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特表2024-519566空気予熱器設備のための温度制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-17
(54)【発明の名称】空気予熱器設備のための温度制御システム
(51)【国際特許分類】
   F23L 15/02 20060101AFI20240510BHJP
   F23D 11/44 20060101ALI20240510BHJP
   F28D 17/00 20060101ALI20240510BHJP
   F28D 17/02 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
F23L15/02
F23D11/44 Z
F28D17/00
F28D17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023548900
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022016153
(87)【国際公開番号】W WO2022174059
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/148,689
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518055143
【氏名又は名称】アルヴォス ユングストローム エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マーグラー、トーマス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】コスラー、スティーブン ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
3K023
【Fターム(参考)】
3K023QA01
3K023QB13
3K023QB18
3K023QB19
3K023QC08
3K023SA01
(57)【要約】
空気予熱器(APH)温度制御システムは、燃焼空気入口ダクト及び二次空気ダクトと計量連通する少なくとも第1のAPH又は燃焼/二次空気バイパスダクトであって、使用時に燃焼空気の一部をAPH100の上流の空気入口ダクトから二次空気バイパスとして抽気して、下流の二次空気ダクトに再導入するように適合された第1のAPH又は燃焼/二次空気バイパスダクトと、二次空気バイパスの体積流量を計量又は制御し、一次空気流を調整するための流量制御装置であって、使用時に単独で又は他の調整手段と組み合わせて、T10MIN~T10MAXの安全範囲内にミル出口温度を維持するために、煙道ガス出口温度を、APHを出る入射煙道ガス体積流量に対する所望の最小所定温度以上に維持するように動作可能な、流量制御装置と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気予熱器のための温度制御システムであって、前記温度制御システムは、
(a)2セクタ空気予熱器(100)であって、
ボイラからの煙道ガスを前記2セクタ空気予熱器(100)に供給するように構成された煙道ガス入口ダクト(D1)と、
前記2セクタ空気予熱器(100)から煙道ガスを排出するように構成された煙道ガス出口ダクト(D2)と、
前記2セクタ空気予熱器(100)に空気を搬送するように構成された燃焼空気入口ダクト(D50)と、
前記2セクタ空気予熱器(100)から空気を排出するように構成された燃焼空気出口ダクト(D100)であって、前記燃焼空気出口ダクト(D100)は、一次空気ダクト(D40)及び二次空気ダクト(D60)と流体連通し、前記二次空気ダクト(D60)は前記一次空気ダクト(D40)の下流にあり、前記二次空気ダクト(D60)は、第1の量の一次空気(V20)を少なくとも1つの粉砕ミルを介して前記ボイラに供給し、第2の量の二次空気(V30)を前記ボイラに直接供給するように構成されている、燃焼空気出口ダクト(D100)と、
前記煙道ガス入口ダクト(D1)に近接する高温端と、前記燃焼空気入口ダクト(D50)に近接する低温端とを有する熱交換ロータ(20)であって、前記二次空気(V30)の量が前記一次空気(V20)の量よりも多い、熱交換ロータ(20)と、
前記燃焼空気入口ダクト(D50)及び前記二次空気ダクト(D60)と連通する空気予熱器バイパスダクト(D70)であって、前記空気予熱器バイパスダクトは、前記燃焼空気(V300)の一部を二次空気バイパス(V40)として、前記2セクタ空気予熱器(100)の上流の前記空気入口ダクト(D50)から抽気して下流の前記二次空気ダクト(D60)に再導入するように構成された、空気予熱器バイパスダクト(D70)と、
前記二次空気バイパス(V40)の体積流量を制御し、一次空気流(V20)を調整するための流量制御装置(DV10)であって、前記一次空気流(V20)は、単独で又は他の調整手段と共に、前記2セクタ空気予熱器(100)を出る煙道ガス体積流量(V1)に対する第1の所定の最低温度(T9)以上に煙道ガス出口温度(T2)を維持して、前記粉砕ミル内での石炭乾燥を促進するのに必要な最低温度(T10MIN)の安全範囲内の一次空気出口温度(T10)を、前記粉砕ミル(T10MAX)内の石炭の自己発火をもたらす最高温度に維持するように構成される、流量制御装置(DV10)、と、を備える、2セクタ空気予熱器(100)、又は、
(b)3セクタ空気予熱器(1)であって、
ボイラからの煙道ガスを前記3セクタ空気予熱器(1)に供給するように構成された煙道ガス入口ダクト(D1)と、
前記3セクタ空気予熱器(1)から煙道ガスを排出するように構成された煙道ガス出口ダクト(D2)と、
前記3セクタ空気予熱器(1)に一次空気(V2)を供給するように構成された一次空気入口ダクト(D3)と、
第1の量の一次空気(V2)を少なくとも1つの粉砕ミルを介して前記ボイラに供給するように構成された一次空気出口ダクト(D4)と、
二次空気(V3)を前記3セクタ空気予熱器(1)に供給するように構成された二次空気入口ダクト(D5)と、
第2の量の二次空気(V3)を前記ボイラに直接供給するように構成された二次空気出口ダクト(D6)と、
前記ガス入口ダクト(D1)に近接する高温端と、前記空気入口ダクト(D5)に近接する低温端とを有する熱交換ロータ(2)と、
前記空気入口ダクト(D5)及び前記空気出口ダクト(D6)と連通する少なくとも第1の二次空気バイパスダクト(D7)であって、前記二次空気バイパスダクトD7は、前記二次空気(V3)の一部を二次空気バイパス(V4)として、前記3セクタ空気予熱器(1)の上流の前記空気入口ダクト(D5)から抽気して、下流の前記空気出口ダクト(D6)に再導入するように構成された、第1の二次空気バイパスダクト(D7)と、
前記二次空気バイパス(V4)の体積流量を制御し、一次空気流(V2)を調整するための流量制御装置(DV1)であって、前記一次空気流(V2)は、前記3セクタ空気予熱器(1)を出る前記煙道ガス体積流量(V1)に対する第2の最低温度(T9)以上に前記煙道ガス出口温度(T2)を維持して、前記粉砕ミル内での石炭乾燥を促進するのに必要な最低温度(T10MIN)の安全範囲内の一次空気出口温度(T10)を、前記粉砕ミル(T10MAX)内の石炭の自己発火をもたらす最高温度に維持するように構成される、流量制御装置(DV1)と、を備える、3セクタ空気予熱器(1)、
を備える、温度制御システム。
【請求項2】
前記空気予熱器が前記3セクタ空気予熱器(1)である場合、前記制御システムは、
前記一次空気入口ダクト(D3)及び前記一次空気出口ダクト(D4)と連通する一次空気バイパスダクト(D8)であって、前記一次空気バイパスダクト(D8)は、一次空気バイパス(V5)として前記一次空気(V2)の一部を、前記3セクタ空気予熱器(1)の上流の前記一次空気入口ダクト(D3)から抽気して、下流の前記一次空気出口ダクト(D4)に再導入するように構成された一次空気バイパスダクト(D8)と、
前記一次空気バイパス(V5)の体積流量を制御するための第2の流量制御装置(DV2)と、を更に備える、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項3】
(a)前記空気予熱器が前記2セクタ空気予熱器(100)である場合、低負荷条件における前記二次空気バイパス(V40)は、前記2セクタ空気予熱器(100)に供給される前記二次空気(V30)の5~15%であり、
(b)前記空気予熱器が前記3セクタ空気予熱器(1)である場合、低負荷条件における前記二次空気バイパス(V4)は、前記3セクタ空気予熱器(1)に供給される前記二次空気(V3)の5~15%である、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項4】
前記空気予熱器が前記3セクタ空気予熱器(1)である場合、低負荷条件における前記一次空気バイパス(V5)は、前記3セクタ空気予熱器(1)に供給される前記一次空気(V2)の15~20%である、請求項3に記載の温度制御システム。
【請求項5】
前記空気予熱器が前記3セクタ空気予熱器(1)である場合、低負荷条件において、前記二次空気バイパス(V4)は10%であり、前記一次空気バイパス(V5)は20%である、請求項2に記載の温度制御システム。
【請求項6】
(a)前記空気予熱器が前記2セクタ空気予熱器(100)である場合、前記第1の所定の最低温度(T9)は、前記2セクタ空気予熱器(100)の下流に配置された汚染制御機器の効率的な動作を促進して、煙道ガス出口ダクト(D2)から出る煙道ガス流(V1)を受け取るように構成され、
(b)前記空気予熱器が前記3セクタ空気予熱器(1)である場合、前記第2の所定の最低温度(T9)は、前記3セクタ空気予熱器(1)の下流に配置された汚染制御機器の効率的な動作を促進して、煙道ガス出口ダクト(D2)から出る煙道ガス流(V1)を受け取るように構成される、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項7】
前記汚染制御機器は、噴霧乾式吸収器(SDA)、循環乾式スクラバ(CDS)、又は湿式煙道ガス脱硫システム(FGD)であり、
更に前記汚染制御機器は、前記3セクタ空気予熱器(1)又は前記2セクタ空気予熱器(100)のすぐ下流で前記煙道ガス流(V1)の少なくとも第1の部分を受け取るように配置され、それによって廃水蒸発の増加をもたらす、請求項6に記載の温度制御システム。
【請求項8】
前記煙道ガス体積流量(V1)が低負荷条件において前記所定の最低温度(T9)以上である場合、前記煙道ガス流(V1)の前記少なくとも第1の部分は、前記汚染制御システムに供給される廃水を蒸発させる、請求項7に記載の温度制御システム。
【請求項9】
前記二次空気バイパス(V4)の少なくとも1つは圧力降下支援され、前記一次空気バイパス(V5)は圧力降下支援される、請求項2に記載の温度制御システム。
【請求項10】
前記粉砕ミル(400)は、燃料を受け取るための粉砕機入口と、粉砕された燃料を前記粉砕ミルから排出するための粉砕機出口とを備え、
前記ボイラ(500)は前記粉砕機出口と連通しており、前記ボイラは前記燃料を燃焼させるように構成されており、
前記2セクタ空気予熱器(100)及び前記3セクタ空気予熱器(1)の各々は、スピンドル上で回転するように取り付けられたロータ(20)と、前記ロータに配置された複数の熱伝達要素と、を備え、前記熱伝達要素は、それによって流れるガスに熱を伝達するように構成されており、前記2セクタ空気予熱器(100)及び前記3セクタ空気予熱器(1)の各々は高温端(20H)及び低温端(20C)を画定する、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項11】
請求項1に記載の温度制御システムを利用して空気予熱器を出るガスの温度を制御する方法。
【請求項12】
請求項1に記載の温度制御システムで空気予熱器設備を改造する方法であって、前記空気予熱器は前記3セクタAPH(1)であり、前記方法は、
既存のダンパ弁(DV2)で絞られた既存の一次空気バイパスダクト(D8)を利用することと、
ダンパ弁(DV1)で閉鎖可能な適切なサイズの二次空気バイパスダクト(D7)を設置することと、を含み、
低負荷動作中、前記ダンパ弁(DV1)が開き、前記ダンパ弁(DV2)が完全に開くと、前記一次空気出口温度(T4)は、一次空気出口温度(T10)を少なくとも最低一次空気出口温度(T10MIN)まで上昇させるのに十分な所定の量だけ上昇される、方法。
【請求項13】
前記3セクタ空気予熱器(1)に流入する前記一次空気の10~20%はバイパスされ、前記二次空気バイパスダクト(D7)は、前記3セクタ空気予熱器(1)に流入する前記二次空気の0~10%程度をバイパスすることができる、請求項12に記載の改造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
関連出願の相互参照本出願は、2021年2月12日に出願された米国仮特許出願第63/148,689号の非仮出願であり、その優先権を主張するものであり、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、化石燃料燃焼ボイラ用の空気予熱器を出るガスの温度を制御するための方法及び装置に関し、より詳細には、石炭火力発電プラントの設置された空気予熱器の改造によって下流の汚染制御機器の動作効率を改善することに関する。
【背景技術】
【0003】
蒸気発生システムは、電気の生成及び化学処理プラントにおいて使用される。蒸気発生のためのエネルギーは、ミルで粉砕された石炭、天然ガス又は燃料油などの化石燃料の燃焼によって提供されてもよい。石炭火力蒸気発生システムは、一般に、微粉炭が燃焼される炉を有するボイラ(水を蒸発させて蒸気にする)と、空気予熱器(「APH」)と、廃煙道ガス用の出口ガス(「煙道ガス」)とを備える。煙道ガスは、APHから、煙突を通って大気に出る前にガス状及び粒子状汚染物質を低減するように設計された複数の汚染制御機器を通過する。
【0004】
典型的には、回転再生式熱交換器のAPHは、プロファイル鋼熱交換要素を利用してボイラから出る煙道ガスから「廃熱」と呼ばれる熱を捕捉し、その熱をボイラに供給されている燃焼空気に放出することによってボイラ効率を改善し(多くの場合、微粉炭をボイラ炉に搬送するために1つ又は複数の石炭ミルを通して部分的に)、そのようなものの1つは、図1に概略的に示されている3セクタAPH1である。
【0005】
3セクタAPH1は、その上端(「高温端」)に設けられ、そのロータ2の周りに円周方向に配置され、煙道ガス入口ダクトD1、一次空気出口ダクトD4、及び二次空気出口ダクトD6は各々、同様にロータ2の周りにその下端又は低温端に配置された煙道ガス出口ダクトD2、一次空気入口ダクトD3、及び二次空気入口ダクトD5とそれぞれ軸方向に整列している。図示及び機能説明を容易にするために、一次及び二次空気ダクトは半径方向に配置されて示されているが、真の配置及び構成は当該技術分野において周知であり、出願人のLjungstrom(登録商標)Trisector Air Preheaterに関する市販の刊行物に示されている。ロータ2は、ダクトD1とD2との間を流れる煙道ガスから熱を抽出し、それを解放して、ダクトD3とD4との間を流れる一次空気V2(微粉炭をボイラ炉に搬送するために1つ以上の石炭ミルを介して供給される)とダクトD5とD6との間を流れる二次空気V3(ボイラ炉の外側に取り付けられた風箱を介してボイラ炉に直接供給される)との混合流としてボイラに供給される燃焼空気を予熱するように回転する際に、熱交換要素のバスケットを収容する。熱交換要素は、通常、2つのタイプのものであり、1つは、ロータ2の高温端のための上部(「高温端」)層であり、隣接する、典型的には上に配置された熱交換を最大にし、もう1つは、下部(「低温端」)層であり、ファウリング(ロータ2の低温端で受けるより低い温度で生じる)を最小にする。組み合わせにおいて、熱交換要素は、最大量の予熱を伝達するように設計され、一方で、例えば、ファウリング、酸化及び/又は酸腐蝕を抑制又は回避する温度で依然として動作する。典型的には、一次空気V2は、燃焼空気の約20%に達し、煙道ガスV1から捕捉された熱の約10%を含有し、二次空気V3は、捕捉された熱の90%を含有する燃焼空気の約80%である。
【0006】
図1に示されロータ2を見ると、任意の所与の時間において、煙道ガスダクトD1とD2との間に「煙道ガス」部分があり、一次空気ダクトD3とD4との間に「一次空気」部分があり、二次空気ダクトD5とD6との間に「二次空気」部分があることが理解されよう。体積流量V1を有する煙道ガスV1は、ロータ2の「煙道ガス」セクタの高温端に隣接する煙道ガス入口温度T1で入口ダクトD1を出て、そのセクタの低温端に隣接するより低い煙道ガス出口温度T2で出口ダクトD2に入る。反対に、体積流量V2を有する一次空気V2は、ロータ2の「一次空気」セクタの低温端に隣接する空気入口温度T3(典型的には、一般的な周囲空気温度付近)で入口ダクトD3を出て、そのセクタの低温端に隣接する一次空気出口温度T4で出口ダクトD4に入る。同様に、体積流量V3を有する二次空気V3は、ほぼ同じ空気入口温度T3でその入口ダクトD5を出て、そのセクタの低温端に隣接する二次空気出口温度T5でその出口ダクトD6に入る。ロータ2自体の温度は、煙道ガス入口ダクトD1にすぐ隣接するときのその高温端における高い高温端金属温度T6と、二次空気出口ダクトD6にすぐ隣接するときのその低温端における低い低温端金属温度T7との間で変化する。これらの温度は、局所センサ又は他の既知の方法を利用して測定又は推定することができる。
【0007】
典型的な3セクタAPH構成では、これらのダクトは、「G-P-S」構成、「順方向」回転APHで配置され、ロータ2の回転方向において、煙道ガスダクトであるGの後に一次空気ダクトであるPが続き、これに二次空気ダクトであるSが続き、すなわち、ロータ2の任意の所与の半径方向部分が煙道ガスダクトD1-D2、次いで一次空気ダクトD3-D4、最後に二次空気ダクトD5-D6の間で回転し、その結果、一次空気が二次空気の前に予熱され、このプロセスを毎分約1回転の速度で繰り返す。「G-S-P」構成(又は「逆」回転APH)では、二次空気が一次空気の前に予熱されることが容易に理解されよう。
【0008】
通常動作中、V1、V2及びV3の体積流量値は各々、ボイラが低負荷で動作しているときのそれぞれの最小値と、ボイラが全負荷条件下で動作しているときの最大値との間で変化する。これらの体積流量はまた、APHの様々な上流及び/又は下流のそれぞれのダクト内のファン(例えば、ファン600)の動作によって部分的に制御され、特に、一次空気ファン及び二次空気ファンが使用される。ファン動作は、例えば、APHなどのダクト及び/又は汚染制御機器に固有の圧力降下を補償するために、流量を増加及び/又は維持するように影響を受け、制御され得る。また、一次空気ファン及び二次空気ファンの動作は、一次空気V2及び二次空気V3に対して差動的に制御され、それにより、前者は、例えば、ミルから炉への微粉炭の輸送を容易にするためにより高い圧力に上昇される。典型的には、二次空気V3は10~30インチwgの圧力を有し、一次空気V2は40~60インチwgの圧力を有する。そのようなより高い圧力の1つの結果は、一次空気V2が二次空気V3と比較してより高い圧縮熱を有することであり、T4が典型的にはT5より高いとして部分的に観察可能である。
【0009】
一般的に言えば、後述する場合を除いて、空気入口温度T3Sは、支配的な周囲及び/又は局所空気温度T3で又はその近くで本質的に一定のままであるが、一次空気入口温度T3Pは、一次空気ファン又は一次空気ブースタファン(後者がAPHを通して一次空気を吹き込むために二次空気ファンと共に使用される場合)によって引き起こされる追加の圧縮のために二次空気入口温度T3Sよりもいくらか高い(例えば、華氏約20度だけ)。しかしながら、他の温度Tは、ボイラ負荷及び付随する体積流量に依存して、それぞれの最小値と最大値との間で変化する。平均低温端温度T7には実用的な最小値があり、すなわち、平均低温端温度T7は、例えば、酸腐蝕を軽減するためにボイラ燃料の特性に基づいて業界で確立された基準以上でなければならない。平均低温端温度(ACET)は、空気入口温度とガス出口温度の平均である。この平均は、回転中に実際の低金属温度T7が実際に酸露点より低い場合であっても達成されるが、ACETは大部分が露点より高い方がよいことが理解されるであろう。
【0010】
また、一次空気出口温度T4に関して実際的な最大値が存在するが、これは、一次空気が、所与の最大値(石炭粒子の自己発火が炉の外側で起こり、石炭ミルの火災及び火災抑制機器の動作につながる可能性がある温度)より低いミル入口温度T8(図示せず)を有しなければならないからである。とは言え、特に高含水亜炭又は褐炭に関連する微粉炭の水分含有量に関連するミル入口温度T8の実用最小値も存在する。石炭微粒子は、まだ湿っている場合には効率的に燃焼することができないので、ある程度乾燥させなければならないことが理解されるであろう。これは炉内で行うことができるが、炉の全体的な効率を低下させるので、湿った粒子は、炉に供給される前に一次空気によって、すなわち煙道ガスからの予熱又はファン動作(例えば、ファン600)を使用して実質的に乾燥されることが好ましい。これは、T3PがT3Sよりも高いことが望ましい条件である1つの理由である。
【0011】
通常、T8は測定されないが、代わりに一次空気出口温度T10(図示せず)が制御され、一次空気流はT10MIN(適切な石炭乾燥を容易にする)とT10MAX(ミル内の石炭の自己発火を確実にしない)との間の温度を有するように調整される。一次空気調整(すなわち、空気の温度を変化させること)の種々の手段が、米国特許第3,373,520号(Hottenstine)及び米国特許第4,442,783号(Pajonasら)に開示されている。空気の温度調節には、例えば、ファン、バス、冷却システム、加熱システム、異なる温度の空気の追加を含む温度調整手段による空気の温度の調整又は変更、すなわち冷却又は加熱が含まれるが、これらに限定されない。
【0012】
