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特表2024-519573自由ランダムプログラミングによるMRAMベースのチップ識別
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-17
(54)【発明の名称】自由ランダムプログラミングによるMRAMベースのチップ識別
(51)【国際特許分類】
   H10B 61/00 20230101AFI20240510BHJP
   H10N 50/80 20230101ALI20240510BHJP
【FI】
H10B61/00
H10N50/80 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562237
(86)(22)【出願日】2022-04-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 CN2022087375
(87)【国際公開番号】W WO2022247522
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/329,824
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【復代理人】
【識別番号】100160738
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 由加里
(74)【復代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】チェン,カングオ
(72)【発明者】
【氏名】フサメディン,ディミトリ
(72)【発明者】
【氏名】フルジェ,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】シィエ,ルイロン
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA11
4M119AA20
4M119BB01
4M119CC05
4M119DD17
4M119DD24
4M119DD32
4M119DD45
4M119EE22
4M119EE27
4M119GG01
4M119JJ12
4M119JJ14
4M119JJ15
5F092AA12
5F092AA20
5F092AB07
5F092AB08
5F092AC12
5F092AD25
5F092BB22
5F092BB34
5F092BB35
5F092BB36
5F092BB38
5F092BB42
5F092BC04
5F092EA06
(57)【要約】
通常の動作電圧でチップ識別を有する磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスを提供する。専用のプログラミングは必要ない。その代わりに、MRAMデバイスのプログラミングは、自由でランダムであり、磁気接合トンネル(MTJ)構造の磁気自由層に十分に近い磁気ビア構造を提供する結果であるため、磁気ビア構造が、磁気自由層と相互作用する磁場であって、磁気自由層の磁化を磁気ビア構造の磁化と揃える磁場を投影する。したがって、磁気ビア構造及び磁性自由層の両方の磁化の向きは同じ方向に揃う。このように、磁気ビア構造の磁化は、物理的複製防止機能として使用でき、MTJ構造は、この情報を読み出すために使用できる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上方に配置された磁気ビア構造及び第1電極のスタックと、
前記磁気ビア構造及び前記第1電極の両方を埋め込む第1相互接続誘電体材料層と、
前記スタック上に配置される磁気トンネル接合(MTJ)構造であって、磁気自由層を磁気参照層から分離するトンネル障壁層を含むMTJ構造と、
前記MTJ構造上に配置された第2電極とを含み、
前記磁気ビア構造が、前記MTJ構造の前記磁性自由層と相互作用する磁場であって、前記磁気自由層の磁化を前記磁気ビア構造の磁化と揃える磁場を有する、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス。
【請求項2】
前記第2電極上に配置され、前記第2電極の表面に接触するコンタクト構造をさらに含む請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項3】
前記コンタクト構造及び前記MTJ構造が、両方とも第2相互接続誘電体材料層に埋め込まれる請求項2に記載のMRAMデバイス。
【請求項4】
前記MTJ構造が、ボトムピンMTJ構造である請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項5】
前記MTJ構造が、トップピンMTJ構造である請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項6】
前記磁気ビア構造が、前記第1電極の直下に配置される請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項7】
前記磁気ビア構造及び前記第1電極が、両方とも磁性材料で構成される請求項6に記載のMRAMデバイス。
【請求項8】
前記磁気ビア構造の前記磁性材料が、前記第1電極の前記磁性材料と組成的に同じである請求項7に記載のMRAMデバイス。
【請求項9】
前記磁気ビア構造の前記磁性材料が、前記第1電極の前記磁性材料と組成的に異なる請求項7に記載のMRAMデバイス。
【請求項10】
前記磁気ビア構造が、磁性材料で構成され、前記第1電極が、非磁性であるが導電性の材料で構成される請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項11】
前記磁気ビア構造が、前記第1電極の上方に配置される請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項12】
前記磁気ビア構造が、磁性材料で構成され、前記第1電極が、非磁性であるが導電性の材料で構成される請求項11に記載のMRAMデバイス。
【請求項13】
前記磁気ビア構造及び前記第1電極が、両方とも磁性材料で構成される請求項11に記載のMRAMデバイス。
