(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-17
(54)【発明の名称】デバイスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C25B 11/087 20210101AFI20240510BHJP
B01J 35/39 20240101ALI20240510BHJP
B01J 27/24 20060101ALI20240510BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20240510BHJP
C25B 1/55 20210101ALI20240510BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240510BHJP
C25B 9/50 20210101ALI20240510BHJP
C25B 11/052 20210101ALI20240510BHJP
C25B 11/055 20210101ALI20240510BHJP
C25B 11/077 20210101ALI20240510BHJP
C25B 11/02 20210101ALI20240510BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20240510BHJP
【FI】
C25B11/087
B01J35/39
B01J27/24 M
C25B1/04
C25B1/55
C25B9/00 A
C25B9/50
C25B11/052
C25B11/055
C25B11/077
C25B11/02
H01L33/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552213
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 US2022018126
(87)【国際公開番号】W WO2022187133
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509009692
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァシティ オブ ミシガン
(71)【出願人】
【識別番号】523324638
【氏名又は名称】フランセスカ マリア トマ
(71)【出願人】
【識別番号】523324649
【氏名又は名称】荻津 格
(71)【出願人】
【識別番号】523324650
【氏名又は名称】トアン アン ファム
(71)【出願人】
【識別番号】523324661
【氏名又は名称】グオソン ゼン
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランセスカ マリア トマ
(72)【発明者】
【氏名】荻津 格
(72)【発明者】
【氏名】トアン アン ファム
(72)【発明者】
【氏名】グオソン ゼン
(72)【発明者】
【氏名】ゼティン ミ
(72)【発明者】
【氏名】シュリーニバス ヴァンカ
(72)【発明者】
【氏名】イシン シャオ
【テーマコード(参考)】
4G169
4K011
4K021
5F241
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA08
4G169AA11
4G169BA01A
4G169BA48A
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB11A
4G169BB11B
4G169BC17A
4G169BC17B
4G169BC52A
4G169BD05A
4G169BD05B
4G169BD06A
4G169BD06B
4G169CC33
4G169DA05
4G169HA01
4G169HB10
4G169HE09
4K011AA13
4K011AA20
4K011AA25
4K011AA66
4K011CA01
4K011DA01
4K021AA01
4K021BA02
4K021DA13
4K021DB18
4K021DC03
5F241AA21
5F241CA04
5F241CA40
5F241CB04
5F241CB36
(57)【要約】
【課題】動作中のデバイス表面の安定化を実現できるデバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】デバイスを製造する方法は、デバイスの基板を準備することと、デバイスの構造を形成することとを備える。構造は、基板によって支持され、半導体組成物を有し、窒素が存在する表面を含んでいる。方法は、さらに、表面に酸素を導入して、表面上に安定化層を形成することを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスを製造する方法であって、
デバイスの基板を準備することと、
デバイスの構造を形成することとを備え、
前記構造は、前記基板によって支持され、半導体組成物を有し、窒素が存在する表面を含んでおり、
前記方法は、さらに、前記表面に酸素を導入して、前記表面上に安定化層を形成することを備え、
前記酸素の導入は、安定化層が酸窒化物材料の均一な分布を含むように実施される、デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記安定化層は、活性層として構成されている、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項3】
前記安定化層は、パッシベーション層として構成されている、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項4】
前記酸素を導入することは、酸化反応を実施して前記安定化層を形成することを含む、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項5】
前記酸素を導入することは、電気化学的手順を実施することを含む、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項6】
前記電気化学的手順が、分のオーダーの時間で実施される、請求項5に記載のデバイスの製造方法。
【請求項7】
前記電気化学的手順は水分解反応を実施することを含み、この水分解反応ではデバイスが水に浸漬される、請求項5に記載のデバイスの製造方法。
【請求項8】
前記酸素を導入することは、前記表面をアニールすることを含む、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項9】
前記酸素を導入することは、前記表面上に酸素含有材料を堆積することを含む、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項10】
前記酸素含有材料が酸化物を含む、請求項9に記載のデバイスの製造方法。
【請求項11】
前記酸化物が酸化アルミニウムである、請求項10に記載のデバイスの製造方法。
【請求項12】
前記酸化物が酸化ハフニウムである、請求項10に記載のデバイスの製造方法。
【請求項13】
前記酸素を導入することは、前記酸素含有材料を堆積する前に、前記表面を処理することを含む、請求項9に記載のデバイスの製造方法。
【請求項14】
前記酸素を導入することは、前記酸素含有材料を堆積させた後に、前記表面をアニールすることを含む、請求項9に記載のデバイスの製造方法。
【請求項15】
前記酸素含有材料が強誘電体材料を含む、請求項9に記載のデバイスの製造方法。
【請求項16】
前記構造を形成することは、前記基板によって支持され、前記基板から外向きに延在する導電性突起のアレイを形成することを含み、前記導電性突起のアレイは前記構造を含む、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項17】
前記導電性突起のアレイを形成することは、前記導電性突起のアレイの各導電性突起がそれぞれのナノワイヤを含むように、分子ビームエピタキシ(MBE)成長手順を実施することを含む、請求項16に記載のデバイスの製造方法。
【請求項18】
前記MBE成長手順が、前記導電性突起のアレイの各導電性突起の側壁が窒素終端となるように、窒素リッチ条件下で実施される、請求項17に記載のデバイスの製造方法。
【請求項19】
基板がシリコンを含み、
前記構造の半導体組成物が窒化ガリウムを含み、その結果、前記酸窒化物材料がGaO
x N
1-xである、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項20】
前記安定化層が、約1つの単層から数個の単層までの範囲の厚さを有する、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項21】
前記表面が、前記半導体組成物の非極性面に沿って配向される、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項22】
前記表面が、前記半導体組成物の極性面に沿って配向される、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項23】
前記半導体組成物は、前記酸化反応を実施することにより、前記窒素の部分的酸素置換をもたらすように構成される、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項24】
前記半導体組成物が、ウルツ鉱型結晶構造を有する、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項25】
前記表面の窒素が、前記半導体組成物の化合物半導体配列中に配置される、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項26】
デバイスであって、
基板と、
半導体組成物を有する構造とを備え、前記構造は、前記基板によって支持され、前記構造は表面を含み、前記表面に窒素が存在するものであり、
前記デバイスは、さらに構造の表面に堆積した安定化層を備え、
前記安定化層は、酸窒化物材料の均一な分布を含む、デバイス。
【請求項27】
前記安定化層が、パッシベーション層として構成される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記構造は、トランジスタチャネルとして構成され、
前記デバイスは、さらにゲート酸化物層を備え、
前記安定化層は、前記トランジスタチャネルと前記ゲート酸化物層との間に配置され、前記トランジスタチャネルと前記ゲート酸化物層との間の界面を安定化する、請求項26に記載のデバイス。
【請求項29】
前記トランジスタチャネルは窒化ガリウムを含み、
前記ゲート酸化物層は酸化アルミニウムを含む、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記ゲート酸化物層が酸化ハフニウムを含む、請求項28に記載のデバイス。
【請求項31】
前記構造は、発光のために構成された半導体層のスタックを備える、請求項26に記載のデバイス。
【請求項32】
前記半導体層のスタックに隣接する金属コンタクト層をさらに備え、前記安定化層が、前記金属コンタクト層と前記半導体層のスタックとの間の界面に沿って配置される、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
半導体層のスタックは活性層を含み、
前記安定化層は、前記活性層の側壁に沿って配置される、請求項31に記載のデバイス。
【請求項34】
前記安定化層が活性化層として構成される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項35】
前記安定化層が、前記構造の前記表面に沿って触媒部位を画定するように構成される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項36】
前記表面が、前記半導体組成物の非極性面に沿って配向される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項37】
前記表面が、前記半導体組成物の極性面に沿って配向される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項38】
前記安定化層は、前記窒素の部分的酸素置換によって構成される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項39】
前記半導体組成物が、ウルツ鉱型結晶構造を有する、請求項26に記載のデバイス。
【請求項40】
前記表面の前記窒素は、前記半導体組成物の化合物半導体配列内に配置される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項41】
前記表面は側壁を含み、
前記安定化層は、前記側壁に沿って配置される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項42】
前記安定化層が、サブナノメートルの厚さから数ナノメートルの厚さまでの範囲内にある厚さを有する、請求項26に記載のデバイス。
【請求項43】
前記基板がシリコンを含み、
前記構造の半導体組成物が窒化ガリウムを含み、その結果、前記酸窒化物材料がGaO
x N
1-xである、請求項26に記載のデバイス。
【請求項44】
前記表面が触媒ナノ粒子を含まない、請求項26に記載のデバイス。
【請求項45】
前記基板によって支持され、前記基板から外側に延在する導電性突起のアレイをさらに備え、
前記導電性突起のアレイは前記構造を含み、
前記導電性突起のアレイの各導電性突起は、酸窒化物層によって保護された表面を有する、請求項26に記載のデバイス。
【請求項46】
請求項45に記載のデバイスに従って構成された作用電極を含む電気化学システム。
【請求項47】
デバイスであって、
基板と、
半導体組成物を有する構造とを備え、前記構造は前記基板によって支持され、前記構造は表面を含み、
前記デバイスは、さらに前記構造の前記表面上に配置された安定化層を備え、前記安定化層が酸窒化物材料を含み、
前記安定化層の前記酸窒化物材料が、前記構造の前記表面にわたって連続的に分布されている、デバイス。
【請求項48】
前記表面が、前記構造の非極性表面である、請求項47に記載のデバイス。
【請求項49】
前記非極性表面が、前記構造の格子のm面に沿って配向される、請求項48に記載のデバイス。
【請求項50】
前記非極性表面が、前記構造の側壁である、請求項48に記載のデバイス。
【請求項51】
前記構造の極性表面上に配置されたパッシベーションキャップをさらに備える、請求項48に記載のデバイス。
【請求項52】
前記極性表面が、前記構造の格子のc面に沿って配向される、請求項51に記載のデバイス。
【請求項53】
前記パッシベーションキャップが、窒化物材料または酸化物材料を含む、請求項51に記載のデバイス。
【請求項54】
前記非極性表面を部分的に覆うパッシベーション構造をさらに備える、請求項48に記載のデバイス。
【請求項55】
前記パッシベーション構造がパリレンを含む、請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
前記パッシベーション構造が、窒化物材料または酸化物材料を含む、請求項54に記載のデバイス。
【請求項57】
前記構造がナノワイヤとして構成される、請求項47に記載のデバイス。
【請求項58】
前記構造によって支持される電極をさらに備え、
前記安定化層が、前記構造と前記電極との間に配置される、請求項47に記載のデバイス。
【請求項59】
前記半導体組成物が窒素を含み、その窒素が前記表面に存在する、請求項47に記載のデバイス。
【請求項60】
前記半導体組成物が酸素を含み、その酸素が前記表面に存在する、請求項47に記載のデバイス。
【請求項61】
前記表面が、前記構造の極性表面である、請求項47に記載のデバイス。
【請求項62】
前記構造は、トランジスタチャネルとして構成され、
前記デバイスはゲート酸化物層をさらに備え、
前記安定化層は、前記トランジスタチャネルと前記ゲート酸化物層との間に配置され、前記トランジスタチャネルと前記ゲート酸化物層との間の界面を安定化する、請求項61に記載のデバイス。
【請求項63】
前記表面が、前記構造の格子のc面に沿って配向される、請求項61に記載のデバイス。
【請求項64】
前記半導体組成物が窒素を含み、その窒素が前記表面に存在する、請求項61に記載のデバイス。
【請求項65】
前記半導体組成物が酸素を含み、その酸素が前記表面に存在する、請求項61に記載のデバイス。
【請求項66】
前記構造の側壁に沿って配置されたパッシベーション構造を備え、前記側壁は前記構造の格子のm面に沿って配向されており、
前記パッシベーション構造と前記構造の前記側壁との間のさらなる安定化層を備える、請求項61に記載のデバイス。
【請求項67】
デバイスであって、
基板と、
半導体組成物を有する構造とを備え、前記構造は前記基板によって支持され、前記構造は非双極側壁表面を含み、
前記デバイスは、さらに
前記構造の非双極側壁表面に沿って配置されたパッシベーション構造と、
前記構造と前記パッシベーション構造との間に配置された安定化層とを備え、前記安定化層は酸窒化物材料を含む、デバイス。
【請求項68】
前記非双極側壁表面が、前記構造の格子のm面である、請求項67に記載のデバイス。
【請求項69】
前記パッシベーション構造は、前記非双極側壁表面を部分的に覆う、請求項67に記載のデバイス。
【請求項70】
前記安定化層は非双極側壁表面の全体を覆い、
前記パッシベーション層は、非双極側壁表面の全体を不動態化する、請求項67に記載のデバイス。
【請求項71】
デバイスを製造する方法であって、
装置の基板を準備することと、
前記基板によって支持され、半導体組成物を有し、表面を含むデバイスの構造を形成することと、
酸窒化物材料を含む安定化層を前記表面上に形成することと、
前記構造に隣接する絶縁構造を堆積することとを備え、前記安定化層は、前記構造の表面と前記絶縁構造との間に配置される、デバイスの製造方法。
【請求項72】
前記表面が、前記構造の非極性表面である、請求項71に記載のデバイスの製造方法。
【請求項73】
前記表面が、前記構造の極性表面である、請求項71に記載のデバイスの製造方法。
【請求項74】
前記絶縁構造を堆積することは、前記構造のc面表面を覆うことを含む、請求項71に記載のデバイスの製造方法。
【請求項75】
前記絶縁構造を堆積させることは、前記構造のm面表面を部分的に覆うことを含む、請求項71に記載のデバイスの製造方法。
【請求項76】
前記絶縁構造を堆積することは、前記安定化層を形成した後に、実施される、請求項71に記載のデバイスの製造方法。
【請求項77】
前記安定化層を形成することは、
前記表面上に酸素含有材料を堆積することと、
前記酸素含有材料を堆積する前に、前記表面を処理することとを備える、請求項71に記載のデバイスの製造方法。
【請求項78】
前記安定化層を形成することは、前記酸素含有材料の酸素から前記酸窒化物材料を形成するためのアニールを実施することをさらに含む、請求項77に記載のデバイスの製造方法。
