(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-17
(54)【発明の名称】標的測定
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20240510BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568261
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 US2022027941
(87)【国際公開番号】W WO2022235983
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522457829
【氏名又は名称】カイファ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】オールニー, ニーヴ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, マーティン ジェファーソン
(72)【発明者】
【氏名】ショーネシー, ローナン
(72)【発明者】
【氏名】ミルズ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュキルニク, オクサナ
(72)【発明者】
【氏名】エルビントン, ミシェル リン
(57)【要約】
本開示は、とりわけ、試料中の1つ以上の標的を測定するための改良された技術を提供する。例えば、本開示は、治療薬/標的相互作用を評価する際の問題の原因に対する解決策を提供する。特に、本開示は、そのような問題が、1つ以上の標的を測定するために使用される多くの既知のアッセイで必要とされる、希釈などの収集後、測定前の試料処理手順に起因する可能性があるという洞察を提供する。本開示はまた、試料中の特定の標的及び/または治療薬の測定が、治療薬からの標的の解離に起因して不正確さを生じやすい傾向があり得ることを認識する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的を測定する方法であって、
(i)試料を取得することと、
(ii)免疫測定装置を前記試料の少なくとも一部と接触させることと、
(iii)前記試料中の1つ以上の標的を測定することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記免疫測定装置が、少なくとも1つの試験片を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫測定装置は、試料が取得されてから30分以内に前記試料の一部と接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記試料が、前記免疫測定装置に接触する前にオフライン希釈に供されない、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記免疫測定装置に接触する前に、前記試料が、少なくとも1つの希釈を含む前処理ステップに供される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記試料が、流体であるか、またはそれを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記試料が、固体ではないか、または実質的に固体材料から構成されていない、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記試料が、全血、血漿、血清、房水、涙、眼液、尿及び/もしくは脳脊髄液であるか、またはそれらを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記試料が、粗試料である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記粗試料が、前記免疫測定装置に接触する前に希釈されていない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記試料が、前記免疫測定装置に接触する前に、1つ以上の精製ステップを受けている、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
試料パッド及びコンジュゲートパッドのうちの少なくとも1つを含む免疫測定装置を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記免疫測定装置が、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの試験片を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つ、3つ、または4つの試験片が、各々、少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つの試験ラインを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記測定することが、前記試料が取得されてからおよそ30~300分後に実施される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記測定することが、前記試料が取得されてから30分以内に実施される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
試料中の少なくとも1つの標的を測定する方法において、改善が、免疫測定装置を試料と接触させることによって試料中の前記標的を測定することであって、前記試料が、前記接触の前にオフライン希釈に供されていない、前記測定することと、1つ以上の標的を測定することと、を含み、前記測定が、希釈された試料で実施される測定と比較して、より効率的、正確、高感度、特異的、確実、及び/または迅速である、前記方法。
【請求項18】
少なくとも1つの測定が、前記免疫測定装置に前記接触する前に1つ以上のオフライン試料希釈ステップを含む方法よりも、効率的、高感度、正確、特異的、確実、及び/または迅速である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記試料が、流体であるか、またはそれを含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記試料が、固体ではないか、または実質的に固体材料から構成されていない、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記試料が、全血、血漿、血清、房水、尿、涙、眼液、及び/もしくは脳脊髄液であるか、またはそれらを含む、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記試料が、粗試料である、請求項17~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記試料が、前記免疫測定装置に前記接触する前に、1つ以上の精製ステップを受けている、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記測定することが、少なくとも2つ、3つ、もしくは4つ、5つ、または6つの試験片を含む免疫測定装置を使用して実施され、各試験片が、少なくとも2つの試験、3つ、4つ、または5つの試験ラインを含み、任意選択的に、少なくとも1つの試験ラインが、対照ラインである、請求項17~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記測定することが、前記試料が取得されてからおよそ30~300分後に実施される、請求項17~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記測定することが、前記試料が取得されてから30分以内に実施される、請求項17~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
方法であって、
(a)試料中の標的を測定することであって、
(i)前記試料を取得するステップと、
(ii)免疫測定装置を前記試料の少なくとも一部と接触させるステップと、
(iii)前記試料及び前記免疫測定装置を、一定期間、一緒に静置させるステップと、
(iv)前記試料中の少なくとも1つの標的を測定するステップと、を含む、前記測定することと、
(b)1つ以上の標的の測定値を、少なくとも1つの参照測定値と比較することと、
(c)任意選択的に、前記試料が取得された対象に対して1つ以上の治療を変更または投与することと、を含む、前記方法。
【請求項28】
前記免疫測定装置が、少なくとも1つのコンジュゲートパッドを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つのコンジュゲートパッドが、ビーズを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ビーズが、ナノビーズを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ナノビーズが、100~500nmである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ナノビーズが、200~400nmである、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記ナノビーズが、少なくとも1つの検出剤を含む、請求項28~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの検出剤が、標識抗体である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記免疫測定装置が、少なくとも1つの捕捉剤を含む、請求項27~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つの捕捉剤が、抗体であるか、またはそれを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記免疫測定装置が、コンジュゲートパッド及び試料パッドのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項27~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記コンジュゲートパッドが、少なくとも1つの競合剤を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの競合剤が、前記試料中の少なくとも1つの標的に結合する、請求項35~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの競合剤が、前記試料中の過剰量の少なくとも1つの標的に結合する、請求項35~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記測定することが、複数の可視化可能なチャネル内の複数の試験ラインを測定することができるリーダシステムを使用して実施される、請求項27~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
方法であって、
(a)試料中の標的の量を、
(i)試料を取得するステップであって、前記試料を容器内で希釈する、前記ステップと、
(ii)前記希釈された試料を有する前記容器を、第1の期間静置させるステップと、
(iii)免疫測定装置を前記希釈された試料と接触させるステップと、
(iv)前記希釈された試料を含む前記免疫測定装置を、第2の期間静置させるステップと、
(v)前記試料中の少なくとも1つの標的を測定するステップと、を含む、ステップにより測定することと、
(b)任意選択的に、前記試料が取得された対象に対して1つ以上の治療を変更または投与することと、を含む、前記方法。
【請求項43】
前記試料が、前記試料中の少なくとも1つの標的が反応することができる基質で希釈される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の期間が、5分以下である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記第2の期間が、5分以下である、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
キットであって、
(i)免疫測定装置を含む試験カセットであって、前記免疫測定装置が、少なくとも1つの試験ラインを含む少なくとも1つの試験片を含む、前記試験カセットと、
(ii)少なくとも1つの検出剤と、任意選択的に、
(iii)少なくとも1つの競合剤と、を含む、前記キット。
【請求項47】
試験カセットであって、
(i)免疫測定装置であって、それ自体が、少なくとも1つの試験片を含む、前記免疫測定装置と、
(ii)少なくとも2つの試験ラインと、を含む、前記試験カセット。
【請求項48】
対象を、少なくとも1つの疾患、障害、もしくは状態を有するか、またはそれらにかかりやすいと診断する方法であって、
(i)前記対象から試料を取得することと、
(ii)前記試料中の1つ以上の標的を測定することと、
(iii)1つ以上の標的の測定値を、1つ以上の参照試料の測定値範囲と比較することと、
(iv)前記1つ以上の標的の測定値が、前記1つ以上の参照試料の前記測定値範囲外である場合、患者を、疾患、障害、もしくは状態を有するか、またはそれらを発症するリスクがあると診断することと、を含む、前記方法。
【請求項49】
リーダシステムであって、
(a)試料中の1つ以上の標的を測定するための手段であって、
(i)試験カセットの免疫測定装置上の試料の流れの方向が、重力と平行に配向されるように、前記リーダシステム内に前記試験カセットを挿入することと、
(ii)前記免疫測定装置内の少なくとも1つの試験片上の少なくとも1つの試験ライン上の少なくとも1つの標的を測定することと、を含む、前記手段を含む、前記リーダシステム。
【請求項50】
前記試験カセットが、前記リーダシステム内のポートを介して挿入される、請求項49に記載のリーダシステム。
【請求項51】
前記試料が、前記試験カセットを前記リーダシステム内に挿入する前に、前記免疫測定装置に添加される、請求項49または50に記載のリーダシステム。
【請求項52】
前記試料が、前記試験カセットを前記リーダシステム内に挿入した後に、前記免疫測定装置に添加される、請求項49または50に記載のリーダシステム。
【請求項53】
前記測定することが、前記免疫測定装置の少なくとも1つの試験片上の少なくとも4つの試験ラインを測定することを含む、請求項49~52のいずれか1項に記載のリーダシステム。
【請求項54】
前記標的が、C3、C3a、iC3b、C4、C5、sC5b-9、IL-6、ADAMTS13、MASP2:AT複合体、C4d、Ba、Bb、FH、CXCL9、sCD25、microRNA、IL8、ペントラキシン3、IL1、VCAM1、トロンボモジュリン、フェリチン、CRP、IL-10、TNFα、IFNγ、及び/またはクレアチニンのうちの1つ以上である、請求項1~45または48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記少なくとも1つの試験ラインが、C3、C3a、iC3b、C4、C5、sC5b-9、IL-6、ADAMTS13、MASP2:AT複合体、C4d、Ba、Bb、FH、CXCL9、sCD25、microRNA、IL8、ペントラキシン3、IL1、VCAM1、トロンボモジュリン、フェリチン、CRP、IL-10、TNFα、IFNγ、及び/またはクレアチニンのうちの1つ以上に対する少なくとも1つの捕捉剤を含む、請求項46に記載のキット。
【請求項56】
少なくとも1つの試験ラインが、C3、C3a、iC3b、C4、C5、sC5b-9、IL-6、ADAMTS13、MASP2:AT複合体、C4d、Ba、Bb、FH、CXCL9、sCD25、microRNA、IL8、ペントラキシン3、IL1、VCAM1、トロンボモジュリン、フェリチン、CRP、IL-10、TNFα、IFNγ、及び/またはクレアチニンのうちの1つ以上に対する少なくとも1つの捕捉剤を含む、請求項47に記載の試験カセット。
【請求項57】
前記1つ以上の標的が、C3、C3a、iC3b、C4、C5、sC5b-9、IL-6、ADAMTS13、MASP2:AT複合体、C4d、Ba、Bb、FH、CXCL9、sCD25、microRNA、IL8、ペントラキシン3、IL1、VCAM1、トロンボモジュリン、フェリチン、CRP、IL-10、TNFα、IFNγ、及び/またはクレアチニンのうちの1つ以上を含む、請求項49~53のいずれか1項に記載のリーダシステム。
【請求項58】
前記対象が、加齢黄斑変性症(AMD)、補体3糸球体症(C3G)、造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)、補体媒介性血栓性微小血管症(CM-TMA)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、COVID19、エリテマトーデス、ループス腎炎、サイトカイン放出症候群、アルツハイマー病(AD)、もしくはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を有する疑いがあるか、またはそれらを有するリスクがある、請求項27、42、または48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象が、関連黄斑変性症(AMD)、補体3糸球体症(C3G)、造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)、補体媒介性血栓性微小血管症(CM-TMA)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、COVID19、エリテマトーデス、ループス腎炎、サイトカイン放出症候群、アルツハイマー病(AD)、もしくはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を発症するリスクがあるか、またはそれらを有すると診断される、請求項27、42、または48のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年5月7日に出願された米国仮出願第63/185,696号の優先権を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
1つ以上の液体試料中の1つ以上の標的をアッセイすることは、不正確さを生じる傾向があり得る。いくつかの要因は、標的の濃度、試料の種類もしくは状態、及び/または標的を測定する前に実施する必要がある試料処理ステップであり得る。1つ以上の試料中の1つ以上の標的について効率的、高感度、特異的、正確、確実、及び/または迅速な測定を提供する技術が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、1つ以上の液体試料(例えば、未希釈試料、例えば、最小希釈試料)から1つ以上の標的を測定するための技術を提供する。当業者によって理解されるように、患者からの1つ以上の液体試料中の1つ以上の標的の測定に関連する問題についていくつかの原因がある。
【0004】
例えば、本開示は、治療薬/標的相互作用を評価する際の問題の原因に対する解決策を提供する。特に、本開示は、そのような問題が、1つ以上の標的を測定するために使用される多くの既知のアッセイで必要とされる、希釈などの収集後、測定前の試料処理手順に起因する可能性があるという洞察を提供する。本開示はまた、試料中の特定の標的及び/または治療薬の測定が、治療薬からの標的の解離に起因して不正確さを生じやすい傾向があり得ることを認識する。例えば、標的及び/または治療薬を測定するために試料を希釈する場合、希釈は、標的及び治療薬の解離をもたらし得、希釈前と比較して誤って上昇した測定値をもたらし得る。
【0005】
とりわけ、本明細書に提供される技術は、標的:治療的相互作用を安定化し、また、標的を効率的に、正確に、高感度に、特異的に、かつ確実に、及び/または迅速に測定するための手段を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本開示は、未希釈または最小限に希釈された試料を使用して試料中の標的を測定することができる技術を提供し、これは、適用から6~10秒以内に試験片に接触し、90秒以内に試験片の全長にわたって移動する。そのような技術は、実質的な解離の前に標的:治療薬複合体を迅速に捕捉し、次いで試料中の標的のレベルを正確に測定することを含む、以前に利用可能なアッセイに対する改善を提供する。
【0006】
さらに、本開示は、標的が高度に濃縮されている場合、試料を希釈することができないことが検出に困難をもたらすことを認識する。すなわち、これまで、過飽和は、そのような標的を正確に測定するための以前に利用可能なアッセイの能力を制限するため、高濃度標的は、試料を希釈することによってのみ測定することができた。また、本開示の技術の前に、単一の試料からの複数の標的の測定(例えば、試料を希釈することなく)が困難であったという認識も包含される。すなわち、以前に利用可能であったアッセイは、従来的に異なるアッセイ条件を必要とする異なる標的などの因子によって複雑化された。例えば、1つの標的が高濃度標的であり、別の標的が低濃度標的である場合、以前に利用可能であったアッセイは、両方の標的を効率的に、正確に、特異的に、高感度に、確実に、及び/または迅速に測定することができなかった。さらに、特定の種類の標的(例えば、バイオマーカー、例えば、補体タンパク質、例えば、補体経路タンパク質など)の測定は、所与の試料中の量の下限及び/または上限を適切に検出することができないため、不可能、不完全、及び/または不正確であり得る。特に、本開示は、以前に利用可能なアッセイの制限に対する解決策を認識し、提供する。例えば、本開示は、様々な標的の検出のダイナミックレンジを改善するが、以前に利用可能であったアッセイは、そのようなアッセイ(例えば、いくつかの連続希釈)を実施するために必要とされる破壊的処理ステップのために、特定の標的の下限及び上限を適切に検出し、所与の標的についての完全な範囲の量を捕捉し、及び/または標的を正確に測定することができなかった。いくつかの実施形態では、提供された技術は、実質的に同時に2つ以上の標的の正確な測定を可能にする。いくつかのそのような実施形態では、そのような測定は、単一のアッセイにおける異なる処理または前処理ステップもしくは条件、アッセイ(例えば、緩衝液)条件、処理条件、及び/または希釈(複数可)のうちの1つ以上を必要としてもよく、これは、以前に利用可能なアッセイを使用して達成することができないものである。とりわけ、本開示は、これら及び他の問題に対する解決策を提供する技術を提供する。
【0007】
上述のように、本開示は、多くのアッセイが1つ以上の標的を不正確に測定しているという洞察を提供する。例えば、以前に利用可能であったアッセイは、標的の存在を誤って検出することができない場合があるか、または標的の濃度を過少もしくは過剰に報告している場合がある。したがって、本開示は、従来技術のアッセイが、1つ以上の標的を測定するための適切な効率性、特異性、正確性、高感度性、信頼性、及び/または迅速性を欠いていることを明らかにする。すなわち、従来技術のアッセイは、適切に広範囲の可能な濃度にわたって標的を正確に定量することができない。例えば、いくつかの実施形態では、特定の標的は、標的が誤って検出されないか、または所与の標的の濃度が、人工物もしくは標的測定のための希釈及び標的捕捉/検出の組み合わせなどの以前に利用可能なアッセイに固有の制限のために過剰または過少に報告されるため、測定が不正確であるような低レベルまたは高レベルで存在し得る。いくつかの実施形態では、本開示は、多重化アッセイを対象とする実施形態を含む、現在、通用しているアッセイの検出範囲外にある定量の上限または下限を有する1つ以上の標的の正確な測定を初めて可能にする技術を提供する。いくつかの実施形態では、標的は、現在利用可能な方法では、試料中の所与の標的(例えば、豊富な標的)を定量化するために、検出の適切な上限または下限内で捕捉または報告することができないほど豊富にある。いくつかの実施形態では、標的は、本開示によって提供される技術の前に適切な検出(例えば、正確性、高感度性、及び特異性)及び/または定量化が不可能であるような低濃度で存在する。
【0008】
効率性、高感度性、特異性、正確性、信頼性、及び/または迅速性の前例のない組み合わせを達成することに加えて、本開示の技術はまた、ポイントオブケア適用で使用することができるプラットフォームを提供し、取り扱い、必要な人員の数、及びアッセイ結果にかかる時間を削減する。重要なことに、そのような特徴は、臨床医及び供給者が、1つ以上の標的について患者を迅速かつ容易に検出及び監視し、本開示の技術の前に、1つ以上の標的の根本的かつ継続的な変化を検出することが不正確または不可能であるために悲惨な結果をもたらし得る1つ以上の状態を予防及び/または治療することによって、患者ケアを改善することができるプラットフォームを提供する。本開示は、初めて、1つ以上の標的の効率的、特異的、高感度、正確、確実、及び/または迅速な測定を可能にするアッセイ方法を含む洞察及び新しい技術を提供する。そのような技術は、治療薬のより安全でより効果的な開発及び監視、ならびに患者のより安全でより効果的な治療を可能にするであろう。
【0009】
いくつかの態様では、本開示は、標的を測定する方法であって、(i)試料を取得することと、(ii)免疫測定装置を試料の少なくとも一部と接触させることと、(iii)試料中の1つ以上の標的を測定することと、を含む、方法を提供する。
【0010】
いくつかの態様では、本開示は、(例えば、以前に利用可能なアッセイと比較して)改善を含む試料中の少なくとも1つの標的を測定する方法であって、この改善は、免疫測定装置を試料と接触させることによって試料中の標的を測定することであって、試料が、接触の前にオフライン希釈に供されていない、測定することと、1つ以上の標的を測定することとを含み、測定が、希釈された試料で実施される測定と比較して、より効率的、正確、高感度、特異的、確実、及び/または迅速である、方法を提供する。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの測定は、免疫測定装置に接触する前に1つ以上のオフライン試料希釈ステップを含む方法よりも、効率的、正確、高感度、特異的、確実、及び/または迅速である。
【0011】
いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、少なくとも1つの試験片を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、試料が取得されてから30分以内に試料の一部と接触する。
【0013】
いくつかの実施形態では、試料は、免疫測定装置に接触する前にオフライン希釈に供されない。
【0014】
いくつかの実施形態では、免疫測定装置に接触する前に、試料は、少なくとも1つの希釈を含む前処理ステップに供される。
【0015】
いくつかの実施形態では、試料は、流体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、試料は、固体ではないか、または実質的に固体材料から構成されていない。いくつかの実施形態では、試料は、全血、血漿、血清、房水、涙、眼液、尿及び/または脳脊髄液であるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、試料は、粗試料である。いくつかのそのような実施形態では、粗試料は、免疫測定装置に接触する前に希釈されていない。
【0016】
いくつかの実施形態では、試料は、免疫測定装置に接触する前に、1つ以上の精製ステップを受けている。
【0017】
いくつかの実施形態では、本開示の免疫測定装置は、試料パッド及びコンジュゲートパッドのうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたはそれ以上の試験片を含む。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも2つ、3つ、または4つの試験片は、各々、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の試験ラインを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、試験ラインは、少なくとも1つの捕捉剤を含む。いくつかのそのような実施形態では、捕捉剤は、抗体であるか、またはそれを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示の1つ以上の標的の測定は、試料が取得されてからおよそ30~300分後に実施される。いくつかの実施形態では、測定することは、試料が取得されてから30分以内に実施される。
【0021】
いくつかの態様では、本開示は、(a)試料中の標的を測定することであって、(i)試料を取得するステップと、(ii)免疫測定装置を試料の少なくとも一部と接触させるステップと、(iii)試料及び免疫測定装置を、一定期間、一緒に静置させるステップと、(iv)試料中の少なくとも1つの標的を測定するステップと、を含む、測定することと、(b)1つ以上の標的の測定値を、少なくとも1つの参照測定値と比較することと、(c)任意選択的に、試料が取得された対象に対して1つ以上の治療を変更または投与することと、を含む、方法を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、少なくとも1つの試験片を含む。いくつかのそのような実施形態では、試験片は、ビーズを含む少なくとも1つの試験ラインを含む。いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、少なくとも1つのコンジュゲートパッドを含む。いくつかの実施形態では、試験片は、ビーズを含む少なくとも1つのコンジュゲートパッドを含む。いくつかの実施形態では、ビーズは、ナノビーズ(例えば、ポリシトレンビーズ、コロイドビーズなど)を含む。いくつかの実施形態では、ナノビーズは、100~500nmの直径を有する。いくつかの実施形態では、ナノビーズは、200~400nmの直径を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、ナノビーズは、少なくとも1つの検出剤を含む。いくつかの実施形態では、検出剤は、抗体(例えば、標識抗体)である。いくつかの実施形態では、検出剤は、タンパク質またはペプチドである(例えば、競合免疫測定に関して)。いくつかの実施形態では、検出剤は、低分子量フルオロフォアであるか、または低分子量フルオロフォアを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、少なくとも1つの競合剤及び/または少なくとも1つの捕捉剤を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、競合剤は、抗体であるか、またはそれを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、捕捉剤は、抗体であるか、またはそれを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、コンジュゲートパッド及び試料パッドのうちの少なくとも1つを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートパッドは、少なくとも1つの競合剤及び/または少なくとも1つの検出剤を含む。いくつかのそのような実施形態では、競合剤は、試料中の少なくとも1つの標的に結合する。いくつかのそのような実施形態では、検出剤は、試料中の少なくとも1つの標的に結合する。
【0029】
いくつかの実施形態では、競合剤は、試料中の過剰量の少なくとも1つの標的に結合する。
【0030】
いくつかの実施形態では、標的を測定することは、複数の可視化可能なチャネル内の複数の試験ラインを測定することができるリーダシステムを使用して実施される。
【0031】
いくつかの態様では、本開示は、方法であって、(a)試料中の標的の量を、(i)試料を取得するステップであって、試料を容器内で希釈する、ステップと、(ii)希釈された試料を有する容器を、第1の期間静置させるステップと、(iii)免疫測定装置を希釈された試料と接触させるステップと、(iv)希釈された試料を含む免疫測定装置を、第2の期間静置させるステップと、(v)試料中の少なくとも1つの標的を測定するステップと、を含む、ステップにより測定することと、(b)任意選択的に、試料が取得された対象に対して1つ以上の治療を変更または投与することと、を含む、方法を提供する。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1の期間は、5分以下である。いくつかの実施形態では、第2の期間は、5分以下である。
【0033】
いくつかの実施形態では、試料は、試料中の少なくとも1つの標的が反応することができる基質で希釈される。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示は、キットであって、(i)免疫測定装置を含む試験カセットであって、免疫測定装置は、少なくとも1つの試験ラインを含む少なくとも1つの試験片を含む、試験カセットと、(ii)少なくとも1つの検出剤と、任意選択的に、(iii)少なくとも1つの捕捉剤と、を含む、キットを提供する。
【0035】
いくつかの実施形態では、本開示は、試験カセットであって、
(i)免疫測定装置であって、それ自体が、少なくとも1つの試験片を含む、免疫測定装置と、(ii)少なくとも2つの試験ラインと、を含む、試験カセットを提供する。
【0036】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象を、少なくとも1つの疾患、障害、もしくは状態を有するか、またはそれらにかかりやすいと診断する方法であって、(i)対象から試料を取得することと、(ii)試料中の1つ以上の標的を測定することと、(iii)1つ以上の標的の測定値を、1つ以上の参照試料の測定値範囲と比較することと、(iv)1つ以上の標的の測定値が、1つ以上の参照試料の測定値範囲外である場合、患者を、疾患、障害、もしくは状態を有するか、またはそれらを発症するリスクがあると診断することと、を含む、方法を提供する。
【0037】
いくつかの実施形態では、本開示は、リーダシステムであって、(a)試料中の1つ以上の標的を測定するための手段であって、(i)試験カセットの免疫測定装置上の試料の流れの方向が、重力と平行に配向されるように、リーダシステム内に試験カセットを挿入することと、(ii)免疫測定装置内の少なくとも1つの試験片上の少なくとも1つの試験ライン上の少なくとも1つの標的を測定することと、を含む、手段を含む、リーダシステムを提供する。いくつかのそのような実施形態では、測定することは、免疫測定装置の少なくとも1つの試験片上の少なくとも4つの試験ラインを測定することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、試験カセットは、リーダシステム内のポートを介して挿入される。いくつかのそのような実施形態では、試料は、試験カセットをリーダシステム内に挿入する前に、免疫測定装置に添加される。いくつかの実施形態では、試料は、試験カセットをリーダシステム内に挿入した後に、免疫測定装置に添加される。いくつかの実施形態では、測定することは、免疫測定装置の少なくとも1つの試験片上の少なくとも4つの試験ラインを測定することを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、本開示の標的は、C3、C3a、iC3b、C4、C5、sC5b-9、IL-6、ADAMTS13、MASP2:AT複合体、C4d、Ba、Bb、FH、CXCL9、sCD25、microRNA、IL8、ペントラキシン3、IL1、VCAM1、トロンボモジュリン、フェリチン、CRP、IL-10、TNFα、IFNγ、及び/またはクレアチニンのうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、試験ラインは、C3、C3a、iC3b、C4、C5、sC5b-9、IL-6、ADAMTS13、MASP2:AT複合体、C4d、Ba、Bb、FH、CXCL9、sCD25、microRNA、IL8、ペントラキシン3、IL1、VCAM1、トロンボモジュリン、フェリチン、CRP、IL-10、TNFα、IFNγ、及び/またはクレアチニンのうちの1つ以上に対する少なくとも1つの捕捉剤を含む。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態では、対象は、加齢黄斑変性症(AMD)、補体3糸球体症(C3G)、造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)、補体媒介性血栓性微小血管症(CM-TMA)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、COVID19、エリテマトーデス、ループス腎炎、サイトカイン放出症候群、アルツハイマー病(AD)、もしくはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を有する疑いがあるか、またはそれらを有するリスクがある。
【0041】
いくつかの実施形態では、本開示の対象は、加齢黄斑変性症(AMD)、補体3糸球体症(C3G)、造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)、補体媒介性血栓性微小血管症(CM-TMA)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、COVID19、エリテマトーデス、ループス腎炎、サイトカイン放出症候群、アルツハイマー病(AD)、もしくはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を発症するリスクがあるか、またはそれらを有すると診断される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【0043】
【
図2A】本明細書に開示される例示的な試験カセットの設定及び例示的な実施形態の特定の成分を示す。
【0044】
【
図2B】複数の試験ラインを有し、1つ以上の標的の改善された測定値を提供する、複数の試験片を含む例示的な免疫測定装置を開発する際に使用される例示的な実験を示す。
【0045】
【
図3】本開示の例示的な試験カセット構成の成分の上面図及び側面図を示す。
【0046】
【
図4】本開示の試験カセットで使用するための免疫測定装置における例示的な試験片構成を示す。
【0047】
【
図5】本開示の試験カセットで使用するための免疫測定装置における例示的な試験片構成を示す。
【0048】
【
図6】異なる材料及びサイズのビーズを使用して、各々、標的を定量化するための2つの異なるアッセイを示す。
【0049】
【
図7A】試料中の例示的な高存在量の標的及び治療薬の存在下での高存在量の標的を測定する際の問題の原因を特定するために使用される結果を示す。
【
図7B】高存在量の標的の測定における不正確さを克服するために本明細書で開発され、開示される解決策を示す。
【
図7C】本明細書で開発される方法を使用した、遊離標的対治療用結合標的の正確な測定を示す。
【0050】
【
図8】試料中の高濃度の例示的な標的の定量化のためのマルチラインアプローチを使用する結果を示す。
【0051】
【
図9】プロゾーン還元法を使用したアッセイからの結果を示す。
【0052】
【
図10】プロゾーン還元法を使用したアッセイからの結果を示す。
【0053】
【
図11】濾過効果を排除するために異なる孔径を含む試験片を使用したアッセイからのカセット結果の比較を示す。
【0054】
【
図12】高濃度の例示的な標的を測定するアッセイからの結果を示す。
【0055】
【
図13】標準ELISAからのものと比較した、本開示の技術を使用して例示的な標的を測定する結果の比較を示す。
【0056】
【
図14】例示的な標的の様々な濃度での2つの異なる試験ライン上の試験ラインピークを示す。
【0057】
【
図15】自己免疫疾患を有する患者のバンクに保存された試料からの例示的な低濃度の標的の結果を示す。
【0058】
【
図16A】本開示の技術を使用して、様々な濃度での例示的な標的の捕捉及び検出特異性を測定する結果を示す。
【
図16B】本開示の技術を使用して、様々な濃度での例示的な標的の捕捉及び検出特異性を測定する結果を示す。
【0059】
【
図17】本開示の技術を使用して、様々な時点での刺激及び非刺激血漿試料からの古典的な補体経路活性化を比較する例示的な結果を示す。
【0060】
【
図18】高い腎スコア対低い腎スコアが記録された来院間の患者からの尿中のsC5b-9レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
定義
投与:本明細書で使用される場合、「投与」は、対象または系への治療の投与を指す。いくつかの実施形態では、投与は、対象または系に対する組成物であってもよい。いくつかの実施形態では、動物対象(例えば、ヒト)への投与は、任意の適切な経路によってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、(例えば、組成物の)投与は、気管支(気管支点滴によることを含む)、口腔、腸内、皮間、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、髄腔内、静脈内、脳室内、特定の臓器(例えば、肝臓内)、粘膜、鼻、経口、直腸、皮下、舌下、局所、気管(気管内点滴によることを含む)、経皮、膣、及び硝子体であってもよい。いくつかの実施形態では、投与は、断続的な投与を伴ってもよい。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも選択された期間の連続投与(例えば、灌流)を伴ってもよい。
【0062】
