IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サントレ ナティオナル ド ラ ルシェルシェ シアンティフィクの特許一覧 ▶ エコール・シュペリュール・ドゥ・フィシック・エ・シミー・アンデュストリエル・ドゥ・ラ・ヴィル・ドゥ・パリの特許一覧

特表2024-519558全視野光断層撮影による生体試料内の透明生体被写体の3次元画像化のための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-16
(54)【発明の名称】全視野光断層撮影による生体試料内の透明生体被写体の3次元画像化のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20240509BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20240509BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G01N21/17 620
G02B21/00
G02B21/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573596
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 EP2022063907
(87)【国際公開番号】W WO2022248407
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】2105600
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514255523
【氏名又は名称】サントレ ナティオナル ド ラ ルシェルシェ シアンティフィク
(71)【出願人】
【識別番号】515185843
【氏名又は名称】エコール・シュペリュール・ドゥ・フィシック・エ・ドゥ・シミー・アンデュストリエル・ドゥ・ラ・ヴィル・ドゥ・パリ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボッカラ,アルベール クロード
(72)【発明者】
【氏名】ボッカラ,マルティーヌ
(72)【発明者】
【氏名】トウヴナン,オリヴィエ
【テーマコード(参考)】
2G059
2H052
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB14
2G059EE01
2G059EE09
2G059FF02
2G059FF03
2G059JJ11
2G059LL01
2G059MM01
2H052AF25
(57)【要約】
本明細書は、3次元画像化システム(100)に関し、この画像化システムは、透過している生体試料(10)を照明するように構成され、所与の中心長を有する空間的非コヒーレント光のビームを放射するように構成された光源(110)と、試料(10)が位置決めされる近傍に所与の被写体焦点面(125)を伴う顕微鏡レンズ(121)を包含する光学画像化システム(120)と、試料に対して顕微鏡レンズを軸方向に移動するための手段と、検出平面(141)内に配列された複数の基本検出器を包含し、被写体焦点面と光学的に共役する2次元取得デバイス(140)と、処理ユニット(150)と、を包含する。試料の生体被写体の各切片について、照明ビームと切片の被写界によって散乱されたビームの間における光干渉からの結果としてもたらされる複数の2次元干渉信号が取得され、複数の2次元干渉信号から少なくとも第1の画像が計算される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全視野光断層撮影による生体試料(10)内の透明生体被写体の3次元画像化のための方法であって、
- 所与の光軸(Δ)を包含する顕微鏡レンズ(121)の被写体焦点面(125)の近傍に前記試料を位置決めすることと、
- 所与の中心波長(λ)を伴う空間的非コヒーレント光の照明ビームを用いて、透過する間に前記試料を照明することと、
- 前記顕微鏡レンズの前記光軸と平行な軸方向に沿って前記顕微鏡レンズを前記試料に対して相対的に変位させ、前記試料の、各位置が前記顕微鏡レンズの前記被写体焦点面上に中心決めされた前記生体被写体の切片(101)に対応する複数の位置を定義することと、
- 前記試料の各位置について、前記切片の被写界の少なくとも1つの第1の画像を作成することと、
を包含し、前記少なくとも1つの第1の画像を作成することが、
- 前記被写界上に入射する前記照明ビームと前記被写界によって散乱されるビームの間の光干渉の結果生じる複数の2次元干渉信号を検出平面内(141)に配列された複数の基本検出器を包含する2次元取得デバイス(140)を用いて取得することであって、前記検出平面は、前記顕微鏡レンズを包含する画像化光学システムによって前記顕微鏡レンズの前記被写体焦点面と光学的に共役される、取得することと、
- 処理ユニット(150)を用いて前記複数の2次元干渉信号から前記少なくとも1つの第1の画像を計算することと、
を包含する、3次元画像化方法。
【請求項2】
前記複数の2次元干渉信号のうちの前記2次元干渉信号は、前記切片の前記厚さ内の前記被写体焦点面の異なる位置について取得され、その結果として前記照明ビームと前記散乱されたビームの間において-π/2とπ/2の間の範囲にわたる複数の所定の位相シフトがもたらされる、
請求項1に記載の画像化方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の画像の前記計算は、前記複数の2次元干渉信号の線形結合を包含する、
請求項2に記載の画像化方法。
【請求項4】
前記試料に対する前記顕微鏡レンズの前記相対的な変位は、λが前記照明ビームの前記中心波長である場合の最大振幅λ/4の周期関数に従う、
請求項2または請求項3に記載の画像化方法。
【請求項5】
- 前記複数の2次元干渉信号のうちの前記2次元干渉信号は、前記試料に対する前記顕微鏡レンズの固定位置について取得され、
- 前記切片の前記被写界の前記少なくとも1つの第1の画像を計算することが、前記2次元取得デバイスの各基本検出器について、前記基本検出器によって取得された前記2次元干渉信号の強度における前記時間的な変動を表すパラメータの値の関数として少なくとも1つのピクセル値を計算することを包含する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像化方法。
【請求項6】
前記パラメータは、前記干渉信号の前記強度の時間的な分散を表す、
請求項5に記載の画像化方法。
【請求項7】
全視野光断層撮影による生体試料(10)内の透明生体被写体の画像化のための3次元画像化システム(100)であって、
- 透過する間に前記試料を照明するように構成された、所与の中心長による空間的非コヒーレント光の照明ビームの放射のために構成された光源(110)と、
- 動作時に前記試料(10)が位置決めされる近傍に所与の光軸(Δ)および所与の被写体焦点面(125)を伴う顕微鏡レンズ(121)を包含する光学画像化システム(120)と、
- 前記顕微鏡レンズの前記光軸と平行な軸方向に沿って前記試料に対して前記顕微鏡レンズを相対的に変位させるための手段(131、132、135)と、
