性化を図示する。
【
図3A】RT-qPCRによって測定された、前駆PROTAC JMV6944及びそれから生じるPROTACによるPXRの標的遺伝子(すなわち、CYP3A4)の誘導を描写する。
【
図3B】RT-qPCRによって測定された、前駆PROTAC JMV6944及びそれから生じるPROTACによるPXRの標的遺伝子(すなわち、CYP3A4)の誘導を描写する。
【
図4A】ウェスタンブロッティングによってCYP34の誘導に対するPROTAC JMV7048及びJMV7965の効果を図示及び描写する。
【
図4B】ウェスタンブロッティングによってCYP34の誘導に対するPROTAC JMV7048及びJMV7965の効果を図示及び描写する。
【
図5A】結腸がん由来の様々な細胞株(LS174T、FIT29)及びプリモ培養(CRC1)における細胞生存率に対するPROTACの効果を図示する。
【
図5B】結腸がん由来の様々な細胞株(LS174T、FIT29)及びプリモ培養(CRC1)における細胞生存率に対するPROTACの効果を図示する。
【
図6A】ウェスタンブロッティングによって測定されたLS174T細胞におけるPXRタンパク質の分解に対するPROTACの効果を描写する。
【
図6B】ウェスタンブロッティングによって測定されたLS174T細胞におけるPXRタンパク質の分解に対するPROTACの効果を描写する。
【
図6C】ウェスタンブロッティングによって測定されたLS174T細胞におけるPXRタンパク質の分解に対するPROTACの効果を描写する。
【
図6D】ウェスタンブロッティングによって測定されたLS174T細胞におけるPXRタンパク質の分解に対するPROTACの効果を描写する。
【
図6E】ウェスタンブロッティングによって測定されたLS174T細胞におけるPXRタンパク質の分解に対するPROTACの効果を描写する。
【
図7A】ウェスタンブロッティングによって測定されたFIEPG2細胞におけるPXRタンパク質の分解に対するPROTACの効果を描写する。
【
図7B】ウェスタンブロッティングによって測定されたASPC1細胞におけるPXRタンパク質の分解に対するPROTACの効果を描写する。
【
図8A】ウェスタンブロッティングによって測定されたPXRタンパク質の分解に対するPROTACの効果におけるプロテアソーム経路の重要性を図示する。
【
図8B】ウェスタンブロッティングによって測定されたPXRタンパク質の分解に対するPROTACの効果におけるプロテアソーム経路の重要性を図示する。
【
図9A】SCIDマウスにおけるLS174T細胞の異種移植片上のインビボでのPXRタンパク質の分解に対するJMV7048の効果を描写する。
【
図9B】SCIDマウスにおけるLS174T細胞の異種移植片上のインビボでのPXRタンパク質の分解に対するJMV7048の効果を描写する。
【
図9C】SCIDマウスにおけるLS174T細胞の異種移植片上のインビボでのPXRタンパク質の分解に対するJMV7048の効果を描写する。
【
図10A】
図10A~
図10Dは、それぞれ、がん幹細胞の集団に対するPROTACの効果:ALDFI活性の阻害(10A)、その再生能の阻害(10B)、及び化学療法に対する感作(10C及び10D)を描写する。
【
図10B】
図10A~
図10Dは、それぞれ、がん幹細胞の集団に対するPROTACの効果:ALDFI活性の阻害(10A)、その再生能の阻害(10B)、及び化学療法に対する感作(10C及び10D)を描写する。
【
図10C】
図10A~
図10Dは、それぞれ、がん幹細胞の集団に対するPROTACの効果:ALDFI活性の阻害(10A)、その再生能の阻害(10B)、及び化学療法に対する感作(10C及び10D)を描写する。
【
図10D】
図10A~
図10Dは、それぞれ、がん幹細胞の集団に対するPROTACの効果:ALDFI活性の阻害(10A)、その再生能の阻害(10B)、及び化学療法に対する感作(10C及び10D)を描写する。
【
図11A】hPXRのLBDとのJMV6944の相互作用様式を図示する。(11A)複合体の全体構造。活性化ヘリックスH12が示される。矢印は、続いて合成されたPROTACの伸長を記号で表す。
【
図11B】hPXRのLBDとのJMV6944の相互作用様式を図示する。(11B)JMV6944の出力経路の拡大、及びhPXR-LBD/SR12813複合体の構造との重畳。H2’ヘリックスの末端、残基206~209は、リガンドの存在下で再配列する。
【
図11C】hPXRのLBDとのJMV6944の相互作用様式を図示する。(11C)hPXR結合ポケット残基の残基とのJMV6944の相互作用、及びリガンドの電子密度の描写(omit型差異マップ)。
【0110】
以下の実施例は、本発明を例証するが、本発明を限定するものではない。使用される出発生成物は、既知であるか、又は既知の手順に従って調製される生成物である。
【0111】
本発明の化合物は、研究の様々な実施例に記載され、本発明の化合物を調製することができる非限定的なプロセスを図示する、合成図に関連して更に理解されるであろう。割合は、特に指示されない限り、重量で表される。
【0112】
実施例1:JMV6944の合成
【0113】
【0114】
ステップ1:N1-ベンジル-4-ニトロベンゼン-1,2-ジアミン
【0115】
【0116】
K2CO3(13.28g、96.08mmol)が、DMF(50ml)中に2-フルオロ-5-ニトロアニリン(5g、32.03mmol)及びベンジルアミン(7.01ml、64.05mmol)を含有する溶液に添加される。反応媒体が、100℃で24時間撹拌される。反応媒体が、酢酸エチル/H2O混合物中で希釈される。有機相が、水、1N KHSO4、飽和NaClで連続的に洗浄され、硫酸マグネシウム上で乾燥させられる。蒸発後、生成物が、ジエチルエーテル中で粉砕され、排出される。化合物1 N1-ベンジル-4-ニトロベンゼン-1,2-ジアミンが、7.5gの質量を有する黄色固体の形態で得られる(96%収率)。ESI:M+H 244.1。
【0117】
ステップ2:N-{2-[4-(1-ベンジル-5-ニトロ-1H-1,3-ベンゾジ