【請求項79】
前記安定化層を形成することは、
前記表面上に窒素含有材料を堆積させることと、
前記窒素含有材料の窒素酸窒化物から材料を形成するためのアニールを実施することとをさらに備える、請求項71に記載のデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年2月26日に出願された「酸窒化物ベースの表面安定化」という名称の米国仮出願第63/154,428号の利益を主張し、その開示全体は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
[連邦支援調査または開発に関する記述]
本発明は、エネルギー省によって授与された契約番号DE-EE0008086の下で、および米国陸軍研究所によって授与された契約番号W911NF2110337の下で、政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
[発明の属する技術分野]
本開示は一般に、水分解および他の反応中における、ならびに他のタイプのデバイス動作中におけるデバイス表面の安定化および活性化に関する。
【背景技術】
【0002】
光電気化学(PEC)水分解は、地球上で最も豊富な2つの資源、太陽光と水を使用して、持続可能なクリーン燃料を生成する植物を擬態する。この太陽エネルギーから化学エネルギーへの変換を人工的に達成するための1つの一般的なスキームは、半導体材料を光電極中の電極触媒とモノリシックに統合することである。このアプローチでは、半導体は太陽エネルギーを効率的に回収し、一方、時には保護層としても作用する電気触媒は、過電位を低下させ、電荷キャリア移動を媒介し、固体/液体界面での化学反応のための活性部位を提供する。
【0003】
残念なことに、効率的な光吸収体は耐久性がない(例えば、Si、III-V)が、耐久性のある材料は不十分な効率(例えば、TiO2、SrTiO3)を示す。例えば、Si及びIII-V族化合物半導体の両方は、化学的及び光化学的腐食のために不十分な安定性に悩まされる。PV-EL(光起電性電気分解:photovoltaic electrolyser)デバイスと比較して、PECデバイスの光吸収体は、電解質と直接接触することが多く、より急速な分解をもたらす。半導体の腐食は、光照射の強度、バイアス条件、触媒、表面パッシベーション、半導体電子バンド構造、電解質組成、および半導体/電解質ならびに触媒/電解質の界面を含む多くの要因によって影響される。これらの要因は、熱力学的および動力学的保護スキームを探索することによって、潜在的に対処することができる。
【0004】
最近の努力は、安定な光電極を得るために安定なコーティングを提供することに向けられている。これらのコーティングは通常、触媒と組み合わされた電荷輸送層の組合せであり、したがって、効率的な電荷収集および分離を促進し、腐食を防止する。水素発生反応(HER)のための触媒の存在下でのSi系光電陰極の保護のために、種々の酸化物、窒化物、セレン化物、および硫化物材料が研究されている。これらの中で、窒化ガリウム(GaN)は、Nに富む表面の化学的に安定な性質のため、興味深い選択肢である。GaNは、最適な電子輸送を提供するための2つの材料のほぼ理想的なバンドアラインメントのため、シリコン光電陰極の効率的な保護層として適している。
【0005】
光電極の安定性を高めるために、他の保護スキームが開発されている。所定の光電極に対する動力学的保護は、安定な表面保護層と高活性共触媒との相乗的組合せを使用することによって可能である。装置の安定性をさらに改善するために、他の光電極は、適当な共触媒の使用に加えて、不動態化層として、TiO2、Al2 O3、およびIrOxなどの比較的厚い金属酸化物を使用してきた。これらの装置の安定性は改善されているが、1つの主な問題は、不十分な電荷移動、および場合によっては保護層による望ましくない光吸収による光電流の損失である。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様によれば、デバイスを製造する方法は、デバイスの基板を準備することと、デバイスの構造を形成することとを備える。構造は、基板によって支持され、半導体組成物を有し、窒素が存在する表面を含む。方法は、さらに表面に酸素を導入して表面上に安定化層を形成することを含む。酸素を導入することは、安定化層が酸窒化物材料の均一な分布を含むように実施される。
【0007】
本開示の別の態様によれば、装置は、基板と、半導体組成物を有する構造とを含む。構造は、基板によって支持され、表面に窒素が存在する表面を含む。装置は、さらに構造の表面に配置された安定化層を含む。安定化層は、酸窒化物材料の均一な分布を含む。
【0008】
本開示の別の態様によれば、装置は基板と、半導体組成物を有する構造とを備える。構造は、基板によって支持され、表面を含む。装置は、さらに構造の表面上に配置された安定化層を含む。安定化層は、酸窒化物材料を含む。安定化層の酸窒化物材料は、構造の表面にわたって連続的に分布している。
【0009】
本開示の別の態様によれば、装置は、基板と、半導体組成物を有する構造とを備える。構造は、基板によって支持され、非双極側壁表面を含む。装置は、さらに構造の非双極側壁表面に沿って配置される不動態化構造(パッシベーション構造)と、構造と不動態化構造との間に配置される安定化層を備える。安定化層は、酸窒化物材料を含む。
【0010】
本開示の別の態様によれば、デバイスを製造する方法はデバイスの基板を準備することと、デバイスの構造を形成することとを備える。構造は、基板によって支持され、半導体組成物を有し、表面を含む。方法は、さらに表面上に安定化層を形成することを備える。安定化層は、酸窒化物材料を含む。方法は、さらに、構造の表面と絶縁構造との間に安定化層が配置されるように、構造に隣接して絶縁構造を堆積すること、を含む。
【0011】
前述の態様のいずれか1つに関連して、本明細書で説明される方法、装置、および/またはシステムは、代替的にまたは追加的に、以下の態様または特徴のうちの1つまたは複数の任意の組合せを含み得る。
【0012】
安定化層は、活性化層として構成される。安定化層は、パッシベーション層として構成される。
【0013】
酸素を導入することは、酸化反応を実施して安定化層を形成することを含む。酸素を導入することは、電気化学的手順を実施することを含む。電気化学的手順は、数分程度の時間実施される。電気化学的手順は、装置が水に浸漬される水分解反応を実施することを含む。酸素を導入することは、表面をアニールすることを含む。酸素を導入することは、表面上に酸素含有材料を堆積することを含む。酸素含有材料は酸化物を含む。酸化物は酸化アルミニウムである。酸化物は酸化ハフニウムである。
【0014】
酸素を導入することは、酸素含有材料を堆積する前に、表面を処理することを含む。酸素を導入することは、酸素含有材料を堆積させた後に、表面をアニールすることをさらに含む。酸素含有材料は、強誘電体材料を含む。
【0015】
構造を形成することは、基板によって支持され、基板から外側に延在する導電性突起のアレイを形成することを含み、導電性突起のアレイは構造を含む。導電性突起のアレイを形成することは、導電性突起のアレイの各導電性突起がそれぞれのナノワイヤを含むように、分子ビームエピタキシ(MBE)成長手順を実施することを含む。MBE成長手順は、導電性突起のアレイの各導電性突起の側壁が窒素終端となるように、窒素リッチ条件下で実施される。
【0016】
基板はシリコンを含む。この構造の半導体組成物は、酸窒化物材料がGaOx N1-xとなるような窒化ガリウムを含む。
【0017】
安定化層は、約1つの単分子層から数個の単分子層までの範囲の厚さを有する。表面は、半導体組成物の非極性面に沿って配向される。表面は、半導体組成物の極性面に沿って配向される。半導体組成物は、酸化反応を実施することによって窒素の部分的酸素置換をもたらすように構成される。半導体組成物は、ウルツ鉱型結晶構造を有する。表面の窒素は、半導体組成物の化合物半導体配列中に配置される。
【0018】
安定化層は、パッシベーション層として構成される。この構造は、トランジスタチャネルとして構成される。装置は、ゲート酸化物層をさらに含む。安定化層は、トランジスタチャネルとゲート酸化物層との間に配置され、トランジスタチャネルとゲート酸化物層との間の界面を安定化する。トランジスタチャネルは、窒化ガリウムを含む。ゲート酸化物層は、酸化アルミニウムを含む。ゲート層は、酸化ハフニウムを含む。
【0019】
この構造は、発光のために構成された半導体層のスタックを含む。装置は半導体層のスタックに隣接する金属コンタクト層をさらに含み、安定化層は、金属コンタクト層と半導体層のスタックとの間の界面に沿って配置される。半導体層のスタックは活性層を含む。安定化層は、活性層の側壁に沿って配置される。安定化層は、活性化層として構成される。安定化層は、構造体の表面に沿って触媒部位を定義するように構成される。
【0020】
表面は、半導体組成物の非極性面に沿って配向される。表面は、半導体組成物の極性面に沿って配向される。安定化層は、窒素の部分的酸素置換で構成される。半導体組成物は、ウルツ鉱型結晶構造を有する。表面の窒素は、半導体組成物の化合物半導体配列中に配置される。表面は側壁を含む。安定化層は、側壁に沿って配置される。
【0021】
安定化層は、サブナノメートルの厚さから数ナノメートルの厚さまでの範囲の厚さを有する。基板はシリコンを含む。この構造の半導体組成は、酸窒化物材料がGaOx N1-xとなるような窒化ガリウムを含む。表面は、触媒ナノ粒子を含まない。
【0022】
装置は、基板によって支持され、基板から外側に延在する導電性突起のアレイをさらに含む。導電性突起のアレイは構造を含む。導電性突起のアレイの各導電性突起は、酸窒化物層によって保護された表面を有する。
【0023】
電気化学システムは、本明細書に記載のデバイスに従って構成された作用電極を含む。表面は、構造の非極性表面である。非極性表面は、構造の格子のm面に沿って配向される。非極性表面は、構造の側壁である。
【0024】
装置は、構造の極性表面上に配置されたパッシベーションキャップをさらに含む。極性表面は、構造の格子のc面に沿って配向される。パッシベーションキャップは、窒化物材料または酸化物材料を含む。装置は、非極性表面を部分的に覆うパッシベーション構造をさらに含む。不動態化構造はパリレン(parylene)を含む。パッシベーション構造は、窒化物材料または酸化物材料を含む。
【0025】
構造は、ナノワイヤとして構成される。装置は、構造によって支持された電極をさらに含む。安定化層は、構造体と電極との間に配置される。半導体組成物は、表面に窒素が存在するように窒素を含む。半導体組成物は、表面に酸素が存在するように酸素を含む。表面は、構造の極性表面である。この構造は、トランジスタチャネルとして構成される。
【0026】
装置は、ゲート酸化物層をさらに含む。安定化層は、トランジスタチャネルとゲート酸化物層との間に配置され、トランジスタチャネルとゲート酸化物層との間の界面を安定化する。表面は、構造の格子のc面に沿って配向される。半導体組成物は、表面に窒素が存在するように窒素を含む。半導体組成物は、表面に酸素が存在するように酸素を含む。
【0027】
装置は、構造の側壁に沿って配置され、構造の格子のm面に沿って配向されるパッシベーション構造と、パッシベーション構造と構造の側壁との間のさらなる安定化層とをさらに含む。非双極側壁表面は、構造の格子のm面である。パッシベーション構造は、非双極側壁表面を部分的に覆う。安定化層は非双極側壁表面の全体を覆い、不動態化層は、非双極側壁表面の全体を不動態化する。表面は、構造体の非極性表面である。表面は、構造体の極性表面である。
【0028】
絶縁構造を堆積することは、構造のc面表面を覆うことを含む。絶縁構造を堆積することは、構造のm面表面を部分的に覆うことを含む。絶縁構造の堆積は、安定化層を形成した後に、実施される。安定化層を形成することは、表面上に酸素含有材料を堆積させることと、酸素含有材料を堆積させる前に表面を処理することとを含む。安定化層を形成することは、酸素含有材料の酸素から酸窒化物材料を形成するためのアニールを実施することをさらに含む。安定化層を形成することは、表面上に窒素含有材料を堆積させることと、窒素含有材料の窒素から酸窒化物材料を形成するためのアニールを実施することとを含む。
【0029】
本開示のより完全な理解のために、以下の詳細な説明および添付の図面が参照されるべきである。図面において、同様の要素は、同様の参照番号で識別される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】一実施例による、水分解による水素発生の安定な活性化のための安定化層を有するナノ構造のアレイを有する光電陰極を有する電気化学システムの概略図およびブロック図である。
【
図2】一例による、安定化層を有する光電陰極を製造する方法のフロー図である。
【
図3】一実施例による安定化層を有する電子デバイスの概略断面図である。
【
図4】いくつかの実施例による、表面活性化を安定化させるための酸窒化物層を有する光電陰極を含む、いくつかの光電陰極の光電流密度のグラフプロットを示す。
【
図5】一例による、表面活性化を安定化させるための、酸窒化物層を有さない光電陰極および酸窒化物層を有する光電陰極の地形図を、光電陰極の表面プロファイルおよび光電流のグラフプロットと共に示す。
【
図6】一実施例による、表面活性化を安定化させるための、酸窒化物層および酸窒化物層を有する光電陰極を有さない光電陰極の走査透過電子顕微鏡(STEM)画像および電子エネルギー損失分光法(EELS)マッピングを、光電陰極の化学分析のグラフプロットと共に示す。
【
図7】窒化ガリウム表面の化学的構成の概略図と共に、酸素による窒素の置換度を変化させた窒化ガリウム表面の形成エネルギーのグラフプロットを示す。
【
図8】窒化ガリウムのウルツ鉱構造の概略図、及び窒化ガリウムのウルツ鉱構造の平面の概略図を、窒化ガリウム表面の原子間力顕微鏡(AFM)及び高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)画像と共に示す。
【
図9】密度関数理論(DFT)シミュレーションのための窒化ガリウムおよび酸窒化ガリウム表面の化学的構成の概略図を示す。
【
図10】一例に係る安定化層を有する発光素子の概略断面図である。
【
図11】別の実施例による安定化層を有する発光デバイスの概略断面図である。
【
図12】電解質に曝露された双極c平面表面または非双極m平面表面のいずれかを有するナノ構造を有する例示的な装置の概略斜視図、ナノ構造の走査電子顕微鏡画像、および双極c平面の上面および非双極m平面の側壁をより詳細に示すためのGaN構造のウルツ鉱構造の概略図を示す。
【
図13】(a)AM1.5Gの一日照度で0.5 M H
2 SO
4の双極c面または非双極m面を有する装置の線形掃引ボルタンメトリーカーブと、(b)光電流と、露出した非双極m面を有する装置の水素発生量とのグラフプロットであり、ほぼ100%のファラデー効率を示している。
【
図14】双極c平面または非双極m平面を有する例示的な装置のナイキストプロットを、例示的な装置のMott-Schottky測定値のグラフプロットと共に示す。
【
図15】一日光照射下で実施例パリレン被覆GaNナノワイヤを有する例示的な装置の線形走査ボルタモグラムのグラフプロットを、例示的な装置のうちの2つの概略図と共に示す。
【
図16】c面およびm面での酸素置換による酸窒化ガリウム形成の密度関数理論(DFT)構成の模式図と、酸素置換によって誘起されるバンド曲げの模式図を示す。
【
図17A】一例による、パッシベーションされたc面を有するナノ構造体の概略図である。
【
図17B】一例による、パッシベーションされたc表面および部分的にパッシベーションされたm表面を有するナノ構造体の概略図である。
【
図17C】一例に従って安定化された表面を有する平面ナノ構造を有する装置の概略図である。
【
図18】複数の実施例による、安定化層を有するデバイスを製造する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
開示される装置、システム、および方法の実施形態は、様々な形態をとることができる。具体的な実施形態は図面および以下に記載される内容に示されたものであり、本開示が意図するものは例示的であることを理解されたい。すなわち本開示は、本発明が本明細書に記載され図示された特定の実施形態に限定されることを意図していない。
【0032】
光電気化学、光触媒、電子、および他のシステムおよびデバイスが記載される。場合によっては開示されるシステムおよびデバイス(例えば、光電極)は水分解および他の化学反応のために構成され得る。装置(例えば、光電極または光触媒装置)を製造する方法も記載される。光電極または他のデバイスはその1つ以上の表面上に配置された安定化層(例えば、安定化活性化層)を含む。
【0033】
安定化層は、酸窒化物材料を含む。本明細書に記載されるように、開示される方法は酸素を構造表面に組み込むこと(例えば、構造表面を酸化すること)を含み、酸窒化物材料(例えば、連続的なまたは他の均一な分布の酸窒化物材料)を形成する。例えば、酸窒化物材料の連続的な又は他の均一な分布を形成するように構成された酸化反応を実施することができる。場合によっては、酸窒化物分布の均一性が、表面の各窒素サイトでの酸窒化物材料の包括的な形成に関連し得る。分布が均一である代替的または追加的な方法を以下に示す。
【0034】
酸窒化物材料の組成は様々であってよい。例えば、窒素対酸素の比は変化し得る。したがって、場合によっては、酸素組成が表面からの距離が増加することにつれて変化し得る(例えば、減少し得る)。酸窒化物材料はOxN1-xのように、様々な酸素濃度を有することができる。例えば、GaN素子構造を有する装置では、酸窒化物材料はGaOxN1-xであっても良いし、それを含んでもよい。したがって、このような場合の安定化層は、非常に薄い層(例えば、1nm以下)のガリウムおよび酸化物(例えば、ガリウム酸窒化物の上に)と組み合わされたガリウム酸窒化物(酸窒化ガリウム)を含むことができ、GaOXN1-Xの領域は、表面からの距離が増加するにつれて酸素濃度が減少する。したがって、安定化層の酸窒化物材料への言及は、様々なレベルの酸素含有量を有する材料を含むことができる。酸素含有量レベルは例えば、表面配向、周囲環境(例えば、電解質、金属層、不動態化層など)、および/または処理条件を含む、いくつかの要因によって変化し得る。いずれの場合も、安定化層の酸窒化物材料は以下に記載されるように、表面安定化およびデバイス性能向上を提供する。酸窒化物材料は、代替または追加の方法で変化してもよい。例えば、窒素および酸素は無秩序であり得る。場合によっては、窒素および酸素の配置が交換され得るか、または他の方法で変化し得る。
【0035】