- 検出平面(141)内に配列された複数の基本検出器を包含する2次元取得デバイス(140)であって、前記検出平面は、前記光学画像化システムによって前記顕微鏡レンズの前記被写体焦点面と光学的に共役される2次元取得デバイス(140)と、
- 処理ユニット(150)と、
を包含し、前記生体被写体の複数の切片の各切片について、
- 前記3次元画像化システムは、前記照明ビームと前記切片の被写界によって散乱されたビームの間の光干渉の結果生じる、前記2次元取得デバイス(140)を用いた複数の2次元干渉信号の前記取得のために構成され、
- 前記処理ユニット(150)は、前記複数の2次元干渉信号から前記切片の前記被写界の少なくとも1つの第1の画像を計算するように構成される、
3次元画像化システム(100)。
【請求項8】
前記複数の2次元干渉信号のうちの前記2次元干渉信号は、前記切片の前記厚さ内の前記被写体焦点面の異なる位置について取得され、その結果として前記照明ビームと前記散乱されたビームの間において-π/2とπ/2の間の範囲にわたる複数の所定の位相シフトがもたらされる、
請求項7に記載の画像化システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の画像の前記計算は、前記複数の2次元干渉信号のうちの前記2次元干渉信号の線形結合を包含する、
請求項8に記載の画像化システム。
【請求項10】
前記複数の2次元干渉信号のうちの前記2次元干渉信号は、前記試料に対する前記顕微鏡レンズの固定位置について取得され、前記切片の前記被写界の前記少なくとも1つの第1の画像を計算することが、
- 前記2次元取得デバイスの各基本検出器について、前記基本検出器によって取得された前記2次元干渉信号の強度における前記時間的な変動を表すパラメータの値の関数として少なくとも1つのピクセル値を計算すること、
を包含する、請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項11】
前記パラメータは、前記2次元干渉信号の前記強度の時間的な分散を表す、
請求項10に記載の画像化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、全視野光断層撮影による生体試料内の透明生体被写体の3次元画像化のための方法およびシステムに関する。これは、特に細胞および細胞内画像化に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
特に、細胞または細胞のクラスタ等の生体被写体は、光学顕微鏡法を使用してサブミクロン・スケールにおいて調べることが可能であるが、殆どの生物学的研究においては、試料の遺伝学的または化学的な改変を必要とする蛍光顕微鏡法が使用されている。
【0003】
試料の保存が不可欠な場合においては、生体被写体の本質的な光学的性質に基づく代替案がわずかながら開発されている。それらのうち、位相差顕微鏡法(たとえば、非特許文献1参照)、微分干渉顕微鏡法(たとえば、非特許文献2参照)、またはデジタル・ホログラフィ(たとえば、非特許文献3参照)は、細胞を2Dおよび3D環境において可視化することを可能にする。
【0004】
光断層撮影画像化技術は、生体被写体の深い断面画像を生成することを可能にする。これらの技術のうち、スペクトル広帯域光干渉顕微鏡法に基づく光干渉断層撮影(OCT)、および幾何学的フィルタリングを使用する共焦点顕微鏡法は、特によく知られている。いずれの技術も、試料の正面の画像の生成にその試料の2次元スキャンを必要とする。
【0005】
より最近では、非コヒーレント光全視野干渉顕微鏡法によって画像を取得するための技術が開発され、全視野OCT(または、FF-OCT)として知られている。全視野OCT画像化技術については、たとえば、非特許文献4をはじめ特許文献1に記載がある。
【0006】
全視野OCT画像化技術は、低い時間的コヒーレンス長を伴う光源によって照らされたときに試料によって後方散乱される光の使用、および、特に生体試料の場合においては、微視的な細胞および組織構造によって後方散乱される光の使用に基づく。この技術は、光源の低い時間的および空間的コヒーレンスを利用して、試料内の仮想ディープ・スライスによって後方散乱される光を分離する。干渉計の使用は、干渉現象によって、選択的に試料の所与のスライスから到来する光を表現する干渉信号を生成すること、および試料の残りから到来する光を除去することを可能にする。
【0007】
全視野OCT画像化技術は、1μm台の代表的な分解能を伴う3次元画像を入手することを可能にし、これは、スペクトル・ドメインOCT(頭辞語『フーリエ・ドメインOCT』によって知られる)等のほかの従来的なOCT技術を用いて入手されることのありがちな10μm台の分解能より高い。その種の高い分解能を用いると、特に、血管、それらの壁、コラーゲン、脂肪細胞等の組織構造の殆どを可視化することが可能になる。それに加えて、この技術は、特に高速である:したがって、全視野OCT顕微鏡を使用すると、数cmの表面積を伴うディープ・スライスを表現する画像を生成することがわずか数分で可能になる。
【0008】
生体試料の構造マップの入手に加えて、内因性光学画像化についての別の難題は、細胞レベルにおける生化学的性質を演繹する固有情報の抽出である。
【0009】
特許文献2は、従来的な全視野OCT技術に従って入手された画像を用いては知覚可能でない情報、たとえば細胞の内部構造(特に、膜、核、細胞質)へのアクセスを可能にするDC-FFOCT(『動的コントラストFFOCT』)と呼ばれる全視野干渉顕微鏡法による画像化方法を記述している。この画像化方法は、たとえば、小胞、ミトコンドリア、細胞内小器官の動きに関連付けされる経路差のバリエーションによって誘導される干渉信号の強度における時間的なバリエーションの解析に基づく。その種の動的解析は、細胞がまだ生きている新鮮な組織内の卓越したコントラストを伴う全視野断層撮影画像を入手すること、したがって、コラーゲン等の組織の構造と比較して細胞の後方散乱の光が非常にわずかであることから以前はOCTを用いて知覚可能でなかった生体被写体の構造を可視化することを可能にする。
【0010】
しかしながら、上に述べられているFF-OCTおよびDC-FFOCT技術は、反射において働き、たとえば透明底グラス、またはプラスチック・ペトリ皿、またはガラス・スライド等の透明支持体上に置かれた透明度の高い生体被写体には適合できない。実際、支持体によって反射される信号は、生体被写体、たとえば細胞によって後方散乱される信号より大きさにおいて、通常、3乃至5桁も大きく、この信号の除去を困難にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】仏国特許発明第FR2817030号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第FR3034858号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Lacey,A.(レイシー・エー)著『Phase contrast, Light Microscopy in Biology:A Practical Approach(フェーズ・コントラスト,ライト・マイクロスコーピー・イン・バイオロジー:ア・プラクティカル・アプローチ)』、Lacey,A.(レイシー・エー)編集、Oxford University Press(オックスフォード・ユニバーシティ・プレス)、英国、オックスフォード、p23-25、(1999年)