薬剤:本明細書で使用される場合、「薬剤」は、例えば、ポリペプチド、核酸、糖、脂質、低分子、金属、またはそれらの組み合わせを含む任意の化学クラスの化合物または実体を指してもよい。文脈から明らかになるように、いくつかの実施形態では、薬剤は、細胞もしくは生物、またはその画分、抽出物、もしくは成分であり得るか、あるいはそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、天然に見出される、及び/または天然から取得される天然生成物であるか、または天然生成物を含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、人の手動の行為によって設計され、操作され、及び/または生産され、及び/または天然に見出されないという点で人工的である1つ以上の実体であるか、あるいはそれを含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、単離された形態または純粋な形態で利用されてもよく、いくつかの実施形態では、薬剤は、粗製形態で利用されてもよい。いくつかの実施形態では、潜在的な薬剤は、例えば、それらの中の活性薬剤を特定または特徴付けるためにスクリーニングされ得るコレクションまたはライブラリーとして提供される。本開示に従って利用され得る薬剤のいくつかの特定の実施形態には、小分子、抗体、抗体断片、補体受容体または結合タンパク質、酵素、アプタマー、核酸(例えば、siRNA、shRNA、DNA/RNAハイブリッド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム)、ペプチド、ペプチド模倣物などが含まれる。いくつかの実施形態では、薬剤は、ポリマーであるか、またはポリマーを含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、ポリマーではなく、及び/または任意のポリマーを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、薬剤は、少なくとも1つのポリマー部分を含有する。いくつかの実施形態では、薬剤は、任意のポリマー部分を欠くか、または任意のポリマー部分を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、薬剤は、試料(例えば、検出剤)中の1つ以上の標的の存在または不在を(例えば、可視化可能な技術を通じて)検出及び/または報告するために使用される。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、別の薬剤と競合し、及び/または試料中の1つ以上の標的(例えば、競合剤、例えば、捕捉剤)と結合するために使用される。いくつかの実施形態では、競合剤と捕捉剤との間の違いは、試験カセット上の位置である。例えば、いくつかの実施形態では、競合剤は、最初にコンジュゲートパッドに局在化され、試料が接触すると、競合剤は、試料中の標的に結合する。いくつかのそのような実施形態では、競合剤:標的複合体は、必ずしもコンジュゲートパッドに保持されるわけではないが、免疫測定装置の膜を通過することはできる。いくつかの実施形態では、捕捉剤は、試験ラインに局在化され、試料が試験ラインと接触すると、標的は、捕捉剤で試験ラインに固定化される。いくつかのそのような実施形態では、「捕捉された」標的は、検出剤と会合し(例えば、複合体を形成する)、これは、免疫測定装置の試験ライン上で可視化することができる。いくつかの実施形態では、検出剤と競合剤との間の違いは、リーダシステムによって検出可能であるか、またはそうでなければ試験片を調べることによって観察可能である部分の存在である。すなわち、いくつかの実施形態では、競合剤は、検出可能な部分の添加によって検出剤になり得る。いくつかの実施形態では、検出剤は、競合剤でもある。いくつかの実施形態では、競合剤は、検出剤ではない。いくつかの実施形態では、競合剤及び捕捉剤は同じ薬剤であってもよいが、競合剤はコンジュゲートパッドに局在化され、捕捉剤は本開示の免疫測定装置の試験ラインに局在化される。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、競合剤、捕捉剤、及び/または検出剤は、標的特異的である。
【0063】
およそ:本明細書で使用される場合、「およそ」または「約」は、1つ以上の関心のある値に適用される場合、記載された参照値と同様の値を指す。ある特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、別段の記載がない限り、または異なる意味が文脈から明らかでない限り、記載された参照値のいずれかの方向(上回るまたは下回る)で、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以内に収まる値の範囲を指す(ただし、そのような数が、取り得る値の100%を超える場合を除く)。
【0064】
関連する:本明細書で使用される場合、一方の存在、レベル、及び/または形態が、他方の存在、レベル、及び/または形態と相関する場合、2つの事象または実体は、互いに「関連する」。例えば、特定の実体(例えば、ポリペプチド、遺伝子シグネチャー、代謝物など)は、その存在、レベル及び/または形態が、疾患、障害、または状態の(例えば、関連する集団における)発生率及び/または感受性と相関するならば、特定の疾患、障害、または状態に関連するとみなされる。いくつかの実施形態では、2つ以上の実体は、互いに物理的に近接する及び/または近接状態を保つように直接的または間接的に相互作用する場合、互いに物理的に「関連する」。いくつかの実施形態では、互いに物理的に関連する2つ以上の実体は、互いに共有結合性に連結している。いくつかの実施形態では、互いに物理的に関連する2つ以上の実体は、互いに共有結合性に連結していないが、例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁気、及びそれらの組み合わせによって、非共有結合性に関連している。
【0065】
バイオマーカー:本明細書で使用される場合、「バイオマーカー」は、当該技術分野でのその使用と一致して、その事象または状態の「マーカー」であるとみなされるように、特定の生物学的事象または目的の状態の存在(または不在)、レベル、または形態、相関、または関連する実体を指す。いくつかの実施形態では、いくつかの例を挙げると、バイオマーカーは、特定の疾患状態、または特定の疾患、障害、もしくは状態が発症し得る尤度(例えば、サイトカイン放出症候群、エリテマトーデス、aHUSなど)についてのマーカーであってもよいか、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、特定の疾患もしくは治療転帰、またはそれらの尤度についてのマーカーであってもよいか、またはそれを含んでもよい。したがって、いくつかの実施形態では、バイオマーカーには、関連する目的の生物学的事象または状態の、予測能があり、いくつかの実施形態では、バイオマーカーには、予後判定能があり、いくつかの実施形態では、バイオマーカーには、診断能がある。バイオマーカーは、任意の化学的クラスの実体であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、核酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、低分子、無機剤(例えば、金属またはイオン)、代謝物、またはそれらの組み合わせであってもよいか、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、細胞表面マーカーである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、細胞内にある。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、細胞の外側に見出される(例えば、分泌されるか、またはそうでなければ、細胞の外側に、例えば、血液、尿、涙、唾液、脳脊髄液、呼気凝縮液などの体液中に生成または存在する。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、対象からの流体試料を使用して測定される。例えば、いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、血液、血漿、尿、涙、唾液、脳脊髄液などのうちの1つ以上を含む試料中で測定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のバイオマーカーが測定され、結果がパネルにコンパイルされ、例えば、疾患、障害、もしくは状態が存在する尤度、または存在もしくは発症する可能性が高いかを判定するために解釈される。いくつかの実施形態では、標的は、バイオマーカーであってもよいか、またはバイオマーカーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、標的であってもよいか、または標的を含んでもよい。
【0066】
併用療法:本明細書で使用される場合、「併用療法」は、対象が2つ以上の治療レジメン(例えば、2つ以上の治療剤)に同時に曝露される状況を指す。いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤または同時に投与されてもよく、いくつかの実施形態では、そのような薬剤は順次投与されてもよく、いくつかの実施形態では、そのような薬剤は重複投与レジメンで投与される。
【0067】
比較可能:本明細書で使用される場合、「比較可能」は、互いに同一ではなくてもよいが、観察された差異または類似性に基づいて結論を合理的に引き出すことができるように、それらの間の比較を可能にするのに十分に類似している2つ以上の薬剤、実体、状況、条件のセットなどを指す。いくつかの実施形態では、条件、状況、個体、または集団の比較可能なセットは、複数の実質的に同一の特徴及び1つまたは少数の様々な特徴によって特徴付けられる。当業者は、文脈における任意の所与の状況で、2つ以上のそのような薬剤、実体、状況、条件のセットなどが比較可能とみなされるために、どの程度の同一性が必要とされるかを理解するであろう。例えば、当業者は、状況、個体、または集団のセットが、異なる状況、個体、もしくは集団のセットの下で、またはそれらにより取得された結果または観察された現象の違いが、変化するそれらの特徴の変化によって引き起こされるか、またはそれを示すという合理的な結論を保証するのに十分な数及び種類の実質的に同一の特徴によって特徴付けられるとき、互いに比較可能であることを理解するであろう。
【0068】
対照ライン:本明細書で使用される場合、「対照ライン」は、内部品質対照として機能する試験片上に沈着される(すなわち、ストライピングされた)試験ラインである。すなわち、対照ラインは、片及び/またはリーダシステム(例えば、免疫測定リーダシステム)の両方が許容可能なパラメータ内で機能していることを示す。いくつかの実施形態では、試験片は、対照ライン及び1つ以上の追加の試験ラインを有する。いくつかの実施形態では、試験片は、対照ラインのみ(例えば、対照試験カセット、例えば、1つの試験ラインのみ)を有する。いくつかの実施形態では、対照ラインは、いくつかの構成では、試料(例えば、対象試料、例えば、キットに提供される対照試料など)中の1つ以上の対照を捕捉または結合することができる1つ以上の成分を含む。
【0069】
検出すること:本明細書で使用される場合、「検出すること」は、本明細書に記載されるように、薬剤または標的などの特定の実体の不在、存在、及び/またはレベルを特定する能力を指す。例えば、いくつかの実施形態では、検出することは、例えば、1つ以上のシグナル、例えば、可視化可能なシグナルの使用を通じて、試料中の標的の存在を特定する。いくつかの実施形態では、検出することは、試料中の特定の薬剤または標的の不在を示す1つ以上のシグナルの不在であってもよいか、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、検出することは、定性的である(例えば、存在または不在を特定する)。いくつかの実施形態では、検出することは、定量的である(例えば、実体の特定の量または濃度を特定する)。いくつかの実施形態では、検出剤は、所与の標的に対して特異的である。
【0070】
決定する、または決定すること:本明細書で使用される場合、本明細書に記載される多くの提供される方法は、「決定する」ステップを含む。本開示を読む当業者は、そのような「決定すること」が、例えば、本明細書で明示的に言及される特定の技術を含む、当業者に利用可能な様々な技術のいずれかを利用することができるか、または使用することによって達成され得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、決定することは、物理的試料の操作を伴う。いくつかの実施形態では、決定することは、例えば、関連する分析を実施するように適合されたコンピュータまたは他の処理ユニットを利用した、データまたは情報の考慮及び/または操作を伴う。いくつかの実施形態では、決定することは、関連する情報及び/または材料を供給源から受け取ることを伴う。いくつかの実施形態では、決定することは、試料または実体の1つ以上の特徴を比較可能な参照と比較することを伴う。
【0071】
希釈する、または希釈:本明細書で使用される場合、「希釈する」または「希釈」は、未希釈の試料と比較して1つ以上の成分の濃度を低下させるプロセスを指す。いくつかの実施形態では、希釈は、濃度の低下を達成するために液体を添加することを伴う。いくつかの実施形態では、希釈は、インライン希釈であり得る。いくつかの実施形態では、希釈は、オフライン希釈であり得る。
【0072】
投薬レジメン:(または「治療レジメン」)、本明細書で使用される場合、「投薬レジメン」は、典型的には期間によって区切られる、対象に個別に投与される単位用量(典型的には2回以上)のセットを指す。いくつかの実施形態では、所与の治療剤は、1回以上の用量を伴い得る、推奨される投薬レジメンを有する。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、各々が同じ長さの期間で互いに区切られた複数の用量を含む。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、複数の用量、及び個々の用量を区切る少なくとも2つの異なる期間を含む。いくつかの実施形態では、投薬レジメン内の全ての用量は、同じ単位投薬量のものである。いくつかの実施形態では、投薬レジメン内の異なる用量は、異なる量のものである。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、第1の投薬量での第1の投薬と、それに続く第1の投薬量とは異なる第2の投薬量での1回以上の追加の投薬とを含む。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、第1の用量の量で第1の用量を含み、続いて、第1の用量の量と同じ第2の用量の量で1回以上の追加用量を含む。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、関連する集団にわたって投与されたときの所望のまたは有益な結果と相関する(すなわち、治療用投薬レジメンである)。
【0073】
フレア:本明細書で使用される場合、「フレア」は、臨床医に対象における治療を開始または変更させるのに十分な疾患、障害、または状態の症状の重症度の急激な増加を示す。いくつかの実施形態では、フレアは、1つ以上の疾患指標、例えば、SELENA SLEDAI Flare IndexまたはPhysician Global Assessment(PGA)で特定のスコアを達成することとして定義され得る。いくつかの実施形態では、疾患活動性の一時的変化は、フレアを示す。いくつかの実施形態では、フレアは、例えば、高用量のコルチコステロイド(例えば、20mg/日超で投与されるプレドニゾン)または免疫抑制剤などの治療の新規または増加した使用によって特徴付けられ得るか、または定義され得る。例えば、いくつかの実施形態では、フレアは、疾患、障害または状態による入院または死亡によって特徴付けられ得るか、または定義され得る。いくつかの実施形態では、フレアは、例えば、以前に行われた測定と比較して、新規またはより悪い臨床兆候及び症状及び/または実験室測定を伴う、1つ以上の臓器系における疾患活性の測定可能な増加であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、疾患活動性の測定可能な増加は、評価者によって臨床的に有意であるとみなされ、典型的には、治療の変化または増加の少なくとも考慮、及びかなりの頻度で、治療の変化の実施を含む。いくつかの実施形態では、フレアは、前回の来院または過去200日以内の来院(例えば、過去100日、例えば、過去93日、例えば、過去75日、例えば、過去50日、例えば、過去25日、例えば、過去10日、例えば、過去5日、例えば、過去1日)からの疾患活動性の医師の全体的評価(0~3で測定される)尺度における1.0以上の変化を特徴とするか、またはその変化と定義される。いくつかの実施形態では、フレアは、例えば、誘発事象(例えば、遺伝子治療処置の投与、例えば、CAR-T治療の投与など)から数分以内(例えば、10、20、30またはそれ以上)または数時間以内(例えば、1、2、3、4、5、6またはそれ以上)の急速かつ急性の事象であり得る。
【0074】
「改善する」、「増加する」、または「減少する」:本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加する」、もしくは「減少する」、またはそれらの文法的等価物は、本明細書に記載される治療の開始前の同じ個体における測定値、または本明細書に記載される治療の不在下での対照個体(または複数の対照個体)における測定値などのベースライン測定値に対する値を示す。いくつかの実施形態では、「対照個体」は、治療されている個体と同じ形態の疾患または傷害に罹患している個体である。
【0075】
免疫測定装置:本明細書で使用される場合、「免疫測定装置」は、試料が適用される1つ以上の試験片であり、次いで試料中の1つ以上の標的を測定する目的などのために評価することができる。いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、少なくとも1つの追加の成分をさらに含む。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの追加の成分は、試料パッド及び/またはコンジュゲートパッドであるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、ケーシング内に収容される。いくつかのそのような実施形態では、ケーシング内に少なくとも部分的に収容された免疫測定装置は、試験カセットまたは試験カートリッジと称され得る。
【0076】
インライン希釈:本明細書で使用される場合、「インライン希釈」は、免疫測定装置の少なくとも一部が、試料を何らかの方法で変化させる(例えば、特定の細胞型を除去し、特定の標的の一部を捕捉するなど)固相を含み、所与の試料から少なくとも一部(例えば、標的または細胞型)を何らかの方法で効果的に希釈するように、本明細書に記載される免疫測定装置に試料の少なくとも一部を適用することによって、本開示の試料を効果的に希釈することを指す。
【0077】
インビトロ:本明細書で使用される場合、「インビトロ」は、多細胞生物内ではなく、人工環境、例えば、試験管または反応容器、細胞培養物などで生じる事象を指す。
【0078】
インビボ:本明細書で使用される場合、「インビボ」は、ヒト及び非ヒト動物などの多細胞生物内で生じる事象を指す。細胞ベースの系の文脈では、この用語は、(例えば、インビトロ系とは対照的に)生細胞内で生じる事象を指すために使用され得る。
【0079】
測定:本明細書で使用される場合、「測定」は、標的の量(例えば、定量的)及び/または存在もしくは不在の程度(例えば、定性的)を決定するプロセスを指す。いくつかの実施形態では、測定は、本開示の技術を使用して行われる。いくつかの実施形態では、本開示の技術は、1つ以上の測定を行うために既知の器具または装置を使用してアッセイされる。いくつかの実施形態では、測定は、定量的である。いくつかの実施形態では、測定は、定性的である。いくつかの実施形態では、測定は、「不在」の定性的評価を含む。いくつかの実施形態では、測定は、「ゼロ」またはLLOQ未満の定量的評価を含む。
【0080】
オフライン希釈:本明細書で使用される場合、「オフライン希釈」は、試料の任意の部分が本開示の免疫測定装置に適用される前に、試料とともに、または試料に対して実施される希釈を指す。例えば、いくつかの実施形態では、オフライン希釈は、試料を収集し、特定のステップ及び量のセットによって試料を希釈することを伴う。いくつかの実施形態では、試料は、緩衝液を使用して希釈される。いくつかの実施形態では、試料は、アッセイのステップ(例えば、酵素アッセイ、例えば、基質とのインキュベーション、例えば、ADAMTS13活性アッセイなど)の実施中に希釈される。いくつかの実施形態では、本開示の試料は、いかなるオフライン希釈にも供されていない。いくつかの実施形態では、本開示の試料は、少なくとも1つのオフライン希釈に供され得る。いくつかのそのような実施形態では、オフライン希釈は、「最小」希釈である。いくつかの実施形態では、最小希釈は、特定の試料の連続希釈を含まない。
【0081】
予防:本明細書で使用される場合、「予防」は、特定の疾患、障害、または状態の1つ以上の症状の発症の遅延、及び/または頻度及び/または重症度の低下を指す。いくつかの実施形態では、予防は、特定の疾患、障害または状態の1つ以上の症状の発生、頻度、及び/または強度における統計的に有意な減少が、その疾患、障害、または状態に感受性がある集団で観察された場合、作用因子が、その疾患、障害または状態を「予防する」とみなされるように、集団を基準として評価される。いくつかの実施形態では、予防は、疾患、障害、または状態の発症が、所定の期間遅延したときに発生すると言われ得る。いくつかの実施形態では、予防は、疾患、障害または状態の発症が、完全に、または予防が生じる前と比較して特定の速度で、進行を停止したときに生じると言われ得る。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の技術は、例えば、リアルタイム及び/またはポイントオブケアにおいて、1つ以上の治療を投与することを可能にする、1つ以上の標的及び供給者の変化を見る能力の、リアルタイム、高感度、正確、確実、及び/または特異的な測定値を測定及び明らかにし得る。いくつかのそのような実施形態では、そのような測定値は、疾患、障害または状態(例えば、遺伝子治療、CAR-T療法などの特定の療法で生じ得る、例えば、サイトカイン放出症候群)の発症を完全に予防し得る。いくつかの実施形態では、予防は、1つ以上の標的における1つ以上の変化の検出が、供給者が、検出がなかった場合に生じたであろう転帰が、治療が生じなかった場合と比較して、ある程度軽減するか、または完全に停止されるように、治療を投与することを可能にするときに生じると言われ得る。
【0082】
前処理:本明細書で使用される場合、「前処理」は、試料を取得または収集した後、1つ以上の標的を測定する前に試料を処理するプロセスを説明する。いくつかの実施形態では、前処理は、試料を液体と接触させることを含み、その液体は、試料及び薬剤が混合されるように、任意選択的に少なくとも1つの薬剤を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、そのような混合ステップは、試料の希釈、したがって、1つ以上の標的の希釈をもたらす。
【0083】
参照:本明細書で使用される場合、「参照」は、比較が実施されるものに対する基準または対照を説明する。例えば、いくつかの実施形態では、目的の薬剤、動物、個体、集団、試料、配列、または値が、参照または対照の薬剤、動物、個体、集団、試料、配列、または値と比較される。いくつかの実施形態では、参照または対照は、目的の試験または決定と実質的に同時に試験及び/または決定される。いくつかの実施形態では、参照または対照は、任意選択的に有形媒体に具現化された履歴参照または対照である。いくつかのそのような実施形態では、履歴参照は、異なる時点で同じ対象から取得された測定値である。いくつかの実施形態では、2つ以上の参照値が使用されてもよく、すなわち、例えば、いくつかの実施形態では、標準化された実験室参照範囲からの参照レベル、及び同じ対象で行われる所与の標的の以前の測定値からの参照レベルが、各々、対象における標的の測定値を比較するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、参照は、プロセスが実施された後の終了材料と比較して、特定の量の出発材料に関するものである。例えば、酵素アッセイでは、既知の量がアッセイに入力され、測定値は、出発物質に対する特定の反応の完了のパーセント、及び実際の量に対する仮説的/理論的量のパーセントであり得る。いくつかのそのような実施形態では、参照は、仮説的/理論的に計算またはモデル化された量である。典型的には、当業者に理解されるように、参照または対照は、評価対象と比較可能な条件または状況下で決定または解析される。当業者は、特定の可能な参照または対照への依存及び/または比較を正当化するのに十分な類似性が存在するときに理解するであろう。
【0084】
応答:本明細書で使用される場合、「応答」(例えば、治療に対する)は、治療の結果として生じる、または治療と相関する対象の状態における任意の有益な変化を指し得る。そのような変化は、状態の安定化(例えば、治療の不在下で生じたであろう劣化の予防)、状態の症状の改善、及び/または状態の治癒の見通しの改善などを含み得る。正確な応答基準は、比較される群が、応答率を決定するための同じまたは同等の基準に基づいて評価されることを条件として、任意の適切な方法で選択することができる。当業者であれば、適切な基準を選択することができるであろう。
【0085】
リスク:文脈から理解されるように、疾患、障害、及び/または状態の「リスク」は、特定の個人が、疾患、障害、及び/または状態を発症する尤度を含む。いくつかの実施形態では、リスクは、パーセンテージとして表される。いくつかの実施形態では、リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90から最大で100%である。いくつかの実施形態では、リスクは、参照試料または参照試料の群に関連するリスクに対するリスクとして表される。いくつかの実施形態では、参照試料または参照試料の群は、疾患、障害、状態、及び/または事象の既知のリスクを有する。いくつかの実施形態では、参照試料または参照試料の群は、特定の個体に匹敵する個体由来である。いくつかの実施形態では、相対リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、リスクは存在するが、任意の特定の数またはリスク指標によって定量化されず、むしろ、1つ以上の標的の測定値が、参照範囲に対して1つ以上の特定の標的についての特定の範囲内またはそれ以上で異なる場合、リスクが存在するとみなされる。
【0086】
試料:本明細書で使用される場合、「試料」は、典型的には、本明細書に記載されるように、何らかの方法で(例えば、市販の供給源を含む)、目的の供給源から取得された、または誘導された生体試料を指す。いくつかの実施形態では、目的の供給源は、動物またはヒトのような生物を含む。いくつかの実施形態では、試料は、本開示の技術によって測定される1つ以上の標的を含む。いくつかの実施形態では、試料は、本開示の技術によって測定される1つ以上の標的を含まない(例えば、標的のレベルがゼロまたはLLOQ未満である)。いくつかの実施形態では、試料は、本明細書に記載されるように、免疫測定装置を使用して、1つ以上の標的を測定する1つ以上のステップを検証、確認、及び/または較正する目的で使用される対照物質であってもよいか、またはそれを含んでもよい。
【0087】
対象:本明細書で使用される場合、「対象」または「患者」は、動物である。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ブタ、非ヒト霊長類など、またはそれらの出生前形態である。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。いくつかの実施形態では、ヒトは、出生前のヒト形態(例えば、胚、胎児)を含む。いくつかの実施形態では、ヒトは、新生児、乳児、幼児、小児、青年、または成人である。いくつかの実施形態では、ヒトは、高齢者である。いくつかの実施形態では、対象は、関連する疾患、障害または状態に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害、または状態にかかりやすい(発症するリスクがある)。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害または状態の1つ以上の症状または特徴を示す。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害、または状態のいかなる症状または特性も示さない。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害、または状態への感受性またはそれらのリスクに特徴的な1つ以上の特徴を有する者である。いくつかの実施形態では、対象は、患者である。いくつかの実施形態では、対象は、対照患者である。いくつかの実施形態では、対象は、試験、例えば、研究試験、例えば、臨床試験の参加者である。いくつかの実施形態では、対象は、診断及び/または治療が投与される、及び/または投与されたことがある個体である。
【0088】
実質的に:本明細書で使用される場合、「実質的に」は、関心のある特徴または特性の全てまたはほぼ全ての範囲または程度を示す定性的条件を指す。生物学分野の当業者は、生物学的現象及び化学的現象が完了すること、及び/または完全な状態まで進むこと、または絶対的な結果を達成もしくは回避することは、あったとしてもまれであることを理解するであろう。従って「実質的に」という用語は、多くの生物学的現象及び化学的現象に固有の完全性の潜在的な欠如を捕捉するために本明細書で使用される。
【0089】
標的:本明細書で使用される場合、「標的」は、測定されている特定の実体であるか、または実体を含む。標的は、任意のレベルで、内因的に、または外因性導入を介して、試料中に存在する任意の測定可能な実体であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、標的は、天然に存在する物質または薬剤(例えば、内因性タンパク質)である。いくつかの実施形態では、標的は、バイオマーカーであるか、またはバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、標的は、分析物であるか、または分析物を含む。いくつかの実施形態では、標的は、治療薬であるか、または治療薬を含む。いくつかの実施形態では、標的は、高存在量の標的である(例えば、1つ以上の他の標的に対して、または標的の対照レベルに対して)。いくつかの実施形態では、標的は、低存在量の標的である(例えば、pg/mL濃度で生じる)。いくつかの実施形態では、標的は、基質との反応及び基質消費、切断(例えば、基質の)または他の検出可能な修飾の定量化などによって間接的に測定される。
【0090】
試験カセットまたは試験カートリッジ:本明細書で使用される場合、「試験カセット」または「試験カートリッジ」は、ハウジングを含むユニットを指し、そのハウジングは、少なくとも部分的に、本明細書に記載の免疫測定装置を含む。いくつかの実施形態では、試験カセットまたはカートリッジは、免疫測定装置から情報を受信及び解釈するために使用される装置によって、カセットまたはカートリッジの識別を読み取るまたは走査するためのバーコードまたは他の手段を備える。いくつかの実施形態では、試験カセットは、対照試験カセットである。いくつかのそのような実施形態では、本明細書に記載される1つ以上のアッセイの1つ以上の態様を検証または確認するために、対照試験カセットが提供される。
【0091】
試験ライン:本明細書で使用される場合、「試験ライン」は、試験片上に沈着された(すなわち、ストライピングされた)ラインを指す。試験ラインは、いくつかの構成では、試料中の1つ以上の標的を捕捉または結合することができる1つ以上の成分を含む。例えば、いくつかの実施形態では、試験ラインは、薬剤を含む。いくつかの実施形態では、試験ラインは、捕捉剤を含む。いくつかの実施形態では、標的が試験ライン上の捕捉剤に結合するとき、試験ラインはまた、検出剤を含んでもよい。当業者に理解されるように、捕捉剤及び競合剤は同じ薬剤であってもよいが、標的が保持されている試験ラインでは、そのような薬剤は捕捉剤である。いくつかの実施形態では、試験ラインは、競合剤を含まない。いくつかの実施形態では、試験ラインは、検出剤を含まない。いくつかの実施形態では、試験ラインは、定性的及び/または定量的に測定される。いくつかの実施形態では、文脈から理解されるように、試験ラインは、本明細書に記載されるように対照ラインとして機能する。いくつかのそのような実施形態では、試験ライン上の捕捉剤は、対照ライン上の捕捉剤とは異なる場合があり、例えば、いくつかの実施形態では、対照ライン上の捕捉剤は、検出剤に特異的であり得るが、試験ライン上の捕捉剤は、標的(その標的は、検出剤と複合体化され得る)に特異的である。いくつかの実施形態では、試験ラインは測定されない(すなわち、可視化可能であっても)。
【0092】
試験片:本明細書で使用される場合、「試験片」は、本明細書に記載される免疫測定装置の固相成分であり、その固相は、少なくとも1つの試験ラインを含む。いくつかの実施形態では、試験片は、試料と接触し、試料は、毛細管及び/または重力機構を使用して横方向に流れて、固相内及び固相を通って移動する。
【0093】
治療剤:本明細書で使用される場合、「治療剤」は、一般に、生物に投与されたときに所望の効果を誘発する任意の薬剤を指す。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、所望の効果は、1つ以上の標的の減少、1つ以上の標的の増加、1つ以上の疾患、障害、または状態の1つ以上の症状の減少または消失のうちの1つ以上であり得る。いくつかの実施形態では、適切な集団にわたって統計的に有意な効果を示す場合、薬剤は治療剤であるとみなされる。いくつかの実施形態では、適切な集団は、モデル生物の集団であり得る。いくつかの実施形態では、適切な集団は、ある特定の年齢群、性別、遺伝的バックグラウンド、既存の臨床状態などといった様々な基準によって定義され得る。いくつかの実施形態では、治療剤は、疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状または特徴を緩和する、改善する、軽減する、阻害する、予防する、発生を遅延させる、重症度を低下させる、及び/または発生率を低下させるために使用され得る物質である。いくつかの実施形態では、治療剤は、ヒトへの投与のために市販され得る前に、政府機関によって承認されているか、または承認される必要がある薬剤である。いくつかの実施形態では、治療剤は、ヒトへの投与に医療処方が必要な薬剤である。いくつかの実施形態では、治療剤は、研究及び開発中に試験及び/または投与されているものである。いくつかの実施形態では、治療剤は、前臨床試験または臨床試験の一部として対象に試験及び/または投与されているものである。
【0094】
治療レジメン:「治療レジメン」は、その用語が本明細書で使用される場合、関連する集団にわたる投与が、所望のまたは有益な治療転帰と相関し得る投薬レジメンを指す。
【0095】
治療:本明細書で使用される場合、「治療」(また、「治療する」または「治療すること」)は、特定の疾患、障害、及び/または状態(例えば、サイトカイン放出症候群、ループス腎炎、aHUSなど)の1つ以上の症状、特徴、及び/または原因を部分的または完全に緩和する、改善する、軽減する、阻害する、発症を遅延させる、重症度を低下させる、及び/または発生率を低下させる、処置、介入、物質(例えば、コルチコステロイド)、またはそれらの任意の組み合わせの任意の投与を指す。例えば、いくつかの実施形態では、治療は、(例えば、対象からの)物質の離脱または除去を含む介入を含み得る。いくつかの実施形態では、治療の投与は、組成物の除去及び/または異なる組成物の添加及び/または介入を含んでもよい。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態の顕性兆候を示さない対象のものであり得る。いくつかの実施形態では、治療は、疾患、障害、及び/または状態の初期兆候のみを示す対象のものであり得る。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、そのような治療は、関連する疾患、障害及び/または状態の1つ以上の確立された兆候を示す対象のものであり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態に罹患していると診断された対象のものであり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態の発症のリスクの増加と統計的に相関する1つ以上の感受性因子を有することが知られている対象のものであり得る。
【0096】
補体系
補体系は、50を超える血清及び細胞タンパク質を含み、先天免疫及び適応免疫において重要な役割を果たす。当業者が認識しているように、補体活性化には、古典的、レクチン、及び代替手段の3つの主要な経路が存在する。補体活性化の3つの主要経路は全て、中央タンパク質補体成分3(C3)に集中する。C3は炎症の中心媒介物質であり、炎症を引き起こすほとんどの要因によって活性化される。補体系及びその経路の例示的な概略図を
図1に示す。
【0097】
補体及び補体活性化は、多種多様な疾患に関連付けられており、いくつかの場合では、補体は、疾患病理学において役割を果たすことができる。これらの場合、生物の体は、炎症の1つ以上の原因を首尾よく制御することができず、その炎症は、次いで、局所的(または限局的)から全身的に変化し得る。補体活性化は、細胞を過剰に活性化し、免疫細胞を動員することによって、組織を直接損傷させ得るか、または間接的に損傷を引き起こし得、それが次に組織破壊を引き起こす。非限定的な例としては、補体媒介性全身オーバー活性化に起因し得るいくつかの状態としては、アナフィラキシーショック、多臓器不全(MOF)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、全身炎症反応症候群(SIRS)、及びサイトカイン放出症候群(CRS)が挙げられる。
【0098】
3つの経路のいずれかを介して生成されたC5転換酵素は、C5を切断して、C5a及びC5bを産生する。次いで、C5bは、C6、C7、及びC8に結合し、C9の重合を触媒して、C5b-9膜攻撃複合体(MAC)を形成する。組み立てるMACは、それ自体を標的細胞膜内に挿入し、C9分子の環によって画定される孔を形成する。MAC形成は、侵入する微生物の細胞溶解を引き起こし、宿主細胞上のMAC形成も溶解を引き起こし得るが、必ずしもそうではない。細胞膜上のMACの部分溶解量は、様々な方法で細胞機能に影響を及ぼし得る。小さな切断生成物C3a、C4a、及びC5aは、アナフィラトキシンであり、急性炎症応答における複数の反応を媒介する。C3a及びC5aはまた、好中球及びマクロファージなどの細胞を危機の領域に引き付ける強力な走化性因子である。
【0099】
古典的
古典的な補体経路は、特異的に、抗原に結合したIgG/IgM抗体を含む、免疫複合体によって主に活性化されると理解される。他の活性化剤としては、例えば、リポ多糖(LPS)、ミエリン、リン脂質、ポリアニオン性化合物、C反応性タンパク質(CRP)、ペントラキシン3(PTX3)、血清アミロイド成分P(SAP)、ならびに微生物DNA及びRNA、ならびにそれらの任意の成分または部分(例えば、ミエリンタンパク質または断片、LPS断片、DNA断片など)を挙げることができる。古典的経路は、典型的には、免疫複合体によって誘発され、この免疫複合体は、一般に、IgMまたはIgGアイソタイプに属する、抗体と結合した抗原の複合体である。免疫複合体は、次いで、C1q、C1r、及びC1s構成される補体成分C1に結合する。抗体-抗原複合体へのC1qの結合は、C1r及びC1sの活性化を誘発する。次いで、活性化C1sは、成分C4を切断して、C4a及びC4bを産生する。C4bは、細胞表面に共有結合することができるが、約5%しか結合しない。残りの95パーセントは、水と反応して、可溶性の活性化C4bを形成する。次いで、成分C2は、沈着したC4bと会合することができ、その後、C1sによってC2a及びC2bに活性化される。C4b及びC2aが結合して、C4bC2a、古典的経路(CP)C3転換酵素を形成する。
【0100】
CP転換酵素は、C3を切断して、C3a及びC3bを形成する。活性化C4bと同様に、C3bは、細胞表面に共有結合することができるか、またはH2Oと反応して溶液中に留まることができる。活性化されたC3bは複数の役割を有する。それ自体で、それは、装飾された細胞または粒子を食細胞によってより容易に摂取させるためにオプソニンとして機能することができる。加えて、C3bは、C4bC2a(CP C3転換酵素)と会合して、C5転換酵素を形成することができる。C4bC2aC3bと呼ばれる複合体は、CP C5転換酵素と呼ばれる。あるいは、表面結合型C3bは、代替経路(AP)C3転換酵素と呼ばれる別のC3転換酵素のコアを形成することができる。
【0101】
代替手段
代替経路は、多くの場合、微生物細胞壁成分を含む「外来」物質による直接C3活性化によって媒介される。代替経路(AP)は、C3が活性化され得る別の機構である。これは、典型的には、微生物表面及び様々な複合多糖ならびに他の材料などの標的によって活性化される。この代替経路は、水分子によってC3中のチオエステル結合が切断されて、C3(H2O)を形成することによって自発的に開始することもできる。C3(H2O)は、因子Bに結合し、これは、因子Dが因子BをBa及びBbに切断することを可能にする。Bbは、C3(H2O)と会合したままで、C3(H2O)Bb複合体を形成し、C3転換酵素として機能し、C3を切断し、C3a及びC3bをもたらす。
【0102】
このプロセスを介して、または古典的もしくはレクチン経路を介して形成されたC3bは、標的(例えば、細胞表面上)に結合し、B因子と複合体を形成し、その後、D因子によって切断されてBbを形成し、代替経路(AP)C3転換酵素と呼ばれるC3bBbをもたらす。C3bの別の分子のAP C3転換酵素への結合は、AP C5転換酵素であるC3bBbC3bを産生する。
【0103】
レクチン
レクチン経路は、遊離マンノース基(複数可)を有する多糖及び/または真菌及び細菌に共通する他の糖によって活性化される。レクチン補体経路は、マンノース結合レクチン(MBL)及びMBL関連セリンプロテアーゼ(MASP)の炭水化物への結合によって開始される。MBL1遺伝子(ヒトではLMAN1として知られる)は、内皮小胞体とゴルジとの間の中間領域に局在する1型必須膜タンパク質をコードする。MBL2遺伝子は、血清中に見出される可溶性マンノース結合タンパク質をコードする。ヒトレクチン経路において、MASP1及びMASP2は、C4及びC2のタンパク質分解に関与し、C3転換酵素をもたらし、これは、CPに関して上述されるようなC5転換酵素の産生をもたらす。
【0104】
レクチン経路(LP)タンパク質は、止血及び血栓性疾患における凝固の活性化剤及び増幅器として機能することが示されている。MASP-1及びMASP-2は、活性化された血小板及びフィブリンの生成によって血液凝固の間に活性化される。MASP-1及びMASP-2は、フィブリン凝固によって活性化されるだけでなく、フィブリン凝固の生成にも関与する。具体的には、MASP-1は、トロンビン様特異性を有し、したがって、架橋フィブリンの形成を触媒することができる。MASP-2は、プロトロンビンを切断することによってトロンビンを直接活性化する。したがって、MASP活性化がフィブリン凝固を生成し、凝固形成がMASPを活性化する正のフィードバックループが存在する。これは、補体活性化が血管損傷部位に集中する1つの手段である。
【0105】
補体及び疾患
補体系は、免疫及び炎症を誘発、増幅、及び調節するように設計された流体相及び膜関連タンパク質のネットワークである。補体とサイトカインネットワークとの間のクロストークは、誘導された免疫応答及び転帰を形成することができる。この相互作用は、急性期応答、適応免疫の指示、ならびに無菌性炎症及び再生の3つのカテゴリーに大きく分類することができる。いくつかの疾患、障害、及び/または状態は、1つ以上の補体経路、または補体経路関連成分における1つ以上の機能障害から生じてもよく、活性化されてもよく、及び/またはその影響を受けてもよい。例えば、当業者に既知のように、いくつかの自己免疫疾患は、1つ以上の補体系関連タンパク質に変化を有することが示されている。いくつかの実施形態では、本開示の技術は、1つ以上の標的を測定して、1つ以上の異なる段階(例えば、診断前、診断後、フレアまたは疾患の増悪中、治療開始後など)で自己免疫疾患に関する情報を容易に提供することができる。
【0106】