アゾール-2-イル)ブトキシ]エチル}カルバミン酸(9H-フルオレン-9-イル)メチル
【0118】
【0119】
TFA(0.91ml、12.28mmol)が、トルエン/DMF(9/1)混合物(45ml/5ml)中にN1-ベンジル-4-ニトロベンゼン-1,2-ジアミン(0.747g、3.07mmol)及びN-[8-(1H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-1-イル)-8-オキソオクチル]カルバミン酸(9H-フルオレン-9-イル)メチル(1.63g、3.37mmol)を含有する溶液に添加される。反応媒体が、60℃で6時間撹拌される。反応媒体が、室温まで、次いで、0℃まで冷却される。固体が、排出され、次いで、ジエチルエーテルで2回洗浄される。粉末が、酢酸に溶解され、100℃まで18時間加熱される。蒸発後、化合物2 N-{2-[4-(1-ベンジル-5-ニトロ-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-イル)ブトキシ]エチル}カルバミン酸(9H-フルオレン-9-イル)メチルが、0.55gの黄色の油の形態で得られる(30%収率)。ESI:M+H 589.2。
【0120】
ステップ3:N-[7-(5-アミノ-1-ベンジル-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-イル)ヘプチル]カルバミン酸(9H-フルオレン-9-イル)メチル
【0121】
【0122】
SnCl2(1.2g、6.34mmol)が、エタノール(30ml)中にN-{2-[4-(1-ベンジル-5-ニトロ-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-イル)ブトキシ]エチル}カルバミン酸(9H-フルオレン-9-イル)メチル(0.75g、1.27mmol)を含有する溶液に添加される。反応媒体が、80℃で2時間撹拌される。反応媒体が、酢酸エチル/NaHCO3の混合物中で希釈され、セライトを通して濾過される。有機相が、回収され、MgS04上で乾燥させられる。蒸発後、化合物3 N-[7-(5-アミノ-1-ベンジル-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-イル)ヘプチル]カルバミン酸(9H-フルオレン-9-イル)メチルが、0.55gの黄色粉末の形態で得られる(収率77%)。ESI:M+H 559.3。
【0123】
ステップ4:N-[2-(7-アミノヘプチル)-1-ベンジル-1H-1,3-ベンゾジアゾール-5-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン-1-スルホンアミド
【0124】
【0125】
1分量当たり2-メシチレンスルホニルクロリド(0.166g、0.75mmol)が、0℃でピリジン/DCM(1/1)混合物(5ml/5ml)中にN-[7-(5-アミノ-1-ベンジル-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-イル)ヘプチル]カルバミン酸(9H-フルオレン-9-イル)メチル(0.386g、0.69mmol)を含有する溶液に添加される。反応媒体が、室温にされ、18時間撹拌される。ジエチルアミン(2ml)が、反応媒体に添加され、2時間撹拌される。溶液が、減圧下で濃縮される。得られた油が、分取HPLCによって精製される。凍結乾燥後、0.201gの黄色粉末が得られる(56%収率)。ESI:M+H 519.4。1H NMR(600MHz,DMSO-d6):δ 10.53(s,1H),7.77(m,3H),7.64(d,J=8.92Hz,1H),7.33(m,4H),7.20(d,J=6.81Hz,2H),7.10(dd,J=1.79,8.88Hz,1H),7.01(s,2H),5.63(s,2H),3.08(m,2H),2.75(m,2H),2.58(s,6H),2.21(s,3H),1.66(m,2H),1.48(m,2H),1.26(m,6H)。
【0126】
13C NMR(125MHz,DMSO-d6):δ 155.3,142.7,139.2,135.8,135.4,133.9,132.3,129.4,129.3,129.3,128.5,127.3,117.7,113.7,47.7,39.4,39.2,28.6,28.4,27.3,26.5。
【0127】
実施例2:JMV7048の合成
【0128】
【0129】
ステップ1:2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-フルオロイソインドール-1,3-ジオン
【0130】
【0131】
酢酸(50ml)中に4-フルオロフタル酸無水物(2.43g、14.63mmol)及び3-アミノピペリジン-2,6-ジオン(2.38g、14.63mmol)並びに酢酸ナトリウム(2.4g、29.26mmol)を含有する反応媒体が、100℃まで24時間加熱される。室温まで冷却した後、水(150mL)を反応混合物に添加し、混合物を排出し、エーテルで数回洗浄する。50℃で一晩デシケーターに入れ、化合物1,2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-フルオロイソインドリン-1,3-ジオンが、4gの質量を有する桃色固体の形態で得られる(収率99%)ESI:M+H 277.2。1H NMR(600MHz,DMSO-d6):δ 11.15(s,1H),8.03-8.00(dd,J=4.59,8.02Hz,1H),7.87-7.85(dd,J=2.29,8.02Hz,1H),7.75-7.71(t,J=2.29,4.59,8.02Hz,1H),5.19-5.16(dd,J=5.51,13.03,1H),2.94-2.87(m,1H),2.64-2.59(m,1H),2.58-2.51(m,1H),2.10-2.05(m,1H);13C
NMR(125MHz,DMSO-d6)δ 173.2,173.2,170.2,170.1,167.4,166.6,166.6,166.3,165.4,134.
