(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-15
(54)【発明の名称】植物ベースの発泡性クリーマー
(51)【国際特許分類】
A23C 11/10 20210101AFI20240508BHJP
A23L 2/66 20060101ALI20240508BHJP
A23L 9/20 20160101ALI20240508BHJP
A23F 5/24 20060101ALN20240508BHJP
【FI】
A23C11/10
A23L2/66
A23L9/20
A23F5/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572580
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2022064688
(87)【国際公開番号】W WO2022253796
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ウースター, ティモシー ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ボルトリン, マリナ
【テーマコード(参考)】
4B025
4B027
4B117
【Fターム(参考)】
4B025LB23
4B025LG03
4B025LG14
4B025LG18
4B025LG19
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4B117LK08
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4B117LP03
(57)【要約】
本発明は、植物ベースのクリーマーを製造する方法であって、植物性タンパク質を水に溶解させて植物性タンパク質混合物を形成するステップと、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップと、植物性タンパク質混合物を均質化させて、エマルションを形成するステップと、エマルションに熱処理を適用するステップと、熱処理したエマルションを均質化させて、植物ベースの液体を形成するステップと、植物ベースの液体を噴霧乾燥させて粉末を形成するステップと、を含み、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップの前に、植物性タンパク質混合物又はトリグリセリドのいずれかに乳化剤を添加する、方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物ベースのクリーマーを製造する方法であって、
a.2~8重量%の乾式分画した植物性タンパク質を水に溶解させて、6.5~9、好ましくは6.7~8のpHを有する植物性タンパク質混合物を形成するステップと、
b.任意選択で、親水コロイドを前記植物性タンパク質混合物に添加するステップと、
c.前記植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップと、
d.前記植物性タンパク質混合物を均質化させて、エマルションを形成するステップと、
e.前記エマルションに熱処理を適用するステップと、
f.前記熱処理したエマルションを均質化させて、植物ベースの液体を形成するステップと、
g.前記植物ベースの液体を噴霧乾燥させて粉末を形成するステップと、を含み、
前記植物性タンパク質混合物中に前記トリグリセリドを分散させるステップの前に、前記植物性タンパク質混合物又は前記トリグリセリドのいずれかに乳化剤を添加する、
方法。
【請求項2】
前記乾式分画した植物性タンパク質が、ソラマメ、エンドウマメ、ヒヨコマメ、オート麦、又はレンズマメに由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記乾式分画した植物性タンパク質が、空気分級された植物性タンパク質である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記乾式分画した植物性タンパク質が、ソラマメタンパク質、好ましくはソラマメタンパク質濃縮物である、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
アスコルビン酸ナトリウムが、前記エマルションに熱処理を適用するステップの前に、前記植物性タンパク質混合物に溶解される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
クエン酸誘導カルシウムキレート剤が、前記エマルションに熱処理を適用するステップの前に前記植物性タンパク質混合物に溶解され、前記キレート剤が、クエン酸、レモン果汁、クエン酸三ナトリウム又はクエン酸三カリウムから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
酸性度調節剤が、前記エマルションに熱処理を適用するステップの前に前記植物性タンパク質混合物に溶解され、前記調節剤が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、又はリン酸水素二ナトリウムから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記乳化剤が、レシチン又は変性レシチン、例えば加水分解ヒマワリレシチンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エマルション平均粒径が、粒径分析を使用して測定したときに、d[3,2]については0.2~2μmであり、d[4,3]については0.7~4μmである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
