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  • 特表-歯科補綴装置およびその形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-15
(54)【発明の名称】歯科補綴装置およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573167
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 IB2022054854
(87)【国際公開番号】W WO2022249063
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/194,791
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】518432274
【氏名又は名称】ネオシス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モーゼス,アロン
(72)【発明者】
【氏名】モージズ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ブッケラールス,エリック・ポール・フロール
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA03
4C159AA51
(57)【要約】
歯科補綴装置は、少なくともアンカー部分、および、或る例では、アンカー部分に係合するように構成された補綴部分を含む。センサ素子は、アンカー部分と係合するように構成される。歯科補綴装置が補綴部分を含むとき、センサ素子は、アンカー部分、補綴部分、またはアンカー部分と補綴部分との間に係合するように構成される。歯科補綴装置を形成する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカー部分と、
アンカー部分と係合されるように構成されたセンサ素子と、
を備える、歯科補綴装置。
【請求項2】
アンカー部分と係合するように構成された補綴部分を備え、センサ素子は、アンカー部分、補綴部分、またはアンカー部分と補綴部分との間に係合されるように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
センサ素子は力センサである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
センサ素子は力センサであり、力センサは、アンカー部分と補綴部分との間、補綴部分内、または補綴部分の表面に配置され、補綴部分に加えられた力を測定するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
アンカー部分は構造体と螺合するように適合された雄ねじを画定し、力センサは、雄ねじと係合され、かつアンカー部分と構造体とを係合する螺合力を測定するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
アンカー部分は内部チャネルを画定する壁を含み、力センサは、内部チャネル内の壁と係合され、かつアンカー部分に加えられた力を測定するように配置される、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
センサ素子は補綴部分の表面と係合される接触センサであり、補綴部分との外部接触を検知するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
電源を備え、電源はセンサ素子と電気的に通信して構成され、アンカー部分内に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
電源を備え、電源はセンサ素子と電気的に通信して構成され、アンカー部分内、補綴部分内、またはアンカー部分と補綴部分との間に配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
センサ素子と電気的に通信して構成された電源を備え、電源は、その振動または動きに応答して電力を発生するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
センサ素子および電源と通信する送信機を備え、送信機は、歯科補綴物から離れたセンサ素子からデータを伝送するために電源によって電力供給されるように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
アンカー部分と係合するように配置された補綴部分を備え、送信機は、アンカー部分、補綴部分、またはアンカー部分と補綴部分との間に係合されるように配置される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
センサ素子と通信する送信機を備え、送信機は、歯科補綴物から離れたセンサ素子からデータを伝送するための非接触通信モダリティを実現するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
薬剤を収容するように配置されたリザーバ、および、リザーバと連通し、歯科補綴物から離れてそこから薬剤を投与するように配置された投薬装置を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
アンカー部分に係合するように配置された補綴部分を備え、リザーバおよび投薬装置の各々は、アンカー部分内、補綴部分内、または補綴部分とアンカー部分との間に配置される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
センサ素子を歯科補綴物のアンカー部分と係合すること、
を備える、歯科補綴装置を形成する方法。
【請求項17】