【請求項14】
前記磁気ビア構造が、2:1より大きいアスペクト比を有する請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項15】
前記磁気参照層が、前記磁気ビア構造及び前記磁気自由層の両方の磁化と同じである磁化を有する請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項16】
前記磁気参照層が、前記磁気ビア構造及び前記磁気自由層の両方の磁化とは異なる磁化を有する請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項17】
基板上に配置され、間隔を空けて配置された複数の磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスを含む不揮発性メモリ(NVM)アレイであって、
前記複数のMRAMデバイスの各MRAMデバイスが、磁気ビア構造及び第1電極のスタックと、前記磁気ビア構造及び前記第1電極の両方を埋め込む第1相互接続誘電体材料層と、前記スタック上に配置される磁気トンネル接合(MTJ)構造であって、磁気自由層を磁気参照層から分離するトンネル障壁層を含むMTJ構造と、前記MTJ構造上に配置された第2電極とを含み、
前記磁気ビア構造が、前記MTJ構造の前記磁気自由層と相互作用する磁場であって、前記磁気自由層の磁化を前記磁気ビア構造の磁化と揃える磁場を有する、不揮発性メモリ(NVM)アレイ。
【請求項18】
第1セットのMRAMデバイスの前記磁気参照層が、前記第1セットのMRAMデバイスにおける前記磁気ビア構造及び前記磁気自由層の両方の磁化と同じ磁化を有し、第2セットのMRAMデバイスの前記磁気参照層が、前記第2セットのMRAMデバイスにおける前記磁気ビア構造及び前記磁気自由層の両方の磁化と異なる磁化を有する請求項17に記載のNVMアレイ。
【請求項19】
前記磁気ビア構造が、前記第1電極の直下に配置される請求項17に記載のNVMアレイ。
【請求項20】
前記磁気ビア構造が、前記第1電極の直上に配置される請求項17に記載のNVMアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、不揮発性メモリに関し、より詳細には、専用のプログラミングを必要とせずに得られるチップ識別を有する磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスに関する。
【0002】
チップ識別は偽造を防ぐために不可欠であり、チップ識別がデバイス認証に使用されることもある。チップ識別の従来のアプローチは、ヒューズ、アンチヒューズ、又は不揮発性メモリ(NVM)の使用を含む。チップ製造後、各チップに固有の識別情報を組み込むために、専用のプログラミング操作が必要である。チップ製造後のプログラミングは、いくつかの欠点を有する。第一に、このようなチップ識別方法はチップの製造コストを増加させ、プログラミングに問題が生じる可能性がある。第二に、チップ識別アプローチの中には、高電圧動作を必要とするものがある。例えば、電気ヒューズ及びアンチヒューズのプログラミングには高電圧が必要である。高電圧の供給は、チップサイズと製造コストが増大する複雑な回路(例えば、電荷ポンピング)が必要である。そのため、チップ識別を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
チップ識別を有する磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(magnetoresistiverandom access memory:MRAM)デバイスを提供する。チップ識別のための専用プログラミングは不要である。その代わりに、MRAMデバイスのプログラミングは、自由でランダムであり、磁気トンネル接合(magnetic tunnel junction:MTJ)構造の磁気自由層(magneticfree layer)に近接して磁気ビア構造を提供した結果である。「に近接する(close proximityto)」は、磁気ビア構造が、MTJ構造の磁気自由層に十分近く配置される(すなわち、磁気ビア構造を磁気自由層から分離する距離が30nm以下である)ことを意味するため、磁気ビア構造は、磁気自由層と相互作用する磁場であって、磁気自由層の磁化を磁気ビア構造の磁化と揃える磁場を投影する。したがって、開示されるMRAMデバイスにおける磁気ビア構造及び磁気自由層の磁化ベクトルは、同じ方向に揃えられる。このように、磁気ビア構造の磁化は、物理的複製防止機能(physical unclonable function:PUF)として使用でき、MTJ構造は、この情報を読み出す(read out)ために使用できる。
【0004】
本願の一つのアスペクトでは、MRAMデバイスを提供する。一つの実施形態では、MRAMデバイスは、基板の上方に配置された磁気ビア構造及び第1電極のスタックを含む。いくつかの実施形態では、前記磁気ビア構造は、前記第1電極の下に配置され、他の実施形態では、前記磁気ビア構造は、第1電極の上方に配置される。MRAMデバイスは、前記磁気ビア構造及び前記第1電極の両方を埋め込む第1相互接続誘電体材料層(interconnect dielectric material layer)をさらに含み、MTJ構造は、前記スタック上に配置される。前記MTJ構造は、磁気自由層を磁気参照層(magnetic reference layer)から分離するトンネル障壁層(tunnelbarrier layer)を含む。MRAMデバイスは、前記MTJ構造上に配置された第2電極をさらに含む。本願に従って、前記磁気ビア構造は、前記MTJ構造の前記磁気自由層と相互作用する磁場であって、前記磁気自由層の磁化を前記磁気ビア構造の磁化と揃える磁場を有する。すなわち、前記磁気ビア構造と前記磁気自由層の磁化ベクトルは、両方とも同じ方向に配向する。
【0005】