窒素又はアルゴンが、噴霧乾燥前に前記植物ベースの液体に添加される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(i)前記乾式分画した植物性タンパク質が、ソラマメタンパク質濃縮物であり、(ii)アスコルビン酸ナトリウムが、前記エマルションに熱処理を適用するステップの前に、前記植物性タンパク質混合物に溶解され、(iii)前記酸性度調節剤が、重炭酸ナトリウムであり、(iv)前記カルシウムキレート剤が、クエン酸、レモン果汁、クエン酸三ナトリウム又はクエン酸三カリウムから選択され、好ましくはクエン酸である、
請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法によって作製された植物ベースのクリーマー粉末。
【請求項13】
前記粉末が、非発泡性の植物ベースのクリーマー粉末である、請求項12に記載の植物ベースのクリーマー粉末。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか一項に記載の植物ベースのクリーマー粉末から作製された、飲料。
【請求項15】
飲料調製マシンを使用して作製された、請求項14に記載の飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物ベースの発泡性クリーマー組成物と、植物ベースの発泡性クリーマー組成物を製造するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
クリーマーは、例えば、コーヒー、ココア、茶などの温飲料及び冷飲料の白色付与剤として広く使用されている。これらは、乳及び/又は乳クリームの代わりに一般的に使用される。クリーマーは、異なる様々な風味をもたらし、口当たり、ボディ、及び滑らかなテクスチャーを提供し得る。クリーマーは、液体又は粉末の形態を取り得る。いくつかの用途では、例えば、カプチーノタイプのコーヒー飲料を容易に調製するために、飲料の上部にたっぷりの泡を生成するクリーマーが望まれる。国際公開第01/08504号は、圧力下でガスを含有し、水で再構成された際にたっぷりの泡を生成する発泡性原材料を開示している。このような発泡性原材料は、例えばインスタントカプチーノ飲料粉末において、発泡性クリーマーの一部として使用することができる。
【0003】
消費者と政府のいずれもが、環境への影響がより少ない、かつ/又は動物由来の原材料を含有しない食品を求めている。したがって、消費者は、発泡性粉末クリーマーなどの従来の乳製品ベースの製品に対する植物ベースの代替物を求めている。更に、多くの消費者は、植物ベースの代替物が、従来の乳製品と比較して同様の心地よい口当たり、クリーミーなテクスチャー及び豊かな泡のテクスチャーを有することを求めている。
【0004】
しかしながら、粉末化された「非乳製品」のコーヒークリーマーは、脂肪液滴を十分に分散及び安定化させるために不可欠なタンパク質成分として、カゼインなどの乳タンパク質を利用することが多い。カゼインは、泡の安定化にも関与する。タンパク質は、製造中のエマルションの、及び/又はタンパク質が添加される飲料中のタンパク質の、望ましくない液中分布した凝集体形成(coagulation)を回避しながら、油の良好な乳化を確保するのに重要な役割を果たす。植物性タンパク質には、低水分環境下で貯蔵タンパク質として機能することが本来の役割であるという課題がある。したがって、植物性タンパク質は、i)エマルションベースのクリーマーの製造中に凝集する傾向、及びii)酸性のコーヒーに添加されたときに凝集する傾向を有する。酸性温飲料に添加した時の植物ベースのクリーマーの凝集はまた、ガスを含ませたクリーマーから形成される泡の外観/体積を制限する。これらの欠陥は、植物ベースの粉末クリーマーの生産性を著しく制限し、上記(発泡性)粉末クリーマーの消費者の楽しみを著しく制限する。
【0005】
したがって、製造中及び/又は酸性温飲料に添加されたときに凝集しないことでリッチなテクスチャーをもたらす、植物ベースの粉末クリーマーを作製する手段が当該技術分野において必要とされている。
【0006】
[発明の概要]
第1の態様において、本発明は、植物ベースのクリーマーを製造する方法であって、植物性タンパク質を水に溶解させて植物性タンパク質混合物を形成するステップと、エマルションを形成するステップと、植物ベースの液体を形成するステップと、乾燥させて上記植物ベースの液体から粉末を形成するステップと、を含む方法に関する。
【0007】
第2の態様において、本発明は、本発明に従って製造された発泡性又は非発泡性の植物ベースのクリーマーに関する。
【0008】
第3の態様において、本発明は、本発明に従って製造された発泡性又は非発泡性の植物ベースのクリーマーから作製された飲料に関する。
[発明が解決しようとする課題]
【0009】
本発明は、概して、植物ベースのクリーマーの製造方法に関する。
【0010】
一実施形態では、上記方法は、植物性タンパク質を水に溶解させて植物性タンパク質混合物を形成するステップと、エマルションを形成するステップと、植物ベースの液体を形成するステップと、乾燥させて植物ベースの液体から粉末を形成するステップと、を含む。