歯科補綴物は、アンカー部分と係合可能であるように構成された補綴部分を含み、方法が、センサ素子をアンカー部分、補綴部分、または補綴部分とアンカー部分との間に係合することを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
センサ素子を係合することは、力センサをアンカー部分と係合することを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
センサ素子を係合することは、力センサが補綴部分に加えられた力を測定するために配置されるように、力センサをアンカー部分と補綴部分との間、補綴部分内、または補綴部分の表面に係合することを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
アンカー部分が、構造体と螺合するように適合された雄ねじを画定し、センサ素子と係合することは、力センサがアンカー部分と構造体を係合するねじ込み力を測定するために配置されるように、力センサと雄ねじを係合することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
アンカー部分は、内部チャネルを画定する壁を含み、センサ素子を係合することは、力センサがアンカー部分に加えられる力を測定するために配置されるように、力センサを内部チャネル内の壁と係合することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
センサ素子を係合することは、接触センサが補綴部分との外部接触を検知するために配置されるように、接触センサを補綴部分の表面と係合することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
電源がセンサ素子と電気的に通信するように、アンカー部分内に電源を配置することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
電源がセンサ素子と電気的に通信するように、アンカー部分内、補綴部分内、またはアンカー部分と補綴部分との間に電源を配置することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
センサ素子と電気的に通信する電源を構成することを備え、電源は、その振動または動きに応答して電力を発生するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
センサ素子および電源と通信する送信機を構成することを含み、送信機は、歯科補綴物から離れたセンサ素子からデータを伝送するために電源によって電力供給されるように構成される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
歯科補綴物は、アンカー部分と係合するように構成された補綴部分を含み、送信機を構成することは、送信機をアンカー部分、補綴部分、またはアンカー部分と補綴部分との間に係合するように配置することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
センサ素子と通信する送信機を係合することを含み、送信機が、歯科補綴物から離れたセンサ素子からデータを伝送するための非接触通信モダリティを実装するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
薬剤を収容するように構成されたリザーバ、およびリザーバと連通し、歯科補綴物から離れてそこから薬剤を投与するように構成された投薬装置を、アンカー部分と係合することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項30】
歯科補綴物は、アンカー部分と係合するように構成された補綴部分を含み、方法は、リザーバおよび投薬装置の各々をアンカー部分内、補綴部分内、または補綴部分とアンカー部分との間に配置することを備える、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歯科補綴装置に関し、より詳細には、歯科インプラント、歯科インプラントの一部、または他の歯科補綴装置を監視するための1つ以上のセンサを含む、歯科インプラントまたはその一部、および他の歯科補綴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科インプラント10は、典型的には、チタンまたは他の標準的な生体適合性材料で作られたアンカー部分20(いくつかの例では、ねじ部分およびねじ部分によって受容されるアバットメントなどの2つ以上の構成要素を備える)、および、アンカー部分20(またはそのアバットメント構成要素)によって受容された補綴部分30(例えば、クラウン)であって、金属(ステンレス、金、合金など)、磁器-金属融着体、樹脂、またはセラミック(例えば、図1を参照)で作られた補綴部分30を含む、単純な非電子装置である。一旦埋め込まれると、その意図は、アンカー部分が患者の顎部に適切にオッセオインテグレートすることであり、歯科インプラントのアンカー部分の周囲/上の圧力によって示されることができる。さらに、アンカー部分は、通常、顎骨の穴と相互作用して、アンカー部分を顎部に螺合して固定するねじ部材である。したがって、顎骨のアンカー部分の適切なオッセオインテグレーションおよび/または固定は、アンカー部分のねじ山に対する十分な圧力によっても示されることができる。
【0003】