場合によっては、酸窒化物層が活性化層として構成される。例えば、酸窒化物層は、デバイス表面に沿って触媒部位を確立するか、そうでなければ画定することによって、デバイス表面を活性化することができる。代替的にまたは追加的に、酸窒化物層は、効率的な電荷移動のためにデバイス表面に沿った部位を確立するかまたはそうでなければ画定することによって、デバイス表面を活性化することができる。したがって、発光デバイスの金属-半導体界面などの界面に現れる抵抗を減少させることができる。したがって、酸窒化物層の活性化態様は本明細書のいくつかの実施例に関連して説明されるように、開示される装置の効率または性能を改善することができる。
【0036】
そのような活性化機能を提供することに加えて、安定化層は、デバイス表面の保護または他の安定化を提供することができる。したがって、安定化層が配置される構造は、より耐久性があり得る。例えば、電気化学的な場合、安定化層は、腐食または他の劣化に対する保護を提供することができる。そのような保護または他の安定化は、デバイス性能に悪影響を及ぼすことなく達成される。実際、逆に、酸窒化物層はそのような保護または他の安定化を提供しながら、デバイス性能を予想外に改善する。
【0037】
場合によっては、安定化層が活性化層ではなくパッシベーション層として構成される。安定化層は、トランジスタチャネルなどのデバイス構造と、トランジスタゲート酸化物などの隣接構造との間の界面を安定化するために使用され得る。安定化層はその間の界面を安定化するために、そのような構造の間に配置されてもよい。場合によっては、安定化層が電子デバイスの界面における界面トラップを低減し得る。そのような低減は、トランジスタおよび多種多様な他の電子デバイスの動作中に有用であり得る。安定化層は例えば、従来のように不安定な界面(例えば、III族窒化物界面などの高誘電率界面)をより化学的に安定にすることを含む、代替または追加の安定化機能を提供し得る。そのような増大した安定性は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、フィン電界効果トランジスタ(FinFET)、および垂直トランジスタなどの広範囲の電子デバイスとの関連で有用であり得る。さらに、電流漏れおよび/または表面再結合を低減するように構成されたパッシベーション層を介して、発光デバイスに関連して、さらなる安定化を提供することができる。
【0038】
水分解および他の化学反応はソーラー駆動(例えば、ソーラー水分解)であってもよい。したがって、開示される装置、システム、および方法は、場合によっては人工光合成を実施すると考えられ得る。場合によっては、開示される装置やシステムは、ナノワイヤまたは他のナノ構造などの導電性突起のアレイを含む。各ナノ構造または他の導電性突起は、水分解または他の化学反応のための触媒を支持し、あるいは提供するための構造を確立することができる。他の場合には、開示された装置が、平面構造を含む他のタイプの構造で構成されてもよい。例えば、装置の機能性は、基板によって支持されるいくつかの平面構造によって代わりに提供されてもよい。
【0039】
開示される方法、装置、およびシステムは、窒素を含む表面を有する構造を含む。例えば、トランジスタの場合、構造は、窒素ベースの表面を確立する化合物半導体から構成されるか、またはそうでなければそれを含むトランジスタチャネルであり得る。ナノ構造のアレイを含む光電極の場合、各ナノ構造は、窒素ベースの表面を確立する化合物半導体から構成され得るか、またはそうでなければそれを含み得る。代替または追加の表面保護が、表面の窒素ベースの態様によって提供されてもよい。例えば、ナノ構造は、表面が窒素終端である配置のGaNから構成されてもよい。そのような窒素終端は、構造の保護または他の安定化をなし得る。代替的に又は追加的に、開示される光電極又は他のデバイスは、窒素又は他の窒素系層が配置される1つ以上の表面を有する可能性がある。
【0040】
ナノワイヤアレイに関連して説明されているが、本明細書に説明される表面安定化および活性化スキームは様々な異なるデバイス構造に適用され得る。様々な平面触媒表面は、窒素を含むように修正されてもよい。例えば、窒素層(または他の窒素ベースの層)は、様々な異なる電極表面に堆積されるか、または他の方法で適用され得る。
【0041】
開示される装置及びシステムによって提供される光電気化学的、光触媒的、および他の水分解は、太陽-水素変換を含み得る。開示される装置及びシステムは、光電気化学的水分解および/または他の水分解(例えば、光触媒水分解)の効率の改善を提供する。開示される装置及びシステムは、効率改善に向けられる1つまたは複数の他の態様を含み得る。例えば、構造は、第2の接合部を提供するように構成されたマルチバンドInGaNナノワイヤアレイなどの二重接合部構成を含むことができる。
【0042】
光電気化学的水分解に関連して記載されているが、開示される装置及びシステムは他の化学反応および応用において使用されてもよい。例えば、開示された装置及びシステムは、様々なタイプの光触媒及び/又は他のシステムに関連して、及び/又は例えば、アンモニアへの窒素還元、様々な燃料及び他の化学物質へのCO2還元、及び様々な化学物質の生成のためのC-H結合の活性化を含む他の反応に関連して、有用であり得る。
【0043】
本明細書では水分解のためのGaNベースのナノワイヤアレイを有する電極に関連して説明するが、開示される装置及びシステムはGaNベースのナノワイヤアレイに限定されない。多種多様な他のタイプのナノ構造および他の導電性突起を使用することができる。場合によっては、開示されたシステムの電極が突起のアレイを含まず、代わりに平面デバイスである。したがって、水分解が実施される電極の性質、構造、構成、特性、形状、および他の態様は変化し得る。
【0044】
開示される方法およびデバイスの表面安定化および活性化はまた、電気化学的または他の化学的状況に限定されない。本明細書では電界効果トランジスタに関連して説明するが、表面安定化は様々な電子的状況において適用することができる。例えば、開示される装置は、任意のタイプの光電子装置、光電子装置、または他の電子装置であり得る。そのような場合、開示される方法によって形成される構造は例えば、トランジスタ構造以外の構造を含む、他の様々なタイプのデバイス構造であってもよく、またはそれを含んでもよい。開示される方法およびデバイスの安定化層の酸窒化物材料によって構造の表面を保護するか、または安定化する態様は、それに応じて変更し得る。
【0045】
図1は、水分解による水素発生のためのシステム100を示す。システム100はまた、他の反応のために構成されてもよい。システム100は、電気化学システムとして構成されてもよい。この実施例では、電気化学システム100が、太陽光および/または他の放射が水素発生および水分解を促進するために使用される光電気化学(PEC)システムである。水分解は本明細書に記載されるように、補助されてもよいし、補助されなくてもよい。PECシステム100が照明される態様は、いろいろと変わる。放射線の波長および他の特性は、それに応じて変化し得る。
【0046】
電気化学システム100は、1つ以上の電気化学セル102を含む。単一の電気化学セル102が、図示および説明を容易にするために示されている。電気化学セル102および電気化学システム100の他の構成要素は図示を容易にするために、
図1に概略的に示されている。細胞102は、電解液104を含む。場合によっては、CO
2および/または他の供給源が適用される。場合によっては、電解液はCO
2で飽和される。重炭酸カリウムKHCO
3を電解質として使用することができる。以下に記載されるように、追加のまたは代替の電解質が使用され得る。電気化学システム100の実施例に関するさらなる詳細は、以下に提供される。
【0047】
図1の実施例では、電気化学セル102が3電極構成を有する。電気化学セル102は作用電極108と、カウンタ電極110と、参照電極112とを含み、その各々は、電解質104に浸漬される。カウンタ電極110は、白金ワイヤなどの金属ワイヤであってもよく、またはそれを含んでもよい。参照電極112は、可逆水素電極(RHE)として構成されてもよい。参照電極112の位置決めは、図示の例とは異なっていてもよい。例えば、参照電極112は、他の場合にはカウンタ電極110に隣接することができる。カウンタ電極110および参照電極112の構成は、様々であってよい。例えば、カウンタ電極110は水酸化(2H
2 O O
2+4e
-+4H
+)が起こる光陽極として構成され得るか、またはそうでなければ、光陽極を含み得る。場合によっては、カウンタ電極110がIrOx電極として構成されるか、またはIrOx電極を含む。電気化学セルの構成は、様々であってよい。例えば、他の場合には、2電極または他の構成を使用することができる。
【0048】
水素の発生は、以下のように作用電極108で起こる:
水素発生:2H+ + 2e- ⇔ H2
そのために、電子は、カウンタ電極110から電気化学セル102の外部の回路経路を通って流れ、作用電極108に到達することができる。したがって、作用電極108およびカウンタ電極110は、それぞれカソードおよびアノードと考えることができる。
【0049】
図1の例では、作用電極およびカウンタ電極が膜114、例えばプロトン交換膜によって互いに分離されている。膜114の構造、組成、形態、および他の特性は変化し得る。
【0050】
場合によっては、バイアス電圧は印加されない(例えば、非補助システムにおいて)。
図1の実施例では、回路経路が電気化学システム100の電圧源116を含む。電圧源116は、作用電極108とカウンタ電極110との間にバイアス電圧を印加するように構成される。バイアス電圧は、CO
2還元対水素(H
2)発生の比、および/または別の反応比を確立するために使用することができる。回路経路は、追加のまたは代替の構成要素を含み得る。例えば、回路経路は、場合によってはポテンショメータを含んでもよい。
【0051】
この実施例では、作用電極108が光電陰極として構成される。太陽光放射などの光118は、図示のように作用電極108に入射することができる。したがって、電気化学セル102は、光電気化学セルと見なされ、光電気化学セルとして構成され得る。そのような場合、作用電極108の照明によって、電荷キャリアを作用電極108内に生成させることができる。次に、作用電極108の表面に到達する電子を水素発生に使用することができる。光生成された電子は、電流経路を介して提供される電子を増強することができる。代替的に又は追加的に、電流経路を介して提供される電子は、裏面又は他の接点において光生成された正孔と再結合することができる。光電陰極の実施例に関するさらなる詳細は、以下に提供される。
【0052】
作用電極108は、基板120を含む。作用電極108の基板120は、作用電極108のアーキテクチャ、足場、または他の支持構造の一部を構成することができる。基板120は均一であってもよいし、複合体であってもよい。例えば、基板120は、任意の数の層または他の構成要素を含むことができる。したがって、基板120は、モノリシックであってもなくてもよい。また、基板120の形状は様々であってもよい。例えば、基板120は、平面または平坦であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0053】
図1の実施例では、基板120がドープされ、そうでなければ接合部を提供するように構成される。したがって、作用電極108の基板120は、電荷キャリアの光生成に関連して活性(機能的)であり得る。代替的に又は追加的に、基板120は受動的(例えば、構造的)である。基板120は以下に説明するように、作用電極108の触媒配置のための支持構造として構成され、作用することができる。代替的に又は追加的に、基板120は、作用電極108の触媒配置の成長又は他の堆積に適した材料から構成されてもよく、又は他の方法で材料を含んでもよい。
【0054】
能動的または機能的な場合、基板120は、光吸収材料を含むことができる。光吸収材料は、太陽光又は他の照明の際に電荷キャリアを生成するように構成される。光吸収材料は、入射光が基板内に電荷キャリア(電子-正孔対)を生成するようにバンドギャップを有する。基板120の一部または全部は、電子-正孔対の光生成のために構成されてもよい。そのために、基板120は半導体材料を含むことができる。場合によっては、基板120がシリコンから構成されるか、またはシリコンを含む。例えば、基板120は、シリコンウェハとして提供されてもよい。
【0055】
シリコンは、ドープされてもよい。
図1の実施例では、基板120が高濃度n型ドープ層122と、中濃度または低濃度p型ドープ層123と、高濃度p型ドープ層124とを含む。層122~124の配置は、基板120内の接合部を確立する。ドーピング配置は変化してもよい。たとえば、基板120の1つまたは複数の構成要素は、非ドープ(真性)であり得るか、または事実上非ドープであり得る。基板120は例えば、支持体または他の構造層を含む、代替または追加の層を含んでもよい。他の場合には、基板120は光を吸収しない。
【0056】
作用電極108の基板120は、いくつかの構造が提供される表面を確立する。各構造は、基板120上に配置されるか、または基板120によって支持され得る。この実施例では、構造が触媒配置を提供するように構成される。この場合、構造は、触媒機能性を提供するように構成される。そのような場合、構造は触媒ナノ粒子を含まない。他の場合には、構造が電極108の触媒(例えば、触媒ナノ粒子)のための支持構造または足場として構成される。以下で説明するように、構造は、基板120の表面から外側に延びる導電性突起のアレイを含むことができる。他の場合には、構造が導電性突起として構成されていないか、または導電性突起を含んでいない。たとえば、構造は、基板120によって支持される1つまたは複数の層など、1つまたは複数の平面構造を含み得る。
【0057】
図1の実施例では、作用電極100が基板120によって支持されたナノ構造126(または他の導電性突起)のアレイを含む。各ナノ構造126は基板120から電荷キャリア(例えば、電子)を抽出するように構成される。抽出は水素発生に使用するために、ナノ構造126に沿って電子を外部部位に運ぶ。場合によっては、各ナノ構造体126がナノワイヤとして構成される。
【0058】
各ナノ構造126および/または基板120によって支持された他の構造は、半導体組成を有する。場合によっては、半導体組成物が半導体コア128であるか、またはそうでなければそれを含む。例えば、芯(コア)128は、窒化ガリウム(GaN)などのIII-V族窒化物半導体材料から構成され得るか、またはそれを含み得る。例えば、窒化インジウムガリウム(InGaN)および/または他のIII-V族窒化物半導体材料を含む、追加のまたは代替の半導体材料を使用することができる。
【0059】
各ナノワイヤまたは他のナノ構造126のコア128は基板120の平面から外側(例えば、上方)に延在する、柱状、ポスト形状、または他の細長い構造であってもよく、またはそれらを含んでもよい。半導体ナノワイヤまたは他のナノ構造126は、米国特許第8,563,395号に記載されているように成長または形成することができ、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。ナノ構造126は、本明細書ではナノ構造126または他の導電性突起の寸法、サイズ、形状、組成、および他の特性が変化し得ることを理解しつつ、ナノワイヤとして言及され得る。
【0060】
各ナノ構造体126の半導体組成物は、電気化学システム100によって支持される反応(複数可)を促進するように構成されてもよいし、されなくてもよい。場合によっては、半導体組成物が電荷キャリアの光生成のために構成されてもよい。代替的に又は追加的に、半導体組成物は、反応のための触媒として作用するように構成されてもよい。半導体組成物は例えば、基板120の保護を含む他の機能を提供することができる。上述のように、半導体組成物は、GaNおよび/またはInGaNを含むことができる。GaNを含むいくつかの実施例に関するさらなる詳細が、以下に提供される。例えば、窒化インジウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、シリコン、および/またはそれらの合金を含む、追加のまたは代替の半導体材料を使用することができる。
【0061】
各ナノ構造126の半導体組成物は、光電極108の表面パッシベーションおよび/または他の保護を提供または支持するように構成され得る。本明細書に記載されるように、窒素は、各ナノ構造体126の1つ以上の表面130に存在する。したがって、表面130は窒素を含むと考えることができる。例えば、場合によっては、半導体組成物が窒素で終端とされる。ナノ構造126の窒素終端または他の窒素ベースの態様は、動作中のナノ構造126および/または電極108の他の構成要素(例えば、基板120)を、例えば腐食から保護することができる。他の場合には、代替または追加の窒素ベースの保護スキームを使用することができる。例えば、窒素を含む層を、各ナノ構造126および/または電極108の他の要素の表面に沿って堆積させるか、または配置することができる。本明細書に記載されるように、窒素は、様々な方法で表面に存在し得る。場合によっては窒素が表面の下(例えば、約1nm下方)に配置され得るが、機能的に活性である(例えば、酸窒化物層の形成のために化学的に活性である)ように、表面の十分近くに配置され得る。したがって、「at(で)」、「present(存在する)」および「presence(存在)」という用語は、本明細書では、窒素が表面に機能的に存在する様々な状況を含むように使用される。それによって、窒素が表面上にのみ配置される場合に限定されるのではなく、窒素原子が表面に沿って、または表面の活性のために機能的である(例えば、表面での酸化反応に関連して化学的に機能的である)ように表面に十分近くに配置される状況を含む。
【0062】
ナノ構造126は、1つまたは複数の方法で水素発生および/または別の化学反応を促進することができる。例えば、各ナノ構造体126は基板120内で生成された電荷キャリア(例えば、電子)を抽出するように構成され得る。抽出は、水素発生および/または他の化学反応に使用するために、ナノ構造126の表面130に沿って電子を外部部位に運ぶ。ナノ構造122の組成はまた、以下に説明するように、水素発生および/または別の化学反応によく適した界面を形成してもよい。
【0063】
各ナノ構造126は、基板120の平面から外側(例えば、上方)に延在する、柱状、ポスト形状、または他の細長い構造であってもよく、またはそれらを含んでもよい。ナノ構造体126の寸法、サイズ、形状、組成、および他の特性は変化してもよい。例えば、各ナノ構造体126は、ナノワイヤのように細長くてもよいし、細長くなくてもよい。したがって、様々な形状のナノ結晶など、基板120からの他のタイプのナノ構造を使用することができる。
【0064】
場合によっては、ナノ構造126が照明時に電子-正孔対を生成するように構成される。例えば、ナノ構造122は、電極108の他の光吸収成分とは異なる周波数で光を吸収するように構成されてもよい。例えば、基板120などの1つの光吸収部品は、可視または赤外波長範囲における吸収のために構成されてもよく、別の部品は紫外波長の光を吸収するように構成されてもよい。他の場合には、ナノ構造126が電極108の唯一の光吸収成分である。さらに他の場合には、基板120が電極108の唯一の光吸収成分である。