【非特許文献2】Pluta,M.(プルータ・エム)著『Nomarski‘s DIC microscopy: A review(ノマルスキーズ・ディーアイシー・マイクロスコーピー:ア・レビュー)』、Proceedings of SPIE(プロシーディングズ・オブ・エスピーアイイー)1846:10-25、(1994年)
【非特許文献3】Amos,W.B.(エイモス・ダブリュー・ビー)およびWhite,J.G.(ホワイト・ジェイ・ジー)著『How the confocal laser scanning microscope entered biological research(ハウ・ザ・コンフォーカル・レーザー・スキャニング・マイクロスコープ・エンタード・バイオロジカル・リサーチ)』、Biology of the Cell(バイオロジー・オブ・ザ・セル)95:335-342、(2003)
【非特許文献4】Harms,F(ハームス・エフ)、Latrive,A(ラトリヴ・エー)およびBoccara,A.C(ボッカラ・エー・シー)著『Time Domain Full Field Optical Coherence Tomography Microscopy(タイム・ドメイン・フル・フィールド・オプティカル・コヒーレンス・トモグラフィー・マイクロスコーピー)』、Wolfgang Drexler book(ウルフギャング・ドレクスラー・ブック)『Optical Coherence Tomography(オプティカル・コヒーレンス・トモグラフィー)』の791ページ、編集者:James G.Fujimoto(ジェームス・ジー・フジモト)、Springer(スプリンガー)2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本明細書は、卓越したコントラストおよび実装の容易性を伴う、細胞培養または透明度の高い薄い構造等の透明生体被写体の3次元画像化に適合させた全視野光断層撮影による生体試料の3次元画像化のための新しい方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書においては、『包含する』という用語が、『含む』、『含有する』と同じ意味であり、かつ包括的またはオープン・エンドであり、かつ記述されていないか、または表現されていないほかの要素を排除することはない。さらにまた、本明細書において『約』または『実質的に』という用語は、それぞれの値の20%の下側および/または上側マージンと同義語(同じことを意味する)であり、たとえばそれが10%である。
【0015】
本明細書は、第1の態様によれば、全視野光断層撮影による生体試料内の透明生体被写体の3次元画像化のための方法に関し、前記3次元画像化方法は、
- 所与の光軸を包含する顕微鏡レンズの被写体焦点面の近傍に前記試料を位置決めすることと;
- 所与の中心波長を有する空間的非コヒーレント光の照明ビームを用いて、透過する間に前記試料を照明することと;
- 前記顕微鏡レンズの前記光軸と平行な軸方向に沿って前記顕微鏡レンズを前記試料に対して相対的に変位させ、前記顕微鏡レンズの前記被写体焦点面と相対的な前記試料の、各位置が前記顕微鏡レンズの前記被写体焦点面上に中心決めされた前記透明生体被写体の切片に対応する複数の位置を定義することと;
- 前記試料の各位置について、前記切片の被写界の少なくとも1つの第1の画像を作成することと;
を包含し、前記切片の被写界の少なくとも1つの第1の画像を作成することが、
- 前記被写界上に入射する前記照明ビームと前記被写界によって散乱されるビームの間の光干渉の結果生じる複数の2次元干渉信号を検出平面内に配列された複数の基本検出器を包含する2次元取得デバイスを用いて取得することであって、前記検出平面は、前記顕微鏡レンズを包含する画像化光学システムによって前記顕微鏡レンズの前記被写体焦点面と光学的に共役される、取得することと;
- 処理ユニットを用いて前記複数の2次元干渉信号から前記少なくとも1つの第1の画像を計算することと;
を包含する。
【0016】
本明細書においては、透明生体被写体が、前記照明ビームからの前記光が通過することがありがちな低散乱(通常、被写体によって散乱される前記入射光の約5%未満)を伴う任意の生体被写体、たとえば、細胞または複数の細胞、たとえば細胞のクラスタ、細胞スキャフォールド、細胞マットまたはバイオフィルム、解剖病理学において準備されるような組織の薄いスライス等であることを理解する。通常、本明細書に従った方法を用いて画像の(少なくとも部分的な)形成が求められる透明生体被写体は、微視的寸法(約1μmと約2mmの間)を有する。より正確に述べれば、それが細胞または複数の細胞のときは、その種の透明生体被写体が、約2ミクロンと約50ミクロンの間の寸法を有する。
【0017】
本明細書によれば、前記透明生体被写体は、生体試料の一部、すなわち前記透明生体被写体が置かれる支持体を形成する。前記生体試料は、たとえば、限定ではないが、透明ポリマ内の2Dまたは3Dの細胞培養、または細針生検(FNA)または『穿刺細胞診』の生成物であり、すなわち、細針およびシリンジを使用した細胞および組織のサンプリングの生成物である。
【0018】
本明細書の前記3次元画像化メソッドオブジェクト(method object)においては、前記少なくとも1つの第1の画像を形成するべく取得された前記複数の2次元干渉信号のうちの前記2次元干渉信号の間における位相シフトの導入に、前記顕微鏡レンズの前記被写体焦点面の近傍の前記散乱されたビームの位相におけるグイ位相と呼ばれるバリエーションが使用される。前記顕微鏡レンズの前記被写体焦点面から特定の距離を超えると前記干渉信号の間に位相シフトがなくなることを示すことが可能である。したがって、画像化されるべき前記生体被写体の所与の厚さのスライス内において前記顕微鏡レンズの前記被写体焦点面を変位させることによって、またはこの所与の厚さの同じスライス内における前記生体被写体の内部構造の本質的な動きを用いることによって、異なる位相シフトを伴った2次元干渉信号を取得することが可能であり、それらから画像を計算することが可能である。
【0019】
本明細書に従った前記画像化方法を用いて形成された前記生体被写体の前記画像は、したがって、本明細書において『切片』または『光切片』、したがって『光断層撮影』という用語で呼ばれる所与の厚さのスライスの被写界の画像である。出願人らは、このスライスの厚さが前記顕微鏡レンズの被写界深度のオーダーであり、したがって前記顕微鏡レンズの開口率および前記照明ビームの中心波長に依存することを示した。
【0020】
したがって、本明細書に従った方法においては、画像が形成されることになる前記生体被写体の前記切片の前記被写界を、体積要素または『ボクセル』のセットからなる前記生体被写体の体積によって定義することが可能であり、各ボクセルは、前記顕微鏡レンズの前記被写界深度に等しい長さ、および前記顕微鏡レンズの回折ディスクによって定義される切片の円柱体積に相当する。前記被写界(前記顕微鏡レンズの前記光軸と垂直な平面内)の横方向寸法は、前記顕微鏡レンズを包含する前記画像化光学システムの倍率値によって除した、前記検出平面の有効検出表面によって定義される画像フィールドの横方向寸法と等しい。例示する実施態様においては、前記有効検出表面が、前記2次元取得デバイスの前記基本検出器または『ピクセル』が上に配列される検出表面全体を包含する。他の例示する実施態様においては、前記有効検出表面を、前記検出表面の領域に、たとえば視野絞りを用いて制限することが可能である。実際においては、前記顕微鏡レンズの対物空間内の前記切片の前記被写界のボクセルまたは体積要素が、画像空間(検出平面)において、サンプリング基準に応ずるために前記2次元取得デバイスの複数の、本明細書の中では『ピクセル』という別の呼び方も用いられる基本検出器に対応することができる。