埋め込まれた歯科インプラントはまた、インプラントの耐用年数の間に様々な力を受ける可能性がある。例えば、歯科インプラントは、咀嚼、夜間のグラインディング/歯ぎしり、顎部の締め付けなどからの力を受ける可能性がある。場合によっては、力の大きさが歯科インプラント(補綴部分、アンカー部分、アンカー部分と補綴部分との間の界面、および/またはアンカー部分と顎骨との間の界面)を損傷する可能性がある。他の例では、特定の大きさの力の繰り返しサイクルは、補綴部分、アンカー部分、アンカー部分と補綴部分との間の界面、および/またはアンカー部分と顎骨との間の界面への疲労損傷をもたらし得る。埋め込まれた歯科インプラントの損傷の場合、損傷の修復は、歯科インプラントの完全な交換を伴うことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、歯科インプラントが患者の顎骨に適切に埋め込まれたかどうか、および患者の顎骨がアンカー部分を受け入れて適切にオッセオインテグレートされたかどうかを示すことができる歯科インプラントが必要である。さらに、使用中の歯科インプラントによって作用される様々な力を示すことができる歯科インプラントが必要であり、それにより、歯科インプラントの損傷の可能性が調査され、故障前に修復されることができる。加えて、歯科インプラントが疲労限度または耐用年数の終わりに達する前に、故障前の修復措置がとられることができるように、歯科インプラントによって作用される力および力サイクルを監視することができる歯科インプラントが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記および他の必要性は、以下の例示的な実施形態を含むがこれらに限定されない本開示の態様によって満たされ、1つの特定の態様では、アンカー部分、およびアンカー部分と係合されるよう構成されたセンサ素子を備える、歯科補綴装置を提供する。
【0006】
本開示の別の態様は、歯科補綴物のアンカー部分とセンサ素子を係合することを含む、歯科補綴装置を形成する方法を提供する。
【0007】
したがって、本開示は、限定するものではないが、以下の例示的な実施形態を含む。
【0008】
例示的な実施形態1:アンカー部分と、アンカー部分と係合されるように構成されたセンサ素子と、を備える歯科補綴装置。
【0009】
例示的な実施形態2:アンカー部分と係合するように構成された補綴部分を備え、センサ素子はアンカー部分、補綴部分、またはアンカー部分と補綴部分との間に係合されるように構成される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0010】
例示的な実施形態3:センサ素子は力センサである、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0011】
例示的な実施形態4:センサ素子は力センサであり、力センサは、アンカー部分と補綴部分との間、補綴部分内、または補綴部分の表面に配置され、補綴部分に加えられた力を測定するように構成される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0012】
例示的な実施形態5:アンカー部分は構造体と螺合するように適合された雄ねじを画定し、力センサは、雄ねじと係合され、アンカー部分と構造体とを係合する螺合力を測定するように構成される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0013】
例示的な実施形態6:アンカー部分は内部チャネルを画定する壁を含み、力センサは、内部チャネル内の壁と係合され、アンカー部分に加えられた力を測定するように構成される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0014】
例示的な実施形態7:センサ素子は補綴部分の表面と係合される接触センサであり、補綴部分との外部接触を検知するように構成される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0015】
例示的な実施形態8:電源を備え、電源は、センサ素子と電気的に通信するように構成され、かつアンカー部分内に配置される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0016】
例示的な実施形態9:センサ素子と電気的に通信するように構成され、アンカー部分内、補綴部分内、またはアンカー部分と補綴部分との間に配置された電源を備える、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0017】
例示的な実施形態10:センサ素子と電気的に通信するように構成された電源を備え、電源は、その振動または動きに応答して電力を発生するように構成される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0018】
例示的な実施形態11:センサ素子および電源と通信する送信機を備え、送信機は、歯科補綴物から離れたセンサ素子からデータを伝送するために電源によって電力供給されるように構成される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0019】
例示的な実施形態12:アンカー部分と係合するように構成された補綴部分を備え、送信機は、アンカー部分、補綴部分、またはアンカー部分と補綴部分との間に係合されるように配置される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0020】
例示的な実施形態13:センサ素子と通信する送信機を備え、送信機は、歯科補綴物から離れたセンサ素子からデータを伝送するための非接触通信モダリティを実現するように構成される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0021】
例示的な実施形態14:薬剤を収容するように構成されたリザーバ、および、リザーバと連通し、歯科補綴物から離れてそこから薬剤を分配するように構成された投薬装置を含む、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0022】
例示的な実施形態15:アンカー部分に係合するように構成された補綴部分を備え、リザーバおよび投薬装置の各々は、アンカー部分内、補綴部分内、または補綴部分とアンカー部分との間に配置される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの装置。