【0065】
各ナノ構造126は、半導体材料の層状またはセグメント化された配列を含むことができる。例えば、III族窒化物の例では、配列の層またはセグメントが異なるIII族(例えば、インジウムおよびガリウム)組成を有し得る。配置における1つ以上の層またはセグメントは、それぞれの波長範囲の吸収のために構成されてもよい。他の層またはセグメントは、トンネル接合を確立することに向けられてもよい。各ナノ構造体126はまた、追加のまたは代替のセグメントを含んでもよい。
【0066】
他の場合には、半導体材料の層状配置も、四重バンド構造などのマルチバンド構造を確立するために使用される。配列の各層またはセグメントは、異なるバンドギャップを確立するために、異なる半導体組成を有する可能性がある。異なるバンドギャップは、異なる波長の光を吸収することに関連して有用であり得る。例えば、トリプルバンド構造を含む、マルチバンド構造の形成および形態に関するさらなる詳細は、米国特許第9,112,085号(「高効率広帯域半導体ナノワイヤ装置」)および米国特許第9,240,516号(「高効率広帯域半導体ナノワイヤ装置」)に提供されており、その開示全体が参照により組み込まれる。他の層状または非層状配列を、開示された装置の構造の半導体組成物に使用することができる。
【0067】
各ナノワイヤ126の半導体組成は、追加の方法で水分解の効率を改善するように構成されてもよい。例えば、場合によっては、各ナノワイヤ126の半導体組成が電荷キャリアの分離および抽出を促進するようにドーピングすること、ならびに光化学ダイオードの確立を促進するようにドーピングすることを含むことができる。例えば、半導体組成物のドーパント濃度は、横方向に変化してもよい。
【0068】
III族窒化物組成物を含む実施例では、ドーパントがマグネシウムであってもよいし、マグネシウムを含んでもよい。マグネシウムドーピングが電荷キャリアの分離および抽出を促進する態様に関するさらなる詳細は、米国特許第10,576,447号(「光化学的水分解に関する方法およびシステム」)に記載されており、その開示全体が参照により組み込まれる。選択される半導体光吸収体に応じて、例えば、シリコン、炭素、およびベリリウムを含む、追加のまたは代替のドーパント材料が使用されてもよい。
【0069】
場合によっては、作用電極108が、ナノ構造体126のアレイの上に配置された触媒ナノ粒子をさらに含むことができる。例えば、ナノ粒子は各ナノワイヤ126の外面130(例えば、側壁)にわたって、またはそれに沿って分布され得る。場合によっては、ナノ粒子がプロトン還元反応を促進または促進するように構成される。例えば、各ナノ粒子136は、白金などの金属を含む。合金、酸化物、および/または他の金属もしくは金属の組合せを含む他の金属または材料を使用することができる。ナノワイヤアレイと組み合わせたナノ粒子の形成、形態、機能性、および他の特性に関するさらなる詳細は、上記で参照された米国特許の1つまたは複数に記載されている。ナノ粒子の分布に関するさらなる詳細は、いくつかの実施例に関連して以下に提供される。
【0070】
電極108はまた、各ナノ構造126の表面130上に配置された安定化層132を含む。この場合、安定化層132は、電極108に安定化機能と活性化機能の両方を提供するように構成される。したがって、安定化層132は、活性化層または安定化活性化層として構成される。「活性化」という用語は、活性化層を、パッシベーションまたは他の保護層、ならびに他の非活性層としてのみ作用するように構成された層と区別するために使用される。この電極の実施例では、安定化機能が腐食および/または他の不動態化または保護に対する保護を含むことができる。活性化機能は、電極108のための表面130に沿って触媒部位を画定するか、そうでなければ確立することを含んでもよい。安定化および活性化機能の性質は、他の装置の状況で変化し得る。
【0071】
安定化層132は、酸窒化物材料の均一な分布から構成されてもよく、またはそうでなければ、酸窒化物材料の均一な分布を含んでもよい。例えば、ナノ構造体126がGaNコアを有する場合、安定化層132は、酸窒化ガリウム(ガリウム酸窒化物)を含む。したがって、酸窒化物層の組成は、ナノ構造体126の半導体組成に従って変化し得る。したがって、例えば、酸窒化アルミニウム、酸窒化インジウム、酸窒化ストロンチウムガリウム、酸窒化亜鉛、酸窒化チタン、酸窒化クロム、および酸窒化ケイ素を含む、代替または追加の酸窒化物材料を使用することができる。
【0072】
酸窒化物材料の分布は、様々な方法で均一になり得る。例えば、均一性は、安定化層132の厚さを確立するか、またはそれに関連し得る。代替的にまたは追加的に、均一性は、安定化層132の共形性(conformal nature)を確立するか、またはそれに関連し得る。代替的にまたは追加的に、均一性は、安定化層132の表面の一貫性、規則性、または平滑性に関連し得る。例えば、表面の粗さは、酸窒化物材料の均一な分布の結果として減少され得る。場合によっては、安定化層132の酸窒化物材料が表面130にわたって連続的に分布され得る(例えば、表面130の全体を連続的に覆う)。
【0073】
代替的に又は追加的に、均一性は、表面130における窒素原子の存在に関連し得る。例えば、窒素原子が表面上または表面でランダムに分布している場合、均一性は、それらの窒素原子の周りの酸窒化物部位の本質的に普遍的または包括的な(局所的または制限されたことの反対語)形成を指す。したがって、「均一な分布」という語句は、安定化層132の連続的な場合と不連続な場合の両方を含むように本明細書で使用される。例えば、場合によっては、隣接する窒素原子が、安定化層132に不連続性を確立するように十分に離間され得る。したがって、安定化層132(したがって、酸窒化物材料)は場合によっては表面130において連続的でなくてもよいが、それにもかかわらず、表面130における窒素部位に対して酸窒化物材料の均一な分布を依然として有する。代替的に又は追加的に、安定化層132が配置されるナノ構造体126の表面130(又は単一の表面130のセクション)は、互いに離間されてもよく、それによって、安定化層132の別個のセクションを確立する。これらの例に示されるように、安定化層132は、酸窒化物材料の分布の均一な性質にもかかわらず、連続的または不連続的であり得る。
【0074】
用語「presence(存在する)」および「present at(に存在する)」は、窒素原子、安定化層、および/または酸窒化物材料が表面上に配置される状況に限定されない。この用語は代わりに、窒素原子、安定化層、および/または酸窒化物材料が、表面の下にあるが、表面での活性のために機能するのに十分に表面の近くにある状況を含むように使用される。したがって、窒素原子、安定化層、および/または酸窒化物材料は、場合によっては表面のわずか下(例えば、約1nm下)に配置され得るが、酸窒化物材料の形成およびその結果としての表面の安定化のために、依然として表面の十分近くに配置され得る。
【0075】
酸窒化物の形成および/または存在は、表面130の窒素から誘導することができる。場合によっては、表面130の窒素が、半導体組成物の化合物半導体配列中に配置される。例えば、GaNおよび他の例では、半導体組成物がウルツ鉱型結晶構造を有する。場合によっては、ウルツ鉱型結晶構造の非極性面が窒素末端のものであってもよい。安定化層132は、非極性面(および/または他の場合には他の面)に沿った窒素の部分的酸素置換を備えるか、またはそうでなければ構成され得る。したがって、表面130は、半導体組成物の非極性面に沿って配向されるナノ構造126の表面に対応し得る。他の場合(例えば、トランジスタの例)では、表面130が半導体組成物の極性面に沿って配向される。
【0076】
ナノ構造126の表面130における半導体組成および/または結晶配向は、安定化層132が各ナノ構造126上のどこに配置されるかを選択的に決定し得る。したがって、安定化層132は、ナノ構造体126の表面の全てを覆ってもよいし、覆わなくてもよい。
図1の実施例では、各ナノ構造126の表面130が側壁134に対応する。ナノ構造体126はまた、頂上面または上面136を含む。この例では、安定化層132が側壁134上に配置されるが、上面または頂上面136上には配置されない。側壁134は窒素終端であるが、上面136はそうではなく、それによって、ナノ構造126の選択的または部分的被覆をもたらす。安定化層132によって覆われる表面130は、ナノ構造体126の半導体組成の結晶方位に従って変化し得る。
【0077】
安定化層132は、表面130に沿って、または表面130で、電荷移動または他の活動に対する有害な影響を回避するのに十分に薄くてもよい。場合によっては、安定化層132が約1nmの厚さを有する。これらの場合および他の場合において、安定化層132は、その上に配置された任意のナノ粒子を含む、ナノ構造体126をコンフォーマルに覆うことができる。厚さは、他の例では例えば、1nmのオーダー(例えば、最大約3nm)または1nm未満の厚さを含めて、変化してもよい。例えば、厚さは、1つの単層であってもよく、または1つの単層のオーダー(例えば、一対または数個の単層)であってもよい。したがって、厚さは、約0.3nm~約3nmで変動し得る。厚さは、安定化層132の全体にわたって正確に同じでなくてもよい。
【0078】
安定化層132の薄いという性質は、電極108で生じる水素発生および/または他の反応の電荷キャリアの移動および他の触媒作用に悪影響を及ぼすことなく、安定化機能を提供することを可能にする。安定化層132の機能性および他の特性に関するさらなる詳細は、いくつかの実施例に関連して以下に提供される。
【0079】
図1の実施例では、表面130は触媒ナノ粒子を含まない。他の場合には、多数のナノ粒子が表面130にわたって分布されてもよい。ナノ粒子は組成物を有することができ、および/または電気化学または他の反応のための触媒として作用するように構成することができる。ナノ粒子は他の場合には例えば、電荷移動を含む、追加のまたは代替の目的を有する可能性がある。
【0080】
ナノ構造体126および安定化層132は、
図1の概略図では縮尺通りに示されていない。ナノ構造体126の形状は、示されているナノワイヤの実施例と異なっていてもよい。ナノ構造体126および安定化層132に関するさらなる詳細は、その製造または形成を含めて、以下に提供される。
【0081】
ナノワイヤ配列は、ナノ構造エンジニアリングを介して、基板(例えば、シリコン基板)上に作製されてもよい。一例では、ナノワイヤの分子ビームエピタキシャル(MBE)成長の後に、ナノ粒子の光堆積が続く。ナノ粒子の光堆積は、ナノワイヤのそれぞれの側面上にナノ粒子を選択的に堆積するように構成され得る。例示的な製造手順に関するさらなる詳細は例えば、
図2に関連して以下に提供される。
【0082】
ナノ構造体126は、1つ以上の方法で水分解を促進することができる。例えば、各ナノ構造126の1つ以上の態様は、(例えば、基板120によって吸収された光の結果として)、基板内で生成された電荷キャリア(例えば、電子)を抽出するように構成され得る。抽出は、水分解または他の反応に使用するために、ナノ構造126に沿った外部部位に電荷キャリアを運ぶ。例えば、ナノ構造126は、したがって、水素の発生、CO2の還元、および/または他の反応によく適した界面を形成することができる。
【0083】
図2は、一実施例による、光触媒水分解、PEC水分解、または他の光触媒反応のための光電極または他の半導体デバイスを製造する方法200を示す。方法200は、本明細書に記載される光電極または他のデバイス、または別のデバイスのいずれかを製造するために使用され得る。方法200は追加の、より少ない、または代替の動作を含み得る。例えば、方法200は、装置の裏面接点を形成することを対象とする1つまたは複数の動作を含んでも含まなくてもよい(動作228)。
【0084】
方法200は、基板が準備されるか、または他の方法で提供される動作202で開始することができる。基板は、シリコンウェーハであってもよく、またはシリコンウェーハから形成されてもよい。一例では2インチSiウェハが使用されたが、他の(例えば、より大きい)サイズのウェハが使用されてもよい。他の半導体および基板が使用されてもよい。
【0085】
基板は、平面または非平面の表面を有することができる。場合によっては、動作202が、表面を画定するためにウェットまたは他のエッチング手順が実施される動作204を含む。例えば、エッチング手順は、結晶エッチング手順であってもよく、またはそれを含んでもよい。シリコン基板の実施例では、結晶エッチング手順がKOHエッチング手順であってもよい。場合によっては基板が<100>配向を有する場合、ウェットエッチング手順は、表面が<111>面に沿って配向された面を有するピラミッド状のテクスチャ表面を含むことを確立することができる。他の表面配向および形状が使用されてもよい。
【0086】
動作202はより少ない、追加の、または代替の動作を含み得る。例えば、
図1の例では、動作202は、基板が(例えば、アセトンおよび/またはメタノールによって)洗浄される動作206と、酸化物が(例えば、10%フッ化水素酸によって)除去される動作208とを含む。
【0087】
動作202は、さらに別の動作を含むことができる。例えば、動作202はドープ領域または層を形成し、それによって本明細書に記載されるように接合部を確立するための1つまたは複数のドーピング手順を含むことができる。あるいは、基板が所望のドーパント濃度プロファイルを最初に提供される。
【0088】
方法200は、いくつかの電極または他のデバイス構造が基板上に成長または形成される動作210を含む。場合によっては、ナノワイヤまたは他のナノ構造アレイが基板上に成長または形成される。各ナノワイヤは、各ナノワイヤが基板の表面から外側に延びるように基板の表面上に形成される。各ナノ構造体は本明細書に記載されるように、半導体組成物を有する可能性がある。場合によっては、半導体組成物がIII-V族半導体などの化合物半導体材料であるか、それを含む。
【0089】
ナノ構造の成長は、分子線エピタキシー(MBE)手順が実施される動作212において達成され得る。基板は、各ナノ構造が円筒形状のナノ構造として成形されるように、MBE手順中に回転されてもよい。したがって、各ナノ構造は、板状またはシート状のナノ構造とは対照的に、円形の断面形状を有することができる。
【0090】
MBE手順は、窒素リッチ条件下で実施されてもよい。窒素リッチ条件は本明細書に記載されるように、窒素終端側壁および/または他の表面をもたらし得る。
【0091】
場合によっては、MBE手順が各ナノワイヤの層またはセグメントの配列を作製するように変更されてもよい。セグメントの異なる組成レベルを達成するために、様々なパラメータを調整することができる。例えば、基板温度は、動作214において調整されてもよい。代替的に又は追加的に、ビーム同等圧力を調整することができる。場合によっては、ドーパントセル温度がナノワイヤのドーピング(例えば、Mgドーピング)を制御するように調整される。
【0092】
一実施形態では、約735 o Cの基板温度、約2。2×10-7トールのGa線同等圧(BP)、約1050 o CのGeセル(n型ドーパント)温度、0.45標準立方センチメートル/分(sccm)の窒素流量、および350 Wプラズマパワーで、N終端の薄いGaNナノ構造をSi上に30分間成長させた。成長パラメータは、他の場合にはかなり変化してもよい。
【0093】
他の場合(例えば、非ナノ構造の場合)、動作210は、1つ以上の層など、他のタイプの電極または他のデバイス構造を形成することを含み得る。層は反応を触媒するか、反応に関与するか、反応を可能にするか、または反応を促進するように構成され得る。したがって、層は、反応層と呼ぶことができる。例えば、反応層は、動作216において基板上に堆積されてもよい。層は、水分解および/または他の反応を触媒するか、促進するように構成された表面を確立することができる。電極層は例えば、非選択的成長手順を含む、代替または追加の方法で形成され得る。
【0094】
動作218において、1つ以上の窒素含有層を堆積させるか、または形成することができる。窒素層は、反応層および/または他の態様のナノ構造の保護に向けられるものであってもよい。窒素含有層は代替的に又は追加的に、安定化層の形成を支持するように向けられてもよい。場合によっては、動作218が窒素含有層を自発的に形成するための反応を実施することを含み得る。層は、窒化物または酸窒化物から構成され得るか、またはそれを含み得る。
【0095】
場合によっては、窒素含有層が、平面である電極または他のデバイス構造(例えば、いくつかの平面層または他の平面構成要素を含む構造)上に形成され得る。平面構造の形態は様々であってよい。平面構造の例は、『Cheng、et al、"Monolithic Photoelectrochemical Device for Direct Water Splitting with 19% Efficiency, " ACS Energ. Lett.,3,(8),1795-1800(2018)(8)』、『Young、et al、"Direct solar-to-hydrogen conversion via inverted metamorphic multi-junction semiconductor architectures, " Nat. Energ., 2, 17028 (2017)』、『Khasekev、et al、"A monolithic photovoltaic-photoelectrochemical device for hydrogen production via water splitting, " Sci., 280, (5362), 425-427 (1998)』、及び『Verlage、et al., "A monolithically integrated integrated, intrinsically safe, 10% efficient, solar-driven water-splitting system based on active, stable earth-abundant electrocatalysts in conjunction with tandem III-V light absorbers protected by amorphous TiO2 films,” Energ. Environ, Sci., 8, (11), 3166-3172 (2015)』であり、これらの全体の記載内容を参照によりここに組み入れる。
【0096】
多種多様な平面構造および他の構造が、窒素含有層によって保護され得る。例えば、窒素含有層は、c平面または非極性平面または表面を含まない様々な表面上に堆積または形成され得る。
【0097】
場合によっては、動作218がGaNまたは他のナノ構造を含む例に関連して本明細書で説明されるように、動作216と統合されるか、またはそれに関連して実行され得る。GaNナノ構造を含む他の場合には、動作216および218が別々に実行されてもよい。
【0098】