例えば、多くの補体タンパク質(C3、C4、C9、C4BP、MBL、B因子及びC1-INH)の全身産生は、急性期応答中に放出されるサイトカイン(IL6及びIL1ファミリー)によって制御される(Gabay and Kushner,1999,NEJM,340:448-54、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。補体活性化は、IL1を誘導し、CRPなどのAPRタンパク質を上方制御することによって急性期応答を増幅する(Szalai et al.,2000,Journal of immunology 165:1030-35、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、これらの2つのシステム間の増幅は、調節機構が欠如しているか、または圧倒されている場合、炎症誘因の発生に迅速に続き得る。
【0107】
全身産生に加えて、補体成分の局所産生も起こり、サイトカインの作用によって調節下になる。例えば、上皮細胞によるC3の発現は、IL1β、IFN-γ及びTNFα刺激によって増強され(Kulkarni et al.,2019,Am J Respir Cell Mol Biol 60:144-157、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)、これらのサイトカインはまた、内皮細胞によるC3、D因子及びB因子産生を上方制御する(Raedler et al.,2009,Am J Transplant 9:1784-1795、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。さらに、内皮細胞によるH因子の増強された産生は、IFN-γによって刺激される(Brooimans et al.,1989,Journal of immunology 142:2024-30、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。全身活性化と同様に、発現の相互調節が生じ、補体活性化断片も局所サイトカイン応答を調節する。C3a及びC5aは、IL-8、IL-1B及びRANTESを上方制御し、C5aは、内皮細胞によるIL-6発現を減少させる(Monsinjon et al.,2003,FASEB J 17:1003-14、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。C5a/C5aR相互作用は、ヒト単球におけるこれらの応答を増強しながら、マクロファージによるTLR誘導IL-6及びTNF産生を抑制する(Seow et al.,2013,Journal of immunology 191:4308-16、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0108】
初期の先天性免疫応答は、主に、炎症性病理と恒常性免疫のバランスを微調整するように見える補体系とTLRとの間の双方向クロストークによって形成される(Hajishengallis and Lambris,2016,Immunol Rev 274:233-44、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。LPS(TLR4)、ザイモサン(TLR2/6)、及びCpG DNA(TLR9)を含む、TLRシグナル伝達を開始する微生物産物も、補体活性剤として機能する(Zhang et al.,2007,Blood 110:228-36、Mangsbo et al.,2009,Journal of Immunology,183:6724-32、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。これは、それぞれの受容体との相互作用を介してTLR依存性応答を調節する補体活性化断片の産生をもたらし得る。加えて、IL-6などのTLR誘導サイトカインは、FB及びC3aR/C5aRの発現を含む、補体成分の発現を促進する(Zhang et al.,2007,Blood 110:228-36、Rittirsch et al.,2008,Nat Rev Immunol 8:776-87、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。これらのシステムは、相乗的及び拮抗的の両方で、誘導応答を調節するために機能する。例えば、同時TLR刺激を伴うC3aR/C5aRを介したシグナル伝達は、TNFα、IL-1β、IL-10及びIL-6の相乗的増加を駆動する(Zhang et al.,2007)。しかしながら、C1qは、TLR7/9誘導IFNα産生を阻害することによって拮抗的に作用する。したがって、TLRは、補体因子の発現、ならびに補体受容体の発現及び/または活性化を調節することができ、これは次に、TLR依存性応答を増幅または制限することができる。
【0109】
補体はまた、免疫系が病原体に適切に応答するように指示するが、病原性炎症も制限する(Ricklin et al.,2010,Nature Immunology 11:785-97、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。この影響は、局所炎症性環境を形成する補体TLR相互作用から始まり、免疫細胞に対する補体受容体関与の直接的な影響にまで及ぶ。例えば、C1qは、pDC上のLAIR1との相互作用によって直接的に、及び単球によるC1q-ICの取り込みによって間接的に、IFNα産生を阻害する。ヒト単球において、C3a/C3aR相互作用は、インフラマソーム及びIL-1β分泌を活性化し、C3aRにより刺激された単球は、IL-1β産生の増強を介してTh17応答を駆動する(Asgari et al.,2013,Blood 122:3473-81、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。しかしながら、LPSにより刺激されたヒトマクロファージによるC1qオプソニン化アポトーシスリンパ球の取り込みは、IFNα、IL-27及びIL-10の発現を増加させ、インフラマソーム活性化(IL-1βの切断)を阻害する(Benoit et al.,2012,Journal of Immunology 188:5682-93、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。逆に、IL-1βのインフラマソーム活性化及び放出は、さらに、部分溶解MACを含む補体活性化の刺激によって影響され、TNFと組み合わせたC5aによってさらにプライミングされる(Laudisi et al.,2013,Journal of Immunology 191:1006-10、Espevik et al.,2014,Journal of Immunology 192:2837-45、それらの各々の全体は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0110】
補体系はまた、T細胞応答を調節することを含む、適応応答を形成することにおいて複数の役割を有する。これには、開始段階の指示、系統関与の推進、及び収縮段階の調節が含まれる。局所的に産生されたC5aの、APC上で発現される、その受容体C5aRへの結合は、IL-12産生を上方制御し、これにより次いで、T細胞分化は、IFN-γ産生表現型に向かう(Lalli et al.,2007,Journal of Immunology,179:5793-802、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。局所的に産生されたC5aはまた、CD8+T細胞IFN-γ及びパーフォリン発現を増強する(Raedler et al.,2009,Am J Transplant 9:1784-1795、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。IL-2の存在下でのCD3及びヒトCD4+T細胞上の補体調節因子CD46の架橋結合は、調節性T細胞表現型の誘導及びIL-10の放出をもたらす(Kemper and Atkinson,2007,Nat Rev Immunol 7:9-18、Cardone et al.,2010,Nature Immunology 11:862-871、それらの各々の全体は参照により本明細書に組み込まれる)。CD46により生成された調節性T細胞はまた、グランザイムB及びパーフォリンを発現し、活性化されたCD4+及びCD8+T細胞に対する接触依存性細胞毒性を示す(Grossman et al.,2004,Immunity,21:589-601、Grossman et al.,2004,Blood 104:2840-48、それらの各々の全体は参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、CD46架橋結合によって生成された調節性T細胞は、エフェクターT細胞応答を抑制するための3つの機構を有する:IL-10の分泌、グランザイムB及びパーフォリンの合成による直接細胞毒性、ならびに成長因子としてのIL-2に対する競合(Lalli et al.,2007,Journal of Immunology,179:5793-802、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。注目すべきことに、CD46誘導調節性T細胞は、GM-CSF及び可溶性CD40の二重分泌によってDC活性化を可能にする(Barchet et al.,2006,Blood 107:1497-1504、それらの各々の全体は参照により本明細書に組み込まれる)。ヒト単球/マクロファージ上のCD46の架橋結合は、IL-12誘導を抑制し、麻疹ウイルス誘導免疫抑制の可能性のある機構を提供する(Karp et al.,1996,Science 273:228-231、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0111】
補体は、病原体クリアランスを促進するだけでなく、無菌性炎症、創傷治癒及び再生に寄与することによって、炎症の解消を通じて恒常性に不可欠な役割を果たす。アポトーシスT細胞は、細胞表面からCD46を急速に失い、この保護シグナルの除去は、食作用を促進する(Elward et al.,2005,The Journal of Biological Chemistry 280:36342-354、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。オプソニン化されたアポトーシス細胞上のiC3bとその受容体である食細胞上のCR3との相互作用は、クリアランスを促進し、アポトーシス細胞クリアランス中の望ましくない炎症を防ぐためにIL-12下方調節を伴う。さらに、損傷が発生した場合、補体は、損傷修復を促進することによってホメオスタシスに寄与する。この修復促進の役割は、C3a/C5aがIL6及びTNFαシグナル伝達を誘導して肝細胞の成長及び増殖を促進する肝臓再生において明らかである(Markiewski et al.,2006,Molecular Immunology,43:45-56、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。加えて、C3a及びC5aは、損傷後の組織修復に必要なVEGFの発現を誘導する(Nozaki et al.,2006,PNAS,103:2328-333、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、補体は、アポトーシス細胞及び免疫複合体の非炎症性クリアランスに関与し、損傷した組織の修復を促進することによって、炎症の解消に寄与する。
【0112】
細胞代謝機構への直接的な影響と並行して、自己分泌CD46シグナル伝達はまた、インターロイキン2Rα(IL-2Rα、CD25)の発現の増加及び高親和性IL-2受容体のアセンブリをもたらす(Liao W et al.,Curr Opin Immunol.,2011;23(5):598-604、Liao W et al.,Immunity,2013;38(1):13-25、West EE et al.,Annu Rev Immunol.2018;36:309-338、Merle NS et al.,Br J Pharmacol.,2020;1-17、それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0113】
いかなる特定の理論にも拘束されることなく、外傷後の即時及び早期の期間(例えば、疾患の発症後、損傷後など)における補体活性化は、おそらく3つの補体経路のうちのいずれかの1つ以上の使用によって、いくつかの異なる機構を介して生じ得る。そのような活性化を適切な信頼性、再現性、感度、特異性、正確性、及び/または速度(例えば、ポイントオブケア、及び損傷後の定期的な監視間隔)で検出することは、多くの状況で依然として課題のままである。本開示は、1つ以上の標的(例えば、1つ以上の補体タンパク質)の効率的、迅速、高感度、特異的、信頼性、及び/または正確な測定を可能にする技術を提供する。時宜を得た情報により、臨床医は、いくつかの実施形態では、本開示によって提供される技術の不在下では達成されなかったであろう特定の転帰を予防または改善し得る(例えば、治療による継続的な損傷などの予防)、より適切でより迅速なケアを提供することができるであろう。
【0114】
当業者によって理解されるように、いくつかの疾患、障害、または状態は、1つ以上の補体タンパク質、または1つ以上の補体関連タンパク質の変化によって特徴付けられるか、または影響を受ける。1つ以上の補体経路タンパク質/関連タンパク質の1つ以上の変化に関連する多数の疾患、障害、及び状態にもかかわらず、多くの場合、満足のいく治療選択肢はほとんど残っていないか、または全く残っていない。厄介なことに、現場では満足のいく診断、予後、及び監視方法が不足しており、したがって、多くのそのような疾患、障害、及び状態に対する満足のいく治療が不足している。
【0115】
当業者によって理解されるように、補体系における標的測定は、多くの理由から困難であることが既知である。例えば、いくつかの補体タンパク質は、試料の収集中及び/または収集後の取り扱いに起因する変化に対して脆弱であり、そのようなタンパク質がアッセイされるときに不正確な測定を引き起こす可能性がある。例えば、収集中または収集後の取り扱いは、特定の補体タンパク質(C3)の活性化を引き起こし得、切断断片の生成及び/または分解につながる。
【0116】
加えて、いくつかの補体タンパク質は、高存在量の標的であり、以前に利用可能であったアッセイでは、そのような標的の測定は、アッセイが標的を測定することができ、またプロゾーンに起因する不正確な測定を防ぐことができる範囲内にあるために、過剰な(例えば、いくつかの連続的な)希釈を必要とした。しかし、高存在量の標的のアッセイを改変するために使用される技術は、低存在量の標的の正確な測定を妨げるリスクがある。
【0117】
さらに、特定の補体タンパク質または補体切断断片の内因性レベルは、健康な患者において、または特定の治療法で治療されている患者において、非常に低い可能性があり、したがって、所与の標的の量は、健康な複数の対象または1人の対象と、補体経路タンパク質補体経路関連タンパク質が変化する1つ以上の疾患、障害、または状態との間で大きく変化し得る。加えて、当業者によって理解されるように、例えば、特定の補体切断断片などの低存在量の標的の不正確な測定は、特定の切断断片または低存在量の標的の小さな変化が生理学的に関連し得るが、本明細書に記載の課題のために測定することが困難であるという理解を含むが、これらに限定されない様々な理由のために問題となり得る。本開示は、これらの課題の多くを克服する技術を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の技術は、試料中の1つ以上の標的(例えば、液体試料中の補体関連標的)を正確に測定する能力を改善する。
【0118】
例えば、非限定的な例として、いくつかの実施形態では、対象は、補体C3の増加を有し得るが、患者からの試料中のC3の非常に豊富な量にもかかわらず、以前に利用可能であったアッセイは、狭い範囲内の所与の試料中のC3のみを測定することができた。さらに、C3を測定することができる以前に利用可能なアッセイは、それを行うために連続希釈に依存しており、これは、本開示によって認識されるように、C3及び/またはC3治療薬の正確な測定における誤差の原因となり得る。例えば、C3治療薬の場合、連続希釈は、解離及び報告される誤って上昇した「遊離」C3のレベルをもたらす。したがって、本開示は、とりわけ、1つ以上の補体媒介疾患、障害、状態、及びそれらの合併症の診断、監視、予防、治療の方法を提供する。
【0119】
いかなる特定の理論にも拘束されることなく、本開示は、患者からの試料中の1つ以上の標的(例えば、補体関連標的)を迅速に、正確に、高感度的に、特異的に、効率的に、及び/または確実に測定する能力が、診断、監視、及び治療における転帰を改善することを企図する。例えば、用量及び/またはそのタイミングを含む、1つ以上の治療を投与する決定は、特定の標的(例えば、1つ以上の補体関連標的)の1つ以上の測定の結果に応じて変化し得る。補体関連疾患、障害、及び/または状態は、急性または慢性であり得、適切に診断、監視、及び/または治療されない場合、生命を脅かす/生活の質を損なう可能性がある。したがって、本開示の目的は、補体関連疾患の治療を改善する技術を提供することである。いくつかの実施形態では、治療の改善は、信頼性、効率性、高感度性、特異性、正確性、及び/または1つ以上の標的がどのくらい迅速に測定され得るかを改善することによって達成される。
【0120】
いくつかの実施形態では、標的は、MASP-2であり得、及び/または疾患は、COVID(すなわち、SARS-COV-2)であり得る。いくつかの実施形態では、MASP-2は、COVIDまたはそれに関連する合併症に罹患しているか、または罹患するリスクがある患者において変化し得る。例えば、当業者に既知のように、いくつかの実施形態では、MASP-2は、SARS-COV-2 Nタンパク質に直接結合し得る。さらに、MASP-2、C4d、及びC5b-9の沈着は、重度のCOVID-19に罹患した患者の肺微小血管系において実証されている。したがって、本開示の技術は、MASP-2を正確に、確実に、再現可能に、かつ迅速に測定して、COVIDに関連する1つ以上の症状、もしくはCOVID感染のリスク、またはそれらに関連する合併症を診断、監視、予防、及び/または治療するために使用され得る。
【0121】
別の非限定的な例は、血管損傷である。例えば、当業者に既知のように、血管損傷に続いて、補体因子H(FH)は、過剰な補体活性化から対象を保護することができる。例えば、グリコカリックス分解は、血管内皮細胞にFHに結合する能力を失わせ、制御不能な補体活性化及び損傷をもたらす。FHの変異はまた、加齢黄斑変性症(AMD)、aHUS、及び補体3糸球体症(C3G)などについての疾患の強い遺伝的危険因子と考えられている。しかしながら、そのような活性化を適切な信頼性、再現性、正確性、高感度性、特異性及び/または速度(例えば、ポイントオブケア、及び損傷後の定期的な監視間隔)で検出することは、困難であり、血管損傷のいずれかの後遺症を首尾よく予防または治療するために最も重要である。本開示は、正確性、信頼性、特異性、再現性、信頼性、高感度性、及び/または迅速性、ならびに例えば、ポイントオブケア、試料のほとんどまたは全く前処理なしなどの使いやすい方法で、1つ以上の標的の測定を提供するために、これらの課題を克服することができる技術を提供する。したがって、そのような技術は、血管損傷の状況における供給者に対する治療選択肢を改善するであろう。
【0122】
いくつかの実施形態では、本開示によって提供される技術は、これまで正確かつ信頼性の高い監視、診断及び/または治療が困難であった疾患、障害、及び/または状態の監視、診断及び治療を容易にする。例えば、いくつかの実施形態では、対象は、加齢黄斑変性症(AMD)、補体3糸球体症(C3G)、造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)、補体媒介性血栓性微小血管症(CM-TMA)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、COVID19、エリテマトーデス、ループス腎炎、サイトカイン放出症候群、アルツハイマー病(AD)、もしくはそれらの組み合わせを有し得るか、または発症するリスクがあり得る。したがって、以前に利用可能であったアッセイとは対照的に、本開示の技術は、対象が、本明細書で企図される様々な疾患、障害、または状態について適切に診断及び治療されることを可能にする、効率的、正確、高感度、高信頼性、特異的、及び/または迅速な結果を可能にするであろう。
【0123】
標的
本開示は、1つ以上の試料中の1つ以上の標的を測定するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、標的測定の効率性、感度、正確性、特異性、信頼性及び/または速度を改善する一方で、以前に利用可能であったアッセイと比較して標的が検出され得る範囲を改善及び拡大する技術を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上の補体関連疾患を診断、監視、予防及び/または治療する状況において、1つ以上の補体経路または補体経路関連標的を測定することができる技術を初めて提供する。いくつかのそのような実施形態では、診断、監視、予防、及び治療は、ポイントオブケア環境で行われる。本明細書に記載されるように、1つ以上の標的及びそれに関連する疾患は、状況を考慮することにより、当業者には既知であろう。
【0124】
本明細書に提供されるように、本開示は、特定の標的を、高感度的に、特異的に、正確に、確実に、再現可能に、及び/または迅速に測定することにおける問題の1つの原因を認識する。例えば、本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、本開示は、標的レベルを測定するために試料を希釈することは、試料が測定される前の1つ以上の前処理ステップに起因する不正確な測定を提供し得ることを認識する。例えば、いくつかの実施形態では、試料のオフライン希釈は、標的:治療複合体からの標的の解離をもたらし、不正確な測定を引き起こす。
【0125】
しかしながら、重要なことに、本開示はまた、特定の標的が、高存在量または低存在量の標的であり得るという洞察も提供する。これらの場合、インライン希釈は、そのような標的の正確な測定を提供し、これは、以前に利用可能なアッセイでは不可能であった。
【0126】
いくつかの実施形態では、標的は、天然に存在する物質または薬剤(例えば、内因性タンパク質)である。いくつかの実施形態では、標的は、バイオマーカーであるか、またはバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、標的は、分析物であるか、または分析物を含む。いくつかの実施形態では、標的は、治療薬であるか、または治療薬を含む。いくつかの実施形態では、標的は、天然に存在する物質または薬剤と、天然に存在しない物質または薬剤(例えば、治療薬)との複合体、混合物またはハイブリッドである。いくつかの実施形態では、標的は、バイオマーカーと治療薬との組み合わせである。
【0127】
いくつかの実施形態では、標的は、高存在量の標的とみなされる。例えば、いくつかの実施形態では、高存在量の標的は、1つ以上の他の標的と比較して、または標的の対照レベルと比較して、試料中で高濃度であるものである。すなわち、いくつかの実施形態では、標的のレベルは、標準的なアッセイ(例えば、ELISA)が、そのような標的を測定するために希釈を必要とするように、非病理学的または病理学的状態のいずれかで高濃度であることが知られている。いくつかのそのような実施形態では、本開示は、最小より多い、またはいくつかの実施形態では「オフライン」希釈を必要とせずに、そのような高存在量の標的を測定するためのいくつかの利点を提供する。すなわち、本開示によって提供される技術は、高存在量の標的が効率的に、正確に、特異的に、確実に、高感度的に、及び/または迅速に測定されるように、試料を管理することができる。例えば、いくつかの実施形態では、C3は典型的には高存在量の標的である。
【0128】
いくつかの実施形態では、標的は、低存在量の標的とみなされる。例えば、いくつかの実施形態では、低存在量の標的は、一般に、非常に低い濃度(例えば、pg/mL)で生じる標的、または高存在量の標的などの1つ以上の他の標的と比較して、非常に低い量で生じる標的であり得る。すなわち、いくつかの実施形態では、標的のレベルは、非病理学的状態または病理学的状態のいずれかで低濃度であることが知られている。いくつかの実施形態では、標的は、非病理学的状態の低存在量の標的及び病理学的状態の高存在量の標的であり得るか、またはその逆であり得る。非限定的な例として、IL-6は、非病理学的状態では一般に低存在量の標的とみなされ、いくつかの実施形態では、病理学の状況では高存在量の標的になり得る1つのそのような標的である。
【0129】
いくつかの実施形態では、本開示は、いずれの重要な前処理ステップも必要とせずに、低存在量の標的を測定するためのいくつかの利点を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本開示は、測定前に試料に対して有意なオフライン希釈を実施することなく、1つ以上の標的を測定することができるという利点を提供する。すなわち、以前に利用可能なアッセイとは対照的に、いくつかの実施形態では、本開示は、試料中の標的を測定する前に(例えば、ELISAのように)いくつかの連続的なオフライン希釈を実施する必要がないという利点を提供する。
【0130】
いくつかの実施形態では、本開示は、前処理ステップをほとんど必要としない技術を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される技術は、試料のインライン正規化を実施することができる。いくつかのそのような実施形態では、例えば、尿試料からの正確な測定は、本開示のアッセイにおいてクレアチニン測定を多重化することによって達成される。このようなインライン正規化は、任意の所与の標的を測定する前に試料を希釈または操作する必要がないことを含むが、これに限定されない、いくつかの利点を提供する。さらに、インライン正規化は、尿などの不均一な試料中の1つ以上の標的の正確な測定を可能にし、これは、単一の患者においても異なる濃度であり得る。したがって、本開示によって提供される技術は、以前に広範な前処理ステップ(例えば、希釈または正規化の介入)を必要としたであろう試料において、高存在量及び低存在量の標的を含む標的を効率的に、正確に、特異的に、高感度的に、確実に、及び/または迅速に測定することができる。
【0131】
重要なことに、及び当業者によって理解されるように、本開示は、任意の所与の標的が分類的に高存在量または低存在量の標的であるとはみなさない。むしろ、理解されるように、所与の状況で、いくつかの実施形態では、標的は、病理学的状態の間に採取された試料と比較して、非病理学的状態の間に採取された試料から測定された場合など、低存在量から高存在量に変化し得る。例えば、いかなる特定の理論にも拘束されることなく、いくつかの免疫媒介性状態(例えば、CM-TMA、aHUS、HSCT-TMA、サイトカイン放出症候群)では、sC5b-9のレベルは、そのような免疫媒介性状態が存在しない場合のsC5b-9のレベルと比較して、高存在量とみなされ得る。
【0132】
加えて、いくつかの実施形態では、試料の種類は、標的が高い存在量であるか、または低い存在量であるかどうかに影響を与え得る。すなわち、いくつかの実施形態では、試料が血液、血漿、尿、脳脊髄液または別の生体液であるかどうかは、標的が高い存在量であるか、または低い存在量であるかどうかに影響を与え得る。例えば、sC5b-9は、以前は、尿中で測定または検出することさえ困難または不可能であったことが知られている。本開示によって提供される技術は、sC5b-9を測定することができる。具体的には、本明細書に記載されるように、本開示の技術は、尿試料中のsC5b-9のレベルの検出だけでなく、定量化も可能にする。いくつかの実施形態では、sC5b-9などの標的を測定する能力は、それを必要とするヒトに、以前は利用できなかった診断、監視、及び治療方法を提供する。
【0133】
いくつかの実施形態では、標的は、参照レベルと比較することによって測定されるか、または比は、標的について確立された参照レベルもしくは比である。いくつかの実施形態では、標的測定値は、以前の試料から取得された参照レベルまたは比と比較される。いくつかの実施形態では、試料は、同じまたは異なる対象から取得され得る。例えば、いくつかの実施形態では、対象からの試料は、異なる時間に同じ対象から採取された試料の測定値と比較され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の指標(複数可)(例えば、補体タンパク質)のレベルまたは比は、異なる対象もしくは対象の集団(例えば、複合スコア)から取得された参照レベルもしくは比、または正常な参照範囲と比較される。
【0134】
いくつかの実施形態では、標的は、ある状態(例えば、疾患、障害、または状態の存在または不在)における低存在量の標的及び別の状態(例えば、同じ疾患、障害、または状態の存在または不在)における高存在量の標的であり得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、検出されない標的は、不在とみなされ得る。いくつかのそのような実施形態では、不在標的は、試料中に存在しなくてもよいか、または本明細書に記載のアッセイのLLOQ未満で存在してもよい。いくつかの実施形態では、標的は、対象からの1つの試料中に不在であってもよく、同じ対象からの別の試料中に存在してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、標的は、対象からの血液中に不在であってもよいが、尿中に存在してもよく、またはその逆であってもよい。いくつかの実施形態では、標的は、同じ対象からの2つ以上の試料中に存在してもよく、例えば、血液及び尿の両方に存在してもよい。
【0136】
例示的な標的
補体C3
補体成分C3は、生物の体が、損傷、感染、または他の疾患プロセスなどの何らかの形態の生理学的危機に応答しているという一般的なアラートバイオマーカーとして有用である。いくつかの実施形態では、C3のレベルは、1つ以上の疾患、障害または状態との関連で(C3の参照レベルと比較して)上昇する。いくつかの実施形態では、C3のレベルは、1つ以上の疾患、障害または状態との関連で(C3の参照レベルと比較して)低下する。いくつかの実施形態では、C3のレベルは、1つ以上の疾患、障害または状態との関連では(C3の参照レベルと比較して)変化しないが、他の補体タンパク質またはその成分のレベルは変化する。例えば、非限定的な例として、いくつかの実施形態では、C3のレベルは変化しないが、iC3bのレベルは上昇または低下し得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、インタクトなC3は、0.025~5mg/mLの範囲で試料中で測定されてもよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、試料(例えば、体液)中の「正常な」インタクトなC3レベルは、下方境界、及び下方境界よりも高い上方境界を有する範囲内にある。いくつかの実施形態では、試料中の「正常な」インタクトなC3レベルは、0.025~5mg/mLの範囲内にある。いくつかの実施形態では、下方境界は、少なくとも約25μg/mL、30μg/mL、35μg/mL、40μg/mL、45μg/mL、50μg/mL、55μg/mL、60μg/mL、65μg/mL、70μg/mL、75μg/mL、80μg/mL、85μg/mL、90μg/mL、95μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL、310μg/mL、320μg/mL、330μg/mL、340μg/mL、350μg/mL、360μg/mL、370μg/mL、380μg/mL、390μg/mL、400μg/mL、410μg/mL、420μg/mL、430μg/mL、440μg/mL、450μg/mL、460μg/mL、470μg/mL、480μg/mL、490μg/mL、500μg/mL、510μg/mL、520μg/mL、530μg/mL、540μg/mL、550μg/mL、560μg/mL、570μg/mL、580μg/mL、590μg/mL、600μg/mL、610μg/mL、620μg/mL、630μg/mL、640μg/mL、650μg/mL、660μg/mL、670μg/mL、680μg/mL、690μg/mL、700μg/mL、710μg/mL、720μg/mL、730μg/mL、740μg/mL、750μg/mL、760μg/mL、770μg/mL、780μg/mL、790μg/mL、800μg/mL、810μg/mL、820μg/mL、830μg/mL、840μg/mL、850μg/mL、860μg/mL、870μg/mL、880μg/mL、890μg/mL、900μg/mL、910μg/mL、920μg/mL、930μg/mL、940μg/mL、950μg/mL、960μg/mL、970μg/mL、980μg/mL、990μg/mL、1000μg/mL、1100μg/mL、1200μg/mL、1300μg/mL、1400μg/mL、1500μg/mL、1600μg/mL、1700μg/mL、1800μg/mL、1900μg/mL、2000μg/mL、2100μg/mL、2200μg/mL、2300μg/mL、2400μg/mL、2500μg/mL、2600μg/mL、2700μg/mL、2800μg/mL、2900μg/mL、3000μg/mL、3100μg/mL、3200μg/mL、3300μg/mL、3400μg/mL、3500μg/mL、3600μg/mL、3700μg/mL、3800μg/mL、3900μg/mL、4000μg/mL、4100μg/mL、4200μg/mL、4300μg/mL、4400μg/mL、4500μg/mL、4600μg/mL、4700μg/mL、4800μg/mL、4900μg/mLまたはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、上方境界は、少なくとも約5000μg/mL、4950μg/mL、4850μg/mL、4750μg/mL、4650μg/mL、4550μg/mL、4450μg/mL、4350μg/mL、4250μg/mL、4250μg/mL、4050μg/mL、3950μg/mL、3850μg/mL、3750μg/mL、3650μg/mL、3550μg/mL、3450μg/mL、3350μg/mL、3250μg/mL、3150μg/mL、3050μg/mL、2950μg/mL、2850μg/mL、2750μg/mL、2650μg/mL、2550μg/mL、2450μg/mL、2350μg/mL、2250μg/mL、2150μg/mL、2050μg/mL、1950μg/mL、1850μg/mL、1750μg/mL、1650μg/mL、1550μg/mL、1450μg/mL、1350μg/mL、1250μg/mL、1150μg/mL、1050μg/mL、950μg/mL、850μg/mL、750μg/mL、650μg/mL、550μg/mL、450μg/mL、350μg/mL、250μg/mL、150μg/mL、100μg/mL、95μg/mL、90μg/mL、85μg/mL、80μg/mL、75μg/mL、70μg/mL、65μg/mL、60μg/mL、55μg/mL、50μg/mL、45μg/mL、40μg/mL、35μg/mL、30μg/mL、25μg/mL、20μg/mL、19μg/mL、18μg/mL、17μg/mL、16μg/mL、15μg/mL、14μg/mL、13μg/mL、12μg/mL、11μg/mL、10μg/mL、9μg/mL、8μg/mL、7μg/mL、6μg/mL、5μg/mL、4.5μg/mL、4μg/mL、3.5μg/mL、3μg/mL、2.5μg/mL、2μg/mL、1.9μg/mL、1.8μg/mL、1.7μg/mL、1.6μg/mL、1.5μg/mL、1.4μg/mL、1.3μg/mL、1.2μg/mL、1.1μg/mL、1.0μg/mL、0.9μg/mL、0.8μg/mL、0.7μg/mL、0.6μg/mLまたはそれ以下であってもよい。いくつかの実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、..025μg/mL~5mg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、100μg/mL~4mg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、100μg/mL~3mg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、200μg/mL~2mg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、500μg/mL~1.5mg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、500μg/mL~1.0mg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、500μg/mL~750μg/mLの範囲内にある。
【0139】
いくつかの実施形態では、インタクトなC3は、非交差反応性抗体または他のC3結合剤などの非交差反応性剤を使用して検出される。
【0140】
C3a
補体成分C3aは、C3の切断生成物の1つである。当業者に既知のように、所与の状況で、C3aは、様々な炎症誘発作用及び抗炎症作用を有することができる。C3aは、およそ2分の非常に短い半減期を有する揮発性バイオマーカーである。したがって、試料中のC3aを迅速に、正確に、高感度的に、特異的に、かつ確実に測定することができる方法に対する満たされていない必要性が存在する。いくつかの実施形態では、C3aのレベルは、1つ以上の疾患、障害または状態との関連で(C3aの参照レベルと比較して)上昇する。いくつかの実施形態では、C3aのレベルは、1つ以上の疾患、障害または状態との関連で(C3aの参照レベルと比較して)低下する。いくつかの実施形態では、C3aのレベルは、1つ以上の疾患、障害または状態との関連では(C3aの参照レベルと比較して)変化しないが、他の補体タンパク質またはその成分のレベルは変化する。いくつかの実施形態では、C3のレベルは全体的に変化しない一方で、C3aのレベルは上昇または低下する。
【0141】
いくつかの実施形態では、C3aは、1~3000ng/mLの範囲で試料中で測定されてもよい。
【0142】
いくつかの実施形態では、試料(例えば、体液)中の「正常な」C3aレベルは、下方境界、及び下方境界よりも高い上方境界を有する範囲内にある。いくつかの実施形態では、試料中の「正常な」C3aレベルは、1~3000ng/mLの範囲内にある。いくつかの実施形態では、下方境界は、少なくとも約1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、11ng/mL、12ng/mL、13ng/mL、14ng/mL、15ng/mL、16ng/mL、17ng/mL、18ng/mL、19ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、45ng/mL、50ng/mL、55ng/mL、60ng/mL、65ng/mL、70ng/mL、75ng/mL、80ng/mL、85ng/mL、90ng/mL、95ng/mL、100ng/mL、150ng/mL、200ng/mL、250ng/mL、300ng/mL、350ng/mL、400ng/mL、450ng/mL、500ng/mL、550ng/mL、600ng/mL、650ng/mL、700ng/mL、750ng/mL、800ng/mL、850ng/mL、900ng/mL、950ng/mL、1000ng/mL、1100ng/mL、1200ng/mL、1300ng/mL、1400ng/mL、1500ng/mL、1600ng/mL、1700ng/mL、1800ng/mL、1900ng/mL、2000ng/mL、2100ng/mL、2200ng/mL、2300ng/mL、2400ng/mL、2500ng/mL、2600ng/mL、2700ng/mL、2800ng/mL、2900ng/mL、3000ng/mLまたはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、上方境界は、少なくとも約3000ng/mL、2950ng/mL、2850ng/mL、2750ng/mL、2650ng/mL、2550ng/mL、2450ng/mL、2350ng/mL、2250ng/mL、2150ng/mL、2050ng/mL、1950ng/mL、1850ng/mL、1750ng/mL、1650ng/mL、1550ng/mL、1450ng/mL、1350ng/mL、1250ng/mL、1150ng/mL、1050ng/mL、1000ng/mL、975ng/mL、925ng/mL、875ng/mL、825ng/mL、775ng/mL、725ng/mL、675ng/mL、625ng/mL、575ng/mL、525ng/mL、475ng/mL、425ng/mL、375ng/mL、325ng/mL、275ng/mL、225ng/mL、175ng/mL、125ng/mL、100ng/mL、95ng/mL、90ng/mL、85ng/mL、80ng/mL、75ng/mL、70ng/mL、65ng/mL、60ng/mL、55ng/mL、50ng/mL、45ng/mL、40ng/mL、35ng/mL、30ng/mL、25ng/mL、20ng/mL、19ng/mL、18ng/mL、17ng/mL、16ng/mL、15ng/mL、14ng/mL、13ng/mL、12ng/mL、11ng/mL、10ng/mL、9ng/mLまたはそれ以下であってもよい。いくつかの実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、1~3000ng/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、1~2500ng/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、1~2000ng/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、1~1500ng/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、1~1000ng/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、1~750ng/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、1~500ng/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、2.5ng/mL~300ng/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、4.5~200ng/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、25ng/mL~100ng/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC3の「正常」レベルは、50ng/mL~100ng/mLの範囲内にある。
【0143】
いくつかの実施形態では、C3aは、非交差反応性結合剤を使用して検出される。