【0023】
例示的な実施形態16:センサ素子を歯科補綴物のアンカー部分と係合することを含む、歯科補綴装置を形成する方法。
【0024】
例示的な実施形態17:歯科補綴物は、アンカー部分と係合可能であるように構成された補綴部分を含み、方法は、センサ素子をアンカー部分、補綴部分、または補綴部分とアンカー部分との間に係合することを含む、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0025】
例示的な実施形態18:センサ素子を係合することは、力センサをアンカー部分と係合することを含む、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0026】
例示的な実施形態19:センサ素子を係合することは、力センサが補綴部分に加えられた力を測定するために配置されるように、力センサをアンカー部分と補綴部分との間、補綴部分内、または補綴部分の表面に係合することを含む、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0027】
例示的な実施形態20:アンカー部分は、構造体と螺合するように適合された雄ねじを画定し、センサ素子と係合することは、力センサがアンカー部分と構造体を係合するねじ込み力を測定するために配置されるように、力センサと雄ねじを係合することを含む、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0028】
例示的な実施形態21:アンカー部分は、内部チャネルを画定する壁を含み、センサ素子を係合することは、力センサがアンカー部分に加えられる力を測定するために配置されるように、力センサを内部チャネル内の壁と係合することを含む、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0029】
例示的な実施形態22:センサ素子を係合することは、接触センサが補綴部分との外部接触を検知するために配置されるように、接触センサを補綴部分の表面と係合することを含む、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0030】
例示的な実施形態23:電源がセンサ素子と電気的に通信するように、アンカー部分内に電源を配置することを含む、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0031】
例示的な実施形態24:電源がセンサ素子と電気的に通信するように、アンカー部分内、補綴部分内、またはアンカー部分と補綴部分との間に電源を配置することを含む、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0032】
例示的な実施形態25:センサ素子と電気的に通信する電源を配置することを含み、電源は、センサ素子の振動または動きに応答して電力を発生するように構成される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0033】
例示的な実施形態26:センサ素子および電源と通信する送信機を配置することを含み、送信機は、歯科補綴物から離れたセンサ素子からデータを伝送するために電源によって電力供給されるように構成される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0034】
例示的な実施形態27:歯科補綴物は、アンカー部分と係合するように構成された補綴部分を含み、送信機を構成することは、送信機をアンカー部分、補綴部分、またはアンカー部分と補綴部分との間に係合するように配置することを含む、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0035】
例示的な実施形態28:センサ素子と通信する送信機を係合することを含み、送信機は、歯科補綴物から離れたセンサ素子からデータを伝送するための非接触通信モダリティを実現するように構成される、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0036】
例示的な実施形態29:薬剤を収容するように構成されたリザーバ、および、リザーバと連通し、歯科補綴物から離れてそこから薬剤を投与するように構成された投薬装置を、アンカー部分と係合することを含む、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0037】
例示的な実施形態30:歯科補綴物は、アンカー部分と係合するように構成された補綴部分を含み、方法は、リザーバおよび投薬装置の各々をアンカー部分内、補綴部分内、または補綴部分とアンカー部分との間に配置することを含む、任意の前述の例示的な実施形態、またはそれらの組合せの方法。
【0038】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下で簡単に説明される、添付の図面と共に以下の詳細な説明を読むことから明らかになるであろう。本開示は、本開示に記載される2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の特徴または要素の任意の組合せを、そのような特徴または要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされているか、そうでなければ列挙されているかにかかわらず、含む。本開示は、本開示の文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、その態様および実施形態のいずれかにおいて、本開示の任意の分離可能な特徴または要素が意図されるように、すなわち組合せ可能であるべきであるように全体的に読まれることが意図される。