【0021】
1つ以上の例示する実施態様によれば、可視範囲(400nm-700nm)の前記照明ビームの中心波長を扱う場合においては、本明細書に従った前記方法を用いて画像が形成される被写体の切片の厚さが、1.25と0.3の間の前記顕微鏡レンズの開口率に対して約200nmと約10ミクロンの間になる。実際においては、前記顕微鏡レンズの所与の開口率について、より薄い前記被写体の切片の画像化のために、より短い波長を用いて作業することが可能であろう。切片内の被写界の画像の分解能は、ボクセルの最大横方向寸法によって定義される。可視範囲内において、かつ1.25と0.3の間の前記顕微鏡レンズの開口率については、分解能が約0.25ミクロンと約1ミクロンの間である。
【0022】
前記顕微鏡レンズの前記光軸と平行な軸方向に沿った前記試料に対する前記顕微鏡レンズの相対的な変位は、したがって、前記透明生体被写体の複数の切片の画像を作成して前記被写体の3次元画像を作成することを可能にする。
【0023】
したがって、記述されている前記3次元画像化方法は、透過する間に前記試料が照らされる新規な光学的配列を用いて透明生体被写体を含む断層撮影画像化を可能にする。
【0024】
1つ以上の例示する実施態様によれば、前記複数の2次元干渉信号は、前記切片の前記厚さ内の前記被写体焦点面の異なる位置について取得され、その結果として-π/2とπ/2の間の範囲にわたる前記照明ビームと前記散乱されたビームの間の複数の所定の位相シフトがもたらされる。
【0025】
前述の第1の実施態様においては、したがって前記方法は、前記生体被写体の切片の被写界の画像を作成するために、前記顕微鏡レンズの前記光軸と平行な軸方向に沿って前記顕微鏡レンズを前記試料に対して相対的に変位させることと、前記2次元干渉信号を使用して、前記切片内における前記顕微鏡レンズの前記被写体焦点面の種々の位置について取得されている前記切片の被写界の前記画像を計算することと、を包含し、したがって、前記2次元干渉信号が所定の位相シフトを伴って取得されることを可能にする。
【0026】
1つ以上の例示する実施態様によれば、前記少なくとも1つの第1の画像の前記計算が、複数の信号の前記複数の2次元干渉信号のうちの2次元干渉信号の線形結合、たとえば前記2次元干渉信号のうちの2つの減算を包含する。
【0027】
実際においては、前記少なくとも1つの第1の画像の計算が、前記2次元取得デバイスの各基本検出器について、前記基本検出器によって取得された前記2次元干渉信号の強度の線形結合の関数としてピクセル値を計算することを包含する。
【0028】
本明細書においては、『ピクセル値』が、対応するピクセルまたは基本検出器によって測定された信号の値であることを理解する。
【0029】
1つ以上の例示する実施態様によれば、ピクセル値を計算することが、前記顕微鏡レンズと前記試料の間の距離を、被写界深度の約1/10と前記被写界深度の間、好都合には前記被写界深度の約1/10と約1/2の間の距離で変化させることによって取得された2次元干渉信号の強度の線形結合の関数である。
【0030】
1つ以上の例示する実施態様によれば、前記試料に対する前記顕微鏡レンズの前記相対的な変位は、λが前記照明ビームの前記中心波長である場合の最大振幅λ/4の周期関数に、たとえば連続周期関数、たとえば正弦関数、または周期的な勾配に従う。前記周期関数は、前記画像の計算に適合された時間的サンプリング、たとえば1周期当たり2つ、3つ、または4つの取得を可能にするべく前記2次元検出器の取得レートの関数として決定された周期を有する。
【0031】
前記第1の態様に従った前記3次元画像化方法の1つ以上の例示する実施態様によれば:
- 前記複数の2次元干渉信号のうちの前記2次元干渉信号が、前記試料に対する前記顕微鏡レンズの固定位置について取得され、また前記切片の前記被写界の前記少なくとも1つの第1の画像を計算することが、
- 前記2次元取得デバイスの各基本検出器について、前記基本検出器によって取得された前記2次元干渉信号の強度における時間的な変動を表すパラメータの値の関数として少なくとも1つのピクセル値を計算することを包含する。
【0032】
この第2の実施態様においては、前記透明生体被写体の切片の前記被写界の画像が、前記試料に対する前記顕微鏡レンズの変位を伴うことなく作成される。前記画像は、前記生体被写体の本質的な構造の前記動き、したがって環境の特性であることから、前記第1の実施態様における計算とは異なる。いくつかの実施態様においては、前記生体被写体の画像を、それらの画像が相補的な情報を提供することから前記第1の実施態様および前記第2の実施態様の両方を用いて作成することが可能である。
【0033】
1つ以上の例示する実施態様によれば、前記パラメータが、前記干渉信号の前記強度の時間的な分散を表す。
【0034】
1つ以上の例示する実施態様によれば、前記2次元取得デバイスの各基本検出器について少なくとも1つのピクセル値を計算することが、時間の関数として前記基本検出器によって取得された前記干渉信号のフーリエ変換を計算することを包含する。
【0035】
本明細書は、第2の態様によれば、全視野光断層撮影による生体試料内の少なくとも1つの透明生体被写体の画像化のための3次元画像化システムに関し、前記画像化システムは:
- 所与の中心長の空間的非コヒーレント光の照明ビームであって、透過する間に前記試料を照明するように構成された前記照明ビームの放射のために構成された光源と;
- 動作時に前記試料が位置決めされる近傍に所与の光軸および所与の被写体焦点面を伴う顕微鏡レンズを包含する光学画像化システムと;
- 前記顕微鏡レンズの前記光軸と平行な軸方向に沿って前記試料に対して前記顕微鏡レンズを相対的に変位させるための手段と;
- 検出平面を包含する2次元取得デバイスであって、前記検出平面が、前記光学画像化システムによって前記顕微鏡レンズの前記被写体焦点面と光学的に共役される2次元取得デバイスと、
- 処理ユニットと、
を包含し、前記生体被写体の複数の切片の各切片について:
- 前記3次元画像化システムは、前記照明ビームと前記切片によって散乱されたビームの間における光干渉からの結果としてもたらされる、前記2次元取得デバイスを用いた複数の2次元干渉信号の前記取得のために構成され、
- 前記処理ユニットは、前記複数の2次元干渉信号から、前記切片の被写界の少なくとも1つの第1の画像を計算するように構成される。
【0036】
その種の新しい画像化システムの配列は、透明生体被写体の光断層撮影画像化を可能にし、それによって3次元画像を作成するために前記生体被写体の切片または『スライス』の画像を作成することが可能になる。
【0037】
1つ以上の例示する実施態様によれば、前記複数の2次元干渉信号のうちの前記2次元干渉信号は、前記切片の前記厚さ内の前記被写体焦点面の異なる位置について取得され、その結果として前記照明ビームと前記散乱されたビームの間において-π/2とπ/2の間の範囲にわたる複数の所定の位相シフトがもたらされる。