任意のAPHの主な目的は、煙道ガスから熱を除去して燃焼空気を予熱し、したがって大気に排出される廃熱の量を低減し、炉を加熱するのに必要な燃料の量を効果的に低減することによってボイラ効率を改善することであることが理解されるであろう。したがって、APH設計の一般的に受け入れられている目標は、二次燃焼空気予熱のために捕捉される熱を最大化し、その結果、低金属温度T7を必要最小限より高く維持しながら、煙道ガス出口温度、例えばT2を最小化することによって、それ自体の熱伝達効率を改善することである。
【0013】
実際には、任意の所与のボイラ負荷に対して、燃焼空気に必要とされる一定の体積流量(場合によっては質量流量も)、例えばV2+V3が存在し、したがって、中程度の負荷において、ピーク負荷状態中に固有の増大した煙道ガス流で達成可能である場合よりも高い煙道ガス出口温度T2をもたらすような量の予熱しか必要とされない。このような状況では、達成された煙道ガス出口温度T2は、例えばフライアッシュなどの煙道ガスから粒子状汚染物質を捕捉するためにAPHのすぐ下流に配置された静電集塵器(ESP)(図示せず)の効率的な動作にとって高すぎることが分かっている。このことを克服するために、米国特許第6,089,023号は、燃焼空気として必要とされる量を超える量の空気をAPHに過剰供給し、次いでAPHの上流の「望ましくない」過剰空気を、例えば二次空気出口ダクトD6から(他の用途のために、又は単に大気に放出される)取り出し、したがって許容可能なより低い煙道ガス出口温度、例えばT2を提供すること(いわゆる「過剰供給技術」)を提案した。望ましくない過剰空気は、望ましく低い煙道ガス出口温度、例えばT2を維持しながら大気に排出されるとき、実際には廃熱であり、したがってAPH及びボイラの運転効率を低下させることが理解されるであろう。
【0014】
最近、廃水を環境中に排出する前に汚染物質を除去するための水処理プラントの必要性を回避するために、排水ゼロでボイラを運転する必要性が生じている。噴霧乾式吸収器(SDA)などの蒸発システムを配置することが知られている。後述されるように、他のそのような蒸発システムは、例えば、循環乾式スクラバ(CDS)を含み、これらは全て、排水を低減又は排除するために、廃水を蒸発させるように動作する。これらのシステムには、APHを出る煙道ガスが、直接又は他の汚染制御機器の更に下流のいずれかで供給される。これは、そのような設計負荷における煙道ガス出口温度、例えばT2、及び体積流量V1が、例えばSDA内の完全な蒸発を促進するのに十分に高いため、高負荷では問題ではなく、すなわちT2は、100%近くの蒸発を促進するために特定の体積流量V1に必要な温度T9にある。T2≧T9を維持する必要があり、そうでなければ、SDAはゼロ排水に対して十分に効果的ではなく、残りの水は、SDAが交換しようとするまさに廃水処理装置によって処理される必要があることが理解されよう。SDA及びCDSは各々、多くの点で類似している既知の方法で水を蒸発させることが理解されるであろう。
【0015】
歴史的に、石炭火力発電所は、電力網ベース負荷条件の間であっても高負荷/出力で運転され、APHはそのような条件に対して最適化され、本質的にT2≧T9であり、したがってSDA動作に理想的であった。全負荷の50%を超える中程度の負荷条件の間、全負荷煙道ガス出口温度T2は、効率的なSDA動作にとって本質的に低すぎる場合があり、したがって、水ゼロ排出を達成するためにそれを上昇させる必要がある。二次空気がAPHに入る前に蒸気コイルを使用して二次空気を加熱することによってT2≧T9の所望の増加を達成することが知られており、その結果、APH空気入口温度が周囲温度の温度よりも十分に高くなり、それによってAPH1から出る煙道ガスの温度T2が増加する。しかし、このようなシステムは、通常の負荷条件ではT2≧T9自体を依然として達成することができず、特に典型的には50%負荷未満、例えば33%設計負荷(いわゆる「蒸気コイル技術」)の低負荷条件では達成しない。有効性にかかわらず、蒸気コイル技術は、そうでなければ発電のために使用され得るボイラからの熱を、ボイラ効率の付随する低下を伴って迂回させることが理解されるであろう。
【0016】
今日のエネルギー市場における再生可能エネルギーの出現に伴い、石炭火力蒸気発生器(ボイラ)は、低負荷(全負荷の50%未満、例えば典型的には33%設計又は全負荷)で長期間動作することがしばしば要求される。多くの石炭焚きボイラは、このモードで動作するように設計されておらず、設置されたAPH低負荷動作では、多くの場合、低い又は準最適な煙道ガス出口温度T2並びに低い一次空気出口温度T4及び二次空気出口温度T5をもたらす。そのような条件では、T2は、効率的なSDA動作に必要とされるT9の値よりも十分に低いので、すなわち、典型的には100%又はそれに近い廃水蒸発を達成するために、APHを出る煙道ガスの温度を上昇させる必要があり、前述したように、蒸気コイル技術の使用は、それ自体では十分ではなく、低負荷条件では完全に無効である。したがって、任意の所与の体積流量V1に対して煙道ガス温度≧T9を達成するために、天然ガスバーナ又は石油バーナなどの二次熱源を使用して、APHを出る温度を超えて煙道ガスを加熱する必要があった(いわゆる「二次バーナ技術」)。APHの下流で任意の二次バーナ技術を用いて煙道ガスを加熱することは、ボイラ効率に悪影響を及ぼし、運転するために資本、燃料及び維持費を必要とすることが理解されるであろう。
【0017】
本出願人は、そのような低負荷条件(典型的には全負荷の50%未満、例えば設計負荷の33%)において二次バーナ技術を使用することによる追加コストを回避しようとして、上述のオーバーフィード技術を使用して煙道ガス出口温度T2の上昇を達成できるかどうかを検討し、達成できないことを見出した。これらの技術の上記の書面による評価から、最新技術から明らかな唯一の解決策は、例えば、現在使用されている蒸気コイル技術を通常の蒸気コイルよりもはるかに大きいものでアップグレードすることであることが理解されよう。出願人は、以下に説明する本発明が、従来技術に関連する問題に対処し、明白な解決策から生じる問題を克服し、新規かつ非自明な解決策を提供すると考える。
【発明の概要】
【0018】
本発明の目的は、汚染制御機器の効率的な動作を容易にし、低ボイラ負荷条件で二次バーナ技術及び/又は蒸気コイル技術を使用する必要性を排除する温度で出る煙道ガスを提供するために使用されるAPH温度制御システムを提供することである。一実施形態では、汚染制御機器は、噴霧乾式吸収器(SDA)、循環乾式スクラバ(CDS)、又は湿式スクラバ(例えば、湿式FGD)などの水蒸発システムを含んでもよい。本発明は、より多くの試薬が汚染制御機器に注入されることを可能にし得、これは除去効率を改善する。汚染制御機器は、低負荷でのより高いガス入口温度から利益を得ることができ、これは、水バランスを改善し、水処理要件を低減する。
【0019】
本発明は、最低動作温度に関連する問題に対処することが更に企図される。更に、本発明は、酸露点及び腐食に関連する問題に対処する。本発明は、二酸化硫黄(SO)の除去効率、試薬利用率、及び水バランスに関連する問題に対処することが企図される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明により、熱伝達に利用可能な質量が少なくなり、煙道ガス出口温度が上昇することが企図される。汚染制御機器への煙道ガス温度の上昇は、使用されるシステムに応じて、プロセス水の量の増加及び動作に必要な最小負荷の低減を含むがこれらに限定されない利点を有する。本発明のいくつかの実施形態では、本発明が、ミルへの一次空気温度を上昇させ、それが石炭乾燥及びミル出口温度を上昇させることが更に企図される。本発明のいくつかの実施形態では、APHガス出口温度を上昇させ、平均低温端温度を上昇させることが企図される。本発明のいくつかの実施形態において、二次バイパスは、煙道ガス出口温度の上昇をもたらし、APHガス出口温度を上昇させ、酸露点接近温度を上昇させることが企図される。
【0021】
本発明は、空気予熱器のための温度制御システムを含む。一実施形態では、温度制御システムは、2セクタ空気予熱器(100)であって、ボイラからの煙道ガスを2セクタ空気予熱器(100)に供給するように構成された煙道ガス入口ダクト(D1)と、2セクタ空気予熱器(100)から煙道ガスを排出するように構成された煙道ガス出口ダクト(D2)と、2セクタ空気予熱器(100)に空気を搬送するように構成された燃焼空気入口ダクト(D50)と、2セクタ空気予熱器(100)から空気を排出するように構成された燃焼空気出口ダクト(D100)であって、燃焼空気出口ダクト(D100)は、一次空気ダクト(D40)及び二次空気ダクト(D60)と流体連通し、二次空気ダクト(D60)は一次空気ダクト(D40)の下流にあり、二次空気ダクト(D60)は、第1の量の一次空気(V20)を少なくとも1つの粉砕ミルを介してボイラに供給し、第2の量の二次空気(V30)をボイラに直接供給するように構成されている、燃焼空気出口ダクト(D100)と、煙道ガス入口ダクト(D1)に近接する高温端と、燃焼空気入口ダクト(D50)に近接する低温端とを有する熱交換ロータ(20)であって、二次空気(V30)の量が一次空気(V20)の量よりも多い、熱交換ロータ(20)と、燃焼空気入口ダクト(D50)及び二次空気ダクト(D60)と連通する空気予熱器バイパスダクト(D70)であって、空気予熱器バイパスダクトは、燃焼空気(V300)の一部を二次空気バイパス(V40)として、2セクタ空気予熱器(100)の上流の空気入口ダクト(D50)から抽気して下流の二次空気ダクト(D60)に再導入するように構成された、空気予熱器バイパスダクト(D70)と、二次空気バイパス(V40)の体積流量を制御し、一次空気流(V20)を調整するための流量制御装置(DV10)であって、一次空気流(V20)は、単独で又は他の調整手段と共に、2セクタ空気予熱器(100)を出る煙道ガス体積流量(V1)に対する第1の所定の最低温度(T9)以上に煙道ガス出口温度(T2)を維持して、粉砕ミル内での石炭乾燥を促進するのに必要な最低温度(T10MIN)の安全範囲内の一次空気出口温度(T10)を、粉砕ミル(T10MAX)内の石炭の自己発火をもたらす最高温度に維持するように構成される、流量制御装置(DV10)と、を備える、2セクタ空気予熱器を含む。
【0022】
一実施形態では、温度制御システムは、3セクタ空気予熱器(1)であって、ボイラからの煙道ガスを3セクタ空気予熱器(1)に供給するように構成された煙道ガス入口ダクト(D1)と、3セクタ空気予熱器(1)から煙道ガスを排出するように構成された煙道ガス出口ダクト(D2)と、3セクタ空気予熱器(1)に一次空気(V2)を供給するように構成された一次空気入口ダクト(D3)と、第1の量の一次空気(V2)を少なくとも1つの粉砕ミルを介してボイラに供給するように構成された一次空気出口ダクト(D4)と、二次空気(V3)を3セクタ空気予熱器(1)に供給するように構成された二次空気入口ダクト(D5)と、第2の量の二次空気(V3)をボイラに直接供給するように構成された二次空気出口ダクト(D6)と、ガス入口ダクト(D1)に近接する高温端と、空気入口ダクト(D5)に近接する低温端とを有する熱交換ロータ(2)と、空気入口ダクト(D5)及び空気出口ダクト(D6)と連通する少なくとも第1の二次空気バイパスダクト(D7)であって、二次空気バイパスダクトD7は、二次空気(V3)の一部を二次空気バイパス(V4)として、3セクタ空気予熱器(1)の上流の空気入口ダクト(D5)から抽気して、下流の空気出口ダクト(D6)に再導入するように構成された、第1の二次空気バイパスダクト(D7)と、二次空気バイパス(V4)の体積流量を制御し、一次空気流(V2)を調整するための流量制御装置(DV1)であって、一次空気流(V2)は、3セクタ空気予熱器(1)を出る煙道ガス体積流量(V1)に対する第2の最低温度(T9)以上に煙道ガス出口温度(T2)を維持して、粉砕ミル内での石炭乾燥を促進するのに必要な最低温度(T10MIN)の安全範囲内の一次空気出口温度(T10)を、粉砕ミル(T10MAX)内の石炭の自己発火をもたらす最高温度に維持するように構成される、流量制御装置(DV1)と、を備える、3セクタ空気予熱器を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、空気予熱器が3セクタ空気予熱器(1)である場合、制御システムは、一次空気入口ダクト(D3)及び一次空気出口ダクト(D4)と連通する一次空気バイパスダクト(D8)であって、一次空気バイパスダクト(D8)は、一次空気バイパス(V5)として一次空気(V2)の一部を、3セクタ空気予熱器(1)の上流の一次空気入口ダクト(D3)から抽気して、下流の一次空気出口ダクト(D4)に再導入するように構成された一次空気バイパスダクト(D8)と、一次空気バイパス(V5)の体積流量を制御するための第2の流量制御装置(DV2)と、を更に含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、空気予熱器が2セクタ空気予熱器(100)である場合、低負荷条件における二次空気バイパス(V40)は、2セクタ空気予熱器(100)に供給される二次空気(V30)の5~15%である。
【0025】
いくつかの実施形態では、空気予熱器が3セクタ空気予熱器(1)である場合、低負荷条件における二次空気バイパス(V4)は、3セクタ空気予熱器(1)に供給される二次空気(V3)の5~15%である。
【0026】
いくつかの実施形態では、空気予熱器が3セクタ空気予熱器(1)である場合、低負荷条件における一次空気バイパス(V5)は、3セクタ空気予熱器(1)に供給される一次空気(V2)の15~20%である。
【0027】
いくつかの実施形態では、空気予熱器が3セクタ空気予熱器(1)である場合、低負荷条件において、二次空気バイパス(V4)は10%であり、一次空気バイパス(V5)は20%である。
【0028】
いくつかの実施形態では、空気予熱器が2セクタ空気予熱器(100)である場合、第1の所定の最低温度(T9)は、2セクタ空気予熱器(100)の下流に配置された汚染制御機器の効率的な動作を促進して、煙道ガス出口ダクト(D2)から出る煙道ガス流(V1)を受け取るように構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、空気予熱器が3セクタ空気予熱器(1)である場合、第2の所定の最低温度(T9)は、3セクタ空気予熱器(1)の下流に配置された汚染制御機器の効率的な動作を促進して、煙道ガス出口ダクト(D2)から出る煙道ガス流(V1)を受け取るように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、汚染制御機器は、噴霧乾式吸収器(SDA)、循環乾式スクラバ(CDS)、又は湿式煙道ガス脱硫システム(「FGD」)である。いくつかの実施形態では、更に汚染制御機器は、3セクタ空気予熱器(1)又は2セクタ空気予熱器(100)のすぐ下流で煙道ガス流(V1)の少なくとも第1の部分を受け取るように配置され、それによって廃水蒸発の増加をもたらす。
【0031】
いくつかの実施形態では、煙道ガス体積流量(V1)が低負荷条件において所定の最低温度(T9)以上である場合、煙道ガス流(V1)の少なくとも第1の部分は、汚染制御システムに供給される廃水を蒸発させる。
【0032】
いくつかの実施形態では、二次空気バイパス(V4)の少なくとも1つは圧力降下支援され、一次空気バイパス(V5)は圧力降下支援される。当業者が認識するように、本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、圧力降下支援は、ある体積の空気を移動させるために、例えば、ダクト、通路などの開口部によって提供される。
【0033】
いくつかの実施形態では、粉砕ミル(400)は、燃料を受け取るための粉砕機入口と、粉砕された燃料をそこから排出するための粉砕機出口と、粉砕機出口と連通し、燃料を燃焼させるように構成されたボイラ(500)とを含む。いくつかの実施形態では、2セクタ空気予熱器(100)及び3セクタ空気予熱器(1)の各々は、スピンドル上で回転するように取り付けられたロータ(20)と、ロータに配置された複数の熱伝達要素と、を含み、熱伝達要素は、それによって流れるガスに熱を伝達するように構成されており、2セクタ空気予熱器(100)及び3セクタ空気予熱器(1)の各々は高温端(20H)及び低温端(20C)を画定する。
【0034】
本発明は、前述の実施形態のいずれかに記載の温度制御システムを利用して空気予熱器を出るガスの温度を制御する方法に関する。
【0035】
本発明は、前述の実施形態のいずれかに記載の温度制御システムで空気予熱器設備を改造する方法であって、空気予熱器は3セクタAPH(1)である。いくつかの実施形態では、本方法は、既存のダンパ弁(DV2)で絞られた既存の一次空気バイパスダクト(D8)を利用することと、ダンパ弁(DV1)で閉鎖可能な適切なサイズの二次空気バイパスダクト(D7)を設置することと、を含み、低負荷動作中、ダンパ弁(DV1)が開き、ダンパ弁(DV2)が完全に開くと、一次空気出口温度(T4)は、一次空気出口温度(T10)を少なくとも最低一次空気出口温度(T10MIN)まで上昇させるのに十分な所定の量だけ上昇される。
【0036】
改造方法のいくつかの実施形態では、3セクタ空気予熱器(1)に流入する一次空気の10~20%はバイパスされ、二次空気バイパスダクト(D7)は、3セクタ空気予熱器(1)に流入する二次空気の0~10%程度をバイパスすることができる。
【0037】
前述の実施形態及び他のものは、本明細書でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
以下の図面は、本発明の特定の態様及び実施形態を示すが、本発明を図面に示され記載されているものに限定するものではない。
図1】従来技術による3セクタ空気予熱器の概略図を示す。
図2】本発明の一実施形態による温度制御システムと共に3セクタ空気予熱器の概略図を示す。
図3】「逆」回転G-S-P構成である図2の3セクタ空気予熱器の概略図を示し、その実施形態の1つの特定の設計の動作中に達成可能な代表的な温度を有する。
図4】本発明の更なる実施形態による2セクタ空気予熱器の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図2は、図1と同様のAPH1を示し、同様の特徴は同一又は同様の英数字表記で示されている。図2において、APH1は、ボイラに供給される燃焼空気(V2+V3)を予熱するために煙道ガスV1を使用する石炭火力ボイラ(図示せず)と共に使用するための3セクタAPHである。燃焼空気の一部は一次空気V2であり、これは最初に少なくとも1つの石炭ミル又は粉砕機(図示せず)を通過して石炭粒子をボイラの炉に運ぶ。燃焼空気の残りは、APH1から二次空気V3として炉に直接供給される。更に、APH1を出る煙道ガスV1は、汚染制御機器(図示せず)に直接供給される。汚染制御機器は、一実施形態では、水蒸発システムである。水蒸発システムは、水排出を低減又は排除するために廃水を蒸発させる噴霧乾式吸収器(「SDA」)、循環乾式スクラバ(「CDS」)、又は湿式煙道ガス脱硫システム(「FGD」)を含む。以下、説明を容易にするために、蒸発システムをSDAと呼ぶ。他の汚染制御機器を利用してもよい。
【0040】
理解を容易にするために、様々なガス流は、V1~V5と様々に示されており、これらのガス流は、体積流量及び質量流量と同義である。ガス流の様々な体積について考えることは容易であるが、その質量組成は、実際の優勢な流れ並びにその熱及び/又は燃焼支持特性を計算するときに重要である。
【0041】
図2の3セクタAPH1は、その上/高温端に設けられ、そのロータ2の周りに「円周方向」に配置され、煙道ガス入口ダクトD1、一次空気出口ダクトD4、及び二次空気出口ダクトD6は各々、同様にロータ2の周りにその下/低温端に配置された煙道ガス出口ダクトD2、一次空気入口ダクトD3、及び二次空気入口ダクトD5とそれぞれ軸方向に整列している。図示及び機能的説明を容易にするために、一次及び二次空気ダクトは、半径方向に配置されているものとして示されている。
【0042】
ロータ2は、入口ダクトD1を出る煙道ガスV1から熱を抽出し、それを放出して、それぞれ一次空気出口ダクトD4及び二次空気出口ダクトD6に入る燃焼空気を予熱するように回転するように設計された要素プロファイルのバスケットを収容する。これは、ロータ2の「煙道ガス」部分を、そこを通過する熱い煙道ガスによって加熱することによって達成され、その結果、一次空気としてロータ2の「一次空気」部分を、及び二次空気として「二次空気」部分を様々に通過するボイラ炉のための燃焼空気が予熱される。図示されていないのは、様々な電気的及び/又は機械的制御システム、ファン/送風機、外部ダクト、圧力変換器及び温度計、APHを動作させるために典型的に利用される減衰装置、並びにボイラ炉及びその風箱である。このような補助機器は、当該技術分野において周知である。漏れに関する固有の問題を含む、そのような補助機器の機能性及び動作上の制限はよく知られており、したがって、3セクタAPHの前述の既知の態様の通常の設計、エンジニアリング、設置、及び動作は、当業者に知られている詳細には説明されていない。
【0043】
体積流量V1を有する煙道ガス(煙道ガスV1)は、ロータ2の高温端に隣接する煙道ガス入口温度T1で入口ダクトD1を出て、ロータ2の低温端に隣接するより低い煙道ガス出口温度T2で出口ダクトD2に入る。反対に、体積流量V2の一次空気(一次空気V2)は、ロータ2の低温端に隣接して一次空気入口温度T3Pで入口ダクトD3を出て、一次空気出口温度T4で出口ダクトD4を出る。同様に、体積流量V3(二次空気V3)を有する二次空気は、二次空気入口温度T3Sでその入口ダクトD5を出て、そのセクタの低温端に隣接する二次空気出口温度T5でその出口ダクトD6を出る。ロータ2自体の温度は、その高温端で達成される高温端金属温度T6と、その低温端で達成される低温端金属温度T7との間で変化する。
【0044】