7,134.6,127.9,126.7,126.7,122.3,122.1,112.0,111.8,49.6,31.3,22.4。
【0132】
ステップ2:4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソインドリン-5-イル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【0133】
【0134】
化合物2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-フルオロイソインドリン-1,3-ジオン(500mg、1.81mmol)が、室温でNMP(7ml)に溶解される。DIEA(0.89ml、5.43mmol)及び1-ピペラジン-カルボン酸t-ブチル(370.9mg、1.99mmol)が添加され、混合物が140℃で24時間撹拌される。溶液が、水(100ml)中で希釈される。酢酸エチルで2回抽出し、有機相が飽和NaClで洗浄され、硫酸マグネシウム上で乾燥させられる。蒸発後、得られた油が、石油エーテル/酢酸エチル溶離液(3/1)を用いてシリカゲル上で精製される。4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソインドリン-5-イル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルが、655mgの質量を有する黄色固体の形態で得られる(収率82%)。ESI:M+H 443.1。1H NMR(600MHz,DMSO-d6):δ 11.09(s,1H),7.70(d,J=8.56Hz,1H),7.35(d,J=2.08Hz,1H),7.26-7.24(dd,J=2.08,8.56Hz,1H),5.08(m,1H),3.47(s,8H),2.93-2.86(m,1H),2.61-2.48(m,2H),2.03(m,1H),1.43(s,9H)。13C NMR(125MHz,DMSO-d6)δ 173.2,170.5,167.9,167.4,155.4,154.3,134.3,125.3,119.0,118.3,108.5,79.6,49.2,47.0,31.4,28.5,22.6。
【0135】
ステップ3:2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(ピペラジン-1-イル)イソインドリン-1,3-ジオン
【0136】
【0137】
4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソインドリン-5-イル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(464mg、1.04mmol)化合物が、ジオキサン(4ml)中のHClの4N溶液に溶解され、反応媒体が、室温で2時間撹拌され、次いで、濃縮され、エーテルで粉砕される。固体が、323mgの質量を有する黄色粉末の形態で得られる(90%収率)。ESI:M+H 343.1
。1H NMR(600MHz,DMSO-d6):δ 11.09(s,1H),9.71(m,2H),7.73(d,J=8.61Hz,1H),7.44(d,J=2.08Hz,1H),7.32(dd,J=2.08,8.61Hz,1H),5.09(m,1H),3.73(m,4H),3.19(m,4H),2.89(m,1H),2.61-2.48(m,2H),2.03(m,1H)。13C NMR(125MHz,DMSO-d6)δ 173.2,170.4,167.8,167.3,154.8,134.2,125.4,120.0,119.0,109.2,49.2,44.5,42.4,31.4,22.6。
【0138】
ステップ4:6-(4-(2-(2,6-ジオキソピペリド-3-イル)-1.3-ジオキソインドリン-5-イル)ピペラジン-1-イル)ヘキサン酸
【0139】
【0140】
化合物2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(ピペラジン-1-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(100g、0.29mmol)が、アセトニトリル(5ml)に溶解される。6-ブロモヘキサン酸(152mg、0.73mmol)及びDIEA(0.193ml、1.16mmol)が添加され、混合物が60℃で24時間撹拌される。溶液が、減圧下で濃縮される。得られた油が、分取HPLCによって精製される。凍結乾燥後、90mgの質量を有する黄色粉末が得られる(65%収率)。ESI:M+H 457.3。1H NMR(600MHz,DMSO-d6):δ 12.08(m,1H),11.04(s,1H),9.73(m,1H),7.77(d,J=8.50Hz),7.50(d,J=1.90Hz),7.37(dd,J=1.90,8.50Hz),5.10(m,1H),4.23(m,2H),3.59(m,2H),3.25(m,2H),3.14(m,4H),2.90(m,1H),2.59(m,2H),2.25(m,2H),2.04(m,1H),1.69(m,2H),1.55(m,2H),1.33(m,2H)。13C NMR(125MHz,DMSO-d6)δ 174.7,173.2,170.4,167.8,167.3,154.6,134.2,125.4,120.4,119.2,109.4,55.7,50.7,49.3,44.8,33.7,31.4,25.9,24.3,23.4。
【0141】
ステップ5:JMV7048
【0142】
【0143】
BOP(52mg、0.12mmol)が、DMF(5ml)中にN-[2-(7-アミノヘプチル)-1-ベンジル-1H-1,3-ベンゾジアゾール-5-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン-1-スルホンアミド(41mg、0.079mmol)(実施例1、JMV6944)、6-(4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドール-5-イル)ピペラジン-1-イル)ヘキサン酸(34mg、0.079mmol)、及びDIEA(0.039ml、0.237mmol)を含有する溶液に添加される。反応媒体が、室温で2時間撹拌される。溶液が、減圧下で濃縮される。得られた油が、分取HPLCによって精製される。凍結乾燥後、52mgの質量を有する黄色粉末が得られる(66%収率)。ESI:M+H 958.0。1H
NMR(600MHz,DMSO-d6):δ 11.02(s,1H),10.42(m,1H),9.78(m,1H),7.69(d,J=8.49Hz,1H),7.65(m,1H),7.54(d,J=8.89Hz,1H),7.41(d,J=2.01Hz,1H),7.29-7.20(m,5H),7.11(m,2H),7.00(dd,J=2.01,8.89Hz,1H),6.93(s,2H),5.02(dd,J=5.53,13.14Hz,1H)。