方法200は、装置のナノ構造または他の構造の1つまたは複数の表面に酸素が組み込まれて、1つまたは複数の表面上に安定化層を形成する動作220をさらに含む。場合によっては、表面は酸化される。例えば、安定化層を形成するために酸化反応を実施することができる。代替的に又は追加的に、酸素が表面上に堆積される。堆積の後に、場合によっては、酸素原子を完全に組み込むためのアニーリング手順を行うことができる。安定化層は、活性化層またはパッシベーション層として構成されてもよい。安定化層の機能性は、デバイス構造の性質によって変化し得る。本明細書に記載されるように、表面の酸化(または表面への酸素の取り込み)は、安定化層が酸窒化物材料の均一な分布から構成されるか、またはそうでなければそれを含むように実施され得る。例えば、酸化反応は、安定化層が均一な分布を含むように構成されてもよい。場合によっては、酸素は、酸窒化物材料が表面にわたって連続的に分布する(例えば、表面の全体を連続的に覆う)ように、表面に取り込まれる。
【0099】
場合によっては、酸窒化物層が、電気化学的手順が実施される動作222において形成される。電気化学的手順は、およそ数時間、例えば、約5~約10時間、実施することができる。手順の持続時間は、酸窒化物材料の均一な分布を確立するのに十分に長くてもよい。例えば、他の場合には、酸化が数分程度の期間実施されてもよい。さらなる詳細は、以下のいくつかの実施例に関連して提供される。
【0100】
いくつかの場合において、電気化学的手順は、デバイスが実施するように構成される電気化学反応を含む。そのような場合、動作222は、デバイスのための初期化ステップまたは手順として構成され得る。例えば、装置は、水分解または他の水素発生反応を実施するように構成され、または方向付けられてもよい。次いで、電気化学的手順は、デバイスが水に浸漬される水分解反応を実施することを含んでもよい。水素発生反応は、所望の厚さの酸窒化物層を形成するために、所定の期間実施され得る。他の場合には、電気化学的手順が、デバイスが実施するように構成される電気化学的反応とは異なる。例えば、電気化学的手順は、水分解反応であってもよく、または水分解反応を含んでもよく、装置はCO2還元などの別の反応を実施することを対象とする。
【0101】
代替的に又は追加的に、動作220は、動作224において表面を酸素に曝露することを含む。場合によっては、酸素への曝露が、プラズマアッシャなどの酸素含有反応チャンバ内で起こる。代替的に又は追加的に、曝露は周囲環境を含む。曝露は、所定の期間、例えば、およそ数分またはおよそ数時間持続することができるが、他の期間が使用されてもよい。曝露の持続時間は、所望の厚さの酸窒化物層を生成するように選択することができる。曝露の持続時間は、酸窒化物材料の均一な分布を確立するように他の方法で選択されてもよい。
【0102】
動作220における酸素の組み込みは、代替的に又は追加的に、酸素含有材料が表面上に堆積される動作226を含むことができる。例えば、酸素含有材料は、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、または酸素含有強誘電体層(例えば、HfZrO2)などの酸化物材料から構成され得るか、またはそうでなければそれを含み得るが、他の材料が使用され得る。
【0103】
動作220は、表面を酸素に曝露する(またはそうでなければ表面に酸素を組み込む)ための上述の技術のうちの任意の1つまたは複数と組み合わせた追加の動作を含むことができる。
図2の例では、動作220が、動作225における1つまたは複数の洗浄手順または他の表面処理の実施を含む。表面は、酸素への表面の曝露(例えば、動作224)または酸素含有層の堆積(例えば、動作226)の前に、動作225で処理される。場合によっては、動作225が、表面の化学処理などの現場での前洗浄手順を含む。例えば、HF、緩衝HF、および/または硫酸を含む、様々な化学物質を処理に使用することができる。動作225は、紫外線(UV)オゾン処理などの代替または追加の洗浄または処理を含むことができる。例えば、表面における界面を改善するように構成された他のタイプの表面処理を含む、さらに他のタイプの手順を使用することができる。
【0104】
動作220は、代替的に又は追加的に、アニール手順の実施を行う動作227を含むことができる。場合によっては、アニールが酸素の供給源を提供するために酸素環境で実施されてもよい。あるいは、アニールが動作226における酸素含有層の堆積、または表面への酸素の他の供給に続いてもよい。アニールは(例えば、構造の格子における置換などを介して)、表面に酸素を組み込むように構成され得る。アニーリング手順の温度は変化してもよい。例えば、温度は、約100oC~約500 o Cの範囲であるが、他の温度を使用してもよい。アニールの時間は、それに応じて変化してもよい。手順の温度、持続時間、および/または他の特性は、酸窒化物材料の均一な分布を確立するように選択され得る。場合によっては、アニール手順が例えば、酸素が堆積(例えば、酸化物材料の堆積)などの別の方法で利用可能にされるとき、酸素環境を伴わなくてもよい。
【0105】
表面の酸化は、表面の1つまたは複数の態様に起因して、可能にされ、強化され、またはそうでなければ可能であり得る。例えば、表面は、半導体組成物の非極性面に沿って配向されてもよい。他の場合には、表面が双極平面に沿って配向される。代替的にまたは追加的に、半導体組成物は、酸化反応が窒素の部分的酸素置換をもたらすように構成されてもよい。そのような場合、表面の窒素は、半導体組成物の化合物半導体配列中に配置され得る。半導体組成物は、ウルツ鉱型結晶構造を有していてもよい。
【0106】
動作200は、触媒ナノ粒子がナノワイヤのアレイを横切って堆積される動作228を含むことができる。例えば、触媒ナノ粒子は、光電気化学的な例において堆積されてもよく、トランジスタおよび他の電子デバイスなどの他の用途において堆積されなくてもよい。ナノ粒子の堆積は、動作230における光堆積手順の実施を介して達成され得る。ナノ粒子は、白金などの金属、または他の金属材料から構成され得るか、またはそれらを含み得る。次いで、乾燥動作232を実施することができる。光堆積手順に関するさらなる詳細は、上記で参照された米国特許のうちの1つ以上に記載されている。代替的に又は追加的に、動作228は、電気堆積手順の実施を含む。
【0107】
動作228において堆積される触媒ナノ粒子の量は、酸窒化物層の形成の結果として低減され得る。以下に記載するように、酸窒化物層の存在は、より少量の触媒ナノ粒子で同様の有益な影響を達成することを可能にする。
【0108】
場合によっては、動作228が、動作220における安定化層の形成後に実施される。他の場合には、動作228が、安定化層の形成の前に実施される。安定化層の形成前にナノ粒子を堆積させることは、酸窒化物材料の形成を促進するのに有用であり得る。
【0109】
場合によっては、方法200が、1つまたは複数の他のデバイス構造が形成される動作234を含む。例えば、構造は、開示された方法およびデバイスの安定化層によって安定化された界面を含み得る。一例では、パッシベーション層が堆積されるか、さもなければ形成される。したがって、安定化層は、安定化されるべき構造表面とパッシベーション層との間に配置され得る。別の実施例では、接点が、動作234において形成される。安定化層は、接触抵抗を低減するために、接点と構造表面との間に配置されてもよい。動作234は、代替的に又は追加的に、例えば、裏面接点を含む、任意の数の追加的又は代替的なデバイス構造の形成に向けられてもよい。
【0110】
方法200は、装置の光触媒構造を形成することを対象とする1つまたは複数の追加の行為を含むことができる。例えば、ナノワイヤのアレイを横切って触媒ナノ粒子を堆積させるために、1つ以上の行為を実施することができる。ナノ粒子の堆積は、光堆積手順の実施によって達成することができる。ナノ粒子は、白金などの金属、または他の金属材料から構成され得るか、またはそれを含み得る。次いで、乾燥動作を実施することができる。光堆積手順に関するさらなる詳細は、上記で参照された米国特許のうちの1つ以上に記載されている。さらに他の行為は、装置の光触媒構造がアニールされる手順を含むことができる。アニールプロセスのパラメータは変化してもよい。
【0111】
図3は、一例に従って安定化された界面を有する装置300を示す。装置300は、
図2の方法200、および/または別の方法を介して製造され得る。この実施例では、装置300がトランジスタとして構成されるか、またはトランジスタを含む電子装置である。電界効果トランジスタとして、装置300の1つまたは複数の構造は、高電界にさらされ、したがって、安定化から利益を得ることができる。他の場合には、安定化が他のタイプの構造および/または他の状況を含むことができる。
【0112】
装置300は、基板302と、基板302に支持されたトランジスタ本体304とを含む。この例では、トランジスタ本体304が装置300の領域(例えば、ドープ領域)である。代替的に、または追加的に、トランジスタ本体304は、基板302上に形成されるか、または配置される構造である。したがって、トランジスタ本体304は、任意の所望の程度まで基板302と一体化され得る。トランジスタ本体304が基板302によって支持される態様は、それに応じて変化し得る。
【0113】
トランジスタ本体304は、半導体組成を有するチャネル306またはチャネル領域を含む。チャネル306は図示のように、装置300のソース領域とドレイン領域との間に延在し得る。チャネル306は、装置300のゲート308に電圧Gが印加される動作中に形成され得る。場合によっては、チャネル306が、トランジスタ本体304の残りの部分に対して、ドープされ、および/または異なるように構成される。ゲート308は、ゲート酸化物層310によってチャネル306から離間される。場合によってはゲート酸化物層310が酸化アルミニウムを含むが、例えば、酸化ハフニウム、二酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化スカンジウム、酸化リチウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化タングステン、および酸化ケイ素を含む、追加のまたは代替の酸化物材料を使用することができる。
【0114】
チャネル306は、例えば、AlGaN、GaN、InN、AlN、BN、およびそれらの合金を含む、追加のまたは代替の半導体材料から構成され得るか、またはそれらを含み得る。トランジスタ本体304の残りの部分は、同じ半導体材料から構成されてもよいし、または同じ半導体材料から構成されなくてもよいし、または同じ半導体材料を含んでもよい。
【0115】
装置300は、チャネル306の表面314上に安定化層312を含む。本明細書に記載されるように、表面314は窒素を含む。例えば、チャネル306の半導体組成はGaNであってもよいし、GaNを含んでもよい。場合によっては、チャネル306が、表面314が窒素終端されるように構成される。この実施例では、安定化層312が、表面314のための保護または他のパッシベーション層として構成される。
【0116】
安定化層312は、酸窒化物材料の均一な分布であってもよく、またはそれを含んでもよい。場合によっては、酸窒化物材料はGaONである。分布の均一な性質は、チャネル306とゲート酸化物層310との間の界面を安定化し得る。そのような安定性は、界面が高エネルギー電荷キャリアおよび/または他の有害な状況にさらされる高電圧動作または他の動作条件に関連して有用であり得る。場合によっては、酸窒化物材料が表面314にわたって連続的に分配される(例えば、表面314の全体を完全に覆う)。
【0117】
安定化層312は、装置300の動作に悪影響を及ぼさない厚さを有することができる。例えば、安定化層312は、ゲート酸化物層310よりも薄くてもよい。本明細書に記載されるように、安定化層312の厚さは、場合によっては約1つの単分子層から数個の単分子層までの範囲に入ることができる。例えば、様々なサブナノメートルの厚さおよび約数ナノメートルの厚さを含む、他の厚さが使用されてもよい。
【0118】
装置300の構成要素は、図示を容易にするために
図3に概略的に示されている。したがって、
図3の構成要素および本明細書で参照される他の概略図は、一定の縮尺で示されていない場合がある。
【0119】
上述の装置、システム、および方法の実施例に関する詳細は
図4~8に関連して提供され、これは、実施例えば、水素製造のために、効率的で耐久性のある太陽光水分解のために構成されたSi/GaN光電陰極の実施例を扱う。実施例は、Si/GaNアーキテクチャの性質を、そのようなアーキテクチャの光電気化学的性能の改善と共に探求するために記載されている。これらの実施例では、改善は、クロノアンペロメトリー試験などの電気化学的手順の実施から生じる。他の場合には、上述の酸窒化物層を形成するために、1つ以上の追加のまたは代替の行為を実施することができる。酸窒化物層は、Si/GaNアーキテクチャの長期安定性(例えば、中間関連自己修復効果を介して)、および/または熱力学的に安定な性質をもたらす。GaNオーバーレイヤのこれらの態様を理解することにより、PECセル、システム、および他のデバイス性能を最適化するための技法が確立される。
【0120】
実施例は、Si/GaN光電陰極がいかなる電極触媒も使用することなく、およそ100%のファラデー効率(FE)で持続的水素生成を発生することができることを実証する。また、実施例の加速試験は、Si/GaN光電陰極が150時間を超える間、増強された3.5太陽照明下で高い電流密度を維持することができることを実証する。実施例に示すように、動作条件下では、Si/GaN光電陰極の光電流密度および開始電位は自己改善する。この自己改善挙動の起源を解明するために、一連の高度な特性化技術と第一原理計算を用いた。動作条件下では、Si/GaN光電陰極が、GaN表面での化学変換に供される。そこでは、保護を提供し、かつ水素発生反応のための活性触媒部位を加えることによってPEC性能を向上させる。このようにして、Si保護光電陰極のこれらの例は、有益な化学変換の結果として、いかなる電極触媒も使用することなく、有用なレベルの安定性およびFE性能を示す。Si/GaN光電陰極の自己改善挙動および化学変換は、PEC水分解における水素生成のための有用な装置及びシステムを提供する。
【0121】
GaN被覆層の安定機構を理解するためのベースラインを設定するために、Si/GaN光電陰極を水還元条件下で調べた。酸化イリジウム(IrOx)が対電極(カウンタ電極)として使用され、グラファイトコロイド接着剤がSi/GaN電極を銅テープに接続するために使用される。この試験構成は、金属汚染を防止する。クロノアンペロメトリー(CA)試験を、1太陽強度照射下で異なる試料に対して行った。全ての場合において、測定された光電流は、定常状態に達する前に増加する。興味深いことに、計算された対応するファラデー効率(FE)も同様の向上に従い、すなわち、FEは、
図4の部分(a)に示されるように、光電流がその最大値に達すると、約85%から開始し、次いで100%を達成する。さらに、CA試験中に水素および酸素のみが生成された。対照的に、同じ試験条件下で試験した裸のn
+ pシリコン光電陰極は、0.1mA/cm
2未満の光電流密度を示した。さらに、より強い3.5太陽強度でのAM 1.5G太陽光照射下での加速CA試験を行った。光電流増強が依然として観察されるが、この加速試験は、Si/GaN光電陰極が100mA/cm
2を超える光電流密度を150時間以上維持することができることをさらに明らかにする。この測定は、
図4の部分(b)に示されるように、高光電流値および集中照明条件下でのSi/GaN光電陰極の安定性を実証している。このJ-Eおよび光電気化学特性は、特に触媒層がない場合に、保護されたSi光電陰極について最良に報告されているようである。
【0122】
PEC性能向上についてのさらなる洞察を提供するために、間欠的10時間CA試験を、PEC性能の変化、すなわち光電流密度および開始電位を追跡するために、毎時間後に収集されたリニアスイープボルタンメトリー(LSV)を用いて実施した。
図4の部分(c)に示されるように、印加電位(J-E)に対する光電流密度曲線は、約460 mV対逆水素電極(RHE)から約80 mV対RHEまで、300 mVを超える開始電位シフトを伴う、時間にわたる陽極シフトを示す。調製されたままの装置は本明細書では「CA-0h」として示され、10時間試験された装置は本明細書では「CA-10h」として示される。さらに、最大光電流密度(J)は3時間後に次第に増大し、25mA/cm
2の飽和レベルに達する。
【0123】
この自己改善挙動の根底にある機構を調べるために、表面抵抗の変化を、AM 1.5G 1太陽照明で電気化学インピーダンス分光法(EIS)を実施することによって分析した。模擬等価回路とそれに対応する計算結果を評価することにより、表面抵抗(Rct, surf)は600Ωから100Ωに低下した。Rct, surfの劇的な変化は、固体/液体界面での荷電移動が経時的に改善することを証明する。さらに、Mott-Schottky解析は、フラットバンドポテンシャルが反応後に類似していることを明らかにし、フラットバンド位置がn+ p Siソーラーセル基材によって決定されることを示唆した。Rct, surfが大きく変化し、他の抵抗(R)と定位相要素(CPE)が緩やかに変化するが、バンドアラインメントが変わらないのであれば、観察される自己改善挙動はGaN層の表面動力学の改善に起因する。
【0124】
観察された開始電位の自己改善陽極シフトおよび電荷移動の改善は、PEC試験GaN表面の触媒活性の増強を示し、これは通常、触媒層の統合によって得られる。したがって、(貴金属)触媒負荷を減少させながらデバイス性能を改善する独特の機会を用いて、改質Si/GaN光電陰極上への白金(Pt)触媒の直接合体を調べた。作製したままのSi/GaN光電陰極とCA試験表面との比較を行った。調製したままの装置の初期PEC性能をLSV走査によって記録した。次いで、CA試験を4時間実施して、最大電流が達成されることを保証した(例えば、
図4(a)~(c)を参照、改善が最初の数時間以内に完了することを示す)。Ptは、4時間CA試験デバイス(
図4の部分(d)においてS#2 CA-4hとして示される)および調製されたままのカソード(
図1dにおいてS#1 CA-0hとして示される)の両方に光堆積された。
図1dに見られるように、S#2 CA-4hはそのターンオン電圧を0.34 Vにシフトさせるために、5分間のPt堆積(S#2 CA-4h、Pt-5min)しか必要としない。さらに5分間のPt堆積(S#2 CA-4h、Pt-10min)は、5分間の堆積の場合と同じJ-E曲線を有する。全く対照的に、ターンオン電圧を0.34 Vにシフトさせるためには、20分間のPt堆積が必要である(S#1 CA-0h、Pt-20min)。すなわち、必要なPt負荷は、CA試験サンプルよりも4倍高い。したがって、CA試験表面では、白金触媒の使用が低減され得ることが明らかに証明される。
【0125】