【0011】
一実施形態では、上記方法は、植物性タンパク質を水に溶解させて植物性タンパク質混合物を形成するステップと、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップと、植物性タンパク質混合物を均質化させて、エマルションを形成するステップと、エマルションに熱処理を適用するステップと、熱処理したエマルションを均質化させて、植物ベースの液体を形成するステップと、植物ベースの液体を噴霧乾燥させて粉末を形成するステップと、を含み、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップの前に、植物性タンパク質混合物又はトリグリセリドのいずれかに乳化剤を添加する。
【0012】
一実施形態では、上記方法は、分画した植物性タンパク質を水に溶解させて植物性タンパク質混合物を形成するステップと、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップと、植物性タンパク質混合物を均質化させて、エマルションを形成するステップと、エマルションに熱処理を適用するステップと、熱処理したエマルションを均質化させて、植物ベースの液体を形成するステップと、植物ベースの液体を噴霧乾燥させて粉末を形成するステップと、を含み、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップの前に、植物性タンパク質混合物又はトリグリセリドのいずれかに乳化剤を添加する。
【0013】
一実施形態では、上記方法は、乾式分画した植物性タンパク質を水に溶解させて植物性タンパク質混合物を形成するステップと、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップと、植物性タンパク質混合物を均質化させて、エマルションを形成するステップと、エマルションに熱処理を適用するステップと、熱処理したエマルションを均質化させて、植物ベースの液体を形成するステップと、植物ベースの液体を噴霧乾燥させて粉末を形成するステップと、を含み、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップの前に、植物性タンパク質混合物又はトリグリセリドのいずれかに乳化剤を添加する。
【0014】
一実施形態では、上記方法は、乾式分画した植物性タンパク質を水に溶解させて、6.5~9のpHを有する植物性タンパク質混合物を形成するステップと、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップと、植物性タンパク質混合物を均質化させて、エマルションを形成するステップと、エマルションに熱処理を適用するステップと、熱処理したエマルションを均質化させて、植物ベースの液体を形成するステップと、植物ベースの液体を噴霧乾燥させて粉末を形成するステップと、を含み、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップの前に、植物性タンパク質混合物又はトリグリセリドのいずれかに乳化剤を添加する。
【0015】
一実施形態では、上記方法は、乾式分画した植物性タンパク質を水に溶解させて、6.5~9のpHを有する植物性タンパク質混合物を形成するステップと、任意選択で、親水コロイドを植物性タンパク質混合物に添加するステップと、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップと、植物性タンパク質混合物を均質化させて、エマルションを形成するステップと、エマルションに熱処理を適用するステップと、熱処理したエマルションを均質化させて、植物ベースの液体を形成するステップと、植物ベースの液体を噴霧乾燥させて粉末を形成するステップと、を含み、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップの前に、植物性タンパク質混合物又はトリグリセリドのいずれかに乳化剤を添加する。
【0016】
一実施形態では、上記方法は、
a.2重量%~8重量%の乾式分画された植物性タンパク質を水に溶解させて、6.5~9、好ましくは6.7~8のpHを有する植物性タンパク質混合物を形成するステップと、
b.任意選択で、親水コロイドを植物性タンパク質混合物に添加するステップと、
c.植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップと、
d.植物性タンパク質混合物を均質化させて、エマルションを形成するステップと、
e.上記エマルションに熱処理を適用するステップと、
f.熱処理したエマルションを均質化させて、植物ベースの液体を形成するステップと、
g.植物ベースの液体を噴霧乾燥させて粉末を形成するステップと、を含み、
植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させるステップの前に、植物性タンパク質混合物又はトリグリセリドのいずれかに乳化剤が添加される。
【0017】
一実施形態では、乾式分画した植物性タンパク質は、ソラマメ、エンドウマメ、アズキマメ、ヒヨコマメ、オート麦、又はレンズマメに由来する。
【0018】
一実施形態では、乾式分画した植物性タンパク質は、空気分級した植物性タンパク質である。
【0019】
一実施形態では、乾式分画したタンパク質は、植物性タンパク質濃縮物である。