本願の別のアスペクトでは、不揮発性メモリ(non-volatile memory:NVM)アレイを提供する。一つの実施形態では、NVMアレイは、基板上に配置され、間隔を空けて配置された複数のMRAMデバイスを含み、前記複数のMRAMデバイスの各MRAMデバイスは、磁気ビア構造及び第1電極のスタックと、前記磁気ビア構造及び前記第1電極の両方を埋め込む第1相互接続誘電体材料層と、前記スタック上に配置されるMTJ構造であって、磁気自由層を磁気参照層から分離するトンネル障壁層を含むMTJ構造と、前記MTJ構造上に配置された第2電極とを含み、前記磁気ビア構造が、前記MTJ構造の前記磁気自由層と相互作用する磁場であって、前記磁気自由層の磁化を前記磁気ビア構造の磁化と揃える磁場を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本願の実施形態に従って、MTJ構造の磁気自由層に近接した磁気ビア構造を含むMRAMデバイスの断面図であり、この図面では、磁気ビア構造によって発生される磁場は示されていない。
図1B】本願の実施形態に従って、磁気ビア構造によって発生される磁界を示す、図1Aと同じMRAMデバイスの断面図である。
図2】本願の別の実施形態に従って、MTJ構造の磁気自由層に近接した磁気ビア構造を含むMRAMデバイスの断面図であり、この図面では、磁気ビア構造によって発生される磁場が示されている。
図3】本願のさらなる実施形態に従って、MTJ構造の磁気自由層に近接した磁気ビア構造を含むMRAMデバイスの断面図であり、この図面では、磁気ビア構造によって発生される磁場が示されている。
図4A図1A及び図1Bに示すMRAMデバイスの一部の立体図であり、MRAMデバイスは出力としてゼロ(0)を有する。
図4B図1A及び図1Bに示すMRAMデバイスの一部の立体図であり、MRAMデバイスは出力としてイチ(1)を有する。
図5A図2に示すMRAMデバイスの一部の立体図であり、MRAMデバイスは出力としてゼロ(0)を有する。
図5B図2に示すMRAMデバイスの一部の立体図であり、MRAMデバイスは出力としてイチ(1)を有する。
図6A図3に示すMRAMデバイスの一部の立体図であり、MRAMデバイスは出力としてゼロ(0)を有する。
図6B図3に示すMRAMデバイスの一部の立体図であり、MRAMデバイスは出力としてイチ(1)を有する。
図7A】磁気ビア構造に磁気的に結合された、MTJ含有MRAMデバイスのアレイを示し、MTJ構造に存在する各磁気自由層の磁化は、磁気ビア構造の磁化の方向に従う。
図7B図7Aに示す点線の円内に含まれる、MTJ含有MRAMデバイスの1つの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本願に添付された以下の考察及び図面を参照して、本願をより詳細に説明する。本願の図面は、例示のみを目的として提供され、そのようなものとして、図面は縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。また、同様の要素及び対応する要素は、同様の参照数字によって参照されることに留意されたい。
【0008】
以下の説明では、本願の様々な実施形態の理解を提供するために、特定の構造、構成要素、材料、寸法、処理ステップ、及び技術等の多数の具体的な詳細を示す。しかしながら、当業者であれば、本願の様々な実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることを理解するであろう。他の例では、本願の理解を困難にすることを避けるために、周知の構造又は処理工程は詳細に記載されていない。
【0009】
層、領域、又は基板としての要素が、他の要素の「上に(on)」」又は「上に(over)」あると称される場合、それは他の要素の上に直接存在することもあれば、介在要素が存在することもあることが理解されよう。対照的に、ある要素が他の要素の「直上に(directly on)」又は「直上に(directly over)」あると称される場合、介在要素は存在しない。また、ある要素が他の要素の「下に(beneath)」又は「下に(under)」あると称される場合、他の要素の直下にあるか、又は介在要素が存在する可能性があることも理解されよう。対照的に、要素が他の要素の「直下に(directly beneath)」又は「直下に(directly under)」あると言及される場合、介在要素は存在しない。
【0010】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本願を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことが意図される。本願で使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」又はそれらの組合せは、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、又はそれらの組合せの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、それらの群、又はそれらの組合せの存在又は追加を排除するものではないことがさらに理解されるであろう。
【0011】
以上のように、チップ識別を有するMRAMデバイスを提供する。チップ識別のための専用プログラミングは必要ない。その代わりに、MRAMデバイスのプログラミングは、自由でランダムであり、MTJ構造の磁気自由層に十分に近い(すなわち、近接した)磁気ビア構造の提供結果であるため、磁気自由層と相互作用し、磁気自由層の磁化を磁気ビア構造の磁化と揃える磁場を、磁気ビア構造が投影する。本願では、(磁気ビア構造の最上面から磁気自由層の最下面までで測定される)距離が30nm以下であり、30nm以下の距離が、磁気ビア構造を磁気自由層から分離する。磁気自由層に近接する磁性ビア構造の存在により、磁性ビア構造と磁気自由層の両方の磁化の向きは、同じ方向に揃う。したがって、磁気ビア構造の磁化は物理的複製防止機能として使用でき、MTJ構造はこの情報を読み出すために使用できる。次に、本願のこれら及び他のアスペクトについて、より詳細に説明する。
【0012】
最初に図1Aを参照すると、本願の実施形態に従って、MTJ構造(18/20/22)の磁気自由層22に近接した磁気ビア構造12を含むMRAMデバイスが図示される。先に定義したように、用語「に近接して」は、磁気ビア構造12がMTJ構造(18/20/22)の磁気自由層22に十分に近づいては配置される(すなわち、磁性ビア構造12を磁性自由層22から30nm以下の距離で分離する)ことを示すため、磁性自由層22と相互作用し、磁性自由層22の磁化を磁性ビア構造12の磁化と揃える磁場(図1Bだけでなく図2及び図3も参照)を磁性ビア構造12が投影する。したがって、本願のMRAMデバイスにおける磁気ビア構造12及び磁気自由層22の磁化ベクトルは、同じ方向に配向される。