【0038】
本明細書に従った前記画像化システムのこの第1の実施態様においては、前記試料に対して前記顕微鏡レンズを相対的に変位させるための手段が、前記切片の画像を作成するために前記生体被写体の切片内において前記顕微鏡レンズの前記被写体焦点面を変位させるだけでなく、3次元画像を作成するために前記光軸に沿って前記試料内において前記被写体焦点面を変位させて前記生体被写体の複数の切片の画像を作成するように構成される。
【0039】
1つ以上の例示する実施態様によれば、前記少なくとも1つの第1の画像の前記計算は、前記複数の2次元干渉信号のうちの前記2次元干渉信号の線形結合を包含する。
【0040】
1つ以上の例示する実施態様によれば、前記複数の2次元干渉信号のうちの前記2次元干渉信号が、前記試料に対する前記顕微鏡レンズの固定位置について取得され、また前記切片の前記少なくとも1つの第1の画像を計算することが、
- 前記2次元取得デバイスの各基本検出器について、前記基本検出器によって取得された前記2次元干渉信号の強度における時間的な変動を表すパラメータの値の関数として少なくとも1つのピクセル値を計算することを包含する。
【0041】
本明細書に従った前記画像化システムのこの第2の実施態様においては、前記試料に対して前記顕微鏡レンズを相対的に変位させるための手段を、3次元画像が作成されるように前記生体被写体の複数の切片の画像を作成するために、画像化されるべき前記生体被写体内において前記光軸に沿って前記被写体焦点面を変位させるためにだけ構成することが可能である。
【0042】
前記第1および第2の実施態様は、画像化されることが求められている前記透明生体被写体の切片の複数の第1の画像および複数の第2の画像を得るために本明細書に従った同一の画像化システム内において実装することが可能である。
【0043】
上に示されている画像化技術のさらなる利点および特徴は、次に挙げる図面を参照した以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1A】本明細書に従った例示による3次元画像化システムを表した概略図である。
図1B】本明細書に従った例示による3次元画像化システム内の顕微鏡レンズの被写体焦点面をより詳細に表した概略図である。
図2A】1つの実施態様に従った3次元画像化方法の例示による実装における、透明生体被写体の切片の被写界の画像を作成するための顕微鏡レンズの被写体焦点面の前記切片内の2つの位置を図解した概略図である。
図2B】第1の実施態様に従った3次元画像化方法の例示による実装において被写体焦点面が透明生体被写体の異なる切片上に中心決めされて前記被写体の3次元画像が作成される顕微鏡レンズの被写体焦点面の複数の位置を図解した概略図である。
図3A】照明ビームと、たとえばナノメートル寸法の細胞内小器官における場合のように散乱粒子によって散乱されたビームの干渉から結果としてもたらされる2次元干渉信号についての、前記粒子の位置に対する顕微鏡レンズの被写体焦点面の相対的な位置の関数として画像フィールドの中心において計算される理論的な強度を例証として示したグラフである。
図3B】連続する背景に対応するz内の干渉信号の平均値を差し引いた図3Aにおいて計算され、かつ表現された理論的な強度を図解により示したグラフである。
図3C】第1の実施態様に従った3次元画像化方法の例示による実装において、所与の被写界深度の10分の1に等しい距離によって離隔された粒子の2つの位置について、照明ビームと粒子によって散乱されたビームの干渉から結果としてもたらされる2つの2次元干渉信号のそれぞれ毎にフィールドの中心において計算された理論的な強度の間の差を、前記粒子の位置に対する顕微鏡レンズの被写体焦点面の相対的な位置の関数として例証により示したグラフである。
図3D】正弦関数に従った試料に対する顕微鏡レンズの被写体焦点面の相対的な変位を図解する曲線を上に重ね合わせた図3Bにおいて計算され、かつ表現された理論的な強度を例証として示したグラフである。
図4】第2の実施態様に従った3次元画像化方法の実装における、切片の被写界の画像を作成するための生体被写体の切片に対する顕微鏡レンズの被写体焦点面の位置を図解した概略図である。
図5】顕微鏡レンズの被写体焦点面に対する生体被写体の本質的な構造のランダムな変位を図解する曲線を上に重ね合わせた図3Bにおいて計算され、かつ表現された理論的な強度を例証として示したグラフである。
図6】本明細書に従った方法の2つの実施態様を用いて、4ミクロンの距離にある2つの異なる切片平面に沿って2つの隣接するHeLa細胞上において得られた実験に基づく画像を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1Aおよび図1Bは、本明細書に従った3次元画像化システム100の例示による実施態様を概略的に図解している。
【0046】
画像化システム100は、所与の中心長λの空間的非コヒーレント光の照明ビームを用いて透過する間に試料10を照明するように構成された光源110を包含する。好都合には、必須ではないが、照明ビームが時間的非コヒーレント光ビームであり、望ましくない光学的スペックル効果を回避する。
【0047】
光源110は、たとえば、発光ダイオード(LED)、発熱フィラメント光源、VCSEL(垂直キャビティ面発光レーザ)タイプの発光素子のマトリクス、膜に関連付けされたレーザ、または任意のそのほかの照明ビームを空間的に非コヒーレントにするための手段である。
【0048】
図1Aおよび図1Bに図解されている例においては、透過する照明ビームを放射するために光源110が試料10に対向して位置決めされているが、そのほかの照明構成も可能である。
【0049】
3次元画像化システム100は、さらに、動作時に試料10が近傍に置かれる光軸Δおよび被写体焦点面125(図1B)を伴う顕微鏡レンズ121を包含する光学画像化システム120を包含する。それに加えて図1Aの例においては、光学画像化システム120が、一般に『鏡筒レンズ』と呼ばれる(オプションの)レンズ122を包含する。
【0050】
また3次元画像化システム100は、顕微鏡レンズの光軸と平行な軸方向に沿って試料10に対して顕微鏡レンズ121を相対的に変位させるための手段も包含する。図1Aおよび図1Bの例においては、相対的変位手段が、顕微鏡レンズ121を軸方向に変位させるように構成された第1の圧電素子131、および試料10が上に配される試料ホルダ(図には表されていない)を軸方向に変位させるように構成された第2の圧電素子132を包含する。また相対的変位手段は、素子131、132を制御するための制御ユニット135も包含する。しかしながら、ほかの実施態様においては、相対的変位手段が、顕微鏡レンズまたは試料ホルダのいずれかを変位させるための1つの素子だけを包含することができる。
【0051】
3次元画像化システム100は、上記に加えて、検出平面141、すなわち光学画像化システム120によって顕微鏡レンズの被写体焦点面125と光学的に共役される検出平面141を包含する2次元取得デバイス140、および取得デバイス140の制御・モジュール145を包含する。2次元取得デバイス140は、マトリクス配列の形式、たとえば2次元マトリクス配列の形式で検出表面に配列された複数の基本検出器、または『ピクセル』を包含する。たとえば、基本検出器のマトリクス配列の寸法は、本明細書に従った画像化システムの画像フィールド142の寸法を定義する。ほかの例の実施態様においては、検出平面の有効検出表面または『R.O.I.』(関心領域)が基本検出器の2次元配列によってカバーされる表面より小さくなるように画像フィールド142の寸法が、視野絞りによって制限される。画像フィールドは、たとえば約5mmと約50mmの間の寸法を伴った矩形である。