【0144】
実施例3:JMV7505の合成
ステップ1:7-{4-[2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]ピペラジン-1-イル}ヘプタン酸
【0145】
【0146】
化合物2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(ピペラジン-1-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(100mg、0.29mmol)(実施例2、ステップ3)が、アセトニトリル(5ml)に溶解される。7-ブロモヘプタン酸(155mg、0.73mmol)及びDIEA(0.193ml、1.16mmol)が添加され、混合物が60℃で24時間撹拌される。溶液が、減圧下で濃縮される。得られた油が、分取HPLCによって精製される。凍結乾燥後、93mgの質量を有する黄色粉末が得られる(65%収率)。ESI:M+H 471.3。
【0147】
ステップ2:
【0148】
【0149】
BOP(52mg、0.12mmol)が、DMF(5ml)中にN-[2-(7-アミノヘプチル)-1-ベンジル-1H-1,3-ベンゾジアゾール-5-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン-1-スルホンアミド(41mg、0.079mmol)(実施例1、JMV6944)、6-(4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドール-5-イル)ピペラジン-1-イル)ヘキサン酸(34mg、0.079mmol)、及びDIEA(0.039ml、0.237mmol)を含有する溶液に添加される。反応媒体が、室温で2時間撹拌される。溶液が、減圧下で濃縮される。得られた油が、分取HPLCによって精製される。凍結乾燥後、52mgの質量を有する白色粉末が得られる(収率68%)。ESI:M+H 971.5。1H
NMR(600MHz,DMSO-d6):δ 11.02(s,1H),10.42(m,1H),9.78(m,1H),7.69(d,J=8.49Hz,1H),7.65(m,1H),7.54(d,J=8.89Hz,1H),7.41(d,J=2.01Hz,1H),7.29-7.20(m,5H),7.11(m,2H),7.00(dd,J=2.01,8.89Hz,1H),6.93(s,2H),5.53(s,2H),5.02(dd,J=5.53,13.14Hz,1H)。
【0150】
実施例4:JMV7506の合成
ステップ1:8-{4-[2-(2,6-ジオキソピペリド-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]ピペラジン-1-イル}オクタン酸
【0151】
【0152】
2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(ピペラジン-1-イル)イソインドリン-1,3-ジオン化合物(100mg、0.29mmol)(実施例2、ステップ3)が、アセトニトリル(5ml)に溶解される。8-ブロモオクタン酸(160mg、0.73mmol)及びDIEA(0.193ml、1.16mmol)が添加され、混合物が60℃で24時間撹拌される。溶液が、減圧下で濃縮される。得られた油が、分取HPLCによって精製される。凍結乾燥後、101mgの質量を有する黄色粉末が得られる(67%収率)。ESI:M+H 485.6。
【0153】
ステップ2:
【0154】
【0155】
BOP(52mg、0.12mmol)が、DMF(5ml)中にN-[2-(7-アミノヘプチル)-1-ベンジル-1H-1,3-ベンゾジアゾール-5-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン-1-スルホンアミド(41mg、0.079mmol)(実施例1、JMV6944)、6-(4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドール-5-イル)ピペラジン-1-イル)オクタン酸(36mg、0.079mmol)、及びDIEA(0.039ml、0.023mmol)を含有する溶液に添加される。反応媒体が、室温で2時間撹拌される。溶液が、減圧下で濃縮される。得られた油が、分取HPLCによって精製される。凍結乾燥後、45mgの質量を有する白色粉末が得られる(61%収率)。ESI:M+H 985.5。
【0156】
1H NMR(600MHz,DMSO-d6):δ 11.02(s,1H),10.42(m,1H),9.78(m,1H),7.69(d,J=8.49Hz,1H),7.65(m,1H),7.54(d,J=8.89Hz,1H),7.41(d,J=2.01Hz,1H),7.29-7.20(m,5H),7.11(m,2H),7.00(dd,J=2.01,8.89Hz,1H),6.93(s,2H),5.54(s,4H),5.02(dd,J=5.53,13.14Hz,1H)。
【0157】
実施例5:JMV7965の合成
【0158】
【0159】
ステップ1:4-({4-[2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]ピペラジン-1-イル}メチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【0160】
【0161】
3mlのMeOHが、DCE中に2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(ピペラジン-1-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(100mg、0.29mmol)(実施例2、ステップ3)及び4-ホルミルピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(112mg、0.53mmol)を含有する溶液に添加される。反応媒体が、室温で30分間撹拌される。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを少しずつ添加し、反応媒体を室温で18時間撹拌する。反応媒体を濃縮し、分取HPLCを実行する。凍結乾燥後、85mgの質量を有する黄色粉末が得られる(収率53%)。ESI:M+H
540.2。
【0162】
ステップ2:2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-{4-[(ピペリジン-4-イル)メチル]ピペラジン-1-イル}-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1,3-ジオン
【0163】
【0164】