【0144】
iC3b
iC3bタンパク質は、
図1に示すように、C3の分解生成物である。いくつかの実施形態では、iC3bは、炎症応答の貴重なマーカーであり得る。重要なことに、いくつかの実施形態では、iC3bは、30~90分の半減期を有し、(C3aと比較して)揮発性が低いが、それでも急速に応答性のバイオマーカーとして機能する。しかしながら、iC3bは、一般に、患者試料中のインタクトまたは全C3よりもはるかに低いレベルで存在する。したがって、インタクトなC3タンパク質とiC3b特異的検出剤との間のわずかな程度のクロストーク(例えば1%)であっても、正常な循環iC3bの2倍のレベルで偽陽性iC3bシグナルを生成する可能性が非常に高い。したがって、本開示は、iC3bの測定の効率性、正確性、感度、特異性、信頼性及び/または速度を改善するために、この及び他の課題を克服する技術を提供する。
【0145】
いくつかの実施形態では、試料中のiC3bは、対照と比較して上昇し得、C3が活性化され、その活性化生成物であるiC3bにさらに分割されていることを示す。いくつかの実施形態では、試料中のインタクトなC3のレベルまたは濃度は、対照と比較して低下し、インタクトなC3がその分解または活性化生成物に変換され、したがって個体で枯渇していることを示す。
【0146】
いくつかの実施形態では、iC3bは、0.2~50μg/mLの範囲で試料中で測定されてもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、試料(例えば、体液)中の「正常な」iC3bレベルは、下方境界、及び下方境界よりも高い上方境界を有する範囲内にある。いくつかの実施形態では、試料中の「正常な」iC3bレベルは、0.2~50μg/mLの範囲内にある。いくつかの実施形態では、下方境界は、少なくとも約0.2μg/mL、0.3μg/mL、0.4μg/mL、0.5μg/mL、0.6μg/mL、0.7μg/mL、0.8μg/mL、0.9μg/mL、1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、11μg/mL、12μg/mL、13μg/mL、14μg/mL、15μg/mL、16μg/mL、17μg/mL、18μg/mL、19μg/mL、20μg/mL、21μg/mL、22μg/mL、23μg/mL、24μg/mL、25μg/mL、26μg/mL、27μg/mL、28μg/mL、29μg/mL、30μg/mL、31μg/mL、32μg/mL、33μg/mL、34μg/mL、35μg/mL、36μg/mL、37μg/mL、38μg/mL、39μg/mL、40μg/mL、41μg/mL、42μg/mL、43μg/mL、44μg/mL、45μg/mL、46μg/mL、47μg/mL、48μg/mL、49μg/mLまたはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、上方境界は、少なくとも約50μg/mL、45μg/mL、40μg/mL、35μg/mL、30μg/mL、25μg/mL、20μg/mL、19μg/mL、18μg/mL、17μg/mL、16μg/mL、15μg/mL、14μg/mL、13μg/mL、12μg/mL、11μg/mL、10μg/mL、9μg/mL、8μg/mL、7μg/mL、6μg/mL、5μg/mL、4.5μg/mL、4μg/mL、3.5μg/mL、3μg/mL、2.5μg/mL、2μg/mL、1.9μg/mL、1.8μg/mL、1.7μg/mL、1.6μg/mL、1.5μg/mL、1.4μg/mL、1.3μg/mL、1.2μg/mL、1.1μg/mL、1.0μg/mL、0.9μg/mL、0.8μg/mL、0.7μg/mL、0.6μg/mL、0.5μg/mL、0.4μg/mL、0.3μg/mL、0.2μg/mLまたはそれ以下であってもよい。いくつかの実施形態では、iC3bの「正常な」レベルは、0.2μg/mL~50μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、iC3bの「正常な」レベルは、0.5μg/mL~40μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、iC3bの「正常な」レベルは、1μg/mL/mL~35μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、iC3bの「正常な」レベルは、5μg/mL~30μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、iC3bの「正常な」レベルは、7.5μg/mL~25μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、iC3bの「正常な」レベルは、10μg/mL~20μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、iC3bの「正常な」レベルは、12.5μg/mL~17.5μg/mLの範囲内にある。
【0148】
いくつかの実施形態では、iC3bは、例えば、インタクトなC3の1μg/μl溶液が、約1ng/mL未満のiC3bに相当するシグナルを生成することを特徴とする抗体などの非交差反応性結合剤を使用して検出される。いくつかの実施形態では、非交差反応性抗体は、A209、MCA2607、及びHM2199からなる群から選択される。
【0149】
C4
C3と同様に、補体成分C4は、最も一般的に測定される補体タンパク質の1つであり、免疫(自己免疫を含む)及び耐性において役割を果たすことが知られている。C4は、3つ全ての補体経路(すなわち、古典的、代替手段、及びレクチン)に関与する。当業者に既知のように、いくつかの状況では、C4はC4a及びC4bに(例えば、C1により)切断され、C4bはC4aよりも高い分子量である。いくつかの実施形態では、C4bは、それ自体が2つの成分に(例えば、C1により)切断され得る補体タンパク質2(C2)と相互作用し得、いくつかの実施形態では、例えば、C3を含み、さらに相互作用し得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、インタクトなC4の異常なレベルは、いくつかの異なる疾患、障害または状態に存在し得る。いくつかのそのような実施形態では、インタクトなC4レベルは、対照レベルと比較して増加または減少してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、インタクトなC4のレベルは、急性感染または損傷の間または後に(すなわち、対照レベルと比較して)上昇または増加してもよく、一方、慢性自己免疫状態(例えば、ループス、例えば、SLE、ループス腎炎など)では、インタクトなC4レベルは減少してもよい。いくつかの実施形態では、インタクトなC4のレベルは、遺伝性または後天性の疾患、障害、または状態に起因して減少する。いくつかのそのような実施形態では、遺伝的欠損は、対照レベルと比較してC4のレベルの低下をもたらしてもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、インタクトなC4は、0.05~1.0mg/mLの範囲で試料中で測定されてもよい。
【0152】
いくつかの実施形態では、試料(例えば、体液)中の「正常な」インタクトなC4レベルは、下方境界、及び下方境界よりも高い上方境界を有する範囲内にある。いくつかの実施形態では、試料中の「正常な」インタクトなC4レベルは、0.05~1.0mg/mLの範囲内にある。いくつかの実施形態では、下方境界は、少なくとも約50μg/mL、55μg/mL、60μg/mL、65μg/mL、70μg/mL、75μg/mL、80μg/mL、85μg/mL、90μg/mL、95μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL、310μg/mL、320μg/mL、330μg/mL、340μg/mL、350μg/mL、360μg/mL、370μg/mL、380μg/mL、390μg/mL、400μg/mL、410μg/mL、420μg/mL、430μg/mL、440μg/mL、450μg/mL、460μg/mL、470μg/mL、480μ/mL、490μg/mL、500μg/mL、510μg/mL、520μg/mL、530μg/mL、540μg/mL、550μg/mL、560μg/mL、570μg/mL、580μg/mL、590μg/mL、600μg/mL、610μg/mL、620μg/mL、630μg/mL、640μg/mL、650μg/mL、660μg/mL、670μg/mL、680μg/mL、690μg/mL、700μg/mL、710μg/mL、720μg/mL、730μg/mL、740μg/mL、750μg/mL、760μg/mL、770μg/mL、780μg/mL、790μg/mL、800μg/mL、810μg/mL、820μg/mL、830μg/mL、840μg/mL、850μg/mL、860μg/mL、870μg/mL、880μg/mL、890μg/mL、900μg/mL、910μg/mL、920μg/mL、930μg/mL、940μg/mL、950μg/mL、960μg/mL、970μg/mL、980μg/mL、990μg/mLまたはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、上方境界は、少なくとも約1000μg/mL、950μg/mL、900μg/mL、850μg/mL、800μg/mL、750μg/mL、700μg/mL、650μg/mL、600μg/mL、550μg/mL、500μg/mL、450μg/mL、400μg/mL、350μg/mL、300μg/mL、250μg/mL、200μg/mL、150μg/mL、100μg/mL、90μg/mL、80μg/mL、70μg/mL、60μg/mL、50μg/mLまたはそれ以下であってもよい。いくつかの実施形態では、インタクトなC4の「正常な」レベルは、0.05~1mg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC4の「正常な」レベルは、50μg/mL~900μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC4の「正常な」レベルは、50μg/mL~800μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC4の「正常な」レベルは、50μg/mL~700μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC4の「正常な」レベルは、50μg/mL~600μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC4の「正常な」レベルは、50μg/mL~500μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC4の「正常な」レベルは、50μg/mL~400μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC4の「正常な」レベルは、50μg/mL~300μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC4の「正常な」レベルは、50μg/mL~200μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、インタクトなC4の「正常な」レベルは、50μg/mL~100μg/mLの範囲内にある。
【0153】
いくつかの実施形態では、インタクトなC4は、インタクトなC4を認識し、C4dを含む、交差反応しないことを特徴とする抗体などの非交差反応性結合剤を使用して検出される。
【0154】
C5
補体成分5(C5)は、炎症プロセスならびにいくつかの他の細胞プロセス及び事象において重要である。
図1に見られるように、3つの補体経路のいずれかによって生成されたC5転換酵素は、インタクトなC5をC5a及びC5bに切断する。次いで、C5bは、C9の重合を触媒してC5b-9膜攻撃複合体(MAC)を形成することが知られている、C6、C7、及びC8に結合することができる。C5aは、炎症促進性であり得、MAC(C5bによって触媒される)は、細胞溶解に関与する。したがって、いくつかの実施形態では、C5a及びC5bへのC5の切断は問題を引き起こす可能性がある。例えば、いくつかの実施形態では、C5の切断は、病理学的転帰(例えば、1つ以上の疾患、障害、または状態、例えば、aHUS)に関与し得る。C5切断を低減または防止することができるモノクローナル抗体療法(例えば、抗C5抗体)が知られている。厄介なことに、バイオマーカーを使用してそのような抗体の治療的影響を正確に測定することは、本開示によって提供される技術の前にはほとんど不可能であった。例えば、本開示は、対象がC5切断を防止または阻害する療法(例えば、抗C5抗体)で治療を受けていたか、または受けている場合、供給者が、治療を滴定及び/または監視するために、患者からの試料(例えば、血液試料)中の遊離C5の量を測定してもよいことを認識する。C5を測定する以前に利用可能なアッセイは、液体試料(例えば、血液試料)のいくつかの連続希釈を必要とする。しかしながら、問題となるように、そのような試料の希釈は、治療剤/標的複合体の解離(C5からの抗C5抗体の解離)をもたらし得る。治療剤/標的複合体の解離が生じた場合、遊離C5の測定値は人為的に上昇し、供給者は、そのような測定値に基づいて対象が受けている治療を変更する(例えば、抗C5抗体の量を増加させる)ことができるが、実際には、変更は保証されていない可能性がある。本開示は、この問題の原因を認識し、また、以前に利用可能なアッセイのように試料を希釈する必要なく、C5を測定するための効率的、高感度、正確、特異的、確実、及び/または迅速なアッセイを達成する技術を用いた解決策を提供し、したがって、誤って報告されたC5測定値のリスクを回避する。
【0155】
いくつかの実施形態では、C5は、0.001~1000μg/mLの範囲で試料中で測定されてもよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、試料(例えば、体液)中の「正常な」C5レベルは、下方境界、及び下方境界よりも高い上方境界を有する範囲内にある。いくつかの実施形態では、試料中の「正常な」C5レベルは、0.001~100μg/mLの範囲内にある。いくつかの実施形態では、下方境界は、少なくとも約0.001μg/mL、0.002μg/mL、0.003μg/mL、0.004μg/mL、0.005μg/mL、0.006μg/mL、0.007μg/mL、0.008μg/mL、0.009μg/mL、0.010μg/mL、0.015μg/mL、0.02μg/mL、0.025μg/mL、0.030μg/mL、0.035μg/mL、0.040μg/mL、0.045μg/mL、0.050μg/mL、0.055μg/mL、0.060μg/mL、0.065μg/mL、0.070μg/mL、0.075μg/mL、0.080μg/mL、0.085μg/mL、0.090μg/mL、0.095μg/mL、0.10μg/mL、0.15μg/mL、0.2μg/mL、0.25μg/mL、0.3μg/mL、0.35μg/mL、0.4μg/mL、0.45μg/mL、0.5μg/mL、0.55μg/mL、0.60μg/mL、0.65μg/mL、0.70μg/mL、0.75μg/mL、0.8μg/mL、0.85μg/mL、0.9μg/mL、1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、15μg/mL、20μg/mL、25μg/mL、30μg/mL、35μg/mL、40μg/mL、45μg/mL、50μg/mL、55μg/mL、60μg/mL、65μg/mL、70μg/mL、75μg/mL、80μg/mL、85μg/mL、90μg/mL、95μg/mL、100μg/mL、150μg/mL、200μg/mL、250μg/mL、300μg/mL、350μg/mL、400μg/mL、450μg/mL、500μg/mL、550μg/mL、600μg/mL、650μg/mL、700μg/mL、750μg/mL、800μg/mL、850μg/mL、900μg/mL、950μg/mL、1000μg/mLまたはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、上方境界は、少なくとも約1000μg/mL、975μg/mL、925μg/mL、875μg/mL、825μg/mL、775μg/mL、725μg/mL、675μg/mL、625μg/mL、575μg/mL、525μg/mL、475μg/mL、425μg/mL、375μg/mL、325μg/mL、275μg/mL、225μg/mL、175μg/mL、125μg/mL、100μg/mL、95μg/mL、90μg/mL、85μg/mL、80μg/mL、75μg/mL、70μg/mL、65μg/mL、60μg/mL、55μg/mL、50μg/mL、45μg/mL、40μg/mL、35μg/mL、30μg/mL、25μg/mL、20μg/mL、15μg/mL、10μg/mL、9μg/mL、8μg/mL、7μg/mL、6μg/mL、5μg/mL、4μg/mL、3μg/mL、2μg/mL、1μg/mL、0.9μg/mL、0.8μg/mL、0.7μg/mL、0.6μg/mL、0.5μg/mL、0.4μg/mL、0.3μg/mL、0.2μg/mL、0.1μg/mL、0.09μg/mL、0.08μg/mL、0.07μg/mL、0.06μg/mL、0.05μg/mL、0.04μg/mL、0.03μg/mL、0.02μg/mL、0.01μg/mL、0.009μg/mL、0.008μg/mL、0.007μg/mL、0.006μg/mL、0.005μg/mL、0.004μg/mL、0.003μg/mL、0.002μg/mLまたはそれ以下であってもよい。いくつかの実施形態では、C5の「正常な」レベルは、0.001~1000μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、C5の「正常な」レベルは、0.001~750μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、C5の「正常な」レベルは、0.001~500μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、C5の「正常な」レベルは、0.001μg/mL~250μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、C5の「正常な」レベルは、0.01μg/mL~100μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、C5の「正常な」レベルは、0.05μg/mL~50μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、C5の「正常な」レベルは、0.1μg/mL~10μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、C5の「正常な」レベルは、0.1μg/mL~1μg/mLの範囲内にある。
【0157】
いくつかの実施形態では、C5は、治療剤と複合体化されたC5bまたはC5とを含む交差反応しないことを特徴とする抗体などの非交差反応性結合剤を使用して検出される。
【0158】
sC5b-9
C5活性化後、末端補体経路カスケード(TP)は、補体成分C5b、C6、C7、C8、及びC9を組み立て、末端補体複合体であるC5b-9を形成する。C5b-9は、細胞膜に挿入して損傷し得るか、またはそれがその可溶性形態、sC5b-9で測定可能である水相に留まり得る。いくつかの実施形態では、試料中のsC5b-9のレベルは、1つ以上の疾患、障害、または状態の状況で上昇してもよい。いかなる特定の理論にも拘束されることなく、いくつかの実施形態では、尿中のsC5b-9は、C5活性化の状態(例えば、C5活性化の阻害)と関連付けられてもよい。本開示によって提供される技術とは対照的に、以前に利用可能であったアッセイは、多くの試料中に存在するsC5b-9の量に対してしばしば高すぎる閾値を下回るsC5b-9を検出することができなかった。さらに、血液(例えば、尿)以外の体液中のsC5b-9の測定は、尿中のsC5b-9のレベルが血液または血漿中よりも有意に低いことが多いため、問題があった。血液または血漿などの他の試料と比較して、尿中のsC5b-9のレベルが低いと、本開示の技術で達成されるLLOQに到達することができないため、sC5b-9を測定するときに、以前に利用可能なアッセイが偽陰性を報告することが多くなる。したがって、本明細書に記載される技術は、検出範囲(より低いLLOQ及びより高いULOQ)を増加させ、尿を含む様々な試料にわたるsC5b-9測定の効率性、感度、特異性、正確性、信頼性及び/または速度を改善することを含む、sC5b-9に関連する課題を克服する。したがって、いくつかの実施形態では、以前に利用可能なアッセイとは対照的に、尿中を含む1つ以上の試料中のsC5b-9の測定を使用して、C5活性化の状態を決定することができる。
【0159】
本明細書に記載されるように、とりわけ、本開示は、尿中のsC5b-9の測定が、血液などの試料とは異なる条件及び正規化ステップを必要とするという洞察を提供する。さらに、本開示は、尿の体積がsC5b-9の測定値に劇的な影響を及ぼし得ることを認識する。したがって、いくつかの実施形態では、本開示のアッセイはまた、尿の体積及び濃度の変化を考慮して測定値を正規化するために、sC5b-9と同じ免疫測定装置を使用してクレアチニンを測定する。いくつかの実施形態では、クレアチニン及びsC5b-9は、同じ試験片上で測定され得る。いくつかの実施形態では、クレアチニン及びsC5b-9は、異なる試験片上(同じ免疫測定装置内)で測定され得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、sC5b-9は、0.001~1000μg/mLの範囲で試料中で測定されてもよい。いくつかの実施形態では、血液または血漿中のsC5b-9は、50~10,000ng/mLの範囲で測定されてもよい。いくつかの実施形態では、尿中のsC5b-9は、1~100,000ng/mLの範囲で測定されてもよい。いくつかの実施形態では、試料が尿であるか、またはそれを含む場合、クレアチニンのレベルは、6.2~8000μg/mLの範囲で測定されてもよい。
【0161】
いくつかの実施形態では、試料(例えば、体液)中の「正常な」sC5b-9レベルは、下方境界、及び下方境界よりも高い上方境界を有する範囲内にある。いくつかの実施形態では、試料中の「正常な」sC5b-9レベルは、0.001~1000μg/mLの範囲内にある。いくつかの実施形態では、下方境界は、少なくとも約0.001μg/mL、0.002μg/mL、0.003μg/mL、0.004μg/mL、0.005μg/mL、0.006μg/mL、0.007μg/mL、0.008μg/mL、0.009μg/mL、0.010μg/mL、0.015μg/mL、0.02μg/mL、0.025μg/mL、0.030μg/mL、0.035μg/mL、0.040μg/mL、0.045μg/mL、0.050μg/mL、0.055μg/mL、0.060μg/mL、0.065μg/mL、0.070μg/mL、0.075μg/mL、0.080μg/mL、0.085μg/mL、0.090μg/mL、0.095μg/mL、0.10μg/mL、0.15μg/mL、0.2μg/mL、0.25μg/mL、0.3μg/mL、0.35μg/mL、0.4μg/mL、0.45μg/mL、0.5μg/mL、0.55μg/mL、0.60μg/mL、0.65μg/mL、0.70μg/mL、0.75μg/mL、0.8μg/mL、0.85μg/mL、0.9μg/mL、1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、15μg/mL、20μg/mL、25μg/mL、30μg/mL、35μg/mL、40μg/mL、45μg/mL、50μg/mL、55μg/mL、60μg/mL、65μg/mL、70μg/mL、75μg/mL、80μg/mL、85μg/mL、90μg/mL、95μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、250μg/mL、300μg/mL、350μg/mL、400μg/mL、450μg/mL、500μg/mL、550μg/mL、600μg/mL、650μg/mL、700μg/mL、750μg/mL、800μg/mL、850μg/mL、900μg/mL、950μg/mLまたはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、上方境界は、少なくとも約1000μg/mL、950μg/mL、900μg/mL、850μg/mL、800μg/mL、750μg/mL、700μg/mL、650μg/mL、600μg/mL、550μg/mL、500μg/mL、450μg/mL、400μg/mL、350μg/mL、300μg/mL、250μg/mL、200μg/mL、150μg/mL、100μg/mL、90μg/mL、95μg/mL、85μg/mL、80μg/mL、75μg/mL、70μg/mL、65μg/mL、60μg/mL、55μg/mL、50μg/mL、45μg/mL、40μg/mL、35μg/mL、30μg/mL、25μg/mL、20μg/mL、15μg/mL、10μg/mL、9μg/mL、8μg/mL、7μg/mL、6μg/mL、5μg/mL、4μg/mL、3μg/mL、2μg/mL、1μg/mL、0.9μg/mL、0.8μg/mL、0.7μg/mL、0.6μg/mL、0.5μg/mL、0.4μg/mL、0.3μg/mL、0.2μg/mL、0.1μg/mL、0.09μg/mL、0.08μg/mL、0.07μg/mL、0.06μg/mL、0.05μg/mL、0.04μg/mL、0.03μg/mL、0.02μg/mL、0.01μg/mL、0.009μg/mL、0.008μg/mL、0.007μg/mL、0.006μg/mL、0.005μg/mL、0.004μg/mL、0.003μg/mL、0.002μg/mLまたはそれ以下であってもよい。いくつかの実施形態では、sC5b-9の「正常な」レベルは、0.001~1000μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、sC5b-9の「正常な」レベルは、0.001~750μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、sC5b-9の「正常な」レベルは、0.001~500μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、sC5b-9の「正常な」レベルは、0.01μg/mL~500μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、sC5b-9の「正常な」レベルは、0.01μg/mL~250μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、sC5b-9の「正常な」レベルは、0.05μg/mL~250μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、sC5b-9の「正常な」レベルは、0.1μg/mL~100μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、sC5b-9の「正常な」レベルは、0.5μg/mL~50μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、sC5b-9の「正常な」レベルは、1μg/mL~50μg/mLの範囲内にある。
【0162】
いくつかの実施形態では、sC5b-9は、C5またはC9と交差反応しないことを特徴とする非交差反応性結合剤(例えば、抗体)を使用して検出される。
【0163】
IL-6
インターロイキン6(IL-6)は、状況に応じて、炎症促進性サイトカインまたは抗炎症性マイオカインとして作用することができ、これは当業者に理解されるであろう。IL-6は、病原体関連分子パターン(PAMPS)に応答して分泌することができる。PAMPSは、先天性免疫系の重要な成分であるパターン認識受容体(PRR)及びトール様受容体(TLR)に結合する。当業者にも既知のように、IL-6は、炎症応答の急性期に機能することができ、多くの慢性免疫媒介性疾患、障害、及び状態のマーカーでもあり得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、IL-6は、2~5000pg/mLの範囲で試料中で測定されてもよい。
【0165】
いくつかの実施形態では、試料(例えば、体液)中の「正常な」IL-6レベルは、下方境界、及び下方境界よりも高い上方境界を有する範囲内にある。いくつかの実施形態では、試料中の「正常な」IL-6レベルは、2~5000pg/mLの範囲内にある。いくつかの実施形態では、下方境界は、少なくとも約2pg/mL、3pg/mL、4pg/mL、5pg/mL、6pg/mL、7pg/mL、8pg/mL、9pg/mL、10pg/mL、15pg/mL、20pg/mL、25pg/mL、30pg/mL、35pg/mL、40pg/mL、45pg/mL、50pg/mL、55pg/mL、60pg/mL、65pg/mL、70pg/mL、75pg/mL、80pg/mL、85pg/mL、90pg/mL、95pg/mL、100pg/mL、125pg/mL、150pg/mL、175pg/mL、200pg/mL、225pg/mL、250pg/mL、275pg/mL、300pg/mL、325pg/mL、350pg/mL、375pg/mL、400pg/mL、425pg/mL、450pg/mL、475pg/mL、500pg/mL、525pg/mL、550pg/mL、575pg/mL、600pg/mL、625pg/mL、650pg/mL、675pg/mL、700pg/mL、725pg/mL、750pg/mL、775pg/mL、800pg/mL、825pg/mL、850pg/mL、875pg/mL、900pg/mL、925pg/mL、950pg/mL、975pg/mL、1000pg/mL、1100pg/mL、1200pg/mL、1300pg/mL、1400pg/mL、1500pg/mL、1600pg/mL、1700pg/mL、1800pg/mL、1900pg/mL、2000pg/mL、2100pg/mL、2200pg/mL、2300pg/mL、2400pg/mL、2500pg/mL、2600pg/mL、2700pg/mL、2800pg/mL、2900pg/mL、3000pg/mL、3100pg/mL、3200pg/mL、3300pg/mL、3400pg/mL、3500pg/mL、3600pg/mL、3700pg/mL、3800pg/mL、3900pg/mL、4000pg/mL、4100pg/mL、4200pg/mL、4300pg/mL、4400pg/mL、4500pg/mL、4600pg/mL、4700pg/mL、4800pg/mL、4900pg/mLまたはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、上方境界は、少なくとも約5000pg/mL、4900pg/mL、4800pg/mL、4700pg/mL、4600pg/mL、4500pg/mL、4400pg/mL、4300pg/mL、4200pg/mL、4100pg/mL、4000pg/mL、3900pg/mL、3800pg/mL、3700pg/mL、3600pg/mL、3500pg/mL、3400pg/mL、3300pg/mL、3200pg/mL、3100pg/mL、3000pg/mL、2900pg/mL、2800pg/mL、2700pg/mL、2600pg/mL、2500pg/mL、2400pg/mL、2300pg/mL、2200pg/mL、2100pg/mL、2000pg/mL、1900pg/mL、1800pg/mL、1700pg/mL、1600pg/mL、1500pg/mL、1400pg/mL、1300pg/mL、1200pg/mL、1100pg/mL、1000pg/mL、950pg/mL、900pg/mL、850pg/mL、800pg/mL、750pg/mL、700pg/mL、650pg/mL、600pg/mL、550pg/mL、500pg/mL、450pg/mL、400pg/mL、350pg/mL、300pg/mL、250pg/mL、200pg/mL、150pg/mL、100pg/mL、90pg/mL、80pg/mL、70pg/mL、60pg/mL、50pg/mL、40pg/mL、30pg/mL、20pg/mL、10pg/mL、9pg/mL、8pg/mL、7pg/mL、6pg/mL、5pg/mL、4pg/mL、3pg/mLまたはそれ以下であってもよい。
【0166】
いくつかの実施形態では、IL-6の「正常な」レベルは、2~5000pg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、IL-6の「正常な」レベルは、2~4500pg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、IL-6の「正常な」レベルは、2~4000pg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、IL-6の「正常な」レベルは、2pg/mL~3500pg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、IL-6の「正常な」レベルは、2pg/mL~3000pg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、IL-6の「正常な」レベルは、2pg/mL-2500pg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、IL-6の「正常な」レベルは、2pg/mL-1500pg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、IL-6の「正常な」レベルは、5pg/mL-1000pg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、IL-6の「正常な」レベルは、5~500pg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、IL-6の「正常な」レベルは、5~250pg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、IL-6の「正常な」レベルは、5~125pg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、IL-6の「正常な」レベルは、10~100pg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、IL-6の「正常な」レベルは、25~75pg/mLの範囲内にある。
【0167】
いくつかの実施形態では、IL-6は、非交差反応性結合剤(例えば、抗体)を使用して検出される。
【0168】
ADAMTS13
トロンボスポンジン-1モチーフの13番目のファミリーメンバー(ADAMTS13)を有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼは、血液凝固に関与するタンパク質であるフォン・ヴィレブランド因子(VWF)を切断する酵素である。血漿ADAMTS13の遺伝性または後天性の欠損は、1つ以上の疾患、障害または状態に関連する。いくつかの実施形態では、ADAMTS13欠損は、TTPを引き起こす。TTPの適時かつ正確な診断は非常に重要である。なぜなら、TTPは、各々が異なる治療法を有する、aHUSなどの他の疾患と同様の症状を呈する可能性があるためである。したがって、TTPとaHUSなどの別の疾患とを迅速に、高感度的に、かつ特異的に区別できるアッセイを有することが重要であり、これには、それを必要とする対象の治療が診断に応じて大きく異なる場合があるためである。
【0169】
ADAMTS13レベルは、試料とペプチドを含む基質とを組み合わせることによって活性のパーセンテージとして測定することができ、次いで、切断されたペプチドのパーセンテージについてアッセイすることができる。以前に利用可能であったアッセイは、多くの連続希釈及び完了までの長い期間(例えば、標準的なELISAアッセイのように)などの広範なステップの負担があった。例えば、以前に利用可能だった最速のアッセイでも、最低1~3時間かかる。加えて、これらのアッセイでは、単一の標的(例えば、ADAMTS13)のみを測定することができる。対照的に、本開示は、結果を達成するために必要な時間の量を著しく改善する(例えば、削減する)技術を提供する。すなわち、いくつかの実施形態では、本開示は、試料を取得してから35分以内に結果を提供する方法及びアッセイを提供する。当業者に理解されるように、これは重要な改善であり、この重要なアッセイをポイントオブケア形式に非常に適合させる。さらに、いくつかの実施形態では、試料が基質と接触した後、その試料/基質混合物中の1つ以上の標的を、本開示の免疫測定装置を使用して測定することができる。いくつかのそのような実施形態では、本開示は、ADAMTS13の活性のパーセントの測定を可能にするだけでなく、ADAMTS13が測定されるのと同時に、同じ免疫測定装置上で測定される1つ以上の他の標的と多重化される技術を提供する。結果に至るまでの時間の短縮、及び1つ以上の他の標的とのADAMTS13測定の多重化は、以前に利用可能なアッセイと比較して、このアッセイの機能的有用性の大幅な改善を表す。
【0170】
いくつかの実施形態では、ADAMTS13は、10~100%未満の活性の範囲で試料中で測定されてもよい(基質切断の量によって測定される場合)。
【0171】
いくつかの実施形態では、ADAMTS13活性のレベルは、10%以下である。いくつかの実施形態では、下方境界が少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95%以上である範囲内のADAMTS13活性のレベル。いくつかの実施形態では、ADAMTS13活性のレベルは、上方境界が、少なくとも約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、59%、58%、57%、56%、55%、54%、53%、52%、51%、50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%以下である範囲内である。
【0172】
いくつかの実施形態では、ADAMTS13は、組換えVWF基質を使用して検出される。
【0173】
いくつかの実施形態では、切断されたVWF断片のみを認識する非交差反応性抗体が検出のために使用される。
【0174】
Ba
Baは、代替補体経路の切断生成物である。いくつかの事例では、水分子によるC3中のチオエステル結合の切断は、C3(H2O)を形成し、これは、B因子に結合し、次いで、D因子がB因子をBa及びBbに切断することを可能にする。Bbは、C3(H2O)と会合したままで、C3(H2O)Bb複合体を形成し、C3転換酵素として機能し、C3を切断し、C3a及びC3bをもたらす。Baは、リンパ球活性(例えば、増殖)を低下させることが見出されている。
【0175】
いくつかの実施形態では、Baは、0.5~20μg/mLの範囲で試料中で測定されてもよい。
【0176】
いくつかの実施形態では、試料(例えば、体液)中の「正常な」Baレベルは、下方境界、及び下方境界よりも高い上方境界を有する範囲内にある。いくつかの実施形態では、試料中の「正常な」Baレベルは、0.5~20μg/mLの範囲内にある。いくつかの実施形態では、下方境界は、少なくとも約0.5μg/mL、0.6μg/mL、0.7μg/mL、0.8μg/mL、0.9μg/mL、1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、11μg/mL、12μg/mL、13μg/mL、14μg/mL、15μg/mL、16μg/mL、17μg/mL、18μg/mL、19μg/mLまたはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、上方境界は、少なくとも約20μg/mL、19μg/mL、18μg/mL、17μg/mL、16μg/mL、15μg/mL、14μg/mL、13μg/mL、12μg/mL、11μg/mL、10μg/mL、9μg/mL、8μg/mL、7μg/mL、6μg/mL、5μg/mL、4.5μg/mL、4μg/mL、3.5μg/mL、3μg/mL、2.5μg/mL、2μg/mL、1.9μg/mL、1.8μg/mL、1.7μg/mL、1.6μg/mL、1.5μg/mL、1.4μg/mL、1.3μg/mL、1.2μg/mL、1.1μg/mL、1.0μg/mL、0.9μg/mL、0.8μg/mL、0.7μg/mL、0.6μg/mLまたはそれ以下であってもよい。いくつかの実施形態では、Baの「正常な」レベルは、0.5μg/mL~20μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、Baの「正常な」レベルは、0.5μg/mL~15μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、Baの「正常な」レベルは、1μg/mL/mL~10μg/mLの範囲内にあり、他の実施形態では、Baの「正常な」レベルは、5μg/mL~7.5μg/mLの範囲内にある。
【0177】
いくつかの実施形態では、Baは、BまたはBbと交差反応しない非交差反応性結合剤を使用して検出される。
【0178】
その他の免疫標的
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の標的が測定される。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、1つ以上の標的は、MASP2:AT複合体を含み得る。セリンプロテアーゼ阻害剤(セルピン)、すなわちC1阻害剤(C1-INH)及びアンチトロンビン(AT)のスーパーファミリーは、活性化MASP-2と安定した複合体を形成することによってMASP-2活性を調節する。したがって、MASP-2活性化は、MASP-2とその調節セルピンとの間の複合体の測定によって評価することができる。MASP-2活性化は、レクチン経路パターン認識分子によって誘発される場合、C1-INHによって優先的に調節される。しかしながら、ATは、凝固血液の存在下でのMASP-2活性化の主要な調節因子である。SLEにおけるMASP/セルピン複合体は、血小板活性化パラメータと相関する。MASPと同様に、接触プロテアーゼFXIIは、フィブリン凝固によって活性化され、AT及びC1-INHによって調節される。FXIIa/ATの増加及びFXIIa/C1-INHの減少は、SLEにおける血管疾患の可能性を大幅に増加させることが示されている。AT複合体形成は、血栓反応と高度に相関している。補体は、人工呼吸器などの非生物学的表面によって活性化される。非生物学的表面に吸収されるC4/C4BP及びFXII/C1-INHは、炎症促進性サイトカイン生成と相関することが示されている。逆に、補体活性化断片C3a、C5a及びC5b-9は、生体適合性マーカーとしての予測値が低い。
【0179】