任意の所与の負荷条件下での典型的な動作中の任意の所与の時間において、高効率のSDA動作、すなわち100%の廃水蒸発又はそれに近いSDA動作を容易にするために、煙道ガス出口ダクトD2を出る煙道ガスV1は、前述の理由のためにT2≧T9の温度を維持しなければならない。これを容易にするために、3セクタ空気予熱器1は、本発明の一実施形態による温度制御システム200と共に設置される。温度制御システム200は、二次空気入口ダクトD5と二次空気出口ダクトD6との間に延在し、それらと流体連通する二次空気バイパスダクトD7を含む。二次空気バイパスダクトD7は、低負荷条件において二次空気V3の体積流量の所望の%までバイパスするように構成される。
【0045】
一実施形態において、温度制御システム200は、第1の流量制御装置DV1を含む。第1の流量制御装置DV1は、電気的又は空気圧的に作動される第1のダンパ弁、既知の設計のルーバ制御ダンパ、電気コントローラ、又は前述の補助機器と適切に連動する空気圧コントローラであってもよい。一実施形態では、低負荷条件において、二次空気バイパスダクトD7は、二次空気V3の体積流量又は場合によっては質量流量の5%~20%、好ましくは10%~15%の所望の割合の二次空気バイパスを容易にするように構成される。
【0046】
本発明によるAPH燃焼空気バイパスは、APHの全体的な効率を低下させ、二次空気バイパスは、二次空気が低負荷条件でバイパスされるときに煙道出口温度T2を上昇させる。しかしながら、幾分予想外かつ直感に反して、二次空気出口温度T5の低下は、一次空気出口温度T4の上昇を伴い、これは、APH効率の低下にもかかわらず、そこを流れる一次空気への相対的な熱伝達の増加があることを示す。
【0047】
いくつかの実施形態では、一次空気出口温度T4が、一次空気出口温度T10が(適切な石炭乾燥を促進するために必要とされる)最小値T10MINと(ミル内の石炭の自己発火につながる可能性がある)最大値T10MAXとの間であることを確実にする範囲内に維持されることを確実にするために、3セクタAPH1を出る一次空気は、例えば、既知の一次空気バイパス技術を使用して、又はそうでなければオーバーフィード技術を使用して調整される。空気の温度調節には、例えば、ファン、バス、冷却システム、加熱システム、異なる温度の空気の追加を含む温度調整手段による空気の温度の調整又は変更、すなわち冷却又は加熱が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
図2に示して説明した実施形態は、既存の一次空気バイパス技術を3セクタAPH1に既に取り付けた改造プロジェクトの一部であることが企図される。別の実施形態では、図2に示され説明される実施形態は、3セクタAPH1を包含する新しいプロジェクトの一部であることが企図されるので、本発明はこの点に関して限定されない。
【0049】
図2に示す実施形態では、本発明の温度制御システム200は、一次空気入口ダクトD3と一次空気出口ダクトD4との間に延在してこれらと流体連通する一次空気バイパスダクトD8と、第2の流量制御装置DV2とを更に含む。第2の流量制御装置DV2は、電気的に作動されるダンパ弁又は空気圧で作動されるダンパ弁である。一次空気バイパスダクトD8は、設計負荷条件(例えば、V3が華氏111度で791450lb/hrの質量流量から計算される場合)で一次空気流V3の10%を、33%の低負荷条件(例えば、V3が華氏121度で450510lb/hrの質量流量から計算される場合)で20%をバイパスするように適合される。改造前の条件では、低負荷条件での一次空気出口温度T10はT10MIN未満であり、燃焼前の非効率的な石炭乾燥をもたらし、すなわち、ある程度の必要な乾燥が炉内で起こり、炉の効率を低下させる。
【0050】
入口及び出口ダクトD1及びD2、D3及びD4、D5及びD6は、各々、そのハウジングに取り付けられた3セクタAPH1のそれぞれのカウリングとして示されている。しかしながら、機能的に説明されるこれらのダクトは、APH1のそのようなカウリングだけでなく、そこから延びる関連するダクトも包含することが意図されていることが理解されよう。したがって、バイパスダクトD7及びD8の入口端は、関連する3セクタAPH1のカウリング又はそこから上流に延びるダクトのいずれかを介してそれぞれの入口ダクトD5及びD3と連通し、バイパスダクトD7及びD8の出口端は、関連する3セクタAPH1のカウリング又はそこから下流に延びるダクトのいずれかを介してそれぞれの出口ダクトD6及びD4と連通する。
【0051】
熱伝達要素が充填されているので、煙道ガスと燃焼空気の両方が軸方向に通過するロータ2を横切る不可避の圧力降下が存在することが理解されるであろう。これが、部分的に、例えば、必要な体積流量を維持するために補助機器が補助ファンを含む理由である。二次空気バイパスダクトD7及び一次空気バイパスダクトD8は、開いているときに、ほぼ中断されないガスの貫流を可能にし、その結果、中断された流れを引き起こすように意図された熱伝達要素が充填されたロータ2にわたって引き起こされる圧力降下よりもはるかに低い圧力降下をもたらし、また、使用によってしばしば汚れることが理解されるであろう。その結果、これらのバイパスダクトは、開いているとき、燃焼空気が流れるための好ましい経路を提供し、圧力降下支援バイパス流と呼ばれ得るものをもたらす。
【0052】
二次空気バイパスダクトD7の空気出口端部は、APH1に近接していることが好都合であるが、APH1とボイラの風箱(図示せず)との中間の任意の適切な場所に設置できることが理解されよう。二次空気バイパスダクトD7の材料及びサイズは一般に設計上の選択の問題であるが、一例として、以下の表2で予測されるように、使用時にV4の体積流量を処理するように適合された直径約48インチ、長さ約40フィートの耐摩耗性ダクトが挙げられる。本発明は、この点に関して限定されず、他の材料及びサイズが企図される。
【0053】
上記は、APH1内で「煙道ガス」経路から「燃焼空気」経路への漏れが生じない理想的な状況であるが、実際にはそうではなく、そのためAPHシール設計が重要なままである。1つの設備では、例えば、ロータ2の「煙道ガス」セクタにわたる圧力降下は、(ロータ2内に充填された要素の構成に応じて)低負荷での0.8インチwgから設計負荷での3.6インチwgの間で変動し得る。「一次空気」セクタにわたる圧力降下は、同様に、0.7から2.15インチwgの間で変化してもよく、「二次空気」セクタにわたる圧力降下は、0.5から2.8インチwgの間で変化してもよい。全ての場合において、「煙道ガス」セクタにおけるより大きな圧力降下は、ロータ2を通って流れる燃焼空気への漏れをもたらす。したがって、V1IN<V1OUT及びV3OUT>V3INは、例えば、低負荷における8.56%と設計負荷における4.81%との間で変動する当該漏れをもたらす。
【0054】
二次空気バイパスの量は、ダクトD7及びD8のサイズ及び長さによってだけでなく、ダンパ弁DV1及びDV2の適切な作動によっても制御することができる。これらの弁の正確な形態は重要ではないが、固有の圧力降下補助と共に作用する必要なバイパス流量制御機能を提供するために、適切な場合には、これらの弁をファン補助手段に置き換えることができることを理解されたい。
【0055】
ボイラの高負荷動作中(典型的には全負荷の50%以上)、3セクタAPH1は、ダンパDV1及びDV2が閉位置にある状態で、すなわち、弁漏れに関連するバイパスを超える二次空気バイパスがない状態で動作するが、一次空気出口温度T10を安全範囲T10MIN~T10MAX内に維持するのに必要な10%の一次空気バイパスを可能にする。この高負荷状態では、二次空気出口ダクトD7を出る二次空気V3(「燃焼空気」としても知られる)の大部分は、3セクタAPH1内の固有の漏れは別として、二次空気入口ダクトD5に入る二次空気V3と同じであり、ロータ2の二次空気セクションに入る二次空気(二次空気S1)の体積流量S1は、ダクトD6を出る二次空気と同じであり、すなわちS1=V3である。同様に、一次空気出口ダクトD4を出る一次空気V2は、実質的に、一次空気バイパスダクトD8を通って流れる約10%で一次空気入口ダクトD3に入るものである。3セクタAPH1は、高負荷動作中、二次空気バイパスなしでそのように動作し、ガス出口温度T2≧T9及びSDAにおける所望の高効率廃水蒸発を提供するように構成されるが、一次空気出口温度T10が所望の安全範囲内に留まることを確実にするために十分な一次空気バイパスを有する。
【0056】
ダンパDV1が閉じられ、ダンパDV2が閉じられている、すなわち二次空気バイパスが全くない低負荷動作(典型的には全負荷の50%未満、例えば設計負荷の33%)では、APH1は、煙道ガスV1の出力温度T2<T9で動作し、すなわちSDAの高効率動作には不十分である。しかしながら、ダンパDV1を開くことによって、入口ダクトD5に入る空気V3の一部V4は、二次空気バイパスダクトD7を通って流れ、したがってロータ2をバイパスし、より重要なことには、ロータ2を通過する二次空気S1の体積流量を減少させる。ロータ2を通る二次空気S1の流量が減少すると、設置された要素プロファイルによる熱伝達が低下し、煙道ガス出口温度T2が上昇する。二次空気バイパスダクトD7の適切な構成及び/又はダンパ弁DV1の動作によって、二次空気バイパスダクトD7を少なくとも主に又は実際に完全に開いた状態でのAPH1の低負荷動作は、T2≧T9及びSDAにおける所望の効率的な廃水蒸発をもたらすことができることが理解されよう。いずれにしても、二次燃焼空気V3=S1+V4である。
【0057】
二次空気バイパスV4のみによる低負荷動作中、すなわち、ダンパDV1が開き、ダンパDV2が閉じて、煙道ガスV1から抽出される廃熱が少なくなると、ロータ2の低温端金属温度T7は「上昇」し(ダンパDV1が閉じた同様の動作と比較して)、ロータ2の一次空気セクションの高温端における一次空気出口温度T10も「上昇」する。この結果、ダクトD4を出る一次空気V2は、二次空気バイパスダクトD7が閉じられているときよりも高い出口温度T4を有することになる。これが問題である程度は、問題の3セクタAPHが「順」回転APHであるか「逆」回転APHであるか、及びロータ2内に収容された熱伝達要素の正確な構成に部分的に依存し得る。そのようなものの正確な機構及び熱力学は、当業者によって容易に理解されると想定されるので、ここでは更に議論されない。
【0058】
前述したように、T4が高すぎる場合、石炭ミルの一次空気出口温度T10が、そのための火災安全限界T10MAXに近づくか、又はそれを超えることにつながる可能性がある。そのような状況では、既存の最大約20%の一次空気バイパスを可能にするようにDV2を完全に開くことによって、T10/T4を火災安全限界未満に下げる必要がある。しかしながら、二次空気バイパスは、一次空気出口温度T4を偶発的に上昇させ、そのようなバイパスの量は、低負荷条件において、一次空気出口温度T10がT10MINを上回るように、すなわち、低負荷改造前において以前に利用可能でなかった効率的な石炭乾燥を提供するように調整されることができる。二次空気バイパスを適切に制限することによって、低負荷におけるT4の所望の増加を達成することができる。
【0059】
説明した特定の設計では、X=20%の二次空気バイパスは、20%の一次空気バイパスと共に、T4がY=10度増加することが分かる。したがって、煙道ガス出口温度T2の所望の上昇Yと、適切な二次空気バイパス割合Xによる一次空気出口温度T4の所望の上昇とを達成することが可能である。追加のファン圧力又は機器なしで達成可能な二次空気バイパスV4の量は、ダクトD7及び弁DV1のサイズ、長さなどの関数であり、任意の所与の新しい又は改造設置のためにそれに応じて設計することは当業者の能力の範囲内であることが理解されよう。
【0060】
これらの実施形態を利用することにより、3セクタAPH1が低負荷においても所望のガス出口温度を維持することが容易になることが理解されよう。表示温度の例は、「逆」回転G-S-P構成のAPHの設置のための1つの特定の設計に関する図3に見られるが、他の設置で見られるものを説明するものではない。括弧内の温度は、本発明の実施形態による改造の前のそのような設置において優勢な温度であり、二次空気バイパスが設置されているが動作していないとき、すなわち、例えば高負荷条件の間にダンパDV1が閉じられているときに達成される温度を示す。華氏での温度(括弧なし)は、二次空気バイパス及び一次空気バイパスの両方が設置され、ダンパDV1及びDV2が完全に開いた状態で動作可能なとき、すなわち、この場合、一次空気温度の望ましい上昇及びより効率的な水蒸発システム動作に必要な煙道ガス出口温度の必要な上昇があるときに、低負荷で達成可能な温度を示すように予測的にモデル化される。有利には、一次空気出口温度T10を所望の範囲≧T10MINに偶発的に上昇させる一次空気温度の10°Fの上昇もある。ダンパDV1及びDV2は、煙道ガス体積流量V1及びAPH1を通る煙道ガス出口温度に応じて部分的に開閉して、所望又は必要に応じて括弧内の値と括弧外の値との間の温度を達成することができることが理解されよう。上述のように、燃焼空気ファンの動作は、二次空気と比較して、一次空気のより高い圧縮熱をもたらし、したがって、それぞれ、華氏574度及び570度(摂氏約301度及び298度)の表示温度をもたらす。
【0061】
これらの実施形態のいずれかを使用することにより、前述の二次バーナ技術及び/又は圧送空気技術を利用する必要がなくなり、したがって、それらが必要とする補助機器の燃料、capex、及び/又は保守費用が節約される。実際、これらの実施形態のうちの1つが使用されなかった場合、少なくとも、低負荷条件で必要とされる煙道ガス出口温度T2を提供するために、より効率の低いAPHを使用すること、及び/又はT9以上のSDAに入る温度まで煙道ガスを再加熱することが必要であろう。そのような再加熱は、二次バーナ技術を用いて、及び/又は蒸気コイル技術を利用する場合により大きな蒸気コイルを使用して達成可能であろう。
【0062】
SDAなどの廃水蒸発システムからの水ゼロ排出に関連して説明された前述の実施形態は、特に既存のボイラ設備に関連して、達成可能であるよりも技術的により魅力的であり得ることが理解されるであろう。したがって、廃水を環境に排出する前に汚染物質を除去するための水処理プラントの必要性を回避することは期待できる目標であるが、そのシステムからいくらかの廃水が排出される可能性がある。水ゼロ排出が達成されない場合、水処理のコストは、処理される廃水の体積の関数であることが理解されるであろう。したがって、たとえ本発明が排出される水の減少を促進するとしても、本発明は、その使用によって促進される蒸発システムにおける過剰な水の蒸発にほぼ比例して、廃水処理コストが削減される。
【0063】
APH1の低負荷動作時の二次空気バイパスV4及び/又は一次空気バイパスV5は、必然的に、APHからの熱回収が少なくなり、石炭の使用効率が低くなり、その結果、石炭コストが高くなる。低負荷ボイラ効率の低下を軽減するために、APH1は、改良された空気予熱器設計のものとすることができ、例えば、本出願人の様々な現在の特許出願に記載されているような、その高度なプロファイル要素設計及びそのAdvX(登録商標)Technologies、すなわち、低負荷条件及び高負荷条件の両方でより高い熱交換効率で動作するものとすることができる。
【0064】
本発明は、二次空気バイパスV4を使用してAPH1を出る煙道ガス出口温度T2を調整して、すぐ下流の水蒸発装置、例えばSDAのより効率的な動作を保証することに関して説明されてきた。実際には、水蒸発装置に入る煙道ガス温度が重要であることは容易に理解されるであろう。実際に、本発明は、APHの下流の他の汚染制御機器に関連して使用され、その装置への煙道ガス入口温度を調整することができる。また、煙道ガス入口温度を調整するために本発明が利用されるAPHと汚染装置制御装置との間に装置が存在することもあり得る。したがって、実施形態の前述の説明は、本発明の用途を例示するものであって、限定するものではなく、調整温度T9は、汚染制御機器への煙道ガス入口温度を、そのより効率的な動作を容易にするために必要なレベルに維持するのに十分である。
【0065】
一例として、本発明の実施形態は、既存の蒸気コイルをAPHのすぐ上流の適所で動作可能なままにしながら、ボイラ設備を改造するときに設置することができる。二次空気バイパスV4の石炭コストは、実際には、例えば、APHに流入する燃焼空気を予熱するために既に設置された蒸気コイルを使用することに関連する蒸気コストよりも大きい可能性があり、これにより、APHから流出する煙道ガスV1の温度が上昇する。したがって、本発明の更なる実施形態(図示せず)では、燃焼空気ファンとAPHとの間に蒸気コイルが設けられ、これは、APHの上流にあり、燃焼空気V3の温度を上昇させることによって煙道ガス流V1の温度を上昇させる。このような実施形態では、効率的な蒸発システム動作に必要な臨界温度T9は、使用中の蒸気コイルで測定されるべきであり、したがって、二次空気バイパスV4は、その最大値又はその付近で動作する蒸気コイルによって促進される温度に加えて、APH1の下流の煙道ガスV1の温度T2の上昇を促進するように効果的に動作可能であることが理解されよう。
【0066】
1つの改造例がモデル化されており、全負荷(すなわち、二次空気バイパスは動作不能)における予測性能が表1に詳細に示されている。低負荷(すなわち、33%設計負荷)での予測性能は、表2に詳述されており、表2は、二次空気バイパスでの改造前の3セクタAPH1の欄と、出願人の最新世代の先進要素プロファイルTF4(商標)(PCT/US2016/069186に開示されている)及びDN8(商標)(PCT/US2016/056209に開示されている)とを含む。本発明の動作上の特徴は、表1及び表2から推定される情報を用いて一般的に説明されており、特許請求される本発明の説明及び/又は技術的限定の両方によって、より詳細な情報がそこから抽出され得ることが理解されるであろう。加えて、表1及び表2は、それらの実際の予測メリット又は重要性を限定することなく、単に例示的な例として、図面において参照番号で注釈を付けられるか、又はそれと併せて読まれる場合がある。
【0067】
本発明の別の実施形態では、図4に示す2セクタAPH100は、ミル入口温度T8への影響を最小限に抑えるように構成された燃焼空気バイパスを有する温度制御システム200を有する。2セクタAPH100には、2つのガス経路、すなわち、第2の燃焼空気予熱経路に隣接して逆流する高温煙道ガス経路(3セクタAPH1におけるような)のみが存在することが理解されよう。2セクタAPH100の下流で、予熱された燃焼空気流は、同じ温度で一次空気ダクト及び二次空気ダクトに分岐する。様々なガス流の性質、条件、使用、及び動作上の制約は、2セクタAPH100については、3セクタAPH1と同じである。したがって、図4において、図1図3に示された3セクタAPH1の特徴と同様の特徴は同様の番号で示され、同様の特徴はその10進数で示される。
【0068】
2セクタAPH100は、体積流量V1の煙道ガス経路と、燃焼空気入口体積流量V300を有する燃焼空気予熱経路とを有するロータ20を有する。2セクタAPH100は、煙道ガス入口ダクトD1と、煙道ガス出口ダクトD2と、燃焼空気入口ダクトD50と、燃焼空気出口ダクトD100とを有する。煙道ガスはロータ20を通って流れ、煙道ガスダクトD1とD2との間でロータ20に廃熱を放出し、燃焼空気は、ダクトD50とD100との間を流れるときにロータ20によって予熱される。2セクタAPH100の下流では、燃焼空気出口ダクトD100は、燃焼空気の第1のより小さい部分を一次空気V20として石炭ミル(図示せず)に供給するより小さい分岐又は一次空気ダクトD40と、燃焼空気の第2のより大きい部分を二次空気V30としてボイラ(図示せず)に直接供給するより大きい分岐又は二次空気ダクトD60との2つの分岐に効果的に分かれる。一次空気ダクトD40及び二次空気ダクトD60に流入する燃焼空気は、APH100の効率及びボイラ負荷の関数である同じ温度及び圧力であることが理解されよう。更に、一次空気出口温度T10を、粉砕ミル内の石炭の乾燥を促進するために必要な最低温度(T10MIN)の安全範囲内に、粉砕ミル内の石炭の自己発火をもたらす最高温度(T10MAX)まで維持することが望ましい。低負荷条件では、煙道ガス出口温度T2をT9以上に維持することが望ましい。その結果、本発明によれば、2セクタAPH100には、燃焼空気入口ダクトD50を、3セクタAPH1に関してこれまで説明したような大きさ程度の二次空気バイパス流V40を可能にするように動作可能なダンパ弁DV10を有する二次空気ダクトD60に流体接続する二次空気バイパスダクトD70(本明細書では「空気予熱器バイパスダクトD70」とも呼ばれる)が設けられる。
【0069】
先に説明したように、任意の燃焼空気バイパスは、2セクタAPH100の効率を低下させ、煙道ガス出口温度T2を偶発的に上昇させるが、燃焼空気予熱を低下させる。燃焼空気バイパスV40を二次空気出口ダクトD60に(単に燃焼空気出口ダクトD100にではなく)入れることにより、低温のバイパスされた燃焼空気と予熱された二次空気とを混合することに付随する温度低下効果から、一次空気流V20を効果的に隔離する。したがって、ダンパ弁DV10の適切な動作によって、一次空気出口温度T10を安全範囲T10MINからT10MAX内に維持するために、又は少なくともそのような分離がない場合よりもT10MINに非常に近く維持するために、一次空気V20温度を実質的に調整することが可能である。2セクタAPH100の単純な実施形態を説明したが、適切な一次空気出口温度T10の目標を達成するために、他の一次空気調整(すなわち、空気温度調節)手段を、前述の分離によってもたらされる調整に加えて、又はその代わりに使用することができることが理解されよう。
【0070】