【0013】
図1Aでは、磁気ビア構造12によって発生される磁場は示されていないが、図1Bは、図1AのMRAMデバイスにおいて磁気ビア構造12によって発生される磁場MFを示し、図2~3も、本願の代替MRAMデバイスについての磁場MFを示す。図1A~1B(及び図2~3)は、本願のMRAMデバイスが存在するバックエンドオブザライン(BEOL)構造のメモリデバイスエリアを示すことに留意されたい。BEOL構造の非メモリデバイスエリアは、図1A図1B図2及び図3に示すメモリデバイスエリアに近隣(adjacent)して、当該メモリデバイスエリアの周囲(periphery)に配置され得る。非メモリデバイスエリアは、例えば、BEOL抵抗器とBEOL相互接続構造のいずれか一方又は両方を含む、他のBEOLデバイス/構造を含むことができる。
【0014】
特に、図1A~1BのMRAMデバイスは、基板10上に配置された磁気ビア構造12を含み、第1電極14が磁気ビア構造12上に配置され、第1相互接続誘電体材料層16が磁気ビア構造12及び第1電極14の両方を埋め込み、MTJ構造(18/20/22)が第1電極14上に配置される。MTJ構造(18/20/22)は、磁気自由層22を磁気参照層18から分離するトンネル障壁層20を含む。図1A~1BのMRAMデバイスは、MTJ構造(18/20/22)上に配置される第2電極24をさらに含む。本願では、第1電極12は下部電極と呼ぶことができ、第2電極24は上部電極24と呼ぶことができる。
【0015】
図1A~1BのMRAMデバイスは、第2電極24上に配置されて第2電極24の表面に接触するコンタクト構造30をさらに含むことができる。図1A~1Bに示すように、コンタクト構造30及びMTJ構造(18/20/22)は、両方とも第2相互接続誘電体材料層28に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、図1A~1Bに示すように、誘電体材料ライナー26は、第2電極24及びMTJ構造(18/20/22)の両方の側壁に沿って全体が存在でき、第1相互接続誘電体材料層16の表面上に存在する。いくつかの実施形態では、誘電体材料ライナー26は、MTJ構造(18/20/22)の側壁に沿って全体が存在し、第2電極24の側壁の下部に沿って部分的に存在する。このような実施形態では、コンタクト構造30の一部は、第2電極24の側壁の上部に接触できる。いくつかの実施形態では、誘電体材料ライナー26を省略できる。
【0016】
図1A1B(及び図2~3)に示すMRAMデバイスは、様々な堆積プロセス、リソグラフィパターニング、エッチング、及び平坦化を含む、当技術分野で周知の技術を用いて作製できる。本願の要旨の理解を困難にしないため、MRAMデバイスの作製に使用される処理技術に関する詳細は、本明細書では提供しない。次に、図1A及び図1Bに示すMRAMデバイスの各構成要素について、より詳細に説明する。
【0017】
第1相互接続誘電体材料層16と、磁気ビア構造12及び第1電極14のスタックとの下に配置される基板10は、フロントエンドオブザライン(FEOL)が基板10の最低レベルを表すという条件下、FEOLレベル、金属レベル、又はそれらの任意の組み合わせとすることができる。FEOLレベルは、半導体基板上又は半導体基板内に配置された1つ以上の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスを含むことができる。例えば、電界効果トランジスタ(FET)を半導体基板上に配置できる。金属レベルは、ミドルオブライン(middle of the line: MOL)レベルと1つ以上の下位相互接続レベルのいずれか一方又は両方とすることができる。金属レベルは、1つ以上の誘電体材料層内に埋め込まれた1つ以上の導電性構造(例えば、銅(Cu)構造、アルミニウム(Al)構造、タングステン(W)構造、又はそれらの組合せ等)を含み得る。金属レベルの1つ以上の誘電体材料層は、例えば、低誘電率(low-k)誘電体(すなわち、二酸化ケイ素よりも小さい誘電率、すなわち約3.9未満の誘電率を有する誘電体材料)、超低誘電率(ultra low-k)誘電体材料(すなわち、3.0未満の誘電率を有する誘電体材料)、又はそれらの組合せ等の任意の適切な誘電体材料で構成できる。本明細書で言及される誘電率は、特に断らない限り、真空中で測定される。いくつかの実施形態において、金属レベルの1つ以上の誘電体材料層は、二酸化ケイ素を含み得る。本願発明の一つの実施形態では、基板10は、下から上へ、FEOLレベル、MOLレベル、及び1つ以上の相互接続レベルを含む。
【0018】
基板10の上方に配置され、第1相互接続誘電体材料層16に埋め込まれる磁気ビア構造12は、磁性材料で構成される。磁気ビア構造12を提供できる磁性材料の例としては、コバルト(Co)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)又はそれらの合金が挙げられるが、これらに限定されない。磁気ビア構造12の磁性材料として使用できる磁性合金の一つの例は、Co-Niの合金である。
【0019】
本願の磁気ビア構造12は、2:1を超える高いアスペクト比(すなわち、直径に対する高さの比)を有する。本願のいくつかの実施形態において、磁気ビア構造12は、5:1から100:1のアスペクト比を有する。本願の磁気ビア構造12は、典型的には円筒形であるが、他の非対称形状も可能であり、磁気ビア構造12の形状として本願で使用できる。
【0020】
本願に従って、磁気ビア構造12は、例えば図1Bに示すように、磁場MFを発生させ、この磁場MFは、磁性自由層22と相互作用し、磁性自由層22の磁化を磁気ビア構造12の磁化と揃えるのに十分強い(数百エルステッドより大きい)。したがって、本願のMRAMデバイスにおける磁気ビア構造12及び磁気自由層22の磁化ベクトルは、同じ方向に配向される。
【0021】