【0039】
本明細書の概要は、本開示の基本的な理解を提供するために、いくつかの例示的な態様を要約する目的でのみ提供されていることが理解されよう。したがって、上述の例示的な態様は単なる例であり、決して本開示の範囲または趣旨を狭めると解釈されるべきではないことが理解されよう。本開示の範囲は、本明細書に要約されたものに加えて、そのいくつかが以下でさらに説明される多くの潜在的な態様を包含することが理解されよう。さらに、本明細書に開示されたそのような態様の他の態様および利点は、記載された態様の原理を例として示す添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0040】
このように、本開示を一般的な用語で説明してきたが、ここで、必ずしも一定の縮尺で描かれていない、添付の図面に参照が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】歯科補綴物の従来技術の例を概略的に示す図である。
図2A】歯科補綴物の異なる従来技術の形態を概略的に示す図である。
図2B】歯科補綴物の異なる従来技術の形態を概略的に示す図である。
図2C】歯科補綴物の異なる従来技術の形態を概略的に示す図である。
図3】フィルム型センサ素子の従来技術の例を概略的に示す図である。
図4】1つ以上のセンサ素子を実装する、本開示の一態様による、歯科補綴装置を概略的に示す図である。
図5】1つ以上のセンサ素子を実装する、本開示の他の態様による、歯科補綴装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に本開示は、本開示のすべてではないが一部の態様が示されている、添付の図面を参照して、以下でより完全に説明される。実際、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の態様に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの態様は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0043】
図4および図5は、本開示の一態様による歯科補綴装置100を概略的に示す。歯科補綴装置100は、アンカー部分200、および、アンカー部分200を係合するように構成された補綴部分300を備える。そのような歯科補綴装置100は、例えば、患者の顎部に埋め込まれる(例えば、螺合する)ことができるねじ部分200Aを備えるアンカーポスト(アンカー部分200)と、ねじ部分200Aによって受容され、クラウン(補綴部分300)と係合するための界面としての役割を果たすアバットメント200Bとを含む歯科インプラントを備えてもよく、したがってクラウンはアンカーポストによって受容され、アンカーポストに固定される。本開示の他の態様では、そのような歯科補綴装置100はまた、例えば、インプラント、インプラントバー、アバットメント、オーバーデンチャー補綴物、および/もしくは歯科補綴物として分類される他の歯科装置、ならびに/またはそれらの組合せを含むことができ、一般に、埋め込み可能なアンカー部分および補綴部分を備える審美的態様を含む(例えば、図2A図2B、および図2Cにそれぞれ示される、単歯歯科インプラント、インプラント支持ブリッジ、およびインプラント支持義歯の形態の歯科補綴物の例を参照)。本開示の態様では、センサ素子400(例えば、図3に示されるフィルム型センサ60の一例を参照)は、少なくともアンカー部分200と係合されるように配置される。他の態様では、センサ素子400は、アンカー部分200、補綴部分300、またはアンカー部分200と補綴部分300との間に係合されるように配置される。
【0044】
或る態様では、センサ素子400は、例えば、力センサである。特定の態様では、力センサは、アンカー部分200と補綴部分300との間、補綴部分300内、または補綴部分300の表面に配置される。そのような構成では、力センサは、補綴部分300の本体を通して、その表面、補綴部分300とアンカー部分200との間の界面、または補綴部分300を介してアンカー部分200に力が加えられるかどうかにかかわらず、補綴部分300に加えられる力を測定するように配置される。他の態様では、センサ素子400は、力センサの設定において、アンカー部分200と係合し、アンカー部分200に加えられる力を測定するように配置される。
【0045】
或る例では、アンカー部分200は、例えば、患者の顎部の以前に形成されたボアホールなどの構造体に螺合するように適合された雄ねじを画定する。そのような例では、力センサ420は、雄ねじと係合されるか、そうでなければ雄ねじと連通し、アンカー部分200と構造体とを係合するねじ込み力を測定するように構成される。そのような構成は、例えば、アンカー部分200が埋め込まれたときに顎骨にしっかりと着座しているかどうか、アンカー部分200が顎骨に向かって進行しているか、または顎骨との適切なオッセオインテグレーションを達成しているかどうか、および/またはアンカー部分200のねじ山が緩んでいるかどうか、そうでなければ耐用年数の終点を示している可能性があるかどうか、を測定することができる。
【0046】
他の例では、アンカー部分200の雄ねじと係合される力センサ420に加えて、またはその代替として、アンカー部分200は、内部チャネル(例えば、アンカー部分200の長さに沿って延びる内部中空チャネル)を画定する壁430を含むように構成されてもよく、力センサ440は、内部チャネル内で壁430と係合されるように構成されることができ、また、さらにアンカー部分200に加えられる力を測定するように構成される。このように構成された力センサ440は、例えば、アンカー部分200に作用する曲げモーメントを示し得る。
【0047】