【0020】
一実施形態では、乾式分画した植物性タンパク質は、ソラマメタンパク質、好ましくはソラマメタンパク質濃縮物である。一実施形態では、ソラマメタンパク質濃縮物は、50%~70%のタンパク質、好ましくは約60%のタンパク質を含む。
【0021】
一実施形態では、乾式分画した植物性タンパク質は、エンドウマメタンパク質、好ましくはエンドウマメタンパク質濃縮物である。一実施形態では、エンドウマメタンパク質濃縮物は、45%~65%のタンパク質、好ましくは約55%のタンパク質を含む。
【0022】
一実施形態では、乾式分画した植物性タンパク質は、アズキマメタンパク質、好ましくはアズキマメタンパク質濃縮物である。一実施形態では、アズキマメタンパク質濃縮物は、45%~65%のタンパク質、好ましくは約55%のタンパク質を含む。
【0023】
一実施形態では、アスコルビン酸ナトリウムは、エマルションに熱処理を適用する前に、植物性タンパク質混合物に溶解される。
【0024】
一実施形態では、非結晶化炭水化物が、植物性タンパク質混合物、例えばグルコースシロップ、又はマルトデキストリンに添加され、好ましくはグルコースシロップに添加される。
【0025】
一実施形態では、トリグリセリドは、植物油、動物性脂肪、乳脂肪、魚油、藻類油、ヒマワリ油、オリーブ油、キャノーラ油、綿実油、パーム脂肪、パームステアリン、パーム核油、コーン油、ココナッツ油、及び/又は高オレイン酸ヒマワリ油、精製ココナッツ油などの任意の固体脂肪原料、無水乳脂肪、水素化植物油、獣脂、ラード、任意のナッツバター/油、例えばアーモンドバター、ピーナッツバター、クルミバター、カシューバターなど、及び/又は水素化若しくは部分水素化脂肪である。
【0026】
好ましくは、トリグリセリドは、植物ベースの脂肪源、例えば、植物油、藻類油、ヒマワリ油、オリーブ油、キャノーラ油、綿実油、パーム脂肪、パームステアリン、パーム核油、コーン油、ココナッツ油、及び/又は高オレイン酸ヒマワリ油、精製ココナッツ油などの任意の固体脂肪原料、無水乳脂肪、水素化植物油、任意のナッツバター/油、例えばアーモンドバター、ピーナッツバター、クルミバター、カシューバターなど、及び/又は水素化若しくは部分水素化脂肪である。
【0027】
一実施形態では、トリグリセリドは、凝固脂肪、例えばココナッツ脂肪である。一実施形態では、トリグリセリドは、ヒマワリ油、コーン油、キャノーラ油、又はパーム脂肪から選択される。
【0028】
一実施形態では、クエン酸誘導カルシウムキレート剤は、エマルションに熱処理を適用する前に植物性タンパク質混合物に溶解され、当該キレート剤は、クエン酸、レモン果汁、クエン酸三ナトリウム又はクエン酸三カリウムから選択される。
【0029】
一実施形態では、酸性度調節剤は、エマルションに熱処理を適用する前に植物性タンパク質混合物に溶解され、当該調節剤は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムから選択される。
【0030】
一実施形態では、酸性度調節剤は、エマルションに熱処理を適用する前に植物性タンパク質混合物に溶解され、当該調節剤は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三カリウム、又はリン酸水素二カリウムから選択され、好ましくは重炭酸ナトリウムである。
【0031】
一実施形態では、乳化剤は、小分子乳化剤であり、例えばレシチン又は変性レシチン、例えば加水分解ヒマワリレシチンである。
【0032】
一実施形態では、非凝集エマルションの平均粒径は、粒径分析を用いて測定したときに、d[3,2]については0.2~2μm、d[4,3]については0.7~4μmである。
【0033】
一実施形態では、ガスは、噴霧乾燥前に植物ベースの液体に添加され、例えば、ガスは、噴霧乾燥前に圧力下で植物ベースの液体に添加されてもよい。ガスは、植物ベースの液体を高圧に供した後に植物ベースの液体に添加されてもよい。この添加は、植物ベースの液体の圧力よりも少なくともわずかに高い圧力でガスを導入することによって実施されてもよい。水性混合物には、窒素、空気、二酸化炭素、亜酸化窒素、及びアルゴンからなる群から選択されるガスを含ませることができる。ガスは、窒素又はアルゴンであってよい。植物ベースの液体は、50bar~300bar、例えば80bar~200bar、更には例えば100bar~150barの高圧であってもよい。
【0034】
一実施形態では、噴霧乾燥の前に窒素又はアルゴンガスが植物ベースの液体に添加される。
【0035】
一実施形態では、クリーマーは、60℃、100s-1において<100mPa.sの体積粘性率を有する。
【0036】
一実施形態では、(i)乾式分画した植物性タンパク質は、ソラマメタンパク質濃縮物であり、(ii)アスコルビン酸ナトリウムは、エマルションに熱処理を適用するステップの前に、植物性タンパク質混合物に溶解され、(iii)酸性度調節剤は、重炭酸ナトリウムであり、(iv)カルシウムキレート剤は、クエン酸、レモン果汁、クエン酸三ナトリウム又はクエン酸三カリウムから選択され、好ましくはクエン酸である。
【0037】