4-({4-[2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインド-5-イル]ピペラジン-1-イル}メチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル化合物(100mg、0.19mmol)が、DCM(50ml)に溶解される。TFA(5ml)が、反応媒体に一滴ずつ添加され、室温で5時間撹拌される。溶液が減圧下で濃縮される。得られた油(75mg、収率92%)が、そのままステップ3で使用される。ESI:M+FI 440.3。
【0165】
ステップ3:2-[4-({4-[2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインド-5-イル]ピペラジン-1-イル}メチル)ピペリジン-1-イル]酢酸tert-ブチル
【0166】
【0167】
化合物2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-{4-[(ピペリジン-4-イル)メチル]ピペラジン-1-イル}-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1,3-ジオン(128mg、0.29mmol)が、DIEA(0.14ml、0.88mmol)の存在下でDCMに溶解される。ブロモ酢酸tert-ブチル(0.043ml、0.29mmol)を添加し、室温で18時間撹拌する。反応媒体を濃縮し、分取HPLCを実行する。凍結乾燥後、85mgの質量を有する黄色粉末が得られる(収率53%)。ESI:M+H 554.4。
【0168】
ステップ4:2-[4-({4-[2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-
1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインド-5-イル]ピペラジン-1-イル}メチル)ピペリジン-1-イル]酢酸
【0169】
【0170】
2-[4-({4-[2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインド-5-イル]ピペラジン-1-イル}メチル)ピペリジン-1-イル]酢酸tert-ブチル化合物(83mg、0.19mmol)が、DCM(25ml)に溶解される。TFA(5ml)が、反応媒体に一滴ずつ添加され、室温で5時間撹拌される。溶液が減圧下で濃縮される。得られた油(70mg、収率93%)が、そのままステップ3で使用される。ESI:M+H 498.3。
【0171】
ステップ5:
【0172】
【0173】
BOP(27mg、0.0603mmol)が、DMF(5ml)中にN-[2-(7-アミノヘプチル)-1-ベンジル-1H-1,3-ベンゾジアゾール-5-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン-1-スルホンアミド(21mg、0.0402mmol)(実施例1、JMV6944)、2-[4-({4-[2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]ピペラジン-1-イル}メチル)ピペリジン-1-イル]酢酸(20mg、0.0402mmol)、及びDIEA(0.020ml、0.12mmol)を含有する溶液に添加される。反応媒体が、室温で2時間撹拌される。溶液が、減圧下で濃縮される。得られた油が、分取HPLCによって精製される。凍結乾燥後、25mgの質量を有する黄色粉末が得られる(62%収率)。ESI:M+H 998.3。
【0174】
実施例6:JMV7605の合成
【0175】
【0176】
ステップ1:4-{4-[(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)カルバモイル]フェニル}ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【0177】
【0178】
BOP(1.11g、2.53mmol)が、DMF(50ml)中に4-[4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジノ]安息香酸(0.775g、2.53mmol)、3-アミノピペリジン-2,6-ジオンHCl(0.50g、3.03mmol)、及びDIEA(1.25ml、7.59mmol)を含有する溶液に添加される。
【0179】
反応媒体が、室温で2時間撹拌される。水を反応媒体に添加し、酢酸エチルで抽出する。有機相を1N HCl、飽和NaHCO3、及び飽和NaClで連続的に洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。0.4gの質量を有する白色粉末が得られる(38%収率)。ESI:M+H 417.3。
【0180】
ステップ2:N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-(ピペラジン-1-イル)ベンズアミド
【0181】
【0182】
4-{4-[(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)カルバモイル]フェニル}ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.4g、0.96mmol)化合物が、ジオキサン(6ml)中のHClの4N溶液に溶解され、反応媒体が、室温で2時間撹拌され、次いで、濃縮され、エーテルで粉砕される。固体が、0.285mgの質量を有する白色粉末の形態で得られる(94%収率)。
【0183】
反応媒体が、室温で2時間撹拌される。溶液が、減圧下で濃縮される。得られた油が、分取HPLCによって精製される。凍結乾燥後、45mgの質量を有する白色粉末が得られる(52%収率)。ESI:M+H 317.3。
【0184】
ステップ3:7-(4-{4-[(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)カルバモイル]フェニル}ピペラジン-1-イル)ヘプタン酸
【0185】
【0186】
N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-(ピペラジン-1-イル)ベンズアミド化合物(50mg、0.15mmol)が、DMF(5ml)に溶解される。7-ブロモヘプタン酸(66mg、0.31mmol)及びDIEA(0.078ml、0.47mmol)が添加され、混合物が100℃で24時間撹拌される。溶液が、減圧下で濃縮される。得られた油が、分取HPLCによって精製される。凍結乾燥後、38mgの質量を有する黄色粉末が得られる(55%収率)。ESI:M+H 445.1。
【0187】
ステップ4:
【0188】
【0189】
BOP(44mg、0.101mmol)が、DMF(5ml)中にN-[2-(7-アミノヘプチル)-1-ベンジル-1H-1,3-ベンゾジアゾール-5-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン-1-スルホンアミド(35mg、0.067mmol)(