本発明の更なる実施形態(図示せず)では、より小さい一次APH(一次空気をミルに供給する)及びより大きい二次APH(二次空気をボイラ炉に直接供給する)である2つのAPHが提供される。石油火力ボイラに適した更に別の実施形態では、予熱された燃焼空気を直接炉に供給する単一の大型APHがある。両方の実施形態において、前述のような燃焼又は二次空気バイパスが提供され、最初に設置されたAPHは、本出願人のDN8(商標)及び/又はTF4(商標)要素と同等又はそれよりも良好な熱伝達特性を有する改良された加熱要素プロファイルで改造される。予め設置されたAPHと比較して、全体的に又は部分的に改善されたプロファイルを使用する改造されたAPHは、二次又は燃焼空気バイパスが低負荷条件で動作しているときに、効率の低下及び煙道出口温度の所望の上昇を示す。有利には、同様に、予め設置されたAPHと比較して、ACETの効果的な増加があり、これは、予め設置されたAPHが低負荷条件で起こりやすい低温端腐食を悪化させないという予想外の利益をもたらす。前述したような高負荷条件又は設計負荷条件において、改良されたAPHは、予め設置されたAPHよりも熱伝達に関してより効率的に動作する。やや直観に反して、低負荷で燃焼又は二次空気バイパスを使用して予想されるAPH効率の低下にもかかわらず、改善されたAPH動作又は高負荷条件と低負荷条件との間の循環によって促進される全体的なエネルギー回収は、同様の状況で空気バイパスなしで動作する改善されたAPHによって促進され得るものよりも実際に大きい。
【0071】
この更なる実施形態は、表1及び表2からの二次空気流情報を参照して説明され、この情報は、一次空気流も有する3セクタAPHに関してモデル化されているが、二次空気のみの2セクタAPH、又は全ての燃焼空気を予熱する石油燃焼ボイラと共に使用される2セクタAPHに当てはまる(石炭ミルが存在しないため、一次空気は必要ない)。これらのテーブルには、低負荷ペナルティ、高負荷利得及び回復に関する補償計算に関する情報が埋め込まれている。
低負荷ペナルティ=空気の比熱低負荷での二次空気流(バイパスありの混合二次空気温度-二次空気温度をバイパスなしに残す)
低負荷時の二次空気流量=SALO
バイパスを有する混合二次空気温度(加熱要素を用いて改善されるか、又は改善されない)=T混合
改善された要素なしの二次空気温度=Tバイパスなし
空気の比熱=cpAIR
低負荷ペナルティ=cp空気 SA (T混合-Tバイパスなし
高負荷利得=空気の比熱高負荷での二次空気流(二次空気温度を改善された要素なしに残す-二次空気温度を改善された要素ありで残す)。
高負荷時の二次空気流量=SA
改善された要素なしの二次空気温度=T標準
改善された要素を有する二次空気温度=T改善
空気の比熱=CD空気
高負荷利得=CD空気 SA (T改善-T標準
回復係数=低負荷ペナルティ/高負荷利得
回復係数=CD空気 SA (T混合-Tバイパスなし)/CD空気 SA (T改善-T標準
回復係数=SA/SA (T混合-Tバイパスなし)/(T改善-T標準
【0072】
要約すると、補償計算の再検討は、熱伝達要素をより効率的なプロファイルにアップグレードすることによって、要素アップグレードなしに対してSAバイパスペナルティを回復するためにかかる時間を短縮することができることを実証する。10%のバイパスでは、バイパスが開いている時間に対して9.34MMBtu/hrのペナルティがかかる。バイパスが閉じられると、そのエネルギーは回収されず、永久に失われる。本出願人のTF4要素による低温端又はCE置換では、ペナルティが9.11MMBtu/hrに低減されるだけでなく、バイパスが閉じられると、1.77MMBtu/hrが回収される。したがって、損失を回復するために、5.14×低負荷10%バイパス条件に対して全負荷無バイパス条件で動作する必要がある。TF4のCE置換及び本出願人のDN8要素の高温端又はHE置換の両方で、ペナルティは8.41MMBtu/時まで更に低減される。高負荷時にSAバイパスを閉じると、4.73MMBtu/hrが回収される。したがって、損失を回復するために、1.78×低負荷10%バイパス条件に対して全負荷無バイパス条件で動作する必要がある。DN8/TF4アップグレードによる煙道ガス出口温度への名目上の影響は、ほとんど重要ではない。
【0073】
典型的な状況において、ボイラは、供給される電力網の通常の需要変動と同時に、低負荷及び設計又は高負荷で動作することができる。すなわち、需要は典型的には午後及び夕方にピークに達し、他の時間には低下する。本発明のこの実施形態では、改善された要素を有さないSAバイパスを有するAPHと比較して、そのような変動で、ボイラが高負荷で低負荷動作の持続時間を乗じた回復係数に等しい持続時間で運転される場合、低負荷ペナルティを回復することが達成可能である。例えば、以下の表3に示される2つのシナリオは、本発明のこの実施形態の利得及びペナルティを計算するために使用される高負荷及び低負荷でのAPH動作時間を示す。50/50の低負荷動作及び高負荷動作において示されるように、本発明は、異なるレベルの素子アップグレード(それぞれ、T4Fのみ又はDN8+TF4)において21%及び61%だけペナルティを改善する。25/75の低負荷動作及び高負荷動作において、本発明は、異なるレベルの素子アップグレード(それぞれ、T4Fのみ又はDN8+TF4)においてペナルティを59%及び162%改善する。
【0074】
【表1】
【0075】
高負荷又は設計負荷におけるAPH1の予測性能
【0076】
【表2】
【0077】
低負荷時のAPHの予測性能
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
項目として列挙される以下の節は、本明細書で説明される他の例に加えて更なる例を表す。
【0081】
項目1-ボイラの2セクタAPH100用の空気予熱器(APH)温度制御システムであって、ボイラの2セクタAPH100は、煙道ガス入口ダクトD1と、煙道ガス出口ダクトD2と、燃焼空気入口ダクトD50と、燃焼空気出口ダクトD100であって、使用時に少なくとも1つの粉砕ミルを介して第1のより少ない量の燃焼空気又は一次空気V20をボイラに供給し、第2のより大量の燃焼空気又は二次空気V30をボイラに直接供給するために、燃焼空気出口ダクトD100の下流の一次空気ダクトD40及び二次空気ダクトD60と流体連通する、燃焼空気出口ダクトD100と、ガス入口ダクトD1に近接する高温端及び燃焼空気入口ダクトD50に近接する低温端を有する熱交換ロータ20と、を備え、APH100は、燃焼空気入口ダクトD50及び二次空気ダクトD60と計量連通する少なくとも第1のAPH又は燃焼/二次空気バイパスダクトD70を更に備え、これは使用時に、燃焼空気V300の一部をAPH100の上流の空気入口ダクトD50から二次空気バイパスV40として抽気して、二次空気ダクトD60に下流に再導入するように適合され、二次空気バイパスV40の体積流量を制御すると共に一次空気流V20を調整するための流量制御装置DV10であって、一次空気流V20は、使用時に、単独で、又は他の調整手段と共に、一次空気出口温度T10を安全範囲T10MIN~T10MAX内に維持しながら、APH100から出る入射煙道ガス体積流量V1に対して煙道ガス出口温度T2を所望の最小T9以上に維持するように動作可能である、流量制御装置DV10と、を備える空気予熱器(APH)温度制御システム。
【0082】
項目2-ボイラの3セクタAPH1用の空気予熱器(APH)温度制御システムであって、ボイラの2セクタAPH1は、煙道ガス入口ダクトD1と、煙道ガス出口ダクトD2と、第1の量の一次空気V2を少なくとも1つの粉砕ミルを介してボイラに供給するように構成された一次空気入口ダクトD3及び一次空気出口ダクトD4と、第2の量の二次空気V3をボイラに直接供給するように構成された二次空気入口ダクトD5及び二次空気出口ダクトD6と、ガス入口ダクトD1に近接する高温端及び燃焼空気入口ダクトD5に近接する低温端を有する熱交換ロータ2と、を備え、APH1は、空気入口ダクトD5及び空気出口ダクトD6と計量連通する少なくとも第1のAPH又は二次空気バイパスダクトD7を更に備え、これは使用時に、二次空気V3の一部をAPH1の上流の空気入口ダクトD5から二次空気バイパスV4として抽気して、空気出口ダクトD6に下流に再導入するように適合され、二次空気バイパスV4の体積流量を計量又は制御するための流量制御装置DV1と、一次空気流V2を調整する装置とを備え、一次空気流V2は、使用時に、ミル出口温度T10を安全範囲T10MIN~T10MAX内に維持しながら、APH1から出る入射煙道ガス体積流量V1に対して煙道ガス出口温度T2を所望の最小T9以上に維持するように動作可能である、空気予熱器(APH)温度制御システム。
【0083】
項目3-一次空気入口ダクトD3及び一次空気出口ダクトD4と計量連通する第2のAPH又は一次空気バイパスダクトD8であって、使用時に一次空気バイパスV5として一次空気V2の一部をAPH1の上流の一次空気入口ダクトD3から抽気して、下流の一次空気出口ダクトD4に再導入するように適合された第2のAPH又は一次空気バイパスダクトD8と、一次空気バイパスV5の体積流量を計量又は制御するための第2の流量制御装置DV2とを更に備える、項目2に記載のAPH温度制御システム。
【0084】
項目4-流量制御装置DV1又はDV2は、電気的及び/又は空気圧的に制御されるダンパ弁である、項目2又は項目3に記載のAPH温度制御システム。
【0085】
項目5-低負荷条件における二次空気バイパスV4又はV40は、APH1に供給される二次空気V3の5~15%の範囲内である、項目1又は項目2に記載のAPH温度制御システム。
【0086】
項目6-低負荷条件における一次空気バイパスV5は、APH1に供給される一次空気V2の15~20%の範囲内である、項目3に記載のAPH温度制御システム。
【0087】
項目7-低負荷条件では、二次空気バイパスV4は10%程度であり、一次空気バイパスは20%程度である、項目5又は項目6に記載のAPH温度制御システム。
【0088】
項目8-T9は、煙道ガス出口ダクトD2を出る煙道ガス流V1を受け取るために、APHの下流に配置された汚染制御機器の効率的な動作を容易にする、上記項目のいずれか1つに記載のAPH温度制御システム。
【0089】
項目9-汚染制御機器は水蒸発システムである、項目8に記載のAPH温度制御システム。
【0090】
項目10-水蒸発システムは、APH1のすぐ下流の煙道ガス流V1の少なくとも第1の部分を受け取るように配置された噴霧乾式吸収器(SDA)又は循環乾式スクラバ(CDS)のいずれかであり、それによって、そこからの廃水蒸発が結果的に増加し、蒸発システムの非効率的な動作に関連する廃水処理コストが低減される、項目9に記載のAPH温度制御システム。
【0091】
項目11-低負荷条件において、温度T9以上の煙道ガス体積流量V1は、水蒸発システムに供給される全て又はほぼ全ての廃水を蒸発させるための少なくとも第1の部分を提供するのに十分である、項目9又は項目10に記載のAPH温度制御システム。
【0092】
項目12-低負荷条件において、温度T9以上の煙道ガス体積流量V1は、二次空気ファンとAPHとの中間の蒸気コイルによってもたらされる二次空気予熱によって促進される煙道ガス温度の上昇と併せて、蒸発システムに供給される全て又はほぼ全ての廃水を蒸発させるのに十分である、項目9~11のいずれか1つに記載のAPH温度制御システム。
【0093】
項目13-二次空気バイパスは、圧力降下支援型である、上記項目のいずれか1つに記載のAPH温度制御システム。
【0094】
項目14-一次空気バイパスは、圧力降下支援型である、項目2~13のいずれか1つに記載のAPH温度制御システム。
【0095】
項目15-上記項目のいずれか1つに記載のAPH温度制御システムを利用してAPHを出るガスの温度を制御する方法。
【0096】
項目16-既存のダンパ弁DV2で絞られた既存の一次空気バイパスダクトD8を利用し、ダンパ弁DV1で閉鎖可能な適切なサイズの二次空気バイパスダクトD7を設置する、項目3~14のいずれか1つに記載のAPH温度制御システムを備えたボイラAPH設備を改造する方法であって、低負荷動作時に、二次空気バイパス弁DV1を開き、一次空気バイパス弁DV2を全開にすると、一次空気出口温度T4は、ミル出口温度T10を所望のT10MIN付近又はそれ以上に上昇させるのに十分な所定の量だけ上昇する、方法。
【0097】
項目17-所定の量は約10°Fであり、二次空気バイパスダクトは、DV1が完全に開いているときにその温度上昇を達成するために、完全に開いている既存の一次空気バイパスダクトDV7と協働するときに適切なサイズにされる、項目16に記載の改造方法。
【0098】
項目18-動作中、一次空気バイパスダクトD8は、APH1に流入する一次空気の10~20%程度をバイパスすることができ、二次空気バイパスダクトD7は、APH1に流入する二次空気の0~10%程度をバイパスすることができる、項目18に記載の改造方法。
【0099】
項目19-設置されたAPH1の全体的な動作効率は、高負荷条件において二次空気バイパスが低負荷条件で動作可能なときのAPH1の効率低下を補償する、より効率的な熱伝達要素を備えるバスケットを改造することによって、ロータ2を変更することなく改善される、項目17~19のいずれか1つに記載の改造方法。
【0100】
項目20-既存のロータ20が、より効率的な熱伝達要素を備えるバスケットを用いて改造され、APH温度制御システムが設置される、予め設置された燃焼又は二次2セクタAPH100を改善する方法であって、APH100は、煙道ガス入口ダクトD1と、煙道ガス出口ダクトD2と、燃焼空気入口ダクトD50と、燃焼空気又は二次空気V30をボイラに直接供給するための燃焼空気出口ダクトD100と、ガス入口ダクトD1に近接する高温端及び燃焼空気入口ダクトD50に近接する低温端とを有する熱交換ロータ20と、を備え、APH 100は、燃焼空気出口ダクトD100と計量連通する第1のAPH又は燃焼/二次空気バイパスダクトD70であって、使用時に、燃焼空気V300の一部をAPH100の上流の空気入口ダクトD50から燃焼又は二次空気バイパスV40として抽気して、下流の燃焼又は二次空気ダクトD60に再導入するように適合された、第1のAPH又は燃焼/二次空気バイパスダクトD70と、二次空気バイパスV40の体積流量を計量又は制御し、一次空気流V20を調整する流量制御装置DV10であって、使用時に、APH100を出る入射煙道ガス体積流量V1に対して煙道ガス出口温度T2を所望の最小T9以上に維持する一方で、平均低温端温度又はACETを、予め設置されたAPHと比較して上昇させるように動作可能であり、また使用時に、高負荷条件と低負荷条件との間でサイクルするときに、同様の条件を介して予め設置されたAPHサイクルよりも実質的に多くの熱を煙道ガスから抽出するように動作可能である、流量制御装置DV10と、を更に備える、方法。
【0101】
項目22-より効率的な要素は、DN8(商標)及びTF4(商標)要素のうちの少なくとも1つ又はそれらの組み合わせを使用することによってもたらされるような、設計負荷条件における熱伝達効率の少なくとも重量での増加を有する組み合わせである、項目19又は項目20に記載の方法。
【0102】
項目23-蒸気発生システム用の温度制御システムであって、燃料を粉砕するための粉砕機(400)であって、燃料を受け取るための粉砕機入口と、粉砕された燃料をそこから排出するための粉砕機出口とを有する、粉砕機と、粉砕機出口と連通しているボイラ(500)であって、ボイラは燃料を燃焼させるように構成されている、ボイラと、スピンドル上で回転するように取り付けられたロータ(20)を有する空気予熱器(APH)であって、空気予熱器は、その中に配置された複数の熱伝達要素を有し、熱伝達要素は、それによって流れるガスに熱を伝達するように構成され、空気予熱器は、高温端(20H)及び低温端(20C)を画定する、空気予熱器と、高温端(20H)と流体連通する煙道ガス入口ダクト(D1)と、高温端(20H)と流体連通する煙道ガス出口ダクト(D2)であって、空気予熱器は、煙道ガスが煙道ガス入口ダクト(D1)を通って高温端(20H)に流入し、高温端(20H)から煙道ガス出口ダクト(D2)に排出されるように構成されている、煙道ガス入口ダクト及び煙道ガス出口ダクトと、低温端(20C)と流体連通する燃焼空気入口ダクト(D50)と、低温端(20C)と流体連通する燃焼空気出口ダクト(D100)であって、空気予熱器(APH)は、燃焼空気が燃焼空気入口ダクト(D50)を通って低温端(20C)に流入し、低温端(20C)を通って燃焼空気出口ダクト(D100)から排出されるように構成されており、燃焼空気出口ダクト(D100)は、粉砕機入口と流体連通する一次空気分岐部(D40)と、ボイラと直接流体連通する二次空気分岐部(D60)とを有する、燃焼空気入口ダクト及び燃焼空気出口ダクトと、燃焼空気入口ダクト(D50)及び燃焼空気出口ダクト(D100)と流体連通するバイパスシステムであって、燃焼空気入口ダクト(D50)から燃焼空気出口ダクト(D100)へのバイパスシステムを通る燃焼空気の流れを可変に制御するための流量調整器(DV10)をその中に有する、バイパスシステムと、高温端(20H)から出る煙道ガス出口温度(T2)を測定するように構成された第1のセンサシステムと、一次空気分岐部(D40)の下流の空気の温度(T10)を測定するように構成された第2のセンサシステムと、を備える制御システムであって、制御システムは、第1のセンサシステム及び第2のセンサシステムからの温度入力に基づいて流量調整器(DV10)を制御し、それによって煙道ガス出口温度(T2)を所定の最低温度(T9)より高く維持し、一次空気分岐部(D40)の下流の空気の温度(T10)を所定の最高温度より低く維持する制御ユニットを有する、制御システムと、を備える、温度制御システム。
【0103】
当業者には明らかであるように、前述の特定の開示の様々な修正、適応、及び変形が、本明細書で特許請求される本発明の範囲から逸脱することなく行われ得る。本明細書に記載される本発明の様々な特徴、要素、及び実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載又は特許請求される特定の例とは異なる方法で組み合わされてもよい。言い換えれば、任意の要素又は特徴は、2つの間に明らかな又は固有の不適合性がない限り、又はそれが具体的に除外されない限り、異なる実施形態において任意の他の要素又は特徴と組み合わされてもよい。
【0104】
「1つの実施形態」、「一実施形態」などの本明細書における言及は、説明される実施形態が特定の態様、特徴、構造、又は特性を含み得るが、全ての実施形態が態様、特徴、構造、又は特性を必ず含むとは限らない。更に、そのような語句は、必ずしもそうではないが、本明細書の他の部分で言及される同じ実施形態を指す場合がある。更に、特定の態様、特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されているか否かにかかわらず、そのような態様、特徴、構造、又は特性を他の実施形態に影響を及ぼすか、又は接続することは、当業者の知識の範囲内である。
【0105】
文脈が明らかに既定しない限り、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「プラント」への言及は、複数のそのようなプラントを含む。特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外するように作成され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙又は「否定的な」限定の使用に関連して、「単に(solely)」、「のみ(only)」などの排他的な用語の使用のための先行詞としての役割を果たすことが意図される。用語「好ましくは(preferably)」、「好ましい(preferred)」、「好む(prefer)」、「任意選択で(optionally)」、「してもよい(may)」、及び同様の用語は、言及されている項目、条件、又はステップが本発明の任意選択の(必須ではない)特徴であることを示すために使用される。
【0106】
「及び/又は」という用語は、この用語が関連付けられる項目のいずれか1つ、項目の任意の組み合わせ、又は項目の全てを意味する。「1つ以上」という句は、特にその用法の文脈で読まれる場合、当業者によって容易に理解される。
【0107】
本明細書における各数値又は測定値は、用語「約」によって修飾される。「約」という用語は、指定された値の±1%、±5%、±10%、±20%、又は±25%の変動を指すことができる。例えば、「約50」パーセントは、いくつかの実施形態では、45~55パーセントの変動を有し得る。整数範囲に関して、用語「約」は、範囲の各端で列挙された整数より大きい及び/又は小さい1つ又は2つの整数を含むことができる。本明細書において別段の指示がない限り、「約」という用語は、組成物又は実施形態の機能性に関して同等である、列挙された範囲に近接する値及び範囲を含むことが意図される。
【0108】
当業者によって理解されるように、試薬又は成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表すものを含む全ての数は、近似値であり、全ての場合において、用語「約」によって任意選択で修飾されるものとして理解される。これらの値は、本明細書の説明の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。そのような値は、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる変動性を本質的に含むことも理解される。
【0109】
当業者によって理解されるように、ありとあらゆる目的のために、特に書面による説明を提供することに関して、本明細書に列挙される全ての範囲はまた、ありとあらゆる可能な部分範囲及びそれらの部分範囲の組み合わせ、並びに範囲を構成する個々の値、特に整数値を包含する。列挙された範囲(例えば、重量パーセント又は炭素基)は、その範囲内の各特定の値、整数、小数、又は同一性を含む。任意の列挙された範囲は、同じ範囲が少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、又は10分の1に分解されることを十分に説明し、可能にするものとして容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下3分の1、中3分の1、上3分の1などに容易に分解することができる。
【0110】