ある態様では、センサ素子400は、補綴部分300の表面と係合される接触センサ460(例えば、力センサ、圧力センサ、タッチセンサ、および/または適切な表面センサ)であり、補綴部分300との外部接触を検知するように構成される。補綴部分300の表面上にそのように構成された接触センサ460は、例えば、局所咬合を最小化または排除するために補綴部分300を調整、再成形などされることを可能にする、表面にわたる咬合の位置を示すことができる。
【0048】
他の態様では、センサ素子400は、アンカー部分200または補綴部分300と係合されるか、そうでなければ、アンカー部分200と補綴部分300との間に配置された力センサまたは接触センサ480である。このように構成された力/接触センサ480は、例えば、アンカー部分200と補綴部分300との間の接続の安全性、補綴部分300を介してアンカー部分200によって作用される力、ならびに/または補綴部分300によって作用される力を介してアンカー部分200および/もしくは補綴部分300によって閾値力が作用される回数を示すことができる。
【0049】
或る態様では、歯科補綴装置100は、センサ素子400と電気的に通信して構成される、アンカー部分200内に配置された電源500をさらに備える。他の態様では、特に歯科補綴装置100がアンカー部分200および補綴部分300を備える場合、電源500は、センサ素子400と電気的に通信して構成され、アンカー部分200内、補綴部分300内、またはアンカー部分200と補綴部分300との間に配置される。特定の例では、電源500は、外部供給源からの再充電を必要する電源500なしに、または歯科補綴装置100の電源500の交換なしに、延長した耐用年数を有するように、または電力を発生することができるように設定および構成される。例えば、そのような例では、電源500は、振動または動き(例えば、患者が咀嚼している間)に応答して電力を発生するように構成されることができる。他の例では、電源500は、バッテリ520ならびにバッテリ520と電気的に通信し、バッテリを充電/再充電するように構成された充電装置540を含むことができ、充電装置540は、振動または動きに応答して、バッテリ520を充電/再充電するための電力を発生するように設定および構成されてもよい。したがって、電源500は、少なくともセンサ素子400に電力を提供するように構成される。
【0050】
他の態様では、歯科補綴装置100は、センサ素子400および電源500と通信する、少なくとも送信機600を含むことができる。特定の例では、送信機600は、アンカー部分200によって収容されるか、または他の方法で係合される。他の例では、送信機600は、アンカー部分200、補綴部分300、またはアンカー部分200と補綴部分300との間に収容されるか、または他の方法で係合される。そのような例では、送信機600は、歯科補綴装置100から離れてセンサ素子400から収集されたデータを伝送するように構成される。例えば、データは、センサ素子400に含まれる特定のタイプのセンサによって検知されたパラメータに関してデータが分析されることができるように、個別の/別個の分析ステーションで歯科補綴装置100から受信機700に伝送されることができる。例えば、送信機600は、Bluetooth、近距離無線通信(NFC)、WiFi、または任意の他の適切な無線または非接触通信方法を介してデータを伝送するように設定および構成されることができ、受信機700との通信は、受信機700が送信機600と通信し、そこからデータを受信するように適切に設定されることを必要とする。
【0051】
或る態様では、送信機600は、例えば、NFC、誘導データ伝送、電磁データ伝送、超音波データ伝送、または他の適切なプロトコルなどの通信モダリティを実装するように設定され、送信機600は、電力要件を低減するために、電力供給されるか、または限定的に(例えば、要求に応じて、または選択された時間間隔で)アクティブである。例えば、NFCデータ伝送のために設定された送信機600は、通常、(例えば、データを伝送せず、そうでなければ電源500から電力を消費しない)スリープモードにあるか、そうでなければ休止状態にあることができる。しかしながら、NFCのために同様に設定された受信機700に近接され、それらの間の非接触通信(例えば、非接触通信モダリティ)を開始すると、送信機600と受信機700との間の近接度は、受信機700がそこからセンサデータを取り込むために送信機600を起動または、そうでなければアクティブ化させ、それによって、電源500からの送信機600の電力要件を低減、最小化、または排除する。
【0052】
さらに、分析ステーションの受信機700は、例えば、モバイル装置上で実行するアプリケーション、またはデータ分析を実行するためにプロセッサによって実行可能な実行可能命令を記憶するプロセッサおよびメモリを有するコンピュータ装置上で実行される適切なコンピュータプログラム製品と併せて構成および設定されることができる。センサ素子400によって監視されているパラメータに基づいて、モバイル装置上のアプリケーションおよび/またはコンピュータ装置上のコンピュータプログラム製品は、センサ素子400によって検知されたパラメータが閾値限界外である場合、警報または他の適切な警告を作動させて、適切な修復措置が講じられることができるように構成/設定されることができる(例えば、アンカー部分200が顎骨で緩んだ場合、または懸念される事象(例えば、感知された過剰な力)が検出されたときに、警報が作動されることができる)。
【0053】