実施例1、JMV6944)、7-(4-{4-[(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)カルバモイル]フェニル}ピペラジン-1-イル)ヘプタン酸(30mg、0.067mmol)、及びDIEA(0.033ml、0.20mmol)を含有する溶液に添加される。反応媒体が、室温で2時間撹拌される。溶液が、減圧下で濃縮される。得られた油が、分取HPLCによって精製される。凍結乾燥後、41mgの質量を有する白色粉末が得られる(65%収率)。ESI:M+H 945.8。
【0190】
実施例7:JMV7159の合成(比較例)
【0191】
【0192】
ステップ1:5-フルオロ-2-(1-メトキシ-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1,3-ジオン
【0193】
【0194】
化合物2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-フルオロイソインドリン-1,3-ジオン(250mg、0.90mmol)が、無水DMF(5ml)に溶解され、反応媒体が、撹拌され、0℃にされる。NaHを少しずつ添加し、20分間撹拌する。ヨウ化メチルを添加し、2時間撹拌する。NH4Cl溶液で反応を停止する。酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和NaClで2回洗浄する。MgS04上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。化合物5-フルオロ-2-(1-メチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1,3-ジオンが、253mgの質量を有する白色粉末の形態で得られる(96%収率)。ESI:M+H 291.1。
【0195】
ステップ2:4-[2-(1-メチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【0196】
【0197】
化合物5-フルオロ-2-(1-メチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1,3-ジオン(250mg、0.86mmol)が、室温でNMP(4ml)に溶解される。DIEA(0.42ml、2.58mmol)及び1-ピペラジン-カルボン酸t-ブチル(176mg、0.94mmol)が添加され、混合物が140℃で24時間撹拌される。溶液が、水(100ml)中で希釈される。酢酸エチルで2回抽出し、有機相が飽和NaClで洗浄され、硫酸マグネシウム上で乾燥させられる。蒸発後、得られた油が、石油エーテル/酢酸エチル溶離液(3/1)を用いてシリカゲル上で精製される。4-[2-(1-メチル-2,6-ジオキソピペリド-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルが、338mgの質量を有する黄色固体の形態で得られる(86%収率)。ESI:M+H 457.3。
【0198】
ステップ3:2-(1-メチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(ピペラジン-1-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1,3-ジオン
【0199】
【0200】
4-[2-(1-メチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(250mg、0.54mmol)化合物が、ジオキサン(4ml)中のHClの4N溶液に溶解され、反応媒体が、室温で2時間撹拌され、次いで、濃縮され、エーテルで粉砕される。固体が、175mgの質量を有する黄色粉末の形態で得られる(90%収率)。ESI:M+H 357.3。
【0201】
ステップ4:6-{4-[2-(1-メチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]ピペラジン-1-イル}ヘキサン酸
【0202】
【0203】
化合物2-(1-メチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(ピペラジン-1-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1,3-ジオン(100mg、0.28mmol)が、アセトニトリル(5ml)に溶解される。6-ブロモヘキサン酸(136mg、0.70mmol)及びDIEA(0.139ml、0.84mmol)が添加され、混合物が60℃で24時間撹拌される。溶液が、減圧下で濃縮される。得られた油が、分取HPLCによって精製される。凍結乾燥後、85mgの質量を有する黄色粉末が得られる(65%収率)。ESI:M+H 471.3。
【0204】
ステップ5:
【0205】
【0206】
BOP(36mg、0.082mmol)が、DMF(5ml)中にN-[2-(7-アミノヘプチル)-1-ベンジル-1H-1,3-ベンゾジアゾール-5-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン-1-スルホンアミド(28mg、0.055mmol)(実施例1、JMV6944)、6-{4-[2-(1-メチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]ピペラジン-1-イル}ヘキサン酸(26mg、0.055mmol)、及びDIEA(0.165ml、0.165mmol)を含有する溶液に添加される。反応媒体が、室温で2時間撹拌される。溶液が、減圧下で濃縮される。得られた油が、分取HPLCによって精製される。凍結乾燥後、30mgの質量を有する白色粉末が得られる(56%収率)。ESI:M+H 971.6。
【0207】
実施例8:生化学及び結晶学
ヒトPXR受容体リガンド結合ドメイン(human PXR receptor ligand binding domain、hPXR-LBD、残基130~434)を、E.coli BL21-DE3細菌において組換えタンパク質の形態で産生した。タンパク質を、アフィニティーカラム上で、次いで、サイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。濃縮後、hPXR-LBDをJMV6944リガンドの存在下で結晶化した。hPXR-LBD/JMV6944複合体の構造を、分子置換法による放射線結晶学によって決定し、次いで、電子密度(ERFシンクロトロン、Grenobleにおいて収集された回折データ)に基づいて再構築及び精密化した。その構造が、
図11に示される。Aでは、複合体の構造全体が、JMV6944の結合様式を示す。JMV6944の独創性は、親分子JMV6845に付加され