また、当業者によって理解されるように、「まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「より大きい(greater than)」、「未満(less than)」、「より大きい(lmore than)」、「以上(or more)」などのような全ての言語は、記載された数を含み、そのような用語は、上で議論されたようなサブ範囲に後に分解され得る範囲を指す。同様に、本明細書に列挙される全ての比率は、より広い比率内に入る全ての下位比率も含む。したがって、ラジカル、置換基、及び範囲について記載された特定の値は、例示のためだけである。それらは、ラジカル及び置換基についての他の定義された値又は定義された範囲内の他の値を除外しない。
【0111】
当業者はまた、メンバーが、マーカッシュ群におけるように、一般的な様式で一緒にグループ化される場合、本発明は、全体として列挙されるグループ全体だけでなく、個々の群の各メンバー及び主要な群の全ての可能なサブグループを包含することを容易に認識する。更に、全ての目的のために、本発明は、メイングループだけでなく、グループメンバーのうちの1つ以上が存在しないメイングループも包含する。したがって、本発明は、列挙されたグループのメンバーのいずれか1つ以上の明示的な除外を想定する。したがって、但し書きは、開示されたカテゴリー又は実施形態のいずれかに適用されてもよく、それによって、列挙された要素、種、又は実施形態のいずれか1つ以上が、例えば、明示的な否定的限定において使用されるように、そのようなカテゴリー又は実施形態から除外されてもよい。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気予熱器のための温度制御システムであって、前記温度制御システムは、
(a)2セクタ空気予熱器(100)であって、
ボイラからの煙道ガスを前記2セクタ空気予熱器(100)に供給するように構成された煙道ガス入口ダクト(D1)と、
前記2セクタ空気予熱器(100)から煙道ガスを排出するように構成された煙道ガス出口ダクト(D2)と、
前記2セクタ空気予熱器(100)に空気を搬送するように構成された燃焼空気入口ダクト(D50)と、
前記2セクタ空気予熱器(100)から空気を排出するように構成された燃焼空気出口ダクト(D100)であって、前記燃焼空気出口ダクト(D100)は、一次空気ダクト(D40)及び二次空気ダクト(D60)と流体連通し、前記二次空気ダクト(D60)は前記一次空気ダクト(D40)の下流にあり、前記一次空気ダクト(D40)は、第1の量の一次空気(V20)を少なくとも1つの粉砕ミルを介して前記ボイラに供給し、前記二次空気ダクト(D60)は、第2の量の二次空気(V30)を前記ボイラに直接供給するように構成されている、燃焼空気出口ダクト(D100)と、
前記煙道ガス入口ダクト(D1)に近接する高温端と、前記燃焼空気入口ダクト(D50)に近接する低温端とを有する熱交換ロータ(20)であって、前記二次空気(V30)の量が前記一次空気(V20)の量よりも多い、熱交換ロータ(20)と、
前記燃焼空気入口ダクト(D50)及び前記二次空気ダクト(D60)と連通する空気予熱器バイパスダクト(D70)であって、前記空気予熱器バイパスダクトは、前記燃焼空気(V300)の一部を二次空気バイパス(V40)として、前記2セクタ空気予熱器(100)の上流の前記空気入口ダクト(D50)から抽気して下流の前記二次空気ダクト(D60)に再導入するように構成された、空気予熱器バイパスダクト(D70)と、
前記二次空気バイパス(V40)の体積流量を制御し、一次空気流(V20)を調整するための流量制御装置(DV10)であって、前記一次空気流(V20)は、単独で又は他の調整手段と共に、前記2セクタ空気予熱器(100)を出る煙道ガス体積流量(V1)に対する第1の所定の最低温度(T9)以上に煙道ガス出口温度(T2)を維持して、前記粉砕ミル内での石炭乾燥を促進するのに必要な最低温度(T10MIN)の安全範囲内の一次空気出口温度(T10)を、前記粉砕ミル(T10MAX)内の石炭の自己発火をもたらす最高温度に維持するように構成される、流量制御装置(DV10)、と、を備える、2セクタ空気予熱器(100)、又は、
(b)3セクタ空気予熱器(1)であって、
ボイラからの煙道ガスを前記3セクタ空気予熱器(1)に供給するように構成された煙道ガス入口ダクト(D1)と、
前記3セクタ空気予熱器(1)から煙道ガスを排出するように構成された煙道ガス出口ダクト(D2)と、
前記3セクタ空気予熱器(1)に一次空気(V2)を供給するように構成された一次空気入口ダクト(D3)と、
第1の量の一次空気(V2)を少なくとも1つの粉砕ミルを介して前記ボイラに供給するように構成された一次空気出口ダクト(D4)と、
二次空気(V3)を前記3セクタ空気予熱器(1)に供給するように構成された二次空気入口ダクト(D5)と、
第2の量の二次空気(V3)を前記ボイラに直接供給するように構成された二次空気出口ダクト(D6)と、
前記ガス入口ダクト(D1)に近接する高温端と、前記二次空気入口ダクト(D5)に近接する低温端とを有する熱交換ロータ(2)と、
前記二次空気入口ダクト(D5)及び前記二次空気出口ダクト(D6)と連通する二次空気バイパスダクト(D7)であって、前記二次空気バイパスダクトD7は、前記二次空気(V3)の一部を二次空気バイパス(V4)として、前記3セクタ空気予熱器(1)の上流の前記二次空気入口ダクト(D5)から抽気して、下流の前記二次空気出口ダクト(D6)に再導入するように構成された、第1の二次空気バイパスダクト(D7)と、
前記二次空気バイパス(V4)の体積流量を制御し、一次空気流(V2)を調整するための流量制御装置(DV1)であって、前記一次空気流(V2)は、前記3セクタ空気予熱器(1)を出る前記煙道ガス体積流量(V1)に対する第2の最低温度(T9)以上に前記煙道ガス出口温度(T2)を維持して、前記粉砕ミル内での石炭乾燥を促進するのに必要な最低温度(T10MIN)の安全範囲内の一次空気出口温度(T10)を、前記粉砕ミル(T10MAX)内の石炭の自己発火をもたらす最高温度に維持するように構成される、流量制御装置(DV1)と、を備える、3セクタ空気予熱器(1)、
を備える、温度制御システム。
【請求項2】
前記空気予熱器が前記3セクタ空気予熱器(1)である場合、前記制御システムは、
前記一次空気入口ダクト(D3)及び前記一次空気出口ダクト(D4)と連通する一次空気バイパスダクト(D8)であって、前記一次空気バイパスダクト(D8)は、一次空気バイパス(V5)として前記一次空気(V2)の一部を、前記3セクタ空気予熱器(1)の上流の前記一次空気入口ダクト(D3)から抽気して、下流の前記一次空気出口ダクト(D4)に再導入するように構成された一次空気バイパスダクト(D8)と、
前記一次空気バイパス(V5)の体積流量を制御するための第2の流量制御装置(DV2)と、を更に備える、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項3】
(a)前記空気予熱器が前記2セクタ空気予熱器(100)である場合、低負荷条件における前記二次空気バイパス(V40)は、前記2セクタ空気予熱器(100)に供給される前記二次空気(V30)の5~15%であり、
(b)前記空気予熱器が前記3セクタ空気予熱器(1)である場合、低負荷条件における前記二次空気バイパス(V4)は、前記3セクタ空気予熱器(1)に供給される前記二次空気(V3)の5~15%である、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項4】
前記空気予熱器が前記3セクタ空気予熱器(1)である場合、低負荷条件における前記一次空気バイパス(V5)は、前記3セクタ空気予熱器(1)に供給される前記一次空気(V2)の15~20%である、請求項3に記載の温度制御システム。
【請求項5】
前記空気予熱器が前記3セクタ空気予熱器(1)である場合、低負荷条件において、前記二次空気バイパス(V4)は10%であり、前記一次空気バイパス(V5)は20%である、請求項2に記載の温度制御システム。
【請求項6】
(a)前記空気予熱器が前記2セクタ空気予熱器(100)である場合、前記第1の所定の最低温度(T9)は、前記2セクタ空気予熱器(100)の下流に配置された汚染制御機器の効率的な動作を促進して、前記煙道ガス出口ダクト(D2)から出る煙道ガス流(V1)を受け取るように構成され、
(b)前記空気予熱器が前記3セクタ空気予熱器(1)である場合、前記第2の所定の最低温度(T9)は、前記3セクタ空気予熱器(1)の下流に配置された汚染制御機器の効率的な動作を促進して、前記煙道ガス出口ダクト(D2)から出る煙道ガス流(V1)を受け取るように構成される、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項7】
前記汚染制御機器は、噴霧乾式吸収器(SDA)、循環乾式スクラバ(CDS)、又は湿式煙道ガス脱硫システム(FGD)であり、
更に前記汚染制御機器は、前記3セクタ空気予熱器(1)又は前記2セクタ空気予熱器(100)のすぐ下流で前記煙道ガス流(V1)の少なくとも第1の部分を受け取るように配置され、それによって廃水蒸発の増加をもたらす、請求項6に記載の温度制御システム。
【請求項8】
前記煙道ガス体積流量(V1)が低負荷条件において前記所定の最低温度(T9)以上である場合、前記煙道ガス流(V1)の前記少なくとも第1の部分は、前記汚染制御システムに供給される廃水を蒸発させる、請求項7に記載の温度制御システム。
【請求項9】
前記二次空気バイパス(V4)の少なくとも1つは圧力降下支援され、前記一次空気バイパス(V5)は圧力降下支援される、請求項2に記載の温度制御システム。
【請求項10】
前記粉砕ミル(400)は、燃料を受け取るための粉砕機入口と、粉砕された燃料を前記粉砕ミルから排出するための粉砕機出口とを備え、
前記ボイラ(500)は前記粉砕機出口と連通しており、前記ボイラは前記燃料を燃焼させるように構成されており、
前記2セクタ空気予熱器(100)及び前記3セクタ空気予熱器(1)の各々は、スピンドル上で回転するように取り付けられたロータ(20)と、前記ロータに配置された複数の熱伝達要素と、を備え、前記熱伝達要素は、それによって流れるガスに熱を伝達するように構成されており、前記2セクタ空気予熱器(100)及び前記3セクタ空気予熱器(1)の各々は高温端(20H)及び低温端(20C)を画定する、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項11】
請求項1に記載の温度制御システムを利用して空気予熱器を出るガスの温度を制御する方法。
【請求項12】
請求項1に記載の温度制御システムで空気予熱器設備を改造する方法であって、前記空気予熱器は前記3セクタ空気予熱器(1)であり、前記方法は、
既存のダンパ弁(DV2)で絞られた既存の一次空気バイパスダクト(D8)を利用することと、
ダンパ弁(DV1)で閉鎖可能な適切なサイズの二次空気バイパスダクト(D7)を設置することと、を含み、
低負荷動作中、前記ダンパ弁(DV1)が開き、前記ダンパ弁(DV2)が完全に開くと、前記一次空気出口温度(T4)は、一次空気出口温度(T10)を少なくとも最低一次空気出口温度(T10MIN)まで上昇させるのに十分な所定の量だけ上昇される、方法。
【請求項13】
前記3セクタ空気予熱器(1)に流入する前記一次空気の10~20%はバイパスされ、前記二次空気バイパスダクト(D7)は、前記3セクタ空気予熱器(1)に流入する前記二次空気の0~10%程度をバイパスすることができる、請求項12に記載の改造方法。
【請求項14】
前記燃焼空気出口ダクト(D100)が前記一次空気ダクト(D40)と前記二次空気ダクト(D60)に分岐し、前記一次空気ダクト(D40)は前記二次空気ダクト(D60)よりも小さい、請求項1に記載の温度制御システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
関連出願の相互参照本出願は、2021年2月12日に出願された米国仮特許出願第63/148,689号の非仮出願であり、その優先権を主張するものであり、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、化石燃料燃焼ボイラ用の空気予熱器を出るガスの温度を制御するための方法及び装置に関し、より詳細には、石炭火力発電プラントの設置された空気予熱器の改造によって下流の汚染制御機器の動作効率を改善することに関する。
【背景技術】
【0003】
蒸気発生システムは、電気の生成及び化学処理プラントにおいて使用される。蒸気発生のためのエネルギーは、ミルで粉砕された石炭、天然ガス又は燃料油などの化石燃料の燃焼によって提供されてもよい。石炭火力蒸気発生システムは、一般に、微粉炭が燃焼される炉を有するボイラ(水を蒸発させて蒸気にする)と、空気予熱器(「APH」)と、廃煙道ガス用の出口ガス(「煙道ガス」)とを備える。煙道ガスは、APHから、煙突を通って大気に出る前にガス状及び粒子状汚染物質を低減するように設計された複数の汚染制御機器を通過する。
【0004】
典型的には、回転再生式熱交換器のAPHは、プロファイル鋼熱交換要素を利用してボイラから出る煙道ガスから「廃熱」と呼ばれる熱を捕捉し、その熱をボイラに供給されている燃焼空気に放出することによってボイラ効率を改善し(多くの場合、微粉炭をボイラ炉に搬送するために1つ又は複数の石炭ミルを通して部分的に)、そのようなものの1つは、図1に概略的に示されている3セクタAPH1である。
【0005】
3セクタAPH1は、その上端(「高温端」)に設けられ、そのロータ2の周りに円周方向に配置され、煙道ガス入口ダクトD1、一次空気出口ダクトD4、及び二次空気出口ダクトD6は各々、同様にロータ2の周りにその下端又は低温端に配置された煙道ガス出口ダクトD2、一次空気入口ダクトD3、及び二次空気入口ダクトD5とそれぞれ軸方向に整列している。図示及び機能説明を容易にするために、一次及び二次空気ダクトは半径方向に配置されて示されているが、真の配置及び構成は当該技術分野において周知であり、出願人のLjungstrom(登録商標)Trisector Air Preheaterに関する市販の刊行物に示されている。ロータ2は、ダクトD1とD2との間を流れる煙道ガスから熱を抽出し、それを解放して、ダクトD3とD4との間を流れる一次空気V2(微粉炭をボイラ炉に搬送するために1つ以上の石炭ミルを介して供給される)とダクトD5とD6との間を流れる二次空気V3(ボイラ炉の外側に取り付けられた風箱を介してボイラ炉に直接供給される)との混合流としてボイラに供給される燃焼空気を予熱するように回転する際に、熱交換要素のバスケットを収容する。熱交換要素は、通常、2つのタイプのものであり、1つは、ロータ2の高温端のための上部(「高温端」)層であり、隣接する、典型的には上に配置された熱交換を最大にし、もう1つは、下部(「低温端」)層であり、ファウリング(ロータ2の低温端で受けるより低い温度で生じる)を最小にする。組み合わせにおいて、熱交換要素は、最大量の予熱を伝達するように設計され、一方で、例えば、ファウリング、酸化及び/又は酸腐蝕を抑制又は回避する温度で依然として動作する。典型的には、一次空気V2は、燃焼空気の約20%に達し、煙道ガスV1から捕捉された熱の約10%を含有し、二次空気V3は、捕捉された熱の90%を含有する燃焼空気の約80%である。
【0006】
図1に示されロータ2を見ると、任意の所与の時間において、煙道ガスダクトD1とD2との間に「煙道ガス」部分があり、一次空気ダクトD3とD4との間に「一次空気」部分があり、二次空気ダクトD5とD6との間に「二次空気」部分があることが理解されよう。体積流量V1を有する煙道ガスV1は、ロータ2の「煙道ガス」セクタの高温端に隣接する煙道ガス入口温度T1で入口ダクトD1を出て、そのセクタの低温端に隣接するより低い煙道ガス出口温度T2で出口ダクトD2に入る。反対に、体積流量V2を有する一次空気V2は、ロータ2の「一次空気」セクタの低温端に隣接する空気入口温度T3(典型的には、一般的な周囲空気温度付近)で入口ダクトD3を出て、そのセクタの低温端に隣接する一次空気出口温度T4で出口ダクトD4に入る。同様に、体積流量V3を有する二次空気V3は、ほぼ同じ空気入口温度T3でその入口ダクトD5を出て、そのセクタの低温端に隣接する二次空気出口温度T5でその出口ダクトD6に入る。ロータ2自体の温度は、煙道ガス入口ダクトD1にすぐ隣接するときのその高温端における高い高温端金属温度T6と、二次空気出口ダクトD6にすぐ隣接するときのその低温端における低い低温端金属温度T7との間で変化する。これらの温度は、局所センサ又は他の既知の方法を利用して測定又は推定することができる。
【0007】
典型的な3セクタAPH構成では、これらのダクトは、「G-P-S」構成、「順方向」回転APHで配置され、ロータ2の回転方向において、煙道ガスダクトであるGの後に一次空気ダクトであるPが続き、これに二次空気ダクトであるSが続き、すなわち、ロータ2の任意の所与の半径方向部分が煙道ガスダクトD1-D2、次いで一次空気ダクトD3-D4、最後に二次空気ダクトD5-D6の間で回転し、その結果、一次空気が二次空気の前に予熱され、このプロセスを毎分約1回転の速度で繰り返す。「G-S-P」構成(又は「逆」回転APH)では、二次空気が一次空気の前に予熱されることが容易に理解されよう。
【0008】
通常動作中、V1、V2及びV3の体積流量値は各々、ボイラが低負荷で動作しているときのそれぞれの最小値と、ボイラが全負荷条件下で動作しているときの最大値との間で変化する。これらの体積流量はまた、APHの様々な上流及び/又は下流のそれぞれのダクト内のファン(例えば、ファン600)の動作によって部分的に制御され、特に、一次空気ファン及び二次空気ファンが使用される。ファン動作は、例えば、APHなどのダクト及び/又は汚染制御機器に固有の圧力降下を補償するために、流量を増加及び/又は維持するように影響を受け、制御され得る。また、一次空気ファン及び二次空気ファンの動作は、一次空気V2及び二次空気V3に対して差動的に制御され、それにより、前者は、例えば、ミルから炉への微粉炭の輸送を容易にするためにより高い圧力に上昇される。典型的には、二次空気V3は10~30インチwgの圧力を有し、一次空気V2は40~60インチwgの圧力を有する。そのようなより高い圧力の1つの結果は、一次空気V2が二次空気V3と比較してより高い圧縮熱を有することであり、T4が典型的にはT5より高いとして部分的に観察可能である。
【0009】
一般的に言えば、後述する場合を除いて、空気入口温度T3Sは、支配的な周囲及び/又は局所空気温度T3で又はその近くで本質的に一定のままであるが、一次空気入口温度T3Pは、一次空気ファン又は一次空気ブースタファン(後者がAPHを通して一次空気を吹き込むために二次空気ファンと共に使用される場合)によって引き起こされる追加の圧縮のために二次空気入口温度T3Sよりもいくらか高い(例えば、華氏約20度だけ)。しかしながら、他の温度Tは、ボイラ負荷及び付随する体積流量に依存して、それぞれの最小値と最大値との間で変化する。平均低温端温度T7には実用的な最小値があり、すなわち、平均低温端温度T7は、例えば、酸腐蝕を軽減するためにボイラ燃料の特性に基づいて業界で確立された基準以上でなければならない。平均低温端温度(ACET)は、空気入口温度とガス出口温度の平均である。この平均は、回転中に実際の低金属温度T7が実際に酸露点より低い場合であっても達成されるが、ACETは大部分が露点より高い方がよいことが理解されるであろう。
【0010】
また、一次空気出口温度T4に関して実際的な最大値が存在するが、これは、一次空気が、所与の最大値(石炭粒子の自己発火が炉の外側で起こり、石炭ミルの火災及び火災抑制機器の動作につながる可能性がある温度)より低いミル入口温度T8(図示せず)を有しなければならないからである。とは言え、特に高含水亜炭又は褐炭に関連する微粉炭の水分含有量に関連するミル入口温度T8の実用最小値も存在する。石炭微粒子は、まだ湿っている場合には効率的に燃焼することができないので、ある程度乾燥させなければならないことが理解されるであろう。これは炉内で行うことができるが、炉の全体的な効率を低下させるので、湿った粒子は、炉に供給される前に一次空気によって、すなわち煙道ガスからの予熱又はファン動作(例えば、ファン600)を使用して実質的に乾燥されることが好ましい。これは、T3PがT3Sよりも高いことが望ましい条件である1つの理由である。
【0011】
通常、T8は測定されないが、代わりに一次空気出口温度T10(図示せず)が制御され、一次空気流はT10MIN(適切な石炭乾燥を容易にする)とT10MAX(ミル内の石炭の自己発火を確実にしない)との間の温度を有するように調整される。一次空気調整(すなわち、空気の温度を変化させること)の種々の手段が、米国特許第3,373,520号(Hottenstine)及び米国特許第4,442,783号(Pajonasら)に開示されている。空気の温度調節には、例えば、ファン、バス、冷却システム、加熱システム、異なる温度の空気の追加を含む温度調整手段による空気の温度の調整又は変更、すなわち冷却又は加熱が含まれるが、これらに限定されない。
【0012】
任意のAPHの主な目的は、煙道ガスから熱を除去して燃焼空気を予熱し、したがって大気に排出される廃熱の量を低減し、炉を加熱するのに必要な燃料の量を効果的に低減することによってボイラ効率を改善することであることが理解されるであろう。したがって、APH設計の一般的に受け入れられている目標は、二次燃焼空気予熱のために捕捉される熱を最大化し、その結果、低金属温度T7を必要最小限より高く維持しながら、煙道ガス出口温度、例えばT2を最小化することによって、それ自体の熱伝達効率を改善することである。
【0013】
実際には、任意の所与のボイラ負荷に対して、燃焼空気に必要とされる一定の体積流量(場合によっては質量流量も)、例えばV2+V3が存在し、したがって、中程度の負荷において、ピーク負荷状態中に固有の増大した煙道ガス流で達成可能である場合よりも高い煙道ガス出口温度T2をもたらすような量の予熱しか必要とされない。このような状況では、達成された煙道ガス出口温度T2は、例えばフライアッシュなどの煙道ガスから粒子状汚染物質を捕捉するためにAPHのすぐ下流に配置された静電集塵器(ESP)(図示せず)の効率的な動作にとって高すぎることが分かっている。このことを克服するために、米国特許第6,089,023号は、燃焼空気として必要とされる量を超える量の空気をAPHに過剰供給し、次いでAPHの上流の「望ましくない」過剰空気を、例えば二次空気出口ダクトD6から(他の用途のために、又は単に大気に放出される)取り出し、したがって許容可能なより低い煙道ガス出口温度、例えばT2を提供すること(いわゆる「過剰供給技術」)を提案した。望ましくない過剰空気は、望ましく低い煙道ガス出口温度、例えばT2を維持しながら大気に排出されるとき、実際には廃熱であり、したがってAPH及びボイラの運転効率を低下させることが理解されるであろう。