【0052】
たとえば、2次元取得デバイスは、CCDまたはCMOSタイプのカメラである。当然のことながら、ほかのカメラ、たとえばピクセル当たりより大きなロード・キャパシティを伴う超高速カメラ、たとえば、ADIMEC(登録商標)(アディメック)のQUARTZ(クオーツ)シリーズ(登録商標)タイプのカメラを使用することもできる。
【0053】
制御・モジュール145は、取得デバイス140による取得を制御し、取得デバイス140によって送信された電気信号を受信し、それらを処理ユニット150へ送る。
【0054】
図1Aに図解されているとおり、3次元画像化システム100は、本出願に従った方法において実装される計算および/または処理ステップの実装のために構成される処理ユニット150を包含する。
【0055】
概して言えば、本明細書において方法ステップの特に実装について計算または処理ステップと言及するときは、各計算または処理ステップが、ソフトウエア、ハードウエア、ファームウエア、マイクロコード、またはこれらのテクノロジの任意の適切な組み合わせによって実装され得ることを理解されるものとする。ソフトウエアが使用されるときは、各計算または処理ステップを、コンピュータ・プログラムのインストラクションまたはソフトウエア・コードによって実装することが可能である。これらのインストラクションは、コンピュータ可読ストレージ媒体(または、処理ユニット)内に記憶すること、またはそれへ送信すること、および/またはこれらの計算または処理ステップを実装するためにコンピュータ(または、処理ユニット)によって実行することができる。
【0056】
したがって、動作においては、より詳細を後述するとおり、3次元画像化システム100が、前記2次元取得デバイス140を用いる、試料10上に入射する照明ビームと、試料10の前記少なくとも1つの透明生体被写体、たとえば細胞または細胞のクラスタによって散乱されたビームの間の光干渉から結果としてもたらされる複数の2次元干渉信号の取得のために構成される。それに加えて、処理ユニットは、複数の2次元干渉信号から、生体被写体の複数の切片101のそれぞれの切片の被写界の1つ以上の画像を計算するように構成される。
【0057】
被写界の横方向寸法は、顕微鏡レンズを包含する光学画像化システム120の倍率によって除した画像フィールドの横方向寸法と等しい。したがって、たとえば、10mm×10mmの寸法を伴う実質的に矩形の画像フィールドについては、光学画像化システムの倍率が100×であれば被写界の寸法が100μm×100μmであり、光学画像化システムの倍率が20×であれば500μm×500μmである。概して言えば、被写界の寸法は、約50μmと約500μmの間である。
【0058】
画像が形成されることになる生体被写体の切片101の被写界を、体積要素または『ボクセル』のセットからなる体積によって定義することが可能であり、各ボクセルは、顕微鏡レンズの被写界深度に等しい長さを伴い、かつ前記顕微鏡レンズの回折ディスクによって定義される切片成分を伴う円柱体積に相当する。
【0059】
被写界深度Lおよび切片成分の直径φは、次式によって与えられる:
【0060】
【数1】
【0061】
【数2】
【0062】
これにおいて、nは対物空間を浸漬する媒体(たとえば、油浸レンズの場合においては、屈折率n≒1.5の媒体)の屈折率であり、NAは前記媒体内の顕微鏡レンズの開口率であり、λは照明ビームの中心波長である。
【0063】
図1Bに図示されているとおり、各切片101は、顕微鏡レンズの光軸Δに対して実質的に垂直である。動作においては、切片の画像を作成するために。顕微鏡レンズの被写体焦点面が、顕微鏡レンズと試料10の相対的な変位を用いて前記切片上に中心決めされる。切片の画像から、透明生体被写体の3次元画像を作成することが可能である。
【0064】
3次元画像化方法の第1の実施態様を図2A図2B図3A図3B図3C図3Dを用いて説明する。この第1の実施態様は、切片の被写界の画像を取得、計算するための第1のモードを記述する。
【0065】
第1の実施態様に従った取得モードにおいては、透明生体被写体、たとえば細胞または細胞のクラスタの切片の被写界の画像を作成するために、顕微鏡レンズの被写体焦点面が前記切片内において、顕微鏡レンズの光軸と平行な軸方向に沿って変位される。
【0066】
複数の2次元干渉信号が、前記切片内の異なる被写体焦点面位置について取得され、結果として、-π/2とπ/2の間の範囲にわたる入射ビームと前記切片によって散乱されたビームの間の複数の位相シフトがもたらされる。切片の被写界全体の画像が、したがって全視野画像化のコンセプトが、その後、前記2次元干渉信号から直接計算される。
【0067】
実例として、図2Aは、3次元断層撮影画像の作成が求められている2つの細胞21、22のクラスタ20を表している。各細胞は、核小体212、222を伴う細胞核211、221、および細胞核周りの、ミトコンドリア、小胞、脂肪体、タンパク質凝縮物等細胞内小器官214、224を含む細胞質213、223を包含する。細胞質の細胞内小器官は、細胞核に位置する。細胞質の細胞内小器官または細胞の核の内部構造は、光を散乱する。下記のように、顕微鏡レンズと試料の間の距離を、通常は被写界深度の約1/10と被写界深度の間、たとえば被写界深度の約1/10と約1/2の間の距離で変化させることによって、したがって干渉信号の位相を変化させることによって取得される少なくとも2つの2次元干渉信号から細胞の体積内の切片の画像を、たとえば取得された2つの干渉信号の間のピクセル毎の差によって計算することが可能である。破線201、202は、例として、画像化が求められている切片内におけるレンズの被写体焦点面の2つの位置を図解している。
【0068】
第1の実施態様に従った切片の画像の計算原理を説明するために、取得デバイス140(図1A)の検出平面141内に受け入れられる電磁場が光源によって放射され、かつ試料によって透過される、この例においては平面波によってモデリングされる入射フィールドと、細胞によって散乱される、解析的公式化に適したガウス・ビームによって被写界の各ボクセルにおいてモデリングされるフィールドの重ね合わせであると仮定する。以下に展開される結論は、厳密に平面波でない照明ビーム、または厳密にガウス・ビームに相当しない散乱ビームの場合においても有効である。
【0069】
照明ビームの空間的非コヒーレンスに起因して、全体の被写界によって散乱されるビームは、実際に、生体被写体のフィールド全体を通じて横並びに配置される複数のビームとして考えることが可能であり、各ビームのサイズは、顕微鏡レンズの分解能によって定義されることに注意すべきである。
【0070】
より正確に述べれば、顕微鏡レンズの光軸と平行な軸z(図1B)に沿って伝播するガウス・ビームの複素電場は、スカラー近似において次式のとおりに記述される:
【0071】
【数3】
【0072】