た伸長の位置及びタンパク質ドメインから退出するためのその経路にある。全てがアンタゴニストリガンドの修飾に基づく、他の核内受容体で知られているPROTACとは異なり、JMV6845アゴニスト上にグラフトされた伸長は、H12ヘリックスに向かって伸長しないが、その代わりに、最終的にLBDの外部表面に到達するために、H2’、H6及びH7ヘリックスとS1鎖との間で反対方向を指す。(Bによって囲まれた)アルキル/NHアームの存在は、このリガンドが結合ポケットから抽出され、表面残基C207(C)と特異的に相互作用することを可能にする、H2’末端の立体構造変化を誘導する。リガンドの結合ポケット内で、JMV6944はまた、H407及びS247との水素結合、並びにL411及びF428との疎水性相互作用、並びに「π-トラップ」領域の残基(F288、W299、Y306)との疎水性相互作用を確立する。
【0208】
実施例9:生物学的結果
9.1 前駆PROTAC/PXR親和性の測定
JMV6944(前駆PROTAC)とPXRリガンド結合ドメイン(ligand binding
domain、LBD)との間の結合親和性を、LanthaScreen TR-FRET
PXR競合結合アッセイキット(Invitrogen)によるFRETによって定量化した。分子を、蛍光参照リガンドの存在下でPXR LBDとともに室温で1:30時間インキュベートした。PHERA-Star装置(BMG LABTECH)上で337nmにおける励起後の520nm及び495nmにおける発光を読み取ることによって、前駆PROTAC又はPXR SR12813リガンドによって引き起こされた蛍光リガンドの変位を測定した。結果が、
図1に図示され、これは、分子JMV6944が18.38nmの親和性を有するPXRリガンドであることを示す。
【0209】
9.2 PXR(レポーター遺伝子)の転写活性に対するPROTACの効果の測定
PXRタンパク質をコードする発現ベクター、CYP3A4プロモーターの制御下に置かれたルシフェラーゼレポーター遺伝子(PXR標的遺伝子)、及びシグナルの正規化のためにCMVプロモーターの制御下に置かれたGFPタンパク質をコードする発現カセットで安定的にトランスフェクトされたLS174T細胞の処置。細胞を、5μMの分子JMV6944(前駆PROTAC)、PROTAC JMV7048及びJMV7605、並びにリファンピシン(5μM、PXRリガンド)で48時間処置した。処置の終了時に、PXRの転写活性が、PHERA-Star装置(BMG LABTECH)上で測定されたルシフェラーゼ/GFPシグナルの比によって測定される。
図2は、前駆PROTAC JMV6944及びリファンピシンのみがPXRの転写活性を活性化することが可能であることを示す。
【0210】
9.3 PXRの転写活性(CYP3A4 mRNA発現)に対するPROTACの効果の測定
LS174T細胞を、5μMの分子JMV6944(前駆PROTAC)、JMV7048、JMV7505、又はJMV5159(CNBRリガーゼユビキチンリガンド上のメチル基の付加後のJMV7048の不活性同等物)で、5μM最終量におけるリファンピシン(PXRリガンド)の存在又は非存在下で48時間処置した。細胞の溶解及び全RNAの精製(Qiagen RNAeasy)後に、相補的DNAを調製した(6つのヌクレオチドのランダムプライマーの存在下でのSuperScript(登録商標) II、Invitrogen)。CYP3A4 mRNA並びにRPLO及びアクチンハウスキーピング遺伝子の発現を、SyberGreen(Millipore)の存在下でLC480装置(Roche)上でRT-qPCRによって測定した。相対発現レベルを、RQ=相対定量化=2-ΔΔCt法に従って計算し、未処置細胞が1に設定された較正物として機能した。
図3A及び
図3Bは、前駆PROTAC及び不活性化PROTAC(JMV7159)がCYP3A4 mRNAの発現に対する相加的効果を有する場合、PROTAC JMV7048及びJMV7965が、リファンピシンによって媒介される
CYP3A4の誘導を著しく低減することを示す。
【0211】
9.4 PXRの転写活性(CYP3A4の発現)に対するPROTACの効果の測定
LS174T細胞を、5mM最終量におけるリファンピシン(PXRリガンド)の存在又は非存在下で、5mMのJMV7048で48時間処置した。細胞の溶解(RIPA+抗プロテアーゼ)後、タンパク質を10%SDS-PAGEゲル上に堆積させる(90μg)前に精製及びアッセイした。ゲル上への移動後、CYP3A4に対する抗体(sc-53850、Santa Cruz)及びβ-アクチンに対する抗体(A5441、Sigma又はAb-253283、AbCAm)、次いで、ペルオキシダーゼに結合された二次抗体(抗マウスHRP、Santa Cruz)を用いて明らかにする前に、それらをニトロセルロース膜(GE Healthcare)に移した。シグナルの強度をカメラ(BioRad MP Touch)によって測定した。
図4A及び
図4Bは、PROTAC JMV7048及びJMV7965が、リファンピシンによって媒介されるCYP3A4酵素の誘導を低減することを示す。
【0212】
9.5 細胞生存率に対するPROTACの効果の測定
細胞生存率に対するPROTACの効果は、様々な株CRC1、HT29、及びLS174Tで試験されている。細胞を固定し、スルホローダミンB(Sigma)によってマークする前に、漸増濃度の分子の存在下で72時間インキュベートした。細胞の洗浄及び溶解後、細胞によって放出される組み込まれた着色剤は、細胞バイオマスに正比例する。それは、96ウェルプレート分光光度計(Tecan)によって565nMで測定される。未処置細胞について得られるシグナルは、100%に設定される。
図5Aは、LS174T株上のPROTAC JMV7048、JMV7505、及びJMV7605の毒性の非存在を図示する。
図5Bでは、PROTAC JMV7048が、HT29細胞又はCRC1プロト培養(結腸がんを有する患者に由来する)の生存率に影響を及ぼさないことが分かる。
【0213】
9.6 インビトロウェスタンブロッティングによるLS174T細胞におけるPXR分解に対するPROTACの効果の測定
PXRタンパク質の発現レベルに対するPROTACの影響を、ウェスタンブロッティングによって研究した。LS174T細胞を、50nMのPXRを標的とするsiRNA(siPXR:NR1I2 Silencer、Thermofischer)の非存在若しくは存在下で移植したか、又はPROTACで処置した。細胞の溶解(RIPA+抗プロテアーゼ)後、タンパク質を10%SDS-PAGEゲル上に堆積させる(9C^g)前に精製及びアッセイした。ゲル上への移動後、PXRに対する抗体(sc-48340、Santa Cruz)、GAPDHに対する抗体(sc-32233、Santa