【0014】
最近、廃水を環境中に排出する前に汚染物質を除去するための水処理プラントの必要性を回避するために、排水ゼロでボイラを運転する必要性が生じている。噴霧乾式吸収器(SDA)などの蒸発システムを配置することが知られている。後述されるように、他のそのような蒸発システムは、例えば、循環乾式スクラバ(CDS)を含み、これらは全て、排水を低減又は排除するために、廃水を蒸発させるように動作する。これらのシステムには、APHを出る煙道ガスが、直接又は他の汚染制御機器の更に下流のいずれかで供給される。これは、そのような設計負荷における煙道ガス出口温度、例えばT2、及び体積流量V1が、例えばSDA内の完全な蒸発を促進するのに十分に高いため、高負荷では問題ではなく、すなわちT2は、100%近くの蒸発を促進するために特定の体積流量V1に必要な温度T9にある。T2≧T9を維持する必要があり、そうでなければ、SDAはゼロ排水に対して十分に効果的ではなく、残りの水は、SDAが交換しようとするまさに廃水処理装置によって処理される必要があることが理解されよう。SDA及びCDSは各々、多くの点で類似している既知の方法で水を蒸発させることが理解されるであろう。
【0015】
歴史的に、石炭火力発電所は、電力網ベース負荷条件の間であっても高負荷/出力で運転され、APHはそのような条件に対して最適化され、本質的にT2≧T9であり、したがってSDA動作に理想的であった。全負荷の50%を超える中程度の負荷条件の間、全負荷煙道ガス出口温度T2は、効率的なSDA動作にとって本質的に低すぎる場合があり、したがって、水ゼロ排出を達成するためにそれを上昇させる必要がある。二次空気がAPHに入る前に蒸気コイルを使用して二次空気を加熱することによってT2≧T9の所望の増加を達成することが知られており、その結果、APH空気入口温度が周囲温度の温度よりも十分に高くなり、それによってAPH1から出る煙道ガスの温度T2が増加する。しかし、このようなシステムは、通常の負荷条件ではT2≧T9自体を依然として達成することができず、特に典型的には50%負荷未満、例えば33%設計負荷(いわゆる「蒸気コイル技術」)の低負荷条件では達成しない。有効性にかかわらず、蒸気コイル技術は、そうでなければ発電のために使用され得るボイラからの熱を、ボイラ効率の付随する低下を伴って迂回させることが理解されるであろう。
【0016】
今日のエネルギー市場における再生可能エネルギーの出現に伴い、石炭火力蒸気発生器(ボイラ)は、低負荷(全負荷の50%未満、例えば典型的には33%設計又は全負荷)で長期間動作することがしばしば要求される。多くの石炭焚きボイラは、このモードで動作するように設計されておらず、設置されたAPH低負荷動作では、多くの場合、低い又は準最適な煙道ガス出口温度T2並びに低い一次空気出口温度T4及び二次空気出口温度T5をもたらす。そのような条件では、T2は、効率的なSDA動作に必要とされるT9の値よりも十分に低いので、すなわち、典型的には100%又はそれに近い廃水蒸発を達成するために、APHを出る煙道ガスの温度を上昇させる必要があり、前述したように、蒸気コイル技術の使用は、それ自体では十分ではなく、低負荷条件では完全に無効である。したがって、任意の所与の体積流量V1に対して煙道ガス温度≧T9を達成するために、天然ガスバーナ又は石油バーナなどの二次熱源を使用して、APHを出る温度を超えて煙道ガスを加熱する必要があった(いわゆる「二次バーナ技術」)。APHの下流で任意の二次バーナ技術を用いて煙道ガスを加熱することは、ボイラ効率に悪影響を及ぼし、運転するために資本、燃料及び維持費を必要とすることが理解されるであろう。
【0017】
本出願人は、そのような低負荷条件(典型的には全負荷の50%未満、例えば設計負荷の33%)において二次バーナ技術を使用することによる追加コストを回避しようとして、上述のオーバーフィード技術を使用して煙道ガス出口温度T2の上昇を達成できるかどうかを検討し、達成できないことを見出した。これらの技術の上記の書面による評価から、最新技術から明らかな唯一の解決策は、例えば、現在使用されている蒸気コイル技術を通常の蒸気コイルよりもはるかに大きいものでアップグレードすることであることが理解されよう。出願人は、以下に説明する本発明が、従来技術に関連する問題に対処し、明白な解決策から生じる問題を克服し、新規かつ非自明な解決策を提供すると考える。
【発明の概要】
【0018】
本発明の目的は、汚染制御機器の効率的な動作を容易にし、低ボイラ負荷条件で二次バーナ技術及び/又は蒸気コイル技術を使用する必要性を排除する温度で出る煙道ガスを提供するために使用されるAPH温度制御システムを提供することである。一実施形態では、汚染制御機器は、噴霧乾式吸収器(SDA)、循環乾式スクラバ(CDS)、又は湿式スクラバ(例えば、湿式FGD)等の水蒸発システムを含んでもよい。本発明は、より多くの試薬が汚染制御機器に注入されることを可能にし得、これは除去効率を改善する。汚染制御機器は、低負荷でのより高いガス入口温度から利益を得ることができ、これは、水バランスを改善し、水処理要件を低減する。
【0019】
本発明は、最低動作温度に関連する問題に対処することが更に企図される。更に、本発明は、酸露点及び腐食に関連する問題に対処する。本発明は、二酸化硫黄(SO2)の除去効率、試薬利用率、及び水バランスに関連する問題に対処することが企図される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明により、熱伝達に利用可能な質量が少なくなり、煙道ガス出口温度が上昇することが企図される。汚染制御機器への煙道ガス温度の上昇は、使用されるシステムに応じて、プロセス水の量の増加及び動作に必要な最小負荷の低減を含むがこれらに限定されない利点を有する。本発明のいくつかの実施形態では、本発明が、ミルへの一次空気温度を上昇させ、それが石炭乾燥及びミル出口温度を上昇させることが更に企図される。本発明のいくつかの実施形態では、APHガス出口温度を上昇させ、平均低温端温度を上昇させることが企図される。本発明のいくつかの実施形態において、二次バイパスは、煙道ガス出口温度の上昇をもたらし、APHガス出口温度を上昇させ、酸露点接近温度を上昇させることが企図される。
【0021】
本発明は、空気予熱器のための温度制御システムを含む。一実施形態では、温度制御システムは、2セクタ空気予熱器(100)であって、ボイラからの煙道ガスを2セクタ空気予熱器(100)に供給するように構成された煙道ガス入口ダクト(D1)と、2セクタ空気予熱器(100)から煙道ガスを排出するように構成された煙道ガス出口ダクト(D2)と、2セクタ空気予熱器(100)に空気を搬送するように構成された燃焼空気入口ダクト(D50)と、2セクタ空気予熱器(100)から空気を排出するように構成された燃焼空気出口ダクト(D100)であって、燃焼空気出口ダクト(D100)は、一次空気ダクト(D40)及び二次空気ダクト(D60)と流体連通し、二次空気ダクト(D60)は一次空気ダクト(D40)の下流にあり、一次空気ダクト(D40)は、第1の量の一次空気(V20)を少なくとも1つの粉砕ミルを介してボイラに供給し、二次空気ダクト(D60)は、第2の量の二次空気(V30)をボイラに直接供給するように構成されている、燃焼空気出口ダクト(D100)と、煙道ガス入口ダクト(D1)に近接する高温端と、燃焼空気入口ダクト(D50)に近接する低温端とを有する熱交換ロータ(20)であって、二次空気(V30)の量が一次空気(V20)の量よりも多い、熱交換ロータ(20)と、燃焼空気入口ダクト(D50)及び二次空気ダクト(D60)と連通する空気予熱器バイパスダクト(D70)であって、空気予熱器バイパスダクトは、燃焼空気(V300)の一部を二次空気バイパス(V40)として、2セクタ空気予熱器(100)の上流の空気入口ダクト(D50)から抽気して下流の二次空気ダクト(D60)に再導入するように構成された、空気予熱器バイパスダクト(D70)と、二次空気バイパス(V40)の体積流量を制御し、一次空気流(V20)を調整するための流量制御装置(DV10)であって、一次空気流(V20)は、単独で又は他の調整手段と共に、2セクタ空気予熱器(100)を出る煙道ガス体積流量(V1)に対する第1の所定の最低温度(T9)以上に煙道ガス出口温度(T2)を維持して、粉砕ミル内での石炭乾燥を促進するのに必要な最低温度(T10MIN)の安全範囲内の一次空気出口温度(T10)を、粉砕ミル(T10MAX)内の石炭の自己発火をもたらす最高温度に維持するように構成される、流量制御装置(DV10)、と、を備える、2セクタ空気予熱器を含む。
【0022】
一実施形態では、温度制御システムは、3セクタ空気予熱器(1)であって、ボイラからの煙道ガスを3セクタ空気予熱器(1)に供給するように構成された煙道ガス入口ダクト(D1)と、3セクタ空気予熱器(1)から煙道ガスを排出するように構成された煙道ガス出口ダクト(D2)と、3セクタ空気予熱器(1)に一次空気(V2)を供給するように構成された一次空気入口ダクト(D3)と、第1の量の一次空気(V2)を少なくとも1つの粉砕ミルを介してボイラに供給するように構成された一次空気出口ダクト(D4)と、二次空気(V3)を3セクタ空気予熱器(1)に供給するように構成された二次空気入口ダクト(D5)と、第2の量の二次空気(V3)をボイラに直接供給するように構成された二次空気出口ダクト(D6)と、ガス入口ダクト(D1)に近接する高温端と、二次空気入口ダクト(D5)に近接する低温端とを有する熱交換ロータ(2)と、二次空気入口ダクト(D5)及び二次空気出口ダクト(D6)と連通する少なくとも二次空気バイパスダクト(D7)であって、二次空気バイパスダクトD7は、二次空気(V3)の一部を二次空気バイパス(V4)として、3セクタ空気予熱器(1)の上流の二次空気入口ダクト(D5)から抽気して、下流の二次空気出口ダクト(D6)に再導入するように構成された、第1の二次空気バイパスダクト(D7)と、二次空気バイパス(V4)の体積流量を制御し、一次空気流(V2)を調整するための流量制御装置(DV1)であって、一次空気流(V2)は、3セクタ空気予熱器(1)を出る煙道ガス体積流量(V1)に対する第2の最低温度(T9)以上に煙道ガス出口温度(T2)を維持して、粉砕ミル内での石炭乾燥を促進するのに必要な最低温度(T10MIN)の安全範囲内の一次空気出口温度(T10)を、粉砕ミル(T10MAX)内の石炭の自己発火をもたらす最高温度に維持するように構成される、流量制御装置(DV1)と、を備える、3セクタ空気予熱器を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、空気予熱器が3セクタ空気予熱器(1)である場合、制御システムは、一次空気入口ダクト(D3)及び一次空気出口ダクト(D4)と連通する一次空気バイパスダクト(D8)であって、一次空気バイパスダクト(D8)は、一次空気バイパス(V5)として一次空気(V2)の一部を、3セクタ空気予熱器(1)の上流の一次空気入口ダクト(D3)から抽気して、下流の一次空気出口ダクト(D4)に再導入するように構成された一次空気バイパスダクト(D8)と、一次空気バイパス(V5)の体積流量を制御するための第2の流量制御装置(DV2)と、を更に含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、空気予熱器が2セクタ空気予熱器(100)である場合、低負荷条件における二次空気バイパス(V40)は、2セクタ空気予熱器(100)に供給される二次空気(V30)の5~15%である。
【0025】
いくつかの実施形態では、空気予熱器が3セクタ空気予熱器(1)である場合、低負荷条件における二次空気バイパス(V4)は、3セクタ空気予熱器(1)に供給される二次空気(V3)の5~15%である。
【0026】
いくつかの実施形態では、空気予熱器が3セクタ空気予熱器(1)である場合、低負荷条件における一次空気バイパス(V5)は、3セクタ空気予熱器(1)に供給される一次空気(V2)の15~20%である。
【0027】
いくつかの実施形態では、空気予熱器が3セクタ空気予熱器(1)である場合、低負荷条件において、二次空気バイパス(V4)は10%であり、一次空気バイパス(V5)は20%である。
【0028】
いくつかの実施形態では、空気予熱器が2セクタ空気予熱器(100)である場合、第1の所定の最低温度(T9)は、2セクタ空気予熱器(100)の下流に配置された汚染制御機器の効率的な動作を促進して、煙道ガス出口ダクト(D2)から出る煙道ガス流(V1)を受け取るように構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、空気予熱器が3セクタ空気予熱器(1)である場合、第2の所定の最低温度(T9)は、3セクタ空気予熱器(1)の下流に配置された汚染制御機器の効率的な動作を促進して、煙道ガス出口ダクト(D2)から出る煙道ガス流(V1)を受け取るように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、汚染制御機器は、噴霧乾式吸収器(SDA)、循環乾式スクラバ(CDS)、又は湿式煙道ガス脱硫システム(「FGD」)である。いくつかの実施形態では、更に汚染制御機器は、3セクタ空気予熱器(1)又は2セクタ空気予熱器(100)のすぐ下流で煙道ガス流(V1)の少なくとも第1の部分を受け取るように配置され、それによって廃水蒸発の増加をもたらす。
【0031】
いくつかの実施形態では、煙道ガス体積流量(V1)が低負荷条件において所定の最低温度(T9)以上である場合、煙道ガス流(V1)の少なくとも第1の部分は、汚染制御システムに供給される廃水を蒸発させる。
【0032】
いくつかの実施形態では、二次空気バイパス(V4)の少なくとも1つは圧力降下支援され、一次空気バイパス(V5)は圧力降下支援される。当業者が認識するように、本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、圧力降下支援は、ある体積の空気を移動させるために、例えば、ダクト、通路等の開口部によって提供される。
【0033】
いくつかの実施形態では、粉砕ミル(400)は、燃料を受け取るための粉砕機入口と、粉砕された燃料をそこから排出するための粉砕機出口と、粉砕機出口と連通し、燃料を燃焼させるように構成されたボイラ(500)とを含む。いくつかの実施形態では、2セクタ空気予熱器(100)及び3セクタ空気予熱器(1)の各々は、スピンドル上で回転するように取り付けられたロータ(20)と、ロータに配置された複数の熱伝達要素と、を含み、熱伝達要素は、それによって流れるガスに熱を伝達するように構成されており、2セクタ空気予熱器(100)及び3セクタ空気予熱器(1)の各々は高温端(20H)及び低温端(20C)を画定する。
いくつかの実施形態では、燃焼空気出口ダクト(D100)は一次空気ダクト(D40)と二次空気ダクト(D60)に分岐しており、一次空気ダクト(D40)は二次空気ダクト(D60)よりも小さい。
【0034】
本発明は、前述の実施形態のいずれかに記載の温度制御システムを利用して空気予熱器を出るガスの温度を制御する方法に関する。
【0035】
本発明は、前述の実施形態のいずれかに記載の温度制御システムで空気予熱器設備を改造する方法であって、空気予熱器は3セクタ空気予熱器(1)である。いくつかの実施形態では、本方法は、既存のダンパ弁(DV2)で絞られた既存の一次空気バイパスダクト(D8)を利用することと、ダンパ弁(DV1)で閉鎖可能な適切なサイズの二次空気バイパスダクト(D7)を設置することと、を含み、低負荷動作中、ダンパ弁(DV1)が開き、ダンパ弁(DV2)が完全に開くと、一次空気出口温度(T4)は、一次空気出口温度(T10)を少なくとも最低一次空気出口温度(T10MIN)まで上昇させるのに十分な所定の量だけ上昇される。
【0036】
改造方法のいくつかの実施形態では、3セクタ空気予熱器(1)に流入する一次空気の10~20%はバイパスされ、二次空気バイパスダクト(D7)は、3セクタ空気予熱器(1)に流入する二次空気の0~10%程度をバイパスすることができる。
【0037】
前述の実施形態及び他のものは、本明細書でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
以下の図面は、本発明の特定の態様及び実施形態を示すが、本発明を図面に示され記載されているものに限定するものではない。
図1】従来技術による3セクタ空気予熱器の概略図を示す。
図2】本発明の一実施形態による温度制御システムと共に3セクタ空気予熱器の概略図を示す。
図3】「逆」回転G-S-P構成である図2の3セクタ空気予熱器の概略図を示し、その実施形態の1つの特定の設計の動作中に達成可能な代表的な温度を有する。
図4】本発明の更なる実施形態による2セクタ空気予熱器の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図2は、図1と同様のAPH1を示し、同様の特徴は同一又は同様の英数字表記で示されている。図2において、APH1は、ボイラに供給される燃焼空気(V2+V3)を予熱するために煙道ガスV1を使用する石炭火力ボイラ(図示せず)と共に使用するための3セクタAPHである。燃焼空気の一部は一次空気V2であり、これは最初に少なくとも1つの石炭ミル又は粉砕機(図示せず)を通過して石炭粒子をボイラの炉に運ぶ。燃焼空気の残りは、APH1から二次空気V3として炉に直接供給される。更に、APH1を出る煙道ガスV1は、汚染制御機器(図示せず)に直接供給される。汚染制御機器は、一実施形態では、水蒸発システムである。水蒸発システムは、水排出を低減又は排除するために廃水を蒸発させる噴霧乾式吸収器(「SDA」)、循環乾式スクラバ(「CDS」)、又は湿式煙道ガス脱硫システム(「FGD」)を含む。以下、説明を容易にするために、蒸発システムをSDAと呼ぶ。他の汚染制御機器を利用してもよい。
【0040】
理解を容易にするために、様々なガス流は、V1~V5と様々に示されており、これらのガス流は、体積流量及び質量流量と同義である。ガス流の様々な体積について考えることは容易であるが、その質量組成は、実際の優勢な流れ並びにその熱及び/又は燃焼支持特性を計算するときに重要である。
【0041】
図2の3セクタAPH1は、その上/高温端に設けられ、そのロータ2の周りに「円周方向」に配置され、煙道ガス入口ダクトD1、一次空気出口ダクトD4、及び二次空気出口ダクトD6は各々、同様にロータ2の周りにその下/低温端に配置された煙道ガス出口ダクトD2、一次空気入口ダクトD3、及び二次空気入口ダクトD5とそれぞれ軸方向に整列している。図示及び機能的説明を容易にするために、一次及び二次空気ダクトは、半径方向に配置されているものとして示されている。
【0042】
ロータ2は、入口ダクトD1を出る煙道ガスV1から熱を抽出し、それを放出して、それぞれ一次空気出口ダクトD4及び二次空気出口ダクトD6に入る燃焼空気を予熱するように回転するように設計された要素プロファイルのバスケットを収容する。これは、ロータ2の「煙道ガス」部分を、そこを通過する熱い煙道ガスによって加熱することによって達成され、その結果、一次空気としてロータ2の「一次空気」部分を、及び二次空気として「二次空気」部分を様々に通過するボイラ炉のための燃焼空気が予熱される。図示されていないのは、様々な電気的及び/又は機械的制御システム、ファン/送風機、外部ダクト、圧力変換器及び温度計、APHを動作させるために典型的に利用される減衰装置、並びにボイラ炉及びその風箱である。このような補助機器は、当該技術分野において周知である。漏れに関する固有の問題を含む、そのような補助機器の機能性及び動作上の制限はよく知られており、したがって、3セクタAPHの前述の既知の態様の通常の設計、エンジニアリング、設置、及び動作は、当業者に知られている詳細には説明されていない。
【0043】
体積流量V1を有する煙道ガス(煙道ガスV1)は、ロータ2の高温端に隣接する煙道ガス入口温度T1で入口ダクトD1を出て、ロータ2の低温端に隣接するより低い煙道ガス出口温度T2で出口ダクトD2に入る。反対に、体積流量V2の一次空気(一次空気V2)は、ロータ2の低温端に隣接して一次空気入口温度T3Pで入口ダクトD3を出て、一次空気出口温度T4で出口ダクトD4を出る。同様に、体積流量V3(二次空気V3)を有する二次空気は、二次空気入口温度T3Sでその入口ダクトD5を出て、そのセクタの低温端に隣接する二次空気出口温度T5でその出口ダクトD6を出る。ロータ2自体の温度は、その高温端で達成される高温端金属温度T6と、その低温端で達成される低温端金属温度T7との間で変化する。
【0044】
任意の所与の負荷条件下での典型的な動作中の任意の所与の時間において、高効率のSDA動作、すなわち100%の廃水蒸発又はそれに近いSDA動作を容易にするために、煙道ガス出口ダクトD2を出る煙道ガスV1は、前述の理由のためにT2≧T9の温度を維持しなければならない。これを容易にするために、3セクタ空気予熱器1は、本発明の一実施形態による温度制御システム200と共に設置される。温度制御システム200は、二次空気入口ダクトD5と二次空気出口ダクトD6との間に延在し、それらと流体連通する二次空気バイパスダクトD7を含む。二次空気バイパスダクトD7は、低負荷条件において二次空気V3の体積流量の所望の%までバイパスするように構成される。
【0045】
一実施形態において、温度制御システム200は、第1の流量制御装置DV1を含む。第1の流量制御装置DV1は、電気的又は空気圧的に作動される第1のダンパ弁、既知の設計のルーバ制御ダンパ、電気コントローラ、又は前述の補助機器と適切に連動する空気圧コントローラであってもよい。一実施形態では、低負荷条件において、二次空気バイパスダクトD7は、二次空気V3の体積流量又は場合によっては質量流量の5%~20%、好ましくは10%~15%の所望の割合の二次空気バイパスを容易にするように構成される。
【0046】