一実施形態では、上記方法は、約6.2重量%の乾式分画したソラマメタンパク質濃縮物、グルコースシロップ、重炭酸ナトリウム、クエン酸、及びアスコルビン酸ナトリウムを水に溶解させて、約7.5のpHを有する植物性タンパク質混合物を形成するステップと、植物性タンパク質混合物中に、脱油ヒマワリレシチンを含むココナッツ脂肪を分散させるステップと、植物性タンパク質混合物を均質化させて、エマルションを形成するステップと、エマルションに熱処理を適用するステップと、熱処理したエマルションを均質化させて、植物ベースの液体を形成するステップと、植物ベースの液体を噴霧乾燥させて粉末を形成するステップと、を含む。
【0038】
一実施形態では、ソラマメタンパク質濃縮物は、約60%のタンパク質を含む。一実施形態では、約1.5重量%の重炭酸ナトリウムを溶解させる。一実施形態では、約0.175重量%のアスコルビン酸ナトリウムを溶解させる。一実施形態では、約1重量%のクエン酸が植物性タンパク質混合物中に存在する。
【0039】
一実施形態では、上記方法は、約6.4重量%の乾式分画したエンドウマメタンパク質濃縮物、グルコースシロップ、重炭酸ナトリウム、クエン酸、及びアスコルビン酸ナトリウムを水に溶解させて、約7.5のpHを有する植物性タンパク質混合物を形成するステップと、植物性タンパク質混合物中に、脱油ヒマワリレシチンを含むココナッツ脂肪を分散させるステップと、植物性タンパク質混合物を均質化させて、エマルションを形成するステップと、エマルションに熱処理を適用するステップと、熱処理したエマルションを均質化させて、植物ベースの液体を形成するステップと、植物ベースの液体を噴霧乾燥させて粉末を形成するステップと、を含む。
【0040】
一実施形態では、エンドウマメタンパク質濃縮物は、約55%のタンパク質を含む。一実施形態では、約1.5重量%の重炭酸ナトリウムが溶解される。一実施形態では、約0.175重量%のアスコルビン酸ナトリウムが溶解される。一実施形態では、約1重量%のクエン酸が植物性タンパク質混合物中に存在する。
【0041】
一実施形態では、上記方法は、約6.4重量%の乾式分画したアズキマメタンパク質濃縮物、グルコースシロップ、重炭酸ナトリウム、クエン酸、及びアスコルビン酸ナトリウムを水に溶解させて、約7.5のpHを有する植物性タンパク質混合物を形成するステップと、植物性タンパク質混合物中に、脱油ヒマワリレシチンを含むココナッツ脂肪を分散させるステップと、植物性タンパク質混合物を均質化させて、エマルションを形成するステップと、エマルションに熱処理を適用するステップと、熱処理したエマルションを均質化させて、植物ベースの液体を形成するステップと、植物ベースの液体を噴霧乾燥させて粉末を形成するステップと、を含む。
【0042】
一実施形態では、アズキマメタンパク質濃縮物は、約55%のタンパク質を含む。一実施形態では、約1.5重量%の重炭酸ナトリウムが溶解される。一実施形態では、約0.175重量%のアスコルビン酸ナトリウムが溶解される。一実施形態では、約1重量%のクエン酸が植物性タンパク質混合物中に存在する。
【0043】
本発明は更に、本発明による方法によって作製される発泡性又は非発泡性の植物ベースのクリーマー粉末に関する。
【0044】
一実施形態では、上記粉末は、多孔性構造を有する発泡性の植物ベースのクリーマー粉末である。一実施形態では、上記粉末は、100g/L~700g/L、好ましくは100g/L~500g/L、より好ましくは200g/L~400g/Lの粉末タップ密度を有する発泡性の植物ベースのクリーマー粉末である。
【0045】
一実施形態では、上記粉末は、最大で400ppmの炭酸カルシウム当量を含有する水で作製されたコーヒー中で著しい軟凝集(flocculation)を起こさない発泡性の植物ベースのクリーマー粉末であり、泡の高さは少なくとも2mmである。
【0046】
本発明は更に、本発明による方法によって製造された植物ベースのクリーマー粉末であって、非発泡性の植物ベースのクリーマー粉末である、粉末に関する。
【0047】
一実施形態では、上記粉末は、最大で400ppmの炭酸カルシウム当量を含有する水で作製されたコーヒー中で軟凝集しない。
【0048】
本発明は更に、本発明の植物ベースのクリーマー粉末を含む飲料ミックスに関する。飲料ミックスは、例えば、乾燥コーヒー抽出物と本発明の植物ベースのクリーマー粉末とを含むコーヒーミックスであってもよい。
【0049】
本発明は更に、本発明による植物ベースのクリーマー粉末から作製された飲料に関する。
【0050】
一実施形態では、飲料は、飲料調製デバイス、例えば飲料調製マシンを使用して作製される。
【0051】
小分けされた原材料を収容する飲料調製デバイス(例えば、飲料調製マシン、又は自動コーヒーメーカー)は、飲料を調製する便利な方法を提供する。このような小分けされた原材料は、概して、例えばポッド、パッド、小袋、パウチ、又はカプセルなどとして構成された容器にパッケージングされる。本発明の一態様は、飲料調製デバイスで使用するための容器であって、本発明の植物ベースのクリーマーを収容している容器を提供する。容器は、飲料調製デバイスに挿入されたときに飲料を調製するためのものである。容器は、他の構成の中でも特に、例えば飲料カプセルであってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0052】
組成が重量%を単位として本明細書に記載される場合、これは、別途記載のない限り、レシピ合計の重量%を意味する。
【0053】