出願人は、本願のMRAMデバイスの処理後、磁気ビア構造12が、単一方向を指す磁化(すなわち、磁気ベクトル)を有することを観察する。本願のいくつかの実施形態では、磁気ビア構造12の磁化は上向きである。本願発明の他の実施形態では、磁気ビア構造12の磁化は下向きである。出願人は、磁気ビア構造12の形成直後は、磁気ビア構造12の磁化が上向き又は下向きでない可能性があることに留意する。しかし、本願のMRAMデバイスの処理中、磁気ビア構造12の磁化は、典型的には、その最小エネルギー状態に向かって上又は下のいずれかに緩和し、磁性自由層22の磁化は、追従して、磁気ビア構造12の磁化と同じ方向を向く。出願人はさらに、磁気ビア構造12の磁化はランダムであり、磁気ビア構造12のアスペクト比に依存することに留意する。したがって、本願の磁気ビア構造12はPUFとして使用でき、MTJ構造(18/20/22)はこの情報を読み出すことができる。
【0022】
図1A~1Bに示す実施形態において、磁気ビア構造12は、基板10の表面と第1界面を形成する第1表面と、第1電極14の表面と第2界面を形成する、第1表面とは反対側の第2表面とを有する。図1A~1Bに示す実施形態において、磁気ビア構造体12は、第1電極14の下に配置されている。
【0023】
図1A~1Bに示す実施形態において、第1電極14は、磁気ビア構造12の磁場強度にさらに追加できる磁性材料で構成されている。第1電極14を提供できる磁性材料の例には、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、鉄(Fe)、磁性希土類金属が含まれ、磁性希土類金属には、ガドリニウム(Gd)、ネオジム(Nd)、又はそれらの合金が含まれるがこれらに限定されない。第1電極14を提供する磁性材料は、磁性ビア構造12を提供する磁性材料と組成的に同じであるか、又は組成的に異なることができる。一つの実施形態では、第1電極14及び磁気ビア構造12は、両方ともCoで構成される。別の実施形態では、第1電極14はWで構成され、磁気ビア構造12はCoで構成される。図1A~1Bでは、第1電極14と磁気ビア構造12との間に存在できる材料界面の可能な配置として点線が示されている。
【0024】
第1電極14は、典型的には円筒形であるが、他の非対称形状も可能であり、第1電極14の形状として本願で使用できる。典型的には、必ずしも常にではないが、第1電極14の形状は、磁気ビア構造12の形状と一致する。第1電極14は、限界寸法(critical dimension:CD)(すなわち直径)を有することができ、限界寸法(CD)は、磁気ビア構造12のCD、すなわち直径より小さいか、又はそれ以下である。図1A~1Bは、第1電極14のCDが磁気ビア構造12のCDよりも小さい実施形態を示す。第1電極14は、1:1から1:5であるアスペクト比を有することができる。
【0025】
図1A~1Bの実施形態において、第1電極14は、磁気ビア構造12の表面との第1界面を形成する第1表面と、MTJ構造(18/20/22)の表面との第2界面を形成する、第1表面とは反対側にある第2表面とを有する。図1A~1Bに示す実施形態では、MTJ構造(18/20/22)との第2界面を形成する第1電極14の第2表面は、第1相互接続誘電体材料層16の非リセス(non-recessed)表面NSと同一平面上にある。
【0026】
磁気ビア構造12及び第1電極14を含むスタックを横方向に取り囲む第1相互接続誘電体材料層16は、1つ以上の相互接続誘電体材料を含むことができる。2つ以上の相互接続誘電体材料が第1相互接続誘電体材料層16の提供に使用される場合、第1相互接続誘電体材料層16を提供する各誘電体材料は、重ねて積層される。第1相互接続誘電体材料層16の提供に2つ以上の相互接続誘電体材料が使用されるいくつかの実施形態では、第1相互接続誘電体材料層16を提供する各誘電体材料は、組成的に同じ相互接続誘電体材料で構成できる。第1の相互接続誘電体材料層16の提供に2つ以上の相互接続誘電体材料が使用される他の実施形態では、第1相互接続誘電体材料の提供に組成的に異なる相互接続誘電体材料を使用できる。このような実施形態では、磁気ビア構造12は、第1相互接続誘電体材料で構成される第1相互接続誘電体材料層16の下部に埋め込むことができる一方、第1電極14は、第1相互接続誘電体材料とは組成が異なる第2相互接続誘電体材料で構成される第1相互接続誘電体材料層16の上部に埋め込むことができる。このような実施形態では、材料界面(図示せず)が、第1相互接続誘電体材料層16の提供に使用される第1誘電体材料と第2誘電体材料との間に存在する。
【0027】
第1相互接続誘電体材料層16として使用できる相互接続誘電体材料の例として、二酸化ケイ素、上記で定義した低誘電率(low-k)誘電体材料、上記で定義した超低誘電率(ultra low-k)誘電体材料、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。第1相互接続誘電体材料層16は、多孔質又は非多孔質であることができ、又は少なくとも1つの多孔質領域及び少なくとも1つの非多孔質領域を含むことができる。
【0028】
本願のいくつかの実施形態において、及び図1A及び図1Bに示すように、第1相互接続誘電体材料層16は、非リセス表面NSに近隣(adjacent)して配置されたリセス(recessed)表面RSを有する。このような実施形態では、第1相互接続誘電体材料層16の非リセス表面NS(すなわち、最上部表面)は、第1電極14の最上部表面と同一平面上となり得る。リセス表面RSは、MTJ構造(18/20/22)及び第2電極24の形成に使用されるパターニングプロセス中に形成できる。いくつかの実施形態では、リセス表面RSは、第1相互接続誘電体材料層16に存在しない。このような実施形態では、第1相互接続誘電体材料層16は、全体的に非リセスである最上面を有する。
【0029】
本願で使用できるMTJ構造(18/20/22)は、磁気参照層18を磁気自由層22から分離するトンネル障壁層20を少なくとも含む。本願のMTJ構造(18/20/22)は低い保磁場(coercive field)を有するように設計されているため、磁気自由層22の磁化が、磁気ビア構造12の磁化と自然に揃う。一つの例では、「低い保磁場」は500 Oe以下である。
【0030】