本発明によるAPH燃焼空気バイパスは、APHの全体的な効率を低下させ、二次空気バイパスは、二次空気が低負荷条件でバイパスされるときに煙道出口温度T2を上昇させる。しかしながら、幾分予想外かつ直感に反して、二次空気出口温度T5の低下は、一次空気出口温度T4の上昇を伴い、これは、APH効率の低下にもかかわらず、そこを流れる一次空気への相対的な熱伝達の増加があることを示す。
【0047】
いくつかの実施形態では、一次空気出口温度T4が、一次空気出口温度T10が(適切な石炭乾燥を促進するために必要とされる)最小値T10MINと(ミル内の石炭の自己発火につながる可能性がある)最大値T10MAXとの間であることを確実にする範囲内に維持されることを確実にするために、3セクタAPH1を出る一次空気は、例えば、既知の一次空気バイパス技術を使用して、又はそうでなければオーバーフィード技術を使用して調整される。空気の温度調節には、例えば、ファン、バス、冷却システム、加熱システム、異なる温度の空気の追加を含む温度調整手段による空気の温度の調整又は変更、すなわち冷却又は加熱が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
図2に示して説明した実施形態は、既存の一次空気バイパス技術を3セクタAPH1に既に取り付けた改造プロジェクトの一部であることが企図される。別の実施形態では、図2に示され説明される実施形態は、3セクタAPH1を包含する新しいプロジェクトの一部であることが企図されるので、本発明はこの点に関して限定されない。
【0049】
図2に示す実施形態では、本発明の温度制御システム200は、一次空気入口ダクトD3と一次空気出口ダクトD4との間に延在してこれらと流体連通する一次空気バイパスダクトD8と、第2の流量制御装置DV2とを更に含む。第2の流量制御装置DV2は、電気的に作動されるダンパ弁又は空気圧で作動されるダンパ弁である。一次空気バイパスダクトD8は、設計負荷条件(例えば、V3が華氏111度で791450lb/hrの質量流量から計算される場合)で一次空気流V3の10%を、33%の低負荷条件(例えば、V3が華氏121度で450510lb/hrの質量流量から計算される場合)で20%をバイパスするように適合される。改造前の条件では、低負荷条件での一次空気出口温度T10はT10MIN未満であり、燃焼前の非効率的な石炭乾燥をもたらし、すなわち、ある程度の必要な乾燥が炉内で起こり、炉の効率を低下させる。
【0050】
入口及び出口ダクトD1及びD2、D3及びD4、D5及びD6は、各々、そのハウジングに取り付けられた3セクタAPH1のそれぞれのカウリングとして示されている。しかしながら、機能的に説明されるこれらのダクトは、APH1のそのようなカウリングだけでなく、そこから延びる関連するダクトも包含することが意図されていることが理解されよう。したがって、バイパスダクトD7及びD8の入口端は、関連する3セクタAPH1のカウリング又はそこから上流に延びるダクトのいずれかを介してそれぞれの入口ダクトD5及びD3と連通し、バイパスダクトD7及びD8の出口端は、関連する3セクタAPH1のカウリング又はそこから下流に延びるダクトのいずれかを介してそれぞれの出口ダクトD6及びD4と連通する。
【0051】
熱伝達要素が充填されているので、煙道ガスと燃焼空気の両方が軸方向に通過するロータ2を横切る不可避の圧力降下が存在することが理解されるであろう。これが、部分的に、例えば、必要な体積流量を維持するために補助機器が補助ファンを含む理由である。二次空気バイパスダクトD7及び一次空気バイパスダクトD8は、開いているときに、ほぼ中断されないガスの貫流を可能にし、その結果、中断された流れを引き起こすように意図された熱伝達要素が充填されたロータ2にわたって引き起こされる圧力降下よりもはるかに低い圧力降下をもたらし、また、使用によってしばしば汚れることが理解されるであろう。その結果、これらのバイパスダクトは、開いているとき、燃焼空気が流れるための好ましい経路を提供し、圧力降下支援バイパス流と呼ばれ得るものをもたらす。
【0052】
二次空気バイパスダクトD7の空気出口端部は、APH1に近接していることが好都合であるが、APH1とボイラの風箱(図示せず)との中間の任意の適切な場所に設置できることが理解されよう。二次空気バイパスダクトD7の材料及びサイズは一般に設計上の選択の問題であるが、一例として、以下の表2で予測されるように、使用時にV4の体積流量を処理するように適合された直径約48インチ、長さ約40フィートの耐摩耗性ダクトが挙げられる。本発明は、この点に関して限定されず、他の材料及びサイズが企図される。
【0053】
上記は、APH1内で「煙道ガス」経路から「燃焼空気」経路への漏れが生じない理想的な状況であるが、実際にはそうではなく、そのためAPHシール設計が重要なままである。1つの設備では、例えば、ロータ2の「煙道ガス」セクタにわたる圧力降下は、(ロータ2内に充填された要素の構成に応じて)低負荷での0.8インチwgから設計負荷での3.6インチwgの間で変動し得る。「一次空気」セクタにわたる圧力降下は、同様に、0.7から2.15インチwgの間で変化してもよく、「二次空気」セクタにわたる圧力降下は、0.5から2.8インチwgの間で変化してもよい。全ての場合において、「煙道ガス」セクタにおけるより大きな圧力降下は、ロータ2を通って流れる燃焼空気への漏れをもたらす。したがって、V1IN<V1OUT及びV3OUT>V3INは、例えば、低負荷における8.56%と設計負荷における4.81%との間で変動する当該漏れをもたらす。
【0054】
二次空気バイパスの量は、ダクトD7及びD8のサイズ及び長さによってだけでなく、ダンパ弁DV1及びDV2の適切な作動によっても制御することができる。これらの弁の正確な形態は重要ではないが、固有の圧力降下補助と共に作用する必要なバイパス流量制御機能を提供するために、適切な場合には、これらの弁をファン補助手段に置き換えることができることを理解されたい。
【0055】
ボイラの高負荷動作中(典型的には全負荷の50%以上)、3セクタAPH1は、ダンパDV1及びDV2が閉位置にある状態で、すなわち、弁漏れに関連するバイパスを超える二次空気バイパスがない状態で動作するが、一次空気出口温度T10を安全範囲T10MIN~T10MAX内に維持するのに必要な10%の一次空気バイパスを可能にする。この高負荷状態では、二次空気出口ダクトD7を出る二次空気V3(「燃焼空気」としても知られる)の大部分は、3セクタAPH1内の固有の漏れは別として、二次空気入口ダクトD5に入る二次空気V3と同じであり、ロータ2の二次空気セクションに入る二次空気(二次空気S1)の体積流量S1は、ダクトD6を出る二次空気と同じであり、すなわちS1=V3である。同様に、一次空気出口ダクトD4を出る一次空気V2は、実質的に、一次空気バイパスダクトD8を通って流れる約10%で一次空気入口ダクトD3に入るものである。3セクタAPH1は、高負荷動作中、二次空気バイパスなしでそのように動作し、ガス出口温度T2≧T9及びSDAにおける所望の高効率廃水蒸発を提供するように構成されるが、一次空気出口温度T10が所望の安全範囲内に留まることを確実にするために十分な一次空気バイパスを有する。
【0056】
ダンパDV1が閉じられ、ダンパDV2が閉じられている、すなわち二次空気バイパスが全くない低負荷動作(典型的には全負荷の50%未満、例えば設計負荷の33%)では、APH1は、煙道ガスV1の出力温度T2<T9で動作し、すなわちSDAの高効率動作には不十分である。しかしながら、ダンパDV1を開くことによって、入口ダクトD5に入る空気V3の一部V4は、二次空気バイパスダクトD7を通って流れ、したがってロータ2をバイパスし、より重要なことには、ロータ2を通過する二次空気S1の体積流量を減少させる。ロータ2を通る二次空気S1の流量が減少すると、設置された要素プロファイルによる熱伝達が低下し、煙道ガス出口温度T2が上昇する。二次空気バイパスダクトD7の適切な構成及び/又はダンパ弁DV1の動作によって、二次空気バイパスダクトD7を少なくとも主に又は実際に完全に開いた状態でのAPH1の低負荷動作は、T2≧T9及びSDAにおける所望の効率的な廃水蒸発をもたらすことができることが理解されよう。いずれにしても、二次燃焼空気V3=S1+V4である。
【0057】
二次空気バイパスV4のみによる低負荷動作中、すなわち、ダンパDV1が開き、ダンパDV2が閉じて、煙道ガスV1から抽出される廃熱が少なくなると、ロータ2の低温端金属温度T7は「上昇」し(ダンパDV1が閉じた同様の動作と比較して)、ロータ2の一次空気セクションの高温端における一次空気出口温度T10も「上昇」する。この結果、ダクトD4を出る一次空気V2は、二次空気バイパスダクトD7が閉じられているときよりも高い出口温度T4を有することになる。これが問題である程度は、問題の3セクタAPHが「順」回転APHであるか「逆」回転APHであるか、及びロータ2内に収容された熱伝達要素の正確な構成に部分的に依存し得る。そのようなものの正確な機構及び熱力学は、当業者によって容易に理解されると想定されるので、ここでは更に議論されない。
【0058】
前述したように、T4が高すぎる場合、石炭ミルの一次空気出口温度T10が、そのための火災安全限界T10MAXに近づくか、又はそれを超えることにつながる可能性がある。そのような状況では、既存の最大約20%の一次空気バイパスを可能にするようにDV2を完全に開くことによって、T10/T4を火災安全限界未満に下げる必要がある。しかしながら、二次空気バイパスは、一次空気出口温度T4を偶発的に上昇させ、そのようなバイパスの量は、低負荷条件において、一次空気出口温度T10がT10MINを上回るように、すなわち、低負荷改造前において以前に利用可能でなかった効率的な石炭乾燥を提供するように調整されることができる。二次空気バイパスを適切に制限することによって、低負荷におけるT4の所望の増加を達成することができる。
【0059】
説明した特定の設計では、X=20%の二次空気バイパスは、20%の一次空気バイパスと共に、T4がY=10度増加することが分かる。したがって、煙道ガス出口温度T2の所望の上昇Yと、適切な二次空気バイパス割合Xによる一次空気出口温度T4の所望の上昇とを達成することが可能である。追加のファン圧力又は機器なしで達成可能な二次空気バイパスV4の量は、ダクトD7及び弁DV1のサイズ、長さなどの関数であり、任意の所与の新しい又は改造設置のためにそれに応じて設計することは当業者の能力の範囲内であることが理解されよう。
【0060】
これらの実施形態を利用することにより、3セクタAPH1が低負荷においても所望のガス出口温度を維持することが容易になることが理解されよう。表示温度の例は、「逆」回転G-S-P構成のAPHの設置のための1つの特定の設計に関する図3に見られるが、他の設置で見られるものを説明するものではない。括弧内の温度は、本発明の実施形態による改造の前のそのような設置において優勢な温度であり、二次空気バイパスが設置されているが動作していないとき、すなわち、例えば高負荷条件の間にダンパDV1が閉じられているときに達成される温度を示す。華氏での温度(括弧なし)は、二次空気バイパス及び一次空気バイパスの両方が設置され、ダンパDV1及びDV2が完全に開いた状態で動作可能なとき、すなわち、この場合、一次空気温度の望ましい上昇及びより効率的な水蒸発システム動作に必要な煙道ガス出口温度の必要な上昇があるときに、低負荷で達成可能な温度を示すように予測的にモデル化される。有利には、一次空気出口温度T10を所望の範囲≧T10MINに偶発的に上昇させる一次空気温度の10°Fの上昇もある。ダンパDV1及びDV2は、煙道ガス体積流量V1及びAPH1を通る煙道ガス出口温度に応じて部分的に開閉して、所望又は必要に応じて括弧内の値と括弧外の値との間の温度を達成することができることが理解されよう。上述のように、燃焼空気ファンの動作は、二次空気と比較して、一次空気のより高い圧縮熱をもたらし、したがって、それぞれ、華氏574度及び570度(摂氏約301度及び298度)の表示温度をもたらす。
【0061】
これらの実施形態のいずれかを使用することにより、前述の二次バーナ技術及び/又は圧送空気技術を利用する必要がなくなり、したがって、それらが必要とする補助機器の燃料、capex、及び/又は保守費用が節約される。実際、これらの実施形態のうちの1つが使用されなかった場合、少なくとも、低負荷条件で必要とされる煙道ガス出口温度T2を提供するために、より効率の低いAPHを使用すること、及び/又はT9以上のSDAに入る温度まで煙道ガスを再加熱することが必要であろう。そのような再加熱は、二次バーナ技術を用いて、及び/又は蒸気コイル技術を利用する場合により大きな蒸気コイルを使用して達成可能であろう。
【0062】
SDAなどの廃水蒸発システムからの水ゼロ排出に関連して説明された前述の実施形態は、特に既存のボイラ設備に関連して、達成可能であるよりも技術的により魅力的であり得ることが理解されるであろう。したがって、廃水を環境に排出する前に汚染物質を除去するための水処理プラントの必要性を回避することは期待できる目標であるが、そのシステムからいくらかの廃水が排出される可能性がある。水ゼロ排出が達成されない場合、水処理のコストは、処理される廃水の体積の関数であることが理解されるであろう。したがって、たとえ本発明が排出される水の減少を促進するとしても、本発明は、その使用によって促進される蒸発システムにおける過剰な水の蒸発にほぼ比例して、廃水処理コストが削減される。
【0063】
APH1の低負荷動作時の二次空気バイパスV4及び/又は一次空気バイパスV5は、必然的に、APHからの熱回収が少なくなり、石炭の使用効率が低くなり、その結果、石炭コストが高くなる。低負荷ボイラ効率の低下を軽減するために、APH1は、改良された空気予熱器設計のものとすることができ、例えば、本出願人の様々な現在の特許出願に記載されているような、その高度なプロファイル要素設計及びそのAdvX(登録商標)Technologies、すなわち、低負荷条件及び高負荷条件の両方でより高い熱交換効率で動作するものとすることができる。
【0064】
本発明は、二次空気バイパスV4を使用してAPH1を出る煙道ガス出口温度T2を調整して、すぐ下流の水蒸発装置、例えばSDAのより効率的な動作を保証することに関して説明されてきた。実際には、水蒸発装置に入る煙道ガス温度が重要であることは容易に理解されるであろう。実際に、本発明は、APHの下流の他の汚染制御機器に関連して使用され、その装置への煙道ガス入口温度を調整することができる。また、煙道ガス入口温度を調整するために本発明が利用されるAPHと汚染装置制御装置との間に装置が存在することもあり得る。したがって、実施形態の前述の説明は、本発明の用途を例示するものであって、限定するものではなく、調整温度T9は、汚染制御機器への煙道ガス入口温度を、そのより効率的な動作を容易にするために必要なレベルに維持するのに十分である。
【0065】
一例として、本発明の実施形態は、既存の蒸気コイルをAPHのすぐ上流の適所で動作可能なままにしながら、ボイラ設備を改造するときに設置することができる。二次空気バイパスV4の石炭コストは、実際には、例えば、APHに流入する燃焼空気を予熱するために既に設置された蒸気コイルを使用することに関連する蒸気コストよりも大きい可能性があり、これにより、APHから流出する煙道ガスV1の温度が上昇する。したがって、本発明の更なる実施形態(図示せず)では、燃焼空気ファンとAPHとの間に蒸気コイルが設けられ、これは、APHの上流にあり、燃焼空気V3の温度を上昇させることによって煙道ガス流V1の温度を上昇させる。このような実施形態では、効率的な蒸発システム動作に必要な臨界温度T9は、使用中の蒸気コイルで測定されるべきであり、したがって、二次空気バイパスV4は、その最大値又はその付近で動作する蒸気コイルによって促進される温度に加えて、APH1の下流の煙道ガスV1の温度T2の上昇を促進するように効果的に動作可能であることが理解されよう。
【0066】
1つの改造例がモデル化されており、全負荷(すなわち、二次空気バイパスは動作不能)における予測性能が表1に詳細に示されている。低負荷(すなわち、33%設計負荷)での予測性能は、表2に詳述されており、表2は、二次空気バイパスでの改造前の3セクタAPH1の欄と、出願人の最新世代の先進要素プロファイルTF4(商標)(PCT/US2016/069186に開示されている)及びDN8(商標)(PCT/US2016/056209に開示されている)とを含む。本発明の動作上の特徴は、表1及び表2から推定される情報を用いて一般的に説明されており、特許請求される本発明の説明及び/又は技術的限定の両方によって、より詳細な情報がそこから抽出され得ることが理解されるであろう。加えて、表1及び表2は、それらの実際の予測メリット又は重要性を限定することなく、単に例示的な例として、図面において参照番号で注釈を付けられるか、又はそれと併せて読まれる場合がある。
【0067】
本発明の別の実施形態では、図4に示す2セクタAPH100は、ミル入口温度T8への影響を最小限に抑えるように構成された燃焼空気バイパスを有する温度制御システム200を有する。2セクタAPH100には、2つのガス経路、すなわち、第2の燃焼空気予熱経路に隣接して逆流する高温煙道ガス経路(3セクタAPH1におけるような)のみが存在することが理解されよう。2セクタAPH100の下流で、予熱された燃焼空気流は、同じ温度で一次空気ダクト及び二次空気ダクトに分岐する。様々なガス流の性質、条件、使用、及び動作上の制約は、2セクタAPH100については、3セクタAPH1と同じである。したがって、図4において、図1図3に示された3セクタAPH1の特徴と同様の特徴は同様の番号で示され、同様の特徴はその10進数で示される。
【0068】
2セクタAPH100は、体積流量V1の煙道ガス経路と、燃焼空気入口体積流量V300を有する燃焼空気予熱経路とを有するロータ20を有する。2セクタAPH100は、煙道ガス入口ダクトD1と、煙道ガス出口ダクトD2と、燃焼空気入口ダクトD50と、燃焼空気出口ダクトD100とを有する。煙道ガスはロータ20を通って流れ、煙道ガスダクトD1とD2との間でロータ20に廃熱を放出し、燃焼空気は、ダクトD50とD100との間を流れるときにロータ20によって予熱される。2セクタAPH100の下流では、燃焼空気出口ダクトD100は、燃焼空気の第1のより小さい部分を一次空気V20として石炭ミル(図示せず)に供給するより小さい分岐又は一次空気ダクトD40と、燃焼空気の第2のより大きい部分を二次空気V30としてボイラ(図示せず)に直接供給するより大きい分岐又は二次空気ダクトD60とに分かれる。一次空気ダクトD40及び二次空気ダクトD60に流入する燃焼空気は、APH100の効率及びボイラ負荷の関数である同じ温度及び圧力であることが理解されよう。更に、一次空気出口温度T10を、粉砕ミル内の石炭の乾燥を促進するために必要な最低温度(T10MIN)の安全範囲内に、粉砕ミル内の石炭の自己発火をもたらす最高温度(T10MAX)まで維持することが望ましい。低負荷条件では、煙道ガス出口温度T2をT9以上に維持することが望ましい。その結果、本発明によれば、2セクタAPH100には、燃焼空気入口ダクトD50を、3セクタAPH1に関してこれまで説明したような大きさ程度の二次空気バイパス流V40を可能にするように動作可能なダンパ弁DV10を有する二次空気ダクトD60に流体接続する二次空気バイパスダクトD70(本明細書では「空気予熱器バイパスダクトD70」とも呼ばれる)が設けられる。
【0069】
先に説明したように、任意の燃焼空気バイパスは、2セクタAPH100の効率を低下させ、煙道ガス出口温度T2を偶発的に上昇させるが、燃焼空気予熱を低下させる。燃焼空気バイパスV40を二次空気出口ダクトD60に(単に燃焼空気出口ダクトD100にではなく)入れることにより、低温のバイパスされた燃焼空気と予熱された二次空気とを混合することに付随する温度低下効果から、一次空気流V20を効果的に隔離する。したがって、ダンパ弁DV10の適切な動作によって、一次空気出口温度T10を安全範囲T10MINからT10MAX内に維持するために、又は少なくともそのような分離がない場合よりもT10MINに非常に近く維持するために、一次空気V20温度を実質的に調整することが可能である。2セクタAPH100の単純な実施形態を説明したが、適切な一次空気出口温度T10の目標を達成するために、他の一次空気調整(すなわち、空気温度調節)手段を、前述の分離によってもたらされる調整に加えて、又はその代わりに使用することができることが理解されよう。
【0070】
本発明の更なる実施形態(図示せず)では、より小さい一次APH(一次空気をミルに供給する)及びより大きい二次APH(二次空気をボイラ炉に直接供給する)である2つのAPHが提供される。石油火力ボイラに適した更に別の実施形態では、予熱された燃焼空気を直接炉に供給する単一の大型APHがある。両方の実施形態において、前述のような燃焼又は二次空気バイパスが提供され、最初に設置されたAPHは、本出願人のDN8(商標)及び/又はTF4(商標)要素と同等又はそれよりも良好な熱伝達特性を有する改良された加熱要素プロファイルで改造される。予め設置されたAPHと比較して、全体的に又は部分的に改善されたプロファイルを使用する改造されたAPHは、二次又は燃焼空気バイパスが低負荷条件で動作しているときに、効率の低下及び煙道出口温度の所望の上昇を示す。有利には、同様に、予め設置されたAPHと比較して、ACETの効果的な増加があり、これは、予め設置されたAPHが低負荷条件で起こりやすい低温端腐食を悪化させないという予想外の利益をもたらす。前述したような高負荷条件又は設計負荷条件において、改良されたAPHは、予め設置されたAPHよりも熱伝達に関してより効率的に動作する。やや直観に反して、低負荷で燃焼又は二次空気バイパスを使用して予想されるAPH効率の低下にもかかわらず、改善されたAPH動作又は高負荷条件と低負荷条件との間の循環によって促進される全体的なエネルギー回収は、同様の状況で空気バイパスなしで動作する改善されたAPHによって促進され得るものよりも実際に大きい。
【0071】
この更なる実施形態は、表1及び表2からの二次空気流情報を参照して説明され、この情報は、一次空気流も有する3セクタAPHに関してモデル化されているが、二次空気のみの2セクタAPH、又は全ての燃焼空気を予熱する石油燃焼ボイラと共に使用される2セクタAPHに当てはまる(石炭ミルが存在しないため、一次空気は必要ない)。これらのテーブルには、低負荷ペナルティ、高負荷利得及び回復に関する補償計算に関する情報が埋め込まれている。