いくつかの実施形態では、測定される1つ以上の追加の標的は、C4d、Ba、Bb、FH、CXCL9、sCD25、microRNA、IL8、ペントラキシン3、IL1、VCAM1、トロンボモジュリン、フェリチン、CRP、IL-10、TNFα、IFNγ、及び/またはクレアチニンを含む。当業者に既知のように、1つ以上の疾患、障害、もしくは状態、またはそれらのリスクは、1つ以上の標的の測定値の存在、不在、増加、及び/または減少を特徴とし得る。例えば、いくつかの実施形態では、表1に列挙される1つ以上の標的を、試料から測定される標的の1つ以上のパネルに組み合わせてもよい。1つ以上の標的が、特定の疾患、障害、または状態における目的の標的であることが知られているかどうかにかかわらず(例えば、リスクまたは診断の評価において)、本開示は、1つ以上の標的を測定するだけでなく、以前に利用可能であったアッセイと比較して、効率性、正確性、特異性、感度、信頼性、及び/または速度を向上させることができる技術を提供する。重要なことに、本開示の技術はまた、測定のための試料の取得と測定の受領との間の待ち時間を改善する。
【0180】
【0181】
いくつかの実施形態では、表1からの1つ以上の標的は、単一の患者からの1つ以上の試料から測定されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的は、同じ免疫測定装置上で測定されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的は、所与の免疫測定装置内の同じまたは異なる試験片上で測定されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的は、状況及び標的に依存して、異なる免疫測定装置で測定されてもよい。
【0182】
パネル
いくつかの実施形態では、標的の1つ以上の組み合わせを組み合わせて、パネルを生成してもよい。いくつかのそのような実施形態では、そのようなパネルは、本明細書に提供される技術に反映される。例えば、いくつかの実施形態では、パネルは、単一のカセットまたは複数のカセットを使用して測定することができる標的を含み、各カセットは、本明細書に提供されるような免疫測定装置を含む。例えば、いくつかの実施形態では、パネル内の標的は全て単一のカセット上にあるであろう(すなわち、全ての標的は、単一の試験カセット内の試験片上で測定されるであろう。当業者によって理解されるように、標的は、単一の免疫測定装置を用いて、特定の免疫測定装置及びその成分(例えば、捕捉剤及び検出剤など)の全ての成分の化学的適合性の限界内で、1つ以上の試験片及び試験ライン上に提供される捕捉剤と組み合わせて測定されてもよい。
【0183】
いくつかの実施形態では、パネルは、C3、C3a、iC3b、C4、C5、sC5b-9、IL-6、ADAMTS13、MASP2:AT複合体、C4d、Ba、Bb、FH、CXCL9、sCD25、microRNA、IL8、ペントラキシン3、IL1、VCAM1、トロンボモジュリン、フェリチン、CRP、IL-10、TNFα、IFNγ、及び/またはクレアチニンのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0184】
いくつかの実施形態では、パネルは、クレアチニンの有無にかかわらず、Ba及びsC5b-9であってもよいか、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、C3及びiC3bを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、C3及びC3aを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、sC5b-9及びADAMTS13を含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、クレアチニンの有無にかかわらず、sC5b-9であってもよいか、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、CRPの有無にかかわらず、IL6であってもよく、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、C3、iC3b及び/またはIL6、ならびに任意選択的にCRPであってもよいか、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、iC3b、C3、及びC4であってもよいか、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、C3、C3a、及び任意選択的に、iC3b、sC5b-9、C5、C4、C4d、IL-6、及び/またはIL-1であってもよいか、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、C3、C3a、iC3b、sC5b-9、C5、C4、C4d、IL-6、及び/またはIL-1であってもよいか、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、iC3b、Ba、sC5b-9、及び任意選択的に、クレアチニンもしくはCRPであってもよいか、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、sC5b-9、ADAMTS13活性、iC3b、C3、C4、C4d、Ba、及び/または遊離C5であってもよいか、またはそれらを含んでもよく、いくつかのそのような実施形態では、C5は、抗C5治療薬を含む試料中で測定されてもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、sC5b-9、ADAMTS13、C3、C4、C4d、Ba、IL-8、及び任意選択的に、IL-6、iC3b、及び/または遊離C5であってもよいか、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、試料が、尿試料、またはiC3b、sC5b-9、C4、C4d、インタクトなC3、及び/またはIL-6、ならびに任意選択により、遊離C5である場合(すなわち、患者が抗C5治療中である場合)、パネルは、iC3b、sC5b-9、インタクトなC3及び/またはIL-6、ならびにクレアチニンであってもよいか、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、IL-6、IL-1、C5a、iC3b、CXCL9、sC5b-9、sCD25、フェリチン、及び/またはMASP2:ATであってもよいか、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネルは、IL-6、IL-1、C5a、iC3b、CXCL9、sCD25、フェリチン、sC5b-9、及び/またはMASP2:ATであってもよいか、またはそれらを含んでもよい。
【0185】
試料
本開示の技術を使用して、様々な試料のいずれかを分析してもよい。例えば、1つ以上の標的は、本明細書に記載されるように、1つ以上の試料中で測定され得る。いくつかの実施形態では、試料は、生体試料である。いくつかの実施形態では、そのような生体試料は、本明細書に記載されるような目的の供給源から取得されるか、またはそれに由来する。いくつかのそのような実施形態では、そのような供給源は、市販の供給源であってもよい。いくつかの実施形態では、目的の供給源は、動物またはヒトのような生物を含む。いくつかの実施形態では、試料は、1つ以上の標的を含む。いくつかのそのような実施形態では、そのような標的を含む試料は、本開示の技術を使用して測定される。いくつかの実施形態では、試料の測定は、試料が1つ以上の標的を含まないことを明らかにする。すなわち、いくつかの実施形態では、標的のレベルは、その標的についてのLLOQがゼロであってもよいか、またはそれを下回ってもよい。
【0186】
いくつかの実施形態では、生体試料は、液体試料である。いくつかの実施形態では、生体試料は、生物学的組織もしくは流体であるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、試料は、液体であるか、またはそれを含む。いくつかのそのような実施形態では、液体は、1つ以上の体液であるか、もしくはそれを含むか、またはそれに由来する。いくつかの実施形態では、試料は、全血、血清、血漿、尿、涙、唾液、便、創傷滲出液、膿、鼻腔分泌物、気管支肺胞洗浄液、粘液分泌物、皮脂、汗、精液、膣液、母乳、呼気凝縮液、及び脳脊髄液からなる群から選択される体液であるか、またはそれらを含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、所与の標的の測定値は、特定の試料に応じて、1つ以上の桁数だけ異なり得る。例えば、非限定的な例として、いくつかの実施形態では、血液中のC3の「正常な」レベルは、約0.05~5mg/mLであり得るが、脳脊髄液中のC3の「正常な」レベルは、約0.025~0.1mg/mLであり得る。いくつかの実施形態では、血漿中のBaの「正常」なレベルは、約0.7~1.3μg/mLであり得るが、尿中のBaの「正常な」レベルは、約1~29ng/mLであり得る。当業者によって理解されるように、所与の状況では、第1の流体を含む1つの試料中の特定の標的のレベルは、第2の流体を含む第2の試料中のものよりも少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の桁数高くてもよいか、または低くてもよく、第2の流体は、第1の流体と同じではない。
【0188】
いくつかの実施形態では、試料は、例えば、標的が添加された緩衝液などの溶液であるか、またはそれを含む。例えば、いくつかのそのような実施形態では、試料は、1つ以上のアッセイを試験するか、または標的のための1つ以上の参照範囲もしくは対照条件を開発する目的で、標的が添加された緩衝液であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、試料は、固体ではないか、または実質的に固体材料から構成されていない。いくつかの実施形態では、液体試料は、収集されるか、懸濁されるか、混合されるか、もしくはそうでなければ液体(例えば、緩衝液中に配置されたスワブ)と接触する細胞もしくは組織であるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、液体もしくは流体試料またはその一部は、収集後に濃縮される(例えば、尿試料)。
【0189】
いくつかの実施形態では、生体試料は、骨髄;血液(例えば、全血);血液細胞;腹水;組織もしくは細針生検試料;細胞含有体液;遊離浮遊核酸;血清;血漿;皮脂分泌物(例えば、皮脂、例えば、スメグマ)、精液;乳;呼気凝縮液;痰;唾液;尿;脳脊髄液;眼液(例えば、硝子体液);腹膜液;胸水;糞;リンパ;婦人科に関する液(例えば、膣液);創傷滲出液;膿;皮膚スワブ;膣スワブ;口腔スワブ;鼻スワブ;管洗浄液もしくは気管支肺胞洗浄液などの洗い水もしくは洗浄液;吸引物;剥離物;骨髄標本;滑液;組織生検標本;外科標本;糞、他の体液、分泌物、及び/または汗及び涙などの排泄物;及び/またはそれらに由来する細胞などであってもよいか、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、生体試料は、個体から取得された細胞であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、取得された細胞は、試料が取得された個体からの細胞であるか、またはそれを含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、試料は、任意の適切な手段によって、目的の供給源から直接取得される「一次試料」である。例えば、いくつかの実施形態では、一次生体試料は、生検(例えば、細針吸引)、手術、及び/または体液(例えば、血液、リンパ、尿など)の収集を含む方法によって取得される。いくつかの実施形態では、一次試料は、粗試料である。いくつかのそのような実施形態では、粗試料は、実質的に未処理である。例えば、いくつかの実施形態では、試料は収集されてもよく、試料のアリコートは収集ビヒクルから直接採取されてもよく、本開示の試験片(例えば、尿、例えば、全血、例えば、涙、例えば、脳脊髄液など)に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、文脈から明らかになるように、「試料」という用語は、一次試料、すなわち「処理された試料」を処理する(例えば、前処理する、例えば、1つ以上の成分を除去することによって、及び/または1つ以上の薬剤を添加することによって)ことによって取得される調製物を指す。例えば、いくつかの実施形態では、処理された試料は、半透膜を使用して濾過された試料であってもよい。
【0191】
いくつかの実施形態では、試料は、異なる種類の試料から同じ標的を測定するためとは異なる条件を所与の標的の測定に必要とする。例えば、いくつかの実施形態では、血液中の標的を測定し、尿中の同じ標的を測定することは、異なる条件を必要とし得る。非限定的な例として、とりわけ、本開示は、尿を含む試料中の標的を測定することは、いくつかの実施形態では、血液を含む試料中の同じ標的の測定と比較して、異なる条件及び正規化手順を必要とし得るという洞察を提供する。本明細書に記載されるように、開示される技術は、この課題に対する解決策を提供し、適切な条件下で実施される場合、所与の適切な状況では、標的は、任意の液体試料中で測定され得る。
【0192】
いかなる特定の理論にも拘束されることなく、本開示は、以前に利用可能なアッセイとは対照的に、いくつかの実施形態では、1つ以上の標的を、改善された効率性、感度、正確性、特異性、信頼性、及び/または速度で尿中で測定することができることを企図する。例えば、いくつかの実施形態では、sC5b-9は、血液を含む試料及び尿を含む試料中で測定したときに異なる条件を必要とする例示的な標的である。すなわち、いくつかの実施形態では、sC5b-9は、尿中(しかし、例えば、血中ではない)の低存在量の標的であってもよい。したがって、この標的の低存在性の性質により、以前に利用可能であったsC5b-9アッセイは、尿中のsC5b-9を正確に測定(または検出さえ)することができなかった。したがって、以前に利用可能であったアッセイは、多くの場合、不十分なLLOQのために、この標的の不在を誤って報告した。
【0193】
本明細書に記載されるように、本開示は、いくつかの実施形態では、試料のpHなどの要因は、試料組成を考慮して調整されなければならないことを認識する。いくつかのそのような実施形態では、緩衝及びpH範囲は、状況及び試料組成(例えば、血液、血漿、尿、涙など)に依存し、当業者によって理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、尿を含む試料のpHは、血液または血漿を含む試料とともに使用するためのものとは異なる緩衝条件及びpH範囲を必要とし得る。したがって、いくつかのそのような実施形態では、本開示の試料パッドは、試験片上で測定される試料に適切な緩衝剤を含む。例えば、いくつかの実施形態では、試料パッドは、尿適合性pH範囲に適切な緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、特定の試料は、試験片上で測定する前に、追加の濾過または分離ステップを必要とし得る。例えば、いくつかの実施形態では、全血を含む試料の測定は、試験片に接触する前に赤血球を除去する必要がある。いくつかのそのような実施形態では、フィルタパッドは、試料が試験片に接触して移動する前に、試料から赤血球(例えば、抗RBC抗体)を除去する方法を含む。
【0194】
本開示はまた、試料の体積が1つ以上の標的の測定に影響を及ぼし得ることを認識する。例えば、いくつかの実施形態では、可変の尿濃度は、sC5b-9の測定値に劇的に影響を与え得る。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の技術は、試料を正規化するために使用される標的を測定するための手段を提供する。非限定的な開示によって、いくつかの実施形態では、sC5b-9が尿を含む試料から測定される場合、クレアチニンも測定される。当業者によって理解されるように、この多重化及び効率的に、正確に、高感度的に、特異的に、確実に、及び/または迅速に少なくとも2つの標的を測定する能力の進歩は、試料の正規化を可能にし、例えば、体積及び濃度の違いを考慮する。例えば、尿中のsC5b-9を測定する場合、sC5b-9及びクレアチニンの両方を多重化及び測定する能力は、クレアチニンを使用して、sC5b-9アッセイから取得された結果を正規化することができるため、sC5b-9の正確な測定を測定することができる。
【0195】
本開示は、いくつかの実施形態では、標準的なELISAで実施されるような試料を意図的に希釈することは、不正確な測定をもたらし得るという洞察を提供する。すなわち、いくつかの実施形態では、試料の希釈(例えば、試料を実質的に希釈する、試料を全て希釈する、例えば、本明細書に記載されるように、試料を試験片、免疫測定装置、及び/または試験カートリッジに適用する前に希釈する)は、標的を正確に測定するために問題があり得る。例えば、本開示は、いくつかの実施形態では、希釈は、標的を治療薬から分離し得、したがって、収集後の事象に起因して、試料中の標的の量の誤った測定を提供し得ることを認識する。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、1つ以上の標的は、投与された治療薬への応答を監視することを目的として、対象からの1つ以上の試料中で測定されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、個体は、特定の標的に結合する治療薬(例えば、抗C5抗体、抗C3抗体)を投与され得る。いくつかのそのような実施形態では、非結合または非複合体化「遊離」標的の測定を使用して、治療薬の用量の増加または減少などの治療の変更が必要かどうかを決定してもよい。本明細書に記載されるように、以前に利用可能なアッセイは、一般に、標的を正確に測定するためにいくつかの連続希釈を必要とし、いくつかの治療用/標的複合体は、希釈時の解離に対して特に脆弱である。この脆弱性は、以前に利用可能なアッセイが、標的の複合体からの解離に起因して標的のレベルを不正確に報告することを引き起こし、いくつかの実施形態では、変更が実際に必要とされないときに、供給者が治療を変更することを引き起こし得る。
【0196】
さらに、いくつかの実施形態では、特定の試料は、測定される1つ以上の標的の感度に起因して、収集後、測定前の変更に対して脆弱であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、iC3bの測定値は、測定の前に試料が広範に取り扱われる場合、誤って上昇し得る。いくつかの実施形態では、試料を希釈することは、試料を処理するのに必要な時間を増やすことができ、したがって、それを必要とする対象の結果及び治療までの時間を増やすことができる。いくつかの実施形態では、試料を希釈することは、追加の誤差源を導入し得る。いくつかの実施形態では、試料を希釈することは、測定を実施し、それを必要とする対象を治療するためのリソースに影響を与え得る追加のリソース(例えば、機器、人員など)を必要とし得る。本開示は、いくつかの連続希釈または反復ピペッティングなどのそのような広範な前処理に供されておらず、代わりに、実質的に純粋に維持されている(例えば、希釈されていない、分離されていない、最小限に希釈されている、オフライン希釈、分離、または精製事象がない、など)試料を使用する技術を提供する。いくつかのそのような実施形態では、実質的に純粋な試料は、さらなる操作なしに、本明細書に提供されるように測定される。例えば、いくつかの実施形態では、実質的に純粋な試料は、本開示の試験カートリッジと接触して配置され、収集後の特定の期間内に、重要な介在ステップなしに測定される。
【0197】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、希釈により誘導される解離ならびに潜時及び/または試料収集と測定との間の処理を含む測定に関連する課題を克服することによって、1つ以上の標的を測定する方法及び/または1つ以上の治療剤を監視する方法を改善する技術を提供する。
【0198】
いくつかの実施形態では、試料を取得し、試料を取得してから60分未満(例えば、50、40、30、20、10分未満)で試験カートリッジに適用する。試験カートリッジと接触すると、試料は、およそ6~10秒以内に、試料パッド、コンジュゲートパッド、試験片、試験ライン、捕捉剤、競合剤、または検出剤などの1つ以上の成分と相互作用し、試験片の長さにわたって完全に移動するのにおよそ60~90秒かかる。したがって、いくつかのそのような実施形態では、本開示の技術は、試料中の標的を測定するための有意な試料希釈の必要性を排除することによって、以前に利用可能なアッセイの問題を解決する。
【0199】
いくつかの実施形態では、試料を取得し、直ちに処理する。いくつかの実施形態では、試料は、測定の前に取得され、保存される。いくつかの実施形態では、試料を収集し、2つ以上の部分に分割する。いくつかのそのような実施形態では、試料の少なくとも1つの部分が直ちに(例えば、取得してから30分以内に)処理される。いくつかの実施形態では、試料の少なくとも一部を前処理し(例えば、少なくとも5分間薬剤と接触させ)、次いで直ちに(例えば、30分以内に)測定する。いくつかのそのような実施形態では、試料の少なくとも一部が取っておかれている(例えば、後の分析、バンキングなどのために保存されている)。いくつかの実施形態では、試料は、取得されてから60分以内に処理される。いくつかの実施形態では、試料は、取得されてから30分以内に処理される。いくつかの実施形態では、試料は、取得(例えば、収集または解凍)後最大5時間冷却(例えば、氷上に維持)される。いくつかの実施形態では、試料は、直ちに測定される試料の一部と、取っておかれ、保管される(例えば、凍結されるなど)一部とに分割されてもよい。
【0200】
いくつかの実施形態では、試料は、試験カセットの免疫測定装置に(例えば、試料ポートを介して)適用される。いくつかの実施形態では、試料は、試料が取得された後、できるだけ早く免疫測定装置に適用される。いくつかの実施形態では、試料は、取得されてから30分以内、しかし5時間以下で適用される。いくつかの実施形態では、試料が取得されてからおよそ30分を超えて免疫測定装置に適用される場合、試料は、冷却条件下(例えば、氷上)で保持される。いくつかの実施形態では、試料が周囲温度に放置される時間は、(例えば、測定の再現性及び正確性を確実にするために)可能な限り最小化される。いくつかの実施形態では、新たに取得された試料について試験が利用できない場合、試料の取り扱いが保管前及び保管中に最適化されている場合、試料は、保管後に測定され得る。例えば、そのような最適化は、室温での最小時間、試料の迅速な処理(例えば、試料が全血を含むときに血漿に)、及び本明細書に開示されるアッセイで評価する準備ができるまでの保管場所への移送(-80C)を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、以前に凍結された試料は、解凍直後に測定されるべきである。
【0201】
いくつかの実施形態では、試料は、定量化の下限が依然として大きすぎる(すなわち、偽陰性の結果/不正確な測定結果)ような低存在量の標的の濃度を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、効率的、正確、高感度的、特異的、確実に、及び/または迅速な測定を提供するために、物質(例えば、試料物質、例えば、標的)の損失をもたらす可能性のある希釈または洗浄ステップを必要としないアッセイからの低存在量の標的の利益を含む試料を用いてこれを行う。いくつかのそのような実施形態では、アッセイは、追加の補正因子を必要としてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、標的はsC5b-9であり、試料は尿である。いくつかの実施形態では、sC5b-9は、尿中の低存在量の標的である。したがって、いくつかのそのような実施形態では、sC5b-9を測定するアッセイはまた、クレアチニンを測定し、試料の種類に対して最適化または正規化されていない以前に利用可能なアッセイとは異なり、尿中のそのような標的を正確に測定するようにさらに最適化される(例えば、緩衝液組成物、例えば、pH)。いくつかの実施形態では、そのようなアッセイの改善は、所与の標的の偽陰性を含むが、これらに限定されない不正確な測定を回避する。
【0202】
本開示は、1つ以上の高存在量の標的を含む試料の測定が、定量化範囲の制限のために問題となり得ることを認識する。例えば、以前に利用可能なアッセイを使用して特定の標的(例えば、C5、C3)を測定することは、特定のレベルを超える測定値を区別する結果を生成することができない可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、試料は、アッセイの定量上限(ULOQ)を超えるほどの高い存在量で存在する標的の量を含み得る。例えば、高存在量の標的は、アッセイによって測定された範囲内で正確な測定が可能でないように、検出剤を飽和させてもよい。加えて、少なくとも1つの高存在量の標的を含む試料に対する複雑化因子は、いくつかの連続希釈を使用して、以前に利用可能であったアッセイが濃度の課題に対処したことである。本明細書に記載されるように、C5またはC3などの高存在量の標的を一般的に有し得る試料を含む、特定の試料を希釈することはまた、標的及び治療薬(例えば、抗C5、抗C3など)の複合体を含む試料中の治療薬から標的を解離させ得る。
【0203】
したがって、本開示は、この問題に対する解決策を提供する。重要なことに、これらの解決策は、本明細書に記載されるように、標的の解離のリスクがあるオフライン希釈の使用を含まない。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の技術は、1つ以上の試験ラインを使用して、試料が試験片に沿って移動するときに、試料を機能的に希釈するアッセイ及び装置を提供する。すなわち、いくつかの実施形態では、試験ラインは、インライン希釈を効果的に実施するためにある量の標的を捕捉し、試験片上のさらなる試験ラインを使用して検出可能な範囲内の標的を定量化できるようにある量の標的を減少させる捕捉剤などの薬剤を含む。例えば、非限定的な例として、試験片は、少なくとも1つの高存在量の標的を含む試料によって接触される。標的が試験片に侵入して移動すると、捕捉剤を含む第1の試験ラインが接触し、標的の一部が捕捉剤によって試験ライン上に保持され、一方、試料の残りは、1つ以上の追加の試験ラインに向かって片を通って移動し続ける。いくつかの実施形態では、第2の試験ラインは、標的の追加部分を試料から除去するために同じ捕捉剤を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、そのようなアッセイが実施され、高存在量の標的が、アッセイが測定することができる範囲内の試料中の標的の量をもたらすための任意のステップ(例えば、オフライン希釈)を実施する必要なしに測定される。
【0204】
本開示はまた、臨床試験のための利点を提供する。例えば、以前に利用可能なアッセイのように、有意な希釈またはいくつかの連続希釈が必要ではなく、様々な反復の繰り返しも必要ではないため、結果は、アッセイを行う治験責任医師に「盲検化」されたままにすることができる。すなわち、いくつかの以前に利用可能なアッセイ、特に高存在量の標的を有する条件下では、治験責任医師は、試料がアッセイの範囲内に入るのに十分に希釈されておらず、さらなる希釈でアッセイを再実行する必要がある状況に遭遇した可能性があり、特定の試料が特定の標的の特に高い濃度を有することを示すことによって、試験及び試料を効果的に非盲検化する。本開示の技術は、この課題を克服する。
【0205】
前処理
いくつかの実施形態では、試料は、前処理され得る。いくつかの実施形態では、前処理は、オフライン希釈及び/またはインライン希釈であってもよいか、またはそれらを含んでもよく、すなわち、いくつかの実施形態では、試料は、試料中の1つ以上の標的を測定する前に、別の薬剤(例えば、基質)と組み合わせてもよい。そのような処理された試料は、例えば、核酸またはタンパク質もしくはmRNAなどの精製された物質を特異的に除去または曝露するように処理されていないものなどの、実質的に妨害されていない物資を含んでもよく、いずれかの成分(複数可)が1つ以上の処理ステップで除去される場合を除く。
【0206】
当業者に理解されるように、いくつかの実施形態では、所与の状況では、試料が高濃度標的であるか、またはそれを含む場合、前処理(例えば、希釈による)が望ましいか、または必要とされ得る。いくつかの実施形態では、試料が本明細書で提供される技術の任意の成分と適合しない可能性のある粘性レベルであるか、またはそれを含む場合、前処理が望ましいか、または必要とされ得る。いくつかの実施形態では、前処理は、例えば、パーセント活性で測定される(例えば、特定の濃度または量を測定しない)ADAMTS13などの標的の活性を測定するときに望ましいか、または必要とされ得る。いくつかの実施形態では、試料は、本明細書に提供される技術(例えば、アッセイ)の1つ以上のステップと互換性を有するように前処理され得る。いくつかの実施形態では、試料は、補体調節物質などの標的の活性を評価するためなど、試料を「活性化」するための1つ以上のステップを実施することによって前処理されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、試料は、例えば、試料を安定化するか、または試料のpHを変更するために、緩衝液または試料安定剤のオフライン添加によって前処理され得る。いくつかの実施形態では、そのようなステップは、インラインで(例えば、試験片と接触する前のパッド内で)発生し得る。活性は、他の有用性の中でも、試料を活性化し、補体調節物質の活性を評価することにも適用することができる。
【0207】
いくつかの実施形態では、任意選択の前処理ステップが実施され得る。すなわち、いくつかの実施形態では、試料は、試料を取得した後で、1つ以上の標的の測定の前に、何らかの方法で試料を修正する1つ以上のステップを実施することによって前処理され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的の測定値がアッセイで測定可能な範囲に入らないほど高いことが予想される場合、試料を前処理してもよい。いくつかの実施形態では、前処理ステップは、試料を液体と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、液体は、試料と混合するための緩衝液または他の適切な薬剤であり得る。いくつかの実施形態では、試料を液体と混合すると、試料が希釈される。いくつかの実施形態では、液体は、少なくとも1つの薬剤を含み、液体は含み、薬剤は、試料と混合される。いくつかの実施形態では、薬剤は、基質である。例えば、いくつかの実施形態では、標的が試料中に存在する場合、薬剤は、特定の標的と反応する基質である。
【0208】
いくつかの実施形態では、標的は試料中に存在し、薬剤は修飾される。いくつかの実施形態では、標的は、存在しないか、または基質に任意の修飾を引き起こすのに十分な濃度で存在しない。いくつかの実施形態では、試料は、任意選択で薬剤を含む液体と混合され、混合物は、一定期間静置(例えば、反応)される。いくつかの実施形態では、期間は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10分である。いくつかの実施形態では、試料を薬剤を含む液体と混合し、一定期間静置させた後、試料(またはその一部)を試験片に適用する。例えば、いくつかのそのような実施形態では、試料は、試験カセット内のポートに適用され、試料は、試験片に接触する前に試料及び/またはコンジュゲートパッドに接触する。
【0209】
いくつかの実施形態では、試料は、分離によって前処理される。いくつかのそのような実施形態では、分離は、試料の遠心分離であってもよいか、またはそれを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、全血を含む試料を取得し、処理して、成分(例えば、赤血球、血漿、血清)を分離し得る。いくつかのそのような実施形態では、いくつかの種類の試料が取得されてもよいか、任意選択で測定されてもよいか、後の測定のために取っておかれてもよいか、または廃棄されてもよい。本明細書に記載されるように、試料は、本明細書に記載されるように、赤血球を除去する手段を含む試料パッドへの適用などの、試験カセットへの適用後に変更された場合、前処理されたとはみなされない。すなわち、いくつかの実施形態では、何かが免疫測定装置または試験カセットの成分に接触した後に試料から除去される場合、試料は前処理されていないとみなされる。例えば、試料が試験片に侵入する前に、抗赤血球抗体及び/またはフィルタを含む試料パッドに試料を接触させることは、前処理とはみなされない。しかしながら、いくつかの実施形態では、前処理のステップの後に、試料の一部も除去する薬剤(例えば、抗RBC抗体を使用した赤血球など)を含む試料パッドに試料を接触させることが任意選択であってもよい。
【0210】
いくつかの実施形態では、前処理ステップは、希釈ステップであるか、またはそれを含む。いくつかのそのような実施形態では、希釈は、1つ以上の成分で実施される。例えば、いくつかの実施形態では、希釈は、試料緩衝液を使用して実施されてもよい。いくつかの実施形態では、希釈ステップは、薬剤の添加を含む。いくつかのそのような実施形態では、薬剤は、基質であるか、または基質を含む。例えば、いくつかの実施形態では、希釈は、試料中の1つ以上の標的によって修飾され得る基質であるか、またはそれを含む液体を使用して実施される。例えば、いくつかの実施形態では、基質は酵素であり、修飾は切断である。いくつかの実施形態では、希釈は、試料緩衝液と基質との組み合わせを使用して実施され得る。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、試料を、薬剤(例えば、基質)を含む溶液と組み合わせてもよく、その組み合わせは、免疫測定装置またはその中の試験片と接触する前に、一定期間静置され得る。いくつかのそのような実施形態では、試料が「前処理される」場合、試料は、次いで、1つ以上の標的の測定のために、免疫測定装置に適用される。
【0211】
いくつかの実施形態では、前処理は、オフラインで行われ得る。いくつかの実施形態では、前処理は、インラインで行われ得る。いくつかの実施形態では、前処理が希釈であり、希釈がオフライン希釈である場合、試料は、取得された後で、試験片(例えば、免疫測定装置の)に接触する前に希釈される。当業者によって理解されるように、以前に利用可能なアッセイを参照する場合、希釈は、一般に、1つ以上の希釈された試料(例えば、1、1:10、1:20、1:50、1:100、1:1000など)を生成するために、試料が収集され、次いで液体が所定の間隔及び測定される間隔で試料に添加されるオフライン希釈を指す。いくつかのそのような実施形態では、1つ以上の標的は、ELISAまたは他の同様に配置されたアッセイなどの標準的なアッセイを使用して、そのような希釈された試料中で測定される。全体を通して議論されるように、本開示によって提供される洞察の1つは、そのような連続希釈(すなわち、特定の以前に利用可能なアッセイで一般的である)が、高存在量の標的からの飽和、低存在量の標的の検出の失敗、または希釈誘発解離に脆弱な標的などの複雑な要因に起因して、不正確な標的測定をもたらし得ることである。
【0212】
いくつかの実施形態では、試料が取得または収集された後、試料が最小限の希釈を受けるように、1つ以上のステップを含む前処理が実施されてもよい。いくつかの実施形態では、最小限の希釈は、連続希釈またはいくつかの連続希釈を含まない。最小限の希釈は、標的、試料、及びアッセイに応じて定量的に異なり得る。例えば、当業者には明らかになるように、所与の状況では、C3を含む試料の「最小限の」希釈は、以前に利用可能なアッセイにおける1:10000と比較して、または試料のいくつかの連続希釈と比較して、1:1000で「最小限に」希釈されたとみなされ得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、希釈は、試料調製中に実施される。例えば、いくつかの実施形態では、前処理ステップは、試料を別の薬剤(例えば、基質、例えば、ADAMTS13切断アッセイのためのrVWF)と組み合わせることを含む。いくつかのそのような実施形態では、希釈は、試料及び基質に依存する。例えば、いくつかの実施形態では、ADAMTS13アッセイでは、希釈は、溶液中の試料及びrVWF基質の1:10希釈である。
【0214】
いくつかの実施形態では、希釈は、試験カセットまたは試験カートリッジを使用して実施される測定で使用されるものと実質的に同様の試料緩衝液を使用して実施される。
【0215】
いくつかの実施形態では、希釈は、インライン希釈である。例えば、いくつかの実施形態では、希釈は、本開示によって提供されるように、試料を試験カセットに適用することを含む。いくつかのそのような実施形態では、試料が試験カセットの免疫測定装置に接触する(すなわち、少なくとも1つの試験ラインを含む少なくとも1つの試験片に接触する)と、標的が例えば競合剤によって捕捉された後、試料は、少なくとも1つの標的の濃度に関して希釈されたとみなされ、それが固定され、後続の試験ラインによって捕捉及び/または検出されるのを防ぐ。
【0216】
アッセイ
様々な実施形態によれば、本開示は、1つ以上の試料中の1つ以上の標的を測定するための技術(例えば、方法、装置など)を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アッセイ、装置、及びそれらの製造方法、特性評価、及び使用を提供する。いくつかの実施形態では、1つ以上のアッセイ及び/またはその使用方法は、以前に利用可能であったアッセイと比較して新規、または改善されたものである。いくつかの実施形態では、1つ以上のアッセイの1つ以上の成分は、以前に利用可能であったアッセイ及び成分と比較して、新規及び/または改善されたものである。
【0217】
いくつかの実施形態では、本開示のアッセイは、少なくとも1つの試験片を含む免疫測定装置を試料と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、試料は、試験カセット(すなわち、それ自体が1つの試験ラインを含む少なくとも1つの試験片を含む免疫測定装置を含む)に適用される。いくつかのそのような実施形態では、試料が試験カセットに適用される場合、試料は、免疫測定装置に接触する。いくつかのそのような実施形態では、試料は、少なくとも1つの試験片に接触する前に、コンジュゲートパッド及び/または試料パッドに接触する。いくつかの実施形態では、試料は、ポートを介して試験カセットに適用される。
【0218】
いくつかの実施形態では、試料が試験カセットに接触し、試料及び/またはコンジュゲートパッドに接触する場合、試料は、試験片に接触する前に、1つ以上の試薬と相互作用する。
【0219】
いくつかの実施形態では、本開示のアッセイは、試験カセットを試料と接触させる前に、1つ以上の前処理ステップを必要とする。例えば、いくつかの実施形態では、試料は、試験カセットに接触する前に、薬剤及び試料が結合されるように、ベッセルまたは容器内の薬剤と接触され得る。いくつかの実施形態では、前処理された試料またはその一部は、一定期間後に試験カセットに適用される。いくつかの実施形態では、試料を収集または取得し、試料またはその一部を薬剤(例えば、基質、例えば、組換え基質)と組み合わせる。いくつかのそのような実施形態では、薬剤と接触した試料は、試料を基質と組み合わせることによって特定の因子によって希釈される(例えば、1:10)。いくつかの実施形態では、試料と薬剤の組み合わせを、試験カセットを試料/薬剤の組み合わせと接触させる前に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10分またはそれ以上静置させる。いくつかのそのような実施形態では、試料が試験カセットに適用される場合、基板の反応部分及び/または未反応部分が測定され、基質と反応した標的を測定するために使用される。例えば、いくつかの実施形態では、標的はADAMTS13であり、基質はVWFである。いくつかのそのような実施形態では、切断されたVWFの量を測定し、これを使用して、試料中のADAMTS13の活性のパーセントを決定する。
【0220】
いくつかの実施形態では、試料が分割され、1つの部分が前処理されて測定され、別の部分が前処理なしで測定される。
【0221】
いくつかの実施形態では、本開示のアッセイは、1つ以上の以前に利用可能なアッセイと比較して、試料を取得することと、標的を測定することとの間の効率性、特異性、感度、正確性、信頼性、及び/または待ち時間などの1つ以上の特性において改善され得る。いくつかの実施形態では、以前に利用可能であったアッセイは、酵素ベースのアッセイ、放射線アッセイ、比色アッセイ、放射免疫拡散アッセイ、及び/またはアッセイの種類の1つ以上の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、本開示の技術(例えば、アッセイ、例えば、側方フローアッセイ)は、米国特許第8,865,164号または米国特許出願公開第2012/0141457号に記載されているものと比較して改善されており、これらの各々の開示は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0222】
いくつかの実施形態では、本開示の技術(例えば、方法、装置など)は、1つ以上の標的の迅速な測定を可能にする。いくつかのそのような実施形態では、そのような技術は、1つ以上の標的についての適切な範囲を検出及び/または定量化する能力などの多くの以前に利用可能なアッセイで共通の問題を回避する。
【0223】
さらに、以前に利用可能であったアッセイとは対照的に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアッセイは、ポイントオブケア使用に適している。例えば、本明細書に記載されるように、本開示は、以前に利用可能なアッセイよりも少ないステップ及びより速い結果を必要とする技術を提供する。すなわち、本明細書に記載のアッセイは、大規模な取り扱い(例えば、複数の希釈または前処理ステップ)、測定が行われる前の長いインキュベーション時間、及び/または試料中の標的を測定するための多数の人員もしくは機械を必要としない。
【0224】
ポイントオブケアの使用の支持において、いくつかの実施形態では、1つ以上の標的は、対象から試料を収集してからおよそ30分以内(例えば、20分以内、10分以内、5分以内)に測定される。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的は、対象から試料を収集してからおよそ35、40、45、50、55、または60分以内に測定される。
【0225】
アッセイ成分
本開示は、とりわけ、試料中の1つ以上の標的を測定するためのアッセイを提供する。とりわけ、アッセイ成分は、本明細書に記載の免疫測定装置、及び試料を含む試験カセットがロードされ、結果が読み取られ、及び/または解釈されるリーダシステム(例えば、免疫測定装置リーダ)であってもよいか、またはそれらを含んでもよい。
【0226】
免疫測定装置
とりわけ、本開示は、免疫測定装置、製造方法、使用方法、及びその特性評価方法を提供する。本明細書に記載されるように、本開示の免疫測定装置は、1つ以上の試験片であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、少なくとも1つの追加の成分をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の成分は、試料パッド及び/またはコンジュゲートパッドであるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試験片及び/または1つ以上の追加の成分は、少なくとも部分的に、試験カセット内に収容される。