本願において、MTJ構造(18/20/22)の磁気自由層22の配置は、同じMTJ構造(18/20/22)の磁気参照層18に相対的に変化してよい。例えば、本願の様々な図面に例示されているいくつかの実施形態では、MTJ構造(18/20/22)は、下から上に、磁気参照層18、トンネル障壁層20、及び磁気自由層22を含むボトムピン(bottom pinned)MTJ構造である。このような実施形態及び図1A~1Bに示す実施形態では、磁気参照層18は、下にある第1電極14との界面を形成できる。
【0031】
本願の他の実施形態(MTJ構造(18/20/22)を180度反転させることによって本願の様々な図面から容易に把握できる実施形態)では、MTJ構造(18/20/22)は、下から上に、磁気自由層22、トンネル障壁層20、及び磁気参照層18を含むトップピン(top pinned)MTJ構造である。このような実施形態(そして、第1電極14が磁気ビア構造12の上方に配置される場合)では、磁気自由層22は、下にある第1電極14との界面を形成できる。
【0032】
MTJ構造(18/20/22)の要素として本願で使用できる磁気参照層18は、固定された磁化を有する。すなわち、磁気参照層18の磁化は、他の近隣の(neighboring)磁性層の磁化に関係なく、例えば上又は下といった一方向を指す。磁気参照層18は、磁性ピン(magnetic pinned)層と呼ぶことができる。磁気参照層18は、高いスピン分極を示す1つ以上の金属を含む金属又は金属合金で構成できる。磁気参照層18のための金属の例は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、ホウ素(B)、及びマンガン(Mn)を含む。磁気参照層18のための金属合金の例は、上記の例示された金属のうちの2つ以上を含むことができる。別の実施形態では、磁気参照層18は、(1)上記の金属を用いた金属と金属合金のいずれか一方又は両方から形成された高スピン分極領域と、(2)強い垂直磁気異方性(強いPMA(perpendicular magnetic anisotropy))を示す一種以上の材料から構成される領域とを有する多層配置であってもよい。使用できる強いPMAを有する材料の例としては、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、又はルテニウム(Ru)等の金属が挙げられ、交互の層として配置されてもよい。強いPMA領域はまた、強いPMAを示す合金を含んでもよく、合金の例としては、コバルト-鉄-テルビウム、コバルト-鉄-ガドリニウム、コバルト-クロム-白金、コバルト-白金、コバルト-パラジウム、鉄-白金、鉄-パラジウム、又はそれらの組合せが挙げられる。合金は、交互の層として配置されてもよい。一つの実施形態では、これらの材料と領域の組み合わせも採用できる。
【0033】
MTJ構造(18/20/22)の要素として本願で使用できるトンネル障壁層20は、絶縁体材料で構成され、適切なトンネル抵抗を提供するような厚さで形成される。トンネル障壁層20の材料の例として、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、及び酸化チタン、又は半導体もしくは低バンドギャップ絶縁体等のより高い電気トンネルコンダクタンスの材料が挙げられる。
【0034】
MTJ構造(18/20/22)の要素として本願で使用できる磁気自由層22は、向きを変えることができる磁化を有する少なくとも1つの磁性材料で構成される。MTJ構造(18/20/22)の磁気自由層22の材料の例として、コバルトの合金と多層のいずれか一方又は両方、鉄、コバルト-鉄の合金、ニッケル、ニッケル-鉄の合金、及びコバルト-鉄-ホウ素の合金が挙げられる。本願に従って、磁気自由層22の磁化の配向は、磁性ビア構造12によって発生される磁場の影響を受けるため、磁気自由層22の磁化を磁性ビア構造12の磁化と揃える。
【0035】
いくつかの実施形態では、非磁性金属スペーサ層が磁気自由層22中に存在でき、そのような実施形態では、非磁性金属スペーサ層は、磁気自由層22を第1磁気自由層部分と第2磁気自由層部分に分割する。非磁性金属スペーサ層は、存在する場合、非磁性金属又は非磁性金属合金で構成され、非磁性金属又は非磁性金属合金は、磁気情報がそれを介して伝達されることを可能にし、かつ、2つの磁気自由層部分が磁気的に結合することを可能にするため、平衡において第1及び第2磁気自由層部分が常に平行になる。非磁性金属スペーサ層は、特定の磁気自由層22の第1及び第2磁気自由層部分の間のスピントルクスイッチングを可能にする。
【0036】
磁性自由層22がMTJ構造の底部に配置されるいくつかの実施形態(図示せず)では、金属シード層を第1電極14と磁性自由層22との間に配置することができる。このオプションの金属シード層は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、又はそれらの合金及び多層で構成できる。
【0037】
いくつかの実施形態(図示せず)では、MTJキャップ層がMTJ構造(18/20/22)の最上層として存在し、MTJキャップ層は、第2電極24との界面を形成する。MTJキャップ層は、存在する場合、ニオブ(Nb)、窒化ニオブ(NbN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiW)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Ru)、スカンジウム(Sc)、アルミニウム(Al)、又はその他の高融点導電性金属又は導電性金属窒化物で構成できる。
【0038】
MTJ構造(18/20/22)は典型的には円筒形であるが、他の非対称形状も可能であり、MTJ構造(18/20/22)の形状として本願で使用できる。MTJ構造(18/20/22)のCDは、下にある第1電極14のCDと等しいか、該CDより小さく又は大きくできる。下にある第1電極14のCDよりも大きいMTJ構造(18/20/22)の限界寸法が好ましい。なぜならば、MTJ構造(18/20/22)の様々な層の堆積と、イオンビームエッチングプロセスを使用した堆積層のパターニングとを通常含むMTJ構造(18/20/22)の形成中に、下にある第1電極14の金属残渣が、MTJ構造(18/20/22)の側壁に堆積できないからである。MTJ構造(18/20/22)の側壁に金属残渣が存在すると、MRAMデバイスの短絡を引き起こす可能性がある。