低負荷ペナルティ=空気の比熱低負荷での二次空気流(バイパスありの混合二次空気温度-二次空気温度をバイパスなしに残す)
低負荷時の二次空気流量=SALO
バイパスを有する混合二次空気温度(加熱要素を用いて改善されるか、又は改善されない)=T混合
改善された要素なしの二次空気温度=Tバイパスなし
空気の比熱=cpAIR
低負荷ペナルティ=cp空気 SA (T混合-Tバイパスなし
高負荷利得=空気の比熱高負荷での二次空気流(二次空気温度を改善された要素なしに残す-二次空気温度を改善された要素ありで残す)。
高負荷時の二次空気流量=SA
改善された要素なしの二次空気温度=T標準
改善された要素を有する二次空気温度=T改善
空気の比熱=CD空気
高負荷利得=CD空気 SA (T改善-T標準
回復係数=低負荷ペナルティ/高負荷利得
回復係数=CD空気 SA (T混合-Tバイパスなし)/CD空気 SA (T改善-T標準
回復係数=SA/SA (T混合-Tバイパスなし)/(T改善-T標準
【0072】
要約すると、補償計算の再検討は、熱伝達要素をより効率的なプロファイルにアップグレードすることによって、要素アップグレードなしに対してSAバイパスペナルティを回復するためにかかる時間を短縮することができることを実証する。10%のバイパスでは、バイパスが開いている時間に対して9.34MMBtu/hrのペナルティがかかる。バイパスが閉じられると、そのエネルギーは回収されず、永久に失われる。本出願人のTF4要素による低温端又はCE置換では、ペナルティが9.11MMBtu/hrに低減されるだけでなく、バイパスが閉じられると、1.77MMBtu/hrが回収される。したがって、損失を回復するために、5.14×低負荷10%バイパス条件に対して全負荷無バイパス条件で動作する必要がある。TF4のCE置換及び本出願人のDN8要素の高温端又はHE置換の両方で、ペナルティは8.41MMBtu/時まで更に低減される。高負荷時にSAバイパスを閉じると、4.73MMBtu/hrが回収される。したがって、損失を回復するために、1.78×低負荷10%バイパス条件に対して全負荷無バイパス条件で動作する必要がある。DN8/TF4アップグレードによる煙道ガス出口温度への名目上の影響は、ほとんど重要ではない。
【0073】
典型的な状況において、ボイラは、供給される電力網の通常の需要変動と同時に、低負荷及び設計又は高負荷で動作することができる。すなわち、需要は典型的には午後及び夕方にピークに達し、他の時間には低下する。本発明のこの実施形態では、改善された要素を有さないSAバイパスを有するAPHと比較して、そのような変動で、ボイラが高負荷で低負荷動作の持続時間を乗じた回復係数に等しい持続時間で運転される場合、低負荷ペナルティを回復することが達成可能である。例えば、以下の表3に示される2つのシナリオは、本発明のこの実施形態の利得及びペナルティを計算するために使用される高負荷及び低負荷でのAPH動作時間を示す。50/50の低負荷動作及び高負荷動作において示されるように、本発明は、異なるレベルの素子アップグレード(それぞれ、T4Fのみ又はDN8+TF4)において21%及び61%だけペナルティを改善する。25/75の低負荷動作及び高負荷動作において、本発明は、異なるレベルの素子アップグレード(それぞれ、T4Fのみ又はDN8+TF4)においてペナルティを59%及び162%改善する。
【0074】
【表1】
【0075】
高負荷又は設計負荷におけるAPH1の予測性能
【0076】
【表2】
【0077】
低負荷時のAPHの予測性能
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
項目として列挙される以下の節は、本明細書で説明される他の例に加えて更なる例を表す。
【0081】
項目1-ボイラの2セクタAPH100用の空気予熱器(APH)温度制御システムであって、ボイラの2セクタAPH100は、煙道ガス入口ダクトD1と、煙道ガス出口ダクトD2と、燃焼空気入口ダクトD50と、燃焼空気出口ダクトD100であって、使用時に少なくとも1つの粉砕ミルを介して第1のより少ない量の燃焼空気又は一次空気V20をボイラに供給し、第2のより大量の燃焼空気又は二次空気V30をボイラに直接供給するために、燃焼空気出口ダクトD100の下流の一次空気ダクトD40及び二次空気ダクトD60と流体連通する、燃焼空気出口ダクトD100と、ガス入口ダクトD1に近接する高温端及び燃焼空気入口ダクトD50に近接する低温端を有する熱交換ロータ20と、を備え、APH100は、燃焼空気入口ダクトD50及び二次空気ダクトD60と計量連通する少なくとも第1のAPH又は燃焼/二次空気バイパスダクトD70を更に備え、これは使用時に、燃焼空気V300の一部をAPH100の上流の空気入口ダクトD50から二次空気バイパスV40として抽気して、二次空気ダクトD60に下流に再導入するように適合され、二次空気バイパスV40の体積流量を制御すると共に一次空気流V20を調整するための流量制御装置DV10であって、一次空気流V20は、使用時に、単独で、又は他の調整手段と共に、一次空気出口温度T10を安全範囲T10MIN~T10MAX内に維持しながら、APH100から出る入射煙道ガス体積流量V1に対して煙道ガス出口温度T2を所望の最小T9以上に維持するように動作可能である、流量制御装置DV10と、を備える空気予熱器(APH)温度制御システム。
【0082】
項目2-ボイラの3セクタAPH1用の空気予熱器(APH)温度制御システムであって、ボイラの2セクタAPH1は、煙道ガス入口ダクトD1と、煙道ガス出口ダクトD2と、第1の量の一次空気V2を少なくとも1つの粉砕ミルを介してボイラに供給するように構成された一次空気入口ダクトD3及び一次空気出口ダクトD4と、第2の量の二次空気V3をボイラに直接供給するように構成された二次空気入口ダクトD5及び二次空気出口ダクトD6と、ガス入口ダクトD1に近接する高温端及び燃焼空気入口ダクトD5に近接する低温端を有する熱交換ロータ2と、を備え、APH1は、空気入口ダクトD5及び空気出口ダクトD6と計量連通する少なくとも第1のAPH又は二次空気バイパスダクトD7を更に備え、これは使用時に、二次空気V3の一部をAPH1の上流の空気入口ダクトD5から二次空気バイパスV4として抽気して、空気出口ダクトD6に下流に再導入するように適合され、二次空気バイパスV4の体積流量を計量又は制御するための流量制御装置DV1と、一次空気流V2を調整する装置とを備え、一次空気流V2は、使用時に、ミル出口温度T10を安全範囲T10MIN~T10MAX内に維持しながら、APH1から出る入射煙道ガス体積流量V1に対して煙道ガス出口温度T2を所望の最小T9以上に維持するように動作可能である、空気予熱器(APH)温度制御システム。
【0083】
項目3-一次空気入口ダクトD3及び一次空気出口ダクトD4と計量連通する第2のAPH又は一次空気バイパスダクトD8であって、使用時に一次空気バイパスV5として一次空気V2の一部をAPH1の上流の一次空気入口ダクトD3から抽気して、下流の一次空気出口ダクトD4に再導入するように適合された第2のAPH又は一次空気バイパスダクトD8と、一次空気バイパスV5の体積流量を計量又は制御するための第2の流量制御装置DV2とを更に備える、項目2に記載のAPH温度制御システム。
【0084】
項目4-流量制御装置DV1又はDV2は、電気的及び/又は空気圧的に制御されるダンパ弁である、項目2又は項目3に記載のAPH温度制御システム。
【0085】
項目5-低負荷条件における二次空気バイパスV4又はV40は、APH1に供給される二次空気V3の5~15%の範囲内である、項目1又は項目2に記載のAPH温度制御システム。
【0086】
項目6-低負荷条件における一次空気バイパスV5は、APH1に供給される一次空気V2の15~20%の範囲内である、項目3に記載のAPH温度制御システム。
【0087】
項目7-低負荷条件では、二次空気バイパスV4は10%程度であり、一次空気バイパスは20%程度である、項目5又は項目6に記載のAPH温度制御システム。
【0088】
項目8-T9は、煙道ガス出口ダクトD2を出る煙道ガス流V1を受け取るために、APHの下流に配置された汚染制御機器の効率的な動作を容易にする、上記項目のいずれか1つに記載のAPH温度制御システム。
【0089】
項目9-汚染制御機器は水蒸発システムである、項目8に記載のAPH温度制御システム。
【0090】
項目10-水蒸発システムは、APH1のすぐ下流の煙道ガス流V1の少なくとも第1の部分を受け取るように配置された噴霧乾式吸収器(SDA)又は循環乾式スクラバ(CDS)のいずれかであり、それによって、そこからの廃水蒸発が結果的に増加し、蒸発システムの非効率的な動作に関連する廃水処理コストが低減される、項目9に記載のAPH温度制御システム。
【0091】
項目11-低負荷条件において、温度T9以上の煙道ガス体積流量V1は、水蒸発システムに供給される全て又はほぼ全ての廃水を蒸発させるための少なくとも第1の部分を提供するのに十分である、項目9又は項目10に記載のAPH温度制御システム。
【0092】
項目12-低負荷条件において、温度T9以上の煙道ガス体積流量V1は、二次空気ファンとAPHとの中間の蒸気コイルによってもたらされる二次空気予熱によって促進される煙道ガス温度の上昇と併せて、蒸発システムに供給される全て又はほぼ全ての廃水を蒸発させるのに十分である、項目9~11のいずれか1つに記載のAPH温度制御システム。
【0093】
項目13-二次空気バイパスは、圧力降下支援型である、上記項目のいずれか1つに記載のAPH温度制御システム。
【0094】
項目14-一次空気バイパスは、圧力降下支援型である、項目2~13のいずれか1つに記載のAPH温度制御システム。
【0095】
項目15-上記項目のいずれか1つに記載のAPH温度制御システムを利用してAPHを出るガスの温度を制御する方法。
【0096】
項目16-既存のダンパ弁DV2で絞られた既存の一次空気バイパスダクトD8を利用し、ダンパ弁DV1で閉鎖可能な適切なサイズの二次空気バイパスダクトD7を設置する、項目3~14のいずれか1つに記載のAPH温度制御システムを備えたボイラAPH設備を改造する方法であって、低負荷動作時に、二次空気バイパス弁DV1を開き、一次空気バイパス弁DV2を全開にすると、一次空気出口温度T4は、ミル出口温度T10を所望のT10MIN付近又はそれ以上に上昇させるのに十分な所定の量だけ上昇する、方法。
【0097】
項目17-所定の量は約10°Fであり、二次空気バイパスダクトは、DV1が完全に開いているときにその温度上昇を達成するために、完全に開いている既存の一次空気バイパスダクトDV7と協働するときに適切なサイズにされる、項目16に記載の改造方法。
【0098】
項目18-動作中、一次空気バイパスダクトD8は、APH1に流入する一次空気の10~20%程度をバイパスすることができ、二次空気バイパスダクトD7は、APH1に流入する二次空気の0~10%程度をバイパスすることができる、項目18に記載の改造方法。
【0099】
項目19-設置されたAPH1の全体的な動作効率は、高負荷条件において二次空気バイパスが低負荷条件で動作可能なときのAPH1の効率低下を補償する、より効率的な熱伝達要素を備えるバスケットを改造することによって、ロータ2を変更することなく改善される、項目17~19のいずれか1つに記載の改造方法。
【0100】
項目20-既存のロータ20が、より効率的な熱伝達要素を備えるバスケットを用いて改造され、APH温度制御システムが設置される、予め設置された燃焼又は二次2セクタAPH100を改善する方法であって、APH100は、煙道ガス入口ダクトD1と、煙道ガス出口ダクトD2と、燃焼空気入口ダクトD50と、燃焼空気又は二次空気V30をボイラに直接供給するための燃焼空気出口ダクトD100と、ガス入口ダクトD1に近接する高温端及び燃焼空気入口ダクトD50に近接する低温端とを有する熱交換ロータ20と、を備え、APH 100は、燃焼空気出口ダクトD100と計量連通する第1のAPH又は燃焼/二次空気バイパスダクトD70であって、使用時に、燃焼空気V300の一部をAPH100の上流の空気入口ダクトD50から燃焼又は二次空気バイパスV40として抽気して、下流の燃焼又は二次空気ダクトD60に再導入するように適合された、第1のAPH又は燃焼/二次空気バイパスダクトD70と、二次空気バイパスV40の体積流量を計量又は制御し、一次空気流V20を調整する流量制御装置DV10であって、使用時に、APH100を出る入射煙道ガス体積流量V1に対して煙道ガス出口温度T2を所望の最小T9以上に維持する一方で、平均低温端温度又はACETを、予め設置されたAPHと比較して上昇させるように動作可能であり、また使用時に、高負荷条件と低負荷条件との間でサイクルするときに、同様の条件を介して予め設置されたAPHサイクルよりも実質的に多くの熱を煙道ガスから抽出するように動作可能である、流量制御装置DV10と、を更に備える、方法。
【0101】
項目22-より効率的な要素は、DN8(商標)及びTF4(商標)要素のうちの少なくとも1つ又はそれらの組み合わせを使用することによってもたらされるような、設計負荷条件における熱伝達効率の少なくとも重量での増加を有する組み合わせである、項目19又は項目20に記載の方法。
【0102】
項目23-蒸気発生システム用の温度制御システムであって、燃料を粉砕するための粉砕機(400)であって、燃料を受け取るための粉砕機入口と、粉砕された燃料をそこから排出するための粉砕機出口とを有する、粉砕機と、粉砕機出口と連通しているボイラ(500)であって、ボイラは燃料を燃焼させるように構成されている、ボイラと、スピンドル上で回転するように取り付けられたロータ(20)を有する空気予熱器(APH)であって、空気予熱器は、その中に配置された複数の熱伝達要素を有し、熱伝達要素は、それによって流れるガスに熱を伝達するように構成され、空気予熱器は、高温端(20H)及び低温端(20C)を画定する、空気予熱器と、高温端(20H)と流体連通する煙道ガス入口ダクト(D1)と、高温端(20H)と流体連通する煙道ガス出口ダクト(D2)であって、空気予熱器は、煙道ガスが煙道ガス入口ダクト(D1)を通って高温端(20H)に流入し、高温端(20H)から煙道ガス出口ダクト(D2)に排出されるように構成されている、煙道ガス入口ダクト及び煙道ガス出口ダクトと、低温端(20C)と流体連通する燃焼空気入口ダクト(D50)と、低温端(20C)と流体連通する燃焼空気出口ダクト(D100)であって、空気予熱器(APH)は、燃焼空気が燃焼空気入口ダクト(D50)を通って低温端(20C)に流入し、低温端(20C)を通って燃焼空気出口ダクト(D100)から排出されるように構成されており、燃焼空気出口ダクト(D100)は、粉砕機入口と流体連通する一次空気分岐部(D40)と、ボイラと直接流体連通する二次空気分岐部(D60)とを有する、燃焼空気入口ダクト及び燃焼空気出口ダクトと、燃焼空気入口ダクト(D50)及び燃焼空気出口ダクト(D100)と流体連通するバイパスシステムであって、燃焼空気入口ダクト(D50)から燃焼空気出口ダクト(D100)へのバイパスシステムを通る燃焼空気の流れを可変に制御するための流量調整器(DV10)をその中に有する、バイパスシステムと、高温端(20H)から出る煙道ガス出口温度(T2)を測定するように構成された第1のセンサシステムと、一次空気分岐部(D40)の下流の空気の温度(T10)を測定するように構成された第2のセンサシステムと、を備える制御システムであって、制御システムは、第1のセンサシステム及び第2のセンサシステムからの温度入力に基づいて流量調整器(DV10)を制御し、それによって煙道ガス出口温度(T2)を所定の最低温度(T9)より高く維持し、一次空気分岐部(D40)の下流の空気の温度(T10)を所定の最高温度より低く維持する制御ユニットを有する、制御システムと、を備える、温度制御システム。
【0103】
当業者には明らかであるように、前述の特定の開示の様々な修正、適応、及び変形が、本明細書で特許請求される本発明の範囲から逸脱することなく行われ得る。本明細書に記載される本発明の様々な特徴、要素、及び実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載又は特許請求される特定の例とは異なる方法で組み合わされてもよい。言い換えれば、任意の要素又は特徴は、2つの間に明らかな又は固有の不適合性がない限り、又はそれが具体的に除外されない限り、異なる実施形態において任意の他の要素又は特徴と組み合わされてもよい。
【0104】
「1つの実施形態」、「一実施形態」などの本明細書における言及は、説明される実施形態が特定の態様、特徴、構造、又は特性を含み得るが、全ての実施形態が態様、特徴、構造、又は特性を必ず含むとは限らない。更に、そのような語句は、必ずしもそうではないが、本明細書の他の部分で言及される同じ実施形態を指す場合がある。更に、特定の態様、特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されているか否かにかかわらず、そのような態様、特徴、構造、又は特性を他の実施形態に影響を及ぼすか、又は接続することは、当業者の知識の範囲内である。
【0105】
文脈が明らかに既定しない限り、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「プラント」への言及は、複数のそのようなプラントを含む。特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外するように作成され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙又は「否定的な」限定の使用に関連して、「単に(solely)」、「のみ(only)」などの排他的な用語の使用のための先行詞としての役割を果たすことが意図される。用語「好ましくは(preferably)」、「好ましい(preferred)」、「好む(prefer)」、「任意選択で(optionally)」、「してもよい(may)」、及び同様の用語は、言及されている項目、条件、又はステップが本発明の任意選択の(必須ではない)特徴であることを示すために使用される。
【0106】
「及び/又は」という用語は、この用語が関連付けられる項目のいずれか1つ、項目の任意の組み合わせ、又は項目の全てを意味する。「1つ以上」という句は、特にその用法の文脈で読まれる場合、当業者によって容易に理解される。
【0107】
本明細書における各数値又は測定値は、用語「約」によって修飾される。「約」という用語は、指定された値の±1%、±5%、±10%、±20%、又は±25%の変動を指すことができる。例えば、「約50」パーセントは、いくつかの実施形態では、45~55パーセントの変動を有し得る。整数範囲に関して、用語「約」は、範囲の各端で列挙された整数より大きい及び/又は小さい1つ又は2つの整数を含むことができる。本明細書において別段の指示がない限り、「約」という用語は、組成物又は実施形態の機能性に関して同等である、列挙された範囲に近接する値及び範囲を含むことが意図される。
【0108】
当業者によって理解されるように、試薬又は成分の量、分子量等の特性、反応条件等を表すものを含む全ての数は、近似値であり、全ての場合において、用語「約」によって任意選択で修飾されるものとして理解される。これらの値は、本明細書の説明の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。そのような値は、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる変動性を本質的に含むことも理解される。
【0109】
当業者によって理解されるように、ありとあらゆる目的のために、特に書面による説明を提供することに関して、本明細書に列挙される全ての範囲はまた、ありとあらゆる可能な部分範囲及びそれらの部分範囲の組み合わせ、並びに範囲を構成する個々の値、特に整数値を包含する。列挙された範囲(例えば、重量パーセント又は炭素基)は、その範囲内の各特定の値、整数、小数、又は同一性を含む。任意の列挙された範囲は、同じ範囲が少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、又は10分の1に分解されることを十分に説明し、可能にするものとして容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下3分の1、中3分の1、上3分の1などに容易に分解することができる。
【0110】
また、当業者によって理解されるように、「まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「より大きい(greater than)」、「未満(less than)」、「より大きい(lmore than)」、「以上(or more)」等のような全ての言語は、記載された数を含み、そのような用語は、上で議論されたようなサブ範囲に後に分解され得る範囲を指す。同様に、本明細書に列挙される全ての比率は、より広い比率内に入る全ての下位比率も含む。したがって、ラジカル、置換基、及び範囲について記載された特定の値は、例示のためだけである。それらは、ラジカル及び置換基についての他の定義された値又は定義された範囲内の他の値を除外しない。
【0111】
当業者はまた、メンバーが、マーカッシュ群におけるように、一般的な様式で一緒にグループ化される場合、本発明は、全体として列挙されるグループ全体だけでなく、個々の群の各メンバー及び主要な群の全ての可能なサブグループを包含することを容易に認識する。更に、全ての目的のために、本発明は、メイングループだけでなく、グループメンバーのうちの1つ以上が存在しないメイングループも包含する。したがって、本発明は、列挙されたグループのメンバーのいずれか1つ以上の明示的な除外を想定する。したがって、但し書きは、開示されたカテゴリー又は実施形態のいずれかに適用されてもよく、それによって、列挙された要素、種、又は実施形態のいずれか1つ以上が、例えば、明示的な否定的限定において使用されるように、そのようなカテゴリー又は実施形態から除外されてもよい。
【国際調査報告】