本明細書で使用される場合、「約」は、数値範囲内、例えば、参照数字の-30%から+30%の範囲内、又は参照数字の-20%から+20%の範囲内、又は参照数字の-10%から+10%の範囲内、又は参照数字の-5%から+5%の範囲内、又は参照数字の-1%から+1%の範囲内の数を指すものと理解されたい。本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数又は分数を含むと理解されるべきである。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。例えば、45~55の開示は、46~54、48~52、49~51、49.5~50.5などの範囲をサポートするものとして解釈されるべきである。
【0054】
用語「ビーガン」は、動物製品又は動物由来製品を全く含まない食用組成物を指す。
【0055】
ソラマメ、エンドウマメ、オート麦、アズキマメ、ヒヨコマメ、レンズマメ、ササゲ、ウズラマメ、ムングマメ、コモンビーンズ、インゲンマメ、シロインゲンマメ又は同様の高炭水化物(>30重量%)-低脂肪(<15%)作物などをベースとする植物性タンパク質原料を使用することができる。
【0056】
「乳化剤」という用語は、合成、天然、又は天然原料から変性したもの、例えば、レシチン、加水分解レシチン、モノグリセリド、DATEM又はCITREMなどの変性モノグリセリド、ナトリウムステロールラクタレート、ポリソルベート80であり得る乳化剤を指す。
【0057】
アスコルビン酸ナトリウム代替物としては、ビタミンC、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、パルミチン酸ビタミンC、ビタミンCに富む果汁(100mL当たり≧500mgのビタミンC)、アセロラ抽出物、重亜硫酸ナトリウム、ヨウ素、ヨウ化カリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸水素カルシウムなどの亜硫酸塩誘導体が挙げられる。
【0058】
本明細書で使用するとき、「軟凝集」という用語は、コロイド粒子が懸濁液から析出(come out)されてフロック又はフレークの形態で沈降するプロセスである。
【0059】
グルコースシロップは、典型的にはデンプンの加水分解によって製造される。グルコースシロップは、25~63のデキストロース当量(DE)を有してもよい。デキストロース当量は、デンプンに適用される加水分解度の指標であり、100DEのシロップは、デキストロース(グルコース)に完全に加水分解される。
【0060】
緩衝剤代替物としては、リン酸二カリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、リン酸三カリウム、重炭酸ナトリウム、重曹、重炭酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸一カリウム、クエン酸、及びレモン果汁が挙げられる。
【0061】
マメ類は、マメ科(Fabaceae)(又はLeguminosae))の植物であり、このような植物の種子(パルスとも呼ばれる)である。マメ類は、主にヒトによる摂取のために、畜産飼料及びサイレージのために、並びに土壌を強化する緑肥として、農業生産される。本明細書で使用するとき、用語「マメ類」は、エンドウマメ、ソラマメ、ヒヨコマメ、レンズマメ、インゲンマメ、シロインゲンマメ、ウズラマメ、ハリコットマメ、リママメ、バターマメ、アズキマメ、ムングマメ、ゴールデングラム、グリーングラム、ブラックグラム、ウーラットマメ、ベニバナインゲンマメ、ツルアズキ、ガルバンゾマメ、クランベリーマメ、リママメ、グリーンピース、サヤエンドウ、スナップエンドウ、スプリットピー、及びクロメマメを包含し得る。好ましくは、マメ類は、エンドウマメ、ソラマメ、ヒヨコマメ、及びレンズマメから選択される。
【0062】
ソラマメ(Vicia faba)は、料理の観点でソラマメ(broad bean)、ソラマメ(fava bean)、又はソラマメ(faba bean)、又はソラマメ(faba)としても知られており、エンドウマメ及びマメ科(Fabaceae)の顕花植物の種である。
【0063】
当業者は、本明細書に記載される各方法の実施形態の様々な特徴が、製品の実施形態、及び使用の実施形態などに適用可能であることを理解するであろう。
【0064】
以下の実施例は、限定するものではなく例として、本発明の様々な実施形態を例示する。
【実施例】
【0065】
粉末クリーマーの製造において、その後乾燥させて粉末を形成する液体濃縮物の作製は重要なステップである。製造プロセス及びカップにおいて実施するために、クリーマーは、i)60℃、100s-1において<100mPa.sの体積粘性率を有し、調製中にカップ内で目に見える凝集体を有すること、及び/又はクリーム状にならないこと、が必要である。これらの特徴は、画像分析又は粒径分析によって定量化することができる。
【0066】
実施例1
植物ベースの参照クリーマー
13.524kgのグルコースシロップ(DE29)、1.240kgのソラマメ濃縮物(60%タンパク質Vitessence Pulse 3600)、300gのリン酸二カリウム、100gのクエン酸三ナトリウム、35gのアスコルビン酸ナトリウムを、30kgの脱イオン水に65℃で撹拌しながら溶解することによって、植物ベースの参照クリーマー液体濃縮物を調製した。全ての原材料が十分に溶解したら、pHを7.5に調整し、4.8kgの溶融精製ココナッツ脂肪(mp22~24)を、ホモジナイザーを用いて添加した。次いで、この混合物を高圧ホモジナイザーに通すことで、微細なエマルションを作製した。
【0067】
この混合物から噴霧乾燥によって粉末を作製した。
【0068】