座標zは、顕微鏡レンズの被写体焦点面において定義される原点(z=0)に対する顕微鏡レンズの光軸に沿って定義され;rは、光軸からの距離であり、k=2π/λであり、λは、照明ビームの中心波長である。Eおよびwは、原点(z=0、r=0)におけるビームのフィールドおよびサイズである。原点におけるビームのサイズwが、上に与えられている[数式2]の顕微鏡レンズの回折ディスクの半径φ/2に等しいと近似することが可能である。実際においては、ビームのサイズが、画像内の最小のアクセス可能な詳細の寸法を定義することに注意すべきである。シャノンの定理としても知られるサンプリング定理に応じた検出デバイスによって取得された干渉信号内のサンプリングを得るために、wについて、ピクセルの最大サイズより大きいか、またはそれと等しい値を選択することができる。
【0073】
以下においては、r=0周りの証明を行うが、実際においては拡張された被写界が関係し、以下に記述した曲線が、実際の使用時に顕微鏡レンズが該当する収差のないときの被写界内の任意のポイントで同じになると示すことが可能である。
【0074】
ガウス・ビームについては、それの原点(z=0)においてビームの幅w(z)が極小となり、ビームの軸に沿った距離zにおいてw(z)=w(1+(z/z0.5に等しい。
【0075】
被写界深度は、2×z=πw /λ etによって与えられ、波動の曲率半径は、R(z)=z(1+(z/z)である。
【0076】
波動の電場の式から、グイ位相と呼ばれる位相項を導入することが可能であり、それが焦点において生じる位相ジャンプを表し、次式によって与えられる:
【0077】
【数4】
【0078】
細胞等の生体被写体は、約10ナノメートルから約1マイクロメートルまでの寸法の内部構造からなる。たとえば、内部構造は、細胞内小器官、フィラメントおよび微小管、小胞、およびミトコンドリアである。記録された信号の軸方向の応答を図解するために、ここでは、顕微鏡レンズの被写体焦点面に対して所与の位置(z)を有する粒子または『散乱体』に相当するその種の内部構造の例を取り上げる。
【0079】
被写界の中心内の粒子によって散乱されたフィールドは、したがって、次のとおりに記述される:
【0080】
【数5】
【0081】
σ/Aは、粒子の有効散乱断面とA、すなわち入射照明ビームの面積の間の比である。
【0082】
入射フィールドは、平面波によってモデリングされる:
【0083】
【数6】
【0084】
したがって、取得デバイスによって測定された、フィールドの中心における2次元干渉信号に対応する強度は、両方のビームに共通し、平均が0になる伝播項およびexp(iωt)項を無視すると:
【0085】
【数7】
【0086】
すなわち:
【数8】
【0087】
概して言えば、小さい粒子については、1と比べると有効断面が非常に小さく、したがって次のとおりに記述することが可能である:
【0088】
【数9】
【0089】
したがって、図3Aに、σ/A=0.01およびz=0.25μm(λ=0.5μm、NA=1.25)、すなわち0.5μmの被写界深度について計算された強度曲線I(z)を図解する。
【0090】
散乱粒子の位置の関数としての検出平面内において測定された干渉信号におけるこの変動の性質は、透明生体被写体、たとえば細胞の切片の被写界の画像の計算に利用される。
【0091】
前述したように、顕微鏡レンズの試料との相対的な位置は、たとえば、圧電素子(図1Aの符号132)を用いて変更される。したがって、zの値を変化させて、いくつかの異なる干渉信号を得ることが可能である。
【0092】
より正確に述べれば、z=0の近傍における干渉項の線形性が、顕微鏡レンズの焦点に置かれた被写体の有効断面を得るために利用される(図3B)。この例においては、図3Bが、図3Aに示されている曲線から平均の背景が差し引かれることによって得られる曲線を表す。
【0093】
焦点の近傍においては、正弦関数および逆正接関数を線形化して1/(1+(z/z0)))内の前因子を除去することが可能である。式[数式9]は、次のようになる:
【0094】
【数10】
【0095】
図3Bに図解されている曲線上において1ミクロン台のゾーンにわたって線形性ゾーンが広がっていることが観察可能である。
【0096】
z距離が0.1μmの2つの位置についての連続する画像が、たとえばレンズ(または、試料)を移動することによって得られるが、それらを撮影し、2つの干渉信号の間における差を測定することによって次式が得られる:
【0097】
【数11】
この式は、σ、すなわち粒子の有効散乱断面に正比例する。
【0098】
それに加えて、粒子が焦点から遠く離れている場合には、zが大きくなるときにsin(atan(z))が0に向かい、かつ前因子(1/(1+z))もまた0に向かうことから、干渉項の強度が0に向かう。
【0099】
その結果として、粒子が焦点から遠く離れている場合には、Δz~1μmによってシフトされた連続する画像の間の差が、ΔI(z>>z)=0になる。
【0100】
したがって、強度の差は、被写体がレンズの焦点と近い場合に限り、非ゼロになる。
【0101】
本明細書に従った画像化方法は、したがって『オプティカル・セクショニング』、すなわち所与の厚さの試料の切片の画像化を可能にする。言い換えると、いくつかの散乱体/粒子からなる3D被写体に、2つの位置において画像に差を付けることによって注目する場合には、所与の深度に存在する散乱体のみが分離され、所与の深度における3D被写体の構造(散乱体内のそれの組成物)を得ることが可能である。
【0102】
-π/2とπ/2の位相シフトは、顕微鏡レンズの被写界深度zのオーダーの距離において生じる。試料の薄い切片を得るためには、大きな開口率のレンズが使用される必要がある。たとえば、開口率1.25を伴う油浸レンズについては、被写界深度が0.5μmであり、しばしば開口率0.9を伴う水浸レンズについては、被写界深度が1μmである。
【0103】
上記の曲線の一般的な場合においては、散乱体の種々の位置について、被写界深度のオーダーの距離、たとえば被写界深度の1/10において得られた2つの画像の間における強度の差をピクセル毎にプロットすることが、図3Cに図解されているとおり、可能である。
【0104】
図3Cに図解されている曲線から、散乱体は、それが焦点に近接して置かれている場合にのみ可視であることが観察される。任意の基準(たとえば、最大半量における全幅)を定義して光切片、すなわち、その厚さにわたって散乱体が検出可能である切片を定義することが可能であり、かつ、ここではそれが装置の被写界深度のオーダー、すなわち1.25の開口率を伴う油浸レンズについては0.5ミクロン台であることがわかる。
【0105】
実際においては、0.1と0.4ミクロンの間の軸方向の差について得られる干渉信号を選択することが興味深いと決定された。
【0106】
実際においては、高レートの作業のために、圧電素子が瞬時的な矩形波変位をもたらすべく適合されることが常ではなく、変位のシヌソイド変調を行うことを好ましいとすることができる。光学応答がz~0にわたって線形となるゾーンにあるときは、光信号内の変動もまたシヌソイドになり、たとえば4つの画像を採用した同期検出によって非常に良好にフィルタリングすることが可能である。
【0107】
散乱体がこの線形ゾーンの外側となる場合には、同期検出による信号の検出が可能でなくなる。
【0108】
光切片の画像から、図2Bに図解されているとおり、その後体積内の試料をスキャンすることが可能になる。その後、『断層撮影』、すなわち試料の3D画像を提供する種々の対応する軸方向の位置におけるスライスによって散乱された強度の測定を行う。
【0109】