或る例では、様々な態様による歯科補綴装置100は、送信機600に加えて受信機650をさらに含んでもよく、受信機650は、例えば歯科補綴装置100内の様々な構成要素を作動させるために、着信信号を受信するように設定および構成されてもよい。例えば、或る態様では、リザーバ800は、薬剤を収容するように構成され、投薬装置900は、リザーバ800と通信して構成され、歯科補綴装置100から離れてリザーバ800から薬剤を投与するように構成および設定される。リザーバ800および投薬装置900は、アンカー部分200内に配置されることができる。歯科補綴装置100が補綴部分300を含む他の態様では、リザーバ800および分配装置900の各々は、アンカー部分200内、補綴部分300内、または補綴部分300とアンカー部分200との間に配置されることができる。そのような構成では、投薬装置900は、受信機650と通信し、受信機650を介して受信された作動信号に応答して、リザーバ800から歯科補綴装置100の外側に薬剤を放出するように構成されることができる。例えば、分配装置900が受信機650を介して作動信号を受信すると、薬剤がリザーバ800から患者の血流に放出されることができる。或る例では、薬剤の代わりに、またはそれに加えて、リザーバ800は、例えば、血液分析(例えば、癌スクリーニング)または他の生物学的/化学的機能を促進するために、例えば、必要に応じて患者の血流に放出されることができるナノスケールのバイオエレクトロニクスを含むことができる。
【0054】
他の態様では、歯科補綴装置100は、受信機650の代わりに、またはそれに加えて、コントローラ1000を含むことができる。コントローラ1000は、タイマ、適切なロジック、または受信機との通信手段を含み、薬剤、バイオエレクトロニクス、および/または他の物質(例えば、麻酔薬)を患者の血流に放出するための投薬装置900への作動信号を生成することができる。或る例では、コントローラ1000は、センサ素子400からデータを受信および分析し、次いでデータ分析に基づいて適切な措置をとるか、またはそのデータおよび/またはそのデータの分析を、送信機600を介して歯科補綴装置100の外側に伝送するように構成および設定される。
【0055】
本開示の別の態様は、アンカー部分と係合可能に構成された補綴部分を有する歯科補綴装置を形成する方法に関する。そのような方法は、例えば、センサ素子を歯科補綴物のアンカー部分と係合することを備える。他の態様では、そのような方法は、歯科補綴物のアンカー部分、歯科補綴物の補綴部分、またはアンカー部分と係合した補綴部分の間にセンサ素子を係合することを備える。そのような歯科補綴装置の形成に関連付けられた他の方法の態様は、本明細書で別途提供されるような装置の開示から容易に明らかである。
【0056】
様々なセンサ(例えば、力測定フィルムセンサ)および他の電子構成要素のますます増大する小型化に照らして、本開示の態様は、これらの小型化されたセンサおよび他の小型化された電子構成要素を装置に組み込んで、歯科インプラント/補綴装置の耐用年数の間に起こる可能性のある状態を検知、監視、分析、および修復することが可能なアクティブな「インテリジェント」装置を提供するために、改良された歯科インプラント/補綴装置を提供する。
【0057】
したがって、本開示による歯科補綴装置の態様は、歯科インプラントが患者の顎骨に適切に埋め込まれたかどうか、および患者の顎骨がアンカー部分を受容して適切にオッセオインテグレートされかどうかを示すことができる。歯科補綴装置の他の態様はまた、歯科インプラントに起こる可能性のある損傷が故障前に調査および修復されることができるように、使用中の歯科インプラントによって作用される様々な力を示すことができ、歯科インプラントが疲労限度または耐用年数の終わりに達する以前に故障前の修復措置をとることができるように、歯科インプラントによって作用される力および力サイクルを監視することを可能にする。
【0058】
本明細書に記載された本発明の多くの変更および他の実施形態は、前述の説明および関連した図面に提示された教示の利点を有する、これらの開示された実施形態が関連する当業者には思い浮かぶであろう。したがって、本発明の実施形態は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更および他の実施形態が本発明の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。さらに、前述の説明および関連した図面は、要素および/または機能の特定の例示的な組合せの文脈で例示的な実施形態を説明しているが、本開示の範囲から逸脱することなく、代替の実施形態によって要素および/または機能の異なる組合せが提供されてもよいことを理解されたい。これに関して、例えば、上記で明示的に説明したものとは異なる要素および/または機能の組合せも本開示の範囲内で考えられる。本明細書では特定の用語が採用されているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。
【0059】
本明細書では、第1、第2などの用語が使用されて様々なステップまたは計算を説明し得るが、これらのステップまたは計算はこれらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、ある動作または計算を別の動作または計算と区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の計算は第2の計算と呼ばれてもよく、同様に、第2のステップは第1のステップと呼ばれてもよい。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語および「/」記号は、関連して列挙された項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる組合せを含む。
【0060】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含んでいる(including)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。したがって、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することが意図されるものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
【国際調査報告】