加圧下でこの液体クリーマー濃縮物に窒素ガスを溶解させた後、液体クリーマー濃縮物を噴霧乾燥機ノズルに通すことで、この混合物から発泡性粉末を作製した。
【0069】
実施例2
参照クリーマーを含むカプチーノ飲料
参照の粉末カプチーノ飲料組成物は、可溶性コーヒーと、クリーマーと、糖とのドライミックスに熱水を注いで溶解させることによって調製した。組成は以下の表に示すとおりのものとした。
【0070】
【0071】
得られたカプチーノを
図1に示す。カップ内に相分離があり、クリーマーの脂肪成分がカップの上部に上昇し、フォーム層の真下にあることが明らかである。乾燥前の液体濃縮物を共焦点レーザー走査顕微鏡観察してこのクリーミング効果の原因を調査した結果(
図2のA)、タンパク質及びエマルション液滴の大きな凝集体が示されていた。この凝集が液体クリーマー濃縮物にかなりの粘度を生じさせており、すなわち、クリーマー液体濃縮物は265mPa.s(@100s
-1)の粘度を有していた。
図2のBは、液体濃縮物の噴霧乾燥前のレオロジー流動曲線を示す。
【0072】
実施例3
本発明のソラマメ濃縮物ベースのクリーマー
非凝集の植物ベースのクリーマー液体濃縮物を、66.9kgのグルコースシロップ(DE29)、6.2kgのソラマメ濃縮物(60%タンパク質Vitessence Pulse 3600)、1.5kgの重炭酸ナトリウム、1kgのクエン酸、175gのアスコルビン酸ナトリウムを、100kgの脱イオン水に65℃で撹拌しながら溶解することによって調製した。全ての原材料が十分に溶解したら、pHを7.5に調整し、250gの脱油ヒマワリレシチンを含有する24kgの溶融精製ココナッツ脂肪(mp22~24)を、ホモジナイザーを用いて添加した。次いで、この混合物を高圧ホモジナイザーに通すことで、微細なエマルションを作製した。
【0073】
この混合物から噴霧乾燥によって粉末を作製した。
【0074】
加圧下でこの液体クリーマー濃縮物に窒素ガスを溶解した後、液体クリーマー濃縮物を噴霧乾燥機ノズルに通すことで、この混合物から非常に安定な高発泡性粉末を作製した。
【0075】
実施例4
本発明のクリーマーを含むカプチーノ飲料
本発明の粉末カプチーノ飲料組成物は、可溶性コーヒーと、クリーマーと、糖とのドライミックスに熱水を注いで溶解させることによって調製した。組成は以下の表2に示すとおりのものとした。
【0076】
【0077】
得られたカプチーノを
図3に示す。得られたコーヒーは、コーヒー相全体にわたって脂肪が均質に分布しており、コーヒーの上部に微細な大量のマイクロフォーム層を有することが明らかである。液体クリーマー濃縮物の粘度は中程度に低く(
図4)、すなわち、クリーマー液体濃縮物が噴霧乾燥機中で容易に噴霧された。乾燥前の液体濃縮物の共焦点レーザー走査顕微鏡観察(
図5のA)は、微細なエマルション液滴の均一な分布を示す。ガスを含ませた液体の噴霧乾燥から得られる粉末の微細構造は、多数の細孔を有する高多孔性の微細構造を示す(
図5のB)。
【0078】
実施例5
本発明のクリーマーのコーヒー中安定性
あらゆる(乳製品又は植物ベースの)クリーマーに不可欠な特徴は、コーヒーと混合したときに、十分に分散すること/凝集しないことである。十分に分散した/凝集しないクリーマーは、コーヒーに白色付与するように作用することによってコーヒーの視覚的魅力を増す。コーヒー中での植物ベースのクリーマーの凝集は、コーヒーの酸性度及びコーヒーを調製するために使用される水の硬度によって影響を受ける。十分に機能するクリーマーを得るためには、クリーマーは、消費者が扱う可能性のある様々な水硬度/コーヒー酸度で凝集してはならない。
【0079】
したがって、異なる硬度の水中での凝集に対する耐性は、(植物ベースの)クリーマーの重要な性能基準である。本発明は、キレート剤と酸性度調節剤との巧妙な組み合わせによって、高硬度の水中における前述の植物ベースのクリーマーの安定性を確保する。
【0080】
このようなシステムは知的な設計を必要とし、その設計は当業者には自明ではないことが理解されよう。例えば、表3は、キレート剤(クエン酸塩)と酸性度調節剤との同じ組み合わせを用いて作製した2種の粉末クリーマーを記載している。表1に記載の比率でコーヒーと混合した場合、クリーマーは
図6に示す軟凝集安定性を有した。米タンパク質で安定化させたクリーマーは、400ppmの水硬度で調製した85℃のコーヒー中で安定であった。しかしながら、ソラマメ濃縮物で安定化させたクリーマーは、400ppmの水硬度で調製した85℃のコーヒー中で軟凝集を起こした。
【0081】
表3は、植物ベースのクリーマーの最終粉末組成物が、400ppmの水硬度でコーヒーと混合された場合に
図6に記載の軟凝集安定性を有することを示す。
【0082】
【0083】
ソラマメベースのクリーマーの軟凝集現象を解明するために詳細な研究を行い、カルシウムキレート剤及び酸性度調節剤の新しいシステムを設計して、400ppmの水硬度の酸性ホットコーヒー中での安定を確保した。表4は、このキレート剤(クエン酸塩)と酸性度調節剤との新たな組み合わせを用いて作製した3種類の粉末クリーマーを記載する。表1に記載の比率でコーヒーと混合した場合、クリーマーは
図7に示す軟凝集安定性を有した。ソラマメ濃縮物で安定化したクリーマーは、キレート剤と酸性度調節剤のこの新しい知的な組み合わせにより、400ppmの水硬度で調製した85℃のコーヒー中で安定であった。米タンパク質で安定化したクリーマーも、400ppmの水硬度で調製した85℃のコーヒー中で安定であった。しかしながら、エンドウマメ単離物で安定化したクリーマーは、400ppmの水硬度で調製した85℃のコーヒー中で軟凝集した。