たとえば、被写体焦点面を図2Bの参照番号201の位置に位置決めすることが可能であり、この平面をはじめ、平面201から0.2マイクロメートルだけ離された符号202の平面において干渉信号を取得することが可能である。その後、これらの2次元干渉信号の間の差が計算され、第1の切片の画像が決定され、続いて被写体焦点面が変位され、新しい取得が行われて続く切片の画像が決定される。たとえば、別の光切片の画像を計算するべく、符号203の平面に被写体焦点面を変位させ、この平面内において干渉信号を取得、平面202において取得した干渉信号との差を求めるという形を繰り返すことが可能である。
【0110】
顕微鏡レンズと試料の相対的な位置もまた、図1の2つの圧電変位のうちの1つにシヌソイド電圧を印加することによって周期的に変調することが可能である。信号の同期検出が、その後、周期の半分にわたる少なくとも2つの画像の時間サンプリングによって行われる。
【0111】
図4および図5を用いて、3次元画像化方法の第2の実施態様を説明する。この第2の実施態様においては、切片の画像の取得および計算のための、先行する図面に関連した説明とは異なる別のモードを説明する。それぞれの切片について、第1の実施態様に対応する第1の画像および第2の実施態様に対応する第2の画像を計算することは可能であることに注意すべきである。
【0112】
先の実施態様においては、顕微鏡レンズと試料の相対的な変位が行われて2つの異なる位置における強度の差が測定された。
【0113】
しかしながら、出願人らは、生体被写体内の殆どの細胞内小器官が内部的な動きを有し、それが自発的にそれらの位置を変調していることを見出した。
【0114】
したがって、本明細書に従った断層撮影画像化方法の第2の実施態様においては、以下に詳細を述べるとおり、光切片の画像の計算のための試料に対する顕微鏡レンズの相対的な変位がない。相対的な変位は、異なる光切片の画像の計算のため、したがって3次元画像の再現のためにのみ行われる。
【0115】
しかしながら、実際においては、生体被写体の変位が本来的にランダムであることから、この変位はあらかじめ既知ではなく、ΔI~σ.Δz[数式11]とは異なり、そのため、散乱体の有効断面ないしはそれの変位のいずれも決定可能ではなく、単一の散乱体を特徴付けることが可能でない。
【0116】
第2の実施態様に従った断層撮影画像化方法においては、光切片の被写界の画像の計算が、その切片内の被写体焦点面の所与の位置について取得された2次元干渉信号の間の強度における時間的な変動から行われる。
【0117】
たとえば、2次元取得デバイスの各基本検出器について、ピクセル値を、前記基本検出器によって取得された前記2次元干渉信号の強度における時間的な変動を表すパラメータの値の関数として計算することが可能である。パラメータは、たとえば、干渉信号の強度の時間的な分散を表す。
【0118】
実際に、強度信号内の時間的な揺らぎまたは変動は、散乱体の位置における揺らぎに関する情報を与える。たとえば、散乱体がブラウン運動(位置におけるランダムな揺らぎ)を有する場合には、測定された強度信号が純粋にランダムでなければならず、√tに従って(または、画像間の時間差の平方根に従って)統計的に増加しなければならないΔIを伴う。実際においては、生物細胞内の散乱体がより頻繁に考察される。細胞の生理学は、細胞が散乱体の運動を(たとえば、分子モータによって)制御することから、動きがランダムではなくなり、バイアスされることを示す。散乱体の動きによって作り出された強度信号における揺らぎを測定することにより、細胞の代謝に依存する固有信号を入手可能であると示すことが可能である。
【0119】
実際においては、同一平面内における時間の関数としてのN個の画像が記録される。その信号は、散乱体の位置もまたランダムであることから、図5に図解されているとおり、本来的にランダムである。
【0120】
この時間トレースから、統計的な処理を行って散乱体の環境に関する情報を提供することが可能である。散乱体の動きに対する感度は、その光切片内の、言い換えると焦点面に非常に近接した散乱体に対してのみ有効である。信号の揺らぎは、したがって、焦点体積から到来する散乱体によってのみ主として生じる。
【0121】
したがって、最終的に動的断層撮影、すなわち1つの平面内における信号の揺らぎを記録し、解析を行い、レンズの位置を移動して再開することの繰り返しを行うことが可能である。散乱体の環境が、このようにして3Dにおいてマップされる。
【0122】
たとえば、カメラの各ピクセルが解析および表現が必要とされる信号を時系列に従って記録する。この解析は、いくつかの方法で行われる。たとえば、干渉信号の時系列のフーリエ変換を計算し、それらから多数のピクセル値、たとえば、パワー(FTの絶対値の2乗(squared modulus)のスペクトルにわたる積分)、周波数スペクトルの中心周波数(H)、およびスペクトル幅(S)にそれぞれ対応する値を演繹することが可能である。たとえば、HSV(色相、彩度、明度)色表現を使用して周波数スペクトルの中心周波数(H)、スペクトル幅(S)、およびパワー(V)をそれぞれ表すことが可能である。
【0123】
そのほかの、干渉信号の時系列の標準偏差の単純計算、またはバイアスされた動きについての前記時系列の累積和(cumsum関数)の解析といった解析の手段を使用することは可能である。
【0124】
図6は、本明細書に従った図1Aに表されているものに類似する画像化システムを用いて得られた4ミクロンの距離が離れているHeLa癌細胞の2つの切片の画像を表している。顕微鏡レンズは、1.25の開口率を伴う倍率100×の油浸レンズであり、中心波長は450ナノメートルに等しい。使用したカメラは、Photon Focus(R)(フォトン・フォーカス)のMV-D1024EシリーズCMOSカメラである。
【0125】
この画像を作成するために、顕微鏡レンズの被写体焦点面が変位され、細胞の2つの切片、すなわち細胞質における第1の切片(61、63)および細胞の核における第2の切片(62、64)の上に中心決めされた。これらの画像は、細胞を断層撮影する本明細書のメソッドオブジェクトの能力を例証する。下側の画像63、64は、細胞の形態を、上側の画像61、62は『動的な』部分を表す。スケール・バーは2ミクロンに等しい。
【0126】
例として特定数の実施態様を通して説明してきたが、本明細書に従った断層撮影画像化方法およびシステムは、この分野の当業者には自明になると見られる多様な代替、修正、および改良を包含し、これらの多様な代替、修正、および改良が、以下の請求項によって定義されるとおりの本発明の範囲の部分を形成することは理解される。
【符号の説明】
【0127】
10 試料
20 クラスタ
21 細胞
22 細胞
61、62 画像
63、64 画像
100 3次元画像化システム、画像化システム
101 切片
110 光源
120 光学画像化システム
121 顕微鏡レンズ
122 レンズ
125 被写体焦点面
131 第1の圧電素子
132 第2の圧電素子
135 制御ユニット
140 2次元取得デバイス、取得デバイス
141 検出平面
142 画像フィールド
145 制御モジュール
150 処理ユニット
201、202 破線
211、221 細胞核
212、222 核小体
213、223 細胞質
214、224 細胞内小器官
Δ 光軸
λ 照明ビームの中心波長
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
【国際調査報告】