図4は、Si/GaN光電陰極の自己改善挙動を示す。部分(a)は、1日光照射(sun illumination)下での10時間のCA試験と、RHEに対して-0.6Vでの一定のバイアスを示す。差し込み図は対応するファラデー効率を示し、これは、GaNの自己改善性を明らかにする。比較として、CA試験を、1日光照射下で5時間、裸のSi(ベアシリコン)で、RHEに対して-0.6Vで行った。ベアシリコン光電陰極は、1時間内に約0.05mA/cm
2まで急速に降下する。
図4(b)は、0.5MH
2SO
4中、3.5日光照射で150時間、-0.6V対RHEの一定バイアスでの裸エピ(ベアエピ)層Si/GaN光電陰極の加速試験を示している。
図4の部分(c)は、光電流密度対印加電気化学ポテンシャル(J-E)曲線を、CA試験時間の機能として示す。
図4の部分(d)は調製したままのSi/GaN光電陰極(CA-0h)および4時間CA試験したSi/GaN光電陰極(CA-4h)のいくつかの選択されたJ-E曲線を示し、1日光照射下で異なるPt光堆積持続時間を有する。
【0126】
表面粗さの変化および新しい化学種の形成は、PEC性能の改善に関連する因子である。したがって、原子間力顕微鏡(AFM)分析、ならびに電子エネルギー損失分光法(STEM/EELS)およびX線光電子分光法と組み合わせた走査透過電子顕微鏡法を実施して、観察されたPEC性能増強の起源を追跡した。具体的には、調製したままの(「CA-0h」)および10時間のCA試験した(「CA-10h」)実施例の両方で光伝導性(pc-)AFMを行うことによって、表面トポグラフィーを比較し、巨視的光電流増強のナノスケール起源を探査した。表面形態は、(
図5(a)および(c)に示されるように)約12nmの同様の表面粗さを有するCA-0hおよびCA-10h表面について同様のままであり、この場合、PEC性能改善を誘導する表面粗さ変動を除外する。しかし、実施例5に示すように、CA-0hとCA-10hの例の光電流に有意差が認められた。オーバーレイトトポグラフィー光電流マップは、CA-0h光電陰極が約400 mVの印加バイアスで約80 pAの最大値を示したのに対し、CA-10h光電陰極は外部バイアスを必要とせずに約5 nAの最大値を示した(実施例5(b)と(d)に示す)。各サンプルについての2つのマップの線プロファイルは、試験された実施例における増強された光電流生成が粒子の側壁によって生成されるが、粒子の頂部は全光電流にほとんど寄与しない。そのような位置依存性の光電流発生は、露出されたファセットおよび結晶方位に関連し得る。
【0127】
図5は、CA-0hおよびCA-10hの実施例におけるpc-AFMの特徴付けを示す。CA-0h実施例とCA-10h実施例のトポグラフィを(a),(c)に示す。CA-0hの実施例およびCA-10hの実施例についてのラインスキャンから抽出された対応する表面プロファイルおよび光電流は、部分(b)および(d)に示される。
【0128】
試験した実施例が動作条件下でどのように変化したか、およびGaN粒子の側壁における光電流の増加の根底にある理由を理解するために、収差補正STEM/EELSを用いて、1nm未満の空間分解能を有する化学情報と組み合わせた結晶配向を分析した(
図6の部分(a)および(b)に示すように)。CA-0h試料ではグレインの上面に約2nmの自然酸化物層(白色/淡色の破線で強調されている)が観察されたが、側壁(
図6の部分(a))にはより少ない酸化物(赤色/濃色の破線で囲まれている)が見られた。興味深いことに、10hの動作後、グレインの側壁でGa、NおよびOと混合された約1nmの層の形成が観察された(
図6の部分(b)において赤破線で囲まれた領域)。一方、グレインの頂部はGaおよびO含有層で覆われ(
図6の部分(b)において白破線で囲まれた領域においてNは見られず)、組成物の明らかな変化は見られなかった。エピタキシャルGaN膜はウルツ鉱型結晶構造を有し、ここで、粒子の上面は双極c面(0001
*)であり、一方、粒子の側壁は非双極(101
*0)m面と(112
*0)a面)と半双極面(例えば、(112
*2)、(202
*1)など)との混合物であるべきである。GaNの極性および配向効果がしばしば、外部刺激に対する異なる化学的、電気的、および機械的応答を生じさせるのであれば、ことを考慮すると、酸素の蓄積はまた、配向優先性を有し、すなわち、極性c面(粒子の上面)上ではなく、非極性または半極性面(粒子の側壁)上に形成することが、熱力学的に好まれる。
【0129】
なお、数字の上に*を付したものは、数字の上に横線(ー)があることを意味する。すなわち、1*は、1の上に横線があり、2*は2の上に横線がある。
【0130】
図6は、Si/GaN光電陰極表面の化学分析を示す。部分(a)は、Ga Lエッジ、N KエッジおよびO KエッジのEELSマッピングを示す挿入図(左から右)を有するCA-0h表面のSTEM画像を示す。部分(b)は、Ga Lエッジ、N KエッジおよびO KエッジのEELSマッピングを示す挿入図(左から右)を有するCA-10h表面のSTEM画像を示す。部分(c)~(f)は、(c)CA-0h Si/GaN光電陰極、(d)1時間のCA試験後のSi/GaN光電陰極、(e)4時間のCA試験後のSi/GaN光電陰極、および(f)10時間のCA試験後のSi/GaN光電陰極のO 1sコアレベルスペクトルを示す。
【0131】
STEM/EELSの結果を開始電位の光電流と陽極シフトの増加に結びつけることにより、酸素含有GaN相が形成されることが分かった。この所見はXPSによって容易に確認された。調製したままの実施例に加えて、3つの異なるSi/GaN光電陰極を、クロノアンペロメトリー試験(CA-1h、CA-4h、およびCA-10h)の1時間後、4時間後および10時間後に分析した。調製されたままのおよび試験された実施例のXPSスペクトルは、試験の長さにかかわらず、同様のGa 2pおよびN 1sコアレベルスペクトルおよび高い信号対雑音比を示す。対照的に、O 1sスペクトルからより多くの洞察が得られる(
図6(c)~(f))。OHベースおよびO-Ga-O種に加えて、O 1sピークをより近く見ることによって、新しいピークが531.7 eVに現れる。この特異的結合エネルギーは、酸窒化ガリウムを代表する。さらに、Ga 2pおよびN 1sスペクトルと比較して、O 1sスペクトルの信号対雑音比は著しく低い。GaNについてのXPSの探査深さが約5~6nmであると仮定すると、O 1sとGa 2p(またはN 1s)との間の信号対雑音比のそのような差は、すべてのサンプルがGaNから主に構成され、一方、酸窒化物の極薄層のみが表面に存在することを示唆する。pc-AFM(
図5の部分(c))は、側壁から発生する光電流の大きさの増加の桁を示すが、結晶粒の上面からはほとんど電流が検出されなかったことを考慮すると、GaN結晶粒の側壁上に可視化されたこのような酸窒化物は自己改善挙動をもたらす。
【0132】
自己改良型PEC性能およびSi/GaN光電陰極の持続的動作の実験観察がどのように酸窒化ガリウムの存在と相関するかをより良く理解するために、異なるGaN表面に対する密度関数理論(DFT:density functional theory)計算を行った。この例の上面は(0001
*)であり、一方、粒子の側壁は、半極性面および非極性面からなる。簡単にするために、シミュレーションは、システムの上部および側壁をそれぞれ表す(0001
*)c面および(101
*0)m面に対して実行された。
図8にGaNの結晶構造を示す。
【0133】
GaNの安定性に及ぼす酸素の役割を、いくつかの代表的な表面モデルとその形成エネルギーを用いて調べた。(0001
*)配向については,表面または表面下の二重層の窒素原子が酸素によって完全に置換されていることが見出され(赤および緑の線、
図7、部分(a))、これは調製されたままの表面と比較してより高い安定性をもたらす。同じ結論は、これらの二重層中の窒素が同時に、しかし部分的に(50%)酸素に置き換わったときにも達成された(青線、
図7、部分(a))。全体として、酸素によって置換された全ての表面窒素を有する形態は、最も高い安定性を示す。これは、最上部(0001
*)表面上に酸化物層を形成する強い可能性を示す現在のSTEMの結果と一致する。
【0134】
計算は、酸素置換の効果が非極性(101
*0)表面でかなり異なることを示した。この配向のために、最も安定な構造は代わりに、表面および表面下二重層の両方における窒素の部分的酸素置換(50%)によって得られる(青線、
図7、部分(b))。全ての表面窒素が酸素で置換された構造のより高い安定性は、より高い酸素配位(1.5対1.0)を有する表面Gaを形成する能力に関連する。計算は、(101
*0)配向の最上層が、GaおよびOのみからなる可能性がより高い(0001
*)配向とは全く対照的に、3種(Ga、O、N)全ての混合物を好むことを示唆する。したがって、表面電荷の局在化およびホッピングは、非極性面上でのN-O種および酸窒化ガリウムの形成をもたらし得る。これはまた、酸窒化ガリウム様組成物がGaN粒子の側壁上に形成される可能性がより高いというSTEM/EELSの証拠を支持する。
【0135】
次いで、触媒活性を評価した。水素の吸着の自由エネルギーは、HERとHORの両方の反応中間体である。H吸着の自由エネルギーの絶対値の大きさ(|△G
ads|≒0)が、反応を最大化するために最小化される。ここで、非極性面の最も安定な表面(青線、
図7、部分(b))の吸着サイトの調査は、純粋な表面について得られた1.07 eVの対応する値と比較して、|△G
ads|がGa上に0.12~0.16 eVの値を生成することを示す。一方、2つの表面のNサイトは同様の[|△G
ads| 0.31~0.39 eV]を生成する。結果は、酸素で置換された部分窒素を有する表面が元のものよりも活性であることを示し、表面組成における変換がGaNで保護された光電陰極の改善された性能の原因である可能性が高いことを示す。
【0136】
図7は、N双極c面および非双極m面でのDFT計算を示す。部分(a)および(b)は、アニオンおよびカチオンリッチ限界内の異なる酸素構成を有する(0001
*)c面および(101
*0)m面GaN表面の計算された形成エネルギーを示す。すなわち、c面およびm面の理想的なGaN表面;表面c面およびm面上の酸素による窒素の100%置換を有する構成;表面下二重層c面およびm面内の酸素による窒素の100%置換;ならびに表面および表面下二重層の窒素の酸素c面およびm面による50%置換を有する構成。どちらの場合も、理想的な表面が基準として選択される。
【0137】
再生可能エネルギーのための太陽水分解の応用を進めるために、研究は、長期安定性および高効率のための最先端コーティングの開発に向けられてきた。本明細書に記載されるように、Si/GaN光電陰極は、3.5太陽下で150時間安定性を有し、電気触媒なしで約100%のFEを有する、持続的な水素生成が可能である。pc-AFM、STEM/EELSおよびXPS特性評価技術を用いることにより、薄い酸窒化物様層の存在が示され、これは、動作の最初の数時間以内にSi/GaN光電陰極上に経時的に形成される。そのような酸窒化ガリウム、ならびに多くの他の広く報告されている酸窒化物(TaON、HfON、ペロブスカイト酸窒化物など)はN 2pおよびO 2p軌道のハイブリダイゼーションを有し、良好な触媒特性を有する。酸窒化ガリウムは、電荷移動のより良好な媒介によって電気触媒の役割を提供することができる。DFTシミュレーション結果は、窒素原子を酸素で置き換えて酸窒化物を形成することが、さらなる安定性のために表面を不動態化することができ、一方、新たに形成された酸窒化物はHERのためにより多くの活性部位を提供することもでき、PEC性能の改善につながるという実験と一致した。したがって、GaNは、水素生成中の酸窒化物の形成を介して、安定かつ効率的な保護層として確立される。
【0138】
図8は、GaNのウルツ鉱構造を示している。部分(a)はGaNのウルツ鉱型格子構造を示し、頂部に双極c面、側部に非双極m面およびa面を有する。部分(b)はGaNウルツ鉱構造の六角形概略図である。部分(c)は結晶面を実際のGaN結晶粒に割り当て、結晶粒の上面はc面であり、結晶粒の側壁は他の平面と混合される。部分(d)は、開示された方法およびデバイスにおいて使用されるMBE成長GaNの結晶構造を明らかにするHRTEM画像を示す。
【0139】
図9は、上述の自由エネルギー計算のためのDFT構成を概略的に示す。部分(a)は、ガリウム原子に水素原子が結合した理想的なm面GaNを示している。部分(b)は、窒素原子に水素原子が結合した理想的なm面GaNを示す。部分(c)は、酸素と結合したガリウム原子に水素原子が結合したm面GaNで形成される酸窒化ガリウムを示す。部分(d)は、窒素と結合したガリウム原子に水素原子が結合したm面GaNで形成された酸窒化ガリウムを示す。部分(e)は、窒素原子に水素原子が結合したm面GaNで形成される酸窒化ガリウムを示す。部分(f)は、酸素原子に水素原子が結合したm面GaNで形成される酸窒化ガリウムを示す。部分(g)は、表面下の窒素原子に水素原子が結合したm面GaNで形成される酸窒化ガリウムを示す。
【0140】
図10は、一例による発光デバイス1000を示す。装置1000は、
図2の方法200および/または別の方法を介して製造され得る。この場合、装置1000は、発光ダイオードとして構成される。装置1000は、基板1002と、基板1002によって支持された半導体組成物を有する構造1004とを含む。基板1002は半導体材料で構成されていてもよいし、または半導体材料で構成されていなくてもよいし、または半導体材料を含むものであってもよい。例えば、基板1002は、サファイア基板であってもよく、またはサファイア基板を含んでもよい。
【0141】
この場合、構造1004は、発光のために構成された半導体層のスタック(積み重ね)に対応するか、またはそれを含む。例えば、スタック内の半導体層のうちの1つ以上は、GaN、InGaN、および/または他のIII-V族半導体材料から構成され得るか、またはそれを含み得る。
【0142】
装置1000は、半導体層のスタックを横切る電圧を印加するための電極1006、1008をさらに含む。一方の電極1006はn-金属接点として構成され、他方の電極1008はp-金属接点として構成されてもよい。p-金属およびn-金属接点の位置は、切り替えられてもよく、そうでなければ変化してもよい。
【0143】
この実施例では、スタックがn型層1010と、活性層1012と、p型層1014とを含む。活性層1012は、n型層1010とp型層1014との間に配置される。n型層1010およびp型層1014の各々は、装置1000の電流伝導層(導電層)として構成され得る。半導体層のスタックは、任意の数の半導体層を含むことができる。例えば、追加の層は、1つ以上のバッファ層、および/または1つ以上の追加の活性層を含んでもよい。
【0144】
半導体層のスタック、したがって構造1004は、窒素が存在する表面を有する。この実施例では、表面がp型層1014の上面に対応する。例えば、p型層はGaNおよび/または別のIII族窒化物半導体から構成されてもよく、またはそれを含んでもよいが、追加のまたは代替的な理由で、窒素が表面に存在してもよい。
【0145】
装置1000は、p型層1014の表面上に配置された安定化層1016を含む。安定化層1016は、本明細書に記載されるように構成され得る。例えば、安定化層は、酸窒化物材料の均一な分布を含むことができる。この場合、安定化層1016は金属コンタクト層1008(例えば、p型金属コンタクト層)に隣接して、および接触して配置される。安定化層1016は、金属接触層1008と半導体層のスタックとの間の界面に沿って配置され、界面における接触抵抗を低減する。場合によっては、安定化層1016の酸窒化物材料がp型層1014の表面にわたって連続的に分布される(例えば、p型層1014の全体を連続的に覆う)。
【0146】
代替的に又は追加的に、安定化層1016(又はその一部)は、金属コンタクト層1006とn型層1010との間の界面に沿って配置される。したがって、接触抵抗は、装置1000の他の接触および/または両方の接触において低減され得る。
【0147】
図11は、一例による発光デバイス1100を示す。装置1100は、
図2の方法200および/または別の方法を介して製造され得る。この場合、装置1100は、発光ダイオードとして構成される。装置1100は、1つまたは複数の方法で、
図10の実施例に関連して上で説明されたように構成され得る。例えば、装置1100は、基板1102と、基板1102によって支持された半導体組成を有する構造1104とを含む。基板1102および構造1104は
図10の例と共通する1つまたは複数の態様を有し得る。たとえば、構造1004は、発光のために構成された半導体層のスタックに対応するか、またはそれを含む。
【0148】
装置1100は、半導体層のスタックを通過する電圧を印加するための電極1106、1108をさらに含む。一方の電極1106はn-金属接点として構成され、他方の電極1108はp-金属接点として構成されてもよい。p-金属およびn-金属接点の位置は、切り替えられてもよく、そうでなければ変化してもよい。
【0149】
上述したように、積層体(スタック)は、n型層1110と、活性層1112と、p型層1114とを含む。活性層1112は、n型層1110とp型層1114との間に配置される。n型層1110およびp型層1114の各々は、装置1100の電流伝導層として構成され得る。半導体層のスタックは、任意の数の半導体層を含むことができる。例えば、追加の層は、1つ以上のバッファ層、および/または1つ以上の追加の活性層を含んでもよい。
【0150】
半導体層のスタック、したがって構造1104は、窒素が存在する表面を有する。この実施例では、表面がスタックの半導体層のうちの1つまたは複数の側壁に対応する。例えば、n型層1110、活性層1112、およびp型層1114の各々はGaNおよび/または別のIII族窒化物半導体から構成されてもよく、またはそれを含んでもよいが、追加または代替の理由で、窒素が表面に存在してもよい。この発光デバイスの実施例では、側壁表面が極性表面であってもよい。他の例(例えば、トランジスタデバイス)では、側壁表面が非極性表面であってもよい。
【0151】
装置1100は、スタックの1つまたは複数の層の側壁に沿って配置されたパッシベーション層1116を含む。例えば、パッシベーション層1116は、酸化物材料などの誘電材料であってもよく、または誘電材料を含んでもよい。追加のまたは代替の非導電性材料を使用することができる。この実施例では、パッシベーション層1116が、各層の全体がパッシベーション層1116によってパッシベーションされるように、スタックの各側壁に沿って配置される。
【0152】
装置1100は、パッシベーション層1116とスタックの側壁表面との間に配置された安定化層1118を含む。安定化層1118は、本明細書に記載されるように構成され得る。例えば、安定化層1118は、酸窒化物材料の均一な分布を含む。この実施例では、安定化層1118がスタックの各側壁に隣接し、それと接触して配置される。したがって、安定化層1118はスタックとパッシベーション層1116との間の界面に沿って配置され、活性層(および/またはスタックの他の層)とパッシベーション層との間の界面を安定化し、および/または表面再結合を低減する。場合によっては、安定化層1118の酸窒化物材料がスタックの側壁表面にわたって連続的に分布される(例えば、スタックの各側壁表面の全体を連続的に覆う)。したがって、安定化層は表面トラップを抑制し、および/または界面に沿った他の欠陥に対処することができる。