【0084】
表4は、植物ベースのクリーマーの最終粉末組成物が、400ppmの水硬度でコーヒーと混合された場合に
図7に記載の軟凝集安定性を有することを示し、
図7はA)加水分解米タンパク質ベースのクリーマー、B)ソラマメ濃縮物ベースのクリーマー、及びC)エンドウマメ単離物ベースのクリーマーの軟凝集安定性を示す。
【0085】
【0086】
実施例6
本発明のエンドウマメ濃縮物ベースのクリーマー
66.9kgのグルコースシロップ(DE29)、6.4kgのエンドウマメ濃縮物(55%タンパク質 Vitessence Pulse 1550)、1.5kgの重炭酸ナトリウム、1kgのクエン酸、175gのアスコルビン酸ナトリウムを100kgの脱イオン水に65℃で撹拌しながら溶解させることによって、非凝集の植物ベースのクリーマー液体濃縮物を調製した。全ての原材料が十分に溶解したら、pHを7.5に調整し、250gの脱油ヒマワリレシチンを含有する24kgの溶融精製ココナッツ脂肪(mp22~24)を、ローター・ステーター・ホモジナイザーを用いて添加した。次いで、混合物を380bar/80barで高圧ホモジナイザーに通すことで、微細なエマルションを生成した。
【0087】
Niro production minor噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥することにより、この混合物から粉末を作製した。
【0088】
加圧下でこの液体クリーマー濃縮物に窒素ガスを溶解させた後、液体クリーマー濃縮物を噴霧乾燥機ノズルに通すことで、この混合物から非常に安定な高発泡性粉末を作製した。
【0089】
実施例7
本発明のクリーマーを含むカプチーノ飲料
本発明の粉末カプチーノ飲料組成物は、可溶性コーヒーと、クリーマーと、糖とのドライミックスに熱水を注いで溶解させることによって調製した。組成は以下の表5に示すとおりのものとした。
【0090】
【0091】
得られたコーヒーは、コーヒー相全体にわたって脂肪が均質に分布しており、コーヒーの上部に微細な大量のマイクロフォーム層を有した。乾燥前の液体濃縮物の共焦点レーザー走査顕微鏡観察は、微細なエマルション液滴の均一な分布を示す。液体クリーマー濃縮物の粘度は中程度に低く、すなわち、クリーマー液体濃縮物が噴霧乾燥機中で容易に噴霧された。ガスを含ませた液体の噴霧乾燥から得られる粉末の微細構造は、多数の細孔を有する高多孔性の微細構造を示した。
【0092】
実施例8
本発明のアズキマメ濃縮物ベースのクリーマー
66.9kgのグルコースシロップ(DE29)、6.4kgのアズキマメ(赤ムング豆)濃縮物(55%タンパク質実験材料)、1.5kgの重炭酸ナトリウム、1kgのクエン酸、175gのアスコルビン酸ナトリウムを100kgの脱イオン水に65℃で撹拌しながら溶解させることで、非凝集の植物ベースのクリーマー液体濃縮物を調製した。全ての原材料が十分に溶解したら、pHを7.5に調整し、250gの脱油ヒマワリレシチンを含有する24kgの溶融精製ココナッツ脂肪(mp22~24)を、ローター・ステーター・ホモジナイザーを用いて添加した。次いで、混合物を380bar/80barで高圧ホモジナイザーに通すことで、微細なエマルションを生成した。
【0093】
Niro production minor噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥することにより、この混合物から粉末を作製した。
【0094】
加圧下でこの液体クリーマー濃縮物に窒素ガスを溶解させた後、液体クリーマー濃縮物を噴霧乾燥機ノズルに通すことで、この混合物から非常に安定な高発泡性粉末を作製した。
【0095】
実施例9
本発明のクリーマーを含むカプチーノ飲料
本発明の粉末カプチーノ飲料組成物は、可溶性コーヒーと、クリーマーと、糖とのドライミックスに熱水を注いで溶解させることによって調製した。組成は以下の表6に示すとおりのものとした。
【0096】
【0097】
得られたコーヒーは、コーヒー相全体にわたって脂肪が均質に分布しており、コーヒーの上部に微細な大量のマイクロフォーム層を有する。乾燥前の液体濃縮物の共焦点レーザー走査顕微鏡観察は、微細なエマルション液滴の均一な分布を示す。液体クリーマー濃縮物の粘度は中程度に低く、すなわち、クリーマー液体濃縮物が噴霧乾燥機中で容易に噴霧された。ガスを含ませた液体の噴霧乾燥から得られる粉末の微細構造は、多数の細孔を有する高多孔性の微細構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図2】
図2のAは、乾燥前の液体濃縮物を共焦点レーザー走査顕微鏡観察してこのクリーミング効果の原因を調査した結果を示し、
図2のBは、液体濃縮物の噴霧乾燥前のレオロジー流動曲線を示す。
【
図5】
図5のAは、乾燥前の液体濃縮物の共焦点レーザー走査顕微鏡観察であり、
図5のBは多数の細孔を有する高多孔性の微細構造を示す。
【
図7AB】
図7はA)加水分解米タンパク質ベースのクリーマー、B)ソラマメ濃縮物ベースのクリーマー、及びC)エンドウマメ単離物ベースのクリーマーの軟凝集安定性を示す。
【
図7C】
図7はA)加水分解米タンパク質ベースのクリーマー、B)ソラマメ濃縮物ベースのクリーマー、及びC)エンドウマメ単離物ベースのクリーマーの軟凝集安定性を示す。
【国際調査報告】