【0227】
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の固相は、試験片に接触しているか、及び/または試験片に近接している。例えば、いくつかの実施形態では、試験片は、固体バッキングカードの上に配置される。いくつかの実施形態では、透明なオーバーラミネート材料が試験片の上に配置される。いくつかの実施形態では、試験カセットまたは試験カートリッジは、バッキングカードの上に配置され、光学的に透明なオーバーラミネート材料によって覆われる試験片を含む。いくつかの実施形態では、免疫測定装置はまた、コンジュゲートパッド及び/または試料パッドを含む。いくつかのそのような実施形態では、コンジュゲートパッド及び/または試料パッドは、試験片に付属しているか、または試験片と接触している。いくつかの実施形態では、免疫測定装置の試験片は、部分的または完全に、試験カセットまたは試験カートリッジ内に含有される。いくつかのそのような実施形態では、試験カセットまたは試験カートリッジは、リーダシステム(例えば、免疫測定装置リーダ)に挿入されてもよく、そのリーダシステムは、免疫測定装置の1つ以上の試験片及び試験ライン上の1つ以上の試料を測定するために使用される。いくつかのそのような実施形態では、リーダシステムはまた、例えば、システムの1つ以上の成分またはリーダシステム全体を動作させるために使用されるアルゴリズムに従って、位置決め及び測定プロセスを調整する手段を含んでもよい。
【0228】
試験片
本開示の免疫測定装置は、1つ以上の試験片を含む。試験片は、固相及び少なくとも1つの試験ラインであるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、装置は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上の試験片を含む。いくつかの実施形態では、試験片は、固相であるか、またはそれを含む。いくつかのそのような実施形態では、固相は、透過性膜であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、透過性膜は、ニトロセルロース膜であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、ニトロセルロース膜は、小さい、中程度及び/または大きい細孔サイズを有してもよく、その細孔サイズは、細孔が大きいほど膜を通る流速が速くなるように、特定の流速に関連付けられる。遅い、中程度、及び速い細孔サイズは、4cm/秒の水流速を使用して定義された。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の試験片は、試料によって接触され、試料は、毛細管及び/または重力機構を使用して横方向に流れる、試験片の固相中及び試験片の固相を通って移動する。いくつかのそのような実施形態では、試料が適用され、試験片を通って流れた後、試料は、少なくとも1つの試験ラインに接触し、その試験ラインは、捕捉剤を含む。いくつかのそのような実施形態では、標的は検出剤に関連付けられ、捕捉剤は標的:検出剤複合体を保持し、それは後で標的を測定するために使用され得る。
【0229】
試験ライン
本明細書に記載されるように、本開示の試験片は、1つ以上の試験ラインを含む。そのような試験ラインは、試験片に適用された試料からの1つ以上の標的についての捕捉ゾーンとして機能する。いくつかの実施形態では、試験片は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上の試験ラインを含む。いくつかの実施形態では、試験ラインは、対照ラインとして機能する。すなわち、いくつかのそのような実施形態では、試験ラインを使用して、対照試料中の既知の量の対照標的を測定する。
【0230】
いくつかの実施形態では、標的が結合される前に、試験ラインは、1つ以上の捕捉剤であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、試験ラインは、1つ以上の捕捉試薬及び/または1つ以上の検出剤(例えば、標的が捕捉され、その標的が検出剤を含む場合)から構成される。いくつかの実施形態では、試験ラインは、1つ以上の捕捉剤を含み、検出剤を含まない。いくつかの実施形態では、試験ラインは、1つ以上の検出剤(例えば、試験ライン上の捕捉剤と会合している)、及び1つ以上の捕捉剤を含む。
【0231】
いくつかの実施形態では、2つ以上の試験ラインを含む試験片では、全ての試験ラインは、同じ捕捉剤及び/または検出剤を含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の試験ラインを含む試験片では、各試験ラインは、異なる捕捉剤及び/または検出剤を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、所与の試験片上の試験ラインは、同じ試験片上の別の試験ラインと比較して、1つ以上の成分(例えば、捕捉剤)の等しい濃度及び体積を有する。いくつかの実施形態では、所与の試験片上の試験ラインは、同じ試験片上の別の試験ラインと比較して、1つ以上の成分(例えば、捕捉剤、競合剤)の異なる濃度を有する。
【0232】
いくつかの実施形態では、2つ以上の標的を任意の単一の試験ライン上で測定することができる。いくつかの実施形態では、試験片上の全ての試験ラインは、試験カセット上の光学的に透明な可視ウィンドウ内に適合する。いくつかのそのような実施形態では、光学的に透明なウィンドウ内の試験ラインは、本明細書に開示されるリーダシステム(例えば、免疫測定リーダシステム)が、1つ以上の試験ライン上の1つ以上の標的を可視化し、測定することができるように配置される。
【0233】
いくつかの実施形態では、一連の試験ラインは、本開示に記載されるように、一定の間隔で配置された特定の幅のラインを含む。いくつかの実施形態では、所与の標的を測定するための一連の試験ラインの一部である各試験ラインは、所与の標的に応じて、同じまたは異なる薬剤を含み得、そのような違いは、特定の標的の状況を考慮して当業者には明らかになるであろう。試験片が複数の試験ラインを含むいくつかの実施形態では、そのような試験ラインは、2~3mm間隔で配置される。いくつかの実施形態では、各試験ラインは、およそ1mm×5mmを占め、0.7μl/cmで印刷される。より大きな体積のラインが、反射率ベースのリーダ方法と適合しない結合の勾配を生じることが決定された。いくつかの実施形態では、試験ラインがストライピングされた後、試験片は空気乾燥される。いくつかの実施形態では、空気乾燥は、高温(例えば、37℃)で行われ得る。いくつかの実施形態では、空気乾燥は、ファンオーブンで行われ得る。
【0234】
複数の試験ラインを有する試験片を含む実施形態では、試験片の第1の試料接触点に最も近い1つ以上の試験ラインは捕捉剤を含み、その後に、追加の捕捉剤を含むが、第1の試料接触点からさらに遠くに位置する1つ以上の試験ラインが続く。例えば、いくつかの実施形態では、所与の試験片上の各試験ラインは、所与の標的を測定するように設計された一連の試験ラインの一部であり得る。いくつかのそのような実施形態では、各試験ラインは、同じ薬剤を含むが、各試験ラインは、アッセイ内で異なる機能及び目的を果たしてもよい。例えば、非限定的な例として、一連の4つの試験ラインでは、試験片上の試料接触点及び侵入点に最も近い試験ラインは、捕捉剤を含んでもよく、標的を測定するために使用されないが、後続の試験ラインは、標的を測定するために使用される検出剤(すなわち、本明細書で提供されるように測定される、検出剤を含む標的に結合する捕捉剤)を含んでもよい。いくつかのそのような実施形態では、「第1の」試験ラインは、試料を「希釈」し、検出可能なシグナルを過飽和させ、不正確な測定を提供する可能性のある量の標的を除去するのに役立つことができる。
【0235】
本明細書に記載されるように、試験ラインは、対照ラインであり得るか、または対照ラインとして機能し得る。いくつかのそのような実施形態では、そのような内部対照ラインは、アッセイ成分が適切に機能しているかどうかを検証する。
【0236】
捕捉剤
いくつかの実施形態では、本開示の試験ラインは、少なくとも1つの捕捉剤を含む。様々な実施形態によれば、様々な捕捉剤のいずれかを使用して、試験ラインに標的を保持することができる。いくつかのそのような実施形態では、試験片上の少なくとも1つの試験ラインは、捕捉剤を含む。いくつかのそのような実施形態では、捕捉剤は、それ自体が検出剤に会合している標的に会合しているため、検出可能な標的は、所与の捕捉剤を含む試験ラインに保持される。いくつかの実施形態では、標的自体が、検出剤であってもよく、例えば、いくつかの実施形態では、試験ラインは、対照ラインであってもよく、対照ラインは、検出剤に特異的であるが、試料中で測定される標的には特異的ではない捕捉剤を含んでもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、捕捉剤は、試料からの標的(例えば、標的検出剤複合体)に結合し、いくつかの実施形態では、捕捉剤は、免疫測定装置からの標的(例えば、検出剤)に結合する。
【0237】
いくつかの実施形態では、捕捉剤は、1つ以上の抗体(例えば、モノクローナルまたはポリクローナル)、抗体断片、量子ドット、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド様剤、補体受容体もしくは結合タンパク質、酵素(例えば、酵素ベースの比色検出剤)、アレイ、アプタマー、ビーズベースのアッセイ関連剤(例えば、ポリスチレンビーズ)、ナノドロップ、及び/またはナノ粒子(例えば、金コロイド、例えば、ポリスチレンなど)であってもよい。
【0238】
いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、試験片当たり少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上の捕捉剤を含む。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの試験片は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の捕捉剤を含む。いくつかの実施形態では、単一の試験ラインは、単一の捕捉剤を含む。いくつかの実施形態では、本開示の免疫測定装置は、2つ以上の試験ラインを含み、捕捉剤は、異なる試験ライン上で同一であっても異なっていてもよい。例えば、4つの試験ラインを有する所与の試験片では、各試験ラインは、同じ及び/または異なる捕捉剤を有し得る。
【0239】
薬剤の検出
本開示の免疫測定装置では、1つ以上の検出剤がコンジュゲートパッド上に存在する。いくつかの実施形態では、免疫測定装置及び/またはその中の1つ以上の試験片は、少なくとも1つの検出剤を含む(すなわち、標的が検出剤を含み、捕捉剤によって捕捉される場合)。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの試験片上の少なくとも1つの試験ラインは、検出剤を含む(例えば、標的が検出剤を含む標的に結合する捕捉剤を含む)。様々な実施形態によれば、様々な検出剤のうちのいずれかは、1つ以上の標的を測定するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、試験ラインは、定性的及び/または定量的に測定される。いくつかの実施形態では、試験ラインは測定されない(すなわち、可視化可能であっても)。いくつかの実施形態では、測定は、比色及び/または蛍光検出を含むが、これに限定されない可視化可能な手段によって達成されてもよい。当業者に理解されるように、可視化可能は、可視スペクトルでの検出に限定されず、紫外線及び赤外線スペクトルでの検出を含むが、これらに限定されない。いくつかのそのような実施形態では、検出は、アッセイを実施する者に観察によって行われてもよい。いくつかのそのような実施形態では、検出は、試験片を読み取ることができる装置を使用して行われてもよい。
【0240】
いくつかの実施形態では、検出剤は、単独で提供または利用される。いくつかの実施形態では、検出剤は、別の薬剤と関連して(例えば、結合されて)提供及び/または利用される。いくつかの実施形態では、検出剤は、1つ以上の可視化可能または他の方法で検出可能な抗体(例えば、モノクローナルまたはポリクローナル)、抗体断片、量子ドット、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド様剤、補体受容体もしくは結合タンパク質、酵素(例えば、酵素ベースの比色検出剤)、アレイ、アプタマー、ビーズベースのアッセイ関連剤(例えば、ポリスチレンビーズ)、ナノドロップ、ナノ粒子(例えば、金コロイド、例えば、ポリスチレンなど)、及び/またはフォトニック結晶増強蛍光(PCEF)アッセイで使用するための薬剤であってもよい。いくつかの実施形態では、検出剤は、抗体またはその一部を含む。いくつかの実施形態では、検出剤は、本明細書に記載の例示的な検出剤のうちの1つ以上と会合する抗体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、検出剤は、標的特異的である(例えば、標的特異的結合剤にコンジュゲートされている)。
【0241】
いくつかの実施形態では、検出剤は、1つ以上の固体もしくは半固体構造であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、固体構造は、球体(例えば、固体または半固体ナノ粒子)である。いくつかの実施形態では、そのようなナノ粒子は、状況(例えば、金、ポリスチレンなど)を考慮して、1つ以上の追加の検出剤(例えば、蛍光分子、酵素など)に結合または会合した、当業者に既知の任意の材料から作製されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、ナノ粒子は、20nm~1000nmであってもよい。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、直径約20nm~約600nmであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、検出剤は、およそ20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm 600nmまたはそれ以上であるビーズに結合されてもよく、またはそれに会合されてもよい。
【0242】
非限定的な例として、検出剤は、様々なリガンド、放射性核種(例えば、3H、14C、18F、19F、32P、35S、135I、125I、123I、64Cu、187Re、111I、90Y、99mTc、177Lu、89Zrなど)、蛍光染料(特定の例示的な蛍光染料については、以下を参照)、化学発光剤(例えば、アクリジヌムエステル、安定化ジオキセタンなど)、生物発光剤、スペクトル分解性無機蛍光半導体ナノ結晶(すなわち、量子ドット)、ナノ粒子(例えば、金、銀、銅、白金、ポリスチレンなど)ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素(例えば、可視化可能な標識で検出することができる酵素、例えば、化学発光検出剤、比色検出剤など)、比色分析標識(例えば、染料、コロイド金及び/または銀など)、ビオチン、ジオキシゲニン、ハプテン、及び抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能なタンパク質であってもよいか、またはそれらを含んでもよい。
【0243】
いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、試験片当たり少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上の個々の検出剤を含む。例えば、いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの試験片は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の検出剤を含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、検出剤は、1つ以上の定性的標的測定を行うために使用される。いくつかの実施形態では、検出剤は、1つ以上の定量的標的測定を行うために使用される。いくつかの実施形態では、検出剤は、1つ以上の定性的及び定量的標的測定を行うために使用される。
【0245】
競合剤
いくつかの実施形態では、本開示の試験片は、少なくとも1つの競合剤を含む。様々な実施形態によれば、様々な競合剤のうちのいずれかを使用して、試験片内の試料中の標的の濃度を調整することができる。いくつかのそのような実施形態では、試験片上の少なくとも1つの試験ラインは、検出剤を含む。いくつかの実施形態では、試験片は、試験ラインに局在化されていない競合剤を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、競合剤は、本開示の免疫測定装置(例えば、試料パッド、コンジュゲートパッド、試験片、及び/または試験ライン)の固相中/上に存在し得る。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の固相成分は、標的の一部を除去するための競合剤を含んでもよい。いくつかのそのような実施形態では、標的の一部を除去して、後続の試験ラインが、試料中の所与の標的を効率的、正確、特異的、確実、高感度的、及び/または迅速に測定することを可能にし得る。すなわち、当業者に既知のように、以前に利用可能なアッセイは、高存在量の標的濃度の過飽和検出可能なシグナル成分のために、連続的な試料希釈を行わずに特定の標的を測定することができなかった。
【0246】
いくつかの実施形態では、競合剤は、1つ以上の抗体(例えば、モノクローナルまたはポリクローナル)、抗体断片、量子ドット、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド様剤、補体受容体もしくは結合タンパク質、酵素(例えば、酵素ベースの比色検出剤)、アレイ、アプタマー、ビーズベースのアッセイ関連剤(例えば、ポリスチレンビーズ)、ナノドロップ、及び/またはナノ粒子(例えば、金コロイド、例えば、ポリスチレンなど)であってもよい。
【0247】
いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上の競合剤を含む。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの試験片は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の競合剤を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、競合剤は、プロゾーン効果を低減または排除するために使用される。当業者に既知のように、プロゾーン効果(フック効果としても知られている)は、標的の濃度が非常に高く、その標的の結合パートナーが複合体を形成することを損なうときに発生する現象である。例えば、いくつかの実施形態では、標的のレベルは、その標的に対する抗体が、その標的との複合体化によって実際に損なわれるように、非常に高くてもよい。すなわち、複合体形成の増加を示す濃度の増加の線形またはそれ以外の場合比例的に増加する傾向ではなく、プロゾーン効果が発生すると、濃度が増加するにつれて、複合体形成は最初に増加を停止し、その後、非常に高い濃度で減少する。いくつかの実施形態では、プロゾーン効果は、例えば、標的に結合する高濃度の標的及び/または高濃度の競合もしくは検出剤の存在下で生じ得る。したがって、標的の測定前に、検出剤との結合または複合体によって、標的の濃度を低下させるために、競合剤を試料に添加してもよい。
【0249】
固相
いくつかの実施形態では、本開示の免疫測定装置は、1つ以上の固相を含む。例えば、いくつかの実施形態では、免疫測定装置は、固相であるか、またはそれを含む試験片を含む。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、試験片は、透過性膜を含む。いくつかのそのような実施形態では、透過性膜は、ニトロセルロースであるか、またはそれを含む。試験片に加えて、本開示の免疫測定装置は、試験片が置かれるバッキングカード、試料パッド、コンジュゲートパッド、及び/またはオーバーレイ材料(例えば、試験片を覆う光学的に透明なオーバーレイ)を含むが、これらに限定されない1つ以上の追加の固相をさらに含んでもよい。
【0250】
試料パッド
いくつかの実施形態では、本開示の試験カセットは、試料パッドを含む。いくつかの実施形態では、試料パッドは、捕捉ゾーンであるか、またはそれを含む。いくつかのそのような実施形態では、試料パッドは、1つ以上の試料の内容を修飾または変更する(例えば、試料のpHを調整または緩衝することによって)ための1つ以上の成分を含む。例えば、いくつかの実施形態では、試料パッドは、試料緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、試料緩衝液は、試験カセットに適用される液体試料のpHが特定の範囲内にあることを確実にするために、所与の試料の種類(例えば、血液、尿、血漿など)に特異的である。
【0251】
いくつかのそのような実施形態では、試料パッドは、試験片に侵入する前に、1つ以上の試料の内容を修飾または変更する(例えば、1つ以上の成分を捕捉することによって)ための1つ以上の成分を含む。例えば、いくつかの実施形態では、試料は、抗体を含む。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、抗体は、試験片が第1の成分ではない本開示の免疫測定装置の少なくとも第1の成分に接触した後、試料が免疫測定装置の少なくとも1つの試験片に接触する前に、全血試料から赤血球を捕捉及び/または濾過するための抗体である。すなわち、試料が免疫測定装置の試験片に接触する前に、試料がRBCを枯渇させるように、試料を抗RBC抗体を含む試料パッドに適用してもよい。
【0252】
コンジュゲートパッド
いくつかの実施形態では、本開示の試験カセットは、コンジュゲートパッドを含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲートパッドは、固相であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲートパッドは、少なくとも1つの検出剤を含む。いくつかの実施形態では、検出剤は、1つ以上の検出ビーズであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、検出ビーズは、金またはポリスチレンであってもよい。いくつかの実施形態では、検出ビーズは、直径およそ30nm~600nmであってもよい。いくつかの実施形態では、検出剤は、非ビーズベースの可視化可能なシグナル(例えば、蛍光部分など)であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲートパッドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上の検出剤を含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲートパッドは、洗剤、1つ以上の緩衝成分、及び/または遮断タンパク質のうちの1つ以上を含む。
【0253】
ハウジング(試験カセット/試験カートリッジ)
いくつかの実施形態では、試験カセットは、ハウジング内に完全にまたは部分的に含有される本開示の免疫測定装置を含む。いくつかの実施形態では、このような固体の試験カセットは、実質的に固体の材料(例えば、剛性、半剛性、可撓性)であるか、またはそれを含み、その材料は、少なくとも部分的に、免疫測定装置を取り囲む。
【0254】
いくつかの実施形態では、試験カセットは、長方形または正方形であり得る三次元形状である。
【0255】
いくつかの実施形態では、試験カセットは、ポートを含む。いくつかのそのような実施形態では、試料は、ポートを使用して試験カセットに適用される。
【0256】
いくつかの実施形態では、試験カセットは、試料が重力方向に流れるようにリーダシステムに挿入され得る。いくつかの実施形態では、試料は、試験カセットに適用され、リーダシステムに配置される前に、開発するために表面上に静置させることが可能であり、いくつかのそのような実施形態では、試料は、毛細管作用を使用して試験片を横方向に流れる。
【0257】
いくつかの実施形態では、試料を試験カセットに適用し、垂直に配置して、(毛細管作用及び重力を使用して)横方向に流れる試料で開発する。いくつかの実施形態では、試験カセットは、垂直位置でリーダシステムに挿入される。いくつかの実施形態では、試験カセットは、リーダシステムに挿入され、挿入後に試料が試料ポートに適用され、次いで、試験カセットは、試験片上の1つ以上の標的を測定する前に開発することが可能になる(すなわち、試料が重力方向に試験片を通って移動することが可能になる)。
【0258】
いくつかの実施形態では、試験カセットは、免疫測定装置を含み、この免疫測定装置は、試料パッド、コンジュゲートパッド、バッキングカード(1つ以上の試験片がその上に置かれる)、及び光学オーバーレイ(1つ以上の試験ラインを含む試験片を覆う)をさらに含む。いくつかの実施形態では、固体材料は、剛性、半剛性、または可撓性である。
【0259】
いくつかのそのような実施形態では、本明細書に開示される試験カセットは、リーダシステムに挿入することができる。いくつかの実施形態では、試験カセットは、単一のポート(例えば、RapiPlex、Comp actなど)を含む。本開示はまた、1つ以上のリーダシステム(例えば、RapiPlex、例えば、Comp act、例えば、他の免疫測定リーダシステム)上でのそのような免疫測定装置の使用方法を提供する。例示的なリーダシステムは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2013/014540に開示されている。
【0260】
アッセイステップ
いくつかの実施形態では、本開示の技術は、本明細書に記載されるように、1つ以上のアッセイを使用して、1つ以上の標的を測定するための方法及び装置を提供する。いくつかの実施形態では、アッセイは、試料を取得することと、任意選択で試料の一部を取っておくことと(例えば、後で比較またはバンキングするために)、任意選択で試料またはその一部を前処理することと、試料中の1つ以上の標的を測定することと、任意選択で測定の結果に基づいて対象を治療することと、を含む、1つ以上のステップを含む。いくつかのそのような実施形態では、そのような方法は、本開示のアッセイ及び装置を使用して実施される。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の方法は、試料を得、試料の一部を本開示の免疫測定装置に適用するステップを含んでもよい。
【0261】
試料の適用後、試料は、免疫測定装置の少なくとも1つの試験片を再水和する。いくつかのそのような実施形態では、試料は、試験片上(例えば、片上、例えば、試験ライン内)の検出剤を再水和する。いくつかの実施形態では、試料中の標的は、ストライピング及びカセットアセンブリの間に添加された標識された検出器を含む検出剤と反応する。
【0262】
いくつかの実施形態では、試料が全血を含む場合、赤血球はフィルタパッドに保持される。いくつかのそのような実施形態では、保持は、試験カセットの試料パッドに適用されるか、または含まれる抗体(例えば、抗RBC抗体)を使用して達成される。
【0263】
いくつかの実施形態では、標的の量は、競合剤と相互作用し、反応して、試料中の「遊離標的」のプールからその量の標的を除去する。試験片のある点で(例えば、試料が最初に適用される適用ポートの近くで)、ある量の標的を除去した後、試料は、免疫測定装置の固相を通って流れ続ける。例えば、非限定的な例として、
図7及び12は、標的の一部を試料から除去する例示的な競合剤を示す。いくつかのそのような実施形態では、標的は、高存在量の標的とみなされる。いくつかのそのような実施形態では、試料が競合剤に接触した後、標的-競合剤の複合体は、少なくとも1つの試験片の上及びそれに沿って移動し続けてもよいが、任意の追加の「遊離標的」が、本開示に従う測定のためにそれらの試験ライン上の任意の検出剤に結合/捕捉されることを可能にする、任意の後続の試験ラインの上及びそれを過ぎて移動するであろう。
【0264】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートパッドが競合剤を含み、標的が競合剤に結合する場合、試験片に侵入すると、任意の標的:競合剤複合体は、競合剤と同じ標的に結合する捕捉剤を含む試験ラインを通過して移動するであろう。いくつかの実施形態では、標的が検出剤に結合されている場合、試料が試験ラインに移動し、それを通って移動するとき、捕捉剤は、捕捉剤が検出剤に関連する標的に会合し、次いで可視化され得るように標的に結合し得る。
【0265】
いくつかの実施形態では、試験片は、アッセイが開発するまで(例えば、試料中の1つ以上の標的が試験片ならびに1つ以上の検出剤及びまたは競合剤と相互作用及び反応するために)5、10、15、20、25、または30分間静置される。いくつかの実施形態では、開発時に、試験カセットがリーダシステムに挿入され(例えば、例示的なリーダシステムについてはWO2013/014540を参照されたい)、試験プロトコルが選択される。いくつかの実施形態では、試料は、それがリーダシステムに挿入された後に試験カセットに添加され、開発は、試験カセットが既に試験リーダに配置されている状態で発生することが可能である。いくつかの実施形態では、試験カセットは、リーダシステムによって読み取られるバーコードを含む。いくつかの実施形態では、ユーザは、アッセイの1つ以上の試験片の試験試料及び試験パネルに対応する試験プロトコルを選択しなければならない。いくつかの実施形態では、試験カセットは、リーダシステム上の適切な領域に配置され、試料識別情報が入力されるか、または自動的にアップロードされ(例えば、バーコード化カセット内)、1つ以上の試験片のスキャンが実施され、1つ以上の標的が測定される。
【0266】
いくつかの実施形態では、QCカセットは、そのようなリーダシステムを使用する当業者によって理解されるように、リーダシステムが許容可能なパラメータのセット内で動作していることを確認するために、試験カセットの前または後に実行される。
【0267】
いくつかの実施形態では、1つ以上の測定値からの結果は、ローカル装置上、サーバ上、及び/または別の記録可能及び保存された媒体上に記憶される。いくつかのそのような実施形態では、結果は、患者記録に記録される。
【0268】
試料は、1つのチャネルまたは複数のチャネルを検出する検出器を使用して検出することができる(例えば、Comp actまたはRapiPlexリーダシステム、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、US9199232を参照されたく、また、例えば、カートリッジ、システム、装置、及びリーダシステムの説明については、WO2013/014540も参照されたい)。
【0269】
測定
いくつかの実施形態では、測定は、定量的である。いくつかの実施形態では、測定は、定性的である。いくつかの実施形態では、測定は、「不在」の定性的評価を含む。いくつかの実施形態では、測定は、「ゼロ」またはLLOQ未満の定量的評価を含む。
【0270】
いくつかのそのような実施形態では、標的の定量的測定は、参照の活性パーセントとして表される。例えば、いくつかの実施形態では、標的はADAMTS13であり、測定は、試料及び基質の混合物中の開始VWF基質の既知の濃度を使用して活性パーセントを決定することによって表される。
【0271】
いくつかの実施形態では、標的は、基質との反応及び基質消費、切断(例えば、基質の)または他の検出可能な修飾の定量化などによって間接的に測定される。
【0272】
いくつかの実施形態では、測定は、定性的である。いくつかの実施形態では、測定は、標的の不在を検出することを含む。
【0273】
いくつかのそのような実施形態では、標的の量(例えば、濃度)はゼロである。いくつかの実施形態では、標的の量はゼロに見えるが、いくつかの実施形態では、低レベルで存在してもよいが、測定のLLOQ未満であってもよい。いくつかの実施形態では、測定は、標的の存在及び/または量(例えば、濃度)を検出することを含む。
【0274】
使用方法
本開示は、装置の使用方法を含む、技術を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示される患者の診断、監視、及び治療の方法と同様に、標的を特徴付ける及び/または測定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に開示されるように、1つ以上の疾患、障害もしくは状態を有するか、またはそれらを有するもしくは発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、治療剤(例えば、抗体、例えば、遺伝子治療、例えば、CAR-Tなど)で治療を受けている。
【0275】
診断、治療、及び患者監視
とりわけ、本開示は、本明細書に記載されるように、1つ以上の補体媒介性または関連する疾患、障害、または状態を有する患者の治療を改善するための様々な新しい方法及び治療レジメンを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるような1つ以上の疾患、障害もしくは状態に罹患しているか、またはそれらのリスクがある患者についての診断方法を提供する。いくつかのそのような実施形態では、そのような診断方法は、患者の疑わしい診断または鑑別診断のリストから1つ以上の疾患、障害、または状態を除外することを含む。
【0276】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるような1つ以上の疾患、障害、または状態を有する患者についての治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、患者は、2つ以上の疾患、障害、もしくは状態に罹患しているか、またはそれらのリスクがある場合がある。
【0277】
いくつかの実施形態では、治療は、特定の疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状、特徴、及び/または原因の発生を部分的にまたは完全に緩和、改善、軽減、阻害、発症の遅延、重症度の低減、及び/または低減する、処置、介入、物質、またはそれらの任意の組み合わせの任意の投与を説明する。例えば、いくつかの実施形態では、治療は、(例えば、患者からの)物質の取り出しまたは除去を含む介入を含んでもよい。いくつかの実施形態では、治療の投与は、組成物の除去及び/または異なる組成物の添加及び/または介入を含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物の除去を含む投与は、血漿交換などの介入を追加すること(例えば、対象の系における特定の薬剤を除去または希釈すること)であってもよいか、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態の明らかな兆候を示さない対象のものであってもよく、例えば、いくつかの実施形態では、治療は、任意の明らかな臨床的に観察可能な表現型が生じるかどうかにかかわらず(すなわち、標的の測定を除く)、1つ以上の標的の1つ以上の変化が検出されたときに投与されてもよい。いくつかの実施形態では、治療は、疾患、障害、及び/または状態の初期兆候のみを示す対象のものであり得る。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、そのような治療は、関連する疾患、障害及び/または状態の1つ以上の確立された兆候を示す対象のものであり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態に罹患していると診断された対象のものであり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態の発症のリスクの増加と統計的に相関する1つ以上の感受性因子を有することが知られている対象のものであり得る。
【0278】
本明細書に記載されるように、対象は、補体タンパク質または補体経路関連タンパク質の変化に関連する1つ以上の疾患、障害、もしくは状態を有し得るか、または有するリスクがあり得る。例えば、非限定的な例として、いくつかの実施形態では、対象は、造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)、補体媒介性血栓性微小血管症(CM-TMA)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、COVID19、エリテマトーデス、ループス腎炎、サイトカイン放出症候群、アルツハイマー病(AD)、またはそれらの組み合わせもしくは合併症を有し得るか、またはそれらを有するもしくは発症するリスクがあり得る。
【0279】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるような1つ以上の疾患、障害、もしくは状態を有するか、またはそれらのリスクがある患者の疾患活性を監視するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の1つ以上の疾患、障害、もしくは状態を有するか、またはそれらのリスクがある患者の活動の開始または増加(例えば、疾患フレア、例えば、疾患の1つ以上の症状の増加)を予測するための方法を提供する。いくつかのそのような実施形態では、そのような方法は、本開示によって提供されるそのような技術(例えば、装置、方法)がない場合の治療と比較して改善された治療を提供する。
【0280】
いくつかの実施形態では、本開示は、疾患、障害または状態を有する対象を診断するための方法を提供する。例えば、いかなる特定の理論にも拘束されることなく、いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上の標的の1つ以上のレベルを測定するための技術を提供し、対照/外部参照または同じ患者からの以前の試料などのそれらの標的の測定値を比較すると、疾患、障害もしくは状態の診断が行われるか、または除外される。いくつかの実施形態では、そのような疾患、障害、または状態は、加齢黄斑変性症(AMD)、補体3糸球体症(C3G)、造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)、補体媒介性血栓性微小血管症(CM-TMA)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、COVID19、エリテマトーデス、ループス腎炎、サイトカイン放出症候群、アルツハイマー病(AD)、もしくはそれらの組み合わせであってもよいか、またはそれらを含んでもよい。
【0281】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に提供される1つ以上の疾患、障害もしくは状態の発症または診断のリスクに関連する1つ以上の症状の重症度を予防または軽減するための方法を提供する。いくつかのそのような実施形態では、例えば、本開示は、1つ以上の標的の測定値が本明細書に開示される特定の範囲外である場合に、治療を投与するか、または治療の変更を実施する方法を提供する。
【0282】
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの疾患、障害または状態を治療するための治療の有効性を決定する方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の1つ以上の疾患、障害、もしくは状態を有するリスクがあるか、それらを有する疑いがあるか、またはそれらを有する対象からの試料中で、第1の標的測定値を測定し、標的測定値が満足のいく範囲に入らない場合、任意選択で少なくとも1つの治療を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、治療が対象に投与される場合、同じ対象からの試料中で第2の標的測定値(第1の測定値と同じまたは異なる標的の)を測定し、第2の測定値が満足のいく範囲内に入らない場合に治療の変更を実施するための方法を提供する。
【0283】
いくつかの実施形態では、治療の変更を投与または実施することは、対象における1つ以上の標的の測定の増加をもたらす。いくつかのそのような実施形態では、対象は、治療の変更を投与または実施してからおよそ30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、18時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、または4週間以内に、疾患または疾患の1つ以上の症状のリスクの増加を経験しない。
【0284】
いくつかの実施形態では、治療の変更を投与または実施することは、対象における1つ以上の標的の測定の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的の測定値の増加は、投与または実施ステップから1ヶ月以内(例えば、3週間以内、2週間以内)に生じる。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的の測定値の増加は、投与または実施ステップから1週間以内に生じる(例えば、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、2日以内、1日以内)。
【0285】
いくつかの実施形態では、治療の変更を投与または実施することは、対象における1つ以上の標的の測定の減少をもたらす。いくつかのそのような実施形態では、対象は、治療の変更を投与または実施してからおよそ30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、18時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、または4週間以内に、疾患または疾患の1つ以上の症状のリスクの減少を経験しない。
【0286】
いくつかの実施形態では、治療の変更を投与または実施することは、対象における1つ以上の標的の測定の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的の測定値の減少は、投与または実施ステップから1ヶ月以内(例えば、3週間以内、2週間以内)に生じる。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的の測定値の減少は、投与または実施ステップから1週間以内に生じる(例えば、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、2日以内、1日以内)。
【0287】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療は、遺伝子療法、細胞ベースの療法、チェックポイント阻害剤、ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、キナクリン、メトトレキサート、アザチオプリン、スルファサラジン、シクロホスファミド、クロラムブシル、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸ナトリウム、リツキシマブ、ベリムマブ、1つ以上の抗補体タンパク質抗体などの補体阻害剤、またはそれらの他の化学物質(例えば、小分子、核酸など)阻害剤、プラズマフェレーシス、理学療法、睡眠療法、及び認知行動療法のうちの1つ以上の投与を投与するか、または中止することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療は、対象に投与される併用療法の一部であるか、またはそれを含む。