【0039】
MTJ構造(18/20/22)のトップに配置された第2電極24は、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)、窒化ルテニウム(RuN)、ルテニウム-タンタル(RuTa)、窒化ルテニウム-タンタル(ruthenium-tantalum nitride:RuTaN)、コバルト(Co)、コバルト-タングステン-リン(CoWP)合金、窒化コバルト(CoN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、又はそれらの任意の多層組合せ等の導電性材料で構成できる。多層組合せの一つの例では、第2電極24はTi/TiNで構成される。
【0040】
第2電極24は典型的には円筒形であるが、他の非対称形状も可能であり、第2電極24の形状として本願で使用できる。第2電極24の形状は、典型的には、MTJ構造(18/20/22)の形状と同じである。一つの例では、MTJ構造体(18/20/22)と第2電極24の両方が円筒形状である。第2電極24のCDは、典型的には、下にあるMTJ構造(18/20/22)のCDと同じである。
【0041】
カプセル化(encapsulation)ライナーとも呼ぶことができる誘電体材料ライナー26は、MTJ構造(18/20/22)及び第2電極24にパッシベーションを提供できる誘電体材料で構成される。一つの実施形態では、誘電体材料ライナー26は窒化ケイ素で構成される。別の実施形態では、誘電体材料ライナー26は、ケイ素、炭素、及び水素の原子を含む誘電体材料で構成できる。いくつかの実施形態では、炭素及び水素の原子に加えて、誘電体材料ライナー26を提供する誘電体材料は、窒素及び酸素の少なくとも一方の原子を含むことができる。他の実施形態では、ケイ素、窒素、炭素及び水素の原子に加えて、誘電体材料ライナー26を提供する誘電体材料は、ホウ素の原子を含むことができる。一つの例では、誘電体材料ライナー26は、ケイ素、炭素、水素、窒素、及び酸素の原子を含むnBLOK誘電体材料で構成できる。代替例では、誘電体材料ライナー26は、ケイ素、ホウ素、炭素、水素、及び窒素の原子を含むSiBCN誘電体材料で構成できる。誘電体材料ライナー26は、典型的には、上部電極24の最上部表面と同一平面上にある最上部表面を有する。
【0042】
第2相互接続誘電体材料層28は、第1相互接続誘電体材料層16について上述した相互接続誘電体材料のうちの1つを含むことができる。第2相互接続誘電体材料層28を提供する相互接続誘電体材料は、第1相互接続誘電体材料層16を提供する相互接続誘電体材料と組成的に同じ、又は組成的に異なることができる。
【0043】
第2相互接続誘電体材料層28に埋め込まれるコンタクト構造30は、導電性金属又は導電性金属合金を含む。コンタクト構造30の提供に使用できる導電性材料の例としては、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、又はCu-Al合金が挙げられるが、これらに限定されない。コンタクト構造30は、導電性材料の側壁及び底壁に沿って配置された拡散バリアライナーを含んでもよい。拡散バリアは、存在する場合、例えば、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)、窒化ルテニウム(RuN)、RuTa合金、RuTaN合金、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、又はそれらの多層組合せ等の拡散バリア材料で構成される。図示されているように、コンタクト構造30は、第2相互接続誘電体材料層28の最上部表面と同一平面上にある最上部表面を有する。
【0044】
次に、図2を参照すると、本願の別の実施形態に従って、MTJ構造(18/20/22)の磁気自由層22に近接した磁気ビア構造12を含むMRAMデバイスが図示されており、この図面では、磁気ビア構造12によって発生された磁場MFが示される。図2に示すMRAMデバイスは、本願のこの実施形態の第1電極14が、図1A~1Bに示す場合のように磁性材料ではなく、非磁性導電性材料で構成されることを除いて、図1A~1Bに示すMRAMデバイスに類似する。図2のMRAMデバイスの他のすべての構成要素/要素は、図1A~1Bに示すMRAMデバイスについて上述したものと同じである。図2及び図3は、ボトムピンMTJ構造を示すが、図2及び図3に示す実施形態は、トップピンMTJ構造でも同様に機能する。
【0045】
この実施形態において、第1電極14を提供する非磁性導電性材料は、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)、窒化ルテニウム(RuN)、ルテニウム-タンタル(RuTa)、窒化ルテニウム-タンタル(RuTaN)、又はそれらの任意の多層組合せを含むことができるが、これらに限定されない。多層組合せの一つ例では、第1電極14はTi/TiNで構成できる。
【0046】
図3を参照すると、本願のさらなる実施形態に従って、MTJ構造(18/20/22)の磁気自由層22に近接した磁気ビア構造12を含むMRAMデバイスが示されており、この図面では、磁気ビア構造によって発生された磁場MFが示される。図3に示すMRAMデバイスは、本願のこの実施形態の第1電極14が、磁気ビア構造12の下に配置されることを除いて、図1A~1Bに示すMRAMデバイスに類似する。図3のMRAMデバイスの他のすべての構成要素/要素は、図1A~1Bに示すMRAMデバイスについて上述したものと同じである。
【0047】
図3に示す実施形態では、第1電極14は、基板10の表面との界面を形成する第1表面と、磁気ビア構造12の第1表面との界面を形成する、前記第1表面とは反対側の第2表面とを有する。この実施形態では、磁気ビア構造12の第1表面の反対側にある、磁気ビア構造12の第2表面は、MTJ構造(18/20/22)との界面を形成する。この実施形態では、MTJ構造(18/20/22)との界面を形成する磁気ビア構造12の第2表面は、第1相互接続誘電体材料層26の非リセス表面NSと同一平面上にある。
【0048】