【0153】
この実施例では、安定化層が半導体スタック内の各層の側壁に沿って配置される。他の場合には、安定化層1118(又はその他)がスタック内の層のサブセット間の界面に沿って配置される。例えば、安定化層1118は、スタックの活性層のみの側壁に沿って配置されてもよい。
【0154】
図10および
図11の装置1000および1100は追加の、より少ない、または代替の構造、層、または他の要素を含み得る。例えば、
図10の装置1000の安定化層1016を装置1100に組み込んで、電極1106、1108の一方または両方における接触抵抗を低減することができる。
【0155】
上述のように、効率的であるが耐久性のある光電極および他のデバイスが製造される。水素製造のために活性なシリコン/窒化ガリウム光電陰極を含む太陽燃料製造例では、酸化窒化ガリウムの薄層が窒素サイトでの部分的酸素置換を介して、窒化ガリウム粒子の側壁上に形成される。薄層は、水素発生反応のためのより高い密度の触媒部位を確立する。窒化ガリウムの酸窒化ガリウムへの化学的変換は持続的な動作および触媒活性の増強をもたらし、したがって、水素発生および他の反応のための保護触媒コーティングとしての酸窒化物層の有望性を示す。
【0156】
III族窒化物ナノ構造体(例えば、GaNナノワイヤおよび他のナノ構造体)などのナノ構造体の結晶学に基づく態様および効果に関して、さらなる詳細を以下に記載する。結晶学に基づく態様および効果は、様々なタイプの反応のためのPEC装置及びシステム、ならびに他のタイプのデバイスに関連して有用および/または提供され得る。
【0157】
開示される装置の結晶学的態様および効果は、人工光合成のための効率、安定性、および生成物選択性の課題に対処するのに有用であり得る。したがって、開示された装置は、安定性と効率との間のトレードオフを回避することができる。従来の高効率太陽水分解装置は一般に、非常に短い寿命を示し、一方、長期安定性を有する装置は、低い効率を示している。開示された装置はまた、標的生成物の選択的生成を支援するのに役立ち得、これは、例えば、これまでのところ、CO2およびCH4の液体化学物質および燃料への光駆動化学変換のファラデー効率が非常に低く、達成するのが困難であった。開示された装置の結晶学的態様および効果は、光電極の表面を構成することを含む。光電極の表面上で反応が行われるので、光電極の表面構造を調整することは、これらの基本的な課題に対処するための最も効果的な手段の1つを提供する。表面に露出したファセットは、酸化還元反応部位、化学種の吸着、および生成物分子の脱着を含む、電子および触媒活性を決定するのに有用な役割を果たす。加えて、原子の配置の多様性により、ファセットは電荷キャリアの分離、抽出および再結合、導電性、ならびに光腐食および酸化に対する耐性に強く影響し、これらの全ては、効率的で安定な人工光合成および他の化学反応を達成するために有用な因子である。
【0158】
水分解の実施例に関連して記載されているが、結晶学に基づく態様および効果は広範囲の人工光合成化学反応に関連して有用であり得る。
【0159】
上述のように、III族窒化物半導体ナノ構造体、例えばGa(In)Nナノワイヤは、人工光合成における応用に有用である。Ga(In)Nナノ構造は、エネルギーバンドギャップが可視光および近赤外光照射下で広範囲の酸化還元電位にまたがる一方で、ほぼ全太陽スペクトルにわたって調整され得る、唯一の既知のIII-V族化合物半導体であり、これは高効率の人工光合成に有用である。
【0160】
いくつかの場合において、開示された装置は、III族窒化物ナノワイヤから作製された光電極として構成される。III族窒化物ナノワイヤは性能劣化なしに、3,000時間の間、安定で効率的な動作を実証した。III族窒化物ナノワイヤをベースとする光電極は例えば、合成ガス、ギ酸、及びメタンへのCO2還元を含む様々な反応に使用することができ、それぞれ比較的高ファラデー効果を有する。例えば、窒化ガリウム(GaN)ナノワイヤを用いたCH4の芳香族化合物への光駆動変換を含む、他の化学反応が支持されてもよい。
【0161】
以下に記載されるように、III族窒化物ナノ構造の結晶学的態様は、触媒および他の性能尺度を改善するために使用され得る。これまでの研究は、GaN系構造の組成物、サイズ、およびドーピングが触媒性能に及ぼす効果に主に焦点を当ててきた。しかしながら、ウルツ鉱型III族窒化物ナノ構造は異なるファセット、例えば、双極対非双極対半双極、および異なる双極、例えば、金属双極対窒素双極を有し、それらは、非常に異なる構造的、化学的、電気的、および分極特性を有する。今日まで、光電気化学反応におけるIII族窒化物ナノ構造の結晶ファセットおよび極性の役割は、ほとんど知られていないままである。したがって、結晶ファセットと触媒および電気活性との間の関係を以下に述べる。非極性表面(例えば、非極性表面が電解質に曝露される場合)では有意な活性(例えば、光電気化学活性)が観察されるが、極性(例えば、c面)表面(例えば、極性表面のみが電解質に曝露される場合)では活性がほとんどまたは全く測定されず、それによって、次世代金属窒化物半導体光電極および他のデバイスの合理的な設計、合成、および実用的な適用が可能になることが示されている。
【0162】
GaNナノ構造に関連して記載されているが、開示されるデバイスおよび方法は多種多様な半導体材料を使用することができる。したがって、開示されるデバイスおよび方法は、III族窒化物半導体に限定されない。例えば、開示される装置は、様々な窒素含有半導体および/または様々な酸素含有半導体から構成されるか、またはそれらを含む、1つまたは複数の層、部品、または他の要素を含み得る。
【0163】
ウルツ鉱III族窒化物のファセットおよび表面極性が光電気化学(PEC)活性、例えば太陽水分解に及ぼす影響を分析するいくつかの例を以下に記載する。異なる極性を有するファセットの影響を明確に識別するために、多数の例示的なIII族窒化物ナノ構造体をトップダウン法およびボトムアップ法の両方によって作製し、それによって選択的に特定のファセット/表面を電解質に曝露し、それらのPEC活性を比較した。加えて、ナノ構造工学に関連する光吸収および合金組成の任意の変化を排除するために、GaN層を、一次光吸収体として機能するプラットフォームとしてSi p-nウェハ上に直接成長させた。これらの実施例では、GaNナノ構造体における光吸収および光発生電子密度がそれらのファセットおよび表面極性の変化にかかわらず、ほぼ同じままであった。
【0164】
実施例は、非極性GaN表面がPEC反応のための極性表面よりも著しく活性であることを示す。そのような挙動の原子起源は、以下に述べる詳細な密度汎関数理論(DFT)計算によってさらに明らかにされる。
【0165】
実施例はPEC反応中の非極性面上の酸窒化物の独特の形成を示すが、c面上では示さない。酸窒化物の存在は正の表面分極および顕著な下方バンド屈曲をもたらし、これは、電荷キャリア(電子)抽出を劇的に高めることができる。実施例はまた、広範囲の人工光合成化学反応のための、出現する金属-窒化物光触媒および光電極の結晶ファセット工学に関する有用な洞察およびガイドラインを提供する。
【0166】
第1の組の実施例では、GaNエピ層を、プラズマ支援分子線エピタキシー(MBE)を用いてSi p-nウェハ上に成長させた。今日まで、Siウェハ上に直接GaNエピ層を成長させることは、大きな格子不整合(約17%)および熱膨張係数の大きな差のために、極めて困難なままであった。従来、GaNエピ層品質を改善するために、AlNシード層、AlGaN/GaN欠陥フィルタリング層、低温AlN中間層、及びSiC中間層を含む様々な方法が採用されてきた。しかしながら、これらの成長技術は大きなバンドギャップバッファ層がSiウェハとGaNエピ層との間の電荷キャリア移動障壁として作用し、したがってPEC性能を低下させるので、本実施例には適していない。さらに、以前の研究はSi(111)基板上のGaN成長に焦点を当てており、Si(100)ウェハ上のGaNエピ層はほとんど実証されておらず、これは、Si p-n接合部との直接的な集積に必要である。これらの課題を克服するために、実施例は、最適化された成長条件を用いて、制御されたナノワイヤの合体によってSi p-nウェハ上にGaN準エピ層構造を実現した。成長温度は約640℃、窒素流量は0.4 sccmであった。Gaビーム等価圧力は約1.6e-7 Torrであり、約120nm/hの成長速度に対応した。
【0167】
準膜構造は、c面方向に沿って優先的に成長する。このような構造では,上部Gan c面が主に電解質に曝露される表面であり、一方、非極性面は曝露されないままである。極性面および非極性面の効果を比較するために、2つの試料、試料Aおよび試料Bを調製した。試料Aは成長したままの準エピ層であり、試料Bはフォトリソグラフィおよび準エピ層のエッチングによってパターン化して、非極性表面、この場合は側壁を露出させた。露出した側壁では、光励起電子はGaN非極性表面に移動し、プロトンを水素に還元することができる。一方、そのような露出した側壁がない場合、電子は、プロトン還元反応のために上部c面に移動しなければならない。フォトリソグラフィおよびエッチングは、
図12の部分(a)に概略的に示されている。
【0168】
図12の部分(b)は、Ga双極準膜が良好な合体を達成し、頂部c面のみを露出させることを確認する走査型電子顕微鏡法を示す。得られたパターン化サンプルは上面として双極c面を有し、側壁に非双極m面を有する。エッチングプロセスは、下にあるSiウェハを露出させなかった。両方のサンプルについて、シミュレートされた太陽放射は、下にあるSi p-n接合によって吸収された。GaNとSiとの間のほぼ完全な伝導帯の位置合わせにより、光生成電子はGaNに容易に移動し、水素発生反応(
図12(c)参照)を駆動することができ、一方、正孔は、水酸化のために対向電極(カウンタ電極)に輸送される。試料Aでは支配的な反応面は頂部c面であり、一方、試料Bでは横方向の非極性面が支配的である。
図12(c)の挿入図は極性c面の頂部表面および非極性m面の側壁を有するGaNのウルツ鉱型構造を示す。
【0169】
GaN/Si光電陰極、Ag/AgCl基準電極、およびIrO
x対電極(カウンタ電極)からなる3電極設定で、AM1.5Gの1日照度で0.5M H
2SO
4中でPEC特性評価を行った。Pt共触媒ナノ粒子を光堆積(photodeposition)によりGaN/Si光電陰極上に堆積した。線形走査ボルタンメトリー(LSV)測定結果は、100mV/sの走査速度で0.6~約0.3V vs RHE(V対RHE)で行った。AM1.5G1太陽照明下のSi p-n接合部から高光電流密度(約40mA/cm
2まで)が期待されるが、試料Aは測定可能な光電流密度を示さず、Ga面c面GaNがあまり光電気化学的に活性でないことを示唆している(
図13(a)を参照)。対照的に、試料Bは、約0.45 V対RHEの開始電位(V
on)および約18mA/cm
2の飽和光電流密度を有する光応答を示した。光応答(J
photo)は、照明条件下と暗条件下との間の電流密度の差異によって与えられる。詳細な測定により、試料Bが約100%のファラデー効率で安定な水素生成を示すことがさらに確認された(
図13(b)参照)。試料Aおよび試料Bは、試料Bが電解質に曝露された非極性表面を有することを除いて、ほぼ同一であると仮定すると、分析は、GaNの非極性表面がPEC反応のための活性ファセットであることを示す。
【0170】
ここで
図14を参照すると、GaN/電解質界面における電荷移動抵抗が、電気化学インピーダンス分光法(EIS)によって測定された(
図14(a)を参照)。EIS曲線は、10 mVの摂動AC電圧振幅を有する0.2V対RHEのDCバイアスで、2MHzの初期周波数および0.5Hzの最終周波数で得られた。AM1.5Gの1太陽照明下でのナイキストプロットは両方のサンプルについて2つの半円を提示する。一方は内部デバイス抵抗によるものであり、他方は光電極と電解質との間の界面電荷移動抵抗によるものである。第1の半円の半径は試料Aと試料Bとの間で類似している(それらの試料がデバイス構造において同一であるため)一方、試料Bについての第2の半円の半径は試料Aについての半径よりもはるかに小さい。第2の半円の半径の差は、GaN/電解質界面での電荷移動が多量の非極性表面の存在により、試料Aと比較して試料Bについて有意に減少することを確認する。Mott-Schottky(MS)測定(
図14(b)を参照)はまた、10mV rmsの振幅および2kHzの周波数のAC摂動で、暗部分におけるGaNと電解質との間のバンド整列および表面バンド曲げを調査するために採取された。試料Aは負のフラットバンド電位(V
fb)を示したが、試料B(非極性面が露出している)は正の電位を有し、すなわち、V
fbに正のシフトを示した。この相違点は、試料Aが、試料Bよりも表面電荷移動に対して、はるかに高いショットキー障壁を有することを示している。試料Aと試料Bとの間のV
fbにおけるこのような有意な相違点の含意および起源が以下でさらに議論される。
【0171】
図15は、試料Aと試料Bとの間の表面積の相違ならびに電荷キャリア移動経路の相違がPEC活性に及ぼす影響を除外することを目的とした分析の結果を示す。そのために、Si p-nウェハ上に成長させた例のGaNナノワイヤ(NW)アレイのPEC性能特性を解析した。それらの成長パラメータおよび構造的特徴は、サポート情報(Supporting Information)に記載されている。ナノワイヤアレイをc軸に沿って成長させ、上面および側面をそれぞれc面および非極性面GaNとした。電解質へのそれらの表面曝露は絶縁パリレンパッシベーション層の堆積、次いで、場合によってはナノワイヤアレイの上部分を明らかにするためのエッチバック処理を介して、制御可能に変化させた。パリレンを酸素プラズマで時間を変えてエッチバックした。エッチング時間が長くなると、より多くの量のGaN NW非極性側壁が露出され、V
onの正のシフトおよびより良好な充填率がもたらされる。
【0172】
成長させたままのGaN NW/Si光電陰極は、0.45V対RHEの開始電位と28mA/cm
2の最高光電流密度を示す(
図15(a)参照)。非双極側壁を電解質から保護するために絶縁パッシベーション層1500が堆積されたとき、活性は無視できる値まで減少した(
図15(b)を参照)。絶縁パッシベーション層1502を形成するための最初のエッチバック処理の後、GaNナノワイヤの上部c面1504が最初に露出された。次いで、エッチバック処理がより長い期間進行することにつれて、ナノワイヤの側壁1506が電解質に徐々に曝露された(
図15(c)を参照)。エッチバック持続時間に伴う非極性表面積の増加の効果は、より大きな表面積に関連する電荷移動抵抗の減少に起因して、開始電位の正のシフトおよび改善されたフ充填率に反映される。
【0173】
図15の光電流データはまた、非極性側壁1506のわずかな曝露でさえ、表面不動態化なしに、成長したままのナノワイヤサンプルのものとほぼ同一である最大飽和光電流密度をもたらすか、またはサポートすることができることを示す。エッチバック持続時間に対する最大光電流密度のこのような無視できる依存性は、主にc面サンプルと(主に)非極性面サンプルとの間の測定されたPEC活性差に対する表面積の影響を除外し、したがって、成長直後の準膜サンプルAのPEC活性とエッチングされたサンプルBのPEC活性との間の明確なコントラストにおいて極性が果たす役割を強調する。面積依存性の欠如はまた、電荷移動のために使用されるナノワイヤおよび他のナノ構造の部分的不動態化のための選択肢を提供し、その実施例を以下に記載する。
【0174】
密度汎関数理論(DFT)解析。上述のように、PEC水分解反応の間、酸素吸着および置換がGaN表面上で起こり得る。したがって、c面GaN表面と非極性面GaN表面との間のPEC活性の基本的な違いを理解するために、例えば、動作中に、容易に吸着し、表面に組み込まれ得る酸素の役割が考慮されている。
【0175】
図16は、分析のためのDFT構成を概略的に示す。(a)及び(b)の矢印は、酸素誘起表面双極子モーメントの空間方向を示す。(a)はm面における酸素置換を示し、酸窒化ガリウム層を形成する。(b)は(0001)面での酸素吸着を示している。(c)及び(d)は、それぞれ酸素置換及び吸着によって誘起される表面バンド曲げ変化を模式的に示している。m面における(部分的)酸素置換は、部分(c)に概略的に示される表面バンド曲げを減少させる外向きの表面双極子モーメントを誘起する。(0001)面での酸素吸着は内向きの表面双極子モーメントを誘起し、これは、部分(d)に示されるように、表面バンドの曲げを増加させ、表面への電子移動をさらに妨害する。
【0176】
平面波疑似ポテンシャル量子‐ESPRESSOパッケージを用いて、一般化された勾配近似でDFT計算を行った。Ga 3d電子を価電子として明示的に扱った場合の、価電子とイオンコアとの間の相互作用を記述するために、超音波疑似ポテンシャルを用いた。波動関数と電子密度を、それぞれ30 Ryと240 Ryのカットオフエネルギーで切った平面波ベースのセットで拡張した。表面を、厚さ7GaN二重層を有する(2×2)単位セルを用いた繰返しスラブ形状でモデル化し、N末端底面を0.75eの電荷を有する擬水素で不動態化した。さらに、9.57Å×10.38Åの横方向寸法を有する8個のGaN原子層を用いて、(101*0)表面をモデル化した。連続するスラブ間に少なくとも15.0Åの真空幅を導入し、5×5×1および2×2×1のk点メッシュを用いて、極性および非極性表面の表面ブリュアンゾーン(Brillouin zone)をそれぞれサンプリングした。なお、「1*」は、数字の1の上に横線を引いたものを意味する。
【0177】
非極性(101
*0)表面では、表面および表面下層の窒素原子が部分的に酸素に置き換わった状態で最も安定な構造が得られ、非極性表面上に独特の酸窒化ガリウムが形成された(
図16(a)参照)。ガリウム酸窒化物は、GaNと比較して、より小さいエネルギーバンドギャップおよび高められた触媒活性を有することが知られており、それによって、PEC反応のための非極性GaN表面への電荷キャリア(電子)移動が著しく増強される。
【0178】
一方、極性(0001)GaN表面では、酸素リッチ条件で最も安定な表面形態は、酸素吸着の被覆率が0.25MLのものであることが分かった(
図16(b)参照)。
【0179】
興味深いことに、酸素は、表面分極、それによって表面でのバンド曲げに著しい影響を及ぼすことが分かった。より具体的には、計算により、酸素置換および吸着が、それぞれ非極性(101*0)面および極性(0001)面において正および負の表面分極をもたらすことを示した。(0001)面において、負の表面分極は仕事関数を効果的に減少させ、これは真空中で深く、半導体中で深い静電ポテンシャルの相違に関連する。対照的に、(101*0)面における仕事関数は、正の表面分極に起因して増加する。