【0288】
いくつかの実施形態では、治療は、インビボで対象に投与される。いくつかの実施形態では、治療では、エキソビボで投与される(例えば、対象の細胞または流体に、次いで、治療された細胞または流体が対象に導入される)。いくつかの実施形態では、治療は、インビトロで試験または特徴付けられる(例えば、対象からの体液、人工体液、細胞株、一次細胞もしくは細胞培養物などの中で、またはそれらを含む)。
【0289】
キット
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示される1つ以上の標的を測定するためのキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、試験カセットの内部に収容された免疫測定装置を含み、保管に適切なパッケージングをさらに含む。いくつかの実施形態では、パッケージングは、遮光(例えば、ホイルバッグ)、乾燥剤構成要素もしくは成分、及びカセットを周囲の乾燥状態(例えば、湿気から保護された状態など)に維持するための熱安定性材料を含む1つ以上の品質であってもよいか、またはそれらを含んでもよい。
【0290】
いくつかの実施形態では、キットは、それ自体が最大6つの試験片を含む免疫測定装置を含む試験カセットを含み、各片は、少なくとも4つの試験ライン及び、任意選択で、少なくとも1つの対照ライン(すなわち、最大5つの試験ライン、そのうちの1つは、対照ラインであるか、またはそれとして機能する)を含む。
【0291】
いくつかの実施形態では、対照試料は、本明細書に提供されるように、対照試験カセット上で実行されるように、及び/または免疫測定装置の試験ライン上の対照ライン上で測定されるように提供される。
【0292】
いくつかの実施形態では、キットは、バーコードを含む試験カセットを含む。いくつかの実施形態では、本開示のキットは、試験カセットに試料を適用するための使い捨て移送ピペットを含む。
【0293】
均等物
本開示は、その詳細な説明と併せて説明されているが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によってさらに定義される本開示の範囲を例示することを意図するものであり、限定するものではないことを理解されたい。他の態様、利点、及び改変は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
【実施例】
【0294】
本開示は、とりわけ、測定前に試料を希釈することなく、試料中の1つ以上の標的を効率的に、高感度的に、特異的に、確実に、迅速に、及び/または正確に測定する(例えば、検出する、例えば、定量化する)ことができる技術を提供する。すなわち、本明細書に記載される技術は、オフライン希釈または他の試料操作を必要とすることなく、広範囲の濃度(複数可)にわたって、1つ以上の標的の正確な測定を迅速に達成し、確実に達成し、提供することができる。そのような測定は、例えば、研究及び開発、ならびに臨床試験監視及びポイントオブケア診断及び/または患者における治療薬の監視において使用され得る、以前は達成できなかった洞察及び情報を提供することができる。以下の実施例は、結合剤:標的相互作用の測定及び既存の技術に対する改善を含む、例示的な装置、標的、及びそれらにおける迅速かつ正確な測定の方法を実証する(例えば、Schramm EC et al.,(2015)Anal Biochem,477:78-85、US8835184、US9164088、及びUS9182396を参照されたく、それらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0295】
実施例1:試験カセットアセンブリ
本実施例は、本明細書に提供される方法とともに使用することができる、免疫測定装置を含む例示的なカセットのアセンブリを提供する。そのようなカセットは、異なるリーダシステムシステム(例えば、Comp actまたはRapiPlexシステム)と適合する。試験カセット(例えば、少なくとも1つの試験片を含む免疫測定装置であり、その試験片は、少なくとも1つの試験ライン、試料パッド、コンジュゲートパッド、及び/またはバッキングカードを含む)に収容される成分の例示的な構成の概略図を
図3に示す。
【0296】
試験カセットアセンブリ
試験カセットは、Comp act及びRapiPlex測定装置で使用するために、それぞれ、30cm×60mmまたは30cm×35mmのバッキングカード上で製造された。本実施例では、片面感圧接着剤ポリエステルを使用した。バッキングカードは、カセット及び試験膜についての物理的構造及び支持を提供する。ニトロセルロース(NC)膜を含む試験片または6つの試験片のセットをバッキングカード上に積層した。いくつかの変形例では、より大きな孔径を有するNC膜を使用した。
【0297】
ストライピング
標識されていない抗体試薬(すなわち、捕捉剤)を、インラインストライピング装置を使用して、それらのそれぞれの捕捉ゾーン内(すなわち、試験ライン内)のNC膜上に固定して、試験ラインを適用した。試験ラインを、Imagene装置を使用して試験片に適用した(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、US9199232を参照されたい)。ストライピング技術は、1つの試料を使用した1つの試験片内で、1つ以上の標的について、4~5ログの濃度にわたって標的を定量化することができるように開発された(以前に利用可能なアッセイでは、少なくとも1~2ログを改善する)。すなわち、本明細書で開発及び説明されるストライピング技術は、本開示のアッセイが、血液または尿などの2つ以上の種類の液体試料で実施され得、さらに、アッセイが、ニートの試料または有意に希釈されていない試料(例えば、1:20希釈を必要とする以前のアッセイと比較して、1~2倍以下の希釈を伴う血液を含む試料)で実施され得るように作製及び設計された。
【0298】
当業者に理解されるように、ある種類の試料(例えば、血液)から別の種類の試料(例えば、尿)に切り替えて、標的に対して同じ特異性及び感度を維持することは自明でもなく、簡単でもない。例えば、本明細書に提供される技術の前に、sC5b-9に対するアッセイ(例えば、ELISAアッセイ、例えば、単一ライン側方フローアッセイ)は、血液中で100~100,000ng/mLを検出することができ、加えて、そのようなアッセイは、1:20のオフライン希釈を必要とした。対照的に、本明細書に記載される技術は、改善された定量下限(例えば、sC5b-9については1ng/mL)を達成すると同時に、非常に高い定量上限(例えば、sC5b-9については100,000ng/mL)で標的を検出し続けることができ、例えば、所与のアッセイについて測定可能な範囲内の標的を取得するために、いくつかの連続希釈を必要とすることなく、そのようにすることができる。したがって、提供される技術はまた、1つ以上の標的に対するアッセイ範囲を改善する。
【0299】
とりわけ、この改善は、より薄いレベルの標的を有し得る尿などの試料を、例えば、処理時間を増加させ、1つ以上の標的の測定において人工物を破壊もしくは生成し、及び/または標的の検出及び定量化に関連するコスト及びステップを増加させ得るさらなる有意なオフライン希釈なしに測定することを可能にする。すなわち、本開示は、尿、眼液、脳脊髄液などの血液または血液以外の液体試料中の標的とともに使用することができるアッセイを提供する。対照的に、他のアッセイは、血液または尿中の特定の標的(例えば、sC5b-9)を検出することができるが、本明細書に記載のアッセイの感度または改善された有用性を有さず、したがって、偽陰性測定をもたらし得る。さらに、本明細書に提供される技術は、改善されたオフライン希釈率、改善された定量下限、ならびに改善された感度及び正確性などの、以前のアッセイの様々な特徴を作製し、また改善する。
【0300】
重要なことに、単一の標的を検出するための単一の試験ラインを含み得る側方フローアッセイなどのアッセイにおける定量化に関連する限界及び課題を克服するために、試験片を、1つ以上の標的を検出及び定量化することができる複数の試験ラインでストライピングした。ここで、試料及び/またはコンジュゲートパッド上の複数の試験ライン、競合剤、捕捉剤及び/または検出剤、及び/または1つ以上の薬剤の組み合わせは、標的測定の予期せず、かつ前例のない効率性、正確性、高感度性、特異性、高信頼性、及び/または迅速性を提供する。例えば、複数の試験ラインで片をストライピングすることは、試料の実質的な希釈または操作を必要とせずに、特定の標的の低濃度及び高濃度の測定を可能にする。
【0301】
重要なことに、これらの革新は、濃度範囲が広い、及び/または試料の操作が、測定が正確であるかどうかに影響を与え得る状況で、低存在量及び高存在量の標的、ならびに不安定なタンパク質であり得るか、またはそれを含み得る標的を測定する能力を提供する。例えば、本明細書に記載されるように、操作によって活性化され、その標的について報告された誤って上昇した測定値を引き起こし得る標的、または治療薬から解離され、その標的について報告された誤って上昇した測定値をもたらし得る標的。ここで、結果は、複数の試験ラインが特定の標的の検出範囲を改善することを実証し、これは、より狭い検出範囲または飽和に起因するアッセイ制限を伴う長年の問題に対する解決策を提供する。すなわち、以前に利用可能なアッセイにおける狭い検出範囲は、不十分なLLOQ及び/または低存在量の標的を検出する能力及び検出剤の飽和によって引き起こされ、人為的測定がもたらされる。重要なことに、複数のラインが存在しない場合、標的検出器の濃度を増加させてもアッセイ感度を改善しなかった。むしろ、単一の試験ラインを有する試験片上の検出器濃度の増加が、検出からのバックグラウンド及び/またはマスクされた試験ラインシグナルの増加を示したため、アッセイ感度は負の影響を受けた。
【0302】
したがって、本開示の技術のいくつかのバージョンのアッセイでは、膜ごとに各標的について複数の捕捉ゾーンがストライピングされる。各試験ライン(ストライプ)は、およそ1mm×5mmを占め、鮮明な鋭いラインを確保するために0.7μl/cmで印刷される。より大きな体積のラインが、反射率ベースのリーダ方法と適合しない結合の勾配を生じることが決定された。アッセイのいくつかのバージョンでは、第1のタンパク質のために(除去のために)複数のラインをストライピングし、続いて標的のための試験ラインをストライピングする。対照捕捉試薬は、独立した抗体対であり、対照ゾーン(捕捉ゾーンの下流)内のそれぞれの膜の各々の上にストライピングした。
【0303】
1つの種類の試験片では、4mg/mL(試験片当たりの試験ライン当たり約2μgのタンパク質)が、片を構成するニトロセルロース膜への標的検出剤(例えば、抗体)の安定した結合のための最大容量を提供することが判定された。印刷された試験ラインにタンパク質を過負荷すると、試験ラインに入り、通過する最初の試料前部において制御されていない量の抗体が洗い流されるリスクの可能性があり、これにより、次に片間の再現性、感度、及び製品の安定性に影響を与える可能性があることが判定された。
【0304】
試験片は、少なくとも4つの試験ライン(例えば、
図3、4、及び5を参照されたい)、及び任意選択的に、試験片当たり少なくとも1つの対照ラインで開発した。アッセイの1つのバージョンでは、各試験ラインは、カセットの読み取り可能なウィンドウ内にある(例えば、4つの試験ラインを有するカセットを示す
図2Bを参照されたい)。試験ラインを2~3mm離間させて、リーダ上での検出を可能にした。内部対照により、試験成分が適切に機能していることが確認され、その後、ファンオーブンで高温で膜を空気乾燥させた。
【0305】
例えば、
図2B、
図3、及び
図4に示されるように、試料ポート及び/またはコンジュゲートパッド(L4)に最も近い試験ラインは、ある範囲の試料(例えば、最低濃度)の一端を検出し、試料ポートから最も遠いL1は、試料の流れの方向において片の端部に向かって、例えば、L4及びL3が飽和している場合に最高の濃度を検出する。この独自のセットアップ及び試験ラインと試薬の組み合わせにより、本開示の試験片及びカセットは、事前の有意な希釈なしに(例えば、ニート試料)、試料からの1つ以上の標的を効率的に、特異的に、正確に、確実に、及び/または高感度に測定することができる。
【0306】
非特異的抗体組み込みのためのストライピング
例として、試料が移動する4つの試験ラインのうちの最初の2つは、そのタンパク質を除去するように設計される過剰なタンパク質(例えば、抗B因子mAb)を捕捉するための抗体を含有してストライピングされる。試料の流れの順で2番目のラインは、標的のBaを捕捉する。次いで、最後の2つのライン、標的試験ラインのみが測定される(例えば、
図5を参照されたい)。
【0307】
追加の検出器のためのストライピング(試料から「過剰な」標的を除去するため)
高濃度標的を含むアッセイのために、少なくとも4つの試験ラインをストライピングする。第1の試験ライン(例えば、ライン1及び/または2)は、標的を吸収し、飽和になる。残りの標的は次の試験ライン上を移動し、依然として過剰な場合、この試験ラインも飽和になる。このプロセスは継続する。正確な読み取りは、飽和していない試験ラインから取得される(例えば、
図4を参照されたい)。高濃度の問題を克服するためにも設計される特定の標的のための追加のステップが組み込まれる。このステップでは、競合剤をコンジュゲートパッドに組み込む必要がある。この競合剤は、検出剤として、または検出剤によって可視化されることなく、過剰な標的を吸収し、したがって、アッセイの飽和は発生せず、正確な測定を取得することができる(例えば、複数の標的を含む、捕捉ゾーンを記載しているUS9199232を参照されたい)。
【0308】
多重試験カセットについての試験ライン適用
単一試料から1つ以上の標的を測定することができる免疫測定装置及び試験カセットを生成するために、試験ラインを、適切な試薬(例えば、検出剤、例えば、競合剤など)を用いて、本明細書に記載されるように調製する。試験ラインは、所与の試験片内の複数の標的を捕捉及び可視化するための1つ以上の捕捉剤を含んでストライピングされる。多重化のための免疫測定装置は、最大6つの試験片を含んでもよく、各々には最大4つの試験ラインがあり、合計24個の異なる測定ラインがある。
【0309】
コンジュゲートパッドの調製
コンジュゲートパッドを、標識された検出器を用いて調製した(例えば、
図2Aを参照されたい)。アッセイのいくつかのバージョンでは、より大きな表面積を有する検出器ビーズを使用した。本明細書に記載されるアッセイの他のバージョンでは、競合剤をコンジュゲートパッドに添加した。本明細書に記載されるアッセイのさらに他のバージョンでは、検出器濃度を2倍にした。
【0310】
コンジュゲートパッド、試料パッド及びNC膜をスタックとしてバッキングカード上に積層した(例えば、
図3、4及び5を参照されたい)。本明細書に記載のアッセイのいくつかのバージョンでは、光学的に透明なオーバーラミネートを、試験片部分及び膜の一部分の上に配置し、自由空間拡散ゾーンを覆った。オーバーラミネートを、膜の遠位端に露出した上部ウィックの3mmの接触ゾーンを残すように配置した。次に、積層されたカードを5mm幅に変換し、アセンブリをカセットに入れた。カセットのアセンブリは、バルク吸収性材料を膜の露出した接触ゾーンと接触させた。
【0311】
試料の流れの改善
アッセイの開発中、一部の試験では、試料を試験カセット内に入れたときに、試験片への侵入及び/または試験片からの侵入が損なわれているように見えた。試料の移動が損なわれたように見えるアッセイについてのカセット機能を改善するために、NC固相を、より大きな孔径を有するより速い流速のNC膜に置き換えた。膜の交換後、試料は、カセットアセンブリのどの部分にも引っかからずにカセットに流れ込んだ。
【0312】
実施例2A:アッセイ開発
本実施例は、本開示の技術の開発を説明する。具体的には、本開示は、本明細書に記載の試験片を作製するための洞察及びステップの独自の組み合わせを提供し、さらにその使用方法を提供し、それによって本明細書に記載の試験片及び免疫測定装置を使用するアッセイは、他の免疫測定と比較して改善された効率性、感度、特異性、信頼性、速度、及び/または正確性で結果を達成する。このフォーマットでは、測定前に広範な取り扱いまたは処理を必要としない試料を多重化して使用することもできる。本明細書に開示される試験片のアッセイの開発及び作製は、1つ以上の検出剤または捕捉剤の選択から始まる。すなわち、ここで、本明細書に開示されるように、本開示の免疫測定装置の一部となるものなどの例示的な試験片を使用して、2つの例示的な標的、C3及びC5を測定した。
【0313】
抗体選択:まず、いくつかの抗体(例えば、市販の抗体、カスタム抗体など)をスクリーニングするために、指向性抗原EIAフォーマットを使用して抗体選択を行った。この初期スクリーニングプロセスは、中性試料マトリックス(ここでは、緩衝液)中の各試験抗体のベースライン感度及び特異性を確立した。次いで、抗体を抗原コーティングプレートに対してスクリーニングして、標的に対する最高の感度(例えば、検出の下限及び上限)を決定した。また、抗体を交差反応抗原コーティングプレートに対してスクリーニングして、標的に対する特異性を決定した。抗体濃度を滴定して、評価される全ての抗体の性能を比較した。
【0314】
EIAアッセイ:(ステップ1のスクリーニングから)選択された抗体を、サンドイッチ免疫測定法で評価した。これらの評価は、選択された抗体が相補的であり、標的の1つのエピトープと競合していないことを確認するために行われた。評価対象の各抗体を、両方の指向性で試験した:(i)固相上で、及び(ii)液体/流体ベースの検出器として。これにより、任意の対の抗体の感度が確立されたが、重要なことに、EIA構成は、例えば、LFAフォーマットがEIAよりも速い動態を必要とし、したがって、EIAとは対照的に、非特異的物質がLFAフォーマットで洗い流されないことを含む標的結合剤のより高い特異性を必要とするため、本明細書に開示される試験片のLFA構成に必ずしも変換されなかった。ここで、セットアップは、捕捉抗体が固相上にあり、標的が捕捉され、液体検出器が捕捉された標的に結合するという点で、標準的な免疫測定法に類似している。
【0315】
ハーフディップスティックLFA:各抗体を、抗体が最初に供給/再水和された緩衝液と同様の塩及びpHを有する緩衝液中で1mg/mLで中間流速のニトロセルロース膜上に単一試験ラインとしてストライピングした。評価される検出器抗体に相補的な抗種抗体を、試験ラインから5mmでストライピングした。印刷した試験カードを37℃で最低30分間乾燥させた。必要に応じて、乾燥したカードは、乾燥剤が入ったホイル袋に密封して保管することができる。
【0316】
各抗体を検出器(金コロイド、ポリスチレンビーズまたは蛍光分子)にカップリングした。抗体:検出器の比、カップリング段階での抗体の濃度、カップリング緩衝液、カップリングプロセスの各段階でのpH、各ステップの時間、及びカップリング後緩衝液と保管緩衝液の両方のレシピを次のステップで評価した。少量のmL体積のコンジュゲートを作製して、様々な条件にわたって少量の体積を試験し、保存し、再試験して、スケールアップのための適切な条件を決定することによって、抗体についてのカップリング条件を評価した。コンジュゲートのOD及び視覚的明瞭度を、製造時に記録した。コンジュゲートを冷蔵保存し、OD及び視覚的明瞭度を、試験する前に再度検査した。液体コンジュゲートのODの変化、視覚的明瞭度及び均一性の変化が10%を超える溶液はいずれも、コンジュゲートレシピが安定していないことを示し、試験のために進めるべきではない。全ての抗体を、SDS、アジド及びチメラソール(thimerasol)の非存在下でコンジュゲートした。
【0317】
試験日に、調製したコンジュゲートを、1%のTween(登録商標) 20を含有する緩衝液と1:1で混合した。重要なことに、この溶液は、調製から60分以内に試験した。試験カードを5mmのディップスティックに切断し、セルロースの上部ウィックのみを取り付けた(最小2mmのオーバーラップ)。96ウェルプレートを使用して、20μLの調製したコンジュゲートを、緩衝液中の20μLの標的抗原と合わせた。ハーフディップスティックを追加し、完了まで実行させた(すなわち、ウェルが乾燥しているとき)。試験片を、試験ラインシグナルを測定した例示的な装置リーダシステム(この例では、免疫測定装置の構造に応じて、Comp actまたはRapiPlex)上で読み取った。さらに、片を、(1)試料ポートに「半月板」線がないことに注意し、これはコンジュゲートの崩壊の可能性のある兆候であり、(2)全体的なバックグラウンドが高度に染色されておらず、これはコンジュゲートの緩衝液レシピを遮断する不十分な洗剤の可能性のある兆候であることを検査した。
【0318】
EIAと同様に、ここでは、各抗体は、最適な対を特定するために、試験ライン及び検出器の両方として試験した。試料希釈剤(塩、pH、洗剤及び添加剤)、試験ラインの濃度、及び検出器の濃度のさらなる試験も、各抗体対合を特徴付けるために試験した。標的を検出し、試料ウェル中の抗原の濃度の増加と相関するシグナル試験ラインの増加を示す少なくとも一対の抗体を特定した。ハーフディップスティックでの追加の試験化学ラウンドを実施して、LFAフォーマットでベースライン感度及び抗体指向性を確認した。
【0319】
完全なLFA:ハーフディップスティックの後、次のステップは、試験片に存在する全ての薬剤を統合/乾燥させ、最終的な製品要件(例えば、所与のアッセイについての目標範囲、既知の交差反応標的、健康状態及び疾患状態の両方における既知の濃度制限など)について必要に応じて、適切な体積、試験片材料、材料の積層及びタイミングでのアッセイを作製することであった。
【0320】
完全なLFAにおけるコンジュゲートパッドの調製:液体コンジュゲート調製物を、コンジュゲートストックをより高い濃度に濃縮するのに十分な体積でコンジュゲートを作製して、適切な乾燥濃度を達成するためにコンジュゲートパッド材料中で乾燥させ、アッセイ性能中に再水和すると、本明細書に開示される設計及びパラメータに従って測定が行われるように、ハーフディップスティックステップからスケールアップした。ハーフディップスティックステップでは、20μLのコンジュゲートを試験に使用したが、乾燥試験片形式では、コンジュゲートを保持するために使用した材料は約10μLの体積しか保持できない。濃縮された材料を含む液体コンジュゲートストックは、冷蔵保存する必要がある。コンジュゲートを冷蔵保存し、試験前に、OD及び視覚的明瞭度を再度検査した。液体コンジュゲートのODの変化、視覚的明瞭度及び均一性の変化が10%を超える溶液はいずれも、コンジュゲートレシピが安定していないことを示し、試験のために進めるべきではない。
【0321】
コンジュゲートパッド材料は、ガラス繊維またはポリエステルベースであった。試験時に、必要なアッセイ時間内にコンジュゲートの全てを放出しなかったため、より高密度の材料を使用しなかった。ポリエステル混合材料は疎水性であり、コンジュゲートをパッドに噴霧する前に前処理を必要とする。ポリエステルパッドを、洗剤を含有する過剰な緩衝液中に浸した。このステップで実施されたアッセイ開発のための任意選択の成分は、追加の洗剤、緩衝能力、及び遮断タンパク質を試験化学(すなわち、コンジュゲートパッド上で乾燥させた試薬のセット)に導入するために含まれる浸漬前のコンジュゲートパッドガラス繊維を評価することであった。コンジュゲートを、パッドからのコンジュゲートの放出を補助することを決定した、糖を含有する噴霧緩衝液中で調製した。特異的糖及び%w/v含有量を各アッセイについて最適化した。
【0322】
ニトロセルロース膜:ニトロセルロース(NCE)膜を、本明細書に記載されるように、ハーフディップスティック分析のために調製した。流量を含む完全な試験片パラメータの一部として、試料ポート、試料パッド及びコンジュゲートパッド寸法ならびに材料密度に対するラインの配置を評価した。ライン位置は、検出プラットフォームの「読み取りウィンドウ」内に配置された。適切な測定(例えば、視覚化可能なアッセイ成分の正確/最適な検出)のための十分なクリアランスを提供するために、連続した試験ライン間に少なくとも2mmの間隔を使用した。試験ラインは、鋭い鮮明な試験ラインを達成するために、1μL/cm以下で印刷した。
【0323】
その他のパッド:試料パッドの調製は、各試料の種類(例えば、全血、尿、血漿など)に対して最適化した。血液試料での使用のために、赤血球を捕捉するための手段(例えば、抗RBC抗体)を追加した。尿での使用のために、緩衝容量を調整して、尿のpHを正規化し、尿試料中に存在し得る任意の細胞残屑及び/またはタンパク質を濾過した。上部ウィックは、試料ポートから最も遠い試験片上に積層されたシンクパッドであり、試料(例えば、血液、例えば、尿)の流速が試験片を通して最大化されるように、材料を有し、NCE膜上に重複するように設計され、一方で、試験ライン信号放出を最大化するために除去される検出器のための手段を提供する。
【0324】
最終試料マトリックス構成:試験試薬、ニトロセルロース膜流量、試料体積及びパッド化学を全て試験し、次に、シグナル:ノイズ及び試験の感度を最大化するために反復的に最適化した。
【0325】
試験構成が開発されると、次の段階は、試験の性能が複数の原料調製物にわたって再現可能であることを検証することであった。
【0326】
実施例2B:アッセイ方法
付属のディスポーザブル移送ピペットを使用して、試料を試験カセットの試料ポート内に適用した。タイミングは非常に重要であり、試料はできるだけ早くカセットに適用する必要がある。具体的には、収集から1時間以内で、試料をカセットに適用するまで氷上で保持して5時間以内。測定/読み取りの正確性を確保するために、試料が周囲温度にある時間は非常に限られている必要がある。新たに分離した試料についての試験が利用できない場合、試料の取り扱い/ワークフローが保管前及び保管中に最適化されている場合、保管後に試料を測定することができる。これには、室温での最小時間、試料の迅速な処理(例えば、血漿中へ)、及び本明細書に記載されるようにカセット上で評価する準備ができるまでの保管場所への移送(-80℃)が含まれる。解凍後、事前に凍結された試料(例えば、血漿、尿、唾液など)を直ちに読み取る必要がある。
【0327】
適用後、試料は、ストライピング及びカセットアセンブリ中に添加された標識された検出器を含む、ストリップを再水和した。試料中の標的が、標識された検出器と反応した。試料が全血を含むアッセイのいくつかのバージョンでは、例えば、試料パッドに適用または含まれる抗RBC抗体を使用することによって、赤血球を試料パッドに保持した。他のバージョンでは、存在する場合、シグナルを飽和させ、試験ラインのULOQを超える場合、標的の一部である「過剰」標的は、競合剤と反応して、試料から「過剰」を除去した。次いで、標的検出器の複合体は、NC固相上に移動し、試験ライン及び対照ライン捕捉ゾーン(複数可)上を移動した。試験ラインは、サンドイッチイムノアッセイフォーマットで任意の金標識抗標的抗体-標的複合体を捕捉する標的特異的抗体(すなわち、捕捉剤)を含有した。
【0328】
試験カセットを10~30分間静置させて、アッセイを展開した。次に、試料及び試験パネルに対応する正確な試験プロトコルを、リーダシステムのユーザインターフェース上で選択した(例示的なリーダシステムについては、例えば、WO2013/014540を参照されたい)。試験カセットをリーダシステムに配置した。試料識別を入力した(統合された試験エントリー装置またはバーコード付きカセットのための外部バーコードリーダを介して)。次いで、システムは、各試験片のスキャン及び計算されたアッセイ結果(すなわち、1つ以上の標的の測定)を実施した。結果が画面に表示され、自動的に保存された。各アッセイについて標準応答曲線を生成した。この曲線は、選択されたマトリックス中の関連する標的の濃度の範囲に対するアッセイの応答を特徴付ける。曲線は、特定の標的濃度で複数の反復試料をアッセイし、応答に数学的関数を適合させることによって生成した。これらの曲線を参照して、標的濃度の定量的測定は、次いで、各標的の未知の量を有する試料上で推定されてもよい。対照試料は、各試験では実行されない。むしろ、機械が正しく動作していることを確認するQCカートリッジが存在する。このカートリッジは、実行するために試料を追加する必要はなく、それを機械に配置して、QCチェックを実行するだけである(約1分)。「合格」結果は、機械光学系が正常に動作していることを確認する。本明細書に開示されるアッセイ方法のための他の制御ステップは、各ストリップが内部的に較正されることを含む。具体的には、製造中に、カセットのバッチに固有のQCファイルが作製され、試験ライン/バックグラウンド強度によって流体の対照ラインが制御され、バッチ認定ファイルに対応する対照ラインについての品質閾値に達する必要があり(これはバーコードQCバッチファイルに組み込まれる)、QCバッチファイルは、カセットがロード後に長すぎるかどうか、及び/または試料の品質(バックグラウンドに基づいて)を通知する。
【0329】
シグナルが影響を受け、結果が変更されるように、片が乾燥するまでにどれくらいの時間がかかり得るかを決定するための試験も実施されている。
【0330】
血液または尿中のsC5b-9のComp act検出のための例示的なプロトコルは、以下の通りである。
【0331】
Comp act sC5b-9尿
必要な材料:-Comp act sC5b-9尿;迅速試験(単回使用、複製、室温);ステップ:1.複製Comp act sC5b-9尿迅速試験を取り除き、平らで水平な表面に置く。;2.各カセット(合計2つ)の試料ポートに100μLの純粋な尿試料をピペットで移す。;3.室温(15℃~25℃)で30分±1分で迅速試験をインキュベートする;4.CRFにキットID(ロット番号、期限切れ、場所)を記録する。;5.30分で終了し、リーダが以前にオンになり、Comp actリーダでsC5b-9尿Quant試験を選択する。対象のバーコードをスキャンする。;6.カセットをリーダドロワーに入れ、試験カセットドロワーを閉じて読み取る。試験結果の合格/不合格を記録する。;7.試験結果が「不合格」の場合、カセットを再実行する。;8.カセットを複製して、ステップ5~6を繰り返す。
【0332】
Comp act sC5b-9血液
必要な材料:-試験装置(単回使用、複製、室温);-試料希釈チューブ(単回使用まで冷蔵);ステップ:1.試料希釈液を室温に平衡化させる。;2.対象の血液試料を用いて、20μlの血液を希釈チューブにピペットで移す。蓋を閉じ、1:20の希釈率で十分に混ぜる。;4.複製Comp act迅速試験を取り除き、平らで水平な表面に置く。;5.各カセットについての試料ポートに100μLの希釈した試料をピペットで移す。;6.室温で30分±1分で迅速試験をインキュベートする。;7.CRFにキットID(ロット番号、期限切れ、場所)を記録する。;8.30分で終了し、リーダが以前にオンになり、Comp actリーダでsC5b-9試験を選択する。対象のバーコードをスキャンする。;9.カセットをリーダドロワーに入れ、試験カセットドロワーを閉じて読み取る。試験結果の合格/不合格を記録する。;10.試験結果が「不合格」の場合、カセットを再実行する。;11.カセットを複製して、ステップ8~9を繰り返す。
【0333】
本明細書に開示されるようにアッセイを実行する場合、特定の警告、注意、及び/または制限を念頭に置く必要がある。特に、以下を考慮する必要がある。
-室温(15℃~25℃)で複製試験を実施する。
-感染性因子の取り扱いに関する標準的な予防措置を遵守する必要がある。
-地域の規制に従って検体及びアッセイ試薬を取り扱う場合は、標準的な個人用保護衣服を着用する。
-カセットごとに1つの試料。各カセットは単回使用であり、再利用することはできない。カセットが読み込まれると、それは臨床廃棄物に廃棄することができる。
-ホイルから取り外してから30分以内にカセットを使用しなければならない。
-試料または事前にアリコートされた試料の体積を調整してはいけない。
-手順の変更は、結果を無効にする可能性がある。
【0334】
試料は、Comp actまたはRapiPlex検出器などのリーダシステムを使用して検出することができる(例えば、6つのチャネルを有するRapiPlexカートリッジの説明については、US9199232を参照されたい)。
【0335】
実施例3:豊富な標的の存在下でのシグナル滴定の喪失についての概念実証
本実施例は、測定前に試料を希釈することなく、広範な動的濃度範囲にわたって、試料中の1つ以上の標的のレベルを測定する方法を提供する。本実施例は、本明細書に記載されるようなアプローチの組み合わせを用いた従来の方法のいくつかの欠点を克服する。この実施例は、他の分析方法と比較して、流体中の1つ以上の標的を分析及び定量化する革新的な方法を説明する。
【0336】
この実施例で開発された方法についての概念実証として、血漿精製C5を試料緩衝液にスパイクし、C5及びC5結合剤(抗C5抗体)を含む試料と比較した。
図7Aにおいて見ることができるように、C5を有する試料緩衝液(左パネル)において、0~10μg/mLの測定範囲にわたる検出可能なシグナルの滴定は、試験ラインのピークシグナル強度が変化するC5濃度とともに変化しなかったため達成されず、高存在量の標的のアッセイに関連する課題を実証した。C5及び抗C5抗体を有する試料緩衝液において、試験ラインのピークシグナル強度は、異なる濃度のC5でより変化し、遊離C5の結合剤なしでは、濃度が最初に明確に制御されていたにもかかわらず、濃度の差は検出されず、したがって、濃度依存的な滴定は依然として達成されなかったことを実証した(右パネル)。これらの結果は、高レベルのC5が特定の濃度測定範囲にわたってシグナルの滴定を防止することができることを具体的に示す、高存在量の標的を有するアッセイにおける課題を実証し、これは、標的の臨床的に関連する値を決定しようとするときに課題を提示し得る。本明細書に記載の技術は、この課題を克服するのに役立ち、所与の試料中に高濃度で存在し得る標的を検出することができるアッセイを提供し、したがって、標的を測定するための信頼性、高感度性、正確性、再現性、信頼性、迅速性及び特異性のある方法を提供する。
図7B及び
図7Cのように、標的レベルの濃度依存性滴定によって見られるように、高存在量の標的によって引き起こされる飽和を克服するためにマルチラインアプローチが利用され、最終的にそれぞれ、遊離C5対治療結合C5の正確な測定をもたらし、
図7Aに示される課題を首尾よく克服したことを示す。
【0337】
検出限界が3.1ng/mLである以前のアッセイ(例えば、定量化の下限が不明であり、3.1~200ng/mLの範囲であるHycultアッセイ)と比較して、本アッセイは、0.001~100μg/mLの範囲で0.001μg/mLのLLOQを有する。
【0338】
実施例4:未希釈の試料中の豊富な標的を検出するための改変された側方フローアッセイ
豊富な標的の濃度の差を検出できないことに基づく課題を克服するために、更新された検出方法が開発された。ここで、側方フローアッセイは、様々な態様を改善し、試料中の豊富な標的を正確に検出及び測定することができるアッセイを開発するように改変された。
【0339】
固体支持体上のマルチライン検出器要素は、動的試験範囲を改善し、試料を希釈する必要性を排除する
まず、複数の検出器ラインを使用したアッセイを開発した。このアッセイにおいて、複数の検出器ラインを、試料が流れる固相上に配置した(「ストライピング」)。これらの検出器ラインは、試料中の「過剰な」標的(すなわち、アッセイの結果を歪めるほど大きな標的の量)を吸収する方法を提供する。少なくとも第1の検出器ラインで一定量の標的を吸収することによって、後続の検出器ラインを使用して、標的を正確かつ確実に検出及び定量化することができる。
図3は、このアッセイで使用される例示的な試験片の複数の試験ライン構成を示す。
【0340】
図3に示されるような複数の試験ラインの有効性は、C3を試料緩衝液にスパイクし、次いで7倍の段階希釈を実施することによって実証された。次いで、各希釈液中のC3の濃度を、マルチライン、マルチ検出器LFA試験片を使用して評価した。
【0341】
図8に示されるように、試験ライン1は、全ての試料中で飽和される(すなわち、同じ濃度のC3が全ての試料中に存在するかのように「読み取る」)。試験ライン2は、わずかに飽和度が低いが、異なる濃度のC3の間を明確に区別していない。しかしながら、ライン3及び4は、試験ライン強度シグナルが、C3濃度の減少の存在下で減少することを示す。これは、標的を測定する前に試料を希釈することなく、試料中の濃度の正確な測定を可能にするために、「過剰な」標的を除去する方法として、複数の試験ラインを使用することによって、正確で高感度の定量的アッセイを実施することができることを実証する。
固体支持体の表面積の増加により、正確性及び動的試験範囲が向上し、試料を希釈する必要がなくなる
代替手段として、またはマルチラインLFAに加えて、
図6A及び6Bに示すように、(試料を希釈する必要なく)「高濃度」標的を正確に測定するために使用される別のアプローチは、LFA中の試験片の感度を改善することであったが、LFAの流れまたは機能を妨げない方法であった。このアッセイでは、2種類の検出ビーズを比較した。60nmの金ビーズ及び400nmのポリスチレンビーズ。低濃度のC5をスパイクした試料を、複数のライン及び60nmの金または400nmのポリスチレンビーズのいずれかを有するLFAで試験した。より大きなビーズを有するLFAは、より小さなビーズを有するものよりも、高存在量の標的濃度の差異をより良く区別することができた(
図6Bを参照されたい)。より大きなビーズは、標的の速度または検出可能性を損なうことなく、標的を正確かつ迅速に測定することができる範囲を改善した。ビーズの表面積の増加とマルチ試験ラインアプローチの組み合わせは、予想されていたよりもはるかに大きな程度に高濃度標的の測定を改善し、標的の検出のダイナミックレンジを増加させた。同様のアッセイをC3で実施し、同様の結果を得た(データは示さず)。
【0342】
競合薬剤の添加によるプロゾーン効果の低減
アッセイ開発中に、プロゾーン効果が時々観察された。プロゾーン効果を低減させるために、競合剤をアッセイシステムに導入して、未希釈の試料中の高濃度標的に結合させた。このアプローチは、2つの方法で試験された。(i)コンジュゲートパッドへの遊離抗体の添加、及び(ii)ストライピング前の検出器への遊離抗体の添加。
【0343】
(i)コンジュゲートパッド上の遊離抗体
標識されていないC3抗体を35ナノグラムでコンジュゲートパッドに添加し、次にアッセイ希釈液中の精製血清C3の試料を添加した。
図9に示される結果に見ることができるように、コンジュゲートパッドへの競合(すなわち、非コンジュゲート、非標識、支持体への非結合など)剤の添加は、アッセイの正確性を向上させ、より大きな範囲にわたってより高い感度でC3の量を検出及び定量化することができる。
【0344】
(ii)ラインに添加された競合剤
このアッセイでは、希釈した試料をLFAに添加する前に、競合剤(例えば、1:20の最終希釈での標識されていない抗体)を希釈剤と混合した。これは、競合剤を効果的に捕捉剤に変換するが、測定のためではなく、試料から標的の一部を希釈する目的で使用される。競合剤もコンジュゲートパッドに添加した。
図10に示されるように、複数の試験ラインへの捕捉剤の添加は、競合剤を含まない測定と比較して、希釈液に含まれる競合剤と組み合わせたiC3b測定の正確性及び感度を改善した。
【0345】
したがって、本明細書に示されるように、試験片上のコンジュゲートパッド及び/または試験ライン(「ストライプ」)への競合剤の添加は、プロゾーン効果を低減または排除し、アッセイにおける標的の検出の正確性及び範囲を改善することができる。
【0346】
最後に、いくつかのアッセイでは、試料が予想通りに膜上/カセット内に詰まっているか、または流れていないことが観察された。さらなる調査で、試料が試験片上で実際に「詰まり」、濃度測定が不正確であることが判明した。NC膜をより高い流量の固体支持体に置き換えると、試料が試験片に侵入して流れる速度が増加し、正確性が向上した。全体として、
図11に示すように、膜を変更し、したがって、試料の流量を変更すると、試験ライン濃度がおよそ30%減少した。
【0347】
したがって、本実施例に記載されるように、各特徴は、単独で、または1つ以上の他の特徴と組み合わせて、測定前に試料を希釈することなく、試料中の高濃度の標的を測定することができるアッセイを提供し、これは、これまで、単一のアッセイが達成することができなかったものである。
【0348】
実施例5:遊離C3の測定
本実施例は、例示的な標的、C3の評価について説明する。まず、ドナー血漿を、例示的なC3治療薬(C3結合剤)の濃度を増加させてスパイクした。
図12に示されるように、血漿を、増加した濃度のC3結合剤でスパイクし、37℃で60分間インキュベートし、次いで、本開示の実施例1に従って製造されたC3 LFA迅速試験を使用して、Comp actシステム上で測定した。
【0349】
図12に示されるように、C3結合剤の濃度の増加は、遊離C3の濃度の減少に対応する。すなわち、治療薬の濃度を増加させると、血漿試料中の遊離標的(C3)の濃度が減少する。さらに、試料のオフライン希釈は、C3結合剤からの内因性C3の解離によって引き起こされる人工的レベルを生成し得る。本開示の技術は、これらの課題を克服する技術を提供するため、本明細書に記載及び例示されるアッセイからの結果は、臨床医によって、患者の治療に影響を与えるために使用され得る。本明細書に記載されるアプローチは、結合剤:C3相互作用を安定化させ、「遊離」C3対結合剤関連C3(例えば、C3結合剤がC3結合治療薬である場合、「薬物結合」C3)の正確な測定を可能にする。
【0350】
C3の測定で使用されるアプローチは、補体系内の他のタンパク質、ならびに希釈することなく分析することができる試料中に存在するサイトカイン及び他のバイオマーカー(例えば、血液、血漿、尿など)に変換して適用することができる。
【0351】
実施例6:尿中のsC5b-9の測定
特に特定の種類の試料において特定の標的を測定することは、問題となり得る。例えば、尿中のsC5b-9を測定することは、非常に有用であり、疾患、障害もしくは状態の活動、または疾患、障害もしくは状態のリスクの重要な予測因子及び/または指標であり得る。しかしながら、尿中のsC5b-9の測定は、理論的LLOQであっても、特定の試料中の特定のレベルの標的を検出するには、定量/検出の下限が高すぎるため、ELISA(
図13)などの現在の方法によって(血液に対して)正確に測定されない低い標的レベルなどの理由で一般的に問題があり、そのようなアッセイはまた、尿ではなく血液及び/または血漿に対して最適化される(例えば、8.8ng/mLのLLOQを有するQuidel ELISA、Dako抗体を使用した2.2ng/mLの公開されたサンドイッチELISA、BD C5b9 ELISA、0.469ng/mL~15ng/mLの範囲などを参照されたい)。さらに、尿体積を正規化する方法が必要である。
【0352】
この課題を克服するために、クレアチニン測定を、尿濃度を正規化するためのアッセイに追加した。さらに、そのような従来の種類のアッセイは、ポイントオブケア分析に必要なターンアラウンドタイムを容易にせず、これは、sC5b-9を含む多くの標的を監視する試験のための重要な特徴である。最後に、尿中の標的のレベルが低い場合があることを考えると(例えば、血液、血漿などと比較して)、1つ以上の洗浄ステップ(ELISAで必要とされるような)を必要としないアッセイを有することは、試料、標的などの損失を最小限に抑えることが重要である。
【0353】