本願のこの実施形態では、磁気ビア構造12は、下にある第1電極14のCDと同じか、それよりも小さいCDを有することができる。この実施形態では、磁気ビア構造12は、依然として高いアスペクト比を有する。
【0049】
この実施形態では、第1電極14は、典型的には、図2の実施形態に示す第1電極14について上述したような非磁性導電性材料で構成される。いくつかの例では、第1電極14は、図1A~1Bに示す第1電極14について上述したように、磁性材料で構成できる。
【0050】
本願のMRAMデバイス(図1A図1B図2及び図3に示すような)は、通常の動作電圧を使用して、専用のプログラミングを使用する必要なく、チップ識別を有する。磁気ビア構造12によって発生されるフリンジング磁場MFの空間分布は、MTJ構造(18/20/22)の磁気自由層22にまで延びる。磁気ビア構造12によって発生されたフリンジング磁場は、磁気自由層22の磁化と相互作用し、その配向に影響を与える。特に、磁気ビア構造12と磁気自由層22の両方の磁化ベクトルは、同じ方向にランダムに上向き又は下向きに整列される。磁気参照層18の磁化は、固定されており、常に同じ方向を向く。図1B図2図3図4A図4B図5A図5B図6A及び図6Bにおいて、単頭の矢印は、MRAMデバイスの様々な層/構成要素の磁化の方向を示す。本願のMRAMデバイスのプログラミングは、ランダムであり、磁気ビア構造12の副産物として発生するため自由である。磁気ビア構造12の磁化は、物理的複製防止機能として使用でき、MTJ構造(18/20/22)は、この情報を読み出すために使用できる。
【0051】
本願では、磁気ビア構造12、磁気参照層18、及び磁気自由層22のそれぞれが、同じ方向に配向した磁化を有するとき、MTJ構造(18/20/22)はゼロ(0)を読み出すことができる。磁気ビア構造12及び磁気自由層22が、同じ第1方向に配向された磁化を有し、磁気参照層18が、第1方向とは反対の第2方向に配向された磁化を有するとき、MTJ構造(18/20/22)は、イチ(1)を読み出すことができる。本願のこのアスペクトは、図4A図4B図5A図5B図6A及び図6Cに示される。「0」と「1」は、チップ識別の手段として使用できる論理読み出しである。
【0052】
注目すべきことに、図4Aにおいて、磁気ビア構造12、磁気参照層18、及び磁気自由層22は、すべて上向きの磁化を有する。このようなMRAMデバイスは、出力としてゼロ(0)を有する。図4Bでは、磁気ビア構造12及び磁気自由層22の両方は、下向きの磁化を有し、磁気参照層18の磁化は上向きである。このようなMRAMデバイスは、出力としてゼロ(0)を有する。
【0053】
図5Aにおいて、磁気ビア構造12、磁気参照層18、及び磁気自由層22は、すべて上向きの磁化を有する。このようなMRAMデバイスは、出力としてゼロ(0)を有する。図5Bでは、磁気ビア構造12及び磁気自由層22の両方は、下向きの磁化を有し、磁気参照層18の磁化は上向きである。このようなMRAMデバイスは、出力としてゼロ(0)を有する。
【0054】
図6Aでは、磁気ビア構造12、磁気参照層18、及び磁気自由層22は、すべて上向きの磁化を有する。このようなMRAMデバイスは、出力としてゼロ(0)を有する。図6Bでは、磁気ビア構造12及び磁気自由層22の両方は、下向きの磁化を有し、磁気参照層18の磁化は上向きである。このようなMRAMデバイスは、出力としてゼロ(0)を有する。
【0055】
次に、本願の実施形態に従って、MTJ含有MRAMデバイス56のアレイを示す図7Aを参照する。図7Bは、図7Aに示す点線の円内に含まれるMTJ含有MRAMデバイス56のうちの1つの回路図を示す。図7Aに示すアレイは、複数のソース線SL1、SL2...SLmと、複数のビット線BL1、BL2...BLmとを含み、これらは互いに間隔を空けて配置され、いずれも列状に配置される。「m」は、図7Aに示す例では2より大きい整数である。
【0056】
ソース線SL1、SL2...SLmの各々、及びビット線BL1、BL2...BLmの各々の第1端は、列デコーダ(column decoder)52に電気的に接続され、ソース線SL1、SL2...SLmの各々、及びビット線BL1、BL2...BLmの各々の第2端は、センスアンプ/アナログデジタル変換器(sense amplifier/analog-to-digital converter)50に電気的に接続される。出力「0」又は「1」は、アレイから読むことができる。アレイは、さらに、行状に配列された複数のワード線WL1、WL2...WLmを含む。各ワード線WL1、WL2...WLmの一端は、行デコーダ(row decoder)50に電気的に接続される。ワード線、ビット線及びソース線は、本願のMRAMデバイスと組み合わせて集積回路を提供するために使用される導電性構造である。アレイは、複数のMTJ含有MRAMデバイス56をさらに含む。各MTJ含有MRAMデバイス56は、FETのようなスイッチングコントローラと、本願に従ったMRAMデバイス、すなわち、MTJ構造の磁気自由層に近接して、本明細書で定義されるような磁気ビア構造を含むMRAMデバイスとを含む。図7Aに示す例示的な実施形態では、FETのゲートは、ワード線WLに接続され、FETのソース/ドレイン領域の一方は、ソース線SLに接続され、FETのソース/ドレイン領域の他方は、MTJ構造に接続され、MTJ構造は、ビット線BLに接続される。図7Aの例示的な実施形態では、(左から右に読んで)第1列の各MTJ含有MRAMデバイス56は、出力として「1」を有し、第2列の各MTJ含有MRAMデバイス56は、出力として「0」を有し、第3列の各MTJ含有MRAMデバイス56は、「1」を有する。
【0057】
本願は、その好ましい実施形態に関して、特に示され説明されてきたが、本願の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における前述及び他の変化がなされ得ることは、当業者には理解されるであろう。したがって、本願は、記載及び図示された正確な形態及び詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に属することが意図される。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
【国際調査報告】