【0180】
定量的には、これらの表面分極が、
図16(c)と(d)に示すように、(0001)面では0.21 eVの上向きバンド屈曲、非極性面では0.25 eVの下向きバンド屈曲を誘起する。まとめると、酸素は2つの面での電荷移動に対照的な効果を及ぼすこと、すなわち、酸素は非極性面での電子輸送を促進し、極性面での輸送を制限することを示している。酸窒化物層のこれらの対照的な特性は、電荷移動を促進すること(例えば、電極)および電荷移動を阻害すること(例えば、ゲート酸化物の安定化または不動態化)にそれぞれ向けられた異なるタイプのデバイス界面を支持するために適用され得、その例は本明細書に記載される。
【0181】
異なる表面酸素相互作用によって誘起される表面分極における試料Aと試料Bとの間の差異は、MS測定で示される表面バンド曲げの差異に寄与する。サンプルAは本質的に、その頂部c面のみが電解質に曝露されており、負のフラットバンド電位を示し(
図14(b)を参照)、n型GaN c面と電解質との間の界面における伝導帯ショットキー障壁を示し、これは、フェルミ準位ピン止めおよび上方屈曲バンディングの両方に起因する可能性があることを示している。対照的に、試料Bは電解質に曝露された側方非極性面を有し、V
fbの正のシフトを示した。開回路電位(OCP)測定結果は、試料BがMS測定結果と一致する約0.4Vの光電圧を有することを明らかにした。試料Aと試料Bの間の活性差は、表面酸化の異なる性質による極性と非極性表面間のエネルギーバリアの差、並びにc面GaN表面の表面状態での結果として生じる分極誘起表面バンド曲げとFermi準位ピンニングに起因する。半導体-電解質界面において、フェルミ準位ピン止め(ピンニング)は、異なる分極バイアスにおいて一定のままであるショットキー障壁をもたらす。この障壁は、水素発生反応のための大きな過電圧を課すことによって、c面表面への効率的な電荷キャリア輸送を防止し、したがって、任意の利用可能な表面(光)電子を用いて水素発生を促進する働きをする、Pt共触媒堆積後でさえ、試料Aからの光応答をほとんどまたは全くもたらさない。表面酸窒化ガリウムの存在下での非極性m面は、電解質への容易な電荷移動を可能にする非ピン化フェルミ準位を示し得るが、Ga極性c面での電子エネルギー障壁は酸素吸着によりさらに悪化する。
【0182】
前述の理論的および実験的分析により、PEC水素発生反応を促進する際の非極性GaN面の重要性が確認された。PEC反応の間、非極性GaN表面上での独特の酸窒化ガリウムの形成は電荷キャリア(電子)輸送および抽出を著しく増強し、一方、極性c面表面上での酸素吸着は、効率的な電荷キャリア抽出を妨げる。GaNナノワイヤの高効率光(電極)触媒活性の原子起源を、従来のGaN膜構造と比較して解析した。ウルツ鉱型III族窒化物の非極性ファセットを曝露することは、光電陰極と電解質との間の電子移動を増強することによってPEC活性のブレークスルーの進歩を達成するための有用な戦略である。結晶方位と光(電気)化学反応との関係の理解は、PEC水分解および二酸化炭素還元および窒素固定のような種々の他の触媒反応において有用である。
【0183】
図17Aは、一例による、結晶学的および酸窒化物ベースの安定化を伴う装置1700を描写する。場合によっては、装置1700が本明細書に記載されるように、水分解などのPEC反応のための光電極であってもよく、または別の電極であってもよい。装置1700は、任意の数のナノ構造1702を含む。
【0184】
ナノ構造体1702は本明細書に記載されるように、基板(図示せず)によって支持される。ナノ構造1702は、アレイで、または他の配置で配置されてもよい。この場合、各ナノ構造体1702はナノワイヤとして構成されるが、他の形状および構造が使用されてもよい。ナノ構造はエッチングなどの追加のおよび/または代替の技法によって成長(例えば、エピタキシャル成長)または形成され得る。デバイス1700は、本明細書に記載のナノワイヤベースのデバイスの特徴または特性のうちの任意の1つまたは複数を含むか、または有することができる。
【0185】
ナノ構造体1702は、半導体組成を有する。場合によっては、ナノ構造1702がGaNおよび/または別のIII族窒化物半導体材料から構成される。代替または追加の半導体材料は、例えば、化合物半導体である。例えば、半導体組成物は、窒素含有半導体に限定されない。酸素含有半導体は、他の場合に使用されてもよい。
【0186】
ナノ構造1702は、窒素または酸素のいずれかが存在する表面を有する。窒素または酸素の存在は、半導体材料の組成から生じ得る。場合によっては、表面が窒素末端であってもよい。
【0187】
装置1700は、安定化層1704を含む。安定化層1704は、ナノ構造体1702の表面上に配置される。この場合、安定化層1704が配置される表面は、ナノ構造体1702の側壁である。安定化層1704は本明細書に記載されるように、酸窒化物材料を含む。酸窒化物材料は、ナノ構造体1702の表面にわたって連続的に分布され得る。したがって、安定化層は、表面を連続的に覆うことができる。安定化層1704の酸窒化物は、表面の窒素または酸素をそれぞれ酸素または窒素で置換することによって確立することができる。
【0188】
図17Aの実施例では、安定化層1704が配置される表面がナノ構造1702の非極性表面である。GaNおよび他のウルツ鉱の実施例では、非極性表面がナノ構造1702の格子のm面に沿って配向される。
【0189】
装置1700は、ナノ構造1702の極性表面上に配置されたパッシベーションカバーまたはキャップ1706をさらに含む。この実施例では、ナノ構造体1702が上部または上部の極性表面、端部、またはファセットを有する。パッシベーションキャップ1706は、ナノ構造体1702の上面を完全に覆うか、またはパッシベートするように構成され得る。そのような被覆または不動態化は例えば、装置1700が浸漬される電解質から生じる腐食または他の劣化からナノ構造1702を保護することができる。このウルツ鉱の実施例では、極性表面が格子のc面に沿って配向される。場合によっては、パッシベーションキャップ1706が窒化物材料または酸化物材料を含む。例えば、パッシベーションキャップ1706はAlOx、HfO2、Six Ny、およびAlSiNxから構成されてもよく、またはそれを含んでもよいが、他の物質が使用されてもよい。
【0190】
図17Bは、別の実施例による、結晶学的および酸窒化物ベースの安定化を伴う装置1710を描写する。装置1710は、光電極または他の電極であってもよい。装置1710は、任意の数のナノ構造1712を含む。ナノ構造体1712は本明細書に記載されるように、基板(図示せず)によって支持される。ナノ構造1712は、本明細書に記載されるように配置、構成、または構築され得る。したがって、デバイス1712は、本明細書で説明するナノワイヤベースのデバイスの特徴または特性のうちの任意の1つまたは複数を含むか、または有することができる。
【0191】
図17Aの実施例と同様に、ナノ構造1712は窒素または酸素のいずれかが存在する側壁表面を有し、装置1710は、その上に配置された安定化層1714を含む。安定化層1714は酸窒化物材料を含み、側壁表面は本明細書に記載されるように、非極性表面である。
【0192】
図17Bの実施例は、安定化層1714が側壁表面全体を覆ってよいし、覆わなくてもよいという点で、上述の実施例と異なり得る。安定化層1714は代わりに、ナノ構造体1712の露出部分(例えば、上部部分)(例えば、電解質に露出される)のみを覆ってもよい。しかしながら、安定化層1714の酸窒化物材料はそれにもかかわらず、露出部分にわたって連続的に分布され得る(例えば、露出部分は、安定化層1714によって連続的に覆われる)。
【0193】
装置1710は、ナノ構造1712の極性表面上に配置されたパッシベーションカバーまたはキャップ1716をさらに含む。パッシベーションキャップ1716は
図17Aの実施例に関連して上述したように、極性表面上に配置され、構成され、構築されてもよい。
【0194】
装置1710は、ナノ構造1712の非極性表面を部分的に覆うパッシベーション構造1718をさらに含む。この実施例では、パッシベーション構造1718がナノ構造1712の側壁表面の下部を取り囲むか、さもなければ覆う。
【0195】
側壁表面がパッシベーション構造1718によってパッシベーションされる程度は変化し得る。上述のように、装置1710の電流密度は、ナノ構造1712の露出表面積の減少によって著しく妨げられない場合がある。したがって、パッシベーション構造1718は、電荷移動および/または他のデバイス性能に悪影響を及ぼすことなく、かなりの量の側壁表面を覆うことができる。
【0196】
場合によっては、パッシベーション構造1718が上述のように、パリレンから構成されるか、またはパリレンを含む。様々な窒化物材料および様々な酸化物材料を含む他の材料を使用することができる。例えば、AlOx、HfO2、Six Ny、またはAlSiNxを使用することができる。
【0197】
パッシベーション構造1718は、装置1710の任意の数のナノ構造1712が埋め込まれるか、または配置される層として構成され得るか、またはそれを含み得る。たとえば、装置1710は、
図15(c)の実施例に記載され、示されるように構成され得る。
【0198】
他の例では、装置が他のタイプのナノ構造を含んでもよい。例えば、装置は、発光ダイオード(LED)装置などの発光装置として構成され得る。したがって、装置は10の実施例に関連して上述したように、活性層と、活性層によって支持された電極とを含むことができる。このような場合、安定化層は、活性層と電極との間に配置される。活性層は安定化層が配置される非極性表面(例えば、ウルツ鉱格子のm面に沿って配向された上面)を有する。したがって、安定化層の酸窒化物の存在は上述のように、活性層と電極との間の電荷移動を促進し得る。
【0199】
非極性表面上に安定化層を有するLEDおよび他のデバイスは、安定化層によって安定化された活性層または他の構造の側壁に沿って配置された1つまたは複数のパッシベーション構造を含むこともできる。例えば、
図11に示される例を参照されたい。そのような場合、側壁は、活性層または他の構造の格子のm面に沿って配向され得る。パッシベーション構造は
図11の実施例および本明細書の他の箇所に関連して記載および図示されるように、酸窒化物系安定化層であってもよく、または酸窒化物系安定化層を含んでもよい。しかしながら、その安定化層は極性表面(例えば、ウルツ鉱格子のc面)に沿って配置され、したがって、電荷移動を促進するのではなく抑制する。例えば、様々な窒化物材料および様々な酸化物材料を含む、側壁に沿った追加のまたは代替のパッシベーション構造を使用することができる。
【0200】
さらに他の場合には、装置が、パッシベーション層として機能するように極性表面に沿って配置された安定化層を含む。例えば、装置は、トランジスタ装置などのトランジスタとして構成され得る。このような場合、安定化層は
図3の例に関連して上述したように、チャネル層とゲート酸化物層との間に配置される。チャネル層の表面は極性表面(例えば、ウルツ鉱格子のc面に沿って配向したチャネル層の上面)である。安定化層の酸窒化物材料の極性表面上への配置は上述のように、電荷移動を阻害し、それによって、チャネル層中の高エネルギー電荷キャリアからゲート酸化物を保護する。酸窒化物材料は表面に亘って連続的に分配され(例えば、チャネル層の表面全体を連続的に覆う)、表面トラップを抑制し、及び/又はチャネル層とゲート酸化物層との間の界面に沿った他の欠陥に対処することができる。
【0201】
図17Cは、別の実施例による表面安定化を有する装置1720を示す。装置1720は、基板1722と、基板1722によって支持されたナノ構造1724とを含む。この実施例では、ナノ構造1724は平面である。ナノ構造体1724は、エッチング手順によって形成されたパターン化層であってもよい。場合によってはナノ構造1724がヘテロ構造の1つの層または他の構成要素であり、その他の層は説明を容易にするために示されていない。
【0202】
ナノ構造体1724は、半導体組成を有する。半導体組成は変化してもよい。例えば、本明細書に記載の半導体組成物のいずれかを使用することができる。
【0203】
ナノ構造体1724は、安定化層1726によって安定化された表面を有する。安定化層1726は本明細書に記載されるように、酸窒化物材料から構成されるか、または酸窒化物材料を含む。この実施例では、表面がナノ構造体1724の上部平面である。場合によっては表面は非極性表面であり、その場合、安定化層1726はナノ構造1724と、接点または電極1728などの別の層との間の電荷移動を容易にするために使用され得る。本明細書に記載されるように、表面は、ナノ構造1724の格子のm面に対応し得る。したがって、安定化層1726は、ナノ構造体1724のm平面と電極1728との間の界面を確立することができる。他の場合には、安定化層1726がナノ構造1724と、装置1700の別の層、部品、または要素との間に配置される。さらに他の例では、ナノ構造1724の表面が極性表面(例えば、格子のc面に対応する)である。そのような場合および他の場合、安定化層1726は、ナノ構造1724の表面を不動態化するために使用され得る。例えば、安定化層1726はナノ構造体1724と層1728との間の界面を安定化するように作用することができ、これは、酸化物または他の誘電体層として構成することができる。これらの場合のいずれにおいても、安定化層1726の酸窒化物材料はナノ構造体1724の平坦な表面にわたって連続的に分布され得る(例えば、表面の全体を連続的に覆う)。
【0204】
装置1700は、本明細書で説明する他の実施例のいずれか1つと共通する1つまたは複数の他の態様、特徴、部品、または他の特徴を有し得る。
【0205】
図18は、複数の例に従ってデバイスを製造する方法1800を示す。方法1800は
図17A~17Cの装置、ならびに、例えば、
図1、
図3、
図10、および
図11に関連して示されるものを含む、本明細書で説明される他の実施例を製作するために使用され得る。
【0206】
方法1800は例えば、
図2に関連して示されるものを含む、本明細書に記載される他の製造方法の行為のうちの1つまたは複数と併せて実装され得る。例えば、方法1800は、装置の基板を提供することを対象とする1つまたは複数の行為を含み得る。このような基板関連法は、本明細書に記載されるように構成されてもよい。
【0207】
方法1800は、装置の構造が形成される動作1802を含む。構造は、ナノワイヤ、活性、チャネル、または装置の他の層などのナノ構造であってもよく、またはそれを含んでもよい。構造体は基板によって支持され、本明細書に記載されるように、半導体組成物を有する。
【0208】
図18の実施例では、方法1800が本明細書で説明する2つの異なるタイプの安定化層に対応する2つの分岐を含む。1つの分岐は、安定化層が例えば、電極において電荷移動を支持するデバイスを製造することを対象とする。もう1つの分岐は、安定化層が例えば、電荷移動を抑制するためのパッシベーション層または絶縁層として作用するデバイスを製造することを対象とする。場合によっては、装置が両方のタイプの安定化層を含むことができ、その場合、両方の分岐が実施される。
【0209】
電荷移動分岐に関して、方法1800は、1つまたは複数のパッシベーション構造が堆積される動作1804を含むことができる。例えば、パッシベーション構造は、構造に隣接して配置されてもよい。その結果、構造の一部がパッシベーション構造によって覆われる。そのようなパッシベーション構造の実施例としては、本明細書に記載されるように、ナノワイヤのc面上のキャップ層が挙げられる。したがって、動作1804は、場合によっては構造のc面または他の極性表面を覆うことを含み得る。他の例では、パッシベーション構造が本明細書に記載されるように、ナノワイヤの側壁(例えば、m面)または他の非極性表面を部分的に覆う。
【0210】
方法1800は、安定化層が構造の非極性表面上に形成される動作1806を含む。安定化層は本明細書に記載されるように、酸窒化物材料を含む。場合によっては、動作1806が非極性表面上に酸素含有材料(例えば、酸化物)を堆積させることと、酸素含有材料の酸素から酸窒化物材料を形成するためにアニールを実施することとを含み得る。動作1806は表面の1つまたは複数の前処理など、酸素を表面に組み込むことに関連して本明細書に記載される法のうちの任意の1つまたは複数を含むことができる(例えば、
図2を参照)。他の場合(例えば、すでに酸素を含む半導体表面)では、窒素含有材料(例えば、窒化物)が表面上に堆積され得る。動作1806はまた、ナノワイヤまたは他の構造のc面または他の極性表面上に酸窒化物を形成するために使用され得る。
【0211】
動作1806は本明細書に記載されるように、酸化反応を介して実施されてもよい。したがって、動作1806は、動作1804においてパッシベーション構造を堆積させた後に実施され得る。他の場合には、パッシベーション構造の堆積が安定化層を形成した後に実施される。
【0212】
パッシベーション/絶縁分岐に目を向けると、方法1800は、安定化層が構造の極性表面上に形成される動作1808を含む。安定化層は本明細書に記載されるように、酸窒化物材料から構成されるか、または酸窒化物材料を含む。この場合、安定化層の酸窒化物は本明細書に記載されるように、トランジスタ装置のチャネル層とゲート誘電体層との間の界面など、装置の界面を不動態化および/または絶縁するために使用される。したがって、構造の極性表面は本明細書に記載されるように、ウルツ鉱格子のc面であってもよい。動作1808は表面に酸素を組み込むことに関連して本明細書に記載される動作のうちの任意の1つまたは複数を含み得る(例えば、
図2を参照)。
【0213】
方法1800はパッシベーションまたは他の絶縁構造の堆積を介して、安定化層が形成される極性(たとえば、c面)表面、または非極性(たとえば、m面)表面などの構造の1つまたは複数の表面に対処するための動作1810を含み得る。前者の場合の例では、動作1810がゲート酸化物層などの絶縁層を堆積することを含み得る。後者の場合の例では、動作1810が側壁に沿ってパッシベーション構造を堆積させることを含み得る。例えば、動作1810を介して、活性層の非双極側壁を不動態化することができる。動作1810はm面または他の非極性表面がパッシベーション構造によって覆われるように、構造のそのような非極性表面に沿ってパッシベーション構造を堆積させることを対象とすることができる。したがって、動作1810において堆積されるパッシベーション構造は、安定化層の酸窒化物の使用が本明細書に記載される理由のために、非極性表面をパッシベートしない場合に有用であり得る。
【0214】
本開示は例示のみを意図し、本開示を限定することを意図しない特定の実施例を参照して記載されている。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、実施例に変更、追加、および/または削除を行うことができる。
【0215】
上記の説明は理解を明確にするためだけに与えられたものであり、それから不必要な限定が理解されるべきではない。
【国際調査報告】