Cruz)、及びβ-アクチンに対する抗体(A5441、Sigma又はAb-253283、AbCAm)、次いで、ペルオキシダーゼに結合された二次抗体(抗マウスHRP、Santa Cruz)を用いて明らかにする前に、それらをニトロセルロース膜(GE Healthcare)に移した。シグナルの強度をカメラ(BioRad MP Touch)によって測定した。
図6A~
図6Cは、5μMにおける24時間の処置後に、PROTAC JMV7048、JMV7505、JMV7506、JMV7605、及びJMV7965が、JMV7048の不活性変異体(すなわち、JMV7159)とは異なり、PXRタンパク質の発現レベルを著しく低減することを示す。
図6D及び
図6Eは、処置時間(3時間の処置後に最大効果に達した)及び使用される濃度(用量に依存して減少し、最大効果が500nMから観察された)に基づくPXRの発現レベルに対するJMV7048の効果を図示する。
【0214】
9.7 インビトロウェスタンブロッティングによるHEPG2及びASPC1細胞におけるPXR分解に対するPROTACの効果の測定
HepG2細胞(肝細胞がん、ATCC#HB-8065(商標))又はASPC1細胞(ヒト膵臓がん細胞株、ATCC#CRL-1682)におけるPXRタンパク質の発現レベルに対するPROTAC(5mM、24時間の処置)の効果を、ウェスタンブロッティングによって研究した。細胞の溶解(RIPA+抗プロテアーゼ)後、タンパク質を10%SDS-PAGEゲル上に堆積させる(90μg)前に精製及びアッセイした。ゲル上への移動後、PXRに対する抗体(sc-48340、Santa Cruz)、GAPDHに対する抗体(sc-32233、Santa Cruz)、及びβ-アクチンに対する抗体(A5441、Sigma又はAb-253283、AbCAm)、次いで、ペルオキシダーゼに結合された二次抗体(抗マウスHRP、Santa Cruz)を用いて明らかにする前に、それらをニトロセルロース膜(GE Healthcare)に移した。
図7A及び
図7Bは、肝臓がん細胞(7A)又は膵臓がん細胞(7B)におけるPXRの発現レベルに対するPROTAC JMV7048及びJMV7965の効果を図示する。
【0215】
9.8 PXR分解に対するPROTACの効果についてのプロテアソーム経路の重要性
PXRタンパク質の発現レベルに対するPROTACの効果におけるプロテアソーム経路の関与を、ウェスタンブロッティングによって研究した。LS174T細胞を、CNBRユビキチンリガーゼ(MLN4924)又はプロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブ)の存在又は非存在下で、JMV7048で24時間処置した。
図8A及び
図8Bは、PROTAC JMV7048によって誘導されたPXRタンパク質の発現レベルの減少についてのプロテアソーム経路の重要性を確認した。JMV7048によって誘導されたPXRの発現レベルの減少が、CRBNユビキチンリガーゼ阻害剤(MLN4924、
図8A)又は26Sプロテアソームの阻害剤(ボルテゾミブ、Bortezomib、Bz、
図8B)によって逆戻りされる一方で、JMV7048の変異体(すなわち、CNBRの動員を可能にしないJMV7159)は、PXRの発現レベルの減少を引き起こさない。
【0216】
9.9 インビボウェスタンブロッティングによるPXR分解に対するPROTACの効果の測定
PXRタンパク質の発現レベルに対するPROTACの効果を、SCIDマウスにおけるLS174T細胞の異種移植片からのウェスタンブロッティングによってインビボで研究した。腫瘍が100mm3に達すると、10匹のマウスを、5%EtOH溶媒、D5W中の20%ソルトール、又はPROTAC(25mg/kg)でI.V.によって24時間毎に4日間処置した。マウスの体重を毎日測定した。最後の処置の4時間後、Fast-Prep24(MP-Bio)装置を用いてセラミックビーズ(Lysing matrix D、MP-Bio)によりRIPA緩衝液中で溶解させる前に、腫瘍を切除した。タンパク質を、10%SDS-PAGEゲル上に堆積させる(90μg)前に精製及びアッセイした。ゲル上への移動後、PXRに対する抗体(sc-48340、Santa
Cruz)、GAPDHに対する抗体(sc-32233、Santa Cruz)、及びβ-アクチンに対する抗体(A5441、Sigma又はAb-253283、AbCAm)、次いで、ペルオキシダーゼに結合された二次抗体(抗マウスHRP、Santa Cruz)を用いて明らかにする前に、それらをニトロセルロース膜(GE Healthcare)に移した。シグナルの強度をカメラ(Biorad MP Touch)によって測定した。
図9Aでは、25mk/kbで4日間の処置がマウスの体重を著しく改変しないことが分かる。
図9B及び
図9Cは、この処置が腫瘍内のPXRタンパク質の発現レベルの著しい低下を誘導することが可能であることを確認する。
【0217】
9.10 結腸がん幹細胞の自己再生及び化学耐性に対するPROTACの効果の測定
結腸がん幹細胞の生存及び自己再生に対するPROTACの効果を、HT29株又は患者から単離されたがん細胞(CRC1)上でインビトロで研究した。細胞を、分析する前
に5μMのPROTACの有無別に48時間処置した:Aldefluorマーキング、がん幹細胞に優先的に存在する酵素活性(
図10A)、アセリック(aseric)及び非接着条件下での腫瘍球体の形成(
図10B)、並びに最終的に化学療法に対する耐性(
図10C及び
図10D)。
【0218】
図10Aは、PROTAC JMV7048、JMV7505、JMV7506、及びJMV7965が、未処置細胞と比較して、CRC1細胞の解離及びAldefluor(商標)(STEMCELL Technologies)によるマーキング後に、ALDH陽性細胞の割合を著しく低減することを示す。
図10Bは、分子JMV7048及びJMV7965が、アノイキスを生き延びること、及び腫瘍球体(球体形成細胞)の形成を誘導することが可能なHT29細胞の数を著しく削減することを示す。50μM超の直径を有する腫瘍球体を、100μLの枯渇BCS培地中でウェル当たり200個の細胞(いずれの細胞接着も防止するためにpoly2Hemaで事前に処置された)の処置及び培養の10日後に計数した。これらの培養条件は、がん幹細胞の生存のみを可能にする。
図10C及び
図10Dは、異なる濃度の5-FU及びSN38(Folfiri 1X=50μg 5-FU+500nM SN38)の存在下で維持され、いずれの細胞接着も防止するためにpoly2Hemaで前処置された皿内の100μLのBCS培地中で培養されたHT29細胞の生存(10C)及び腫瘍球体を形成する能力(10D)に対するPROTAC JMV7048及びJMV7965の効果を示す。50μ超の直径を有する腫瘍球体を、200細胞/ウェルを播種してから10日後に計数した。したがって、
図10A~
図10Dは、PROTAC JMV7048及びJMV7965を用いた5μMでの2日間の処置が、結腸がん細胞株における幹細胞の生存及び化学耐性を著しく低減することを示す。
【国際調査報告】