問題として、血液または血漿中の1つ以上の標的を測定するための従来の試験(例えば、ELISA)は、それらの試験における試料マトリックスに起因して、尿中で正確に実施されず、さらに、これらのアッセイで使用される血液または血漿体積と比較した尿体積(及び、例えば、標的濃度)の差は、解釈のための正規化を必要とする。しかしながら、血液中であっても、100~100,000ng/mLの試験範囲内で測定値を取得するために、試験は、大幅なオフライン希釈またはいくつかの連続希釈を必要とする場合がある。対照的に、本明細書に開示される技術は、1ng/mLでのsC5b9の定量下限を含み、同時に1~100,000ng/mLの測定範囲を維持することを含む、改善された感度及び特異性を有するアッセイを開発した。
【0354】
本実施例は、希釈されていない尿の試料中の1つ以上の標的を正確に測定することができるアッセイを開発することによって、これらの課題を克服する。例えば、尿中では、sC5b-9は、5ng/mL~200μg/mLで存在し得る。すなわち、当業者に理解されるように、「疾患」状態では、sC5b-9は、200μg/mLの濃度で検出され得るが、sC5b-9レベルに影響を及ぼす疾患状態がない場合、濃度は、250ng/mL未満であっても十分によく、わずか5~30ng/mLであってもよい。
【0355】
このアッセイにおいて、sC5b-9の検出限界を拡大した。具体的には、以前に利用可能なアッセイでは、sC5b-9は、存在下または濃度のいずれかで、しばしば過少報告される。このアッセイは、以前に利用可能なアッセイにおけるsC5b-9の測定における問題の原因には、狭い定量限界、異なる試料(例えば、血液及び尿)間で適合しないpH、ならびに試料体積及び濃度の違いが含まれることを認識した。特に、試料体積及び濃度の違いは、尿試料では問題があり、これは、以前に利用可能であったアッセイでのsC5b-9の測定では考慮されなかった1つ以上の標的の濃度の違いを引き起こし得る。本実施例は、そのような問題の原因を認識しただけでなく、それらの問題に対する解決策を開発した。
【0356】
したがって、本明細書に記載されるアッセイのいくつかのバージョンでは、尿中の標的を測定するために、尿ベースのアッセイのためにNCに到達する前に、試料/検出器の混合/拡散を可能にするために、検出器とNCとの間にパッドを追加した(例えば、Tsai,et al.Scientific Reports,(2018)8:17319、及びLu,et al.,PNAS,December 19,2017;114 (51);13513-13518を参照されたく、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。ここでは、希釈されていない尿試料中の標的を検出するためのアッセイを開発した。試料緩衝液は、尿試料を安定化し、以前に利用可能なアッセイよりも効率的、正確、特異的、確実、高感度的、及び/または迅速な方法で測定を可能にしたpHを決定及び最適化することによって改変した。すなわち、試料のpHを試料パッド中で安定化/最適化した。
【0357】
尿を含まない試料を含むsC5b-9アッセイでは、緩衝液化学は異なる場合があり、すなわち、所与のカセットでは、緩衝液化学は、尿についての緩衝液化学が血液中の1つ以上の標的を測定するアッセイにおける緩衝液化学とは異なるように、使用されるアッセイ及び抗体/マトリックスに依存する。例えば、全血試料を適用した場合、赤血球を捕捉する機構(例えば、抗RBC抗体)を有する赤血球用フィルタを使用した。尿の試料において、試料パッドを、様々な範囲の尿pHレベルにわたって緩衝するように最適化した。
【0358】
多重化されたアッセイ(例えば、RapiPlexリーダを使用して実施され、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、WO2013/014540を参照されたい)では、緩衝液化学は、各チャネルの最適化、及び以前にまたはそうでなければ互いに不適合であった試験の多重化を可能にするチャネル間で変更され得る。さらに、このアッセイは、検出器濃度を2倍にし、試験片上に複数のラインを追加することによって改善された(4本の試験ラインを含む試験片を有する試験カセットからの結果を示す
図2Bを参照されたい)。検出器濃度の増加は、標的検出及び定量化の感度の有意な向上をもたらしたが、標的検出の感度の増加により、定量下限が改善されたが、定量上限が損なわれた(すなわち、LLOQが改善されたが、飽和のために範囲が悪影響を受けた)。試験当たりの検出器濃度は、アッセイにおいて制限要因であることは見出されなかった。実際、検出器の濃度を上げると、バックグラウンドシグナル及びマスクされた試験ラインシグナルが増加し、感度に悪影響を及ぼした。希釈することなく上位レベル(すなわち、ULOQに近い)と同様に下位レベルの濃度を検出することができるようにするために、追加の試験ラインを、以前は単一のラインのみを含有していた試験片に追加した(例えば、
図2Bを参照されたい)。したがって、尿試料中のsC5b-9範囲の検出が拡大された。以前に利用可能なアッセイと比較して、以前に利用可能なアッセイでいかなるsC5b-9も有しないと報告された試料は、本開示のアッセイでの測定(すなわち、検出及び定量化)について陽性の結果を示した(例えば、
図2Bを参照されたい)。
【0359】
最後に、sC5b-9アッセイに加えて、各試料を使用してクレアチニンアッセイも実行し、クレアチニンはまた、LFA中の尿体積の重要な正規化因子として機能する。このアッセイは、いかなる洗浄ステップも必要としないため、
図13に示される市販の試験などの従来のELISA試験と比較して、試験中に物質の損失がなかったという点でも有利である。このアプローチは、低レベルのsC5b-9(例えば、5~30ng/mL)の測定を可能にし、これは、これまで、以前に開発された、または現在市販されているアッセイでは検出できなかった。
【0360】
ここで、12人の健康なボランティアからの尿試料を、本明細書で開発されたLFAアッセイでsC5b-9について評価し、Comp actシステムで実行し、これらの結果を、標準的な市販のELISAキットからのものと比較した。
図13に示されるように、sC5b-9は、本明細書で開発されたLFAアッセイを使用して12個の試料全ての尿中で検出されたが、市販のELISAキットを使用して尿中で検出可能なsC5b-9を示したのは2個の試料のみであった。
【0361】
図13にも示されるように、sC5b-9及びクレアチニンを、Comp actシステムを使用して同じ試料中で測定し、これは、ウェル及び試料の一部につき1つの特定の標的のみを測定することができるELISAアッセイにおいて未希釈の試料を使用することは不可能である。この実施例に記載のアッセイは、尿中のsC5b-9の検出範囲が、例えば、8.8ng/mL~190ng/mLの範囲で、市販のアッセイ、例えば、Quidelと比較して0.5ng/mL~10μg/mLに改善されたことを示す。本明細書に記載されるように、最大200μg/mLの濃度での本開示のアッセイでは、プロゾーン効果はない)。検出範囲のそのような大幅な改善に加えて、同じ試料内での2つの異なる標的(例えば、sC5b-9及びクレアチニン)の検出はまた、RapiPlexシステム上での2つ以上の標的の多重化の開発を支持する。希釈されていない試料を使用する能力は、広範囲のsC5b-9の検出を可能にし、患者が様々な異なる状態または1つ以上の標的のレベルを有し得る臨床環境での有用性を高め、希釈などの追加のステップを必要とせずに、同じ試料から他の標的を検出及び定量化する改善された範囲及び能力とともに、この改善されたsC5b-9の範囲は、効率(及び結果の速度)を改善し、また、例えば希釈または複数の試料入力を必要とする他のシステムに存在し得るエラーまたは人工物(例えば、希釈からの)のリスクを低減する。
【0362】
試験範囲の広さも、実験室で調製した試料を使用して決定し、改善し、組み立てられたカセットを、sC5b-9緩衝液QCパネル(P/N3010)及びTBSカゼイン0.1%T20(P/N2066)中のC5b-9抗原(P/N1165)から調製した高濃度で試験した。
図14に示されるように、試験片への複数のラインの追加は、試験範囲能力をさらに改善した。試料を0ng/mL~200μg/mLまで定量化した。
【0363】
検出器濃度の増加と複数の試験ラインとを組み合わせると、0.5ng/mL~100μg/mLの動的試験範囲、及び10μg/mL~100μg/mLの定量化の上限範囲を有するアッセイが得られる。また、最大200μg/mLの濃度では、プロゾーン効果は観察されなかったことが判定された。これらの改善は、希釈されていない試料を用いたアッセイの機能にとって最も重要であり、希釈されていない尿は、リアルタイム(例えば、治療中、臨床試験中など)での治療監視などの状況における対象の臨床状態を監視するために使用することができる重要な標的の実行可能な指標であることを示す。すなわち、重要なことに、本明細書に記載されるように、本実施例は、高い陰性予測値を有するアッセイの作製を説明し、それによって、以前に利用可能なアッセイにおける偽陰性に関連する問題を改善する。そのような改善は、治療を必要とする患者が、不正確な(例えば、偽陰性)標的測定による治療を受けないよりもむしろ、タイムリーかつ正確な治療を受ける可能性を高めるであろう。
【0364】
実施例7:ADAMTS13の測定の改善
本実施例は、試料中のADAMTS13を迅速に、特異的に、高感度的に、確実に、かつ正確に測定する能力を説明する。ADAMTS13は、血液凝固に関与するVWFを切断する酵素である。重要なことに、ADAMTS13活性の欠損は、切断能力の低下または喪失を引き起こし、血液凝固の欠損をもたらす可能性がある。そのような欠陥は、遺伝または獲得され得、欠陥の病因にかかわらず、適時かつ正確な診断は、適切な(及び多くの場合、救命的な)治療を受けることにとって最も重要である。例えば、ADAMTS13の活性の低下は、試料がTTPを有する患者に由来することを示すことができ、TTPに対する治療は血漿交換であり、遅延した場合、致命的な結果をもたらし得る。しかしながら、TTPはまた、aHUSと同様の症状を有する可能性があり、aHUSを有する患者が不正確な診断により血漿交換を有する場合、実際には患者に有害であり、また、適切な治療を受けることの遅延を引き起こす可能性がある。したがって、本明細書に記載されるように、ADAMTS13活性を確実に、正確に、特異的に、迅速に、高感度的に測定できるアッセイは、現場で満たされていない必要性に対する解決策を提供する。
【0365】
アッセイは、VWFの切断に対するADAMTS13の活性を測定するので、VWFを含む任意の試料(例えば、任意の遺伝子型、例えば、血漿または全血)において、ADAMTS13活性を測定することができる。ここで、組換えVWFの切断を測定した(Comp actシステム及びリーダシステムを使用して)。このrVWF断片は、175アミノ酸長であり、ADAMTS13媒介性切断研究で使用するために、C末端に6-ヒスチジンタグを含む。試料をrVWF基質と組み合わせた後、試料中でC末端切断断片を測定し、捕捉剤及び検出剤(抗C末端抗体及び抗hisタグ抗体)を免疫測定装置に添加し、C末端切断断片を特異的に認識するが、未切断のVWFではない標識抗体を含み、N末端切断断片を捕捉または認識せず、C末端断片上の6hisタグを認識する抗体も含む。この実施例では、6hisタグ抗体は検出剤であり、C末端抗体は捕捉剤であったが、競合/捕捉及び検出剤結合パートナーは逆転させることができる。N末端断片は、測定されなかった、かつ測定されず、アッセイの固相を通過し、捕捉されず、検出剤及び/または競合剤と反応しない。
【0366】
ADAMTS13を測定するために、50μlのクエン酸ナトリウム血漿を、「VWF切断反応」と標識されたチューブ(このチューブは、CaCl2緩衝液(50μl体積)中に2μg/mLの組換えVWFを含有した)に添加した。次いで、これをピペットと混合し、37℃で10分間インキュベートした。試料中の任意のADAMTS-13(活性レベル(10%未満~100%の範囲)に依存する)は、rVWFを切断した。インキュベーションの後、2μlの「終結溶液」(0.5MのEDTAを含有する)を切断アッセイ反応チューブに添加して、切断反応を終結させた。EDTAは、ADAMTS-13酵素の活性にキレート作用をもたらし、したがって、次のステップ中にさらなる切断を停止させる。VWF切断反応チューブからの30μlの溶液をADAMTS-13試料希釈液チューブに添加し、ピペッティング(10分の1の希釈)により十分に混合した。ADAMTS-13試料希釈液チューブからの100μlの溶液を、ADAMTS-13活性カセットの試料ポートにピペットで移し、室温で30分±1分間インキュベートした。切断された/無傷のVWFのためのポリクローナルヤギAbを捕捉剤として(すなわち、C末端切断断片を捕捉するために)使用し、切断されたVWFネオエピトープに特異的なマウスモノクローナルAbを検出剤として使用した。ADAMTS13についての内部対照を異なる範囲で添加して、競合剤、捕捉剤、及び検出剤のための適切な濃度を開発した。すなわち、組換えADAMTS13を使用して、このアッセイのための活性の範囲を確立し、これはまた、システムに添加された組換えADAMTS13の量に応じて、高い及び低い対照条件/範囲を確立するためのデータを提供した。
【0367】
最初のアッセイ結果は、C末端断片と未切断VWFとの間の交差反応性抗体を示したが、さらなる開発が行われ、非常に特異的なアッセイが開発された。このアッセイの最終版(示さず)で収集されたデータは、C末端特異的抗体を使用した測定が、切断されたVWFのみを首尾よく認識したことを示す。これらのデータは、以前に利用可能な任意のアッセイよりもはるかに迅速かつ直接的な方法で取得される。すなわち、この実施例のアッセイは最大およそ40分かかるが、市販のELISAは3時間かかり、はるかに多くの取り扱い及び試料処理を必要とし、市販の蛍光測定アッセイは1時間ならびに追加の取り扱い及び測定ステップを必要とし、いずれのアッセイもポイントオブケア試験としては利用できない。ここで、唯一の追加のステップは、ADAMTS13活性レベルを測定するために、本開示の試験カセットに試料を適用する前に、5~10分かかる、rVWF基質との試料の前処理インキュベーションである。したがって、このADAMTS13アッセイの多重化はまた、試料希釈がおよそ1:10~1:20であるため、問題ではなく(すなわち、この実施例では、1:1の切断アッセイステップ、続いて1:10の緩衝液による希釈ステップが実施され、さらに、血液及び血漿を含む試料に使用される緩衝液は、rVWF基質と組み合わされた試料と適合性があり、したがって、rVWFインキュベート基質が本開示の試験カセットに適用されると、使用される特定の試験カセットの内容及び能力に従って、1つ以上の追加の標的(ADAMTS13活性の代替物として切断されたrVWFを除く)を測定することができる。
【0368】
本実施例に従うアッセイでは、ADAMTS13活性に影響を与える疾患、障害、または状態を有しない対象からの試料は、高いVWF切断、すなわち、少なくとも50~68%の活性に起因する「強力な」試験ラインを与えることが予想される。対照的に、TTPを有する対象は、TTPを有しない対象と比較しておよそ10%未満のADAMTS-13タンパク質または活性を有することが予想され、したがって、最小限の切断を誘導し、したがって、試験ラインは「弱い」または欠如するであろう。
【0369】
このアッセイを開発する際に、内因性ADAMTS13(すなわち、対象由来の試料中のADAMTS13)が、rVWFを切断することができるかどうかを決定することが重要であった。血漿試料が成功し、正確な切断活性のために追加の条件(例えば、pH、塩、温度)を必要とするかどうかを検証するために、いくつかの最適化実験を行った。確認するために、(例えば、ADAMTS13活性に影響を及ぼすであろう疾患、障害または状態を有することが知られていない対象からの)健康な血漿の試験を、血漿濃度を増加させてrVWFでインキュベートし、血漿中の内因性ADAMTS13の濃度に応じてVWF切断が比例して増加したことが見出された。
【0370】
6-Hisタグ抗体及びrVWF抗体について抗体特性評価を実施して、どの抗体がADAMTS13活性を正確に定量することができ、切断されたrVWFと切断されていないrVWFとを区別することができるかを確認した。pH及びキレート剤(例えば、EDTA、クエン酸ナトリウム)などの追加の条件を試験し、比較して、ADAMTS13活性を測定するための最適なアッセイパラメータを決定した。したがって、本実施例は、スパイク血漿試料または対象からの試料の両方を使用してアッセイ上で切断されたrVWFを検出することによって、ADAMTS13を首尾よく測定するための概念実証を提供し、アッセイは、40分以下で、試料収集から標的測定までの最小限の前処理ステップで結果を提供する。
【0371】
ADAMTS13測定は、「正常」のパーセンテージとして報告される。TTPを有する疑いのある対象からの試料において、ADAMTS13活性が10%未満で測定された場合、TTP診断が確認される。対象からの試料において、ADAMTS13活性が10~30%である場合、患者は、TTPを有するか、もしくは発症する危険性があるか、またはそれにかかりやすく、そのような状況では、鑑別診断及び/またはADAMTS13に対する自己抗体などのいずれかの阻害剤が存在するか、または他の状態もしくは因子が測定されたADAMTS13活性レベルに寄与しているかどうかを調べるための追加の試験が示されるであろう対象からの試料が、30%超のADAMTS13活性を有する場合(aHUSまたはTTPを有することが臨床的に疑われ、患者はaHUSを有すると診断される)。
【0372】
患者が、補体媒介性TMAを有するか、それにかかりやすいか、またはそのリスクがある場合、ADAMTS13活性を測定する必要があり、ADAMTS13活性が10%未満である場合、患者はTTPを有すると疑われるか、またはTTPを有すると診断され、ADAMTS13活性が10~20%である場合、患者はTTPを有すると疑われるが、状況において、及び当業者に理解されるように、追加の臨床判断またはさらなる試験及び/または監視が、約10~20%のADAMTS13活性レベルを有する患者で行われるべきである(例えば、Zheng et al.,J Throm Haemost.2020;18:2486-95におけるTTP診断のためのガイドラインを参照されたく、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。患者がTTPを有すると診断された場合、治療は血漿交換を含む。患者がaHUSを有すると診断された場合、治療は血漿交換を含まない。
【0373】
実施例8:低存在量の標的の測定
本実施例は、例示的なサイトカイン、IL-6の評価について説明する。まず、本開示の実施例1に従って、RapiPlexシステム上で、RA、ループス、または乾癬を有する患者からの19個の希釈されていないドナー血漿試料(以前に収集され、-80℃で保存された)を測定した。
【0374】
本明細書の実施例1に従って製造された片及びカセットを使用して、ピコグラム量のIL-6と同じくらい低い濃度を検出することができる。血漿IL-6についての「正常な」参照範囲は、1.8pg/mL以下であると考えられる。敗血症性ショックなどの状態では、最大11,062pg/mLのレベルが報告されており(1378.6pg/mLの中央値を有する)、敗血症では、89.9pg/mLの中央値である。RapiPlexシステムは6つのチャネルを有し、各チャネルは最大4つの異なる試験に対応できるため、正確な測定を保証するために「低い」及び「高い」存在量の標的を分離することが可能である。さらに、各チャネルは、チャネル内の全ての試験が他のチャネルのいずれにも干渉することなく最適に機能するように最適化され得る。
図15に示されるように、IL-6は、試験した19個の試料のうちの18個において、0~800ng/mLの範囲のレベルで検出された。この試験は、RapiPlexプラットフォーム上で実施されたので、補体系内のタンパク質、ならびに試料中に存在するサイトカイン及び他のバイオマーカーが、希釈なし(例えば、血液、血漿、尿など)に効率的、正確、高感度的、特異的、効率的、及び/または確実に検出及び分析され得るように、低濃度(例えば、pgまたはng/mL)サイトカイン(例えば、IL-6)の測定は、希釈されていない試料を使用して複数の可視化可能なチャネル(例えば、本明細書に記載のLFA)を使用して測定され得る、各々が複数の試験ラインを有する複数の試験片を有する単一の試験カセット上で高濃度(例えば、mg/mL、例えば、C3)標的などの複数の他の標的と組み合わせることができることも示される。
【0375】
これは、単一の小さな希釈されていない患者試料からの複数の読み出しを提供し、様々な環境(例えば、診療所、自宅など)における比類のない患者監視のための全体的な効率性、速度、正確性、感度、特異性、及び信頼性を向上させる。IL-6の存在及び濃度は、試料の未希釈血漿中で、再構成から30分以内に測定された。
【0376】
実施例9:高存在量及び低存在量の標的の多重化
本実施例は、典型的には、桁(複数可)または大きさが異なる濃度で生じる例示的な標的の評価について説明する。本明細書に記載されるように、本開示によって提供される技術は、従来的に異なるアッセイを必要とするであろう標的の複合体化を可能にする。例えば、本開示の装置は、単一のスキャン上で(すなわち、RapiPlexリーダ上で)読み取られた最大6つのアッセイチャネルを用いて、単一の試料/単一の試験カセット内で最大24個の標的を多重化することができる。したがって、このシステムは、6つのチャネルの各々に、類似のアッセイ化学及び/または類似の標的の作業/検出範囲を有する最大4つの標的を複合体化することを可能にし、例えば、正確な測定を確実にするために、例えば、単一の試料からの複数のアリコートでの複数の試験、または例えば、単一の試料内の単一の標的の1つより多い試験の必要性を排除する)。このようなシステムは、単一の未希釈試料(またはその一部)からの複数の標的の検出の効率性 正確性、感度、特異性、信頼性、及び/または速度を増加させる。さらに、全ての標的を同時に測定することは、例えば、測定が別々の時点及び/または単一の試料から別々のアッセイで実施された場合、例えば、標的の濃度(実際または検出された)に影響を及ぼす、例えば、時間依存性の変化、アッセイ試薬/材料、またはクロストーク(例えば、検出剤、例えば、競合剤、例えば、緩衝液などを測定するために使用される試薬間)の影響を複雑にすることなく、試料中の複数の標的のレベルを提供する。
【0377】
この実施例では、典型的には、高存在量及び低存在量の標的である標的の多重化(例えば、それぞれ、mg及びpg量で検出されたもの)は、試験紙上の複数の試験ラインを有する単一の試料及び単一のカセットを使用して測定される。ここで、未希釈の試料は、本開示に従って製造された、C3及びIL-6を検出することができる試験ラインを有する試験片を含むLFA迅速試験を使用して、C3及びIL-6の存在及び量について試験される(例えば、実施例1を参照されたい)。
C3及びIL-6の存在及び濃度は、30分以内に未希釈の試料(例えば、血漿及び/または血液)中で決定される。
【0378】
実施例10:改善された標的特異性のための複数のライン
本実施例は、標的を特異的かつ正確に検出及び/または定量化するための抗体特異性の欠如の克服を説明する。本明細書に記載されるように、特定の標的の検出は、抗体特異性の欠如のために不正確及び/または非特異的であり得る。
【0379】
本明細書に記載のアプローチを使用して(例えば、実施例1を参照されたい)、複数のラインを有するカセットを作製し、既知の抗体特異性の課題(例えば、B因子、C3、iC3bなど)を有する標的が、交差反応タンパク質を捕捉するが、それらを検出しない第1のラインを使用して交差反応タンパク質を除去するために使用される。捕捉が実施された後、次のライン(複数可)を使用して、1つ以上の標的を検出及び/または定量化する。
【0380】
ここで、複数の試験ラインアプローチの1つの使用において、及び
図16Aによって実証される概念実証として、Ba因子は、完全長B因子と交差反応する抗B/Bb因子抗体(M13/12)を使用してカセットの第1の試験ライン(複数可)で親B因子タンパク質を最初に捕捉することによって分析される。これは、Ba断片を含み、したがって多くのBa抗体と交差反応する完全長B因子を除去し、切断されたBa(すなわち、このアッセイの標的)の不正確な測定を引き起こす。次の試験ライン(複数可)をストライピングして、捕捉成分として抗Ba抗体(D22/3)を含むようにし、これにより、切断されたBaの特異的かつ正確な検出が可能になり、完全長/親B因子タンパク質によって汚染されない。
【0381】
捕捉及び検出特異性を評価するために、試料緩衝液を単独で実行するか、または濃度が増加している精製されたBa因子(1~1000ng/ml)または1000ng/mlのB因子をスパイクした。個々の試料を試料ポートに適用し、アッセイを30分間のインキュベーション期間にして、カセットをComp actリーダシステムに配置する前に開発した。Ba因子の検出における用量依存的な増加をカセットに示し(
図16Aを参照されたい)、定量化する(
図16Bを参照されたい)。
【0382】
このアプローチは、全体、断片化、及び/または切断された補体成分を検出するために利用可能な切断生成物及び抗体を有する任意の補体タンパク質に拡張することができる。
【0383】
実施例11:多重化-iC3b、C3及びC4の評価
本実施例は、典型的には、正確な測定のために未希釈の試料を修飾するために1つ以上の初期ラインを必要とする例示的な標的の評価を説明する。本明細書に記載されるように、本開示によって提供される技術は、従来的に異なるアッセイ及び操作を必要としていたであろうが、代わりに、単一の希釈されていない試料及び試料のインサイチュ修飾を使用して、試料希釈なしで、効率的、正確、高感度的、特異的、確実、及び/または迅速に、複数の標的を検出及び/または定量化する標的の複合体化を可能にする。本明細書に記載されるように、本開示の装置は、単一のスキャン上で(すなわち、RapiPlexリーダ上で)読み取られた、各々が4つの標的を有する、最大6つのアッセイチャネルを有する単一の試料/単一の試験カセット内で最大24個の標的を多重化することができる。所与の試験において全てのチャネルが利用されない場合、再現性、正確性などを向上させるために、冗長試験(例えば、同じ試料上の同じ標的)を実施することもできる(例えば、CV<5%を達成する)。
【0384】
この例では、標的の多重化は、単一の試料及び試験片上の複数の試験ラインを有する単一のカセットを使用して測定される。ここで、希釈されていない試料は、本開示に従って製造された(例えば、実施例1を参照されたい)各標的を(例えば、RapiPlexシステム上で)検出することができる試験ラインを有する試験片を含有するLFA迅速試験を使用して、iC3b、C3、及びC4の存在及び量について試験される。
【0385】
iC3b、C3、及びC4の存在及び濃度は、試料が事前に収集及び/または処理及び/または凍結されていない限り、アッセイ開始時間から30分以内の試料中で、できるだけ早くだが、収集後5時間を超えず(試料は氷上に保存されている)に測定される。C3及びC4の測定は、一般に、過剰な標的及び競合剤の吸収のために複数のラインを必要とし、iC3bは一般に必要としない。
【0386】
実施例12:多重化-全血及び尿中のiC3b、Ba、sC5b-9及び/またはクレアチニンの評価
本実施例は、典型的には、正確な測定のために未希釈の試料を修飾するために1つ以上の初期ラインを必要とする例示的な標的の評価を説明する。本明細書に記載されるように、本開示によって提供される技術は、従来的に異なるアッセイ及び操作を必要としていたであろうが、代わりに、単一の希釈されていない試料及び試料のインサイチュ修飾を使用して、試料希釈なしで、効率的、正確、高感度的、特異的、確実、及び/または迅速に、複数の標的を定量化する標的の複合体化を可能にする。本明細書に記載されるように、本開示の装置は、単一のスキャンで(例えば、リーダ装置、例えば、RapiPlexリーダシステム上で)読み取られた最大6つのアッセイチャネルを用いて、単一の試料/単一の試験カセット内で最大24個の標的を多重化することができる。
【0387】
この例では、標的の多重化は、単一の試料及び試験紙上の複数の試験ラインを有する単一のカセットを使用して測定される。ここで、未希釈の試料は、本開示に従って製造された(例えば、実施例1を参照されたい)各標的を検出することができる試験ラインを有する試験片を含有するLFA迅速試験を使用して、iC3b、Ba、sC5b-9及び/またはクレアチニンの存在及び量について試験される。
【0388】
iC3b、Ba、sC5b-9及び/またはクレアチニンの存在及び濃度は、アッセイ開始時間の30分以内の試料中で決定される。試料読み取りシステム(例えば、RapiPlex)は、クレアチニンラインと血液ベースのアッセイのためのものとを区別する。検出剤(複数可)及び/または競合剤(複数可)は、各標的に適したようにアッセイに添加されるであろう。
【0389】
実施例13:多重化-全血中のsC5b-9、IL-6、及びiC3bの評価。
本実施例は、典型的には、正確な測定を可能にするために異なるアッセイ及び操作を必要とする例示的な標的sC5b-9、IL-6、及びiC3bの評価を説明する。本明細書に記載されるように、本開示の技術は、分析のために別々の試料及びアッセイを以前に必要としたであろう単一の試料からの補体及びサイトカイン標的の評価を可能にする。この多重化は、以前は不可能であった2つのシステム間のクロストークの解決を可能にする。本明細書に記載されるように、本開示の装置は、単一のスキャンで(例えば、リーダ装置、例えば、RapiPlexリーダシステム上で)読み取られた最大6つのアッセイチャネルを用いて、単一の試料/単一の試験カセット内で最大24個の標的を多重化することができる。
【0390】
この例では、健康なボランティアからクエン酸ナトリウムチューブに血液を収集し、血漿に処理した。次いで、血漿を、比較のために2つのチューブに分離し、1つは非刺激チューブであり、別のチューブは、250μlの100μg/mlの熱凝集ガンマグロブリン(HAGG)を添加することによって刺激された。当業者は、HAGGが古典的補体経路の強力な刺激物質であることを理解する。sC5b-9、IL-6、及びiC3bのベースライン測定は、本開示に従って製造された、各標的を検出することができる試験ラインを含有するLFA迅速試験を使用して、非刺激試料上で実施した。
【0391】
その後、非刺激試料及び刺激試料の両方を、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、さらなる補体活性化を防止するために、90μlのフサンを非刺激試料に添加し、両方の試料セットの濃度を測定した。次いで、両方のチューブをさらに2時間、37℃でさらにインキュベートし、sC5b-9、IL-6、及びiC3bの存在及び濃度を測定した。全ての試料を、示された時点(0、60分、及び180分)で多重化試験カセットの試料ポートに適用し、アッセイが完全に開発するまで30分間のインキュベーション期間を与えた。
【0392】
図17に示されるように、非刺激試料(0、60、及び180分)及びHAGGでの刺激試料(60及び180分)の示された時点の測定は、個々の処理ステップを必要とせずに単一の試料から複数の標的を定量化するための効率性、正確性、高感度性、及び信頼性を実証する。
図17に示されるように、iC3bは、おそらく自己活性化に起因して、非刺激試料中で60分及び180分後に増加した。同様に、血漿試料中の古典的補体経路のHAGG刺激は、sC5b-9濃度の増加をもたらしたが、IL-6は有意な変化を受けなかった。本開示のアッセイを利用することで、迅速な多重化アッセイで個々の分析物の変化を特異的に検出する時間経過測定の能力が著しく改善されることが可能になった。
【0393】
実施例14:未希釈の試料を使用した補体媒介性血栓性微小血管症(CM-TMA)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、及び/または血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の診断、監視、及び/または治療
本明細書に記載されるように、本開示の技術は、免疫媒介疾患、障害及び/または状態を監視及び/または診断するために使用され得る。CM-TMAを診断及び/または監視するために、sC5b-9、ADAMTS13活性、iC3b、C3、C4、C4d、Ba、及び/または遊離C5(抗C5治療薬も含む試料中)の検出及び定量化のためのラインを備えたカセットを製造する。試料がカセットに適用され、RapiPlexシステムを使用して検出される。
【0394】
ADAMTS13活性のレベルが、(参照試料、例えば、ADAMTS13基質の)10%未満であると判定された場合、その試料は、CM-TMAまたはaHUSを有する対象からのものよりも、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を有する対象からのものである可能性が高い。sC5b-9のレベルが上昇している場合、aHUS及び/またはTTPが存在してもよい。iC3bのレベルが上昇し、C3が減少し、C4が対照濃度である場合、試料は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を有する対象からのものである可能性がより高い。aHUS、TTP、または別の観察の診断が行われる場合に応じて、対象は1つ以上の治療で治療される。
【0395】
実施例15:未希釈の試料を使用した造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)の診断及び/または治療
本明細書に記載されるように、本開示の技術は、免疫媒介疾患、障害及び/または状態を監視及び/または診断するために使用され得る。HSCT-TMAを診断及び/または監視するために、sC5b-9、ADAMTS13、C3、C4、C4d、Ba、IL-8、及び任意選択でIL-6、iC3b、及び/または遊離C5を検出及び定量化するためのラインを備えたカセットを製造する。いかなる特定の理論にも拘束されることなく、HSCT-TMAの診断及び/または治療において、HSCT-TMAは、とりわけ、C4及びC4dレベルを使用して検出及び/または監視され得るGVHDに頻繁に関連付けられるため、C4/C4dは、(例えば、aHUS/TTPの診断及び治療と比較して)ここでより重要であることが企図される。HSC移植を受けた患者からの試料をカセットに適用し、RapiPlexシステムを使用して検出し、カセットロットからの試験ロットによって制御される既知の参照レベルと比較して読み取る。反復試験は、時間の経過とともに補体タンパク質の傾向及び変化の発達を理解するのにこの状況において有用であると考えられており、変化は急速に起こる可能性があり、迅速な介入は患者の治療に重要である。
【0396】
iC3b及び/またはC4dのレベルが上昇し、C3/C4が減少した場合、対象は、GVHD及び/またはHSCT-TMAを経験しているか、または経験するリスクがある可能性がある。さらに、sC5b-9、Ba、及び/またはIL-8が増加した場合、対象は、HSCT-TMAを経験しているか、または経験するリスクがより高い可能性があり得る。sC5b-9のレベルが正常範囲内である場合、対象は、HSCT-TMAを経験しているか、または経験するリスクがある可能性が低い。治療は異なり、治療の遅延は致命的であり得るため、TTPを排除することは、任意のTMAにおいて重要である。HSCT-TMAの診断及び/またはアッセイで観察される任意の他の異常に応じて、対象は、1つ以上の治療で再試験及び/または治療される。
【0397】
実施例16:未希釈の試料を使用したループス腎炎の診断、監視、及び/または治療
本明細書に記載されるように、本開示の技術は、免疫媒介疾患、障害及び/または状態を監視及び/または診断するために使用され得る。ループス腎炎を診断及び/または監視するために、試料が尿試料である場合、iC3b、sC5b-9、インタクトなC3及び/またはIL-6、ならびにクレアチニン、または試料が血液及び/または血漿試料である場合、iC3b、sC5b-9、C4、C4d、インタクトなC3、及び/またはIL-6、ならびに任意選択で、遊離C5(すなわち、患者が抗C5治療中である場合)の検出及び定量化のためのラインを備えたカセットを製造する。当業者に理解されるように、ループス腎炎は非常に不均一な疾患であるため、いくつかのマーカーを有するパネルは、より少ないマーカーが依然としてより信頼性が高く実用的な臨床像を提供し得る他の疾患についてのパネルと比較して、より正確で臨床的に意味のある結果を生成することが期待される。ループス腎炎を有するか、またはそれを有するもしくは発症する疑いがある患者からの試料をカセットに適用し、リーダシステム(例えば、RapiPlexシステムなど)を使用して検出する。
【0398】
ループスを有すると既に診断された対象における血漿C4及び/またはインタクトなC3のレベルが低下した場合、フレアを有するリスクがあり、対象がループスを有すると診断されていない場合、対象は、ループス腎炎の発症及び/またはフレアを経験しているか、または経験するリスクがある可能性がある。血漿C4d、iC3b及び/またはsC5b-9のレベルが上昇した場合、対象は、ループス腎炎の発症及び/またはフレアを経験しているか、または経験するリスクがある可能性が高い。対象がループスと診断された場合、血漿C4dの増加は、ループス腎炎を有する患者と腎障害を有していない患者とを区別することができる。既にループス腎炎と診断された対象における尿中IL-6、iC3b、及び/またはsC5b-9のレベルが上昇している場合、患者はフレアを経験している可能性がある。まだループス腎炎と診断されていないが、腎障害を有しないループスと診断された対象における尿中IL-6、iC3b及び/またはsC5b-9のレベルが上昇した場合、対象は、ループス腎炎を有するか、または発症するリスクがあり得る。ループス腎炎の診断もしくはループスフレアのリスクが検出された場合、及び/またはアッセイで他の異常が観察された場合に応じて、対象は1つ以上の治療で治療される。場合によっては、治療は、この実施例に記載されるように、1つ以上の標的の第1の測定値と比較して、フレアの追加の兆候もしくはフレアのリスクが検出されるまで、または検出されない限り、任意の治療薬の投与の有無にかかわらず、監視またはさらなる試験のみを含んでもよい。
【0399】
実施例17:未希釈の試料を使用したCOVID19関連サイトカイン放出症候群の診断、予防及び/または治療
本明細書で説明及び記載されるように、本開示は、新しい及び改善された検出、定量化、ならびに多重化技術を提供する。いかなる特定の理論にも拘束されることなく、COVID19は、膨大な数の臨床症状及び転帰を有することが知られている疾患であり、炎症性または他の生物学的プロセスは、これまでのところ、任意の予防的または有意義な治療的方法で検出不可能であった。
【0400】
ここで、COVID19に罹患した、またはそれを有するもしくは有していたと疑われる患者からの生体試料(例えば、血液、血漿、唾液、尿)を、少なくとも1つの未希釈の試料上でIL-6、IL-1、C5a、iC3b、CXCL9、sC5b-9、sCD25、フェリチン、及び/またはMASP2:AT複合体について試験する。どの標的がどのレベルで存在するかに応じて、治療的及び/または予防的介入が患者に適用され得、その結果、現在の罹患率または死亡率は、医療提供者が疾患及び関連する後遺症の臨床症状及び/または進行を変化させるような方法または時点で介入することを可能にすることによって低減され得る。
【0401】
実施例18:未希釈の試料を使用したサイトカイン放出症候群の診断、予防及び/または治療
本明細書で説明及び記載されるように、本開示は、新しい及び改善された検出、定量化、ならびに多重化技術を提供する。いかなる特定の理論にも拘束されることなく、サイトカイン放出症候群は、膨大な数の刺激に応答して生じ得る。具体的には、いかなる特定の理論にも拘束されることなく、本開示は、疾患、障害、状態、及び/または任意の疾患、障害、及び/または状態の治療に応答して生じるサイトカイン放出症候群を診断、予防、及び/または治療する方法を提供する。特に、治療法(例えば、遺伝子治療、CAR-Tなど)の進歩は、臨床医に、以前に致命的及び/または衰弱性の疾患、障害及び/または状態を治療する方法を提供する。例えば、当業者に既知のように、特定の治療(例えば、CAR-T、遺伝子治療)は、可能ではなかった方法で特定の疾患、障害及び/または状態を治療することができるが、そのような治療の投与は、例えば、サイトカイン放出症候群を含む有害事象のリスクを含む。サイトカイン放出症候群(サイトカインストーミングとしても知られる)などの有害な治療関連事象のタイムリーかつ正確な監視のための現場での満たされていない必要性が現在存在している。サイトカイン放出症候群が出現する前または出現する際に、臨床医が監視、検出及び/または介入することができる場合、患者は依然として救命療法を受けることができ、有害事象を緩和及び/または予防することができ、介入を容易かつ効果的にパーソナライズして、以前は不可能であった方法で救命治療の安全性及び有効性を改善することができる。
【0402】
重要なことに、本開示によって提供されるアッセイ及び技術は、予後、予測、及び診断アルゴリズムならびに単一のカセットに由来する情報及び/または他の治療薬(例えば、抗IL6、抗C3、抗C5など)の治療もしくは用量に関連するレベルの監視などの複数の目的に役立つことができる。
【0403】
ここで、治療薬(例えば、遺伝子治療、CAR-T治療、慢性疾患、例えば、乾癬などのための抗体)で治療されている患者からの生体試料(例えば、血液、血漿、唾液、尿)を、少なくとも1つの未希釈の試料上で、IL-6、IL-1、C5a、iC3b、CXCL9、sCD25、フェリチン、sC5b-9、及び/またはMASP2:AT複合体について試験する。どの標的がどのレベルで存在するかに応じて、治療的及び/または予防的介入が患者に適用され得、その結果、現在の罹患率または死亡率は、医療提供者が疾患及び関連する後遺症の臨床症状及び/または進行を変化させるような方法または時点で介入することを可能にすることによって低減され得る。
【0404】
実施例19:大規模な自己免疫集団をセグメント化するための方法
本実施例は、補体プロファイルに基づいて不均一な患者集団をグループ化する方法を説明する。開始するために、ループスを有する18人の患者からの試料を、それぞれ高腎疾患活性及び低腎疾患活性による来院中に1つずつ(SLEDAI-2Kを使用して測定されたスコアから決定された腎活性を有する)、少なくとも2つの時点で収集した。sC5b-9を、本開示の実施例6(尿中のsC5b-9の測定)に従って、未希釈の尿試料中で評価した。
【0405】
高い腎スコアと低い腎スコアを記録した来院間の患者からの尿中のsC5b-9レベルの比較(
図18を参照されたい)これらの結果は、3つの異なる群への患者のセグメント化を実証する。(1)腎疾患活性が低かった場合よりも腎疾患活性が高かった場合のより高い平均sC5b-9レベル、(2)疾患活性にかかわらずsC5b-9レベルの変化が最小であるか、または全くないこと、及び(3)腎疾患活性が高かった場合のsC5b-9レベルが低く、腎疾患活性が低かった場合のsC5b-9レベルが高いこと。この以前に開発されていない方法は、例えば、臨床試験登録のスクリーニングツールとして、特定の薬物にどの患者が反応する可能性がより高いか、または反応しないかについての情報を医師に提供し、及び/またはどの種類の治療が所与の患者に有益であり得るかを予測する補体プロファイルに基づいて、患者(例えば、ループスを有する)の集団をセグメント化するために使用することができる。例えば、sC5b-9が腎活性に正に対応する第1の群の患者は、抗C5治療薬に応答する可能性がより高くなり得る。このため、本実施例は、自己免疫疾患、障害または状態を有する患者の集団をセグメント化するための新しく予期しないアプローチを提供する。
【国際調査報告】